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沙希ちゃんSS 沙希ちゃんの独り言
番外編
鏡さんとわたし

作:ベルナール


「ねぇ!みっちゃん知ってる!?」
 そう聞いてきたのはわたしの悪友早乙女優美。
 え、わたしは誰かって?
 わたしの名前は……館林美鈴!
 きらめき高校に入学したばかりの新入生なんだ。
 みんなはわたしのこと「みっちゃん」って呼んでるの。
「なに、ユーミ?」
 あっ、「ユーミ」っていうのは早乙女優美のことね。
「二年生に鏡魅羅っていうすごい先輩がいるんだって。なんか男子生徒に人気があってファンクラブまであるんだよ。
 でも、普段はずらーーっと親衛隊引き連れて女王様気取りなんだって。
 優美、いくら美人でもなんかいやだな。そんなの」
 へぇー。女王様気取りねぇ……
「ほらっ。噂をすれば、あれが鏡魅羅だよ。親衛隊が後ろについてるよ」
 廊下を見ると、背が高くてスタイルのいい美人が威張って歩いてる。後ろからは男子生徒の一団がついていってる。
「あれが鏡さんか……」
 たしかに、ちょっと冷たそうで、近寄りにくい雰囲気みたいね。
「きっと、すっごく高ビーな性格してるんだよ。ふーんだ。優美だって、ちょっと本気になればファンクラブの一つや二つくらいできるもんっ!」
 パカ〜ン
「はりあってどうするのよ。ユーミ」
「痛〜い。みっちゃん、教科書でたたくのは反則だよっ!」
 でも、綺麗よね。あんな人もいるんだなぁ。
 わたしは、なんとなく鏡さんのことが印象に残っていた。

 数日後の日曜日

 今日は妹の千晴と買い物に行く約束にしてるの。
 でも千晴は部活があるっていことで、中学校の校門前で待ち合わせることになったんだ。

 グランドでは生徒が部活に励んでいる。
 う〜ん。この暑いのにがんばってるなぁ……
 あれっ、千晴だ。何してるんだろ。
 校門の横に立って、グランドでサッカーをしている男子生徒の一人を熱心に見ている。
 ふ〜ん。そういうことね。
 わたしは、ニヤニヤ笑いながら、千晴にそ〜っと近付いた。
「千晴っ! おまたせっ!!」
「きゃっ!!」
 千晴は驚いて振り向いた。
「な〜んだ。お姉ちゃんか。ビックリさせないでよ。」
 ちょっと意地悪くきいてみた。
「千晴ったら、なにをそんなに熱心にみてるのかな〜」
「えっ。何でもないわよ。サッカーをやってるのをぼーっと見てただけよ……」
 ふふっ。声に力が無いわね。でもとぼけるんだったら、もうちょっと追求しちゃおう。
「へー。その割にはあの10番の子を妙に熱心に見てたみたいだけど。」
「えっ。お姉ちゃんたらそんなところばっかり気が付くんだから…」
「ふ〜ん。あれが千晴の好みね〜。結構かっこいいじゃない。千晴が熱を上げるのも無理はないかな。」
 千晴は真っ赤になって両手をバタバタ振った。
「ちーがーうーっ。明君は委員会が同じで顔を知ってるから見てただけなのっ!」
「そうか〜。明君っていうんだ〜」
 わたしはウンウンとうなずいた。
「あっ……」
 千晴はもっと真っ赤になって黙り込んじゃった。
 わたしは千晴の肩にポンと手を置いた。
「ま、がんばって。間違えても見晴姉みたいにはならないように。」
「見晴姉と一緒にしないで!」
 千晴はキッパリと言いきった。
 ……実の妹にここまで言われるなんて(わたしも言ってるか)なんて不憫な……。
 千晴はすばやく立ち直って、
「でもね、明君って、お姉さんがいて、よく試合の時に応援にくるんだけど、すっごい美人なんだよ。しかも、奇麗なだけじゃないんだ。試合の時の差し入れを、応援してるあたしたちにもよくわけてくれたり、とっても優しいんだよ。」
 ふ〜ん。綺麗で優しいねぇ。わたしもそう言われてみたいな。

 そのとき、下校する生徒の流れとは逆に、校門から中に入ってくる人影に気づいた。
 あれっ?
 今入ってきたの鏡さんじゃない。
 なんであの人が中学校なんかにいるんだろう。
「あっ。噂をすれば、あれが明君のお姉さんなの。」
 えっっ!千晴の指差しているのは……鏡さんだった……
「ねっ!すごい美人でしょ。ふっ、お姉ちゃんたちも、あれぐらい美人になれなんて無理は言わないけど、せめて同じくらい優しければね〜……」
「そういうことを言うのはこの口かぁー!」
「みひゅずねえ、いひゃい、いひゃい!(美鈴姉、いたい、いたい)」
 わたしは千晴の口を引っ張っていた手を離し、悪戯っぽくきいてみた。
「ねぇ、明君の名字ってもしかして「鏡」っていうんじゃない。」
「えっっ!な、なんで知ってるの。」
 ふふっ。びっくりしてる。
「ふっふ〜ん。な〜んでっでしょ〜かね〜」
 顔の前で指を左右にふって、ちょっとからかってみた。
「……美鈴姉、白状しないと今日の夕飯なくなるわよ……」
 やばっ!目がマジだわ。しょうがないな〜。もうちょっとからかってやろうと思ったけど、今はこれぐらいにしておくか。
 わたしは声をひそめた。
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「実はね……」
「うんうん。」
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 ・
 ・
「私たちの生き別れのお姉さんなのよっっ!!」
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「……お姉ちゃん……」
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 ・
 ううっ。視線がきびしい……
 ちょっとした冗談なんだから、そんな本気でにらまないでよ〜。
 ・
 ・
「……で本当は何……」
「うん。実は、あの人わたしと同じきらめき高校の生徒なの。」
「えっっっ!! 高校生だったの!? わたし大学生か、もう働いてるもんだと思ってたっ!」
 ま、千晴が驚くのも無理もないかもね。
「まあ、わたしよりいっこ上だから、見晴姉さんと一緒の学年かな。」
「えー。でも同じ高校生でお姉ちゃんたちとこのスタイルの差はなにー」
「千晴だって似たようなもんでしょっ!」
「ふーん。あたしはまだ育ちざかりだもーん。でも、あんなに綺麗で優しいんだから、学校でも人気があるんだろうなー。」
 う〜ん。一部の男子には人気があるみたいだけど、女の子の間では……
 あんまり評判よくないよね。

 わたしはもう一度鏡さんを見た。
 グランドの弟を見守るその姿は、優しさにあふれていて、あの時廊下で見掛けた冷たい雰囲気は全然感じられなかった。

 それから何日かたったある日のこと。

「……ね、だからそうなんだって。」
「えっ、ホント、信じらんない〜」
 わたしは、友達の秋穂みのりとおしゃべりしながら廊下を歩いていた。
 角を曲がった瞬間……
 ドンッ!!
 きゃあ!
 ドサッ!!
 いった〜い。
 向こうから来た人とぶつかっちゃった……
 ……あ、相手の人が倒れてる。……
「……いっ、いたいわね。早く起こしなさいよ!!」
 あ……鏡さんだ……
 わたしは、手を伸ばして助け起こした。
 鏡さんはわたしを睨んだかと思うと、高圧的に言い放った。
「まったく、わたしが怪我でもしたら、どうするつもりなのよっ!!
 気をつけなさいっ!」
 ……いってしまった……
 ・
 ・
 ・
 なによーっ!あの態度は!!
 やっぱり千晴の中学校で見たのは見間違いねっ!!
 そりゃ、しゃべりながら歩いてて前をよく注意してなかったわたしにも
 問題があるかもしれないけど、鏡魅羅だって前をよく見てなかったからぶつかったんじゃないっ!!
「やな女ねぇー。あんな言い方ないよね〜
あれじゃ、美鈴が全部悪いみたいじゃない。」
「みのりもそう思うよねっっ!!」
 みのり……わたしと一緒に怒ってくれてるなんて……
 ううっ、やっぱり持つべきものは友達よね!
「あったり前じゃないっ! ま、もっとも、話に夢中になってて前をよく
 みてなかった美鈴の方が悪いんだけどね。(にっこり)」
 ・
 ・
 ・
 前言撤回!やっぱりみのりなんか友達じゃないっ!!

 それから何日かした日曜日、わたしは商店街を歩いていた。

 今日は暑そうだな〜
 あれっ。見晴姉じゃない。
 薬屋の店先のおっきいケロ○ンの人形の陰に隠れて、向かいのブティックの中を盗み見ている。

 また、いつもの彼をつけてるんだろうな。
 あれじゃ、まるでストーカーよね。
 ・
 ・
 しばらく見てると、悔しそうな表情を浮かべてケロ○ンの首を絞めたり、急に不安そうになってケロ○ンの表面をガリガリ爪で引っかいたりしてる。

 ……ケロ○ンの塗装がはげてどんどんボロボロになっていく。

 お店の人や周りの人は、注意したいんだけど、あんまり関わり合いになりたくないな〜って感じで、見てみぬふりをしてる。
 ・
 ・
 うー。あれじゃストーカーっていうより単なる変質者じゃない。
 まったく……
 わたしは後ろからそ〜っと近づいていった。
「こらっ!! 器物破損の現行犯で逮捕する!!」
「ご、ごめんなさいっ!ほんの出来心で……」
 ……いったい、出来心ってなんなのよ……
 見晴姉は、びくっとして振り返り、目をつぶって手を合わせている。
「……お姉ちゃん……」
「……な〜んだ。美鈴か。もうっ、びっくりさせないでよ。」
 あたしがあきれたように言うと、やっと気づいて、ホッとした表情を浮かべた。
「な〜んだ、じゃないわよ。お姉ちゃんも、こんなことやってないで、もっと積極的にアタックすれば。」
「なにいってるのよっ!美鈴。そんなこと……
 できるくらいならとっくにやってるわよっ!!」
 ……あ……ついに開き直ったわ……

「それはそうとお姉ちゃん。……主人先輩ってどの人?」
「み、美鈴っ。な、なんで名前を知ってるのよっ!!」
 見晴姉は真っ赤になってわたしを問い詰めた。
「晴海姉からきいたの。千晴も知ってるよ。」
 あっさり答えると、見晴姉は天を仰いだ。
「晴海姉ーーっ!。あれほど口止めしといたのにーーーっ!!」
 あー。晴海姉にそんな事しても無駄。無駄。お姉ちゃんはこういう事好きなんだから。
 だいたい見晴姉も、自分の部屋で「主人君ラブーーッッ!!!」って叫んでるんだから、いやでもわたしたちに聞こえるのにな〜。

 その時、ブティックの中で、いかにも「連れが試着するのを待ってるんです」って感じの男性客の一人が急にこっちを向いた。
「きゃっ!!」って見晴姉が短く叫んだかと思うと……
 すでに見晴姉の姿は消えていた。
 ……見晴姉ってじつはテレポートが使えるんじゃないかって思うわ。
 でも、そうすると、あれが主人さんかぁ。
 わたしはこっちを向いた男性客を見た。
 ・
 ・
 確かにちょっとかっこいいかも。
 それはそうと今日のデートの相手は誰かな?
 ・
 ・
 試着室からデートの相手が出てきた。
 ・
 ・
 あれっ!? あの紫の髪は……
 ええーっ! 今日のデートの相手って鏡さんなのーーっ!!
 よく、あんなわがままな女とつきあってられるわね。

 二人はすぐに店から出てきた。
「つまらなかったわ。それじゃ、失礼するわ。」
 鏡さんは冷たく言い放つと、主人先輩をその場に置き去りにしてそのままスタスタと立ち去っていった。
 主人先輩、とってもショックを受けてるみたい。
 なにもあんな言い方することないじゃない……
 わたしは、居たたまれなくなってその場を後にした。


「ちょっと遅くなっちゃったかな。立ち読みなんてしてるんじゃなかったかなー」
 公園を通り抜けて帰ろうかな……あれっ!?
 わたしは公園の中に思わぬ姿を見つけた。

 鏡さんだ。
 ブランコに座ってる。
 でも、さっきと雰囲気が全然違う。
 わたしはそっと近付いていった。

 後ろ向きだから表情まではわからないけど、肩を落として、淋しそうに座っている。
 さっきまでの女王様みたいな雰囲気はどうしたのかな……
 淋しそうな声が聞こえた。
「……本当はあんな態度をとりたいわけじゃないのよ。あの人はわかってくれるかしら……」

 えっっ!?

「……でも、本当の姿がみんなに知られれば、あの人もみんなもわたしのことを軽蔑するに違いないわ。」

 じゃ、じゃあ、無理して高慢に振る舞ってるってことなのっ!?

「……もう元には戻れないんだわ……」
「そんなことないわっっ!」
「誰っっ!」
 わたしの声に鏡さんは驚いて振り返り、怒りの表情を浮かべた。
「あなたは誰っ! わたしの話を聞いたわねっ!」
 わたしは静かに話し出した。
「わたしはあなたの後輩です。鏡さん。
たしかに聞いてました。
 でも、口をはさまずにはいられなかったんです。
 わたしは、あなたの本当の姿を知ってます。そう、優しい心を。」
「嘘よっ!!」
 鏡さんは激しく否定した。
 でも、わたしは静かに続けた。
「わたしは、あなたが、弟さんといっしょにいるところを見ました。」
「どうして、それをっ!」
 わたしの言葉にかなりショックを受けたみたい。
「そのときの鏡さんはとても自然でした。
わたし、その姿をみんなが軽蔑するとは思えません。」
 わたしは、鏡さんをじっと見た。

「そこまで、知ってればしょうがないわね。」
 鏡さんはあきらめたようにふっと息をはいた。
「たしかに、いまの姿はわたしが創り出したものよ。もともとの姿は、あなたが見た通りだわ。
 最近は、いまの姿でいることにもだんだん疑問をかんじるようになってきた。
 それに正直言ってこの姿でいることに疲れて来たわ。」
「だったら、もとの自分にっ!」
 だけど、鏡さんは大きく首を横に振った。
「あなたが言いたいことは、とてもよくわかるわ。
 でも、それはだめよ。」
「なんでっっ!」
 ・
 ・
「わたしはあの人を試しているの。」
 鏡さんはわたしを見て優しく笑った。
 ……あ……千晴の中学校の校庭で見たあの優しさだ。
 それから、ちょっと目線をそらした。
「こんなわたしでも好きになってくれるか。ねっ。」
 ……主人先輩・・か……
「全ては卒業式を過ぎてからね。」
 ……伝説ね……
「だから、当分このままのわたしでいるわ。」
「……わかりました。」
 わたしはつぶやくように答えた。

 鏡さんはわたしの方に向き直り、不思議そうにきいた。
「でも、あなたはどうしてわたしに弟がいるなんて事を知ってるの? そういえば名前もきいてないわ。」
あっ、そうか。
「わたしは、館林美鈴。一年生です。」
「……館林……なにかきき覚えあるわね……」
「……去年まで保健医をやってて、今年から2年E組の担任をしてる、館林晴海の妹です……」
「ええっっ!!」
 途端に恐怖の色が浮かぶ。
「館林先生っていうと、美少年をさらってきて保健室に連れ込んでるとか、しかもそれに飽き足らず女の子までさらっているとか、最近ではE組の虹野さんやB組の如月さんが被害にあったとか、それも生徒を洗脳して学園を支配するためとか、いや、実は既に学園の影の支配者になっているとか、本当は、単なる趣味でやってるとか、って噂があるっっ!」
「だいたい事実です。」
 わたしはキッパリといった。
「や、やっぱり〜」
 鏡さんの顔が恐怖にひきつる。
 ホントに単なる趣味なんだけど、晴海姉だからいっか〜
「でも、大丈夫。それは晴海姉だけの話ですから。」
 わたしはニッコリわらった。
 鏡さんはやっと落ち着いて
「そ、そう。それなら良かったわ。それはそうと、美鈴さん、あなたは
 なぜ、わたしの弟のことをしっているのかしら?」
「実は、わたしの妹があなたの弟の明君と同じ学校なんです。鏡さんが明君に会いに行った時に、わたしもちょうど妹と会ってて、そこであなたを見かけたんです。」
「ああ。そういう訳だったのね。」
 やっと理由がわかって納得したみたい。
「鏡さん。あなたの気持ちがわかったから、この話は誰にも言いません。でも、わたしは、本当の姿に戻って欲しかったです。そうしたら、学校でも仲良くできるのに。」
 鏡さんは砂ぼこりをはたいて立ち上がった。
「ごめんなさいね。明日からはまた、いつもの鏡魅羅に戻るわ。でも、あなたのことは友達だと思っているわ。秘密のねっ。」
 最後にいたずらっぽく笑い、わたしに手を振った。
「遅くなってきたし、そろそろ失礼するわ。気をつけてお帰りなさい。」
「はい。鏡さんも。」
 ……いっちゃったな……
 卒業式には幸せになってね。……
 ・
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 ん・・な〜んか大事なことを忘れてるような……
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 ・
 あっ。そういえば、見晴姉も主人先輩にアタックしてるんだった。
 あはははっ。まぁ最後に決めるのは主人先輩だし
 二人ともがんばってねっ!


 それから数日後……


「……実はね……なんだって」
「えっ!……って、そうなの!?」
 わたしは秋穂みのりと廊下を歩いていたの。そしたら……
 ドンッ!!
 バタッ!!
「痛いわねっ! もう、どこを見て歩いているのよ!! 早く起こしなさいっ!!」
 みのりが角を曲がったところで誰かにぶつかって、みのりも相手も転んでいる。
 相手は……鏡さんだった。
「ごめんなさい。怪我はないですか?」
 わたしはみのりを引っ張り起こしながら鏡さんにあやまった。
 親衛隊の人に助け起こされていた鏡さんは、私たちを睨んだ。
「まったく。気をつけなさいっ! それじゃ、みんな行くわよ。」
「はいっ! 鏡さんっ!!」
「ちょ、ちょっと。あたしだって倒れたんだから、あんたもあやまれーっ!!」
 怒ってるみのりを無視して鏡さんは行ってしまった。
「みっちゃんっ! ひどいと思わないっ! むこうだって前見てなかったんじゃないーっ!!」
「そうよねーっ。みのりの気持ちがよっくわかるわー!」
「そう思うでしょー!」
「もちろんっ。でも、前を良く見てなかったみのりが悪いんだけどね。」
 わたしはニッコリ笑った。
 ・
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 ・
「もうっ!みっちゃんなんて知らないっ!!」
 あ。おこっていっちゃた。
「ゴメンゴメン。待ってよ〜。みのりってばー」
 みのりを追いかけながら、鏡さんの本当の姿をわたしだけが知ってることが、
 ちょっぴりうれしかった。

《終わり》


あとがき

いまさらですが、この話は「沙希ちゃんの独り言」の三次製作物です。
したがって、基本的に設定その他は「沙希ちゃんの独り言」が基になっています。

この話をつくるきっかけとなったのは、第一回SS人気投票の結果を見たからです。
あのとき館林四姉妹の中で、美鈴だけが一票も入ってなかったのを見て、
ぜひ美鈴が活躍する姿を見てみたいな、と思って話をつくりました。
相手を鏡さんにしたのは、鏡さんの出てくるSSが比較的少ないから出演させたかったのと
鏡さんが「沙希ちゃんの独り言」にほとんど出てこないため、使いやすかった
からです。

この話は作者(ベルナール)が「沙希ちゃんの独り言」から受けたイメージで
キャラクターを動かしてますので、他の読者の方のイメージを壊すようであればごめんなさい。

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