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ゼロ魔SS投稿掲示板


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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第十二話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/12/07 21:43
岸壁へ跳ぼうとしたが、届かず空に落ちる才人。

「ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

才人の姿が雲の中に消える。

だが、次の瞬間、雲の中より才人が現れる。

そして、才人の足元が露になると同時に雲の中からヴリトラモンが現れる。

才人はヴリトラモンの背に乗り、九死に一生を得た。

「ったく、後悔をするなとは言ったけど無理をしろとは言ってないぞ」

ヴリトラモンは、そう言う。

「後悔したくなかったから、無理をしたんだ!」

才人ははっきりと言い切った。

「やれやれ・・・・」

ヴリトラモンは半分呆れたが、ヴリトラモンの目にもアイナの視界が映っている。

「コイツはヤバイな。急ぐぞ才人!しっかり掴まってろ!!」

ヴリトラモンは全力で羽ばたいた。





第十二話 激突!! 炎の闘士VS漆黒の竜人!!


「コロナブラスター!!」

無数の炎の弾丸がブラックウォーグレイモンに向かって放たれる。

「む?」

ブラックウォーグレイモンは、反射的に足を止める。

次の瞬間、

「うおおおおおおっ!!」

土煙の中からヴリトラモンが突進してきた。

ヴリトラモンはブラックウォーグレイモンに体当たりをした。

ブラックウォーグレイモンは、吹き飛び壁に激突する。

更にヴリトラモンは全身から炎を発する。

「フレイム!ストーム!!」

相手に向かって尾を振ると、炎が放たれる。

瓦礫に埋まったブラックウォーグレイモンを炎で包んだ。

ヴリトラモンは、アイナの方に向き直る。

「大丈夫か!?」

「なんとか・・・・」

ヴリトラモンの言葉に座り込んだまま答えるアイナ。

「タバサ!キュルケ!アイナを頼む!」

ヴリトラモンは、タバサとキュルケにアイナを任せると、炎に包まれたブラックウォーグレイモンに向き直る。

「今度こそやったんじゃない?」

キュルケはそう言うが、

「まだだ」

ヴリトラモンがそう答えた時、炎が掻き消え、ブラックウォーグレイモンが立っていた。

「嘘・・・・・」

キュルケは呟く。

「少しはできるようだな。だが、まだだ!」

ブラックウォーグレイモンはそう答える。

ヴリトラモンは、翼を広げると、一気に突撃した。

「はああああっ!!」

右腕を振りかぶり、殴りかかる。

「ふん!」

ブラックウォーグレイモンは左腕で受け止める。

――ドゴォ

その瞬間、ブラックウォーグレイモンの足元が陥没する。

だが、ブラックウォーグレイモンは、膝すらつかない。

「嘘でしょ・・・・ヴリトラモンのパワーを受けきった・・・・」

キュルケは信じられないといった表情で呟いた。

ブラックウォーグレイモンは、右腕を振りかぶり、

「ドラモンキラー!!」

手に装備されているドラモンキラーを一気に突き出した。

それは、衝撃を伴い、ヴリトラモンの胸部に直撃する。

「ぐああっ!!」

ヴリトラモンは吹き飛ばされ、壁に激突する。

「タクヤ!」

アイナが叫ぶ。

「ううっ・・・・」

ヴリトラモンは呻くと、デジコードに包まれ拓也に戻ってしまう。

それを見たブラックウォーグレイモンは少し驚いた声で言った。

「人間・・・・だと?」

拓也は痛みを堪え、ブラックウォーグレイモンを睨む。

その眼を見たブラックウォーグレイモンは思った。

(奴の眼・・・・似ている・・・・あいつらに・・・・・)

ブラックウォーグレイモンは、かつて戦ったデジモンをパートナーに持つ少年たちを思い出していた。

そんな事を知らないワルドは才人を押し返し大声で笑う。

「ハッハッハ!如何だね、ブラックの強さは!君たちの頼みの綱の、アイナの使い魔も、ブラックの敵ではない!」

大声でそんな事を言う。

だが、

「黙っていろ、ワルド」

ワルドの言葉を止めたのは他ならぬブラックウォーグレイモンだった。

ブラックウォーグレイモンは、拓也に向かって言った。

「俺はお前と同じ眼をした奴らを知っている。そいつらは、俺に何度倒されようと、何度でも俺に立ち向かってきた。お前は如何する?」

拓也は立ち上がると、ブラックウォーグレイモンを真っ直ぐ見据えた。

「そんなの、聞くまでもないだろ!」

「フッ・・・・ならば、何度でもかかって来い!!」

ブラックウォーグレイモンは構える。

拓也は、デジヴァイスを構えた。

デジヴァイスの画面に、獣の顔のシルエットが浮かび上がり、咆えると同時に光が走る。

ヒューマンスピリットとビーストスピリットが重なって描かれた。

そして、突き出した左手に、ビースト進化と同じく、球状となったデジコードが発生する。

そのデジコードに右手に持ったデジヴァイスをなぞるように滑らせる。

「ダブルスピリット!エボリューション!!」

拓也の身体をデジコードが包んだ。

「うああああああああっ!!」

叫び声を上げる拓也。

デジコードの中で、2つのスピリットを同時に纏っていく。

手。

体。

足。

そして頭部に2つのスピリットが重なる。

アグニモンの技とヴリトラモンの力。

まさに柔と剛を兼ね備えた闘士。

その名は、

「アルダモン!!」

その姿は、アグニモンの人型をベースに、ヴリトラモンの各部から出来ていた。

頭部や手、肩などの間接部分はアグニモン。

体や足、尾、翼、そして腕のルードリー・タルパナはヴリトラモン。

アルダモンから感じる威圧感は、ブラックウォーグレイモンにも引けを取らない。

驚愕するのは、ワルドを含めたその場にいる人間全員。

だが、

「クックック・・・・」

ブラックウォーグレイモンは、不敵な笑いを漏らした。

「おもしろい・・・・・そうこなくてはな・・・・・さあ!俺と戦えアルダモン!!」

ブラックウォーグレイモンは右腕を振りかぶりながら突撃してきた。

「はあああああああっ!!」

アルダモンも迎え撃つために、ブラックウォーグレイモンに向かっていく。

――ドゴォォォォォォォォン

アルダモンとブラックウォーグレイモンが激突し、凄まじい衝撃が辺りを襲う。

その衝撃に必死に耐える他のメンバー。

見れば、ブラックウォーグレイモンのドラモンキラーを、アルダモンが腕のルードリー・タルパナで受け止めていた。

互いに弾き合い、間合いが広がる。

着地したところで、アルダモンの両腕のルードリー・タルパナが回転、更に中央から展開し、二又の矛先のようになる。

「ブラフマストラ!!」

連続で両手を交互に繰り出す。

その度に、展開されたルードリー・タルパナの中央から、火球が放たれる。

無数の火球がブラックウォーグレイモンに襲い掛かる。

それに対し、

「ブラックシールド!!」

背中にあった翼のような装甲を両腕に装備。

正面で合わせ盾にする。

ブラックウォーグレイモンが現れてから、初めて見せる防御姿勢。

そこに無数の火球が着弾する。

「ぐうっ!」

火球は防いだが、その衝撃はかなりのもので、ブラックウォーグレイモンは声を漏らす。

ブラックウォーグレイモンは、シールドを背中に戻すと、両腕のドラモンキラーを頭上で合わせ、回転を始める。

高速回転するブラックウォーグレイモンは周りの空気を巻き込み、黒い竜巻と化す。

「ブラック!トルネード!!」

それが飛び立ち、アルダモンに向かって来る。

「くっ!?」

アルダモンは飛んで避けるが、ブラックウォーグレイモンはそのまま壁をぶち破っていく。

「待てっ!」

アルダモンはブラックウォーグレイモンを追って外に出た。

残されたアイナ達は、目の前で繰り広げられた桁違いの戦いに放心していた。

時折、アルダモンとブラックウォーグレイモンとの戦いによる衝撃が城を・・・・・いや、大地を揺るがす。

そんな中、才人がワルドを見据え、剣を構える。

それに気付いたワルドが才人に向き直る。

「てめえ・・・・よくもルイズを騙しやがったな!」

才人は叫んで、剣を腰だめにして突っ込んだ。

ワルドは飛び、かわす。

そして、優雅に床に着地する。

「目的のためには、手段を選んでおれぬのでね」

「ルイズはてめえを信じてたんだぞ!婚約者のてめえを・・・・・・・幼い頃の憧れだったてめえを・・・・・・」

「信じるのは其方の勝手だ」

ワルドは飛びながら剣をかわした。

ワルドは『ウインド・ブレイク』を唱える。

才人は剣で受け止めようとしたが、剣ごと吹き飛ばされた。

壁にぶち当たり、才人はうめきをあげる。

その瞬間、アイナ以外のメンバーが杖を構えた。

だが、

「手を出すな!!」

才人が叫んだ。

他のメンバーは驚いて才人を見る。

「コイツは・・・・・コイツだけは・・・・俺が倒す!!」

才人は立ち上がり言った。

「1人で倒すなんて無理よ!言ったでしょ!平民は絶対にメイジに勝てないって!アンタは並みのメイジに勝てることだけでも奇跡なのに、『スクウェア』のワルドに勝つなんて、絶対無理よ!!」

ルイズは叫ぶ。

「・・・・・・絶対勝てないなんて誰が決めた」

才人は、ルイズに言う。

「そ、そんなの昔から決まっていることじゃない!それが当然なのよ!」

「ギーシュにも言ったけどよ、ここの常識を俺の常識と考えてもらっちゃ困る!俺の故郷の名言を教えてやるよ」

才人は一度息を吸い込み、

「この世に!絶対なんか無い!!」

才人は言い放った。

「ッ!?」

「ワルドだって人間なんだ。剣の一撃が入れば勝てる可能性はある!」

才人はワルドを睨んで言う。

「だが、剣は近付かねば当たりはしない。魔法は違うぞ!」

ワルドは再び、『ウインド・ブレイク』を放ってくる。

才人は避けようとしたが、吹き飛ばされた。

だが、それでも才人は立ち上がった。

そんな時、デルフリンガーが叫んだ。

「思い出した!!」

「何だよ、こんな時に!」

「いやあ、俺は昔、お前に握られてたぜ。ガンダールヴ。でも忘れてた。なにせ、今から6000年も昔の話だ」

「昔話なら後にしてくれ!」

才人はそう言うが、デルフリンガーの言葉は止まらない。

「懐かしいねえ。泣けるねえ。そうかぁ、いやぁ、なんか懐かしい気がしてたが、そうか。相棒、あの『ガンダールヴ』か!」

「いい加減にしろよ!」

才人は怒鳴る。

「嬉しいねえ!そうこなくっちゃいけねえ!俺もこんな格好してる場合じゃねえ!」

叫ぶなり、デルフリンガーの刀身が輝きだす。

才人は一瞬呆気に取られてデルフリンガーを見つめた。

「デルフ?はい?」

再びワルドは『ウインド・ブレイク』を唱えた。

猛る風が、才人目掛けて吹きすさぶ。

才人は咄嗟に、光りだしたデルフリンガーを構えた。

「無駄だ!剣では避けられないと分かっただろうが!」

ワルドが叫んだ。

が、才人を吹き飛ばすかに思われた風が、デルフリンガーの刀身に吸い込まれる。

そして、デルフリンガーは今まさに研がれたかのように、光り輝いていた。

「デルフ?お前・・・・・・」

「これがほんとの俺の姿さ!相棒!いやぁ、てんで忘れてた!そういや、飽き飽きしてたときに、テメエの体を変えたんだった!なにせ、面白いことはありゃあしねえし、つまらん連中ばっかりだったからな!」

「早く言いやがれ!」

「仕方ねえだろ。忘れてたんだから。でも、安心しな相棒。ちゃちな魔法は全部、俺が吸い込んでやるよ!この『ガンダールヴ』の左腕、デルフリンガー様がな!」

興味深そうに、ワルドは才人の握った剣を見つめた。

それでも、ワルドは余裕の態度を失わない。

杖を構えると薄く笑った。

「さて、ではこちらも本気を出そう。何故、風の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以を教育いたそう」

才人は飛びかかったが、ワルドは軽業師のように剣戟をかわしながら、呪文を唱える。

「ユビキタス・デル・ウインデ・・・・・・・」

呪文が完成すると、ワルドの身体はいきなり分身した。

本体と合せて5人のワルドが才人を取り囲んだ。

「分身かよ!」

「ただの『分身』ではない。風のユビキタス(偏在)・・・・・風は偏在する。風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する。しかも、一つ一つが意思と力を持っている」

5人のワルドが才人に踊りかかる。

更にワルドは呪文を唱え、杖を青白く光らせた。

『エア・ニードル』、先程、ウェールズを貫こうとした呪文だった。

「杖自体が魔法の渦の中心だ。その剣で吸い込むことは出来ぬ!」

杖が細かく震動している。

回転する空気の渦が、鋭利な切っ先となり、才人の身体を襲う。

剣で、受け、流す。

しかし、相手は5人。

こちらは1人。

少しずつ才人の身体は傷つけられていく。

ワルドは楽しそうに笑った。

「平民にしてはやるではないか。流石は伝説の使い魔といったところか。しかし、やはりはただの骨董品のようだな。風の『偏在』に手も足も出ぬようではな!」

「うるせえ!」

才人は叫ぶ。

その身体はいたる所に怪我を負っている。

だが、徐々に才人の動きは速さを増していく。

ワルドたちの息が荒くなる。

こんなはずでは、と思っていたが表情は変わらない。

剣戟を加えながら、ワルドが問う。

「どうして死地に帰ってきた?お前を蔑むルイズのため、どうして命を捨てる?」

「後悔しないためだ!」

才人は叫んで答えた。

「後悔・・・・だと?」

「ああ、そうさ!拓也に言われたよ。後悔だけはするなってな。アイツは俺より年下だけどよ。俺なんかより、ずっとすげえ奴だよ。ったく、どっちが兄貴だかわかりゃしねえ!・・・・・そうやって言われてたにも関わらず、後悔する選択を俺は選ぼうとしてた。確かに、お前は許せねえ・・・・・けど、それ以上に俺は自分が許せねえ!たった一度負けたぐらいで逃げようとしてた自分が許せねえ!!」

「なるほど・・・・それでノコノコ死ぬために戻ってきたというわけか」

偏在の一体が突っ込んでくる。

「俺は・・・・・死ぬ気は無い!!」

才人の渾身の縦切りが受け止めようとした杖諸共、ワルドの偏在を両断した。

「なんだと!?」

ワルドが驚愕する。

「俺は死ぬために戻ってきたんじゃねえ。テメエを倒して、皆を!ルイズを守るために!そして、俺が俺である為に!!俺は、戻ってきたんだ!!」

ガンダールヴのルーンが今までより強い光を放っている。

その輝きを受け、デルフリンガーが光る。

「いいぞ!いいぞ相棒!そう!その調子だ!思い出したぜ!俺の知ってる『ガンダールヴ』もそうやって力を溜めてた!いいか相棒!『ガンダールヴ』の強さは心の震えで決まる!怒り!悲しみ!愛!喜び!なんだっていい!とにかく心を震わせな、俺のガンダールヴ!」

才人は剣を切り上げた。

物凄いスピードだったので、間合いを読みきれなかったワルドが切り上げられ、消滅した。

「き、貴様・・・・・」

残りは3人。

「忘れるな!戦うのは俺じゃねえ!俺はただの道具に過ぎねえ!」

才人は空中高く飛び上がると、剣を振りかぶった。

ワルドも飛んだ。

「空は『風』の領域・・・・・貰ったぞ!ガンダールヴ!!」

ワルドの杖が、才人の身体に三方から伸びた。

しかし、才人は風車のようにデルフリンガーを振り回す。

デルフリンガーが叫んだ。

「戦うのはお前だ、ガンダールヴ!お前の心の震えが、俺を振る!!」

次の瞬間、3人のワルドは閃光が瞬く合間に切り裂かれた。

才人は着地した。

全ての『偏在』が切り裂かれ、残った本体のワルドが床に叩き付けられた。

切られた左腕が、一瞬遅れて地面に落ちた。

才人は地面に着地したが、よろけて膝をついた。

疲労は限界に達している。

ワルドはよろめきながら立ち上がり、才人を睨んだ。

「くそ・・・・この『閃光』がよもや後れを取るとは・・・・・・」

才人は駆け寄ろうとしたが、身体が思うように動かない。

「く・・・・・」

「ああ、相棒。無茶をすればそれだけ『ガンダールヴ』として動ける時間は減るぜ。なにせ、お前さんは主人の呪文詠唱を守るためだけに生み出された使い魔だからな」

デルフリンガーが説明した。

ワルドは、残った右腕で杖を振り、宙に浮いた。

「くっ、目的を一つも果たせんとはな。まあいい。どのみちここは、すぐに我が『レコン・キスタ』の大群が押し寄せる。愚かな主人ともども灰になるがいい!ガンダールヴ!」

そう捨て台詞を残し、ワルドは壁に開いた穴から飛び去ろうとした。

だが、

「逃がっ・・・・すかぁっ!!」

才人は力を振り絞り、隠し持っていたナイフを投擲した。

それは、見事ワルドの右腕に突き刺さる。

「ぐおっ!?」

ワルドは杖を取り落とし、床に落ちる。

これでワルドは両腕が使えなくなった。

「へへっ・・・・魔法使い、杖が持てなきゃただの人ってか」

才人はよろよろと立ち上がる。

ワルドは両腕が使えなくなり、尚且つ左腕の傷口から血が大量に流れ出ている。

杖が持てない為、魔法も使えない。

才人は、疲労の限界だが、怪我していることを除けばワルドより遥かにマシだ。

「テメエだけは逃がさねえぜ」

才人は剣を構え、ワルドに一歩ずつ近付いていく。

だが、その時、

――ドゴォ

三度天井を何かが突き破ってきた。

一つは才人の前に、もう一つはワルドの前に着地する。

アルダモンとブラックウォーグレイモンだった。

ブラックウォーグレイモンが、負の力を集中させ、赤く巨大なエネルギー球を作り出した。

「ガイアフォース!!」

それを投げつける。

対してアルダモンは、向かい合わせた両手の中央に火球を作り出す。

「ブラフマシル!!」

それを掲げるように持ち上げると、その火球が巨大化。

まるで、小さな太陽のような火球をブラックウォーグレイモンに向かって放った。

負の力のエネルギー球と灼熱の火球がぶつかり合う。

その瞬間、大爆発を起こし、衝撃がアルダモンを襲う。

「ぐっ!?」

アルダモンは堪えるが、才人はその衝撃に吹っ飛ばされた。

吹っ飛ばされた才人のタバサが咄嗟に『レビテーション』をかける。

そのお陰で、才人は激突せずに済んだ。

ワルドはブラックウォーグレイモンに言った。

「ブ、ブラック、ここは一旦退くぞ!」

ブラックウォーグレイモンは、ワルドを見る。

「無様だなワルド・・・・・まあいい。今回は『敵』が見つかっただけでよしとしよう」

ブラックウォーグレイモンは、ワルドを担ぐ。

そして、一旦アルダモンに振り返ると、

「アルダモン!貴様との決着はいずれ付ける!こんな所で死ぬんじゃないぞ!」

ブラックウォーグレイモンは、そう言って飛び去った。

アルダモンは、ブラックウォーグレイモンが飛び去った方を向いて呟いた。

「ブラックウォーグレイモン・・・・か」

そんな時、才人が言った。

「くそっ!逃げられた!」

才人は床を殴りつける。

「俺たちの目的は皆を守ることだ。無理に止めを刺す必要は無いさ」

アルダモンが才人にそう言う。

「けどよ・・・・・」

「正直、ブラックウォーグレイモンとあのまま戦い続けていたら、勝てる可能性は低かった」

「え?」

才人は驚きの声を漏らす。

「デジモンにとって必殺技は、その個体が持つ最大の攻撃方法だ。デジモンの強さが必殺技の強さと言ってもいい。最後に必殺技をぶつけ合ったとき、衝撃がすべてこちらに流れてきた。それは、俺の必殺技より、奴の必殺技の方が威力が高かったことを意味する」

「それって・・・・」

「ああ。総合的な能力値は俺よりも、奴のほうが上だ。と言っても、それだけで勝敗が決まるわけじゃないけどな」

アルダモンはそう言って、アイナ達の方へ歩いていく。

「大丈夫だったか?」

アルダモンは、アイナに話しかける。

「うん・・・・・それで、3度目になるけど、その姿は?」

「ヒューマンスピリットとビーストスピリットを同時に使って進化した融合形態、アルダモンだ」

「アルダ・・・・モン・・・・・」

「そんなことより如何するのよ?ワルドの言ったとおり、もうすぐ大群が押し寄せてくる・・・・・前に城が崩れそうね」

キュルケがそう言った。

だが、アルダモンは、

「心配するな。手は打ってある。そろそろ来る頃だ」

そう言った時、地面がもこもこと盛り上がり、

「きゅ?」

ウェルダンテが顔を見せた。

「ウェルダンテ!ウェルダンテじゃないか!」

ギーシュがウェルダンテに抱きつく。

「それじゃ、この穴から脱出だ」

それぞれが行動に移ったが、ウェールズは動かなかった。

「殿下?」

ルイズが問いかける。

「私は行けないよ」

「そんな!何故!?」

「理由は昨日言った通りだ。アルビオン皇太子である私が、トリステインに亡命すれば、レコン・キスタにトリステインを攻め込む口実を与えてしまう」

「・・・・・・」

「ラ・ヴァリエール嬢、アンリエッタにはウェールズは勇敢に戦い死んでいったと伝えてくれ」

「そんな・・・・」

ルイズは震えている。

止めたくても、止められないのが悔しいのだろう。

そんな時、

「おい、お前は死ぬためにここに残るのか?」

アルダモンがウェールズに問いかけた。

「そう解釈してもらって構わないよ」

ウェールズがそう言う。

すると、アルダモンの顔つきが変わる。

「だったら、ここに残しておくわけにはいかない」

アルダモンはそう言った。

「何だって?」

「死ぬ奴を放って逃げるなんて後味が悪すぎる。どうしても嫌だって言うなら力づくでも連れて帰る」

「私がトリステインに亡命すれば、貴族派が攻め入る格好の口実を与えてしまうと言っただろう。私はアンリエッタに迷惑をかけたくないんだ」

「俺に政治云々言われても俺は分からない。けど、これだけは分かる。アンタが死ねばあの姫さんは悲しむ」

「くっ・・・・・」

「俺がアンタに求める選択肢は2つ。自らの意思で、俺たちと共に脱出するか、力づくで連れて帰られるかだ」

無茶苦茶な2択に、ウェールズは苦笑する。

「ここに残してくれるっていう選択肢はないのかい?」

「無い」

アルダモンはきっぱりと即答した。

ウェールズは杖を構えた。

それが返答であった。

「やれやれ、強情な奴だな」

「家臣は皆勇敢に戦って死んだだろう。私だけがおめおめと生き恥を晒すわけにはいかない」

「どうしてお前たちはそういった捉え方しかしないんだ?アンタは死んでいった者たちの分まで生きるということは思わないのか?」

「私は王族だ」

その一言で、アルダモンは行動に移った。

「くだらない」

そう呟くと、ウェールズの目の前まで一気に接近、

「なっ!?」

ウェールズの腹に拳を入れた。

「ぐっ!?」

ウェールズは気絶する。

「だれか、この馬鹿王子を頼む」

そう言うと、ギーシュが『レビテーション』をかける。

すると、アルダモンはデジコードに包まれ、拓也に戻った。

「あ~、しんどかった」

拓也はそう言う。

元気そうに振舞っているが、実際かなりの疲労があった。

その時、城が崩壊を始める。

「やべえ、早く脱出だ!」

才人が叫んだ。

全員は、穴から脱出した。

そして、その数分後。

城は崩れた。




穴の出口は大陸のほぼ真下であり、8人+1匹は空中に投げ出される。

そこを、待機していたシルフィードに拾われた。

だが、

「きゅ、きゅいい~~~(お、重いのね~~~)」

流石に幼竜のシルフィードにとってこの人数はしんどいらしい。

「きゅい~、きゅいきゅいきゅい~(タクヤさま~、ヴリトラモンさまに変身してほしいのね~)」

シルフィードはそう言うが、

「ダメ。彼はとんでもない敵と戦って疲れてる。これ以上無理をさせられない」

タバサがシルフィードにそう言った。

「きゅ、きゅいきゅい(で、でもしんどいのね)」

それを聞き、タバサはシルフィードに聞えるように小声で言った。

「トリステインまで頑張れば、ご褒美にお肉たっぷり。あと、一度だけタクヤと2人きりになれるよう手伝ってあげる」

「きゅい!きゅいきゅい!(分かったのね!シルフィ頑張るのね!)」

シルフィードは力強く羽ばたく。

幼いながら、現金な竜である。

シルフィードは緩やかに降下して雲を抜けると、王宮を目指して羽ばたいた。

その背では、疲労からか、シルフィードの背びれに身体を預け、拓也とアイナが並んで眠っていた。





次回予告


ウェールズを連れ、王宮に到着した一行。

アンリエッタと再会し、自分の気持ちに正直になるウェールズ。

そして、翌日の出席した授業では、コルベールが発明品を披露する。

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第十三話 コルベールの発明品

今、異世界の物語が進化する。




あとがき

はい、十二話完成。

書き溜めしていた最初を除いて、投稿スピード新記録です。

いや~、バトルはネタに困らないですね。

さて振り返りますと、ヴリトラモン、一発でやられました。

いやーやっぱりブラックウォーグレイモンは強いですな。

自分の考えでは、このブラックウォーグレイモンは02のと同一存在の心算です。

ちょっと性格が違うか?

皆さんどう思うでしょうか。

んで、遂に出てきたアルダモン。

いや~、超人大決戦。

一応、能力的にはブラックウォーグレイモンの方が全体的に僅かに上回ってます。

最後のガイアフォース対ブラフマシルは戦わせるにあたっては、絶対にやっておきたかったことです。

それで、才人VSワルド。

なんか、序の心算が、えらく長引いてしまった。

タイトル間違えたな。

原作とはちょっと変えてみました。

どうだったでしょうか?

んで、ウェールズ。

コイツが大人しくついてくわけ無いと思ったので、ひと悶着。

名誉?政治?王族の義務?

そんなの拓也にとっては、知ったこっちゃないです。

最終的に力づく。

さてさて、2巻もこれで終わり。

ようやく3巻だな~。

先は長い。

次も頑張ります。


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