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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第四十四話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/08/12 13:39
拓也は気付くと自宅の前にいた。

拓也は自然と玄関のドアを開け、

「ただいま」

そう言って、家に上がる。

「おかえり拓也。遅かったのね」

母親の声が聞こえる。

廊下を歩き、居間へ続く扉を開ける。

「兄ちゃん、おかえり」

テーブルの椅子に座った弟の信也が、

「おう。おかえり拓也」

同じく椅子に座り、新聞を読んでいた父がそう言った。

「ただいま。父さん、信也」

拓也は椅子に座る。

「拓也、用事は済んだの?」

母がそう尋ねる。

拓也は一度俯く。

しかし、すぐに顔を上げ、

「ううん、まだ。だから、またすぐに行かなきゃいけないんだ」

拓也は言った。

「そう・・・・・でも、すぐに帰ってくるわよね?」

母にそう言われ、

「うん。すぐに用事を終わらせて必ず帰ってくるよ」

拓也ははっきりと返事をした。

拓也は椅子から立ち上がり、

「それじゃあ、行って来ます。父さん、母さん、信也」

そう言った。

「いってらっしゃい」

「早く帰って来るんだぞ」

「いってらっしゃい。兄ちゃん」

拓也は、その言葉を聞くと、玄関へ向かう。

そして、一度も振り返らずに、玄関の扉を開けた・・・・・・





第四十四話 復活!最凶の敵!!




拓也が気がつくと、ベッドの上であった。

近くには、シャルロットが座って本を読んでいる。

「・・・・・・シャル?」

拓也は上半身を起こし、シャルロットに声をかける。

「気がついた?」

「ああ・・・・才人さんは?」

拓也は尋ねる。

「隣の部屋。今はシルフィードが見てる」

「そっか・・・・・」

「気分はどう?」

シャルロットに言われ、拓也は家族のことを考えてみる。

今まで余り思い出していなかった家族や仲間のことも、すんなりと思い出せる。

「・・・・・・会いたいな・・・・・皆に・・・・・」

拓也はポツリと漏らした。

「皆?」

「ああ・・・・・父さんや母さん、信也。友達や仲間たちに・・・・・・」

拓也は目尻に涙を浮かべる。

それに気付いた拓也は手で涙を拭う。

「そういえば、他の皆は?」

「先に帰った。あの、ハーフエルフの女の子を連れて」

「アイナもか?」

その言葉にシャルロットは頷く。

それには拓也も驚いた。

「何であいつまで・・・・・・」

「アイナは、タクヤの心を弄っていた事に罪悪感を感じていた。もう会えないとまで言って、ルイズと一緒に行ってしまった」

シャルロットが説明する。

「はあ・・・・・・」

それを聞くと、拓也は思いっきりため息を吐いた。

「あいつバカだろ?」

拓也はただそれだけを言った。

「俺がそんなことでアイナを嫌うとでも思ってんのか?」

「それには同意」

拓也が呆れ声で言って、シャルロットが頷く。

と、その時、

「帰りてえ!帰りてえよ!!」

隣の部屋から、才人の悲鳴とも思える叫び声が聞こえた。

拓也とシャルロットは一旦顔を見合わせ、隣の部屋へ急いだ。

そこには、イルククゥと、ベッドの上で頭を抱えた才人がいた。

「才人さん・・・・・・」

拓也は呟く。

才人は涙を流している。

拓也は疑問に思った。

「才人さん、俺の時よりも望郷の念が強くないか?」

シャルロットに尋ねてみる。

「契約期間の長さもある。けど、恐らくそれ以上に初めて契約したときの状況の違いから」

「契約したときの状況?」

シャルロットの答えに、拓也は首を傾げる。

「そう。タクヤは初めて契約したとき、アイナから説明を受け、自分が納得して使い魔になった。だから、元の世界の皆に会いたいと思うようになっても、帰りたいと思う気持ちが思ったよりも少なかった」

シャルロットの言葉に拓也は頷く。

「けど、サイトは違う。何の説明もされず、一方的に契約された。いわば、強引に使い魔にされた。そこから既に、帰りたいと思う気持ちが抑えられ始めていたからだと思う」

「そうだったのか・・・・・・」

拓也は呟く。

才人は泣きながら、あー・・・・・・っと、妙に切ない声を上げた。

「どうしたの?」

シャルロットが尋ねた。

才人は、ぼんやりと左手のルーンを見つめた。

「なんだよ。ルーンはあるじゃねえかよ」

立てかけたデルフリンガーが答える。

「ティファニアが消したのは、“こっちの世界にいるための偽りの動機”だけさ。お前さんの使い魔としての能力には、全く関係ねえ」

「・・・・・・どうせなら、こいつも消しちまえば良かったんだ」

才人は、ルーンを見つめて言った。

「そうかもしれんね。そのルーンは、お前さんの心の震えに反応する。こっちにいる理由を無くしちまえば、こっちでの出来事に心が震える事もあるめえよ」

ぼんやりと、遠い声で才人は言った。

「なあデルフ」

「なんだね?」

「俺の・・・・ルイズへの気持ちっていうかさ、それもやっぱり、“使い魔のルーン”が寄越した、偽りの感情だったんかな」

「さあね。そいつは俺にもわからねえ。相棒の心の事だろうが」

「もし、そうだったとしたら・・・・・俺はどうすりゃいいんだろうな」

「さて、どうすりゃいいんだろうなあ」




ルイズ達は、ロサイスへの道をケンタルモンの背に乗りながら向かっていた。

「ここからロサイスは50リーグは離れているけど、これならあまり時間をかけずに済みそうだな」

ギーシュがそう言う。

「シャルロットが残るって言ったときはどうしようかと思ったけど、助かったわね。それにしても、帰る方法を探すって、そんなにサイトとタクヤの生まれた国って、遠いところなの?」

ルイズは黙って唇を噛んでいる。

「なんてね。ほんとはあたし、知ってるの。サイトとタクヤが別の世界から来た人間って事。タクヤに聞いたのよ」

キュルケは、ちらっとルイズを見つめた。

「しかしまあ、あんたも冷たいわよね。そんな行き場の無いサイトを置いて行っちゃうなんて」

ルイズは押し黙ったまま、何も答えない。

キュルケは、自分が乗っていたケンタルモンの背から、ルイズの乗っているケンタルモンの背に飛び移る。

「ねえルイズ」

「何よ」

「あたし、あなたにいろんなこと教えてあげたけど・・・・・・・でも、そんな嘘の吐き方は教えてなくってよ?」

「嘘じゃないもん」

キュルケは、ルイズの頭の上に手を乗せて、顎を置いた。

「ほんとはあなた、怖いんでしょ」

「なにが」

「サイトの自分に対する気持ちが、使い魔としての気持ちだったらどうしようって・・・・・・・あなたはそれを見たくない。だからこうやって結果を見届けずに逃げ出してる」

「違うわ」

「シャルロットが“預かる”って言ってくれなかったら、どうするつもりだったの?放っておいたの?」

「そんなことしないわ。姫様が急いでティファニアを連れて来いって言うから、仕方なく先に行くだけよ。タバサがそう言ってくれなかったら、そりゃ残ってるわよ」

「言い訳だけは一人前なんだから」

「言い訳じゃないもん。第一、アイナはどう説明するのよ」

ルイズは、前を行くケンタルモンの背に乗るアイナを見て言った。

「アイナはあなたとは違うわ。あなたは逃げ出したのかも知れないけど、アイナは、タクヤのアイナに対する想いが、使い魔としてのものだろうと関係ない。それは、アイナがタクヤを愛しているから。相手からどう思われようと、アイナはタクヤを愛しているからそれでいい」

「なら、何で残らなかったのよ?」

ルイズの言葉を聞き、キュルケは呆れた表情をする。

「そんなことも分からないの?アイナはタクヤを愛するが故に、タクヤの心を弄っていた自分が許せないのよ。そう、タクヤを想っていた分だけ、それだけ想っていたタクヤの心を弄った自分が許せない。自分はタクヤの傍にいる資格が無いと思ってしまうほどね」

「アイナ・・・・」

「難しいところだけど、自分の気持ちに素直な分、あなたよりはマシよ」

「どういう意味よ!?」

「じゃあ聞くけど、もし、サイトのあなたに対する想いが、使い魔としてのそれだったら、あなたはどうするの?」

「どうもしないわ。とにかく、帰る方法を探してあげる。それだけだわ」

「じゃあその想いが、サイト自身の本物だったら?」

「か、帰る方法を探してあげるわ」

「今、照れたわね」

「照れてない。照れてないわ!」

「ホントに分かりやすい子ね。あなた。やっぱり大好きなんじゃないの。サイトのこと」

「勘違いよ!バカ!」

「ねえルイズ。あなたの今の行動、卑怯よ。相手の気持ちが偽りだったとしても、あなたの気持ちがそうじゃないならいいじゃない。今度こそ、自分自身の魅力で勝負すればいいだけの話しだわ」

「・・・・・・私、好きじゃないもん」

唇を尖らせて、ルイズは言った。




一行が暫く歩いていく。

空は快晴で、雲一つ無く、朝の光が眩しい。

何の変哲もない朝の風景。

だが、それは突然に起こった。

最初に異変に気付いたのはギーシュだった。

「ん?何だいあれは?」

ギーシュは、景色の一部が歪んでいる事に気付いた。

その歪みは徐々に大きくなり、やがて黒い穴のようになった。

そこで、他の皆もその異変に気付く。

「一体何!?」

ルイズが叫ぶ。

「あ、ありゃあ・・・・・・」

サジタリモンが呟く。

「知ってるの?サジタリモン」

サジタリモンの呟きに、背に乗っていたティファニアが尋ねる。

「ああ。俺達は、あの黒い穴に吸い込まれてこっちの世界にきたんだ」

サジタリモンの言葉に、ティファニアは驚いた表情をする。

「見て!何か出てくるわ!」

キュルケが叫んだ。

その言葉で、全員が黒い穴に視線を向ける。

その穴から出てきたのは、人の姿に酷似していた。

しかし、人ではないことは一目瞭然だった。

『それ』は、5mほどの身長を持ち、なにより、側頭部から羽を生やしていた。

金髪の頭の右側頭部からは、天使の翼のような純白の羽が。

左側頭部からは、悪魔の翼のような漆黒の羽が生えている。

「・・・・・クックック・・・・・・」

『それ』は突然笑いを零す。

「・・・・・ハーッハッハッハ!やったぞ!!私は蘇った!!」

大きな声を上げ、そう叫ぶ。

その言葉を聞いた一行は、何故か恐怖した。

「な、なんのなのよ・・・・・あいつ・・・・・」

ルイズは震える声で呟く。

まるで、蛇に睨まれた蛙のように、圧倒的存在の前に身体が硬直して動かない。

生物としての本能が、『それ』が危険だと訴えかける。





「ん?」

悩む才人の左目が不意に霞んで、ルイズ達と対峙している『それ』が映った。

いつぞやに見た、ルイズの視線であった。

「まったく・・・・・なんであいつってば、こう間が悪いわけ?」

つまらなそうに才人が言った。

左目には、ケンタルモンが次々とやられていく映像が流れる。

傍らに立てかけたデルフリンガーが才人に声をかけた。

「娘っ子がヤベえのかね」

「ああ。見える。左目に、ばっちり映ってら」

「どうするね。はっきり言うが、好きでも何でもないんなら、放っておきな。心が震えねえガンダールヴは、ただの足手まといだよ。いくだけ無駄ってもんさ。おりゃあ、巻き添えは嫌だからね」

才人は深いため息と共に呟いた。

「どうせなら、使い魔の能力も、ついでに消して欲しかったぜ」

「なんで?」

「そしたら、行かなくて済んだじゃねえか」

デルフリンガーは、カタカタと笑った。

「ちげえねえ」

才人は立ち上がると、デルフリンガーを握った。

その時、拓也が座っていた椅子を倒しながら勢い良く立ち上がった。

その顔は驚愕に染まっている。

拓也の目にもアイナの視界が映ったようである。

「な・・・・・なんで“奴”が・・・・・・」

その声は震え、手も震えていた。

「どうしたの?」

心配になったシャルロットが声をかける。

「・・・・・・・・・ル、『ルーチェモン』・・・」

拓也はそう呟くと、全力で駆け出した。

「タ、タクヤさま!?どうしたのね!?」

驚いたイルククゥが呼びかけるが、拓也は外へ飛び出すと、アルダモンに進化し飛び立った。

そんな様子を見た才人はシャルロットに声をかける。

「タバサ、向かってくれ」

「相棒、娘っ子のことは好きかね?」

憮然とした声で、才人は言った。

「ダメだ。やっぱり好きじゃねえ。あんな女、我侭で、バカで、気位ばっかり高くって・・・・・・・・おまけに最近は調子に乗って誉めろとか言い出すし。こう冷静に考えてみると、やっぱり全然好きじゃねえ。というか腹立つ。何やられそうになってるんだよ。迷惑だっつの」

「じゃあ、なんで助けるんだね?」

「・・・・・そんな女だけど、悔しい事に見てるとドキドキすんだよね。もしかして、これが巷で言う一目ぼれだとしたら、俺はその存在を呪おうと思う。性格を良く知っていれば、起こらなかった事故だと思う。あーあ、せっかくさよならできるところだったのに・・・・・・・・」

イルククゥは外に出ると竜の姿のシルフィードになる。

シャルロットが飛び乗る。

デルフリンガーを握った才人とギルモンもシルフィードに乗った。

「しっかり掴まってて。とばす」

シャルロットは、何時もの調子で言った。




アイナ達の目の前には、惨劇が広がっていた。

サジタリモンの部下であるケンタルモン達は、側近である1体を残して全滅し、デジコードをスキャンされ、デジタマになってしまった。

サジタリモンと、側近のケンタルモンもボロボロである。

「この私に楯突くとは・・・・・愚かな奴らだ」

そう言葉を放つのは、ルーチェモン。

かつて、デジタルワールドを支配しようとしたデジモンであり、拓也が仲間と共に倒した最後の敵であった。

ルーチェモンは、サジタリモンとケンタルモンに止めを刺さんと右腕を向ける。

「やめて!」

ティファニアが叫ぶ。

その時、

「ブラフマシル!!」

「ん?」

ルーチェモンは後ろを向く。

巨大な火球がルーチェモンの背後より迫り、ルーチェモンに直撃し、爆炎に包んだ。

見ると、アルダモンが飛んできて、皆の前に着地した。

「大丈夫か!?皆!」

アルダモンは声をかける。

「タクヤ・・・・・・」

そう、アイナは呟く。

「アイナ・・・・・お前は何も悪くない」

アルダモンはそう言う。

「でも!」

アイナは、何か言おうとしたが、遅れて飛んできたシルフィードに遮られる。

その背に乗っていた才人の姿を確認すると、ルイズが叫んだ。

「サイト!」

才人はシルフィードの背から飛び降りる。

「あ、あんた何やってるのよ!呼んでないでしょうが!」

「助けに来てやったのにその言い草はねえだろ」

つん、とルイズは腕を組んで言い放つ。

「・・・・・・まったく、ティファニアの魔法は効かなかったみたいね!このバカ、こうやって来ちゃうんだもん」

「効いたよ。効きまくりだよ。正直、俺は寝ぼけてたみてえだな。こっちの世界で出来る事ぉ?インターネットも無いのにぃ?無理!照り焼きバーガーも無いのにぃ?不可能!ああ、酔っ払っていたとしか思えねえ。恥ずかしい。これも全部、お前の所為だかんな。ゼロのルイズさんよ」

「え?」

「しっかし、まったく余計な事しやがって・・・・・今より、まだそっちの方がマシだったぜ。なーにが、虚無だっつの。なーにが、偽りの記憶消去だっつの。お陰で散々思い出したよ。一年分、思い出した。見ろ、わんわん泣いちまったじゃねえか。帰る方法が見つからないのに!」

才人は、赤く腫れた目を指差した。

「よ、よかったじゃない。これですっきり「才人、ルイズ」って、え?」

言い合っていた才人とルイズをアルダモンの言葉が止める。

「悪いが、今はそれ所じゃない。ここは、俺が何とか時間を稼ぐ。才人は皆を連れて、早く逃げるんだ」

その言葉を聞いて、アイナは驚愕した。

今までの拓也は、絶対にそんなことは言わなかったからだ。

そんな拓也が「何とか時間を稼ぐ」という、かなり消極的な言葉を使った。

今のアルダモンの顔も、焦りの表情が浮かんでいる。

アルダモンの視線の先。

爆煙が風に吹き飛ばされ、

「そ、そんな・・・・・・」

誰かが声を漏らした。

そこには、全くの無傷どころか、煤すらついていないルーチェモンの姿があった。

「フフフ・・・・・・炎の闘士か・・・・・・・久しいな・・・・・・」

「ルーチェモン・・・・・・何故・・・・・貴様がここにいる。・・・・・・・いや、貴様は俺たちが倒したはずだ」

ルーチェモンの言葉に、アルダモンは動揺を隠せない声で尋ねた。

「確かに、私は貴様たちに敗れた・・・・・しかし、あのときのスサノオモンの一撃・・・・・・それは、一時的に次元の壁を切り裂いた」

「なん・・・・だと・・・・・・?」

「その時に私は、自分のデータの一部を逃がす事に成功した。だが、所詮はデータの一部。次元の狭間の中で、私は消えていくはずだった」

「ならば・・・・・・何故ここにいる?」

「運命は私を見捨てなかったよ。その次元の狭間には、『奴』がいた」

「『奴』?」

「『奴』は、存在そのものが次元、空間、時空を歪ませる存在。私はその影響を受け、急速にデータを修復、復元する事に成功した」

「存在そのものが・・・・・?まさか!この世界にデジモン達が現れているのも!?」

「『奴』の存在が原因だろう」

「くっ・・・・・・」

「さて、話は終わりだ。デジタルワールドで成しえなかった我が楽園の創造。この世界で成しえるとしよう」

「くそっ!才人!何やってる!皆を連れて早く逃げろ!」

アルダモンは叫ぶ。

才人は、デジヴァイスを取り出すと、相手のデータを表示させる。

「ルーチェモン フォールダウンモード。完全体。ウイルス種。必殺技は、パラダイスロストとデッド オア アライブ。・・・・って、なんだよ。完全体じゃねえか」

才人は、基本的なデジモンに当てはめ、そんなことを言った。

「奴を舐めるな!ルーチェモンは、完全体でも、究極体を遥かに凌ぐ力を持っているんだ!」

アルダモンは覇竜刀を構えると、飛び出した。

覇竜刀に炎が宿る。

「フレイムソード!!」

アルダモンは、ルーチェモンの頭部目掛け、斬りかかった。

しかし、ルーチェモンはアルダモンを見ると、やれやれといわんばかりに首を振る。

その視線はアルダモンを見ていない。

アルダモンは、構わず覇竜刀を振り下ろす。

「ぐっ・・・・・」

しかし、その刃はルーチェモンに届かなかった。

覇竜刀は、ルーチェモンの左手の人差し指と中指に挟まれ、止められていた。

アルダモンは力を込めるが、ルーチェモンはビクともしない。

アルダモンは必死になっているが、ルーチェモンは全く力を込めている様子はない。

まるで、アリを摘むかのように最低限の力しか使っていないようだった。

すると、突如ルーチェモンが左手を引いた。

当然アルダモンも引っ張られる。

「うわっ!?」

そして、がら空きのボディに蹴りが叩き込まれる。

ルーチェモンにとっては軽く、アルダモンにとっては凄まじく重い蹴り。

「がはっ!!」

アルダモンは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「あ・・・・・・ぐ・・・・・・」

アルダモンは、デジコードに包まれ、拓也に戻ってしまう。

「拓也!!」

才人が叫んだ。

「行くぞ!ギルモン!」

「おっけー!」

才人とギルモンが駆け出す。

―――MATRIX

   EVOLUTION―――

「マトリックスエボリューション!」

「ギルモン進化!」

才人とギルモンが一つになり、進化する。

「デュークモン!!」

デルフリンガーがグラニとなり、デュークモンが乗り、ルーチェモンに向けて突っ込む。

「ダメだ!!デュークモン!!」

それに気付いた拓也が叫ぶが、デュークモンはルーチェモンにグラムを向ける。

「ロイヤルセーバー!!」

グラムが光り輝き、ルーチェモンに迫る。

だが、次の瞬間、

「バ、バカな・・・・」

思わずデュークモンは声を漏らした。

ルーチェモンは、右手を前に出し、人差し指一本でロイヤルセーバーを受け止めていた。

「くっ・・・・・」

デュークモンは気を取り直し、間合いを一旦取ると、

「デルフ!同時に行くぞ!!」

「おうよ!」

デュークモンはイージスを構え、デルフリンガーは口を大きく開ける。

イージスが光り輝き、デルフリンガーの口にエネルギーが集まっていく。

「ファイナル!エリシオン!!」

「ユゴスブラスター!!」

イージスとデルフリンガーの口から放たれる膨大なエネルギー波。

その2つは1つとなり、ルーチェモンに直撃した。

「これならば!」

デュークモンはそう言う。

やがて、爆煙が晴れていくと、

「そんな・・・・・まさか・・・・・・」

デュークモンは驚愕した声を漏らす。

そこには、無傷のルーチェモンの姿があった。

「如何した?何を驚いている?それとも、あんなものがこの私に通用するとでも?」

ルーチェモンは余裕の態度でそう言った。

「おのれぇっ!!」

それでもデュークモンはルーチェモンに向かっていく。

「待つんだ!デュークモン!!」

拓也が叫ぶ。

「愚かで愛おしき者共よ・・・・・」

ルーチェモンは、両手を腰溜めにして構える。

「慈悲を込めて与えてやろう・・・・・・パラダイスロスト!!」

ルーチェモンは一瞬にしてデュークモンとの間合いを詰める。

「なっ!?」

デュークモンは驚愕の声を漏らす。

だが、次の瞬間には、秒間数百発もの拳のラッシュがデュークモンに叩き込まれる。

「ぐぁああああああああああああああああっ!!」

デュークモンの叫び声が響く。

デルフリンガーもその時の衝撃で吹き飛ばされている。

「あ、あの技は!!」

拓也の脳裏に崩壊したデジタルワールドの月が思い出される。

そして、今自分たちがいる場所に思い至ったとき、最悪の光景が思い浮かぶ。

「ま、拙い!!」

拓也は、ダメージを負い、痛む身体を無理やりに動かし立ち上がる。

「エンシェントスピリット!エボリューション!!ぐがぁああああああああっ!!」

拓也は、エンシェントグレイモンに進化する。

「エンシェントグレイモン!!」

進化すると、エンシェントグレイモンは皆に呼びかけた。

「皆!早く背中に乗れ!!」

「何言ってるのよ!私たちのことはいいから、早くサイトを助けに行きなさい!」

ルイズが叫ぶが、

「つべこべ言うな!!死にたいのか!!」

エンシェントグレイモンの尋常ではない叫びに、ルイズは萎縮する。

比較的冷静だったシャルロットが、レビテーションをかけて、皆をエンシェントグレイモンの背に移動させる。

「ピッピップ~」

孤児たちや、サジタリモンとケンタルモンも、マリンエンジェモンがハート型の泡で包み、エンシェントグレイモンの背に運んだ。

その時、デュークモンが空高く蹴り上げられる。

「サイト!」

ルイズが悲痛な叫びを上げる。

ルーチェモンが背中に5対の翼を生やす。

しかし、右半分の5枚は、天使の翼のような純白の翼だが、左半分は悪魔の翼のような漆黒の翼だった。

そして、凄まじい速度で蹴り上げられたデュークモンを超えるスピードで飛び上がる。

やがて追いつくと、逆さまになったデュークモンの足を左腕で固定。

足でデュークモンの両腕を固定する。

そして、右手を自分の額近くに持ってくると、

「フッ・・・・・」

と声を漏らす。

それと同時に凄まじいスピードで落下を始めた。

「くっ!」

エンシェントグレイモンは慌てて飛び上がった。

「サイト!」

ルイズが叫ぶ。

その瞬間、デュークモンは大地に叩き付けられる。

だが、それだけでは終わらなかった。

大地がひび割れを起こし、2方向に大地の裂け目が伸びていく。

「嘘・・・・でしょ・・・・・・」

キュルケが絶望に等しい声を漏らした。

デュークモンが叩き付けられたところを中心に、大地が砕けていく。

そして、砕かれ浮力を失った大地は落下していく。

「ア・・・・・アルビオン大陸が・・・・・欠けた・・・・・」

ギーシュが呆然とした声で呟く。

「まだマシな方だ。もし、ここがアルビオン大陸の中央だったら、大陸全てが粉々になっている」

エンシェントグレイモンの言葉に全員の顔から血の気が引く。

「そうだ!サイトは!」

気を取り直したルイズが叫ぶ。

ルイズは、デュークモンの姿を探す。

やがて煙が晴れていくと、断崖絶壁となった部分の端にルーチェモンに足を固定されたまま宙吊り状態になっているデュークモンの姿を見つけた。

「サイト!」

ルイズが叫ぶ。

「う・・・・・・ぐ・・・・・・」

デュークモンは僅かに身じろぎをする。

ルーチェモンは、デュークモンに興味を失ったように固定していた足を解放した。

デュークモンは重力に従い、地上に向かって落ちていく。

「あ、相棒・・・・」

吹き飛ばされたデルフリンガーがフラフラになりながらも後を追った。

「サイト!!」

ルイズが悲鳴を上げる。

「デュークモンは大丈夫だ。アルビオン大陸がクッションになったお陰で、ルーチェモンの技の威力は半減している!それにデルフリンガーも向かった!まずは大丈夫だ!」

エンシェントグレイモンはそう言って、ルーチェモンから少し離れた場所に着陸し、皆を下ろす。

「俺が囮になる!その隙に皆は逃げるんだ!」

エンシェントグレイモンは、そう言って飛び立とうとする。

「タクッ・・・・・」

アイナが呼びかけようとしたが躊躇してしまい、エンシェントグレイモンは気付かずに飛び立つ。

飛び立ったエンシェントグレイモンをアイナは何とも言えない表情で見つめた。

「それでいいの?」

シャルロットがアイナに尋ねた。

「シャルロット・・・・・・」

アイナは呟く。

「アイナは、本当にそれでいいの?拓也が傍にいなくてもいいの?」

「でも・・・・タクヤの心を弄っていた私に、タクヤの傍にいる資格なんて・・・・・」

「本当にそう思ってるの?」

シャルロットの全てを見透かしたような視線に、アイナは俯く。

「そんなわけ・・・・・・無いよ・・・・・・」

アイナは呟いた。

「傍にいたいよ!もう会えないなんて絶対に嫌!拓也の傍にいたいよ!」

アイナは赤裸々な心の叫びを口にする。

「だったら、伝えなきゃ」

「え?」

シャルロットの言葉に、アイナは顔を上げる。

シャルロットの後ろにはシルフィードが待機している。

「タクヤさまの所に行くのね!」

シルフィードがそう言う。

「シャルロット・・・・・・・シルフィード・・・・・・・」

アイナは涙を流しながら呟く。

シャルロットとシルフィードは頷く。

それを見て、アイナも深く頷いた。




エンシェントグレイモンは、ルーチェモンに向かっていた。

「ルーチェモン!」

エンシェントグレイモンは叫ぶ。

「まだ抗うか・・・・・・見苦しいものだな・・・・・」

「黙れ!!」

エンシェントグレイモンは、叫びながらオメガバーストを放つ。

灼熱の業火に飲み込まれるルーチェモン。

だが、炎を吐き続けていたエンシェントグレイモンの目の前の炎の中から、ルーチェモンが現れた。

「なっ!?」

「ふんっ!」

ルーチェモンはエンシェントグレイモンの頭部を殴りつける。

「ぐあっ!」

エンシャントグレイモンは仰け反るが、何とか持ち直す。

エンシェントグレイモンが再びルーチェモンの姿を確認したとき、思わず動揺した。

「うっ・・・・・」

ルーチェモンは、右手に光の球を。

左手に闇の球を生み出していた。

「光!」

ルーチェモンは、右の光の球をエンシェントグレイモンに投げつけた。

「ぐあっ!」

エンシェントグレイモンは光に包まれる。

「闇!」

続けてルーチェモンは闇の球を投げつける。

闇の球が光にぶつかると、光のエネルギーと闇のエネルギーが交じり合い、膨大なエネルギーを含んだ球状の魔法陣となる。

「デッド オア アライブ!」

ルーチェモンが技の名を告げる。

「ぐぁあああああああああああっ!!」

凄まじいエネルギーの奔流がエンシェントグレイモンを苦しめる。

そして、魔法陣が砕けると同時に進化が解け、ボロボロになった拓也が重力に従い落下していく。

上空で進化が解けた拓也が地面に激突すれば、死は免れない。

だが、

「タクヤ!」

シルフィードに乗って駆けつけたアイナが、拓也にレビテーションをかけ、拓也はゆっくりと地面に落ちる。

シルフィードは、拓也の近くに着陸し、アイナとシャルロットは飛び降り、拓也に駆け寄る。

シルフィードも人型になり、拓也に駆け寄った。

「タクヤ!しっかりして!」

アイナが拓也に呼びかける。

「う・・・・ぐ・・・・・・」

拓也が身じろぎをして、ゆっくりと目を開ける。

「ア、 アイナ・・・・?」

「うん、そうだよ!」

拓也は意識を覚醒させると、慌てて飛び起きた。

「ぐっ・・・・・何やってるんだ!早く逃げろ!」

拓也は痛みを我慢しながら叫んだ。

しかし、アイナは首を横に振る。

「シャル!イルククゥも!アイナを連れて早く逃げるんだ!」

拓也はシャルロットとイルククゥに呼びかける。

だが、2人も動かない。

その時、ルーチェモンが高度を下げてくる。

「フッ・・・・・美しき愛というべきか・・・・・脆く儚いものほど美しいというが、正にその通りだな」

ルーチェモンは両手を横に広げ、右手に光の球を、左手に闇の球を生み出す。

「私は慈悲深い・・・・・・せめてもの情けだ・・・・・・愛する者達と共に逝かせてやろう」

ルーチェモンは拓也達を見下ろす。

「や、やめろルーチェモン!!3人とも!俺のことはいい!早く逃げるんだ!!」

拓也は叫ぶ。

「光!」

光の球が拓也達に向かって放たれる。

拓也達はなすすべなく光のエネルギーに飲み込まれる。

「フッフッフ・・・・・これで邪魔者はいなくなる・・・・・・さあ・・・・我が楽園の礎となれ!!」

ルーチェモンはそう高らかに叫ぶ。

「闇!」

拓也達が包まれた光に向かって、闇の球が無常にも放たれた。






次回予告


ルーチェモンの圧倒的な力の前に倒れた拓也とデュークモン。

だが、アイナの、イルククゥの、シャルロットの拓也への想いが。

才人、ギルモン、デルフリンガーの友情が。

絆の力が、今、新たなる奇跡の進化を生む。

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第四十五話 絆の進化

今、異世界の物語が進化する。






あとがき

とりあえず四十四話完成です。

突っ込みどころは結構あると思いますが、一番の突っ込みどころはルーチェモンの登場ですかね。

自分でも早いかな~、とは思ったんですけど、ルーチェモンと戦わせるのはアルビオン大陸じゃないと・・・・・・

え?何でかって?

そりゃあ、地上でパラダイスロストなんてかました日にゃ、ハルケギニア崩壊しますから。

地震、地割れ、火山噴火etc・・・・・・・

たまったもんじゃないです。

因みにアルビオン大陸は20分の1ぐらい欠けました。

巻き込まれた人は南無~。

あと、犠牲になったケンタルモン達にも黙祷を。

それにしても、ルーチェモンの傲慢さを表現し切れなかった。

自分の力の無さが恨めしい。

さて、次回は更にパワーバランスを崩壊させるような事になりそうな予感が・・・・・

とりあえず、次回も頑張ります。




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