<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ゼロ魔SS投稿掲示板


[広告]


No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[4371] 第十八話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/01/09 00:29
アイナの攻撃により負傷したことにより、任務への出発が数日遅れた拓也たち。

気を取り直して、ラグドリアン湖へと向かうが?


第十八話 水の精霊と新たなる道


ラグドリアン湖へと向かうシルフィードの上で、拓也が切り出した。

「湖の水を増やす水の精霊を退治して来いって話だけど、水の精霊ってどんなのなんだ?」

そう拓也が尋ねる。

「えっと、基本的に決まった形はしてないの。強いて言えば、意思のある水・・・・かな?」

アイナが答える。

「基本的に水に触れなければ、水の精霊は無力」

タバサが後を引き継ぐ。

拓也はその言い方が気になった。

「水に触れなければ・・・・・って、水に触れたらどうなるんだ?」

「一瞬でも触れば心を奪われる。生物の生命と精神を操るのは、水の精霊にとって呼吸する事と同じくらい簡単な事」

「うげっ!そんな奴どうやって倒すんだよ。水の精霊ってことは水の中にいるんだろ?」

「私が魔法で空気の球を作る。それで水の中に入り、水の精霊を見つけて火であぶる。蒸発すれば水の精霊は再び液体として繋がる事は出来なくなる」

「ふーん。じゃあ、水の中に入る事ができたら後は俺達の仕事ってことだな」

拓也の言葉に、タバサは頷く。

偶然にもここにいるのは、タバサ以外は『火』のエキスパートばかりである。

本来なら、何日もかけて少しずつ蒸発させ、気長に行なうつもりだった。

だが、この面子なら、数日。

うまくやれば、1日で終わらせる事が出来るかもしれない。

とりあえず、今は湖の様子を見て、今夜から始める予定だ。

シルフィードが降下を始める。

ラグドリアン湖に着いたようだ。

しかし、なんとそこには、

「才人さん!?」

才人、ギルモン、ルイズ、ギーシュ、モンモランシーがいた。

「拓也!?」

才人が驚いている。

「あなた達、何でこんな所にいるの?」

キュルケが尋ねる。

「それは、その~~~」

モンモランシーは気まずそうに言葉を濁す。

ただ、視線はルイズへと向けられていた。

そこで、気付く。

なんとルイズは、才人にしっかりと寄り添っていたのだ。

「ちょ、ちょっとルイズ!?一体如何したの!?」

アイナが驚愕しながら問う。

それに驚いたのかルイズは更に才人に抱きつく。

明らかに、いつものルイズらしからぬ行動である。

拓也は才人に問いかけた。

「才人さん、ホントにルイズ如何したんですか?」

「あ~、その~、惚れ薬とやらを飲んじまったんだよ」

「惚れ薬?」

「ああ、本来は禁止されてるはずの薬らしいんだけど、モンモンが自分で作って、ギーシュに飲ませる計画らしかったんだが、間違ってルイズが飲んじまってな」

その言葉に拓也は苦笑した。

「それで、なんで才人さん達はこんな所に?」

拓也は本題を聞く。

「今言った惚れ薬の解除薬を作るのに、この湖にいる水の精霊の『水の精霊の涙』が必要らしくてさ。それではるばる、こんな所まで来たってわけだ。拓也達は?」

拓也は返事に困ってしまった。

流石にその水の精霊を退治しに来たとは言えない。

と、その時、キュルケが答えた。

「困ったわね~。私達タバサの実家から頼まれて、ラグドリアン湖の水を増やしてる水の精霊を退治することになってるのよ」

「ええっ!?何で!?」

才人が驚き、聞き返す。

「水かさが上がったせいで、タバサの実家の領地が被害を受けてるのよ。それで私たちが退治を頼まれたってわけ」

あながち間違っていないレベルで、キュルケは才人達に説明する。

それを聞いて納得した才人は如何したもんかと考える。

ふと、拓也が口に出した。

「才人さん達は、どうやってその『水の精霊の涙』を手に入れるつもりだったんですか?」

「えっと?・・・・モンモン?」

才人はモンモランシーに尋ねる。

「私の家は水の精霊との交渉役を何代も続けてきてたの。今は色々あって他の貴族が勤めてるけど、私の事を覚えていれば、話を聞いてくれるかもしれないのよ」

「だって」

その話を聞くと、拓也は少し考える。

「話を聞いてくれるっていうんならさ、水かさを増やしてる理由を聞いて止めてもらうってことは出来ないかな?」

「そうだね。結局は水位が戻れば、無理に退治する必要もないわけだし」

拓也の案に、アイナが同意する。

「水の精霊が話を聞いてくれるかしら」

キュルケが若干不安そうに言う。

「駄目で元々。試すだけ試してみようぜ」

その言葉で、水の精霊と交渉を試してみる事になった。




モンモランシーは腰に下げた袋から鮮やかな黄色に、黒い斑点が幾つも散ったカエルを取り出した。

見るからに毒々しい。

「カエル!」

カエル嫌いのルイズが悲鳴を上げて、才人に寄り添う。

「なんだよその毒々しい色のカエルは!?」

才人も少し引いている。

「毒々しいなんて言わないで!私の大事な使い魔なんだから!」

モンモランシーは指を立てて、使い魔に命令した。

「いいこと?ロビン。あなた達の古いお友達と連絡が取りたいの」

モンモランシーは針で指の先を突き、血を一滴カエルに垂らす。

直ぐに治癒魔法で指先の治療をすると、再びカエルに顔を近づける。

「これで相手は私の事がわかるわ。覚えていればだけど。じゃあロビンお願いね。偉い精霊、旧き水の精霊をみつけて、盟約の持ち主の1人が話をしたいと告げて頂戴。わかった?」

カエルはぴょこんと頷くと、水の中へ消えていく。

才人が水の精霊についてモンモランシーに話を聞いていると、岸辺から30メイル程はなれた水面の下が眩いばかりに輝く。

もちが膨らむようにして水面が盛り上がる。

湖からロビンが上がってきて、モンモランシーの元に戻ってきた。

モンモランシーはしゃがんで手をかざしてロビンを迎えた。

指でロビンの頭を撫でる。

「ありがとう。きちんと連れてきてくれたのね」

モンモランシーは立ち上がると、水の精霊に向けて両手を広げ、口を開いた。

「私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で、旧き盟約の一員の家系よ。カエルにつけた血に覚えはおありかしら。覚えていたら、私たちにわかるやり方と言葉で返事をして頂戴」

水の精霊・・・・・盛り上がった水面がぐねぐねと形を取り始める。

拓也と才人はその光景を驚きながら見ていた。

水の塊が、モンモランシーそっくりの形になって、にっこりと微笑んだからだ。

その水の精霊は何度か表情を変えた後、モンモランシーの問いに答えた。

「覚えている。単なるものよ。貴様の体を流れる液体を、我は覚えている。貴様に最後に会ってから、月が52回交差した」

「よかった。水の精霊よ、お願いがあるの。あつかましいとは思うけど、あなたの一部を分けて欲しいの」

その言葉に才人がモンモランシーに尋ねるが、モンモランシーは鬱陶しそうに答えて、才人を黙らせる。

水の精霊は、にこっと笑う。

だが、出てきた言葉は全く逆だった。

「断る。単なる者よ」

「そりゃそうよね。残念でしたー。さ、帰ろ」

モンモランシーがあっさりと諦めたので、才人は呆れた。

「おいおい!ちょっと待てよ!ルイズはどーすんだよ!しかも、拓也達の問題も聞いてねーし!なあ水の精霊さん!」

才人はモンモランシーを押しのけて、水の精霊に対峙した。

「ちょっと!あんた!やめなさいよ!怒らせたらどーすんのよ!」

モンモランシーは才人を押しのけようとしたが、才人は怯まない。

「水の精霊さんよ!お願いだよ!何でもいう事聞くから、『水の精霊の涙』をわけてくれよ!ちょっとだけ!ほんのちょっとだけ!」

水の精霊は、何も返事をしなかった。

才人は土下座する。

「お願いです!俺の大事な人が大変なんです!あなたにだって、大事なものがあるでしょう?それと同じぐらい俺にとって大事な人が大変な事になってて・・・・・あなたの体の一部が必要なんだ!だからお願い!このとおり!」

水の精霊は、ふるふると震えて、姿かたちを何度も変えた。

再びモンモランシーの姿になると、才人に問うた。

「よかろう」

「ええ!ほんと!」

「しかし、条件がある。世の理を知らぬ単なる者よ。貴様は何でもすると申したな?」

「はい!言いました!」

「ならば、この湖に住み着いた3匹の悪魔を退治してみせよ」

一行は顔を見合わせた。

「悪魔の退治?」

「さよう。最近この湖に悪魔が住み着き、この湖を荒らしまわっている。その悪魔達には我の力が通用せぬ。その悪魔共を退治すれば、望みどおり我の一部を進呈しよう」

「わかった。その悪魔は何処にいるんだ?」

才人は即答した。

「ちょっと、相手は水の精霊の力も通用しない奴なのよ。少しは考えてものを言いなさい!」

モンモランシーが、そう言うが才人は聞いていない。

「我が奴らをここに誘き寄せる。そこで待つがいい」

水の精霊はそう言うと、水の中に溶けるように消えていく。

「あ~も~!私、こんな所で死にたくないわよ~!」

モンモランシーは叫ぶ。

「安心してくれモンモランシー。僕がいる。僕の勇敢な戦乙女達が、悪魔共を成敗してくれる」

ギーシュがそう言うが、

「安心できるわけないじゃない。あんたへっぽこだし」

モンモランシーはハッキリとそう言った。

その言葉で白くなったギーシュを気にすることなくキュルケは言った。

「水の精霊の力が効かない相手ねえ~。何だと思う?」

「・・・・・本当に生物なのかも疑わしい。生物でありその体に『水』が含まれている限り、水の精霊に操れないはずがない」

タバサがそう言う。

(水が含まれない生物ねえ~。そういえばデジモンを構成してるのはデータだっけ・・・・・・・って、まさか!?)

拓也が、そこまで思い至ったとき、水面が激しく波打つ。

「グルルルルルルル!」

ギルモンが激しく威嚇行動を取った。

「如何した!?ギルモン!」

その行動に驚いた才人が問いかける。

「サイト、デジモンだ」

「何だって!?」

才人は再び水面に目をやる。

水面が盛り上がり、

「ゲソモ~ン!」

白い巨大なイカ。

「シェルモ~ン!」

巨大な巻き貝。

「エビドラモ~ン!」

巨大なエビのようなドラゴン。

3匹のデジモンが姿を現した。

「ゲソモン?」

モンモランシーが、

「シェルモン?」

キュルケが、

「エビドラモン?」

ギーシュが、それぞれ呟く。

(イカ、貝、エビ・・・・・・・)

「・・・・・・・シーフードミックス?」

才人が連想してポツリと呟いた。

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう」

拓也が冷静に突っ込んだ。

「んな事言っても、デジモン相手ならお前に任せるしか・・・・・」

「残念ですが、今回は手伝ってもらわないと、無理そうです」

才人の言葉に拓也がそう答える。

才人は驚き、

「手伝ってもらわないと無理・・・・って、あいつらはそんなに強いのかよ!?」

そう聞き返す。

「いや・・・・敵が強いと言うか、場所が問題なんですよ」

「はあ?」

拓也の言った意味に首をかしげる才人。

「説明するより見たほうが早いです」

拓也はデジヴァイスを取り出し、

「スピリット!エボリューション!!」

拓也がデジコードに包まれる。

「アグニモン!!」

拓也はアグニモンに進化した。

すると、

「バーニング!サラマンダー!!」

アグニモンはいきなり必殺技をゲソモンに放った。

ゲソモンに直撃する。

「ゲゲッ・・・・・!?」

ゲソモンそこそこのダメージは受けたようだが、まだピンピンしている。

「え!?効いてない!?」

アイナが驚愕する。

だが、

「違う。いつもより威力が弱い」

タバサが冷静に分析した。

「そういうことだ。俺は『炎』の闘士。そして、ここラグドリアン湖はいわば、『水』のフィールド。『炎』に相反する属性である『水』のフィールドでは、『炎』の闘士である俺の力は半減してしまう」

アグニモンの言葉に驚愕する才人。

「お、おい。それって、今回はかなりやばいって事だよな」

なんとかそう言う。

「そういう事。アルダモンになれば、話は別だろうけど。けど、アルダモンじゃ、力が強すぎて、逆に水の精霊に警戒されかねないからな」

「じゃあどうするんだよ!?」

「俺が何とか2体引き付ける。才人はギルモンや皆と一緒に、1体づつ倒してくれ」

「わ、分かった!」

アグニモンはそう言うと、ゲソモンに殴りかかった。

だが、ゲソモンはその軟体の体で衝撃を吸収できるらしく、殆ど効いていない。

ゲソモンの足が、アグニモンに巻きつく。

「ぐっ」

そのまま、ゲソモンはアグニモンを水の中に引きずり込んだ。

エビドラモンも水の中に潜る。

「タクヤ!!」

アイナが叫び水辺に駆け寄ろうとする。

だが、タバサに引き止められた。

「タクヤは、ワザとつかまっただけ。今私たちがやるべき事は、あの1体を早急に倒して彼の応援に行く事」

タバサの言葉に、アグニモンが引きずり込まれた水面を気にしながらも、アイナはシェルモンに向き直る。

「わかった」

先陣を切ったのはギーシュだった。

錬金で7体のゴーレムを作り出す。

「行け!ワルキューレ!」

造花の杖を振り、ワルキューレをシェルモンに一斉に突撃させる。

だが、

――ドゴンッ

叩き付けられた前腕によって、一撃ですべて潰された。

「弱ッ!!」

思わず才人が叫んだ。

「もう!見てられないわね」

キュルケが杖を引き抜くと、呪文を唱え、炎を放った。

その時、シェルモンの頭部の触手がたくさん生えているところから水が凄まじい勢いで発射される。

シェルモンの必殺技、高圧の水を噴出させる『ハイドロプレッシャー』だ。

それは、簡単にキュルケの炎をかき消し、キュルケに向かってきた。

「え?ちょ・・・・」

キュルケは予想外の事態に硬直してしまう。

しかし、寸での所で、タバサが風の魔法で、ハイドロプレッシャーの軌道を逸らす。

「あ、ありがと。タバサ」

キュルケがお礼を言いながら、体勢を立て直す。

アイナが、杖を掲げた。

「フレイム・ジャベリン!!」

炎の槍が作り出され、シェルモンに放たれた。

だが、シェルモンは再びハイドロプレッシャーを放ってくる。

それは、水蒸気爆発を起こし、お互いに相殺した。

「ファイヤーボール!!」

その隙に、ギルモンが火球を吐き出した。

「グオッ!?」

シェルモンの顔に当たるが、シェルモンは少し怯んだだけで、余り効いてはいない。

「このやろう!」

才人がデルフリンガーで斬りかかる。

が、頭に生えている触手が伸び、才人を絡め取る。

「うわっ!何だコイツ!?」

あっという間に、両手もろとも体を締め付けられる。

「うわあああああっ!!」

才人は悲鳴を上げる。

「サイト!」

ルイズが杖を振り、爆発魔法で攻撃するが、やはり威力が足りない。

その時、ギルモンが駆け出していた。

「サイトー!」

それに気付いた才人は叫んだ。

「ばかっ!来るな!」

シェルモンは前腕でギルモンに襲い掛かる。

ギルモンは避けられずに前腕の下敷きになった。

「ギルモーン!!」

才人は叫ぶが、ギルモンはシェルモンの腕に押さえつけられ、身動きできない。

「サ・・・・・サイト・・・・・・」

ギルモンは力なく呟く。

「ギルモーーン!!」

才人はギルモンに呼びかける。

「サイト・・・・・」

才人の呼びかけに答えるようにギルモンは呟く。

そんな事で、事態が好転するわけは無い。

普通なら。

だが、人とデジモンの心が一つになったとき、奇跡は起こる。

「ギルモーーーン!!!」

「サイトーーーー!!!」

才人とギルモンの声が重なった。

その時だった。

才人の目の前で光が発生する。

突然の事にシェルモンは驚き、才人を拘束していた触手が緩み、才人は湖に落下した。

「・・・・・ぷはっ!」

才人は水面から顔を出すと、上から光が降りてきた。

よく見ると、光の中に何かが見える。

それは、才人の目の前で止まった。

まるで、才人に手に取れと言わんばかりに。

才人は思わずそれに手を伸ばした。

光の中にある『それ』を掴んだとき、一瞬強い光を放ったかと思うと、すぐに光は収まった。

そして、才人の手には、拓也の物と形は違うが、デジヴァイスが握られていた。

そして、そのデジヴァイスの画面に文字が表示された。

――EVOLUTION

デジヴァイスの画面から光が迸る。

その光はギルモンを包んだ。

ギルモンの目が力強く見開かれる。

その瞬間、ギルモン自体が光を発した。

「ギルモン進化!!」

ギルモンの身体が一時分解。

そして、再構築されていく。

更に大きく。

更に強く。

ギルモンが成熟期に進化した姿。

その名も、

「グラウモン!!」

その姿は、ギルモンの時にあった幼さはなくなり、10メイル近い巨体に、赤い皮膚と発達した筋肉がよくわかる。

グラウモンはシェルモンと相対した。

シェルモンはいきなりの進化に驚いたが、すぐに攻撃に入る。

「ハイドロプレッシャー!!」

高圧の水が放たれる。

だが、グラウモンは、息を大きく吸い込むような仕草をして、

「エキゾーストフレイム!!」

口から強力な熱線を吐き出した。

エキゾーストフレイムとハイドロプレッシャーがぶつかり合う。

暫く拮抗していたが、

「がんばれ!グラウモン!!」

岸に這い上がった才人が叫んだ。

「グアァァァ!!」

その声援に後押しされ、グラウモンのエキゾーストフレイムは、ハイドロプレッシャーを押し返していく。

そして、

「ギャアア!?」

ハイドロプレッシャーを押し切り、シェルモンの頭部に直撃した。

シェルモンは叫び声を上げ、気絶する。

「やったぜグラウモン!」

才人は喜びの声を上げ、グラウモンを労う。

だが、アイナはすぐに岸辺に駆け寄る。

「タクヤ・・・・・・」

アグニモンが引き込まれたあたりの水面を見て呟いた。

次の瞬間、凄まじい水柱と共にヴリトラモンが上空へ飛び出す。

その足にはゲソモンとエビドラモンが掴まれている。

アグニモンはヴリトラモンにスライドエボリューションし、力ずくで敵を『水』のフィールドから引きずり出したのだ。

ヴリトラモンは翼を大きく羽ばたかせ、ゲソモン、エビドラモンを完全に水から引きずり出した。

「フレイム!ストーム!!」

ヴリトラモンの体中から放たれた炎は、ゲソモン、エビドラモンごと炎に包む。

2体のデジモンは黒焦げになるしかなかった。



やられて大人しくなった3匹のデジモンに拓也が話しかけた。

「なあ、この湖に住むのは迷惑だから、川を下って海に行ってくれないか?」

だが、

「やなこった」

ゲソモンが答えた。

「ここじゃ迷惑する奴がいるって言ってるだろ!?頼むからこの湖から出てってくれよ!」

才人が叫ぶ。

それでも、3匹のデジモンはウンとは言わない。

拓也は、しばし考えた後、

「なあアイナ」

「何?」

「イカを料理するときって如何する?」

アイナは一瞬、怪訝な顔をしたが、すぐに拓也のねらいを悟る。

「ん~と・・・・」

アイナは頬に指を当て、考える仕草をする。

「焼く事が多いかな?あ、あとボイルにするのもいいかも!」

アイナはゲソモンを見つつ言った。

「や、焼く?・・・・・ボイル!?」

ゲソモンは自分がそうされる事を想像し、冷や汗を流す。

そこで気付いた才人が、

「待てよ、イカなら切って刺身って手もあるぜ」

デルフリンガーを手に持ちつつそう言った。

「さ、刺身~!?」

ゲソモンは怯えて縮こまった。

次に拓也達は、シェルモンに狙いを定める。

「巻貝は・・・・・」

「アイツはサザエみたいだから、壺焼きで決定だろ?」

才人が間髪いれず言った。

「つ、壺焼き~!?」

シェルモンも引っ込む。

最後のエビドラモン。

「エビは・・・・・」

「エビなら茹でるのが一番だね」

料理を趣味とするアイナの一言。

「ゆ、茹でる~!?」

エビドラモンも自分がそうされる事を想像し、縮こまる。

「エビフライでもいいんじゃないか?」

拓也の容赦ない一言。

「エ、 エビフライ~!?」

完全に戦意を無くす3匹。

全員が、3匹を見つめる。

――ジュル

それは、誰が出した音であろうか。

涎を啜る音がした。

それが引き金となり、

「「「す、すいませんでしたぁ!!!」」」

3匹揃って、逃げていった。




そして、再び水の精霊と対峙している。

因みにグラウモンはギルモンに退化していた。

「水の精霊よ。この湖を荒らしていた悪魔はいなくなったわ。約束どおり、あなたの一部を頂戴」

モンモランシーがそう言うと、水の精霊は細かく震えた。

ぴっ、と水滴のように。その体の一部がはじけ、一行の元へと飛んできた。

それを慌てながらも、ギーシュが持っていた壜で『水の精霊の涙』を受け止めた。

すると、水の精霊は再び水底に戻っていきそうになったので、才人は呼び止めた。

「待ってくれ!1つ聞きたい事があるんだ!」

水の精霊は、再び水面に盛り上がり、昨日と同じようにモンモランシーの姿になった。

「なんだ?単なる者よ」

「どうして水かさを増やすんだ?よかったら止めて欲しいんだけど。なんか理由があるなら聞かせてくれ。俺たちに出来る事なら、何でもするから」

水の精霊はゆっくりと大きくなった。

そして、さまざまなポーズをとる。

その動きが、感情の動きを表しているのかもしれなかった。

「お前たちに、任せてもよいものか、我は悩む。しかし、お前たちは我との約束を守った。ならば信用して話してもよいことと思う」

その言い回しに才人はイラっとしたが、怒らせては始まらないので黙って水の精霊の言葉を待った。

何度か形を変えた後、再びモンモランシーの姿に戻り、水の精霊は語り始めた。

「数えるほども愚かしいほど月が交差する時間の間、我が守りし秘法を、お前たちの同胞が盗んだのだ」

「秘宝?」

「そうだ。我が暮らす最も濃き水の底から、その秘宝が盗まれたのは、月が30ほど交差する前の晩の事」

「おおよそ2年前ね」

と、モンモランシーが呟く。

「じゃあお前は、人間に復讐するために、水かさを増やして村々を飲み込んじまったのか?」

「復讐?我はそのような目的は持たない。ただ、秘宝を取り返したいと願うだけ。ゆっくりと水が浸食すれば、いずれは秘宝に届くだろう。水が全てを覆いつくすその暁には、我が体が秘宝のありかを知るだろう」

「な、なんだそりゃ」

才人は呆れる。

「気の長い奴だな」

と、拓也。

「我とお前たちでは、時に対する概念が違う。我にとって全は個。個は全。時もまた然り。今も未来も過去も、我に違いはない。いずれも我が存在する時間ゆえ」

「ようし、そんなら俺たちがその秘宝を取り返してきてやる。なんていう秘宝なんだ?」

「『アンドバリ』の指輪。我が共に、時を過ごした指輪」

「なんか聞いた事あるわ」

モンモランシーが呟く。

「『水』系統の伝説のマジックアイテム。たしか、偽りの生命を死者に与えるという・・・・・・・・」

「その通り。誰が作ったものかはわからぬが、単なる者よ、お前の仲間かも知れぬ。ただお前たちがこの地にやってきたときには、既に存在した。死は我には無い概念ゆえ理解できぬが、死を免れぬお前たちにはなるほど『命』を与える力は魅力と思えるのかもしれぬ。しかしながら、『アンドバリ』の指輪がもたらすのは偽りの命。旧き水の力に過ぎぬ。所詮益にはならぬ」

「そんな代物を、誰が盗ったんだ?」

「風の力を行使して、我の住処にやってきたのは数個体。眠る我には手を触れず、秘宝のみを持ち去っていった」

「名前とかわからないの?」

「確か個体の1人がこう呼ばれていた。『クロムウェル』と」

キュルケがぽつんと呟いた。

「聞き間違いじゃなければ、アルビオンの新皇帝の名前ね」

才人達は顔を見合わせた。

「人違いという可能性もあるんじゃねえのか。同じ名前のやつなんか、いっぱいいるだろう。で、偽りの命とやらを与えられたら、どうなっちまうんだ?」

「指輪を使った者に従うようになる。個々に意思があるとは不便なものだな」

「とんでもない指輪ね。死者を動かすなんて、趣味が悪いわね」

キュルケが呟く。

彼女はその瞬間、何か引っ掛かるものを感じた。

だが、うまく思い出せない。

才人は決心したように頷くと、水の精霊に向かって大声で言った。

「わかった!約束する!その指輪をなんとしてでも取り返してくるから、水かさを増やすのを止めてくれ!」

水の精霊はふるふると震えた。

「わかった。お前たちを信用しよう。指輪が戻るのなら、水を増やす必要もない」

「何時までに取り返して来ればいいんだ?」

すると再び水の精霊はふるふると震えた。

「お前たちの寿命が尽きるまででかまわぬ」

「そんなに長くていいのかよ」

「かまわぬ。我にとっては、明日も未来も余り変わらぬ」

そう言い残すと、水の精霊はごぼごぼと姿を消そうとした。

その時、拓也が思いついたように呼び止めた。

「待ってくれ!」

全員が驚いて拓也を見る。

「なんだ?最も幼き単なる者よ」

「すまない。一つ尋ねたいことがあるんだ」

「申してみよ」

「ああ。人の心を狂わす水魔法の毒について何か知らないか?」

タバサを含めた、タバサの実家から来た全員が驚いた表情をする。

「ちょっとタクヤ?一体何聞いてるの?」

キュルケが拓也に問う。

「え?いや、タバサの家にいた執事さんから聞いた話じゃ、心を狂わせる毒って『水』の魔法薬って話だったろ?だから、『水』の精霊なら何か知ってるんじゃないかな~って・・・・・」

なんとも子供らしいというか、拓也らしい単純な発想であった。

「あのね~、そんな簡単にわかったら苦労は「知っている」・・・・・って、ええぇ!?」

キュルケの言葉の最中に言われた水の精霊の言葉に、キュルケは驚愕して叫んだ。

「本当か!?」

拓也が聞き返す。

「知っている。お前の言う心を狂わす水魔法の毒というのは、お前たち単なる者がエルフと呼ぶ種族が作りし物に違いあるまい」

ハルケギニア組は、「エルフ」という単語に動揺する。

が、地球から来ている拓也と才人には何の事かわからない。

そして、拓也にとって今はそんな事如何だってよかった。

「なら、水の精霊よ。その毒を治す薬の作り方を知らないか?」

拓也は一番大事な事を聞いた。

タバサも、その問いの答えを真剣に聞こうとする。

が、

「知らぬ」

その水の精霊の言葉で、一気に落胆する。

タバサにも落胆の表情が窺える。

「そうか・・・・・ならいい「だが・・・・・」え?」

ならいいや、と答えようとした拓也の言葉を遮って、水の精霊が言葉を続けた。

「その毒を浄化出来るであろう物なら知っている」

続けて出てきた言葉に再び驚く。

全くもって遠まわしな言い方である。

「それは何?」

タバサがその先を促す。

その表情は焦りと期待が交じり合った表情だ。

「それは・・・・『覇竜の涙』」

「『覇竜の涙』?」

アイナが呟く。

「そう、竜の中の王・・・・・・『覇竜』が流す一滴の涙。その涙は、あらゆる毒、病を浄化する力を持つ」

「その『覇竜』とやらの居場所は?」

「それはわからぬ。我が『水』を司る存在に対し、『覇竜』は相反する『火』を司るもの。奴の居場所は我の知るところではない」

「そっか、残念」

とは言うものの、拓也にしてもダメ元で持ちかけた話なので予想以上の大収穫である。

ただ、才人達は何のことか分からず、首をかしげるだけであった。


今此処に、タバサの運命の新たなる道が拓かれた。





次回予告


『覇竜』の居場所を求め、学院の書物を調べる拓也達。

偶然にもオスマンから『覇竜』の居場所を聞き出す。

向かった先で現れる『覇竜』。

拓也は、『覇竜の涙』を手に入れるため、『覇竜』に戦いを挑む!

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第十九話 対決!覇竜VS拓也!!

今、異世界の物語が進化する。





才人のデジモン成長日記


名前:グラウモン
属性:ウィルス種
世代:成熟期
種族:魔竜型
必殺技:エキゾーストフレイム
通常技:プラズマブレイド


あとがき

十八話完成しました。

振り返りますと、才人達と合流させて、水の精霊と交渉の場を設けました。

一応考えた末にこういう流れにしたんですけど・・・・・強引かな?

で、タバサたちとの戦闘をなくした代わりに出てきたのが、シーフードミックス(笑)。

とりあえず色々と理由つけて拓也をパワーダウンさせ、ギルモンの進化を。

でも、戦闘シーンがうまく表現できなかった~。

もっと精進です。

で、オリジナル展開を入れてみました。

次回は、完全オリジナル展開になると思います。

因みに、次回はモンハンP2ndからとあるモンスターがゲスト参戦します。

モンハンをやった事ある人なら『覇竜』という言葉でピンと来るでしょう。

強さは結構いじるとは思いますが・・・・・・

すいません。

オリジナルモンスターが全く思い浮かばなかったもので・・・・

さて、これが皆様に受け入れてもらえるかどうか・・・・・・・・それが心配です。

それでは、心配しつつも、次も頑張ります。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.0541090965271