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[10424] 【ネタ】第97管理外世界は恐ろしい所一度はおいで(リリなのクロス)
Name: いそはち◆69bb7263 ID:06c286f6
Date: 2009/07/19 22:37
リリカルなのはの短編連作のクロス物です。ネタが降りてきたので



[10424] 第一回終焉の銀河編 前編(×第三次SRWα)
Name: いそはち◆69bb7263 ID:06c286f6
Date: 2010/04/29 01:40
   第97管理外世界は怖い所、一度はおいで

第一回 終焉の銀河、動乱の中心の星


 

「ごめん、なのは遅くなった」

「ユーノ君……」

「ちっ、仲間か!?」

「友達だ」

 海鳴市で突然結界に捕らわれ、赤いゴシックロリータファッションに身を包んだ魔道師
に襲われた高町なのはだったが、危ない所で仲間であり友達でもあるユーノ・スクライア、
フェイト・テスタロッサ、アルフの救援が間に合った。

 その一部始終をモニタリングしていたアースラブリッヂのクルーが突然心の底からの驚
愕の声を上げる。

「な!?なんだよコイツ等!?」

「どうした?……コイツ等は97管理外世界の軍事行動か?」

「う、嘘でしょ。この人型の質量兵器達の攻撃力、魔力換算値AAが最低!?Sクラス!
SSクラス!SSSクラス!計測不能!解析不能!?何なの!?この兵器郡は!!」

「何て機動力だよ……これは無線誘導兵器なのか?凄い精度だ。しかもまるで先を予測し
ているような動き……何もんだよコイツ等」

 次々に上がる驚愕の声。アースラクルーには衛星軌道上にて戦闘行為を行っている人型
の質量兵器部隊の正体が97管理外世界と呼ばれる地球がある銀河で最強の部隊と名高い、
αナンバーズだとは理解出来なくても仕方がないだろう。何故なら20年前の調査が最新
の調査であり、その時は問題は無かったのであるが。高々10年足らずで爆発的に軍事技
術を飛躍させたなど時空管理局としても想像の斜め上だろう。

アースラクルー達は殆どの機体に搭載されている粒子兵器、スーパーロボットや特機と
呼ばれる機体の出鱈目な攻撃力、エースパイロットが自在に乗りこなすMSやPTのワン
オフ機やカスタム機の機動力や無線誘導兵器ファンネルやT-LINK兵装の精度、ニュ
ータイプや念動力者の未来予測としか思えない機動に信じられないと驚愕の声を上げる。


「ば、馬鹿な、なんだあいつ等は!?あんな質量兵器がこの世界に有ったなんて、情報部
は何をやっていたんだ!?」

「落ち着きなさい!クロノ・ハラオウン執務官、エイミィどんな小さな情報でもいいわ、
取りこぼさないで。なのはさんの方もしっかり頼むわね、苦労を掛ける事になるでしょう
が、頼むわね」

「は、はい!あれ?新しく紫の鬼みたいな機体がって、光の翼!?ウナギみたいな質量兵
器再生!?な、何あれ魔法陣みたいな……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
 アースラの面々は知らぬ事だが後から出てきたのはエヴァンゲリオン初号機、αナンバ
ーズと戦闘中だったウナギみたいな質量兵器は量産型エヴァンゲリオンと呼ばれている機
体である。

 エヴァ初号機が戦場に降り立った後背中から一対の光の翼、アブソリュート・テラー・
フィールド、ATフィールドで構築された翼を展開するが直に再生した量産型エヴァンゲ
リオン9機に取り付かれ、まるで聖者の様に空中に貼り付けに。その喉下には二股の赤い
槍ロンギヌスの槍が突きつけられていた。周りには量産型エヴァが規則的に配置され、魔
法陣の様なものセフィロトの木が空中に描かれる。後に地球上から大気の層を突き破る程
の大爆発によりかなり離れている筈のアースラも船体を揺さぶられる。






 その頃地上海鳴市では剣の騎士シグナム、盾の守護獣ザフィーラがゴスロリの少女鉄槌
の騎士ヴィータと合流、ボロボロになったなのはの代わりにフェイト、アルフ、ユーノと
交戦していたが。隠れて隙を伺っていた湖の騎士シャマルに胸を貫かれ魔道師の各リンカ
ーコアを蒐集された瞬間、周囲に張られた結界がまるでガラスの様に吹き飛んだ。第二新
東京市跡地より立ち上った爆発によって。

「な!?何だ?」

「何が起こったの!?」

「お、おい、アレ何だよ……何なんだよ!アレは!?」

 結界が外部により破壊された事により結界内に居た全ての人物が停止した。シグナムと
シグナムと切り結んでいたフェイトが驚愕の声を上げるが、ヴィータの絶叫に直にヴィー
タの見上げる方向に視線を向ける。そこに居たのは人だった、だが途轍もなく大きな地上
から宇宙までを突き破る位の大きな大きな女性型のヒトガタ。

 途方も無く大きなヒトガタ第二使徒リリスが覚醒、地球を包み込む程の翼を展開した頃、
アースラ内部では混乱に拍車が掛かっていた。

「何だアレは!?人なのか?一体何が起こっているんだ!」

「解析不能!?一切の情報を取得出来ません、基本の技術体系がかすりもしてない為だと
思われます!」

「な、何だよあいつ等まだ戦い続けてる……イカレテやがる!」

 立て続けに起こる異常事態にアースラクルーは脳内の処理が追いつかなくなっていた。
リリスが包み込む様にしているエヴァ初号機のパイロット、碇シンジを救う為にαナンバ
ーズは攻撃を仕掛けているのだが、傍目から見れば巨大なリリスに攻撃を仕掛けていると
しか見えず、それでも尚戦い続けているαナンバーズと戦い続けられている質量兵器郡に
対して嫌悪感にも似た恐怖を抱いていた。それも仕方ないのかもしれない、なぜなら時空
管理局は嘗て世界を滅ぼし掛けた質量兵器の撤廃を実施しており。正に世界を破滅させて
しまえそうなヒトガタに拮抗している質量兵器郡が恐怖の代名詞の様に見えていた。




「何なのだ、何なのだ!此れは!この世界は!」

「怖い、この体の底から湧き上がってくる怖さは何なんだい!?」

 狼がベースであるザフィーラとアルフは野生の獣の本能が他の面々よりも強いため、種
としての根本から来る恐怖感に正に心の底から震えていた。この後に来る絶望的な現象を
まるで予言するように。


  途端、世界は赤く染まる。


 人類補完計画、覚醒したリリスにより地球全土を包むアンチATフィールドを発生、生
物を形作るATフィールドを消滅させ、溶け合い混ざり合い一つの生物になり、銀河全土
を包む破滅、アポカリュプシスから逃れる為の計画である。


 パシャリ


 ダメージを受け意識が朦朧としていた高町なのはは自分の形を維持出来ず赤い水L・
C・L生命の水へと帰り緑色の十字架と化す。意識が混濁した状態では抗える物では無か
った。

「な、なのはぁぁぁぁぁ!」

「なのは!?え?嘘、母さん?アリシア?」

「フェイトォォォォォ!」

 パシャリ、パシャリとユーノ、フェイト、アルフも赤い水に帰って行く、幾ら精神的に
大人びて居ようが九歳の幼子に抗えるものでは無かった。

 補完は始まっていく。

「いやだぁぁぁぁぁ!何だよコレ!アタシがアタシじゃ無くなって、いやだ、いやだよぉ!」

「私はヴォルケンリッターが将シグナム!……シグナムとは誰だ?はっ、これは何だ気持
ち悪い、くぅ!主?主とは?いかん!このままでは私は!」

「アオォォォォォォン!?!?」

「私の中に入ってこないで!?いやです、いやです!いやぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 体を魔道プログラムで構築されているヴォルケンリッターは形を失う事は免れたが、彼
女達にも魂は有る。補完された多くの人類の思念が直接心に入り込もうとし嫌悪感と拒絶
間から、ヴィータは泣き叫び、シグナムは自分を維持するので精一杯、ザフィーラは種が
抱く根本的な恐怖に苛まれ悲鳴を上げ、シャマルは混乱し拒絶の声を上げる。ヴォルケン
リッターがまだ個人を保っていられるのはひとえに主である八神はやてへの思い、その思
いが今現在の主の無事を確認する為か、もしくは自分達を包み込んでくれたはやてに逃げ
込む為か、それも混乱していた彼女達にも分からなかったが。ヴォルケンリッターは順次
撤退、いや逃げ帰って行った。止める者など誰も居なかったが。


 地球全土を包み込む補完は地球上よりは影響が少ないとはいえアースラにも多大な影響
を及ぼしていた。

「いやだぁ!気持ち悪い!……嗚呼」  パシャリ

「あのヒトガタから放たれた波動が、地球を包み込み人が、人が消えて、いや赤い水に
なっていきます!?何なの、一体何が起こっているの!?あ?」  パシャリ

 クルーが次々に赤い水になり、地球全土が赤くなり、そして緑色の多数の十字架が湧き
上がって行く様をモニターから見ていたクロノ達は天を仰いで絶望の声を上げる。

「これは何だ?まるで世界の終末の様じゃないか……」

「クロノ君……」

「こんな事が起こるなんて……一体この世界は……」

 しかしその異常事態は数分のものだった、リリスは真っ二つに崩れ落ち、血液の様なも
のを撒き散らしながら消滅していった。地球一帯は何も無かった様に静けさを取り戻す。
消えた人々も自分に何が起こったのかも分からずに元の形を取り戻していた。

 αナンバーズの活躍で補完の中枢、世界の中心に位置していた碇シンジが自分を取り戻
し、補完を中断させた為であるがクロノ達が知る由もない事だった。

「海鳴市で戦闘中だった、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、ユーノ・スクライア、
アルフ、全員健在です。高町なのははリンカーコアを抜かれ重傷、至急処置が必要です」

「襲撃者達の全員撤退を確認、サーチャー機能していませんでした。行方は不明です」

「質量兵器部隊は地球に降下、降下地点は日本、恐らくは現地で第二新東京市跡地と呼ば
れている所かと思われます」

 今までの異常事態を考えない様にする為かアースラクルーは職務に戻っていく、
仕事に没頭している間は余計な事を考えないで済むからだ。それに彼らは時空管理局のエリート、
海の精鋭部隊でもある。職務を疎かにする訳にもいかないのだ。

「クロノ、一度徹底的にこの世界を調べ直す必要が有るわね……」

「母さん、いや艦長、そうですねあの質量兵器といいこの世界は何かがおかしい。エイミ
ィ集められるだけの情報を片っ端から集めてくれ」

「りょ~かい、クロノ君」

 アースラ艦長リンディ・ハラオウンはこの異常事態を引き起こしたこの世界に多大な危
機感を持った、この世界は何か途轍もないモノを内包しているのかもしれないと。

最もリンディの推測は正解であったが、彼女の想定していたモノの斜め上に天元突破し
て行く様な事実が分かっていく訳になるのだが。

 これが第97管理外世界、後に第一級干渉禁止世界と呼ばれる地球圏を含む銀河の異常
な様を時空管理局が始めて観測した事態であった。




[10424] 第一回終焉の銀河編 中編 間幕
Name: いそはち◆69bb7263 ID:61cb70b4
Date: 2010/04/29 01:53
【次元航行艦アースラ  第124管理世界衛星軌道宙域】







「以上がこの世界第97管理外世界に置けるここ数年の情勢になっております……ホント冗談見たいな世界ですよねぇ……あ、あはは」


 エイミィ・リミエッタは報告書を読み上げた後乾いた笑いを声に乗せ、何とか取り繕おうと笑顔を浮かべようとしたがその試みは失敗を喫し、表情はどこかぎこちない。
 
 時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンは椅子に座ったまま口をだらしなく開け、痴呆の様に天井を虚ろな表情で見上げていた。同じく当艦の艦長でもあり、クロノ執務官の母でもある
リンディ・ハラオウン提督も机に突っ伏したまま動かない、時々ピクピク動いているのが何故か哀愁を誘う。

 ハラオウン親子はエイミィより今現在から過去に遡る事数年の地球に起こった出来事に対しての報告を受けていた。
 地球に起こった事変、パルマー戦役、イージス計画、封印戦争、そして現在全銀河を巻き込んだ戦乱。あまりな荒唐無稽さに脳が現実逃避を開始したとしても仕方がないだろう。

 97管理外世界地球、アースラクルー達は身をもってこの世界の異常性を感じた、流石に人類補完計画に巻き込まれて自分の形を失った者達も居るのだから当然の事だろう。

 そこでクルー一同は地球の調査つまり現在の地球圏の現状、人型機動兵器の情報、コロニー等の各勢力等を調べ上げアースラの会議室で各員が調べた事を報告ているのだが。
 初っぱなエイミィの報告により……宇宙人の存在を確認(クロノ茶を吹く)それも多数、続いて時間移動(リンディ机に頭を打ち付ける)、力業の極致とも言って良いイージス計画
(ハラオウン親子、最初に表記した状態になる)Etc.Etcいくら海の精鋭ハラオウン提督といっても脳の許容量を軽くオーバーしていた。


「宜しいでしょうか?」


 そこで新たに各勢力の調査をしていたクルーが立ち上がる、リンディ提督が許可を与えるとクルーの一人(最近娘が反抗期)は何か悟りきった表情でなぜかやけくそ気味に
報告を開始する。


「ハラオウン提督、ハラオウン執務官、こちらが現在97管理外世界に残っている勢力と、我々時空管理局の戦力差を大まかに纏めてみたものです。
なお予め言っておきますが各勢力の情報は我々が拾える部分だけ、つまり機密に関するような兵装に関しては入っておりません。
つまり現実はこれから読み上げる数字より厳しいものになります……気を確り持ってくださいね」


 ゴクリ、何故か会議室は凪いだ海の様に喧噪がピタリと止む。


「我々時空管理局の全戦力を10としますと、ゼ・バルマリディ帝国250、バッフクラン350、STMC宇宙怪獣800、地球連邦及び周辺組織は最低170、
余りにもブラックボックスや機密の多い機体、正直理論が全く分からない兵器やエネルギーが多すぎて最高値は計測不能です」


「質量兵器調査担当官であります!その件に関してこちらから補足させていただきます、97管理外世界で建造された兵器、得に特機やスーパーロボットと呼ばれる機体に関しての報告でありますが、方向性がバラバラ、装甲、動力、マシンインターフェイス総てに置いて共通項が見当たりません、得に勇気や野生が原動力とかもう私の理解の範囲外です!さらに!さらにですよ!」


 質量兵器担当官はヒートアップして三体の人型兵器の画像を空中に投影させる。


「この制止画は先日の巨大な女性の人型と戦闘行為を行っていた部隊『αナンバーズ』に所属している機体でありまして。先日の記録映像から注出したものですがこの三体の機体、右の映し出されていますのが『真ゲッター』中央が『イデオン』左が『ライディーン』とういう機体なのらしいのですが……先日の戦闘を分析した結果、この三体のエネルギー係数が無限を指しました……この様な理由から地球連邦の総戦力が推し量れません!どうすれば良いでしょうか?提督、私もういっぱいいっぱいなんですが、精神的に」


 ここ数日いろんな事が有りすぎて精神的に追い詰められていたクルーは余りにも弱り切っていた。なぜならこの世界の今は数が減っているが過去現在含めて存在もしくは存在した過半数に及ぶ勢力が時空管理局よりも人員、軍事力などを大幅に上回る。

 特別な資質を必要としない機動兵器のパイロットとリンカーコアを持たないと主戦力たり得ない魔導師、それぞれの主な兵員動員の難易度にとてつもない開きがある。その上たとえSSSランクの魔導師だとしても、特機やスーパーロボットに対抗できるか?と聞かれれば「無理(笑)」と言うしかない、星を砕き、次元を切り裂き、因果律すら操るような機体まで居ては魔導師ではとても太刀打ち出来ない。いくら魔導師とはいえ人間である、プロトデビルン程のポテンシャルは無い、いくらなんでも無理であろう。

 時空管理局に高度な質量兵器を持つ世界と対した時のマニュアルは有る事は有るのだが、自分達を歯牙にもかけない力(軍事力)を持った世界に対するマニュアルなど無かった。これは何処かで自分達が質量兵器を棄て魔導を選んだ事に絶対的な自信を持っており、魔導技術に勝る科学技術など無いと根拠の無い確信を持っていた為だと思われる。

 力の種類に優劣など有りはしないし力は力でしか無いというのに。このような自分達の常識をことごとく打ち砕くこの世界そのものにクルー一同心底まいっていた。


「なぜPT事件の時に僕達はこの世界の異常性に気が付かなかったんだ……」


「うんとねクロノ君、あの時期は封印戦争の最終段階で殆どの勢力の軍事行動は成り潜めるか、水面下に潜っちゃってたから」


「それに私達時空管理局は事、管理外世界に対して認識が甘いって証拠ね……この世界出身のグレアム提督に宇宙人や人型の機動兵器の事を聞いたのだけど全く知らないって仰ってね、提督も驚いていたわ。この世界出身の提督ですらこうですもの、改めなければいけないわね」


 クロノ、エイミィ、リンディは落ち着きを取り戻す様にお茶を啜りながら話を交わすが、何時も通りのあま~いお茶に何の文句も出ないクロノ、エイミィが相当テンパっているの事が推察出来る。

 ギル・グレアム提督、第97管理外世界出身の魔導師であるが、当然ながらバルマー戦役、イージス計画の事は知っていた、しかし既に何十年と管理世界で過ごして来たためどっぷりと魔法世界の流儀に染まっていた。

 対闇の書の切り札であるデバイス、デュランダル制作のための資金繰りや、デバイスマスター探し、隠蔽工作等に忙しく、魔導兵器を搭載していない兵器など大した事はなかろうと半ばスルーしていた、これは地球在住当時の地球の技術力レベルを知っていた事もギル・グレアムにとっては不幸だったろう、恐るべき短期間で技術を発展させる事など普通は想像出来ない。

 しかしグレアムが真剣にバルマー戦役に付いて調べていれば、また変わった歴史をたどっていたかもしれない、バルマー戦役当時活躍した風の魔装機神サイバスターの必殺技、
(アカッシックレコードつまり世界の根源そのものからその存在を消去する)アカシク・バスター等、闇の書を完全に封印ないし破壊する力が地球及びその敵対勢力にはゴロゴロしていたのだ、何とも皮肉な話である。




 会議室も一段落付き、クルー一同もやや落ち着きを取り戻す、流石は海のエリート達である。本調子には程遠いが。そこに新たな人員が会議室に入室してきた。


「先日の戦いの後、地球上から上がってきたαナンバーズ周辺にばら撒いて置いたサーチャーから送られて来た映像の編集が終了しましたので、此方にお持ちしました」


「ご苦労様です」


「いえ、お気遣い無く。ですがサーチャーが戦闘の余波に捲き込まれ次々に破壊されて行ったので、場面がコロコロ変わりますがご了承下さい」


 そう言ってクルーは編集した映像を会議室の投影モニターに設置する、やがて室内が暗くなり映像が映し出された。

 始めに映し出されたのは大きな大きな宇宙に浮かぶ建造物ゲートと呼称される物である、その全面に展開している部隊は100メートルを超える巨大な機体が大多数を占めるバッフ・クラン軍、それに対するはエクセリオン級数十艦とαナンバーズ、機体の大きさの差など物ともせずバルキリー編隊を筆頭にαナンバーズは突撃していく。

「此方の建造物はゲートと呼ばれる建造物で、全くの謎の建造物であり空間と空間を繋げる機構を持っているとされているようです。なお地球側のこの青い戦艦は全長七キロの巨大艦であり、数千艦が配備されているらしいです」

 その報告に誰かが息を呑む、映像は進む。

 MS、PT、特機、スーパーロボットが呆れるくらいの数を揃えたバッフ・クランに対して臆する事無く吶喊し正に撫で切りと言った感じで切り進んで行く。

 次々に味方の戦艦である、エクセリオン級の発射していくレーザーの射出口が背後に迫るのもお構いなしに敵に向かって少数の機体が突き進む、とんでも無い度胸と操縦技術である。

 場面が切り替わりコンバトラーVとゴーショーグンが艦上で背中合わせに見事な連携を見せながら周囲の敵を蹴散らしていく、しかし数に物をいわせたバッフ・クラン軍が二体を円状に包囲するが、艦上方より全方位に射出したイデオンによる549門16000発のミサイル全段弾発射、もちろんグレンキャノンもだ!それによって、艦上に取り付いた敵は次々に爆散していく。

 ダイターン3のダイターンジャベリン、テムジンの正確な射撃、ガイキングはがっぷり四つに組み合い、ゲッタードラゴンのサマーソルトキックがそれぞれバッフ・クランの主力兵器ガンガ・ルブの体勢を崩し一直線に配置すると鋼鉄ジーグが小さい体を物ともせず、両腕に装着されたジェットドリルによって次々に文字通り粉砕して行く。

 映像を見ているアースラクルーは知らぬ事だがバッフ・クランに一番警戒されているのはイデオンである、よって多数のガンガ・ルブが取り付きイデオンを落とそうとするが、両腕に展開された光の剣、イデオンソードにて一掃されてしまう。

 質量兵器調査官のクルーがこの光の剣のエネルギー係数が無限であると証言すると、室内が騒然となるがその驚愕も冷めぬまま場面はさらに進行していく。

 此処で映像の状況が一変する、αナンバーズとバッフ・クランの戦いにSTMC宇宙怪獣が乱入してきたのだ。
 
 次々と宇宙怪獣・兵隊(全長10M程)がαナンバーズ、バッフ・クラン見境なしに取り付き戦いは乱戦の兆しを見せる、だがここで対宇宙怪獣のスペシャリスト、ガンバスターのスーパーイナズマキックが炸裂、まるで宇宙を縦に切り裂く様に多数の敵勢力を宇宙の藻屑と化していく、これで一気にαナンバーズ側に情勢が傾いた。
 
 ここで場面は大型の宇宙怪獣、高速型(全長三キロ程)上に場面を移す、ダイモスは勢いと体重が十分に乗った飛び回し蹴りを炸裂させ、ガイキングは自身のパワーに任せ強引にねじ伏せていく、正に技と力によって二体は宇宙怪獣・兵隊を粉砕した。

 場面が再び切り替わりエクセリオン級目掛けて宇宙怪獣、上陸艇(全長500M程)が突撃してくる、円錐状な形を利用してエクセリオン級の胴体を抉り取ろうと言うのだろう。

しかしその動きを察知したαナンバーズは直ぐに反応する。まずは艦に取り付いた邪魔な兵隊を次々に落とし、ストライクガンダムを筆頭に何機かの機体が上陸艇に取り付きバーニアを目一杯吹かして、進路を強引に変更させる事に成功する。

 進路が変わり、エクセリオン級の表面装甲をはぎ取る様に突き進む上陸艇をエヴァンゲリオン初号機が受け止め、多数の敵を捲き込みながら艦上を滑っていく、そこで満を持して待ち構えていた、ジェネシック・ガオガイガーのヘルアンド・ヘブンにより真正面からすり潰されてしまう。

 めまぐるしく動く圧巻の機動性、圧倒的な破壊力。アースラクルー呑まれていた、αナンバーズと言うこの銀河最強の部隊に。

 だが心底彼らに畏怖を抱くのは続く映像であった。ゲート周辺の敵を一掃したのかゲートに突入するエクセリオン級の艦上に次々とαナンバーズの機体が降り立って行く。

そしてゲート内に突入、ゲート内に侵入した為か著しく画像が乱れ始めるが、その先に見た絶望の光景への彼らの感想が色あせる事は無かった。
 
 そこに現れたのは宇宙怪獣であった、圧倒的な数の宇宙怪獣であった。あらゆる種類の宇宙怪獣がこれでもかと空間を埋め尽くす、ぱっと見だけでも億は下らない、そのあまりな光景にアースラクルーは心底恐怖を抱いた……しかしαナンバーズは一機も欠ける事なく突撃して行ったのだ何の躊躇も無く、何億と蠢く宇宙怪獣のただ中を。


……そこで映像が乱れ途切れた。


「躊躇も無く飛び込むのか!?あれに!!彼らは負けるなんて事を微塵も考えて無いのか!なんて連中だ……」


「イカれている!!勝てる訳無いじゃないか!?あんな化け物に!あんな数に!!」

 
 なんという心の強さなのだろうとクロノは思う、振り向く事なく、涙を見せる事なく、明日を取り戻す為か、鋼の救世主(メシア)達は迷いもせずに絶望的と言ってもいい数の宇宙怪獣群に突撃していった。クロノはその背中に多大な畏怖と僅かながらの憧憬を抱いた。しかし他のクルー達は畏怖しか感じなかった、なぜあの様な絶望的な状態で戦えるのかが理解出来なかった上に次元世界には根強い質量兵器への拒否感が有るからだ。


「恐ろしいわね……」


 対してリンディはそれを超える畏怖を覚える、この世界の地球人類は戦いという事に関して他の追従を許さない。この世界の地球人の最も恐れるべき所は、強力な質量兵器も、ましてや魔力などではなくその順応性と応用力と貪欲性だ。

 EOTと呼ばれる異星の技術が有ったとはいえ高々数年でそのテクノロジーを理解し応用し、全ての原理が分かって居ないテクノロジーですら取り敢えず使える用にしてしまう、更にはあれもこれもと取り敢えず使える物は何でも使うという姿勢、そして今では銀河でも有数の列強と成っている。

 更にリンディはまだ知らぬ事だが、地球人類にはニュータイプ、サイコドライバーを筆頭にした念動力者、極めつけはエヴォリューダー等の決して戦いの為に生まれた存在では無いのに、余りにも戦闘に特化した能力者が数多く先天的、後天的に関わらず生まれている。BF団の十傑集の様な人間も存在している事を追記しておくが……

 完全に余談だが高町なのはの父、兄、姉は相当な人外レベルの達人である。
 永全不動八門とは日本宮内庁直属の裏組織で昔から裏社会で仕事をしていたがこの世界の裏の人間は相当人間離れしている、自然とそれに対する人間もそれ相応の力を持つ事になり、永全不動八門一派で在った御神、不破は近年、BF団の十傑集とドンパチやっていた事も有る位である。

(この世界の人類が次元航行艦を手に入れたら、一年以内に実用化してくるでしょうね……)

 リンディは己の想像に全身を震わせた。

「なお現在地球、及び地球圏に置いてどこからともなく、隕石群が召喚?もしくは空間転移等の方法を使って降り注いでいます、何故か調査をしても何処から飛ばされている

のかは座標が特定出来ませんでした……原因は不明です。よって第97管理外世界には近づかない方が賢明でしょう」

 自分達の持つ技術や能力がことごとく通用しないこの世界にクルー一同はそろって溜息を吐いた。




 暫くの間クルー一同は動揺から抜け出せなかったが、30分もすればどうにか心身に折り合いを付けそれぞれ着席する。今回話合う議題は今後この世界とどう付き合って行くのかの結論を出すためなのである。

 一同を見回しリンディが立ち上がると口を開く。


「第97管理外世界に対する私達の採るべき姿勢は……不干渉です」

「……妥当な判断だと僕は思います、この世界と関わりを持つのは危険すぎる!!」

 ハラオウン親子は近年稀に見るスピード採決で地球に対し不干渉を決定し、クルー一同も同意を示した。

 当然であろう、この世界の内情が公に成ってしまえば、MS、PT等の人型機動兵器が明るみになり数々の犯罪者がこれらを手に事件を起こせばその被害は、人員、人命、被害額、その総てがうなぎ登りになる、万年人手不足の時空管理局では対処仕切れなくなってしまうだろう。

 繰り返す事になるが、一般的なPT、MS、バルキリーに搭乗するためにある程度の訓練は必要だろうが、特別な資質は何も要らない、先述したPT、MS、バルキリー等は地球では一兵器に過ぎない。金銭を積めば蛇の道は蛇、ある程度の機体は手に入れる事が出来るだろう。最も特別な資質が必要なカスタム機やワンオフ機、特機やスーパーロボット等は金銭では手に入れられないだろうが、魔導師ならば強奪は出来るかもしれない。

 つまり機動兵器の数を揃える方が魔導師の数を揃えるより現実的であり、何よりそれなりの破壊力を持つ魔導師ランクに左右されない均一化した戦力が用意出来る事が最もな脅威となる。

 そうなれば次元世界の治安はもうどうしようも無い無法地帯と化してしまうであろう。

「提督、僕はこの世界に対し干渉禁止世界指定要請を本局評議会に提出するべきだと思います」

「なっ!…………いえ、そうね妥当な考えかもしれないわね。
時空管理局開局以来初になる干渉禁止世界指定要請を私が提出する事になるなんて、思いもしなかったわ……」

 干渉禁止世界指定とは対象となる世界がただ存在するだけで、次元世界が多大な不利益に見舞われる場合に執行される指定である。この指定が施行された世界は、管理局内

部にある情報データベースより削除、始めから無かったことにされ、その世界の存在その物がSSSクラスの機密に指定されるのである。

この指定を施行する事は、対象の世界に対しての管理能力が管理局には無いとする、次元世界の平和と法を管理すると云う時空管理局の事実上の敗北を意味するので開局以来

一度もこの指定が施行される事は無かった。

(それに何より、この世界は私達が嘗て危険だと棄てた質量兵器の力によって絶望をはね除け、平和を手にしようとしている。
私達がクリーンな力と用いている魔法という力では無く。
力は力でしかなく魔法だろうが質量兵器だろうが平和を手に入れる事が出来る、この事実を建前上管理局は認める訳にはいかないでしょうね、かといって質量兵器の封印を彼

らに求めれば、この世界にとっては正に『世界を救った力』棄てる筈もないし、あまつさえ管理局という共通の敵に対して、この世界総ての勢力が嘗て無い纏まりを見せて敵対してきたら……)

「……ぞっとしないわね。
第97管理外世界、いえ禁止指定が施行されれば、第一級干渉禁止世界か……本当に恐ろしい世界ね」

 リンディ・ハラオウンの呟きは誰にも聞かれる事無く消えていった。







  【地球 日本海鳴市 八神家】



「「「……………………」」」


「ギガすげぇ!!特にこのガオガイガーってのはドリルといい、ハンマーといい、半端じゃなく格好ぇ!なぁはやて?」


「そやろ?αナンバーズは地球のヒーローやからな!……でもヴィータ、勇者王より魔神皇帝のが格好いいやろ?そうやな?」


 αナンバーズの戦闘映像『はやてちゃんスペシャル』を見ながら、はやてとヴィータは盛り上がっていた。


 他のヴォルケンリッターの面子は現実を中々受け入れられず唖然としていたが。


 地球の子供達の間でヒーロー物のフィクションや特撮物は余り受けが良くない、何故なら地球を何度も救っている本物のヒーロー集団が現実に存在しているからである。
 つまりαナンバーズは地球の子供達の間では正に文字通りヒーローなのだ、特に日本は数多くのスーパーロボットの本拠地が有り、その傾向が強い。


「え~?ガオガイガーの方がイカしてるぜ、マジンカイザーってのは何か怖ぇし」


「なんやと!?勇者王の方が遙かに強面やないかい!」


 αナンバーズの中でも日本の子供達に人気が高いスーパーロボットは日本国内で活動をしている物が多い、故に実際に目にした事がある子供も多数居る、子供達が夢中になるのも仕方のない事であろう。

 子供達の間でも派閥等が有る位で、はやてのお気に入りは魔神皇帝、マジンガー党カイザー派でありヴィータはこのまま行けば勇者党ガオガイガー派になるだろう。

 ちなみに高町なのはは、ゲッター党真ゲッター派に属している。


(((どっちも強面だろう?(でしょう?) )))

 シグナム、シャマル、ザフィーラは胸中で一斉にハモった。


 少し時を巻き戻す。


 人類補完計画に巻き込まれ、ヴォルケンリッターの四人はほうほうの体で八神家へと帰り、主で在る八神はやての無事を確認しほっと一息を付いたが、直ぐに先程の異常な

事態は何だったのかと話合った。そこに聞くとはなしに聞いていたはやてがポツリと呟く。


「なんや、けったいな感じやったからな~、宇宙人か地下勢力あたりがまた何かやらかしたんやろうか?」


「「う、宇宙人!?」」


「「ち、地下勢力!?ですか?」」


 ヴォルケンリッターはこの世界が戦争をしている事は知ってはいたものの、積極的に関わる筈も無く、どんな奴らが来ようが自分達で主で在る八神はやてを守りきれると何

一つ疑っていなかったし、海鳴は平和だったのでろくに調べてはいなかったのだ。しかし先日の巨大な人型を見てしまった彼女達は、この世界の事をもっと知る必要があると

共通の認識を持ったが、この世界はどうやら彼女達の想像の斜め上をひた走っているのだった……。


「なんや、常識やろ?みんなが闇の書から出て来るちょろっと前もバーム星人とか恐竜帝国とか暴れとったしな~」


((((常識な(のかよ?)(なんですか?)のか?))))


「なんやみんなは知らんかったんか?ならええ物があるで、今見せたるからな」


 そう言い残したはやてはPCを持ち出してくると動画を再生させる。
 αナンバーズの活躍を収めた戦闘映像は全てではないがある程度は一般にも露出している、プロパガンダや戦意向上の為の物が殆どだが、下手に誇張などされてはおらず、ぶっちゃけありのままの状態でも下手なフィクションよりもよっぽど現実離れしている結構な数の映像が出回っていた。

 はやてが持ち出した動画もその一種で、それらの中から厳選したはやてコレクションの中から更に編集した映像がPCから流れ出ていた。

 そして舞台は冒頭へと戻る、しかしそれ以降はやてとヴィータは終始αナンバーズの事で盛り上がり次々に映像を見ては歓声を上げ、はやてがうんちくを語ったりと楽しそうなのに対し、
他の面子は目まぐるしく流れていく戦闘映像の突拍子の無さに絶句したまま夜は更けていった。


 既に真夜中を越え閑静な住宅街である八神家一帯も静まりかえっている、はやてとヴィータはそろって就寝しており、残りの三人で集まって話合いを続けていた。


「かなり科学技術が発展している世界だと思っていたけど、ここまでだったなんて……」


「そうだな、人型の巨大な質量兵器が実用化され、その上その物量と戦闘力ときたら……」


「それにこの星は、これまで考えられん数の敵勢力から狙われている」


 ホンの短時間で調べられる事は高が知れているが、それでも数えるのも馬鹿らしい程の敵勢力、飛んでも兵器の数々が実在している事位は直ぐに掴む事が出来た。
 主はやてはこの様な過酷な世界でお一人で尚も笑顔を失われないとは……流石です、等とはやて第一主義を掲げ現実逃避をしたりしていたがこのままではいけないと三人は結論を出す。

「極力この世界以外で蒐集をしましょう」


「そうだな、この世界はあまりにも危険過ぎる、この世界の組織が敵に回った場合私達では守りきれんかもしれん」


「不甲斐ない話だが異論は無い、先日の折の巨大な人型、私は狼がベースな以上お前達より野生の勘という物が働く……あれはヒトが対抗出来る物ではない。
早速明日から別の世界で蒐集を再開しよう」

 ザフィーラは全てのヒトの生みの親と云われる、第二使徒リリスの本質を本能的に感じ取っており、その感覚を思い出したのか全身を震わせる。
 


 ヴォルケンリッターの出した方針は不干渉、それは奇しくも時空管理局と同じ結論であった。

















 八神家のリビングから、シグナムはふと空に浮かぶ月を眺める。



「あの月の上でも人々が生活を営み、確かアナハイムと言ったか、質量兵器が生み出されている訳か……何とも恐ろしい世界だな、この地球という世界は」



[10424] 第一回終焉の銀河編 後編1
Name: いそはち◆69bb7263 ID:61cb70b4
Date: 2010/05/05 23:04
【地球 海鳴市 海岸 結界内】










 闇の書事件は最終幕を迎えていた。


「クロノ君アルカンシェルって、何処でも撃てるの?」


「何処でもって、例えば?」


「今、アースラが居る場所」


 八神はやては空を見上げる。


「軌道上、宇宙空間で」


「難しいな……この世界にはコロニーやプラント、そして軌道上にはオービットベースが在る、一つ間違えれば地球に落ちてくるぞ、エイミィその辺りはどうなんだ?」


『それが……ここ最近地球に隕石群が何処からか空間転移してきて降り注いでるから、周辺の空間が不安定で……計算が出来ないんだ』


「そんなぁ~」


 手詰まり、アルカンシェルで地表を撃てば防衛プログラムは打倒出来るかもしれないが地球に多大な被害を与える、そうなればこの世界との戦争は避けられない、
それは是が非でも回避したいのがアースラの一貫した考えである。
 衛星軌道上でもアルカンシェルの影響で、コロニーやプラント、オービットベースの周回軌道が狂い地球に落ちても同様に戦争になるだろう、完全に手詰まりである。
 しかし、その選択肢その物が無くなってしまう事になる、第三者が闇の書事件に介入してきたのだ。


『う、嘘!?ク、クロノ君!ど、どうしよう!?』


「どうした!?エイミィ、落ち着け!何が有った?」


『う、宇宙怪獣がそっちに向かってるみたい!数は上陸艇3!!そ、それにこっちも宇宙怪獣に見つかっちゃった!?か、数は24……ど、どうしよう』


「な、なんだって!!!!」


 宇宙怪獣来襲である。


「「う、宇宙怪獣なの!?(STMCやて!?)」」


 高町なのはと八神はやては驚愕の声を上げる、それも仕方のない事だろう、地球人類にとって宇宙怪獣とは天敵である。
 その脅威は十二分に知っているのだ、当然ながらいくら自分達が魔法という力を手にしても対抗出来る等という考えすら浮かばない程の物だと。
 しかしそうとは知らないクロノ以外のメンバーはいまいちピンと来ていない表情を浮かべるが、なのは、はやて、クロノにその脅威の程を淡々と説明されると、
どんどん顔色が悪くなっていく。


「な……んだと、大型の物はキロクラスの巨体で小型の物でも10メートル級、天文学的な数に物をいわせて、星その物に寄生し爆発的に数を増やすだと?」


「な、なのは?そんなのが居るの?この世界には」


 宇宙人や地下勢力だけでもお腹いっぱいなのに、想像していた宇宙怪獣像とはまるでかけ離れた化け物だったとは、(5メートル程で二足歩行のキシャーと鳴くような物体を想像していた)
予想の斜め上だったシグナムとこの世界の事を何も知らなかったフェイト・テスタロッサは、宇宙怪獣のあまりな理不尽振りに恐れおののいた。


「ど、どうすりゃいいんだよ!?もう時間も無えし」


 ヴィータを筆頭にこの絶体絶命の状態になのは達は頭を抱える、しかし忘れてはならないこの世界には、この地球には最強の守り手達が居ることを。
 唐突に空間が歪み、何かが出現する兆候が現れる、その顕著しようとしている圧倒的な存在により内側から結界が弾け飛んだ。
 

 それは天使の様だった、闇の書の防衛プログラムと比べてなお巨体な、三対の羽を生やし、空間を押しつぶす程の静謐な波動を撒き散らしながらその存在は顕著した。


《私の名はガンエデン、地球の守護者です》



 人造神 ナシム・ガンエデン  登場








 時を少し巻き戻す










【地球圏 衛星軌道上オービットベース付近】




「帰ってきたんだな」


 ダイターン3のパイロット波乱 万丈は穏やかな笑みと共に万感の想いを言葉に乗せる。


「ああ、俺たちの地球だ」


 グレートマジンガーのパイロット剣鉄也も普段は見せない穏やかな表情で地球を眺める。


「みんな、、胸を張ろう俺たちは勝ったんだ」


 ゲッター1のパイロット流竜馬もその言葉に続く、彼もその表情は穏やかだ。


「さよなら…そしてありがとう…俺達を守ってくれた魂達……」


 連邦の白き流星アムロ・レイも一つの戦いの終わりを感じると共に、力を貸してくれた、逝ってしまった人々に感謝を捧げる。


「またいつか、会える日が来るさ、きっと……そう、いつか遠い彼方で……」


 アムロは万感の思いで地球を見る。

 αナンバーズは遂に戦いを終焉に導いた。
 12000年の時を越え、この戦いの裏に居た霊帝を倒し、アカシック・レコード、無限力にさえ認められ。


「いいえ、まだ終わってはいないようです」


「そうだな、まだこの世界でやり残した事が有るようだ」


 地球の守護者たるナシム・ガンエデンことイルイと平行世界の番人の役目を引き継いだクォヴレー・ゴードンは、まだ終わっていないとαナンバーズに警告をする。


「なんだと!?いったい何が……」


「闇です、闇が見えます、この世界を滅ぼす闇が……場所は……日本」


「力自体は大したことは無さそうだが、時限式の爆弾の様な物だろう、このまま放って置けば……あまり猶予も無さそうだ」


 驚愕と共に疑問を口にする、戦艦エルトリウムのタシロ艦長だったが、直ぐさまイルイ、クォヴレーがその疑問に答えると流石は歴戦のαナンバーズ、メンバーは一瞬で臨戦態勢へと各々移行する。
 そこにオービットベースよりαナンバーズへと通信が入る。


《地球衛星軌道上に宇宙怪獣出現!!恐らく取りこぼしでしょう、小規模ですがその数およそ2000、船籍不明の艦が襲われている模様!!》


《同じく日本近海に宇宙怪獣出現!!海底付近に潜伏していたようです!数上陸艇3!、日本上陸を目指している模様、上陸予想地点は……日本、海鳴市!!》


「なぁぁぁんて、こったぁぁぁ!!」


 タシロ艦長が大げさに驚愕するが、これは艦長の癖みたいなものである、その証拠に焦っている者は誰も居なかった。
 何故ならαナンバーズの戦士達は、この程度の危機など何度も乗り越えて来たのだから。


「地球に現れた宇宙怪獣は先程見えた闇のビジョンに向かっているようです、殆ど力は残ってませんがガンエデンの力で空間転移した後、十数機なら呼び込む事は出来ます」


「地球突入のウェーブコースの算出はもう済んでいる、空間転移には遅れるだろうが、ここから一気に日本まで降下は可能だ」


 イルイやウイングゼロ・カスタムのパイロット、ヒイロ・ユイが自分達に出来る手段を提示すると、αナンバーズ首脳陣は直ぐさま方針を打ち出す。


「部隊を二つに分ける、地球にはガンエデンが空間転移で先行、到着後真ゲッター、マジンカイザー、ジェネシック・ガオガイガー、エヴァシリーズ、ダイゼンガー、アウセンザイター、ディス・アストラナガン、ビルト・ビルガー、ビルト・ファルケンを呼び込んで貰いたい、イルイ君済まないが頼めるか?」


「大丈夫です」


「指揮はゼンガー少佐に任せる」


「承知!!」


 矢継ぎ早の出される指示にイルイはやや緊張した面持ちで受け答え、臨戦態勢に移行しているゼンガー・ゾンボルト少佐は愛機であるダイゼンガーと動きをシンクロさせ、腕を組み目を瞑った状態で一言に言霊を乗せる。


「ウイングゼロ・カスタム、デスサイズヘル・カスタム、サンドロック・カスタム、ヘビーアームズ・カスタム、アルトロン・カスタムは此処より地球に降下、先行した部隊と合流した後、
対象を掃討してくれ」


「任務了解」「ああ、分かったぜ」「了解しました」「了解した」「いいだろう」


 ヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェル、カトル・ラバーバ・ウィナー、トロワ・バートン、張五飛、ガンダニュウム製のガンダムのパイロット達はそう答えると勢い良くバーニアを吹かし、
五条の流星の様に大気圏に突入していく。


「残った者達の内、バルキリー部隊はフォールド・ブースターを搭載後、先行し所属不明艦を救助、対応はフォッカー少佐に一任する」


「お任せあれ」


 ベテランバルキリー乗りロイ・フォッカー少佐は、通信越しに何時もの余裕な表情を浮かべる。

 
「では勇者達の健闘を祈る!!」



 締めくくる様にGGG長官、大河幸太郎が声を張り上げるとバトル7よりホールド・ブースターを搭載したスカル小隊、ダイヤモンド・フォース、YF‐19、YF‐21、
そしてサウンド・フォースが飛び出していく。


「艦長、バサラ達が飛び出して行きましたな」


「……放って置け」


 バトル7ブリッジにてエキセドル参謀の言葉に、目頭を押さえながらバトル7艦長マクシミリアン・ジーナスは、最近娘の無鉄砲ぶりに磨きが掛かっているなと心中で呟いた。







【地球衛星軌道上 アースラ】


 アースラは就航以来最も過酷な危機に陥っていた。

「レーダに感!!……宇宙怪獣、STMCです!!数24、内訳、上陸艇18、高速型4、混合型2!此方に真っ直ぐ向かって来ています!!距離3000!
 接触までおよそ5分!!」


「海鳴市近海にも宇宙怪獣出現!!対闇の書の作戦領域に直進!接触まで三分!!」


「「艦長!!」」


 宇宙怪獣に見つかったのだ、リンディ・ハラオウンは静かに目を開けるとアースラクルーを見渡す。

 
「アルカンシェル発射用意、目標、宇宙怪獣」


「りょ、了解!!」


 リンディは決断した。確かに闇の書の防衛プログラムを放って置く事は出来ないが、防衛プログラムに対する鬼札、アルカンシェルを搭載した
アースラを墜とされる訳にもいかないのだ。


「アルカシェル、バレル展開」


 エイミィ・リミエッタが素早くコンソールを弾き、アルカンシェルの発射準備を整えていく。
 巨大な環状の魔方陣が3つ展開しエネルギーを収束していく。


 アルカンシェル、直撃した地点を中心に百数十キロの空間を湾曲させ反応消滅させる魔導砲である。
 旨く巻き込めれば、今接近中の宇宙怪獣を一掃とまでは行かなくても相当数を撃墜出来る程の兵器で有る事は間違いない。

 この世界の兵器と比べても平均以上の威力を持つ兵装である。
 まあアルカンシェルですら平均以上で評価が落ち着いてしまうこの世界は異常なのだろうが……


「ファイアリングロックシステム、オープン」


「宇宙怪獣、有効射程距離まで200、アルカンシェル発射準備完了まで120!」


 しかし忘れてはならない、次元航行艦アースラ、その名の通り、航行艦であって戦艦では無いのだ。
 それに時空管理局にとって宇宙空間戦闘は未知の領域、殆ど経験が無かったのも不運だったろう。


「じょ、上陸艇より多数の兵隊の射出を確認!!その数……およそ2000!!!なんというスピードだ、接触まで70!発射まで間に合いません!!」


 弾幕を張れる武装も無ければ、本来なら艦載機の役割を果たす魔導師も宇宙空間では戦闘行為は行えないし、小型の宇宙怪獣・兵隊とはいえその大きさは10メートル、
平行世界の話になるが、ガジェット3型より遙かに巨体なのだ。
 一般的な魔導師では通常空間でも相手に出来るものではない。
 脇目も振らず逃げるべきだったのだ、しかし闇の書の防衛プログラムが暴走寸前である事が撤退を許さなかったのは、リンディ・ハラオウンにとって不運だった。



 故に取り付かれれば、アースラは何も出来なくなってしまうのだ。



「艦長!多数の兵隊に取り付かれました!」


「ちょ、直撃!!宇宙怪獣・兵隊の突進により第3格納庫、第二居住区、壊滅!!隔壁下ろします!」


「う、嘘でしょ!次元航行装置、及び次元転送装置破損!!」


「じょ、上陸艇此方に突っ込んで来ます!!接触まで500!!も、もう駄目だ!!」


 接敵から数分でアースラは撃沈寸前まで追い込まれてしまった。
 自艦よりも大きな500m級、円錐状の上陸艇の突撃を受ければ、ジ・エンド、アースラは宇宙の藻屑となってしまうだろう。


 しかし死に神の鎌は振り下ろされなかった。
 勝利の女神が微笑んだのだろうか?いや勝利の女神が微笑まなければその横面を引っ叩き無理矢理笑わせる、そんな地球圏最強部隊が到着したのだ。


「ハッハー!一番槍は頂いたぜ!!!」


「あまり調子に乗るなよ、イサム」


 最初に到着したのはYF-19、そしてYF-21だった。
パイロットはイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマンである。二機はフォールド・ブースター切り離し、一切の減速をせずにアースラの艦首前方に飛び出すと、
機体をファイター、戦闘機形態より、ガウォーク、戦闘機に足が生えた形態に変形させ足裏よりバーニアを逆噴射し急制動を掛ける。
 そのまま横に側転の要領で回転しながらガトリング・ガンポッド、マイクロミサイルを全弾発射し、たった二機にしては過剰なまでの弾幕を張り、
アースラに突撃してくる宇宙怪獣・兵隊を寄せ付けない。


「イィィィィィィヤッホォォォォォォ!!!騎兵隊の到着だぁ!」


「まったく、先輩は」


「そうぼやくなよ一条、何時もの事じゃないか」


 続いて到着したのはスカル小隊、隊長のロイ・フォッカー少佐と一条輝少尉、柿崎速雄少尉で構成されるVF-1スーパーバルキリー三機である。
 三機は直ぐさまフォールド・ブースターを切り離す、フォッカーは一瞬で状況を読み取り、行動に移す。


「スカルリーダーより各機へ、これより接近する宇宙怪獣・上陸艇に向け反応弾を使用する、遅れるなよ!」


「こちらスカル11、了解!」


「任せて下さいよ!」


 スカル小隊は編隊を組んだまま、一糸も乱れぬ連携を見せ射線軸に徘徊する兵隊をガトリング・ガンポッドとマイクロミサイルを用い排除すると、
本命である反応弾を各機二発づつ上陸艇に叩き込む、一切の減速を見せず行われたそれは正に猛禽類の如く。

 宇宙怪獣上陸艇は反応弾の光の中に溶けるように、終焉を迎えた。


「こちらガムリン、フィジカ!ドッカー弾幕を張れ、敵を近づけさせるなよ!」


「D3、了解」


「了解だぜ!!」


 ダイヤモンド・フォースのガムリン・木崎、フィジカ、ドッカーがVF-17ナイトメアで登場し、アースラへと向かう兵隊をシャットアウトしていく。

 八機のバルキリー、そうたった八機のバルキリーが登場しただけで未だ本格的に動いていないとはいえ宇宙怪獣達を足止めし戦線は膠着した。
 地球圏に存在するバルキリー乗りを並べてみても上から数えた方が早い連中ばかりで構成されているとはいえ、αナンバーズがどれ程異常な部隊かは想像出来るだろう。






「なんて弾幕なの……」


「あ、あれが反応弾なのか……」


「なんて機動性!あれがバルキリー!」



 アースラクルー達は目の前で行われている戦闘機動から目を離せない、八機の戦乙女達が縦横無尽に宇宙を駆け巡り、宇宙怪獣・兵隊の墓標を築き上げていく。
 更に目にしたのは反応弾のその威力、威力自体はアースラ自慢のアルカンシェルよりは若干劣るかも知れないが、圧倒的な機動性を持つバルキリーを用いて
の一撃離脱攻撃、これの脅威は計り知れないだろう、何十機ものバルキリーが編隊を組みアルカンシェル級の威力を持つ兵器を次々に射出して離脱していく。
リンディ・ハラオウンにはこれを止める術を思いつかない。


 そこにバルキリーの一機よりアースラへと通信が入る。


「こちら地球連邦独立遊撃隊、αナンバーズ機動部隊隊長、ロイ・フォッカー少佐だ、応答せよ」


「こちら時空管理局、次元航行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです」


「おおう、これは麗しい女性ですな、エスコートは必要で?」


「はい……お恥ずかしい限りですが、本艦は現在多数の兵隊に取り付かれ、殆どの機能が死んでいる状態ですので、エスコートをよろしくお願いしますわ」


「ハハハッ、お任せあれ、自分はαナンバーズ随一のエスコート上手として有名ですからな……もっとも相手は特上の美女に限りますが、貴女の様な」


 フォッカーとリンディは和やかに会話を進めるが、リンディにとっては正に一世一代の勝負と言っても過言ではない、会話とゆう名の交渉である。

 アースラは兵隊に現在も取り付かれたままである、アースラの機能が殆ど死んでいるのでリンディ自身がフィールドを張り維持している状態なのである。
 しかもこのままでは撃沈は必至、ここでαナンバーズの助力を得られなければ自分達は宇宙の藻屑となるしか選択肢が無くなるである、今の状態では不干渉
だなんだと言っている場合ではないのだ、リンディはクルー全員の命を預かっているのだから。


 しかしロイ・フォッカーにとっては時空管理局と言う名は「また異世界からのお客人かな?」位の認識でしかないので、この軽いやりとりは彼の素である。


 これから時空管理局の立場やPT事件、ジェルシードと呼ばれる次元断層により世界を崩壊させる可能性のあるロストロギアが地球にばらまかれた状態の時や、
闇の書事件、現在地球上で暴走寸前である全てを侵食して、世界を崩壊させるなどの物品の危険性を知っていながら、地球政府に対し何の情報も与えず、あまつさえ
勝手に地球上で作戦行動を取っている等、外交上地球に対し、些か自分達にとって危険なカードを持っているリンディはこれから先の事を考えると胃が痛くなってしまうのであった。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!山よ!銀河よ!そして地球よ!俺の歌を聞けぇぇぇぇぇぇぇ!」


「バサラ!もう待ちなさいよ!」


「やれやれ、行くぞビヒーダ!!」


 ビヒーダは無言のまま激しいビートを刻み、ドラムを叩きだす。


「バサラ……歌う」


「フフフ、今回は私も参加させて貰おう、この身より沸き出でる奔流!これぞ正しくスピリチア・クリエーション!!」


「おおお!ゲペルニッチ様が歌っておられる!これぞ正しく、合唱美!!!」


 この戦いの中正に歌って歌って歌い抜いた、最高の歌バカ野郎、熱気バサラを筆頭に同じファイヤー・ボンバーのメンバーである、ミレーヌ・フレア・ジーナス、
レイ・ラブロック、ビヒーダ・フィーズがVF-19に乗って登場し、そしてこの大戦のさなか歌を通じ理解しあった生命体であるプロト・デビルンのシビル、ガビル、
そして彼らのリーダー的存在でもあるゲペルニッチまでもが今回は熱気バサラと共に歌う為に今宇宙を飛んでいるのだ。




 生身で。






「な!?これは……歌?」


「宇宙空間で歌……だと?」


 もちろんVF-19に搭載されているサウンド・ブースターのおかげなのだが、アースラクルーにはそんな事は理解出来ない。


「な、なあ俺の目の錯覚か?あそこ人が生身で宇宙を飛んでないか?」


「なに馬鹿な事言っているんだ!そんなこと有り得るわけな……飛んでるぅぅぅぅ!!?」


 そして宇宙空間でも普通に行動出来るプロト・デビルンに付いてはもっと理解出来なかった。


 熱気バサラを筆頭に宇宙に歌声が響いていく、正にダイナマイトが爆発しそうな歌であったが、その歌声を聞いていたアースラクルーの一人が自分に起こっている変化
に気づいた。


「……なかなか良い歌だな、む?まさかそんな?魔力が上がっている?」


「何を言っているんだ?」


「い、いやこの歌を聞いていたら魔力が上がってきているんだが」


「何!?……本当だ」


 自分の魔力を調べると僅かながらに上がっていると確認出来たクルーは、信じられないとばかりにフルフルと首を振る。





「こ、これは空間が歪んで! これがフォールドアウト反応なのか!?」



「な、なんだ……大きいぞ!」



 撃沈寸前のアースラでコンソールに齧り付き、一心不乱に周囲の情報を集めていたクルーが空間の歪み、対象がフォールド・アウトしてくる反応を捉えた。



 



「ば、馬鹿な……なんて大きさだよ……」


「データでは知っていたが……馬鹿げた大きさだな」


「あれがαナンバーズ旗艦エルトリウムか……」



 確かにデータ上ではアースラクルー達は知っていた。αナンバーズ所属戦艦エルトリウム、全長70キロ、最大幅18キロ、最大高9.4キロ超弩級戦艦である。
 しかし百聞は一見にしかずという言葉通り実際にエルトリウムも見たアースラクルーはもう言葉も無いとばかりに呆然と立ち尽くした。



「こちらαナンバーズ、貴艦を援護します」


 抑揚の無いエルトリウム副長の声がアースラブリッチに木霊すると共に、一斉に各戦艦より機動兵器が飛び出して行く。




 αナンバーズ本隊  到着










【地球 海鳴市 海岸】
















『私の名はガンエデン、地球の守護者です』


 
 流石になのはやはやても特別クラスの機密事項であるガンエデンの事は知らないので、ガンエデンに圧倒されながらも何者なのだろう?と顔に疑問符を浮かべる。

 しかしクロノは圧倒的な存在感に押し潰されそうになりながらも、執務官の矜持を持って言葉を発する。


「私は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンであります、貴方は一体何者なのでしょうか?」


『お話は後でに致しましょう、今はあの脅威を取り除かなくてはなりません』


 ガンエデンはゆっくりと闇の書の防衛プログラムに体の向きを変える。


「あれは闇の書の防衛プログラム、危険なモノです、可能なのでしょうか?あれを取り除く事が」


『私は力を殆ど失っていますが、この地球を守る剣達ならば間違い無く』


 圧倒的な存在感を持つこの存在が力の大半を失っているという事実にクロノは絶句する。

 ガンエデンは背中の三対の羽を広げ、輝きだす、正にその姿は神話に登場する天使の様。



『地球を守りし剣達よ……此処に!!』


 その言葉と供に一層輝きを増したガンエデンにクロノ達は目を瞑ってしまう。






 そして再び目を開いた時クロノ達の目に前には幾多の鋼の戦士達が集っていた。






 空にそびえる鉄の城にして、鋼の身に魂を宿らせた魔神



 魔神皇帝    マジンカイザー




 その姿鬼神の如く、ゲッター線の申し子


       真ゲッター




  その身は勇者にして究極の破壊神



 勇者王 ジェネシック・ガオガイガー






 生命の実を宿した、神の使いの写し身


 人造人間エヴァンゲリオン初号機、同弐号機、同零号機





 その一刀弐の太刀要らず、荒武者


 武神装甲  ダイゼンガー




 その姿正に黒い竜巻、一言で言うなら正にトロンベ


       アウセンザイター





 大空こそ我らが領域、つがいの猛禽



 ビルト・ビルガー  ビルト・ファルケン






 そして平行世界の番人にして虚空の使者


 ディス・アストラナガン






 それらを見た高町なのは、八神はやて、ヴィータは奇声を上げながらテンションが鰻登りに。




「ゲ、ゲッターだぁ!」


「ま、魔神皇帝やと?」


「ガ、ガオガイガーだぜ!あれ!あれ?でも何か鬣とか生えて何かもっと格好良くなってねえか?」


 ヴィータはガオガイガーがジェネシック・ガオガイガーに変わっている事に疑問を浮かべるが直ぐさま、得意顔のはやてがヴィータの肩を叩く。


「あれはな恐らくパワーアップやで、困難な場面に陥りその逆境をはね除ける為に、パワーアップしたんや!ヒーローのお約束やからな、間違いないで!」


「マジかよ!!パワーアップとかカッコ良すぎじゃねぇかよ!!」


 驚愕の表情を浮かべながらも嬉しそうなヴィータに全て分かっているとばかりに、はやては腕を組みながらウンウンとうなずいている。
 そしてはやてはビシィと音が聞こえる位に勢い良くマジンカイザーを指さす。


「見てみい!あの魔神皇帝の姿を!飛んどるでぇ!カイザーが飛んどるでぇ!ああこれで『飛べない魔神は只の壁』なんて言われんで済むってもんや!!」


「ガオガイガーもマジンカイザーもパワーアップしたってのかよ……ギガすげぇじゃねえかよはやて!」


 ガオガイガーよりジェネシック・ガオガイガーに変化していた勇者王、カイザースクランダーを装備し空を飛べるようになっていたマジンカイザーにはやてもヴィータも
小躍りしながらテンションを上げていた。
 しかしここに一人面白く無い表情を浮かべている人物が一人居た。


「む~~、ゲッターだってパワーアップしてるに決まってるの!私には分かるの!真ゲッターから溢れ出る凄いゲッター線の力が!!」


 ゲッター党真ゲッター派の高町なのはである、最もらしい事を言っているが、実際の所カイザーやガオガイガーのパワーアップに浮かれていたはやてやヴィータの事を見て見た目の変わっていない真ゲッターに対し悔しくなって言ってみたのだが、それが事実を付いている等とはなのは自身気づいてはいなかったが。


「そうやね」「そうだな」


「にゃあぁぁぁ、ホントなの!間違い無いの!」


 ニヤニヤと笑いながら可哀想なモノを見るような目でなのはを見ながら、先程の言動を欠片も信じていないはやてやヴィータに。
 なのはは腕を振り上げて抗議するが、はやてとヴィータは適当に受け流していた。


 そして一通り騒ぎが収まると三人は憧れの目でαナンバーズの機体群を見る。



「「「でもやっぱり一番格好いいのは(ゲッターなの)(魔神皇帝やなぁ)(ガオガイガーだよなぁ)」」」


「「「…………」」」   


「ゲッターなの!!」「魔神皇帝に決まっとるやろ!!」「ガオガイガーに決まってるじゃねぇか!!」


 ギャーギャーと声を上げ、腕を振り上げながらなのは、はやて、ヴィータは言い争っているが、三人、特になのはとはやてには先程までの悲壮感など
欠片も残っていなかった。
 何故ならαナンバーズは何度も何度も自分達を救ってくれた、実在するヒーローなのだから。




 しかし浮かれる三人とは対照的に他のメンバーは、この世界の常識に振り回されてどこか疲れた表情をしているクロノ以外、言葉も出ない位に驚愕していた。
 特に予備知識の全くないフェイト、アルフ、ユーノは正に絶句といった表情を顔に貼り付けていた。

 ギギギと音がしそうな様子で首をクロノに向けたフェイトが何処か泣きそうな表情で口を開く。


「クロノ……あれ、何?」


「ああ、この世界の質量兵器だよ……その辺のロストロギアよりよっぽど規格外なね」


「質量兵器!?」「ロストロギアよりもかい!?」


 何か諦めきった表情で答えるクロノにユーノとアルフは絶句する。

 フェイトは闇の書の闇よりよっぽど凄そうなオーラを纏った、質量兵器達を恐る恐る覗き見る。

 そして鎌を持った悪魔みたいな風貌の機体から発する濃厚な死の気配に涙目になりながらアルフの後ろに隠れ、半分だけ顔を出しながら警戒するのだった。

 なぜならプロジェクトFによって生み出されたフェイトは他の人より魂が不安定なので、鎌を持った機体、ディス・アストラナガンの本質に本能的に気づいたのだ。


 「地球って、凄く怖い所だったんだね」


 フェイトのその呟きは虚空に溶けるように消えていった。



[10424] 第一回終焉の銀河編 後編2
Name: いそはち◆69bb7263 ID:61cb70b4
Date: 2010/05/05 23:15

【地球 海鳴市  市街地】


 場面はアリサ・バニングスと月村すずかが結界内から弾き出された時間まで遡る。


「もう一体何なのよ!?」


「アリサちゃん、なのはちゃん達空飛んでたね……」


 クリスマス・イブの市街地に二人の疑問が言葉により立ち上った時、街の様相は一変する事になる。


《海鳴市全域に緊急避難命令が発令されました、市民の皆様は係の案内従い速やかにお近くシェルターに避難して下さい、繰り返します海鳴市……》


「き、緊急避難警報!?」


「あ、アリサちゃん!なのはちゃん達大丈夫かな?」


 緊急避難命令が発令されたのだ、日本近海より宇宙怪獣が出現し海鳴市に向かっているのだからそれは当然の事だろう。

 アリサとすずかは訳の分からない場所に居たなのはの事が心配だった、なのはが何かおかしな力を持っている事は推察出来たが、とても避難警報が出る状態。
つまり恐竜帝国やミケーネ帝国、宇宙怪獣の来襲や、今は無くなっているがティターンズやブルーコスモスの軍事行動、BF団やヌビア・コレクションの暗躍など、
日本では今まで散々な敵勢力から狙われており、それらに対抗出来るとはとても思えなかった為である。


「行くわよ、すずか、なのはの居た所へ」


「でも、私達が行っても……」


 確かに、それらの事象に二人の小学生が向かった所で何の役にも立たず、足手まといになるだけであろう、しかし


「何も出来ないかも知れない……でもじっとしていられる訳ないじゃない!!」


「……そうだね、行こう!アリサちゃん」


 何もせずなのはが戻ってこなかったとしたら、絶対に後悔するそれだけは確かな事なのだから。
 この行為が間違っているとしても、今は感情のままに二人は海を目指して駆け出した。



【地球 海鳴市】


「ちっ、宇宙怪獣だと!?兵隊ならともかく上陸艇が相手では……サラミスはまだ到着しないか!?」


 地球連邦軍極東支部所属、第171MS隊隊長である大尉は愛機であるジェガンのコックピットで通信先に気勢を上げる。
 言葉通り、MSでは宇宙怪獣・兵隊の相手は出来ても、500Mを越える上陸艇が相手では、戦艦の艦砲射撃が無くては対処出来ない。


《こちら地球連邦軍極東支部所属、第68PT隊全機到着しました》


 続々と先行するMS、PT隊が集まってくるが、上陸艇を相手取る戦艦が到着しなければ、勝負にすらならないと大尉は歯噛みする。
 そこに司令部より慌てた様子の通信が入る。


《お、オービット・ベースより入電、宇宙怪獣にはα、αナンバーズが当たるとの事!?》


「あ、αナンバーズだと!!?ではカルアネデス作戦は!!?」


《更に、地球連邦本部より入電!カルアネデスの板は自力で帰還、作戦は成功、繰り返します、作戦は成功です!!》


 地球、いやこの銀河の命運を賭けた作戦、カルアネデス作戦の成功を聞き、MS、PTのパイロット達は歓声を上げる。
ここに居る兵士達の同僚、嘗ての同期達、決して少なくない人員がカルネデアス作戦に参加していたのだ、感慨も一入である。


《や、やりやがった、やりやがったぞ彼奴ら!!》


「はははははははっ!宇宙怪獣どもは我らが英雄様が相手どってくれるそうだ!我々は住人の非難と護衛に専念するぞ!
……それから今日の酒は俺の奢りだ!!!」


《《《《サー・イエッサー》》》》


【海鳴市  海岸】


 ダイゼンガーのパイロット、ゼンガー・ゾンボルトは時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンより闇の書の防衛プログラムの詳細な情報を聞き出していた。
 クロノに取ってもこれからの事を考えれば、極力協力し心証を良くしておく必要が有るので終始協力的だった。


《防御フィールドに再生能力か……》


「はい、やっかいな能力です……」


《参考になった、感謝する!!》


 腕組みを解き、感謝の意を表すゼンガーだが、一々気合いが入っている為、クロノの後方でフェイトがビクッビクッとゼンガーが声を張り上げる度に怯えていた。

 ゼンガーは仲間達に機体の向きを変える。


《防御フィールドに再生能力、定石通りなら再生能力の追いつかなくなる程の攻撃を畳み掛けるか……》


《再生そのものの意味を無くす攻撃を当てるか……ゼンガー少佐、止めは俺が刺そう》


《ゴードン少尉、任せる!それまで奴の相手は獅子王!街に被害を出す訳にはいかん!!頼むぞ!!》


《分かったぜ!任せてくれゼンガー少佐!!》


《兜と俺は兵隊共を引き付け囮になる、ゲッターチームは上陸艇の牽制を頼む、無理に墜とす必要はない、だが街には近づけさせるな!!》


《了解だぜ、ゼンガーさん》《まかせて下さい、ゼンガー少佐》


《エヴァチームは海岸線に移動、そこを防衛線として後方には一匹たりとも通すな!街に被害を絶対に出させるな!!
アラド、ゼオラは空からエヴァチームのフォローに廻れ!!》


《《《《《了解》》》》》


《レーツェル、お前は遊撃を頼む全体をフォローしてくれ》

《任せてくれ、友よ!》


 ゼンガーは矢継ぎ早に指示を出し、空を見上げる。


《あ奴等が到着した時こそ  好機!!》


 ゼンガー・ゾンボルトの駆るダイゼンガーは沖に姿を見せ始めた宇宙怪獣と闇の書の防衛プログラムに意識を向けながら、斬艦刀の切っ先を天に翳す。


《我はゼンガー・ゾンボルト!!悪を断つ剣也!!!!》





【海鳴市  海浜公園】



 アリサ、すずかの二人が海を臨む公園にたどり着いた時、街には避難を誘導する連邦の兵や防衛部隊のMSやPTが多数展開していた。


「あ、アリサちゃん見てみて、ジェガンだよジェガン!?」


「まったく、すずかは相変わらずの量産党ね……」


「何言ってるの?汎用性、コストパフォーマンスどれを取ってもジェガンこそ至上だよ!?」


 月村すずか、MS党ジェガン派である、いくら自分の家である月村重工にとってアナハイム・エレクトロニクスが一番のお得意様であるにしても、
小学生の割に渋すぎである。

 ちなみに余談であるが、姉である月村忍は妹と同じMS党であるが、ジオニック信奉者なので時々姉妹喧嘩に発生する事も有るが、どこの家族も似たようなもので
あったりもする。


 そこに海上に展開されていた結界が破壊され、ガンエデンを筆頭にαナンバーズのメンバーが転移してきた。


「あ、あれって!!?」「あ、αナンバーズだぁ」


 二人は驚愕と供にそれを眺めるが、ポツリとアリサが呟く。


「あれはPTX-015R、ビルト・ビルガーにPTX-016R、ビルト・ファルケンかしらね……良い機体だけど、たった一機で戦局を左右する為に作られた、
ヒュッケバインMk-Ⅲには及ばないわね」


「アリサちゃんは相変わらず、あんな金食い虫の高コスト機が好きなんだね……趣味悪いよ」


「なんですって!?」


 アリサ・バニングス、PT党、ヒュッケバインMk-Ⅲ派である。
 バニングス・グループの1つであるバニングス生命の最大のお得意様先がマオ・インダストリィであり、アリサ自身が面識の有るマオ社の社長、リン・マオを
理想の女性像にしている事も理由の1つに挙げられるだろう。

 普段は仲の良いアリサ、すずか、なのはの三人だが、事こういう話になると言い合いに発展する事が多々あるのだった。
 それぞれ好きな機体がジェガン、ヒュッケバインMk-Ⅲ、真ゲッターでは意見が合わないのも仕方のない事なのかもしれないが……


 そこに、アリサ達が居る場所に向かって三機の機体が向かって来るのをすずかは捉えた。


「あ、アリサちゃん、こっちに来てる、危ない!」


「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ」」


 二人が居た付近に三機、エヴァンゲリオン初号機、弐号機、零号機が降り立った。


《碇君、背後距離30に生命反応2確認》


「え?逃げ遅れたのかな、どうしようか?アスカ」


《子供!?放っておける訳ないでしょうが!ファースト、アタシは金髪の子を乗せるからアンタは紫髪の子をお願い》


《了解》


「え?でもシンクロ率にも影響するし、僕の所に乗せ《バッッカじゃないのアンタ!!》アスカ?」


《だからアンタはバカシンジなのよ!いくら子供でもねあの子達はレディなのよ!エントリープラグはLCLで満たされてるんだから男と一緒に乗れる訳ないじゃないの!》


《碇君……無神経》


「アスカぁ、綾波ぃ」


 碇シンジが同僚である二人のチルドレンに責められているが、確かにこれはシンジの自業自得であろう。
 平行世界ではアスカはシンジと同乗しているのだが……この世界のアスカにとっては知らぬ事である。


 惣流・アスカ・ラングレーは外部スピーカーをオンにする。


《そこの二人、ここは危ないから金髪の子はこっちに紫の髪の子はあっちの青い機体に乗せて貰いなさい》


 弐号機と零号機は片膝を付いて、ゆっくりと乗りやすい様にアリサとすずかに手を差し伸べた。
 二人は恐る恐る差し出された手に上ると、ゆっくりと弐号機と零号機の手が二機の首の付け根付近に移動する。すると二機のエントリープラグがハーフイジェクトされ、
搭乗口のハッチが開かれる。
 アリサとすずかは意を決したようにプラグに滑り込んだ。


「な、なにこれ水!?」「はわわ、溺れちゃう!?」


「大丈夫よ時期に慣れるわ」「LCLが肺に満たされれば、呼吸可能になるわ」


 アリサとすずかは肺にまで液体を入れる等という、普通に生きていたら一生ない事態に意を決して止めていた息を解放する。


「「うっ、きもちわるい」」


「それだけ言えれば上等よ!」「我慢して」


 血の味がするLCLを肺に取り込み気分を悪くする二人だが、それぞれのパイロットより不器用な慰めが掛かる。


《シンジ!!私達はシンクロ率も落ちてるし、何より子供を乗せてるから何時もの動きは出来ないわ……頼むわよ》


《お願い、碇君》


「任せてよ!!」


 碇シンジの力強い応答を聞いてアスカは思う。


(南アタリア島で初めて会った時は、辛気臭くて、ウジウジしてて、パッとしない奴だったのに……)


 碇シンジ、二年前14歳の時に父親に手紙1つで呼び出され、エヴァ初号機に搭乗する羽目になり、始めは流されるままにエヴァに乗り戦いに身を投じた少年。
 カミーユ・ビダン、シーブック・アノー、ウッソ・エヴィン、同じように無訓練で機動兵器に搭乗し多大な戦果を叩き出した存在に隠れがちだが、二年前パルマー戦役
の折り最終的には軍の命令を無視し、エヴァ量産期に侵攻された旧第二新東京市、ジオフロントに無断出撃したり、戦いを知らなかった普通の少年にも関わらず、一年にも
満たない戦役の最終局面では、宇宙を埋め尽くす程の物量を誇ったゼントラーディ・ボドルザー艦隊、及び宇宙怪獣達に仲間と供に突撃していく程の戦士に成長した。
 碇シンジという少年も紛れもなく『スペシャル』な少年である。


(ちぇ、いっちょ前にそんな背中するようになっちゃってさ……バカシンジの癖に)


 三機の一番前で戦闘態勢に移行する初号機、アスカに取ってこの陣形は見慣れた物だ、初号機が最前列で強力なATフィールドで敵の攻撃をシャットアウトして、
隙を見つけて弐号機が吶喊、最後尾の零号機が遠距離武器でフォローする最も戦い慣れた陣形だ。
 始めはシンジの事もファースト、綾波レイの事もキライだった筈なのに、今は誰よりも頼もしい、そんな事を感じている自分の心をアスカは何故か心地よく感じていた。
 自然に口角が吊り上がって行く。


「行くよ、アスカ!綾波!」


《わかってるわよ!》《了解、碇君、フォローは任せて》


 エヴァ三機は腰を落とし、駆けだした。





【海鳴市 海岸 上空】






 宇宙怪獣・上陸艇より兵隊が射出され、300体あまりが群れを成して海鳴市に向い飛び立つ、その景色は一種の嫌悪感を抱かせるものだ。


「何という光景だ……」


「兵隊か……ちょっとかわいいかも」


「しょ、正気かシャマル!!」


「ガオガイガーに任せとけば大丈夫に決まってるぜ」


 ヴォルケンリッター達は目の前に広がるこの世界の戦争に恐れを抱く、10メートルを越える生物が300体程も飛び回りその後ろには500メートル級の生物が控えて
いるなど長い記憶の中でもちょっと思い出せない。
 少々シャマルは錯乱し、ヴィータは完全にお子様に成ってしまっているが……




 クロノ・ハラオウンは当初αナンバーズに協力し事に当たろうと思っていたが、ゼンガーに拒否された。
 それも仕方ない事だろう、50メートルクラスの巨大兵器とたかだかニメートル弱の人体が供に並び立つのは無理がある、15メートルクラスのPTやMS等と連携する
のもそれなりの連携経験が必要になる程のものであるし、別段αナンバーズは自前の戦力だけで十分なので協力が必要という程でも無い、という事も理由に挙げられる。
 それに高町なのは、八神はやて両名も参加を辞退する事に抵抗は無かった事も挙げられるだろう、二人にとって闇の書の闇はともかく宇宙怪獣と戦闘、
いや戦争する自信が無かった為である。
 何度も言う様だが二人は宇宙怪獣の恐ろしさを良く知っているからだ。

 













 エヴァ三機とビルト・ビルガー、ビルト・ファルケンが闇の書の闇を回り込むように向こう側に抜けたのを確認すると。
 戦闘態勢に移行したαナンバーズ地上組の中で真っ先に敵に向かって駆けだして行ったのは、ジェネシック・ガオガイガーとマジンカイザーであった、ジェネシックを先頭

に二機が突っ込んでくるのを認識した闇の書の防衛プログラムは、強力な砲撃を仕掛ける。
 その瞬間ジェネシックを追い抜いたカイザーはその砲撃をまともに食らってしまう。


《その程度でカイザーに傷をつけられるかよ!》



「む、無傷だと!!」


 カイザーの正に理不尽と言っていい位の防御力にシグナムは心底驚愕の意を表す。


「あたりまえやろシグナム、カイザーはな今正に空にそびえる鉄の城、いやさ鉄の魔神!超合金ニューZαを舐めるんやないで!!
あんなもん効かんわ!!」


 自分がやった事の様に腕を組みながら嬉しそうな表情を見せるはやてに対し、シグナムは今まで言った事が無い位の生返事を返してしまう。
 シグナムに取ってこの事態がどれ程の衝撃になっているかが分かるというものだろう。




 カイザーの影から飛び出したジェネシック・ガオガイガーは一気にバーニアを吹かし距離を詰める。


《うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ガジェットツゥゥゥゥル!!》


 ジェネシック・ガオガイガーは自身の尻尾の部分を分解させ、再構築させる、そう今この時、最も相応しいツールとは。


《ディバイディング・ドライバァァァァァァ!!!》


 ディバイディング・ドライバー、空間を湾曲させ、周辺の被害を最小限に抑える為のディバイディング・フィールドを構築するツールである、海面に炸裂したドライバーは

海鳴の街の海岸上に円形のディバイディング・フィールドを発生させ、その中心に闇の書の防衛プログラムは取り込まれ、降り立ったジェネシック・ガオガイガーと相対する


「何コレ!!?」


「GGG謹製のディバイディング・ドライバーなの、フィールドを構築する事によって極力周囲に被害を出さない様にする物なの」


「まあ、ここらへんは魔法の結界の方が優れとるかもしれんなぁ」


 ユーノがディバインディング・フィールドに驚愕の意を表すがなのはとはやては自分達の知識を提供する。
 確かに周囲の被害を押さえるという面では魔法による結界の方が優れているだろうが、ユーノはこのフィールドを構成している技術に目を見張る。


(空間を湾曲させたまま止めるなんて!?完全に制御されているの!?技術的には圧倒的に地球の方が進んでいるのかもしれないなぁ)








              出でよ、ディス・レヴ


 全ての機体の内、最も上空に位置したクヴォレー・ゴードンの駆る、ディス・アストラナガンは胸部の装甲を自らの手でこじ開ける。









 幾多の世界を崩壊させたという闇の書の闇、しかし今回は相手が悪すぎた、その名は勇者王にして究極の破壊神、ジェネシック・ガオガイガー。


《はぁぁぁぁぁあ!!》


 右フック、左アッパー、ドリルニー、華麗で有りながら荒々しいコンビネーションで闇の書の闇は吹き飛ばされる。


《ブロォォォクン・マグナァァァム!!》


 更に追い打ちに高速に回転した掌、ブロークン・マグナムが土手っ腹に炸裂、防御フィールドなどまるで紙の様に粉砕され、闇の書の闇は真正面から文字通り押されに押さ

れまくっていた。
 確かに闇の書の闇は再生はしているのだが、それ以上の破壊の力に晒され何も出来ずに一方的にやられていた、だがそれも仕方ないだろう相手はピサ・ソールにより無限に

再生された、明らかに闇の書の闇より格上なパルパレーパ・プラジュラーを文字通り破壊した究極の破壊神なのだから。
 負けじと防衛プログラムも触手の様な物を射出し、ガオガイガーを拘束しようとするが力任せに引きちぎられ、前蹴り、所謂ヤクザキックを炸裂され100メートル程吹き

飛ばされる。
 追い打ちを掛ける様にバーニアを吹かし接近したガオガイガーは、殴る蹴る抉る、それは正に嬲り殺し、破壊神の名に恥じぬ戦い振りである。


「凄い、防衛プログラムがここまで一方的に……」


 闇の書、いや夜天の書の管理人格、祝福の風リインフォースは今日この日まで幾多の次元を破壊した、自身の悲しみと諦めの象徴でもある闇の書の闇、防衛プログラムがこ

うまで一方的に痛めつけられる事態に心の底から驚愕していた。
 しかしこのまま行けば後数分で防衛プログラムは臨界を迎え、あらゆる物を侵食し始めるだろう。
 だがどうだ、αナンバーズの戦士達は焦る所かまるで何時もの事だと言わんばかりに戦場を縦横無尽に駆け巡る。


 散々に打ちのめされた闇の書の闇は自身が吹き飛ばされた時に捲き起こった土煙の向こうで禍々しく輝くジェネシックのデュアル・アイを捉えると、初めて感じたモノの衝

動に任せて後ろに後ずさり始めた。


「ば、馬鹿な!?闇の書の防衛プログラムが恐怖を……恐れを学習してしまったというのか!!?」


 感情の無い筈の闇の書の闇、幾多の世界に恐怖を振りまいた存在が初めて学習した感情は、皮肉にも恐怖だった。
 その結果闇の書は恐れに身を任せ1つの行動を取る。

 今までとは違う触手を多数展開させ周囲を取り込み侵食していく……暴走を始めたのだ。


「まだ暴走まで未だ時間が掛かる筈……ま、まさか!!恐怖が感情が暴走までのプロセスを短縮させたのか!!?」


 リインフォースは闇の書の闇が恐怖を覚え恐怖を取り除く為に暴走を早めた事に何度目かも分からない驚愕の声を上げる。


 闇の書の闇は暴走を開始し手当たり次第に辺りを侵食していく、そして当然自分自身の恐怖の対象であるジェネシック・ガオガイガーにもその矛先を向けた。
 だが闇の書の闇にとって不幸だったのは始めに侵食の対象に選んだのがジェネシック・ガオガイガーいやエヴォリューダー獅子王凱だった事だろう。

 触手はジェネシックに取り付き取り付いた装甲を変色させ侵食を開始する、だが


《この程度でこのジェネシックをエヴォリューダーを取り込めると思うなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!》


 ジェネシック・ガオガイガーのコックピットを中心に緑色の力強い光がジェネシックを大地を染め上げる。


《俺の勇気は、負けないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!》


 勇気の力により増幅させられたGストーンの力はそのまま獅子王凱のエヴォリューダーの力をも増幅させ、闇の書の闇の侵食を防ぐ所か逆に侵食仕返す。
 闇の書はどこまで行ってもプログラムで構成されているモノに過ぎず、エヴォリューダー獅子王凱、その存在こそが天敵とも呼べる存在であった。


『ぎゅぇぇぇぇぇぇぇ!!』


 たまらず悲鳴を上げる闇の書の闇を見てあまりに理解不能な事が起きすぎて、リインフォースは逆に落ち着いた様子で呟く様に言葉を発した。


「ば、馬鹿な、闇の書の侵食を防ぐ所か逆に押し返すとは……なんという……」


「すげぇぜ!!さっすが、ガオガイガーだぜ!!ギガ、いや、テラすげぇ!!」


 次々に起こる理不尽な事態について行けないリインフォースが、人の気持ちも知らずに浮かれまくっているヴィータに、きつい目線を送ってしまうのも仕方の無い事であろ

う。










                         テトラ・クテュス・グラマトン

 解放されたディス・アストラナガンの胸部から発生した輝きが増してゆく、その光は禍々しく、そしておぞましい。













 場面は変わりディバインディング・フィールドの海側の端の上空に位置したダイゼンガーとジェネシックを送り届けたマジンカイザーは多数の兵隊に包囲され攻撃に晒され

ていた。
 しかし目立った反撃はせず市街地に兵隊の意識が行かない様に注意を引き付け、気合いをいれ正に『鉄壁』の守りを誇っていた。


「この程度でこの武神装甲は落とせんぞ!!」


「まだまだ!カイザーを落とすにはまだ足りねぇぞ!」


 二人より更に海側の海上には上陸艇三艦の間を縦横無尽に駆け巡る真ゲッターの姿が見える。 


 真ゲッター1が空を飛び多数の兵隊が上陸艇に近づけさせんと畳み掛ける様に突撃を掛けるが、ゲッタートマホークで進行方向に位置する兵隊を磨り潰し、
加速力を生かし振り切る。
 しかし直ぐに別の兵隊群に囲まれ全方位から一斉に突撃を受ける。


「オープンゲット!!」


「チェンジ、ゲッター2!!」


 逃げ場が無いと思われたが、真ゲッターはオープンゲット、三機のゲットマシンに分離する事で回避し直ぐさま真ゲッター2に変形する。
 真ゲッター2はその機動力を生かし、上陸艇を時には兵隊すらも足場にして文字通り空を駆け、翻弄し兵隊の注意を引く。
 そうして引き寄せられた兵隊を海面スレスレまで誘い出す。


「オープンゲット!!」


「チェンジ、ゲッター3!!」


 今度は真ゲッター3に変形し海中に落下、引き寄せられていた兵隊群は追うように海中に誘い込まれるが、海中に入った事により動きが鈍くなった所にゲッターミサイル
を大量に打ち込まれ沈黙する。



「三位一体!これこそゲッターの神髄なの!これは他の機体には真似は出来ないの!!」


 高町なのははゲッターの神髄に歓声を上げ両手をブンブンと振り回す……本当に嬉しそうである。



 場面は更に移りディバインディング・フィールドの陸側の縁に位置したエヴァ三機が、闇の書の闇の無差別な攻撃や墜とされた兵隊の残骸等を、
縁に沿いながら初号機が縦横無尽にATフィールドで防ぎ、弐号機が此方を攻撃する兵隊や市街地に抜けようとする兵隊を攻撃的ATフィールドで叩き落とし、零号機が
そんな二機を射撃武器でフォローしていた。


「ちょっとアンタ大丈夫?顔色悪いわよ」


「だ、大丈夫よこの位、大したこと無いわ!!」


 何時もよりは押さえ気味とはいえ、エヴァンゲリオンの戦闘機動は激しいものであり、弐号機に同乗していたアリサをアスカは不器用にも気遣うが、
アリサは持ち前の負けん気の強さで強がる。


「意地っ張りな子ね……」


《アスカが二人になったみたいだよ……》


「こんなガキと一緒にしないでよ!!」「むっ、それはこっちの台詞よ!このおばさん!!」


「お、おば……なんですって!!アタシはまだ16よ!このクソガキ!」「く、クソガキ!?何よ!!16なんてアタシにしてみればおばさんよ!!」


「「ムキィィィィィィ!!」」


《やっぱりそっくりじゃないか……》



《アリサちゃん……》《弐号機パイロット……大人げないわ》



 この様なやりとりをしながらも一機も後ろに通してないのだから、この三人も大したものである。










                   さあ 虚無に帰れ



  ディス・アストラナガンのこじ開けられた胸部は尚一層輝きを増し、その光は上空から街を照らす程に成っている。
 まるで夜空に浮かぶ月の様に、いや月はここまで禍々しくはないだろうが。













 エヴァ三機の上空では市街地に飛んで抜けようという兵隊をビルト・ビルガーのパイロット、アラド・バランガとビルト・ファルケンのパイロット、ゼオラ・シュバイカー

が迎撃していた。

                           


「チャンスだ!もといピンチだ!!」


 横腹を見せた、兵隊にコールドメタルソードをお見舞いしようとしていたアラドだったが死角から他の兵隊の攻撃に直撃寸前で気づいた。


《もうバカッ!何やってるのよアラド!!》


 しかし直撃寸前、その兵隊は更に上空に位置したゼオラのオクスタンライフルによって打ち抜かれる。


「すまねぇ、ゼオラ、油断したぜ」《アンタ油断出来る身分じゃ無いでしょうが!!》


「まったくゼオラは何時も口やかましくて敵わないよなぁ」《なんですって!!聞こえてるわよ!!》


「やばッ!!」


 何時も通り端から見たら痴話喧嘩にしか見えないやり取りをしながらも、二人の連携は見事なものだ、かつてスクールと呼ばれた兵士養成機関から一緒でありながら
 敵対し、戦い、数奇な運命を辿りながら最後は供に飛べる様になったつがいの猛禽達の連携は一線を画す。
 その見事な連携を見て、フェイト・テスタロッサは感嘆の声を上げる。


「凄い、あんなに息ピッタリで、私となのはでもああは行かないのに……」


 フェイトはリインフォースと戦った時なのはと連携したが、あんなに見事な連携は出来なかったと思い起こした、あの二機はお互いの動きが示し会わなくても
分かって居るように見えた。


「凄いなぁ」


「そうかい?何かあのハサミ付きは危なっかしい感じがするけど……」


 しかしフェイトはアルフの影に隠れっぱなしでビクビクと怯える小動物の様である、なぜなら上空で正にその真骨頂を見せようというディス・アストラナガンを視界に入れ

ない様に頑張っているからである。





《行けトロンベ!シュルター・プラッテ》


 アウセンザイターは両肩に装備された盾をまるでブーメランの様に投擲し、ダイゼンガー、マジンカイザーに群がる兵隊を減らす。


《トロンベ!!ランツェ・カノーネ!!》


 更に、背後からジェネシック・ガオガイガーに襲いかかる兵隊をランツェ・カノーネ、装備されたライフルで撃ち落とす。
 そして今度は自身を標的に襲いかかる兵隊達を地を滑るように滑走しながら翻弄し引き付けると、一気にディバインディング・フィールドを駆け上る。


《行くぞトロンベ!シュツルム・アングリフ!!》


 ディバインディング・フィールドの頂上より一気に駆け下り、両手に持ったランツェ・カノーネを縦横無尽に乱射し、群がる兵隊を一掃する。


《駆けろトロンベ!!》


 アウセンザイターのパイロット、レーツェル・ファインシュメッカーは愛機を駆りディバインディング・フィールド内を駆け巡り、全てのメンバーのフォローに回る。


「なんという機動性、それに凄まじいまでの視野の広さだな……」


「うむ、あの部隊からは見習うべき事が多いな」


 ザフィーラとシグナムは関心しながらアウセンザイターの戦闘機動を見つめる。









 クロノ・ハラオウンはαナンバーズの認識を改めていた。


(これがαナンバーズ、この世界の英雄達)




 英雄、ヒーロー、勇者、色々と呼び方が有るだろうが、これらの人物はどういった人物だろうか?偉業を成し遂げた人であろうか?勇気ある者だろうか?色々な解釈があるだろうが、
それは間違っては居ないだろう。
 それらの力の中で振り向かず、涙を見せず、突き進む生き様、それが背中に現れ回りの者達の勇気を震い起こさせる、それは一握りの人物、英雄譚の主人公の様な人物が持つ力である。
 だがこのαナンバーズのメンバーは、その一握りの英雄譚の主人公の様な人物で溢れかえっている、何とも異常な部隊である。
 数々のメンバーの背中を見て自身の勇気が沸き上がり、その人物の背中を見ては他の人員も沸き上がる、正にそんな相乗効果が捲き起こる奇跡の部隊がαナンバーズなのだ。





 戦うαナンバーズの背中を見て心から沸き上がってくる何処か昂揚した感情を持て余しながらクロノは胸中で呟く。


(質量兵器の凄さに目が行きがちだが、この人達が英雄と呼ばれる訳が分かった……なるほど、あの宇宙怪獣の群れにも躊躇無く飛び込める筈だよ)


「αナンバーズ……これが地球の英雄達か」


「流石に僕でも心が震え立つのが分かるよ」


「何とも凄まじいな、まさかこれ程とは」


 クロノ、ユーノ、ザフィーラの男三人衆は仁王立ちに成りながらαナンバーズを見つめていた。











                       この無限光の中で!!


 ディス・アストラナガンの胸部から発射された禍々しい、いや破滅的と言っていい程に高められた光は空へと昇り、禍々しい雲を呼び寄せそこに見たことも無い様な
魔法陣が描かれる、その内から沸き出でる破滅的な光は指向性を帯び、一条の光線と成り闇の書の闇に向かって降り注いで行った。














 そこに宇宙から落ちてくる五条の紅い流星の内、一条の流星が進路を変え一気に急降下してくる。
 それをいち早く察知したゼンガーは円形に包囲させるように誘導した兵隊の中心から、マジンカイザーと供に地上のディバインディング・フィールド上に落下していく。
 入れ替わる様にその流星はゼンガーの居た場所に到達すると天使の羽を開く、その姿は死を告げる告使天使の様。
  流星、ガンダムウイングゼロ・カスタムは両手を水平に広げる。



《目標、STMC 排除開始》



 ガンダニュウム合金製ガンダムチーム   参戦







「これが主はやての故郷、地球か……私が生まれ、今まで幾多の世界を巡って来たがこれ程の戦力を持つ世界は初めてだ……恐ろしい世界だ、この地球は……」


 リインフォースは天より降り注ぐ破滅的な光線、アイン・ソフ・オウルに圧倒されながらそう呟いた。



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