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[10392] とあるフェレットの憂鬱(魔法少女リリカルなのは・憑依)
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/12/13 13:09
始めに

この物語は魔法少女リリカルなのはの二次創作です。

ユーノ・スクライアに憑依するという話です。

デバイスは《日本語》で話します。

原作キャラの性格改変や言葉使いの変化などがありえます。

原作設定を重視したいけれど、物語の都合のために独自の設定をだしたりもします。

そういうのが嫌いな人はスルーしてください。



090718/チラシの裏に初投稿
090725/完結/とらハ版に移動
090808/外伝完結
090822/とある平行世界の出来事完結
090822/感想からの提案で、タイトルから【完結】をはずす。
091121/sageで更新再開!
091213/以降は不定期



[10392] そのいち
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 14:20
はじめまして、おはこんばんちわ。
というかなんというか、ここはどこでしょう?
なんか視点がいつもより低いような気がするし、
目の前には青色に薄く光る宝石っぽいものが・・あ・・?







あーー

今、ユーノ・スクライアの記憶とかをゲットしました。
んでもって、目の前の青い宝石っぽいのはジュエルシードみたいです。

これは憑依ってやつか… どうしたものやら



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのいち

・・・



「ああ、やっぱりジュエルシードは地球に散らばってしまっていたんだねぇ。」


管理局から来たメール ではなく、何日か前の新聞を読んでいて思わず口に出してしまった。

今はジュエルシードがあった遺跡の発掘が終わり、片づけやら管理の引継ぎの手続きなども終わった日の夕方である

それまで忙しくて新聞を読んでいる暇もなかったので、溜まっていた新聞を片付けていたらその記事に目がついた。


「原作に介入するか悩んだりもしたけど… まぁ、なんとかなるでしょ」


地球にはクロノさんやリンディさんの居るアースラが向かっているはずだし、なにより彼らはジュエルシードを集めていたユーノに「もう関わるな」的なことを言っていたし

そもそも、ユーノって脇役だし

色々考えた結果、ユーノって居なくてもいいんじゃね?
むしろ一般人(なのはさん)を巻き込まないで済むからいないほうがいい!という結論に達したのです。


べ、別に、夜に怪我をして「help!」の念話を飛ばして、翌日学校帰りのなのはさんに拾われるまでずっと痛いのを我慢しないで済むからって訳じゃないんだからっ!


…なのはさんにレイハさんを渡すだけなら怪我したフリして念話飛ばせばいいだけだし





その一ヵ月後
アースラが次元震によって生じた虚数空間に呑み込まれたという記事が新聞の一面に大きく載った。

あれぇー?



・・・



記憶とか経験とかゲットしても遺跡発掘への情熱はゲットできなかったので街へ出た僕は『原作』と『二次創作』の知識から『無限書庫』への就職を考えていたのだけれど…


無限書庫って機密の塊みたいな場所だから一般から募集していなかったんだ。


まぁ、そんなこんなでユーノになってから3年、管理局で事務してます。

『マルチタスク』超便利、仕事が定時で終わるし、無限書庫の利用許可ももらえました。


クロノさんがユーノに『闇の書』のことを調べさせてないからなのか、この無限書庫は原作や二次創作のように稼動していないみたいなんだ。

おかげで仕事を終わらせたら無限書庫使い放題。

もっとも遺跡発掘への情熱がゲットできなかったように調べ物したり論文書いたりする意欲もゲットできてなかったから魔法書を探すくらいにしか使ってないけどね!


魔法、元々得意な結界系とバインドの魔法を研究しています。

たぶんプレシアがジュエルシードで起こしたであろう次元震で、アースラどころか地球も一緒に消えちゃったこの世界には、後7年くらい?で起こるJS事件を解決する機動六課、なのはさんとフェイトさんとはやてさんというSランク超え三人娘がいないわけで…

戦闘機人と戦える、もしくは逃げれるようにはならないといけないと考えたのですよ。

んで、攻撃魔法は練習しても(主に才能的な面で)無意味なのはわかっていたのでこの2種類を研究して強化しようと頑張っているわけです。

うろ覚えだけど、戦闘機人って魔力ランクは高くなかったはずだからSランクを超える魔力の砲撃を防げる魔法を使えるユーノ、つまり僕の結界やバインドを脱出できない!…んじゃないかなぁって…



そんなことを考えていた時もありました



・・・



「…知らない天井だ」

気が付いたら病院のベッドの上だったので、とりあえずお約束を言っておく。


今は原作で言うところのJS事件が起きる4年前、空港火災からナカジマ姉妹を助けるために頑張ったのです。頑張ったのです。頑張ったのに…。


事故から3週間後、安全な事務仕事から危険な現場で結界を張ることになりましたorz


空港火災に巻き込まれた人達を従来のものよりも強力になった新結界で助けたのが悪かったとは思いたくないけれど…

現場で仕事するようになって定時で帰れないし急な呼び出しがかかったりで新結界の研究強化ができなくなってしまいました。
しかもときどき命の危険もあるし… やってられない…

ちなみに、ナカジマさんちのスバルちゃんは原作と違って事務への道を進んでるとか…
原作では命の恩人であるなのはさんに憧れたから、こっちでも命の恩人である事務員に憧れたのかなぁ?



・・・



そんなこんなでJS事件が起こりました。


『聖王のゆりかご』DEKEEEEEE!!


ってのは当たり前として…


ヴォルテールと白天王もDEKEEEEEE!!


なんで原作では機動六課だったキャロさんとエリオさんがスカさん側に…
スカさん的にあの2人は研究対象として興味深かったんだっけか?
げ、地上を走ってくる戦闘機人にナカジマ姉妹がいるし…

一応、管理局本部を結界で覆うけどさ、たぶん1時間ももたないよ、これ(涙



!!



「ぇ、 え…?」


突然僕の胸から手が生えた…


「ユーノ・スクライアさんですね?
 あなたの結界は私達の計画の邪魔になるので死んでいただきます」






結界とバインド


研究して強化したってのに


意味無かったなぁ…


























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「憑依でループってか…」

僕は力なく呟いた









090718/チラシの裏に初投稿
090719/誤字脱字など修正
090725/誤字脱字など修正
090809/誤字脱字など修正



[10392] そのに
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 14:33
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
というかなんというか、これは本当に予想外
死者27人、重体44人、重軽傷者300人以上
家屋に関しては全壊58戸、半壊189戸、窓ガラスが割れるなどの被害は数え切れず…
正義の味方、金髪黒衣の魔法少女と赤い使い魔の写真がでかでかと一面に載っている新聞を見ることになるとは…







はぁ…

今、僕、ユーノ・スクライアは地球に来ています。
前回どうしてアースラが虚数空間に消えたのか調べに来ました。

ループするってわかってないとこんな危険な場所にはとても来れません。



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのに

・・・



「なんでやねん」

思わず関西弁が口から出た。発音が正しいかはわからないけど。


『謎の青い宝石によって凶暴化した動物や植物によって多大な被害を受けた海鳴市』
『謎の少女』彼女がアルフと呼んでいる人語を喋る赤い犬が叫んでいた『フェイト』という名前
『魔法としか呼べないような謎の力で青い宝石を封印していくその姿は正に正義の味方である』


新聞記事を要約すると、まぁ、そんな感じ。


「お客様は外国の人ですよね?
 もしかして、魔法少女フェイトさんを見に来たんですか?」

「え、ええ、と、なんで?」

「だって、穴が開くくらいその新聞見ているんですもの」

「あ、あー  ははは、まぁ、それもそうですねー」


ちなみに今どこにいるかというと翠屋で、話しかけてきた頭に包帯して左腕を吊っている人は、たぶんなのはさんです。


「フェイトさんは私の命の恩人なんです」

「へ?」

「私が凶暴化した犬に襲われているときに助けてくれたんです。」

「そ、そーなんですか…」

「あの時のフェイトさん、すっごくかっこよかったんですよー。」


このなのはさんはフェイト信者らしい…

もうね、なんというか、ジュエルシード発見したの僕です。なんて、とても言えないねこの世界orz


集めた情報によるとフェイトさんはもう最低12個ジュエルシードを集めています。
そうだとすると海に6個あるとして地上には後3個、ジュエルシードが転がっているわけだけど…

プレシアさんは原作でジュエルシードが10個もない状態で次元震起こそうとしていたはずだからもう詰んでるね。

たった今思い出したけど、アースラってなのはさんとフェイトさんがジュエルシード殴ったときの衝撃を感知して、地球に急行したような気がする。
ジュエルシードを巡るライバルの居ない、フェイト無双状態だとアースラはのんびり地球に向かっているんだねぇ…


エース編では暗躍していた猫達もフェイトの行動を監視はしているようだけど、闇の書のことがあるから動けないみたいだし…


しっかし… 地球がなくなると闇の書はスカさん側にいっちゃうんだねぇ…
魔力ランク的に聖王のクローンであるヴィヴィオが主になっちゃっているのかなぁ?
原作の知識から考えて、闇の書って10年くらいで再生するみたいだし…
現場に出るようになってから3倍に強度を強化したバリアジャケットを無視して僕の胸から手が生えていたし…
あれ、シャマルさんなんだろうなぁ…


まぁ、とにかく情報をアースラに送ってさっさと地球から退散しよう。
フェイトさんがジュエルシードをこれだけ集めているって情報があれば、アースラも虚数空間に巻き込まれる確立が下がるだろうし… 下がるかなぁ…



結果、リンディさんがその命を犠牲にして次元震の被害を抑えることに成功。
プリシアさんとアリシアさんは虚数空間に旅立ち、フェイトさんはクロノさんに捕縛されました。

フェイトさんはクロノさんからの攻撃で受けた傷と母親に捨てられたショックでほとんど植物人間。
クロノさんも左腕を失くす大怪我と母親を失ったショックでやっぱり現場復帰は望み薄って状態になっているけど…



・・・


エース編は。

無印編で戦闘不可能状態のクロノさんから蒐集とか…
猫姉妹はそれを黙認したってことだよね? 鬼過ぎる…

まぁ、はやてさんが宇宙のどこかで永遠凍結になったみたいなので、これで前回のような死に方はしないで済むかなぁ?


ああ、管理局に潜り込んでいる戦闘機人に注意しなきゃいけないかぁ…orz



・・・



キャロさんとエリオくんは保護でき…ませんでした。
巨大な竜を使役したり、違法な研究のモルモットだった子はただの事務員が保護することはできないんだってさ、ケチだね。


空港火災から助けたナカジマ姉妹には結界やバインド、シールドの魔法をインストールしたデバイスをプレゼントしました。


現場で結界を張るようになったのでキャロさんとエリオくんを保護しに行きました。


「何か問題があっても僕の結界があれば被害なんて出ないんだゼ!」


とアピールしたけれどすでにスカさんところに送られた後でしたorz



でも、下水にサーチャーを飛ばしていたから、ヴィヴィオは保護できたんだ!!



・・・



もうね、なんというかね、なんでそこにいるかなフェイトさん…
リンディさんが死んだ原因の1人だからってクロノが冷たくのしたのかい?
ああ、植物人間状態だったのをスカさんが攫って改造したってところなのかな?


まったく、ナカジマ姉妹は僕があげたデバイスで誘拐しに来た機人3人を捕縛するのに成功したっていうのに…


僕は僕で脇役なりに管理局に潜り込んでいたのと壁とかスルーしてくる人を捕まえたって言うのに…


なーんでフェイトさんがヴィヴィオ攫っちゃうかなぁ…
フェイトさんの魔力はスカさんが強化したのかSSSランクはあるみたい…

どんなに構成練りに練っても馬鹿魔力でぶち壊される僕の結界とバインドとシールド…


あー、ゆりかごが完全に大気圏外に出たねー。

つまりあの光はゆりかごからの攻撃ってことですね、わかります。



色々頑張ったんだけどなぁ…


























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「どないせっちゅうねん」

僕は小さく愚痴った









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[10392] そのさん
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 18:03
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
できるだけ危険な場所へ行きたくないという『我が身可愛さ』
それでも救えるなら救いたいという中途半端な『人としての倫理観』
単身地球に乗り込む原作ユーノの無謀さが羨ましいと感じる今日この頃
いっそ何もかも見捨てることができるような性格だったらもっと楽しくループできるのかな…







ふんもっふ!

まぁ、同じ過ちは繰り返さなければいい!
こっちには無限書庫司書長の頭脳があるのだから!

ユーノ・スクライアのチート頭脳を120%フル回転させるんだ!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのさん

・・・



「というわけでレイハさん、これ全部封印して保管してください。」


思うに、僕はユーノ・スクライアというキャラを甘く見すぎていた。

攻撃魔法も使えないくせに1人で地球に来る。
やっぱり1人ではどうにもできずに大怪我をする。
魔法が一般的でない世界で『魔法』で助けを求める。
命の恩人の現地一般人(子供)を魔法という危険な世界に巻き込む。


無印の一話でもこんなに駄目っぷりを披露してるから誤解してたんだよなぁ…


前回、ジュエルシードが散らばった海鳴で見たその被害状況を思い出す。
フェイトさんがジュエルシードを回収していてもあれだけの死傷者がでてしまっている…
原作ユーノはアレよりももっと酷い事態になると考え、いてもたってもいられなくなっちゃったのだろう。

一回目はアースラがいれば大丈夫だと思って何もしなかった。
  その結果が地球およびその周辺世界の消滅ということになってしまった…

二回目は現地の情報をアースラに送ればこれ以上の被害はでないと思ってしまった。
  その結果がリンディさんの死であり、フェイトさんがスカさん側に行くことになってしまった…

三回目、ジュエルシードがもたらす被害を知ってしまった僕の成すべきことは…


《マスター、21個全てのジュエルシードの封印及び保管終了しました》

「ありがとう」


この遺跡では特にコレといったものは発掘されませんでした!


…とりあえずそういうことにしておいて、JS事件とかが終わった後、適当な遺跡で発見したことにしてしまおう!


んでもって、将来キャロさんやエリオくんを保護するために今のうちから管理力で結界魔法ばりばり使っていくことにしよう。






…念のため、前回知ったテスタロッサ一家の住処を時々様子を見に行こうかな? 



・・・



エース編…

前回同様、誰も死なないし放置でいいかな?


はやては…


何百年か後、魔法や科学がもっと発達したら人権保護団体とかが解凍、救出してくれるでしょう(適当







あれ?テスタロッサ一家のところにこっそり張った結界に反応?
うわ、これは戦闘が起きているのか!? 相手は誰だ? プロジェクトF関連か?

今何時だ、って、まだこんな時間か…
速く終われ仕事終われ、光の速さで終われ、僕は様子を見に行きたいんだー!!






仕事が終わってこっそり様子を見に行ったら…

そこには壁に叩きつけられた状態で泣いているフェイトさんとアルフさん…



そして、リンカーコアを蒐集されたショックで死んだと思われるプレシアさんの遺体があった。



…病気でもうすぐ死ぬから焦っていたという二次創作があったことを思い出した。

フェイトさんやアルフさんが生きていることから、ヴォルケンリッターの4人は原作どおり不殺を目指したんだろうけど、ある意味相手が悪かったってことかな?

フェイトさん達を保護したいけど、戸籍とかなさそうだからどうしたものか…





そんなこんなで
戸籍の偽造方法とかを調べているといつの間にか2人は居なくなっていて…





「母さんの仇ーーー!!」

と叫んで永久凍結される直前のはやてさんを…









フェイトさん…



・・・



ナカジマ姉妹を助けてデバイスを渡し、キャロさんとエリオくんを保護できました。
前回のように下水にサーチャー飛ばしてヴィヴィオも保護できたのでJS事件対策はばっちり!


そしてやっぱり前回同様ナカジマ姉妹が機人3人を、僕も管理局で2人を捕縛できました。







できたのに…


一回目同様、やっぱり闇の書はスカさん側にあるらしく…


ヘリなどを叩き潰すヴィータさん!

飛べない局員をバインドするザフィーラさん!

問答無用でリンカーコアを攻撃してくるシャマルさん!

そして、アギトさんとユニゾンした圧倒的な火力のシグナムさん!


高ランクの魔導師なんて大嫌いだ!





勝てるわけない…

闇の書の主はヴィヴィオだと思っていたんだけどなぁ…
























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「フェイトさ~ん」

僕は小声で呪った









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[10392] そのよん
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 18:04
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
戦闘機人12人よりもAMFのほうが怖いと知りました。
AMFよりも闇の書の守護騎士達のほうが怖いことも知りました。
ストライカーズよりエースのほうが大事かもしれないと思った今日この頃…







でゅわっ!

1人でどうにかしようとしたのが駄目だったんだ!
仲間を!僕の代わりに危険地帯に飛び込む勇気のある仲間を探すんだ!

そう、できれば戦闘のできる立派な大人が理想だね!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのよん

・・・



「ユーノってスクライア一族で嫌われていたのかな…」


スクライア一族の大人達に一緒に地球に行きませんかと聞いて回ったが全員から「NO!」って言われた。

考えてみたら…  いや、考えるまでもなく…

そもそも原作で単身地球に言ったユーノを追いかけた大人がいないしなぁ…
自分達が発掘した危険物質ロストロギアが他の世界にばら撒かれたって言うのに…

それに、管理局は常に人材不足だって知っているのに、


「管理局に任せておけば大丈夫」

「管理外世界にいくなんてありえないだろ」

「そんなことする時間があるなら次の遺跡に行こうぜ!」


要約すると、だいたいそんな感じのことしか言わない大人しかいないなんて…



仕方ないからジュエルシード回収に単身地球に行くことにしました。





もうこんな一族のトコになんて帰ってなんかやるものかっ!



・・・



「レイジングハート、広域サーチ、目標『僕の自慢の封印魔法』」

《マスター、今までの常識を覆すような対ロストロギア用封印魔法なのに、その名前が全てを台無しにしています。》

「うっさい、どうせ僕しか使わないからいいんだよ!」

《…私も使うんですけど》

「あ」


ジュエルシードに使った封印魔法には僕とレイハさんにしか分からない目印をつけてあります。
ばら撒かれることがわかっている危険物質をそのままにしておくようなことを僕、ユーノ・スクライアはしないのさ!



ってことで3日もしないうちにジュエルシードを10個集めました。


原作のように海に6個あるのは確認済みで、残り5個はフェイトさんと取り合いをします。



フェイトさんをどうするか、すごく悩みました。


悩んだ結果、原作のように管理局に拾われてもらうことにします。
違法な研究の成果なので戸籍とかないし、何より僕がまだ保護されるべき子供なのでうかつに保護もできないし、プレシアさんという病人が一緒なので放置するわけにもいかない。プレシアさんが死んだらスカさんあたりに拾われそうなんだよねぇ…

あ、ヴォルケンリッターに関しては対策を考えてあります。前回のようにプレシアさんを蒐集させませんよ!



というわけで、フェイトさんがジュエルシードを探している間にフェレットモードではやてさん宅に潜入します。
猫の姉妹が居ないことはもちろん確認済み。
僕は二回目を忘れません。海鳴が酷い状況なのに無視し、そのうえ怪我しているなのはさんや重症負ったクロノさんからの蒐集を黙認したあの2匹のことを…


「レイジングハート、『僕の自慢の封印魔法』!」

《何でこんなところにロストロギアがあるのか、そのうえ何でマスターが知っているのか…
 いろいろ気になりますけど、とりあえず封印するのは賛成ですから協力はしますよ、ええ》


この魔法、構成を練りに練ったせいでレイハさんに協力してもらわないと使えないという欠点があるのです。


でも効果は抜群です!
これで闇の書は封印状態、はやてさんの足も治ること間違いなし!
しかも、封印状態なのかどうかは僕とレイハさんにしかわかりません!

はやてさんの足が治ってそのうえいつまで経っても守護騎士が現れないのを猫姉妹が不思議に思うかもしれないけれど…
まぁ、闇の書が起動しないなら起動するまで待つでしょう。あのお爺さんが原作どおりなら…



そんなこんなで1週間がたちましたが一向にフェイトさんがジュエルシードを発見してくれません!

おかげで

《マスター、なぜ残りのジュエルシードを回収しに行かないのですか?》

と、レイハさんに質問される始末…



『僕の自慢の封印魔法』の効果が抜群すぎたのですね、わかります。


仕方ないので放置していた5個のうち1個の封印を開封し、フェイトさんを釣ることにします。


「結界魔導師していたころでもずっとガチガチのバリアジャケット装備で前線に出ないようにしていたっていうのに…」


やっぱり戦闘は、それも過去にいろいろと酷い目に会う事になった原因と戦うのは怖いのです。
ので、予定を繰り上げることにします。今回も含めて5回も戦闘なんて、とてもじゃないけど無理だと実感しました。まだ戦ってないのに…





フェイトさんとアルフさんが飛んできました!
そして原作でなのはさんにしたように、問答無用で攻撃してきました!! でも、それはこちらの計画通りなのですよ!!

飛んでくる黄色い刃を防ぐためにシールドを展開!
そして僕とフェイトさんの間にあったジュエルシードが二つの魔力に挟まれる!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


発生する次元震!!

よし!これでアースラが地球にすぐさまやってくるはず!!

これでフェイトさんとアルフさんをバインドして引き渡せばPT事件の半分は解決したも…
























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「認めたくないものだな、若さゆえの過ちという…」

僕は小声で泣いた









090719/チラシの裏に初投稿
090725/誤字脱字など修正
090809/誤字脱字など修正



[10392] そのご
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 18:06
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
お金と時間が足りません。
何度もループしているから分かる。生きている以上お金は要る。
稼ぐために働いていたら自由な時間が減るわけで、魔法の研究も難しい。
ループ前提で無限書庫に篭るっていうのも現実的に考えると無理なわけで…







ふんがー!

魔力ランクが低いのが何だ!
構成を練りに練ればランクSSも防げるんだ!

SSSが綿密な構成の攻撃してきたら無理だけどな!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのご

・・・



「まぁ、チート頭脳な僕でも、こんな短時間で新魔法は編み出せないわけでねぇ…」


一回目、管理局で事務していて、そのうえ無限書庫で研究する時間のあった頃…
  結界魔導師になるまでずっと、戦闘機人対策に結界とバインドの強化をすることができた。

二回目、一回目同様時間があった頃…
  結界とバインドに加えシールドも、そして、ジュエルシードがもたらす被害を失くすために封印魔法の研究をした。

三回目、フェイトさんがはやてさんに突っ込んじゃったことを反省。
  結界魔導師として働きつつ『僕の自慢の封印魔法』を作り上げることに成功!PT事件も闇の書もこれでばっちりだ!

四回目、PT事件を穏便に解決したかたっけど即死!
  ループして一ヶ月もしていなかったので魔法の研究をする時間がありませんでした。

五回目、手持ちに新魔法はなっしんぐ…


とりあえずジュエルシード全部に『僕の自慢の封印魔法』を掛けて輸送しておいたから、これからどうするかを考える時間は稼げたけれど…





あれ? 問題なのはプレシアさんなのかもしれない。



『僕の自慢の封印魔法』の効果は抜群で、フェイトさんではまずジュエルシードを見つけることはできない。

その時プレシアさんはどう動く?

プレシアさんは、原作でいくつか見つけて持ってきたフェイトさんに鞭打つような人だったから、下手したらフェイトさんを処分してしまうかもしれない。
僕の魔法のせいで子供が親に殺されるなんてことは後味の悪い…

いや、処分するにしても…
海鳴で魔力をばら撒かせてからにするかも? …原作でフェイトさんが海の上でしていたように…
ジュエルシードを発見するのに一番効率がいい方法だと考えてしまうかもしれない…

そうなったら海鳴は全滅じゃないか…!?


急いで地球に行かなくっちゃ!!



・・・



フェイトさんは海鳴を飛び回っていた。よかった、まだ慌てるような時間ではなかった…

闇の書に『僕の自慢の封印魔法』を掛けてから、地上に3個残してジュエルシードを18個回収!

この地上の3個は、1個めはフェイトさん経由でプレシアさんの元に、それを確認後、2個めもフェイトさんに回収してもらい、それがプレシアさんにの元に行く前に3個めを封印解除して僕とフェイトさんで争奪戦!

ここで重要なのは、3個めを争奪している時にアースラが介入してくるようにしておくことです。
3個めをアースラに渡し、フェイトさんの隠れ家かバルディッシュの中にある2個めをアースラに発見させればフェイトさんがジュエルシードを集めていたという完璧な証拠になります。
そして1個めをプレシアさん宅で発見すればプレシアさんがフェイトさんに命令していたことなどがばっちり…


次元震?
もう起こしませんよ、あんな危険な現象…






「君達は何者なんだ!?」  レイハさんに記録頼んで…
「答える必要はない!」  アルフさんには聞いてない!

「これがどれだけ危険なものなのかわかっているのか!?」  あとでアースラにデータを渡す
「答える必要はないって言った!」  だから、アルフさんには聞いてないって!

「会話もできないとかっ! よっぽど酷い育て方をされたんだなっ!」  プレシアさん関連の言葉が欲しいんだよ!
「っ! 母さんの悪口を言うなーーーっ!!」  よし、これで君の減刑はどうにかなるかも!


びしばしびしひょい

2人の攻撃を防いだり避けたり、ときどきバインド飛ばしたり… 面倒くさいっ!
フェイトさん達の情報はすでにアースラに送ってあるし、そろそろ来いっての…

びしひょいびしばし


「ストップだ! ここでの」  キターーーーーーーーー!!
「《『まだ改良余地ある拘束魔法』》」
「ぇ!?」
「がぁっ!?」

「え?」  クロノさん、お疲れ様です。


戦闘経験で言えばそこのクロノさんよりあるから何とかなったけど… やっぱり後方で結界張っているほうが楽でいいわー






プレシアさんはたった1個のジュエルシードで次元震を起こし、虚数空間へアリシアさんと旅立ちました。
…フェイトさんの黙秘一週間めの出来事です。

使用したジュエルシードが1個だけだったためか、地球はもちろん他の次元世界への影響もほとんどありませんでした。

ちょっとびっくりした



・・・



管理局の結界魔導師として働くようになって1年目、僕は有給を使って地球に来ています。

目的は、はやてさん宅の闇の書に『僕の自慢の封印魔法』を掛けなおすことです。


封印魔法は魔法です。魔力によって維持されている以上、魔力の供給無しで封印し続けることはできないのです。
ですので、『僕の自慢の封印魔法』という魔法に欠点があるというわけではありません。と言わせてもらいます。
むしろ、僕程度の魔力で1年間も闇の書を封印し続けることができる、素晴らしく燃費のいい魔法だといえます。


これから毎年、猫姉妹の目を盗んで魔法を掛けなおさないといけないと考えると酷く鬱な気分になりますが…





3年目、闇の書ははやてさん宅から消えていました。


はやてさんもいなくなってました…


また、JS事件で敵になるのかなぁ…



・・・


空港火災でナカジマ姉妹を助けてデバイスを渡しました。

闇の書に関してですが、どのような経緯をたどったのか不明ながら、はやてさんと永久凍結されたそうです。
…ただ引っ越しただけだったのね。


そして、毎度(嫌な響きだ…)のようにキャロさんとエリオくんを無事に保護しました。 が、ヴィヴィオを保護できませんでした。

ゆりかご機動してしまうなぁ…





「ひさしぶりだね、ユーノ…」
「本当にね…」


本当、また敵に回るとはねぇ…


「ユーノの結界魔法は私達の計画に邪魔なの…」
「だろうね」
「だから…」
「《『まだ改良余地ある拘束魔法』》!!!」
「ぐっ!」


よしっ! 今のうちにっ!


「はぁっ!」 ばぎぃっんっ!


はやっ! 前もだけど、スカさんどうやって魔力をSSSに引き上げているんだ!?って


「この感じはジュエルシード!?」
「ユーノ、早く死んでくれないかな? あの子が私の帰りを待ってるんだ…」


あの子って… もしかして、ヴィヴィオを保護できなかったのはっ! でも、今、それは置いといて!


「《八重高硬度拘束結界》」

いかにSSSでも、その秘密がジュエルシードならっ!


「《ジェットザンバー》」 ばぎぃっんっ!

結界をぶち壊して飛び出るフェイトさん

「すごいね、ユーノ… こんなに硬い結界は私初め」

「《僕の自慢の封印魔法》」  
「!!!  力が!?」
「《八重高硬度拘束結界》」

これで決め!   …PT事件後の精神メンテナンスも重要なんですね、わかりました。



ゆりかごが大気圏外に出ようとしていた。

キャロさんとエリオくんには何かあったらナカジマ家にお世話になるよう言ってあるけど…


「レイジングハート …ジュエルシードを」
《…はい》

あらかじめ、結界魔法の研究目的という名目でジュエルシードを借りだしていたのです。
本当に、ジュエルシードの研究をしていてよかった。おかげでSSSフェイトさんに勝てたもの…




転移魔法を使い、目の前にはでっかいゆりかご!!


プレシアさんが、1個のジュエルシードで虚数空間へと旅だったのを研究した成果を… 見せてやる!





「《虚数空間結界》」









20年後


「お爺ちゃんかっこいー」
「はっはっは」

かわいい孫(キャロさんとエリオくんの子)に頼まれて昔話をする僕





なんて未来は無く…











3秒間だけ発生した虚数空間にゆりかごの後ろ半分が呑み込まれました。


そして、残った前半分が旧市街に…
というか魔力を使い果たして動けない僕に落ちてきました…
























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「1秒にしとけばよかった…」

僕は小さく反省した









090720/チラシの裏に初投稿
090725/誤字脱字など修正
090809/誤字脱字など修正



[10392] そのろく
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:c369f856
Date: 2009/08/09 18:10
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
魔力がなければ外から持ってきたらいいじゃない!
ほら、目の前には次元震を起こせるほどの魔力の塊が!
3個くらい確保して、18個見つけましたと報告すればいい。
そんな甘い誘惑を振り切った、ループ六回目初めての徹夜明け…







そいやさー!

魔法の構成には自身があります!
ドーピングはゆりかご機動が決まってからでも十分間に合うってわかったし!

そもそもヴィヴィオを保護できれば問題ないし!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのろく

・・・



「人生うん十年、子供の、それも女の子の心のケアなんて僕には無理です。」


なので、すごく心苦しいのですが…
プレシアさんに退場して頂くことにしました。



「僕の名前はユーノ・スクライア! ジュエルシードを発掘した者だ!」

「ジュエルシードは危険なんだ! たった1個でも次元震を起こしてしまう!」

「ジュエルシード返せー!!」


叫びながら、道路を走って追いかける僕…の幻影


「ごめんなさい」


そう言ってフェイトさんが飛んでいく…

フェイトさんたちは僕が飛べないと思い込んで高いビルの方へ飛んでいった。
本当に幻術魔法は便利だな、戦闘機人の暗殺者もこれを囮にフェレットモードで楽々捕縛だし…


こっちもごめんなさい、君の持っていったそのジュエルシード…


『虚数空間結界』の構成を書き込んであるんだ…









どこかで虚数空間が発生した…
ジュエルシードがどの程度のものか調べたプレシアさんが構成を発見、使っちゃったみたいだね…


前回の失敗は、おそらくフェイトさんが黙秘しているときにプレシアさんがフェイトさんを助けに来ないで消えてしまって、それをフェイトさんは『お母さんに捨てられた』って思ったことにあると思うんだ。

だから今回は『フェイトを捨てようと思ったわけじゃなくて』消えちゃった『事故』だとフェイトさんに思わせることにした。
事前にジュエルシードが危険なものだという情報を与えたりして、そういう風に考えるように… ある種の思考誘導をしてね!



そして、今僕がいるのは虚数空間の発生を感知してやってきたアースラ …の食堂。

僕の目の前には泣き顔のフェイトさんとアルフさん…  とリンディさんとクロノさん、他多数。


「僕は言ったよね、ジュエルシードはたった1個でも次元震を起こしてしまうって…」

「でも、これは君のせいじゃない、『不幸な事故』なんだ。」


僕はあらかじめ考えていた台詞を2つ言うことしかできなかった…
今まで、救えなかった事はあっても、自分から殺した事は無かったので、僕の心は罪悪感でいっぱいいっぱい、気持ち悪くて吐きそうだったんだ…



もっとも、この僕の態度はリンディさん達には何故か好意的に思えたらしく…


「フェイトさんのことをよろしくお願いします」と頼んだら3週間後には「養女」にしていた… 行動速過ぎないか?



・・・



エース編、はやてさんは前回同様3年後に氷付けにされた… ということはなかった。

理由は簡単、プレシアさんが虚数空間発生させたときに闇の書を一緒に放り込んだのです。


ジュエルシードで魔力ブーストした『僕の自慢の封印魔法』を掛けたうえで… 100年は大丈夫な手応えを感じた。


・・・



ナカジマ姉妹を助けてデバイスを渡す作業は滞りなく終了。

キャロさんとエリオくんは原作のようにフェイトさんが保護しました。 …今回は管理局にいなくてもよかったのかorz

ヴィヴィオも保護できて、フェイトのことをママと、キャロさんとエリオくんをお姉ちゃんお兄ちゃんと呼んでます。 僕のことはユーノさん… 前まではパパだったのに…


まぁ、なんというか、前回やっと何処に『ゆりかご』が埋まっているのか特定できたので、ヴィヴィオをフェイトに預けている間に『虚数空間結界』で消しました。


これで死亡フラグはもうないぜ!







そう思っていた時期がありました…


戦闘機人全員がジュエルシード埋め込み済み+『僕の自慢の封印魔法』の射程外からの飽和攻撃

ゼストさん&アギトさん&ルーテシアさんもジュエルシード埋め込み済み


特にゼストさんとアギトさんのユニゾン = ジュエルシードのツインドライブはどうしようもありませんでした。




ヴィヴィオを保護しているのに『ゆりかご』を消滅させたのはやりすぎたか…
























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「お前達が憎い…」

僕は小声で呪詛を吐いた









090720/チラシの裏に初投稿
090720/少しだけ加筆修正
090725/誤字脱字など修正
090809/誤字脱字など修正



[10392] そのなな のまえに
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 15:20
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
ふと、時計を見たら
すごく長い時間秒針が止まっているような
勉強していたり遊んでいたりして
「まだこんな時間」とか、逆に「もうこんな時間」とか







ざ・せかい!

それは気のせいさ!
脳が勘違いしているだけなんだよ!

脳に栄養と休息を与えるのを忘れるな!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのなな のまえに

・・・



「スカさんは天才すg… 
 いや、天才というのは天からの才能って意味でスカさんは人工的に才能があるから言うならば人才…?

 まぁ、とにかく才能がありすぎるとしても、だ。 …あんなことができるものなのか?」


考えるんだ、ユーノ・スクライア!
魔力で劣っていても僕には何度も繰り返してきた知識がある! かなり偏ってるけど


一回目、僕の死因はシャマルさん… はやてさんが死ぬと闇の書がスカさん側に行くということがわかった。

 ん? このときのスカさんのガジェットはそんなに強くなかったような…

 ! そういえばこの時、ジュエルシードは地球や周辺世界を巻き込んで虚数空間に消えている…

 もしかして、ジュエルシードを研究できなくて、エネルギー関連の技術が余りよろしくなかった?

 あ、ナカジマ姉妹とキャロさん、エリオくんがスカさん側にいたな…


二回目、ジュエルシード15個が虚数空間へ消えた…

 アースラはフェイトが海上で疲れきった所に介入、漁夫の利で6個を回収していた…はず。
 闇の書ははやてさんと一緒に永遠凍結されていたので敵に回ることは無かった。

 ナカジマ姉妹が3人、僕が2人、戦闘機人を捕縛している。

 僕の死因はジュエルシードでブーストされたSSSフェイトさん。
 僕の記憶では戦闘機人及びゼストさん達はブーストされていなかった…

 キャロさんとエリオさんを保護できなかったので2人はおそらくスカさん側… ブーストされていたかもしれない?

 戦闘機人とフェイトさんが僕を狙った理由はおそらくヴィヴィオを保護していたから…

 …あれ? じゃあ一回目、シャマルさんが僕を、まだ結界を張っていない僕を殺したのは…?

 『結界魔導師をしている』いや、それだと他の同僚も狙われるはずだから、『強力な広範囲結界』が死亡フラグの1つなのか…?


三回目、ジュエルシードは全部僕が秘匿。実は『僕の自慢の封印魔法』を作ったのもジュエルシードを安全に隠すため…

 守護騎士4人がプレシアさんを…、そしてフェイトさんがはやてさんを…

 ジュエルシードが海鳴にばら撒かれない + 闇の書放置 = プレシアさんの死 という方程式。

 フェイトさんに復讐を諦めさせる… 無理っぽい。戸籍も何も無いフェイトさんを保護すらできないのが現実だ。
 闇の書に『僕の自慢の封印魔法』を掛けた場合… 駄目だ、病気で焦っているプレシアさんがスカさんとかに次元震を起こせるロストロギアとフェイトさんを交換しそう…


 キャロさんとエリオくんを保護するためにすぐに結界魔導師になった。 二回目同様ナカジマ姉妹と僕で戦闘機人5人を捕縛できた。

 ジュエルシードを研究できなかったからか? この時もガジェットはそれほどじゃなかった…

 アギトさんとシグナムさんがユニゾンしていたことから、闇の書は主が変わるとスカさん側にあることがほぼ確実。ヴィヴィオを保護していたので闇の書の主はヴィヴィオではな…
 
 いや、ヴィヴィオがスカさんから逃げ出す前に闇の書が出現していたとしたら、スカさんが弄るかもしれない… ヴィヴィオがはやてさんの次の主である可能性はゼロではない…か?


四回目、次元震で死亡、スカさんの情報は何もなし。 あ、スクライア一族が頼りにならないってことはわかった。


五回目、ジュエルシードは全て管理局に、闇の書ははやてさんと氷付け。

 PT事件後もしっかりケアしないとフェイトさんはスカさん側にいくみたい。 ヴィヴィオを保護できなかったことから、2人は仲良しなのかもしれない。

 敵に回ったフェイトさんの強さの秘密がジュエルシードにあると判明、ゆえに『僕の自慢の封印魔法』でジュエルシードを封印し、『八重高硬度拘束結界』で拘束可能であることも判明。

 『虚数空間結界』を初お披露目。 初披露なのでこれが死亡フラグということはないはず。

 あ、『まだ改良余地ある拘束魔法』をPT事件という早い段階で披露しているか… これも死亡フラグかもしれないなぁ…


 ガジェットは… どうだったっけ?
 フェイトさんとガチバトルだったからか、周りにいなかったなぁ… おそらくフェイトさんの魔法の邪魔にならないようにこっちに来なかったんだろう。


 ん? そういえば、ナカジマ姉妹が戦闘機人を3人捕縛していたぞ?

 ジュエルシードをフェイトさんにブーストできるくらい研究しているはずなのに、戦闘機人に埋め込んでいない…?


六回目、プレシアさんを… 間接的にとはいえ、確固たる自分の意思で手に掛けた。

 フェイトさんはリンディさんの養女になり、キャロさんとエリオくんの保護者になった。僕が保護したヴィヴィオまで彼女に懐いた…

 闇の書はジュエルシードでブーストした『僕の自慢の封印魔法』を掛けたうえでプレシアさんの虚数空間に放り込んだ。

 ゆりかごも虚数空間に消し去った。


 ジュエルシードが全て管理局に行っていたからか、戦闘機人全員とゼストさん達までがブーストされていた。

 名前は忘れたが、戦闘機人の砲撃する人、彼女の攻撃が一番強力だったことから、魔力だけでなくISもブーストされていたんだろう。

 ガジェットは… 強力になっていたな… AMFが今までどおりなら後1時間はどうにかできたと思う。



・・・



「六回目の飽和攻撃は確かに強力だったけど… ゆりかごの攻撃と比べると弱い…」


それに、僕の知る限りの原作の知識、二次創作の知識から考えても、自分から、自分の作品である戦闘機人やゼストさん達にジュエルシードを埋め込むような人だったか?


冷静になって考えるんだ。 基本的なことから…


Q、そもそもスカさんは何で管理局に攻撃を?
A、なんか色々と小難しいことを宣言していたけど、結局は自分のしたい研究をするた…


ん?

んんん?


確か、二次創作の知識だけど、クロノはユーノを無限書庫でこき使って手柄を立てていたよう…な…?
でも、僕は結界魔導師で、クロノに手伝い頼まれても結界張ることだけだった…

つまり、クロノは原作よりも手柄を立てていない…
いや、クロノだけでなく、無限書庫に資料請求できない分管理局全体が原作より劣っている…?


そして、無限書庫に請求する資料って… たぶん、ロストロギアの資料、だよね?


管理局は原作よりもロストロギアを押収できていない?


原作でスカさんはジュエルシードを研究していた。 …たぶん、『脳みそ』がそれを許可した。
それはつまり、スカさんは管理局にあるロストロギアをある程度自由に研究することができていたってことじゃないか?

それに比べて、僕がユーノに憑依している世界ではどうだ?
スカさんの興味を引くロストロギアを管理局はもっているか?

原作で、スカさんはジュエルシードを研究し尽くしたみたいなことを言っていたと思う。 そして、新たな研究対象としてスバルさん達の映像を見ていたようにも…

新たな興味深い研究対象が現れなかったら?
今手元にあるモノをより深く研究するしかないとした…ら?


仮説だけど… そんなに間違っていないような気がする。





スカさんの戦力は…

一回目、ナカジマ姉妹やエリキャロ、闇の書。
    戦闘機人、ゼストチームは変わらず、ガジェットは弱い。ゆりかごありのヴィヴィオあり。

二回目、SSSフェイト。エリキャロもおそらく。 
    他は一回目より少し強い? ゆりかごありのヴィヴィオなし。

三回目、闇の書がスカさん側。 他は一回目同様。ゆりかごありのヴィヴィオなし。

五回目、SSSフェイト。他は二回目くらい。ゆりかごありのヴィヴィオあり。

六回目、全員SSS。ゆりかごなしでヴィヴィオもいない。





仮説だけど…



何の根拠も無い仮説だけど…



新たな研究対象も、ゆりかごもないからジュエルシード弄っていたというのが六回目の真相なら…
























・・・



小声で呪詛を吐いてから
ジュエルシードを1つ手に取る


「この間わずか30秒…」

マルチタスクって便利だね!









090721/チラシの裏に初投稿
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[10392] そのなな
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2010/03/28 17:40
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
ユーノになって何となく感じていた違和感。
視点が変わったとか物事の感じ方が変わったとか…
そういうものとは違う、そう、多くの人が分かる例えで言うならば…
風呂場で一人、頭を洗っている時、自分の後ろで誰かがじっと見ているような感じ…







めめたぁっ!

そんなものは気のせいだ!
そうじゃなかったらプラズマか何かだ!

プラズマのほうがもっと酷い状況になりそうだけどな!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのなな

・・・



「こんな子供を危険な世界に巻き込みたくないんだけど…」


PT事件は前回のようにプレシアさんに退場してもらうことで丸く収まりました。
罪悪感が前より少なかったことが逆に気持ち悪かった…

まぁ、そういうことは突き詰めていくとどんどん鬱になっていくので… 話を進めます。



…これまで関わらないようにしてきたエース編に介入することにしました。
上手くいけばはやてさんは家族を得られ、上手くいかなくても氷付けにされるだけです。


前回、闇の書に『僕の自慢の封印魔法』を掛けたうえでプレシアさんの虚数空間に放り込んだけど、よく考えればあれは間違いでした。
あれでは、100年後に封印が解けた時、闇の書は新たな主を得てしまいます。未来に憂いを残すのは良くありません。

酷いという人もいるかもしれないけれど、発動した闇の書は、原作のように防衛プログラムを破壊して、管制人格に闇の書の破壊に協力してもらえない限り、主ごと凍らせるべきなんだよね。
前にも言ったかも知れないけど、魔法や科学がすごく発達した未来で救助してもらえる可能性もゼロではないんだし。



エース編への介入方法は簡単、


「リンディさん、ジュエルシードを探している時に、別のロストロギアの反応があったんです。」


と言ってはやてさんの家を教えて、ベランダの窓ガラス越しに闇の書を見せるだけです。



「これまで調べたことから、八神はやてさんは闇の書の被害者だってことが確定だね。」
「そうだね。」
「…そうだな。」


ちなみに、クロノさんとエイミィさんと僕の3人は今、フェイトさんの隠れ家だった場所にいます。


リンディさんとフェイトさんは養子縁組の手続きに行っています。

前回も今回も、フェイトさんは罪人として扱われていません。
たまたま拾った青い宝石がロストロギアで、そのロストロギアの暴発で親を亡くした『可哀想な子』ということになっています。

戦闘もアースラの邪魔もしてないものねぇ…



あ、ジュエルシードですが21個全て管理局に行っています。

10個くらい貰っておこうかとも思ったのですが… プレシアさんが『ジュエルシードは21個ある』と何かの文献とかで知っていた場合を考えると…ね。

ジェルシード発見→管理局に報告→輸送っていう手順の中で、輸送しているジュエルシードは21個より少ないってことになると…


輸送少し→確実に手に入る遺跡へ→スクライア一族巻き込まれる。→最悪、僕が秘匿していることがばれる。

輸送半分→輸送船からばら撒かれたのはフェイトに任せて残りを求めて遺跡へ→スクライ(以下略)

輸送多い→原作どおりになればいいけど、たぶん少しでも多く手に入れるために遺跡へ→スクラ(以下略)


三回目のときに何も発掘できなかったことにしたときは何もなかったけれど、1個でも発掘されたことにしたらスクライア一族が滅びかねないので正直に報告しました。

そもそも、プレシアさんがいつジュエルシードの存在を知ったのかわからない限りうかつなことはできないんだと結論をだしました。

原作でもフェイトさんが21個全て回収できると思っていたようでは無かった様な気がするし…


JS事件の時に結界の研究目的という名目でジュエルシードを借りられるだけ借り出しとけば魔力ブーストの『八重広範囲防衛結界』を張れるしね!
借り出せなかった場合は管理局辞めてしまおう。 同僚達には申し訳ないが、キャロさんとエリオくんを保護できれば管理局にいる理由は無限書庫だけだし…



それはそれとして、無限書庫で闇の書について調べたりしながら月日は経ち…



守護騎士が出ました。 フェレットモードで隠れていた僕が『まだ改良余地ある拘束魔法』で即緊縛!
『守護騎士がでる際に放出される魔力』を感知する魔法を猫姉妹にばれない場所に設置しておいたのです。


クロノさんとリンディさん、そして僕による説明会が始まります。


まぁ、説明といってもあらかじめ用意しておいたホワイトボードを持ち込んでの簡単なものですが。


①スクライアが発掘したロストロギアが事故で地球にばら撒かれた

②それを探しているときにたまたま起動前の闇の書を発見

③闇の書が起動するまでは、はやてさんは一般人なので、その間に無限書庫などで記録や文献を捜索

④闇の書が元は『夜天の書』と呼ばれるものであること

⑤歴代の持ち主の何人かがプログラムを改変したために破壊の力を使う「闇の書」へと変化したと思われること

⑥このままでは、はやてさんが死んでしまうこと

⑦その証拠が、はやてさんの足が動かないことである


拘束状態の守護騎士4人とその主のはやてさんはおとなしくホワイトボードをみている。


なんやかんやで結論

原作どおり、はやてさんは守護騎士に家族になって欲しい。

守護騎士は自分の足が動かない原因である自分達を家族にしたいというはやてさんに生きて欲しい。

こちらも、はやてさんに罪はないし、守護騎士達にはやてさんの家族になって欲しい。



ということで、『万が一』が起こっても大丈夫な辺境世界へお引越しが決定。


そこへ猫姉妹とその主人のグレアムさんがやってきた。


「再び闇の書が現れたときのためにこれを作っていたのだ」


そう言ってデュランダルをクロノさんに渡すグレアムさん。
猫姉妹にはやてさんを監視させていたことは秘密のようです。

デュランダルで試し打ちするクロノさん …そういえば、クロノさんがデュランダルを使っているのを見るのって初めてだ。


アースラにアルカンシェルが搭載されました。



さて、僕の使う結界やバインドの構成は練りに練ったものであり、僕が使うのにもデバイスの、レイハさんの補助がいります。
杖として使えないので本来の30%もその性能を使えませんが、それでもインテリジェントデバイスの補助は助かります。

そして僕は、そんな面倒な魔法をインストールしたデバイスを毎回ナカジマ姉妹やキャロさんとエリオくん、ヴィヴィオはもちろん、前回はフェイトさんやクロノさんにも渡しています。


…そう! 僕はデバイスにもそれなりに詳しいのですよ! というか、詳しくならないとレイハさんに補助してもらうことすらできなかったんだけどね!
それに、融合型デバイスにも少し興味があったし…


ということで、闇の書の管制人格を叩き起こしました。







宇宙服を着て宇宙に漂うはやてさん。 …その手には管制人格が上半身を出した闇の書


ぺっ


僕とアースラの技術者との、汗と涙の結晶であるプログラムを利用して防衛プログラムを吐き出す闇の書


防衛プログラム… 蒐集してないので小さくてかわいいわぁ


「エターナルコフィン!」

クロノさんが防衛プログラムを凍らせる。 その間にはやてさんを回収


ぴかっ! どーーん!


その後すみやかにアースラからアルカンシェルが発射されました。
あ、宇宙空間なのでクロノさんのセリフも爆発音もただのイメージです。






そして
リンディさんとクロノさんによって、僕とはやてさんに見守られながら、リインフォースと名づけられた管制人格はその本体である闇の書と共に消えました。









はやてさんを助けるのって…
デバイスの知識さえあれば結構簡単だった?



これまでのはやてさん達、諦めていてごめんなさい。



・・・



そんなこんなで、無限書庫の司書長になりました。
闇の書事件で無限書庫使うとなれるんだね、この役職。

でも正直な話、事務員か結界魔導師のほうが楽だったわー…


終わらない資料請求、倒れては復活し、復活しては倒れていく部下達…

司書長という権力を行使して有給休暇を貰った時に見た、あの時の部下達の目は気の弱い人が見たら失神ものです。


貴重な有給休暇を空港火災で潰して、結界魔法使いまくって魔力切れで入院した僕をお見舞いに来た部下達の『俺達に仕事押し付けて休暇貰った罰が当たったんだ』『折角の休暇をそんなことで潰すなんてかわいそうね~ ケケケ』的な目のほうがきつかったけどね…



ナカジマ姉妹には毎度のごとくデバイスを渡し、ハラオウン一家(キャロさんとエリオくん含む)にも以下同文。



そして、ヴィヴィオは… デートしていたキャロさんとエリオくんが発見しました!

はやてさんが活動してると機動六課ができて2人はフェイトさんを手伝いたいためにミッドに来て、休みの日にヴィヴィオを保護するんですね、わかりました。
はやてさんがいるとベルカ関係とミッド関係が原作に近くなるのでしょうか? 今までベルカ系の知人なんてできたこと無かったのに…



「《三種三重対砲撃盾》、加えて《砲撃反射能力付与》」


戦闘機人の砲撃を跳ね返し、ヘリを守ると同時に攻撃します。

ジュエルシードでブーストしてない砲撃ならぺぺぺのぺーっいってことです。

え、なんでこの場にいることができるのかって?
ヴィヴィオを保護するために下水にサーチャー飛ばしながら街を散策していたんですが何か?
司書長としての仕事はきちんとこなしていますよ? 休暇とった時の部下の顔は怖くて見れないけど…


ヴィヴィオを保護し、戦闘機人2人とレリック1個を確保しました。

この段階で戦闘機人の確保は初めてですが、レリックに触れるのも初めてです。 実に興味深い。


ちなみに、ナカジマのスバルさんも機動六課にいます。 はやてさんが引っ張ってきました。
僕が事務員していたときは事務員に、結界魔導師してたときはレスキュー(災害救助隊)だったのに… はやてさん恐るべし。



クロノくんがたくさんのロストロギアを押収したからか?
機動六課という対スカさん組織ができたからか?
あるいはその両方が原因なのか?

今回はガジェットが強いです。 丸っこいガジェットにジュエルシードが付いていました。

戦闘機人は自分の砲撃を跳ね返されて気絶するくらい弱いのに…

『他のロストロギアを研究する = 戦闘機人でなくガジェットが強くなる』という方程式(確定ではない)

ということは

『他の何かを研究する = 戦闘機人がジュエルシードでブーストしない』という僕の仮説が正しい可能性が強まったということです。



おかげで、機動六課は大量のガジェットと戦闘機人何人か、加えてルーテシアさんというほとんど原作どおりの展開で拠点をアースラに移しました。

駆けつけた僕が逃げようとしている戦闘機人1人を捕縛しました。 …ヴィヴィオは攫われました。





原作ではフェイトさんが攻略する場所へ向かう僕

AMFが邪魔ですが、レイハさんがジュエルシードを10個格納しているので、その中の1個を使って簡易ブーストしているので平気です。
五回目のときにSSSフェイトさんがジュエルシードでブーストしているの知ってから、いろいろ研究と実験をしていたのです。
例えば六回目の闇の書の封印とかで… 僕の魔力だけだと1年くらいなのに100年くらい大丈夫な手応えを感じたときにはびびりました。



まず部屋の中に『四重使用魔力限定結界』を張って、ジュエルシードの魔力以外が使えないようにします。
そして、スカさんの護衛をしている戦闘機人2人を『五重問答無用中範囲高硬度拘束結界』に閉じ込めます。
1対3で戦うなんてそんな無謀なことはしません。

『魔力封印』と『普通に硬いバインド』でスカさんを拘束、ヴィヴィオを攫ったお礼をします。 主に拳で。

ブーストしていても何かあると嫌なので、さっさと基地のコンピュータを乗っ取ってAMFを解除します。

スカさんがこれ以上お礼を受けられないくらい顔を赤くしているのでシスターと犬使いに現場を譲ってはやてさんの所に向かいます。
ヴィヴィオからはもちろん、年齢的に厳しいキャロさんとエリオくんにもパパと呼ばれるくらい子煩悩だった僕を敵に回すからそんな顔になる…



フェイトさん達がゆりかごからでてきません。

あ! フェイトさんは砲撃が得意ではないので4番目?を黙らせることができないのか?

えーと、無限書庫で見たゆりかごの内部構造から考えて…





「ユーノ・スクライア!?」
「《まだ改良余地ある拘束魔》ちぃっ!」


ガジェットだと?
もう少しで当たるとこだっ…しまった! こいつのISはっ!


「ぐはっ!」 回避したのとは別方向から攻撃を受けた… これは、もう、無理だな…
「ふふふ」


シルバーカーテン… 幻影に騙されるとは…


「おばかさ~ん
 こんなとこまでくるから死ぬことになr」
「《虚数空間結界》」


体調的に、効果範囲はそんなに広くできないが…
こいつがいなくなれば、後はフェイトさんがヴィヴィオを…
























・・・



気が付いたら
目の前には21個のジュエルシード


「少し前に出すぎた…」

僕は少し自重することにした。









090722/チラシの裏に初投稿
090725/誤字脱字など修正
090809/誤字脱字など修正
100328/脱字修正



[10392] そのはち
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 20:15
おひさしぶりです、おはこんばんちわ。
知っていることを知らないとか
知るはずの無いことを知っているとか
そんな事が増えているように感じる今日この頃…
まるで誰かに思考s あれ、何を考えていたんだっけ?







りりかる!

そんな事があった気がする!
いや、違う… 確かにそれはあったんだ!

僕は… 僕達は… ただそれだけのために!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのはち

・・・



「スカさんを倒す前から調子に乗っていたのが敗因かな?」


前回はヘリとヴィヴィオを守るために『三種三重対砲撃盾』に『砲撃反射能力付与』を使った後、調子に乗りすぎた。
外から4番目のいるところをはやてさんに攻撃してもらえばよかったんだ…





というわけで、前回同様PT事件も闇の書事件もスピード解決で…ん?



おそらく、今回でJS事件は乗り切れる。 でも、その後は?
僕が知っているのはアニメ1期~3期までと二次創作だけ… 二次創作もアフターものは余り読んでない…
ココから先のことはまったくわからないから対策を立てるにはループすることを前提に生きていくしかないんじゃ?


いや、そもそも何故、今更こんな疑問が?
憑依前ならともかく、ユーノ・スクライアというチート頭脳を手に入れているのに、少しも疑問に思わなかったのは?


…原作?

そうだ、原作だ…


思い出せ、僕!

原作とこの繰り返す世界の決定的な違いを!
僕がユーノ・スクライアに憑依しているということ意外に…

僕の行動で
クロノさんがずっとS2Uだったり…
はやてさんが凍ったり死んだりしたり…
スカさん側の戦力が変わってしまったり…

そんな事ではない、僕の行動に左右されない、もっと基本的な違いがあったはずだ!


たぶん… 猫姉妹… 鬼… 忘れません… 怪我…


!!! …まさか!


そんなことがありえるのか?

でも、そうだとしたら… この疑問の答えとしては… それに、おそらく…



・・・



「レイジングハート、構成は理解した?」
《とても難解で複雑ですが… 大丈夫です。》
「よし、じゃあやるよ…

 《僕の自慢の封印魔法》」


4度目の時のようにジュエルシードを21個全て封印してから輸送船に乗せました。



案の定、ジュエルシードを見つけられず、海鳴を飛び回っているフェイトさん…


「すいませーん!」
「誰だい!?」
「誰!?」


声をかけただけの僕に攻撃態勢をとる2人に、僕はジュエルシードの立体映像を見せて


「僕はユーノ・スクライアといいます。
 実は、僕がとある遺跡で発掘したこのロストロギアが輸送船の事故でこの世界に落ちちゃったそうなんです。

 これは魔力の塊のようなもので、すごく危険なんです。
 いくつか、あ、これは全部で21個あるんですけど、いくつかあれば次元震を起こせるくらい危険なんです。

 どこかで見ませんでしたか?」


2人が警戒しているのを無視して一方的に喋る僕。


「そ、そんなもの知らないよ!」
「う、うん。 知らないよ!」


うん、君達には不意を付いての攻撃か、知らないふりかの2択しかないよね。知ってます。


「そうですか… もし見つけたら連絡ください。 しばらくこの町にいるので念話を飛ばしてくれればすぐに駆けつけますので。」


そうやって2人と別れる。



そうして一週間…



フェイトさんとアルフさんは町を散策する僕を監視している…

自分達では見つけられないので、僕が見つけたら横から奪うつもりなのでしょう。 …尾行が下手すぎて笑えます。


そんなフェイトさん達を逆に撮って、近くにいる次元航行艦、つまりアースラにデータを送る。

『ジュエルシード発掘責任者のユーノ・スクライアは現地に来ているが、怪しい魔導師に尾行されている。 もしかしたらロストロギアであるジュエルシードを狙う悪党かもしれない。』

アースラからはすぐに『現地に向かう』と返事が来た。



アースラが来て、クロノさんと一緒にジュエルシード探し。

「なんでそんなに簡単に見つけることができるんだ?」と聞いてくるが「…発掘責任者としての勘?」と曖昧に答える。

「なんで僕達が来るまでに1個も見つけられなかったんだ?」という問いには「変な魔導師に尾行されてる状態で見つけてよかったの?」と答えると黙った。 …面白い。


ジュエルシードを10個ほど集めた日に、フェイトさんとアルフさんが強襲してきた。



「自分達が何をしているのかわかっているのか!?」
「母さんがそれを必要としているんだ!」


そんな感じでクロノさんVSフェイトさん&アルフさんの戦いが続きます。

僕? 盾を飛ばして守ったり、バインド飛ばして邪魔したりはしていますが前には出ませんよ?


そんなこんなで逃げ帰るフェイトさん、きっとお家ではプレシアさんのお仕置きが待っているのでしょう…


ジュエルシードを地上にある15個全部集め終わった頃、アルフさんがプレシアさんから逃げてきました。


「フェイトを助けておくれよ…」


助けますよもちろん。 ただ、こういうのはタイミングが大事なんです。


そして数日後、フェイトさんが海上で無茶しました。

すいません、その程度の魔力では、《僕の自慢の封印魔法》はびくともしません。


疲労で海に落ちるフェイトさんをクロノさんが空中でキャッチ! アースラで保護します。
その間に海中のジュエルシード6個を、どこかで見ているであろうプレシアさんにもわかりやすいように発見します。



「《三種三重防御結界》」


プレシアさんの攻撃をあっさり防御する僕。
アースラの皆さんが「あの攻撃を簡単に防げるなんて!」と驚いていますが、たぶんプレシアさんが一番驚いているだろうなぁ…


まぁ、なんやかんやでプレシアさん宅にアースラ出動


「役立たず」
「あなたのことが大嫌いだったのよ」


プレシアさんの罵詈雑言にフェイトさん大泣き。アルフさんが慰めます。


家宅捜索の際にプロジェクト「F.A.T.E」の資料と『アリシアさん』、その他諸々が押収されました。


これにてPT事件は終わりました。



・・・



エース編、闇の書に関しては前回どおりの展開で決着が付いたので特筆すべきことは…

ザフィーラさんに「『まだ改良余地ある拘束魔法』を一緒に改良しませんか?」と共同研究を持ちかけたことくらいですかね?



・・・



闇の書事件から暫く経ち、プレシアさんが病死しました。

お葬式の時、フェイトさんが涙目で言いました。


「こんな私なんて放っておいて、さっさと好きに生きればよかったのに…」

亡くなる前に、『笑顔』でそう言ってくれたんだと…



フェイトさんはリンディさんの養女になることにしたそうです。

「たぶん、母さんも喜んでくれる…」







「そうだね」としか言えませんでした。



・・・



無限書庫で司書長しながら魔法の研究をする日々。


空港火災でナカジマ姉妹を助けたり、キャロさんとエリオくんがフェイトさんの保護下に入ったり…

前回と違うことは、ザフィーラさんの防御能力が高いこと。僕との共同研究が役に立ったみたい。

おかげで、機動六課が襲撃された時、本人は前回と同じくらいに怪我をしたけど他の人達の怪我は軽かったので、前回よりも戦力が多いです。





前回同様、スカさんが潜んでいる場所へきました。

外からのクラッキングで基地を丸裸にした後シスターと犬使いの2人と一緒に突入します。


「《ザフィーラさん涙目》」


スカさんの護衛は即捕縛します。


「くっくっく、まさかこんなとこr」
「《改良余地無き拘束魔法》」


スカさんには何も言わせません。味方2人が驚いていますが無視です。


「それじゃ、僕はゆりかごのほうに行くので、後お願いします。」


そう言ってさっさとその場を去ります。
時間もないし、2人がいるとスカさんにヴィヴィオを攫ったお礼ができないので…





「あの場所に敵がいると思うので…」
「ユーノくんのお願いで、皆も助かるなら、断る理由はないわ」


はやてさんにお願いして4番目のいる場所をピンポイント攻撃してもらいます。
詠唱中の防御は僕が受け持ちます。


「手応えあった!」


穴の開いたところから局員が突入、気絶している4番目を確保しました。





「《八重高硬度盾》あたーーーっく!」


どかーん

壁をぶち抜いて、フェイトさんとヴィヴィオの喧嘩に割り込みます。


「ユーノ!?」
「ユーノさん!?」


ヴィヴィオが僕の名前を呼んでいるので、4番目を倒した効果はあったのでしょう。

というか、フェイトさんがぼろぼろです。


「フェイトさん、狭い部屋の中でくらい、バリアジャケットの防御力を上げていても良かったんじゃない?」


フェイトさんは「なっ!」とか言って口をぱくぱくしていますが、言葉にならない様子。 …面白い。


「それはそれとしてヴィヴィオ、今元に戻してあげるからね」
「で、できるの?」
「そんなことが!?」


驚くヴィヴィオとフェイト… 君達… 僕が、この場面で何しに来たと思ったの?








「ユーノ・スクライア、これまでの人生で得た、経験と知識、その総ての集大成…」


『―――――――――――』




ヴィヴィオの体から飛び出す魔力と封印状態のレリック…



・・・





ゆりかごから脱出してヘリの中、ヴィヴィオが僕に近づいた。


「ユーノさん」
「ん? なんだい?」
「あのね
 ユーノさんが使った魔法ね、とってもすごかった。」
「…お褒めの言葉、ありがとう?」


とりあえず、お礼を言う僕


「確かに、あれは、すごかった…」
「なんや? 何の話や?」
「あのね…」


フェイトさんがはやてさん達に僕の魔法を説明する。


「はー、それはまた… でも… おっかしいわ」
「ね、はやても変だと思うようね!」
「私もおかしいと思います」
「ぇ、私は、こ、個性的だなぁと」
「えー? 変ですよ、絶対」


ヘリの中で、徐々に「変だ」「変だ」と煩くなってきた。


「ユーノさん、すっごい魔法なのに、なんで名前があんななの? もっとカッコイイ名前がいいよー」


ヴィヴィオはもちろん、他の皆も改名したほうがいいと言い出す始末。



「名前は… あれでいいんだよ。」
「えー」



「少しくらいは… 僕と同じ気持ちを感じて欲しいからね」
「…えー? どういう意味ー?」



しつこく尋ねてくるヴィヴィオ達…
僕は笑顔でごまかし…
























・・・



気が付いたら
ただ、ただ、蒼い空間…


「そこに… 居るんだろう? ユーノ・スクライア!!」

僕は大声で名前を呼んだ









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[10392] そのはち のあとに
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 15:40
『平行世界』
例えば僕が弱い世界。
例えば彼女が弱い世界。
例えば僕達が願った世界。
例えば2人が会わない世界。









僕達が彼なのは、彼達がそう願ったから…
僕達が繰り返しているのも、彼達の願いがそれだから…

僕は! 僕達は!! ただ、それを、それだけを作り出すために!!!



・・・

とあるフェレットの憂鬱 そのはち のあとに

・・・



「はじめまして、僕はユーノ・スクライアです。」



蒼い世界で言葉を紡ぐ





そもそも最初に思いつくべきなんだ。

『原作どおりに生きたほうが楽』だって、憑依直後からわかっていたのに

何故、僕はそうしないのか?って…



―――僕の一言一言に―――



子供達に関してもそうだ

いくら僕が、子供に対してある種の義務感のようなものを感じているとしても…

所属していたら死んでしまう組織に、毎回当たり前のように所属するのはあまりにおかしい

条件は厳しくなるけれど… 魔力持ちは、それも僕みたいなマルチタスクができる人間はどんな大企業にでも就職できるんだから、子供3人くらいなら…



―――空間が震える―――



僕はいろんな魔法を作り上げた


『まだ改良余地ある拘束魔法』『高硬度拘束結界』 僕の得意な系統の魔法の発展系

それらを応用した『三種対砲撃盾』&『砲撃反射能力付与』 


そして…『僕の自慢の封印魔法』と『虚数空間結界』



次々と新しい魔法を作り出す僕を見て…

君達は気づいたんだ! 僕が、君達の欲しいものを作り出すことができる存在だってことに!!


でも、繰り返せば繰り返すほど、僕の作る魔法は構成を練りに練ったものとなって…

レイジングハート、デバイスの補助を必要とする、つまり、僕単独では使えない魔法ばかりになっていった。


そう、『繰り返しているユーノ・スクライア』にしか使えない魔法が増えていったんだ。



―――その震えは―――



だから、僕の思考を誘導するのをやめ… いや…


『何故、どうして、僕は憑依して、ループしているのか?』そんな当たり前の疑問から…


『PT事件をプレシアさんを殺すことなく解決することができる』

『守護騎士達に蒐集させること無く闇の書事件を円満に解決させることができる』

『聖王の力で苦しんでいるヴィヴィオを救うことができる』

そして何より、デバイスに補助してもらえない…
『ジュエルシードを発見したときのユーノ・スクライアにも使える』

そんな都合のいい『魔法』を『1つ』構成することこそが…


この『繰り返しを終わらせる唯一の方法』だと気付くように、僕の思考を誘導したんだ!!



―――徐々に―――



何故、そんな魔法を作り上げる必要があるのか?


世界が僕の知っている『原作』どおりなら、そんな魔法は無くても問題は無い…





…つまり、世界は『原作』とは違うんだね?



―――大きくなり―――



確認できなかった世界もあるけれども、僕は確信している。

僕が繰り返してきた世界の共通点は


『高町なのはに戦えるだけの魔力がなかった』


…おそらく、これなんだろう?



―――青い空間は―――



二度目の世界で、僕は彼女に出会っている。
いや、それ以降の世界でも地球にいる時は彼女の店を利用していた。

…どの世界の彼女からも、魔力を感じることはなかった。



―――亀裂が入って―――



だから、君達は…

ジュエルシードを回収しきることができずに死んでいったユーノ・スクライア達は…

ジュエルシードに願ってしまったんだろう?



『もっと力があれば』って



―――砕け散り―――



でも、君達は知ってしまった。

ジュエルシードを回収したとしても世界の危機はまだたくさんあるってことを!


『闇の書』が発動したら、ジュエルシードを回収してもたくさんの世界が滅ぶ…

『ゆりかご』が万全の状態になったら、スカさんや4番目の気分次第で滅ぶ世界がたくさんある…


『高町なのはが戦えない』

ただそれだけで、世界の危機を防げる可能性が格段に下がってしまうと知ってしまったんだ。



―――そこには僕と僕達がいた―――



「僕の他にも、ユーノ・スクライアとなって繰り返している人がいるんだろう?」

「うん」

「無限にある平行世界の…

 その中でも『高町なのはが戦えない』世界の
 ジュエルシードを見つけたばかりのユーノ・スクライア達に…

 JS事件までの… おおまかな未来の知識と一緒に、僕の魔法の構成も送るんだろう?」

「うん… 本当はあなたの知識と経験全部を送りたいんだけど…」

「送れる量に限界があるんだろう? だから、便利な『一つの魔法』にこだわった…」

「うん」

「それだけ絞っても、送りきれない世界もあるんだろう?
 少なくとも、ここにいる僕や、僕達の世界には送れない… パラドックスがどうこうってやつで」





「…ごめんなさい」

「うん?」

「僕達がしたこと」

「ふぅむ…
 大人が子供を叱るのは、反省させるためだと思うんだ。」

「…え?」

「そして、反省っていうのは、
 二度と同じ間違いをしないってことだと思うんだ。」

「…怒らないの?」

「君は子供だし、何よりもうこんなことはしないだろう?」

「…うん」

「なら、もういいよ。
 もっとも… 君が大人だったらスカさんにしてあげたようなお礼をするところだが」





「…どうして」

「ん?」

「どうしてこの魔法はこんな名前なの?」

「…僕のように苦労している『憑依しているやつら』はもちろん、
 ジュエルシードを見つけただけの『ただのユーノ・スクライア』にも送るんだろう?」

「うん」

「つまり、これを受け取るユーノ達は、僕のおかげで楽できるってことだ…

 だったら、 …ヴィヴィオにも言ったけど、


 『少しくらいは僕と同じ気持ちを感じて欲しい』っていうか、そう思わないとやってられない。」




「…きっと、みんなわかってくれるよ」

「そうだといいけどね」



「ありがとう」






















・・・



気が付いたら
見覚えのある病院の天井


「さて、行くか」

僕は病院を抜け出した









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[10392] そのまほうのなまえは
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 15:51
「はじめまして、僕はユーノ・スクライアです。 あなた達に、お知らせしたいことがあるんです。」





平行世界には、いろんな僕達がいる。


「うへぇ… ジュエルシードで凶暴化した犬ってあんなに強いのか… え?」


「戦闘機人なんて嫌いだ! なんだよあれ、ガジェットと一緒に来るなよ! AMFのせいでバインドすらできないじゃないk あ?」


「ヴィヴィオを見つけても民間の警備会社じゃ守りきれないとか… やっぱ管理kyぉ?」


「まさか、フェレット状態で寝ている時に樹に潰されるとは思ってもいなかった… お?」


「また死んだか… せっかくプレシアの傀儡兵を倒せるようになったっていうのに

 リインフォース強すぎる。 せめて成長させた魔力もループしてくれればなぁ… へ?」


「うっはwww うwwwけwwwwるwwwwwwwwww はぁ?」


「フェイトは問答無用すぎるだろ…
 こっちは話しかけただけだっていうのに…

 そもそも、クロノ達アースラが来るのが遅すぎるんだtt… ん?」


「さすが猫、まさか首をコキャッとされるとは思わなかっ た?」


「はぁ… せめてユーノじゃなくてクロノとかっだったら良かったのに ぃ?」


「ガジェットを乗っ取るのは有りだな、今後はクラッキングの腕を磨くことに専念する か?」


「『アルティメットバスター』じゃ、フェイトは落とせても、ゆりかごには効かないか…
 もっと強力な、『スーパーアルティメットバスター』を撃てる様にならないといけないのk あ?」


「俺もISが欲しい ぜ?」


「ベルカの騎士になっても、魔力量が少なくてAMFに対応できないとか、キツすぎるだr お?」


「先にアースラと合流する作戦は駄目だったか… なんだ?」


「やっぱ、どうにかしてはやてを助けないとストライカーズで味方がすくなすぎる ぅ?」


「歌って踊れるフェレットってすごく稼げるんだ… 今回はすぐデビューの方向でいこうか な?」


「飢え死にするとか… 地球のお金ってどうやれば得られるん だ?」


「ワロス…   はぁ…  ぁあ?」


「戦闘機人5人までは倒せた…
 でもまだ駄目だ… もっと広範囲を攻撃できる魔法を作る必要があr ぅ?」


「対ヴォルケンリッター用消滅プログラムを組み上げたまでは良かったんだけど… ええ!?」


「未来知識で、競馬や宝くじでお金に困ることは無いけど… 何か間違ってるような気がする ぞ?」







「なるほど、そういうことか…なら、私は」「それじゃあ僕は」「そうか、じゃ、俺は」「これって、僕は」「はっ、俺は」「僕は」「俺は」「俺は」「僕は」「私は」「俺は」「俺は」「俺は」「僕は」「俺は」「俺は」「私は」「俺は」「僕は」「俺は」「俺は」「僕は」「私は」「俺は」「僕は」「私は」「俺は」「俺は」「俺は」「僕は」「俺は」「俺は」「私は」「僕は」「私は」「俺は」「俺は」「俺は」「俺は」「僕は」「私は」僕は俺は私は僕は僕は僕は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は僕は俺は私は僕は僕は僕は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は僕は俺は私は僕は僕は僕は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は僕は俺は私は僕は僕は俺は俺は私は僕は僕は俺は私は僕は僕は俺は僕は僕は僕は僕は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は俺は俺は私は僕は僕は俺は僕は俺は私は僕は僕は











僕達は…












・・・



ユーノ・スクライアはある遺跡の発掘責任者になり、ロストロギアであるジュエルシードを発見した。



「なあ、ユーノ」
「ん? なんだいクロノ?」



ジュエルシードは輸送中の事故で管理外世界の1つにばら撒かれたが、彼の魔法によって無事に回収された。



「やっぱり改名するべきだと思うんだが」
「はぁ …またその話か」



その際、危険なロストロギア『闇の書』を発見し、これもまた彼の魔法により無事に処理できた。



「溜息をつくな、結構真面目な話なんだ」
「んん?」



その後、彼は無限書庫の司書長になり、時空管理局に多大な貢献をした。



「お前のアレな、教本に名前を載せるって話になっているらしいんだ」
「…はぁ?」



また、彼はあのミッドチルダの臨海空港で起こった大規模火災に巻き込まれるも、多くの人命を救っている。



「なんでそんな話になっているのさ?」
「そんなことは知るか! 小耳に挟んだ… というか、エイミィ経由だ」



さらに、あのJS事件の際も機動六課と共に前線に立ち、JS及びその部下6人を捕縛している。



「エイミィさんか… じゃあ、本当の話なんだ…」
「ああ」



驚くべきことに、この全てにおいて彼が使用した魔法は1つである。



「今ならまだ間に合うかもしれないぞ?」
「う~ん」



その魔法は、SSSランクの攻撃を完全に防げるだけでなく、Sランクまでの攻撃なら反射して反撃できる。



「そもそも、名前を載せないことにできないの?」
「それを確認せずに来ると思っているのか?」



敵に使えば、その動きを完全に拘束することができる。罪を犯したSSランクの魔導師が完全拘束されている。



「はぁ… まいったなぁ」
「真剣に考えろ、歴史に残るんだぞ… あの名前が」



また、様々なロストロギアを封印することもできる。現在324個に試され、291個が封印できている。



「それは嫌なんだけど… やっぱり変えられないよ」
「なんでだ? 実は結構気に入っているのか?」



その、ある意味究極ともいえる魔法には、とても変わった名前が付けられている。



「いや… 『感謝』と『けじめ』だよ」
「???」



その魔法の名は―――



『とあるフェレットの憂鬱』



















・・・



気が付いたら
目の前にはヴォルケンリッター
右手には闇の書、左手にはジュエルシードが1個


「…家族が欲しいとでも願ったか?」

とあるはやてさんの憂鬱、はじまりま… なんてことはなく














・・・



第97管理外世界、地球



海鳴市 『翠屋』の前で、目的の人と出会う。


「あれ? ユーノさん?」
「やあ、お久しぶりですね」
「本当、久しぶりですね。 あれれ? フェイトちゃんやはやてちゃんは一緒じゃないんですか?」
「え? ええ、今日は1人ですけど…
 確かに、ここに1人で来たことは無かったですね…」
「あ、1人で来ちゃいけないってわけじゃないんですよ!
 ただ、ユーノさんってフェイトちゃん達に仕方なく連れてこられているみたいな印象で…」
「それはそれで間違っていないけど、ここのお菓子は好きなんですよ。そうじゃなかったら来ませんって」
「それは、ありがとうございます。
 あ、立ち話もなんですし、どうぞ入ってください。」
「ええ、そうさせてもらいます。」



「今日は、エイミィさんの所に?」
「ええ、用事のついでに双子の顔を見に行くのもいいかなと思いまして」
「用事のついでに?
 あの、何か用事があるのなら、あの子達のお菓子は今買わないほうがいいのでは?」
「ああ、お気になさらず、用事は今済ませましたから。」
「え? 今?」
「あなたの顔を見に来たんですよ。」
「え? えっ!? えええーー!?」
「はい、代金。」
「あ、毎度ありがとうございます。 ってそうじゃなくって! あの!」
「では、また来ます。」
「あの! ちょっ! まっ! えっ! もうっ! なんなのーーー!?」


なのはさんは何も悪くないってわかってるけど…
顔を見たら、許すことができるんじゃないかって思ったんだ。


まさか、あんなに面白い子だとは思ってなかった…



・・・



さて、これからどうするかな…
僕のやるべきことはもうやってしまったし…


それに、この先どんな危険なことがあったとしても…


ユーノ達には無いものを僕はたくさん持っている…

『ジュエルシードによる簡易ブースト』
『八重高硬度拘束結界』

そして、ある意味最強の魔法…

『虚数空間結界』


思考誘導はもうないから『前に出る』こともないだろうし…




まぁ、なにはともあれ…



僕の…とあるフェレットの憂鬱は、これで終わり。









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[10392] あとがき のかわりに
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2009/08/09 15:57
物語のまとめ、および外伝用おぼえがき


●一回目の世界
・『第97管理外世界』地球の消滅
 これに『ユーノ達』はかなりびっくりした。なので、他の憑依者よりも少し強めの思考誘導が行われることに…

・管理局で事務員、無限書庫使い放題
 魔法を使える人間は管理局に就職するようなことを何かで読んだ。
 どうやって無限書庫使い放題になったかは外伝で

・空港火災現場で頑張ったことと、その後結界魔導師になったことが死亡フラグ…

・スバルが事務員
 命の恩人の職場で働きたいと思ったらしい。
 実際、事務員になっているが、その時ユーノはすでに結界魔導師になっていた。
 ゲンヤとギンガはその事を知っていたが、娘可愛さ妹可愛さからか、スバルには教えていない。

・キャロとエリオ、闇の書がスカさん側に
 作者の独自設定。
 二回目の時、ユーノくんは闇の書は10年くらいで再生、ヴィヴィオが新しい主?と考えているが、勘違い。
 闇の書は、はやてが赤ちゃんの時にはすでにあったし、主を選ぶ基準はランクでなく資質。

 闇の書に選ばれた赤ちゃんがいると情報を得た『脳みそ』がスカさんに… という流れ
 その際、闇の書の主の両親や、事情を知る者たちは処理されている。

 闇の書の主の名前は外伝で出す予定。というか、名前を考えていなかったりする。

 なお、キャロとエリオは守護騎士に蒐集された後、弱っている所をスカさんによって洗脳されている。


●二回目の世界
・正義の魔法少女フェイトちゃん
 封時結界や認識障害の結界を使う暇が無い程ジュエルシードが暴走していたので

 一回目でも同じく正義の魔法少女とされていた。彼女が集めなければ次元震で地球が…

・フェイト信者ななのはさん
 その信仰心と布教活動は、何処から見ても外人なユーノに日本語で話しかけるほど

 読者へのヒントその①

・フェイトがほとんど植物人間に、クロノも左腕を…
 2人とも、動けないところをヴォルケンリッターに蒐集され、特にクロノはこれがトドメ、戦線離脱。

・キャロとエリオの保護
 事務員では保護できず→結界魔導師になった後では間に合わなかった。

 『そのなな のまえに』での仮説から

 ユーノが司書長→研究対象であるロストロギアがたくさんあった。
 ユーノが事務員→積極的に研究対象を探していた。+植物人間フェイト獲得済み=エリオとついでにキャロも魔の手が…

・ヴィヴィオ保護→洗脳されたSSSフェイトに攫われる。
 ちなみにSSSエリオくんも存在している。

 キャロとルーテシアは仲良しで、巨大怪獣召喚!召喚!

・ナカジマ姉妹にデバイス→戦闘機人3人捕獲
 実際は激戦であった。スバルは右腕を半壊&瀕死の重体、ギンガも重症を負っている。
 捕獲されたのは5番目、10番目、11番目

・ユーノも2人捕獲
 2番目は『脳みそ』を殺す前。
 6番目は2番目の代わりに殺した後。


●三回目の世界
・ジュエルシード全て封印→秘匿→落ち着いてから発見したことに
 フェイト&アルフと戦える力の無いユーノくんのとれる最良だと思った。

 その結果が守護騎士の不殺の誓いを壊し、フェイトの心を復讐心に燃え上がらせることに。塞翁が馬。

・ジュエルシードを安全に保管するためと今後のために封印魔法の研究を進める
 
 『僕の自慢の封印魔法』を作り上げた。『ユーノ達』大注目!

 前回、ナカジマ姉妹が戦闘機人を3人捕獲していることが嬉しくて、デバイスの研究をした成果でもある。

・闇の書が一回目の世界同様の流れでスカさん側に


●四回目の世界
・スクライアの大人は管理局を信頼している。

・レイジングハートと仲良し。だけど実は、そのままでは使えないので結構弄っている。

・<僕は二回目を忘れません。海鳴が酷い状況なのに無視し、
  そのうえ怪我しているなのはさんや重症負ったクロノさんからの蒐集を黙認したあの2匹のことを…>

 二回目の世界で蒐集されたのはフェイトとクロノ、『ユーノ達』の思考誘導によって被害者を誤認している。

 読者へのヒントその②

 感想で、ここ、おかしくね? とかいわれたらどうしようと内心ビクビクだった…
 誰も気付かなかった…のではなく、優しい心でスルーしてくれたのだろうと思うことにした。

・<「認めたくないものだな、若さゆえの過ちという…」>
 感想で笑ってくれた人がいた。 この調子で頑張ろうと思えました。


●五回目の世界
・フェイト&アルフよりプレシアをどうにかしないといけないと気付く

・『まだ改良余地ある拘束魔法』
 ここで初めて名前が出る魔法。一回目の結界魔導師になった時から使っていた。
 もちろん、改良し続けているので、性能は回を増すごとに強化されている。

・プレシアさんがジュエルシード1個だけで虚数空間を発生
 ユーノくん最強の魔法『虚数空間結界』へのフラグである。

・SSSフェイトとの戦闘
 魔力SSSのトリックがジュエルシードであると知る。

 ユーノ『八重高硬度拘束結界』→フェイト『ジェットザンバー』

 この間にフェイトの何処にジュエルシードがあり、どんなシステムでブーストされているのか大まかに把握。

・『虚数空間結界』の発動
 ユーノくんは死ぬが、この世界の平和は守られた。
 『ユーノ達』にとっても初の快挙であった。


●六回目の世界

・フェイトを思考誘導する。 『思考誘導』という言葉が初めてでる。

 読者へのヒント③

・ジュエルシードでブーストされた『僕の自慢の封印魔法』で闇の書を封印。
 『ユーノ達』にとって残念な結果。ユーノ単独で使えるようにして欲しかったのです。

・フェイトが子供達を保護
 ユーノにとって嬉しい誤算。

・ゆりかごを消滅→スカさんの戦力全員ジュエルシード埋め込み
 元々不満が溜まっていたスカさん、ゆりかご消滅でやけっぱちになったのでしょう。


●七回目の世界
・のまえに
 これまでのまとめ、『ユーノ達』からの『思考誘導』の方向が変わったということ。

・ジュエルシードの発見個数をごまかすとスクライア一族が滅ぶ?
 可能性の話。プレシアがどこまでジュエルシードの情報をもっていたのか? うかつなことはできない。

・はやてを戦力に
 その方法は簡単だと書いたが、実はその後に地獄を見た… 外伝を待て

・ホワイトボードを持ち込んでの
 子供に説明するなら言葉だけでなく文字や図解なども必要では? という発想

・<そういえば、クロノさんがデュランダルを使っているのを見るのって初めてだ>
 これまでの世界でクロノも戦力アップしてなかったことがここで判明するのでした。

・デバイスに詳しい
 レイジングハートと会話しているから、そこに気付く人がいるかもと思ったがそんなことはなk…

・スバルは機動六課にいる
 最初から結界魔導師として働いている時は災害救助隊にいたという…

 事務員でもあんな結界を使えるようになるんだ!で事務員に
 流石は結界魔導師! 私も私なりのやり方で人を救う人になる!で災害救助隊に

・仮説が正しい可能性が強まる。

・スカさんに拳でお礼
 ヴィヴィオを攫ったお礼といっているが、これまでの鬱憤もあった模様。

・4番目に…
 実は、『ユーノ達』によって『前に出る』よう思考操作されていた。

 高速で動くSSSフェイトと戦えるユーノが、バリアジャケットを強化しているユーノが、負けるほうがおかしい。


●八回目の世界
・『ユーノ達』によって真実に『気付かされる』

・PT事件でプレシアさんを殺さない
 『繰り返しているユーノ』でないとできないから

・ザフィーラと『まだ改良余地ある拘束魔法』を共同研究
・<前回と違うことは、ザフィーラさんの防御能力が高いこと。僕との共同研究が役に立ったみたい。>
 拘束魔法の研究でザフィーラの防御力が上がるのは…

 読者へのヒント④

・『ザフィーラさん涙目』
 拘束魔法である。 個人的に、こんな名前の魔法で拘束されるのはすごく嫌だ。

・『改良余地無き拘束魔法』
 ザフィーラとの共同研究の結果

・「《八重高硬度盾》あたーーーっく!」
 ユーノ初の攻撃魔法。 その威力は凄まじい。

・<…面白い。>
 『思考誘導』が解けたからか、魔法を作り上げたからか、クロノやフェイトなど、人をからかう余裕がでた。

・<『―――――――――――』>
 文字数でわかっちゃった人が結構いるだろうなぁ


●ユーノ達
・ジュエルシードを回収しきることができずに死んでいったユーノ・スクライア達
 ジュエルシードは願いを叶える、しかし、これはユーノ達が望んだような形ではないだろうなぁ…

・<「君は子供だし、何よりもうこんなことはしないだろう?」>
 「もうできないだろう」という意味も含まれていたりいなかったり


●最終回
・たくさんの「かぎかっこ」
 『ユーノ達』の被害者、全員主人公と同じ『憑依でループ状態』
 しかし、主人公に比べて『思考誘導』は軽い というか、主人公への『思考誘導』が重い。

・なのはとの会話
 なんか、なのはを出せという声が聞こえたような気がして…

・『とあるフェレットの憂鬱』
 ある意味究極の魔法。
 名前はこれだろうと気付いた人は結構いるだろうなぁ…



・・・



読者へのヒント①~④と各回の冒頭部で

『高町なのはが戦えない』『ユーノ達による思考誘導』

この2つを推理できるようにしていたつもりだったのですけど、


読み返して思った、これだけでこの2つに気付くのは無理だ…



●おまけ
・『ジュエルシードを使っての簡易ブースと』『虚数空間結界』
 その威力はすさまじく、本当ならジュエルシードの個数、21回ループする予定だったユーノくんが
 わずか8回のループで物語を終わらせてしまうことになる。

 気が付いたら、月の力を得て万全な状態のゆりかごを1人で消滅させるんだ… これは駄目だと思ったね。



さあ、次は外伝だ。









090725/チラシの裏に初投稿
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[10392] ガイデン ソノイチノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:37



―――『インタビュー』―――



嫌な上司がいたんですよ。

ソイツは、ハゲでデブで、何かとセクハラしてくるはっきり言って嫌なヤツでした。
そのうえ新人をいびるのが趣味で毎年来る新人は殆ど残りませんし、古参である私達も辟易してたの。

そんな時、あの子がやってきたのよ。 そう、ユーノ君。

彼が来てから、それまでの暗い空気が嘘のように…、こほっ、こほっ、

とにかく、私達は彼を大切にしたのよ。 久しぶりの新人で、かわいい男の子だったから、大切にしないわけg…、
こほっ、こほっ、ん、ん。 とにかく、あのクソオヤジはそれが気に入らなかったみたいでね?

ある日、ユーノ君にこう言ったの。


「君、ちょっと無限書庫に行って資料を受け取ってきてくれない? 昨日頼んどいたから、受付に聞けば渡してくれるよ」


ええ、そうなの、あのクソオヤジ、『資料請求して三ヶ月後に資料が届く』ことで有名な無限書庫にユーノ君をお使いに行かせたの。

私達はすぐにわかったわよ、ああ、またいつもの嫌がらせが始まったって…

でも、ユーノ君はその日のうちに資料を持ってきちゃったの。 不思議でしょ?
あのクソオヤジすっごく驚いてね、で、味をしめたのか、その日から資料請求を全部ユーノ君に任せちゃったの。

私達ユーノ君に言ったのよ、「あんなやつの言うことなんて」って、そしたら…なんていったと思う?


「あの人は出世したいみたいですから、さっさと出てってもらいましょう?」


もう、ね、すっごくかっこよくってね、私もう…



・・・



「え? 資料はまだ出来上がっていない?」
「はい。 その資料の請求は確かにありましたが… なにぶん、こんな感じですので…」


そう言って私が顔を横に向けると、彼もつられて同じ方を向きました。
そこには忙しそうに飛び回る人、人、人…


「すごく、忙しいんですね…」
「はい、ですので、資料が集まるのは三ヶ月は待ちとなります。」
「! あー、これがあの人達の言っていた新人潰しってやつか…」
「はい?」
「いえ、なんでもありませ… あ!」
「?」
「ウチの上司が頼んだ資料、僕が探してもいいですかね?」
「え? ええ、それはかまいませんが… 大変ですよ?」
「とにかく、1回やらせてくれませんか? 無理なら帰りますから…」
「はい、それではこちらへ…」


そんな感じで彼は無限書庫に入って… 本当に、すごかったんですよ… 
私達がやる時の倍以上の速度で資料が… 私、感動しちゃいました。

それで、三ヶ月待ちの資料を3時間で集めちゃって…


「資料、全部みつかりました。では、僕はこれで」


って何事も無かったみたいに… その日以来、あの部署からは資料請求じゃなくて彼が来るようになったんです。

え? 無限書庫の利用許可証? ええ、渡しましたよ? え? ああ、ちゃんと正規の手続きをしてますよ。

知ってます? あの空港火災で彼が人命救助活動できたのは、無限書庫で結界魔法の資料を集めて研究してたからなんですよ?



・・・



「ああ? ユーノのやつがどんなやつかって?
 あいつはなかなか… いや、かなりすごいやつだぜ?」

「そうです! ユーノさんはすっごいんです!!」

「あいつオリジナルの結界魔法な、俺達の部隊が全員でかかってやっと壊せるんだ。」

「すっごいんですよ! あの空港火災の時、ずがががーん!!って壊れる壁をどがーーんってシールドで!!」

「すまん、こいつユーノのことになるとあつくなっちまってな、話は後にしてくれねぇか?」

「それで、ユーノさんの結界魔法がこうばああああんっt」

「おい、スバル! おめぇももういい年なんだからそんな話かt



・・・



暗い部屋に、ドゥーエから届いた映像が流れる。


「これが、ユーノ・スクライアについての?」
「…はい。」



沈黙が痛い…



「? どうしました?」
「最後に出てきたあれは… タイプゼロ…?」
「タイプゼロ?」
「ふむ、少し調べてみるか…」


暗い部屋に1人、残される…


思い出されるのは、空港火災の時…
彼の使った結界魔法は凄まじく、予想された被害を半分に抑えた…


「空港火災に現れた英雄、結界魔導師ユーノ・スクライア…

 あの結界魔法は… 絶対に私達の邪魔になる…」



・・・



①ユーノが所属していた部署の事務員
 俗に言うショタコン

②無限書庫の受付
 人手不足で『受付もしている』が正解。本当は司書

③ナカジマ父娘
 スバルはゲンヤの部署で事務員をしている。

 「うちの事務もまともにできないやつがユーノと同じ部署で働けるわけがねぇだろ?」と言われて騙されている。

④スカさん側
 空港火災で頑張ったことから目を付けられた。

 これによりナカジマ姉妹がスカさんに目を付けられた。









090725/初投稿
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[10392] ガイデン ソノイチノニ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:38



―――『全てはあなたのために』―――



「まだ目覚めないのか?」
「ええ… 蒐集で少しはましになったけど…」


生体ポッドで眠り続ける子供がいる…


「目が覚めたら、こいつも私達を…」
「ヴィータ… それ以上は言うな」


4人の視線は自分達の主に向けられる。


「…行きましょう。 今の私達にはそれしかできない。」
「シャマル! でも!」
「気持ちはわかるが仕方あるまい…」
「でもよぅ…」
「主が目覚めれば、あの男の頼みを聞かなくて済むようになる…」
「ああ… この前の… 子供を攫ってくるような…」
「シグナム…」



「…行きましょう?」





「ああ… さっさと目覚めさせて、ここから出よう」



彼らは知らない…
主が目覚めた時に全てが終わることを…



・・・



「旦那? 目が覚めた?」
「ああ、もう大丈夫だ。」
「あ、駄目だよ。 もう少し休まなきゃ!」
「しかし…」
「…」
「…すまん」





暫くすると、寝息が聞こえてきた



「旦那…」



心地良い風が、木々を揺らす。
空には無数の星と大きな月。







少し強く吹いた風が、言葉を攫った。



・・・



ザン!!


「がっ! ぁ」


ドゥーエの体が少し震え、止まる。


「レジアス…」
「う… ぁ…」


ドゥーエの不意打ちで負傷したレジアスは、もう何も話せない。


「…シグナム、アギトを頼む。」
「旦那!?」
「お前はどうする?」
「コレを公表する」


デバイスを握る… その中には今回の事件の詳細な…



・・・



「シグナム!」
「! シャマルか、ユーノ・スクライアは…」


その言葉にうつむくシャマル


「そうか… やつ等が計画に邪魔だと言う結界魔法、手に入れたのだな。」
「ええ…」
「シャマル、嘆くのは後だ… 今は、主のためにできる限りの蒐集を!」
「ええ、わかってる…」



・・・



世界が震える…



「なんだ…これは!?」



ゼストによって公表された事実に?



「きゃあっ!」
「キャロ! つかまって!」



管理局の艦が次々と落ちていくことに?



「ルールーも! しっかりつかまるんだ!!」
「ヴォルテール! 私達を守って!」
「白天王、おねがい…」



聖王のゆりかごが地上を攻撃していることに?



「すごい魔力を感じる…」
「! エリオ君! あれは!?」
「あれ? !! 成長してるみたいだけど、間違いない! あれはっ!」



そのいずれも違う。



「「「闇の書の主!!!」」」



世界が震えるのは、世界を滅ぼす力が目覚めたからだった!



・・・



「2つの月の魔力を受ける前に…」


闇の書の暴走により、2つの月が…


「月が… 砕けた…」


ゆりかごを制御するクアットロにとって… いや、誰にとってもそれは予想外であった。


「あれが目覚めることなんて… 絶対ありえn…」









ゆりかごとミッドチルダはその周辺世界ごと…



・・・



①闇の書の主と守護騎士達
 「闇の書に魔力を奪われすぎて意識不明になった」と言われ、主を助けるために蒐集を開始している。
 実際はスカさんが弄りすぎたから。

 生体ポッドから出すことができないので、渋々スカさんたちの『頼み』を聞いている。エリオとキャロを攫ったり…

②ゼストとアギト
 ルーテシアがいないのはエリオとキャロと3人行動しているから

③レジアス死亡→ゼストが知りうる全てを公表
 シグナムと戦う理由が無い

④ユーノを殺すついでに蒐集
 シャマルがその役を買って出た。
 主が目覚めても、スカさん達に利用されるだけだと考え付いたら蒐集しとくでしょう。

⑤エリオ&キャロ&ルーテシア
 エリオとキャロは洗脳済みであるが、この程度である。

⑥闇の書の主が目覚めないはず?
 管制人格が勝手に動いている。主は何も考えることができない。
 守護騎士が出た時に、「闇の書が起動してから研究したらよかった」とはスカさん談。

 Q1闇の書のことを『調べる』ことができなかったのは何故か?
 A1ユーノが無限書庫に入り浸っていて資料集めできなかった。
   だから管制人格が勝手に動くことまで調べることができなかった。

 Q2闇の書そのものを弄らなかったのは?
 A2考えられる理由は3つ
   1.闇の書は危険なロストロギアである。リスクが高すぎると判断。
   2.スカさんはデバイスに興味がなかった。興味があったらアギトを弄っているはずである。
   3.弄るだけ弄ったが管制人格に気付く前に飽きたり他の仕事が入ったりした。









090726/初投稿
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[10392] その後の短い話 そのいち
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:40



機動六課アースラ 八神はやての部屋


書類仕事に一区切りがついたので寝ようとしていたはやての部屋にフェイトが駆け込んできた。


「ユーノ君が病院を抜け出した?」
「うん、さっき先生から連絡が来た。 で、これも」
「なんや? ! これは…」


フェイトが見せたのはユーノ・スクライアが第97管理外世界に行ったという転送ポートのログであった。


「海鳴? なんでや?」
「わかんない、けど… 今回一番活躍したって言ってもおかしくないユーノが」
「事件の後片付けもせんと地球に行ったっちゅうんは…」


海鳴に今回の事件に関する何かがあるのだろうか?


「どうする?」
「…機動六課出動!って行きたいとこやけど…」
「情報が足りない…ね」


考え込む2人… 情報、情報、情報と言えば…


「そや!」
「!」
「「エイミィ(さん)!!」」


早速エイミィに連絡を取ることに



・・・



『え? ユーノ君? ユーノ君がどうしたの?』


2人からの突然の通信に驚くエイミィ


「あんな、病院抜け出してそっち行ったみたいなんよ…」
「もしかしたら、今回の事件絡みかもしれないんだ! そっちのほうd」

『ユーノ君なら今家にいるけど?』

「「え?」」

『翠屋でお菓子買って来て、今子供達と遊んでるけど? …事件絡みって?』

「い、いや、なんもないならそれでいいんや。」
「う、うん、何でもないなら… あ! ユーノと変わってくれる?」

『? いいけど… ユーノくーん! はやてちゃんとフェイトちゃんからー!』



待つこと暫し…



『待たせてすまない、ちょっと2人が離してくれなくて… で、何?』

「『で、何?』やない! 病院抜け出して何してんの!!」
「そうだよ! 時期が時期だけにそっちで何かあったんじゃないかって…」

『? ! あー、そういえば退院手続きしてなかっt』

「ちゃうわ! いや、間違えてはないんやけど、うちらが言いたいんはそんなことやなくて」

『…よくわからないんだけど?』

「はーー… もうええわ」
「…うん、なんか疲れた」

『んん? なんかよくわからないけど… お疲れ様?』

「「はーー」」

『???』
『ユーノ君、今のはユーノ君が悪いわ』
『僕が? え~と? …とりあえず、ごめんなさい?』

「ん、もうええわ、もうええから… はよ戻り、司書のみんなも心配しとるで?」
「ほんと、さっさと帰ってきて? こっちは忙しいんだから…」

『うん、わかった。 戻るよ。』



通信が切れる。



・・・



「ユーノ君…」
「無事だったね…」


「「よかったーー」」









090726/初投稿
090815/加筆



[10392] ガイデン ソノニノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:46



―――『普通の女の子』―――



「はぁ…」


あの人のことを思うと胸がときめき、思わず溜息がでてしまう。


「ふぅ…」


新聞の切抜きをスクラップブックに入れる。
記事はもちろん、あの人のことが書かれているものだ。


「あぅぅ~」


あの凶暴化した犬に襲われた時、「死ぬんだ」と思った…


「正義の魔法少女、フェイト…さん」


何処からともなく現れて… 黄色い光の刃で…


「もう一度… 会いたいなぁ…」





高町なのはの一日は、朝刊を父が読むより先に切り抜いて、1時間呆けることから始まる…



・・・



ぴぴぴぴぴぴぴっぴ


「え~っと、次の請求書は…」


ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴーーーー


「あーーー! もうっ!」


がん!


「あ! …誰も、見て…ないね、うん」


ぴっぴっぴぴぴぴぴぴっぴぴ


「…やっぱり電子音変えようかなぁ」


ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ


「…よし、あとはこれを」


ぴっ


「こ、これで…」


『すばる』


「ユーノさん」


『すばる』『すばる』『すばる』


「貰ったデバイスに記録しておいてよかった…」


『すばる』『すばる』『すばる』『すばる』『すばる』『すばる』『すばる』『すばる』『すばる』


「重症だな」
「うひゃっ!」



・・・



とある魔法実験場


「よーし、それじゃいくよー」
「うん」


2人の長い詠唱の後、ヴォルテールと白天王が召喚された。


「それじゃ、ルーちゃん」
「やろう」


どがあああん
どがあああああああん
どがっ
どががががが
どがあああああああああああん


2つの巨体が激しくぶつかり合う!!






「ガリュー」
「…」
「女の子って、こんな遊びが好きなんだね…」
「…」


エリオの常識が5下がった!
ガリューとの新密度が3上がった!



・・・



「パパー」
「なんだい?」
「フェレットさんになってー!」
「え」


娘のお願いに凍りつくユーノ…


「首を絞めたり、しっぽをモフモフしすぎたり…
 腕を間接と逆に曲げようとしたりしないって約束できるかい?」


棒読み口調で確認する。


「うん!」


元気いっぱいな返事に、「よし」と、フェレットになるユーノ

そして…





ユーノは空を飛んだ!



「ジャイアントスイングは予想外だった…」



・・・



①なのは(にとって)の普通の行動
 俗に言う『なのフェイ』である。

②事務員スバル(にとって)の普通の行動
 作者もここまで酷くするつもりはなかった。でも反省はしていない。
 なぜなら指が勝手に動いたからである。いい訳ではない。確固とした事実である。

③2大怪獣大決戦
 キャロにとってのエリオの位置は、ルーテシアにとってのガリューの位置… より低い。

 その位置にはフリードリヒが君臨している。

④ヴィヴィオの普通の行動
 親に甘えるのは子供の特権である。









090727/初投稿
090815/加筆



[10392] ガイデン ソノニノニ +α
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:47



―――『母への想い』―――



『正義の魔法少女フェイトちゃん』


新聞の一面に、私の大きな写真付きでそう書いてあった。


「アルフ、恥ずかしいから、それ片付けてよ。」
「いいじゃないか? この写真、白黒だけど、結構かわいく写ってるよ?」
「だから、そういうのが恥ずかしいんだって…」


アルフから新聞を取り上げたとき、私ではない女の子が小さく載っていることに気付いた。


「あれ? この子…」
「ああ、フェイトが助けた子だよ。あの翠屋…近所のお菓子売ってる店の子だったみたいだね。」



「高町なのはっていうんだ…」


なのはの写真の横には「もう一度会えたら御礼を言いたいです。」と書かれていた。



・・・



数日後、海鳴市近海の海上



「なんだい、お前は!!」


黒いバリアジャケットの男が私が苦労の末に海から取り出した6個のジュエルシードを奪った。


「僕は時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。 ロストロギア、ジュエルシードの回収に来た。」
「「!?」」
「君達が持っている残り15個のジュエルシードも回収させてもらう」
「な、なんで私達が15個もっているって…」
「ジュエルシードの発掘責任者が地球に一度来て、君達が回収しているのを確認した、と連絡をくれたんだよ。」


魔力切れでアルフに支えられている私に手を差し出し


「さぁ、抵抗せずに渡してくれ。ジュエルシードは危険なものらしいからな…」


偉そうに言葉を続ける局員。


「アルフ!」
「ああ!」


アルフが、万が一のためにと残していた魔力で、私達は逃げ出した。



・・・



「母さんの! 邪魔をするなぁあああ!!」
「君は利用されているだけだと! 何度も言ったぁああ!」


ざしゅ

鈍い音が、黒服局員の左腕を奪ったことを教えてくれる。


「さ、殺傷設定だとっ!」
「私は、あなたを殺してでも母さんのことを守る! 守ってみせる!!」
「くぅっ」


『ふっ… ふふふ』


「母さん!?」


『フェイト… h』


そこから先を、私は覚えていない。



・・・



「この人が?」
「そうだ、君と同じ、作られた存在だ。」


生体ポッドの中で眠るのは一人の女性だった。


「彼女には、数日前にジュエルシードという魔力の塊のような物を埋め込んだ。」
「魔力の塊を埋め込む? レリックのような?」
「ん、似たようなものだ。 目覚めれば… 最低でも魔力ランクSS+に届くだろう。」
「…それで、僕を連れてきたのは?」
「なあに、君にも同じ処置をしようと思ってね」
「わかりました。」


女性の… フェイトの隣の生体ポッドが音も無く開き…



・・・



「《まだ改良余地ある拘束魔法》」
「はぁっ!」


ばぎぃぃぃん!


「くっ、なら、《三重拘束結界》」
《プラズマスマッシャー》


ざしゅっ!


《サンダースマッシャー》
「くそっ! 《二重強化盾》」


ドンッ! バリィィィン!


変態マッドめ… 何をしたら魔力がこんなに馬鹿みたいにっ!


「がぁっ!」


地面に叩きつけられる


「母さんが望んでるんだ…」
「プレシアさんはすでに死んでるよ… ぐっ!」


腹を踏まれる… 何度も、何度も…


「母さんを守るんだ! 母さんが望んでるんだ! 母さんが! 母さんがぁああああ!!」


空には、おそらくゆりかごからの…


「ヴィヴィオ… すまない…」


光が…



・・・



①なのはの写真
 フェイトに助けられた後、病院で取材を受けた。

②クロノとの2度の戦闘
 一度目は撤退、二度目は殺傷設定。 しかし途中、プレシアに捨てられて、そのショックで動けない時にクロノの攻撃を…

③フェイトの隣の生体ポッドに入ったのは
 エリオ スカリエッティの言うことに逆らえないように処置済み

④ユーノVSフェイト
 フェイトは捨て駒。 スカさん側にはSSSエリオくんがいる。

○二回目はスカさん側の完全勝利で終わっている。



●ぼつねた



ミッドチルダを崩壊させた後、クアットロはヴィヴィオの傍に来ていた。スカリエッティが来るからである。


「聖王様、お父上が来ましたわ」


クアットロは、ヴィヴィオに『スカリエッティが父親』だと思うように処置してあったのだ。


「ヴィヴィオ、パパだよ!」


計画が上手くいったからか、スカリエッティは上機嫌であり、ふざけた態度でヴィヴィオに近づいた。


「…ぅ」
「?」
「聖王様?」


ヴィヴィオの様子がおかしい、本当ならスカリエッティに親愛の情をみせるべきなのに…


「ちがう」
「おや? クアットロ?」
「すいません、なにか間違えたのかm」


ドン!


ヴィヴィオから放出された強大な魔力がクアットロや、スカリエッティ、その場にいた他のナンバーズを壁に叩きつける。


「ちがう、ちがう、ちがうちがうちがう!」


放出される魔力の圧力はさらに強くなっていく


「ぐぅ… あ… ぅ」


1人、また1人と、押し潰されていくのに耐えられなくなっていくスカリエッティ一味


「な、なぜ? …あ、なたのお父、上で、すよ?」


何故こうなったのか、何がまずかったのか、何か間違ったのか… 思考を止めずにクアットロがそう訊ねる…


「ちがう! こいつは私のパパじゃない!」
「なぜ、そう、思、われる、ので、す? この、人は、確、かに、あ、なt」


さらに強まる魔力の圧力


「ちがう、私のパパは、もっと… もっとモフモフだぁああ!!!」


モフモフ? モフモフとは何だ?
クアットロの優秀な頭脳がその答えを出す前に、ゆりかご内部に生きているものはヴィヴィオだけとなった…



・・・



○暗い話を書いていると、気が付いたら書き上げていたんだ。









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[10392] その後の短い話 そのに
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2010/03/28 17:42


海鳴にて



「しっかし、いったい誰なんやろな?」
「?」
「ほら、ユーノ君が」
「あ!ユーノが『病院を抜け出してまで顔を見たかった人』?」


翠屋に向かって歩く2人の話題は『季節のスイーツ』から『謎の人物』に移る。


「ユーノ君とは結構付き合い長いけど、そういう話を聞いたんは初めてだったしな?」
「私も同じ、ユーノに好きな人がいるなんて今まで気付かなかったよ。」





魔力切れで倒れたのは仕方ないが、その後、事件の事後処理どころか病院の退院手続きもせずに海鳴に行ったユーノを2人は責めた。


「どうしても顔を見たい人がいたんだよ」


その際、ユーノが照れくさそうにこう言ったのだ。 相手は誰だと何度も聞いたが、ユーノは黙秘を貫いた。





「やっぱり、エイミィさんかな~?」
「え? エイミィ!? 駄目だよ、エイミィはクロノのっ!」
「奥さんやな~、まさかユーノ君の好みが人妻だったとは…」
「そんな…(ユーノが人妻好き? でも、そうだとすると、これまでそんな話がでなかったのも…)」



妄想するフェイト

『だめよ、ユーノ君、私にはクロノが…』
『わかっています。 でも、それでも僕はあなたのことが!』
『そ、それに、子供までいるのよ? ね、私のことなんて忘れt』
『エイミィさん!』
『ああ!』


がばぁっ、とエイミィを抱きしめるユーノ、そして2人は…





「エイミィさんでなければ、リンディさんやな」
「か、義母さん!?」
「年齢がわからん美人さんやしな? それに独身や」
「そ、そんな…(ユーノが義母さんを? あ、でも、あの義母さんのお茶を笑って飲んでいたような…)」



フェイトの妄想が止まらない

『ユーノ君、今お茶入れますからね?』
『ありがとうございます、リンディさん…でも、僕はお茶よりもあなたが欲しい』
『ユ、ユーノ君?』
『あなたが欲しいんだ、リンディさん… いや、リンディ!』
『ユーノ君… わかったわ、こんなおばさんでよければ…』
『リンディ!』


がばぁっ、と義母さんを抱きしめるユーノ、そして2人は…





「ま、ユーノ君は子供好きだから、カレルとリエラに会いにいったんやろな、お菓子持って」
「あ! そ、そうだよね、エリオやキャロ、ヴィヴィオともすごく仲がいいし」
「でも、病院抜け出してまで会いに行くやろか? いくら子供好きでも、おかしない?」
「え! そ、そうだね、確かにおかしいよ… エイミィも突然訪ねてきたみたいなこと言っていたし…」
「『子供』が『好き』なんやろか?」
「え? … … …! ええええ!!! そ、そそそそそそそれって」
「いやいや、私はユーノ君のこと信じとるで? 信じとるけど… なぁ?」
「そ、んな(ユーノが子供を? それじゃ、エリオやキャロの頭を撫でたり、ヴィヴィオを抱っこしたりしたのは…)」


フェイト、大妄そ…


「ぷっ はははは、フェイトちゃん、おもろいわ! 何考えてるか全部わかる!」
「え、あ! はやて、私をからかったんだね!!」
「フェイトちゃんの百面相が、面白いのが悪いんやー」
「なんだってー!」


逃げるはやてと追うフェイト、世界は平和だった。



・・・



翠屋

カランコロン♪


「「こんにちわー」」
「いらっしゃいませー」


看板娘のなのはがレジに立っていた。


「ひさしぶりやね、なのはちゃん」
「ひさしぶりだね、なのはさん」
「ほんと、ひさしぶりだね、はやてちゃん、フェイトちゃん」


ちょっとした挨拶と世間話を終え、ケーキを選ぶはやてとフェイト、そこに、


「あ、あのね、2人とも?」
「ん?なんや?」
「なに?」

『もじもじ』という言葉がぴったりな雰囲気でなのはが…


「ゆ、ユーノさんってどんな人か、お、教えてくれないかな?」
「「へ?」」


突然の質問に、それも、先ほど話題にしていたユーノのことを聞いてくるなのはに驚く2人


「べ、別にええけど…」
「なんでユーノ?」


なのはに訊ねる2人


「あ、あのね、この前ユーノさんが1人で店に来てね、その…」
「店に来て?」
「どしたん?」


「あ、『あなたの顔を見に来たんですよ。』って…」







平和だった世界に爆弾は落とされた。









090728/初投稿
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100328/脱字修正



[10392] ガイデン ソノサンノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:52



―――『仇』―――



時の庭園



侵入者を知らせる警報が鳴り響く


広場に駆けつけると、そこには


「あんた達、いっt」


侵入者4人組、その1人に不意を打たれて吹き飛ぶアルフ


「アルフ!」


私は壁にぶつかるアルフを見ながらバルディッシュをセットアップする。


「管理局の目の届かぬこんな場所に、これほどの魔力を持つ者がいるとは、幸運だな」
「そうね、かなり稼げそうだわ」
「ちゃっちゃと終わらそうぜ」
「そうしよう」


2人はデバイスを構え、1人はアルフのように狼型に変わる。


「バルディッシュ、行くよ」
《準備はできています。》


バルディッシュを構える


「この者の相手は私が」
「それじゃ、私達は奥にいr」


その言葉に私は思わず


「母さんの所に、行かせるかぁああ!!」
《ブリッツアクション》


叫びながら高速で切りかかる しかし

ガシィッ


「ほう、なかなかやるな」
「なっ!」


剣型デバイスの女はそれを簡単に受け止めた!


「紫電一閃」


ドガガアアアアアアア


私は吹き飛ばされ、


「がぁっ」


壁に叩きつけられる。


「今だシャマル!」
「ええ!」


おそらくは、シャマルと呼ばれていた女の魔法によって、私のリンカーコアが剥き出しにされる


「ああああああああああああっっ」





私は気を失い…













「あああああああ!!」


大事な人の悲鳴で目を覚ました。


「か、母さん…」


時の庭園は気を失う前とは比べるのも馬鹿らしいほどに破壊されていた。
侵入者4人もかなりの重傷を負っており、ハンマー型のデバイスを持っていた少女は倒れていた。


「ぁあっ!」


シャマルと呼ばれていた女が、突然両手でその顔を覆う


「シャマル?」
「ぁぁぁ」
「どうしたのだ?」
「こ、この人…」


青い狼が母さんの顔に鼻を近づける。


「む? ! まさか!」
「ザフィーラ?」


シャマルが震える声で


「こ、この人、は、しゅ、蒐集に耐え、られるような…」



・・・



隠れ家 フェイトの部屋



「フェイト!」
「はっ! はぁ、はぁ… アルフ、起こしてくれてありがとう」


また、あの時の夢…


「フェイト、本当にやるのかい?」
「…やる!」
「でも、ろくに眠れないせいで、体も弱ってるのに…」
「それでも、やらなきゃ」


時の庭園に残されていたデータベースから、闇の書のことを、あの4人のことを知った。


「私達を介抱してくれた、あの、母さんの知り合いの人には悪いけど、でも、絶対にやり遂げる。」
「…わかったよ。 私はフェイトの行くとこなら、どこにだって付いていくよ!」


おそらく、闇の書の主である八神はやて
そしてその周辺をうろつく謎の2人


「アルフ、私だけだったら、八神はやてを見つけることはできなかった… ありがとう」
「フェイト…」


隠れ家の窓から見える病院に、八神はやては入院している。
あの謎の2人が何者かわからない、もしかしたら守護騎士というのは4人ではなく6人なのかもしれない、それでも…


八神はやてが1人になった、その時に…




決戦の日は近い。



・・・



①守護騎士にあっさり負けている
 原作でも最初は負けているが、それよりもあっさり負けたのは、原作より戦闘経験がないから。

②<私達を介抱してくれた、あの、母さんの知り合いの人>
 ユーノのことである。もちろん、プレシアの知り合いではない。
 フェイトの戸籍などをどうにかしようと、いろいろと裏で頑張っていたのだが…

③どうやって八神はやてをみつけたの?
 時の庭園には様々な機能があるという作者の独自設定。
 例えば原作で、タイミングよく攻撃をし、ジュエルシードを奪った時などを考えてみる。
 プレシアの魔法で監視していたなら、結界の中を見ることはできるのか? できたとして気付かれないのか?
 少なくともそういう機能、またはそういう系統の魔法を補助する機能があるのでは? という考えから。







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[10392] ガイデン ソノサンノニ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:53



―――『天使に知って欲しいこと』―――



《守護騎士達は、もうすぐ666頁を蒐集し終わるようだな…》

彼女は、この時をずっと待っていた。



「きゃあ!」
「シャマル!?」


シャマルの手から闇の書が離れて、


「闇の書が、浮いている? 今までピクリともしなかったのに…」
「蒐集の効果がでたのか?」


宙に浮き、光りを放つ


「どうしたのだ? む! これは…」
「何があった? って、なんだ? 闇の書が?」


徐々に強くなった光が、空間を歪め


「あ、あれは…」
「主…?」
「闇の書が、主を強制転移したのか?
「いったい、何が始まるっt! なんだこれ!? 体が!!」


強制転移に使用した分と、書を完成させる分の魔力を守護騎士を蒐集する事で賄う。



・・・



守護騎士を蒐集し終え、主と融合した我は『聖王のゆりかご』を葬り去るため、まず2つの月を砕いた。


「《我はずっと見ていた。 見ていることしかできなかった。》」


両親と離れ離れになったあなたが、管理局の施設に預けられた時も


「《我は、我が動くことで、あなたにより酷いことがなされる可能性があったため、何もできなかった。》」


泣くことしかできないあなたが、ジェイル・スカリエッティの下に送られた時も


「《我は、我が動くことで、あなたにより酷いことがなされる可能性があったため、何もできなかった。》」


あなたが、ジェイル・スカリエッティに体を弄られていた時も


「《我は、我が動くことで、あなたにより酷いことがなされる可能性があったため、何もできなかった。》」





「《我はいつも、我が動くことで起こる、起こりうる様々な可能性のために…》」


砕けた月が、大地に落ちる。 ゆりかごが、月の破片と共に堕ちる。





「《世界は、滅ぶ… 我が、滅ぼす…》」


そんな心の無い我が、心の無いアナタに願う


「《アンジェラ》」


天使と名付けられるほど、あなたは愛されていた、せめてそれだけは――――――



・・・



①守護騎士を蒐集
 効率の問題もあるが、守護騎士に『主が決して目覚めない』ことを知らせたくなかったというのもある。

②闇の書はずっと見ていた。
 だから、スカさんの計画を知っていた。
 ソノイチノニで管制人格が2つの月を砕いたのは何故だ?という疑問を持った人への答えでもある。

③そのさんでヴィヴィオは保護したんじゃ?
 ソノイチノニでシグナムたちがエリオたちを攫ったように、ヴィヴィオを攫っている。ユーノは気づいていないが。

④アンジェラ
 闇の書の主の名前 作者オリジナルキャラ。 天使の名前にしようと思っていたが、わかりやすさでこれに。
 考えることもできず、ただ闇の書に魔力を送るためだけに生かされていた。









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[10392] その後の短い話 そのさん
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/07/30 21:49



海鳴にて



2人は走っていた。


「はぁっ はぁっ はやて!」
「はぁっ はぁっ なんや!?」


その手に翠屋で買ったケーキを持って。


「ケーキが崩れないように走るのって難しい!!」
「言うなフェイトちゃん! そんなん最初からわかってたことや!」


目指すは八神家、今日は『ザフィーラ完全復活パーティー』をする予定であり…


「あ!」
「今度はなんや!?」


目的の人物、ユーノ・スクライアもザフィーラへの快気祝いを持って来ているはずなのだ!


「タクシーに乗れば良かった!!」
「あ」



・・・



八神家



「この腕輪の部分はこんな感じで伸び縮みするので」
「形態を変えても問題ないということなのだな?」


ユーノはザフィーラにデバイスをプレゼントしていた。


「これがもっと早く出来上がっていれば、あそこまでの怪我をしないですんだんですけどね。」
「確かにそうだが… 無かったものは仕方ない。」
「それはそうですけどね…」
「なに、これからは俺も、お前の使う魔法を使うことができるのだ。 問題ない。」


その腕(前足?)に着けられたデバイスがキラリと光る。


「じゃあ、『ザフィーラさん涙目』を改名しないといけませんね?」
「うむ、そのふざけた名前を、『八重中範囲高硬度拘束結界』とでも改名するがいい。」


『八重』に『中範囲高硬度拘束結界』を発動するのが『ザフィーラさん涙目』の正体だったのだ。
(ちなみに、前身は『問答無用中範囲高硬度拘束結界』であり、『そのなな』で『五重』にして使っている。)


「デバイスの補助があれば、俺は『十重』に発動できるからな。そっちは俺が名前をつける。」


嬉しそうに笑うザフィーラ


「確かに、僕はレイジングハートの補助ありで『八重』が限界ですからね…」
《マスター、マスターが扱いやすいように改良してもいいのですよ?》
「ありがとう、レイジングハート。 でもいいよ、それ以上改造すると君の個性が失われるからね。」
《マスター…》


レイジングハートにとって、ユーノというマスターは不思議の塊であった。
突然自分のプログラムを弄ったと思えば、『僕の自慢の封印魔法』というそれまでの常識では考えられない魔法をインストールした。
それによってジュエルシードが全て封印できたおかげで、それが海鳴に堕ちた時も、被害が出ることは無かった。
また、自分が見つけた覚えの無いロストロギア『闇の書』を見つけており、八神はやてをその運命から救い上げ…

そして、ヴィヴィオに使ったあの、『自分の補助を必要としない』魔法でヴィヴィオを救った。


《(あなたは本当に…)》


レイジングハートにとって、ユーノはまさに不思議の塊であった。





「ユーノ君、ザフィーラ、デバイスの説明は終わったの?」
「ええ、インテリジェントデバイスなのに、カートリッジシステムを組み込んだせいで時間がかかりましたけど。」
「なるほど、フェイトちゃんのバルディッシュみたいにしたのね?」
「そういうことです。 カートリッジシステムは便利ですからね。」
「うむ、あとは起動して名前を付けるだけだ。」


ザフィーラが未だ名も無いデバイスを起動しようとした時


ばぁあああん!


八神家の玄関の扉が勢いよく開き!


ばごぉおおん!
「いたぁっ!!」
「あうっ!!」



その反動で勢いよく扉が閉まり、帰ってきた2人の頭に衝撃を与えた。









090730/初投稿



[10392] ガイデン ソノヨン ノカワリニ +加筆
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:56



―――『おわび』―――



大変情けない話ですが、「本編 そのよん」で主人公は序盤で死んでおります。
ですので、「ガイデン ソノヨン」は「ガイデン ソノイチ」や「ソノニ」と同じ様な、それより酷い結末になっています。
空港火災でナカジマ姉妹が死んでいたり… 正直書いていてこれは駄目だと思いました。

大変申し訳ございませんが、「ガイデン ソノヨン ノカワリニ」を投稿いたします。



※注意 これは『ユーノ達』とはどんな存在だったかをわかりやすく表現したものです。
    蛇足だと感じる人がかなりいるでしょうが、感想で良くわかってない人がいるようなので書き上げました。
    ですので、『かなり軽めなノリ』で描かれています。
    『ユーノ達』がどんな存在だったか想像できている人はスルーなり笑うなりしてください。





―――『蒼い世界で僕達は願う』―――



気が付けば蒼い世界に僕はいた。
僕の周りには、何百、何千、もしかしたら無限の人がいて、何かを願っていた。


「すいません、ここはどこですか?」


その中の1人にたずねる。


「おや? 新人さんだね?」


そう言った彼の顔は、


「あなたは… 僕?」


その顔は僕と同じ顔だった。


「そうだよ、僕は君と同じで『ジュエルシードに願った僕』だ。」


その言葉に、僕は僕のすべきことを知る。


「…ああ、そうか」

「もう自分が何をすべきか理解したね?」

「ええ、僕は… いや、僕達は…」



・・・



僕達は、『第97管理外世界にジュエルシードを回収しに行かなかった僕』に気付いた。


「参ったね、初めてだよこんな僕は」

「そうですね」

「これは、少し強めに『誘導』したほうがいいんじゃないか?」

「う~ん、あまり強くしすぎると、『発想力』と『個性』が失われるけど…」


僕会議が白熱し、結論が出る。


「それじゃ、罪悪感を持っているから、そっちのほうに『誘導』するってことで」

「それはいいね」

「よし、それじゃ」


僕達は願った。



・・・



「こっちの僕は何をしているんでしょう?」

「どうも、前回、地球に来たのはいいけどお金がなくて飢え死にしてしまい、お金をどう稼ぐかを考えたらしいです。」

「考えた末が『ヤクザの金庫から失敬する』ですか…」

「ああ、これは駄目だね、組に入ったばかりの人が疑われて殺されてしまった。」

「やりますか?」

「やっとこう」


僕達は願った。



・・・



「お、こちらの僕はずいぶんと好戦的ですね?」

「砲撃魔法を使うんです。 名前は… まぁ、微妙ですけど。」

「でも、『繰り返している僕達』の記憶からすると、威力のほうも微妙じゃないですか?」

「確かに、所詮は僕ですからね… でも、もう少し様子を見ましょう。 もしかしたらってこともありますし?」

「そうですね…」



『地球やミッドを救える』
『ジュエルシードを見つけた頃の僕に使える』


この2つが満たされるならば、どんな魔法でもいいのだから…







できれば『人を傷つけないで事件を解決できる』も含まれたほうがいいのではあるけれど…



・・・



「あー!!」

「考えはよかったんだけどね」

「『アースラに気付いてもらえる程度の次元震』なんて、そうそう起こせるわけもないだろうに…」

「彼らの『原作』知識からするとそう考えるのも無理は無いけれど…」

「『原作』ってかなりすごいよね?」

「おそらく、どこか別の平行世界の出来事を知る事ができるレアスキルを持った人達がいたんだろうけど…」



・・・



「『僕の自慢の封印魔法』?」

「これは、すごいんじゃないですか!?」

「『レイジングハートの補助』が必要なのは残念だけど」

「これは、素晴らしい。 僕達がこの『世界』から開放されるのも時間の問題かもしれないね?」

「あー」

「あー」

「あー」

「残念、ジュエルシードで次元震はさっき別の世界の僕が失敗しているのに…」

「この僕は少し強めに『誘導』しているんでしたよね?」

「少し『誘導』の方向を変えようか?」


僕会議が白熱する



・・・・



「フェイトと真正面から戦うのはきついね。」

「心意気は買うけどね?」

「勝っている僕もいるけど、アルフがねぇ…」

「フェイトがプレシアにジュエルシードを持っていくときに追跡したりしてアースラに報告するのが、今のところ有効だね。」

「でも、ナンバーズとの戦いまで行っている僕もいるしなぁ…」

「あれはすごかった。 まさかバインドして…」

「うん、あれはすごかった。」



・・・



「『虚数空間結界』…」

「なんという…」

「これは、ちょっと望んでいたのとは違うね…」

「でも、世界は救われたよ?」

「初めてだね…」

「確かに初めてだね」

「望んでいたのとはまったく違うけど… 評価できるよね」

「他にもいろいろ魔法を組み上げているし… レイジングハートの補助が必要だけど…」

「『誘導』はもう少しこのままでいようか?」


僕会議はやっぱり白熱する。



・・・



「『聖王のゆりかご』を完全消滅…」

「完全に方向性が…」

「ジュエルシードがこれを良しとするかだよね…」

「確かに…」

「これが、『ジュエルシードを見つけた頃の僕に使える』ようになったら…」

「できるようになっても、魔力が足りないから効果範囲は狭いし0.1秒も維持できそうに無いけどね」

「でも、そもそも、僕達の最初の願いが『ジュエルシードを集めること』だから…」

「虚数空間にジュエルシードを『直接自分の手で捨てた』場合、何が起こるかわからない…」

「そう、問題はそこだ」

「これは、『誘導』の方向性を変えよう。 他の僕達にどんな影響がでるかわからない…」



・・・



「どう?」

「うん、やっぱり、『誘導』であって『操作』ではないから時間はかかるけど、効果はありそう。」

「そっちの僕はどうなの?」

「駄目だ、お金稼ぐためにサーカスに行ってる。」

「あーらら」

「そっちも誘導の必要がありそうだね?」

「うん、こっちが終わったら…」



・・・



「よし、皆、準備はいいかい?」

「うん」

「そもそも、準備はいつでもOKだよ」

「気持ちの問題だよ」

「あー」

「無駄口はいらないから」



せーーーーーーのっ



僕達は『ジュエルシードに願ってしまった』願いを終わらせるために、とある1人の僕に『僕達』を『気付かさせた』。



・・・



●『ガイデン ソノヨン』で書こう思ったもの(感想欄からの要望に応えて)

ネタ
①スクライア一族について
 書いている途中で、作者独自の設定を説明しないといけないことに… 独自設定を語るのは感想が荒れるとかのリスクがありそうなのでボツ。

②虚数空間に捨てられた闇の書
 一年後封印が解けて、はやては死んでるので新しい主の元へ… オリキャラ設定は語ると以下略。

③ゲンヤ・ナカジマ
 空港火災で子供を亡くした独白。 酷い話なのでボツ。

④スカさん側
 順調に悪事を働いている。 原作でしていることとほぼ同じ。 書く事なし。

⑤結末は
 スカさん側が大勝利。
 闇の書の封印による一年の『ずれ』は、主を『アンジェラ』にしないという結果に導く。
 以後、世界は『常にそこにあるゆりかご』と『突然現れる闇の書』の2つの脅威を恐れ続ける…

○全体として酷い話であり、お話としてもぐだぐだ。 書くのも読むのも疲れるだけだと判断。


感想を読んで、改めて自分の文章力がないと思いました。 精進します。










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[10392] その後の短い話 そのよん
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/15 15:58



地球、八神家



はやてはシャマルに膝枕をしてもらいながら氷嚢を額のたんこぶに当ててもらっていた。


「あかん、頭のずきずきがおさまらへん。」
「あんなに勢いよく玄関に頭を打てば、そうなるのはしかたないよ。フェイトさんはまだ気絶しているし」


フェイトは狼形態のザフィーラの背中を枕にして、ヴィータに氷嚢を以下略。


「しかし、女の子はすごいね、気絶するような衝撃を頭に受けたのに、持っていたケーキは崩さないとは…」
「ユーノ君、そこは感心するところちゃう。 確かに自分でもすごい思うけど。」
「私が帰ってくるのがもう少し遅かったら、倒れていただろうしな。」
「そやね、ありがとうヴィータ。 ヴィータがおらへんかったら額だけやなく後頭部もたんこぶできとるところやった。」
「わ、私ははやての騎士だからな! はやてを助けるのは当然さ!」


そんなことを言っても、顔を赤くしていたらなぁ… とその場が和む。


「しかし…」


そう言って転がっている2人を見るユーノ


「なんや?」
「いや、ザフィーラさんの完全復活パーティーに来て、怪我人を診ることになるとはなってね」
「ごめんなさいね、ユーノ君、管理外世界で魔法を使うのはできるだけ避けたいのよ。」
「シャマルさんが謝ることじゃないですよ?」
「ユーノ君もシャマルも迷惑かけてごめんなー」


謝るはやてだが、そこに反省の色は見えない。


「それにしても、なんであんなに乱暴に玄関を開けたの? 建て付けでも悪かった?」
「あーーーそやtt いたたたたた。」
「駄目ですよはやてちゃん、今頭に響くようなことしたら余計痛くなります。」
「うううううう」
「あははははは」
「ぐぐ、何も笑わんでも…」


実は、そんな会話を交わしながら、ユーノはパーティーの準備を進めている。


「はやて、ハラオウン一家も来るんだよね?」
「そや、忙しいゆうてクロノ君は来られへんけど、他の人たちは来ることになっとる。」
「じゃあ、これで食器は一通りおっけーかな? 一応後で確認してね?」
「ぁーーぃ」


やる気のない返事を背に、ユーノはヴィータに訊ねる


「ヴィータさん、フェイトさんはどう? 一応、たんこぶ冷やしておけば大丈夫だと思うんだけど?」
「大丈夫なんじゃねーか? 訓練でコレより酷い衝撃を頭に受ける事だってあるだろうし…」
「ですよねー」
「…その言い方、気に入らねーな」
「うん、自分でもどうかと思った。」
「なら、もうするな」
「ぁーーぃ」


正直、少しムッとしたが、自分の主がしたのと同じ返事なのでぐっと我慢するヴィータ。 彼女も日々成長しているのだ。


「ぅ… ぅうう… う?」


フェイトが目を覚ました。


「まだ動くなよ? おめー、頭を打ったんだ、暫くおとなしく寝とけ?」
「ぁ、頭? 頭打ったの私?」
「ああ」
「わかった、大人しくしてる。」


経験が多いのか、ヴィータの言うことを聞くフェイト


「あ! フェイトさん、目を覚ましたんだ?」
「…ユーノ?」
「それ以外の何かに見えたなら、病院に行こう? 頭を打った影響かもしれない」
「くす、大丈夫、ちゃんとユーノに見えるよ。」
「ザフィーラさんとヴィータさんにちゃんとお礼をするんだよ?」


そう行って台所に行くユーノ 勝手知ったるなんとやらである。


「ザフィーラさん? あっ! いたたたたた。」


頭の感触がザフィーラであると気付いて大声を上げると共に、どけようしたフェイトの頭に、痛みが襲った。


「おとなしくしとけって言っただろ?」
「ぅぅぅぅぅ… ありがとう、ヴィータさん、ザフィーラさん」
「気にするな」
「ああ、気にするな」
「ぅぅぅ」


キィ ぱたぱたぱた…

玄関が『優しく』開かれ、誰かが家に入ってきた。


「ただいま戻りましt… 一体なにがあった?」


シグナムが見た光景は、


シャマルに膝枕されながら額に氷嚢を当てられている『パーティーの主催者』である主。
『今日の主役』のザフィーラを枕にしてヴィータに氷嚢を当てられている『お客』のフェイト。

そして、1人でパーティーの準備をしているこれまた『お客』のユーノであった。


「「「「「「おかえりなさい」」」」」」

「あ、ああ、ただいま」





パーティーが始まる3時間前のことであった。









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[10392] ガイデン ソノゴノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 15:30



―――『新しい家族』―――



キャロ



「私がパパと初めて出会った時、パパはフェレットモードでした。」



本局の保護施設に保護されて、暫くしてからでした。


「ヴォルテールを召喚してみてくれないかな?」


あの日、魔法の練習をするために練習場に着いた時、職員さんの1人にそう言われたんです。


「でも、私、制御が…」


色々言ったけど、結局断れなくて召喚することになったんです。
ヴォルテールは大きいから、いつも使っている場所より広い練習場に移動して、そこにパパが居たんです。

最初はなんでこんなところにこんな子がって思ったんですけど、


「はじめまして、ユーノ・スクライアです。」


って、二本足で立っておじぎしたので、職員さんの使い魔さんなのかなって…



そして、私は職員さんに言われたとおりにヴォルテールを召喚したけど、やっぱり制御に失敗しちゃって…

でも、パパはすぐに『六重動物保護用拘束魔法』でヴォルテールを寝かせちゃったんです。


「ふむ、完全勝利だね。」


パパは腰に手を当てて、寝ているヴォルテールの頭の上でそう言いました。

私がびっくりしていると、いつの間にか私の前に来ていたパパは、『ぼん』って人型になって


「それじゃあ、キャロさん?」
「は、はい!」


私は小動物が突然人間になったのと、ヴォルテールが負けたことで気が動転していて、


「今日から君の保護者になったから、よろしく!」
「… え?」


なにがなんだかわからないうちに、翌日にはパパが保護者になっていました。



・・・



エリオ



「僕の場合ですか?」



僕はあの頃、色々あったせいで荒れていたんですけど、ある日、あの映像を見る事になったんです。

最初はただの教育プログラムの一環で一般教養とかだと思ったんですけど…



『ふむ、完全勝利だね。』


はい、1匹のフェレットが巨大な竜に完勝する… 今キャロが話したときの映像でした。


それを見終わった後で、パパが来たんです。 フェレットモードで…


「僕が君に勝てば、僕は君の保護者になる。 僕が君に負けたらおとなしく帰る。」


そんなことを言ってユーノさんは、何か格闘技の構え(?)をしました。




僕は負けました。 というより、フェレットモードのパパを殴れる奴は人間じゃないです。

そうして、なにか、納得のいかないまま、僕はパパの子供になりました。


でも、いつの間にか、パパの事が大好きになってて…



・・・



ナカジマ家



泣き疲れて眠る2人を寝室へ運んだ後、ゲンヤは溜息をつく。


「お父さん。」
「スバルか…」
「私、頑張るよ… 頑張って、ユーノさんの分まで人を助ける!」


そう言って自分の部屋へ入る娘の、その目が腫れていた事で、堪えていた悲しみが溢れ出す。







「…ばかやろう」



・・・



①キャロ
 別にヴォルテールを抑えることができなくても保護者にはなれた。
 それでもあえてヴォルテールに挑んだのは、キャロに暴走しても大丈夫だと思わせるため。
 フェレットモードなのは少しでも魔力を抑えるためである。 原作を参照してください。

 フェレットモードには他にも有利な点が他にもある。
 シールドは人間状態だと直径2mくらい必要なのにフェレットなら直径50cmくらいですむ。 その面積の分だけ魔力の消費が抑えられる。
 小さいので小回りが利くというのも言うまでも無い。 そして何よりかわいい

 『六重動物保護用拘束魔法』という名前だが、実際は『対ヴォルテール専用拘束魔法』である。

②エリオ
 先に『フェレットVSヴォルテール』を見ていたので、『恐怖心』も持っていた。

③三回目の時には?
 大人には『空港火災に現れた英雄』というネームバリューを最大限生かし、2人にはフェレットモードでかわいさをアピール。

③何故ナカジマ家?
 ユーノが子供を引き取ると聞いて、後見人に名乗りを上げた。 空港火災で娘を助けてくれたお礼のつもりだった。
 ユーノは、三回目に保護できたのはナカジマ家の存在が大きいと判断し、五回目も頼む事にした。

 五回目では、ユーノが死んだ後2人を引き取った。









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[10392] ガイデン ソノゴノニ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 15:56



―――『一つの可能性』―――



面会室



「そうですか、ヴィヴィオは無事なんですね… よかった。」


ゲンヤ・ナカジマはフェイト・テスタロッサに会いに来ていた。


「おめぇさんに会いたがってたよ。」
「拘留・厳重監視13年でしょう? 会いたいけど…。」
「厳しいな。 常識とかを学ばせて、ある程度教育を受けてからでないと認められないだろう。」
「…私の体は、それまで持たない。」
「ジュエルシードが埋め込まれているから、か?」
「うん」


埋め込まれたジュエルシードはフェイトの体に負荷を掛け続けるのだ。


「ユーノが使った封印魔法で今は何とも無いけど… この封印は、持ってせいぜい1、2年でしょう?」
「ああ、肝心のユーノは死んじまったし… レイジングハートも修理するので精一杯で、データの復旧も『全力を尽くすが…』だとよ。」
「そうだろうね… あんなのに潰されたら、そうなるよね。」


今思い出しても理解できない魔法。


「俺は、いろんな『怖い』魔法を見てきたが、あれは…」
「あれは、根本的な何かが違うよね? 『怖い』ってレベルじゃない…」


ぶるっ とフェイトの体が震える




「あの魔法な、なんて言うと思う?」
「? わからないよ、あんな魔法初めて見たし、それに、ユーノが使う魔法は、その…」
「ああ、アイツは魔法に、かなり個性的な名前をつけるからな」


少し笑う2人



「『虚数空間結界』」


「え?」
「『虚数空間結界』って言うんだそうだ。 レイジングハートの壊れたデータにその名前があった。 おそらく、あの魔法の名前だろうよ?」
「きょすう… 虚数空間!?」


母が、自分を捨てて旅立った…


「もしかしたら… ユーノはおめぇさんを、母親と再会させたかったのかもしれねぇぞ?」
「…え?」
「わからねぇか? 次元震を起こさずに虚数空間を出現させるんだぜ?」
「ぁ!」
「安全に虚数空間を研究できるようになれば、おめぇさんの母親がどうなったかも調べられたかもしれねぇな?」
「ぁぁぁぁぁぁ」


震えながら小さな声を出す…




「わ、私が、ジュ、ジュエルシードさえ、なければってユーノ、を、逆恨みしてた、時に?」
「ああ」

「ユ、ユーノの発見した、ジュエルシード、で、ユーノ、を、く、苦しめようと、してたと、きに?」
「ああ」

「ゆーのは、わ、わたしのた、めに?」

「…かもしれねぇんだよ」


「ああああああああああああああああああ!!!」



・・・



①ヴィヴィオ生存
 聖王パワーで生きていた。 聖王状態であるが洗脳は解けている。 聖王教会預かりになっている。

②フェイトに埋め込まれたジュエルシード
 『僕の自慢の封印魔法』で封印状態であるが、魔法が解けたらフェイトの体は1年も持たない。

③フェイトは自主的にスカさん側に?
 ユーノを逆恨みしていたのをいいように騙され操られた。
 ユーノが空港火災の時に英雄として扱われたのも気に入らなかったらしい。

④ユーノにプレシアを探す予定があった?
 ユーノの事情を知らない、それでいて仲の良かったゲンヤがした推理。

 実際は『対ゆりかご』として研究されていた。が、アルハザードの技術にも興味があった。
 生き残っていたなら、虚数空間の研究をしていた可能性はある。

 そもそも、『虚数空間結界』や『ジュエルシードの研究』、その他の魔法は、無限書庫の知識だけでなく、
 三回目の時、誰もいなくなった『時の庭園』の『プレシアの研究データ』をありがたく頂戴した成果でもある。
 気づいた人は余りいないかもしれないけれど…。









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[10392] その後の短い話 そのご
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/01 20:52



海鳴 ハラオウン家



リンディはカレルに、エイミィはリエラに服を着せていた。
エリオはすでに着替えており、キャロはヴィヴィオの着替えを手伝っている。


「そろそろ行かないと遅刻しますよ?」
「「もう少しだからー」」
「「らー」」
「エリオ君、こっちは着替え終わったよー。」
「終わったよー」


何に遅刻するのかというと、八神はやて主催の『ザフィーラ完全復活パーティー』に、である。


「よし、お着替え終わり!」
「終わり!」
「こっちも出来上がり!」
「あがり!」


エリオがすでに玄関以外の戸締りを確認済みなので、家から出てすぐ玄関の鍵をかける。



・・・



とあるバス停から八神家への道



高町なのははリボンで包装してある箱を2つ持って歩いていた。

1つは母に頼んで作ってもらったクッキー(ザフィーラの顔の形)が入っており、もう1つには犬用玩具が入っている。

八神家には何度か行ったことがあるので迷ったりはしないのだが、心の中では迷っていた。


(どうしよう… こ、今回はザフィーラちゃんの怪我が治ったことのお祝いだけして帰っちゃおうかな?
 でも、はやてちゃん達が言うには、ユーノさんは忙しい人らしいから、今日を逃したらいつ会えるかわからないし…)


なのはは、ユーノにこの前の『顔を見に来た』発言の真意を聞こうか迷っていたのだ。


(そう! そうだよ! 私は翠屋の『看板娘』なんだから、『顔を見に来た』っていうのはおかしくないの…)


いいことに気付いたと、それまでやや下向きだった顔を前に向けるが…


(で、でも、『そういう意味』で『顔を見に来た』っておかしくないの… 『美人になったね』ってよく言われるし… お世辞かもしれないけど…)


再び真っ赤なってやや下向きになるなのはの顔… 傍から見たら変な人であるが、そんなことを気にする余裕が今の彼女には無い。



「あれ? なのはちゃん?」
「きゃぅっ?」


突然声をかけられ驚くなのは


「ひどいね、何もそんなに驚かなくてもいいじゃないか」
「ア、アルフさん! び、びっくりさせないでくださいよぅ」
「あははは、悪い悪い、でも、こんな所で何してるんだい?」


なのはは、今日はやてとフェイトが『ザフィーラ完全復活パーティー』のためのケーキを買いに来て、自分もそれに誘われたことを話した。


「へぇ、なのはちゃんも誘われたんだ」
「アルフさんもですよね? 一緒に行きませんか?」
「ああ、目的も道も同じなら一緒に行ったほうがいいからね? さっき1人で歩いてたなのはちゃんはきちんと前を見てなかったみたいだし?」
「ぁぅ」


一緒に歩く2人


「そういえば、その袋の中はお肉ですか?」
「ああ、ザフィーラの好物さ」
「やっぱり! お肉にするか玩具にするか迷ったんですけど、玩具にしておいてよかったです。」


犬用玩具よりは肉のほうが喜ぶんじゃないかと思ってもそれを顔に出さないアルフ


その時、2人の歩く横を二台のタクシーが走っていった。


「あれ? 今のはリンディさん?」
「子供達もいたね?」
「ちょっと急ぎましょうか?」
「そうしよう」


少し早足になる2人、なのはの鼓動も少しだけ早くなっていた。







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[10392] ガイデン ソノロクノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 15:53



―――『休日』―――



ミッドチルダ 遊園地



「さて、それじゃあ… クロノ達はあっちだっけ?」


ユーノは遊園地のイベント会場の方を指差した。 地図は一度見て覚えている。


「ああ、ヒーローショーに行く。カレルとリエラに激しい乗り物はまだ無理だからな。」


クロノは笑いながらそう言った。 久しぶりに子供達といられるので嬉しいのだ。


「そうだね… それじゃあ、ヒーローショーが終わる迄に激しいのは乗り終えておくよ。」


今日のアルフは大人フォームである。「子供が多いんだから保護者も多いほうがいいだろう?」ということらしい。


「ああ、わかった。」
「じゃ、後でね」
「「またねー」」


クロノ夫妻はその子供達と一緒にヒーローショーの会場に向かった。


「エリオくんとキャロさんはジェットコースターだね?」
「はい、すごく速くて人気だって聞いて、一度乗ってみたかったんです。」
「私は少し怖いけど… フリードリヒに乗れるなら大丈夫って聞いたので…」
「体が固定されるから感じは違うけど… 確かに大丈夫だろうね。」


フェイトはこの2人なら問題ないと判断した。


「エリオ君とキャロちゃんは私達が見ているから、3人はゆっくりな乗り物に行くといいわ。」
「ヴィヴィオは激しいのに乗れる身長じゃないからね」


そう言うと、リンディとアルフはエリオとキャロを連れてジェットコースターに向かった。


残されたユーノとフェイトとヴィヴィオの3人はリンディの提案に従って乗り物を選んでいった。



ユーノは前回の経験から、自分の休日とフェイトの休日が重なる時は、こうやって会ったり、遊びに行ったりすることにしていた。
もちろん、最初の頃はほぼ毎日会うようにしていたが、リンディの養子に入り、精神が安定したと思えてきてからは少しずつ会う日を減らしていた。

今日はユーノとフェイトだけでなくクロノの休日も重なったのでハラオウン一家+ユーノ&ヴィヴィオで遊園地に来たのだ。



お昼ご飯を食べ終えた頃に集合の連絡があり、全員が集合した。


「2人とも、ヒーローショーはかっこよかったかい?」
「「お父さんのほうがかっこよかったー」」
「…」
「…」
「クロノ、何したの?」
「いや、2人が攫われそうになってな…」
「…演出だろ?」
「つい体が…」


集合時、以外な事にキャロよりもエリオのほうが調子を崩していた。が、地球で言うメリーゴーランドやお化け屋敷、ミラーハウス等の様な物を巡ったので途中から調子を戻し、元気に走り回っていた。


「エリオ君は体が固定されると駄目な人だったんだね」
「そうみたいです… 僕だけなら絶叫マシンよりも速く動けるのに… 不思議です。」


夕方になり、久しぶりにクロノと遊べて嬉しかったのか、カレルとリエラははしゃぎ疲れて眠ってしまい、エリオやキャロ、ヴィヴィオも疲れ(というか眠気?)を見せ始めたので帰ることになった。



しかし…



・・・



「綺麗だね…」
「うん」


リンディ&エイミィの企みで、ユーノとフェイトは観覧車に乗る事になった。





「ユーノ」
「ん?」


窓から見える景色を見ていたはずのフェイトが、真剣な目でユーノを見ていた


「私は、もう大丈夫だよ?」
「!」
「本当にもう大丈夫だから… もし… もし同情で私のところに来ているんなら…」


2人の間に少しの時間が流れる


「フェイト」
「なに?」
「同情が無いと言えば嘘になる。」
「! ぅ、うん」


涙目になるフェイト


「でも、同情じゃない部分もある。」
「!」
「だけど、フェイトが嫌だと言うなら、もう関わらないようにするよ?」
「い、嫌なんかじゃない!」









「嫌じゃ、ないから…」



・・・



①ミッドチルダにハラオウン一家が?
 PT事件は即解決しているし、闇の書事件も起きていないので地球に住む必要も理由も無い。

 エリオとキャロはフェイトに保護された後ハラオウン一家に入っている。

②クロノ一家チーム→クロノ&エイミィ&カレル&リエラ
 絶叫マシンチーム→リンディ&アルフ&エリオ&キャロ
 のんびりまったり→ユーノ&フェイト&ヴィヴィオ

 総勢11人、最初書いたものは誰が何話しているのか作者でもわからなくなった。

③<「でも、同情じゃない部分もある。」>
 理由があるとはいえ、フェイトから母親を奪った、そして、それを隠している罪悪感。 …それと+α。









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[10392] ガイデン ソノロクノニ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2010/03/28 17:44

―――『彼が遺したモノ』―――



XV級艦船「クラウディア」 クロノ・ハラオウンの部屋


クロノは驚愕していた。

時空管理局地上本部が謎の集団から攻撃を受けたとの知らせを受け、出動の準備をしている時に、レイジングハートが目の前に転移してきたのだ。


《クロノさん、マスターからの遺言です。》


クロノは、敵の魔力はジュエルシードをその体に埋め込んだことが原因であるという情報と、


「『僕の自慢の封印魔法』… ユーノのやつ…」


この事件を解決する切り札を手に入れた。



・・・



管理局極秘地下施設 臨時作戦会議室



「構成が凄すぎて、バルディッシュの補助無しじゃ絶対発動できない」


クロノからの極秘通信により、フェイトや他の管理局の生き残りはユーノからの情報を得る事ができた。


「そうね、ユーノ君の発想は素晴らしいわ… 頭が痛くなるくらい。
 …生物の体内にあるジュエルシードを封印なんて、一体何を考えていたのかしら?」


リンディがユーノを褒め(?)る。


「このメンバーでこの魔法を使えるのはリンディ総務統括官とフェイト執務官だけですが…」
「私はこの『三重高硬度拘束結界』担当になるから、実質フェイトだけね」


リンディは他の局員達と作戦を練っていた。


「他の管理世界や聖王教会にも連絡を取れました! 作戦の援護を約束してくれました!」


その報告により、その場に居た全員が安堵の表情を浮かべる。



あらゆる作戦の基本は『各個撃破』である。

敵はSSSの魔力を垂れ流しているのでその位置を知るのは容易い。

群れからはぐれた、または味方の攻撃で飛び出させたところを、『三重高硬度拘束結界』で拘束し、『僕の自慢の封印魔法』でジュエルシードを封印、捕縛する。


「相手の魔力は大きいものの、構成があまり練られていないようですし…」
「ええ、計測できたデータから、敵がこの拘束から抜け出すには5秒はかかる… 3秒あればジュエルシードを封印できます。」
「もっとも、ジュエルシードを封印できても、相手は戦闘機人、なんらかの特殊能力がある可能性は高いわ。 注意は怠らないで。」


リンディのその言葉に皆が頷く


「キャロとエリオがフリードリヒに乗ってクロノからの通信を受けられなかった部署にデバイスを運んでる。
 他の足の速い局員も頑張ってる。 …敵が固まっていることは面倒ですが、こういう方法での連絡ができるのは不幸中の幸いでした。」



・・・



大勢の局員の前でフェイトが大声で叫ぶ


「高所から攻撃する事で、敵の砲撃を地上から空に向けさせ、被害を抑えます!
 それに、無駄に力を使わせれば相手は弱っていきます! 焦る必要はありません!
 確保するのも、確実に1人ずつです! 無理はしません! 私達が負ける事はありえません!!

 私達の手で、この事件を終わらせます!!!」


「「「「「「「「「「「「「「「おおおおーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」



















「ユーノの仇は、必ず私が…」

その呟きは誰にも聞こえず、そして誰も応えてくれなかったけれど…



・・・



①XV級艦船「クラウディア」へのレイジングハートを転送
 普通ならこんなことは不可能である。 爆弾とか転送されたら死んじゃうし…
 双子が大怪我や急病などをした時にそなえてユーノが色々していた。 結界魔導師として呼ばれたときとかに

 何故クロノに転送したかというと、地上にいる知人はすでに死んでいる可能性があるから。

②時空管理局地上本部が攻撃される? それに管理局極秘地下施設って?
 ユーノが結界魔導師としての用事で来ていた。地下施設は地球でいう核シェルターの様な物だと思ってください。

 実は、ユーノが『ゆりかご』を消滅させるところは『監視カメラのようなもの』で撮られていた。 貴重な物の管理はしっかりするよね…

 スカさんはユーノが見つけたジュエルシードで復讐する事にしたのです。 ジュエルシード21個全てを確保した上で…

③デバイスを運んでいる?
 『僕の自慢の封印魔法』が入っている。 インテリジェントなので数は少ない。
 レイジングハートは『補助』を主にしているのでその構成は完全なものではなく、フェイトクラスの魔力のある魔導師が『無理やり』使用する形となる。

 構成がユーノが使う完全なものなら、魔力の低い魔導師でもデバイス有りで使えたかもしれないが、SSS戦闘機人との戦闘の前線に出れるかというと…

④結果は?
 死亡者や負傷者等の人的被害はもちろん、その他も確認するのが嫌になるほどの被害が出た。 歴史に残る大惨事である。

 ゼストは体を壊していたのが原因で、局が何もしてなくても二週間で死亡。 その際アギトと融合解除している。
 アギトもその小さな体はジュエルシードの魔力に耐えられず、ゼストとの融合が解けて二日後に停止している(修復不可能)。

 ルーテシアはその魔力で無尽蔵の召喚をしていたが、クロノによる大気圏外からの攻撃で消滅した。
 攻撃してくる局員の動きを知るために、その隠れ場所を失くすために巨大なクレーターを作り、その中心にいたことが死亡フラグだった。

 ナンバーズを捕獲するのに三ヶ月かかった。 全員が事件発生から半年前後で死亡。 その殆どが『子供』だった…


 そう、肝心のスカさんは見つからず、ナンバーズの『古株』と共に逃亡中である。









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[10392] その後の短い話 そのろく
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 16:04



八神家



パーティーの準備は終わり、後はお客が来るのを待つだけである。


「これが、ユーノ君が基本設計したザフィーラ専用デバイスかぁ… よう似合ってるで」
「人型になっても大丈夫なように伸縮する仕組みがなかなか難しくて大変だったよ。 強度の問題とかで…」


待つだけでは暇なのでそんな話で時間を潰す。


「腕に着けているが、セットアップ時はどんな形になるのだ?」
「小手です。 カートリッジの装弾数は3ですね。」
「フォルムの、いや、モードの変化は?」
「ないです。 魔法の補助が目的ですから…」


ユーノの説明を真剣に聞くシグナム。
この場にいる誰が見ても、彼女が模擬戦を楽しみにしていることはバレバレだった。

これ以上この話を続けると模擬戦の時に巻き込まれると判断したユーノは話題を変える。


「リインは今あっちでメンテ中だっけ?」
「え? あ! そや、ザフィーラの『退院祝い』は六課全員で盛大にしたから、今回は諦めるて」
「アースラの中でそんなことしていたの…」
「退院後はこっちで養生したほうがええ思てな? ほら、アルフもおるし?」
「はやて… おじさんっぽいよ、それ…」
「ぬぁっ!」


ピンポーン♪


「皆さんいらっしゃったようですね。 ちょっと行ってきます。」
「じゃあ、ザフィーラはこっち座りなよ。 今日の主役だし。」
「ああ。」
「おじさんっぽい… ショックやわ…」
「フェイト、お前も起きて椅子に座れ、カレルとリエラに心配させたくないんだろ?」
「う、うん。 ありがとうヴィータ」



・・・



なのはとアルフ、八神家へ向かう道



「え? ユーノがそんなこと言ったのかい?」
「は、はい」
「『あなたの顔を見に来たんですよ。』ねぇ…」
「そ、それに、はやてちゃんもフェイトちゃんも、ユーノさんのことを『いつも仕事で忙しい人』で、『あまりこっちに来れない』って言うから…」
「今日、どういう意味だったのか聞きたいんだね?」


なのはが頷く。


「ユーノは、不思議な奴だからなぁ…」
「不思議?」
「ああ… 不思議だ。」


アルフが、朱色に染まり始めた空を見上げる。


「ユーノのことはさ、誰に聞いてもよくわからないと思うよ?」
「え?」
「私も知り合って10年くらいになるけど、言えることは2つだけだ。」
「な、なんですか?」


アルフはなのはの前に出て向き合い、右手人差し指でなのはの額を軽く突っつく。


「ユーノは不思議で、イイヤツだってことだよ」



・・・



八神家 玄関前



ピンポーン♪


呼び鈴を押すアルフの隣でなのはは少し緊張していた。
家の中からは笑い声が漏れ聞こえる。


キィ


玄関が開き、シャマルが出迎えた。


「ただいまー。」
「おかえりなさいアルフさん、呼び鈴なんて押さなくても中にはいっt… なのはちゃん!?」
「こ、こんばんわ! きょ、今日ははやてちゃんとフェイトちゃんに招待されてきました!」
「…はやてちゃんが呼んだの?」
「え、そ、その、お邪魔ですか?」
「聞いてなかったから驚いただけで、はやてちゃんが呼んだんならいいの、さぁどうぞ上がってください。」
「は、はい!」
「それじゃ、上がらせてもらうよ。」


2人が八神家に入った瞬間、


「アルフさん! 早くおいでよ! ザフィーr… え?」


目に入ったのは喋るフェレットだった。









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[10392] ガイデン ソノナナノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/17 22:20



―――『覚悟』―――



「でもな、ユーノ君、これは…」
「事実だ…」
「これは、これは酷すぎるで!」


今、私の目の前には…。



・・・



辺境世界へ移動時、アースラ 八神はやての部屋



「あれ? ユーノ君?」
「ちょっと、中に入れてくれないかな?」
「ええけど…」


お茶を出して、机を挟んで向かい合う位置に着く。


「それで、今日は何のようなん?」
「ちょっと、はやてさんにこれからの事で…」


そう言ってユーノ君は持って来ていた水筒を机の上に置いた。


「何なん?」
「何も聞かずに、これを飲んでみて欲しい。」


ユーノ君は私の返事を聞く前に水筒を空け、何かどろりとした緑色の液体をコップに入れた。


「なぁ、ユーノ君?」
「何も聞かずにぐいっと」
「あんな、ユーノ君?」
「何も聞かずにぐいっと」
「でもな、ユーノk」
「何も聞かずにぐいっと」
「これ、さと」
「何も聞かずにぐいっと」
「無理やああああああ!」
「ぐいっとおおおおお!」



はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ



言い合いの後、咽が渇いたのか、ユーノ君は私が出したお茶を飲んだ。

私も咽が渇いたので、私の分として入れておいたお茶を飲んd


「ぶふぉおお!」


「ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!…





暫くお待ちください





「こほっ、こほっ、な、なんでなん? なんでこんなひどいことするの?」


私の質問に、ユーノ君は天(天井)を見上げ


「君のためなんだ…」


そう言った。


「なんでやねん」
「君のためなんだよ…」


お、漢泣きやと!


「リンディさんの、リンディさんのお茶は… これの3倍甘いんだ」



これが冒頭までの経緯



・・・



「酷い…」
「そうだね… リンディさんのお茶は…」
「ちゃう」
「え?」
「ユーノ君の嘘が酷いねん」
「なっ!」


ユーノ君は私の言葉に目を大きくした。


「見たことあんねん、ユーノ君がリンディさんとお茶飲んでるとこ…」
「む?」
「ユーノ君、笑いながらリンディさんの出したお茶飲んでたやないか!」
「…ふっ」


なんや、その不敵な笑いは?


「僕は、結界魔法や拘束魔法が得意なんだよ?」
「…それが?」
「リンディさんのお茶を飲む時、僕は舌に『味覚九割減』の魔法をかけているんだ。」
「なぁっ!」


ユーノ君はいつの間にか水筒の蓋を閉めて、席を立っていた。


「まぁ、これで、リンディさんのお茶に、少しは耐性… 耐性? …まぁ、覚悟はできただろうから、僕はこれで」


そう言って部屋から出て行き…





その日のうちに、私はユーノ君に感謝した。



・・・



①リンディ茶
 ユーノはリンディと関わる度に飲んでいる。 初めて飲んだその日に『味覚九割減』を構成した。

②『味覚九割減』
 拘束魔法で舌の味覚を鈍くし、結界魔法で歯と歯茎などを守る。

③感謝?
 耐性はできなかったが、事前に知る事ができたことで、驚きを顔に出したり、噴き出したり、吐かずにすんだから。









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[10392] ガイデン ソノナナノニ
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Date: 2009/08/06 21:14



―――『相棒』―――



ミッドチルダ 某所に向かう車内



《私は、あなたがわからない。》



あなたは私を目覚めさせた。

母を亡くしたフェイトさんを慰め、はやてさんとその家族を救いました。

融合型デバイス、リインフォースⅡを生み出す手伝いをしました。

私の性能を100%使用する事もできるのに、私の人格を優先してそうしませんでした。

JS事件で一番活躍したのもあなたと私だった。


《ユーノ…》


私に残っていた、あなたが組み上げた魔法で、ヴィヴィオは体内のレリックを封印し、無事取り出すことができました。

あの子はあなたに会いたがっていた。

あの子だけじゃなく、フェイトさんやはやてさん、ハラオウン一家にナカジマ一家、他にも多くの人が、あなたに…








《あなたはいつ、どうやって、『虚数空間結界』を生み出したのでしょう?》


私は、いつもあなたと一緒だったはずなのに…



・・・



ミッドチルダ 某所 見晴らしのいい丘



「レイジングハート、本当にこれでええの?」
「…ねぇ、考え直さない? 私と、ううん、私じゃなくてもいいから…」


《すいませんが、決めたことですから。》


はやてさんとフェイトさんが何度も同じ事を聞いてくるけれど、私の思いは変わらない。


《2人の協力で、ヴィヴィオの体内のレリックコアも封印して取り出せました。 きっと、ユーノの最後の願いはそれだけだから…》


「レイジングハート…」
「ぅぅぅ」


《泣かないでください。 私は、私の役目を終えただけです。》







JS事件から数ヵ月後、ユーノ・スクライアの相棒、レイジングハートは彼の墓に入り、その機能を完全に停止した。



・・・



①レイジングハート
 自分の人格を気にして改造しなかった事がユーノの死に繋がったと考え、せめて『相棒』として『同じ場所』にいようと思った。

 『虚数空間結界』の構成を洩らさないようにするためでもある。
 『ソノゴノニ』で管理局が壊れたレイジングハートを修理、データ復旧しようとしているのも…

②ユーノの墓
 ユーノがスクライア一族に帰るつもりがないことを知っていたレイジングハートが頼んだ。









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[10392] その後の短い話 そのなな
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/06 21:16



その日、フェレットは光った!


「『一般人気絶魔法』!」


一般人気絶魔法とは、魔法が普及していない管理外世界などで一般人に魔法を見られた時に使う緊急事態時用魔法なのだ!



・・・



八神家



「ぅ、ぅうん」


なのはが目を覚ますと、目の前にユーノの顔があった。


「ふぇ! あ」


慌てて起き上がろうとするなのはの頭をユーノが優しく押さえた。


「急に起き上がっちゃ駄目だよ?」
「は、はい! …て、あれ? ここは? それにフェレット…」
「フェレット?」
「はい、喋るフェレッt… あ…」


優しく頭を撫でられて、静かになるなのは… そして、ソファーに横になってユーノに膝枕されている事に気づいた。


「なのはさん、君はこの家に来た途端、貧血で倒れたんだよ?」
「え? 倒れた? 貧血で?」
「そうだよ? ね、アルフさん?」
「ああ、玄関に入った途端、がくってね? 本当にびっくりしたよ。」


ザフィーラに抱きついているアルフがユーノの声に応えた。


「ほらね? たぶん大丈夫だと思うけど、もし明日以降気分が悪くなったりしたら病院に行くんだよ?」
「はい、わかりました。」
「それじゃ、ゆっくり起き上がって…」


ユーノは自分の魔法で気絶させたので、膝枕をして様子を見ていたのだ。
ちなみに、貧血の時に膝枕は手当てとして普通しない。気になる人は自分で調べよう!

席に着くなのはとユーノ


「ほな、もう一度乾杯しよか!」


なのはが目覚めるまで正座していたはやてが音頭をとる。
はやてとフェイトの2人は、なのはが来る事を誰にも言ってなかったことで説教を受けていたのだ。
フェレットユーノだけでなく、人型のザフィーラを見られてもその時点でアウトなわけだし…

ちなみに、何故ユーノがフェレットになっていたのかと言うと、子供達からのリクエストに応えたからである。



パーティーが再開する。



・・・



カレルとリエラの双子と遊ぶヴィヴィオ

ヴィータはエリオやキャロと体を動かすTVゲームで勝負している。

子供達の様子を見ながらリンディとエイミィはシグナムやシャマルと雑談をする。

アルフはザフィーラに肉を「あーん」と食べさせている。

はやては主催者としてお菓子や飲み物をそれぞれに配り、フェイトはその手伝いを始めた。

ユーノは、皆が楽しそうにしている中で、先ほどまでフェイトと話をしていたなのはが静かな事に気付いた。


「なのはさん、どうしたの? 楽しくない? それとも気分が悪い?」
「いえ! そんなことはないんです。 ただ、いいなぁって」
「いいなぁ?」


こくん、と頷くなのは


「わんちゃんの怪我が治ったお祝いをこんなに盛大にするのって… みんな、ザフィーラちゃんの事が本当にが好きなんだなぁって。」


確かに、犬の快気祝いでここまでするのは珍しいかな?と思うユーノ… !何かを思いつく


「くすくすくす」
「何か、お、おかしかったですか?」
「ん~ん、そんなことないよ?」


そういって、彼はヴィヴィオ達の方に声をかける


「ヴィヴィオー! ザフィーラのこと好きかーい?」


すると、


「好きーーー!」


元気いっぱいの答えが返ってきた。 続けて、


「カレルとリエラはー?」


双子にも聞くと


「「すきーーー!」」


こちらもまた元気な返事が返ってくる。 すると、


「僕も好きですよー」
「私も好きですー」
「ザフィーラは家族だからな!」


エリオ、キャロ、ヴィータが続き、


「あら、私もザフィーラのことは好きよ?」
「私も私も!」
「大事な家族だからな」
「ええ、私も好きですよ?」


リンディ、エイミィ、シグナム、シャマル、


「うちも大好きやー!」
「私も好きだよ」


はやてとフェイトも続けて答えた。


「僕も、ザフィーラは好きだし… なのはさんも好きですよね?」
「え、は、はい!」


なのはは笑顔でそう答え、


「私なんか、好きどころか愛してるよーー」


ザフィーラに抱きついて離さないアルフがそう締めた。


パーティー会場である八神家が笑顔と笑い声で溢れる。









「(なんだ? これは? 何かの罠か?)」


ザフィーラは混乱している。









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[10392] ガイデン ソノハチノイチ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/18 22:36



―――『計画(ぷろじぇくと)』―――



リインフォースが消えて、暫く経ったある日


「そうか… やっぱりこの時がきたか…」


ユーノは、はやてからの連絡にそう呟いた。


『やっぱり? やっぱりって何や?』

「…いや、なんでもないよ、気にしないで」

『そう? でも、ユーノ君が嫌ならやめとくけど?』

「いや、やるよ。 やってやるさ…」

『細かい事はまた後で連絡するわ。 ほなな!』



通信が切れる



前回も、このくらいの時期に模擬戦があり… これが原因で地獄を見ることになったのだ。


『クロノ&フェイト&アルフ 対 シグナム&ヴィータ&ザフィーラ』


無限図書に就職が決まっていたので、結界魔導師としての実力を隠してもいいよね? と思って手を抜いたら…


結界壊されて、訓練場もぼろぼろに


お偉いさんに反省文書かされて、いや、それは事務で鍛えた書類処理能力で楽勝だったけど…

何かある度にその話をネタに馬鹿にされることになった。 それだけでなく、僕が司書長になった時は司書達まで馬鹿にされることに…

おかげで無限書庫で一番偉いはずなのにずっと肩身が狭かった。 …空港火災で人命救助して、『英雄』と呼ばれるまでずっと辛かった。



あの地獄の日々を避けるために…


「新型結界の研究のため、ジュエルシードを借り出ししたく…」


準備を整えるのだ!



・・・



模擬戦当日



「《強化三種八重結界》」


がぎぎぃいいいいん!


構成を練りに練ったうえに、ジュエルシードでブーストした結界で模擬戦場を囲った!


「ほぉ… 流石はユーノ、素晴らしい結界だ。 これならば安心して全力を出せる。」
「ジュエルシードを利用していますからね… この結界を壊すには次元震を起こせるくらいの力が必要ですよ。」
「ユーノ、今度の研究会でこの結界の構成を教えてくれないか?」
「いいですよ。」
「私も参加していいかい?」
「ええ、なんなら、アルフさんも研究会に入ります?」
「時間が合うときでいいなら参加したいね」

『ユーノ君、こっちの準備はできたわ』
『録画もばっちりだよ』



・・・



一回戦、『クロノ&フェイト&アルフ 対 シグナム&ヴィータ&ザフィーラ』が引き分けで終わった後


「《フェレットにくきゅうアタック》」


レイジングハートまでノリノリな声を出し、僕ははやてさんを『ぽむ』と叩く。 すると叩いた所に肉球のマークが付く。


二回戦、『ユーノ 対 はやて』はそれで幕を閉じた。


そう! これが僕の無限書庫天国化計画!


今回の模擬戦は全て記録されている。 一回戦の激しい戦いでも壊れない結界を張り、それだけでなく八神はやてに勝ったと言う箔も付ける!


これで僕の無限書庫での生活はハッピーさ!









そんな風に思っていた時もありました。



・・・



その後、無限書庫



「だから、僕は忙しいんだってば!」
「でも、こんなに来ているんです!」


それは、ユーノ・スクライアに結界を張ってほしいと言う施設整備を担当する部署からの嘆願書だった。


おかげで、「司書長のせいで無限書庫とは関係の無い仕事が…」などと言われる始末…



・・・



①地獄の日々
 手を抜いても抜かなくても地獄が来た。 しかし、『フェレットの恐怖』は伝説として残った。

②司書達
 ユーノは知らないが…

③アルフも研究会に?
 これが原因で原作よりもラブラブになった。









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[10392] ガイデン ソノハチノニ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/18 22:37



―――『ユーノ・スクライア』―――



彼の一日は一杯のミルクから始まります。

司書長室で寝起きしているので自炊はしません。 朝食は購買で買います。

ブロック型栄養食を食べ、その後仕事場である無限書庫に出勤します。

仕事の1つである資料収集はクロノさんやフェイトさんなどの知り合いを優先しています。

「先にこっちの仕事をしてくれ」などと注文してくる人には無言の圧力で追い返したりもします。

しかし、請求された資料を集めながら自分の趣味や魔法の本などを漁っています。

それに文句を言う司書はいません。 彼が無限書庫で得た知識で人命を救ったことは誰でも知っているからです。

昼食は食堂で食べます。 何故か、コックのおばさんがユーノに特別料理を作ってくれるからです。

「最近、食堂を利用する女性が増えたような?」と不思議に思ってますが、料理を食べて「この味ならな」と納得していました。

昼食を食べ終えると再び職場へ、この間に終業後のプランを練ります。

急な仕事が入ったりすることもありますね。

3時頃、コックのおばさんから貰ったクッキー等を食べています。

週に何度か、仕事を終えると魔法の訓練や研究会をします。 しない日は無限書庫に篭っていますね。

それを終えると夕食を食べに外へ。 昨日は研究会からの流れでザフィーラさんと一緒に八神家へいきました。

夕食を終えると司書長室へ帰り、本を少し読んだ後寝ます。



・・・



時空管理局 メンテナンスルーム


《これが昨日のマスターの行動です。 普段もあまり変わらない生活をしていますが、マスターが何か?》


メンテナンス中のレイジングハートは、答えられる範囲で自分のマスター、ユーノ・スクライアについて話した。


「いや、『何か』ってわけじゃないんやけどな」
「う、うん。 ユーノって普段何してるのかな~ってちょっと気になっただけだから。」
《そうですか、それならいいのですが…》


そそくさと出て行く2人の後姿に何かを隠している気配を察するが、まぁ悪い事ではないだろうと思うレイジングハートであった。



・・・





読者の皆様、レイジングハートの語るユーノ・スクライアの一日を想像できましたか?

できていない? では、もう一度上の文を読んで、想像してみてください。 …想像できたら続きをどうぞ





・・・



















彼の一日は一杯のミルクから始まります。


「ごきゅごきゅ、きゅー」


司書長室で寝起きしているので自炊はしません。 朝食は購買で買います。


「誰もいない廊下は蹴られる心配が無い。 早起きはいいねぇ」


ブロック型栄養食を食べ、その後仕事場である無限書庫に出勤します。


「もきゅもきゅ」


仕事の1つである資料収集はクロノさんやフェイトさんなどの知り合いを優先しています。


「レイジングハート、今日もヨロシク!」
《はいはい》


「先にこっちの仕事をしてくれ」などと注文してくる人には無言の圧力で追い返したりもします。


「じーーーーーーーー」(無垢な瞳)
「く、ま、またくるからな! 覚えていろ!」


しかし、請求された資料を集めながら自分の趣味や魔法の本などを漁っています。


「今日はどの世界の娯楽書を読むかなぁ…」
《マスター、いい加減にしないともう手伝いませんよ?》
「えー、じゃあ『ベルカ式結界魔法の基礎』でも読むか」
《…》


それに文句を言う司書はいません。 彼が無限書庫で得た知識で人命を救ったことは誰でも知っているからです。


「たくさんの本に囲まれた司書長… 撫でることも触る事もできないのがつらい…」
「上司でなければ撫でまくるのに… 上司でなければ…」
「くそう、餌をあげたい。 もきゅもきゅ食べてるところを撮りたい…」


昼食は食堂で食べます。 何故か、コックのおばさんがユーノに特別料理を作ってくれるからです。


「はい、どうぞ。 たーんとお食べ?」
「いつもありがとうございます。(礼儀正しくお辞儀しながら)」
「い、いいんだよ、好きでやってる事なんだから!」


「最近、食堂を利用する女性が増えたような?」と不思議に思ってますが、料理を食べて「この味ならな」と納得していました。


「撮る時に音がしないのよこれ」
「なっ! それって撮り放題ってこと?」
「私も新しいデバイス買おうかなぁ…」


昼食を食べ終えると再び職場へ、この間に終業後のプランを練ります。


「仕事終わったら魔法練習場を使えるようにいつもの手続きしてください。」
《わかりました。 … … … いつもどおりできました。》
「ありがとうレイジングハート! 愛してるよ!」
《はいはい、さっさと仕事をすませましょう?》


急な仕事が入ったりすることもありますね。


『ユーノ、いつもすまない』
「今度、何か奢ってね? 高いやつ。」

「黒服… いつもいつも司書長を顎で使いやがって…」
「やめるんだ… 残業で眠そうな司書長が見れるかもしれないだろう?」
「それはそうだが…」


3時頃、コックのおばさんから貰ったクッキー等を食べています。


「もきゅもきゅ」

「くっ、さすが会員番号1159、いい仕事をする…」
「癒される…」
「ああ…」


週に何度か、仕事を終えると魔法の訓練や研究会をします。 しない日は無限書庫に篭っていますね。


「ザフィーラさん、今日も頑張りましょう!」
「うむ、今日は確かベルカ式の結界を多重展開するための研究だったか?」

「管理局のダブルマスコット!」
「しっ! 静かにしろ、気付かれるだろ!」


それを終えると夕食を食べに外へ。 昨日は研究会からの流れでザフィーラさんと一緒に八神家へいきました。


「よー来たな」
「ごちになります。」


夕食を終えると司書長室へ帰り、本を少し読んだ後寝ます。


「寝る前の読書♪」
《明日も早いのですから、程々にしてくださいね?》



・・・



①あなたの想像したとおりの一日でしたか?
 完全に想像どおりだった? そんなあなたは重度のフェレット好きです。
 半分くらい当たっていた? そんなあなたも重度のフェレット好きです。
 まったく当たらなかった? そんなあなたは毎日フェレットのことを考えるようにしてフェレット好きになりませんか?

②なんでフェレットモード?
 八回目は自分のやるべきことに『気付かされた』ので、魔法の研究をするために、普段の魔力消費を抑え研究に全力を注ぐためになるべくフェレット状態だった。
 そして、フェレットモードのほうが楽だと知ったために『とあるフェレットの憂鬱』完成後もこんなことに…

③八神家で晩御飯?
 たまにそんなこともある。 研究会にアルフが参加している時はハラオウン家に行ったこともある。
 基本的には人型に戻って外食し、帰りに翌朝に飲むミルクを補充したりする。

④はやてとフェイトは何でレイジングハートにユーノのことを聞いたの?
 なのはにユーノのことを聞かれた時に、ユーノのことを魔法抜きで話すことができないと気づいたので情報収集。
 夕ご飯を食べに来たユーノが「明日、レイジングハートをメンテに出すことになっていてね」と話したので…









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090818/誤字脱字など修正



[10392] その後の短い話 そのはち
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/18 22:39



海鳴 八神家から高町家へ向かうタクシーの中



はやてやフェイトと違って有給が取れなかったユーノは、転送ポートに近い海鳴のビジネスホテルを予約してあり、その近くに高町家があるので、なのはを送る事になった。


「パーティーは楽しかった?」
「は、はい、とっても!」


緊張ぎみに返事をするなのは そして…


「ユ、ユーノさん?」
「なんだい?」
「こ、この前… その…」


なのはは、この前の『顔を見に来た』発言の真意を聞こうとした。


「この前?」
「はい、この前、わ、私に」
「?」
「か、顔を」
「!」


ユーノは、なのはが何を聞こうとしているのか察したが…


(この前、面白い子だと思ったけど… ここまでとは…)


何気に酷いユーノであった。



・・・



八神家



ハラオウン一家は八神家にお泊りすることになった。 …子供達が寝てしまい、そういうことになったのである。


「そういえば、なのはちゃんは今頃上手くやれてるやろか?」
「『あなたの顔を見に来たんですよ。』だもんね?」
「あら、何の話?」
「なんだか、面白そうですね?」


後片付けをしているはやてとフェイトの会話にリンディとシャマルが入ってきた。


「あんな? ユーノ君がこの前…







一日が終わろうとしていた…



・・・



再び、ユーノとなのは



ユーノはこれまでの事を考えていた。


ヴィヴィオを娘にした事がある。

キャロさんとエリオくんを育てた事もある。

3人まとめて育てた事がある。

クロノさんをクロノと呼び捨てにしていた事もある。

ゲンヤさんと子育てについて語り合った事もある。

スバルさんに告白された事もある。

フェイトさんをフェイトと呼び捨てにして、いい感じになりそうだった事すらある。



それが、今はどうだろう?


キャロさんとエリオくんは原作どおりフェイトさんが保護している。

ヴィヴィオもフェイトさんの保護に入っている。

ゲンヤさんと子育てについて語り合っていない。

クロノさんを呼び捨てにしていない。

スバルさんもギンガさんも機動六課で元気にやっている。

フェイトさんやはやてさんは原作よりもずっと幸せかもしれない。



ユーノ・スクライアは1人だ。 仲間はいるが、1人だ。

原作のユーノ・スクライアも、仲間はいても、1人だった気がする。



…世界とは、そんなものなのかもしれn


《(マスター、そろそろなのはさんのお宅に着きますよ?)》
「(レイジングハート… ああ、そうだったね)」
《(マスター?)》
「(…僕には、君がいる。)」



「ふふ」
「え? どうしました?」


ユーノの小さな笑い声に、なのはが首をかしげる。


「いや、喋るフェレットはよかったなって」
「ぇ? あ! そ、そんなこと思い出さないでください!」


笑いの理由をごまかしながら… ふと、あることを思いついた。


「なのはさんは、フェレット好きなの?」
「だから、その話h」
「好きなの?」
「ぇ、ぅ、えと、好きか嫌いかなら… 好きです」


なのはのその答えに、ユーノは続けて質問する。


「その好きは… 抱きついて首を絞めたり、しっぽをモフモフしすぎたり… 腕を間接と逆に曲げようとしたり… ジャイアントスイングで投げ飛ばしたりするような好きかい?」
「そ、そんな事しませんよ!」
「ヴィヴィオはしたよ?」
「子供と一緒にしないでください!」
「あはは、そうだね、ごめん」


謝りながら、なのはの頭を撫でる。 完全に子供扱いである。


「う~、子供扱い~…」
「頭を撫でられるのは嫌かい?」
「い、嫌じゃないですけど…」


顔を赤くするなのはをかわいいと思うユーノ


「高町なのはさん」
「はい?」
「僕の名前はユーノ・スクライアです。」
「は、はい 知ってますけd」


なのはの頭から手を離し、その手をなのはの前に出す


「あらためて… 僕と、友達になってくれませんか?」


その突然の行動に戸惑いながらも、「これがアルフさんの言う『不思議』なのかも…」と思うなのは


「…はい」


なのはがユーノの手を取り、それが握手となり、互いに微笑み合う。


「「これからよろしくおねがいします。」」









その後の短い話 了

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[10392] アトガキ ノカワリニ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/18 22:40



ガイデンについて
●事務員スバル
 ユーノは空港火災の後に結界魔導師になっているので、ゲンヤと仕事をする事が何度かあった。
 そういう経緯でナカジマ家と仲良くしていたことからスバルの『憧れ』は原作より強く、相手が『異性』であったことから少しずつ『恋』になった。
 ユーノは、スバルが『事務員としてユーノと同じ部署で働きたい』事を知っているが、ゲンヤのお願いで結界魔導師である事を秘密にしている。

●モフモフ
 『ぼつねた』のフラグだと思っていた人は多いんじゃないかな? 実は『その後の短い話そのはち』で使うためだった。

●時の庭園
 誰もいなくなったこの場所がユーノの魔法の研究の手伝いとなった。
 『虚数空間結界』や『ジュエルシードの研究』へのフラグの1つである。
 『本編そのご』で短時間でフェイトの何処にジュエルシードがあるのか見つける事ができたのも、アリシアのデータを知っていたから。

 『探せばどんな資料もある無限書庫』でも、『研究のテーマ』が決まってないとその情報量の多さを活かすことはできない。

●プレシアさん
 ジュエルシードがあると虚数空間に、ないと蒐集される。フェイトがなかなか幸せになれない原因。

 『本編そのはち』でフェイトに『笑顔』を見せるが、それがフェイトへの感謝なのか、フェイトの世話になっていることへの自虐か、それ以外なのか…

●フェイトさん
 「母さん命」な性格と、どう考えてもプレシアさんがスカさん等のヤバイ連中と知り合いであろうことが不幸の原因。

●闇の書
 『そのいち』と『そのさん』でオリジナル設定でユーノの敵になっているが、敵になっていなくてもスカさん側が勝つだけである。

 はやてが主の時になんとかしないとずっと不幸なままであるということが書きたかった。

●はやてさん
 闇の書を消滅できない時は、『未来の技術に賭けて永遠凍結』が本人としても世界としても一番いい選択ではないか?

 はやてがフェイトと友達になることでユーノが『フェイトの精神ケア』をする必要がなくなる。
 また、聖王教会とのつてを作り、機動六課を設立する。 スカさんに完全勝利するには絶対に必要な存在だった。

 『少しの未来の知識』と『フェレットの憂鬱』を持つ『ただのユーノ』を考えてみてほしい。
 彼がJS事件に備えて魔力を鍛えたり、カートリッジシステムのデバイスを手に入れたりしても
 『ゆりかご浮上の時』、ユーノは『原作のなのはの分働く』だけでも厳しいことは明白である。
 それに加えて、フェイトとはやてとヴォルケンリッターの分の仕事までするのはどう考えても無理だ。

●ヴォルケンリッター
 『原作』で、はやてが主となるまで『酷い主』しかいなかったみたいなことを言っていた気がするので、
 闇の書に蒐集された時の記憶がないことから考えて、『過去の主は全員酷いやつだった』と記憶改変されている事にする。
 『ソノイチノニ』でヴィータが「目が覚めたら、こいつも私達を…」と言っているのはそういこと。
 つまり、『そのいち』と『そのさん』では『八神はやても酷い主だった』と彼らは認識していることになっている。
 この設定なら『酷い主』に当たっても『仕方なく蒐集』し、『良い主』に当たっても『自主的に蒐集』することになる。
 『アンジェラ』の為に蒐集するのも彼女が『良い主』かもしれない、スカリエッティよりはましだろう、というわずかな期待があったから。

●機動六課
 なのはがいないのではやてとフェイトのリミッターは原作より軽いし緩い。

 はやてが隊長でフェイトが副隊長 
 ヴィータが第一分隊隊長(01)でスバル(02)とティアナ(03)
 シグナムが第二分隊隊長(01)でエリオ(02)とキャロ(03)

 後は大体原作と同じ。

 原作でスカさん側と戦っているのって機動六課と名も無い局員くらいで、なのはクラスの人達が戦っている描写がないんだよね…
 戦闘機人も殆ど機動六課が抑えているし…

 ということで、はやて率いる機動六課が存在しないとスカさんを捕まえられないという事にしました。

●スバル&ティアナ
 本編でもガイデンでもこのコンビは出てこないが、『そのなな』と『そのはち』では仲良く機動六課入りしている。

 ユーノはスバルに「戦場で命を預ける『相棒』のことはよく知っておくべき」とアドバイスしている。
 スバルからこの言葉を聞いたティアナも『クロスミラージュの性能』を調べ、第2形態、第3形態を把握し、原作のような無茶をしていない。

 ティアナは自分に『必要なもの』と『足らないもの』を考えた結果、訓練にない無茶をした、と作者は考えました。
 なので、この物語のティアナは原作で『クロスミラージュの性能』をあらかじめ教えていたらこうなっていたのでは?という作者設定。

 感想で「ティアナは?」という質問が多いが、彼女は優秀なので逆にユーノとの接点がないのです。 スバルはユーノに女性を紹介したくないし…

●ユーノ達
 感想で狂人といわれた…
 『思考誘導』も『そのなな』でユーノが4番目に殺されたのも彼らのせいだけど… 表現って難しいなと思いました。

 『蒼い世界』『願った』などのキーワードから、彼らが『何』に願っているのか… 彼らもジュエルシードの被害者なのです。

●エリオ&キャロ&ヴィヴィオ
 生まれや体質のせいで苦労している子供。
 ユーノにとって、フェイトに保護されていても自分が守ってあげるべき存在。

●ユーノの職歴
 事務→結界魔導師→無限書庫司書長 こうやって、中の人はマルチタスクに慣れていった。

●司書達
 ツンデレ

●フェレットモード
 その性能も見た目も結構気に入っている。
 ソノハチノニで、一日の殆どがフェレットモードだったから『とあるフェレットの憂鬱』という名前にしたというオチだったが、ネタが弱いので外伝で。

 感想でいろいろあったけど…
 このユーノは管理局の局員としても何十年も働いており、無限書庫の司書長としても20年働いています。
 ですので、フェレットの姿で応対しても良い人、対応しては駄目な人の区別はしっかりできています。
 『僕の無限書庫天国化計画』が失敗してやけくそになっているという面も少なからずあるけれど…
 仕事中もフェレットモードなのは八回目だけです。 レイジングハートに注意されているので暫くしたらフェレットになる事はなくなるでしょう。

●スカさん
 そのいち→闇の書エンドで死亡
 そのに →完全勝利
 そのさん→闇の書エンドで死亡
 そのよん→完全勝利 闇の書エンドでもよかったけど
 そのご →原作機動六課メンバー不在で捕縛できたかどうか… 作者設定で逃亡ってことに
 そのろく→数人のナンバーズと逃亡中
 そのなな→ユーノが捕縛 ぼこぼこにされている。
 そのはち→ユーノが捕縛

 死亡2、完全勝利2、逃亡2、捕縛2 流石スカさん、これは計算してなかった。

●レジアスとかはあまり出てこない
 事務の時も結界魔導師の時も接点がない。 無限書庫司書長の時は多少はあったかもしれないけど、原作でも接点があったように思えなかったので…

●全体として
 本編の補完。 同時に『その後の短い話 そのはち』で思い返す『これまでの人間関係』をわかりやすくするためのものでもあった。



その後の短い話について
●そのいち
 病院を抜け出したユーノと、それを心配するはやてとフェイト。 『本編最終回』と『その後』の繋ぎ的なもの

●そのに
 なのは登場 ここでなのはが爆弾発言と共に出てくると思った人はいないだろうな。 あと、フェイトの妄想力

●そのさん
 ユーノとシャマルとザフィーラ登場 ハヤテとフェイト倒れる
 そういえば、デバイスの名前は出してなかった… アルフと2人で考えていることにします。

●そのよん
 ユーノがパーティーの準備をしているのは倒れた2人の介抱を女性陣とザフィーラに任せたから。 シグナム登場

 ここではやてとフェイトが頭痛でなのはが来ることを言い忘れていたから、なのはが喋るフェレットを目撃することになる。

●そのご
 リンディ、エイミィ、エリオ、キャロ、ヴィヴィオ、カレル、リエラ登場 タクシー2台で八神家へ なのは再登場、アルフも登場

●そのろく
 喋るフェレットをなのはが目撃 ユーノは子供の頼みを断らないのです。
 シャマルがアルフに「おかえりなさい」 アルフは八神家に住んでいることが判明。 気付いた人いるかな? 

●そのなな
 なのはを気絶させたユーノ、なのはを介抱する。 「喋るフェレット」となのはが口に出す。これ重要。

 子供達がそれぞれ勝手に遊んでいるのは主役であるザフィーラをアルフが独占しているからである。
 ユーノの「ザフィーラが好きか?」という質問に次々と答えていくのは皆それとなくなのはの様子を見てたから。

 ザフィーラはアルフとくっつきすぎだと思う。 後、好かれすぎ。 いや、書いたの作者だけどさ…

●そのはち
 はやてにもフェイトにも暖かい家族がいる。 でも『今のユーノ』には… レイジングハートがいる!
 そのななでなのはを気絶させたのもザフィーラをあんなにしたのも全てはここに繋げるため… 仲間と離れても、ユーノは1人じゃない。

 そして最後はなのはと友達握手 外伝を書くと決めて、本編最終回でなのはさんが出た時に、2人が友達になるんだと決めました。

●誰にも聞かれてないけど、少し時系列を説明
『ザフィーラ完全復活パーティー』当日の流れ
 ①はやて、フェイト、ユーノ、ヴォルケンリッターの3人の計6人は転送ポートで海鳴に 

 ②はやてとフェイトはケーキを買いに翠屋へ ユーノとシャマルは八神家へ シグナムとヴィータはそれぞれ買い物などに
  つまり、退院から完治まで、ザフィーラとアルフは八神家でラブラブしていたんだよ!!

 ③はやて&フェイト、ケーキを買った後慌てて走り、その後タクシーに乗る。

 ④なのは、母にクッキーを作ってもらっている間に犬用玩具を買ってくる。

 ⑤はやて&フェイト、頭に衝撃→ヴィータに助けてもらう→暫し寝る なのは、クッキーと犬用玩具を持ってバスに

 ⑥なのは、バス停から八神家へ移動中にアルフと出会う

 ⑦パーティー終了後、ユーノがなのはをタクシーで送る

 なんではやてとフェイトが八神家から遠い翠屋でケーキを買ったかの説明はこれでわかるよね?
 ストーリー的にまったくどうでもいいことなんだけど、 後で「あれ? これちょっとおかしくね?」と悩む人が出るかもしれないので書いておきます。



・・・



書きたいと思った事は殆ど書きました。


でも、ネタが思いついたら何か書くかもしれません。


だから…


『ここまで』読んでくれてありがとうございます。









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[10392] とある平行世界の出来事 そのいち
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 15:43

『とあるフェレットの憂鬱』をご使用になる皆様へ 製作者より



あなたが知った『未来の知識』と組み合わせての使用例です。 参考にしてください。


●今すぐにした方が良い事と、第97管理外世界に行く前にした方が良い事

 ①目の前にあるジュエルシード21個全てにそれぞれ『三重』に使ってください。 約三ヶ月封印できます。

 ②ジュエルシードを捜索しに行く事を大人達に話しておきましょう。 おそらく付いてくる人はいませんが後々効いてきます。

 ③いくつかの世界に行き、それぞれに1日くらい滞在した後で地球に行くようにしましょう。



・・・



ジュエルシードが発見された遺跡 スクライア一族のキャンプ 夜



「ぅぅ… 頭痛い…」


ジュエルシードを発見した時に、『未来の知識』と『1つの魔法』が平行世界から送られてきた。
『死んでもやり直せない』という『当たり前』に戸惑いを覚えたが、同時に『生きている』と感じる事ができた。


「21個全部を封印したけど、… マルチタスクの訓練をしなきゃいけないな」


いや、マルチタスクだけではなく魔法の勉強もしたほうが良いか…
この魔法の構成を解析し、シールドやバインドや結界に『特化』した魔法を組み上げること、それが『製作者』の狙いだろう。
自分が使うのは『これ』だけでいいが、後々仲間になるクロノやフェイト、ハヤテやヴォルケンに『特化させた魔法』を託せば、ナンバーズに苦戦する事がなくなり、スカリエッティの戦力を削る事ができる。


「フェイトやアルフ、はやてまで戦力にできるとか、うまくやれば最終決戦でナンバーズは半分くらいとか…」


『製作者』のこだわりを感じずにはいられない。

これからの事について考える事はたくさんあるけれど、今はとにかく頭を休めよう…


「ゆりかごに殺されることも、もう無い…」


良い夢が見れそうだ。



・・・



事故の知らせが入ったその日のうちに、ジュエルシードを探すことを大人達に言って回った。


「その必要は無い、管理局に任せておけばいいんだよ。」

「管理局の許可がでないだろうな。 …許可無しで管理外世界にいくつもりか?」

「1つの世界にまとまっているならともかく、いくつもの世界に散らばっていたらどうするんだ?
 そんなことする時間があるなら次の遺跡を発掘しに行ったほうがいいに決まっているだろう?」


なにがどう『後々効いて』くるのかわからないが、『製作者』の助言どおり、大人達に報告してから旅に出て五日後。



「地球よ、私は帰ってきた!」



いつものように『お約束』を叫び…









いつものように食べられる木の実やきのこを山で集めることにした。



・・・



①製作者と『とあるフェレットの憂鬱』
 製作者=本編のユーノである。 送れる魔法は『1つ』なのに… そのせいで『多重』に使う必要がある。

②この世界のユーノ
 ループ回数10回
 プレシアを止められず次元震に巻き込まれる事3回
 はやてに関わろうとして猫姉妹にいじめられた事1回(以降、はやてを放置。)
 フェイトとアルフを捕縛しアースラに引き渡した事7回(ジュエルシードを封印して気が緩んだ所を捕縛)
 無限書庫を利用できるようになったのは4回めから。 が、利用回数は少ない。
 空港火災に関わった事無し。(ナカジマ姉妹は死亡。)
 司書長経験無し(『闇の書』について調べた事も無い。)
 一応結界魔導師として働く(本局で訓練施設の結界を張ったりしていた。 前線に行きたくなかった。)
 ゆりかごに殺される事7回(本局にいた。)

 このユーノに限らず、『未来の知識』と『とあるフェレットの憂鬱』を得た者は全員ループが終わっている。
 『ユーノ達』はもういないから…









090815/初投稿
090816/題名に「そのいち」追加/②に少し加筆



[10392] とある平行世界の出来事 そのに
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 15:23



●地球に行ってからアースラが来るまでにした方が良いこと

 ①地球に行った時、必ずしもフェイトさんと接触する必要はありません。
  ジュエルシードを探しているのを見つけて映像を撮り、アースラにデータを送りましょう。 音声が拾えれば尚良し。

 ②『闇の書』の存在を確認する際、猫姉妹に気をつけましょう。 見つかったら狩られます。

 ③フェレットモードで、最低でも『四重』に使えるように練習しましょう。 命にかかわります。



・・・



ジュエルシードによって凶悪になった動植物によって怪我をする人、家を壊される人、イノチヲナクスヒト…

その被害を記録してアースラに送り、クロノが来る頃にフェイトとアルフを捕縛する。

フェイトとアルフに睨まれ恨まれ、それでもプレシアが世界を滅ぼすよりはいいだろうと、自分に言い聞かせる。

海上でないからか、その場にあるのが1個だけだからか、プレシアからの攻撃は無い。

一週間ほどで次元震が起こり、アースラが急行、到着する頃には全員で次元震を抑えることしかできない。

結局、プレシアの目的がアルハザードであるという事をフェイトはもちろんリンディ達にもわからないまま事件が終わる。

研究データも時の庭園の大部分と共に消えるためにプロジェクトFについてもわからない…。


『原作』を知らない人にわかることは、プレシアが『小さいフェイト』と共に虚数空間に消えたと言うことだけ…



・・・



『アルフ、ジュエルシードの反応は?』
『ないよ…』


フェイトの質問に、申し訳なさそうに首を横に振るアルフ


『フェイト… 本当にそんなものがこの世界にあるのかな?』
『母さんがあるって言ったんだから… きっと、私達の探し方が悪いんだ。』


フェイトの言葉に頷くものの、アルフは懐疑的である。





海鳴 大きな木の太い枝の上 草を敷き詰めたベッドの上


レイジングハートに記録したフェイトとアルフの映像と音声をアースラに送る。 魔法の補助には使えないが、これくらいはできるのだ。


『なるほど、確かにこのフェイトという少女は母親の命令でアルフという使い魔と一緒にジュエルシードを探しているようですね』

「はい、それで、僕は結界やバインドはできますが攻撃はあまり得意ではないので」

『わかりました。 今すぐそちらに向かいます。』



通信が終わり、溜息をつく。



魔法を知らない人が傷つく事も悲しむ事も死ぬ事もない…


「何度も何度も繰り返して、その度に海鳴は地獄のようで…」


それでも、世界が滅ぶよりはと、必要な犠牲なのだと…
「それでも守りたい世界があるんだ」と、自分に言い聞かせてきたのは何だったのだろう?


「こんなにも… こんなにも簡単に… いや…」


『製作者』もあの地獄を見たからこそ、この方法を思いついたのかもしれない。
ジュエルシードを封印してからばら撒くなんて、こんな方法を思いつくまでに何度繰り返したのだろうか…

自分が情けない。

条件は同じはずなのに、救う事を諦めた自分が…


「僕は一体何をしてきたんだろう…」


木の上から、屋根の上に2匹の猫が居る家が見える。


「僕は彼女を見捨ててきた。 でも、『製作者』は彼女も救った…」


プレシアが消えてからゆりかごに殺されるまで、仕事に使う魔法しか研究しなかった自分が惨めに思えた。



・・・



①『原作』を知らない人にわかることは
 リンディ達は過去の記録からアリシアの存在を知っているので、フェイトがクローンである『可能性』に気付いている。

②レイジングハート
 『原作』でユーノはレイジングハートを使ってアースラと通信している。 発掘現場の記録とかにも使っていたのかな?

③アルフ
 無いものを探させ、何も持って帰れないフェイトに「無能」と鞭打つ…

 フェイトに対する、プレシアの新しい『虐め』だと思った。

④僕
 ユーノとして長く生きていると僕という一人称に慣れてしまう。

⑤惨めに思えた。
 おそらく、『とあるフェレットの憂鬱』を得た者達のほとんどが同じ気持ちになっただろう。









090816/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのさん
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2009/08/16 19:06



●アースラが来てフェイトさんが海上で無茶するまでにした方が良いこと

 ①リンディさんの出すお茶を『おいしそう』に飲みましょう。 リンディさんの友好度が上がります。
  長い付き合いになるので、彼女の機嫌を損ねるのはお勧めしません。 愚痴を聞いてあげるのもいいでしょう。

 ②クロノさんとジュエルシードを捜索しましょう。 フェイトさんが襲ってきた時の対処が楽になります。
  フェイトさんやアルフさんが逃げられる程度にクロノさんの援護をしましょう。

 ③猫姉妹が居ない時に『闇の書』について報告し、無限書庫の利用許可等を取れるようにしましょう。



・・・



アースラ 茶室(リンディの部屋?)


これまで、何度も勧められたがその度に断ってきたこれ。

これを『おいしそう』に飲めと…?


『製作者』よ、あなたは繰り返すたびにこの苦行を…


「ロストロギアの輸送に関しては私達とは部署が違うの」
「そうなんですか?」
「たぶん、あと一週間くらいしたらジュエルシードの回収が正式な任務としてアースラに来ていたでしょうね」


これまではフェイトとアルフを引き渡した後はアースラでのんびり過ごしていたけど、今回は違う。

封印してあるのでジュエルシードの回収は僕にしかできないし、『闇の書』の事もある。

甘すぎてむしろ××な『物』を『おいしそう』に飲みながら話を聞く。


「1人で管理外世界に来た事は問題だけど、不可能と判断した時点でこちらに連絡をくれたのは良い判断だったわ。」
「事故でジュエルシードが行方不明になったと聞いて『探さなきゃ』って… パニックになっちゃったんです。 今は反省しています。」


リンディさんに頭を下げる。

けど、管理局が縦社会じゃなくて、横の繋がりがもっとしっかりしていたら… とも思う。



・・・



海鳴 クロノとジュエルシード捜索


「飲んだのか… そうか…」
「リンディさんの舌は一度精密検査したほうが良いと思うだけど?」
「…」
「…」
「…正常だった。」
「…」
「…」
「そうか…」
「そうだ…」


クロノの肩をポンと叩く、2人の姿は哀愁を帯びていた事だろう。









ジュエルシードを順調に集めていくと、住処にしていた木の上に設置していた魔力を感知する魔法からの反応が減った。

反応は八神はやてと『闇の書』のみ、八神家から猫姉妹が居なくなったのだ。


「そういえば… クロノ、この世界に来た時にちょっと気になるものを見つけたんだけど、一緒に来てくれないか?」
「気になるもの?」
「ああ」


そう言ってクロノを八神家に誘導、こっそりと窓から本棚にある『闇の書』を見せる。


「あれだよ。」
「! あれは…」
「もしかしたらロストロギアかもしれない。」
「…」
「クロノ?」


クロノの手は固く握られ、今にも血が出そうだった。









「自分達が何をしているのかわかっているのか!?」
「母さんがそれを必要としているんだ!」


フェイトとクロノが戦い、僕はアルフと追いかけっこ…


「待てー!」
「待てと言われて待つやつがいるか!」


時々フェイトにバインドを(回避できるように)飛ばしてクロノを援護する。
捕縛するだけなら簡単だけど、そうすると時の庭園の場所がわからないままになるし、『製作者』の助言にも反することになる。


「ラウンドシールド!」
「なっ!」


フェイトがクロノに中距離攻撃している間に逃げ込み、クロノを守りつつフェイトの攻撃をアルフに当て… 流石に突っ込んではこなかった。


「ユーノ! 危ない!」
「ありがとう! クロノ!」


クロノが優勢になろうとしたら(ばれないように、わざと)アルフに捕まりそうになったりもする。





「アルフ!」
「うん! 覚えてろー!」


やっと逃げてくれた。






「ユーノ、君、なかなかやるじゃないか」


少し息切れしながら、クロノがそう言ってきた。


「それは、どう、も」


すごく息切れしながらそれに答える。


本局で結界魔法使っているだけだった生活に慣れすぎた…



・・・



①茶室(リンディの部屋?)
 『原作』で出てきた日本風な部屋。

②リンディ茶
 別に飲まなくても良い。 製作者の罠。

③リンディの舌
 体に異常があるような人が艦長を続けられるだろうか? ってことで正常。

④フェイトとアルフ
 クロノだけだともっと早い段階で逃げていると思う。 でもクロノだけだとジュエルシードを探せないので襲う理由が無い。
 ユーノだけだともっと早い段階で勝っていると思う。 でもユーノは一人でジュエルシードを探さないので襲う機会が無い。









090816/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのよん
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/17 22:15


●フェイトさんが海上で無茶してからプレシアさんの逮捕までにした方が良いこと

 ①『未来の知識』どおりに事を進めたらプレシアさんからの攻撃があります。
 ・フェレットモードで範囲を狭め、最低でも『四重』で、気絶しない程度に魔力を込めて防御しましょう。
 ・『三重』では気絶する可能性があります。 気絶したらジュエルシードを奪われる可能性があります。
 ・フェレットモードで使いましょう。 この時点では『六重』以上で使用しないと子供1人の大きさは防御できません。

 ②『時の庭園』では、フェレットモードでこっそりとプレシアさんに近づいて捕縛してしまいましょう。

 ③フェイトさんの話を聞いてあげましょう。 でも、プレシアさんを否定するのはやめましょう。 グレます。



・・・



海鳴 海上


魔力切れのフェイトをクロノが回収する。

これまでこっそり近づいて捕縛していたので、海上での魔力放出を見て改めて思う


巨大な魔力持っている人って怖い


なんだあれ、あんなの巻き込まれたら死ぬ、死んでしまう…


今からあれ以上の魔力持ち、プレシアの攻撃を受けるのか… すごい嫌だ…


でも、やらねばならぬ!


「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だぁ! はぁっ!」


ごぼごぼごぼごぼ…









海の中にあったジュエルシード6個を集め終わると、プレシアからの攻撃が来た。


「とあるフェレットの憂鬱!!」


頭が痛くなるけど、背に腹は変えられない! 『五重』だ! フェレットモードで範囲を狭めて『五重』でいく!



がががががががが!
ばりばりばりばりばりぃぃいいいい



うひぃぃいいい こわい、こわすぎる。


りんでぃさんたちが「すごい」とかいっているけど、そんなことはどうでもいい!

もういやだ、おうちにかえりたい! かえっててれびげーむしたい…



・・・



プレシアさんがジュエルシードを持っていないので次元震は無い、つまりリンディさんが戦力として活躍します。

その手が魔力を放つ度、傀儡兵がまるで紙のように千切れ飛びます。

リンディさん、『切り札』はクロノじゃない、あなただ!









「とあるフェレットの憂鬱!」


フェレットモードでこっそり近づき、『四重』でプレシアを拘束する。 拘束範囲が狭いので… ちょっとエロい。



・・・



「役立たず」
「あなたのことが大嫌いだったのよ」


プレシアさんの言葉にフェイトが泣く。 アルフが慰めている。


『製作者』の助言によれば話を聞いてあげないといけないわけだが…


グレるってどういう事だろう? 酒煙草? 暴走族? ちょっと見てみたい気がする…



・・・



①巨大な魔力
 単独であんなことができるって、怖いよね…

②『切り札』
 クロノって切り札の割にはすぐに前に出ている気がする。

③ちょっとエロい
 ちょっとだけね

④プレシアを拘束
 プレシアを捕縛できる事を証明することで、守護騎士を捕縛する役割を…

⑤フェイトがグレる?
 グレると、JS事件の時に全力で襲いかかってきます。

 このユーノは、かつて猫姉妹にされたような虐めをされるかもしれないと思って、グレさせないことにしました。

○このユーノが繰り返してきた世界のフェイト
 プレシアに『虐待』されていたことが証明できない(体の傷は戦闘訓練で付いた可能性があるし)ので裁判で情状酌量なし。
 そのためハラオウンの養女になれない。 長い牢獄暮らしでユーノに復讐を誓うも、ゆりかごの攻撃で…









090817/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのご
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/18 22:27



●『闇の書』から守護騎士が出るまでにした方が良いこと

 ①『闇の書』から『防衛プログラム』を吐き出させるプログラムに応用できます。 技術者と仲良く作ってください。

 ②インテリジェントデバイスを入手しましょう。
  マルチタスクに慣れていればデバイス無しでも『八重』まで使えるようになりますが、無理をする必要がありませんので。

 ③守護騎士が4人だと確定した後に、4つの目標に同時に最低『四重』に使えるように練習しましょう。



・・・



無限書庫


『未来の知識』のおかげで『闇の書』に関する一番重要な資料がどこあるのかも知っていたので、そこから他の資料が芋蔓式に探し出せる。

そんな感じで資料を集めていたら司書さん達にスカウトされ、事件解決後に就職する事になった。


「ヒスイ、今日も頑張ろう。」
《はい》


緑色のインテリジェントデバイスに声をかける。

リンディさんとクロノが『お祝い』として何か欲しいのがあるかと聞いてきたので、インテリジェントデバイスが欲しいと言ったらくれました。
ローン組んででも買おうと思っていたのでとても嬉しかったけど…


「まさか、これが『おいしそう』に飲んだ『効果』なのか?」


最初はデバイスを使うのに違和感があったが慣れるともう手放せない。 今まで使わなかった事が悔やまれる。

『製作者』はデバイスを使っていたから魔法を作り出せたのだろうか?





「調子はどうだい?」
「ひっ!」


読んでいた本を投げ出して距離をとる。


「逃げるなんて酷いじゃないか?」
「あ、アルフか… 驚かせないでくれ、リーゼ姉妹かと思ったじゃないか。」
「…そこまで怖いかねぇ?」
「ある種のトラウマだからね…」


猫姉妹が怖い。
無限書庫を連れてこられた時、クロノが紹介してくれたのだが…



ループ2回目の時、食料を探していたら八神家の近くまで来ていた事があった。
表札を見て八神家だと知り、はやての顔を見てみたいと家に近づいたその時、突然ぼこぼこにされて「この場所に近づくな」と忠告されたのだ。

姿は見ていないが、あれはおそらくリーゼ姉妹なのだと思う。



「『フェレットモードの時に猫にいじめられた事がある』からって言っていたけど、資料を探すの手伝って貰っているんだから少しは歩み寄らないと駄目だよ?」
「わかってはいるんだけどね?」


猫姉妹が怖いのにはもう一つ理由がある。

海鳴が暴走したジュエルシードで地獄になっている時に、あの2人が何もしなかったことだ。
『原作』でなのはやフェイト、クロノを軽くあしらえるほどの実力がありながら、それを放置していた…

必要な犠牲だと見捨ててきた僕が言えることではないのかもしれないけれど… それでも…



・・・



『とあるフェレットの憂鬱』という魔法は、ある程度の魔力があって、ある程度のマルチタスクができるなら、おそらく一般局員でも使用できる。

しかし、誰も使用したいとは思わないだろう。

バインド、シールド、封印、結界、反射、他にも色々な構成がごちゃ混ぜになっていて、使用しても一瞬だけしか発動しない。

そして、仮にその一瞬を敵の攻撃と合わせたとしても、簡単に突破される。


構成が複雑すぎて、逆に『もろい』のだ。


ならば何故、ユーノ・スクライアが使うとプレシアの攻撃すらも防げるのかというと、『多重』に使用するからだ。

例えば『三重』で攻撃を防ぐ場合、シールドと結界と反射の部分を上手く重ねる。

例えば『四重』でプレシアを拘束した時、封印3つとバインド1つを重ねるといったように…

重ねれば重ねるほど発動時間は長く、効果も増していく。 そういう風に構成されている。


なら一般局員も『多重』に使えば良いじゃないかと思うだろう。 だがそれが難しい。

この魔法を『多重』に使用するための部分の構成がユーノ・スクライアの魔力の特徴とマルチタスクの癖などに頼っているのだ。

つまり、『多重に発動する部分の構成』は『OSはXPには対応しているが他のOSには対応していません。』といった…

いや、『ユーノ・スクライアというOSの特徴を使用しないと起動しません。』といった感じなのだ。


構成を解析していけば他の人にも『多重』に使えるようになるのだろうが…

例に挙げたプレシアを拘束する時、封印3つとバインド1つの計4つ分の魔法を『多重』に使用するより、誰でも使える『封印3つ分の効果のある魔法』を『1つ』構成したほうが、使用者それぞれに調整する必要が無いため『効率がいい』のだ。


しかも、この魔法の構成には防御にも拘束にも役に立たない、『闇の書』の『防衛プログラムを排出するのに使用できる』構成も混ざっているのだから…



一枚の紙の上に様々な絵が描かれている… 『とあるフェレットの憂鬱』とは、そんな魔法なのだ。





時空管理局 本局 技術開発室


そんな微妙な魔法の構成も使用しながら研究していたのだが


「とりあえず、こんなものでしょうかね?」
「そうですね、後は『夜天の書』を解析しながら細かく調整していきましょう。」


無限書庫で集めた資料も役に立ち、本局の技術者達との『闇の書からバグった防衛プログラムを取り出す研究』が一区切りついた。

最初は「他にも仕事を抱えている」とか言っていたのに資料が集まるとどんどんやる気を出してくる彼らが少し面白かった。


「『夜天の書』かぁ… 早く実物を見たいなぁ」
「もうすぐ守護騎士が出るみたいですし、『主』に状況説明する必要もありますから… いっそアースラに乗れればいいのに」
「…そうですね、申請してみます。」
「それなら、私も申請します!」
「私も!」
「僕も!」


皆アースラに乗る気である。


「たぶん、申請しても通るのは1人2人くらいだと思い… いや、11年前のこともあるし、申請したら結構通るかも?」
「そうか! 確かにあれだけの被害を出した物なのだから、万全の状態で研究させてくれるかもしれない!」
「それって、予算が下りるかもしれないってこと!?」
「私、予算申請します!」
「そうだな! やれることは全部やってみるか! 駄目で元々だし!」


どんどん話が膨らんでいき、盛り上がっていく…



















万全の状態で挑むためにアースラにアルカンシェルが取り付けられた。



・・・



①『多重』に使用するということ。
 本編でヴィヴィオの体内にあるレリックコアに使ったのが『八重』

 本編で使用された『僕の自慢の封印魔法』は『闇の書』を一年封印できる。
 このユーノが『三重』で封印したジュエルシードは三ヶ月ほどしか封印できない。

 3つの「ざる」を『縦に並べる』よりも、網目が小さくなるように『重ねる』ほうが… と言ったほうがわかりやすいか?

②インテリジェントデバイス『ヒスイ』
 リンディとクロノによってオーダーメイドされたユーノ専用デバイス。
 ネタに走ろうとしたが、理性というブレーキが働き、自分の魔力光からこの色と名前にした。

 リンディはフェイトの友人とこれっきりになるのを防ぐことと、無限書庫との繋がりをもとうとした。 クロノは純粋に友人として。

 レイジングハートには愛着があるのでそのまま持っている。

③デバイスを今まで使わなかった
 ユーノはデバイス無しでも頑丈な結界を張れたので必要性を感じなかった。

④アルフ
 フェイトはリンディ預かりになっていて魔導師の資格を取る訓練中。
 アルフは暇な時間が多いのでユーノの手伝いに来たりする。 プレシアを捕縛したユーノを尊敬しているらしい。

⑤猫姉妹が怖い。
 その一件以来猫恐怖症。

⑥技術開発室
 『原作』で存在するかどうかわからないけど、そういう部署はあると思う。

 この技術者達はデバイスマイスター。 本局で勤めていたこのユーノにとって、一方的にだが知っている人達。









090818/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのろく
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/19 22:47



●守護騎士が出て『闇の書』が消滅し、無限書庫に就職するまでにした方が良いこと

 ①守護騎士を拘束する時は、射程が短いのでフェレットモードで隠れておくと楽です。

 ②猫姉妹やグレアムさんにツッコミはしないでおきましょう。 スムーズに事が進みます。

 ③はやてさんとフェイトさんが親友になれるようにフォローしましょう。
  機動六課がないとJS事件を乗り切るのが難しいです。



・・・



八神家 玄関


ある日、買い物から帰ってきた八神はやては、家の前にダンボールが1つ置かれている事に気付いた。
ダンボールには「拾ってください」とマジックで大きく書いてあり、中には1匹のフェレットが入っていた。


「きゅっきゅっ」


フェレットははやての顔を見ると嬉しそうに鳴いた。
その可愛らしい泣き声と動きの前に、「何でうちやねん。」というつもりで開いた口から「かわええなぁ」と声が出る。

その声が聞こえたのか、フェレットはダンボールから飛び出し、はやての足を駆け登る。

フェレットには緑色の丸い石の付いた首輪がしてあり、動くたびに小さく揺れている。
そのしぐさの可愛いらしさに、おもわずその小さな体を撫でると、ある事に気付いた。

緑色の石の中に文字が浮かんでいるのだ。


「ユー、ノ? ユーノって名前なんか?」
「きゅー!」


名前を呼ばれて、両手を上に上げて元気よく返事をするフェレット。
一人暮らしの少女から、この生き物を飼わないという選択肢が消えた瞬間だった。


翌日、図書館でフェレットの飼い方を調べ、フェレット用の餌やシャンプーを購入するはやての姿はとても嬉しそうであった。





それから数日が過ぎ…





「闇の書の起動を確認しました。」
「我ら、闇の書の蒐集を行い、主を護る守護騎士にてございます。」
「夜天の主の下に集いし雲…」
「ヴォルケンリッター …何なりと命r」
「《とあるフェレットの憂鬱》!!」


はやての前に突如現れた謎の4人組が、ペットから出た不思議な光で縛られた。


「ど… どこからツッコミいれればいいんやろ?



 …お互い楽しく暮らしてるて思てたのに『憂鬱』とか言うユーノからやろか?」


ピンポーン♪

戸惑いながらも、いつのまにかハリセンを握っていたはやての耳に呼び鈴の音が聞こえた。 「正解したのかと思ったわ」とは後日談。



・・・



辺境の世界 アースラ 食堂


『きゅー!』


食事をしている人達の目の前に、可愛らしいフェレットの姿が映し出される。
猫姉妹が監視しながら撮っていた『はやてとユーノの出会い』が上映されているのだ。

評判はとても良く、アースラに乗る事ができた技術開発室のメンバーがデータのコピーを貰ったりしていた。


「アルフ、僕はやっぱりリーゼ姉妹とは仲良くできそうにないよ…」
「いいから泣きな… 背中くらいなら貸してやるからさ…」


犬モードのアルフさんの背中に乗って泣くフェレットな僕


「アルフさんとユーノ、写真撮ってもええ?」
「はやては好きにするといいよ…」


騙していたことを謝った時、「事件が終わるまで、フェレットのままでいてな?」と言われたのだ。
はやく人間になりたい



「こんなやつに負けたなんて…」
「嘆くなヴィータ、事前に我らの事を調べ上げた上での見事な不意打ちだったのだ。 それに、借りは返せばいい…」
「シグナム… そうだな、過ぎたことをぐだぐだ言うのは良くないよな!」
「ああ、その意気だ。 無人惑星での模擬戦の許可はすでに取ってある。」


そう言って、アルフの背中で泣く僕に近づいてくる2人


「アルフ、死亡フラグが近づいてくるからどこかに避難しよう?」
「そうだね、あの2人相手に正々堂々なんてフェイトやクロノでもきついだろうからね。」
「バルディッシュとヒスイはカートリッジシステムを付けて貰う為に本局に預けているけど、今手元にあっても遠慮したい僕はへたれなのかな?」
「そうでもないんじゃないかい? プレシアの時もヴォルケンリッターの時も、単独で捕縛しているじゃないか。」
「アルフは優しいね…」


しかし、逃げ出そうとする僕達の前にクロノが立ち塞がる。


「クロノ?」
「2人の会話が聞こえたんだろう?」
「うん?」

―――ああ、その意気だ。 無人惑星での模擬戦の許可はすでに取ってある。―――

「ぁ!」
「そう、許可は出ているんだ…」


許可が出ているという事は僕の参加は決定事項なんだね?


「しくしくしくしく」
「クロノ、何とかできないのかい? ユーノはデバイスが無いんだよ?」
「ついさっき届いた。」


残酷な現実に涙が止まらない。
僕、模擬戦を生き残れたらアルフさんの背中をモフモフするんだ… 今もしているけど。


「ユーノ、ご愁傷様。」
「アルフもね」
「え?」


同情した僕に同情されて戸惑う


「たぶん、許可が出た理由ってバルディッシュとヒスイのデータ取りなんだよ?」
「ユーノの言うとおり、フェイトも参加する。 データはいくらでも欲しいそうだ。」
「まった! フェイトが参加するなら私も参加するけど… 私はデバイスなんて使わないよ?」
「あのね、フェイトの相手はシグナムでいいだろうけど、僕の相手に」
「ああ、ヴィータってことはないね… はぁ」


クロノ&フェイト&アルフ&ユーノ(『とあるフェレットの憂鬱』禁止)

       VS

はやて(指示のみ)&ヴォルケンリッター


三時間もかかった模擬戦は引き分けで終わり、見学していた技術開発室の人達に何らかインスピレーションを与えたそうだ。



・・・



『夜天の書』は消滅し、その遺言であるリインフォースⅡの製作に関しては、僕が無限書庫で融合型デバイスの資料を探し、技術開発室の人達も協力することになった。

…原作でも彼らの協力はあったのかな?



あと、はやてとフェイトはいつの間にか仲良くなっていた。
それも、はやてとフェイトが地球の学校に一緒に通うことを約束するくらいに… 模擬戦がいい影響を与えたのかもしれない。



・・・



①八神家に潜り込む
 『製作者』は気付かれない様に潜入というつもりだったが、このユーノはこんな感じで潜り込んだ。

②フェレット用のシャンプー?
 人間用の石鹸などでフェレットを洗うのはお奨めしないらしい。
 一緒にお風呂なんてありえないし、毎日風呂に入れる必要も無いらしい。
 気になる人は調べてみてください。

③はやてがユーノを呼び捨て
 はやてにとってユーノはペット。 自業自得である。

④『夜天の書』
 「本編そのなな」や原作から脳内補完してください。









090819/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのなな
Name: 社符瑠◆ed48ccdd ID:5aa505be
Date: 2009/08/20 21:27



●空港火災までにした方が良いこと
 ①無限書庫で働いて、インテリジェントデバイスをナカジマ姉妹用、キャロさんとエリオくん用の4つ買えるようにしましょう。
 ・ナカジマ姉妹が敵にならず、むしろ敵の戦闘機人を減らす事ができる…可能性があります。
 ・エリオくんはガリューを拘束できます。 キャロさんはルーテシアさんを拘束できます。

 ②対物理系の結界や盾を構成しておくとより多くの人命を救うことができます。
 ・壊れていく空港で、壁や柱の代わりにすることで被害者の避難行動とレスキューの救命行動をスムーズにできます。

 ③構成を解析して結界魔法や拘束魔法、封印魔法を強化しましょう。
 ・自分自身の強化でもありますが、①で購入したインテリジェントデバイスにインストールするためにも必要です。

 ④魔力量の増加トレーニングをしましょう。 デバイスにベルカのカートリッジシステムを付けるのもいいでしょう。
 ・説明するまでも無く自分自身の強化です。 幻術魔法とフェレットモードを組み合わせるのもいいでしょう。



・・・



例えば、今年100件の犯罪が起こっていることがわかっているとする。

犯罪者が1人1件の罪を犯しているなら、100人を捕まえれば検挙率は100%になる。 が、1人10件なら10人捕まえるだけで検挙率は100%になる。

そして、今年ではなくそれ以前に罪を犯した者を捕まえた場合、検挙率は今年の数字に加わるので、そういう場合『今年の検挙率』が100%を超えることもある。

なので、検挙率が35%増加するということも、過去に検挙できなかった犯罪者を捕まえる事ができれば一応可能ではある。 長続きはしないだろうが…

まぁ、複数犯とか誰にも知られていない犯罪があった場合とか、いろいろあるのだけれども…


要するに、ミッドには何年も捕まらずに数百、数千件もの罪を犯している者、またはグループが多いのだろう。


そう、オーバーSランクの魔導師が犯人だった場合は、言うまでもなく捕まえる事は至難の業だ。
あ、空を飛べない局員は多いので、空を飛べるというだけでも逃亡の成功率は上がるのか…

とにかく、彼らを捕まえる事ができれば犯罪発生率が20%減るというのも理解できる。


アインへリアルというのは、そういう凶悪な犯罪魔導師を問答無用で撃ち落す兵器なのだろう。


「まぁ、ゆりかご浮上の邪魔になるから、スカリエッティ達に壊されるわけだけど…」


無限書庫で新聞記事に呟きながら、僕は、僕が僕であるために必要な資料を探し続ける…



・・・



空港火災現場にて


ガシャン!

カートリッジを使用し魔力が増強される。

「とあるフェレットの憂鬱」
対物理や耐熱に優れたシールドや結界で、柱や壁のあった場所に結界を張って天井を支える。


ガシャン!

「とあるフェレットの憂鬱」
自力で脱出できない要救助者達を集めて結界で覆い、救助隊が来るまで持つように言う。


途中、外からはやてやフェイトの魔力を感じたので念話で状況を説明する。
彼女達から救助隊に連絡が行くだろうから、これで僕が発見した人達は助かる。


ガシャン!

『とあるフェレットの憂鬱』
ナカジマ姉妹を保護した時点で残りカートリッジが無くなる。

カートリッジシステムが無かったら魔力切れで倒れていたかもしれない…





後日、ナカジマ親子から命の恩人扱いされた。

確かに彼女達が助かった事は嬉しいのだが、助ける事ができたのは『製作者』のおかげなのだ…



・・・



無限書庫


「達成感が無い。」


無限書庫で司書長として様々な世界の過去の偉人達が遺した資料を読むと、その思いは強くなる。


PT事件の時、プレシアの攻撃を防いだり、拘束したりした時には感じた。
けれど、それはユーノ・スクライアという人間のスペックとあの魔法があればこそだと気付いたら虚しくなった。

闇の諸事件の時、僕にできたのは『知っていること』を『無限書庫で調べた』ように振舞うことだった。
はやてとヴォルケンリッターに感謝されたが、その感謝は『ユーノ・スクライア』と『製作者』にしているのであって『僕』にではないと思った。





あの時、僕に選べる選択肢は1つだけだった。

『製作者』の助言どおりに事を進め、被害を少なくしながら多くの人を救う。

何度も繰り返していながら、何も出来ずに死ぬだけだった僕にとって、それはまさに天啓だった。

だが、今の僕には苦痛だ。

誰かに褒められると、誰かに感謝されると、僕の心は傷ついていく。



『とあるフェレットの憂鬱』

これを解析して構成した魔法に別の名前を付けないのは、僕なりの『けじめ』なのだ。

『ユーノ・スクライアが使う事に特化された魔法』

これを超える何かを生み出せない限り、僕の虚無感はなくならない。 達成感を感じない!





だから、僕は資料を集める。

何が出来るかわからない。 何も出来ないかもしれない。


それでも何かを探し続ける。


『製作者』を超えるべく、僕にできる何かを…


「意地があんだよ、男の子にはな!」



・・・



ナカジマ家


感謝の言葉を聞きたくなくて、今まで避けてきたが…


「これが約束していた物だよ。」


スバルとギンガに蒼いインテリジェントデバイスを渡す。
2人の安全を考えると避けるわけにはいかない重要なイベントなのだ。


「本当に貰っても良いんですか?」
「インテリジェントって、高いんでしょう?」
「気にしないでいいよ。
 あ、それは防御とバインドに特化した魔法を入れてあるから持っているだけでいいし、2人の持っているデバイスと変に干渉することも無いようにしてあるから。」


2人のデバイスは母の形見だから無茶できなかった。
変な干渉を防ぐのなら両方を調整したほうが楽だとマイスター達も言っていたんだけど…


「防御とバインドですか?」
「そうだよ。 僕は攻撃魔法が苦手なんだ。」
「それじゃあ、防御とバインドはこちらに任せて空いた分に他の魔法を入れたほうがいいんでしょうか?」


ブリッツキャリバーを触りながらギンガが聞いてくる。 スバルも答えを待っている。

今まで、インテリジェントデバイスは『対ナンバーズ用の道具』としか考えていなかったが、2つのデバイスを使用することになる2人には結構重要なことらしい。


「…自動的にシールドを張ったりしてくれる分にはインテリジェントのほうがいいと思うけど、自分で張るときには『どちらに慣れているか』によるんじゃないかな?」
「どちらに慣れているか?」
「ブリッツキャリバーよりもそっちでシールド張るほうが早いなら防御を任せても良いんじゃないかなってこと。」
「なるほど… 今度比べてみます。」
「そうするといいよ」


しかし、複数のデバイスを持って、それぞれに攻撃や防御などを担当させるっていうのは、有りかもしれない…


「インテリジェント、カートリッジ、攻防の担当…」
「ユーノさん?」
「アインへリアルに使われているシステムによっては…」
「アインヘ?」


『製作者』を超えることができるかもしれない


「ありがとう、ギンガ」
「え?」
「君のおかげで、可能性が見えてきた!」
「ギン姉のおかげ?」
「僕は調べたい事ができたから、悪いけど帰るね! ゲンヤさんによろしく言っておいて!」
「あ、ユーノさん!?」
「まって!」


僕は駆け足で無限書庫へ向かった。



・・・



①検挙率とアインへリアル
 作者独自設定なので違っていても起こらないで下さい。
 アインへリアルがどういったものなら検挙率を上げる事が出来るのか考えたらこの考えになった。

 壁を通り抜けたり転移したりで空き巣し放題。
 風のように速く動ければ置き引きや引ったくりも簡単。
 誘拐や殺人などの凶悪犯罪も容易にできる… 軽犯罪を重ねるほうがリスクが少ないだろうけど。

 魔導師が犯罪に走ったら魔法を使えない人はもちろん、使える人でも捕まえるのって難しいよねぇ…

②達成感が無い
 肉体と魔法、どちらかが自分の努力によって得られたものだったら感じる事ができたかもしれない。

③マイスター達
 技術開発室の人達。 無限書庫の司書達も彼らに業務補佐用のデバイスを作ってもらっている。

④ナカジマ姉妹
 父も交えて4人でのディナーがお流れになった。 可哀想に…









090820/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのはち
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/21 21:23



●ヴィヴィオを保護してからJS事件終了まで
 ①ヘリを守る時に使う際は最低『七重』で『防御』、できるなら『十重』で『反射』しましょう。
 ・『四重』でも防げますがヘリは守れません。
 ・『九重』では敵に直撃させるのが難しいです。 他に被害を出すくらいなら『七重』で魔力をありったけ使いましょう。
 ・防御範囲が広いのであらかじめ練習しておくといいでしょう。
 ・『七重』が無理な場合、ヘリの大きさに合った防御魔法を構成しておくといいでしょう。

 ②暗殺対策
 ・管理局に潜り込んでいる2番目や壁を通り抜けてくる6番目が暗殺に来る可能性があります。
 ・バリアジャケットの強化や、フェレットモードをうまく使いましょう。

 ③スカさんを捕縛する時
 ・AMFがキツイです。 魔力量は増えましたか? カートリッジシステムは使いこなせていますか?
 ・戦闘機人を捕縛するだけなら範囲を広げた拘束結界でも可能です。
 ・スカさんは面倒な事に魔導師です。 『五重』以上で使用しましょう。

 ④聖王ヴィヴィオ
 ・はやてさんに4番目をピンポイントで攻撃してもらいましょう。
 ・AMFがキツイので、封印魔法を構成してバルディッシュやリインフォースⅡに任せてしまうのも手です。



・・・



古代遺物管理部機動六課

試験的に設立・運用された部隊であり、運用期間は1年間。

設立理由などは色々あるが、僕が考えるに重要なのはこの3つ

1、予言の阻止
2、ヴォルケンリッターを身内に持つが故に、将来的にいずれは何処かの『長』となるであろう八神はやてに経験を積ませる。
3、失敗した時は八神一家とハラオウン一家、それとその周辺の数名だけが責任を取る『だけ』で済む。

成功しても「設立を認めた管理局が偉い」、失敗しても「責任を取るのはごく一部」
管理局のトップにとって都合の良い部隊だとも言えるかもしれない。

今後、『リミッター』はよほどの理由がないとできないようになるらしい。
『裏技』はその存在を知られたら『表』に塗り潰される物なんでしょう。



それはそれとして、どうやら客が来たみたいだ。






無限書庫 司書長室


「…なんで?」
「無限書庫っていうのは情報の集まる場所なんだよ? そんな重要な場所の責任者の部屋が侵入者対策されていないほうがおかしいとは思わないか?」


何故自分が拘束されているのかと聞いているのだろうから、わかりやすく説明した。


「…もしかしなくても」
「うん、前に僕を暗殺しに来た人も同じ罠にはまったよ。」


ナンバーズの6番目(名前は忘れた)が、2番目と同じ罠にはまった。
僕の幻影を纏いながら空中に浮いているヒスイをそれと知らずに攻撃したのだ。

スカッ! という擬音が似合う間抜けな姿に『とあるフェレットの憂鬱』をかけて拘束した。

さっきまで僕はフェレットモードで部屋の中心にある机の上で資料を読んでいた。
6番目対策として壁や床や天井に感知系の魔法を仕掛けておいたのは言うまでも無いかな?


ちなみに

ヘリを砲撃してきた奴(名前も何番目かも忘れた)にその砲撃を反射して当てたら結構な怪我をしてしまい、治癒効果を付与した結界魔法(近づきたくなかった)で応急手当をしていたら救助に来たナンバーズが居たのでそいつも拘束した。
…4番目が来ると思っていたがそうではなく別のが来た。 救助は無理だと判断してさっさと逃げたか、私の記憶が間違っていたのか… まぁ、何十年も前の記憶だしなぁ…

2番目は僕がヘリを守った数日後に「あなたの存在は~」とかいいながら6番目と同じように幻影に攻撃してスカッ!としているところを拘束した。


「いや、そっちじゃなくて…」
「うん?」
「あなたがユーノ・スクライア?」
「そうだよ。」


無限書庫の司書長がフェレットになれることを知らなかったらしい…





なにはともあれ、JS事件が始まった。



・・・



突入準備をしていたヴェロッサに声をかける。


「お待たせしました。」
「さっき報告が来ましたよ? 1人捕まえたそうですね?」


彼に6番目のことがすでに報告されているという事は、スカリエッティにも情報が流れている可能性もあるな…


「うん、前の子は突然ドアを開けて入ってきて、今度の子は壁からひょいと入ってきたよ。」
「へぇ」
「ノックをしないで他人の部屋に入るなんて、教育がなっていないと思わない?」
「そうですね… 娘ばかり作るようですから、本人も教育を受けた事がないとか?」
「むぅ… マッドなだけでなく、変態だったのか。」
「でも、男を作っていたら… それはそれで変態なのでは?」
「なるほど、それは確かに。」


HAHAHAと笑いあう。


「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。」
「うん、行こうか。」
「待って下さい! 私も行きます!」


シスターが歩き出した僕達に声をかける。


「大きな声を出さないで下さい。 気付かれちゃいますよ?」
「先生、僕達もさっき大声で笑いましたよ。」
「…おお! それもそうだ」


再びHAHAHAと笑う。


「それに、先生はともかく僕達がここに居る事はもう気付かれています。」
「え? そうだったの?」
「はい、その証拠に…」


ヴェロッサが指差す方向には真っ二つになったガジェットが1機…


「君が?」
「いいえ」
「シスターが?」
「はい」
「…まあ、行きましょう。」


ザッザッザッザッ





スカリエッティは、フェイトじゃなく僕が来た事に驚いていた。

彼女は母親に認めてもらえたと思っているからプロジェクトFにそこまで思い入れがないみたいなんだよね。

それに、娘であるヴィヴィオを救うという使命もあるし…


シスターはスカリエッティと1対1で戦う気でいたみたいだったけど、ヴェロッサの猟犬に牽制されて攻めあぐねているナンバーズ2人を『とある~』でさっさと拘束することで戦闘開始からたった3分で3対1に…


正直余裕でした。





はやてに4番目の居場所を狙撃してもらって、レリック用に構成した封印魔法を入れたインテリジェントデバイスも渡す。

後はヘリの中で待っていれば…



JS事件が終わった。









ここから先は未知の領域だ。



・・・



①スカさん…
 ヘリを攻撃して失敗→2人脱落
 ギンガとスバルを捕まえようとして失敗→3人脱落
 ユーノを暗殺未遂→2人脱落

 7人も捕まってしまった。 でも計画を遅らせる事はできない…

 スカさんの基地(ゆりかご浮上のための囮)
 スカさんと2人 →お供を連れたユーノが全員拘束。

 ゆりかご(本命)
 4番目と聖王ヴィヴィオ →はやてとフェイトが大活躍。 ヴィータも頑張った。

 ミッドチルダ地上本部(ゆりかご浮上のための囮)
 ゼスト&アギト →シグナム ドゥーエがいないのでレジアス生存。

 ルーテシアとガリュー →エリオとキャロ 4番目に暴走させられてもユーノから貰ったデバイスで即拘束。

 ナンバーズ2人 →ティアナが11番目を、ザフィーラが8番目を捕縛。

 大量のガジェット →ナカジマ姉妹 遠距離からの攻撃だったが、他の地上局員からの援護もあり余裕でした。

②ヴェロッサ
 ユーノを先生と呼ぶ。 司書長は偉いのです。

③はやてにデバイスを渡す
 助言に従った。









090821/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 そのおとこのいじ
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/22 12:10




『とあるフェレットの憂鬱』

ユーノ・スクライアが使う事に特化された魔法。 けれど、今の僕には余り必要の無い魔法。

なぜなら、バインドも結界も反射も、それぞれ『十重』以上の効果で使用魔力の少ない魔法をすでに構成しているからだ。

そしておそらく、『製作者』は僕の構成した魔法以上のモノを組み上げているのだろう。

この魔法を越える物とは何か、ずっと試行錯誤を繰り返してきたが、今日、それが2つの形になった。



JS事件から3年後 時空管理局 本局 技術開発室


「ようやくできましたね…」
「ええ、後はデータを取りながらバージョンアップしていきます。」
「今まではストレージでも個人に合わせて調整する必要がありましたけど、これなら最初の登録だけで済みますし、メンテナンスも楽になります。」
「メンテの時間が減っても使用者が増えたら仕事量は変わらないだろうけどね…」
「登録と調整に時間がかからないんですから、あらかじめ予備を多めに作っておけばデバイスがなくて前線に出れない魔導師が減ります。」
「これで管理局の人材不足も大幅に改善されますよ。」


僕と技術開発室の共同開発で作られた2種類のプロトタイプデバイス…


「問題は誰に使ってもらうかです。」
「ああ、それならナカジマさんの部隊の新人さん達に訓練で使ってもらえるように交渉済みです。」
「流石ユーノ先生。 行動が早いですね。」


この時僕は、達成感を感じていた。





『特定の1人が使う事に特化された魔法』を越える物
それは『不特定の多数が使う事に特化された魔法』だと思った。


だが、そんな魔法を作るには多くの障害があった。

なぜなら、魔法とは個人の資質に大きく左右されるからだ。

治癒に優れているが他は全然駄目な人。

近接攻撃に優れているが射撃は微妙な人。

結界やシールドに優れているが攻撃は微妙な人。

『誰もが持っている資質』なんて無いと行っても良いのだ。

だから『資質が無くても使える』物を作ることになるのだが… 問題は1人1人の魔力量だ。

「『資質が無くても使える』はずだけど、『魔力が無い』から使えません。」
「『資質が無くても使える』から使えたけど、『魔力が少ない』から効果がありません。」

なんてことになったら意味が無い。


『資質が無くても』『魔力が無くても』使える魔法。 そんな夢のような話を実現させる第一歩がこの2種類のデバイスなのだ。






低魔力局員用インテリジェントデバイス プロトタイプA


直径4cmで長さ1m程の杖、その片方の先端に直径10cm程の透明な球体が付いている。

球体に右手で触れる。すると生体データと魔力を感知、それが登録されている物と一致したらAIが起動する。

『カートリッジシステム』を元にして、蓄積される魔力は減るが使いやすくなった『カスタムカートリッジシステム』が組み込まれている。

さらに、このデバイスのAIにはアインへリアルで使われていた魔力砲撃システムをサイズダウンしたものが使われており、『砲撃や射撃の資質のない者』でも射撃魔法が撃てる様になっている。

デバイスにただ1つ登録されている攻撃魔法の『バインドショット』は新しく構成されたもので、見た目は普通の魔力弾だが、当たると魔力ダメージを与えるだけでなくバインドもする。 射程は最大200mほど。

これにより、少しでも魔力があれば『カスタムカートリッジシステム』で魔力を補充しつつ『バインドショット』を撃つということが可能になった。

また、このデバイスが犯罪者の手に渡らないように、仮に渡っても使えないようにするための工夫として待機モードが杖型のままであり、『管理局に忠実なAI』に『バインドショット』の魔法の構成を組み込む事で登録者にしか使えないようにしている。





低魔力局員用インテリジェントデバイス プロトタイプB


形状は腰に巻くベルト型であり、登録者がバックル部分に触れる事でAIが起動する。

プロトタイプAと同じ『カスタムカートリッジシステム』が採用されている。

『マント型バリアジャケット』と『ラウンドシールド』などのシールド系魔法、そして周囲の状況を知るためのサーチ系の魔法のみが登録されている。

自力でバリアジャケットを使えない者にとっても、元々バリアジャケットを使える者にとっても更なる防御力アップ期待ができる。

AIにはプロトタイプAと同じように魔法の構成を組み込み、登録者にしか使用できないようにしている。





今はまだこの程度で、魔力を持っている者にしか使えない。

が、データを取り、無限書庫で資料を更に集める事でさらにバージョンアップできるだろう。

『カスタムカートリッジシステム』で増強した魔力を使い、『カートリッジシステム』を制御するなんて事もできるかもしれない。









もしかしたら、『製作者』はこのデバイス以上の物を作り上げているかもしれないけど…




「僕はもう、『憂鬱』なんて言わない。 


 …ロストロギアの封印の時しか」









・・・









JS事件から十数年後 どこかの管理世界



ほんの少し前まで、たくさんの人が平和に生活していた都市が…


どおおおん


大きなビルが爆発と共に崩れ、マンホールの蓋は飛び上がり下水が噴水のように空に昇る。

どの建物も窓が割れ、火が出ている。


「なんで、なんでこんな事に!」


安全な場所を求めて走る女性。
その顔は汗と涙で化粧が崩れ、煤も付いている。
服やスカートは所々破れ、ガラスなどで怪我をしたのか、血で赤くなった肌が見える。


「はーはっはっは!」


突如響き渡る笑い声。


「だ、誰!?」
「我が名ふぁっ!」


実は女性からそう離れていない場所にいた何処から見ても怪しい老人に、どこからともなく現れた5人組から魔力弾が放たれた。


ドガン! ドガン! ドガン!


「な、何者だ!」


魔力弾を防いだ老人は、名乗りを邪魔された事か、それとも突然撃たれた事か、あるいはその両方の理由で怒鳴り声を上げた。


「大丈夫ですか?」
「あ、あなた達はあの時の!」


しかし彼らは老人を無視して女性を助ける。 女性と彼らは顔見知りのようだ。


「あの時言ったでしょう? 『この世界は狙われている』って」
「ええい! 我を無視するな!」


空気を読まない老人。 …空気を読めたらこんな事はしないか。


「そんなに知りたいのなら教えてやろう!」


赤いジャケットの男がそう叫び、その腰にベルトを装着する。


「そ、それは!」


うろたえる老人。

ベルトのバックルには、向かって右側から左側へ走るフェレットのマークが描かれていて、その下には「無限技術」の文字が輝いていた。


「「「「「装着!」」」」」


女性を助けた5人組がそのバックルに右手を当ててそう叫ぶと、彼らの体がピカッと光る。


「レッド!」
「ブルー!」
「グリーン!」
「イエロー!」
「ピンク!」


「「「「「時空戦隊アインへリアル! 参上!!」」」」」


元々着ていた各色のジャケットの上に茶色のマント型バリアジャケットを装着した彼らがそう名乗りを上げる。

そのバックに五色の爆発は無い。 火薬は質量兵器に使用できるので用意できなかったのだ。 用意できても使用出来なかっただろうけど…


「くぅっ こんな辺境にまで出回っているとは…」


非常に残念そうな老人。
しかし、時空戦隊はそんな事を無視して


「いくぞ、みんな!」
「「「「おう!」」」」


さっきからずっと持っていた杖を老人に向け


カシャン!カシャン!カシャン!カシャン!カシャン!


それぞれの杖からカスタムカートリッジが飛び出し、1人30発、計150発のバインドショットが発射される!


「「「「「飽和攻撃!」」」」」

「それが正義の味方のする事か!」


彼らは魔力を殆ど持たない、デバイスにおんぶに抱っこな戦隊なのでこれが一番効率が良いのだ!






バインドショットのせいで拘束された老人。
100発以上も受けたために魔力も枯れて、拘束から抜け出す事もできない。


「くっ、こんな、悪の美学に反する負け方をすることになるとは…」


こうして今日も、次元世界の平和は守られたのだった。

がんばれ時空戦隊! 負けるなアインへリアル!

世界の平和は君達の手にかかっている!



・・・


①時空戦隊アインへリアル
 最初は5人組。 レアスキル持ちの6人目、オーバーSランクの魔力を持った7人目が増員される予定。

 全管理世界で採用されている。 女性だけの世界もあれば、男だけの世界もある。

 管理局に勤めてアインへリアルになりたい子供が急増した。 なりたい職業上位である。 …一位ではない。

②フェレットのマークと無限技術という文字
 無限図書と技術開発室の共同開発の証。

 マントの色を茶色から7色選べるように研究中。 「意味あるの?」技術者Aのぼやき
 今は杖だけしかないが剣や斧などのタイプも研究中。 「量産型の強みが…」技術者Bの嘆き

③ロボは?
 質量兵器扱いになるので存在しない。 「ちょっと残念」ユーノの呟き。

④レジアス
 その涙は嬉し涙か







とある平行世界の出来事 了 しかし彼らの戦いは続く

090822/初投稿



[10392] とある平行世界の出来事 あとがきの代わりに
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/23 15:45

●蛇足にしかならないと思いつつ書いた理由。
①『とあるフェレットの憂鬱』
 本編でも外伝でも説明し忘れたこの魔法の説明をしたかった。

 ・感想で『とあるフェレットの憂鬱』を完成形の封印魔法だと思っていたという人がいた。
  『本編そのまほうのなまえは』でどんな効果のある魔法か書いてあったんだけどなぁ…

 ・感想で、レアスキルじゃないかという人もいた。
  レアスキルって、生まれながらに持っているものの中でも特に珍しい物ではないでしょうか?
  『とあるフェレットの憂鬱』は特定個人の為に作られた、いわゆるオーダーメイドの一品だからレアはレアでもちょっと違うと思います。

  使いたい人がいるなら『効率は悪い』けど『多重』に使用できるようにすることはできます。
  その使いたい人の魔力資質やら何やらを調べ上げて調整するのに何年もかかるし、その人はその人でマルチタスクを鍛えないといけないけど。

 ・感想で、ユーノ以外には使いこなせない魔法構成なのに教本に載せられるんですかという人もいた。
  載るのは『名前』と使用された経緯だけです。 それに『特化』されているからと言って『他の人には絶対に使えない』と書いてもいない。
  それに、構成まで載せるのならクロノが教えるまでも無くユーノは知ってないとだめでしょう。

  誰にでも使える物しか教本に載せないって事になったら、カリムのレアスキル頼みの占いの魔法の名前はどこにも残らない事になる。
  シグナムやフェイトの資質に頼った魔法も載せられないし、キャロの一族の召喚も名前が何処にも残らない事に…

  そもそも魔法の教本ではなく、社会や近代史などでユーノ・スクライアの事が10行程度載るだけだったり…


  仮に魔法の教本だったとして

  自分の資質を良く知っていればこんな事もできるという、『自分専用魔法の代表』という意味で教本に載せるのは『無し』なのかな?
  無限書庫を開拓したユーノ・スクライアが戦闘で使っていた魔法という意味でも…

  『とある平行世界の出来事 そのご』を読んで名前だけが載るのではと言ってくれた人もいるけど、作者の文章力がまだまだという事なのでしょう。

②はやてに拾われるフェレットユーノ
 なんでこんな事を思いついたのかわからないけど、思いついちゃったんだから仕方ない。

③アインへリアルって実はすごいんじゃない?
 高ランク魔力持ちが少ない地上で、レアスキル持ちの必要ない魔力兵器、しかも3つも作っている。
 ということは、魔力が無い、または少し持っている人達だけで『巨大な魔力砲』を撃って、そのうえ『敵に当てる』ことができるシステムってことだよね?

④時空戦隊アインへリアル
 そんなアインへリアルって、応用したらこんなことできないか? という妄想。

 変身ヒーロー万歳!

●このユーノが繰り返してきた世界
 結界魔導師1人ではスカさんの野望をとめる事はできない。
 聖王教会にツテもないので占いの内容を知る立場に無い。
 結果、ゆりかごからの本局への攻撃でユーノは毎回死ぬ事になる。

●そのいちとそのに
 プロローグ的なもの。 それまで自分ができなかった事ができるようになった嬉しさと敗北感。
 ・ジュエルシードを捜索しに~後々効いてきます。
  大人に止められても構わずに行動する→「ユーノは行動力と責任感があるやつだ」と思われる事で物事が有利に進む。
  例えば、スカリエッティを捕まえに行く時とかに。 しかし、JS事件後にどう働くか不明。

●そのさんとそのよん
 無印編
 ・輸送船の事故でジュエルシードが行方不明になっていた事を『リンディが知らなかった』理由を「部署が違う」としている事

  エース第一話、リンディとレティの会話から
  『捜索担当班』が存在する事、レティがリンディに捜索担当班が探しているロストロギアの名前を言わない事から
  『輸送船→本局→捜索担当班→本局→アースラなどの次元航行艦』の順で連絡が行くと推測しました。

  スクライア一族や輸送船から管理局に連絡が行っていないというのが公式だったら書き直し…

●そのごとそのろく
 エース編
 ・『とあるフェレットの憂鬱』の説明

 ・技術開発室
  2種類のプロタイプデバイスのためのフラグその1

 ・フェレットはかわいい

●そのななとそのはち
 ストライカーズ編
 ・アインへリアル
 ・ナカジマ姉妹にインテリジェントデバイスを渡す。
  2種類のプロタイプデバイスのためのフラグその2

●そのおとこのいじ
 最終回
 ・『とあるフェレットの憂鬱』を超えた! と、このユーノは思った。 読者もきっと…



・・・



おまけ これと時空戦隊を先に書き上げた…



―――『注意書き(全文)』―――



『とあるフェレットの憂鬱』をご使用になる皆様へ 製作者より



あなたが知った『未来の知識』と組み合わせての使用例です。 参考にしてください。


●今すぐにした方が良い事と、第97管理外世界に行く前にした方が良い事

 ①目の前にあるジュエルシード21個全てにそれぞれ『三重』に使ってください。 約三ヶ月封印できます。

 ②ジュエルシードを捜索しに行く事を大人達に話しておきましょう。 おそらく付いてくる人はいませんが後々効いてきます。

 ③いくつかの世界に行き、それぞれに1日くらい滞在した後で地球に行くようにしましょう。


●地球に行ってからアースラが来るまでにした方が良いこと

 ①地球に行った時、必ずしもフェイトさんと接触する必要はありません。
  ジュエルシードを探しているのを見つけて映像を撮り、近くにいるアースラにデータを送りましょう。 音声が拾えれば尚良し。

 ②『闇の書』の存在を確認する際、猫姉妹に気をつけましょう。 見つかったら狩られます。

 ③フェレットモードでもいいので、最低でも『四重』に使えるように練習しましょう。 命にかかわります。


●アースラが来てフェイトさんが海上で無茶するまでにした方が良いこと

 ①リンディさんの出すお茶を『おいしそう』に飲みましょう。 リンディさんの友好度が上がります。
  長い付き合いになるので、彼女の機嫌を損ねるのはお勧めしません。 愚痴を聞いてあげるのもいいでしょう。

 ②クロノさんとジュエルシードを捜索しましょう。 フェイトさんが襲ってきた時の対処が楽になります。
  フェイトさんやアルフさんが逃げられる程度にクロノさんの援護をしましょう。

 ③猫姉妹が居ない時に『闇の書』について報告し、無限書庫の利用許可等を取れるようにしましょう。


●フェイトさんが海上で無茶してからプレシアさんの逮捕までにした方が良いこと

 ①『未来の知識』どおりに事を進めたらプレシアさんからの攻撃があります。
 ・フェレットモードで範囲を狭め、最低でも『四重』で、気絶しない程度に魔力を込めて防御しましょう。
 ・『三重』では気絶する可能性があります。 気絶したらジュエルシードを奪われる可能性があります。
 ・フェレットモードで使いましょう。 この時点では『六重』以上で使用しないと子供1人の大きさは防御できません。

 ②『時の庭園』では、フェレットモードでこっそりとプレシアさんに近づいて捕縛してしまいましょう。

 ③フェイトさんの話を聞いてあげましょう。 でも、プレシアさんを否定するのはやめましょう。 グレます。


●『闇の書』から守護騎士が出るまでにした方が良いこと

 ①『闇の書』から『防衛プログラム』を吐き出させるプログラムに応用できます。 技術者と仲良く作ってください。

 ②インテリジェントデバイスを入手しましょう。
  マルチタスクに慣れていればデバイス無しでも『八重』まで使えるようになりますが、無理をする必要がありませんので。

 ③守護騎士が4人だと確定した後に、4つの目標に同時に最低『四重』に使えるように練習しましょう。


●守護騎士が出て『闇の書』が消滅し、無限書庫に就職するまでにした方が良いこと

 ①守護騎士を拘束する時は、射程が短いのでフェレットモードで隠れておくと楽です。

 ②猫姉妹やグレアムさんにツッコミはしないでおきましょう。 スムーズに事が進みます。

 ③はやてさんとフェイトさんが親友になれるようにフォローしましょう。 機動六課がないとJS事件を乗り切るのが難しいです。


●空港火災までにした方が良いこと
 ①無限書庫で働いて、インテリジェントデバイスをナカジマ姉妹用、キャロさんとエリオくん用の4つ買えるようにしましょう。
 ・ナカジマ姉妹が敵にならず、むしろ敵の戦闘機人を減らす事ができる…可能性があります。
 ・エリオくんはガリューを拘束できます。 キャロさんはルーテシアさんを拘束できます。

 ②対物理系の結界や盾を構成しておくとより多くの人命を救うことができます。
 ・壊れていく空港で、壁や柱の代わりにすることで被害者の避難行動とレスキューの救命行動をスムーズにできます。

 ③構成を解析して結界魔法や拘束魔法、封印魔法を強化しましょう。
 ・自分自身の強化でもありますが、①で購入したインテリジェントデバイスにインストールするためにも必要です。

 ④魔力量の増加トレーニングをしましょう。 デバイスにベルカのカートリッジシステムを付けるのもいいでしょう。
 ・説明するまでも無く自分自身の強化です。 幻術魔法とフェレットモードを組み合わせるのもいいでしょう。


●ヴィヴィオを保護してからJS事件終了まで
 ①ヘリを守る時に使う際は最低『七重』で『防御』、できるなら『十重』で『反射』しましょう。
 ・『四重』でも防げますがヘリは守れません。
 ・『九重』では敵に直撃させるのが難しいです。 他に被害を出すくらいなら『七重』で魔力をありったけ使いましょう。
 ・防御範囲が広いのであらかじめ練習しておくといいでしょう。
 ・『七重』が無理な場合、ヘリの大きさに合った防御魔法を構成しておくといいでしょう。

 ②暗殺対策
 ・管理局に潜り込んでいる2番目や壁を通り抜けてくる6番目が暗殺に来る可能性があります。
 ・バリアジャケットの強化や、フェレットモードをうまく使いましょう。

 ③スカさんを捕縛する時
 ・AMFがキツイです。 魔力量は増えましたか? カートリッジシステムは使いこなせていますか?
  戦闘機人を捕縛するだけなら範囲を広げた拘束結界でも可能です。
  スカさんは面倒な事に魔導師です。 『五重』以上で使用しましょう。

 ④聖王ヴィヴィオ
 ・はやてさんに4番目をピンポイントで攻撃してもらいましょう。
 ・AMFがキツイので、封印魔法を構成してバルディッシュやリインフォースⅡに任せてしまうのも手です。


しつこく忠告

●この魔法は『僕』のマルチタスクの癖なども考慮したうえで作られています。
 他の人には『多重』使用は難しいでしょう。 構成を元に『特化』した魔法を作ってあげると良いでしょう。

●『五重』以降はデバイスの補助があったほうがいいでしょう。

●インテリジェントデバイスがあれば『十重』に使用できるはずです。 頭痛や吐き気に効く薬を用意しておきましょう。

●重ねれば重ねるほど効果は高まりますが、難易度も高くなります。 使用魔力も増えますのでトレーニングしましょう。









090822/初投稿
090823/誤字脱字など修正



[10392] その後のその後 01
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/23 15:54


???


おや?

ここはどこだ?

僕はもういい歳になったから自分から施設に入って結構気楽な老後を…

あれ? この感じは…

体が10歳頃に若返っているとか、まったく意味がわからんのだが?

これはつまり、ループは終わって無かったってこと?

違うか、目の前にジュエルシードないし…

あれ? 若いフェイトさん?

なんか魔力が違うし、感じにくい?

…アリシアさんでしたか。

じゃあ、あっちで光っているすっごい魔力はプレシアさんのヒュウドラが暴走しているのかな?

よくわからないけど、結界張っておきますか。





どこかの平行世界でプレシアさんはジュエルシードに願ってしまったのかな?

例えば、アリシアさんが死ぬ夢を見て、「アリシアを助けて!」と叫ぶような、そんな感じで。

そして、その願いを叶えるべくジュエルシードは僕を送り込んだ。 そう考えると納得できない事も無い…


じゃあ、平行世界のどこかにはループしているプレシアさんもいるんだろうな…
「集まれ」と念じるだけでジュエルシード全てを呼び寄せるユーノやフェイトさんとかも…



僕はジュエルシードに囚われたのかもしれない。

もしかしたら、僕と同じ『憑依でループ』だった人達も…

プレシアさんだけでも「ヒュウドラに関わらなければ」とか「アリシアを生き返らせて」とかいろいろありそうだし
もしかしたら『ヒュウドラに関わらないように説得できるユーノ』とか『アリシアを生き返らせる方法を考えついたユーノ』とか居るかもしれないし?

…僕には無理だけど。


しかし、原作開始まで後26年… レイジングハートもいないし、戸籍もない…

え? 戸籍作ってくれるの? 娘を助けてくれたお礼? プレシアさんって話がわかる人だね。

ユーノ・テスタロッサ… アリシアさんの義兄?

それじゃ、これからよろしく。

しかし、原作開始時ユーノ36歳、stsで46歳とか… どんな悪夢だよ? よ? ょ? ぉ?









「ユーノ・テスタロッサ…ねぇ」


悪夢で目が覚めた僕は、洗面台の鏡を見ながらそう呟いた。









それをレイジングハートは聞いていた。



・・・



時空管理局本局 食堂


ネックレスやイヤリングなどの装飾品の形、待機モードでデバイスを身に着ける。
デバイスは魔法を補助してくれる相棒、常に持ち歩く事はなんら不思議な事ではない。

しかし、机の上に通常モードのデバイスを置いて食事をする局員が増えた事に彼女は危機感を覚えていた。

事務用のストレージが通常モードで動いているのは、仕事をしているのだといい訳が出来るだろう。
マルチタスクに慣れた者なら、食べながらでも仕事ができるということは、管理局で働くものなら掃除のパートでも知っていることだ。

医療班などのブーストにも目を瞑ろう。 患者の様子がわかるように常に起動しているべきものである。
緊急時に手間をかけないために待機モードと通常モードで形状が変わらない物のほうが多いと聞いたこともある。

しかしインテリジェントとアームド、お前達は駄目だ。

ここは食堂!
私達の戦場にして聖地!
ここに在るべきは包丁や鍋! 皿やスプーン!
調理器具と食器こそがこの場にふさわしい武器である!

そんな場所に、杖を置くな! 剣を置くな! 斧を置くな! 銃を置くな!!


「仕舞いには上司に言いつけるぞ…」


そんな彼女の荒れた心を癒してくれるのがこの事態を引き起こした原因なのだから世の中というのは不思議である。



そんなある日


ざわ… ざわ…

  ざわ…  ざわ…



話し声はしていてもそれなりに静かだった食堂がざわつく。


「いつもと様子がちがうね?」
「チーフ!」
「食堂で走るな!」
「すいません! でも、あ、あれを!」


息切れか叱られたからか、震えた部下の指先が彼女達のアイドル、その本来の姿に向いていた。


「おや、久しぶりに見たね…」
「こんにちわ」
「ああ、こんにちわ。 今日はお偉いさんにでも呼ばれたのかい?」


前にも何度かそう言った理由がある時に、その姿で食事に来た事があった事を思い出しながら彼女は尋ねた。


「いえ、違います。 僕もあの姿の方が楽なんですけどね…」
「まさか、上から『無限書庫外での変身魔法禁止』っていう通達でも来たのかい?」


食堂のチーフである彼女の耳には、年に一度くらいこの青年のあの姿のことが問題となり、その度に彼の功績と変身するメリットを理由に、黙認になるという情報が入ってきていた。


「上から… いえ、上からではなく身内からです。」
「…八神一家やハラオウン一家かい?」


かわいらしい姿で局内を歩く彼のことを、あの人達が『今更』どうこう言うとは思えないのだが


《いいえ、私です。》
「…レイジングハート?」


ユーノ・スクライアの相棒の名前は彼女達の間で知らない者はいない。
チャットや掲示板でレイジングハートになりたいと言うものは腐るほどいるのだ。


《マスターももう良い歳なので、いつまでもあの姿では相手が見付かりませんから…》
「ちょっ! そんな理由でやめさせたの!? 僕には人間の尊厳がどうこうって言っていたのに!」


仲良く喧嘩する主従を見ながら、会員番号1159は仲間達にメールを送った。









090823/初投稿



[10392] その後のその後 02
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/25 21:09



『無限書庫司書長ユーノ・スクライアがフェレットになるのをやめる事になった。』

そのメールは会員達に衝撃と悲しみを与えた。 もうあの可愛らしい生き物が歩いたり食べたり寝ていたりするのを見る事ができなくなるのかと。

しかし、彼らはその悲しみを乗り越え、新たな一歩を踏み出そうとした。

『レイジングハートがいつまでたっても彼女の1人も出来ない司書長を心配したからだそうだ。』

これが会員達の中でも特に地位があったり顔が広かったりする人達の心に火を付けたのだ!

『今まで私達の癒しになってくれた司書長に、感謝として良い相手を見つけてあげようじゃないか!』

候補として数十名の名前があげられ、その中に彼の幼馴染の2人の名前も含まれる。

しかし、なかなか上げた足を大地に着けることが出来ない。


『レイジングハートは乗り気でも、司書長にその気がない』という決定的な問題。


会員達はどうしたらこの問題を乗り越える事が出来るかを考える事になる…


そして、彼らが考えている間に噂は風のような速さで広がっていくのだった。



・・・



機動六課本部隊舎 食堂


確か、あの映画はまだやっていたはずだから、見に行こうかな?
それとも、前に見逃してしまったあれをレンタルしてこようかしら?
そんな事を考えながら空になった皿をトレイに載せていると、はやてとフェイトが食堂に入ってきた。


「あれ? ティアナ1人なんか?」
「スバルと一緒じゃないって珍しいね?」
「確かに、コンビを組んで長いですけど… いつも一緒ってわけでは無いんですよ?」


スバルとは一緒に食事をしていて、今はちょっと席を外しているだけなのだけど、2人の言葉に思わずそう返してしまった。


「そう怒らんといて、むしろ好都合やと思うてるんやから。」
「そうそう、スバルの耳に入る前に話しておきたい事があるんだよ。」
「…スバルの耳に入る前に?」
「そうや」
「私達には余り関係ないんだけど、スバルには重大事態かもしれなくて…」


どうしよう? ここは正直に実はスバルは席を外しているだけですと言うべきだろうか?
いや、しかし、今言っても厄介事に関わりたくなくて適当なことを言って逃げようとしていると思われるだけか?


「ユーノ君知ってるやろ?」
「ユーノ… 無限書庫司書長のユーノ・スクライア先生の事ですか?」
「そういえばこの前の事件の時に、ヘリで一緒だったから顔は知ってるよね?」
「はい」


実は、ヘリでご一緒する前から顔は知っています。
スバルが毎日「おはようございます」と挨拶している写真がユーノ先生の顔のアップなのです。

それどころか週に一度は『ユーノさんがどれだけすごいか』を聞かされていますよ…


「うーん、とりあえず、ティアナはユーノの噂は知っているかな?」
「噂ですか?」
「そや、ユーノ君が普段どんな格好しているか。」
「…ぁ、そういえば、普段は変身魔法で小動物の姿をしているって聞いたことあります。」
「それだけ知ってれば話し早いわ」
「だね」


無限書庫司書長ユーノ・スクライアは普段は小動物の姿で魔力の消費を抑えて生活している。

そして、無限書庫ではまず必要の無い魔法の訓練の時に倒れるまで魔力を使って鍛え、かつて空港で火災が起きた時のような非常事態に備えている。

あの日まで、スバルから話を聞いただけでは美化しているだけだと思っていた。

普段から小動物の姿で生活って何それ、どこの世界のギャグ? 面白くないんだけど?って…

保護したヴィヴィオを乗せたヘリになされた、あの砲撃を防ぐだけでなく反射したあの瞬間を見るまでは…

あの日初めてスバルの言っている事が誇張の無い真実だということに気付いたのだ。


「それで、そのユーノ先生がどうかしたんですか?」


スバルはユーノ先生に憧れている。 彼に何かあれば、確かにスバルにとっては重大事態だ。


「その小動物、フェレットにならない生活を始めたんだ。」
「は?」
「だからな、ずっと人間の姿のままでいることにしたみたいなんや」
「あの、それのどこが重大事態なんですか?」


むしろ良いことなのでは無いだろうか?
ユーノ先生ははやて隊長やフェイト副隊長と幼馴染だと聞いた覚えがある。

良い歳の男が小動物… フェレットになるのをやめる事のどこに問題があるというのか?


「実はな、もう良い歳やから相手をみつけるためらしいねん」
「相手をみつける? 相手?」
「彼女や! 恋人や! 結婚相手でもええで?」
「彼女、恋人、結婚相手…」


なるほど、確かにスバルにとって重大事態だろうけど… あ!


「…今スバルが告白したら『OK』を貰えるって事ではない?」
「うん」
「ティアナは頭の回転が速いな」


ユーノ先生が恋人を作ろうとしていて、それが誰でも良いなら今頃スバルを焚き付けているはずだ。
この2人ならそうする。 間違いなくそうする。 でも、そうしないということは


「ユーノ先生には好きな人がいるんですね?」
「そや、で、その人は私の出身世界に住んでるんや。」
「隊長の出身… 隊長の出身世界って管理外世界じゃないですか!!」


真剣な顔で頷く2人。


「それって、場合によってはユーノ先生が管理外世界で暮らすってことで、もしかしたら無限書庫辞めるって話j」


ガシャーン


落ちて割れるガラスの音に3人が振り向くと


「ユ、ユーノさんに好きな人… しかも無限書庫を辞める?」


デザートを取りに行っていたスバルが3人の話を聞いてしまっていた。









090825/初投稿



[10392] その後のその後 03
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/27 21:34


「『戦場で命を預ける『相棒』のことはよく知っておくべき』だってユーノさんも言っていたし」


そう言ってスバルは自分の家族や出生のことを話し、「ティアナは?」と聞いてきた。
知ってはいけない事まで知ってしまった事と、スバルからの「教えて」オーラに負けた事で自分の事を全部話してしまった。

その場の空気に流されてしまったのだ。

暫くはその事を後悔したりもしたけれど、長くコンビを続けるうちにあれで良かったと思えるようになった。



思えるようになったはずだ…



「ティアナ、私どうしたらいい?」
「どうしたらいいって…」


走って逃げた親友を追いかけて部屋に入ったら、ベッドでうつぶせになって泣いているのを見た時、すぐに戻ってくるとわかっていながら隊長達と話を続けてしまった自分のうかつさを後悔した。

そして、泣いているスバルを無理やり起こし、涙を拭いて背中を撫でているとそんな事を聞いてきた。


「その人は魔法のことを知らない一般人の可能性が高いわ」
「…そうなの?」
「そうじゃなかったらわざわざ私に話さないと思うわよ? ま、どっちにしてもやるべき事は1つだけど」


隊長は管理外世界に住んでいるとしか言っていない。
しかし、その人が魔導師なら管理外世界に住んでいるということは言う必要が無いだろう。
その世界に私の想像の出来ないような、なんらかの問題が無い限り魔導師が管理外世界に住むことはそれほど問題が無いのだから。


「1つ? 何をしたらいいの?」
「ユーノ先生がその人に魔法のことを話す前、もしくは魔法を捨てて向こうの世界に行っちゃう前に告白しちゃいなさい。」
「こ、ここ、告白ぅ!?」


冷静になって考えれば、司書長の立場にいる者が簡単に管理外世界へ婿に行くわけも無く、簡単に魔法の存在をばらす事も無いだろう。

つまり、『その時』まではまだ時間があると言える。

それなのにスバルを焚き付けるのは、週に一度の惚気話を聞きたくないからだ。


「こ、こ、こここ…」


言葉にならない声を出し続ける親友を横目に溜息をついた。


「私の世界にな、『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』って諺があるんよ」
「うひゃっ!」
「いつの間に入ってきたんですか!?」
「ドア開けっ放しで『ここここ』言うてたら気になってな?」
「はやて、からかいに来たんじゃないんだよ?」


突然声をかけられ驚いた2人に隊長は軽く応え、そして副隊長は『ビシィッ!』と手首のスナップを利かせた裏拳を入れた。


「最近、フェイトちゃんのツッコミが容赦無い気がする…」
「いやだなぁ、ツッコミ入れられたからってそんなボケしなくてもいいんだよ? 『ツッコミに容赦はいらへん』って教えてくれたのははやてでしょ?」


手を開いていない、むしろ握り締めている状態でなされたそれをツッコミと言って良いのだろうか?


「そや… そやったな…」
「漫才はいらないので本題に入ってくれませんか?」


ここではないどこかへ意識を飛ばそうとしている隊長にキツイ声をかける。


「私が一番偉いはずやのに… リイン、世界はこんなはずじゃなかったばっかりなんやね?」
「こうなっちゃうと再起動に時間がかかるから、とりあえずはやての部屋に行こうか。」
「はい。」
「了解。」



・・・



機動六課本部隊舎 八神はやての部屋


「これが、ユーノ君が病院を抜け出してまで顔を見に行った人や。」


それまで「どこやったかな」「こっちやったっけ?」「リイン、そっちにない?」などと言いながら写真を探していたのをなかったかのように振舞うはやてに呆れながらも写真を見た2人。

それには広い庭で猫に囲まれている女性が5人写っていて、2人ははやてとフェイト、残りの3人の内の…


「どれですか?」
「どれやと思う?」
「スバル、あんたは?」
「…」
「スバル?」


先ほど虚ろな目をしていたのと同じ人物とは思えないほど愉快そうな声を出すはやてにさらに呆れ、当事者の親友に話を振るティアナ。

しかし返事が無い。目を向けると、その体が震えていた。


「スバル!?」


ティアナが名前を呼ぶがその震えは止まらず、ただ、写真の中のはやてとフェイトを除いた3人を順番に指差し


「彼女、恋人、結婚相手…」
「いやいやいや」
「ないないない」
「さすがにそれは」
「スバルさんの中でユーノさんはどういう人なんでしょうかねぇ?」


リインフォースⅡの疑問にスバル以外が同意した。



・・・



管理局 本局 転送ポート


折角の休日の使い方として正しいのだろうか?

自由待機と違い、場所の限定が無いのだから他の場所に行きたい。

行く場所が決まっているからこそ許可が貰えたとわかっているけれど… そんなことをティアナは考えていた。


「本当に行くの?」
「行く!」


予想通り、元気一杯の返事にがっくりする。


「はぁ… あんた1人じゃ駄目なの?」
「てぃあなぁ~」
「…わかった、行く、行くから泣かないで!」
「ありがとー!」


ティアナに抱きつくスバル。
「ほら、行くわよ?」「うん」2人は転送ポートに乗る。

行き先は第97管理外世界、海鳴である。









「デートなのかな? あの2人」


転送ポートの利用者達の間でそんな話が…









090827/初投稿



[10392] その後のその後 04
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/29 19:52


海鳴 翠屋へ向かう道?


「知っていたけど、管理外世界って言っても町並みはそんなに変わらないのね…」
「え~と、あっちに見えるのがこの印の建物みたいだから、この道を…」
「空気も違うわよね? ミッドと本局でも違いがあるし、これはこれで旅の醍醐味ってやつなのかしら?」
「あ、あれかな?」


スバルが指し示す店には確かに『みどり』とかかれた看板があり、その店先には観葉植物が並んでいた。


「へー、あれがケーキやお菓子を売っている喫茶店なんだぁ… ふーん」
「そんな、だってこの地図だと」
「ちょっと貸して」


スバルから取り上げた地図を睨みつけ…たりしないで四つ折に畳んで返し、ポケットからストレージデバイスを取り出す。


「ティアナ?」
「リイン曹長が書いた地図は字が小さくて読み難いでしょう? フェイト副隊長が渡してくれたコレで行きましょう。」
「うん!」


デバイスから《次は右に曲がります》とナビされながら進むこと十数分、目的の『翠屋』を発見する事ができた。


「あれが翠屋…」
「それじゃあ、入りましょう。」
「え!」
「『え!』じゃないでしょ? 私達はリンディ・ハラオウン総務統括官に会いに来たのよ?」


休日に機動六課の後見人に会いに行くという『建て前』で転送ポートの利用許可が下りたのだ。
本局に居る時に会えればよかったのだが生憎時間が合わず、階級の低いこちらが休日を潰した…という設定まで捏造して。

地球に実家があったり家族が住んでいたりする八神一家やフェイト、司書長の権限を遠慮なく使うユーノと違って、彼女達が管理外世界を行き来するのは大変なのだ。


「私達はお土産を買いにたまたま『翠屋』を利用したって、そういう話だったでしょ?」
「そ、そうだったね!」
「もう、しっかりしてよね?」
「ごめ~ん。」





カランコロン♪


「いらっしゃいませー」


雰囲気の良い店内では、店員の女性の元気な声とケーキやお菓子の甘い香りとコーヒーの香りが出迎えてくれた。


「へぇ、隊長達が良く利用しているっていうのもわかるわね?」


スバルに同意を求めるも返事が無い。
振り返るとガラスの向こう側で顔の前に両手を合わせてごめんなさいとボディランゲージしていた。


「はぁ… これじゃあ何しに来たのかわからないじゃないの…」


そう言いながら席に座りケーキとコーヒーを注文した。 ハラオウン家の双子の好物だというお菓子の確保も忘れない。


「食べているのを見たら入ってくるでしょ。」



・・・



専門学校から直接店に来た高町なのはは、高校生くらいのショートヘアの女の子が店を覗いているのを見つけた。


「あの人がそうなのかな? でも、写真で見たのと違う…」


その呟きから、女の子は誰かを探しているらしいことがわかった。
「写真で見たのと」ということは、探している人を直接知っているわけではないらしい。

「このままでは営業妨害だ」と思い、なのははその女の子に声をかけた。


「誰かお探しですか?」
「うひゃっ」


驚きながらも、訓練された動きでなのはから距離をとる。


「へぇ…」


その動きに感心するなのはをじっと見る女の子。


「…もしかして、高町なのは?」
「初対面で呼び捨てにされるのは初めてだけど、そうだよ?」


声から敵意を感じたので、なのはも大人気無く敵意を返す。

しばらく睨み合いが続き… 女の子が動いた!


「あなたにユーノさんは渡しませんから!」


そう言って女の子は走り去った。



・・・



「あなたにユーノさんは渡しませんから!」


その声で慌ててケーキをコーヒーで流し込み、支払いを済ませて外に出たティアナは、スバルが走って行ったであろう道を見た。

何故走っていった方向がわかるのかと言うと、1人の女性が呆然と立っていてその顔の向きから推測できたのだ。


「ユーノさん…?」


そう呟くこの女性が高町なのはなのだろうか? 通り過ぎる時にその姿を観察した。
その人は写真で見たよりも綺麗で大人しそうな感じで、熱血なスバルよりも司書長には合っているのかもしれない、などとも思う。


「何かおかしいのよね?」


考えれば考えるほど、隊長達はユーノ先生とスバルをくっつけようとしているとしか思えなくなる。

スバルを焚き付けるだけでは「好きな人が居る」の一言で砕けてしまうので、『高町なのは』の事を教える事でスバルが『ユーノ先生の好みの女性』になるようにしているのだろう。

私にはわかる。 きっとスバルは今度の休日にお菓子作りの本や材料や器具を買うだろう。 「ユーノ先生の好きな味ってどんなのだろう?」としつこく私に聞いてくる姿が目に浮かぶ。


「でも、隊長達が思うようにスバルが動いたとしても…」


ヘリで見たユーノ先生の顔を思い出す。

隊長達にもスバルにも私に対しても、ヴィヴィオの頭を撫でている時と同じ顔で…


「っと、とにかく今はあいつを追いかけなきゃね。」


折角の休日を知らない世界で潰す事に同意するくらいには、スバルを大事にしているティアナであった。



・・・



数日後


「なんてことがあったんですけど…」
「…その女の子、心当たりがあるわ。」


翠屋に子供達のおやつを買いに来たエイミィは、なのはの話にそう応えた。


「そうなんですか?」
「たぶんその子はスバルちゃんね」


エイミィの頭に浮かぶのはつい最近、義母を訊ねてきた2人組の髪の短い女の子。


「スバルちゃん?」
「そう、数年前に… スバルちゃんを命の危機から救ったのがユーノ君なのよ」
「…命の恩人ってことですか?」
「ええ、それ以来あの子はユーノ君に懐いちゃってね」
「懐いちゃった…」


なのはの、いつもと違う感じの声がエイミィの悪戯心に火を付けた。


「ユーノ君が若い女の子をどうこうしているわけじゃないって知って安心した?」
「ぇ?



 ぇえええええ! べ、別に安心とか、そ、そんなんじゃなくてっ!!」


慌てるなのはの姿に、エイミィは満足した。









090829/初投稿



[10392] その後のその後 05
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/08/30 20:59


時空管理局本局 食堂


いつもよりも多くの人が食事に来ていた。
しかし、誰も目の前の料理に手を出していない。
熱い料理や冷たいデザートを頼んだりせず、冷めても温くなっても食べられる物を用意して、その時が来るのを待っている。

そう、彼らは待っているのだ。 無限書庫司書長、ユーノ・スクライアがやって来るのを。

今では事実上彼の指定席となっているその椅子に座るのを!


そして、彼は来た。
その姿に、多くの会員が職場である無限書庫でしかフェレットでないという話が本当であるということを思い知らされる。

しかしその落胆を表には出さずに、彼らは食事を始めながら彼の様子を探る。


「『今日のおすすめ』を下さい。」
「はいよ。」
「はやっ!」


彼はいつものように注文した。
しかしコックが緊張から頼まれた瞬間に料理を出してしまった。


「その姿が普通になってからは、いつもそれを頼むからねぇ」
「なるほど…」


とっさにごまかした。
ナイス! 自分のミスは自分で取り返した!

そして彼がいつもの席に座る! さぁ、出番ですよ!


「相席してもいいかしら?」
「どうぞ? って、レティさんじゃないですか! お久しぶりです!」
「本当、久しぶりね? 最近調子はどう?」


レティ・ロウラン提督が親しげに会話しながら席に付くと、彼は提督の側にいる彼女に気付いたようだ。


「そちらの方は?」
「あ、この子はうちの新人なのよ。 私がこうやって本局内を案内するくらいの期待の星なの。 ほら、ユーノ・スクライア無限書庫司書長に挨拶して?」
「わ、私の名前は――


他の席が全て座られている状況にする事で違和感無く2人が相席できた。

計画の第一段階、『司書長との相席』はこれで終わった。 後はさっさと食堂から出て行けば会員の役目は終わりだ。

食事をしながら彼女と司書長を接近させ、様子を見て提督が「そういえば… 少し用事があったから、無限書庫にでも案内してあげてくれないかしら?」と言って2人きりにする。

そして今日、無限書庫の司書達の半分は有給を取っている。 残りの司書達も司書長が戻ったら食事休みを取る事になっている。 司書達が戻るまでに… 頑張れ女の子!


レティ・ロウランによる、無限書庫まで巻き込んだ『お見合いモドキ作戦』は順調に進んでいた。



・・・



無限書庫


「うわぁ…」


無限書庫のすごさに大きな口を開ける期待の星。
さっきまで居た司書達が食事休憩に行ったのでただでさえ広い空間がさらに広く見える。


「つれてきたのはいいけど… 提督が来るまで本でも読んで時間を潰すかい?」
「はいいいえ! できればユーノ司書長の事が聞きたいです!!」


「はい」と言いかけたものの、なんとかシナリオどおりに進めようとする。

彼女の任務は、レティやリンディなどの身内が聞いても『からかわれているだけ』だと思われるような事を聞き出す事にある。

これから徐々に親しくなって、はやてやフェイトとは違うタイプの友人関係、できるなら親友になって情報を定期的に仕入れるのだ。

「なりたいなら恋人でも良いわよ」という冗談で緊張を解そうとしてくれた上司の笑顔を思い出す。

空港火災の時も、つい先日のJS事件の時も大活躍した、『時空管理局の英雄』と『こいばな』ができるような親友に… よし!



ぐっと拳を握り気合を入れる彼女の姿に、違和感を持ったユーノはマルチタスクで会話と思考をする。


「僕の事?」
「はい!」


この子は一体なんなんだろう?


「僕の事といっても… 無限書庫で請求された資料を探したり魔法の研究をしたりトレーニングしたり… 楽しい話は無いよ?」
「何でも良いんです!」


レティさんの部署の子だから人事部なのだろうけど、食堂はともかく無限書庫に案内する意味って?


「資料の事は機密で話せない事とかあるし…」


それに折角連れてきても本よりも僕の事が聞きたいとか…
まさか、仕事しながらいろんな世界の娯楽書を読んでいるのがばれたのか?


「魔法の研究も共同開発者であるザフィーラさんの許可がないとなぁ…」


それとも、無限書庫よりも司書長に興味があるって事? 人事部だから物より人なのか?


「トレーニングもコレといって特別な事はしていな…」


まさか、レティさんは司書達の働きぶりを見せたかったのか?


「ああ、そういえば、ミッド式じゃないトレーニングについてココで調べた事なら」


しまった! なんでこんな時に皆いないんだ!? どうする? 査定だったら皆の給料がピンチになるぞ?


「ユーノ司書長」
「な、なんだい?」
「魔法とかトレーニングとかじゃなくて、『ユーノ司書長の事』が聞きたいんですけど?」









「幼馴染の友人達やその家族と遊んだりする事もあるけど、それは他人に話す事ではないし…

 僕は基本的に無限書庫で仕事をしながら、魔法の研究とトレーニングをする生活しかしていないから、他人に話せるようなモノは他に何も無いんだよね。」



・・・



第97管理外世界 海鳴 ハラオウン家


「『他人に話せるようなモノは他に何も無い』か…」
「ええ、そう言ったそうよ。」
「『幼馴染の友人達やその家族』しか交友関係が無いって言い切れちゃうって…」


レティはリンディに今回の事を報告に来ていた。
そう、実はユーノの保護者はリンディ『だった』のだ。


「無限書庫という機密の塊で働いているからって事もあるでしょうけどね?」
「そうね、友人がいなければ『うっかり』情報を漏らす事もないでしょうし…」
「でも、あの年頃の男の子がそれでいいとは…」


机の上にはお茶とお茶請け以外に1つのストレージデバイスが置いてあり、空間にデータを映している。


ユーノ・スクライア

スクライアを名乗っているが、スクライア一族との縁は切っている。

9歳の頃から無限書庫で働き、14歳で司書長になる。

9歳の頃から『三種三重防御結界』などの強力な魔法を使いこなしていて、闇の書事件でも彼の助力が無ければ防衛プログラムを取り出すことは出来なかっただろう。

それだけの力を持っていながら魔法の研究とトレーニングを欠かさず、空港火災に巻き込まれた時にはその力で多くの人命を救った。

先日のJS事件では事件の首謀者であるスカリエッティと戦闘機人を数人捕縛している。


個人情報の漏洩ではないかと疑いたくなるデータである。


「彼がそういう『片寄った生活』をしていたからこそ、これだけの成果を上げている訳だけど…」
「これは、私が保護者でいた間になんとかすべきだったわね…」
「…見た目フェレットじゃ私達以外の友達なんてできなかったんじゃないかと思いますけど?」
「そうね、彼は『効率が良いから』あの姿でいたのでしょう? より効率の良い方法を示せない限りあなたが何をしても無理だったんじゃないかしら?」
「それでも、何かすべきだったのよ…」


リンディはうつむいて呟く。

それを見て「欲張って『恋人になれるかもしれない女友達』ではなく、『何でも話せる男友達』ををつくる作戦でいけば良かった」と思うレティ。

エイミィは「なのはちゃんが攻勢に出たらユーノ君は管理局から出ちゃうかもしれないなぁ」と人財(人材に非ず)の流出を危惧する。


「レイジングハートがフェレットになるのを止めさせている今がチャンスなんじゃないですか?」
「そうね、今が…」
「なんとかしないと…」


だが、一体何ができるのか?
3人よれば文殊の知恵と言うが、この件に関してはそうではないらしい。









090830/初投稿



[10392] その後のその後 06
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/09/01 21:32
レイジングハートは悩んでいた。


当初の予定では、自分がマスターの将来を心配している事を知った食堂のチーフが、マスターにお見合い、または「良い娘がいるんだけど…」といった事をユーノに勧めてくれると思っていたのだ。

フェイトさんが好きなマスターは当然その話を断って、チーフも「焦っているのはレイジングハートだけだからね。」と笑って済ませてくれてその話は終わりとなる。

そして、今度フェイトさんに会った時に、つい最近こんな面白い事がありましたと、世間話として『ユーノにお見合い話が持ち上がったが、断った』という話を聞かせて、その反応からマスターに脈があるか見る。

フェイトさんがマスターを将来の相手として見てくれそうか、ただそれだけを知るための『計画』とはとても呼べないような単純な話だったはずなのだ。



それが、レティさんという大物が動いて食堂を一杯にするだけの人員を導入し、司書達に有給を与えてまで『お見合いモドキ』を仕掛けてきた。

食堂のチーフの顔の広さを甘く見ていた事を後悔した。 まさか、レティさんと一緒にあんな事ができるくらい親しい間柄だったとは思ってもいなかった。

が、それだけならまだよかったのだ。 大事になったが、レティが紹介した女性は美人で気立てもよさそうだったので、『そうなったら』マスターも幸せになれただろう。

あんな予想不可能な発言をマスターがしなければ。



『幼馴染の友人達やその家族と遊んだりする事もあるけど、それは他人に話す事ではないし…

 僕は基本的に無限書庫で仕事をしながら、魔法の研究とトレーニングをする生活しかしていないから、他人に話せるようなモノは他に何も無いんだよね。』



これでは、「あなたは他人なので何も話しません」と言ったも同然ではないか!

しかも食事休憩に行った司書を呼んで相手をさせる始末!

これはあまりに人付き合いが下手すぎる。


《(恋愛うんぬんより、先に交友関係を広げることから始めなければ…)》





そんなふうにレイジングハートが悩んでいる時、ユーノは考えていた。


今回は『とあるフェレットの憂鬱』を完成させるために交友関係は必要最低限にして、空いた時間を魔法の研究に注ぎ込んだ。

人間関係が前回とほとんど変わらなかった事が『必要最低限の交友関係の維持』を可能にしていた。

だがこれからは前回以前のように手探りしながら、普通に生きることにしよう。



交友関係を広げるには『様々な話題』を知っているほうが良いだろう。

前回までのようにニュースを小まめにチェックするだけでも『共通の話題』を得る事が出来るだろう。

しかし、人事部の子が言っていたような、僕個人の事で『他人に話せる事』もあったほうが良さそうだ。

芸術鑑賞などの『無限書庫司書長っぽい趣味』を持とう。

無限書庫の『司書長』である僕が無趣味だと『司書達』まで無趣味の仕事人間だと思われてしまうかもしれない。

スポーツ観戦などの『この年頃の青年らしい趣味』も持とう。

司書達とのコミュニケーションにきっと役立つはz…


ああ、でも今更そんな趣味を持っても嘘っぽいだけで意味が無いかもしれないなぁ…

「実はこんな趣味があったんです。」と適当にでっち上げたほうがましかもしれない。





レイジングハートの悩みとユーノの思考は『交友関係を広げる』という同じ結論になった。



・・・



「スバルに食堂の調理場の使用許可を与えてください。」
「ええよ。 2人部屋にオーブンとかは置けへんしな。」


予想していたのだろう、簡単に許可が貰えた。
それどころか、「デザート担当から指導を受けるとええ」とまで。





機動六課隊舎 食堂


エプロンと三角巾をして嬉しそうに調理台に向かうスバル。
テキパキと調理器具を用意していく。


「隊長達は私達の味方みたいだね?」
「…そうでもないみたい」


元気一杯にそう言ったスバルに、視線を食堂の入り口に向けながらそう言う。
スバルは私の視線を追いかける事でそこに居る人に気付いた。


「ギン… 姉…」
「どうやら隊長達は、ユーノ先生が管理局に残るのなら相手は誰でもいいみたいですね?」
「面白がっているだけってこともあるかもしれないわよ?」


ギンガは持参したエプロンを着けながら調理場に入ってきた。
隊舎にいれば、基本的にエプロンの要らない生活をしているはずなのに…

スバルが調理場を借りたいと言いに来る事を予測していたのだろう、隊長にとって私達の行動はお見通しだったのだ。


「そんな…」
「落ち込んでいる場合じゃないでしょ?」
「ほら、担当の方が来るまでに準備しなきゃ、ね?」
「う、うん。」


泣きそうな顔しないでよ… 気持ちで負けたら絶対に勝てないわよ?



遅れてきたデザート担当のコックが、「とりあえず始めはクッキーにしましょう。」と言ったので、姉妹が軽量から焼き始めるまでをティアナが見ていると


「試食しに来たで~。」
「楽しみです~♪」
「隊長!?」
「リイン曹長まで…」
「まだ焼けていませんよ。 そちらで待っていてください。」


はやてとリインフォースⅡがやってきた。
スバルとティアナは驚いたが、ギンガは席に着くように促した。


「私はユーノ君が好きな味を知っとるから、味見させてもらうで?」
「私もユーノさんとお菓子食べた事ありますから、好みを知ってます!」
「面白い上にお菓子も食べられるから許可したんですか…」
「いややわ、調理場の利用許可は純粋に部下への愛情からやで?」
「そういうことにしておきます。」
「そうそう、そういうことにしとき。」


ティアナは色々諦めた。 スバルも溜息をついた。 しかし


「どういうことにしとくの?」
「え?」
「え?」
「え?」
「なんでここにいるのん?」
「あ! ユーノさん! いらっしゃいです。」


何故かユーノもやってきた。









090901/初投稿



[10392] その後のその後 07
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/09/03 21:45



機動六課隊舎 食堂


「この前頼まれた資料を持って来たんだけど?」


何でここにいるのかと問うはやてに、ユーノは持って来た記録媒体を見せる。
これはユーノの提案で作られた一定以上の階級の者しか使う事ができない物で、通信で送れないデータを運ぶのに使われている。

ジュエルシードを運んでいる輸送船の事故を管理局の捜索担当班でもないプレシアが知っていたことから、ユーノが情報漏洩対策として提案し、採用されたのだ。


「あ、ありがとう。 そうや、今ギンガとスバルがクッキー焼いているんやけど、食べていかんか?」
「クッキー… ギンガさんとスバルさんが良いのなら食べていこうかな。」


資料を受け取りながらそう勧めるはやてに、「特に断る理由も無いし、交友関係を広げるなら身近な所から開拓していくのも良いだろう」と、ユーノは提案に乗ることにした。


「も、もちろん良いです!」
「どうぞ、食べていってください。」


スバルは緊張しながらも喜ぶが、クッキーは焼いている途中なので今から手を加えることはできないのだった。




「機動六課ではお菓子作りが流行っているの?」
「え?」


ユーノの質問にはやては困った。

正直に「あの2人が頑張っているのは、ユーノ君を落とすためやで。」などとは言えへん。

だからと言うて、流行っているというだけで隊舎の厨房を使わせていると思われるのもどうやろう?

せやけど、今クッキー焼いているのは事実やし、ユーノ君も食べるんなら共犯ってことになるから黙っていてくれるやろか?

はっ!

まさか、流行っているのか私に聞いてきたって事は、私もお菓子作りをしていると思うたって事か?

…私の焼いたクッキーも食べたいんやろか?


「あ! ユーノさんだ!」
「本当だ、ユーノさんがいる!」
「ユーノ? お! 本当だ、ザフィーラのパーティー以来だな!」
「珍しいね、ユーノがこっちに来るなんて。」


どう答えるか悩んでいると、エリオとキャロとヴィータとフェイトがやって来た。

はやてはユーノの質問をうやむやにできると安堵した。


「皆、久しぶりだね。 今日はこの前はやてに頼まれていた資料を持って来たんだよ。」
「そうそう、で、ちょうどギンガとスバルがクッキー焼いているから食べていかんかーってな?」
「へぇ? …でも、ユーノが直接持って来ないといけないような資料なんてあったっけ?」
「ああ、そういうわけじゃないよ。 新築の隊舎にはまだ来てなかったから、ついでに見て来ようかなって思ってね。」
「そうなん?」
「そうだよ?」


本当はグリフィスやヴァイスなどの男性職員に会って趣味などを聞いてみたかったのだが、そういう事にした。


「ギン姉、こんなに人がいると、今焼いている分だけじゃ足りないよね?」
「…そうね。 スバルは復習として教わったとおりに作りなさい。 材料もまだあるし。」
「教わったとおりにって言って、なんでチョコチップに手が伸びるのかな?」
「私はクッキーを焼くのは初めてじゃないもの。 慣れるまでは教えたとおりにって言われてもいないわよ?」
「くっ」
「スバルとギンガさんがいつもと違う…」


スバルとギンガのクッキー対決にティアナは恐怖する。

その様子をキャロが見ていることにフェイトは気付いた。


「ギンガさんとスバルさんがお菓子作り…」
「キャロも習ってみる?」
「… エリオ君は私の作ったお菓子食べたい?」
「え!? うん、食べたいな。」
「じゃあ、習いたいです。」
「…いつの間にそんな仲になったの?」


エリオの為なら頑張るとキャロは宣言した。
ザフィーラとアルフに影響された2人に、フェイトは育て方を間違えたのかと少し悩んだ。


「追加で焼くみたいだし、シグナムとシャマル、ザフィーラとアルフも呼んだほうがいいか?」
「ザフィーラさんとアルフさんは一緒に居るなら呼ばないほうがいいんじゃない? 馬に蹴られたくないし…」
「だな、それじゃシグナムとシャマルだけ呼ぶか。」
「グリフィスさんやヴァイスさんは?」
「あいつらまで呼ぶと機動六課が止まるぞ?」
「…なるほど」


じゃあ、シグナムさんを呼ぶのもまずいのではと思いつつも言わない。
ヴィータとの口喧嘩は決闘に発展しかねないからだ。

話をする機会はまた作れば良いか、と諦めるユーノにヴィヴィオが抱きついてきた。


「どうしたんだい?」
「ユーノさん、フェレットさんになって?」
「ヴィヴィオ…」


ヴィヴィオのお願いを叶えてあげたいと思うが、胸の宝石がきらりと光る。


「ごめんね? レイジングハートに無限書庫以外でフェレットになっちゃ駄目って言われているんだ。」
「えー。」
《すいません。 マスターのこれからの人生のためにフェレットモードは禁止にしました。》
「え?」
「へ?」
「え?」
「えっ!?」
「そういうオチですか…」


はやてとフェイトとギンガとスバルが驚き、ティアナは隊長達の早とちりに振り回されたのかと机に突っ伏した。


「レイジングハート、ユーノのこれからの人生のためにって?」
《はい。 マスターも良い歳ですから、いつまでもあの姿だと恋人の1人もできないだろうと思いまして。》
「…レイジングハートの言う事を聞いているって事は、ユーノも恋人が欲しいんだ?」
「別に? レイジングハートにはいつも世話になっているから、『フェレットにならない』っていうお願いくらいは聞いてあげようかなって。」
「そうだったんだ。 …面白く無いなぁ。」


ユーノとフェイトの様子を探りながら、「これはもしかしたら」とレイジングハートは判断する。 マスター次第ではまだ何とかなると。


ユーノさんは高町なのはと恋人になろうと思っているわけではないんだと、スバルはほっとすると同時にある事に今更気付いた。

それは、管理外世界に住んでいるなのはは、ユーノがフェレットになれることを知らないのだという事だ。

ユーノが普段フェレットでも、なのはにとってユーノは人間で、『フェレットにならない≠なのはと恋人になる』なのである。


「フェイトってはやての影響を受けすぎている気がする。」
「そんな! 酷い!!」
「酷いて… 2人の私の扱いの方が酷いわ!」
「そうです! はやてちゃんはちょっとお気楽だったり面白い事が好きだったりするだけです!」


リインのその言葉に、ユーノはヴィヴィオを抱っこしながら優しい目ではやてを見る。
フェイトはリインの頭を撫でる。


「はやて、リインは良い子だね?」
「本当、リインは良い子に育ったね?」
「あかん、泣きそうや。」
「はやてちゃん? 私が良い子だと悲しいんですか?」
「ちゃうよ、ちゃう… リインが良い子に育って嬉しいから涙が出ただけや。」
「嬉し泣きってやつだね?」
「はやてちゃん! 大好きですよ!」


そう叫んではやてに抱きつくリインの姿は本当に嬉しそうで、抱きつかれたはやての姿はとても疲れているように見えた。


「素晴らしい主従愛だね?」
「そうだね。」

「クッキー、第一弾が焼きあがりました!」


スバルの大きな声がユーノとフェイトの間に割って入った。









090903/初投稿



[10392] その後のその後 08
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/09/05 17:04


海鳴 とある駅


「おはよう、なのはさん。」
「おはようございます、ユーノさん。 今日はこの店に行きますね。」


挨拶もそこそこに、なのはは持っていた雑誌を広げてユーノに見せる。


「苺のムースか… いいね。」
「ユーノさんと一緒だと1人の時よりもお店に入りやすくて助かります。」
「僕もなのはさんと一緒だとお店に入りやすいからね、お互い様だよ。」



今までの、基本的に無限書庫と司書長室の往復のみだった生活を変える為に、なるべく街に出るようにする事は決めていたが、「何の目的も無く外に出るのはなぁ」と思っていたのだ。

そんな時に機動六課の隊舎へ行って、ギンガとスバルに手作りクッキーの感想を聞かれて「おいしい」としか言えなかった事がユーノの魂に火をつけた。


「折角作ってくれたのに、きちんとした評価ができなかった。 今度同じ事があった時に備えて、少し勉強してみよう。」


そうして就業後に有名なお店を巡って味比べをしていると、ふと、翠屋で食べたケーキを思い出したので休日に行ってみたら、珍しくなのはがぐったりしていた。

なんでも、立派なパティシエになるには他所のケーキを食べる事も必要だとあちこち巡っていたら食べ過ぎてしまったのだそうだ。

そこでユーノは思いついた。

その食べ歩きに僕もついていき、半分ずつ食べるのはどうだろう? 食べる量もお金も半分になって2つの意味で懐に優しいのではないか? と。

なのはは驚きはしたがユーノの提案に乗った。 背に腹は変えられなかったらしい。


要するに、はやてとフェイトがギンガとスバルを焚き付けた事が、レティによる『お見合いモドキ』で交友関係を広げようとしていた事と複雑な化学反応を起こし、ユーノとなのはの仲がより近くなったのだ。





「(どうや?)」
「(2人、楽しそうに笑っています。)」


電車に乗る2人を監視していたティアナが念話ではやてに報告する。



・・・



私とアルフが探しても全然見つからなかったジュエルシードを簡単に発見していたのはユーノだった。
クロノと一緒に観光気分でひょいひょいと集めていく姿を見るたびに理不尽だと感じたものだ。

後で聞けば、ジュエルシードはとても危険な物だから特別に強力な封印魔法をかけておいたのだそうだが。

横取りするために攻撃を仕掛けた時、私もアルフもクロノだけを警戒していて、ユーノの事はちょっと邪魔なやつくらいにしか思っていなかった。
海の上で魔力を使い切ってクロノに拘束された後、母さんのあの魔法を簡単に防いだユーノを見たとき、私はユーノに負ける事はないが、勝つ事もないと思った。

だけど、それは間違いだった。

義母さんとアルフが、ユーノがヴォルケンリッターをたった1人で拘束した瞬間の記録を見せてくれた時に痛感した。

完全な不意打ちだったからとユーノは言うが、シグナムもヴィータも抜け出す事ができなかった事から考えると、クロノだけを警戒していた私とアルフを捕まえる事なんてユーノにとっては簡単だったはずだ。
捕まえなかったのは、私にジュエルシードの捜索を命令した黒幕、母さんの居場所を突き止めるためだったのだろう。


思い返せば、母さんの事や学校の事などで落ち込む私の側に居て、励ましてくれたのは、いつもユーノだった。


そして、そんな時は必ず「おいしいものを食べて元気を出して」と翠屋のケーキを持ってきていた。

そう、あの頃からユーノは翠屋の常連だった…



「恋人を作る気は無いとか言っていたのに、なのはさんとデートしているなんて…」
「フェイト、嫉妬しているの?」
「義母さん! …そんなんじゃないよ。 友達なのに嘘を吐かれたのが気に入らないだけだよ。」
「恐ろしい事に、ユーノ君はなのはさんを『ただの友達』だと思っているみたいだけど?」
「それはそれで、なのはさんが可哀想だよ。」
「なのはさんも『ただの友達』だと思っていそうだけど?」
「…あの2人って不思議だよね?」


車で先回りしている親子はそんな会話をしていた。


「あ! (はやて、ティアナ、2人を目視したよ。)」
「(了解、ポイントCで監視するで。)」
「(了解、ポイントAで待機します。)」



駅から出てきた2人は雑誌を見ながら目的の店へ向かう。

外からでは見えないが、きっといつものように1つのケーキを半分ずつ食べるのだろう。



はやては複雑な気持ちだった。


自分がこうして生きていられるのはユーノ君のおかげや。

ユーノ君がいなかったら、夜天の書は闇の書のまま暴走してしまったやろう。

フェイトちゃんと一緒に楽しい学校生活ができたんも、ユーノ君が翠屋につれてってくれたからや。

ユーノ君が翠屋の常連で、フェイトちゃんと一緒にケーキを食べに翠屋につれてってくれたから、なのはちゃんと仲良うなれた。

なのはちゃんと仲良うなれへんかったらすずかちゃんやアリサちゃんとも、親友と呼べるほど仲良うはなれへんかったかもしれん。

ユーノ君にもなのはちゃんにも感謝してる。 だから、本当なら2人が恋人なるのを祝福してあげたい。

せやけど、時空管理局でそれなりの階級を持つ者としてはユーノ君が出て行くのを黙って見ているわけにはいかんのや。

そのためにスバルを焚き付けたり、ギンガさんに身近なライバルになってもらったり…


「友達の幸せを素直に喜べんようになるなんてな…」
「(隊長、2人が店から出ました。)」
「(わかった。 次のポイントに向かうで。)」
「(了解!)」

「2人が急接近しそうになったら偶然を装って… はぁ…」


今はただ、『その時』がこないようにする事しかできない。



・・・



駅から高町家へ向かう道


「今日行った所はなかなか良かったね?」
「そうですね。 でも、3軒目のお店は雑誌に載っているのしか」
「確かにあれ以外は普通だったね」
「正直、もう一度行きたいとは思えないです。」
「…もう一度行くなら1軒目のお店がいいな。」
「そうですよね!」


ティアナは、歩きながら楽しそうに話す2人を監視していた。


「(隊長)」
「(なんや?)」
「(ユーノ先生が高町さんを選んだら、必ず管理局から出て行くんですか?)」
「(それがさっぱりわからんのや。)」
「(ユーノ先生が高町さんをこっちに連れてくるかもわからないんですか?)」
「…(ユーノ君は責任感が強くてな?)」
「(はあ)」
「(その責任感が管理局で働く事に向くか、なのはちゃんとその家族を安心させるほうに向くか予測できんのや。)」
「(隊長達が管理局に残るように説得する事はできないのですか?)」
「(ユーノ君の責任感は半端やないで? 輸送船の事故で自分が発掘したロストロギアが行方不明になった時、大人達の反対を押し切るどころか、一族と縁を切って1人で管理外世界にいくほどや。)」
「(なんですかそr あ、今高町家の玄関まで来ました。)」



「今日も楽しかったよ。」
「私も、楽しかったです。」
「休みが取れて、海鳴に来られるようなら連絡するね。」


まだ数えるほどしか2人で出かけていないが、これまではユーノのこの言葉になのはが「はい。」や「待っています。」と返事をして別れていた。

だが、今日のなのはは勇気を振り絞って行動に出た。


「あの…」
「うん?」
「今度はお出かけじゃなくて、その…」
「出かけない?」
「えと、」
「あ! なのはさんの作ったケーキの試食だね?」
「は、はい! お願いします!」


前は『おいしい』と『おいしくない』くらいしか言えなかったけど、今は少し語彙も増えたし…


「いいよ。」
「じゃ、じゃあ」
「期待しているからね?」
「せ、精一杯頑張ります!」


笑顔で分かれる2人を見て、フェイトは車のエンジンをかけた。
リンディはレティにメールでなのはが動いた事を報告した。


「なのはちゃん、ついに動き出したな。」
「そうだね… 翠屋で試食するなら私達も『偶然』立ち寄った事にできるけど」
「あ、ティアナはそこ右やで? 」
「わかってるよー。」


幻術魔法で姿を隠せるようになったティアナは、魔力を感知されないように気をつければ尾行にうってつけだった。



はやてとフェイトとティアナがハラオウン家でぐったりしていると、レティから返信が来た。


「『会員達との話し合いの結果、高町なのはとその家族に管理局の事をばらす許可が出ることになりそう。』 …会員?」
「会員? 何やそれ?」
「よくわからないけど、レティからそう連絡が来たのよ。」
「管理局の事をばらす許可が出せる謎の会… 捜査してみる必要があるかな?」
「どうかしら? こっちで言う『藪を突付いて蛇が出る』って事になるんじゃないかしら。」
「でも…」
「気になるな?」
「わかったわ、レティからそれとなく聞き出してみる。」
「うん。」
「よろしく頼みますわ。」


真剣な顔で会員とはなんぞと話す3人を、笑い声を出しそうな口を両手で押さえながら会員番号1が見ていた。









090905/初投稿



[10392] その後のその後 09
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/09/06 17:25



無限書庫


「こんにちわ、今日も来ました。」
「こんにちわ、ユーノさん。」
「こんにちわ、ギンガさん、スバルさん。」


機動六課の隊舎で手作りクッキーを振舞って以来、2人は無限書庫に手作りお菓子を持ってくるようになった。
時々スプーンやフォークを使わないと食べられない物を作ってくるため、そのたびに人型に戻るのが面倒になったユーノはフェレットモードでいる事が減っていった。


「今日はカップケーキ作ってきました。」
「私はこのゼリーを… ケーキの後に召し上がってください。」
「ギン姉! 今日はカップケーキで勝負って言ってたj」
「スバル、大きな声出したら駄目よ?」
「ギンガさんもスバルさんもありがとう。 休憩時間に頂く事にするね。」


そんな3人をこっそり撮っている司書がいた。 会員の1人である。

そして、送られてくる映像を見ている人達もいた。


「レティ… あなたこんな」
「リンディ、ユーノ君が居なくなったら無限書庫は10年前に逆戻りなのよ?」
「だからと言って、5000人近くの人をこんなわけのわからない会の会員に」
「誤解しないで、私の会員番号は3000番台よ。 この会を作ったのは私じゃないわ。」
「なっ!」
「人事を預かる私がこの番号なの。
 信じられる?
 そもそも最初はフェレットモードのユーノ君を管理局のマスコットとして遠くから愛でるだけの集まりだったのよ?
 それが、空港火災で大活躍して『英雄』呼ばれるようになったり、先日のJS事件で大活躍したりで…
 フェレットにならなくなったというのに、会員は今この瞬間も増えているの。
 もし、ユーノ君が管理局を辞めて管理外世界に出て行ったら、どれだけの影響が出るかまったく予想が付かないわ。」


親友の告白に頭を痛くするリンディ…
頭を抱える彼女を見て、あなたの息子の嫁が会の創設者だとは言えないレティ…

もちろん、エイミィが管理局から離れてからは本局統幕議長であるミゼット・クローベルがトップになっていて、その下でレティが会員のまとめ役をしているという事も言えない。


「…はやてちゃんとフェイトがユーノ君となのはさんのデートを監視したり、スバルさんをアタックさせたりする理由がわかったわ。」
「あら、あの2人は会の事を知らないわよ?」
「え?」
「あの2人はユーノ君がなのはさんの事を好きだと思っているんでしょう?。」
「ええ、そう思っているんじゃないかしら。」
「そこから考えて、管理局にとってユーノ君がどれだけ必要なのか、気付いたんでしょうね。」


レティはリンディからユーノがなのはを好きかも知れないと聞いた時に事の重大さに気づけたが、会員でなかったら気づけなかっただろう。
リンディはレティから話を聞いて初めてユーノが居なくなる事が管理局にどれだけのダメージになるのか気づいた。

しかし会員ではない2人は、少ない情報でユーノが管理局に必要不可欠な存在である事に気づいたのだ。


「…いつの間にか、追い越されていたのね。」
「そうね。」


子供達が成長したのか、自分達が鈍くなったのか…


「それにしても…」
「それにしても?」
「たった1人がこれほどの影響力を持つなんて、時空管理局って何なのかしら…」
「考えないほうが良いわよ? 考えたら… あら?」


画面の向こう… 無限書庫で動きがあった。


「ユーノさん! ヴィヴィオのパパになってください!」
「え?」
「え?」
「ヴィヴィオ… 何かあったの?」


ユーノは走ってきたヴィヴィオのぼさぼさになった髪を撫でて整えながらそう聞いた。


「春になったら学校に行くことになったの。」
「学校? …ああ、フェイトさんは仕事の関係で殆ど家に居ないから、何かあった時のための連絡先が必要なのかな?」
「待ってください! それなら別にユーノさんじゃなくてもいいじゃないですか!」
「そうです。 ヴィヴィオちゃんの保護者なら、お祖母ちゃんのリンディ総務統括官で良いじゃないですか?」


ギンガとスバルは他の人に任せるべきだと主張した。
こっそり盗み見しているレティは、ヴィヴィオの一言でそこまで推測できるユーノは異常だと思った。
リンディはギンガとは一度きっちり話し合おうと決めた。


「ギンガさん、ヴィヴィオの通う学校が第97管理外世界にあれば、それでもいいだろうけどね?」
「あ!」
「ミッドのザンクト・ヒルデ魔法学院に通うヴィヴィオの準保護者になるのはちょっと無理かもしれない。」


ヴィヴィオの過去を考えるとザンクト・ヒルデ魔法学院に通うのが一番良いとギンガとスバルも思った。
それでもユーノ以外に適任者が誰か居ないか考える事をやめないが。


「フェイトママはお仕事を休んでも良いって言うんだけど…」
「ヴィヴィオはフェイトさんの負担になりたくないんだね?」
「あい。」
「エイミィさんもリンディさんが居なくなると大変だろうし、だからと言ってザフィーラさんとアルフさんにヴィヴィオの保護者になってもらうわけにも行かないし…」


ザフィーラだけでなく八神家は皆忙しいのだ。


「でも、ユーノさんも無限書庫で忙しいじゃないですか。」
「ギン姉の言うとおりです。 ユーノさんも無理じゃないですか?」
「確かに忙しい事は忙しいけど、最近は司書の数も増えたし、書庫の整理も今のペースなら問題ないし…」
《マスターはいつも無限書庫に居ますから、有事の際の連絡先としては確かに都合が良いですね。》
「そうだね。 …そうか、僕だけじゃなくて、リンディさんとアルフさんも一応頼んで…」


レイジングハートはユーノとフェイトの仲を進展させるチャンスだと考え提案したが…


「そうだ、いっそ八神家にも頼んでみようか? 皆忙しいだろうけど、これだけ居れば何かあった時1人くらいは都合のつく人がいるだろうし?」


ヴィヴィオにとって忙しく無い人という認識だったんだなぁと思いながらそう言った。
八神家やハラオウン家にまで頼むとフェイトさんにアピールする事が… とレイジングハートは考えたが、ヴィヴィオの事情を考えるとその方が良いので何も言えなかった。


「じゃあ、私も立候補します!」
「私も! それにお父さんも推薦します!」


何やら大事になってきて心臓がバクバクしているヴィヴィオをさらに驚かせる男がやって来た。


「そういう事なら僕も名前を貸しましょう!」
「あ、こんにちわ、ヴェロッサさん。」


今日も仕事をサボってお菓子を作ってきたヴェロッサに、ユーノは普段どおりの挨拶を返した。
実はユーノがスカリエッティを捕縛する以前からの友人であり、時々手作りのお菓子を持ってきていたのだ。

ユーノはヴェロッサを見習ってお菓子作りを趣味にしようかと考えた事もあるのだが、男2人でお菓子作りをしている場面を想像して「これはない。」と思ってやめたという事実が実はあったりする。

そんな事を知らないヴェロッサは、ユーノがミッドや第97管理外世界で菓子店を巡るようになってからお菓子を持ってくる頻度が増えていた。 「最近、ユーノ先生は甘いお菓子を食べても辛口の評価を返すようなって、今までより面白くなった。」のだそうだ。


「颯爽と登場したのに普通に挨拶を返されてちょっと恥ずかしがってるアコース査察官、こんにちわ。」
「こんにちわ、アコース査察官。 今日も仕事サボってお菓子作ってきたんですか?」


キツイ言葉でヴェロッサに挨拶するギンガとスバル。
少し前に3人のお菓子をユーノが食べ比べした事があり、その時姉妹はあっさり負けてしまい、それ以来ヴェロッサはある意味なのは以上の『超えるべき壁』となったのである。
しかし、姉妹の言葉がヴェロッサの心に刺さる事はない。 普段から小言を言われる事に慣れているのだ。


抱きつく力が強くなったのを感じて、ユーノはヴィヴィオの頭を優しく撫でた。 いつもは優しい2人が怒っているのが怖いのだろうか?


「ヴィヴィオ、この人はヴェロッサ・アコースさん。 僕の友人で、はやてやフェイトとも友達なんだよ。」
「フェイトママのお友達?」
「そうです。 はやてとフェイト執務官とは一緒にお仕事をした事もありますよ。」
「良い人だよ。 今日もほら、お菓子を持ってきてくれている。 もうすぐ休憩時間だから一緒に食べよう、ね?」
「…あい。」


ユーノに抱きついたまま返事をするヴィヴィオ。 それでも少しは警戒を解いたようだ。


「それはそれとして、本当に大丈夫なの? 人手は多いほうが良いと思いはしたけど、ヴェロッサさんも忙しいでしょ?」
「ユーノ先生、僕はいつも暇ですよ?」
「時々ココに君を探しに来るよ?」
「…来たんですか?」
「うん、(今)来たよ。」


その会話にギンガとスバルが加わった。


「アコース査察官、シスターを怒らせちゃだめですよ?」
「そうですよ。 偶にはシスターにも感謝の気持ちとしてお菓子作ってあげればいいのに。」
「君達はお腹を空かせた肉食動物の目の前に立つような事をするのかい?」
「アコース査察官じゃあるまいし、そんな真似はしませんよ。」
「そうですよ。 アコース査察官とは違いますから。」
「ん? それはどういう意味だい?」


姉妹の言葉を不思議に思ったヴェロッサの質問に、姉妹だけでなくユーノとヴィヴィオも視線で答える。

全員の視線が書庫の入り口に向いている事に気付き、これから起こる事を悟った彼は覚悟を決めた。


「やあ! シャッハも一緒にお茶とお菓子を」
「ええ、カリムと一緒に3人で頂きましょう。」


それを見ていたリンディとレティは聖王教会のカリムとシャッハも巻き込むことを勝手に決めた。
ユーノもハラオウン家も八神家もナカジマ家も都合がつかない時、あの2人にまかせれば安心できるし、ヴェロッサにこれ以上仕事をサボらせる口実を与えてはならないと思ったからだ。


売られていく子牛ってああいう顔なんだろうなと思いながらユーノはシャッハとヴェロッサを見送った。


「そういえば、ギンガとスバルも時間は大丈夫?」
「あ!」
「大変!」


2人は別れの挨拶もそこそこに帰っていった。



・・・



「なのはさんが一番で、次いでギンガさんとスバルさんって感じだったけど、これでフェイトさんやはやてさんの人気も上がって、なおかつ聖王教会の2人も新枠で」
「レティ! あなたまさか賭k」
「リンディは誰にする?」


素敵な笑顔でリンディの怒りを押さえ込むレティ。


暫しの沈黙の後…


「…あなたと同じ『親』でいいわ。」
「了解。」


リンディはレティと共犯者になる。

こうやって本人の知らないところでユーノを中心とした戦いは続くのだった。







とあるフェレット(を中心とした人々)の憂鬱(仮題) ここで一区切り。

090906/初投稿



[10392] その後のその後 10
Name: 社符瑠◆5a28e14e ID:5aa505be
Date: 2009/11/21 11:16



ユーノ・スクライアは不思議な子だった。

私は、あの子がアースラに連絡をくれた時、すごく変な文章だと思った。

どんなに文章を書くのが下手だとしても、こんな風に箇条書きっぽい書き方くらいはできたと思う。

『ジュエルシード発掘責任者のユーノ・スクライアです。
 現在第97管理外世界でジュエルシードを捜索中です。
 今僕は怪しい魔導師に尾行されています。
 もしかしたらジュエルシードを狙う悪党かもしれません。』

でも、実際はこれだ。

『ジュエルシード発掘責任者のユーノ・スクライアは現地に来ているが、怪しい魔導師に尾行されている。 もしかしたらロストロギアであるジュエルシードを狙う悪党かもしれない。』

変だ。

『ユーノ・スクライアは現地に来ているが、怪しい魔導師に尾行されている。』

これが、ユーノ・スクライアではない『第三者』の視点で書いているような感じがするのだ。

そして何より、『現地』という表現。

この連絡をくれた時にはまだ1個もジュエルシードを見つけていないはずなのに、第97管理外世界を『現地』としているのだ。

この事に気づいたとき、私は言葉に出来ない不安を感じた。



闇の書の事件の時もあの子の不思議な行動は続いた。

フェレットモードだ。

一日中あの姿で無限書庫に篭るのだ。 自分に魔力の負荷をかけるトレーニングをしながら。

海鳴に居る時は流石にフェレットにならなかったが、それでもトレーニングは続けていた。

ある日、聞いた事がある。


「いつもトレーニングばかりで疲れない?」


あの子は少し困った顔をして私の質問に答えた。


「望んだ形で叶わない、そんな願いをした子がいるんです。」


意味がわからなかったけど、そう言ったあの子は真剣な顔をしていて、結局それ以上は何も聞けなかった。



そしてあの子は、無限書庫で司書として働くようになってもフェレットモードを止めなかった。

私は、クロノにとって、もちろん私にとっても友人であるあの子を誰にも変な目で見てほしくなかった。

そこでアースラクルーや司書の人達に協力してもらって、あの会を、『名前の無い』会を作った。

会員番号を使ってネット上で『今月の一番』と題してフェレットモードのあの子の画像を評価する、ただそれだけの会を。

無限書庫と司書長室と食堂と訓練室、それがあの子の行動範囲だったので、だいたい500人くらいを会員にするだけでよかった。

これによって、あの子の行動範囲にいる人は、あの子を『変な物』ではなく『マスコット』として見るようになった。

本当ならきちんと人として見て欲しかったけど…

私がそんな事をしている事も知らないで、あの子は、ユーノ君は司書長になってもずっとフェレットモードのままだった。

いつもトレーニングをして、アルフやザフィーラと魔法の研究をしていた。 そう、ずっと自分を鍛え続けていた。


結局、私がクロノと結婚する頃になってもユーノ君はフェレットモードを止めなかった。

一時的とはいえ、管理局から離れる事になったので、レティ・ロウラン提督に会の設立理由を打ち明けて運営をお願いした。


いつか、ユーノ君が『望んだ形で叶わない願いをした子』をどうにかして、フェレットになるのを止めた時、「こんな会を作っていたんだよ」と、笑って話せる日が来る事を願って。



なのに…


「どうしてミゼット・クローベルなんて大物が?」


海鳴のハラオウン家では、エイミィとレティが会について話していた。
リンディが本局に行く日を知ることなんてレティには朝飯前なのだった。


「あなたがいた頃から、すでに会員だったそうよ?」
「え?」


『会員達との話し合いの結果、高町なのはとその家族に管理局の事をばらす許可が出ることになりそう。』

リンディがレティからそう連絡が来たと言った時、「あの会にそんな力があるわけがない」と笑い出しそうになったのを思い出す。


「だって、月に一回、一番良い作品を選ぶだけの」
「エイミィさん、ユーノ君が空港火災でたくさんの人を救って英雄と呼ばれるようになった事を覚えている?」
「はい。」
「その時から会員が増える速度が上がったでしょう?」
「…そういう事ですか。」
「ええ。」


英雄となった彼が、実は管理局を良く思っていなかったら…

上層部としては、『ユーノ・スクライアとはどういう人間なのか』調べる必要があったのだろう。

そう考えると、にわかファンに混じって情報を集める事にしたのだろうと想像ができた。


「いつか、笑い話にできると思っていたけど、無理そうですね…」
「笑い話にはできないだろうけど、これはこれで良かったのだと思うわよ?」
「どういう意味ですか?」
「だって、上が彼のファンになったから、なのはさんとそういう関係になっても良いということになったのよ?
 もしこの会がなかったら、今頃ユーノ君は強制的にお見合いをさせられて管理局に拘束されているところだわ。」
「ああ、言われてみれば確かに。」



・・・



機動六課隊舎 はやての部屋


「だらけてるね?」
「そうなんです。」
「だって、気が抜けたんやもの。」
「ま、気持ちはわかるけどね。」


リンディとレティからいざとなったら管理局が全力で高町家を説得してユーノを管理局に残すようにすると言われて以来、はやてはこんな感じである。


「でも、私達にはスバルを焚き付けた責任があるんだから…」
「わかっとるで? だから今も調理場を利用させたり、ユーノ君の好みの味を教えたり、お昼に無限書庫に行くのを許したりしてるやん。」
「それだけじゃなくて、もっとピシッっとして頼れるところをアピールしてあげてよ。」
「そうです! 隊長が諦めちゃったかもしれないって、スバルさん泣いてましたよ?」
「なんやて!?」


リインの言葉に、いつも元気なスバルが泣くなんて…と驚く。


「ギンガさんを巻き込んだりしたけど、それでもあれだけ応援していたはやてがお菓子を食べに来る事すらなくなったら不安になって当然だよ。」
「そうですよ!」
「そうか… そうやな。 私には責任があるんやから、シャキッとせなあかんよな!」
「そうだよ! その調子だよ、はやて!」
「カッコイイですよ! はやてちゃん!」
「やったるで! 上の力なんかに頼らんでも私らで見事に収集つけてやろうやないか!」
「おー!」
「おーっですー!」


拳を天に突き出して団結の声を上げる。


「それじゃ、思い切って行動するで。」
「思い切って?」
「ええか? ユーノ君がスバルを選ばないでなのはちゃんとくっついても、上がどうにかしてくれるんよ?
 それはつまり、私たちがどうしようもないくらいにおかしな事したり、とんでもない失敗をしたりしない限り問題ないって事や。
 この状況を利用しない手はないやろ?」
「なるほど!」
「さすがはやてちゃん、頭いいです!」


ついさっき上の力を頼らないと言ったばかりなのに…


「まずは、リイン!」
「はいです!」
「ユーノ君から好きな人はいないのか聞いてきて!」
「いきなり直球ですか!」
「そしてフェイトちゃん!」
「うん。」
「この前の、ユーノ君の提案を呑んでヴィヴィオの準保護者になってもらうんや!」
「え?」
「ユーノ君から言い出したんやから問題ない。 これで、ヴィヴィオが学校に通っている間は無限書庫から出て行くことがなくなるんや。」
「あ、なるほど。 で、はやてはどうするの?」
「私か? 私はスバルと一緒にお菓子作りをする!」





091121/初投稿



[10392] その後のその後 11
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/11/28 13:16



1番ウーノはスカリエッティの秘書であり、スカリエッティに従う事だけが全てという、よく言えば一途、悪く言えば痛い人。

2番ドゥーエもスカリエッティの命令しか聞く気が無いという。 しかし、ウーノと比べると何か裏がありそうな感じ。

3番トーレは、負けたからと言って勝った側に従うつもりはないと言っている。 あなたは良いかもしれないけど、他の子の事も考えて欲しい。

4番クアットロはどうでもいい。 命を物としか見れないようなので、更生させるにしても精神カウンセラーに任せるしかない。

7番セッテはトーレと同じような事を言っている。 しかし、この子の場合は機械のような性格をどうにかできれば… カウンセラーさん頑張れということで。

ナカジマ姉妹を拉致しようとして失敗した5番チンクと9番ノーヴェは、11番ウェンディと一緒にゲンヤ・ナカジマが身元を引き受ける事になった。

6番セインは、できたら自分を捕縛したユーノ・スクライアのいる無限書庫で働きたいと言っている。

砲撃をユーノに反射された時の怪我がまだ治らない10番ディエチもセインと同じ事を言っているが、ナカジマ家が引き取る事になるだろう。

8番オットーと12番ディードは聖王教会のカリムが引き受けた。 おそらくセインも引き受ける事になるだろう。

ゼストはレジアス元中将の罪を暴いた後死亡。

融合型デバイスであるアギトはゼストさんの遺言に従ってシグナムさん預かりになっている。

ルーテシアは彼女の母親と辺境世界に行き、その罪を償っている。





ギンガは悩んでいた。


『「ユーノ・スクライアに負けたのであって、管理局に負けたわけではない。」と考えているから協力的じゃないのでは?』


そんな報告が来た。 なんだそれはと思ったが、そうかもしれないとも思ってしまった。


ユーノさんが捕縛したナンバーズは6人。


ヘリを砲撃したディエチと、ディエチを救出しようとしたトーレ。

ミッドでディエチの砲撃を防げる魔導師は数えるほどしかいない。 被害が彼女と彼女が立っていた建物だけで済んで本当に良かった。

戦闘に関してのリーダーであるトーレを確保できたのも、JS事件の被害を抑える事ができた一因だと考えられる。

この2人を早い段階で確保できたのは幸運だったと思う。 あの日、この2人が地上本部を攻撃していたら… 被害は倍以上だっただろう。


ユーノさんを暗殺しようとしたドゥーエ、同じく暗殺未遂のセイン。

ドゥーエは管理局だけでなく、聖王教会にも潜入して諜報活動をしていた。
この段階で確保できていなかったらスカリエッティ一味はもっと綿密な作戦を立ててきただろう。

ドゥーエと同じ暗殺未遂のセインは更生の余地があるが、希望する職場が問題だ。
管理局の全情報を預かる部署で元犯罪者が働ける可能性なんて…


スカリエッティの護衛をしていたウーノとセッテ。

この2人も管理局に協力的ではない。


セインとディエチはいい。 無限書庫で働けない事は、きちんと話し合えば理解してくれるだろう。

問題は残りの4人だ。



はやて隊長から、恋とお菓子作りのライバルとしてスバルと競い合ってほしいと言われた時はびっくりしたけれど、面白そうだったので引き受けた。

でも、本気になってしまいそうな自分がいる事に気づいてしまった。スバルと同じように、ユーノ・スクライアという人に命を助けられたのだから、同じように好意を持ってしまっていてもおかしくはなかったのだ。

そのユーノに今からお願いしないといけない。


『この4人を、管理局に協力するよう説得してくれませんか?』と。


ユーノさんに直接命令したらいいのに、なぜ私を通すのだろう? 気が重いなぁ…



・・・



無限書庫


「と、言う事なんですけど…」
「無理じゃない?」


ユーノは言った。


「いや、僕の戦い方しっているでしょ?」
「…一番理想的な戦法なんですけどね。」


敵が行動する前に、中・遠距離から『改良余地無き拘束魔法』で拘束。
被害を受けずに、被害を与えずに、ただ勝利する。 これ以上の戦いなんてあるだろうか?

しかし…


「管理局に負けたと思っていないなら、僕に負けたとも思っていないと思う。 『戦った』って実感がないだろうから。」
「そうなんですよね。 もしも私が同じように拘束されても、『負けた』ことを理解できても、納得はできないと思います。」


怪我もしなければ疲れも無い。
そんな状態で『戦いに負けた』と納得できる人はそうそういないのではないだろうか。


「だからと言って、ユーノさんに拘束魔法無しで戦ってもらうわけにもいきませんし…」
「そうだね… 裏技を使えば拘束魔法無しでも戦えるけど、その場合手加減できないからなぁ。」
「え?」
「ん?」


ユーノの言葉に驚くギンガ。


「攻撃魔法、苦手なんですよね?」
「苦手だよ?」


そうですよね。
ユーノさんが攻撃魔法を使うなんて見た事も聞いた事も無いです… あ!


「もしかして、手加減できないって意味で苦手だったんですか?」
「いや、普通の意味で苦手だよ?」
「え? でも、戦える? え?」


わけがわからない。


「落ち着いて、深呼吸しよう? すー、はーって」
「は、はい!」


すー はー
すー はー

本の匂いって独特だなぁ…

すー はー
すー はー


「落ち着いた?」
「はい。」
「それは良かった。」
「取り乱してしまってすいません。」
「いいよ、僕の言い方がおかしかったんだろうから。」


そう言って、ユーノさんは人差し指を口に当てた。


「ココだけの話、無限書庫には僕でも戦闘機人に勝てるような裏技が埋もれていたりするんだよ。」
「え」


んぐぅ
ユーノさんの手が私の口を押さえ、もう一方の手で、静かにするようにうながす。
私がうなずくと手を離してくれた。


「そんなことができるんですか?」
「うん。 でも、さっきも言ったんだけど僕は攻撃魔法が苦手だから… この場合、魔力を込めて殴る事しかできないんだ。」
「魔力を込めて殴る…」
「しかも手加減できないから、バリアジャケットを着ていても酷い事になるよ。」
「…うわぁ」


バリアジャケットを着ていても酷い事なる。
結界やシールドに長けたユーノさんがそこまでいう攻撃… 想像しただけで恐ろしい。


「あ、この事は秘密にしてね? とっても危険だから。」
「はい。 …2人だけの秘密ですね?」
「そういうことになるね。」
「わかりました。」


2人だけの秘密…


「あ、一応説得してみるけど期待しないように伝えてね?」
「はい。 わかりました。」





帰り道、いつの間にか笑顔になっている事に気づいた。

自分で思っていたよりも、ユーノさんと秘密を共有できる事が嬉しかったらしい。









091128/初投稿



[10392] その後のその後 12
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/12/05 11:36



機動六課隊舎の裏


「ここにこれをつけると、」
「なるほど… デバイスとは違った面白さがありますね。」
「でしょう?」


ユーノはヴァイスからバイクについて習っていた。
女性やヴェロッサとならお菓子関係の話題で話せるようになったので、同性との会話の話題を探しているのだ。

けれども、ユーノはすでに「これはやめておこう」と思っていた。
バイク弄りは確かに面白いのだが、男なら誰でも楽しいと感じる話題ではなさそうだからだ。

お菓子の話題を避ける女性もいるが、そういう人は少数だ。
そして、バイクを話題にして喜ぶ男性はそれくらい少数のような気がする。


「でも、ユーノ先生には少し厳しいでしょうかね?」
「?」
「バイクはまめにメンテをしないと動かなくなりますから、いつも忙しい先生には」
「そうですね… 面白そうなんですけどね。」


話の種にするには問題があるが、バイクがあれば遠くの有名店にも気軽に行けるようになるから、免許を取るのもいいかと思ったのだけど。


「先生にはバイクよりも車のほうがいいんじゃないですか?」
「車ですか?」
「ほら、ヴィヴィオの嬢ちゃんが学校に行くようになったら、先生が送り迎えする事もあるかもしれないでしょう?」
「確かに、そういう事もあるかもしれない。」


車があれば送り迎えが楽になる。 どこかに遊びに行くのもいいかもしれない。


「フェイト副隊長が乗ってるようなのじゃなくて、小型でかわいいタイプのなんてどうでしょう?」
「小型の?」
「高級車を降りるヴィヴィオと、小さなかわいい車を降りるヴィヴィオ、親近感を覚えるのはどっちです?」
「なるほど。」


確かに、他の生徒に与える印象は違うかもしれない。 けれど…


「それで、どうしてヴァイスさんがそんな車を?」
「…転勤になった友人に押し付けられました。」


バイク好きのヴァイスさんが車を勧める理由はそれか。


「免許ってどれくらいで取れますかね?」
「貰ってくれるんですか!?」
「困っているんでしょう?」
「ありがとうございます!」



・・・



機動六課隊舎 フェイトの部屋


「それで、免許を取ることにしたの?」
「うん。 持っていて損する事もないしね。」
「参考書は誰かにあげちゃったと思う。 あげてなくても実家だろうし…」
「そっか…」
「それに、私が取ってから結構経ってるから、新しいのを買ったほうがいいと思うよ?」


ユーノは免許を持っているフェイトに参考書を持っているか聞きに来ていた。


「新しいのも買うけどさ、ちょっと前のもあったほうがいいかと思ったんだ。」
「ユーノの記憶力なら筆記なんて簡単でしょう?」
「念には念をって言うだろう?」
「ただいまー。 あ! ユーノさんだ。」


ザフィーラと出かけていたヴィヴィオが帰ってきた。


「こんばんわ、ヴィヴィオ。」
「こんばんわー。」
「ユーノ、最近よくここに来るな?」
「ザフィーラさんもこんばんわ。 今までずっと無限書庫に篭ってた反動かもしれません。」
「ふむ。 前よりも活き活きとしているようだ。」
「そうかな?」
「前はもっと… そう、生き急いでいるような感じだったぞ。」
「…そうだったかもしれません。」


そういえば、ザフィーラさんの趣味はなんだろう? 突然、ユーノの頭にそんな疑問が浮かんだ。
今度聞いてみよう。 そう思っていると、ヴィヴィオがユーノの手を取った。


「ユーノさんはお仕事で来たの?」
「うん。 でも、もう終わったよ。 ここに資料を持ってきたらその後は直帰する事になってるから後は帰るだけ。」
「じゃあ、御飯一緒に食べよう?」
「ユーノ、すぐに帰らなくてもいいならそうしない? ヴィヴィオだけじゃなくてエリオとキャロも喜ぶよ。」
「そう? それじゃあご一緒しようかな。」


久しぶりに子供達と一緒に食事ができる事を嬉しくて、ヴィヴィオを肩車して食堂に向かおうとする。


「たかーい!」
「ちょっと待って! すぐにこれ終わらせるから!」
「フェイトママまだお仕事中だったの?」
「あ、僕が邪魔しちゃったのか。 ごめんね?」
「いいよ。 でも待ってて。 それに、エリオとキャロも一緒にって言ったでしょ?」
「うん、そうだったね。」
「だったねー。」
「ならば、今のうちに他の者も誘っておくとしよう。」





食堂


「待ってたですよー。」


リインフォースⅡがユーノ達を席へ案内した。


「よう!」
「久しぶりだな。」
「こんばんわ、ユーノ君。 久しぶりね?」
「こんばんわ。 久しぶりですね、シャマルさん?」
「私達は?」
「ヴィータさんとシグナムさんは、この前一緒にギンガさんとスバルさんが作ったお菓子を食べたじゃないか。」
「ふっ、確かに久しぶりというほどではないな。」


人数が多いので机を2つキープしたらしい。
ヴィータとシグナムとシャマルは向かって右側の席に着いて待っていた。


「ユーノさん、こんばんわ。」
「こんばんわ、ユーノさん。」
「こんばんわ、キャロさんとエリオくん。 こっちにヴィヴィオを座らせても良いかな?」
「はい。」
「どうぞ。」


子供達は左側の席に座っていた。
ユーノは肩からヴィヴィオを下ろし、席に座らせる。


「はやてはまだ来ていないの?」
「はやてちゃんは厨房でお菓子作ってます。」
「へぇ… やっぱり、機動六課ではお菓子作りが流行っているんだ?」
「え?」
「ん? 違うの?」
「え~と…」


ユーノの問いに口ごもるリイン。


「流行っているわけじゃねーぞ。」
「そうなの?」
「私はもちろん、シグナムとシャマルもお菓子作ってねーだろ?」
「…」
「フェイトとキャロとヴィヴィオも作ってねーじゃん。」
「そう言われると納得だね。」
「ユーノ…」


シグナムが少し怒った声で会話に入ってくる。


「私達が作っていない事では納得できず、フェイト達が作っていない事で納得するとはどういう事だ?」
「シグナムさんもヴィータさんも、僕と同じで食べるの専門じゃないですか。」
「ふむ… シャマルは?」
「シャマルさんがお菓子を作った時点で… 流行は廃れています。」
「そうだな。」
「ひっどーい!」


ははははと笑うユーノとシグナムとヴィータの様子に、シャマルは「すっごくおいしいお菓子を作って食べさせてやる。」と決意した。


「ユーノ、この前はやてが、『ギンガとスバルに私が地球の味を教えたるで』って言っていたから、3人で地球のお菓子を作っているんじゃないかな?」
「地球の味?」
「ほら、はやては一人暮らしが長かったからか料理が得意でしょ?」
「そういえばそうだった。」


でも、地球の味という大雑把な範囲ではなく、ピンポイントで『日本食』が食べたいと思うユーノであった。


「お! ユーノ君来てたんやな。」
「うん。 ギンガさんとスバルさんに地球のお菓子を教えているんだって?」
「そうや。 ほら、地球にいた頃ユーノ君がよう翠屋のお菓子買ってきてくれたやろ?」
「そういえば、そうだったね。」


エプロン姿でカウンター越しにユーノに話しかけてくるはやて。

ユーノは適当に返事をする。
はやてさんもフェイトさんも『原作』ではあの店のお菓子を好きだったはずだから… という理由で翠屋でしかお菓子を買わなかった事は言えないのだ。


「私はもちろん、ウチの子達もフェイトちゃんも地球にいた時間は長いから、たまに地球の味が恋しゅうなるんよ。」
「わかる気がする。 たまにしか地球に行かない僕でも、時々お味噌汁とご飯が食べたくなる事があるし。」
「え?」
「ん?」
「味噌汁とご飯?」
「うん。」


予想外の反応に戸惑うはやて。

しかし、夕食が始まるとさらに混乱する事になる。

なぜなら…
リインがユーノに好きな人は誰かと聞こうとしている事を、誰も(聞くように命じたはやてですら)気づかないままだったからだ。





091205/初投稿



[10392] その後のその後 13
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/12/12 13:25



「レイジングハート、ユーノさんに恋人はできそうですか?」


はやてとユーノが日本食について話していると、リインが突然そんな事を言った。


《それが、全然駄目なんですよ。》
「駄目なんですか?」
《無限書庫の司書長なので給料も良くてそれなりの地位もあって、フェレットにさえならなければ容姿は悪いほうではないですし…》
「なんでできないんですかね?」
《本当に不思議です。》
「もしかして… ユーノさん!」
「んぇえ? な、何かな?」


顔を上げて、ユーノの顔をじっと見るリイン。


「ユーノさん、もしかして心に決めた人が… 好きな人がいるんですか!?」
(リイイイイイイイイン! いきなりすぎて驚いたけど、ようやったぁぁぁああ!!)
(はやてちゃーん! 私頑張りましたぁぁあああ!!)


顔には出さず、頷く事もせずにわかりあう2人。 まさにこの主にしてこのデバイス状態。


《そうだったのですか? マスターには心に決めた人がいたのですか?》
「…」
《マスター?》


静かになった食堂にユーノを心配するレイジングハートの声が響いた。


《どうしました? 大丈夫ですか?》
「大丈夫。 大丈夫だから…」
《マスター?》



・・・



レイジングハートが僕の事を心配して恋人を作れと言ってくれているが…
僕がその気になれば、ギンガさんとスバルさんのどちらかを恋人にする事は難しくない。


気づいていないフリをしているが、ギンガさんとスバルさんが僕に好意を持ってくれている事はこれまでの経験から気づいている。
でも今の僕は彼女達を『ゲンヤさんの娘』という様にしか見れない。


最初… 一回目はそうではなかった。
僕に懐く『妹のような子達』と思っていたし、成長してもくっついてくる彼女達に少しだけ『女性』を感じてしまったのは事実だ。

でも、二回目以降、ヴィヴィオやキャロさんとエリオくんを養うようになって、ゲンヤさんと子育てについて語り合うようになってからは…


この2人を恋人にする事はまずないなぁ…



そして、どういうわけかレイジングハートが大プッシュしているフェイトさんだが…


フェイトさんと仲良くなったのは六回目だったか?

五回目の時はハラオウン家に丸投げして… 結局ハラオウン家でもどうしようもなくて、あんな事になったし。

で、六回目はリンディさんとエイミィさんが、僕のフェイトさんへの態度を誤解して… フェイトさんも誤解して、ちょっと良い雰囲気になった事もあるけど、結局僕は彼女の事を『子供』としか見れなかったわけで…

七回目は六回目で付き合い方がわかっていたし、はやてさんと親友になった事で精神的に安定するのも早かった。


結局、フェイトさんの事も『子供』にしか見れないんだよなぁ…





なんて事を今まで思っていたけれど…

今、僕は、『今の状況を受け入れきれていない』という事を知った。

レイジングハートとリインフォースⅡの会話を聞いてそう気づいてしまった。



僕は、誰かを好きになっても良いのか?



ユーノ・スクライアは無限書庫で働く。

ストライカーズで出番は殆ど無かった。

でも、ゆりかごの情報とか… 見えないところで頑張っていた。


僕はどうだ?

『原作』以上に頑張っていると思う。

『ユーノ・スクライア』の仕事をして、その上『高町なのは』の分まで前線で戦った。

でも、その『頑張り』は正しいのか?

前線に出るべきではなかったのではないか? 無限書庫で『だけ』頑張れば良かったのではないか?



僕は誰かを好きになっても良いのか?



学校で勉強するヴィヴィオをこっそり一緒に見るくらいユーノとなのはは仲良しだった。

二次創作ではフェイトやはやて、ヴォルケンリッター、戦闘機人といちゃいちゃする事さえある。



でも、本当にそれでいいのか?



4期はあるのか? この世界にはないのか?

あったとして、主役は高町なのはでは無いのか? 脇役として活躍すらしないのか?

ユーノは無限書庫にまだいるのか? スクライアに帰ってしまってはいないのか?

3人娘の誰かとくっついているのか? いないのか?

新キャラのイケメンとなのはの間に出来た子が主役だったりしないか?

フェイトやはやての子供がその子を支えるとか、一緒に戦うとかっていう展開だったりしないか?

ユーノの子供も別にいたりしないか?

ヴィヴィオが主人公だったりしないか?

このヴィヴィオはスターライトブレーカーを見た事が無いのだが、大丈夫なのか?



僕は、誰かを好きなっても良いのか?



一生独身で無限書庫にいることこそが、世界にとって必要ではないのか?



ジュエルシードをいつも3個持っている。

1個は『簡易ブースト』用。

1個は『虚数空間結界』用。

1個は『僕の力ではどうしようもない状況になった時に願う』用。


いざと言う時の『備え』だと考えていた。

でも、本当は『この世界でユーノ・スクライアとして生きていく自信が無い』事を無意識に感じていたからかもしれない。



僕は、この世界で、ユーノ・スクライアとして…





どう生きていけばいいのだろう?



・・・



「ユーノさん?」
《マスター?》
「大丈夫だよ… 2人が突然変な事を聞くから驚いただけ。」


とりあえずそういう事にした。


「変な事じゃないです! とっても大事な事ですよ!!」
《そうです!》
「そや、もしそういう人が居るなら応援するで?」
「ユーノには世話になっているからな… 私も応援するぞ?」
「私もな。」
「あら、私も力になりますよ?」
「…(あきらめろ)」


ザフィーラさん…
あなただけは僕の味方だと思っていたのに…


「まあまあ… みんな落ち着いて、ね?」


ここで意外な援軍?


「そんな風に詰め寄ったら何も言えなくなっちゃうよ?」
「フェイトちゃん… それもそやな。」
「そうだよ、ご飯を食べながらじっくり聞けばいいんだよ。」


フェイトさ~ん…



・・・



楽しくご飯を食べた後、はやてが監督をしてギンガとスバルが作った日本風のお菓子が机に並べられた。


「『あんこ』や『抹茶味』か…」
「あまり本格的なのは無理やからな。」
「『きなこ』もあればよかったんですけどね。」
「リインは『きなこ』が好きなのかい?」
「いや、三色になるからやろ?」
「はいです。」
「ああ、なるほど。」


子供はカラフルな物が好きだったなと納得するユーノ。

世の親御さんたちが小さな子供のためにかわいいお弁当を作るのもそういう事だと何かで読んだ事があるのだ。


「でも、ここの食堂は量が多かったから、これ全部を食べるのはキツイかな」
「え?」
「あ!」


ユーノは心の中でギンガとスバルに謝る。

機動六課の食堂は彼女達のように前線で戦う訓練をしている人が利用する事を前提にしているのだ。
一応内勤の人の為のメニューもあるのだが、先に来ていたはやてやヴォルケンリッターが注文していたのでユーノにはきつかったのだ。


「別に無理せんでええよ? 持って帰って。」
「え?」
「この前聞いたけど、朝は適当にすませとるんやろ? お団子はお米やから、朝ごはんとして食べるとええよ。」
「…なるほど。」


結界魔方を使えば作りたての状態を保つのなんて簡単だしなと納得する。


「それじゃあ… いくつか貰っていくよ。」
「というか、無限書庫の司書さん達にも持ってって? そのために多めに作ったんやから。」


作ったのはギンガとスバルだ。


「そうだったの?」
「ユーノ君だけやなくて無限書庫のみんなにもお世話になっとるからな?」
「そういう事ならありがたく貰って行くよ。」


ユーノははやてが無限書庫のみんなに感謝しているのだと思った。


「(隊長?)」
「(ギンガ、スバル、これは作戦や。)」
「(作戦ですか?)」


はやては無限書庫に勤めているユーノの同僚達を仲間に引き込むつもりなのだった。 『会』の存在を知らないので、エイミィに相談したほうが早いとは考えつかなかったのだ。


「(そうや、ここは私に任せとき!)」
「(隊長!!)」
「(はい!!)」


はやてとナカジマ姉妹の絆が深まった!



・・・



これまでずっとあの子達… ユーノ達を開放するためにがんばった。

この後の人生の為に交友関係を広げる事を考えた。

でも今日…


「未来は誰にもわからない。 その未来の為に何をすべきか…」


そんな当たり前な事を思い知らされた。


「誰かに誘導されたからではなく、自分自身の考えで… つまり、僕のやるべき事は…」


新しい課題を前にして…





自宅への帰り道、ユーノは笑顔だった。





091212/初投稿



[10392] その後のその後 14
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2009/12/13 13:04



海鳴 翠屋


「おいしいよ。」
「そ、そうですか?」
「うん。 忙しくて暫くこられなかった間に腕を上げたね。 ヴィヴィオもそう思うだろう?」
「うん!」
「よかった。」


休日、ユーノはヴィヴィオを連れてなのはの新作ケーキを試食していた。


「なのはさんのケーキ、すごくおいしいよ。」
「ありがとう。 でも、まだ後3種類あるんだけど…」
「食べるー!」
「一度に食べると味がわからなくなっちゃうから… 僕は水で口の中をリセットしてから頂くよ。」
「じゃあ、持ってきますね。」


なのははケーキと水を取りに厨房に戻った。


「ヴィヴィオ、口の周りにクリームが付いているよ。」


あらかじめ用意してもらったおしぼりでヴィヴィオの口を拭いてやりながらなのはを待つ。


「ユーノさん。」
「なんだい?」
「何か良い事あったの?」
「え?」
「なんだか、いつもより元気みたい。」
「そう? なら、良い事があったのかもね?」
「なにそれー。」


あははと笑ってごまかしているとなのはがケーキと水を持って来た。


「お待たせしましたー。」
「ケーキたくさんー!」
「ヴィヴィオ、お行儀良くね?」
「はーい。」





余り来ない海鳴に来てはしゃいだからか、それともケーキをたくさん食べたからか、あるいはその両方か…


「寝ちゃいましたね?」
「寝ちゃったね。」


ヴィヴィオは椅子に座ってフォークを持ったままお昼寝タイムに突入した。


「危ないからフォークを取って…と」
「私の家に来ますか? ベッドお貸ししますよ?」
「う~ん… じゃあ、お願いします。」
「それじゃあ、こっちへ…」



・・・



高町家


「ベッド、ありがとうございます。」
「いえ、お気になさらず。」



なのはのベッドにヴィヴィオを寝かせて、2人は一階で次にどのお店に行くかを話し合った。



「それじゃあ、次はこういうルートで行きましょう。」
「そうだね。 栗の季節が終わるから、食べ逃したらまた来年まで待たないといけないしね。」
「わ」


「私はそれでもいいんですけどね?」と言いかけたなのは


「え?」
「え?」


しかも上手にごまかした。





「ユーノさん…」
「ん? なに?」
「なんだか今日は、いつもと違いますね?」


ヴィヴィオに続いてなのはさんもか


「そうかな?」
「そうですよ。 いつもは… 私と話している時も、何か別の事を考えているみたいなのに…」


マルチタスクがばれている?


「僕っていつもはそんな風なの?」
「そうですよ?」
「そうだったのか…」


顔に出ているのかな?


「ほら今も、私と話しながら別の事を考えているでしょう?」


鋭いなぁ…

もしかして、魔力が無いだけでマルチタスクの才能自体は持っているのかな?


「それは、目標を見つけたからかもしれない。」
「目標ですか?」
「うん。」
「話してくれますか?」


なのはさんなら、いいかな?


「…僕は今まで、ずっと、他人の為に頑張ってきたんだ。」
「たにんのため?」
「そう。 気づいたのはつい最近だったんだけどね。」
「?」
「気づいてからも、僕はその人達の為に頑張ったんだ。」
「気づいてからも…?」
「うん。 そして、その頑張りは一つの結果を出して、僕はもうその人達のために頑張らなくても良くなった。」


魔法の研究が面白かったというのもあるんだけどね…


「…頑張らなくて良くなったから、楽しいんですか?」


僕は楽しそうだったのか?


「ちょっと違う。」
「ちょっと?」


ちょっとね。


「誰の為でもなく、ただ、自分の為にやりたい事が見つかったんだよ。」
「やりたい事?」
「うん。 僕が変わったのだとしたら、きっとそれが原因だよ。」
「それって、何なんですか?」
「それは…」
「それは?」


僕は右手人差し指を立てて口の前に…


「それは秘密だよ。」


そう言った僕の顔は、きっと憂鬱なんて欠片も感じられないくらいの笑顔だっただろう。





091213/初投稿



[10392] その後のその後 15
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2010/01/24 14:15
「最近、ユーノ君とは良い感じみたいね?」
「ぶっ!」


いつもと同じのように碧屋にやって来て、いつもと同じようにケーキと紅茶を注文したエイミィの突然の台詞に、なのはは(いつもと同じように)飲んでいた紅茶を噴き出した。


「ごほっごほっ、と、ごほっ、突然何を!?」


紅茶が気管にでも入ったのか、咳をしながら聞き返すなのはにエイミィは追い打ちをかける。


「だってほら、この前ユーノ君をお家にお招きしていたじゃないの。」
「何だと!」


しかし、その追い打ちは新作のケーキの試食をしていたなのはではなく厨房の士朗にダメージを与えた。


「あなた?」
「はっ!」


同じように厨房にいた桃子に睨まれるという形で。


「み、見ていたんならユーノさんがヴィヴィオちゃんをおんぶしていたのも知っているんでしょう?
 私はお菓子を食べてお腹いっぱいで眠っちゃったヴィヴィオちゃんにベッドを貸して上げただけです。」
「ええ、まるで夫婦の様だったわ。」
「なっ!」


厨房ではエイミィの言葉に再び暴走しそうになった士朗と、それを止める桃子の無言の圧力というやり取りが交わされる。


「ふ、夫婦って…」
「私が気になるのはヴィヴィオちゃんにベッドを貸した後よ?」
「後って…」
「ほら、何があったのかこのエイミィお姉さんに話してみなさい?」
「何がって… ヴィヴィオちゃんをベッドに寝かせた後は次のお休みの時にどのお店に行こうかって話しあったくらい… エイミィさん?」


なのはは顔を真っ赤にしながらこれまでと何も変わらないという事を伝えようとしたが、エイミィの様子がいつもと何か違う事に気付いた。


「なのはさん、私はね…」
「?」
「ユーノ君が小さいころからずっと無理をしていたのを見ているの。」
「無理… ですか?」
「ええ… 何かの… ううん、誰かの為にいっぱい無理をしているのをね。」


ユーノさんが言っていた事だろうかとなのはは考える。


「ユーノ君は人に頼れる事は頼る子なのに、その件に関しては何も教えてはくれなかったの。」


ジュエルシードの回収やフェイトの保護、蒼天の書の消去など、今考えればユーノだけでもある程度の事は出来ただろう。
だが、ユーノはそれをせずに管理局や義母さんに――おそらくは無限書庫の業務などに関してもたくさんの人を頼った事をエイミィは知っている。

だというのに、ずっとフェレットの姿で魔法の研究を続ける事に関しては……

一見するとザフィーラやアルフを巻き込んでいるように見えるが、肝心な部分を教えていなかった事は想像できるし、実際そうなのだろう。


「エイミィさん?」
「つまり… 何がいいたのかって言うと…
 私やクロノ、義母さんを含めた大人たちにすら頼れない様な、ユーノ君1人でどうにかしなければならない何かを背負っていたのよ。」


出された紅茶をスプーンでかき混ぜながら言葉を続ける。


「でもね、最近のユーノ君はすごく良い笑顔をするようになったの。」
「は、はあ。」
「なのはちゃん、何か聞いていない?」


エイミィの様子から、黙っている事は不可能だと察したなのはは先日ユーノが言っていた事をエイミィに話した。










「そっか… ユーノ君は『やるべき事をやり終えた』んだね。」


なのはの話を聞いて、エイミィは喜んだ。


「そうらしいです。」
「そっか… うん。 良かった。」
「エイミィさん、これ、使ってください。」


なのはがハンカチを差し出すと、エイミィはありがとうと言ってからそれで涙を拭いた。



・・・



「やあ。」
『やあ。』


モニター越しに2人の男が挨拶を交わす。


『それで、何が聞きたいんだい?』
「君の娘さんたちについて色々話がしたい。 あと、個人的に知りたい事も少し。」


挨拶早々、単刀直入に聞いてきた相手の質問に、ユーノ・スクライアも簡潔に答えた。


『言っておくけど、あの子たちは私の手をすでに離れている。』
「だろうね。」


そんな事は知っている。


『うん?』
「こう言っちゃなんだけど、今日こうやって君と話し合うのはパフォーマンスの意味合いが強いんだよ。」


意外な事を面倒くさそうに話すユーノに、ジェイル・スカリエッティは興味を持つ。


『いいのかい、そんな事を言って。 この会話は記録されているんだろう?』


どのような意図があるのかわからないが、ユーノの態度は管理局にとって不都合な物だ。


「うん。 無限書庫の司書長が世間を騒がせた大悪党とモニター越しとはいえ面会するんだ。 記録ぐらいするさ。」


しかし、ユーノの態度は非常に投げやりだった。

そしてそれが、ジェイルの好奇心を刺激する。


『わかったよ。 何でも聞いてくれ。』
「元よりそのつもりだよ。」


そう言ってユーノは缶コーヒーを一口飲む。 …徹夜したのだ。


「それじゃ、まずは1番のウーノさんね。」
『ああ。』


ユーノは缶コーヒーの側に置いてあった数枚の資料から1枚を取ってそう告げる。

おそらくは管理局に忠誠を誓うように説得しろとか、そういう事を言ってくるのだとジェイルは思った。

そして、それくらいならしてもいいとも思っていた。
…どうせ自分が何を言っても娘たちの決意は変わらないとしっているから。


「とりあえず、彼女にビデオメールを送ろうか。」
『は?』


予想外の発言にジェイルは戸惑う。


「内容は… そうだな、“簡単な事務でもいいから管理局の仕事を手伝ってやれ”でいいや。」
『???』


ユーノは持っていた紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げる。 そして、困惑するジェイルを無視して次の資料を手に取った。


「次は2番目のドゥーエさん。」
『なぁ、君は私に彼女たちを説得するように』
「この子にもビデオメールがいいかな。 内容は“カウンセリングを受けるように”で。」


それだけ言ってまた資料をくしゃくしゃに丸めるユーノ。 ジェイルを無視して話を進める気なのだ。


『いや、そんな投げやりなやり方でいいのか?』


ジェイルにとって自分を捕まえたユーノが管理局からどう思われても構わないのだが、ここまで適当に相手をされると何故か不安になってくる。


「いいんだよ。 こんな面倒な事はさっさと終わらせるに限る。
 さっき言っただろう?

 『パフォーマンスの意味合いが強いんだよ。』って。

 それに… あなたを相手に真剣に話し合いをしても勘ぐる輩は出てくるしね。」


どっちにしても面倒ならさっさと終わらせたほうがいいとユーノは告げた。


『ぁあ… なるほど。』


ジェイルは今の発言も記録されるのだろうにそれを気にしないユーノの態度に少しだけ共感した。


「次は3番トーレ。 ある意味一番面倒くさい子だ。」
『うん?』
「“敗者には敗者の矜持がある”という理由で引き篭もっている。」
『引き篭もり…』


彼女が言いそうな事だが、それを“引き篭もり”と…


「この子にもビデオメールでいいや。 内容は“管理局のいいなりになる必要はないが、引き篭もってないで、せめて自分の食い扶持分くらいは働け”。」
『は… はは…。』


いいのか? 本当にそんな内容でいいのか?


「次は4番目のクアットロ。」
『もう何でも言ってくれ。』


ジェイルは考える事をやめた。


「この子も2番目と同じ対応でいいや。 どうせ何を言っても効かないだろうし。」


そーですね。


「次は7番目のセッテ。 この子には“一般教養を学べ”くらいでいいかな。」
『…次は?』


精神的に疲れたジェイルは、早くこの状況を終わらせたいという気持ちで一杯だ。


「君の娘さん達に関してはこれくらいかな。 後で追加のビデオメールを送るように頼むかもしれないけどね。」
『そうかい。』


これで話は終わりだとホッとしたジェイルの耳に、ユーノの声が届く。


「それじゃ、次は僕個人の知りたい事を聞かせてもらう。」
『そういえば、そんな事も言っていたね。』


面倒くさいなという態度を取ったジェイルだが、次の瞬間再びユーノへの興味で一杯になった。


「アルハザードについて聞きたい。」










100124/初投稿



[10392] その後のその後 16
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2010/05/16 14:35
いつものようにクロノの頼みを聞いて残業を――徹夜をして時間間隔が狂っていると、さきほど帰ったはずの司書が近寄ってきた。


「あれ? 君はさっき帰ったばかりじゃなかったっけ?」
「は?」
「急な仕事が入って帰れなくなっちゃった?
 あれ? でも、そんな緊急の仕事が入ったら僕の所にも連絡が来るはずなんだけど?」
「司書長…… 私は今出勤したばかりですよ。」
「え?」


呆れた様子の司書の言葉に、もうそんな時間だったのかと思うと同時に締め切りまでの日数を計算する。


「それよりも、司書長にお客様です。」
「うん?」


クロノや六課などからの依頼で忙しい時は他の仕事はなるべく僕の所に持ってこないようにと言ってあるのに……


「僕でないとできない仕事かな?
 ほら、僕今日で徹夜みっ…… よ?」
「四日目です。」
「たぶん今日中にコレが片付くんだけど、それまで待ってもらえないくらいの相手なの?」


だとしたらクロノに今までに調べた資料を送っておかないといけない。
まだまだ半端な資料だが、全く無いよりはマシなはずだから。


「え?」
「どうなの?」
「これは『無限書庫司書長』という肩書よりも『ユーノ・スクライア』という個人に関わる事ですから、待てない事もありませんけどね。」
「シスター?」





シスターが持ってきた書類は来年度からヴィヴィオが通う事になっている学校に関係する物だった。


「ここに名前を書けばいいんですね?」
「はい。」


読書魔法で内容を全部理解した後、さらさらとサインをする。


「すいませんね。 本当ならシスターにこんな手間をかけさせるような物じゃないのに……」
「お気になさらないでください。
 こう言っちゃなんですけど、ヴィヴィオちゃんは私たちにとっても重要人物なんですから。」


ヴィヴィオには『聖王教会や時空管理局とまったく無関係の仕事に就く』という未来は無い。


「なんなら、今から『検索魔法』や『読書魔法』を教えちゃいましょうか?」
「……そうですねぇ。」


この2つの魔法はマルチタスクの修練に使えるだけではなく、学校の勉強や調べ物にも使え、さらには無限書庫に司書として――という道すら生まれる素晴らしい魔法である。


「変な癖がついても困りますから、レイジングハートのデータを元にデバイスを作って渡せば魔法に関してはかなり良い成績になると思いますけど。」
「あら? インテリジェントデバイスに魔法を指導させるんですか?」
「シスター、僕が徹夜4日目だって知っているでしょう?」
「あ……」


ヴィヴィオの周りには優秀な人材がたくさんいるが、それゆえに皆忙しいのだと思い至る。


≪私のデータを元に……≫
「うん。 本当は人格の育ってない新品のデバイスと一緒に成長していくのがいいんだろうけどね。」
「そうですね。 レイジングハートを元に作られるのなら、私たちも安心できます。」
「それなら、私やアギトの様なユニゾンデバイスにしたらどうでしょうか?」
「え?」
「へ?」


はやてにお使いを頼まれたと思われるリィンがそこに居た。


「ユーノさん、これ、はやてちゃんからです。」
「追加の資料請求――だけじゃなくて、『機動六課忘年会のお誘い』?」
「スカリエッティの事件の後片付けも一段落着きましたし、その打ち上げも兼ねるみたいですよ。」
「なるほど。」
「部隊の設立目的も解決しちゃいましたし、はやてさんは暇なんですかね?」


ぶっちゃけた話し、機動六課はスカリエッティ対策の為の部隊だった。
スカリエッティを捕まえてしまった今はスバルやティアナ、エリオやキャロ、その他の後方支援の新人を鍛えるくらいしかやる事が無いのだ!


「シスター?」
「なんでしょう?」
「例えその通りだとしても、口に出してはいけない事ってあると思いますよ?」
「……確かに、失言でした。」


ユーノが検索魔法と読書魔法によって浮かんでいる資料の数々を指差しながら注意をし、無限書庫内で言って良い事ではなかったとシャッハも気づいて謝る。


「リィン、この資料請求は今やってるクロノの件が終わったら取りかかるってはやてに伝えて。」
「わかりました。」
「それと、ヴィヴィオのデバイスをユニゾン型にするのはなしね。」
「ええ~。」
「学校にユニゾンデバイス何て持って行ったら、目立ちすぎちゃうでしょうが。」
「ユーノさんの言うとおりですね。 インテリジェントなら、まだ…… 少し目立つくらいで済むでしょうが……」


学校に高価な物を持って行くのはあまり勧められる行為ではないのだ。


「でもでも、ヴィヴィオちゃんはユニゾンデバイスとの相性が良さそうですよ?」
「だったら、学校を卒業してからインテリジェントを改造したらいい。」
「ぅぅ~~。」


リィンはレイジングハートを元に作られるユニゾンデバイスなら自分と一緒になってアギトと戦ってくれると思っていたのだ。


(トリガーハッピーの可能性のあるレイジングハートに自由に動ける体を与えたらどうなる事やら……)


ユーノはユーノでかなり失礼な事を考えていた。


「あら、もうこんな時間。 それじゃあ私は戻りますね。」
「あ、はい。 お手数おかけして申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、ではまた。」


インテリジェントデバイスをユニゾンデバイスに改造できるのかどうか、かなり興味が湧いたがこれ以上此処に居るとヴェロッサを説教できなくなると思いカリムの下にシャッハ帰った。


「で、リィンははやての所に帰らないで良いの?」
「はいです。
 はやてちゃんが『ユーノ君は忙しいやろから、お手伝いしておいで』って言ってました。」
「そう? じゃあ……」



・・・



「リィン曹長いいなぁ……」
「あんた、まだそんな事言っているの?」


午後の訓練を指導するはずだったフェイトに急用があったのでいつもよりも厳しい午前の訓練が終わってもまだそんな事を言える余裕のある相方を呆れ顔で見る。


「私も検索魔法と読書魔法が得意だったらお手伝いに……」
「それなら、午後頑張るしかないわね?」
「え?」
「私たち午後からは書類整理をする事になったでしょ。
 その2つの魔法を駆使して早くノルマを終わらせれば無限書庫に行っても良いって言ってくれるかもよ?」


ノルマさえこなせば、隊長も許してくれるだろう。 あの人はそういう人だ。


「そっか! ティア、私頑張る!」
「はいはい、頑張れ頑張れ。」





「就業時間まで後5分よ?」
「ううう……」


張りきっていたスバルが自分のノルマを終わらせたのはそんな時間だった。


「あの……」
「スバルさん、元気出してください。」


落ち込んでいるスバルに声をかけたのはエリオとキャロだった。


「ううう…… 慰めてくれるの?」
「いえ、そう言うわけじゃないんですけど。」
「あのですね、ユーノさんは多分ここの食堂に来ると思いますよ。」
「え? どういう事!?」


スバルが取り乱してエリオの首をガックガックしたりしたために話が進まなかったが、要するに


「つまり、リィン曹長を八神隊長に送り届ける為に此処に来て、ついでに食事をしていくと?」
「はい。」
「そっか、ユーノさんがくるんだ!」


こうしちゃいられない、食堂でお菓子作る許可を取ってこなきゃ!
そう叫んで走って出て行ったスバルの後姿を見送って、ティアナはエリオとキャロに確認をとる。


「本当に来るの? 来なかったら、あの子かなり落ち込むわよ?」


そして、その愚痴を聞くのは同室の私なのよ?


「来ますよ。」
「リィン曹長を送るからそっちで夕ご飯食べるって連絡がありましたから。」
「連絡があったならそう言えばいいのに…… って、なんであなたたちにユーノさんから連絡がくるのよ?」
「それは――」


ユーノは2人の事をとても良くしてくれていて、これまでもフェイトが仕事で帰れない時などは心配して様子を見に来てくれたりしたそうだ。


「へぇ……」
「機動六課に来る前から、私もエリオ君もユーノさんにはお世話になっているんです。」


ティアナはユーノについて新しい知識を手に入れると同時に、やっぱりユーノはスバルをこの2人と同じように子供扱いしているのではないかと思った。


「それに今はヴィヴィオの事もありますからね。」
「なるほどねぇ……」





「こんばんわ。」
「ただいまですー!」


ユーノがリィンと一緒に六課の食堂に来たのは20時頃だった。


「ユーノ君、いらっしゃい。」
「おじゃまします。 っと、はやてさん、これ今日頼まれた資料。」
「もうできたんか?」
「八神家の末っ子はなかなかに優秀でね? すごく助かったよ。」
「えへへ。」


ユーノがリィンをべた褒めし、はやてはそうやろそうやろと胸を張った。


「ユーノさん、こんばんわ。」
「こんばんわ。」
「ユーノさん、こっちこっちー!」


エリオとキャロとヴィヴィオの子供3人が元気よく挨拶し、同じ席に着くように促す。


「フェイトさんが居ないらしいけど、3人は大丈夫なの?」
「今日はザフィーラさんがお泊まりに来るの!」
「なら安心だね。
 ザフィーラさん、この子たちの事よろしくお願いしますね。」
「うむ。」


ヴィヴィオの頭を撫でながら隣の席のザフィーラと雑談を始めようとしたユーノに、はやては受け取った資料を隊長室に置きに行くと言って食堂から出て行った。


「シグナムさんとヴィータさんは夜間勤務?」
「ああ、機動六課としてやるべき事はやった後だから、夜間勤務に余り意味は無いんだけどな。」
「ヴィータ……」
「わかってるよシグナム、仕事はちゃんとする。 でも、これくらいは言わせてくれよ。」


夜中にガジェット現れてどこかを襲うという事はもうないので、ヴィータの行っている事の方は正しいのだが……


「ヴィータさん、子供たちの前であまりそういう事は言わないように。」
「あ! ……配慮が足りなったな、すまない、悪かった。」


子供たちを指導する立場の人間が、その子供たちの前で仕事の事を愚痴るのはあまりよろしくないのだ。
ユーノの注意でヴィータはそれ気づき、謝罪した。


「ユーノ君、私には聞いてくれないの?」
「ザフィーラさんがハラオウン家にお泊りで、シグナムさんとヴィータさんが夜勤ならシャマルさんははやてさんとリィンと一緒でしょう?」
「それはそうなんだけどね。 そういう反応されるとちょっと寂しいわ。」





「あれ? ユーノ司書長、お食事まだなんですか?」


厨房でハイテンションなスバルの頭を何度か叩いていたティアナが、ひょっこりと顔を出した。
スバルが今作っているのは『食後のデザート』なので、出すタイミングを計る為だ。


「うん。 シグナムさんとヴィータさんは仕事があるからもういないけど、できれば皆一緒に食べたいって事になってね。」


シグナムとヴィータは食事をさっさと済ませて食堂を後にしたが、残りのメンバーははやてが来るのを待っていた。


「スバル―、デザートはもう冷やすだけでしょう?」
「うーん。」
「だったら、こっちに来て皆一緒に夕ご飯食べましょう。」
「わかったー。」



・・・



「それで、ユーノ君はどんな感じやった?」


明かりもついて居ない機動六課隊長室で、はやてはリィンにユーノの事を聞く。


「いつもと変わらない忙しさでしたよ?」
「いや、そういう事じゃなくて……」
「?」


リィンははやてがユーノの何を知りたかったのだろうと疑問に思う。


「まあ、ええわ。 私もあまりやる気無いしな。」
「ユーノさんに何かあるんですか?」
「……ちょっとな。」


無限書庫司書長がアルハザードの何について個人的に知りたいのか。



少し前に、それとなく調べてくれないかとレティに言われていたのだが……










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[10392] その後のその後 17
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be
Date: 2010/05/16 16:02
「あれ? あの子って……」


無限書庫の司書である――司書A(彼女の名誉の為に名前はあえて伏せる)はいつものように無限書庫のアイドルであるユーノ・スクライア司書長を隠し撮りしようとした際に、彼の側に普段見慣れない女性がいる事に気が付いた。


「ああ、『人事部の期待の星』だね。」


答えたのは司書Aと同じ様に隠し撮りをしようとしていた司書B(彼の名誉の為に以下同文)が彼女の問いに答えた。
彼は会員番号3309(人事部の提督)の作戦に参加しており、食堂で無駄な席を埋めるモブという重大な役割を果たした際に彼女の顔を憶えていたのだ。


「え? 『お見合いモドキ作戦』って続行中だったの?」


司書Aは驚いた。
なぜならば会員番号3309が主催したその作戦は大失敗してしまったと噂で聞いていたからだ。


「いや、彼女の今の作戦は『ユーノ司書長の好みを探ろう』じゃなかったっけ?」


『期待の星』が期待外れだった為に急きょ作戦を変更したと聞いていた司書C(前略以下略)が2人の会話に割って入る。


「あれ? 『お友達大作戦』じゃなかった?」


無限書庫と言う時空管理局内でも重要な場所の長である彼の意外に狭い交友関係に危機感を持った会員番号3309(以下某提督)が人事部の人材を使って彼の交友関係を広げようとしていると聞いていた司書Dも参加してきた。


「お友達かぁ……」


どちらの作戦であっても彼女――『期待の星』の役割が司書長の情報を収集することにあると考えた司書Bがある事を思いつき、にやりと笑う。


「なんだ?」


突然気持ち悪い笑みを浮かべた司書Bから少し離れて司書Dが尋ねる。
長い付き合いで司書Bがこんな笑い方をする時は何か良いアイデアが浮かんだ時だと知っている(それでも引いてしまうのをやめられない)からだ。


「ほら、これまで毎年、忘年会とか新年会とかやってきたけど、司書長って何を考えてか『20歳まではお酒を飲むつもりはない』って言っていたじゃないか。」


自分のやるべき事が終わるまで浮かれるつもりはないという司書長の気持ちを知らない彼らは、いつか彼と一緒に酒を飲む事を楽しみにしていた。


「言っていたな。」


アルコール度数の低い、殆どジュースと言っていいくらいの酒を飲ませようとして失敗した事のある司書は少なくない。


「あ! 司書長ってこの前20歳になったよ!」
「ああ! 今年の忘年会は司書長と一緒にお酒が飲めるって事だ!」


4人の聞き耳を立てていた司書E――他数名が会話に参加してきた。


「そうか、一緒にお酒を飲めば、司書長の本音が聞けるかも……」


司書Fが司書Bの考えた事に気付いた。
某提督にできなかった事を自分たちができるかもしれないという思いが、彼らの心を熱くしていく。


「ああ、上手くいけばあの子よりも先に司書長の好みその他を聞き出す事だってできるかもしれないぜ!」


司書Bは興奮している。
というか、こんな会話していても仕事は大丈夫なのか?


「それどころか、酔っぱらったフェレットモードを見る事だって可能かも……」


マルチタスクで会話に参加しながら司書長を隠し撮りし続けていた司書Aが、隠し撮りをしていたからこそ気づいた事を口に出した。


「おおおお!」
「うは! それって最高じゃね!?」
「見たい!」


その一言が司書Bの意外の司書たちのテンションを一気に上げた。


「おい、幹事は誰だ! 使い魔やペットOKの場所を抑えとけ!」


管理世界――特にミッドチルダでは使い魔の人権(獣権?)はある程度保障されているが、アレルギー体質の人からしてみたらやっぱり動物の一種であるわけで、不特定多数の人が出入りする場所ではアレルギー物質をださない状態――例えば人型でいるのが一般的であったりする。
しかし、使い魔と一緒に酒を楽しみたいと思う人はいるわけで、そういう主従は酔っぱらって獣形態になっても大丈夫な店へ行くのが普通なのである。

要するに、彼らは自分たちの上司が体調不良になった時にフェレットモードになる事を知っているという事であるというか、そこまで酔わせる気でいると言う事である。


「了解だ!」


そして、それがわかっていて幹事は良い返事をした――が


「あ!」


司書の1人がある事に気付いた。


「どうした?」


盛り上がっている所に水を差された形になった他の司書たちの視線が彼女に集まる。


「考えてみたら、司書長がお酒を飲むの初めてって事になるんじゃない?」


しかし、彼女は少しも動じずに気付いた事を声に出した。
十数人に睨まれるくらいの事で何も言えなくなるような精神の持ち主では無限書庫で司書をする事なんてできはしないのだ。


「ああ、そうか…… 急性アルコール中毒とか気をつけないとな。」


二十歳になったばかりの親戚が病院に運ばれたのを知っている――というか、その場に居た事のある者がこの場に居たのは幸いだったのだろう。


「だったら病院やホテルが近い場所がいいんじゃないか?」


……飲ませないという選択肢は無いらしい。


「そうね。 仕事が早く終わった人から調べて行きましょうか。」
「ああ、俺たちが司書長を酔い潰したなんて事になったら他の部署の奴らがどんな酷い資料請求をしてくるかわかったもんじゃないからな。」


現在会員数は6000を超えて7000台まで増えている。
それは無限書庫や食堂の他にも様々な部署に会員がいるという証であり、もしも司書たちによってアイドルである彼が倒れる様な事があれば――


「そうね……」


目も当てられないほどの、いや、見た瞬間に地獄に落ちたように感じる程の、必要以上の資料請求がなされる事になるだろう。

……各部署から。


「年始を徹夜で迎えたくはないものね。」


時空管理局は年中無休で動き続ける組織ではあるのだが、当然ながらそれは局員全員が年中無休と言うわけではない。
年始を職場で迎えるのは仕方ないにしても、地獄で迎えたくは無い。
それはこの場に居る全員の気持であった。


「そうだ!」


突如、司書の1人がまた何かを思いついた。


「どうした!?」
「俺、今の内に技術開発室にデバイスの改造頼んでおくわ!」


彼のデバイスは無限書庫での勤務に不自由しない――むしろ不必要なほどに改造されている事をこの場の誰もが知っていたが、その発言の意味するところを誰もが気付いた。


「今よりも高画質な画像が撮れるようにか!」


無駄な推理力である。


「それなら私のも改造してもらうわ!」
「いっそ全員まとめて――だめだ、それだと仕事に影響が出る。」


司書たちはデバイスが無くとも多少は魔法を使えるように自主的に訓練しているが、それでも忘年会を無事に迎える為にも支障をきたす様な真似をしたくない。


「慌てるな、忘年会まではまだ時間はある。」
「そうね、仕事に影響が出ないように班を決めて、班ごとに頼みに行きましょう。」
「ああ、あっちにも会員が何人かいたはずだから、事情を説明したら何とかなるだろう。」


酔った司書長の画像データが欲しければと頼みこめば多少の無理も効くだろう。


「それじゃあ、とりあえずあっちに友人の居る俺がデバイスの改造にどれくらい時間がかかるか聞いてくるわ。」


無限書庫にはあらゆる部署から資料請求がくる。
しかし無限書庫の中には部外者には見せてはならない物がある事が多い為、その請求された資料もまた機密の塊である事が多く、メール等で送るわけにはいかないので直接手渡しする必要がでてくる事もままある。
その際に知り合った者同士が友人関係になる事もある。

特に彼の場合は技術開発室に会員がおり、互いにデータのやり取りをするうちに仲良くなった友人がいるのだった。


「お願いね。 私たちは会場を探しておくわ。」


自然と役割分担ができていく。


「それじゃあ、お前たちの仕事が早く終わるように手伝ってやるよ。 こっちの資料は大体揃っているからな。」


サポート体制も万全に……


「本当!? それじゃあ、これとこれ頼むわ!」
「おう、まかせとけ」
「それじゃあ私はあなたの――これとこれをやっとくわ。」
「お願いするわ。」
「それじゃあ、こっちは班を決めておく。 マルチタスク開けておけよ?」
「ああ、頼む。」
「さあ、忙しくなるぞ!!」


彼らは意気揚々と仕事を再開する。
やる気を出した彼らを止められる者は誰も居ない。





しかし……





彼らは知らない。
彼らの愛するユーノ・スクライア司書長は、自分は彼らに嫌われていると思っており――彼らの邪魔をするくらいなら機動六課の忘年会に出たほうがいいかと思っている事を。



・・・



「なんだか騒がしいですね?」
「何か珍しい本でも見つけたかな?」


何も知らない2人は司書たちが一か所に集まっているのを見て不思議に思う。


「珍しい本ですか?」
「うん。 どんな本を見つけたのかな?」


後で調べてみようと彼は思った。
彼の権限を使えば今すぐにでも何が起こっているのか知る事が可能なのだが、それをしないのは接客中だからか、あるいは司書たちにこれ以上嫌われたくないと思っているからか。


「そう言えば、ユーノさんはお酒を飲まないって本当ですか?」
「うん? ああ、飲まないってわけじゃないよ。 ちょっと願掛けをしていてね。」


この子はなんでこんなにも話をコロコロと変えるのかなぁ?
最近、彼女が訪ねてくる度に尋問されている様な気分になる。


「願掛け、ですか?」
「うん。 叶ったから、もう飲んでも良いんだけど――暇も機会も無くてね。」


事実、つい最近4日連続で徹夜したばかりだ。


「それじゃあ、今度人事部のみんなと一緒に飲みに行きませんか?」
「え?」
「部署は違えど同じ職場に勤める者同士、親睦を深めませんか?」


突然の提案に驚きはしたが、友人を増やそうと思っている彼に取ってそれは魅力的なものでもあった。

しかし


「人事部の集まりに1人だけ参加すると言うのも、ね?」
「じゃあ、司書さんたちも誘いましょう!」
「う~ん。」


無限書庫で一番若いとはいえ自分は上司である。 それも嫌われている。
僕は嫌っている上司と一緒に酒を飲んで楽しめるだろうか?


「考えておくよ。」


楽しくない酒の場になるだろうが、それでも人事部との繋がりができる事は司書たちにとって損は――いや、むしろ得になる事だろう。
そう思い至った彼は彼女の提案についてもう少し考えてみる事にした。


「本当ですか!?」


彼女が彼と仲良くしようとしているのは上司からの命令とはいえ、自分の意志でもある。
その彼からこの提案に色良い返事をして貰えそうだと思った彼女が興奮するのは仕方ない事だろう――というか、彼女の頭の中ではすでに誰と誰を誘うべきか、誰と誰を誘わない方が良いのかを計算し始めている。


「え、ええ。」


本当にこの子は不思議な人だなぁと――少し鬱陶しいとすら感じ始めていた彼に、この女性から解放してくれる救世主が現れた。


「こんにちは、ユーノ先生!」
「こんにちは、ヴィヴィオ。」


最近読書魔法と検索魔法を教えるようになった少女である。


「こんにちは、ヴィヴィオちゃん。」
「え? あ、こんにちは。」


最近、人見知りが少しマシになったとはいえ、あまり付き合いの無い女性に少し――


「すいません。 先に言っていましたが、この子に魔法を教える事になっているので……」
「いえ、こちらこそすいません。 用事が済んでいるのに長々と……」


ヴィヴィオの様子に気づいたユーノは彼女を帰らせる事にする。
ヴィヴィオがこうなるのはいつもの事なので慣れているのだ。


「それじゃあ、また。」
「ええ、また。」


ユーノから彼女が離れた瞬間、ヴィヴィオは彼の背後に回り込んで彼女に手を振った。


「ばいばい。」
「ばいばい、ヴィヴィオちゃん。」


彼女はヴィヴィオに笑顔で返事をして、無限書庫を後にした。





彼女の姿が見えなくなると、ユーノがヴィヴィオにあの態度は失礼だよと教えた事は言うまでも無い事だろうか?










100516/初投稿



[10392] その後のその後 18
Name: 社符瑠◆5a28e14e ID:5aa505be
Date: 2010/08/08 16:57
今日の彼はいつもと違う。
こうやってデート――じゃない、一緒に有名店を食べ歩きする事を楽しみにしていた高町なのはがそう感じてしまっても仕方ないほどにユーノ・スクライアは悩んでいた。


「何か、悩み事ですか?」


チョコレートケーキとコーヒーの組み合わせが絶品だと評判になっている喫茶店で、「たいしたことじゃないから」とか「何でもないよ」と言い返されて精神的なダメージを受けるのを覚悟して、彼女は彼に思い切ってそう訊ねた。


「え?」
「こんなに美味しいケーキを食べているのに、いつもよりも言葉が少ないなんて、何かあったとしか思えませんよ。」


いつもなら、このチョコレートが入っている割にはすごくふわふわした感じがして面白いとか、コーヒーと一緒にする事でチョコレートの後味がすっきりするとか、そんなありきたりとも言える様な感想を、見ていて面白くなるくらいうんうんと唸りながら精一杯考えた末に話しだすと言うのに、今日はそれが無いのだ。


「……どうやら、心配させてしまったみたいですね。」
「いえ、そんな……」


本当に申し訳なさそうに謝るユーノに、なのははもう1歩踏み込んだ。


「何かあったか、聞いても良いですか?」
「……
そうですね。 ちょっと聞いてもらえますか。」
「はい。」


ユーノは少し考えるそぶりをしたものの、話を聞いてもらう事にした。
社会人経験の乏しいなのはに話したところで良い解決策を授けてもらえるとは思っていないが、誰かに話す事でどうしたらいいのか思いつく事もあると何かの本で読んだ様な、誰かから聞いた様な、そんな記憶があったので、思い切ってみる事にしたのだ。


「僕が働いている会社は数えるのも馬鹿らしいくらいにたくさんの人が働いて居て、僕はそこで過去の記録とかを扱う部署のリーダー――日本の会社で言うなら部長って言うのかな? そういう立場に居るんです。」
「部長…… 私と同じ年くらいなのに……」


まぁ、日本じゃ珍しいかな?
あっちは能力さえあれば10歳でも就職できるからねぇ……


「……ええ。
でも、というか、だから、というか…… 僕の部下の殆どは僕よりも年上の人たちだらけなんです。」
「それはつまり…… その人たちが自分たちよりも若い奴の命令なんて聞いていられないって言って仕事をしてくれない、という事ですか?」
「いえ、あそこはそこそこ重要な情報を扱うので皆真面目に仕事はしてくれます。
……内心ではそう思っていると思いますけど。」


無限書庫の司書たちは自分の事を良い上司だとは思っていないだろう。

彼らは全員自分たちの仕事に誇りを持って裏方として頑張っている。
現場の判断も重要だが、その判断の材料になる情報もまた重要である事を知っている。
彼らは自分たちが現場の人たちの様に、大勢の人に感謝される事が無いとわかっている。

そんな事は理解しているのだ。 理解しているのだが……


「居心地が悪い?」
「まぁ、簡単に言えば。」


理解していても、納得できない事もある。


「でも、僕にも問題があったと思うんですよ。
前に話した事があると思うけど、僕にはやらなければならない事があって、どうしてもその部署に居なくちゃいけなかったんです。
部長になったのだって、その為にがむしゃらにやっていたら――って感じですし。」
「えーと……
今まで人づき合いとか考えた事が無かったけど、いざやることやって落ち着いて周りを見てみたら、居心地がすごく悪かった、と?」
「……情けない話だと思うけどね。」


ユーノはなのはが思っていたよりもこちらの言いたい事をわかってくれる事に、驚くと同時に彼女の評価を上げた。


(自分の知っている歴史と違うからと言って侮っていたのかもしれない。
考えてみたら、この子は魔力があれば管理局の上の方に行けるだけの人材だったのだ。)


管理局という特殊な環境とあの歴史の彼女自身の膨大な魔力と性格が見事に適合してああいう事になったのではないかと思っていたけれど、魔力と性格だけでは管理局の仕事をこなす事はほぼ不可能だと、このユーノは知っているから。


「僕が新しく見つけたやりたい事も、今の部署に居た方が叶えやすいと思うので、部署移動とかはしたくないんです。
それに、さっきも言いましたけど僕の部署はそれなりに重要な情報を扱っているので、僕の我儘でごたごたすると、会社全体に迷惑を掛ける事になりかねません。」


だから、もう少し情報を与えてみる事にした。
もしかしたら、意外と良いアイデアを提供してくれるかもしれない。


「でも、あの人たちは僕が入る前からあの場所で大切な情報を保管していて、たぶん僕よりもあの場所に愛着があると思うんですよ。」


今は時空管理局で重要な部署として扱われているが、それは自分が来てからの事。
自分が来るまでは――一応資料請求もあったらしいが、基本的にはただの物置扱いだった。
そんな頃から勤めている人たちに……


「そんな人たちに、『僕の事が気に入らないなら他所に移っても良いですよ。』なんて、とてもじゃないけど言えません。
それに…… そもそも情報を扱う部署なので、万が一の事を考えると人の出入りはなるべく避けたいですし。」
「働いた事の無い私が言ってもなんですけど…… 大変なんですね。」
「ええ、まぁ……」


なんでもかんでも詰め込んだせいで、無限書庫に臨時職員を大量につぎ込んでその膨大な資料を整理するという方法がとれず、結果として資料の整理が追いつかなくなってしまい、資料請求に対処できなくなっていたというのに、無限書庫の司書たちが無能だの給料泥棒だ等のかげ口を叩かれていた事すらあるのだ。
それでも頑張ってきた彼らが大変でなかったはずがない。


(というか、無限書庫の司書全員よりも僕1人の方が情報処理速度が優れていると思われていたりするのも、その噂が消えない原因なのかもしれないし……)


『ユーノ・スクライアが来た途端に無限書庫が本格稼働を始めた』という評価が、司書たちの評価をさらに下げてしまっているのだ。
才能のある人が1人増えたくらいでそんなに劇的な変化が起こるのなら、世界中のあちこちで同じ様な変化が起こっていないとおかしいと言うのに……


(そもそも、無限書庫は本格起動できるだけの下準備がなされていて、それを活かす事の出来る存在、リーダーがいなかっただけなんだ。
僕じゃなくても、そう、例えばリンディさんの様な“人を引っ張る事の出来るリーダー”が現れていたら、無限書庫は今よりも管理局に必要不可欠な部署になれていただろうな。)


自分の様な自分勝手な人間でもここまでできたのだから、人の上に立てる素質が少しでもある人が無限書庫の様な地味な部署に配属されたり、自分から望んでやってきたりする事が無かったという事が問題だったのだろう。


「でも、それだけじゃないですよね?
『やりたい事がみつかった』って聞いたのは結構前ですし、ユーノさんならその時から居心地が悪いなって感じていたんじゃないですか?」
「……鋭いですね。」


この問題はずっと前から確かに在って、時間が解決してくれるのを待っていた。


「実は…… どう言った話をしていたのかは言えませんけど、話の流れで人事部の人たちと飲み会をする事になりまして。」
「?」
「部署間の交流は悪い事ではないなと思って受けたのは良いんですけど、『嫌っている上司』に飲みに誘われて――それも、人事部と言う給料に直結しそうな人たちとの飲み会に誘っても、誰もついて来てくれないんじゃないかなって……」


『人事部との話し合いの結果、あなたの首を切る事にしました』などと言うふうに悪い意味で受け取られてしまう可能性もなくはないかもしれない。


「会社で働いた事が無い私がこんな事を言っても説得力がないかもしれませんけど……
一度、部下の人たちとお話をしてみたらどうですか?」
「お話――いや、OHANASHIですか?」
「……?
えっと、部下の人たちから直接嫌いだって言われたわけじゃないんですよね?
だったら、もしかしたら嫌われているって言うのはユーノさんの勘違いで――例えば、部下の人たちも年下の上司とどう付き合ったら良いのか分からなくて困っているだけって事もあるかもしれませんし。」
「なるほど……」


年上の部下との付き合いに悩んでいる上司がいる様に、年下の上司とどう付き合えば良いのか悩んでいる部下がいたとしてもおかしくは無い。


(いや、むしろ悩まない方がおかしいのか?
 もしも今、僕の目の前にレティさんと子供――10歳児がやって来て、レティさんの口から「今日からこの子があなたの上司です」と言われたとしたら……)


うん。 困る。


「なのはさんに話を聞いてもらえて良かったです。」
「そんな。」
「確かに、あの人たちも僕とどう付き合ったらいいのかわからないだけかもしれないですし、そうじゃなかったとしても1度話し合ってみるべきでした。」


人間が2人以上いるのなら、相互理解は重要だ。


(しかし、まさかOHANASHIを薦められるとは……
魔力が無いと言う事だけで、この子の性格は同じだと言う事か。)


少し厳しいが、こちらの言い分をきちんとわかってもらうには良い方法なのかもしれない。


「よし! 相談に乗ってくれたお礼に、今日は全部僕の奢りです。」
「え? そんな……」
「遠慮しないで下さい。 心配させてしまったお詫びも含んでいるんですから。」










海鳴から戻ったユーノは早速準備を始めようとした。


「レイジングハート、本局で一番広い訓練場を予約できるかな?」
《どうするのですか?》
「どうするって? OHANASHIをするんだよ。」


レイジングハートは久しぶりに意味がわからない。

確かに無限書庫に勤めている者は多い。
話し合いの為にそれなりの広さは必要だろう。

しかし


《司書たちとの話し合いの場に訓練場を使うのですか?
 私としては広い会議場を借りればいいだけだと思うのですが?》


確かに訓練場は広いけれど、無限書庫の司書長が必要だと言えば本局内の一番広い会議場の使用許可くらい簡単に取れるのだ。
わざわざ訓練場と言う話し合いに向かない場所を使う必要はまったく無い。


「? 僕がしたいのは『話し合い』じゃなくて『OHANASHI』なんだけど?」
《何か違うのですか?》


レイジングハートがそう問うと、ユーノは何か言おうとして――口を閉ざした。


《マスター?》


呼んでも返事が無い。
久しぶりに何か1つの事に集中しているようだ。





ただ単に、自分の勘違いを恥じているだけなのだが。



・・・



「と、言うわけで、何か良いアイデアは無いかな?」


定期的に使用している訓練場で、ザフィーラとアルフになのはにしたのと同じ相談をした。


「ふぅむ……」
「なかなか難しいねぇ。」


ザフィーラにとってははやてが、アルフにとってはフェイトが上司だと言えなくもないが、2人とも管理局の仕事をするうえで不満を持った事は無いので司書たちの気持ちがわからないし、当然ながら部下を持った事も無いのでユーノの気持ちもよくわからない。


「でも、司書たちがユーノの事を嫌っているって事は無いと思うんだよね。
確かに、自己主張が下手と言うか内にこもり気味な性格と言うか、そう言う人たちが多いのかもしれないけど、それでも無限書庫で働いている以上は、それなりの根性がある奴らばかりなんだろうし、嫌な事は嫌だって言える奴も1人や2人は居ると思うんだよ。」


ユーノが勤める様になる前の無限書庫は色々と大変で、根性無しはとっくの昔に別の部署に移っているか、管理局を辞めているだろうとアルフは考えているようだ。


「実際、ユーノ個人に結界魔法の依頼が来た時に『司書長のせいで無限書庫とは関係の無い仕事が…』って言われた事があるんだろう?」
「ああ、そんな事もあったね。」


アルフに言われて思いだす。


(その後もギンガとスバルにデバイスを渡しに行ったり、エリオとキャロの様子を見に行ったり、万が一の時を考えてヴィヴィオを保護できるように準備したりと、結構頻繁に休暇を取っていたら何時の間にか言われなくなっていたんだっけ……)


もしかして、それも嫌われている原因なのかなぁ?


「思うのだが、嫌われていると言うよりも恐れられていると言う事は無いか?」
「え?」


ここでまさかの新事実!?


「ずいぶん――10年ほど前だが、主はやてとの一騎打ちで勝った事があっただろう?」
「……
ああ、確か、『ハラオウン家3人VSシャマルさんを除いたヴォルケンリッター』で模擬戦をして、そのおまけみたいなものでやりましたね。」


前回の失敗を繰り返さない為に、ジュエルシードまで持ち出して強固な結界を張り、その上はやてに勝つことで箔をつけようとしたけれど……


「ああ、なるほどねぇ……」
「?」


流石は恋人同士というか、アルフはザフィーラの言いたい事がわかったらしい。


「はやてに勝ったその後も、あの大規模な空港火災で人命救助をしたり、この前の事件では戦闘機人を数名だけではなくスカリエッティまで捕獲して、その上ゆりかごに単騎突入してフェイトとヴィヴィオを救い出しただろう?」
「ええ。」


尊敬される事はあっても、恐怖される様な事は…… そんな事は……


「まさか……」


頭で考えていた事とは違う言葉が口からこぼれる。


「そう言う事だろ。」
「そう言う事ではないか?」
「そんな……」


ユーノ・スクライア司書長に逆らっても勝てるわけがない、と?
どんなに嫌な事でも、逆らえば物理的に怪我をすると?

司書たちから、そんな人間だと思われていた?


「私たちはあんたが戦ったりするのを好きじゃないって知っているけどさ?
司書たちからしてみたら、結界を張りに行っただけのはずなのに将来Sランク確実と思われているはやてに勝ってきたり、あの空港火災で避難をせずに人命救助に奔走したり、戦闘能力だけならそこらの局員が束になっても叶わない戦闘機人やスカリエッティを簡単にとっ捕まえて、その上AMフィールドがばりばりに効いているゆりかごに突入したりとかってさ――」


ああ…… そう言われてしまうと……


「考えて客観的に見たら、結構なもんじゃないかい?」


そうなのかもしれない。
そう考えた場合、僕と司書たちはある意味、すでに『OHANASHI』済みであったと言えない事も無いわけだ。


「ユーノ……」
「ザフィーラさん……」


憐れむような声でザフィーラさんが僕の名を呼び、僕は泣きたい気持でそれに答えた。


「常識的に考えたら、そんな上司に逆らう部下はまず居ないだろうな。」


その一言で、僕はKOされた。










100808/初投稿



[10392] その後のその後 19
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:7cee84d2
Date: 2010/12/26 20:32
 その光景を見た時、ヴェロッサ・アコースは回れ右をして全速力で――


「ふっ ふふふ…… 暇人、げぇええええっ! とおおおおおっ!」


 ――駆けだそうとした瞬間、回り込まれて捕まった。


「ちょっと待ってくれ! 僕は此処の司書じゃないよ!?」
「ええ。 ええ。 存じておりますよ? というか、アコース捜査官も御存じでしょう?

 無限書庫に暇な司書なんて居ない。

 もしもそんな奴がいたら――」


 くけけけけと不気味な声で笑い出す司書に睨まれた彼は色んな事を諦めた。





「と、まあ、そんな事があってね……」


 目の下に隈のある彼の話を聞かされた女性たちは彼と彼の左右に座っている男たちに冷たい飲み物をそっと差し出す事しかできなかった。


「あ、ありがとう。 どうやら気を使わせてしまったようだね。」
「いえ、あの司書長が全力を出しても3日はかかる仕事を、1日とはいえ徹夜で手伝ったのでしょう? 本当にご苦労様でした。」
「ああ…… 本当に疲れたよ。」


 差し出された飲み物をぐっと一気飲みする。


「ぷはぁっ!」
「うまいっ!」
「ああ! 無限書庫じゃ水すら飲めなかったから、なぁ……」
「本当にな……」


 それまで死人の様だった通りすがりの暇人だった2人もやっと声を出した。
 彼らもヴェロッサ同様、友人に会いに行った途端に拉致られた者たちだったのだ。


「ユーノ先生が僕たちに気づいて、あなた達と飲みに行く約束を反故する事になってしまった事を伝えてきてくれるように頼んでくれなかったら――ああ、いや、もう、終わった事だ。 うん。」
「ああ、そうだ。 もう、終わった事さ。 そう…… 終わったんだ。」


デバイスを使った通信で済むような用事を3人に頼んだのは司書長の英断だったと人事部の人々――特に、飲み会という名の合コンに参加するはずだった女性陣は考えた。


「とにかく、そう言う事なので。」
「ええ。 お店にはキャンセルを入れておきますと司書長に送っておきます。
……本当に、お疲れさまでした。」
「いえいえ。 こちらこそあなたたちに感謝しているんです。」
「え?」
「あなたたちとの約束が無ければ――僕たちはまだ地獄に居たはずですから。」


こんな捜査官見た事無い!
人事部に居た全員がそう思うと同時に無限書庫を訪ねる時は事前に忙しいかどうか状況を確認するようにしようと心に誓った。


「それでは――レティ提督、お騒がせしてすいませんでした。 では、失礼します。」





「残念だったわね?」


礼儀正しく――しかし足取りはしっかりしていないヴェロッサと、同じく礼儀正しくしようとして、その事がむしろ今にも倒れそうだと言う事を強調してしまっている2人が人事部から出て行ったのを見送ったレティが、部下たちにそう告げた。


「いえ…… まぁ、楽しみにしていたのは本当ですけど、そこそこ高い確率でこういう事態になるとは思っていましたから……」


さすが期待の星と言われるだけの事はあると言う事だろうか? 彼女はこういった事態もきっちり想定済みであった。


「あら、そうなの?」
「はい。 ……今回は残念でしたけど、無限書庫の忘年会の日時と場所は把握済――」


ゴホッ ゴホッ
咳をするそのしぐさが余りにもわざとらしい。


「ん、んんっ…… 失礼しました。
それで、ですね、これは――本当に、本当に偶然なんですけど、私たち人事部の忘年会と同じ日、同じお店で無限書庫の忘年会があるそうなんですよ?」


にっこりと不敵に笑いながらそう言う部下の顔を見て、レティもにっこりと微笑んだ。



・・・



「おかしい……」
《何を今さら?》


3日徹夜してやっと一息つけた時、ユーノは今回の――というよりも、ここ最近の司書たちの様子が異常だという、気づいていたけれどあえて見ない様にしていた事実に目を向けなければならないと認める事にした。


《今月に入ってから彼らの様子がおかしくなった事なんて、知らなかったのはヴェロッサ・アコース捜査官の様な暇な人たちくらいですよ?》


最近の管理局では無限書庫の情報が重要であると認識されつつある(とユーノは考えているが、随分前からすでにそう認識されていたりする。)
それゆえかそうでないのか、仕事をさぼったりしていたりしないできちんと仕事をしていたらほぼ確実に無限書庫との情報のやり取りが必要になるので、無限書庫が忙しいのかそうでないかという事を知る事はとても重要であったりする。
なので、真面目に仕事をしていれば――人事部の様に資料請求の機会が少なかったりしない限りは――無限書庫の修羅場に遭遇した、あるいは遭遇した為に被害にあった同僚を見たりしているのが普通なのだ。


「……何気に酷い言い方をするね。 」
《事実ですから》。


ユーノもレイジングハートもヴェロッサがさぼっているように見せて実は管理局内のありとあらゆる情報を把握する努力をしている事を知っているが、あえて酷く言う。


《それで、具体的に何がどうおかしいと考えているのですか?》
「うん。
 確かに今回の請求は3日徹夜しないと終わらない量だった――いや、3日徹夜したら終わらせる事ができる程度の量だった。」
《ええ。》
「だけど、期限は2週間先だったんだよ。 つまり、僕が徹夜する必要なんて、まったくなかった――まして、ヴェロッサさんを巻き込む必要は皆無だったという事なんだ。」


無限書庫は一応機密情報の塊である。 通常業務でこなせる程度の仕事に一々、それも簡単に他所の部署の人を巻き込んではいけない事くらい司書ならだれでも知っているはずだ。
だというのに、今回部下たちは部外者を3名も巻き込んでしまっている。


《本当に、彼らは何を考えているんでしょうね?》
「年末に確実に休暇を取る為っていうのは、年中無休の正義の味方な組織だから。ありえなさそうだしねぇ……」


時空管理局は人材不足である。
それゆえに、無理な労働で体を壊したりして予定に無い休暇や退職をされてしまうと他の人のシフトにその分の皺寄せ――負担がかかってしまい、そのせいで体を壊す者が出て……という様な負のスパイラルに陥る事になると非常に困るので、局員の福利厚生に関しては非常に気を配っており、人事部が厳密なシフトを組んでいたりもする。


《そうですね。 仕事を早く終わらせても休暇が増えるわけでもないですし……》


「徹夜で仕事をしないでくれ」と言われるのは無限書庫くらいで、他の部署の人々はきちんと休暇を取る事で仕事を効率的にこなせているのだ。


「だよねぇ? 僕が定期的に地球に行けるのも福利厚生がきちんとしているからだし。」


地球でなのはと食べ歩きをするのは良いストレス発散になっていたりする。


《そうですね。 私たちが定期的にメンテナンスを受ける事ができるのも、時空管理局という組織が自分たちの仕事に誇りを持っていると言う証であると言えますし。》


魔導師にとってデバイスはなくてはならない相棒である。
そのデバイスをきちんとメンテナンスするのはいざという時に仕事に支障を出さない――特に、最前線で戦わねばならない者たちの命を守る――事に繋がるのだ。


「……仮に、彼らが1日で良いから無限書庫職員全員が同じ日に休暇を取りたいんだとわがままを言っても――」


とるべき休暇をとれず、それどころか徹夜で時間外労働をする司書たちが休暇を要求するとなれば――


《1日だけでいいなら、おそらく許可は出るでしょうね?》
「だよねぇ?」


司書たちが愛すべき司書長に酒を飲ませる時間と場所を確保する為に頑張っているなどとは考えもつかない2人であった。



・・・



「へ?」


機動六課の食堂で、はやてはレティから意外な提案をされた。


「だから、人事部と無限書庫と同じ場所で忘年会をしませんか? と、部下たちから、そういう要望があったのよ。」


そう言った彼女の笑顔に何と言っていいのかわからない強さを感じる。


「そ、そんな事の為にわざわざレティさんが来なくてもいいのでわ?」
「あら、この程度のかわいいお願いなら叶えてあげるのも上司の仕事じゃないかしら?」


部下たちに気持ちよく仕事をして貰えるのなら、コレくらいの労力は何ともないでしょうと笑って答える彼女の貫録にはやては押され気味である。


「そ、そういうものですか。」
「ええ、そういうものなのよ。」


にこにこ
たじたじ

お昼寝から覚めたリィンフォースⅡが見た目バスケットのマイルームから出るのを躊躇ってしまった事を誰が責められるだろうか。


「それで、考えてもらえるかしら?」
「……み、みんなと相談してみます。」


1年間だけの、それも設立目的を達成してしまった部隊である機動六課には、時空管理局全体が危険な状態になったりしない限り出動する機会は無い。
なので隊員たちは自分自身のスキルアップをしていたり、次の移動先が既に決まっている者はその準備をしたりしている。 つまり、機動六課に所属している者の殆どはすでに来年度に向けて動いているというのが現状であり――

ぶっちゃけ、忘年会をする事になってはいるものの、そこに部外者であるユーノを呼んでも問題が無い程度の人数しか集まる予定が無かったりする。

……むしろ、ユーノが参加するのなら参加したいという声があったりするくらいである。


「そう…… それじゃあ、話がまとまったら連絡を頂戴。」
「はい。」


忘年会の参加者ははやての決定に従う者たちだけなので、今この場で返事を返す事も可能であったのだが、はやてはあえて返事を濁す事にした。
目的が無くなった時点でこうなる予定だった部隊であるが、他所から見たら八神はやてという人物はこの程度の人数を纏める事も出来ないのかと評価されかねないと考えたからだ。





「はやてちゃん、お疲れさまでした。」
「ほんと、疲れたわ。」


話を――それも、レティの方からお願いをされただけだと言うのに、お願いをされた自分の方が疲れていしまっているという事実に少しへこむ。


「……まだまだ、やなぁ?」
「……これから、ですよ!」



・・・



無限書庫の片隅で、数名の司書が集って仕事をしながらミニ会議をしていた。


「どうだった?」
「ああ、3人とも快く許してくれた。」
「やっぱり、司書長がブログでお勧めするだけの事はあるよ。 1口食べただけで3人とも目の色が変わったもの。
特にヴェロッサ捜査官の幸せそうな顔と言ったらもう……」
「そこまでか……」


司書Aはそんなに美味いのなら自分の分も買えば良かったと思った。


「それなら、今回の失態は何とかできたと考えても良いのね?」
「良いと思う。」
「ああ、大丈夫だろう。」


司書長が『人事部の期待の星(笑)』から飲み会に誘われたと知った時はかなり焦ってしまった為に、こんな乱暴な方法をとる事しかできず、部外者3名に迷惑をかけてしまったものの、なんとか円満に解決するできた事を司書たちは喜んだ。


「しかし……
 今回は何とか切り抜けたが、もうこの作戦は使えないぞ?」


1度だけならなんとか誤魔化す事もできるが、2度も3度もとなるとさすがに無理だ。


「そうだな……」
「まあ、ね。」


『司書長の最初の酒は私たちが注ぐ』という自分たちの我儘に暇人3人と司書長本人を巻き込んでしまったのは不本意極まりない出来事であった。


「後は司書長にどう謝るか……」
「それについては考えがある。」
「ほう?」
「どんな?」


自信ありげな司書Bに皆の視線が集まる。


「なぁに、とても簡単な事さ……」


そう言って皆を見て、


「『つい、何時ものノリで』」


そう、言った。





「どうよ?」


数十分後、司書BはVサインで皆の下に戻った。


「……まさか、本当に?」
「単純に、そこまでボコボコにされたお前を叱れなかっただけじゃないの?」
「ああ、そっか。 そうだな。」
「まさに怪我の功名ってやつね。」


胸を張って戻って来た彼に優しくする者は居なかった。


「……酷いな。」


司書Bは周りの冷たさにそう洩らしたが、誰も相手にしなかった。


「まぁ、これで今回の1件は無事解決したと考えて良いんじゃないの?」
「だな。」
「もうこの手は使えない――使えてしまった事に関して考えてしまわなくもないけど――もう使えないでしょうけど、予定日まで1週間くらいしかないのも事実。
流石に1週間で次の飲み会に誘われたりする事も無いでしょうし、後は黒い悪魔が邪魔しない事を祈る事くらいしかできないわね。」
「そうだなぁ……」
「ほんと、あの黒いのさえ来なければ、俺たちの目的は達成されるんだけど……」


皆の話題がクロノ・ハラオウンに移動したので、司書Bはいろいろと諦めて医務室に言ってくると告げて無限書庫を出た。
「……それはないだろう。」とか「ありえないわ……」などと言われながらペシペシと叩かれた彼の顔は少し腫れていて、それを見たら彼が哀愁を帯びている様に見えたのだろうが、そもそも彼を見ている者が居なかったのでなんの問題も無かった。


「それじゃあ、そう言う事で。」
「ああ。」
「ええ。」


そして彼らは仕事に全力を注ぐ。
その日を万全の状態で迎える為に!









101226/初投稿



[10392] その後のその後 20
Name: 社符瑠◆5a28e14e ID:7cee84d2
Date: 2011/03/20 18:19
第97管理外世界 日本 海鳴市 ハラオウン家


ピンポーン♪


「はーい。」


その日は嫁であるエイミィを本局に帰艦した息子の下に行かせていて、久しぶりの夫婦水入らずとさせる為にリンディが双子と一緒に留守番をしていた。


「あ、リンディさん、お久しぶりです。」
「いらっしゃい。 ほんと、久しぶりね。」


訪ねてきたのはユーノ・スクライアであった。
実は3日ほど前に彼から相談したい事があると連絡があって、どうもエイミィやクロノには聞かれたくない様子だったので、これは一石二鳥だと考えたリンディはエイミィを上手く口車に乗せて家から出て行かせたのである。


「ささ、上がって頂戴。」
「はい。 失礼します。」


相談の内容は知らない。


「子供たちは今お昼寝しているから、こっちの部屋で話しましょう。」
「ぁ! ……はい。」


お茶の準備と和菓子を予め用意しておいた和室にユーノを案内する。
ユーノの顔が少しこわばった様な気がするが、それだけ深刻な悩みを抱えているということなのだろうか?


「どうぞ。」
「ぁ……りがとう、ござ、います。」


向こうでの生活が長いユーノに座布団を進めたのは悪かっただろうか?
しかし和室の畳の上に椅子を置きたくなかったのだから諦めてもらおう。
それに、時空管理局内の機密に関する事であった場合を考えると、盗聴器などはもちろん、魔法などでも盗聴などがされない様な場所は第97管理外世界にはあまりなく、そのうえ、管理局の施設を使うほどの無い様でなかった場合の事も考えると、相談を聞けるのはこの家くらいしかないのだし。


「それで、相談したい事って何かしら?」


時空管理局に必要不可欠と言われる様になった、もう1人の息子と呼んでもいいくらいに思っているユーノの悩み事を聞いてあげられるのが、エイミィやクロノ、フェイトに八神一家ではなく、自分である事が少し嬉しい。


嬉しかったのだが……



・・・



「忘年会の会場の下見?」


勤務時間が終わり、エリオとキャロと一緒にヴィヴィオの待っている家へ帰ろうとしたフェイトを呼びとめたはやてからそう提案されたのだが……


「うん。 1人で行くのは寂しいから、ちょっと付き合ってくれへんか?」


確かに、飲み会の会場になる様な場所に1人でいくのは寂しいかもしれないけれど……


「確か、人事部の人と無限書庫の人たちがすでに決めちゃった場所なんでしょう?」
「う、うん……」


ならば


「だったら…… そういうレクリエーションのノウハウの無い、私たちみたいな1年限りの部隊からしてみたら、人事部や無限書庫の人たちが決めてくれるなんてありがたい事なんだし、何より、私たちが下見した事が知られたら、あちらの気分を害する事にならない?」


機動六課のメンバーの殆どはすでに次の所属先が決まっており、それぞれが新しい魔法を覚えたり資格をとる為の勉強をしていたりするのに忙しい。
というか、ぶっちゃけた話、みんなバラバラになるので今さらレクリエーションをして団結力を高めたりする必要が全く無い。
だから、自分たち機動六課からしてみたら『忘年会』というよりも『部隊の設立目的を無事達成した事を祝う会』であり――『少し早目の卒業式』も兼ねているかもしれない。


「フェイトちゃん……」
「ん?」
「確かに、今回の話は私たちにとってはそんなに悪い話じゃない……様に思える。」
「うん?」


『様に思える』?


「でもな? 何か裏があるように思えてならんのよ。
 なんか、こう、このまま話に乗っかると、そのまま行く予定の無かった場所まで――それも、悪い方向に連れていかれてしまいそうな、そんな気がしてならんのや。」


珍しく真剣な顔をしたはやてに、フェイトも少し眉間に皺を作る。


「う~ん……」


正直な話、部隊設立目的はすでに達成している自分たち機動六課を罠にかけて得をする人がいるのかどうか――と考えてしまう。
けれど、親友であるはやてにそこまで言われてしまうと、もしかしたら何かあるのかもしれないとも思えてきてしまう。


「別に、何も無いならそれでええんよ。
 ただ私はやれる事は全部やっておきたい。 自己満足に付き合わせる事になるけど、『やれる事はやった』って思っておきたいんや。」


これは、もう、今回は折れてあげるしかないか。


「わかったよ。 それじゃあ、今夜そのお店に行ってみよう。」


エリオとキャロに一緒に帰る事ができなくなった事と、ヴィヴィオの事をよろしくと連絡しなければならないと考えながら、はやてに付き合ってあげる事にした。



・・・



「どうしたらいいのか、さっぱりわからないんです……」


天変地異の前触れかと思ってしまったほど、非常に珍しい事に、悩み事あると相談してきたユーノが持ってきた資料にざっと目を通してから、リンディは「う~ん」と唸った。

レイジングハートが展開した空間モニターにはユーノ・スクライアの――いや、『時空管理局の癒し系アイドル』の静止画とそれに関したコメントが幾つも付けられているという、どこかのサイトをコピーした物が映し出されているのだ。


「これは…… その…… う~ん……」


リンディとしても、何と言ってあげるべきなのかわからない。


「その、これを、無限書庫の司書たちが、その、当事者であるユーノ君に内緒で、作って、運営していたって事なのね?」


レティから組織の存在を聞いた後で、一応このサイトを確認――斜め読みした程度だが――したけれど、まさか、あれから1ヵ月も経たないうちに本人にばれるとは……


「いえ、これを――この『僕を盗撮した映像を集めて評価を付けるサイト』を作ったのはエイミィさんで、司書たちはそれに参加している。 と言う事みたいです。」
「は?」


息子の嫁がこの『組織』の創始者?


「そ、それは本当なの?」
「え? あ、はい。 確かに個人情報はどこにも載っていないんですけど……」


ユーノはそう言いながらレイジングハートに触れて


「ほら、これ、この静止画を見て下さい。」


1枚の静止画を映し出す。


「これ……? あっ!」


一見、可愛らしいフェレットがお昼寝しているだけなのだが


「これ、アースラで撮られた物ね。」


フェレットが寝ているその場所は、アースラ艦内であった。


「はい。 僕がアースラに乗っていた時にこんな写真を撮れる人は、1人しかいません。
もちろん、エイミィさんはこのサイトに投稿しただけという可能性もありました。 でも調べてみると、このサイトの製作者の――」
「なるほどねぇ……」


ユーノの話はまだ続きそうであったが、少し前にレティが訪れてこの事を教えてくれた時、エイミィの様子がおかしかった事を思い出し、その事と今回の事を考えると、ユーノの言っている事は間違いではないだろうと確信できた。


「ユーノ君が相談したい事があるって連絡が来た時、何で現場から離れた私なのかしらと思ったけれど……
 この件が大事になって困るのは私たちの方だったからなのね。」


下手をしたらエイミィだけではなく自分やクロノの進退問題になりかねなかった。


「リンディさん…… 僕…… 僕は……」


本当、どうしたらいいのかしら……
エイミィや初期からの会員たちに説教をしてサイトを閉鎖させる事は可能だろうが、おそらく第2第3の組織が現れて、同じ様なサイトを作成・運営されてしまう、いたちごっこになるだけだろう。 ……あ、この場合はフェレットごっこか?

それに、レティや、その上の人たちと協力したら、エイミィが管理局に復帰できなくなる程度で片付ける事もできなくはないだろうが、それをした場合ユーノ君の気づかいを無駄にしてしまう事になる。
その結果「やっぱり相談しなければ良かったんだ。」と思われてしまった場合、ただでさえ内にこもり気味な彼の心が、さらに……

これは、かなり慎重に対処しなければならな――


「僕は、フェレットモードで仕事をするべきなんでしょうか?」




……

………


「は?」


今、何と言った?


「僕が、勤務時間中――ううん、プライベートな時間でも、フェレットモードで居る事で無限書庫の――時空管理局に勤める人たちの心の癒しになっていたのなら……」
《マスター!》
「レイジングハートには悪いけど、でも!」
《リンディ! どうか、マスターを! マスターに! 人間としての! ぅぅぅ……》


「……ぇ、えー、と……」


事態は、斜め上の方向で深刻な様だった。



・・・



人事部と無限書庫から何人来るのか知らないが、会場は広いし値段も――プランの組合せや交渉しだいでは安くすみそうだ。
残る問題は料理の味だったが、同じ物が食べられるレストランがあったので……


「結構良い店だね?」


食べてみたら、なかなか良い食材を使っているし料理人の腕も良い様だ。


「そやね。 ペットや使い魔の入店もOKっていうのも嬉しいわ。」
「そうだね。 はやての命令なら、ザフィーラは我慢してくれるだろうけど、やっぱり美味しい物を食べる時に何かを我慢させるなんて事はさせたくないものね。」


家族で外食をしようにも、女だらけの中に男が1人という状況になるのが余り好きではないザフィーラの事を考えると行ける店が少ないと嘆いていた事のあるはやての笑顔を見て、私もアルフ関連で知り合った使い魔持ちの人たちにこのお店を紹介しようかと考える。


「……うん。 やっぱり、美味しい物は笑顔で食べたい。」


ああ、この様子だと、八神家はこのお店のお得意様になりそうだな。


「キッズメニューも良さそうだし、エリオたちも楽しめそうだ。」


クロノたちにも教えても良いかもしれな――


「あれ? フェイトにはやて?」
「え?」


この声は


「エイミィ?」
「僕も居るぞ。」
「クロノも?」


なんで?


「エイミィさんもクロノ君も、久しぶりやね。」
「ああ、久しぶりだな。」
「今日は家族サービスなん? あれ? でも、子供たちは?」


ああ、突然の事で――ついでに、少しお酒が入っていたから頭が回らなかったけど、普段は地球に居るはずのエイミィがこっちにいたら、そう考えるのが普通か。


「地球でリンディさんが見てるよ。」
「へぇ…… じゃあ、家族サービスじゃなくて奥さん孝行って事か。」


なら、キリの良いところで2人きりにしてあえないといけないか。
そうすると……


「なんだ……」
「なんだって…… そんなに子供たちに会いたかった?」
「来ているんならエリオとキャロとヴィヴィオに会わせたかったなって……」


よし。 子供の話でエイミィの気を引いた!
これで、タイミングをみて子供たちを理由に帰る事ができる。


「ヴィヴィオちゃんに会った事はあるけど、元気いっぱいな良い子だったよ。」
「え? ヴィヴィオに会った事があるの?」
「うん。 ユーノ君が碧屋に連れてきた時に会ったよ。 子供たちも知ってる。」
「……ああ、ヴィヴィオがすごく美味しいケーキを食べたって言っていた事がある。」


そう言えば最近、なのはさんのケーキを食べてないなぁ……


「そうや! 今度の忘年会、クロノ君も参加しない?」


は?
私がエイミィと話している間に、いったい何を?


「うん? 機動六課の忘年会にか?」
「そうや。 クロノ君には課の設立とかで色々世話になったから、参加してほしいわ。 帰って来たばかりなら、1月くらいはこっちに居られるんやろ?」
「う~ん……」
「ユーノ君も参加するし、暇になる事は無いと思うよ?」
「ユーノも来るのか。 最近あいつとは仕事の話しかしないからな……」


はやて、まさか、クロノを巻き込むつもりなの?
確かに、クロノが居たらレティさんやも下手な事ができないかもしれないけど……


「なんなら、エイミィさんも来ます?」
「私も?」
「自由参加なんで集まりが悪いかもしれないけど、場所は此処ですし。」
「え? 此処で忘年会やるの?」
「はい。 レティさんや無限書庫の人たちから教えてもらったんです。」


嘘はついてない。 嘘はついてないけどっ!


「忘年会はこの日なんで、都合が合えばでええんよ。」
「その日なら開いているが……」
「私は無理、流石に何度も子供たちをお留守番させるわけにはいかないし。」
「あ、そうやね。 エリオやキャロがいるから、みんなお酒は控えてくれるやろうけど、それなりに遅い時間になるからなぁ……」
「そうか、なら僕も止めておこう。 たまには家族サービスしないと、な。」
「クロノ君……」


エイミィ…… 呼び方が昔に戻ってる……
というか、今の台詞の何処に頬を赤く染める要素があったの?

それに……
はやてがここまで不安がっている忘年会って、一体……?









110320/初投稿


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