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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第二十六話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/02/22 20:46
アイナの婚約者候補になってしまった拓也。

ヴァリエール家に紹介されるために向かう事になったのだが・・・・・・


第二十六話 ヴァリエール家での一騒動


拓也が婚約者候補にされた時と同じ頃、ヴァリエール家でも晩餐会が始まっていた。

だが、賑やかなシンフォニア家の夕食と違い、ヴァリエール家では誰も言葉を発しない。

食事を行なっているのは、ルイズの母であるカリーヌ。

長女のエレオノール。

次女のカトレア。

そして三女であるルイズの4人である。

使用人たちは皆、後ろに控えている。

才人も使用人と同じく後ろに控えていたが、息がつまりそうになっていた。

誰も言葉を発しない上、銀のフォークとナイフが、食器に触れ合う音だけがだだっ広いダイニングルームに響いた。

ギルモンは料理を物欲しそうに見ていたが。

そんな沈黙を破るようにして、ルイズが口を開いた。

「あ、あの・・・・・母さま」

カリーヌは返事をしない。

エレオノールが後を引き継いだ。

「母さま!ルイズに言ってあげて!この子、戦争に行くだなんて馬鹿げたこと言ってるのよ!」

ばぁーん!と、テーブルを叩いてルイズが立ち上がる。

「馬鹿げた事じゃないわ!どうして陛下の軍隊に志願する事が、馬鹿げた事なの!?」

「あなたは女の子じゃないの!戦争は殿方に任せなさいな!」

「それは昔の話だわ!今は、女の人にも男性と対等の身分が与えられる時代よ!だから魔法学院だって男子と一緒に席を並べるのだし、姉さまだってアカデミーの主席研究員になれたんじゃない!」

エレオノールは呆れた、というように首を振った。

「戦場がどんなところだか知っているの?少なくとも、あなたみたいな女子供が行くところじゃないのよ」

「でも、陛下にわたし、信頼されてるし・・・・・・・」

「どうしてあなたなんかを信頼するの?“ゼロ”のあなたを!」

ルイズは唇を噛んだ。

アンリエッタとウェールズがルイズを戦場に連れて行くのは、“虚無”が使えるルイズが必要だからだ。

しかし、“虚無”の担い手である事は家族にも話せない。

したがってルイズはそれ以上何もいう事ができなくなって黙りこくった。

エレオノールは言葉を続けようとして、それまでじっと黙っていたカリーヌに諌められた。

よく通る、威厳のある声で言った。

「食事中よ。エレオノール」

「で、でも母さま・・・・・」

「ルイズのことは、明日お父さまがいらっしゃってから話しましょう」

それで、その話は打ち切りになった。



それから暫くして、夕食も終わりに近付いたとき、窓に一羽のフクロウが飛んできた。

そのフクロウは手紙を持っている。

それに気付いた執事が、フクロウから手紙を受け取り、その手紙をカリーヌに持っていった。

差し出されたカリーヌは手紙を受け取り、その場で広げる。

カリーヌがその手紙に目を通していると、

「お母さま。どなたからですの?」

カトレアが尋ねる。

カリーヌは顔を上げ、

「シンフォニア公爵からよ」

そう答える。

カトレアはパッと顔を輝かせると、

「まあ、おじ様から。それで何と?」

もう一度聞き返す。

「アイナの婚約者候補が見つかったから、明日、紹介するためにこの家に来ると」

カリーヌはそう答える。

「まあ!それは喜ばしいお知らせね!」

カトレアは嬉しそうにそう言う。

「今まで、伯爵や侯爵の家からの婚約すらも一切認めなかったあのゲイルおじ様が候補といえどお認めになるなんて・・・・・どんな素晴らしい御仁でしょうか?」

エレオノールも驚きつつ期待に満ちた表情を浮かべる。

だが、その話を聞いた才人は、自分の良く知る少年が思い浮かぶ。

(まさか・・・・・・・気のせいだよな・・・・・・・?)

そう必死に否定するが、

「いや・・・・・・・でも、まさかそんな・・・・・・・でも・・・・・おじ様の性格ならあいつを気に入ってもおかしくは・・・・・・」

というルイズの呟きが聞えてきたため、ルイズも才人と同じ人物を予想したのだという事が分かる。

確信にも似た予感を感じながら、ヴァリエール家の夜は更けていった。




翌日。

朝食は日当たりのいいこぢんまりとしたバルコニーでとるのが、ラ・ヴァリエール家の常である。

早朝に戻ってきた、ラ・ヴァリエール公爵がテーブルの上座に腰掛け、その隣にカリーヌが並ぶ。

そして、珍しく勢ぞろいした三姉妹が、歳の順番にテーブルに座った。

公爵はかなり機嫌が悪い様子であった。

「まったくあの鳥の骨め!」

開口一番、公爵は枢機卿をこき下ろした。

「どうかなさいましたか?」

カリーヌが表情を変えずに、夫に問うた。

ルイズなどはもう、父のその一言に気が気ではない。

「このわしをわざわざトリスタニアに呼びつけて、何を言うかと思えば『一個軍団編成されたし』だと!ふざけおって!」

「承諾なさったのですか?」

「するわけがなかろう!すでにわしはもう軍務を退いたのだ!わしに代わって兵を率いる世継ぎも家にはおらぬ。なにより、わしはこの戦に反対だ!」

「でしたね。でもよいのですか?祖国は今、一丸となって仇敵を滅すべし、との枢機卿のおふれが出たばかりじゃございませんか。ラ・ヴァリエールに逆心ありなどと噂されては、社交もしにくくなりますわ」

そうは言いながらも、カリーヌは随分と涼しい顔である。

「あのような鳥の骨を“枢機卿”などと呼んではいかん。骨は骨で十分だ。まったく、お若い陛下をたらしこみおって」

ルイズはぶほっ!と食べていたパンを噴出した。

エレオノールがそんなルイズを睨み付ける。

「おお怖い。宮廷のすずめたちに聞かれたら、ただじゃすみませんわよ」

「ぜひとも聞かせてやりたいものだ」

それまで黙っていたルイズが、わななきながら口を開いた。

「と、父さまに伺いたいことがございます」

公爵はルイズを見つめた。

「いいとも、だがその前に、久しぶりに会った父親に接吻してはくれんかね。ルイズ」

ルイズは立ち上がると、ととと、と父に近寄り、頬にキスした。

それから真っ直ぐに父を見つめ、尋ねた。

「どうして父さまは戦に反対なさるのですか?」

「この戦は間違った戦だからだ」

「戦争を仕掛けてきたのはアルビオンですわ。迎え撃つことのどこがいけないのですか?」

「こちらから攻める事は『迎え撃つ』とは言わんのだよ。いいか?」

公爵は皿と料理を使って、ルイズに説明を始めた。

「『攻める』ということは、圧倒的な兵力が会って初めて成功するものだ。敵軍は5万。我が軍はゲルマニアと合わせて6万」

かちゃかちゃとフォークとナイフを動かし、公爵は肉の欠片で軍を作った。

「我が軍の方が1万も多いじゃありませんか」

「攻める軍は、守る側に比べて3倍の数があってこそ確実に勝利できるのだ。拠点を得て、空を制して尚、この数では苦しい戦いになるだろう」

「でも・・・・」

公爵はルイズの顔を覗き込んだ。

「我々は包囲をすべきなのだ。空からあの忌々しい大陸を封鎖して、日干しになるのを待てばよい。そうすれば、向こうから和平を言い出してくるわ。戦の決着を、白と黒でつけようとするからこういうことになる。もし攻めて失敗したらなんとする?その可能性は低くはないのだ」

ルイズは黙ってしまった。

父のいう事は正論である。

実際、ウェールズもそのことは認めていた。

「タルブの村でたまたま勝ったからって、慢心が過ぎる。驕りは油断を生む。おまけに魔法学院の生徒を士官として連れて行く?バカを言っちゃいかん。子供に何が出来る。戦はな、足りぬからといって、数だけそろえればよいというものではない。攻めるという行為は、絶対に勝利できる自信があって初めて行なえるのだ。そんな戦に、娘を行かせるわけにはいかん」

「父さま・・・・」

公爵はそこまで言うと立ち上がった。

「さて、朝食は終わりだ」

ルイズはぎゅっと唇をかみ締めて、佇んだ。

「ルイズ。お前には謹慎を命ずる。戦が終わるまで、この城から出る事は許さん」

「ま「そういえば・・・・」」

ルイズは思わず叫びそうになったが、カリーヌが声を発したため、それは抑えられた。

「昨夜、シンフォニア公爵から手紙が来まして、アイナの婚約者候補を連れてくるという話です」

カリーヌは、公爵にそう言う。

すると、公爵は軽く驚いた顔をして、

「アイナの婚約者候補だと?あの親バカのゲイルが認めたのか?」

そんなことを言った。

「手紙にはそう書いてありました。恐らく、ストームで来ると思うので、早ければそろそろだと・・・・・・」

とカリーヌが言いかけたところで、1匹の風竜が城の上空を飛んでいることに気付く。

その風竜はゆっくりと朝食を摂っているテラスに近付く。

その風竜に乗っているのは、シンフォニア一家と拓也であった。

一行が風竜から降りると、

「よぉーヴァリ公!元気にしてたか!?」

ゲイルがフレンドリーに言葉を投げる。

「ゲイル!その呼び方は止めろといつも言っているだろう!」

ラ・ヴァリエール公爵はそう返す。

「別にいいだろう。昔からの仲なんだ」

「全く。前から言っているように、お前は自分が公爵であるという自覚を持て!」

「自覚はしているさ。だが、公爵だろうが平民だろうが俺は俺だ」

言い合いに近い言葉の応酬だが、互いの顔は、それを楽しんでいるように思える。

「カリンも久しぶりだな」

そうカリーヌに言う。

「シンフォニア公爵。わたくしは“カリーヌ”です。お間違えの無いよう」

ゲイルの言葉を訂正するカリーヌ。

「そうだったな。すまん」

ゲイルが謝ると、

「それで、おじ様。アイナの婚約者候補を紹介していただけませんか?」

エレオノールが期待に満ちた表情でゲイルに尋ねる。

「おお、そうだったな。コイツが、アイナの婚約者候補だ」

そう言うと同時に、ゲイルは拓也の首に腕を回し引き寄せる。

「ど、どうも・・・・神原 拓也です・・・・」

拓也は引きつった笑みでそう言った。

「まさかとは思ってたけど、ホントにアンタだったとはね・・・・・」

ルイズが半ば諦めたような声でそう言った。

「ルイズ、彼の事を知っているの?だったら、彼の階級は?伯爵?男爵?」

エレオノールがルイズに迫る。

「そ、それはその・・・・・」

ルイズは口ごもる。

流石に召喚された平民の使い魔などとは言えない。

だが、

「コイツはアイナが使い魔として召喚した、まあ、一応平民だな」

ゲイルがそう言う。

一応とは、拓也が別の世界の人間であり、ハルケギニアの階級制度とは無縁という事を知っているからである。

「へ、平民ですって!?」

エレオノールが驚愕する。

「あらまあ」

カトレアがコロコロと笑っている。

「おじ様!侯爵や伯爵の子息でも婚約の話を認めなかったアナタが、何故平民との婚約を認めるのですか!?」

エレオノールが半ば叫ぶように問いかける。

「階級など関係ない。俺が望むのは娘の幸せだ。今までの婚約話は、公爵の地位を狙った政略の意味しかない。そして、実際にその人物を見ても、欲望に溺れた眼をした奴しかいなかった。そんな男にアイナを幸せに出来るとは思えん。その点、タクヤは真っ直ぐで強い心を持っている。そしてなにより、アイナが好意を持っているからな」

ゲイルははっきりとそう言った。

アイナは頬を染めて、はにかんだ笑みを浮かべている。

そこで、拓也が気付いた。

「ルイズ。才人さんの姿が見えないけど如何したんだ?」

そうルイズに問いかける。

ルイズは呆れたようにため息を吐き、

「あんたねぇ、貴族の朝食に平民を同席させるわけないじゃない。アイナの家は変わってるの。アイナの家が当たり前なんて思わないほうがいいわよ」

そう答える。

「そうか・・・・」

拓也は呟く。

すると、

「そのサイトというのは、確かタクヤの兄のような存在だったな」

ゲイルが尋ねてくる。

「はい、そうです」

そう拓也が答えると、

「ふむ、興味があるな。その人物を連れてきてはくれないか?」

ゲイルはそう、ラ・ヴァリエール公爵に向かってそう言う。

公爵は一度ため息を吐き、

「ジェローム」

執事を呼び、才人を呼んでくるように指示する。

暫くすると、ギルモンを連れた才人が現れる。

「あの~、いきなり呼び出されたんですけどなんですか?」

才人は遠慮がちに尋ねる。

「才人さん!」

拓也は手を振った。

「拓也!?」

才人は驚いて拓也に駆け寄った。

「拓也、何でここにいるんだよ?」

「え~、まあ、その~・・・・・アイナの婚約者候補になってしまいまして・・・・・・」

「あ~~~。やっぱりお前だったのか」

拓也の答えで納得する才人。

「お前がサイトか」

「うわっ!?」

突如、才人の顔を覗き込んだゲイルに才人は驚く。

「だ、誰?」

才人は拓也に尋ねた。

「アイナの父さんのゲイルさんです」

拓也は答える。

暫く才人の眼を見続けていたゲイルだったが、

「ほう。タクヤが兄と慕うだけあって、なかなか良い眼をしているな」

微笑を浮かべ、そう言った・

「は、はあ?」

いきなりそう言われた才人は何のことか分からないでいる。

「おじ様!何故そんなにも平民を誉めるのですか!?」

貴族のプライドを持つエレオノールが叫んだ。

ゲイルはそれに動じずに答えた。

「別に平民だから誉めているわけではない。俺が見ているのは、その人物の人となりだ。眼を見ればその人物の人となりが大体分かる。貴族だろうが平民だろうが、好感が持てれば誉めるし、いけ好かなかったら相応の態度で臨むだけだ」

才人はゲイルのその言葉に好感を持った。

だが、エレオノールはそうは行かない。

「おじ様!おじ様は貴族の自覚がなさ過ぎます!貴族と平民は違うのです!おじ様は平民と一緒に戯れるばかりか、アイナと平民との婚約をお認めになるなんて!」

「そう言われても俺は親バカだからな。さっきも言ったが、俺が望むのはアイナの幸せだ。俺もタクヤの事は気に入ったし、アイナもそれを望んでいる。まあ、アイナが嫌だと言えば解消するがな」

ゲイルはそう答える。

それを聞くと、エレオノールはアイナに向き直る。

「アイナ!平民との婚約なんて解消しなさい!」

アイナに怒鳴るように言った。

昔のアイナならこれだけで萎縮してしまっていたのだが、

「嫌です!」

アイナははっきりと反論した。

「なっ!?」

エレオノールは驚愕する。

こんなにもはっきりと反論されるとは思っていなかったのである。

「私はタクヤが好きです!何と言われても、この気持ちは否定できません!」

その言葉を聞いた拓也は照れ隠しに頬を掻く。

「・・・・・愛されてるな拓也」

ポツリと才人が呟いた。

「どうやら言葉で言っても無駄みたいね」

エレオノールは立ち上がる。

「表に出なさい。徹底的に躾け直してあげるわ!」




ラ・ヴァリエール家の中庭で、アイナとエレオノールが対峙する。

2人から少し離れた所で、シンフォニア、ヴァリエール両家の面々と拓也、才人が見守る。

「ゲイルさん、止めなくていいんですか?」

拓也がゲイルに尋ねる。

「この程度で考えを変える程度の想いなら、どちらにせよ解消するさ。それに、アイナがどの位成長したかを確認するのにも丁度いい。昔のアイナではエレオノールに反抗する事すら考えられなかった事だからな」

「そうですか・・・・・・」

一方、才人とルイズは、

「にしてもルイズのお姉さん、アイナとやり合うなんて凄い使い手なんだな。やっぱりスクウェアなのか?」

才人がルイズに尋ねる。

「姉さまは『土』のトライアングルよ。なんでそう思ったの?」

ルイズが才人に聞き返す。

「え?だってアイナは「あ!」っと」

才人の言葉の途中でルイズがはっと気付く。

その瞬間、ルイズは叫んだ。

「姉さま!!(姉さまが)危険です!!お止め下さい!!」

「何言ってるのちびルイズ!(アイナを)怖い目に遭わせないと躾の意味が無いじゃない!」

2人の会話は、微妙に食い違っている。

その訳は、アイナはラインメイジとして認知されている。

アイナをスクウェアと知る者は、魔法学院でもごく一部だけ。

シンフォニア家でもアイナがラインメイジと認知しているため、ヴァリエール家のエレオノールがアイナがスクウェアだと知る由もないのだ。

エレオノールは、アイナに向かって言った。

「アイナ!私は本気よ!それでも考えを変えないって言うの!?」

「変えるつもりはありません!」

アイナは迷い無く言う。

「いい加減になさい!!」

エレオノールは怒鳴り、杖を振る。

幾つもの岩の弾丸がアイナに向かって飛ぶ。

エレオノールは元より当てるつもりは無い。

全て威嚇だ。

エレオノールはここまでやれば、アイナは怯えて縮こまると思っていた。

だが、それは違った。

アイナが杖を振ると、岩の弾丸と同数の火球が生まれ、岩の弾丸全てを相殺した。

「なんですって!?」

エレオノールは驚愕する。

「ほう。やるようになったじゃないか」

ゲイルは関心している。

「エレオノールお姉さま。私はもう、自分を信じられなかった私とは違います!」

アイナははっきりと宣言する。

「お黙りなさいっ!!公爵家の娘とあろう者が、卑しい平民などに恋をするなんてあってはならないことよ!!」

エレオノールは叫ぶ。

「何故ですか!?貴族も平民も同じ人間です!同じ人間を好きになる事の何処がいけないんですか!?」

アイナも必死に反論する。

「こ、ここまで私に反抗するなんて・・・・・・」

エレオノールが視線を拓也に向ける。

「あなたがアイナを誑かしたのね・・・・」

怒りを露にするエレオノール。

「は?」

拓也は声を漏らす。

「この平民風情が!」

拓也に向かって一発の岩の弾丸が撃ち出された。

「やべっ!」

余りの不意打ちに地下水を掴む暇もない。

(くっ!スピリット!)

即座にスピリットを体に同調させる。

「うおおおおおおっ!!」

拓也は岩の弾丸に拳を繰り出した。

――ドガン

拓也は拳で岩の弾丸を砕いた。

そして、

「いってぇえええええっ!!」

拳を押さえて蹲った。

流石にスピリットを同調させていても、岩を素手で砕くのは多少の無理があった。

「姉さま!いきなり何を!?」

ルイズが叫ぶ。

「ふん!アイナを誑かした平民に罰を与えようとしただけよ」

エレオノールはそう答える。

「姉さ・・・・・・」

再び叫ぼうとしたルイズの声が止まった。

アイナの雰囲気が変わったからだ。

「エレオノールお姉さま・・・・・・・いくらエレオノールお姉さまでも今のは許せません!」

アイナが杖を掲げる。

「ああっ!!アイナがキレちゃった!!」

ルイズが叫ぶ。

呪文を唱えだすアイナ。

アイナの頭上に集束されていく炎。

「な!?そんな!?」

その子とに驚愕するエレオノール。

ルイズは慌てて才人に言う。

「才人!姉さまを守って!私はその間にディスペルを唱えるから!!」

「わ、分かった!」

才人はデルフリンガーを掴み、駆け出す。

巨大な火球が、エレオノールに放たれた。

「ちょ・・・・・・」

炎がエレオノールを飲み込もうとしたその時、才人が立ちはだかった。

「うおおおっ!吸い込めデルフ!」

デルフリンガーで炎を吸い込んでいく。

だが、

「熱っ!」

デルフリンガーでも吸い込みきれない。

「うひょお!改めて見るとあの嬢ちゃんすげえ魔力だ。威力だけなら、あのワルドとかいう奴よりも上だな」

デルフリンガーが感想を漏らす。

その間にも、ルイズは呪文を唱えている。

だが、その詠唱を聞いていたカリーヌは、怪訝な顔をする。

やがて、詠唱は完了し、光が炎を消し去った。

「ふう~~~」

才人は息をついた。

そして振り向き、

「大丈夫ですか?」

尻餅をついて、半ば放心していたエレオノールに手を差し出す。

「え、ええ・・・・・・」

本来なら、平民の男に触られるだけでも嫌悪感を露にするエレオノールだが、半ば放心していたため、思わずその手を取って立ち上がった。

そのエレオノールにルイズが駆け寄ってくる。

「姉さま!大丈夫でしたか!?」

「え、ええ」

エレオノールに怪我らしい怪我が無いことが分かるとルイズは安堵の息をつく。

今度はアイナが駆け寄ってきた。

「エ、 エレオノールお姉さま。ご、ごめんなさい。ついカッとなって・・・・・・」

アイナが申し訳無さそうに謝る。

そして、ルイズがエレオノールに言った。

「姉さま。アイナはスクウェアなんです」

「何ですって!?」

エレオノールが驚愕する。

「本当なの!?アイナ!」

「は、はい」

アイナは頷く。

と、その時、カリーヌが近付いてきた。

「ルイズ、あなたに聞きたいことがあります」

カリーヌのその声は、荒かったわけではないが、異様に重みがあった。

「な、なんでしょうか?母さま」

ルイズが恐る恐る尋ねた。

「あなたが先程唱えた魔法。あれはなんですか?魔法を打ち消す魔法など聞いたことがありません。そして、唱えていたスペルも、四系統のどれでもありませんでした」

「そ、それは・・・・・・」

ルイズは口ごもる。

アンリエッタとの約束で、“虚無”の担い手という事は秘密にしなければならなかった。

「さあ、言いなさいルイズ。それとも母である私に隠し事をするのですか?」

静かに、だが迫力のある声であった。

その時、

「虚無の魔法です」

そう答えたのはアイナだった。

「ルイズが使ったのは虚無の魔法です」

「虚無?伝説の系統の?」

「はい、そうです」

アイナがそう言った時、

「ちょ、ちょっとアイナ!何でばらしてるのよ!姫さまに秘密って言われたじゃない!」

「確かにルイズは、秘密だって言われてたけど、私は言われてないから」

そんな2人とは別に、虚無の系統と聞いた他の面々は驚いている。

「信じられないわ。ゼロのルイズが虚無の系統だなんて」

「むう。俄かには信じられんな」

「あらあら、凄いわルイズ。伝説の系統の担い手なんて」

エレオノール、ヴァリエール公爵、カトレアの順である。

「その娘っ子が虚無の系統っていう事は本当だぜ」

デルフリンガーが口を挟む。

「なによ、そのインテリジェンスソード」

エレオノールが疑わしそうな目でデルフリンガーを見る。

「俺様はデルフリンガー様だ。かつて、始祖ブリミルの使い魔、『ガンダールヴ』が使っていた剣さ」

「本当かしら?」

「本当さ。そして相棒も、その貴族の娘っ子に召喚されて『ガンダールヴ』になったんだ。嘘だと思うならルーンを見てみればいい」

デルフリンガーに言われると、エレオノールは才人の方を向く。

「使い魔のルーンを見せなさい!」

「は、はい」

才人は言われるままに左手のルーンを見せる。

エレオノールはまじまじとルーンを観察する。

「・・・・確かに、文献で見た『ガンダールヴ』のルーンと同じものね」

アカデミーで働いているエレオノールはそう判断する。

「はい、学院長やコルベール先生も本物だと言っていました」

才人は答える。

「ならばルイズが戦争に行くと言い出したのも・・・・・」

「姫さまは、私を必要としてくれているんです。虚無の担い手である私の力を」

「むう・・・・・・・」

ヴァリエール公爵は考え込む。

「ヴァリ公、娘が真剣に決めた事ならそれを後押しするのも親の役目だぞ」

ゲイルが言った。

「何を言っているのだゲイル!?娘を死地になど赴かせるものか!」

ヴァリエール公爵の言葉は、純粋にルイズの身を案じてのことだ。

「ゲイル、お前まさか?」

「ああ。俺は許可した。アイナが真剣に決めた事だ。それに、アイナにはタクヤが付いている。大丈夫だろう」

ゲイルの言葉にヴァリエール公爵は驚愕する。

「あんな子供に何が出来る!戦争は遊びではないんだぞ!」

「そんなことは分かっている。だが、手加減と油断をしていたとは言え、タクヤは俺に勝った男だ。それにアイナもタクヤを信じている」

「お前に勝っただと!?」

「ああ。そして、子供は親の道具ではない」

驚愕するヴァリエールにゲイルは落ち着いて答える。

「・・・・・だが、権限が無くては捨石にされる可能性だってある」

ヴァリエール公爵がそう言った時、

「権限なら、タクヤも持ってます」

アイナが答えた。

「タクヤは女王陛下から、戦時中は陛下に次ぐ命令権を与えられています。そして、同じ権限はサイトさんも持ってます」

それを聞くと、今度はゲイルも驚いた。

「それは驚いたな。ならば一層安心できる」

ゲイルはそう言った。

「むむむ・・・・・・」

ヴァリエール公爵は更に一層考え込む。

そんな時、

「ゴホッ!ゴホッ!」

カトレアが激しく咳き込んだ。

「ッ!?大丈夫か、カトレア」

ヴァリエール公爵がカトレアの肩を支える。

「ちいねえさま!」

ルイズも心配そうに駆け寄った。

「だ、大丈夫よ。少し咳き込んだだけだから・・・・・・」

そう言いながらも、カトレアは辛そうである。

拓也は小声でアイナに尋ねた。

「何?ルイズの姉さん病気なの?」

「うん。カトレアお姉さまは、昔から難病を患っていて、国中の名のある水の使い手を呼んだんだけど如何にもならないの」

拓也はそれを聞いたとき、ふとポケットに入っているものを思い出した。

「アイナ」

拓也はポケットから小壜を取り出す。

「タクヤ・・・・これって」

聞き返してくるアイナに拓也は頷く。

「ありがとうタクヤ」

アイナはその小壜を受け取り、カトレアに駆け寄る。

「あの、カトレアお姉さま」

アイナはカトレアに話しかける。

「何?アイナ」

「これを」

アイナは、『覇竜の涙』が入った小壜を差し出す。

「これは?」

小壜を受け取ったカトレアが尋ねる。

「飲んでみてください。もしかしたら治るかもしれません」

「ふふっ。アイナ、気休めでも嬉しいわ」

そう言いながらカトレアは微笑む。

そして、小瓶に口をつけ、『覇竜の涙』を飲んだ。

すると、シャルロットの母親の時と同じように一瞬青い光がカトレアを包む。

そして、その光が消えたとき、

「あら?」

カトレアは不思議そうに自分の体を確認する。

「不思議だわ。とっても体が楽になったの」

それを見たヴァリエール公爵が驚いている。

「ま、まさか本当に治ったというのか?今までどんな水の使い手でも治す事が適わなかった病を」

アイナはそれを確認すると微笑んだ。

「良かった。本当に治ったんですね」

「ええ。あの薬のお陰よ。ありがとうアイナ」

カトレアはお礼を言う。

「それにしても、カトレアに飲ませた秘薬は一体何?もうカトレアの病を治せるものなんて、伝説の『覇竜の涙』ぐらいしか無いと思ってましたのに」

エレオノールが尋ねた。

「あ、はい。その『覇竜の涙』です」

アイナが答えた瞬間、

「なんですってぇ!!」

エレオノールが叫んだ。

「ア、ア、アイナ!あなた伝説の覇竜に会ったの!?」

「は、はい・・・・・あ、でも、『覇竜の涙』を受け取る資格を得たのはタクヤです。それにタクヤは覇竜から『勇者』とまで認められたんですから」

エレオノールは額に手を当ててよろめく。

「い、一体なんなの今日は?アイナの婚約者候補から始まって、アイナがスクウェアでルイズが虚無の担い手。挙げ句の果てにその使い魔は『ガンダールヴ』と覇竜も認めた『勇者』ですって?」

エレオノールは驚きすぎて頭がうまく回らないらしい。

その時、ヴァリエール公爵が決心したように顔をあげた。

「ルイズの使い魔の小僧!名は何と言う?」

いきなり問われた才人は驚く。

「さ、才人です。平賀 才人」

驚きながらも才人は答える。

「そうか!ならば一個軍団貴様に預ける!命に代えてもルイズを守れ!」

「は、はいっ!」

才人は反射的に答えた。

「ルイズに毛ほどの傷でも負わせたときは、分かっているだろうな」

「はいっ!!」

ヴァリエール公爵の物凄い雰囲気に才人は返事をすることしか出来なかった。

「父さま、それは・・・・・」

ルイズが驚いたように、公爵を見つめた。

ヴァリエール公爵は優しい笑みを浮かべ、ルイズの頭を撫でた。

「ルイズ、私はお前が戦争に行く事は反対だ。だが、ゲイルの言うとおり、子供は親の道具ではない。お前が信じた道を進みなさい。そして一つだけ約束しなさい。必ず無事に帰ってくると」

「父さま・・・・・はい!」

ルイズはしっかりと頷く。

こうして、ルイズも戦争へ行く許可を得たのであった。





次回予告


従軍の許可を受けたアイナとルイズ。

戦場に向かった拓也達は、ロサイス侵攻の為に陽動作戦を行う事になる。

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第二十七話 ダータルネスの幻影

今、異世界の物語が進化する。




あとがき

え~と、突っ込み所満載の二十六話が完成。

先ずはエレオノールファンの人にごめんなさい。

なんか悪役になってしまった。

ここまで悪役にするつもりは無かったのですが・・・・・・・自分の文才では、極端な表現しか出来なかったために・・・・・・

真に申し訳ありません。

あと、属性を『土』にした理由ですが、アニメ版でカトレアが『土』系統を使っていたので恐らくエレオノールも『土』ではないかと・・・・・・

ですが、今回はこれに限らず、メチャクチャでまとまりが無いと感じてます。

簡単に言えば、今回の話の流れは、

アイナの婚約者候補が平民だったために、怒ったエレオノールがアイナと対峙。
               ↓
それを止めるために、ルイズが虚無魔法を使用。
               ↓
それと同時に、アイナがスクウェア、ルイズが虚無の担い手であり、才人が『ガンダールヴ』であることがばれる。
               ↓
それがきっかけで、ルイズの従軍が認められる。
               ↓
その序に、『覇竜の涙』でカトレアの病気が治る。

という流れだったんですけど、話が全く纏まってないです。

色々と無理矢理言葉を繋げたところが目立ってます。

あと、一緒にいるはずのシンフォニア一家にも台詞が無かった。

序に言えば、最後にブラックウォーグレイモンも登場させたかったんですけど、流石にそれやると強引が度を超えてしまいますので止めました。

もっと精進です。

こんな未だに未熟な作者ですが、これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。


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