(こんばんは、デュマです。
デュマ、デュマ、デュマって3回言うと悪夢を見れるって聞いたことありませんか?
そんなわけねぇよ!!ヒャッハ!!
ってわけで、今オレは廊下を疾走している最中だ。
まさかヤツ(陛下)がこんな場所までこのオレを探しに来るとは思ってなかった が、特に問題ねぇ!!
っていうか・・・、陛下って女だったっけか?)
廊下を直角に曲がり、デュマは一直線に外を目指す。
(にしても陛下の野郎、もったいぶって何を言い出すかと思えば・・・。)
「不快に思うかもしれませんが、アナタは私の使い魔です。だから・・・、できるだけ大人しくしていて下さい・・・、お願いします。」
(だとさ!!
笑う笑う笑う笑う笑う笑うぅ!!!
お前の肉片から産まれたんだから使い魔みてぇなもんだろうし、大人しくしてろ=森に潜んでろってことだろ?
意味不明な命令だが、オレは従順に従うぜ。
なんせヤツから離れれば、このオレは基本的に自由。
何にでも好きなだけ与えられて、好きなだけ奪える。そんな自由が待ってるわけだ。)
出口が見え、デュマは勢い良く跳び出す。
着地してパッと見上げると、太陽が目に入った。
気絶している間に夜が過ぎて、今は明け方のようだ。
小鳥がチュンチュンうるさい。
(ここどこだ?そういえば陛下のいた部屋も、いつもの豪華な部屋じゃなかったし・・・。
まあいいや、とりあえず森を探さねぇと・・・。)
キョロキョロと辺りを見渡して森を探す。
しかし、残念ながらここはまだ学園の敷地内のため塀で外の世界が見えない。
チッ、と舌打ちをしてまた走り出そうとしたところで、大きな籠を持って建物から出てくる男を発見した。
ニヤリと笑みを浮かべ、デュマは足早に男の方へと駆けていく。
「オイ、小僧!!何やってる?」
「うおおっ!!」
後方から急に話しかけたため、男は驚いて持っていた籠を地面に落としてしまった。
白い布が籠からこぼれ落ちる。
「急に話しかける・・・、ってすげぇ格好!!」
振り向いた男は、デュマを見てまた驚きの声を上げた。
ピンクのタイツに蛍光グリーンのマントは、朝日に照らされると余計に眩しい。
「ほぅ・・・、このオレのパーフェクトなファッションセンスを理解するとは、なかなか見込みのある小僧だ。」
「あ・・・、いや理解するっていうか・・・。」
「照れるな小僧。お前の服装も中々独創的でいいじゃねぇか。」
優しい笑みを浮かべて、男の肩を軽く叩いてやる。
男の格好は青のパーカーに、Gパン。デュマの世界ではあまり見かけない、というか見かけることのない格好だった。
「その小僧って言うのやめてもらえるか?俺には一応、平賀才人って名前があるんだからさ。」
「貴様の名前などどうでも良いわ!こんな朝っぱらから何やってるのか聞きたい。」
デュマの高圧的な態度に反論しかけたものの、サイトは結局思いとどまって小さく溜息を吐くだけだった。
「なんでここの住人は、そう人を馬鹿にしたような言い方するんだ・・・、さっきだって俺のご主人様だって女が・・・。」
「小僧、そうやって愚痴るだけで満足しているようなら貴様はゴミクズ同然よ・・・。」
「なっ!!」
「このデュマ、ゴミクズに興味はない。失せろ。」
サイトに興味をなくしたデュマが、そう吐き捨てて場を去ろうとした時、今まで大人しかったサイトが吼えた。
「待てよ!!なんなんださっきから人のことを犬とかゴミクズとかよ!!お前等そんなに偉いのかよ!!」
「偉いのか・・・だと? オレは闇の帝王の使い魔”ジャップル・デュマ“だぞ?偉いに決まってるだろうが!!」
小鳥がチュンチュン鳴く、のどかな早朝に睨み合う2人。
「ぶっ殺す」の掛け声と共にデュマがサイトへ殴りかかろうとした瞬間、少女の叫び声が響き渡り、2人は動きを止めた。
「やめて!!」
2人の目線の先には、灰色髪の少女が肩で息をしながら立っていた。
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(縄を解いてすぐ、扉から跳びだして行ったデュマを追って正解だった。
まさか、とは思ったがすでに学園内で騒ぎを起こしていた。
しかもあのゼロのルイズが召喚した平民の使い魔と喧嘩する直前だったなんて・・・。
ラ・ヴァリエール公爵家の三女である彼女を敵に回せば、極貧貴族のメイルスティア家がどうなることか・・・。
やはり、このデュマという使い魔はしっかりと監視しておかないと危ない。)
ラリカ・ラウクルルゥ・ド・ラ・メイルスティアは、今は大人しく後方で正座しているデュマと、隣で洗濯をしているサイトを見比べる。
(どう見ても平民の男にしか見えないが、得体の知れない自分の使い魔に比べたら相当マシだ。
何度か謝ったらすぐに許してくれた上に、なぜか「アンタみたいな、まともな人間もいるんだな。」などと言って笑っていた。
平民に「まとも」なんて言われる筋合いはないが、ミス・ヴァリエールに変な報告をされては困る。
私は人と話すのが苦手だし、学園に入ってからまともに他人と話しもしていないため、うまくできるか分からないが、ここは話を合わせて穏便に済ます必要があるだろう。)
適当に話を聞き流してその場を去る予定だったが、質問を受けたり、愚痴を聞いたりしているうちに逃げられなくなり、結局かなりの時間が過ぎてしまった。
ふと後ろを振り返ると、正座していたデュマがいなくなっている。
「あ、すみませんミスタ・サイト。」
「ん?ああ、ミスタなんて堅苦しいから普通にサイトでいいよ。」
「はぁ・・・。お話中申し訳ないんですが、また使い魔のデュマがどこかに行ってしまったようなので・・・。」
「ああゴメン!つい話しに夢中になっちまったみたいで・・・。」
「いいんですよ。では、私はデュマを探しに行かなくてはならないのでここで失礼させて頂きますね。」
サイトに一礼すると、ラリカは辺りを見回す。
デュマがどこに行ったのかの不安もあったものの、平民の話を聞き続けるのも苦痛だったため、丁度良いタイミングだ。
自分は異世界から来ただの、トウキョウ、チキュウ、アキバ、など意味の分からない事を語られても困るのだ。(もちろん愛想良く?頷いていたけれど)
と、その場を立ち去ろうとしたところで、サイトに呼び止められた。
「あ、そういえば君の名前を聞いてなかった!」
愛想笑いを浮かべて振り返る。
「”ラリカ・ラウクルルゥ・ド・ラ・メイルスティア”と言います。」
「ラリカ・・・さん。」
「ラリカでいいですよサイト。」
「あ・・・ああ、じゃあラリカ。もし迷惑じゃなかったらだけど・・・、また話し相手になってくれるか?」
少し照れくさそうにそう言うサイトにラリカは微笑んだ。
「ええ、喜んで。」
できればもう話したくないし、関わりたくないが・・・。
この場はとりあえずこれで。
それにしても、やっぱり他人と話すのは緊張するし疲れる。
デュマを探し出して落ち着いたら、ゆっくりベッドで眠りたい気分だ・・・。
どこに行ったのか検討もつかないデュマを探して、ラリカは走り出した。
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つづく