プロローグ 冒険の終わり・・・・そして、新たなる冒険へ
――デジタルワールド
十闘士のスピリットを受け継いだ5人の子供達と、子供達の心を受け、デジモンとして蘇った十闘士によって最後の敵、ルーチェモンは倒された。
「ありがとう。俺たちを守ってくれたんだね」
子供達の一人、リーダー的存在だった神原 拓也が、ルーチェモンの攻撃から庇ってくれた十闘士達にお礼を言う。
「いいや、守ってくれたのは、君達だ」
そう返したのは、拓也の受け継いだ炎のスピリットの闘士、アグニモン。
「ありがとう」
「ありがとう」
「ありがとう」
「ありがとう」
氷のチャックモン、雷のブリッツモン、闇のレーベモン、光のヴォルフモンがそれぞれ礼を言っていく。
「Contento」
風のフェアリモンだけは、イタリア語だった。
「フェアリモン、イタリア語を?」
風のスピリットを受け継いだ織本 泉が驚いた表情で聞き返す。
「泉ちゃんと、一緒にいたからだ」
そう答えたのは、雷のスピリットを受け継いだ、柴山 純平。
「ねえ、なんて言ったの?」
気になって尋ねるのは、最年少で氷のスピリットを受け継いだ、氷見 友樹。
「フフッ、嬉しいって言ったの」
そう笑顔で答えるフェアリモン。
「私もよ」
泉が微笑み、そう言った時、デジヴァイスが輝きだす。
「え?」
泉がデジヴァイスを取り出すと、デジヴァイスからデジコードが伸び、トレイルモンのレールだけとなってしまっていたデジタルワールドに戻っていく。
「データが戻っていく」
「見るんだ。デジタルワールドを」
アグニモンにそう言われ、子供達は、背後のデジタルワールドに振り向く。
残りの4人のデジヴァイスからも、デジコードがデジタルワールドに伸びていく。
「君達のおかげで、デジタルワールドは急速に修復していく。元通りの、デジタルワールドに・・・・」
アグニモンの言うとおり、デジタルワールドに大地が蘇っていく。
「やったんじゃ!デジタルワールドの復活じゃ~~!!」
そう言って喜ぶのは、拓也たちと共にデジタルワールドを旅してきた、ボコモンとネーモン。
「やったな!」
「ルーチェモンを倒したのね」
「俺たちの手で!」
「今度こそ本当に」
「終わったんだ!」
光のスピリットを受け継いだ、源 輝二を含め、泉、拓也、友樹、純平がそれぞれの言葉で、喜びを表現する。
「新たなる伝説の十闘士が・・・・デジタルワールドを、取り返してくれたんじゃい!」
感動しているボコモン。
拓也がアグニモンに向き直る。
「これからは、君達がこの世界を・・・・」
そう言いながら、拓也は右手を差し出す。
アグニモンは頷き、
「守ってみせる」
拓也の手を握り返した。
その時だった。
拓也のすぐ横に、光る鏡のようなものが出現する。
「な、なんだぁ!?」
拓也は、驚いた拍子に左手をその鏡の様な物に突っ込んでしまった。
その途端、物凄い力で引っ張られる。
「うわっ!?引き込まれる!?」
「拓也っ!」
アグニモンが引き戻そうとするが、アグニモンの力でもビクともしない。
「・・・・・どうやら俺達の冒険は、まだ終わらないみたいだ」
拓也がアグニモンに話しかける。
「そうみたいだな。なら・・・・」
「これからもよろしく頼むぜ、アグニモン」
「ああ」
拓也は仲間達の方に顔を向ける。
「そう言う訳だ。俺、帰るのが皆より遅くなるみたいだから、俺の家族には必ず帰るって伝えてくれ」
「「「「拓也(兄ちゃん)!」」」」
「行ってくるぜ」
アグニモンが、スピリットの形をとり、拓也のデジヴァイスに入る。
拓也は光る鏡に完全に吸い込まれ、その場から消えた。
そして、新たなる伝説の幕が上がる。