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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第四十一話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/21 11:00
ルイズの母をアンリエッタが説得して、何とか丸く収まった一行。

気を取り直してヴァリエールの城へと向かう。


第四十一話 伝説VS英雄


一行がヴァリエールの門を潜り、馬車から降りると、

「あれ?あの風竜って・・・・」

拓也が、庭に見覚えのある風竜がいることに気付いた。

「間違いない、お父様のストームだよ」

アイナが間違いないことを確認する。

「・・・・・・ってことは・・・・」

拓也が、そう呟くと、

「ア~~~~イ~~~~~ナ~~~~~~~~~~~!!!」

そう叫びながら、一陣の風が駆け抜けた。

「むぎゅっ!?」

アイナがそう声を漏らす。

いつの間にか、銀髪の男、ゲイルがアイナを抱きしめていた。

「アイナ~~~!!よく無事に帰ってきた!怪我は無いか!?」

そう息をつく暇も無くまくしたてるゲイル。

拓也とルイズ、カリーヌを除いた一行は、その様子を見て呆然としていた。

「た、拓也・・・・・・あの人ってゲイルさんだよな?」

才人が確認するように呟く。

「そうですね」

拓也は肯定する。

「ゲイルさんって、あんなキャラだったか?」

「ゲイルさんは、基本親バカです」

「そ、そうなのか・・・・・・」

拓也の言葉に、呆然と呟く才人。

ギーシュ達の方は、英雄である『神風』のイメージが音を立てて崩れている事だろう。

そして、ゲイルが来た方から、トテトテと銀髪の少女が駆けてくる。

「お兄ちゃん、おかえり」

そう言ってきたのは、アイナの妹のミーナ。

姉のアイナが父親に取られているので、先に拓也に声をかけたのだろう。

「あ、ああ。ミーナ・・・・だったよな?」

拓也は確認の為に問いかける。

「うん」

ミーナは頷く。

拓也は何となくミーナの頭を撫でてやった。

ミーナは目を細めて、笑みを浮かべている。

と、次の瞬間拓也の手からミーナの頭の感触が消え、手が空を切る。

「ん?」

見ると、双子の姉のクリスが、ミーナを拓也から庇うように抱きしめていた。

「え~と、クリスだったな?」

拓也が聞くと、

「き、気安く呼ぶな!」

クリスがそう言ってくる。

拓也は頭を掻きながら、

「やれやれ、嫌われてるな」

と呟く。

「そんなことないわ」

と言ってきたのは、アイナと同じ赤髪を持つ母親のフレイア。

「クリスは照れてるだけよ」

フレイアはそういう。

「は、母上!?何を言っているのですか!?」

クリスは、顔を真っ赤にして反論する。

そんなシンフォニア一家の騒動を、一行はポカーンとしながら見つめていた。





暫くして、ラ・ヴァリエール家の居間で、ヴァリエール一家とシンフォニア一家、それに拓也と才人がアンリエッタを囲んでいた。

「先ずは、ルイズの秘密を話さなければなりませんね」

そうアンリエッタが言ったとき、

「ルイズの系統が“虚無”という事であることは聞き及んでおります」

ヴァリエール公爵がそういう。

アンリエッタは驚いた顔になる。

そのままヴァリエール公爵は言葉を続けた。

「ルイズを責めないでくだされ。ルイズの系統が“虚無”である事を聞かなければ、私はルイズの従軍を許可する事はありませんでした」

「・・・・・そうですか」

少しの沈黙が流れる。

ヴァリエール公爵がその沈黙を破った。

「陛下の訪問の意図をお聞かせ願いたい」

意を決したように深呼吸すると、アンリエッタは真っ直ぐにヴァリエール公爵を見つめた。

「わたくしに、ルイズをお預けください」

「私の娘です。陛下に身も心も捧げておりまする」

「そのような建前ではありません」

アンリエッタはアニエスを促した。

アニエスは頷くと、傍らの大きな革鞄をあけ、黒いマントを取り出した。

その紫の裏地に記された百合紋の形を見て、ヴァリエール公爵は目を大きく見開いた。

「それは王家の紋・・・・・マリアンヌ様がお若い頃に着用に及ばれた、マントではありませんか!」

「ルイズ、あなたに無断で国境を越えて、ガリアに侵入した罰を与えます」

「は、はいっ!」

「これを着用なさい」

「で、でも、これは・・・・・」

「ええ。これを着用するという事は、あなたはわたくしの姉妹ということになりますわね。つまり、第二位の王位継承権が発生するという事」

「お、おお、恐れ多いですわ。というか恐れ多いというものでは・・・・・・」

「あなたと、あなたが持つ力は大きすぎるのです。その肩には、常に巨大な責任と、祖国への義務が乗っている事を、二度と忘れないようにするための処置です」

厳しい目で、アンリエッタはルイズを見つめた。

フラフラと、蛇に飲まれた蛙のように、ルイズはそれを受け取った。

とんでもないルイズの出世を見守っていたヴァリエール公爵が、口を開いた。

「陛下、娘への分を越えた厚遇、感謝いたします。いや、どれほど感謝しても、これほどの厚遇に報いる事は出来ないでしょう。しかし、私は陛下にお尋ねせねばなりません」

「なんなりと」

「娘の、その伝説の力を使って、陛下は何をなさるおつもりですか?“虚無”は伝説。スクウェアクラスの魔法をあっさりと消し去ってしまったところを私も目撃しております。その威力はかなり強力なのでしょう。この前の戦役のように、他国との戦にお使いになられるのですかな?」

「そのたびのことは・・・・・・深く反省いたしました」

「我が娘は大砲や火矢ではありませぬ。陛下が娘に対してなんらかの勘違いをなさっておられるのならば・・・・・・」

「ならば?」

「我らは悲しいことに、長年仕えた歴史を捨て、王政府と杖を交えねばなりませぬ」

公爵としてではなく、娘を思いやる父としての言葉であった。

才人はそんなヴァリエール公爵の言葉に感動した。

ヴァリエール公爵のその言葉に、アニエスが咄嗟に剣を引き抜こうとした。

アンリエッタはそれを押し止めた。

「ではわたくしから、公爵に質問がございます。この国の品位と礼節と知性の守護者たる、旧い貴族のあなたに質問がございます」

「なんなりと」

「どうして戦いは起こるのでしょうか?英知を兼ね、万物の霊長として君臨し、あらゆる幻獣や亜人より秀でたはずの我らは、なにゆえ、同族で争いを重ねるのでしょうか?」

「・・・・・・・・・・」

「幾度となく、戦いが起こりました。人々が傷つき、死ぬところもこの目で見てまいりました。このわたくしも、戦いを引き起こしました。その結果、わたくしだけではなく、大勢の人が、大事な人間を・・・・・親を、子を、兄弟を、友人を失いました。わたくしは、背負いきれぬ罪を負ったのでございます」

「・・・・・戦は陛下だけの責任ではございますまい」

「いえ、わたくしの名の下に、皆戦い、傷つき、命を落しました。わたくしが背負わずに、誰が背負うというのでしょうか」

アンリエッタは深々と頭を垂れた。

「わたくしは・・・・・・ルイズの力を・・・・・・・何か正しい事に使いたいのです。ならばどうすればよいのか、今のわたくしには未だわかりませぬ。ただ、争いに用いるつもりはありません。それだけは信じてください。公爵」

「恐れながら陛下、争いに用いるつもりがなくとも、いずれ用いねばならぬときもあるでしょう。いや、強い力は人を惹きつけます」

「公爵の仰るとおりです・・・・・・・今また、他国が暗躍しています。強い力を欲して、我らに手を伸ばそうとしている輩がいるのです。手元に置いておきたい、というのはそういった連中から、ルイズを守るためでもあるのです」

「私の不安は、まさにそこにあるのです。強い力を欲する敵がいる。では、陛下がそうならぬ、と誰が言えるでしょうか?今、陛下のご決心のお言葉を頂きましたが、それが変わらぬという保障は何処にもありますまい。なにか、陛下のご決心を証明できうるものがございますかな?」

アンリエッタは困ったように目を伏せた。

しばらく、何かよい方法がないかと考えあぐねた後、ため息混じりに呟いた。

「ありませぬ。正直に申し上げて、わたくしは己がうまく信じられませぬ。したがって、証明のしようなど、ございませぬ」

それからアンリエッタはにっこりと微笑んだ。

屈託の無い、見たものの心を打たざるを得ない、心からの笑みであった。

「ですからわたくしは・・・・・・・心から信用できる友人を、傍に置きたいのかもしれませぬ。わたくしの間違いを糾すことのできる、真の友人を。わたくしが道を踏み外したときには、遠慮なく杖を向けることの出来る、友人を・・・・・・・そして、例えルイズも共に道を踏み外したときは、彼らが抑止力となってくれるでしょう」

アンリエッタはそう言いながら、拓也と才人に目を向ける。

「彼らが・・・・?」

「彼らは、虚無に匹敵、いえ、それ以上の力を有しています。そしてなにより、何事にも屈しない強い心を持っています。彼らならば、道を正す事が出来ると信じております」

ヴァリエール公爵はアンリエッタを見つめた。

暫くその目を覗き込んだ後、口を開いた。

「私は旧い貴族です。時代遅れの年寄りでございます。私の若い頃は、多少、物事が単純でございました。名誉と誇りと忠誠、それだけを守れば、誰にも後ろ指をさされる心配はなかったのです。しかし・・・・・・今は時代が違うのでしょう。強い、伝説の力が蘇った今、旧い正義、旧い価値観・・・・そういったものは意味を失っていくのでしょう」

娘を見る目で、ヴァリエール公爵はアンリエッタを見つめた。

「陛下は先程こう言われた。“己が信じられぬ”と。そのお疑いの心が・・・・・・見えぬ未来へと漕ぎ出す、なによりの指針となってくれましょう」

「父さま」

ルイズが駆け寄り、父に抱きついた。

「大きくなったねルイズ。この父親は、何時までも甘えが抜けない娘だと思っていたよ。だが、とっくにお前は巣立っていたのだね」

父は優しく、娘の頭を撫でた。

「父からの餞だ。お間違いを指摘するのも忠義だ。そして・・・・間違いを認めることが本当の勇気だよ。ルイズ、忘れてはいけないよ。私の小さなルイズ」

「・・・・父さま」

「つらい事があったら、いつでも帰っておいで。ここはお前の家なのだからね」

ヴァリエール公爵はルイズの額に接吻すると、ルイズの身体をそっと離した。

そして、アンリエッタに深々と頭を下げた。

「ふつつかな娘でありますが、お手伝いをさせてやってください。あなたの歩まれる王道に、始祖のご加護がありますように」

しばしの沈黙が流れた後、カリーヌが、ぽんぽんと手を打った。

「カリーヌ」

「難しい話は終わったようですね。夕餉まで、しばし時間があります。遠路はるばるいらしてくださった陛下をおもてなしするにはつたない席ですが、どうか列席くださいますよう。準備が整うまで皆様、ごゆるりと御寛ぎくださいませ」

そう言って、カリーヌは一旦退室する。

すると、アンリエッタが才人に向き直る。

「・・・・・姫さま」

アンリエッタは一瞬顔を曇らせたが、無理やり浮かべたような微笑をして見せた。

「ご無事でなによりですわ」

「いえ・・・・・・申し訳ありません。勝手な事をしてしまいまして」

「勇気ある殿方というものは、野生の鷹や馬のようですわ。“行くな”と言っても、行ってしまうのですから」

アンリエッタは、アニエスから受け取ったマントを、才人に手渡した。

シュヴァリエの紋が縫いこまれた、騎士用のマントであった。

「お返しします。女王が一度渡したものです。返却はまかりなりません」

「でも・・・・・」

才人は口ごもった。

「これはあなたを縛る鎖ではないのです。その羽ばたきを助ける翼です。羽織って損はないはずです」

才人は頷くとマントを受け取った。

マントを羽織った才人を、嬉しそうにアンリエッタは見つめた。

そして、アンリエッタは次に、視線を拓也に向ける。

「?」

拓也はその視線に気付き、なんだろうかと思う。

「アイナの使い魔さん・・・・・確か、タクヤさん・・・・・でしたよね?」

「はい」

アンリエッタの言葉に拓也は頷く。

「遅くなりましたが、貴方にもお礼を申し上げます。あなた方のお陰で、連合軍は無事撤退し、尚且つ戦争に勝利することができました」

「・・・・・・まあ、結果的に・・・・ですけど」

拓也は、皆を死なせたくなかっただけであり、戦争に勝利できたと聞いても別に嬉しくもなんともなかった。

「それでもあなたの成した事は、サイトさんと同じく、他に類を見ないほどです」

「はあ・・・・・」

「これは、わたくしからの感謝の気持ちです」

アンリエッタは、拓也に羊皮紙を渡す。

拓也は受け取った羊皮紙を広げる。

拓也のルーンが輝き、羊皮紙に書かれた内容を理解する。

それは、シュヴァリエの任命状であった。

「これって・・・・」

拓也はアンリエッタに視線を戻す。

「はい。あなたにもサイトさんと同じく、シュヴァリエの称号を与えます。もちろん、王家に忠誠を誓っていただく必要はありません。自分の魂に誓ってくれれば良いのです」

アンリエッタのその言葉に拓也は頷いた。



そして、才人の時と同じく、簡易的に騎士叙勲を行い、拓也はシュヴァリエのマントを受け取り、それを纏った。

「あはは・・・・・なんかこっぱずかしいな」

拓也はマントを纏った自分の姿を見て、そう苦笑する。

「ううん、似合ってるよ」

そうアイナは言う。

すると、

「おいタクヤ」

ゲイルが声をかけてきた。

「なんですか?ゲイルさん」

拓也が其方を向く。

「夕食の前に、一度手合わせしないか?」

ゲイルは杖を見せながらそう言った。

「なんでですか?」

「タクヤの本当の実力が知りたい・・・・・では、ダメか?」

ゲイルは口元に笑みを浮かべながらそう言う。

「・・・・・・・わかりました」

拓也は頷いた。




ラ・ヴァリエールの城から2リーグほど離れた平原。

「・・・・・で、な~んでこうなってるんだよ?」

そう呟いたのは才人。

隣にはギルモンと拓也。

2人の目の前には、『神風』のゲイル。

そして、再び魔法衛士隊の制服に身を包んだカリーヌ・デジレこと、『烈風』カリン。

かつての英雄、『風の守護者(ウインドガーディアンズ)』がそこにいた。

何故才人とカリンまで参加することになったのかと言えば、カリンが本当に才人にルイズを任せられるかテストをすると言い出したのだ。

もちろん、才人に拒否権は無い。

因みに、周りには他のメンバーが観戦している。

「まあ、仕方ないですね」

「けどよぉ・・・・・」

愚痴る才人に拓也が宥める。

「まあ、これで認められれば、少しは待遇も良くなるんじゃないんですかね」

「はぁ~・・・・・・」

ため息を吐きながら、才人はデルフリンガーを抜く。

やる気なさげな才人の姿を見て、拓也は言った。

「忠告しときますけど、彼らの実力は、デジモンで言えば完全体レベルはあると思いますよ」

「何!?」

拓也の言葉に才人は驚く。

「前にゲイルさんの実力の一端を見たんですけど、エア・ハンマーで10mぐらいのクレーターが出来ましたから」

「おいおい・・・・・」

才人は冷や汗を流す。

「ルイズの母さんも同じぐらいの実力だと思います」

「油断するわけにはいかないって事か」

才人は気を引き締めなおす。

「準備はいいな?」

ゲイルが尋ねる。

「はい」

拓也が返事をする。

「なら・・・・始めるか!」

ゲイルとカリンが杖を構える。

それと同時に、拓也と才人はデジヴァイスを構えた。

拓也のデジヴァイスにヒューマンスピリットが描かれる。

「スピリット!エボリューション!!」

拓也はスピリットを纏い、進化する。

「アグニモン!!」

続けて、才人のデジヴァイスに文字が表示される。

――EVOLUTION

才人のデジヴァイスから放たれた光がギルモンを包む。

「ギルモン進化!」

ギルモンが光の中で進化する。

「グラウモン!!」

アグニモンと才人、グラウモンが、先に動く。

「エキゾーストフレイム!!」

グラウモンが熱線を吐く。

ゲイルとカリンは、それぞれが反対方向へ飛び退く。

「「はぁあああああああっ!!」」

アグニモンが覇竜刀でゲイルに、才人がデルフリンガーでカリンに斬りかかる。

ゲイルには風の障壁があり、覇竜刀が一時的に止められるが、

「はあっ!!」

拓也より十数倍のパワーを持ったアグニモンは、力ずくで振りぬく。

「くっ!」

ゲイルは更に飛び退く。

一方、カリンは才人の一撃を杖で受け止めていた。

「フッ!」

そして、剣を受け止めたまま唱えた呪文は『ウインド・ブレイク』。

しかし、その魔法はデルフリンガーに吸収される。

だが、英雄と呼ばれただけあり、動揺は無い。

続けてカリンは『エア・ニードル』を唱え、才人の剣を弾いた。

一旦間合いを開ける2人。

その瞬間を見計らってグラウモンが再び、エキゾーストフレイムを放つ。

しかし、カリンの周りに竜巻が発生し、熱線を防いだ。

「チィ!拓也の言ったとおり完全体レベルの強さはあるみたいだな。なら、遠慮はしない!」

――MATRIX

  EVOLUTION―――

「グラウモン進化!」

グラウモンが光を放ち、進化する。

「メガログラウモン!!」

紅蓮の機械竜がその姿を現した。

カリンはメガログラウモンを見上げると、

――ピィイイイイイッ

口笛を吹く。

すると、ラ・ヴァリエールの城から、マンティコアが飛んできた。

カリンはそれに飛び乗った。


アグニモンとゲイルは、お互いに小技を放ちながら相手の様子を窺っていた。

「ファイアダーツ!!」

アグニモンはファイアダーツを放つが、ゲイルが放った竜巻にかき消される。

「チィ!」

アグニモンが舌打ちする。

ゲイルが呪文を唱える。

「『エア・バインド』!!」

風が、まるでロープのようにアグニモンを縛りつけ、拘束する。

「なっ!?」

「さあ、如何する!?」

ゲイルが動けないアグニモンに向かって、杖を突いてくる。

アグニモンは、

「アグニモン!スライドエボリューション!」

スピリットをビーストスピリットに変更する。

「ヴリトラモン!!」

ヴリトラモンとなり、風の拘束を力ずくで振りほどき、空中に退避する。

「ほう・・・・今度はドラゴンか」

ゲイルはヴリトラモンを見上げながら感心したように呟く。

「面白い!こちらも本気で行くぞ!」

ゲイルも口笛を吹き、使い魔である風竜のストームを呼ぶ。

ゲイルはストームに跨った。


カリンのマンティコアは、最高速度ではメガログラウモンに劣るものの、小回りが利くため、メガログラウモンを翻弄しつつカリンは魔法を放つ。

「くっ!」

メガログラウモンにとって、一発一発は大した事がないものの、カリンの魔法は並みのメイジよりも強力なため、ダメージがある。

その上、才人とメガログラウモンの攻撃は当たらないため、分が悪かった。

すると、カリンは呪文を唱える。

カリンの背後に巨大な竜巻、『カッター・トルネード』が生み出される。

しかも、アルダモンが斬った手加減されたものと違い、正真正銘、全力の『カッター・トルネード』である。

威力だけならば、以前ウェールズたちが放ったヘクサゴンスペルに並ぶ。

「げっ!」

才人は声を漏らす。

才人とメガログラウモンは、竜巻に飲み込まれた。



「コロナブラスター!!」

ヴリトラモンは、ストームに乗ったゲイルにコロナブラスターを放つ。

それをストームは、ヴリトラモンの周りを旋回しながら高機動で避けていく。

「このっ!」

ヴリトラモンは直接殴りかかろうとしたが、

「甘いっ!」

ストームが一度羽ばたくと急上昇し、ヴリトラモンの一撃を避ける。

「なっ!?」

空ぶったヴリトラモンは大きな隙を作ってしまう。

それを見逃すゲイルではない。

「『エア・ハンマー』!!」

「ぐあっ!!」

巨大な空気の塊が、ヴリトラモンを叩き落す。

地面に叩き付けられたヴリトラモンに、

「『エア・プレッシャー』!!」

高圧の空気が押し付けられる。

「ぐああっ!!」

高圧の空気によって、ヴリトラモンを中心とした半径5メイル位の地面が陥没する。

「はあああっ!!」

ゲイルは更に容赦なく巨大な空気の塊を叩き込んだ。

――ドゴォォォォン

爆発したように土煙に覆われる。

だが、

「ダブルスピリット!エボリューション!!ぐっ・・・ああああああああっ!」

土煙が吹き飛ばされる。

「アルダモン!!」

アルダモンとなった拓也はゲイルを見上げる。

「『エア・プレッシャー』!!」

ゲイルは再び『エア・プレッシャー』を唱えた。

アルダモンを中心に、周りの地面が陥没する。

だが、アルダモンは倒れず、一歩踏み出す。

そのまま歩いていき、地面に刺さっていた覇竜刀を抜く。

その様子を見たゲイルは、

「生半可な魔法は通用しないか・・・・」

そう呟き、地面に降りる。

「これが俺の最大の魔法だ」

杖を上段に構えると、その杖に凄まじい風が収束する。

アルダモンもそれを見ると、覇竜刀を上段に構え、炎を纏わせる。

そして、お互いに視線を交わし、

「『エア・フォース・ブレイド』!!」

ゲイルが巨大な風の刃を放つ。

アルダモンに襲い掛かる風の刃。

「フレイムソード!!」

その風の刃に、アルダモンは炎の剣で切りかかった。




巨大な『カッター・トルネード』に飲み込まれた才人とメガログラウモン。

だが、

―――MATRIX

  EVOLUTION―――

「マトリックスエボリューション!」

「ギルモン進化!」

竜巻の中で才人とギルモンが進化する。

「デュークモン!!」

次の瞬間、青白い光が螺旋を描き、『カッター・トルネード』を掻き消した。

「スクリューセーバー!!」

デュークモンがグラムを回転しながら振り回し、竜巻を切り裂いたのだ。

デルフリンガーもグラニとなり、デュークモンを乗せる。

デュークモンはイージスを構えた。

「ファイナル!エリシオン!!」

イージスから放たれたエネルギー波が上空に放たれる。

それは、遥か上空にあった雲を吹き飛ばす。

「なっ!?」

これにはカリンも驚愕した。

そして、次の瞬間には、デュークモンのグラムがカリンに突きつけられていた。

「・・・・・決まりだな」

デュークモンが呟く。

「・・・・・そうですね。私の負けです」

カリンも負けを認めた。





ゲイルの『エア・フォース・ブレイド』とアルダモンのフレイムソードがぶつかり合い、爆発を起こす。

そして、その爆煙が晴れたとき、ゲイルの首筋に覇竜刀を突きつけるアルダモンの姿があった。

「フッ・・・・・俺の負けだな」

ゲイルが呟く。

アルダモンはデジコードに包まれ、拓也に戻る。

「ゲイルさん・・・・失礼ですけどホントに人間ですか?」

拓也はそう言った。

アルダモンの姿であるにも関わらず相当なダメージを受けたことに驚いているのだ。

「お前が言うか?」

「いや、進化したときは人間じゃありませんし・・・・」

ゲイルの言葉に答える拓也。

「まあいい。やはりお前にならアイナを任せられる」

「ははは・・・・・・はあ」

苦笑しつつ、曖昧な返事を返す。

一方、才人の方もそれなりに認められているようであった。




次回予告


無事に学院に帰還した拓也達。

何時もの日常が再び始まる。

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第四十二話 魔法学院のとある一日 その2

今、異世界の物語が進化する。




オリジナル魔法


エア・バインド

『風』『風』のラインスペル。

ロープのような風で、相手を拘束する。



エア・プレッシャー

『風』『風』『風』のトライアングルスペル。

高圧の空気で相手を押しつぶす。

ぶっちゃけTOD2のアレ。



あとがき

第四十一話完成。

なんですけど、後半が余りよくない。

話が繋がらないです。

申し訳ない。

更新速度もどんどん遅くなってるし・・・・・・

ですが、めげずに頑張っていきます。

では、次も頑張ります。



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