食堂に着いたラリカは、いつもの席に腰掛けた。
親しくしている友達もいない彼女は、いつも目立たないテーブルの端に座る。
他人に興味がないため、クラスメイトの顔は知っているものの名前の方は自信がない。
パッと顔と名前が一致するのは「ゼロ」と呼ばれる有名なあの子くらいだろうか。
ワイワイと楽しそうに食事をする生徒達を尻目に、ラリカは黙々とスープをすすっていた。
ほんの半日程度だったが、あの変な使い魔がいた時間は、騒がしくて、忙しくて・・・。
誰かの事を考えて生活したのは、もしかするとあれが始めてだったかもしれないし、人とあんなに話したのは一体いつぶりだったろうか・・・。
そんな事を考えていると、なんだか急に寂しい気持ちになった。
視線をスープから話し、顔を軽く振る。
まったく、私は何を考えているんだ・・・。こんな美味しい食事ができて、暖かい布団で毎日寝られる、それだけで十分ではないか。
この平穏以上に、何を望むというのだ・・・。
小さく溜息をつき、彼女は再びスープへと視線を戻した。
「あ、ラリカじゃないか?!」
不意に後方から声を掛けられ、驚いて振り返る。
「あ、ご・・・ごめん。急に声かけちゃって・・・。」
そう言って少しバツの悪そうに笑ったのは、黒髪のあの少年だった。
「ゼロ」のルイズの使い魔の平民。
「あ・・・。」
小さく声を漏らすラリカに、少年は笑いかける。
「サイトだよ、まさか忘れちゃったとか?!」
「あの、お知り合いですか?」
おどけて見せるサイトの横で、同じように黒髪の少女が問いかける。
こっちは、確かこの学園で勤めているメイドの子だったはずだ。何度か見かけたことがある。
「ああ、ラリカって言って今朝井戸の所で知り合ったんだ。ルイズみたく偉そうじゃないし、オレの話をいろいろ聞いてくれてさ。」
「そうなんですね。あ、申し訳ございません!!私はシエスタって言います!学園で働いていますので、何かあればいつでも声を掛けてくださいね、ミス・・・。」
「ラリカでいいですよ。」
学園で働くメイドでも、流石に生徒全員の名前は覚えられないだろう。
特に私のように目立たない生徒の事など、知っていようはずもない。
ラリカは、シエスタに向かって軽く愛想笑いを浮かべた。。
「貴族の方を呼び捨てになんて!!じゃあ・・・、ラリカさんって呼んでもいいですか?」
異世界から来た?というサイトと違って、この子はここの常識を知っている。
平民と貴族の違いだって理解しているようだ。
まあ、私としては特にどうでもいい話だが・・・。
「よろしくお願いしますね、シエスタさん。」
もう一度微笑む。
今朝の練習のおかげか、愛想笑いもなかなか自然にできている気がする。
「おーい、こっちにもデザート早くもってきてくれ!!」
3人で話していると、少し離れた所から誰かが2人を呼ぶ。
「はい、申し訳ございません!」と、私に一礼してそちらへ駆けて行くシエスタ。
その後ろをサイトがついて行った。
「じゃあ、またなラリカ!!」
去り際のサイトの一言。
そんな後ろ姿を、ラリカは不思議な気持ちで見つめていた。
「またな・・・か・・・。」
小さく呟き、再び腰掛ける。
知り合いが2人増えた・・・、たったそれだけだけど、なんだか変な感じだ。
透明なスープに映る自分の顔が、なんだか笑っているような気がした。
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「ヒャハハハ!!我ながら恐ろしいパワーだぜぇ!!」
ショッキングピンクの人面鳥、デュマは飛ぶ。
遮るものが何もない上空を、バッサバッサと羽ばたいて。
「アレか!?あの建物か!!?」
そんな彼の目に飛び込んできたのは、まぎれもなくあのトリステイン魔法学園だった。
少し離れた位置に転送された彼は、頑張ってようやくここまで辿り着いたのだ。
学園の近くの木にとまり、ラリカの部屋をじっと探す。
「ウヘヘ、どこだメイルスティア!!見つけ次第バラバラにしてやるぜぇ!!」
興奮しながら木の上で頭をブンブン振り回すデュマ。
その迫力?に驚いて、近くの木にとまっていた小鳥たちが一斉に飛び立っていく。
そして、
「見つけたァ!!あの部屋、あの窓、あの雰囲気!!憎っくきメイルスティアの部屋に違いねぇ!!」
木を揺らし、一直線に飛んでいく。
「ヒャァ~ッハハハッハッハッハハ!!地獄を見せてやるぜぇ!!」
近づいてくる窓目掛けて、デュマはその鋭い髪の毛”デス・ブレード”をかざした。
復活した闇の貴公子による復讐の始まりである。
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つづく