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[10875] とある転生者の生き方(現実→H×H転生 TS物 習作)七話修正
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/27 22:06

SS読んでて刺激されて書いてみることにしました。
処女作なのでこうしたほうがいい、こんな所が駄目だ、などと思ったら遠慮なく言って欲しいです。





注意
TSあり
恋愛要素あり
オリキャラ多数
オリ主は強キャラになる予定
独自解釈などもあるかもしれないし中二要素も出てくる可能性有り
原作キャラにも憑依
能力微クロス
以上の要素が含まれているので読まれるときは気をつけてください

八月八日
プロローグ投稿

八月十三日
一話投稿

八月十八日
二話投稿

八月二十一日
三話、人物紹介投稿、それに伴い一話と二話修正。

八月二十二日
四話投稿

八月二十三日
五話、六話投稿

八月二十五日
七話投稿

八月二十六日
八話投稿と修正、それに伴い人物紹介更新。

八月二十七日
九話投稿、七話修正






[10875] プロローグ
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/08 03:11
今日はついてない。
薄れゆく景色の中彼は心の中でつぶやいた。
なぜこうなったのだろう、あのときこうしたらという思いがどんどんあふれ出してくる。
そしてその思いはあのおっさんのせいだ、もし遅れてこなければなどと他のものに責任転換をし始める。

だが誰のせいでもないだろう…体がずきずきと痛むがそれらを無視して考える。
皆は悪くないし皆が悪かったのだ。今更後悔してもしょうがないと結論づけた。
そういえば…誰が言ったか「後悔は後からするから後悔なんだ」という言葉が思い浮かんできた。
確かに先に後悔は出来ないなぁ…と思う。

それにもう頭がポーっとし始めてきた。もうお別れの時間がやってきたようである。
思い通りに動かない体を何とか動かし近くにいた人に遺言を伝えたいと思う。
なんだかその人は「動くんじゃない」だとか「しばらくすれば救急車が来る」と言っているがもう自分に残された時間は少ない。
口を動かして声を出そうとするがなかなか声が出ない。遺言を、と途切れ途切れに言うと「なんだ?」と言って僕の口に耳を近づけてきた。

最後に言う言葉だから無念だった的な言葉を言うべきだろう。それならばこの言葉が一番無念さを表せるだろう。僕はそう思いあれを震える手で指差しながらこの言葉を遺言として発した。靴紐……結んで置けばよかった、と。
どうだ、これで僕の無念さをほんの少しでもわかってくれただろうか、と少し自慢げになっているがもう限界である。
体の力が急に抜けてきた。周りが何か言っているがもう聞き取れない。目もかすんでしまっておぼろげにしか見えない。
そのまま僕の意識は闇の中に沈んでいった。





とある転生者の生き方 プロローグ





今日はついてないと僕こと三浦祐一はつぶやいた。
今日は期末試験初日だ。しかも暗記科目が重なっている。普段からまともに勉強していない僕にとってものすごい難所なのは言うまでもないだろう。
なので一週間前から徹夜を重ね、移動時間でも友人からコピーしたノートを眺め、ルーズリーフが真っ黒になるほど書き込んだ。
なのにこんな日に限って寝坊をしてしまったのだろうか?いやむしろ一週間前から徹夜をしていたからこんなことになってしまったのだろう。
起きる事が出来たのはいつも家を出る時間の五分前である。いそいで筆記用具などをカバンに詰め込み、顔を洗い(髪の毛は時間がない。寝癖がひどかったが)、服を着替え、トイレに行ってすっきりして準備を済ませたが5分オーバーしている。

だが走ればまだ間に合う、そう思い玄関のドアを開け放った。
今は7月。外ははた迷惑にも元気な太陽で照らされ続け僕からやる気をどんどん失わせていく。
思わず家に引きこもりたくなるが留年してしまっては不味いとええい、ままよと勢いよく走り出した。

全力疾走したのが良かったのであろう。なんとか駅にはいつも乗っている電車が来る二分前にたどり着いたようだ。
少し休憩したいが中に入ってからでもいいだろうと改札をくぐろうとすると電車の到着時刻が書いてある掲示板が目に付いたのだがそこに書いてある言葉に目を疑った。
なんと目的の電車が何かトラブルがあったのか十分も遅れてくるのだ。

これは不味い。この電車に終点まで乗ってそこから他の電車に乗り換える必要があるのだ。これでは間に合わない。
しかしタクシーを使ってもこれ以上早くつけるとは到底思えない。とりあえず乗って乗り換えの電車までまたしても全力疾走するしかない。

ホームで電車を待っている間テスト内容の再確認をしておく。暗記をしまくったのが功を奏したのかパッと見わからない問題はない。
そうこうしている内に目的の電車がやってきたのである。しかし現実は僕に甘くなかった。電車はついたはいいがいつも以上の満員電車なのだ。
なんでこんな込んでいるのか?と思ったが電車が遅れていたことを思い出した。意を決して満員電車に突貫する。余裕がないのか全然入れないがあきらめるわけには行かない。何とかホームにいた乗客全員乗り込むことに成功したが狭い。とにかく狭い。
それに誰かの肘が体にめり込んでいたいがこういうときはおとなしくしているのが吉である。下手に動くと余計に痛くなる。
途中何度も停車し、そのたびに圧迫されていったがとうとう次で終点である。背中はかなり痛いが耐えるしかない。

やっと電車が到着した。後は階段の上り下りを含めて100mぐらいである。
ドアが開く瞬間を、この空間から開放される瞬間を今か今かと待ち続ける。ドアが開いた瞬間、まるでダムが決壊するかのような勢いで人が流れていく。
しかしこの時に誰かの足が僕の靴紐を踏んでくれたせいで靴紐がほどけてしまった。しかし靴紐にかまけている時間はない。
解けたまま全力疾走である。靴が少しづつぶかぶかになっていくのが気になるが乗った後に結べばいい。

もう気分はまるでメロスのようだった。もう気分はまるでメロスのようだった。ああメロス、小学校のころなんで考えなしに王様非難してんだよって思ったのは悪かった、メロスも必死だったんだね?でもやっぱり考えないだと思いつつ階段を下し、後は直線と下りの階段だけである。
残っている力を全部出し切るつもりで直線も下し、後は下りの階段だけ。乗るべき電車は奇跡的に止まっているがもうドアが開いている事が上から確認できた。
時間がないと階段を飛び降りるような気持ちで駆け寄りようとしたのが悪かったのであろう。解けた靴紐を見事に踏んで階段を駆け下りようとした勢いそのまま頭から階段に飛び降りる羽目になってしまったのだ。
ここから冒頭へとつながるわけだ。

















今思い返してみるとなんとまあな死に方である。もっとましな死に方はなかったものなのだろうか?
と言うより…なんで意識があるのだろうか?言っちゃあ悪いが頭から落ちてしまったのだ正直生きているとは到底思えない。
しかし体の感覚はある。まさか奇跡的に助かったとでも言うのか?しかし代償がこれではいただけない。
目はもともと悪かったがさらに悪くなりぼやけて見える程度である。体も自由に動かせないし声を出そうとすればとこぞのバイオハザードのようなうめき声しか出せない。しかしいつもと聞こえる声が違うのは気のせいだろうか。

それにだ、結局大学には間に合わなかった。まず留年は確定だろうか?それに体はこんな状態である。復学はまず無理だ。
そして今後何十年も誰か他の人の助けがなければ生きていけない生活を送るのだ。この先真っ暗ある。
絶望感を感じ病院独特のあのにおいを嗅ぎつつ目を閉じてそんなことを考えて落ち込んでいると病室のドアが開いた音がしたがそんなものはどうでもいい。
今はこの状況を何とかすることを考えなければならない。とりあえず目はレーシック受ければ何とかなるだろうか?何とかなって欲しい。

そんなことを考えていると誰かに体を持ち上げられたのだ。正直怖い。持ち上げられたことで思考の渦から排出されてしまった。
せっかく現実逃避していたのにと思っていたら口に何か当てられた。なんだかよくわからなかったので吸ってみたところ液体が出てきた。
甘い味である。美味しいのでもっと飲もうと勢いを強めていると話し声が聞こえる。

「おお、吸ってる吸ってる」

「そりゃそうよ?だって生きているんだもの」

誰だこいつら。今までこんな声は来た事がない。病院に面会に来ているって事は少なくとも面識はあるはずなんだが…記憶にない。

「ほら、あなたのせいで機嫌悪くなったみたいよ?」

「本当か?ははごめんな」

と頭に何か当たった感触がある。勝手に人の頭さわるなよ、しかも怪我をしているところに。が、感覚が麻痺しているので痛くはない。
そんな風に憤慨していると話は進んでいるみたいである。

「そうそう、あなた名前考えてきてくれた?」

「ああ、男の子ならネロ、女の子ならナイアにしようと考えてきたんだけど…女の子だからナイアだな。この名前でどうだ?」

何を言っているのだ?僕にはすでに三浦祐一という名前がある。もしやあまり考えたくはないが…もしかしてあれなのだろうか。

「そうね。その名前でいこうかしら」

あれならあれならまだ生きる希望がわいてくるのだが…目を開けるのがすごく怖い。上げて上げて期待させて落とされる可能性があるからだ。
もはや意固地になって目を閉じているとさらに持ち上げられてしまい吃驚して目を開けてしまった。

「あなたの名前はナイア、ナイア=マークウェル。これからよろしくね?」

と私を持ち上げている女の人の顔が見えた。美人ではあるがどう考えてもうちの母ではない。もうこれは認めるしかないのか?
とりあえず返事をしよう。

「あうー(よろしくな)」








どうやら僕こと三浦祐一はナイア=マークウェルという女の子に転生してしまったようである。







[10875] 一話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/21 01:24








少女は逃げていた。
ずっと後ろをついてくる鬼から捕まらないようにするためだ。
足はもう棒のようになっており、ここで気を抜いたらもう走ることは出来ないだろう。
けれど休んではいけないと根気を精一杯まで出し切ろうと頑張る。
しかし鬼はそんな努力をあざけ笑うかのようにじわじわと距離をつめてくる。
必死に引き剥がそうとするがもう遅い。駄目だもう捕まる―――










「よっしゃタッチ!逃げろー」

「ま…待って、ちょっと…無理」

僕にタッチすると今まで鬼だった子は一目散に去っていくが今の僕にはこのまま続けるのは無理だ。
しようがないので周りに伝えて休ませてもらおう。
そう僕ことナイア=マークウェルは子供たちの輪の中に混ざって鬼ごっこをしていた。





とある転生者の生き方 一話





ここは公園である。日本の小さな砂場と鉄棒とブランコしかないような所と違い自然があふれている。例えるならアメリカのセントラル・パークのような所であろうか?
結構大きな公園で芝生有り、遊具有り、林有りと子供が遊ぶにはちょうどいい場所だろう。ちなみに母さんたちはアラアラウフフと楽しそうに会話をしていたはず。
子供たちは子供たちでそんな母さんたちをほっといて遊んでいるのだが大丈夫なのだろうか?怪我したり誘拐されたりとかさ。

遊び疲れてしまった僕は皆から離れて休憩する場所を探しさ迷い歩く。
少し歩くとちょうどいい大きさの木陰が見つける事が出来たのでそこまで歩いていった後芝生の上に仰向けの状態で倒れこんでみる。
空を眺めてみると雲は一つもなく空の青さが良くわかる。気温はそれほど高くなくこんないい天気はそうそうないだろう。
ボーっとしていると少し瞼が重くなってくる。寝てしまいたいがここで寝たら駄目だろうと睡魔と闘っていると不意に自分の名前が三浦祐一からナイア=マークウェルに替わってからのことが頭の中に浮かんできた。

思い返せばいろいろあった。
転生したての頃は元男だったので母乳を吸えて喜んでいたけれどもそれが三日も続くうちに飽きてしまい一週間が経つ頃には嫌になって一度ボイコットをしたみたが理性よりも本能の方が強かったのであろう。
結局一日も持たずに敗走する事になってしまった事それからはやっても無駄だとわかったのでもうあきらめて吸い続けることにした。

他にはこちらの尊厳を奪い続ける排泄の問題もあった。最初はものすごく嫌だったが何度もやっていくうちにもう悟ってしまった。
やる事がなく暇だったので赤ちゃんプレイなどする奴は頭の中はどうなっているのだろう?とかそんなどうでもいいことを実に真剣に考えていた。

後は体が自由に動かないのでなんで転生してしまったんだ!と悲劇の主人公的なことをしていたが今では思い出すのも嫌な第一級封印指定の黒歴史を作ってしまったのも感慨深い。

そんな不便な赤ちゃん生活であったがそれでも得たものはある。それは体を動かすことの楽しさと味の大切さが実感できたのだ。これだけは譲れない。
今まで自由に動かなかった体がどんどん自分の物になっていく、それがものすごく楽しいのだ。動かせなかった鬱憤を晴らすためにハイハイで爆走していたら一歳の時には普通に歩けるようになっていた。
赤ちゃんってこんな成長速度速かったっけ?と思ったが早くて困ることはないだろうとやたらめったらに動いて母さんに手間と心配をかけさせてしまったのは若気の至りなんだろう。

そういえば初めてまともな食事を食べれるようになった時は感動してしまい不覚にも男泣きしてしまい両親を心底ビックリさせてしまったっけ。
こう考えてみると両親には面倒しかかけていない。
なにしろ一回死に掛けたしなぁ…とそんなことを考えていると遊びすぎて疲れていたのかそのまま寝てしまった。







「おーい起きろよ~」

フッと目が覚めた。どうやらあれから眠ってしまったようだ。揺らされているから誰かが起こしているようだが抵抗する

「起きろ~」

もう少しこのまどろみに浸っていたいからほっといて欲しいと思っていたら―――

「起きろって!」

少しビックリして目を開けてしまった。これじゃあもう抵抗は出来ないと起き上がるとアルマがいた。こいつはニグラースさんちのアルマだ。
最初子供との接し方がわからず母さんの陰に隠れていた私をこいつが手を取って引っ張ってくれたおかげで今こうして遊べているわけなのだが…しかしどうなんだろう?大人の僕が子供に誘われないと動けないって言うのは。
私と同じ三歳であるのに周りと比べて大人びているのでトリッパーではないかと疑っている。今度直接的に確かめてみるか……
そんなことを考えながらアルマを寝ぼけ眼で見つめていたらまた揺らされた。

「もう起きてるよ」

「いや、その起きているは信用ならない」

「なるよ」

「ならない」

「じゃあなんでさ?」

「今までそういって起きた奴はなかなかいない。俺もそうだったからだ!」

「……」

「……」

自信満々に宣言するほどのものでもないだろうに…アルマをあきれた目で見つめつつあたりを見回してみるともうすっかり日が傾いていた。
そろそろ帰らないと母さんが心配するだろう。

「まあそれは置いといて戻りますか」

「そうだな」

二人並んで歩き出す。しかしこいつがトリッパーかどうかどうやって確かめようか……頭の中はいっぱいである。
直接聞く、もし違ったら恥ずかしい。漢字などを見せて反応を見てみる、これもどうだろう。案は出るが基本へたれな僕にいいアイデアは浮かばない。
そうこうしている内に母さんたちが待っているところにたどり着いてしまった。

アルマとはそこで別れ母さんの元へ駆け寄っていく。母さんはスレンダーだけど美人だ。
これでいて料理から始まり掃除に洗濯も出来る一家に一人は欲しい、そんな我が家自慢のハイテク母さんである。
駆け寄った後は母さんと手を繋ぎ、皆に別れを告げそのまま夕日に照らされた我が家への帰り道を歩いていく。

「そういえば父さんって今日帰ってくるんだっけ?」

「ええそうよ?早かったら先に家についてるかもね」

父さんは仕事が不定期なので家にいるときといないときがある。普通の三歳児なら寂しいと思うかもしれないがそこは転生者、むしろ帰っていきたときのお土産を期待している。
母さんに今日あったことを話しながら歩いていると我が家に着いた。
まずは郵便物を確認。その次は家の鍵を開けそのまま中に入る。ただいまーの声を出した後は靴を脱ぎスリッパを履いて洗面台にまっしぐら。
専用の踏み台を取り出して手を洗いその後はうがい。外から家に帰ってきた後は必須だ。
うがいを終えた後はソファにダイブ、母さんが晩御飯の支度をしているのを尻目にリモコンを手に取りテレビを眺める。
支度を手伝いたいのは山々だが身長が届かないので邪魔にしかならない。後二、三年経たないかな。

ごろごろしながら時間をつぶしているとチャイムの音が鳴った。

「ナイア~出てきてくれる?」

「はーい」

こんな時間に我が家に来るのは父さんぐらいしかいないのだが…いや、だから僕が行くのか?
そんな疑問を抱えつつ誰が来たのか確認してからドアを開ける。

「ただいま」

「お帰り父さん。それでその手に持ってるの何?」

「ああこれ?アップルパイだよ。帰り道に売っていたからちょうどいいと思って買ってきたんだ。嫌だった?」

「うん?好きだよ?」

そう転生してからというもの甘いものが美味しく感じるようになっていたのだ。前はそれほど好きじゃなかったんだけどなぁ…
どうでもいいことを考えつつ父さんからケーキの包みを受け取り、落とさないように気をつけながら運び、冷蔵庫に入れておく。しかしカロリーは大丈夫だろうか?いや、甘いものは別腹だ。
ついでに母さんにご飯がどれ位でできるかどうかを聞いてみるともう少しらしいのでせめてお皿ぐらいは用意しておく。
お皿を並び終えた後は布巾を受け取りテーブルを拭いた。拭き終えた後は父さんにご飯がもうすぐ出来ることを伝えいつもの指定席に座って待つ。

今日の晩御飯はミートスパゲティとサラダだ。ちなみに僕の苦手な食べ物はきゅうりとトマトそれにマヨネーズとケチャップである。
ただしなぜかきゅうり以外はポテトサラダやチキンライスなどに加工されれば食べられる。なぜだろうか?
そんな疑問が浮かんだのだが三人そろったので手を合わせ、声を合わせて―――

「「「いただきます」」」

まずはスパゲティから。ソースを跳ね飛ばさないように、また口の周りにつけないよう慎重に口の中に運び込む。
美味しい。やっぱり転生してよかったと思うのは物を食べることへの喜びが生まれたことだよ。
今までだったら食べりゃなんでもいいだったからなあ…しかしそんな考えも三ヶ月同じ味ですごせば簡単に変わる。料理は味だよ、母さん。
そんな風にしていると両親は温かい目で私を見ている。何度見られてもこの目線だけはなれない。ほっといてサラダを食べる。

「うん、やっぱり私たちの子供は可愛いわね」

「そうだね。だけど君も可愛いよ?初めてハンター試験で見たときなんか誇張なしに心臓止まったと思ったさ」

のろけ話をし始めた両親を無視してスパゲティを食べる。やっぱり美味しい。
正直のろけ話は何度も聞いたから飽きているのだ。
ふとテレビから流れてくる音声を聞いているとああそういえば三年前のこの時期一度死に掛けたんだよなぁと思う。

「はーい、レポーターのヨーコです。ヨークシンシティは例年通りオークションが開催され人の流れで―――

誰も聞いてないのでリモコンを操作してテレビを消しておく。消した後はリモコンを置いてスパゲティを口の周りにつけないよう気にしながら黙々と食べる。
三年前一度死に掛けたのは両親ののろけ話に反応した止めにテレビからの音声にビックリしてしまい食べ物が喉に詰まったしまったからだ。
あの時は本当に天国にいけるかと思った。今でこそそんなに驚かないが憂鬱な気分にさせてくれる。
食べ終わったら今後の方針でも考えないと。

そうここはH×H世界。一般人として生きようにもキメラアントのせいで死んでしまうかもしれない、そんな世界に転生してしまったのである。






後書き
書いているとこれで面白いのかどうかわけわからんようになってくるのは俺だけでは無いはず。
どうでもいいけど作者の膝がピンチ。シップ張ったら染み渡るような感覚が!



[10875] 二話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/21 05:51




ピピピピピピピピピピピピピピピピ





煩く鳴っている目覚まし時計をベッドから出ずに手探りで止めようと試みるが見つからない。
しょうがないので布団から体を起こし目覚まし時計の頭を叩いて止める。
ついでに時間を確認するといつも通り7時だ。母さんと父さんはすでに起きていてベッドにいない。
正直早く一人部屋が欲しいけどまだ先のことだろう。


もう少し寝ていたいけれどもその欲求を振り払いベッドから降りて二階の寝室から一階にあるトイレを目指し駆け下りる。
年を取って本当に良かったと思うことは自分でトイレに行けるようになった事だと切実に思う。
さようならオムツと尊厳を奪い続ける日こんにちわオネショに怯える日々。
体が小さいから寝る前に水を取りすぎると翌朝には堤防が決壊しているのだ。
朝起きたときに股の辺りがぐっしょりしていたときの絶望は計り知れない。


そんな今だ生産される黒歴史は記憶の片隅に封印してトイレを済ませた後は洗面台に向かう。
まだ身長が届かないので僕専用の踏み台を取り出し何とか届かせる。
まずは顔を洗いサッパリした後は鏡を見ながら髪に付いた寝癖を直す。
ちなみに現在の僕の顔はなかなか可愛く将来が明るそうだ。ただ髪の毛と目の色が黒なのは少し残念だ。前世では髪の毛はそう伸ばした事がないので伸ばしてみるかな。
そんなことを考えつつ髪の毛を整えた後はリビングに行き両親に挨拶をする。

「おはよー」

「「おはよう」」

二人そろって挨拶を返された。父さんはソファーに座りながらテレビを見ているし母さんは台所で朝食を作っているようだ。
台所へ行ってみるが特に手伝うことはなさそうなので布巾を取ってテーブルを拭いていつもの場所に座って待つ。
しばらくすると朝食が運ばれてきた。
今日は一般に洋食の朝食といえばなんでしょか?的ななメニューだ。
具体的に言えばこんがりとキツネ色に焼けた食パン(バターとイチゴジャム付き)とベーコンエッグにサラダと牛乳(両親はコーヒー)だ。
食卓に三人がそろったので何時も通りに手を合わせていただきます。


まずは食パンから。
まずは何もつけずに一口。ちなみに一番好きなところは耳の所だ。カリカリして美味しい。
次にバターをよく付け食べる。一旦牛乳を飲んでからその後はイチゴジャム、甘酸っぱくて美味しいです。
食パンを堪能した後はサラダに移行。レタスとかシャキシャキして美味しい。
その後はベーコンエッグだ。フォークで刺してナイフで切る。これぐらいの作業なら簡単に出来る。自由に体が動かなかったときから積極的に動かしてきた効果が今ここに!
切ると半熟な卵がとろりと零れてくるが落とさないように口に入れる。後は残った食パンを食べた後は牛乳を飲んでご馳走様。


食べ終わったらお皿などは自分で流しまで運んで水につけておく。
浸けたらまた洗面所に行って歯磨きをする。虫歯になって歯医者には行きたくない。
歯を磨きながら今日の朝食を考える。


やっぱり母さんの料理は美味しい。転生してからは味の大切さは嫌というほど理解できた。母さんが元美食ハンターであって心から良かったと思う。
ハンター家業は僕を妊娠した事がわかったので引退したんだとか。
ちなみに父さんは現役のハンター。金目当てに誘拐されないだろうか?H×H世界だから不安になる。
ちなみに念は父さん母さんに教えてもらうつもりはない。聞いたところで誤魔化されたらどうしようもないし、どこで知ったか聞かれても困る。
それに……たしか念覚えると老化防ぐそうで、なら成長もゆっくりになるんじゃ?という疑惑からまだ覚えるつもりはない。ところで瞑想って一日何時間やればいいんだろうか。


歯を磨いた後はソファーに座りながらテレビを眺め食休憩に勤しむ。
窓から見える天気は昨日の天気予報どおりに晴れている。
ほとんど聞き流しているテレビから流れてくる音声は特に興味を引くものはない。
暇だったのでだらだらしているといつの間にか8時になっていた。


外は晴れているのでいつも通り体を鍛えるという名目の散歩に行ってくる。
小さいときから体を動かしておけば運動神経とか鍛えられるだろう。
ただ三歳児を一人で歩きに行かせて大丈夫なんだろうか?そこいらの子供とは全然違うけど。
そんな疑問を抱きつつドアを開け外に出る。出るときに行ってきますは忘れない。


歩いてくるのは家の近くを一時間ぐらいだ。
この辺は住宅街になっており飛び出しさえしなければまず車に引かれることはないから安全に歩ける。
体を動かすのは楽しい。
赤ん坊のときは全然動かせなかった反動だろうか体を動かすことがものすごく楽しくなってしまった。
しかも大気にプロテイン配合で有名なH×H世界だ。この体がどこまで動くのか少々確かめてみたい。


歩きながらこれからどうするかの方針を考えてみる。
まずはキメラアントだ。
こいつ下手すると世界が終わるからなあ。
一番いいのはまず流される前の巣で殲滅、二番目は流された後何かを生み出す前に殲滅、三番目は王を生み出す前に殲滅、最悪なのは討伐隊として乗り込むことだ。
これは自分以外にもトリッパーがいるかもしれないからその人たちと繋がりをもって情報交換、その後協力してキメラアント殲滅を成し遂げたい。
あれがいるだけで気分が憂鬱となる。なんでもっと平和そうなリリカルな世界や赤松世界に生まれなかったのか。
いや手の打ちようが無いマヴラブ世界や意外と危険なゼロ魔世界に転生しなかっただけましなのだろうか。


後は問題としてどうやって知り合うかだ。
これは今考えてもしょうがない。とりあえず身近にいるあいつをどうするべきか。

「アルマの事どうするかな……」

と歩きながら独り言を呟く。


アルマがトリッパーかどうか確かめるにはどうすればいいだろうか?
もしトリッパーであれば今後の方針の相談が出来るし、念を覚える場合一人でやるより二人でやった方が楽しいからなあ。
まず確かめる案を考えてみよう。


プラン一、真正面からトリッパーかどうか聞く。
これは可もなく不可もなくといった所だ。基本ヘタレな僕に直接聞けるかどうか、それに違った場合なんだか気まずくなりそうなので保留。


プラン二、前世の歌でも歌ってみる。
却下。音痴な僕に歌を歌えと?それなんて無理ゲー。


プラン三、漢字でも見せてみる。
却下。どんな流れで見せればいいんだよ!


プラン四、なにか漫画の台詞でも出してみる。
却下。どんな流れで(ry


どうしよう自分の発想力のなさに絶望した!もうこれは直接聞くしかないのかね……と気がついたら折り返し地点に着たのでUターンして歩いてきた道を再び歩く。
とりあえず今の所はプラン一で行くしかないようだ。
ならばアルマに対しどのように聞くかを考えないとな……


それに直接的に聞くとしてもどのようなタイミングで聞くのかも考えないと。
まず二人っきりにならないと、他の人がいたら邪魔されかねないし。
これはまあ遊んでいる内にちょうどいいタイミングが出来るのを待つしかない、か。





とある転生者の生き方 二話目





今日は決戦の日だ。
とりあえずの予定としては何時も遊んでいるグループに入る→遊んでいるうちにチャンスを見つけ後で話があると取り付ける→二人っきりになった後に聞く。
これが大まかなプランである。問題は聞く事が出来るか、そしてもしトリッパーじゃない場合だ。
一番不安なのは聞く事が出来るか?だけど心の準備は遊んでいる間に整えてしまえばいいか。それにもしトリッパーじゃなくても問題はないしね。
まあ何とかなって欲しい。それにしても何で好きな人に恋心を告白する心境みたいになってるんだろう?まあ似たようなもんだけど。


正直穴だらけな気がするが一応の予定は立てた。後は公園に向かうだけだ。
まだ9月なので服は半そでのTシャツに半ズボン、それに熱中症予防の防止も忘れない。
母さんが見たらまたそんな格好と言うかも知れないがまだ女物を着る心の準備は出来ていない。
一回せがまれて着てみたがどうも女装しているように感じてしまうのだ。
もう少し女であるといった自覚が出来るまで待って欲しいと思う。


準備を済ませ母さんに今日は一人で行くと伝えておく。どうせ母さんは父さんと仲良くやっているだろうし。
いってきまーすと大声を出して玄関から飛び出る。
外に出ると太陽がさんさんと照りつけていて少々暑い。
空を眺めてみるとむかつくぐらい澄み切った青空が広がっていてこれから曇る予定は全くなさそうだ。
これから涼しくなることを祈って公園に歩き出した。

(しかし転生したっていうのに転生したって感じが全然しないのはなんでなんだろう……)

そう心の中で呟く。
やっぱりこのコンクリートやアスファルトたちがあるせいなのだろうか。
しかしよく見てみるとやっぱり日本とは違う。なんだか空気が違うように感じるし掲示板や看板などの文字がハンター文字だ。
そういえばハンター文字ってひらがなに変換できるらしいから楽だなぁと思う。まだ勉強してないから読めないけど。
それにジャポンがあるから一応外国語使えるはずなのでいざという時の職は安心だ。


しかしこの世界では漢字ってなんて呼ぶのだろう。そもそも中国とかはあったのだろうか?と考えていたら公園が見えてきた。
いよいよ決戦のときである。そう思うととたんに心臓がドキドキしてきたのでここは踏ん張り時だろうと顔を両手で叩き公園に突撃する。
この時間であればいつも集まっているグループが出来上がっているはずだ。
遊んでいるうちに心の準備を済ませて話したい事があるから一人で来て欲しいと言えればもう逃げ場は無い筈。
そう思いキョロキョロと目や顔をせわしなく動かして公園内を探すがなかなか見つからない。
今日は来ていないのかな~と思いつつ探していると目的であるアルマは見つける事が出来た。ただし一人で。

(なんで一人なんだよ……いつものグループで遊んでいる内に心の準備を済ませようと思っていたのに。いや周りがいないって逆に考えればチャンスなのか?)

思いつめた顔をしながら頭を抱え、思考の海に沈んでいると誰かに肩を叩かれ意識が浮上してしまった。
なんだよ人がせっかく考え事をしているのに……と内心憤りながら顔を上げてみるとなぜか目の前にアルマの顔があった。

「うぉう!」

慌てて飛び跳ねるようにアルマの傍から離れる。
ビックリした。気がついたら目の前にアルマがいるもんだからつい「うぉう!」なんて声が出てしまった。
てかなんだ「うぉう!」って。もっとましな驚き方があるだろうさっきの僕!

「ビックリしたじゃない!それに何時の間に目の前にいたのさ」

「いや、なんだか面白い動作してたから気になって声かけたけど反応なかったから肩叩いたんだけどさ。てかさっき何してたんだ?」

「い、いやアルマには関係ないよ?多分……」

「なんだよ多分って……」

考え事していた僕が悪いのか?いや傍から見れば間違いなく僕が悪いのか。
アルマの方を見てみるとものすごい不審者を見るような目で見られている。ここは話題をそらさないと。

「え、ああ、そういえば皆は?いつもの時間だったら大体集まってるはず……なんだけど?」

「さぁ?」

「さぁ?って……」

「だっていないんだからしょうがないだろ?何もすること無いなら家に帰るしかないけどさ」

さてどうしようか。このままだとアルマが帰ってしまいかねない。かといって心の準備は出来ていない。
とりあえず時間潰しをするしかないか。

「ねえアルマ」

「なんだ?」

「とりあえずさ、皆後から来るかもしれないからもうちょっと待ってみない?どうせこのまま帰ってもすることもないし」

「でも何をするんだ?」

「いやさ、せっかく天気がいいからあそこの木陰にでも入って空でも眺めて時間潰さない?」

「まあ……帰ってもやること無いからそれでいいけど」

「それじゃあここから移動しますか」

まずは第一関門突破。後は心の準備を済ませば周りに邪魔な物は無い。
特に会話を交わすことなく木陰までテクテク歩いていく。
木陰に入るとさっきまでの暑さが幾分かマシになった気がする。
空を眺めるために寝転ぶと草が肌にチクチク当たってこそばゆい。


人工的なものだけど自然はいい物だ、前世じゃ全然触れられなかったからなぁなんて考えながら横で寝転んでいるアルマの顔を見つめる。
こいつも黒髪黒目である。せっかく転生したのだからピンク色や青色の髪の毛を見てみたい。なんて考えているとアルマから声をかけられた。

「何?」

「いやさ、こっち見つめながらボーっとしてたから寝かけてるんじゃないかと」

「まだ眠くないよ。でもこうやってボーっとするのもたまにはいい物だね」

「まーな」

そういって二人でだらけている。しかしずっとこのままではいられない、か。
もうそろそろ覚悟を決めて話し出すしかないか……上半身を上げアルマの方を見て話しかける。

「あのさ……アルマ、話があるんだけど」

「何だ~」

「一応大事な話なんだからもう少しシャンとして欲しいんだけど……」

と緩んでいるアルマの方をジト目で見つめるとしようがないかと言わんばかりにゆっくり起き上がりこっちを見てくる。
正直だらけてもらっといた方が良かった。緊張してきて言葉が出ない。

「えーとさ……」

「ああ」

「あのさ……」

「ああ」

「……」

「……」

「……」

「……」

こ、言葉が出ない。後一息で出そうなのにいざ出そうとするとものすごく出ない。

「……えーとさ、話が無いなら寝てもいいか?少し眠たくなってきた」

まずい。相手が話を聞く体制ではなくなってしまう。ええいままよ!

「いや、その、ね?こう……頭の中では聞きたい事があるんだけどなかなか言葉として出でこないっていうか……」

「……」

「そう!言葉に出来ない思いって感じでね?口から出ないんだよ」

「あ~落ち着け、まだあわてるような時間じゃない」

「まあそうなんだけどさ。あきらめたらそこで試合終了だよね!」

「ああ……そうだな」

とにかく落ち着こう。頭に浮かんだ文章そのまま相手に伝えてやればいい。
まずは深呼吸して気持ちを落ち着かせてからもう一回尋ねなおそう。すーはー、すーはー、良し。

「あのさ、アルマ。」

「なんだ?」

「前世ってあると思う?」

「俺はあると思う。てかナイアはどうなんだ?」

「うん、あると思う。こんな事言うとさ頭大丈夫かって言われるかも知れないけどさ実は―――」

「前世で死んでH×H世界に転生しちゃいました。って言いたいんだろ?」

「え?ああ、うん。そうなんだけど……え?」

なんでこいつは僕の言いたいことを……いや元々トリッパーだと疑っていたんだけどさ。
っていうことはアルマ=トリッパー?え?と混乱している頭をまとめようとしてアルマの方を見ているといない。
すぐにあたりを見回すとアルマはいつの間にかかなり離れており僕の方を向いて大声で―――

「それじゃ話それだけなら帰るな~」

と言って走って帰ってしまった。
とっさに追いかけようとしたけれどもう追いつけそうにも無い。

「えーっと……結局アルマはトリッパーでいいの?」

と独り言を確認のために出して立ち上がった後は体についている草を払い落とす。
一応やることはやったんだから、と自分を励ましたが胸に少々のモヤモヤを抱えつつ家に帰るのであった。




















ナイアから逃げ出してきて今は家に帰る途中だ。
まだ太陽は空に上がっており無駄に熱を放射してくる。せめて直射日光を避けようとちょうどいい影を探してみるが無い。
せめて曇らないかと手をかざしながら空を見てみるがいまだ快晴である。太陽を心の中で呪いながら今日の事を思い返してみる。

(まさかナイアがトリッパーだったとはなぁ……まあそうじゃないかとは疑ってたけど)

と心の中で呟く。
最初に会ったときから他の子供たちとどこかが違うと思っていたのだ。
それに前世の漫画ネタに同じ漫画ネタで返した後に前世があるか?なんて聞かれたら十中八九トリッパーだとしか思えないだろう。実際そうだったし。
こちらからもいつか問いただしてみようとは思ってたけど向こうから話してくれたのは良かった。
にしてもあそこまで混乱しているのを見たのは初めてではないだろうか?あのきょとんとした顔とアワアワしていたのを思い返すだけで笑えてくる。


正直子供と遊ぶのは嫌いではない、がだ。さすがに毎日はきつい。
しかもいきなり予想もつかない行動をしてくれたりするのに抑えられないという体は子供、中身が大人な俺からすればヒヤヒヤ物だったのだ。
ナイアがトリッパーだという事で心配しなくても良くなったしそれにこれからどうするかの相談役が出来たと思うと心が軽くなる。
今日は公園に来て良かったと思いながら帰り道を歩いていくのだった。













後書き
暇だったのでマウスの掃除をしていたら大量のホコリが出てきてあせった。
しかも掃除をしたせいかマウスの真ん中の奴(ページをスクロールするときに使う)がやたらヌルヌル動くようになってしまって気持ち悪い。
それとノヴって系統何なんでしょうね?。個人的には放出系だと思うんですけど。



[10875] 三話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/21 05:51





チュンチュン

鳥たちのさえずりを聞きながら、住宅街を歩く。
もう十月になった事とまだ太陽が昇ってからそんなに経っていないので今の気温は少し涼しい。
どうでもいいけどあのさえずり、縄張り争いかなんかだったっけ、と思い返しながら目的地まで歩く。

(しかし何で僕がこんなことをしなくちゃいけないんだろうか……)

そんな事をふと思ってしまう。
それもこれもあいつがしっかりしないのが一番悪いのだろう。
話は合うし、結構やさしい所があるので、前世を含めた個人的好感度ランキング上位入賞していたのに……

「はぁ……」

ため息が出てくるものである。
まあいい、目的地には到着したので、後で鬱憤を晴らさせてもらおう。
どのようにして鬱憤を晴らすかを考えながらインターホンを押す。

ピンポーン

押した後、少し待つと鍵がはずされた音がして、中から人が出てきた。

「ああナイアちゃんおはよう、今日も早いわね~」

「フィーネさんこそおはようございます。別にいつも通りですよ」

「まあいいわ、中に入って?」

「はい、おじゃましまーす」

そう目的地はアルマの家である。
中に入って靴を脱ぐ、ちゃんと向きはそろえ、スリッパを履いてフィーネさんに一声掛けてから二階へと繋がる階段を駆け上がる。
上りきったら少しまっすぐ進み、右手に見えるドアをノックもなしに勢いよく開ける。
どうせあの馬鹿はまだ寝ているだろう。その予想はあたり、ベッドの上でだらしのない格好をしながら気持ちよく寝ていた。


人が毎朝起こしに来ているのを知っているだろうに……気持ちよく眠っているアルマを見ているとイライラしてきたが、飲み込む。
まずは布団をはいで、肩を掴み揺すってみるが、起きない。
しかも寝返りをして尻をこっちに向けてきたのがイラっときてしまい、思わず尻を蹴ってしまった。

「いったあああぁぁぁ」

尻を押さえて転がるアルマを尻目に、はいだ布団を綺麗にたたんでおく。
その後部屋を見てみるがやっぱりアルマには一人部屋は早いだろうと思う。実際目覚まし掛けても起きられないし。
静かになったのでアルマの方を見てみるが、なぜか恨めしい目で見られたのでこちらも白い目で見つめ返す。
そのまま時間だけが過ぎていったが、面倒くさくなったので話を切り出す。

「あのさアルマ、毎朝毎朝思うんだけど……何で目覚まし掛けて起きれないのさ?」

「いやその前に尻、蹴る事はないだろう」

「なんでさ、誰が起こしてあげてると思っているの?それと何で僕が、主人公の世話焼きな幼馴染ポジションになっているのか教えて欲しいんだけど」

「それは……うん、俺が……悪いな」

「なら自業自得だね、尻蹴られたの」

そう、こいつが起きられないのが悪いのだ。
アルマを白い目で見つつ、早く着替えさせるために言葉をつむぐ。

「それじゃ先、下降りてるからさっさと準備済ませてね?」

「わかったよ」

その言葉を聴いてアルマの部屋を出る。
下についたらリビングに向かい、アルマの母さんに起こしたことを伝える。

「ああ、フィーネさん。アルマ起こしてきましたよ」

「何時も悪いわね~待っている間お茶でも飲む?」

「はい、もらいます」

そういってフィーネさんは台所へお茶の準備をしに行った。
待っている間椅子に座って、テレビでも見ながら時間を潰していると階段から勢いよく駆け下りてくる音が聞こえた。多分アルマだろう。
そのままリビングには来なかったのでトイレにでも向かったのだろう。
カタッ、と音がしたのでそちらを見てみるとフィーネさんが紅茶を持ってきてくれた。ちなみに砂糖と牛乳付きである。

「はい、どーぞ」

「いただきます」

フィーネさんが入れてくれた紅茶をまずはストレートで飲んでみる。美味しいがあまり好みではないので備え付けの砂糖と牛乳を混ぜてミルクティーにして飲む。
やっぱりこっちの方が好きだ。それに僕は猫舌だし。そうやってミルクティーを楽しんでいるとリビングのドアが開いたので頭を向けて見ると着替え終わったアルマが入ってきた。

「着替え終わったぞー」

なんて声を掛けてきたので残っていたのを一息で飲み干す。
飲み干したらフィーネさんに美味しかったです、と伝えるのは忘れない。

「それじゃあ、行きますか」

「えっと、俺腹減ってるんだけど……」

言っている事がわからない……イカレてるのかこの状況で。
発言を無視してアルマの首根っこを掴み玄関へ向かう。

「それじゃフィーネさん行って来ます。」

「いってらっいゃーい」

アルマが何か言っているが無視してそのままアルマの家から出発したのだった。





とある転生者の生き方 三話目





アルマと二人で静かな住宅街を歩く。
隣でぶつぶつ何か言っているがどうせ聞いてもしようがないので無視する。
が、少々うるさいのでそろそろ機嫌を直してもらおうか。

「あのさ、アルマ。おなかが減っているのはわかるんだけど、それなら早く起きればいいじゃない」

「いやさ、それはわかってるんだけど体がベッドという名の魔物に捕らわれていてな」

「なら早く寝ればいいんじゃないのさ?昨日、何時に寝たの?」

「十一時だけど……ナイアは何時に寝てるんだよ」

「遅い!こちとらもう九時には寝る体制に入っているよ?」

「早いよ!それはいくらなんでも早すぎるだろう。常考」

そうだろうか?見たいテレビもなければネットもないのだからさっさと寝ていたのだが……
しかしそれにしても……

「まあいいけど、なんで二人で散歩するようになったのか覚えているよね?」

「ああ、会議で決めたのは覚えているよ……」

そう、あの暴露大会から三日後、アルマと今後の方針を決める会議を行なった。
もう原作の知識も薄れてきている。なので覚えているうちに対策を立てたかったのだ。
そこで決まったのは……

まずH×H世界最大級の死亡フラグ、キメラアント対策だ。
これは二人とも何月何日のどこに漂流したのか忘れてしまったのでお手上げ。
なので他のトリッパーを探し当てて情報共有、そして討伐隊を立ち上げようということで決着。


じゃあどうやってトリッパーを探すのか?となったがそこはアルマが

「あんまり原作に興味が無かった俺でも原作キャラや原作イベントとか見てみたいから他にも見たい人はいるんじゃないか?」

と言ったのとそれ以上の良策が見つからなかったので原作のハンター試験に参加が決定。


さらにハンター試験に参加するために体を鍛えるのと念を覚えることに。
そのため、これからは毎朝二人で散歩をすることになったのだが……最初は良かったものの、アルマは少しずつ遅刻し始めたのだ。
挙句の果てに、朝に僕がわざわざアルマの家まで行って起こす羽目になってしまった。


ちなみに念は、二人とも誕生日が一月なので五歳になったら瞑想を始めようという事になった。
何故かというと、念が老化を抑えるなら成長も止まらないか?と話が膨らんだのだ。
中身が大人な僕たちにとって、最大の天敵であるオネショとは早くオサラバしたかったので五歳から、ということになった。

両親に無理やり目覚めさせてもらう、って案もあったが下手に聞けば問い詰められるか、はぐらかされるかの二つだ。
それに……靴紐踏んで死んでしまう僕の運で無理やりしたらどうなることか。
そう言ったらアルマは納得してくれた。元々無理やり目覚めさせるのは、会議だから出しただけで乗り気ではなかったようだし。
念に自ら目覚めてしまえば、父さん母さんも念能力を教えざるをえまい。
それとハンターに僕はなる!って両親に伝えたら学校に行かなくて済むかも、といった黒い考えがあるのは否定はしない。

「最初、誰かさんは朝から散歩するって言ったら「走れよ」なんて言って笑ってくれたけどね」

「悪かった。それは謝るよ」

と言って両手を挙げたのでここまでにしてやるか。

「それじゃ、ペース上げて早くご飯食べないとね」

「むしろ今から家に戻らないか、まだ間に合う」

「駄目だよ、日課は毎日やるから日課なんだから」

日課は毎日やるから日課なのだ。
まあお腹が減ってるっていうのはわかるけどさ。










そんなこんなで時間が過ぎて今日は十二月三十一日、いわゆる大晦日である。
今では日課の散歩はジョギングに進化して、今までより時間と距離を伸ばした。
ただし、なぜかアルマは、毎朝僕が起こさなければ駄目な状態がいまだ続く。
もう完璧に世話焼きな幼馴染ポジションは僕のものになってしまった。
そもそも他のポジションに該当するような親しい異性の存在は知らないのだけど。


今日もアルマと一緒に走る。
冬になってしまったので風が冷たいが、この街の気温は日本と比べるとそこまで下がらない。
だからといって寒いものは寒いのだ。現に露出している頬が少し痛い。
もし手袋をしていなかったら手もかじかんでいるだろう。
そんな事を気にしながら走っているとアルマが話しかけてきた。

「なあ」

「何?」

「大晦日といえば蕎麦だけどこっちにはないんだよな……」

「ごめん、僕あったかい蕎麦駄目なんだよ。だから大晦日のときはうどんだった」

そう言うとアルマが冷たい目で見つめてくる。
正直そんなに見つめられても困る。いいじゃないか好き嫌いが少しぐらいあってもさ。

「別にうどんでも問題ないと思うけどなあ。」

うん、あのうどんは美味しかった。大晦日のときだけわざわざ出前で頼むのだ。
海老の天ぷらによくうどんの汁を染み込ませて食べるのが紅白などに興味のなかった僕の楽しみだったのだ。
思い返すと口からよだれが垂れそうになった。危ない危ない。

「確か細く長く暮らせますように、って意味合いで食べるんだっけ?」

「確かそれであってるはず」

「ならさうどんの方が縁起良くない?太く長く暮らせますようにって。僕はそっちの方がいいけどなあ」

「そう言われてみるとなあ……」

「でしょ?だから僕は間違ってはいないんだよ」

とアルマの方を見ながら自信満々に、そして勝ち誇るように宣言する。
対するアルマはやれやれだぜ、と言わんばかりである。なんか悔しい。

「んじゃ、ナイアの分の蕎麦は無しだな。父さんの親戚がジャポンに旅行に行ってお土産にってくれたんだけどさ」

「え?」

「せっかくナイアにも食べさせてやろうと思ったのになあ~蕎麦は食べられないようだからしようがないか」

「う……」

それとこれとは別問題だ。なんだかパチモンくさい名前だけど形はしっかり日本なのだ。
ならば食も同じなはずだ。せっかくの縁起物なのだから食べたいが……ここまで言ってしまうと後に引けない。
アルマを上目遣いで恨めしく見つめてやる。怯んでいるようだがやめてあげない。

「ま、いじるのはこれぐらいにしてだ。どうする?晩御飯こっちで食べるか?」

「別にいいよ。どうせ僕は蕎麦食べられないから」

と言ってそっぽを向く。
正直食べたいけどここで屈したら負けだ。
なんだかよくわからない意地を働かせて誘惑と戦う。
そんな僕の内面を知っているのか知らないのか、アルマは僕を見てニヤニヤしている。

「じゃあ、ナイアの分だけザル蕎麦にしてやるからさ」

「何その嫌がらせ。なんで冬にザル蕎麦すすらなきゃいけないのさ」

「そうじゃないと食べられないんだろ?実際食べたいみたいだし」

「そ、そんな事はないよ?」

「どもりながら言われても説得力ゼロです。本当にありがとうございました」

「う……」

もう意地張るのやめようかな……と心が揺らぎかけるが我慢。
後もう少しアルマが進めてくれれば食べてあげなくもない。
そのまま黙っているとアルマはとんでもないことを言いやがった。

「うんじゃ、後十秒待つからそれまでに言わなかったら食べさせないからな」

「え?」

「十、九、八、七、六」

う、もうゴールしてもいいよね?でもゴールしたら負けだし……
ええい、もうどうにでもなってしまえ!その勢いのまま思いのたけを口から出す。

「五、四、三―――」

「わかった!食べるよ、むしろ食べさせてください!」

と大声で叫ぶ。
叫んだ後は瞬時に顔が真っ赤になったのが鏡を見なくても実感できた。
赤くなっているのを見られたくなかったのでそっぽ向くが、耳まで赤くなっているのには気がついてなく、アルマがにやにやしていたのをナイアが知る由もない。

「わかった、じゃあ母さんに言っとくから五時にはこっち来いよ?」

「わかったよ」

その後は少し気まずくなり特に会話を交わすことなく、出発地点であったアルマの家に着いた。
さすがにその頃になると気まずさはなくなり普通に話し合える。
運動後のストレッチを忘れずにやり終えた後、アルマに家に帰ることを伝える。

「それじゃ僕もう帰るね」

「また後でな」

「そうだね、じゃあまた後で」

そう言って家路に着く。
また家まで走って帰ろうか、とか蕎麦楽しみだなとか考えていたらアルマに呼び止められた。
なんだろうか、と思いつつ立ち止まって話を聞く。

「ああ、そうだナイア」

「何さ?」

「俺たちの縁は太く長く続けような」

「そうだね」

くさい台詞がくるとは思わなかったが笑顔で返す。
少し気分が良くなったまま家に走って帰った。

ちなみに、アルマの家で食べた蕎麦は思いのほか美味しかったです。





後書き
これ念覚えるのまだ先なんだけどもう飛ばしてもいいよね?って気分になりそうなぼーるです。
完結させる気ではいるけど完結するの何時になることやら。それとアルマの念能力、元ネタ再現しようとするとマジ反則クラスに。しかも誓約が思い浮かばない。
ナイアはやたら誓約ついてるのに……

どうでもいいけど家族で焼肉やった。俺以外の皆、肉がなくなったらすぐ置いていくのはやめて欲しかった。
父:家族が全員、そもそも食べる準備が出来る前に肉を乗せまくって焦がした。
母:焼けた後にどんどん鶏肉を置いていって火炎地獄を作り上げた。
姉:ウィンナーが欲しいと取ってきて全部投入。俺は止めたが父、母両名が賛成、しかし母の火炎地獄に巻き込まれたので黒焦げに。
妹:肉を一枚一枚分けずに塊のまま乗せて焼きやがる。そしてそれを食べて焼けてないと網にリバース。
俺:蚊に刺されながら火をおこした。肉が焦げないように焼けた肉を安全地帯によけるも食べずにすぐ肉を置かれた。
  火炎地獄に立ち向かったが半分以上が炎に包まれていたため好きだった鶏肉が黒焦げに。



[10875] 四話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/22 14:56




ピピピピピ、ダンッ





煩く鳴っている目覚まし時計の頭を叩いて止める。
今日は鳴る前に起きた。なんだか目覚まし時計との勝負に勝ててうれしく思う僕がいる。
しかし今日はなんだか暗い。
何でだろう、と思いつつさっさとベッドから降りようと思うが今は一月、当然寒い。
布団の中に篭りたい誘惑がふつふつと沸いてくるが、何とか我慢して脱出する。


やっぱり寒いから布団に篭りたい。
だけどここで布団に戻ってしまうわけにはいかないだろう。
肩を小さくして寒さに耐えながら、窓に近づきカーテンを開けてみる。
見えたのは、何時も見る澄み切った青空と太陽の光が差し込む、晴れやかな景色とは違い、どんよりとした雲が空を覆いつくし雨を降らしている光景だ。


ああそうか、今日は昨日の天気予報のどおり朝から雨が降っていたのか。
道理で外が暗くなっているわけだ。
しかしせっかく冬なのだから雪が降ればいいのに。


そんな事を思いつつ一階に降りてトイレを済ました後は洗面所にいき顔を洗おう。
僕専用の踏み台を取り出して鏡に自分の顔が映るように調節する。
調節を終えたら蛇口をひねって水を取り出し顔を洗うために掬おうとするが―――

「つめたっ!」

冷水が出てきて思わず大声を出してしまった。温水に出来なくもないけど面倒くさいので覚悟を決めて掬い取る。
そんな水で顔を洗っているのだからもう完全に目は覚めている。
鏡を見て目ヤニは無いか、よだれの後は残っていないかをしっかり確認。
後は髪に付いている寝癖を取るだけだ。

(しかし髪の毛伸びたよなぁ……)

寝癖を取りつつ、そう思う。この黒い、いや、むしろ漆黒と表現した方がいい髪は僕の肩甲骨の辺りで切ってある。
今後どうするかな、腰の辺りまで伸ばすか、肩のあたりで切るか。
伸ばせば夏は暑いし手入れが面倒だ、しかしなんとなく伸ばしてみたい。
切れば冬は寒いが手入れはらくだ、でも切るのはもったいない。


だから今は現状維持でいいか、そう思いながら寝癖を取り終えた髪の毛をポニーテールにする。
基本的に髪型は三つ編みやポニーテールなど動くときに邪魔にならないようにしている。
一回腕の下に、髪の毛が挟まっているのに気づかず思いっきり顔を上げたら大変なことに……
ともかく髪の毛を済ませ、ご飯を食べにリビングに向かった。今日は雨だから何しようかと考えながら。





とある転生者の生き方 四話目





雨が降っている中、僕は一人で傘を差しながら歩く。
起きる前から降っている雨は、少々小降りになったがまだ振ってきている。
正直雨は嫌いだ。
何が嫌いって傘を差さなければいけないところだろうか。
手が塞がる上にキツイ風が吹いてきたら傘が飛ばされかけたり、骨が折れたりすることもある。
さらに下手にコンビニの傘入れに入れると勝手に持っていかれたりする事もあった。
気分も暗くなるし、雨はこれだから嫌いなのだ。


なら家に篭っておけばいいじゃないかという人もいるだろう。
だが、篭ることで解決するならいいんだけどなぁ……さすがに退屈は解決しなかった。
大体午後は外で鬼ごっこをしたり、ケイドロをやったりと走りまくって体を動かしていたのだ。
昼寝しようにも体がうずいてどうしようもない。
それに世界は変わっても午後は芸能ニュースばかりで本当にどうでもいい。
なので歩いてアルマの家に向かっているのだ。
遊び友達の所に一人でいってもしようが無い。ままごとはやりたくないし、アルマがいるからあのグループは成り立っているのだから。

「はあ……」

気分が重たくなってきた。そういえば僕の友達って呼べる存在アルマぐらいだと気が付いたのだ。
自分の社交性の無さに絶望する。


気分は落ち込みテクテクからトボトボに歩く音が変わりながら歩いてとうとう着いた。
いつもならそんなに時間はかからないのだが、雨のお陰でかなり体感時間が延びたようだ。
チャイムを押して玄関が開くのを待つ。


待つが……開かない。
あれ~と首をかしげながら独り言を出すが誰も聞いてはくれない。
もう一回押してみたが開かない。どうやら今日は留守のようだ。
しようがない家に帰ろう……




……
…………
………………





はぁ……結局無駄足だったのが精神的にくる。
しかも寒いのが結構体を蝕む。
もう今日はひたすらベッドに篭ろう。
ドアを開け家に入ると、お客さんが来ているのか靴が置いてあるがどうでもいい。
リビングに向かうことなく雨でぬれた服を着替えて二階の寝室に向かう。

(早く一人部屋が欲しい……)

本当にそう思う。
今は父さんと母さん、それと僕で三人川の字になって寝ているがオネショの危険性を考えるとリスキーな行為だと思う。
父さんたちは本当にどう思っているのだろうか?
そんな疑問が出てくるが布団にもぐりこむと、精神的にも肉体的にも疲れていたのでそのまま寝てしまった。




















これは……夢だ。
そう、これはとてもとても怖い夢。
自分が自分じゃ無くなってしまうような。
それでいて僕は私で、俺で、ワシで、余で、形があるのに無形、されども無形なのに有形。
矛盾しているはずなのに、矛盾はしていない。していないはずなのにしている。
間違っているはずなのに、正しくて、でも正しいはずなのに間違っていて。
そんな自分がよくわからなくなってしまう、それはそれは怖い夢。


あれ、そもそも自分ってなんだ?
そう、僕の名前はナイア=マークウェル、1984年生まれで四歳、なぜかH×H世界の女に生まれ変わって……でもそれって本当に正しいのか?
自分が女だと思っているけど、実は男かもしれない。
もしかしたらここもH×H世界じゃなくて本当によく似た平行世界かもしれない。
そもそもこれは夢かもしれない。三浦祐一が死ぬ間際に見ている夢。
胡蝶の夢だっけ……僕が蝶になった夢を見ているが、その僕こそが蝶が見ている夢なのかもしれない。
もし、それが蝶の夢だったらその蝶は誰の夢の存在なんだろうか。
なら、そもそも三浦祐一って存在も夢の存在かもしれない。
そうであるならば、僕ってなんなんだろう。
誰かの夢の登場人物である僕ってなんなんだろう。
その夢も夢で、夢が夢だからこそ夢なんだ。ならすべての夢が覚めたとき何があるのだろうか?


それはわからない、僕は暗い、暗い暗い闇の中で考える。
ここは寒くて、暑くて、冷たくて、熱くて、快適であって快適では、無い。
そんな場所で悩んでいる。
いや、そもそも悩んでいるのかさえわからない。
もう自分の体がなんなのかわからなくなってきた。
自分という核がどんどん壊れていくようで、どんどん継ぎ足されていくからだ。
早くここから逃げ出したい、でも暗くて何も見えなくて、そもそもどこに逃げたらいいのかわからない。
しばらく動けないでいると、光が差し込んできた。
そして、あそこにいけばここから出られると。その衝動に突き動かされ、僕はここから飛び出した。




















「起きろ!」
目が覚めた。
とっさにあたりを見回すと、自分の家の寝室だ。ただ寝る前と違うところがあり、なぜかアルマがいる。
しかも鬼気迫る顔でこちらを見つめてきていて少し怖い。

「なんで……アルマがいるのさ」

「遊びに来てたからだ。それと大丈夫か?かなりうなされていたけど」

ああそうか、あのときの靴はアルマのだったか。
道理でどこかで見た気がしたのだ。
それにしてもうなされていたって……ッ!
あわててアルマを見る。僕のいきなりの行動にアルマが動転しているようだが無視する。

「アルマ……だよね」

「ああ、そうだけど……」

まるで何を言っているんだこいつは、と言わんばかりのアルマにさらに聞く。

「本当にアルマだよね?」

「ああ」

「本当に本当にアルマだよね?」

「だからそうだって言ってるだろ」

アルマは本当にアルマなのだろうか。
あの夢を見た後では何もかもが信じられない。
僕の様子がおかしいことに気がついたのだろう。アルマが声をかけてきたが

「おい、ナイア。大丈夫なのか」

「大丈夫じゃない」

としか返せない。
それっきり無言になってしまい、時間だけがどんどん過ぎていく。
時間が過ぎていく中で僕がなんなんか、わからなくなってきた。
このままでは壊れそうだ。アルマに思いのたけをぶつけてみよう。

「ねえ、アルマ」

「なんだ?」

「怖い夢を見たんだ。とても怖い夢を」

「どんな夢なんだ?」

「自分が自分じゃなくなる夢。それで自分がなんなのか無からなくなっていって……」

「わかった」

その言葉の後、アルマに抱きしめられた。
え?と思うが腕は背中に回されていて、しかも結構力が篭っていて少し痛い。
この状態に気づいて抵抗するが、開放されないのでアルマがしたいようにさせてやる。

「あんな、ナイア。お前はお前だ。そんな難しいこと考えるだけ無駄だ」

「無駄って……」

あの夢はかなり怖かったのだ。それを無駄だとは……
アルマの胸に顔を押し付けたまま、反論を開始する。

「でもさ、胡蝶の夢ってあるじゃない。俺が蝶になった夢を見ていたのか、蝶が夢を見ていて俺なのかって奴」

「あるな」

「ならさ、その蝶は誰かの夢の存在かもしれないんだって思えてきて」

「それで?」

「そしたらさ、その蝶は誰の夢の存在なんだろうって思えてきてさ、僕ってなんなんだろうって」

「どういう意味だ?」

「僕は本当に転生したのか、実は憑依じゃないのか、これは死に際に見ている夢かもしれないとかさ」

「ああ」

「本当に僕の前世ってあったのかなって、前世の三浦祐一は本当に存在したのかって」

「やっぱり馬鹿だな」

アルマに思いのたけをぶつけたのに馬鹿って……
上目遣いでにらめつけてみるが、アルマはまるでコイツ馬鹿だなって目で僕を見ている。

「そんなこと考えてもしようがないだろ」

「でもさ……」

「でも、も何も、も無い。ほらデカルトの言葉で「我思う、ゆえに我あり」ってあるだろ」

そんな言葉があった気がする。
でもそんな事いわれても納得は出来ない。

「自分という存在は周りって比較対象があるから判断できるんだよ?だったら周りが虚構なのにどうして自分が自分だと判断できるのさ。そう思っている自分が操られてるかもよ?」

そんな事を言った途端、アルマが背中に回していた腕を痛いぐらいに締め付けてきた。

「痛いって!」

「じゃあ、今俺がナイアを抱きしめているのは虚構か?」

締め付けは緩まったが開放はされない。
アルマの言葉を頭の中でじっくりと時間をかけて解読する。
うん、虚構じゃない。アルマはここにいる。

「違う」

「だからお前が元男であろうが、夢であろうがなんであろうが、今ここにいるからそれだけでいいんじゃないか?難しいこと考えなくても」

「うん、そうだね」

なんだか胸に欠けていたものが戻ってきた気がする。
うん、この思考が誰かに操られていてもいい。
僕の事を心配してくれるアルマがいるからそれでいい。
んで、気になる事が一つ。

「それで何時まで抱きしめているのさ?」

「なんだ、もういいのか?」

「うん。僕が落ち込んでいたらアルマが心配するからね」

そう言った後に僕からもアルマを抱きしめる。
うん、これで大丈夫。
これからも歩いていける。

「それで、なんでアルマが寝室にいるのさ」

「ああ、お前を起こしに来たんだよ。そしたらものすごくうなされていてビックリしたけどな」

「悪かったね。でも将来有望な美少女を抱きしめる事が出来て役得でしょ?」

「自分で言うか?中身男の癖に」

「元、男だよ」

そうやって二人で笑いあう。
そういえば起こしに来たって事は何かあるのだろうか?
聞いてみるか……

「あのさ、起こしに来たって事は何かあるの?」

言った瞬間に後悔した。
アルマの目が、まるで見事な包装紙に包まれたプレゼントをワクワクしながら開けたら中身がガラクタだった、ぐらいに一瞬で変わったのだ。
それに怯えながらアルマに尋ねる。

「今日ってさ、何かあった?」

「はぁ……何かあったも何も今日はお前の誕生日だろうが!」

「ああ!」

そうだった。
今日は一月十日、僕が生まれた日だ。
とうとう五歳になったのか……長かったものだ。

「それでパーティの準備が整ったから呼びに来たんだよ!」

「ごめん。でもさ、それ言っちゃっていいの?驚かせないけど」

「う……まあいいだろ。とっとと下に行くぞ」

アルマは僕の体に回していた腕を離すが僕は離さない。
アルマがビックリしているが知ったことか。

「あの、ナイア、離して欲しいんだけど……」

「最初に痛いぐらい抱きしめてきたの、アルマだよ?」

「いや、でもさ」

「いいじゃない。アルマからの誕生日プレゼントでいいからもう少しこのままでいさせて……」

アルマは下に行くのを諦めたようでもう一回抱きしめてくれた。
そうやって僕たちはしばしの間、抱きしめあっていた。




余談だけど、遅いので心配になってやってきた母さんたちに抱き合っているのを見られ、散々からかわれたのは言うまでもない。
























思い返せば、僕は三浦祐一の転生したナイア=マークウェルじゃなくて、ナイア=マークウェルだからこそのナイア=マークウェルになる事が出来たのはこの誕生日からだと思う。
後は……そうこの日だ。心の中にある、それに気がついたのは……










後書き
なぜだ……ナイアとアルマが雨の中でやること無いからトランプで遊ぶ話だったはずなのに……どうしてこうなった!
これが勝手にキャラが動くって奴か……本当に何でこいつらラブコメっているんだろうか?書いてて正直わからない。

ちなみにこの作品、原作のハンター試験は2000年設定で行ないます。なので原作開始まで後十一年ですね。
次回やっと瞑想に入れます。
後オリキャラの念能力が思い浮かばない。変化系なにか良さそうなネタは無いものか。
それとバットマン借りたついでに空の境界借りてみたらかなり面白かった。でも三章冒頭からあれはやめて欲しい。
一人で見てたから良かったものの他に人がいたら気まずい。







[10875] 五話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/23 03:43





あれから二週間がたった。
たったけど……今だあのときのことでからかわれ続けている。
正直、第一級殲滅指定の黒歴史と化してしまっているのに、皆がからかうから何時までたっても殲滅が出来ない。
さすがに、いくら精神的に不安定だったとはいえアルマに自分から抱きついてしまうとか……思い返すだけで赤面物だ。
うん、あの時抱きしめてきたアルマが悪い。きっとそうだ。

「というわけで、あの時アルマが抱きしめなければこうはならなかったんだよ」

「よく言うな。あん時お前、自分がどんな顔していたのか知らないからそんな事言えるんだろ。俺はあんな顔二度と見たくないぞ」

とアルマは吐き捨てるように呟く。
そんなに酷かったのだろうか?とっさに抱きしめないと駄目なくらいに。
正直気になる。あの時の顔が映像で残っていればいいのに……まあ聞いてみるか。

「じゃあ、どんな顔してたっていうのさ?」

「平日の公園で鳩に餌上げてるスーツ姿のおじさん、もしくは長年の片思いが叶ってウキウキ気分で家に帰る途中にレイプされたヒロインクラス」

うわぁ……聞いて後悔した。
そんな酷い顔をもし友達がしていたら、アルマがしていたと考えるだけで怖い。
もししたなら間違いなく僕も抱きしめるだろう。
それにしてもドンだけやばかったんだ、あの夢。今ではほとんど脳裏に出てこないけどさ。
まあ自分の存在を丸ごと否定するような夢だからしようがないか、うん。

「ならありがとう、アルマ」

「なんだよ急に」

感謝の意味を込めて微笑みながら気持ちを言葉にしてみたが、照れくさかったのかそっぽ向かれた。
まあいい、アルマがいてくれたから今の僕がいるのだし。
そんな事をにやけるのを必死にこらえながら考えているとアルマに声をかけられた。

「ボーっとしてないでさっさとやろうぜ」

「そうだね」

そう、あれから二週間がたった。
今日は一月二十四日。アルマの誕生日は一月二十三日。そう昨日、アルマは五歳になったのだ。
この時にも散々からかわれたのは言うまでもない。
ちなみに誕生日プレゼントに送ったのは目覚まし時計だ。効果は無かったけど。

「それじゃあさ、瞑想始めようと思うんだけど……」

「だけど?」

正直、これだけはどうしてもわからなかった。
何を、どうすればいいのかさえ。言えばあきれられるだろうけど……言うしかない。





















「瞑想って、どうやればいいの?」





とある転生者の生き方 五話目





空気が止まった。
アルマは何も言ってくれないから正直気まずい。
うん、気まずい。早く何か話してほしい。馬鹿にするような言葉でもいいからさ。
しばらく気まずい時間が続き、とうとうアルマの口が開いた―――

「そうだな、うん。どうすればいいんだろうな?」

「それだけ!?」

思わず大声で突っ込んでしまい、アルマが耳を抱えている。
正直悪いとは思うがミリオネア並みに引き伸ばしたアルマが悪い。
けど、罪悪感はあるので謝ろう。

「あの……ごめんね?あんまり長く引き伸ばすからさ、あきれちゃったのかと思っててさ」

「今度からは気を付けてくれよ?」

「わかってるって。でもどうすればいいんだろうね、目をつぶるだけで出来たらそこらへん念能力者だらけだよ」

「とりあえず、座禅を組んでみないか?形から入ることは重要だと思う」

確かに。元日本人としては形から入らないとね。
座禅を組んで、手を……こう、手の平でUの形ぽいのを作り目を閉じる。

「なんだかそれっぽいね」

「静かにしろよ。瞑想は自分との戦いだ」

「そうだね」

小声で返事をする。
目をつぶり、自分の内部に意識を沈み込ませる。
念とは生命エネルギーだから……自分の細胞一つ一つが生み出すエネルギーでも認識出来ればいいのだろうか。
そうやっていると、正直飽きた。
目を開けて、僕がプレゼントした目覚まし時計で時間を確認する。
五分しかたってない……アルマは目をつぶっているので声をかけられない。
もう一回やるか。

……
…………
………………

こんだけやれば時間も過ぎてるだろう。そう思い確認してみるが、さっき確認してから五分も経っていない、三分だ。
もう、いいよねゴールしても。そう思いアルマに声をかける。

「ねえ、アルマ」

「なんだよ」

「飽きた」

「うん、俺もだ」

やっぱりアルマも飽きていたようだ。
正直ゲームみたいにステータスが見えるのであれば効果があるなぁ……とか思うけどリアルじゃ無理だ。
さっさと座禅をやめて、二人でごろごろする。

「あのさ、アルマ」

「なんだ~」

「これからはさ、寝る前とかお風呂入っている時とかさ、暇な時間に少しずつしない?長くやっても無理」

「そうだな~暇なときにでもやるか。駄目だったら駄目でもいいし」

「そうだね、今日はこのまま昼寝でもしようよ。きっと気持ちがいいよ」

「そうするか」

「そうしよう」

こうして僕たちの念能力習得の戦いは、始まったのであった。











結果から言うと出来た。
暇なときに一回五分、ご飯待っている間に一回五分、お風呂でもトイレでも寝る前でも欠かさずやったら出来るようになってしまった。
正直、鍛錬に鍛錬を重ねて念を習得した人たちには悪いと思うが……習得できてしまったものは仕方が無い。
少しずつ自分のオーラが確認できるようになると本当にここがH×H世界なんだと思う。
男なら一回ぐらいドラゴンボールや幽遊白書、烈火の炎とかで感化されてやった事が無いのはありえないだろう。
このワクワク感はたまらなかった。


そしてオーラが見えるようになると両親のオーラがすごい。
実は結構すごい実力者なのかも、と思いつつ母さんにオーラの事を尋ねてみよう。
正直、念能力を独学で学ぼうとするなんて……そんな無駄なことはしたくない。
変な癖がついて修正不可能とかなっていたら泣くしかない。

「ねえ、母さん」

「なにかしら?ナイア」

「最近さ、体からモヤモヤが見えるんだけど……これ何?」

とうとう尋ねてしまった。
母さんははぐらかしたりはしないだろう。
さすがに娘が目覚めてしまって念を教えないわけにはいかないだろうしね。
そんな腹黒い事を考えながら母さんの返答を待つ。

「ああ、やっぱり目覚めたのね」

「え?やっぱりって?」

「それは後。お父さん呼んでくるから、ナイアはアルマ君連れてきなさい」

「え……うん、わかった」

母さんが何を言っているのかわからないが言われたとおりにしよう。
靴を履いて玄関を出ると急いでアルマの家まで向かった。


全力で走ればこれぐらい軽い。
インターホンを押して、玄関が開いたらフィーネさんに挨拶してから二階のアルマの部屋に走っていく。
勢いよく、扉を開けてアルマに今あったことを伝える。

「え、クトさんが?」

「そう、まるで僕たちが念に目覚めるのがわかっていたみたい」

「うーん、確かクトさん元美食ハンターだったんだろ?もしかしたら食事系統の能力でも持ってるんじゃないか?それでミスしたとか?」

確かに、母さんは料理が大好きだ。
それに美食ハンターなら食事系統の能力を持っていてもおかしくないし……まあいい。行けばわかる

「ともかくさ、僕んちに行こうよ。考えても仕方ないし」

「そうだな……走るか」

アルマの家から僕んちまで全力で走って帰ってきた。
正直これぐらいで息が切れたり、汗が出たりするような鍛え方はしていない。
毎日走っているだけあるのだ。
個人的に伏魔殿と化してしまった自分の家の玄関を開けるのには勇気がいる。
それを根性で無視して、開け放ち、家の中に入る。


靴を脱いで、向きをそろえて、スリッパに履き替える。
緊張しているので足取りは重い。
だが、一歩ずつ離瓶愚に向かっていく。
とうとう離瓶愚のドアに手をかけた。開けるよ?とアルマにアイコンタクトで訴え、開けて中に入った。


父さんと母さんはすでに座っている。
まだ完全に開ききってないけどそのオーラに圧倒され、二人とも動けなくなる。
そんな僕たちに母さんが声を掛けてくれたので、何とか再起動。
対面にある椅子に座る。沈黙が空間を支配するが、埒が明かないので僕から切り出してみる。

「でさ、母さん。アルマ連れてきたんだけど」

「そう。あのね、ナイア信じられないけど、ちゃんと聞いてね?」

そんな事言われても困る。念能力はこちとら知っているのだから。

「わかった。ちゃんと聞くよ」

「じゃあ、言うわね?」

「うん」

「本当に聞いてね?」

「わかったけど、早くしてよ!」

少し怒りながら訴える。
何でこんなに確認するんだか。
念能力は知っているから!といいたくなるが我慢。

「本当はね……私たち」

「うん」

「そう……僕たち」

「うん」

「「トリッパーなんだ」」

「「え?」」










後書き
更新ペースがどんどん速くなっていく、このままだと燃え尽きてしまわないかと心配なぼーるです。
両親がトリッパーでそれに子供もトリッパーだとわかってなかったら、いくらしっかりしている三歳児でも外を歩かせませんよ。
ちなみに離瓶愚は誤字ではない。

空の境界を家族に布教してみた。
駄目だった。







[10875] 六話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/23 19:49





「父さん?これはいったいどういうことなのさ!」

僕は父さんに詰め寄る。
同じ紙を渡されたアルマも問い詰めたがっているが、僕が問い詰めているので無理だ。
これを飲まなければ念を教えてくれないとか……酷すぎる。

「裏切ったね、僕の、僕たちの気持ちを、父さんは裏切ったんだ……」

「すまないね、それが無かったら承諾は出来ないんだよ」

「でもルフさん、ハンターになったらそんな事気にしなくてもお金は稼げるんですし……」

「そういう問題じゃないんだよ、アルマ君。それにね君の両親もこれが無かったら承諾は出来ないとさ」

「そんな……」

二人してorzの体制になる。
もう二度と、こんな事しなくてもいいと思ったのに、こんなことしたくないからハンターになりたかったのに。
最悪だ……

「まあ、ハンターになるにせよ、ならないにせよ、どっちにしてもこれはしなくてはならないんだ」

「本当に?」

「本当だ」

望みはバッサリと切られてしまった。
すっかり、落ち込んでしまった僕たちに、父さんは笑いながらこう語りかける。

「まあ、いいじゃないか勉強ぐらい。せっかく異世界に転生したんだから少しぐらいやっても罰は当たらないよ」

「だからっといって、何で高校卒業クラスの学力が無いと駄目なのさ!」

「ないより、あったほうがいいだろう?」

「でもさぁ……」

「それに、ナイアは美食ハンターになるつもりなんだろう?ならどっちにしても勉強しないと駄目だしね」

そう、父さんたちが、僕たちに念を教えてくれる事にはなった。
ただし、父さんの能力[絶対的な拘束(ギアス)]に従うことで、だ。
書いたらそれに従わないと駄目だし、破ろうとすると強烈なめまいや吐き気がして、それでも破れば死、あるのみである。
それにサインする事が僕たちに念を教えるための前提条件。
しかも、書いてある事が達成できなかったら、念を使えなくなるとか、そんな条件付だ。

「ま、世の中そんないい話なんて早々ないのさ」

なんて父さんが笑いながら言っているのが、癪に障る。
どうしてこうなったんだろう。
今だorzの体制から抜け出せない僕たちはそんな事を考えていた。





とある転生者の生き方 六話目





「「トリッパーなんだ」」

「「え?」」

え?いや念の話じゃないの?と頭の中は混乱している。
隣に座っているアルマと顔を見合わせるが、鳩が豆鉄砲に撃たれたような顔をしている。多分僕も。
父さんたちに聞きたい事があるけれど、口から出ない。
そんな僕たちを見て、父さんたちは、だから聞いたのに……とでもいいたげな顔をしている。

「ね?ナイア。だから私確認したのよ」

「そうだねぇ。絶対ビックリすると思っていたんだ」

実際言われた。
いや、無理だろう。そんな事いわれても……
いまだしゃべることの出来ない僕たちを放置して、父さんたちは話し始める。

「まあ、それは置いといて」

「そうだね、念の話に行こうか」

「いや、置いといてじゃないよ!」

思わず突っ込んでしまった僕は悪くない。
隣を見ると、アルマが良くやった!と言わんばかりの笑みを浮かべている。
そのままの勢いで聞きたいことを尋ねてみる。

「いつからだったのさ?」

「ナイアたちがトリッパーだとわかったのが何時か、ね」

「なんで話してくれなかったのさ……」

「あら、ナイアだって話してくれなかったでしょう?つまり、そう言うことよ」

確かに僕がいえた話ではない。
それを言えるのは自分からトリッパーだったと打ち明けた時だけだ。
少し自己嫌悪していると、アルマが僕に代わって父さんたちを尋ねる。

「それで、何時からなんですか?」

「そうだね、まずは何時からわかったのか、聞いておいてね?ナイア」

「うん……」

そう言って父さんたちは話し始めた。
自分たちがこのH×H世界に転生したこと、父さんは金目当てに、母さんは食材を求めて、ハンター試験に参加した。
そこで父さんは、母さんに一目ぼれしてしまったそうだ。
これは何時も父さんたちがするのろけだ。
でも、今回はのろけじゃ無い。


そこからストーカーまがいのアタックを重ねて、母さんと結婚。
その後は幸せに過ごしてきたんだけど、母さんの妊娠が発覚。
それで母さんはハンターを引退を決意。
ここまでは何時も聞いている内容に少し話していなかった裏事情を足しただけだ。


そこから、話は続いた。
妊娠がわかってから、父さんがもしかしたらこの子もトリッパーかも知れないと不安になったのだ。
でも、母さんが「私たちもトリッパーだったのだからいいじゃない。どんな子でも私たちの子よ?」の鶴の一声でそのまま出産。
何時気がついたのか、聞いてみたところ、名前を付けた時みたいだ。
「あの時、よろしくね?って言った私に返事したじゃない」と言われてしまった。

「まあ、これが話していなかった内容だね」

「後は念の事を言いたいけどね、先に念の事でアルマ君の両親に話さないといけないから、私たちは行ってくるわね」

と、父さんたちはリビングから出て行ってしまった。
残されたのは僕とアルマの二人と沈黙が残された。
何もしゃべらない僕を心配したのか、アルマが声をかけてきた。

「まさかの展開だったな」

「そうだね」

「まあ良かったんじゃないのか?隠し事無くなって、さ」

「でもさ家族だからこそ隠し事ってどうなのかな……」

「別にいいんじゃないのか?俺だって話してないしな」

「ごめん……」

そうだ、アルマの事すっかり忘れていた。
本当に今日は駄目駄目だな……

「それにさ」

「何?」

「何でも知り合ってないと成り立たない関係なんて、家族じゃないだろ?」

「うん、そうだね」

うん、励ましてくれてありがとう。
なんだか、気分が軽くなったと思う。
座ったまま、父さんたちが帰ってくるまで穏やかな気分で待つ事が出来た。


……
…………
………………


「それで結局どうだったの?」

と、父さんに聞いてみる。
すると、父さんは無駄にいい笑顔で僕たちに紙を渡してきた。
なんだろう、と思いながら読んで見ると誓約書のようだ。

「で、結局なんなのこれ」

「それに同意する事が、ナイアたちに念を教える条件さ」

「はぁ……」

そう言われて真剣に読んでみる。
読んでいると、まあそう変な物はない。
そして、最後の項目を読んでみると……なんだこれ。
こんな条件飲める訳が無い。


ここから冒頭に繋がるわけだ。
orzの体制のままアルマに尋ねる。

「ねえ、これどうする?」

「飲むしか……無いんだろうな」

「そうだよね、飲まないとね……」

そう、結局足元を見られているのだ。
勉強をしながら念の修行か、念を学ばずに勉強かの選択肢しかない。
しっかりと誓約書にもし同意できない場合は念の使用を禁ずる、と書いてあったのだから。
なら選べる選択肢と言えば……

「これ、誓約書です」

「それじゃあ、父さん明日からよろしくね」

同意はしたくなかったが、してしまった誓約書を父さんに渡す。
しようがない。自力で出来ないのだから父さんに頼むしかない。
それに……アルマも一緒にいる。
一人じゃないから、つらくても進んでいけるだろう。

父さんに渡した後は、アルマとごろごろする。
明日から修行が始まるから英気を養っているのだ。
横で寝そべっているアルマに聞いてみるか……

「ねえ、アルマ」

「なんだ?」

「僕たち明日から頑張れるかな?」

その言葉を言った途端、アルマに呆れられた気がした。
しようがないだろう。よくわからない、摩訶不思議なエネルギーを使うんだから……不安になるのも当然だ。

「何さ、呆れることはないでしょ」

「何言ってんだか、頑張るしかないだろ?今更だよ」

「まあそうだね、アルマこれからもよろしくね?」

「ああ、こちらこそな」

そう言って二人で笑いあった。
これから広がっていく世界を目の前にして……










おまけ1

「あのさ、父さん。なんで僕の名前、男だったらネロで、女だったらナイアだったのさ」

「ああ、うん。それはね」

「それは?」

「ネロの方は……フランダースの犬から取ってね。やさしい男の子となって欲しいなーと」

「じゃあ、何で女だったらナイア?」

「え、ああ……うん。それは……うんそうだね。クトゥルフ神話にねナイアルラトホテップって邪神がいてね?」

「それで?」

「這い寄る混沌だとか無貌の神とか言われていてね」

「ふんふん」

「顔がない故に千もの異なる顕現を持ち、狂気と混乱をもたらすために自ら暗躍する、とか言われているんだ」

「で、結局なんで僕の名前なのさ?」

「それでここからが本題でね?そんな人類にとって迷惑な神だけど……クトゥルフ神話におけるトリックスターなんだ」

「へー」

「このH×H世界、キメラアントが蹂躙するかもしれない世界を引っ掻き回して、原作なんて、決まりきった運命なんか破壊して欲しいな、と思ったからさ」

「ねえ父さん、ネロとナイアで全然違うんだけど」

「そりゃ男の子と女の子だよ?男の子はやさしくてもいいけど、女の子は力強くないと」

「ふーん、まあいいや。それじゃ父さん、お休み」

「お休み、ナイア」





「ナイアルラトホテップ、ね……」

おまけ2

ナイアは走ってリビングから出て行った。
これでやっと一息つける。
さすがにこんな不純な動機で付けられたとはナイアには言いたくないから嘘を言った。
そんな理由でこの名前を付けたって知られたら、僕の大黒柱としての威厳が無くなるからね。


そんな事を考えながらコーヒーを飲む。
うん、何で僕はあの時あの名前を出してしまったのだろうか。
クトがオタクじゃなくて本当によかった。
もし、オタクだったら、バレテイタカモシレナイ。
なにせ付けた理由が―――

「胸が大きくなりますように……なんて言えやしない」

そう、僕の好みはスレンダーでなくてボインボインのおねーさまだ。
あの時、ハンター試験でクトに一目ぼれをしたが、パットで補強された胸に目線がいっていたのだ。
なんとか惚れさせて、ベッドの上で見たとき一瞬だけフリーズしてしまった。
だから娘は、娘だけはせめて大きくなりますようにとデモンベインのナイアから、乳を分けてあげてくださいと、そんな理由で付けたのだ。
もし、それがばれたらクトに殺されるかもねぇ……と思いながらコーヒーをすする。


世界には、いい嘘と、悪い嘘がある。知らなくてもいいこともあるのさ、なんて格好付けていると頭の上に手を乗せられた。
なんだろうって思ってみてみると、クトが今までに無い、ものすごい怖いオーラを出しながら後ろに立っていた。
ああ、ノヴ。あんなに主人公たちにえらそうに言ってたのに簡単に折れやがって、プギャーと思っていたけど……うん、これはしようがない。折れるよ。

「あのね、クト」

「なんですか?あなた」

「僕のタイプは確かにボインボインだ。だけど好きになったのは君なんだよ」

「あなた……」

よし、オーラが和らいでいるし、頭の上に乗せてあった手もどいた。
このままやるしかない!

「それでね、君が結構気にしていたからね。娘には不憫な思いはして欲しくないと……」

「不憫?」

「あ……」

終わった。地雷踏んだよこれは。
先ほどまでとのオーラの桁が二桁ちがう。
これは明日の朝日拝めるかな?





後書き
ナイアの胸の将来はどうなるのか、そしてルフの運命はいかに!
うん、名前付けたときにデモンベインどんなもんだろうか?と思ってホームページ見たら胸が無駄にでかい。
正直、巨乳党の人には悪いが、今登場しているキャラ、これから登場するキャラたち。
彼女たちの野望は叶いません。Bを、超えることは出来ません。それもこれも父さんが邪神にそんな願い事を託したからです。

昨日もカレー、今日もカレー、明日もカレー。母親が作りすぎたカレーを食べ続けなければならないぼーるでした。








[10875] 七話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/27 22:07





ピピ、ダンッ





煩い目覚ましを何時も通りに七時で止める。
いつもの癖で父さんたちを探すが、いるわけが無い。
なぜなら、六歳になり、とうとう一人部屋を与えられたからだ。
まだ自分の部屋という感覚は無いけれど、毎日過ごしていれば変わるのだろうか。


そんな事を疑問に思いつつ、ベッドの上で伸びをする。ボキッ、ベギッ、なんて音は子供じゃあ鳴らない。
けれども、伸びをすることで体からやる気が沸いてくる。
ベッドから降りて、寝る前に閉めたカーテンを開け、朝日を体に浴びる。
今日もいい天気だ。
もう五月だからか気温もそこそこと、ウォーミングアップのジョギングをするのにはちょうどいいだろう。


部屋から出たらすぐ隣にある部屋にノックをせずに入る。
どうせ部屋の住人は寝ているのだから問題は無い。
入ってみると、やっぱり寝ている。
目覚まし時計が枕元に置いてあるが、すべて仕掛けた本人の手で止められていた。
毎度思うのだけど……なんで目覚まし時計を手の届かないところに分散させておかないのか?


頭を抑えつつ、カーテンを開け、直射日光による攻撃を開始。
対象はむずがるような行動をしているが効果がないので、布団をむしりとり、クッションを作る。
その後はベッドの上に乗り、体の下に手を入れるとそのまま―――

「どっせーい!」

「うおおお!」

クッションの上に落としてやった。
毎回毎回、起こすのが面倒くさいが、こうやれば起きてくれる。
今日もいい仕事をしたなぁ……とさわやかな笑顔を浮かべつつ、手の甲で額の汗を拭く動作をする。
それが気に食わなかったのだろう、やっぱり文句を言ってきた。

「もうちょっとやさしく起こしてくれ……」

「それは昨日も聞いたよ?だからクッションあるじゃない」

コイツはいったい何を言っているのだろうか?
起きないからと目覚ましを増やしても効果は無し、やさしく肩を揺さぶって声をかけても効果は無い。
だからといって殴る蹴る(それほど威力はない)をしたら文句を言う。
どうしろというのだ、全く。
やれやれだぜ全く、とアメリカ人のようなジェスチャーをして、話を切り出す。

「なんで自力で起きられないのさ?毎朝毎朝、起こすのも大変なんだよ、アルマ」

「なんでか知らないけど、この体になってから朝が起きられなくなったんだ」

「言い訳乙」

体のせいにするとは……さすがの僕でも無理だ。
白い目でアルマを見た後は、一階に降りて身支度をする。
今日は髪型をポニーテールにした後はリビングに行き、父さんたちに挨拶をする。

「おはよう」

「「おはよう」」

また揃っている。
僕たちにトリッパーだとばらした時も揃っていたから、揃えるのが好きなんだろうか?
そんな事を考えながら、台所へ向かい配膳の手伝いをする。
今日の料理も美味しそうだ。
料理が揃ったところで、やっとアルマがやってきた。

「おはようございます」

「おはよ」

「「おはよう」」

アルマは父さんたちに敬語を使っているが……正直キモい。
なんだかアルマのキャラじゃないのだ。
少しモヤモヤしながら手を合わせていただきます。


うん、やっぱり美味しい。
母さんの料理は美味しいだけではなく、念による効果で食べると回復力だとか生命力を底上げして健康になれるんだとか。
ちなみにアルマは、栄養や体調面などの管理のために家に居候の状態だ。
フィーネさんが寂しくないかと思ったが、午後には家に来て母さんと話し込んでいるし、日曜日には里帰りするので問題は無いだろう、多分。


朝食を食べ終わった後は流しにお皿を浸けて、歯磨きを済ます。
その後はリビングでアルマとだらける。

「あのさアルマ、これからは朝、目覚ましを離れた場所に置けば?そしたら自力で起きられるかもよ」

「それ……一回やったんだけどさ、起きたら止まってたんだ。俺の枕元で」

なんというホラー。
実際は寝ぼけたまま、自分で止めて枕元に持っていったんだろうけど……どこまで寝たいんだ、アルマは。
なんでだろうな~と不思議がっているアルマを見て、こうはならない様に気を付けようと心に誓った。


だらだらと会話していると、八時になったのでジョギングに二人で行ってくる。
ちなみにジョギングをしている最中は纏を解除してオーラを垂れ流している。
これは父さんに身体能力を底上げしてトレーニングしても意味無いだろうと言われたからだ。


風景を楽しみながら、街中を走る。
毎朝、走っているのでかなり速めのペースで走っていても体力に問題は無い。
走っていると季節が変わっていくのがよくわかる。
そんな風景を楽しみながら、走るのは楽しかったりする。


時計で時間を確認しながら走る。
家には何時も九時につけるように走っているので、どれくらい走っているのかは知らない。
何時か暇なときに、地図でも見ながら計ってみるか。
そんな事を考えてながら、時間を確認すると八時三十二分。折り返す頃合だ。

「アルマ、時間だから折り返すよ?」

「了解」

そういって来た道を引き返す。
特に話すことは無く、淡々と家まで走り続ける。
沈黙が続くが、居心地は悪くない。むしろ気分が落ち着いてくる。
アルマはどう思っているかは知らないが、話さなくても付き合える友人が出来てよかったと思う。
ニヤニヤしていると気味悪く思ったのかアルマが声をかけてきた。

「なあ、ナイア。大丈夫か?さっきから変だけど」

「ううん、大丈夫だよ?」

と、渾身の笑顔で返しておいた。
うん、本当にアルマが友人でよかったと思う。
例え、精神病院に電話した方がいいのか?なんて小声で言っていたとしても。
アルマの中の僕ってどんなイメージがあるのだろうか?
少し考えてみたけど、まともな物が出てこなくてへこんだけどさ。





とある転生者の生き方 七話目





家に着くと父さんが家の前に立っている。
今日もあれをやるのだろうか……正直、飽きた。

「それでさ、父さんまた今日もシャトルラン?」

「まただ」

「またですか……」

アルマもやる気は無いようだ。
そりゃあこれから二時間も、延々シャトルランだ。
シャトルランなら適当に手を抜けばいいだろうと思うかもしれないが、ここで[絶対的な拘束(ギアス)]の登場だ。
紙にふざけた気持ちで修行を行なわない、修行中は父さんの指示に従う、と書いてあったけど、それは孔明の罠。
この[絶対的な拘束(ギアス)]、考えるだけならいくら考えてもいいのだが、いざ実行に移すと警告が出るのだ。
具体的に言うと、殺意を持つのはいいが、実行に移すため包丁を持つとアウト、殴ろうとしてもアウト、挙句の果てに財布を持ってもアウトとかなり酷い。


僕たちは一回シャトルランをボイコットしようとしたが発動。ものすごい吐き気とめまいに襲われてしゃがみこんだ。
それ以来、僕たちは父さんの指示には、絶対に逆らわない。いや、逆らえないのだ……
解除条件は当然ある、あるのだが……ハンター試験に合格してライセンスを取れたら、である。
まだまだ先の事だから、僕たちが延々とシャトルランを走らされる運命になんら救いとならない。
父さんが公園に向かって歩いていくのを、僕らは市場に売られていく子牛の気分で憑いていく。
これさえ終えたら休憩があるから、美味しい昼食があるから!と心を励ませながら……


……
…………
………………


「……」

「……」

「今日はこれで終わり。お疲れ様」

「……」

「……」

「返事が無いけど……まあいいか、先に家帰ってるからね」

そう言って……父さんはもう死ぬ寸前の僕たちを置いて公園から出て行った。
正直、動けない。
足が自分の足じゃないのだ。
これ以外、肉体面での修行は晩御飯の後のジョギングしか無いのが救いだ。
それ以上あっても実行は無理だろうけど。
二人ともしゃべる事さえできないまま、時間は流れていく。
空が青いのが忌々しい、と思う。雨が降ればシャトルランは無いので雨になって欲しいと思う。
けど、雨の日は大嫌いなので困ったものだ。
晴れていても、雨でも、どちらも駄目ならどうすればいいのだろうかと、空を流れていく白い雲を目で追う。
言葉を口に出すのがしんどいが、アルマに聞いてみるか……

「ねえ………………アルマ」

「何、だ………今無理、後、にして」

アルマもまだ無理なようだ。
これを喜々してやる父さんは本当に鬼畜だと思う。
何が、ハンターに重要なのは一に体力、二に足腰、三に武力で、四に知力だ。
今はまだ、組み手とかは無いけれど、出来たら遠慮無しの一撃を急所に決めてやる。
そう心の中で誓う。きっとこの気持ちは、僕の隣で死んでいるアルマも同じであろう。


やっと歩けるようになって家路に着いたところだ。
僕も、アルマも、ふらふらで顔色は悪く幽鬼のようだ。
はたから見ていると絶対に近づきたくない人だろう。
実際、道で出会った人たちは僕たちに近づこうとしない。
 
「ねえ、アルマ。僕、晴れって天気がさ、大嫌いになりそうなんだけど……どうすればいい?」

「俺も大嫌いになりそうなんだよ……むしろナイアのほうがやばくないか?お前、雨大嫌いだろ?」

「だから聞いたんだよ……」

「すまん……どっか通りすがりの除念師でもいないのか?正直これが後、十年続くのは無理」

「いたら苦労しないよ……」

「そうだろうなぁ……」

「「はあ……」」

二人してため息をつく。
正直、父さんは鬼畜だと思う。
こんな所業、心優しい人にはまず出来まい。

「ごめんね、アルマ。うちの父さんこんな鬼畜で」

「謝られても困る。この道に進んだのは俺の意思だしな」

「そうだね、でも後悔はしてるでしょ?」

「ああ!」

と言ってアルマは首を大きく縦に振った。
何も、そこまで……するか、僕だってするな。
そんなこんなで家に着いた後は風呂に直行、体が汗臭いし、乾いてべたつくのが気持ち悪い。
先に入らせてもらえるが、アルマを待たすのが心苦しい。
一回、待たせるのが心苦しいから一緒に入らないか?と言ってみたが、アルマからの猛反発で断念。
別にアルマだったら気にしないんだけどなぁ。


昼食を済ませて一段落したら、次は念……なんだけどその前に母さんの念能力[どこまでも漂う道標(ペイントボール)]を付ける。
これを付けると、現在地から体調までわかるという病院顔負けの能力だ。
よくもまあ、鬼畜な父さんはこんな一家に一人は欲しい母さんを惚れさせたものである。
そんな事に感心しながら練を行なう。
オーラが見えるので気分はドラゴンボール。
そんな事を考えていると、ふとスーファミが頭の中を掠めた。

「そういえばさ、スーファミでドラゴンボールのゲームあったよね」

「あったな。あれ子供の時やりまくって指の皮がむけなかったか?」

「あるある、あれ設定でAボタン押したらかめはめ波打てるようになってたよね」

「友達とやってたらいつの間にか、エネルギー溜めてAボタン連打になってたんだが」

「しようがないよ、あれ熱中すると指痛くなるし」

「後幽遊白書の格ゲーあったな」

「あれも指が痛くなったよ。朱雀の技でタメがあったじゃない?子供だったから意味が分からなくて、親戚のお兄ちゃんに泣きついたことあるんだけど」

「それはしようがない。後ストーリーモードでやさしいで進めると途中で進めなくなるんだよな」

「後むずかしい、だっけ?あれ掴まれたら体力半分以上なくなるんだよね」

「ああ、あれにはビックリした。後、戸愚呂100%なんかマジで強かったしな」

「うん、指弾が飛んでくるわ、体当たりはしてくるわ、苦し紛れの必殺技出したら気合で潰されるし」

「あれ、途中で諦めたんだよなあ……」

「え、僕は最後まで行ったよ?桑原でひたすら霊剣連発だったけど。後あれエンディングまでいった後セレクト押したら隠しコマンドでて、戸愚呂100%使えるようになった」

「戸愚呂使えたのなら諦めないでやればよかった」

「暇だったからトレーニングで床耕すぐらいにしか使えなかったけど」

「対戦で使えよ!」

「強いから禁止なんだよ……」

「ああ……確かに」

「後さトレーニングで適当にボタン押したら、隠しコマンドだったみたいで幽助が戸愚呂タコ殴りにし始めたんだ」

「なんだその無駄な幸運」

「後で攻略本買ってみてみたら奇跡クラスのコマンドだった。見て入力してもなかなか入らなかったし」

とのんびりまったりな念の修行を終えると時間は三時、おやつを食べ終えたら勉強である。
一応、復習のつもりで小学校からやったけどもう高校生にまで進んだ。
数学や国語はスムーズに進む、問題は科学と、歴史だ。
僕は文系だったので科学は一から、歴史も世界が違えば当然歴史は違うので、こっちも一からだ。
まああと二年もあれば終わるだろう。


そんなこんなで勉強が終わったのが六時、晩御飯のカレーの匂いが漂ってきている。
こっちでもカレーは人気メニューの一つである。
しかも、母さんが市販のルーを使わずに作った珠玉のカレーだ、美味しくないわけがない。
実際とても美味しかった。

食後休憩が済んだらまたしてもジョギングだ。
アルマと一緒に家を出て走り始める。
夜になると空気が少し寒かったが、走っていると体が温まってくる。
温まってくと、ふとどうでもいい事が浮かんだりする。
ランニングとジョギングの違いって何だろう?
正直、どっちでもいいと思うんだけど……どう違うのだろうか?アルマに聞いてみるか……

「ねえ、アルマ。どうでもいいけど、ジョギングとランニングの違いってなんなの?」

「確かジョギングが遅かったんだっけ?どうなんだろう」

「じゃあ今まで僕たちがしていたのランニングだったの?」

「さあ、どっちでもいいんじゃないか?」

「そうだね」

そんな会話をしながら家にたどり着くと、風呂に入り体の汗を落とす。
その後はベッドに入って寝るだけだ。
ただアルマに言っておかないと。

「今度こそ朝、起こす前に起きておいてよ?」

「やってみるよ」

「今度起きてなかったら寝耳に水いれてみるから」

「やめてくれよ……耳に水入ると気持ち悪いんだよあれ」

「じゃあ起きておいてね?お休み」

「お休み」

言うべきことは言ったし、後は眠りにつくだけだ。
ベッドに入り込んで、少し念能力の事で考え事をする。
まだ僕たちは水見式をしていないから何系統なのかがわからないのだ。
正直強化系なら楽でいいんだけどな……と思っていると疲れていたのか意識が無くなっていった。





翌朝、アルマの耳に水が送り込まれたのはいうまでもない。





後書き
H×H板に上げるタイミングってどれぐらいがいいですかね?
ハンター試験入ってからでしょうか?後どうでもいい雑魚キャラの念能力を考えないと……非常に面倒だ。
追記
後半を少し修正



[10875] 八話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/26 13:33





いつも通り念の修行を終えて、後は眠るだけになったある日。
ふと、とある事が脳裏に浮かんだので、父さんに聞いてみたいと思う。

「そういえばさ、父さん」

「なんだい?」

「ネットで他にトリッパーがいるかどうか調べてみたの?」

そう、ネットの存在である。
今の今まで、すっかり忘れていたが前世では便利なツールである。
なのに、そんなアホの子を見るような目で僕を見ないでよ、父さん。
アルマも、そんな父さんを不思議な目で見ているじゃないか。

「僕、そんな変な事言った?」

「まあ、しようがないよ。見てみないと分からないだろうし……」

と言って父さんは席を立った。
その後を僕たち小鴨のようについていく。
着いた先は……

「父さんの書斎?」

そう父さんの書斎だ。
仕事から帰ってきたら、まずここにいる。
そういえば……入るのは初めてではないだろうか、呼ぶときは外からやっていたから。

「それでここにパソコンがあるんですか?」

「ああ、そうだよ」

と、父さんは書斎のドアを開けて、中に入っていく。
それに続いて僕たちも中に入る。
まず、目に付いたのは部屋の真ん中にある机だ。
机の上にはポールペンと雰囲気作りのためなのか羽ペンの道具一式、それに綺麗なこの部屋にふさわしくない、埃被った布が掛けられた物がある。
机の上に書類がないので、本当に仕事をしているのだろうか?と思うが、机の上は埃もないし、その奥にある棚に書類が分類わけされて入っているのを見るとしているのだろう。
両脇の壁には本棚があり、中身は全部埋まっている。
それと部屋の片隅にマットが引いてあるとがわかる。多分グレーの絨毯を痛めないようにだろう、マットの上にはダンベルなどの筋トレ用品が置いてあった。
始めてみた部屋に、僕たちがキョロキョロと物珍しそうに眺めているのが可笑しかったのだろう。父さんに笑われた。

「なにさ、笑うことないでしょ父さん」

「いやね、物珍しそうな顔していたからね」

クククッ、とすかした笑い声を上げる父さんを睨みつけるが、顔はいいので決まっているのがムカつく。
これだからイケメンは嫌いなのだ、と憤慨しているとアルマが話を切り出した。

「それでパソコンはどこにあるんですか?」

うん、ナイスアシスト。
アルマに対し、親指を上げグッとやると向こうも返してくれた。
そんな僕たちを微笑ましい目で見てくる父さんが少々ムカつくがそこは許容範囲内。
華麗なスルーで話を続ける。

「ここにあるんだったら……多分その布に包まれたそれなんでしょ?父さん」

「ああ、そうだ」

「じゃあ何でそんなに埃塗れなのさ?」

そう、この部屋は綺麗だ。
そんなごみ一つない、綺麗な部屋なのになぜかこれだけが汚れている。
そんな事を不思議に思っている僕たちに対し父さんは

「まあ、これを見たら分かるよ……」

とどこか疲れた口調で喋った後は埃被った布を慎重にはがす。
そこで見えたものは―――





とある転生者 八話目





「これは……」

「骨董品ですか?」

そう、前世ではまず見る事はないぐらい、古い型のパソコンだ。
ただ、少し違うのは新品のように真新しいことだ。これは一体……

「あのね、二人とも。君たちが死んだの何年だい?」

そう言われて思い出してみる。
僕が……死んだのは2008年の夏だ。
靴紐を結んでおけば、転生することもなかったのだろうけど、それならこの楽しい日々は味わえなかった。
どっちもどっちだな、とそんな事を考えていると、アルマは何かに気がついたのか、大きな声を出した後に絨毯にしゃがみこんだ。

「どうしたのさ、アルマ?」

「ナイアは……気がつかないのか?」

「何に気がつけばいいのさ?」

アルマがあまりにも弱弱しい口調で話しかけてくるが、一体どうしたんだろう。
それにしても、何に気が付けばいいとのか、全く分からない。
それでも、必死に考えると、とある嫌な事が脳裏に浮かんだ。
僕がその嫌な事に思い当たったのが分かったのだろう、父さんが声をかけてきた。

「そう、この世界……まだパソコンが発達してないんだよ……二人とも」

その言葉を聞いた途端、僕も膝から崩れ落ちた。
まさか、パソコンが発達していないとは……確かに僕は光が通ってからインターネットをやり始めたけど……
ネットで聞いた話では、海外に飛ばされて大変な目にあったとかいろいろ聞いたけどさ。
まさか、そんな……今はハンター暦1990年だけどさ、そんな所は現実と同じじゃあなくていいよ……


そうやってアルマと二人で落ち込む。
そうか……前世のように便利なネット世界じゃあなかったんだね、ここ。
僕たちがorzの体制でしばらくいると肩に手が置かれた。父さんだ。

「わかっている。その悔しさは僕も分かっているから……」

そんな甘い言葉を吐かれた僕たちは、一斉に父さんに飛びついた。
いきなり抱きつかれた父さんは、少しよろめいたぐらいでこける事はなく、そのまま抱きしめてくれた。
そのまま三人で心の傷を癒す。
しかし、それにしても腑に落ちない事がある。それは……

「じゃあ何でグリードアイランドはあんなに売れたのさ?」

そうグリードアイランドの事だ。
あれがものすごく売れたから、売れるだけの土壌があるものだと思っていたのだ。
その質問に対して、僕たちを抱きしめたまま、父さんはこう答えた。

「実はね、グリードアイランドに関してとある噂が飛び交っていたのさ」

「噂って……どんな内容だったんですか」

「それがね、ジンがグリードアイランドに関わっているんじゃないか?っていう噂が流れてね?」

「それがどうしたのさ?」

ジンが関わっているぐらいでそこまで行くのだろうか?
父さんが僕を見る目が少し怖いが話を聞く。

「ナイア……歴史どこまで進んでいたっけ?」

「全然進んでないよ?少なくとも現代史までいってない」

「ならしようがないか……ジンはね、もうその当時には世界中から注目されていたのさ。現代史をやれば出てくるぐらいにはね」

「そんな人が関わったゲームが発売されるという噂が流れていたら……」

「そう、それに加えてハンター限定商品で生産数100本。しかも値段が五十八億一括払い、なんて金持ちからしたら持っているだけでステータスにならないかい?」

なるほど、超有名人が自ら手がけたゲームだ。欲しがる人も多いだろう。
原作を覚えている限り、ジンにはハンターたちに慕われていたから、買いたい人が多く出て、その上に金持ちが乱入……か。

「それであれほど売れたの?」

「いや、これは僕の持論なんだけどね?それでもあながち嘘とも、言えないんだな」

「え、それは持論なんですか?」

「まあ……そうなんだけど、実際に噂が流れたのは本当だしね」

結局、グリードアイランドが売れた理由はよくわからなかった。
それと忘れかけていたけれど、本来の目的をしなければ。

「で、それで父さん、結局ネットでトリッパーの情報集められるの?」

「やってみたけれどね?まずネット層が少ないんだ。このパソコンで百万するし、それに接続料金がかかるからね。」

高!前世ならネットなんて使い放題で、本体は十万円あればそこそこの物は買えたっていうのに……
これが技術格差って奴なのだろうか?

「そうなんですか?」

「そうなんです。だからネットを自由に使えるのがハンターや企業の重役などの金持ちクラスに限定されていてね?検索しても集まらないんだよ」

まあ、本体だけでかなりするのに、接続にお金がかかるのであれば、一般家庭の人たちは絶対に買わないだろう。

「じゃあ必要になったらどうするのさ?」

「それは前でいう、ネットカフェに当たる所でやっているのさ」

「はあ……」

「まあ、ネットが発達するのを待ってから、また調べてみるよ。何かあったらすぐ教えるからさ」

「分かったよ、それじゃあ父さんお休み」「お休みなさい」

「おやすみ」

ここで父さんと別れて、アルマと一緒に二階に上がる。
部屋の前に着いたら、寝る前に少し話し合う。

「まさかネットが使えないとは思ってなかったよ」

「俺もだ、正直トリッパー探し甘く見ていたかな……」

「キメラアントの活動まで、まだ十年以上も猶予があるんだから、のんびりやるのもいいんじゃない?」

「まあ、な。それにしてもトリッパーって何人ぐらいいるんだろうな。ここが密集していてわかんなくなるけどさ」

そう言われてみると……本当にトリッパーは何人ぐらいいるのだろうか。
変なところに転生してしまえばH×H世界だと知ることもないだろうし、もう死んでいる人もいるかもしれないのか……
実はトリッパー探しってめちゃくちゃに難しいのかもしれない。

「まあ、今後会えることを祈ろうよ?」

「そうだな、それじゃあお休み」

「お休み、今度こそ起きておいてね?」

わかったよ、という声を聞いた後に僕たちは部屋に入っていった。
明日もいい日でありますようにと祈りながら。




















部屋の中で少年が三人、唯一の光源であるパソコンに向かっていた。
何か作業をしているようだが、タイピングが早く理解することができない。
そのまま部屋にはタイピングをする音しか聞こえなかったが、左端の少年が喋り始めたことで沈黙は破れた。

「なあ、本当にこれこっちでいいのか?」

「何言ってるんだ。俺たちの目標は前に決めただろ……土壇場で怖気付いたのか?」

真ん中の少年が、少し怒りながら返答すると、左端の少年は黙った。
その後も、タイピングをする音が響いている。
そして、その響いていた音が突然止まった。
ちょうどいい所まで進んだのか、タイピングで指が疲れたからかどちらかはわからないが作業を保存して、パソコンを落とす。
すると今までこの部屋を支えていた光源が消えたため、真っ暗になってしまう。
しかし、少年たちが困ることはない。なぜなら、そこはベッドの上でもう寝る体制は整えてあるからだ。
三人が川の字になって寝ようとしている。しかし、真ん中の少年以外は落ち着かないのかゴロゴロ、ゴロゴロと転がっている。
両サイドが動くので真ん中の少年も寝付く事が出来ない。そんな無駄な時間が流れ、皆が動かなくなったころ、右端の少年が呟いた。

「なあ、本当にこれでいいのか?」

独り言のつもりで言ったのか、他の少年に聞かすために言ったのか、わからない。
そのまま、沈黙が続くので皆寝たのだろうかと思った瞬間、

「俺たちの目標は何だ?」

と、真ん中の少年が答えた。
時間をかけて返答されるとビクッってするからやめて欲しいんだよなあ……と思いながら右端の少年は告げる。

「俺たちの目標は前の世界があったことをこの世界に認めさせること……だよな」

「ああ、そうだ。そのための媒体としてなぜネットを使うか……それも決めたよな」

「ああ、親が金持ちだけど俺たちが使える金はない。なら……ハンターや富豪などのトリッパーを探して」

「協力させる。俺たちの能力があれば向こうもすぐわかるさ、協力することはとても美味しいとな」

「しかし、そんなにうまくいくのか?親に頼んで金を借りたりだとかさ、そっちの方がうまくいかないか」

「いや、そのやり方でトリッパーが集まっても大抵の奴らが一般人だ、それも体を鍛えてさえいない、な」

「そんな有象無象が揃っても、何の役にも立たないと?」

「ああ、そんな奴らが実際に戦場に立てるか?正直念に目覚めさせてキメラアント探索機にでもした方が有意義だ」

「言うなあ……」

「実際その通りだろ、今の俺たちが使えるのは、俺たち三人と、このパソコンだけだ。ただの一般人が増えてなんの役に立つ?お茶汲み程度だろ」

「そうだけどさ……」

「金を持っている奴らを釣れなければ、俺たちの計画は進まない。まだこれは第一段階にもなっていないんだ。誰も俺たちの存在を知らないんだ」

「そして、俺たちの知名度を上げて、トリッパーの旗本となって組織を作り上げると?」

「そうだ。組織だって動く事が出来れば……まずキメラアントなんかどうにでもなる。不味いのは下手な念能力者が勝手に向かうことだ」

「食われて、王様の強化フラグは潰したいと?」

「まあな……正直ネテロ会長でさえ勝てないんだ。危険な橋を渡るつもりはない」

「まあもうその話はよそうぜ?明日も早いし」

「そうだな、お休み」

「お休み」





後書き
グリードアイランドはこんな感じの設定でやらさせてもらいます。
正直なんで、あれがあんなに注文来たのか……よくわからない俺がいる。
後黒幕っぽいのは後ほど本編の方で。

追記
あー三種の神器とかケータイの無駄機能とかあったなぁ……5巻、8巻読み直したら書いてあるし……
まだパソコン本体の値段が高いのと、電脳ページ使用量が、かかるので自宅で自由に使えるのが金持ちクラスという設定で……いけるのか?
なので一般家庭(父親がサラリーマンや両親が共働き)には普及してなくて
もし使うのであれはインターネットカフェみたいなところに行く……本編で書けって話ですね。





[10875] 九話目
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/27 13:41





ザアアアアアア





今日は雨である。
雨だから当然、ジョギングもないし地獄のシャトルランもない。
だから悠々自適に過ごそうと思っているのだけど……

「だるい……」

雨の日は本当に大嫌いなのだ。
前々から雨の日は大嫌いだったけれども、あの四歳の誕生日に雨で肉体的にも精神的にも疲れて、あんな夢を見てしまってから本当に大嫌いになってしまった。
正直トラウマの一歩手前である。
なのですることも無く今は一人、部屋に篭ってだらだらしている。

「なにか楽しい事はないのかな……」

と独り言でもついてみるが当然反応は返ってこない。
今は午後二時、いつもなら念の修行があるけれど、雨の日と日曜日はやっていない。
だから、雨の日はアルマも念の修行はなく、体を癒す日になっている。


下に行ってテレビを見ようにも、ワイドショーのつまらない物ばかりしかない。
なんでこんな所は日本に似ているのだろう。
そんな事をベッドの上で考えていると、ふと机の上に開いたままのノートが目に映った。
昨日、勉強した後置きっぱなしだったんだよなぁ……と思いながらゴロゴロしていると、脳内に電流が走った。

うん、これなら退屈も紛らわせそうだ。
ベッドから勢いよく、起き上がると部屋の中に新品のノートか何か書ける物はないだろうかと探し始める。
よくこんな事を思いついたね、と自画自賛しながら探していると、使えそうな物を見つけた。
手にとってページをパラパラめくってみると、新品だ。
これならちょうどいいだろう、とウキウキ気分で作業に移るのだった。


……
…………
………………


時間を忘れて、ひたすらに作業に勤しんでいると、ドアをノックする音が聞こえた。
なんだろうと思うが、作業はやめないで返事をする。

「はーい」

返事をした後も、作業は続く。
せっかく楽しい事なんだから、と続けているとドアが開いて誰かが入ってきたようだ。
顔を上げて、入ってきた人を見てみると、アルマがトレイを持って入ったきた。
なんだろう、と思って首を傾げていると、トレイを机の上に置こうとするのでノートを端によける。
中身を見てみると、アップルパイと紅茶がセットで二つ、入っている。

「何これ?」

「今日のおやつだ」

もうそんな時間なのかと首を動かして、時計を見てみると三時十分、いつもならおやつの時間になっている。
以外にも作業に熱中していたみたいだ。
でも……なんで持ってきたのだろう?

「なんで持ってきたのさ?」

「お前が呼んでも降りてこないからだろ?少し心配したんだからな、前みたいになったんじゃないかと」

「う……それはごめん、でも何でアルマの分も?」

「雨の日で暇だったからさ、上で一緒に食べないか?と思ってな」

「わかった、それじゃあ片付けるよ」

そう言って僕は、今まで書いていたノートを収納棚にしまう。
ちなみに僕の部屋は、八畳ぐらいの広さがあり、窓のすぐ横にはベッドがある。
壁には収納棚と本棚、それとクローゼットが置いてあり、真ん中にはガラステーブルといった構成になっている。


片付け終わったら、アルマと一緒にアップルパイを食べ始める。
アップルパイって外がサクッ、としていて中のリンゴがシャキシャキしているのが美味しいから好きだ。
後はピザの耳のカリッとしているのとかも美味しい。
食べながら顔を綻ばせていると、アルマが話しかけてきた。

「それで、さっきから何してたんだ?」

と言われても……正直人に話すものでもないしなぁ。
でも、心配かけたしなぁ……まあいいか、話すだけだし。

「あのさ、日記を書いていたんだよ」

「日記?」

「そう日記。雨で憂鬱だったからさ、今まであった楽しいことでも書いてみたら気分がまぎれるんじゃないかと思ってさ」

「それで、熱中していて呼んでいたのに気が付かなかったと?」

「ごめんごめん、それにしてもこのアップルパイ美味しいねー」

そう、さっきから必死になって書いていたのは、日記である。
いや、雨の日にしか書かないつもりだから……これは日記でいいのだろうか?
どうでもいいことは置いといて、ふと気になったことを尋ねる。

「それでさ、アルマ。何か話したいことでもあったの?」

「何でそう思ったんだ?」

「いやね、わざわざ上に持ってこなくても、下に来るようにいえばいいじゃない」

別にわざわざ上に持ってくる必要は無いのだ。
部屋に来て下に来るように呼んだりすればいいのに……何かあるのだろうか。
そんな事を考えているとアルマは

「下に母さんがいるから、原作の会話が出来ないんだよ」

と、言ってトランプを取り出した





とある転生者の生き方 九話目





「何でトランプ?」

アップルパイの最後の一切れを口に含み、紅茶で流してから聞く。
何でトランプを出すのだろうか……アルマはトランプを切りながら話してきた。

「いやな、原作をどうするか話し合ってなかったなーと」

二人とも食べ終えたので床においてあるトレイに食器を置きながら、そういえば話し合ってなかったっけ、と考える。

「でも、何か話し合うことあったっけ」

何か話し合うことも無かったと思う。
正直原作崩壊が起こってもどうでもいい。むしろ原作崩壊を起こそうとしてるんだから。

「ハンター試験で、どうやってトリッパーを探すかとかな」

アルマがまだ切りながら、そう告げてきた。
探し方なんて念能力者かどうかで決めればいいんじゃ……
そう告げてみるとアルマは

「でもな、よくよく考えればヒソカいたんだよ……」

と言った途端ものすごくへこんでいた。
ああ、いたなあ……もうすでに生まれてから七年が経っていたのですっかり原作知識なんて吹っ飛んでいる。
もう覚えているのはゴンとキルアとキメラアントと幻影旅団と鮨ぐらいなものだ。

「でも、ヒソカなんてほっといたらいいんじゃ……」

「念能力者だと絡まれないかなーとな」

「考えるだけ無駄だよ。それなら二次試験でさ鮨、出してしまえばヒソカも追ってこれないでしょ」

「そういえば……そうだな。それで何する?」

まず何をするか……トランプといえばいろいろある。
大富豪に、七並べ、スピードに、真剣衰弱、それにポーカーなどもあるけれど……ここは一番有名な物からいこう。

「ババ抜きでもやらない?」

「ババ抜きね、了解。」

そう言ってアルマはカードを配っていく。
配られたカードに揃ったものがあればその都度捨てるようにしていたら、残り7枚になった。
ジョーカーは無いのでアルマの方に入っているのだろう。

「まあそれでさ、ヒソカは二次試験で振り払うとして……トリッパー探しは最終まで待たない?あ、揃った」

「何でまた。始まる前でもいいんじゃないか?こっちも揃った」

「いやね、一次試験ってさあのマラソンじゃない?もしそれで脱落するかもしれないからさ。ジョーカー来たよ……」

「後はトリックタワーなどで落ちるようなら意味がないと?また揃った」

二人でババ抜きをしながら今後どうすべきか話し合っている。
久しぶりにやるとババ抜きも楽しいもんだ、と思いながらやっているとラスト、アルマの回だ。

「うん、それで最終まで残っていたら、そこで声をかけようかな?と。あ!」

「よし、上がり。まあそれでいいんじゃないか?」

「そうだね、それじゃあもう一回やろうか」

今度は負けた僕がカードを集め、切り始める。
配り終えた後はカードの整理をやって今度は九枚、ジョーカー有りでだ。

「あのさ、アルマ。僕たち何系統なのかな?」

「そういえば……まだ水見式やってないな。お、揃った」

「父さんがあの地獄のシャトルラン走りきったら、なんていうからだよ。あ……」

「でも、もう少しで行けそうじゃないか?後二枚」

確かにあの地獄のシャトルラン、もう少しで達成できそうなのだ。
恐るべしH×H世界。前の世界だったら二十分も出来ればいい方だろう。


そしてまたアルマの番で、僕がジョーカー持ちのまま、これで取られたらアウトだ。
アルマの手がジョーカーにくる!そのまま、そのまま。
そのまま食いつくかと思った瞬間!横のカードが取られ、またしても僕の負け。

「また負けたよ……」

「あのな、ナイア。お前顔に出まくってんだよ……」

「マジで!」

「マジで」

そんなに顔に出まくっていたのか……
しかし、ここで落ち込んでいる場合じゃない、アルマに一矢報いないと。

「それじゃあ、アルマ。勝つまでやるよ!」

「無駄だと思うけどな……」

そんな言葉が聞こえたがスルー、散らばっているカードをまとめてシャッフル。
今度は絶対に勝つ!と心に決めて、配り終えたカードを整理し始めたのだった。


……
…………
………………


「負けた……」

「いくらなんでも弱すぎるだろ……」

そうあれからババ抜きに始まり、ポーカー、大富豪、七並べなどをやりまくって勝てた回数が二回。
そのうち一回は奇跡的にカードが揃ったババ抜きで、もう一回はロイヤルストレートフラッシュなんて無駄に豪華な役が出てしまったポーカーだ。
だから、勝てたのはただの運でしかなかったわけだ……そうやって落ち込んでいると、アルマが励ましてくるがスルー。

「ほらな、ナイア。明日のおやつやるから元気出せよ」

というかこっちを完璧に子ども扱いしてやがる。
明日のおやつが何かは知らないけど、そんなものに釣られる僕じゃあ、ない。
そうやってふて腐れてると、アルマに手を取られて引っ張られた。

「なにすんのさ……」

「いやな、もう夕飯の時間だから、いかないとクトさんに怒られるぞ」

そういわれて時間を見てみると、もう六時になるところだった。
意外と時間は潰せていたようである。しようがない機嫌を直してあげますか。
ご飯は美味しく食べたいしね。

「わかったよ、でも手離してよ」

「駄目だ、下につくまで離さない」

こっちはもう、機嫌は悪くないっていうのに……全く。
でも、これは取り付けておかないと。

「でも、明日のおやつ渡してよね」

「ハイハイ、わかったわかった」

「まるで人を子供のような扱いしてさ」

「まるで子供じゃねーか、おやつで機嫌直るんだから」

「おやつで機嫌直したわけじゃないよ?ご飯食べるんだったら、美味しく食べたいと思ったからで―――」

「まるっきり子供じゃねーか」

なにを!と思ったが、ご飯だから機嫌直る僕って子供じゃないか、と衝撃を受けて落ち込むこと数秒。
その後、これは精神が体に引きずられているんだよ、と自己弁護を生み出すことに成功してニヤニヤしていたら気持ち悪いといわれた。
そんなこんなで食べた晩御飯はいつも通り美味しかったです。


風呂などを済ませて部屋に帰ってきた。
髪を切るのがもったいないな、と思って伸ばしていたら手入れがめんどくさいし、なかなか乾かない。
もし念能力作るなら簡単に乾かせるような念能力を作り上げようと、心に誓っていると今日日記にし始めたノートが目に付いた。
まあ今日あったことも楽しかったことだよね、とノートに書き始めた。


1991年六月十三日 雨

今日から楽しかったことを書くことにした。
案外、雨の日の憂鬱が消し飛ぶ。

それとハンター試験をどうするかが決まった。
とにかく二次試験の時に鮨を出してヒソカと離脱。
その後は最終まで残ったトリッパーであろう人たちとコンタクトをとることに。

後、今日はアルマとトランプをしたが惨敗。
なんであの時ロイヤルストレートフラッシュが出たのだろうか。
いや、出たからこそ負けまくったのだろうか?そこら辺、一度考えてみるべきだろう。
それと明日のおやつはなんだろうか、今から待ちきれない。






後書き
水見式は次回に入れると思います。
このまま書いていたら……ハンター試験今の調子だとハンター試験入るのに後十話ぐらいかかりそう。
どうするべきか。



[10875] 人物紹介
Name: ぼーる◆fe6af733 ID:0795a42c
Date: 2009/08/26 10:44
八話時点での人物紹介

ナイア=マークウェル
靴紐のせいで死んでしまった元男
絵心がなくさらに音痴。転生したことで体を動かすことが楽しくなった。
それと大気にプロテイン配合のH×H世界なので自分の体がどこまでいくのか試してみたい。
原作のハンター試験にはキメラアント対策のために参加する予定。
別にハンターになれば勉強しなくてもいいよね!なんて黒い考えがあったが父さんにより無効化。
ちなみに[絶対的な拘束(ギアス)]だが、あれ実は何も書かなかったら第三のルート自力で念を頑張るがあった。
毎朝毎朝、起きないアルマをどうやったら文句を言われないで起こす事が出来るか悩んでいる。
ナイアにしてもアルマにしても念能力は名前に関連性有り。もし八話現在でナイアの能力の元ネタ当てる事が出来る人いたらすごいと思う。

アルマ=ニグラース
死因はいい大人なのにふざけてこんにゃくゼリーを凍らせて口の中で遊ばしていたらふとした拍子に飲み込んでしまいそのまま絶命した馬鹿。
生前25歳であった。
そしてH×H世界に転生したけど、親戚に子供が多かったので遊ぶのは苦痛ではなかった。
ちなみにナイアと始めて会った時にこいつどこか違うな……と思っていた。
その後トリッパーであることを確認して一緒に行動をすることに。現在ナイアの家に居候である。
どうせ転生したのだから念能力を覚えたいし、クジラ島やククルーマウンテン、天空闘技場にグリードアイランドに行ってみたい。
と言う理由でハンター試験を目指すことに。
実はキメラアントは勝手に他のトリッパーが殲滅してくれるんじゃね?と楽観している。
目覚まし時計を仕掛けても起きないのは、寝ぼけながら自分で止めて、また寝ているのでは?とナイアに思われている。
ちなみに一話でこいつの名前が最後まで決まらなかったが
直前に主人公の名前がどっかのRPGの主題歌と同じ某SSと能力の元ネタを見た事でもういっかこれで、と決定。

ルフ=マークウェル
トリッパーだった。
死んだと思ったら転生できたぜ!と喜んでいたらH×H世界でキメラアントを思い出してorz。
どうせだから、それまで豪遊でもしてみようかな?とハンターになることを決意
しかし試験会場で母さんに一目ぼれしてしまう。そこから猛烈なアタックを繰り返し今に至る。
ハンターの分類は、ブラックリストハンター。ナイアが誘拐されなかったのは両親の念能力のお陰。
ちなみに両親だけ元ネタが名前などに関係ない。ギアスはコードギアスから拝借。

絶対的な拘束(ギアス)

能力
念で物質化した紙を取り出しそこに文字を書くことで契約書を作り上げる。誓約書は自分用と相手用の二枚が必要となり
誓約書の内容を自分と相手がしっかり確認しておく必要がある。
具体的には相手が誓約書の中身を読んだ後、自分からに声を出して読み上げ、相手が理解しているか確認する。
そして最後まで、確認し終えたのであれば名前を書き、拇印を押した段階でこの能力が発動する。
相手はこの誓約書に書かれている内容を守らなければならない。

制約/誓約
誓約書に書かれている内容を破ることはできない。破ろうとすれば、体が鉛になったかのように重くなり
吐き気やめまいなどの症状が表れる。その警告が出たにもかかわらす実行すれば死んでしまう。
もし能力者が死んでしまった場合この誓約書は破棄されてしまう。

クト=マークウェル
この人もトリッパー。
美人であるがスレンダー。作者的には巨乳よりもスレンダーの方に魅力を感じるが
父さんのタイプはスレンダーでなくむしろもっとムチムチ。
なぜハンター試験に参加したのかはありとあらゆる食材を見つけ出して自分で調理してみたいと思ったからである。
念願が叶って美食ハンターになったが父さんにほれられてしまったのが運のつき。
ストーカー半歩手前の猛アタックに陥落してしまい結婚。
その後妊娠している事がわかったためハンターを引退することにした。
ちなみに娘が一人立ちしたら小さな料理店を夫婦でやろうと計画している。
元ネタはハンターつながりのモンスターハンター。
無印でのペイントボールの使い勝手は異常。作者はガンランスと片手剣が好きです。

華麗なる食卓(ネコメシ)

能力
念をこめて食事を作ることで、生命力を底上げを行い、新陳代謝や体力の回復が早くなる。
さらに病気などにかかっている場合でも生きる意志があるのであれば、末期ガンからの回復さえ可能である。
ただしそれには能力者の料理が超一流である必要があり、なおかつそれに見合った食材も必要になってくる。

制約/誓約
料理を作ってから一時間以内に食べないと効果がない。
自らとってきた食材や作った食材であればより効果が上がる。
料理を冒涜してはならない。もししてしまった場合この念能力は失われる。

どこまでも漂う道標(ペイントボール)

能力
ピンク色のボールを具現化する。これを対象にぶつける事で見たいと思ったときに
現在地や今の心身状態、身長体重など、さらには病気はないかまで、お手軽にわかる。

制約/誓約
効果があるのはぶつけてから一日までである。
作れるのは一日に五個までである。
ぶつけた相手の事を知っていれば知っているだけ、より詳細な情報が見れる。

フィーネ=ニグラース
アルマの母さんでただの主婦だったんだけど、ナイアの両親がアルマをハンターにさせるための説得で、念の存在を知り、習得。
やっぱり若さは何時までも保ちたいようである。
アルマがナイアの家に居候になっているのでこのままナイアとくっつかないかな~と考えている。
親元を離れて少し寂しく思っているが、学校に行けば家に居なくなるし、いつかは独り立ちするのでまあいいか、と思っている。
会いたいと思えばいつでも会えるだろうし。

なぞの三人組
今後ナイアたちと関わる予定はある。けれども、まだまだ先の話。


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