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[11129] 【チラ裏から移転】本屋の店員(現実→HxH)
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2010/04/10 20:39
 彼女は病に侵されていた。
 最後の瞬間、彼女には自らの終わりがわかった。

「ハンターハンター、最後まで読みたかったな…」

 最後に、ふとそう思った。
 そして彼女は気がつくと、虚無の海に漂っていた。
 何も聞こえず、何も見えない。体も、頭も満足に動かない。

(死ってこんなだったのか……)

 何もないこの場所で、永遠に彷徨うのだろうかと、彼女は恐れた。
 暴れようにも体に力が入らない。
 彼女に出切る事は、ひたすら楽しかった事を思い出すだけだった。
 それもしばらくしたら尽きて、今度は何も考えないようにする。
 瞑想を続けるうち、彼女は彼女なりの悟りを開いていた。
 それからどれくらい立っただろう。彼女に、微弱な音が聞こえるようになっていた。
 彼女はそれに耳をすませた。
 よくわからない言語。これは神の国の言葉だろうか?
 その音を子守唄としながら、彼女は眠り、あるいは瞑想をした。
 そして、その日が訪れた。
 いきなり明るい場所に放り出され、パーンとお尻をはたかれる。
 彼女は激しく泣き叫んだ。そのショックで息をしだす。
 彼女は、転生をしていた。



(退屈だなぁ……)

 やはり彼女には、瞑想する以外に退屈しのぎの方法はない。
 赤ちゃんの内は、動けるはずもなく、言葉もわからなかった。
 母親も自分の事を放置気味である。
 泣けば相手をしてくれるのだが、必要のない時に泣くのは面倒くさかった。
彼女が知っている事は、自分の名前がニーナだという事くらいだった。
 そうして瞑想を続けるうちに、ある日ふと、うっすらとした蒸気のようなものが自らと母の周囲に見えた。
 力がどんどん抜けてゆく。

(これって、オーラが見える体質になったのかな。でも何で力が抜けるんだろ。もしかして…念!?まさかね)

それでもニーナは、ハンターハンターのファンだった事もあり、一応念を操る術の一つである纏を試してみる。

(蒸気が体の回りを巡るように……)

一時間ほどそうしていると、果たして、蒸気は彼女の思うとおりに周囲に留まった。

(やった…でも疲れた…眠い……)

ニーナは、深い眠りに落ちていった。
  


 ニーナが起きた時、母も父も泣いていた。
 どうやら心配させてしまったらしい。その日以来、母が常についているようになった。
 ニーナも親を心配させた事を反省し、積極的に笑いかけたりして、親を喜ばせようとする。
 一才になり、絵本を読んでもらえるようになってから、俄然ニーナは勉強意欲を覚えた。
 本が読みたい。ニーナは必死に言葉を勉強する。
 本を取りに行く為に体を積極的に動かし、はいはいや立つことも覚えた。
遅れていると心配していた両親は、とても喜んでくれた。

「絵本だけじゃつまらない……」

 ニーナの次のターゲットはパソコンだった。
 既に単語は理解できるようになっている。
 パソコンで調べて、ザパン市やヨークシンシティを見つける。

「ここって本当にハンター世界なんだ。体、鍛えなきゃいけないのかな…。嫌だなぁ…キメラアントさえどうにかなれば普通の生活が出来るかな」

その過程で日本語を見つけ、日本語の世界共通語講座で勉強する。
 ニーナはハンター語をようやく読めるようになった。

「もう、ニーナったら!お外で遊びましょう?」

 母に言われ、ニーナはいやいやと外出した。
 仕方が無いので、黙々と石割で遊ぶ。

「もう、ニーナって本当に変わった子ね。なんだか気味が悪いわ」

「ごめんなさい、お母さん。せめて勉強は頑張るから捨てないで」

「捨てるわけないじゃないの、可愛いニーナ」

 母に抱き上げてもらい、ニーナは母に縋りついた。
 ニーナは自分の奇妙さを重々承知していた。それでも漫画や小説を捨てる事は出来なかった。
 それどころか、ニーナは枕元に本を置いて寝るのが常だった。
 そんなある日、それは起きた。

「ラッキー!凄い夢!」

 二次元の漫画の中に入った夢を見たのだ。
 目の前で幽遊白書の幽助が、乗用車の上から自分の死体を眺めて考え込んでいる。
 幽助の考えている事が、聞こえてくる。
 どうやら、自分の姿は周囲には見えないらしい。
 ぼたんが幽助になにやら説明をしている。
 二次元の中では距離感が取りにくいという欠点はあったが、十分にニーナはそれを堪能した。
 同じ事が何度も続き、ニーナは考えた。
 これは念能力かもしれない。
 試しに、制約を心に誓ってみる。
 一つ、ブックバンドを使って夢を見たい本を枕の下に入れて眠る事。
 一つ、同じブックバンドも本も1回しか使えない。
 一つ、使う人と私の両方が読んだ本しか使えない。
 一つ、そのブックバンドは一度に三つまでしか作れない。
 一つ、ブックバンドは一ヶ月で効力を失う。
 一つ、おはようと呼びかけられると起きねばならない。
 一つ、夢の中で傷を負うとその傷に応じた期間に絶状態になる。死ねば一年絶になる。
 一つ、ブックバンドはその時指定した本の夢しか見せられない。
 さすがに趣味に命は掛けられないから、量で勝負だ。制約をつけて、ブックバンドに念を込める。
 ニーナはそれに、ドリームブックバンドと名づけた。
 母には朝、必ずおはようと言ってもらうことを頼み、ニーナは毎日夢の世界を堪能した。
 …ニーナが大人になった時、古書店の店員になるのは当然の成り行きだった。
 ニーナは、もう一つ念能力を手に入れていた。
 それは、今いる町に念能力者がいたら感知する能力だ。
 これは地図とダウジングで比較的容易にイメージが出来た。
 これも制約をつける。
 一つ、纏か錬、発をしている能力者しか感知できない。
 一つ、今いる町でしか感知できない。
 一つ、位置は感知できない。
 一つ、人数は感知できない。
 一つ、自分より弱いものは感知できない。
 一つ、このペンダントでしか出来ない。
 一つ、一日に一度しか出来ない。
 一つ、使用後一時間は絶状態になる。
 ニーナは他の念能力者を知らない為、実際に試す事は出来なかったが、制約を決めただけでも満足した。
 こうして、ニーナの本屋としての生活は始まった。



[11129] 2話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2009/08/19 19:53
「ニーナ、薦めてもらったあの本だけど、面白かったよ」

 なじみの客が、そう言ってニーナに笑いかけた。
 ニーナは、ファンタジー系のドラゴンが出てくる本を薦めていた。

「実写で見たいわよね、あれ」

「全くだよ。ぜひ映画館で見たいね」

 ニーナはそれを聞き、実写の傍観形式、と念を込める。

「良かったわ。そうだ、今度あの本にこれをして、枕の下に入れて眠ってよ。いい夢見れる、一回限りのおまじない。誰にも内緒よ?あ、それと、これはセットの目覚まし時計ね」

 ニーナは朝9時にセットされた録音タイプの目覚まし時計とブックバンドを渡した。
 おはようという声が録音されているものだ。

「ありがとう、貰っておくよ」

 ニーナはお客を笑顔で見送った。
 他の常連客が、駆けてくる。

「凄かったよ、昨日の夢!ジャングルのど真ん中にいてね、こう、主人公が空からつたに捕まってざざっと降りてきて。魔獣との対決がまた凄いんだ!途中で起きちゃったのが残念だよ。あれ、本当に一回だけなの?また見たいなぁ」

 常連客が興奮して言うと、ニーナは苦笑した。

「すぐ試してくれたのね。でも、二回目以降は別料金よ?それと、あの目覚ましを掛けないと寝過ごすから気をつけてね」

「休日を使うよ。この前の続き、見れるかな」

「そういうと思った。同じ本とブックバンド、お買い上げありがとうございます。続きからって言えばそうなるから。読んでからじゃないと、夢見れないから、面倒でももう一度読んでね」

「ああ、ありがとう」

 本の売り上げは店に、ブックバンドの売り上げは自分のポケットに入れてしまう。

「あ、あの、噂を聞いたんだ。ブックバンド、売ってもらえないかな」

 新顔の客が、言ってくる。

「限りがあるのよ。今日はこれでおしまい。それにお得意様にしか渡してないの」

 新顔の客が、多くの本を持ってきた。

「これで僕もお得意様だろ」

「……もう。一ヵ月後ならいいわ。予約しておくから、お名前は?」

「あ、ありがとう!」

 少し危険かとも思ったが、ニーナは自分の能力の自慢や夢についてのお喋りがやめられず、常連にだけブックバンドを渡していた。店の売り上げにも大いに貢献し、店主からは有難がられている。
 ニーナは、楽しい人生を満喫していた。
 昼になると、ニーナはダウジングを試す。針が大きく揺れた。
 
「やだ。引っ越そうかしら。そろそろ原作開始時期だし」

 戦いの修行はたまにしかやっていない。ランニングと原作であった修行の内簡単そうなものと重りをつける事だけだ。
 幸い、ブックバンドの売り上げで懐は暖かい。
 パソコンと着替えと本をトランクにつめると、ニーナは店主に別れを告げた。
 ニーナは、くじら島に行くことにした。
 
「くじら島には古書店はないのね。残念」



 くじら島に行くと、ニーナは髪の逆立った少年を探した。
 ハンター試験の時期に行った為、船の前で待つだけでよかった。

「もしかして、あなたの名前、ゴンくんっていうの?」

 髪の逆立った少年を見つけて、ニーナが言う。

「そうだけど、お姉さんは?」

 少年は、純粋そうな瞳でまっすぐ見つめ返してきた。

「私は亡くなった預言者の友達よ。信じられないかもしれないけど。
貴方はこの先、ネテロ会長って人に会うわ。その時、この預言書を渡してほしいの。料金は払うし、中身は見てもいいから」

 ニーナはゴンに本を渡す。

「うん、わかった」

 ニーナは、役目は果たしたとばかりに次の町へと向かった。
 本の中には、この次のハンター試験の後の時期に、人間ほどの大きさもあるキメラアントをポックルが見つける事、キメラアント達がNGLを住処とする事、ポックルやカイトがどのように殺されてどのように敵に利用されるか、念能力者を食べたらキメラアントが手をつけられなくなる事が記してあった。
 ゴンがカイトを止めればカイトの命が助かるかもしれない、父を探せばその過程でカイトと会える、とも。
 キメラアントさえ防げばニーナの将来は安泰である。
 読んでもらえなかったり、信じてもらえないなら仕方ない。
 用を済ませたニーナは、次の町へと向かった。
 古書店を探して、雇ってもらうのである。




[11129] 3話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2009/08/20 20:19
 
 ニーナは転々と町を旅していた。

「最近、念能力者に会うのが多いわね」
 
 町について、職を見つけて一日で出発する羽目になる事もある。

「お願いします、雇ってください」

 古書店を見つけ、飛び入りでお願いする。
 人の良さそうな主人が、嬉しそうに声を上げた。
 念は垂れ流されているが、やたら量が多い。

「おお、あんたもしかして、夢を見せてくれるブックバンドの持ち主じゃないか?有名だよ」

「そうなんですか?」

 ニーナは驚きを隠せず、口に手を当てた。

「オークションで出てたよ。凄い時には一千万ジェニーだったかな。雇ってもいいが、ブックバンドの売り上げは半々で頼むよ」

「一千万ジェニー!?一回夢を見せるだけなのに」

「最高の夢じゃないか。しかも、凄腕のハンターでも逃げられるとか」

「え…ハンターにも追われてるんですか!?」

 こうして、ニーナは、いやおうなく修行をする必要に迫られたのだった。
 仕方なく、道場に通う事にする。
 隣町に心源流道場があった為、そこに通うことにした。
 古書店にはそのまま雇って貰う事にした。
 素直にブックバンドを渡して凄腕のハンターとやらにはお引取り願ったほうがいいとニーナは判断したのだ。
 
「と言うわけで、何かあったら守って下さい」

 ぺこんと頭を下げてニーナは言う。

「自分の身ぐらい、自分で守れるようになりなさい。その手伝いはするから」

 心源流道場師範代のサイラスは呆れた声で言った。
 
「はい、すみません…」

 ニーナは素直に頭を下げる。
 ニーナにも、自分の言う事が勝手だとわかっていた。

「しかし、その力…本の中の人物と話せたりするんだって?」

 サイラスが、興味深げに聞く。

「制約がきついですから、本の中の世界はある程度自由自在です」

「それは面白いな。本の中の人物と戦うことも出来るのかな?」

「本当に戦うわけではないので、簡単にイメージトレーニングが出来る程度ですが。あ、寝相は凄く悪くなりますよ。夢の中での怪我の大きさによって絶状態になりますし」

「それは面白い。よし、授業料はブックバンドで貰うよ」

「わかりました」

 ニーナは言って、古書店に帰る。住み込みで働かせてもらえる事になったのだ。
 翌日から、ニーナは仕事を始めた。



「確かにこのお姉さんだよ!」

「ニーナ…!ニーナだな!?ようやく見つけた!」

 髪の逆立った少年と金髪の少年、長い髪に鋭い瞳をした青年が、古書店にずかずかと入ってきた。

「どなたですか?」

「君の友人に死を予言されたカイトだよ」



「まさか信じてくださるとは…」

 凄腕のハンターカイトと、ゴンとキルアにお茶を出し、ニーナは言った。

「少なくともネテロ会長がハンター試験に出る事は当てて見せた。
俺の念能力もね。三番を出すが敗れる、だったか。これは俺の念能力を知るものにしかわからない事だ。そして、先日ポックルはレインボーアローを覚えたよ。
いや、君が目立つ人間で助かった。詳しい事を聞きたくてね。
ゴンは俺に行くなってうるさいし」

「そうだよ!カイトが死ぬって、言われて、俺……」

 ニーナは、ゴンの言葉を聞いてため息をついた。
 警告は聞いてもらえたが、調査はしてもらえているのだろうか。
 していないなら、手遅れにしただけとなる。

「念のため聞きますが、グリードアイランドをクリアしてどれくらい立ちますか」

「ちょうど一月前かな」

 ニーナはその言葉に、顔を曇らせた。
 それでは、女王はもう活動を開始しているだろう。

「調査の結果、キメラアントの腕は見つかった。既にNGLにハンターを向かわせているが、何人かは連絡が途絶えている。その上、未だに本体は見つかっていない」

 カイトは、表情を厳しくして言う。

「カイトさんがここに来てる時点で未来は変わってますから、あまり力にはなれないと思いますが」

「それでもいい。キメラアントは、俺でも立ち向かえない相手なのか」

 ニーナは考え込んだ。

「念能力者を食えば喰うほど強いのが生まれてきます。王直属の護衛軍に対しては、カイトさんとノヴさんって人よりずっと強いです。予知で負けてたって言ったでしょう?友人の予知の時点では、ゴンとカイトさんが出会った時点でネテロ会長に頼めば護衛軍が生まれないうちに勝てたでしょうけど…」

「ネテロ会長が出ないとならないほど強いのか…。しかし、本体の位置がわからない」

「友人の予知と変わっていないなら、ここらへんです」

 ニーナは地図を取り出してきて印をつける。

「ありがとう。だが、どうして知らせてくれなかった」

 カイトの質問に、ニーナは答えた。

「そこを見張り続けたら、警戒されてそこに巣作りしないと思ったから…」

「仕方ないな…。いや、ありがとう。他に予知はあるか?」

「もう未来が変わってるから、下手な先入観は持たないほうが…」

「それはこちらが判断する。全て話してくれ」

「……覚えている範囲内でいいなら、キメラアントの使う念能力をいくつか聞いています。最初に言っておきますが、王はネテロ会長より強いかもしれませんよ。ゴンとキルアも、まだ今の段階では足手まといです。ですので、3人だけでは絶対に行かないで下さい。ノヴさんなら緊急避難が出来そうなので、最低でも彼に同行を頼んだほうがいいかと。その上、流星街、東ゴルトー共和国…どんどん広がっていきます」

「足手まとい!?」

 慌てて取り消そうとして、ニーナは気づく。

「ああ、そうか…。困ったな。ゴンとキルアは、カイトの死を乗り越えて強くなると、予知で…。特にキルアは自力で頭の針を抜かないと…でも、未来が変わっちゃったから…」

 ぶつぶつと呟くニーナの言葉に、キルアははっとして額に手を当てた。
 思い切り引き抜く。

「針が…本当に刺さって……」

 キルアが、呆然とした声で言う。

「あっごめんね、自分で乗り越えて強くなるはずなのに」

 ニーナがあわてて謝ると、キルアは首を振った。

「いいよ。未来が変わって気づかなくなる事もあったんだろ?あんた、どれだけ俺たちのこと知ってんの?」

「キメラアントが打ち上げられてからハンター達が王に戦いを挑むまでの様子を、友人に聞いたの。だから、主なキメラアントとその相手をして戦ったハンターの事がわかるの。今から話すわ」

 覚えている限りの事を言うと、カイト達は頷いて部屋を出て行った。

「…大変な事になったね。こりゃ、ぼくにもお呼びが掛かるかな」

 古書店の店長が言う。

「店長も念能力者なんですか?」

「面倒事を引き寄せない為に、普段は垂れ流しなんだよ」

 念能力を隠しもしなかったニーナは、頭をかいた。
 そして、心源流道場へと通いに行くのだった。

 
 翌日、ハンター協会から発表があった。
 ニーナの流した情報が流され、ハンターに対しても下手な実力のものが行かないように注意が促されていた。敵の能力や次の予測繁殖地もバンバン流されている。
 これで大丈夫だろうとニーナは安堵した。



[11129] 4話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2009/08/21 12:40
 ニーナが店番をしていた時の事だった。

「ブックバンド一つくれ」

 纏をした太った男が注文に来る。ニーナは僅かに脅えた。

「すみませんが…私が読んでお客様も読んだ本じゃないと駄目なんですよ」

 ニーナは、差し出された本に、目を通す。ごく普通のゲームの漫画に、ニーナはほっとした。

「二次元のままでいいですか?主人公に憑依する夢なんていかがでしょう?」

「出来るのか!?」

「出来ますよ。はい、どうぞ。怪我をなさらないようにしてくださいね。怪我に応じた期間絶状態になりますから。これは、一千万ジェニーになります。またのご来店をお待ちしています」

 ニーナが夢の方向性を定め、刺激を与える。そして、その方向性に沿って最大限に想像力を掻き立てる。それこそが、ブックバンドの力だった。
 だから、人間の想像力の及ぶ限り、どんな夢でも見れるのだ。

「ありがとう、また来るよ」

 ニーナは笑顔で手を振った。紳士な人でよかったと安堵した。
 心源流道場では、10歳の子供に叩きのめされるニーナである。
 纏をした人間はやはり怖い。
 ニーナ自身がオタクだし、仲良くなれそうだった。
 事実、一月に一度は来てくれる良客になった。
 
「お客様、これなんてお勧めですよ。お客様はいつも来てくださるから、今日はサービスです」

「あぁ、なんか悪いな。そうだ。これ、携帯番号。困ったことがあったら電話してよ」
 
「ありがとうございます」

 本当に紳士な人だとニーナは心から喜んだ。
 試しにダウジングした時、相当な揺れ具合だったからかなりの念の使い手でもある。
 その後、ふと気がつくと町の外にトランクを持っていたのが疑問だが。
 困った時は頼りにしようと喜んで名刺を見る。
 そして、名刺にミルキと書いてあるのを見て腰を抜かすのだった。




 しばらくして、また纏をしたお客がやってくる。
 小さい体だが、かなり圧縮された纏にニーナは脅えた。

「ブックバンド寄越すね」

 ぽん、と拷問の本が乗せられる。

「ゆ…夢の方向性はどういたしましょう」

「私の手でたぷり拷問する夢にするね」

「はははい、わかりました」

 ニーナは吐きそうになるのを堪えて、必死で拷問の本を速読した。
 ブックバンドを渡すと、その男は、代金も払わずにそのまま出て行く。
 ニーナはその場にへたり込んだ。
 翌々日、ニーナの所に、好青年の纏をしたお客が来た。
 短い髪が、さらりと揺れてニーナはどきっとした。
 これで大きくて気持ち悪い念獣がついてなければもっといいのだが。

「ブックバンド買いに来たんだけど」

「一千万ジェニーになります。本はお持ちですか?」

「お勧めはあるかな」

「こちらのファンタジーで憑依物なんか、ドラゴンと戦ったりできて好評でしたよ」

「じゃあ、それで。でも、これって、面白くて寝っぱなしになっちゃいそうで怖いな」

「いやー…お腹がすけば夢の中でもわかりますよ、さすがに。出たいと思えばいつでも出られますし。不安なら、おはようって声を掛けたらすぐに起きますよ。おはようっていう目覚ましありますよ」

「いや、友人に頼むよ。君の能力って変わってるね。使えるのは娯楽だけ?」

「娯楽だけです」

「ふぅん…やっぱり変わってるね。じゃあ、予知は?」

「予知ですか…?死んだ友達が使えましたけど……?」

「そう。いや、君が予知も出来るんじゃないかって噂を聞いてね」

「予知ができたらバカみたいに念能力見せびらかしてハンターに追われたりしませんよ。
今更、道場で身を守る術を習ってるくらいです。でも10歳の子に負けちゃって」

「ハハハ。流星街が襲われたのがいつかとかは聞いてる?」

「王様が生まれてからだから、まだ余裕がありますね。生まれる前に倒せたらいいんですけど」

「そうだな…元々約束もあったしな」

 好青年は考え込んだ。

「ありがとう。今日はとりあえず帰るよ」

「ありがとうございました」

 ニーナは深々と頭を下げた。
 妙なお客もいたものだ。



[11129] 5話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2009/08/21 12:37

 それから一月ほどたった頃だろうか。
 店長は予告通り、キメラアント退治の応援に行ってしまって、一人で留守番をする事になった。

「ブックバンドはあるかのぅ」

 纏をした老人がやってきて、ニーナに言った。

「ありますよ。どのような夢に致しましょう」

「エロ本…と言いたい所じゃが、これじゃ」

 それは手書きの修行について書かれた本だった。目を通すと、著者がネテロ会長の本だとわかる。

「夢の中の時間は加速できるらしいの。その上戦えるとか」

「言われてみればそうですね、でないと序章くらいで起きてしまいますから。でも、戦いについてですが、その人のイメージが及ぶ限りに限定されますよ」

 老人は、うむうむと満足そうに頷いた。

「3本揃うかね?」

「この本でですか?大きい枕を使えば、複数の人が見れましたよ?夢は皆で共有する事になりますが。とにかく、修行用と言うことで夢の方向性をつけますけど…。手記なのが問題ですね。書いた人の意思が夢に色濃く出てしまうかもしれません。書いた方がネテロ会長ですし、この修行、きっと厳しくなりますよ。寝相も、とんでもない事になるかも。中で念を使ったら、念こそそのまま使わないものの、その分疲労します。道場でこれを使う際には、一人監視をつけて、道場いっぱいの枕を使って6人くらいで寝てます。それと、夢を見たい人全員が本に目を通していないと夢の中に入れませんから」

「夢の中の世界で念を使うと言うことじゃろう?」

「そうなるんでしょうか…? 私もなんでかはわかりませんが」

 ニーナがブックバンドを本につけると、老人は頷いた。

「使える能力じゃの」

 言われて、ニーナは苦笑をして否定する。

「そうでもないですよ。夢から戻ったら、体が重くて遅いと言ってました。想像の世界だから、反射神経そのままの速さで動けるんです。それでも修行の効果はあるようですけどね。特に新しい念能力の開発に最適だとか。私はすぐに音を上げてしまいましたから、わかりませんけど。あ、一人でも目覚めたら皆目覚めますから、そこは注意してください」

「わかっておる。道場から使い心地の報告は受けておる。しばらく、わしの所にのみブックバンドをくれないかのぅ。キメラアントの退治が終わるまででいいんじゃが」

「心源流道場の方ですか。キメラアント退治の為なら、どうぞ無料で差し上げます」

 ニーナは驚いて言った。

「どうやら、本当にお主自身には予知能力はないようじゃの。予知では見た目もわかるようじゃし、お主はわしが誰かわからないようじゃしの」

「貴方が誰か……?えーと…あ、もしかして…会長!?キメラアントはどうなってます?」

「世界に発表したら、腕自慢のハンターが逆に集まってのぅ。東ボルドー共和国と流星街のものが一番多いかのぅ。幻影旅団まで来るし、大変じゃよ。キメラアントを倒すまでは我慢しろとなんとか賞金稼ぎのハンター達を抑えて、一度は女王を追い詰めたんじゃが、後一歩で王が生まれてしまってのぅ。女王はしとめたし、ウボォーがユピーを倒したところまでは順調じゃったんじゃが…」

 ネテロ会長は遠い目をして言った。
 ニーナは思わず噴出した。

「ウボォー生きてるんですか!?」

「なんでも、キメラアントにしか念を使えない制約を受けたらしくてのぅ。除念しとったが」

 ニーナはクラピカに悪い事をしてしまったと俯いた。動いた事が裏目に出てしまい、何もしない方が良かったのかもしれないと落ち込む。

「何か知らんが、そのおかげでユピーは倒せたのじゃ。元気を出せ。
東ゴルドーの包囲網も完成しておるしのぅ。
そういうわけで、東ゴルドー共和国に追撃を掛ける前に修行をしたいんじゃ。力を借りるぞ」

「私でいいなら喜んで」

 ニーナは、ネテロ会長の差し出したもう一つの本に目を通し、ブックバンドをつけた。
 後の一本は売ってしまったのでまだ作れない。
 そしてネテロを外まで送り出し、ニーナは本屋に戻った。
 一週間後、いつものようにブックバンドを作って会長に連絡する。

「そうだ、そろそろミルキさんが来る時期ね。電話してブックバンドをしばらく売れないって謝らないと……」

「その必要は無いぜ。やっと見つけたぜ、金のなる木さんよぉ」

 纏をした風体の悪い男が、ニーナに向かってにやついた笑みを浮かべていた。
 ニーナは恐怖で携帯を落としてしまう。
 とうとうこの日が来た。来てしまったとニーナは悔いる。
 とてもではないが、戦う勇気は出なかった。

「お願い、ブックバンドはあげるから助けて」

「お前は一生俺の為にブックバンドを作り続けるんだよ。一つ一千万ジェニー。考えただけでもよだれが出るぜ」

 ニーナは、唇をかんで男達についていった。



「連絡を受けたネテロ会長の使いです…誰もいませんね?」
 
 黒髪に眼鏡の男が、床に描かれた模様から出て首をかしげた。

「ニーナ、ブックバンド今日も取りに来たよ」

 ミルキが店内に顔を覗かせ、見回した。

「あれ、おかしいな。いつもこの時間に待っててくれるのに」

 背の低い男が、金髪でリーゼントの男に文句を言いながら店内へと入ってきた。

「どうして起こしたね」

「心配するだろうが何日も寝てたらよ。それとも、キメラアント退治に置いていって欲しかったのか」

「団長は何で起こさないか」

「今は休戦中だからいいんだよ。それに何日も夢に入るほどニーナとかいうやつの能力を気に入ったなら、起きた時にニーナがいたら喜ぶだろ。団長が帰ってきたお祝いをまだやっていないしな。で、ニーナは何処だ」

「逃げたか?」

「あなた達は、幻影旅団ですね。ニーナに危害を加えないで下さい。彼女もキメラアント討伐の協力者です」

 眼鏡の男が言う。

「ニーナの携帯が落ちてる。何かあったのかな…」

 ミルキの一言に、言い争いが始まりかけた3人の視線が集中した。



[11129] 6話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2009/08/21 19:42
 ニーナは、とある廃屋に閉じ込められていた。
 鍵が掛かった部屋に閉じ込められているだけなのだが、ドアや壁を破壊すればさすがに気づかれるだろう。脱出しようとしていたのがばれれば、何をされるかわからない。
 ニーナは、せめて相手の強さを測ろうとダウジングした。
 ダウジングとは名ばかりで、町の中に念能力者がいるかどうかと強さを図るだけの能力だ。その上、誰の強さを測るのかすら、ニーナにはわからない。それでも、何もしないでいる事は出来ない。
 ニーナがそれを使うと、ペンダントは大きく縦に回転した。振れすぎである。

「そんなに強い人たちなんだ……!」

 ニーナは絶望する。
 トランクを引きずり、恐怖に泣きながらニーナは町の外へと歩いていた。

「え……?ここ、どこ?」

 ニーナは戸惑って辺りを見回す。
 とにかく、公衆電話でミルキに助けを求めた。

「ミルキさん、変な奴らに追われているんです。助けてください」

『ああ、ニーナ。逃げられたのか。敵は皆片付けたぞ。移動用の能力でも持っていたのか?』

「あ、ありがとうございます!さすがミルキさん!強い人が町中にいたらダウジングで感知する能力を持ってたんですけど、変な作用に変わっていたみたいで。いつもペンダントが揺れたら逃げるようにしてたからだと思うんですけど…。とにかく、今から店に向かいます」

 電話越しの凄まじい悲鳴に汗しながら、ニーナは言った。

『なに?ニーナ見つかたか』

『さっきまで気配を感じてたのが急になくなったから、死んだかと思ったぜ』

 電話越しに、着信音が鳴る。

『皆さん、たった今ゴンとキルアが動いて戦いが始まりました。キメラアントとの休戦は終わりです』

『じゃあ、あんたらはもうニーナの力に用がないわけだな』

『心源流道場で使いたかったのですが…今回のような事を考えると、仕方ありませんね。彼女は能力に見合うだけの身を守る力を持たない』

「あの、ミルキさん…?なにか嫌な予感がするんですけど」

『大丈夫だよ、ニーナに酷い事はしないから』

 ミルキが言うなら大丈夫だろう。
 ニーナは恐る恐ると店に戻った。

「やあ。早かったね。ミルキはまだ来てないよ」

 店の本を読みつつ、いつか来た妙な客、好青年が待っていた。

「ところで、君の能力について聞かせて欲しいな。一応、二つとも」

「ミルキさんの知り合いですか?能力について話すのは構いませんよ」

 ニーナが言うと、青年は念で出来た本を出した。

「嬉しいよ。じゃ、早速お願いするね」

「ク、クロロ!?……さん。いえ、クロロ様。あ、洗いざらい話させていただきます!」

 相手がクロロと知ったニーナは、後ずさりしつつ答えた。

「やっぱり俺の事も予知で知っていたんだ。君の友人は何を話していったんだい?」

「キメラアントとの戦いの全てです!」

「それは、俺達の能力も含めて、かな?」

「その通りです。でも幻影旅団を敵に回すような、例えば情報を売るような真似は絶対しません!予知で十分に怖さをわかってますから。能力も全部差し上げます!」

 ニーナは必死で頭を下げる。

「安心しなよ。能力を渡すなら殺さない。…でも、どの程度俺たちの事を知ってるかは知りたいな」

「はい!全て話させていただきます」

 ニーナが能力を渡し、全てを話し終えたところにミルキが来た。

「ニーナ、悪いな。でも能力奪うだけって言ってたから」

「いえ、幻影旅団相手じゃ仕方ないです」

 ミルキの言葉に、ニーナは首を振る。

「君の友人、是非能力を盗みたかったな。残念だよ」

「すみません…。そればっかりはどうにも…」

 ニーナはミルキの背に隠れ、恐る恐る答えた。
 夢の中に入れなくなるのは残念だが、念能力など後からまた考えればいいのである。
 次の能力は戦闘系にしようとニーナは誓った。

「いや、いいよ。さて、俺もキメラアント退治に行かないとね。念能力者の宝庫という事は、盗みがいのある能力があるかもしれないって事でもあるからね」

「が、頑張ってください」

 ニーナはクロロを震えながら見送った。



[11129] 最終話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:c633422a
Date: 2009/08/23 20:19

 その一ヵ月後、めでたく王は退治された。
 残党狩りも終わり、世の中は平和である。
 ニーナのブックバンドの能力が失われた事はミルキのおかげですぐに広まり、ニーナは平穏な毎日を過ごせていた。
 ニーナが店番をしていると、上品な客が訪れた。
 帽子を被った女性で、目のところに妙な機械をつけている。
 お供に、執事らしき人間を連れていた。

「貴方ね、ミルを振ったのは」

「はい?」

「ミルキ様を弄ぶとは…」

「やめろよママ!そんなんじゃないって!」

「毎月楽しそうに出かけてたのに、今は落ち込んでため息をついてばかりじゃない。
大丈夫。ママに任せて」

 ミルキが母を必死に店の外に引き戻そうとしている。
 ニーナは、激しく困惑した。

「ミルキさんは私の念能力が目当てだっただけですよ。念能力を失ってから来るどころか電話すらもらってませんし…」

「それは口実が無いからで!」

「んまぁ!やっぱりそうなのね!」

「ああ、もぅ、母さんは黙っててくれよ!」

 銃弾が飛び、脅えたニーナは能力を使って身を守ろうとする。

「飛影!守って!」

 念が奪われたなら、新しく作ればいいじゃない。
 ニーナは新しく念能力を考案していた。
 実は念を作る才能だけはあったニーナは、メモリも多く持っていたのだった。
 戦闘の出来なかった反省を込めて、次は戦闘用である。
 本の中から、登場人物を召喚する能力だ。
 制約は五つ。
 一つ、召喚中は絶状態になる。
 一つ、召喚したもののオーラの総量は召喚者と同じ。
 一つ、登場人物を愛していなければならない。
 一つ、使った媒体は消滅する。
 一つ、召喚したものと同じ期間絶状態になる。
 そして召喚された飛影が剣を振るう。
 ミルキの母はそれを片手の銃で受けて見せた。
 さすがはミルキの母である。
 ニーナの能力は、念の総量が決まっている為、ただ強い登場人物を召喚しても、バランスの取れた力の持ち主なら強さはニーナと変わらなくなってしまう。
 最も、脅えず戦えると言う大きな違いはあるが。
 その点、飛影はニーナが呼べる登場人物の中でも特に素早さに特化した者だった。
 これで追いつかれるならニーナに勝ち目はない。

「凄いじゃないか、ニーナ!これってゲームの女キャラでも出来るか?」

「私の愛は無限大っ!ミルキの好きなキャラならだいたい私も好きだから大丈夫」

ミルキの言葉に、汗をかきながらニーナが答える。

「ミルを変な道に誘わないで頂戴!」

 ニーナに銃が向けられるが、その目の前に大男が立った。
 大男が銃に撃たれる。
 大男は、銃が撃たれた位置を、ぽりぽりと掻く。

「いってぇな。ニーナを殺されると本の夢が見られなくなるだろ」

「ウボォー、よくやった。ニーナ、面白い能力を手にいれたようだな」

「またか…」

「またね…」

 ニーナとミルキは揃ってため息を吐く。
しかし、念が奪われたなら、新しく作ればいいじゃない。
一年後、ニーナは新しく念能力を考案していた。
実は念を作るだけはあったニーナは、メモリも多く持っていたのだった。
 そこにクロロが現れ……



「あああ、きりがないわ。クロロのやつ、面白がってどーでもいい念能力でも取っていくんだもの。という事でミルキさん、最後のメモリで新しい念能力を作ったの!」

「また作ったのか。君も良くメモリが持つね…」

 ミルキはゲームをしながらニーナに答えた。
 最近修行に力を入れているらしく、少し痩せてきている。

「名づけて!メモリの消しゴム!メモリをリセットするの。記憶もちょっと消去されるのがネックだけど…。さっそくどうでもいい能力の方は綺麗さっぱり消してやったわ!さすがに怖くてクロロのお気に入りの本の夢を見る能力は消せなかったけど…」

「それは凄いな!」

 ミルキがニーナを褒め称える。そこで、呼び鈴が鳴る。

「ニーナ、遊びに来たよ。盗った能力がいくつか消えてたけど、どうしたのかな?」

 クロロが、フェイタンを連れて現れる。

「どどど、どーでもいい能力なら消しても問題ないじゃない。メモリがなくなったから、記憶ごとリセットしたのよ」

 ニーナは、ミルキの後ろに隠れながら言った。

「君が消した能力は俺が気に入っていた物もあってね。でも、そうだな…君は本に関する事なら結構簡単に覚えられるみたいだから、覚えて欲しい念能力があるんだが。大丈夫、フェイタンもすぐに念を覚えれば拷問しないさ」

「安心するね、ちょと可哀相になてきたから望みの念能力を覚えたら報酬は払うね」

「うわーん、ミルキさーん」

「ニーナ…諦めろ」

 笑顔のクロロがニーナを連れて行き、ミルキはより一層の修行を決意するのだった。






 クロロの本(ページ)屋の店員のお話でした。


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