「ゲハァ!!」
ラリカが曖昧な記憶を必死に紐解き、あの意味不明な歌を唱おうとした時だった。
目の前で静かに目を閉じていたポメラニアン(デュマ)が急に苦しみだした。
口から結構な量の血を吐いて、息を荒げている。
「ハァハァ・・・。す・・・少し血を流しすぎちまったみてぇだぜ。」
言わずもがな。
ほんのちょっと前まで、矢が刺さった肩から血が流れているのにゴロゴロしてたし。
「やべぇ・・・、貧血やべぇわ・・・。」
ポメラニアンは虚ろな目で呟くと、その場にうずくまった。
頭を垂れ、小刻みにフルフルと震えている。
血を流しすぎると寒くなると言うが、それだろうか。
「あ・・・あの?」
心配になり声をかけるラリカだったが、予想は外れた。
そう、ポメラニアンは笑っていたのだ。
「クックックッ・・・。」
「ヒャ~ッハッハッハァ!!」
笑う度に、肩からドクドクと血が流れるのが見てとれる。
目をバチクリさせるラリカに、ポメラニアンは目を向けた。
「あと3回・・・。」
「え?」
「このデュマ様は、あと3回"変身"できる!」
「!?」
驚愕の事実。
目の前のポメラニアンは、まだ3回も変身できると言うのだ。
グッドマン人形から人間、そして仔犬に変わっただけでも驚きなのに、まだ変わるのだ。
どう変わるのか興味あるが、そんなことよりラリカは早くこの場を去りたかった。
もう目の前の奇怪な生き物に関わりたくないのだ。
早く船を止めた場所に行き、家に帰りたい。
「さぁ、お望み通り見せてやろう!!」
ポメラニアンが目を見開く。
「このデュマ様の第2の変身を!!」
つづく