『・・・・・・・・・というわけなんだよ母さん』

『・・・シンジ・・・・ごめんね・・・ひとりぼっちにして・・ごめんね・・・・』

碇ユイは泣きながら最愛の息子を抱きしめる。

『ううん、もう僕は大丈夫だよ』

『・・・強くなったのねシンジ』

『それでくわしい事はさっきも話したけど、父さんが・・・・・』

『わかってるわ』

『いつかはサルベージできると思うからそれまでは我慢してね』

『ええ、それとゲンドウさんに言っておいて・・・・』

ユイの口調が変わっていくのを聞いてシンジが威圧される。

『な、なに?』

『あとからゆーーーーーくりとお話しましょうねって!!』

シンジ曰く「それはそれはとっても素敵な笑顔だったよ。夢に出そうなくらい。たぶん僕が帰ってきていなかったら泣き出していただろうな」
という感じで半泣きになりながら後に語る。

『う、うん。わかったよ』

『今度、レイちゃんにもあってみたいわ』

『うん、それじゃ』

 

 

 

エヴァンゲリオン〜Return to the past〜
第2話〜フォースチルドレン〜

 

 

シンジは今病院にいる。
サキエルとの戦闘が終わりエヴァを降りたあと検査のためと一晩病院にとまることになった。

「あれからレイのお見舞いにいけなかったな」

エヴァを降りたあとレイの見舞いに行きたいと言い出したシンジだが、あっさりと拒否された。

「今からいこうっと。そういえばショウはどうなったのかな?」

 

 

 

「15年ぶりの使徒襲来か。あまりに唐突だな」
薄暗い部屋でゼーレの主要メンバーとゲンドウが話をしている。

「幸いとも言える。我々の先行投資が無駄にならなかった点においてはな」
「そいつはまだわからんよ。役に立たなければ無駄とおなじだ」
「さよう、いまや周知の事実となってしまった使徒の処置、情報操作、ネルフの運用は適切かつ迅速にしてもらわんと困るよ」
「その件につきましてはすでに対処済みです。ご安心を」
ゲンドウは淡々と答える。
「しかし、碇君。ネルフとエヴァ、もう少しうまく使えんのかね?」
「零号機に続き君らが初陣で壊した初号機の修理代、国がひとつ傾くよ」
「聞けばあの玩具は君の息子に与えたそうではないか」
「親子そろっていくら使えば気がすむのかね」

数々の皮肉を言うゼーレメンバーだがゲンドウはほとんど聞いていない。

「それに君の仕事はこれだけではあるまい。人類補完計画。これこそが君の急務だ」
「さよう、この計画こそがこの絶望的状況化における唯一の希望なのだ」
一通りメンバーが言い終わった後、議長のキールが口を開く。
「いずれにせよ使徒再来における計画スケジュールの遅延は認められん。予算については一考しよう」
「ではあとは委員会の仕事だ」
「碇くん、ご苦労だったな」

キールとゲンドウを残してメンバーが消える。

「この前送った資料にあるようにフォースチルドレンをそちらに送っておいた」
「承知しております」
「フォースチルドレンに関しては我々ですらまだ何もつかんではいない。アメリカ支部が独自に作っていたエヴァに乗れるということぐらいしかな」
「独自に作っていたエヴァ?」
聞きなれない言葉にゲンドウの眉が動く。
「そうだ、このエヴァに関しても情報がまったくといっていいほどない。今はアメリカ支部においてはあるがな」
「情報がないというのは?」
「アメリカ支部の連中はこのエヴァの存在を知るものがいないのだ、自殺したピーター・ブラック以外はな」
『ピーター・ブラック、アメリカ支部の司令だった奴か』

アメリカ支部の司令自殺はかなりの問題になりそうなものだが、使徒がきたためうやむやになっている。

「まあそのことはこちらで調べる。君は計画を遅らせないようにな」
「わかっております」
「碇、後戻りはできんぞ」
そういい残してキールの消えた。
「わかっている。人間には時間がないのだ」
ゲンドウは誰に言うともなくつぶやいた。

 

 

 

 

「エヴァとこの町が完全に稼動すればいけるかもしれないわね」
ミサトが第3進東京市をみつめながらつぶやく。
「使徒に勝つつもり?相変わらず楽天的ね」
リツコが呆れたように言う。
「あら、あの初号機の動きを見たらそう思わない?」
「そうね」
ミサトとリツコは先の戦いを思い出してそう思った。
「んじゃ」
そういい残しミサトはシンジを迎えに行くのである。

 

 

 

 

 

 

「レイはどこかな?」

シンジはレイの病室を探しながら病院を歩き回っていた。

「そういえば、前は廊下で運ばれてったけ?」

シンジの後ろから移動ベットの音が聞こえてくる。
シンジが振り向くとそこには

「レイ!!」

レイの姿を見かけすぐさま駆け寄るシンジ。

「シンジ君」
「看護婦さん、僕も一緒に病室に行きますんで」

シンジがベットを運んでいる看護婦にそう告げる。
看護婦はお互いが顔見知りなのを理解して快くOKした。

 

 

「レイ、大丈夫?」

シンジはレイの体をいたわりゆっくりと移動ベットから病室のベットへと体を抱いて寝かそうとする。
ちなみに看護婦は「お邪魔になっちゃ悪いようだから」と言ってレイをシンジに任せて退室していった

「大丈夫」

レイはしっかりとシンジに抱きつきながらしっかりとした口調で答える。

 

 

「あのーレイ?」

「なあに?」

レイは上目遣いでシンジをみる。

『か、かわいい!!』
満面の笑顔のレイにシンジはノックアウト寸前に追い込まれる。

「いや、あのね、ベットについたんだけど・・・」

ベットについたのにもかかわらず寝ようとしないでシンジに抱きついているレイ。

「ここのほうがいい」

抱きしめる力を強めるレイ。

「いや、でもね・・・」

「シンジ君はいやなの?」

悲しげな表情になり涙ぐむレイ。
そんなレイを正面から見てしまったシンジは情けなくも一発でノックアウト。

「そんなことはないよ!僕もずっとこうしていたい!!」

「なら・・・」

「うん、ずっとこうしててあげる」

「シンジ君」

「レイ」

もはや二人にはお互いしか見えていないようだ。

 

 

 

 

 

「ほんとにシンジ君はどこに言ったのかしら?」

そのころ、シンジを迎えに来ていたミサトはシンジが病室にいないので病院内を探していた。

「勝手に退院したなんて事はないと思うけど・・・・・・・受付で聞こうかな」

言ったら即実行するミサトは病院内だというのに急いで受付へむかう。

ちょうど廊下の曲がり角・・・

ドン!!

「きゃ!」

「うわっと」

どうやら急いでいたために曲がり角のとこで人とぶつかってしまったらしい。

「ちょっと、気をつけなさいよ!」

「あっ、すいません」

どう見ても走っていたミサトが悪いのだがミサトの迫力に押されぶつかられた少年は素直に謝る。

「だいじょうぶですか?」

「ええ、大丈夫よ。じゃあ、私は急ぐから・・・・・って、君は・・・」

ミサトは何かを思い出したように少年に詰め寄る。

「は、はい?」

「戦闘中に市街地にいた子でしょう」

ミサトはこの少年が先日エヴァと使徒との戦闘中に外に出ていた子であることに気が付く。

「というと、あなたはネルフの関係者か何か?」

「ええ、私はネルフの作戦本部長をやっている葛城ミサトよ」

「そうなんですか、僕はショウといいます。そういえばシンジの病室どこかわかりませんか?」

「えっ!シンジ君の事知ってるの?」

「ええ。友達ですから」

「そう、でもシンジ君病室にいないのよ」

「そうなんですか。・・・・・・それじゃ、綾波レイの病室は?」

「へっ、レイの事も知ってるの?」

「ええ」

このことにはミサとも驚いた。

シンジのことならともかくとしてもレイのことを知っているとは思わなかったからである。

「レイとはどんな関係なの?」

「ん〜、難しい質問ですね。・・・・・・とりあえず綾波の病室に行きましょう。そこで話します。シンジもいると思うから」

「ええ、わかったわ」

ミサとはこの少年に少し疑問を感じたがレイやシンジと知り合いというなら聞けばわかるということで病室に案内することにした。

 

 

 

「ここがレイの病室よ」

コンコン

「レイ〜入るわよ」

ガチャという音を立てて病室のドアが開くとそこには・・・・・・

 

「レイ」

「シンジ君」

見詰め合う二人。

しかも抱き合って。

レイの腕はしっかりとシンジの首の回され

シンジの手はレイの腰と頭をささえている。

少しずつ距離が縮まっていく。

あと5センチで唇と唇がくっつきそうな距離。

あと4センチ

3センチ

2センチ

「あんた達!!なにやってんのよーーーーーーーーーー!!」

鼓膜が破れそうな声で怒鳴るミサト。

 

 

 

 

 

 

 

「まったくいくら若いからって!」

あのあとシンジはミサト達がいることにきずき、慌てて体を離そうとしたが、レイがしっかりと首に腕を絡めていたため逃げられず、結局はショウとミサとの目の前で口付けを交わしてしまった。

シンジは真っ赤になって俯いている。

レイにいたってはミサト達がきたことによりシンジとそれ以上の抱擁を続けられないことにご立腹のようだ。

「まったく私だって最近は・・・・・・・・」

「まあまあ、ミサトさん。それよりシンジを探しにきたんでしょう」

「ええ、そうね」

まだ機嫌が悪いミサト

「本部にあなた専用の個室を用意したからつれてくるようにって。リツコもいろいろと聞きたがっていたようだしね。それと、あなた達の関係を話してくれる?」

ミサトはさっきから不思議に思ったことを聞いてみる。

「まずレイとあなたの関係は?」

「「恋人です」」

間髪いれずレイとシンジが答える。

「あっそう!!・・・・どこで知り合ったの?ゲイジであったのが初めてじゃないの?」

「違います」

「むう、納得いかないけどそれはまだいいわ」

「いいんですか?」

ショウがなぜ聞かないのかという感じで聞く。

「ええ、あんなシーンを見せられた上にのろけ話まで聞きたくないから」

なるほどとショウはうなづく。

「じゃあ、シンジ君とショウ君の関係は?」

「友達プラス戦友ってとこですかね。綾波も同じで」

「戦友?」

「はい」

「なんの?」

「エヴァの」

 

 

「はい?」

ミサトが間抜けな声で答える。

「だから俺はフォースチルドレンなんですよ」

「えっ!聞いてないわよそんな話」

「IDカードとかもありますよ、アメリカで使っていたやつですけど」

そういってショウはIDカードをミサトに渡す。

「本物ね」

『また書類読み飛ばしちゃったかな・・・・・・リツコになんかいわれるかな・・・』

「それじゃ、ショウ君も一緒に来て。司令に確認とらないとまずいから」

「かまいませんよ」

「それじゃ、行きましょう」

ミサとの後についてショウとシンジが病室から出ようとするが

グイッ

シンジの袖がしっかりとレイにつかまれていた。

「あの〜レイ?」

レイは俯いたままシンジの袖を離そうとしない。

シンジはレイをゆっくりと抱きしめる。

「あっ」

おもわず声が漏れる。

「またくるから、ね」

「うん」

レイは名残惜しそうに袖を離す。

二人は、どちらからでもなく軽く唇を交わす。

触れるだけの軽いキス

 

 

 

 

「しっかしシンちゃんもやるもんね。あのレイと抱き合ってキスしてるんだもん」

「そ、そんな大声で・・・」

シンジは照れているのか顔を真っ赤にしている。

「ミサトさんにはそういう人いないんですか?」

ショウは何気なく聞いてみた・・・・・・が・・・・・・

パッチーン

思いっきり背中をたたかれてしまった。

「やーね、ショウ君ッたら」

「・・・・痛そう・・・・」

「痛そうじゃなくものすごく痛いよ」

ぽそっとつぶやくシンジと背中をおさえて痛がっているショウ

そんなことをしている間に目の前のエレベーターの扉が開く。

中からはゲンドウが現れる。

「父さん、ちょうどよかった。今から父さんのとこに行こうと思っていたところなんだ」

「あとにしろ」

ゲンドウはぶっきらぼうに答える。

「乗る前に言った条件のことだよ。乗った後に聞いてくれるって言ったよね」

「わかっている。後で司令室にこい」

それだけ言うとゲンドウは行こうとするが

「あの、碇司令」

ミサトが遠慮がちに話し掛けた。

「なんだ?」

「この子がフォースチルドレンということですが・・・」

「話は聞いている。今日中に正式な書類は届く」

「わかりました」

ゲンドウの背中をショウは鋭い目で睨んでいる。その様子にシンジもミサトも気がつかなかった。

 

 

 

 

 

司令室の前までシンジとショウはきていた。

シンジは司令室のドアをノックしようと手を伸ばすが、ショウがその手を止めた。

「どうしたの?」

シンジがショウの顔を覗き込む

「シンジ、もし俺がゲンドウに飛び掛かりそうになったら止めてくれ」

ショウの顔は真剣そのものだった。

その言葉にシンジは

「わかったよ」

力強く頷く。

再びノックをしようと手を伸ばす。

コンコン

「入りたまえ」

中から声が聞こえてくる。

「「しつれいします」」

 

 

 

「・・・何のようだ」

不機嫌そうな顔を二人に向け開口一番がそれだった。

「お、おい碇!すまないね、こいつは口が悪いものでね。
私はここの副指令をしている冬月コウゾウというものだ。はじめましてかな、シンジ君にショウ君だったかな?」

やっぱりゲンドウってやくざだよな?
何でこいつに碇ユイが惚れたのかがさっぱりわからん。
弱みでも握られたのかな?

ユイ曰く「あの人はとてもかわいい人なのよ」

その言葉が到底信じられないショウであった

「いえ気にしていませんから。出撃前に言っていた条件のことで話が・・・」

「・・・言ってみろ」

ゲンドウはひどく無表情で答える。

「単刀直入に言っていいかな?」

シンジはショウのほうを伺いながらたずねる。

「いいんじゃないかな。そのほうが信頼してもらえそうだし」

「そうだね」

シンジは再びゲンドウのほうに向き直る。

「父さん。・・・・・人類補完計画は中止してもらうよ」

「「!!」」

明らかな動揺を見せるゲンドウと冬月。

「貴様は何者だ?なぜそれを知っている?」

いきなり銃を向けてくるゲンドウ。

「ちょ!ちょっと落ち着いてよ!説明するから!!」

せっかく戻ってきてもこんな最初のところで殺されては意味がないとシンジは慌てまくっている。

対照的にショウのほうはいたって落ち着いている。

「話してみろ」

銃を二人に向けたままゲンドウが問いただそうとする。

「ええっと、どこから話したらいいかな・・・・・・だから!睨まないでよ!!」

ゲンドウに銃を向けられて少々パニックになっているシンジ。

シンジはショウに‘‘何とかしてよ”という視線をぶつける。

「まあ、言葉にできなくて当然だろう。俺達のしてきた経験は1日やそこらでは語れないだろうからな」

そう言いながらシンジの額に手を置く。

「どうするの?」

「おまえの記憶の一部を見てもらうのさ」

ショウの手が白く光りだす。

光は部屋全体を包み込む。

数秒もしないうちに光は消える。

 

今までと変化はないように見えたが、ゲンドウは涙をこぼしている。

「・・・・すまなかった・・・・シンジ・・・」

1,2滴程度の涙とシンジに向けたれた謝罪の言葉。

その言葉が本当のゲンドウの気持ちからくるのが感じられてシンジの心に温かみを感じる。

「・・・これが、私達の起こした末路か・・・・今は、起こそうとしている」

冬月はかみ締めながらつぶやく。

「・・・・・・父さん・・・わかってると思うけど今は・・・・」

「わかっている。私もしてきた誤ちを償わなければならない。そして、ゼーレの計画も・・・」

「・・・ありがとう。父さん」

やさしい目でゲンドウをみつめるシンジ。

 

 

 

 

「シンジ君のほうはわかったが、君は何者なのかな?」

冬月がショウに問い掛ける。

「ああ、ショウはね「ただの協力者だよ」

シンジの言葉を阻んでショウが答える。

「アメリカ支部の司令だったブラックが自殺したのはどういうわけかね?」

「正確には死んでない。やつの願いをかなえただけさ。俺の願いと引き換えにね」

「君の願い?アメリカ支部が独自に作っていたエヴァと関係が?」

「ありますよ」

「ふうむ」

冬月はあごに手をあて考え込んでいる。

「まあ、いいじゃないですか、冬月先生。シンジも信頼できるといってるし」

「それもそうだが、なぜ苗字がないのかね?」

「家とは一切かかわりたくなかったからな。結構昔に捨てたんだ」

「だが、それでは「なら今日から碇の性を名乗ればいい」

いきなりのゲンドウの発言に驚く三人。

「シンジの兄弟ということにしておけばいいだろう」

名案とばかりに言うゲンドウ。

「ふむ、よいかもな。そういえば、どことなくシンジ君にも似てるようだし(ユイ君似が二人か・・・・フフフフ)どうかね?ショウ君?」

「いいのか?」

「かまわん、IDカードも新しく作らせよう」

「・・・・・ありがとう・・・」

「それじゃ、そろそろおいたましようか?」

「ああ、最後に言っておくことがある」

「なんだ?」

「碇ユイはサルベージ可能だ。俺のエヴァがあればな」

「本当か!?」

思いもよらないショウの発言にゲンドウは身を乗り出している。

「ああ、それには条件がある。

1つは俺のエヴァをできるだけはやくここによこしてくれ。

2つはシンジがエヴァと直接シンクロできるまで待つこと

3つは自分の女関係をきれいさっぱりにすること

4つは真実を知りたがっている某作戦部長とスイカ男に真実を教えてやること、そしてあわよくば味方につけること

このくらいかな」

「わかった、なんとかしよう。リツコ君たちのことは謝罪しようと思っていたところだからな」

「よし。それじゃ行こうかシンジ」

「うん」

 

「・・・・シンジ」

部屋を出ようとしたときにゲンドウに呼び止められるシンジ。

「なに?」

「・・・・・・孫は早いほうがいいぞ」

「そうだな、できれば女の子が・・・・・」

ニヤリと笑うゲンドウと冬月。

「な!なななななに言ってんだよ!まだ中学生だよ!!」

「フッ、問題ない。法律などいくらでも変えられる」

「そうだな、問題はないな」

にやけ顔の中年はかなり怖いものがある。

「ショウ〜ーーーー」

恨めしそうな顔でショウを睨むシンジ。

「いいじゃないか。親も公認だし」

からからと返すショウ。

「まったくもー」

そのまま部屋を退室する二人。

 

 

「呼び方はゲンちゃん、ゲンドウおじいちゃん・・・・・・ゲンおじいちゃんもいい・・・・フッ問題ないな」

「ふうむ、冬月おじちゃん、コウゾウおじちゃん・・・・・コウゾウちゃんがいいな。フフフフフフ・・・」

怪しくトリップしている親父が2名。

このあとゆっくり1時間はトリップしつづけるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ショウ?どうしたの?」

司令室を退室したあと壁に寄りかかっているショウを見て心配げに聞いてくるシンジ。

「・・・いや・・・・なんでもない・・・大丈夫だよ」

手で顔を隠しているために表情が見えない。

「ほんとに大丈夫?」

「ほんとに大丈夫だから・・・・・・先に行っててくれ」

「う、うん」

少し納得がいかないシンジだが素直にしたがって廊下を歩いていった。

 

 

 

 

「・・・・・・・・また・・・・碇の性を名乗ることになろうとはな。

・・・・・・俺とシンジが似ている?・・・・・・・・あたりまえじゃねえか・・・」

 

暗く沈んだ声でつぶやく。

ショウは力なくその場にしゃがみこんだ。