「経過はどうだ?」

「はい、ルイン司令。順調です。そろそろ目覚めると思います。」

「ふむ、そうか。続けてくれ。」

「ハッ!」


コツ・・・・・コツ・・・・・コツ・・・・・・・

硬質な通路に足音だけが響く。

「やっと、約束の時が来る・・・・・・。」

悦に浸りながら一人呟く。

「もう少しだ・・・・・・。もう少しで愚かな花が開花する・・・・・・。」

クックック・・・・・・。と陰湿な笑いをしながら。

「人間どもの時代は終わる・・・・・・。我々レベリオンの時代が来る・・・・・。」

そこに存在するは、人の皮を被りし異形。

反逆者の名を冠する人類の天敵。

しかしその姿のみは、紛れもなく人間だった。


Knight of liberty

       第1楽章 魔王に踊らされし道化師のワルツ
          
               Aパート 時空放浪兵器

そこは、何かの研究所のようだった。

乱立する大きな試験管。立ち込める薬品の薫り・・・・・・・。

試験管の一つに入れられているのは人間だった。

正確には人型対レベリオン生物兵器・・・・・・・・。

そう呼称されているが。

ゴボッ・・・・・・・・。

試験管に大きな気泡が発生する。

「反応確認!『Another Hope』、目覚めます!」

慌しい雰囲気に包まれる所内。

「おい!ルイン司令を呼んで来い!」

「はっ!」


リュウイチサイド


俺は昔から、この特殊な容姿と能力で嫌悪されてきた。

黄色人種にはありえない雪のような肌。紅い目。銀色の髪。

そして、自分の意思によって炎を出せる能力。

気づいたのは幼少のころ。

テレビの好きなヒーローの口調を真似て、

「我が前の敵を焼け!クリムゾンっ!」

と、詠唱の真似事をした時だった。

目の前にいた、自分に唯一優しく接してくれた両親が消し飛んだ。


嘘だと思った。嘘だと思いたかった。

悪夢は続くものだ。

抜け殻のようになった俺に、更に残酷な事実が知らされた。

俺は、両親の本当の子供じゃなかった。

子供の出来なかった両親に引き取られた子供だった。

捨て子だったらしく、本当の親は分からないらしい。

俺は、子供のようなことを信じ始めていた。

『俺はこの世界の人間ではないのだ。きっと、元の世界の人たちは俺を必要としてくれる。』


それは、ある意味当たっていたのだろう。例え、どのような使われ方であったとしても。

目を覚ませば、またいつも通りの退屈で意味を見出せない一日が始まる。

さあ、目を覚まそう。いつか、元の世界に帰ることを夢見て・・・・・・・・・。

研究所サイド

「Hopeの記憶の調節は完璧か?」

「はい、ルイン司令。間違いなくこちらの要求を呑みます。」

ルインと呼ばれた仕官服に身を包んだ男は顔を歪めた。悲しげに。

「人間を培養し、生物兵器にした上に記憶を植え付け、あげく利用するとはな・・・・・。」

それに科学仕官が答える。

「仕方がありません。人類と世界を救うためです。」

仕方が無い、というのは免罪符だ。そうルインは考えたのかもしれない。

いずれ我らには罰が下る、と。

ついに運命が動き始めた。

悲しみと憎しみ、そして悲恋の物語が。

軋んだ歯車が廻る。

そしてその歪みは、世界をも巻き込んで・・・・・・・・。

お詫び

進行が思ったよりもはかどらず、主人公の本格的登場は延期となりました。

自分の不甲斐なさを痛感しています。

次こそは思うとおりの進行をしますのでどうか温かい目で見守ってください。

                             by  カイ

                 次回予告

       人類の天敵たるレベリオンを目にするリュウイチ。

     自分にも、その遺伝子が組み込まれているとは知らずに・・・・。

       『俺の力が、人類のために使えるのか・・・・・・・?』

   『予定通り、か。クックック・・・・・・。我らの思惑に乗るとは、愚かな。』


        憎しみを見に滾らせることがなきよう・・・・・・・・・。


                               Bパートに続く