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[11660] ヨコアスR(ネギま×GS)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2013/02/17 10:06
 作品概要


 ネギま×GS×エウシュリーのRPG世界観、ディル=リフィーナの設定を少し。

 メインヒロインにアスナ。
 サブヒロインにあやか、他多数。




 注意書き!!


 YOKOSHIMA物です。 

 多段式トリップ(GS→ディル=リフィーナ→ネギま!→GS→ネギま!)に嫌悪感を感じる方には、オススメできません。

 所謂、最低系(最強、ハーレム等)に属します。   

 以上を踏まえた上で、耐えられそうにない方には、オススメしません。

 Over The Rainbow ~にじの彼方~様にも同じ物があります。



 品書き

 GS日記……原作終了後、おおよそ40~50年後の世界です。
 完全捏造設定が苦手な方は、ここを飛ばしてまほらのほほほん記から読むのが吉。

 これだけ気をつけて読めば問題なし。

 ・アスナinGS世界。
  雪之丞の弟子。
  タマモがアスナの義姉(神楽坂玉藻)。
  他家族に、愛子、シロ、マリア、Dr.カオス。
 ・美神除霊事務所を横島が引き継ぎ、横島除霊事務所として起業。
  所長  横島忠夫
  副所長 神楽坂玉藻
  事務員 九十九愛子
  所員  犬塚シロ
 ・ルシオラが冥菜の娘として復活、現在お腹の中。
 ・雪之丞死亡。


 まほらのほほん記……ネギま原作開始半年前です。

 ネギま!のほほん記……原作時間軸です。

 HITスペシャル企画……ヨコアスR終了後のお話。現在はスーパーロボット大戦OGです。

 



 更新履歴


 2009年

 9月 6日 ヨコアスR連載開始
       序の巻 更新
 9月27日 GS日記最終巻 更新
10月 3日 まほらのほほん記 第1巻 更新
11月18日 30万HITスペシャル企画 更新
12月 2日 40万HITスペシャル企画 更新
12月16日 まほらのほほん記 第22巻(最終巻) 更新
12月19日 ネギま!のほほん記 第1巻 更新

 2010年

 1月 4日 50万HITスペシャル企画 更新
 1月28日 60万HITスペシャル企画 その1 更新
 1月31日 60万HITスペシャル企画 その2 更新
 2月27日 70万HITスペシャル企画 更新
 4月 2日 80万HITスペシャル企画 更新
 4月 5日 キーやんのママがみてる&Fate/イリヤとしないTo! 更新
 4月24日 90万HITスペシャル企画 更新
 5月 3日 簡易データ表 投下、以降は略
 5月31日 PV100万HIT! スペシャル企画 更新
 6月29日 1111111HIT企画 更新
 8月17日 130万HITスペシャル企画 更新
 9月 1日 俺が為に鐘よ鳴れ 第1巻 更新
 9月 6日 一周年記念アタック! 更新
 9月24日 150万HITスペシャル企画 更新

 2011年

 1月 8日 閑話の1 更新
 2月 5日 閑話の2 更新
 2月19日 閑話の3 更新
 3月 6日 閑話の4 更新
 4月 1日 エイプリルフール企画 投下
 4月15日 180万HITスペシャル企画 投下
 4月20日 180万HITスペシャル企画 の没 投下
 4月28日 消去したエイプリル企画 再投下
 5月20日 閑話の5 更新
 6月 3日 閑話の6 更新
 9月 3日 2周年記念アタック!開始
 9月11日 2周年記念アタック!終了
 9月21日 鬼鳴きの古都 第一巻 更新
10月26日 鬼鳴きの古都 第二巻 更新

 2012年

 4月18日 鬼鳴きの古都 第三巻 更新
 4月25日 逆行大作戦 第一話 移転
 5月 2日 逆行大作戦 第二話 移転
 5月 9日 逆行大作戦 第三話 移転
 5月27日 逆行大作戦 第四話 移転
 7月13日 逆行大作戦 第五話 移転
 8月 3日 逆行大作戦 第6話 移転







 もう全然こそ~りじゃないシクレポイント

 気づいた方も、気づかない方も、こそ~り参加……だった(笑


 横島PT

 明日菜 151 
 あやか 100 clear!
 千鶴  100 clear! 
 夏美  100 clear!
 夕映  68
 のどか 100 clear!
 アキラ 100 clear!
 木乃香 100 clear! 
 ??
 ??


 おまけヒロイン

 愛衣  50 clear!
 高音  50 clear!
 茶々丸 50 clear!
 美空  100 clear!
 ココネ 52
 裕奈  50 clear!
 亜子  100 clear!
 桜子  62
 円   70 
 美沙  91


 ntr

 朝倉  50 clear!
 千雨  50 clear!
 まき絵  4


 GS勢

 愛子  50 clear!
 マリア 26
 小竜姫 50 clear!
 タマモ 73

 その他

 ネギ  60
 横島エロ無双  179
 ヨコなの!  100 clear!
 イリヤ  50 clear!




[11660] 序の巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:22

     あすなん日記      序の巻
























   x月x日

 きょうタダオに日記をもらった。
 じょーそーきょーいくのために、なんかあったこととかを書いたらいいらしい。
 とりあえずきょうはこれだけ。



















   x月x日

 まほらについた。
 ここでタカミチたちとしばらくオワカレらしい。
 きょうからアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアではなく神楽坂明日菜になる。
 しあわせになりな、っていったガトウさんのさいごのことば。
 だいじょうぶだよ、ガトウさん。
 タダオのそばにいれば、かならずしあわせになれるとおもうから。
 




































「忠夫さん、姫様を、よろしくお願いします」


 そう言って頭を下げる僕は、2人との別れに、少し気落ちする。

 彼は僕の憧れの一人だったし、姫様は師匠から託された、大切な娘だったから。

「安心しろ、タカミチ。10年位してほとぼりが冷めたら、一度顔出すからよ。」

「ハハハ……、また、そんな簡単に言っちゃって、良いんですか?」

「まあな。キチンと魔力がありゃー、何とかなるさ」


 彼は僕の背中をバンッと思いっきり叩くと、そのままワシャワシャと僕の頭を撫でた。

 まるで、初めて会った時のように。

「止して下さい、僕はもう大人ですよ。大体、背だって、もう僕の方が高いでしょう?」


 僕は目頭が熱くなるのに耐えながら強がる。
 彼は簡単に言うが、恐らく、もう、会えない。
 彼は帰ってしまうんだから。
 自分の世界、此処とは違う平行世界に。


 横島忠夫。

 僕の目標の一人。師匠やナギとは、また違った意味ではあるけれど。

 何も知らない奴らは、彼の事を『紅き翼の汚点』と、そんな風に呼ぶ。 

 普段が普段だから、まあ、仕方ないのだけれど。
 でも、僕ら孤児達は知っている。彼がどんなに勇敢だったか。
 不利な状況を引っ掻き回し覆す、ワイルドカードなんだと。

 光る盾と、変幻自在の魔力の剣。

 それらを用いて、敵に操られた悪霊や妖魔を退治し解放する、この世界でたった一人のゴーストスイーパー。

 僕らはナギの絶大な力に憧れ、ラカンの無茶苦茶ぶりに畏れ、詠春の剣技に見惚れ……そして、彼の明るさに救われた。



 


 そんな彼がいなくなってしまう。

 師匠が死に、ナギが消え、アルまで行方不明。

 そして今度は……。


「しっかしアレだなー。詠春の裏切り者め、見送りにも来ないったー、どーゆーことじゃーっ!
 そういやあの野郎、俺を裏切って美人のねーちゃんと結婚しやがって!
 今頃、あーんな事や、うっふーんな事をやりまくってんに違いないっ!!」


 くっそーねたましやーー!!と叫びながら、懐から藁人形と五寸釘を取り出し壁に打ち付けた。

 カーン、カーンとしばらく打ち付けていると、「ぎゃー!!」と突然のたうち回る。

「呪詛返しですね。詠春さん、忠夫さん対策はバッチリって言ってましたよ」

「くっそー、あんにゃろめー。いつか必ず、我らみなしご達の憎しみを喰らわせてやるっ!」


 空に向って吠える彼を見て、ハハハと笑いながら、先程までの暗い気持ちが少し吹き飛んだのが良く分かる。

 気を使わせちゃったかな、そう思いながら。



「詠春さんは組織の方の問題で、麻帆良には来れないんですよ。関東と関西は、今はちょっと、アレですからね……」

「ま、あんな顔色悪いおっさんはどうでも良いかっ!

 ん~っ、しかしなんだな。いざ自分の世界に帰るとなると、色々と惜しくなるもんだな。この世界で、まだ見ぬ美人のおね~さんとの逢瀬の機会をのgぶぎゃ。」


 ズザザーと20~30メートルきりもみながら吹き飛び、地面にめり込む。

 それを成したのは、まだ幼い少女。

 無表情のまま拳を突き立て、フン!と鼻をならす。

「無音拳…?」


 呆然としたかの様につぶやくと、

「違うよ?コレは天馬彗星拳。タダオに教わったの。ガトウさんのじゃないよ。」

「いやいや、無音拳でしょ、どうみても」


 そう言うと彼女は「ぶぅー」とふくれ、ぼそっと「天馬彗星拳だもん」と言い走って行ってしまう。


「痛いやないかーーーっ、アスナ! って、あれ? どこ行った、あのお転婆はっ!」

「アスナちゃんをお転婆にしたのは貴方ですよ。っていうか、あの子は貴方以外にはそんな事しません。」

「なんじゃ、まるでワイが悪いみたいやないかーーーーっ!!」


 そのまま、うぉーんと泣き叫ぶ彼を斜め見しながら、みたい、じゃなくて、そう、なんですよ。

 と言いたかったのだが我慢して無理矢理話を戻す。

 何故なら、世界樹から光が溢れ出し、そして彼を中心としてちょうど真逆の位置に、混沌とした渦巻き状の何かが出現し始めていたから。



「そろそろ、行かれるんですね……」

「ん~、そうだな。何十年も故郷の味から遠ざかってたから、あっちに帰ったら郷愁と腹を満たすでーーーーっ!!」

「ははは……」

「元の世界に帰っても、しばらくは金には困らねーだろーし。しばらくは諸国漫遊美味いもの巡りじゃ」


 彼はそこまで言うと、こちらを見てニカッと僕等の好きな笑みを見せる。


「あ、俺らの戸籍、キチンとしとけよ。ここまでは結構、無理矢理きたかんなー。これからの事考えると、やっぱ戸籍は必要不可欠だかんな」

「あ、あっちに帰るんですから、そんな物はいらないでしょう?」

「ばーか、言ったろうが。ほとぼり冷めたら、こっちに顔出すって」


 僕は、目から溢れ出して来る液体をそのままに、彼に分かりましたと告げると、思いっきり腕で目を擦る。

 そのまましゃくり上げるのを堪えながら彼の言葉に耳を傾けた。

「お前はな、オレやナギと違って特殊な才能なんて持ち合わせていねー。クルトの様に小器用でもねー。
 でもな、お前は努力の才能がある。それは俺やナギには無いもんだ。

 強くなれっ! てめーには、その義務がある。ガトウから学んだ事を、忘れんなよ……」

「は、はいっ!!」


 僕は大きく返事をした。

 必ず、絶対に貴方達に追いついてみせます。

 そう心に誓って。




「おう。おーいアースナちゃーん。そろそろ行くぞー」


 はーい、と遠くから走ってくる。

「何か面白いもんでもあったか?」


 大きく手を広げ、「あのおっきい木の所に行ってた。あの木、なんかピカピカしてて、あったかい」と言いながら彼の胸に飛び込む。

 彼はそのまま彼女を抱き上げると、

「んじゃ行こっか。俺の生まれ故郷。」

「うんっ」額を横島の胸にこすりつけながら頷く。


 そんな彼らを見ながら、彼、タカミチ・T・高畑は思うのだ。

 申し訳ありません、師匠。

 師匠の最後の言葉、姫様の記憶を消す。それを守る事は出来ません。

 でも、彼なら大丈夫です。

 きっとあの子を、僕らが守れなかった女の子を、幸せいっぱいにしてくれます。




 彼は姫様を抱きかかえたまま、「そいやっ」掛け声を上げて飛び上がると、そのまま黒い渦の中心へと飛んでいく。

「じゃーなっ、タカミチっ! 今度合う時までに、俺達なんかより強くなってなきゃ、しょーちしねーかんなっ!!」

「む、むちゃ、い、いわ、ないで、くださ、いよ……」


 ボロボロと涙を流しながら、必死で声を絞り出す。

 彼はそんな僕を見ると、苦笑しながら大きく手を振る。

 それに合わせて僕も、そして姫様も手を振る。

 そして、彼が渦の中心部に到達した瞬間、渦が四散した。







 シーンと静まり返る。もう、あの人は、この世界のどこにもいないんだ。

 呆然と、いつまでも彼が消えた場所を見続ける。






「フン、とんでもないヤツだな。ナギが自慢してたワイルドカード。帰してしまったのは惜しかったかも、な……」

「エヴァ……」

「いつまで泣いている。強く、誰よりも強くなるんじゃないのか?」


 エヴァの言葉に、大きく頷く。

「ならば、さっさと動け。お前の為に、別荘を用意しよう。全ては咸卦法を習得してからだ」

「ああ、ありがとう、エヴァ」

「フ、フンッ!」


 エヴァは顔を真っ赤に染めて、そっぽ向く。

 そんな彼女を見て、僕は少し笑ってしまう。

「な、何を笑っているっ! 判っているのか? お前がこれから歩もうとしている道が、どれだけ険しいのかを」

「ああ、判っているさ」

「フッ。貴様が咸卦法を習得した暁には、この私、自らの手で鍛え上げてやる。誰にも負けぬ、そんな強さを貴様にくれてやろう。良い暇つぶしになるしな。
 それにしてもなんだ……。ヨコシマの力ってのは、一体なんだったんだ? 空間を割って平行世界移動など、正直言って、魔法世界の馬鹿共が聞いたら面倒事が起きる程だぞ」

「フォッフォッ、それはワシも気になるのう」


 この麻帆良学園の理事長にして、学園最強の魔法使い。そして関東魔法協会の理事でもある近衛近右衛門。

 先程まではエヴァと一緒に、忠夫さんの張った結界の外側で待機していたんだけど。

 グルッと周囲を見てみると、ザワザワと驚愕の声を上げている魔法関係者達。

 きっと、自分達が蔑み、見下していた彼の圧倒的に訳が判らない力に、びびってるんだろうね。

「さあ、僕にはなんとも。ただ、一度聞いた事があります。彼の力は創造力と、何より『煩悩』だって」


 そう言って、僕は大きく笑い声を上げた。

 同じように楽しそうに笑う学園長と、頬を引き攣らせるエヴァ。

 そして、煩悩と聞いて吐き捨てる感を態度に表す魔法関係者達。

 ま、彼は立派な魔法使いには、絶対になれない人だからね。




 
「さあ、エヴァ、案内してくれ。僕には一分一秒が大切なんだ。僕の様な凡人は、人の10倍、いや、百倍も千倍も努力しないとね」



 僕が闇の福音に頼るのが面白くないんだろう。

 ざわざわとした不快な視線を向けてくる。

 この様子じゃ、例え赤い翼の関係者でも、立派な魔法使いには認定されなくなっちゃうな。

 もっとも、元来魔法の詠唱が出来ない僕だ。どの道無理だったろうさ。


 慌てて僕を先導して歩くエヴァの後ろを歩きながら、沢山あった肩の荷が無くなった事に気づく。

 これからする事は単純だ。

 まずは強くなる。彼らにだって負けないほどに。

 そして、沢山の人達を救う力となるんだ。


「ワシもそろそろ、ここの大掃除をせねばならん時期じゃのう」


 学園長が、先程からざわめいている魔法関係者達に、冷たい目線を向ける。

「その時は、よろしく頼むぞい」


 ポンッと僕の肩を叩きながらそう言い残すと、ささっと何処かへ行ってしまった。

 学園長の言葉など気にも止めず、僕は彼が消えた空間に目をやる。

 そして、心に誓う。



 今度あなたと会う時には、胸を張れる自分で有れる様に、と……。












































 ワタシとタダオが、何処までも暗い空間を抜けると、そこは……









 普通の街並みだった。



「ね、タダオ。ここがタダオの生まれたトコなの?」

「生まれたトコってか、生まれた世界やな。たぶん……」


 タダオは標識を見て現在位置を確かめると、ワタシを抱っこしたまま歩き出す。

「ね、どこに行くの?」

「事務所。まだ在るといいんだけどなぁ」



 



 ガタンゴトンと電車に揺られたり、途中で自転車を買って、すごいはやさで走りぬけたりしたり。

 いろいろあって、ついについた。

 そこそこりっぱなたてもの。





「おーい、人口幽霊一号やーい。俺の事、覚えてっか~」

「よ、横島さん!? ちょ、ちょっとお待ちをっ! 今すぐオーナーを呼んできますっ!!」

 どこからともなく声が聞こえる。

 タダオが言ってた生きてるたてものさん。ふしぎ……。

 タダオは落ち着かない様子で、ソワソワ、ドキドキ。

「どうしたの?」

「あ、ああ、なんてーか、その……」


 そして、またソワソワ、ドキドキ。

 だいじょうぶかなぁ?



































 ドタドタと轟音を立てながら、建物から出てくる一人の女性。

 既に60近い年であろうに、未だ若々しい彼女は、物凄い形相で彼を睨みつけた。

「ヒィッ、すんません、美神さーんっ!」


 そのまま土下座しそうな勢いで謝る彼。

 そんな彼を苦笑しながら見つめると、彼女は一転して懐かしそうな表情を浮かべる。


 そして……、


「おかえりなさい、横島クン」



 この世界から吹き飛ばされて40年弱。 遂に自分が居るべきはず『だった』場所に帰ってきた横島。

 止まっていた時が、再び流れ始める。

 残酷にも、過ぎ去った時間はそのままに。























  x月x日

 ここは20XX年。
 もといたばしょよりも、じかんがすすんでいる。

 たくさんのヒトとあった。
 みんなタダオをいっぱいたたく。
 でもね、みんなうれしそう。
 
 タダオもいっぱいわらってた。
 
 きょうから、ここが、ワタシのすむせかい。









[11660] GS日記 第1巻 
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/13 02:33

 経済活動を妨害する、そんな悪霊達を退治する。

 それがゴーストスイーパーの主な仕事である。


 かつては地価の高騰などで、超ボロイ商売だったこの仕事も、

 不況の嵐においては、かつての面影などない……
















 なんてこたぁ、なかったっ!!












 今でも除霊は最先端のビジネス。

 この世界には、幽霊を住まわせる土地などないのだっ!

 だが、GSは常に死と隣り合わせの危険な仕事である。


 そんな業界に、新たなニューフェイスが登場した。


 『横島除霊事務所』


 かつて世界を救い、日本を心霊テロから守った英雄、横島忠夫を所長とする事務所である。


 この物語は、横島除霊事務所で起きた、数々の心霊事件を追った物語………………ではない。


 
















      GS日記  第1巻  横島除霊事務所





















  xx月xx日


 タダオがオウチをもらった。
 ジンコウユーレーイチゴー。
 ミカミのおばあちゃんがゆーには、タダオへのたいしょくきんなんだって。

 きょうからここにすむの。
 いっこくいちじょーのあるじだね、タダオ。





























「マジっすか?」

「マジよ」


 美神さんが俺に人口幽霊一号を譲るだと!?


 ウソだっ!

 コイツは美神さんの皮を被った偽者だっ!!

 いや、まてよ……。

 昔、ピートから聞いた事がある。

 

 イタリア系マフィアは、殺す相手には敵意を隠し、贈り物をするのだと……




「なんでですか美神さんっ!? 俺、まだなんも悪い事してないっすよ!」

「落ち着きなさいっ、こんバカッたれーーーーーっ!!」
 

 ドガシャアッと、美神さんの右のジョルトアッパーが俺の顎を撃ち貫く。

「げはぁっ!?」
 

 そのまま壁にズガンとぶつかり、額から血を噴き出しながら、とても懐かしい感覚に襲われる。

 ああ、俺は本当に帰ってきたんだと。

「まったく、アンタはホント変わんないわね」


 年は60近いものの、外見年齢は充分に30代で通じる。

 そんな彼女が郷愁を感じているのが分かる。

 確かに帰ってきた。でも、もう、あの頃とは違うんだな……。

「退職金よ、退職金。横島クンってば、この世界から消えちゃったからさ、退職金払えなかったのよね~。
 それにね、マジメな話、そろそろこの子に充分な霊力を供給出来無くなっちゃったのよ」

「えっ、そうなんすか?」

「あんたねー、見りゃ分かるでしょう? もう、若くはないのよ、私は。アンタ帰って来たせいかさー、旦那が焼きもち妬いて困ってるってのもあるわね。
 そんな訳でね、この事務所をアンタに押し付けて、旦那の所でのんびりすごそうかなー、なんてね」

「……お、おぅのぅれぃっ、ずぅわいじょおーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 血涙をダクダクと流しながら、怨敵の名を憎しみを込めて叫ぶ。

 そして、いつもの様に藁人形を取り出すと、俺は怒りと憎しみの赴くまま、壁に向って藁人形を打つ。

 打つ、撃つ、打つ、討つ、打つ、撃つ、討つ、打つ、撃つ、打つ、討つ、打つ、撃つ、討つ、打つ、撃つ、打つ、討つ、打つ、撃つ、討つ、
 打つ、撃つ、打つ、討つ、打つ、撃つ、討つ、打つ、撃つ、打つ、討つ、打つ、撃つ、討つ、打つ、撃つ、打つ、討つ、打つ、撃つ、討つ。


 かんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかん
 カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン


 ふ、フフフ、ふははははーーーーーーーーっ!!

 今頃、西条の馬鹿がのたうち回っているのが、見てとれるようだわーーーーーーーーーーーーっ!!

 アーーーーーハッハッハッハッハッーーーー「やめんかーっ!」「げぶらっ!」


 どこからともなく飛んできた運動靴が、俺の後頭部を直撃する。

 そして再び壁に額を打ちつける。

 またまた額から血を噴き出す。

「みーかみさーんっ、なにするんすかっ!?」


 俺は美神さんに文句を言いながら、愕然とする。

 ハイヒールじゃねー。

 今、初めて気づいた。

 彼女の格好。

 ゆったりとしたロングスカートに、毛糸のセーター。

 何かよ、勝手に脳内変換されてたみたいだ、あのボディコン姿に。
 
 ああ、俺は、遅かった。分かっていた、筈なんだけどな……。

 実際にこうして目の当たりにすると、何とも言えない喪失感。

 そんな俺に気づかない振りをして、美神さんが俺に優しく話しかける。

 こんなに優しくされるなんてな。そんな事を考えながら、神妙に彼女の言葉に耳を傾けた。


「倉庫にね、私が使ってた除霊道具が残っているわ。それも全部、横島クンにあげるわ」

「へっ? だってアレ、高いでしょ。ホントに良いんすか?」

「ええ、いいわ。正直なところね、アレはあの頃の思い出が詰まり過ぎて、使ってないのよ」


 そう語る美神さんは、年相応に見えて。

 多分、俺は今、とても泣きそうなツラしてんだろう。

「横島クン。私ね、アンタが帰ってきてくれて、本当に嬉しく思っているわ。ずっと、心残りだったから……
 それはね、多分だけど、おキヌちゃんもそうなんじゃないかな。
 これで、やっと、アンタを思い出にできたの、私たちは……」


「……そうっすか。俺はフラレタんですね、2人に。

 コンチキショーーーーーーーーーーーーーッ!
 美神さんとおキヌちゃんの浮気モーーーーーーーン!
 俺ってモンが有りながら、他の男とくっつくなんて、クッソーーーーーーーーーーーッ!!」
 

 俺は叫びながら、おどけた風を装って、何度もガンガンと壁に頭を打ち付けた。

 それを見て、やはり懐かしそうに笑う美神さん。

 涙が零れ落ちそうになる。

 それを必死で食い止める。

 彼女には、涙を見られたくなんて無いから。

 どんだけ色んな出会いが会っても、俺にとって美神令子とおキヌちゃんは特別だった。

 そう、特別だったんだ……


「ねぇ、横島クン。まだちょっと時間あるからさ、聞かせてくんない? アナタがこの40年近く、一体なにやってたのか、ってね」

「ええ、いいっすよ」


 俺は血を拭う振りをしながら、必死で涙を拭う。

 見透かされているのは、分かってんだけどな。

 男の意地ってモンだろ?

「そうね、特にっ! なんで『若い』ままなのか、とか……」


 若い。ここの部分をやたらと強調してるのは、何故?

 さっきまでのホンワカした感じではなく、俺を睨みつける彼女を見て、身体が縮こまってしまう。

 やっぱ、いつまでたっても、怖いもんは怖いんじゃーーーーーーっ!

「い、イエッサー!!」


 背筋をピンと伸ばし、素晴らしく美しい敬礼をして、俺は話し出す。

 美神さんは、ちょっとって言ってたくせに、結局朝から晩まで失われた互いの40年間を語り合った。

 時に笑い、時に涙ぐみ。

 アスナを親父とお袋に預けておいたのも忘れ、話に没頭してしまった。

 次の日の朝、泣きべそをかきながら抗議してくるアスナを、そっと宥める美神さんを見て、


 本当に変わったんだな。


 これまで以上にそう思ったね。

 だってよ、子供なんてみんな滅べばいい、なんて言ってた人だぜ?

 思わず指差して笑っちまった俺に、罪なんて無いと思うんだ。

 原型を留めないくらいボコボコにされながら、そう思ったよ。







 それにしても、心の底からこう思っちまう。

 ああ、俺は本当に帰ってくるのが、遅かったんだな……ってさ。

























  xx月xx日

 タダオがじむしごとよーいんとして、机のおねーちゃんをつれてきた。
 いっつも机といっしょ。
 へんなの。




















  xx月xx日

 机のおねーちゃんがつくえじゃなくなった。
 なんか、きょうはヒョコヒョコへんなあるきかた。
 どーしたの、ってきいたら、タダオのモノになったら、机といっしょになったんだって。
 きょうからOLヨーカイらしい。

















  xx月xx日

 タダオのはつしごと。
 ほーしゅーが3ぜんまんえん。
 すっごーい!
 いっきにおおがねもちになった!




















  xx月xx日

 きつねヨーカイあらわる!

 タマモおねーさんってよびなさい、っておこられた。

















  xx月xx日

 きょうからタマモおねーさんが、わたしのおねーさんに。
 おとうさまがわたしのこせきをつくるときに、ついでにそうしたんだって。
 神楽坂玉藻。なんかうれしい。


















  xx月xx日

 きょう、いぬのおねえちゃんがきた。
 おおかみでござる、ってこーぎしてたけど。

 シロおねーちゃんは、タダオのデシなんだって。
 これからは、いっしょにじむしょでくらす、かぞくになるみたい。

 タダオは金だすからがっこういけって、シロおねえちゃんと、ついでにタマモおねーさんをこうこうにいかせた。
 ワタシも、そのうちしょうがっこうに行くみたい。
 たのしみ。



















  xx月xx日

 シロおねーちゃんだけずるいって、タマモおねーさんと、あいこさんがもんくをいってきたの。
 タダオはしゃーねーなーっていいながら、ふたりのへやをつくった。
 きょうから5にんかぞく。
 にぎやかだ。

















  xx月xx日

 タダオのおとうさまとおかあさまに、いっしょにすもうっていったら、ことわられたの。
 こどものせわになるほど、おちぶれてないんだって。
 つまんないなー。

 でもね、タダオはナゼかホッとしてたよ。
 なんでかなー?




























 これより3年後、タマモとシロの高校卒業と同時に、それまで細々と活動していた横島除霊事務所が正式に発足した。




  所長  横島 忠夫

 副所長  神楽坂玉藻

  所員  犬塚 シロ
       九十九愛子




 仕事の達成率が異常な程に高く、また、オカルトGメンとの仲も良好なこの事務所は、小規模ながら業界でもトップクラスとして有名となる。


 もっとも、所長の横島忠夫が、定期的に10年単位で行方不明になるのと、美人で有名な所員全てが、所長の女だという事でも有名となってしまうのだが……。






































 ちょっとしたヨコアス共通設定

 美神が結婚したのは35才。
 おキヌちゃんが25才。

 おキヌちゃんが9年、美神が14年、横島を待っていた事になります。

 おキヌちゃんはプロポーズされた際に、25才になるまでに横島が帰ってこなかったら、結婚する。
 そう銀一と約束し、結婚しました。

 美神は35過ぎてもまだまだ待つ気まんまんでしたが、待ち疲れからか無気力状態で日々を過ごしていました。
 みかねた西条が無理矢理彼女を押し倒して、事におよびます。
 その後プロポーズするも、あっさり一度ふっちゃいます。
 だが西条は諦めませんでした。
 美智恵どころか横島の両親まで使って、説得にあたります。
 美智恵は娘が心配でしたし、何より横島が帰ってくるのは絶望的です。
 当然、西条を応援しますし、横島の両親も息子の為に人生を棒にふるのは良くないと、美神を説得。
 結果、西条と結婚。西条と美神は夫婦別姓で結婚生活を送る事になりました。


 現在、美神にはアスナと同年の孫娘が一人。ただし日本にいません。
 おキヌちゃんには、横島がネギ世界に再訪する時間軸で、20才前後の孫がいる事になっています。
 どちらもでませんが。

 子、孫、曾孫世代が出るのは、一部のキャラだけです。

 ひのめについては何も考えていません。

















 後書き

 タマモと愛子の姓は捏造です。




[11660] GS日記 第2巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/13 02:34
 GS日記  第2巻  日々彼是 その1












  ☆月★日

 ようやくここへ帰って来た。
 どれだけの時が流れたのか、美神さんやおキヌちゃんを見ると凄く実感する。

 でも、2人とも相変わらずキレイだった。
 うんにゃ、年食って若かった頃より、こう、なんだ、色気っつーか人間的魅力が上がってるわ。

 西条のうんこ野郎と銀ちゃんか。
 この2人だったら、まあ、我慢するしかねーよな……
 











  □月■日

 今日、美神さんから事務所を貰う。
 信じられん。
 あの、美神さんだぞ?
 天変地異の前触れかと思ったよ。













  △月▲日

 折角の事務所だ。
 維持費の事もあるし、GSでも始めようかと思う。

 幸いにも、隊長のおかげでGS免許はそのままだしな。
 取り合えずは、一人でやるよりゃ沢山でやった方が楽だろう。

 愛子でも誘おうかな?













  ▽月▼日

 愛子がOKしてくれた。
 いい加減、学生も飽きちまった様だ。

 学校妖怪からOL妖怪に転職よ。
 だってさ。













  ○月●日

 愛子がアスナに泣かされた(笑
 机妖怪って言われたのが悲しかったらしい。

 お前は机妖怪じゃん、って言ったら、学校妖怪よ! って怒鳴られちまったよ。
 いつまでもグチグチ言うモンで、ついつい押し倒しちまった。

 レッツ性魔術。
 10年ぶりの女が愛子か。
 初物だったし、かなり良かったぜ!

 ただな、これが愛子の策略だったなんてよ。
 やられたぜ。

 まあ、上手いこと愛子の妖怪としての格が上がったようで、机と一体化出来たのは儲けもんだな。

 これからは、外回りも出来るようになったし。
 俺としても、女が出来たのは嬉しいしな。
 何よりさ、40年間ずっと俺を待ってた、何て言われたらよ。















  ★月△日

 愛子とアスナに手伝って貰い、倉庫の片づけをする。
 何が残っているのか、調べとかないとな。

 使えそうな物は神通棍が4本に、見鬼くん、霊体ボウガン、ロケットランチャー。
 何より、美神さんがもっとも愛用した特別製の神通棍に、おキヌちゃんが使ってたネクロマンサーの笛。

 アスナが美神さんの神通棍を欲しがったんで、やることにしたよ。
 ウジウジしてても仕方ねーしな。

 でもよ、ロケットランチャーは不味くねーか?
 捕まるよな、持ってるとよ。
 とは言え、捨てるのもなんなんで、愛子の異空間の中で保管して貰う事にしたよ。













  □月▼日

 GS業始める前に、神父の所に挨拶をしに行った。
 一応だが、師匠にあたる美神さんの師匠だかんな。
 
 でもよ、俺のお帰りなさいパーティーの時も思ったが、ツルッパゲになった神父を見ると涙が止まらなくなる。
 
 そん時ちょうど居たピートのおかげで何とか誤魔化せたが、以後気をつける。
 ついでに、オカルトGメンに就職してたピートに、なんか仕事回せって言っておいた。













  △月☆日

 雪之丞が孫夫婦と生まれたばかりの曾孫を連れてやってきた。
 孫、曾孫自慢と、何より暇だったらしい。
 婿養子なんで家にも居づらい、って言ってたな。

 暇なんだったら、アスナに格闘教えてやってくれって頼んどいた。
 こいつは俺と違って、基本が出来てるっぽいしな。

 それにしてもなんだ、雪之丞が帰った後、なんか訳も解らず涙が出てきたよ。
 やっぱよ、置いて行かれるのは、キツイな……。

 明日はカオスの所でも行ってみっかな。
 今日は、そうだな、これから愛子に慰めて貰うか。













  ★月○日

 くっ、涙が、涙が止まらん。
 カオスの野郎、この間のパーティーの時に何で静かだったのか、ようやくわかったぜ。

 あの野郎、ボケが酷くなって、もう……
 
 人手不足解消のため、マリア誘うついでにカオスも誘ってやろうと思っていたが、取り止めだな。
 マリアはともかく、カオスはてんで駄目だし。
 そのカオスからマリアを取り上げたら、アイツは生きていけん。











  ■月▲日

 日本政府からGS協会を通して仕事が入った。
 かつて首都を救ってくれた俺に対して、最大限の便宜を図りたいだってよ。

 まあ、ありがたく貰っておくさ。

 依頼内容は、高速道路に蔓延っている悪霊退治。
 報酬が5千万円。

 俺以外だったら、こんな安い金額では受けねーんじゃねーか?
 悪霊のクラスがAだったんだが。

 あっさりとハンズ・オブ・グローリーで殲滅したけどな。
 
 報酬のうち2千万は事務所の改築や車両、その他諸々にあてて、残りを運転資金に。











  ●月●日

 タマモが来た。
 特徴的な髪型がなけりゃ、誰だかワカランくらい、美人になってた。
 これはもう、ドキドキしてもえーよな?

 今まで何してたのか聞いてみっと、源翁 心昭とかいう坊さんが砕いた殺生石の欠片を捜していたんだとか。
 それは不味いだろう。
 そう言ったら、欠片は全部厳重に封印されてて、手が出せなかったそうな。
 
 あとは、理由は知らんがアスナがタマモに怒られていたな。
 何やったんだ、アスナ?

















  ☆月▽日

 すっかり忘れてた、アスナの戸籍。
 急いで親父に頼む事に。
 なんかお袋が電話一本で何とかしやがったんだが、どうよ?

 せっかくだから、タマモの戸籍も作って貰ったよ。

 神楽坂 玉藻
 神楽坂 明日菜

 タマモに、アスナのお姉さんになったんだぞ、って言ったらよ、結構嬉しそうだったぜ。
 アスナも嬉しそうだったしな。
 良い事したって気分だぜ。

 そういやタマモの奴、何処に住んでいるんだ?
 住む所決まってねーんなら、ウチに来るように言ってみるかな。
















  ☆月▼日

 昨日、寝しなをタマモに襲われる。
 戸籍のお礼だってよ。

 傾国の美女との一夜は中々良いもんだった。
 しかも意外な事に処女だったし。

 っしゃーーっ!!

 その上、やたらと霊力が上がっちまったぜ。
 タマモも自分の霊格が上がって喜んでいるしな。

 まあ、なんで上がったかは、説明させられたけど。

 ついでにウチに住んだらどうだって言ったんだが、一回やった位でいい気になんなっ! って出ていっちまった。
 そういうつもりじゃ無かったんだけどなー。
 まあ、しゃーねーか。 














  ▽月△日

 六道から呼び出される。
 仕事の依頼でなんだけどな。
 
 六道の事業を継いだのは娘の婿。
 で、六道の霊能関係を継いだのが、冥子ちゃん。

 そう聞いてたから、安心して行ったんだが。
 まあ、凄かった。
 お袋や隊長クラスのオーラを放っていやがった。
 40年の間に何があったんだ!?

 仕事の内容は、孫娘の霊能の家庭教師。
 チラッとしか見てないが、年の頃はアスナの2,3才上ってところだろうかね?

 暇な時で良いんなら、って条件で受けちまった。
 断るに断れなかったんじゃーーーーっ!




















  □月△日

 昨日の事を、暇つぶしに来てた美神さんに聞いてみた。
 なんでも、生まれた子供に式神を譲ってしまった辺りで変わったそうな。
 精神的に自立でもしたんだろうか?
 娘さんは鬼道似だったそうで、暴走とかは一切なかったってよ。
 孫の方は昔の冥子ちゃんそっくりで、暴走事故多発だそうな……。
 
 家庭教師になったんすけど、って美神さんに言ったら、アスナちゃんは私が育ててあげるから安心しなさい、って言われたんだが。

 これは、死ぬって事なんだろうな。

















  □月▽日

 大量の荷物が届いた。
 送り主は六道。
 背広やネクタイと言った日常品から、お札等の霊能関係の消耗品まで幅広く。

 もしかしてアレか?
 俺は派閥みたいなモンに組み込まれたんだろうか?

 焦って冥子ちゃんに電話してみた。

 横島くんは~、そ~ゆ~ことは~、気にしなくて~い~のよ~。

 だってよ。

 そう言う事って、何なんだろうな。
 美神さんに相談するのも、なんだかなーって感じだし。
 いつまでも頼る訳にゃ、いかんだろ?















  ●月★日

 シロが急に来た。
 美神さんから手紙を貰ったんだってよ。
 なんでも、見合い相手を蹴り倒して此処に来たそうな。
 帰る所が無いでござる~、って言うもんだから、昔シロとタマモが使ってた屋根裏部屋をシロの部屋に。

 アスナも喜んでいるし、まあ良かったよ。
 家族が増えるって事だからな。
 シロもアスナを妹分として可愛がってくれるだろう。

 せっかくなんで、冥子ちゃんに頼んでシロとタマモの入学許可を貰った。
 六道女学院。
 おキヌちゃんの母校だな。

 まあ、これで借りみたいなもんを作っちまった事になるんだけんど、冥子ちゃんだからいいさ。
 それによ、もう手遅れな気がしてならんし。













  ★月☆日

 シロにタマモん時と同じように、寝しなを襲われた。
 タマモだけずるいでござる、ってそう言う問題ではない気がするでござる。
 とは言え、昔と違ってボインボインのバインバインな訳だから、良いよな、やっちゃっても?

 それによ、シロが、見合い相手を伸して来た責任とれ、って言ってくるし。
 何で俺が? と思わんでもないが、シロ自身の霊格も高いし、俺にとってもプラスだらけなんだよな。

 うん、言い訳言い訳。

 これでこっち帰ってきてから、3人目の処女喰い。
 帰ってきて良かったかも……

 いやな、正直少し後悔してたんだ。
 美神さんやおキヌちゃんの『今』
 見たくなかったよ、辛いし、苦しい。
 でもさ、仕方ねーよな、文句なんか言えねーよ。
 死んだんだって言われてもしゃーねぇもん、俺は。



















  ★月●日

 愛子とタマモが怒鳴り込んできた。
 シロだけずるいってな。
 愛子はともかく、タマモには一緒に住もうって言ったじゃねーか。
 素直じゃねー。
 これがツンデレってやつか。
























  □月□日

 霊能家庭教師初日。
 生徒の名前は、六道冥菜ちゃん。
 確かに冥子ちゃんの面影がある。
 なにより、あの間延びした喋り方がそのままだし、暴走の仕方まで。

 だーがっ! 俺はあの頃とは違うのだよ!!
 ちょっとした打撲で済ます事が出来たぜ!!

 昔は軽く1週間は入院していたからな。
 自分の進歩が恐ろしい。

 それに俺の新能力が判明した。
 なんと、ナデポだっ!

 冥菜ちゃんの頭を撫でた時、ポッしやがった。
 そう、小学生低学年とは言え、女が俺にポッしたんだ。

 人類には小さな一歩だったかもしれん。
 だが、俺には大いなる一歩だ。

 明日から新番組が始まるぜ。

 ナデポマスター横島忠夫。

 ヨロシクッ!!






















  ☆月☆日

 どうやらナデポなんて能力は、持っていなかったようだ。
 タマモで試したら、キモイって言われたよ。
 普通にへこんだ。





















  ●月●日

 今日は危なかったー。
 アスナが親父とお袋に、一緒に住もうなんて言い始めてよ。

 いやな、別にかまわんことはかまわんよ?
 でもなー、何気に俺のハーレムになってるかんなー。
 お袋が来たら、それはもう、地獄を見そうだ。



















  ■月■日

 アスナの入学式。
 かわええー。
 ウチの子が一番可愛い。

 万が一でも苛める奴が出たら、フフフ……




















  ▽月▽日

 タマモとシロの入学式。
 セーラー服が萌える。
 今晩はこれで行こう。






















 
  ▲月▲日

 愛子の妖怪としての格が上がりまくり。
 なんかよ、自分の異空間を参考に、偽四次元ポケットなる物を作りやがりました。

 いや、便利だぞ? すっごく。
 でも何か納得出来んって言うか。

 せっかくなんで、使わないけど捨てれない物でも入れておく。

 おキヌちゃんの笛とかな……


























  △月△日

 アスナが明日、クラスの友達と年上の友達を連れて来るようだ。
 
 ……これから大掃除だな。
 アスナに恥をかかせる訳にはいかん。
 

























  ▲月●日

 ……なんてーか、世間が狭い。
 連れて来た子は、小笠原レミちゃんに、六道冥菜ちゃん。

 うぉいっ!

 本当に狭いな。
 ピートの孫と冥菜ちゃんかよ。

 冥菜ちゃんも驚いていたよ。
 初めて出来たお友達だって喜んでいたな。
 まあ、普通のガキじゃ、あの式神は怖いよな。
 
 レミちゃんはレミちゃんで、ヴァンパイアの血を引いてるのが色々問題みてーだな。
 ウチのアスナは可愛くて良い子だから、そんなん気にしねーけどよ。

 取り合えず、この子達のじーさんばーさんには連絡入れとこう。























  ★月▽日

 ちょっと4Pなんて、ハッスルしすぎたぜ。
 これから仕事だってーのに、大丈夫か、俺?

 深夜の仕事はめんどくせーなー。
 美神さんが雨降ってるからって仕事パスったの、今なら何となく分かる。

 面倒な時は、面倒なのだ。






















  ▽月■日

 不思議だ。
 何故か六道主催の新年会に出席させられた。
 しかも、当主である冥子ちゃんのすぐ隣に座る。
 鬼道より良い席って……

 ヤバイ気がしてならない。
 
 こんな気持ちはシロの所でも行って、晴らすとしよう、そうしよう。

 って、アスナ!? うわやめろなにをすrくぁwせdrftgyふじこlp





















  ■月□日

 たまにはアスナの相手をみっちりして上げなきゃね。
 最近かまってやってなかったかんな。
 よーし、デジャブーランドにレッツゴーだっ!
 うん、それが良い、それが良い、それが良い……








[11660] GS日記 第3巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/12/07 08:54


 右手にハンズ・オブ・グローリー。

 左手にサイキックソーサー。

 次から次へと引っ切りなしに現れる、そんな悪の妖怪・魔族を蹴散らし倒す。






 彼の名は横島忠夫。

 横島除霊事務所の所長であり、この業界でもトップの実力を誇るゴーストスイーパーだっ!







 ゴーストスイーパー


 それは、魑魅魍魎と命がけの戦いを繰り広げる、死と隣り合わせの危険な仕事である。




 
 この物語は、ゴーストスイーパー横島忠夫の、愛と青春の物語……………ではない。


















  GS日記  第3巻  タマモと美神






 



















  xx月xx日

 雪じいちゃんから、霊波砲のこつを教わる。
 咸卦法のおかげか、出力だけは高いが今一使いづらい。
 周囲の物を無駄に壊してしまいそうになる。
 要するに、破壊魔呼ばわりされてる雪じいちゃんよりも、私のほうが破壊魔って事よ。
 あはは、笑えんわ。

 忠夫が言うには、あの世界の技は、対人、対軍に特化していて、この世界では使い辛いだろう、だって。
 対霊、対妖、対魔戦ではこの世界の方が、一歩も二歩も進んでいる。
 神鳴流? 威力ありすぎで使えないでしょ?
 もっと相手の霊体だけに直接ダメージを与える技じゃないと。
 あれは物理に偏り過ぎだね。
 大体あの攻撃出力はどうみても、軍団規模への攻撃の様な気がするわ。
 ようするに、戦争の為の技なんじゃないの?




















  xx月xx日

 戦い方に悩んでいたら、忠夫がサイキックソーサーや、サイキック猫だましを教えてくれた。
 魔力や気ではなく、霊力を使えってことかな?

 忠夫の、なんちゃって研究によると、霊力は反発しあう魔力と気の微妙な割合のブレンドした結果って言ってた。
 適当な事を言ってるに違いないと思うんだけど……

 話を聞いてるだけなら、咸卦法に近い……と言うか、咸卦法?

 そういえば、この世界でも霊力使える人間って、あんまりいないのよね。
 訓練さえすれば、誰でも使える魔力や気とは違うって事なのかな、やっぱ。

 魔力はともかく、気はお義父さまが使ってたっけ。
 気合でオラオラオラって悪霊しばき倒してたわ。

 究極技法の上をいく難しさの、霊能力習得って事なのかもね。



















  xx月xx日

 霊波砲の練習中、誤って見知らぬお爺さんにブチ当ててしまった。
 不味いと思ったんだけど、雪じいちゃんが大丈夫って。

 むしろボケが治ったって言ってたわ。
 知り合いだったのかな?

 とは言え、今後は練習場所には気をつけなきゃ。
 雪じいちゃんに任せとくと、いい加減で……




















  xx月xx日

 令子おばあちゃんに神通棍の上手い使い方を学ぶ。
 ついでに質問。

 魔力について。

 この世界では、魔力は魔族が使う力らしいわね。
 私が生まれた世界の魔力とは別物みたい。
 霊力の魔族版ってだけのようよ。

 令子おばあちゃんは、たぶん精神力のことでしょ、だって。
 令子おばあちゃんが言うには、お義母さまが昔、精神の力だけで令子おばあちゃんの霊力に対抗したらしい。
 そういう事だと思う、って言われたわ。

 あと最後に、霊力は魂の力だって。
 でも忠夫は、魔力と霊力の力の質に大差は無い、って言ってる。
 どうなんだろう……

 それにしても、最近しょっちゅう家にいるけど、暇なのかな?
 忠夫がいる時間には、あんまりいないみたいだけどね。



































 都内の一等地にある、とある除霊事務所。

 そこでは春の陽光をたたえた青空なんて、知ったこっちゃないわ!
 
 とばかりに、二人の個性的で目を引く女性が、言葉のやり取りを交わして時間を潰していた。


「今まで聞かなかったけどさ、どういうつもりだったの?」


 金髪の髪を、後毛で九つ結わう個性的な女性、タマモがもう一人の女性に尋ねる。

「簡単なことよ、あの馬鹿に重石をつけたってだけ。あんたらも分かるでしょ?
 アイツ、放っておいたらどっか行っちゃうわよ」


 60過ぎにも関わらず、生涯現役と言わんばかりの女傑、美神令子はそう答える。

 コーヒーを啜りながら、何でも無い風を装っている美神を見ながら、確かにね、っとタマモは思う。


 あと何年かしたら、前いた世界に一度戻る、何て言ってる位だし。

 人工幽霊一号という、帰る場所を用意しておけば、横島忠夫は必ずそこに戻ってくる。

 そう信じてる訳だ。

 西条と結婚してから、もう30年近く経つっていうのに、まだヨコシマの事が忘れられないなんて、ぷっ……。


 クスクスとイヤらしく笑うタマモを見て、美神は頬をピクピクと痙攣させながら、青筋を立てる。

「何が言いたいのよ」

「さあね~」


 おどけるタマモを見て、美神は怒り狂う……かと思いきや、今度は楽しそうに笑い出した。

 一頻りアハハと笑うと、「そうかもね」っとぼそっと呟いた。

「ホーント、アンタ丸くなったわね~」

「いくつになったと思ってんのよ。もう60過ぎよ? そりゃあ、丸くもなるわ」


 それを聞いて、タマモも面白そうに笑い出す。

 
 タマモは思うのだ。

 人は本当に駆け足で駆け抜けていく。

 そして、あっという間に居なくなってしまうんだと。


「それにね、タマモ。さっきの話だけど、重石つけとけばさ、今度また会うのが楽になるでしょ。
 あー、今の旦那の事は愛してるわよ? でもね、今生はこれで満足しとくけど、次は次。
 もう一度私が欲しけりゃ、それなりの根性見せて貰わないと。
 それはともかく、横島クンったら死なない体になったみたいだしね。いる場所さえ分かっていれば、後は、ね?」


 そう言って、タマモに向ってパチンとウインクする。

「言っとくけどね、私達4人は、そう簡単にアイツを手放したりしないわよ?」

「フフン。私を誰だと思っているのよ」

「そん時は、誰になってるのかしらね?」   


 そのまま睨み合う二人。

 部屋に霊気が満ち、放電してるみたいにバチバチと霊波がぶつかり合いながら、周囲の物を破壊し始める。

 流石に不味いと思ったのか、傍観していた人工幽霊一号が口を挟んだ。

「元オーナーもタマモさんもお止め下さい。このままでは事務所が破壊されてしまいます」


 その言葉を聞くや、シューと放電の様なスパークが止まり、二人は静かにカップを持ち、冷めたコーヒーを啜り始めた。

 ピピピと不意に鳴る美神の携帯。

 美神は携帯に目をやる事無く一言、「コーヒーが不味いっ!」と言うと、勝手知ったる他人の家とばかりに洗い場に行き、コーヒーを入れ直し始めた。

 自分の分と、ついでにタマモの分を入れ直すと、そのまま元の位置に戻り、コーヒーを啜る。

 そして、思い出したかの様に「4人目って誰よ?」ボソッと一言。


 美神が知る限り、今目の前にいるタマモに、現場に出ているシロ。

 そして、現在横島と出ている愛子の3人のはず。

 これだけでも十分、胸糞悪いってーのに、まだ他にもいるのっ!?

 美神がそう思っても不思議では無いだろう。


 そんな美神を見て、クックックッ、と笑うタマモ。

 それを見て、少しだけ顔を赤らめる美神。

 その反応だけで満足したタマモは、ボソリと爆弾を投下した。

「アスナよ」


 あれ、誰だっけ? どっかで聞いたような……、そう考え込む美神。

 答えを出したくないのか、それとも本気で分かりたくないのか、いつまでも難しそうな顔をして悩みこむ美神に、タマモは止めを刺した。

「だーかーらー、アスナだってば。私の可愛い義妹のアスナよ」


 ブフゥーッ! と、口に含んでいたコーヒーを吹き出す。

 そのままゲホッゲホッと咳き込む美神を見て、ケラケラとお腹を押さえて大笑いするタマモ。

 そんなタマモを見て、往年の頃の気合十分なゴーストスイーパー時代に匹敵する、そんな睨みをタマモに浴びせる。

 もっとも、タマモにはどこ吹く風だったが。

「アスナって、明日菜ちゃんのことっ!? あの娘、まだ小学生でしょうがっ! あの変態っ! ついに堕ちるとこまで堕ちたかっ!!」


 拳を握り締め、怒髪天を衝く勢いの彼女に、流石のタマモも恐怖で腰がひけてくる。

 ガタガタと体が震えるのを必死で抑えながら、先程の言葉を訂正した。

 タマモも横島を死なせたい訳ではないから。

「い、一応言っとくけど、まだ手を出してないわよ?」

「まだぁ~? って事は、手を出す気があるんかいっ!!」


 必死で宥めたつもりが、逆に火に油を注いでしまったタマモは、最早恐怖のあまり、体が動かない。

 ガタガタブルブル、体を震わせながら、気炎を上げる美神を見上げるタマモ。


 ど、どうしよう……







 と、そんな時、ちょうどというか、タイミング良く帰ってくる横島。

 バタンとドアを開け、「たっだいまー。おっ、美神さーん、お久しぶりっす」と元気よく声をかけた。


 ゴメン、ヨコシマ……


 当たり前の事だが、タマモの心の声は横島に届かず、横島は怒りでプルプルと震える美神を心配して近づいてしまう。

「どーしたんすか、美神さん。どっか具合でも?」


 もちろん横島は、100%善意からの言葉だ。

 だが、今の美神にとって、それはまさに火に油どころか、ガソリンをぶっかけてリンボーダンスを踊る様なものだ。

 当然、

「きさまのせいじゃーーーっ! こんの性犯罪者がぁーーーーーーーーっ!!」


 横島の顔面に、強烈な右ストレートを炸裂させた。

「げふぉっ!」


 なぜか血まみれになって床に転がる横島の頭を、美神は更にグリグリと踏んづける。

「い、いたっ、なんでじゃ…、でも、懐かしくて、なんか開いてはいけない扉を開いてしまいそう……に。がくっ」


 そのまま、どこか満足そうな表情で気絶してしまう。

 少し遅れて帰って来た愛子が、「よ、横島くん!?」と驚いた声を上げる。

「誰がこんな酷い事を……」


 わかりきってるだろう、そんな疑問を口にしながら、彼を引き摺り連れて行ってしまった。



 シーンと静まり返る。

 美神は、コホンと誤魔化すように咳をし、

「で、どういう事なの?」


 と、詰問口調でタマモに問いかけた。

「い、いろいろあんのよ、いろいろね」


 今だ美神への恐怖が抜け切らないタマモは、コーヒーを一口飲むと、気を取り直したのか饒舌に語りだす。

 とは言っても、コーヒーカップを持つ手は、プルプルと震えたままで、中身を零さないのが不思議な位ではあったが。

「ヨコシマの体のこと、知ってるでしょ?」


 タマモの問いかけに、美神は静かに頷く。

 それを見て、タマモは話に戻る。

「アイツさ、あの体維持すんの、すっごくキツイみたいなのよ。
 ここに居るんならさ、私たちから力を吸収すればいいんだから、別に問題はないんだけど。
 でもさ、他の世界に行くみたいじゃない?
 なんか遣り残した事があるみたいでさ、いくら反対しても聞かないのよ。
 私達は仕事があるからついてけないしね。
 アスナは連れてくみたいだからさ、他の女を抱く位ならアスナに任せよう、ってのが私達の総意よ」


 横島くんの仕事はいいのかしら?

 そう思わんでもなかったが、美神はグッとその言葉を飲み込み、

「性……魔術って言ったかしら。それを?」

「そう、性魔術。スケベなアイツに相応しい魔術よね」

「でも、明日菜ちゃんはまだ小学生よ?」

「そうね、だからもう少し先の話。
 何よりね、私達の中で一番ヨコシマを愛してるのが、あの娘よ。
 そしてね、一番愛されてるのも、あの娘なのよ。
 ちょっと、ううん、かなり悔しいんだけどね。
 それにあの娘が抱かれる時さ、ついでにヨコシマの使徒になったらなー、って思ってるの」



 

 タマモは言外に美神に、わかるでしょ? と言わんばかり。

 ええ、わかるわよ。美神も無言のままタマモに答える。



 彼女達は妖怪だ。

 私達人間とは、生きる時間が違うから。

 せっかく出来た可愛い妹を、手放したくないのだろう。

 上手いことに横島くんが、人間辞めてたせいもあるんでしょうね。

 普通はそんな簡単に、人外の存在になる事を奨めれないんだけど。


 美神はそう思いながらも、彼女の企みを止める気にはなれなかった。

 だって、自分が二十歳の頃なら、迷わず彼の使徒となって同じ時間を歩んだかもしれない。



「妙神山に行きなさい。そこでヒャクメって神様に会って、横島クンの体を視て貰うのよ。
 ついでに明日菜ちゃんもね。なんて言ったかしら、魔法……」

「魔法無効化能力よ。アンタ、もう痴呆でも始まったの?」

「失礼なこと抜かすなっ! 私はカオスのじーさんと違うわよっ!
 まったく……。そう、魔法無効化能力。それもキチンと視て貰いなさい。
 色々と疑問が多い、レアな能力よ。
 この際、キチンと調べてきなさい」


 美神はそこまで言うと満足したのか、スタッと立ち上がると、そのまま玄関へと向う。

「あら、もう帰んの?」

「ええ、そろそろ旦那が帰ってくる時間だわ」


 こちらを振り返らず、適当に手を振りながら事務所から出て行く。

 そんな美神の背中を見ながら、「有閑マダムになっちゃって……」

 タマモはそう呟くと、横島の所に向った。

 美神に言われた事を実行に移す為に。

 横島の事はともかく、アスナの事が心配だから。

 タマモはアスナが可愛くて仕方ない。

 だからこれから先も、ずっとあの娘と一緒にいたいのだ。


 きつねヨーカイから始まり、タマモお姉さんになって、タマモお姉ちゃん。そして今はタマモ姉さん。

 次はなんて呼ばれるのかしら。

 そう思うと、ワクワクドキドキ。

 それに、アスナが喘ぎアイツを求める声、それを想像するだけで……。



 タマモは横島に内緒で、アスナにこっそりと性教育を施していた。

 前世から続く知識を使い、様々な性技を仕込んだり、こっそり隠れて自分達の情事を見せたりもしている。

 いつか、二人一緒にヨコシマに犯されたい、そう思っていたり。

 抵抗する私たちを乱暴に犯しつくすヨコシマ……、想像するだけで、何度も絶頂しそうになる。


 ベットでは乱暴にされるのが好きな私、特に何も考えていないシロ、ロマンチックに抱かれたい愛子。

 アスナはどんな風に抱かれるのが好きなのかしらね。

 可愛いアスナ、愛らしい私の妹のアスナ。



 こんな事を考えるくらい彼女が大切なタマモは、アスナの能力をキチンと調べると言う事に、当たり前の様に賛成だ。

 だからタマモは考える。

 一刻も速く、妙神山とやらに二人を向わせようと。























  xx月xx日

 今度のお休みに、妙神山って所に行く事になった。
 令子おばあちゃんに、行った方が良いって言われたそうだ。
 忠夫の事が心配なんだね。
 私もついでに見て貰えって。
 
 確か、伝説の修行場って言ったわよね。
 ちょっと不安。 



























 後書き

 アスナは斬魔剣や弐の太刀を知りません。
 神鳴流については、多分にアスナの偏見です。



[11660] GS日記 第4巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/13 02:38

  GS日記   第4巻   日々彼是 その2





















  ★月☆日

 そろそろアスナと一緒に風呂に入るのはどうかと思うんだ。
 その事をアスナに言ったら、泣かれるわ喚かれるはで酷い目にあったよ。
 仕舞いにはタマモやシロや愛子まで加わって、俺を責め始めるし。

 いやな、嬉しいよ? そこまで慕ってくれるのはよ。
 でもな、あの子ももう小学6年生。
 男と風呂に入るのは問題ねーか?

 決してアスナにドキドキしてる訳じゃない。

 胸が膨らんできたよなー、とか考えてなんかいない。
 湯船に浸かってる時、いつも俺の膝の上に座ってくるあの子のプニッとしたお尻の感触に、息子が反応しかかってるなんて事も無い。
 風呂上りにあの子の髪をワシャワシャとふいてあげる時に、ドキッとした色気を感じた事なんてある筈も無い。
 当然、うなじから流れ落ちる雫に、ゴクッとした事も無いんだ。

 俺はロリコンなんかでは、無いのだから。




















 



  ▲月△日

 アスナが悩んでいる。
 力が上手くコントロール出来ないみたいだ。
 大きい力は使えるようだが、小さい力は今一みたいだな。
 仕方ないっちゃー、仕方ない。

 そもそも咸卦法で除霊しようってのが、間違いなんだから。
 あんな技、強めの妖怪か魔族以外には必要ないからな。

 まあ、その辺りは雪之丞に任せとけば何とかしてくれるだろう。
 あいつも魔装術っつー、無駄に出力の高い技持ちだからな。















  ▼月▽日

 雪之丞に任せるって言った次の日に、アスナに口出ししちまった。
 なんてーか、甘いよなぁ、俺って。

 取り合えず、サイキック猫だましとサイキックソーサーを教えた。
 使い易い技だし、応用利くしな。

 そん時、アスナから魔力と霊力の違いを聞かれる。

 あんま変わらんと個人的に思ってる。
 ただ霊力を詳しく分析してみると、どうも魔力が8割、気が1割5分、謎が5分って感じなんだよ。
 魔力と気は反発し合う。
 それを纏めるのが、謎の5分の部分ではないかと思ってるんだが……。

 うん、適当さ!

 エッチして貰えるのは、魔力でも霊力でもどっちでも大して変わらんさ。
 俺の体を維持すんのも、どちらでも構わんみたいだしな。






















  ■月□日

 久々の家族旅行。
 って言っても、近くの温泉ランドだけどな。
 最近、地味に忙しい。

 そんな訳で、車で1時間の場所に骨休みに。
 なぜか、冥菜ちゃんにレミちゃんもいたが。

 家族風呂を借りて全員で入ったんだが……
 一応言っておくが、俺は抵抗したかんな!
 冥奈ちゃん達もいるし。
 だけどなー、その2人がぜひ一緒でって言い出したから、どうにも……

 それはともかくとして、2人とも成長したなー。
 冥菜ちゃんは中2にしては胸が平べったいが、ちんまい所が逆にそそるってーか。
 レミちゃんはさすがエミさんの血筋。
 肌の色や性格はピート譲りだが、外見はエミさんだな。
 胸とかも小6でこれだと、期待できる。

 いや、決して、決してドキドキなんかしてねーぞ?
 俺はロリコンなんかじゃないし。

 なにより、俺の息子は反応させんか、もとい、反応しなかったんだから。






















  ☆月★日

 カオスの痴呆が治りやがった。
 アスナの霊波砲を喰らったおかげだ。

 どうやらボケてたんじゃなくって、何かの実験に失敗して呪われていたらしい。
 もしかして、アスナの霊波砲には魔法無効化能力が付与されてんのか?
 だとしたら、凄い能力だよな。

 流石は俺のアスナだぜ。

 もっとも、相変わらず軽くボケてはいるんだけどな、カオスのやつ。





















  ●月○日

 最近になってようやく思い出した事がある。
 ここに帰ってきて、もう8年近く経つというのに、今まですっかり忘れていた。

 タイガーの奴はどこにいったんだ?
 話題に上がった事すらないぞ。

 確か、一文字魔理さんって言ったか?
 彼女と結婚でもしたんか?

 今度ピートにでも聞いてみるか。
 愛子に聞いても、存在自体忘れてたみたいだからな。
 あれだけ外見が個性的だというのに、存在感がないなんて。

 泣ける……





















  ☆月○日

 タイガー情報。

 ピートから聞いた話によると、8年前のお帰りなさいパーティーの時にいたってよ。
 それどころか、一年に一回の会合の時にも居るじゃないですか、普通に話していましたよ。
 って言われたんだが、記憶にねーよ。
 おっかしーなー。
























  ▽月☆日

 大規模な霊的災害が起きた。
 アスナとタマモには内緒で、他のGS事務所の面々(ってか六道関係者な)とオカルトGメンとで対策に出る。
 正直な話、オカGのピート以外は今一当てにならん。
 ピートもそう感じているんだろう。
 小声で俺に協力の要請をしてきた。

 相手は、タマモの欠片だ。
 この事をタマモに知られる訳にはイカン。
 美神さんにお願いして、事務所周辺にタマモを誤魔化す為の結界を張ることに。
 その間は美神さんには悪いが、事務所に詰めて貰おう。
 もちろんタマモも一緒に。

 怪しまれないように、愛子でも連れて行くか。
 上手い事に、日本政府とオカGも、民間や一般のGSには情報規制を入れるつもりみたいだしな。

 社会的不安を煽らないためらしいけど、どこまで本当なんだかね。























  △月☆日

 酷い。
 これが白面金毛九尾の狐の『怨念』か。
 これなら昔タマモが復活した時に、日本政府が自衛隊を動かしたのも納得できるわ。

 俺とピートが受け持った場所と、ちょうど正反対の場所に出没。
 そこで待機していたGSとオカGの隊員が全員喰われた。
 肉体どころか、魂までも。

 やばい程の怪異だが、タマモがこちらにいる以上、こいつの完全な復活は無い。
 なんせ、本性はタマモで、ヤツは写し身だから。

 総合力は九尾狐の全盛期の2分の1。
 かつては8万の兵を退けたってんだから、その2分の1なら4万の兵で済むわけだ。
 楽勝、楽勝……な訳ねーーーーっ!
 ホント、2分の1でこれなんだから、マジ洒落にならんな。

 タマモには悪いが、タマモ自身の為にも、この憎悪の固まりは俺が何とかしねーとな。


































 それは絶望と言ってもいいほどの憎悪の塊。
 大気が毒素で濁り、空が赤黒く染まっていく。
 その存在感は、並のゴーストスイーパーではその場にいる事さえ適わない。

 妖艶な美女、白面金毛九尾の狐。
 その有り余る憎悪から、新たに名づけられた名称『九尾の憎悪』
 本物の九尾狐自身は、今より50年近く前に当時最高のGS、美神令子に滅ぼされている……ことになっているのだから。
 
 全国各地に散らばった殺生石の欠片から、新たに生まれた化生。
 何者かが創り出した悪意の塊。

 だからこそ、横島忠夫は心を痛めた。
 タマモと再会した時に聞かされた、殺生石の欠片の話。
 こっそりと回収しておきゃ良かったと。
 何よりもアレは、タマモの分身と言っても良いのだから。
 
 





「じゃあ横島さん、予定通りいきましょうか」 


 ピートの言葉に横島は頷くと、自分の目の前に4つのサイキックソーサーを浮かび上がらせる。

「まったく、こんなん俺の仕事じゃねーよ。雪之丞が使えりゃ、こんな苦労はせんで済むのによっ!」


 横島はボヤキながら両手を上げ、「おんどりゃーーーーーーーーーーーっ!!」と両手を勢い良く振り下ろす。


 絶叫にも似た気合を上げ、六角形の光の盾が、上空の『九尾の憎悪』と名づけられた美女に叩きつけられる。

 ズガガガーーーンっという轟音が鳴り響く。

 だが、爆発の跡から轟然と姿を現すのは、金毛の巨大な九尾狐。

 傷一つ無いその威容は、本来ならば絶望しても責められる謂れはないだろう。

 本来ならば。



 人は弱い。弱く脆い。
 だが、人はこの世界において自らを霊長と呼ぶ。
 人は弱いが、強い。この人界においては、超上級魔族のアシュタロスでさえも人の力に敗れたのだ。
 況や、たかが九尾の2分の1。負ける要素など、何一つ無い。



 九尾の憎悪は横島に目を向けると、その身体に込められた特上の力の匂いに気づく。

 神核。
 異世界の神、その力の源。

「ギャオオオオオオオオオオオンンンッ!!」


 大気を振るわせる程の歓喜の雄叫び。

 それさえ喰らえば、かつての自分に戻れるのだと、九尾の憎悪は直感する。

 憎悪は怪異。姿は魔獣。

 かつての玉藻前の姿はなく、ただの巨獣。

 憎しみを募らせ、ただただ人間に対する復讐心のみが残った魔獣は、横島に狙いを定めた。

「オイオイ、どこの怪獣大決戦だよっ!? ホントにタマモと同一存在なのか、こいつ?」


 横島はそう言いながら、横目でピートの姿を確認すると、空に飛び上がる。

 同時にピートの両手から、無数の光弾が魔獣目掛けて撃ち放たれた。

 そのまま魔獣を押し込み爆発。

 更に間髪入れずに、横島は美神から借り受けた『竜の牙』を剣の形に顕現させると、魔獣の鼻っ面目掛けて剣を振り下ろした。

「ギャオオオオオオオオンッ!」


 もちろんピートも横島も、これで倒せるなんて露とも思ってはいない。

 全ての攻撃は、注意を自分たちに向けさせる、ただそれだけの為なのだから。


 

 その後は一進一退を繰り返し、徐々に目的地へと誘っていく。

 周囲に何も無い平地。そこに誘い込み、一気にヤツを滅ぼす。
 ただそれだけの、策とも言えない単純な作戦。
 これが本来の九尾であったなら、通用はしなかったであろう稚拙な作戦。

 それで十分なのだ、ヤツには。知であるタマモが無い魔獣には。

 そして魔獣が目的到達点に着いた瞬間、四方八方から魔獣目掛けて攻撃が降り注いだ。

 空からは戦闘機から発射される精霊石が込められたミサイル。
 地上からはオカGと自衛隊員の手による、精霊石を用いた様々な攻撃。
 そして、魔獣を逃がさぬ様に、結界で固める凄腕のゴーストスイーパー達。

 多重の精霊石弾による攻撃で、ドゴゴゴォォォォンっ!! と轟音が鳴り響き、辺りが白光に染まっていく。



 数瞬後、光が晴れそこに現したのは、血塗れでゼェゼェと鳴く魔獣の姿。

 だが、目の光は失われておらず、憎悪は増すばかり。


 これだけ攻撃を受けても、まだ生きているのか。 

 その場に居合わせていた政府高官が驚愕する。

 自衛隊隊員はもちろん、オカGやGS達までが恐怖で身動き一つ取れないでいる。

 そんな中、横島は平然と魔獣の側までゆっくりと歩いていく。

「横島さん、僕も行きますっ!」


 ピートの言葉に横島は手を軽く振り拒絶。

 そのまま巨獣の眼前まで行くと、

「ごめんな、タマモ……」


 一閃、剣を振り下ろした。

 断末魔の声を上げることも無く、静かにサラサラと砂に変わり、風に吹かれ消えていく。 





「ワァアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 一気に歓声が上がった。

 喜びに沸く自衛隊やオカG、そしてGS達。
 互いに手を取り合い、涙を流して喜び合う。
 それは、この国を様々な意味で守る者達が、本当の意味で一つになった瞬間。

 無理も無い。アシュタロス以来の国家の危機だったのだから。
 知恵も無く、ただ周囲に憎悪を撒き散らし殺し尽くし破壊する。
 そんな悪の妖怪変化を打ち倒したのだから。

 それも、自分達の手で。



 一方、泣きそうな表情を浮かべて佇む横島。

 彼は、政府の高官や自衛隊の幹部などから賞賛の言葉を浴びているが、ただ適当に返事を返すだけ。
 ピートはそれを見ると彼の元に駆けつけ、疲れを理由に彼と共に愛子の居る後方へと下がる許可を取ろうとする。
 高官達も戦いの様子は見ていたのだろう、それもそうだと許可を出した。

 大量の賛美を二人に投げかけながら。




 ピートは彼の肩を抱きながら、静かに後方へと下がっていく。

 2人とも着ていた背広はボロボロで、心身共に疲れきった表情を見せる。

 後日、それを見たオカGの腐女子がピート×横島なる本を発行し、絶大なる売り上げを誇ったらしい。







 ピートは愛子に横島を託すと、美神令子宛にメールを送った。

 作戦は終了しました。ただ、横島さんが落ち込んでいます。後はよろしくお願いします。

 パチンと携帯をたたみ、そのまま仕事に戻る。

「中尉、お疲れ様でした」


 オカGの若い隊員がピートに声をかける。

「あれ、横島さんは如何されたので?」

「ああ、彼はもう帰るよ。流石に疲れたからね」

「では、車両の手配をします」

「大丈夫、彼は自分で帰るからね。それよりも被害報告を……」


 そのまま仕事に戻るピート。

 彼とて横島が心配である。
 何せ、永遠に近い寿命を誇るヴァンパイア・ハーフである自分と、同じ時間を歩む仲間で親友だ。
 彼を失いたくは無い。
 だけど、美神さんに任せておけば大丈夫。
 そう信じているのだ、彼らの絆を。







 そして、横島は疲れ切っていた。

 何より心が。

 いつもなら絶対にしない文珠による瞬間移動。
 それを使ってしまう程に。 

 人目も気にせず愛子に抱きつくと、周りの黄色い歓声など一切無視して、

「帰るぞ」と呟き、そのままハイパー文珠(転/移)で一気に事務所に帰ってしまう。


 一瞬で人工幽霊一号邸についた横島と愛子。

 横島はそのまま応接間まで行こうとするが、愛子に、

「横島くん、そのまま行ったらタマモさんに怪しまれるわよ?」


 そう言われ、愛子がどこからともなく取り出した代えの背広にサッと着替えた。

 ボロボロになった背広をそこら辺にポイッと投げ捨て、そのままスタスタと先に行ってしまう。

 愛子は「仕方ないわねぇ……」と呟きながら、ボロボロの背広をキチンと片していく。

 辛そうな表情を浮かべていた横島が気になる。
 気にはなるが、どうして良いのか分からないのだ、愛子は。

「やっぱアレかしら、肢体で慰めるとかが良いのかしらね?」


 イヤンイヤンと身体をくねらせながら、愛子は頬を桃色に染める。

 と、その時、「げふぉっ!」と横島の断末魔の叫び声が聞こえた。

 そのままズダンッと地震でもあったかの様に震える事務所。

「な、なにっ!?」


 急いで横島がいる応接間に向う愛子。

 扉を開けると、そこにいたのは怒りの表情を浮かべた美神と、恐怖からかガタガタと震えるタマモ。

 そして、血塗れだが、どこか幸せそうな顔で気絶している横島。

「よ、横島くん!?」


 愛子は驚きの声を上げる。
 が、横島の側で仁王立ちしている美神は、愛子の方を見るや、タマモには見えないようにパチンと軽くウインク。
 
 ああ、美神さんが何とかしてくれたんだ。

 愛子はそう確信する。

「誰がこんな酷い事を……」


 わかりきってるだろう、そんな言葉をわざとタマモに聞こえる様に呟くと、愛子は横島を引き摺って応接間を出た。

 扉を閉め、タマモの視界から出たのを確認すると、彼女は美神にむかって深く礼をする。

「ありがとう、美神さん」


 だが、さっきとは打って変わって幸せそうな横島の顔を見て、チラリと嫉妬染みた感情が湧き出る。

 でも、彼を救ってくれたのは、確かに彼女で。

 
 彼と彼女の付き合いは、私達よりもずっと短い。
 彼が美神除霊事務所に在籍したのは、たったの2年。
 自分達が彼と一緒に住むようになって8年。

 それなのに、いつまでたっても彼女には勝てないのね。










 愛子はそんな想いを抱きながら、横島の部屋に入り彼をベットに寝かせる。

「むにゃ……、みっかみさ~ん……」


 お約束な寝言。 
 
 それが彼女をイラつかせ、そして……。

「横島くんが悪いのよ? 私達がいながら、美神さんの事をいつまでも想っているから」


 一枚一枚、ゆっくりと自らが纏う布を無くしていく。

 身に纏う布が無くなると、今度は慣れた手つきで横島のベルトを外しズボンを下ろし、そのままトランクスも下ろす。

 露になった肉棒を、愛子はこれまた手馴れた手つきで2,3回、コスコスと擦る。

 するとあっという間に大きくそそり立つ肉棒。

 それを掴み彼の上に跨ると、ウフフと妖艶に笑いながら自分の中に飲み込んでいく。

 然程濡れていないそこは、ギチギチと硬い音を立てるも、愛子は一気に奥深くまで肉棒を迎え入れた。

「あぁ……うぅぅんっ! んはぁ~~。」


 横島の肉棒を胎内奥深くに感じながら、愛子は満足気な溜息を吐く。

 そして今、この下にいる美神に見せ付けたいかのように、ゆっくりと身体を上下に揺らした。

 それは嫉妬。

 自分達の8年が、美神とおキヌの2年に敵わないと思い知ってしまった。


「どうした、愛子?」


 いつ起きたのだろう、横島は静かに愛子の頬をそっと撫でる。

 横島は夢を見ていたのだ、さっきまで。

 この世に生まれ、育ち、沢山の人達と出会った夢を。
 美神と会い、おキヌと会い、ルシオラと会い、そんな数多くの人達との出会いの夢。
 アシュタロスとの前世からの縁。ヤツを憎み、憎まれ、世界を救い、そして世界との別れ。

 帰ってきても、みんな自分の事を忘れているんじゃないかという恐れ。
 でも、数多くの人に愛され、待っていてくれた。そんな夢を見ていた。


「な、なんでもない……」

「ばーか、考え過ぎだぞ。俺はお前らの事が、心底大切だと想ってる。
 いい加減信じろ、なっ?」


 自分はまだ、何も言ってない。

 でも、彼は私の考えてる事がわかるんだ。


 愛子はそう思うと、心と身体が急に軽くなった気がした。

 自分を気遣うような視線を向ける彼を見て、彼女は彼の事を、また一つ好きになる。

「大好きよ、横島くん」 


 心から喜ぶ愛子を見て、横島は身体を起こし律動を開始した。

「愛子の笑顔、すっげー可愛いぞ」


 チュッとキスをして背中に手を回すと、愛子の秘処を貫き、こね回す。
 上から下、後ろから斜め、そして下から上へと突いて突いて突きまくる。

「横島くん、好き。好き、好き、大好きよっ!」


 二人の肉の交わりは、美神が帰り、タマモが来てもまだ続けられた。
 タマモも加わった饗宴は、結局アスナが学校から帰ってきてもまだ続けられ、妙神山云々の話は少し遅めの夕食時になった。

 シロがいないままの……


「せっしゃのことを忘れるなんて、酷いでござる~っ!!」


 泣き喚き吠える彼女を家族全員で慰める。

 そんな平和な横島一家。


























  ▽月△日

 タマモに先日の事件の事を話した。
 今度、今回の事件を政府の方で発表するからだ。
 
 そんな訳でタマモに話したところ、
 「あっそ。どうでもいいわよ、そんなん」だってよ。

 あれだけ悩んだ俺っていったい……






 





















 後書き

 あと、スタートをGSに持ってきたんで、無印とは少し違う設定。

 魔力≒霊力になります。ただ、横島的には殆ど変わらない。

 霊力すげー、では無いです。

 魔力及び気→霊、妖、魔に対して与えるダメージ 0.6倍。人間に与えるダメージ 1~3倍。

 霊力→霊、妖、魔に対して与えるダメージ 3倍。人間に与えるダメージ 0.5~1倍。

 こんな感じです。以降この様に認識して下さい。

 特に意味無いけどなっ!




[11660] GS日記 第5巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/13 02:40
 この世界において、神と人間の接点のひとつ。

 そこが妙神山と呼ばれる修行場である。



 管理人を勤める、竜神・小竜姫。

 その師である、神界屈指の実力者、猿神・斉天大聖。

 強力な2柱の神を擁するこの地は、世界でも有数の霊格を誇る山だ。



 
 そんな場所に初めて来たアスナ。

 彼女は思う。



「ここ、本当に日本なの?」






















   GS日記  第5巻  妙神山

















 この門をくぐる者 汝一切の望みを捨てよ 管理人







「……なにコレ?」


 私は忠夫の方を見ると、胡散臭い物でも見たかのように、って実際胡散臭いけどね、思わずボソッと呟いちゃった。

 だってさ、すっごい岩山越えて、やっと辿り着いた先には大きな門があって、その扉には鬼の面。
 両端を護るように、首なし仁王像(?)が2体。

 そして、この門~の一文に、管理人。
 管理人って……

 迫力に欠けるってかさ、力抜けるわ……


「ん? コイツ等はな、鬼門だな」

「鬼門?」

「そ、ここの番人だよ」


 私の頭をナデナデしながら、忠夫はそう言った。

 うにゃー、私もう小6だよー。

 私は必殺奥義、両手グルグルパンチを忠夫にポカポカ喰らわせるも、彼は楽しそうに私を抱き上げる。

 もう身長だって150cm近いのに、いつまでたっても子供扱い。

 いや、分かってるわよ?
 やってる事が子供っぽいって事ぐらい。
 でもね、彼の中の私は、今だ幼女なのよ。

 だからこうしてあげると、すっごく喜んでくれる。

 まあ、それも今年一杯なんだけどね。
 来年、私は中学生になる。
 そしたら、タマモ姉さんに言われている通り、私は……

 って、色々と想像しちゃったら、顔が熱くなってきちゃった。


 
 そのまま彼に抱っこされながら、私は至福の思いで彼の胸に顔を埋める。

 エッチな妄想をしつつ。

 でもそれは続かなかった。




「いつまでそうしておるか愚か者共ーーーッ!!」

「わっ、喋ったわよ、この鬼の面」


 私は大して驚きもせずに、彼の胸からヒョコッと顔を出すと、興味深げに鬼の面、鬼門を見る。

 鬼門は顔に青筋を浮かべながら、私達に怒りの声を上げた。

「我らはこの門を守る鬼。許可なき者、我らをくぐることまかりならん!」

「この右の鬼門!」

「そしてこの左の鬼門がある限り、お主のようなロリコン風情には決してこの門をくぐらせはせん!」

「誰がロリコンじゃーーーーーーーっ!?」


 忠夫は、鬼門の口上が終わると同時に、右手に霊気を纏わせて左の鬼門の顔を、思いっきり殴り飛ばす。

「げぶぉっ!?」


 変な声を上げて、左の鬼門の体が、何もしてないのにドシャーンと倒れた。

 どうでもいいけど、私たちから見て左側が、左の鬼門なんだ……

 普通、逆じゃないの?

「なっ、貴様、我らの口上が終わる前に攻撃するとは、卑怯千万なりっ! ますます門を開く訳にはいかん!!」


 あれ? まだ口上、終わってなかったの?

 そんな事を考えてたら、忠夫は抱き上げてた私を降ろし、右の鬼門の前に行く。
 そしてどこからともなく取り出したハリセンで、バシィーンと叩いた。

「俺のことを忘れたばかりか、ロリコン扱いたぁー、どーゆーことじゃーーーっ!!」


 忠夫の言葉に、2人?の鬼門が注意深く忠夫を見つめる。

 5秒経過、10秒経過、30秒経過……、3分経過。


「いつまで考えとるんじゃ、本気でボケたのかお前らっ!」

「お、おおっ! もしや横島かっ!?」

「ようやくわかったんか……。まったく、鬼がボケるなんて初めて聞いたわっ!」

「いやいや、お主は次元の狭間に落ちたと聞いたぞ?」

「で、あれば、貴様の事を忘れても仕方あるまい」

「そうじゃ、右の鬼門の言う通り!」

「何より、あの横島がロリコンに堕ちていたとは」

「想像の域を超えると言うもの」

「うむ、我らの目は誤魔化せん」

「横島がそこな少女の尻を、撫でようかどうしようか」

「迷っていたのを、しっかりと見ておるわっ!」



 そうじゃ、そうじゃと互いに頷き合う鬼門。
 えっ、そうなの? だったら嬉しいんだけど。

 そう思って、私は上目遣いで彼を見上げる。
 でも、そんな私に気づかず、忠夫は怒りの声を上げた。

「俺はロリコンじゃねぇーーーーーーーーーーーっ!」


 叫びながら両手にサイキックソーサーを出すと、そのまま鬼門に向けて放った。

 ドゴーンと大きな音を上げて爆裂するサイキックソーサー。

 辺りは土煙に覆わるが、鬼門の門は無事に佇んでいる。
 鬼門の体はピクピクと痙攣しているけどね。

 
「さっ、中に入ろっかアスナ」


 私の手を引くと、そのまま中に入ろうとする忠夫。

 でも、流石に不味いと思った私は、

「ね、この人?達、放っておくの不味いんじゃない?」


 って聞くも、彼は問題なしと簡単に答えながら門を叩く。

「しょーりゅーきさまーーーーーっ! 貴女の横島忠夫が来ましたよーーーーーーーーーーっ!!」




 ぎーーっと、音を立てながら開く門。

 そこには、見かけ姉さん達と同じ位のわりと小振りな女性が。

 この人が小竜姫さまね。

 彼女は忠夫を一目見ると、とても懐かしそうな表情を浮かべる。




「横島さん、お久ぶりですね」
































  xx月xx日

 ヒャクメって神様はいなかった。
 元々ここに居る神様じゃないんだって。
 一応、呼んで欲しいみたいな事言ってみたら、ヒャクメさまのスケジュールが空いたら呼んでくれるって。
 いつになる事やら……

 忠夫は小竜姫様に連れられて、無理矢理修行を受けさせられてるみたい。
 いつまで経っても帰ってこないところを見ると、やっちゃってるんだろーなー。
 ちょっとムカムカするわね。

 私は老師様とゲーム。
 ただのゲーム猿にしか見えないんだけど、すっごく強いんでしょうね。
 忠夫が化け物って言ってたし。
 雪じいちゃんも、喧嘩売ったら死ぬから気をつけろって言ってたわね。

 私の事、何だと思ってるのかしら?



























  xx月xx日

 忠夫が老師様にお願いをしていた。
 こちらが主目的だったみたい。
 あの世界に行く時に使う場は、ここにするんだって。
 老師様は、上が許可を出したらだって。
 どうなるんだろうね。

 そうそう、私の身体、老師様に視てもらった。
 完全に使いこなす事が出来たら、中級神魔までなら何とか出来る可能性がある力だって。
 中級ったら、小竜姫さま?
 無理だわ。
 なに、あの超加速って!
 一時的に時間を遅くするとか、チートにも程があると思うの。

 老師様が言うには、その時間を元に戻す事が出来るじゃろ、だって。
 元に戻すも何も、使われた時点でアボーンな気がするわ。
 要するに、修行しろって事よね。

 忠夫が、まだアスナには早いって何もさせてくれなかったけどね。
 一応は老師様から、神通棍の実戦的な使い方を学んだけど。
 明日は筋肉痛だ。


 ちなみに朝、小竜姫さまはちょっとがに股歩きでヒョコヒョコしてたよ。
 やっちゃったんだね、竜神様と……。
 老師様が、小竜姫もようやく大人になったか、だって。

 まあ、忠夫が明らかにパワーアップしてるから、あんまり文句は言えないのよねー。
 未来の使徒である私としては。





























 2泊3日の妙神山滞在が終わり、私達は下界へと帰る。

 下界……、ここにいると、何かその言葉が妙にしっくりくるわね。

 私と忠夫、そして小竜姫さまは、ゆっくりとした足取りでここの入り口へと向う。

 何度も足を止め、名残惜しそうに話をする二人を、私は必死に急かす。

 嫉妬とかじゃなくって、急がないと今日中に家に帰れないよー。

 そんな私の焦りなんて、知ったもんかと小竜姫さま。

「横島さん、行ってしまうんですね……」


 ちょっとぉっ! なに雰囲気作ってんのよっ!! いい加減にしないと、いくら温厚な私でも、ぷっちーんってきちゃうわよ!

「いやー、また来ますって小竜姫さま。今度来る時は、ヒャクメやパピリオがいると嬉しいっすね」


 嬉しいって、そのヒャクメって神様に用があって来たんでしょうがっ!

 大体、パピリオって誰よっ!

「パピリオですか……。彼女はしばらく妙神山には帰って来ませんよ?
 一応あれでも私の弟子なんですけど、今は魔界の常識を知るって名目で、魔界に滞在中なんです」

「えっ、そうなんすか?」

「ええ、今頃べスパと一緒にいるんじゃないかしら」 


 そのまま足を止めて話し込む二人。

 あーもー、好きにして……。

 頬を膨らませて二人を睨みつける私。

 そんな私にようやく気づいた忠夫は、「ゴメンゴメン」って謝りながら私の頭を数回撫でた。

 
 もしかして、いつでも頭撫でたら機嫌が直る、なんて思われてんのかしら?

 そう思わないでもないけど、実際のトコ私の機嫌は直る訳で。

 横目で小竜姫さまが羨ましそうにしているのを見て、フフンって感じで気分が良い。

「忠夫~」


 私はポスッと彼の胸に飛び込む。

 忠夫はそんな私を抱き上げると、

「じゃ、そろそろ行きますね」そう言って、門の外に出てしまう。


 それを悲しそうに見つめる小竜姫さま。

 
 勝ったっ!!


 これ、私の心からの言葉。

 大きく手を振って、私達を見送る小竜姫さまを見ながら、内心で高笑い。

 もっとも、長くは続かなかったけどね。

 この妙神山の山道を、抱っこされて行くのは本当に怖い。

 断崖絶壁なんて言葉が良く似合う。親知らず子知らずなんて可愛いものよ?

 そんな道を平然と踏破する忠夫は、私の恐怖など気づきもせず、最後まで抱っこされながら山を降りた。

 体力的にはすっごく楽ちんだったんだけどね。

 精神は疲弊しまくりだったわよ。











「ん、疲れたんか、アスナ」


 優しい言葉で私を気にかけてくれる、忠夫の声。

 嬉しい。嬉しいけど、帰ったらどうなるか分かってんのかな?

 小竜姫さまとの情事、姉さん達にメールで伝えちゃってんだけど。





















  xx月xx日

 なんとか日付が変わる前に家に辿りついた。
 明日が学校だと思うと、気が重い。

 忠夫は現在、姉さんたちから折檻中と思われ。

 うぎゃーとか、あんぎゃーとか聞こえるわね。
 死ななきゃ良いんだけど。

 実際、霊的に強化してるから、あんま怒らないとは思うけどね。
 忠夫が強くなるって事は、姉さん達も強くなるって事だから……

























 






 妙神山に行ってから、ちょうど半年後。

 かの地を用いての世界移動の許可が下りる。

 横島は『二つの回廊の終わり』を参考にした、世界移動術の為の準備を本格的に進め始めた。

 あの世界に今一度戻り、決着をつけねばならない存在がいる。

 自分を取り戻す切欠をくれたセリカの為にも、あの男を滅ぼさねばならない。

 それが自分らしくないって事くらい、良く分かっている横島だが、奴の存在自体が許せないのだ。

 ラプシィア・ルン。


 あいつも、今頃俺を捜して四苦八苦しているに決まってる。

 互いが互いを憎しみあってる俺達だ。

 奴をあの世界へ連れて来てしまった責任もある。

 きっちり決着をつけなきゃな。


 横島はそう決意すると、霊力の確保の為に動き出す。

 簡単に言っちゃうと、女のトコに行くだけなんだが……



「シロ、今日はお前に決めたっ!!」



 横島はそんなことを言いながら、フンフーンって感じで鼻歌を歌いながら、彼女の寝室に向う。

 結局どこまでいっても、横島はヨコシマという事なのだろう……








































 おまけ

 ディル=リフィーナ編最終部簡易概要


 
 1部2部は無印に記載されてますんで、そちらを。

 流石にプロットも何も一切作られてない話です。
 細かい事はなしで、簡単に。

 ラヴィーヌ生存end。
 彼女の神核を使う場面で、横島がハイパー文珠(神/核)で開けちゃいます。

 んで、ラプシィアとの最終決戦。
 セリカは原作に比べると、イオ分の神核が無く、代わりに横島がいる状態です。

 負けちゃいました。

 二つの回廊の終わりが開き、エクリアの子供を核とした融合が行われます。
 が、ハイパー文珠(分/離)により、彼の望みを挫くと、そのまま門の向こうへと蹴りだします。
 門を(閉)じようとした瞬間、ラプシィアの力で一緒に門の外側に。

 気がついたら、ネギま世界です。

 こんな感じ。

 難しく考えんなよっ!
 話きちんと練って無いんだからなっ!!

 ご都合、ご都合。

















 後書き

 そんな訳で、二つの回廊の終わり(偽)を体感した横島。
 彼はこの経験を元に、『想像力』を働かせ、文珠と霊地を使った世界移動を思いついた、って話です。

 序の巻でも書きましたが、この話の横島の力は煩悩と想像力です。

 想像力さえ満たす事が出来れば、メドーサでさえ、(滅)の文珠一個で倒す事すら可能ですから。
 メドーサを滅すイメージが出来た、ってのが私の原作の解釈です。
 
 逆に言えば、イメージさえ出来れば不可能はない。

 出来れば、だけど……

 生き返りのイメージなんて、実際見てみないと出来ない。
 こういう足かせつけてるんで、ご安心を。



[11660] GS日記 第6巻   エロ有り(小竜姫)  
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:23






  GS日記  第6巻  日々彼是 その3











  ◎月●日

 今度の連休に妙神山に行く事に。
 俺一人ならさっさと行っちまうんだが、アスナ付きなら学校が休みの日じゃないとな。

 それにしても妙神山。
 何もかもが懐かしい。

 小竜姫さま、パピリオ、二人とも元気かな?
 それに小竜姫さまと、ぐふふな事が出来るやも知らん。
 いや、ワイはする!
 漢として、小竜姫さまとのロマンスの機会を逃す訳にはイカンのじゃっ!!






















  ☆月■日

 久々の家庭教師。
 冥菜ちゃんも、大分霊力のコントロールが上手くなってきた。

 暴走の数も減ってきてるしな。
 やっぱ友達の存在が大きいのでは?

 冥子ちゃんの例をみても、式神に頼りすぎるとダメなんだと思う。
 幼少期に孤独だった冥子ちゃんと、アスナやレミちゃんといった友達のいる冥菜ちゃん。
 多分これがその差なんだろう。

 なんて話を冥子ちゃんとした。
 
 冥子ちゃんは、あいかわらず鈍いのね~~~~。
 なんて言ってたが、俺への想いみたいなんは気づいてるぞ?
 失礼な。

 ガキの頃の想いなんて、麻疹みたいなもんだろ?
 そのうちもっと良い男を見つけるさ。
 もったいねーけど。
 すんごくもったいねーけど。
 霊力的にも、容姿的にも。
 もう、中2だからな。あと2年もしたら……
 でも手を出したら、酷い目を見る。
 それは間違いない。




















  □月◎日

 九尾事件での活躍による表彰を受けた。
 ピートは少佐に昇進。
 俺は何だか良くわからん勲章を貰う。

 こんなんいらねーよなー。
 こんなもんより、美人なねーちゃんのいる高級店で、接待とかしてくれた方が超嬉しいんだが?

 気のきかんやつばっかで参るよな~。

 それはともかく、この表彰式をテレビで見たヤツラから、お祝いの電報みたいなんが大量に届いた。
 殆どが見知らぬ自称親戚とかなんだが、高校時代のクラスメイトからも届いて嬉しかったぜ。

 何より、懐かしい彼女から届いた電報は、大事に俺の宝物入れにしまっておく。

 小鳩ちゃん。
 嬉しいもんだな。
 また、会いたいもんだ。

 彼女は貧乏神(福の神)の導きで、良い相手と巡り会い、結婚して幸せになってる。
 そう、おキヌちゃんから聞いた。

 そんなこんなで、今日の俺は過ぎ去った昔を想いながら、ちょっと渋めに酒でも飲み明かそうと思う。

























  ★月★日

 妙神山に来た。
 およそ50年ぶりに来たここは、あの頃となんも変わってない。
 俺をロリコン呼ばわりするのはともかく、鬼門のアホ共も、中の景色も。

 何より、小竜姫さまのお美しさは変わらん。
 このあと、どれ程強くなったのか見せて下さい、って言われてんだが、ぐふっぐふっぐふっ……

 ワイはやるでーーーーーーーーっ!!































 一撃、二撃、三撃と、途切れる事無く剣閃を煌かせる。

「ふ、ふふふ、横島さん、驚きましたよ。剣術を修めたのですね」


 小竜姫さまは俺の刃を受け流し、肩に一撃を喰らわせてくる。

 踏み込みが甘く、体勢も万全では無かったため、あっさりと俺の魔力(霊力)による防護壁に弾かれたが。

「っ!? なんなんです、今のは?」

「話すと思いますか?」

「……本当に見違えましたね、まるで別人ですよ。その力の源は、あなたの胸の中央にある光の玉ですか?」

「そうっす。神核って言うんですよっと」


 小竜姫さまの問いに答えながら、俺は無数の剣閃を走らせる。

 魔力を乗せ、閃光の様に剣の先端から放たれたそれは、小竜姫さまの意表を突き、狙い違わず彼女の身体に吸い込まれる様に炸裂した。

 っと思った瞬間、眼前に現れ鳩尾に一撃、蹴りを入れられる。

 ズザザザーーッ! っと地面を削りながら吹き飛ぶ。

 そのまま10m程吹き飛ばされ、苦しさのあまり倒れこむ。 

 それでも胃液が逆流しそうなのを必死で堪えながら立ち上がった。

「げほっ……痛いじゃないっすかぁーーーーーっ! 超加速使うなんて反則っすよっ!!」

「なんでですか、なんでっ! 横島さんこそ、剣先から衝撃波みたいなの出すのは卑怯よっ!!」


 そのまま子供の喧嘩の様な言い合いをする俺達。

 しばらくして、小竜姫さまは疲れたようにこう言った。

「はぁ、もういいです……。それよりも、異世界の技術をもっと見せて下さい。先程の剣術もそうですが、色々と興味深いですね」


 多分飛燕剣の事を言ってるんだろう。

 神殺しセリカから教わった剣技。

 でもな、そんなんよりもっと良いモンを教えてやろう。ぐふっふっふっ……。

「いいっすよ。じゃ、取って置きを」

「はい、よろしくお願いしますね」


 小竜姫さまが答えた瞬間、俺は両手を突き出して、霊気を弾けさせる。

「サイキック猫だましっ!」

「きゃあっ!?」


 突然予定外の目潰し攻撃を喰らった小竜姫さまは、一瞬俺を見失うも素早く立て直し、抗議してくる。

「ちょっ、横島さんっ! これは異世界の技じゃないじゃな、いっ!? んぐっ……」


 それが狙い。

 顔を突き出し、抗議してくる彼女の唇を素早く俺の唇でふさいだのだ。

 キスをしながら、驚きの余り身体を硬直させる小竜姫さまの、小さめの乳房を優しく揉みしだく。

 どう見ても男性経験など欠片も無い小竜姫さま。
 
 そんな彼女の肢体を、まるで壊れやすい宝物でも扱うように、丁寧にまさぐっていく。

 しだいに鋭敏になっていく清らかな肢体。

「んっ……、んんぅ……ふむぅんっ、んぅっ!?」


 執拗に乳首の辺りをコリコリとしていたら、正気に返ったのか、俺を突き飛ばしそのまま剣で横に薙ぐ。

 腰くだけ状態での一撃。

 あっさり「うおっと。」と言いながら魔力障壁で弾いた。

 そんな俺を睨みつけてくる彼女。

「よ、横島さんっ! なにするんですかっ!」

「なにって、小竜姫さま言ったじゃないっすか~。異世界の技が見たいって」

「私が言ったのは、戦技であってエッチな事じゃありませ……って、えっ?」

 
 急に腰が抜けたように、ペタンと床に座り込む。

 無粋なズボンのせいで見えないが、小竜姫さまのあそこは既にグチャグチャに濡れているに違いない。

 感じやすいってのもあるんだろうが、それ以上に弱い。


 俺が仕掛けたのは性魔術による精神戦。

 なんせ物質的な抵抗を無視できる、スーパーな戦術だ。

 皮膚や粘膜が接触すれば発動できるその魔術に、あまりに無防備な小竜姫。

 感情豊かで知性的な種族ほど威力が高まるとは聞いていたが、ここまで効果的とは思わなかった。

 まあ、性魔術を知らないから、無防備ってのもあったんだろうがな。 


 顔を真っ赤にしてこちらを睨んでくる。

 腰砕けで足をエム字に開脚させている彼女は、よーく見ると、ズボンの上からでも濡れているのが透けて見える。

 俺がガン見しているのに気づいたのか、ハッと自分の股間の状態に気づく。
 恥かしそうに両手で股間を隠し、太腿を閉じてこちらから見えないように。
 そして恨めしそうにこちらを睨みつけてくる。

 もっとも、顔を赤らめてる上に涙目で、怖いと言うよりは可愛い。

「う~っ!」

「どうです、小竜姫さま」

「な、なにを……。あっ、力が抜き取られた感じがします……」


 俺は話しながら、ゆっくりと彼女に近づいていく。

 それを見た小竜姫さまは、じりじりと後ろに下がっていく。

 傷つくな~。無理強いはしねーのに、たぶん。

「性魔術って言うんすよ。俺が最初に落ちた世界では、ポピュラーな技術です。
 そうっすねー、沢山見ましたよ。
 これで精気を吸われ切ってミイラになった男女の死体を。
 これを使われて滅びた魔王や、隷属を誓わされた勇者を」


 俺の話しに耳を傾けながらも、必死でお尻でじりじりと後ずさっていく。

 そんな彼女の股間を隠している手を取り、グイッとこちらに引き寄せた。

「ひぃっ!」


 恐怖の悲鳴を上げる小竜姫さま。

 少し傷つくが、あの凛々しい彼女のこんな悲鳴を聞けるなんて、ちょっと興奮する。

「わ、私を殺すつもりですか? それとも隷属?」

「酷いっすよ、小竜姫さま~っ!? 小竜姫さまが見たいっちゅーから見せたのに~」


 その言葉にホッと胸を撫で下ろす。

「では、私を、その、犯そうとか考えてる訳じゃないんだ~。ホッとしました~」

「えっ!?」


 俺の驚きの声に、辺りがシーンと静まり返った。

 無理矢理犯すつもりは無い。でも、やる気はある。

「えっと、殺す気も隷属させる気もないんですよね? じゃぁ……」

「あー、性魔術は色々応用が利きましてね、互いを高めあったりも出来るんす」


 完全にパニくってる彼女に止めを刺すべく、再び彼女の唇を奪う。

 正直、冷静になられたら困る。
 
 なにせ奪った竜気は大した量ではないからだ。

 初めての経験で戸惑い、混乱している今の状況だからこそ、一気にたたみかけれる。

 反撃されたら、間違いなく俺は首チョンパになってしまうのだから。





「んちゅぅ……うぅん……チュパッ……んく……んふぅ……」


 俺は小竜姫さまの唇を割って、彼女の口中に舌を滑り込ませた。
 
 彼女は一瞬だけ力を入れて抵抗するも、しだいにこちらのなすがままに。

 気がつくと小竜姫さま自ら積極的に舌を絡めてくる。

 そのままたっぷりねっとりとディープなキスをし続ける俺たち。

 それは小竜姫さまが生まれて初めての絶頂に達するまで続けられた。


 絶頂まで至って、ハァ、ハァと息を切らせながら俺にもたれかかる。

 そんな彼女の頭を優しく何度も撫でながら、

「性魔術、どうです? 大分力を抜き取りましたけど……」


 そう聞くも、目は虚ろなまま、何を聞いても答えない。

 やべ、こりゃ嫌われたか?

 そう思うのも束の間、彼女はボソッと、

「互いに高め合うんですよね。
 もし最後までして、双方が強くなっていなければ、横島さん、あなたを殺しますよ」


 そして頬を赤らめ目を瞑る。


 ……ん? これって遠まわしのオッケーだよな?

 ヒャッホーと声を上げるのを必死で我慢。

「いいっすよ。じゃあ、先に進みますね」


 俺は断りを入れると、ギュっと目を瞑ったままの彼女の服に手を掛ける。

 ビクッとなる小竜姫さまだが、抵抗しようと手を上げ、やっぱり下ろした。

 俺がゆっくりと服をズリ上げていくのを少し震えながらも従ってくれる。

 服を脱がせ易いよう、両手を上げた小竜姫さまから上着を脱がす。

 サラシに包まれた二つの膨らみがあらわれた。


 こんなんしてるから育たないのでは? そうチラッと思うも、瞬間物凄い殺気を感じたのでスグに忘れる事に。

 何処かの世界の俺が既に言ってる様な気がするが、オッパイに貴賎など無いのだっ!

 大きいおっぱいには大きいおっぱいだけの魅力がっ!

 中くらいのおっぱいには中くらいのおっぱいだけの魅力がっ!

 そして当然、小さいおっぱいにも溢れんばかりの魅力があるのだっ!!

 真のオッパイ好きには分かるはず、この理論が。

 巨乳だけが好きな似非おっぱい星人も、無乳だけを愛するつるぺた好きも、俺から言わせりゃ自分の理想に溺れる愚者に過ぎない。
 
 彼等は真のオッパイ好きでは無いのだから。

 
 そんな事を考えつつ、サラシに手を掛け一気にそれをビリッと強引に破く。

 こんなサラシなんて物は、あっちゃいけないんだっ!!


 そして外気に晒された膨らみを、たっぷりと視姦する。

 小振りなその膨らみは、俺を恐れるようにプルンと微かに震えている。

 これが、これがあの若き日に夢見た、小竜姫さまのおっぱい……

 美しい、実に美しい。釣鐘の様にツンと上を向き反り返るおっぱいは、正に美の化身。


 声を失うくらい感激した。

 ああ、生きてて良かった……。

 俺は魅入られる様におっぱいに引き寄せられ、いつしか我を忘れひたすら乳房を揉みしだいていた。

「はぁ、うあぁ……あ……あ……あぁ……」


 微かに聞こえる喘ぎ声。

 必死で堪えようとする小竜姫さま。

 どうやら胸が気持ち良いようだ。

 おっぱいを堪能する手の平の中で、コリコリとした物が次第に硬くしこっていくのが分かる。

 いじってる内にだんだんと勃起してくる乳首は、俺の情欲をかつて無い程に高めていく。


 無理も無い。

 憧れの小竜姫さまの乳首。

 これで奮起しなければ嘘だろう?


 ズボンのような物を脱がし、下着のような物も脱がそうと手を掛けた。

 すると小竜姫さまが、

「私だけが裸なんてズルイと思うわ」

 と言い、俺に服を脱ぐように促す。

 成る程、確かにな。

 そう思った俺は、「すぐ脱ぎますね、小竜姫さまっ!」と元気良く答え、背広を脱いでいく。

 次々と身に纏っている物を脱いでいき、最後にトランクスを脱ぎ捨てると、小竜姫さまがこちらをガン見しているのに気づく。

「こ、これが男性器ですか? お、大きいのですね……、入るの……かしら?」


 彼女は段々と興味津々から打って変わって、怯えた眼で見つめてくる。

「大丈夫っすよ、すぐ慣れます」


 俺は小竜姫さまの手を取ると、自分の肉棒へと導いた。

 てっきり剣ダコでも出来ててゴツゴツしているのを想像していたが、意外と華奢な彼女の指に、肉棒がビクンっと大きく反応する。

「う、動きましたよっ!」

「小竜姫さまの手が、すっげー気持ち良かったからっす」

「そ、そうなんですか? 気持ちいいんだぁ」


 そのままどこか楽しそうに倅を弄る小竜姫さま。

 撫でたり揉んだりされ、その度にビクンビクンと痙攣して応える。

 そんな彼女の唇を「チュッ。」と奪いながら、スルリと下着を抜き取った。

「ひゃあっ」


 小竜姫さまは慌てて秘処を両手で覆う。

 俺はそんな事など気にもせずに、彼女の両足をM字に開脚させる。

 女の子の部分を両手でひた隠すその姿は、逆にエロスをかき立て俺の欲情をUPさせた。

 彼女の手を強引に掴むと、両足の間に顔を埋めて、憧れの小竜姫さまの花弁へと口づけする。

「きゃんっ! だ、だめよ、そんな事してはっ!!」


 予想もしてなかった俺の行動に驚いた彼女は、ビックリした様子で太腿で俺の頭を挟み込んだ。

 俺はそれでも行為を止めず、幾度もキスをしてから舌を這わせる。

 貪るように、ヌチャヌチャと音を立てつつたっぷりと舐ると、彼女の蕾がどんどんと開いていった。

「やだ、やだぁ……あぅっ……ダメだったらぁ……あ、あ、あぁっ!?」


 何百年も守り通されたそこを、執拗なまでに舐め回され、小竜姫さまの女の本能が疼いてくる。

 愛液がどんどんと溢れ出て、充分に潤いが出来たのを確認すると、最後にもう一度チュッと花弁にキスをした。

「はぁんっ!」


 可愛らしい声を上げた小竜姫さまの太腿から顔を出すと、俺は身体を滑らせるように彼女の肢体と重なった。

「そろそろイキますよ?」


 揺れる瞳で俺を見つめてくる。

 微かだが、身体を震わせて。

「お、お手柔らかに……」


 彼女の言葉通り、俺は優しく肉棒を小竜姫さまの女性へとあてがう。

 そのままググッと彼女の胎内に沈めて行くと、いくらも侵入していない所で、

「くぅっ、うぁあ、痛いっ!」

 小竜姫さまは苦痛に呻く。

 何歳だか知らんが、軽く数百年は守り通した処女膜。

 さぞや堅牢な事だろう。

 ゆっくり行っても彼女を長く苦しめるだけ。

 ならば一気に。

 そう思った俺は、一旦肉棒を胎内から引き抜き、彼女の両足を高く上にあげさせ限界一杯に広げさせる。

 大胆な格好に、恥かしそうにする小竜姫さまだが、少しでも楽に挿入する為には仕方ないのだ。

 初めては平行な角度でする方が、楽に侵入出来る事が多いから。

 俺は慎重に先程挿入した部分まで肉棒を侵入させると「ズン!」っと彼女の処女膜を突き破る。

「ひぃああああぁぁぁーーーーーーーーーっ!」


 小竜姫さまはたまらず悲鳴を上げると、身体を弓なりに反らせた。

 
 えも知れぬ満足感。

 俺は、遂に、彼女の初めての男にっ!!

 苦痛に悶える彼女を見て、罪悪感よりもまず、幸福感を感じる俺は少し問題があるかも知れんな。

「もう大丈夫っすよ、小竜姫さま。一番大変な部分は通り過ぎましたから。ほら、力抜いて。」


 小竜姫さまが必死に言う通りに力を抜こうとしているのがわかる。

 そんな彼女の中を、少しづつ、ギチギチと硬い感触を潜り抜けながら奥へと潜っていく。

 やがて先端が子宮にたどり着き、肉棒の残りはあと少しとなった。

 最後に思いっきり腰をバンっと突き出し、子宮を押し上げるように全ての肉棒を彼女の胎内に収めた。


 俺は今、小竜姫さまと一つになっている。

 
 彼女の身体を包み込むように抱きしめると、胸板に押し付けられるオッパイから聞こえてくる鼓動が心地良い。

「横島さん。全部入ったの……ですか?」


 荒く息をあげながら、小竜姫さまが不安そうに聞いてきた。

「ええ、全部入りましたよ、小竜姫さま」

「これが、せっくすですか……。貴方のが私の胎内で、ぴくぴく震えてるのがわかりますよ。」


 満面の笑顔で本当に嬉しそうに答える彼女の髪を、そっと慈しむように撫でる。

 すると、彼女の目から、次々と涙が零れ落ちていく。

「す、すみません。でも、私、胸が一杯になって、まさか貴方とこんな関係になるなんてって……」

 そこまで言うと彼女は目を擦り、涙を拭う。

「もう大丈夫です、横島さん。動いて下さい。私を、貴方と……」


 彼女の言葉に欲望をかき立てられ、我を失いそうになる。

 そんな自分を必死で抑えつつ、肉棒をゆっくりと退き、じっくりと押し込む。

「はぁ、んん……」


 抽送を開始したのに反応して、小竜姫さまの喘ぎ声が漏れ始める。

 彼女の中は実に気持ちが良い。

 流石竜神といったところか。

 姦淫を好むはずの竜神。

 一方、潔癖で純情な小竜姫さま。

 これからは、俺の前でのみ姦淫の性をだせばいいのだ。

 そして他のヤツラの前でのみ、潔癖であればいい。

 彼女の中を出し入れしながら、そう思う。

「あ、は……はぁ……」


 緩やかな運動の所為か、彼女の胎内も俺の肉棒に馴染み、受け入れ始めているのが良く分かる。

 痛みが薄れてきたのか、ぎこちなく腰を合わせて来る。

 抜群の戦闘力を誇る彼女は、徐々に俺の動きを捉え同調してきた。

 そんな彼女と手を繋ぎ、乳首を舐め転がしながら、肉体の全てを俺の物にしていく。


 グチャグチャと淫音が俺たちの脳髄まで響いてくる。

 小竜姫さまの下半身がくねり、俺はそれに合わせてピストンを。

「あ、あぁっ……横島さん……おかしいです。私、おかしい……アソコが熱くなって……奥から、何かきます!? あ、あ、あ、止めて! 怖い!」


 最後が近い。

 そう確信した俺は、最後のストロークだとばかりに激しく子宮を突き上げる。

「いや、だめ! もう動かないでっ! あ、あぁ、横島さぁぁぁぁぁぁぁんぅっ!!」


 小竜姫の膣肉が激しく痙攣し、地下水が湧き出るかのように愛液が溢れ出す。

 そしておれも一呼吸おいて、「くうううううう、小竜姫いいいいいいっ!!」

 彼女の肉穴に大量の精液を注ぎ込んだ。

「あああっ……ああっ……熱いのがくるぅ……奥にっ、いっぱい……ああ、横島さんの精液……ああ、止まらないっ……ひぃあぁぁーーーーーーーーっ!!」


 絶頂し痙攣する彼女の女肉に、止まる事無く大量の精液が発射されている。

 ドクンドクンと身体に響かせて何度も子宮を叩く。

「あああ……またとんじゃうっ……いやぁ……ああっ、またっ!!」


 何度も連続で頂に昇り詰める。

 初めてでイキッ放しかよ。

 流石は竜神……。

 面白くなってきた俺は、射精しながらも腰を激しくピストンさせる。

「いやぁーーーーーーーっ! 死ぬ、死んじゃう、んぅーーーーーーーーーーーーーっ!?----------------っ!!」


 肉棒に凄い勢いで彼女の愛液が噴きかけられる。

 まさに至福の時……。

 しばしそうして射精感を味わい、最後の一滴まで彼女の胎内に放出させると「小竜姫さま?」と名を呼んだ。

 応えは無く、失神しているのが分かった。

 
 俺は彼女の胎内から肉棒を抜き出すと、膣内から溢れ出して来る精液と愛液のブレンドされた液体を、ぼーっと眺める。

 そして彼女が失神しているのを良い事に、彼女を引っくり返しお尻を高く上げさせる。

 そのまま再び彼女の膣内奥深くへ、ズバンっと一気に肉棒を挿入した。

「ヒィアッ!?」


 その衝撃で目を覚ます小竜姫さま。

「良い気付けでしょ?」


 俺はそう嘯きながら、腰を激しくピストンさせた。

「も、もう、限界です、横島さんぅっ!」


 俺は両の手首を掴むと、肉棒を突き刺したまま、彼女の上半身をグイッと腕を引っ張り強引に持ち上げる。

「グゥゥッ!」


 痛みの声を上げた彼女の耳元に顔を近づけ、

「最低でも、あと4回は射精させて貰いますね、小竜姫さま」

 そう囁く。


 小竜姫さまは、顔を恐怖と、そして、これからの期待に顔を染め上げる。

「ああ、よこ、しまさぁん……わたしぃ……」


 パン、パン、パン、パン……

 いつまでも続く肉と肉がぶつかり合う音。

 二人の淫らなダンスは、何時果てる事無く続けられた。 
 
 






[11660] GS日記 第7巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:23





 うつぶせで気絶してる小竜姫さまのお尻を、ペシペシと軽く叩きながら俺は思う。


 若かりしあの頃、どれだけ夢に見た事だろうか。

 凛々しく健康美溢れる彼女とエッチな関係になる事を。



 くぅ~~、生きてて良かったっ!!


 かつては悪い夢のようだと思ったここの景色も、こうなってしまえば邪魔者が入らない、素晴らしい場所に感じるから不思議だ。


 目をぐるぐると回してきゅ~ってなってる小竜姫さまのお尻を、飽きる事無くペシペシと叩く。

 実に気分が良い。

 更にペシペシと叩き続けていると、彼女の子宮目掛けて射精した大量の精液が、ゴポッと音を立てて流れ落ちる。

「ふむふむ、出ちゃった分は補給しね~とな~」


 ふんふ~んと、鼻歌を歌いながら、うつぶせで気絶する彼女の足首を掴み、グルンと仰向けにひくっり返す。

 そして再び身体を重ね合わせ、

「横島忠夫、いっきまーすっ!」


 肉棒を彼女に突き刺した。

「んあっ? あっ、よ、横島さん、ダ、ダメですっ! これ以上したら、わたしっ、あ、あぁあっ、あぁあああぁっ!」 





































  GS日記  第7巻  日々彼是 その4



























  ☆月★日

 昨日は夢のような一時だった。
 なんせ小竜姫さまと、ねんごろな関係になったのだから。

 今日もアスナが寝たら、夜這いでGO!しようと思ってる。
 明日には帰らんといかんしな。

 それはともかく、ここ妙神山を世界転移の場としての使用許可貰を、ゲーム猿、もとい老師にお願いした。
 ゲーム猿は、まあ大丈夫じゃろって言ってたから、大丈夫なんだろう。
  
 あと、何か忘れてる気がするんだが、何だっけ?
 まあ、どうでもいいかっ!
 そんな事より、さっさとアスナを寝かしつけて、俺はヤルぜっ!!





















  ●月×日

 妙神山から帰ってきた。
 シロ達から折檻を受ける。
 死ぬかと思った。
 手加減ってもんを知らんのか、アイツらはっ!?

 それはともかく、今度妙神山に行く時は、パピリオにも会いたいよなー。
 あと何か忘れてると思ったら、俺の身体を視て貰う為に行ったんだった。
 今んなって、ようやく思い出したわ。
 まあ、ヒャクメはいなかったし、会わんでも問題ないし。
 面倒事増やしそうだ、アイツは。
































「まったくよー、愛子達ときたら……」


 横島は風呂に浸かりながらグチをこぼす。

 妙神山から帰ってきて、はや3日目。

 あれ以来、彼は夜のお相手を拒否され続けている。

 ここ最近はやらない日が無い位にやってたもんで、3日も溜めるとモヤモヤして落ち着かないのだ。

 
 当然、今の横島の頭の中身はアレな事で一杯で、具体的に言うと、

 小竜姫さまのおっぱい、小竜姫さまのお尻、小竜姫さまのふともも、小竜姫さまのうなじ、小竜姫さまの……


 こんな事を延々と考えてるので、当たり前の様に彼の息子がスーパーモードに。

 そして急に冷めたのか、「ふっ、空しい……」そう呟き、湯船から出ようと立ち上がった。

 ザバーッと立ち上がったその時、

「忠夫、一人で入るなんてズルイわよっ!」


 申し訳程度に手ぬぐいで身体を隠すアスナが浴室に入ってきた。

 本当に申し訳程度で、適当に胸の辺りに当てているだけで、当たり前のように乳から何まで丸見えだ。

 そしてもう一人。

「横島せんせ~、お邪魔します~~~」


 やたらと間延びした喋り方をする、ついこの間14才になった少女、六道冥菜。

 こちらは隠す気など一切無いのだろう。

 それどころか、両手を広げてウェルカムッ!! だ。


 二人とも、ほんのりと膨らんだオッパイを見せびらかすように横島の元へと歩み寄る。

「二人とも待たんかいっ!? 女の子なんだから、いい加減男と一緒に風呂に入ろうとすんじゃないっ!
 特に冥菜ちゃんはもう中2だろうがっ! アスナも止めろっ!」


 横島にしては真っ当な言い分。

 だが、アスナは不満そうにこう言った。

「私だって冥菜には帰れって言ったわよ。でもさ、そう言ったらプッツンしそうになるんだもん」


 タラリとこめかみから汗を一筋流す横島。

 確かに、それならしゃーねーな、と思ったその時、

「横島せんせ~、冥菜のこと嫌いなの~~~~~~? ふ、ふぇ……」


 ブワッと冥菜を中心に霊気がスパークする。

 アスナは「ヒィッ!」と横島の背中に隠れるとそのまま自分の胸を押し付ける。

 戦闘力75のアスナのおっぱい力を感じながら、横島は必死になって冥菜を宥めた。

「好きだぞーっ! 冥菜ちゃんの事、だーい好きだーっ!!」


 霊気を放出しまくり、式神を暴走させる寸前の冥菜にこう言うと、ギュっと抱きしめて頭を撫でる。

「ふわ~、冥奈、横島せんせ~のこと大好き~~~」


 プシューっと霊波が収まっていく。

 横島はホッと息を吐き、そして自らの失敗を悟った。

 背中には戦闘力75。

 お腹には戦闘力74。 

 前後を少女達のおっぱいに挟まれた横島は、すでに暴走寸前だ。


「ちょっと冥菜、少し離れなさいよっ!」

「アスナちゃん、すぐ怒るんだから~~。それよりね、アスナちゃん。私のお腹になんか硬いのが~~~」

 
 横島は冥菜の言葉を聞くや、素早く二人の腰に手をやり、

「ワハッ、ワハッハッハッ、さあ、このままだと風邪を引くぞーっ! ささっと湯船に入りませう」


 そのまま湯船にin。

 誤魔化せたか?

 横島は安堵するも、アスナの目線は一箇所に釘付け。

 アスナは横島のそこを見ている事に気づかれないよう、彼の肩にしなだれかかり、そっと盗み見る。

 何度か遠くからこの状態を見たことはある。

 だが、こんなに間近で見た事が無いそれは、酷く興味をそそる。


 一方、冥菜は横島にべったり出来るのが嬉しくてたまらない。

 アスナがガン見しているソレにも興味はあるが、それ以上に肌と肌を合わせるのが気持ち良いのだ。

 もちろんソレは性的な意味ではなく、子供が親に対する愛情表現染みたものに過ぎない。

 
 横島にとっては性的な物だろうと、ただの愛情表現だろうと感じる物に変わりは無いのだけど。

 



 その後、二人の少女の身体の洗いっこを見ながら、必死で息子を宥めようとするも、失敗。

 
 続いて二人に背中を流して貰いながら、必死で暴走しそうになる自分を抑えた。

 二人はたっぷりの泡を両手にのせて、横島の身体を綺麗に磨いていく。

 柔らかな手の平の感触に、ますます下半身が滾ってくる。

 俺はロリコンじゃない。

 彼は何度もその呪文を唱える。

 まるで敬謙な修行僧が唱えるお経のように……。

 だがその願いも空しく、股間は天に向って突き上がるのみ。

「忠夫、こっちも……洗う?」

「遠慮しとく……」


 アスナの突然の申し出。

 一瞬頷きそうになるも、必死で横島はその考えを振り払う。
 

 だが気がつくと自分の目の前に、冥菜のおっぱいが見える。

 彼女は正面に回って、嬉しそうに横島の髪をワシャワシャと洗っているのだ。


 プルンプルンと揺れる、小さめのおっぱい。

 まるで食べてくださいと言ってる様に思える、小さい苺の様な乳首。

 

 横島は思う。



 ここは地獄だ……

 進んでしまいたい。

 だが、逝く訳にはいかんのだ。

 ロリコンという十字架を背負う訳にはいかんのだっ!!



 だが、現実という物は、いつも彼にとって非情だ。

「あーっ! 冥菜っ!! それはダメだって! 誘惑して良いのは私だけよっ!!」


 突然のアスナの叫びに、冥菜は「きゃっ!」と口を開けて驚き、足元を滑らせる。

 そして、そのまま横島の分身目掛けて……





 冥菜の柔らかい舌の感触が心地良い。

 突如喉奥に突き刺さった剛直に、冥菜は混乱しているが。

「んむ~? ん、んぐぅ……」

 
 混乱している冥菜の舌の動きが、横島から理性を奪っていく。

 快感を得るには拙いその舌の動きは、それでも3日間禁欲の横島には十分で、頭が白く弾ける。

 それでも、せめて口中での射精は避けたい。

 横島は必死で冥菜の頭を掴んで、グイッと口中から引き抜く。


 そして引き抜かれた瞬間、勢い良く放射される白い液体は、彼女の愛らしい顔と幼い身体を万遍なく汚した。


 何がなんだが解らなく、呆然とする冥菜。

 オウンゴールをしたかの様に、苦い顔をするアスナ。

 そして、ロリコンの十字架を背負う事になった横島。



 


 浴室を出た先にある脱衣場で、その様子を見て大笑いをしていたタマモは、その日、横島の折檻を一晩中受けた。

 横島的には罰であったそれはタマモの計画通りで、次の日、彼女は一日上機嫌だったとか。

















  △月☆日

 俺は子供に邪な感情を持つほど、飢えてはいないはずだ。
 その証拠に、昨日は最近Mっぽいタマモと一晩中やり続けたのだから。

 俺はロリコンじゃない。
 その証拠に、今日はボインボインなシロを、一晩中可愛がるつもりなのだから。

 俺はロリコンじゃない。
 その証拠に、明日は愛子とオフィスラブするつもりなのだから。


























  ○月△日

 ピートと世間話。
 何でもたちの悪い大天狗が復活していたらしい。
 崇徳なんとかとか言ってたな。

 で、なんでのんびりしてんのかと言うと……

 美神さんだ。
 あの人が、いや、あの人達がやってくれた。

 なんでも同窓会染みた旅行中だったそうな。

 美神さんをはじめ、隊長、おキヌちゃん、エミさん、冥子ちゃん、雪之丞とタイガーの嫁。
 こんな恐ろしいメンバーの温泉旅行。
 そこにそいつが現れた。

 そして散々暴れた挙句、彼女らにこう言ったらしい。

 『皺婆は失せろ』

 後は言わんでも解るな?

 数百年以上溜めた怨念も、それ以上の恐怖と暴力で粉微塵に粉砕された。
 ピートがガタガタ震えながら俺に報告してったよ。
 恐怖を振り払う為にも、誰かに話したかったんだろうな。
 アイツはオカGとして詳しく検分したんだろう。
 その上、エミさんが嫁だし。

 俺も怖い。
 こんな話は知りたくなかった。
 たやすくその場面を想像できる自分が嫌だ。

 崇徳とか言うヤツは馬鹿としか言えんな……



























  □月×日

 カオスに仕事の依頼をした。
 世界移動を確実にする為に、カオスの頭脳を借りようって訳だ。

 かなり不安があるんだけどな。

 それと同時に、地下室をカオスの実験場として貸し出す事に。
 初めての報酬で整備した地下室が、役に立つ日が来るとは思わんかったぜ。

 あと、せっかくなんで、マリアをウチの事務所で雇う事に。
 何気にウチで掃除洗濯が得意な者が、一人もいない。
 愛子ですら洗濯は今一。
 料理も今一だ。

 仕方ないんだけどな。
 学校妖怪だし。
 ウチで一番、料理洗濯掃除が出来るのが、シロだって事が意外だし。

 そんな訳で、マリアの参入は超嬉しい。

 あー、おキヌちゃんの料理が懐かしいな~。
































「『2つの回廊の終わり』か……。実に興味深い」


 妙神山に行ってから半年。

 遂に下りた、かの地を用いての世界移動の許可。

 横島は、世界移動術の為の準備を本格的に進め始める為に、カオスに2つの回廊の終わりについて話をする。

 2つの世界が重なり合い融合したとか言う、かつて横島が話し半分で聞いた出来事。

 それを利用した世界移動術。

 話を聞くだけでは、とても危険な行為に思える。

 だが横島がこの世界に帰るのに用いた技術はとても完成度が高く、神々も問題なしとの許可を出すほど。

 とは言っても、果てしなく広い時空間の移動。

 不安は尽きない。

「おそらく大丈夫じゃろうな。2回の強制的な世界間移動によって、世界の座標を把握する感覚を身につけたのじゃろうて」


 それを聞いて、少し安堵する横島。

 もっとも、カオスだから完全に信頼している訳ではない。

「ワシがする事は特にないじゃろうな。それよりもじゃ、お主を研究して真の不老不死術を完成させる事の方が重要じゃ!」 


 嬉々として横島の身体を調べるカオス。

 彼は抵抗せず、カオスの成すがまま。

 もちろん変な事をしたらぶん殴るのだろうが。

「なあ、カオス」

「なんじゃ横島」

「マリアの身体をよ、こう、人肌っぽくしたりは出来んのか? 
 人類の夢、メイドロボ量産計画を発動しようじゃないかっ!!」

「ふむ、そうじゃなぁ。マリアも……」

「ん? マリアもなんだ?」

「いや、なんでもない」


 そのまま何事も無かったかのように、再び横島の身体を調べ始めるカオス。

 横島の夢が叶うかどうかは、カオス次第……


 







[11660] GS日記 第8巻 
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:24





 今日から私も中学生。


 恋のライバル一杯で、最近どっか影薄い。


 そんな私も本格参戦。



 策略、謀略、恋の罠。

 何でも有りなら絶対負けないっ!




 
 神楽坂明日菜、いっちゃいます。
















  GS日記  第8巻  堕ちた日 



























  xx月xx日

 今日から私も中学生。
 入学式での在校生代表が、冥菜だったのが超ビックリ。
 この学校、大丈夫かしら?

 おまけでレミと同じクラスだった。
 ちょっとだけ、嬉しかったわね。
 少し不安だったから。

 最後に、忠夫とタマ姉さんが、公衆の面前で私の制服姿に大喜び。

 かなり恥かしかったわ……
























  xx月xx日

 冥菜って生徒会長だったんだ。
 この学校、どこかおかしい。
 破壊魔を生徒会長にするなんてね。

 って思ってたら、学校内ではプッツンしていないらしい。




























  xx月xx日

 4月9日は冥菜の誕生日。

 あの子ったら、忠夫にちゅーを要求しやがった。
 私だって、まだして貰った事ないのに。
 羨ましい……

 そんな私にタマ姉さんが、だったらアンタも頑張りなさい、だって。
 言われてみればその通りよね。
 今度、裸で忠夫のお布団の中に潜り込んでみよう。
























  xx月xx日

 お義母さまの所で、料理、掃除、洗濯を学ぶ事に。
 可愛いお嫁さんには必須技能。

 忠夫の理想がおキヌばあちゃんだとすると、かなり頑張らなきゃいけないわよね?

 むかーし、まだ忠夫が唯の人間だった頃、忠夫はおキヌばあちゃんにお部屋の掃除やお洗濯。
 もちろんご飯の用意までしてもらっていたそうな。
 おキヌばあちゃんが言ってたわ。

 今、ウチの家事はマリアさんがやってる。
 いつか私がそのポジションについてみせるわ。
























  xx月xx日

 最近、雪じいちゃんが元気ない。
 悩み事でもあるのかな?
 





















  xx月xx日

 お義母さま、きびしいよ……
 きっと私、才能ないんだ。
 























 日曜日の昼下がり。

 事務所のメインで使っている応接間。

 忠夫が所長席に座り、私はそのすぐ側のソファーに身を沈めていた。

 半ベソかきながら……

「始めたばっかで、才能も糞もないだろうが」


 気落ちしてお義母さまの所から帰って来た私を、そう言って慰める忠夫。

 でも、いつもは優しいお義母さまが、一杯怒鳴るんだよ?

 きっと才能ないからだ。


 ウルウルと目に涙を一杯浮かべながら、私は忠夫を見つめる。

「あんな~、あのババアは教えるって事になったら容赦しねーってだけだ。
 いちいちそうやって落ち込んでるんじゃ、教わるのは止めた方がいいな」


 忠夫もいつもは優しいのに、冷たいよ……

 そう思ったら悲しくて、今まで我慢していた涙がポロポロとこぼれ始める。 

「うぅ~っ!」

「あーっ、泣くな、こんくらいでっ!? アスナはそんな弱い子じゃないだろ?」


 私が泣き始めたもんで、アワアワと慌てて私を宥めようとする。

 でも、私の涙は止まらない。

「あーっ、もうどうしたらええんやーーーーーーーーっ!!」


 頭を抱えて叫んでる忠夫を、涙で濡れた瞳で見上げる私。

「ごほうび……、ご褒美くれるなら頑張る……」


 すんすんと鼻を啜りながら、ウルウルとした瞳で忠夫に訴えかける。

 忠夫は助かったとばかりに、

「何でもする。何でもするから泣き止んで~~っ!?」







 …………かかったっ!!

 私は内心の喜びを必死で隠すために顔を俯かせると、

「……なんでも?」


 と、鼻声で問いかける。

「おうっ! 何でもやっ!!」

「本当?」

「本当だってっ!!」

「だったら……」

「だったら?」


 私はここで一呼吸をおく。

 そして俯いていた顔を上げ、決意の篭った目を忠夫に向けると、

「使徒にして」


 はっきりと告げた。





 ここまでの流れは、全てこの話をする為の前振りだ。

 お義母さまが厳しいのは本当。

 でもそれは、とても愛情が篭っているのが良く分かる厳しさだ。

 そんな愛情たっぷりの厳しい指導で、私がウジウジするなんてありえない。

 ここまで話を持って行く為の自己暗示。

 我ながら上手くいったわね。

 なんせ忠夫ったら私が裸で迫ったら、窓から飛び出して、そのまま朝まで帰って来なかった位だから。

 しかも他の女とイチャついていやがったのよ、まったく!






 忠夫は心底困った顔してこちらを見ている。

 でも、逃がしはしない。

 この日、この時、この瞬間の為に、私はずっとイメージトレーニングしてきたんだから。

 わざわざ日記にまで悲劇のヒロインぶって書いてみたり、とかね。

「あー、でもなぁ、アスナはまだ子供だろ? 一度使徒になったら、もう大きくなれないぞ?」


 忠夫が私の体の一部を見ながら、そう言った。

 まあ、胸だけどね。


「成長する様に、霊力注げば良いじゃないの」


 バタンっと思いっきり扉を開けて、開口一番、タマ姉さん。

「霊力に不足は無いでござろう? 拙者や女狐に愛子殿、そっれっにぃっ!! 竜神の姫君とも霊力のやり取りをしてるのでござろう?」


 と、タマ姉さんの後ろからシロ姉さん。

 そして最後に、

「まあ、これも青春よ、きっと……」


 どこか遠くを見てる愛子姉さん。

 まあ、今一納得しきれてないわよね、愛子姉さんは。

 愛子姉さん、忠夫のこと本当に好きだから。

 タマ姉さんやシロ姉さんが、忠夫のこと好きじゃないって意味じゃないのよ?

 でもね、あの二人はLOVEよりLIKEに近い。

 肉体関係持ってて何を今更って思うかも知れないけど、これは多分間違いない。

 愛より親しみが大きい。忠夫に対する執着心はかなり大きいんだけどね。



 それはともかく、そんな姉さん達が現れて、忠夫はハッと気づいたように私たちを見る。


「これは罠か!? くぅっ、ワイの純情な心を弄びおって……。
 第一、さっきも言ったがアスナはまだ中学生だっ!
 ワイはロリコンなんかや無い。
 だからきっとアソコも反応なんかせん! きっと、たぶん、おそらく……」


 言いつつ、忠夫は私の隣にストンと座った。

 私が、忠夫の腕に絡まるように腕を絡めると、反対側の腕にタマ姉さんが胸を押し付ける。

「ねぇ、ヨコシマ。冥菜に顔射しといて、今更何言ってんの、アンタ?」


 そして一気に止めを刺した。

 忠夫は「グハッ。」と血を吐き出して倒れこもうとする。

 が、そこをシロ姉さんの大きい胸で抱き止めた。

「こちらに居る間は、拙者等の妖力を使ってアスナを成長させればよいでござろう?
 違う世界に渡った後は、こちらに戻って来るまでは成長は無し。
 それでアスナも納得するでござる」


 シロ姉さんは、私の使徒化がすでに決まったかのように話す。

 でも、忠夫は、「でもなぁ~」と、まだ諦めない。




「私とえっちするのイヤなの?」

 
 私は切なそうに訴える。

 それに「うっ」っとなるも、忠夫はマダマダ納得してくれない。

 そんな忠夫の背中に愛子姉さんが抱きついた。

 これで忠夫は、四方を美人の女の子に囲まれた事になる。

 ほんと、ハーレムだよね?



「横島くん、私達はね、不安なのよ。貴方が帰って来ないんじゃないかって。
 ここはね、美神さんが用意してくれた貴方が帰って来る場所よ。
 そしてね、アスナちゃんは私達が貴方につける首輪」

「それとも何? 私の可愛い義妹がイヤだってんじゃないでしょうね!!」

「それに何でもするのでござろう?」 


 3人は言うだけ言ったら、私の方をジッと見つめる。




 …………アスナ、行きます!


 私は忠夫の顔を両手で挟みこむと、こちらに振り向かせ、チュッと唇を合わせた。

 ただ唇と唇が触れ合っただけのキス。

 それでもそれは、私の初めてのキッス。

「私、頑張るから。だから、私を忠夫のモノにして……」


 唇を離して、最初の言葉。

 精一杯の愛の囁き。

 忠夫は呆然と私を見つめて、コクンと首を下げた。


 これって、OKって事よね……

 私は嬉しさのあまり、今度は本当に心からの涙を一筋流した。

 そして、押し付けるように唇を再び重ねる。

 2度目のキッス。

「んぅ……」「む……」


 強く、甘く、唯重ねあうだけのキス。でもそれは、沢山想いが篭ったキッス。

 痺れるような感覚の中、忠夫は私を抱き寄せ乳房を蹂躙し始めた。

 
 生まれて初めての感覚に襲われながら、ふと気づくと姉さん達はいなくなり。






 そして、二人だけの時間が始まった……








 忠夫は私の服を脱がせると、ソファの上に私を寝かせる。

「今日は使徒化だけだ。
 これからゆっくりと時間を掛けて、アスナを女にしていく」

 
 忠夫の言葉に「はい。」と静かに返事をする。

「俺も使徒を作るのは初めてだかんな。
 気持ち良さよりも、そっちを考えなきゃならん」

「うん、大丈夫だよ。信じてるから……」


 私は両の手を彼に向けて広げる。

 すると彼は私の肢体に自分の身体を重ね合わせると、両乳首を人差し指と親指で摘み上げて来た。

「はうっ、あぁ……」


 いきなりの刺激に私は強く目を閉じ、思わず身体を横にくねらせる。

「出来るだけ逃げんな、我慢してくれ」

「ご、ゴメンなさい」


 私が素直に謝ると、忠夫は優しくキスをしてくれた。


「ん……ちゅぅ……。んむ……はぅ、あむぅ……」


 舌が私の唇を割って、口内に入ってくる。

 そのままたっぷりと彼は私の舌に纏わりつき、互いの唾液を混ざり合わせていく。

「ん……んぐ……ふっ、っ……」

 
 私の口内を味わい尽くしたのか、ゆっくりと唇を離していく忠夫。

 下腹部から生まれてくる甘い痺れで、私の胸の奥が熱くてたまらなくなる。

 私から判断力が失われていく。

「儀式を始めるぞ」


 その言葉に「はい」と返事を返す。


 忠夫は私の腰を持ち上げると、大きくなっているおちんちんを私のアソコへと押し付けた。

 チュプッ……

 いやらしい水音が聞こえる。

 いつの間にか、私のそこはぐっしょりと濡れていたようだ。

 
 忠夫は私の胸に顔を埋めると、ズリュッっと固くて熱い物を私の中に差し込んでくる。


「アッ!! い、いたい……」

「スグに終わらせるから、少し我慢してくれ」

「う、うん……」


 痛い、痛いけど幸せ……。

 でも、私は身を裂かれるような痛みに、思わず身体をくの字に曲げてしまう。

 私の中から溢れ出す愛液は、太腿を通ってソファーをぐっしょりと濡らすほど。

 それでも乙女の未成熟な膣壁が、忠夫の侵入を拒んで私に絶えず痛みを送る。

 忠夫はそんな私の膣内を強引に広げながら貫いていった。

「あ、あ、あ……あぁ……」


 杭が私の中に打ち込まれるようで、痛くて辛くて涙が溢れ出そうになる。

 必死で苦しみから耐えようとするけど、忠夫の肉棒が私の肢体にめり込んでいく度に、断末魔の様な霞んだ声が私の唇から漏れ出した。

 まるで腹をじりじりと刃物で裂かれていくよう。

 あまりの痛みに、思わず彼の背中に爪を立ててしまった。

「イテッ!」

「あっ、ごめん……」


 しおらしく謝る私に、忠夫は大丈夫だと答えると、逆に大丈夫かと聞いてきた。

「い、痛いよ、凄く痛い……。でも、がんばる。
 だから、このまま私を忠夫の物にして……」

「ああ、もう退けん。お前が泣いてイヤだって言っても、もう手遅れだ」


 忠夫は覚悟を決めた雄の表情を浮かべると、一気に体重を乗せてきた。

 そして私の腰を掴むと、ぐいっと彼に引き寄せられる。

「あぐっ!」


 私の中から、何かがプチンと千切れる音が聞こえた気がした。

 私はこれまで以上の痛みから、思わず彼から逃れようとしてしまう。

 でも、彼の肉棒は容赦なく私を串刺ししたまま逃がさない。

 そして一番奥深くまで身を沈めていく。

 彼の凶器は、私の中を拡張しながら犯しきり、最奥まで到達すると最後にグイッと子宮を持ち上げるようにして、ようやく止まった。


 コレが夢にまで見た瞬間。

 すぐに終わらなくても良いのに……

 私は痛みを忘れようと、最も奥深くを抉られる甘い痺れを堪能した。

 彼はそんな私の頬を優しく撫でると、素早く腰を動かして、ズッ、ズチュッ、ジュプッと私の中を出入りする。

「んっ、んんっ、んっ、んっ、あぁっ……」


 まだ気持ちよさは一切無く、私は痛みの声を少し漏らす。

 そんな私を気遣いながら挿入を繰り返し、私の中に少しづつ霊力を送り込んでくる。

「はっ、はっ、はーーーっ」

 身体が熱い。

 私は彼の霊力を感じるべく、目を閉じ、痛みを堪えながら、呼吸を忠夫の腰の動きに合わせて整える。

 すると、ブワッと私の全身が光り輝いていく。 

 
 身体がふわふわと、まるで浮かび上がっているような感じ……

 気持ち、いい……、頭がポワ~ってなるの……


 忠夫はそんな私を見て、

「全身に霊力が行き渡ったみたいだな。そろそろいくぞ」


 私の胸に手を当てると、心臓に向って霊力を直接送り込んで来た。

「束縛されし者、汝が名はアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア。魂を縛りし者、我が名は横島忠夫」


 私の中を、熱い、熱い、塊の様な霊力が貫いていく。

 ビリッと電気が走り抜ける。

 思わず「痛いっ!」と叫んでしまった。

 それでも忠夫は腰の動きを止めず、だんだんと腰の速度を速めていく。

 その瞬間、私の胎内にある肉棒が精液を吐き出した。

「いい、い、いいっ……はぁぁっ!!」

 嬌声を上げると、視界が暗くなり、意識が途切れた。

 最後に、

「これで正真正銘、俺だけの女だ、アスナ……」

 忠夫の声を耳に入れながら。







 これが私の初体験。

 そして使徒になった日。

 人では無くなり、彼と共に永遠を彷徨う者になった日。

 殆ど痛みしかなく、女としての快感も殆どなく、それでも最高の幸せな思い出の日。

 時間にしてもせいぜい20分程度で、それでも確かに、私は彼だけの『女』になった。





































 その最高な思い出の日の幸せを、一気に堕とす。

 私が目を覚ますと、苦痛の色を浮かべた愛しい主人の顔が見える。

「………………………んだ」

 ようやく聞こえるほどの小さな声で囁かれたその言葉に、私の顔は色を失くした。




 それは終わりの始まり。

 楽しかった日々の終わり。

 そして、新たな目標を見つけた日。

  


 私の幸せな思い出の日は、

 酒呑童子を喰らい、自分の力とした新しき魔族。

 修羅に堕ちた『怨霊勘九郎』が産まれた日となった。



































 後書き

 GSの中でも作者が好きなキャラ。

 それが雪之丞と勘九郎です。

 次回はそんな2人を書きます。

 美神達をばあさんにしたり、他のヤツと結婚させんなや!
 誰得? GSに愛がねーんだよっ! おキヌちゃんビッチにすんなや!

 そんな言葉をシカトしまくった理由がこれです。




[11660] GS日記 第9巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:25





  GS日記  第9巻  友










 何も無い荒れ果てた地。

 かつてここには、白龍会と呼ばれるGS組織が建てた寺が在った。

 それも今は昔。

 魔族メドーサの陰謀に関わったとして、GS協会から免許取り消し処分を受け、その後再建される事もなく、ただ荒れ果てた地となった。



 そんな地に、50年ぶりに立つ2人の男。


 一人は小柄な老人。

 髪は真っ白なれど、背中はピンと真っ直ぐ。

 そして猛禽の様な鋭い目。


 一人は魔族。

 額から鬼のような角を2本生やし、口からは牙を出す。

 されど目つきはどこか優しく、懐かしさと郷愁で溢れていた。 


「お久しぶりね、雪之丞」

「本当にな、勘九郎」


 2人は短く言葉を交わす。

 そこには敵意や嫌悪など、一切無く。

 ただ懐かしい旧友に会った、そして言葉を交わしている、ただそれだけ。


「捜してたんだぜ、ずっとな。電話すっからって言ったろ?」

「ええ、そうね、そうだったわね……」



 勘九郎は空を見上げる。

 気持ち良い位の満月が見える。

 それは魔族である彼にとって、実に都合が良い環境。

 月には魔力が溢れ、満月の夜に彼の様な存在は、能力の底上げが行われるから。

「自信が無かったのよ、あんたに勝つ。
 何もかも捨てて、それでも強さを求めたって言うのに、
 私が復活したあの時、あんたに赤子の手を捻るみたいにあっさり倒されちゃったじゃない。
 だからよ、悔しくて悔しくて、ずーっと修行してたのよ」




 勘九郎は両手を天に向けると、一気に力を解放する。

 ブワッと放出される魔力。

 勘九郎の魔力に中てられ、ゴゴゴゴッと大地が揺れる。

 揺れが頂点に達したその時、勘九郎を中心として放出されていた魔力が収束し、彼は天に向けていた両手を下ろし構えを取る。

 大地の揺れが止まり、辺りは静寂と化す。

 だが、勘九郎から発せられる威圧感は凄まじく、その威容は修練を積んだ者のみが辿り着く極み。


 それを見た雪之丞も「へっ、やるじゃねーか」と呟くと、先程の勘九郎と同じように自らの力を具現化させた。

 魔装術。

 それは自らを一時的に魔物に変え、人間以上の力を発揮させる禁術。

 だが雪之丞のそれは違う。

 魔物に変えるのでは無く、潜在能力を意思でコントロールして引き出す魔装術の極み。

 霊気を完全に収束させ、自らの鎧と化す。

 そして勘九郎の前に立つと、同じように構えた。

 勘九郎と何処か似通った、いや、まったく同じ武の構え。




 一人は魔装と元始風水盤の力で魔物となり、人を超える力を得た。

 一人は魔装を極め、人としての限界を超えた。

 同門で始まりは一緒だった。

 でも、途中から違う道を歩んだ二人の、最後の戦いが始まる。



「「ウオオオオオオオォッ!!」」



 ダンッ、ダンッ、ダダダダダダダダダダダンンンッ!!
 
 2人が咆哮すると同時に、互いの拳を連打で打ち合う。

 
 速度は雪之丞が僅かに勝り、力は勘九郎が圧倒する。
 
「やっぱり強いわね、雪之丞」

「てめえもな」


 言いながら雪之丞は勘九郎に突撃する。

 それは無謀な行為。

 勘九郎は当然、迎撃の拳打を連打する。

 しかし雪之丞は常人ではない。

 動きの速さと身体の軽さ、そして何より、圧倒的強者との闘いの経験が勘九郎に比べ遥かに勝る。
 雪之丞に殺され、復活した後は圧倒され、その後は只管修練に励んだとは言え、技術は上がっても経験は上がらない。
 様々な経験値が、圧倒的なほど雪之丞に劣るのだ、勘九郎は。

 最初の拳撃を軽く円を描くようにかわし前へ。
 2撃目は自らの拳を使って攻撃を横に流し、更に一歩前進し。
 3撃目を放つ前に逆に此方から牽制の一撃を放ちつつ、更に前進。
 最後に残りの拳打を、人間離れした度胸と体術で、紙一重でかわしながら勘九郎の懐深く入り込む。

 瞬間、死地だと言うのに、二人は目を合わせニヤリと笑いあう。

 そして勘九郎の腹部に手を当てると、雪之丞は持てる最大の力で霊波砲を撃ち放った。







 腹部に大穴を開け、仰向けで倒れる勘九郎。

 雪之丞は荒く息を吐きながら、

「オイ、まだあるんだろ、奥の手が。さっさと出せよ。でねーと、俺がこれ以上闘えんくなる」


 そしてそのままドカッと座り込んだ。

「アンタの勝ちで良いわよ。」


 のそっと立ち上がると、勘九郎はすっきりとした表情を浮かべそう言った。

 勘九郎の腹部は既に完全に無傷な状態まで修復し、一方、雪之丞は息を切らし、体力の限界が近い。

 傍から見ると、勝者は勘九郎にしか見えない。


 それでも自分が負けたのだと、勘九郎は思った。

 自分がここ数年、必死の思いで手にした力。

 それを使えば雪之丞に圧倒できる。

 それでも、彼は自分の負けだと思ったのだ。

 今、ようやく気づいた。雪之丞が、あの雪之丞が、ただの老人になっていた事に……

 そんな老いさばらえた身体で、自分に一撃を入れてきた。

 その一撃は、魔族に堕ちていなければ、確実に自分の命を奪っていた筈だ。


 人はここまで強くなれるのね……


 勘九郎はそう思うと、今の自分が情けなく感じてくる。

 やっとの思いで手にしたこの力も、酷く醜く霞んで見えた。

 もし、もしもあの時、雪之丞の手を取っていたら……

「なーにバカな事を考えてやがる。どんな手段で手にしようと、お前の力に変わりはねーよ」


 そう言うと雪之丞は、魔装術を解く。

 そこから現れるのは、白髪が目立つ老い衰えた老人。

 そして老人は再び魔族に向かい、ゆっくりと戦闘体勢を取った。


「……死にたいの、あんた?」
 
「舐めてんのか? 死ぬのは勘九郎、お前だ」


 目の前にいるのは唯の老人。

 既に霊力も残り僅か、力も覇気も感じない。

 それでも勘九郎は、一歩後ろに後ずさる自分に気づいた。


 私が恐怖を感じているの?


 勘九郎はその事実に驚愕し、そして歓喜する。

 それは雪之丞が放つ魂の輝きだから。


「ごめんなさいね、雪之丞。私が間違っていたわ」


 勘九郎は雪之丞に謝ると、異空間から宝珠を取り出す。

 それは、彼がここ数年取り組んできた努力の結晶。


 最初は九尾。

 これは怨念を取り出す前に逃げられた。

 次は崇徳。

 封印を施し、力を弱らせ、さあ喰らおうとしたその時、たまたま訪れた美神一行に驚き制御に失敗。
 逃げられ、暴れられた上に、美神一行に滅ぼされてしまった。

 そして最後に酒呑。

 源頼光に騙まし討ちにあった憎悪と怨念。
 その全てをこの宝珠に集めた。
 最後のチャンスと、慎重に事を運び、ようやく成功した力の塊。

 それを頭上に掲げると、ゴクッと丸呑みする。

 途端、彼を中心に風が吹き荒ぶ。

「ウオオオオオォォォォンンンッッ!!」


 咆哮を上げる勘九郎。

 彼を中心に吹き荒ぶ風は、ギリギリ残っていた木や岩を吹き飛ばす。

 その嵐の近くに在りながら、何事も無いように佇む雪之丞。

 それどころか、楽しそうに勘九郎を見つめる。

 ワクワクして落ち着きの無い子供のように。

 


 そして次の瞬間、彼を中心に舞っていた魔力が、妖気が、怨念が、彼の体に纏い始める。

 収束し、そして、彼の体を覆う鎧となった。

 その鎧は彼の体の一部となって、禍々しい力を放っているのが雪之丞には解った。

 禍々しく見えるその力を、勘九郎はかつて魔族に堕ちた時とは違い、自分を見失う事無く完全に制御してみせる。


「待たせたわね、雪之丞」


 勘九郎はそう言うと、ブオンと轟音を立て、拳打を雪之丞目掛けて打ち放った。

 それを大げさなまでの横っ飛びでかわす。

 今まで雪之丞がいた空間がドグオオオオォォォンッという爆音と共に爆ぜる。

「ヒューッ!」


 雪之丞が感嘆の口笛を吹く。

 ニヤリと笑うと、

「これなら本気で行っても問題ねーな」

 と嘯いた。

「言い残す言葉はある? 遺言があるならキチンと届けるわよ?」


 それは勘九郎の冗談めいた挑発。

 だが、雪之丞はニヤニヤしていた顔を引き締めると、

「ねーよ。妻には、ここに来る前に伝えてあるからな」


 雪之丞はそこまで言ってから、ふと気づいた。
 言わなければならない言葉を、言ってなかった事に。

「……いや、あったぜ。俺には弟子がいる。
 神楽坂明日菜、その娘に伝えてくれ、強くなれってな」


 言い終わると同時、最初の時の様に勘九郎に突撃する。

 最初と違うのは、雪之丞が魔装術を使っていないこと。
 そのせいなのか、圧倒的なまでにスピードが遅いこと。
 そして何より、勘九郎の存在自体が圧倒的になっていること。

 先の時と違い、勘九郎の攻撃をかわしきれず、老いた体に無数の拳打が叩き込まれる。

 だが、雪之丞は全身の骨を砕かれながらも前へ進んでいく。

 そして、右目を潰し、左腕を付け根から吹き飛ばされようと、ただ勘九郎の懐深く目指して突進した。

 本来ならば、勘九郎の一撃が体に叩き込まれた時点で勝負はついたはず。

 なのに、雪之丞は止まらない。

 そして遂に、彼は勘九郎の懐に入る。

 
 右手に全ての力を込める。

 彼の人生、全てを詰め込んだ一撃を、勘九郎にぶち込む為に。

 右の手が光に包まれ、収束し右手を覆う小手となる。

 それは魔装。だが、見る者が見れば解る。


 ハンズ・オブ・グローリー

 
 彼の親友であり、ライバルでもある男の霊能。

 それを魔装で模した技だと。

 だが、本家であるソレよりも、凄まじい程の威圧。

 込められた力だけでも、横島のソレの数倍はある。

 それは雪之丞の取っておき。

 何時か来るであろう、横島との対戦の為の奥の手。

 名づけて、魔装拳。

 何の捻りもない、だが横島の親友らしい安直なネーミング。

 それが、勘九郎に向って放たれた。


 ズガガガアアアァァァンッ!!


 雪之丞の全てを注ぎ込んだ魔装拳での一撃。

 それは、勘九郎の首から下を、全て吹き飛ばす。

 そして、残った首もバサァーっと音を立てながら、砂となり四散した。





「俺の、負けだな……」

 ポツリと雪之丞が言葉をこぼした。

「ええ、そうね……」


 何処からともなく、勘九郎の声が響いてきた。

 雪之丞はそれを不思議と思わず、最後の時を待つ。

 左の腕があった場所からは絶え間なく血が噴出し、顔や体を自らの血で濡らし、大地を赤黒く染め上げた。

 息も切れ、体力も切れ、そして霊力すらも残されてはいない。
  
 
 雪之丞の眼前で風が舞い上がる。

 砂となり、塵と化した勘九郎のソレが一点に集まり、そして黒い炎を上げて具現化する。


 新しき魔族、修羅に堕ちた怨霊勘九郎が生まれた瞬間。

 下級魔族としての肉体が滅び、新たに精神体となって蘇ったその威容は、魔族メドーサに勝るとも劣らない。

 体躯は2メートル半ば。髪は燃え上がる様な赤。体は暗黒の炎に怨霊の鎧。

 両目は青く光るサファイア。右手に巨大な斬馬刀。その存在に酒呑の怨念。

 そして、勘九郎自身の魂。



「そろそろ、楽にしてあげるわ」

「すまねえな……。ああ、顔は汚すなよ? 妻が、かおりが怒るからな」

「何よぉ、あんた。尻に敷かれてるの?」

「うっせーよ、男はみんなそーなんだよっ!!」




 殺し合い、これから殺し殺されるとは思えないほど、優しい空気が2人の間を流れた。

 憎しみ合って戦りあった訳ではないのだから。

 2人は戦わずにいられなかった。

 そして雪之丞は、戦いの中で死ぬ事を選んでしまったから。

 


 体の調子が悪くなり、息子に病院へと連れて行かれた。

 そこで、死病に冒されていると告げられた。

 妻に子、孫や曾孫に囲まれた、そんな温かい場所で死ぬのかと、どこか憮然とした思いになった。

 幼い頃に母を亡くし、孤独で育った自分には夢のような場所なのに。


 そんな時、勘九郎から連絡があった。

 一人で行けば死ぬ。そう自分の霊感が囁く。

 悩んだ、かおりにプロポーズする時以上に悩んだ。

 結局、子供達に囲まれて静かに終わろう、そう思い、行くのを止めようとした。


 だが、

「さっさと行きなさい。あなたが何をしたいのか、よーく分かっておりますわ」

 そう言いながら、俺の外着を用意して待っていてくれた。

「一足先にお逝きなさい。わたくしも、玄孫の顔を見て、それからその気になったら逝きますわ」

 自分は、ずっと戦いたかったのだ。
 魂が尽きる最後の時まで戦いたかったのだ。

 そう気づかされた。





「じゃあね、雪之丞」

「ああ、じゃあな、カマ野郎」


 ズブリと自分の体を、勘九郎の貫き手が貫いたのが分かる。

 意識が遠のいていく。

 段々と昔の光景が瞼に写る。


 ああ、これが走馬灯ってやつかよ……


 何処か冷静な部分が判断するも、その光景から目を放せない。

 もっとも自分が熱かったあの時、その夢を見る。

 そして最後に……









「……よ……ま……ート……ゃく…ける……ぞ……………………り……………………ママ……」



「ぷっ、何よあんた。まだ、マザコン治ってなかったの?」

 勘九郎は笑う。笑いながら泣く。

 そして雪之丞の全身にこびり付いた血を拭い、まるで宝物でも運ぶ様に雪之丞を持ち上げる。

 すると彼の身体の中から光る球体が、少しづつ天に向って浮かび上がってきた。

 それは彼の魂。

 雪之丞程の男の魂、それを喰らえば魔族であり、鬼であり、怨霊でもある勘九郎はどれほど強くなるだろう。

 しかし、

「お行きなさいな、雪之丞。また、会いましょう……」

 勘九郎の言葉に答えてなのかどうかは分からない。

 それでも勘九郎の言葉に応えたかのように、彼の魂はゆっくりと天に向かい飛んでいく。

 勘九郎はもう一度小さく「さようなら、雪之丞」

 天にむかって囁き、冷たくなった彼の身体に、 

「あんたの帰りたい場所へ連れてってあげるわ」

 優しく語りかけながら空を飛んだ。

 目指すは彼の愛する者たちがいる場所。

 今も彼を待っているだろう、家族の場所へ。

 


































 アスナの心地いい身体の重みを感じながら、幸せにまどろんでいたその時、急に悪寒が走った。

 それは覚えのある感覚。

 かつて、アシュタロスに美神さんの魂を奪われた時にも感じた霊感。

 何故かは解らない。

 だが、思わず口にしたその名前。

「雪之丞?」


 俺は逸る気持ちを抑えながら、アスナを起さぬ様にソファから身を起す。

 脱ぎ捨ててあった衣服を身に着けると、アスナに毛布を掛け、霊感の赴くままに外に出ようとした。


 と、その時、ピピピと鳴る携帯のコール。

 発信者の名前は、雪之丞。

 俺は急いで電話に出る。

 だが聞こえてきた声は、雪之丞の声ではなく、年老いた女の声。

 彼の妻、弓かおり。

 不吉な予感に背筋がゾゾッと怖気走る。

「雪之丞が逝きました。あの人から貴方に宛てた遺言がありますの。
 夜分遅くで申し訳ないのですが、至急こちらへ来て頂けませんこと?
 明日菜ちゃんも連れて……。
 あの子に、会わせたい方がいらっしゃいますんで」


 体から力が抜けて行くのが分かる。

 俺は弓さんに了解した旨を伝えると、携帯を切って呆然と佇む。

「忠夫、どうしたの?」


 起しちまったか……、いやどうせ起さなきゃならんのだから、ちょうど良いか……。

 俺はそう考えると、アスナの方を振り向く。

 今の俺は、ひっでー顔してんだろうな。

 そう思いながら、アスナに向って言葉を搾り出した。

「雪之丞が死んだ」


 何を言われたのか、初めは分からなかったんだろう。

 一瞬、んっ?とした表情を浮かべて、それから真っ青になる。

 この子は雪之丞の事を慕っていたからな。

 そう思いながらも、俺はアスナを急かす。

「制服かなんかにスグ着替えろ。アイツが待ってる」


 俺はそれだけアスナに伝えると、大声を出して愛子を呼ぶ。

 最低限の身だしなみを急いでつけなければ。


 眠りこけている者たちを全員叩き起こすと、俺は愛子に手伝って貰いながら一張羅に着替える。

 そしてアスナを抱きかかえると、一気に雪之丞の住んでいる所まで『転/移』した。











 何時かはこんな日が来るのは解っていた。

 いや、解っているつもりだった。

 こうやって一人、また一人と居なくなっていくんだな。 
 
 
 そして俺は死んでしまった雪之丞と対面する。











 ……すっげー、良い笑顔なんだが?

 なんか、満足したーって言うか、腹一杯メシ喰って幸せだーっ! そんな顔。

 あんまり良い笑顔なもんで、頬をピクピクと痙攣させてしまう。

 場に相応しくないんで、突っ込むのは全力で我慢しているが、ツッコミてー!!

 なんでそんなに嬉しそうなんだよっ!!

 しかも、しかもだ、明らかに魔族、それも中級以上の魔族と談笑している雪之丞の家族。

 
 あーーっ、ツッコミてーーーーーーっ!!

 いや、だってよ、そいつからは血の匂いがプンプンしやがる。

 雪之丞の死因は聞いてねーけど、無数の裂傷に砕かれている全身の骨、失われている左腕、間違いなく殺されたんだろう。

 今、そこにいる魔族に。 












 ツッコムのを全壊で我慢しながら、ピートが来るのを待つ。

 やがて来たピートが雪之丞に手を合わせると、俺と同じに何かを堪える様に、頬を引き攣らせる。

 そして俺の方をチラッと見ると小声で「横島さんの仕事ですよ。ほらっ、早くっ!!」と急かしてくる。

 
 そんな俺たちを見て、弓さんがクスクスと笑いながら手紙を差し出す。

 俺と、そしてピート宛の2通。

 さっきまでの軽い気分が一気に落ちる。

 自然と神妙な表情になり、二人同時に手紙を開く。


 バーカ


 思わずグシャッと握り潰したくなるのを必死で堪えた。

 横を見ると、ピートも矢張り同じようにピクピクと顔を引き攣らせている。

 気を静めるため、二人同時に大きく深呼吸。

 そして意を決して2枚目を開く。

 もしこれでアーホだったら暴れてやろう、そう思いながら。


 まあ、アホでは無かったが、2枚目も大した内容ではなかった。


 次会った時には決着をつけよう。
 間違いなく勝つのは俺だけどな。


 そんな事が原稿用紙一枚分も書かれていた。

 ピートのも似たような内容だったのだろう。

 苦笑しているのが分かる。


「また会おう、だそうですよ、横島さん」

「ああ、気ぃ使わせちまったようだな、まったく……」

「ええ、本当に。いい加減でガサツなヤツだったと思ってたんですけどね。
 人間は、本当に成長するのが速い。そして、……置いて逝ってしまうんです」


 ピートのその言葉は、俺に向けてなのか、自分に向けたものなのか。

 はっきりとは分からない。

 だが……、





「ああ、本当にな……。
 
 だがな、俺は元々は人間だっつーの!! まるで最初っから人外だったみたいな言い方すんなやっ!?」




 その後、殴り合いの喧嘩に発展した俺達を、実に楽しそうに、それどころか参加したそうな顔をしている雪之丞の子供達を見て、アイツの血が確実に受け継がれているんだと思った。





 普段の俺達なら絶対にしない殴り合い。

 それは、雪之丞を送る俺達なりの儀式。

 ボコボコのボロボロになった俺とピート、そしてアスナは、その後の通夜と葬式が終わるまで、雪之丞の家族同然の扱いを受けながらアイツの側に居続けた。

 ピートなんて仕事全部ポイしてな。

「ワッシだけ仲間ハズレなんて、酷いですジャーッ!」

 なーんて言ってるどっかの馬鹿でかいジジイが居たが、それはまた別の話。






















 全てを終え、家路についた俺とアスナを待っていたのは、にこやかな『表情』を浮かべるマリア。

「お帰りなさい・ませ。横島さん・アスナさん」


 驚き、マリアの微笑みに見惚れた俺に抱きついて来る。

「横島さん・愛してます。ドクター・カオスの984.5%好き」

 愛の言葉を囁きつつ、俺を優しく抱きしめながらそっと唇を奪ってくる。

 いつぞやのホレ薬の時の様な恐ろしげなものではなく、普通の人間がするみたいな、ただ甘いキス。

 まるで血が通っているみたいに暖かい唇と舌先。

 たっぷりと唇の感触を味わい、そしてそっと唇が離れると、互いの唇の間に架かる唾液で出来た銀の橋。




 あの野郎、遂にやってくれたか!?

 カオスには終生の『友』の称号を贈呈しよう!

 さあ! 善は急げだ!!



「じゃ、俺はもう休むから。おやすみアスナ、愛子、タマモ、シロ」

 俺は皆におやすみと声を掛けると、ワクワクしながらマリアの腰に手をやり部屋へと戻った。

 じとーっとした目で睨みつけてくるアスナと愛子を、意図的に無視しながら。


 その後はたっぷりと一晩中マリアの初物の体を堪能しまくった。

 それは素晴らしい性能だったとだけ言っておこう。

 ただ……、

 朝の目覚めで感じたのは、マリアの柔らかい体と体温、そして洒落にならん程の体重。

 軽く数百キロはあるその重みに、俺は朝から瀕死の状態になった。

 

 あっ、ダメ、潰れちゃう……、こ、小錦なんか、目じゃねぇ……グフォッ…………



























 





 後書き

 勘九郎と雪之丞の別れのシーン。
 あれはメフィストと高嶋のそれをイメージしてしまいました。

 ちょっと失敗だったような……

 あと、雪之丞の最後の一撃で、勘九郎の首から上を吹き飛ばす事が出来たら、勘九郎復活成らずでユッキーの勝ちでした。









 おまけ

 ヨコアスR強者番付けGS編


 小竜姫≧横島(何でも有り)=怨霊勘九郎>九尾狐>>>>雪之丞(25)≧横島(文珠無し)≧ピート≧雪之丞(老)>勘九郎>酒呑>タマモ>シロ>>崇徳>>美神≧アスナ


 じじいになってもYOKOSHIMA達と同等に戦える、それがウチのYUKINOJOU。
 そして小竜姫とも互角に戦える、他のSS作品に無いと信じたい、ラスボスクラスのKANKUROU。

 タマモが九尾の癖に今一っぽく見えるのは、横島たちが強すぎるのと、強くなる気があまり無い為。
 美神が下にいるのはおばあちゃんだからです。
 それでもアスナと同等以上。ってか美神って策略、戦術能力が高いんだと思う。
 崇徳と酒呑は復活の際に、勘九郎による弱体化が行われています。
 横島(何でも有り)が上にいるのは、タマモ達から得た霊力と文珠を無制限に使ったら、です。
 ただし、一度それをやると弱体化します。
 大体シロの辺りまで。

 これらは正面から小細工無しで戦った場合です。
 純粋な戦闘力です。
 実際に戦ったら、簡単に引っ繰り返る可能性有り。



[11660] GS日記 第10巻 
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/14 01:38



  GS日記  第10巻  敗北
















 

 雪じいちゃんのご遺体がある道場を出て、私はご家族が談笑している別棟の居間にやってきた。

 とは言っても、ここから道場の中は丸見えで、そんな訳で皆さん此方でお話してるんだろう。

 とても怖い魔族と……

 私がかおりおばあちゃんに示された場所へ行くと、その魔族が私の所にやって来る。

 目の前に居るのは巨大な存在。

 さっきまで雪じいちゃんの家族と談笑していた魔族。

 見上げる程のその体躯に、圧倒されそうになるのをグッと堪える。

「貴女が神楽坂明日菜ちゃん? ふーん、この子が雪之丞の弟子ね……」


 怖い。私はこの魔族が怖い。

 怖い、怖い、怖い、怖い、怖い……

 忠夫に助けを求めたい、そんな弱い心と戦いながら、私はこの魔族と対峙する。

 もっとも、忠夫はピートさんと殴り合いの喧嘩してるみたいだけどね。

「私に何の用よっ!」


 気合を入れ、相手の雰囲気に負けないよう威勢良く話を切り出す。

「雪之丞からの最後のお願いでね、貴女に遺言を届けに来たのよ」


 もしかしてとは思ってたけど、この人オカマなの?

 外見は男っぽいし、何より声がずぶとい。

 ……魔族って皆こうなのかしらね?

 思わず遠くを見てしまう私。

 だけど魔族はそんな私なんて気にもしないで、話を続けた。


「強くなれ、だそうよ。」

「……雪じいちゃんの最後を看取ったの、アンタ?」

「ええ、そうよ。だって、私が殺したんだもの」

「はっ?」

「私のこの右腕が、あの子の胸を刺し貫いたよ。ズブリってね」


 えっ? だって、この魔族は雪じいちゃんの家族と、楽しそうに……

 でも、確かにこの魔族からは血臭がしてくる。

 さっき見た、雪じいちゃんの遺体。

 凄く良い笑顔だった。

 でも、顔や体には無数の裂傷。何より、左腕が無かった。

 ザワリ……チリチリとした、何かが自分の中から競り上がってくる。
 昔を思い出す。まだ、忠夫とこの世界に来る前の事を。
 黒く、暗い感情が胸の奥から湧き出してくる。
 ダメ、ダメだ。そんな感情に支配されてはダメだ!
 私は自分に何度も言い聞かせる。
 ダメだ、と……。憎しみに支配されるのはダメなんだと。
 それでは、ガトーさんの言う幸せには、なれないんだって。

 ギュっと手を握り締め、歯をギリギリと鳴らしながら、私は黒く暗い感情を必死で抑えた。

 何より、私なんかより憎む権利があるご家族が平然としているんだ。
 私如きが如何こう言っていいものじゃ、無いんだろう。

「あら? 予想とは違う反応ね。雪之丞なら間違いなく殴りかかって来る場面よ、ここは」


 魔族はそのままかおりおばあちゃんの所に行くと、一礼して庭の方を指差す。

 かおりおばあちゃんは大きく溜息を吐くと、小さく頷いた。

「さ、庭に出なさいな。貴女があの子の弟子に相応しいか、私が確かめて上げるわ。
 そこでするには、お尻がキュートなヴァンパイアハーフと横島が暴れてるから出来ないしねぇ」


 魔族がそう言いながら指を差す。

 その先には、雪じいちゃんが眠る道場で、喧嘩して暴れる忠夫とピートさん。

 雪じいちゃんの家族達がそれを楽しそうに見守る。

 かおりおばあちゃんが溜息吐くのも分かると言うものだ。

 それに、これはチャンス。

 あの魔族を私が倒せるとは思えない。

 でも、私は……


 私は頷くと、スカートを膝上までたくし上げ、左太腿の裏側に隠し持っていた神通棍を取り出す。

 シャキンと音を立て、神通棍が伸びる。

 一振りし、身体を慣らす。

 そしてゆっくりとした足取りで庭に出た。


 目の前に立つのは、強大な魔族。

 体から不気味な黒い炎を噴出させている、雪じいちゃんの仇。

「あら、そんな無粋な道具を使ってくるの? それでも雪之丞の弟子なのかしら?」


 カチンっと来た!

 落ち着け、私。

 コレぐらいの挑発に乗ったらダメよ!!

「私の師匠は雪じいちゃんだけじゃないのよ! 令子おばあちゃんとか一杯いるんだから!!」

「それは残念。あの子は素手で私の体を滅ぼしたわよ?」


 雪じいちゃんが化け物なのは良く知ってる。

 あれに勝てるのは私が知る限り、そこで喧嘩してる忠夫とピートさん。それに古い知り合いのナギにラカン位のものよ?

 それも下手したら勝っちゃう可能性がある位、すんごく強かったのを、私はよーく知っている。

 そんな雪じいちゃんを殺したこいつが、生易しい相手な訳がない。

 だから私は全力でいかなきゃならない。


 使える物は、何でも使え!
 最後に立って居たヤツが勝ちなのよっ!!


 私は心の中でそう叫びながら、自分を鼓舞する。

 そして、力を出す。


 左腕に魔力を……

 右腕に気を……

 反発し合う力を束ね合わせる!

 
 ゴッと私を中心に衝撃波が放たれる。

 私の生まれた世界の究極技法『咸卦法』

 その咸卦の気を収束させる。

 私の師である忠夫と雪じいちゃんは、霊力を収束させる事に関しては天才的だ。

 それぞれの切り札がそれを物語る。

 文珠に魔装術。どちらも霊力を、そして魔力を凝縮し収束させる。

 そんな2人の師を持つ私だ。

 咸卦の気を収束させ、肉体強化レベルを上げるだけなら、ガトウさんにだって負けやしない!!


 そして、その全てを神通棍に!

 神通棍を通った咸卦の気がバチバチと鳴り、光輝く。

「いくわよ!」


 言うと同時に、右太腿の裏に隠し持っていた銃を左手で抜き、そのままダン、ダン、と顔を目掛けて2連早撃ち。

 あっさりと避けられる銃弾に目もくれず、私は神通棍を槍の様に魔族目掛けて突き出す。

 キュボッと空気を裂きながら、彼の胸に吸い込まれる。

 そう、吸い込まれた……

「……あれ?」

「ふーん……、珍しい力ねぇ? でもねぇ、私の様な中級以上の魔族や怨霊には、余り効果が無いわよ?」


 何処か少し困った様に、私にそう言ってくる魔族。

 ガーン!! 私の切り札、効果無し!?

 銃刀法違反を無視した銃撃はあっさりと避けられ、切り札の咸卦法は効果なし!?

 ショックを受けて呆然とする私に、凄まじい一撃を魔族が放ってくる。

 右手をこちらに向け、撃ち放つ霊波砲。

 ドゴッと轟音を響かせるソレを、必死に神通棍で受け止める。


 ビキッ……


 神通棍が軋む音。

 不味い、マズイマズイマズイ。

 このままじゃ、神通棍が折れる!

 でも如何すれば良いのか、わかんない!!

 私がそうやって焦ってる間にも、ドンドンとひび割れが大きくなり、遂にはビキビキビキーンと音を立てながら粉々に砕け散った。


 令子おばあちゃんの特製神通棍が……


 驚愕する私に、神通棍を砕いた一撃がそのままの勢いで私の腹に叩き込まれた。

「カハッ!」


 肺から空気を吐き出し、余りの苦しさから息を吸うことも出来ない。

 苦しさの余り、私は地面に這い蹲る。

 そんな私に、失望したとでも言わんばかりの態度で、魔族の人がこう言った。

「はあ、これじゃ雪之丞も浮かばれないわねぇ。弟子がこんな雑魚なんじゃ……。
 私の名前、覚えときなさい。勘九郎、新しき魔族、修羅に堕ちた怨霊勘九郎よ。
 かっこいいでしょ? 今つけたのよ、これ。何か強そうじゃなぁい?」


 そう言うと、悔しそうにヤツを見上げる私に興味を失くしたのか、かおりおばあちゃんの方を向くと、深く礼をする。

 最後に、

「今の貴女じゃ、私に傷一つつけられないわ。
 あの子は、雪之丞は魂の輝きだけで私を圧倒できたわ。
 魔力も霊力も殆ど残されていない、そんな状況で私の肉体を殺したのよ、あの子」


 そして、そのまま空気に溶け込むように消えていった。

「アア……、アアアアァァアアアァーーーーーーーーーーーーッ!!」


 悔しさと、何より自分の不甲斐なさに、私は大声で泣き喚く。

 気づくと、背広がボロボロで、顔もボコボコの忠夫が私を抱きしめてくれていた。

 忠夫の暖かい胸で、何時までも涙を流し続ける私。

 その内私は、泣き疲れてそのまま眠ってしまった。




 眠りながら私は、まるで子守唄の様に聞こえてくる、忠夫とピートさんの話に耳を傾ける。






「なあピート。かんくろうって名前、どっかで聞いた気がするんだが?」

「本気で言ってるんですか横島さん!? ほら、いたでしょ、GS試験受けた時に雪之丞と一緒に居たヤツですよ!
 香港でも戦ったじゃないですか! メドーサの部下だった男ですよっ!!」

「メドーサなぁ、あの乳は実に見事だった。コギャルにクラスチェンジした時は如何しようかと。
 そういやあの蛇女が、俺の初めてのディープキスの相手だったんだよなー。懐かしいぜ」




 …………死ねば良いのに。
 
 
 

 


























  xx月xx日

 雪じいちゃんのお葬式が終わった。
 一匹狼ぶってたわりに、沢山の人達が雪じいちゃんとの最後の別れにやって来てくれた。

 悲報を聞いて駆けつけてからの3日間。
 私と忠夫とピートさんは、ずっと雪じいちゃんの家族としてその場に居たの。
 って言ってもね、初七日にはまた行くんだけどね。

 出棺の時には、またあの魔族、怨霊勘九郎が来た。
 普通は大騒ぎになると思うんだけど、流石は雪じいちゃんの知り合い。
 みーんな平然としてたわ。
 他にも魔族の人がいたしね。

 一体何者なんだか雪じいちゃんって。
 って思ってたら、普通に忠夫の知り合いでもあったよ。

 私はここに誓う。
 いつか必ず、怨霊勘九郎をギッタンギッタンのメッタンメッタンにしてやるってね!

 雪じいちゃんの御家族が恨んでいないんだから、私も恨まない。
 何より、強くなれってこのオカマ族、もといオカマの魔族を倒せる様になれって事よね。

 絶対倒す! あのオカ魔族!! 

 ついでに、傷ついて落ち込んでてもおかしくない私をほっといて、マリアさんを自分の部屋に連れ込んだ忠夫もいつか殺す!!



























  xx月xx日

 令子おばあちゃんが、壊れてしまった神通棍の代わりを3本もくれた。
 高い物なのにいいの?って聞いたら、若い頃に貯め込んだお金が一杯あるから良いんだって。
 おまけに旦那さんの輝彦じいちゃんも、私に精霊石が込められた銃弾をプレゼントしてくれた。
 一体何事?って、よーく考えたら、私の誕生日だったわ。
 色々あってすっかり忘れてたわよ。

 そういえば私、使徒になったのよね。
 なんも変わらないからすっかり忘れてた。

 あー、身体能力が上がった……かなぁ?
























  xx月xx日

 昨日は使徒となった日以来の、初めての忠夫との一夜を過ごした。
 性魔術で、タマ姉さんとシロ姉さんから得た霊力を私に注ぐのだ。

 う~ん……、ちょっとだけ胸が大きくなったような、やっぱり変わらないような。
 背も伸びたような、やっぱり変わらないような……
 それよりも全身が筋肉痛みたいで、すんごく痛いよ~。



























  xx月xx日

 レミが唐巣神父に弟子入りした。
 神父も、もういい歳なのに大変よね?

 そういえば、この間レミにバレちゃった。
 忠夫との関係。
 すんごい目で睨まれちゃった。
 仕方ないわよね?
 敗者の妬みの視線を受けるのが、勝者の義務なのよ。

 レミは神様に一生捧げてればいいのよ、身も心も。































「んぁ、イッちゃう、あ、あ、あぁああああああっ!」


 ドク、ドクンッ、っと私の子宮目掛けて放たれる精液を感じながら、私は絶頂感から抜け出せない。

 射精しながらも、痙攣するように激しく腰を振り続ける忠夫に、私の頭は弾けてしまいそう……

「すごっ、すごいのっ、またぁ……あ、ああああっ、いっ、いくっ……んっ、んふっ!」


 最後に大きく、ズドンっと私の最奥を一突きすると、何度も達した私の体力は限界で、意識が遠くなっていく。

 でも、忠夫の杭の様な肉棒から放たれる精液が止まると、今度は私の全身を忠夫の霊力が駆け抜けていった。

 足の爪先から髪の毛に至るまで、絶える事無く注ぎ込まれていく霊力に、何故だか私の肢体は激しく快感を覚えるのだ。

「くぅああぁああああぁぁああああっ!!」


 絶頂してビクン、ビクッ! と震えている私の頬を両手でそっと包む忠夫。

 随喜の涙を溢れさせる私の瞼にチュッと軽くキスをすると、そのまま私の唇を奪い、貪ってくる。

 私の膣道を貫いて子宮にまで達している肉棒をそのままに、忠夫は私の唾液を啜り流し込んでくるディープキスを、いつまでも続けてきた。



 どれだけそうしていたのだろう?

 忠夫は充分満足したのか、今だ私の中にある杭を、グポッと音を立て抜き出す。

 途端に私の股間から溢れ出す二人の愛の体液。

 霊力による急成長の痛みに耐えながらそれを眺めていると、互いの愛の行為で汚れた私の股間を、忠夫がキレイにティッシュで拭っていく。

 この時、前に忠夫が悪戯で私の性感を高めてきたんだけど、その時はあまりの快感に辛くて大泣きしてしまった。

 それ以来、優しく労わるようにキレイにしてくれる。

 私はこの時間がとても好き。愛されている感じがするから。

 錯覚かもしれないけどね。

 私のいつまで経っても無毛なそこをキレイにし終えると、忠夫は疲れたように私の横にストンと横になった。

 そんな忠夫の胸に、自分の胸を押し付ける様にして抱きつく。

 忠夫は私の頭を数回撫でると、そのまま二人で他愛もない話を始めた。




 こういう関係になってから、もうすぐ1年が経つ。

 私は中2になり、もうすぐあの、私が生まれた世界に再び『行く』

 『帰る』のではなく、『行く』のだ。

 夏休みに入ると同時にね。

 4~5年は帰って来れないって、忠夫は言ってる。

 それでもカオスさんのお陰で、当初の半分の年月で済むんだそうな。

 いない間の私の学歴は、六道で何とかしてくれるらしい。

 タダじゃないわよね、きっと……

 なに要求してくるつもりなのかしら?

 不安でならない。

 そんな不安の対象が居る場所に、私達は明日行くのだ。

 冥菜の誕生会。

 どんな罠を仕掛けてくるか分らない、あの冥子おばあちゃんは。

 そんな不安に駆られている私に気づいてくれたのか、忠夫は私の髪の毛に触れるだけのキスをしてくれる。

「大丈夫だ、アスナ。最悪でも命は取られん」


 ……それは安心して良いのだろうか?

 後に、この不安が的中している事に気づくも、後の祭り。







 だってね?

 世界転移の為のお別れの挨拶周りの時、優しく自分のお腹を撫でる冥奈を見て、凄まじいほどの敗北感が……




 アンタ、その年で子供産むんかいっ!!

 間違いなく彼女のお腹に居るのは忠夫の子供で、16才になったばかりの冥奈に向って叫んだ私は悪くない。

 『避/妊』のハイパー文珠を無効にするとは、六道恐るべし。




 えらく楽しそうに笑う冥子おばあちゃん。

 ここに帰って来たその時は、絶対に闇討ちしてやる!!

 役に立ちそうにない神様に私は誓った。


 って、私が神に誓っていると、忠夫ったら冥菜を抱きしめて、別れのキスなんかしてるんだけど?

 何これ? 冥菜がヒロインみたいな扱いなんだけど?

 頬を染めながら、

「いってらっしゃいませ~、横島せんせ~~。冥菜、ずーっと待ってるわ~、貴方が帰ってくるのを、この子と一緒に~~~~」

 まるで映画のワンシーンの様な雰囲気を作って、冥菜はツツゥーと涙を一筋零した。

 そして再び唇を合わせる二人。


 ……プッチーンって来た。

 私は拳を振りかざし、今の自分が出来る、最大出力の天馬彗星拳を忠夫目掛けて撃ち放った。

「ぶっ!?」


 横っ面に私の必殺拳を受けた忠夫は、そのままズザザーと顔面で地面を削るように吹き飛ぶ。

 そんな忠夫に止めを刺すべく、私が神通棍を手にして振り上げると、後ろからレミに羽交い絞めされた。

「はなしてー! 私の知らない間に子供作ってるなんてーーっ!!」

「まあ、落ち着くわけ」


 テンパって暴れる私に、レミが冷静に私を宥める。

「なんで、なんでー! アンタ悔しくないのっ!!」

「だって、その場に私いたし」

「……へ?」


 間違いなくアホ面晒しているだろう私に、レミは両手を桃色に染まる頬に添えて、イヤンイヤンってしながらこう言った。

「赤ちゃんは出来なかったけどね?」



 





 咸卦法を使って暴れまくる私に、

 忠夫にむかってダンピールフラッシュ、ヴァンパイア昇竜拳の連続コンボを繰り出すピートさん。


 そんな何時ものドタバタ劇場を、この場に集った皆は楽しそうに見守った。

 再びこのドタバタが見られると、堅く信じて……






































 後書き

 ちなみに、冥菜のお腹にいるのは……
 わかるよね?
 今回はそんな復活。
 あれか? 近親相姦とか考えてる?
 そんな方は、GS編設定集をお待ち下さい。



[11660] GS日記 最終巻   エロ有り(GS編オリキャラ乱交)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:25






  GS日記  最終巻  再びあの世界へ








 どうしてこんな事になっちまったんだ……

 わからん、さっぱり分からん。

 
 俺は周囲をグルッと見回してみる。

 薄暗い和室で、何故だか畳の下から変な力の流れを感じる。

 これは魔法陣か何かを使ってるんだろうか?

 悪意はなさそうなんで放っておいているが、何だか致命的な物に感じて仕方ない。


 そして、何よりヤバイのが、俺の胸の上で幸せそうに眠る冥菜ちゃん……



 俺はタマモ達と住むようになってから、これだけは守ろうと決めた事が一つある。

 それは、あの懐かしい時間を共に過ごした連中の血筋にだけは、決して手は出さない。

 いや、決して美神さんや冥子ちゃんやエミさんが怖かった訳じゃ無い。

 もちろんの事だが、ピートに脅迫めいた忠告を受けた所為でも無い。

 自分の意思で決めたことなのだ。

 あの頃の大切な思い出を、穢さないようにと……

 いや、ちょっと位は良い様な気もするが、それでも成人するまではダメだよな?




 それなのに、ああそれなのに……


 なんでじゃーーーーーーーーーーっ!?

 ホントになんでこんな事にぃーーーーーーーーーっ!?



 俺がそうやって現実逃避をしていたら、不意に何処からか懐かしい声が聞こえた様な気がした。



 ようやく会えるのね、ヨコシマ!



  ッ!?

 思わずもう一度周囲を見渡す。

 でも、そこは変わらず静かな場所で、人の気配は部屋の外に陣取っている女中さんの他には、スピスピ眠ってる冥菜ちゃん以外は何にも無い。

 気のせいか?

 まさかな、まさかだよな?

 俺はチラリと冥菜ちゃんのお腹を見る。

 大丈夫。何たって文珠で『避/妊』してるんだからよ。

 それでも胸に残る一抹の不安。

 ルシオラに会いたく無いって訳じゃない。

 でもな、他の女に産んでもらうって覚悟が無いだけだ。


 うん、きっと大丈夫、大丈夫、大丈夫……

 自分に何度もそう言い聞かせながら、俺は心臓がバクバク鳴るのを必死で宥め、どうしてこうなったのかを考え始めた。




 思い返す……、

 確か、冥菜ちゃんの誕生日会という名の、やたらと豪華で盛大なパーティーの最中。

 著名人に政治家みたいなのが大量に集まり、なんだか居心地が悪かった俺は、冥子ちゃんが持ってきた飲み物をグイッと一息で飲んで、

 そこから記憶が曖昧で、

 気づくと冥菜ちゃんを押し倒していて、あの子の処女膜ブチ抜いて、中にドピュッと……

 それでも治まらない下半身と、暴走しそうになる煩悩を必死で抑えて、今に至ると……



 相変わらず隆々とそそり立つ肉棒。

 治まる気配がまったく無い。

 何飲んだんだ俺?

 ってか原因は冥子ちゃん!?


「な~に、横島くん~~~?」

「うおわっ!?」


 驚いて声のする方を見ると、そこには冥子ちゃんが居た。

 いつの間に?

 いや、だって気配を感じませんでしたよ?

 驚愕する俺をそのままに、冥子ちゃんはジーッと俺の一部分を見つめている。

「うわ~~大きいのね、横島くんの~~。まーくんの何倍あるのかしら~~~~」

「どこ見てるんスかっ、どこっ!?」

「どこって~、横島くんのおち……」

「わぁーーー、わぁーーーーーーっ、もういいッス、もう分ったからそれ以上言わんといてぇ~」


 女の子がそんなはしたない言葉、使ったらいかんと思う。

「女の子だなんて、横島くんたらもう~~。冥子、もう70よ?」


 ああ、それは簡単な事だ。

 俺の中には相変わらずフィルターみたいなんがあって、どうしても老婆には見えない。

 って言うか見たくない。

 一度はっきりと認めた美神さんでさえ、またフィルターかけてる位だし。

 美神さん、おキヌちゃん、冥子ちゃん、エミさん。

 この4人な。

 ま、しゃーねーさ。俺は永遠の18才、心がそんなに強くない。

 っと、まあそんな事より、

「冥子ちゃんは幾つになっても可憐ッスよ? そんな事より、俺に何飲ませたんすか、アンタ?」

「魔界印の睡眠剤と精力増強剤よ~~~」


 俺の頬がピクンと跳ね上がる。

 いやーな予感がしやがる。

 俺は逃げたくなる気持ちをグッと堪え、冥子ちゃんの企みを全て聞き出す事に。

「魔界?」

「ええそうよ~。パピリオちゃんにお願いしたの~~。大変だったのよ~~~」

「パピリオーーーーっ!? ワイだってまだ会っとらんのに、どうやって!?」


 俺が聞くと、冥子ちゃんはふふふ~っと笑いながら冥菜ちゃんの元に行く。

 そして冥菜ちゃんの身体を優しく抱き起こすと、彼女のお腹に手をやる。

 そこまでされてもまだスピスピ眠る冥菜ちゃんをそのままに、お腹を優しく撫でると、

「いい加減起きなさい、冥菜~~」と言って、肩をつかんでガクンガクン揺さぶり始める。

「冥菜、もう食べられない~~~」


 と、定番のボケをしながら、ふにゃ~っと目を擦り始めた。

 そして冥子ちゃんは、冥菜ちゃんの身体をこちらに向けると、いつもの間延びした喋り方はそのままに、真剣な表情で語りだす。

 どうでもいいが、冥菜ちゃんのおっぱい丸見えで話に集中できんのだが。

「一生懸命、小竜姫さまにお願いしたの~~。ルシオラちゃんを復活させたいから、べスパちゃんかパピリオちゃんに連絡とってって」


 そこまで言われてようやく分った。

 いや、本当は分っていて、目を逸らしていた事に気づかされた。

 冥菜ちゃん、俺の子を宿したんだな、たった一回のエッチで。

 どうやったのかは知らんが。

「年を取るとね~、昔の悔恨がどうしようもなく辛いの~。
 横島くん、私見たいの~、ルシオラちゃんと横島くんが笑い合ってる姿を~~~。
 そうしたらきっと、令子ちゃんの最後の苦しみが除かれると思うの~~~」


 美神さん、マダ気にしてたんか。

 だったら冥子ちゃんが動くのも、しょうがない……のか?

 いやいや、孫を使うなよ、そんな事に!

「いやね~、横島くんったらも~~。冥菜が望んだからしたのよ?
 キチンと前もって、ぜ~んぶ話してあるんだから~~~」

「あー、それならオッケーっすね……、ってそんな訳あるかぁーーーーーーっ!!」


 思いっきり立ち上がりながら、俺は冥子ちゃんにツッこんだ。

 それを見た冥子ちゃんが目を丸くして、こちらをじーっと見る。

 分ってくれたか……

 そう思うのも束の間。

 冥子ちゃんは冥菜ちゃんの背中を押して、

「ほ~ら、冥菜~~。男の人が大きくなってるのよ~。
 ど~すれば良いのか、教えたわよね~~~?」


 そのままそそくさと部屋を出て行く。

 最後に、

「その薬の効果切れるまで、あと6時間は掛かるって話よ~? 頑張ってね~~~~~。
 あ~、そうだ~。足りなかったら、外にいる子達を使っても良いからね~~~」


 そしてパタンと襖を閉める。


 ……オイッ!?

 なんじゃそりゃーーーっ!?

 俺の声にならない叫びは、だがしかし、彼女に届く事は無く。

 それどころか、小さい口で一生懸命、俺の巨大化した肉棒を奉仕している冥菜ちゃんを見て、どうでも良くなった。

 プツンと何かが切れた音がして、気がついたら彼女を押し倒し、次から次へと湧き上がって来る煩悩の赴くままにひたすら犯し抜いた。









 冥子ちゃんに言われた6時間後。

 ようやく肉棒が萎びた状態になった時、その場はツンとした精臭に包まれていた。

 股間から血や精液を垂れ流して眠る、全裸の女が全部で4人。

 冥菜ちゃんに、なんで居るのか分らんレミちゃん。

 それに初めて見る気がしない、初めて会った女中さんが2人。


 やってもうた……


 呆然とする俺に、レミちゃんが俺の胸に飛び込んできた。

「正気に戻ったんですね? だったら、今度は正気の状態で抱いて下さい……」


 レミちゃんがそう言うと、他の娘達ものろのろと起き上がり、俺を見つめてくる。

 ググンッと再び立ち上がる我が相棒。

 もうスグ夜明けだ。

 今日は徹夜だな……

 俺はレミちゃん達を抱えると、4人を並べてお尻を俺に向けさせる。

 
 まずは名も知らぬ、金髪のショートカットの女中さんの秘裂に肉棒を沈めていく。

「くっ、ふあ、あぁぁあああっ! は、入ってくるぅ……横島さまのが、お、奥までぇ!!」


 外見年齢20前後の美女の胎内の肉を、無理矢理広げながら、俺はこの女性、何処かで見た事あるような……

 そんな事を考えていた。

 そのままパンパンと、尻を打つようにこの女性を後ろから責めたてながら、右隣の赤毛の長髪の女性の蜜壷を、グチャグチャと掻き混ぜる。

「くっ、あ、あぁああっ!! 旦那さまぁ、ま、まだ、慣れてないんですぅ~、ゆ、っくりしてくださいぃっ!!」


 腰をガクガクとさせながら、俺に訴える赤毛の女性も何処かで見たような……。

 そして残った手で、レミちゃんの幼いワレメとクリトリスを、トントンとノックするように優しく嬲る。

「あっ、く、んぅ、あぁん! よ、よこしまさぁん、レミを可愛がってくださぁい、やぁ、くっ、んぁああん!!」

 こんな感じで3人を可愛がっていると、後ろから冥菜ちゃんが抱きついて来る。

「横島せんせ~、冥菜も~~~」


 そんな冥菜ちゃんを優しく宥めながら、順番順番と言いつつ、金髪の女性の子宮を何度も突き上げる。

 何度も達しているのか、嬌声を上げながら膣奥から愛液を吐き出し続ける金髪の女性。

「横島さまぁ、そろそろ限界ですっ!」


 金髪の女性の切羽詰った声に応え、腰の前後運動を更に激しくし、膣奥を数え切れない位に叩き続ける。

 彼女の子宮が熱くなり、俺の射精を促す為にうねり、ねじれ、きつく肉棒に巻きついて扱きたてる。

 乙女を奪ったばかりのワレメの奥で、俺は最後の一突きをすると、ビュクッビュクッ、ドクンと大量の精液を吐き出した。

 熱い精液を子宮口に叩きつけられる感触に、彼女の身体が何度も跳ね上がり痙攣する。

「あっ、あっ、あぁあああっ! や、んぁあっ! よ、横島さま、わたし、もう、いっちゃう、ああ、だめ、い、イックゥゥウウウウウゥウウっ!!」

 
 膣口がぎこちなくすぼまる。

 彼女の秘裂からは愛液がまるでシャワーのように勢いよく溢れ出した。

 最後に大きく背中を反らせたあと、脱力するようにそのままクタァっとなってしまう。

 そんな彼女の中から肉棒を引き抜き、今度は赤毛の女性の花弁に肉棒を食い込ませた。

 閉じた小陰唇を広げながら、肉棒を打ち込んでいく。

「ひぃ、あぁああっ! い、いいっ!!」


 赤毛の女性の喘ぎ声を聞きながら、気づくとレミちゃんが俺の右腕に、冥菜ちゃんが俺の左腕に、それぞれ自分の秘所を擦りつけて喘ぎだす。

 3人の女の喘ぎと、ダウンしている女の息切れのような喘ぎを聞きながら、俺の煩悩力がドンドンと増して行くのが分る。

 赤毛の女性のしっとりとしている柔肉を何度も貫き、子宮口を抉って抉って抉りまくる。

 すると赤毛の女性は身体を小刻みに震わせながら、大声で嬌声を上げ、そのまま脱力してしまう。

 ズルッと抜け落ちてしまいそうになる肉棒を、奥に向って突き出しながら、俺は赤毛の女性に、

「しっかり締め付けないとダメだぞ?」

 少し厳しい口調でそう言った。

 彼女は快感に酔って涎を垂らしながらも頷くと、必死に身体を起し膣孔を締め上げてくる。

 そんな彼女の中を、さっきと同じように激しく攻め立てた。

「ひっ、ひあぁああっ! らめです、旦那さまぁ、も、もぅ、すずめ、頭がおかしくなっちゃうよぉ……」

「よぉしっ、おかしくなれっ! イクんだっ!!」

 勢いをつけ、最後にズバンと膣奥に向って腰を叩きつけると、子宮口に肉棒を押し付けたまま射精を開始した。

「ああああ、イク、旦那さま、わたし、わたし、アアアアッ、旦那さまイッちゃうぅぅぅっ!」

 赤毛の女性は身体を大きく反らせると、絶頂の飛沫を股間から吹き上げる。

 全身から力が抜け、再び脱力したように腰を落すと、そのまま俺は肉棒を彼女の胎内から引き抜いた。

 彼女の中から溢れ出す愛の体液が股間から流れ落ちていく。


 これで2人か……


 チラッと残りの二人を見ると、期待しているのか、頬を染め上げて甘えてくる。

 はぁ、はぁ、と俺は息切れを起しながら思った。

 俺の死因は間違いなく腹上死だと……

 そう思ったら、自分の中で何かがプチンと切れる音が再びした。

「……ふふふ、ふははははーーーーーーーーっ! やったらーーーーーーーーーっ!! ワイはやってやるんやーーーーーーーーーーーっ!!」


 俺は冥菜を引き寄せると仰向けに寝せ、その上にレミをぴったりと肌を合わせる様に重ね合わせた。

 大きく両足を広げさせ、股間をさらけ出させる。

「横島せんせ~~、恥かしいよぉ……」

「横島さぁん……」

 二人は幼い恥丘を擦り合わせる様に密着させ、二つの肉裂を露出させている。

 俺はレミのお尻を掴むと、そんな二人の間に割り込むように肉棒を沈めていく。

「きゃぁ、んぅ……」
「ああっ、ひぃああんっ……」

 ズニュッ、ズチュッ、二人のワレメの間で肉棒を滑らせる。

 沢山の体液でグチュグチュとなっている二人のアソコは、滑りもヌメリも最高だ。

 そんな二人の間で肉棒を動かすと、上下に絡みついた肉裂がえぐられてクリトリスを刺激する。

 冥菜とレミ、二人のクリトリスをそうやって刺激し擦り合わせていくと、あっけなく上りつめていった。

「冥菜、イッちゃうよ~~~、きゃあああんっ!」
「イキます、私、イッてしまいます! ひっぁぁあああああっ!!」

 同時にプルプルと震える二人の身体。

 俺はそのまま二人の間にびゅびゅびゅびゅぅぅぅっと大量に射精すると、そのまま後ろにドスンと両手を広げ、仰向けに倒れこむ。

 
 
 心地良い疲れと達成感に、俺はそのままうつらうつらと船を漕ぎ出すと、またまた下半身に感じるねっとりした快感……

 恐る恐る見てみると、美しい4人の女が俺の股間をキレイに舐め上げ、啜りあっているではないかっ!

 流石に限界だっ!? これ以上は死んでまうッ!!

 俺の心の叫びなど、一切聞こえないだろう4人の女は、今度は誰から行きますか? などと和気藹々とお喋りしていた。





 ははは、そうか……ここが俺の終点か……

 ズグンっと女の胎内に入っていく肉棒を眺めながら、俺は走馬灯の様に、あの懐かしい美神除霊事務所であった様々な事件を思い起こす。

 楽しかったなぁ。美神さん、おキヌちゃん、俺、先に逝ってます……





























  △月■日

 取り合えず一言。

 俺、生還!!

 ルシオラ復活のカウントダウンが始まった。
 ルシオラが生まれる頃には、俺はこの世界には居ないんだけどな。
 うん、少しでも早くこっちに戻ってこよう。

 それにしても何だ。
 あの女中さん2人、すずめさんにめぐりさん。
 どっかで見た気がしてならん。






















  ☆月☆日

 美神さんからアスナに、3本も神通棍が贈られた。
 イタリアンマフィアは……って言ったら、前みたくぶん殴られた。
 それを見て笑う、西条頭テル彦がすんげームカついたぜ!

 それにしても美神さん。
 本当に丸くなったって言うか、金を湯水の様に使いまくっているって言うか。
 一度聞いたら、死ぬまでに使い切らないと勿体無いじゃない? だってよ。
 子供達に残すって選択は、あまり無いみたいだ。

 そんで、ついでよ、って言って、前に借りた竜の牙とニーベルンゲンの指輪を俺にくれた。
 ホント、いつもすみません、美神さん。
 心配せんでも、キチンと帰ってきますって。

 こうやって考えてみると、ルシオラの事は冥子ちゃんが作った、俺への最後の鎖なのかもな。































 そして、俺は世界を渡る。












 魔力を束ね、あの最後の戦いの時に顕現された門をイメージする。

 それをカオスがサポートし、前夜に散々愛し合った小竜姫さまが心配そうに見守る。

 少し離れた場所にはゲーム猿とヒャクメ、それにようやく再会できたパピリオが。

 ついでに雪之丞の葬式の時にも会った、ワルキューレとジークの姉弟。

 そして、べスパ。


 昨日、べスパはこちらを複雑な面持ちで見つめると、

「姉さんの事は心配しなくて良いよ。私とパピリオがしっかり、あの母体も込みで守ってやる。」

 そう言ってくれた。

 殺し合いまでした俺たちだが、ようやく仲直りが出来たって事だろうか?

 パピリオも外見が16才位まで成長していて、帰ってきたら一緒に遊びましょうね、だってよ。

 あの変な喋り方、治ったんだな。

 でも、胸のサイズは大したこと無かったぜ。

 ルシオラと違って未来はあったが、大した未来では無かったようだ。

 戦闘力が80を切ってやがるぜ……



 そんな事を考えていると、カオスが俺にこう囁く。

「平行世界に本当に行くとはな。ワシの真・不老不死術が完成していたら、何を置いてもついて行ったんじゃがなぁ」


 本当に残念そうにカオスがぼやく。

「次の機会に連れてってやるよ。俺が居ない間、アイツ等の事、頼むな」

「任せとけ。あと2年もすればワシも完全体になる。そうなったら、あれじゃぞ? ワシは無双出来る程に強いぞ?」


 ニヤリと笑うカオスは、とても頼もしく見える。

 見えるだけだがな。

 実際、肝心な所でボケるのは、ボケが治っても治らんと思う。

 矛盾してる言い方だが、確実に真実を捉えている自信がある。


 カオスとそんな馬鹿話をしていると、俺たちの頭上に、混沌とした渦巻状の物が出来上がる。

 俺はアスナを抱えると、前にこの世界に帰ってきた時の様に、渦の中心目指して飛び上がった。




「いってきまーーーーすっ!」


 アスナが大声で、この場に居る神族や魔族に挨拶をする。

 いってきます、か……

 アスナにとって、この世界こそが自分の世界なんだな。

 アスナが望むなら、アチラの世界に置いてくる事も考えていたんだが……

 使徒にする前は。

 今は考えてねー。

 俺の女だし、誰にも譲らん!

 そして渦の中心に差し掛かったとき、俺は見送る皆の顔を脳裏に叩き込んだ。


 小竜姫さま、パピリオ、べスパ、ワルキューレ、ヒャクメ、ジーク、猿。

 必ずまたここに帰ってくるかんな。

 俺はそんな想いを込めて、大きく手を振る。

 そして、扉を開けた……



















 暗闇を抜け、出た先は……


 おそらく麻帆良だろうな。

 眼下にそびえ立つ巨大な樹木。

 神木ばんとー、通称世界樹。

 その巨大な樹木の天辺に、俺とアスナは降り立った。

「忠夫、あれっ!」


 アスナが指差すその先は、二つの凄惨な戦場。

 片方は巨大な魔力を持つ緑の魔法使いと、恐らく居合い拳の使い手の戦闘。

 ザワリとする何かを抑え、もう片方の戦場を見る。

 蟷螂の巨大な化け物の股間から出る、触手のような物に襲われている美女に、その蟷螂の腹部の中に居る、腹を貫かれた少女。

 その周囲には、元は人間だった塊がいくつも散らばっている。


「アスナ! あっちは、多分タカミチだ。お前はそっちに行ってタカミチの援護をしろ!!
 タカミチには俺が行くまで時間を稼げって言っておけ。あの子達を助けたら、スグに行く!!」

「わかったわっ!」


 アスナは元気良く返事をすると、神通棍片手に戦場へと飛び込んでいく。

「気をつけろっ、相手は化け物だ! 勘九郎クラスだと思って戦え!!」


 俺のその声に手を振って答えると、そのまま「いっけぇーーーーーーっ!!」と叫びながら霊波砲を連打する。
 ズドドドォーーンっと轟音が響き渡り、砂煙が立ち上る。
 
 その中に飛び込んでいくアスナを最後に見て、俺は美女達を助ける為に反対側の戦場に飛び込んだ。


 まったく、来て早々これかよ。

 少しボヤキながら、自分の周囲にいくつものサイキックソーサーを浮かび上がらせると、美女を捕らえている触手目掛けて撃ち放ち、触手を千切り飛ばす。

 身体を捕らえていた触手を失い、地面に落下してくる美女。

 その身体に纏わり着く様に蠢めいている触手。

 口や胸を犯し、嬲っているのを見て、自分の怒りが上がってくるのが良く分る。

「んむぐぅーーーーーーっ!?」

 口一杯に触手に犯されながら、必死で俺に助けを求めながら落ちて来る。

 そんな美女の口中や胸を犯している触手を、文珠で『浄』化させ、そのまま美女をキャッチし抱きとめる。

 間一髪だったようだな。

 ギリギリ美女の貞操は守られたようだ、多分……



「あの化け物に食べられた、私の友人を、助けて……ください……」


 
 着ている服をビリビリに裂かれた上に、体中を粘液でベタベタにされている。

 粘液でヌラヌラと濡れる大きな胸を隠す事は無く、泣き黒子の色気がある目元からは、頬を伝う涙の跡。

 息も絶え絶えで、それでも必死に言葉を紡ぐ。

 そんな美女の助けを求める声に応えるべく、俺は件の少女に目を向けた。

 透明な膨れた腹の中にプカプカと浮かび、腹を触手で貫かれている少女。

 目は虚ろで、何とか生きている状態、多分だが。

 じりじりと服が少しづつ溶かされているのが遠目でも分かる。

 腹からは絶え間なく血が噴出し、四肢を触手で完全に押さえられている。

 首に巻きついている触手が、そのまま彼女の口の中を出入りしているようだ。

 他の触手が股間や尻の周りを愛撫しながら、その中心に入ろうとしているのも見える。

 俺はその無残な光景に怒りを感じる。

 急がなきゃな。美少女が触手如きに犯されるのを、黙って見過ごす訳にはイカン!

 それにしても、美女や美少女をこんな目に遭わすたぁー、相変わらずあのホモ野郎、ゲスだな。


「任せとけ、必ず助けてみせる」


 少しかっこつけて、俺はそう言い切った。

「貴方は、だれなんですか?」


 目の端に沢山の涙を浮かべながらの美女の問いかけ。

 俺は右手の竜の牙を剣の形に変えると、体を化け物に向けたまま、顔だけ美女の方を向く。

 そして、

「俺は横島。ゴーストスイーパー横島忠夫だっ!!」

 内心、くぅ~っ! 俺かっけぇ~! って思いながら化け物に向っていった。





 麻帆良に来て早々、俺達の最初の戦いが、こうして始まる。

 






[11660] GS編 設定資料集(笑)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/14 01:45
    作者が抱える設定資料 GS人物編を出してみた。

    R開始前からの設定だ! 設定倒れがどれ位あるかな? 
    必死で纏め上げたんだ。これで暫くの更新は我慢してくれ(汗
    シロから下は、話半分で読んでね! 特に美神、おキヌ辺り。
    あくまで設定。香ばしさはスルーだぜ!!









 




横島 忠夫  

ヨコアスRの主人公。
所謂YOKOSHIMA。
神格者という設定は変わらず。
姿・格好は六道から貰った背広にネクタイ。
バンダナはなし。

オカルトテロにより世界から弾き出された後、彼は国により英雄となる。
死んだ(とみなされた)者にはいくら栄誉を与えても問題は無かったから。
アシュタロスの事件の事も公表され、一躍彼の名は教科書に載るほどに。
もっとも、関係者は全員苦笑いだったそうな。
帰還後、事件から40年経つ中で、彼の名は伝説となっており、国自体が動いてしまうほどに。
もし、彼が再びネギ魔世界に行かなければ、この国からの排斥が始まったかもしれない。
六道が後ろについている上、今だ何らかの権力を持っている百合子が居る限り大丈夫だったであろうが。
Rでは、明日菜一人を特別愛している訳では無い。
今の所は、この世全ての女は俺の(笑
話が進んでいく中で、明日菜が特別なただ一人の女になる……のだろうかね?

横島除霊事務所 所長

他、設定は無印と一緒。

第1使徒 アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア
第?使徒 六道 冥菜



神楽坂 明日菜

ヨコアスRのヒロイン。
横島の第1使徒。
料理・洗濯・掃除は百合子に徹底的に叩き込まれる。
格闘術に雪之丞。
霊能戦闘に横島。
神通棍を含む霊具戦闘術に美神。
銃撃戦術に西条。
普通教育に愛子。
といった具合に師に恵まれている。
彼女の霊波砲には魔法無効化能力が付与されているが、彼女の霊波砲は実は霊力ではない。
GS編終了時点で明日菜は霊力に目覚めておらず、霊波砲は魔力を使っている。

無印との立場の違い

妹的ポジションからの始まり。
周囲に大人達が溢れかえっている上に、沢山の愛情で育てられた。
戸籍上の姉に、神楽坂玉藻。
お姉さんぶったタマモから、妹としてたっぷり可愛がられた。
家族として他に、シロ、愛子、マリア、カオスがいる。
友人にレミ、冥菜がいる。
横島が他者とのセックスに耽る姿に、然程嫉妬を感じなくなっている。
幼い頃からのタマモの性教育の弊害。
横島以外との性愛は絶対イヤだが、彼が他の女とセックスをするのは、生きる為に必要な事だと完全に割り切っている。
時折カチンと来るが。
現在の所、横島の事を愛している、と言うよりは大好き。
GS編、ネギ魔編の話を進めながら、大好きから愛しているに変わっていくのだろう。



好感度表
友20 親20 恋12 愛11 色17 計80

B83 W57 H84
原作中3のステータスと同じ

性魔術による魔力供給量 100~200




神楽坂 玉藻

GS美神で言う所の、タマモ。

横島が次元の狭間に消えた後、シロが里に帰るのを見計らって自分も事務所を出る。
火が消えた静けさを持つ事務所の居心地が最悪だったようだ。
その後、適当に権力者にでも取り入ろうと考えるも、その度に美智恵の妨害にあう。
その美智恵に対抗するべく彼女が考えたのが、殺生石の欠片を集めること。
もっとも、これも美智恵の徹底した妨害により計画は頓挫する。
横島が帰るまでの40年間は、美智恵が率い、そして育てたオカGとの謀略戦だった。

時折おキヌちゃんの所にお揚げ料理を食べに行くタマモ。
そんなある日、おキヌに聞かされた横島の帰還。
良く生きてたわね。
そう思い、何となく顔を見せる。
後に横島から戸籍を貰い、神楽坂玉藻になる。
この世界で得た、しっかりとした自分の存在にタマモは喜び、横島に一夜身をゆだねた。
妹となった明日菜の存在が可愛く、そのままここに住んでしまおうと思うも、素直に言い出せず。
逆に横島に一緒に住もうと言われた時、つい調子にのんなと言って飛び出してしまった。
その後はおキヌの下でもやもやとした日常を過ごす。
が、シロが里を下り、横島と共に住む事になったと聞かされ、これはチャンスと彼の懐に飛び込んだ。
その後、横島の出資により高校入学。そして卒業を待たずにGS免許の取得。

彼女は横島のセックスパートナーとして、彼の側に居続ける事になる。
すでに殺生石から得られるだろう力には興味なく、権力者に侍ろうという気も一切ない。
横島を愛しているか? そう聞かれれば、少し首を捻るだろう。
だが決して嫌いなわけではなく、後にも先にも、彼以外の男を知る事は無い。
彼の母である百合子から全ての力を譲り渡され、その後は彼と自分達の為にそれを惜しげもなく使うことになる。
愛する妹の明日菜と、愛子達家族に囲まれた生活をこよなく愛し、それを邪魔する者は決して許しはしない。
彼女にとって、この場所はようやく手に入れた安息の場所なのだから。

横島除霊事務所 副所長 兼 所長代理

好感度表
友17 親20 恋9 愛11 色20 計77

B91 W58 H90

性魔術による魔力供給量 2000~3000




九十九 愛子

GS美神で言う所の、学校妖怪 愛子。

彼女は横島と共に高校を卒業後、教師からの推薦や援助を受けて大学へと進む。
高校教師になるという、夢を見つけたのだ。
しかし、この国を襲ったオカルトテロにより横島の訃報を聞かされ絶望する。
彼に恋する乙女だった愛子は、一時自分を見失うも、高校時代の友人の励ましで立ち直る。
何より、彼が死ぬはずなんて無いと……
その後、高校教師となり、教壇にたつ愛子。
それは夢を叶えた瞬間。
沢山の生徒達に囲まれ、愛される教師となった。
同僚や教え子達から熱いアプローチを受ける愛子。
だが、彼女は只管彼を待ち続ける。
願いが叶い、彼が帰ってきて、そして自分を必要としてくれた時、彼女は迷わず教師を捨て彼の胸に飛び込む。
彼に抱かれる事で妖怪としての格が上がり、本性である机と一体化が出来るように。
体内に居空間を持ち合わせる。
戦闘力は低いが、異能の高さは随一。
その異能を用いて偽四次元ポケットを製作。横島に与え、後に明日菜にも。
事務所での生活は幸せなものだったが、少し不満もある。
横島の周囲に、自分以外の女が余りに多い事だ。
だが彼女は決してそれを口にはしない。
今ここに彼がいる。その奇跡を感謝しているから。
不満や嫉妬をその胸に押さえ込み、今日も彼女は彼を待ち続ける。

横島除霊事務所 事務職員

好感度表
友20 親20 恋20 愛20 色19 計99

B82 W52 H84

性魔術による魔力供給量 300~500




犬塚 シロ

横島が消えた後、彼女は1~2年であっさりと里に帰ってしまう。
彼がいない場所に価値など無かったからだ。
その後は、里で花嫁修業三昧。
人狼は女が少ない。だからシロは結婚し、子供を産み育てる事を求められる。
だが彼女はそれを断り続けた。
思い出す、あの人の事を。自分が先生と慕った横島の事を。
ただ彼女は横島の事は絶望的だと思っている。
帰ってくる筈などない。
そう思い、遂には長老の求めに応じ、里の若い物との縁談が進み始めた。
と、その時、美神から一通の手紙が届く。
横島帰還。
それを読んだシロは、縁談相手を蹴り倒し、そのまま里を出て横島の下に『嫁いだ』
シロの理想の男性横島は、実は彼女にとって父親や兄的存在。
もしもそのまま結婚していたら、いずれはその事に気づいたのだろう。
だが彼女は、その幼い恋心の様な物に導かれるように横島の所へ。
これから先、その勘違いが長い時間を掛けて本物に成って行くのだろうか?
彼女もまた、タマモと一緒に高校入学、そして卒業を待たずにGS免許の取得。
主席合格者はシロで、次席がタマモであった。

横島除霊事務所 所属GS

好感度表
友20 親20 恋10 愛9 色7 計66

B96 W63 H94

性魔術による魔力供給量 1000~2000




六道 冥菜

こっそりGS編のヒロインだったりする子。
幼少期はかつての冥子の様に、孤独に育つ。
12神将とのシンクロ率が異常なまでに高く、その暴走は一国を滅ぼすとエミに言われた。
鬼道似で秀才肌の母親と違い、しょっちゅう暴走を繰り返す少女を受け入れられるのは、おキヌだけであった。
唯一自分を愛してくれていると思ったおキヌから、何度も聞いた御伽噺の様なホントの話に憧れ続ける。
それは横島物語byおキヌちゃんばーじょん。
劇中の横島に憧れ、恋焦がれる彼女は、いつの日か物語の主人公を白馬の王子様的存在まで昇華してしまう。
そんな中、横島の帰還を聞いた冥子は、彼に冥菜を託す事を決める。
案の定、横島を慕い、式神の運用が上達していく冥菜を見て、冥子はほくそ笑む。
そして最終計画を発動する事に。
冥子にとって、令子とエミは自分以上に大切な存在。
それは夫である鬼道を遥かに越える。
そんな大切な存在である令子の心の重荷を一つでも減らして上げたい。
常々そう思っていた彼女は、ルシオラ復活計画を立ち上げた。
横島が帰還した事により、令子の元気な姿を良く見られるようになった冥子は、ここで最後のダメ押しをする事にしたのだ。
なにより彼女もあの戦いの最後で、横島の姿に涙したのだから。
その話を冥菜に伝えると、案の定彼女の計画に乗ってくる。
そして冥菜は横島に抱かれ、ルシオラをその腹に宿すのであった。
名を六道 蛍子(けいこ)
この子は魔族として生を受けた為、冥子は横島に願い、第2子を冥菜に孕ませる事に。
第2子を冥夜。面倒なんで、某エロゲヒロインから。
この子が六道を継ぎ、冥菜と蛍子は横島の下に。
式神を冥夜に譲り渡した後は、符術師として大成する。
冥菜23才で使徒化。
蛍子は16才でルシオラだった時の記憶を取り戻す。
その後は親子共々、彼に永遠に愛されることになる。

横島除霊事務所 所属GS

六道冥菜 好感度表
友20 親20 恋20 愛20 色14 計94

B79 W51 H81

六道冥菜 性魔術による魔力供給量 500~1000

六道蛍子 好感度表
友20 親20 恋20 愛20 色20 計100

六道蛍子 性魔術による魔力供給量 5000~8000

六道冥夜 好感度表
友11 親20 恋12 愛20 色7 計70

六道冥夜 性魔術による魔力供給量 50~60





小笠原 レミ

ピートとエミの孫。
唐巣神父、最後の弟子。
彼女も幼少期は不遇に育つ。
心無い大人やその子供に、人外の血筋を卑下され続けた。
しかし彼女はタダの人間としてこの世に生を受けていた。
ただの人間なのに、人外としての扱いを受ける。
逆恨みだがヴァンパイアが憎い。でも大好きな祖父を憎みたくはない。
そんな優しい少女だが、やはり友達は一人も出来なかった。
そんな時に知り合った少女明日菜は、そんな事など気にもせずに、自分と友達になってくれる。
その上、冥菜というもう一人の友達まで出来た。
それは彼女にとってどれだけの救いだったのだろうか?
そんなアスナの保護者である横島は、大好きな祖父の親友で、そんな二人の関係に憧れる。
小学高学年になってくると、エミの血筋なのか、とても美しく育ってくる。
そんな自分に言い寄ってくるバカな男共に辟易としてくる。
幼い頃から変わらずの横島に、初めてその時恋心を持ってしまう。
いつしかそれを押さえられなくなった時、冥子の企みに乗り、冥菜とともに彼に抱かれる。
その時に彼女はヴァンパイアの血を目覚めさせ、永遠を彷徨う一人となる。
後に彼女は唐巣神父の教会を引き継ぎ、そこで唐巣神父のように救われない者達の救済にでる。
シスターレミとして、周囲の人々からは慕われる存在となる。
ただその教会は、こっそりと横島の愛人としての自分を隠す場所でもあった。
時折訪れる横島を、ただ只管に待ち続ける彼女の姿は、哀愁を帯びて、周囲の男共を引きつけてやまない。
だが彼女の心は横島に完全に奪われてしまっており、彼女はその事に不幸を感じる事は無かった。
困っている未亡人や、恋人や夫の暴力に悩む女性が訪れると、何故か必ず彼が現れる。
そのまま事に至るのを苦々しく思うも、彼女達が救われたように幸せになって行く姿を見て、色々と達観してしまう。
喋り方は、明日菜や冥菜の前では、~なワケ。
横島の前ではお嬢様っぽく猫かぶり。
明日菜、レミ、冥菜は、令子、エミ、冥子の関係を良くした感じ。

唐巣教会 所属GS

好感度表
友18 親15 恋20 愛20 色17 計90

B88 W58 H86

性魔術による魔力供給量 100~150




マリア・セカンド

GS美神で言う所のマリア。

人造人間 試作M-666-2。
ボケが解消されたカオスにより、マリアは精霊体にバージョンアップ。
横島一家でほぼ唯一と言っていい、家事掃除洗濯者。
マリアが来てからは、自宅内での快適度が数段UP。
それはかつての美神除霊事務所におけるおキヌちゃんポジション。
精霊体になった後は、横島の夜の相手も務める事になる。
そのかわりにカオスの世話がおざなりに。
困ったカオスはテレサⅡを開発。
その後、彼女がカオスの助手として活躍する事になり、完全に自由になったマリアは横島の物となる。

横島家ハウスキーパー

好感度表
友18 親18 恋18 愛18 色10 計82

性魔術による魔力供給量 0~10




ドクター・カオス

1100歳。
実験の失敗で呪いにかかり、ボケが酷くなっている。
後に、アスナの魔法無効化能力で呪いを解呪。
横島に誘われ、彼の事務所地下室で実験の毎日を送る。
金の有る横島をパトロンとしたカオスは、横島の不老不死に目をつける。
神核。それを模した偽神核を開発。自らに搭載する。
外見はじじいのまま。
横島にポッしているマリアを彼に譲ると、テレサⅡを開発し、マリアの代わりとする。
マリアⅢを開発し、売り出そうとするも横島の反対により断念。
これにより、メイドロボットは横島一人の独占物となる。
単にコピーとはいえ、他の男にマリアをやるのを嫌がっただけだが。
後年、横島と冥菜の娘、蛍子がルシオラとしての記憶を取り戻すと、2人で様々な開発物を世に送り込む事になる。
野生化していた逆天号を捕らえ、横島と共に平行世界移動する計画をこっそり立てている。

横島除霊事務所 特別顧問





小竜姫

横島の愛人。
横島の性魔術により戦いに敗れ、長年守ってきた純潔を奪われる。
竜の性である姦淫を呼び起こされ、彼の女となってしまう。
横島の願いにより、彼の前では淫乱に、他者の前では貞潔に。

妙神山 修行場管理人

好感度表
友15 親14 恋13 愛19 色20 計81

性魔術による魔力供給量 1万~2万




美神 令子

横島の憧れの人。
彼が次元の彼方に飛ばされてしまうと、塞ぎこむようになってしまう。
シロがいなくなり、タマモも消え、おキヌが結婚退職すると、殆ど除霊の仕事もしなくなり、ただ只管彼を待ち続ける日々。
それをみかねた西条が彼女を押し倒し、後にゴールイン。
胸に残る痛みを忘れる様に、彼を愛し愛される。

無印とは違い、横島が帰ってくるのが早かった為か、かなりの長生きをする事に。
彼や彼の周囲を暖かく見守り、時に導く事もある。
後にルシオラが復活すると、最後の重石も取れて、精神的にこれ以上無い位身軽になる。
アシュタロスの娘であった3姉妹との戦いの折に、小竜姫達から入手した竜の牙、ニーベルンゲンの指輪を横島に譲る。
金銭欲が無くなり、変わって長年連れ添った西条と遅まきながらイチャつき出す。
西条を愛していたし、それを見てカッカする横島の反応が楽しかったからだ。
100歳を越えるまで生きた後は、子孫と、そして横島に看取られ大往生する。
その後、自らの子孫に転生を果たすと、導かれるように彼の側に。
おキヌの転生と共に、横島除霊事務所の近くに新たな事務所を開設する。
美神除霊事務所。所長に美神玲子。職員に横島絹。
伝説のGS美神令子直系の子孫である彼女の開いた事務所は、横島除霊事務所の好敵手として賑わう事になる。
後にカオスに大枚を払い、頭を下げて偽神核を自分に搭載して貰い、彼と共に長き時を彷徨う。

美神令子 好感度表
友18 親19 恋2 愛20 色0 計59

美神玲子 好感度表
友16 親18 恋20 愛20 色20 計94

美神玲子 性魔術による魔力供給量 1000~1200





おキヌちゃん

横島が次元の彼方に飛ばされた後、美神と一緒に帰らぬ彼を待ち続ける日々を送る。
姉である早苗の忠告を無視し続け、死んで幽霊となっても只管待ち続けるつもりだった。
だが、彼の幼馴染である銀一に、20才になった時にプロポーズされる。
銀一は初めて会った時から彼女の事が気になっていた。
でも横島がいたのであっさりと身を引く。
幼少期の苦い思い出のためだ。
しかし、今彼はいない。そこにつけ込むようで、なんだか気分が悪いが仕方ない。
そう思い、彼女に25になるまでに横島が帰らなければ、結婚を考えてはくれないか?
心が篭ったその言葉に、思わず頷いてしまう。
そして25になる前日に、もう一度プロポーズを受け、周囲の進めもあり、銀一を受け入れた。
胸の奥には何時までも彼への想いが眠っていたが、銀一は始めからそれを承知しており、長い時間を掛けて本当の夫婦になっていった。
その後、横島の帰還に伴い初恋に終わりを告げると、銀一とラブラブに余生を過ごす。
死後については堂本シルク参照。

好感度表
友15 親20 恋1 愛20 色0 計56

横島絹 好感度表
友18 親20 恋20 愛20 色20 計98

横島絹 性魔術による魔力供給量 800~1300





堂本 シルク(芸名)

銀一とおキヌの孫で、世界移動の時には20才。
3世タレントととして、人気・実力共にある清純派女優。
彼女を妬んだ先輩女優と、ストーカー染みたファンにより心霊事件に巻き込まれる。
おキヌの願いにより、その事件を解決するべく動き出す横島除霊事務所。
妬んだ女優による呪いを跳ね除けるが、その隙を突かれてストーカーに拉致されてしまう。
シルクはストーカーをきっぱりフルと、切れたストーカーは自分を生贄に魔族の召喚を行う。
魔族デミアン。それはかつてコスモプロセッサによって復活した魔族。
そこに駆けつける横島。
再生魔族は雑魚。その言葉通り、あっさり『滅』
吊橋効果なのか、シルクはそのまま横島とベットイン。
彼の愛人となってしまう。
天然の霊力吸引体質を、横島とのセックスにより目覚めさせた彼女は、寿命による死に至るまで年老いる事は無かった。
外見は20才頃のおキヌ。
おキヌ死亡後、彼女は40歳にて横島の子を出産。
横島絹。
その子はおキヌの転生体で、神格者である横島の血なのか15才で老化が止まり、その体には天然の神核が有る。
彼女は後に美神の転生体と共に、事務所を開設する。
時折訪れる横島に、二人で愛される日々を送る事になった。
美神除霊事務所は、横島にとって2つ目の愛人別宅となってしまう。

女優

好感度表
友15 親17 恋18 愛17 色16 計83

性魔術による魔力供給量 0~5000




六道 めぐり

現代の魔女、魔鈴めぐみの娘的存在。
魔鈴の髪をショートにした外見。
ある日横島がベットに入ろうとすると、当時中学生になったばかりの明日菜が裸でいた。
ロリコンに堕ちるのを嫌がった横島は、焦って窓から飛び出して逃亡。
夜の街を徘徊する。
そこで魔鈴めぐみと再会。行方不明だった彼女との再会を喜ぶ横島。
何故か年老いていなかった彼女に疑問の声を投げようとするも、恐ろしいまでの殺気により沈黙を守る。
その日は、結局彼女の部屋で夜を共に過ごす。処女ではない。
朝、目を覚ますと、横島は何故か事務所の前で佇んでいた。
化かされた様な出来事。だが、体についているキスマークが前夜の事を現実だと認識させる。
魔鈴が欲したのは、不老不死である彼の精液。
寿命を感じた魔鈴は、自らの研究成果であるマテリアルボディーの製作に全てをかけていた。
結果、自分の卵子と横島の精液を素に作られたそれに、自分の知識の全てを叩き込むと息を引き取った。
マテリアルボディーである彼女は、自分をめぐりと名づけると六道に身を寄せる。
戸籍やその他を必要とした為と、前もって魔鈴が根回しをしていた為。
ルシオラ復活計画の時に、遺伝子的に父である横島に抱かれる事になる。
彼女自身はその知識は継承されていなかったので、その事実を知るのは六道冥子ただ一人であった。
娘であるめぐりならばルシオラの魂を降ろすのに相応しいと考えたため。
それはただの保険で、本命は冥菜である事に違いは無かったけど。
冥菜が横島の下に身を寄せる際に、同僚のすずめと共について行く。
その後は彼の愛人の一人として、その知識と肢体を彼に捧げる事になる。
彼女もまた、永遠を彷徨う者であったから。

横島除霊事務所 所属GS

好感度表
友13 親12 恋18 愛19 色17 計79

性魔術による魔力供給量 500~1000




神崎 すずめ

小鳩の孫。
六道に女中として就職。
ルシオラ復活計画の際に、冥子が横島へのボーナスとして用意した。
教科書や映画になっている横島の悲恋の物語を脚色込みで聞かされ、その計画に身を捧げた。
冥菜が横島の下に身を寄せる際に、共についていき彼の愛人に。
その人生の全てを彼に捧げ、普通の人として一生を終えた。
可愛いおばあちゃんになった彼女を、横島は心から愛し続けた。

横島家別宅 ハウスキーパー

好感度表
友12 親17 恋20 愛20 色15 計84

性魔術による魔力供給量 0~5




渋鯖 人工幽霊壱号

美神により譲られた生きた事務所。
恐らくは3階建て。
地下にカオスの実験場。
後にオカG事務所跡を買い取り、その土地を使ってカオスの手によりその規模を拡大。
別宅が出来る。
そこに住む様々な女性達が起す問題に日々頭を悩ませる。




弓 雪之丞

GS編での主人公といっていい。
明日菜の格闘の師。
戦いの中で死ぬ事を選び、勘九郎と戦い死んで行く。
その際に見せる奥義魔装拳は、直接明日菜には伝えてはいないが、こっそり基礎を固め、いつの日か発現するに違いないと信じている。
こっそりと魔族である友、ジークに明日菜と契約をさせている。
もっとも、アスナの固有技能、魔法無効化能力がある以上、どこまで魔装術を発現させれるかどうかは分らない。
子や孫、曾孫に囲まれた幸せな一生だった。
彼の最後の願いである、横島とピートとの決着こそつけられなかったものの、充分満足してあの世に旅だった。
死の直前に、自分を生んですぐに死んでしまった母の顔を、初めて目にする事が出来た。






怨霊勘九郎

鎌田勘九郎のラスボス化。
彼が殺生石の欠片を、タマモとオカGの謀略戦の隙をついて盗みだした事からRの話は始まる。
日本3大悪妖から力を抜き出そうと考えた勘九郎。
九尾失敗、逃げられる。崇徳失敗、倒される。最後に酒呑を取り込み、パワーアップ。
雪之丞と戦い、身体を滅ぼされた後、怨霊としての力と精神体を手にした魔族として復活。
雪之丞に最後の別れをした後、彼を殺す。
雪之丞との決戦後、彼は再び修行の日々に入る。
最強の称号を手にするために。
だが、いつの日か雪之丞の最後の弟子、明日菜に倒される日が来ることを信じてソレを待ち望んでいる。
その時に無様な姿を見せる訳にはいかないと、一心不乱に修行に励む。
その姿は多くの格闘家達に武神と崇められ、気づけば神社まで建っていた。
修羅に堕ち、怨霊となり、魔族として生まれ変わった彼だが、気づくと格闘の神としての存在になっている。
彼自身は知らないけれど。





ピエトロ・D・O・ブラドー

GS美神で言う所のピエトロ・ド・ブラドー。
オカルトGメン所属の大尉。
九尾狐事件で昇進、少佐に。
横島と雪之丞の親友。
でぃ☆?






パピリオ&べスパ

ルシオラが復活すると、彼女の守護神的存在となる。
魔界正規軍であるべスパは、蛍子誕生より20年ばかり仕事を休職。
パピリオは堂々と蛍子の側にへばりついた。
蛍子が記憶を取り戻すとパピリオは妙神山に帰るが、その時、パピリオは小竜姫と同じ愛人となっていた。
べスパはその後しばらくは蛍子と行動を共にするも、蛍子の成人式を最後に魔界へと帰る。
ちょくちょく事務所に顔を出してはいる様だが。

パピリオ 好感度表
友20 親20 恋11 愛13 色9 計73

パピリオ 性魔術による魔力供給量 1万~1万5千

べスパ  好感度表
友9 親9 恋8 愛14 色12 計52

べスパ 性魔術による魔力供給量 1万5千~2万




出番が無いだろう方々。

タイガー・寅吉
タイガーが姓なの?
分らんのでポイ。ついでに嫁もポイ。

ひのめ・美智恵
ひのめは横島の事知らんだろう。
美智恵はこれ以上ばあさんは不要(笑

小鳩
普通人。
出すのが困難。

パピリオ・べスパ
ルシオラ復活の時に少し出せるか?
どー使うかが問題。

ヒャクメ
妙神山イベントで出てくるのが定番。
ならば俺は出さん。
パピの鬼門開くと同時に体当たりも絶対無し。

グーラー
何処にいるのよ?

ジーク・ワルキューレ
忘れてなかったら、ユッキーの葬式の時に少し出す。


からす神父
漢字変換できねーよ(汗






その他

魔装拳

雪之丞の必殺拳。
魔装の力全てを右手に集めた技。
その外見はハンズ・オブ・グローリーの何か爪とか出てるバージョン。
威力ぱねー。

九尾狐

頭の悪い力有る妖怪。
自衛隊辺りでフルボッコしよう。

崇徳

大天狗。
使い道がわからん。

酒呑

最強の鬼。
勘九郎に喰われる。

デミアン

滅の文珠で死ぬよね?

ガルーダ

すずめ・めぐりイベント。
仲魔。





























後書き

パピリオ&べスパだけが今回の書き下ろしです。

BWHは、明日菜以外は最終数値です。

ただのGSアフターなら、シルクの話とか、玲子と絹の話とか書けたかもね。

シルク辺りは完全に没ネタになっちまった。

今となっては、外伝辺りで書いてみるのもいいかも知れんね。

ネギ魔に行く為に、幾つかお蔵入りしちゃったネタ入り設定。

少しは楽しめましたでしょうか?

あくまで設定ですんで、あまり真に受けないように。

バリバリ近親相姦しまくりな辺りとかね?

GS編の続き書くなら、この設定を素に話を進めていきますが。




[11660] まほらのほほん記 第1巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/26 22:00
 それは、いつもとはちょっと違う日常。

 その日、私達は世界の裏側を知る。

 残酷で凄惨な現実と、それと戦う魔法使い達。

 そして、世界平和よりも美人のねーちゃんと、あーんな事や、こーんな事してる方が良いに決まってる!!

 こんな事を平然と言ってのける、いつも楽しそうなあの人。





「お待たせしました、ちづるさん。さあ、帰りましょうか」

「そうね、外も薄暗くなってきたわ。夏美が待ってるから、早く帰らなきゃいけないわね」





 この日、いつもと違う行動を取っていた私とあやか。

 終業式が終わり、明日から夏休みと、少し浮かれていた私達。

 数日中には実家に帰るからと、休み中にやれば良かった様々な案件を一気に終わらせようとしたあやか。

 それに付き合った私。





「手伝って下さって、本当にありがとうございますわ、ちづるさん」

「いいのよ、あやか。そんな事より、あやかは少し手を抜く事を覚えた方がいいわね」






 教室を出て、そのまま帰路につけばいいものを、私達は何かに導かれるようにそこに行ってしまった。

 外は薄暗く、門限も近いというのに、なのに、なんで?

 私達は導かれたのかもしれない。

 世界樹と呼ばれる、大きな大きな巨大樹に……

 





















  まほらのほほん記  第1巻  その日、ちづ語り



















 何かに導かれるように私達が世界樹の麓に来ると、そこには一人の仮装をした青年が佇んでいました。

 学園祭の仮装の様な緑色の服と帽子。そして鈴の音をちりんと響かせて。

 10人が見れば9人は振り返る様な美貌。女顔で、一見温和で優しげな印象を受ける。

 青年はこちらに気づくと、とても誠実そうな笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる。

 私はその瞬間、背筋がゾッとした。


 危険だ。この青年は危険だ!


 私の中の何かがそう訴える。

 隣のあやかも同じ感じ方をしているようで、どこか顔色が悪い。

「……逃げますわよ」


 あやかがボソッと私にだけ聞こえる様に囁く。

 彼女は他人に対して、いきなりこんな対応をする子ではない。

 なのに迷わず『逃げる』そう判断したのだ。

 でも、それは私も一緒。

 私は小声で「……そうね」と告げ、すぐさま踵を返そうとしたその時、彼は私達のすぐ目の前に突如現れた。

 驚きの表情を浮かべているであろう私達など気にもせず、彼は私達に向って話しかける。

「酷いなぁ~、いきなり逃げ出す相談なんて。流石の僕も少し傷ついてしまいましたよ」

 
 胸に手を当て、心底傷つきましたと言わんばかりの口調。

 私はそれに対して、礼儀正しく答えを返す。

 内心の恐れを隠しながら……

「あら、それは申し訳ありません。ですが、こんな暗がりで見知らぬ男性に出くわしたのなら、逃げても可笑しく無いと思うのだけど?」


 私の答えを聞くと、彼は右手中指に括りつけてある鈴を、ちりん、ちりんと鳴らしながら、楽しそうにする。

「ははは、それはそうかも知れませんね。確かに、僕は危険な存在ですから……」


 そう言って、ニヤリと冷酷そうな笑みを浮かべる。

 彼の背後が光輝き、魔法陣みたいな物が彼を囲む様に空中に現れた。

 あまりに非現実的な光景。

 あやかはその魔法陣めいた物が空中に現れた瞬間、私の手を握り締める。

「に、逃げますわよ、今度こそ……」


 震え、掠れた声で私に囁いてくる。

 正直、今すぐにでも、気を失ってしまいたい。

 だって、その魔法陣から虹彩色の巨大な蟷螂が出てきたのだから。

 その化け物は、お腹の部分が巨大で透明なタンクをつけた姿で、私達を見るや嬉しそうに咆哮を上げる。

「キシャアアアアァァッ!!」


 ああ、ここはいつからパニック映画の世界になったのかしら?

 ウネウネとした触手を腹の下から大量に出してくる化け物を見て、私は現実逃避なのか少しそう思ってしまった。

「ふふふ、逃がさないよ。この大樹の魔力を奪うには、少しばかり手間取りそうなんでね。
 それに、招待したはずの人がまだ来ないんですよ。
 そんな訳で、ちょっとした暇つぶしがてらに、君達の精を頂くとしようか……」


 私とあやかは迷わず後ろを振り向くと、互いの手を握り合ったまま全力で逃げ出した。

 はぁ、はぁ、と荒く息を吐きながら、必死で駆ける。

 そんな私達に、とても楽しそうに笑いながら「やれっ!」と、化け物をけしかけて来る。

 私は前を見ていたから分らなかったけれど、後ろから多数の触手が私達を襲ってきた。

「キャアッ!?」


 あやかの掠れた恐怖の悲鳴。

 化け物の触手があやかの足首を掴んで離さない。

 足を引っ張られ、体勢を崩してズザザザーっと転んでしまう私達。

 そのままズリズリと化け物の方に引き摺られていくあやかを、必死に抱き止め抵抗する。

「わ、たくしの事はいいです。ちずるさんだけでもお逃げなさいっ!」


 怖いだろうに……、それでも私の事を思い、そう言ってくれる彼女を見捨てる事が出来るわけが無い。

 私は少し怒った口調で、

「馬鹿な事は言わないのっ!」


 そう言いながら、あやかの足首を掴んで離さない触手を、必死で振りほどこうと引っぱったり叩いたりする私。

 でも触手はゴムのような弾力で、傷一つつかないし、私の力ではどうにもならない。

 どうしよう、どうすれば……
 私がそうやって悩んでいると、

「私の事はいいから、早くお逃げなさいっ!!」


 あやかの絶叫が辺りに響き渡る。

 背中には人の気配。

 あやかはこの事を言ってるのね。

 あの緑色の服を着た青年だろう。

 瞬間、私の身体中の毛穴から、ドッと脂汗の様な物が滲み出てくるのが分った。

 ドクドクと早鐘のように鳴る私の心臓。恐怖からか、視界が狭くなっていく。


 彼はそんな私の正面に回り腰に手を回すと、自分の方へと抱き寄せる。


 気色悪い……

 ムワッとする程の血の匂いを感じる。

 私は震えそうになる体を必死で抑え、

「申し訳ありませんが、放して貰えませんか? 貴方は私の好みでは無いので」


 私がそう言うと、青年は一瞬目を丸くし、その後大声で笑い出す。

 一頻り笑うと、今度は興味深そうに私の頬を撫ですくう。

 背筋が怖気走る。手の平から嫌な汗が吹き出る。

「これはこれは、随分とまあ気丈な。それとも現実を把握していないのですか?」


 視界の端には、少しづつ化け物の方へと引き摺られていくあやかが見える。

 彼女は自分が一番危険だと言うのに、相変わらず此方を心配している様だ。

 涙を浮かべ、必死で、逃げて! そう叫ぶ彼女。

 その様を見て、私は思わずクスリと軽く微笑む。

 心に蔓延っていた恐怖が薄れていく。

 私は薄れ行く恐怖を、軽く深呼吸をして完全に振り払うと、私の頬を撫でる青年の手を、パシンと叩き払った。

「おや、本当に嫌われてしまったのかな? 残念ですよ、貴女の様な気の強い女性が僕の好みなんで」


 そして、青年はニヤリと笑うと、私の方へと手を伸ばす。

 イヤらしく、わざわざゆっくりとした趣で。

 私はそんな彼をキッと睨みつけると、一発引っ叩いてやろうと手を上げる。

 とその時、彼は見えない何かに突き飛ばされる様に、私の視界から消え去った。

 ドドーン! と何かが破裂する様な音。そして、気づくと私の右横に高畑先生が。

「どうやら間に合ったようだね」

「た、高畑せんせ……い?」


 私は呆然と先生の方を見ると、慌ててあやかの助けを求めようとする。

 が、先生は私の口を開く前に、あやかの方を見ると、

「もう大丈夫。僕達が来たからには、彼の好きにはさせないから」


 言うが否や先生の姿が掻き消える。

 何をしたのか、あやかに纏わりついていた触手がバシュンっと弾け飛ぶ。

 あやかは自分の目の前に突然現れた高畑先生に、特に驚く事無く礼を述べると、私の方へと小走りにやって来る。


 目の端に涙を浮かべ、私に抱きついて来ると、

「何故さっさと逃げなかったのですかっ!」あやかは泣きそうな声で私に怒ってきた。

 それを微笑ましそうに眺める高畑先生。

 でも……


 パチパチパチ……


 場にそぐわぬ拍手が辺りに響き渡った。

 拍手に応えるよう、今まで特に何も仕掛けてこなかった化け物が咆哮を上げる。

 それに対し、高畑先生が化け物に相対しようとするが、

「困りますね、タカミチくん。君の相手は僕ですよ? 君を殺し、この大樹から魔力を根こそぎ貰うのですから。
 君と、そして近衛近右衛門がいなければ、僕を止められる者などいないでしょうからね」

 高畑先生は声の方に向き直る。

 先ほどの青年だ。さっきの拍手も、当然の事だけどこの男なのだろう。

 どこまでも気障で本当に嫌な人……

 でも高畑先生は、彼を見た瞬間「うっ!」と軽く呻き声のような物を上げると、私達に、

「学校の方へと急いで逃げるんだ。途中、他の先生方が君達を待っているだろうから、言いつけを良く聞き、焦らず行動してくれ」


 どこか間の抜けた、小学校の引率のような言葉に、それでも私とあやかは真剣に頷くと、最後に「お気をつけて……」と言って駆け出す。

 私とあやかは、互いの手を取り合うと必死で走る。

 その私達の背後から、高畑先生の気合の声と共に爆音が響いてくる。

 思わず振り返りそうになる私。

 でも、あやかが、

「振り返ってはなりませんわ。今の私達に出来る事は、ただ逃げる事だけなのですから……」


 私があやかの言葉に頷くと、今度は突然頭上高くから、ヴァヴァヴァヴァっと羽音が聞こえる。

 私とあやかは足を止めずに空を見上げた。




 それは絶望、そして迷い。

 爆音と言ってもいいほどの音を鳴らして、私達の頭上高く飛ぶのは先ほどの化け物。

 行く先は、私達の向う方向。

 学校へと続く道の途中に有る公園。

 そこに降り立つ化け物を見て、私とあやかはこの先どうするか迷う。

 でも、あやかは少し逡巡すると、

「行きますわよ。高畑先生を信じます」

 私も、

「ええ、そうね」そう答えると、強く、強くあやかの手を握り締めた。





















 不安を振り払って、私とあやかは公園に辿り着いた。

 そろそろ高畑先生が言ってた『他の先生方』が居てもいい頃合だ。

 それとも戦っているのだろうか?

 高畑先生の様に、あの、虹彩色の蟷螂の化け物と……

 不思議には思う。

 自分達の学校の教師が、あんな化け物と戦うなんてって。

 でも、それにしたって静か過ぎる。

 もしも戦っているのなら、何らかの音が聞こえてきても良いのでは?

 考えたくない。考えたくはないのに、頭に浮かんでくるのは嫌なイメージばかり……


 はあ、はあ、と息を切らせ、嫌な考えを必死で振り払いながら、私達は公園の中央に差し掛かる。

 
 視界が一瞬、絶望で真っ暗になった。

 そこは、いつもとは違う光景。

 グチャッ、ピチャッ……

 まるで、獣が獲物を咀嚼するような音。

 私とあやかはヒュウッと息を呑んだ。

 初めて見る。人が、いいえ、人だった物が食べられている姿。

 街灯に照らされる、血景色。

 辺り一面に降り注いだと思われる、赤黒い血、血、血……

 そこら中に散らばっている、人間のパーツ。

 声もなく、ただ『顔だけ』が私達を見つめる。

 無念そうに、何より、とても苦しそうに。

 2人、3人、4人……、中には見知った顔もある。

 私達の学校の、先生だったモノ。


「ヒィッ!」


 あやかの擦れた悲鳴。

 ううん、もしかしたら自分の悲鳴なのかもしれない。

 胸の奥からこみ上がって来る不快感。

「ウグゥッ!」


 嘔吐しそうになるのを、両手で口を押さえて必死で堪えた。

 そして思う。







 私は、ここで終わるのだと。

 せめて、せめてあやかだけは、ここから逃がしてあげたい。

 私は心からそう願った。

 居もしない、神に……

 

 













 
 
 それなのに、現実はいつも酷い。

 私に向ってくる沢山の触手。

 恐怖と絶望からか、私の足はピクリとも動かない。

 動いたとしても、どこまで逃げられるか疑問なのだけれども。

 私はどこかボンヤリとしながら、その瞬間を待った。


「ちづるさん、危ないっ!?」

 とその時、それから私を守る為に、あやかは私を突き飛ばした。

 ドンッと突き飛ばされ、私はそのまま地面を転がる。

 体中が泥や血に汚れ、手や顔についた臓物の様な何かに、再び嘔吐感が咽元までせり上がってくる。

 でも、それどころではない。

 だって、私の目の前には、腹部を触手で貫かれたあやかが……

「ア……グゥ……ち、ちづ……ん、にげ……」 


 あっという間にあやかの四肢が触手に絡まれていく。


 私のせいで……


 バキッ、ベキキッ、と少し離れた私の所まで聞こえてくる、体中の骨を砕く音。

 全身を砕かれる痛み、それでもあやかは悲鳴を上げない。

 いや、上げれない。

 彼女の首に巻きついた触手が、あやかを串刺しにでもするつもりなのか、彼女の口の中に入り込んで声を漏らさせない。

 ビクンッ、ビクンッと何度も身体を痙攣させるあやか。


 私がさっさと逃げなかったから…… 


 私は震える膝を叩き、体を起すと彼女を助ける為に走り出す。

 何が出来る訳でもない。

 自分が行ったって、ただ化け物に食われる犠牲者が一人増えるだけ。

 あやかが言った様に、自分だけでも逃げればいいのかもしれない。


 それでも私は駆ける。

 自分の為にああなってしまったあやかを救う為に。

 どうせ死ぬなら、満足して死にたかったから。



 走った勢いそのままに、私はあやかの四肢を捕らえて放さない触手に、肩から体当たりをする。
  
「あああぁあぁああぁぁあああああああっ!!」


 涙を流しながら、私は生まれて初めて咆哮を上げる。

 私のこれまでの人生、一度としてした事が無かった行い。

 だって、私は『大人』を求められてきたから。

 年齢の割りに、色々と大きく育ってしまった私。

 周囲の期待に応える様に『大人』びた振る舞いをした私。

 誕生日で考えれば私の方が年下なのに、それでも私はクラスのお姉さん役。

 悪かったのは誰?

 私? それとも周囲の人達?


 そんな私が初めて素の自分でいる。

 心が澄み渡る気がした。

 死を目前にしたから?

 恐怖や後悔から涙を流し、今の私が出来る、全て。

 無謀なその行為は、あやかを捕らえて放さない触手に、ボンっと軽い音で弾かれる。

 そのままお尻をついて倒れこむ私。


 でも化け物は、私のその行為に危険でも感じたの?

 あやかをそのまま自分のお腹の中に、トプンと水に何かが沈むような音を立て、飲み込んでいった。

 あの中は胃液の様な物なんでしょう。

 じりじりと服が溶けて行くのが解る。

 なぜか肌は溶けていないみたいだけど。

 あやかの腹からは絶え間なく血が滲み出て、このままではあやかが死んでしまうのだと、強く私に認識させる。


 頬を伝い、顎からポタポタと流れ落ちる涙をゴシゴシと乱暴に拭うと、私は勢いよく立ち上がる。

 もう一度、いいえ、何度でもあの化け物に体当たりをする。

 それだけが私が出来る事だもの。


 そう思い、私は再び体当たりをするために、大きな声を上げて走り出す。

 でも、現実はそんなに甘くは無かった。

 あやかの所まで行く、たったそれだけなのに、その事が何と難しいことなのか。

 私は道半ばで胴体を触手に巻きつかれ、あっという間に宙に飛んだ。

 多分、触手に放り投げられたんだろう。

 私はクルクルと回りながら天高く舞い頂点に達すると、重力によって地に向かって落ちていく。

 スローモーションのようにコマ送りで地面に近づいていく。

 感じるのは恐怖より悔しさ。

 結局何一つ出来ずに死ぬのかと。

 私は歯を食いしばり、決して悲鳴を漏らすまいと地を睨みつける。

 そして、地に叩きつけられる瞬間、私の足首を触手が掴む。

 ギシリと股関節が鳴る。

「あああああぁぁああっっ!!」

 余りの痛みに叫び声を上げてしまう。

 足が千切れそうな痛みがジンジンと私を責める。

 片足で宙吊り状態の私を、触手はそのまま再び植樹の天辺の高さ程まで持ち上げると、

 残った足や両腕、胴体、そして首をギリギリと締め始める。

 触手は私の手足を引っ張り上げると、私の全身を這いずり始める。

 袖口や服の下、下着の隙間から入り込むと、胸や太腿、それにお尻を捕らえる。

 スカートはビリビリと裂かれ、地面に向ってヒラヒラと落ちていく。

 制服や下着は何とか身体に残っているものの、私の肌は露出されている。

 ヌルヌルとした触手が、私の人より大きめな胸に巻きつくと、ぎゅうぎゅうと乳房を締め上げた。

 ツンと甘酸っぱい様な触手の匂いが気持ち悪い。

 触手は私の股間からお尻の谷間を抜け、そして背中を通って脇の下をぬけて行く。

 そうして再び、股間に戻り……

 身体中を走る甘い痺れに、私の意識が遠くなりそう。

 それでも必死に唇を噛み締め、血の味を感じながら正気を保つ。

 そんな時、ふと目に入るあやかの姿。

 彼女の口の中を出たり入ったりする触手。

 それを見て、ようやく私は気づいた。

 いいえ、気づいてしまった。

 この触手は、あの化け物の、生殖器なんだと。

 そしてもう一つ。

 この触手が激しく私の身体を這いずり回る度に、あやかに纏わりついている触手の動きが鈍くなることに。

 私の隆起してしまった乳首の先端を、触手がグチグチとくすぐり、また後ろの方でも私のお尻の中心部分をツンツンと突いて来る。


 私が出来る最後の事、それは、この化け物を悦ばせる事だ。

 1分1秒でも私の肢体で時間を稼ぎ、万に一つの可能性にかける!

 助けが来る事を信じ、何よりあやかの命と貞操を守る事が出来るかも知れない。

 私は全身の力を抜くと、先ほどからしつこく私の頬を突く触手を迎え入れる為に、ギリギリと歯軋りを鳴らしながら閉じていた口を大きく開けた。

 口を開くと、すぐさま私の口の中に侵入してくる。

「んぐぅっ……ううぐぅ、んうぅ……」

 咽元をまさぐる感触と、ヌルヌルとした甘酸っぱい匂いに吐き気が込み上げてくる。

 息をするのも苦しい。

 噛み付いてやろうかしら?

 チラリとと思ったその事を、すぐさま実行に移し、私は思いっきり噛み付く。

 でも、逆にそれは化け物を悦ばせ、触手の先端から何か液体を大量に吐き出してきた。

 喉奥に出されるソレは、咽を通って胃に流れ落ち、呼吸が出来ない私は苦しさでもがく。

「けふっ、かはっ、はあ、はあ……」

 私を窒息させる気は無いのだろう。

 触手は一旦口中から這い出ると、私が咳き込み、息を大きく吸うのをただ黙って見守る。

 でも、見守るのは目の前にある触手だけ。

 他の、特にお尻の辺りを弄っていた触手は、今度はゆっくりと私の中に入り込んでくる。

「んぐぅっ! い、いた……いわ……、ぃゃぁ……」

 思わず口にしてしまった拒絶の言葉。

 私の犯される覚悟なんて、こんな物なの?

 私は首を振って、もう一度力を抜く。

 触手が私の中に入ってきやすいようにと……

「あ、あ、あ、あ……」

 みちみちと肉が裂かれていく。

 体液や、触手自身のヌメヌメとした触感のお陰なのか、どんどんと直腸奥深くへ潜り込んで行く。

 激しい異物感、何よりさっき触手が吐き出した何かを飲んでから、身体が熱い。

「うぁ、あ、あ、あ、ひぃああああああぁぁああ……」

 思わず上げてしまった女の声。

 それに化け物は悦んだのか、「グゲェェェ」と咆哮を上げる。

 あやかの方を見ると、すでに彼女の口や全身を弄っていた触手は動きを止めている。

 
 いける!

 私はそう確信した。

 そんな私の中で、抽出をし始める触手。

 再び口中に入り込んでくる眼前の触手。

 そして、股間の間を這いずっていた触手が動きを止め、遂に私の大切な乙女の証を奪いに来る。


 来るなら来なさい!

 私は目を瞑り、その瞬間を待つ。

 
 ブオンッ!!

 空気が切り裂かれる音。

 突然私を締め上げていた力が無くなり、身体が落下していく。

 慌てて目を開ける。

 そこには、初めて見る男性。

 
 助け……?

 本当に助けが来たの?

 私は心から望んだ助けが来た事に驚く。

 そして迷わずあやかを助けてって声に出した。

「んぅん、んむぐぅーーーーーーっ!?」

 口中に入り込んだ触手が邪魔で上手く喋れない。

 私は焦ってソレを外に吐き出そうとするも、重力に引かれ落下しながらでは到底出来っこない。

 そんな私に、その男性は小さな光る珠を投げつけた。

 私の全身が光り輝くと、口中や腸内を犯していたソレは完全に消え去り、そして私は彼に抱きとめられた。

 優しく微笑みかけてくれる彼。

「大丈夫か?」心配そうに声をかけてくる。

 それに答えず私は、「あの化け物に食べられた、私の友人を、助けて……ください……」そう言って助けを求めた。


「任せとけ、必ず助けてみせる」


 胸がトクンと高鳴る。

 頬が赤くなって行くのが分る。

 吊橋効果かしら?

 冷静な私がそう言ってブレーキ。

 それでも私は……

「貴方は、だれなんですか?」

 彼は体を化け物に向けたまま、顔だけ私の方を向く。

「俺は横島。ゴーストスイーパー横島忠夫だっ!!」

 ゴーストスイーパー。

 それが何なのか、私には分らない。

 それでも確かに私は、もう大丈夫なのだと確信した。

「くぅ~っ! 俺かっけぇ~!」


 何て言い始めた時は、ガクッと力が抜けたけど。


 

 彼は四方八方から襲い来る触手や蟷螂の鎌を、右手に携えた剣で容易く切り払うと、あっさりとあやかを助け出す。

 そのまま彼が切り裂いた化け物の腹に何かを投げつけると、ドドーンっと大きな爆音を立てて、天まで昇るような火柱が上がった。


「グリュルルルルゥゥゥゥゥ……」


 化け物の断末魔の叫び。

 火柱に照らされる『彼』と、彼にお姫様抱っこされるあやか。

 私はそれをちょっとだけ羨ましく思ってしまう。

 トクントクンと鳴っていた胸が、トクトクトクと早鐘に変わっていく。

 彼は私の目の前に来ると、自分の背広の上着をふわっとかける。

 ああ、そういえば私、殆ど裸だったわ。

 そして、さっきまで自分を犯していた触手を思い出す。

 赤く染まっていた顔が、一気に引いて青ざめる。


 化け物に犯された私を、この人はどう思っているの? 


 そんな挙動不審な私の横にあやかを寝かせると、何処からともなくとりだした毛布で包む。

「あ、あの、ありがとうございました」


 私はやっとの事で声を出して礼を述べる。

「いんや、礼を言うのはマダはえー」


 彼はそう言うと、私に一つの珠をよこす。

 珠には字が一文字、『護』

「これを持ってじっとしていろ。化け物のご主人様をぶっ倒してくっから」


 ニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべると、そのまま彼は行ってしまう。

「行って、しまわれましたわね……」


 あやかの声。

「大丈夫、なの……あやかぁ!」

 私はあやかを抱きしめると、静かに泣き出す。


 終わったのだと、悪夢は終わりを告げたのだと。


 あの人がここに戻って来てくれた時、それはただの幻想に過ぎないと気づかされてしまうのだけど……

 あやかの身体と魂がどれだけ傷ついていたのか、この時の私は気づきもせず、ただ、喜びと安堵に涙を流した。

 もっとも、私にそんな知識はなかったのだけども。

 私は、自分とあやかが助かったのだと喜び、初恋の様な胸の高鳴りに頬を染め、触手に犯され穢れた自分を彼がどう思うのか不安になり、顔色を赤く染めたり青くしたり。

 それを楽しそうに見守るあやか。


 後に私は、この時の自分を、酷く嫌悪する。

 マダ、何も終わってなどいなかったのに。

 あやかの苦しみに気づきもしない、汚れた自分を、嫌悪する。







[11660] まほらのほほん記 第2巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/01/26 22:03






  まほらのほほん記  第2巻  初めての衝撃











「水着のねーーちゃーーーーーんっ!!」

 
 そんな叫び声を上げながら、ビーチへと駆け出す一人の男性。

 色々あって私の主様となった人、横島忠夫さん。

 霊気構造を崩壊させていた私を、自らの使徒とする事で救ってくれた。

 あれから数日が経っても、まだ私は身体の調子が酷く悪い。

 元の調子に戻るのには、早くても一月は掛かる。

 彼のその言葉に、私と横島さん、それに同じ使徒で先輩になるアスナさん。
 ルームメイトで、私を心配して身の回りのあれこれをしてくれる夏美さん。
 そして、あれから鬱々と塞ぎこむ千鶴さん。

 その5人で、我が雪広グループのリゾートアイランドにやって来たのです。

 心配させてばかりの私、そんな私の両親がいろいろと便宜を図ってくれたお陰。

 もちろん貸切ですので、あの方がお望みの水着のねーちゃんはおりません! ええ、おりませんとも!!

 こんなにも美人で可愛い女の子を、4人も! 連れてらっしゃるというのに、あの人は本当にもうっ!!


「なんでじゃーーーーーっ! 青い海、白い砂浜だと言うのに、水着のねーちゃんどころか人っ子一人いねーーーーーーーーーーーーっ!!」 


 波打ち際で、辺りを忙しなくキョロキョロさせて、あの人が叫ぶ。
 それを見て、夏美さんは楽しそうにケラケラと笑い、アスナさんは恥かしそうに頭を抱えてます。
 千鶴さんは……、儚げな表情を浮かべながら、悲しそうに笑います。

 そしてスグに、

「あやか、大丈夫? 余り日に当るのは良くないわ。早く屋根のある所に行きましょう?」


 私の手を引き、休憩所の様な場所まで行くと、私を椅子に座らせ、アスナさんと夏美さんを手足の様に扱き使いながら、一心に私の世話をする。
 私の膝にタオルケットを掛け、テーブルを持ってきて飲み物の用意までしてくれる。

 ありがたい事なのですが……

 何故そこまで罪悪感を感じるのですか?

 私がこうなってしまったのは、千鶴さんの責任ではないでしょう?

 何度そう言っても、千鶴さんは首を振るばかり。

 あの時、私の事を思わず、あの人の事を想ってしまったのはそんなに罪なのでしょうか?
 出来の悪いパニックモンスター的な、B級映画の様な出来事に巻き込まれた私達。
 死を目前にし、化け物に蹂躙された貴女が、あの方に助けられたあの時、あの方を想って顔を赤らめたり青ざめさせたりするのは、そんなにいけないこと?

 あの時の千鶴さんは、年相応でとても可愛らしく、貴方もこんな表情が出来たのですね。

 私はとても嬉しく思いましたのに。



 私がそうやって千鶴さんの事で悩み考えていると、先ほどまで波打ち際で叫んでいたあの人が私の所にやって来る。

 そして、私のおでこに手をやると、

「大丈夫か? 熱はないようだが……」


 そう言って、おでこに当てていた手を、そのまま頬を通って下にツツゥーと下ろしていき、私の顎をクイッと持ち上げる。

「ここに来る前に補給しといたが、やっぱ飛行機は辛かったか?」

「ええ、そうですわね、少しだけ」


 自分の頬が赤く染まって行くのが良く分る。
 頭がポ~っとして、身体中の血液が顔に集まってしまったみたいですわ。
 私は下品にならない程度にうっすらと口を開け、そっと目を瞑って彼の唇を待つ。

 彼の唇が私の唇と重なり合い、私の口の中に彼の舌がヌルッと侵入してきます。
 彼の舌が私の舌を絡めとり、ちゅるると私の唾液を啜り上げてくる。

「んん……」


 ちゅ……くちゅぅ……と、静まり返り波の音しか聞こえなかった周囲に響き渡り、その淫音を聞くたびに如何にかなってしまいそう。
 彼は私の胸の膨らみを手の平で覆うと、優しくゆっくりと揉みあげてくる。
 私はその度にビクンビクンと身体が痙攣してしまう。
 彼の手の平は、私の胸の頂を何度もクニュクニュコリコリと弄び、私を高みへと連れて行く。、
 そのままたっぷりと5分程それが行われ、何度も私は頭を真っ白にしてしまう。

 私がイッてしまう度に、ドンドンと霊力が送り込まれて行くのがわかります。

 そっと私の唇から放れてしまった彼の唇を、私は物欲しそうに見てしまう。
 もっと、もっとして下さい、と……
 そんないやらしい私の唇の端から唾液が流れ落ち、それを舌を這わせペロッと舐め啜る彼。

 それだけで私は感じてしまい、子宮がキュンっとなった気がしますわ。
 下着がぐっしょりと濡れ、彼が欲しくてたまらない。
 飛行機に乗る前に、あれだけ私の胎内に注いで貰いましたというのに。
 こんなにも彼を愛おしく想ってしまう。まだ、出会ってから5日しか経っていないというのに。
 使徒になったせい? わかりません、もしかしたらそうかも知れませんわね。

 それでも、今の私が幸せを感じている事は確かで、何より使徒になったのは最終的には私が望んだ事。




 あの時、あの事件の後で、私は自分という存在が薄れて行くのが解りました。

 血の気が引き、力が入らずにグッタリと横たわっていた私は、あの人が呼び寄せた両親と千鶴さん、
 アスナさんと高畑先生、そして先生が連れて来て下さった夏美さんに囲まれて……


 私は、人として死ぬ事を選んだ。


 霊気構造の崩壊。精神の疲弊。
 本来ならば、これに身体の致命的損傷も加わる筈でした。
 ですが、横島さんのおかげでそれは無くなり、それどころか自分の最後まで教えてくれました。
 話によると、『この世界』には霊気構造云々の技術は確立されてなく、それを判断出来るのは横島さんだけとか。
 そのまま原因も解らず死んでしまう筈だった私を、助ける事が出来る可能性を持っているのも、彼だけでした。


 そして告げられたのです。

 人として死ぬか、それとも彼の従者となって、人としての理から外れ、彼とその仲間達と共に永遠を彷徨うか。


 永遠の若さ。それは女性にとっては心底欲しい物かも知れません。

 ですが、それはとても辛く苦しいものではないかと、私は思うのです。
 両親や友人が年老い、死んで行くのをただ見守る事しか出来ず、自分はいつまでも若いまま。
 若いままなのですから一つ所に居る事も出来ず、文字通り彷徨う事になるのでしょう。
 それはとても恐ろしい事だと私は思いました。
 ですから、迷わず死を選びました。

 何より、彼にこれ以上迷惑をかけたくは無かったですから。

 何のリスクも無く、そんな事が出来る筈などありませんわ。

 そう告げると、彼は困った様に笑い、

「確かにしばらくは俺の負担にしかならん」


 そう正直に話してくれました。
 ただ、自分にもメリットは有る、とも言いましたが。
 先行投資だと、今は負担にしかならなくても、いつかは自分の支えになれるのだと。

 そう言ってくれたあの人に、私は首を振ってもう一度拒絶の意志を口にしようとしました。

 ですが、私の両親が泣いて止めるのです。
 頼むから生きて欲しい、そう言いながら。
 千鶴さんと夏美さんも、同じようにワンワン泣きながら、生きて、と……


 私は生きる、そう決めました。

 説得はされたのですが、それでも最後に決めたのは自分。

 彼の使徒となった私は、それから今日までの間、幾度と無く彼に愛され……、でも、それは私にとって必要な行為。
 私の霊気構造の崩壊を止める為に、私は人としての器を捨て、そして魂の補修の為に大量の魔力が必要となったのですから。





「もう充分ですわ。折角の南の海ですもの、アスナさんと夏美さんを連れて遊んで来てはどうです?」


 私がそう言うと、最後に頬に触れるだけのキスをして、
 真っ赤になっている夏美さんと、頬を引き攣らせているアスナさんを連れて、着替えの為と荷物を置きに水上コテージに行ってしまわれました。

 2人一部屋で使うそこは、それぞれ私とアスナさん、夏美さんと千鶴さん、そして最後に横島さんの3部屋。

 私の荷物はアスナさんが、千鶴さんの荷物は横島さんがそれぞれ持ってコテージに入って行くのを確認すると、私は千鶴さんに傍に来て欲しいと伝えます。

 いい加減、今のままでは不健康極まりないですわ。

 ですから、アスナさんと二人で考えた作戦を発動ですわね。

 夏美さんにも、お願いしとかなければいけませんわね。


 使徒となってから、1日に何度も彼に抱かれている私。
 その所為でしょうか? こうなる前と倫理観が違う気がします。
 簡単に言えば、千鶴さんは横島さんに抱かれてしまえばいいのでは? そう思うのですわ。
 悶々と彼の事を想い悩むより、ずーっと健康的に感じますし、何より、私への罪悪感を少しでも減らす方策でもあります。
 性魔術、それによって彼に魔力の譲渡を行えば、それだけで私の為になるのですから。 


「いいの、あやか……?」

 おずおずと不安気に、小声で私に囁く千鶴さん。
 彼女は、こんな自信無さ気な方ではありませんのに。
 やはりここは……

「ええ、千鶴さん。私に遠慮する事ありませんのよ? 先にあの方を想ったのは、貴方なんですから」

 戸惑いながらも、ハッキリと頷く彼女を見て、これでもう大丈夫と確信しました。

 あの方は、人を癒す天才ですから。

 その後は、化け物に犯された私でも大丈夫かしら? そう呟く彼女に、それは私も一緒でしたわ。そう言って彼女を元気付ける。

 夏美さんに根回しをし、横島さんにも千鶴さんを抱いてあげて欲しいと言っておく。

 まさか、あんな事になるなんて思いもよらずに。
 




 まあ、結果オーライですわね♪










































 顔を赤らめながら励まし見送る夏美に、私は手を振って応えながら、ゆっくりとした足取りで彼のいるコテージへと向った。

 本当に良いの?

 あやかが大変な時に、初恋の胸の高鳴りに浮かれていた汚い私。

 そんな私を彼が愛してくれる?

 死にそうなあやかを放っておいて、血塗れで戻ってきた彼に抱きつき、求めるようないやらしい私なんかを。

 横島さんは、それは化け物の体液のせいだと言ってくれたけど。

 違う、私は確かに欲したのだ。

 あやかの安否を気にするよりも、彼が欲しかった、抱かれたかった。


 そして、今も……

 罪悪感を感じながらも、彼の胸に飛び込む誘惑に勝てない。
 トクトクと高鳴る胸。あの時、媚薬に犯された時みたいに熱く火照る肢体。

 あやかが用意してくれた私の心の逃げ道。

 横島さんへの魔力譲渡。
 その言葉に縋り、彼に抱かれるのは、本当に良い事なの?
 それでも私は……


 彼の泊まるコテージの入り口に着くと、私はコンコンと扉をノックして、

「失礼します」

 そう言いながら中へと入る。

 中は明かりも無く、人の気配が一切ない。
 誰もいない部屋に入ると、私は彼の使うベットに腰を掛ける。
 どこかホッとする自分がいる事に気づく。

 彼が眠るだろうベットにパタンと倒れこむと、私は備え付けの鏡に映る、自分の酷い顔に驚いた。


 ああ、これじゃ皆が私を心配するのも当然だわ。

 そうね、私はあやかを理由にして逃げていただけなのかもね。

 そう思うと、自然と顔から笑みが戻り、クスクスと笑い出してしまう。

 誰もいない彼の部屋で、彼が眠るだろうベットに潜り込み、私は布団に包まれながら幸せな夢を見ようと思う。

 今頃彼は何をしているのだろう?
 あやかとアスナさんの所かしら?
 フフフ、ずるい子達ね。今日は私に譲るって言ってたくせに。
 明日はお仕置きね! 何が良いかしら……


 私はあの惨劇のあった日から、初めて心から笑った。

 そして、そのまま幸せな明日を夢見ながら、ぐっすりと眠りについたのです。

































「ってことなのよ、夏美」


 千鶴は自分の大きな胸の前で、手をパンと鳴らす。

 彼女は満面の笑みを浮かべているが、先ほどから話しかけられている夏美は、ガタガタブルブルと震えるばかり。

 それはそうだろう。なんてったって千鶴の背後からは、何やら黒いオーラが噴出しているのだから。

「そ、そうだったんだぁ、ちづ姉。元気になってよかったね!」


 必死で恐怖を抑えながら、夏美は擦れた声を紡ぐ。

「あら、ありがとう夏美、心配かけてごめんね? でもね? 貴方は今、何をしてるのかしら?」


 ゴ、ゴ、ゴ、千鶴の背後から吹き出る黒いオーラから、瘴気が発せられる。

 夏美は思わず「ヒィッ!?」と悲鳴を上げ、逃げようとするも、恐怖からか他の要因のせいか動けない。

「ち、違うよちづ姉っ!? 私は被害者だよう! 夜這いされたんだよっ!!」

「そう、それは大変だったわね。でもね、夏美ちゃん。だったらなんで彼の胸にスリスリしてたの?」


 そう、彼女は裸の横島のお腹に胸を押し付けるようにして、幸せそうに彼の胸に頬をスリスリし、更に、彼の足に自分の足を絡め、身体を密着させていたのだ!

 スリスリしている時の彼女の顔は、とても幸せそうに緩みきっていて、そんな幸せそうな彼女を千鶴は今まで見た事が無かった。

 ごろにゃーんっと、子猫が甘える様であった彼女は、千鶴と目が合うまでずっとそうしていたのだ。

「え、えっと……、てへっ」


 悪戯がばれた子供のように笑顔で返す夏美。

 千鶴はどこからともなく2本のネギを取り出し、自分の目の前でクロスさせる。

 シャッシャッシャッ……

 ネギとネギを擦り合わせる千鶴。

 夏美は千鶴が何をしようとしているのかは解らない、理解出来ない。

 でもこれから起こるのが、自分にとって最悪の惨劇である事だけは解った。

 体の振るえが止まらない。

 ゼェゼェと何故か呼吸が荒くなってくる。

「ね、ねぇ、ちづ姉? 何をしているの?」


 夏美の問いかけに、千鶴は心底楽しそうな笑みを浮かべる。

「2人とも一晩中裸でそうしてたのよね? 風邪をひいてはいけないわ」


 そしてゆっくりと、2人が重なり合うベットへと近づいてくる。

 寝た振りをして誤魔化そうとしていた横島も、余りの恐怖から背中が汗でぐっしょりと濡れる。

 
 助けて! 誰か助けて!!

 2人の心からの救済の願いは、どこに届く事もなく。


 シャッシャッシャッ……

 ネギの擦りあう音が、こんなにも恐ろしいなんて。

「風邪の時はね、ネギをお尻に刺すといいらしいわよ? 温熱効果が高まって……そうよね、寝たふりしている横島さん?」

「ギックゥ!?」

 ビクンとする横島。

 それを見て、更に笑みを深める千鶴。

「さあ2人とも、プッスリ逝きましょうか……。大丈夫、私なんかふとーい触手にお尻を犯されたけど、今はとっても元気だわ。ネギの1本や2本、平気よね?」


 2人は必死で起き上がり、逃げようとするも、絡み合った足が邪魔で逃げ出せない。

 そんな2人のすぐ側まで来ると、千鶴はネギを天高く掲げた。

「いやーーーーーーーっ!? ちづ姉、ゆるしてぇーーーーーーーーーーっ!!」
「いややーーーーーーっ!! そんなんワイはいやじゃーーーーーーーーっ!!」

































「おはようございます、アスナさん」

「おはよ、あやか」


 すっきりと晴れわたり、今日も良い1日が送れそう。

 2人はベットから起きると、窓から覗く澄み渡る青空を見てそう思った。

 今頃、彼と千鶴は良い朝を迎えているのかしらね?

 2人はチクンとする胸の痛みを誤魔化し、それでも友人が元気になってくれれば良いのに、そう思った。

 そう思ったその時、どこからともなく聞こえてくる男と女の絶叫。




 いやーーーーーーーっ!? ちづ姉、ゆるしてぇーーーーーーーーーーっ!!
 いややーーーーーーっ!! そんなんワイはいやじゃーーーーーーーーっ!!




「何ですの?」

「さあ? ろくでも無い事だってのは分かるけどね?」


 二人はそのまま笑い合う。


 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さ、朝ごはんの用意するわね」

「手伝いますわ、アスナさん」





 そして、長い長い、この世界に来て、まだ学校行ってないけど、初めての夏休みが本当に始まる。

 のほほんと過ごす毎日が、今日から始まる。








[11660] まほらのほほん記 第3巻   エロ有り(あやか)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/02 15:36

 人っ子一人いない白い砂浜の波打ち際で、アスナは紺の競泳水着を身につけながら、禍々しい気配を発する自らの右腕を見つめる。

 赤い小手の様な物に包まれた右腕。

 もしもここに勘九郎が居れば、心底驚き、そして喜んだだろう。
 それは雪之丞が最後に見せた力。
 名も知らぬ最後の技、それが弟子であるアスナに引き継がれたのだから。

 今、彼女が発しているのは魔力では無く、気でも無く、ましてや咸卦の気ですら無かった。
 霊力、もしくは魔族の使う力『魔力』
 それを全身から発し、赤い小手の型に収束させている。

 そして海に向って構えると、気合と共に拳を突き出した。

「セェアッ!」


 拳の先から霊力による衝撃波が撃ち出され、それが海面に叩き込まれると、バシャーーーーーーンと大きな水柱を上げた。

 それは天高くまで上がったが、アスナは軽く溜息を吐きながら、

「咸卦法に比べると、威力が小さいわね……」ぼそっと呟く。

 アスナは『あの時』、霊力が発現してからというもの、咸卦法が使えなくなってしまった。

 霊力は妖魔に特効的な効き目がある力だが、純粋な破壊力でいえば咸卦法には遠く及ばない。
 発動しただけで肉体強化、加速、物理防御、魔法防御、鼓舞、耐熱、耐寒、耐毒、その他諸々が上がる究極技法。
 霊能が発現してまもない今のアスナでは、霊力だけでは能力の底上げは出来やしない。

 何より咸卦法は、ガトウとの絆の様なもので、彼女にとってそれが使えなくなるのは何だか少し後ろめたい。

 とは言え、元来深く物事を考えるのが得意ではない彼女。

 目を瞑りながらウーン、ウーンと少しばかり悩んだ物の、すぐに、

「まあ、いっか!」と言って右手の小手を消すと、んーっ! とバスト83まで育った胸を誇示する様に突き出し、大きく伸びをする。

 空を見上げると、日の高さで丁度お昼に近いことがわかる。


 そろそろ昼食の用意しなきゃ。


 近くに置いてあったバスタオルで汗や海水で濡れた身体を拭うと、のんびりと皆が待っているだろうコテージへと向う。
 頬を染め、うっとりとした表情を浮かべながら。

 彼女はここ最近、事あるごとに思い返す光景がある。

 『あの日』に見た、彼を。

 緑服の魔法使いの返り血に染まり、凄惨で酷薄な笑みを浮かべた彼を。

 その姿を思い返す度に、彼女は体が火照り、胸が高鳴って仕方ない。
 まるで初恋の様なトキメキ。

 アスナはあの時、初めて彼に恋をして、彼をただ一人の異性として愛してしまったのだと。
 今までの想いが、仲間外れを嫌がった子供の行動なんだと思い知ってしまった。
 それに気づいて以来、彼女はまともに彼と目を合わせられないのだ。
 彼は怖がらせて嫌われたと思っているのだが、アスナは恥かしくて照れ臭くて、大好きで、如何し様も無くって。
 目が合う度に顔がボンって赤くなってしまい、胸のドキドキが止まらない。

 そして何度も思い返す、あの冷酷な笑みを。

 いつもの優しげな笑みはモチロン大好きだ。
 でもアスナは思うのだ。これがギャップ萌えなんだって。
 いつもは優しげで、馬鹿ばっかやって笑いが絶えない彼。
 あの時見せた彼の姿は、それとは真逆で。

 彼のそんな姿は、家族であるタマモや愛子やシロはもとより、あの美神やおキヌですら見た事が無い。
 彼女達が知らない彼の隠された一面を知った、そんな優越感もある。



 アスナは『あの日』の事を、熱い溜息を吐きながら思い返す。

 魔法無効化能力に完全に対応され、タカミチの足手まといとなってしまったあの時を……

















  まほらのほほん記  第3巻  初恋



















 アスナとタカミチは追い詰められていた。

 横島が来るまでの間の時間稼ぎ、それだけでいい筈なのに。

 既に神通棍は折られ、銃に仕込んだ精霊石弾頭は尽きた。

 アスナの魔法無効化能力で、一時は優位に立ったものの、瞬く間に対応されてしまった。

 初めの内は緑服の魔法使いの魔力防御を掻き消し、そこをタカミチの居合い拳で攻撃しダメージを与え、少しづつだが確実に自分達が優勢であった。

 だが所詮は不可思議な力を掻き消すだけの力。
 魔法や気による攻撃や防御を無効化出来ても、それによって生じた衝撃波や、巻き上げられた石などの物質を無効化出来る訳ではない。
 同格の相手ならば決定力となったその力は、圧倒的な実力差がある場合、相手にとって少し面倒なだけ。

 徐々にだが確実にアスナとタカミチを追い込んでいく。

 なのに、今だあの魔法使いは本気を出しておらず、明らかに面白半分だ。



 アスナはそんな中、勘九郎に言われた言葉を思い出す。

 雪じいちゃんは、魔力も霊力も無い状態で勘九郎を殺したと。
 それは霊力を超えた、魂の力なんだと。

 もちろん、自分がそこまで出来るとは思っていない。
 霊力をマトモに使えない今の自分。

 だけど……


 アスナは思い出す。いつも雪之丞に言われていた言葉を。

 力の流れを感じろ! 力を集中させろ! 魂を燃やせ! 一番大切で守りたいものを思い出せ!!


「雪じいちゃん……」

 アスナは小さな声で、彼女の師の名前を呼んだ。
 そして自分の右手に力を集中させ、凝縮させる。
 もしも勘九郎が見たらこう言っただろう。
 それは、雪之丞の最後の業。
 名も知らぬ彼の奥義だと。


 それは魔装拳。雪之丞が対横島戦の為に編み出した最終奥義。




 アスナから発せられる力に、驚愕するタカミチと緑服の魔法使い。

 それは横島忠夫のみが用いる異世界の技術、霊力。

「ハハハハハハハハハッ!! もしかして、君はヨコシマの関係者なのですか?
 フフフ、風の噂では、無謀な魔法実験の失敗で、お亡くなりになったと聞いていたのですが。
 ククク……、アーーーーーッハハハハハハハハハッ!! 愉快だっ! これで、これでヤツを僕自身の手でっ!」


 狂った様に笑い、嗤う緑服の魔法使い。

 アスナはそんな彼を無視し、タカミチにそっと告げる。

「今から全力の一撃を撃ち込むわ。だから、後はお願い」

 頷くタカミチを視界の端に捉えると、アスナは気合を上げ相手の懐を目指して突っ込む。

 考えるより先に突っ込め! 雪之丞の無謀な教えそのままに。

 その無謀とも言える突進をサポートするべく、タカミチは居合い拳の弾幕をはる。

 アスナは右に左にとジグザクに相手に詰め寄り、

「ハアアアアアアァァァッ!!」

 右腕に纏った赤い霊力が一点に収束し、アスナは緑服の魔法使いに向って一撃を放つ。

 タカミチもそれに合わせ、全力の豪殺居合い拳を放つ為に、高く飛び上がり射線を確保する。

 緑服の魔法使いは、当然アスナとタカミチの攻撃を読んでいた。

 我武者羅の攻撃など、自分に通じる筈等無いのに、と。

 残酷な笑みを浮かべながら、彼は迎撃の為の一撃を放つ。

 いや、放とうとした、その時、

 突然彼の胸の中央に、ズブリ、と音を立てて、血で真っ赤に染まった腕が生える。

「ガハッ!」

 口から大量の血を吐き出す緑服の魔法使い。

 ポカーンとするタカミチとアスナ。

 その手には黒く光る球体が握られ、ポタポタと血が滴り落ちる。

 それを成したのは、邪悪な笑みでニヤつく一人の男。

「ここがお前の終わりだ。テメーにゃ極楽は勿体ねぇー! とっとと地獄へ逝きやがれっ!!」


 そのまま腕を引き抜くと、ドンと無造作に緑服の魔法使いの背中に蹴りを入れた。
 蹴りを入れられ、ふらふらと前のめりに倒れるラプシィア・ルン。

「まさか、こんな簡単に、僕が……」


 呆然と、納得できない様子で呟く彼に、

「油断しすぎだバーカっ!!」


 最後にそう言って、手に握る黒い球体をグシャリと握り潰す。

「セ…リカ……、ち……さ、僕の……み、らい……」


 灰となり、風に吹かれ消えていくラプシィア。

 彼の目的は結局何だったのか?

 タカミチは知らないし、知りたいとも思わない。
 何より彼が邪悪な存在で、本当の実力を発揮されれば自分の命は無かったのだろう。

 そう確信していた。

 でも、これはちょっと無いんじゃないですか、忠夫さん?

 そう言いたいのをグッと堪え、今もここをモニターしている同僚達に、戦闘終了の合図を送った。

 そして10年ぶりに会ったというのに、開口一番、「老けたな、お前」
 そう言ってくる彼と、楽しく言い合いをしようとタカミチは決めた。

 まさか、先に逃がした筈の自分の生徒が、あんな酷い事になっているとは思いもよらず。




































 アスナは映像付きで思い出すと、

「いや~ん♪」

 と真っ赤になりながらクネクネと体をくねらせる。

 結局、あの時発現した霊能はまったく無意味であったが、正直どうでも良い位にあの姿に見惚れてしまった。

 恋する乙女の表情で、ぽ~っといつまでも彼を見詰めていた位に。

 タカミチ辺りは卑怯過ぎて笑っていたが、アスナはあの時の横島を思い出すだけで何度でもいける。色々と。

 熱に魘されたような頭で、しばらくクネクネしたり、ハァハァしたりしていると、

「何やってんの? アスナ……」


 夏美の呆れた声。

 アスナは夏美が呆れた様子でこちらを見ているのに気づくと、先ほどまでとは違う意味で、顔を真っ赤にした。

「え、えと……見なかった事にして……」


 手にしたバスタオルで全身を隠すと、ペタンと地面に座り込んだ。

 顔を真っ赤にしてアワアワとしているアスナを見て、夏美は気づいてしまう。

 アスナが女として濡れている事に。

 ボンッと赤くなる夏美。

 彼女が『何を』していたかは知らないが、『何を』考えていたかは良く分かる。

 だって、自分もそうだから……

 昨夜『女』になったばかりの夏美も、同じように彼の事で悶々としていたのだから。

 今、ここから見えるコテージの軒先で、自分を夜這いして女にした罪で逆さ磔になっている彼を想って。

 だがしかし、磔といっても辛そうには見えない。

 ここから見ても、顔がだらしなく緩んでいる。

 千鶴にあれこれ世話されているんだから、罰にはなっていないんだろう。

 今日の千鶴のはっちゃけぶりは、正直言って酷い。
 昨日まであんなに塞ぎこみ、鬱々としていたのが嘘のように積極的だ。
 大胆にカットされた水着で、ベタベタ、イチャイチャ。
 その水着の隙間を覗こうと必死な彼。
 それを分かっていて、見せ付ける様にワザとあの反則級の胸を寄せ上げたり押し付けたり。

 あやかはあやかで千鶴の元気な様子にホッとしたのか、特に咎める事も無く、微笑みながら見守っている。

 夏美は、そんなあやかに感心する様な呆れる様な。


 嫉妬しないのかなぁ~?


 そう思うものの、問いかける勇気も無く、取り合えず見なかった事にして、そろそろ昼も近いんでアスナを迎えに来たのだ。
 なのに、迎えに来たら来たで、アスナも千鶴と同じ様に色ボケしてるし。

 そんな事を考えてる夏美も夏美で、千年の恋も冷めるような彼のだらしない顔の緩みを、微笑ましく思っているのだから充分色ボケだ。

 そんな中、一番しっかりとしているのがあやかなのだが、魂の修復の為とはいえ、毎日抱かれている以上、他の面々と大差ない。
 それでも爛れる事が無いのはクラス委員長としての面目躍如か?


 アスナは頬を赤く染めたまま、

「お昼の用意するわよ。夏美ちゃんも手伝って」


 言いながら立ち上がると、夏美の答えを待たずに小走りで横島達が待つコテージへと、スタスタ行ってしまう。

 夏美はそんなアスナをクスクスと笑う。
 笑いながら、彼女の後をヒョコヒョコと少しガニ股歩きで追いかける。

 アスナはそんな夏美をチラリと見ると、

「まだ痛いの?」

「ああ、うん……。何かまだ入ってる感じがして……」

 エヘヘ、と少し恥かしそうに。

 2人は赤く染めた頬を互いに見やり、プッと笑い出す。

 お互いに、とんでもない女誑しを好きになっちゃったね、と。

 一頻り笑い合うと、アスナは昼食のメニューについて話し出す。

 互いの男の趣味の悪さは、これから1ヶ月の間ずーっと一緒なんだから、いくらでも話せるし。

「ピリ辛エビチリソースなんてどうかな?」

 夏美はウッ! と両手でお尻を押さえる。

「しばらく刺激物はやめて~」

 さっきまで真っ赤だった顔が一気に青ざめる。

 そして、朝の惨劇を思い出したのか、ガクガクと震えだした。

 アスナはソレを見て、何があったの? とは思ったが、ろくでも無い事には違いないわね。
 と、あっさりスルーする事に。

 ただ、一応聞いてみようかな、とは思う。

 もしかして、彼に後ろで抱かれた……なんて事があるかもしれないから。

 アスナは信じたい、横島を。

 何より、夏美の反応を見る限り、そうでは無いと思うけど。

 結局アスナは、今日の昼は素麺にする事にして、やっぱり夏美に深くは聞かない事にした。

 藪を突いて蛇を出す訳にはいかないから……







 その後、5人で昼食をとり、日が落ちるまでの間、他愛も無いお喋りをしたり、横島達が来た世界の話をしたり。
 あやかと夏美と千鶴は、神様が本当にいる世界の話に興味津々。

 いつか、行ってみたいと想いを馳せる。

 もっとも、あやかは行く事が決められているのだが。
 本人も、もちろんソレをしっかり理解している。
 いつの日か、必ず来る別れを……

 

 夕陽が海に落ちて行くのをロマンチックに眺めながら、4人の少女は横島に甘えるようにしがみつく。

 横島は少女達の柔らかい体に鼻を伸ばしながら、これから先の幸福な生活に思いを馳せた。


 すでに目的は達成し、後は帰るだけなのだ。

 その為に必要な魔力を補充しつつ、この世界でのんびり過ごそう。

 今はその魔力を湯水のように使いまくってるが、これはまあ仕方ない。

 あやかの霊気構造の修復のためだし、横島的にも役得だ。

 そのせいで帰るのが遅くなっても、まあいいだろう。

 それに帰ったら仕事で暇は無くなるんだし、長いバケーションだと思って、5年ほどのほほ~んと。

 まずはこの南の海で1ヶ月はだらだらと。


 こんなダメ人間横島。

 だが、彼の周囲にいる少女達が、それを許す筈が無い!


 アスナは横島が目的を達成したと知ってるから、自堕落生活に入るのを止めるだろうし。
 実際、タカミチを通して関東魔法協会理事、近衛近右衛門に仕事をくれる様にお願いしている。
 あやかも短い付き合いで、横島が如何言う人間なのかあっさり理解し、雪広グループで何か仕事を回すように手配済み。

 そんな事とは露知らず、この先の自堕落な性活に期待を込めながら、横島は機嫌よく夕陽を眺める。

 
 日が完全に落ちると、5人はコテージの中に戻り夕食をとる。

 そして食事を終えると、横島はあやかの腰に手をやりながら、自分の部屋へと戻っていった。

 アスナは解る、この後の横島の行動を。

 一緒にお風呂→ベットイン

 湧き上がる嫉妬。それは夏美と千鶴も同じ様で。

 でも仕方ないのだ。これは治療なのだから。

 ここに滞在期間中は、あやかが一番なのだ。

 朝や昼に性魔術を行うなら、自分達が彼と夜を過ごす事も出来るだろうけど、昼間っからそんな爛れた生活を送るのは、あやかも早々ないだろう。

 それでも少ないチャンスを活かす為、3人の少女は協議に入る。

 これから1ヶ月の間、仲良く過ごすために。























「あっ! あっ!! あぁああーーーーーーっ!!」


 横島があやかの胎内に先端を刺し込んだだけで、あやかは達してしまったのか、その身を細かく震わせた。

 まだ乙女の証を失ってから数日しか経っていないそこは、彼の肉棒を痛いほどに締め付ける。

 あやかの中で悦楽は、身を蝕むように侵食していき、彼をもっと感じようと、手と足を彼の体に絡めつかせた。

 密着する事によって、彼の肉棒を自分の胎内の奥深くまで迎え入れると、あやかは強く横島を感じ、とても幸せな気持ちになる。

「ひゃあぁあっ、んんあ!? もっと、もっと私を感じて下さい!」


 横島はあやかの言葉に衝き動かされるようにして、激しく腰を動かしていく。

 奥の奥、子宮口を抉るように、何度も肉棒を突きこむ。

 その度にお嬢様然としているあやかは大きく喘ぎ、その反応をもっと見ようと根元まで突き入れると、横島は腰の動きを止める。

「すっかり俺のモノに馴染んできたな、あやかのココ」


 横島の言葉にあやかは耳たぶまで赤くすると、恥かしいのか顔を横に向け、

「横島さんの所為ですわっ!?」

 と、可愛く怒りの声を上げた。

「毎日してるとは言え、凄い濡れ様だぞ、あやかの中は。ワイの事がそんなに待ちきれんかったんか?」

 冗談めかして横島がそう言うと、あやかは横島の背中に回した腕に力を込めて、

「そうですわ。待ちきれなかったんですのよ、貴方にこうされるの……」

 そう言って、彼の首元に顔を埋めた。

 今度は横島が顔を赤らめる。

 こんな風に言われたのは初めてだったから。

 言葉に詰まってしまった横島に、あやかは、

「大好きですわ、私の主さま」

 横島の肉棒を、膣肉できゅきゅっと締め上げる。

 ウッ! と呻き声を上げる横島の赤く染まった顔を、両手でフワッと包み込むと、あやかはそのまま彼の唇を貪り始めた。

 いつもとは違い、自分からの攻めに興奮するあやか。

 実は受けの方が好きな横島。

 それでも男として、セックスを覚えたての少女に負けられんと、あやかの甘い唇から強引に離れると、一気に腰を引いた。

 そして一気に奥まで突き入れる。

 それを何度も繰り返していく。

「ふぁああっ! あぁあ~っ!!」

 あやかの甘い声に脳髄を痺らせながら、キツく締め付けてくる肉壁を、肉棒の挿入でほぐしていく。

「あぁっぁ、ふぁぁあっ、あっ……よこしま、さん、んっん~!」

 そろそろ限界なのか、あやかは横島の背中に回した手を、ぎゅうっと強く強く抱きしめる。

 そして横島の頬にキスをすると、

「も、もう、ダメですわ! くぅ、あぁ、あぁああーーーーーーーッ!!」

 ビクビクンっと何度も体を振るわせ始める。

「好きだぞ、あやか……」

 軽い絶頂を繰り返すあやかの耳元で、ボソッと囁く横島。

 あやかは驚き、大きく目を開くと歓喜の涙を頬に伝わせる。

 そして、その言葉だけで気をやってしまったのか、次の瞬間、弓なりに体を仰け反らせ、悲鳴のような嬌声を上げた。

「やぁあ、あっ、あはぁあああーーーーーーーーーーーっ!!」
「うぅ、くっ!!」

 横島も同時に頭を真っ白にする。

 尿道から噴出す精液が、あやかの子宮を満たし尽くしていく。

「あっ、ああ。熱いのが満たしていきますわ……。いっぱい、いっぱい私の中にぃ……」

 横島の体から霊力が迸り、あやかの肢体を駆け巡っていく。

「あり、がとうございますわ。わ、わたしの中に、注いでくださって……」

 それは魔力の事を言っているのか、精液の事を言っているのか、横島には分からない。

 でも、ここまで満足したのはいつ振りだろうか?

 たった一度のセックスで、ここまで満足するなんてな、この煩悩魔神の俺がよ。

 横島がそんな事を思っていると、

「どっちもですわ、横島さん」

 さっきの疑問に、そう答えて笑うあやかの顔に見惚れてしまう。

 そして再び滾ってしまう肉棒。

 あやかは目を丸くして驚くと、腰を少し上げて横島を受け入れやすい体勢をとった。

「良いですわよ、もう一度しても……」

 優しく微笑むあやかの前髪をかきあげ、額を触り、頬を撫でる。

 あやかは、うっとりとした顔で心地よさそうにし始めた。

「いんや、今日はもういい。これ以上したら、あやかの体に悪影響が出るかんな」

 そのまま腰を引くと、ギュポッと音を立ててあやかの膣内から肉棒を勢い良く抜き出す。

 トロリと自分の中から零れ落ちていく体液を感じながら、あやかは横島の腕の中に潜り込む。

「霊気構造が完全になりましたら、貴方が満足するまで頑張らせて頂きますわね」

 フフフと、艶然と笑いながら、あやかは横島にそう言った。

「そんときゃ、朝までどころか昼までやっちゃる!」

「はい、横島さん……」


 ギュウっと強く抱きしめられながら、次第に意識が遠くなって行くあやか。

 そのまま眠りにつきながら、彼女は横島の顔を盗み見る。

 月明かりに照らされた、大きな悪戯っ子の顔。

 優しく、暖かい気持ちで胸が一杯になっていく。

 趣味がショタ気味な自分が、初めて真っ当に恋をしたのだと、あやかははっきりと理解した。

 生まれてこなかった弟を想って、その変わりに小さな男の子を愛でていた自分。

 そんな自分が……


 でも、あやかはこう思う。

 彼は大きな子供で、
 もしかして、趣味が変わった訳では無いのかも知れませんわね。

 
 
 そんな事を最後に思い、いつまでも大きいままの彼の分身にゴメンなさいを言って、意識が途切れた。

 
 






























 後書き

 アスナの魔装拳は、雪之丞が使った時の10分の1程度です。
 現時点では、魔装術を使ってる訳でもありません。
 何か変な固有の霊能だと、アスナは思ってます。



[11660] まほらのほほん記 第4巻   エロ有り(アスナ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/02 15:37





 影を身に纏い、私は果てる事無く仮想的『横島忠夫』を刺し貫く。
 操影術を極める為に。
 何度も何度も……
 使い魔を召喚し、四方から斬撃、素早く追撃の風の矢。

 ……ダメ。こんなんじゃ、全てをかわされ逆に反撃を受ける。

 あの日、あの時見た彼、横島忠夫が相手では……


















 苦り切った顔で、モニターが映す画像を睨みつける学園長。

 喧々諤々に騒がしいこの司令室で、私は生まれて初めて地獄を見た。
 血飛沫が上がり、腕や足が宙を舞い、無念そうな顔が血塗れで此方を睨む。
 腸が腹から飛び出て、化けものの尖った口先がグチャグチャと音を立てながら喰い散らかす。
 隣に居たはずの愛衣は、片手で口元を押さえながら、吐き気と必死で戦っていた。
 彼女のクラスメイトである眼鏡の娘は既に意識を失い、床に倒れ込み、それを心配そうにする者すらいやしない。

 皆、精神の許容を超える、この現実と戦っているから。


 虹彩色の化け物の強さと残忍さ。
 それを使役する緑服の魔法使い、ラプシィア・ルン。
 彼と戦っている、学園長に続く実力を持っている筈の高畑先生は終始押され気味で、それは、見守る私達にとって絶望的な現実。

 ラプシィア・ルンと言えば、20年前の大戦の折、アリアドネーの魔法騎士団を壊滅寸前まで追い込んだ男。

 魔物を、人を操り、強力な魔法で攻撃してきた謎の青年。
 『無音拳』ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグと、テオドラ皇女が率いた真竜によって撃退され、その後、各地で犯罪行為を繰り返す一級の賞金首。
 賞金額が『闇の福音』と同額の、最強クラスの邪悪な魔法使い。


 そのラプシィアが使役する虹彩色の化け物が、中等部の女生徒2人に襲い掛かった。

 腹を触手で貫かれ、喰われ、そして犯される少女達。

 ギリギリと歯軋りを鳴らす学園長や先生達。
 私は恐怖で身体が動かない。
 『立派な魔法使い』になる目標なんて、捨ててしまいたくなる程の情けなさ。

 この程度の物なの!? 私の夢は!! 

 私はこの戦場へと向う勇気を搾り出そうと、何度も震える足を叩く。
 それを見た愛衣は、涙目で首を振りながら私を止める。
 行けば、死ぬ。それは確定された未来。

 あの場で腸を喰われた先生方は、今の自分よりも遥かに強い。
 そんな人達があっさりと蹂躙されたのだ。
 自分が行っても、犠牲者が一人増えるだけだろう。

 それでも私は行かなくてはならない。
 魔法使いの誇りにかけて。力無い人々を守る力となる為。
 その為に辛い修行を重ね、ここまで来たのだから。

 私はようやく震えが収まってきたのに気づくと、キッと顔を上げ、声を張り上げようとする。
 あの戦場に赴く為に。
 せめて、あそこで襲われている少女達を助け、逃がす為に。
 高畑先生に続く実力者の、葛葉先生方が駆けつける時間ぐらいは稼いでみせる。

 そう思い、声が咽まで出かかったその時、

「ワシが行く。後は頼むぞい、明石教授」


 学園長の声が司令室に響き渡る。
 顔色を変えて止めに入る明石教授。

 この地で最強の魔法使いの投入を、何故止めるのか?

 簡単なこと。
 彼が倒されてしまえば、全てが終わってしまうのですから。
 この、極東の地の最高責任者が倒れると言う事は、この地が落とされたも同然。
 軽々と出て貰っては困るのだ。
 それでも、それしか無い位、私達は追い詰められているのだ。
 高畑先生だけが頼りだが、彼はこのまま行けば、間違いなく敗れる、あのラプシィア・ルンに。
 せめて彼をサポートできる実力者がいれば……

「あの化け物を倒し、高畑君と合流、ラプシィアを殲滅する」


 いつもはお茶らけてばかりの学園長のマジメな声に、私達の気が引き締まる。
 あの長い頭が誇らしく感じる。多分、幻想ですけど……

 学園長が皆を見渡し、さあ、出陣、と言う所で、新たな侵入者の報告が入った。

 世界樹の天辺に突如現れた男と女。

 この場にいる学園長を除く、全ての者が絶望する。
 既に対応できる者が居ないのだから。
 このタイミングで現れる侵入者。弱いとは思えない。
 何が目的? ラプシィアの仲間?

 
 ……私が行こう! 学園長と高畑先生が、化け物とラプシィアを殲滅するまでの時間稼ぎ位はしてみせる!!

 そして、今度こそ名乗り上げようとしたその時、

「助かったわい」


 心底ホッとした様子で、ドカッと椅子に座り込む学園長。

「何者なんですか、学園長」


 明石教授が皆を代表して質問する。

「横島忠夫じゃ。紅き翼のワイルドカード。高畑君の兄貴分。そして、この世界唯一のゴーストスイーパーじゃ」


 横島忠夫? 聞いた事がある名前。
 紅き翼の汚点などと呼ばれる恥知らず。
 ワイルドカードなんて呼称は初めて耳にする。
 無謀な魔法実験の失敗で、連れていた少女を巻き沿えに、次元の彼方へと消え去った愚か者。
 ゴーストスイーパーが何なのかは解らない。
 それでも、学園長が信頼するからには、噂とは違うと言う事なの?

 この場にいる、学園長を除く全ての者が、不安と期待が入り混じった表情を浮かべ、モニター越しの彼を注視する。
 横島忠夫と少女は分かれ、少女は高畑先生の下へ降り立ち、そして彼は化け物に犯されていた少女達を容易く助け出す。
 その間、3分も掛かっていない。
 そして次の瞬間には、化け物は火柱に呑まれ死んでいた。
 天まで高く昇る火柱を見ながら、私達は驚愕する。
 魔法先生方を蹂躙した化け物を、容易く切り裂き燃やし尽くす。
 それはどれ程の実力者だと言うのでしょうか?
 時間が止まってしまった私達に、学園長は素早く指示を出す。

「医療班はあの少女達の確保。急ぐんじゃ!」


 ハッとする私達。

 治療魔法の得意な者は駆け出し、それを護衛する者が後を続く。
 モニターの中では、高畑先生と横島忠夫の連れの少女が、ジリジリと押されている様子が分かる。
 それでも私達に絶望はもう無い。
 あの男が駆けつければ、勝利は間違い無いのだ。
 そう信じさせる物があるのだから。
 それはスグに現実となる。
 ただそれは、私たちが欲した勝利の仕方とはかけはなれた物でしたが。

 
 背後から不意打ちでラプシィアの胸を貫き、邪悪な笑みを浮かべる彼を見て絶句する。
 凄惨で、残酷で、酷薄で、冷徹。
 血に塗れ、どちらが悪役なのか分かりはしない。


「フハハハハハハハ! 相変わらず訳の分からないヤツだ。なあ、じじい、そうは思わんか?」


 何時から其処にいたのだろう。
 闇の福音が高らかに笑う。

「そうじゃのう。木乃香の婿になってくれるとありがたいんじゃが。さぞや強い子が生まれるじゃろうて」


 フォッフォッフォッフォッ、笑いながら学園長は言う。
 心底楽しそうに。

「死にぞこなったな、じじい」

「オヌシも付き合ってくれたんじゃろ?」

「ふんっ!」 


 暖かく、どこかホッとする空気が二人の間を流れる。

 そんな二人のやりとりに軽い驚きがあるモノの、私はジッと横島忠夫を睨みつけた。

 彼は、邪悪だ!

 私の中の何かがそう囁く。
 立派な魔法使いとは相容れない、そんな悪だと。
 喜びに湧く皆の中で、私は一人、ギリギリと歯軋りを鳴らしながら彼を睨み続けた。

「凄い方ですね、お姉さま!」


 愛衣の言葉に適当に答えながら、私は……

 私はいつかあの男をこの手で倒す。

 そう誓いを立てた。

 高畑先生と談笑しながら、襲われた少女達の下へと向かう、あの男を。
 汚点と呼ばれるに相応しい、あの卑怯で卑劣な男を。
 私の想い描く理想とかけ離れたあの男を。
 嫉妬なの、この感情は? 私が持ち得ない凄まじい力を持つ、あの男への?

 それでも、それでも私は……


 キャアキャアと騒ぎ、今だ興奮冷め止まない愛衣をそのままに、私は静かに部屋を出た。

 強くなる為に、あの男を越える強さを手に入れる為に。
 一分一秒が惜しく感じる。
 手をギュっと握り締め、歯を食いしばり、目を吊り上げて。
 残忍で狡猾なあの男の顔を想い浮かべながら、私は向う。

 強く、強く成る為に……


















 あれから数日が経ち、私は今でも鮮明に、あの残忍で邪なあの男の顔を思い浮かべられる。

 邪な男、横島忠夫。

 いつか必ず世界に仇なす存在。
 その時、必ず私が彼の前に立ち塞がり、そして倒してみせる。

 この私、高音・D・グッドマンが!

 私は誓いを立てると、辺りに人の気配が無いか確かめる。
 そして、身に纏った影を解除すると、裸身になった私は火照った身体を夜風で冷やす。
 傍で見ていた愛衣が、慌てて私にバスタオルを被せ、私は小声で、

「ありがとう、メイ」


 そう言いながら、汗を拭い、制服を纏う。
 大切な私の妹分、大切な私の従者。
 彼女はあの日から、よりもよってあの男なんかに心惹かれている。
 この大切な妹を守る為にも、私があの男を倒さねば。

 私は彼女の頬を優しく撫でる。

 あの男を思い出す度に、怒りと敵意で火照る身体を冷たい夜風で冷やしながら…… 












 













  まほらのほほん記  第4巻  やっぱヨコアス


























 私は昨日と同じように、海に向って霊波砲を撃つ練習。
 いつの日か、あの勘九郎をブッ倒す為の修行。

 そうじゃなくても、彼の第1使徒として恥かしくない強さを手にする為には、日々精進が必要なのよ!

 まあ、忠夫と顔を合わせるのが恥かしくって仕方無いってのもあるけどね。
 私が放った霊波砲が海に飲み込まれ、ずどぉーんと昨日より若干高い水柱が上がる。
 ついでに悲鳴も。

「あんぎゃーーーーーっ!?」


 水柱から飛び出る人影。
 まあ、忠夫なんだけど。
 何で? そんな風に思っていると、忠夫はそのまま砂浜に頭から突っ込んだ。
 逆立ちの体勢で、頭だけ砂に埋まった忠夫。
 ビクンビクンと痙攣している。

「た、忠夫っ!?」


 私の心配する声が聞こえたのか、忠夫は勢い良く頭を抜いて、私と向き合う。

 そして、

「イキナリ何すんじゃーーーーっ!?」


 と抗議して来た。

 私はそんな忠夫の顔を見て、ボンと顔が赤く染まったのが分かる。
 挙動が不審になる。動悸が激しくなる。息が荒くなる。
 それでも私は、普段の私通りに振舞おうとした。

「何であんなトコにいんのよ!」

「夏美ちゃんと千鶴ちゃんの着替え覗いてたら見つかった。んで、あやかに縛られて海に沈められた」


 話しながら、俯き加減になってしまった真っ赤な私の顔を覗き込んでくる。

 それをビターンと平手で叩き落し、

「頼めば見せてくれるんじゃないの? なんでワザワザ覗きなんてバカな事すんのよっ!」

「アホかーーっ!? 覗きで見るんと見せてくれるんとは違うわ、ボケーっ! お前には漢のロマンが解らんのかっ!?」

「ワ・カ・ル・カーーーーーーーーっ!?」


 私の右腕が唸る。
 赤い小手、忠夫が魔装拳と名づけたこの腕で、私は全力の一撃を忠夫の左頬に叩き込む。

「げふぉっ!」


 そのまま海にバシャーンと沈んでいくものの、次の瞬間、無傷で立ち上がった。

「痛いやないかーーーっ!?」


 抗議する忠夫を呆然と見る。

 別に殺したかったとか、怪我させたかった訳では無いんだけど、無傷?
 私の全力が、無傷?
 ああ、私の実力って、忠夫に傷一つつけられないの……
 絶望の面持ちで、私は砂浜にガックリと手をつけた。
 そんな私を心配したのか、海から上がって私の傍まで来ると、優しい手つきで頭を撫でてくれる。

「どうした急に。腹でも痛いんか?」


 前言撤回。デリカシーの欠片も無いわ、この男。
 そんなトコも好きだけど……

「ち、違うわよ! 私の全力を受けたのに無傷なんだもん、忠夫……」

「ああ、無傷と違う。ギャグ時にはすぐ回復すんだ。知らなかったんか?」


 右手をパタパタしながらマジメに言ってる。
 何よそれ? 

「そんな事より、ようやく普通に話してくれたな、アスナ。ワイの事、嫌いになったんかと思ったわ」

「ふえっ? なんでそうなるの?」

「いや、最近マトモに目ぇ合わせてくんなかったろ?」

「ち、違うよ! 忠夫の顔が、かっこよく見えて……」


 語尾に近づく度に、段々とボソボソと小声になっていく私。
 両手の指を合わせてモジモジ。

 恥かしくって恥かしくって、もう顔上げられないよー。
 そんな熱くなった私の頬に手を添えて、忠夫は心底ホッとしたって顔でこう言った。

「何だ、ホッとした。ずっと不安だったかんな」

「ご、ごめんなさい。でもね、あのね、その……」


 何か言おうとするも、私は上手く言葉に出来ず、近づいて来る忠夫の唇に意識を取られる。

 そして、少し海水でしょっぱくなった彼の唇が、私の唇を覆った。



























 横島はアスナに口付けする。
 唇を割ってゆっくりと舌を滑り込ませる。

「んむぅ……んちゅ、んぁ……んん」


 躊躇いながらも、アスナは積極的に横島の舌に自分の舌を絡め合う。

 ぴちゅ、くちゅ、ぴちゃ……

 波の音に混じり合う様に、二人の熱い舌が絡み合う水音が響く。
 横島の手の平は、汗や海水で湿っている乳房を水着越しから優しく揉み、アスナの性感を高めていく。

「ん、あぅんっ」


 気持ち良いのか、感電した様に何度も身体をひくつかせる。
 アスナの女の匂いが強くなり、横島の理性を奪っていく。
 幾度と無く嗅いだアスナの匂い。
 横島は胸を揉み上げる手とは逆の手で、へその辺りから水着の上を滑り落ち、アスナの女性の溝を撫で上げる。
 そしてそのまま水着をクイッとずらし、アスナの女の部分に指先を滑り込ませた。
 蒸せる様な湿気とアスナの体温。
 海水と汗と、何より愛液に濡れた秘所。

「んぁっ……」


 唇を奪われ、胸を揉み上げられ快感に酔っていたアスナは、秘所に触れようとする愛しい人の指先に気づいたのか、彼の指を迎え入れる為に身をよじらせた。
 くちゅう、指がアスナの膣内に呑み込まれて行く。
 横島は膣壁に指を擦り付ける様に、何度もヌチュヌチュとアスナを攻め立て追い詰める。
 それと同時に唇を離し、首筋に顔を埋めながらチュウと吸いついた。

「あっ……あふぅ……忠夫ぉ、んぁっ……き、気持ち、いい、よぉ……」


 アスナの口から嬌声がこぼれる。

 横島は水着の上だけ引き下ろすと、プルンと張りのあるアスナの胸が姿を現す。
 何度も見て、触り、撫で上げ、舐め啜り、噛り付いた、愛しい女の胸の先端。
 可愛らしく尖ったソコを、爪でカリカリと擦り抓る。
 それだけでアスナは何度も激しく高みに昇る。
 首筋にキスをし、乳首を責め立て、濡れた肉壁を掻き回す。

「あ……あぅっ……はぁ……んはぁっ、ひぅっ、くぅんっ」


 囁く様だったアスナの喘ぎが、段々と大きく艶を含み、堪えきれない。
 既に横島の耳には波の音など聞こえず、アスナのいやらしい水音しか聞こえない。
 アスナの腰が踊り、蜜が溢れ止まらない。
 横島は膣壁を掻き混ぜていた指を引き抜くと、秘所を剥き出しにしていた水着のズレを直す。
 みるみる内に紺の競泳水着が黒く濡れて行くのを見ながら、割れ目に沿って指を往復させた。
 粘りつく淫水が指に絡み、グチュウと音を立てながらアスナの女に指を沈める。

「そろそろいいか、アスナ?」

「う、んぅ……いい、よぉ……してぇ、ただお……」


 水着ごとアスナの中に沈めていた指を抜き出すと、粘り糸引く愛液を舌でペロリと舐める。
 ソレを見て、恥かしそうに両手で顔を隠すアスナ。

「水着、脱がせるかんな……」

「うん……」


 水着に手を掛けて膝の辺りまで降ろしていく。
 やはり糸引くソコを見て、横島はニンマリと微笑む。

 本当に可愛いヤツだ。

 横島がそう思いながら脱がしていくと、人気のあまり無い太陽が燦々と輝く砂浜で、遂に彼女は全裸となった。
 太陽に照らされる、健康美溢れる裸身。
 ピンクの頂を持つ乳房に、茂みの一切ない秘所。
 紅潮した頬に、ハァハァと荒く息を吐く唇。

「キレイだ、アスナ」


 横島のその言葉に、ビクンと身体を跳ね上げる。
 元々ぐっしょりと濡れていた秘所から、プシュ、プシュウっと間断なく愛液が吹き出る。
 言葉だけで何度も絶頂するアスナに、もう一度囁くようにキレイだ、そう告げながら、横島は思う。

 ここが屋外だって事、アスナは分かってんのかな?

 この地は、現在必要最低限の人間しかいない。
 今のあやかの為に、彼女の両親が用意した場所だから。
 彼等は昼と夜の食材や、その他諸々の生活用品を用意する以外には顔を出すことは無い。
 だから横島も堂々と昼日中のこの場所で事に及んでいるのだが……

 それでも人はいるのだ。

 あやかと、夏美と、千鶴が。

 今も此処から少し離れた場所で、顔を真っ赤にして此方を窺っているのが見て分かる。
 両手で目を押さえ、見ない振りをしているかも知れないが、明らかに興味津々に見ている。
 それどころか、3人の話し声まで聞こえてくる。
 地獄耳な筈のアスナは、それ等に一切気づいていないのか、ただ横島に翻弄されるだけ。

 
 横島は、まあいっか、と結論付けると、再びアスナの唇を奪った。

 もう、何度こうして唇を重ねただろうか。
 アスナにとって、唇を重ねる事はとても心地良い。

「んん……んちゅ、ちゅぷ……むぅあ……」


 こんな単純な事が、どうしてこんなに気持ち良いのだろう。

 2人は音を立てて舌を絡め合い、柔らかい口腔を掻き回し合い、互いの唾液を啜り合った。
 そして、ゆっくりと唇を離す。
 ぽ~とするアスナを横目に、横島は自分の下半身を覆っている水着を脱ぎ捨てる。
 雄々しく天まで反り上がらんばかりの、彼のシンボルが姿を現す。
 途端に、ギャラリーと化している少女達から、なぜか歓声が上がった。

「アスナ、四つん這いになって、お尻をこっちに向けてくれ」

「う、うん」


 恥かしそうにしながらも、アスナは素直に従い、お尻を此方に向けて高く上げる。
 ヒクヒクとするアスナの秘密の部分。
 そして可愛らしい窄まりに指をズプズプと何度か挿入を繰り返し、具合を確かめる。
 横島は膝立ちになり、腰を掴んで引き寄せた。

「お、お尻はダメぇ……お願いよ、忠夫ぉ……」


 本気で後ろは嫌なのだろう。
 弱々しくお尻を振って、横島の指や肉棒から逃れようとする。
 その度に、股間から太腿に伝う愛液が飛び散り、菊座の窄まりが収縮し、かえって横島を滾らせる事に気づいていない。

 もっとも、横島はアスナの後ろを奪うつもり等毛頭無い。
 そこでする相手は決まっているから。
 千鶴、横島の初めてをネギで奪った女。

 いや、もちろん横島は仕返しでそんな事をする訳では無い。

 彼女のお尻を蹂躙した触手を忘れさせる為だ。
 自分の女の大切な部分が、自分以外の物の形で終わる事を見逃すわけにはいかない。
 だからなのだ。千鶴の後ろに入り、自分の肉棒の形と快楽を覚えさせる。
 次は夏美のお尻。彼女の後ろもまた、自分以外の、それもネギなんかに奪われてしまった。
 ここも自分の肉棒で、しっかりと道を切り開いて上げねばなるまい。

 当然の事だが、アスナとあやかのそこを犯すつもりは無い。
 何故なら、自分には特異な趣味など無いのだから。多分……

 そんな事は露知らず、後ろを犯される恐怖で微かに震えるアスナの女性器に肉棒を押し当てる。

「行くぞ!」

「う、うん!」


 ホッとしたのか、アスナは元気良く頷いた。
 横島はそんなアスナに少し苦笑すると、彼女の膣内にゆっくりと押し入っていく。
 黒光りする巨大な肉棒が、少しづつ彼女の蜜穴を押し広げる。
 ジュプッ、グチュウと淫音を立てながら押し入っていくと、内部に溜まっていた蜜が零れ出す。

「ふああ……ああ……ああんっ!」


 横島は、熱くキツイ肉壁を掻き分け、更に深く入れる為に、腰を掴みなおす。
 そして、一気に奥まで突き入れた。
 アスナは砂地を間接が白く浮かび上がる程強く握り締め、脳天を突き抜ける快感に耐える。

「ああっ!!」


 堪え切れなかった喘ぎが、悲鳴の様に口から漏れた。
 二度、三度と同じ様に激しく腰を突き入れると、アスナのツインテールが激しく舞い踊る。

「んんっ、ひぅ、ぃぃっ」


 腰と腰がぶつかり合う度に、アスナの形の良い胸がふるふると揺れる。
 横島の腰の動きが、少しづつ早くなっていく。
 肉棒を抜き、押し込む、また抜き、更に押し込む。
 単純な動きを、快楽を求める為だけに何度も繰り返す。
 突き入れる度にアスナは背中を反らせ、髪を振り乱し、汗や体液を飛ばす。

「あっ、ああっ、うくぅっ!!」


 アスナの膣内は、うねる様に蠢き、肉棒を絡め、締め付ける。

「いいぞ、アスナっ!」


 大切な女と身も心も結ばれている快感。
 何より、自分の女が快楽に酔い、自分の肉棒を咥え込む姿。
 酷くたまらない。

「んんあっ!! あっ、ああんっ、ひぁぁっ、ああっ!!」


 既にマトモな答えも返せないアスナの、丸みを帯びた尻に向って何度も突き出す。
 乳房を砂浜に押し付け、アスナが悶える。
 繋がった場所から零れた愛液が、太腿を伝って砂地を濡らし、黒く染め上げる。

「あ、もう、もう、イッちゃうよぉ、忠夫っ!!」


 横島はアスナの言葉に応え、乱暴と言っても良い動作で、激しく腰を振り出した。
 いやらしい水音は辺りに響き渡り、あやか達の身体を振るわせる。

「アスナ、出すぞ、いいなっ!」

「出してっ、忠夫っ、私を忠夫で一杯にしてぇぇぇっっ!!」

 
 横島は最後に子宮を貫かんばかり深々と奥まで貫くと、搾り込むように締め上げてくるアスナの中へ、熱い白濁を吐き出した。
 横島の精液が、アスナの胎内を満たしていく。
 同時にアスナの背中が、ビクンと大きく反り上がる。

「あぁっっ、イク、イク、イクゥゥゥゥゥゥッッ!!」


 最後にもう一度、バンと大きく腰を突き出し、最後の一滴までアスナの胎内に射精すると、横島は熱く荒い息を吐きながら彼女の中から肉棒を抜き出す。
 そのままズルズルと砂浜に倒れ込むアスナの横に、大の字で寝そべる横島。
 ハァハァとアスナの荒い息と、波の音、そして、少しづつ近づいて来るあやかと夏美と千鶴の足音。
 眩しく光り輝く太陽を細目で見ながら、横島はアスナを引き寄せ抱きしめた。
 可愛らしく自分に擦り寄ってくるアスナに満足しながら、彼はさり気ない風を装い、彼女の尻を撫で上げる。
 上気し、潤んだ目でこちらを見上げるアスナ。

 もう一回戦行こうか……

 横島がそう決意した瞬間、


「ぐふぉっ!」


 腹に蹴りを入れられ、そのまま波打ち際までゴロゴロと転がっていく。

「こんな場所でナニをやっているのですか、貴方はっ!!」


 白い清楚なワンピースに身を包んだ、彼にとって大切なもう一人の使徒。
 彼女が眉を吊り上げ、怒気を撒き散らしている。

 なんで?

 横島は不思議でならない。
 千鶴を抱くようにけしかけてみたり、今の様に覗きや青姦してたら怒ってみたり、よくわからん。
 だが横島は逆らわない。

 怖いから。

 今も自分を正座させて、ガミガミ説教する彼女を見て、遠い昔に母親に怒られていた頃を思い出す。

 ああ、俺はこの女にゃ逆らえん。ヤバイ女を使徒にしちまった……

 夏美が手渡してくれたタオルで下半身を隠しながら、それでも横島は後悔なんて一切無い。

 恥かしそうに両手で身体を隠すアスナ。
 そのアスナの背中からバスタオルをかける千鶴。
 自分に説教するあやか。
 そんな自分を慰める夏美。


 横島は、今とても幸せなんだと、強く思った。






























 後書き

 ここがリゾート編の折り返し地点です。

 
 感想で、もし今の委員長達のポジションが美空とココネになっていたら……
 ってのがあったんで、もし、他の面々が選ばれていたら? ってのを少しだけ。
 取りあえず、あやかが居なければリゾート編は無かった。


 表1、イベント参加候補。

 のどか&夕映、円&桜子、亜子&アキラ、裕奈&アキラ、美空&ココネ、
 高音&愛衣、千鶴&あやか、千鶴&夏美、刀子&シャークティー、木乃香&刹那


 表2、

 刀子&シャークティー

 あやかポジに刀子、千鶴ポジにシャークティー
 刀子、使徒化拒否で死亡。
 シャークティー、触手陵辱end。


 美空&ココネ

 美空のアーティファクトで逃亡成功。
 使徒化無し、エロイベント無し、フラグ有り、そのまま2学期突入。


 円&桜子

 桜子の幸運でギリギリ回避。
 ラプシィアとの遭遇も回避、化け物との遭遇も回避。
 空飛ぶ横島とアスナを発見。転入初日でアスナにツッコミ。


 亜子、裕奈&アキラ

 アキラがあやかポジ、亜子・裕奈が千鶴ポジ
 アキラともう一人、どちらも使徒化。
 そのまま2学期


 のどか&夕映

 あやかポジに夕映、千鶴ポジにのどか。
 夕映が使徒。のどかも使徒。パルに魔法バレ。
 この後の展開は、まだやるかも知れんので内緒。


 高音&愛衣

 あやかポジに愛衣、千鶴ポジに高音。
 愛衣使徒化、高音マホラから出る。
 高音をマホラの外で何かやろうと思ってた。
 


 木乃香&刹那

 元々、このイベントに参加させるつもり無し。



 千鶴&夏美

 夏美があやかポジで使徒化。
 千鶴はそのままだが使徒化。
 あやかに魔法バレ無し。そのまま2学期へ。






 こんな感じ。




[11660] まほらのほほん記 第5巻   エロ有り(夏美)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/02 15:38
「ハァ、ハァ……」

 男と女の喘ぐ声が薄明かりの部屋に響く。
 グチャグチャと掻き混ぜ、パンッ、パンッと肉と肉とがぶつかり合う。
 最後に大きく女が絶頂の声を上げると、女は男に寄りかかり余韻を楽しむ。

「なあラプシィアはん。ウチの具合、どうやった?」

 艶然と、そして何処か不安げに女は男に問いかけた。

「ええ、いつも通り魔力の質も、身体の具合も最高でしたよ、千草さん」

 男の言葉に、ほんのり頬を染めながら、実に嬉しそうにする。

「ラプシィアはんが居てくれはるなら、ウチは復讐を捨てる事が出来そうやわ……」

「いけませんね千草さん、そんな事では。
 ああ、そうだ。
 貴女が計画なさっていたアレ。
 アレの封印を僕が解いて上げましょう。
 そして、制御する為に必要な魔力を、貴女が憎んでいる東側から強奪してきますよ」

 そう言って立ち上がると、服を着込み、そのまま部屋から出て行く男を見送る女。
 これから東側の拠点、麻帆良に襲撃を仕掛けるのだろう。
 女はソレを悟ったが、特に止める事も無く、ただ見送る。
 何故なら、男は強い。例え、英雄と呼ばれるサウザントマスターが相手でも、男は負けない。

 そう女は信じているから。

 だから女は、

「はよ、帰ってきてな、ラプシィアはん……」

 そのまま布団に潜り込み、朝までの短い時間を惰眠で過ごす。
 2~3日すれば、男が帰ってくる事に、疑いなど持たずに。
 大量の魔力を収奪し、東のいけすかない連中に目に物を見せてくる事を……




















 まほらのほほん記  第5巻  夏美といっしょ




















 いいんちょのご両親が用意してくれた南の海のリゾート地に来てから、もう半月が過ぎた。

 ここに来てスグの頃は、貧血で立ちくらみばかりしていたいいんちょも、大分容態が安定してきたのか、今では昼間は横島さんから霊力の使い方を教わる程に。
 魂とも言える霊気構造を損傷した所為なのか、アスナが10年がかりで身につけた霊力を、あっさりと体得したみたい。

 アスナは砂浜でがっくりしてたよ。
 私の努力は……って言いながら。

 横島さんが、死に瀕する危機に陥ると霊力は目覚めやすいんだ、ってアスナを慰めていたけどね。
 実際、死まで後一歩のトコまで行った上に、毎日霊力を注いで貰っているんだから、霊力の一つや二つ、目覚めてもおかしくは無いんだよね、きっと。
 霊力が目覚めてからと言うもの、いいんちょは横島さんの世界の学校の、霊能科で使われている教科書を見ながら唸ってる。

 ちょっと羨ましいなぁ。

 
 なんて事を考えながら、私はゆっくりと服を着替える。

 昼食後の今の時間は、いいんちょは食休みで安静にしてるし、ちづ姉はそんないいんちょのお世話。
 アスナはいつも通り砂浜で修行中で、私はなーんもする事がない。
 ここに来てすぐの頃は、いいんちょのお世話に私もついてたんだけどね。
 容態も安定したし、自分の事は殆ど自分でする様になっちゃって、私はお役御免。

 それでも退屈なんて一切無い。

 同じようにやる事が無い横島さんと、この時間はいつものんびりお散歩に出かける。
 動きやすい服に着替えると、私は元気良く外へ出る。
 何故か今出て来た筈の場所から、同じように出てくる横島さんと手を繋ぐ。
 いいんちょとちづ姉は、コテージのベランダから微笑ましそうに手を振り、それに笑みで返す。

「もう、また覗いてたの? そんな事しなくても……のに……」

 私は顔を真っ赤にしながらボソボソと言う。

「何の事でしょう? 自分は覗きなんてしてませんです、はい」

 棒読みの変な日本語で弁明する横島さん。
 いいんちょに見つかると海に沈められるからね。
 うふふって笑いながら、私は横島さんの手を引っ張りながら歩き出す。

 今日の目的地は……、

「今日はアッチだな。潮が引いて潮溜まりが出来てるらしいぞ? 今日の晩飯のオカズでも取りに行こっか」

「うん!」


 特に何かお喋りはしないけど、とっても優しい空気に包まれて。

 私と横島さんは、ゆっくりとした足取りで目的地に向う。

 修行中のアスナに手を振ったり、手を振り返したアスナが自爆して爆発したり。
 潮溜まりでは、バケツ一杯のタコや貝やお魚を取って。
 帰りに降って来た雨を避ける為に、木の下で雨宿りしたり。
 横島さんが、悪戯で私の身体のあちこちを触ったり撫でたり。



 こんな感じでこれまでも、そしてこれから残りの半月もこうして過ごして往くんだろうなぁ。  



 思春期の妄想過多の女の子達に、本人曰く、煩悩魔神の横島さん。
 それでも、1日の生活が乱れ爛れないのはいいんちょのおかげ。
 魂の補填の為とは言え、毎日横島さんに抱かれているとは思えない。
 時々ちづ姉を連れて横島さんに抱かれに行く位で、日中に横島さんが変態行動を取ったら、すんごく怒るんだよ。

 麻帆良に帰ったら、こうやって過ごす事は出来ないんだよね。
 殆どの夜を横島さんと過ごしているいいんちょは、私やちづ姉と一緒の部屋だし、私とちづ姉も横島さんとそんなに会えないんだろうなぁ。
 そう考えたら寂しいかも……

「ねえ、夏休み終わったら、横島さん達はどうするの?」


 私は、首をコテンと横に倒して、少しだけ上目遣いで彼にそう聞く。

「ん~? アスナは夏美ちゃん達と一緒の学校に転入だなぁ。んで、俺は……どないしよ?」


 ぼへ~~としながら私の質問に答えてくれる。

 うーん……、平和ボケって感じ?
 横島さんって、コッチの世界に来る前に居た世界では除霊事務所の所長さんなんだとか。
 邪悪な悪霊や妖怪を退治するゴーストスイーパー。
 それは戦う職業で、血に濡れたヤクザな商売。って横島さんが言ってたっけ。

 今の気の抜けた様な顔からは、とても想像できないかも。

 アスナの話だと、この世界に来た目的は達成済みで、後は帰るだけなんだとか。
 横島さんが元の世界に帰るまで、あと4~5年は掛かる。
 その間に、私は決めなくちゃいけない。
 あの人について行くか。
 それとも、ちづ姉みたいにこの世界に残るか……

 この世界に残って、横島さんの子供を産んで育てるわ。

 って言ってたんだけど……ホンキ? 

 ア、アハハ……、ま、まあ、まだ4年は先の話なんだから、深く考えなくって良いよね?
 ザンザン降り注ぐ雨を見ながら、私はそんな事をツラツラと考えていた。

 胸に横島さんの暖かい手の平の感触を感じながら……ってぇ!?





「わきゃっ!? ナニしてるんですかっ、横島さん!」

「雨宿りを有意義に過ごしとる」

「昼間っからこんな事してると、いいんちょに怒られるよ!」


 私はそんな事を言いながらも、段々と近づいてくる彼の唇から目がはなせない。
 ちょこっと開いた私の唇に、彼はぴったりと唇を重ねると、お互いに相手の唇を啄ばみ合う。
 さっきまで潮溜まりに居た所為かな?
 彼の唇は、塩辛い味がする。

「ちゅっ、んむっ、ちゅ、んふぅ……キス、気持ちいいよぉ……んっ、ぁむぅん……」


 横島さんは、私の悦びの声に調子に乗ったのか、胸の膨らみをやわやわと弄び始める。
 私は上ずった声を期待で満たすと、溢れ出した涙をそのままに、じっと彼を見詰めた。

「舌を出すんだ……」


 横島さんの言葉に従い、私は素直に舌を差し出す。
 彼は私の唇に吸い付くと、自分の唇で挟み舐ってくる。
 ぴちゅぴちゅと優しく食まれてる内に、私の頭の中はぽ~っとしてきた。


 舌が熱くて、溶けちゃいそうだよ……

 胸が高鳴り、呼吸が浅く早くなってゆく。

 恍惚に浸る私は、彼の成すがままになっていく……


 私の胸を弄ぶ手とは逆の手で、彼は私の腰をしっかりと掴み抱き寄せる。
 身体を逃げられない様に固定すると、舌先を荒々しくねじ込んできた。
 彼の唾液が私の口腔に流れ込んできて、私はそれを悦んで嚥下する。

「んっぐ、んくっ……あぷっ、はぁむっ、んむぅっ、あふ、はぁ、はぁっ……ちゅっ、りゅぷっ、ちゅ、ぴちゅ」

「ちゅ、はぷ……そんなに俺の唾液を啜りたいんか?」


 横島さんはそう言うと、私の唇をこじ開け、そのまま私の口中に唾液をだらだらと流し込んでくる。

「んぐ、んぐ、んっ、んぐっ、んっ、んっ……」


 私の口中に、際限なく注ぎ込まれるねっとりとした液体。
 何度かに小分けして飲み下しても、後から後から湧き出すように注いでくる。
 必死で飲んでいると、気づけば私の身体は横たえられて、衣服はまくり上げられていた。
 ブラジャーをずらして、私のささやかな双丘がプルンと姿を現す。
 スカートをたくし上げ、最後に膝下まで下着を下ろすと、私のまだ幼いアソコに口をつける。

 ぢゅちゅっ、ぢゅるっ、にりゅぅぅ……っ

 大量の唾液を私の割れ目に擦り込んでくる。
 意地悪な横島さんは、私に見える様に両手でヒダを開くと、舌の平全体で撫で、大きな音で私の溢れ出す愛液を啜る。

「はあ、はぁっ……あぁ……や、やだぁ……恥かしいよぉ……」


 私は恥かしさのあまり、両手で頬を押さえながら、何度も首を左右に振って懇願する。
 なのに彼は、そんな私を弄び、更に奥深くまで貪り始めた。
 私は切なげな声を上げながら、身体を跳ね上げさせる。

「あ、ああっ、も、もう、あ、あ、あああぁぁ……っ!!」


 横島さんの舌の衝撃で、強烈な絶頂の波にさらされ、私の身体がクタリと力を失う。

「はぁ、はぁ……」


 荒く息を吐きながら、私はズボンを脱ごうとする横島さんを、絶頂で真っ白になってる頭でぼんやりと眺める。
 気づけば雨は上がり、海に掛かる虹がとてもキレイ。

 そして……








 鬼の形相をしているアスナといいんちょ。
 手に傘を持ってる事から、私達を迎えに来たようだ。


 服は乱れ、雨の所為で身体は泥に塗れ、まるで今の私はレイプされているみたい……
 いや、アスナもいいんちょも解ってると思うよ?
 でもね、こんな場所で、こんな状況じゃ不衛生極まりないし、何より、最低限の倫理を守りたいいいんちょにとって、これは裏切り行為にしかならなくって。



「アンギャーーーーーーッ!!」


 横島さんが、いいんちょが持つ光輝く棒、神通棍でシバキ倒され、私はアスナにバスタオルを頭から被せられた。

「大丈夫? こんな所でしたら怪我するよ?」


 私は、アハハって適当に笑いながら誤魔化すと、急いで服を着て彼のトコに。

 怒り狂ういいんちょを宥め、ボコボコになった横島さんを介抱する。

 そんな私を微笑ましそうに見守るちづ姉とアスナ。

「しょうがないですわね」


 そう言いながら微笑んでいるいいんちょ。


 火照った身体を冷やしながら、私は思うんだ。
 楽しいって、凄く幸せだって。








 私はほっぺのそばかすがちょいコンプレックス『だった』ごくフツーの中学生。

 ウチのクラスは美人ぞろいで、あまり目立たない女の子。
 事実、今ここにいる女の子達は、みーんなすっごく美人でスタイルもバツグン。
 それに比べて、私は胸も小さければ特別可愛い訳でもない。


 ちょっと、ホンのちょっとだけ気にしてたそれ等は、今は一切気にならない。
 あの日、一晩中私の事を可愛いって言ってくれたあの人のおかげ。

 大好きな、あの人のおかげ……

 きっとね、私は浮かれていたんだと思う。

 大好きな人が出来て、普通とはちょっと違うけど、それでも確かに愛されて、みーんなと一緒に愛されて……

 だから、甘く見ていたんだろう。

 横島さんと付き合うって事が、どう言う事なのか深く考えずに。

 私は、甘く見ていたのだ。

 そして、横島さんも……


 



























 日が落ち、夜になり、すぅすぅと規則正しく眠る2人の少女の部屋。

 夏美と千鶴。

 そんな二人の少女の部屋に、ぱしゃ、ぱしゃ……と、外から何か水が跳ねる音が聞こえる。

 夏美は目を擦りながら起き出すと、夜の闇の中をベランダに向って歩き出す。

 ベランダから海に入れるこの場所で、夏美は月明かりしかない海で一人泳ぐ横島を見つけた。
 横島も夏美に気づいたのか、それとも最初から夏美達の部屋に用があったのか、夏美に手を振って彼女の居る場所までスィースィーと泳いで来る。
 夏美は急いで部屋に戻ると、バスタオルを手に取り、すぐさま外に出る。

 ベランダの戸を静かに閉めると、ザバーと音を立てベランダに上って来た横島の身体を丁寧に拭き始めた。
 そして、部屋の中で眠る千鶴を起さぬよう、小声で横島と話をする。

「こんな時間にどうしたの?」

「いや~、寝れんくてな」

「暇なの?」

「そろそろ街の明かりが恋しいぜ。あ~、ナンパしてぇ~~」


 夏美はクスクスと笑いながら、丁寧に横島の髪を拭っていく。
 わしゃわしゃとしていると、横島は夏美のパジャマの上着のボタンを外し始めた。

「ダ、ダメだよ、横島さん……。さっきまでいいんちょと、その、していたんでしょ?」

「あやかがな、昼間邪魔したから行って来いってよ。あやかは言うだけ言ったらさっさと寝ちまうし、俺は俺で目が冴えちまうし。
 どないしよ、って思いながら外出て泳いでたら、夏美ちゃんの方から出てきてくれたんじゃ」


 夏美は、あわあわ言いながらパジャマのボタンを外す横島の手を両手で包むと、

「ちょっと待って……、今、用意してくるから……」


 そう言って、急いで部屋の中に入っていく。
 中に入ると、千鶴が寝ているのを確認し、パパッと服を脱ぎ捨てる。
 全裸になった状態で、おずおずしながらベランダに行くと、仰向けで寝そべる横島が。
 両手で胸と股間を隠しながら、彼女が横島の傍に行くと、横島は夏美の手を取り自分の上へと導いていく。

 クチュ……

 まだ何もしていないと言うのに、夏美の下腹部から一筋の蜜が流れ落ちる。
 横島の上に跨った夏美は、羞恥でギュっと唇を噛み締める。
 勃起した彼の肉棒が、蜜が溢れ出している夏美の下腹部を擦ってくる。

「んっ、んんっ……んぅっ、んぐぅっ!」


 横島の肉棒が、何度も夏美の下腹部をグチュグチュと淫音を立てながら擦りあげる。 
 そして、先端が秘部に引っ掛かる度に、夏美は小さく悲鳴の様な喘ぎを上げ、身体を細かく震わせた。
 夏美の可愛らしい様子に目を細め満足する横島。
 すると彼は、彼女の両腕を掴んで持ち上げると、全身から力を抜いて待ち望む、彼女の身体を引き裂くように肉棒をねじ込んだ。

「んーーーーっ!」


 まだ余り濡れていなかった肉壁を激しく擦られ、夏美は痛みを唇を噛み締めて必死に耐える。
 しかしすぐに奥が熱くなり、彼女の肉壁に愛液が染み出してくる。
 夏美の口から、抑えようとしていた声が漏れだす。

「くはぁぁっ、あっ、あっ、よっ、よこしまさぁんっ!」


 横島は快感に肢体を振るわせる夏美の最奥に、ズプリと肉棒を突き立てた。
 子宮口まで突き入れられた夏美は、ビクビクと身体を震わせ唇から涎を零す。
 そんな夏美の中に、更に深く突き入れようと、腰を押し込んだままぐいぐいと左右に捻る。
 絶え間なく襲ってくる快感に、夏美の子宮がキュッと収縮する。
 夏美は部屋で眠る千鶴を起さないよう、必死で声を抑えようとするが、そうすればするほど彼女の快感は高まり、肉壷を濡らしてしまう。

「ーーーーーーーーっ!? -------っーーーーーーーーーーーっ!!」


 横島は悶える夏美の身体をグッと掴むと、ゆっくりと持ち上げる。

「あっ……、だめっ、い、今抜かれたらっ……ひぅっ!!」


 充血してきた夏美の肉壁を、肉棒がごりごりと擦る。
 膨らんだカリ首が愛液を掻き出し、抜けていく肉棒にねっとりと絡みぬらぬらと輝く。

「はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ!」


 夏美は腰が抜けそうなほど、快感から身体を震わせる。
 横島はヒクヒクと震え続ける夏美の膣奥に、もう一度腰を押し込もうとする。

「あっ、あぁ……、大好きだよぉ……横島さぁんっ……!!」


 横島の腰の動きに合わせて、夏美が腰を落し始める。
 極太の肉棒が、再び彼女の秘部を貫き、結合部から粘っこい水音が木霊した。
 今度は激しく往復し、粘膜をたっぷりと嬲りだす。

「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ!!」


 何度も子宮口まで突き入れられ、夏美は全身を強張らせる。
 溜まっていた愛液がジュプッと溢れ出し、肉棒を伝い落ちていく。
 強く押し込まれ子宮口を責め、引き抜き肉壁をゴリゴリ擦る。
 強くなってくる快感に、夏美は自然と横島に腰を合わせ嬌声を上げる。

「やんっ……す、すきぃ、横島さん、だ、だいす、きぃっ、あ、ああっ、あっ、あっ、あっ!」


 横島は夏美の言葉に嬉しそうに笑むと、揺れ踊る乳房を下から揉みしだく。
 気づけば横島は腰を動かさず、夏美が肉棒を軸に何度も腰を上下させる。
 粘ついた音を立て、自分が気持ち良い場所に肉棒を擦らせる。
 肉棒が粘膜を擦り、夏美の顎が何度も跳ね上がり、月明かりに照らされながら咽が見えるほどに仰け反ってしまう。

「はっ!! あ、あんっ、あんっ、あんっ、あんっ、あんっ……」


 強い快感に何度も意識を飛ばしながら、それでも腰の動きを止めようとしない。
 大きく腰を跳ね上げ、全身を包む快感に甘い声を出す。
 溢れ出る愛液と涎と汗が混じった女の香り。

「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ、あはっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 こらえきれない快感に夏美は激しく悶え、ギュっと肉壁を締め付けた。
 その瞬間、横島は一気に彼女の奥へと腰を突き立てる。

「ひぃうっ!!」


 子宮を抉られる快感に息を詰まらせ仰け反る夏美目掛けて、一気に彼女の胎内に精液を注ぎ込む。

「うっ、くぅ、ああっ……でて、るよぉ、わたしのなか、にぃ……いっぱい……ひぃぁああああぁぁあぁぁっ!!」


 子宮にドクドクと流れ込む熱い精液に、夏美は舌を突き出し悶えてしまう。
 下腹部から胸、そして背中からうなじ、うなじから頭の先までとろけそうな快感と幸福感が駆け抜ける。
 子宮を満たし、ようやく精液の迸りが止まると、最後にブルルっと身体を震わせてから、夏美は横島を胎内に収めたままグッタリと彼の胸にしな垂れる。
 はぁ、はぁ、と荒く息を吐きながら、優しく自分の頭を撫でる愛しい男の手の暖かみに目を細める。




 そんなまったりとした時間を過ごしていると、水平線の向こうから光が照りだし、暗闇に染まった周囲をオレンジ色に塗り替える。

「きれい……」


 横島の鼓動を耳にしながら、夏美はうっとりと呟く。
 横島は自分の身体を持ち上げ体勢を変えると、今だ堅いままの肉棒が、再び彼女の最奥をドクンと突き上げる。
 そのまま彼女を持ち上げると、繋がったまま海へドプンと入る。

「きゃあっ!」


 腰までしかない遠浅の海の中で、再び腰を突き上げ、夏美の口から嬌声を引き出す。

 みんなが起き出すまでの短い時間、二人は心と身体を何度も繋がり合わせた。

 朝焼けに染まった海の中で、何度も、何度も……
  





[11660] まほらのほほん記 第6巻   エロ有り(あやか)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/02 15:39
「ふう、ようやっと終わったわい」

「ご苦労様でした、学園長先生」

「いやー苦労したぞい。ホントは木乃香と同室になって貰うつもりじゃったんじゃがのう。
 アスナちゃんの『お願い』はもう勘弁じゃわい」

 そう言って、体をブルブル震わせる。

「……何があったんですか、学園長先生?」

「やめとくれぇーーーーーーっ! それはワシの秘蔵のコレクションなんじゃーーーーーーーーーーーっ!!」




 その日、学園長室の近辺にいた生徒は、学園長のこの世の終わりを垣間見たと言わんばかりの絶叫を聞いた。

 しばらく続いたそれは、ドゴンっと言う鈍い音が聞こえたと思うと、キレイに治まったという。





「やりすぎじゃないかい?」

「あら、これ位で如何にかなる方では無いわ」


 二人の男女の目の前には、頭から血を流して倒れる学園長が。
 男は冷や汗を流しながら、微笑む女性の言葉に耳を傾ける。
 この人には逆らわん方が良い。そう思いながら……




























    まほらのほほん記  第6巻  異なる明日




















 2学期の始業式まで、あと4日。

 明日にはこのリゾート地を出て、麻帆良へと旅立つ。

 この地にいる5人の中で、唯一の男である横島忠夫は、ボケ~っとダラダラ、グダグダ、ゴロゴロ……
 彼のそれなりに長く、波乱万丈といって良い人生で、ここまで平和な時間は無かったであろう。

 そんな時間を過ごす中で、彼は少しだけ思い悩んでいた。

 何故、自分はゴーストスイーパー何かになっちまったんだろうか?
 雪之丞やナギやラカンみたいな戦闘民族とは違い、戦う事も、争う事も、何より痛い事なんてイヤでイヤで仕方がない自分が。
 ぼへーってしながら日々を過ごし、ナンパしたり、美人のネーちゃんとイチャイチャしてるのが大好きな自分が。

 そんな自分が何で命のやり取り何かしているんだろう?

 美神さんと出会ってしまったから?

 いやいや、あの見事な乳や尻や太腿と出会わない人生などありえん。
 もしあの人と出会えなければ、下手すりゃおキヌちゃんは幽霊のまま。
 何より、アシュタロスが侵攻してきた時点で、人生終了していた可能性が高い。
 ルシオラとも出会えなかったしな。

 最後にはオカルトテロで他世界に飛ばされちまったとは言え、ソレがなけりゃイオやセリカにも出会う事が出来なかった。

 そう考えてみると結果オーライな気がしてならん。
 だからと言って、これ以上戦いの日々を送る必要性も感じない。
 
 そう思い始めると、どうにも思考が止まらない。
 もう良いんじゃねーか? そう思い始めているのだ。

 元の世界に帰れば、自分の事務所が待っているのだが、それらは全部タマモやシロに任せて、今度は企業でも起してみるのも良いかも知れない。

 長く果てない人生だ。
 いつか再びゴーストスイーパーに戻るにしても、今この時は平和で呑気な仕事をしてもいいのでは無いだろうか?


 そんな事を考えながら、横島は横たわっていた安楽椅子の上でゴロンと寝返りをうつ。


 彼の視界には、明日帰る為の準備に勤しんでいるアスナ達が見える。
 アスナは、横島が何か考え込んで悩んでいるのに気づいてるのか、何も言わない。
 あやかと千鶴と夏美も似たようなモノだ。時折呆れたように溜息は吐くけれど。

 そんなアスナ達を眺めていたが、しばらくして横島は立ち上がる。

 決してあやか達の目が冷たくなって来たからじゃーない。
 少し身体を動かしたくなってきたからだ!

 横島は自分にそう言い聞かせながら、唸り声を上げ大きく伸びをする。


 そして勢い良く立ち上がると、アスナ達の所に行き、何か手伝おうとするが、




「ん? 邪魔よ、あっち行って」

「はあ……、もう良いですわ。そっち行ってじっとしてて下さいませ」

「横島さん、大人しくしてて下さいね?」

「あはは、よ、横島さんは遊んでて良いよ?」




「おがーーーーん!! みんながワイを邪見にするんじゃーーーーーーーーーーーッ!!」


 ヨロッとよろめいたかと思うと、泣き叫びながら海に飛び込み、そのまま水平線の彼方に消えていった。




「あー、あの様子は不味いわね。今頃、夜になったら纏めてアフンアフン言わせちゃるわっ! とか考えてるわよ、間違いなく」


 アスナの呆れた様な声に千鶴は、

「あらあら、それは楽しみね、夏美?」

「そ、そんな事は、ない……よ?」


 両手の指をもじもじと合わせながら小声で呟く。
 それを見て、千鶴は更に追い討ちを掛けようとするが、

「もう、夏美さんをからかうのもいい加減になさい」


 あやかの言葉に思い止まる千鶴。

 だが、千鶴はあやかの後ろに立つと、おもむろに彼女の胸を揉みしだく。

「随分と大きくなったわね、あやか。横島さんに毎日可愛がって貰ったお陰かしら?」
 
「ひぃあっ!?」


 いきなり来た快感に身悶えるあやか。
 あやかの過敏すぎる反応を見て、横島との情事を想い浮かべてしまい、全身をピンク色に染め上げる夏美。

 アスナは千鶴の言葉に、あれ? 使徒になったんだから大きくはならないんじゃないの?
 と思ったが、毎日毎夜、霊力を注いで貰っていたのは確かなので、成長したのかな? なんて考えていた。

 実際、彼女の胸は自分よりも大きく、少し悔しい。
 なんせ横島忠夫と言う男は、結局の所は大きな胸が大好きなのだ。
 口では、大きいのも小さいのもどっちも好きじゃー! なーんて言ってはいるが、彼が見ているエッチな本は、大抵巨乳関係なのだから。

 あやかとは、目算で3~4cmは差がある。千鶴に至っては比べるのも馬鹿らしくなる事に、11cmは違う。


「悔しくなんてないんだからぁっ!!」


 突然叫びだすアスナ。
 それに驚いたのか、千鶴はあやかを身悶えさせていた手を止めてしまい、チャンスとばかりに彼女の手から逃げ出すあやか。

 あやかは、ハァハァと荒々しい息を吐きながら、

「ナニをなさるんですの、千鶴さん!?」

「ナニって……、エッチな子になっちゃって、あやかったら……」


 ハンカチで目元を拭いながら、悲しそうにする千鶴。
 

「くっ……、もういいですわ……。そんな事より、さっさと後片付けと帰る準備を済ませますわよ」


 パンパンと手を叩きながら皆を急かす。
 その声に、明後日の方を見ながら咆哮していたアスナも、のろのろとだが体を動かし始める。
 千鶴と夏美も返事を返し、そのまま彼女達の手伝いに入った。

 さっきのアスナの言葉を思い出してなのか、艶のある溜息を吐きながら。

 2人にとっては残念な事に、その日はあやかの治療最終日と言う事もあって、そんなイベントは起きなかったのだが。






































 スゥースゥーと、規則正しい寝息。

 普段の様子からは考えられない程に、あどけない様で眠るあやか。

 事が終わり、疲れ切って自分の上で眠るあやかの重みに、顔の筋肉を緩ませる。

 月明かりに照らされ、淡く金色に輝く彼女の髪を優しく撫でる。

「ん、んぅ~」


 気持ちが良いのか、年相応に可愛らしく微笑む。

 そんな彼女を見て、横島は昼間考えていた事が、間違いでは無いのだと思った。
 もう、戦う必要なんて無いのだと。
 今自分の上にいる少女は、ラプシィアに襲われるまではただの一般人で、そんな彼女と共に過ごして行くのに戦いは不要なのだと。

 元の世界に帰った時には、2人で商売をするのもいいだろう。
 アスナはタマモ達に任せて、自分とあやか、それにもしかしたら夏美も一緒に来てくれるかも知れん。
 そしたら2人じゃ無くて3人だな。
 千鶴はこちらに残ると言っているから、その日の為にもラプシィアの賞金と、此方に来る際に持ってきた貴金属を元手に株や証券等で金稼ぎするのも良いだろう。
 儲けたお金は千鶴に託し、自分達は商売の経験を得る。

 そんな簡単にはイカンだろうが、自信がある。

 横島はそんな事を考えつつ、自分の胸の上で安らかに眠るあやかをもう一度見る。

 可愛らしく、それでも色気のある姿で眠るあやか。

 彼女を見ていると、ムクムクと淫心が湧いてくる。

 既に治療も完了したあやか。
 これからは、治療の為でなく抱きたいから抱く。

 体勢を入れ替えると、彼女を起さないよう、ゆっくりと慎重に彼女の胎内に侵入していく。

「……んぅ……ぁぅん……」


 既に一度、彼女の中で射精している為か、彼女の胎内は充分過ぎるほどに濡れ、抵抗無くズブ、ズブ、ゆっくりと奥へと飲み込まれていく。
 毎日毎夜、挿入して来た割には、相変わらずあやかの膣内はキツく狭い。
 横島は乱暴に腰を振りたくなるのをグッと堪え、じわじわと胎内から引き抜き膣口まで戻すと、再びズブズブとゆっくり奥まで挿入する。

 どれ位の間そうしていただろう?

 慎重に慎重を重ねた結果、あやかは今だ目を覚まさず、頬を上気させ、うわ言の様に喘ぎ悶える。

「……ぃぁ……んぅ、よ……ま、さんぅ……ひぃん……」


 あやかはどんな夢を見ているんだろうな?
 
 そう思いながら、腰をゆっくりと前後に揺らす。

 このまま眠ったまま最後までイッて貰おうか?

 横島がそんな邪念を発した瞬間、「ヒィアッ!?」っと身体を弓なりに反らせ、あやかが目を覚ます。

 誤って彼女の敏感な部分を突いてしまったようだ。
 彼女は素早く現状を把握すると、両手を広げて横島の頭を包み、胸で挟み込んだ。

「貴方ときたら、本当にもうっ!」


 口調は怒っていたが、心底愛おしそうに横島の頭を抱きしめる姿は、女神を思わせる。
 あやかは暗闇の中、チラリと時計の方を見て、時間を確かめた。
 既に日付は変わっており、あやかはソレを確認すると、

「たった今から患者では無く、貴方の使徒としてご奉仕しますわ」 

 
 胸で挟み込んでいた横島の顔を、自分の目の前に持ってくると、そのまま唇を奪い自分から腰を振り始めた。
 局部を結合させ、腰を捻りくねらせる。

「ふぅぅっ、んっく、はぁっ……お腹の中、一杯ですわ……」

「あやかもいやらしくなっちまって」

 ニヤケながらも、嬉しそうに言ってくる横島に、

「あっ、貴方の使徒ですもの……、んく、くぅぅん、いやらしくも、はぁっ、なりますわっ、ふぁぁ」


 元来マジメで優等生な彼女だ。
 この一月、毎日肌を合わせたのは伊達じゃ無い。
 横島の動きを完全にトレースし、彼の良い様に肢体を振るわせる。
 抱かれた数では圧倒的にアスナを上回り、この世界に措いては並ぶ者無き程に横島に愛された。
 そんな彼女が、横島に気持ちよくなって貰う為に全力を尽くす。

 擦り合わされる肉棒を、膣肉でねっとりと包んでマッサージ。
 女の象徴である乳房に彼の両手を導き、色っぽく喘ぎ声を上げる。
 腰の動きに強弱を付けて、肉棒に与える刺激に緩急をつけて高まらせる。
 次第に追い詰められていく横島に、最後は貴方のお好きな様にと首に両腕を巻きつけ、彼の成すがままに。


 横島は、危なかった~、と一息つけながら、負けるものかとあやかの脚を大胆に開かせる。
 あやかの子宮をゴリゴリと擦り、抽送を激しくする。
 ぐぷ、じゅぷぷっ、水音が激しさを増し、くの字に曲げたあやかの腰の奥を貫いていく。

「ひっ、ひぅぅっ、あぅっ! ……っくぅん、はぁぁっ……も、もう、限界、ですわっ! ふぁう、んっ、んくぅっ!」


 快感に揺れるあやかの淫猥な姿が、横島を欲情させる。
 入り口を捏ね回し、側壁を強く擦りつけ、子宮を叩き、勢い良く引き抜く。
 あやかの胎内を抉り、嬲り、蹂躙し続ける。

「ああああっ! ん、あぁああ! く、来るっ、来ますわっ! やっ、あああぁ、あぁあああっ!」


 あやかの絶頂の嬌声に合わせて、横島は全体重をかけて肉棒を力任せに子宮に叩きこむ。
 膣壁が痛い位に彼の肉棒を締め付け、肉ひだが圧力を強める。
 あやかは目尻から涙を零し、口からは涎を流し、秘所からは愛液を溢れ出させる。
 そんな淫らな姿に満足の声を上げながら、横島の肉棒が思い切り爆ぜた。

「あ、あ、あぁああああああああああぁああっ!」


 横島の精液が、あやかの子宮口にかけられる。
 あやかの膣肉は、横島の精液を搾り取るようにギュギュッと彼の肉棒を締め付け、激しく痙攣を繰り返した。


 横島は完全に射精し終えると、彼女の体に覆い被さるように倒れ込む。

 そんな彼の身体を優しく抱きとめ、背中に手を回すと、うっとりと微笑んだ。


 もう、こんな時間を過ごす事は、滅多に無いのですね……


 あやかは、そう思うと寂しくなる自分に驚く。

「こんな事ではいけませんわね」


 ボソッと囁いた言葉に、

「ん? どうした、あやか」


 横島はあやかの上から身体を下ろすと、彼女の胎内深くに収められた肉棒を抜き出す。

 ソレをどこか寂しそうに見つめながら、あやかは、

「いいえ、なんでもありませんわ」


 そう言うと、自分の横でぐたーっとしている彼の胸に飛び込んだ。

 彼の胸で自分の胸を潰しながら、横島の首筋に自分の唇を押し付ける。
 そんなあやかの頬を、横島は優しく撫でる。

「麻帆良に帰ったら、アナタはどうするのですか?」

「そうやな~、何か商売でも始めてみっかな~」


 あやかは少し驚きの表情を浮かべる。
 てっきり、除霊や退魔の仕事をするものだと思っていたから。

「命のやり取りは疲れた。いつ終わるか分からん人生だ、そろそろのんびり過ごしてもいいんじゃねーかと思ってさ」


 横島の優しい表情や、お馬鹿な顔、そして鼻を伸ばしたいやらしい顔しか見ていない。
 そんな彼が、荒事に勤しんでいる事自体が可笑しいのかも知れない。

 そしてあやかは、彼は平穏な日常こそが良く似合う、そう思った。

「そう、そうですわね。私も手伝いますわ」

「おう! 頼むな、あやか」





 その後は時々淫声を上げながらも、今後の予定を立てていく二人。

 朝まで続いても終わらなかったソレは、飛行機の中でも続けられ、アスナを驚かせた。

 アスナにとって横島は、ゴーストスイーパーしか有り得なかったから。

「事務所はどうするの?」


 アスナのその言葉に、横島は迷わずタマモに任せると言って、アスナの反論を封じた。

 もっとも、アスナも特別反対な訳ではなかったが。

「ま、いっか」


 アスナはそう結論付けると、麻帆良に行ってからの横島との『新婚生活』に思いを馳せた。
 ここに来る前に、学園長に頼んでおいた2人で住む家が、彼女を待っている。


 あやかは仕事のパートナー、私は可愛いお嫁さん。


 鼻歌を紡ぎながら、アスナは明るい未来に胸を高鳴らせた。 

 夏美や千鶴が白い目を向けている事に気づきもせずに……


「アスナはネギ刺しの刑だね、ちづ姉」

「そうね、夏美。フフフ……」

「アハハハハ……」

「ウフフフフ……」













































「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」



 女の狂笑が木霊する。
 20年前の大戦で両親を失い、今度は愛する男を失った。
 どちらも、西洋魔法使いの手によって。
 いや、違う。両親の仇は特定出来ないが、愛する男の仇は解っていた。


             『横島 忠夫』


 女は憎む。横島忠夫を憎み、怨嗟する。
 殺したい。引き裂きたい。横島忠夫の愛する者を奪ってやりたい。
 ヤツの目の前で惨たらしく、犯し、引き裂き、ジワジワと苦しませながら殺す。
 愛する者を失い、ヤツが泣き叫ぶ所を見てやりたい。
 そして、もっとも残酷な方法で殺してやるのだ。


 女、天ヶ崎千草は希う。

 横島忠夫の全てを蹂躙出来るのなら、自分の全てを捨てても後悔は無い。
 今の自分では敵わない事は解っていた。

 それでも彼女は向う。

 男の終焉の地、麻帆良へ。
 何をする訳でも無い。
 今回は怨敵の顔を拝み、愛した男の痕跡を探しに行くだけ。
 愛した男、ラプシィア・ルンの……



 その時、ドクン、身体の奥から鼓動が聞こえた。







[11660] まほらのほほん記 第7巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/02/16 12:12


 いってきまーす。

 はい、いってらっしゃい。




 そして二人は互いのホッペにチュッと触れるだけのキッス。

 男は車に乗り込むと、そのまま会社にむかって走り出す。

 女は、男が運転する車が完全に視界から消え去るまで、手を振り続ける。


 それはとても幸せな風景。

 新婚さんいらっしゃい。そんな暖かくも何処か気恥ずかしい光景。


 ただ……、女の姿が麻帆良学園女子『中等部』の『制服』にエプロン姿でなければ。


「さーてと、私もそろそろ行く準備しないとね」


 女……、ってか少女である神楽坂明日菜は、ぱっぱとエプロンを脱ぎ、綺麗に畳むと鞄を持って外に出る。

 今日は始業式。彼女の転入初日。この世界に来て、最初の登校日。

 扉を閉め、鍵を閉めると彼女は「いってきまーす」そのまま学校へと走り出した。

 この2日間の新婚生活を思い浮かべながら。


 にへら……

 そんな感じでニヤついて。























  まほらのほほん記  第7巻  わくわく新婚生活




























  xx月xx日


 夢心地、ってのは、きっとこう言う事なのよね。
 朝、忠夫の体温を感じながら目が覚め、おはようのキス。
 ぱぱっと朝食と昼のお弁当の用意して、まったり一緒に朝ごはん。
 彼が会社に行くのを見送り、いってらっしゃいのキス。
 そして夜の献立を考えながらお買い物。
 夕方が過ぎ、夜になって彼が帰って来ると、おかえりなさいのキス。
 お風呂で洗いっこした後は、夕ご飯を食べながら談笑。
 そして、ベットで私を待っている忠夫。

 ああ、なんて幸せなの!!

 こうなってみると、明日からの学校生活がウザクて仕方ないわね。
 アッチの世界に帰らないで、このままここで新婚生活を送るのもいいかも知れない。

























  xx月xx日

 転入初日。
 タカミチ、いや高畑先生か、のクラスになった。
 あやかに千鶴さんに夏美ちゃんと同じクラス。
 他には、コッチに来てすぐの事件で知り合った人が一人。

 その桜咲さんに声を掛けようとしたら、知らん振りされたんだけど、何か嫌われるような事したっけ?

 それにしてもこのクラス、人外率が異常ね。
 私とあやかを入れて6人。
 呆れる事に、自縛霊までクラスメイト。
 こんなのアッチの世界でも無かったわよ!
 
 これはアレね、忠夫は学校に近づけないようにしないとダメね!
 あの人、人外に好かれやすい人だから。
 これ以上の余計な女は、私と忠夫のラブラブ生活には不要よ!!

  






























 転入二日目の放課後、私は学園長に呼ばれ、学園長室へと来ていた。

 今後の学園生活について、と言っていたけど、まあ、間違いなく厄介事。

 そう思っていたら、案の定そうだった。

 想定外にも程がある内容だったけど。





「なあ、ええじゃろ、アスナちゃん? 老い先短いジジイの頼みじゃ。このっ通りじゃ!」


 そう言って、両手を合わせて深々と頭を下げる学園長。

 真摯に心からのお願い。コレを無碍にするのは心が痛む……なーんて思ったら大間違いよっ!



「イヤです」 

「そんな冷たいこと言わずに、のう、ええじゃろ?」

「ダメです」

「本当じゃったらルームメイトになっておった子じゃぞ?」

「そんなの関係ないです」

「可哀想な子なんじゃ……。アスナちゃんが寮に入らなかった所為での、部屋で一人ぽっちなんじゃ……」

「一人部屋ばんざーい!」


 私は両手でバンザイ。とっても良い笑顔を浮かべつつ。
 そんな私を見て、プルプルと何かを堪える様に震える学園長。
 ん? 年の所為かしらね? トイレでも近いのかしら。

 私がフフフ、と笑っていると、気を取り直すためか一度大きく溜息を吐き、

「なんでそんなに嫌がるんじゃ。ワシ、アスナちゃんの為にむちゃんこ頑張ったじゃろうが。少しくらいお願い聞いてくれてもええじゃろうに……」


 そう言ってオイオイ泣き出す。

 心底悲しそうに泣き出す学園長の背中を、よしよしって言いながら優しく撫でるしずな先生。

「むちゃんこ頑張ったって、何を頑張ったんです? 今いち分からないんですけど」


 私のその言葉に泣くのを止め、クワッと両目を見開く学園長。

 やっぱ嘘泣きじゃん。

「アスナちゃんの我侭聞いてあげたじゃろうがぁーーーーーーーーーーーっ!!」


 学園長の怒声で、ビリビリと窓ガラスが鳴る。
 しずな先生は逸早く耳を塞いだものの、それでも鼓膜にダメージが来たのかクラクラ。
 無駄に大きな胸をタプンタプン揺らしている。

 かく言う私も、キーンって耳鳴りが……。

 しかも何よ、我侭って? こんな爺さんになんか我侭言った覚え無いわよ? 

 耳鳴りを堪えながら私がそう言うと、

「アスナちゃんと横島くんの同居を認めさせるのに、どれだけ苦労したと思っとるんじゃっ!? ウチの学校は全寮制じゃぞ?」

「全寮制って、闇の福音と絡繰さんは寮じゃないわよ?」


 クッと顔を顰める学園長。そして苦々しく、

「ありゃ特別じゃ」

「んじゃ、私も特別って事でお願いしますね」

「むぐぐぐ……、ああ言えばこう言いおってからに。じゃったら、横島くんの仕事の斡旋とかもしたじゃろうが!」

「結局必要なかったですし」

「わざわざ用意しておったのに、あっさりイランなんて言われたら、ワシの面子が潰れるじゃろうがっ!!」


 うっ、それは確かに……

 でもな~、「ラプシィア・ルンを倒してあげたのでチャラですよね?」っと切り返す。

 得点はこちらの方が大きいわよね?

「賞金貰うたじゃろうが」

「別にソレは学園長のポケットからではないですし。麻帆良学園都市を救ってあげたんですから、それなりに感謝するのが当然でしょ」


 私はそう言うと、ツーンとして横を向く。

「それはそうなんじゃがのう……。ラプシィアの死んだ辺りから瘴気が噴出しておっての、1ヶ月以上たった今も晴れんのじゃよ。
 その辺りを横島くんに何とかして貰おうと思っておったんじゃが……」


 そう言って、チラッと私を伺う。

「あの公園は学生が学校帰りの近道に通る場所での、いつまでも封鎖出来んのじゃよ」

「はあ、そうですか」

「まあ、それはもうええわい。それより木乃香の事なんじゃがの、横島くんに任せればワシも安心できるし、それにのう……」


 ダラダラと何時までも話続ける学園長の言葉を適当に聞き流しながら、私はチラッと時計を見る。

 不味い、そろそろスーパーのタイムサービスが始まってしまう。
 可愛い新妻としては行かない訳にはいかない。
 私は内心のイライラが表に出始め、足をトントン、出口をチラホラ。
 そんな私を知ってか知らずか、って間違いなく知ってて学園長は再び泣き落としを始める。

「木乃香は可哀想な子なんじゃよ……。その身に眠る巨大な魔力と血筋のせいでの、一般人と同室にするのは危険すぎるんじゃ。
 西と東、双方の不貞の輩があの子を狙っとるんじゃ、色んな意味での。何より本人が知らんのじゃよ、自分を巡る状況をのぅ」


 うううっ、と涙を流し始め、それを巨乳先生がわざとらしく慰める。

 あー、これは本格的に長くなりそうね……。

 うん、これ以上は無理!

「もう帰りますね。タイムサービス終わっちゃうんで」


 そのまま後ろを向いて扉を開ける。

「ちょっ、待っちょくれ、アスナちゃーんっ!?」

 小芝居をしていた学園長は必死に私を止めようとするも、私は完全に無視。 
 廊下に出ると、「失礼しました」と言って優しくパタンとドアを閉めた。
 扉の向こうから、何か叫んでいるのがいつまでも聞こえるけど、ムシムシ。





 さてと、今日の晩御飯は何にしようかな~。

 そんな事を考えながら外に出ると、ちょうど件の近衛木乃香さんが視界に入った。
 彼女は部活かなんかだろうか?
 他に3人のクラスの子達と一緒に、お喋りしながら歩いてくる。

 なーんだ、楽しそうじゃん。

 彼女とすれ違いながらそう思う。

 それに、なんか護衛っぽいのも憑いてるっぽいしね。
 これなら放っておいても大丈夫なんじゃない?

 私は少しだけあった罪悪感を完全に捨て去ると、意気揚々とスーパーに向った。

 途中、絡繰さんと会って彼女と少しだけお喋り。


「絡繰さん所は、今日の晩御飯は何にするの?」

「マスターがお好きな和食関係で行こうかと……」


 こんな感じで、主婦(?)同士、井戸端会議なんてしながらね。








 ああ、なんて平凡で幸せな日常……

 今なら、忠夫が突然サラリーマンになった訳も理解出来るような気がするわ。

 一日の最後を締めくくる最後のイベントをしながら、そんな事を思った。


 絶え間なく襲う快感と、お腹一杯に放出される忠夫の熱い愛の白濁液。

 最後に、「忠夫、大好きだよ」そう言って、意識を閉じた。

 これが私の日常。

 もう、あっちの世界には、帰りたくない……かも知れない位、幸せ過ぎる私の日常。


 



























  xx月xx日

 今日はあやかの案内で、麻帆良学園のクラブ見学会。
 名前だけでもいいから、どこかの部活に名前を置いた方が良いとかで。
 あやかの所属する華道部に馬術部、夏美ちゃんの演劇部、千鶴さんの天文部。
 それにちょっと気になるお料理研究会。
 
 今日見た中ではお料理研究会が断トツ。
 特にあの子、四葉五月さんは凄い。
 チラッと見ただけで彼女の凄さが良く分かる。

 それでもここはダメ。
 超鈴音が居る。

 あの娘はダメだ。ダメダメ。
 厄介事の匂いがする。って言うかそれしかしない。

 あやかにもその事を言って、注意を促しておいた。

 それにしてもアレね。
 一日で回れたクラブが、全体の3分の1にも満たないってどういう事かしら?
 学園『都市』の名は伊達じゃ無い、って事かしらね。
























  xx月xx日

 昨日の続き。
 クラブ回り。
 昨日と違ってあやかが暇じゃなかったから、別の人と回った。

 近衛さんと。
 何だか陰謀の匂いがしたけど、この子自身は普通に良い子なのよね~。
 天然入ってるけど。

 それはともかく、クラブ回りは正直もうウンザリ!
 途中から面倒になっちゃって、図書館探検部に名前だけ置かせて貰う事に。
 特に本とか読まないんだけどね。

 暇な時にでも来るといいですよ。面白い本を紹介するです。

 なんて綾瀬さんは言ってくれたけど、そんな暇はない。
 学生で主婦なんてやってると、これで中々忙しい。
 昨日、今日なんて地獄だったわ。



















  xx月xx日

 明日は忠夫も私もお休みDAY
 あやか達は部活やボランティアで来ないし、ずぅーっと2人っきりだ!
 午前中は何か用事があるみたいだけど、昼からはずっとべったり出来る。
 サービスで裸エプロンでもしてあげようかしら?
 裸エプロンでお出迎えとかしてあげたら、日頃の疲れなんて吹っ飛ぶわよね?




























 私はドキドキ胸を高鳴らせながら彼を待つ。
 緊張に期待に不安。
 様々な感情が入り混じったドキドキ。
 でも、それは不快ではなくて。


 玄関の鍵を閉めて、私は念の為に全身を覆い隠せるコートを手元に置いておく。
 服を脱ぎ、下着を脱ぎ、全裸になった私はエプロンを身につける。

 俗に言う『裸エプロン』の姿になると、私は全身を写す鏡の前で軽くターンをしてみる。


 ……うん、よし! イケル!!

 正面からはギリギリ見えない。
 でも、後ろから覗くと色々と丸見え。
 お尻とかアソコとか……
 でもでも、正面からは胸の谷間位しか見えなくて……


 なるほどね、忠夫の趣味にバッチリあってるわ。

 その昔、私がまだ小さかった頃、愛子姉さんがコレで忠夫を誘惑していた事があったわ。
 あの時の忠夫は獣(けだもの)だった。
 前から後ろから、持ち上げては降ろし、そして……



 ふ……ふふふ……あははは……あーーはっはっはっはっはーーーーーーーっ!!



 あの人は、裸エプロンの私を見てどうするのかしら。

 そう思うと、体が火照って仕方ない……

 これはアレかしら、忠夫を出迎える時には、アノ伝説のセリフを言った方がいいかしら?


 私は決意すると、本番の時に噛む事が無いように、声を出して練習する。

「おかえりなさい、あなた。ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」


 首を斜め45度に傾けてみたけど、イマイチね。
 もう少し恥らって顔を下に向けた方がいいかしら?
 手は胸元を隠すよりは、エプロンの裾を掴んで体を一所懸命に隠すふりの方が萌えそう。


 そんな事を鏡の前で、いろんな角度から検証していると、ピンポーンとドアフォンが鳴る。
 私は、ええーい、ぶっつけ本番よ! と、気合を入れる為に、両手で頬をパンと叩く。
 そしてテレビドアフォンで忠夫の姿を確認すると「は~い」と可愛く返事をして玄関へと向った。

「ちょっと待って~」


 そう言いながらドアの鍵を開け、そして……






 私は悟った。


 ラブラブ新婚生活が終わりを告げた事を。






 私が例のセリフを言う事はなく、目を丸くして此方を見る忠夫と、

「ひゃあ~」


 なんて言いながら。顔を赤くして此方を見る、近衛木乃香。

 その2人を見て、頬を引き攣らせつつ、こう思った。 



 あのジジイ、殺せば良かった。


 私は真剣にそう思いながら、バタンと扉を閉め鍵を掛けた。




[11660] まほらのほほん記 第8巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2009/12/31 18:59

 xx月xx日の正午過ぎ。
 麻帆良学園中等部校舎内学園長室で、麻帆良学園学園長である近衛近右衛門氏が、何者かに襲撃された模様です。
 被害者である近右衛門氏は、普段から美人で巨乳な某先生にセクハラ行為を行っており、
 犯人は近右衛門氏が妬ましい、もとい天誅が目的だったのでは? と捜査当局は睨んでいる模様です。
 学園関係者の間では、自業自得、因果応報、良い薬等々と言う意見が大勢を占め、被害届の提出は考えていないとのこと。
 
 では、被害者である近右衛門氏のコメントです。


 『ワシは精一杯やった。後悔は無い』


 このコメントを聞いた関係者は、


 『この発言は、某巨乳で眼鏡美人教諭へ何らかのセクハラ行為を行った事に対する報復行為である証拠』


 との見解を示し、逆にセクハラに対する告訴へと踏み切る為に、被害者である美人教諭へ説得に入った模様です。
 尚、美人教諭はこの件に関してノーコメント、との事です。





 報道部発行 まほら新聞より一部抜粋


























  まほらのほほん記  第8巻  真・日々彼是 その1
































  ○月×日


 木乃香ちゃんをウチで住まわせる事になった。
 正直なところ、断りたかったんだがな。
 守ってやって欲しい、何て事を言われたって、俺自身が殆ど家にいない今、どうにも出来ない気がするから。

 それに、何より俺は今、とても充実している。

 雪広グループ系列で、短期の幹部教育実習を受けるのはとても楽しい。
 自分の適性も分かったしな。
 まあ、これは最初から有る程度は理解していたが。
 俺は経営と営業の適正が高く、反面、事務系は適正ゼロみたいだ。
 そんな訳で、今は営業中心で色々学ばせて貰っている。
 当然、半端ねー位にストレスが溜まっている。

 そんな俺を癒してくれているのが、アスナだ。

 朝、朝食と昼の弁当を作り、俺を見送る。

 昼、アスナが作ってくれた弁当を食べて元気100倍。

 夜、帰宅すると一緒にお風呂。そして1日にあった事を楽しくお喋りしながら夕食。

 就寝は一緒に抱き合って眠る。

 
 美神除霊事務所でバイトを始めた頃に遡って、それ以降、初めて感じる平凡で幸せな日常。
 そんな平凡で平和な日常生活を崩す存在になりうるのが彼女、近衛木乃香だ。
 しかも、しかもだ、手を出したら間違いなく切り落とされる。
 何をって? ナニに決まってんじゃねーかっ!!
 詠春を始めとする神鳴流のヤバサを俺は良く理解している。

 あの娘に手を出す=詠春+神鳴流門下一派で俺フルボッコ。

 くぅっ、どうするよ、俺?





































 横島が木乃香を連れて来た次の日。

 ギスギスしているアスナに恐れ戦いた横島は、電話であやか達を呼び出した。
 名目上は木乃香の引っ越し祝い。
 実際の所は、何とかアスナを宥める算段をつけたいと言った所だ。

 そんな横島の思いを知ってか知らずか、木乃香は朝から掃除、洗濯、料理と大忙し。
 さらさらの黒く長い髪をなびかせて、大和撫子の鏡みたいな少女が、その可愛らしい顔に満面の笑みを浮かべながら頑張る。

「ふんふ~ん♪」って実に楽しそうに。

 一方、ツインテールの髪を風も無いのにゴワゴワ波立たせるアスナ。
 最近は吊り目がちな両目を、幸せ一杯に垂れさせていた彼女が、今は能面のように無表情だ。
 その上、背後からは黒い何かが出ている。

 アスナは頑張って掃除する木乃香の近くに行くと、部屋の隅を指でススゥーっとなぞり、

「汚れてるじゃないっ!」


 と、そのまま巻くしたてようとする。
 が、ちょうど来たあやかに、ハリセンでバシーン! と叩かれた。

「何処の姑ですか、アナタはっ!!」


 あやかにハリセンで叩かれ、頭を俯かせる状態になったアスナは、そのままプルプルと震え、

「ふえぇぇぇ~~~~ん! 近衛さんが私の仕事を奪ったぁーーーーーーーーーーっ!!」 


 泣きながら家を飛び出してしまう。

 アスナのその行動に酷く既視感を感じる横島。
 記憶には無いのだが、かつて自分も同じ事をした様な気が……、さっぱり思い出せんが。
 横島は頭を振って既視感を振り払うと、飛び出したアスナを追おうとする。

 が、木乃香がとても悲しそうにポツリ。

「ウチ、迷惑だったん?」


 彼女が横島宅に住むのは、祖父である学園長に言われたからだ。
 だからと言って、嫌な訳ではない。むしろ喜んで此処に来た。
 幼い頃、この麻帆良学園都市に来て以来、初めて一人ぽっちじゃなくなる。
 見知らぬ男性と住む事に不安もあったが、それより遥かに期待が勝った。
 同じく一緒に住むアスナの存在もあったし、祖父が信頼し、何より彼が父の友人でもあった事が、彼女に横島を信頼させる一助となったのだ。

 むろん、それは大きな間違いではあるのだが、しっかりと父である詠春が横島に釘を刺した事もあり、当面は貞操の危険は無いだろう、当面は。

 木乃香は横島を信頼した。信頼し、そしてこれから一緒に生活する事になる、アスナと友達になる事を望んだ。
 そんな訳で、役に立ちたい一心で張り切って家事に勤しんだのだが、少し頑張り過ぎた様だ。


「気にする事ありませんわ、このかさん。アスナさんの事ですから、しばらくしたら帰ってきますわ」


 もちろんあやかと夏美と千鶴は、アスナの気持ちが痛い程良く分かる。
 木乃香が居る事で夜の生活もままならないだろう。
 それに、横島が表の世界でサラリーマン何かやっているのだ。
 社会的立場もあって、大手を振ってイチャつく事は出来まい。
 なのに家の中でも出来ないのだ。
 彼女は、自分達の事を何も知らないのだから。

 まあ、横島にとってソレは、大した障害にはならないだろうけど。

 そして、あやかはアスナの気持ちが解ると同時に、木乃香の気持ちも解ってしまう。
 彼女はあやかにとって、小学生の頃からの付き合いだからだ。

 一応だが学園長と暮らしては居た様だが、学園長は何かと忙しかったのだろう。
 家ではいつも一人ぽっち。
 中学に入った後も、何故か彼女だけが一人部屋。
 特別扱いだと思った事はなかったけれど、今ならはっきりと分かる。

 彼女は異常だ、と。
 木乃香が駄々漏れさせている力。

 魔力

 しかも、それはとても強大で。
 知らず知らずに背中から嫌な汗が吹き出るのが分かる。
 あやかは新学期始まって早々、彼女の力に飲まれかかったからだ。
 だからこそ不思議でならない。

 なぜ? と。

 なぜ、この世界の魔法使い達は、この魔力を隠すなり何なりしないのかと。
 一般人でいさせたいのなら、なんで封印するなり何なりしないのかと。
 これでは狙われても仕方ないでは無いのだろうか。

 そんな疑問を持っていると、アスナが、

「この世界の人達はその手の感応力が低いんじゃない? 私達は霊力を使う分、その手のモノに反応しやすいのかもね」


 そう言われて、何となく分かった。
 彼女が何故一人部屋だったのか。

 魔力を封印したり、隠したりする考え自体が薄いこの世界で、不貞の輩に彼女が襲われた時の巻き沿えを減らす為だったのだと。
 万が一、彼女が襲われても一般人から被害者を出さない為だったのだと。

 彼女の護衛とやらが一緒に住めば良いと思うのだけど、何故だかそれは出来ないらしく。
 あやかが知る限り、護衛と言うのはその字の如く、盾となって護り衛る者。
 そこまでは出来ないと言う事なのだろうか? その護衛とやらが誰なのかは知らないけれど。

 だからあやかは木乃香を拒めない。
 彼女が少しだけ孤独で、そして家族に飢えているのを知っていたから。
 幼馴染と言っていいあやかには、彼女が此処に来るのを喜んだであろう事が分かるから。
 



「そういえば、何でいいんちょに那波さんに村上さんがここにいるん? 横島さんと知り合いだったん?」

「あっ、夏美でいいよ。私もこのかって呼んでいい?」

「うん、ええよ」

「だったら私も千鶴でいいわ、このか。これから私達、棒姉妹になるんだし」

「「ブフゥーーッ!?」」


 あやかと夏美が吹き出す。

 何言ってんのこの人!

 2人は千鶴に抗議しようとするも、

「棒姉妹ってなんなん?」


 無垢な表情で木乃香が聞き返し、2人は言葉に詰まってしまった。
 木乃香にとって初めて耳にする言葉だったから。
 そんな無垢な少女を見て、自分達がとても汚れている様に思えて。

 横島はそんな無垢な少女の頭を数回撫でると、

「木乃香ちゃんは知らんでええ。それより俺は、アスナを迎えに行って来るから、後は頼むな」


 苦笑を浮かべながらあやかに後を託した。

「任されましたわ、横島さん」


 胸に手を当て、軽くお辞儀をするあやか。

 そして横島の傍に行くと、「いってらっしゃいまし」チュッとホッペにキス。

 負けじと夏美も反対側の頬にキス。夏美の精一杯のあやかへの対抗心。

 横島への想いがたっぷりと詰まったキッス。


 2人のキスを頬に受けた横島は、顔をだらしなくニヤケさせながら家を出た。
 肉体関係はあっても、これはまた別で嬉しいようだ。

 横島を見送りながら、木乃香はチラッ、チラッと何度もあやかの方を見る。


「あんなぁいんちょー、その、横島さんのこと……好きなん?」


 顔を真っ赤にしてボソボソと言う木乃香。

 何せ木乃香の目の前には、普段の立ち振る舞いからは考えられない程に『乙女』なあやか。
 てっきりショタコンだと思っていた彼女が、横島にホッペにチュッなんて驚天動地。
 やっぱり恋人同士なのだろうか? でも、夏美もしていたし、さっぱり訳が解らない。

「ええ、好きですわ」


 さらりと答えるあやか。

 どこか誇らしげなあやかが、木乃香の目にはとても綺麗に見えた。

「恋しとるんやね、いいんちょ」

「……恋と言うよりは、愛ですわね」


 少し考えてから、慎重にそう答えたあやか。
 まあ、恋する以前に色々有ったせいなんだろう。
 何となく恋人というよりは、誰かが傍に居てあげなくてはダメな人。
 彼女の中の横島の印象はそんな感じ。
 もちろん、好きな人である事には違いはない。


「2人とも、そんな事よりもさっさとお掃除、お洗濯を終わらせるわよ」



 千鶴の声に、あやかと夏美はそれぞれ掃除や洗濯に取り掛かった。
 和気藹々とした雰囲気を醸し出しながら、彼女達は実に楽しそうだ。

 そんな彼女達を見て、木乃香はチクンと胸が痛んだ。

 疎外感。やっぱり自分は一人だったのだ。
 自分がした事は唯の迷惑でしかなく、アスナの仕事を奪ってしまった余所者なんだと。

 しゅん……、と落ち込んでしまう木乃香。

 そんな木乃香にあやかは、

「このかさんも手伝って下さいませ。アナタも、家族なんですから」

「……ホンマ? ウチも、一緒でええんの?」

「アスナさんの事でしたら先ほども申しましたが、気にしないでも大丈夫ですわよ」

「そうそう、スグに機嫌直して帰ってくるよ。多分、あと1時間ぐらいしたら……」

「そうね、横島さんに任せておけば大丈夫よ。それにね、さっきも言ったけど、私達は姉妹になるんだから」


 千鶴は口元を手で隠しながらそう言うと、「ウフフフフフフフフフフ……」と笑いながら脱衣場の方へと消えていった。

 恐らく洗濯でもするのだろう。

「千鶴さんっ!?」


 あやかが怒りながら後を追う。

 夏美は、ホントにそうなりそう、って思い少し苦笑。


 そして、木乃香に笑いかけながら、

「さっさと掃除終わらしちゃお?」

「うんっ! 頑張ろなっ!!」





















 それから1時間程経ち、横島がアスナを連れて帰ってきた。

 アスナは頬を上気させ、ニコニコしながら横島の腕に絡みついた状態で。

 そして木乃香の方を見ると、ちょっとだけバツが悪そうな顔をして、

「アスナで良いわよ、このか」


 近衛さん、神楽坂さん。そう呼び合っていた2人。
 木乃香は明日菜との距離がグンと近づいたようで、凄く凄く嬉しかった。


「ほなよろしくな、アスナ。それに、横島さんも」


 ひまわりが咲いたような笑みを浮かべる木乃香。


 横島はそんな木乃香を見て、ほっと胸をなでおろした。
 彼女は今、アスナと楽しそうにしている。
 そんな2人に混ざり合うあやかと夏美。

 そして、千鶴。

「お疲れさまです、横島さん。お風呂、沸いてますわ。一緒に入りません?」


 そんな千鶴に手を引っ張られながら、さっきまで外で隠れてアスナといたしてた横島は思った。



 コソコソ隠れながらするんも、刺激があって中々良いモンだ。



 千鶴とエッチな入浴した後は、明日、ここから直接学校へ行くと言う3人がウチに泊っていき、リビングに布団を敷いて5人仲良く雑魚寝する。

 たまたま端っこで寝ていた夏美をお持ち帰りにして、横島は確信した。


 マジで刺激があってええわ、と……


 自分から誘って来たくせに、終始ソワソワして外を気にする千鶴。
 必死で声を出さないようにする夏美。

 2人共に最近は、隠すよりも他の娘に見せ付ける様になっていただけあって、この反応はとても良い。
 ただ、行為が終わるとスグにそそくさと帰るのは頂けないが。

 今も行為が終わって、そのまま夏美を抱き枕にして眠ろうとすると、

「じゃ、みんなの所に戻るね。おやすみ、横島さん」

 そう言ってさっさと部屋から出て行ってしまった。


 まあ、いいさ。横島は一人ゴチる。

 そう、明日からの3人での生活。

 いかに木乃香に見つからずにアスナと事に及ぶか。


 それを考えると、胸が高鳴って仕方ない。

 美神を覗いていた、アノ頃の情熱が再び戻ったかの様に……

































 少し考察。(10/29 AM1:45バージョン)修正2度目です。

 寮の部屋割りについて。


 原作ではっきりと解っているのは、アスナ&木乃香、あやか&千鶴&夏美。そしてエヴァ&茶々丸。

 多分そうだろうと思われる、のどか&夕映&ハルナ。

 他2次創作で良く使われる、ちう&ザジ

 こんな所でしょうかね?



 で、ここから修正入ります。

 確定に、楓&双子、まき絵&亜子、千雨オンリー、刹那&龍宮。




 取り合えず多分と他2次の抜いて考えると、修学旅行の班割りにぶち当ります。

 ぶち当らなかったようですwwが、消すのも何なんで、そのまま。

 1班、双子&チア3人娘
 2班、超&葉加瀬&さっちゃん&楓&くー&美空
 3班、あやか&千鶴&夏美&ちう&朝倉
 4班、まき絵&裕奈&亜子&アキラ&龍宮
 5班、アスナ&このか&ゆえ&のどか&ハルナ
 6班、刹那&ザジ&エヴァ&茶々丸&さよ


 そんな訳で、コレを元に部屋割り第2案です。。

 1、チア3人娘
 2、葉加瀬&さっちゃん
 3、超&くー&ザジ
 4、アキラ&裕奈
 5、ゆえ&のどか&ハルナ
 6、朝倉&美空


 ザジが何処に入れても浮くわ~。
 取り合えず、超がいなくなったら一人になるくーの部屋に入れます。

 更に更に確定情報を加えられる方は突っ込んでやって下さい。
 もしくは他の説得力がある答えを出せる方、どんどんご指摘下さい。

 もっとも、この部屋割りがヨコアスRの話の展開に影響するかどうかは不明ですが。

 寮侵入、夜這いイベントwwが発生した場合、同室の子も一緒に喰われる程度ですw

 このイベントが有るとしたら、Pスペシャルイベントでしょうね、たぶん。





[11660] まほらのほほん記 第9巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2009/12/31 19:01


 それはいつもの朝のひと時。

 パジャマにエプロンで朝食の準備をする木乃香。
 寝坊したのか、セーラーブラウスに下着だけのアスナ。

 どちらもおいしそ……、もとい、可愛らしく元気に魅力的である。

 そんな2人を、鼻を伸ばして見守る横島。


 実に素晴らしい光景だ。

 彼は心からそう思った。
 彼女達を見ていると、かつての自分がどれだけ狭量だったのか、痛い程良く分かるから。

 少しだけ大人になった今の俺ならば、あの時、あんな喧嘩別れにはならなかったろうに……


 昔を思い起こしながら、アスナがスカートを身に着けるのを、チッとこっそり舌打ちする。

 木乃香が舌打ちする横島を微笑ましそうにしながら、パタパタパタ……、足音を立てて郵便受けから朝刊を取りに行く。

「横島さ~ん。なんか新聞と一緒に手紙が入ってたえー」


 差し出される朝刊と手紙を受け取る横島。

 
 眉を顰めながら受け取ると、横島は慎重に手紙を調べる。
 こんな時間に手紙が届く訳が無い。
 当然、切手も貼ってなければ押し印も無い。
 差出人の名前は、クウネル・サンダース。

 知らない名前だ。

 呪い等の呪術がかかっていないのを確認し、横島は手紙を開いて読んでみる。





 それはかつての戦友からの便り。

 たった今、思い起こしていた悔恨の出来事の登場人物の一人。

 内容は、


『会いたい。

 会ってあの頃の事を詫びたい。』



 ああ、そうだ。詫びねばならない。俺も、アイツラに詫びねば……


 横島は手紙を読み、何度も彼の現在地を確かめる。

 そして、

「木乃香ちゃ~ん。今度の休み、図書館島まで案内してくんない? 昔馴染みとそこで待ち合わせでさぁ」

「ええよ~」


 木乃香に感謝の言葉を返しつつ、横島は再会の時の為の準備を始めた。

 こっそり、パジャマの隙間から覗く、起伏の少ない胸の谷間をチラ見しながら。




























  まほらのほほん記  第9巻  真・日々彼是 その2



























 横島は木乃香と、それに途中で出会った木乃香の友人達に連れられ、図書館島までやって来た。

 この中でアイツラが待っているのか。

 そう思うと彼は少し緊張する。
 何せ、最後に会った時は、殆ど喧嘩別れの様なものだったから。
 互いに互いを貶しあい、そして、あの決定的な一言で、赤い翼を出て行ってしまう事になったのだ。

 その後もチラホラ顔を出してはいたが、それはアスナやタカミチと言った目下の者達の為であり、決してアイツラとの仲が修繕した訳では無かったのだ。 


「大丈夫なん? 横島さん」


 木乃香が心配そうに横島に声を掛けた。
 そして、彼女の友人の2人も同じように心配そうだ。
 何処か浮かない顔をしながら、自分の身長よりも大きい荷物を持っていれば、誰でも心配はするだろう。


「元々私達が運んでいた荷物です。無理しなくて良いのですよ?」

「お? 全然平気だぞ?」

「平気そうでは無いのですよ? 先程からウンウン唸り声を上げてるです」


 言われて気づく。自分がどれだけ緊張していたのか。


「ああ、違う違う。これから会うヤツラの事を考えていたらな……」


 そう言いながら、持っている荷物を指定された場所まで運び、そして丁寧に降ろす。
 少女達は横島にお礼を言うと、今度は彼に労わりの声を掛けた。

「どう言う方なのですか? 話したら、少しは楽になるですよ」

「ダチだったヤツラだ。だけどな、互いの信念をぶつけ合って喧嘩別れしちまったんだよ。
 あの時の俺は、いんや俺達は、相手の信念を受け入れる事が出来なかった。
 でも今なら解る。どっちかが正しかった訳じゃねーって事が。きっとよ、どっちも正しかったんだ。
 今の俺ならそれが良く解る。でもな、これから会うんだって思ったらよ、どうにも……」


 横島は遠くを見つめる。郷愁を帯びた何処か切なそうな顔で。
 少女達は、目の前の青年が見た目と違って、沢山の悲しい経験をしているんだと感じた。
 いかにも青二才といった風情の男だが、何処か老人染みた郷愁を感じるのだ。
 どれだけの辛い思い出があるのだろう?

 そう思うと、自分達まで切なくなってしまう。


「大丈夫です。きっとご友人方も、同じ事を思ってるですよ。きっと……」

「わ、私もそう思いますーーー」

「ウチもそう思うえ、横島さん」

「あんがとな、木乃香ちゃん。それに、えっと……」

「綾瀬夕映です」

「あっ、あのー、宮崎のどかですーー」

「あんがとな、綾瀬さんに宮崎さん。少し、楽になったよ」


 木乃香の頭をグワシ、グワシと少し乱暴に撫でながら、横島は夕映とのどかに礼を言う。
 さらさらの長い髪がグチャグチャになるのも気にせずに、木乃香は「えへへ~」と、心底嬉しそう。
 もしも彼女に尻尾があったなら、ぶんぶんと激しく振っていた事だろう。
 そんな2人を微笑ましそうに見守る夕映とのどか。

 
 のどかは本当に嬉しそうにしている木乃香を見て、少しだけ羨ましく思った。


 郷愁を帯び、悲しげに儚く笑う彼。
 胸がキュンと高鳴った気がする。

 あれ? 私、もしかして彼に惹かれてるのかなー?
 
 そう思った瞬間、ボンっと顔が真っ赤に染まった。

「ど、どうしたですか、のどか!?」

「な、な、な、なんでもないよー、ゆえーー」


 腕をグルグル回し、頭をブンブンと左右に振る。
 のどかは、今思ったことを必死に否定する。

 男の人が苦手な自分が、こんな簡単に誰かを好きになるはずが無い。


 本を返しに行く途中に出会った彼。
 持っていた大量の本を、嫌な顔一つせずに持ってくれた彼。
 見かけによらず、力持ちな彼。
 木乃香の同居人で兄代わりの彼。
 そして、どこか遠くを見つめる彼。

 きっとその目は、沢山のモノを諦め、大切にしていたモノを、沢山捨ててきた目。


 のどかの頭の中を、悲しげに笑う彼の顔が過る。

 私が癒してあげたいかも……。あの、悲しそうに遠くを見つめる目を、微笑で自分に向けて欲しいな……。


 のどかは我知らず、振り回していた腕を止めると、両目を塞ぐ前髪を掻き分ける。
 そして、木乃香の頭を撫でる彼の横顔をそっと見つめてみた。
 子供の様な笑みを浮かべ、木乃香と言葉のやり取りをして、とても楽しそう。
 さっきまでの彼とは違い、こんな彼も良いかも……

 いいなー。このかーーー。


 訝しげに自分を見る夕映の事も忘れ、のどかは前髪で隠していた顔を外気に触れさせたまま、じぃっと横島の顔を見つめ続けた。

「本当に大丈夫ですか、のどか? もしかして、彼の事が?」

「ち、違うよ、ゆえゆえー!? 会ったばっかりの人を好きになんてなってないよーーー!?」


 横目に彼を見ながら、それでものどかは否定する。
 が、夕映はそんなのどかにニヤリと笑いかけると、

「私は好きなのかなんて聞いてないですよ。そうですか、のどかが男の人を好きになったですか」


 ワザとらしく、うんうんと大きく頷く。
 そして、チラッと横島の方を見ると、

「でものどか、私も少し分かる気がするですよ。
 まだ出会って間もない私達にでさえ、彼の瞳に宿る悲しさや切なさが伝わって来るほどです。
 あの方は、どれだけ悲しい思いをしてきたのでしょうね?」

 両の手の平を胸に当てる。ゆっくりと顔を左右に振ると、のどかの方を見る。

「男の人と言うのは、馬鹿でスケベで考えなしだと思っていたですよ。ああ言う方もいらっしゃるのですね。」


 もちろんそれらは、のどかと夕映の勘違いというものだ。
 横島という男は、馬鹿でドスケベで行き当たりばったりな考えなし。

 第一印象がとても大切だという実例だろう。
 2人はこの先、横島がどれだけ馬鹿でエッチな事をしようと、彼を嫌う事など、決して無かったのだから。




 横島が知らない内に少女達の心をゲットしていたその時、突如少女達の目の前に、ローブを被った長髪の胡散臭い笑みを浮かべるイケメン男が現れる。

「お待ちしてました、横島さん」


 この男が横島さんの……

 少女達は心配そうに横島の方を見る。
 彼は緊張しているのか、表情を少し硬くさせ、ギュっと手を握り締めている。

 夕映は彼の傍に行くと、握り締めている彼の手を、優しく自分の手で包み込んだ。

「大丈夫です。大丈夫ですよ」


 まるで幼子をあやすように、夕映は声を掛ける。

 夕映は自分の大胆な行動に驚く。
 それと同時に、納得もした。
 この短い時間で、彼にホンの少しだけ心を奪われてしまったのだと。

 そしてそんな自分に気づくと、少しでも彼の心の負担を小さくして上げたい。
 心からそう思った。
 
「ありがとう、綾瀬さん。もう大丈夫だ」


 言いながら横島は、自分の手を包む彼女の手にそっと口付けした。

 ボン、大きなおでこまで赤くする夕映。

 赤くなり、ワタワタとする彼女の頭を、ポンポンと数回優しく叩くと、横島は「待たせたな」と言ってローブの男の方へと歩み寄る。

 そして、

「木乃香ちゃん、今日は遅くなるだろうから、先にメシ食って寝といてね。アスナにもそう言っといて」

「はい、気をつけてな、横島さん」


 横島は手を振りながら、ローブの男と共に視界の外へと消えていった。
 視界から消え去った彼の影を、いつまでも切なげに見続ける夕映。
 そんな彼女を羨ましそうに見つめるのどか。
 2人のいつもとは違う様子に、ようやっと気づく木乃香。

「夕映ものどかも、もしかして、横島さんのこと好きになってもうたん?」

「い、い、い、い、いえ、まだそこまでは……」

「そ、そ、そ、そうだよーーー!?」


 慌てた様子の2人に何度も頷くと、

「でもな、横島さんは競争率は高いと思うん。ウチが知ってるだけでも、アスナやろ、いいんちょやろ、千鶴さんに夏美もや」


 2人は内心で、それにこのかもですよね(だよね)と、付け加えると、

「いいんちょがですかっ!? 驚きです……」

「うんー。てっきりいいんちょは、小さい男の子が好みだと思ってたよーーー」

「それがな、いいんちょ。横島さんにいってらっしゃいませって、ホッペにちゅーしたんよ」

「「---っ!?」」


 驚きの余り、一瞬息を止めてしまう二人。

 今だその想いは完全なモノでは無いとは言え、こうもライバルが先を進んでいれば、何かと焦ると言う物。

 のどかは夕映の方を見てニッコリと笑う。

「ねえ、ゆえゆえー。妻妾同衾って知ってる?」


 相手が先を進んでいるのなら、こちらは2人がかりで行ってみよう。
 うぶで引っ込み思案な筈の親友の言葉に、ビシッと石化してしまう2人。
 のどかは純な表情そのままに、とんでもない事を考え、そして口に出してしまった。
 


 その後、2人は木乃香の進めもあって、横島邸へと場所を移す事にする。
 ライバルであろうアスナの偵察や、今、自分達の胸に宿りつつある想いが本物かどうか確かめる為に。
 一度寮に戻り、お泊りセットを手にして、夕映とのどか、ついでに何でか憑いて来たハルナの3人で、決戦場たる横島邸へと入る。 


「こ、これは、何て濃いラブ臭なのっ!?」


 ハルナの電波話を先駆けに、盛り上がりを見せる横島邸。
 アスナは友達と仲良くなった事を密かに喜び、木乃香も同様に喜んだ。
 夕食をみんなで作って食べ、お風呂に入り、リビングに布団を敷いて皆で雑魚寝。
 明日の朝には、あやか達も朝食を食べにやって来るとあって、朝食の下拵えも万端整える。
 かしましく騒ぎ、いつの間にかに静まり返る。
 後には、スゥースゥーと規則正しい寝息。





 少女達の1日は、こうして過ぎ去って行く。

 沢山の誤解をそのままに……

 もしも、もしも夕映とのどかと一緒に居たのが木乃香じゃなくて、アスナかあやかだったなら。
 2人はこんな勘違いをせずに、横島の事を想ったりはしなかったであろうに……
 それが、幸か不幸かは別として。





























 一方、横島はと言うと……


「横島さん、スリットから覗く生足は素晴らしい」

「ジャックよ、黒のガーターにパンストのすべすべ感は素晴らしい」

「アル、ソックスからはみ出る肉は実に素晴らしい」

「ブルマは素晴らしい」

「スク水は素晴らしい」

「セーラーの上だけは(ry」

「いやいや、(ry」

「それは(ry」

「巨乳は(ry

「ロリもなかな(ry



 こんな感じで、かつて、互いのフェチを最上の物と信じてやまなかった3人は、互いを認め合い、そして高めあった。

 彼らは昔の自分を恥じていた。
 あの時の自分達が、どれだけ狭量だったかを知るが故に。

 互いの愛する物を組み合わせる事で、無限の可能性が広がっていく。
 それを知ったがために。

 あの時、言い争う自分達にナギが言った言葉。


 そんなもん、最後は全部脱がしちまうんだから、どうでもいいじゃねーかっ!!


 この言葉だけは、今でも許す事は出来ないけれども。
 それでも彼らはこう思うのだ。


 あの頃のアイツはまだまだ子供だった。
 今ならばアイツも俺達を理解出来るはずさ。
 いつの日か、暇になったら助けてやるか、まったく仕方がないヤツだ……


 そう結論付けると、男達は、いや、漢達は頭を寄せ合い議論を始めた。

 題材は、エヴァンジェリンをもっとも魅力的に魅せる衣装は何か?

 明け方まで続いたソレは、

 横島の好きな猫耳とニーソックス。
 ラカンの好きな眼鏡にセーラー服の上だけ。
 そして、アルビレオ・イマが大好きな旧スク。


 アルビレオだけ1つとは平等ではないと感じるかも知れない。
 だが、エヴァンジェリンと言う素材自体が彼の趣味なため、割合的には彼が1番得しているだろう。
 漢達は、いつか必ずこの素敵衣装を彼女に着せる事を誓うと、互いの世界のお宝を交換し合い、そして何も言わずに別れた。


 彼らには、もう言葉など必要ないのだ。

 朝焼けに目を細めながら横島は思う。
 昼まで寝たら、たった今入手したお宝を、心行くまで堪能しよう。
 横島は、今日だけは童心に帰るぞと、ワクワクした気持ちを抑えきれずにスキップしながら家路に着いた。



 そして、家に帰るなり、風呂にも入らずに部屋へと戻る。

 寝ぼけ眼で、リビングで寝ていた女の子をテイクアウトし、抱き枕として活用しながら。


「むにゃむにゃ……、みーかみさーん……」



           少女が目覚めるまで、あと、1時間


































































 部屋割り表


 横島宅  横島&アスナ&木乃香
 エヴァ宅 エヴァ&茶々丸

 寮
 あやか&千鶴&夏美
 楓&双子
 刹那&龍宮
 千雨オンリー
 まき絵&亜子
 裕奈&アキラ
 チア3人娘
 葉加瀬&さっちゃん
 超&くー&ザジ
 夕映&のどか&パル
 朝倉&美空















 後書き

 部屋割り表、どうでしょうかね?
 個人的には、朝倉&パルにして、美空&ココネしたいと思ってるんですけど、それは無しにしときます。
 クラス事みたいですからね、部屋割り。
 とりあえずはこんな感じで考えて下さい。
 いや、ここはこう言う方が良い、何て方は感想で。
 まあ、前話でも言いましたが、この部屋割りがヨコアス内で活用される可能性は低いですけどね。



[11660] まほらのほほん記 第10巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:28




  まほらのほほん記  第10巻  ゆえとのどか









「ん……くぅっ……」


 じわじわとくる快感の波で、思わず喘ぎ声を上げてしまいそうになるのを必死で堪える。

 正直な所、混乱の極みとはこの事です。

 朝、目を覚ましたら彼の腕の中に居たのですから。
 それはもう、すっぽりと。


 
 私は寝ぼけていたのでしょうね。
 最初は夢の続きかと、彼の胸にスリスリと頬ずりしてしまったです。

 ええ、そうですとも。
 私は彼の夢を見ていたですよ。
 夢の中で私は、彼に愛の告白を受け、嬉しさの余りに彼の胸に飛び込んだのです。
 彼の匂いを胸一杯に吸い込んで、うっとりと陶けていた所で目が冷めたのです。

 夢では無かったのですね。
 実際にむせかえる程に濃い彼の体臭が、私の頭を呆けさせてしまう。

 そのせいか、空前絶後のアホな行為を行ってしまったのですよ。
 胸へのスリスリでは飽き足らず、私は彼の頬にスリスリし始めてしまったのです。

 そして、頭がはっきりとした頃には手遅れでした。
 私の体はクルンと180度回転させられ、仰向けになった私の体を、彼は左手でお腹の辺りからギュっと抱きしめてきます。

 横を向けば彼の顔が間近で見えます。
 見えるどころか、頬が容易に擦り合う距離です。
 彼の規則正しい寝息が耳にかかるです。
 それだけでゾクッとイッテしまそうになるのですよ。

 とは言え、いつまでもこうしている訳にはいきません。
 なんで彼の腕の中に居るのかは後で考えるとして、私は彼の腕の中から這い出ようとしました。

 ですが、私の身体はしっかりと彼の腕で固定されており、逃げ出す事が叶わなかったのです。

 モゾモゾと動いたのが悪かったのでしょうか?
 気づけば彼は私の耳朶をハムハムと甘噛みし始めました。
 その上、彼の右手が私のパジャマのズボンの内側に入り込み、今では下着の上から私のアソコの割れ目をゆっくりとなぞっています。
 
 初めて感じる性的な快感で、私の頭は混乱の極みに。

 いえ、本当は一度だけ、興味本位で自慰と言う物をした事はありますが。
 その時に感じたモノとは比べ物にはなりません。
 これが好きな人に可愛がって貰うと言う事なのでしょうね。


 ……って違うですよ!?
 このままでは、私はどうにかなってしまいそうです!

 ですが彼の手は段々と私の下着の内側へと入り込み、くちゅ、くちゃ、ぬちゅ……、いやらしい水音を立てるです。


「は……あ……はぁ……」


 意識が飛んでしまいそうです……
 声を上げるのを必死で堪えながら、私は何とかこの天に昇るような地獄から抜け出そうと足掻くのですが……


 それにしても、どうして私は彼に?
 状況から察するに、此処は彼の部屋で、そして私は彼の部屋に居る訳でして。

 昨夜遅くに帰って来たであろう彼。
 そんな彼の部屋に忍び込んだ、という訳ですか、私はっ!?

 不味いです。物凄く不味いです。

 今が何時頃なのかは分かりませんが、このままでは皆が起き出して見つかってしまいます。

 そうしたら私は……、昨日会ったばかりの男性の部屋に忍び込み、夜這いをかける破廉恥な女にされてしまうですよ!!

 いえ、恐らくですが、それに間違いは無いのでしょうけど。
 ですが言い訳をさせて貰えるなら、決して私の本意では無くてですね、気付いたらここにいた訳でして。

 ああ、もう本当にどうしたらいいのでしょう?


 そんな時、

「ひぐっ!」


 私は思わず悲鳴を上げてしまいます。

 彼の指先が、私の膣内へと潜りこんで来たのです。
 そこはまだ誰も入った事の無い場所。
 自分でさえも知らない未知の場所。
 そんな処女地を彼の指が……

 何度も浅く抽送を繰り返し、私の快感を高めていきます。

 このままでは、私の初めてが彼の指になってしまう。

 それは何と言う恐怖なのでしょう。
 恐ろしいまでの絶望感。
 初めてが指だなんて……


「横島さん……、お願いです、指が初めてなんて嫌なのです。許して……ください……」


 涙を浮かべながらの私の訴えが彼に届いたのか、彼の指先は私の胎内から這い出ていきます。
 そしてそのままパジャマの上を捲り上げると、私の平たい胸を両手で揉み上げてきました。


「あ、あんっ、ふぁっ、うんっ、ん、んんっ、んんぁ……」


 恐怖から解放されたせいでしょうね。
 先程までとは違い、素直に快感に身を委ねる私。

 熱い吐息を吐き出し、艶めいた声を上げ、そして彼の求めに答えていく。
 彼の首筋に舌を這わせ、彼の味を感じ、そして濡れていく。




 ああ、このまま私を奪って下さい。
 指なんかではなく、あなたの大きなモノで、私を犯して下さい。

 そして、私はあなたの、あなただけの……





 私はそう思いながら少しづつ体勢を変え、そして彼の唇に自分の唇を合わせようとしたその時、


「……っちゃい。」













 どんな夢を見ているのでしょうね?
 ちっちゃいなんて。
 私の胸がそんなに小さいとでも言うですかっ!
 分かってますよ、私の胸が小さいどころか、何もない平坦だって事ぐらい。
 今まで気にした事など無かったですが、好きな男性に言われると流石の私も傷つくですよ?

 彼の言葉にプチンと来た私は、彼の額に自らの広いオデコをガツン! とぶつけてやりました。

「うぐあっ!?」


 突然の攻撃に額を押さえる彼。
 私は自分を押さえ込んでいた手が無くなると同時に、素早く彼の傍から離れ、そのまま部屋の外へと逃げ出しました。
 完全に寝ぼけている今ならば、私の事には気づかないでしょう、きっと。

 きっと、ええ、きっと、お願いですから気づかないで下さい…… 







 そう願いながら私はトイレに飛び込む。
 便座に座り込み、濡れた下着を下ろすと、ホッと胸を撫で下ろします。


 助かった……


 そう思いながらも、どこか残念がってる自分がいるです。
 私はそんな考えを振り払いながら、いやらしい体液で濡れるそこを、トイレットペーパーで拭きました。

 ビク、ビクン!

 性的な快感で、身体が何度も跳ね上がります。

 ついさっきまで、彼の指で可愛がって貰っていたアソコ。

 気づくと私は、今だ舌先に残る彼の味を何度も味わいながら、徐々に胸の先端とそして股間の割れ目に指が……


「ゆ~え~、大丈夫~?」


 扉の向こうから聞こえるハルナの声に、ビクッと指を引っ込めてしまうです。

 私はすぐさま、「どうしたですか、ハルナ?」と内心の動揺を隠して声を返します。

「いや~、起きたら何処にも居ないからさ、心配したんだよ」

「すみませんでした。少しお腹の調子が悪かったですよ」


 言いながら水をジャーと流し、濡れた下着を履きます。
 気持ち悪いですが仕方ないですね。
 素早く立ち上がると、そのままリビングへと足を向けました。



 そこには委員長さん達だけでなく、横島さんまでいました。

 私はどれだけの長い時間、トイレに篭っていたのでしょう。

 変な子だと思われなかったでしょうか?

 不安で仕方ないですよ……


「大丈夫か、綾瀬さん。どっか具合でも悪いのか?」

「い、いえ、大丈夫です。それよりも……」


 そう、それよりも、先程から横島さんの話に耳を傾けると、

「私の事は名前で呼んでくれていいですよ。私達だけ苗字で呼ばれるのは、何だか疎外感を感じるです」


 そう! そうなんです!! 

 アスナ、あやか、夏美ちゃん、千鶴ちゃん、木乃香ちゃん。

 それに対して、綾瀬さん、宮崎さん、これじゃあ何だか距離を感じるです。
 これは直して貰わねば!!

「あ、私ものどかって呼んで欲しいかもー」


 のどかは素早く私の提案に乗り、

「私はどっちでも良いんだけどねぇ」


 ハルナはいやらしい目でニヤニヤと此方を見るです。
 まったく、ハルナときたらっ!

「うし! じゃ、夕映ちゃんとのどかちゃん。そんでハルナちゃんでいいか?」

「「はいっ!」」


 私とのどかは声を揃えて返事をしたです。

「うっしっしっしっし」


 ハルナはアホな笑いを私達に向けるですが。



 その後は、「もうちょっと寝るわ」そう言って再び寝室に戻ってしまった横島さん。
 それでもその日は私にとって、色々と思い出深い一日になりました。

 祖父を亡くしてからは、世界の全てがくだらない。
 そう思っていた私が、今ではのどかやハルナやこのかと言った友達に恵まれ。

 そして、恋をして。

 更に、アスナさんを始め、委員長さん、夏美さん、千鶴さんと言った恋敵兼友人も出来ました。






「ねえ、ゆえー」

「なんです、のどか」

「がんばろうねっ!」

「ええ、負けられません!」





 世界は、とても光輝いているのだと。

 これで危険と冒険に満ちた幻想的な世界に行ければ言う事ないんですが、そこまでは贅沢と言うものですね。














































 10時近くになって、夏美さん達は部活に行ってしまいました。
 みなさんは眠っている横島さんの部屋に一人づつ入ると、満足した笑みを浮かべて帰って行きます。
 何をしていたんだろうー?
 ハルナは原稿あるからって言って帰り、私と夕映は一緒に夕食を食べてから帰るつもり。

 私達はゲームをして遊んだり、色んなお話をしたり。
 後はお昼や夕食のお買い物。そして家事のお手伝い。
 アスナさんはちょっとだけ眉を顰めてたけど、すぐに気を取り直して私達を受け入れてくれました。
  

 お昼頃には横島さんも起きてきたから、昼食を食べた後はお話をして過ごせるんだと思っていたんだけど、横島さんは沢山の荷物を抱えて書斎に篭っちゃった。

 残念だなー。

 でもね、トイレに行った帰りに少しだけ覗いて見たら……
 本を開いたまま眠る横島さんがいてー、私はこっそりと中へ入ってみました。



 ……沢山のえっちな本にDVD。
 男の人ってこういうのが好きなんだ……
 私は横島さんが開いている本を特に注意して見ました。


 猫耳。
 裸の女の子に猫耳。そして尻尾。
 尻尾はどうやってつけてるんだろう?

 そんな事を考えていると、机の上に大事そうに猫耳と尻尾が置いてあるのに気づきます。
 私は猫耳を装着して、そして尻尾を手に取ります。

 尻尾の根元には数珠状の物がついていて、ソコには『←in』

 いん? どこにインするのかなー?
 私が頭の中を?で一杯にしていると、


「のぉぉおおおおおぉぉおおっ!?」


 横島さんの雄叫び。
 私は驚いて「ひゃぁっ!?」と悲鳴を上げてしまいます。

「ワイの清純なイメージがぁーーーーっ!」


 必死でえっちな本を隠そうとする横島さん。
 私はそんなの全然平気なのに……

「大丈夫ですー。男の人は、みんなエッチな本を持ってるって聞いた事がありますからーー」

「毛虫の様に見られるよか、こうやって生暖かく見つめられる方がきつい……」


 そんなつもりはなかったんだけど……
 横島さんは一通り嘆き悲しむと、気を取り直したのか私の方を見て微笑みかけます。

「猫耳似合ってんな、のどかちゃん」


 あっ!?
 すっかり忘れていたかもー。
 私は両手をわたわたさせると、恥かしさの余り、顔を真っ赤にして俯いてしまいます。

 そんな私の両頬を手の平で包み込む横島さん。
 彼は私の髪を掻き分けると、

「のどかちゃん、すっげー可愛いぞ。顔、隠すの勿体ねーな」

「はわわわわ……」


 ただでさえ赤かった顔が、更に赤く染まっていくのが分かります。
 横島さんは、そんな私の顔をジッと見つめてきます。


 これは、攻めるべきなのかなー?
 私は心の中でゆえに、ごめんね、って謝ると、

「にゃ、にゃん」


 世界の時間を止めちゃった……
 ダメだ、恥かしい。
 チラッと横島さんを見てみると、何だかぷるぷる震えている。
 笑ってるのかなー。

 ふえーん、やっちゃったよーー。
 


「き……キタァーーーーーーーーーーーッ!!」


 


 バンザイするような様で立ち上がる横島さん。

 その後は横島さんに言われるままに。
 横島さんが、どこからともなく持ってきた真っ白いレオタードを着て、そしてネコさんのポーズ。
 フンッフンッと、鼻息を荒くする横島さん。


 ごめんね、ゆえー。
 一緒にがんばろーって言ったその日の内に、私は親友を裏切ってしまった。

 



 ちょっとエッチなポーズとかとっていると、横島さんが嬉しそうにデジカメで私を撮ります。
 本当に子供みたいに楽しそう……
 昨日見た悲しそうな顔じゃなくって、とっても楽しそうで、私はそんな横島さんに見られているんだーって思うと、胸がドキドキしてー。
 頭がぽ~っとしてきてー。
 もしも今、着ている物を脱いでみようかなんて言われたら、脱いじゃいそうなくらい……

「じゃ、少し脱いでみようか?」

「えっ!?」


 私が混乱していると、横島さんは私の両肩から滑り落ちる様に、少しづつ着ている物を下ろして行きます。
 胸が露になった所で一旦止まると、再び言われるままに色んなポーズを取ります。
 それをデジカメで何枚も激写していく横島さん。


 フラッシュの光を浴びている内に、私は身体中が火照ってどうしようもなくって。
 ふと気づけば私の目の前に彼が居て、段々と唇が近づいて……







































「のどかちゃん! のどかちゃん!! 大丈夫か、のどかちゃん!?」

「あ、どうしたんですかー。続きをしてくださいーー」

「へっ? 続きって、なに?」


 どうやら私は、横島さんのいる書斎に入るなり滑って転んで気絶していたみたいで。
 と言う事は、さっきのは全部、ゆめ?


 何てはしたない夢を~~~っ。
 しかも、あっさりとゆえを裏切るなんて、わたしぃー!?



 私は顔を真っ赤にして横島さんにお礼を言うと、逃げ出すようにみんなの所に戻りました。
 夕映が私を見て笑いかけます。
 ズキンと胸が痛む。


「ごめんね、ゆえ~~~」

「どうしたです、のどか」

「ううん、なんでもー。でも、謝りたかったの」

「そうですか……。それは兎も角、頭の猫耳は一体どうしたですか?」

「えっ!?」


 両手を頭にやると、確かにソコには猫耳が。

 だとしたら、さっきのは本当に、ゆめ?

 それとも、げんじつ?


 胸のドキドキが止まらない。私は今来た方を見ると、その先に居るはずの彼に向ってこう言った。




「今度は尻尾の付け方を教えてくださいね?」












































「やれやれ、ようやく瘴気が晴れたわい」

「では?」

「うむ。念の為に数日様子を見たら、封鎖を解いてもええじゃろ」

「ではその様に」





[11660] まほらのほほん記 第11巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2009/11/07 01:55
 注! 今回シリアスモードです。
     キツイな~、思う方は最後だけお楽しみ下さい。




























 それはいつもと同じ平和な日常の一コマ。

 朝起きて、学校へ行き、授業を受けて、部活を頑張り……
 時折好きな人の事を想ってニヤニヤしたり、最近仲良くなった新しい友達と楽しくお喋りしたり。


「あっ、村上。今帰るところ?」

「うんそうだよ。大河内さんも?」

「じゃあ、寮まで一緒に帰ろうか。」


 普段と違う事は、夏休み以降封鎖されていた公園が開放されたこと。
 そこは何の変哲も無いただの公園。
 でも、彼女は、村上夏美は知っていた。
 そこが何故封鎖されていたのかを。


「夏美さん、今から帰るのですか? だったら私たちも一緒に帰るですよ。」

「そう言えば今日から通れるんだよねー。あの公園の近道ー」


 少しだけ嫌な感じはしたのだ。
 そこに行ってはいけないと。
 でも、なんでそんな風に思ったのか分からず、彼女は友人達と共に、そこに行ってしまった。

 本来ならば安全な筈のその場所へ。

 もしもそこに彼女が居なければ、ただの変哲も無い公園に過ぎないその場所へ。
 喪服に包まれた妙齢の女性、天ヶ崎千草が居なければ。


「夏美さん、聞きたい事があるのですが」

「な~に? 綾瀬さん」

「あっ、私の事はゆえでいいです」

「おっ? ゆえってば敵情視察かっ!?」

「黙るですよ、ハルナ!」


 ゆっくりと、少しづつ、だけども確実に近づいていく。
 夏美が感じる『何か』はどんどん強くなり、それは横島かアスナだったらこう言っただろう。


 『霊感』


 霊感が伝えるシグナルは、夏美の鼓動と呼吸を荒くする。


 ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ……


 背中を汗でびっしょり濡らし、顔は緊張と恐怖で青褪めて行く。
 夏美の様子が可笑しい事に気づく友人達。
 心配して声を掛けてくる。


「大丈夫? 調子悪いんだったら、ちょっとそこで休んでこうか」


 アキラが指差すのは、公園の噴水傍にあるベンチ。

「いっ、いいよっ!? そんな事より、速くここから出なきゃっ!」


 焦り余裕の無い声をはり上げる。

 どうしたんだろう?

 彼女の友人達は訝しげに夏美を見る。
 ソコにはガタガタと身体を震わせ、一点を見つめる彼女の姿。



 もしも横島が、夏美の様子を注意して見ていれば、彼女が霊力に目覚めつつある事に気づいただろう。
 もしも横島が、霊感について彼女に注意を促していれば、この後の出来事は防げたのかも知れない。
 夏美は、横島との情事で力に目覚めつつあったのだから。

 例え戦う力が無くても、逃げ出す事は出来たのだから。


 
 夏美の視線の先に居るのは、全身を黒の衣装に身を包んだ復讐に狂った女。

 彼女を中心に巻き起こる黒い竜巻。

「な、なんなんです、アレは!?」


 夕映の驚愕の声が夏美の耳に届く。

 夏美は我知らず悲鳴を上げた。


「いやぁあああああああああっ!」



 彼女の目には、はっきりと見えた。
 黒い奔流の正体、ドス黒い怨念の塊が。
























  まほらのほほん記  第11巻  ヨミガエリシモノ



























 何があると言う訳でも無く、そこに行けば如何にかなる訳でも無い。

 ただ、あの人の痕跡が見たかっただけ。
 でも、本当はそれすらあるとは思っていない。

 彼が死んでから、もう2ヶ月。
 その間、ずっとその場所は封鎖されていたのだから。
 聞けば、彼が死んだその場所から瘴気が溢れ出していたという。

 そして今、それは止み、だからこそ此処は一般人の立ち入りが許可されたのだ。

 ならば、此処に何かが残っている筈など無い。
 徹底的に調査されつくし、浄化されつくしたこの場所に。

 それでも、それでも彼女はそこに向う。

 そして、彼女はようやっとそこに辿り着いた。
 誰に教えられた訳では無かったのに、それでも女には分かった。
 ここが、男の終焉の場所だと。

 何一つ痕跡の残らぬその場所で、女は涙を一粒、地面に落とした。


 ドッ……クン……


 身体の奥から鼓動が聞こえる。
 自分を中心に風が吹き荒ぶ。
 黒い霧が身体に纏わりつく。
 風が瘴気を孕み、そして激しい奔流となる

 外野の一般人が何かを囀るのが聞こえるが、それを気に止める気が起きやしない。

 何故なら、女は死んだ男の呼吸を感じたから。
 自分を中心に舞う黒い風から……


 黒い奔流に手を伸ばす。
 何かの手応えを感じる。

 知識が、業が、力が、そして狂気が……

 邪気に犯され狂い魅せられる。

 女は、天ヶ崎千草は、『ソレ』を握り締めた。


 ドッ……クン……、ドッ…クン…、ドックン、ドクン、ドクンドクン、ドクドクドクドクドク……


 身体の奥から鳴る鼓動が速くなる。
 自分の中に有る、何かとソレが重なり混ざる。

 快感が全身を走り抜けた。
 まるで、あの人に抱かれ貫かれてるみたいに。
 まるで、あの人が自分の胎内に入ってくる様に。

 千草はその感覚に酔いしれ、溺れ、そして凶笑した。

「アハッ、アハハッ! アハハハハッ!! アーハッハッハッハッハッハッ…………キャハハハハハハハハハッ!!」


 狂った様に笑い……、否、狂い嗤う。
 そして手にした何かを、ブオンと軽く一振り。
 直線上に有った噴水を粉々に砕き、そして自分を中心に広域結界を張る。



 悲鳴、悲鳴、悲鳴。

 その場に居た者達が悲鳴を上げる。
 だが、逃がしはしない。
 彼女達は糧となるのだから。

 手に握られたナニかの。



 ソレは剣。

 かつて、神殺しとなる前のセリカ・シルフィル。
 彼に与えられた『真実の剣』と呼ばれし物。
 ウツロノウツワと呼ばれし物。
 慈悲の女神アイドスの力の源、神核。
 そのアイドスの姉であり、セリカが愛した、裁きを司る正義の大女神アストライアの体を貫いた剣。



 神剣『スティルヴァーレ』


 
 禍々しくも神々しい。神々しくも禍々しい。
 人は容易く堕ちる。この剣の輝きと力で。
 過去のセリカである筈の、ラプシィア・ルンが狂人と呼ばれて相応しい様に。







 千草は剣の柄から剣先まで舌を這わせ、うっとりと呟く。

「ラプシィアはん、ウチのトコに帰って来はったんやね……」


 そして、視線の先に居る少女に向かい剣先を向けた。


 千草は知っていた。

 目の前に居る少女の一人。
 赤毛の少女、村上夏美が怨敵横島忠夫の情人の一人だと。
 麻帆良に潜入して既に一月余り。
 調べに調べた横島忠夫の情報。


 憎い……


 目の前の少女が憎い。
 平凡で、だけど幸せ一杯なこの少女が憎い。
 横島忠夫に抱かれ、精を注がれるこの女を八つ裂きにしてやりたい。


 憎い、憎い……


 自分はもう、愛する男に抱かれる事が出来ないと言うのに。
 手足を切り落とし、化け物共に犯し尽くさせてやりたい。
 涙に濡れ、ボロボロになったこの女を、横島忠夫の目の前で殺してやりたい。


 憎い、憎い、憎い……



 ああ、憎い。 

 あの人が、ラプシィアが居ないこの世界が、憎い。






 ダン!

 地を蹴り、一気に夏美の目の前に行くと、一閃、剣を振り下ろした。


 それは陰陽師であり、ただの後衛である千草には出来ない動き。
 今の彼女は、剣からもたらされる力と知恵と技術と魔力、それらを十全に使っているのだ。


 シュバ!!


 夏美の右腕が宙を舞う。

 クルクルと舞い、そして重力に従いポトッと音を立てて地面に落ちた。


 腕を押さえ、膝をつき、そのまま地面に倒れ込む。


「きゃあああああぁぁっっ!!」


 誰かの悲鳴が静かな公園に響く。

 我に返ったのか、この場に居た夏美とは関係ない者達は逃げ惑う。


「村上っ!?」


 アキラは地面に倒れ込んだ夏美を抱きかかえた。
 切られた腕から絶え間なく噴き出す血に、全身を真っ赤に染め上げて。


「なに? 何なの一体っ!?」


 ハルナが困惑の声を上げた。
 夕映とのどかは全身を恐怖で震わせながら、それでも夏美の傍へと駆け寄る。

 アキラは夕映とのどか、そしてハルナに夏美を託すと、自分は彼女達と千草の間に立ち、彼女を睨みつけた。

 そして、アキラが千草に対し、何か言おうとしたその時、

「心配せんでええで。そのガキ切り刻んだ後は、アンタも同じように嬲ったるかんなぁ」


 心底楽しそうにそう言うと、切り落とした夏美の腕を拾い、大きく後ろに跳んだ。
 先ほどまで居た位置、ラプシィア・ルンが死んだ場所まで戻ると、彼女は身体を縦横無尽に動かし始めた。

 右に跳び、左に跳ね、剣を突き、払い、そして蹴り上げる。

 ビシュ、ビシュ、シュバ、バシュ、空気を切り裂く音。

「アハハハハ、凄いわ! この剣、ホンマ凄いわっ!! ウチの力と魔力がもの凄い上がっとるわ!
 ラプシィアはん、アンタなんやろ? ウチに力をくれたんは……。
 愛しとるよ、ラプシィアはん。横島忠夫を嬲り殺したら、ウチもスグにそっちへ行くかんな、待っててなぁ……」


 陶然と剣を抱きしめると、千草は流れ込んでくる魔力を使い、召喚の儀を行う。
 ここに居る獲物を、逃がさず喰らい尽くす為に。

「オン キリ キリ ヴァジュラ ウーンハッタ」


 力在る言葉に応える様に、地の底から現れ出でる亡者。
 異常なまでに腹が飛び出た醜悪で異形な鬼、 餓鬼。

 軽く20体は現れ出でたそれ等に、千草は持っていた夏美の手を投げ与えた。
 
 奪い合うように飛びつき、かぶりつき、食い尽くす。

「ゲッゲッゲッゲッ……」


 夏美の手を食い尽くした醜悪な化け物達は、涎を垂らしながらイヤらしい目をアキラ達に向けた。

「ヒィッ!?」


 誰とも無く嫌悪の声を上げる。

 アキラは恐怖でガチガチと歯を鳴らしながら、それでも両手を広げ、血を流し倒れる夏美を庇うように立つ。

 恐怖で気が狂いそうになる現実と戦いながら、どこか平静な自分が今の状況に疑問を感じていた。




 これは、現実なのか?

 今、私の後ろには腕を切り飛ばされ、血を流す村上がいる。
 そんな村上の腕から、絶え間なく噴き出る血を止めようと、全身を血で真っ赤に染めながら頑張る綾瀬と宮崎と早乙女。

 そして目の前には大きな剣を持つ黒染めの女に、醜悪な化け物。

 この滅茶苦茶な状況が現実?
 信じられない、信じたくない。


「ダメです! 血が止まりませんっ!!」

「もっとキツくしばって、ゆえー!」

「こう言う時って、患部を心臓より上にするんだっけ!?」

「そんなの今の状況で出来るわけ無いですっ!!」


 背後から聞こえてくる余裕の無い声。
 その声が耳に入る度に、今が現実なんだとアキラに教えてくれる。



「さぁ、そろそろええやろ。ほれ、行くんや化け物ども。殺したらあかん、捕まえて、ぐちゃぐちゃに犯し尽くすんや!」


 千草の声が響き渡る。
 それは少女達に絶望を与える言葉。
 餓鬼達は、少女達を逃がさぬ様に、じりじりと周囲を囲み始める。



 ギリリッ……

 アキラは歯軋りを立てる。
 このままでは、あの化け物に……
 そう思ったら、恐怖で喚き、逃げ出したくなる。

 そんな時、今にも死にそうな声色で、夏美が言葉を紡ぎ始めた。


「にげて……。わ…は、だいじょぶ。……っと、よこ…まさん、たすけにきてくれるから……」


 アキラは、いや、夕映ものどかもハルナも、唇を噛み締める。
 そして皆で目を合わせると、この絶望的な状況で微笑み合った。


 こんな事を言われて逃げ出せる筈なんてないよ!

 
 4人の心は一つになり、そして、

「ゆえっ! なんか武器になる様なモン持ってないのっ!!」

「分厚い辞書位なものです。こんな事なら痴漢防止グッズでも集めとけば良かったですよ」

「……綾瀬には必要ないんじゃない?」

「如何言う意味ですかっ! 如何言うっ!? 意外と言いますね、大河内さん」

「アキラで良いよ」

「では私達も名前で呼んで下さい」

「解ったよー、あの化け物! 餓鬼って言って、お経をあげて食べ物を食べさせれば成仏するんだってー!」

「誰かお経あげれる?」


 一斉に顔を横に振る少女達。


「残念ですが、お経が書いてる本すらありません。これを教訓に、今後は持ち歩く事も検討しなくては」

「じゃあ、取り敢えずー、食べ物を投げてみようよー」

「あ~あ~。せっかくのおやつが~~」

「「ハ~ル~ナ~ッ!!」」


 恐怖は消えない。絶望感も無くならない。

 それでも、最後まで抗ってみよう。

 夏美はすでに意識を失い、うわ言の様に横島の名前を呼ぶ。
 アキラは知らないが、夕映達は知っている。その男性を。
 彼が来たからといって、助かるとは到底思えないけど。


 嫌な笑みを浮かべる千草を睨みつける。
 少しでも良い。あの女をギャフンって言わせてみせる!

 少女達は、千草の「行け、化け物っ!」の声と同時に反撃を開始する。

 迫り来る化け物に、一斉にお菓子を投げつけた。

 お菓子に群がる化け物に、それでも此方に迫り来る化け物。

 アキラとハルナが必死でそれらを振り払い、のどかと夕映が物を投げつける。




 助けが来るかもしれない。


 そんな小さな奇跡を信じて…… 


































 その頃、公園の外側では……


「何? この異常に硬い結界はっ!? はやくしないと犠牲者がっ!!」

「お姉さま、落ち着いて下さい! 今、結界破りのエキスパートが来ますって連絡が入りましたあ!!」


 高音・D・グッドマンはイライラしながらも、それでも愛衣の言葉に冷静さを取り戻したのか問い質す。

「誰よそれ? そんな人居たかしら?」

「神楽坂明日菜さん。横島さんの従者だそうです」

「そう、横島忠夫の……」


 苦々しく答えるも、愛衣も慣れているのかあっさりと。

「神楽坂さんが来て、結界を破壊すると同時に突入、制圧です。魔法先生方が敵対勢力の鎮圧。私達がそのサポートです」

「ええ、分かったわ。……もうっ! はやく来なさいっ、神楽坂明日菜っ!!」


























 そして……、


 大きく息を吐く。夢は夢だったと。

 世話になった人達と、これから同僚になる筈だった人達に向けて、大きく頭を下げる。

「お世話になりました。んじゃっ、急いでっから!」


 ボケた頭に気合を注入し、男は文珠を握り締める。

 少しだけ、ホンの少しだけ未練を残し、彼は跳んだ。

 行く先は、自分の女が待つ場所へ。今も自分を信じて待ってるはずだから。

「あーーーーっ、クソッタレっ! もうちょっとで、むつみさんの実に美事な乳を俺の物に出来たっちゅーのにぃっ!!」


 やっぱ沢山の未練を残して……
































 後書き

 スティルヴァーレ関連のアレやコレは、ヨコアス独自の設定です。

 むつみ? 名前が同じだけの別人じゃね?

 どーせこの先出ないから、深く考えても無駄無駄♪



[11660] まほらのほほん記 第12巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:29
  まほらのほほん記  第12巻  秘奥義








 四方八方から襲い掛かって来る化け物どもを、アキラは持ち前の運動能力をフルに使って何とか追い払っていた。
 酷い怪我をしている夏美を守るため、一緒に戦っている夕映達のため、必死に辞書で殴りつけ、鞄で横殴りにする。

 しかし相手は本物の化け物。
 武器として使っていた鞄や辞書は既にボロボロ。

 その上、後ろに居る夕映達を庇いながら戦っていたのだ。
 本来は争いごとが嫌いな優しい娘であったのも災いしてしまった。
 戦う事に慣れていないのだ、彼女は。

 もっとも、最初から結果なんて分かり切っていた事だけれども。



 息が切れ、それでも鞄を振り回して化け物を追い払う。
 しかし体力が尽き始め、勢いが減じてきたのだろう。
 右から左から、絶え間なく襲い来る化け物の攻撃に、遂に体勢を崩してしまった。

「きゃあっ!?」

  
 好機! 化け物共はそう判断すると、一斉にアキラに群がり、ブラウスを、スカートを、腕を、足を、それぞれ掴んで一気に引き倒す。

 そしてアキラの服や下着をビリビリに裂き、胸や大切な部分を露にした。

「イヤぁッ! はなせっ!!」


 アキラは自分を押さえ込もうとするのを必死で抵抗するも、次々に群がる化け物に両手両足をガッチリと拘束されてしまう。
 四肢を拘束した化け物は、アキラの両手両足を大きく広げると、更に他の化け物共を呼び寄せる。

 アキラの身体に群がり、せせら笑いながらお腹やヘソの中心、内腿にうなじ、乳房に乳首と感じやすい所を手で愛撫し、舌で舐め回す。
 無数の手や舌で身体を汚されていくアキラ。

「イヤ、イヤ、イヤァアアァァッ!!」


 背筋が怖気走る。
 これから自分が如何なるかなんて分かり切っている。


 この、醜悪な化け物に、犯されるのだ。


 気が早いヤツは、勃起した生殖器をアキラに向け涎を垂らす。
 自分の手で擦ったり、中には彼女の手や髪を使っている者までいる。
 その内の一体が、彼女の秘裂に生殖器をペトっと押し当てると、ゆっくりと前後に腰を揺らす。
 我慢が出来なかったのか、堪え性の無い者は白濁液を彼女の顔や身体に振り掛ける。


 生臭く、吐き気のする匂い。

 気持ち悪い……

 そう思う間もなく、遂には内腿をグイッと掴まれ、腰を膣口に合わせて突き出された。

 クチっと音を立て、化け物とアキラの生殖器が合わさる。
 化け物達は、心底楽しそうにゲラゲラ笑う。
 化け物が前のめりで体重を掛けてくる。
 同年代の子に比べて、少し大きめの胸にしゃぶりつく。
 髪で汚い生殖器を擦りあげる。
 頬に生殖器を押し付けてくる。



 
 ああ、犯されちゃうんだ、私。
 今、夕映達がどうなっているのかは分からない。
 それでも、彼女達が無事だと良いな……

 アキラがそう思って、全てを諦めたその時。





 


「おんどりゃぁぁああああああああっっ!!」


 自分を囲んでいた化け物が、一斉に吹き飛び消え去った。
 今、まさに自分を犯そうとしていた化け物が!


 アキラは上半身を起すと、呆然とそれを成した男を見る。
 男はアキラの傍に来ると、何も言わずに化け物の白濁液に汚れた彼女を抱き上げる。
 彼女を同じように呆然としている夕映達の傍に寝かせると、一言。


「わりっ、遅くなっちまった。」


 言いながら夏美を抱きしめた。
 ポワ~っと光り輝く夏美。
 さっきまで止まらなかった血が止まり、青褪めていた顔が赤みを帯びる。

 失っていた意識を取り戻すと、

「遅いよ、横島さん……」そう言って微笑んだ。


 アキラはそれを呆然と見つめる。
 自分の裸に近い格好も忘れて。
 アキラだけじゃない。
 アキラほど酷い格好ではないけれど、それなりに酷い格好をしている夕映やのどかにハルナも、ただただ呆然とする。


 横島はアキラの傍に来ると、

「ちょっと待っててな。すぐ終わらせてくっから」


 何処か怒った感じで言いながら、背広を脱ぎ、アキラの肩からかける。
 すぐに自分の状態に気づいて顔を赤らめるアキラ。
 彼女は今の今まで胸やアソコが丸見えだったのだから。
 慌てて何か彼に言おうとするも、既に彼は背中を向けていて。
 それに、何て言えば良いのか分からない。

 見ると夕映達も同じらしく。
 口を開けたり閉めたり。
 それを見て、アキラはクスッと口元を綻ばせた。


「やっぱ女の子は笑っているのが一番」


 横島がアキラの方を顔だけ向けてそう言った。
 そして文珠を一個、彼女に投げる。
 彼女の全身が光り輝く。
 化け物の体液で濡れた身体が、キレイになっていく。

「ワリッ! あんま色っぽいんで、チト見惚れてキレイにすんの忘れてたよ」


 子供の様に笑う彼を見て、アキラは身体から力が抜けて行くのが分かった。
 助かったんだと、もう大丈夫なんだと、彼の笑顔を見て理解した。

「あ、ありがとう」

「んにゃ、どういたしまして。こっちも夏美ちゃんを守ってくれてありがとな。すぐ終わらせてくるから、もう少し頼むわ」


 そう言って前を睨みつける。
 視線の先には、顔を俯かせてブルブルと震える女が一人。
 夏美の腕を斬り飛ばし、アキラ達に化け物をけしかけた張本人、天ヶ崎千草。




 彼女は歓喜に包まれていた。
 目の前には怨敵、横島忠夫がいるのだ。

 この男を殺し、そして……


 千草は剣を構える。
 剣先を横島に突き出す格好で。
 それを見た横島が驚きの表情を浮かべる。
 横島にとって、それは良く知っている構えだったから。

 一瞬の隙が出来る。
 千草はそれを見逃さず、一気に間合いを詰め斬りつけようと刀身をやや斜めに下げた。


 『飛燕剣 身妖舞』


「んなっ!?」


 驚愕の声を上げる横島に、「もろたっ!」と剣を逆袈裟に斬り上げる。
 いや、斬り上げようとしたその時、身体の内側から声が聞こえた様な気がした。


 下がれ! と……


 身体が勝手に声に従い、横島から距離をとる。
 すると、今自分が居た位置に、2つ光の盾が過る。
 背中から冷たい汗が流れる。微かな恐怖から息を呑む。


 今のウチじゃ勝てへんか……

 どうやら結界も破られた様だ。
 仕方ない、忌々しいがここは一旦引いて力を蓄える。 

 千草は転移魔法符を数枚取り出すと、横島を忌々しそうに睨みつけた。
 怨敵の顔を、自分の脳裏に刻み込む。

「いつか必ず、アンタの大切なモノを全て壊し、犯し、殺したる」

 呪いの言葉を横島に叩きつけ、千草は『転移』した。





 横島は、やや呆然としながらそれを見送る。

 そして、たった今消えた京訛りで喋る女について思い巡らせた。




 見覚えは無い。怨まれる様な覚えも多分無い。
 だけども、自分に叩きつけて来る憎悪や怨念は本物で。

 それより何より女の使った剣技。
 アレはセリカの使う飛燕剣ではなかったか?
 自分の知るソレに比べると、何処か微妙に古臭く洗練されていない様だが。
 セリカから学び、そして一部とはいえ自分の物にした。
 その俺が見間違える訳などない。


 横島はハァっと息を吐くと「まあ、どうでもいっか……」と思考を止め、いつの間にか来ていたアスナの方を見る。

 アスナは夏美の腕を見て顔を顰める。
 その夏美の周囲には夕映達がいて、彼女達は今にも泣き出しそうだ。



 それもまあ、仕方ねーよな。

 でも、少し裏に行けばこんなのありふれた光景で、否、救いがある光景だ。
 誰も犯されず、誰も壊されず、そして、誰も死んではいない。

 腕の一本で命が助かったと思えば安いもんだ。
 なんて事は決して思ってはいないが。

 裏の世界の住人の在り方と、表の平和な世界の住人の在り方は違うのだから。



 横島は思うのだ。

 自分には、この世界で普通の生活は許されていなかったんだと。
 怨まれる覚えは無いが、よーく考えてみっと、20年前の大戦であれだけ暴れまくったんだ。
 恨みの一つや二つ、買っていて当たり前じゃねーか……
 あの女の年恰好から考えると、彼女の親辺りを自分達が死に追いやったんだろう。
 紅き翼に恨みを抱いてるヤツなんて山ほど居そうだ。

 なのに俺と来たら……

 んな事もすっかり忘れて、平和ボケもいいトコだったな。
 もしも夏美に文珠の一つでも持たせておけば、彼女の右腕は無事だったろう。
 この状況が全部自分の所為だなんて自惚れるつもりは無いが、自分がもっとしっかりしておけば、被害を小さく出来たのは確か。


 横島は、もう一度ハァッっと息を吐くと、のんびりとした歩調で少女達の居る場所に向う。
 
 視線の先には、大小様々な怪我をしている夕映達を魔法生徒達が治療している。
 横島はその内の一人に見覚えがあった。
 なんと彼に「握手してくださいー」なんて言って来た子だ。

 彼はそんな事を言われたのが初めてで、喜び舞い上がった事を昨日の事の様に覚えていた。

「ワイが、ワイが女に握手を求められた……。人類には小さな(ry」


 んな事を言いながら、思わず彼女に色々とちょっかいをかけてしまった位に。


 横島は彼女、佐倉愛衣に労いとお礼の言葉を掛けようと歩み寄る。


 が、その少し手前で呼び止められた。

「私は貴方を認めません! 汚点などと呼ばれる貴方なんかっ!!」

「……ん?」


 言うだけ言って、そのまま何処かへ行ってしまう。
 横島には何の事だかさっぱり分からない。
 そうは言っても、この手の輩には慣れている横島。
 なんせこの男、若い頃は散々馬鹿ばっかやっていた所為で、見下されたり貶されたりするのに慣れまくっている。
 むしろ、愛衣の様な反応された方が動揺しまくりだ。

 そんな訳で平然と愛衣の所に行くと、アスナ達には見られぬ様に彼女のお尻を撫でつつお礼を言った。

「いえ。これが仕事ですから」


 横島にお尻を撫でられているからだろう。

 少しモジモジし、えへへと笑いながら横島に答える。

「あの、お姉さまのこと悪く思わないで下さい。お姉さまは少し負けず嫌いの気がありまして……」

「へ? 何のこと?」


 そう! 横島は既に忘れているのだ。

 と言うか、まったく気にしてなかったので、たった今言われた事でもすっかり忘却の彼方だ。

 愛衣は、横島は自分の事を気遣ってくれているのだと感じた。

 もちろんそれは誤解なのだが、
 気遣ってくれるなんて、横島さん優しい人なんだ。に、なってしまった事は実に悲しい事だ。


 一頻り愛衣の尻の感触を楽しむと、右腕を失った夏美の傍に行き、彼女の頬を撫でさする。

「斬り落とされた右手はどうした?」

「横島さんが蹴散らした化け物に、食べられちゃったんだけど……」


 知らない夏美に代わりハルナが答えた。それに夕映とのどかが大きく頷く。
 なんでそんな事を聞くのか分からない。
 初めはそんな感じであった3人。

 だが、アスナがボソッと、

「斬り落とされた部分があったら、例えどんな状態でも治して元に戻せたのよ。魔法ならね」


 その言葉に青褪める3人。
 夏美の腕は化け物の腹の中で、更にその化け物は全て横島の攻撃で消え去ったのだから。


 一方アキラは、今の会話で化け物の姿を思い浮かべ、ブルブルと震えだす。
 自分が身に纏う横島の背広の中に顔を埋め、今だ鼻孔の奥に残っている気がする化け物の精液の匂いを必死で振り払おうとする。
 でも、身体を嬲るおぞましい感触、身体に降り注がれた精液の怖気走る感触、すえた吐き気のする臭い。
 それらを思い起こしてしまい、恐怖からか歯をガチガチ鳴らし始めた。

 アキラの様子が可笑しい事に気づいた夕映とのどかとハルナ。
 彼女達は同じ修羅場を越えた同士。アキラの恐怖が痛い程良く解る。
 彼女達は一斉にアキラに抱きつくと、

「もう大丈夫です。私達は助かったのですよ」

「もう怖い化け物なんていないんだよ──」

「そうそ、全部あの人が倒してくれたからね。それにさ、もう一度出てきても、また横島さんに蹴散らして貰えばいいじゃん」

「そうですね、横島さんは強いですからね。正直とても驚いたですよ」

「……うん。」


 じわりと涙が溢れ出し、そして決壊する。
 抱き合い、慰め合い、そして喜び合う。
 4人の少女達が織り成す感動的なシーン。

 アスナも、愛衣も、そして周囲を固める魔法先生や生徒達も、優しい目で見守る。

 ただ一人、横島忠夫を除いて。

 チラリと覗くアキラの太腿や乳に目を奪われているのだ。
 横島が見たところ、彼女はアスナと比較して身長差が12cmもあるというのに、バストが+3、ヒップが-1、ウエストはほぼ同じ。
 胸と身長はアキラの方が大きいのに、ウエストが一緒なのだ。
 凄まじいプロポーションと言えよう。
 更に、夕映達もアキラには遠く及ばないが、それなりに煽情的な格好で。
 制服がボロボロで、パンツやブラがチラチラ見えて、横島の煩悩ゲージを高めていく。




 もしかして右腕を失った夏美がいるというのに、不謹慎だと思ってはいないだろうか?
 それは違う。不謹慎なのでは無い。これは、今の横島にとって必要な行為なのだ。

 夏美の右腕を元に戻す為に、必要な。


「あの~、村上夏美さんの治療の準備が整ったと連絡が~」


 眼鏡の魔法生徒が、おずおずと言葉を発する。

 それに応えてアスナが夏美を抱いて運ぼうとするが、

「ちっと待った。夏美ちゃんは俺が治すから」

「はあ、どちらにせよ、設備の整った場所の方が良いのでは?」

「これは俺の秘奥義なんでな。他人に見せる訳にはイカン!」


 夏美を抱きかかえたアスナを呼び寄せる。
 ついでとばかりに夕映達も横島の傍により、

「んじゃ、後は任せたわ」

 
 文珠を握り締め、転移した。

 後に残されたのは、呆然とする魔法使い達。
 だが、すぐさま気を取り直すと、素早くそれぞれの仕事に戻っていった。

 横島が連れて行った夏美達の他に怪我人はいないが、心に外傷を負った子はいるのだ。
 魔法の隠匿の件もある。
 しなければならない事が山程あるのだ。
 状況が状況だ。普段は余程でなければしない、記憶の消去も考えなければ。
 PTSDで苦しむくらいなら、今回の事件などすっかり忘れてしまった方がいいのだから。
























 横島邸の玄関前に転移した横島達。

 ハルナは、「すごっ! これが魔法!?」と、やや興奮気味。
 夕映やのどかやアキラも似たようなものだ。

 そんな彼女達を、手をパン、パンと叩いて注意を此方にむける。

「あー、魔法の隠匿について聞いた?」

「聞いたですよ。誰かに喋ったりしたら、オコジョにされると聞いたです」


 横島は夕映達の言葉に少し胸を撫で下ろす。
 説明しなければならない部分を省略出来るからだ。

 彼はこれから夏美の右腕を再生させるのだが、それには邪魔な者がいた。

 木乃香だ。

 彼女は魔法を知らない。教える訳にはいかない。
 だが、これからする事を考えるとバレてしまうかも知れない。
 それに夏美の右腕を見られたら事だ。
 優しい子である木乃香がそれを見たら心配するのは当たり前だ。
 その斬り落とされた右腕が元に戻ったら、幾等ボケボケの彼女でも不思議に思うだろう。

 それは不味い。むちゃんこ不味い。間違いなく詠春に相棒を斬り落とされる。

 そんな訳で、彼女達に木乃香をどうにかして貰いたいのだ。
 ただ、一つ問題があった。
 彼女達の格好。まあ、色々と見えちゃってるほどにぼろぼろな上、血に塗れて酷い状態だ。
 アキラに到っては裸同然。

 その事を彼女達に伝えると、

「まあ、任せて下さい。服の方も適当に誤魔化すですよ」

「うん、このかなら何とか出来ると思います──。ただ、アキラさんの方は……」


 のどかの言葉に、アスナが身を乗り出す。

「大河内さんはお風呂に入っちゃって。今あやかに連絡とって着替えを持って来て貰うからさ」

 と言って携帯を取り出す。

「ちょうど良いな、千鶴ちゃんにも来て貰え。あと、あやかには使徒としてやってもらう事があるって言っとけ」


 横島の言葉に目を見開くアスナ。
 今の今まで使徒として、特別な何かをした事なんてなかったから。

「もちろんアスナにもして貰う。ってかして貰わねーと、多分俺はダウンする」


 胸に何かが込み上がってくる。アスナは顔を嬉しさで綻ばせた。
 使徒として、夜伽以外の初めての仕事だ。

 もっとも、横島が今回求めるのも夜伽なんだが。


 それはともかく、さあ、夏美の腕を取り戻す準備の始まりだ。

 家の中に入ると、「おかえりー」と出てくる木乃香。
 木乃香は夕映達の惨状に驚きの声を上げるが、素早く彼女の部屋に場所を移す。
 その隙をついてアキラはアスナに連れられ浴室に。

 横島はそれらを見届けると、夏美を連れて自分の部屋に入った。

 彼女をベットに寝かせると、一枚一枚丁寧に血に濡れた制服を脱がしていく。 
 全ての布を取り払うと、申し訳なさそうにしている夏美の唇に、自分の唇を重ねた。

「んぁ……、横島、さぁん……」


 夏美はうっとりとした表情で瞳を潤ませる。
 そのまま慣れた様子で全身から力を抜くと、横島の行為を受け入れた。

 横島は夏美の足の爪先から順々に、手と舌を這わせていく。

 太腿を通り、恥丘からクリトリスへ、ヘソから乳房に、そのまま胸の頂を撫で上げる。
 内腿からお尻の割れ目を、そのまま背筋を通って腋からうなじへと舌を這わせる。
 そして最後に右腕の欠損部分に手と舌を這わせた。

 夏美は頬を上気させ、横島に信頼の目を向ける。
 行為の途中で何度も気をやりながら、只管に横島の名を呼び続けた。

 横島は夏美の甘く切ない声を聞きながら、彼女の右の欠損部分を両手で撫で、何度も舌を這わせてイメージする。

 指の感触、手の平の舌触り、手で肉棒を奉仕する動き。
 それら全てを克明に脳裏に描いていく。

 文珠を2つ、握り締める。

 夏美の腕を『復』『元』するために。

 



 彼は何度も口がすっぱく成る程、美神令子に言われた事があった。

  『文珠は万能では無い』

 美神令子の言葉は、横島にとって絶対である。

 だが、唯一彼女の言葉に頷かないのがコレだ。

  『文珠は万能だ』

 横島は確信している。

 死んだ者を生き返らせる事は出来ない。
 無から有を作り出しても、時間が立てば消えてしまう。
 力在る者に文珠は効かない。

 これら全ての事実を知っても、尚。

 文珠は万能だ。出来ない事なんて何一つ無い。
 文珠は万能だ。出来ないのは俺の力が足りないだけだ。

 だから、俺が力をつければ出来ない事なんて何も無い。


 霊力を搾り出す。文珠の力を増幅させる。

 徐々にボンヤリと姿を現していく右手。

 だが、足りない。このままでは消えてしまう。

 出力が足りない。足りない、足りない、足りない。

 だが、横島は焦らない。ここまでは計算通りだから。

 彼には奥の手がある。切り札である文珠と並ぶ、彼にのみ許された業が。

 力の出力を一時的に倍加、いや10倍も100倍も上げる業が。


 脳裏に浮かび上がらせるのは、愛衣の尻の感触。アキラの艶かしい姿。チラリズムを極めた夕映とのどかとハルナの姿。




 ゴ、ゴ、ゴ、ゴ……

 横島から発せられる力に大地が揺れ、家がビリビリと軋む。
 絶大な力の発動に驚いて、室内に飛び込んでくるアスナ。

 アスナは横島を見て、思わず見惚れてしまった。

 これ以上無いくらい真剣な表情で文珠を制御している横島。
 こめかみ辺りから頬を通り、顎を伝って流れ落ちる汗。
 復元された夏美の右腕を、この世界に繋ぎとめようと必死だ。

 気づけば自分に続いてあやかと千鶴、そしてアキラも部屋に入って来ていたらしく、横島をただただ見つめる。

 横島が激しく疲労しているのが分かる。
 それをただ見守る事しか出来ない我が身を呪う。

 そんな時、横島が疲労困憊の中、言葉を発した。

「足りん……」


 そう、現状では夏美の右腕をこの世界に繋ぎ止める事が出来ない。

 足りなかったのだ、妄想が。

 否、妄想は充分だ。
 ただ煩悩を爆発させるのに必要なファクターとして、物足りなかっただけ。


「……げ」


 良く聞こえなかったのだろう。
 アスナは横島に聞き返す。

「えっと、なにっ! すぐに用意するから!!」

「お前等、全員、脱げっ!」


 これ以上無いくらい真剣な表情そのままに、彼はそう叫んだ。
 あまりの迫力に、一言も文句を言わずに服を脱いでいく少女達。

 それが必要なんだと肌で感じてしまったのだ、彼女達は。

 特にアスナとあやかは使徒として、横島が限界ギリギリで力を振り絞っているのが分かってしまった。
 千鶴もそれに迷わず続き、アキラはやや困惑した物の、周りの勢いに流されそれに続く。
 学園側が用意した新しい制服と下着を脱ぎ捨て、アスナ達と同じくスラリとした美貌を横島の前に惜しげも無く晒す。

 普段なら恥かしくて顔を俯かせてしまう状況。
 でも、アキラは勢いに呑まれ、何となく言われるがままに動く。

 そう、横島の発した、「フォーメーションXやっ!」の言葉に従い。

 もちろん少女達は、誰一人としてフォーメーションXが何なのかは知らない。
 それは横島の脳内で描かれたエロフォーメーション。
 彼の脳内では、今まさに、彼を中心に眼前の少女達が色エロやっているのだろう。

 アスナ達は経験則を持って、横島の求めに応じるべく行動する。
 アスナは何も言われずとも横島の上着を丁寧に脱がしていくと、彼のお腹に胸を押し付け、胸骨から乳首にかけて舌を這わす。
 アスナの行動に困惑しておろおろするアキラは、

「アキラさんは彼の背中を抱きしめて下されば結構ですわ」


 とのあやかの言葉に頷き、その張りのある胸を横島の背中にむにゅっと押し付ける。
 あやかと千鶴は横島のズボンを脱がし、そして彼の象徴とも言える肉棒を取り出した。
 天を突き上げるかのように雄々しく隆々とそそり立つ剛棒。

 アキラは背中越しにそれを見て、「す、すごい……」とポツリ声を漏らした。

 さっき見た化け物のアソコの軽く十倍はありそうなソレ。
 彼女は知らず知らずに横島を抱きしめる力を強め、目をそれから離せない。
 アキラの視線を感じながら、更に大きくなっていく横島の肉棒。

 その肉棒をあやかと千鶴が胸で挟み、唾液を垂らし、舌で舐め上げる。
 2人の唾液と汗で滑りが良くなったのか、ズリュッズリュッと彼女達の乳肉を掻き分け蹂躙していく。
 艶かしい声を上げるあやかと千鶴。

 アキラは、身体中の血液を集めたみたいに、顔を真っ赤にする。

 気づけばさっきまで彼の胸に舌を這わせていたアスナが隣にいて、横島の背中の半分を奪い取る。
 そして外側の手を、横島の身体に回してアキラの手を握り締め、今度は内側の手で、アキラの割れ目をなぞり始めた。

「やぁっ!」


 可愛らしい声で抗議するアキラ。
 だがアスナは、横島の首筋に吸い付くのに夢中で、アキラの抗議など気づかない。
 何とか彼女の手から離れようとモゾモゾと身体をくねらせるも、アスナの巧みな指の動きに翻弄されるだけ。
 化け物の気色悪く、鳥肌が立つようなものとは違い、彼女の手は暖かく、気持ち良く、そして彼女を高みへと導いていく。
 そして、絶頂する瞬間、アスナの指の動きが止まった。

 なんで……?

 アキラが疑問の目を向けると、彼女はアキラの愛液で濡れた手で彼女の内側の手を取ると、自分の大切な部分へと導く。
 そこはぐっしょり濡れており、自分がされ、高みへと導かれた様に、彼女の大切な部分を愛撫する。
 同時にアスナもアキラの秘裂を愛撫するのを再開した。

「んぅ……ぁはっ!」

「ひぃ、あぁぁ……」


 アスナは喘ぎながら、再び横島の首筋に吸い付くと、アキラもそれを真似て同じように吸い付く。

 
 ぴちゃ、ぐちゅ、ズリュリュ、クチャクチャ……

 はぁ、はぁ、と熱い吐息に艶かしい喘ぎ……

 5人が織り成す淫音が、部屋中にハーモニーの様に響き渡る。



 横島の中で力がグングン上がっていく。
 妄想と言う名のセブンセンシズだけでなく、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚と言った5感。
 それらを十全に使って、第6感である霊力の出力を上げるのだ。
 そう、横島の切り札『文珠』、それと同等の力、


「煩悩ぉ、ぜ・ん・か・いぃぃっっっっ!!!!」




 横島を中心としていた力の奔流が弾け跳び、それと同時に肉棒が膨れ上がり暴発する。
 熱い精液を顔中に振り掛けられ絶頂するあやかと千鶴。
 それと同調するように高みに達したアスナとアキラ。


 横島はやり遂げた漢の顔をすると、アスナとアキラの体の間に倒れ込む。
 夏美の右腕は確かにソコに有り、そして彼女の意思通りに動く。

 最後に残された気力でそれを確認すると、

 右腕にアスナ。左腕にアキラ。
 右足にあやか。左足に千鶴。

「まさに、乳はーれ、むぅ……」


 そのまま意識を失った。


 










 夏美は呆然と、だが呆れきった瞳で目の前の惨状を見ていた。
 彼女の右腕の先には、確かに手が有り、それをニギニギしながら。

「この後、どうすればいいんだろ?」


 この疑問は、しばらくして様子を見に来たのどかが来るまで晴れず、結局、木乃香はハルナ達の寮へと泊まりに行く事になった。
 何故なら、この日から3日間、彼等は目を覚ますことが無かったから。


 この惨状を見てしまったのどかに手伝って貰い、彼らの身体をキレイに清める。
 毛布を掛けて、彼らに寄り添うように夏美は目を閉じた。

 彼らを守るように、そして、『彼』が目を覚ました時に、一番に声を掛ける為に。





























 その日、日本は麻帆良の地を震源として、マグニチュード7.3の地震が観測された。
 大規模な地震にも関わらず、土地や建物、それに人的被害が一切無く、地震専門家達の頭を悩ませたと言う。











[11660] まほらのほほん記 第13巻   エロ有り(アスナ、他)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:29
  まほらのほほん記  第13巻  あすなんと呼ばれた日
















「も、もう……だめぇ……」


 忠夫の精液を身体中に満遍なく浴びせられながら、私は呟く。

 荒い息が収まらない。
 動悸の激しさで胸が上下に揺れ躍る。

 そんな私の訴えを、聞いて無いのか忠夫が体重を乗せ、ヌヂュっと胎内に入ってくる。


「ひあぁ……、もう、もう、らめっていってりゅのにぃ~~~っ!!」


 涙をボロボロと流しながら、呂律の回らない舌で必死に抗議する。
 力なく首を左右に振って、全身で抗議を示そうとするも身体に力が入らず、彼の成すがままに。
 私の全身を覆う精液で、敏感な部分をマッサージしながら腰を上下させる。
 忠夫の指一つの動きで高みに達し、忠夫の腰の動き一つで潮を噴き上げる。

 行き過ぎた快感は苦痛だ。なんて話を聞いた事があるけど、それが事実なんだと心の底から実感した。

 
 私の膣内はこれ以上ない位に濡れそぼっていて、忠夫の太くて大きい肉棒を難なく子宮口まで迎え入れる。
 グヂュ、ヂュボッっと肉壁を分け入り子宮口を何度も突き上げる。
 その度に強制的に高みに上げられ絶頂する。

 苦しいよ、辛いよ、忠夫……

 私の声無き訴えは彼には届かず、腰の速さは増していくばかり。
 霊力(魔力)の欠乏を起し、霊力(魔力)回復の為に性獣となった忠夫に、私達は成す術も無く心と身体を犯されていく。

 真っ先に襲われた夏美ちゃんは、上半身をベットからずり下ろし、額を床に押し付けて気絶している。
 千鶴さんはお尻を高々と上げて、シーツに顔を埋めてピクリともしない。
 あやかは蛙が引っ繰り返った様な格好で気を失ってしまった。
 大河内さんは、アソコとお尻から精液を垂れ流しながら、呆けたように忠夫を見つめ続ける。

 そして全員に言える事は、足の爪先から髪の毛に到るまで精液塗れってこと。 



 どれだけ犯されたのか分からない。

 初めの内はむしろ嬉しかった。
 口には出さないけど、あやかも千鶴さんも夏美ちゃんも喜んで抱かれていた。
 忠夫の様子がおかしい事にはすぐに気づいたし、それが霊力(魔力)の欠乏から来ているのもすぐに分かった。
 彼の役に立てるのだし、抱かれる事自体も嫌では無いのだし。

 そんな訳で、夏美ちゃん、あやか、千鶴さん、私の順に、順繰り抱かれていく。

 1順目は喜んで、2順目は少し疲れていたけど、3順目で何が何やら、4順目で夏美ちゃんが脱落、
 5順目で千鶴さんが逝って、代わりに大河内さんがなぜか加わった。8順目であやかが死亡(笑)

 そして今に到る。

 人数が減ると自分の出番が速くなり、本当に辛い。
 忠夫も少しは理性が残っているのか、今は私に3回射精すると大河内さんが1回。

 彼女は今日が初めてだったから気を使ってるんだと思う。
 だったら此方にも気を使って欲しいよ。

 正直、心底しんどい。
 自分の体力の多さに辟易してしまうほど。

 さっさと気絶出来れば楽になれるのに……
 そんな事を考えながら現実から逃げていると、忠夫が腰を引いて私の胎内から出て行った。

 ヌラヌラと黒光りする大きな傘に目が引かれる。
 この部分で私の中を掻き回しているんだ。

 そう思うと、体力の限界を突破し、快感が苦痛になっていると言うのに、子宮がキュンと高鳴った気がする。


 もしかして、手や口で奉仕しろってこと?
 いつまでも動かないで泰然としている忠夫を見て、そう思った。
 でも、私は身体を起す事すら億劫で、とてもじゃないけど無理っぽい。
 私はその事を伝えようとするも、息切れを起して喋れ無いでいる今の私では到底出来っこなく。

 痺れを切らした忠夫は、私を引っくり返すと後ろの穴に肉棒を当て、一気に根元まで突き入れた。


「いぎぃぃいいいいいいいいいぃいぃいぃぃぃっっ!!」


 快感からではなく、痛みからの悲鳴を上げる。
 脳を突き抜ける様な痛み。
 まるでお腹の中まで入って来ている感じがする。
 お腹がグイッと押し込まれてるみたいで、本当に苦しい。

 夏美ちゃんと千鶴さんがそこでされているのを見た時から不安には思っていた。
 例えあやかと大河内さんがお尻を犯されようと、自分だけはと必死に守ってきた。

 ソレが今、完全に犯されてしまった。
 力が入らなく、抵抗出来ない今の自分では、元々時間の問題だったのかも知れない。


 ヌチュ、ズチュ、ヌチュ、ズチュ、ヌチュズチュ、ヌチュズチュ、ヌチュズチュヌチュ……

 腰の動きが無遠慮に速度を上げていく。

「いやぁ、いやだよぉ、ただおぉ、やめてぇ……よぉ……、ひぃ……いぐぅ…ぐぅっ、あがぁ、ひぁあっ……」


 何度も懇願の声を上げるも、忠夫は私の中に残された、最後の処女地を犯す事に夢中で。
 遠のいていく意識。既に視界は暗闇で、聞こえるのは自分の涙声と、忠夫の腰が私のお尻を叩く音だけ。
 感じ取れるのは、直腸粘膜を焼き尽くして一杯に満たしていく精液の感触と、私の直腸を犯しきった肉棒がヌルッと出て行く感触。
 直腸から出て行くゾクリとした感触に、背を大きく弓なりに反らせて声無き絶叫を上げ、そのままベットに顔から突っ伏した。

 突っ伏したまま気を遠のかせる私は、大河内さんが上目遣いで忠夫を受け入れるのを斜め見る。
 足を忠夫の腰に絡め、大きく嬌声を上げる彼女。

 これは大丈夫かな。

 私は安心して彼女に後を託すと、そのまま眠りにつく事にした。
 そう言えば、このかってどうしたんだろう……
 最後にそう思ったせいだろうか?

 ガチャリと扉が開いた気がした。


「好きなんでしょ? アンタも犯されちゃいなさい……」


 無責任にもそう言い残して、私の意識は今度こそ完全に落ちた。


 このかに、ちょっとだけ罪悪感を抱いて。

























 しかして、入って来たのは近衛木乃香では無く、宮崎のどかであった。

 のどかは、目の前で行われている横島とアキラの情事に驚愕する。


 彼女が此処に来てしまったのには訳がある。
 3日前の此処の惨状を知る唯一の外部の人間であること。
 それ故に、夏美から色々と頼りにされていたからだ。
 事情を知らない者では、面倒事が大きすぎるからだろう。

 そして、木乃香の存在もある。
 彼女を騙し続けるのにはそろそろ限界が来ており、眠り続ける横島達の様子を見に来たのだ。

 

「へう~~」


 変な声を出しながら、目を回したようにフラフラ気絶しそうになるのどか。
 彼女にとって、余りに刺激的過ぎる光景。
 3日前にも見たとは言え、ここまで凄くは無かったし、何より事後だった。
 それが、目の前でリアルに喘ぎ声を上げながら、横島とエッチしているのだから。


「あっ、あっ、あぁっ、ひゃぁっ、よ、よこしま、さん、よこしまさん、よこしまさん、よこしまさぁん……」


 壊れたレコードみたいに彼の名前を呼び続けるアキラ。
 彼女は横島の顔を胸の谷間に挟み込み、腰に足を絡め、ピストン運動に合わせる様に自分の腰をくねらせる。

 それは一対の獣達の性の交わり。
 互いに求め、受け入れ、淫らなダンスを踊り狂う。

 横島は霊力の欠乏から正気を失い暴走。
 それを受け止めているアキラは、化け物との対峙で生命の危機によるストレスから来た性の暴走。
 種の保存的な意味合いで、只管に横島を求め続ける。
 醜悪な化け物に犯されかかった彼女を救った、強く優しい雄を求めて。

 擬似的な恋愛感情と、確かな信頼感。そして場の雰囲気。
 同じように悦び抱かれるアスナ達に中てられた所為もあった。


「すご、あ……ああ……、横島さんっ! す、好きだよっ!! わたしぃっ、あなたがぁっ!!」


 眠っていた時間を差し引けば、出会ってから今だ数時間しか経っていない。
 キチンとお話した事もないし、横島が如何言う人間なのかすら知らない。
 そんな擬似的な恋愛感情が、横島の名前を呼び叫ぶ度に本物との区別がつかなくなっていく。
 既に前も後ろも、手も胸も髪も、全部彼に捧げつくした。

 残る捧げ物は心だけ。

 アキラは自分の胸の中で埋もれている横島の顔を引き出すと、激しく上下する身体も厭わず背を丸め、彼の唇に自分の唇を重ねた。
 鼻で荒く息をしながら深く口中を貪りあう。

 それはアキラにとって初めてのキス。
 唇を重ねる事で、アキラは横島に心を捧げたのだ。





 のどかはアキラと横島の激しい情事から目を離せない。

 とは言え、元来が引っ込み思案の彼女。
 精神的な限界が来て、「きゅ~~」っと目を回しベットへと倒れ込もうとした。
 が、その寸前、今にも気を失いそうなアスナが、最後の力を振り絞って彼女に囁く。


「好きなんでしょ? アンタも犯されちゃいなさい……」


 そう言うと、アスナは満足そうに眠りについた。
 まるで、後は自分に任せた、とでも言わんばかりに。

 のどかは気力を振り絞って、ガクガク震える足を無理矢理に立たせる。
 目の両端に溜まる涙を手で擦ると、アスナの想いに応えるべく、彼女はブラウスに手をかけた。

 この間に既に一度終わらせたのだろうか?
 横島とアキラの体勢は変わっており、横島はアキラの髪を引っ張り、うつぶせに押さえつけながら後ろを犯し抜いていた。
 アキラの顔は悦びと快感に打ち震えており、そんな彼女を横島は好き放題に征服していく。

 激しく悶えるアキラに視線を向ける。
 すると彼女は、分かったとでも言わんばかりにのどかに頷き返す。
 のどかは心が暖かくなっていく気がした。
 仲間が待っているのだ、すぐ、そこで。
 
 ブラウスを脱ぐ、スカートを脱ぐ。ブラジャーを外してパンツを下ろす。最後に靴下を脱ぎ捨てる。
 小さな胸の膨らみと、茂み一つ無い恥丘を惜しげもなく晒す。

 性獣と化している横島は、のどかのあられもない姿に喜びの咆哮を上げた。

 ビリビリと窓ガラスが震える。
 その裂帛の気合に、魂が縮み上がる気がする。
 それでものどかは両足でしっかりとベッドを踏みしめ、アキラを犯しぬく横島の傍へと近づいていった。
 最後にアスナの頬にキスをして、

「いってきます、アスナさん。私、頑張るからー」


 アキラの背中に、大量の精液を降りかける横島の胸に飛び込んだ。



 2人の少女は場に流され、身も心も彼に捧げる。


「いだ、い……よぉ……あが、あ、あ、あ、あぁっ!?」


 メリメリとのどかの膣内に、横島の肉棒が差し込まれていく。

「力を抜いて、宮崎。大丈夫、スグに良くなるから」


 アキラの励ましの言葉に、眉を顰めながらも笑みで返す。 

 こうして、2人の初体験の夜は過ぎていった。



 帰って来ないのどかを心配する友人3人をそのままに……
















 全てが終わり、グチャグチャに犯された後だったのは、このかじゃなくてのどかちゃんだったのにはビックリ。


 痛みに顔を顰めながら、トントンと腰を叩いている私を余所に、忠夫が大河内さんとのどかちゃんに土下座をして謝っていた。
 2人とも、「謝罪はいいですから、責任とって幸せにして下さい」なんて微笑みながら言ってるのを聞いて、

 
 また増えた……、と少し不機嫌になってしまったけど、私が。


 でも、今回みたいなのがある事を考えると、数がいた方が楽かも。
 そう思わないでもないわね。


「次、お風呂だれぇー?」


 その言葉にのそっと立ち上がると、のどかちゃんに肩を貸して貰いながら浴室へと向った。
 互いに色んな体液で、ベタベタでグチャグチャの身体を支え合いながら。

 嬉しそうに鼻歌なんか歌っているのどかちゃん。
 チラリと顔を覗いて見ると……、

「あれ、髪型変えたんだ?」

「うんー。どうですかー?」

「うん、こっちの方が可愛いわよ」

「えへへー。アスナさんにそう言って貰えると、すっごく嬉しいですー」

「そんな丁寧語使わないで良いわよ?」

「じゃあ、そうするね、あすなん!」


 えっ!? あすなん? 誰、ソレ?
















  xx月xx日

 気づけば夏美ちゃん右手復活から4日が経っていた。
 ありがたい事に学園長の好意で、来週の月曜日まで学校が公休扱いになった。

 ほんっとーにありがとう、学園長。
 たまには役に立つのね!

 何せ身体がガクガクで、霊力が空っぽになる程、吸い取られた。
 しばらくは大人しく霊力の回復に努める事にしようと思う。

 木乃香が明日にはウチに帰ってくるから、家事は全部任せちゃおう。

 週明けまでは、だらだら過ごすぞ~!



















  xx月xx日

 気のせいだろうか?
 のどかちゃんが妖しい。
 妙にベタベタしてくるの。
 彼女も散々忠夫に犯されちゃったから、私達と一緒に私んちで大人しくしてるんだけど……

 あすなん、あすなんって、子犬のように後ろを憑いて来る。
 百合……じゃないわよね?
 言っとくけど、私は忠夫一筋何だからねっ!

















  xx月xx日

 夏美ちゃん、霊力覚醒!
 まあ、彼女の右腕は霊力の塊だからね。
 目覚めてもおかしくないわよ。
 ふん! 悔しくなんてないんだから!!



















  xx月xx日

 大河内さん、気の発現!
 なに、この娘、本当に凄いんだけど!?

 背も高いし、胸も私より大きいし、何よりウエストが一緒って。
 唯一勝ってるのがお尻の大きさだけなんて……

 アハハ、あれよ、そう、アレアレ!
 うん、お尻が大きい方が安産型で良いんだゾ!
 本当なんだからね!!

















  xx月xx日

 明日から学校かぁ~。
 ちょい、メンドイ。
 家事もボチボチやらなきゃね。
 こんな姿、お義母さまに見られたら半殺しにされちゃうわ。

 うん、少し反省。

 そう言えば忠夫って、会社無断早退に無断欠勤でクビ(笑)になったんだけど、これからどうするのかな?





























 

 後書き

 ヨコアスは、無印もRもアスナとのどかがヒロインなんだぁーっ!



[11660] まほらのほほん記 第14巻   エロ有り(アキラ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:30




  まほらのほほん記  第14巻  アキラといっしょ!
















 吊橋効果。

 時間が経ち、冷静になった今なら、あの時の自分がそうだったんだなって思う。

 もう、色々と手遅れだけど。

 

 始まりは勘違いと場に流されてだけど、今は幸せだから。

 だから……














 ピーッ、と笛が鳴る。

「次、大河内っ!」

「はい」


 顧問の先生に従い、プールに飛び込む。

 驚くほど身体が軽い。
 信じられないくらい簡単に50mを泳ぎきる。


 プールから上がり、聞こえてくるのは称賛の声。
 何せ、出たタイムが高校記録に並んでたんだから。

 
 違うんだよ、みんな。私はズルをしてるんだ。

 あれから自然と気を纏ってしまう私は、身体能力が飛躍的に向上したのだ。
 今だ未熟な私は、気に目覚める前の様に行動する事が出来ない。

 このままじゃ、部活は辞めなくちゃならないよね。

 それでも、まあ良いか、とも思う。

 元々私は泳ぐのが好きってだけで、人と争うのが好きでは無いし。


 それに……




 部活が終わると、私は真っ先に顧問の先生の所に向う。
 休部届けを出し、しばらく部活には出られない旨を話した。
 先生は私を惜しんでくれたけど、学園長の方から話を通してくれていたらしく、割とあっさり解放された。


 更衣室に行き、水着を脱ぐ。

 これから横島さんの所に行く事を考えると、水着の方が良いかもね。
 そんな事を考えながら制服を着て、いつもの様に髪を後ろで纏め上げる。

 
 秋から冬への季節の変わり目を肌で感じながら、随分と日が落ちるのが早くなったな、そう思いながら彼の待つ家へと向った。


 私が今しなければ成らないこと。

 それは気の扱いの習熟なんだ。
 今だ自分の意思でコントロールしきれてないソレを、完全にコントロール出来る様になれば、部活に戻る事が出来る。
 再び化け物に襲われた時に、今度は自分で撃退出来る様になる。

 何より、彼の役に立てるかもしれない。

 そう思うと、喜びで胸が一杯になる。
 始まりはあんなんだったけど、今のこの気持ちは本当なんだって思うから。


 

 横島さんのお家に着くと、ドアホンを鳴らし彼が出てくるのを待つ。
 然程待たずに、ガチャリとドアが開いた。


「おっ、今日は遅かったな、アキラちゃん」

「休部届けを出してたんです」

「そっか。それでいいんか?」

「はい。決めましたから」


 何が? とは聞かれず、家の中に入っていく。

 リビングに入ると、アスナと木乃香に挨拶しつつベランダから再び外へと出る。
 夕映とのどかが私よりも早く来ていたらしく、庭の中央で座禅を組んで瞑想している。

 私もその中に混ざり、瞑想を始めた。
 霊力、魔力、気。どれでもいいから力を感じるまでそれは続けられる。
 力を発現させている私は、更に深く感じ取る為に。


 みんな真剣な表情だ。
 今だ力の発現の無い夕映やのどかは、時折横島さんに話を聞きながらアレコレ工夫しているみたい。

 2人と横島さんの会話を出来るだけ聞かないようにしながら、自分の身体中を巡る気を感じ、コントロールする。
 手に集中させてみたり、足に巡らせてみたり。

 目標は、アスナと委員長。
 彼女達に追いついたその時には、私もなりたいって思うから。

 彼と共に在り、そして支えとなる者、使徒に。

 
 額から汗が滲み出て、気の流れを感じにくくなった時、横島さんにポンポンと肩を叩かれた。
 気づけば空は真っ暗で、夕映とのどかはもう居ない。
 この修行は小一時間行われる物だから、先に来ていた彼女達は私を置いて帰ってしまったんだ。

 ちょっと冷たくない?

 そう思ったのも束の間、夕食の誘いを断り帰ろうとすると、もう暗いからと横島さんが送ってくれる事に!
 アスナのジト目と、木乃香の羨ましそうな目線を無視し、私は満面の笑みを浮かべる。


 横島さんと2人っきりだ!

 そう思うと、どうしても顔がにやけてしまう。

「うふふ♪」

「どうした、アキラちゃん?」

「ううん、なんでもないよ、横島さん」


 よくよく考えて見れば、彼と2人っきり何て初めてで、凄く嬉しい。
 玄関へ行くと、靴を履き外へ出る。
 一刻も速く彼と2人だけになりたい。そんな想いから一際早く行動する。

 そんな私を苦笑しながら見送るアスナに手を振り、彼の手を握りしめた。
 そして出来るだけゆっくりとした足取りで寮に向う。
 こんなチャンスは滅多にない。

 私は彼の腕に胸を押し付け、肩に頭を置いてしな垂れる。
 特に言葉は交わさない。それでも気まずい空気なんか一切無い。
 ほんのりと胸が暖かい。


 はぁ……、やっぱり私、この人の事、好きなんだ……

 胸が、トクン、トクンと優しい鼓動を鳴らす。

 でも、その場所に来た時、身体が恐怖で硬直してしまった。
 公園、化け物に襲われたあの場所。

 その入り口に立ち、彼は私に視線を向ける。


 どうする?


 多分だけど、そう言ってるんだ。
 この公園の中は、もう安全なんだと分かってるけど、それでも恐怖はどうしても消えない。
 でも、それじゃダメなんだよね。
 そんなんじゃ、彼の支えになんかなれっこ無い。
 私は勇気を振り絞る。彼の傍に在る為に。


「キス、して下さい」


 とは言え、怖いものは怖い。
 最後の勇気。それを引き出す為にも欲しいのだ、彼の温もりが。

 私は瞳を瞑り彼を待つ。
 恥かしさの余り頭が茹で上がりそう。
 彼の両腕が私の身体を抱き寄せる。
 段々と彼の唇が私に近づいてくる。
 彼の吐息を肌で感じる。


「んっ……」


 唇が重ねられた。
 考えてみたら、こうやってキスして貰ったの、初めてだ。
 そう思ったら、恥かしくて頬どころか身体中がまっかっかになった気がする。


「アキラちゃん、大丈夫か?」


 唇から離れた横島さんが、ちょっと楽しそうに言う。

「うん。もう大丈夫。イケるよ」


 色んな意味を込めて私は言った。

 そして歩き出す。あの時の場所へ。
 夏美の手が斬り落とされた場所へ。
 化け物に犯されそうになったあの場所へ。


 横島さんの指に、自分の指を絡めるように握り締めると公園の中央へ向う。

 そこは何の変哲も無い公園の風景。
 唯一つ、噴水が砕け壊れている事を除けば。
 その惨状は、あの事件を思い起こすには充分で。

 気づけば私は化け物に押し倒されていた場所に立っていた。

 足が震えだす。細かくカタカタと。
 薄暗い公園はそれだけで不気味だと言うのに。
 私の恐怖の記憶は、その不気味さを増幅させていく。

 横島さんはそんな私の手を引っ張ると、化け物を操っていた女が立っていた場所へと私を導いた。
 そこは淡く光る電灯が有り、きっと私の真っ青な顔が横島さんに丸見えになっているのだろう。
 結局の所、私の決意や想いなんてちっぽけな作り物って事なんだ。


「怖いか?」

「……うん、怖いよ」


 私は素直にそう告げる。
 きっと、呆れられてしまう。


「んじゃ、その記憶、もっと凄いモノで上書きすっか」

「……はぁっ?」


 横島さんは私を背中から抱きしめると、そのままスカートをたくし上げ、下着を下にずらす。

「ちょ、ちょっと待って! 誰かに見られちゃうよ!!」


 私のその言葉に、彼はポケットから札を数枚取り出した。
 見覚えが有る。それは委員長が日々作成している物だ。
 何の効果が有るのかは知らないけど。

「これな、あやかが作った試作認識阻害札だ。効果時間と効果範囲は良く分からん代物だがな」


 試作品だしな? 何て言いながら周囲に札を貼り付け、鉄柱に手を付きお尻を突き出せと、私に指示して来る。

 効果時間が分からないなんて、してる最中に切れたらどうするの!
 って聞きたいけれど、何だか凄く楽しそうで聞けなかった。

 それに気づいちゃった。
 今、私は怖く無くなっているって。
 きっと、この為なんだ。
 そう気づいたら、私は彼の言いつけ通りにしよう、って思った。

 立ちバックの体勢になり、彼が私の中に来るのを待つ。

 横島さんは私のお尻を撫で回すと、今度はアソコへと指を忍ばせる。
 クチュクチュと粘りつく様な水音が私の其処から聞こえてくる。
 前にした時と違い横島さんも私も正気で、それなのに私のアソコはもう濡れそぼっているのだ、

 恥かしくて、死んでしまいそう。

 恥かしがる私に満足したのか、私のアソコの中心に自分の性器の先を当てると、グッと腰を突き出し中へ入ってくる。

 膣内に彼の性器を迎え入れた瞬間、あまりの快感に身体中が痺れてしまう。

  
「んあぁあああああっ!」


 横島さんの性器で自分の中が割り開かれていく感覚に、よがり狂いそう。
 私は彼の熱を感じながら、切なく喘ぎ続ける。
 やがて私の胎内に彼の性器が全て挿入され、

「激しくいくぞ」

 の言葉と同時に、荒々しく腰を突き出された。


「あっ、あああ、あぁ、よ、よこしまさん、好きぃっ」

「俺も、アキラちゃんのこと、好きだぞ」


 彼の言葉に、私の頭は愉悦に包まれ意識を奪われる。


 カツン、カツンと足音を立てて、私達のすぐ傍を通っていく人達がまったく気にならなくなってくる。


「んっ、あぁ、あっ、よこしま、さぁんっ、あぁあっはぁ、も、もっと、もっとぉっ……」


 凄まじい快感に理性を奪われ、髪を振り乱して声を高く上げる。
 その声に応える様に、横島さんの腰の回転の速度と突き出しの力強さが増していく。

「あんま声を上げると、認識阻害が破られるぞ」 


 彼の忠告を聞いても、私の喘ぐ叫びは止まらず、尚一層声を荒げてしまう。
 心の何処かで、誰かに見て貰いたい。なんて思ってしまっているのかも。


 ああ、イヤだ……、そんな変態、きっと彼に嫌われてしまう。


 そう思う心とは裏腹に、誰かが通り過ぎる度に肢体が熱くなる。

 もっと彼に犯されたい。誰かに見られたい。

 そんな風に思ってしまう自分もいて……

  
 私達が愛し合っている傍を、幾人横切ったのだろう。
 その度に私のアソコはキュッと締まり、彼の肉棒を締め付ける。
 彼も興が乗ったのか、私を抱えると背面座位の体勢を取り、直接通行人が見える様にしてくる。

 見知らぬ人が目の前を横切る度に、彼は私の身体を大きく揺さぶり官能を高める。
 私は声を上げ、アソコからポタポタと愛液を垂らす。

 気持ち良い……、頭の中が、どうにかなってしまいそうだ……

 ちょうどそんな時だ、彼女達が現れたのは。

 楽しそうにお喋りしながら3人の女の子達が通り過ぎる。
 ルームメイトの裕奈に、隣の部屋の亜子とまき絵。

 彼女達の姿を見た瞬間、「ヒィッ!?」と思わず悲鳴を上げてしまう。
 キュキュッと、今まで以上に彼の性器を締め付ける。

「知り合いか?」


 横島さんがニヤリと笑う。

 流石にこれはイヤだ。
 だから、早く通り過ぎて!

 私の願いは叶わず、逆に彼女達は私の正面辺りで歩みを止めて話し込む。

 両手で口を押さえて声が漏れ出ない様に必死に堪える。

 そんな私の様子なんて気にしない振りして、横島さんはブラウスとブラをたくし上げ、胸を外気に晒した。
 肌寒い風が私の肌に刺さってくる。
 恥かしさの余り逃げ出そうとするも、私の身体は串刺しになっていて逃げ出す事なんて出来やしない。
 せめて足を閉じようとしても、逆に大きく広げさせられる。
 顎を掴んで無理矢理彼女達の方を見せさせられた。
 腰が激しく揺れる。

 グチュングチュン、ヂュポッ、ヂュポッ……

 性器と性器が合わさる音が響く。


「何かさっきから、変な音聞こえへん?」

「別に聞こえないよ~」

「もしかして、幽霊だったりして!」

「きゃーっ♪」


 ……楽しそうにはしゃぐ彼女達に、少しだけ殺気が湧いた。 

 こっちは唇を噛み締めて、声が出ない様に必死だって言うのに!
 私は涙目になって裕奈達を睨みつける。
 別に彼女達が悪い訳ではないけど。
 自業自得だけど。

「そろそろ本気でイクぞ!」 


 突然、子宮をゴリゴリと擦りながら胸を激しく揉みしだかれた。
 凄まじい快感が全身を巡る。

「ヒィアッ!?」


「な、なに!? 今の声!!」


 驚いた様子で此方を伺う裕奈。
 キョロキョロとしている所を見ると、まだ見えてはいないみたいだけど、多分時間の問題。
 何とかしなきゃって思うのに、横島さんは腰の回転を止めず、ひたすら私の中を掻き回していく。


 ジュグ、ジュグ、ジュグ、グチュ、ジュグ、グチュ、ヂュプ…… 


 止まらない、止まらないよぉ……
 涙を流し、口からは涎を垂らす。
 こんな姿を見られたくないのに。

「……んぅっ……ぁぁぁッ……ぃぁっ……」


 私の微かに漏れ出す声を感じ取っているのか、裕奈は近視の人見たく目を細めて此方を見つめてくる。

 そして、

「ええっ!?」


 と、驚きの声を上げて顔を真っ赤にする。

「ありゃ? 見られちまったのか?」


 でも裕奈は何度も目を擦ると、首を捻って困惑する。

「どうしたん、裕奈?」

「い、いや~、私さ、欲求不満なのかなぁ?」

「えっ、えっ、どうしたの?」

「ア、アハハ。暗いしもう帰ろうか。何か変なの見えたし」

「えっ!? オバケ出たんか!」

「いやさ、オバケってかさ、アキラが……」

「アキラ似のオバケ!?」

「アカン、そらアカンてっ! はよ逃げなっ!?」


 そのまま楽しそうに走って行く亜子。
 それを追う裕奈とまき絵。


 ……助かった。

 もう堪えるのも限界で、私は気を抜いた瞬間に高みへと昇り絶頂した。


「あ、ああっ、あ、あ、あああぁぁ……、イク、イク、イクゥゥゥウウウウウウウゥゥゥッッ!!」


 同時に彼の熱い精液が私の子宮を犯す。

 ビュ、ビュビュビュ……

 重なり合う股間から、私と横島さんの体液が勢い良く吹き出し地面を濡らしていく。


「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」


 荒く息を吐く。彼の胸にもたれ掛かる。
 此処が外じゃなきゃ、このまま眠ってしまいたい。


「おっ、認識阻害、今切れたわ」


 横島さんのその言葉と同時に、カツン、カツンと足音が近づいて来る。

 私は慌てて串刺し状態から抜け出し、急いで身だしなみを整える。
 横島さんはチャックをジーッと閉めるだけ。

 なんかズルイ!


 何とか間に合い、人気が完全になくなるのを確認してから、股間から流れ落ちる精液をハンカチで拭き取る。

 
 はぁ~、ビックリした……


 横島さんと寮に向うまでの短い間、少し拗ねて見たり楽しく過ごした。
 玄関近くまで着いたら、最後に彼の頬にキスをして、「また、明日」

 彼が完全に視界から消えるまで、彼の背中を見つめ続けた。






 部屋に戻り、裕奈と夕食を食べる。
 彼女はこちらをチラっ、チラッと何度も様子を伺ってくる。
 横島さんの話だと、見えたとしても一瞬で、私達だと確信している訳じゃないって。
 もしかして、とは思ってるだろうけど、だって。


「どうかした、裕奈?」


 私はしれっと問いかける。

「あのさ、さっき公園に居た?」

「ん? 帰りに通りはしたけど、何かあったの?」

「えっ? ううん、なんでもない、なんでも」


 上手く誤魔化せたかな?



 でも、それからと言うもの……、深夜になると時折聞こえてくる。

 裕奈が自分を慰めている声が。


「……んぅ……ぁぁ……っ……ぁぁっ……んぁっ!?」



 まあ、思春期なんだし、普通なんじゃないかな?

 私はもっと凄いことしてるし、ね?




 『幸せにして下さい。』




 彼にそう願った私は、確かに幸せを感じている。







[11660] まほらのほほん記 第15巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2009/12/31 19:35
  まほらのほほん記  第15巻  あやか、夏美、アキラの……、『ただいま修行中!!』













 初めて行われる実戦形式の修行。

 あやかは横島の出した式神の攻撃をかわし、神通棍の一撃で逆に弾き飛ばす。
 距離が開いた所で符を額に、力を増幅しつつ呪を唱える。
 呪の力が全身を満たして行き、


「陰陽五行、汝を調伏する、鋭っ!」


 式神に向けて符を持った腕を振り下ろすと、攻撃的な霊力があやかから放たれる。


 ズガンッ!! 彼女の目の前に居た式神が呪の力で内側から弾け飛んだ。

 式神が人型の紙切れに戻ったのを見て、あやかは大きく息を吐く。
 一瞬の間を置き、満面の笑みを浮かべる。


「やりましたわっ!」

「おお~っ!!」


 周囲から一斉に感嘆の唸り声と、パチパチパチっと拍手が巻き起こる。
 あやかがこの3ヶ月の間やり続けていた事が、遂に目に見える形で実ったのだ。

 横島が思うに、あやかには霊能力者としての才能は余り無い。
 こうして霊能を使えるのも横島との性魔術のお陰で、一から習得しようとすれば50年経っても霊力には目覚めなかっただろう。

 その彼女がまだまだとは言え、六道女学院レベルにはなったと思えるのは結構凄い事だ。
 事実、あやかを称賛している子達から少し離れた場所で、アスナが両手を地につけてブツブツ何か言いながら落ち込んでいる。


 そんなアスナに苦笑しつつ、横島は思うのだ。

 平和だな、と。


 会社をクビになったのは痛恨事だったが、自分に恨みを持って狙っているっポイ女が居る以上、辞めるのは時間の問題だった。

 ぶっちゃけ、今の平和は嵐の前の静けさ。
 事実、この件とは関係ないが明らかに嵐と思われる件がある。

 あの馬鹿の息子、ネギ・スプリングフィールド。
 小学低学年程度の年齢のこの子が、年明けに魔法学校を卒業し、麻帆良に修行の名目でやってくるのだ。


 間違いなく起こる、面倒事が。

 あの馬鹿と彼女の息子だ。
 そりゃー、色々とトラブルが起きまくるに決まっている。


 自分の事を棚に上げ、横島は何度もウンウンと頷く。


「どうしたですか、横島さん」


 深刻な顔をしていた横島を心配したようだ。
 気づけば彼の周囲には、さっきまであやかを称賛し、羨ましがってた娘達が集まって来ていた。


「うん? なんでもねーよ。そんじゃ、次っ、夏美っ!」

「へっ? あっ、はいっ!」


 横島は夏美を呼ぶと、あやかの時と同じように、元の世界から持ち込んでいた式神ケント紙を取り出す。
 ハサミで人型に切り抜くと、ポイッと彼女の前に放り投げた。
 夏美の目の前で、横島が放り投げた紙切れが存在感を増して行く。

 バシュッ! 現れるのは日曜朝のテレビに出てきそうな戦闘員っぽいなにか。


「イーッ!」


 右手を高々と上げて、自らの主たる横島に最敬礼をした。
 レベルは50。先程あやかが倒したのと同じレベルのケント紙で作られた式神。


「んじゃ、怪我しない様に気をつけて……、始めっ!」


 夏美は右手に霊力を集中させる。と言えば聞こえは良いが、実はそれ以外の事が出来ない。
 彼女の右手は霊力で出来ている。
 いや、むしろ質量を持った霊体と言ってもいい。
 そんな彼女の右腕を構成したのは横島の霊力である。

 即ち、彼女の霊能とは、


「出てっ! H・O・G!!」


 横島のハンズ・オブ・グローリー(劣化版)なのだ。
 横島に比べると流石に出力は低い物の、彼女の作る霊波刀はそれなりに威力が有り、魔に属する者にとっては天敵と言っても良いほど。
 ただしっ! 当れば、だが……


「えいっ! えいっ! えーーいっ!!」


 何処か気の抜ける気合の声を上げながら、必死に式神戦闘員に攻撃を仕掛ける夏美。
 あやかとは違い、彼女の攻撃は一切当らない、掠らない。
 まがりなりにも武術を収めていた彼女とは違い、唯の素人なのだから仕方ないっちゃー仕方ない。
 コレは横島も分かっていた事だったのだが、妙に自信有り気だったので試してみたのだ。

 結果は、言うまでもあるまい。

 式神戦闘員の明らかに手加減した攻撃で、あっさりと投げ飛ばされる夏美。


「あうあうあう~~~」


 目を回したように地面に突っ伏したまま立ちあがれない。


 ちょっと調子に乗ってたみたいだな。

 横島はちょっとだけ苦笑した。

 自分の時は常に実戦で、増長する暇なんてなかったが。
 周りが凄かったせいもあるし、何より自分に自信を持った事なんて終ぞ無かったから。
 とは言え調子に乗るのも仕方ない。
 あの右手。アレの表面上の威力だけはアスナの魔装拳に匹敵するモノが有る。
 周りから煽てられその気になっちゃったんだろう。
 自分もその経験なら有るし。


「目が覚めたか?」


 ちょっとだけ意地悪な笑みを浮かべて言った。

 夏美はバツが悪そうに顔を背けると、

「うん……」

 と、素直に頷く。


 可愛いなぁ、と横島は夏美を立たせながらそう思う。
 土や埃をパタパタと払ってあげると、先ほどまで自分が居た場所まで導き、そこに座らせた。


「夏美ちゃんに必要なんは体術だな。アスナかあやかにでも教わっとけ。んじゃ、次っ、アキラっ!」

「はいっ!」

「落ち着いて行動するように……、始めっ!」


 横島が合図したと同時、アキラはズドンッ! 地面を蹴り上げあっという間に式神戦闘員の眼前に現れる。
 気を込めた手で顔を掴むと、そのまま地面に叩き付けた。
 バシュンっと軽く爆発音が鳴ると、式神戦闘員は紙切れに戻る。


「おお~っ!!」


 湧き上がるどよめき。
 目を丸くするアスナ。

 無理も無い。

 アキラの最初の一歩は、瞬動に他ならない。
 いや、鍛え上げれば縮地にすら届くレベル。

 横島もコレには本気で驚いた。

 かつての自分よりも遥かに強い。
 少なくとも、香港でメドーサとやりあった時の数倍は強い。

 後は実戦経験かな? そう思う。


「お疲れ様や~~」



 アスナが落ち込み、他の少女達がアキラを称賛し、横島がその光景を見ながら何やら考えていたその時、木乃香がおしぼりとドリンクを持ってやってくる。
 木乃香に修行風景を見られても平然とする面々。


「ありがとうございますわ、このかさん」


 この手の事に一番煩いあやかでさえ、普通に受け入れている。
 もちろん木乃香には魔法関連は秘密だ。

 だが、いい加減隠すのが面倒なのと、木乃香だけ秘密なのは家族としてどうかと思った横島が、遂にやった。やってしまった。


「木乃香ちゃん。俺は、霊能力者なんだ!」


 魔法関係は秘密だ。だが、霊能は魔法関係じゃない。
 そんな詭弁を考え、学園長と相談した上で木乃香に話した。
 モチ! 詠春には内緒で。

 その上で木乃香には、外ではこの話はしてはいけない。そう、しっかりと注意して。

 この家の中なら大丈夫。
 例えしょっちゅうウチの前でうろちょろしてる神鳴流の娘でも、中を伺う事は出来ない。
 横島が念入りに結界を施しているから。

 こんな感じで、この間の夏美の腕斬られちゃった事件は霊障があったんだと、学園長と2人して木乃香に嘘を言って誤魔化したのだ。

 木乃香は当然の様に、自分も霊能を身に着けたいと願ったのだが、

「木乃香ちゃんには霊能の才能は無いわ」

 との横島の言葉で泣く泣く諦めた。

 木乃香に霊能の才能が無い、と言う訳では無い。
 詠春が怖い……、と言う理由だけでも無い。
 それ以上に魔法の才能が突出しているので、その才能を潰すのが惜しいと横島は思ったからだ。


 それからと言うもの、木乃香は影に日向にアスナ達の面倒を今まで以上に見る事になった。

 とても羨ましそうにしながら。

 そんな木乃香を見て、横島は決めた事がある。
 いつか詠春を闇討ちして、この娘に魔法の力を授けてやりたいと。

 それがいつの日になるかは不明だが。



 それは兎も角として、おしぼりで汗を拭い、ドリンクを飲んで咽を潤す少女達の意識を、手を叩いて自分に向けさせる。


「あやかと夏美ちゃん、それにアキラちゃんの3人で、一つ仕事をしてきて貰う」

「えっ、まだ早いんじゃない?」

「いや、今の内に経験しといた方がいいだろう。この先も、この世界に関わっていくか如何か決めるのにちょうど良いしな」


 アスナは頷く。でも、心配だ。

 彼女たち、特にあやかとアキラは化け物に襲われた経験がある。
 夏美は夏美で人間とは言え、斬撃で右手を欠損する程の重症を負った。
 事、相手を目の前にして冷静でいられるかどうか判らない。
 何より、これは命のやり取りだと言う事だ。

 彼女達に出来るのだろうか……? 


「大丈夫ですわ、アスナさん」

「怖いけど、うん、頑張る」


 アスナの心配そうな顔に気づいたのだろう。
 あやかとアキラはアスナを安心させようと声を掛け、夏美はそれにうん、うんと何度も頷く。


「じゃー、そう言う事で今日は終わりっ」



 3人とも横島に大きく頷く。
 そんな3人を、アスナを始め他の娘達は心配そうに彼女達を見つめ続けた。























 




  △月▲日

 学園長のじじいに頼み込んで、難易度の低い仕事をあやか達の為に割り振って貰う。
 こっそりついて行くつもりだが、念の為にタカミチも連れて行こう。
 イザとなったら、タカミチを生贄にして彼女達を救い出せる様にな。

 アイツもイヤだとは言わんだろう。
 何せ自分が受け持っているクラスの子なんだからな。
 
 せっかくだから、ついでにタカミチの奴がどの位強くなったかも見てやるとするか。
 老け顔、ヒゲ、タバコと、ガトウの物真似ばかりじゃねーってトコを、しっかりと見せて貰わなきゃな。

 もしも格好付けだけだったら……、地獄の特訓、猿老師バージョンでもやらせるとしよう。






























 蟷螂の化け物に襲われ、何も出来ず、ただ逃げ惑う事しか出来なかった。
 触手に内臓を犯され、魂を溶かされ、死にかけ、千鶴の心に大きな傷をつけてしまった。
 自分を助けようと、化け物に身体を差し出しまでした彼女の心を。

 今でも、多分これから先も、何度でも幾等でも思い浮かべる事が出来る。
 あの男の顔を。

 ラプシィア・ルン。

 自分たちを陵辱し、暴虐の彼方を尽くした化け物。
 その化け物の召喚主である男。
 この学園の教師を何人も殺した男。

 今は、もういない男。


 もしも今、目の前にこの男が現れたら、自分は取り乱す事無く居られるだろうか?

 ……取り乱してたまるか。無様な真似を晒してたまるか。二度とあんな思いをしてたまるかっ!


 かつての何も出来なかった自分と決別するため、あやかは初めての悪霊退治へと挑んだ。
 2人の仲間と共に、必ずや横島に良い報告をするのだと張り切って。


 そう、張り切っていたのだが……


 現場である屋敷に着き、悪霊の姿を確認した彼女達は、あやかの作った破魔札を手に持ち3方から取り囲む。

 そして、タイミングを合わせて一斉に破魔札を投げつけた。
 ビシュッ、と閃光が走り、悪霊に衝撃が……、余り伝わらなかった。


「ちょっ、効いてないよっ! お札、全然効いてないっ!?」

「落ち着きなさい、夏美さんっ!」

「委員長も落ち着いて、神通棍が光ってないよ? 霊波が全然出てないんだと思うよっ!?」


 あやかお手製の破魔札は、威力自体はそれほどでもないのだが、霊力を通しやすく、彼女と夏美が使うと威力がそこそこ上がる筈なのだ。

 だが初めての実戦で緊張し、力が上手く引き出せていないようだ。
 それどころか悪霊の怒りを買っただけ。

 怒り狂う悪霊の外見は、良くあるホラー映画に出てくる亡霊とゾンビを足して2で割った様な姿で、少女達の嫌悪感と何より恐怖感を掻き立てる。

   
「ダッシャーーーーーーーッ!」


 憎悪と怨念に満ちた霊波を、少女達に向ける悪霊。
 ただでさえ萎縮しかかっていた夏美は、その霊波をまともに浴び、硬直する。
 彼女の右手に宿る力は既に消え去り、アキラとあやかも精神の集中さえ出来ていない。


「シヌェーーーーーーーーッ!!」


 目の前の獲物をいたぶる好機と捉えたのだろう。
 悪霊はボロボロに崩れた手から伸びる爪をかざし、夏美を切り裂こうと襲い掛かる。


「ひぇっ!?」


 擦れた悲鳴を上げる夏美。
 だが、ここ数日真面目に取り組んだ体術が身を結んだのか、身体を半身横にずらし何とかかわす。

 夏美に爪をかわされ、それでも勢いを減じず彼女の背後に居たあやかに体当たりをしてくる悪霊。
 それを神通棍で正面から受け止めるあやか。


 ギリッ……ギッギッギッギッギッ……


 神通棍の軋む音が辺りに響く。

 神通棍は悪霊や妖怪退治に使われる霊具。
 頑丈で耐久力も高い霊具とは言え、霊気を通さなければ唯の棒。


 ビッ、ギギギギギギギッ!


 このままでは折れてしまう。

 そう判断したあやかは、何とか霊力を搾り出そうとするも、空回りするだけ。
 目の端に涙を溜めて、叫びだし恐慌に到る寸前。

 アキラは何とかあやかを助けようと、拳に気を溜めて殴りかかる。


「委員長を、放せぇっ!」


 バシュンッ! 悪霊の身体に叩き込まれる拳。

 だが、練習時の半分に満たない力しか込められず、然程効いた様には見えない。
 いや、事実効いてはいないのだろう。
 神通棍をいなし、逆撃で切り裂いてやろうと爪をアキラに向けた。


 突然神通棍にかかる力がなくなり、「きゃあっ!?」と前のめりになるあやか。


「あっ」「ええっ!?」


 夏美とアキラの驚きの声が上がる。


 前のめりになったあやかは体勢を崩すと、悪霊を巻き込みスッテンゴロリン。
 そのままぐるぐると床を転がり、気づけば悪霊に押し倒される形となった。

 腹の上に乗られ、恐らく転がった時に爪で服をギザギザに切り裂かれたのだろう。

 女性の象徴たる大きな胸を外気に晒され、悪霊の両手がその膨らみを押し潰す。


「………………」


 気不味い沈黙に包まれる。
 そんな感情など残っていない筈の悪霊までもが、どこか気まずげな様子だ。


 プチン


 何かが切れる音が聞こえる。
 もしも悪霊に弁解が許されるなら、こう言っただろう。

 事故だっ!?

 だが、怒りに支配された乙女(?)にその言い訳は通用しない。


「……のにぃっ!」


 ボソボソと空気を震わせ、あやかが何事かを囁く。

 悪霊はあやかの声を、しっかりと聞きたいのだろうか?

 首を少し傾け耳をあやかに向けた。


「そこを触って良いのは……、あの人だけですのにぃっ……!」


 あやかから凄まじいプレッシャーが生じる。
 バチッバチッ、彼女の手元にあった神通棍がスパークする。
 彼女の長い髪が、まるで生きているかの様に、ゆらゆらと揺れ動く。
 屋敷がガタガタと鳴り、そして……


 悪霊が恐怖からか、あやかの上から飛びのいた。
 後ろに跳び、そのまま逃げようと屋敷の中央へと飛び、そこで……


「逃がさないっ!」


 アキラの右の回し蹴りを入れられた。

 それは気が充分に篭った一撃。


「ガァァアアアアアッ!?」


 今来た道を、そのまま戻る様に吹き飛ぶ。

 そこで待つ、鬼気を発するあやか。



 右手に神通棍。左手に破魔札。美しい金の髪を霊気の風でなびかせる。
 ビリビリに裂かれ、その隙間からわずかに覗く膨らみと桜色の突起。
 その姿は戦女神と言っても過言では無い。


 悪霊は尻餅をついた格好で、呆然とその姿を拝む。


「誰が見ても良いとおっしゃいました。私を見ても良いのは、あの人だけですわ」


 怒りの篭った声に恐怖する。
 何とか目の前の存在から逃げ出そうと、周囲を伺うも、


「逃げられると思ってるんだ」


 右斜め後ろからポニーテールの少女の声。


「逃がすわけないのにねー」


 左斜め後ろから、右手を霊気で包まれた少女の声。


 えっ? 貴女方には何もしてませんよね?


 と、言わんばかりにイヤイヤと首を左右に振る。

 少女達にとっては、セクハラ野郎は殲滅するに値する存在だ。

 特にアキラにとっては他人事ではない。
 化け物に胸を嬲られるのが、どんなに気色悪くおぞましいのか実感しているのだから。

 3人から立ち昇る霊力と気の波動は、悪霊に最期を覚悟させた。



 ああ、俺は天の彼方へと逝くのだな……、さらば青春の日々、さらば、おっぱい……



 最期の瞬間に、果てない恐怖から自我を取り戻した彼は、そう呟きながら、


 3人にボコられた。












































 その様子をこっそり伺っていた2人。

 いや、正確に言うと一人。

 もう一人は両目を抑えてゴロゴロと転がっているから。


「痛いじゃないですか、忠夫さんっ!?」

「アホか! 女の子の柔肌を、お前の様な無精髭に見せるなんて出来るかっ!!」

「見ませんよ。キチンと横を向いたじゃないですか……」

「念の為や」


 もしも何かあったらスグに飛び出せるように待機していたのだ。

 彼女達がどうにかこうにか上手くやったのを見て、ホッと息を吐く。
 タカミチは横島に目を突かれたが。
 

「怖いですね、あの子たち……」


 悪霊をボッコにしてるのを見て、冷や汗を流すタカミチ。

「何言ってやがる。あのくらい普通だ」


 最近こそ無いものの、あんなのしょっちょうだった横島。
 何処か泰然としている。


「あっ、成仏したみたいですよ」

「怖かったんだろ?」

「……そうですね」


 そんな2人の周囲を囲う様に、、沢山のおぞましい影が現れる。


「まったく、あのじーさん。調査書の内容が思っきし間違っとるやないかっ!」

「ええ、本当に……」


 珍しくタカミチも青筋を立て、怒りを堪えているようだ。

 何せこの幽霊屋敷。
 学園長の話では、低ランクの悪霊が一体いるだけの筈なのだ。

 ところが、居たのが悪霊では無く、魔族。
 それも周辺の悪霊や怨霊、亡者と言った負の感情を持つ者達を集め、力を蓄えていたのだ。
 その全てを横島とタカミチで押さえつけ、その上で一番弱そうなのをあやか達に差し向けたのだ。

 もしも、もしもあの娘達だけに行かせていれば、間違いなく殺されていた。
 横島やタカミチと言った強者であれば特に問題はない。
 だが今回横島が頼んだのは、初めての退魔に相応しい簡単な仕事だ。

 それが……!!

 麻帆良に戻ったら、学園長に散々たかっても文句は出まい。
 普段ならば止め役になるだろうタカミチですらGO! サインを出しているのだから。


「それじゃ、そろそろ片付けましょうか、忠夫さん」


 タカミチは両手をズボンのポケットに突っ込み、彼なりの戦闘体勢を取る。

 彼は嬉しかった。
 自分の力を、横島に見てもらえると思ったから。

 ワクワクしてくる。
 顔が獰猛な笑みになっていく。

 だが……、


「いや、あの娘達についててやってくれ。この仕事はあの娘達の仕事だ。だからこいつらは、俺が始末する」

「えっ? そりゃないですよ、忠夫さんっ!?」

「んな訳で、ここは俺に任せてアイツラの事、頼むわ」


 そう言って、タカミチの返事も待たずにスタスタと屋敷の奥へと歩いていった。

「強くなったな、タカミチ」

 最後にポツリ、横島が言葉を零す。

 タカミチは喜びで叫びだしたくなるのを抑えるのが精一杯。
 さっきの獰猛な笑みではなく、子供の様な笑みを浮かべながら、家路につく少女達を追いかけた。

 屋敷を出てしばらくすると、背後から凄まじい力を感じる。
 光が溢れ出し、そして暗闇へと戻る。

 タカミチはスグに彼だと分かった。
 凄まじい力だ。何をやったのかさっぱり分からないけれど。


「ハッ……アハハ……ハハハハハハハハ……」


 決して気づかれない距離から彼女達を見守りつつ、堪えきれなくなったのか遂に笑い出す。
 大声で、とても楽しそうに、嬉しそうに。












































 おまけでスキル表


 雪広 あやか

 霊能 E→D
 霊的戦闘 E→C
 体術  B
 柔術  A
 神通棍 D→C 
 符術師 E→B
 札製作 E→A
 陰陽術 E→B
 商売  A→B
 性魔術 E→D
 奉仕  A→S
 床技能 B→A


 村上 夏美

 霊能 A
 霊的戦闘 E
 体術 E
 剣術 E-
 料理 B
 掃除 B
 洗濯 B
 演技 A→B+
 奉仕 E→D
 


 大河内 アキラ

 気  B+
 体術 A+
 泳術 S
 料理 B
 掃除 C
 洗濯 C
 奉仕 D
 露出 B-











 後書き

 幽体のはずの悪霊が、なんであやかとすってんごろりん出来たかって?

 きっと全身に微量な霊気を纏ってるんだよ。

 そう思っとこうね?





[11660] まほらのほほん記 第16巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:31
  まほらのほほん記  第16巻  真・日々彼是 その3














 あやか達がいた場所より更に奥。
 大広間を越えた先にある一室。

 そこから溢れ出る妖気を感じ取った横島は、慎重にドアを開けた。


 中に居たのは醜悪な化け物。
 赤紫色の細い棒の様な体、背中から蝙蝠の様な羽を生やし、まるで悪魔の様な姿。

 この旧世界と呼ばれる場所では存在自体が悪と言える。

 とは言え、何もせず、ただ平和に時を重ねる者だったなら、横島は見逃しもしただろう。


 だが……

 醜悪な化け物、魔族の足元には幾つもの残骸がある。
 鳥の残骸。犬の残骸。猫の残骸。そして、人の残骸。

 子供の身体や妙齢の女性が、股間から血や他の物を垂れ流しながら恐怖と絶望を顔に貼り付ける。
 その上で腸を貪り喰われたその姿は、慣れない者で無くとも吐き気を催す光景。


「チッ……、ホントにあのジジイ、いい加減な仕事しやがって……」


 怒り心頭で口から零す。
 ただ、魔族がいるのがジジイ、学園長のミスとは言い切れない事も横島は分かっていた。

 残骸……、死体がまだ腐敗しきっていない。

 まだ此処に来て日が浅いのだろう、横島はそう確信もしていた。
 コイツの情報が抜けていたとしても仕方が無いのかも知れない。

 だが感情は別だ。自分の大切な子達が危なかったのだから。
 あれだけ簡単な仕事を、と言って置いたにも関わらずこの体たらく。

 許せるものではない。


 目の前の魔族は、横島を見てガタガタと震える。
 先ほど、文珠を使って一斉に悪霊や亡者といった者達を浄化させたのを感じ取っていたのだ。

 何をしたのか魔族にはさっぱり解らなかった。
 それでも相手が遠く及ばない存在だと言う事は解ったのだろう。


「ギ……ギギィ……タ、タスケ」「ムリ」


 命乞いの言葉に、速攻で無慈悲な返答を返す。
 顔色を失くし、それでも生きてみせると必死に逃げようとする。
 だが、身体が思うように動かず羽音をバタバタ響かせるだけ。


 横島は右手に霊波刀を展開させる。

 そして、

「帰ったらジジイの奢りで、美味いモンでも食いに行かなやっとれんな、おい。」
 

 言いながら光輝く剣を振り下ろす。

 魔族の視界全てが光に包まれ、


 ビシュッ


 何かが斬り裂かれる音。

 横島は女性と子供の死体に自分の上着を掛けてやると、体を翻し外へと向って歩き出す。

 それを見た魔族は、助かった! そう思い、この場から少しでも離れようと羽を広げ、天高く飛び上がる。

 いや、飛び上がったつもりだった。
 気づけば自分は床に倒れ込んでおり、立ちあがろうにも身体が上手く動かない。

 そしてようやく気づく。
 羽を広げてなんかない。天高く飛び上がる事なんてもう出来ない。

 自分はもう、首だけなのだから。


「悪いな、この世界にお前を住まわせる土地なんてねーんだよ。
 もしも魔界に戻るんなら、2度とこっちの世界には来るんじゃねーぞ」



 少しづつ目から光を失わせる魔族に、最後の一瞥を向け囁く。

 確実に殺し、次があるなんて絶対に無いと知りながら。


























 暗くなり静まり返った家の中にこっそりと入る
 既に日付が変わっており、アスナ達はリビングで一塊になってぐっすりと眠りについていた。
 アスナ、あやか、夏美、千鶴、木乃香。
 順々に一人づつ顔を覗きこんでは、嬉しそうに目を細める。

 ……癒される。疲れ切った心と身体が元気になっていくのが分かる。

 あの後は大変だった。

 屋敷の中には人の死体が転がっていたのだ。
 これは流石に自分一人で如何こう出来る問題では無い。
 怒りを抑えて学園長に電話をし、魔法関係者を此方に呼んで貰う事に。

 来たのは褐色の肌をした美人のシスターと、そのお弟子さんの女の子2人。そしておまけで太ったおっさんとその弟子達。
 おっさんとその弟子達を惨状の現場へと誘導した後、全てを押し付け、さり気にシスターを口説いていたマデは良かった。

 何気にシスターの弟子の一人が、アスナのクラスメイトだったとかで話題には困らず、このまま上手くやりゃー今夜はグフフ……なんて思っていたのによ!

 おっさんの弟子が急に飛び出して来たと思いきや、此方に駆け寄りゲーゲーと吐きよった。

 何でわざわざコッチに来て吐くんやっ!?

 そう怒鳴りつけようと思ってもシスターは人格者で、太っちょの弟子を心配そうに背中を何度か摩ると、代わりに自分がと現場の方へ行ってしまう。
 結局太っちょの弟子共は一切役に立たず、自分までもが残処理を手伝う事になっちまった。

 ワイの様な繊細な人間が、何でこんな事せにゃ……
 そう言いたい気持ちがあれど、シスターの微笑みには勝てず、その後を楽しみに笑顔で手伝ったのにぃっ!

 全部が終わるとクソッタレな太っちょに任せて、

「この後一緒にどうですか?」

 と、お誘いの言葉までかけたのにぃっ!

 あの太っちょ一人じゃ大変だとかで……、クソがぁーーーーーーーーーーーーっ!!

 これじゃあ、無駄に疲れて嫌な思いしただけやないかっ!

 シスターの代わりに彼女の弟子2人連れて麻帆良に帰る事になり、
 途中、散々アスナのクラスメイトの子にたかられるは、もう一人の小学生位の子には妙に懐かれるはで疲れちまったよ……

 麻帆良に着くなり学園長に文句を言いに行ったら、代わりにしずな先生を置いて逃げ出し済み。
 ジジイの相手するよりゃ、美人で巨乳のしずなさんの方が100倍良いと思いきや、彼女は俺に対する労いの言葉とお詫びを述べるとスグにどっかに行ってしまった。
 遣る瀬無い気持ちで佇んでいたらタカミチが報告に現れ、結局アイツと男2人で飲みに行く事に。
 何か妙にハイテンションなタカミチに連れられて、もう何が何やら……


 良かった事と言えばシスターと知己になった事くらい。

 まあいい……、シスターの好意を取る事は出来たはずだ。
 少しづつ落としていく事にすればいい。
 楽しみが後になったと思えばいいさ。

 そう自分を慰めながら家に帰って来たのだ。


 そんなもやもやした気持ちも、少女達の愛らしい寝顔を見たら吹っ飛んだ。
 出来れば一人くらいは起きてて、この遣る瀬無い気持ちを吐き出したかった気もするが……

 酒臭い息を吐きながら、そんな事を考える。

 空しい……

 最後にボソッと呟くと、そのまま汗と酒臭い身体を洗い流す為に風呂場へと向った。

 酔っていたせいだろうか?
 此方を伺う視線に気づかずに。



 適当に服を脱ぎ捨て、浴室に入るなり身体も流さず浴槽に飛び込む。
 少女達が前もって入れといてくれた、ちょっとヌル目のお湯に肩まで浸かる。


「はふ~……」


 目を瞑って心地好さ気に声を出し、そのまま半分眠った感じでぼんやりと過ごす。

 すると脱衣場の方から人の気配を感じる。

 誰か起きて来たんかな……

 ボンヤリとそう思いながら、誰が来るのか少しワクワク。

 気配を探り、個人を特定するなんて野暮な真似は絶対にしない。

 ドアが開く音がして、誰かな~ってワクワクしながら目を開けた。
























「横島さん、お背中流しにきたえ~」


 予想外。想定外。そして命の危機。
 バスタオルで身体をきっちり隠しているとは言え、年頃の少女が満面の笑みを浮かべて入ってくる。


「こ、木乃香……ちゃん、女の子が男と一緒に風呂に入るのはイカンと思うよ?」


 我ながら恐怖で声が震える。
 下手に手を出してみろ! 詠春がぶち切れて東西確執何ソレ? って感じで攻めて来るに違いない。
 それは不味い。アレであの野郎、無茶苦茶強い。
 最近は西の長として実戦から離れていた所為もあり衰えたらしいが、娘を傷物にされたとあっちゃー、現役時代の力を取り戻して来る事間違いねぇー。


「アスナ達と良く一緒に入っとるやんか。それとも、ウチと一緒はいやなん……?」


 どうやらアスナ達と一緒に風呂入ってるのバレテタみたいだ。

 ハハハ、こらマズイ、むちゃんこマズイ、マジでマズイ。

 何とか此処を逃げ出さねば……、そうは思うものの、目に一杯涙を溜めてウルルってしてる木乃香ちゃんを見てるとそうもイカン。
 結局何も言わずに浴槽から立ち上がると、木乃香ちゃんに背中を向けて洗ってもらう事に。


「えへへー、横島さんと一緒にお風呂、ウチ嬉しいわぁ」


 言いながら、んっしょ、んっしょ、と背中をゴシゴシする。

 大丈夫、大丈夫だ俺。
 手を出さなきゃ良いだけだろ?
 乳や尻はバスタオル巻いて見えねーんだし、変に意識さえしなきゃ大丈夫。
 ここは父親……もとい、兄的気持ちでやましい心を捨てて望めば大丈夫さ、俺。

 そういや、前にもこんな事があったよなー。
 なんて、昔の事を思い出しながら何処か現実逃避をする。

 思い出す、あの時の事を……
 冥菜ちゃんに顔射しちまったあの時の事を……

 そう言えば、あの子ともやっちゃったんだよな。
 冥子ちゃんの陰謀とは言え、16才になったばかりの幼い少女の秘裂を、何度も何度も刺し貫いた。
 可愛い喘ぎ声を出して俺を求めてくるあの娘の期待に応えるべく、ハッスルしまくった。

「ひゃあっ!? んあっ……やん……あァ……ああ……」

 そう、こんな感じでかぁいい声を出す冥菜ちゃんを。
 しかも冥菜ちゃん一人だけでは飽き足らず、レミちゃんやすずめさん、めぐりさんとも……

「だめやて……そ、そこ、切ななってまうよぉ、ああんっ……あ……ああ……いっ、いぃ……」

 向こう帰ったら、こんな感じで全員の後ろを開発せねばなるまい。
 こちらの娘達だけ完全に開発済みだなんて不公平だからな。
 こう、手に泡を一杯つけて、胸を愛撫しつつ手をお尻に回して優しく後ろの穴を……

「んっ、んっ、んぅっ、く、くるしい……横島さん、おなかが……く、るしい……ああんっ……」
 
 上気した顔でこちらを見上げる。
 初めて感じる性的な快感に戸惑い、それでも俺を信頼しきってる潤んだ瞳。
 その小さく愛らしい口から激しい吐息と共に漏れだす喘ぎ声、そして口端から零れる銀色の唾液。
 ほんのり開いた唇を、俺の唇で塞いでと言わんばかり。

 大和撫子の見本とも言える木乃香ちゃんの唇を……

 後ろの穴を開発しつつ、今まで木乃香ちゃんの小さい胸を愛撫していた左手で、彼女の顎をクイッと上げる。
 俺の唇で彼女の唇を塞ごうと、少しづつ、ゆっくりと彼女の唇に近づいていく。
 寸前で一旦止まり、唇を塞ぐ前にまずは舌先で彼女の唇を舐め回す。
 すると彼女は待ちきれないのか、自分の舌を突き出して俺の舌を絡め取った。

 
 くちゃ、ぴちゅ、くちゃぁ……


 舌を絡め合わせる音が俺の脳髄を犯し、そのまま彼女の口中へと導かれる。


「ん……んぅ……んっ……ん、んぁっ……」


 木乃香ちゃんの口中を味わっていると、唐突に気づいた。


 アレ? オレ、ナニヤッテンノ……?


 目を大きく見開いて、深くキスをして舌を絡み合わせている木乃香を見やる。

 俺の右手で後ろの穴を穿られながら、左手で乳首をクリクリと抓られている。
 彼女は俺の右の太腿に跨り、無意識にやっているのか股間をズリズリと太腿に擦りつけて性的な快感を高めている。
 太腿に感じる感触で、木乃香ちゃんのアソコが充分以上に濡れそぼっている事を感じさせ、俺の分身の投入を今か今かと待ち望んでいるのが分かった。



 アハハ……ドナイシヨウ……アタマガマッシロナンダ、ボク…… 


 そう思いながらも、木乃香ちゃんの舌をねっとりとねぶるのは止められない。
 木乃香ちゃんの荒い吐息と共に、クチュクチュという湿った音が、口やアソコ、それに尻から漏れる。
 そんな淫音を聞いていると、何だかもうどうでも良くなってきた。


 俺は木乃香ちゃんを両手で強く抱き寄せると、本気の舌技を繰り出し始める。
 ぷにぷにっとやーらかい木乃香ちゃんのおっぱいを俺の胸に押し付けると、彼女はビクビクと身体を震わせる。
 そんな木乃香ちゃんの口の中に俺の唾液を流し込み、無理矢理嚥下させつつ唇、歯茎、舌の表と裏を愛撫していく。


「んっ……こくっ、こくっ、んぐっ、んふぅ、ちゅっ、こくっ、こくん……」


 互いの唾液をすすり合いながら、貪欲に快感を味わい続ける。
 貪り合う唇の隙間から、嚥下しきれなかった唾液がダラダラと零れ落ち、互いの身体を淫らに濡らしていった。

 
「ぷあっ……」


 充分木乃香ちゃんの唇を貪り尽くした俺は、一旦彼女を解放させた。
 キスから解放された木乃香ちゃんは、ビクビクと何度も痙攣しながら俺にもたれ掛かる。
 そして、潤んだ瞳で俺の事を見上げてきた。


「ウチ……キスしたん、初めてや……」


 木乃香ちゃんは夢見心地といった様子で、うっとり呟く。


 その声を耳に入れたと同時、俺は天啓を聞く。


 処女膜さえ破らなければ、O.K.!


 神々しくも、ありがたいお言葉。
 何処の誰だか知らないけれど、我が道を指し示して頂き、恐悦至極に存じます。
 初めてが後ろってのも、乙なモノさっ!
































 ……って、違うわあああああああああああっ!!

 俺はグイッと木乃香ちゃんの身体を自分の身体から引き離す。
 そしていきり立ち、早く俺をブチ込むんだと急かして来る分身を、心の中で詠春とラカンの魔愚輪異を想像して一気に押さえつけた。


 グボハァッ!?

 心の中のもう一人の俺が、大量に吐血する。
 バリーンと何かが割れる音が聞こえる。

 間違いなく、自分の中に有った大切な何かが失われたのが分かった……



 突然の俺の行動に目を白黒させている木乃香ちゃんの頭を数回撫でて誤魔化すと、いい加減お湯に浸からな風邪引くぞ。

 そう言って彼女をお姫様抱っこしながら、2人で湯船に浸かった。

 どこか気不味い沈黙に包まれる。
 どう誤魔化せば良いのか分からん。
 見ないでも分かる。木乃香ちゃんが涙目でこっちを見上げている何て事は。
 でもな、最近流されてばっかだから、いい加減にせんとマズイ。
 ヤルにしても、アキラちゃんやのどかちゃんの時みたいに済し崩しじゃなくって、キチンと意思を確かめてからじゃねーと。


 その後も木乃香ちゃんの無言の催促を何とか切り抜け、理性を保ちつつ風呂から上がる事に成功した。

 しゅん……と落ち込んでしまった木乃香ちゃんを何とか元気付けると、彼女と一緒に布団に入った。

 これも断ろうとはしたんだが、アスナの事を出されたら如何にも断れん。
 何か最近の俺、この世代にだけ効くフェロモンでも出てるんだろうか?
 そんな事を考えながら、木乃香ちゃん『の』抱き枕になって眠りについた。

 湯上りでいい匂いのするちっちゃいオッパイの谷間に顔を埋め、必死に理性を総動員しながら……







 朝、目が覚めるなりアスナとあやかの冷たい視線と、

「これで姉妹ね、私たち」

 なんてニコニコしながら木乃香ちゃんを抱きしめる千鶴ちゃんにはまいったが。

 いや、まだ手は出してねーぞ! 俺の真実の叫びは誰の耳にも届かなかった。
 
 ホント、いつの間にか木乃香ちゃん、服着てないんだよな~。
 寝ぼけて脱いだのか、それとも俺が脱がしちまったのか……

 それはともかく、この状況じゃ前科が有り過ぎて信じて貰えんのも仕方ない。何て思っちまう自分に涙した。




 そして何より一番まいったのが、朝一で来た夕映ちゃんの言葉……


「私達も横島さんの使徒になれないものでしょうか?」


 使徒であるアスナとあやか、そして最初から使徒になるつもりが無い千鶴。何の事だか分からない木乃香。


 この4人を除いた全ての少女達が、夕映の言葉に身を乗り出してくる。




 ……言ってる意味、分かってんのかなぁ?































 おまけでスキル表(前回のも合わせてネギ登場前最終データ)


 神楽坂 明日菜

 霊能  C→A
 霊的戦闘 C→A
 体術  S
 拳戦闘 S
 神通棍 B→C
 銃撃  A
 咸卦法 A(使用不可)
 料理  S
 掃除  S→A
 洗濯  S→A
 奉仕  C→S
 床技能 B
 完全魔法無効化能力 EX 



 那波 千鶴

 魔法  E
 料理  A
 掃除  A→S
 洗濯  A→S
 介護  S
 奉仕  B+→S+
 床技能 E



 近衛 木乃香

 料理  S
 掃除  A
 洗濯  A
 魔力増幅 EX









 後書き

 大抵の悪霊や魔族(下級)と言った存在は、GS美神を基準にしています。
 ヘルマン伯爵クラスになると、ネギ魔基準です。
 GS基準にするとアレでは弱すぎるので……
 この世界の魔族は魔法世界では結構普通に人間と仲良く共存している上、そんなに強くはないんで。
 今回出た魔族、これはどちらかと言うと魔獣に近いもの、という認識で。

 ついでにラプシィアが召喚した蟷螂、アレは戦女神2での最初のボスキャラをイメージして作りました。





[11660] まほらのほほん記 第17巻   エロ有り(のどか)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:31
 絶望の底に居た自分達を、颯爽と現れ救ってくれた男に少女は憧れた。

 自分達を襲って来た化け物を、一瞬の内に殲滅したあの男(ひと)に。
 初めて会った時に、悲しい瞳をしていたあの男(ひと)を。

 あの悲しい瞳は、あの人の持つ力、霊力が関係していたのだろうと夕映は思ったのだ。

 自分が、いいや、自分とのどかで彼を癒してあげたい。

 あの力、霊力に目覚め、そして彼と同じ舞台に立つ事が出来ればどんなに素晴らしいだろう。
 そうすれば、きっと彼を癒してあげれるのだ。

 だけども、自分とのどかが目覚めたのは霊力ではなく、魔力。

 夕映は悲しみ、絶望し、そして嫉妬した。

 あやかの陰陽術に。アスナの魔装拳に。
 そして何より、横島と同じ様な霊能を持つ夏美に。
 自分には与えられなかったその力が、羨ましくて、妬ましい。

 そんな時に聞いたのだ、アスナの事を。

 アスナが元々使っていた力は、霊力では無かったと言う事を。

 そして、その彼女は横島の使徒。あやかも使徒。
 夏美は違うけど、彼女の力は横島のお陰である事は間違いなくて。
 間違いなく、失った右腕を取り戻した事に関係がある。

 霊力に関わる人達全てが、横島と何らかの関係があるのだ。
 彼女達3人以外は、自分とのどかが魔力、アキラが気なのだから。

 元々この世界には霊力という概念が無い。

 だったら自分も使徒になればいい。
 そうすれば、あの人と同じ舞台に立てるかも知れない。

 彼女がそう思ってしまうのも仕方がない。


「私達も横島さんの使徒になれないものでしょうか?」


 彼女は横島と会うなり彼にそう尋ねた。

 彼女は夢想する。

 彼の隣に在れる事を。彼を癒すのが自分で在れる事を。

 彼に、彼に、彼に、彼に、彼に、彼に……





「あっ、ムリムリ。最近ちと力使い過ぎて、これ以上他に回す余裕ねーわ」
















































 orz ← ゆえ




















  まほらのほほん記  第18巻  流される者、されない者






























 それでも彼女は諦めきれない。


「で、でしたら聖魔術とやらをお願いできないでしょうか?」


 そう、だったら今は力をつけよう。
 例えそれが霊力じゃなくて魔力だったとしても、力には代わりない。

 夕映が聞いた『聖魔術』は、互いの力を高め合う儀式魔術。

 使徒に求められる一番の仕事。
 力を主に譲渡して、主の生存を助ける魔術。

 ならば今の私が彼に出来るのは、その儀式魔術で少しでも彼の役に立つこと。


 ついでに自分の力の上昇も見込めるなんて実に素晴らしい。


 のどかがアスナ達と共に聖魔術をしたのだと聞いた時から、自分にもして欲しいと願っていた夕映は、せめてこれだけはとばかりに横島に詰め寄る。

 周囲の人達が、顔を赤らめて自分を見ていても、夕映はまったく気にしない。


「けっ、けけけけけけっこう大胆ね、ゆえちゃんって……」


 基本、姉であるタマモの影響か、この手の事に割りとオープンなアスナでさえ恥かしそうだ。

 それはそうだろう。
 アスナだって露出的な趣味は無い。
 みんなが居る前で、『性』魔術をしようだなんてオープン過ぎる。

 そして横島も、どう反応していいのか分からないでいた。

「だめ……でしょうか……? 私ではその資格は無いですか……?」


 使徒にもなれず、聖魔術も駄目だとは……
 そう思い、しゅん……とうな垂れた。

 のどかとは出来ても、自分では駄目だと言う事ですか……

 夕映はチラリとそう思ってしまうが、スグに首を振って否定する。
 のどかにまで嫉妬はしたくない。
 何より今の自分では何か足りない物があるのだろう、そう自分に言い聞かせて。


「横島さん、お願いします! ゆえにしてあげて下さいーー!!」


 のどかは必死になって横島に懇願する。
 夕映はそんなのどかの姿を見て思うのだ。

 自分は空前絶後のアホだと。


 のどか、ごめんなさい。そして、ありがとうです。


 夕映は心の中でのどかに謝罪と感謝の言葉を述べる。

 横島は夕映の方を見て、少し困った表情をした。


「俺なんかでいいのか?」


 横島の言葉に胸を高鳴らせる。
 夕映がここでyesと答える、ただそれだけで彼に聖魔術という儀式魔術をして貰えるのだから。


「は、はいっ! 横島さんにして貰いたいです」


 はっきりとそう答えた。
 下手に答えて、相手がアスナやあやかになっては困るから。

 もちろんの事だが、夕映は性魔術の事を良く分かっていない。
 聖魔術と勘違いしている位だ。
 『聖』なんて仰々しい言葉を使っているのだから、何やら素晴らしい技術なのだろうと。

 そして、のどかから聞いた話では勘違いしてもおかしくは無かった。
 なぜならのどかは、アスナに後押しされてアキラと一緒に『せい』魔術をして貰った。
 そう夕映に話したから。

 だからだろう。相手として横島以外がある可能性を考えたのは。
 実際の所、それは有り得ない。
 基本的に横島しか使えないし、こっそり使える様になっていたあやかも内緒にしていたのだから。

 だからこそ、他の面々が相手に成らずに何とか横島にして貰おうと、必死な夕映は気づかない。
 自分とのどかと木乃香を除いた面々が、顔を真っ赤にして自分を見ているなんて。


 彼女達からしてみたら、堂々と目の前で『セックスして下さい』そう言っているのと同じなのだ。 
 それは恥かしくもなるだろう。そしてその堂々さが少しだけ眩しい。

 一方、心底困ったのが横島だ。

 流石に身長が140cm切ってる少女とエッチするのは躊躇われる。

 再び変な扉が開きそう。
 1年以上前に、アスナを抱いた時以上の衝撃が来たらどうすると。
 それまで彼は、決して高校生以下の少女と愛の組体操をするなんて事は考えた事も無かった。
 それがアスナだけでなく、六道の謀略で冥菜とレミにまでハッスルしてしまった。

 お陰で少し位ミニマムでも気にせずやっちゃう男になった訳だが、これ以上進むのはホントに不味いと思っている。
 このまま見た目の幼さを気にしなくなり、気づけば小学生低学年だろうと平気で喰っちまう男になんかなっちまったら……


 横島は自分程信じられない男は居ないと固く信じている。
 一度やっちまえば、かろうじて残っていた最後のジャスティスが粉微塵になってしまいそうだ。
 とは言え、自分としたい。そうはっきり言ってくれた女の子を袖にする何て選択肢、横島には絶対に無かった。

 それに、見た目小さくてもアスナ達の同級生だし?


 結局、夕映の背中にそっと手をやると、そのまま自分の部屋へと向う。


「あの、すみません。出来れば、のどかも一緒で構わないでしょうか?」

「うん? 夕映ちゃんが良いなら別にいいぞ」

「初めてで不安なのですよ。経験者がいてくれた方が心強いと思いまして」

「まあ、のどかちゃんとは暴走した時以外ではしてなかったかんな。ちょうど良いか」


 喜色満面の笑みを浮かべるのどか。
 彼女はアスナ達に軽く一礼をすると、恥かしそうにしながらも、ぴったり横島の腕にしがみ付く。


 3人は呆然とするアスナ達の目の前で、パタンと扉を閉めて横島の部屋へと入った。

 
「ゆえちゃんてさ、見かけによらず大胆ね……」


 顔を赤らめながらアスナが呟く。


「思ったのだけど、もしかして、これから何をするのか知らないんじゃ無いかしら?」

「えっ? 性魔術してって、はっきり言ってたよ、ちづ姉」

「あのさ、聖なる魔術、と勘違いしてるとかないよね……」


 気まずげな空気が少女達の間で流れる。

 木乃香が「なあなあ、せいまじゅつってなんなん?」そう聞いても気にも止めない位に。


 今、あの中で、何も知らない夕映が……


 あやかは止め様と横島の部屋に行こうとするが、アスナは大きく溜息を吐くと、


「どうせ早いか遅いかの違いでしょ? でもね、みんな! これ以上、女の子を増やさない様にだけは気をつけてっ!!」


 決意を込めた瞳を皆に向けた。

 思えばアスナは、これまでただ流されていただけだった。
 周囲に女の子が溢れかえろうが、余り気に止めていなかった。

 その結果がコレだ。

 あやかは仕方ない。事情が事情だ。
 千鶴と夏美も、まあ仕方ない。あやかのオマケだとでも思っておこう。

 でもアキラとのどかは自分がしっかりとしてれば防げたはず。
 その上、今度は木乃香に夕映とか……

 ここに来てからマダ半年も経たない内に、7人も女作るって……、しかも全員自分のクラスメイト。

 今更だけど、アッチの世界に帰ったら、折檻されるのではなかろうか?

 マズイ、それは本当にマズイ。

 タマモやシロは大丈夫だろう。
 あの2人は、表面上嫉妬して見せてるが、実の所は余り気にしてない。

 問題は……、愛子だ。

 心から横島を愛している彼女だ。
 怒り狂う事、間違い無い。
 罰として異空間に閉じ込められ何をされるか……

 突然ガタガタと身体を震わせ、顔色を悪くするアスナ。
 
 これ以上自分の身の安全を脅かす可能性を増やさない為にも、しっかりと仲間達に言っておかねば。

 アスナはそう思いながら皆をリビングへと誘導すると、自分は浴室に湯を張りにいった。

 愛子達に、何て言い訳しようか、と考えながら……















 一方、夕映は混乱の極みにいた。

 少しでも効率良く聖魔術をして貰おうと、まずは横島にのどかで手本を見せて欲しい、そう言った辺りから。


 恥かしそうに顔を赤らめながら横島の方をチラリと上目遣いで見るのどか。
 そんなのどかに大きく頷く横島。
 すると2人は夕映の目の前でスルスルと服を脱いでいく。
 服を脱ぎ終えるや否や、2人は唇を重ね……


「ほら、もっと夕映ちゃんに見える様に足を開いて……」  

「はいー、分かりました……」

「なんだ~? もうぐちょぐちょじゃねーか。まったくのどかちゃんはエッチやな~」

「あっ、い、いやぁっ……はぁ、恥かしいよぉっ……」

 顔を両手で隠してイヤイヤをする。
 横島はのどかの女の象徴を覗き込むと、

「のどかちゃんの此処、すっごくキレイだぞ?」

「あう~~っ。も、もう耐えられ……ひぃうっ!?」

 くちゅ、くちゅ、ぴちゃ、ぴちゃ、んっ、ちゅる、れろっ……と、舌で貪り嬲る。

「はぁっ、あっ、あふぅ……んあぁっ……エッチになっちゃうっ……だめぇ……」


 自分の敏感な部分に、舌で愛撫する横島の頭を、愛おしそうに両手で固定する。
 のどかの無言の期待に応えるべく、横島は縦スジに舌を差込み、ジュジュジュジュッ……っと彼女の愛液を啜り始めた。


「はぁっ、もうっ、イキそう……ですっ! あっ、イク……よぉっ……はぁ、いいっ……」


 のどかが身体を震わせ、遂には……


「んっ、んぁぁぁっ、はぁっ、い、イッちゃうよおっ……ゆえの、まえでぇ……ん、んくっ……
 すごいのぉっ……、よ、こしまさぁんっ、もう、イッて……あっ……ぃ、イクぅぅぅぅぅぅうぅうぅっ!!」


 身体をのけぞらせ、手足をピーンと突っ張る。
 脱力し布団に仰向けに横たわったのどかは、断続的に身体を痙攣させ、荒く甘い息を吐いた。



 夕映はただただ呆然とする。
 小さい口を最大限まで大きく開き、意味不明な言語を吐き出し続ける。

 そんな彼女に対してのどかが、

「んぅっ……ゆ、ゆえ~、早く、脱いだら? ぃぅっ……」

 息も絶え絶えに囁きかけた。



 そんなのどかを横島は後ろから抱きしめ、両足を膝で持ち上げると、そのまま秘裂に太く固い肉棒を突き刺した。


「ひぃっ……」


 夕映の喉奥から、恐怖と官能の入り混じった声が漏れる。
 彼女の目の前には、官能のうねりに身を任せ、身体を踊らせるのどかがいる。


「んっ、あぁっ、ん、あぁあ、横島さぁん……、ああうっ、やぁあっ……」


 横島のピストン運動に気持ち良さそうに目を細め、艶やかな嬌声を上げる。
 固くて太い肉棒が、夕映の目の前で何度も膣内奥深く目指して出たり入ったりする度に、彼女の四肢は硬直する。
 ずちゅ、ずちゅ、と言う淫音が夕映の脳を犯していく。


「こ、これが、聖魔術……」


 夕映は横島とのどかの淫猥なダンスから目が離せない。
 少し前に、寝ぼけた彼に愛撫された感覚が、ズグンと彼女の肢体を襲う。
 気づけば喘ぎ悶えるのどかに促されるままに、服を一枚一枚脱ぎ捨てて行く。
 ブラなど必要としないその身体が、黒く、両端を紐で縛る大胆な下着を残し全てが晒された。


「ひぁ、はっ、あぁああっ! や、やぁんっ! ご、ごめん……なさぃ……もっと、ゆっくり……んくぅっ、はぁんっ!」


 横島の肉棒に膣内を掻き回され翻弄されるのどか。
 子宮を激しくノックされ、息も絶え絶えに許しを乞うが、横島はソレを許さない。


「もっと激しくして欲しいって?」

「ち、違っ、います。っんあっ!」


 のどかの身体が横島の膝の上で大きく跳ね上げられる。
 そのまま身体を激しく揺さぶられ、のどかは潤んだ声を上げワナワナと痙攣を繰り返す。
 涎を垂らし、夕映に淫らな姿を見せつけながら、遂に限界に達した。


「やぁっ……、ゆえ、見ないで……あああっ、イク……イッ……んんんぁっ……ひゃあああアアンッ!!」


 全身を大きく震わせ絶頂する。
 のどかは夕映の視線に羞恥しながら、自分の一番奥深くでいつまでも放出され続ける横島の精液の感触に、悶絶し声を上げ続けた。
 そして最後の一滴までのどかの子宮に出し終わると、目が虚ろな彼女の唇に吸い付き、淡く膨らんだ胸を円を描くように撫でまわす。


「あ……つい……横島、さんの……私の中に……んん……いっぱ……ぃ……」


 ビクビクと痙攣するのどかの身体は、最後にもう一度大きく反らせると、グッタリと横島にしな垂れた。




「どうする、夕映ちゃん?」


 陶然としたままののどかを抱きしめたまま、横島は夕映に問いかける。
 横島の眼前には、紐パン一枚のみの夕映が全身を朱色に染めて立ちつくしていた。
 まるで、小学生の時のアスナを思い起こさせるその姿に少し引くものの、彼女のワレメを中心に染みが広がっているのを見て、横島は覚悟を決めた。


 堕ちることを!


 もっとも、ここで夕映がNoと言えば無理強いするつもり何て欠片もなく、その場合はのどかで2回戦目が始まるだけだ。


 夕映は熱で働かなくなった頭でどうすれば良いのか考えるも、どうすればいいのか分からない。
 でも、幸せそうに彼に抱きしめられるのどかが羨ましく感じていた。

 だから、


「お、お願ぃ……するです……」


 小さい声でボソボソと呟いた。
 緊張と不安で足を縺れさせながら、のどかを抱きしめる横島の傍へと歩み寄る。

 そして、のどかと横島が抱きしめ合っている隙間に、自分の身体を潜り込ませた。


「あっ……ゆえー?」

「はい、そうですよ、のどか」

「いま、どくね?」

「いえ、もう少しだけ、このままで……」


 横島とのどかの体温を感じながら、夕映はそっと目を瞑った。


「好きです……横島さん……」


 キスする前に、抱かれる前に、彼女は一番大切な言葉を横島に言う。
 そして、もう一度……


「お願いするですよ、横島さん」


 目を開け、沢山の笑顔を2人に向けた。

 場に流されたのでは無く、自分の意思として抱かれる為に。



 横島は場に流されているだけだが……









































 おまけでスキル表


 宮崎 のどか

 魔法 E
 罠感知 A
 罠解除 A
 地図作成 D
 環境適応 E
 料理 C
 掃除 C
 洗濯 C
 奉仕 E


 綾瀬 夕映

 魔法   E
 罠感知  A
 罠解除  A
 地図製作 A
 危険察知 E-
 環境適応 A
 高速思考 EX 





 おまけのおまけ

 ネギ・スプリングフィールド(原作開始時ヨコアス風味)

 魔法   B+
 魔法戦闘 D+
 魔法構築 B++
 超天才  EX
 高速思考 EX
 魔力暴走 EX 
 ???  EX



 おまけのおまけのおまけ

 ここまでで出てきたスキルEXの簡易解説


 文珠  文字を霊力で刻む事によって、その力の方向性を決める事が出来る万能の霊具の作成及び、制御能力。  
 煩悩全開 性的な興奮をする事で、力の出力を上げる事が出来るトンデモ技能。
 完全魔法無効化能力 幻想的な力を自分の都合良くキャンセルする事が出来る能力。 
 魔力増幅 絶対的な魔力量が多くなる。
 高速思考 高速で思考出来る。
 天才  超の技能。技能習得に必要な経験が、常人の10分の1。
 超天才 EXを除く全ての技能を修得するのに必要な経験が、常人の数百分の一ですむ。全ての習得技能に+が付く。
 魔力暴走 何かって言うと魔力を暴走させてしまう能力。コントロール不可。
 ??? 王家の魔力。もうちょい原作設定が出るのを待とう。



 +や-について

 個々人が持つレア特性。
 一度付いたら中々外せない。
 B→Aに上がったりする時も、常に憑いて来る。
 +が有る人は才能有り、効果増。
 -が有る人は才能無し、効果減。
 そう思って下さるのが一番近い。



[11660] まほらのほほん記 第18巻   エロ有り(夕映)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/06/21 15:53
  まほらのほほん記  第18巻  人とは違うモノ














 
 グプッ……

 私の目の前で、のどかの中から横島さんの巨根が引き抜かれる。
 横島さんの形にパックリと穴が開いたのどかのアソコから、混ざり合った2人の体液が流れ落ちる。
 太腿を伝ってシーツを濡らすソレを見ながら、2人はチュッと軽くキスをする。
 唇が離れると、のどかは熱い溜息を吐きながら身体を退け、私一人彼の膝の上に。

 緊張でカチコチになった私の唇を、横島さんが舌先で軽くなぞっていく。


「夕映ちゃんの唇は美味しいな」

「ひゃいっ!?」


 私は唯でさえ赤い頬が、更に赤くなっていくのが分かるです。
 恥かしくて、嬉しくて、何より唇に感じる横島さんの舌の感触が愛おしくて。


「横島さん……」


 切なさが止まらなくて、頭が沸騰しそうな気がして、目から涙が溢れて、その思いが口から零れて。

 横島さんは私の頬を伝う涙を拭いながら、両手で頬を覆い軽く上を向かせた。
 2人の唇の距離が近づいてくる。
 私は期待を込めて、そっと目を瞑った。


「ちゅっ……んふ……」


 唇同士が触れ合うだけのキス。私にとって初めてのキス。

 胸が一杯になるですよ。
 
 私はうっとりとしたまま、彼に微笑むのです。

 幸せだと、嬉しいのだと、貴方が大好きなのだと。
 彼はキスの余韻に浸り切ってる私の顔に、雨の様にキスをしていく。
 頬に、瞼に、広いおでこに、そしてもう一度唇に。


「ふぁ……」


 くすぐったくて、でも、とても嬉しくて。
 唇を合わせながら、彼の舌先がツンツンと私の唇の間をノックするのです。
 私は軽く唇を開いて、彼を迎え入れました。


「んくっ……ちゅっ……んふっ……」


 なんか、脳味噌がとろけてくるです。
 身体から力が抜け、ガクンと膝から崩れ落ちる。
 そんな私を腰から抱きとめると、彼は更に口中を舌で弄っていきます。


「んっんっ……くっ、ちゅくちゅっ……ふぅっ……」


 舌と舌が絡み合い、もうこれ以上何かを考えるのが億劫になっていく。


 気持ちいい……です……

 キスって、こんなに気持ちがいい物なんですね。


 気づけば彼の手が私のパンツの紐を解き、それをのどかが取り去ります。
 ぬちゃあっと粘りつく様な水音が、私の股間から聞こえてきました。


 恥かしぃ……

 いっそ、殺して下さい……


 涙目で恥かしがる私を、宥める様に舌の動きが激しくなる。
 口の中に唾液が溜まり、それを横島さんが飲み干して行く。

 
 じゅじゅ……ちゅるるる……


 胸の鼓動が激しくなる。
 感電でもしたみたいにビクビクと痙攣してしまうです。

 そんな私の唇を吸いながら、横島さんは私の身体を弄繰り回す。
 肌を彼の暖かく大きい手が這い回り、 私は昂りを増して息が荒くなる。  
 

 ああ、気持ち……いい、です……

 彼の優しい手が、私の平たい胸をそっと揉む。


「あん……横島……さん、ふわふわ……する、のですよ……もっと、して……ほしいです……」


 私の唇から離れた彼の唇を、残念そうに見つめながら、昂る欲情を彼に伝える。 
 すると彼は、私の股間の溝に指先を滑らせ擦りたてる。


「あ……そ、そこは……は、はぁ……んっ……」


 クチュ……チュク……、部屋中に響く私のいやらしい水音。
 恥かしくて、どうにかなってしまいそうですよ。
 そう思っている筈なのに、私の口はソレとは真逆の言葉が零れ出す。


「ひぅぅんっ! 横島さんっ、もっと……もっと貴方を感じさせて下さいですっ!!」


 何て破廉恥な……

 それでも、きっとその言葉は私の本心なのでしょうね。
 段々とエスカレートしていく彼の指や舌の動きに、私は悦びと快感を覚えているのですから。


 私は汗にまみれ、髪を振り乱し、荒い息を吐く。
 身体を弓なりに反らせながらも、無我夢中に彼の身体中に舌を這わせ、吸い付き、彼を感じる。

 
 欲しい、もっと欲しい。私は、彼が、欲しい……


 気づけば私の両手をのどかが握り締め、


「力を抜いて、ゆえ。じゃないと、入らないよ……」


 彼が私の花弁に自らの大きな杭を宛がっていました。
 両手で大きく私の両足を開くと、無意識で震える私のアソコへ侵入して来るのです。
 膣壁を割り、ギチギチと硬く軋む音を響かせ。


「ひぃうっ!? あ、ぐぅっ……い、いたい……です……っ」


 内臓を抉られる異様な感触に、私は目から涙が溢れ出すのを止められない。
 同年代の平均よりも遥かに小柄な私の身体は、大きく黒い彼自身に征服されていくのです。


「あああぁあっっ!! 横島さんっ! 痛いっ、痛いっ、痛いですっ!?」


 ギチチチチッ、横島さんの分身が、私の膣内にある膜にぶつかり押し止められます。

 私は痛みの余りに首を左右に激しく振りながら、泣き喚くのです。

 横島さんはそんな私を見て、もう止めようか? と優しく声をかけるですが、私が反応を返す前に、のどかが彼の唇を自分の唇で塞ぐのです。

 泣き喚く私の頭の上で繰り広げられる、のどかと横島さんの甘く激しいキス。
 私の膣内を蠢く侵入者の動きが止まる。
 変わってのどかと横島さんが睦み合い……


「嫌ですっ! 今は、私だけ見て下さいっ!」


 少し鼻声で叫ぶ。
 本当に何て破廉恥なのでしょうか、私は……
 のどかを邪魔に思ってしまうなんて。

 私をジィッと見つめるのどかに、違う、違うのですよ、のどかっ!? そう言いたいのに、上手く言葉を紡げない。

 のどかが私に呆れてしまうのでは……
 のどかが私を嫌いになってしまうのでは……


 それはとても恐ろしい未来。


「いやぁ……、いや…なのですよぉ……」


 これだけでは言葉が足りないと言うのに、それ以上の言葉が出ない。

 ヒィック、ヒィックと涙が零れ……

 そんな私をのどかは後ろから抱きしめ、涙を舌で掬っていく。


「ゆえ、甘えん坊さんなんだからー」

「え……?」


 のどかの体温を背中に感じながら、私は横島さんとのどかに挟まれる形で、ブツン、と乙女を貫かれた。


「ひぐうぅぅぅっっっ!!」


 アソコが限界まで拡げられ、初めての痛みに私の両足は激しく踊る。
 口から絶叫が迸り、身体を痛みと苦しみから痙攣させる。

 その身体を2人が挟み、逃げられない様に固定されながら、熱い彼の肉の棒を奥まで押し入れられる。

 苦しくて大きく開いた私の口が、のどかの唇で塞がれる。
 横島さんとは違い、優しく私を労わる様に口中を弄るのどか。
 舌先で私の舌をツンツンと叩き、そして絡めてくる。

 涙でぐちゃぐちゃになった私の頬を、横島さんが優しく拭い取る。
 2人の優しい心遣いが、私の痛みで強張った身体を解していく。

 最後にズグンッとお腹の奥で衝撃が走り、彼の侵略は終わりを見せる。

 子宮を押し上げる感触と言うのは、この事を言うのでしょうね。
 私の下腹は、彼の形に大きく膨らんで、彼がここに居るのだと実感させます。

 そして、私が彼のモノになったのだと。

 彼は私のお尻を両手で掴み揉み上げながら、私の膣内を熱く熱をもった剛棒で掻き回す。


「ひぅぅ……ぅぅ……い、痛い……です……」


 粘膜は乾ききり、痛みから身体が震え、口からは呻き声しか出せません。
 ですが胸の中は暖かく、征服し、支配され、痛みしか感じない身体とは真逆に、心は悦びで打ち震えるです。

 そして感じるのです。
 私の魔力が横島さんに流れ込み始めているのを。

 これが、聖魔術……

 想像していたソレとは違い、淫靡で艶かしく。


「夕映ちゃん、君は、もう、オレんだっ!!」


 優しい円の動きから一転、荒々しい上下運動に変わる。


「ぎううっ!!」


 喉奥から悲鳴が出る。
 私の胎内に入りきらない、彼の大きな肉棒の根元に処女の証の血が流れ伝う。

 その血を啜り舐めるのどか。
 舌先で結合部を舐め、花芯を突き、彼女の唾液のヌメリで動きやすくなる。
 ギチギチとした痛みが減り、少しづつですが気持ち良くなって来るのです。


「いい感じになって来たぞっ!」


 眉を顰めながらの彼の言葉。
 一瞬、意識が飛んでしまう程の悦び。
 私の貧相な肢体で、彼を悦ばせて上げれたのだと。


「ど、どうぞ、好きにして下さい……う……う……うぁっ……アナタの、好きにぃっ!!」


 私の言葉に彼は笑みを浮かべると、深々と剛棒を激しく何度も突き入れる。
 涙が頬を伝うですが、もう痛みからではなく、心の底からの悦びの涙。

 突き入れ、抜き出され、また突き入れられる。
 その度に背中を反らせ、痛みと快感で身体を何度も痙攣させる。

 のどかは私の痛みを少しでも消そうと、花芯を舐め、腹、乳首、最後に私の唇に戻る。
 横島さんに犯されながら、のどかと睦み合う。


 不思議です。
 ホンのちょっと前までは考えられないです。
 男性に抱かれ、のどかとキスをするなんて。

 だからなのでしょうか?
 理性が完全に溶け崩れ、私の中の雌が蠢きだしたのです。


「ああっ!! き、きもち、いいですっ!! はぁんっ、2人とも、もっとぉっ、して欲しいのです、よっ!!」


 痛みすら快楽で、私は泣きながら2人を求めて溺れて行く。
 グチュングチュンと濡れた音が彼の腰の動きと共に響き、私は横島さんを求めて腰を揺らめかせる。


 壊れる、壊れていく、私が、私を構成していた何かが、壊れて……


 咽から声が溢れ出す。

 アナタが好きだと、愛しているのだと、もっと欲しい、アナタが欲しい……


 脳が茹だり、熱く発情しきった私の身体が弾け、そして、全てが白く染まった。


「ひぃあああああああぁぁあぁぁぁぁあっっ!!」


 部屋中に、いいえ、家中に響く程の絶叫。
 ビュクビュクと絶え間なく子宮に浴びせられる精液。
 身体中から吸い取られていく魔力。
 そして、戻ってくる研磨された私の魔力。


 ああ、これが互いに高め合うと言う事なのですか……


 視界が白く染まったまま、私は意識を閉じた。

 彼を感じ、のどかを感じ、快楽に酔いしれながら。


「おなか、いっぱいです……あたたかい……」


 幸せに包まれながら。

















 しばらくして目が覚めると既に夕暮れ時で。
 ハルナが寮で一人待つ私とのどかは、夕食の誘いを断り家路につきます。
 部屋に戻り、ゆっくりとしていると何度も反芻してしまうのです。


 横島さんとの聖魔術を。


 のどかは何事も無かった様に振舞っていますが、私はソレが出来そうもなく、挙動不審でワタワタと。


「ゆえ、大丈夫?」


 ハルナの言葉にもうわの空。

 チラリと見える、ハルナが書いている男同士で絡み合う同人誌の資料。
 それを見てはっきりと思い知りました。


 横島さんのソレは、人では無い、と。
 私が思っている事がのどかに伝わったのでしょう。
 彼女も苦笑い。


 本当に大きさが違いすぎる。

 アンナモノが私の中に……

 そう思いながら下腹を撫でさする。


「本当に大丈夫、ゆえ? 具合が悪いなら医務室行かないと」

「大丈夫です、ハルナ。ちょっと色々と考える事があるだけですよ」


 本当に、人とは違うモノです。
 流石は神格者ですね。


 私はそう結論付けると、聖魔術により上がった魔力を確かめるべく、のどかと魔法の練習をするのでした。


 プラクテ・ビギ・ナル……と詠唱の言葉を発して。























「そう言えばのどか。私が気絶した後、なにしてたですか?」

「んぐっ!?」

「2回戦ですか、そうですか……」

「ち、ちがうよぉ、ゆえー!?」










































「ぐぅっ、負けんっ! 俺は負けんでっ!!」


 少年は激しく身体を揺さぶると、強い意思を込めた瞳で相手を睨みつける。
 少年の水々しい筋肉が踊り、汗がほとばしり、

「んがぁぁああああっ! も、もう、ダメやぁっ!?」


 限界を悟り、体が倒れ込む。
 それを大きな双丘の谷間で優しく受け止め、少年の精を胎内に放出させた。
 ビュッビュッ、と子宮で少年の精を浴びながら、

「ふふふ、まだまだやな、小太郎はん」


 笑みを浮かべて狂気を隠し、艶と色気と愛情を全身から醸し出す。
 少年の背中を優しく撫で、人とは違う耳に甘くカプリと噛み付き、彼の体から流れ出す精気を吸収していく。



「んっ……ふぁぁ……」


 彼の耳に直接聞こえる様に喘ぎ声を出す。
 その声に、もう一度ビクンと腰を震わせる少年。
 ビュビュビュビュ……と再び精を噴出させ、グッタリと無念そうな表情を浮かべた。

 女は少年自身を自分の胎内から抜き出すと、シュンと落ち込む彼を優しく包み込むように抱きしめた。


「すぐに、すぐに千草姉ちゃんを悦ばせれる男になるから」

「焦らんでええ、焦らんで。それより、どれくらい強うなった?」


 女、天ヶ崎千草は麻帆良襲撃以来、様々な男から精を集め力を蓄えてきた。

 そんな時、彼女が雇った一人の少年、犬上小太郎。
 力を得る前には気づかなかったであろう、彼の潜在能力に気づき、狂喜した。

 このガキがいれば、あの男を殺す一助になると。

 このガキを磨き、磨き、磨き、そして……












 何処へ行くんやろう……ウチは……



 一瞬だけ狂気から覚め、自らが巻き込み、歪ませつつある少年を想う。


「大丈夫や、小太郎はんはウチの一番や。だから、な?」

「そんなん気にしとらんわっ! 俺は、千草姉ちゃんを信じとる」

「そやな。小太郎はんがもっともっと強うなったら、約束通り他の男とはせえへんよ。せやけどな、今は……」

「わかっとる。俺の精気だけじゃ足りんって事ぐらいっ! だけどすぐやっ! 俺は誰よりも強く! 強く! 強くっ!!」



 だから、横島を殺し、全てが終わったその時は……


 自分の力の全てと、この神剣を少年に譲り、それから死ねばいい。



「そやな。誰よりも、誰よりも、強うなれ。小太郎はん……」


 千草はもう一度、唇を合わせて再び身体を重ねあう。

 先程とは違い、力を得る為ではなく、情を重ねる為に。




 憎しみと神剣の力で人の殻を捨てた女、天ヶ崎千草。
 終わりない怨嗟に身を沈めるも、一途な想いを受け戸惑い迷う。

 愛情を知らず、強さだけが全てだった狗族の少年、犬上小太郎。
 情愛を覚え、愛情を知り、女を知った少年は強さ以上に大切な何かを求める。



 2人が睦みあう傍らで、神剣スティルヴァーレが妖しくキーン、キーンと音を奏でる。

 誰かを、ナニかを待ちわびて……
 
 人とは違うナニかを。
































 おまけ

 ヨコアスR強者番付けネギま編(原作開始時)


 ラプシィア・ルン(最終形態)>ラカン≧ラプシィア・ルン>横島(文珠無し)=クウネル>千草(スティルヴァーレ装備)≧タカミチ>蟷螂>>アスナ>小太郎>……

 ……>ネギ(原作開始時)>>>あやか>アキラ>>夏美>夕映≧美空>のどか

 正面から正々堂々と戦った場合です。


 おまけのついで

 たつみー≧アスナ≧刹那=忍者>>>くーふぇい

 が、作者のイメージです。





 後書き

 何度も言うけど、『神剣スティルヴァーレ』についての彼是は、ヨコアスR独自の設定です。

 あしからずご了承下さい。

 
 ヨコアスRはコタ千草ですw
 もしくは千草コタww

 他には無さそうなカップリングにしてみた。

 精通? コタは狗族だからはえーんだよっw




[11660] まほらのほほん記 第19巻   エロ有り(シスター、千鶴)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:32
 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。


 気づけば今年も残りは後僅か。
 街を歩けばジングルベルが聞こえる。

 横島邸に通う少女達は、クリスマスを目前に何処かソワソワドキドキ。
 チラリチラリと彼の様子を伺い見やる。

 それはそれとして、12月は師走。とても忙しい時期である。
 少女達もクリスマスとは別にとても忙しい毎日を送っていた。

 期末テスト。

 テストの点数や通知表の成績如何では、横島からのご褒美が有ったり無かったり。

 そんな訳で、恋に勉強、料理、お掃除、お洗濯。
 ついでに学園長の依頼で退魔のお仕事。

 アスナも木乃香もあやかも夏美も千鶴ものどかも夕映もアキラも、おまけでハルナも、みんな、みーんな忙しい。

 そんな中、ぼへーっと過ごす男が一人。

 彼の名は横島忠夫。

 麻帆良学園都市が誇る、スーパーニート。


 この物語は、スーパーエロニーター横島忠夫の、愛と青春の物語……だね。






















  まほらのほほん記  第19巻  真・日々彼是 その4





























  ☆月☆日

 木乃香ちゃんと寸止めエッチ、あーんど、夕映ちゃんとレッツ! 性魔術。

 俺、何てリア充?
 最近、女の子にモテまくりなんだが?
 近い内に痛い目見るんやないだろうか?

 それは兎も角、夕映ちゃんとのどかちゃん。
 2人共に魔力が充実してきた。
 そろそろ俺が教えるのは限界だな。

 学園長に良い魔法先生を紹介して貰わんと。
 あのジジイには貸しだらけだしな。

 あやか達の初仕事のこと、俺は忘れんぞ、クソジジイッ!!






















  ●月×日

 この間の侘びにと、美人のねーちゃんの居る店で接待を受ける。

 うん、最高だったぜ!

 ただな、酔った勢いでマタ木乃香ちゃんとヤッちまう寸前だったぜ。

 気をつけねば。
 何かキス位は普通になってきたから、本当にマズイ。
 夕映ちゃんじゃねーけど、猛省せねば。




















  □月▽日

 ジジイから夕映ちゃんとのどかちゃんの為の魔法先生を紹介して貰った。
 この間の褐色の肌の美人シスター。
 
 分かってんじゃねーか、あの野郎!
 実に良い仕事しやがった。
 素晴らしい、ハラショー!!

 明日が楽しみ過ぎて今日は寝れそうにないぜっ!!





















  △月★日

 シスターに夕映ちゃんとのどかちゃんを任せる事が決定。
 麻帆良学園ではそこそこの強さ。
 もっとも、俺達基準では雑魚に毛が生えた程度なんだが。
 別に最強に育て上げたい訳でもなし。
 教えるのも上手そうだし、他に教えてる2人の子の内の一人が彼女達のクラスメイトってのも大きいしな。

 決して、あの2人のシスタールックが見たかった訳じゃない。

 決して!!

 それはともかく、シスターに魔力の効率的な上げ方を聞かれる。
 彼女の目の前で、煩悩全開のバージョンダウン版、煩悩集中をして見せた事が効いたようだ。

 これはアレだよな?

 俺の力は煩悩。その俺に上げ方を聞くって事は……

 この状況下ではセクハラは合法。
 教師として、シスターとして、理解を示して色々やらせてくれるに違いない。
 マズはアレだな。性魔術だよな?
 しっぽり2人濡れて魔力の底上げをしてくれるわ!
 イッくでーっ!!



















  ×月○日

 何か、いつぞやの美人の姉ちゃんに絡まれた。
 一体全体何なんだろうか?
 知らん内にセクハラ行為でもしちまったんだろうか?
 まあ、この手の貶され方は慣れてるから屁でも無いが。

 それよりもだ、あの娘、佐倉愛衣ちゃんは可愛すぎる。
 生まれて初めて出来た俺のファン。
 大事にしなければ。

 その愛衣ちゃんのお姉さまなんだから、もしかすると可愛い妹が俺に取られて嫉妬してるのか? 

 グフフフフ。
 いずれお姉さまの方もワイの魅力で落としてやるわっ!




















  ▲月▼日

 健全なニーターとして、今日はアスナ達の代わりにお買い物。
 途中、茶々丸ちゃんに会うも、あの娘、駄目だ。
 反応がオモロない!

 こりゃ、鍛えあげなきゃならんだろう。

 関西人の血が騒ぐ。

 取り敢えずは、お尻を触られた時の反応から始めて行こう。
 千里の道も一歩から。
 猫ばっかにかまっとらんで、ワイもかまえ。






















  ○月◎日

 何となくアスナ達の学校生活を覗いてみた。
 途中でエヴァンジェリンに気づかれたからトンズラこいたが、アスナ達にはバレてねーよな?
 ったく、俺の覗きスキルも地に落ちたモンだな。
 これは修行のやり直しをせねばならんレベルだ。
 千里の道も一歩から。
 少しづつ昔の感覚を取り戻す事にしようか。

























  12月23日

 明日はイブ。
 皆に配るプレゼントを、シャークティさんに選んで貰った。

 これが世に言うイブイブデートってヤツさ。
 彼女、シスターだけあって明日から忙しいみたいだしな。
 好感度も鰻上りだし、今年一年はいい年だった。

 明日もハーレマーな一日が待っていると思うと、ワクテカが止まらん。



























  12月25日

 昨日の記憶が無い。
 体のアチコチが打撲しているんだが?

 この痛みは、美神除霊事務所に居た頃の痛みと同じ気がする。

 シャークティさんにコナかけてたのがバレでもしたか?
 そんで俺、袋叩きにでもあったんだろうか。

 駄目だ、思い出そうとすると頭が痛む。
 思い出すな、って事なんだろう。

 それはともかく、朝一でウチのカワイコちゃん達からプレゼントのお礼。

 今度からは御自分で選んで下さい。
 って言われたが、まあ喜んでくれたみたいで一安心だ。
 来年もシャークティさんに頼むとしようか。
























 □月○日

 クリスマスプレゼントの件のお礼に、異世界の話をシャークティさんにしてあげた。
 異世界の神の話と性魔術に興味津々。
 本当に魔力の底上げが出来るのか聞いてきたから、シャークティさんとキス。
 ディープなキスで性魔術をして上げた。
 本当に魔力が上がったとビックリする彼女。
 今度はもっと凄い事をしてあげよう。
































 修道服のスカートを、シスター自身の手でまくり上げさせると、下着を脱がせ、直接彼女の秘裂に指先を宛がった。


「んっ……んんっ……んぅ……ぁぁぁ……」

「ダメっすよ、シスター。快感を受け入れなきゃ効率が悪くなるだけっす。もっと声を出して」

「ひぃあっ……くぅっ、よ、よこしまさん、ですが、はぁっ……、んんっ、は、はずかしくて……ああ、あん……」


 歯を噛みしめて耐え忍ぼうとするシスター。
 スカートを握りしめる手がプルプルと震え、恥かしそうに顔を赤らめるその姿に、俺のリビドーが燃え上がる。

 俺は彼女の剥き出しになっている股間に顔を突っ込むと、茂みの奥にある彼女自身に舌を這わせ始めた。
 彼女の秘裂から溢れかえる蜜が、クチュクチュと厳かな聖堂内に木霊する。


「あっ……あんっ……お、音を、立てないで……」


 恥かしそうに訴えるシスターを無視して、俺は彼女のアソコを指で広げて見る。


 やっぱりだ……、そうじゃないかと思っていたが、期待通りだった。

 彼女は、経験が、無い!

 性魔術を受けてみようなんて思う位だから、普通に男性経験があるもんだと思ってたんだが。
 だけどよ、この間キスした時の反応が初々しくて、もしかしたらって。

 
 コレはキタァーーーーーーーッ!!


 正確な年齢は分からんが、この年まで守りきった乙女の証。

 これは正に美処女。
 その事実に萌え上がる俺の小宇宙(霊力)。


 俺は興奮する下半身を脅威の自制心で抑えつけると、花芯を唇で器用に剥くと舌先で嬲る様に突っつく。


「んはぁぁぁっ」


 大きな吐息を吐くと、きゅっと腰を引いて逃げる。


「あっ……まって、ください……ソコはっ……んぅぅっ……」

「だからダメですって。キチンとあるがままに感じてくれないと」

「はぁっ……もうしわけ……ありません……ですが、ああっ……ダメっ……おかしく、なりそうでっ……」


 スカートを押さえていた手を頬に当てると、首を左右に激しく振る。
 俺の上半身がスカートの中に埋没し、視界が暗くなった。
 とは言っても、彼女のソコは自分の鼻先にあるし、今も尚、舌先でクリトリスを嬲ったままだが。
 罰としてクリトリスをチュルルルと吸い、彼女の性感を更に高めてやる事に。

「ひぃいいいいいいいいいいいいっ!?」

 すると文字通り踊るように腰を跳ねさせ嬌声を上げ、聖堂内で反響する。
 顔中に彼女の愛の飛沫が降りかかった。
 涙声で俺にもう止めてと訴えるシスター。

 彼女はそろそろ限界だな。
 感度的な意味ではなく、精神的な意味で。

 敬謙なクリスチャンっぽい彼女の事だ。
 性行為自体が本当は禁忌のはず。

 でも立派な魔法使いを育てる教師として、魔力の底上げに興味が有り、それを実践しているのだ。

 それは相手が信用と信頼の横島忠夫が相手だから出来ること。

 魔法世界全体では評判が悪くとも、ここ麻帆良に限って言えば評価が逆転する。
 ラプシィア・ルンの討伐と、その後の通り魔の撃退。そしてこの間の魔族殲滅。
 それらのお陰で信用度が高い高い。

 特にシスターとは魔族殲滅の際に好感度をガンガン上げたし。
 だが、ここで無理をすればあっという間にその評価も地に落ちるだろう。

 それはイカン! マジでイカン!!
 ここは無理せず行こう。
 少しづつ、少しづつ、彼女の全てを奪うのだ。


「仕方ないっすね。今日はもう終わらせて上げます。感じて下さいね、魔力の流れを」


 俺は舌先を彼女の膣内に沈めて行くと、指で淫核を擦り上げる。
 シスターはビクビクと身体を大きく跳ね上げ、

「んはぁぁぁああああぁぁぁっ!!」


 背を反らせて恍惚の声を上げた。
 彼女の絶頂と共に、魔力が俺に流れ込む。
 膝からガクッと力が抜け、俺の頭を抱きしめながら崩れ落ちる。

 俺は股間に顔を埋めたまま彼女を抱きとめ、恥かしがる彼女にもごもごと、

「誰でもこうなりますって」


 と言って慰めの言葉を掛けた。

 スカートの中から這い出ると、彼女の腰に手をやり長椅子の所まで誘導する。
 そこに彼女を座らせ自分も隣に座ると、今だ絶頂の衝撃から抜け出せないでいる彼女の片乳を揉みながら唇を奪った。
 一瞬、ビクッと抵抗しようとするも、結局俺を成すがままに受け入れ、舌を絡め唾液を交換し合う。

 目の端に涙を溢れさせながら、もう一度背を反らせ高みに昇る。
 と同時に、彼女の中に研磨し高めた魔力を流し込んだ。
 全身に流れ込む魔力を感じて、身体の震えが止まらなくなったシスター。

 更なる高みに上げようと、俺は左手で片乳を揉んだままスカートの中に右手を突っ込み、太腿を撫で擦る。
 膝の辺りから股間の付け根まで、ゆっくりと何度も往復させ、彼女の絶頂の感覚を止めず長引かせた。
 何度も何度も身体をビクつかせ、太腿を撫でる手に彼女の潮がプシャァーっと噴きかかったのを最後に、彼女の唇から離れた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


 息を荒げながら、ぐったりと俺の胸にもたれ掛かるシスター。
 彼女の背中を優しく、ポンポンと叩く。


「あり、がとう……ございました……」


 息も絶え絶えにお礼を言いながら、俺の膨れ上がった股間に目をやる。
 顔を赤らめるシスター。
 どうすれば良いのか知識はあるのだろう。
 でも踏ん切りがつかない、そんな顔。


「いいんすよ、気にせんでも。俺の欲望を晴らす為にしてたんじゃなく、アナタの為の性魔術なんすから」


 俺が格好つけてそう言うと、本当にすまなそうに顔を俯かせる。

 悪戯っ子の表情になって、チュッと彼女の頬にキス。

 すると彼女はちょっと嬉しそうに目を細めるも、すぐに「んっ!」と軽く咳払いをして顔を顰める。


「もうすぐ生徒達が来ます」


 そして素早く身なりを整えると、俺から距離をとった。

 結局、のどか達が来るまでこのままで。

 
 新鮮な感じがするのどか達のシスター姿に目を細めながら、俺は思う。

 次、いや次の次でイケル! 
 ほくそ笑む俺は、呆れた目で見る夕映とのどかに気づかない。






「ミソラ、やっぱりシスターのマリョクあがってル」

「うーん、何やったんすかねぇ? ちょっと調べてみよっか、ココネ。もしかしたら、ガンガン魔力あげれっかも!」



 当然こんな会話にも気づかずに。






















  12月30日

 明日は大晦日。
 既にあやか達は帰省してしまい、残ったのは俺とアスナと千鶴ちゃん。
 千鶴ちゃんが居るのは、今しか一緒に居られないからだと。
 まだまだ先の話だって言うのにな、元の世界に帰るのは。
 そんな可愛い事を言う娘はお仕置きとして、明日の朝までトライアルだっ!!


























  12月31日

 3人でまったりとすごしていたら、木乃香ちゃんが学園長とタカミチを連れてやって来た。
 木乃香ちゃんは学園都市内に居たんだっけ。
 ジジイと2人っ切りってのは、やっぱキツイか(笑)
 そういや護衛の子はどうすんだろうな?
 流石に寒そうなんで家に入るように言ったんだが、何でか逃げられた。
 タカミチが、彼女にはマダ覚悟が無いから無理って言ってたが、意味不明。
 ウチの中に入るのに覚悟って……
 もしや、俺が女の子に手を出しまくっているのを知って、近づけばヤラレルもんだと思ってたりして。
 洒落にならんな……

 まあ、それはともかく、これから6人で初詣に行ってくるぜ。
























  1月1日

 新年突入。
 今年もいい年でありますように。
 ジジイとタカミチは木乃香ちゃんを置いて帰った。
 その木乃香ちゃんは、昨日からの疲れかアスナと団子になって眠っちまった。
 2人とも、まだ8時前だって言うのに。

 ふっ、今年の姫初めは千鶴ちゃんか。





















「ウフフフフ、それは光栄ね」


 凄まじいまでの色気を湛えながら、彼女はニッコリと微笑み横島の腕に絡みつく。

 いつの間にこんな色気を、と横島は思う。

 何せ、タマモに匹敵する程の色気。
 背筋がゾクリとする。

 なんかヤバイ物に目覚めたのか、牝の匂いを漂わせグイグイとその素晴らしく育っている胸を押し付ける。
 横島はもう辛抱タマランと、彼女を押し倒しパンツを半ばまで脱ぎ下ろすと、けしからんオッパイを手で押し潰す。
 その素晴らしいマシュマロ的な感触に恍惚としながら、彼女を全裸にしていく。
 千鶴は横島が服を脱がせ易い様にしながら、瞳を潤ませ視線を向ける。


 マズイ、この眼は、マズイ……
 垂れ気味の目に泣き黒子。
 
 意識が吹き飛び、横島はろくに前技もしないで肉棒を千鶴の淫裂へ突き入れた。

 
「あがっ、はぁああああああっ!!」


 濡れていない肉壁を押し開き、肉棒をギチギチと奥へ侵入させていく。

 快感など殆ど無い。
 それでも千鶴は足を絡め、横島の動きに合わせて身体を激しく揺らす。
 膣壁から粘液があっという間に滲み出すと、肉壁を蠢かせて膨れる肉棒を擦り上げてくる。
 彼のツボを知っている動き。


「んはぁ……くぅ……横島さん、気持ち良いかしら? んぁっ……」

「気持ち良いに決まっとるわっ!? まったく、いつの間にっ!」


 腰を激しくピストンさせながら、千鶴の見事に育った乳房を鷲掴む。
 汗ばんだ乳房が指でグニグニと揉まれ、心地好い感触を手に残しながら次々と形を変える。
 乳首を隆起させ、手の平でコリコリと嬲る。


「はあぁっ! んううっ! ふあぁぁんっ! よこしまさんっ! よこしまさんっ!」
 

 千鶴の艶の帯びた喘ぎが、アスナ達を起してしまうんじゃないかと思う位に大きく響く。


 起きたら起きたで、まあ良いか。


 横島はそう思いながら、ピストン運動に捻りを加え、グチュグチュになった膣内を掻き回す。
 千鶴の嬌声が一段と大きくなり、しきりに彼を求め身体を震わせる。


「あぁぁぁっ!! もっと、もっと、私をめちゃくちゃにしてぇっ!!」


 更に腰の動きを早くさせ、幾度となく千鶴の子宮を突き上げる。
 牝となった千鶴を、牡である横島が原初の本能に従いひたすら突き上げる。
 千鶴の吐息が荒くなり、横島は最後に向けて両足を抱えると、狭い肉道を一層激しく犯し抜く。

 
「わ、わたし、もうっ……イク……イッちゃうっっ!!」


 肉棒が脈動し、衝動に流されるままに千鶴の子宮に欲望を弾けさせた。


「んぅううっ! あああっ! あなたの精子が……、いっぱい……」


 横島は全身を激しく痙攣させる千鶴の胸を手の平一杯に感じながら、ビュビュビュビュッと精液を子宮へ浴びせ続けた。
 しばらくそのまま千鶴の震える様を眺め、最後に大きくブルッと震えグッタリとする彼女を抱きしめる。
 千鶴は視点が定まらない目で、彼を通り越して天井を眺める。

 そんな彼女の様子を見た横島は、マダマダいけそうだなと確信する。
 そして胎内に入ったままの、今だ衰えぬ剛棒を動かし始めた。

 今度はゆっくりと、優しく、労わるように。


「んぅ……はぁ……」


 横島を見つめ直し、熱い溜息を吐き出す彼女。
 潤んだ瞳が近づいてくる。
 形の良いバストを押し付け、足だけでなく両手までも背中に回す。
 自分に引き寄せ、そしてただ押し付けて来るだけの熱いキス。
 いつまで待っても口中に侵入して来ないのに焦れたのか、おずおずと舌をくねり込ませ唾液を啜り始める。


「んふぅっ……んっ……くちゅ、くちゃ、ちゅく……んふ……チュッ……んんあっ……」


 深いキスと共に、ゆっくりとした腰使いにも納得しないのか、千鶴は腰の揺らめきを大きくする。

 だがそれを許さず、肉棒を深々と突き刺し串刺しにすると、体重をかけ身動きを取らせない。

 そこからまたゆっくりと彼女の子宮をゴリ、ゴリ、と小突く。

 すると千鶴は唾液を啜るのを止め、その色気満載の瞳を涙で潤ませて訴える。


「んああ……激しく……して、ください。めちゃめちゃに、何も考えられなくなるくらい……ひぅっ……」


 必死に身体を揺らそうとする彼女の両手、両足を解き、そのまま彼女の手を握り締める。

 うなじに顔を埋め、小さな声で愛を囁いた。


「好きだぞ、千鶴。千鶴の目も、耳も、口も、首筋も、うなじも、乳も、尻も、そしてココも……」


 言いながら彼女の中を、肉棒でグチュグチュ掻き混ぜる。
 指を絡め、うなじに舌を這わせ、ゆっくりと穏やかに彼女を天に昇らせる。


「だからな、お前は安心して俺の傍に居ればいい。ずっと、ずっとだ。
 おばさんになって、ばばあになっても、俺はこうしてお前を抱き続ける。お前は、千鶴は俺の女なんだから」

「ああ……ああぁぁっ……あああああっ……」


 千鶴は目を大きく見開いて横島を見つめると、一瞬の間を置いて、大きく高みに駆け上る。



 嬉しかった。ただただ嬉しかったのだ、千鶴は。

 心の奥で持っていた罪悪感が吹き飛び、意味を成さなくなる位に。
 どうでも良くなった。もういいわよね? そう思ってしまった。
 実際、初めから彼女を責めている者など誰も居なく、千鶴の鬱屈した想いに気づいていたのは横島とあやかだけ。

 千鶴の思い描く未来図は、この世界に残って彼を想い続けるだけの灰色の未来予想図。
 場合によっては、この世界に残されるあやかの両親の面倒を見る事まで考えていた。
 あやかが使徒になったのは、自分の所為なのだからと。

 まあ、金持ちであるあやかの両親に、そんなモノは必要なかったであろうが。


 千鶴はイッてしまったばかりの気だるい身体を持ち上げ、彼に精一杯の笑顔を取り繕う。
 ぽろぽろ涙が零れ落ちるのをそのままに。


「しわしわのおばあちゃんになっても、本当にこうして愛してくれるのかしら」

「千鶴ちゃんが良いんならな! んな事よりもさ、俺まだなんだけど。続きええやろ、なっ、なっ!」


 鼻息をフンフン激しく出しながら、思春期の欲望全開な少年の様相で千鶴に迫る横島。

 千鶴は目をゴシゴシ擦ると、クルンと体勢を入れ替え自分が上になり、激しく腰を上下にピストンさせる。


「アッ、アッ、アッ、アッ、わ、私ぃっ、アナタの、子供を、産みたいっ、わっ、アン……」
 

 上下左右に踊り狂う胸を、横島は下から支えるように両手で揉みしだく。


「いや、まだっ、はぇーだろ?」


 腰を動かす幅を一気に広げ、肉棒を膣内に許す限り引き入れヒダで擦る。
 子宮で何度も横島自身の先端を叩き、快感という刺激を繰り返す。


「あんッ、あんッあんッあんッ……そ、そして、子供の、成長を、ひぃあっ……、成長を、アナタの傍で、ずっと……」

「いや、だから、マダはえーって!」

「いっ、アッ、アッ、イイッ、アナタの、傍でっ!!」


 横島はココに来てようやく気づく。千鶴の言いたい事に。


「無理しないでいいんだぞ? 少なくともよ、あやかの両親が生きている内は、俺の生きる世界とこの世界を行き来するって決めてんだから」


 前に言っただろ、千鶴? そう話を続けるも、彼女は横島の言葉に答えを返す気が無く。
 千鶴は肉棒を飲み込めるだけ飲み込むと、膣壁を前後から波立たせて締め付けと解放を繰り広げる。


「んっ、んっ、んあっ……愛してます。だから、アナタの、近くで……」


 激しい腰の動きが更に速くなり、今までに感じた事のない程の高み、声無き絶頂の声を上げた。


「────ッ!────────ッッ!?」


 肉棒の先端に、シャワーの様な愛液の噴射を感じる。
 心地良い一時。
 性器の接合部からは千鶴の愛液が止め処なく溢れ出し、ベットのシーツを汚していった。
 ぐったりと横島の上に倒れ込み「ずっと、傍で……」と呟きながら意識を閉じた。

 横島は千鶴の頬をペシペシと軽く叩き、覚醒させ様とするもまったく反応が無く。

「いや、だからさ、俺マダなんだけど……」

 とやや呆然としながら、自分の上で安らかな寝息を立て始めた千鶴の頭を優しく撫でた。





















 1年の計は元旦に有り。

 こんな元旦だった俺の今年1年は、最悪なまでにハプニングでエロスなんだろうな。

 夢の中で若い美神さんとおキヌちゃんにボコられながらそう思った。







[11660] まほらのほほん記 第20巻   エロ有り(アスナ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:33
 年が明け、新しい1年の始まり。

 疲れからさっさと眠ってしまった元旦。

 1月2日の朝、一番に目に付くのは憑物が落ちた様に晴れやかな表情を浮かべる千鶴さん。

 周囲にハートを飛ばして、とてもとても幸せそう忠夫にべったり。

 いちゃいちゃと周囲の温度が2~3度は上がっちゃう位にアツアツ。

 何て言うか、何処のバカップル? みたいな……

 羨ましくなんてないわよ!

 私、嫉妬なんてしてないもん。本当なんだから!

 ちょっと胸がムカムカして、意味無く忠夫をぶん殴りたくなる程度よ。



 そんなこんなで色々あって、そして冬休みが終わり新学期が始まる。

 長い、長い、この世界での本当の始まりの始まりが。

 捨ててしまった過去と向き合わなきゃいけないその時が。


 























  まほらのほほん記  第20巻  あすなん日記


























 横島忠夫は朝から立派にエロだ。
 目を覚ますと同時に、昨晩一緒に寝たアスナの肌の感触を存分に味わう。

 木乃香が既に棒姉妹(笑)と勘違いしてるアスナ。
 今ではわりと堂々と横島と寝てたりする。

 そんなアスナに、横島は朝っぱらから指導の念が絶えない。

 3分立ちならお口で。5分立ちなら胸で。7分立ち以上なら本番GO!
 
 
 今日は5分立ちだから、胸での行為における指導をする。


 横島の色んな意味で斜め上にそそり立つ肉棒を、アスナは自分の胸の谷間に沈めていく。
 唾液を垂らして滑りを良くすると、胸をグニグニと動かし始める。

「もっとキツく締めて、身体を大きく前後に揺らすんだ」


 アスナは横島に言われた通り、両手で胸を押さえる力を強めると、身体を揺らす幅を大きくする。
 滑らかな肌で肉棒を擦りあげ、横島の快感を上げていく。

「んっ……んっ……んっ……んぁっ……」


 亀頭から溢れ出した先走りが、アスナの汗と唾液に混じり合い、ヌチュヌチュと淫音を立てる。
 アスナも興奮してきたのか、肉棒を扱きながら乳首を勃起させ、快感に浸り甘い声を上げた。

 その様子を目を細めて楽しく見守る横島。
 時折悪戯するように、アスナのうなじを撫でたり背筋に指を這わせたりして、互いの身体を盛り上げて行く。


「はぁ……んぅ……もう、イキそう?」

「そうだな、そろそろ出すか」


 アスナの背筋がゾクリとする。
 笑みを浮かべると、胸の揺れを小刻みに速くし、激しく肉棒をしごく。

「んんっ……私の、胸に、射精して……」

「くぅっ、アスナっ!!」


 横島はアスナの求めに応じて、彼女の顔から胸にかけて精液でべったりと汚す。
 大量の精液を浴びて嬉しそうに微笑むアスナ。
 横島に見せ付けるように、乳房全体に精液を塗り広げ、うっとりと艶のある溜息をついた。
 横島の元気だった肉棒から力が抜けていく。


「今日も一杯出したわね~」

「アスナがあんまり可愛いから、仕方ないんじゃーっ!」


 アスナの挑発的な言葉に、横島は彼女が喜びそうな言葉で返す。
 その言葉にパァ~と顔を綻ばせると、横島の頬に触れるだけのキス。


「おはよう、忠夫っ!」

「おはよう、アスナ」


 元気良く朝の挨拶。

 アスナは前もって置いてある濡れタオルで身体を拭うと、パジャマを着込んで部屋から出て行く。
 多分、シャワーでも浴びに行くのだろう。
 それをボ~と見送ると、しばらくして木乃香が部屋に入ってくる。


「おはよう、横島さん。そろそろ起きなあかんえ?」

「おはよっ!」


 挨拶しなが立ち上がる。

 当然全裸のままだ。間違いなくセクハラ行為なんだが……


「んもうっ! 横島さんたら、メッやでっ!!」


 頬をほんのり赤く染めてソッポ向く。
 それでもチラチラこっそり横島の股間を覗き見しながら。

 横島は笑いながら、前日の内にアスナが用意しておいた服に着替え始める。
 パンツを、シャツを、靴下を、そしてズボンを履いて、最後にワイシャツを羽織る。


「お待たせ、木乃香ちゃん。じゃ、行こっか」


 そう言って廊下に出る。
 が、木乃香が横島の背中から抱き付く様に手を回して、ワイシャツのボタンを一個一個丁寧に付けていく。
 横島の背中には、プニプニとした木乃香の胸の感触。
 最後に襟元のボタンを付けると、ギュっと抱きつきオデコをグリグリ。

「だめやで、身だしなみはキチンとせな」

「木乃香ちゃんにこうして貰わんと、一日が始まった気がせん」


 鼻の下を伸ばし、ストロベリッた会話をしながらリビングへと向う。
 背中には相変わらず木乃香がべったりとくっついたまんまで。




 リビングに着くと、既にアスナがいてご飯をペタペタと盛っている。

 制服の上にエプロンで。
 横島は、いつの日かこの格好で台所に居る所を襲ってやりたいと思っているのだが、中々機会に恵まれず残念無念である。


「いただきま~す」


 こうして何でも無い、いつもの一日が始まる。

 

 


























  xx月xx日

 新学期初日。
 いきなりくーちゃんに絡まれた。
 『我只要和強者闘』
 とりあえず、私は日本語しか分からないから。って言って逃げた。
 正直な話マジで勘弁して欲しい。
 霊力なしであの娘と闘り合うのはかなりキツイのだ。
 あっちは密度は高くないって言っても、気で強化してるんだよ?
 霊力で身体能力の上昇を行えば、勿論勝つ自信はある。
 でもさ、魔法は秘匿が基本だから。
 それに武術的な技術は向こうが上っぽい。
 体力と力は私の方が上で、他は同等ってトコかな。
 こんな相手とのバトルはお断り。
 でもなー、雪じいちゃんなら喜んで戦うんだろうなー。
 ギリギリの戦闘って修行には良いとは思うんだけど、学校ではこの手の事はしたくないのよ。
 でもね、勘九郎との事を考えたら、やっぱ少しでも戦闘経験を増やした方がいいのかしら? 
 






























  xx月xx日

 最近、どうも日本は関東を中心に酷く治安が悪化している。
 強盗や強姦、殺人と言った人が起す犯罪行為。
 そして魑魅魍魎と言った人在らざる者による事件。
 麻帆良は関東における魔法使い達の中心地だけあって犯罪行為等は殆ど見ないけど、魑魅魍魎による事件は多発している。
 そんな訳で、ニートだった忠夫も学園長の依頼で、関東一円の裏の治安維持のお助け人になる事に。
 どうしても手が足りない時とか、目標の力が余りにも大きい時以外は出ないみたいだけどね。
 やっぱニートは止めないつもりの様だ。
 あやか辺りは溜息吐いて少し呆れてるみたい。
 でもあやかも積極的に、働け! とかは言わないのよね。 






















  xx月xx日

 のどかとゆえちゃんのシスター姿を見に行った。
 いいなぁ。
 私も着たいなぁ。
 忠夫が喜びそうよね?
























  xx月xx日

 学園都市の裏山の辺りに、妖怪変化が現れたらしい。
 私とのどか、そして桜咲さんの3人で明日から山林の捜索に入る事に。
 すんごい面倒なんだけど。
 ってかさ、なんで桜咲さんも一緒?
 あの子さ、時々睨みつけてくるから苦手なのよね。
 あーあー、明日から嫌だな……




















  xx月xx日

 つーかーれーたー。
 今日は成果なし。

















  xx月xx日

 今日も成果なし。




















  xx月xx日

 成果なし。
 あやかといちゃついてる忠夫の顔面を抉るように拳を叩き込んだ。





















  xx月xx日

 今日はお休み。
 忠夫と一日いちゃつく事に。
 久しぶりに忠夫とエッチに過ごした。
 のどかも一緒だったけどね。




















  xx月xx日

 成果なし。
 本当にいるの?

 それは兎も角として、忠夫が出陣(笑
 何でも、この辺りに賞金首が複数現れたんだって。
 実力が上から下まで解っているだけで13人。
 忠夫ざまぁー。




















  xx月xx日

 ようやく見つけた。
 肉体的にも精神的にも疲労でクタクタ。
 でね、居たのはちっちゃい子狐さん。
 かわいーのよ?
 すっごく!
 でもね、こんな脅威なんて欠片も無いモノを、毎日毎日、放課後から夜中まで捜し回っていたのかと思うと……
 アッチの世界から見鬼くんを持ってくれば良かったよ。
 そうすれば一日二日で終わったのに。

 まあ、もういいわ、それは。
 学園長の所にその子を連れて帰還。
 報告後、危険性は無いと言う事で山に帰された。

 一杯懐いてくれたから、連れて帰りたかったんだけどね。
 桜咲さんが強固に反対してさ。

 まったく危険が無い訳ではないのですから。

 だって。つまんないの。
 あーあ、タマ姉さんに会いたくなっちゃった。

















  xx月xx日

 忠夫が帰って来ない。
 一番厄介な相手をシスターと2人っきりで追いかけているそうだ。
 シスターにちょっかいかけてないでしょうね?





















  xx月xx日

 麻帆良は今、いつもに比べると無防備に近い。
 忠夫やタカミチを始めとする強者は皆出払っている。
 学園長と神鳴流の女の先生だけね、残る人で強いのって。
 タチの悪い組織の頭の悪い下っ端は、関東の本拠地であるココを狙ってくるかもね。

 まったく面倒な。
 何か現れたら、私と桜咲さんに龍宮さんが出張る事になるそうな。
 高校生位の人でそこそこ出来る人が居たような気がするんだけど、その人はどうして出ないの?
 あと、流石にあやか達は除外されているみたい。
 ホッとするわね。
 人が相手なんだから、下手したら……ね。































 案の定、面倒臭い事になった。

 相手は結構上位の賞金首。
 子供の霊や力無い妖怪などを捕らえ、壷毒の呪で式神とし、呪殺の道具とする外法師。
 狙いは関東で最近続出している妖怪や悪霊と言った存在。
 そして、それ等を使っての要人暗殺が目的らしい。

 そんな訳で私と桜咲さん、龍宮さんの3人で賞金首の居る場所に向ったんだけど……

 やられた。それはもう見事な程にやられた。
 前もって召喚されていた東洋系の魔族達と相対している内に、霊力の使いすぎでヘバリ始め、気づけば賞金首を目の前に私一人だけ。

 まったく、2人とも何やってんだか。
 少し離れた所から、それはもう盛大な爆裂音が聞こえるから、まあ大丈夫だとは思うんだけど私が大丈夫じゃないわよ!

 それにしても思う。

 霊力は使い難い。
 魔に属する者達との戦闘は有利に進められるんだけど、こうして人間が相手となると今の私程度の実力じゃ咸卦法が恋しくなる。
 修行不足って言えばそれでお仕舞いなんだけど、この仕事が無事にすんだら、咸卦法をもう一度使えるようになるための修行を始めようかしらね?

 まあ、無事に済めば、だけど。
 霊力の残りは心許無く、一緒に居た連れとは上手く分断され、目の前の相手はなるほど確かに高額の賞金首だ。
 そして、その賞金首が特別に召喚しただろう大鬼が一体、凄まじい気迫を発している。

 ここは時間稼ぎに徹して、桜咲さん達が駆けつけて来るのを待つか、それとも……



 こうしていると、雪じいちゃんの言葉を思い出す。

 息が切れるのを堪え、目の前にいる『敵』をぶちのめす。

 その為に必要な事を。




「ねえ雪じいちゃん。最初の一撃がかわされたら、どうすればいいの?」

「んなもん、かわされなきゃ良いじゃねーか」

「だーかーらーっ! かわされたらっ!!」

「あーん? だったらスグに次の一撃を放てばいいだろうが」

「隙が出来るでしょ?」

「隙がでねえ様にぶん殴れ」






 だめね。

 私には……ううん、常人には不可能な発想ね。

 例えば、そう。ナギやラカンならウンウン頷いて肯定しそうな理論。

 きっと本当に強い人間は皆こんな感じなのかも。









 そんな事を脳裏に思い浮かべ軽く笑みを浮かべる。
 気が少し軽くなり、そして私はキッとした視線を目の前の相手に向けた。

 スカートをバサッとまくり上げると、太腿に隠し持っている銃を抜き取り右手に納める。
 一瞬覗く私の白い下着にスケベな視線を向け鼻の下を伸ばす賞金首。
 鳥肌が立つ様な気持ち悪さ。

 緊張で胸がドクドクと鼓動を速める。

 私が銃口を敵に向けようと腕に力を込めたその時、相手が札を私にむかって投げつける。
 東洋系魔法使いの陰陽術と思しき攻撃を、軽くサイドにステップしてかわし、更にヤツが召喚した大鬼の金棒の攻撃を腰を屈めてやり過ごす。
 頭上を通り過ぎた致死性の攻撃にヒヤリとしながらも、私は銃の引き金にかけた指に力を入れた。

 ダン! ダンダン!!

 引き金を引き、薬室に込められた6発の銃弾の内、3発の銀の銃弾が撃ち出される。
 最初の一発は賞金首に、最後の2発は大鬼に。

 カイン、と甲高い音を響かせ、魔法使いに向けて撃った銃弾が弾かれた。
 残りの2発。鬼に向けた銃弾は、狙い違わず右目に吸い込まれヒット。

「ガァァアアアアアアアッ!?」

 眼前で右目を押さえて咆哮を上げる鬼。

 私は素早く大鬼の懐に飛び込むと、顎を目掛けて霊力を込めた側蹴を放った。

 バシュッ!

 大鬼の顔が吹き飛び、首から上が無くなった身体が一瞬の間を置いてグラッと崩れ落ち、シュウーっと音を立てて消えて行く。

 この世界における存在理由と身体が消え失せて、元の異界に戻った。

 しかしマダ気は抜けない。

 この大鬼を召喚した術者が居るのだから。
 召喚者が召喚したモノより弱いとは限らない。
 何より、ヤツは私の撃った銀の銃弾をいとも簡単に弾いたんだから。

 事実、私が大鬼に蹴りを放っている間に、何らかの呪術を完成させつつある。

「アビラ ウン ケン ソワカ ウン!!」

 否、完成させた。
 私は素早く術の効果範囲から飛び退こうとするも、既にヤツの掌。

 呼吸が苦しくなり、視界が狭まる。
 身体がまるで鉛の様に。
 
 これは金縛りの術?

 ヤツが金縛りにあった私を見て、いやらしく笑い出す。

 傍に来ると気持ち悪い手で私の髪を撫で摩る。


 気色悪い。頭に血が昇る。目の前の存在を消し炭にしてやりたい。

 でも、まだだ。
 この目の前の男は確かに品性下劣だけど、術者としての技量は私よりも遥かに上。
 何より、潜った修羅場の数が違いすぎる。
 どれだけの無垢な妖怪を自らの術の為に命を奪い、それ等を使って人を殺めてきたのか。


 抑えろ、自分を抑えろ!
 私は何度も自分にそう言い聞かせる。
 歯を食い縛り、唇から血を滲ませる。


 そんな私を見て下卑た笑みを浮かべ、背中から私の胸元を弄り始める。

 ゲラゲラと笑いながら、私の大切なあの人以外が触ってはいけない禁断の領域に。

 背筋が怖気走る。それでもまだ、私は耐えなければならない。

 胸をぐにゅぐにゅと好き放題に揉み、形を変え、寄せ上げたり先端を摘まんだり。
 スカートの中に手を伸ばし、太腿を這いずり回す様に撫で、段々と股間の中心部へと指先が伸びて行く。
 下着の上から割れ目を一撫でなぞり、私の目の端から涙が零れ落ちる。


 ここまでやってようやく安心したのか、私の肩を掴み自分の方へ向かせ、そして引き寄せた。
 段々と顔を近づけ、その汚い唇を私の唇に押し付けようとする。










 その瞬間、私は右手を持ち上げ、ヤツの顔面目掛け、
 
 ダンダンッ!

 引き金を引く。

 カインカイーン

 ヤツの魔法障壁にいとも簡単に弾かれるも、驚きに目を見開かせる。
 だが、私の銀の銃弾ではヤツには届かない。
 その事実にホッとしたのか、ニヤリと笑みを浮かべる。

 もう一度私はヤツに銃口を向け、引き金を引く。

 余裕綽々の笑みを向けるヤツ。

 だが、その笑みはそこで止まった。

 ダンッッ!!

 銀の銃弾ではなく、私の切り札の一つ、精霊石が込められた銃弾。
 純度も高く、中位クラスの魔族にすら決定的とは言えなくとも、確実にダメージを与えられる程の威力。
 それをたかが人間如きの、それも、コイツ如きの魔法障壁で弾ける筈は無い。

 銃弾は障壁を貫き、ヤツの身体に吸い込まれ、そして弾けた。

 腹部に穴が開き、そこから大量の血を噴き出す。
 間違いなく、致命傷だ。
 その傷に手を当てながら呆然と此方を見る。


「何故だ、何故貴様は動ける! それに、何故、私の障壁がっ!?」


 そこまで言うと、口から血をゴポリと吐き出し地面に突っ伏した。


 完全魔法無効化能力。

 血の継承、過去を捨てた私の過去から続く異能。

 アンタの呪術は、いつでも掻き消す事が出来たのよ。

 口には出さずに心でヤツに告げる。
 
 そして私は止めを刺す為に拳に霊力を集中させた。

 忠夫だけが触っても良い身体を嬲ったその罪は万死に値する。

 私は怒りと憎しみを込めて、拳を振り下ろす。

 甲高い断末魔の絶叫が辺りに響き渡った。

 



















「……任務、ご苦労じゃったな」

「いえ……」


 私は頬にこびり付いた血を拭うこともせずに、学園長に報告した。
 手がブルブルと震え、止まらない。
 後悔の念が滲み出て来る。
 もっと、別のやり方があったかも知れない、そう思って。


「再起不能だそうじゃ。色んな意味でのう」


 学園長の言葉に、その場に居た男性全てが腰を引き股間を押さえた。

 命だけは助けてやった。手持ちの傷病治癒の札を使って最低限度の治療をして。
 それは私が殺す覚悟が無かった訳じゃなくて、もっと男として惨めにさせようと思ったから。

 私の身体を好きにした報いと言う物よね。

 でも、でもね、そのせいなのかな?
 仕事を終え、帰ってきた忠夫が私の方を見て恐怖でブルブル震えるのは。

 もっと、もっと別のやり方で地獄を見せてやれば良かった…… 
 忠夫の恐怖の視線の所為だけじゃなく、一緒に攻め込んだ桜咲さんと龍宮さんの冷ややかな視線も、とても痛かった。




 この事件を最後に、関東は落ち着きを取り戻した。

 結局今回の騒動の原因はなんだったんだろう?
 不思議に思うものの、今の私が答えに辿り着く事などありえなく。
 学園長も、タカミチも、そして忠夫も。
 結局、誰も答えには辿り着かなかった。

 学園長とタカミチは他に考えなくてはいけない事が有り、それの事を考えると落ち着きを取り戻した関東にホッとしている。














 その日の夜。

 何処か腰の引けた忠夫に散々甘え、ヤツに触られた場所を重点的に暖かい手の平で撫でさすって貰った。
 羨ましそうに指をくわえて此方を見るこのかを無視して、私は忠夫と甘いキス。

 散々見せ付けて、そして一緒にお風呂。
 泣きそうになったこのかも仕方なく一緒に連れてだけど。

 いつもは私が忠夫をキレイにしてあげるんだけど、今日は忠夫に身体中を磨いて貰った。

 泡が一杯ついた忠夫の手の平で愛撫され、何度も嬌声を上げる私達。

 狭い浴室に響く私とこのかの淫らなハーモニー。

 何でか知らないけど、妙に恥ずかしそうにビクビクオドオドしているこのかと2人で、忠夫の分身を手と唇と舌で包み奉仕。
 まだまだ手馴れない様子のこのかに、私はお姉さん目線で優しく教えてあげながら。

 そして全身に彼の子種を浴びながら、私達は仲良く絶頂の嬌声を響かせた。

 お風呂から上がると、私とこのかは前もって用意しておいた忠夫の古着のYシャツに身を包んだ。
 忠夫が喜びそうな、裸の上から直接に。
 フンフン鼻息を荒くする彼に連れられてベットの上の住人になったけど、疲れからかそのまま睡魔に負けて眠ってしまった。


 早朝、何時もの時間に目が覚めた私は、すぐにこのかの身体を見て、ホッとした。

 どうやら私が寝た後、一緒にスグに眠ったようだと。
 やっぱ、私が一緒に寝ている横で知らないうちにイチャつかれるのはゴメンね!
 そう思いながら2人を起し、何時もの朝の行事。
 もの凄く雄々しくそそり立つソレを見て、今日は本番ね、そう思ったんだけど忠夫に今日はお口でと言われ、このかと2人でお口でご奉仕。

「うわぁ~、ほんま大きいわぁ」って呟くこのかが可愛く思える。

 私は昨日に引き続き、お姉さんぶって優しく丁寧に教えながら、タマ姉さんが私に感じていた気持ちってこんなのかなぁ? 
 遠く此処とは違う世界に居る、大切な姉の事を想う。


「大丈夫だ、大丈夫。挿入してねーんだから、セーフ、セーフ……」


 昨日からブツブツ忠夫がこんな事を言ってるんだけど、一体なんなんだろう?

 まあ、それはともかく、裸で仲良くしたせいか、このかは何時ぞやののどかの様に、妙に私に懐いてきた。
 でもね、ギスギスしてたりコソコソしたりするよりは、こっちの方がずっと良いわよね。

 なんて、忠夫を挟んで仲良くイチャイチャしながら、私は心からそう思った。




















 数日後、珍しく私達より早く家を出る忠夫を見送ると、木乃香が学園長の言いつけで新任の教師のお出迎えに行く事に。

 仕方ないわねー、なんて言いながらこのかに付き合い、そこで……








 目の前の子供の背後に幻を見た。私の恩人である、最強の魔法使い。

 彼と同じ赤い髪。彼とそっくりな顔。そして、彼と同じ絶大な魔力。


「あっ、お出迎えの方でしょうか? この度、麻帆良学園で英語の教師をやることになりました、ネギ・スプリングフィールドです」


 まだ、二桁にも届かないであろう年齢の少年。

 あの人達の子供。

 この子が先生? とこのかは驚きを見せる。

 私? 私は……

 沢山の捨ててしまった過去を想う。 


 ナギ……、アンタの息子は顔はそっくりだけど、中身は全然似てないわ。

 なーんて、思っていたら、


「ハ……ハ……はくちんっ」


 突如くしゃみをして魔力を暴走させ、私達の衣服を吹き飛ばす。

 頬が怒りと屈辱でピクピクと引くつく。


「……ア……アンタ……」

「あわわわ……」


 私の怒りのオーラに、自分が何をしたのか理解したんだろう。

 恐怖でブルブル震えだすクソガキ。

 このかは何が起こったのか解らず呆然とし、私は、ワ・タ・シ・ハ……


 右手に魔力が……、左手に気が……、収束、そして、合一。

 私を中心に風が吹き荒び、迫力満面の笑みで少年にニコッと笑いかけた。


「ご……ごめ……た、たすけ……」


 顔を真っ青にしてこのかに助けを求めるクソガキを……


「こんの、エロガキャアーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」


 




[11660] まほらのほほん記 第21巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:33
「のう、横島くん。頼まれてくれんかのう?」


 少し焦りを見せながら、この麻帆良学園の理事長を務める近衛近右衛門が横島に懇願する。

 話はそう難しい事では無かった。

 現在、ここ麻帆良学園の在る日本は、関東を中心に凶悪犯罪や魑魅魍魎による凄惨な事件が増加し、治安が悪化の一途を辿っている。
 それを鎮圧し、叶う事なら原因の調査及び今後の為の対策。
 そして、英雄の息子の来訪前に、何とか平和で平穏な日常を取り戻しておきたい。

 究極的には、修行の為に訪れるネギ・スプリングフィールドの安全の為と言っても過言では無いだろう。

 横島はちょっとだけ考える素振りを見せると、すぐに「まあ、いっか」と承諾した。

 近右衛門と、横島を説得する様に言われていたタカミチはホッと胸を撫で下ろす。

 これで戦力は整った。
 後は一気に攻勢に出て、素早くこの事象を収束させるのみ。
 一般人による凶悪犯罪は警察に任せ、自分達は裏の人間や魑魅魍魎の鎮圧。

 学園長は勢い良く立ち上がると、この場に居た全ての魔法関係者に指示を出す。



 命令を受け、決意と正義に酔った表情を浮かべながら学園長室を飛び出して行く人達を斜め見ながら、横島は考え込んだ。

 ここ最近の不自然なまでの事件の発生の事……ではない。
 そんなモノは横島にとっては所詮他人事だから。

 ネギ・スプリングフィールドの事だ。

 ジクジクと胸が軋む様な痛みを感じる。
 心の古傷を抉られた、あの、大戦の時の出来事を思い浮かべていた。


 この世界に落ちてから自分の世界に戻るまでの10年間、唯の一度も女と良い関係になる事はなかった。
 愛子とそういう関係になった時、どれだけラッキーと思った事か。

 現在の横島周辺の女性事情を見ても分かる様に、決して彼がモテナイ訳では無いと言うのに。
 実際、彼はその『汚点』と言う不名誉な二つ名は別としても、そこそこモテてはいたのだ。

 ただ、常に彼の傍に居た男が問題だった。
 件のネギ・スプリングフィールドの実父。

 千の魔法を使いこなす最強の魔法使い、悠久の風、赤い翼、サウザンド・マスター、英雄『ナギ・スプリングフィールド』










「セラスちゃーん、この後ええやろ? デートしよ、な、なっ!」

「はあ、もう仕方ないわね~。ちょっとだけよ?」


 気の無い素振りを見せるも、どこか嬉しげな表情を浮かべる彼女。


「イィーーーッヤッホォーーーーーーッ!!」

「まったく、本当にアナタって人は……」

 呆れた様子を見せながらも、彼の手を引き歩き出すセラス。
 横島は、2人だけで過ごす夜に想いを馳せ、喜色満面の笑みを浮かべた。
 心が沸き立ち、煩悩がもう止まらない。

 だが、そんな横島にとっての幸せな時間は一瞬で終わりを告げる。


「おっ! タダオ捜したぜ! これからメシでも食いに行こうぜ。」

「はっはっはー。わりぃーな、ナギ。俺はこれから」
「ナナナナナナ、ナギ殿!」

「ん? アリアドネー総長じゃん。お前も一緒に行くか?」

「は、はいっ!!」


 万事常にこの調子。
 いつもいつも良い所で現れるナギ。

 この日、セラスは横島との事など無かったかのように、ナギにべったりで……










「むがぁあああああああああああああっ!!」


 両手を上げ咆哮を上げる横島。
 周囲の人間は何事かと思い彼の方を見るも、


「おんのれぃナギィィィイイイイイイイイイッ!!」


 懐から取り出した藁人形を、血の涙を流しながらカァーン、カァーンと打ち続ける。
 残っていた魔法使い達は余りの気迫に恐れ戦くも、タカミチの「いつも事だから気にしないで」との言葉に、出来るだけ関わらない様に三々五々に散っていく。 
 残ったのは「フォフォフォ」と横島を見て笑う学園長と、横島のサポートに付くことになったシャークティのみ。


「いい加減になさい、横島さん」


 横島はシャークティの言葉で我を取り戻すまで、ずっと呪いの人形を打ち続けた。


 決して横島がモテ無かった訳じゃない。
 ただ、それ以上にナギが凄く凄くモテモテだっただけ。
 あえて言うなら、モテランクに100馬身程差をつけられているとでも言おうか。

 仕方無いと言えば仕方無い。
 人としてのランクが余りにも違い過ぎた。
 英雄補正もあったろうし、何より顔の造作が圧倒的に向こうが上だ。
 イケメンなのだ、ナギと言う男は。横島の様な平凡な顔の作りでは無いのだっ!!

 フラレ通しの横島の心の傷は大きく、ナギの「そんなもん、最後は全部脱がしちまうんだから、どうでもいいじゃねーかっ!!」の発言で袂を別ったとしても仕方あるまい。
 まあ、袂を別ったと言っても、呼び出しを受ければホイホイ顔を出す程度だったし、それ自体は言い訳めいた切欠に過ぎなかったのだが。
 何せ横島忠夫は、ナギ・スプリングフィールドの……


 だからこそ横島は警戒するのだ。

 ナギの息子が此処に来たその時、自分の楽園が終わりを告げるのでは無いだろうか……と。

 学園長と正座でシャークティに怒られながら心底恐怖した。














 そんな彼の様子を、こっそり覗いて憤っている者が一人。


「やっぱりそうなのね。『偉大な魔法使い』サウザンド・マスターにあの様な暴言を吐くなど……」

「お姉さまぁ~、見つかっちゃいますよ! 止めましょうよぉ、覗きなんてぇ」


 彼女は思う。
 あの男を見張らなければと。
 傍を離れず、おかしな行動をさせないようにと。


「フフフ……、見てなさい、横島忠夫。アナタの化けの皮を剥がして上げますから。フフフ……アハハ……アーッハッハッハッハッハッ!」

























  まほらのほほん記  第21巻  真・日々彼是 その5
 

























  □月●日

 アスナとのどかちゃんが妖怪探しに出かける事に。
 見鬼くんを持って行かせようとしたんだが、声を掛ける間もなく行ってしまった。
 何か他に上手いやり方でもあるのだろうか。
 この世界特有の魔法か何かで捜すんかな?
 まあ、2人とも頑張れ。





















  △月○日

 アスナがイライラし始めた。
 何かすっげーこえーんだけど。
 0.8美神程の恐怖を感じる。




















  ☆月×日

 アスナが夜遅くまで帰ってこない所為で、木乃香ちゃんと2人っ切りの時間が大幅に増えた。
 あやか達が居る時はそうでも無いんだが、あの娘達は7時前には寮に帰るし、その後10時近くまでは本当に2人だけ。

 落ち着かん!

 膝枕で耳かきして貰ったり、膝枕でテレビ見たり、お風呂で背中流して貰ったり、背中流して上げたり、
 ご飯の時にあーんして貰ったり、あーんして上げたり……etcetc……

 間違いなく近い内に手を出す自信があるぜ。
 そろそろ本気で詠春対策を考える時が来たのかもしれん。

 悶々とするよりは、俺も木乃香ちゃんも健康的ってもんだ。

 うん、そーに違いない。間違いねー。



















  ◎月▼日

 このままじゃ煩悩が爆発して木乃香ちゃんを……
 最低でも詠春対策が出来るまでは手を出す訳にはイカン。
 アスナが俺の相手をしてくれるのが一番なんだけど、アスナは帰ってくるなり風呂入ってメシ食ってすぐ寝ちまう。
 疲れている所を起す訳にもイカンし、無理にイタしても嫌がられるだけ。
 明日にでも修行しに来るあやか達の誰かに、暴れん棒を鎮めてもらうのが一番だな。

 だーれにしよーかなー♪























  ▲月●日

 木乃香ちゃんが千鶴ちゃんを連れて買い物に行っている間にハッスルする事に。
 夏美ちゃんとアキラちゃんの冷たい視線にも負けず、あやかを押し倒す事に成功。
 仕方ないんじゃー! このままじゃ木乃香ちゃんと間違いを起しちまうんやー!

 そんな訳で、絶対零度の視線にも負けずにあやかの上着をたくし上げ、ブラジャーを剥ぎ取り、
 思う存分にけしからんおっぱいを両手でモミモミしてやった。
 最初は抵抗していたものの、スグに大人しく俺を受け入れはじめ、さあ本番と夏美ちゃんとアキラちゃんの手を借りて服を脱ごうとした。

 その時だ、アスナが帰って来たのは。

 疲れでイライラした感情全てを拳に乗せ、ワイの顔面を抉る様な一撃をかましてきた。
 あの一撃は幼い頃のアスナに教えた冗談技、天馬彗星拳。
 かつて浪速のペガサスと呼ばれた横島忠夫の必殺拳だ。
 成長したな、アスナ。
 喰らった瞬間、小宇宙の狭間に飲み込まれる様な錯覚を覚えたぜ。

 それにしても、今日に限って早く帰ってくるとは。

 神は死んだ……




















  ●月▼日

 今日は中休みのアスナとのどかちゃん。
 木乃香ちゃんは夕映ちゃん、ハルナちゃんと部活で図書館島に。
 あやかと夏美ちゃんに千鶴ちゃんの3人は、アスナを気遣い今日は来ない。
 アキラちゃんはルームメイトの子達と遊びに行くらしい。

 そんな訳で朝から夕方まで3P。
 全身白濁塗れにしてやったぜ!
 ちとやり過ぎかと思ったが、2人ともまだまだイケそう。
 俺もここ最近溜めに溜めた煩悩発散出来てスッキリ爽やか。
 それにしてもこの娘等、知らん内になんちゅー耐久力になっとんじゃ。
 まあ、のどかちゃんは何度も気絶しとったが。
 だがアスナは……、その内、俺が食われる側になるかもしれん。


























 本当に久しぶりに、裕奈や亜子やまき絵と街へ遊びに出たアキラ。
 ウインドウショッピングに食べ歩き、そして今はカラオケと、思う存分に普通の女子中学生として羽を伸ばす。

 まき絵が熱唱している中、裕奈と亜子は最近のアキラの様子を身を乗り出して聞きだしていた。

 何故なら、最近のアキラはちょっとおかしい。
 悪い意味で無く、とても良い意味で。
 生き生きとして輝いているとでも言うべきか。
 その一方、部活を辞めたり(本当は休部だが)そのクセ毎日の様に何処かに出かけたりと行動がとても怪しい。


「んで、いっつもそこで何やってんのさ、アキラ」

「うん? 何って色々だよ、裕奈」

「そんなんじゃわからへんって」


 アキラの曖昧な答えに、イライラを募らせる裕奈と亜子。
 だがアキラとしても、特殊な能力を鍛えてますとは言えないし。
 困ったのか曲表に顔を突っ込んで、必死に裕奈達の追及をかわす。
 丁度その時、まき絵の歌が終わり彼女も話しに加わってきた。


「じゃーさ、その横島さん宅に私達も行ってみよーよ」

「おー。それはええ考えやな」

「それじゃ決定って事で、良いよね、アキラ?」

「えっ!?」


 ピクピクと頬を引き攣らせ始めるアキラ。

 魔法の隠匿と言った問題もある。

 だがそれ以上に問題なのは横島なのだから。
 自分にとって大切な存在だとは言え、普通に考えれば社会的な常識の斜め上をダッシュで走り抜ける男だ。

 気軽に会わせて良い存在ではない。

 アキラはそう考えると、来るのを止めようと口を開きかけるも既に遅し。


「じゃーじゃー、いつ行こっか?」

「うーん……、明日でいいんじゃない?」

「アスナや木乃香がお世話になっとる家なんやろ? 2人にも話を通した方がええんとちゃう?」


 口を挟む間もなく、裕奈が木乃香に電話して許可を取ってしまい、成す術もない。
 やや呆然とした面持ちで3人がキャイキャイと騒ぐ所を見ながら、アキラは明日の事を思い気が重くなっていく。

 なんせ横島の第一印象は余り人好きのするものではない。

 好きな人だ、悪く見られるのはイヤだ。
 でも、自重してくれるかな、横島さん……


「はぁ~……」


 アキラは気が重くなる様な溜息を吐くと、手元にあったリモコンを手馴れた様子でピピッと操作する。
 流れ出すイントロに合わせて立ち上がると、重い気を吹き飛ばす勢いで熱唱した。

 もう、成る様になれ!

 そんな気持ちで。













 その後、歌いまくって気分転換をすると、寮に帰るなりあやかの元へと走った。
 明日、裕奈達が横島邸に行くのなら、色々とやっておかねばならない。
 魔法の隠匿、横島の行動を自重させる等、etcetc……
 あやかに全て話し、後の事を彼女に一任すると漸く落ち着きを取り戻し部屋に帰る。


 それでも不安は拭えない。
 寝る時間となり、ベットに横になってもまだ胸が重く感じる。


 なんだろう、この湧き上がるどうしようも無い不安は?

 
 アキラは無理矢理にでも眠ってしまおうと、頭から布団を被った。

 いつもは気にしない、微かに聞こえてくる甘く喘ぐ声を耳に入れない様に。
 



































  □月■日

 アキラちゃんがお友達を連れて来た。
 裕奈ちゃんにまき絵ちゃんに亜子ちゃん。
 正直な話、前2人のテンション高くて疲れたぜ。
 俺ももう年だな。
 あと裕奈ちゃん、あの子魔法使いの才能あるな。
 って思ってたら魔法関係者の娘さんか。
 魔法、内緒にしてんのかよ。

 それはともかく、あやかとアキラちゃんに、
 「お願いだから大人しくしてください」って言われたんだがどうよ?
 そんなに俺は恥かしい存在だと言うんかっ!?
 久々にグサッときたぜ。
 これはアレだな。
 2人の身体で償って貰うしかねーな。

 何て思ってたのに、アスナが帰ってくる前に逃げるようにして帰ってしまった。

 でもな、その気持ち、痛い程良く分かる。
 あの子、今スッゲー機嫌わりぃーかんなぁー。
 今もギスギスした空気を撒き散らしながら部屋に帰っちまったよ。
 また始まるんだな、俺の禁欲性活が……
 早く妖怪変化だかが見つかれば良いのに。







































 その日の深夜、裕奈は高ぶる気持ちを抑える事が出来ずに眠れず、気分転換にと大浴場に。
 消灯の時間が過ぎた今、ここに来る者など誰も居なく、彼女は一人湯船に浸かると目を瞑る。

 ピチョン……ピチョン……

 水滴が落ちる音がやけに響き、その音すらも彼女が落ち着くのを阻害させる。

 今日見た男性、横島忠夫。
 十人並みの容姿。教養の無さそうな顔。アキラと大差ない身長。スケベ。
 褒められるところが有るとすれば、明るく明け透けな性格ぐらいなモノだ。
 自分の父親の足元にも到底及ばない。そんなつまらない男。

 そう、そんな人。

 でも、初めて部屋で自慰をする様になったあの日、公園で幻の様に見えたアキラの情事。

 その相手……の様に思える。

 その情事自体が現実にあった事なのかどうか分からず、きっと自分の欲求不満から見えたモノだとずっと思っていた。
 でもだ、今日見た男は間違いなく、その時に見えた人の様な気がして……


 無意識の内に、指がそっと自分の胸の先端を弄くり始める。
 浴槽の淵に、顔が仰向けに成る様に首を掛けると、身体から力を抜き、湯船に浮かせて痺れる様な快感に浸っていく。
 甘い声を微かに上げながら、あの日チラリと見えたアキラのアソコを貫く肉杭を思い浮かべる。
 ソレが自分の胎内に飲み込まれるのを幻想し、ビクンと身体を跳ねさせ軽く絶頂してしまう。
 気づけば指が自分のワレメをなぞり、禁断の領域に飲み込まれるように、チュプっと音を立て沈めていく。


「はあ……あ、あぅ……狭……ぅん……」


 初めてソコに異物を侵入させた裕奈は、軽い恐怖と沢山の好奇心に心が蝕まれていく。

 あの日見た、アキラのエッチな顔を思い浮かべ。
 そして今日見た、アキラの……いいや、アキラ『達』の想い人を思い浮かべ。

 裕奈は何となしに思う。

 あの日見たのは幻想何かじゃないって。
 アレは現実にあった事で、アキラ達はああやって彼に抱かれているのだろうと。

 乳房を乱暴に揉まれ、大きな肉の棒で貫かれ、激しく腰を揺さぶられて犯される。

 ルームメイトで親友のアキラが、生真面目な委員長が、目立たない普通の子だった夏美が、大人っぽい千鶴が、清楚で天然な木乃香が、快活な転校生のアスナが。

 その場面を何度も脳裏に描き、自らの敏感な部分を弄くり回す指が激しく踊り、そして、


「くぅっ……きもち、いい……とろけちゃい、そうかも……あはっ……」


 場にそぐわない陽性の笑みを浮かべる。
 今日まで何度もこうして自分の身体を慰めてきた裕奈だったが、やはり何とも言えない罪悪感めいた後ろめたさがあった。

 それも今日で終わり。
 みんな同じだから。えっちだから。自分以上に、もっともっとエッチだったから。

 だから、私は、こうして……


「ああっ、くるっ!? ふぁっ、はぁっ、いちゃう、やぁっ……ンゥ……ひぃ、っくぅぅううううううううううっ!!」


 理性を捨てて、身体全体を襲う快楽の波に流される。
 延々と続くような悦楽に身を委ね、目から涙を、口からは涎を垂れ流し、激しく身体を痙攣させた。

 そのまま心地良い疲れに眠りを誘われ、段々と瞼が重くなっていく。

 このままじゃ、のぼせちゃう……

 そう思うものの、体は言う事を聞かず。


「裕奈、いるの?」


 だが、不意に聞こえたアキラの声で覚醒し、ビクンと身体を跳ね上げる。
 アタフタしている内にアキラは裕奈のすぐ横に来る。


「もう少ししたら亜子も来るよ」


 顔が紅潮していく。
 のぼせた訳じゃなく、もしかして見られたかも? そう思って。


「……えと、いつから?」


 言いながら裕奈は、アキラの肩に自分の頭をのせる。
 何も答えないアキラの様子から、自分がしていた事を知っているのだと裕奈は思った。

 もしかして、いつものアレも知られてたりして?

 でもま、もう別にいいや。

 そんな感じで裕奈は開き直ると、アキラをそっと伺う。

 

「ねえアキラー。前さ、公園で見たの、やっぱりアキラ……なのかな?」

「うん? 何のこと?」


 すっとぼけた調子でアキラは答える。

 だが裕奈は確信した。やっぱりアレは現実だったのだと。
 あの不思議な現象をどうやって起したのか?
 疑問は尽きないが、取り敢えずは……


「あのさ、気持ち良いの? アレって……」


 アキラが何か言おうと口を開きかけたその時、亜子が入ってきて有耶無耶に。
 結局アキラからは明確な答えを聞き出せず。
 裕奈は残念に思うものの、同じ部屋だからいつでも聞けるかと、この場では口を閉じた。
 代わりに亜子と2人で彼の何処が好きなのか追求する。
 とても楽しく、いつもの自分で。


「子供っぽいトコとか、凄く優しいトコとかかな」


 微笑みながら、とても『女』の表情を浮かべるアキラを見て、裕奈と亜子はどこか羨ましく思うのだ。

 特に亜子は、自分も好きな人が居るだけあって、自分もと心からそう思う。

 そして、そっと背中の傷跡に手をやり……


「ハァ~……」


 大きく息を吐く。
 全てを諦めきった表情で。

 それでも諦めない気持ちが自分の背中を押す。

 アキラの微笑む姿に自分を重ね、自分もこんな顔で笑いたいと。

 自分が想うあの人に告白してみよう。

 もしかしたら、全部が上手くいって、脇役なんかじゃない道を歩ける様になるのかも。

 アキラの様に自信を持って。

 亜子はそう決意すると、お湯をパシャと顔に浴びせ気合を入れると、ザバァーと水飛沫を上げて思い切り良く立ち上がった。


「ウチも告白するわっ!!」


 手を握り締め、力こぶを作るみたいなポーズを取り雄々しく吠える。

 アキラは、私は告白なんてしてないんだけどな。なんて思うものの、亜子の幸せを祈って応援した。


「よっしゃー! じゃあ……」


 パッパと風呂から上がり亜子の部屋に行くと、既に寝ていたまき絵を起して明け方まで騒ぎ通した。

 淡く儚い想いを叶えるために。 





































  △月□日

 アホが俺の縄張りに入ってきた。
 メンドクセー事に、俺が出張る事に。
 ああ、ホンマにメンドイわ。
 とりあえず、近場に居るヤツから適当に狩っていくとするか。
 殺しは無しだよな、シャークティさんがいるんだから。























  ×月×日

 9割方は狩り尽くしたんだが、一番厄介っぽいのが逃げ回っていやがる。
 俺等の追跡に気づいたんだろう。
 目標をあっさり投げ捨て逃げに徹しやがった。
 コイツは本物のプロだな。
 無理はしねぇー辺りがよ。
 仕方無いんで、明日からはお泊りセット持って追跡モード。

 でもま、ご褒美の事を考えるとコレもまた試練だ。
 ご褒美、それはジジイがくれた箱根無料宿泊券。
 シャークティさんと2人っ切りで……

 ぐふ……ぐふふふふ……

 さあ、悪の犯罪者よ。

 この、GS横島忠夫が居る限り、貴様の明日は無いと思え!
























  ○月●日

 目標の賞金首が、どうも面倒な事を企んでいる。
 ヤツがアジトに逃げ込むか仲間を呼び出すまで、ワザと止めを刺さずに適当に追い詰めていたんだが……
 正義の味方の如く現れて、賞金首の隙を付き、アッと言う間に目標を鎮圧しやがった女の子が一人。
 俺とシスターはポカーン。
 女の子は勝ち誇った顔して悠然と佇む。
 まあ、スグにシャークティさんのカミナリが落ちたけどな。
 何せ手間が増えたからなー。
 尋問せにゃならんだろう、この賞金首の男をさ。
 魔法を使って吐かせ様にも、耐性あるだろうから手間だし。
 文珠を使えば一瞬なんだけど、流石に俺の切り札を見せる訳にはいかねーし。
 そんな訳で、シスターは怒られてショボーンとしている子と、ボコボコになった賞金首を連れて麻帆良に帰るとよ。

 ざけんなぁーーーーーーーーーーーーーッ!!

 ワイのワクワクしっぽり混浴計画をどうしてくれるんじゃぁーーーーーーーーーーーーーーっ!! 

 しかも、しかもだ、横島さんはごゆっくり温泉に浸かっていってくださいね。だとよ……
 一人で行ってもツマランだろうが。

 何て思ってたら、ショボーンとしている子の連れ、俺のファンの佐倉愛衣ちゃん。

「せっかくですから、私の代わりにこの子を連れて行ったらどうですか?」

 おいおい、自分で言うのも何だが、俺なんかに任せて良いモンなのか?
 下手しなくてもアンタを喰う気満々だったんだぞ?

 それにしても、最初の印象って凄く大切なモンなんだな。
 こんなにあっさりと俺みたいな社会不適合者に、可愛い女の子を任せるんだからよ……

 まあ、この娘に手を出す気はないけどな。
 俺の大切なファンなんだから。





[11660] まほらのほほん記 第22巻   エロ有り(愛衣)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/06/21 15:53
「んじゃ、行こっか愛衣ちゃん」

「あっ、はい。よろしくお願いします」


 そう言って深々とお辞儀をする愛衣ちゃん。


「それにしても良いんでしょうか? 私なんかがご一緒しても……」

「シスターが良いって言ってんだから気にしなくって良いって」


 俺はそう言うと、彼女の手を引き目的地へと向ってひた走る。
 彼女も立派な魔法使いを目指す一人。
 結構余裕で俺の脚について来る。

 しかし何だな、賞金首の分際で観光地の近くに根城を張るってどうよ。
 イザとなったら一般人を盾にするつもりだったんか?
 それとも普通に観光客に紛れ込もうとしただけか?

 まあ、お陰で可愛い女の子と温泉地で御宿泊なんだから、文句を言ったらバチが当るってモンだな。


 そんなこんなで、山越え谷越え川を越え、やって来たのはスンゴク高級そうなホテル。

 オドオドする愛衣ちゃんを促しながら中に入ると、カウンターのネーちゃんの訝しげな視線。
 考えてみると、ボロボロな背広を着た不審者(俺)と、制服を着た美少女中学生(愛衣ちゃん)の組み合わせは非常に怪しい。
 愛衣ちゃんときたらビクビク、オドオドしてるし……

 でもそんな視線もジジイに渡されたチケットを見せたら、不審者を見る態度から上客を相手にするプロに早変わり。


「近衛さまのご紹介ですね?」


 と来たもんだ。
 あのジジイ、どれだけ此処を使っていやがる。
 しかも通された部屋がロイヤルなスイートなんだが?

 途中にあるスイートルーム宿泊者限定のラウンジ&バー。
 中に入るとやたらと広々とした和室。
 ムービーシアターにカラオケルーム。
 寝室にはキングサイズのダブルベッド。
 最後にベランダにある露天風呂。


 馬鹿だろ? あのジジイ馬鹿だろ?
 こんなスゲー部屋、生まれて初めて見たわっ!

 ああ、本当ならシャークティさんと一緒だったと言うのに……
 いや、あの人ならこの部屋を見た瞬間に帰っちゃうかな?
 何せやたらと豪華だし、ベットがでっかいって言っても一個しかねーし。
 こりゃ、遠まわしなジジイの嫌がらせと見た!
 幾等好感度が高いって言っても、流石にこんな部屋でご一泊出来る様になるのはマダマダ先の話だ。
 しかもあの人はシスター、贅沢は禁止なんじゃねーの?



 まあ良い。結局、一緒に来たのはシャークティさんじゃなくって、愛衣ちゃんだ。
 適当に映画でも見ながら夜を過ごして、和室に毛布でも敷いて寝ればいいさ。
 そう思って彼女の方を見ると、ふわ~っと少し放心状態。


「凄く立派なお部屋ですね~。こんなスゴイお部屋、見るの初めてです」


 言いながら部屋中を歩き回り、色々と興味津々。
 見れる映画のチェックをし、カラオケのマイクを弄繰り回し、備え付けの露天風呂に感嘆の声を零す。
 最後にキングサイズのベッドのスプリングを使ってピョンピョン跳ねる。
 実に楽しそうに遊んでる姿を見て、まだまだ子供やなぁ~っと思いつつも、捲くり上がるスカートの中身をチェックするのを怠らない。
 残念ながら短パンを履いてるみたいで下着を覗き見る事は出来なかったが、コレはコレで健康的で良し!
 一頻り楽しんだら我に返ったのか、顔を真っ赤にして恥かしがる。

 俺は「プッ……」と軽く笑い、それを見た彼女はただでさえ赤かった顔を更に真っ赤に染め上げ、顔を俯かせてうな垂れた。


「愛衣ちゃんゴメンな~。あんま可愛かったからさ」


 そう言って誤魔化すと、クローゼットの中にある浴衣を取り出した。
 それを彼女に渡し、取り敢えずは備え付けのではない大浴場で汗を流そうと言って部屋を出る。

 男湯と女湯に分かれている入り口の前で彼女と別れると、俺は中に入るなり少しゲンナリ。

 なんせジジイばっか……
 アッチを向いてもジジイ、コッチを向いてもジジイ。
 最近は可愛い女の子と一緒に入るのが普通になっていた所為か、ここで湯に浸かる事自体が苦痛に感じてならん。
 だだっ広い風呂でのんびりしようと思っていたんだが、こりゃアカン。
 自分の中からエナジーが失われていく。1分1秒が拷問だぜ。

 そんな訳で、カラスの行水の如くぱっぱと身体と頭を洗って湯船に浸かるや否や、さっさと上がる。

 時間にして5分程しか居なかったのではなかろうか?

 それ以上ソコにいたら、ワイのガラスの心にヒビ割れができるわ!
 何が悲しゅうて、ジジイの股座拝まなアカンのや!!


 そんな事を考えながら、男湯と女湯に分かれている入り口前のベンチに座り、愛衣ちゃんを待つ事に。

 5分が過ぎ、10分が過ぎ、20分が過ぎ、30分が過ぎた。


「な、何でなんや……どうして!」


 何せここで彼女を待っていたら、美人の姉ちゃんの湯上りで色っぽい浴衣姿を拝めるもんだと思っていたんだから。
 ジジイの裸体を見て精神がヤバクなっている俺の脳内を正常に戻すためにも必要な行為。

 だが俺は何も分かっちゃいなかった。
 男湯がジジイばかりだと言う事が如何言う意味なのか。

 そうさ! 出てくるのは賞味期限が一世紀は前と思われる過去の遺物、ミイラだったんだ!!


 ちくしょー! ワイの観光地での淡い恋物語がぁーっ!!



「あうう、お待たせしました」


 柱に頭をガンガン叩きつけていたら、申し訳無さそうに背後から声を掛けて来る。
 俺は素早く額から流れ落ちる血を拭うと、満面の笑顔で振り返った。


「いや、全然待って……ない……よ?」


 少しのぼせているのか全身がうっすら桜色。
 湿気を少し染み込ませ、その桜色の肌に貼り付いている浴衣。
 チラリと覗く淡く膨らんだ乳房。
 湯上り補正なのか、それともジジババばかり見ていた所為なのか……

 思わず、ゴクリッ……、と咽を鳴らす。


 そんな俺を見て恥ずかしそうにモジモジ。
 何度も、襟元や裾を直す。


「あの、早く部屋に戻りませんか……?」

「あ? ああ、別にいいけど、土産物とか見てかなくってええんか?」


 この手の場所に来たら定番的な行動だ。
 普段ならイランもんでも、妙に魅力的に見えるから困る。
 それにちょっとしたデートっぽい雰囲気を味わえるし。

 そう思っていたんだが。


「その、ですね……。き、きがえ……」


 あ、ああ、そういや着の身着のままだったっけ。
 着替えはクリーニングにでも出したのだろう。

 って事はだ、あの下は……

 じっとりと粘りつく視線で、愛衣ちゃんの全身を舐め回すように見る。

 確かに浴衣に下着のラインが一切見えん。
 お尻の曲線がとても滑らかで、開いてはいけない官能の扉を開いてしまいそうになる。

 そんな愛衣ちゃんに、ジジイどもがイヤらしい視線を向け始め……

 それは許せん! この娘はワイんや!!


 俺は彼女の腰を掴んで自分に引き寄せると、エレベーターの方へと急ぎ駆ける。


「きゃっ!?」


 可愛い悲鳴を上げながら、俺の胸にしがみ付く。
 そんな彼女をエレベーターに押し込み、そのまま一気にスイートな部屋へと向った。
 ウィーンと音を上げ、上階へと上がり始めるエレベーター。
 2人っきりの狭い空間。
 モジモジと裾や襟元を弄り、落ち着かない青い若葉の少女。
 このまま、襲ってしまいたくなる。


 いやいや、イカン、それはイカンぞぉーーー!
 貴重な俺のファン。こんな事で失いたくは無い。
 でも、目の前の獲物はとても美味しそうで……


 チーン、とエレベーターの動きが止まり、何故か愛衣ちゃんは再び俺の胸にしがみつく。

 ああ、そう言う事かと、俺はさっきみたいに彼女の腰を掴み、今度はゆっくりと部屋へと向った。
 ニコニコとしている彼女を見ると、コレが正解だったのだろう。

 随分とまあ、大胆な事で。
 一度経験しちまえば、それが普通だとでも思っているのか。
 それとも、俺と言う人間をそこまで信頼しているのか。
 顔を合わすたびに尻を撫で回すこの俺を。

 ……よーく考えてみると、良くもまー、今まで嫌われなかったモンだ。


 俺は自分の理性が何処まで保つか不安になりながら、べったりと引っ付く彼女の尻を撫でつつ部屋に入った。



























  まほらのほほん記  第22巻  真・日々彼是 その6 
































 結果論で言うなら、当然のように理性は持たなかった。

 愛衣ちゃんは俺の眼前で浴衣の前を肌蹴させ、股間から流れ落ちる2人の愛の体液が処女血と混ざり合い、白桃色となって浴衣や床を汚していた。
 上気させた頬と、洗ったばかりの筈のサラサラヘアを、汗でじっとりさせ冷たい床に張りつける。
 そして、トロンと潤んだ瞳を俺に向けた。


「お兄様ぁ……」


 上体を起して小さな胸をプルッと揺らし、甘えた声で俺を呼んだ。

 まただ! 俺の理性が『お兄様』と言う素敵ワードに侵食されて行く……
 イカン、イカンぞ!! ただでさえ、折角の俺の大切な『ファン』を、俺の『女』にしちまったんだ。

 これ以上の狼藉を働く訳には……
 
 だと言うのに、ぐちゃぐちゃに汚れた浴衣をスルリと脱ぎ、そのまま俺の胸にしな垂れかかる。 
 

「はふぅ~……」


 幸せそうな溜息を吐きながら、スリスリと頬を擦り付け、そのまま……

 気づけば眠っていた。






 俺はホッと息を吐く。

 だが少し残念でもある。
 とは言え、このまま酔いが冷めるまでは寝かせておいた方が無難か。


 そう彼女は酔っ払っていたのだ。
 夕食時に出てきたワインをジュースと間違えて飲むなんてベタな事をやらかして。

 それでも最初は何でもなかったんだ。
 笑い上戸なのか、ケラケラ笑いが止まらなくなる位なモンで。

 俺は彼女に酔い覚ましにと冷たい水を飲ませると、見たがっていた映画をシアタールームで鑑賞させ酔いが冷めるのを待つ事に。
 映画の内容は甘い甘いラブストーリー。正直、眠気と戦っていて、内容はさっぱり覚えていない。
 彼女はかぶりつく様に映画にのめり込み、ハリウッド映画にありがちなベッドシーンで女優の胸の大きさに目がいき……、俺に絡んできた。

 とっくの間に酔いは冷めたモンだと思っていたのにだ。
 彼女は追加でワインをガフガフ飲んでいたんだ。

 コレは俺が悪かったのだろう。
 なんせ、ココに置いてある酒類はドレも高級品で、普段気軽に飲める酒じゃねー。
 どうせジジイの支払いだと調子こいた俺は、高そうな酒類を選んでチビチビ飲んでいたんだから。

 チビチビなのは俺が酔っ払う訳にはいかなく、それなら飲むなよ! って思うかも知れんが、それじゃ勿体ねーだろうが!

 で、俺が眠気と戦っている時に、こっそりと飲んだんだろう。
 色んな意味で酔った彼女は、座った目つきで俺を睨むと「私のおっぱいを揉んでおっきくして下さい」そうのたまった。


 それぐらいならオッケーだ!

 喜び勇んで浴衣の上からモミモミモミモミ……

 気づけば浴衣の前を肌蹴させ、直でモミモミモミモミ……

 更に興が乗った俺は、中指と人差し指の間に乳首を挟んでモミモミコリコリモミモミコリコリ……

 秒間16連射でモモモモモモモモモモモモモモ……

 上擦った声を上げる愛衣ちゃんは、最初は「あ……あん……うう、うん……」

 それが次第に「ひぁっ……ひゃんっ……くぅ……んんぁっ……いあ……」

 最後は「アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ!」

 太腿をスリスリさせ、熱い吐息を吐きながら俺の事を、お兄様……なんて言い始めたのがこの頃だ。

 理性がぶっ飛んでも仕方あるまい。
 結果どうなったかは、見ての通りって訳さ。


 ハッハッハッハッハァー!

 やっちまったよ……
 いい加減俺の下半身の突起も自重する事を覚えて欲しい気がするぜ。


 俺は少し反省しながら、眠る彼女の身体を濡れた手拭でキレイにしていく。
 彼女をお姫様抱っこし、寝室まで運ぶとキングサイズのベッドの中央に静かに寝かせる。
 そのままムニャムニャ言いながら、幸せそうに微笑みながら眠る彼女の頭を数回撫でると、俺はロイヤルスイートを堪能する為に寝室を出た。








 高級な酒とツマミを大量に持って、さっきまで居たシアタールームの大画面で、温泉地にアリがちな有料エロ番組を見て心を弾ませる。

 この手のモノは、いくつになっても胸がトキメク。
 しかもだ、寝室には可愛い女の子が居て、それに隠れてコッソリってのがマタ良い!

 女の子とセクロスするのとは少し趣が違う、とても充実した時間。
 ふと気づけば日付が変わる30分前になっていた。
 夕食の時間が6時だった事から考えて、どれ位の時間、こうしていたんだか。

 そろそろ寝ようか?

 そう思いながらふと外を見ると、備え付けの露天風呂から湯気が立ち昇るのが見えた。

 そういやこれに入っとらんかったな。

 根が貧乏性な俺は、折角あるモノを使わずにはいられん。
 ほろ酔い加減で良い気分なのも手伝い、その場で浴衣を脱ぎ捨て「ヒャッホー!」と言いながら外に飛び出した。

 傍から見たら変質者だ。

 ドボーンと勢い良く飛び込み、湯柱が盛大に上がる。
 そのまま湯船に浸かりながら、遠く星空を見上げた。

 満点の星空を見上げながら、少し真面目に近頃続出している事件の事を考える。

 人心の荒廃から来る凶悪事件の続発、魑魅魍魎、下級魔族の大量発生。
 一度に起こる事件としては、不自然極まりない。
 人心の荒廃については専門家じゃねーから解らない。

 だが、魑魅魍魎や下級魔族の方については、自分は専門的な知識が有ると自負していた。
 だからこそ思う。これは人為的なモノでは無いかと。
 だが同時に、不自然では有るものの、人為的なモノによる事件といった感触が一切ない。

 だったらどこかに魔界へと通じる穴でも開いたか?
 そう思ってみても、そんな情報は何処からも入らず、何よりそんな物が開いているなら今以上に酷い事になっているだろう。

 ならばこう言う事なのか?

 ヤツラは何処からともなくやって来たのではなく、この世界で生まれ育った化け物なのだと。
 人心の荒廃から来る負の想念を大量に吸い上げ産まれた……、いんや、それだと世紀末覇者世界程度の荒廃が必要か。

 だったら……、って俺はなに考えてんだ?

 こんなん俺のキャラじゃねーな。
 そう自嘲しながら、両手でお湯をすくうと顔にぱしゃぱしゃと掛ける。


 そして湯船に浸かりながら、ボソッと呟く。


「あーあ、愛衣ちゃんが一緒に入ってくれたらなー」


 俺の心からの声が夜の闇に吸い込まれていく。
 聞こえてくるのは風の音や、湯が流れる音、それに梟の鳴き声。

 本当にこれで可愛い女の子が一人でも居れば……
 いつもならアスナが、最近ならば木乃香ちゃんと一緒に入ってた。
 こんな実に良いロケーションで、あの子等とゆっくり風呂に入るのもええよな~。


 ピシャン


 水を弾く音。

 視線を向けると、ソコには身体にビシッとバスタオルを巻いて大切な所を隠し、ソワソワしながらこちらを伺う愛衣ちゃんが。


「起きたんか」


 囁くように語り掛ける。


「は、はい……。あの、さっきは、その、すみませんでした……」


 やっぱ覚えていたか。
 もしかしたら酔いで記憶が無いかもって思ったんだが、都合良くはイカンか……

 そう思っていると、寒そうにブルっと震える愛衣ちゃん。
 春はまだまだ先で、冬の真っ只中。
 バスタオル一枚ではそりゃー寒いだろう。


「風邪ひくぞ、さっさと風呂に入れって」


 手招きして彼女を自分の傍へと呼び寄せた。
 オズオズとしながらソレに従い、でも俺から少しだけ離れた場所に、右の爪先からチャポンと音を立てて身体を湯に沈めていく。
 何度もチラッ、チラッと恥ずかしそうにコッチを見ては、すぐに目を背ける。


「何かあったんか、愛衣ちゃん?」


 すっとぼけた調子で言葉を掛ける俺。
 漸く意を決したのか、キツく閉じていた口を開いた。


「よ、横島さん! あ、あのですね、その……、なんて言えばいいんだろう……」


 言葉に迷いアワアワしている彼女の気を解そうと、俺は両足を伸ばして彼女の太腿の上に乗せる。
 そしてバスタオルよ剥ぎ取れろ! と言わんばかりに足の裏で器用に撫で上げた。
 初めは呆然と成すがままだった彼女だったが、徐々にバスタオルが捲り上げられ、可愛らしいワレメが露出していくのに気づくと必死に両手で俺の脚を押さえる。


「ひゃあっ! なにするんですか、横島さん!」

「もうお兄様って呼んでくれんのか?」

「あ、あれは、その酔っていて、だから……」

「ん?」

「その……、お兄様」


 ボソッと聞こえるかどうか分からない位に小さな声で囁いた。

 だが、俺は耳に手をやって、もう一度「ん? 聞こえんなぁ~」と意地悪な口調で聞き返した。

 愛衣ちゃんは顔を真っ赤にして湯船から立ち上がると「お、お兄様っ!!」と大声で叫んだ。

 と同時に、勢い良く立ち上がった所為か、それとも俺が悪戯した所為なのか、ハラリとバスタオルが彼女の身体から滑り落ちる。


「キャア!」


 悲鳴を上げて両手で身体を隠し、そのまま湯船に身を沈めようとする彼女の腕を素早く掴むと俺の胸元へと引き寄せた。

 そして驚き、目を見開かせる彼女の唇を、俺の唇で塞ぐ。
 軽く抵抗する彼女を、自分の膝の上に乗せ湯船に沈めていく。
 大人しく静かになるまで彼女の口中を舌で存分に嬲り、両手で身体中を弄っていった。
 抵抗が無くなったのを見計らい、唇から離れて彼女の首筋に吸い付く。


「あ、あん……お兄様、ダメ……ですよ……」

「ホントに?」

「あう……、キス……」

「なーんやってぇ?」

「もう一度キス、してくれたらいいですよ……」


 相変わらず意地悪な口調の俺に、官能が刺激されているのか、愛衣ちゃんは肢体をブルルっと震わせ、遂には俺を受け入れた。

 俺が舌を突き出すと、それを見た彼女が舌で絡み合わせる。

 ぴちゅ、ぴちゃ、くちゅ、くちゅ、ぴちゅ……

 少しづつ俺の舌先が彼女の口中に吸い込まれていき、うっとり陶然とする愛衣ちゃん。
 よーく考えてみっと、もしかしてさっきのキスが彼女にとってのファーストキスだったんじゃねーだろうか?

 だとしたら、ちょいと可哀想な事をしたな。
 そう思いながら、俺は処女を散らしたばかりの、痛々しく真っ赤に腫れ上がる彼女のワレメに自分の肉棒を押し当てる。


 ギチッ、グチチッチッ……


 痛みで身体を跳ね上げるも、俺はきっちり腰を掴んで彼女の逃げを許さず、そのまま膣壁を割り膣内の奥を目指して沈めていく。
 すると、先ほど彼女の中に出した俺の精液が潤滑油になり、半ばほどから一気にグプンっと奥まで飲み込まれていった。


「あ、んぐっ……ひぃああああああああああああッッ!!」


 子宮を押し上げる強烈な一撃に、愛衣ちゃんは俺の唇から離れ、弓なりに背筋を反らせると嬌声を高々と上げた。

 痛みと快感の衝撃で、潤んだ瞳から涙が零れ落ちる。

 まだ硬いが、それでいてむっちりと柔らかい感触が俺の肉棒を包み込み、痺れる様な快感を送り込んでくれる。


「くっ、いいぞ、愛衣ちゃん……!」

「お、お兄様、わ、わたし、ぁ……んんぅっ!」


 小さく喘ぐような声を出しながら、愛衣ちゃんが俺の首の後ろに手を回し、泣きながら微笑む。
 さっきとは違って、酒分が抜け切った正常な思考で、本当に俺を受け入れたんだろう。
 この様子なら、俺の女になってもまだ、俺のファンで居てくれるかも知れない。
 そう期待しながらゆっくりと腰をグラインドし、軽く突き上げ、愛衣ちゃんの唇からくぐもった声を漏らさせた。
 俺に抱きつく力を強くし、その膨らみかけの胸を押し付けてくる。
 柔らかい彼女の胸の感触が伝わり、俺の肉棒の硬度が増していく。


「うぐ、気持ちいいぞ!」

「ああぁ、わたし……の膣内(なか)……お兄様ので……いっぱいです……んんっ!」


 可愛い言葉に一瞬理性が弾け飛びそうになるもグッと堪え、子宮をゴリゴリ擦っていた肉棒を一旦入り口近くまで引き戻す。
 背筋をゾクゾクとさせ、甲高い絶叫めいた喘ぎ声を出しながら、愛衣ちゃんは俺の唇を求めてくる。
 唇を合わせ、互いの熱を確かめ合いながら舌を絡める。
 熱く荒い息が俺の口元にかかり、どれだけ彼女が興奮しているのかが良く分かった。
 引き抜きかけの肉棒を完全に彼女の膣内から引き抜き、何で? とでも言いたげな彼女の視線を無視すると、クルリと体勢を入れ替え彼女の後ろに回る。
 手を風呂の縁につかせると、お尻を高々と上げさせ、パンっと尻を叩くように一気に奥まで突き込んだ。


「きゃぅううううっ」


 短く悲鳴を上げ、陶然とする愛衣ちゃん。
 快感で口元からポタポタと唾液を湯船に零す。


「激しくするからね、愛衣ちゃん」


 宣言と同時にピストンを開始する。


「あぁあぁあぁっ……くんんんんんっ……ひぃあぁぁああっ」


 ここが一応屋外だと言う事も忘れ、周囲一帯に響くような悲鳴。
 俺の激しい腰の動きに、湯がバシャバシャと跳ね辺りを濡らす。
 愛衣ちゃんも俺に合わせて一心不乱に乱れて腰を振る。
 とても興奮するいやらしい光景。
 首を左右に振りながら、夢中で腰を振って俺の名を叫ぶ。


「お兄様っ! お兄様っ! わたしっ、わたしぃっ!!」


 俺は煽られる様に抜き差しする速度を上げ、激しく乱れる彼女の細い腰をキツク掴む。

 本当に興奮する。

 小さい胸がプルプル震えるのが見える度に、青い果実を熟させているのだと、そんな背徳感が俺を支配する。
 更に乱暴に腰を振り、角度を変え彼女がもっとも嬌声を上げた部分を狙い撃つ。


「ひぃあぁあぁぁぁっ……!! そこはぁ、お兄様ぁっ! わたし、もう……くぅぅっ……」 


 身体をビクビク震わせ、愛衣ちゃんが叫ぶ。

 まだだ! まだ俺は満足しちゃいねえっ!!
 もっともっと、乱れたお前の姿を俺に見せろ!!

 彼女の耳元で囁きながら、乱暴に腰を打ちつける。


「はいっ! 見てっ……くださぃっ! んんんんぅっ……きゃぁぁぁあああああっ!!」


 愛衣ちゃんが一心不乱に腰を動かし俺に応える。
 首を何度も何度も左右に振って、髪を振り乱す。
 膣内はグチュグチュと粘りつく水音がして、彼女の愛液が股をつたって湯船に流れていく。

 彼女の背中に舌を這わせ、唇で強く吸い付き跡をつけていく。
 桜の花びらの様な跡を次々に量産していき、コレは俺のモノなのだと主張する。


「くぅうううっ……ん、ん、ん、ん……あぁぁぁっ! お、お兄様! わたし、わたし、もうっ!!」


 限界が近いのか、切羽詰った声で懇願する。
 ならばと激しく深く短く間断なく子宮を突き上げる。
 尻肉を震わせるほど身体をよじりながら、目の焦点が合わず虚空を見ながら遂に、


「わたし、もう、イッちゃい、ますぅっ……! ああああああーーーーーーーーっ!!」

 
 愛衣ちゃんは全身を激しく震わせながら絶頂に到った。
 秘肉を振動させ、精液を搾り取ろうとキュッと締め付ける。
 肉棒の先端に愛のシャワーが降り注ぎ、俺は彼女の背中に覆いかぶさると、熱いたぎりを解き放った。


「ふあぁぁ、お兄様が、入ってくるっ……、くうんっ、どぴゅどぴゅって……んあっ……」
 

 彼女は涙を流し、官能の中で陶然とする。
 激しい絶頂の中、最後にもう一度背骨が折れんばかりに反り上げると、パクパクと擦れた喘ぎを漏らした。
 悦楽の洪水に溺れ、恍惚感に包まれた表情を浮かべると、大きくお尻をくねらせた。
 彼女の胎内が俺の子種で一杯に満たされる感覚。
 白濁液が逆流し、鈍い音を立てながら接合部から溢れ出す。

 
「お兄様……わたし……お兄様……ああ……」


 うわ言を繰り返し、そのまま湯船にトプンと身体を沈めていった。
 溺れないように彼女を抱き上げ、キツク抱きしめる。
 甘えた子猫の様に目を細め俺にしな垂れる愛衣ちゃん。


「よーく暖まったら、身体をキレイにして上がるとするか」

「はい、お兄様……」





 その後、俺は彼女を全身泡々マッサージで何度も昇天させながらキレイに磨くと、風呂から上がりバスローブを身に纏う。

 そしてキングサイズのベッドで2人抱き合いながら眠りについた。
 翌朝、もう一度一緒に露天風呂に入り、軽くエッチな行為をしてからチェックアウト。

 帰りは彼女の箒の後ろに乗り、腰ではなく彼女の胸に掴まるようにして麻帆良までひとっ飛び。
 胸を揉まれて恥ずかしそうにする愛衣ちゃんの様子に、俺のリビドーが反応して麻帆良までの道のりの間、色々と悪戯をする事に。
 
 途中何度か墜落しそうになり、死の恐怖をたっぷり味わう事になるが、この程度の恐怖など何のその。
 むしろ愛衣ちゃんが涙目になるのを見て、俺の悪戯ッ気がアップし、耳たぶをはむはむしたり、直で胸をモミモミしたりやりたい放題。

「あっ、ダメッ、お兄様ダメです! あっ、ああっ……ひゃんっ!」

 今なら解る。俺はこの時、調子に乗っていたんだと。

 何せ俺はこの後、真の恐怖で戦慄する事になる。

 学園長室前で愛衣ちゃんと名残惜しく別れて中に入ると、ソコには冷や汗を流す男共が。
 最初は気持ち悪いヤツラだ、そう思っていたんだが、話を聞いて納得した。

 ウチの、ウチのアスナが……やりやがった。
 セクハラされて切れたのか、相手の男の股間を……

 ギャァーーーーーーーッ!!

 ダメだ! これ以上考えたらアカン!!

 それにしてもだ。もしも、アスナに昨日の事がバレたら、俺も同じ目に……?

 俺の、俺のシンボルがピンチだ!

 どうする、どうするよ、オレ!?

 毅然と学園長に報告をするアスナを見て、俺の顔は青ざめ、恐怖で身体がガタガタ震えて止まらない。

 甘えてくるアスナに対しても、ふざけた事しでかしたら同じ目に遭わせるわよ?

 そう言われている気がして、恐ろしくて仕方無い。
 風呂でアスナの求めるままに身体を重ねたが、何をどうしたのかさっぱりと思い出せん。

 ただ一つ覚えているのは、アスナがその男に触られて気持ち悪かったという場所を、丹念に撫で上げ舐めまくった事ぐらい。
 とりあえず、後日その男には更なる報復をしようかとも思ったが、これ以上の罰は必要あるまい。
 そいつはもう、男として死んでしまったんだから。


 今、俺の部屋には疲れて眠りこける裸Yシャツのアスナ。
 そして困った様に佇む俺と、なぜか同じく裸Yシャツの木乃香ちゃん。
 と言うか、なんで彼女がココに居るのか思い出せない。
 それもこんな大胆な格好で。

 いつものオレなら木乃香ちゃんにちょっかいをかけるんだが、コレ事態がアスナの罠かも知れんと思うと、俺の愚息も役に立たん。

 情けない、本当に情けない。
 だが、昨日散々に愛衣ちゃんとやったんだから、少しは休ませないとな。
 なんて言い訳をしながら、木乃香ちゃんとアスナを抱きしめて眠る事にした。


 当分、余所の女に手出しするのは控えよう。

 そう思いながら。 





[11660] ネギま!のほほん記 第1巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:34
「んで? これがネギ・スプリングフィールドの資料か?」


 横島はビッシリ色々と書き込まれた紙の束を、ソファーに座ったまま自分好みのおっぱいの女性から手を伸ばして受け取った。

「相変わらずけしからんオッパイっすね!」などと軽いセクハラをしながら、適当に目を通していく。

 そんな横島を静かに見守る学園長と、その秘書紛いの事をしている横島好みのオッパイ……もとい、しずな。

 そしてちょっと離れた所で不安そうに横島を伺うタカミチ。

 ぺラッぺラッ、と紙をめくる音だけが静まり返った学園長室に響いた。
 15分程して全てに目を通し終わったのか、テーブルの上にポイッと資料を投げ捨てる横島。
 彼は少しだけ苦み走った表情を浮かべると、忌々しそうに口を開く。


「お前らバカだろ?」

「フォフォフォフォ、直球じゃのう……」


 長い頭から一筋、たら~っと汗を流し、視線を外に向ける


「別に生徒でもええやろが。大体10才にもならんガキに教師なんぞ勤まるんか?」

「立派な魔法使いになる為の修行として選ばれてしもうたんじゃ、今更どうにもならん。それに『外』に出す位ならウチで引き受けた方がマシじゃろ?」


 その言葉に、顔を顰めさせながら学園長を睨みつける。
 次にタカミチ、そしてしずなまで順々に睨みつけると、最後に大きく溜息を吐いた。
 タカミチはビクッとした後、慌てて姿勢を正すと頭を下げ、しずなもそれに続いて頭を下げる。
 学園長は楽しそうに「フォフォフォフォ……」と笑うだけだったが。


 胸糞悪い。

 横島は心底そう思った。

 『英雄の息子』『王家の……』を自分達の利益の為に利用したい権力の亡者。
 それを何とか防ぎ、『英雄の息子』として相応しくなって欲しい馬鹿。

 横島から言わせれば、どっちもどっち。
 その上で、俺まで巻き込みやがってと、怒鳴りつけたい気持ちで一杯だ。


「で、俺にどうしろと?」


 不機嫌さを一切隠さず棘々しい口調、横島の怒りの程が伺える。
 いつも朗らかに笑っている彼が、コレだけ怒りを見せるのはとても珍しい。
 学園長としずなは初めて見た。特にしずなにとっては、いつもセクハラばかりする少し困った面白おかしい人認定だったのだから。


「ふむ、ネギくんのサポートとして、副担任」
「却下。アホだろ? いい加減にせんと、そのけったいな頭カチ割るぞ?」


 あっさりバッサリ一刀両断。

 何せ横島は、ネギ・スプリングフィールドが受け持つだろうクラスの子達に手を出しまくっているのだから。
 いくら非常識が服を着て歩いている様な彼とて、そんな自分が教師をやって良いとは到底思えない。
 自分の愛する家族の一人である愛子が、どれだけ教師と言う職業に誇りを持っていたか知っているから。
 だからこそ横島は、修行と言う名目で10才にもならない子供を教師にしようとする馬鹿に腹が立つ。

 そんな簡単な職では無いのだから。


「ふむ、ではネギくんを下宿させてくれんかのう?」


 却下。そう言いそうになるも、ギリギリ咽元で喰い止める。
 学園長の顔を見ると、どうやら此方が本命なのだろうと、横島は察した。
 正直な話、この話を受けても彼にとって得する事なんて一切無い。
 それどころか、横島の情事を妨害するお邪魔虫。


「断ったら何処に住む事になるんだ?」

「さあのう……。横島くんが引き受けてくれると信じておるからの」

「こんのクソジジイが……」


 断りたい。だが横島の本質がそれを許さない。
 将来、間違いなくイケメンモテモテ間違いなしに成る殲滅対象有力候補である。
 だが、今のネギ・スプリングフィールドはただの子供。
 子供好きって訳では無いのだが、それでも子供に対して限りなく甘い横島。

 放っては置けない、この子供を。
 歪んで歪になっているだろう、友人の息子を。
 子供らしい生活を送らず、ただ何かを振り捨てる様に『立派な魔法使い』を目指す少年を。


「条件がある」


 横島は何時になく真面目な表情を浮かべると、学園長に対して凄まじいプレッシャーを送り始めた。
 これから自分が言う事に、反論など許さんとばかりに。
 そのプレッシャーに押され、「ウッ……」と呻き声を上げて倒れるしずな。
 彼女を抱きとめながら、固唾を呑んで2人を見守るタカミチ。
 学園長は片眉をクイッと上げ、まだ若いもんには負けられんとばかりに気合を入れた。
 もっとも年齢だけで言ったら、横島は70歳近いジジイなのだが。


「なにかの?」

「ネギ・スプリングフィールドを、俺の被保護者にすること。最低でも麻帆良に居る間はな……」


 ああ、言った。言ってしまった。

 横島は口に出したその瞬間から後悔した。

 もうこれから先、気軽にアスナ達とエロエロな事が出来なくなるのだから。

 リビングであやかを押し倒したり、トイレに篭った夕映に襲い掛かったり、玄関先で夏美を背後からドッキングしたり、風呂で千鶴に奉仕して貰ったり、
 アキラを全裸にして庭に放置プレイや、のどかに猫耳つけて家中を裸で連れ回したりも、もう出来ないのだ……

 いつかしようと思っていた、アスナと台所でのセーラーエプロンプレイも夢のまた夢。




 何と言う苦痛に満ちた決断だろう。

 横島は余りの苦難に、目からツツゥーっと一筋の涙を流した。




 ネギ・スプリングフィールドが麻帆良に来る、3日前の事である。
























  ネギま!のほほん記  第1巻  小さな翼

























 ドタバタと、たった一人でナギの息子の荷物を片す。
 2階の奥をその子の部屋にすると決めると、彼方此方に散乱する自分の私物を纏め上げ、一階の書室へと放り投げる。
 何でこんな事にとブツブツ呟きながら、ベッドを運び入れ、布団を敷き、本棚に本を適当に並べ、謎のマジックアイテムをクローゼットに放り込む。
 全てが終わった時には結構いい時間で、もうしばらくしたらあの娘達も帰ってくる。ナギの息子を連れて。

 と思っていた矢先、ドアホンが鳴り玄関が開いた。
 気配は小さい子供が一人。ネギか? そう思うものの、何故アスナ達が一緒で無いのか不思議で。
 階段を急いで降りると、玄関に少年の出迎えに出る。


「あのー、横島さん宅でよろしいんでしょうか?」


 小さい、本当に小さい子供だ。
 赤い髪に、利発そうな面持ち。何故か頭にでっかいタンコブ。
 背中にリュックと布でくるんだ杖と思しき物を背負い、少しだけ不安そうな表情をしている。

 顔は父親、中身は母親。タカミチの報告通りだ。


「ああ、そうだ。俺は横島忠夫、永遠の18才。今日からここでのお前の保護者だ」


 自らの楽園に終わりを告げる言葉を発しながら、ニヤリと笑みを浮かべた。
 『保護者』がつくと言う事を聞かされていなかったのか、アタフタしながら少し混乱を見せる。


「ほ、保護者ですかっ!? ボク、そんな話は聞いてませんよ!」

「う~ん? 聞いてねーも何も、お前の年で保護者いねーなんてありえねーだろうが」

「いえ、ですが下宿先だとしか言われてなくて……」


 クソジジイ、相変わらず底意地が悪い。
 人には関係書類の提出をさせといて、その一方でコレだからな。
 朝早くからどれだけアチコチ駆けずり回ったと思っていやがる!

 まったく……


 心の中でクソジジイに罵詈雑言を浴びせつつ、俺はネギの荷物を受け取りながら中に入るように促した。
 オドオドキョロキョロしながら「おじゃましま~す……」と小さく呟き、俺の後ろをヒョコヒョコついて来る。
 しっかりと靴を脱いでいる辺り、キチンと日本の事を調べてから来てるんだな。

 ホント、父親とは正反対の几帳面な性格だ。
 必死で笑ってしまいそうなのを堪えながら彼をリビングに通すと、ソファーに座らせる。
 取り敢えずはポッドに入ってるお茶を差し出し、少し落ち着くのを見計らった。


「ボク、初めてです、日本のお茶を飲むの」


 そう言いながら嬉しそうに口をつけるネギを見て、自然と笑みが零れた。

 そして昔の事を、あの大戦が終わった頃の事を思い浮かべた。
 心底ナギと言う男に負けたと思わされた、あの頃の事を……


















 アリカが囚われの身となって一年。
 世界の平穏の為の生贄とされた彼女を救おうと、俺とクルトは常日頃からナギ達に訴えていた。

 俺は、もう嫌だったから。

 まるでかつての自分の選択を、もう一度つき付けられてるみたいで。

 世界の存続か、それとも愛する女との約束された平穏か。
 俺が選んだのは世界で、でもそれは女が望んだ未来でもあった。
 後悔はした。何度も何度も。それは今でも同じ。
 彼女が新しい生を受け、生まれ変わったであろう今でもだ。

 だからなのだろう。今度同じような選択を強いられたら、次は世界よりも自分の大切な者を選ぼうと思ったのは。
 一度世界を選んでやったんだから、2度目は良いだろうと心底思う。
 女を選んで世界が滅ぶなら、そんな世界など此方から捨ててやれば良い。

 今の自分にはソレが出来るのだから。



 俺とクルトは何度もナギに訴えた。


「あなたが立つ! ただそれだけでアリカ様を救えるんです!」

「おい、ナギっ! アリカちゃんを見捨てるつもりかっ!!」


 アイツの力と名声があれば、彼女を救い出し、メガロメセンブリアの元老院を告発して失墜させる事が可能だったからだ。
 だがナギは、一人でも多くのいわれなき不幸に苦しむ無辜の民を救う。それこそが彼女の望みだと、決して蜂起しようとはしなかった。

 今ならそれが騒動を起こし、再び戦乱へと直走る道へ向わない為の行動だったのだと解る。
 でも当時の俺は、完全に頭に血が上っていて、いんや、例えそれに気づいたとしても、世界よりも彼女を選んだだろう。

 別に彼女の事が特別だった訳じゃない。
 彼女はナギの、自分のダチと惹かれ合っている女だったからだ。
 何よりそれが、自分とルシオラの事を思い起こされ、彼女を犠牲にするのに耐えられなかった。

 心の古傷が抉られるように痛み、結局は自分の心を守るための行為だったんだ。


 どれだけ説得しようと折れないナギに見切りをつけた俺は、クルトの考えた計画に乗る事にした。

 どんな事をしてでもアリカを救出し、その後、なし崩しにナギを使って世論を掌握。
 ヤツラの罪を暴露し、民意と、そして自分達の武力を用いて今回の黒幕を排除する。
 それは再び戦乱の世に戻すかもしれない行為。
 せっかく平和になった日常を、再び慟哭に満ちた世界に戻すかもしれない行為。

 それでも俺は……



 クルト一人を連れ、こっそり牢獄に侵入した俺は、結局彼女をソコから動かす事が出来なかった。
 連れて行こうにも彼女は頑なに拒否し、それどころかナギの元へ戻り、アイツの力になってやってくれと言われるだけ。
 それでも納得出来なかったクルトが無理に連れ出そうとするも、逆に脅しをかけられその場を立ち去る事しか出来なかった。


 ナギじゃなきゃ駄目なんだな。
 
 そう思った俺は、この時より流れに身を任せるだけになった。
 来る日も来る日も、ただひたすらに傷つき、絶望の淵に居る人達を心身両面から救っていく。
 今にも消えてしまいそうな小さな命を救い、無駄に暴れているアホを蹴散らし……、そんな日々。
 そして、諦めきれないクルトが必死になってナギを説得しようとしているのを、どこか冷めた視線で見ているだけ。 


 まあ、結局アイツは処刑執行時に助けるってことを考えてたんだけどな。
 アイツは……、ナギは世界も女も救ってみせたんだ、俺と違って。
 幾つかの犠牲は出したが。

 女の名誉と、そして……














 ニコニコしながらお菓子を食べ、お茶を飲んでるネギを、いつになく優しい気持ちで見つめる。

 ナギとアリカちゃんの子供だ。

 あの後、しばらくして俺は赤い翼をほぼ抜けた状態になったから2人のその後は良く知らん。
 ナギが『マギステル・マギ』として活動し始めた大部分の時間、俺とアイツは別行動だったから。
 知っているだろうラカンやアルも、詳しい話を俺に聞かせようとはしなかった。
 今の時点ではどうしようも無く、時期を待っているのか……

 まあ、あの時言った様に、いつの日か、暇になったら助けてやるか程度のモノなんだろう。
 アイツは放って置いてもそう簡単に死ぬヤツじゃねーし、何より、あの時の良く解らん存在が関わっているのかも知れん。
 それに今頃、着衣の素晴らしさを実感しているかもしれんし、アリカちゃんを相手に。
 例えばメイドや巫女さん、ナースにスチュワーデス。
 果ては直接尻尾をお尻に差し込んだり、野外露出プレイにはまっているに違いない。
 俺には分かる、アイツはそーいう男だ!


「あっ、すみません。クッキーとお茶が美味しくて、つい……」


 こういう礼儀正しい所は、本当に父親とは大違いだな。
 少し苦みばしった笑みを浮かべながら、ネギの頭をぐわしぐわしと撫でる。
 昔、タカミチやクルトと言った孤児達、それにアスナが小さかった頃に良くした様に。


「子供はそんなん気にせんでえーっちゅーの。それよりアスナと木乃香ちゃんはどうした?」

「アスナさんですかっ!?」


 アスナの名前が出た瞬間、カチーンと硬直するネギ。
 しかも恐怖からなのか、身体をガタガタ震わせ始める。
 聞きたくない。聞きたくは無いが、聞かなきゃならん。


「ど、どうした、ネギ?」

「いえっ、何でもありませんっ!!」


 聞くなり立ち上がってビシッと敬礼する。


「今後、魔力を暴走させ、女性の服を吹き飛ばす様なハレンチな真似をした場合、再び厳罰を受ける所存ですっ!!」

「……………………」


 良く解らんが、くだらないことだと言う事は解った。

 涙目で震えるネギを見て、話を変えてやる事に。


「ネギはここに立派な魔法使いになる為の修行をしに来たんだよな?」

「はい!」


 俺がそう聞くと、目に希望の光を輝かせキラキラとさせる。
 今だ幼いこの子が、更に幼かった頃の悪夢の様な経験なんて無かったみたいに。


「何で先生なんて修行になったか解るか、ネギ?」

「え? すみません、解らないです……」

「魔法を知らない人達が住むこの地で、魔法に頼る事無く立派に行動出来るかどうか……、それを見る為なんだと俺は思う」


 何て言っては見るものの、どこまで本当かは知らん。
 今まで魔法関係者しか周囲にいなかったであろうこの子の日常は、普段の生活自体に魔法が関わっていた事だろう。

 だったら、この考えはそんなに的外れじゃ無いと思う。
 だからこそ学生でも良いんじゃねーかと思うんだがな。

 もっとも、ヤツラが関わっているのなら別だが。
 魔法至上と言っても良いヤツラだ。

 タカミチがどんなに頑張っても『偉大な魔法使い』の称号を貰えないように、ヤツラの望む魔法の使い手ならば、アホでも『立派な魔法使い』になれるだろうよ。


「そうなんですかっ!?」

「さーな。でもな、だからこそ学校に居る間は魔法に頼るな! 魔法の隠匿とかそう言う問題じゃねーぞ?」

「…………おじいちゃん言ってました。わずかな勇気こそが本当の魔法だって。ボクは魔法に頼らず、先生として2-Aの皆さんを導かなければいけないんですね?」


 キリッと凛々しく、それでいて決意の篭った瞳。
 十にもならないその身で、この子はコレだけの顔が出来るのかと。
 俺なんかの浅はかな考えなんて必要なかった、そう思う。

 俺はこの子に子供としての時間を与えてあげたいと思っていたのだ。
 友達を作り、野山を駆けずり回り、ミニ四駆で遊び、ゲームをして、漫画を読む。
 可愛い女の子のスカートを捲り、女子更衣室に潜入し、女子風呂を覗く。
 そんな、小学生の子ならば誰でも普通にすること。
 だが、この子はすでに持っていたのだ。

 俺がアシュタロスとの戦いの終盤まで持ち得なかった『覚悟』を。
 まだまだ土台は脆く、ちょっとした衝撃で簡単に崩れ落ちる様な物だけど、少なくても俺なんかよりずっと『大人』なんだ。
 子供だけあって、視野は狭く、経験もなく、中々に頑固っぽいトコが玉にキズだけどな。


「だけどな、それじゃ息が詰まるだろ? だからこの家の中だけでは、今まで通りに魔法を使って構わんぞ」

「じゃあ、やっぱりアスナさんと木乃香さんは魔法関係者だったんですね!」

「うん? 聞いてたんか、アスナと木乃香ちゃんもこの家で一緒に暮らすって?」

「学園長先生がそう言ってました。あと、困った事があったら横島さんに全部押し付けろって……」

「あんのクソジジイっ! いつか潰すっ!!」


 どうせあの年だ。もう既に必要ないだろう?
 ブチュっとアレの一個や二個、踏み潰しても問題有るまい。

 くっくっくっくっくっくっくっくっくっ…………

 暗く澱んだ笑みを浮かべながら、学園長に対する報復を考えていると、俺が発する瘴気に中てられたか、ネギが顔を真っ青にする。

 しまった。そうは思うものの、これから一緒に過ごして行く家族。
 これ位はスグに慣れて貰わなければ。


「そうだ、ネギ。男にとって大事な物を教えてやろう。それは女だ! 美人のネーちゃんの柔肌、美人のネーちゃんの乳、美人のネーちゃんの尻……
 だからこそ言っておく。美人のネーちゃんの知り合いが居るなら、ワイに紹かぶべらっ!?」


 ズガン! と俺の後頭部を痛撃する金属の棒、神通棍。
 バチバチと霊力を放電させながら、金の髪の女王の手に握られる。
 血を流しながらテーブルに顔を突っ込ませ悶絶する俺は、突然の出来事にアタフタしているネギの声がやたらと遠くに聞こえた。


「横島さん! こんなにも純真無垢で礼儀正しく快活な理想の少年像を体現しているネギ先生に、なに馬鹿な事をおっしゃっているのですかっ!!」


 あやかは突っ伏す俺の襟元を掴むと、そのままガクガク激しく揺さぶる。
 血が辺りに散乱し、ネギは恐怖で縮こまる。


「ネギくん、歓迎会の準備が終わったから、そろそろ行かなあかんえ?」

「あわわわわ……、で、ですが、横島さんがっ!?」

「あはははは。だーいじょうぶだって、あの人はコレくらいで如何にか成る様な柔な人じゃないからさっ!」


 ハルナちゃんが俺の事を心配するネギを適当に宥めつつ、ジャージを着てるトコ何て初めて見る木乃香ちゃんが手を引っ張り外へと導いていく。
 そのまま「いってきまーす」と家を出る3人を、あやかに折檻されながら見送った。


「はぁ、本当にアナタって人は……」


 3人が家を出たと同時に、あやかは心底呆れましたと言わんばかりの溜め息。
 俺の横に腰を掛けると、コレまたいつの間にかに来ていたアスナがその反対側に座り、俺は2人に挟まれる格好に。


 ところでアスナはなんでジャージなんだ?
 そういや木乃香ちゃんもジャージだったような……


「あのエロガキが魔力暴走させて制服を吹き飛ばしたのよ!」

「まあまあ、ネギ先生はまだ子供なんですから」


 ああ、それであんな事を……
 既にアスナに調教されていたのか。
 それにしても、アスナと木乃香ちゃんの着ている物を吹き飛ばすとは。
 俺がガキの頃にやっていたスカート捲りなんざ、まんま子供騙しやな。

 流石はナギの息子と言った所か、末恐ろしい。
 まさかエロ方面まで天才だったとはな。
 このまま育てば、俺のエロ方面での後継者にすら成り得る。
 凄まじいまでの才能よ!
 
 
 戦慄し、少しだけ苦笑いをした俺の腕に、2人は柔らかくも弾力のある脂肪の塊を、ふにゅっと押し付け抱きついてくる。

 2人のオッパイの感触に鼻を伸ばす俺。


「ネギの歓迎会をやるんだろ。行かないでええんか?」

「私達がいなくても大丈夫ですわ」

「そうね。タカミチとしずな先生も来てるし」

「よこ……、いえ、忠夫さんは私達が邪魔なんですの?」


 初めて俺の名前を呼んで、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせる。
 それを隠すように、見られないように、俺の唇を奪い……


「何か辛そうな顔をしてるわよ? そんなアンタを置いて行ける訳ないでしょ」


 続けてアスナが俺の唇を奪う。
 昔の事を思い出したのがマダ引いてたか?
 別に辛くも何ともないんだがな。
 それにしてもアスナ、言い方がタマモそっくりだぞ?

 だが、俺はそう言う間も無く、大切な2人の使徒に押し倒された。




 夕陽が差し込み赤く染まるリビングで、3人の影が一つとなり、くぐもった声を響かせるまで然程時間を必要とはしなかった。
 結局2人は最後までネギの歓迎会に顔を出すことは無く、木乃香ちゃんがネギを連れて帰宅するまで、ずっと愛を確かめ合った。


















 その後、あやかは折角ですからと言いながら、嬉々としてウチに泊まっていく事に。

 間違いなくネギが目当てだ。
 そんなあやかを迎えに来た夏美ちゃんと千鶴も泊まっていく事に。


 何でかワクワクしているネギを連れて風呂に入る。
 風呂に入りたくないと言うネギを浴室に放り込むと、教師たるもの常に清潔でなくてどうする! 何て知ったような口を叩く。
 頭を一人で洗えないネギの頭を洗ってやりながら、タカミチ達も俺がこうやって洗ってやったんだと話してやった。


「タカミチも?」

「タカミチも、その友達もだな。でもそいつらはスグに自分で洗えるようになったぞ? お前も自分で洗えるようにならないとな」

「はいっ!」


 実際はそんな事は無かったんだけどな。
 でも、子供っていうのは知っている人の身近な話は、とても良い目標になるもんだ。
 資料でも見たが、本当にこの子の周りには人が居なかったんだと、つくづく思う。

 こんな何でも無い、当たり前のやり取りすらした事が無いのだ。
 資料で見る限り、居たのは姉代わりの少女と幼馴染の女の子。
 大人だけじゃなく、軽い目標やライバルになる男が一人もいない。

 男はせいぜい、メルディアナの学園長である老人や、他教師ぐらいではないだろうか?
 母親ではなく父親を想い続けるのは、こんな生活環境だったら仕方ないのかもしれん。
 姉が母代わりをしてくれる一方で、父親の代わりをしてくれる者が居なかったんだから。

 いや、コレについては、この先様子を見てみねーと判らんか……


 風呂から上がると、リビングにはびっしりと布団が敷かれており、ネギがウチに来た最初の日って事もあって、皆で雑魚寝するみたいだ。
 パジャマ姿で楽しそうに戯れる少女達を微笑ましく見ながら、やっぱり嬉しそうにしているネギの頭に手を置いた。


「ネギ、学校にいる間はお前は大人にならんとイカン。でもな、この家にいる時ぐらいは、お前は唯の子供になって良いんだからな」


 言いながらネギの首根っこを掴み持ち上げると、そのままあやかと千鶴の間に放り投げた。
 母性溢れて飛び出さんばかりのこの2人に任せておけば、後は大丈夫。

 第一、こんなの俺のキャラじゃねーしな。
 ってか俺に言う資格があると思えん。
 他にキチンと言えるヤツが居るなら、ワザワザ俺がこんな事せんでもえーんやけどなー。

 子供らしい笑顔を見せるネギやアスナ達を見てそう思った。

 思いながらも、しっかり夏美を部屋に連れ込んだがな。



 











「ふぁああぁっ! 横島さぁんっ! ひぃああぁああああっ!!」

「そんな大声出したらネギに聞こえるぞ!」

「んふぅっ……、はぁっ……、い、いじわる……、んぐっ……だめ、ダメだって、そんなに激し……くぁぁああああああ……」


 俺の下で艶かしく肢体をくねらせる夏美ちゃん。
 目と口をギュっとキツク閉めようとするも、俺の激しい腰のグラインドに翻弄され、甘く激しく声を荒げる。
 グチャグチャと粘りつくような水音を立てながら、許しを乞う彼女の胎内を掻き回し続けた。


 ネギが居たら色々と邪魔かな?

 何て思っていたんだが、大差ねーな、俺の性活には。
 それどころか、羞恥プレイのランクが一段階上がったぜ!


「ああああ、いや、いやぁ……よ、よこしまさん許ひてよぉ……」


 グラインドからピストンに腰の動きを変え、泣き出す一歩手前の夏美ちゃんの子宮を激しくノックしながら、こう思った。

 どんな状況でもエッチする事を止めない俺、実にカッコイイ! 


 俺はこの日、ちょっとだけ洒落にならんミスをしたのにも気づかず、嬉々として夏美ちゃんとの素晴らしい一夜を過ごした。

 木乃香ちゃんの事情を説明するのをすっかり忘れて。
 そう、ネギがアスナだけじゃなく、木乃香も魔法関係者だと勘違いさせたまま。
 あやかが魔法っポイ攻撃を俺にかました所為もあって、この家に来る者全てが、魔法関係者なのだと思わせてしまった事を。
 気づいたのは翌朝。ネギが木乃香の膨大な魔力に気づき、凄い魔法使いだと勘違いして自分に魔法を教えてください、そう言った時だった。
 その時の喧騒は思い出したくない……


 ただ一つ解る事は、


「んっ、んっ、んぅああっ……ぃっ、ちゃうよっ! よこしまさん、わたし、もうっ……んぁあぁあぁぁあああっ!!」

「いいのか~、外まで聞こえるぞ~?」

「い、いい……からっ! きこえて……ネギくんに、聞こえても、いいよっ! だから、だからぁっ!!」

「よし、イケッ!!」

「ひぃっ!? おっきく、横島さんのがっ……くぅっ!? きゃぅうぅぅぅぅうぅうぅっ!!」


 この時の俺は、心底楽しんでいた。

 自分の犯したミスにも気づかず。





[11660] ネギま!のほほん記 第2巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:701568f6
Date: 2010/11/16 23:09


 その日、いつに無く早起きをした彼女は、外の冷たい空気を全身に浴びて眠気を覚まそうと窓を開けた。

 ヒンヤリとする風をその身に浴びながら「ふあ~」と大きく欠伸。
 昇ったばかりの太陽を目に入れ、眩しそうに目を細める。

 そして彼女は見てしまう。
 よりにもよって常識を重んじ、自分のクラスの非常識さにストレスを溜め込んでいる彼女が。 

 箒に乗って空を飛ぶ子供とクラスメイト、なんてファンタジー。


「ひゃーっ! お空を飛ぶんは気持ちええなー」

「このかさん! 一応力場があるから落ちないって言いましたけど、そんなに身を乗り出したら流石に落ちちゃいますよっ!?」


 彼女、長谷川千雨は目をゴシゴシ擦ってみる。
 シパシパ目を瞬かせ、耳穴に指を突っ込みほじくり返す。
 そしてもう一度、空を眺めてみた。

 きっと目の錯覚だと、何か聞こえるのは耳鳴りに違いないと。


「なーなーネギくん」

「なんですか、このかさん」

「ウチらのこと、普通の人には見えへんのやろ?」

「ええ、ちょっとした認識阻害の魔法がかかってますから」

「でも千雨ちゃん、こっち見とるえ?」


 とても嬉しそうに「やっほー」と言いながら手を振る。

 顔を真っ青にさせるネギ。
 木乃香の事は、横島が自分の所為だと言ったから問題無かったにしても、コレは実にマズイ。


 修行2日目にして魔法バレ? 仮免没収でウェールズに強制送還!?
 彼女の記憶を消してしまおうか? ちょっとパーになるけど……
 

 ネギが可也危険な考えに到った時、千雨は何事も無かったかのように、ピシャンっと勢い良く窓を閉めた。


 あれ? 見えなかったんだろうか……


 そう思いながらも不安を隠せないネギ。

 学園長先生の助言通り、帰ったら横島さんに相談してみよう。

 そう決めると急ぎ家に帰るため、木乃香を促し始めた。


「このかさん、そろそろ帰りませんか?」

「そうやな~、もう朝ご飯の時間やしな」


 木乃香の言葉を聞くや否や、ネギは猛スピードで家路につく。

 少しでも速くあの人に相談しよう、なんでか裸で夏美さんと抱き合ってた横島さんに。



 ネギが飛び去ったちょうどその時、千雨が恐々と窓を開ける。


「何もいない、何もいない、いる訳ない、そんな筈はねー、うん、そうに決まってる……」


 千雨は不安を隠し、自分の常識の破滅の予感をひた隠しながら、クワッと目を見開いて空を見た。
 だがネギは遠く横島家に向って飛び去っており、見えるのはただ澄んだ青空と流れる雲。


「あ……アハハ……、何だ、やっぱ目の錯覚じゃねーか。アハハ、そうだよなー、そんな訳ないよなー。近衛と昨日の子供先生が空飛んでるなんてなー。
 寝ぼけてたんかなー、それともちょっとネットのやり過ぎか~? 今日はさっさと寝てパソコンは触らねーよーにした方が良いよな、ウン」
 

 空に未確認飛行物体が居ない事にホッとすると、そのままブツブツ言いながら、再び布団の中に潜り込んだ。


「夢だ夢。あんなん現実にあってたまるか……」


 彼女の呟きは、朝日が差し込む自分の部屋に空しく吸い込まれた。


























  ネギま!のほほん記  第2巻  魔法ばれ

























「横島さん、おいし? 今日の朝ごはんは私とアスナの合作なんだよー」


 コクコク頷きながら、ガツガツ、ムシャムシャ、ゴクゴクと、一心不乱に食べる横島。
 山盛りご飯のお茶碗を片手に、夏美が作った卵焼きを食べながら、アスナの作ったお味噌汁を飲み干す。

 そんな横島を見て、アスナも夏美もニッコリにこにこ。


「ほ~らっ! もっと落ちついて食べなさいよ」

「いやー、腕上がったなアスナ。この味噌汁なんざ、まんまお袋の味と変わんないぞ」

「えへへ、ここ最近お料理さぼってたじゃない? だからちょっと気合入れてみたのよねー」

「これが忠夫さんのお母様の味ですの?」

「えへへ、まだまだだけどね~♪ でもね、この先にお義母さまの味があるのは確かよ?」


 マザコン気味の横島の舌は、やはり母の作った料理が一番馴染む。
 それを良く知るアスナは、ここ最近の家事のサボり具合を反省し、只管に彼女の味を再現しようと試みていた。
 木乃香と言う、現在最も強力な恋敵(ライバル)に負けない為に。

 そんなアスナの努力が報われたのか、彼女達を褒めながらも食べる手を止めず、何度もウマイ、ウマイと言ってくれる横島に、アスナはもとより夏美も上機嫌。
 横島の左右にべったりとくっついて、甘えながらア~ンをして食べさせたりする2人は、指をくわえて羨ましそうに見る木乃香にも気づかない。


 あやかは横島好みの味も気にはなるが、少し様子のおかしいネギも気になる。
 ご飯を美味しそうに食べてはいるものの、何か悩み事でもあるのか、少し浮かない様子。

 実はネギ、横島に千雨の事を相談したかったのだが、この微笑ましくも甘ったるい空気が飛び交う中では中々に声をかけ難く。
 頭の中では最悪な未来予想図が渦巻いており、美味しいご飯の味も段々と解らなく……

 遂には箸を置いて「はぁ~」と大きく溜息を吐く始末。
 それに気づいた夏美が、「ネギ先生、ご飯、美味しくなかった?」と少し悲しそう。


「い、いえ違います! すっごく美味しいですよ、ほらッ!」


 横島を真似て口にご飯とおかずをガツガツ放り込んでいく。
 だが、ネギは元来そんなはしたない食べ方をした事が無い。


「ガハッ、ゲホッ、ゴホッ……」


 案の定、気管に物が入ってしまい咽てしまった。
 慌ててあやかが差し出した水を飲んで一息吐くと、みんなの視線を感じて真っ赤になって顔を俯かせた。


「どうしたんですの、ネギ先生?」


 あやかの言葉に、パクパクと口を開け閉めさせる。
 何て言ったら言いのだろう?
 ネギはそう思うものの言葉に出来ず、アタフタして仕舞いには目に涙を溜め始めた。


「千雨ちゃんのことなん? ネギくん……」

「はい……、ボク、このままじゃオコジョに……」


 もう泣き出す一歩手前だ。
 あやかがそんなネギを優しく宥めながら、話を聞きだす。
 朝の空の散歩の時の出来事を……





















「大丈夫だろ。特に反応なかったんだし」


 横島の気楽で気の抜けそうな程に緩んだ声に、ネギは小さく頷く。

 やはりこの程度ではダメかと思った横島は、

「まあ、ここでアタフタしててもどーにもならん。取り敢えずは様子見だな」

「ごめんなー、ネギくん。ウチ、そんな大事だとは思わんかったんよ……」

「木乃香ちゃんもコレからはキチンと気をつけてな。学園長はともかく詠春には絶対秘密だ!」

「何でなん? お父様も魔法関係者なんやろ?」

「詠春はな、木乃香ちゃんが裏に関わるのに反対なんだ。もし、俺のミスで魔法の事を知ったと知れたら……」


 顔を真っ青にしてガタガタ震えだす横島。
 そんな横島を見て、不思議そうにする木乃香。
 いや、木乃香だけじゃなく、あやかも夏美も千鶴もだ。


「詠春はサムライマスターって言われてた程の化け物や。正面から戦りあって勝てる相手じゃねー!」


 その言葉に驚くあやか達。
 何せあやか達は横島の強さを良く知っているから。
 彼女達の中では誰にも負けない強い人、それが横島忠夫だったから。

 蟷螂の化け物を屠り、300万ドルの賞金首ラプシィア・ルンの首を取り、アキラを輪姦そうとした醜悪な化け物共を一瞬の内に殲滅する。

 そんな横島より強いって一体……

 実際の所、正面戦力が上ってだけで、実力的には横島だって負けてはいない。

 ただ、相性が果てしなく悪い。
 典型的な前衛に力ずくで来られると、補助的な遊撃がもっとも適したポジションの横島では勝ち難いのだ。

 その一方、逃げに徹したら100%逃げ切れる自信があるし、不意をついたり卑怯な手を使えば幾等でも勝ちを拾える自信もあるが。


「そうだネギ。もしもその千雨ちゃんって娘が空飛んでたトコを見てたとしても、安易な行動はとんなよ?」

「えっと、どう言う意味ですか?」

「安易に記憶を消そうとすんなって事だよ」

「でも、秘密を知られたら……」

「最終的にはそうせな成らんかも知らんが、焦る必要はねーって事だな。スグに世界中に魔法の事が知られる、ってんじゃ無い限りはよ」

「そーゆー事よ、ネギ。彼女がどうこう言ったって、頭が可笑しい人だと思われてお終いなんだから」


 横島が生まれた育った世界、その後に彼が飛ばされたディル=リフィーナ、そしてムンドゥス・マギクス。
 それ等の世界にとっては常識と言っても良い、魔法や神秘などのオカルト技術。
 それを何だか良く解らん理由で否定しまくるのが、この世界の常識だからだ。

 横島が生まれた世界にも、極少数だが頑なにオカルトを否定する者が確かに居たが、この世界のそれはいっそ異常だ。
 恐らく目の前で見せられても、適当な理由をつけて魔法の存在を否定する事だろう。

 横島はナギ達と別れた後、この世界で一人、旅をしていた時につくづくそう思った。
 だからこそ、無責任ではあるがアスナの言う通り大丈夫だろうと、横島は確信する。


「でも、ボクは今、その修行中で、もしも学園長先生に知られたら……」

「あーその辺は俺に任せとけ。ってか多分大丈夫だろ?」

「何か文句言うてきたら、ウチがじいちゃんにガツンって言ったるから安心してな、ネギくん」

 何処からともなくトンカチを取り出すと、ブンブン振り回す木乃香。

「そうですわ。私もセクハラで訴えますわよ? とか言って牽制しますわ」

 言いながら黒い笑みを浮かべるあやか。

 そんな2人を見て、ちょっと怖い物のそれ以上の頼もしさを感じられ、ネギは漸く少し安心できたのか、

「みなさん、ありがとうございます!」

 お礼を言うと、暗くなっていた顔を一転、笑顔に変える。


 元気を取り戻したネギは、少し冷えてしまった朝食の残りを急いで食べ始めた。

 学校に行く時間が差し迫っている中、それでも実に美味しそうに。





























 アスナ達が学校へ行ってしまい、静まり返った家の中で、ぼへーっと虚空を眺める男が一人。

 彼は朝から色々とあった所為で、一日が始まったばかりだと言うのに、精神が既にKO寸前。

 木乃香の事だ。彼女に魔法バレしてしまったのが余りに痛い。
 魔法の世界に8割がた足を踏み込んで居たとは言え、それでもギリギリの一線で護り通していた秘密があっさりとバレてしまったから。
 これから先は、木乃香に魔法バレしたのを詠春に知られないようにするのが上策。
 だが彼女の護衛(?)が此方をコソコソと監視しており、そこからバレてしまう可能性がとてつもなく高い。

 その護衛モドキを何とかせな身の破滅……

 いっそ捕らえて口を塞ぐか? いんや、それじゃ悪目立ちする可能性がある。だったらコマしてワイの言いなりに……

 横島は麻帆良に来て以来の最大のピンチに、頭が沸騰するほど悩み、悩み、悩み抜いた挙句……


「どうせ詠春に知られて八つ裂きにされるってんなら、その前にヤツの首を取ったらぁーーーーーーっ!!」
 

 目指すは京都、関西呪術協会。
 多数の巫女を侍らし、和風ハーレムを作ってウハウハしている詠春を闇討ちする。
 更についでに巫女さんを2~3人お持ち帰りでワイもウッハウハ!

 横島はだらしなく顔を緩ませると、京へと行くための準備をしようと重い腰を上げた。
 京美人に囲まれてのぬちゅぬちゅのぐちゃぐちゃを想像しながら。

 だが、そこで不意に気づく。
 相手は横島が知る中で最強の剣士、近衛詠春。
 今の衰えた自分の隠行では見破られるかも知れん。

 ならば、その勘を取り戻すのが先か……



 
 横島は浴室に行き、手拭を手に取る。
 そしてそれを頭に掛け、鼻の辺りでキュイっと縛った。


「まずは大学部だな。そして次に高等部、最後の仕上げに女子寮ってところか。くっくっくっくっ……、みなぎるぞ! 凄くみなぎってきたぁっ!!」


 性犯罪者横島忠夫、ここに再誕!

 彼は、あの美神令子以外ならば、例え神魔族と言えども見つからないで覗きをする自信がある。

 いや、自信が『あった』

 既に現役を退いて久しく、だからこその修行。
 あの頃の自分を取り戻す、その為の修行なのだ。
 横島はそんな感じで自己の正当化をすると、目を血走らせ、鼻息をフンッ!フンッ!と荒げる。


「さあ、行こうか。この世全てのお宝を拝みに……」


 彼がホッカムリしたまま外に出ようと玄関に出て靴を履いていると、ピンポーンとドアホンが鳴った。


「誰だ、こんな時間に……」


 折角上がったテンションが無駄になり、少しの不機嫌さを隠さずドアを開けた。
 どうせ魔法関係者だろうと。今度はどんな面倒事を持ってきやがったのかと。
 だが、玄関前に佇んでいたのは、横島の予想を違え、アスナ達と同じ学校の制服を着た人の手によって創られた少女。

 『真祖の吸血鬼』エヴァンジェリン・A・K・マグダウェルの従者、絡繰茶々丸。


「茶々丸ちゃん、人の事は言えんがサボリは良くないぞ?」

「いえ、次の時間が自習なのでサボリではありません。私はマスターの命でアナタをお迎えに参りました」

「エヴァンジェリンは学校だよな? 登校地獄の呪いで」

「はい、そうです。出来ましたら余計な抵抗をせず、大人しく連行されて頂けたらありがたいのですが」

「へっ? 抵抗って、連行ってなに!? ワイは、ワイはまだ何も悪い事はしてないぞーーーーーーーーっ!?」


 逃げようと素早く家の中に戻ろうとするも、ギャグ補正なのかあっさりと捕まり、背中からガッチリと抱き抱えられてしまう。


「大丈夫ですよ、横島さん。痛くしませんから……」


 そう言うと、背中がバシャッと開き、ノズルの様な物が飛び出る。
 そのノズルと足の裏からドドドド……と火を噴出したと思ったら、そのまま宙を飛んだ。
 行く先はエヴァンジェリンがサボリで昼寝をしている麻帆中の屋上。


「なんでやー! ワイは悪い事なんかしてねーぞー!? 茶々丸ちゃんに抱きかかえられてラッキー何て思ってねーぞー!」

「こんなので宜しかったら、いつでも致しますが?」


 清々しく晴れわたったお空の上で、横島の言葉に少しだけ嬉しそうに口元を緩める。


「背中に当る胸がゴツゴツ固くて、全然気持ち良くねーなんて思ってねーかんなぁーーーーっ!!」


 だが、その横島の続いての言葉で、緩んだ口元が再び硬く閉じた。


「そうですか、それは残念です。少し、急ぎます」


 バーニア全開、出力最大、最高速度逝きます。

 茶々丸がボソッと呟くと、ドヒュンっと一気に速度が上がる。


「イタッ! 風がイタッ!? ちゃ、茶々丸ちゃん、痛くないってゆーたんやんかーーーーーっ!?」

「大丈夫です。この程度で人は死にませんから」

「死ぬ、死ぬって! 息出来ねーって、茶々丸ちゃん!?」

「……失礼しました。人はともかく、この程度では横島忠夫は死にませんから」

「人はともかくって、俺って人じゃないの!? ねぇっ! 茶々丸ちゃん、聞いてるっ!?」


 横島の叫びはシカトされ、茶々丸は錐揉みバレルロールで目的地へ只管飛び続ける。


 なぜ彼に対して自分は乱暴な事をしているのでしょうか?

 今度、ハカセや超に相談してみましょう。


 茶々丸は不可解な自分の行動を鑑みながら飛び続ける。面白可笑しいちょっと気になる男の鼓動を感じながら。








 木乃香に魔法バレを端に発する横島の暴走は、真に暴走する前に幕を閉じた。

 横島が覗きを敢行し、性犯罪者への道を歩まずに済んだのは、エヴァンジェリンの功績だろう。

 彼女はその事を知る由も無いが……

 それはアスナ達にとっても、そして何より横島にとっても幸いな出来事だったろう。

 










 








  
 一方、その頃……



「は……ははは……、マジかよ……、い、いや、良い! これ以上は話さないで良いです、ネギ先生」

「えっ? ですが、ボク、長谷川さんにお願いがありまして」

「はぁっ? いやいやいや……、私はコレ以上、そんな非常識なモノに関わりたくないので。それじゃ!」


 此方の魔法バレは、まだ、何処に行き着くのか解らない。













[11660] ネギま!のほほん記 第3巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:35

 俺は現在、無駄に長い人生の中でもトップクラスに入る程のピンチを迎えていた。

 原因はそう、目の前にいる少女、不死の魔法使い、闇の福音、人形使い等のちょっとイタイ2つ名持ちの『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』

 魔力を封じられ、幼女と言っても良いその姿で、それでも尚、これほどの力を魅せるのかと。


「どうした、横島忠夫。キチンと私の話を聞いているか?
 と言うかだな、そのほっかむりは何なんだ? 私を馬鹿にしてるのか、このエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルを!」


 上から目線で俺を追い詰めてくる。

 俺は虚勢をはり、何でもない風を装うので精一杯。

 彼女の女王様的なオーラに押され、このままでは!

 ああ、認めなくてならない。俺は今、猛烈に彼女の前に跪き、足の甲にキスをして忠誠を誓ってしまいそうだと。

 何だって俺は、この手のオーラを醸し出す女に弱いんだか。
 もしも目の前の少女が、ムチムチのバッツンバッツンだったら、既に俺は彼女の愛奴隷となっていた事だろう。
 美神令子により魂の髄の髄まで刻み込まれたM的な丁稚体質が、彼女のSッ気に引き寄せられてしまうんだ。


 もしかして若い頃を取り戻そうとした弊害か?

 これが俺の業だと言うんか!?
 こんな事ならほっかむり何てかぶるんや無かった!
 ああ、イヤだ! こんな見かけ幼女に忠誠を誓うなんてイヤだ!
 せめてナイスバディーなお姉さんなら、むしろ喜んで丁稚になるのにっ!!

 誰かワイを助けてプリーズ! ああ、誰か、ワイを……正しいエロへといざなえ……

 エヴァンジェリンが喋っているのを、右から左へと聞き流しながら、俺は必死で自意識を保っていた。

 ロリペドエロ丁稚へと堕ちないように、来る筈の無い、大切な使徒に心からの助けを求めながら。




















  ネギま!のほほん記  第3巻  使徒として
























 この日のネギの授業は事の他上手くいったと言っても良いだろう。
 昨日の初授業の時は騒ぎに騒いで授業を滅茶苦茶にした2-Aの生徒だったが、流石に反省したのか今日は大人しく真面目に授業を受けていた。
 流れるように授業が進み、ネギを心配していたあやかや千鶴も一安心と言ったところか。

 ただまあ、ネギがチラリ、チラリと長谷川千雨の方を見るのはご愛嬌。
 千雨もネギが自分を見ていることに気づいているのか、必死で目を逸らしあさっての方を見る。
 その事に気づく者は、アスナ達を除けば極々僅かで、2度目の授業の出来としては合格と言っても良い。

 事実、指導教員のしずなの目から見ても、充分以上の出来だ。


 キーン コーン カーン クゥォ~ン……、授業の終わりの鐘が鳴る。


「えっと、今日はコレで終わりですね。次回はテキストの78ページから始めますので、キチンと予習をしておいて下さい。
 それとですね、2時間目の授業は、瀬流彦先生が用事があって来れないそうですので自習だそうです。
 いいんちょさん、後はよろしくだそうですよ?」

「はい、わかりましたわ。ネギ先生も頑張ってくださいね?」


 うっすらと笑みを浮かべ、あやかはネギを励ます。

 明らかに挙動不審な千雨の事だ。
 間違いなくネギと木乃香が空を飛んでいるのを見たのだろう。
 ならば彼女を如何にかせねばなるまい。ネギが自分自身で。
 コレばかりは彼女が助けてあげることは出来ない。
 立派な魔法使いを目指す為の最初の試練になるのだから。

 ネギはコクリと頷くと、顔を引き締める。


「それでは1時間目の授業を終わります。あと、長谷川さんはお話があるので、ボクの後をついて来て下さい」


 一気に騒然とする教室。
 朝倉や双子の姉妹、それにまき絵と言った面々が興味津々。
 ネギに押し寄せて話を聞こうとするも、あやかが素早く扉の前に立ってネギを教室の外へと逃がす。
 ならばと千雨の方へと矛先を向けるが、こちらも既に逃亡済み。


「ちょっとちょっとぉっ! 何だって邪魔すんのさ、いいんちょっ!!」

「私に構っている暇がありましたら、ネギ先生を追いかけでもしたらどうかしら?」


 あやかは充分時間を稼いだと扉の前を退くと、ワァーっとクラスの半分以上の生徒達が押し寄せ、そのまま教室を出て行ってしまった。

 残ったのは元より興味の無かった面々と、そして横島の関係者のみ。

 先程まで騒然としていた教室が、あっという間に閑散としたのを見て、あやかは呆れた様に溜息を吐いた。

 教室を見渡せば、「お疲れさま、あやか」と労いの言葉をかける千鶴に居眠りモードに入ったアスナ、ネギが心配な木乃香と夏美。
 あやかに事情を聞きに近づいて来るアキラ、のどか、夕映の3人。
 後は興味なさげな桜咲刹那、龍宮真名、ザジ・レイニーデイ、四葉五月、葉加瀬聡美の5人だけ。


「みなさんときたら、本当にもう……」


 右頬に手を添え、もう一度溜息を吐く。

 だがあやかは解っていた。

 自分が横島の使徒になっていなければ、同じように後を追いかけたのだろうと。

 でも、今の自分は違う。

 もしも、あの人とネギ先生のどちらかしか助ける事が出来ない状況なら、迷わずあの人を取る。
 もしも、ネギ先生の存在があの人にとって害悪にしかならないのなら、迷わずネギ先生を排除する。
 もしも、ネギ先生を殺さねばあの人を救えないのなら、迷わずネギ先生を殺す。

 後悔はする。罪悪感で夜も眠れなくなるかもしれない。

 それでも、『今』の雪広あやかにとって、横島忠夫は何者にも代えられない。

 ただ同時に、あの少年が敵対する事は、余程の事が無い限り大丈夫。
 昨日一日の観察でネギの性向を判断し、あやかはそう確信もしている。

 だからと言って、決して油断も侮りもしないが。
 世の中、何が起こるかワカラナイ。
 半年以上前の自分では、今の自分を想像出来ないように、何かの切欠でネギが敵になる可能性だって有り得るのだから。

 ネギはあやかにとって非常に好ましい少年だが、だからこそ……

 だからこそ、あやかは想う。


「ネギ先生、お願いですわ。忠夫さんの敵にだけは、ならないで下さいませ」


 小さく、本当に小さくあやかは呟く。
 昨日からネギに向けていた母性溢るる慈愛の表情ではなく、横島忠夫の使徒としての冷たい顔で。
 誰にも何にも代えられない、大切で至上な主を持つ、従者の顔で。


「あやか、怖い顔してるわ。少し抑えなさい」


 あやかは千鶴の言葉に、ハッとする。

 思わず小さく呟いてしまった言葉が、周囲の者達に聞こえてしまった事に、迂闊さと情けなさの入り混じった後悔。

 千鶴と夏美は少しだけ顔を顰めさせているものの、平然とあやかの言葉を受け入れた。
 彼女達は知っている、使徒がどう言った存在なのかを。
 それに夏美は右腕の問題もあって、生涯を通して横島について行く気満々だから、根っこの部分ではあやかと同じなのだろう。
 千鶴もそうだ。彼女にとっても小さい子供は大切で慈しむ存在だが、それ以上に彼を求めている。

 もっとも、特別彼にとって害悪で無いのなら、普通に慈しむであろうが。

 それはあやかも同じ事で。

 だが、アキラとのどか、それに夕映の3人は驚きに目を見開く。

 そして木乃香は特に…… 


「あんな、いいんちょ。ネギくんのこと、嫌いなん?」

「いいえ、とても好ましい理想的な少年だと思っていますわ」

「だったら! なんでそんな怖い顔……」


 あやかはそっと木乃香の唇に指をあて、それ以上の言葉を吐き出させない。
 彼女はこれ以上の失点を重ねる訳にはいかないのだ。
 なんせこの場は学校、誰の目があるか分からない。

 木乃香の唇に指を当てたまま、あやかはグルッと教室中を見渡す。

 四葉五月と葉加瀬聡美は談笑しており、此方を見てはいない。
 龍宮真名は面白いモノを見たとでも言わんばかりの笑みをあやかに向けている。
 ザジ・レイニーデイは興味が無さ気だ。
 一番脅威な桜咲刹那はいつの間にか教室を出た模様。

 あやかはホッと胸を撫で下ろす。

 今、教室に残っている者は、五月とザジを除けば何らかの形で魔法(裏の事情)を知っている者達だから。


「私にとって、あの人以上に大切なモノなどありません。そういう事ですわ、このかさん」


 出来るだけ小声で、それでいて木乃香、アキラ、夕映、のどかにはしっかりと聞こえる様に。

 そして、そっと廊下の方を伺う。

 あやかには感じ取る事は出来ないけれど、確かにソコに居るのだろう。
 今、最もあやかが気をつけねばならない相手、桜咲刹那。
 関西呪術協会の長の娘、近衛木乃香の護衛。
 何故か護衛としての仕事は殆どせず、離れた場所から常に此方の様子を伺う少女。

 だからこそあやかは警戒するのだ。彼女は護衛なんかじゃなく監視者だと。

 その彼女に木乃香が裏の事情を僅かなりとも知ったと知れれば、横島が自分よりも強いと断言した西の長と敵対する可能性が出てくる。
 いや、相手が西の長個人だったらまだマシだ。
 下手をすれば、関西呪術協会そのものが敵となる可能性だってある。
 今だ戦力足り得ない彼女では、その最悪な未来が到来した場合、何も出来ずにただ見ているだけとなってしまう。

 その未来を手繰り寄せてしまう程の失態を、たった今犯しかけてしまった。

 仮面を被らなければ。
 何枚も何枚も、自分の家族足る者達の前以外では。


「ネギ先生は危険……なのですか?」

「これ以上、その手の会話は厳禁です。誰が聞き耳を立てているやも知れませんわ」


 チラリと目だけ廊下に向け、夕映の疑問には答えず、これ以上の会話をピシャリと止める。

 例えどれだけ勘違いされ様と構うものかと。
 あの真っ直ぐな少年に、悪意を持っていると思われても問題は無いのだから。
 自分好みの少年から嫌われるかも知れないと思うと、ちょっとだけ涙目だが。

 そしていつもの様に優雅に微笑み、自然とアスナの隣へ。

 くーくー、と幸せそうな笑みを浮かべながら眠る彼女。

 お世辞にも駆け引き上手とは思えない彼女を補佐するのが、今の、そしてコレからの自分の役割だろう。

 大切な大切な家族。永遠を共に歩む姉妹。互いの肢体で知らぬ所は無い仲。
 口中の唾液の甘さも、秘裂から溢れ出る蜜の甘さも、その唇から漏れ出す声の甘さも全て知っている。
 身体中のスミからスミまで、互いの指と舌が這わなかった場所など無い。
 喘ぎ、悶え、愛し、愛され、愛する主に愛され合う。
 唇を合わせ、身体を重ね、快感を貪り合いながら貫かれる。


 愛してますわ、忠夫さん。

 愛してますわ、アスナさん。

 愛してますわ、千鶴さん、夏美さん。

 アキラさん、のどかさん、夕映さん、アナタ達は、私達に愛される覚悟はありますの?

 そして、このかさん、アナタは……?


 一瞬、ホンの一瞬だけ彼女達だけに見える様に、凄絶なまでに妖艶な姿を見せ付ける。

 人ではなく、彼の為だけに生きる使徒としての姿。


 ゾクリと身を竦ませる4人。
 心から恐怖を感じた。
 もう、普段の様に微笑んでいるあやか。その彼女に。

 木乃香を除く3人は、あやかが何を言いたいのか分かった気がした。

 自分達の覚悟を問うているんだと。


 そして木乃香は恐怖で身を竦めさせる。

 小学生の頃からの知り合いだった彼女が、どこか遠くに行ってしまった気がして。
 幼い頃、あれだけ仲が良かった刹那みたいに、彼女達も自分の傍から居なくなる。

 そんな、孤独と言う名の恐怖と不安に、再び心を苛まれる。
 


 








































 授業が終わり、休み時間になって早々、ネギの事なんて気にも止めずに居眠り。

 あの子の事はあやかに任せておけば大丈夫。

 私は次の時間が自習って事もあり、素直に睡眠欲に身を委ね、心地好いまどろみの中、懐かしい夢を見た。

 ナギ達と旅をしていたあの頃の夢。

 きっとネギと会ったからよね? そう思いながら、懐かしい人達と再会する。

 ナギ、ラカン、アル、詠春、そして、ガトーさん……

 ちょっと遠くにいる人、行方が知れない人、そして、死んでしまった人。


 ナギが捕まえてきたネズミ、こんなんがメシかよと文句を言う忠夫。
 アルが余計な事を言って、酷い目に遭うタカミチ。
 笑って見ている詠春とラカン。
 我関せずとタバコを吸ってるガトーさん。

 みんなが揃って楽しそうにしている、最後の記憶。



 ……彼らと沢山話したいことがあるのに、上手く言葉に出来ない。

 そんな私の頭を、タバコ臭い手でクシャっと撫でる。

 やだ、涙が零れそう……


「なあ嬢ちゃん、今、幸せかい?」


 ちょっとばかり考えてたのと違うけど、すんごく幸せなんだと言葉にしたい。
 でも、声が出ない。それでもこの気持ちを、ガトーさんに何とか伝えたい。
 だから私は何度も何度もコクコクと頷く。


「だったら行けや。あのエロ野郎が嬢ちゃんを待ってるからよ」


 気づけばガトーさんの周囲は暗闇で、さっきまで楽しそうにしていたナギ達は何処にも居なく。

 ニッと渋く微笑むガトーさんが、タバコを持つ手で軽く手を振る。
 暗闇がタバコの煙で白くなり、光が溢れ……そして……私は目を覚ます。


 目を覚ました私は、ガバッと席から立ち上がった。

 そんな私に驚いたのか、いつの間にか隣に居たあやかが私を下から覗き込む。


「どうなさいましたの、アスナさん」


 あやかが私の頬にハンカチをあて、涙を拭う。
 気づけば涙が零れ、私はどうやら眠りながら泣いてたみたい。


「ううん、何でもない。ちょっと昔の夢を見ただけだから。あっ、悲しい夢じゃないわよ?」


 懐かしい、とても会いたい人の夢だから。

 笑みを浮かべながら、私は心配そうに此方を伺うあやかに「だから大丈夫よ」と言って席に座った。


「あれ、何か閑散としてない? 授業中よね、今?」

「はあ、そうなんですの。みなさんネギ先生を追って行ったっきり帰って来ないんですのよ。まったく、何をしているんだか……」


 ナギの息子か……

 上手く千雨ちゃんを誤魔化せると良いんだけど。


「アスナさんはネギ先生が心配では無いのですか?」

「んっ? 心配って……、まあ、何とかなるでしょ。アレぐらい自分で何とか出来ないようじゃ、この先マホラじゃやってけないわよ」


 ゆえちゃんに簡単に答えを返しながら、何だか不安そうにしている子達を見る。

 そんなにあの子が心配なのかな? アレでも教師になる位なんだから、そんなに心配する必要は無いと思う。
 イザとなったら学園長やタカミチが何とかするに決まってるし、どうにもならなくなったら忠夫が出張るでしょ。
 目下の子達にはアレでスンゴク甘いんだから。


「だからね、そんな不安そうにしなくても大丈夫よ? 別にこのかが悪い訳じゃないんだしさ」

「うん、そうやな……。でもウチは気にしてへんよ……」

「って、今にも泣きそうな顔して言われても、説得力ないわよ?」

「ああ、ちゃう、ちゃうんよ。あんな、アスナ、少し聞いても良い?」


 上目遣いでオドオド。
 そしてチラチラと私を見て、あやかを見る。

 何? 私はそう思いながらあやかに視線で問いかける。

 ゆっくりと、少し億劫な様子で首を振るあやか。

 このかが何を聞きたいのか分からないんじゃなくって、あやかじゃ如何にも出来ないって事かな?
 何だかアキラちゃんやのどかにゆえちゃんまで、ちょっと様子が可笑しいし、アンタ何かやったの?

 ……まあ良いわ。どうせこのかに聞けばスグわかるし。

 そう思ったその時だ、背筋にゾクリと悪寒が走ったのは。
 私は勢い良く椅子をガタンと引いて立ち上がり天井を見る。
 そこから不吉な感じが……
 

 『だったら行けや。あのエロ野郎が嬢ちゃんを待ってるからよ』


 さっきの夢で、ガトーさんが私に言った言葉。

 もしかして、アノ人になにか……?

 険しく顔を顰めさせる私をあやかが厳しい口調で問いかける。


「どうしたんですの? あの人に何かっ!?」


 ああ、あやかにはわかっているんだ。

 例え今は感じられずとも、私の様子だけで忠夫に危機が迫っているって。


「わかんない。でも、何かあったんだと思う」


 それを聞いて、あやかも眉根に皺を寄せ難しい顔に。
 他の娘達は、急に厳しい顔になった私達を見て何処か不安気。

 このかがブルブルと震え、でも私はそんな事を気にする余裕は無く。


「アスナさん!」


 あやかは素早く鞄から除霊道具を取り出すと、外野が何か問いかけるのも無視して私の身体に装着させる。
 今の自分では足手まといと言いながら、それでも少しでも役に立とうと。
 自分の太腿に隠し持つ神通棍を私の太腿に、腰にお札の入ったホルダーを装着させる。


「さあ、急いで!」


 あやかにドンッと背中を押され、私は教室を飛び出した。
 廊下に出ると階段まで走り抜け、一気に駆け上る。
 途中、認識阻害の魔法が掛かっているのに気づくと、不安は最高潮に。
 屋上へと出る扉をバァーンと乱暴に開ける。
 瞬間、目に入る光景に、全身の血が凍りついた。


 屋上の床に倒れ伏す忠夫の姿。

 両脇にエヴァンジェリンと茶々丸さん。

 彼の身体を中心に、流れる水の赤……

 血、アレは、血……よね……?

 茶々丸さんの手には、忠夫の血に濡れた手拭。

 ぐったりと動かない、タダオ……私の……

 ヒュッと息を呑む音。私の喉奥からの音……


 何かが切れる。冷静にならなきゃいけないのに、目の前の光景が私からソレを失わせた。

 エヴァンジェリンが慌てた様子で何かを囀る。

 でも、私の耳まで声は届かず。


 ドッ! 私の中の力が弾けた。

 エヴァンジェリンは真祖の吸血鬼、ならば霊力は特効。
 でも茶々丸さんは機械、霊力では不利。

 私ではエヴァンジェリンと茶々丸さんの2人に勝つ事なんて不可能。
 エヴァンジェリンがまともに魔法を使えなくてもだ。

 そんな事は解っている。誰よりも!誰よりも!
 それでも私は使徒として大切な主を、女として愛する男を、傷つけたモノをユルセナイ。

 スカートをたくし上げ、神通棍を右手に納める。

 左手であやか謹製のお札の束を手に取り、霊力を最大限まで高めてエヴァンジェリンに向けて投げつけた。

 エヴァンジェリンは少し焦りを見せるものの、それでも悠然と私のお札を魔法障壁で弾く。

 いや、弾いたつもりだった。
 例え弱まっていても真祖の力で出来た障壁。
 漸く素人の域を脱した程度のあやかの札など防ぐに容易い、はずだった。
 だが、見るからに力拙いその札が、私の完全魔法無効化能力を付与された霊力で増幅され、彼女の障壁を突き抜ける。


「ぐっ! バカな! この程度の魔法札を防げないはずがっ!?」


 10枚を超える『縛術』の札がエヴァンジェリンに纏わりつき、彼女の行動を阻害させた。

 私は右手の神通棍に霊力を通し、彼女の体を目掛けて槍の様に突く。
 だが、彼女の身体に吸い込まれる寸前、茶々丸さんの機械の腕にガギンッ!っと弾き返される。


 くっ! やっぱ霊力じゃ彼女の相手をするのは不利か!


 勝ち誇るでもなく、今だ困惑の顔を隠せないでいるエヴァンジェリンは兎も角、茶々丸さんの相手はマジでキツイ。

 でも、だからって此処で引く訳にはいかない!!

 あとどの位の間、あやかの札がエヴァンジェリンの動きを止めていられるか分からない以上、ここで無理してでも一気に茶々丸さんを、倒す!


 私は霊力から、魔力、気に力の質を換え咸卦の気に融合させた。

 バシンッバシン!っと身体中の血管が弾け飛ぶ様な痛みに襲われながら、私は咸卦の気を高めていく。

 無理な気の放出で制服のアチコチが破れ、身体のアチコチから血を滲ませる。
 鼻から血が滴り落ち、私は乱暴に手でソレを拭い取った。
 強引に霊力から咸卦法に切り替えた弊害だろう。
 私の身体と霊脈はボロボロに傷つき、だけどそれでも私は止まらない。


 私は彼女達から一旦大きく距離をとると、すかさず神通棍をエヴァンジェリン目掛けて投げつける。
 咸卦の気が大量に込められたソレは、封印状態のエヴァンジェリンの身体では耐え切れまい。
 当然その攻撃は茶々丸さんによって防がれるだろうが、その時生じた隙を私は見逃さない。
 そう、茶々丸さんには守らねばならない相手が居る。

 ならば、ソコを突くのが私に残された数少ない勝利への道。


 ドガン! 大量の咸卦の気が込められた神通棍が、エヴァンジェリンを庇った茶々丸さんの腕を破砕する。
 同時に私は咸卦の気で全身を強化し、一気に茶々丸さんの懐近くに。


「主婦友達だと思っていたのに!」

「アスナさん、アナタは勘違いをしています」


 聞く耳なんて持つモノか!
 これは私に与えられた数少ないチャンス。
 コレを逃し、更にエヴァンジェリンが自由になった瞬間が私の敗北。

 ならば、此処で確実に茶々丸さんを、潰すっ!!


「ちょっ、待てっ! 良いから少し話を聞けっ!?」


 エヴァンジェリンの叫びは空しく戦いの喧騒に吸い込まれ、

 私は忠夫と同じく全身を血で真っ赤に染め上げ、捨て身の攻撃を尚激しさを増していく。


 愛する主が目を覚ます、その時まで。
 






























 後書き

 無印連載開始から、早半年。

 無印初期からご覧下さる方も、最近Rから見始めた方も、今年一年本当にありがとうございました。

 来年もよろしくお願い致します。 2009.12.29 by uyryama



[11660] ネギま!のほほん記 第4巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:36

 拳を突き、払われ、蹴り上げ、流される。

 攻勢の私に防戦一方の茶々丸さん。
 後ろでギャーギャー喚くだけのエヴァンジェリン。
 ほんの数秒の攻防だと言うのに、まるで何時間もこうして戦りあってる様に感じさせる。

 濃厚で濃密で、一瞬でも気を抜けばそこで終わり。
 自分の体中から噴き出す血、それには一切の意識を遣らず、ただ只管に茶々丸さんを『殺す』事だけを考える。

 とは言え、私の身体は満身創痍。
 霊力から咸卦法への無理な切り替えの所為で、霊脈、気脈は共にボロボロ。
 軽い動き一つで全身がバラバラになる程の痛み。
 今の私は健常時の6割方しか力を発揮出来ていない。
 いつもの私だったら、片腕だけの彼女なんて敵じゃないって言うのに。

 一方、茶々丸さんは茶々丸さんで左腕が無い上、何処か弱気。
 彼女の実力ならば、もう少しだけマトモな戦い方が出来るはず。

 私をナメている……訳ではない様だけど……

 ううん、今は余計な事を考えている場合じゃない。
 一刻も早く彼女を無力化して、エヴァンジェリンを……殺す。
 茶々丸さんさえ居なくなれば、魔力を封じられ、ただの人間と同じポテンシャルしか持ち合わせていない真祖の吸血鬼など、一瞬で屠れる。

 ならば、今が全てを賭ける時!!


「ハァアアアッ!!」


 気勢を上げ、私は全身から全ての力を搾り出す。
 ブシュッ、と音を立てながら皮膚が裂け、血が噴き出す。
 血で全身を赤黒く染めながら、怒りの篭った目で目の前の敵を睨みつけた。


「アスナさん、これ以上はアナタの身が危険です!」

「私の心配より、自分の心配したら?」



 私には必殺の技がある。

 忠夫が言うには、雪じいちゃんの技であろう『魔装拳』が。
 霊力を物質化させ全身を覆い、自らを一時的に魔物に変えて人間以上の力を発揮させる『魔装術』
 そんな危険な禁術を用い、技を極めた先にあるであろう技……の筈らしい。

 忠夫自身、見た事も無ければ聞いた事も無い。
 でもだ、間違いなく私が何時か此処に辿りつける様に鍛え上げたに違いないと、忠夫は自信を持って口にする。
 そう、この技は、雪じいちゃんが忠夫を倒す為の技なんだと。
 もちろんの事だけど、私は魔装術を極めるどころかマトモに使う事すら出来やしない。

 威力自体も雪じいちゃんに比べれば、鼻で笑われる程度のモノに違いない。
 忠夫もハッキリとは口にしないけど、今の私の魔装拳は、ただ形だけのモノなんだろう。
 それに今の私が纏っているのは霊力じゃなく、咸卦の気。
 当然だけど魔装拳を使うなんて出来やしない。

 でもね、魔装拳を使うようになってから、私は学んだことがある。
 それは力の集中。どんな弱い力でも、一点に集中すれば……
 だから私は、今、自分が纏う咸卦の気を、全て血塗れの右手に集中させる。

 一撃で彼女を『殺す』為に……


 バシュッ! バシュッ!

 私が収め切れない力が放電する。
 血管が破裂し、皮膚は既にボロボロ、もう右腕の感覚なんて無い。


「お、オイ、神楽坂明日菜! やめんかっ!? キサマ程度がそんな技を使えば……」

「ウルサイ! アンタは黙ってなさいよ!!」


 一点に対する威力だけなら、タカミチの豪殺居合い拳にだって負けやしない!
 この一撃を放った後は、多分右腕も一緒に吹き飛ぶ事だろう。

 でも、残りの左腕で、今度はエヴァンジェリンを消滅させ、そして、あやかを呼んで、文珠を使って忠夫を……

 
 痛みと出血で、私の意識は朦朧としだし、それでも私は茶々丸さんに全力の一撃をブチかますために、身体を前のめりに。


 ダンッ! 床を蹴り、私の出来る最速の一歩。
 シュン、と私は茶々丸さんの認識出来る速度を超えた。
 彼女の背後に回り、そして、彼女の身体に拳を吸い込ませる。


 その瞬間、いつもは無表情の彼女が、驚きと、そして申し訳無さが入り混じった微妙な表情を浮かべた。


「すいません、マスター……横島さん……アスナ……さん……」


 チリ……と胸が痛んだ気がした。

 私の拳の先から茶々丸さんの間が光で溢れ、私の右腕が消し飛び、彼女の身体が爆散した。





































  ネギま!のほほん記  第4巻  不思議な気持ち


 


 










 









 爆散した……と思ったんだけど……


「めぎょっ!?」


 私の拳は硬い茶々丸さんのボディーじゃなく、何でか忠夫の顔面に。
 吹き飛んだと思った私の右腕も、キチンとそこに有って……

 再びバタン、と地に伏す忠夫。
 同時に私の背後で、バキンと何かが割れる音。


 エヴァンジェリンを縛っていた符術が破壊されちゃったか。

 この瞬間、私の敗北が決定的になり、でも、それ以上に私の頭の中は混乱中で。
 そんな混乱した頭で、私の攻撃で倒れ伏した忠夫を抱きしめる。
 初め見た時は、あんなに血塗れだったのが今は一切そんな事はなく、どちらかと言えば私の方が間違いなく重症だ。
 私が殴った跡以外は、キレイな姿の忠夫の頬を撫でる。


「良かった……」

「ったく、随分と好き放題やりおったな、小娘が」


 怒りからか、頬をピクピク痙攣させるエヴァンジェリン。

 私は忠夫を庇いながら立ち上がる。
 痛みと出血で意識が朦朧とし、何より今の状況がさっぱり分からなくなってきた。
 それでも忠夫を守らなきゃ、ただそれだけの気持ちでエヴァンジェリンを睨みつける。


「安心しろ、小娘。横島に手を出すつもりは無い。大体、私は何もしておらん!!」 
 
「はあっ?」


 疑問の声を上げると同時、忠夫が「いっつ~」と頬を押さえながら目を覚ました。
 全身血塗れの私を見ると、エヴァンジェリンの目の前だと言うのに慌てて文珠を取り出し、一瞬で私の治療をする。
 絶え間なく襲う痛みから解放されながら、私はそれでも血が足りないのか意識は朦朧のまま。

 忠夫はそんな私をキツク抱きしめる。


「ごめんな、アスナ、ワイがアホやったばっかり……」

「ううん、アナタを守るのが、私の役目だもん」
 

 心底すまなそうにする忠夫。


 ああ、もしかして私、何か勘違いしてたのかな……?

 忠夫がいつものバカやって、それで血をだしてたのかな……?

 ガトーさん……の……うそ……つ……き……

 ゴメン……ね……茶々丸……さん……


 私は、最後の意識で茶々丸さんに謝ると、忠夫の温もりに包まれながら意識を閉じた。






























「いいえ、アスナさん。私は気にして何かいませんよ」


 そう言いながら、横島に抱きしめられているアスナの傍に。
 腕を破壊され、それどころか自分を壊そうとした者に、気にしなくて良いのだと。
 どこか優しげに、残された腕を伸ばして血に濡れた彼女の頬を撫でる。


「ごめんな、茶々丸ちゃんも。俺の所為で……」


 そう、全て彼の行いの所為だ。

 ほっかむりを被った不振人物であった横島は、自らがロリペドエロ丁稚に堕ちない様にする為に、自分の頭を屋上の床に叩きつけたのだ。
 それはいつもの行為なのだが、そのいつもの行為よりもちょぴっとだけ強く頭を打ったせいで、そのまま気絶してしまった。

 突然に頭をガンガン叩きつけ、血を噴出しながら気絶した横島に驚いたエヴァンジェリンと茶々丸。
 彼女達が横島の傍に駆けつけ、茶々丸が治療の為にほっかむりを外したところで、アスナがやって来たのだ。

 そんな誤解されても仕方の無い状況を作り出したのが横島自身。
 でも、茶々丸はゆっくりと頭を左右に振った。


「はい、確かに横島さんの意味不明な行動により起きた事ですが」

「がはっ!?」


 頭を振ったから否定して慰めてくれるモンだと思ったのに、しっかりと肯定された。
 一応は慰めてくれているようだが、今の横島には充分過ぎる程の精神的ダメージ。
 血を吐いて、アスナを抱きしめたまま仰向けに倒れた。

 何せ気にしない訳にはいかないのだ。
 茶々丸の左腕が完全に壊れてしまっているのだから。

 文珠を使えば簡単に直せそうな程度ではあるが、エヴァンジェリンの目がある以上、ソレをする訳にはいかず。
 いいや、エヴァンジェリンだけじゃない。
 この世界で少しでも裏の知識がある者に見せる訳にはいかない。
 機械すらも直す、その奇跡と言っても良い力を。


「腕の事は本当にお気になさらずに。私の体を改修する良い機会ですので。それと、アスナさんは私の、友達……ですから……」


 表情なんて殆ど出した事が無い筈の彼女。
 その彼女が、無表情には見えるもののどこか恥ずかしそうに、照れ臭そうに、そして、心が温かくなる、そんな口調で友達と。

 嬉しかった。初めての友達。機械で出来た自分にとって、初めての。
 そして、殺すと言われた。それは、自分が生きているのだと言われたみたいで。


「友達とは喧嘩するものだそうです。ですから、本当に気にしていませんよ」

「そんなレベルの問題か? まあ、お前がそれでいいんなら、別に構わんがな」


 エヴァンジェリンも笑う。
 いつもの何処か他人を小馬鹿にしたような笑みではなく、優しげな笑み。
 自分の子供の成長を喜ぶ、そんな笑みを一瞬だけ見せた。
 横島の目にも、茶々丸の目にも入りはしなかったが、確かに優しく微笑んだのだ。


「それはそれとして、おい、横島! 貸し一だ。文句はあるまい?」


 一転、悪逆ぶった口調で人の悪そうな笑みを浮かべる。

 横島は頬を一度だけピクッと引き攣らせるものの、スグに軽く手を振って了承する。


「ふむ、ではさっきの話、問題はあるまい? ジジイの方も暗黙の了解はしている。後は、お前だけだ……」

「命の保障してくれんなら、俺は手は出さんと約束する」

「フン、女子供の命は取らんよ。当然、後遺症が残る様なマネもせん。それより、なんだ? 手は出さんが他の物は出すみたいな言い方は」


 目を細め、互いを睨み合う。

 相手の感情を読み合い、そして……


「まあ良いさ、少しの助言くらいなら大目にみよう」

「ああ、俺の方でも物を貸し与えたり、俺の従者を出したりはしないと約束する」


 エヴァンジェリンの懸念、それは横島が作り出す文珠。

 彼女が知るソレは、非常に即応性に優れ、携帯に優れ、治療、攻撃、防御と種類も豊富なマジックアイテム。
 それがあったからって計画が失敗するとも思えんが、面倒である事は確か。
 その文珠をネギに与えるのを言外に禁止出来たのだから、彼女にとって今日の会談が成功に終わった事は確かだろう。

 アスナに襲撃されると言う予想外のファクターもあったが、茶々丸の左腕の破損を除けば自分にとっては有利に進む為の一助となった。
 その茶々丸の左腕とて、事を起こすまでには修復が完了しているだろうし、何より最近煩かった改修願いをこの際だから叶えて上げられる。
 茶々丸自身の精神的な成長も見られたし、終わってみればエヴァンジェリンにとって都合の良い展開だった。

 だからこそだ、彼女が見逃してしまったのは。
 横島がエヴァンジェリンを見て、ニヤリ、面白可笑しそうに笑っているのを見逃してしまった。




 確かに横島は文珠をネギに与えるつもりは無い。
 これはエヴァンジェリンに言われるまでも無く、初めからそんな便利アイテムをあげる気など無かったからだ。

 ガキの内からこんなモンに頼っていたら、碌な大人になりゃしねぇ。

 横島は自分の事を棚上げにして、そんな事を思っていたから。

 それに、今回のエヴァンジェリンに言われた通り、自分の従者、使徒であるアスナとあやかを出すつもりはない。
 ついでに自分の女達もだ。これはエヴァンジェリンとの約束には反しない手ではあるが。

 横島は知恵を貸す。助言? そんな生易しいモノでは無い。

 ゴーストスイーパーとして、吸血鬼と相対するための全ての知識を、ネギに教え込んでいく。

 横島忠夫はゴーストスイーパーだ。
 魑魅魍魎や妖怪、魔族と言った存在と戦うのが主な仕事。
 例え真祖といえど、横島にとって見れば所詮は吸血鬼、『ただの妖怪』だ。
 専門家なのだ、彼、横島忠夫は。戦闘的な相性で言えば、これ以上有利な相性は無い位に。

 ついでに実体験を交えながら、アルビレオから聞いたナギがエヴァンジェリンを退治した逸話まで話そうと思ってる。
 それはネギにとって大きな武器となる筈。

 もちろん、ネギがその知識をどう使うかは分からない。
 使わずに勝つかも知れないし、使っても負けるかも知れない。

 それにだ、ジジイが彼女を見逃している様に、この対エヴァンジェリン戦はネギにとって良い経験になるだろう。

 本人にとっては命がけの死闘。しかし実際は命の保障がある戦い。
 見ているこっちは安心して見ていられるし、ネギにとってもどれだけの経験を稼げるものやら。
 『あの』ナギの息子だ。緊張感のある戦いを経験させるだけで、恐ろしい程の成長を見せてくれるはず。
 まあ、彼女の魔力回復のために、血を吸われる事になるであろう子達にはご愁傷様だが。

 それにしたって、横島は特に問題は無いと思っている。

 特に怪我させる訳でも、眷属増やしてる訳でもねーみたいだし、だったら蚊に吸われるのと大差ねーだろ? こんな感じ。

 横島にとって吸血鬼なんざ、所詮は蚊みたいなモンだ。
 エヴァンジェリン以外に知っている真祖がアレだった事もあるし、親友にハーフヴァンパイアがいると言う事もあって、特に恐れる存在では無いのだ。
 例えこの世界では最強種と呼ばれていようが、もっと非常識な存在を山程知っているのだから。








 そのエヴァンジェリンは、交渉が思い通りに進んで満足したのか、軽く笑みを浮かべながら校内へと戻って行った。


「私の方で神楽坂明日菜の事は何とかしといてやる。その形(なり)では教室には戻れんだろうからな、感謝しろ。
 茶々丸も先に帰っていろ、超とハカセには私の方で言っておくよ」

 
 そう言い残して。

 だが茶々丸は帰らずに残った。
 アスナが目を覚ますまで傍に居たいと、横島に願って。


「迷惑でしょうか?」


 ちょっとだけ困った顔した横島にそう告げる。

 横島はアスナの傷ついた霊脈や気脈、限界まで使いきった力の回復、それ等を行うために、此処で性魔術を行うつもりだったから。

 性魔術の存在自体は秘密では無い。
 無論、性魔術の行使の方法は秘密だが。

 知られている、もしくは教えている性魔術は全て、力の譲渡や高めあい。
 この世界で確立していない精神戦、それ等を自分と、自分の使徒以外に存在を明かす訳にはいかない。
 切り札と言っても良い、そのアドバンテージを失くすつもりは無いから。

 単に茶々丸の目の前で傍目エッチな行為を行うのは、流石の横島も恥かしいってか気が引ける。
 そんな訳だから、出来ればさっさと帰って欲しい。
 帰って欲しいのだが……

 ジッと此方を見つめる無垢な瞳、邪心の欠片もありゃしない。
 邪心どころか邪神な横島にとっては、その瞳はとてもイタイ。 

 横島は茶々丸に分からぬ様に溜息を吐く。


「いんや、迷惑なんかじゃねーよ。このまま吹き曝しじゃアスナが可哀想かなぁ~なんて思っただけさ!」


 アスナの腰に手を回し、抱きしめたまま立ち上がると、逆の手で茶々丸を引き寄せる。

 茶々丸は少し戸惑ったが、特に抵抗する事無く、ポスンと横島の胸の中へ。


「茶々丸ちゃんはこの後どうするつもりなんだ?」

「あ、はい。腕や体の改修作業のため、麻帆良大学工学部の研究室へと」

「そこ行くのさ、ウチからでも問題ない?」

「えっ? それは問題ありませんが、いいのですか? マスターと私は、ネギ先生の敵となりますが……」

「あん? そんなん全然問題ねーよ。それじゃ、転移すっからギュっと俺に抱きついて」


 言われた通り、残された片腕でギュっと横島にしがみ付く。

 横島と、そしてアスナを近くに感じながら、茶々丸は不可思議な気持ちに囚われる。
 胸の主機関部辺りがドキドキ、気の所為か顔まで熱く感じる。

 茶々丸はこそっと横島の顔を下から覗き込む。
 彼女の瞳に映るのは、横島の真剣な横顔。

 奇妙な感覚が大きくなる。暴走しそう。それをグッと堪えようと、視線を横に。

 そこには穏やかな表情を浮かべるアスナ。
 自分まで穏やかな気持ちになった気がしてくる。


「んじゃ、行くぞ!」

「ハイ、横島さん」


 横島は集中し、自宅を脳裏に描く。茶々丸に見られぬように気をつけながら、文珠で転移した。

 
 あー、どうしよ、性魔術。茶々丸ちゃんも一緒にって事で、いいよな? 


 不純な事を考えつつ。







[11660] ネギま!のほほん記 第5巻  微百合含むエロ有り(アスナ&茶々丸)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/02 15:47
「なぜ私まで服を脱ぐのでしょうか?」

「茶々丸ちゃん、性魔術って知ってる?」

「いえ、その様な魔法形態はデーターにありません」

「性魔術ってのはな、性行為で相手に魔力を譲渡したりとか、まあ色々出来るんだが、今はな、アスナの傷ついた霊脈を癒すためにせなならんのだ」

「良く解りませんが、とにかくそれをすれば、アスナさんは?」

「そうだ」

「最初の質問に戻りますが、アスナさんはともかく、なぜ私まで裸になるのでしょう?
 今の私にはその様な機能はありません。改修が終わってからでなくては出来ませんが?」

「そっちの方が燃えるんやーっ!」

「そう、ですか……」























  ネギま!のほほん記  第5巻  アスナと茶々丸と


























 おともだち。

 私には、そう呼べる人がとても少ない。

 元の世界では冥菜にレミのたった2人。
 こっちの世界じゃ一杯出来たけど、彼女達はみんな忠夫の関係者。
 冥菜とレミにしたって、友達として家に連れて来るまでは知らなかったけど、忠夫の関係者と言えば関係者だ。
 祖父母が彼の古い友人知人なんだから。

 私自身はそんなつもりじゃ無いけど、こんな現実と照らし合わせて見れば、やっぱり私は人見知りでもしてるのかも知れない。

 それとも、傲慢にも人を選んでるのかしら?

 そんな私だけど、忠夫とはまったく関係の無い友人が一人いる。
 まだ、忠夫と2人暮らしで新婚生活のような生活をしてた時からの主婦仲間。
 初めて会った時のマリアさんの様に無表情で、機械の身体の私の友達。


 そう、私のともだち……

 友達だと思っていた。

 それなのに私は……

 血塗れの忠夫を見て冷静さを失い、彼女の言い分も聞かずに、彼女を、殺そうとした。


 やっぱり、嫌われちゃったかな……


「いいえ、アスナさん。私は気にして何かいませんよ」


 激しい出血と疲労で、意識を失う寸前に届いた彼女の声。
 私は申し訳なさと、そして友達に嫌われなかった喜びの中、眠りについた。
 眼を覚ましたら、忠夫に一杯文句を言ってやろう。そして、茶々丸さんに謝るのだ。

 そう思いながら。




 そう思ってた。うん、思ってたのよ? なのに、なに、これ?


「んあっ」


 胸を下からすくい上げる様に持ち上げられ、私は軽く喘ぎながら覚醒する。
 私の傷ついた霊脈を癒すのに、忠夫が性魔術を始めたのだろう。
 なぜか手馴れぬ様子で私の胸を支えるその手が、妙にくすぐったい。

 どうしたの? そう思いながら目を開いた。


 てっきり忠夫がしているのだと思いきや、私を愛撫していたのは茶々丸さんだった。
 私のせいで片腕となっている彼女が、それでも器用に私を背中から抱きしめ、腫れ物にでも触るような手つきで胸を揉みしだく。

 しかもだ、なんでか服着てないし。
 彼女は普通のガイノイドだ。
 マリアさんと違ってエッチな機能なんか付いてない。
 柔らかい胸もないし、忠夫の剛直を受け容れる女性器も当然ながらない。
 そこにはワレメすらなく、のっぺりツルツル。
 それでも彼女は恥ずかしそうに、そして何処か不安そうに私と忠夫を交互に見る。


「アスナさん、大丈夫……でしょうか? どこか痛い所はありませんか?」

「うん、大丈夫。さっきはゴメン、茶々丸さん」

「いいえ、お気になさらずに」

「でも……さ、わたし……腕……」

「悪いのは横島さんですよ」


 違う、それは違うんだよ、茶々丸さん。

 切欠は忠夫の悪ふざけだったのかもしれない。
 それが何なのかは知らないけど。

 でもね、私は彼の使徒として、彼の安全を守らなきゃならない。
 だから私は常に冷静でなきゃいけないって言うのに。

 気分が重い。自分の未熟さに腹が立つ。
 もう、これ以上の失敗は出来ない。そう思って反省する。

 なのに私の気も知らないで、すぐにエッチな事ばっかりするのよね。

 私はそう思いながらも、真剣な表情で私の太腿の裏側に舌を這わせる忠夫を止める気は無く、それどころか、彼が行為を行いやすいように足を広げる。
 徐々に股間の中央へと舌が昇っていき、その中心のクレバスへと及んでいく。
 すぼまりに唾液を塗りつけると、私の身体はヒクヒク反応して痙攣した。


「あんッ! ちょっと、今はダメだって……」

「悪いのは俺なんだから、そんな気にすんなって、なぁ、茶々丸ちゃん」

「そうですよ、全ての原因は横島さんです。それでもお気になされる様でしたら、私のお願いを3つ、聞いては頂けないでしょうか?」


 茶々丸さんのお願いとほぼ同時に、忠夫は私の腰を抱えると、肉棒を膣内に潜り込ませていく。
 甘い吐息が口から漏れだし、熱い息を吐きながら上半身を捻り茶々丸さんの方を向いた。
 初めて見る性行為に目を丸くしている茶々丸さんの唇に、自分の唇をチョンと合わせると、上気した頬で彼女に笑いかけた。


「ん……んん……んぁっ……、な、なんでも言って、茶々丸さん……んくぅっ……」


 私を貫く肉棒の先端から発せられる霊力が、傷ついた霊脈を癒していく。
 その優しい霊力の波から感じる性感に頭が蕩けそうになる。
 膣壁をゴリゴリと擦り上げられ、あまりの快感に心臓が止まってしまいそう。
 足の爪先を何度もピクピクと震わせ、それでも彼女のお願いを聞くまではと、快感に流されぬように自分を戒める。


「ね、ねぇ、茶々丸さん、はやく言って……あん、はやく……じゃないと、もう、わたしぃっ!」
























 神楽坂明日菜は、茶々丸にとって初めて出来た友達だった。

 初めは買い物途中でちょっと話をするだけの要注意人物の従者。
 だが、彼女は自分が『何者か』知っている筈なのに、それでも普通の『人』と変わらぬ態度。
 機械としてではなく、一個の存在として認識してくれているのだと分かってから、彼女が茶々丸にとってマスターとはまた違う意味で大切な存在となった。

 そしてもう一人。

 横島忠夫、彼は茶々丸にとって、初めて自分を『女』として扱う人だった。

 自分にとって大切な友人の主で、自分のマスターであるエヴァンジェリンから要注意人物と指定されている『男』

 世界で上から数えた方が速い強者、だが評判は最悪。
 この学園都市において最強の戦力、タカミチ・T・高畑の兄的存在。

 そんな彼と初めて会ったのも買い物の時。

 初めはアスナが来ない事を残念に思っていた。
 アスナとの会話の時間、それは茶々丸にとってとても贅沢で甘美な時間だったから。

 でも、彼もまた自分を『人』として見てくれているのだと知った時、彼への見方が少し変わる。
 エヴァンジェリンに言われていた事もあり、彼女は注意深く横島を観察する。

 不可解な男性、それが茶々丸の横島への評価。

 尻が硬い、太腿が柔らかくない、胸をあてられてもゴツゴツしてて気持ち良くない、反応に色気がない、もっと、こう、イヤーンってしてくんないとオモロない。

 そんな事を半年以上も言われ続ければ、不可解な男と評されても仕方あるまい。


 その話を聞いたエヴァンジェリンは、最初「はぁ?」っと眉を顰めたものの、次の瞬間には大笑い。
 流石は汚点だと、ナギの自慢する従者だと、そう言いながら。
 エヴァンジェリンは一頻り笑ったあと、横島と取引をする事にした。

 ナギを筆頭に、アルビレオ・イマ、ジャック・ラカンと思考がちょいおかしい人間の集団、赤い翼。
 その一員に相応しいおバカな男なのだから、上手い事言い包めればナギの息子を襲う事を、面白がって目を瞑るかもしれんと。
 そう、面白がってだ。赤い翼の連中なら、そんな理由で目を瞑る。


 

 茶々丸はそんな不可解な彼を観察する内に、自分の感情プログラムがドンドンおかしくなっていく事が解っていた。

 それを理解しながらも、茶々丸は彼を観察し続ける。
 エヴァンジェリンに、もう充分だと言われても、尚。

 そして茶々丸は、機嫌良さ気に笑う主に今ならばと訴えた。

 横島からセクハラを受けるようになってから、ずっと願っていた身体の改修。

 例え兵装が減ろうとも、間接を隠し、人肌の柔らかさ、そして、彼を満足させる事が出来る機能。
 もしも自分の身体が彼の望むようになれば、彼はどんな反応を見せてくれるのだろうか?
 そして、大事な友人である彼女は……?


 その彼女が、切ない声を微かに上げながら、茶々丸の首元に顔を埋める。
 時折、ビクンっと身体を跳ねさせながら、なんとか快感に抗おうと。


 グチュ、グチュ、グチュ、グチュ、グチュン……


 粘りつく淫音を鳴らす、彼女と彼の合わさった腰の部位。
 いつもはおバカな表情でいる横島が、とても真面目な表情でそれを行っていた。

 額から汗を流し、口元を引き締め。
 2人の接合部を出たり入ったりする彼の肉棒が、深く細かく子宮をリズミカルに突き上げる。

 茶々丸のセンサーには、その度にアスナの全身隈なく流れる魔力が観測される。
 その感覚は、機械で出来た筈の茶々丸にも馴染んだ感覚。
 ゼンマイを巻いて魔力を充電して貰う時と同じ感覚なのだろうと。
 ならば長時間は耐えられまい。


 本当はいつまでも彼女のこんな姿を見たかったのですが。


 茶々丸はそんな事を考えつつ、2人の交わる姿を記憶ドライブのお気に入りフォルダに収納する。


「一つ目は、私の改修中、マスターのお世話を頼みたいのです」

「んぅ……ん、うん、わかった……」


 苦しそうに答えるアスナ。

 そんなアスナを見て、そんなアスナにさせている横島を見て、茶々丸はモーターの回転数がグングン上がっている事を実感する。

 それは不快じゃなく、とても快感。


「2つ目は、私が改修を終えたら、横島さんと一日過ごさせて下さい」

「ええっ!? デ、デートしたいの……ひゃんっ!」

「はい、横島さんを見返したいです。そして最後に、ずっと私と、友達でいてくれますか?」

「うん、うん、いい、いいよ、ずっと、友達で……あッ! はぁッ! い、いぅううぅぅぅうううッ!!」


 アスナは茶々丸の望みを聞き終わると同時、性魔術から抗うのを止めた。
 一気に上りつめ、快感を噛み締めるように全身を強張らせる。


「はぁ、はぁ、ア、アスナ、どうだ、何処かまだ痛むか……」


 2人の会話を聞いていなかったのか、一切会話に加わろうとしなかった横島が、息を切らせながらアスナに問いかけた。
 アスナは全身の霊脈、気脈を優しく巡る横島の霊気と、子宮に浴びせられた精液の熱さにうっとりとしながら、茶々丸の残された手を握る。


「はぁ……んぁ……はぁッ……ああ……」


 だが、言葉を発する事が出来ないほど、盛大に気をやってしまい、息を切らせ喘ぐ事しか出来ない。
 それを見た横島は、彼女の全身を隈なく撫で回す。
 霊脈に傷がある所はないか、霊気の流れが可笑しい所が無いか慎重に調べる。

 指が身体の敏感な部分を通る度にアスナは身体を震わせ、でも横島はそれを止めず、そして最後にホッと息を吐いた。もう大丈夫だと。

 そこで漸く思い出した、茶々丸の存在を。


 しまった、茶々丸ちゃんに何もしてなかった!

 横島忠夫、一世一代のミス!

 女の子を裸に剥いて置きながら、何もせんとは男の恥。


「茶々丸ちゃん、そのままベッドに横になって」

「……アスナさんの治療に何か問題があったのですか!」


 勢い良く身を乗り出し、横島に問いかける。

 何せ、アスナの状態は性魔術を行う前と違い、顔色や血流がとても良くなっていたのだから。

 なのに、何故?


「違うよ、茶々丸さん。忠夫はね、性魔術としてじゃなくて、私と……ううん、私達とエッチがしたいのよ。
 忠夫ってエッチだからさ、茶々丸さんも嫌なら嫌って言わなきゃ、どこまでもエッチな事、要求されちゃうわよ?」


 キュイィィ……ン


 茶々丸とぴったり引っ付いてるアスナどころか、少し離れた場所にいる横島にまで聞こえるモーター音。


「ワた……私にはマだその様ナ機能は……ソれでも私とシタい……のデスデススススススス」


 ガクガクと震え出す茶々丸。
 心なしか、顔色が変わらない筈の彼女の顔が、真っ赤に染め上がった気がする。
 しゅん、しゅん、しゅん、と頭から蒸気を発し始め、アスナが「アチッ!?」っと言って茶々丸から少し離れた。
 見れば茶々丸と接触していた肌が、まるで火傷の様に赤く腫れ上がる。


「や、やばくない? なんか茶々丸さん、暴走しそうに見えるんだけど」

「ああ、間違いなく暴走だな、こりゃ……」


 2人とも、コレは見知った反応だった。
 元の世界で、茶々丸と同じ機械で出来た横島の大切な人の一人であるマリアが、同じように暴走する所を何度も経験していたから。


 そう言えば、と横島は思う。

 マリアも同じようにエッチな事で追い詰めると、こんな感じになったよな~。
 でもなー、この程度で暴走するなんて流石に思わなかったぜ……


 遂に全身から煙を噴き出し始めた茶々丸に、横島はコソッと彼女に解らぬよう文珠を使って『鎮』ずめた。
 急激なモーターの回転が収まり、茶々丸は目に見えて落ち着いた表情になっていく。

 何が起きたのか解らない顔をしながら、それでも横島の方をジッと見つめ始めた。


「……? ですから私にはそのような……」


 最後まで言葉を喋らせず、アスナは今の内にとばかりに彼女を押し倒す。


 どうせ忠夫は茶々丸さんとヤル気満々なんだし、だったら鎮静している内に……


 アスナは茶々丸の人とは違う感触の唇を奪いながら、トロンとした目を彼女に向ける。
 自分の胸を彼女の胸の形に膨らんだソコに押し潰すように乗せると、そのまま体重をかけていく。


「い、いけません、右胸には私の緊急停止スイッチがあるんです」


 焦った声を出す茶々丸に、心底残念そうな顔をするアスナと横島。


「なんじゃそりゃ? 美学ってモンが解ってねーやつだな、茶々丸ちゃんを創ったヤツは! 
 いや、ちょっと待てよ、もしかして茶々丸ちゃんのオッパイにはミサイルが……?」

「そうなのっ!?」

「いえ、そんな物はありませんよ」


 更に残念そうにする2人。「やっぱわかってねー」「そうね、ほんとよね」などと言ってる2人に少しだけ呆れた視線を向ける。
 そんな視線に気づいた横島は「なはは……」と笑って誤魔化し、アスナはアスナで茶々丸の唇を塞いで誤魔化した。
 そして自分の左胸に茶々丸の手を導くと、

「だったらさ、こうやって私のこと、支えてくんない?」

 そう言って、再び茶々丸の唇を啄ばむように何度もキスをする。


 手の平を覆うアスナの胸と、唇に何度も接触する唇。
 感じない筈の機械の手や唇が、とても熱く、気持ちいい。  
 

 茶々丸は嬉しそうに目を細めると、少ない性知識を用いて少しでもアスナを悦ばせたいと、そう思う。


「ん……んん……茶々丸さん……切なくなっちゃうよ、わたし……」

「アスナさん、もっと見せて下さい、アナタの感じているところを。私も、次の時には……」


 今度は茶々丸からアスナの唇を奪い、乳首をクニクニとこねる。
 どこかオドオドしながらも、アスナの反応を伺いながら優しく丁寧に。


「んああ……アスナさん、どう……でしょうか?」

「あっ、んんっ、や、ん……茶々丸さんっ、気持ち、いいよ、それっ、ああっ!」


 茶々丸の愛撫に、かなり本気の声を出すアスナ。
 まるで恋人同士のように行為を続けている。


「アスナさんの胸、凄く柔らかくて、気持ち良いです……」

「あ、あ、あ……茶々丸さん、そんなに弄っちゃ……ダメだって、ばぁ……」

「はああ……、気のせいでしょうか……、胸の主機関部のドキドキが激しくなって、顔が、熱いです」


 茶々丸の身体だけじゃない。
 アスナの身体も発情して熱く、艶かしくなっていく。
 汗で濡れたアスナの肌が、茶々丸の機械の身体に貼り付く様に絡み合い、横島は思わずゴクリ、と生唾を飲み込む。
 そんな横島の様子に気が付いたアスナは、自分の足で茶々丸を挟むように足を広げる。
 彼女のツルツルの秘所と、茶々丸ののっぺりとした股間が丸見えとなった。


「そろそろ、ワイも入れてくれ!」


 横島の魂の叫び。それを聞いた茶々丸は「ひぃあっ!」と小さく悲鳴を上げた。


「可愛いなぁ、茶々丸ちゃんは」

「え? あ、あ、横島さん……その、どうぞ、お好きなように……」

「忠夫? 私は……?」

「もちろん、アスナもすんごく可愛い」


 おだてられた茶々丸は、更にモーターの回転数を上げ身体を熱くする。
 アスナも言われ慣れている筈の言葉に、それでも嬉しそうに頬を染め上げた。
 2人の股間の合わさる場所は、アスナのワレメから溢れでる愛液によってぐっしょりと濡れており、小刻みに揺れながら快感を求めてうねっている。


「んっ、んっ……あんっ……はやくして、ただお……はやく……」


 横島はアスナの膣内に指を侵入させると、肉壁をマッサージするように捏ねていく。
 指に伝わる柔らかい肉の感触に、横島はもう辛抱たまらんとばかりに指を引き抜き、代わりに自分の肉棒を肉裂の中に入れて行く。
 肉壁を肉棒のエラで引っかくようにゴリゴリ擦ると、アスナは膣口をキュッと締めつける。


「ひあぁっ……んんっ……ダメだってば……私だけじゃなくて、茶々丸さんも……あはぁん……」

「ぁ……アスナさん、気持ち良さそう……です……んっ……」

「ごめんな、茶々丸ちゃん。やっぱ3人でやらなきゃな」


 言いながら肉棒を引き抜くと、アスナの太腿をしっかりと押さえ、彼女の淫液で濡れた剛直を2人の股間の間に差し込んだ。


「あぁっ……アスナさん、私達の間に、横島さんがっ……」

「ふぁん……はぁ……はぁぁ……茶々丸、さん……気持ち、良い……?」
 
「わかりません。ですが、なんでしょうか、この感じは……? そんな場所に触覚センサーは無い筈なのですが、これは……んはぁっ!?」


 アスナの柔らかく温かいワレメの感触と、茶々丸の硬く熱いのっぺりとした股間の感触。
 今までに無い性感に、横島のそこは熱く激しく滾っていく。


「はぁっ、気持ちいいよぉっ、茶々丸さんっ!」

「はい、きっと私もです、アスナさん……んくぅ……」

「はぁん……あっ……あん……アソコがひりひりするよぉ……はぁん……」

「横島さんの性器が、私の股関節の辺りを、ゴリゴリと擦っているのが解りますっ!」


 二つの熱いアソコに挟まれた肉棒を、前後にスライドさせ同時に刺激を与えていく。
 横島は2人の愛らしく悶える姿に、普段の2.7倍増しに昂ぶりを感じて、もうイッてしまいそう。
 アスナから滲み出た蜜が潤滑油となり、淫らな前後運動をスムーズにさせる。
 肉棒を根元まで突き込んでは引き抜く。その単調な動作に没頭する。


「そろそろ、俺、限界かも……」


 2人の少女の股間の感触を受けながら、最後に向って腰を打ちつける。
 ぐちゃ、ぐちゃ、と粘りつく音が部屋に響き、アスナと茶々丸は互いの身体をキツク抱きしめ合う。
 まるで、本当の恋人同士みたいに情熱的な抱き合い。


「あれ? ワイってもしかして邪魔者?」


 そんな横島の呟きも耳に入らないのか、2人はただひたすらに唇を貪りあい、股間から感じる性感以外は横島の事を認識していない。

 
「あぅぅ……凄いです、アスナさん。とてもキレイで、気持ち良さそうです……あっあっあん……」

「茶々丸さんだって……あぁっ……すごく、キレイ……はぁぁん……」

「……寂しくなんかねー。寂しくなんかねーんだかんな。ワイは……うっきぃーーーーーっ!」


 横島は吠えると同時、ビュ、ビュビュビュビュ……

 2人の間に大量の精液を放射する。
 俺もかまえ! と言わんばかりに。

 だが、

「アスナさん……私達の間に、熱い何かが……」

「茶々丸さん、それは、忠夫の……よ……、んくぅぁああああああっ!」

「だ、大丈夫ですか、アスナ……さん……んぅあっ!?」


 互いの名を呼び合いながら絶頂の頂へと上った。
 そのまま2人は何度もキスをし、抱きしめ合い、そして、言葉を重ね合う。


「はぁはぁはぁ、茶々丸さん……好きよ……」

「ワ、ワタシもです、アスナさん……」


 まるで横島の存在など無いかの様に。
 いじけた横島は、部屋のスミで体育座りとなってイジイジしだし、それをチラリと見た2人がこっそり笑い合う。
 事の起こりはこの男の悪ふざけだったのだから、少しは反省しなさいとアスナは思い、そして茶々丸もそれに乗ったのだ。


「でもね、本当に好きだよ、茶々丸さん。あとさ、もう一度だけ謝らせて。腕、ゴメンね」

「はい、これで最後ですよ。私は気にしてません。それどころか、ちょうど良い機会になったと思ってますから。あと、私も大好きです、アスナさん……」


 潤んだ瞳で見つめ合い、そして再び唇を貪り合う。
 茶々丸は、この身体での最初で最後だからと、尚更激しく。
 アスナもそれに応える様に情熱的に。
 お腹の辺りに、大量に射精された精液をローション代わりに全身を塗りっこしつつ、どんどんと2人の淫らなダンスは激しさを増す。

 部屋のスミッコでイジケ倒していた横島は、自分が居ないのに聞こえてくる嬌声に、涙を浮かべながら呟いた。


「ワイは、いらん子やったんやな……。おかん、ワイは、ワイは……へーん!!」 
 
 
 終いには大声で泣き出した横島に、漸くその存在を思い出した2人は、慌てて彼の所に駆け寄った。
 
 必死で横島を慰め合う2人。

 そして、次第に慰める声から、艶かしい声に変わってい……かなかった、残念な事に。




「ねえ、そう言えば神通棍はどうしたの?」

「ワイは知らんぞ」

「アスナさんが持っていた棒状のマジックアイテムの事ですか? それなら屋上に投げ捨てたままだと思いますが」 

「あれってあやかから借りて……ってそう言えばあやかに連絡入れなきゃ。怒ってるかな、あやか……
 私さ、学校に戻るわ。神通棍を回収しなきゃなんないしさ、あと、エヴァンジェリンの面倒も見てやんなきゃ。
 茶々丸さんはゆっくりしてって。忠夫、茶々丸さんに変な事したらダメだかんねっ!」


 それだけ言うと、アスナは自分の部屋で新しい制服に着替え、そしてそのままダッシュで家を飛び出した。


「ああ、アスナさん。病み上がりだと言うのに、ムリをなされては……」
 
 
 すでに居ないアスナに向って、オロオロと心配そうにする茶々丸。

 横島はそんな茶々丸を見て、「プッ!」と軽く吹き出す。

 そして、そろそろと彼女の側によると、


「そういや俺、まだ茶々丸ちゃんとキスしてねーな……」


 と小さく呟き、彼女の残された右腕を引っ張り、自分の腕の中に。


「んじゃ、時間までイチャイチャしてよっか、茶々丸ちゃん」


 キュイィィ……ン

 彼女のモーター音が、2人だけになった部屋に響きわたる。
 

  

 






























 後書き

 2人はちょっと百合チック(笑)w
 どうにも上手くのどか→あすなんに出来ないので、ちょいと方向転換!



 ヨコアスR茶々丸内好感度ランキング(暫定)

 一応(笑)マスター≧アスナさん>横島さん>ねこさん≧超一党>越えれそうでやっぱ越えれる壁>他クラスメイト

 
 横島はねこさんより上ですw

 にゃー。



 現時点の撃墜されてるネギま!女性キャラw

 神楽坂明日菜、雪広あやか、村上夏美、那波千鶴、宮崎のどか、佐倉愛衣、大河内アキラ、綾瀬夕映、近衛木乃香(寸止め)、絡繰茶々丸(寸止め)

 
 フラグ立ってる子達w

 シスターシャークティ(寸止め)、明石裕奈、ココネ、春日美空、和泉亜子

 順序は横島への好感度順です。
 フラグ~の方はフラグが立ってるだけで、恋愛感情の有無は別の話です。
 撃墜~の方は当然、恋愛感情です。


 原作1~2巻の時点で、原作とは違って魔法の存在を知っている子達

 雪広あやか、村上夏美、那波千鶴、宮崎のどか、綾瀬夕映、大河内アキラ、近衛木乃香、早乙女ハルナ、長谷川千雨


 オリキャラ等の出番は無く、戦女神からラプシィア・ルンと神剣スティルヴァーレ、そして性魔術と剣術。
 GSからは横島忠夫と霊能的概念。ニーベルンゲンの指輪に竜の牙。
 ヒロインに捏造神楽坂明日菜、サブヒロインに雪広あやかでお送りしますw

 ってたまには作品をこうして振り返ってみよう、そう思った。
 



[11660] ネギま!のほほん記 第6巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:37

 校舎手前にある広場。その中央にあるモニュメントに、腰をかけ寝転ぶ一人の少年。
 苦渋の表情を浮かべ、口から吐き出すのは溜息ばかり。


「はあ、長谷川さん、僕の話を聞こうとしてくれないんだもん。どーしよ……」


 少年は手に持つクラス名簿を開くと、自分の受け持ったクラスの少女達の顔写真をボーっと眺める。
 このクラスの前任の担任であったタカミチ・T・高畑が書き込んだ文字。 
 それに気づくとバッと起き上がり、目を皿のようにして見る。 


 何か、役に立つ事が書いてあるかも。


 少年は期待を胸に、出席番号25番、長谷川千雨に注目する。


 帰宅部、パソコンが得意。


「ダメだーーーーッ!」


 手をバンザイの形に大きく広げると、バタン、と再び仰向けに倒れた。


 昼を告げるチャイムが校舎から聞こえてくる。
 ワイワイと少女達の楽しそうな声。
 少年は重い息を吐きながら目を瞑る。
 日の光で真っ赤に染まる瞼の裏側。
 太陽の眩しさに耐えかね、右腕で目を覆い隠す。
 最初に思い浮かんだのは、尊敬してやまない父親の顔、続いて故郷の姉や幼馴染の笑顔。


 こんな所で躓く訳にはいかない。僕は、マギステル・マギになって父さんを……

 
 次に浮かんだのは、話を最後まで聞かずに逃げてしまった長谷川千雨の顔。


 いっそ、記憶を消してしまおうか。そうすれば、何も問題は無くなるんだし……


 最後に思い浮かんだのは、自分の保護者となった横島の顔。
 学園長に言われた、面倒事があれば全部押し付けろ、その言葉が脳裏に過る。

 そして、朝のやり取りも。




『そうだネギ。もしもその千雨ちゃんって娘が空飛んでたトコを見てたとしても、安易な行動はとんなよ?』

『えっと、どう言う意味ですか?』

『安易に記憶を消そうとすんなって事だよ』

『でも、秘密を知られたら……』

『最終的にはそうせな成らんかも知らんが、焦る必要はねーって事だな。スグに世界中に魔法の事が知られる、ってんじゃ無い限りはよ』




 焦っちゃダメだ。
 安易に魔法に頼ったらダメだ。
 キチンと話を聞いて貰えるまで、諦めたらダメだ。
 話を聞いて貰って、それでもダメだったら、その時、初めて横島さんに相談すれば良い。


 ネギはギュっと口元を引き締める。
 頑張ろう、そう思いながら目元を隠していた腕をどける。

 すると、不意に真っ赤だった瞼の裏に影が差す。
 何だろう? ネギはゆっくりと瞼を開いた。


「こんなトコで何やってんのよ?」

「アスナさん……?」

「なに悩んでんだか知んないけどさ、話ぐらいは聞いてあげられるわよ?」


 寝転んでいたネギを立たせ、背中やお尻についた埃をパンパンと叩き落す。
 そして困惑気味のネギの手を握り、そのまま彼を引っ張って歩き出した。
 ギュっと握り締められた暖かく柔らかい手の感触に、ネギは顔を赤らめながらも素直にアスナの後ろについて行く。
 握り締める手の力をちょっとだけ強くして。


「お姉ちゃん……?」


 その後ろ姿に、故郷に居る姉のネカネを見てしまい、思わず口にしてしまう。

 アスナは少し驚きの表情を浮かべ振り返る。

 ネギは口にした言葉が恥かしかったのか、ちょっと赤かった顔がこれ以上無い位に朱に染め上げ顔をうつむかせる。

 そんなネギを見て、ほんの数分前まで横島や茶々丸と淫蕩に耽っていたとは思えない程に、アスナは自然と優しい笑みを浮かべた。

 おねえちゃん、か……

 これまで、妹ではあっても、姉になった事は無かった。
 胸の中が暖かい何かに包まれ、もしもあの人と出会わなければ、この子の為だけに生きた可能性もあったのかもね?

 そう思いながら、横島の顔を思い浮かべ、そして次に姉のタマモの顔を思い浮かべる。

 大切な家族と出会わない未来。それを想像した途端、瞬時に暖かかった心に寒風が吹き込んだ。
 それは、思ったよりも冷たく、そして……、恐ろしい。


「ど、どうしたんですか、アスナさん!」


 昨日、自分を折檻した時の鬼の様な顔と違って優しく微笑んでいたのに、急に顔を真っ青にさせたアスナ。

 そんなアスナを、ネギは心配そうに下から顔を覗き込んだ。


「あ、な、何でもないわよ、何でも……。
 ほら、そんな事よりさっさと行くわよ!
 早くしないとお昼ご飯、食べられなくなっちゃうわよ!」


 そう言って誤魔化すと、ネギに顔を見られないように前を向いて走り出す。
 手を引っ張られ、戸惑いの声を上げるネギに気を掛ける余裕も無い。
 アスナの心には、さっきまであった暖かい何かが完全に消え去り、今は得も知れぬ恐怖に包まれていた。


 エヴァンジェリンと茶々丸に挟まれ、血を流し倒れ伏す横島の姿を思い出す。

 それは、彼を、大切な人を失うかも知れない恐怖。
 ガトウ、雪之丞、次々に居なくなってしまう大切な人達。
 それ等の人達と出会わなかったかも知れない未来。


 怖い、怖いよ、忠夫、タマモ姉さん……


 何気なく考えた彼等の居ない自分の世界。
 そんな可能性の世界を必死に脳裏から振り払い、アスナはひたすら走る。

 そして思うのだ。

 もしも、再び同じような場面に出くわしたら、例え相手が大切な友達や恩人の息子でも迷わず戦い、そして……


 後悔はする。罪悪感で夜も眠れなくなるかもしれない。

 それでも、『今』の神楽坂明日菜にとって、横島忠夫は何者にも代えられない。



 それは奇しくも、彼女の大切な家族の一員となった雪広あやかが、先刻心に刻んだ事と同じ答えだった。





















  ネギま!のほほん記  第6巻  ちーむYの昼休み



















 つい数時間前にはアスナが暴れていた中等部の屋上。

 そこは、まだ春に成り切れていない肌寒さを感じさせる。
 それでも太陽が照っている所為なのだろう。寒さよりもほんのりと暖かさを先に感じさせるのは。
 フェンスの向こう、その眼下には、グラウンドや校庭で楽しそうな声を上げる、アスナ達と同じ学校の生徒達。
 所々に窪みや破砕した後があるのは、さっきまであやかに怒られていたアスナの戦闘行為の跡。
 自分達以外が居ないのは、あやかが張った認識阻害と結界のおかげ。

 そんな場所で、各々用意したお弁当や購買のパンを食べながら、ネギの話に耳を傾ける一同。



 話はこうだ。

 長谷川千雨は間違いなく、ネギと木乃香の空の散歩を目撃した。
 その事を確認したネギは、魔法の事を千雨に話して内緒にして貰おうとしたのだが、最後まで話を聞いて貰えず逃げ出されてしまう。
 すぐに追いかけようと後を追うネギ。だが、今ここで苦笑しているハルナを始めとする2-A生徒達に捕まり……


「説得する事が出来なかった、と言う訳なのですね?」

「あっちゃー。ゴメンねー、ネギくーん。そんな理由だって知らなかったしさー」

「い、いえ。どの道、最後までお話する事は出来なかったと思うし……」

「ふう……、それは私の責任でもありますわね。もう少し足止めしておけば良かったですわ。申し訳ありませんでしたわ、ネギ先生」


 千雨に魔法を見られちゃったのか、と授業後のネギとあやかの行動に納得する夕映とのどか。

 魔法関係者にとって、魔法の隠匿は大切な義務。
 それを犯してしまった以上は、なんらかの行動を起こさなければならない。
 魔法生徒に成り立ての夕映やのどかには、痛い程良く解る。
 自分達の魔法の先生、シスターシャークティに耳にタコが出来るほどに言われ続けているのだ。
 特に自分の先輩(?)に当る美空なんかは特に。

 ハルナは他の2-A生徒達とネギを追い掛け回した事もあり、居心地が悪そうに笑う。

 あやかはそんなハルナに呆れた視線を向けながら、もう少しだけおバカさん達を食い止めておけば、と少しだけ反省。

 ネギはネギで悩み事を口にした所為か、先程までの重苦しかった悩みも軽くなった気がして、ちょっと嬉しそう。

 
「要するに逃げられなきゃ良いんでしょ? 私に任せなって!」

「早乙女さん……、えっと、どうするんですか?」

「ハルナで良いわよ。どうするかって、部屋に押しかければいいじゃん。確か千雨ちゃんて一人で部屋を使ってたよね?」

「ええ、どう言うわけか彼女は2人部屋を一人で使ってますね。ちょっと前のこのかみたいに」

「だったらさ、万が一の時も対処しやすいっしょ?」


 ハルナを中心にして千雨対策を考えている中、アスナは胸元とスカートの裾を押さえて何処かモジモジ。

 ここに来る前に感じた恐怖……からではない。

 大体において、ネギが敵対する可能性は低いだろう。
 それ以外の身近な相手で危険なのは、木乃香に何かあればそのまま敵となる桜咲刹那と、エヴァンジェリン主従くらいなものだ。
 友人の茶々丸は信頼に値する子だし、エヴァとは何らかの協定を結んだようだから信用しても良いだろう。

 ただ、常に用心を怠らなければ良い。

 此処に来てすぐ、あやかに怒鳴られながら、アスナはそう思った。

 何より自分は一人ではない、同じ使徒であるあやかが居る。
 彼女は自分よりも冷静に物事を判断出来る。
 それに大事な家族である夏美や千鶴もいる。
 まだまだ覚悟と精進が足りないけれど、木乃香、のどか、アキラ、夕映もいる。  
 彼女達が力と覚悟を手にしたその時、アスナは一人で頑張る必要が無くなるのだ。

 それに、元来アスナは物事を深く考えるタチではない。
 咽もと過ぎれば熱さを忘れがちな性格と言っても良い。
 だから、何時までもイジイジと悩んだりはしないのだ。


 では、何故モジモジと落ち着かない様子なのか?


 それは、彼女のうっかり、と言うか、天然?的な行動の所為である。

 履き忘れ。

 制服の下が、何も無い。
 ブラウスの下はノーブラ。スカートの中身はノーパン。
 辛うじて黒のニーソックスを履いているだけ。

 何だか横島が喜びそうな格好である。

 そんなだから、スカートの中がすーすーして仕方無い。
 もしも何かの拍子に捲れでもしたら……、と考えてしまい落ち着かなくなったのだ。


「アスナさん?」


 不審な行動をとるアスナに、訝しげな視線を送るあやか。
 アスナはビクンっと身体を跳ねさせ、適当に愛想笑いしながら勢い良く立ち上がり、彼女の方を振り向いた。
 両端に縛られた髪がフアッと弧を描き、隣で座って話し込んでいたネギの鼻の辺りを通り過ぎる。
 少し鼻の粘膜が弱いのか、ネギはちょっとした刺激で鼻をムズムズさせると、「は……ハクシュン!!」くしゃみをした。



 一度あることは何度でもある。

 アスナは当然ネギの暴走『風花・武装解除』の魔法に備えていたし、この時もネギの魔力の不自然な膨れ上がりに気づいて反応する。

 ネギの武装解除の魔法が自分に届く前に、霊力を腕に纏わせ振り払う。
  
 だが、対茶々丸戦で使い切ってしまった気力や魔力や霊力。
 例え横島の性魔術で少しは回復していたとは言え、本調子には程遠く、疲れもあった。
 魔法を振り払うための行動が微妙に遅れ、その上で絶対的な霊力の量も足りなかった。
 手を振り抜くよりも早く彼女に魔法が到達してしまい、完全魔法無効化能力を発動させる前に、彼女の武装を解除した。


 風がアスナに絡みつき、ズバァッ! と音を立てて服が吹き飛ぶ。

 シーンと静まり返り、周囲の者達が唖然とした面持ちでアスナを見る。

 昨日はまだ下着一式が残っていた。だが、今のアスナの格好は靴下を除けば何も残っていない。
 悩みが解決に向ってホッとしたネギだったが、自分がやってしまった事に慌てふためく。

 何せ、昨日よりも状況が遥かに悪いのだ。


「あ……ああ……ご……ごめ……」


 恐怖で言葉が上手く出せない。
 思い起こすのは昨日の調教、もとい折檻、いや教育。
 恐怖と絶望で身体がガタガタと震え止まらない。
 ネギの目には見える。怒気を撒き散らしながら自分を地獄へと誘う悪鬼の姿が。
 その悪鬼たるアスナの髪が、下からすくい上がるように風でフアッと舞い上がった。


「ひ、ヒィッ!?」


 昨日の懲罰を思い出したのか、その瞬間ネギは両腕で顔を覆い隠し目を瞑った。
 恐怖で身体をガチガチに硬直させながら、その審判の時、鉄拳と言う名の制裁の衝撃に備える。

 だが来たのは、自分を殴り飛ばす拳と言う名の災厄では無く、ペタン……と何かが貼り付いた様な音。


 何だろう? ネギは恐る恐る目を開ける。

 そこには悪鬼の様なアスナでは無く、尻餅ついて両手で胸を覆い隠し、膝に顔を埋めてピクリともしない少女の姿。
 ネギからはアスナの桃の様なお尻と、スラッとした背中しか見えないが、アスナが何やらショックを受けていると言う事だけは分かる。


「あ、あの、アスナさん、どうしたんですか……?」


 ネギは恐々アスナに問いかける。
 てっきりぶん殴られ……もとい、修正されると思っていたので、ネギも少し困惑気味。

 そしてアスナの背中に目にがいく。

 キレイな肌。だが、幾つもの赤い点々が目に入った。
 虫刺され? ネギがそう思ったと同時、他の少女達もそれを見てドキッとする。


「ちょっ、アスナ! その背中のって虫……じゃないよね……?」


 珍しく顔を真っ赤にさせたハルナの言葉に、身体をビクンッとさせる。
 そのアスナの反応に、ハルナは妄想逞しくさせる。


 ネギ君、の訳ないし、って事はやっぱり横島さん!?


 ボンッ! 唯でさえ赤かった顔がこれ以上無い位に赤くなる。
 頭から湯気が出そうなくらい、オーバーヒート気味。

 そんなハルナを不思議そうに見るネギと、そしてコレは不味いと思ったあやか達。
 何とかせねばとあやかが口を開こうとしたその時、彼女よりも早く動いた者がひとり。


「ネギ先生、背広の上、脱いでくださいー」

「あっ、はいっ!」


 突然後ろから、彼の背広の上を奪うように脱がせるのどか。
 ネギはやっぱり困惑気味だが、のどかの勢いに乗せられ、言われるがままに背広を脱ぐ。
 のどかはネギから背広を剥ぎ取ると、そのままアスナを包み込むように肩からかける。

 少し小さめだが、晒された肌をネギやハルナの視線から隠すには充分で。

「あんがと、のどか」と囁く様な声が聞こえると、「ううん、気にしないで、あすなん」優しく労わる様な笑みを浮かべた。

 そしてのどかは顔に笑みを貼り付かせたまま、ネギとハルナの方を振り向く。


「男の子が、女の子の裸を何時までも見てたらダメだよ──。ねっ?」


 首を小さく傾けながら可愛らしくそう言うのどかだが、ネギと、そしてハルナの背筋はゾゾッと怖気走る。


「は、はいっ! そうですよねっ、のどかさん!! 本当に申し訳ありませんでした! アスナさん!!」


 笑顔ののどかの迫力に押され、更には昨日のアスナの修正も思い出し、ネギは深々と頭を下げた。
 背中は汗でびっしょり。大人しそうで、今もほんわかとした笑みを浮かべているはずののどかに、死を感じさせる程の恐怖……

 怖くて頭を上げられない。

 この時ネギは、日本の女性は大人しそうに見えるけど、凄く怖い別の何かだ! アーニャなんか目じゃない! と遠くイギリスの姉に心の中で報告していた。


「ハルナー、ネギ先生を連れて先に教室に戻ってて。私達はあすなんが落ち着くのを待つから──」 
    
「イエス、マム! ネギ君、行くよ!!」

「はい、ハルナさん! 行きましょう!!」


 2人は回れ、右! をすると、手に手を取り合い校舎内を目指して走り出す。

 後ろは振り向かない。怖いから。

 のどかだけじゃなく、普段と違う様子のアスナも怖い。言わば爆発寸前の火山みたいで。










 教室へと向う廊下を歩きながら、ハルナは思う。


 見てはいけないものを見ちゃったと。

 アスナと横島の情事を容易く連想させるキスマーク。
 のどか達が急に怖くなったのは、嫉妬……?

 と真実を知る者からすれば、少し的外れな結論を出すハルナ。


「ネギ君さぁ、さっき見たの、誰かに言ったりしちゃダメだからね」


 教室前に差し掛かった辺りで足を止め、人差し指を立ててお姉さんぶりながらそう言った。


「えっと、アスナさんを裸にしちゃった事ですか? 言われなくても喋りませんよ!」

「そうじゃなくてさ、虫刺されの痕の事とかよ。女の子の肌のこと、みだりに誰かに話しちゃいけません、ってね!」 

「は、はあ……」


 良く解っていないのか、生返事で返すネギの頭を、グシャグシャと掻き混ぜるハルナ。
 彼女は、今まさに屋上で繰り広げられているだろう色恋刃傷沙汰に、巻き込まれなくて良かったと思う反面、好奇心の赴くままに観戦出来ないのがやっぱ残念。 



 あのアスナがねー。そんな感じもあったけど、まさかねぇ。
 のどかとゆえは失恋かね、こりゃー。それとも略奪愛ってか。
 あの様子じゃ、今頃は血の雨が降ってたりして。

 くー! 見られないのが残念な様な、そうじゃない様な……

 ま、どっちにしても、今日はネギ君の事まで気が回らないでしょうから、しゃーない、私が一人で面倒見るか。

 こっちはこっちで面白そうだし。



「ネギ君もさ、複数の女性に好意を寄せられる時は気をつけなさいよー。nice boatになっちゃうからさ」

「はあ……? なんのことです? ハルナさん」

「千雨ちゃんのトコに押しかけるの、私とネギ君だけになっちゃったって事かな?」

「意味がわからないんですが……」
















 そのアスナは、顔を俯かせたまま、拳を握り締め、プルプルと震える。


「どうしたんですの、アスナさん。そこまでショックを受けるアナタだとも思えないのですけど? 私も見られるのは断固イヤですが」

「まあね。裸にされたのはムカツクけど、それで落ち込んでいる訳じゃないわね……」

「なら、どうしてですの?」

「情けないのよ! あんなガキの暴走魔法をマトモに喰らう私自身が! 初めてだったんならまだしも、今日で2回目よ! さっきあんなに反省して……」


 ギリッ……、歯軋りが静かな屋上に響く。
 あやかは周囲の認識阻害を強めると、アスナの背中に回りこみ、背後から彼女の胸を優しく揉みしだく。
 アスナに快感を与えて反応を確かめながら、霊力の流れを見る。
 それは簡単な性魔術の応用。


「ひゃん……ちょっ!? あやか! なにすんのよ!」

「昨日のとは思えないキスマークの痕といい、霊力の流れが少しおかしいところといい、何がありましたの? そう言えば詳しく聞いてませんでしたわね」



 あやかに促され、ポツリポツリとアスナは話す。

 茶々丸とエヴァンジェリン相手に戦った事を。
 それが全て勘違いから始まった事を。

 そして、さっき感じた得も知れぬ恐怖まで。


「ホント、おバカさんなんですから、アナタは……」


 優しい声色。あやかはきゅっと優しくアスナを抱きしめる。
 そして、他の少女達もまた、思い思いの言葉をかける。
 暖かい言葉、アスナはそっと目を瞑ると、自分は一人じゃないんだと強く思う。

 例え茶々丸と敵対しても、例えネギと敵対しても、此処にいる皆は最後まで自分達の味方でいてくれる。

 そう信じたい。


「今日からエヴァンジェリンさんのお世話をなさるのでしょう? でしたら今の内に、ある程度霊力を回復しときませんと」

「へっ?」

「私、性魔術の実験台を欲していたんですの!」

「いいんちょさんは聖魔術を使えるですか!?」

「ええ、多分ですが。ですがなにかが足りない気がするんです。それがなんなのか解らない内は、使える、とは言い切れない気がしますわ」

「横島さんには聞いたのー?」

「いいえ、あの方は私達が性魔術を覚える事に、どこか抵抗があるみたいで。
 ですが、私達が最低限これを使いこなせれば、もっと効率良くあの人に精気を提供出来るのではと」

「ああ、なる程ね。良いんじゃないかな? 私達にも教えてくれる?」

「いいですわよ。とりあえずはアスナさんを……」


 アキラはあやかの言葉に従い、逃げようとするアスナを捕まえる。
 何とか逃げ出そうと試みるも、既に力はあまり残されておらず、ただでさえこの中で一番力が有るアキラに押さえ込まれては抵抗も出来ず。

 妖しく笑うあやかに恐怖を感じ、首を激しく振り回しながら抵抗するアスナは、少しだけ場から離れていた千鶴と木乃香に助けを求めた。

 だが、千鶴は楽しそうに笑うだけで、木乃香も何が起きようとしているのか解らずオロオロ。
 他の子達は恥ずかしそうにしながらも、ヤル気満々。
 何せスキル修得のチャンスなんだから、アスナと言う犠牲はあるが。


「ちょっとー! 私は女同士なんて嫌よーっ!!」


 ついさっきまで茶々丸と乳繰り合ってたヤツのセリフではない。

 もちろん、あやか達は知らないが。


「もうすぐ5時限目が始まるわよ! だから……」

「あすなん、授業よりも大切な事ってあるよね?」

「あやかー! アンタはクラス委員長なんだから授業サボるの不味いでしょうが!!」

「3年になったら、クラス委員長は辞めようと思ってますわ」

 
 あやかの言葉に絶句するアスナと、小学生の頃からずっと委員長だったのに辞めちゃうの? と言いたげな木乃香

 そして、夕映は何かに気づいたのか、ブツブツと独り言。


「聖魔術は、性的絶頂による魔力の収奪行為が基本です。アレ? もしや聖なる魔術ではなく、性的な魔術なのでは……?」

「どうしたの、ゆえー?」

「もしや私はとんでもない誤りをしていたのでは……。そう言えばあの時、皆さんが私を見て顔を赤くしていたのは……
 ひぅっ! 私は何てハレンチな事をあの人に! ああ、エッチな子と思われてはいないでしょうか!?」

「大丈夫だよ、ゆえゆえー。横島さんはエッチなゆえでも気にしないと思うよ?」

「むしろ喜ぶわね」

「私もそう思うよ?」

「うんうん」


 授業開始のベルが鳴り響く校舎に、閑散としている筈の屋上から2人の少女の悲鳴が響き渡った。



        「「イヤァアアアアアアッ!?」」






































 後書き

 裸黒ニーソ!(挨拶)


 百合展開が苦手な方、申し訳ありませんw

 ですが、横島×ヒロインS’だけではマンネリ化しますし、書いてる方もネタ切れ感が激しくなりますので。
 他の男×ヒロインS’はやりたく無いので、微百合的展開も有りになります。

 ただ、ガチ百合は無く、前提に横島ラブがありますので、その辺はご安心を。
 ちょっとおんにゃのこ同士でキャッキャウフフ的に絡むだけです。





[11660] ネギま!のほほん記 第7巻  微百合エロ有り(横パ乱交)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/02 15:48



  ネギま!のほほん記  第7巻  えっちぃ魔法のお勉強














 午後の授業中で静まり返る校舎内。

 シーンとした廊下には、教師の声だけが朗々と響く。

 そんな校舎の屋上で、知らない者が見たら性的なイジメ的な何かが繰り広げられていた。

 言うまでも無く、被害者は神楽坂明日菜(14)
 加害者は雪広あやか(14)を筆頭とした、横島忠夫に心を奪われ、ある意味人生が滅茶苦茶になった少女達。

 被害者であるアスナは、全裸に黒ニーソと彼女の主が見たら鼻息荒く襲い掛かりそうな艶姿。
 その傍には、キレイに畳まれた小さいサイズの背広の上着と、アキラが集めた制服一式。

 ネギの風の武装解除を受けて、花びらとなってしまった筈の彼女の制服。
 だが、アスナの防御が不完全ながら上手くいっていたのか、花びらとならずに魔法の風に吹き飛ばされただけだった。

 それに逸早く気づいたアキラが拾い集めると、これ見よがしに、アスナの手が届きそうで届かない位置にキレイに畳んで置いたのだ。 
 あやか達の視線から自分の身を隠し、あやか達の執拗な性技から身を守る事の出来る布の防壁を、アスナは涙目で視線を向けるだけ。
 アキラが服を置いた絶妙な位置が、彼女の中の抵抗心と希望を最後まで失わせず、あやかの指の動きに必要以上に反応する事になるとはアスナも気づかない。

 そう、これこそがあやかの未熟な性魔術の効果を倍増させるのだ。

 たぶん……



 そんな身動き取れないアスナに妖しい笑みをむけながら、あやかは更に封鎖結界を屋上全体に張り巡らせ、外から見えないようにした。
 通常結界と認識阻害だけでは、魔法の心得が有る者には丸見えになってしまうだろう。
 これからヤル事を考えると、それはちょっと不味い。
 何せ、女の子同士でエッチな行為をするのだから。それを見ても良いのはたった一人。

 なら横島宅でやれば良い、そう思うかも知れないが、それは出来ない。
 横島は他者に性魔術を習得させるつもりは無く、それは当然アスナ達にも及ぶ。
 性魔術は、あやか達が考えてるよりもずっと危険な魔術。 


 だが、あやかは性魔術の習得に力を入れ始めている。

 何せ覚える事が出来れば、今よりも効率良く精気を譲渡する事が出来るし、今回の様に緊急時での仲間内での魔力のやり取りにも役に立つ。

 それにだ、コレは仲間同士の連帯感を深めるのに、とても役に立つのでは無いだろうか?
 
 アスナにあやかと千鶴と夏美。この4人の絆はとても強い。
 それは一ヶ月間にも及ぶ南の島での共同生活のお陰でもあるが、何より、この4人は様々な組み合わせで彼と肌を合わせることが実に多かったから。
 あやかとアスナ、アスナと夏美、夏美と千鶴、千鶴とあやか……色々な組み合わせ。一人の男に全て曝け出し、愛し合う姿を目の当たりし合うのだ。

 だからこれから行う事は、まだまだ覚悟が足りない面々を、自分達の側に完全に追い込む切欠になる。

 敵は少ない方が良い。だけど仲間は多いにこした事はない。
 アスナはこれ以上の仲間は要らないと思っているが、今いる仲間との絆を深めるのには賛成だろう。
 こうして肌を合わせ、互いを知り合い、信頼し合える仲になれば、例え力は足りなく覚悟も無くても、何かしらの役には立つかも知れない。

 盾とか、魔力貯蔵庫的な意味で。



「ふふふ、悪い事をするって、何かワクワクしますわね」

「ひぃっ! あ、あやか……よよよよっきゅう不満なら今すぐ忠夫のトコに行きなさいよ!!」

「イヤですわアスナさん。悪い事ってアスナさんとの……じゃあ、ありませんわ」

「だだだったらなによっ!?」

「あの人に内緒で性魔術の研究をする事ですわ。わかりますわよね? あの人は私達が性魔術を覚えるの、とても嫌がりますもの」

「そ、そうよ! 私達は使徒なのよ! 主がダメって事をしちゃいけない! 今すぐ正気に戻りなさいよ!」


 アスナの訴えを殊更無視するように、手をパンパンと二回叩き、自分へと注目を集める。


「さあ、始めましょうか皆さん。まずは、ゆえさんとのどかさんは、アスナさんの太腿辺りを押さえて下さいませんか?」



 あやかの指示に従い、のどかは右足の太腿、ゆえは左足の太腿をそれぞれ抱える様に押さえ、背中からはアキラが羽交い絞めにする。
 そして千鶴が右足の先、夏美が左足の先を押さえて大きく足を広げさせ、アスナの女の部分を剥き出しに晒す。
 木乃香は今の状況にやや呆然としながらも、少し興奮した面持ちでアスナのソコから目を離せない。

 大きく広げられた足。その間に見える縦筋は、真っ赤に腫れ上がっている。
 花芯もぷっくりと膨らんでおり、ホンの少し前まで横島に可愛がって貰っていたのを容易に想像させた。

 嫌がりながらも期待しているのだろうか?
 そのワレメからは愛液が滲み出てきている。


「んうっ……」


 アスナは少し身体を震わせると、コポリ……と音を立て、秘裂から白く濁った液体を吐き出す。
 先程アスナの胎内に吐き出された横島の精液。

 自然、周囲の視線がそこ一点に集まり、アスナは耳まで真っ赤にする。


「み、みないでよぉ……」


 力なく訴えるその言葉を、誰も聞こうとはしない。

 千鶴と夏美は無言でアスナのアソコに手を伸ばす。
 ぐちゅ……アスナと横島の混合愛液に触れ、火に導かれる蛾の様に2人は膣口を割り、指先を絡ませながら沈めていく。

 何処かしら嫉妬した様子の2人は、グチャグチャと激しく膣内を掻き混ぜる。

 静止の声を上げるアスナ。

 だがそれを聞いた2人は、とてもイイ笑顔になりながら、指先の動きを尚一層激しくさせる。


「やめっ、ひぐ……っ、んんん……アアッ!」


 背筋を仰け反らせて喘ぐアスナ。

 あやかは、やれやれと言った面持ちで、再びパンパンと手を二度叩いた。


「千鶴さんも夏美さんもいい加減になさいませ」

「はーい」「仕方ないわね」


 残念そうにあやかの言葉に従う2人。
 2人は最後に横島の精液を引っ掻き出すと、指先に付いたそれを口へと運ぶ。

 れろぉ……ぴちゅ……ぴちゃ……

 慣れしたしんだ味が口全体に広がる。
 まるで彼がスグ傍に居るような錯覚。
 下着がジュンっと濡れ、黒い染みが広がっていく。
 自然と熱い溜息が2人の唇から零れる。

 淫らで色気を堪えたその姿は、夕映、のどか、アキラ、木乃香の心を激しく揺さぶった。

 思わずゴクリ、と生唾を飲み込む。


「あら? みんなも舐めたかったかしら?」


 言いながら千鶴は、指先に残っていた残りを、のどかの唇に塗りつける。
 うっとりとソレを舐めるのどか。
 その姿はとても14才とは思えない色気。


 それを見て、涙目でウーウー唸るアスナ。
 あやかはその抗議する口を自分の唇で塞ぐ。
 唾液がピチャピチャと絡み合う音が少女達の耳に響く。
 身をよじって何とか抵抗しようとしていたアスナも、降参とばかりにグッタリ彼女の成すがままに。


「も、もう抵抗しないから、押さえつけるのは止めて……」


 アスナの嘆願に、少女達はどうする? と言いたげな視線をあやかに向ける。
 流石にこの状態は、まるでレイプしているみたいで気が引ける。
 ほんの半年前、化け物にこんな感じで犯されそうになったアキラは特に。

 あやかはその視線に頷きで返すと、少女達は一言「ゴメンね?」と言ってから追々と離れていく。
 最後に羽交い絞めしていたアキラが離れると、ぐったりと床に背中をつけた。

 そんなアスナを横目に、あやかは身に纏っている制服を脱ぎ捨てる。
 身に纏う物が無くなった彼女は、自身の足とアスナの足を絡ませ、グイッと彼女の身体を引き寄せる。
 そして、ハァハァ息を荒げる彼女の股間と自分の股間をピッタリくっつける。

 くちゃあ……淫音が響く。
 2人のビラビラが重なり合い、ピリッとした刺激が脳を犯す。


「ぁんっ……あぁ……んっ……んぁ……」


 すぐに喘ぐ声を漏らし始めるアスナ。
 あやかは決して快感に溺れぬように自分を戒めつつ、細かく腰を揺らす。


「はぁ……んぐぅっ……い、いいですか皆さん、性魔術とは皮膚や粘膜を通じて術が発動……んんっ! 発動されます……」


 すでにアスナはあやかの性魔術の虜となっており、涙を流す目は虚ろ。
 口元からは、だらしなく涎が零れ落ちており、それをあやかが舌でチロリと舐めすくう。


「ちゅ……ん……そして、性的な快感を得る時に生ず、る……んはぁ……エネルギーを用いて、自分の魔力を……ああ……魔力を……コントロールするのではないかと……」

「コントロールですか?」

「そ、そうですわっ……あんっ……あ、あくまで推論ですが……そして、絶頂時の……空白時に……相手の魔力の流れを自分の物に……ああ、あん、んぅぁっ!?」


 ついに快感に抗えなくなってきたあやか。


「んっ……アスナさんのびらびらが……まくれて私のに擦れてきますわ……はぁ……」

「ふあっ、ああっ……あやか……気持ちいい……あぁん……わ、わたし……もうっ!」


 2人の淫らな蠢きあいに、少女達は知らず下着を濡らしていく。
 身を乗り出すように行為を見る一方、しっかりと魔力の流れに注視するのは流石と言った所か。


「い、いいんちょ! しっかり! 快感に流されたら負けだよ!」


 夏美の一喝に、淫らな行為に没頭しかけていたあやかが気を取り直す。
 首を左右に振って、何とか快感に抗おうとするも、一度火のついた身体は収まらず。
 アスナをイカせようとして、逆にイカされそうになる始末。

 見かねた千鶴がアスナの背後に廻り込むと、彼女の後ろの穴に2本の指を沈めていく。


「ヒィアッ!?」


 大きく嬌声をあげるアスナ。

 千鶴は身体をずらして逃げようとするアスナをしっかり抱きとめると、直腸内をマッサージする手とは逆の手で、彼女の乳首をキツク捏ねくり回す。
 形勢は逆転した。アスナの身体の震えが大きく激しくなり、逆にあやかはそんなアスナを見て余裕が出来たのか、ほんのりと笑みを浮かべ始めた。


「たぶん、今の私達が性魔術を使うのなら、対象に対して2人がかりじゃないと危ないわね」


 千鶴がアスナを責めながら、ボソッと呟く。
 彼女は魔法使いに成るつもりは無いが、性魔術を覚える事には前向きの様だ。


「どういう事ですか? その言い方ではまるで……」

「ええ、性魔術は、何らかの戦い……なんじゃないかしら?」

「エッチな勝負……って意味?」

「違うわ。いえ、そうなのかしら? 相手を絶頂させた方が勝ち……? いいえ、それでは……」


 千鶴は夕映とアキラの問いに答えながら、自分の思いつきに没頭していく。
 千鶴の中で、確かにあやかの言っていた『欠けたピース』とやらが、ぼんやり見えてきた気がする。

 そのあやかの方は言葉を喋る余裕もなく、アスナも陥落寸前。


「い、いい加減、おイキなさい! アスナさん!!」


 最後の精力を振り絞り、あやかは大きく腰を揺らめかせた。
 気合を込めた言葉が、アスナの精神に叩きつけられる。
 それと同時、ビクン!ビクン!っと身体を陸に上げられた海老の様に跳ねさせる。
 止めとばかりにアスナのクリトリスを中心に激しく擦り、千鶴もそれに合わせて直腸内に沈めた指を直角に折り曲げた。


「ィ……イっちゃうっ……わたし、もう、んくぁああああああああああ」

「よ、ようやく……これで私も……イ、いけますわ……ンくぅッ!!」


 2人の少女が身体を弓なりに反らせ、喘ぎ絶頂の極みに達したと同時、アスナの中に張り巡らされていたあやかの霊力の流れが変わる。
 全身を巡る霊脈、気脈に沿ってあやかの精気が確かに勢い良く流れ込んだのだ。

 思わず「ほう……」と溜息を漏らす少女達。
 だが、あやかの精気全てが流れ込まんとばかりの勢い。

 これは不味いのでは?

 周囲を囲む少女達はそう思うものの、どうすれば良いのか分からず、だが千鶴がアスナの身体をあやかから引き剥がす事によってそれは止まった。

 再びさっきとは違う意味で「ほう……」と溜息を漏らす少女達。

 ただ強引に性魔術を中断した所為か、アスナとあやかは感電した様に身体を震わせ、そのまま精神にダメージが走り気絶してしまう。
 少女達は、横島が何故自分達に性魔術を教えなかったのか、少しだけ解る気がした。

 何せ、下手をしたらあやかは精気をアスナに奪い尽くされ、いいや、与えすぎで死ぬかも知れなかったのだ。

 
「性魔術の研究って、皆が集まった時以外は禁止にしないとダメかも」


 夏美は尊い犠牲となったあやかとアスナからそっと視線を外し、タラリとこめかみ辺りから流れる汗を拭うと、何事も無かったかの様に考えを述べる。


「うん、そうだね。練習の時もさ、今は『奪う』んじゃなくって、『与える』が完璧になってからの方が良いと思う」


 夏美に続けとばかりに、こっそりアスナ達に制服をかけ、見えない所に寝かせると、アキラも夏美の話に続いた。


「2対1で、念の為の監視が一人、ってトコかなー?」


 丁度4人で二組作れるし、とのどかがアキラと夏美に補足しながら、やっぱり尊い犠牲には目をやらない。

 組み合わせ的には、曲がりなりにも性魔術を使って見せたあやかと、もっとも性魔術をその身で受けているだろうアスナを分ける。
 続いて千鶴と夏美をそれぞれ分ければ、バランス的に丁度良いだろう。

 と、アスナ達がいない所でドンドンと話を決めていく少女達。

 夕映は早速とばかりに服を脱ぎだし、それを見た他の娘達も脱ぎ始める。

 唯一気後れをしている木乃香も、千鶴に優しく促されながら後に続いた。
 アスナとあやかは完全に力尽きて気絶しており、当初の予定と違い3人一組ではあったが、性魔術の実践研究が開始する。

 実際に性魔術を発動させられる所までは行かないだろう、ある意味変な自信があったからである。


 ちょっとおっかなビックリな様子だが、少女達は迷う事無く身体を重ねあう。

 あやかとアスナの情事を見て身体が火照ったから?

 いいや違う。あくまでも飽くなき探究心と、そして、彼に近づく事が出来る技術を手にするため。
 少女達は皆、ただ横島に守られて満足するような娘達なんかでは無いのだ。
 それは場に流されているだけの木乃香にも言える。


 その中でも特にヤル気満々の夕映は、性魔術について何かしらのヒントを掴んだらしい千鶴と身体を重ね合わせる。
 そしてスグ隣では、夏美にアキラが覆い被さる。
 双方の組同士が、互いに気づいた事を話し合いながらの性行為。
 傍から見れば、百合の園の乱交……と言った所なのだが、当人達は到って真面目である。



「では、よろしくお願いします、千鶴さん」

「ええ、いらっしゃい、夕映」


 両手を広げて夕映を迎え入れる千鶴。
 夕映は少しだけ戸惑いを見せるが、勢い良く彼女の大きな乳房に飛び込み、その胸の谷間に顔を埋めた。
 隣では恥かしげな夏美と、外でのプレイは基本的に慣れてますとばかりのアキラが、床に手を着きながら秘所を擦り合わせる。
 続いて木乃香は夕映を、のどかはアキラを、それぞれ手馴れぬ様子で愛撫する。

 そして意見を交換し合い、時には感情をもぶつけ合う。
 魔法の研究者としては、至極真っ当な行為だ。

 微かに漏れる、甘い喘ぎと嬌声がなければだが……



 結局この日は、あやか以外は誰一人として性魔術を発動させるに至らなかった。

 5時限目の終了のチャイムが鳴り響き、アスナとあやかが目を覚ますまで続けられた乱交……もとい性魔術の実践研究もそこで終了し、フラフラになりながら教室に戻る。
 5時限目をサボった少女達に訝しげな視線が送られるも、疲れきっていたのか席に着くなり爆睡。
 少女達は、例え教師に注意されようと目を覚ます事は無かった。





 ヨレヨレの制服に疲れきった面々を見て、さぞや恐ろしい修羅場が繰り広げられたのだろう。

 そう思ったハルナは、意地の悪い笑みを浮かべる。

 結局ハルナが思っていた通り、その日の千雨への説得には彼女以外の誰もネギには付き添わず、って言うか、皆そんな事は忘却の彼方。
 唯一ネギに何らかの感情を向けかけていた木乃香でさえ、ネギが自宅に帰宅するまで存在自体すっかり忘れていた始末。

 アスナに任された横島の世話を、雑念無く嬉々として行うその姿は、あやかとのやり取りで不安定になったとは思えない程幸せ一杯。

 あやかの考えていた性魔術の研究による副次効果が出たのだろう。
 性魔術が何なのか木乃香にはさっぱり分からなかったが、皆でワイワイ騒ぎながらするその行為は嫌いじゃない。

 人肌を間近に感じながらも良かったのだろう。それは正に裸の付き合い。

 この日、横島の女と言っても過言ではない少女達は、ある種の連帯感を手に入れた。

 共に学び、悩み、分かり合う。仲間としての第一歩を、この時確かに刻んだのだ。
 




 
































 会議があると言うのに、何時まで経っても現れない学園長を迎えに、理事長室へと来たしずな。

 彼女はそこで、恐ろしい光景を目にする事になる。

 机に突っ伏したまま動かない学園長。
 彼を中心に血で赤く染まった部屋。
 今だ乾かぬ血が、机の端からポタポタと床に流れ落ちる。

 机や床だけではなく、壁や天井に到るまで鮮血に染まっている。


 学校中に響く程の甲高い悲鳴を上げるしずな。駆けつける同僚の教師達。
 非常事態宣言が発令された麻帆良学園都市。出血多量で医務室へと運ばれる学園長。
 情報は全て秘匿。孫娘である木乃香にすら伝える訳にはいかない。


 これは麻帆良を、いいや、関東魔法協会を狙ったテロリズムか!

 慌てふためく魔法教師。

 だが、目を覚ました近衛近右衛門は、一喝して慌てふためく者達を鎮静させる。

 その姿はとても若々しく、精気に溢れていたと人は言う。




 何があったのか聞かれた学園長は、この事件の事をこう語った。





 あの時ワシは、天の階(きざはし)へと足を踏み込んでしもうた。

 それは容易く人を死へと誘う(いざなう)魔性の道。

 だが、ワシはそこに踏み込んだ事を後悔しておらん。

 何故なら、その切欠となった光景は実に素晴らしいモノだったからの。

 もしももう一度があるというのなら、例えその結果がこの世との別れとなろうとも、必ずやワシは再びソコへと到ってみせる。

 あの光景を見ること、それこそがワシがこの世に生まれてきた理由(わけ)だったのじゃから……





 何を言ってるのかワカラナイ……

 でも、しょうもない事だと言うのはわかった。

 もちろん、関係各所から学園長への非難が上がり、この日かかった費用の全額が、彼のポケットマネーから出た事は言うまでもない。































 後書き

 本作においての百合はこれが基準です。



[11660] ネギま!のほほん記 第8巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/02/16 12:07



  ネギま!のほほん記  第8巻  切欠

















 シュルルル……グジュゥ……シュッシュッ……

 何処かしら酩酊した感じを見せながら、白濁した液体でベタベタに汚れた髪を巻きつける。
 赤黒く大きな肉棒を献身的に、それでいて大胆な手つきで何度も何度も擦りあげながら。

 すでに彼女の全身は、足の爪先から頭のアンテナ、それに髪の毛の一本一本に到るまで、彼の精液で征服されきっている。
 その事を嫌がるどころか、どこか誇らしげにする機械で出来た乙女。


「な、なあ、茶々丸ちゃん」

「なんでしょうか? もう少しキツクした方が良かったでしょうか?」

「それは丁度いいっす」

「では、このまま続けます」

「いや、そうじゃなくって……」


 困った様な顔をする煩悩魔神横島。
 そんな横島を不思議そうに見上げる茶々丸。

 彼としては、この状況を喜びこそすれ、困る事などないはず。
 茶々丸がこの半年で集めた横島のデータはそう答える。

 だがしかし、現実に横島は困った顔をしている訳で……

 それもその筈。横島とて茶々丸のご奉仕は凄く嬉しい。
 手から始まり足コキ、股コキ、手コキに戻って髪の毛巻きつけ……

 だが終わらないのだ。いつまでヤッても、どこまでダシても。


「そろそろオレ、限界なんだけど……」

「まだまだ元気な様子ですが」


 首を少し傾け、どこかウットリとした顔。
 呼吸など必要としない筈の彼女が、何故か息を荒げている。

 これは、茶々丸が何度もオーバーヒートしたせいで魔力不足になり、その魔力回復の為にゼンマイを巻いた辺りからずっとこの調子。

 人間が性行為で快感を感じるように、茶々丸は魔力の供給で快感を感じる。
 茶々丸の悶え喘ぐ姿に興奮し、調子こいてゼンマイ巻きまくった所為か?。

 横島はうっすらとそう思うものの、アレは良かった! また機会があれば何度でも! と反省はしない。


「いやな、そろそろ大学の研究室に行く時間だろ? だから身体をキレイにしないと」

「ご安心ください。まだ1時間は余裕がありますので」


 横島と会話を続けながらも奉仕する手は止めず、グチュグチュグチュグチュ……と精液でグチャグチャに汚れた髪の毛が、女の性器とはまた違った感触でとてもグット。

 だが、それも程度による。

 茶々丸の全身が横島の精液で浸されている現状、どれ程の射精をしたことか……

 茶々丸の様子の可笑しさに、もしや先程彼女に供給した自分の霊力の所為では?
 と少しドキドキする横島。

 彼には心辺りがある。

 かつて、彼がまだ美神除霊事務所でバイトをしていた頃の話。
 とある仕事で退治する事になったスライムに、自らの霊力を吸われたことがあった。
 すると、本能だけで生きるスライムが言葉を喋ったのだ。
 それは虚ろな存在が、確かな存在へと位階を上げた証拠。

 そんな彼の霊力をたっぷり供給された。

 唯でさえ高度なAIによって、人と変わらぬ意識を持っていた彼女。
 そんな彼女が彼の霊力を浴びたのだ。もしかしたら魂の欠片でも出来たのかも知れない。

 高位の存在である、真祖の吸血鬼の魔力を供給されていた事もある。
 いずれは魂を得て、付喪神となる可能性は高かった。
 でもそれは100年単位は先の話だ。

 だったらやっぱり……?


「横島さん、気持ち良いですか?」


 喜怒哀楽の4大感情の内、3つの感情を横島にぶつける茶々丸。
 喜び、楽しみながら奉仕し、横島が嫌がると哀しむ。


 これでは人間と変わらないではないか……


 股間から感じる甘い痺れの中、茶々丸の笑みに心を奪われる。


「ああ、気持ちいい。でも、もう限界だ……」

「どうぞ、イって下さい。私の顔でも、身体でも、お好きなところに」


 ビュッ、ビュルルルル……

 茶々丸のオデコからアゴにかけて満遍なく精液をぶっかける。
 肉棒に絡まった髪の毛を解きながら、茶々丸はうっとりとした溜息をこぼした。


「はふぅ……、もう一度、お願いします……」


 そう言いながら立ち上がると、ベッドの端に座っている横島の膝の上に座り、今度は硬い太腿の間に肉棒を挟んだ。

 ゴリッ、ゴリッ、と足を交互に上下させる。

 横島は余りのエンドレスっぷりに、目に涙をうっすらと溜めると、諦めきった口調で「もうちょい優しくして、茶々丸ちゃん」と要望する。


「はい、横島さん」


 嬉しそうに横島の方を振り向いて笑う。
 機械の彼女が、唯の機械で出来た筈の彼女が、笑う。
 アスナと戯れていた時以上に、感情豊かに。


 バシャバシャ……


 再び横島が射精する。
 今度はお腹の中央から首筋にかけて大量に。

 それを見て、またウットリとする。

 再び立ち上がり、横島の方を振り向く。
 ポタポタと全身にかけられた精液を床に落す。

 部屋中が横島の精臭でツンと鼻につく。
 冷たい鋼で出来た身体が、横島の熱い精液で濡れている。


「な、なあ、その、大丈夫なんか? 水洗い不可なんだろ、茶々丸ちゃんって」

「はい、そうですよ。髪も放熱板の役割をしていまして、今のままでは再び暴走する可能せいかのうせいガガガガガガガ」


 頭から蒸気を、破砕された腕からは電撃をそれぞれ発しながら、暴走し始める。


「のわっ!! ヒィーーーーーッ!?」


 慌てた横島は、茶々丸のセンサーが自分を捕らえている事に気づきながらも、茶々丸自身を文珠で停止させた。
 続けて全身を犯す精液もキレイに浄化させ、眠るように倒れこんできた彼女を抱きとめる。

 これでようやく天国のような地獄が終わったと、心底胸を撫で下ろした。

 眠る彼女に下着と制服を着せ、大切な女を運ぶように抱っこし、工学部の研究室へと向う。



 既に外は夕焼けに染まり始めており、どれだけ長いあいだ絞り取られたんだ……、と茶々丸エロ暴走に恐れ慄く。
 茶々丸をお姫様抱っこする事で悪目立ちし、様々な制服の少女達や、どうでも良い男共の視線を集めながら、目的地へと向ってゆっくり歩く。


 ヴィ……ヴィヴィ……キュィィィンン……

 電子音が茶々丸の体内から聞こえてくる。


「起きたんか、茶々丸ちゃん」


 優しい問いかけ。


「はい、横島さん」


 さっきまでとは違って、落ち着いた様子を見せる。


「何がどうなってるんか、わかるか?」

「はい、私は機能を停止したようです」

「大丈夫か?」

「いいえ、私よりも横島さんです。重くはないですか……?」

「軽い……とは流石に言えんが、この程度は全然平気だよ、茶々丸ちゃん」

「そうですか……ありがとう……ございます……」


 コツン……背中を丸め、横島の胸に頬を当てる。
 聴覚センサーが捉える横島の心音を聞きながら、茶々丸は静かに瞼を閉じた。

 お姫様抱っこされる自分。
 外から自分達を撮影出来ないのが、とても残念。

 そんな事を『想う』

 そしてさっきまでの行為と、お姫様抱っこな自分の現状を、一番大切な記憶フォルダにしまうのだ。

 大切な大切な『思い出』として。














「次は、もっとアナタを満足させてみせます」


 研究室で、横島との別れ際に囁いた言葉。

 横島が完全に視界から消えると、その言葉をもう一度小さく呟く。


「ん? 茶々丸、どうしたネ?」

「何でもありません、超鈴音。それよりも私のボディーの件ですが」

「ああ、それは任せておくネ」

「ありがとうございます」

「それにしても茶々丸。お前はどうして……いいや、何でもないネ」


 超は茶々丸の視覚センサーから見えないように後ろを向くと、口元に笑みを浮かべ目を細める。


 ふ……フフフ……茶々丸、お前は自立した一個の存在になったのか?
 一体お前に何があった? これは製作者である私とハカセの予想を越える出来事。

 とても興味深いネ……



「どうしました、超」

「何でもないヨ、茶々丸」


 さあ、見せて見るネ。お前が変わった原因を。
 茶々丸、お前が人間に近づいた訳を。


「こちらは準備オッケーですよ、超さん」

「ああハカセ、今行くネ」


 カツン、カツン、超の足音が響く。
 騒音激しい筈の実験室に、とても大きく、とても耳に響く足音。

 科学者として、何より彼女の創造主として、茶々丸の変化がとても興味深い。その、期待の足音。


「アスナ……さん……、よこしま……さん……」


 そんな足音の中、さっきの映像を何度も何度も繰り返し再生する茶々丸。

 次に目を覚ます時には、もう一度、いいや、何度でも……
















「超さん、茶々丸の体内から、エヴァさんの魔力とは違う反応があります」

「……それがどうかしたのか?」

「魔力じゃないみたいなんですよ、これ……」

「アスナさんの……、いや、これは横島忠夫の霊力かナ? 興味深いネ、私の居た未来には無かった力、霊力」

「茶々丸の記憶ドライブを検索しますか?」

「フフフ、すまない茶々丸。お前の記憶、見せて貰うヨ……」

「ノリノリですね、超さん!」

「ああ、お前もな、ハカセ」

「科学の進歩の為には、少々の非人道的行為もむしろやむなしです!」


 人の悪い笑みを浮かべ合う2人。

 2人は悪いと知りながら、茶々丸のお気に入りフォルダを開き、特に何度も再生されている項目に目をやる。


 ……それは、彼女達の想像の斜め上を行く映像。

 始めはポカーンと大口開けて、次に段々と顔が赤く染まり、最後に目をやや逸らしながら耳まで真っ赤。


「ちゃ、茶々丸は大人になったネ……」

「あ、アハハ……、超さん、何か私、少しだけ空しくなった気が……」

「最後まで言うナ! 悲しくなるネ……」


 涙を一筋、ツツゥーと流す超とハカセ。

 2人は優秀な科学者だ。だが同時に、たった14才の少女でもある。

 色恋沙汰よりも、科学に身を捧げきった自分に後悔なんてした事はないし、これからも無いだろう。

 でも、だからこそ目から水が……


「ハカセ、今日はもう休もう……」

「そうですね。茶々丸には悪いけど、改修作業は明日からって事で」

「それが良いネ……」


 何だか疲れ切った声を絞り出しながら、プチン、と茶々丸の記憶映像を閉じる。

 丁度その場面は、横島が茶々丸を文珠で『停/止』させた場面。
 彼の万能の霊具が力を振るった瞬間。

 超は時間が止まった様に動きを止める。


「ん? 今のは……?」


 もう一度、見て見ようと腕を伸ばす。だが、


「超さーん、早く帰りましょう。何か身体が熱くなっちゃって」


 ハカセの言葉に自然と指がはなれる。


「まあ、確認するのは明日でも良いネ」と小さく呟き、「ハカセ、それは発情してるんだと思うヨ」と笑いながらハカセの後を追う。







「アハハ……。茶々丸に先を越された気分ですね、超さん……」

「ああ、まったくだヨ。創造主をおいて創造物が先を歩む。ある意味科学者として本望ではあるのだが」


 寮へと続く道、超とハカセはシミジミと語り合う。



「茶々丸の身体の改修願いって、この為だったんですね」

「好きな男に抱かれたい……か。いや、この場合は女もカナ? どちらにしても、茶々丸は侮れないネ。この事はエヴァンジェリンも知ってるのか?」

「さあ? 知らないんじゃないでしょうか?」

「言った方が良いと思うか?」

「ちょっと私には判別つきません」


 天才と言っても、所詮はマトモな恋愛もした事がない唯の小娘。

 こんな時、どうすれば良いのかさっぱりワカラナイ。


「とりあえずは、知らないフリでもするネ」

「そうですね、超さん」


 止まる会話。
 夕焼けの朱が、2人を優しく包む。
 無言のまま桜通りを抜け、寮の手前へと差し掛かる。

 さっき見てしまった衝撃映像を何度も頭の中で繰り返しながら、超とハカセは少しだけ気不味い。

 性的な交わり何て初めて目にしたのだ。
 14才の少女としては、それも致し方ない。

 そんな中、超は最後に見た映像を不意に思い出す。

 茶々丸を停止させた謎の珠。それには確かに文字が2つ刻んであった。
 その文字まではまだ確認していないが、それが何なのか段々と気になってくる。
 

「紅き翼の汚点」

「なんです、それ?」

「茶々丸やアスナさんと睦み合っていた男の蔑称ネ」

「横島忠夫さん、でしたよね?」

「ああ、そうネ。私の知る未来には、彼の存在は記録されていないヨ? 一体、何者なんだか、そろそろ本気で調べてみるカナ?」

「色仕掛けに弱そうでしたよ?」

「それはハカセに任せるネ」

「いいえー。超さんに先んずるなんてトテモトテモ……」

「フフフ、遠慮する事ないヨ、ハカセ」


 2人、今この時は、唯の少女になって笑い合う。
 いつもの色恋沙汰と無縁な彼女達には、とても珍しい。
 ただただ、唯の少女みたいに、普通の女の子みたいに、笑い合った。 










































 一方、その頃……

 ネギと付き添いのハルナは、千雨の部屋の前に来ていた。

 僅かに開いたドアから零れる光。

 ネギはドアホンを押そうと手を伸ばすが、寸前でハルナに止められる。

 何で? そう言いたげな顔でハルナを見上げるネギ。

 ハルナは指を一本、唇の前に立てると、「しぃ~」右目をパチンと閉じてウインク。

 面白いモノが見れると、悪戯っ気満載な笑顔。

 そ~っとドアを開けるハルナ。

 こっそり覗く光景は、千雨がブツブツと独り言を言いながらキーボードを叩く姿。









 おハロー(*^o^*)オ

 今日はとーーっても嫌なことがあったよん"(/へ\*)ウゥ…

 ちうのクラスの新しい担任がさー、もう、すっごい変態なんだぴょん!

 ちうを生徒指導室に呼び出して、2人っきりになろうとするんだよう

 えっちな目で見られちゃったよう( p_q)エ-ン




 ちうファンHIRO > 許せねぇ!何だその男?!

 ちうラブ1 > 俺のちうタンを!俺のちうタンを!うらやまスぅいーっ!!

 ちうラブ2 > オマ!それは思っても口にすんな!

 アイスワールド > まったくだ。でもま、気持ちはワカル。ちうタン美人だし~

 ちうファンHIRO > そうだよね~。ちうタンはネットアイドルの中でもピカ一だよ!

 クウネル > コレでスク水着てくれたら言う事なし!

 アイスワールド > ↑何言ってるんだお前!でも気持ちはワカル。ちうタン可愛いし~ 



「え~~? そんなことないよぉ~♪ でも、ありがとうー! 今日はお礼に、要望の多かったスク水コスをお披露目するよ♪」


 イソイソと服を脱ぎだす千雨。
 それを見ているハルナは笑いを堪えるので必死。
 ネギは何が何だか分からない。

 そうこうしている内に全裸となった千雨は、次に白の旧スク水に足を通す。
 続いてデジカメをセットすると、色々なポーズで写真を撮っていく。

 デジカメのフラッシュに恍惚となりながら、何故かネギやハルナの存在には全く気づかない。


「普段は目立たぬ女子中学生! だがその裏の素顔は! インターネット界を牛耳るスーパーハッカーにしてNO.1ネットアイドル!!
 くっくっく……、ファンタジーな世界なんぞ消えうせろ! 邪魔臭い子供教師は魔法の国へ帰りやがれ!! ハッハッハッハッハッ……ん?」

「あの~、僕は魔法の世界から来たんじゃないですよ?」


 千雨の時間が止まった。
 顔が赤に染まり、続いて青くなっていく。
 ネギの隣で笑いを堪えていたハルナは、遂に腹筋が限界突破。

「ブハァッ!」と噴き出し、そのまま大笑い。

 だが笑いながらも、しっかりと部屋のドアを閉め、外に漏らさぬ様にするのは流石か。
 千雨は時間が動き出すと同時に、「ギャー!?」と叫び、両手を地につける。


「あ……あああ、も、もうダメだ……。私のこの秘密の趣味がバレたら学校中の生徒に後ろ指さされて笑われて……」

「まあまあ、落ち着きなよ、千雨ちゃーん」


 底意地の悪い笑みを浮かべ、千雨の肩をポンポンと2回叩くハルナ。
 ネギはその間、先程まで千雨が弄っていたPCに興味津々。
 PCの前に行くと、モニターに映し出されている千雨の写真に感嘆の声を漏らした。


「わー! 長谷川さん、とってもキレイですねー」


 絶望の淵に立たされ、顔を青ざめさせていた千雨は、ネギのその言葉に顔を上げた。
 何度もキレイキレイと連呼するネギに、青くなっていた顔が、また赤く染まっていく。

 そんな千雨の様子に、悪い笑みがドンドンと深まっていくハルナ。
 それに気づいた千雨は、慌ててネギの手を掴むと、無理矢理部屋の外へと押し出そうとする。


「わわ! 長谷川さん、何をするんですか!」

「とりあえず部屋から出やがれ!」

「ええっ!? ダメですよ! ボク、長谷川さんに話があって!!」 


 扉を開け、ネギを廊下へ押し出したその時、千雨にとってこの日最大の不幸が訪れた。
 ネギにとっては今日2度目の出来事。
 口元を通った千雨のサラサラヘアに鼻をくすぐられ、「は……は……ハクシュンっ!」魔力を暴走させた。
 千雨の身体を覆っていた白スク水は花びらに変化し、寮の廊下をハラハラと空しく舞い落ちる。


「な……な……こ……これは……!?」


 自分の身に起こった事が信じられないのか、もとい、信じたくないのか、呆然自失な千雨はフラフラと身体をよろめかせる。
 慌ててネギが彼女の身体を支えようと手を伸ばすも、勢い2人纏めて勢い良く廊下に倒れ伏した。

 ゴツン、と鈍い音を立てて床に頭を痛打するネギ。
 そのネギの額に、自分の額を続けて打つ千雨。

 しばし2人は痛みの為に無言で頭や額を押さえて呻き声を上げる。


「なになに~? 何かあったの~?」


 そんな時だ、廊下の騒がしさに、千雨のクラスメイトにしてネギの教え子となった娘達が自分の部屋から顔を出したのは。

 そんな2-A生徒達が見たのは、ネギを裸の千雨が押し倒す姿。

 シーンと静まり返る寮の廊下。
 だがその静けさは嵐の前の静けさ。


「千雨ちゃんがネギくんとエッチな事してるーっ!?」

「んなッ!? 違う! そんなんじゃねー! これは単なる事故だ! 陰謀だーっ!!」


 全てを知り、フォロー出来る筈のハルナは、床を転げ回りながら大笑い。
 結局この日の誤解は解ける事無く、あっという間に『千雨、ネギの恋人説』の噂が学校中に広まった。

 学校教師達はこの噂にノーリアクションだった事だけが、彼女にとっては慰めとなるのだろう。

 千雨が望まなかったファンタジー。

 自分だけは常識人と信じていた少女が、非常識な人間の仲間入りをした瞬間だった。


 








































 後書き

 最低系と罵られようとも、作者は最強・ハーレム大好き野郎!
 ゴールする気が無い娘でも、機会あったらフラグ立て。

 って訳で、今回は地味に超とハカセの最初のフラグを立てておいた。





[11660] ネギま!のほほん記 第9巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:38






「忠夫~、ただいまぁ」「今帰ったえ~、横島さ~ん」


 2人の少女の声が玄関から聞こえてくる。

 かったるい体をソファーに投げて動く気がしない。
 身体の芯まで疲労が溜まっている気がする。
 柔らかいソファーに顔を埋めながら、アスナ達が来るのを待つことに。

 トタトタトタ……廊下を歩く軽快な音。
 最後にパタン、とリビングへ続くドアを開け入ってくる。


「うー……おかえり……、アスナ、木乃香ちゃ~ん……」


 蚊の鳴く様な声を絞り出す。


「どうしたの?」「どっか具合悪いん?」


 心配そうに駆け寄って来る2人。
 何でも無いと、右腕を上げて軽くパタパタと手を振った。


「調子悪いの?」「熱は……?」

「いや……そんなんじゃなくて……茶々丸ちゃんに……限界まで絞り取られた……んじゃ……」


 そう、茶々丸を送って家に帰った途端、一気に疲れが身体を苛み、腰が重くて動けなくなったのだ。

 そんな彼を見て、アスナと木乃香、2人顔を合わせてニコリと笑う。

 何を? 何て聞いてこない。2人無言で腕を高々と上げると、同時に背中へと肘を突き落とした。

 ドスッ! 鈍い音が背中から聞こえた。


「あんぎゃーーーーッ!?」


 悲鳴が家中に響く。

 それはアスナと木乃香のコンビネーションアタック。
 2人は互いの右手をパチンと叩いて健闘を称えあった。


「このか、私がいない間、このバカの事を頼むわね!」

「はいな!」


 アスナは木乃香の元気な応えに満足気に頷くと、痛みで悶絶している横島の背中に「えいっ!」っと飛び込んでくる。

 すぅーっと大きく息を吸い込み、肺に空気を一杯吸い込んだ。


「ただおぶんほきゅ~ちゅ~なの……」


 木乃香の前では珍しく甘えた声。
 この半年で初めてと言っていい。
 アスナも寂しいのだろう。これからエヴァンジェリンの家に行くのは。
 茶々丸の改修が終わるまでは、エヴァンジェリンの家で住み込み家政婦業なのだ。

 だから……


「あん? 今日はもう打ち止めやぞ?」


 こんな事を言われたらキレても仕方あるまい。
 ゴス! 再び鈍い音が家中に響く。
 アスナは痛そうに唸る横島の頬に、チョンと唇をつけてスグに離れると「ベーッだッ!」っと思いっきり舌をだす。


「明日は、学校終わってからちょっとだけ顔を出すわね。バカなことばかりやってないで、ちゃんとしてないとダメよ?」


 親が子供を叱るみたいに言うと、トタトタと部屋へと戻る。
 鞄にお泊り道具を詰め込み、素早くお着替え。
 それからもう一度、リビングにヒョイっと顔を出す。

「いってくんね!」と元気良く手を上げた。


「ああ、エヴァンジェリンによろしく言っておいてくれ」「いってらっしゃーい。横島さんの事は任せてな~」


 ソファーから立ち上がり、アスナに向って手を振る。
 木乃香は自然と横島の腕に絡みつきながら見送る。
 アスナはすこ~しだけ木乃香にジトッとした視線を向けるも、すぐに笑顔を見せてもう一度「いってきまーす」そのままリビングを出た。


 トタトタトタ……キィ~、バタン……

 アスナが玄関から出る音。
 木乃香を纏わり付かせたままソファーに座ると、ボソッと「外まで見送れば良かったな……」と呟いた。

 小さく呟かれたはずのその言葉は、2人っ切りの静かな家に、何故かやたらと大きく響いた。

 














  ネギま!のほほん記  第9巻  賢者横島























 夕焼けの朱に染まったリビングが、少しづつ夜の暗闇と侵されていく。

 アスナがエヴァンジェリンの家に行ってから、なぜか木乃香はべったりとくっついたまま。
 制服のまま、着替える事無くしな垂れかかる。

 彼女からは女の匂いが染み出てきている。

 発情している女の匂い。
 いつもの自分なら、押し倒してしまいそうな程に濃い匂い。
 間違いなく処女である筈の彼女が、これほどの女の匂いを醸し出すとは何かあったのか……?

 そうは思うが、今日は色々と有り過ぎて疲れ気味。聞く気も起きなければヤル気も湧かん。


「木乃香ちゃん、着替えんでええのか? 皺になっちゃうぞ?」


 完全に夜の闇に没したリビングで、静かに囁く。
 木乃香は潤んだ瞳を彷徨わせ、名残惜しげに立ち上がる。
 柔らかく暖かい肢体が自分から離れるのをやはり残念に思いながら、それでも少しだけ突き放す。
 木乃香は窓辺へと寄ると、シャーッと勢い良くカーテンを閉め、真の暗闇になったリビングの電気を点け明かりを灯した。
 急に明るくなったせいか、目がチカチカする。


「横島さん……、ウチと……お風呂に入らへん? その、なんや……着替えるのにも丁度ええし……」


 それは素晴らしいお誘い。ぜひ! そう言いたい気持ちはあれど、それに応える訳にはいかない。

 ネギを風呂に入れる役目が自分には有るのだ。
 子供を一人で風呂に入らせる。そんな危険な事は出来ない。
 普通の子供よりも早く大人に成りかけている少年ではあれど、所詮は自分で頭も洗えないただの子供。一人で風呂に入らせる訳にはいくまい。
 何よりオレはあの少年の保護者なのだ。最低限の義務ってものがある。少なくとも、あの子が一人で頭を洗える様になるまでは。


「……ごめんな?」 


 言葉少なく、だが残念そうな声色で断る。
 木乃香は見るからに肩を落とすと、目の端に涙を一杯に溜め込みながら、力なく首をふった。


「ううん、ええんよ。ウチ、着替えてくるな?」


 湧き上がる罪悪感。ネギとは後で別に入るとして、今は一緒に入ったほうが良かったか……?
 だが、今だ帰らないネギを放って置いて、先に風呂に入るわけにはイカンだろう。

 それは木乃香も解っているはず。

 そう自分を納得させながら、テーブルの上に置いてあるテレビのリモコンを手に取る。
 ポチっとテレビの電源を入れると、流されるニュースをぼ~っと眺め見る。

 不意に見知った顔が映し出されるのを見て、思わず身を乗り出した。

 ホンの半年程前、少しだけ夢を見たことを思い出す。
 一般人として生きる、そんな些細な夢だ。
 そんな些細な夢の中にいた時に出会った仲間。
 斬新なプロジェクトを立てニュースに取り上げられたみたいだ。
 そんな仲間といっても良い奴等が、生気をみなぎらせ、生き生きとした表情を画面の向こうから見せる。

 メールでもしてみようか? それともオレのことなんざ忘れちまったかな?

 口元が自嘲めいた笑みの形に歪む。
 今の今まで忘れていたのに、向こうにだけ期待するのは間違っている。

 そう思いながらも、自然と携帯をポチポチ。

 送信……っと。これで良し。

 顔を上げてテレビを見ると、すでに違うニュースが流れている。
 中学生のオリンピック候補者が如何の……そんな割と如何でも良いニュース。
 正直な話、少し静かに見守ってやれよ。そう思わんでもないが、これも試練の一つなのだろう。
 この程度を乗り越える事が出来ないなら、どの道大成することはない。そんな厳しい世界なのだ。

 そんな埒もないことを考えていると、チャラララン♪ 連続でメールの着信音が鳴る。

 全部で12回。あの、仲間の数と一緒。
 少し期待を込めてメールを見る。
 自然と笑みがこぼれた。
 内容はどれも殆ど同じ。


 曰く、連絡するのが遅い。今度飲みに行きましょう。さっさと戻って来い。


 どれもこれもこんな感じ。
 この50年余りの時間の中で、唯一出来た『普通』の友人達。
 心が暖かくなっていくのが解った。

 俺は再びメールをしようとポチポチ、ピッピッ。


 ───色々と忙しくてな、連絡遅れてゴメン。戻るのは無理だ。やらなきゃいけない事があるからな。
 飲みに行くならそちらの都合で日時を決めてくれ。お前等と違って時間的な都合は幾等でもつくからさ───


 すぐさまチャラララン♪ とメールの着信音が再び12回。
 お前ら、実は暇だろ? そう苦笑しながら着信メールを開いた。


 ───了解! 美味い店があるんだ。お前の奢りだぜ? むつみさんには手を出すなよ! ふふふ、アナタと再会する日が待ち遠しいわ~♪


 口元の笑みが更に深くなる。
 ああ、本当に待ち遠しい。
 俺も入れて13人分の飲み食い代を払うのは業腹だが、金は唸るほど有る。
 たまにはそんな日が有っても良いだろう。

 そう思いながら、携帯をパチンと折り畳むと背後から木乃香の気配。


「横島さん、何しとったん?」

「ん? 友達から着たメールを見てた……んだよ……」


 言いながら振り返ると、言葉を呑んでしまう予想外の光景。

 頬を桜色に染めた木乃香。その身を纏う頬と同じ薄い桜色の浴衣。
 日本人特有のきめ細かい肌に、長く美しい黒の髪が良く映える。
 身体のラインがキレイにスゥーと流れていて、下着なんて無粋な物を身に着けていない事がすぐに解った。

 思わず呆けたように見とれてしまう。


「えへへ……ウチ、似合うとるかなぁ……」

「あ、ああ……、凄く似合ってるよ、木乃香ちゃん」


 俺の心からの言葉に一杯の笑み。

 少し照れ臭そうにしながら、手に持つお銚子と酒のつまみをテーブルに置き、俺の手にお猪口を持たせる。
 甘えるようにもたれかかると、14才になったばかりの少女とは思えぬ色気を湛えながら酒を注いでいく。

 それをクイッと一息で飲むと、すぐさまお猪口に酒が注がれていく。

 木乃香の熱い息が首筋にかかる。
 相変わらず濃い牝の匂い。
 チラリと覗く胸の谷間と淡く膨らんだ乳房。
 すでに尽きた筈の欲情が湧いてくる。

 もっとも、流石に最後まではする気が起きんが。

 そんな自分に自嘲めいた笑みを向けつつ、自然と手を彼女の太腿の内側に滑り込ませた。
 緊張しているのか、それとも発情しているからなのか、彼女の太腿はしっとりと汗ばんでピトッと手に貼り付く。
 俺は手を太腿に貼り付かせたまま、再びクイッと酒を一息で飲み干した。


「んぁ……」


 切ない喘ぎを零しながら、木乃香は三度酒を注ぐ。


「……んぅ……の、飲むばかりやのうてきちんと食べな、すぐに酔ってまうよ?」


 酒を注いでおきながら……、そう思わんでもないが、素直にお猪口をテーブルに置く。
 木乃香は箸できんぴらごぼうを摘まむと、「あ~ん」と俺の口元まで運んでくる。
 ネギを待たんでいいのか? そう思いながら大口を開ける。
 ヒョイッと箸が俺の口の中に入り、酒のつまみとしては薄味な、だが夕食のおかずとして丁度良いのだろう上品な味が口一杯に広がった。


「おいしい?」

「ああ」

「や~ん。うれし~わ~」


 言葉少なめに返したものの、木乃香は頬に手を当て嬉しそう。
 調子にのったのか、次から次へと俺の口におかずを放り込んでいく。

 このままでは、ネギが帰ってくる前に食事が終わってしまう。

 子供はやっぱり皆で楽しくご飯を食べさせてあげたいのだが……

 そう思い、チラリと木乃香の顔を盗み見る。
 朗らかで嬉しそうに、それでいて淫靡で溢れんばかりの色気を併せ持った表情。

 ……先程一緒に風呂に入ってあげなかったこともあるし、食事を一旦止める為でも有る。
 それに、ここで手を出さないのは逆に可哀想というものだ。

 それならばとばかりに木乃香の内腿に忍ばせていた手を、じりじりと股間の中心部へと進めていく。


「ひぃぅ……ん……ん、ん……」


 狙い通り箸をテーブルに置く木乃香。
 快感に目を潤ませ、微かに喘ぎを漏らす唇はほのかに開いたまま閉じる事はない。
 俺の手が進みやすいように足を広げ腰を少し浮かせる。


 ぐちゅぅ……、淫猥で粘る水音が響く。俺の親指の第一関節が木乃香の股間のクレバスへと到達した証。

 濡れている……ってレベルの話ではない。グチャグチャだ……
 これなら発情した獣のような行動をとるのも仕方ないのかもしれない。

 問題は何故こうなったか? なのだが…… 

 問いただそうか……? そう思い彼女の顔を見つめると、期待の篭った目で見つめ返される。
 熱い吐息を吐きながら「横島さん……」と俺の名を呟くのだ。


「いつの間に、こんなにエッチな子になっちゃったんだか……」


 ポツリと呟いた俺の言葉に、だが嬉しそうにこう答える。


「エッチな女の子は嫌いやった?」

「うんにゃ。大好物」


 言いながら浴衣の上から乳首を摘まみ、捏ねるように小さめの乳房全体を撫で回す。
 俺の指が蠢く度に木乃香の乳房は柔らかく形を歪め、切なそうに声を漏らす。


「んっ……んぅ、んっ……やっぱり、横島さんに……ンンッ……して貰うんが一番気持ちええよぉ……んあっ、ンンっ……」

「自分で慰めでもしてたんか?」

「ちゃ、ちゃう……よ……あ……んっ! ち、千鶴さんとゆえが……ああん……」


 あの娘達は何してるんだ?

 そう思いながら、今度はジュクジュクに湿った陰部を嬲り愛液を掬い取る。
 糸が引くほどに粘るソレを、ワザワザ木乃香に見せ付けた。


「いやぁ……そんなん見せたらいややぁ……」


 恥かしそうに身体をわななかせる。
 膣口から溢れ出る愛液の量が爆発的に増え、ピュッピュッと飛沫が跳ねる。
 快感から身を大きくよじらせ耐えようとする木乃香。


「あう……も、もうイキそう……あっ! あああっ! 何かっ、出て……ああん……ッ!!」


 絶頂近い感覚に、盛大に身体を揺らし喘ぎ悶える。
 最後に震えが最大になり、その頂点に達しようとしたその時、


「ただいまー!」


 元気な少年の声が響く。

 俺は木乃香を嬲る手を止め、素早く乱れた浴衣の裾を直してあげるとソファーに座る。
 木乃香は今だ細かく身体を振るわせるも、必死に平静を装った。


「ネギくんのこと忘れとったわ……」


 ポツリと呟く言葉に、妙に大胆だと思ったら、と少し呆れて笑ってしまった。






 その後は……、

 ネギと一緒に夕食を食べ、風呂に入り、テレビを見ながら雑談。

 時折、切なそうに太腿を擦り合わせる木乃香の身体を静かに慰めながら、昔の話をする。

 ネギの父親のナギと、木乃香の父親の詠春との冒険活劇。
 不思議な事に、木乃香はともかくネギまで殆ど知らなかった昔の話。
 俺達が紅き翼の一員で有った事さえ知らなかった。

 俺はともかく詠春は有名だと思うんだがな。


 昔話に目をキラキラとさせて興奮するネギ。
 そんなネギを微笑ましそうに見る木乃香。

 ああ、この2人はあいつ等の子供なんだな……と少しだけ胸が切なくなる。
 久々に感じる置いてけぼりにされたような気持ち。


 ネギはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、次は次はと話をせがむ。

 初めて聞く父親の生の話。

 今までは、ただ立派で偉大な英雄だとしか聞かされていなかった、父親の話。

 興奮しても仕方無い。


 結局、その日もリビングに布団を敷き3人で川の字になって眠る事になった。

 ただし、真ん中の棒が俺だが……

 ネギと木乃香に挟まれながら、ポツリポツリと話をする。
 サウザンドマスターの吸血鬼退治を始めとする、この先のネギに必要な知識をそれとなく交えながら。
 そして、ふと気づけば2人の寝息が聞こえるようになる。

 2人の顔を覗きこむ。

 楽しい夢でも見ているのか、ネギは笑みの形に顔を固定させ、本当に嬉しそうに眠る。

 一方、木乃香は欲求不満のままなのか、切なげに俺の体に擦りつけながら寝苦しそう。

 まあ、あれだけ火照った身体をそのままにされたら仕方ないかな?
 俺は優しく木乃香を抱き寄せると「おやすみ、木乃香ちゃん」と耳元で囁く。

 寝苦しそうに顰めていた眉が、ほんわかと緩む。

 次にネギに、「おやすみ、ネギ」と囁くと、「ふぁーい……続き聞かせてくだしゃい……」と寝ぼけた声を漏らしたあと、再び寝息に変わる。 

 そして最後にここに居ないアスナに「おやすみ、アスナ」と囁いたあと深い眠りについた。




 静かになったリビングに、規則正しい寝息が3つ、すぅー、すぅー、と木霊した。









 賢者モード終了。 
 





































「うっ、うーーんっ!」


 手を大きく伸ばし、目を覚ます。

 元気にそそり立つ息子がやたらと誇らしい。

 それでは早速……と思いきや、今日はアスナはいないんだっけ。
 何となく傍に居るような気がしたんだが、気のせいか……

 いや、ちょっと待てよ。木乃香ちゃんにして貰えばいいじゃないか!

 問題はネギだが、起きそうだったら文珠で眠らせればいいか。

 そう思いながらネギの位置を確認する。
 が、右隣に寝ていたはずのネギが居ない。

 あれ? もう起きてどっか行ったか? 
 まあ、いいかと今度は木乃香の眠る左隣に目をやる。


「なん……だと……!?」


 予想だにしなかった光景。ネギの余りの無道に、頭に血が上る。

 浴衣を寝間着として眠る木乃香、今の彼女は下着を着けていない。
 ここまでは良い。むしろ素晴らしい。
 だが、木乃香の小さめの胸の谷間に顔を埋めて眠るガキが一人。

 しかも、直接! ダイレクト! にだと!!
 それはワイのオッパイだろうが! 

 俺は幸せそうに惰眠貪るクソガキの後頭部に、爪を立てて握力だけで持ち上げる。


「あがッ!? な、なななななんですか! 横島さん!?」


 突然眠りを妨げられたネギが、頭蓋骨が割れるような痛みに抗議の声を上げた。
 その声に目を覚ます木乃香は、裾が乱れ剥き出しになっていたおっぱいを、顔を真っ赤にして素早く隠す。

 そんな木乃香を横目に、俺は怒りで声を荒げた。


「キ・サ・マ……、ワイノオンナニナニシテヤガッタ……!」

「あう~!! 何の事だか解りませんよ~ッ!?」


 ふざけた事に、自分は無実だとでも言いたいのだろうか?
 軽く120kオーバーの握力を持つゴッドハンドで、頭を掴む手の力を万力のようにギリギリと強めて行く。

 キシキシ軋むネギの頭蓋骨。

「あががが……」と苦痛の声が実に心地良い。
 イケメンモテ野郎予備軍の苦しみの声は、実に気分が良いものだ!

 そんなテンション上がるBGMに、すすり泣く木乃香の声が混じり始める。


「木乃香ちゃんっ!……ネギよ、さっさと罪を認めやがれ! 木乃香ちゃんが泣いてるやないかっ!」

「あああ……で、でも、ホントに僕、何も……っ!?」


 ふふふ、まだ認めんか。

 俺は120kオーバーのアイアンクローの手を緩める事無く、逆の手で文殊を2つ握り締める。

 悪の字と、夢の字が刻まれた2つの文珠。

 くはははははーーッ!! 我が必殺の鳳凰幻魔拳! 悪夢に溺れ苦しむが良い!!


「ちがう……ちがうんよ……ネギくんのせいやのうて、横島さん……が、ウチのこと……」


 シーンと静まり返る。
 聞こえるのは木乃香の鼻をすする音だけ。


「……僕のせいじゃないじゃないですかっ!? 横島さんが悪いんじゃないですかっ!」

「ち、違う! これは冤罪や! 弁護士を、弁護士を呼べ!!」

「さっさと罪を認めて下さい! 一体何をしたんですか横島さん!!」

「違うんやーっ! ワイは! ワイはーーッ!?」



















 その日の朝の喧騒は、木乃香が「嬉しくて泣いてたんよ……」との言葉が出るまで、ずっと続けられた。


 ワイの女……、その一言が、木乃香にはとても嬉しくて。

 自分は、この人の傍に居ても……ううん、もう、この人の女なんだと……

 悩んでいたあやかの言葉も、わからないことだらけのことも、何もかもがどうでも良くなったから。


「横島さん、ウチな? 横島さんのこと……や……」


 木乃香という小さな蕾が、可憐な華を咲かせ始める。
 




















































 

 おまけ……ってか追記


 説明し忘れていた無印とRの変更点


 無印  GS世界→ディル=リフィーナ(20年)→ネギま!世界(20年)→本編

 R   GS世界→ディル=リフィーナ(25~30年)→ネギま!世界(10~15年)→GS世界(10年)→ネギま!世界(本編)


 ディル=リフィーナ編のロリ魔神と槍の子のイベントはRでは全無し。

 新作発表による矛盾点回避の為に、当時R設定を作るときにそうしました。

 年代がハッキリしない部分は、横島が時間の流れが解らなくなっていた。と言う設定。

 要するに、遊びを持たせて作者が楽になる為ですw

 10年分、無印よりもRの方が横島は強くなっています。

 具体的に言うと、タマモや小竜姫分。



[11660] ネギま!のほほん記 第10巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/02/17 00:08

 エヴァンジェリンの家は、学園都市の外れの僻地に有る。
 周囲には森と小川しかなく、暮すには不便さを感じさせるそんな場所だ。

 そんな僻地を目指し、小川のせせらぎとチラリチラリと顔を覗かせる小動物に心を和ませながら、ゆったりとした足取りで夕闇に染まっていく人気の無い林道を歩く。

 手にはスーパーに立ち寄って買ってきた、今日の晩御飯と明日の朝ごはんの食材。

 それをガサゴソ言わせながら歩いていると、小川に架かる小さい橋の中央に無精髭のおっさんが立っているのが見えた。


「タカミチじゃない。こんな所でなにやってんのよ?」

「それはこっちのセリフだよ。アスナちゃんもエヴァに用があるのかい?」

「ま、まーね……」


 目を明後日の方に逸らす。
 茶々丸さんに怪我させて、罰(?)としてしばらくエヴァンジェリン宅の家政婦になるなんて言えやしない。

 タカミチはそんな私を微笑ましく思うのか、柔らかく表情を崩す。


「僕はエヴァの所で、久々に自分を鍛えなおそうかと思ってね」


 私の横に並ぶと、同じ速さで歩みだす。
 何か、ちょっと懐かしいかも。


「もう、じゅうぶん強いじゃないのよ」


 だけど私は照れ隠しなのか、少しだけぶっきら棒な口調。
 そんなツンな私でも、やっぱり微笑ましく思っているのだろう。
 相好を崩さず、やはり顔は笑みのまま。
 幼い頃を知られているってのは、どうにも気恥ずかしい。

 こう言う時は圧倒的に不利だ。


「ハハハ、まだまだだよ。覚えているだろ、ラプシィア・ルンに2人がかりであしらわれたことをね?」

「あんな化け物どうしようもないわよ」


 私の言葉に、だが彼は顔を厳しく歪ませる。

 しまったわね、言葉を間違えたかしら?

 不安気な私の方を見ず、首を左右に2~3度振って否定する。


「違う、それは違うよ。アイツ程度倒せないようじゃ、あの人達には到底追いつけない」


 ギリリ……と歯軋りをするタカミチ。

 よっぽど悔しかったのかしら? そんな様子は見せていなかったのに。
 正直な話、アレは忠夫でも独力じゃムリ。
 聞くところによると、あの男は更にパワーアップ的な変身を残していたとか何とか。
 それをされていたら……、忠夫どころかナギでもムリっぽい。
 倒せたのは相手が油断していて、更に不意を突けたからだ。

 忠夫自身も、アイツよりも自分の方が強いだ何て思ったことは無いだろう。


「でもさ、忠夫はタカミチのこと褒めてたわよ?」

「うん、知ってるさ。僕は直接聞いたからね。強くなったな、ってね」


 厳しい顔が一転、子供の様な笑みを浮かべる。
 握り拳を掲げると、紅から黒に変わりつつある空を眺め、目を細めた。


「だからさ、だからもっと強くなるんだ! 彼らに追いつき、そして追い越す。『彼』がここに居る今こそ、それが出来るチャンスだからね!」


 ああ、本当に子供みたい。
 私は思わずクスクスと笑ってしまう。
 そんな私を見て、居心地悪そうに苦笑い。
 頭をボリボリかいて誤魔化そうとする。

 ホント、男って子供なんだから。


「私は忠夫の使徒だけどさ、『その時』だけはタカミチを応援してあげる。忠夫を倒す位にならないと、ガトーさんに会わせる顔がないもんね?」


 そう、これは私とタカミチにとっては、約束みたいなものなのかもしれない。
 私は幸せに、タカミチは……なんなんだろうね?
 相変わらずクスクス笑う私に、タカミチは突然に真剣な表情になった。


「『姫様』、今幸せですか?」


 過去を捨て去った私。人を捨て使徒となった私。
 10年前からは考えられない程に変わった私。


「幸せじゃないように見える?」

「……いいや。とっても幸せそうだ」

「なら、そう言うことよ」

「初め聞いた時はボコボコに殴ろうかと思ったんだけどね?」

「使徒化のこと?」


 コクリと獰猛な笑み。
 ころころ表情を変えてまあ、忙しいわよね?


「アスナ君にあやか君。僕の生徒を2人も手をつけたのは万死に値すると思わないかい?」

「私はあんたの生徒になる前からよ。それにあやかは仕方ないじゃない」

「そうだね、あやか君は仕方無いかも知れない。でも、アスナ君は別だ! 師匠に託された大切な子に……、フッフッフッフッフッ……」


 これはヤバイわね。
 かなりキレ気味に哄笑するタカミチに、背筋が薄ら寒く感じる。
 クラスの子の内、私とあやかを含めて既に8人も毒牙にかかっていると知られたら……、忠夫、殺されるんじゃないかしら?

 ここは少しフォローして、話を変えた方が良さそうね。


「まあまあ、それも含めて幸せなのよ?」

「グゥッ! だからこうして抑えてるんじゃないか……」

「私の事よりさ、あんたはどうなのよ? まさか童貞じゃないわよね?」

「ああ、師匠……、アスナちゃんが下品になってしまいました。これも全部忠夫さんのせいですよ」

「しずな先生、美人よね~」

「…………」

「あの人のルックスといい、大きい胸といい、モロ忠夫の好みなのよね~。だからさ、アンタさっさとしずな先生を押し倒しちゃいなさいよ!」


 私の保身から出る発破がけに、無言を貫くタカミチ。
 顔を明後日の方を向かせて表情を探らせない。

 ホント子供なんだから……

 私は再びクスクスと笑い出す。

 2人の砂利を蹴る音と、そして私の小さな笑い声。
 エヴァンジェリンの家に着くまで、ずっとこんな感じで、『昔』みたいに歩いた。

























  ネギま!のほほん記  第10巻  あすなん日記 その2



























「フン! 茶々丸から話は聞いている。我が下僕として働くがいい!」


 ちっちゃいクセに、やたらとデカイ態度なエヴァンジェリン。
 顔を合わせて開口一番コレだ。
 こちらが悪かったとは言え、正直先が思いやられる。

 
「で、そこのデカイの! キサマは何しに来た! 言っとくが、神楽坂明日菜が我が下僕となったのは、横島忠夫も承知済みだぞ?」

「下僕って……、私はただの住み込み家政婦よ! アンタが生活無能力者だって言うから、茶々丸さんの代わりに面倒見に来てやったんじゃないのよっ!」

「生活無能力者だと……? この私が? 笑わせるな小娘! 
 こう見えても600年を生きる真祖の吸血鬼だぞ! 
 家事裁縫、どれをとってもキサマ如き小娘に負けるなんてありえんわっ!!」

「随分とまあ所帯じみた真祖の吸血鬼サマね!」


 ガルル……と角突き合せる私とエヴァンジェリン。
 オデコとオデコをガシガシとぶつけ合い、一触即発。


「フフフ、笑わせるわね。
 言っとくけど、今のアンタなら余裕で抹殺できるのよ、こっちは!」

「クックックッ、それはコチラのセリフだ!
 ここは我が陣地、何の備えもないと思うのか?」

「ハハハハ、2人とも随分と仲が良いんだね。知らなかったよ」


 呑気に的外れな発言。

 私はあやかから持たされていた神通棍、エヴァンジェリンは傍に置いてあった花瓶、それぞれ手に持つと「「フンッ!」」っと仲良くタカミチの顔面目掛けて投擲した。

 神通棍が眉間に当たると同時に、鼻っ柱に花瓶が痛撃、「ガアッ!」と大口開けてそのまま床に倒れ伏す。
 ガシャーンと花瓶が割れて、辺りに破片が散乱するのを見ながら、私とエヴァンジェリンはしばし無言になる。

 そして「「フウ……」」と軽く溜息。胸に込み上がる虚しさ。


「片すわね……」

「ああ、任せた……」



 私が手際よく片づけをしていると、タカミチがソファーに座りながら「いてて……」と呻き声を上げる。

 そんなタカミチに呆れた視線を向けるエヴァンジェリン。


「で、キサマは何しに来たんだ?」

「あ? ああ、久しぶりに別荘を使わせて貰おうと思ってね。ほら、ネギ君が来てくれたお陰で、ちょっとだけ時間が出来たんだよ」

「ハンッ! どうせスグに大量の仕事を押し付けられるさ、残念だったな」

「解ってるよ。だからさ、今の内にちょっと鍛えておきたくてね」

「……フン、丁度いい。オイ、神楽坂明日菜! 片付けはもう良い、ついて来い。」

「あん? これから夕食の支度なんだけど?」

「いいからついて来い。この私の本当の実力を見せてやる」

「はあ?」


 疑問の声をあげつつ、花瓶の欠片を一先ずゴミ袋にザザーと捨てる。

 そしてさっさと行ってしまうエヴァンジェリンとタカミチの後を追いかけた。

 地下へと降りる階段を潜り抜け、途中にある大量の人形に感嘆の声を漏らす。


「すごーい!」

「フフ……、可愛いところもあるじゃないか? ん?」


 勝ち誇った表情で私を見るエヴァンジェリン。
 タカミチは微笑ましそうに眉尻を下げる。

 しまったと気恥ずかし気に顔を俯かせながら、それでもチラチラ人形達に目をやってしまう。

 エヴァンジェリンがその中から一体の人形を手に取る。

「ケケケケケ」と突然笑い出す人形。

 私は余りの不気味さに、背中を仰け反らせヒクヒクと頬を引き攣らせる。
 なんだか忠夫が人形怖いって言ってるのが解る気がする。
 何でも、若い頃にそれはもう酷く怖い目に遭ったとかで……


「ドウシタヨ、御主人?」

「タカミチの修行の相手をしてやれ。私はこの女とやる」


 ポイっとタカミチの方へとその恐怖人形を投げる。
 タカミチはパシっと受け取ると苦笑い。


「よろしく頼むよ、チャチャゼロ君」

「ケケケケケ」


 知り合い? なのかしらね……

 そう言えばエヴァンジェリンって「人形使い(ドールマスター)」とも呼ばれてたんだっけ。

 ってことは、茶々丸さんも同じ術式で動いて……

 そんな事を考えながら彼女達の背中を追う。
 すると人形部屋を出て、少し開けた場所に出た。

 そこには光差す中央に台座と、その上に透明の球体。
 中には何かの建物だか塔のミニチュアが入っていて、まるでボトルシップのよう。
 良く見ると『EVANGELINE’S RESORT』とガラス状の球体に刻んである。

 恐らくはコレがタカミチの言う『別荘』なのだろう。

 エヴァンジェリンは私の方を振り向くと、小憎らしい顔をして私を誘う。
 見ればタカミチと呪いの人形は既に魔法陣に包まれ、恐らくはあの球体の中に転移した。
 続いてエヴァンジェリンがニヤリと笑い、「先に行くぞ?」と告げるとやはり魔法陣に包まれ転移する。 

 気づけば私一人がこの家に取り残され、思わず、今、この球体を破壊したらどうなるのかしらね? と人の悪い笑みを浮かべた。
 エヴァンジェリンの目が無い今の内に、ストレス解消とばかりに球体目掛けて拳を放ち、ギリギリで寸止め。
 ちょっとでも距離がずれたら、このマジックアイテムが壊れ……と思うとゾクゾクが止まらない。

 一頻り楽しんだ後、強烈なまでの虚しさを感じ、ささっと魔法陣を起動させた。


「何やってんだか……」と、軽く自嘲の篭った呟きを発しながら……















  別荘滞在1日目

 昔、エヴァンジェリンが自ら作ったって言う、魔法の別荘に滞在中。
 彼女の世話を焼きに来た筈が、気づけば彼女の従者の人形達に面倒を見て貰ってる始末。
 どの娘も美人さんで、ちょっとだけドキってするのは愛嬌よね?
 エヴァジェリンの趣味なのかしら?
 だったら中々良い趣味していると言わざるおえない。
 ちなみにこの別荘、中の時間がとってもファンタジー。
 中で1日過ごしても、外では1時間しか経たないんだそうな。
 タカミチは私が別荘に入った時には既に激しくバトル中で、なんだか楽しそうにも見える。
 エヴァンジェリンは開口一番「遅い! 何をしていた!」と少しイライラ。
 カルシウムが足りないんじゃない? 
 って言おうかと思ったけど、何故かここでは学園結界が作動していないみたいで、彼女の力が全開に近い。
 君子危うきに近寄らず。ここは大人しく謝っておいた。
 忠夫の使徒として、勝てない勝負はしないのだ!
 そんな私を見て満足したのか「今日はゆっくり休んで力を回復しろ。明日は私自ら面倒を見てやる」なんてとってもありがたいお言葉。
 正直もう帰りたい。
 これが茶々丸さんを怪我させた罰なのかしら……
 明日が来なければ良いのに……
























  別荘滞在2日目

 あのドS幼女、マジでハンパない。
 「フハハハハーーッ! 見たか! コレが私の本当の実力だ!!」
 とか言って散々ボコられた。
 正直泣きそう。
 勝てるなんて思ってなかったけど、ここまで差を見せ付けられると本当にへこむ。
 もう帰りたい。
 なのに、あと5日はここに居るんだそうな。
 タカミチ、あんた、殺す!






























「さて、そろそろ血を寄こせ」


 別荘滞在3日目、稽古をつけてやると称して、散々私を痛めつけた後、このセリフ。

 正直フザケルナ! と言ってやりたい。


「使ってしまった分の魔力を返せ、と言ってるんだ。キサマにとっては授業料みたいなモノ、文句はあるまい?」

「あるに決まってんじゃないのよ! ちょっ! やだってば! 離しなさいよ!」


 散々にボコボコにされた後だ、当然彼女を振り払う力など残ってなくて、あっさりと組み敷かれた。
 気づけば両手が細い糸のような物に絡みとられ、完全に抵抗が出来ない状態になってしまっている。

 そんな私の首筋を舐めると、「フフッ……」と実に楽しそうに笑う。
 私は「ひゃん!」と思わず可愛い声を出してしまい、それもまた彼女を悦ばせる一因となってしまった。


「ち、血を吸うんだったらさっさとしなさいよ!」


 この後に及んでもまだ憎まれ口を叩く私。
 でも、それさえも彼女を喜ばせているのだと、私は気づけない。
 彼女にとって見れば、これら全てが報復の一環なのだろう。

 本当に楽しそうにガブッと私に牙を立てた。
 チクリとした痛みに、身体がちょっとだけ跳ね上がる。
 エヴァンジェリンはそれを強引に押さえつけると、ワザワザちうう~っと吸う音を立てながら私の血を吸っていく。

 身体から血が少しづつ失われていく冷たい感触。


「んぁっ……」と思わず喘いでしまう。
 何故だか性感が高まっているのがわかる。
 身体が熱い。昨日、一昨日と忠夫に抱かれていないせい?
 そういえば、吸血って性行為に通じるみたいな事を聞いた覚えが……


「ぷはぁっ」と私の首筋から離れると、満足気に私の頬を撫でる。


「魔力の血中濃度が随分と高いではないか。これなら使った魔力にお釣りが来るな」

「だ、だったらさっさと離れてよ……」


 力なく、息切れしながら言う私に、満足気な笑みを浮かべたまま、私の胸を弄りだす。
 当然抵抗しようとする私だけど、腕が縛られているうえ力も何も出やしない。
 調子にのったエヴァンジェリンは、暴れる私の両足の間に膝を差し込み、そのままグリグリと股間を刺激してくる。

 
「ぐぅぅ……、なにすんのよっ!」

「フフフ、驚いたぞ。キサマ、純粋な人ではないな? その手の輩には鼻が利く筈なのにな、すっかり騙されたよ」

「だったら何だって言うのよ! んあっ!?」


 服の上から突起した乳首を摘ままれる。
 そのままクリクリと刺激しながら、更に股間に当てられた膝もマッサージするようにゆっくりと前後に往復しだす。


「処女でもないみたいだしな、相手は横島か? 随分と淫乱に仕上がってるではないか」


 くつくつと笑うエヴァンジェリン。

 目の端に涙が溜まる。
 なんか最近こんなんばっか。
 なんだってこんな目に……!
 このままじゃ犯される!!
 これも全部タカミチの所為だ!


「ああ、安心するがいい。私にはその気がないからな。唯な、ちょっと意地悪したいだけさ」


 口端を吊り上げ、すっごく意地悪な笑み。
 今度はさっき噛み付いた場所と丁度正反対の位置に、レロォと舌を這わせ唾液を擦りつけると、再び牙を突き立てる。
 チクリとした衝撃に、私の腰がキュンとなって軽く跳ね上がった。
 先程と違うのは、私の血を吸いながら、更に胸を、股間を刺激してくること。


「あ……あ……あ、あ、あ、あぁ……」


 途切れ途切れに声が漏れる。
 目を見開き、口を大きく開けて何とか快感に抗おうとするも、流石は600年を生きる吸血鬼の真祖、巧みに私を追い詰める。
 快感で身体を何度も跳ねさせながら、断続的に襲う絶頂感からブリッジする様に身を弓なりにして大きく喘ぐ。

 満足気に首筋から離れると、今度は唇を吸い、舌を絡めとられ、その舌に牙を刺し込まれる。
 チクンとした痛みも、頭が蕩けそうな快感に変わり、目から涙が溢れ止まらない。
 彼女から強制的にもたらされる快感が、心地好く感じてくる。
 エヴァンジェリンの意地悪な笑みは深くなり、美味しそうに私の唾液交じりの血をジュルジュルと音を立てて吸い上げていく。
 コクン、コクンと咽が鳴る。彼女の唇の端から私の唾液と血が滴り落ちる。

 舌に牙を刺し込まれた私は、声を上げる事もままならず、鼻息を荒げながら「んぅ……」と喘ぐことしか出来ない。 


 さぞかし満足したのだろう。
 とても良い笑顔で私の舌から牙を抜き、今度は血が溢れ止まらないそこに優しく舌を這わせる。
 それは血を止める行為なのだと思うのだけど、傍から見たら間違いなくただのディープキス。

 ピチャ……チュ……クチュ……チュバッ……

 忠夫に負けず劣らずの舌技に、私の肢体はもう一度跳ね上げ股間から間断なく潮を噴き出す。
 私のお尻と彼女の膝は、私の愛液でぐっしょりと濡れて粘りつく感触。
 そんな感触に私は顔を歪めながら、エヴァンジェリンが私の口中から舌を抜き出すのを忌々しげに睨み付ける。


「フフ、そう物欲しそうな顔をするな。このままベッドへと連れて行きたくなるではないか」

「物欲しそうな顔なんかしてないわよっ! あっち行け! このエロ真祖!!」

「クックックックッ……、足腰立たなくなってるくせに、良くもまあ、そんな悪態が吐けるモノだな。フハハハハ……」


 私を見下ろしながらの哄笑。

 忌々しくて仕方無い。

 そんな私を嘲笑うのに満足したのか、エヴァンジェリンはパチンと指を鳴らす。
 すると何処からともなく茶々丸さんのお姉さん達が現れ、私を抱えて持ち上げた。


「なにするつもりよ!」

「ハッハッハッ、なに、これ以上嬲るつもりはない。グチャグチャに汚れたキサマをキレイに磨いてやるだけさ」


 笑いながら浴場の方へと歩いていくエヴァンジェリンに、その後を追う私を抱えた茶々丸さんのお姉さんズ。
 結局この日、私はお姉さんズに全身泡々にされて、すみからすみまで丁寧に洗われた。
 敏感な部分を弄られる度に、小さく嬌声を上げてしまう私。
 それを酒の肴にして楽しむエヴァンジェリン。
 入浴と言う名の拷問が終わった後は着せ替え人形とされ、ゴスロリ衣装を身に着けさせられて今へと到る。

 寝る前の一服ともう一度血を吸われ、「ここに居る間は血の提供をして貰おうか」などと言われ涙目。


「なに、キサマの血が極上の証だ。誇るが良い」


 そんなの誇るヤツが居るとしたら、ただのドMだと思うのは気のせいかしらね……

 あとこんな日が最低でも4日続くんだと思うと、憂鬱で仕方ない。
 忠夫の顔も随分と見ていない気がして、何だか寂しいし。


「ただお~、ただお~」


 ぐすんと泣き言を漏らしながら、私はやたらと大きいベッドの上で眠りにつく。

 この時の私は気がついていなかった。
 この中で後4日経てば確かにここからは出られるだろう。
 だがしかし、外の時間ではようやく7時間が経っただけなのだ。

 当然、外の時間で最低でも後1週間はエヴァンジェリンの相手をしなければならない訳で……


「死ね~タカミチ~~、呪われろ~エヴァンジェリン~~」


 直接の原因のエヴァンジェリンと、この状況を作ったタカミチに怨嗟の念を向けても罪は無い。

 私は、そう信じている。
 








[11660] ネギま!のほほん記 第11巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/02/16 12:10



 エヴァンジェリンの別荘から出ると、明け方の3時頃だった。
 世話をしなきゃならない対象は、別荘から出ると同時に部屋に篭って再び眠りの園へ。
 タカミチはさっさと何処かへ行ってしまった。

 時間が時間ではあるが、体内時計がおかしくなっていることもあって眠気など一切ない。
 パッパと朝食の下ごしらえを済ませ、玄関に行き靴を履く。
 夜の暗い空が少しづつ白く明るくなっていく中、暗い林道を自宅を目指して歩いていく。

 横島の顔を最後に見てから、もう1週間は経っているのだ。
 アスナとしては限界突破もいいところ。
 会いたくて会いたくて仕方無い。


 それにつけても別荘内の7日間は本当に酷いものだった。
 アスナは何度もエヴァンジェリンに襲われ、首筋に噛みつかれて血を吸われ……
 流石に3日目の様な性的なことはそれ以降無かったものの、充分以上に酷い目には違いない。

 代わりと言っては何だが、一応色々と稽古をつけては貰ったが。
 それにしたって、自分が望んでした訳でも無い修行ほど苦痛なものはこの世に存在しない。

 そんな訳で、歩きながらアスナは何度もドS吸血鬼を罵倒する。

 一通りの罵倒が済む頃には横島宅の前に着いており、アスナは1週間ぶりの自宅玄関を懐かしげに見回した。
 すると玄関の扉の前に、小さめの小包が一つ置いてある事に気づく。

 何だろう? そう思いながら、差出人と宛先をチェック。

 差出人の名前はクウネル・サンダース。宛先は横島忠夫。
 アスナはクウネルの名前に軽く首を捻りながら、ガサゴソと中を確認した。

 宛先が横島なのは気にも止めない。
 なんせ名前が妖しすぎるのだ。
 中身がろくでもない物の可能性がとてつもなく高い。
 当然、エッチな本とかDVDとかだったら捨てる気満々だ。

 だがそこから出てきた物は、アスナには意味不明の代物。

 黒いショーツとウズラの卵状の何かに携帯ホルダーらしき物。
 黒いショーツは丁度股間の辺りに小さいポケットが付いており、それの用途がアスナにはさっぱり解らない。
 ウズラの卵状の物はUSBケーブルが付いており、やはり用途がさっぱりだ。

 アスナは再び首を捻りながら、ごそごそと用途不明物を小包の中にキレイにしまい込む。
 そして、ソレを手に持ったまま玄関のドアを開けて家の中に入った。

 スゥーっと1週間ぶりの自宅の匂いをたっぷり肺に納める。


「やっぱ家が一番ね……」


 静まり返る家の中で、小さく呟いた声がやたらと響いた。
 アスナはちょっとだけドキッとするも、別にコソコソする必要はないわよね? と開き直りながら靴を脱ぎ捨てる。
 真っ直ぐ横島の部屋に向かい、彼の胸に飛び込もうとするも、中はもぬけのから。

 もしかしてこのかの部屋?

 ドタドタと2階に駆け上がり木乃香の部屋の扉を開ける。
 だがそこにも誰も居なく、アスナは首を傾げながら1階へと降りた。

 リビングで雑魚寝かな?

 そう思い至り、今度はリビングへと続く扉を開ける。
 暗闇の中、規則正しい寝息が2つと、ぐぉーぐぉーと大イビキがひとつ。
 何と無しに懐かしく感じるそのイビキに、アスナは眉尻を下げて足元に。

 手に持つ小包をそこらに投げ捨て、起こさないよう気をつけながら彼の上に圧し掛かると、すぅーはぁーと大きく息を吸い込んだ。
 彼の保護下に入って以来、小学校の時の修学旅行を除けば3日と空けずに傍から離れることなんてなかった。
 そんな彼と1週間以上離れていたのだから、寂しくて仕方なかったのだ。

 そんな訳で今は横島を独占したくて仕方ない。

 先ずは横島の腕を股に挟み込んで眠る木乃香を、エイッと突き飛ばす。
 木乃香はコロコロ転がりながら、それでも目を覚まさずに布団の端まで転がっていく。

 次は横島の太腿にしがみついて眠るネギを、同じくエイッと突き飛ばした。


「……う……う~ん……」


 木乃香とは違い、衝撃で目を覚ますネギ。
 だが完全に起ききってはいないようで、フラフラしながら激しく目を擦る。


「おしっこ……」

「トイレはあっちよ。一人で行けるわね?」

「ひゃい、あすなさん……」


 アスナの言葉に従って、やはりフラフラしながらトイレの方へ去っていく。

 それを適当に見送りながら、先程までネギが居た位置にこっそりと自分の身体を潜り込ませた。
 眠りながらでもアスナだと解るのか、自然と横島はアスナを自分の胸元に抱き寄せる。
 ギュっと抱きしめられる感触に、幸せ一杯に相好を崩すアスナ。


「うにぃ~」


 嬌声を上げながら、スリスリと頬を擦りつける。

 しばらするとネギがトイレから戻り、アスナの背中にピトッとくっついてくるが、彼女はポンと軽く突き放す。

 今の彼女は横島を感じたいのであって、余計な異物はいらないのだ!


「にゃにするんですか~、あすなさ~ん……」

「あんたはこのかの方へ行きなさい!」

「ふぁ~い……」


 ネギの返事を最後まで聞く事無く、アスナは再び横島の胸元に顔を埋める。
 すぅー、はぁー、すぅー、はぁー、規則正しい呼吸音。
 横島の温もりと匂いに包まれながら、穏やかな気持ちになるアスナ。
 ここ数日での、ある意味殺伐としていたエヴァンジェリンとのやりとりで得たストレスが急速に解消されていくのが解る。

 アスナは、やはり自分には彼が必要なんだと、強く思ったのだった。












 ……どれ位の時間、そうして過ごしていたのだろう?
 気づけば外は完全に日が差し始め、小鳥達の鳴き声がチュンチュンと聞こえてくる。
 浅い眠りについていたアスナだったが、そこで残念なことに携帯がブーン、ブーンと震えだす。
 出たくない、そうは思うものの茶々丸との約束なんだと、渋々携帯を取った。


「腹が空いた。さっさと帰って飯の用意をしろ」


 その一言だけで、ブツンと電話が切れる。 


「ったく、吸血鬼のくせに随分と朝が早いじゃないのよ!」


 プンプン怒りながら横島の頬にチュッと軽くキッス。


「いってきます」

「気をつけてな」


 眠っている筈の横島。
 その横島の言葉に、アスナは柔らかく頬を緩ませる。


「うん! いってくんね!」


 もう一度だけギュっと抱きつき、温もりと匂いを身体に染み込ませると、リビングを出た。
 機嫌よくスキップしながらエヴァンジェリン宅へと向うアスナ。

 アスナは自分がミスを犯したことには気づかない。
 もしもこの時、ネギを木乃香の方へと追いやらなければ、もしかしたら彼女は本当の意味で横島の女にはならなかったかも知れない。
 何だかんだで彼女は迷いの淵にいたのだから。
 その彼女を、完全に彼の側に立たせる切欠をアスナは作ってしまったのだ。

 もっとも、アスナも木乃香もその事実に気づきはしないのだが。
 それにアスナの中では、木乃香は既に横島の女の一人として認識していたのだし。

 だが、もしもネギを追いやらなければ、彼女にとってお邪魔虫が一人消えた可能性があったのは確か。

 こうしてアスナは、自らのライバルを自分で作り出してしまったのを知る事無く、機嫌よく朝焼けに染まる道をスキップするのだった。 


















  ネギま!のほほん記  第11巻  幕間的な話①





















 学校に行く木乃香とネギを見送った後、リビングのすみに落ちていた小包を手にニヤニヤする。


「アルのヤツ、中々良い仕事すんな~」


 横島は一人ごちながら、あーでもない、こーでもないと、一人妄想を逞しくする。
 木乃香に使おうか、それともやはりアスナか、いやいや、アキラなんかも……
 そんな感じで、股間を熱く滾らせながら鼻息を荒くしていると、トゥルルルル! と携帯が鳴り響く。


「チッ! 良いところでっ!」


 横島はせっかくの妄想を邪魔された事に腹を立てながら、携帯の着信を見る。
 着信相手はじじいの平仮名3文字。
 出るの辞めようかな……、チラリとそう思うも、後が面倒だと仕方なく電話に出る。


「はーい、こちら横島。面倒事ならノーサンキューっす」

「フォッフォッフォッ、面倒事じゃが、お主はそれほど面倒ではないわい。ネギ君と横島君が面倒みとる子達についてじゃ」

「……なんだよ?」

「詳しい話は理事長室でするでの、待ってるぞい」


 ブツンと切れる電話。
 横島は忌々し気に携帯を放り捨てると、自分の部屋に戻りスーツに着替え家を出た。

 理事長室じゃなくて、学園長室ならアスナ達の様子を見ることが出来たのに。

 不満を隠しきれず、横島はチッと舌打ちをするとノンベンだらりと歩き出す。
 特に急げとも言われてないのだ。
 文句があるならテメーの言い方が悪かったんだと諦めろ! と学園長を罵りながら。
























「……随分遅かったのう」

「そうか? これでも真っ直ぐ来たんだがな」


 学園長のイヤミ臭い言葉に、しれっとした態度で答える横島。
 連絡をしてから小1時間以上経過しているのだから、学園長としてはイヤミの一つも言いたくなるのは、当然と言えば当然なのかもしれない。
 だが横島的には急な呼び出しなのだし、特に時間を指定されてはいないのだから、文句を言われる筋合いはないのだ。


「まあ、ええわい。それでの、電話で話したことなんじゃが……」


 学園長の話を適当に右から左へと聞き流しつつ、横島は理事長室を軽く見回す。
 そこには横島が呼ばれる際にはいつも居るシスターシャークティが、学園長の横で彼に微笑みかけていた。
 横島も彼女に、「久しぶりッス!」と学園長を意図的に無視しながら挨拶。
 シスターシャークティも苦笑いしながら頭を下げた。


「ウォッホン! 聞いとったかの、横島君?」


 片眉を大げさな程に吊り上げながら、注意を自分に向ける。


「へーへー。で、なんなんスか? 俺は面倒事はイヤっすよ?」


 ドカッとソファーに身を沈めると、そこに置いてある茶菓子をボリボリと食べ始める。
 シスターは慣れた調子で、「お茶を淹れますね?」と言って給湯室の方へと姿を消した。
 横島のこの手の行動には最早慣れきってしまったのだろう。
 特に不快に感じてる様子もない。

 一方、学園長の方はと言うと、溜息を吐きながら首を左右に振る。


「……お主自身は面倒でないと、電話で言うたのを覚えておらんのかの?」

「覚えとらん。ってか聞いた覚えがない」


 横島は戻ってきたシスターからお盆ごとお茶を受け取ると、ズズーっと音を立てながら熱いお茶で咽を潤す。
 シスターは横島の横に腰かけると、彼の食い散らかした茶菓子の屑を片し始めた。

 横島の顔がだらしなく崩れてくる。
 鼻の下を伸ばし、修道服とは思えないほどに短いスカート、そこから覗く太腿に視線は釘付け。
 彼女も横島のエロ視線に気づいてはいるものの、矢張り慣れた様子で苦笑するに留めている。


「おいたはダメですよ、横島さん」


 彼女の太腿に手を伸ばすその手を、ピシャッと叩き落しながらにっこり。
 それでも負けじと、今度は胸へと手を伸ばし……


「ウォッホン!」


 だが、寸前で学園長の咳払いに手を止められてしまう。
 横島は空気読めよ! と言わんばかりのキツイ視線で学園長を睨みつけ……


「イチャつくのは用事が終わったあとにしてくれんかのう?」

「あーもう! さっさと言えよ。くだらん話だったら帰るかんな!」

「ふむ、話はの、ネギ君の課題についてじゃ」


 シスターが差し出す書類の束をいつもの様に受け取ると、ペラペラとめくり始める。
 それは横島に関係がある少女達の成績表。


「こんなん俺に見せてどーせーと?」

「その子達は横島君と関わるようになってから、成績が急落しとっての。
 トップクラスであった雪広あやか君は5位以内から100位前後に。
 その他の子達も軒並み50位前後成績を落としとる。
 特に綾瀬夕映君は酷い。元々酷かったが更に輪をかけて酷くなってのう」

「私の方からも色々と苦言を言ってはいるのですが、あまり聞く耳を持ちませんので……」

「で、俺の方から注意しろってことっスか?」

「ふむ、ちょっと違うの。この子達にネギ君に与える課題の手伝いをして貰おうと思っての。一学生としても、魔法生徒としても───」

















「───なる程ね、いいっすよ。俺の方から夕映ちゃん達には言っておくっス。ついでに成績の方も注意しとくわ。
 まあ、あとはどうやってネギを図書館島に誘導するかってことだが……」

「メルキセデクの書を使おうと思っとる。あれを読めば頭が良くなるとか何とか噂を立てておけば、あとは綾瀬君達に任せて大丈夫じゃろ?」

「ネギの随伴は?」

「夕映とのどかを予定しています」

「それでシスターが居たんすね?」


 横島の言葉に、笑みで返すシスター。
 彼女は夕映達の魔法の先生なのだ。


「はい、地底図書室でしっかりと勉学に励んで貰います。もし、今度のテストでも赤点取ったら……」


 フッフッフッと妖しく笑うシスター。
 暖房が効いている筈の理事長室が、なぜだかやたらと寒く感じる。


「まあ、そんな訳での、表向きの課題は期末試験で学年最下位の脱出になるんじゃが、そのために夕映君、のどか君以外の者達の成績を元に戻して欲しいんじゃよ」

「ネギが頑張ったからクラスの成績が上がり、最下位脱出成功しました、って箔をつけたいってことか?」

「それはちと穿った見方じゃのう。学生の本分は勉強じゃ。目新しい魔法の世界にばかり目を向けとらんで、しっかりと地に足をつけて欲しいと言うとこだのう」

「……確かにそうだな。俺には言う資格ねーんだが言っとくよ。で、他のネギの随伴はっと」

「成績ワースト5を予定しとる。もっとも、その内の一人は夕映君なんじゃが」


 再び書類の束に目を通す横島。
 そこには夕映の他に見知った名前が一つ。


「まき絵ちゃんもかよ。それに、ふ、ふるはい?」

「クーフェイじゃ」

「そのくーふぇいに長瀬楓、桜咲刹那ね。まき絵ちゃん以外は知らんな」

「フォ? 刹那君は知っとるじゃろ」

「知らんぞ?」

「このかの護衛をしとる子なんじゃが……」

「あーあー、あの子か。そういやしょっちゅう俺んちを監視してるもんなー。成績も悪くなるか」

「そうなんじゃよ。このかを横島君に任せて以来、成績が急降下しとってのう」

「護衛の任を外したらどうだ? 護衛ってよりはストーカーって感じだしよ」

「……あの子には色々と難しい問題があっての」

 
 苦い物でも食べたように顔を歪ませる学園長とシスター。
 学園長は視線を横島から外すと、何気なく窓の外を眺める。
 そして、はあ……、と力ない溜息を吐く。


「この件については様子見にしておいてくれんかのう?」

「そういや前にタカミチも似たようなこと言ってたっけ。覚悟が如何とか……」


 横島は頭をポリポリと掻き、そして諦めたように首を縦に振った。
 ここで上手く言い包めれば詠春子飼いの監視者を排除出来るかも……、そう思っていたので、ちょっとだけガックリ。

 このままじゃ、いつまで経っても木乃香に手を出せん。
 ってか、木乃香に魔法バレしてるのがバレそうで怖い。


「えーと、話を戻して……、要するにだ、俺はあやか達に勉強するように言っておけばいいんか?」

「それと、ネギ先生の図書館島への誘導の補助と、その後、期末試験までの間のネギ先生の外泊許可を頂きたく思います」


 横島はコクリと頷くと、話はこれで終わりか? と学園長の方を見る。


「ふむ、以上じゃ」


 仰々しく頷く学園長。

 魔法使いとしてはともかく、教師としてはその課題、間違っているだろうと思わなくもない。
 だが横島自身、非常識な存在に囲まれた高校生活を送っただけあって、まあいっか、で全部すませてしまった。

 そして横島は、もう用事は終わったとばかりにシスターの手を取る。


「シャークティさん、お昼一緒にどっスか?」

「ええ、いいですよ。そう言えばこうして一緒に過ごすのは久しぶりですね?」


 2人は和気藹々と理事長室を出た。


「若いのう、フォッフォッフォッ」


 後ろから学園長の冷かしの声が聞こえたものの、2人は特に気にかける事も無く。

 横島はシスターとの甘い午後の一時に胸をトキめかせる。
 久々の大人の女に期待一杯、夢一杯。

 シスターもそんな横島を見て、朗らかに笑うのだった。

  














[11660] ネギま!のほほん記 第12巻  エロ有り(シスター)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:38
  ネギま!のほほん記  第12巻  昼下がりの午後












 期待していたのだろうとは思う。

 食事が終わって一緒に教会に戻ったあと、彼がやり易い様にと下着を脱ぎ準備を整えていたのだから。

 横島忠夫との魔術儀式で、自らの魔力容量を強化する。
 シスターシャークティは、立派な魔法使いを志す者として、せっかくの機会を逃す訳にはいかない。
 もちろん、それは魔法使いとして高みに上る為にやっている事であって、決して淫蕩に溺れている訳ではない。

 その筈なのに、長椅子に腰かけてくつろぐ彼を見た瞬間、身体が彼を求めて切なくなる。

 彼女は横島の眼前に立つと、いつも儀式の際にそうしている様に、自分の手で修道服のスカートを捲りあげる。
 既にトロトロとなっている秘唇が露出された。
 冷たい外気に晒され、キュッと膣口が窄まる。
 驚き見開く彼の視線が、彼女の身体を熱く燃え上がらせた。
 彼に弄くられるのを期待しているのか、ヒクヒクと蠢くそこからは、絶え間なく蜜が溢れ出す。
 ポタポタと床へ滴り落ちる蜜が、教会という厳かである筈の場所の床に黒い染みをいくつも作る。 

 恥かしさで頬が熱くなる。自然と顔を俯かせてしまう。
 だが、それでもシャークティはスカートを捲る手を下ろすつもりは無かった。

 いや、むしろ横島に見られるのが心地好く感じてさえいるのだ。
 この辺りの心境は、長い間貞潔を護り通してきた反動なのだろうか……?
 これからされる事を想うと、胸のドキドキが激しくなり、子宮がキュンと高鳴ってしまうのだから。


「横島さん、お願いします……」


 顔を恥かしさで俯かせたまま、震えて掠れる声を咽から搾り出す。

 彼女なりに最大限努力した彼への誘い。

 これで喜ばなければ男じゃない。

 何せ横島は、どうやってシスターシャークティを『その気』にさせるか考えていた所だったのだ。
 それが向こうから誘いをかけてくれたのだ、喜ばない訳がない。

 これは最後までイケルかも知れん……、いんや、最後までイってみせる!

 横島は期待から顔がニヤけるのを必死に堪えながら、キリッとした表情で彼女に微笑みかける。
 彼女の秘裂に手を伸ばし、ヌチャッ、と粘りつく淫液を指に絡めながら、優しく下から上へと撫で上げた。

 ただの一撫で、それだけで彼女は「ヒィアッ!?」と声をあげると腰をビクビク震わせ、ガクンと膝から力が抜け落ちた。

 横島はまだ性魔術を行使してはいない。
 それなのに一瞬で絶頂してしまった。
 ただ手がアソコに触れただけだったのに。

 シャークティは体勢を崩すと、倒れこむ形で横島の胸に身を預けた。
 あくまでもそれはただの偶然なのだが、結果として彼女は初めて横島に抱きしめられる形になる。

 横島の胸に顔を埋めるシャークティは、彼から発せられる男の匂いに思わずうっとりとしてしまう。
 身体が彼を求めて止まない。欲しい、欲しいと訴えてくる。
 膣孔から溢れ出す蜜の量がドッと増え、目が潤み口は半開きとなって、チロリと上唇を舌で舐める。
 それは女として男を求めるサイン。今すぐにでも抱かれたい彼女の本心。

 だがすぐに我に返り、「す、すいません!」と謝罪すると、すぐさま彼から離れようとする。
 でも膝に力が入らず、そのまま四つん這いになる形で床に這い蹲ってしまった。

 しかも顔が丁度横島の股間の辺りで。
 ズボンの上からでも解るほどに、こんもり盛り上がったそこから目が離せない。

 ゴクリ、と思わず咽を鳴らしてしまう。

 そんな彼女の様子を見た横島は、イケル!こりゃ間違いなくイケルでーっ!っと鼻息が更に荒くなる。
 横島はズボンのチャックをジジィーっと下げていくと、これまで押さえ込んでいた欲棒を外に解き放った。

 ブン!っと勢い良く外に飛び出した赤黒く凶悪なフォルムの男性器に、おずおずと手を伸ばすシャークティ。
 初めて目にする凶悪な状態の男性器を、両手で包むように握り締める。

 いつもはして貰ってばっかりなのだし……、そう言い訳をしながら花に誘われる蝶の如く、欲棒にチュッとキスをした。
 彼女の唇が触れるなりビクンと跳ね、更に雄々しくなる横島の性器。


「もっとお願いして貰ってもイイッすか?」


 横島の言葉にコクリと頷くと、欲棒の幹に舌を這わせ始める。
 下から上まで満遍なく口中に溜まった唾液を擦り付け、上目遣いで彼の顔色をチラリと伺う。
 シャークティの視線に、コクリと頷き返す横島の肉棒の先端が、熱く湿った柔らかい物に包まれた。


「ンッ、んぐぅ……」


 口中に彼の性器を迎え入れると、シャークティはこの先どうすればいいのか解らない。
 彼女がインターネットや同僚のバツイチから聞いた知識だけでは、どうにも不安だった。

 それでも自然と彼のモノを口に含んでしまった。

 何をしてあげられるのか、どうすれば悦んで貰えるのか、千々に乱れた思考では何も思いつかない。
 その筈なのに、気づくと柔らかな唇でカリのくびれを締め付けながら、舌をくねらせて欲棒を刺激していた。


「んぐぅ……、ろ、ろうれすか? 気持ちひいれしょうか……?」

「気持ちいいっスよ、シャークティさん。そのまま続けて下さい」


 もちろん横島にとってみれば、シャークティの舌技は幼稚で稚拙ではある。

 だがしかし、考えてみて欲しい。

 場所は神聖で厳かな教会。
 その教会で妙齢の美女、しかも処女のシスターが修道服を着たままで自分の股間の一物を咥え込んでいるのだ。

 頬を染め上げ、上目遣いで、積極的にだ!

 興奮しない筈が無い!

 横島はフンッ!フンッ!っと鼻息を荒くしながらも、頭衣の上からシスターの頭を優しく撫でる。
 その横島の手の感触に、心地好さ気に目を細めるシャークティ。

 最後に頭を撫でて貰ったのは何時の事だろう……? くすぐったくて、でも、とても気持ち良い。

 動きが止まってしまったシャークティに、横島は頭を撫でる手を止めずに軽く腰を突き出した。
 喉奥に横島の肉棒がコツンと軽くぶつかる。

 シャークティは横島の無言の催促に応えるため、喉奥を突かれた衝撃による軽い吐き気を堪えながら、舌を肉棒に絡みつかせる。
 同時に唇をすぼませると、腕を横島の腰に回し、それを支えにして首をゆっくりと前後に動かし始めた。
 口の中に溜まっていた唾液が、肉棒とそれに絡みつく舌に掻き混ぜられ、ジュブ、ジュブ、と音を立て始める。
 肉棒に喉奥を突かれる衝撃にも大分慣れてきた彼女は、先端から出る先走りを強烈に吸い上げつつ、頭の振りを更に激しくしていく。
 口の端からダラダラと唾液を垂らしながら、シャークティは一心不乱に横島の肉棒をしゃぶり尽くそうとする。
 男に惹かれ始める女としての本能なのか、貞淑だった自分をかなぐり捨ててのその姿に、横島の牡が強く反応して止まらない。

 だが、横島はここに来て侵入者の存在に気づいてしまった。

 稚拙な隠行を使いながらこちらを伺う視線。
 いつもの彼女なら気づいて当然のその視線に、しかしシャークティは気づけない。
 今の彼女は、横島への奉仕に全ての思考を奪われてしまっていたから。 
 横島はそんな女として初心者のシャークティを可愛く思いながら、視線の主を探り出す。

 小さく幼い気配、ココネ・ファティマ・ロザ。シャークティが教える魔法生徒の一人。

 横島は舌打ちをする衝動を堪えながら、シャークティの頭を両手で押さえる。

 なんで? と不思議そうにキョトンと上目遣いのシャークティに笑みで返しながら、どうしようかと考える。

 せっかくの最大のチャンス。最後までしたかったがしょうがない。
 超スピードで彼女の口に出して終わらせるか……

 横島は肉棒の先端から魔力の触手を吐き出すと、彼女の身体全体に自分の魔力を通し始める。
 突如来た快感に、ビクンっと大きく身体を振るわせるシャークティ。
 そんな彼女の頭を掴んで、勢い良く腰を振り始める横島。
 喉奥まで一気に突き込むと、雁首の縁ギリギリまで引き抜き、再び押し込んだ。


「ンッ! んむっ! んぅぐっ!?」


 ゴン、ゴン、と激しく咽を突かれて苦悶するシャークティ。
 だが彼女は横島の腰に回した手を緩める事無く、目の端から涙を零しながらも必死に受け止める。

 端から端への大きな抽送に、横島の射精感はすぐに限界となった。

 最後の一突きで咽の奥にピタリと張り付かせると、ドビュルルルルッ! 熱くて濃い、今日の一番搾りな精液が放出される。
 喉奥から口内に到るまでたっぷりと放出されていく精液を、ゴクッ、ゴクッ、ゴクンッと咽を鳴らして飲み込んでいく。

 精を出し切り、ある程度の満足を得た横島は、ヌブブ、彼女の口から肉棒を引き抜く。
 唇の端から、精液混じりの唾液を零しながら熱い息を吐くシャークティ。

 横島は彼女の耳元に口を寄せると、ココネが覗いている事を告げ、素早く身なりを整えようとする。

 だが今の彼女は、全身を巡る横島の魔力に犯され、目は虚ろのまま。
 自分が何をしているのか解らないでいた。
 口の中に残る精液をクチュクチュ舌に絡め味わいながら、断続的に来る細かい絶頂感から頭が呆けてくる。
 気づけば最初にしたみたいに彼の眼前に立つと、両手でスカートを捲り上げた。


「私の胎内(なか)に、貴方を下さい……」

「だから、ココネちゃんが覗いてますって!」


 横島が残念そうに何事かを訴えてくるが、それすらも快感の一部となり肢体を悦びで振るわせる。
 粘る体液で洪水の様になっているアソコを晒し出しながら、長椅子に座る彼の膝に身を預けた。
 頭を横島の肩に乗せると、戸惑う彼の様子に胸がキュンキュン高鳴る。
 自然と秘処の中心部に彼の秘部の先端を合わせ、そして腰を落とす。

 グチュ、ズッ、ズズズ……

 シャークティの自重で、横島の肉棒が彼女の細い肉路を割り、処女地をズブズブと犯していく。


「っふぁ……ああっ!? な、なんでわたし……」


 肉の棒を半ばまで自分の胎内で受け止めると、そこでようやく彼女は自分がナニをしていたのか気づく。
 挿入された肉棒を、胎内から引き抜こうと、慌てて腰を浮かせるシャークティ。

 だが、横島とてここまで来たら後に引くつもりは無かった。
 シャークティの腰に手を回し、それ以上の逃げを阻止する。
 切羽詰った様子でコチラを見るシャークティを意図的に無視すると、そのまま一気に引き寄せた。
 ブツン! 彼女の胎内から何かを貫いた音が響いた気がする。
 直後、シャークティが痛みによる衝撃で全身を弓なりに反らした。


「あぐぅっ! は、挿入(はい)った……、わ、私の胎内(なか)に貴方のが……熱くて、硬い、貴方が……」


 呆然とした面持ちで横島を見上げるシャークティ。
 目からはポロポロと涙がこぼれ、口は大きく開いたまま。


「性魔術で絶頂(イキ)まくるのと、恋人みたいに抱かれるのと、どっちがイイッすか?」


 横島はシャークティを逃がさぬ様に、右手で腰をしっかり固定すると、左の手で修道服の上から胸を揉みしだく。
 頬に流れる涙を舌ですくいながら、彼女の答えを今か今かと待ち侘びる。

 ちなみに横島、この時点でココネが覗いているのを忘却の彼方にしてしまっている。
 すでにシャークティの処女を奪った事に興奮し、彼女を啼かせる事しか頭にない。


「こいび……い、いえ、あくまでも性魔術でお願いします」


 寸前で理性を取り戻したシャークティは、恋人の様に……、と思わず言ってしまいそうになった言葉を胸にしまい込むと、公然とした態度で横島に願い出る。

 
「りょーかいっ!」


 横島は少しだけ残念に思いながらも、それでも嬉々として彼女の唇に自分の唇を重ね合わせた。
 言い方を変えればイカせまくって欲しい、そう言われたのと同義だったからだ。

 ねっとりと舌を絡み合わせ、性魔術で少しづつ彼女から理性を取り払う。
 破瓜の痛みで震える彼女の胎内から、ヌググ……、と肉棒を引き抜いていく。
 雁の部分が入り口に引っ掛かると、今度は一気にグプンッ!っと子宮口まで突き入れた。
 横島の魔力がシャークティの子宮を貫いて、全身を隈なく巡っていく。


「くぅっ! ふぁあぁぁ……」


 瞬間、余りの痛みで意識が弾け飛びそうになるが、すぐに恐ろしいまでの快感に頭が蕩けてしまう。
 シャークティが望んだように、横島は性魔術でもって精神(こころ)を犯しながら、身体を犯す。
 当然、破瓜の痛みなど感じさせはしない。性魔術で痛みを取り除き、快感だけを倍増させているからだ。


「んっ……あっ、あああっ……アソコが……そんなに広げたら……だめぇっ……!!」


 横島の相棒が胎内で蠢くたびに、絶え間なく絶頂の頂を昇るシャークティ。

 シャークティは横島の肩に手を置いてバランスをとると、グチュンッ、グチュンッ、グチュンッ、激しく腰を上下に揺らしながら、横島に許しを乞うた。


「ゆ、ゆっくり……してくださいっ、んあああっ! 初めてなんです、私は……ですからぁっ、きゃうぅんっ!!」


 横島は既に腰など振ってはいなかった。
 全部シャークティ自身がやっていることなのだ。 
 だが横島は「わっかりました、シャークティさん!」と言うなり、彼女の腰の動きに合わせて自分も『ゆっくり』腰を動かし始めた。


「ヒィアッ!? よ、横島さん!? ダメです! こんなんじゃ、わたし、わたしぃっ!!」


















 こっそりと覗いていたココネが驚きに目を見開かせた。
 シスターシャークティの魔力の流れを伺っていた彼女は、確かにシスターの魔力容量が上がったのを確認したのだ。


「スゴイ……、これがそうなんダ……」


 何をしているのかは、彼女の幼い知識では伺う事は知れない。
 知れないのだが、そう簡単には上げる事が出来ない筈の魔力総量を簡単に上げている。
 美空が知りたがっていた秘密が目の前で繰り広げられているのだ。
 ココネは横島やシスターシャークティに見つかる危険性を知りながらも、更に2人の傍へと近づいていく。


「イ、イキます! またイッちゃいます! ああ、許して下さい! もう、これ以上は、わたしっ!!」


 横島とシスターシャークティが抱き合う姿が見える。
 いつも厳しい表情で自分達を指導する彼女の嬌態に、幼い少女はビックリしてしまった。
 激しく身体を上下に振動させながら、涙を流して許しを乞うその姿に。


「これで何回イッた?」

「じゅ、じゅうに……かいです! ああっ、またイクゥゥ!?」

「これで13回っと! あと7回イッたらラストっすよ!」

「んあっ、ムリ、ムリです! そんなにしたら……ヒアァッ!!」

「あと6回!」


 イク……、イク度にシスターシャークティの魔力が強化されている……

 ココネはその事実に驚愕し、目を大きく見開く。
 横島がカウントダウンしていくのを見守りながら、彼にイクをして貰えばいいのだとココネは思った。


「ミソラに報告しないと」


 ココネは今来た道を、2人に見つからないように細心の注意を払い、教会の外に出た。
 生臭い性臭から解放された幼い少女は、外の新鮮な空気を身体一杯に吸い込みながら、彼女の魔法使いの従者がやって来るのを待つ。
 メンド臭がり屋の彼女を喜ばせる情報を持って。






















「んんッッッッ! ッッ! っンンンンッ!!」
 

 静かな教会に、シャークティの断末魔の叫びが響き渡る。
 熱い精液が子宮に注ぎ込まれる衝撃で、丁度20回目の絶頂に達したのだ。
 彼女は口から零れだす唾液で横島の身体を汚しながら、ビクンッ、ビクンッと瘧のように身体を震わせる。

 横島は最後の一滴まで彼女の子宮に注ぎ込むと、ポンポンと背中を数度叩いて、


「これで終わりっス。頑張りましたね? シャークティさん」


 優しく微笑み掛けながら彼女に声を掛けた。


「んはぁ……りがとう……ございました、よこしまさ……ンアッ!」


 最後にもう一度大きく身体を震わせ絶頂すると、横島の胸にもたれ掛かりながら意識を閉じた。


 横島は彼女の胎内から肉棒を抜き出すと、ゴポッゴポッと次から次に溢れ出す精液を丁寧に拭い取る。
 そして今まで自分が腰かけていた長椅子に静かに寝かせると、急いで教会中の窓を開け放つ。
 狭い教会内に立ち込める性臭を、外に出して空気を入れ替えるためだ。

 横島はここに来て、ようやくココネの存在を思い出した。
 だが今現在近くにココネの気配はなく、横島の願望的には幼い少女にはナニが何だか解らないで外に出てしまった、のだと思いたい。
 どちらにしても急がなければ、他の少女達、夕映、のどか、美空といった面々が来てしまう。

 夕映とのどかは問題ないが、美空はマズイ。

 そう思いながら必死で性行為の後を始末していく横島だったが、だがしかし、その願いは天に届きはしなかった。

 ギィィッっと軋む音を立てて開かれる教会の入り口。
 入ってくるのは、悪戯に成功したような勝ち誇った笑みを浮かべる美空と、いつもと変わらない三白眼の少女、ココネ。

 頬がピクピクと引き攣る横島。
 そんな横島の傍に近寄ると、美空はシャークティの方に視線を送る。


「私らにもお願いできないっスかねー? シスターシャークティにしたっていう『イク』ってのをね。
 簡単に魔力を上げれるスッゲーの独占するなんてズルイっスよー、横島さーん」
 

 口角を上げながらそう言う美空と、彼女の手を握ってコクコクと何度も頷くココネ。
 横島はアッチャー、この子ら絶対に解ってねー。そう思いながらこめかみを抑える。
 ココネはそんな横島を見て何かを感じたのか、ちょっとだけ不安そうに美空を見上げた。


「ミソラ、そう言えばシスターは少し辛そうだったよ?」

「えっ? そうなの!? うーん……、でもま、一度やってみようよココネ。あんま辛かったら途中で止めれば良いんだしさ」


 横島は軽い調子の美空に呆れた視線を向けると、

「性魔術で絶頂(イキ)まくるのと、恋人みたいに抱かれるのと、どっちが好みだ?」

 シャークティにした質問を、口角を吊り上げて言い放つ。


「へっ? 聖魔術っすか? あと、恋人……? え、えと、恋人はマズイんで聖魔術でお願いします」


 横島はクックックッと小さく笑うと、美空の腕を掴んで自分に引き寄せた。
 「ひゃあっ!?」と驚きの声を上げる美空に、少し痛い目を見た方がいいな、この子は。
 そう思いながらおもむろに彼女の唇を奪った。




















「アァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」


 しばらくして、教会の外まで響く嬌声を上げる美空。

 呆けた様にステンドグラスを眺めながら、初めて感じた圧倒的な快感に身体を震わせる。
 ブブブッと少しづつ自分の膣内から這い出てくる灼熱の感触に、どこか寂しさを感じるのは何故だろう?


「ツギはワタシの番」


 ココネの言葉に困った様に視線を惑わせる横島を見て、美空はクスッと小さく笑む。

 流石にココネはマズイっしょ?

 そう思いながら横島の胸にもたれ掛かると、


「ココネはまだおこちゃまだから、私みたいなコトはダメだよ」

「ミソラだけ……ズルイ……」


 ふくれるココネの頬をツンツンと突く。
 気絶していたシャークティも覚醒しつつある今、急いで着替えないと。

 美空はいつまでも自分の胸を揉みしだく横島の手を優しく振り払うと、痛む体を押して立ち上がった。

 まだ文句を言うココネに、「夕映と本屋がそろそろ来るだろうし、シスターシャークティも起きちゃいそうだよ」と宥めにかかる。

 不承不承に頷くココネ。
 そんなココネに矢張りクスッと小さく笑うと、横島に抱きつき唇にチュッと触れるだけのキッス。


「これはお礼っスよ、横島さん」


 そう言いながら一杯の笑みを向けた。
 確かに自分の魔力容量が僅かながらも上がっている。
 今までに無い、確かな手応えすら感じていた。



「またお願いするかも。ね、横島さん!」


 そこには、先程までの悪戯っ子の笑みではなく、頬を染める一人の女の笑みがあった。
















































 横島のヒロイン認識表

 大切な人……令子、おキヌ、ルシオラ、イオ
 使徒……アスナ、あやか
 家族……愛子、タマモ、シロ、マリア、千鶴、夏美
 愛人・恋人……冥菜、小竜姫、アキラ、のどか、夕映
 俺のファン……愛衣
 愛人・恋人未満……木乃香、茶々丸
 セフレ……レミ、シャークティ、すずめ、めぐり、美空、むつみ(出番なし)


 左上に行くほど横島にとって好感度・恋愛度・重要度が高いです。


 待機中

 アスナ(SP)、木乃香(SP)、ココネ(SP)、ネギ(SP)、朝倉ntr(SP)




 作者が常に確認している認識表です。
 これからは変化がある度に載せていきます。
 作者が解り易いようにする為に!








 後書き

 美空Hシーン?
 シャークティ書いてたら力尽きたorz

 後はだ、オイオイ、いくら何でもご都合しゅ(ry

 エロゲ仕様ですから!もーまんたい!!

 ちなみに時間軸は原作4時間目。
 ゆえは原作通り居残りテストで、のどかがそれの付き添いです。

 



[11660] ネギま!のほほん記 第13巻  エロ有り(木乃香)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:39






  ネギま!のほほん記  第13巻  新・日々彼是 その1





















  □月○日

 ネギの表向きの課題と裏向きの課題についてあれこれ説明しようと、我がカワイコちゃん達を全員呼び出した。
 夕映とのどかに初任務を言い渡す一方、アスナ、千鶴、木乃香を除く面々の成績の落ち込み具合に苦言を呈する。
 ああ、解ってるさ。俺がそんなん言える資格がねーって事ぐらいはよ!
 でもま、これが大人の特権ってやつだろ?
 
 それにしてもだ、久々に勢ぞろいした女の子達の姿を見ると、なんてーか、こう、そそられる。
 直前にシスターと美空ちゃんの処女喰いをしたせいか、股間の意気が上がって困る。
 家中に充満する女の匂い。こんな中にいるんだから、理性が奪われても仕方あるまい。

 ここはガキの頃からの夢を叶えるべき時とみた!
 武道館で大勢の裸のねーちゃんにもみくちゃにされながら、ジョニー・B・グッドを歌うなんてちっぽけな夢を!
 ここは武道館では無く、大勢の女といってもたったの8人。
 それでもガキの頃の俺の性事情から考えると、まさにここがパライソと言っても過言ではない。

 アスナ、あやか、夏美、千鶴、アキラ、のどか、夕映、木乃香。
 胸のサイズも、巨・大・中・小・無とよりどりみどり。

 これで今日処女を頂いたシスターシャクティと美空ちゃんを呼べば完璧だったんだが、流石に今日初めてを頂いたばかりだから自重。
 それにあの2人は俺の女って感じじゃないしな。
 性魔術目当てだから、こんな催しで呼び出しても嫌われるだけだろう。
 そこでだ、9人目の性戦士として愛衣ちゃんを電話で呼び出して、9人の裸の美少女にもみくちゃにされながらジョニー・B・グッドを熱唱しようとしたんだが…… 

 だが残念な事に、ここでネギの野郎が帰って来やがった。
 それも女の子を5人!も連れて!!
 ハルナちゃん、まき絵ちゃん、裕奈ちゃん、亜子ちゃん、そして初めて会った千雨ちゃんの5人!

 間違いなくネギにはアンニャロメの血が流れている。
 心の古傷がジクジクと疼く。
 口説いた女が次から次へとナギのツラを拝んだ瞬間に俺から……
 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 ネギがナギのバカみたいに、俺から女を奪ったりはしないと信じたい……!!

 一応念の為、俺の女にマーキングをしておいた。
 最低でも1人10箇所、キスマークを全身隈なくなっ!
 身体中にキスマークがあれば、流石にエロイベントが起きてネギになびいたりしないだろう。

 ふっふっふっふっふっ……




















「横島さ~ん、そろそろ寝る時間ですよ~?」


 部屋の扉をカチャリと開け、顔を覗かせるネギ。
 俺は日記をパタンと閉じると、ネギの方を振り向いた。


「あん? 今日もリビングで雑魚寝なんか?」

「へ? 違うんですか? このかさん、リビングに布団を敷いてますが。それに……その……お父さんの話をもっと聞かせて欲しい……です……」


 声が語尾に近づくにつれ、ボソボソと小さくなってくる。
 チラッチラッと何かを期待するように上目遣い。
 指をモジモジしながら、ダメですか? なんて言いたげな視線だ。

 これが美少女のお願いならば、言うまでもなく即了承するのだが、相手はネギ。敵認定したばかりの未来のイケメンモテ野郎。

 本来なら断るべきところなんだが……


「それに僕、横島さんの世界の話にも興味があるんです! 魔法が隠匿されず、神様が本当に居る世界。一度行ってみたいですよ!」


 昨日と同じく目をキラキラ輝かせ、年相応の表情を見せるネギ。
 このガキは、基本的には大人ぶってる小利口なガキだ。この手の表情は珍しい。

 多分、これは良い傾向なんだろうな。

 俺は苦笑いしながら頷くと、ネギを伴いリビングへと向った。
 笑顔で出迎えるパジャマ姿の木乃香。
 その隣の布団に潜り込み、さりげなく彼女を自分の布団の中に導くと、ネギに見つからぬよう細心の注意を払いながらイタズラする。

「んもう、横島さん、今はダメやでぇ~?」

 ダメダメ言いながらも一切の抵抗をぜず、むしろ笑顔で俺のイタズラを受け入れる木乃香。
 俺は小振りなオッパイの感触を堪能しつつ、マダかマダかと話をせがむネギに、ゆったりとした口調で話を始めた。

 最初にナギの話。

 当時14才だったナギと駆け巡った戦争中の話。
 罠に嵌められ、それまで味方だった連合軍から反逆者として追われるはめになった時の話だ。


「なっ!? 僕と同じ魔法使いなのに!」


 悪役魔法使いの登場に憤慨するネギ。

 俺はネギに、正義や悪なんてものは、その立ち位置によって違うもんだ。と諭しながら次の話に移る。


 2つ目は俺の学生時代の話。

 貧困で腹をすかした俺が、イケメンヴァンパイアハーフのピートから弁当を奪う話。
 吸血鬼の弱点であるガーリックパウダーでピートを撃退し、弁当を奪ってタンパク質を補給した話だ。


「で、で? タイガーさんはそん時どないしたん?」

「ああ、あの顔に似合わず彼女持ちの裏切り者か? そりゃ、ピート共々天誅食らわせたに決まってるさ!」


 楽しげに聞く木乃香と、眠くなってきたのか目を擦り始めるネギ。
 うつらうつらとしながら、「吸血鬼って本当にニンニクが弱点なんですね」と聞いてくるネギに大きく頷いた。

「ふむ、アイツ程度なら家庭用ガーリックパウダーを軽く2振りでダウンさせれるな。
 真祖クラスになるなら、ナギの様に落とし穴に嵌め、穴の中にニンニクペーストを仕掛けておくだけで仕留めれる筈だ」



 最後にディル=リフィーナの話。

 魔物が蔓延るファンタジーRPGな世界での冒険譚。
 凄惨な部分は全部はしょいて、ほんの僅かにあった楽しかった話だ。

 チラリと俺が殺し、犯した神官共の顔が脳裏を過る。
 軽く頭を振ってそれらを振り払いながら話していると、隣からスゥースゥーと規則正しい寝息が聞こえてきた。










「ネギ君、寝てもうたなぁ……」


 俺の肩に頭を乗せ、しっとりと潤んだ声を出す木乃香。
 その声を聞いただけで、俺の理性が飛びそうになる。
 手に収まっている胸を乱暴に揉みしだくと、俺は乱暴に彼女を組み敷き、嬉しそうに喘ぐ彼女の唇を奪いながらズボンをズリ下げる。

 昨日、今日と、色々限界にさせられた木乃香は、隣に寝ているネギをあっさりと意識の外に追いやり、俺の舌をむしゃぶりだした。


「横島さん、ウチな、ここが切ないんよぉ……」


 たっぷりとキスをした後、木乃香は自分の両足を抱え、アソコを剥き出しにして俺に見せつける。
 そこは今だ無毛の丘陵。いや、うっすらと産毛が生え始めていた。
 ヒクヒクとビラビラが蠢き、プックリとクリトリスが腫れ上がる。
 男を迎え入れる為に、トロトロのイヤらしい液で丘陵を濡らす。

 俺は木乃香のいやらしい姿に、ゴクリと生唾を飲み込むと、必死に理性を総動員しながら彼女の足を閉じさせた。
 流石にこの状況で初めてを貰うのも如何かと思うし、すでに今日は2人も処女を貰っている。
 そんな訳だから、俺はアソコの中ではなく、内股の間に肉棒を挿入する事にした。


「んふぁぁ……、横島さんの、あたって気持ちええよぉ……」


 肉棒が縦スジに触れるなり、甘い声を漏らす。
 木乃香の甘い声に脳を痺れさせながら、ヒクヒク蠢くビラビラに、肉棒を激しく擦りつけながら腰をピストンさせる。


「あぐっ……ああああっ……んぅ……」


 花弁の間からいやらしい液体が滲み出て、腰の動きに合わせてグチュグチュと淫猥な音を立て始めた。


「こんなにグチャグチャに濡らしやがって、木乃香は本当にエッチな女の子だな。相手は誰でもいいんちゃうか?」

「んあっ、ち、ちがうんよ……、ウチは、ウチは横島さんじゃなきゃ、こんなんならへんもん……ンンッ、うあぁん……」


 俺は腰の動きをピタリと止め、「どうだかなぁ……」とそっぽを向いた。
 そんな俺を見て、木乃香は両目から涙を溢れさせると、必死な面持ちで首を左右に振った。


「信じて……、ウチ、横島さんが好きだからこんなんなるんや。だから、ウチ、ウチぃ……」


 木乃香は声を震わせ必死に俺に訴える。

 俺はわざとらしく彼女の涙を拭うと、パジャマの上を肌蹴させて小さな胸を露にした。
 既に隆起している桜色の突起を摘まみ、クリクリと刺激しながら、「俺も木乃香のこと大好きだぞ……」と囁く。

 半ベソかいていた顔が、パァーっと明るくなる。

 嬉しそうな木乃香に満足した俺は、乳首を弄くる手は止めず、腰の動きを再開した。
 すぐに切なげな息遣いをし始める木乃香。
 俺は更なる快感を引き出そうと、ピストンする勢いを激しくしていった。


「あんっ……んふっ……よこしまさぁんっ……くぅん、、んあ、あんっ、すごくこすれて、ウチ、もうっ……!」

「木乃香のここ、ネットリと絡みついて……すっげぇ気持ちええぞ!」

「きゃぅぅんっ……よ、よこしまさぁんっ……ウチで、気持ちよぉなってぇっっ!」


 そろそろ射精感が限界に達してきた俺は、両手でしっかりと木乃香の両足を掴むと、更に腰の動きを激しくさせた。
 木乃香ももう限界らしい。絶え間なくビクビクと身体を跳ねさせる。


「木乃香、そろそろイクぞ……!!」

「は、はいっ……よこしまさん、ふぁっ……ウチに一杯かけてぇっ!」


 木乃香は瞳を潤ませ、小さな乳房をプルンと震わせ胸を反らせた。
 そこに射精(かけ)て欲しいと受け取った俺は、愛液が泡立つほど股間を擦り合わせる。


「ひあああぁぁぁぁんっ!!」


 木乃香の絶叫と同時、彼女のアソコからブシュッ! と盛大に飛沫が噴き出す。
 絶頂した木乃香がピンと手足を突っ張らせ、太腿がギュっとなり肉棒への締め付けが一気に強まる。


「木乃香っ!」


 俺は木乃香の名前を叫ぶと、太腿の間から肉棒を引き抜き、プルプルと震える小振りなおっぱい目掛けて精を解き放った。

 バシャッ、バシャッ、バシャッと彼女の上半身がオッパイ中心に精液に浸されていく。


「ふあぁっ、あついのが……よこしまさんのが、ウチの胸に……んぁぁ……」


 うっとりと、だが意識を半分飛ばしながら呟く木乃香。

 俺は最後の一滴まで木乃香の身体に射精すると、汚れた肉棒を彼女の唇にツンツンと押し付ける。
 木乃香はのろのろと身体を起すと、何も言わずとも解るのか、舌でキレイに舐めあげていく。
 柔らかくなり始めていた肉棒が、硬度を取り戻したのを見計らって、木乃香の口の中に突っ込んだ。
 暖かく柔らかい口中で、ジュポッジュポッとしごかれながら、満足気に目を細める。


 俺は甘く痺れる股間の感触に、いつまでも酔いしれるのだった。
































「ふう……、いいお湯ですわ……」


 麻帆良女子寮自慢の大浴場の湯に浸かりながら、あやかは至福の表情となる。


「うっ、うーーんっ!」


 伸びをして声を唸らせると、首をコキッ、コキッと何度か鳴らす。
 久々に勉強したせいか、妙に肩がこって仕方ない。
 湯船に身体を浸しながら、肩を手でモミモミする。
 見れば千鶴、夏美、アキラ、夕映、のどかといった彼女の連れも、同じように伸びをして肩をほぐしていた。


「うう……、もう勉強はイヤです……」


 ブクブクと顔を半分湯に沈めながら、心底疲れ切った様子を見せる夕映。
 彼女は、もしも次の期末試験で赤点を取ってしまったら、魔法生徒として失格の烙印を押されてしまうのだ。
 シスターシャークティの怒りは凄まじかったらしく、横島にとりなして貰おうとしても自業自得と逆に注意される始末。
 成績が737人中、730番台では流石の横島も注意せざるおえない。

 いや、むしろ呆れた感さえあった。

 だが、あやか達もそんな夕映を笑ってはいられない。

 彼女達も成績の低下が著しく、授業はしっかりと聞いてはいたものの、予習・復習といった自主的な勉強は一切していなかったのだ。
 当然、それまでと同じ成績でいられる訳も無く、あっという間にテストの点数が悪くなっていた。

 勿論、あやか達にも言い分はある。

 なんせ彼女達は将来進むべき道を一本に決めたのだから、その他の勉学に身が入らなくなっても仕方無い。
 何より新しい世界の姿は余りにも眩しくて、これまで自分達がしていた勉強がとてもつまらない物に見えてしまったのだ。
 真面目で優等生だったあやかでさえそうなのだから、ただでさえ成績が悪くて勉強嫌いの夕映に至っては言わずもがな。 
 
 そんな夕映に苦笑めいた視線をむけていたあやかだったが、不意に彼女の小学生と見間ごうボディーに赤い点をみつけた。

 乳首を中心に柔らかい乳房を征服するが如く複数個。
 脇腹やヘソの周辺なんかにも幾つも見受けられる。
 ポツリ、ポツリと彼女の敏感な部位を中心に幾つもあるソレ。
 同じように自分の身体にも有るソレ、間違いなくキスマークだ。


「忠夫さん……っ! 私だけでは無かったのですかっ!?」


 思わず怒りの声をあげてしまう。
 今更嫉妬めいた事は言いたくないが、少しは自重しろ!
 あやかは声を大にして横島にそう言ってやりたい。


「いいんちょさん、気づくの遅いのですよ?」

「そうだよー。私たち、さっきから見られちゃうんじゃないかって、ヒヤヒヤしてたんだよ?」

「ええっ? そうだったんですか……」
  

 よくよく見てみれば、お風呂に入って血行がよくなり解り難くなってはいるものの、夕映だけでなく、全員の身体にキスマークが確かにある。


「まあ、見つかっちゃったけどね……」


 アキラの諦めた様な口調に振り向けば、そこには邪悪な笑みを浮かべている裕奈と、俯かせた顔をのぼせた様に真っ赤にさせている亜子。

 勉強疲れでボケてたのかしら、そう言えば貴方がたも居らしたんでしたわね……

 
「ほ、他に見た方は……」

「ぷぷぷ、私達だっけだよー! だーいじょうぶだって、いんちょ♪ 内緒にしてア・ゲ・ルっ!」


 裕奈の楽しそうな口調に、あやかは一日の疲れがどっと押し寄せ身体が重くなった、そんな気がした。
































 入浴後、消灯時間が近いというのにあやか達の部屋に来た裕奈と亜子は、興味津々に問いかける。


「横島さんって、見かけによらず女ったらしだったんやな~」

「見かけによらずって、随分と酷い言い方ですね」


 第一印象が素晴らしく良かった所為だろう。
 夕映にとって見れば、横島は絶世の美男子と言う訳では無いものの、充分以上に人好きのする顔なのだ。
 そんな彼を心底好きな彼女にとって、亜子の言い草はカチンと来たらしい。
 ちなみに女ったらしの部分ではなく、見かけによらずの部分のみだ。
 流石の彼女も其処の部分だけは否定できない。


「ゆえー、落ち着いてーー」


 いきり立つ夕映に宥めるのどか。慌てて謝る亜子に、あやかは矢張り大きく溜息。

 亜子と裕奈は一般人だ。
 正直上手い事誤魔化す方法を思いつかない。

 どうすればいいのだろう?

 いっそ、記憶を消してしまおうか……

 そう思うあやかだったが、

「まあまあ、私と亜子は言いふらしたりはしないって。ねぇ、亜子?」

 コクコクと何度も頭を上下させて頷く亜子を見て、しばらく様子をみましょうか、と考え直す事にした。


「それよりさ、聞いてもいい?」

「何をですの?」

「普通に考えたらさ、横島さんって中学生に手を出したロリコンで、その上節操無しの最低野郎じゃん。なんでそんな人を好きになったの?」


 その言葉を聞くなり頭に血が上る夕映。
 勢い良く立ち上がると、今の発言をした裕奈に何か一言言ってやろうと詰め寄った。
 だが先程までの悪ふざけをしている顔と違い、真剣に聞いているのだと気づいた夕映は、気を落ち着かせる為に大きく息を吐く。

 夕映にとって、横島は既に色んな意味で『特別』だ。
 そんな彼の事を悪く言われて頭に血が上るのも仕方ない。
 だが彼女も解ってはいるのだ、横島と言う男が、余所から見れば最低な男だと言う事を。
 でも、彼の本質を知っているのだと勝手に思っている夕映は、少しだけ優越感に浸りながらペタンと床に座る。
 そして、ほんのちょっとでも彼の心象を良くしようと、初めて彼を意識した時の事を話し始めた。


「私は、彼の悲しそうな瞳でしょうかね。今にも泣き出してしまいそうだったあの人を、優しく包んであげたい、そう思ったのですよ」 

 
 目を瞑り、胸に手を当て、朗々と流れる様にそう言い切る夕映。
 話しながら彼の事を想い浮かべて頬を緩ませる。
 ほんのりと赤く染まる頬。柔らかく笑むその表情は、裕奈と亜子から見たらとても眩しく見えて。

 そんな夕映に続けとばかりに、他の女の子達も話し出す。

 彼女達もれっきとした女の子。
 恋の話は大好きで、何よりここにいる者達は、裕奈と亜子を除けばみんな仲間だ。
 自分以外の子達の話にも興味があるし、自分が彼をどうやって好きになったのかも話したい。


「私は一目惚れよ」

 千鶴が大きな胸を強調しながらそう言うと、

「初めは流されてかな……? でも、気づいたら離れられなくなっちゃった」

 アキラがポリポリと頬を掻きながら明後日の方向を見る。

「重たい荷物を持って貰った時かなー? あとはゆえと似たような理由だと思うー」

 のどかが恥かしげに言えば、

「夜這いされて口説かれちゃった」

 夏美が勝ち誇った顔をする。

 途端に、きゃぁーっ! と部屋中に少女達のピンク色の声が木霊する。

 横島から口説かれた。
 その事実がとても羨ましい面々と、えっ?イキナリ夜這い……、と若干引き目の少女2人。

 そして最後に、

「最初は感謝からですわね。恋愛感情はありませんでしたわ」

 今までの流れから反する言葉を唇からこぼした。

 えっ? と驚く少女達。

 ただ、千鶴と夏美だけは平然としていたが。


「ですが、あの方の隣で穏やかな日々を過ごす内に、少しづつ、ゆっくりと、真綿が水を吸い込むみたいに彼を愛していきましたの」


 その場にいる全ての少女達が、あやかの微笑むその姿に見惚れるのだった。















 恋話はとても盛り上がり、気づけば日付が変わっていた。
 いい加減寝ないと明日がキツイ事もあって、そろそろ解散とあやか達の部屋を出る。
 途中、のどかと夕映の2人と別れると、部屋が同じアキラと裕奈、その隣室の亜子の3人で静かな寮の廊下を歩く。


「キレイやったな~」

「なに、突然?」

「いいんちょさんや。すっごくキレイやったわ……」

「ああ、うん。恋する乙女……、ううん、愛おしい人を想う女、って感じだったね。それにさ、1年前に比べて物腰が柔らかくなったよねー」


 アキラは2人の会話を聞きながら、確かにあやかは変わったとそう思う。

 彼を愛した……、からだけでは無い。きっと、本当の意味で大人へと変わりつつあるのだ。
 しっかりとした目標を持って、しっかりとした未来のビジョンを見据えて行動する。

 そんなあやかは毅然としていて、とても憧れる……


「アキラもやで? アキラも、すっごく美人さんになったわ。じゃ、オヤスミ……」


 気づいたら部屋の前まで来ていたらしい。
 亜子の突然の言葉に、やや呆然としながら見送るアキラ。

 カチャ、と自分の部屋のドアが開く音を聞いて、ようやく我を取り戻すと、心底楽しそうに自分を見ている裕奈の横を通って部屋に入った。
 パタン、とドアが閉まる音を聞きながら、アキラは服を脱ぎ捨てパジャマに着替える。

 そして、いつまでも玄関から動かないでいる裕奈の方を見て、「どうしたの?」と小首を傾げた。


「あのさ、これで聞くの3度目だけどさ、公園のアレって、やっぱアキラだったんでしょ?」


 コクンと小さく頷く。「どうやったのかは聞かないで、裕奈……」

 本当に小さく囁かれたその言葉に、神妙に頷く。
 そして人差し指の腹を唇につけると、視線だけ斜め上に向ける。
 ちょっとだけ考えるそぶりを見せて、最後にニヤリと口角を吊り上げた。

 
「セックスってさ、気持ち良いの? オナニーとどう違うの? ねぇねぇねぇっ!」


 これは明日は起きれないかも、アキラは諦めた様に笑った。









































 ヒロインの横島認識表


 アスナ 一番大切な人
 あやか 主さま
 千鶴  一番大切な人
 夏美  恋人
 アキラ 恋人
 のどか 大好き
 夕映  信仰の対象
 愛衣  憧れの人
 高音  要注意人物
 木乃香 すきすきすきすき~
 茶々丸 どきどきどき(アスナにはどきどきどきどき)
 シャークティ 気になる異性
 美空  おもろい人
 ココネ スゴイ人
 裕奈  エロ的な意味で興味津々
 亜子  女ったらし
 刹那  要監視対象
 千雨  ネギの保護者、出来れば常識人であって欲しい、でも望み薄

 愛子  恋人
 タマモ 寄生対象
 シロ  先生
 マリア 大好き
 小竜姫 恋人
 冥菜  夫
 レミ  大好き
 すずめ 旦那さま(雇い主的な意味)
 めぐり 旦那さま(雇い主的な意味)
 
 
 恋人と一番大切な人の間に想いの差がある訳ではありません。
 この表は、横島が彼女達にとってどういう人間なのかを表す言葉です。 






[11660] ネギま!のほほん記 第14巻  エロ有り(アスナSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:39
 その日の朝、アスナは急いで朝食を作り終えると、パッパとテーブルに並べていった。
 今だ起きてこないエヴァンジェリンを文字通り叩き起こすと、ぶーぶー文句をたれる彼女の脳天にチョップで黙らせる。
 痛みで頭を押さえる彼女に、「後片付けは帰ってからするねーーっ!」そう言って家を飛び出した。

 それはあっという間の出来事。
 唖然とするエヴァンジェリン。

 まあ良いか……、と溜息混じりに呟くと、彼女が作った料理に手を伸ばす。

 五月が作ったものに比べて格段と味が落ちる。
 だが、どこか暖かみのあるアスナの料理を、エヴァンジェリンは嫌いではなかった。むしろ好きだと言っても良い。
 それはマダマダ未熟ではあるものの、確かにお袋の味と言っても良い物だったからだ。

 一人寂しく食べると美味しく感じなくなるのを嫌ってか、チャチャゼロを自分の傍に持ってくると、本格的にパクパクと食べ始める。


「フン、悪くない……」

「オイ御主人、ソノ卵焼キ一切レ食ワセロ」

「馬鹿を言え。この卵焼きは全部私の物だ。この大根のおひたしで我慢しとけ」

「……セコイゾ、御主人」


 ブツブツ文句を言い合いながらも、仲良く食事をとる主従。
 エヴァンジェリンはアスナの作った料理に舌鼓を打ちながら、登校地獄が解けたら横島共々我が配下に加えてやってもいいかもな。何て事を考えていた。

 本人達は間違いなく拒否するだろうが……











 一方、アスナはと言うと、猛ダッシュで自宅に帰ると、突然帰ってきたアスナに驚く木乃香とネギを尻目に、ごろにゃーんと横島の胸に飛び込んだ。


「むふふふふ♪」


 横島の胸に頬を擦りつけ、嬉しそうな声を漏らす。
 そんなアスナに横島は慣れた手つきで頭を撫でる。
 木乃香とネギは横島とアスナのじゃれ合う姿に、何か良い物でも見た気分。

 いつもの登校時間近くなっても続けるアスナに、「先行くでー」「アスナさん、遅刻しないで下さいね?」と言って一足先に家を出た。


「……学校遅刻するぞ?」

「あともうちょい……」
 

 変わらぬアスナの様子に呆れ返る横島だったが、そこで先日アルビレオから送られて来た大人の玩具の使い道を思いついてしまった。

 横島は気持ち良さそうに自分に抱きついていたアスナのスカートの中に手を伸ばすと、スルスルとショーツを脱がしていく。
 抵抗せず、いや、むしろ脱がせ易いよう腰をあげるアスナ。
 スルスルと足の爪先からショーツを抜き取ると、こっそりポケットの中にしまい込む。

 そして、「じゃーん」と横島がどこからともなく取り出した、股間の部分にポケットがついている黒いレースの下着と、ウズラの卵状の何かを天高く掲げた。

 昨日の朝、アスナが玄関先で発見した小包の中に入っていた物だ。


「なんなの、それ?」

「これはな、アスナを更なるエッチな女の子へと進化させるスーパーアイテムだ!」




























  ネギま!のほほん記  第14巻  アスナSPイベント①



























 いつもならあっという間に走り抜けられる自宅から学校までの距離がとても長い。

 私はお腹を押さえながら、やっとの思いで教室まで辿り着くと、鞄を机に置いて脇目も振らずにトイレへと駆け込んだ。

 便座に座り、スカートを捲り上げる。
 ブーンと言うモーター音が、ショーツに備え付けられているポケットの中から聞こえてきた。
 太腿に付けているホルダーから伸びるコード。その先がそのポケットの中へと続いている。
 そして、その中に入っているウズラの卵状の物、ローターがブブブブブ……と細かく振動しているのだ。
 ローターは布越しにクリトリスが当たる位置にあり、自宅から学校までの距離だけで、私は何度も高みへと昇りそうになってしまった。

 もっとも、イキそうになる寸前でピタッと振動は止まってしまうのだけど。

 ここまでで都合4度、そして今が5度目。
 内股がプルプル震え、私は振動が与える刺激で頭が真っ白になってしまいそう……


「こ、こわい……、こんな場所でイッちゃうなんてイヤよ……んぅっ!?」


 それでも、誰かに見られる可能性がある場所よりはずっとマシだ。

 私はそう思いながらローターが与える刺激に身を任せ、口をハンカチで押さえて声を抑え、いやいやする様に何度も首を振る。

 目をギュっと瞑り、その『時』に備えて身体を硬直させた。


「ンンンッ……んぅぅ……んはぁ……?」


 だけど次第に振動は弱まり、そして最後にはピタリと止まってしまう。

 まただ、またイク寸前で止められた。
 忠夫が近くにいるの……? 

 キョロキョロしながら、私は良く知っているあの人の気配を探り出そうと意識を伸ばす。
 だが、ブブブブブブブッ!! 今までにない程に激しい振動が私を襲う。


「ヒィアッ!!」


 思わず大きく声を上げ、廊下まで響かせてしまった。


「あのー、どうしました?」


 心配そうな声。
 わざわざ廊下からトイレまで駆けつけてくれた善意の人だ。
 だが、まさかエッチな道具で嬲られているなどとは言える筈もなく。


「す、すみません。ちょっと足を引っ掛けちゃって……」

「そう……ですか。気をつけて下さいね?」


 優しい声。丁度そのとき、激しく振動していたローターが止まり、私は一息ついた。
 外に聞こえないように熱い溜息を吐き出し、頭をクリアにする。
 そして、善意の誰かに感謝の言葉を返そうと口を開いた。

 だがその瞬間、再びローターがブーンブーンと小刻みに振動しだす。

 さっきまでに比べると圧倒的に弱い振動。
 それでも、何度も絶頂の淵まで追いやられた今の私には、充分過ぎる程の刺激ではある。
 とは言っても、いつまでも彼女に言葉を返さない訳にはいかない。


「ありがとう……、ほんとうに……ッッ……大丈夫だから……んぅ……」

「……ううん、気にしないで下さい」


 私の様子がおかしいとは思っているのだろう。
 それでも彼女は一声かけると、トタトタトタ……キィ、バタン、とトイレから出て行った。
 ……周囲からは人の気配が消え、再びローターの振動がピタリと止まる。
 これは自分を捜すな、そういう意味なのだろうと、私は受け取った。


「はぁ……、まったく困った人なんだから……」


 そうは思うものの、決して彼から離れようなんてチラリとも思えない。
 恋愛は惚れた方が負け、何て言葉を良く聞くけど、ホントにまったくもってその通りなのよね。

 そんな事を考えて気を紛らわせながら、私はグッショリと濡れたポケット付きのショーツを膝下まで脱ぐと、トロトロとなっているアソコをキレイに拭う。

 アソコからグチュグチュとしたエッチな音が聞こえてくる。
 私はビクビクッと身体を痙攣させながら、熱く荒い吐息を吐き出した。

 ふいてもふいても湧き水の如くコンコンと湧き出てくるエッチな体液。


 どうしよう、止まんないよ……


 湧き出る蜜が止まらない。
 そして何より、それを拭っていく手の感触がとても気持ちよくて……、気づけば、ぐじゅうと指がアソコの中へと吸い込まれていった。


「あっ、はぁ……ンッ……」


 アソコの中に挿入された指の感触がとても心地好く感じられる。
 これは、そう、5回も絶頂を妨害されて頭がおかしくなっているからだ。
 ここで一回イっておけば、霞がかった頭もすっきりして、きっと熱の篭った身体も楽になるに違いない。
 私はそんないい訳をしながら、クチュクチュとアソコを掻き混ぜる指の動きを尚更激しくしていった。

 キンコーン、カンコーン、どこか遠くでHRの開始の鐘が鳴っている気がする。
 今頃教室ではネギがHRを始めているのだろう。
 鞄は有るのに何故か居ない私を心配しているだろうか?

 なのに、今の私は……


「わ、わからない……、な、なんでこんなトコで……わたしぃっ……ああっ!? やだ、助けて、ただおっ……!」


 ここに居ない彼に、彼のせいでこうなっているのに、なのに、彼を呼んで、助けを……


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 ビクンッ! 両手足がピンと突っ張り、パシャ、パシャとアソコから透明な液体が噴出た。

 ぐたぁと全身が脱力しきってしまい、「はぁはぁ、はぁはぁ……」荒い息を吐き出すだけ。

 動く気がしない。身体がダルイ。何より、圧倒的な虚しさに襲われ、私はしくしくと涙を零し始めた。
 するとどこからともなく、「やべ、やりすぎたか……」と声が聞こえたと思うと、ふわりととても慣れしたしんだ暖かい何かに私は包まれる。


「ただお……?」


 声を出した瞬間、私の唇を優しく啄ばむ感触がした。
 ちゅっちゅっ、と何度も唇を愛撫するその感触は、確かに忠夫のもの。
 さっきまでの虚しさが少しづつ蕩ける感じに変わっていく。

 それにしても、いつの間に透明になる技を覚えたのだろう?

 私がそんな埒もない事を考えていると、両胸が手の形にムギュッと押し潰されているのが見えた。
 胸がむにゅむにゅ押し潰され、見えない指と指の隙間から、私の胸の脂肪の塊が盛り上がる。


「んっ、ああ……きもち、いいよぉ……」


 私はここが学校のトイレなんだと言う事も忘れ、悦びの声をあげてしまった。


「もっと気持ちよくしてやる、アスナ……」


 突然に耳元で囁かれる。

 忠夫の声を聞いただけで私の体はビクビクンッと跳ね上がった。
 股間からは飛沫が飛び散る。ヒクヒクと蠢きながら、忠夫が私の胎内に入ってくるのを、今か今かと待ち受けているみたい。
 そんな私の状況に気づいたのだろう。
 彼は私の両足を抱えると、秘部に熱くて硬いモノを押し付ける。

 良く知った感触、忠夫の……

 クチュ、クチュ、見えないナニかが、私のワレメを擦る音。
 そして、私に見せ付けるように少しづつ、膣口が忠夫の形で割れていく。

 ズ、ズズズ、グチュゥ……


「ア、アアア、ンウウゥ……」


 透明な楔が私の膣内に打ち込まれ、私の胎内を晒していく。
 今まで見た事も無かった私のナカは、ピンク色の肉がビクビクと蠢き、見えない彼をギュギュっと締め付けている。


「いやぁ……、こんなの見せないでよ、ただお……」


 肉ヒダがめくれあがり、私のいやらしい液体がピュッピュッと間断なく噴き出す。
 忠夫は更に私の足を持ち上げると、遂にはお尻の穴まで丸見えになる体勢に。
 ズンズンと私の膣内を行ったり来たりしながら、恐らくは指であろう形に、私のお尻の穴が広がっていく。


「やぁーーーっ! やだやだやだぁーーーっ!」


 一本、二本、三本と、私の腸内に見えない指が入り込む。
 それがうにうにと蠢きあい、私のお尻の中が掻き混ぜられる。
 同時に膣内をゴリゴリと削る様に出入りする見えないナニの動きに、私は体をよじらせ限界と苦しみを顔で表した。


「あっ……あああっ……はぁああああっ!!」


 身体を波立たせ、膣内がうねる。
 膣内と、そして腸内の中を、奥の奥まで見せ付けられながら、私は頭の中が真っ白になる。
 その時、私の子宮目掛けて精液の塊が放出されるのを見せられた。

 ビュク、ビュク、ビュルルルルルッ!!


「あひっ、ひぃんっ、あああああっ!」


 ドロリとした熱い液体が私の胎内を犯していく。
 次第に子宮に収まり切れなかった精液の塊が、私の愛液と混ざり合いながら、ブブブブッと音を立てて溢れ出ていった。
 お尻を伝い、そしてトイレの中へポチャン、ポチャンと落ちていく。


「はぁ……はぁ……ただ……お……」


 彼の名を呼ぶ。
 愛しい彼の名を。

 その瞬間、私の腸内をグチャグチャに掻き混ぜていた3本の指がヌルッと抜け、苦しかったお腹の中がスゥーっと楽になる。

 ホッと溜息を吐く私。

 すると、見えない忠夫の姿が徐々に露になってきた。
 いつもの背広姿に、ズボンのチャックが開いて、彼の肉棒がビンっとその存在感を主張する。
 ニヤリと悪戯が成功した子供の笑みを浮かべつつ、今度はその肉棒を私のお尻の穴の中心部に宛がった。


「やだ……、お尻はイヤだっていつも言ってるじゃない……っ!」


 そんな私の訴えを聞かず、むしろ笑みを深くする忠夫。
 ググ……、肉棒の先端が私のお尻に埋まってしまった。


「あぐくく……」


 苦悶の声を上げる。
 だけど、次の瞬間、それは快楽に変わってしまった。


「愛してるぞ、アスナ……、可愛い、俺の、アスナ……」


 違う、違う違う違う! 忠夫はこんなセリフを言うキャラじゃない!!

 なのに、なんで私の身体は熱くなるのよ!

 彼の肉棒を腸内で受け容れ易い様に脱力してしまう。
 そして、グプンっと一気に奥まで挿入されてしまった。


「あっ! ああああぁぁンっ!!」


 腸壁が柔らかくゴムみたいに肉棒を締め付ける。
 私は突き入れられた肉棒の脈動に身体を震わせながら、彼に全てを預けてしまった。

 ズンズンと出入りする彼の肉棒。
 余りの激しい突き上げに、遠のく私の意識と理性。

 お尻とアソコの穴から、ポタポタと落ちる2人の体液。
 一時間目の始まりのチャイムの音。
 愛おしい人の息遣い。
 私の喘ぐ声。
 接合部から響くグチュン、グチュン、といった淫音。

 ああ、わたし……、えっちな子になっちゃう……


「お尻の奥が……熱くって……ンアァァァ……動いて、掻き回して……き、きもち……ふぁ! アッ、アッ、あぁぁぁぁ……ッ!!」

























 1時間目の終了のチャイムからしばらく、私は2-Aの教室の中に入った。


「アスナさん!」


 とても心配そうに私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
 私はその声に小首を傾げながら応える。


「どうしたのよ、あやか?」

「どうしたもこうしたもありませんわ! 今まで何処にいらしたのですかっ!」

「ちょっとお腹の調子が悪くなっちゃってさ、ゴメン!」


 私は手を垂直に顔の前で立てると、右目をパチンと閉じてウインク。

 すると、ブブブブブ……、私の女の部分からモーター音が聞こえてくる。

 でもそのモーター音は、どうやらあやかやその周囲に居る者達の耳には届かないみたい。
 私はホッとしながらも、イタズラを止めない忠夫にちょっとだけムッとする。

 それでも嫌いになれない。なる筈がない。
 ホンの少しだけ顔を顰めながらも、彼の行為の全てをこの身で受け続ける。
 好きで好きで好きで……どうしようも無いから。

 だから私は本当に小さく、誰にも聞こえない声で囁く。


「こぉら。もう、いい加減にしてよね、忠夫……」


 愛情をたっぷり込めた言葉、これで止めてくれるといいのだけど……


 途端に周囲の少女達の顔が赤く染まっていく。
 どうしたのだろう……? まさか聞こえちゃった?
 それとも、私がこんなにエッチな事をされているのに気づかれちゃった?

 そう思った私は、あやかの耳元に口を寄せると、沢山の快感のせいで潤んでしまった声で囁く。


「どうしたの、あやか?」


 バッ、と自分の身体を抱きしめて、微かにふるふると震えるあやか。
 赤くなりかけだった顔色が、真紅に染まり驚きの表情となる。

 あれ? あやかだけじゃない。他の子達もみんな……


「い、いいえ、なんでもありませんわ」

「そう……? だったら私、席に着くわね」

「え? ええ、そうですわね……、そうしてください……」


 様子の可笑しい皆の横を通り抜け、私は椅子に座る為に身体をくの字に曲げる。
 ブーンブーンと私の中を蠢くそれが、とても感じやすい場所を突いてしまい、思わず、「んぁっ」と声を上げてしまった。
 イキそうなのを我慢しながら椅子に座り、背もたれに背中を預ける。
 そして私はコチラを心配そうに、でも何故だか頬を赤く染め上げる少女達の視線から何とか逃れようと考える。

 あやか、夏美、千鶴、のどか、アキラ、ゆえ、このか。
 その他の人達も、みんな私の方を見ている。
 どうしよう、でも、何故だか胸がドキドキして止まらない。

 アソコがじゅん、と切なくなって、私は……






 帰ったら、先ずは忠夫をぶん殴る。

 そして、いーっぱい、可愛がって貰うのだ。

 頭が真っ白になって、何も考えられなくなる位に、一杯。

 そう思うだけで、どんどん胸が高鳴り、幸せな気持ちで一杯になるんだから。

 だから、きっと、これは気の迷いよ。

 あやか達にエッチな私を見られたい、そんな事を考えてしまったのは…… 


























 神楽坂 明日菜


 スキル表

 霊能  A
 霊的戦闘 A
 体術  S
 拳戦闘 S
 神通棍 C→B
 銃撃  A
 咸卦法 A
 料理  S
 掃除  A→S
 洗濯  A→S
 奉仕  S
 床技能 B→A
 完全魔法無効化能力 EX 


 好感度表

 友20 親20 恋19 愛17 色20 計96


 job

 使徒
 見習いゴーストスイーパー
 魔法生徒(偽)
 魔法使いの従者(偽)
 中学生
 新妻
 主婦
 家政婦

 



[11660] ネギま!のほほん記 第15巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/03/15 02:12




 荒涼とした大地に、血塗れで這い蹲り、死線を彷徨い苦しみの声を上げる者達を、一人づつ、確実に止めを刺していく。

 一人逃せば、次は何倍にもなって戻ってくる。
 そうやって、少しづつ苦戦する様になっている今を鑑みて、確かに逃がす訳にはいかないのだ。

 だから心を凍らせ、顔から表情を失くし、一人、また一人と殺していく。
 手に残る肉を切り裂く感触、耳に残る断末魔の叫び、網膜に残る怨嗟の表情、いつまで経っても慣れる気がしない。

 殺すたびに全身を巡る魔力に、幾ばくかの安心と諦念を感じつつ殺していると、最後の一人に目がいった。

 俺の命を狙う戦神に仕える修道女。
 長い髪を地面に扇状に広げ、自らと、そして同僚の血で真っ赤に染め上げた、今だ幼さが抜けきらない可愛らしい顔。
 魔力と精気に溢れる肢体、戦神の紋章の入ったスリットのある修道服から覗く生足が艶かしい。
 そんな彼女が、死の恐怖で震え、だが今だ捨てぬ神への信仰心からか、それでも俺を睨みつけてくる。
 淡く膨らんだ胸が、鼓動と激しい息遣いの所為か、ドクン、ドクン、と大きく上下に揺れていた。

 ゴクッ、咽が鳴る。

 戦いで魔力と体力を使い切った今の俺には、彼女の持っている魔力が咽から手が出るほどに欲しい。

 だが、それだけはしたくない。
 例え人殺しになっても、それだけはしたくない。
 でも、どうせ殺すのだから、少しでも自分の糧とするのは間違いじゃない。
 いいや、むしろそうするべきなのだ。

 だが、でも、しかし……
 グルグルと脳裏を巡る。

 元の世界から持ってきた倫理観。
 この世界に来てからの現状による言い訳。
 横島忠夫として捨てられないモノ。

 沢山、沢山、脳裏を巡る。

 そんな中、最早懐かしいと言ってもいい女達の顔が過った。
 その顔に、郷愁と、遣る瀬無さが胸を突く。

 帰りたい、帰してくれ……、俺の世界に、あの、暖かかった世界に。
 殺したくない、でも死にたくない。俺は死ぬ訳にはいかないから。
 俺の子供として生まれ変わる筈のルシオラの為にも、余計な事だったが、俺に神核を押し付けて逝ってしまったイオの為にも。
 だから死ぬ訳には……、いや、死ぬ……のはイヤだ……、おキヌちゃん、美神……さん……、たすけて……
 
 知らず、涙が頬を伝う。

 気づけば眼前に倒れ伏す女の髪を掴み、衣服を剥ぎ取っていた。
 悲鳴を上げる女。泣き叫びながら俺に罵倒をぶつけ、神の名を叫び、来るはずの無い助けを求める。

 クックックッ……、咽からでる忍び嗤い。

 昔の俺なら眉を顰め嫌悪する嗤い。まるで、性質の悪い魔族の様な嗤い。
 俺は、嗤いながら潤みの一切ない女の身体の中心に、いきり立つ肉棒を突きたてた。


「ひぎぃぃぃぃッッ!! あがっ……、身体が、さける……、やめて……壊れ、る……ううぅっ、あ、我が神、マーズ……テリ、ア……」


 邪神の使徒と蔑んでいる者に陵辱されるのは、どれほどの苦痛なのだろうな。

 暗く澱んだ愉悦が俺の全身を走り抜ける。
 性的な快感など余り感じはしないが、確かに俺は悦んでいた。
 ギチギチと硬い音を立てる女の膣壁が、性魔術から齎される強制的な快楽で、少しづつ潤んでくる。
 涙を流しながら、処女だった少女が、一歩一歩女になっていくのを見るのは、とても快感だ。


「ふぁああ! あ、ああっ……あ、こころが……からだ……が、おかされて……ああっ!」


 だが、それももう終わり。この少女は、ここで俺に全てを喰われてしまうのだから。
 だから、せめて最後くらいは、この少女の儚くも短い人生を彩る様に、性的に乱れながら死ぬがいい。

 激しく腰を女の股間に叩きつける。
 髪を振り乱しながら喘ぎ泣き叫び、それでも表情は牝の悦びに打ち震えていた。
 最早神の名を口にする事さえなくなった女の甘い蜜の香が辺りに充満する。


「ああっ、ふぁああ、あ、ああっ、お腹が、突きぬけ……、もう、耐えられ……ああっ!!」


 子宮目掛け射精する。気が巡る。魔力が巡る。精気が巡る。


「あ、熱い、わ、私が、邪神の使徒の、子を孕む……の……? い、いやぁああああああっ!?」


 ビクン、ビクン、と何度も痙攣するように身体を震わせ、少女は恐怖の絶叫を放つ。
 俺は彼女の胎内から肉棒を抜き出すと、放心したように虚空を見つめブツブツと呟く少女に、最後の言葉をかけてやる。


「安心して良いぞ。君は、俺の子を孕む事はないからさ……」


 俺はそう言うと、そのまま彼女から視線を外し、後ろを向いた。

 背中から聞こえてくる安堵の溜息と、掠れた啜り泣きが耳を突く。
 それを聞きながら身なりを整え、身体中を巡る精気に満足の笑みを浮かべた。
 文珠に換算すると10個。それ程の魔力を回復する事が出来たから。
 だから、ここで1個くらい彼女の為に使ってやっても問題はないさ。

 そう思いながら『少女だったモノ』に目をやる。
 既に少女は啜り泣きを止め、生命の輝きを失わせ、目の辺りが窪み、骨と皮だけになっていた。

 痛みはなかったはず……、快楽と、そして安堵の中で死んだはず……
 それでも、俺が強姦して殺した事に代わりなどある筈もなく。
 だから、せめて、この死体を他者の目につかないよう……

 俺は『炎』の一文字の入った珠を少女だったモノの胸元に置くと、逃げるように、いいや、その場から逃げた。

 炎の柱が天を焼くのを見ないように、決して背後を振り返らないで、自分の罪から目を逸す。
 頬を伝う涙を拭う事など許されず、いいや、むしろ泣く事さえ俺には許されてなどいないのだから。





















  ネギま!のほほん記  第15巻  追憶




















 ハッと目を覚ました。
 横島は荒く息を吐き出しながら、掛け布団を退け立ち上がる。
 キョロキョロと忙しなく周囲を見、耳をすませた。
 見知った場所。自宅のリビング。すぅー、すぅー、と少年と少女の穏やかな寝息。
 一瞬の間を置き、フゥ~、と安堵の溜息を零すと、寝汗で濡れた頭をボリボリ掻いた。


「夢……か……」


 小さく震える様な声でポツリ。
 最近はとんと見なくなった夢。
 原因は解っている。
 ちょっと前からネギと木乃香に話している昔話の所為だろう。
 忘れたい、でも忘れてはいけない。

 かつて自らの糧にした者達の事を。
 犯し、殺し、奪い尽くした者達の事を。

 その事に後悔は無い。アレは勝者の正当なる権利。
 弱肉強食。弱ければ殺され、強くても油断すれば喰い尽くされる。
 それがアノ世界の理だ。だから罪悪感はあっても、後悔は無い。

 それでも、この子等がソレを知れば、俺の事を軽蔑するのだろうな……

 横島は、眠る木乃香とネギの顔を見ながら嘲りを自分に向けた。

 それは正しい反応なのだろう。
 それこそが正しい反応なのだろう。
 でも、それをしなければ、今、俺は此処に居なかった。
 野垂れ死に、俺の中で転生の時を待っていたルシオラごと消滅した可能性もあった。
 命をくれたイオの想いを無下にする訳にもいかなかった。
 知らずに見守っていてくれたリューシオンを裏切る事になった。

 何より……

 見えぬ誰かに言い訳をしながら、横島は寝汗で濡れて不快なシャツを脱ぎ捨てる。
 そこらにポイッと放り捨て、自分の部屋に戻り着替えを済ませると外に出た。

 チラリと携帯の時計を見る。時刻は夜の11時過ぎ。
 外は月明かりに輝き、雲ひとつ無い星空。
 ヒンヤリとする夜の空気に肌がピリピリとする。
 寝汗に濡れた身体に、冷たい夜風が心地よく感じた。

 遠くに見える大きな木、神木を何となしに目指して歩き出す。
 それは、横島の霊感による物だったのかもしれない。




















 神木、ここでは主に世界樹と呼ばれている大きな木の麓近くまで来た横島は、そこで見知った2人の少女を見つけた。
 彼のファンで女でもある佐倉愛衣と、彼女が姉とも慕う高音・D・グッドマン。

 高音は操影術の訓練を、愛衣はそんな高音の付き添いをしているようだ。

 横島は、自分を嫌っている高音に出来るだけ気づかれぬよう愛衣の傍に行くと、「よっ! 精が出るな」と小さい声で挨拶をする。
 愛衣は一瞬だけ驚いた表情を見せるも、すぐにパ~っと満面の笑み。
 特徴的なツインテールの髪をピョコンピョコン揺らしながら、横島に駆け寄った。


「お兄様! どうしたんです、こんな夜更けに?」 


 本当に嬉しそうに無邪気な笑みを向けてくる。
 その陽性の笑みは、気分が落ち込み気味の横島にはとても眩しく。
 落ち込んでいた心が晴れわたる様な気さえした。


「ちっと夢見が悪くてさ。気分転換に散歩してんだよ」

「どんな夢を見たんですか?」

「ん、昔の……な」

「そう……ですかぁ」


 昔……、そう言った時、横島の顔が一瞬だけ歪んだのを、愛衣は見逃さなかった。

 キュンと胸が苦しくなる。

 彼に抱かれてからというもの、ただの憧れの対象でなく、男としても見ていた愛衣だったが、一瞬だけ見せた辛そうな横顔に、激しく母性を刺激された。

 愛衣は横島の右手を両手で包み込むと、そのまま自分の左胸に押し付けた。
 いつもの彼に戻って欲しい、そんな想いを込めて。

 ふにゅん、柔らかい感触が横島の手に伝わる。
 小さな乳首がツンと尖がり、手の平をコリコリくすぐる。


「愛衣ちゃん……?」


 エロな横島も、突然のこの行為に驚き、戸惑いを見せる。
 愛衣はそんな横島にクスリと笑った。


「元気、出して下さい。そんな暗い表情は、お兄様らしくないですよ」


 少しだけ、本当に少しだけだが、横島はカチンと頭にきた。
 何も知らない奴が、適当な事をぬかすな、と。
 だが、すぐにそんなガキ臭い思いはふっ飛んだ。
 愛衣の表情だ。慈愛に満ち、まるで母親のような顔じゃないか。

 まだ10代前半の子供に、こんな顔で気遣われる自分って一体……

 先程までとはまた違った意味で、落ち込みを見せる横島。

 カッコわりぃったらありゃしねー。
 せめて自分を慕ってくれている女の前では、カッコよく道化でいよう。

 道化がカッコいいかは兎も角、横島は精神的な立ち直りをはかると、今だ愛衣の胸を押し潰していた手を、ニギニギと動かし始める。
 年相応に膨らんでいる胸が、ぐにゅぐにゅ形を変え、愛衣に官能的な快感を与えた。


「やぁんっ」

「ここか? ここがええのんかっ!」


 愛衣の可愛い声に下半身が反応した。
 沸々と湧き上がる煩悩。
 横島は素早く愛衣の背中に回ると、後ろから抱きしめるように胸を揉みしだいた。
 きゃー、きゃー、と嬌声を上げながらイチャつき戯れる2人。
 既に2人の脳裏からは、傍で修行中の高音の事は忘却の彼方。

 動きを止め、言葉無く真っ赤な顔で2人を凝視する高音に一切合切気づかない。

 そんな高音を余所に、横島の指は布越しに愛衣の胸の先端をクリクリ刺激して止まない。


「お、お兄さまぁ、ダメですよ~、ああんっ!? んぅ……んっ……あんっ……も、もうっ……いっ……!!」


 愛衣の朗らかで陽性の声が、段々と艶めいた声に変わってくる。
 くぐもった喘ぎに、横島の股間にぶら下がる分身が熱く滾り、彼女のお尻にツンツンとぶつかる。
 もちろん愛衣は自分のお尻を突く硬いモノの正体を良く知っている。
 自分を切り裂くセックスアピール。彼女もまた、下半身が熱くなりジュンと潤んできた。
 口から漏らす吐息は熱く切なく、自らの唇を半開きのまま彼に近づける。
 彼女の背中から乳首を刺激していた横島は、そんな愛衣の唇に釘付けになる。

 先程まで彼の胸に澱んでいた黒い感情が、次第に桃色なエロ思考に塗って換わった。


「お兄様……」

「愛衣ちゃん……」


 名前を呼び合う2人の唇が重なり合う寸前でピタリと止まり、舌を突き出し合いピチャピチャと絡め合う。
 執拗なまでに舌を舐め合う2人。そんな2人の間からポタポタと地面に零れ落ちる唾液。
 そうはさせじと、零れそうな唾液を啜り合う2人。
 段々と絡み合う舌が2人の口中に吸い込まれ……


「いっ、いい加減にしなさい!」


 寸前で、影の剣が2人の間を切り裂いた。
 横島は軽く愛衣を突き飛ばし、影の剣の攻撃を避ける。

 口の中に残った愛衣の唾液を味わいながら、高音の存在を忘れていた自分に苦笑い。
 それは愛衣も一緒だったようで、2人は目を合わせるとプッと吹き出した。


「メメメメイ! いいいいいいいいつの間に彼とそんな関係にっ!?」

「お姉さま、落ち着いて」


 2人の間に流れていたエロスな空気は、愛衣が姉とも慕う高音によって崩された。
 愛衣と横島の関係に困惑した高音は、目をグルグルと回しながら愛衣に詰め寄る。
 そんな高音の反応は、初めて横島と身体を重ね合わせた時から分かり切っていたこと。
 愛衣は穏やかに微笑みながら高音を宥める。


「お兄様……、横島さんは、お姉様が考えてる様な邪悪な人じゃありませんよ。エッチでスケベな人ではありますけど……」

「それは充分、邪悪ですっ!!」

「お姉様? 本気ですか? エッチだから邪悪って、男の人はみーんなスケベなものなんですよ?」


 横島しか男を知らないクセに、やたらと男について詳しそうに語る愛衣。
 確かにまったく男を知らない高音と、一人とは言え男を知っている愛衣とでは、決して越える事のできない壁がある事は確かだが。
 しかもやたらと説得力を感じてしまった高音には、反論する言葉など見つからず。
 彼女は妹分として可愛がっていた愛衣が、自分が知らない間に大人の階段を昇ってしまった事に絶望する。

 そして、その絶望を作り出した横島は、やはり邪悪な存在なんだと改めて認識した。


「横島忠夫っ! 私と勝負しなさい!! そして私が勝ったら、もう2度とメイに手を出さないと約束しなさい!!」


 それは余りに身勝手とも言える。
 いつもの横島なら、色々と酸いも甘いも経験した横島なら、適当な理由をつけてこの場を逃げ出しただろう。
 いや、昔の、ただの横島忠夫であってもそうしたに違いない。

 だが、今ここにいる横島忠夫は、少し違った。違うのだ。
 昔の夢に引き摺られ、我を失くしていた頃の横島が、ホンの少しだけ顔を見せている。
 人として持っていたモラルを捨て去った横島忠夫。
 邪神の使徒と呼ばれ、神々とその僕達から命を狙われ続けた男の苛立ちが、


「ああ、いいぜ」


 暗く冷たい言葉を吐き出した。


「えっ? お兄様……!?」


 初めて見る横島の姿に、驚きの声を上げる愛衣。
 横島はそんな愛衣を横にどけると、高音の居る広場の中央に足を進める。
 そして彼女の目の前に立つと、クイッと手を振り、彼女を挑発した。


「なあ、実力差があるの解ってるよな? それでも戦るのか?」

「フフフ、余り私をなめてもらっては困りますね」


 彼女とて、初めて彼を敵として認識してから、苛め続けてきた身体と業は伊達じゃ無い。
 ひたすらに極めんとした操影術にも自信がある。
 彼には今だ及びはしないものの、やりようによっては今の自分でも勝てるはず。
 操影術はそれを可能としているはず。


「この影使い高音の近接戦闘最強モードで、アナタを蹂躙させて頂きます!」


 高音の背後から……、いいや、恐らくは影の中から使い魔らしきモノが出現する。
 人型で上半身だけの白い仮面を被った影の使い魔は、高音を懐の内に入れると、身体中に生えていた影で出来たムチを横島目掛けて槍の様に突き出した。

 それは横島の全天周囲に万遍なく降り注ぎ、決して彼を自分のキリングフィールドから逃がさない。
 その攻撃は、例えばアスナや刹那といったレベルならば、致命的……とまではいかないが、決して浅くは無いダメージを与える事が出来るほど。  
 だが、逃げに関しては全次元最高最強とも言える横島だ。あっさりとかわし切る事など容易いはずだった。

 そう、容易い筈なのに、しかし横島は動かない。

 目の前に迫る影の槍を、他人事の様に見ているだけ。


「お兄様っ!?」


 愛衣の焦燥の叫び。
 このままでは槍に貫かれて大怪我をしてしまう。
 高音も高音で、ピクリとも動かない横島に、訝しげな視線をむける。
 彼女だって横島を傷つけたかった訳ではなかったのだ。
 例え邪悪だと断じていても、そこは立派な魔法使いを目指す魔法生徒。
 精々が、ボコボコに叩きのめして改心させる事が目的だったのだ。

 だが、このままでは命に関わってしまうのでは?

 高音の胸に不安が過る。でもその瞬間、横島の手が光輝く。
 彼女はそれを霊力の光なのだと思った。彼の技の一つ、ハンズ・オブ・グローリーだと。
 しかし、横島の手の輝きは、ハンズ・オブ・グローリーではなかったのだ。
 ハンズ・オブ・グローリーはゴーストスイーパー横島忠夫の象徴と言ってもいい技。

 そんな技を、今の横島が使う訳が無い。

 今の彼の光り輝く手の中には、一個の文珠。刻まれた文字は『剣』
 故に、その一瞬後に彼の手に納まった光の粒子を放つ霊力で出来た剣は、ハンズ・オブ・グローリーの出力を遥かに超えて。
 迫り来る影の槍に込められた力など、それに比べれば塵芥に過ぎず。

 唯の一振り。それだけで全ての影が吹き飛んだ。

 大口を開けて呆然とする高音。
 例え避けられても、例え防がれても、例え切り裂かれようとも、こんなに簡単に、こんなにあっさりと自分の技が破れるとは思わなかった。


「どうした? もう終わりか?」


 嘲るような言葉。

 横島は、立派な魔法使いが、嫌いだ。
 本当の立派な魔法使いではなく、魔法世界のプロパガンダに乗せられた者達が、どうしようもなく嫌いだ。
 それは一種の宗教染みていて、横島をイラつかせる。特に目の前の女の様に、ソレを信じきってる奴は。

 もちろん、それを目指す者達の多くが、本当に正義を目指している善良な人達なのだとは解っていた。
 シャークティも、愛衣も、立派な魔法使いを志す者だから。
 何より自分のダチのナギは『立派な魔法使い』だ。

 でもだ、やはりそれでも嫌いなのだ。

 自分の命を狙ってきたマーズテリアの狂信者どもを思い起こされるから。

 何故貴様等はそんなにも神の言う事を信じられる。
 最初の侵略者は貴様等だろうが。なのに、何故、彼女を邪神と断じるんだ。

 何故、何故、何故!


「これ程の力を持ちながら、アナタはっ! 何故、あの様な卑怯極まりない手段をっ!!」

「……何のことだ?」

「ラプシィア・ルンを殺した時の事です! 何故、不意打ちなどと言う手段を、アナタは!!」

「バカか? アイツは、ラプシィア・ルンは、俺如きが正面切って戦っても勝てる相手じゃねーんだよ」

「な!? た、例えそうでも、私達はっ!」

「殺るべき時に殺らねば、次に殺られるのは……自分だ」
 

 光り輝く剣先を高音に向けた。

 それを見て、高音は初めて恐怖を覚えた。

 彼の目が、あの時ラプシィアを殺した時の様に、酷く暗く澱んでいたから。
 口元の歪みが、あの時の様な嘲笑だったから。
 身体が恐ろしさで硬直する。だが、高音はすぐに気を取り直すと、自らを覆う影の鎧を硬くする。

 次の瞬間、自分を襲うであろう衝撃から身を守るため。
 この最強モードであれば、彼の攻撃など防げる筈だと強く信じて。

 だが、次の横島の行動は、高音の予想の斜め上をいく。
 彼の右の手に納まる光の剣が消えたのだ。


「何のつもりですか! 私を倒すのに剣などいらないとでも言うつもりですかっ!!」

「いんや。メンドイから簡単に終わらせようと思ってな」


 それだけ言うと、横島は再び文珠を握り締める。
 今度は2つ。刻まれた文字は『加』『速』

 ブオン!

 風を貫く轟音。超加速とは違い、真実速度を上げる。
 音速の壁をぶち抜き、文字通り目にも止まらぬ速さで高音の目の前まで移動する。
 そこでピタリと一瞬だけ動きを止めると、突然目の前に現れ驚く高音に、彼女が嫌っている軽薄で凄惨な笑みを見せた。

 恐怖で身が縮こまる高音。でも、再び硬直で体が凍ると同時、初めて間近で見た横島の顔に、何故だか頬がポッと赤く染まった。
 それは果たして恐怖から来る現実逃避だったのだろうか? それとも、初めて男を間近で見た所為なのだろうか?
 どちらにせよ、ここで初めて高音は、横島を明確な敵としてではなく意識した瞬間で有った事は確か。

 だが次の瞬間、またもや彼の姿は消えた。

 どこ? どこに消えたの?

 高音が首を振り、彼の姿を捜そうとしたその時、ズガガガガッ!! 衝撃波が彼女を襲った。
 それは横島がした音速での移動により生じた副産物。
 だが、その破壊力は中々に凄まじいものがある。


「ヒッ!?」


 目の前に迫る圧力に、高音は息を吸い込み恐怖の悲鳴を上げた。
 空気の壁が彼女の身体にぶつかり、女の柔な体が宙を舞う。
 二転三転と体を舞わせながら天高く昇り、重力を思い出したかの様に地に落ちた。


「カハッ!」


 地面に叩きつけられた衝撃で、肺に吸い込んだ空気を吐き出す。
 高音が謳う使い魔の絶対防御による恩恵か、彼女の身体に直接的なダメージは一切ない。
 だが、天高く舞い、地面に叩きつけられる恐怖で意識が一瞬遠のく。

 高音が操る人形の使い魔は、彼女が制御を手放した事により「オオオオオ……」断末魔の叫びを吠えながら、徐々に存在感が薄れていった。
 同時に彼女が身に纏う黒い衣服も存在感が薄れていき……
 その事に気づかぬ高音は、上半身を片手で支えながら起き上がると、片膝をくの字に曲げて横島の方に身体を向けた。


「くっ……、これ程の力を持ちながら、アナタは、どうして……?」


 悔しげにそう言う高音だったが、その相手、横島は片手で口元を押さえながら、ポタポタと血を零す。

 私の攻撃が当っていたのかしら?

 そう思い、少しだけ勝ち誇る高音だったが、愛衣の「はわわわわ」と慌てふためいた声に、ようやく自分の状況に気づいた。

 彼女の衣服は使い魔で出来ており、当然制御を手放せば消える訳で。

 戦いの後で火照った身体に、汗の雫がとってもチャーミング。
 ぷるんと揺れる釣鐘状に整った胸、ツンと尖った緋色の乳首。
 片膝を上げている所為か、彼女の茂った先にある禁断の領域も、横島の位置からはバッチリ丸見え。


 横島はダクダクと鼻血を流しながら、顔を俯かせてガクガク震える高音に自分のコートを掛けてあげると、


「ワイの……負けやな……」


 と負けを認めた。

 怪我一つ無い高音と、今だ血が止まらず、ポタポタと地面を赤く濡らす横島では、勝者がドチラなのかは明白だろう。

 しかし高音は勝利を驕らず、目に一杯の涙を溜めて横島を見上げると、


「はう……、せ、責任、取ってくださーーーーーいっ!!」


 と叫び、「ふぇ~ん」と泣きながら走り去ってしまった。
 残ったのは、首の後ろをトントンして鼻血を止めている横島と、高音の去った方向と横島をキョロキョロ交互に見ながら迷っている愛衣。


「愛衣ちゃん、行ってやって」


 と横島が愛衣に促すと、彼女は彼の頬にチュッとキスをする。


「はい。おやすみなさい、横島さん」

「おやすみ、愛衣ちゃん」


 今度は横島が愛衣の頬にチュッとキスをした。
 嬉しそうに目を細める愛衣だったが、ふと何かを思い出したのか横島に抱きつくと、


「さっきのお姉様との約束ですけど、お兄様が私に手を出せなくなっても、私がお兄様に手を出しますから……」


 そう言って、唇を横島に押し付けた。
 ちゅ~っと音がする程吸いつき、そして、ちゅぽんっと矢張り音を立てて離れる。
 2人の間に架かる銀の橋がプツンと切れると、愛衣は名残惜しそうにしながら高音の後を追った。

 ピョコン、ピョコンと揺れる『赤』い髪のツインテール。

 似てはいないのに、何故だか『彼』を思い出した。

 きっと、それは赤い髪の所為だ。

 遠ざかる愛衣の背中を目で追いながら、横島はやたらと好戦的な気分になっていた自分を恥じた。

 そうして思い出すのだ。あの30年に渡る旅路を……

















 『あの』世界に落ちて、最初の半年は幸せだった。

 好きな女と抱き合う日々。初めての女の味。愛した女との旅は、今思い出しても幸せだった。

 でも、女が逝き、その後の神格者となっての10年は、邪神の使徒として追われる10年。
 人としての大切な何かを捨てなければ生きてはいけない時代。
 襲い掛かってくる戦の神の信徒達を殺し、奪い、支配し、犯し続けた。
 良いことなど何一つ無かった。それまでが幸せだった分、苦しかった。帰りたかった。

 次の10年は元の世界に帰る為の捜索の10年。
 絶望と焦燥に心が磨り減っていく、諦念の時代。
 元の世界へと帰る道筋すら見えず、全てを呪った。

 最後の10年は全てを諦め惰性で生き続けた10年。
 見るモノ全てを憎み、呪い、だけど、その最後の1年は、自分を取り戻す切欠の1年となった。

 それは赤い髪の女との出会いから始まった。
 自分を神格者にした愛する女、イオ。
 そのイオの仲間であった古い神々の復活を聞いた彼は、何となしに彼女と出会ったあの場所へと向った。
 そこへと向う途中、何かに導かれるよう行った封鎖地で、柱に封印されていた女を見つけた。
 それはイオとリューシオンの導きだったのかもしれない。

 美しく凛々しい横顔。紅く長い髪。たわわに実った胸。

 彼は迷わず彼女を封印から解放した。

 そして、続けざまに彼女を抱いた。
 性魔術で死にかけている彼女に生命力を分け与えるためだったが、それ以上にその女を欲したのだ。
 彼女の女を貫いた瞬間、まるでイオと睦み合った時の様な快感と安らぎを憶えた。
 イオが逝ってからの苦しかった30年間、その長い旅路の中で、唯の一度も感じなかった安らぎを。

 夢中で腰を振った。女の喘ぎ声に心が蕩けそうだった。
 何度も女の子宮を突き上げ、心行くまで女の胸を弄び、口の周りがベトベトになるまで唇を貪った。
  
 それは凄まじいまでの甘美な時間。
 だが、その甘美な時間にも終わりが来る。

 最後とばかりに思いっきり彼女の膣内を切り開き突き上げ、妊娠してしまえとばかりに、子宮目掛けてたっぷり精を放つ。
 ビクビク痙攣して止まらない女の胎内から肉棒を抜き出し、名残り惜しげに最後のキスをした。
 女に代えの服を渡し、後ろを向いて自分の着替えを済ませる。
 そして、自分の着替えが終わるや否や、彼女の着替えシーンを拝ませて貰おうと女を見た。 
 

 …………女は居なかった。代わりに男が居た。

 同じ赤く長い髪。まるで兄妹の様に似通った美しい横顔。平べったく筋肉質な胸。股間から生えるピー。

 あれ程の絶望は、苦しみの30年間でも最大最悪だったと、胸を張って言える横島がいる。

 だがその後、自分以上に感情を失わせていた彼と過ごした時間は、とても楽しく、自分を取り戻すに充分な時間。
 最後は彼の為に自分を犠牲にしかけたのだから、どれだけ幸せだったのか解ると言うモノだ。
 彼の、神殺しセリカ・シルフィルの周りに居る女性陣に手を出す気が起きない程に……

 きっと、彼は神殺しの肉体、女神アストライアに一目惚れしたんだろう。
 例え中身が男だと分かってからも、きっと好きなままだったのだ。
 だから彼と彼女の物語を見て、激情が湧き、横島忠夫に戻れたのだ。

 あの悲しい物語に、最後はハッピーエンドで終わって欲しかったのだ。
 惚れた女の一杯の笑顔が見たかったのだ。
 横島は否定するかもしれないが、例え中身が男でも……



 


 ……今思い返してみれば、あの世界の30年は不幸な事ばかりでは無かった。

 罪を犯し、罪悪に塗れ、辛いこと、悲しいこと、沢山あった。
 でも、同時に人を好きになった。人を愛した。親友が出来た。仲間が出来た。

 そんな沢山の幸せだったことも忘れて、イラつき、八つ当たりをしていたのだ。

 愛衣のお陰で、その事を思い出せた。


















 最早見えなくなった愛衣に「あんがとな、愛衣ちゃん」と、小さくお礼の言葉を言う。
 胸に澱んでいた暗く濁った何かがキレイさっぱりになった気がする。
 横島は、「うおっしゃーっ!!」っと気合を上げると、我武者羅に走り出す。

 無性に自分の使徒達に会いたくて仕方無い。
 セリカと、その使徒達の様になりたい。

 初めてそう思った。

 そして、初めて愛する女達を、自分の使徒として迎え入れたい。そう強く思った。

 孤独で長い時間を共に過ごす。それはきっと、とても楽しいに違いない。

 脳裏に浮かび上がる大切な女達の顔。


 冥菜の顔が浮かんだ。千鶴の顔が浮かんだ。夏美の顔が浮かんだ。
 アキラの顔が、のどかの、夕映の、木乃香の、愛衣の……

 沢山の顔が浮かんでは消える。
 悦びで下半身が熱く滾ってくる。
 もちろん今すぐ如何こうしよう何て思ってない。
 だが、彼女達が望むなら、何時の日か、必ず……


 横島は思う。

 先ずは……




 そう! 先ずは! この熱く滾った下半身を鎮めよう!!
 帰ったら木乃香は居るが、同時にネギも居る。
 今の自分の滾りを静めるには、ネギの存在は邪魔すぎた。

 だったら、する事は一つ。

 夜這い。

 そう夜這いだ!


 横島の足は自然と麻帆良女子寮に向って動き出した。
 狙うは、愛しい使徒の一人、あやか。
 しかも彼女の部屋には千鶴と夏美まで居る。
 生まれ変わった横島ピーを思う存分喰らわせてヤル!!


「ぐふっ、ぐふふふふふ……」


 妖しい笑い声が、麻帆良の夜の空に響き渡った。

 この世界の月は唯の天体。

 でも、青い月が彼を見て微笑んだ……、かの様に見えた。

 

  

 

 

 
 

























 後書き

 注! 横島の『アノ世界』に対する認識は歪んでいます。
 戦女神世界での横島の物語彼是は、今までに書いていた筈なんで省きます。


 時間軸は前話の夜です。
 原作時間にして、4時間目と5時間目の間。




[11660] ネギま!のほほん記 第16巻  エロ有り(アキラ&裕奈)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/06/21 15:54
  ネギま!のほほん記  第16巻  狂艶















 暗闇の中、息を潜めて建物の中へと侵入する横島。
 気配を完全に殺し、決して誰にも感知されぬ様に細心の注意を払う。
 こう言っては何だが、横島は気配を消す事に関しては三千世界No.1である自信があった。

 ナギクラスと言えど、我が気配を察することなど出来ぬわっ!

 その自信の篭った凛々しい横顔は、確かに英雄と言っても過言ではない。

 そんな彼の本日のターゲットは、第2使徒雪広あやか。
 彼女の下へと行き、そして…………………、セクロスターイム!

 心地好い緊張感と高揚感。
 まるで、若かりしあの頃に戻ったかの様なワクワクした感覚。
 お宝を拝む為に、美神令子との熱く果てない闘争を繰り広げていた時みたいだ。
 思わず大声で笑ってしまいそうになるほどに。

 ナニからしようか? 先ずは眠ったままでどこまでイタズラ出来るか……

 などと考えながら歩いていると、彼の超感覚があるモノを捉えた。

 ヨコシマイヤー! 彼の聴覚は、美女や美少女の声を、何時如何なる時でも捉える事が出来るのだ!!
 類似品にヨコシマアイ! 彼の視覚は、どんなに距離が離れていても、美女や美少女の姿を発見・捕捉出来るのだ!!

 それは兎も角、その超絶聴覚が捉えた微かな切ない声。
 彼の足は、今まで向っていた方向から向きを変え、自然と声が聞こえる方へと動き出した。

 その場所は彼が良く知る女の一人、大河内アキラの部屋。
 迷わず部屋の中へと侵入する横島。
 部屋に入るなり少女の蜜の香が鼻をくすぐる。
 そしてアキラの寝息と、裕奈の喘ぐ声だった。 


「オイオイ……」


 呆れた様な声を出すも、どこか楽しげなのは気のせいか?
 いいや、鼻の下が伸びて顔がだらしなく歪んでいるのだから、間違いは無い。

 横島は励む裕奈の傍まで近づくと、かぶりつきで彼女の痴態を拝ませて貰う。

 肌蹴たパジャマから覗く中くらいのサイズのオッパイ。
 それを裕奈は慣れた手つきで揉みしだく。
 彼女の指が乳房を搾る度に、先端の突起がムギュっと天を突き、しゃぶってくれと言わんばかり。
 そしてモジモジ太腿を擦り合わせ、切なそうに熱い吐息を吐き出す。
 しだいにズボンがずり落ちていき、しっとりと濡れた水玉模様のパンツが顔を出す。
 スジに沿ってワレメの形に染みが出来ている水玉パンツを、裕奈は乱暴な手つきで脱いでいく。
 横島の眼前で露わになる繁みと、その先にある女の証。
 粘りつく糸が下着と彼女の股間の間に橋を架け、太腿の半ばまでショーツが行くとプチンと切れた。


「おおおっ!」


 ホンの数十分前まで、シリアスぶってバトっていたとは思えない歓声を上げる横島。
 しかし、すぐにマズイと思ったのか、自分の口を右手で押さえると、ソロソロと後退していく。


「やべーやべー、裕奈ちゃんに見つかっちまう……」


 小さく囁く様に出た横島の言葉は、裕奈の発する喘ぎ声に紛れ、誰の耳にも届かない。
 横島はわざとらしく汗をふきふきする動作をして、「ふ~」と一息。
 当初の予定をようやく思い出したのか、部屋から出てあやかの下へ行こうと考えた。
 だがその寸前、ピタリと足を止め、苦しそうな寝息を立てるアキラの枕元に行く。

 コレだけの陰気の中、健やかに眠ることは出来ねーだろうな……

 裕奈の発する淫靡な空気がアキラを苛んでいるのだ、ってか、こんな近くで喘ぎ声をあげられちゃ、まともにゃ寝れん。
 そう思っていると、「んくぅっ!?」っと裕奈の絶頂の声にビクンと反応する横島Jr.









≪相棒! もういいじゃねーか。いつでもヤレるあやかじゃなくって、ここで裕奈ちゃんをハメハメしちゃおーぜ!!≫

【アホか! 下手したらタイーホじゃねーか! それにこの子と浮気は出来ん】

≪はあ? あれだけあっちゃこっちゃの女に手をつけときながら、今更何言ってやがる!!≫

【愛衣ちゃんに美空ちゃん、シャークティさんの事を言ってんのか? それとこれとは話が違う】

≪どう違うってんだよ?≫

【裕奈ちゃんはアキラちゃんの親友だ。自分の大切な女の親友に手を出す訳にはイカンだろ?】

≪…………チッ、しゃーねー。だったら、この鬱憤はそのアキラちゃんの身体で払って貰おうぜ、なあ相棒!≫

【まあ、そう言う事なら……いっかな?】

『じゃ、ヤルか!!×2』







 

 こんな感じでアキラに夜這いをかけると決めた横島は、何処からともなく取り出したあやか謹製の認識阻害符を発動させると、彼女に覆い被さっている布団を退けた。

 中学生にしては大柄で、そして実に好いプロポーションの肢体が曝け出される。
 裕奈の放つ淫靡な雰囲気に中てられているのだろう寝苦しそうな寝息に、汗ばんだ身体。
 その汗を吸い取り、身体に貼りつくシャツ。
 しっとりと濡れたシャツが、アキラの胸の先端の形にくっきりと出ている。

 横島は慎重な手つきでその汗に濡れたシャツを捲り上げる。
 ぷるん、2つの双丘が横島の目の前で揺れる。
 その光景に鼻息荒く満足の笑みを浮かべた後、今度は腰を持ち上げパジャマのズボンをずり下ろした。

 アキラの大切な部分を隠す、白い布が白日の下に晒された。
 太腿を掴み、グイッと広げてM字に開脚させる。
 そして、裕奈の喘ぎ声をバックに横島はアキラの股間に顔を埋めていった。
 布越しから、ちゅっ……くちゅっ……、と2枚の花びらをなぞる様に舌を這わせる。
 すると彼女のいやらしい陰唇の形が現れた。

  
「あふぅっ…………まさん……」


 裕奈の嬌声にアキラの微かに漏れ出す喘ぎ声が混じり、ハーモニーとなって横島の脳を犯す。
 興奮度が上がった横島は、アキラの下着を横にずらし、彼女の性器を剥き出しにする。
 彼女のアソコはしとどに濡れ、無意識でも横島を求めているのか、パックリと口を開き、ヒクヒク蠢いていた。
 横島はアキラの股間に再び顔を埋めると、また執拗に彼女の性器を舐め始める。


 くちゃ……くちゅ……ぴちゃ……ちゅっ、ちゅっ……

「……ふぁ……んっ……やん……だめぇ……だよ……」


 アキラの身体が横島の舌の動きに反応し、もじもじと動き出す。
 息遣いも荒く激しくなってきて、彼女の蜜壷からは粘液がトロトロ溢れ出して止まらない。


「よこ……しま……さぁん……、すきぃ……」


 思わず舌の動きを止める。

 俺の夢を見ているんやな?

 股間の滾りが限界突破。もう誰にも止められない!
 横島は鼻息を荒くしながらアキラの下着を剥ぎ取ると、完全にとろけきった秘裂の中に雄々しくそそり立つ肉棒を沈めていった。

 グググ……グプ……ン

 裕奈の痴態とアキラの可愛い寝言で発奮した肉棒は、あたたかい柔肉に包まれた悦びでビクビクと跳ね上がった。

 その衝撃で、流石に目を覚ますアキラ。
 横島はアキラがこの状況に驚き、大声を上げるのでは? と思いきや、目を潤ませて嬉しそうに微笑んでくる。


「あはっ、よこしまさぁん」


 寝ぼけているのだろう、横島の首に手を回して引き寄せる。
 横島も好都合とばかりにアキラのなすがままに彼女の身体に体重をかけた。
 アキラの柔らかい形の良いオッパイが、何気に鍛えられている横島の硬い胸にギュムっと押し潰される。
 と同時に、彼女の胎内に半ば程まで入り込んでいた肉棒が、ヌルッと奥まで飲み込まれた。


「んっ……、きもち、いいですか……? わたしのなか、どうですか……? ずっと、こうしてアナタと、つながっていたい……、大好きです、横島さん……」

 
 トロンとした寝ぼけ眼が、いつもの意志あるはっきりとした眼に変わっていた。
 とは言え、間違いなく夢と現実の区別はついていないだろう彼女だが、それでも横島はアキラの言葉が嬉しくて。


「なあ、アキラちゃん。ワイの使徒に、なるか……? そうして俺と、いんや、みんなと、ずーっと一緒に面白可笑しく生きていこう……」


 ついさっきまでは考えもしなかったこと。
 泣き落としで使徒となったアスナ。
 魂の欠損で、使徒にならなければ死んでしまう筈だったあやか。
 右腕が横島の霊力で出来ている為に、いずれ使徒になると確定済みの夏美。
 その3人以外で、初めて横島の口から出た横島自身の願いによる使徒化。
 泣き落とされた訳でなく、そうしなければ死んでしまう訳でもなく、この先に何らかの不都合が出る訳でもなし、ただ純粋に彼女が欲しかった。
 そんな想いを込めた言葉。

 膣奥から滲み出る愛液が爆発的に増える。
 アキラの瞳が驚きで大きく見開き、そして……


「はい……、ずーっと一緒です」

「両親や友達と、離れなきゃならんくなるぞ?」

「それは……、とても悲しいけど、でも、もう、決めたから」

「言っとくけど、今すぐじゃないぞ?」

「残念……」

「でも、いつか必ず……」

「うん、必ずね……」


 ゆっくりだが、再び腰を動かし始める横島。
 アキラは横島の欲望を身体全体で受け止め、彼の腰の動きに合わせて自分も腰を揺らめかせる。
 裕奈の喘ぎ声に重なる様に彼女も嬌声を上げ、そして、ここに来てようやく完全に目を覚ました。


「あれ? えっ? ええっ!? 何で横島さんとわたしっ?! えええっ!?」


 夢じゃなかったの!? と驚き、慌てふためくアキラ。
 何でここに横島が居るのか解らない。
 思わず自らを突き刺す楔から逃れようと、彼の胸に手を当て、押しどけようと力を入れる。

 だが、横島はそんなアキラの手を取り指を絡めると、ジッとアキラの目を見つめる。
 そして、「あう……、横島さん、なんで……」と顔を真っ赤にして言う彼女の両手をグイっと広げてベットに押しつけた。

 絡められた指、感じる彼の指の温もりと感触。
 無理やり押し広げられた腕。
 横島の胸の下で、惜し気もなくぷるんっと上下するオッパイ。

 アキラは頭が混乱して何が何だかわからない。
 どこまでが夢なのか、それとも、今こうしているのがそもそも夢なのか……

 彼の腰がゆっくりと円を描き、そして唇を押し付けられた。
 膣内を掻き混ぜられながら、口中を同じように掻き混ぜられる。


「んふっ……ンンッ! ンッ! ンンァ、アアッ!!」


 思考が真っ白になり、アキラは考えるのを止めた。
 絡んだ指が解けるや否や、横島の背中に腕を回す。
 両足をも横島の腰に巻きつけ、横島の身体にピトッと密着しながら彼を激しく求めた。
 へその裏側をゴンゴンと突かれ、余りの快感に意識が遠のいていく。

 自慰行為で同じように嬌声を上げる裕奈、それとシンクロするみたいに声を上げながら、次第に身体をその裕奈が見える位置まで運ばれる。

 裕奈がヴァギナを指で愛撫する様が見えた。
 ぐちゅぐちゅ激しく掻き回す粘りのある水音まで聞こえてくる。
 アキラと、そして横島の興奮度が上がった。


「あっ、ああっ、はあぁあ。ね、ねえ横島さん。わ、わたしたちのエッチな姿は見えないんだよね? ひゃんっ!」

「裕奈ちゃんが認識阻害を破らない限り……な」


 言いながら激しく腰をストロークする。


「んぁああ、あ、は、ぁあ、あんっ、も、もぉおっ、い、イクぅ、イッちゃううぅうううっ!」


 横島とアキラは獣の様なセックスに溺れ、狂ったみたいに快感を貪り合うのだった。

 


 









































 いつもの様に、彼女は慣れた手つきで乳房を揉みながら切なげな吐息を漏らす。

 幾たびの夜をこうして過ごしたのだろう?
 彼女は何度絶頂に至っても満足出来ず、行為はどんどん激しさを増していく。
 なんで? どうして満足出来ないの? 
 彼女はそう思いながら、今日も自分を慰める。
 同室の子に見つからぬ様に声を抑えるのも億劫で、いつの間にか高らかに嬌声を上げていた。

 だけど彼女はこう思うのだ。

 こうなってしまったのも、元はと言えば彼女と彼の睦み合いを見てしまってからなのだから、これ位は勘弁して欲しい。
 何よりそれから始めた自慰行為。
 いつも自分を慰める時に思い描くのは、頬を赤く染め、堪える様に喘ぎを漏らす彼女の顔。
 そして、ズプッ、ズプッ、と彼女の股間を貫く太い杭。


 私も、アレに貫かれたら、この身体の芯に残る疼きも消えるのかな……
 

 片方の手を太腿に這わせると、これから自分を襲うであろう快感に期待を込めながら、ワレメに向けてゆっくりと動かす。
 じわりじわりと焦らす様に指を薄い茂みに近づけ、「ああっ、もう……我慢出来ない……」と卑裂をなぞり始めた。

 
「んくぅっ……!」


 身体をくの字に折り、爪先でギュっとベットのシーツを掴んだ。
 彼女を襲う甘い痺れに、瞳は熱に浮かされたように潤んでくる。

 気持ちいい……、でも、やっぱり何かが足りない……

 自らを愛撫する手の動きを一層激しくする。
 指先を膣内へ少しだけ潜り込ませ、グチャグチャ粘る淫音を響かせた。
 次第に指先が奥へ奥へとヌメリを帯びた膣道を進み、膜の手前でようやく進行を止める。

 この先、ここから先を進めば、もしかしたらこの疼きが治まるかも。
 でも、でも、こんな形で初めてを失うのは嫌だ。

 そう思いながら膣内をかき回し、親指でクリトリスを押し潰す。

 
「きゃうぅぅんっ!」


 敏感な突起を押し潰した瞬間、絶頂を迎えて潮を噴き出す。
 ピュッピュッと断続的に股間から飛沫を上げながら、それでも完全な満足は得ていなかった。
 膜を破る恐怖から逃れるため、彼女は膣から指を抜き出し、粘りつく淫液で濡れた指先でクリトリスを摘まみクリクリと刺激する。

 
「ひゃうっ!? ダ、ダメェエエエッ!!」


 イッたばかりで敏感な身体に、先程を越える大きな波が彼女を襲った。

 
「ク、クリちゃんで……イッちゃうぅぅぅーーーーーっ!」
「も、もぉおっ、い、イクぅ、イッちゃううぅうううっ!」


 ビクンビクンと全身を大きく跳ねるように絶頂しながら、同室の彼女の絶頂の叫びに心が振るえた。

 もしかして……、彼女も自分と同じようにオナニーを始めたのだろうか……?
 だったら嬉しい。一緒に、イコウよ? ね、アキラ……

 そう思いながら絶頂の叫びが聞こえた方へと目をやった。


 ドクン! 心臓が大きく跳ね、不可思議な感覚が彼女を襲う。
 それは、前に公園で彼女と彼の情事を目撃した時の不思議な感覚。
 自分以外の、亜子とまき絵には見えなかった、彼女の痴態を見たその時の感覚。


 身体を起こそうとする。
 でも、何故だか身体が起きようとしない。
 それでも全身から力を振り絞り、身を起こす。
 今度は目が霞がかって良く見えない。
 目を擦る。何度も、何度も!
 すると、ぼんやり、だが確かに彼女が彼に貫かれている姿が見えた。


「あ……ああ……、よ、よこしま……さん? なんで……ここに……?」


 自慰行為で着崩れたパジャマを脱ぎ捨て、ベットを降りた。

 裕奈の太腿を伝い、流れ落ちるいやらしい体液。
 驚き目を見開く横島とアキラ。
 その2人の結合部から零れる白い白濁液。
 


 ああ、ようやくだ。ようやく、この身体の疼きを止められる……


「ね? 横島さんならさ、私の疼き、止められるのかな?」


 ポタ、ポタ……、裕奈の股間から滴り落ちる雫が、 横島とアキラが睦み合うその場所までの道のりに点々と跡を残す。
 イッたばかりでビクン、ビクンと痙攣しているアキラの隣に寝そべると、のぼせたみたいに真っ赤な顔を彼女の首元に埋めて隠し、横島の出方を待つ。

 エッチな思考に囚われて、頭がバカになっている裕奈でも、やっぱり恥かしかったのだ。

 アキラは絶頂の波が小さくなるにつれ、甘える子供みたいに自分に縋りつく裕奈にちょっとだけ困った。
 好奇心と欲求不満の解消を目論んでいる裕奈、このちょっと困ったルームメイトをどうすればいいのか。
 だが、よくよく考えてみると今更なのだ。
 こうして複数人で彼に抱かれるのも、彼に新しい女が出来るのも。
 それに、これから先に、彼の使徒となるのなら、この様なケースは星の数程に経験するだろう。
 何より、未だ未熟とは言え、あやかの作った認識阻害符を破った裕奈の潜在能力は目を見張る物があるし。
 言うならば、ここで彼女の未開発の魔力を、これから定期的に横島に供給出来る様になるのなら、それは未来の使徒たるアキラにとっても旨みのある話しなのだ。

 そう考えてみると、親友である裕奈が相手なのはうってつけなのかも知れない。
 何処の誰とも知れない女よりは、数万倍はマシ的な意味で。



「ゆーな、こんな初めてで本当にいいの? 後悔しない?」

「疼きが止まらなくってさ、もう我慢出来なくなっちゃった。ゴメンね、アキラ……」

「はあ……」


 アキラは呆れと諦めの溜息を吐くと、裕奈を持ち上げて自分の体の上に乗せると、親友を横島に捧げる覚悟を決めた。


「わきゃ!?」


 驚く裕奈の顔を自分の胸の谷間に挟んで静かにさせると、どうしたもんだか……、何てブツブツ言ってる横島に、


「横島さん、やっちゃってください」


 そう言って彼女のお尻を高々と上げさせる。
 横島の眼前に突き出されるヌメ光る花びら。

 ゴックン、と生唾を飲み込むと、粘り気たっぷりの愛液が溢れ、甘酸っぱい女の香を放っている少女の貝を指で割り開いた。


「あ、はあ……」


 瞳を期待で潤ませる裕奈。そんな裕奈を慈母の顔で見守るアキラ。
 2人の様子に少しだけあった罪悪感を拭い去ると、裕奈の奥に見える処女の証を貫く為に、アキラの中に納めていた自分自身をヌブゥ……、抜き出した。
 抜け落ちた肉棒の先端を裕奈の肉裂にあてがうと、殆ど力を入れて無いにも関わらず、ズチュ……ズリュ、ン……、簡単に飲み込まれていく。


「ンン……!」


 裕奈の背中が反り返る。
 自分を襲う快感と、これから来るだろう破瓜の痛みに備える為に、目をギュっと瞑った。
 ヌヌヌ……、肉棒が3分の1程彼女の中に沈み込むと、急に膣道が狭くなり、肉棒の先がギュっと絞り込まれる。
 それは裕奈の処女の証である薄い膜。


「淫乱なのに未使用な私の処女マンコ、横島さんのおちんちんで貫いちゃって!」


 突然の隠語に、吹き出しそうになる横島とアキラ。
 それでもすぐさま気を取り直し、細い肉路を彼女の言うおちんちんで掻き分ける。
 ヌルヌルでトロトロの蜜壷内で、プチンと何かが弾ける衝撃。


「っふぁ!」


 破瓜の印が一筋、太腿を伝う。
 そのまま膣奥まで一息に挿入され、破瓜の痛みが一瞬で圧倒的な快感で塗りつぶされる。


「ヒッ! は、初めてなのに……きゃひぃぃぃンッ!!」


 唯の一突き、それだけで絶頂してしまう。


「大丈夫? ゆーな……」

「はぁ、はぁ、はぁ……んっ、だ、だいじょぶ。思ったよりは痛くなかったよっ」


 心配そうなアキラ。

 だが裕奈は、自らを苛んでいた性の疼きが消え去った、そんなすっきりとした感覚に襲われ満足していたのだ。


「横島さん、あんがとね。なんかさ、すっきりしたよ」

「良くわからんが、良かったな。でもな、本番はこれからだぞ?」

「ほえっ?」


 本当にコレで終わりだと思っていたのか、不思議そうな顔で横島を見つめる裕奈。

 だが、そんな事はありえん。

 例え裕奈が日頃苛まれた疼きが解消されようと、まだ、横島はイってないのだ。終わる訳が無い。
 横島も処女喪失したばかりの裕奈を気遣う気持ちがあったのだが、今の彼女の様子を見てその気を失くした。
 自慰行為のし過ぎなのだろう、裕奈に破瓜の衝撃が余り無かったからだ。
 だから遠慮なく横島は腰の律動を開始する。


「きゃあっ!? よ、横島さん、なに……ぁ、ぁああ、ん! あっ、あっ、あっ、ああっ!!」


 ヌチッ、ヌチッ、ヌチャッ、ズチュ……パン!パン!パン!パン!パン!

 次第に横島の腰の動きが激しくなり、抽送の度に裕奈のお尻を叩く音を響かせる。

  
「ヒッ! ひぅ、ん! す、すごい、すごいよ、横島さんのおちんちん、気持ちいいっ! 私のおまんこ、横島さんのおちんちんで、イッちゃうぅぅぅ!」


 裕奈は恍惚を感じて大きく痙攣させながら、何度も絶頂の極みに達していた。
 処女だったとは思えない感じやすさで、横島の一突き事に飛沫を撒き散らし、随喜の涙を流してアキラの身体を濡らしていく。


「出すぞっ!!」


 勢い良く肉棒を彼女の中から抜き出すと、その衝撃で腰砕けのようにクタァっとした彼女の背中とお尻に、ビシャッ! ビシャアアッ!! 大量の精液を浴びせかけた。


「あ、熱い……、これが、せーえき……? クゥぅぅぅぅぅぅぅぅうう!!」


 今日一番の絶頂の衝撃で、ビクビクビクッ! 身体を震わせ、甘く痺れる声を甲高く上げた。
 裕奈は背筋を反らしながら絶頂の波を身体全体で堪能しきると、疲れ切った様にアキラの身体に沈み込む。


「お疲れさま、ゆーな」

「んふぅ……、疲れたにゃ~。でもさ、すっごく良かったよ。アキラ達が嵌るのも解るよね」

「違うよっ!? 私はエッチに嵌ってる訳じゃっ……、って? ひゃんっ!?」

 
 突如、ユサユサと身体を揺らし始めるアキラ。
 髪を振り乱しながら何かを耐えるように喘ぎ出す。


「ど、どうし……アンっ!?」


 背後から胸を鷲掴みされる。
 むぎゅむぎゅ搾るように揉まれながら、アキラが横島に貫かれているのだと気づいた。

 そして、自分も……


 イッたばかりの肢体に、横島の執拗な胸への愛撫は刺激が強すぎた。
 思考が真っ白になって、何も考えられない。
 そして不意に来る更なる刺激。
 胸を揉まれたままに、自らを貫く横島の肉棒。
 それは丁度10回、自分の中を行き来すると再びアキラの方へ。

 アキラの胸が揺れ……、また裕奈の……、アキラ、裕奈、アキラ、裕奈、裕奈、アキラ、裕奈、アキラ、アキラ……






 その日、狂艶は明け方近くまで続けられた。


 
 



[11660] ネギま!のほほん記 第17巻  エロ有り(あやか、ちょい裕奈&アキラ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/05/02 15:53





 カーテンの隙間から光が差すのが見える。

 朝だ、朝が来たのだ。

 耳を澄ませば、遠くの山林から野鳥の鳴き声が確かに聞こえてくる。
 そのさわやかな朝の訪れを知らせる鳴き声に、タラ~っとこめかみの辺りからイヤ~ンな汗が流れた。

 これはひっじょーにマズイ。
 一刻も早く家に帰らなければ、木乃香やネギが起き出してしまう。
 寝る時は一緒だったのに、気づけば居ないで朝帰りなんて、子供達の教育に悪い事この上ない。
 まあ、誰も横島に倫理的な意味での教育なんて期待はしていないのだが、横島自身はそう思っておらず、アレでも真面目に立派な大人であるつもりなのだ。

 笑わせる事に。

 なもんだから、さっさと帰れば良いものを、彼は自分の上で健やかに眠る二人の少女の柔肌に気をとられて帰るに帰れないでいる。
 ホンの数時間前まで散々っぱらにヤリまくっていたくせに。


 帰らねば。だが、このおっぱいの感触は実に惜しい。しかもだ、裕奈ちゃんのおっぱいの感触は、もう味わえないかもしれんのだ!


 こんな事を真面目な顔で、ウンウン唸りながら考えているおバカ、それがこの世界で唯一のゴーストスイーパーを自認している男、横島忠夫の真骨頂。
 とは言え、いつまでもこうして居られる訳もなく、横島は心底残念そうな顔で2人を自分の身体の上から退けようと身を起こす。

 そう! 起こそうとしたのだ。
 でも、ビクッ! 恐怖で横島の身体が縮こまった。


「な、なんやこの恐ろしいまでのプレッシャーはっ!」


 ギギギィ~、玄関のドアが開く音が聞こえる。
 これはとてもマズイ。さっさと逃げなければならない状況だ。
 だが、横島の身体は蛇に睨まれた蛙の如く、ただ訳も解らぬ恐怖から身を震わせるのみ。

 扉の隙間から、朝日を反射して眩しいばかりの金色の髪が見えた。
 それは言うまでもなく、彼の第2使徒である雪広あやかの髪。
 しかし、その表情は金色夜叉とでも言わんばかりの恐ろしいモノだ。


「あ、あやかさん? なんでここに……?」

「使徒としての力でしょうか、なぜだかここにアナタが居る気がしまして。案の定、居やがりましたわ」


 夜叉面が一転、すごくさわやかな顔で「おーほほほほほ」と手で口元を隠しながらお嬢笑い。
 横島も「ワハッ、ワハハハハハハ」とキョドりながら必死で笑って誤魔化す。
 なんせ今の横島、女子寮に侵入した変質者である事に違いはない。
 その上、アキラはともかく裕奈の姿。
 いやらしい体液を全身で浴び、それが乾いてガビガビになっている。
 何度も言うが、自分達の仲間であるアキラはともかく、『一般人』の裕奈が、だ!


「なにを笑っていますのっ、アナタはぁっーーーーー!!」


 当然この後、彼は正座での説教タイムとなるのだった。
 朝立ちしているピーをそのままに……
























 アキラと裕奈が目を覚まして最初に見た光景は、何故か自分達の部屋にいるあやかと、そのあやかに怒られてヘコヘコ謝り倒す横島の姿だった。
 余りにも情けない姿の横島。しかも局部丸出し、土下座姿。そんな横島を見て、裕奈が一言。


「はぁ~、恋も愛も冷める姿だねぇ」

「そう? カワイイと思うけど?」

「そっかな~?」


 なんて言ってる裕奈だったが、棒の様な涙をダクダク流す横島を見て、

 確かにちょっと可愛いかも……

 なんて思っちゃう辺り、かなり横島菌に毒されているようだ。


「ね、アキラ。シャワー浴びない? 身体がガビガビだよぉ~」

「うん、そうだね。いいんちょと横島さんも、どう?」


 





 


























  ネギま!のほほん記  第17巻  いろんなきもち
 


























「はふぅ……」


 昼食後、昼休みで賑わう校舎の中庭で、ボール遊びに耽る友人達を尻目に熱い溜息を吐いた。
 思い起こすのは、昨夜から今朝方にかけての横島との初体験と、登校前のあやかを交えた情熱的なセックス。
 彼女が、いいや、アキラもだけど、本当に横島の事が好きなんだと心から感じさせられた。

 アキラの乱れる姿を思い出す。

 そして……


「ねー、あのネギ君が来てから5日経ったけど、みんなネギ君のコトどう思う?」

「いーんじゃないかな」


 不意にまき絵から尋ねられた問いかけとアキラの答えに、遠くに飛んでいた意識が現実に戻された。

 件のアキラと、そしてまき絵と亜子。
 その3人がボール遊びを中断して、芝生に座り込んでアンニュイな感じでボ~っとしている裕奈に声をかけたのだ。


「そだね……」


 裕奈は気の無い返事を適当に返すと、再び意識を遠くに飛ばす。
 脳裏に描かれるのは、先程夢想したアキラの乱れる姿と、そして、狭い浴室で4人戯れた時に見た、あやかの柔らかく甘~いおっぱいだった。
























 シャワーを浴びて濡れた肌に貼り付くキレイな金色の髪。
 白くしっとりとした肌に貼りつく濡れた金色の髪は、とても扇情的で興奮する。
 その姿に、初めての性行為後でヒリつく股間の鈍痛も忘れ、再びジュンとアソコが濡れた。
 あやかを貫く横島の肉棒は、裕奈が処女を散らした時よりも一回りは大きく見える。

 その大きな肉棒が、浴槽に手をつき、彼にお尻を突き出す体勢でいるあやかの女陰を押し広げながら捻じ込まれる。

 
「ンァッ……ハアァン、忠夫さん、ダメ、ですわ……まだ準備が……痛っ、いきなり突かないでください!」


 最奥を突きあげられて腰を浮かせ、そうしてすぐさま引き抜かれ、再び子宮を目指して腰が沈む。
 一突きごとにあやかの開発されきっている膣肉が、ジュグジュグと愛液を滲み出し、潤滑油となって横島の腰の動きをスムーズにする。
 その腰の動きに合わせ、あやかの胸が激しくプルンプルンと揺すぶられた。


「ら、らめですわ、ひぁ……ああンッ、そ、そんなに激しくっ……ひぐ、ああん……ああ、いや、いやいやぁ……ああ……ンンゥッ!!」


 痙攣し、上気した顔を快感に緩ませるあやかを見て、裕奈は本当にキレイだと思うのだ。
 それは前にも思いはしたが、こうして目の前で乱れる彼女の姿を見ると、真実心からそう思う。
 だからなのか、お嬢様然とした美貌を欲情で紅潮させ、夢中になって腰を振り、お湯と汗が交じり合ってぬめったあやかの美乳に、裕奈は思わずかぶりついてしまった。


「ゆっ、裕奈さん……! ふぁ、い、いけませんっ!!」


 ムニュッと柔らかい乳肉が口一杯に広がり、乳首がプルンと口中に入り込む。
 裕奈は口の中の乳首を軽く食みながら、赤ん坊の様にちゅーちゅー吸った。
 気のせいか、とても甘い何かが口の中に広がり、それがとても美味しく感じて夢中になって吸い続ける。
 負けられないとでも思ったのか、アキラが残った乳房を裕奈と同じようにかぶりつく。
 2人の赤ん坊を思わせる口撃に、あやかは声も絶え絶えに喘ぐ事しか出来ず、ガクガクと膝を震わせた。


「ぁ、アアアアッ! これ以上はっ、あたまが……おかしくなります……っ! ゆるして、あぅっ!」
  

 絶頂寸前のあやかが、濡れた髪を大きく振り乱す。
 金色の髪と汗を散らして、キラキラ光を反射させる。


「そろそろイキそうなんか?」

「……ぁ、ん……も、もぅ……我慢っ、できませんわっ!」

「ダ~メ」

「そんなっ?! う、ぁ、あっ、ご、めんなさい、い、ぃ、いきます……わ……ひ、くぅっ!?」

「仕方ないな、あやかは……、ほらイクぞ!」

「は、い……どうぞ、私の中にぃ……っ……あ、あっ……」


 ズンッ! 突き上げ、膣内奥深く突き刺さる肉棒。

 次の瞬間、ドピュッ、ドビュルルルッ……! 深々と押し入った肉棒がブルルと震え、灼熱の白濁液があやかの胎内にぶちまけられた。


「んはあぁああぁっ! 中に出てますわっ! 私の中に忠夫さんの熱いのがいっぱいでてるうぅうぅぅぅっ!!」


 ビクビクビクッと激しく痙攣し、乳房を咥える裕奈達にまで、絶頂の衝撃が伝わってくる。
 上目遣いであやかの顔を覗きこむと、まるで淫蕩な女神の表情。
 横島が長い射精を終え、蜜壷深くまで食い込ませていた肉棒をズルンと引き抜く。
 糸が切れた人形みたいにカクンと倒れこむあやか。


「っ……くふぁ……ただお、さん……、んんぅ……」


 だけど裕奈はそれでもあやかの乳首を吸うのを止めず、いつまでも、いつまでも、夢中になってあやかの乳首を吸い続けた。


 おいしい……すきぃ……すきだよぉ……いんちょ……































「…………れが、私たち黒百合……」

「だれが百合だぁーーーーーっ!!」


 足元に転がっていたボールを、裕奈は迷わず百合発言した見知らぬ女の顔面目掛けて投げた。
  

「ぶっ!?」


 ボールをまともに喰らって仰向けに倒れる女を見ながら、裕奈は荒く激しい呼吸を「はぁはぁはぁはぁはぁ……」と繰り返す。


 違う、そうじゃない、そんな訳ない、私は横島さんに抱かれて気持ちよかったし、胸もドキドキ高鳴ったんだから……


 なんて、ぶつぶつ独り言を言いながら、周りの喧騒に一切の意識を傾けないで、思考の海に溺れだす裕奈。




 確かにいんちょに見惚れはした。
 彼女の様になりたいと思ったし、憧れもした。
 でも私は決して百合じゃなく、大体において、百合なら相手はアキラか亜子の方が……

 って違うわっ! 

 横島さんに抱かれて、お腹の奥の疼きがキレイになくなった。
 それは自分がレズ……、もとい百合ではなく、真っ当な性癖の証拠。
 横島さんに抱きしめられ……、ってそう言えば背後からガンガン突かれただけだったような。
 考えてみたらキスもしてもらっていない。
 アキラも、いんちょも、涎で顔がべちょべちょになるまでキスをして貰っていたのに。
 
 そう言えば、キスしてた時のアキラといいんちょ、幸せそうだったにゃ~。

 



「……奈っ、裕奈っ、大丈夫っ!?」

「はえっ?」


 トロンとした眼を、心配そうに声をかけてきた亜子に向ける。
 裕奈は何だかさっきまでと景色が違う気がした。
 確か中庭に居たはずなのに、なぜか屋上のコートに変わっているのだ。


「あれれ、いつのまに……?」


 ボケた事を抜かす裕奈を尻目に、見知らぬ高校生のお姉様方が、


「おぼえてらっしゃーいっ!!」


 などと伝説の捨て台詞を吐いて逃げ出していた。
 途端に、「ワァーッ!!」と周囲から歓声があがった。
 いつのまに居たのか、クラスメイト達が裕奈を囲み、褒め称えていた。


「やったーっ!!」
「高等部に勝ったーーーーっ!」
「ゆーな、すっごーい!」


 ……訳が解らなかった。

 裕奈はなすがままに身体を持ち上げられ、そのまま「胴上げだぁーっ」の言葉と共に、空を舞った。
 一頻り胴上げが終わると、アキラの傍へと急いで逃げ出す。
 途中、身代わりとばかりにネギを差し出し、彼の少年が空を舞うのを横目で見ながら。


「なに? なんだったの? ねえっ、アキラぁっ!!」

「やっと帰ってきたの?」

「へ?」

「さっきまでポヤ~っと上の空だったから」

「あ? あーあー、えと……」

「まあ、わかるけどね」

「へへ……」


 後で裕奈がアキラと亜子に何があったのか聞くと、昼休みの時に高校生のお姉さま方に絡まれ、
 それはアキラが軽く追い払ったみたいなのだが、その時の仕返しに来た彼女達とドッジボールで勝負となり……


「はぁ~」と呆れた溜息を吐く裕奈。
 子供かっ!? と彼女達に声を大にして言ってやりたい。
 目の端に正真正銘、子供であるネギが、胴上げから解放されている姿が見えた。
 フラフラしてはいるものの、嬉しそうにまき絵や双子達と戯れる様に、何だか自分だけ遠くに行ってしまったみたい。
 何せ、みんなが健全にスポーツに精を出していた中で、自分はいやらしいことばかり考えていたのだから。

 にこにこしながらネギを見ているあやかが居る。
 同じようにしているアキラが居る。
 そんな2人の傍にソソッと近寄ると、裕奈はちょっと顔を赤くしてこう言うのだ。


「あのさ……、機会があったら、また私もいれて欲しいかな~、なんて」


 裕奈は思うのだ。
 自分は確かにいんちょやアキラにお腹がキュンとなる。
 でも、それは決して百合的な意味ではなく、きっと、みんなで一緒なのが好きなんだ。
 横島に恋愛的な感情がまったく無いとは言わないけれど、まだまだ彼女達みたいにはそんな気持ちになれなくって。
 恋愛的な感情よりも肉欲的な、そして2人きりでエッチよりも、アキラやあやか……そして……
 2人の傍に居るアスナ、千鶴、夏美、のどか、夕映、木乃香。
 彼女達の乱れる姿も見てみたい。

 それを考えただけで、熱く、切なく、瞳が、アソコが、ジュンと潤んで濡れるのだから。






































 慌しく時間が過ぎ去り、時は夕暮れ、2人の少女が沈んだ声色で話していた。


「はぅ~、憂鬱です……、問題起きない様に気をつけろとか、シスターシャークティは私達に多くを求め過ぎだと思うのですよ」

「私達じゃ抑えきれないよねー」


 今度のネギの試練についてもそうだし、その時に共に行動するだろう桜咲刹那に対しても憂鬱の源だ。
 彼女は、下手を打ったらあっと言う間に敵に回る危険なカード。
 その上、今の彼女達にとってみたら、手も足も出ない程の強者である。

 こうして魔法を学ぶ前には分からなかった刹那の強さ、それがここ最近分かるようになったのだ。

 例えばクラスメイトだけでも、龍宮真名、長瀬楓、桜咲刹那、そして自分たちの仲間である神楽坂明日菜はいっそ別格である。
 彼女達を前にして、戦う選択肢を出す自体が間違いだと言わんばかり。
 それに続いてガイノイドである絡繰茶々丸、大格闘大会ウルティマホラのチャンピオン古菲、万能の天才、超鈴音を含めた3人の強さにも遠く及びはしない。
 そして、最後に闇の福音エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル。
 封印されている身とは言っても、600年生きた真祖には到底及ぶ訳などなく。


「強く、なりたいですね……」

「っ!……うん、そう……だね、ゆえー」


 夕映の言葉に、更に落ち込みながら返事をした。
 のどかは、夕映に比べると実力が明らかに落ちる。
 いっそ魔法の才能が無いと言ってもいいぐらい。
 だからと言って気の才能がある訳でもなく、霊力の才能がある訳でもなかった。
 10年死ぬ気で頑張って、ようやく2流に手が届く。
 それがのどかの自分に対する自己評価。
 逆に夕映はと言えば、『今』のネギならば魔法戦闘で勝てる。それぐらいの実力を身に付けつつあった。


「どうしたですか、のどか……?」

「ううん、なんでもないよー」


 チラリと鎌首を擡げる嫉妬。汚い感情が心の暗い部分から湧き上がり、それを必死で否定する。
 こんな時は、何も考えられなくなるまであの人に犯されたい。
 頭がおかしくなって、あの人しか見えなくなるくらいに。

 でも、もうしばらくすれば、ネギの試練に付き合うために、数日間は図書館島にて拘束を余儀なくされるのだ。
 そうなったら彼に抱きしめられるどころか、犯される何て贅沢、当然出来っこない。

 でも、ネギの試練に付き添うのは自分達に課せられた修行の一つ。
 立派な魔法使いになるための修行なのだ。

 のどかは、いや夕映もだが、そんなモノには本当に興味がなくって、彼女達がなりたいのは彼の永遠の従者。

 でも、このままでは自分だけ置いて行かれる。
 アスナが、あやかが、アキラが、夕映が、そして誰よりも横島が自分を置いて行くのだ。

 いつか遠い未来、彼は出会った時のまま若い姿で、老いさばらえた自分など見向きもされない。

 それは目の前が真っ暗になるくらいの恐怖。

 目尻に涙が溜まる。
 突然泣き出しそうになったのどかは、それを心配そうに見る夕映の視線に、何でもないよ、と首を横に力なく振った。
 そうすると落ち込み気味な気分が一層強くなり、死んでしまいたくなる。

 でも、その時、


「よっ!」


 目の前に彼が居た。
 今日は学校が終わればすぐに寮での勉強会。
 だから会える筈の無い彼が、なぜか寮へと続く道に、ひょっこり居る。


「「横島さんっ!!」」


 のどかと夕映の嬉しそうな声が重なる。
 そのまま脇目も振らず彼の下へと駆けた。

 走る、走る、走る。

 のどかは最近になって感じ始めていた夕映へのコンプレックスから、ゆえに負けたくない! そんな気持ちで。
 そして夕映も、後発的な意味で感じていたのどかへのコンプレックスから、負けたくない! のどかと何も変わらぬ想いで。 

 2人、ほぼ同時に横島の胸に飛び込んだ。

 そうしたら、憂いも、嫉妬も、コンプレックスも、何もかも、キレイに吹っ飛んだ。
 彼の手の平で、頭を覆い隠すように撫でられながら、うっとりと目を細める。


「どうしてこんな所に居るですか?」

「あー、気づいたら寝ててな……」

「「…………?」」

「うわははははははっ」


 汗を流して誤魔化し笑いをする横島に、ほんわか暖かくなる心。
 夕日に照らされる彼の3枚目な顔が、とても愛おしく想える。
 鼻の下を伸ばして、だらしなく緩んでいる顔でも、おふざけばっかりして、笑って誤魔化す今の顔も、全部、全部、ぜーんぶ。

 のどかの顔が笑みの形に緩んでくる。それはのどかの目の端に見えた夕映もおんなじ。
 だから、「ごめんね、ゆえー」素直な気持ちが口から出た。



「あのねー、ゆえに嫉妬しちゃった。だって私、魔法の才能ぜんぜんないんだもんー。
 このままじゃ、みんなに……、ううん、横島さんに置いて行かれちゃうかもって……」

「はあ!? い、いいえ、私こそ……、ずっとのどかに嫉妬してるです。
 それこそのどかだけでないです。アスナさんにも、いいんちょさんにも、みんなに!
 知ってますか、のどか。私が横島さんに抱かれたのは、片手の数よりも少ないのですよ?」


 しかもだ、抱かれるのはいつものどかと一緒で、2人っきりの甘い時間を過ごしたことすら無いのである。

 ただ、分かってもいるのだ。自分の身体が幼いせいだと言う事は。
 横島が行為の後に、「ワイはロリやない、ましてやペドでも……」などとブツブツ呟いている姿を見ているのだ。

 それから始めたバストアップの努力は未だ報われず、自分のろりぃなボディーをこれほど恨んだ事はない。


「あ、あー、その、なんだ……」


 期待と不安から、夕映は横島にしがみ付く手の力をギュッと強める。
 のどかも同じように手の力を強めた。

 ぶっちゃけて言えば、2人の悩みなんて横島がしっかりしていれば、それこそあっさり解決するものだ。
 だから2人は期待する。この後に続く言葉を。だから2人は不安になる、この後に続く言葉に。

 2人共に、自分の努力だけではどうにもならない悩み。

 その横島は、2人から発するプレッシャーに手の平から出る嫌な汗が止まらない。
 何か言い訳しようと口を開いたが、言葉が詰まって後に続かない。

 胃がキリキリと軋む。

 横島自身、彼女達がそんな悩みを持っているなど露とも思っていなかった。
 第一、のどかの悩みなんて横島にとってみたら、へ?って感じだ。
 魔法の才能に限らず、戦い関係の才能なんて、横島はのどかに限らず誰にも求めてなんかいやしない。

 むしろ横島はのどかを高く評価している。

 彼の無尽とも言える煩悩とフェチ魂を、何も言わずに受け止めてくれるのだ、彼女は!
 発展途上の身体に、猫耳と尻尾を付けて甘えられた日にゃー、精根尽き果てるまでハッスルしても仕方あるまい。
 あれは実に好いモノだった。機会があったら何度でもお願いしよう、そう常々思っている。

 そして夕映。こちらは本当に困ったことに、彼女が思っていることまんま。
 この子を抱くたびに感じるイケナイ感じは、癖になりそうで本当に怖い。

 開いてはいけないペドへの道がマジ開きそう。

 だから2人っきりでスルなんて怖くて出来やしないのだ。

 あのちっちゃなボディーにキツキツおまんこ。
 膣口を無理やり押し広げ入り込んだ凶悪な肉杭が、ズリッズリッと膣肉を分け入り最奥をゴツンと突くたびに、彼女のぷにっとしたお腹が肉杭の形にぽっこり膨らむ。
 釣り目気味の目をウルルッと潤ませ、小さな口を限界まで開けて嬌声を上げる。
 一見平坦な、だが微妙に膨らんだ胸に屹立するちっちゃな桜色の乳首を弄くり倒すと、可愛く頬を染めてキスをねだるのだ。
 その余りにエロな姿に、未だ僅かに残されている正義の自尊心がガリガリ削られ消えていく。 
 
 …………正直な話、横島は彼女を相手に理性を保ち続ける自信がない。
 いつか間違った道、例えばココネ辺りと平然とイタすようになりそうで、本気で怖い。

 だから常に夕映の親友であるのどかに傍にいてもらい、そのロリと女の狭間にある肢体を存分に嬲ることで、暴走しそうなロリ魂を鎮めていたのだ。

 だけど、このままじゃイカンよな……

 そう思い、今度こそ何か言わねばと口を開こうとしたその時、夕映が横島よりも先に言葉を紡いだ。


「どうすれば私達はアナタに認めて貰えるのでしょうか?」


 のどかの夕映への嫉妬も、夕映ののどか達への嫉妬も、全て横島から認められたい気持ちから来るもの。
 逆に言えば、横島から認めてさえ貰えれば、こんな汚らしい感情から逃れられるかもしれない。

 夕映はそう思い、またのどかもそう思った。


「認めるって、俺はそんな偉い人間じゃねーぞ」


 戸惑いながらの言葉。

 だが夕映とのどか……特に夕映にとって横島と言う存在は信仰の域に達するほど。
 彼の言葉は絶対で、彼の行動もまた絶対。彼女は狂信者一歩手前に近づきつつあるのだ。
 例えば絶対にありえないことだが、横島が夕映に対し、他の男に抱かれて魔力を収拾して来い、そう命じれば、泣き喚きながらも最後はその通りにするのだろう。

 始まりの出会いの印象は、悲しい瞳の優しい青年。
 その後、命と貞操を化け物に狙われ奪われる寸前、颯爽と現れた絶対のヒーロー。
 大いなる神秘の力、霊力を用いて化け物どもを殲滅するその姿は、物語の中にしかいないはずの勇者さま。

 そんな彼に心から憧れて慕う心が止まらない。

 魔法の修行や性魔術の研究に余念がないのは、いつか必ずその力が彼の為に必要になる時が来る、そう固く信じているから。

 危険な兆候があるとは誰も気づけず、静かに夕映は横島への信仰心に似た何かを日々捧げているのだ。


「少なくても、私やのどかを含む女の子達にとって、アナタはかけがえのない大切な人ですよ。
 だから認めて貰いたいのです。アスナさんや、いいんちょさんみたいになりたいのです、私……たちは……」

「もしかして使徒のことか?」


 そういや初めての時にも言ってたっけな、と横島は思い出す。
 そして横島のその言葉に、夕映だけでなく、のどかも激しく首を上下した。
 自分に抱きつきながら、必死にコクコク頷く少女達を見て、昨夜アキラに言った言葉を思い出す。

 使徒になって、ずーっと一緒に生きていこう。

 思わず同じ言葉が口から出そうになる。
 だが、横島は寸前でその言葉を堪えた。
 決して2人が使徒に相応しく無いと言うのではない。
 ここでいつか使徒として迎えると言ってしまえば、使徒で無い者は横島が認めていない者になってしまう危険性があったからだ。

 だけども夕映にとって、使徒とは理想の具現。
 そもそも使徒と言う存在そのものが、神に仕える僕の総称。
 夕映が求めている真実の自分の姿なのだ。

 だから、


「わかってるですよ。今の私達が使徒に相応しくないと言うことは。
 ですから、今度のネギ先生の試験が終わった後で結構です。
 仮契約を私とのどかに結んでくれないでしょうか?」


 夕映は絶対に諦めない。

 確実に一歩、また一歩、かの存在になる為の道を進んでいく。
 だけど横島の次の言葉は、そんな夕映の頑なで凝り固まった想念を、ホンの少しだけど解すのだ。
 横島は優しく頭を撫でていた手を止めると、真剣な顔でこちらを見ている2人をふんわり抱きしめた。


「あんな、認めて欲しいんは俺だよ。スケベでいい加減な男の代名詞みたいな俺が……」

「そんなことないよー!」
「そんなことないです!」


 横島の言葉を遮る2人。横島は2人を抱きしめる腕、その力をギュッと強めた。


「エッチでいつもおちゃらけてる横島さんですけど、私達は知ってますー。優しくて、優しくて、優しすぎる寂しがり屋さんだってー」
「アナタはいい加減でチャライ男なんかでは決してないです! 私は、私達は知ってるです! アナタが、アナタがっ……!!」


 必死な様相の2人に、昨日から続く性交で枯れ果てた筈の性欲が、ひょっこり顔を出した。
 それは不謹慎なのかもしれない。
 だって、こんなにも自分の事を想ってくれているのだから。
 いいや、だからこそ、ここで暴れん棒が暴走するのも已む無し! なのだ!!




 横島は無言で2人を抱きかかえ、そのまま公園の暗がりへと連れ込み、2人仲良く並べて下着を剥ぎ取ると、お尻を自分に向けさせた。

 硬くなった暴れん棒を彼女達の股間のスリットに捻り込み、交互に堪能するのだった。






 その日、公園を通って帰る人達の耳に、ガサガサあんあんガサあんあん。

 そんな摩訶不思議な音が聞こえたとか何とか。





 夕映とのどかは、あやか達の部屋で行われる勉強会に、とてもすっきり爽やかな気分で顔を出した。
 髪や制服のあちこちに枯れ草や枯れ葉をつける2人。
 それを見て苦笑いする他の少女達は、ナニがあったのか聞かずとも解ったらしい。

 横島の想いの塊(精子)を、文字通り(子宮に)叩き込まれた夕映とのどか。
 何気に仮契約の約束までゲットした2人は、それまで憂鬱だったネギの試験が逆に待ち遠しいみたいだ。


「がんばろーね、ゆえー!」

「ええ! 頑張るですよ!!」


 楓、くーふぇ、まき絵を噂をダシに誘い出し、ハルナを協力者としてネギを呼び出し、不確定要素の刹那を宥め。

 ネギの試験のサポートであり、実は彼女達自身の試験は、夕映とのどかの計画通りに進み期末試験の日を迎える。

 満足そうに笑う2人の手の中には、自らの姿写しのカード。

 この日、新しい力を手に入れたのどかと夕映は、確かに一歩、使徒への道を進んだのだ。



 






































 横島のヒロイン認識表


 使徒……アスナ、あやか
 家族……千鶴、夏美
 愛人・恋人……愛衣、アキラ、のどか、夕映、
 愛人・恋人未満……茶々丸、木乃香
 セフレ……シャークティ、美空、裕奈
 友人・知り合い・顔見知り……亜子、千雨、高音
 友人・知り合い・顔見知り(非攻略対象)……エヴァンジェリン、しずな、ハルナ、まき絵

 左上にいくほど、横島にとって好感度・恋愛度・親密度・重要度が高い順です。






 ヒロインの横島認識表


 アスナ 一番大切な人
 あやか 主さま
 千鶴  可愛い人
 夏美  愛する人
 アキラ 恋人
 のどか 大好き
 夕映  信仰の対象
 愛衣  愛
 高音  自爆混乱中
 木乃香 すきすきすきすき~
 茶々丸 どきどきどき(アスナにはどきどきどきどき)
 シャークティ 気になる異性で少し困った人
 美空  おもろい人
 ココネ やさしいおとこのひと
 裕奈  ちょっと好き
 亜子  女ったらし
 刹那  要監視対象
 千雨  ネギ達の保護者







[11660] ネギま!のほほん記 第18巻  エロ有り(木乃香)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:41



 夕食前のくつろいだひととき、ネギが取った一本の電話から物語は始まる。


「横島さん、これからちょっと女子寮の方へ行って来ます」

「なんかあったんか?」

「テストで不正をしようとしている生徒がいるみたいで……、注意してきます!」


 ネギは素早く背広に着替えると、杖だけ持って家を飛び出した。
 ぷんすか怒っている所を見て、立派に教師をしてるじゃないか、と横島は感心したのか口元をほころばせた。

 まあ、後はのどかと夕映、そして協力者であるハルナに任せておけば大丈夫だろう。

 こうして始まったネギの物語。だが……


「ネギくん、もう行っちゃったん?」


 木乃香が鍋を持って、晩御飯を今か今かと待ち侘びる横島に声をかけた。
 慎重に食卓の上に鍋をのせると、蓋を開けて中を2~3度掻き混ぜる。
 横島がワクワクしながらソレを覗き込むと、浮かんだり沈んだりするグロテスクなナニか。


「すっぽん……か?」

「じいちゃんがな、早く曾孫を抱きたいゆーて……」


 ネギは最低でも今日と明日は帰ってこない。
 アスナが住み込み家政婦を終えて帰って来るのが明後日。
 だとすれば、今日と明日は2人だけの夜。
 木乃香は知らん事だが、ついでに監視……、もとい、彼女の護衛である少女もいない。
 今は完全フリータイムなのだ。こんなチャンスはこの先滅多にないだろう。

 ようするにコレは、学園長のとてもイヤ~ンな気遣い……っ!!

 横島は燃え上がる煩悩を圧さえて静かに箸を手に取った。
 まるでこれから戦が始まるのだと言わんばかりの緊張した面持ちで、「イタダキマスッ!!」魂の篭った言葉を吐き出す。
 それは果たしてスッポン鍋に対してなのか、それとも、


「うん……、おいしく食べて……な……?」


 恥じらいで顔をうつむかせる木乃香。
 高鳴る心臓を鎮めようと胸の谷間に両手を当て、覚悟を決めて横島の方にもたれ掛かった。
 唇から出る熱い吐息が横島の首筋にかかり、ガツガツすっぽん鍋を食べる横島の気を引いて止まない。

 じじいの許可が有る。それは即ち詠春の許可があるも同然。
 最後までイっても問題はないのだ! きっと!!

 すっぽんを甲羅ごとガリガリ噛み砕き、何気に出ていたマムシの生き血を一気に飲み干す。
 自然と身体の一部分に血が集まり、波動砲の砲撃が準備完了していた。
 鼻息荒く木乃香を抱きしめると、決戦の場であるベッドまでお姫様抱っこ。
 嬉しそうに両手を横島の首に巻きつける木乃香を、ゆっくりとベッドに横たえながら唇を奪った。


「んふぅ……」


 木乃香の上に横島が覆いかぶさる。

 ──やっと……や……

 そう思ったら恥かしくて、顔を思わず背けてしまう。
 だけど横島はそんな木乃香の足首を持つと、膝小僧が胸につくほど深く倒し、左右に開いていった。
 足が開いたことで、木乃香の幼いワレメが糸を引きながらくぱぁっと口を開く。
 お腹の奥がキュンキュンして甘痛く疼き、開いた膣口からは愛液が溢れ出す。
 興奮しているせいなのか、クリトリスがプクンと大きくなった。


「いいんだな……?」

「ウチな、嬉しいんよ? やっと横島さんにウチの初めてあげれるんやって。だから、ウチを好きにしてええよ……」


 木乃香は、横島と一つになることを望んだ。
 押さえられ、広げられていた足を自らの意思でもっと引き上げる。


「ウチを……もろうて……」


 横島はコクンと頷くと、ワレメに肉棒の先端を押し付け、ぐっと体重をかけて押し込む。
 充分に濡れる膣口に、にゅるんと先端が飲み込まれる。


「はっ、はぁはぁっ、んっ……く、くぅっ、あぁあっ……、苦し……っ!!」

「俺に任せて力を抜くんだ」


 その言葉に頷くも、膣口はぴりぴり痛み、挿入された肉杭がお腹を圧迫して苦しい。
 だが、木乃香はその苦しみを悦んでいた。
 ようやく、自分の中に彼を迎え入れる事が出来たのだと。
 だから灼熱の鋼で貫かれる苦しさも、あっと言う間に和らぎ快感に変わってしまうのだ。


「やっ、燃える、お腹ん中が、燃え……ああっ!」


 ギ、ギリギギギィ……ブチン

 鋭い痛みが木乃香を襲った。

 
「づああぁあっ、奥、奥がっ……あああっああっ……ひああああっ!!」


 だがその痛みさえも、今の木乃香にとっては快楽にしか過ぎない。
 より深い所を目指して侵入してくる彼自身に、深い愛情と快感を感じてしまうのだ。


「はぁ……んっ、あっ! あんっ! ひんっ……!! もう、い、イッちゃ……ひゃあぁぁぁあああああんんンっっ!!」


 処女膜を貫き、肉棒の半ば程を埋めただけで、木乃香は一度目の絶頂に達してしまった。
 意識は朦朧として身体の力が抜けてくる。
 だが肉棒の抽送は止まらず、破瓜後のキツイ膣圧が、イって緩くなった隙をついて、更に奥へと侵攻を始めた。
 ヌヌヌヌゥ……ブチュ……、絶えずビクビク痙攣しながら、木乃香は何度も小さく達する。
 終着点まで肉杭が到達するや否や、ゴン、ゴン、と何度も最奥を突かれ、子宮がさざめく。


「ひっ……あ、あかんて……も、もう、ウチ……身体がおかしゅうなる……」


 汗だくで悶える木乃香を見て、横島は最初の限界が訪れた事を察した。
 無意識に逃げようとする木乃香の腰を両手で掴んで固定すると、抽送にスパートを掛けた。

 ヂュグ、ヂュグ、ヂュグ、ヂュグ、ヂュグンッ!


「あ、あぁん、ウチぃ、初めてやのに、んんぅ、すごい、気持ちええよぉ……ひゃんっ」


 木乃香の秘処が最後の収縮を開始し、横島の肉棒の先端を搾り出そうと蠢きだす。
 ついさっきまで未使用でこなれてない膣道、だがそれでも柔らかく暖かい少女のヌメる内側を、これでもかと力強く肉棒で擦りつける。
 バシン! バシン!っと肉がぶつかり合う音を響かせ快感を高めきると、最後の一突きの為に入り口ギリギリの所に雁を引っ掛け、そこから一気に腰を突き出す。
 内臓を抉る様な鋭い一撃は、未だ陰毛すら生えぬ未熟な女淫を痛々しく押し広げながら、ズグン!っと子宮を持ち上げた。


「出るぞ、木乃香ちゃんっ!」

「う、うん、出して、ウチのなかぁっ、いっぱい、注いでっ、あ、あ! あぁっ! ああぁぁ……っ!!」


 木乃香の背が大きく仰け反る。
 彼女の最奥で欲望が爆発した。


「んんぅぅぅぅ……っ!?」


 身体の奥で熱い精液を注がれる初めての感触。
 一瞬木乃香の身体が硬直し、ビクビクンっと痙攣した後、くたあっと脱力してベッドに沈み込んだ。
 両腕をベッドに投げ出し、汗で濡れた小さい胸を激しい呼吸と共に上下させ、潤んだ瞳を横島に向ける。
 横島の強烈に長い射精を最奥で浴び、何度も細かく絶頂しながら、木乃香は幸せを胸いっぱいに感じた。


「あは……ん……、ふぅ、はぁ、はぁ、はぁ……、ん……な? ウチ、気持ちよかった……? んくぅ……」

「ああ、すっげぇ気持ち良かったぞ」

「ウチ、初めてやったのに、何回もイッてもうた……。横島さんがウチをこんなエッチにしてもうたんやから、責任……とって……な……ひゃんっ!?」


 木乃香の言葉が終わらない内から再び始まった振動。
 そこから生じる甘い快感に、木乃香は身と心を完全に委ねるのだった。


 




















  ネギま!のほほん記  第18巻  犯されるモノ
  












   








 横島と木乃香が2回戦目に突入したその頃、ネギはのどかとハルナの案内で図書館島の内部に潜入を果たしていた。


「ネギ先生ー、少し休みましょうかー?」

「ちょっと顔色悪いよ?」

「はぁはぁはぁ……、だ、大丈夫……です、のどかさん、ハルナさん。そんな事より、この先に居るんですよね?」

「う、うんー、そうだと思うー」

「急ぎましょう! はやく彼女達を止めないと!!」

 
 息を切らせ、それでも必死に足を動かす。
 魔力で身体能力を強化しているとは言え、ただでさえダンジョンじみている図書館島を、慣れない暗闇の中で走るのは10才に満たない少年にはきつかった。
 だけども、ここで足を止める訳にはいかないのだ。
 この先に居るだろう5人の少女達の行為を止めなくては。
 それはネギの先生としての仕事であったし、何より彼の正義感から発するものでもあった。

 そんな少年特有の潔癖症を十全に使って誘き出したのが……、ネギを案内しているのどかと、この先で通称バカレンジャーを率いる夕映である。

 のどかは必死に走るネギを見て、罪悪感からチクリと胸が痛んだ。
 そう、痛みはするのだけど、決して計画を止め様とは思わない。
 この先で学園長が用意しているであろう(のどか達にも知らされてはいない)試練は、確実に少年を成長させると信じているし、
 また何より、試練終了後に横島から貰えるご褒美は、あまりに魅力的すぎた。

 その褒美とは、仮契約である。
 仮契約を結ぶと言う事は、彼との間に確かな絆を結ぶと言う事だ。
 何より戦力としてあまりにも未熟であるのどかには、仮契約カードから得られるアーティファクトが、咽から手が出る程に欲しかった。

 だから、


「待ってくださーーいっ!!」


 夕映達に追いつたネギの、


「持つだけで頭が良くなる魔本? 教師として、そんな物に頼るのを見過ごす訳にはいきません!
 今も真面目に勉強をしている人達にとって、あなた達がしようとしているのは唯のズルでしかないんですよっ!」


 10才と言う年齢には思えない真剣な表情で、バカレンジャーに説教する姿に、ドキンと胸が高鳴ったりは一切ない。
 叱られ、落ち込みを見せるバカレンジャー(-夕映)と違い、


「魔法の本がなくても、今からがんばれば大丈夫!! 僕も手伝いますから、あきらめないで期末に向けて勉強しましょう!」


 なんて凛々しく微笑まれても、頬がポッと赤く染まる事も無かった。
 見れば元々好意的だったまき絵は仕方ないとしても、楓や古菲、刹那までもがネギに見惚れていると言うのに。
 まあ、ハルナは面白そうにニヤニヤしているだけだったが。

 そんな中、のどかは夕映に意味有り気な視線を送る。
 夕映は周囲に気づかれぬように、コクリとのどかの目線に頷きで返した。
 のどかは小さく魔法の詠唱を開始する。
 プラクテ・ビギ・ナル……
 小さく小さく唱えられて発動した、これまた小さな力の波動は、確かに奥で待機している学園長への合図となり……

 ぱかんっ

 気の抜ける音と共に床が開いた。

  
「「「ああーーーーーーっ!?」」」


 驚き、絶叫を上げながら落ちていくネギとまき絵に古菲。
 不覚っ、と顔を顰めている刹那に、ニンニン言いながら落ちる楓。それに、のどかにしがみついて笑っているハルナ。
 最後に、重力に身を任せ、幻の地底図書室までひゅーんと落ちていきながら、そこにあるだろう蔵書に思いを馳せる夕映とのどか。


「楽しみだねー、ゆえー」

「そうですね、これで勉強がなければ言うことないのですが……」


 こうして、ネギの『本当の』最終課題が始まるのだ。































 そして、舞台は再び横島達に戻る。
 のどか達が地底に落下中、彼らがナニをヤッていたかと言うと……



「ひぅっ、あ、また太くっ……、そんなに突かれたらぁ、ウチぃ……ああっ、あ、あ、ああっ……!」


 こんな感じで、相変わらずハメまくり……、もとい、愛を確かめ合っていた。

 お尻をフリフリ横島に向けながら、獣のような激しいセックス。

 接合部から木乃香の子宮に入りきれなかった精液がダラダラ零れ落ち、太腿を伝ってベットのシーツを汚していた。
 木乃香の身体は数多の絶頂の衝撃で限界に近づき、膣内を掻き回す肉棒が彼女の正気を削っていく。


「はぁ、あっ、あっ、あかんっ、ホンマにもう……ダメ……やのにぃっ……あぅ、あっ、ひん、あぁんっ!」


 嬌声を上げながら、シーツを握り締めて絶頂から耐えようとする木乃香。
 横島はそんな木乃香の努力を嘲笑うかのように、腰の動きを尚一層激しく揺らめかせていく。
 元々、破瓜前から開発されきっていたせいもあるのだろう。
 更に処女特有の強烈な締め付けも、都合3度に渡る中出しで出た精液が潤滑油となって、横島の激しい腰の動きを助けていた。
 苦痛の声なんて一切なく、木乃香の顔は快楽に歪む。
 その表情は横島の征服感をたまらなく刺激し、煩悩を究極の高みまで押し上げようとしていたのだ。


「あうっ、クル、また、ああっあ、あ、イク、イクぅ、あっ、らめぇ、もう、ウチ、ムリや……あ、あ、あ、ああ……っ!!」


 髪を振り乱しながら、慣れぬ腰遣いで横島の動きに合わせていく。
 肉壁が収縮し、肉棒をこれでもかと締め付ける。
 腰を引き、突き出すたびに逃すまいと吸いついて来る膣壁のヒダから与えられる快楽に、横島は夢中になって腰を振るのだ。
 悶える木乃香の小さな乳房を乱暴に掴むと、シーツを握り締めて絶頂感から耐える木乃香の身体を無理矢理に持ち上げた。
 そのまま自分の膝の上に乗せ後背座位の体勢を取り、彼女の自重を使ってズブズブと肉棒を奥へと沈めていく。
 ふにふにと優しく揉んでいたちんまいおっぱいを、急に強力な握力で握り潰すと、


「ひぎっ、あっ、ぅあ、ああぁぁっ!!」


 悲痛な声を上げて腰を仰け反らせる木乃香の首筋に噛みついた。
 苦痛で膣口がギュっと締まる。ただでさえキツイ膣圧が更にキツくなり、肉棒がヒダで締め付けられ射精感が高まった。
 苦痛で狭くなった膣道を、無理矢理に最奥まで分け入り、腰をグラインドさせる。
 舌を突き出して喘ぐ木乃香の子宮目掛けて、都合4度目の射精を開始した。

 
「はうっ、あっあっ!? す、すごいの、あっ、でてるっ、ウチの中、あぅっあ、出されとるよぉ……、あかちゃん、ほんまにできちゃうぅぅ……っ!!」


 全身をひくつかせながら、木乃香はお腹の奥で感じる大好きな彼の感触に、うっとりと目を細めた。
 最後の一滴まで彼女の胎内に自分の存在を打ち込むと、横島は木乃香の太腿を持ち上げ、未だ猛りきったままの肉棒を再び律動させる。


「ぁぁっ……」


 初めての本番だと言うのに、抜かず5回戦突入で、疲れ果て苦しいだけになりつつある。
 だが横島は木乃香を嬲るのを止めようとは思えなかった。
 彼女の持つ膨大な魔力は、力のさざなみで酔うには充分過ぎる程で、唇を薄く笑みの形で歪めながら彼女を激しく揺さぶる。

 歴史ある名家の女だけが持つ魔性の肢体。
 彼女の女を貫くたびに、くねる肢体から流れ込む魔力の潮。
 甘ったるく絡みついてくる熱い感触が、セックスに慣れているはずの横島をも夢中にさせるのだ。

 木乃香の小さな孔はひどく華奢な癖に、横島のグロテスクな程に強大なモノを全て呑み込んでくれる。
 まるで横島の為に用意されていたのだと言わんばかりだ。


「はんっっ!! ああっ!! ひぃんんんんっっ!! ずんずんって、もう、ウチぃ、んやぁぁんっ!!」


 汗で湿った漆黒の髪が波打ち、白い肌はヌメヌメと濡れ光る。
 愛らしい膨らみが横島の腰の動きに合わせて弾み、その頂点にある果実がピクピクと震えた。

 ───溺れる。溺れてしまう。
 木乃香の魔力に、木乃香の半開きの唇に、木乃香の淡い膨らみに、木乃香の……

 たった一人、たった一人の少女との、性魔術を使っていないはずのセックス。
 それなのに、あやかと夏美の治療の為に使われた全ての魔力と、同等以上の魔力が横島に流れ込んだのだ。

 ───身体の中を、木乃香に嬲られているみたいだぜ。

 吸い込まれるように唇をふさぎ、濃密で濃厚な接吻で舌と舌が蕩けていく。
 抉るように深い一突きを打ち込み、夢中になって少女を求める。


「ああっ、あん、よこしまさぁん、しゅきやぁっ、んんっ、ぁぁぁんっ……」


 木乃香の甘い愛の嬌声が脳裏に突き刺さり、横島の興奮を急角度で増幅させた。
 細い腕が後ろ手で横島の首に巻きつき、肉棒を咥え込んでいる場所が一層に強く絡みつく。
 思考が闇に囚われ、もうそれしか考えられなく……

 欲しい。木乃香の持つ魔力が。
 欲しい。この世界で失われた分の魔力が。
 この娘の魔力さえ奪えば何でも出来る。
 全ての理を力で捻じ伏せ、意のままに操り支配する。

 それこそ真の女神の神核を持つ、黄虚の後継者として正しい姿。

 だが横島は首を左右に振ってそれを否定する。
 そうじゃない、そうじゃないと。

 ──俺が欲しいのは木乃香自身であって、彼女の持つ魔力では無いのだ。
 俺がしたいのは自堕落にのほほんと過ごす事であって、他者を支配したい訳では無いのだ──

 そう自分の中の闇に言い聞かせる。

 深呼吸をする。
 横島としての自分を思い出させる。

 こんな時、いつも思い浮かべるのはあの人達の顔。

 だけど、違う! そうじゃねぇっ!
 いい加減、あの人に頼るのはやめなきゃならんだろ!
 いつまで甘えるつもりなんだ、俺はっ!!

 だから、今の俺が思い起こさなければならないのは……っっ!!!




 かつて助けることが出来なかった少女。
 友に託された大事な娘。
 小さい頃から面倒を見てきた妹分。
 過去を捨てさせ、遂には生まれた世界をも捨てさせた。
 それでも恨み言一つ言わずについて来る。
 釣り目がちな目を幸せ一杯に垂れさせながら。



 この世界に来て早々に出会った死に掛けの少女。
 流されて自分のモノにしてしまった金の乙女。
 家族を捨てさせ、いずれ生まれた世界をも捨てさせることになる。
 お嬢様然としながらも、溢れんばかりの母性。
 恥ずかしそうに微笑みながら遠慮がちに甘えてくる。


 俺が想わなきゃならんのは、そんな愛しい女どもだ。


 神格者 横島忠夫の使徒。

 アスナとあやか。

 2人が眉尻を上げ、俺を睨んだ。


「くっ……! やべっ、もう少しで、ヤラレルとこだった……ぜッ!!」


 漆黒に染まりかけた思考がクリアになる。
 犯されかけていた精神(こころ)に防壁を張り、反撃の狼煙を上げた。

 木乃香の小さな後ろの窄まりに、親指を無遠慮にグリグリと沈め、未だ彼女の知らぬ快感を与えることで、ペースを無理矢理自分に持ってくる。
 そうして下半身にくる痺れを堪え、堪え、堪え続けた。
 過敏になっている全身の神経を制御しながら、逆襲とばかりに腰の動きを早めて攻める。


「いいっ、くる、きてまうっ、いや、いやいやいやいやあああぁぁぁあああっっ!!」


 素早く腰を引き、絶頂の波に翻弄されてベッドに横たわる木乃香の顔に目掛けて、横島自身を解き放った。


 ビュッ、ビュルルルルルルルルッッッ!!!


 陶然とした面持ちで、熱い精液を顔に浴びる。
 意識が遠のき、遂には暗闇へと落ちた。


「───オチたか? 危なかった」


 安堵しながら寝転ぶ横島。

 木乃香と言う極上の魔力を目の前にして、久々に神核に振り回されたようだ。
 危うく木乃香を喰らい尽くすか……もしくは、喰われた。
 無意識であろうが、木乃香は性魔術を使ってきたのだ。
 
 しかし、何だって木乃香が性魔術を……?
 こっそり木乃香から魔力をちょろまかしてたのが悪かったんだろうか?
 その時に使っていた性魔術を、木乃香は知らずに習得してしまったのではなかろうか?

 ───だとしたら

 横島は幸せそうに眠る木乃香の横に自分の身体を寝かせると、少女の幼い身体を抱きしめた。
 優しい手つきで髪をすきながら、


「これじゃ、ワイ以外の男にやる訳にゃいかんな……」


 元々やるつもりなんて無いくせに。

 実際さっきの調子で、性魔術を知らない男が彼女を抱いたら、間違いなく彼女に支配されるかミイラだ。
 であるなら、彼女の男となれるのは、正しく横島ただ一人。

 もうちょいオッパイ大きくなったら使徒にでも迎え入れようか?
 それとも、激しい修行を課して、神格者の位まで自力で這い上がらせるか……
 どちらを選んでも、この女は俺以外の男じゃ相手しきれまい。

 その事に満足感を覚えながら、疲れた体と精神を安らぎの闇で鎮めていく。
 そして最後に残された意識で思うのだ。

 これからは性魔術を自重しよっかな?
 特に素養が高そうな者に使うのは控えよう。

 いつまで守れるか分からない誓いを簡単に立てると、次の瞬間にはイビキを掻いて眠りにつくのだった。

 横島は知らない。

 木乃香が、いいや、木乃香だけでなく、彼の傍にいる少女達の努力を。
 もしもそれを知っていたら、何が何でも止めたであろうに。
 まあ、少女達が使うのは主に横島と自分達にだけ。

 だからどんなに危険があっても、全て自業自得で終わってしまうのだ。

 



















 
 木乃香とのセックスで、この世界に来た当初の力を完全に取り戻した横島。

 元の世界に帰ろうとするなら、さほど時間を掛けずに帰ることすら可能になった。

 だが横島はまだ帰ろうとは思わない。

 なぜなら……







 この世界の美女・美少女をもっともっと堪能しなくてはっ!!

 






 こんな感じで、すっかり元の世界で待っている人達の事を、忘却の彼方へと追いやってしまった。
 こうなって見ると、美神や冥子の作った首輪は確かに必要不可欠だったのだろう。

 あんまり機能はしてないみたいだが。

 なんせ今の彼の脳裏にあるのは、美女・美少女に囲まれた怠惰で淫靡な性活のみ。





 そんな横島と言う、本来この世界にいない筈の人間が、更にこの世界を歪め犯していく。

 どうしようもない位に、徹底的に、世界を、犯すのだ。 

 

 



[11660] ネギま!のほほん記 第19巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:41


 心地好い眠りの中、柔らかい感触を唇や頬に感じる。

 なんだ……? 不思議に思い、心地好いまどろみを捨て、うっすらと目を開けた。

 すると、目の前で一心不乱にキスの雨を降らす木乃香の顔がある。
 目線を下に向けると、可愛い胸のポッチがゆらゆらと踊る。
 その淡い膨らみとポッチに、誘われるように両手を伸ばした。
 ふにゅっと暖かく柔らかい感触。コリっと摘むようにポッチを捏ねくり回した。
 それは横島がとても大好きな感触だ。


「ひゃんっ!?」


 可愛い声をあげ、恥ずかしそうに身を僅かに引いて胸を覆い隠す。


「えっと……な? 気持ち良さそうに寝てる横島さん見とったら、こう胸がキュンキュンして……、あう……」


 顔を真っ赤に目をキョロキョロ忙しなく、無意識なのだろうが、お尻をフリフリして劣情を誘う。
 昨日、散々に嬲った白い肢体に少女特有の甘い香りが、4分立ちの欲望に身体中の血を集めた。
 横島は湧き上がる欲情に、我慢出来ないしする必要もないと、木乃香の腕を掴んで自分の胸に引き寄せる。
 お尻に手を回して数回撫でると、おもむろに尻肉を鷲掴んで腰を浮かせた。
 朝一の屹立を、昨日の行為で腫れあがって痛々しい彼女の女淫にピタリと押しつける。
 チュ……ク……、顔へのキスだけで濡れたのだろう、僅かにだが粘った水音を響かせた。


「イツっ……!」

「まだ痛い? 止めとくか?」

「大丈夫やもん……」


 ちょっとだけ苦痛の声を上げるも、拗ねたように唇を尖らせ、自分から腰を落として横島を迎え入れる。
 ニュグっ、入口に彼の先端が飲み込まれると、ひりつく様な痛みが彼女を襲った。


「あん……くっ、ぐぅ……っ、いたない、いたないよ、ウチ……」

「落ち着いて、俺の名前を呼びながら、ゆっくり腰を下ろすんだ。そしたらスグによくなるさ」

「う、うん……よこしま、さん! よこしまさんっ! あ……んっふぁ……しまさん……ぁあん、やあっ!」


 彼の名前を叫ぶたびに、ヌメル液体が身体の奥から滲み出て、彼女の苦行の手伝いをする。
 先端が最も狭い部分を抜けたのか、そこからは一気にグプンと奥まで飲み込んだ。
 

「んんんぅ……ふぁぁあああああっ!! う、ウチんなか、横島さんで……いっぱいや……あんっ」


 口を大きく開き、背筋がぞくりとする程に淫らな女の声を漏らす。
 小刻みに震える熱い屹立を胎内で感じ、傷口を捻じり込む痛みが官能に変わった。
 熱く湿った木乃香の膣肉が、横島の肉棒を柔らかく包み込み、頭が痺れる程の快感。
 それほどまでに木乃香の中は気持ちが良いのだ。

 
「く、ぅん……はぁっ、はぁっ……ンンッ、ンゥッ!!」


 木乃香は呼吸を荒げつつも、身体の力を抜いてゆっくりと、ぎこちなく腰を揺らし始めた。




 ここで少し話が変わる。

 近衛木乃香の外見は、日本人形の様な京美人、もとい京美少女。可憐な大和撫子の見本と言っても良い、可愛らしく儚げな少女だ。 
 そんな彼女ではあるが、図書館探検部なんて謎な部活に所属しているせいだろう、見かけによらず体力を始めとした運動系の能力にも優れていたりする。
 だから昨夜の横島との抜かず5回戦、見事にヤリきっても不思議ではない。

 とは言え、例えどんなに体力や運動能力に長けていようが所詮は経験が全くない処女。
 緊張していただろう。当然、無駄に力を使っただろう。体力だって限界突破していたのだし。
 そんな過酷な処女喪失を経験してから半日も経たない内での性行為。

 ……騎乗位で、例えゆっくりでも自分から腰を動かすのは、致命的だった。


「よこしま、さん……きもち、ええ? もっと、ウチから動いた方が、え゛?っい゛ぃィッ!!!」


 コキン、と彼女の背中から、確かにそんな音が聞こえた。

 娼婦の様に男を惑わせる淫らな表情をしていたのが、ひきつった苦痛に変わる。
 顔色を赤から青に変化させ、快感からではない痙攣で身体を震わせ、激しい苦痛で背を弓なりに硬直した。
 彼女にとって幸運だったのは、激しい腰の痛みのせいで膣圧が強烈になり、横島の肉棒をこれでもかっ! と締め上げたことだろう。
 横島が急に来た締め付けに耐えられず、「うっ!?」と唸ってあえなく限界に達して終了しちゃったのだから。
 最奥に浴びせられる熱い精液の感触に、昨日と打って変わって陶然とする余裕もない。


「あだっ!? いだ、だだだだだ……っ?!」  

「木乃香? 大丈夫かっ!?」


 悶絶する彼女の中から慎重に肉棒を抜き出すと、痛そうにする腰に優しく霊力を流してヒーリングする。


「い、痛くて、動けへん……」


 注ぎ込まれた精液をダラダラ垂れ流し、でもちっとも煽情的になれない雰囲気。

 この日、2人は教訓を得た。

 ヤリすぎはアカン、ご利用は計画的に、等々……


















  ネギま!のほほん記  第19巻  性長……もとい成長






















 木乃香が登校したのは、2時間目の授業の終了間際だった。
 がに股で、尚且つ腰を痛そうに曲げて歩くその姿は、とても尋常ではない。
 ネギ行方不明でざわめく教室の雰囲気も、木乃香はそれどころでは無かった。


「ちょっとこのか、大丈夫なの?」


 ツインテールの少女、アスナが心配そうに声をかけた。
 木乃香は「だいじょぶ、だいじょぶ」と笑うが、次の瞬間、腰に手を当て「い゛い゛い゛……」涙目で喘いだ。
 傍にある机で身体を支えながら、右手で腰を押さえてうずくまる。

 はっきり言って、この状態の木乃香を見て大丈夫だと思う奴はいない。


「このかさん大丈夫ですのっ!?」


 慌てて駆けよってくるあやか。
 彼女はネギ行方不明をネタに騒ぐクラスメイト達を宥めながら、遠目で木乃香の様子を心配そうに見ていたのだ。
 その木乃香が苦痛の声を上げたのだから、心配して駆けよるのは当たり前だ。
 なんせあやかは、横島の周囲に居る女性陣のまとめ役を自認しているのだから。


「も、もう、ダメ……や……、そ、そっとウチを席に……連れて、って……」


 苦痛で悶絶する木乃香を、そ~っと彼女の席まで連れて行く。
 木乃香は苦痛に震える声で「あ、あんがと、いいんちょ……」と礼を述べると、そのまま机の上でぐだ~っとなった。
 そんな木乃香をジッと見つめる千鶴。数秒何事か考えた後、ふぁっと柔らかい笑みを木乃香に見せた。


「……あら? ようやくあの人に抱いてもらったのね?」

「なんの……ことですの?」


 あやかが不思議そうに千鶴の方を見た。
 それこそ、今更なにを言っているのと言わんばかり。
 ようやくも何も、一緒に暮しているのだから、それはもうしょっちゅう抱かれてるのでしょう? こう思ってる。
 それはあやかだけでなく、アスナ、夏美、アキラもやっぱりおんなじ。


「ふふふ。このかはね……」


 顔をアスナ達に近づけ、関係のないクラスメイト達には決して聞こえない小さな声で、


「昨日の放課後までは……バージンだったのよ? ね、このか?」

「「「「……はい?」」」」


 4人の首が同時に右に傾むいた。

 机の上でぐだ~っとしていた木乃香が、バッと顔を隠し耳がまっかっかになったのを見て、少女達は千鶴の言葉の意味を次第に理解し始めた。

 5秒経ち、10秒経つ。だがマダ完全に意味を理解出来ない。
 15秒経ち、30秒経つ頃になると、イヤ~な汗をダラダラ流し始める。
 そして、1分が経過し……


「「「「ええええーーーーーーーっっっ!!!!」」」」


 爆発した。




















「あーもうっ! 『違う』って知ってたら2人だけになんかしなかったのに!!」

「じゃあ性魔術の研究の時とか……、バージンだったの?」

「すっかり騙されちゃったね……」

「そんなことより、千鶴さん! 知ってらしたのなら、どうして!?」

 
 うまいことすりゃ、木乃香というライバルを横島から遠ざける事だって出来たのにっ!

 そんな4人の心からの声に、だが千鶴は、


「そんなの遅いか早いかの違いだけよ?」


 ───確かにっ!!

 4人はダクダク涙を流し、納得せざるおえなかった。
 そう、確かに納得したのだが、心の奥から沸々と沸いてくる黒い何かを完全に止めることは出来なくて。


「あーあー。このかったらさ、朝のご奉仕とかぁ? お風呂で一緒に身体を使ってとかぁ? 色々と教えてあげたのに、ずーっと自分がバージンだって黙ってたんだぁ?」


 首まで真っ赤にして聞こえないフリをしている木乃香の耳元で、嫌味ったらしくアスナがチクチク。


「え~? 処女だったのに、そんなことまでしてたんだぁ」

「そうなのよ。でもね、夏美ちゃん。このかは処女って言っても、手で、お口で、胸の谷間で、スマタで、まあ色々とやる事はヤッてたんだけどねー?」

「あー、それじゃ経験者だって思っても仕方ないかも……」

「でっしょー? アキラもそう思うわよね?」


 チクン、チクン、ズザッ、ザクッ

 アスナと夏美とアキラ。3人の口撃の度に、「あうっ!?」っといたたまれない様な声。
 ただ千鶴とあやかだけは一歩離れた感でいたので、木乃香は救いを求めウルウルとした瞳をむける。

 だが……


「小学生の頃からの付き合いでしたが……、このかさん? アナタが、そんな淫乱娘で腹黒女だったとは知りませんでしたわ」


 流石は女達のまとめ役。しっかりと止めを刺した。


 アスナ達は横島のハーレム要員と言われても仕方のない立場。
 本当だったら、ドロドロとした怨念渦巻く状態でも可笑しくはない。

 だが、実際の所は皆仲良しで、それなりに納得済みの間柄。
 足の引っ張り合いや貶し合いなんて絶対にない。
 無いのだが……、やはり嫉妬なんてものを完全に消し去るのは不可能で、ここぞとばかりにストレス解消。
 もちろん冗談半分でやってるし、木乃香もそんなことは分かってる。

 分かっているのだ。でも、


「ウチな……、腰がこんなんだから今日は横島さんのお世話がキチンと出来そうにないんよ」


 ビクンッ! 身体を跳ねさせる少女達。

 そう、ここで上手いこと木乃香に取り入ったら、彼女の代わりに横島のお世話が出来る!



 あ~ん、ってご飯を食べさせてあげたり。
 お風呂で背中を流したり、流してもらったり。
 夜はもちろん! ベッドで2人仲良く抱きしめ合って。
 朝起きたらおはようのキッス。
 色んな体液でベタベタの身体を綺麗にしようと、いちゃいちゃしながらシャワーを浴びて。
 そしてまたまた、あ~んって朝ごはんを食べさせてあげれる。
 いや、ここはいっそ口移しで……って、きゃーっ!
 最後に、いってらっしゃ~いのキスで学校にいってきま~す!!

 なんて桃色未来予想図……

 ネギが居候している今、こんな機会は滅多にない!

 だがアスナは「クッ……!」っと苦い顔。
 彼女は明日までエヴァンジェリンの世話をしなきゃならない。
 そうなると候補は、あやか、千鶴、夏美、アキラの4人。


「このかさん、私がお手伝いしますわ!」

「ちょっといんちょ! ここは私がやるってば!」

「えっと、私じゃダメかな?」


 身を乗り出して立候補するあやかと夏美。
 一歩引いた感だが、やっぱり自分がやりたいアキラ。

 だけど木乃香はあっさりと、


「ちづ姉、手伝ってくれへん?」

「ええ、いいわよ」


 3人をシカトして、千鶴にお願い。
 それはもう、とても良い笑顔で。

 つまらなそうに膨れるアスナに、がっくり項垂れるあやか達。
 口は災いの元。一時のストレス解消の為に、折角のチャンスを逃してしまった。

 る~らららー。

 冷たい風が3人の心の隙間にぴゅ~っとふいた。



 そして…………


 クルリ。千鶴が木乃香達に背中をむけた。
 自然に、誰にも変に思われないように。

 潤んだ瞳の先は窓の外。遠く離れた家の方をジッと見る。

 うっすらと桃色に染まった頬を手で隠し、「ふふ、上手くいったわね」誰の耳にも届かない小さな声が、教室の喧騒に紛れ、消えた。





























 一方その頃、早朝色々あったお陰で、見事朝食を取り損ねて腹を空かせているおバカが一人。

 ぐーぐー鳴るお腹、若い頃は1日2日程度の食事抜きなど日常茶飯事だったのに、今の堕落した彼はそれを耐える気がおきない。
 久々に牛丼でも食べに行こうか? それともスーパーでインスタントラーメンでも買って来ようか?
 すきっ腹でそんな事を考えながら教会へと続く道を歩いていると、ふと名案でも思いついたのか、手をポンと叩いて足を反対方向へ向けた。

 彼、横島忠夫には面倒を見ている少年が居る。

 その少年、ネギ・スプリングフィールドは、周りの大人達から内緒で与えられた試練の為に、昨日から家に帰っていなかった。
 ネギの保護者である横島にとってみたら、可也の問題があるはずなのだが、彼自身もこの件に一枚噛んでいるので問題はない。

 とは言っても、保護者として何らかの行動は起こさなければ不味いだろう。
 横島はそんな言い訳を口にしながら、ネギがいる図書館島は地底図書室を目指すのだ。
 まあ、そこに前もって用意されているだろう大量の食材が目当てなのだが。
 そこには夕映とのどかも居るだろうから、行けば朝飯どころか昼飯にだってありつけそうだし。
 それに何だかんだ言ったって、ネギが心配なのだ。

 ってな訳で、えっちらほっちら図書館島へと向う横島。

 中に入るなり図書館島深部まで一気に跳び、同士クウネルの秘蔵アイテムを強奪しつつ、ネギ達がいる場所まで跳ばして貰った。
 跳んだ先は、ファンタジーなんかよりもある意味不思議な場所。

 沢山の本棚が沈む地底湖。
 古い中世ヨーロッパな朽ちかけた建物。
 高い天井を支える樹木。
 その天井といわず壁までもが光輝く幻想的……、と言うよりは滅茶苦茶不自然な光景だ。


 この本、思っきし水ん中に沈んでるけど、大丈夫なのか? 


 横島にしては至極真っ当なツッコミをしつつ、ちょっと離れた場所で勉強会をやってるネギ達に視線を送る。
 丁度勉強会が終わるとこだったらしく、「そろそろ休憩しましょうか」ってネギの元気な声が聞こえた。
 疲れた~、などと言いながら、三々五々に別れるネギ達。

 こんな状況で鼻歌なんか歌ったりしてる、とても呑気な一行だ。
 流石の横島も、頭にチューリップでも咲いてんじゃないか? と思えるほどに気の抜けた彼女達に、すこ~しだけ呆れる。

 が、よくよく考えてみっと、自分たちも大差なかったよな~って思う。
 美神やおキヌと一緒に居た頃も、紅き翼に居た頃も、どっちでもバカばっかやってたんだから。
 真面目一辺倒、常時シリアス状態だったのは、神殺しセリカとの冒険の時ぐらいなもんだ。
 彼女達のお気楽極楽な所を呆れる資格なんぞ横島にはない。

 そんな自分を顧みて、ちょっとだけ苦笑いしつつ、ネギの居る場所まで気配を殺しながら近づいた。

 何で気配を消したか? それは少女達の中に、アスナ級の強者がいるからに他ならない。

 見つかったら面倒じゃね?

 どうせご飯を食べさせて貰うのに顔を出さなきゃならないが、その前にネギの様子が見たかった。
 そしてその面倒そうなのが、木乃香の護衛兼ストーカーの桜咲刹那と、学園長の資料にあった甲賀中忍長瀬楓だ。
 特に楓は横島的に要注意人物。なんせ、忍者だ、忍者。

 きっとくのいち的なエッチな技があるに違いない!! 

 なんて興奮して硬くなる股間の一物を宥めながら、2人に気取られぬように細心の注意を払ってネギの背後に回った。
 横島の女である夕映は、勉強が終わると同時にデッキチェアに腰を掛けて優雅に読書。
 同じく女であるのどかは、ハルナと一緒に朝食ならぬ昼食の準備をしていた。
 まき絵と中華娘、古菲は鼻歌混じりにお散歩状態。
 刹那はつまらなさそうに時折ネギの方に意識を向けるだけ。
 唯一ネギと同じようにあちこち調査しているのが忍者娘、楓である。




 こんな感じでネギの周りには誰も居なく、一人でアチラコチラを慎重に調査していた。


「う~ん、出口が見つからない……、多分この辺じゃないかと思うんだけどな~」


 焦燥混じりの小さな声が、横島の耳に届く。


「いざとなったら……、魔法で脱出するしか……、じゃないと試験に間にあわない……」


 頭で考えている事が、ボソボソと口から漏れ出す。
 魔法を使えば天井の隙間からヒョイっと抜けだすことも可能だろう。
 だけど、それは魔法バレを意味する。
 立派な魔法使いを目指すネギにとって、それは決してあってはならない事だ。

 でも、ネギはソレを覚悟した。

 実はネギ、ここに来る前に比べて『立派な魔法使い』に対して『は』、それほど拘りは無くなっていた。
 元々ネギが立派な魔法使いを目指すのは、英雄ナギ・スプリングフィールドを追い求めてのことだ。
 あの冬の記憶にある父親の背中と、周りの人たちが言う立派な父親の姿から想像した偉大な魔法使いを目指していたのだから。

 だけど、それが麻帆良に来てから少し変わった。

 周囲の大人達が話す漠然とした父親のイメージが、確固とした人間ナギ・スプリングフィールドになったのだ。
 アノ時の父親の姿から想像したナギ・スプリングフィールドではなく、どちらかと言えば、悪ガキ扱いしていたスタンさんの言うナギに。

 横島がネギに話すナギの姿は2つあった。

 英雄としてのナギと、偉大な魔法使いとしてのナギ。
 それは言うならば、まだまだ子供でやんちゃなナギと、大人になって少し落ち着いたナギだ。

 英雄だったナギは、ネギが想像した父親の姿そのものだった。
 強く、誰よりも強く、悪い奴ら薙ぎ倒す絶対のヒーロー。
 あの日、村を襲った魔族を蹴散らした絶対の強者。
 そして、立派な魔法使いとしてのナギは、ネギが『建前』で目指していた立派な魔法使いに相応しかった。

 でもだ、違う、違ったのだ。

 ナギは決してそんな称号を目指して、人々を救って歩いていた訳じゃなかった。
 英雄として、沢山の人々を導く資格を放り捨て、目に映る小さな命を救う本当に偉大な男だったのだ。

 それはバカな事だったのかも知れない。
 英雄としての方が、結果として多くの人を救えたかも知れない。
 でもナギは、そんな英雄が救える沢山よりも、万を救うために零れ落ちる一を救うために、戦火に傷ついた世界を歩いた。

 英雄となった子供は、大人になって人々を救う偉大な魔法使いになった。

 その道程を、ネギは横島から毎日聞いているのだ。
 今まで誰も教えてくれなかった、本当の父親の姿を。
 ネギは横島の話を聞いて、これまで以上に尊敬の念を父に抱いた。
 結果、父親を求める心が更に大きくなった。

 会いたい、会って話がしてみたい。
 そんな気持ちが、横島のお陰で大きくなった。

 代わりに立派な魔法使いに対しての思いは小さくなった。決して目指すのを止めた訳ではないけれど。
 まずはそんな事よりも、父に会って、話して、そして、あの日から目を逸らしていた『あの冬の日』の清算をしたい。

 強くなるよりも、皆を石化の呪いから解放しなきゃ、自分は何も進めない。
 ようやく、ようやく、その事に気付き始めた。
 麻帆良に来てから半月足らずで、10歳にもならないネギが、だ。
 誰も教えてくれなかった父の本当。
 それをほんのちょっと知っただけで、心の闇が僅かに晴れ、後ろ向きだった心が少しだけ前向きになったのだ。




 横島は、そんなネギの姿に、柔らかく目を細めた。
 出来の良すぎる弟を見る目で。
 これから苦労しまくるだろう少年の未来を案じて。

 そして、すぐさま邪悪な顔つきに変わる。
 大した苦労もしないで、ガンガン女の子にモテルだろう少年に嫉妬して。
 父親に似て、老若男女オールクリア的にモテまくるだろう少年に嫉妬しまくりで。
 ネギの憂い焦燥する顔が、まるで一枚の名画のように見えたから。


 こんのイケメン予備軍がっ!!


 横島は嫉妬に歪んだ顔で、足元不如意にあっちキョロキョロこっちキョロキョロするネギの足を引っかけた。


「だっ?!」


 横島の足払いは完璧であった。
 侵入角、速度、タイミング、全てがだ。
 ネギは、ドスン! 受け身も取れず、良い感じで地面に顔から突っ込んだ。
 そして横島は、涙目で痛そうに顔を押さえるネギの肩を、ポンと叩く。


「どうしたネギ? 大丈夫か?」


 素知らぬ顔で、心配そうに。


「あうう……、大丈夫です横島さん……って、ええっ!?」

「ん? なんかあったんか?」

「横島さん! なんでここにっ!!」

「なんでも何も、保護者に連絡も無しで無断外泊した悪ガキの様子を見に来たんだろうが」

「へうっ!? で、でも、これには訳がありまして……」

「まあ、言い訳はメシの後にな」


 言いながら転んでいたネギを立たせ、小さい右手をぎゅっと握って歩き出した。
 横島の暖かい手の感触に、嬉しそうに顔を綻ばせるネギ。まるで仲の良い兄弟みたいだ。
 それに、みんなを連れて脱出しなきゃ、なんて言う重圧からも解放された気になった。

 だけども、それは長くは続かない。

 のどか達が作った昼ごはんを食べ終え、ここから出る方法を横島から聞こうとした時には、もう彼は居なかった。
 最後にポンと優しくネギの頭を叩き、「頑張れよ、ネギ」そう言い残して、キレイさっぱり姿を消した。
 走って逃げたわけでもなく、どこかに隠れている様子もない。
 転移魔法を使った感じもなく、ドコぞの忍者みたいに、ドロンなんて分かりやすい効果音を立てて消えた訳でもない。

 気づいたらソコに居なかった。


「何者でござるか、さっきの御仁は……?」


 楓が、恐怖を滲ませた声でネギに尋ねる。


「えっ? 横島さんは父の友人で、僕の保護者ですけど……?」

「そう……でござるか……」

「どうしたんですか、長瀬さん?」

「いや、なんでも……ないでござるよ。ただ……」

「ただ?」


 不思議そうに聞くネギに、だが楓は答えることが出来なかった。


「いつの間に現れ、そして、消えたんでしょうか?」

「修行不足……そう言えれば楽になれる気がするアルよ」


 緊張した様子で刹那と古菲が話しているのが聞こえた。
 そんな彼女達の戸惑った様子に、夕映とのどかはどこか誇らしげだ。


「で、どうやって帰ったの、あの人?」


 ハルナの興味津々な問いかけに、うっすーい胸をズンっと突き出し、


「さあ? 知りませんですよ、ハルナ」

「うんー、さっぱり分かんないよー」

「そっかぁ。やっぱ横島さんは凄い!ってことでいいのかにゃ?」

「「当たり前です(だよー)!!」」







 だがしかし、横島はまだ帰ってなんていなかった。
 ここに居るのは思春期真っ只中の美少女達。
 空腹を満たせば、気になるのは汗と埃にまみれた自分の身体。
 乙女達は清水に身を浸し、その可憐な肢体を清めるのだ。





 楓の年にそぐわぬ大きな胸。

 古菲の引き締まった腰の窪み。

 刹那の雪のように白い肌。

 まき絵の未だ花開かぬ恥丘。

 


 
 どれもこれも甲乙付け難い美少女達の艶姿を、心のHDにしっかりと保存する横島であった。







[11660] ネギま!のほほん記 第20巻  エロ有り(千鶴SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:41



「ぐふ……ぐふふふ……」


 少女達が水浴びする素晴らしい光景が、男横島の目の前で繰り広げられていた。
 彼は様々な角度から少女達の裸体を拝み、存分に横島センシズたる煩悩を大いに高めていく。
 肢体を流れる水滴のアクセント。
 発展途上の胸に、ぱしゃぱしゃ水をかける少女達。
 どれも実に素晴らしい光景……
 エロパラメーターがグングン上がる。
 この世界全て覆うほどの小宇宙がモリモリ。
 調子に乗った横島は、楓や刹那、古菲といった危険極まりない連中はパスしつつ、軽いイタズラまでしてのけた。


 お尻をツン、「きゃん!?」
 オッパイをムニュ、「ひゃっ!? な、なに? 今のなによ!?」
 太股をなでなで、「ああんっ……」

「ちょっ!? なんかいるっ! ここ、なんかいるってっ!!」


 ハルナの絶叫も何のその。

 更には……


 おへそをチュッ、「いやあ~ん!?」
 乳首をカリッ、「い゛っ!? な、なんかに噛じられた~っ!!」
 素早く後ろに回りこみ、「今度はぬるぬる~~!?」まき絵の身体中を念入りに、たっぷりと唾液を擦りつけた。
  

 とまあ、本当にやりたい放題、呆れる程の煩悩野郎である。

 だが、不審そうに辺りを見回す楓と刹那に気づくや否や、こりゃやばいと即座に撤退。
 ゴキブリよりも早い逃げ足、更には他者の追随を許さない隠密性を併せ持つ横島は、容易く楓達の警戒網をくぐり抜け、何事もなかったかのようにお家に帰った。

 今の彼は、まさにやり遂げた漢の顔。
 彼の事を愛する女達が、今の彼の顔を見たならば、思わずポ~っと見惚れてしまうほどだ。

 そんな横島だが、一つ残念な事があった。
 それは家に帰っても、腰を痛めた木乃香しかいないってトコ。


 覗きで溜めた煩悩を爆発出来ないではないかっ!!


 何となしに、ずっしりと重くなった気さえするピー。

 こりゃ飯食ったら久しぶりにナンパでもしに行くかな?

 木乃香の事を思えば、割かし外道な事を考えつつ自宅玄関のドアを開ける。
 だがそこで待っていたのは腰痛に苦しむ木乃香ではなく、エプロン姿でニコニコしている千鶴だったり。


「……千鶴?」

「なにかしら?」

「勉強はどないしたんだ?」

「テスト勉強は終わってます。今更することなんてないのよ」

「そ、そうか……、んで、木乃香はどうした?」

「よっぽど疲れてたのね。アナタを待ちきれずに……、寝ちゃったわ」


 木乃香が疲れている原因に思い当たりが有り過ぎる。
 だけどまあ、これは好都合と言わざるおえない。
 木乃香を気にしないで、千鶴とイチャイチャしまくれるのだから。

 千鶴のエプロンを脱がせてあげながら、横島はそんな事を企んでいたのだった。

























  ネギま!のほほん記  第20巻  千鶴SPイベント①





























 千鶴と言う女は、横島にとってモロ好みの女だと言っても過言では無い。
 外見だけで好感度が決まるなら、ぶっちぎりの断トツTOPは間違いないのだ。
 バスト94、ウエスト63、ヒップ89のナイスバディーは、それだけで無限の価値があったりする。
 豊満で柔らかいおっぱい、安産型で張りのある尻、ムチムチな太腿。どれをとって見ても大好物。
 家庭的でほんわかに見えたりするところも、横島のマザコン気味な性癖にジャストフィットである。

 横島は、そんな彼女とデートに出かける事にした。
 家でダウンしている木乃香に悪い気もするけれど、たまにはこうして2人きりでイチャつくのも悪くはない。
 とは言っても、本当にちょっとしたデートなのだ。
 学園都市内を巡る電車に乗って、レンタルショップにDVDを借りに行くだけなのだし。
 だがそれは、持たざる男達にとって、許しがたい羨望の光景であった。

 見かけ大学生どころか、OLと言っても違和感がまるでない超絶美女である千鶴と、べったり寄り添いながら歩く平々凡々な顔の男。
 


 あの程度の男が、あんな美女と、だとぉ!?

 あれで良いなら俺だって……!

 羨ましい……

 妬ましい……

 憎たらしやぁあああああああああああっっ!!!



 逆の立場なら、横島とてこんな感じで怨嗟の声を上げながら、藁人形を打ちつけただろう。
 だが、横島はそんなかつての同僚達の怨念を、むしろ心地好いとばかりに笑顔いっぱい。
 得意げな顔でレンタルショップを練り歩く。
 わざわざモテナイ男達に見せつけるよう千鶴の腰に手を回し、千鶴も嬉しそうに横島にべったりひっつく。

 実際、千鶴は嬉しかったのだし。

 こうして2人きりで店の中を歩くのが、普通の恋人同士みたいで胸がドキドキする。
 普段なら、とても見ようとは思えない映画やドラマのDVDですら、とても魅力的に見えるくらい。


「ねえ、これなんてどう?」

「う~ん……、続きモンは後が辛くねーか?」


 千鶴が手に取ったのは、今話題の洋ドラである。
 シリーズ合計7作84話もある大作で、レンタルDVDなんざ滅多に借りない横島にはちょっと……って感じである。
 だが、千鶴はたわわに実ったオッパイを、ムギュッと横島の肘で押し潰すと、


「あら、もう連れて来てはくれないの?」


 そう言って、子供っぽく横島を見上げた。
 きらきら瞳を輝かせて、年相応におねだりする。
 肘に感じる柔らかい感触にだらしなく顔が崩れそうになるが、横島はそんな千鶴の可愛い仕草に、にんまり和やか気分に変わる。
 千鶴の長くサラサラとした髪の中に手を入れると、気持ち良さそうに目を細める彼女のうなじを撫でさすった。

 千鶴の目は、横島を信じ切ってる目だ。
 そして横島も、そんな風に見られると応えたくなるってもんだ。


「週に一回だけだかんな」


 ニッカリ笑った。
 横島らしい笑い方。
 それは千鶴の大好きな笑みだ。


「ふふふふふ……」


 千鶴のいつもの大人っぽい笑い方が、


「えへへへへ……」


 段々と子供っぽい笑い方に変わるのだ。
 周囲の者達も、千鶴の可愛い変化になんかとっても良いモノを見た気分。
 持たざる男達は、そんな魅力的な美女をモノにしている横島への怨念を、尚一層に強めるのだった。

 そして、そんなバカップル丸出しの2人に、目を大きく見開いて唖然とする少女が3人。


「信じ……らんない……」

「うん、そうだねぇ……」

「『あの』那波さんが、すんごく可愛い……」


 物陰に隠れてこっそり覗き見る3人は、千鶴のクラスメイトである柿崎美砂、釘宮円、椎名桜子である。
 彼女達にとって……、いいやクラスの誰にとっても驚きだろう。
 何せ、良い意味で化け物染みた容姿が多い2-A生徒の中でも、一段と老けて見え……、もとい大人っぽい千鶴が子供みたいに笑っているのだ。
 誰が見ても色気と艶のある美人と言うだろう千鶴が、本当に愛らしく笑っている。


「あっちのもどうかしら?」

「なにぃー!まだ借りんのっ!?」


 楽しそうにする姿は、普段とは違って確かに年相応な少女の姿で。
 ちょっと情けない風体の青年を引っ張り回し、バカップルでなければ仲の良すぎる兄妹にしか見えないかも。

 いや、やっぱバカップルでしか有り得ない。
 なんせ、彼女達の目の前で、千鶴は青年の唇にチュッと、口づけしたから。
 「ね?いいでしょ?」なんて甘えた声を出して。
 青年の方も、「しゃーねーなー」って言いながら鼻の下を伸ばす。
 そして仲よく手をつないで、カウンターで清算を済ませるのだ。

 本当、ただのバカップルである。


「ひゃーん、いいフンイキぃ~」

「これは……、私たちチアリーダーの名にかけて……」

「那波さんの恋の応援するのよ!」


 そのバカップルのラブな雰囲気にあてられてるのか、やたらとハイな3人の少女。
 テスト勉強をしなきゃならない、そんな事情からくる現実逃避も混じっているのだろう。
 家路につく横島と千鶴の後を、迷わずこっそり追いかけた。
 すぐさま横島に感知される程度の尾行術。
 稚拙で幼稚なその行為は、だが何故だか横島に見つかることは無かった。
 それは3人の少女達にとって、幸運だったのか、それとも不運だったのか……

 いいや、おそらくは幸運なのだろう。
 3人の少女の中の一人は、とある精霊に愛されていた。
 幸運の精霊フォーチュンに。

 そして、その精霊に愛されているのが、椎名桜子であった。
 物事の事象を、無理がない範囲ではあるが、桜子が好いように捻じ曲げる。
 どんな結果が出ても、最終的には彼女にとって幸せが巡るように……

 そのフォーチュンに愛されている桜子が、横島と千鶴の後をつけるのだ。

 桜子にとって横島が害を成す存在ならば、あっさりと見つかり逃げられただろう。
 だけども、横島が桜子にとって何らかの益を成す存在ならば、決して横島は桜子を感知できない。
 横島に対して敵意がなければ尚更だ。
 だからこそ横島は、桜子と残り2人を感知できなかった。
 横島が感知できないから、桜子は見てしまった。
 幸運の精霊の導きのままに、いつか彼女に巡る幸運のために。

 でも、ほんっっとうにっ! 幸運なのかはマジ微妙。

 なんせ、横島と千鶴は、帰りの電車の中で…… 





























 胸がドキドキ高鳴って、頬が笑みの形でゆるんでしまう。
 さっき借りたDVDの入った袋を左手に持って、右手は彼の暖かい手。

 うれしい、うれしい、うれしい!! 

 千鶴は本当に嬉しくて仕方ない。
 家に帰るのが待ち遠しい。

 このかは起きてるだろうか?
 起きてたら、彼を挟んで3人仲良くDVDを視るのだ。
 2人きりなのも良いけれど、こんなに好い思いをしたのだし、少しは幸せのお裾分けしなきゃ。
 それでも腰が痛くて動けないこのかには出来ないエッチなこと、いーっぱいしてあげるつもりだけど。


 楽しい気分でにこにこ。
 千鶴は彼に手を引いてもらいながら、電車の中に足を踏み入れた。
 いつもとは違って人気がない電車の中。
 皆、テスト前で外出を控えているのだろう。
 それでも隣の車両には、まばらでは有るが人の気配がする。
 だが、横島と千鶴の乗った車両には、何故だか誰も乗ってはいなかった。
 別段、横島が何かをした訳ではなく、本当にただの偶然。
 でも、彼はその偶然を捨てるなんて勿体無いことはしない。

 出入り口近くの長椅子に腰かけようと、千鶴が足を前に進めたとき、急に腕をグイッと引っ張られた。


「どうかしたの?」


 キョトンと彼の方を見る。

 だけども答えは返ってこず、本当にどうしたのかしら? と首を斜めに傾けた。
 長い髪がふわりと流れ、彼の首元を通り過ぎる。
 香ってくる彼女の匂い。女の匂い……、では無かった。

 普段みんなに見せているのとは違って、今の千鶴は本当にただの少女でしかない。

 年明けのあの日から、横島と2人きりの時にだけ見せる彼女の素顔。
 大人びた色気ある顔のはずなのに、こんな時は本当に幼い少女に見える。
 その外見から強要される大人としての自分ではなく、ただの14歳の少女。
 その少女の顔で、彼の顔をジッと見つめた。

 千鶴は彼が好きだ。
 どこにでも居そうな平々凡々な彼が。
 子供みたいに楽しそうに笑う彼が。
 そしてあの時見た、化け物に向っていく雄々しい彼が。 

 とても好きだ。

 だから、真面目な顔で自分を見ている彼に、ぽ~っと見惚れてしまう。
 彼の顔が少しづつ笑みに変わる。イタズラ好きの子供の顔だ。
 この顔も好き……、なんて思ってしまったから、この後の対応が徹底的に、そしてどうしようもなく遅れてしまう。

 あっ! そう思ったときにはもう、視界がクルリと180度回った。

 電車内を視界に納めていたのに、今通りすぎたばかりの出入り口のドアに変わる。
 突然のことに、思考が混乱してしまう。
 そして、おなかのへその辺りに彼の両腕が巻きつき、背中からぎゅっと抱きしめられた。

 いけない!このままじゃ、ここで……

 千鶴はこの先、自分がナニをされるのか分かってしまった。

 こんな場所じゃ……恥ずかしい……

 逃げたい、逃げ出したい、なのに、そう思ってるはずなのに、身体が思うように動かない。
 ズズイっと彼に押され、ドアの窓ガラスが眼前に迫る。


「だ、だめよ……! 誰か来ちゃうわ……」


 ようやく、ようやく拒否の声が口から出るも、すでにスカートの中へと彼の侵入を許してしまっていた。
 太腿に感じる彼の暖かい手の感触。
 それがジリジリと焦らすように、内腿から股間を目指して撫であがる。
 ゾクゾクっとした快感に似た何かが、身体の中心部を走った。


「んぅっ!?」


 思わず出そうになった声を堪えながら、DVDの入った袋を持つ手とは逆の手で、必死に侵攻を食い止める。
 そうして完全に無防備になってしまった千鶴の胸を、横島は遠慮なく蹂躙するのだ。
 服の隙間から手を差し込み、ブラを肌蹴させ、そして彼女の大きな胸を撫でさすり、揉みあげる。


「は! ひ……っ!! いやぁ……」


 弾力がある胸を思う存分に揉まれ、ついには口から快感の声が漏れだした。
 慣れ慕むほどに知っている彼の手の感触が、彼女の思考を白く染める。


「やっぱ千鶴のおっぱいは最高や~」


 頬が熱くなる。女の情欲が顔を出す。
 全身の力が入らなくなり、いや、いや、と首を左右に振るのが精一杯。
 だけども彼は嫌がる千鶴を尻目に、スカートの中に突っ込んでいた手を股間のクレバスへと滑らせた。

 びくりと千鶴の身体が跳ねる。


「あっ、そこ、だ、だめよ……おねがい……」


 千鶴は股をギュっと閉じて彼の手を止めようとするも、股間と太腿の間の空間に手を滑り込まれ、下着の上から敏感な部分を刺激される。


「ふぐぅ、んぐぐ、あぁ、んんっ、あっ、やっ……そんな触っちゃ……声がでちゃう……っ!!」


 羞恥で顔を赤らめ、身をくねらせる。
 誰か来たらどうしよう? 見られたくない。誰にも、彼以外には。
 なのに、その彼が彼女を追い詰めるのだ。


「こんなにネットリ濡らしといて、エッチな女だよ、お前は……」


 股間を這わせていた手を、彼女の前に見せつける。

 気づいていた。自分が濡れているのは。
 彼の手が蠢くたび、どうしようもなく身体が反応してしまうのだ。
 だけども、下着越しからでもあんなに指が濡れるなんて……

 彼の指についたベトベトした粘液が、ヌラリと光った。
 ねっとり指と指の間に糸を引きながら、プツンと切れる。

 それを見て、違う、違うの、と力なく首を左右に振って否定する千鶴。
 そんな彼女の唇に、その彼女のエッチな汁で濡れた指を押しつけるのだ。


「ほら、千鶴のエッチなお汁」


 そう言って、彼女の唇を割り、口中に指を突っ込んだ。


「んぐっ……んぅ……ぴちゅ、ちゅ、れるぅ……」


 淫らな顔で指をしゃぶりだす。
 甘酸っぱい味が口の中一杯に広がり、次第に彼に開発された身体が疼き始める。
 子宮がキュゥンっと鳴った気がした。
 それでも、ここが公共の場であることが彼女の恐怖心を刺激し、完全に横島の行為に没頭出来ない。

 出来るはずもない。

 微かな物音が聞こえる度に、ビクン、ビクンと身体を跳ねさせ、不安そうに辺りを見回す。
 声が出てしまう度に、誰かに見つかるんじゃないかと言う恐怖に怯え、目蓋が熱くなる。
 なのに彼は、そんな千鶴を分かった上で、更なる刺激を彼女に与えようとするのだ。
 千鶴の上着を肌蹴さすと、プルンと揺れながら飛び出す大きな胸。
 ひんやりとした外気に触れ、鳥肌が立つような寒気がする。
 彼の愛撫によるものだろう。陥没していた乳首が、ひょっこり屹立していた。
 それを引っ張り、捏ねくり回し、激しくさする。


「いや、よ……こんな、場所じゃ……んぅぅぅ……」

「だったら、どんな場所ならいいんだ?」


 意地の悪い言い方。

 分かってるくせに……!

 何度もそう思う。
 なのに、本気で彼を振り払えない。
 本当に嫌がったら、彼は止めてくれるのに……

 いやなのに、いやなのに、もしも誰かに、彼以外の誰か男に見られるのは……いやなのに……

 目の端に溜まっていた涙がついに決壊し、頬を濡らす。


「そんなにここじゃイヤなんか……?」


 千鶴の涙を見て、少し残念そうに声を出す。
 彼女はスンっ、と鼻をすすり、コクンと首を縦に振った。
 彼のしたい事は何でもしてあげたい。でも、ここではやっぱりイヤなのだ。
 前に屋上で乱交……もとい、性魔術の研究をした時とは訳が違う。
 誰も来られないし、誰にも見られない結界を張ってる訳じゃないのだから。
 それに何より、しょせんはただの中学生。
 いつ、誰がここに来るか分からない状況では、怖い。


「……そっか、ごめんな、千鶴」


 彼の優しい声色に、ホッと胸を撫で下ろす。

 よかった……

 帰ったら、いっぱいサービスするから、だからゴメンなさい……

 だけど、


「でもな、もう我慢が出来んのじゃーっ!」


 次の言葉で絶望に堕ちた。
 手が再びスカートの中を弄りだし、ショーツに手をかけたと思うと、そのまま太腿の半ばまで摺り落とされる。
 エッチな汁で濡れた股間が外気に触れ、ヒンヤリとする。
 ゾクッとした悪寒に、身体が硬直した。

 続いてスカートを捲られ、お尻が剥き出しになってしまう。
 恥ずかしくて抵抗しようとするけれど、そのままドアと彼の体に挟まれて身動きがとれない。
 冷たいドアの窓で胸が押し潰されて、外から見たらどんなに卑猥なことだろうと思う。
 息がかかる窓が白く曇り、今こうしてる自分がとてもリアルに千鶴は感じるのだ。
 彼の指が無遠慮に千鶴の女の部分と、そして後ろのすぼまりを愛撫しだす。
 ワレメをなぞりあげながら、最も敏感な部分へと指が伸びる。
 同時に後ろのすぼまりの皺を広げつつ、中指の第二関節までヌプッと淫音を立てて沈んだ。


「んんぅぅぅっ!! ひぃ、やぁ……、怖い……の、お願い、これ以上されたら、声が我慢出来ない……」


 やめて……、そう懇願する千鶴。
 だけども彼は、淫核の薄皮を慣れた調子で剥くと、敏感なその部分を乱暴に捏ねくり回す。
 前と後ろ、同時に来た強い刺激。


「ひぃああぁぁぁああああああああっっ!」


 周りを気にする余裕も消え失せ、大きく嬌声をあげてしまう。
 プシャァァアアアッ!股間から大量の愛液が吹き出し、彼のズボンを濡らしてしまった。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 肩で息をする。絶頂の衝撃で頭がぽや~っと白む。
 溢れ零れた涙のせいで、窓からの流れる景色がボンヤリ霞んで見えた。
 ポタッ、ポタッ……、股間から溢れ出す愛液が、床に水溜りを作り出す。
 ヒンヤリとしていた筈の鉄で出来た扉が、千鶴の発情した体温で熱くなった。

 そして、彼は千鶴にこう言うのだ。


「前と後ろ、どっちに欲しい?」


 どちらもイヤなのよ。お願いだから、もう止めて……

 心からそう思っている筈なのに、千鶴の口から出た言葉は、


「後ろ……に、お願い……します……」


 途切れ途切れに、彼を望んでしまう言葉。

 何でこんな事を言ってしまったの……?

 困惑する。

 それとも、これが私の……、本心……?

 力なく首を左右に振って否定する。
 認められない。認める訳にはいかない。
 彼は好きだが、こんな場所でされるのは嫌なのだから。

 嫌な、はず・・・・・・

 だからすぐにさっきの言葉を撤回して、否定の言葉を言わなきゃ。
 そう思ったのに、彼の手が千鶴の尻たぶを掴み左右に開く。
 露になったすぼまりに、彼の分身の先端が口をつけた。


「ひっ……!」


 短く出た悲鳴。


「いっただきまーすっ!」

 彼の悦んでいる声。
 その瞬間、ズンッ! 衝撃が彼女を襲う。
 千鶴の後ろに、彼の大きすぎる肉の棒が、ゆっくりと根元まで突き入れられたのだ。
 彼の肉棒が直腸を、ぐ、ぐぐぐ、ぬぐぅ……と進むたびに、ぞくぞくっ、背筋に鈍い快感が走る。


「ぁ……ぁぁぁぁああああああっ!」


 こみ上げる様な、だけども堪えきれない快感。
 抑えようとした声が、決壊した。
 恐らくは隣の車両までも響いただろう大きな嬌声。
 静かだった電車内に、彼女の嬌声が反響し、木霊した。

 そこの初めては彼では無かった。
 化け物、その性器たる触手……

 でも、その感触を忘れさせようとする彼の頑張りによって、今ではもう、千鶴は触手の感触を思い出せない。思い出す事もない。
 それほどまでに、彼に開発され、愛された、彼の為の快楽器官。
 彼の形を覚え、彼の為だけに存在するその穴は、彼の望むがままの快感を、彼と、そしてその持ち主である千鶴に与えるのだ。

 2度目の絶頂の衝撃に、腰から力が抜けて倒れそうになる千鶴。
 だけど、彼はそんな千鶴を後ろから押し上げ、電車のドアで押し潰すほどに激しく、自分の腰で彼女の尻をパァーン、パァーンと打ちつける。
 前の穴と違い、どこまでも果てがない直腸を、ヌチュ、ズチュ、ズチュ、滲み出る腸液のヌメリの助けを借りて、出たり入ったりを繰り返す。


「きゃぅ! きゃぅぅ!! お尻、感じるのっ! あああああっ!! イク、イクわ、イッちゃうぅぅっっ!!」


 3度目の絶頂は、前の2度とは比べ物にならない程に激しいモノで、強い絶頂に激しく身体を震わせ、彼の肉棒をキツク締め上げた。


「……ぐぅっ、おらぁぁあああっ!!」


 彼が吠えた。同時に、ビュビュビュビュッッッ!!! 熱い塊が千鶴の内臓を犯す。


「んぁあああっ! あなたの、熱いの出てる……私のお尻の穴に……」


 涎と涙で濡れた顔を、彼女のソレで汚れた窓に押し付ける。
 熱い吐息を忙しなく吐きながら、「好きよ……私の……アナタ……」彼女は彼への愛の言葉を紡ぎだした。
 まだ千鶴の後ろに深々と突き刺さったままだった肉棒が、ググンっと力を取り戻し、大きくなる。


「ぁぅんっ……」


 その衝撃で、背筋がピーンと伸びた。
 濡れた瞳を彼に向けると、「今度は、前をお願い……」すでにここが何処か気にならなくなっているのか、催促の言葉。


「ったく、もうすぐ駅に着いちまうってのに……」


 言葉とは裏腹に、彼の頬の筋肉はどうしようもなく緩んでいた。
 そして、ゆっくりと引かれていく彼の腰。
 少しづつ彼女の腸内から引き抜かれていく肉棒。
 肉棒のエラが千鶴の腸壁を引っ掻き、例えようもない快感に悶えるのだ。
 強制的に得られる排泄感に似た快感。足が震え、まともに立つ事さえ出来ない。
 彼はガクガク痙攣する千鶴の腰を無理矢理に押さえつけると、最後の亀頭の部分をポンッ、と外に引き抜いた。


「んふぅううっ!!」


 その衝撃で千鶴は4度目の絶頂をしてしまう。
 心なしか抑えられた声の高さ。
 でも、十分に電車内に響き渡る。
 続けざまにヴァギナを割り、膣道を通って、子宮をグンッと突き上げた。


「ンぁはぁああぁっ!」


 5度目の絶頂。

 もう、何も考えられない。
 ヌチュッ、ズチュッと淫靡な音を出しながら掻き回される。
 お腹が引き攣るような圧迫感と、強く奥を抉ってくる力強い彼に、子宮が熱を帯び、愛液が湧き止らない。
 彼が腰を突き上げるたび、千鶴は甘い刺激にとろけそうになる。

 だから、


「もっと……激しく、してください……」


 横島は本気になる。

 千鶴を後ろから抱え込むと、彼女の両足を持ち上げ、赤ん坊におしっこをさせる様なポーズをとらせ歩き出す。
 人気のない電車内を我が物顔で堂々と。
 横島がドスン、とわざわざ衝撃を立てながら歩くと、「はぅんっ!あっ……ふあぁっ……深く、くるぅ……」恥ずかしそうに顔を俯かせながら甘い声を漏らす。
 それでも尚、決してDVDの入った袋を手放さない彼女に、横島はとても愛らしく思うのだ。

 千鶴、好きだぞ……、お前の大人っぽいトコも、それでいて子供みたいに茶目っ気溢れてるトコも、みんな、みんな……

 横島は彼女への愛を噛み締めつつ、長椅子に座った。
 後背座位、その体勢で、胸は剥き出し、スカートはヘソまで捲り上げられ、あからさまに交わっている2人。
 横島が腰を突き上げるたび、千鶴の大きな胸が激しく上下に揺れ、バウンドする。
 
 もしも隣の車両から人が来たら……、それだけで身の破滅となる程に大胆な性交を楽しんでいた。
 繋がったままクルリと彼女を半回転させると、今度は対面座位の体勢になって、ごくごく自然と彼女の濡れた唇を奪った。
 柔らかな唇の感触を貪りあいながら、舌を絡め合い、腰を揺らめかせた。
 右に左に、回って突き上げ……激しく振動する肢体。
 だけども、決して唇を離さず。

 唾液をすすり合う音と、横島に塞がれた唇から漏れ出る、くぐもった喘ぎ声。
 そして2人の腰がぶつかり合う音が、隣の車両で覗き見ていた3人の耳に、はっきりと届くのであった。























 ゴクン……、生唾を飲み込む音が耳に届いた。

 それは一体誰の?
 自分? それとも、一緒にいる誰か?
 それすらも分からないほどに、繰り広げられる痴態に夢中になる。
 3人、折り重なるように我も我もと覗き込んだ。


「うっひゃあー!?」

「す、すごっ……!!」

「こ、これって見つかったら停学なんじゃ……」

「下手したら退学だって!」


 ディープキッスをしたまま、深く繋がり合い、男が腰を跳ねさせるたび、千鶴のアソコから飛沫が噴き出す。
 ポタポタと千鶴と男の合わさる部分から流れ落ちる粘る液体が、長椅子を、そして床を濡らしヌラリと光った。
 そして、隣の車両の覗き窓から覗く3人の耳を犯す、淫音。

 グチュ、グチュ、ジュプッ、ジュプッ……

 初めて聞く音……
 初めて見る淫らな交わり……

 3人は知らず自分の下着を濡らしながら、興奮した面持ちでかぶりつく様にして見るのだ。


「ね、ねぇ美沙……? あんた彼氏いたよね?」

「へっ? いるけど……それが何よ?」

「み、美沙ちんも、あんなことしてるんだね~」


 凄い形相で振り返る美沙。
 慌てて手をパタパタ、首も左右に振って必死になって否定する。


「し、してないって!ってかさ!あんなデカイの入らないってっ!!」


 美沙が指差す先には、千鶴の中から出たり入ったりする大きな肉杭。
 テラテラと愛液に濡れて光るソレは、余りにグロテスク、余り巨大にすぎた。
 未だ男を知らない少女達にとってソレは、ただ恐怖の対象としか映らなかったのである。

 男を知っていたら、また別の見解があっただろうが。
 ぶっちゃけソレは、平均を遥かに越える大きさであったから。

 だから美沙がセックスに恐怖感を抱いてしまったのは仕方の無い事だろう。
 初めて見る男のモノとしては、最悪なまでに不適切であったろうし。
 ただ、あんなデカイの入らない、ってのは円と桜子も同じ見解だったみたいで、コクコクと首を上下に振った。


「やっぱ那波さんは大人だった……」


 円の呆然とした呟きに、美沙はやっぱりコクコクと首を縦に振る。
 2人がそうやって頷きあっている中で、まだ桜子は千鶴と男の交じり合う姿を見ていた。
 人差し指を咥えながら、羨望に満ちた声で、


「でもさー、ちょっと羨ましいよねー」

「「えっ!?」」


 驚き目を見開かせる2人に、失言したと気づいた桜子は、「にゃははは」と笑って誤魔化そうとするも、


「ちょっ、桜子! ダメよ、ダメダメ!! 略奪愛はダメだって!!」


 と凄い剣幕。
 桜子は慌てて、


「ち、違うよー! そうじゃなくって……」


 そうじゃない。そうじゃなくて、桜子の中の何か……幸運の精霊が、千鶴を抱いてる男の何かを求めているのだ。
 幸運の精霊フォーチュンが、狂おしく、切なく、あの男の力の源を……欲しているから。

 だからそれは、桜子のはっきりとした意識から導き出されたモノではない。
 彼女自身はどうしてこんな気持ちになるのか分からない。分かる訳がなかった。
 大体において、初めて見ただけの話した事もない他人の彼氏に、しかもその彼氏は特に2枚目と言うわけでもなく、金持ちみたいな雰囲気もない。


 そんな人に、いきなり恋愛的な感情を持つ訳ないよ~。


 桜子は両手をバタつかせて必死に否定するのだが、美沙と円は、桜子があの男に好意を持ったのだと完全に思いこんでしまった。
 何とか桜子にあの男を諦めさせようとする2人と、そうじゃないって!っと必死に誤解を解こうとする桜子。
 3人の喧噪は果てしなく続き、何より、あまりに刺激的な光景を見てしまったせいか、せっかく覚えたテストの一夜漬けがぶっ飛んだ。
 何より寮に帰って着替えをする時に見た、エッチな体液で汚れた自分の下着を見て自己嫌悪。
 何だかとってもやるせない。
 もう勉強に身が入らないし、する気も起きない。

 結果、美沙、円、桜子の3人は、成績を大幅に落としてしまった。
 そんな感じで地味にネギの足を引っ張った横島。
 だがしかし、そんな事実を知る由もなく、ただひたすらに千鶴の肢体を貪るのだった。


「オラオラオラーーーっ!!」

「きゃうん、ああん、すき、すき、すきぃいいいいいっ!!」


 淫らな声で3人の少女の鼓膜を震わせながら……


































 駅から自宅への帰り道、千鶴は唇を尖らせていた。
 ぷくーって頬を膨らませ、怒ってるんですからね!ってアピール。
 でも、怖さよりも愛らしさが前に出すぎて、なーんも怖くはなかった。
 それに千鶴も、決して横島の腕に絡まるのを止めようとはしない。
 腕に当たる豊満なおっぱいの感触に鼻の下を伸ばしながらも、むくれる千鶴を宥めようと、ちょっとあたふた。
 尖った唇も、次第にいつもの柔らかく微笑む形に変わり、そして、2人の唇は自然と合わさる。
 月明かりの下、まばらではあるけど人が通る道筋で、ただ普通の恋人のように。


「好きよ……、だから私のこと、忘れないで……」


 千鶴のささやきが、横島の耳に入る。

 千鶴を抱き寄せ、ゆっくり、ゆっくり……、ゆっくりと……

 暗闇の中、一本の道を、歩き続けた。






        いつか来る、絶対的な別れを、脳裏から振り払って




































 後書き

 ってな訳で、これが本当の20話だ!

 それはともかくとして、90万HIT企画の最後にあった、100万HIT企画案。
 アンケートを取っていた訳でもないというに、おまんら……(汗
 まあ、せっかく何で集計してみたw





 1位  A案 とらいあんぐるリリカルヨコなのsts  10票
       (続ヨコなの)

 2位  F案 カードキャプターさくら 極楽大作戦!  7票
       (カードキャプターさくら 横島がケルベロス ※獣姦注意w)

 2位  M案 もともと永遠だったYOKOSHIMA  7票
       (永遠のアセリア)

 4位  B案 おまもりリカルなのはと鬼斬り役と  6票
       (おまもりひまり+ヨコなの)

 5位  G案 ぼんのうたるもの  5票
       (うたわれるもの)

 5位  P案 Fate/イリヤとしないto!  5票
       (あれの続き 何も思いつかないんでこれは絶望的)

 7位  E案 YOKOSHIMA QUEST ~犬姫さまと横島さん~  4票
       (ドラクエ2)

 7位  I案 起動戦士ガンダム YOKOSHIAMA ですてにー  4票
       (種だか運命だか)

 7位  Q案 ヨコアスなの! ~アスナVSなのは~  4票
       (横島、なのは世界から帰還 そして……って、これを書くとしたらヨコアスが終わってからw)

 10位 D案 スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION Y  3票
        (SRW OGS)

 10位 L案 スクラップド・プリンセス ~煩悩男との艶恋歌~  3票
        (捨てプリ)

 12位 H案 大横島  2票
        (大悪司)

 12位 N案 霊能騎士(オカルティックナイト)YOKOSHIMA 2票
        (魔法騎士レイアース 原作版)

 14位 C案 銀河忠夫伝説 ~わが征くは煩悩の大海~  1票
        (銀河英雄伝説 ラインハルト→ライン春子)

 14位 J案 マールでYOKOSHIMA!  1票
        (マール王国物語)

 14位 O案 キーやんのママがみてる 2nd  1票
        (エイプリフール嘘企画の続き)

 栄光の最下位 K案 鋼鉄天使マリア  0票ww
           (鋼鉄天使くるみ 原作版)





 断トツにA案だったなー。
 他はあれだ、K案の鋼鉄天使マリアが0票なのに全俺が大笑い。
 マリアと茶々丸がヒロイン話は見たくないのか、鋼鉄天使くるみに誰も興味がなかったのか、どっちだ?

 案件の原作が古くさいのは、作者が単にここ3年ばかしに出てきた作品を知らんから。
 その頃はあれだ、受験で趣味の殆どを封印していたからね。
 だからそれ以前に読んだりしたものしかないのよwww



 ちなみに、今回の結果はそれなりに参考にしますが、特に影響を受けたりは鋼鉄天使マリアが消えたって事だけですwww





[11660] ネギま!のほほん記 第21巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:42







 一人ぼっちの部屋で、一人寂しくテスト勉強。
 とてもじゃないけど身が入らない。
 行方不明と伝えられたルームメイトが心配だから……ではなかった。
 期末試験、その後に迫るイベントの所為である。

 それは、卒業式。

 卒業式とは言っても、彼女が卒業する訳ではない。
 彼女はまだ中学2年生、卒業するのは来年だ。

 だったら、なぜ?

 それは……、


「はぁ……、せんぱい……」


 熱い溜息と共に零れた言葉。


「ウチも……いいんちょ達みたいに……」


 好きな人に、自分を好きになってもらいたい。
 あやか達のように、好きな人を想ってキレイになりたい。

 だから彼女は、


「うん、頑張らなアカン。頑張って……告白するんやっ!!」


 そう、彼女、和泉亜子は卒業式の日、先輩に、告白するのだ。
 何度も迷った。いいや、今でも迷っている。
 自分のような脇役体質が告白なんかしても、上手くいきっこない。
 例え上手くいって彼氏彼女となったとしても……


 亜子は洗面所の鏡の前に立つと、上着を脱ぎ捨て鏡に映った自分の背中を見た。
 自分をただの一般人だと思っている亜子が、少しだけ普通の人とは違うと思っている所。

 ちょっと薄い髪の色と瞳の色。そして、背中の───


 右肩の下の辺りから左の脇腹にかけての傷跡。
 彼女の、最大のコンプレックス。


 ───こんなん見て、キライにならへん男の人なんておらへん……

 醜い……背中の傷……
 やっぱり、ダメや……
 上手くなんていきっこない。
 でも……


 何度も彼女のまぶたの裏に繰り返される光景。
 あの、あやかの嬉しそうな、幸せそうな顔。
 うっとりしながら好きな人のことを語る横顔は、とてもキレイで、憧れる。

 だからこそ、頑張るのだ。

 さっきの宣言通りに、頑張って、告白して、そして、憧れの先輩と……


「ぎゃーっ! なに考えてんねんウチっ!!」


 じたばたしながら部屋中を転がり回る。
 脳裏に描いたのは、あやか達が身体中につけていたキスマーク。
 顔が真っ赤になる。その行為について考えただけで、切なくなる。
 あやかに限らず、アキラも、千鶴も、夏美も、のどかも、夕映も、みんなみんなキレイになった。
 そのキレイになったのは、やっぱり『アノ』行為が関係している様に思えて……

 でもだ、やっぱりダメだ。

 ソノ行為をするって事は、すなわち背中を見られるって事で。
 そうしたなら、気持ち悪いと思われてしまう……



 上がったり下がったり。浮き沈みの激しい心。
 恋に恋焦がれる思春期まっただ中の少女は、テスト前だって言うのに、こんな始末。
 当然だけど、テストの結果は散々。

 これも遠因が横島であることは間違いなくて、やっぱり知らずにネギの妨害をしている横島なのだ。





























  ネギま!のほほん記  第21巻  願うココロの在処























 朝だ、希望の朝、喜びの朝である。

 アスナは早朝4時なんて夜明けがまだっぽい時間に起き出すと、手馴れた様子で朝食の用意。

 献立の主菜は、エヴァが特に気に入って食べている百合子直伝卵焼きにアジの干物。
 副菜に、アスナ特製ドレッシングで味付けした、茹でただけのキャベツとニンジンである。
 新鮮なお野菜は、ただそれだけで甘くて美味しい物なのだ。
 そして最後に山菜の炊き込みご飯と、大根のお味噌汁である。

 どれもエヴァンジェリンお気に入りの一品であった。
 なんせ、エヴァにご飯の用意をしてあげられるのは、これが最後なのである。
 好きでやってた訳じゃなかったけれど、アスナはとっても情に厚い女の子だ。
 しんみりしちゃうのはしょうがないし、最後はエヴァが美味しそうに食べてくれた物で締めたかった。

 だけども、そんな殊勝な気持ちはホンの数分で終了しちゃう。

 すぐに超ご機嫌で「ふんふ~ん♪」なんて鼻歌を歌いながらテキパキ料理。
 沸々と湧き起こる歓喜。お家に帰れるのが嬉しくて仕方ない。
 ここに来てからと言うもの、タカミチのせいで特訓に付き合わされたり、エヴァにセクハラされて血を吸われたりで、思い出しただけで涙がちょちょ切れる。
 
 まあ、それでもしんみりするのは本当で、アスナは朝食の準備とは別に、これで最後だからとお弁当の用意もする。
 タコさんウインナーに鳥のから揚げ。彩り豊かにプチトマトにホウレン草。
 最後にご飯の部分は卵のそぼろで可愛くお絵かき。
 ちみっこエヴァたんをアートして、目の所にチョンチョンって小梅ちゃん。

 そして、


「おっはよーっ!」


 早すぎる朝の挨拶。


「う……うう……ん……ぐぅ……」


 当然だけど起きやしない。
 アスナもコレぐらいじゃエヴァが起きださないのは分かってる。
 だからだろう、彼女の手に、フライパンとお玉が握られているのは。


「おーきーろーっ!!」


 言いながらフライパンをお玉で、ガン!ガン!ガン!ガン!ガン! と耳元で叩きつけた。


「があああああぁぁぁぁぁあああああッッッ??!!」


 両耳を押さえてベッドの上をのた打ち回るエヴァンジェリン。

 最悪の目覚めである。

 耳元で轟音を聞かされたせいか、耳鳴りが止まらない上に酷い頭痛までする。
 最早這い蹲りながら唸ることしか出来ないでいるエヴァンジェリン。
 そんな彼女の襟元を掴み持ち上げると、リビングまで運んで食卓の椅子に座らせた。
 一応断っておくが、まだ朝の5時前。5時『前』だ。
 真祖の吸血鬼であり夜型生活のエヴァにとって、まだまだ起きる時間ではありえない。


「キサマ、死にたいのか……っ!」


 怒り狂って当然だ。

 殺気を滲ませ、物凄い目つきでアスナを睨みつける。
 だけどアスナは、そんなん効かないわよ!っと平然。
 彼女のお茶碗に山菜の炊き込みご飯をよそい、あっつあつのお味噌汁をお椀にたっぷり注ぐ。
 ほかほかに湯気立つそれらは、エヴァの怒りを和らげるほどに美味しそう。


「で、これはお弁当ね」

「ん? 弁当なんぞ頼んでないが?」

「今日は最後でしょ? だからコレはサービスね」


 片目をパチンと閉じてウインク。
 アスナはそのままエプロンを丁寧に畳むと、


「それじゃ私、帰るね?」


 そのまま玄関に足を進めた。
 そう、今日は茶々丸の修理……ってか改造(?)が終わる日。
 何とか期末考査に間に合わせようと超と葉加瀬が頑張ったのだ。
 アスナの住み込み家政婦は今日まで。少しでも早く家に帰るのだ。
 エヴァもここ数日で、アスナがどれだけ横島に依存しているのか、よ~く分かっている。
 その歪みはエヴァにとって好ましいものだ。
 だから齢600年を誇る真祖である彼女は、アスナの無法な行為を許すのだ。
 楽しげに口元を綻ばせると、「ご苦労だったな」と小さく労う。
 そんなエヴァにちょっと驚いたアスナは、目をパチクリ瞬かせる。
 でもすぐに柔らかく頬を緩ませ、「また来るねっ!」と元気よく手をあげた。
 短い間だったけど、共に過ごした時間は本物だから。


「ああ、その時はたっぷりキサマの血を頂くとしよう」


 エヴァのそんな偽悪めいた言葉にも、「べーっだ!」って舌を出して笑える。
 玄関のドアが開く。うっすら明るくなってきた外の光が、家の中をほんのり照らす。
 エヴァは眩しそうに目を細め、そうしてアスナが出て行くのを見送るのだ。

 パタン、閉じた扉をいつまでも見続ける。
 彼女にとって、久しぶりに『生きた』時間だった。
 不死者にとって最大の敵、退屈。
 それは彼女の様な存在にとって、とてつもない苦痛。
 だから彼女にとって、この学園に封じられての15年間は苦痛でしかなかった。
 正確に言えば、最初の数年はそれなりの時間を過ごせてはいたのだが。
 でも、今となってはただの苦痛でしかない今の生活。
 茶々丸が来てから少し和らぎ、今度はアスナとの生活で更にそれが和らいだ。

 エヴァは口元を綻ばせたまま、手に箸を取る。

 家庭料理としては満点に近いアスナの手料理を、次から次へと、その口に運んでいくのだった。





























 








 朝、誰かが自分を覗きこむ感覚に、意識が覚醒しだす横島。
 とは言っても、それは危険な感じはなく、むしろ慣れ親しんだ感覚だ。


「ただいま」


 耳をくすぐる元気な少女の声。
 彼にとって最も大切な存在である、第一使徒アスナの声だ。

 ───そういや茶々丸の修復、今日終わるんだったっけな。
 だからって朝一で帰ってこなくとも良いモンだが……

 軽く苦笑いしながら薄目を開けると、やはりそこにいるのは、ちょっとだけ頬を膨らませているアスナだった。

 ───あれ? なんで怒ってんだ?

 それもそのはず。
 横島の両腕には、2人の裸の少女。

 あからさまに昨夜はお楽しみでしたね? 状態の千鶴と、やっぱり裸ではあるものの、情事の後にしては妙に小奇麗な木乃香である。

 千鶴は寝る前の運動とばかしに一発。
 木乃香はそれが終わった頃を見計らって、横島の布団の中に潜り込んで来た。
 最初はパジャマであったのだが、裸で抱きついたまま離れない千鶴に、「ウチもウチも~」なんて言いながらパジャマを脱ぎ捨て、裸で抱きついてきたのだ。

 その2人が横島の腕の中で幸せそうに眠っている。
 彼の胸板で押し潰されている2人の胸の感触は、確かに横島にとってご褒美としか言えない。
 逆に言ってみれば、アスナにとっては噴飯物である。

 こういうことが日常茶飯事だとは言え、こうして直接目の前でやられたら腹が立つってモンだ。
 まあ、それでも本気でムカついてる訳ではない。
 彼女にとってこの光景は、まだまだ許せる範囲なのだ。
 千鶴と木乃香、この2人はアスナにとって、大切な家族の一員なのだから。
 だからこうしてむくれているのは、腹を立てていると言うよか、横島にちょっとスネて見せているだけ。
 言い方変えれば、甘えているのだ。私にもしてよっ! て感じで。


「おかえり、アスナ。ほれ、来い」


 もちろん、横島もそれは分かっている。

 本当にちっちゃな頃から面倒を見ているのだ。
 今の様に感情を表に出せない頃からずっと……


「も、もう……しょうがないわね……」


 言葉面だけみたら嫌々なのだが、アスナの顔はどうしようもなく緩んでいる。
 簡単に言えば、ニヤけていた。これ以上ない位、にやにや。
 いそいそと服を脱ぎ、惜しげもなく乙女(?)の柔肌を晒すと、おもむろに彼の胸の上に。

 右に千鶴、左に木乃香、上にアスナ。
 3人の柔らかいオッパイの感触が横島を悦ばせる。
 朝の3分立ちな肉棒が、ムクムク大きくなり、ビーンと大きく雄々しく立った。

 だけども、もう少しだけ……

 男の生理現象として大きくなってしまった相棒を宥め、横島はこの幸せな一時をこのまま過ごすのだ。
 横島にとって、とても平和な世界の平和な時間。それを思う存分に。

 気づけば「すぅー、すぅー」とアスナの静かな寝息が聞こえてきた。
 千鶴と木乃香、2人の寝息に合わせ、3重奏となって横島の耳をくすぐる。


「ほんと、幸せだよな~」


 ポツリとこぼれた横島の本音。

 このまま、何事も無く、ずっと平和に過ごせたら良いのに……

 まぶたを閉じ、思う。
 だけども、それは叶わない。

 彼が横島忠夫である限り。
 彼がネギを懐に入れている限り。
 彼が東西の爆弾である木乃香を、自分の女にしてしまったからには。

 何より……

 『この世界』で、アスナが彼の傍にいる限り……


























 な~んてシリアス、いつまでも続くわきゃねー!


「も~辛抱たまら~んっ!!」

「ほえっ?」
「なに……かしら……」
「ふにゃ~」


 腕の中で眠っていた3人の少女を組み伏すと、欲望全開! いつでも発射オーライです!!
 木乃香の腰痛も忘れてわっふるわっふる。朝っぱらクライマックス状態。
 次第に甘い声で喘ぎだす少女達の蜜穴を、これでもか!とばかり堪能しまくった。














































 こんな感じで朝っぱらから横島達が淫靡な時間を過ごしている頃、某研究室で最後の追い上げが行われていた。
 急ピッチで行われているソレは、言うまでもなく茶々丸の改造。
 硬い鋼の身体から、柔らかく暖かい肌、性行為すら出来うる女性器への変換である。
 ただ、それらを期末考査までに終わらすために、払った代償があった。

 それは……、超と葉加瀬の睡眠時間である。


「ハカセ、生きてるカ?」


 コンソールに顔を突っ込ませたまま、ピクリとも動かなくなってしまった相棒に声をかける。


「ぁ? ああ、すみません。オチてたみたいです……」


 ビクン!と身体を跳ねさせ、勢い良く立ち上がる葉加瀬。
 すでに貫徹4日目に突入した2人は、疲労困憊。
 目の下もくまが出来てまっくろけ。


「あともう少しヨ。頑張るネ……」

「はい、超さんも……」


 あともう少し。

 その言葉の何と魅惑なことか。
 2人は睡眠不足と過度の疲労から来る妙なハイテンションの中、黙々と作業に没頭した。

 これが終われば眠れる。これが終われば寝れるのだ!

 鬼気迫るとはこの事か? それはもう、恐ろしい勢いである。
 そして、それも、ようやく……


「終わった……ネ……」

「ええ、終わりました……」

「疲れたヨ……」

「本当に……」


 彼女達の眼前には、人間と見まごう肢体を魅せる茶々丸。
 手をワキワキ、腕をぐるぐる回し、太腿を撫で摩り、胸を揉みしだく。
 そして最後に自らの股間に手を伸ばし……


「ここは横島さんに直接見てもらった方がいいですね」


 寸前で手を引っ込めると、楽しそうに頬を緩める。
 茶々丸は意識が朦朧としている超と葉加瀬に目を転じると、


「良い仕事です。ご苦労様でした」


 そう言って、葉加瀬を通じてエヴァンジェリンに用意して貰っていた下着と、ゴスロリ系の黒いワンピースに袖を通す。
 隣に置いてあった制服には目もくれずに。


「……茶々丸? これから学校ヨ?」

「今日は自主休校です」

「どこに行くつもりなの?」

「この身体の具合を確かめに行かせてもらいます」

「具合をっ!?」「確かめにっ!?」


 超と葉加瀬は思わず茶々丸を凝視してしまった。
 下顎をパカっと開けて間抜け顔、更には段々と頬が熱くなる。
 どれだけ頭が良かろうが、しょせんは未開通の14才。
 頭が良い分、想像……ってか妄想が逆に凄まじく、ついには耳までまっかっか。
 それでも超は、コホンと軽く咳払いをして気を取り直すと、


「……茶々丸、横島忠夫に確かめてもらうのカ?」


 と眼光鋭く話を切り返した。
 相手が横島ならば、あの謎の珠の正体を突き止める事が出来るかも。
 あの不可解な珠。恐らくは彼が創り出すマジックアイテム『文珠』
 噂に聞く文珠は確かに便利な魔法道具ではあるけれど、あんな事象を起こせるとは到底思えない。
 それにだ、彼女の知る未来知識に彼の存在は無かった。
 例え『汚点』などと呼ばれる存在だとて、一切の情報が残らないなど可笑しいではないか……
 彼女の計画にとって、危険なのかさえ判断するのが難しい。
 だけども、ここで茶々丸がその横島忠夫にべったりするならば、彼についての情報を集める事が簡単になる。

 それどころか、上手く行けばこちらの陣営に引き込めるかも……

 そんな期待を込めて、茶々丸に意味有り気な視線を送るのだ。

 だがしかし、


「ええ、まずは横島さんで」

「「……まず?」」


 超と葉加瀬、2人仲良く疑問の声を上げた。

 だってそうだろう。まずって何だ、まずって!!


「横島さんに色々と見てもらい、問題がないようでしたら、アスナさんを……デートに……誘おうかと……」


 恥じらいながらモジモジ、モジモジ。
 どこから見ても、恋する乙女の表情です。

 ───あれ? 横島忠夫とデートに行くのではなかったか?

 人に向ける好意に順位をつけるなんて、とても最低でおこがましい行為ではある。
 だが、それでも茶々丸が好きで大切な人に順位をつけるとしたら、こんなんなのだろうと、超は思った。


 アスナ≧横島=エヴァ>チャチャゼロ


 恐らくは、だけど。


 ───疲労困憊で睡眠不足の頭が、オーバーヒートしそうネ……

 超はクラクラする頭を何度も振って正気を保とうとするも、横で同じ様にしてる葉加瀬が、ついに「きゅ~」なんて言いながらくるくる回ってバタンと倒れた。
 横島との性行為を妄想し、更にはアスナとの女同士での乳繰り合いまで妄想した。

 いいや、妄想してしまった。


「だ、ダメだよ茶々丸! 女同士なんて不毛すぎるよっ!! ああ、でも……、んぅっ、はぁ、はぁ……って今度は男ぉーっ!? だめ、だめだめだめだってばぁあああっ!!」 


 こんな感じでうなされていたりする。
 超はそんな葉加瀬を見て、静かに涙を流した。
 前にも思ったが、科学に身を捧げきっていたハズなのに、なんだかとっても遣る瀬無い。
 ぽっかり胸に穴が空いたみたいに、ひゅーひゅー冷たい風が通り抜ける。


「茶々丸、お前は横島忠夫と明日菜サン。どちらに恋してるのカナ?」


 だからなのか思わず聞いてしまった。


「何を言ってるのですか? 私はマスターの魔力で動く自動人形(オートマタ)。恋をするハズは……」


 そんな筈はないのだと、うろたえる茶々丸に、超は諭すように声をかけた。


「なあ、茶々丸」


 名前を呼び、一拍おく。そうして、トンと茶々丸の胸を叩いた。


「お前はもう自立した固体と言っても良い。だから喜び、だから怒り、だから哀しみ、だから楽しむ。
 さっき横島忠夫のコトを考えてどう思った? 明日菜サンとのデートをどう思った?
 何をしてあげようと思った? 何をしてもらいたいと思った? 
 お前はもう、一人の確かな存在だヨ。恋をしてもおかしくはない」


 遣る瀬無い気持ちは確かにあった。
 でも、自らの創り上げた作品が恋をするなんて、どれだけ素晴らしい事なんだろう。
 だからこそ、はっきりと想いを自覚して欲しいのだ。
 それに上手くいけば横島忠夫とその一党をこちらに引き込めるかもしれない。

 そんな皮算用も確かに超にはあったけど。


「さあ、行くネ! 行って自分の気持ちを確かめて来い!」


 肩に手を当て、クルッと茶々丸を半回転。
 困惑気味な茶々丸の背中を、ポンと押した。
 トタトタトタ……、押された勢いで数歩前に歩く。

 顔は不安そうに超へ。

 こういう顔を見れば、超も自分が母親気分で心地良い。
 恋愛経験に、もちろんだけど男性経験も皆無だけど、人生経験では負けてない。
 何より彼女は天才だ。天才を舐めるな。例え男を知らなくても、───想像するぐらいは出来るネ! 

 それに、


「頑張ってねー、茶々丸っ!」


 彼女を心配するのは一人ではない。
 エッチな妄想にうなされていた葉加瀬も、ムクッと起きて茶々丸を激励するのだ。
 それに、もしもエヴァンジェリンがこの場に居たら、矢張り茶々丸の背を押したのではないだろうか?
 それでも、超も葉加瀬も決してエヴァに茶々丸の恋を教えたりはしないけど。
 背を押す以上の苦難が出ちゃうから。それは2人にとっても、茶々丸にとっても上手い話では無いのだ。

 それはともかく、茶々丸は超と葉加瀬の激励に、前とは違って感情がすぐ出てしまうその顔で、ふんわり笑んだ。


「はい、たくさん可愛がって貰ってきます」


 そうして彼の家を目指して足を進める。

 ───胸の主機関部が熱い。超に言われてからずっと……
 これが恋だと言うのなら、私が好きなのは、横島さん? それともアスナさん? 
 熱い、熱い、頬が、胸が、身体が、新しく出来た、女の部分が、熱い──────


「ああ、そうだ茶々丸、一つ言い忘れていたヨ。データを取るなら、霊力ではなく、文珠ネ。
 機会があったら、必ずそれを手に入れろ。あれこそが、横島忠夫の……全て!」


 口角を吊り上げ、人の悪い顔。
 先程までの暖かい感じではない。
 自らの望みの為に、他者を踏みつける覚悟がある顔だ。

 茶々丸にとって、横島も、アスナも、とてもとても大切な人だ。
 だけども、マスターであるエヴァンジェリンも、そして、創造者であり開発者である超と葉加瀬も大切な存在。


 ───大切な人達が、相争う事がないように……


 茶々丸は何かにそう願いながら、胸に手を当て、深々と頭を下げた。
 それは了承の意味。超の為に文珠を手に入れる、その覚悟。
 先程までの高揚感に、冷たい何かが混ざった気がした。


「案ずるな、茶々丸。私の見立てでは、あの男は敵には……ならない」


 超の声を耳に入れながら、今度こそ彼の元へと足を進めた。
 純粋な気持ちに不純な何かが混ざってしまい、とても気持ちが悪かった。
 何かが胸から込み上げてくる。不快、とても、不快だ。
 顔が強張る。もしも、このせいで嫌われてしまったらと思うと、怖い。

 でも、茶々丸には超を拒否するなんて出来なかった。したくは、なかったのだ。

 気づけば彼の家の前で佇み、ジッとドアフォンを眺めていた。
 知らず、ドアフォンを押そうとする手が震える。
 茶々丸は思うのだ。これでは本当に人間みたいではないかと。

 そんな筈はないのに、自分は、ただの人形なのに……

 そう自嘲しながら、手を伸ばし、ピンポーン、とドアフォンを鳴らす。
 ドタドタドタ、騒がしいまでの足音。横島忠夫の足音。好きかもしれない人の、足音。

 なのに、なぜか、胸が、とても重苦しい。


 でも、


 目の前のドアが開く。
 出て来たのは、彼女が好きかもしれない一人の男。
 彼は少しだけ驚いた顔をする。

 ───そう言えば、まだ学校の時間でしたね。

 茶々丸は、学校に行けば良かった。なんて少し後悔。

 でもだ、彼の驚いた顔が、あっという間に笑みの形に変わった。
 ただそれだけなのに、重かった胸の奥が、とても軽くなった気がする。


「おはようございます、横島さん」

「おはよ。んじゃ、どこか行こっか?」


 彼は覚えていてくれたのだ。こんな自分の願いを。
 彼を見返したいと言った、嫌らしい自分の願いを。

 横島さんと一日過ごさせて下さい。

 アスナと約束した勝手な自分の願いを。
 彼と約束した訳でない、自分のネガイ。

 暖かい。とても、とっても……


 ───これが、好きって気持ちなのだったら、私は、アナタが好きなのですね。
 

「はい、横島さんの、オススメをお願いします」

「おっけー。んじゃ、中入って待ってて。すぐに着替えて来るからさ」

「急がないで良いですよ。学校が終わり、皆さんが戻ってくるまで、ここで、アナタと2人きりでも構わないのですから……」


 マスター、超、ハカセ。茶々丸は彼女達を裏切れない。
 でも、横島も、そしてアスナも、また裏切れない。

 ───本当に、本当に、私の大切な人達が、争うことが無ければいいのに……



 自分でも、あるかどうか分からない心で、強くそう願った。

















































「意地悪ですね、超さん」

「フフ……、これも創造者として、あの子に与える試練の一つネ」

「本当ですかぁ~」

「そんなことよりハカセ。今頃、茶々丸はヤッてるのカナ……」

「あ、あはは……」

「うう……何なのカナ? この敗北感は……」

「前にも言った気がしますけど、女として負けなんですよ、私たち……」

「……寝ようか?」

「学校はどうするんです?」

「知らん」

「そう……ですね。寝ましょう。もう4日寝てませんし……」

「そう思ったら、急速に眠気が……」

「オヤスミなさい、超さん……」

「ああ、オヤスミ、ハカセ……」





 ちなみに、2人の成績は見事に落ちた。
 毎回オール満点だった超と、それよりは僅かに落ちるがほぼ満点だった葉加瀬の2人。
 ほんの僅かではあったが、確かに成績を落としてしまった。
 まあ、学年トップと2位の座は誰にも譲りはしなかったが。

 それでも確かに成績を落とした2人。

 これも間違いなく、遠因は横島だっただろう。

 本人も周囲も知らないけれど、地味にネギの試練を妨害しまくっている横島なのであった。






[11660] ネギま!のほほん記 第22巻  エロ有り(茶々丸)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:42





 楓と2人、捜しに捜した出口をようやく見つけた矢先の事だ。

 ───よし!これでこの迷宮から出られるぞ!!

 ネギは安堵の溜息を吐くけども、世の中そんなに甘くは無かった。
 みんなが待つ場所に戻ってみれば、暴れ倒している動く石像。
 その石像、どう見ても魔法の力を感じる。

 ネギは驚愕した。
 石像に、ではない。


「中国武術研究会部長の力、見るアルよー!」

「にんにん♪」

「ふん、仕方ない……か……」


 3人の教え子達の、超!パワーに、である。


「ハイッ!!」


 気合と共に突き出された古菲の拳が、石像の脚部を破砕し体勢を崩させると、


「甲賀中忍、長瀬楓。参る……」


 楓が16人に分裂してオールレンジアタック。
 瞬く間に石像がボロボロになっていく。

 そして、古菲と楓が与えたダメージで動きが鈍くなった石像の正面に立つ、刹那。
 彼女の手にはサムライブレードと思しき刃物。
 明らかに銃刀法違反です。なんて、ネギが軽く現実逃避をしていると、

 斬ッ!

 空気を切り裂き、閃光が走った。
 そうして目の前の石像の胴体と下半身が分断され、轟音を立てて崩れ落ちた。
 呆然と見る。もう、ピクリとも動かなくなってしまった石像と、それを成した自分の教え子である3人の少女を。
 同時に、頭が冷えてクリアになる。

 おかしいと思ってはいた。
 それがなんなのか、ようやく解った気がする。


 ───コレ『が』僕の試験だ。


 ここに自分を連れて来た宮崎のどか。
 魔法の本の存在を皆に明かした綾瀬夕映。
 この2人は魔法使いだ。

 だったら、学園長から何らかの指令を受けて……

 更には刹那達によって破壊された、魔力で動いていたと思われる石像。
 発見した出口の扉に書かれていた、中2相当の英語の設問。
 しかも、それは明日のテスト範囲の問題だ。

 何より、ふらっと現れ、ふらっと消えた横島。
 今もきっと、自分が教師として、何より立派な魔法使いとして相応しいのか見ているに違いない。

 ネギはキョロキョロ辺りを見回し、誰も、そして何もない方向へ、深々と頭を下げた。


「ありがとうございます、横島さん。昨日は僕を心配して、顔を見せてくれたんですね……」


 心から信頼している父の親友へと向けた感謝の言葉。
 小さく呟かれたその言葉は、忍者である楓と、そして刹那の耳にしか届かず。
 でも2人は、ネギの言葉を聞こえなかった風を装い、そっと離れた。

 そして神経を尖らせる。そこに居る。そう、居るはずの男の気配を何とか探ろうとして。
 だけども、見つける事が叶わず、顔を悔しさで歪ませた。
 さっきの石像との戦闘も、本来だったらここまでやらなくても良かったのだ。特に刹那は。

 彼女はあくまでネギのサポート役で、彼女が石像を倒してしまっては、何にもならないではないか……

 それも全て、横島忠夫への焦りからくるもの。
 刹那も、楓も、古菲も、昨日の横島との対面で、少なからずプライドを刺激された。
 自分が、自分達が、しょせんは井の中の蛙である事を、嫌になるくらい見せつけられて。


「くそっ!」


 悔しそうに言葉を吐き捨てる刹那。

 あんなんでも名高い紅き翼の一員だった男だ。
 自分では到底及ばないと理解しているつもりだった。

 そう、つもりだったのだ。

 なのに、気づけば普段の行動からあの男を侮っていた。
 侮れる様な男では無かったと言うのに…… 


 そんな彼女の様子に気づいて、緊張に体を強張らせる古菲。


「もしかして、いるアルか?」

「恐らくは、でござるが……」

「……帰ったら、修行のやり直しアルネ~」


 目が遠くを見、輝きを放った。


「私は幸せ者アル。あの様な強者が近くにいる、これで私はもっと強くなれるアルネ!」


 そして笑う。

 武道家として、より高みに昇れる喜びで。
 ちっぽけなプライドが崩された後は、純粋に強くなりたいという欲求。

 そんな古菲を見て、楓もまた、笑った。

 今の自分が及ばぬあの男、横島忠夫が近くに居るのならば、適当な理由を見つけて手合わせを願う事も可能かもしれない。
 そうしたならば、確実に自分たちは、もっと、もっともっと、もっともっともっと強くなれる! 


「楓、帰ったら手合わせするアルよ」

「わかったでござる。で、ござるが……」

「うむ、まずは勉強アルな」


 2人の視線の先は、幼い教師。
 今回のテストの点数如何で、その出処進退が決まってしまう危うい立場の少年だ。
 この数日共に過ごし、ネギの真面目で誠実な性格を、とても好ましく思っている。

 だからまずはネギの為に頑張ろう。
 テストの平均点を上げ、ネギがこの学園都市に残れるように。
 今、こうしている自分達を見ているだろう彼に向って、楓と古菲は笑って見せた。

 次は、こんな無様は晒さない。そして、ネギは自分たちが守ってみせる。

 凶暴な笑みを、見えぬ横島に向けるのだ。























 でーもー、横島忠夫はこんな所にゃ、いやしねーっ!

 彼がどこで何してるかと言うと…… 




「すごく、気持ち良いです……」

「ほら、もっと優しく撫でるんだ、茶々丸ちゃん」

「こ、こう……でしょうか?」

「ん……、イイ感じだ……」
























「ええ、とても、もふもふです」

「だろ? ここに来て良かったろ?」

「はい。ウサギさんも、ハムスターさんも、みなさんとっても可愛いかと……」

「いやー、茶々丸ちゃんは絶対好きだと思ったんだよなー。ふれあい動物園」



 麻帆良から車で1時間のとあるデートスポット。
 横島と茶々丸は、ふわふわもこもこの生き物達と戯れていたのだった。


「ウサギさんの手は毛で覆われてるんですね」

「うおーっ! この犬、ワイに吠えてきやがる!」


 こんな感じ。



























  ネギま!のほほん記  第22巻  茶々丸タイム




























 ふれあい動物園で楽しい時間を過ごした後は、近くの牧場で牛さんを見ながら、取れたての牛乳で作られたソフトクリームを食べてみた。

 初めて5感がある状態での飲食。
 味覚センサーが正常に働いているのだろう。
 心地好い冷たさと、頬が蕩けそうになる甘さで、とても美味しく思うのだ。

 だから夢中になって食べる茶々丸。

 ぺろぺろ、あむあむ、一心不乱。

 そのせいか口の周り一杯にクリームをつけてしまい、でも夢中で食べてるから気づけない。
 そんな茶々丸を可愛く思った横島は、顔を彼女に近づけ、クリームをぺろりと舐め取る。


「あっ……」


 顔を真っ赤にする茶々丸。
 これでは子供みたいだと、とても恥ずかしく思う。
 それに彼の舌が頬に触れた瞬間、甘い痺れが全身を襲った。
 お腹の辺りが熱く切なく、それが何なのか分からないでいる茶々丸は、ふるふると震えたのだ。
 可愛い仕草を見せる茶々丸に、横島はその舌を彼女の唇へと少しづつ近づけていく。


「よ、よこしま……さん、ふぁ……」


 下唇を丹念に舐め、次に上唇を舐める。
 そうして今度は閉じた唇を舌先で割り、口中へと進入させた。
 横島の舌先が自分の舌先にツン、と触れた瞬間、感電したみたいに全身が痺れ、茶々丸は意識を飛ばしかける。
 それは彼女が良く知る感覚に、とても良く似た感覚である。

 そう、魔力供給時に感じるものと、おんなじ。


「んちゅ、ンッ、ぢゅ……んふっ……んぐぅ、ンッ、ンッ、ンンッ!」


 快感に身体を支配された茶々丸は、なすがままに横島に口の中を蹂躙される。
 舌を絡め取られ、唾液を流し込まれる。
 絶え間なく襲ってくる快感の波。
 そして口の中に広がる横島の、味。

 前だったらオーバーヒートしてしまうぐらい熱が上がり、でも、新しくなった今の茶々丸はこの程度ではそうならなかった。
 超と葉加瀬の仕事によるモノだ。2人は前回の茶々丸のオーバーヒートした状況から、しっかりと可動領域を強化していたのだ。


「んむ……、茶々丸ちゃんが食べてんのも美味しいな」


 茶々丸の唇から離れつつ、横島は楽しそうにそう言った。
 ボーっと呆けた様な感じで、茶々丸は横島の言葉を耳に入れる。
 熱くなった頬が、もっと熱くなってしまった。


「あ、あの……」


 何か言おう、そう思うも上手く言葉に出来ない。
 それでも半開きに開いた口で、何とか言葉を紡ごうとするも、


「俺のチョコ味も食べてみる?」


 横島に先んじられてしまった。

 混乱した頭のまま、茶々丸はコクリ、自然と頭を下げてしまう。
 彼が食べているチョコ味のソフトクリームを食べてみたかった訳では、もちろん無い。

 茶々丸の頭を占めるのは、さっきの、キス。


「私は、欲しい……んだと思います……」


 そう、キスをして欲しかった。
 さっきみたく、口の中を蹂躙して欲しかった。
 さっきみたく、彼の唾液を流し込まれたかった。

 彼の吐息を近くで感じ、彼の匂いで包まれたかった。
 彼の暖かさ、彼の唾液の味、そして何より、彼の顔を、もっと近くで……

 新しく追加された5感を、思う存分に彼で占めたかったのだ。

 そんな茶々丸の目の前で、大きな口を開けてチョコ味のソフトクリームを口にする横島。
 口の中にチョコ味のソフトクリームを入れたまま、段々と茶々丸の唇に近づき……


 甘く、ほろ苦く、冷たい感触。
 なのに、とても熱い。冷たいのに、熱かった。









 

 楽しい時間はあっという間だ。

 気づくと太陽が最も高い位置まで上がり、それも今では地平線を赤く染めている。
 学校はとっくの昔に終わっているのだろう。
 アスナや木之香も家に帰っているはずだ。

 だから、


 ───もうすぐ、この時間も終わってしまうのですね……


 横島の背に手を回し、貪欲な彼に唇を貪られながら、茶々丸は寂しさに、涙がこぼれる。












 ところで、横島は忘れてはいない。

 それは、茶々丸が今の身体になる前の話。
 散々に絞り取られた時のことだ。

 あれはあれで良かった!

 そうは思うものの、矢張り仕返しはしたいものだ。
 無論、横島は今の茶々丸が異常なほどに、『感度』が高い事に気がついている。
 頬を舐めただけでフルフル震える、ちょっと舌先をツンツンしただけで絶頂しちゃう。
 そんな可愛く敏感な茶々丸。
 頭に角が、ケツに矢じりの様な尻尾が生えてくる感さえある横島。

 勿論、色は真っ黒だ!

 横島は陶然とする茶々丸の手を優しく引き車の助手席に乗せると、とある目的地に向って走らせる。
 本日のメイン。西洋のお城みたいな建物。その名も、『ラブキャッスル』
 のれんの様な物がかかっている入り口を車で通り抜けると、既に5分の4は埋まっている駐車場の空きスペースに車を止める。


「あの、ここは……?」


 我に返った茶々丸が疑問の声を上げるのも聞かず、中に入り空いている部屋を確認した。


「茶々丸ちゃん、どれがいい?」

「え? それでは、これで……」


 指差した先は、ドピンクの回転ベッドが有る部屋……ではなく、可愛いぬいぐるみが大量に置かれているファンシーな部屋であった。
 ピクリと頬が引き攣りかける横島であったが、実は横島自身もラブなホテ~ルは初体験。

 ───まあ、いっか……

 とちょっとした逡巡をあっさり乗り越え、お札を機械に入れて茶々丸の指した部屋のボタンを押した。
 ガコンっ、落ちてきたキーを素早く手に取ると、戸惑いを見せる茶々丸の腰に手を回し、抱える様にしてエレベーターに乗り込んだ。
 ウィーンと上がっていく狭いエレベーターの中、流石にここが何なのか分かってきた茶々丸。
 この状況は彼女自身も望んでいたはず。なのに、どうして……? 身体の震えが止まらない。
 
 逃げたい。でも、傍にいたい。
 茶々丸にとって初めての感情。
 その感情に恐怖し、戸惑う。

 でも……、横島の腕にあたる茶々丸の胸。


「前と違って、やーらかくって、ふにふにしてて気持ちいーぞーっ!」


 思わず横島の顔を凝視してしまう。
 横島は自分が何をくっちゃべったのか分かっていない。
 どうしようもなく鼻の下が伸びきり、これからの期待感で一杯の顔。
 そんな横島を見て、茶々丸の恐怖が、消えた。

 彼女の心の中を占めたのは、見返せたと言う悦び。


『背中に当る胸がゴツゴツ固くて、全然気持ち良くねーなんて思ってねーかんなぁーーーーっ!!』


 かつて、こんな事を言われてムカッとした茶々丸。
 その苛立ちが、すぅーっと消えた。と同時に、得も知れぬ恐怖も、また消えたのだ。

 茶々丸は腕を引く。
 手を握り締め、拳を作った。

 そして、横島の脇腹目掛け、思いっきり突き出すのだ。

 ドスンッ!!

「れバッ!?」 
  

 横島の身体にメリ込んだ拳。
 苦悶の表情となる横島。
 うずくまり、脂汗をダラダラ流しながら茶々丸を見上げる。

 先程までの乙女の表情と違い、口元が笑み、少しだけ勝ち誇りながら距離を取る。
 その距離は、茶々丸にとって心の余裕が出来る距離だ。
 一息つき、素早く気を取り直すと、今度は自分から腕を絡めて逃がさない体勢に入る。

 茶々丸の体温を感じながら、横島は嫌な気がして仕方無い。
 もしや、再びエンドレス・ヌキ魔クールのお時間!?
 横島に戦慄が走る。

 逃げねば、逃げよう、逃がしてプリーズ!


「早く行きましょう。今日は私の体の具合を確かめて貰わねばならないのですから」


 エレベーターから降りると、先程までとは違い、茶々丸に引き摺られる様にして歩く横島。
 ファンシーなぬいぐるみ部屋に入り、パタンと扉が閉じた。

 絶望する横島。

 再び絞り取られるのかと……

 でも、それもすぐに気にならなくなった。
 横島の目の前で、シュルル……、服を丁寧に脱いでいく茶々丸。

 ゴクン、咽が鳴った。

 茶々丸もまた、勝ち誇った表情は鳴りを潜め、恥ずかしそうにチラチラと横島に上目遣い。
 最後のショーツをスルリと脱ぐと、横島の眼前に広がるのは『キレイな女の裸』だった。
 肌を晒した茶々丸に、ぼへ~っと見惚れる横島。
 そんな横島の様子に、嬉しそうにする茶々丸。
 茶々丸は横島の背中に回ると、彼が服を脱ぐのを手伝っていく。
 上着、シャツ、ズボン、靴下、最後にパンツ。
 ビーンと勃起する一物に、うっとりとした視線を向けながら、ベッドの端に腰をかける。


「跪いて私の足に口づけをしてください……」


 掠れるような小声を口から漏らした。
 間違いなくエヴァンジェリンの影響である。
 当然、ギョッとする横島。
 そして、自分で言っときながら顔を真っ赤にして恥ずかしがっている茶々丸。
 でも恥ずかしがってはいるけれど、それでも右足を横島の方へと向ける。
 爪先をピンと伸ばし、横島に向けて上げられた右足。そして、その先に見える無毛の丘陵。
 横島の目が正常ならば、確かにそこはヌラリと光ってるのだ。普通の女の子が感じているみたいに。
 いや、茶々丸はもう、普通の女の子と変わらない。
 ちょっと変な方へと、足を踏み出しかけていたりはするけれど。
 横島は予想外の展開に半ば呆然としながらも、茶々丸の目の前で跪き、足の甲に唇を押しつけた。


「あ……はぁっン……」


 恍惚とする茶々丸。
 目の前で好きな人が跪く。それは凄まじい快感。
 まるで魔力を供給して貰うみたいに……、いいや、それ以上の快感が走り抜けた。
 自分の指の第2関節を甘噛みしながら、視線は常に横島に。
 熱く、どこまでも熱く感じる女の部分。
 茶々丸は初めて感じるその感覚に、溺れてしまいそう。


「……っ!? ん……くぅっ……!!」


 茶々丸の視界に、チカッと星が弾けた。
 横島が、茶々丸の足の指を一本一本、丁寧に舌を這わせてしゃぶり出したのだ。
 頬が一層上気し、目はうるうる潤んで今にも涙がこぼれてしまいそう。


「よ、こしまさん……、もっと……して……」


 やらせている事はどうにも女王様と下僕プレイなんだが、どうやら最後の一線で乙女のまま。
 逆にこれはこれで良い!なんて横島は鼻息荒く、足の指から裏へ、そして踵を通って踝に。
 そのままツツゥーっと上へ、上へ……
 太腿を手で摩りながら段々とその先、愛液が溢れ出して止まらない、その中心部を目指す。


「み、見てるのですか……? 私の女性器を……」


 羞恥と興奮に顔を紅潮させながら、茶々丸は横島がソコへ辿り着き易いようにと、足を開いていく。
 どういう技術を使われているのかは不明だが、すっかり発情しきっている茶々丸のアソコは、洪水のようにいやらしい液体に塗れ、横島を求めてヒクヒクと蠢いていた。


「ずいぶんと感じやすい身体だな」

「これでは、ダメなんでしょうか……?」


 不安げな声。
 でも横島は頭を振って否定する。


「いんや、とおっても可愛いぞ」


 ビクン! 身体を跳ねさせたかと思うと、


「んはぁっ!?」


 甲高い声を上げ、ピュピュピュッ! 大量の飛沫を女性器から噴出しながら、上体をベッドにパタンと投げた。
 目を虚ろに虚空を見上げ、荒く息を吐きながら困惑する。


「ひぅっ……ん、ん……、い、いまの……は……?」

「言葉だけでイッたんだな、茶々丸ちゃん」

「イク……、今のが、イク……」


 茶々丸はブルッと身体を震わせながら上体を起こすと、自らの指でワレメを広げて見せた。
 あっという間にエッチな液体に濡れて、粘りつき糸を引く指先。
 だらだらと溢れるその液体が、ベッドのシーツに染みを作っていく。
 液体が湧き出すピンク色のワレメの奥が引くつきながら、横島の進入を今か今かと待ち侘びているみたい。

 
「胸のドキドキが、止まりません。ですから、はやく私の中を、確かめてもらえませんか……?」

「もう、足を舐めんでええんか?」

「あ……いえ、どうしたら……、あの、とにかく可愛がってください、私を……っ!」


 困ったようにオロオロする茶々丸だったが、そんな彼女の可愛い仕草にクスリと笑った横島は、すぐに、


「りょーかいっ!」


 言うなり太腿に這わせていた舌を、茶々丸の膣口へと突き入れた。

 
「んふああああぁぁっ! 横島さんの舌が……あっ、ああんっ……私の中をっ!」


 作られたモノだとは信じられないほどに、中までトロトロになっている。
 味は……女のモノで間違いはなかった。
 どうやって作られたのか? 横島はそんな事を考え……たりなんかしやしねーし。
 ちゅる、じゅじゅっ……、快感に悶える茶々丸の愛液をすすり出す。

 
「どこか……んっ……おかしいところは……」


 だが横島は茶々丸の問いかけに答えず、無言で彼女の股間を、肉棒で貫いた。
 意識が弾け飛ぶ。何度も、何度でも。
 熱暴走が起きても可笑しくはない体温の上昇は、どこまでも果てしなく。
 少しでも体を冷やそうとしているのか、目からは涙が止め処なく溢れ、汗に似た何かが身体中から滲み出る。
 舌を突き出し、何とかこの延々と続く絶頂感から逃れようとするも、あまり効果はなかった。 


「あっ! くっ! んんんっ! あぁっ! ひぃっ! いひぁっ! んぅっ!」


 激しく出入りする横島の肉棒に、茶々丸はただただ翻弄されるだけ。

 でも、横島にも余裕はなかった。

 彼女の胎内は、恐ろしい程に気持ち良かったのだ。
 ヌメリ、張り付き、吸引される。
 男の性感を計算し尽くした、膣道。
 ミミズ千匹、巾着袋……、古来から言われてる女の名器を併せ持ったアソコ。
 まさに魔性と言っても良い一品だ。
 その部分だけならば、傾国の女として名を馳せることも可能だろう。

 ただ、茶々丸では男を翻弄する前に、異常なほどに感じ易い身体のせいで、逆に男に翻弄される。
 例え女王さまと下僕プレイを始めようと、いざ本番となったらあっさり攻守は逆転するのだ。


「ん、あ、あああっ、ダメっ、ダメっ! 壊れます、これ以上は、私が、壊れますっ!!」


 ぐねぐね蠢く茶々丸の胎内を、負けじと腰を振り、回転させ対抗する。

 
「横島さん、のっ……ああんっ……おちんちんが……っ!」


 激しく腰を突き上げられ、凄まじい快感の嵐を、髪を振り乱して耐えようとあげく。
 それでも間断なく弾ける意識に、恐怖が胸を過ぎる。

 ───このままでは、私が消えてしまう……

 だけども、


「茶々丸っ、ちゃん……、気持ち、良いぞっ! すんごく、最高だっ!」

「ほ、本当、ですか……っ!」


 恐怖が消え、歓喜が湧き上がった。
 その瞬間、凄まじいまでの締め付けが横島の肉棒を襲い、


「ちょっ、急にキツすぎっ!?」


 情けねーことに、横島は精を解き放ってしまう。

 同時に茶々丸が大きく果て、


「私の、お、お腹の中、熱い、横島さんがっ、んぁああああああああああああああぁぁぁぁあああああああっっっ!!!」


 茶々丸の内部が激しい収縮を繰り返し、横島の精を搾り出す。
 そうして、ついにブラックアウトした。


















 茶々丸が意識を回復すると、そこは車の中。
 目に入るのは、すれ違う対向車のヘッドライトに照らされた横島の横顔。


「茶々丸ちゃん、起きた?」


 前を見たまま、優しく言葉をかけてくる。


「はい、申し訳ありませんでした……」

「なにがだ?」

「その、また、機能を停止させてしまいました……」

「いや~、前回はともかく、今回は俺の所為だし?」

「それに……」

「……ん?」

「あの部屋、まだ堪能してません」


 入って、ヤッて、気絶して。
 沢山のぬいぐるみにも興味はあったし、何より、どんな設備があるのか調べ損なってしまった。
 本当に残念だったのだ、茶々丸は。


「ぷっ!」


 笑いの衝動で吹き出す横島。

 勿論、横島は茶々丸が『気絶』したあと、たっぷり堪能した。

 引き出しにしまわれていた大人のおもちゃを手にとってみたり、
 備え付けのビデオカメラで茶々丸の艶姿を撮ってみたり、
 時間ギリギリまでエロDVDを鑑賞したり。

 でも、


「また今度、な?」


 1人より2人。そっちの方が、断然面白い!

 そんな横島に、茶々丸は驚いたように目を見開き、そして、嬉しそうに目を細めた。


「はいっ。よろしくお願いします」


 コテン、と頭を横島の肩に預ける。
 静かな時間。聞こえるのは車の走る音だけ。
 無言の時間が続く。でも、とても心が穏やかだ。

 だから茶々丸はこう言うのだ。


「私は、きっとアナタが、好きです……」


 嬉しそうに笑いながら、大好きです。

 
















 ちなみに、後日行われたアスナと茶々丸のデート(?)の時は、チラリとラブなホテ~ルに目が行ったものの、


「ここは横島さんと行く所ですから」


 と通り過ぎ、結局は横島宅で行われたらしい。

 まあ、色々と、3P……







































 後書き

 アスナも茶々丸の事が大好きですよ?
 ただし、横島が居なければ肌を合わせようとは思いません。




[11660] ネギま!のほほん記 第23巻  エロ有り(夕映&のどかSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:43







 色々あった期末試験が終わったその日、
 これで自分たちに課せられた試練が終わったと、夕映とのどかは一安心。

 顔の緩みが超ヒドイ。

 だって、2人にはご褒美が待っているのだ!

 横島忠夫、大好きな彼との仮契約。
 そう! 彼の魔法使いの従者『ミニステル・マギ』になれるのだ!
 魔法の世界では、男と女がしたら恋人同士に見られちゃうかもしれない、うふふな契約。
 2人は契約魔法陣が込められた巻物(ポーション)を大切に抱えて、ルンルン気分で彼の待つお家目指してひた走る。
 途中、同人誌書くのにアシスタントを欲していたハルナに迫られたりしたものの、
 重荷が取れて気が楽になったのか、呑気に鼻歌混じりに歩いていたネギを生贄に差し出し猛ダッシュ!

 ルンルンらららー、ルンららら~。


「えへへ~」

「のどか、ご機嫌ですねっ!」

「ゆえもだよー!」


 これで、彼との間に出来る確かな絆。
 それどころか、周囲の魔法使いから恋人みたいにみられちゃうかも!


「「きゃー♪」」


 そう思うと、ただでさえ緩んでる頬が、もっともっともーっと垂れてきちゃう。
 りんごみたいに真っ赤っかになっちゃったホッペに手を当てて、ウサギさんみたく、ぴょんぴょん跳ねる。
 それでも走る速さは超高校級!
 軽く100m11秒切ってたり。

 そうしてあっと言う間に彼の下へ。


「「お願いしますっ!!」」


 2人同時に差し出す魔法の巻物。


「お、おう……」


 あんまりにもイキナリな2人に戸惑いを見せる横島だったけど、すぐに何なのか思い出して庭へと導く。
 そうして先ずはと夕映の持つ巻物をポイッと発動。
 すると地面に光り輝く魔法陣。

 横島が昔見たのとちょっと違う。


「どうすりゃいいんだ?」


 疑問の声を上げる横島。


「えっとですね、この魔法陣の中で、キ、キス、するですよ……」


 今更だけど、急に恥ずかしくなって、ぼしゅ~、って頭から湯気が出てしまう。
 真っ赤になった顔の前で、右と左の人差し指をツンツンって合わせて上目遣い。
 すでにイクとこまでイッちゃってる夕映だけど、やっぱりこうして自分からキスのお願いは恥かしかった。


「んじゃ、しよっか?」


 大好きな人の声。反射的に、もしかしてエッチ?なんて思っちゃう。

 もちろん夕映は、


「は、はいですっ!」


 って元気良く返事をしながら、横島の前でドキドキドキドキ……

 だって、これが彼の使徒となるための第一歩なんだから。
 いつか絶対に到達してみせるアスナとあやかの領域。
 その第一歩に、嬉しさと恥ずかしさが入り交じって、鼓動が激しく高鳴るのだ。
 そんな彼女の様子を分かっているのか、面白そうに夕映を見つめる横島。

 ちょっとだけ罰が悪かった夕映だったけど、彼の手を自分から積極的に握り締め、幸せ一杯に笑って見せた。

 こうして横島と夕映、2人は光の魔法陣の中へと進んでいく。
 魔法陣の中心部に足を踏み入れると、足下から吹き上がる魔力の奔流。
 制服のスカートが捲り上がり、中2にしては大胆なショーツが露わになる。
 唐突に襲った身体の芯を走る甘い疼き。


「あっ……、なんかジンジンするです……」


 ───な、なんなんでしょうか、これは?
 身体のスミからスミまで、横島さんに撫でられているみたいです……

 これ以上ないくらい紅潮させた頬を手で覆い隠しながら、切なそうに横島を見上げた。
 端を紐で止めたショーツの盛り上がり。その幼さを見せる少女のワレメを中心に、黒い染みが広がっていくのが分かる。
 見れば自分だけじゃない、彼もまた同じように興奮している。
 目をギラギラさせて鼻息荒く、今にも自分に襲い掛かってきそうではないか……


「あ……ああ……っ……横島……さん……わ、わたし……」


 ふらふら、ふらふら……

 彼の胸に飛び込んだ夕映は、ギュッと彼に抱きしめられて。
 半開きの唇が、少しづつ彼の唇に……

 チュッ、と合わさった。

 光成す魔力の奔流が、一層激しく輝きだして2人を優しく包み込む。


「ん……ちゅ……ンッ、ンンッ! んぅ……はふぅ……」


 潤んだ瞳で見つめ合ったまま2人の唇が僅かに離れる。
 すると、魔力の奔流が一点に目掛けて集まりだして、1枚のカードへと形作った。

 カードに描かれている夕映の姿似。
 いかにも魔法使いな格好、手には箒に本と、まさに夕映らしい絵面だ。


「これが、私の……仮契約カード……」


 感動だ。これが自分と彼とを結ぶ絆なのか。
 夕映の手が、恐る恐るカードに伸びた。

 ───いったい、どんなアーティファクトが出るのでしょうか?
 これで横島さんのお役に立てる自分になれるのでしょうか?
 出来ればアスナさんみたく、彼の隣に立って戦う事が出来るような物だと嬉しいんですが……

 ワクワクドキドキ。

 夕映は興奮して、もうどうにも止まらない。
 だけども、カードに手が触れる寸前、横島の手が彼女の手を握り止めた。



「延っ長ーだぁーっ!」


 お馬鹿な彼の声が、辺りに響くのだった。

















  ネギま!のほほん記  第23巻  夕映&のどかSPイベント①前編



















「……はい?」

 
 何を言ってるんでしょうか?

 不思議そうに横島を見上げる夕映だったが、その当事者である横島はどこ吹く風。
 夕映の疑問の声を聞き流しながら、横島は身体の奥から湧き上がる情欲に身を委ねた。
 仮契約の魔法陣から発せられる光、それを浴びているだけで、いつもの3倍は感度が増している気さえする。

 もしもだ、もしもこの状態でエッチに及んだら……

 好奇心が止まらない。
 相棒が雄々しく唸りをあげている。
 それに、キスで仮契約なんて馬鹿らしい!
 粘膜的接触で契約が成立する魔法陣ならば、もっと別な粘膜で接触した方が、普通より良いモン出るかもしんねーし。


 ケッケッケッケ……

 邪悪とも言って良い笑みを浮かべつつ、横島は文珠を2つ手に取った。
 契約が完了し、収まりつつある光。
 これをどうにかこうにかする為に。


「ポイっとな!」


 宣言どおり、ポイっと珠を放り投げた。
 夕映が見たのは『延』『長』と、それぞれの文字が刻まれた2つの珠。
 それが地面に到達した途端、収まりつつあった光が再び勢いを取り戻したのだ。


「な……っ!? なななな……なんですかっ! い、今のっ!?」


 更には、1枚のカードを形作っていた魔力が、再び拡散して元の状態に戻ってしまう。

 目が点になった。
 彼女が知る魔法の理から外れる現象。
 なにがなんだか分からない。
 理解出来ない。

 そんな夕映を見て、そういや夕映ちゃんには文珠のこと教えてなかったんだっけ。
 なんて思いつつも、混乱している彼女の小さいオッパイの頂を、ギュっと抓ってみた。


「いぎぃっ!?」


 イキナリの行為。
 夕映は当然、痛みの声を上げた。
 だが、横島には分かる。
 この声には快感からくる愉悦が混じっているのだと。
 普段だったら、こんな感じで抓りあげたら、苦痛しか感じないはず。

 それが……っ!!

 夕映は苦痛の声を上げたと同時に、熱く湿った吐息をこぼした。
 瞳は潤み、口は期待からなのか、常に半開きで、本人は気づいてないだろうが、舌がチロチロと唇を舐めている。
 それはセックスアピール。女が目の前の男に犯されたいと、そう思っている合図だ。と横島は勝手に思っていた。

 この光、やっぱりイケルっ!

 魔法陣の福次効果のせいだろうか?
 横島自身も全身を嬲られる感触に、もう股間の波動砲が唸りをあげて暴走しそうだ。

 相変わらず捲くれ上がっているスカート。
 顔に似合わず大胆な紐パンが丸見えだ。
 横島はその紐パンの紐を、スルッと引っ張り……


「あ、横島……さん……」


 ここまで来たら、夕映も横島がナニを求めているのか解る。
 さっきの珠は気になるが、それよりも横島の求めに応じる事こそ自分のするべき事だろう。

 股間から滲みでるエッチな液体が太腿を伝う冷たい感触。
 彼を求めてひくつく自分の女の子の部分。
 その奥の子宮が、キュンと鳴った。

 なにより、

 ───私も、アナタに抱かれたいです……

 それに、夕映には横島を拒否するなんて、出来っこない。

 一日の終わりには、いつも彼を想い胸を切なくする。
 思い描く彼の凛々しい戦闘時の姿。
 化け物を蹴散らした時に見せた、ちょっと凶暴な笑み。
 初めて会ったときに見せた、悲しげな笑み。
 そんな彼の姿を、いつもいつもいつも、一杯思い描いてから眠りに着くのだ。
 抱きしめられたい。キスして欲しい。

 なにより、貴方に、犯されたい……そう想うのです。

 幻想的と言ってもいい光の中、夕映は横島の求めに応じるようにスカートと靴下だけを残し、他の服を脱ぎ捨てる。
 魔力の奔流で捲くれ上がり、意味を成していないスカートの端を口で咥えると、潤んだ瞳を横島に向け、


「ろ、ろうぞ……」


 幼いワレメを、自分の指で広げて見せた。
 こうすれば、彼が悦ぶのだと知っているから。

 くぱぁ……、粘りつくような糸を引くソコは、確かに彼を求めている。


 だけども、横島はすぐに夕映の女を貫きはしなかった。
 彼には、彼の考えがあったのだ。


「キスすりゃ契約が出来るんだったよな?」

「ふぇ……? そ、そうれふよ?」


 このまま最後までイクんだと思ってた夕映は、少しだけガッカリする。
 とは言え、彼女にとって横島の言葉は絶対だ。
 当然、キチンとした答えを返そうと思うのだが、横島が何を求めているのかさっぱり解らないでいた。
 キスで契約。最初に説明したこと。なのに、なぜ今更この場面で?


「ようするにだ、唇と唇が合わされば契約成立ってことだよな?」

「そうれふが……」


 何を言いたいのだろうか?
 ますます分からない。


「んじゃよ、上じゃなくって、下の唇にキスしてみっか」


 そう言って横島は跪くと、夕映が自分の指で押し広げているワレメをジッと視姦する。
 魔法陣の効果なのだろうか?
 横島が知る限り、性感帯が未発達な夕映をヌレヌレにするのは簡単じゃ無かったというのに。
 少しだけ屈辱感に苛まれるも、すぐに気を取り直した横島。
 太腿の付け根に流れる愛液をペロリと舐めとり、夕映のこぼす可愛らしい喘ぎ声を堪能する。
 そうして今度は、クリトリスをツンと舌先でつつき、


「きゃんっ!?」


 あまりの刺激に、夕映はスカートの端ッきれを口から離してしまった。
 だけども、スカートは魔法陣から噴き出る魔力の風で、フワリと捲くれ上がったまま。
 夕映はワレメを広げている指を離し、そのエッチな汁でヌメッている手で頬を抑えながら、イヤイヤと頭を振り甘い声を小さな唇から漏らしだす。


「ひ、んっ、あん、あっ、んんっ……す、すごいです……っ! いつもの、何倍も……あ、あっ、あぁん……感じるです……っ!!」


 ───気持ちいい、です……
 使った事はないけれど、まるで媚薬でも使っているみたい。

 激しい快感に悶える夕映のアソコを、今度は横島自身の手で押し広げながら、こう言うのだ。


「んじゃー、そろそろ仮契約といきましょか!」


 先ずは先行部隊として、クリトリスをツンツンしてた舌先を限界まで伸ばすと、横島の手で丸見えになっている膣内に沈めていく。
 横島はピンク色にヌメッている膣壁を丹念に舐めほぐしながら、グジュッと音を立て、深くへと舌を侵入させていった。
 舌が奥へと沈んでいく毎に、徐々に夕映の股間の土手の盛り上がりに近づいて来る横島の唇。


「んん───ッ!! く、くるですっ! 横島さんの唇が、私の、アソコにっ!! 私の、わたしの、ごしゅじん……さ……まが……」


 ああ、ついに言ってしまった。
 彼のことを、ご主人さまと。
 ずっとそう言いたかった言葉。
 従僕となって彼に仕えたいのだという、浅ましい想いが透けて見えてしまう言葉を。

 でも、一度言ってしまったからには、もう遠慮しなくてもいいですよね……?

 激しく足腰を震わせ、絶頂を繰り返す夕映。
 夕映と言う少女にとって、最も信頼し、敬愛し、何より愛する男が自分の股間に顔を埋めている。
 ちょっと行き過ぎた感さえある夕映の横島への傾倒振りもあり、そのシチュエーションだけで何度もイってしまう。
 それは横島にとって夕映と言う少女が、自らの好みの対極にあったせいもあった。
 彼女の外見が、ある程度は振り払ってしまっているロリと言う名の罪悪の象徴だったせいもあり、余り手を出してもいない。
 手を出される時も、いつもいつものどかと一緒で、しかもいっつも彼女が先に抱かれている。

 もちろん、それにだってキチンとした訳があった。

 横島のグロテスクな肉棒には、夕映の小さすぎるアソコの入り口は余りに小さく、先ずはのどかの膣内で存分にねっとり濡らしてからじゃないと負担が大きいのだ。
 そんな自分が、いつもとは違い、のどかよりも先に可愛がって貰っている。
 ようやく、ようやく一人の女として認めてもらった気がして、心と身体が昂ぶってたまらない。

 だからだ。
 どんなに絶頂を繰り返し、足腰の踏ん張りが利かなくなっても尚、決して膝から力を抜かないのは。

 そう、ここで膝を崩す訳にはいかないのだ。
 負ける訳にはいかないのだ。
 誰に、って訳ではなく、彼を敬愛している自分が、この程度の試練を乗り越えられない訳が無い。
 悲しむ彼を、包みこめれる自分になるために。

 ぷちゅっ……

 遂に横島の唇が、彼女の股間に辿り着いた。
 大きく口を開け、全てを覆い尽くすみたいにかぶりつく。
 少女の小さいワレメを口一杯に頬張りながら、舌先を膣内奥深くに射ち込み、ジュジュジュっと愛液をすすり出す。


「ふああああああああぁぁッッッ!!!」


 激しい絶頂感に、膝がガクガクして今にも崩れ落ちてしまいそう……
 それでも夕映は、自らの愛液でヌトヌトになった頬を掻き毟しり、何とか耐える。

 ───負けない。負けない。負けてたまりますかっ!
 だって私は、誰よりも彼に相応しい従者になるのですからっ!!

 下唇を噛み締め、堪えようの無い快感から涙を流す。

 そんな涎と涙と愛液で汚れた彼女の眼前で、再び魔力が一箇所に集まり、カードの形になっていく。
 横島の唇と、夕映の下の唇。
 2つが合わさり、仮契約が成立しつつあるのだ。

 むろん、出て来たのは失敗作のスカカードだったが。
 カードの絵面は、ディフォルメ化した裸の夕映が、M字開脚しながらアソコを自分の指で広げている姿。

 今さっきの光景にとても近い。

 そのカードは、少し離れた所であわあわしながら見ていたのどかの手に納まり、しかし魔法陣の光は収まらない。
 横島の放った『延』『長』が力を失っていないからだ。
 

「ふっ……どうやら、上と下の唇じゃ仮契約は性交……もとい成功しないようだな」


 夕映のアソコから口を離し、のどかの手にあるカードを見て感慨深くそう言う横島。
 なんだかとても真剣な表情を浮かべながら、ウンウンと唸り始める。
 連続した絶頂でフラフラとなっていた夕映は、荒い息を吐き出しながら、遂に膝から力が抜け落ちポテンと尻餅をついた。

 それでも仮契約の最中には膝を崩しはしなかった。
 そんな自分を誇りに思う。
 夕映は、満足と安堵が交じり合った溜息を漏らすと、大好きな彼の方を見た。
 光溢れる魔法陣の中央で、さっきのスカカードみたいな格好でグッタリしながらも、ウンウン唸る横島に思わず見惚れてしまう。

 自分には理解出来ない力で仮契約の魔法陣の効果を延長させ、更には何らかの実験を繰り返しているみたいな横島。

 知的好奇心は、夕映自身がいっぱい持っているモノだ。
 だから夕映は、横島がその好奇心で仮契約の不思議に迫ろうとしている。

 そんな彼に、見惚れたのだ

 もちろん横島は、この素晴らしい快感をもっと味わおうとしているだけなんだけど。

 それはともかく、ウンウン唸っていた横島は、ワザとらしくクワッと目を大きく見開くと、ズボンとパンツを脱ぎ捨てる。
 そして魔法陣の外で、切なげに太腿をすりすりしていたのどかに手渡すと、


「だったら、キスなんぞよりも強い絆の証、セックスをしてみせようじゃないかっ!」


 無駄に男らしい顔で夕映に迫るのだ。
 もちろん、夕映は横島を拒絶なんか出来っこない。

 あれ? ホントはちょこっとおバカなのでしょうか、この人?

 って考えが頭を掠めるも、スグにそんな胡乱な考えを捨て、


「はい、わかりましたです。ごしゅじんさま……」
 

 うっとり了解。

 横島は、ご主人さまって何? チラリとそう思うも、彼女のアソコがヒクヒク蠢き、今か今かと横島の侵入を待ち侘びているのだ。
 そんなどうでもいいことは後で考えるとして、今は彼女とヤルことだけ考えよう。
 だって彼女は、いやらしくなってしまった肢体の欲求に応じて、両手を彼に向けて大きく広げ、迎え入れる体勢に入っている。
 急ぎで可愛がってあげなくてはっ!
 なんだか無駄な使命感に燃えている横島は、素早く小さい彼女の身体の上に乗った。

 夕映は覆い被さってくる彼の背中に手を回し、ピタリと身体を重ね合わせる。
 温かい彼の体温に幸せを感じながら、自らの小さい膣口に、彼のグロテスクな巨根を導くと、グ、プンッ!


「ひぃぃ、んぅっ!!」


 一気に最奥まで迎え入れた。

 どんなに自分が濡れて、どんなに彼の肉杭がのどかの愛液でヌトヌトになっていても、いつもならば入り口付近では可也の抵抗があった筈なのに。
 それなのに、あっさりと子宮孔まで突き入れられた。

 これは、もしかしたら、遂に出来るかもしれない……

 夕映は、彼の形にポッコリ膨らんだお腹を愛しげに撫でながら、ずっと想い続けた目標を達成しようと、腰をグリグリ動かし始めた。
 体勢を対面座位に変更させてもらうと、もうこれ以上無い筈の彼女の奥行きに、更に奥へと横島の肉棒を飲み込もうとする。
 未だ3分の1ほども残っている肉棒だ。ここから全部を納めきれるはずなどない。

 でもだ、夕映は全部を入れたいのだ。自分の中に。絶対に!

 例え子宮孔の口を広げてでも、例えその所為で何らかの肉体的損傷を負ったとしても。
 再びカードの形に魔力がパアァァッッと光り輝こうと、最早そんなモノには目がいかない。


 ───これだけ簡単に奥まで入ったのです。きっと今なら、ご主人さまを全部受け止められるですっ。

「ひっ、あっ、んっ、んっ、んっ、ぐぅっ、あっ、あっ、あああっっ!!」


 腰を力任せに横島に叩きつけ、快感よりも痛みが勝り始めた身体に鞭打ちながら、必死に、ただ必死に……
 でも、決して一定以上は飲み込めなくて、最奥にある肉棒の先端は、どんなにグネグネ腰を蠢かせても飲み込めない。

 ───何でですかっ!? 何でっ! 私の身体は、何でこんなに……っ!!

 快感からではない涙が頬を伝う。
 悔しさで頭が可笑しくなりそう……


「入るです、入るですっ、入るですよッ!!」


 その時、ズズズ……ズズッ、夕映の気持ちが勝った。
 少しづつ、横島の肉棒を飲み込まんと、子宮孔が開いていく。


「……ッ!? がぁっ……ッッ!!」


 凄まじい苦痛が身体を走る。
 最早、仮契約の魔法陣がもたらす快感なんてまったくなかった。
 カードを形作る光も不安定に揺らぎ、最早この行為になんの意味も無い筈だ。
 それでも夕映は笑みを浮かべ、更に腰を沈めんと腰に力を入れた。

 グニュ、ニュニュニュ……、先端の雁の部分が僅かに入り込む。


 ───あと、あと少し……ですっ!

 勝利を確信した夕映だったが、寸前、横島が彼女の脇の下に手を差し込み、身体を浮かせた。
 入りかけていた肉棒が子宮孔から抜け出し、膣道を遡って出口へと向う。


「……ど、どうしてですか!? あと少しだったのですよ?」


 本当に、あと少しだったのに……

 なのに、どうして?


「えっと、何がしたいんだ、夕映ちゃんは……?」


 苦痛に顔を歪ませ、無理矢理に肉棒を奥へと飲み込もうとする彼女に、横島は疑問で仕方なかった。
 何よりだ、夕映が少しおかしくなってからは、気持ち良いと言うよりは横島自身も痛かったのだ。


「……横島さんのおちんちん。全部わたしの中に入ってきて欲しいと思うのです。ですが、私のアソコの中は狭くて……」


 傍で見ていたいたのどかが、「ゆえ……」と慰めるように名前を呼んだ。
 そして、しゅん……と肩を落す夕映に、横島はだがしかし、抽送を再開して彼女の胎内を擦り上げ始めた。
 その律動は、優しくゆったりとしたモノだったが、十二分に快感をもたらすに相応しい動きである。
 心にしこりの様なモノを残したまま、小さく喘ぎ始める夕映だったが、もちろん横島は悲しむ彼女をそのままなんてしやしない!
 尻たぶに両手をまわし、グイッと肛門がむき出しになるぐらい割り開くと、彼女と繋がったまま持ち上げ、いわゆる駅弁スタイルで立ち上がった。

 そのまま光り輝く魔法陣の縁、ギリギリに立つと、のどかを目で呼び寄せ、腰を縦のピストンから横のグラインドへと切り替える。

 のどかは、横島が何を言いたいのかスグに分かった。

 前で全部入らないなら、後ろに入れたらいいじゃない。

 多分こんなトコだろう。
 そうして、彼は自分に求めているのだ。

 夕映の後ろの穴をほぐす様にと……


 のどかは躊躇わない。
 舌を、彼女の菊門へと突き刺すのに。
 顔を尻たぶの間に埋め、菊門にちゅっと軽くキッス。


「な、なにするですかっ!?」


 困惑した夕映を、でものどかは気にせず、唾液をたっぷりと含んだ舌で丁寧に舐めほぐしていった。


「はぅ! の、のどか、やめてくださいっ! 汚いですッ!! ひゃぁ、ん!」

「ん、れるぅ……、だいじょうぶー。汚くなんかないよ、ゆえー」

「で、ですがっ! あぁぁっ……」


 唾液と腸液でヌルヌルになった夕映の肛門。
 夕映は何とかのどかの舌の侵入を止めるため、力を入れて肛門の窄まりを閉じようとするのだけども、横島がせっせと腰をくねらせるモンだからそれも出来ない。
 更には魔法陣からくる快感の増幅も手伝ってしまい、間断なく襲う絶頂感から力が入らず、のどかの思うがままに嬲られ続けるのだった。


「あ、あ、あっ、やっ……もう、ゆるして、のどか。このままじゃ、ご主人さまに嫌われるです……ひぃっっ!」


 ただでさえ小さく幼い身体のせいで印象が良くないと言うのに、お尻で気持ちよくなってしまう変態だなんて思われたら……

 のどかのお尻への最初のキスから数分の時間が経って、尚も2人から嬲られ続ける夕映は、泣きながらものどかの攻撃から耐えようとしていた。
 既にのどかも魔法陣の中に完全に入り込んでいて、気づけば直腸に2本の指を差し込み、グネグネと蠢かせている。
 のどかの指が折り曲がるたびに、得も言われぬ快感が脳髄を走り、目を大きく見開いて喘ぐのだ。
 更には自分の中にいる彼の肉杭も、右に左に前に後ろと、決して夕映を楽にはしない。


「イッちゃうっ! またイッちゃうですっ!! ひぃっ、ひぃっ、あああっ、ひぃうんっ、ンンッあ……ま、また、ひぃああああああぁぁっっ!!!」


 良い感じにトリップしている夕映を見て、のどかは彼女の背筋に舌を這わせ、肛門に指し込んでいる指を激しく出し入れしながら、


「横島さん、もういいんじゃないかと───」  

「ん? そっか、んじゃそろそろイクかな……」


 横島はここが先途とばかりに腰の動きを激しくさせる。
 のどかには、横島の肉棒のエラがゴリゴリ膣壁を擦っている感触がアリアリと分かった。
 また夕映も、自分の中で横島の肉棒とのどかの指が、肉壁を挟んで擦り合っているのが分かる。


「ひぁ、ぁぁあああ、あ、あああぁぁっっ!! らめぇっ! も、もう限界れすっ!! ごしゅじんさまぁ、のどかぁ、もうゆるひてぇ……っ!」

 
 ───これ以上されたら、おかしくなってしまうです……

 2穴を同時に刺激され、何度も絶頂し激しく痙攣を繰り返す。
 その刺激と、のどかによる準備が完了したのと合わせて、横島は欲望を解き放ち、夕映の奥深くで肉棒が脈打った。
 横島の精を子宮でたっぷりと受け容れた夕映は、肢体を小刻みに震わせながら、これ以上の快感から抜け出した安堵感から恍惚とするのだ。

 全部を受け入れる事が出来なかったと、胸に一抹の無念を抱いたままではあったが。

 ───焦ることはないですよね……。
 いつか……、いつかきっと、必ずアナタの全てを受け容れてみせるですよ。
 待っててください、私の愛しいご主人さま……

 そして、遂にカードが完全に姿を現しだし、夕映は心から感心した。

 本当にセックスでも仮契約は成立するのですか。
 なんでもやってみるものですね……

 ただ、なんでかカードは1枚じゃなく、2枚、のどかの分もあるのが不思議でならなかったが。

 それはともかく、
 じゅぐ、じゅぐ、ぐちゅぅ、ぶちゅ……
 なぜか未だに直腸内を刺激するのを止めないでいるのどか。
 夕映は終わらない排泄感じみた快感に根をあげ、


「も、もう終わったのですよね? ですから、止めてください、のどか……」


 と懇願するのだが、


「んじゃ、そろそろ本番いこっか?」


 横島の宣言に目が点となった。

 もしかして、私が前菜で、のどかが主菜という意味なんでしょうか?

 などと涙目で悲しく思っていると、


「ゆえー。前に全部入らないんだったら、他の場所に挿入して貰ったらいいんだよー」


 のどかは優しい声音で囁くのだ。
 にっこり笑いながら夕映の両頬を暖かい手で包むと、唇を寄せてチュッ。
 2枚のカードの絵柄に変化が現れ、それが完成しきる前に、今度は横島と舌を絡め合わせた。
 自分の頭上で行われるディープキスにあたふたしながらも、


「ど、どういうことですか?」


 と疑問の声をあげるのを止めない。
 横島はのどかとのキスを止めながら、緩慢な動作で夕映の胎内から肉棒を抜き出した。


「ひぁっ」


 小さく喘ぐ夕映を、今度は180度クルリと回転させ、幼児におしっこをさせるような体勢で持ち上げる。
 恥かしげに横島の方に顔を向ける夕映。一体これから何が行われるのか分からない。
 横島はそんな夕映の唇を奪い、これ以上の囀りを防ぐと、肉棒を彼女の後ろの穴にピトッと合わせた。

 ここでようやく何をされるのか分かった夕映。
 ジタバタ暴れて何とかそこに侵入してくるのを防ごうとするも、しっかりと横島に抱えられている今、それも叶わず。
 横島への確かな信頼感と信仰心が揺らいだ……、なんてことはなく、夕映は諦めたように力を抜いた。



 ───これは良い機会なのかもしれません。ご主人さまに全てを捧げれるのですから……



 本来、排泄行為以外で使われる筈のない場所。

 そんな場所に入り込んでくる熱い肉の杭を、夕映はどこか嬉しく思うのだ。




 この瞬間だけは、さっきの無念も、忘却の彼方に行ってしまうのだから。


「んんんぁぁぁあああああああっ!!??」


 苦痛の声を上げながら、夕映はそう思った。
































 後書き

 何か最近「幻燐~戦女神ヴェリタ」までのSS書きたくて仕方なかったり。

 セリーヌに転生、原作知識微妙にアリでw
 もちセリーヌは病弱なまんま(笑
 セリーヌ、Lv100が雑魚であるこの世界において、嘆きのLV1!
 装備スキルについては、武器装備ゼロ、防具は服系、取得スキルは当然武器系はなし、魔法も使えないし技もなし。
 力なし、魔法使えない、権力ゼロだからNAISEI無双無論なし等々……

 こんな主人公の性徴……じゃなくて成長物語。
 

 これ書いてる時も、気がそぞろになって……
 ええ、前もそうだったんだけど、論文やレポートで追い詰められると、どうしても色々書きたくなるのよね(笑

 そんな訳で、チラ裏にて投稿しちゃったりw


 シスコンでブラコンなお姉さま、セリーヌたん物語


 よかったら見てやってくださいまし。



[11660] ネギま!のほほん記 第24巻  エロ有り(夕映&のどかSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:43

   ネギま!のほほん記  第24巻  夕映&のどかSPイベント①中編















 夕映を180度クルリと回転させ、まるで幼児におしっこをさせるような体勢で持ち上げる。
 恥かしげにチラチラ彼の方に視線を向ける夕映。
 これから何が行われるのか分からない。
 横島は戸惑いを見せる夕映の唇を奪い、自らの肉杭を彼女の後ろの穴にピトッと合わせた。

 夕映は、ようやく何をされるのか分かった気がした。
 そして、それは恐らく正しいのだ。

 彼女は未知の恐怖からジタバタ暴れて何とかそこに侵入してくるのを防ごうとするも、しっかりと彼に抱えられている今、それも叶わず。

 こんなひどい事をされそうになり、横島への確かな信頼感と信仰心が揺らいだ……、なんてことはなく、彼女は諦めたように力を抜いた。



 ───これは良い機会なのかもしれません。ご主人さまに全てを捧げれるのですから……



 身体から力を抜き、彼に全てを預けると、唇を塞がれたままゆっくりと菊穴に肉棒がメリ込んでいった。


「んんんぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あああっ!!??」


 のどかの舌と指によってすっかりほぐされていた夕映の肛門が広がり、横島の肉棒の先を難なく呑み込んでいく。
 次第に横島の唇が遠くなり、遂には舌の先すらも届かない位置まで身体が沈んでいくと、


「い゛っっ!! ぎ、ぎ、ぎぃっ!?」


 凄まじい苦痛。目の奥に星が走った。
 それは初めてを彼に捧げた時以上の、激痛。
 目に涙が溢れ出し、余りの苦しみに激しく顔を左右に振った。

 でも、決してこれ以上の侵入を止めて欲しい訳ではない。
 むしろ自分など気にせずに、ズイッと奥までぶち込んで欲しい。

 だけども、横島はゆっくりと腰を引き始めてしまった。


「だ、ダメですっ! 大丈夫ですよ、大丈夫ですからっ!!」


 そんな時だ、一番の親友ののどかが、夕映の身体を包み込むように抱きしめてきたのは。


「大丈夫だよ、ゆえー。横島さんと私を信じて……」

「ああ、俺を信じろ、夕映!」


 せっかく半ばまで飲み込んでいたというのに、雁口ギリギリまで引き抜かれてしまった肉棒。

 それがどうしようもなく悲しくて、ここでもやっぱり私は……

 そう思っていたのに、大切な2人の言葉。
 涙を流しながら、コクン。
 ゆっくりと、だがしっかり首を縦に振るのだ。

 それは感動的な光景……なのか?

 何気に学校から帰って来ていたアスナと木乃香が、窓越しに家の中から呆れた視線を3人に向けている。

 でも、当事者の3人は物凄く真面目だ。  
 のどかは腰を曲げて2人の結合に顔を近づけると、肉杭の竿をチロチロ舐め、
 続いてその肉杭に犯されている穴の周囲に、舌を刺し込み唾液を塗り込む。
 ねっとりと唾液で濡らして挿入を容易くしていくのだ。
 同時に、その行為から来る鈍い快感。
 それが夕映の痛みを和らげる。
 更には横島自身も細かくリズミカルに抽送を繰り返し、入口周辺をぐちゅぐちゅに掻き混ぜた。


「ひぃっ! はぁっ!? 気持ちよく……なってきましたです……あっ、あっ、あっ、ンッ、ンンッ、ンゥッ……!!」


 そうして徐々に、だが確実に奥へ奥へと挿入されていく。

 ヌリュッ、ぐにぃっ……ぬぷ……ぬむむっ!  


「ああっ!? うっ、くううううぅっ、ん!」


 肉棒が3分の2ほど埋没した。
 ここまでは夕映の前の穴でも受け容れることが可能な領域。
 そう、ここからが本番なのだ。
 夕映はお腹を圧迫される鈍く激しい痛みに耐えながら、大きく息を吸い、そして吐いた。
 その瞬間、ズンッ! 夕映の身体が一気に沈み、横島の膝の上に納まった。
 それは、肉棒が根元まで入った証。
 肉棒の先端が直腸の奥の奥、結腸の辺りまで挿入されたのだ。
 一本の肉杭に貫かれた所為で背筋を突っ張らせながら、それでも夕映は柔らかく頬を緩めた。

 痛み、苦しさ、お腹の奥の異物感。

 それら一つ一つが確実に彼女を苛んでいると言うのに。
 でも、頬を伝い流れ落ちる涙は、決して痛みや苦しみから来るものではない。
 これで正真正銘、横島忠夫の女になれたのだと言う喜びと、女としての浅ましい悦びから来るものだ。


「おめでとう、ゆえ」

「ひぃう、ん……あ、ああ、ありがとうです、のどか……んぁ……」

「大丈夫か、夕映ちゃん」


 横島は夕映を抱きしめる力を強くしながら問いかけた。
 家の中からアスナと木乃香の咎める様な視線にようやく気づいた横島だったが、ここはあっさりスルー。
 もちろん夕映が辛いと言うならば、すぐさま止めて仮契約の儀式(?)を終了するつもりだし。
 だけど、激しい痛みに苛まれている夕映だったが、やはりと言うかやっぱり出てきた言葉は、


「は、はい、大丈夫です。ですから、もっと、して欲しい……です……」


 目の端にたまった涙をぬぐいながら、とても好い笑顔を浮かべた。


「ええんか? 一度始めたら止まらないぞ?」

「……はい」


 モジモジはにかみながらの仕草は、とても愛らしい。
 横島は暴走しそうになる情欲を抑えながら、ゆっくりと腰を揺らめかせてみた。


「くはあぁっ!!」


 硬い杭が僅かに揺らめいただけだというのに、お腹の奥に激痛が走った。
 ならばと今度はゆっくりと抽送してみる。
 丁寧に、繊細な動き。
 更には、少しでも痛みが和らぐようにと、のどかが夕映の股間に顔を埋めた。

 零れだす胎内に納められた精を舐め啜り、丹念に彼女のクリトリスを舌先で刺激する。

 ぴちゅ、ぴちゃ、ぴちゃ……

「のどかっ!? そこ……弱い、から……やめ……ひぃあぁ……」

 
 のどかの優しい舌先での愛撫に、夕映は蕩けそうな顔で甘い声を漏らしだした。
 ピクピク痙攣を繰り返す太股。漏れ出す熱い吐息。
 横島はそんな夕映の様子を注意深く観察しながら、ゆっくり彼女の小さい身体を持ち上げる。


「ふああ……な、なんです、これは……っ!? ダメぇ……こんな、こんな……んんぁ……っ」


 横島の動きに排泄しているような錯覚を。
 のどかの舌先に激しい昂ぶりを。

 それぞれ感じさせられ、痛みよりも快感に、そしてより高い絶頂感へと昇っていく。
 夕映の苦しみの混じった呻きは、そうやって穏やかなものになっていった。
 横島の肉棒は、夕映のアヌスに急速に馴染んでいき、今度は快感が頭をもたげてきたのだ。
 腸内を圧迫され、身体の奥が熱くなり、女性器から得られる快感とはまた違った快感。
 まるで蕩けるような心地好さに、心を奪われてしまいそう……


「あっ、はぁん……うくぅ……ふあぁっ……ひゃうんっ!」

「なんだぁ? もうよがってんのか!」

「くすっ……、ゆえー、気持ちいいの?」


 夕映の小さなワレメから、横島の精液と混ざり合った熱い愛液が、ドクン、ドクンと流れ落ちる。
 のどかは横島の精液を自らのワレメに塗りたくるように、自らの性器を夕映の性器に押し付けた。
 ぷちゅっ、2人の少女のビラビラが合わさり、のどかは貪欲なまでにアソコを擦り合わせる。
 性魔術の研究の際の経験を元に、そうやって激しく快感を貪るのだ。
 

 処女アヌスを犯しながら、美少女の百合プレイが見られるなんて……っ!

 女同士は不毛だが、こうして自分も混ざれるのならば、むしろ大歓迎なんだと横島は声を大にして言いたい。


「のどかっ、気持ちいいですっ! ご主人さまっ、好き、好きぃっ、愛してるですっ! もっと突いて、犯してくださいっ!!」

「ああぅっ! ゆえ、すごいっ! 私までふわふわして……イッちゃいそうだよーっ!!」


 愛する男の精液で満たされたヴァギナを、親友が犯してる。
 同時に、愛する男が自分を夢中になって犯してる。

 愛され、求められ、犯されて……

 なんて、素晴らしい、ぞくぞくするような快楽。

 じゅぷっ、ずちゅっ、ちゅぷっ、ぬちゅん……

 聞こえてくる淫らな水音が、そんな自分を祝福しているみたいだ。

 ───出来うるならば、いつまでもこうしていたいです……

 でも、夕映の性感も、のどかの性感も、なにより横島が……
 少しづつ速さを増していた抽送が終わり、最後とばかりにグイッと深く沈めていく。
 再び根元まで突き入れられた肉棒に、夕映はまったく痛みを感じない。
 いいや、それどころか、強烈な快感に……背筋を仰け反らせた。

 そして、ビュクビュクビュクビュクビュク……ドクンっ!!

 腸内に熱い精の塊がぶちまけられる。


「くっ、ご主人さまのが出て……ひあああぁっ! あっ、はぁんっ! んふううううぅっ!!」


 びくびく悶え痙攣する夕映の動きに、のどかもまた、


「ふああああああああっっ!!」


 同時に果てるのだった。



 シュウウゥゥゥ……

 魔法陣の光が鎮まり、カードが2枚、くるくる回りながら3人の間に落ちる。

 1枚は夕映のカード。
 大胆にカットされたワンピースタイプの水着に身を包んだ夕映の姿絵。
 右手には杖。左手には本。腹部に抱きつくのどか。そして、背後の男のシルエットが2人を抱きしめる。

 もう1枚はのどかのカード。
 大切な部分だけを隠したビキニに身を包んだ姿絵。
 頭に猫耳。お尻には尻尾。右手に光る本。太股にしがみつく夕映。最後に夕映のカードと同じように、男のシルエットに背中から抱きしめられていた。

 数十に渡る絶頂により気を失ってしまった夕映とのどかを自分の方へと抱き寄せながら、横島はカードに手を伸ばす。

 カードの絵柄を見るなり、自分の知るモンとは随分違うなぁ~、なんて思った。
 横島の知る仮契約カード、それは全てが従者の立ち姿。
 なのに、これは従者と、そして別の従者まで記載され、その上で影絵ではあるが間違いなく主である自分までいる。
 横島は夕映の後ろに納まっている自分の肉棒をゆっくり引き抜きながら、仮契約カードの従者用複製を作りだす。
 すると、夕映とのどか専用のカードが出来上がると同時に、マスターである2枚のカードが光り輝き重なり合った。

 目をパチクリさせながら驚く横島の眼前で、2枚のマスターカードが1枚に合体し、生まれ変わったのだ。

 後に分かる事だが、のどかと夕映、それぞれのカードが干渉しあい、本来は主と従者のカード間でしか出来ない筈の念話が可能となっていた。
 まあ、携帯電話の方が便利なレベルではあったが。

 こうして夕映とのどか、2人との仮契約は無事終了したのだが……








「た~だ~お~?」


 凄まじい負のオーラを背に、彼の第一使徒がベランダから彼らが居る庭へと降り立った。
 いいや、彼女だけじゃない。
 仮契約についてアスナから説明を聞いた木乃香。
 そしていつの間にやら来ていたアキラと夏美まで。

 彼女達の視線の先は、のどかが持っていた仮契約の巻物(ポーション)。

 じりっ、じりっ……互いに互いを牽制しあい、隙あらばいつでも巻物を自らの物にしようと身構える。

 こうして争いの火蓋が切って落とされた。



「夏美、ここはアスナ打倒に手を組もう」

「いいよ、アキラ。まずは強敵を倒して、それから改めて……だね?」

「フフン。アンタら、たった2人だけで私に勝てると思ってんの?」

「いつまでも未熟なままだと思わないで」

「そーいうことっ! イクよっ、アスナーッ!!」

「ハンッ! 返り討ちにしてやるわっ!!」


 初手はアキラ。

 気が込められた拳を、アスナに向って打ち放つ。
 でも、それはあまりにまっすぐ過ぎる軌道。
 雪之丞の手解きを受けたアスナにとって、その程度の動きなら目を瞑っても避けられる。
 身体を少し捻らせる。ただそれだけでアキラの拳をやり過ごすと、アスナは隙有り! とばかりにがら空きの身体に自らの拳をめり込ませた。


「グゥッ!?」


 激痛が走り、肺に残る空気が全て外に出る。
 でも、これはアキラの計算の内。
 実力で明らかに劣る彼女にとって、こうでもしないとアスナの隙は作れない。
 自分の身体にメリ込んでいる拳を掴み、一瞬だけど確かに頬を引き攣らせたアスナに勝利の笑みを見せた。


「夏美っ! 後はお願いっ!!」


 夏美の右手が光り輝く。
 彼女に許された、たった一つの技。

 H・O・G。

 指の先、そこから伸びる霊力の爪。
 それを夏美は、アスナの背中の右肩の辺りから、左の脇腹にかけて、振り下ろした。

 ズシャァァアアッッ!!!

 霊気構造をも切り裂く霊力の爪撃。
 夏美の、半年の修行の成果である。
 アキラと夏美は勝利を確信した。

 この技は、横島のハンズ・オブ・グローリーの劣化版とはいえ、下級の妖魔程度ならば存在を消滅させれる程の威力を持つからだ。

 そんな技をアスナに……、と思うかも知れないが、2人とも、これでどうにかなるアスナではないと、変な信頼をしていた。

 それでも死にはしないだろうが、ダメージは大きい。
 そう確信はしていた。
 アキラは仰け反るアスナに、「ゴメンね、アスナ……」言ってることは殊勝だが、顔に浮かんでいるのは嬉しげな笑み。
 掴む拳を離し、トンッと後ろへと押しやった。

 そのまま、背中を地面につけ、倒れる……かと思いきや、ザリッ、地面を削るような音。

 アスナの足に、霊気が纏っていた。
 一瞬の驚きのあと、素早く後ろへ跳ぶアキラと夏美。


「フ……フフフ……アハハハ……アーハッハッハッハッハァーーッッ!!!」


 アスナを中心に、暴風が吹き荒れた。
 アキラと夏美は、驚愕の視線をアスナに向ける。
 切り裂かれた彼女の背中には、血が一滴も流れていない。
 ボロボロになった上着だけが、夏美の技が確かにアスナに当ったのだと教えてくれていた。

 2人の背筋に冷たい汗が流れ、恐怖に顔が引き攣る。

 これが、横島忠夫の使徒の力なのか……!!

 アスナの右手に霊力が収束する。
 その霊力が凝固し、一つの物体を作り出した。

 魔装拳。

 私たち、死んじゃうかも……

 2人の顔が青ざめる。

 でも、アスナの右腕の魔装、その広がりはまだ止まらなかった。
 右肘まで覆い、次に肩まで、そしてそこから一気に全身が光輝き……


「いい加減になさいっ!」


 3人の目の前で、問題の巻物が切り裂かれた。
 その日行われる期末試験お疲れ様パーティー。
 それに出席しに来たあやかの手によって。

 霊力の火花を放つ神通棍を片手に、3人を怒りの形相で睨みつける。

 3人はこの時、正座で平謝りしながらこう思った。

 オワタ……


 ちなみに横島はと言うと、3人がバトルを始めた時点で素早く木乃香に連れられ室内に入り、千鶴も一緒に3人でお茶会をしていたり。





 そして、ネギは……

 ハルナに捕まったまま、翌日の朝まで千雨と共にとある作業にいそしんでいたそうな……

 
「ふぇ~ん! もう帰してくださいよ~」

「オイ!なんで私までっ!!」

「いいからさっさとするっ! 時間は待ってはくれないのよっ!!」


 合掌。



































 こうして一番の主役であるネギ不在で始まった、期末試験お疲れ様でしたパーティー。

 だがしかし、いつもの横島一行に、そして遅れてやって来た裕奈と亜子、それにバカレンジャーを加えた出席者は、
 普段はあんましない勉強から解放されたせいもあって、とても盛り上がった。
 桜咲刹那の不参加が、木乃香の心に小さい棘を刺したけど。

 後はついでとばかりに楓や古菲に手合わせを申し込まれる横島だったが、


「バトルはイヤじゃーっ!」


 普段の彼の行動から信じられないことに、楓のナイスバディーから、勢い良く逃げ出すのだった。

 なんせ冗談ではない。

 誰が好き好んで、女の子とバトルせなならんのじゃ!


 そんな横島に、ケラケラ笑う一同。
 どこか暖かく優しい時間がゆっくりと過ぎていき、そして終わりを告げた。
 寮生である出席者は、門限のこともあって帰らなければならないから。
 あからさまに残念そうな顔を浮かべる裕奈を、亜子が引きずるようにして帰ると、他の面々も家路に着いた。

 ただ、夕映とのどかの2人は残ったのだが。

 なんせ2人とも、絶頂(イキ)すぎで足腰がガクガクしてまともに歩けない。
 何より帰ればハルナが待ってる。
 せっかくネギが尊い犠牲になってくれたのだ。


 ───のどか。ここは、かの少年の好意に甘えましょう……

 そうだね、ゆえー。せっかくのネギ先生の好意だもん。遠慮したらダメだよね───


 目と目で通じ合った2人は、わざとらしく涙を目に一杯浮かべながら、ネギを見捨てた。


























 静まりかえった家。

 ここの住人であるアスナと木乃香は、さっさと自分の部屋で寝てしまった。
 それはこの家に住んでいるという余裕の現われ。
 いつでも彼に甘える事が出来るのだと、無言でそう言っているのだ。
 そんな訳で、一緒に彼の部屋のベッドに潜り込んで、彼の帰りを待つ夕映とのどかだったが、気づけば夕映はスゥー、スゥー、と静かに寝息を立てていた。

 仕方無いか……、のどかはそう思った。

 何故なら、あの仮契約の魔法陣の中、彼女は後ろのバージンを彼に捧げ、尚且つ、散々にイカされまくったのだから。
 のどかは幸せそうに眠る夕映の顔を覗きこむと、クスリと柔らかく笑んだ。


「ゆえ、おやすみなさい……」

「むにゃ……、……みなさいです、のど……か……」


 小さく小さく囁かれた言葉。
 なのに、夕映は眠ったままに、言葉を返してくれた。
 のどかは顔の笑みを深くしながら、ポフンとベッドに身体を沈めた。

 ───早く戻ってこないかなぁ~。

 彼は入浴中だ。
 本当は一緒に入りたかったけれど、どうにもタイミングが合わなかったのだ。

 のどかは、それをとても残念に思う。
 だって、自分とゆえは、彼と一緒にお風呂に入ったことなんてないんだから。
 だからこそ、一緒に入りたかった。
 今日、夕映が自分の本懐を達成したように、のどかも横島と一緒のお風呂……なんて小さい夢を叶えたかった。
 残念な気持ちで胸が一杯になる。

 でも……、のどかは大げさなまで頭を左右に激しくふり、それを振り払った。

 そうしてやっとの思いで手に入れた、大切な宝物を手に取る。

 仮契約カードだ。

 自分とゆえと、そしてシルエットだけの彼。
 大切な2人に囲まれた自分の猫耳姿。

 くすっ、思わず笑ってしまう。


「これって、横島さんのせいだよね───?」


 くすくすくすくす、にこにこにこにこ。

 そうしていると、不意に視界が影に覆われる。


「なにが俺のせいなんだ?」


 風呂上りの彼はパンツ一丁。
 とてもじゃないけど乙女の前でする格好じゃあない。
 そんな格好でも気にはしないけど、少しは考えて欲しいな~、とのどかは思うのだ。

 でも、そんな事を考えてるとは露とも見せず、のどかは笑いながら仮契約カードを横島に見せた。


「はい、これです。横島さん」

「ああ、これね……」


 のどかの猫耳、猫尻尾は、横島と2人きりでエッチする時の定番アイテムだ。
 そして、今の彼の手にある物もまた、猫耳、猫尻尾である。

 のどかの頬が熱くなった。

 トクンっ、胸が高鳴る。


「ん? 夕映ちゃんは……寝ちゃったかぁ」

「疲れたんだと思います。だって……」

「まあ、あれだけイッたらしゃーないか」

「それに、パーティでもはしゃいでたからー」


 2人、顔を合わせてクスリと笑った。
 とっても温かい笑い。
 横島は笑いながら夕映用の犬耳と犬尻尾、そして首輪を片しながら、のどかの頭に猫耳を装着するのだ。
 のどかは、ゆえにもするつもりだったんだー、っと思いながら、慣れた様子で四つん這いになってお尻を横島に向ける。
 昼間に夕映にしたみたく、今度は自分の手で尻たぶを割り開くと、その先にある窄まりを彼に晒した。
 そこは、すでにのどかの唾液と腸液によってヌラヌラと光り、横島の行為を今か今かと待ち侘びている。
 なんせ横島が風呂に入る前から、のどかはずぅっと準備していたのだ。
 横島の手にある猫尻尾の根元についているアナルプラグを、自分のお尻の中に、いつでも迎え入れる事が出来るようにと。

 いいや、彼が望むなら、彼自身だって今すぐそこで受け止められる。
 横島ものどかがそうする事を分かっていた。
 だから躊躇わずに手に持つアナルプラグを、のどかのお尻の窄まりに沈めていく。

 ヌ、ヌヌヌ……ヌグゥっ……

 楕円形の球が5つ連なっているプラグが、一つ、また一つとのどかの後ろの穴に飲み込まれていき、そうして最後の最も大きな球が、ヌプンッ!と入り込んだ。


「ンンッ! ンゥ……んぁあ……はうぅっ!」


 夕映とは違う。
 のどかには痛みはなく、慣れた快感に身を震わせながら、あっさりと全てを飲み込んだ。
 そうして横島が手にあるリモコンのスイッチを入れ、ウィーン、ウィーン……モーター音が辺りに響く。
 お尻の中で暴れだす5つの球。 
 直腸を犯すその動きに、のどかは身体を熱くさせるだけで、さほどの反応をみせなかった。
 感じていない訳ではない。
 ただ、決してその様を見せないだけで。
 その証拠に、微かに漏らす吐息が艶かしく、平然としてる風なのに目が潤みを見せていた。
 のどかは、夕映の隣で大の字になって横たわる横島の下着を丁寧に脱がせていき、


「頑張ります、にゃ……横島さん───」


 言うなり彼の下腹の辺りから胸の辺りまで舌を這わせ出す。
 唾液を彼の身体に擦りつけながら、猫の様に自らの身体をくねらせて愛撫するのだ。
 そうしながら彼の大事な部分に手を伸ばし、シュッシュッと手で擦り始める。
 甘い快楽に目を細めて満足する横島に、のどかは嬉しそうに舌を這わせ、手と指と身体での愛撫の動きを激しくしていく。
 自分の乳首を舐められる快感。
 お腹の辺りにクネクネとした感触を与えるのどかの屹立した乳首。 
 のどかの柔らかく温かい手で擦られる肉棒。
 そして、目に映る猫耳と、そしてヴィヴィヴィヴィ、と彼女の尻穴に激しい振動を伝える猫尻尾。

 ただのセックスとは違って、鈍く緩い快感ではあるが、そんなぬるま湯の様な快感に身を浸し満足の溜息をこぼす。

 昼間みたいに魔法陣の効果で得られた快感には到底及びもしないが、心の満足感は断然にこちらが上だ。
 横島はゆらゆら揺れるのどかの猫耳が付いた頭に手を伸ばすと、ご褒美だと優しい手つきで撫で始めた。
 その手の余りの心地好さに、のどかはもっと頑張ろうって気持ちになれるのだ。
 彼の肉杭を愛撫する手の蠢きが、いっそう艶かしく淫靡になっていき、先走りの液がのどかの手を汚していく。
 思わず身体を舐めすするのを止め、ネットリとするその液体を口元に運び、れろぉっと舌を伸ばす。
 口の中一杯に広がる彼の味。陶然と目を細め、うっとりする。

 だけど……、


「の~ど~か~っ!」


 彼の怒りのこもった声に、ビクンっと身体を跳ねさせ怯えてしまう。

 ああ、やってしまった……
 彼への奉仕もせずに、自分の欲望を優先してしまうなんて……

 後悔が胸を過る。
 目に涙がたまり、先ほどまでは熱く火照っていた身体が、一気に冷えて凍りついた。


「あうっ、ごめんな……さい……」

「こりゃ、罰を与えなきゃならんなぁ」


 邪悪。そうとしか言えない笑みを浮かべる横島。
 でものどかはホッと胸を撫で下ろした。
 怒ってない。彼は、怒ってなどいなかったから。
 だからのどかは『いつも』しているように、獣の様な体勢で彼にお尻を向ける。
 すると横島はウネウネ動く猫尻尾を掴み、ゆっくりとアナルプラグを抜き出した。


「あふっ……あっ……にぃ……」

「ったく、スケベ猫の調教は手がかかって仕方ないぜ……」

「にゃ、にゃんっ、ンンンァ……」


 彼の嘲るような声が耳に入った瞬間、軽く達してしまう。
 だけども、口撃だけで終わるはずもなく、ゆっくりと、じわじわ嬲るように引いていったアナルプラグが、グイッ! 一気に引き抜かれた。


「にゃっ! にっあぁぁあああああああっっ!!」


 お尻を突き出したまま、大きく背筋を弓なりにして達するのどか。
 その姿は、まるで猫がノビをするみたいな格好だ。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 荒く息をするのどかの肛門の入り口は、さっきまで飲み込んでいたプラグの形に開いており、横島の侵入を今か今かと待ち侘びる。
 横島は、のどかの手淫により先走り液を垂らす肉棒の先端を、その入り口にあてた。

 まずは一発!

 ヒクヒク蠢くアヌスに、硬く反り返った肉棒がズブズブ飲み込まれていく。


「にゃあああああああっ……!」


 外からお腹を一杯にされる苦しさ。
 そして、それ以上に腸内を肉杭で抉られる快感に悶え、のどかは鳴き声を上げた。

 
「ん……むぅ……いいぞ、のどかっ! 気持ちいいぞっ!」


 横島は嬉しそうな声を上げたかと思えば、のどかの直腸をもの凄い勢いで出し入れし始めた。
 そう、まずは一発、なのである。
 のどかの手で昂ぶりを高めていた情欲を、一気に解き放つため。

 突き出される肉棒のエラで粘膜を抉られる快感。
 引き抜かれる時の強烈な排泄感。
 

「にあぁ……よこしまさん……に、ぅン……イッ、イッちゃゥゥゥウウウウっっ!!!」


 のどかの頭が白く霞んだ瞬間、直腸奥にドスンっと衝撃が走ると、ドプルルルゥゥゥッ! お腹一杯に熱の篭った体液で満たされていく。


「……ッッ!? ン、くぅ……っ! 横島さんの精液……ああ、いっぱい……あぁああぁ、ご、ご主人さまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 大きく絶頂したのどかに、お前もかよっ!? 横島はご主人さま呼ばわりを始めたのどかにそう思った。

 ただでさえ期末試験お疲れ様パーティーの時の、夕映によるご主人さま発言に周囲の目が痛かったと言うのに。
 楓や古菲は言うに及ばず、そこそこ仲が良かった筈の亜子やまき絵の虫けらを見る目は忘れられん。
 好感度が軽くマイナスを振り切り、何故かいないネギに、これほど感謝したことはないだろう。
 流石の横島も、親友の息子にそのような目で見られるのは御免被りたい。

 せめて、一般人が居る前ではご主人さまは止めて貰おう。

 そう思いながら、のどかの尻穴に埋めた肉棒を引き抜いた。
 再びのキツイ排泄感に腰を振るわせるのどか。
 彼女の肛門の入り口から、白く粘りつく液体がドプッドプッ! と流れ落ちる。


「やぁ……見ないで……くださいー……にゃ……」


 出してはイケないモノを出している感覚に、のどかは羞恥で顔をシーツに伏せて動かせない。


「んじゃ、栓をするか」


 恥かしがっているのどかのため、横島は再び猫尻尾を手に取ると、彼女の菊穴に差し込みスイッチをonにする。

 ヴィヴィヴィヴィヴィッ!


「ふぁぁああ……! す、すごい……はぁっ、ああっ……ご主人さまぁ……ヒイッ、ヒッ、ヒァァアアアアアッ!」


 お尻の中にたっぷり注ぎ込まれた横島の精液。
 それを電動のアナルプラグが荒く激しく掻き回すのだ。
 終わらない快感に激しく身体を震わせ、お腹の中を掻き混ぜられる感触に、鈍い鈍痛が走る。
 お腹の奥にブチまかれた大量の精液。
 それがのどかのお腹を苦しめる。


「ご、ご主人さまぁー……、お、お腹が……ひぃうっ!?」


 耐え切れない。このままじゃ、お漏らししちゃいそう……

 涙をたっぷり浮かべながら、懇願する。
 トイレに行かせて欲しいのだと。
 だけども、帰ってきた答えは……


「デートしに行こっか。な、のどか?」


 細い首に、さっきの夕映に付けようと考えていたと思われる首輪が、キュッと締められた。
 首輪には鎖が繋がれていて、それを横島がグイッと引っ張っる。

 のどかはお腹を押さえながら、フラフラ、フラフラ……

 それでも、はっきりと彼に向って、コクン……、首を縦に振ったのだ。
 横島は、自分の背広をクローゼットから取り出すと、その上着をのどかの肩にかける。
 のどかはそれに袖を通し、そして、そのまま彼と共に玄関へと向って歩き出した。
 靴を履きながら外へと続く扉が開け放たれて、ヒンヤリとした空気をのどかは感じた。

 お腹の痛みと、寒さと、そして恐怖……


「よっしゃー! 夜の公園にゴーじゃーッ!!」」


 それでも、彼の言葉に反しようとは思えない。

 抗えない、目の前の、大好きな、彼の言葉に……






[11660] ネギま!のほほん記 第25巻  エロ有り(夕映&のどかSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 18:43
 注!

 作者はミスを犯していました。
 ネギパート構成ミスです。
 実はこんな感じの話が入る予定でした。

 バカレンジャー&ネギが図書館島脱出後、そのまま横島家で勉強会。
 そこで改めて楓&くー&刹那と横島との顔合わせ。
 刹那と木乃香微妙な雰囲気。
 お疲れ様パーティは、横島PT&バカレンジャー&亜子、まき絵、裕奈のみ

 ……うん、書き忘れたんだ。
 改訂しようかとも思ったんだが、今更感が強くてやる気が……
 具体的に言うと、暑くてやる気が出んかった。
 書き手として最低な行為だとは解っているんですけど、今回はこう言う事でよろしくお願いします。

 次回以降、この様なことがないよう、気をつけます。

 では、今回の話をどうぞw











   ネギま!のほほん記  第25巻  夕映&のどかSPイベント①後編













 日付も既に変わったろう深夜。

 のどかは困ったように暗い公園の並木道と横島を交互に見た。

 そんな彼女の姿はとても扇情的だ。
 素肌の上に、背広の上を一枚羽織っただけなのだから。

 いいや、それだけではない。
 彼女の細い首には首輪が嵌めてあり、それに付けられているリードが横島の手にあった。
 更には背広の影のギリギリ見えるか見えないかの位置に、猫尻尾がゆらゆら揺れている。
 その猫尻尾からは、絶えずヴィヴィヴィヴィ……と言ったモーター音が響いており、のどかのお腹の中を絶えず掻き混ぜる。
 お尻に埋め込まれている尻尾。その付け根には電動のアナルプラグが仕込まれているからだ。

 ここまで来るのに、どれだけの精神力を削られたのだろう。
 人の気配がする度に、ビクン、ビクン、と身体を痙攣させ、足を止めていた。

 元々が内気なのどかだ。

 この扱いには相当堪えているのが目に見えて分かる。
 横島は、それでもこの扱いを止めようとは思わない。

 思う訳がない。

 そんなモノ、のどかのアソコを見れば分かるだろう。
 充分以上に濡れているじゃないか。
 これは決して後ろの穴から来る快感だけではない。
 のどかの肢体が、悦んでいるから。
 だからこそ横島は、悪い顔を浮かべながらのどかを促すのだ。


「さあ、始めようか、のどか……」


 芝居がかった言い回しをしながら、のどかの着ている背広を脱がせた。
 その背広を、そのまま自らが着込むと、月明かりに照らされるのどかの全裸を、満足気に見やる。

 
「ど、どうすれば……いいんでしょうか────」


 両手で自らの身体を覆い隠すように抱き締め、どことなく震えた声。
 太腿を内股にして、カクカク細かく震わせながら、それでもツツゥーっと流れ落ちる愛液が光の道を作っていた。

 もしも誰かに見られたら……

 そのような恐怖に怯えると同時に、これからの期待に身体が熱くなる。
 春間近とは言え、3月の夜、まだまだ肌寒いはずなのに。

 どうしようもなく、身体が火照るのだ。


「四つん這いになって、公園を一周だな」
 
「ぅ……っぅぁ……は、い……わかり……ました……」


 だから涙目で躊躇しながらも、のどかは四つん這いの姿勢をとった。
 足元から横島を見上げるのどかは、首に繋がっているリードを彼に引っ張られながら、公園の中へと歩き出した。
 この倒錯的なプレイは、横島がいずれアキラにしようと思っていたプレイだ。
 露出の耐性と素養を持った彼女なら、悦んでしただろうから。

 だが、のどかは違う。

 今の所、露出の素養はまるで無い。
 ならば、上級者むけのこのプレイはまだ早い。

 だが、だからこそいいのだ。


「ご、しゅじんさまぁ……も、もう……」

「なんでだ? 俺とデートすんの、そんなに嫌だった?」

「ち、違いますー!」

「だったら、ゆっくりしよう。夜の公園の景色を楽しもう。そして最後にベンチに腰かけながら……」


 言ってる意味が分かったのだろう。


「ベンチ……で、ですか────」


 顔の紅潮が全身に広がり、快感の予感にアソコが熱くなり、腰をくねらせてしまう。
 街灯の反射で光る太腿に伝う水の光が、膝を通って地面を濡らしていた。
 横島とのどかの2人は、そのまま公園をゆったりと練り歩く。
 のどかの息が荒くなり、時折足を止めてはビクンっと背中を反らせていた。


「ご……ごしゅじんさまっ、もう、限界……です……っ!!」


 体力の限界か……?

 四つん這いで公園中を歩けば、それは体力を使うだろう。

 だが、そうではない。

 こうして外に出る前に、後ろの穴に大量に注ぎ込まれた横島の精液が、のどかのお腹を苦しめていたのだ。

 苦しげな彼女の視線の先は、トイレ。
 そこですっきりしたいのだろう。
 だが横島は、そうさせはしない。
 リード引っ張り、公園中央にそびえ立つ、照明塔の前に行き、そこで、横島は命令する。


「さ、ここで済ませるんだ」

「……えっ?」


 何を言ってるのか分からない。
 いいや、ワカラナイままでいたい。
 でも、彼の女として過ごした半年あまりの時間。
 そんな彼女に分からない訳がない。

 のどかは、目を潤ませる。

 そんなの、いや……

 だけども、彼は栓となっていた猫尻尾付きアナルプラグを一気に抜き去ると、その衝撃で嬌声をあげるのどかのぽっかりあいた尻穴に、指を2本差し込み掻き混ぜる。


「い、いや……ああ、や、めて……ダメですよー、でちゃう……イイッ! ぐぅ、ひゃぃぃ!?」


 グチャグチュグチャグチュ……

 余りにも激しい指使い。

 のどかがその刺激にいつまでも耐えられる訳も無く、ついには絶頂し、その衝撃で……


「……ン、ヒィアッ……ッッ!? ……ッ……ああああぁぁ……」


 腸内に納められていた精液の大部分を、排出してしまった。
 彼女の胎の中で温められていた横島の精液は、寒い外の空気に触れ、湯気がほわほわ立っていた。
 呆然と虚空を見ながらグスグス泣き始めたのどか。

 涙が頬を伝い、顎を通って地面を濡らす。


「わ、わたし、イヤだって、言ってました……」


 横島はのどかに手を伸ばす。
 だけどのどかはそれを拒否した。
 いやいや、首を左右に振って。

 そんなのどかに横島は焦らない。

 強引に腕を掴み引き寄せると、おもむろに唇を奪う。
 泣きじゃくりながらも、横島の強引なキスにすぐに応え始めるのどか。
 舌が優しく口内を弄り、気づけば、涙は止まっていた。

 横島がのどかをこうして泣かすのは初めてじゃなかったのだ。
 何度も泣かし、そして何度もこうやって泣き止ませる。

 のどかは、横島のキスに弱い。

 彼とするキスが好きで、好きで、好きで……
 それをされるだけで、もうどうでも良くなってしまう。
 このままではイケナイと思いつつも、こうして彼の非道を止めさせれないのだ。
 だって、そうすれば、こうやって優しく甘いキスを、たっぷりして貰えるんだから。

 のどかは爪先立ちになって、両腕を横島の首に絡めると、一層激しく横島の唇を求める。
 キスをしながら身体中を弄られる。
 再び後ろの穴にアナルプラグを差し込まれ、それでも一切気にも止めずに、ひたすらにキスをし続けた。
 後ろの窄まりに食い込まれたプラグの振動で、ズチュズチュ音を立てていても、尚。

 
「んぐ……んふぅ……チュ……ん……ちゅぅう……ンッ……うぅンッ、あふぅ……」


 ようやく離れた時にはすっかり悲しみの涙は引っ込み、逆に随意の涙を溢れさすほど。

 女としての悦びに満ちた涙だ。
 のどかはしばしうっとりと横島を見つめた後、分かってますとばかりに照明塔に身体を預ける。
 お尻を突き出し、自らの指でワレメをパックリ開けると、潤んだ瞳でこう言うのだ。


「お願いします、ご主人さま───どうかのどかのヌレヌレおまんこを……熱いおちんちんで、めちゃめちゃにしてくだ……さい……」


 まだまだあどけない乳房を揺らし、背筋を仰け反らせて、彼の侵入を待ち侘びる。
 腰のくびれをなぞる様に彼の手が通り過ぎ、しっかりと身体を固定されると、


「いい子だ、のどか……」


 じれったいほどゆっくり、のどかのアソコを割り開いていった。

 
「う……っく、ああ……ご主人さまの、んっ、入って……くううっ!」
 

 のどかの顔が、歓喜に染まった。

 
「ああんっ! ああああああああっ! ひいぃっ、あくううぅああ───っ!!」


 軽々と子宮まで到達した肉棒は、勢いドンッ!っとのどかのお腹の奥をノックした。
 深夜の……、いいや、朝焼けに染まり始めた公園中に響くのどかの嬌声。


「くっ……のどか、すごい声だな」

「ふぁぁぁぁっ! ら、らって……ご主人しゃまの、しゅごいぃぃっ!!」


 ぞくぞくぞくっ!

 子宮孔に押し付けられた、熱い肉の塊の感触だけでエクスタシーの海に溺れ、のどかは新しい性の扉を開いてしまいそうだ。
 この、清々しいまでの紅い朝焼けの光に肢体を染めながら、そう強く思うのだ。

 
「ったく、そんな大きな声を出してっと、驚いた誰かが見に来ちゃうかもしれんぞ?」


 そう言って、肉棒を先端ギリギリまで引き抜くと、再び思いっきりのどかの奥へと叩きつける。


「ら、らって……ご主人しゃまの、気持ちよくって……っ……こ、声、抑えられ……やっ! んっ!! ひぃやあぁぁぁぁっ!!」

「ほら、だれか近づいて来たぞ?」


 ザッザッザッ……確かに聞こえる土を蹴る音。
 流石にのどかも身体を強張らせ、声を抑えようとするのだが、横島はここぞとばかりに腰を激しく動かし始めた。


「やぁっ! み、見られちゃう! あぁぁっ!! い、やぁぁぁっ! わ、わたしぃっ!!」


 抑えようとした声が抑えられず、なお一層に甲高い声をあげてしまう。
 人の気配もいよいよ背後まで近づき、のどかは恐る恐るそちらの方へと視線を向けた。

 ジョギング中だったのだろうか?
 ジャージ姿に手拭を首に巻いている女性は、驚いた様子でこちらを見ていた。

 み、見られ……、あ、あああ……

 のどかの思考は千々に乱れ……

 女の足が止まる。

 赤い顔で、ジッと自分を、見ていた。

 ド、クン……

 子宮が熱い。

 震える、震える、怖くて……、違う、これは、歓喜で肢体が震えた。


「んぁぁぁぁっ! らめっ、らめらめらめらよぉーっ! きちゃ……きちゃうぅぅぅっ!! くぅぁぁぁっ!!」

「スケベのどか! イケよ! おらぁぁぁっ!!」


 のどかは絶頂へと駆け上る。
 そして、横島もまた、熱い塊が吐き出される時が来たのを感じた。

 
「んあぁぁぁぁぁ! 見られてるのにぃっ、わ、わたし……もう、だめぇ……イク、イ、イッちゃうぅぅっ! んやぁぁぁぁぁぁァァァ!!」

「のどかっ! くぉぉぉぉぉっ!!」


 のどかは身体を大きく反り返らせ、絶頂の飛沫を股間から噴きあげた。

 同時に、どびゅるるるぅぅぅぅぅっっ!!! 大量に放出された精液が、のどかの子宮目掛けて放出される。

 
「ンァァァァァァァ!! ご、ご主人さま! あ、熱い……よぉ! 熱いの、がぁ、どぴゅどぴゅってぇ……うっ……くぁぁぁぁぁ!!」


 のどかの胎内は、横島の精液を一滴残らず子宮に納めようと何度も収縮を繰り返す。
 暖かくヌメリの帯びた膣壁のギュっと締め付ける感触に、横島は陶然と腰を振ってその感触を堪能しながら射精し続けるのだ。

 本日(?)最高の快感だった。

 そんな横島の終わらない射精に、のどかの中に納まりきれなかった精液がごぷりと溢れ出す。
 太腿を伝って地面に流れ落ちるそれを、のどかは残念そうな瞳で見つめていた。


「やぁぁぁ……もったいないよ───」


 そして、ようやく思い出した。
 自分達を見ていた女の人の存在を。


「ひぃっ……!?」


 良く見れば、知っている顔……


「ゆ、ゆーな……?」

「やぁっ……」


 のどかの呆然とした呟きに、裕奈は頬を僅かに引き攣らせるだけで、手を上げて返事を返した。


「あー、横島さん。急がないとまき絵と亜子が来ちゃうよ?」


 相変わらずこの子には認識阻害が効かねーのな。
 そう思いながら、「あんがとな、裕奈ちゃん」と笑う。


「やれやれ、ホント横島さんは……」


 裕奈もまた、実に楽しそうに笑う。


「んで、こんな朝早くからどうしたんだ?」

「うん? 亜子が卒業式の日に告白するんだよね~。そんでさ、今から緊張しまくりで眠れないって煩くて……
 んで、朝っぱらから煩い亜子のせいで眠れないまき絵が自主トレ始めて、それに私も付き合ってるってわけ」

「あれ? だったらアキラはどうしたんだ? 仲いーだろ、お前ら」

「アキラはさー、眠れるときはシッカリ寝なきゃ身体がもたないって言ってて……」


 まるで世間話のノリで話し始める横島。
 しかも、射精を完全に終え萎びてくるはずの肉棒が、のどかの中で再び力を持った。
 裕奈に見られる快感……、横島の分身が力を取り戻したとしても仕方無い。
 そして、未だお尻の奥でのた打ち回っている電動のアナルプラグと肉壁越しにぶつかり合い、のどかに終わらない絶頂感を与え続けるのだ。
 青ざめた顔で裕奈を見ながら、絶頂感に身体を振るわせ続けるのどか。
 裕奈はそんなのどかのお尻についている猫尻尾付きアナルプラグに、横島と話しながら手を伸ばすと、興味深そうに弄繰り回す。

 まずは尻尾を握り、軽く引っ張ってみた。

 ヌヌヌゥゥゥ……

 一個目の球体が抜け落ちる寸前で手を止め、大きく開く肛門の形を興味深げに楽しそうに見る。
 球体は相変わらず振動しており、それがのどかの性感を苛んだ。


「あ、ああぁぁぁ……ッ」


 裕奈の耳に心地好いのどかの喘ぎ声。
 その声が苦痛で無いことは、その声質だけで分かる。
 裕奈はのどかのアナルから少し飛び出してしまった球体を押し戻しながら、残念そうな溜息を吐く。


「せっかくの機会なのになぁ~。横島さんに本屋も貸し一だよ」


 小動物の様な視線を裕奈に向けたのどかは、訳も分からずにただジッと彼女を見つめた。


「いいの? このままじゃまき絵と亜子が来ちゃうんだよ?」


 意地悪。

 そう言っても構わない程の笑みを浮かべてみせる裕奈。
 のどかはビクンッ! と大きく身体を震わせると、コクコクと激しく首を縦に振った。


「そう、それでいいんだにゃ~。ねっ? 私にしっぽを弄くられて感じちゃう変態ネコちゃん」

「ううぅぅ……」

「そんじゃね! 横島さ~ん、貸し、忘れないでよ~!!」


 最後にそう言って走り去っていく。
 そして、裕奈の去った方向から感じる2つの気配。
 徐々にこちらに近づいて来るその気配は、裕奈がその気配に近づいた途端、ピタリと足が止まった。
 遠くから聞こえてくる、3人のかしましい会話。






 ───どないしたん? 急に猛スピードで走って?

 あー、何か変な声が聞こえてさ~。見に行ったんだよねー。

 なんかあったの?

 いや、それがさ~。カップルがこんな朝早くから……

 えっ? えっ!? なになにっ!?!?

 エッチなことを……

 そ、それってマジなんっ!?

 マジもマジ!大マジよ!! ホラ、耳澄ましてみ? 聞こえてこない? エッチな喘ぎ声─────────
 

 


 聞こえてくるクラスメイトの声に、のどかは恐怖を感じた。
 キュッとしまるのどかの2つの穴。
 しかしそれは、振動を繰り返すアナルプラグと、横島の肉棒をより感じてしまう結果となった。
 更には裕奈の悪ふざけに同調したのか、グイグイ腰を動かし始める横島。


「くっ、あっ、深ぃっ! ご主人さま、今は、ダメぇ……はっ、ああんっ!」 



 

 ───ほんまや……、今、確かに聞こえたわ……

 えっとー、ど、どうしたらいいの?

 どうしたらって、回り道して近づかないようにするのが一番だって──────






 ああ、もう少し。あともう少しでまきちゃんたちは居なくなる。

 そう思い、これ以上声を上げないように堪えるのだが、横島の動きは一層激しくなり、のどかは息もつけなくなりそう。
 それでも必死に堪えていたのだが、ドクン! 膣内を犯す肉杭が脈うった。

 お腹に感じる熱い灼熱。
 のどかが一番好きな感触。
 その感触をお腹一杯に浴びた瞬間、もうどうでも良くなった。

 
「あぁぁぁぁぁっ! 出てるよぉっ! ご主人さまの精液っ……あっ……わたし、もう、イクッ! イッちゃうぅっ!!」






 ───ひゃぁぁああっ!? ど、どないしようっ!!

 いや、だからさ~。

 で、でもでもっ!

 ほらイクよ!

 イクって、今の絶叫みたいに?

 バカ言ってないで、ほら!!

 あ~ん! 待ってよ裕奈~!

 ウチを置いてかないで~!

 ほらー! はやくはやく─────────








 次第に遠ざかっていく足音。
 でも、のどかにはもうそんなのどうでも良く。
 お腹の中にたっぷりと射精された精液を、愛おしそうにお腹を撫でる。

 さすり、さすりと……

 横島は思うのだ。

 ホンの半年前まで女の色気が欠片もなかった少女が、こんなにもゾクッ!っとする程の色気を湛えるようになるとは。


「いい女になったなぁ」

「ンッ、あああ……本当ですか……?」

「おう! 半年前は寸胴だった腰も、こんなにくびれて……」


 その部分をさすりながら、感慨深げにそう言った。
 のどかの胸に歓喜が湧き上がる。
 気づけば、のどかは自分から腰を動かし始めていた。


「はぅんっ! あっ、もっと、もっとしてくださいー」


 半年前、男性恐怖症だったあどけない少女は……もう、いない。


「あっ、あああぁっ! ご主人さま、好き……あんっ、気持ちいい、ですか……? もっと、私で気持ちよくなって……ひぃぅ……んきゅぅぅぅううううううっっ!!!」


 夜が明け、白く輝く光を浴びながら、のどかは次第にぼやけてくる意識の中で、それでも腰をくねらせ続けるのだった。


 ただ彼を想うがために……
























 朝、のどかと夕映は学校をさぼった。
 ネギの試練の合否が分かる、期末試験のクラス成績順位発表があるというのに。
 これはのどかと夕映も関わっていたこと。
 当然、気にはなるのだが……
 それ以上に、眠くて、身体が酷く痛む。


「痛っ! 全身が痛いです~~」

「しゃーねーだろ。裸んなって四つん這いで公園中歩き回れば、そうなってもおかしくはねーしなぁ」

「誰のせいですかーっ!」

「あ~ん? ワイだけの責任か~?」

「そうですよ、のどか。私を置いてそんな事をしてるから、そんな目に遭うのですよ? まあ、一緒したいとは思わないですが」

「あうう~~」

「んな事よりもよ、アスナ達が帰ってくる前に、もう一発……」

「だったらー、その、お風呂でしませんかー?」

「それは……いいですね……」

「ね、夕映、一緒にご主人さまをキレイにしようねー」

「はい。ですが、まずは……」


 身を乗り出して、夕映は目の前に大きくそそり立っている肉棒に舌を伸ばした。
 射精したばかりで、まだ精液の滓が残っている部分を、丁寧に舐めとる為に。
 夕映は精液塗れの顔をグイッと近づけ、外見にそぐわない妖艶な笑みを浮かべる。
 舌先を伸ばし尿道口に刺し込みながら、唇でチュッと亀頭の部分を飲み込んでいく。
 それに合わせ、のどかもたっぷり唾液を絡ませながら、竿の半ばから夕映の唇目指してゆっくりと這い上がってくる。

 このままじゃ、キレイにするどころか、また出しちまいそうだぜ……

 横島は顔を快楽に緩ませながら、2人の頭を優しく撫でる。

 嬉しそうに目を細める2人を見て、別にガマンする必要もないな。

 そう思いながら、ドビュルルルルルルルッッッ!!!

 2人の顔だけに留まらず全身に精のシャワーを浴びせた。


「あ、あああああ……」
「ふぁあああああ……」


 恍惚の表情となった2人は、


「では、続きはお風呂場でするですよ、ご主人さま……」

「あん、ご主人さま~、まだ、そんな所さわっちゃダメですー」


 横島忠夫のエロ従者としての一歩を、確実に歩んでいくのだ。






 ちなみに、2-Aのクラス成績順位は……下から2番目だった。

 ギリギリセーフで試験を乗り越えたネギは。それはもう周りの人間に心配されるほど、全身の力が抜けてクタァ~っとなったらしい。


「もう、ダメかと思いました……」


 そう呟かれた声の響きは、とても10才に満たない少年の声ではないと、周囲の者達は思ったのだった。







[11660] ネギま!のほほん記 第26巻  エロ有り(アキラ&亜子)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 09:49



 フラレタ。

 文字にしたらたった4文字。

 でも、それはこの世の終わりなんじゃないかと思う位、目の前が真っ暗になる4文字。


「こんなんやったら、告白なんかせーへんかったら良かったわ」


 大好きだったサッカー部の先輩に告白。

 でも、結果は散々。

 あっさりとフラれ、でも亜子は笑ってその場を去った。
 そうして彼の視界から離れしばらくすると、その笑みは曇る。


 やっぱウチじゃダメなんや……
 脇役体質のウチなんかが主役になれる訳なかったんや……


 トボトボと、それでももう一度無理に作った笑みを顔に貼り付けて、亜子は寮への道をひた歩いた。
 そして寮の手前に着いた時、目の前にはちょっと困った顔で彼女を迎える裕奈とまき絵、それにアキラの姿。


「上手くいった……わけないか~、その顔じゃ」

「ああー、うん。ダメやったわ」


 裕奈の言葉に、無理して笑いながらそう答える亜子。

 でも、だ。

 友人の顔と声を聞いて、張り詰めていた緊張が解けたのだろう。
 ジンワリと、まぶたが熱くなった。
 視界がぼやけ、目の端から涙がこぼれる。


「あ、アカン! アカンて!?」


 頬を伝う涙を、必死に手の甲でぬぐい、でもそれでもぬぐい切れず、顎を伝って雫を落す。


 ───うっ……ぐすっ……ふっ……ひっく……う……えっ……くっ……


 小さく、小さくこぼれる嗚咽。
 裕奈達は重い空気に包まれる。
 なんせ彼女達は、こんな経験なんてなかった。
 自分がフラレタことも、友人が好きな人に告白し、そしてフラれるなんて経験も。
 だから裕奈達もまた、こんな事ならあんなに後押しするんじゃなかったと、後悔の念に押し潰されそう。

 だって思わなかったのだ。フラれるなんて!


 恋愛ってさ、もっと、こう、楽しいモノじゃん!


 裕奈は、アキラは、自分の相手が相手なだけに、そう思い込んでしまっていたのだ。
 
 だけども、現実はコレで……

 しかし裕奈は、重い空気を吹き飛ばそうと頑張る。
 こんな時は、バカ騒ぎするのが一番だ。


「っしゃー! みんなー、出かける用意ぃーっ!!」

「……へっ?」

「ほらほら早く早く! カラオケでもなんでもやって、パーッと騒ごう! ねっ!!」

「……うん、そうだね。裕奈にしては良いアイディアだと思う」

「わ、私もさんせーかな?」


 アキラとまき絵の賛成を得た裕奈は、ポケットの中から携帯電話を取り出し、ピ・ポ・パ!

 慣れた調子で一人の男に連絡を取った。


「あっ、横島さん? この間の貸し返せこら! えっ? うん、そうそう。大丈夫だって。ちょっとスポンサーになってもらうだけだからさー」 
























    ネギま!のほほん記  第26巻  この次が、あったのならば……





























 何故こんなことになったんだろう?
 和泉亜子は今の自分の状況が不思議でならない。
 好きとか愛しているという感情なんて一切!なくて、この変態男! なんて感情なだけだったはず。
 いいや、こうなった今でも、好きというよりは、やっぱり変態男という感情の方が強い。

 ただ、嫌悪感は失くなっていた。

 そんな自分を不思議に思いながら、耳をすます。

 寝息が聞こえる。
 それも、一つではなく4つ。

 まずは隣のベッドで眠っている、まき絵の寝息。
 とても幸せそうにムニャムニャ言っているのが、亜子には微笑ましかった。
 と同時に、さっき起きないでくれて本当に良かったと胸を撫で下ろす。
 そして、残る3つは耳元と言っても良いほどの至近距離。

 うつ伏せになっている亜子の右手に裕奈の寝息。
 続いて左手にアキラの寝息。
 そして、頭の上から聞こえてくる、男の人の寝息。

 亜子と裕奈とアキラ。

 3人まとめて抱きしめて眠る男の名は、横島忠夫。
 亜子は彼の胸に頬を押し付けながら、自分のあまりの尻軽っぷりに大きく溜息をついた。

 顔を上げ、彼の顔を盗み見る。

 口元に涎を垂らしながら、「くかーっ! くかーっ!」大イビキ。 
 別段ブ男という訳ではないけれど、特に2枚目という訳でもない。
 好意的に判断しても、ただの3枚目……それなりに溢れた普通の顔だ。
 亜子が好きだった先輩には到底及ばない。
 及ばないのだけど……、クスリ、小さく微笑んだ。


 やっぱ変態でスケベでロリコンなダメ夫やんか。

 亜子はそう思いながら上体を腕の力でムクリと上げる。
 そして露になった自分の裸体、一応はまだ処女であるその身体。
 でも、身体中のあちらこちらに見える赤い痣……、裕奈と、そして目の前の男に付けられたキスマーク。

 ボンっ! 顔が真っ赤に染まった。

 そして、どうしてこうなったのかを思い出すのだ。

 












 裕奈に呼ばれた変態……もとい横島さんのお金で豪遊した。
 簡単に言えば、調子こいた裕奈のおねだりで、超高級ホテルのスィートなルームで大暴れ。
 使える施設……カラオケとかプールとかその他諸々使い放題に遊びまくり、トイレに行った横島さんの隙をついてアルコールにまで手を出した。
 いつもならそんな物に手を出しはしない亜子とアキラまでそれ等に手をつけてしまい、酔って、暴れて、服脱いで。

 ……トイレから戻ってきた横島さんにむっちゃ怒られた。

 思っていたより彼は紳士だったのだ。
 あくまでも、思っていたより、だけども。
 って言うか、ケダモノは裕奈の方だった。

 それはどういう事かと言うと……


 早々に酔っ払ってダウンしてしまったまき絵を、急性アルコール中毒かと心配した横島さん。
 彼は下着姿のまき絵を更に剥いていくと、すわ強姦かと心配した私を余所目に素早く毛布をかけて静かに寝かせた。
 症状自体は軽いモノだったらしく、身体を絞めている下着を脱がせて呼吸を楽にさせる為だったのだ。
 少しだけ苦しそうにしていたまき絵の寝息がとても緩やかになったのを見て、少し反省。
 そんな自分達をもう一度しっかり怒ったあと、今日はもう休めと言われまき絵の隣で眠りについた。
 そうして、先輩にフラレたことなんて思い出す暇も無く、穏やかな気持ちで眠りについていたのだが、耳に入る苦しげな声に目を覚ます。

 何だろう? そう思いながら目をこする。

 ぼやける目をこらしながら声の方を見ると、アキラと横島さんがエッチしてた。
 それどころか、その眼前で食い入るように2人のエッチを見ながら自慰行為にふける裕奈。

 アキラと裕奈、そして横島さん。
 3人の淫らな行為を、息を呑んでガン見してしまう。

 アキラは彼に覆い被される形でエッチしており、両腕と両足を彼の腰に巻きつけピッタリ身体をあわせ、アンアン喘ぐ。
 裕奈もそんな2人のすぐ傍で自分を慰めながら、時折思い出したように彼にキスをねだる。
 興奮していたのだろう。息も荒く布団の隙間から2人を覗いていたのだが、遂には裕奈に見つかってしまった。
 慌てて布団の中に潜り込もうとするも、すぐに裕奈に引っ張り出され、アキラと横島さんが睦み合うすぐ傍まで連れ出される。

 そうして……












 裕奈だけじゃなく、亜子にまで見られていると言うのに、興奮の度合いを高めてるアキラ。
 淫蕩な瞳を煌かせ、肉のたっぷりつまった大きな乳房が、横島の腰の動きに合わせてゆさゆさ揺れる。


「くふぅっ、あ、亜子にまで見られちゃってる、私ぃ……、んぁ、あひ……な、なのに、気持いいのが止まらないよ、横島さん……っ!!」

「アキラちゃんは、本当に見られるのが好きなんだな」

「こ、こんなにしたのは全部横島さんだよっ! だ、だから……あふっ、んんっ、はぁ……せ、責任、とって……」

「おう。アキラの全部は、ワイのモンだからな。安心しろ!」


 横島のその言葉に、一際高く嬌声をあげた。
 いいな……、亜子は羨望の視線をアキラに向けた。
 もちろん、横島に愛されるのが羨ましいわけでなく、想いが通いあっているのが羨ましいんだ。

 なのに、裕奈は、


「あれ? だったら一緒に加わる?」


 ポツリと呟いてしまった言葉を耳ざとく聞いた裕奈は、亜子に襲い掛かった。
 呆然とする亜子の全身にキスの雨を降らせる。
 自分で慰めることすら碌にした事がなかった亜子。
 初めての性的快感に翻弄される。


「ひ、ぃ……ちょっ、だめだって、ゆーな……」


 まだアルコール成分が身体に残っているに違いない。

 亜子は自分をそう欺瞞しながら、裕奈の与える快感に少しづつだけど溺れそう。


「ね、聞いて、亜子。見てたでしょ、さっきの私のキス。あれね? ファーストキスだったんだよ……」


 夢心地が抜けきらない。そんな口調で亜子に話す。
 話しながら、その亜子の全身へのキスの雨を更に激しくしていく。


「あっ、あ、あ、あ、あああ、あぅ……」

「もうすぐアキラも終わるからさ、亜子もキスして貰いなよ」

「だ、ダメや……こんなん、ダメ……や……」

「横島さん、すっごく上手だよ、キス。きもち、いいよ……?」

「ひ、ああ、ああああ、あ……」


 確かに裕奈の言う通りだった。
 キスのコトではない、アキラの事だ。

 ビュッ、ビュクビュクビュクッ!!

 アキラの身体が大きく跳ねたかと思うと、彼女の胎内に白濁の濁流が注ぎ込まれた。
 彼女の子宮に納まりきれなかった白濁の精液が、鈍い音を立てて2人の結合部から噴出すのを見て、亜子は目を大きく見開く。


「あんなに一杯出されたら、に、妊娠……してまうって、アキラ……」


 呆然と呟かれる言葉は、何も知らない亜子にとっては真実の言葉。
 いいや、裕奈も横島の避妊術については何も知らないのだから真実なはず。
 だけども、確かな自信をもって裕奈は言うのだ。


「大丈夫でしょ、横島さんだもん」


 なんの根拠もない筈なのに、何故だろう? とても説得力がある。
 遺伝子的に突飛な感じがして、当たらない。
 ……こんな感じだろうか?

 亜子と裕奈がそんな事を考えていると、裕奈にとっては残念なことに横島とアキラは2回戦目に突入する。

 体勢を入れ替え横島が下になり、アキラが上で腰を揺らめかせる。
 汗を散らし、髪を振り乱らせ、乳房が激しく上下する。

 ズチャッ! ヌチャッ! ズチュッ!

 2人の結合部から聞こえてくる粘った水音。
 アキラの胎内で横島の精液が掻き混ぜられているのが、未開通の亜子にもハッキリと解った。


「ああ~! ずるいよアキラーッ!!」


 2回戦を始めてしまったアキラに、抗議の声をあげる裕奈。
 アキラはそんな裕奈の声など耳に入らないのか、前傾姿勢でひたすらに腰を躍らせる。


「んっ、ンンッ、し、子宮が、ビリビリするっ……、ひぁっ、あうっ、ま、また、飛びそうっ……!!」


 ガクン、ガクン、痙攣を繰り返すアキラに、裕奈は諦めたように溜息。


「仕方ないなー。んじゃ、亜子はこっちこっち」


 呆然と大口をあけてアキラを見る亜子を、裕奈は手を引いて横島の傍まで連れて行く。
 そうして彼の上に覆いかぶさると、貪るように横島の唇に吸い付いた。 

 
 「ん、んちゅ……ん、んん、んあ、ん……ん、ん、んく……んっはぁ……」


 舌を突き出すようにして横島の唇の中を弄り、裕奈はその顔を快感に染めていく。
 亜子の目の前で、友人2人が淫らな姿を見せているのだ。

 思わず、ゴクン……生唾を飲む。

 膝がガクガク震え、如何しようか目をキョロキョロ彷徨わせた挙句、亜子は決意した。

 逃げようと!

 身体中に裕奈のつけた桜色のキスマークをそのままに、踵を返し、この豪華な部屋から飛び出そうとする。
 だが、踵を返そうとしたその瞬間、足首を裕奈に捉まれた。


「ひぃっ!?」


 咽から出る掠れた悲鳴。
 裕奈の力は思いのほか強く、亜子はそのまま体勢を崩して倒れこんだ。
 そうして目の前には裕奈と横島が唇を貪りあう姿。


「はわわわわ……」


 妙な声が口から漏れだす。

 そんな亜子を分かっているのかいないのか、裕奈はにっこり好い笑みを浮かべながらキスを止めると、


「ほら、次いいよ」


 と、のたまった。
 亜子は、こいつ、絶対まだ酔っ払っとるわ……
 そう思い、こめかみの辺りから嫌な汗が吹き出る。
 正直、冗談ではない。

 だって、


「い、いやや……初めては、好きな人やないと……」


 だから嫌だ。


「んじゃ、しゃーないかー」


 なのに、こんな軽い調子な裕奈にイラッとした。

 本当に分かっているのだろうか……?

 そう思う亜子だったが、次の瞬間には、そんな事を考えてる暇があったら逃げとけば良かったと後悔。
 なんせ裕奈は、だったらとばかりに、彼女の身に着けている最後の布……ブラとショーツを剥ぎ取りにきたのだから。
 あっさりとブラを外され、次にショーツをズリ落とされる。
 ネト~ッとした粘る糸が自分の股間とショーツの間に橋をかけ、顔が真っ赤になってしまった。

 違う、違う、こんなん嘘や!

 なのに裕奈は分かっているとばかりに亜子の背中を押し、ある場所へと彼女を導いた。
 そうして、その場所に跨らせると、無理矢理に腰を落とさせる。
 嫌がり、膝に力を入れて抵抗するも、その膝を膝カックンされ、遂には……クチュッとある場所に股間を押し付けてしまうのだった。
 そんな亜子の目の前で、トロンとした瞳で一心不乱に淫らなダンスを踊り狂うアキラ。

 アキラの淫蕩な姿は、とてもキレイで。
 いつか見たあやか達の姿を思い起こされた。
 あの、憧れた美しい姿を。

 再び、見惚れて……しまった。

 そんな亜子の隙をつくように、彼女の太腿を割り開く男の手の感触。
 そう、亜子は、横島の顔の上に跨っているのだ。
 アソコを彼の唇に押し付けて、アキラの腰振る姿に見惚れてしまっていたのだ。

 ああ、こんな事してる場合じゃなかったのに!

 しかし全ては手遅れ。
 横島の手によって割り開かれた大陰唇は、敏感なめしべと膣口を露出させてしまっている。
 そこに舌先を差し込まれ、溢れた体液をジュルリュリュリュ……、音を立てて啜られた。


「ひっ! は、はぁ……ンぅッ!?」


 生まれて初めて出す甘い喘ぎ声。
 そんな声を出してしまった自分に驚きながら、亜子はだがしかし、その快感から逃げ出す気が失せてしまった。
 腰から力が抜け、グイグイと横島の顔に股間を押し付けながら、全部裕奈のせいや……と自分を誤魔化し横島の舌の感触にうっとりする。
 目の前で淫らなダンスを踊るのが、アキラから裕奈に変わってもまだ、亜子は横島の顔の上に跨ったままで、ひたすらに快感を貪り続けてしまった。

 何度絶頂したか分からない。

 気づけば3人仲良く寝転びながら、横島に愛撫され、頭が何度も真っ白になった。










 挿入と、マウス・トゥ・マウスのキスだけは免れたものの、それ以外は概ねヤリまくったのではなかろうか?

 裕奈がつけたんじゃないキスマークを、一つ一つ数えながら亜子は思う。
 そうして、不意に裕奈の言葉を思い出した。
 横島の股間の一物を、3人で仲良くペロペロしていた時に言われた言葉。


「ねっ? もう思い出さなくなったでしょ……?」


 言われた時には何の事か分からなかったが、確かに思い出しはしなかった。

 そして今、自分をフッた先輩のコトを思い出しても、もう胸の痛みはない。

 でもだ、


「普通こんなんされたら、そら思い出す余裕なんてないと思うわ……」


 心底呆れた口調でそう呟く。

 まき絵が起きたら何て言い訳したらええんやろ?

 自分を含めて横島に裸で抱きついてるアキラと裕奈にそう思う。
 そうしてクスクス笑いながら、まずはアキラの頬に唇を押し付けた。
 続いて、裕奈の、最後に横島の唇を数秒ジッと見つめた後、顔をこれ以上ない位に真っ赤にしながら、


「これはお礼や、横島さん……」


 そういいながら、初めてのキスを彼と交わした。
 初めはチュッと軽く触れるだけ。
 2度目は横島の唇を押し潰さん位に。
 最後の3度目は、自分の舌先で彼の唇を丁寧に舐めていく。
 十分に湿らせたあと、亜子は思い切って唇を重ね合わせた。
 アキラと裕奈が何度もしていたのと同じように、舌先を彼の口中へと侵入させる。
 初めは恐る恐る、だけども次第に大胆になっていき……熱い吐息を一杯に彼の肺へと送り込んだ。
 一頻り満足すると、再び彼の胸に自分の頬を押し付けて、今度は深い眠りにつく準備に入る。

 程よい疲れに、どこか満足気な気持ちに包まれて。




 ──────これでこの恋は終わり。

 次の恋愛にむけてエネルギーをチャージや!
 そうして、また失恋したら……またこうやって慰めて貰おうかな……?
 あれ、そう言えば横島さん、ウチの背中のこと、なんも言わへんかった?
 それとも気づかなかったんやろか?

 また、今度、聞いて、みよ……う……

















 翌朝、あれで結構朝が早いまき絵に、もんの凄い目で見られながら、それでも3人の少女と一人のエロ男は、仲良く抱き合いながら眠ったままで。


 朝も早くからキーキー煩い少女達の喧騒に目を覚ました横島は、だが一切焦ることなく、4人の美少女達の裸に鼻の下を伸ばすだけだった。







[11660] ネギま!のほほん記 第27巻  エロ有り(木乃香SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/08 09:47







「いいかネギ。罠ってのはな、相手を好い気分にさせる所から始めるんだ」

「いい……気分、ですか……?」


 最近のネギは、良くこうして横島から話を聞く。
 ここに来る前のネギだったならあり得ない光景であった。

 なぜなら、ネギが聞くのは搦め手。
 正々堂々とした戦い方ではなく、相手の隙を突き、罠にかけ、陥れる手段だったからだ。

 それは横島から尊敬して止まない父の話を聞いたからだけではない。

 模擬戦で負けたからだ。何度も何度も、何度も……!!

 アスナに負けた。

 それはまあ仕方ない。
 彼女は魔法世界全体でみても、強者の部類に入るのだから。
 まともな戦闘訓練などしたことがないネギが、勝てる筈もない。

 だが、あやかに負け、夏美に負け、アキラに負ける。
 どれも接近戦に持ち込まれ、あれよあれよと言う間にボコボコにされた。
 だが、彼女達は魔法使いではない。
 自分の得意とするフィールド外からの攻撃に、戦闘経験のないネギには対処のしようがなかった。
 だから仕方ない。

 だがだがだが! 夕映に負け、のどかに負けた。
 どれも魔法による戦闘だった。
 一撃に込められた力も、魔法の熟練度も、どれもネギの方が上だったのに。

 なのに、負けた。

 ネギの魔法は2人に簡単に避けられ、そして彼女達の魔法はネギに確実にHITする。
 誘導され、隙を作られ、思考を読まれ、罠に嵌められた。
 体の動きが違う。戦うにあたっての心構えが違う。
 何より、勝つためのハングリー精神が違いすぎた。
 なんせ女の人と戦うのは……とか言っていたのだ。
 そうして手加減しますね? などと言いながら結果が全敗のボロ負けである。

 ネギは、今までの自分の在り方を反省する。

 男だとか女だとかは関係ない。
 そして魔法の強さだけではダメだ。
 力が大きいだけでは、ただの宝の持ち腐れなんだと。
 大切なのは柔軟な思考と戦術。
 『今の』ネギに必要なのは、強者の戦い方ではなく、弱者の戦い方を知ることだ。
 そうして始めて、強者への階段を昇ることが出来るのだ。
 それに搦め手を知ることは悪いことじゃない。
 知っているからこそ、相手の搦め手に対して有効な対応が取れるという物だ。

 そう考えれば、思い浮かぶのは父の盟友である横島。
 自分を散々に負かした彼女達の師である横島に師事すれば、それを学ぶことが出来るのでは……?
 思い込んだらネギの行動は速く、そしてシツこい。
 リビングで木乃香と何事かをしていた横島の下へと駆け寄り、こうして彼から話を聞いていたのだ。


「ン……ンン、ゥ……アァ、ィ……ッ……!」


 真っ赤な頬を両手で覆い隠すようにしながら、イヤイヤと恥ずかしそうに首を振る木乃香。

 ───横島さんに甘えていたところ見られて恥かしいのかなぁ?

 ネギは微妙に当っていたりすることを考えながら、木乃香の方に目をやった。
 横島にもたれながら、よほどに恥かしいのかプルプル細かく震えている。
 お尻をすっぽり横島の膝と膝の間に埋め、スカートのお尻の部分が少しだけ捲れあがっていた。
 僅かに見える木乃香の縞々パンツにドキリとしたネギは、下着が見えている事を木乃香に告げようか如何しようか迷う。
 だが横島の居る所で言っても恥かしいだけだろうと思い、見なかったことにした。
 とは言え、本気で恥ずかしそうにチラチラこちらを見る木乃香に、流石のネギも空気を読んでこの場から退室しようとするのだが……


「ネギ、そろそろ始まるんじゃないか? ライダー」

「あっ、ホントですね」


 そう言われて、すぐさまテレビのリモコンを手に取った。
 ネギは横島に勧められて見始めた、日本の特撮ヒーローが大好きだ。
 こんな時のネギは、年相応にテレビの前に噛り付く。
 もう、彼の脳裏には木乃香の様子が可笑しいなんてこと、完全に吹っ飛んでしまっている。
 何せこの時間帯にはライダーにレンジャーと、ネギが大好きな番組が2つ続けて観られるのだ。
 ネギにとってこの時間は、日本に来て本当に良かったと思える一時間だったりする。

 だから気づけなかった。

 木乃香が絶望の表情を浮かべていた事に。
 これから先の一時間弱、彼女にとって凄まじいまでの責め苦が始まるのだ。

 もちろんエロ的な意味で。
























  ネギま!のほほん記  第27巻  木乃香SPイベント①






















 今日は木乃香にとって、とても好い休日になる予定だった。
 同居しているアスナは朝から魔法生徒としてのバイトに出かけ、いつもの面々も修行がてらに付き添い中。
 問題はネギだったのだが、彼もハルナに呼ばれて上手い具合に出かけてくれた。

 ……これからネギを襲うだろう試練に、木乃香は僅かに涙を見せたものの、すぐさま気分をハッピーに切り替える。
 ここ最近……、正確には刹那が勉強会で横島家を訪れて以来、どうにも欝気味だった気分が盛り上がりを見せた。
 手酷く拒否され、尚且つその後のパーティに未出席だった刹那に対する複雑な感情を、一時的に仕舞い込んだのだ。

 そんな訳で、午前中は横島にどこか連れて行って貰おう!

 そう思った木乃香は、ちょっと短めの大胆なスカートに履き替え、横島が居るリビングへと向った。
 そこにはいつもは余り見せない厳しい表情で、写真付きの書類を見る横島。

 ───何を見てるんやろ?

 そう思った木乃香がヒョイッと覗き込もうとすると、寸前でパタリと折りたたまれてしまう。

 唇を尖らせ、ぶーって頬を膨らませる木乃香。


「んもう、なに見とったん?」


 ちょっとだけ刺々しく。
 でも、横島は気にとめる様子もなく、平然とした風だ。


「仕事だよ、し・ご・と!」

「えっ!? 横島さん、仕事しとったん!? 無駄にお金持ってるプ~かと思っとったわ……」 

「は、ははははは……」


 否定したいが否定できない。
 頬をピクピク痙攣させ、明後日の方を見て苦笑い。
 時たま魔法教師達の手が足りない時にチョコチョコ手伝いするくらいで、普段はぼへ~っと日がな一日を過ごしている横島だ。

 身内の贔屓目で見ても、プ~以外の何者でもない。

 でも面と向って言われて流石に考える所があったのか、横島もこのままじゃいかんな~、なんて漸く思った。
 とは言え、サラリーマンをするには自分の立場が悪すぎるし、ゴーストスイーパーなんて仕事はこの世界にはない。
 裏の仕事じゃ表向きはやはりプ~にしか見えず、だからと言って麻帆良に直接雇われでもしたら、そら恐ろしい程に忙しい毎日を送る事になってしまう。
 横島は、この世界での日々は長い人生における休日だと思っている。
 それに元の世界に帰ってしまえば、事務所の経営でてんてこ舞いになるのは目に見えていた。

 そうして少し考えた結果、横島の結論は……働きたくねーな、だっ!

 この怠惰で退廃的な生活を、とてもじゃないが捨てる気などおきん。
 高校生の時分、将来の夢で、

 『美人なねーちゃんを嫁に貰って退廃的な生活を送りたい』

 と、担任の教師に告げたそのままの今を!
 どうせ怠惰で退廃的な生活なんて、いつまでも続く訳がないのだし。

 横島は、自分のことを、よ~く理解している。
 自分がトラブル誘引体質だって事を。

 その上で、ネギや木乃香、それに……アスナ。

 この3人が居るってだけで、この世界での平穏な生活なんてガラスの城か、砂で出来た塔なのだ。
 だから今を楽しむのだ。怠惰に、退廃的に。
 さっきの書類に書いてあった事が本当ならば、ちょっと本気にならないといけないのだし。


 去年の秋頃から、関西圏を中心にして起きている連続不審死。
 それについて関西呪術協会は、敵対関係に有る筈の関東魔法協会の本拠、麻帆良学園都市に滞在している横島に問い合わせた。

 20年前の大戦時、一人の男によって引き起こされた惨劇。
 精気を抜き取られ、ミイラになったアリアドネー戦乙女旅団の精鋭騎士達を思いこされる死に様。
 彼女達は最終決戦中には正気を失い反逆を起こし、全てが終わった後にすべからくミイラになってしまったのだ。
 20年前の大戦においても類を見ない、凄惨で恐ろしい光景であった。

 それを引き起こした魔法使いと関係深い横島に、この事件の解決への協力要請である。

 間違いなく使われているのは『性魔術』
 下手をすれば、横島に対し嫌疑を向けられてもおかしくはない状況。
 しかしながら犠牲者が全て男であることと、関西のトップである近衛詠春のおかげで容疑者リストから名前が外れたのだ。

 横島が思うに、この事件はラプシィア・ルンの残した悪意の種。

 奴がかかわっているのならば、自分が出張らなければならない。
 それはこの世界に奴を落とした自分の責任だと、横島は思っている。
 だからこそ本格的にこの案件にかかわるまでは、自由にノビノビとしていたい。


 横島は、からかう様に自分を見ている木乃香の首に手を回すと、「やんっ」可愛い声を出す彼女を引き寄せ、唇をふさいだ。
 木乃香の頬が、ぱぁっと赤くなる。
 チロチロと軽く舌を絡ませるだけで、横島はゆっくりと唇を離した。
 そのまま腕を引き、自らの膝の上に背中から抱きしめるように乗せると、服越しに横島の指が木乃香の少し残念な胸を撫で回す。
 淫猥な動きを見せる横島の指の動きに、木乃香の肢体がビクッと痙攣する。


「よ、横島さん……エッチやぁ……ぅぅンッ」


 身をよじり、何とか横島のイタズラな指の動きを止めようとするも、木乃香自身が本気で抵抗している訳でなく、次第に大胆に、かつネチッこくなっていく。


「エッチって、これは俺をからかったオシオキなんだぜ……?」


 木乃香の首元に吸い付きつつ、手を彼女の膝の辺りから徐々にスカートの中へと滑らせていった。
 木乃香の肢体は期待に震え、横島の手がアソコに到達するのを待ち焦がれる。


「ん……ふ、はぁ……ぁっ……んう……いやぁん……だ、ダメ、んああっ……!」


 遂に木乃香の下着に指が届くと、横島はしっとり濡れる下着を横にずらし、指でワレメを割り開いた。
 そして彼女の身体を持ち上げ、一気に貫く。


「い゛っ!? い゛い゛い゛ぎぃ……っ、あ゛あ゛あ゛……!!」


 いつの間にかに飛び出ていた肉棒。

 未だヌメリが足りなく、ギ、ギ、ギ、ギ、ギィィィヂィッッ!!! 乾いた音と共に何度も引っ掛かりながら、強引に、だがそれでも止まらず、グイグイ押し込んでいく。

 余りの痛みに苦痛の声しか出せない。
 でも、横島が耳元で囁くのだ。


「オシオキだって、言ったろ……?」

「ひぃぅっ!?」


 僅かに混じる、恐怖の声。
 これがアスナやあやかと言った面々ならば、大したオシオキとは言えなかった。
 だが木乃香は破瓜後まもなく、膣内もまだまだこなれていない。
 なればこそ、この行為がオシオキ足り得るのだ。

 木乃香の頬を涙が伝い、だが横島は遠慮なく木乃香を犯しぬく。
 心と肢体に自らの形を教え込むよう、乱暴に、激しく突き上げた。
 しかし木乃香はアッ!という間に横島の激しい性交に馴染み、甘い声を上げ始める。


「や、やぁん、あ、あ、あ、あ、ああああ……こ、こわ、れちゃ……うぅぅっ!!」


 横島は急速にヌメリを帯びた膣壁を思う存分蹂躙しようと腰を唸らせたその時、


「ただいまー」


 玄関の方から声が聞こえた。
 ビクンッ! 先ほどまでとは違う意味で身体を震わせる木乃香。
 素早く横島から離れようと腰を浮かせるも、僅かに間に合わず、ネギが室内へと入ってきた。

 そうして、冒頭へと繋がる……
 


















「んぐっ……ンン、ンッ! んあぁ……」


 口元を手で押さえ、必死に声を堪える。
 その手とは逆の手で、スカートの裾をしっかと握り、必死に捲れあがらぬように押さえながら。

 テレビに夢中になっているネギに気づかれてしまう。
 スカートの奥のショーツがずらされ、ワレメを剥き出しに横島の剛棒を突き込まれてる姿を見られたくない。

 
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


 荒い息を吐き出しながら、木乃香は四肢を震わせ泣き出す手前だ。
 横島の手は木乃香の腰を逃さぬように掴み固定し、痩せ過ぎで肉付きがあまり良くない肌に指が食い込んでいた。

 逃げ出したくても逃げられない……

 しっかと掴まれた腰と、深々と突き込まれた杭のせいで、逃げられない。
 ゆっくり腰を持ち上げられ、「んくぅ……」視界が高くなり、完全にネギを見下ろす形になった所で、突き落とされる。


「ひぃあっ!!」


 小振りな乳房が揺れ、身体が反り返って跳ねる。
 口から零れた嬌声が、テレビに夢中である筈のネギを驚かせた。


「ど、どうしました、このかさん?」

「な、なんでもあらへんよ、ネギ君。ちょっと横島さんがイタズラしただけや……」

「そうですか。横島さん、テレビ中なんで静かにしてくださいね?」

「おう。すまんなネギ」

「いえ」


 横島の謝罪に、テレビが気になって気もそぞろなネギは、すぐさま2人から視線を外した。
 そして食い入るようにテレビに夢中になる様を見て、木乃香はほぅっと安堵の息を吐くのだった。

 だが、横島の手が伸びる。

 木乃香の腰から離れた手は、スカートの裾へと伸びてたくし上げられていく。
 少女から女のモノへと変わりつつある太腿が、少しづつ付け根まで露になっていくのだ。

 日にあまり当った事が無いせいなのか、柔らかくしなやかさを見せる太腿は、驚くほどに白く滑らかである。


「よ、横島さん、ネギ君に見られてまうよぉ」


 掠れたその声は、確かに女の潤みに帯びた声で、横島を余計に滾らせる。
 ググンッ!! 彼女の胎内で、力強く唸りを上げた肉杭で、木乃香の肢体は細波に震えた。
 スカートをたくし上げていた手を止め、横島は更にその奥へと指を伸ばす。
 下着の上から充血して突起しているだろう女の真珠を、親指でグリグリと押し潰した。


「ンンンンンンッッ!?」


 木乃香は、両手で口を押さえ、必死に嬌声を堪えた。堪えきった。
 同時に、木乃香の膣口が横島の肉杭をキツク締め上げる。


「ぐっ……」


 思わず横島の口からも声が漏れそうになった。
 だがしかし、これこそが横島の求めていた快感。
 横島は礼の意味も込めて、下から強く突き上げてやる。


「……ッ!」


 ゴン! ゴン! 子宮を2回、強めに叩く。
 木乃香の細い身体は弓なりに反り、濡鴉のような漆黒の髪が振り乱された。
 彼女の視線は常にネギへと固定され、恐怖と、羞恥に染まっている。

 見られたくない。気づかれたくない。恥かしい。こんな姿を見られるのは……

 でもだ、本当に見られたくないの……?

 横島が小さく木乃香の耳元で囁く。

 そんなん当たり前やないか!

 大きな声で、そう訴えてやりたい。
 でも、横島は更に言葉を綴るのだ。

 こんなにヌレヌレなのに? 本当に? だったら……

 だったら、なんやって言うん……

 だったら、この変態ドスケベ女がっ!!

 ビクンッ!! 身体が大きく痙攣した。
 絶頂の震えに、蜜壷からドプッ、ドプッ、絶え間なく愛液が溢れ出す。
 灼熱に蕩ける秘所は、肉杭を飲み込むように絡みつき、逃がさない。


「あ、あああ……違う……違うんよ……そんなはず、あらへん……ウチ、は……見られたないえ……?
 ほんまやもん……ウチを見てええんは……横島さんだけなんやから……」


 視線はネギを見下ろすから、横島を見上げるへと変わり、悲しみの涙がぽろぽろ零れだす。

 そう、そうなのだ。そのはずなのに、なんで……?
 なんで身体が、こんなに熱いんだろう……?

 そう思いながら、木乃香は自分から腰を揺らめかせ始めた。


「や、ややぁぁっ、ダメやのにィ……は、ぁん……」


 テレビの音量に紛れ、ネギにはギリギリ聞こえない。
 木乃香はその事にホッとしながら、更に大胆に声を上げ始めた。


「ひぅっっ、止めてぇっっ、ああっ、んぐぅっっ!!」


 ジュブジュブと、自らの中を往復する肉杭に、木乃香は抗議の声を上げた。

 でも、


「止めてって、今、腰を振ってるんは、木乃香だぞ?」


 にやり。

 人の悪い笑みを浮かべながら、横島はそう言った。
 唖然と木乃香は横島を見る。
 確かに、今腰を動かしているのは……彼女だけだった。
 呆然と、だけども、木乃香の腰は止まらない。

 そんな筈はない。こんな場所で、ネギが目の前に居るというのに、そんな筈は……

 グプッ!グプッ!グプッ!グプッ!グプッ!

 なのに、激しく腰を上下させていた。


「見られたない……見られたないんや。せやのに、なんでぇ……っ!?」

「それはな……」


 横島の声。でも、木乃香はその先を、聞きたくない。


「さっき言ったろ? この変態ドスケベ女!」


 プツン。何が木乃香の中で切れた。

  
「いぃぃぃぃぃいいいいいいいいいっっっ!!!」


 堪えていた嬌声が、遠慮なく口から飛び出した。
 家中に反響するほどに甲高い声で、絶頂の雄叫びを上げたのだ。
 思う存分あげ、そして、グッタリと横島に背もたれる。
 驚いたネギが振り返り、どうしたのかと心配そうに尋ねてくるが、木乃香にはもうどうでも良かった。

 自分は、ドスケベで変態なのだからと……


「大丈夫大丈夫。今な、木乃香ちゃんと、ネギに気づかれずにどこまでコチョばしに耐えられるか、勝負してただけだからよ」

「ああ、そうだったんですか」


 2人の会話をどこか遠くに聞きながら、木乃香は細かく腰を動かし始める。
 横島に悦んでもらえるようにと、割と大胆に。

 だけども、


「んじゃネギ、俺ら部屋に戻ってんな」

「僕もテレビが終り次第、またハルナさんトコに行きますんで。千雨さんと一緒に、漫画の手伝いをしなきゃならないんですよ……」

「……それは大変だな。ああそうだ、家を出るときカギを閉めてってくれ。俺は木乃香ちゃんと昼まで寝てるわ」

「はい、わかりました。ですがぐーたらするのも程々にしてくださいよ?」

「わかってるわかってる」


 ネギの視線が再びテレビに向くと、横島は木乃香と繋がったまま立ち上がる。
 そうしてゆっくり、ドスン、ドスン、と振動を与えながら自分の部屋へと向かうのだ。

 振動が子宮に響くたびに、「あん! あぁんっ!」と遠慮なく喘ぐ木乃香に、


「木乃香、間違えたらダメだ。お前は、俺だけに変態でエッチな姿を見せればいいんだ。他の男に見せるのは、ダメだ」


 その言葉に、曇りを見せていた木乃香の目が、輝きを取り戻す。
 コクン、コクンと何度も頷き、再び口を押さえて声を堪えた。
 そうして嬉しそうに、自らを独占する男に、微笑を見せるのだ。

 安堵と、喜びが胸を占めたから。

 他の男には見せたらダメなんや……

 そう思ったら……

 部屋への短い道中、それからは必死に嬌声を堪える。

 いいや、部屋に着き、せっかくお洒落した服を剥ぎ取られ、乱暴に組み敷かれて犯されても、出来るだけ声は出さないように荒い吐息だけで済ませるようにと……

 1時間。短いようで、地獄のように長かったネギのヒーローテレビタイム。
 それが終わりを告げ、家を出てカギを閉めた気配がした瞬間、それまで堪えていた声を、一気に解放した。


「ん、あぁああああっ! イ、イクッ! 横島さんにおまんこ犯されて、んぁ、イッちゃ、あ、あ、や、んぁああああああああっっ!!」



















 しばらくして、2人は手を繋いで町を歩く。
 木乃香はおしゃれをし直し、大胆で短めであったスカートから、太腿を露出しないジーンズへと履き変えた。

 それを見て残念そうな横島に、


「だって、見せたらアカンのやろ?」


 そう微笑んでみせる。


「もしも、や。誰か他の男の人に見られてもうたら……ウチ、本当に壊れてまうかも……」


 上目遣いに潤んだ瞳で、ジッと横島を見つめる。
 欲しい答えを聞かせて欲しいのだと、期待を込めた目で、ジッと。

 その視線に、


「壊れちまったら、見た男ブッ殺して、そして何度でも俺が治してやるさ。木乃香は、俺だけの女だからな」


 横島は、この時、覚悟を完了した。

 殺られる前に、殺る!

 彼女の父親、横島の友人である近衛詠春に対しての覚悟。

 横島の知る最強格の男との、血戦を……!!


「ふ、ふはは、フハハハハハハハハハハハハ」


 少しやけになってる横島の笑いを、木乃香は、とても頼もしそうに見つめるのだった。

 女の顔で、男の顔を。

 そうしてボソッと呟くのだ。


「愛しとるえ、横島さん」


 ほっぺをリンゴみたいにしてそう言う木乃香は、とても可愛らしく。

 ソレを見て鼻息荒くなった横島に、そのまま暗がりへと連れ込まれ……


 どちゅっ、どちゅっ! ずちゅ、ずちゅ、ぢゅぷっ!!

「え、えっちな音、出したらダメやって……誰か来てまうよぉ……だ、ダメや、のに……イッちゃう! ウチ、もうイってまう~~ッッ!!!」
  
 
 
 


























 後書き

 うにゃぬあおえぶろば



[11660] ネギま!のほほん記 第28巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/07/15 00:40



 綺麗に晴れわたった空。
 今日は2年最後の日に相応しい、好いお天気。
 そんな晴れ空の下での終了式の場で、ネギが新年度から正式に教員として採用されたと、学園長から全校生徒に向けて発表された。

 何気にホッと胸を撫で下ろすアスナ。
 特に手助けしたりとかは一切無かったけれど、一緒に住んでいる家族なのだ。
 だから心配するのは当然である。

 一応は成績発表の時に確定はしていたものの、相手は学園長、油断はならない。
 だからキチンと正式発表されるまではと、アスナは唯一人、こそ~り緊張を保っていたのだ。
 昨日なんか横島が居ない隙を狙って、第2回性魔術研究会なんてやってたから、本当に心配していたの? なんて話ではあるが。

 とにもかくにも、これで明日からの春休み、心置きなく遊びまくれるってもんだ。

 ここ最近、何気に酷い目にあってばかりのアスナである。
 茶々丸を怪我させ、そのお詫びにエヴァ宅で住み込み家政婦。
 血を吸われ、犯されかけた上、強制的にキツイ修行までやらされて、ようやくお家に帰れば居候であるネギに、

 「今日はもう遅いですから、そろそろ帰ったほうがいいですよ?」

 なんて言われる始末だ。

 自分の余りの影の薄さに泣きながら、ネギを屋根から吊るした。
 勿論、反省するまで、たっぷり3時間ほど。

 さて、学園長のながーくて、ありがたさの欠片も無い話が終わり、終了式もようやく終わりを告げた。

 一緒に帰ろうと言う木乃香達を置いて、一人でウキウキしながらダッシュで家に帰ると、難しい顔をしている大切な男。

 楽しかった気分が全部吹っ飛ぶ。
 彼がこんな顔をするなんて、余程じゃない限りありえない。


「なんか……あったの?」


 怖々と声を搾り出す。

 だけども横島は、すぐさま顔をいつものお馬鹿な表情に切り替え、「なんでもねーよ」と笑うだけ。

 彼がそう言うならば、アスナには何も言えない。
 自分がまだまだ未熟である事を良く知っているからだ。

 だから、「そっか……」納得は出来ないけれど、納得してみせた。
 でもだ! それでも、神楽坂明日菜は横島忠夫の使徒だ!
 例えばナギ・スプリングフィールドや伊達雪之丞のような戦闘力は、持ち合わせていないかもしれない。

 でもね、それでも傍に居れるなら、支えぐらいにはなれるでしょう?

 アスナは常にないほどに柔らかく微笑みながら、横島の隣に腰を下ろす。
 自分の腕を彼の腕に絡め、それなりに大きく育った胸を彼の肘に当てつつ、肩に頭を預ける。
 窓から入ってくる風がふわりと前髪をなびかせ、アスナの清潔な髪の匂いが横島の鼻をくすぐるのだ。

 そうして、横島が何か話し出すのをジッと待つ。


「あんな、俺はこれからしばらく忙しくなる」

「ちょっと残念だなー。だってさ、せっかくの春休みなんだもん。どっか遊びに連れてって欲しかったなぁ」

「あー、そっか。なら、アスナが春休みの間は情報収集を中心にすっかな」

「大丈夫なの?」

「そうだなー。見た限り犠牲者は全部裏の人間だ。死にたくなけりゃ、さっさと足洗って表の人間になりやがれ!ってな」


 犠牲者、死。

 この2つの単語にドキリとして身体を硬直させるも、すぐに何事もなかったかの様にふんわり笑って見せた。
 ゴーストスイーパーにとって、死とは割と身近なモノだ。
 大体において相手自体が死者なのだし、命がけでそれらと戦う危険な職業なのだ。
 スリルとビッグマネーを求めて、妖怪変化と命がけの戦いを繰り広げる。
 ハイリスク・ハイリターン。それがゴーストスイーパー。
 もっとも、この世界のゴーストスイーパーである魔法使い達は、ハイリスク・ノーリターンが殆どの割に合わない職業。

 ほんと、世の中の常識ってもんを舐めてるのかしらね?
 命がけの仕事の報酬が自己満足だなんて、令子おばあちゃんが聞いたら暴れまくるわよ……

 あの世界にどっぷりと毒されているアスナは、学園長の首を絞める美神の姿が脳裏を過る。

 その余りにリアルな光景にクスクス笑っていると、横島がポンと自分の手を叩いた。


「おっ、ちょうど良いかも」

「なにが?」

「春休み中に楽する分、終わったら忙しくて家に殆ど居られなくなるってな」

「だから?」

「エヴァだよ」

「ああ……」


 エヴァは新年度が始まれば、間違いなくネギにちょっかいを掛けるだろう。
 そして、今何かが起きれば、ネギは横島に頼ってしまう。
 でも横島が居なければ、ネギは自分で何とかしようとするはずだ。

 まあ、アスナ達に頼る可能性はあるけれど。


「ネギはともかくさ、何があったのか知らないけど、気をつけなさいよ……」


 憂いを込めた言霊が、横島の鼓膜を震わせた。
 横島はそれにニヤリと口角を上げ、不適な表情を作ると、


「別に危険なことなんかしねーよ。ってかあれだ、危なくなったらトンズラするし」


 そう言ってアスナを安心させようとした。

 アスナは、それもそっかと妙に納得してみせると、憂いを振り払い、僅かに緊張していた表情から力が抜け落ちる。
 胸に手を当て、うんうんと頷き、そして、目の前のお馬鹿な男とキスしようと背筋を伸ばし……


「ただいまー」


 ネギの声にガックリ肩を落とした。
 そうして次から次へと邪魔者が家に入ってきて……


「あ~あ~。せっかく好いムードだったのに……」


 いつもの面々を、ジロリと睨む。

 何があったのか分かって苦笑いする夏美、アキラ、のどか。
 オホホ笑いをするあやかと千鶴。
 特に気に止めてない木乃香と夕映と裕奈
 そして、なんの事だか分からないネギと、お客さまな亜子とまき絵。

 結構広い家の筈なのに、なんだかとっても狭く感じる今日この頃。


「アスナ~、そろそろ用意しないと遅刻しちゃうよ?」

「えっと、なにが……?」

「ネギ先生正式教員採用オメデトウパーティー」

「すっかり忘れていたわ……もうっ! メンド臭いわねー!」


 立ち上がり、制服から動きやすい私服へと着替えに部屋へと戻るアスナ。
 そんなアスナを見送りながら、横島は頬をピクピク引き攣らせていた。
 今までアスナが座っていた場所に、そのまま我が物顔で座る少女の呟きのせいで。


「ネギ君どっかやっちゃって、んで、このメンバー全員でエッチしたら盛り上がるだろーなー」


 好きだけど。ああ、大好きだけど、時と場所を選べ!

 ネギ達の耳に届かなかった事に安堵する横島は、常日頃の自分の行いを省みた方が良い。

 そんな中学2年の終わりの日。





















   ネギま!のほほん記  第28巻  あすなん日記 その3

























  ○月●日

 今日は終了式。
 明日から春休みだと思うと、ワクワクが止まらない。
 最近エヴァ関係で色々あって疲れていたから、本当に待ち遠しかった。
 ただ問題もある。ネギだ。
 あの子、今日の終了式後の『ネギ先生正式教員採用オメデトウパーティー』でやっちゃった。
 あれほど魔法の暴発は厳禁だって、身体に覚えこませたと言うのに……
 なのに、パーティーで長谷川千雨ちゃんの服を、吹き飛ばしちゃったのよ!
 忠夫が居れば、アンナことやコンナことをされても仕方無い様な、あられもない姿にされちゃって……
 クラスメイト達は手品か何かだと思ってくれたみたいだけど、本当、千雨ちゃんのコトを思えば怒りが沸々と。
 その話を聞いた忠夫が、『なにウラヤマケシカランことしてやがる! 罰として魔力コントロールが完璧になるまで魔法禁止じゃ!』って。
 ようするにアレよ?
 私達がこの子の修行の面倒をみなきゃイケナイってことよ?

 わーたーしーのーはーるーやーすーみー!!

 まあ、基本は忠夫が見るみたいだけど……
 それはそれで私がイチャつけないから困ったものなのよね~。



















  ×月○日

 変だ変だと思ってはいたのよ。
 いくらナギの息子だからって、忠夫が男の修行を見てやるなんて。
 忠夫ったら修行つけてやる振りして、ネギから武装解除の魔法を教わろうとしていたのよ!!
 あのセクシャルハラスメント男に、これ以上ふざけた技を身に着けさせる訳にはいかない。
 とりあえず、あやかと2人でボコっておいた。




















  □月▽日

 あやかと千鶴さんが、今日から帰省しちゃう。
 千鶴さん、冬休みの時には残ったけど、今回は彼女も帰るそうだ。
 まあ、仕方ないよね?
 使徒になるつもりは無いみたいだけど、私達と一緒に居るつもりなんだもん。
 今の内に親孝行はしとかなきゃ。
 って言っても、すぐに帰ってくるみたいだけどね。

















  △月▲日

 忠夫が朝から変な事をやってた。
 文珠を握り締め、ひたすらに力を注ぎこむ。
 一点に集中されたその力は、あのナギ・スプリングフィールドに勝るとも劣らず。
 それを間近にみていたネギが、尊敬の眼差しで忠夫を見ていたんだけど、私は見逃さない。
 忠夫の手に握られていた文珠の文字を!

 『女』

 何を考えてやってたのか分からなかったんで、体(主に拳)を使って聞いてみた。

 むかーし、むかし、初めてヒャクメさんと出会った時のコト。
 急いで作った文珠が爆発した後に現れた彼女を見て、自分の作った文珠から生まれた存在だと勘違いしちゃったそうな。

 『それ以来、いつかヤッテ魅せると決めていた。エッチで何でも言う事を聞いてくれる美人のネーちゃんを文珠で創り出して見せるとぉ!』

 こう言った忠夫は、無駄に漢らしい顔で遠くを見ていた。
 そんな訳で、最近力が有り余ってるから余分な霊力を注いでみてるんだとか。

 …………本当に困ったひと。
 これだけ可愛い女の子に囲まれておいて、まだ足りないんだろうか?
 この状況、愛子姉さんにバレたら半殺しで済めば良い方だって言うのに。
 分かってるの? 帰ったら、殺されちゃうよ……?
 私も罰を受けるんだろうな……
 あの摩訶不思議空間に閉じ込められて、強制的に青春を堪能させられるのだ。
 反省したと認められるまで、延々と……


















  ▼月◎日

 今日は茶々丸さんと麻帆良の外に遊びに出かけた。
 マリアさんみたいに柔らかい肌になった茶々丸さんに、ちょっとだけドキドキ。
 表情もとっても柔らかくなって、本当にキレイ。
 仲良く手を繋いでクレープ食べたり、普段着ないような服を見て歩いたり……
 最後は家で、まあ、ね?
 上手い具合に木乃香とネギは居なかったんで、3人仲良くイチャイチャ。
 茶々丸さんったら、超!感じやすくてホント可愛かったぁ~。
 その気がない筈なのに、妙に興奮しちゃったわよ。
















  ■月▲日

 昨日はあんまり茶々丸さんが可愛くって書くの忘れてたけど、少し気になる点がある。
 なんでも茶々丸さんたら、忠夫と車でデートに出かけ、なおかつラブホテルまで行ったんだって!
 いいないいないいなー。
 別にラブホテルはどうでもいいけど、車でのデートは羨ましい。
 今度おねだりしてみようと思う。

















  ▽月♀日

 忠夫は夏美とラブラブ日。
 ちょっと……いいや、かなりムカッ!
 あと、ネギはハルナと千雨ちゃんに連れられて、魔窟へと行ってしまった。
 春休み終盤まで帰ってこないだろう。
 と、のどかが涙を流しながら言ってた。
 それにしてもあの子、新学期の準備とかしないでいいんだろうか?
 新任の教師が、それも担任職を任されるってのに、ちょっといい加減な気が……
 ってな事を考えながら帰宅したら、夏美が上気した顔で忠夫とイチャイチャ。
 息が荒く、服も着ないで裸にエプロン。
 ナニやってたのか一目瞭然。
 いい加減でダメヲなのは忠夫の方だった……
 でも、裸にエプロンって、ちょっと羨ましいって思ったのは秘密。
 私は木乃香のせいで、前に失敗しているからね。
















  ♪月♪日

 アキラが忠夫と車で出かけてしまった。
 なに? 超うらやましいんだけど!



















  ○月○日

 千鶴さんと入れ替わりで、忠夫があやかを迎えに行ってしまった。
 今日はあやかの死んでしまった弟の誕生日なんだとか。
 だから帰って来なくても仕方ないか……
 なもんだから、あやか抜きで、何故かゆーなと亜子さんが加わってのパジャマパーティー。
 たまにはこうして女の子だけの集まりもいいもんだね。




























「あーあー、せっかくスケスケでエロスなネグリジェ買ってきたのに、横島さん居ないんじゃ意味無いじゃん。ねー、亜子?」


 そう言う裕奈の姿は、胸元が大きく開き、しかも胸の部分がメッシュでスケスケな黒のネグリジェ。
 胸のポッチが、少し離れた場所に居るアスナ達の目に、はっきりと映った。
 スカートの部分は股下5cmと、最早下着が丸見え状態。
 その下着もネグリジェに合わせているのだろう。
 やはり黒のシルクでローレグおパンツ。
 裕奈が動くたびに、チラリとスカートからのぞくデルタ部分が、裕奈の女の形をはっきりと見せつけていた。


「う、ウチは関係あらへんって!!」


 怒り心頭! 怒ってますってポーズを作り、亜子は裕奈に詰め寄った。

 そんな亜子のパジャマは、エロスの欠片もない普通の可愛い系で、青を基調とした縞々模様のパジャマ。
 でもだ、裕奈は見逃さない。そんな亜子のパジャマの中身を!

 誰かさんが脱がせ易い様にとしているのか、ワンタッチのフロントホックのブラに、いつも夕映が履いてるようなサイドを紐でとめたちょっと大胆なショーツ。
 更には色合いがベージュの為、パジャマの上からでもその色がうっすらと見えて、可愛い系の筈のパジャマがどことなくセクシーに感じてしまう。

 な、もんだから説得力なんて欠片もない。

 裕奈はイヤミ臭い笑みを浮かべながら、亜子のパジャマをたくし上げる。

 抵抗する亜子と、それでも手を止めようとしない裕奈。
 きゃーきゃー黄色い悲鳴を上げながら、じゃれ合っている。

 そんな2人に頬を引き攣らせるアスナ、夏美、のどか、夕映。
 千鶴とアキラは平然そうにしているが、横島との関係を知っていたアキラはともかく、千鶴の内心は穏やかではない。
 ウフフ……、字面だけ見れば笑っているが、そんな彼女の背後には怒りの阿修羅像が見えたり見えなかったり。
 いつしか騒いでいた裕奈に亜子と、頬を引き攣らせていたアスナ達も、みんな恐怖で体を強張らせる。

 怖い、怖くてたまらん……!


「あらあら、どうしたの、みんな?」 


 ビックゥッッ!!

 身体が恐怖で跳ね上がった。

 なんも悪いことはしていない。

 そんなアスナ達でさえ恐怖を感じているのに、当事者であり、千鶴のどす黒いオーラをまともに向けられている裕奈と亜子の2人は、
 千鶴と目が合っただけでお漏らししてしまいそうな程の、恐怖!!


「あ、あわわわわ……」
「ひぃ…………」


 お尻を床につけながら、ジリジリ後ずさる。


「本当にどうしたの? 悪いのはアノ人でしょう? そう怖がらなくていいわ」


 ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ

 実に楽しそうに嗤う千鶴。

 何だろう? とっても息苦しい。
 天然ぽや~な木乃香までもが顔色悪く、息遣いが不規則に荒い。
 だけども、ここで勇者が現れた。
 あんなんなった千鶴に、ある程度の免疫を持っていた、夏美だ。
 彼女は腐海に迫る瘴気の中、ただ一人歯を食い縛り耐え続け、何とか話題を変えて空気を清浄にしようと頑張るのだ!


「そ、そう言えばさー、さいきん裕奈って胸おっきくなったんじゃない?」


 みなの視線が裕奈の胸に集中する。
 それは嗤い続けていた千鶴も同じで、夏美は上手く話を変えれた自分をすんごく褒めた。
 実際、急成長している裕奈の胸の成育に、興味があったからでもあったのだが。

 しかし、それが夏美にとても深い絶望を与えることになろうとは……


「ああ、うん。なんかさー、横島さんに揉んで貰うようになってから、ぼい~んって……」


 再び瘴気を発し始める千鶴。
 しかし、そんな千鶴に恐怖しているのはアスナとアキラだけだった。

 木乃香と亜子は、「えっ……!? 好きな人におっぱい揉んで貰ったら大きくなるってホンマやったんや……」と、自らの貧相な胸をチョンチョンつつく。

 そして話を振った夏美に、おまけでのどかと夕映は床に手をついてうな垂れた。
 なんせ、自分たちもムッチャ揉んで貰っているのだ。
 それなのに、彼女達の理想の体型(スタイル)には遥かに遠い理想郷。
 まあ、それでも横島と関係を結ぶ前から比べると、随分と女らしい体型にはなっているのだ。夕映を除いてだけど。

 もう皆気づいていた。

 節操無しな横島の好みが、ムチムチボインであることに。
 横島所有のその手の雑誌やDVDが、バインバインのボインボインで7割を占めているのだ。気づかない訳がない。


「ブラはキツクなるし、あんま良いことないんだけどね~」


 ユサユサと、透けたネグリジェから覗く裕奈のオッパイが、揺れた。
 一月前に着けてたブラが、もう合わなくなったのだと言いながら。


「……ウチも揉んで貰ったら、ゆーなみたくおっきく成れるんやろか……、って、ナニ考えてんねんウチ!」


 両手をジタバタさせて、次に床をゴロゴロ転がる亜子。
 多分、自分がナニをくっちゃべってるのか分かってない。
 そんな亜子を見て、益々瘴気を溢れさす千鶴。
 息苦しい中、それでも何とか生き延びようと、今度はアキラが千鶴に声をかけた。


「あのさ、亜子は、まだだから……ってヒィ!?」


 グリン。

 千鶴の顔がアキラの方へ。

 凄まじいプレッシャー。
 ガクガク足が震える。
 もう、恐怖で唇が動かない。


「あら、アキラは知ってたのね? あの人が裕奈さんと亜子さんに手を出していたって……」


 裕奈の破瓜の場面も、亜子への味見も、全ての現場に居たアキラ。
 ポテンと尻餅し、手を千鶴の方に向けてイヤイヤと何度も首を振って弁解しようとする。

 しかし、千鶴はアキラににっこり微笑んで、


「さっきも言ったけど、アナタ達に怒ってなんかいないわ。そう、私に黙ってた事に、ちょっとだけイラってしたぐらいで……ね?」


 言いながら台所に消えると、冷蔵庫から千鶴は自分にのみ許された、最強のアーティファクトを手に取った。

 それを見た瞬間、腰を抜かして恐怖に泣き叫ぶ夏美。
 彼女はかつて、横島と共にそれに犯された経験があるのだ。

 シャッ! シャッ! シャシャッ!!

 2つの『ソレ』を擦り合わせ、夏美にとっての最大最恐の音が鼓膜を震わせる。
 はっきり言って、腕を斬り飛ばされた時よりも怖い。

 そんなオッドロしい顔で言うのだ。


「あの人の中に、何本入るかしらね。夏美はどう思う……?」






 妄想を爆発させて、家の中を転がり回る亜子。

 自棄になったように牛乳を飲みまくり、必死にある場所をマッサージする夕映。

 のどかと木乃香に大きくなった胸を自慢するように揺らす裕奈。

 腰を抜かしてガタガタ震える夏美とアキラ。

 そして、ひたすらに黒く嗤い続ける千鶴。


 既に恐怖に打ち勝ち、無の境地に達したアスナは、明日帰ってくる横島に心から哀悼の意を捧げる。


 もちろん、こっそり新しく女を作っていた横島だ。
 その時は自分も加わろうと思いながらだけど。






























  ●月♪日

 あやかに少し遅れて忠夫が帰ってきた。
 待ち受ける千鶴さん。
 でも、すぐに可哀想なモノを見る視線に変わってしまった。
 帰ってくるなり、「ワイはペドやない、ペドやないんや……」ってずっとブツブツ。
 ……ナニをやらかした? このチンコは?
 犯罪の匂いがプンプンするわね。
 正直、信じてあげたいけど、無理。
 この手のコトに関しては、とーっても信用ないから、忠夫は……
 ってな訳で、聞きだす傍ら、千鶴さんの忠夫へのバツが炸裂した。

 何ていうか……葱を使った華道?

 これは、酷いw

 ハルナが見たら喜びそうな絵図面よね。

 それにしても明日から学校かぁ~。
 ホント、ダルイわ……








  
 

 






  ▽月▲日

 今日から中学3年生。
 さっそくエヴァがネギに絡んでた。
 協定で私達は手を出せないけど、頑張れ、ネギ。

 で、お仕事頑張ってね、忠夫。

 ってちょっと待って!
 今気づいたんだけど、私、春休み中にデートに連れてって貰ってないんですけど!

 酷いわよ! なんで私だけーっ!!








































 後書き

 スランプかな? なんかキツイ。




[11660] ネギま!のほほん記 第29巻  エロ有り(夏美SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/08/02 16:25



 アスナ達が春休みに入った。

 ネギに簡単な修行をつけてやる一方で、怠惰にボヘ~っとした時を過ごす。
 なんせアスナやネギの春休みが終わるとほぼ同時に、彼の長い休暇も一時的に終わってしまう。
 目付役であるシスターを連れて、何度も関西へと出向かなければならないからだ。
 横島的には泊まりがけ最高!なんだが、一応は関東に滞在しているせいで立場が微妙。
 面倒事を出来るだけ減らす為に、可能な限り滞在時間を減らさないといけない。

 ここまで面倒くさい状況ならば、あっさり断ってのほほんとしたい横島であったのだが、やはり事件の内容が問題だ。

 自分が出張らなければならないのだと思ってしまう。




 今日もその準備で教会に行き、シャークティーと出張の打ち合わせをしていると、どうにも視界の端っこでチラチラ蠢く影が二つ。


「美空ちゃんとココネちゃん、何やってんスか?」

「さあ? 最近のあの子達、どうにも落ち着きがなくて」

「ま、いいか。それよりもですね、日程なんスけど……」


 普段の何処かおちゃらけている横島と違い、仕事モードの横島なんて珍しい。
 こんな横島なんざ、元の世界で除霊事務所の所長やってる時以外には、そうそう見られるもんじゃあなかったり。

 そんな真面目な横島との打ち合わせに、ちょっとだけドキドキするシャークティー。
 ついでにだけど、今日も今日とて朝から修行に来ていたのどかと夕映の2人も、いつもと違う横島に、やっぱりドキドキ。 

 更にはオマケで美空まで。

 横島からギリギリ見えるか見えないかの位置で、ココネと手を繋ぎながらチラチラ覗き見。


「ねぇココネ。今日の横島さん、妙に凛々しくね?」


 スーパーレアな横島に、美空までドキドキ。
 もしもこの場に横島除霊事務所の面々が居たならば、こう言ったろう。


 騙されるな! あの状態は長くは続かん!! ってか、シリアスな横島は横島じゃない。横島(笑)だっ!!


 その証拠になるのか、簡単な打ち合わせが終わるや否や、シャークティーの太腿に指をツツゥーっと滑らせる。
 鼻の下は伸びきり、どうにも情けない表情丸出しだ。
 ソレを見たのどかと夕映は、残念そうに溜息を吐きながら修行に戻った。

 とは言え、


「良いモノをみました」

「うんー。ああいう横島さんも良いよねー。ドキドキしちゃった───」

「そうですね。ですが、私はやはり何時もの横島さんも捨てがたいです」


 のどかはクスッと笑うと、ウンウン勢い良く頷いた。
 レアな横島も良いが、やはりいつものバカっぽい横島も好きなのだと。


 逆にシャークティーは溜息混じりに横島の手の甲をギュっと抓った。
 コレがなければ、とっくの昔に性魔術的な意味でなく、本当の意味で心も身体も預けられるのに、と……
 もちろんシャークティーとて、普段の横島に充分以上の好意を持ち合わせてはいる。
 でもだ、大人として普段の横島はどうかと思うのも、また確か。
 普段の様子からは信じられない、結構真面目でしっかりとした面も沢山見ているから嫌いになることはないが、出来ればもうちょっと……ってな感じ。


 最後に美空はと言えば、上手い具合に鼻の下を伸ばす場面を見ずに済んだ。
 その時には教会の外でココネを抱きしめながら、クルクル回っていたから。

 そうして、次の機会をどうしたら手に出来るのか考えた。
 言うまでもないが、性魔術の機会である。
 顔を真っ赤にして、明らかにソレだけが目的でない表情を浮かべて。
 美空は、横島の普段は見せない表情に、ちょっとヤラレちゃったようだ。

 そんな美空に不満をみせるココネは、「ミソラだけズルイ……」何かを期待するような視線でジッと美空を見上げていた。

 魔力の底上げが出来るなんて、魔法使いならば皆したいと思うのだし、ココネも性魔術がしてみたい。


「あははははは、ココネにはまだ早いって」


 これは前にも美空がココネに言った言葉である。
 でも、ブーって膨れるココネを見て美空は思う。

 アノ後、横島から聞いた性魔術。

 聖ではなく、性だ。
 初めからそうだと知っていたら、間違いなくノーサンキューなこの魔術。

 だけども、性的絶頂さえ得られるのなら、ココネでも簡単に出来るのでは……?


「んー、仕方ないなー。次のチャンスでさ、一緒にしてみる?」


 さっきの横島の顔を見るまでは、早々しようとは思ってなかった性魔術。
 胸が切なく高鳴っている今、機会があるなら今すぐでもしたい。
 その時には、ココネもちょっとだけヤッて貰うのもいいかもしれない。


「何つっても、あんたは私のマスターさんだしね」


 美空にとって、ココネは大切な相棒である。
 一緒に、それも楽して強く成れるのなら文句はない。
 倫理的な問題も、よくよく考えてみれば困るのは横島だけなんだし……
 とは言っても、今のままのココネでは流石に無理がある。
 何らかの策を練らなければならないだろう。

 でもだ、美空にはとっておきの魔法道具があり、後はいかにしてその状況に持ち込むかだけだったりする。

 悪戯を思いついた悪ガキの表情を浮かべながら、美空はボソリと呟いた。


「ココネも大人になるのかー」


 感慨深いねー、などとアホなことを言いながら、美空はさっきの横島を何度も何度も脳裏に反芻するのだった。


























  ネギまのほほん記  第29巻  夏美SPイベント①























 トックン……

 優しく跳ねる鼓動が、とても心地好い。

 夏美はこの日をどれだけ待っていたことか。
 この家の住人であるアスナと木乃香は、つまらなそうに唇を尖らせ、外へと出かけた。
 ネギはハルナに連れられ、夏美には理解できない遠い場所へと旅立った。

 そう! 今この家には夏美しか居ない。
 今日は本当に久しぶりに2人きりで過ごせる日。 
 厳正なクジ引きで幸運を引き寄せた夏美に許された、たった一日の恋人DAYである。

 そんな夏美は仕事の打ち合わせに出かけている横島を待ちつつ、昼食の準備に余念がない。
 戦闘スキルを身に着ける傍ら、千鶴やあやかと共に一般的なお嫁さんスキルを身に着けようと頑張っていたのだ。
 そうして手にした料理スキルを、存分に見てもらえる少ない機会。

 なんせウチには木乃香と千鶴にアスナが居る。
 彼女達は料理・掃除・洗濯と、パーフェクトな家事スキルを持ち合わせている。
 夏美の出番なんて、そのお手伝い程度でしかない。

 でもだ、今日は夏美しか居ない。
 夏美だけが作った料理しかない。

 おいしいって、言ってくれるかな……?

 そう思いながら肉野菜炒めに醤油を適量零し、フライパンをジャッジャッと動かし火を均等に通していく。
 醤油の焦げた好い匂いが充満してきて、「たっだいまー」と帰ってきた横島の腹をギューと鳴らせた。


「おかえりなさーい。もうちょっと待っててね、すぐに出来るからー」


 慌てて料理を盛り付けながら、リビングにドッカと座る横島に声をかける。
 水差しにウーロン茶を注ぎ、コップに氷を入れて、お盆の上にそれ等をのせていく。
 そうして横島の目の前のテーブルに、次々と夏美渾身のお昼ご飯をズラッと並べていった。

 メニューはホカホカご飯に茄子のトマト煮込みと肉野菜の醤油炒め。
 サラダはキュウリとキャベツの盛り合わせで、主菜にドデカイオムレツ。
 そのオムレツにはトマトケチャップで可愛いハートマークがデカデカと描かれている。 
 最後にデザートは、夏美が昨日から冷蔵庫に入れて冷やして置いた特性杏仁豆腐だ!

 料理を並べ終えた夏美は、エプロンを外しながら横島の対面に座り、


「お待たせ。じゃあ、食べて……」


 恥かしそうに頬を赤く染め、はにかみながらそう言った。

 横島は箸を構え、「いっただきまーす!」言うなりガツガツ食べ始める。
 本当に味わって食べてるの?って言いたくなる位、勢い良くガツガツ、ガツガツ。
 頬をハムスターみたいに一杯膨らませ、「こらウマイ! こらウマイ!」と一心不乱に食べていく。
 夏美はテーブルに頬杖をつきながら、嬉しそうに目を細めてうっとりした。

 ガツガツガツガツ……

 自らが食べるのも忘れ、ただただ嬉しそうに見続けるのだ。














 夏美は、誰よりも自信がある。

 それは料理が上手だとか、戦闘力の高さとかではない。

 横島に愛されている自信だ。

 その自信は、例えば使徒であるアスナやあやか。
 横島の元の世界の住人で家族であるタマモや愛子にシロ。
 こう言ったメンバーなんかよりも、ある意味ずば抜けている。

 解り易く好意を向けた訳でも、向けられた訳でもなく、ちょっと気になっていた横島を、本当に意識したのが夜這いされた時だったせいもあるかもしれない。

 一晩中犯されながら、ずっと耳元で愛を囁かれた。


 可愛い、キレイだ、好きだよ、愛してる……


 こんな感じで愛を囁かれ、お腹がパンパンになるまで子宮に精液を注ぎ込まれる。
 口の中は横島の唾液の味で一杯で、ピリピリする下腹部の痛みと、絶え間なく襲う絶頂の波で溺れてしまいそうだった。

 実はそんな経験、誰もした事が無い。

 アスナやあやかも勿論、横島は誰一人としてそんなむず痒くなることなんぞしないのだ。
 単純に夜這い相手を間違えて、緊急避難的にそうした結果なのだが、そうだったなんてすっかり忘れている横島ではある。
 結構最低なヤツだけども、こんな事実誰も知らないからこそ許されている実にズルイ男だ。

 そんな凄まじい初体験の経験と、そして右腕。
 横島の霊力で出来ている、一度は失ってしまった右腕だ。

 実はこの腕、体温や霊気の波動が横島と酷似しているため、この手で触られると何故だか横島に触られている気がする不思議な手だ。
 内緒だけれど一人寝が寂しい夜なんかは、こっそりこの手で自分を慰めたり、あやかとか千鶴を慰めたりなんかしていたり。

 それは兎も角、そのせいなのか横島との精神的・肉体的な繋がりが、使徒とさほど変わらない。
 愛されていると信じ、そして横島から与えられた腕から伝わる労わりと優しさ。
 だから横島に愛されている自信はもとより、その愛の深さもトップである。


「そんなに急いで食べたら、味わかんなくない?」


 言いながら夏美は、横島のホッペに付いているご飯粒をヒョイッと摘まんで、口へと運んだ。

 嬉し恥かしバカップルイベントである。

 グビッ。

 そんな夏美に横島は、顎を上げて思わず咽を鳴らす。

 何ていうか健全だけど、それでいて男心を誘うイケズな行為。
 夏美も分かっているのかいないのか、ニコニコ横島を見つめるだけ。
 最近、見たくも無い男の死体とかの資料ばっか見てたせいか、『普通の女の子』である夏美がとても眩しく見える。
 アスナ達には無い、とても貴重な資質だ。
 なんせアスナはアレだし、あやかもやっぱアレだし、千鶴は、その、おキヌちゃんに負けず劣らずマジ黒い。
 夏美はこんな灰汁の強い女達の中で、横島にとっての清涼剤なのだ。

 その清涼剤である夏美に、情欲を感じてしまった横島は、


「夏美の作るメシがあんまり美味くてなー、わははははは……」


 淫心がバレないように笑って誤魔化した。
 まだ早い。今はメシが先だと。
 再びガツガツとご飯をかっ込む横島。

 夏美もようやく箸を進め、2人きりだけど、どこか楽しい食事の時間が、こうして過ぎていく。














 食事が終わると、夏美は再びエプロンをして後片付けに入った。
 キレイに米一粒足りとも残っていないお茶碗やお皿を片して、フキンでテーブルをキレイに拭いていく。
 上半身を屈ませ、一所懸命にテーブルを拭く夏美の顔は、何故だかこれ以上無い位に紅潮していた。

 それもその筈、今の夏美はエプロンしかしていない。

 そう、裸にエプロンである!

 目の前でその夏美の尻がフリッ、フリッと淫らに躍る。
 思わず尻の谷間に顔を埋め、しゃぶりつきたくなる光景だ。
 だが男横島、ここはその衝動をグッと堪え、鼻息荒く視姦するに留めた。
 そして夏美の余りの素晴らしさに、感嘆の呻き声を上げるのだ。

 何が素晴らしいかと言うと……

 例えばだ、アキラがこの状況だったなら、既にアソコはヌレヌレ大洪水となっている。
 それは大小様々あれど、アスナ達とてヌレはするだろう。
 だけども、今目の前で恥ずかしそうに震えながらテーブルを拭いている夏美の股間は、これ程に視姦されているにも関わらず、一切の湿りが無かった。
 これは彼女の性癖があまりに普通であるのと同時に、横島が夏美を変態的な意味では開発していない証拠である。


「そんなにジロジロ見ないでよー!」


 食器をお盆に載せて、台所に逃げる夏美。
 涙目で落ち着きの無い夏美の挙動は、裏の事情でささくれ立っている横島を癒すに相応しく。
 当然、横島は夏美の後ろについて行き、流しで食器を洗い始めた彼女のお尻にかぶりついた。


「ひゃん! ちょ、ちょっと、ダメだって。お皿割っちゃうってばぁ……」


 潤みの無かったアソコから、甘い女の匂いがフワリと香り始める。


「ほら、デザート食わないとさ」

「デザートって、杏仁豆腐食べたでしょ!?」

「いんや、ここにまだ残ってる!」


 そう言って立ち上がると、遠慮なく夏美の腋の下から手を伸ばしエプロンの中に侵入する。

 
「あっ……! ひァン!!」

「こんな場所にスペシャルな杏仁豆腐がぁーーっ!!」


 バカなことを口走る横島の手の感触から逃げ出そうと身をよじるも、しっかりと両手で胸を押さえられ、どうにも逃げ出す事が出来そうにない。
 乳首をコリコリ転がす指の動きが、だんだん激しくネチッこくなり、夏美の秘所がいやらしくうねって蜜を吐き出し始めた。
 食器を洗っていた手は完全に止まってしまい、夏美は早く横島が欲しくてたまらない。

 逞しく硬い肉の棒で、疼く膣壁をゴリゴリ削って欲しいのだと。

 だけども横島はとても意地悪に、


「ほら、食器洗う手を休めたらダメだって」


 仕方なく夏美は、震える手で食器を洗い始めた。


「ン……んはぁ……あ、はぁ、ンぅッ!」


 カチャ……カチャ……ン……

 蛇口から水が流れ出す音と、食器が重なり合う音が響く。
 もどかしくノロノロとした動きだけども、それでも横島に言われた通りに食器をキレイにしていく。
 2人だけの昼食だったお陰で、それほど大した量がないのが功を奏したが、何とか全ての食器をキレイにした頃には、足がガクガク震えて立つ事もままならない。
 最後に蛇口をキュッと閉めて水を止めると、快感に潤んだ瞳を横島に向けた。


「も、もう……我慢できない…………」


 喘ぎながらカクカク震える脚を踏ん張り、お尻を横島に向けて突き出した。
 エプロンの下から夏美の肢体を嬲っていた手を引き、突き出された尻へと指を這わせ始める。

 すると夏美の口から満足気な熱い息が吐き出された。
 ヌルリと濡れた花弁に、横島の指が捻じ込まれたからだ。
 胎内に感じる横島の存在が、これから夏美が味わう性の快感を予感させて。
 台所の洗い場に上半身を預けると、夏美は震える脚から力を抜いて、横島の全ての行為を受け容れる。
 ジュブ、ジュブ、指が2本夏美の中を往復する度、びくんびくん肢体が大きく跳ねる。


「も、もう、イッちゃうよ───ッ!!」


 その時、横島の目にある物が映った。
 昼食に使われた食材の残り、キュウリである。


「───ンアァァッ!?」


 丁度、絶頂の嬌声を上げて、グッタリ力なく肩で息する夏美。
 横島の目の前では、膣口からドロドロした愛液が、菊穴からも透明で粘つく腸液が、それぞれ滲み出ていた。
 横島は夏美に見つからぬようにソッと手を伸ばし、キュウリを手に取る。
 そして、予告なく彼女のワレメに突き入れた。


「ひゃっ!? つ、冷たっ! な、なな、なに入れたのっ?」


 初めての感触に戸惑う夏美。
 彼の指にしては太く、肉棒にしては余りに細く冷たい何か。
 それが膣壁を擦りながら、彼女の奥行きの半ばまで侵入してきたのだ。

 しかも、息つかせるまもなく、今度は後ろの穴にまで!


「な、なんなのっ!? ひぁんっっ!」


 2つの穴を同時に、しかも未知のモノで犯される感覚に、身悶える夏美。
 快感から膣口と尻に力が入り、中に入り込んだナニかをキツク締め上げると、


「んなに締めたら、中でキュウリが折れちまうぞ?」


 その言葉に青ざめる。

 ヒュッと恐怖で息を吸い込むと、イヤイヤと力なく首を左右に振った。


「ヤだよ……怖いよ……」


 涙混じりの悲痛な声に、だが横島は楽しそうに2つの穴に差し込んだキュウリを、交互に出し入れし始めた。


「はっ……はぅっ……ンゥ……や、やだ、やだ、やだぁぁぁっっっ!!」


 激しい快感の襲来に、圧倒的な絶頂感が突き抜ける。

 力を入れたらダメなのに、下手に動いたら中でキュウリが折れてしまうのに、なのに、なのに、なのに……!!

 遂に刺激に耐えかねて、身をよじり、力を入れてしまう夏美。

 丁度、尻穴深くまでキュウリを押し込まれた瞬間で、ボキッ! 彼女の中でナニかが折れる音が確かに聞こえた。


「い、イヤァァァアアアアアアアアアアッッ!!!」


 絶頂と、恐怖の入り混じった嬌声。

 折れたキュウリが腸の蠢きで、グイグイと奥へ奥へと勝手に飲み込まれていく。

 その感触が、夏美には分かった。


「ひぃっ! ぬ、抜けなくなっちゃうっ!」


 床に膝をつき、泣きそうになりながら後ろの穴に手を伸ばそうとするも、寸前で横島に手を取られてしまう。

 目尻に涙をたっぷり溜めながら横島を見上げる夏美。

 お腹に感じる異物の圧迫感。
 抜けなくなるぐらい奥まで行ってしまったらという恐怖。
 でも、徐々に近づいて来る横島の顔に、段々とどうでも良くなってきた。

 顎をクイッと上げられると、横島の舌先が夏美の唇をペロリと舐める。
 すると夏美は『いつも』のように彼の舌先を迎え入れる為に、うっすらと唇をあけた。
 舌よりも先に指が口の中に入り大きく唇を開けさせられると、眼前で横島の口から舌先が飛び出した。
 その舌の先から、横島の口内に溜まった唾が、ダラダラと流れ出してくる。

 夏美は、口の中へと流れ落ちてくる粘りつく液体を、コクン、コクン……陶然と飲み干していった。
 興奮が高まっているのか、ブルル……夏美は身体を震わせる。

 もう、恐怖の感情は失せた。

 横島が唾液を流すのを止めると、潤んだ瞳で見上げる夏美は、

 
「はぁ……横島さんの、唾液……おいし……」


 うっとりと呟く。

 夏美は、横島の体液を飲むのが好きだからだ。
 横島にその気があるのなら、小水だとて悦んで飲んだだろう。

 そんなチッとばかし変態チックな夏美である。

 横島の唾液の味で肢体が熱く火照ってしまい、後ろの穴深くに潜り込んでしまったキュウリなんて、より高い性感を得る為のスパイスにしかならない。
 唇についた彼の唾液を、とても美味しそうにペロリと舐め、物欲しそうな目で横島に訴えた。


「もっと、飲みたいな……」

「んじゃあ、下の口と一緒に、な」 

 
 甘えるように身体を摺り寄せてくる夏美に深いキスをしながら、横島は彼女を押し倒す。
 エプロンが捲れ、夏美の未だ発毛すら迎えていない未熟なワレメがチラリと見える。
 横島はキスを止め夏美の両足をムンズと掴み、股間を剥き出しに大きく脚を開かせ肉棒を挿入していった。

 
「ひぁぁっ! 横島さんのおちんちんが、入って……ンンぅっ!?」


 ズプズプズプッ……!

 濡れた音と共に、硬くて熱い肉棒が挿入されていき、そして唐突に、ゴリッ! 壁越しにナニかとぶつかり合う。
 夏美は初めての感覚に身体を震わせ、そしてその正体が分かった。

 キュウリだ。

 思い出した恐怖にビクンと身体を跳ねさせ、しかし横島は身体を前のめりに夏美の唇を奪う。
 舌で彼女の口中を犯しながら、直接ノドへと唾液を流し込んだのだ。
 恐怖で硬直しかけた肢体が徐々に柔らかく弛み、そうして横島はゆっくりと肉棒を出し入れし始める。
 子宮を優しくコンコンとノックし、ゴリゴリ壁越しにキュウリとぶつかり合わせる。
 同時に舌で口中を犯し、エプロンの上から胸を揉みしだいた。

 夏美は3つの穴全てを犯されながら、胸までも好き放題にモミモミされる。


「ンッ! ンン、んぅ……ッ───!!」


 荒く鼻で息をしながら、悶えるように身体をくねらせる。
 その上がっちり横島に押さえ込まれて、身動き一つ自由にならない。

 でも、それがとても気持ちいい……

 息苦しさと恐ろしいまでの快感に意識を惚けさせながら、夏美は凄まじいまでの幸福感に包まれていたのだ。
 そして、その幸福感が最高潮に達する瞬間が訪れる。


「あァっ!」


 唇が離れると同時に、横島の腰が唸りを上げた。

 ゴン! ゴン! ゴン!
 ゴリリ、グチュ、グチュゥ……ゴリっ!!

 回転し、ぶつかり、子宮をグリグリと肉棒の先端で刺激される。

 ド、クン……ッ!!

 肉棒が膨張し、破裂した。

 ビュク、ビュルルルルルルルル……ビュビュビュッッッ!!!

 熱い塊が夏美のお腹の奥に注ぎ込まれ、


「ああああ、来たぁ、私の中に、横島さんの熱くてドロドロしたのが……いっぱい、いっぱいぃぃぃッ!!」


 大きく絶頂の雄叫びを上げた。

 でも、横島の腰の動きは、精液を放出しながらもまだ止まらず、グイグイと膣道の中で律動を続ける。

 夏美は絶頂が止まらない。
 首を激しく振りながら、泣き叫ぶ。


「や、やめ……ん、あぁあああああっ! イ、イク、のが止まんないっ! んぁ、たす、けて……あ、あ、あああああ──────!!」


 調子こいた横島は、夏美が気絶するまで続けてしまい──────

 まるでレイプされたかの様に床でぐったりと倒れ伏す夏美。
 それを見て流石にマズイと思った横島は、彼女が起き出す前にお尻の穴の奥深くに挿入されたキュウリを抜き出し、身体をキレイに清めていった。
 グチャグチャになってしまったが、それでも素晴らしき裸エプロン姿をもう一度脳内メモリーに保存しながら、夏美を優しく起こす。


「ん……んぅ……」


 そして、気を取り戻した夏美の頬に、2人の体液で濡れた肉棒を押し付けた。
 夏美は嬉しそうに目を細めながら、ソレを口の中に納め……


「きもひいい……? 早く、わらひの口に、横島さんろ精液を、いっぱい出ひて……」


 いっぱい、いっぱい出してとおねだり。






 夏美は自信がある。

 自分が横島に愛されていると。

 例え何があろうとも、何をされようとも、ずっと信じてる。

 例え事後にこんな意地悪されても……


 ポリッ! ポリポリポリ……


 「やーめーてー! キュウリ食べないでよー!」

 「うむ、夏美味がついて実に美味い」

 「ばか! ばかばかばかー!!」

 「この塩味がちょこっと付いてンのが何ともかんとも……」

 「へんたいへんたいへんたいーー!!」
 
























 後書きver.2

 8月2日 加筆。



[11660] ネギま!のほほん記 第30巻  エロ有り(アキラSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/08/04 13:50






 暦はもうすぐ4月を迎える。

 アスナ達の相手(エロではなく)とネギの修行を見てやりつつも、関西方面の情報収集をしていた俺は、遂に現地入りすることになった。
 最近の裏方面の仕事の相棒シスターシャークティと、関西呪術教会から極秘に派遣された巫女剣士を連れて、被害者の死体が発見された現場を中心に見て回る。

 だがしかし、シスターと巫女……

 ♂の本能が疼いてタマラン……!!

 巫女さんのちちしりふともも……
 シスターのちちしりふともも……

 思わず手が2人の尻や太腿に伸びてしまっても仕方あるまい。
 だが残念な事に、巫女さんの方は既に好きな男が居るらしく、手が尻にいったら斬られそうになった。

 詠春……なんて使えねー男だ。

 それともあれか? 紅き翼時代のように、モテナイ俺を嘲笑っているのだろうか?

 あれは、全部ナギが……
 クッソー! イケメンが、死ねっ! 死ねッ! 死ねッッ!!
 
 なんて考えてる素振りなんざ一切見せずに、真面目な顔してシスターと巫女剣士に挟まれながら調査を続けた。
 とは言っても、関西から提出されていた調査結果以上の物が見つかる筈もなく、今回は関西への顔見せといった感じである。
 現場→被害者の検分→関西呪術協会総本山の順に見て回り、ソコで10年以上ぶりに詠春のクソボケと再会した。
 巫女さんに囲まれる旧友の、随分と老けてしまった顔を見たら、チラリと木乃香の顔が過る。

 今の内に殺ッちまうか……?
 老いぼれ衰えた今のコイツなら、結構簡単に殺れそうだし。

 などと考えた瞬間、首筋に冷たい刃の感触。


「今、何をしようとしましたか?」


 フフフ……、静かに笑いながら、それでいて何時でも殺せる、そんな微妙な力具合。


「アナタらしくもない。殺気が僅かにもれてました」


 頬がヒクツク。

 こいつ、衰えてはいるが、それでも大概化け物のままじゃねーか……

 ゆっくりと刀を鞘に納める詠春にそう思っていると、


「ハハハ、巫女さんに囲まれてますから、アナタがそういう行動に出るのは分かってましたよ。ホント、変わりませんね、横島さん」

「当たり前じゃー! テメー、俺に内緒で巫女さんハーレムなんぞ作りやがって!」


 俺の中から漏れ出す瘴気。
 周囲の巫女さん達が緊張に身体を強張らせたが、俺の次の動作で霧散した。、


「おねげーします、えーしゅんさま。ワタクシメにも少し分けて下さい」


 腰を90度まで折り曲げ、清々しいまでに頭を下げる。
 巫女さん達は、そんな俺に力が抜けて「ああ……」とズッコけた。

 ズッコケル巫女さんを視界の端で見ながら思う。

 冷や汗を見られる訳にはいかない。
 木乃香に手を出したと、悟られる訳にはいかない。

 落ち着け、落ち着くんだ。

 20年前の、ナギのせいでまったくモテなかった俺なら、こういう時どうしたのかしっかり思い出せ!

 アイツのイメージのままの横島忠夫で居なくては……『死ぬ』!!!

 刃を交わさない戦い。
 一瞬の気の緩みがそのまま死に繋がる。
 ここで俺は死ぬ訳にはいかない。
 待たせている女達が居るのだから。

 脳裏に過る女達の笑顔。

 俺は必ず帰る。お前たちが待つあの場所へ……



















 その後は軽い歓待を受け、詠春との会談。

 関西の総本山で一室を借り受け、そこから文珠を使ってシスターと共に麻帆良へと帰還した。
 しばらくはこうして麻帆良と関西総本山とを行き来するのだ。
 それだけで文珠が往復4個も消費するのは可也痛いが、まあ仕方がねーだろう。

 そんなに時間を掛けるつもりはないのだし、犯人の目星も近い内につくだろうしな。
 女の魔法使いを一人残らず徹底的に洗えば済む事だ。
 去年の秋、夏美の腕を禍々しくも神々しい剣で斬り飛ばし、俺に神殺しセリカの剣術に似た技を使ってきた女。
 今思えば間違いなくラプシィアの関係者。性魔術を使えても可笑しくはない。
 後はその女の身元に背後関係と交友関係を関西呪術協会が調べ上げ、捕まえさせればいいだけだ。

 だからそんな些末時よりも、如何にして詠春に悟られずに木乃香との関係を続けていくかの方が大切である。
 教会の前でシスターと別れた俺は、自宅までの道中その事だけを考え続けた。

 そしてふと気づく。

 シスターとしっぽりするつもりだったってのに、何もせんと別れちまったことに!
 あああああああ、俺って奴は、バカなんじゃねーだろうか…… 
 涙と絶望に濡れた俺は、家に帰るなりグルッと周囲を見渡した。
 シスターという上物を逃してしまった今の俺の股間は、不満がたまってバーニング寸前。

 そんな股間を鎮められる女はそうは居ない。

 アスナ、あかや、千鶴の3人ぐらいだ。

 もしくは……


「アっキラちゅわぁ~ん、ぼっくとデートに行こうぜ!」


 あやかに千鶴が居ない今、アキラしかいないだろう。
 なんでかナチュラルにアスナをスルーしつつ、俺は爽やか好青年な笑みを浮かべながら親指を立て、アキラをデートに誘った。
 突然の事にワタワタしながらも、嬉しそうに何度もウンウン頷くアキラの手を取ると、ブーブー文句を立てる他の女の子達に、


「お土産買ってくるかんなー」


 と言って外に出た。

 車庫から車を出し、助手席にアキラを導くと、そのまま麻帆良の外を目指して車を走らせる。


「えっと、いいのかな……? 私だけこんなにいい目みて……」


 窓を開け放ち、春の夜の空気を切りながら、アキラの申し訳なさそうな声が耳に届いたが、俺はあっさりとスルー。

 そして、これからの期待に胸を膨らませるのだった。
 




















   ネギま!のほほん記  第30巻  アキラSPイベント①



  












 



 長い長い直線道路。

 時折すれ違う対向車のヘッドライトに照らされる横島とアキラ。
 横島は楽しげに鼻歌なんかを口ずさみ、しかしアキラはビクリと身体を跳ねさせる。
 真っ赤に染まった顔、いいや、顔だけじゃない。
 首から鎖骨を通って、胸からヘソ、下腹から股間に太腿どころか足の爪先まで桃色に染まっていた。

 言うまでもなく、彼女は裸だ。

 麻帆良を出てしばらく走ると、沿道に車を止めて彼女の衣服を剥いたのだ。
 アキラは身体を、特に中学生にしては可也大きめの胸を両腕で守るように抱きしめると、すれ違う対向車に恐怖の眼差しを向けた。

 そして、小さく零れ落ちるように、


「イ……ヤだ、よ……見られたく……ない……」


 そう言って、顔を強張らせた。

 何度もしていた露出プレイは、当然の様に誰にも見られぬように認識阻害の結界を張って行われている。
 だが、今現在その様なものは使われてはおらず、その事実がアキラを恐怖に落とし入れているのだ。

 アスナを始めとする仲間達とは違う。
 裕奈達の様な友人とも違う。

 まったく見知らぬ他人、しかも男には見られたくない。

 いつもは『見られるかもしれないと言うシチュエーション』
 そして今は、『本当に見られるかもしれない』いいやむしろ『見られている』
 対向車の運転席に座っている男が、こちらをギョッと驚いた表情で彼女を見ていたのだから。


「ヒィッ!?」


 ビクンッ!

 身体を細かく痙攣させ、か細い悲鳴を上げた。

 なのに、目が、離せない。

 完全に横切っても尚、最後の最後までその男の目を恐怖の眼差しで見続けた。


「ぁぁぁ……見られちゃったの? 私、見られちゃったの……? 横島さん、私ぃ……」


 悲しそうにそう言うアキラの様子に満足した横島は、右手一本でハンドルをさばきながらアキラへと手を伸ばす。
 両腕で覆い隠されている胸、それでもその端からはみ出ている柔らかい乳肉に指を食い込ませ、そこからグイグイとアキラの腕を排除していく。
 嫌がるアキラ、でも横島は強引に彼女の胸を剥き出しに晒すと、柔肉を搾るように愛撫する。
 アキラの陥没気味なピンク色の乳首がムギュッと飛び出し、丁度その時、再びの対向車の運手席に座る男とアキラは目が合った。

 凍りつくアキラ。

 男のイヤらしい視線がアキラの顔から徐々に下がっていき、そして胸へと到った時、ビクビクビクンッ!!


「アァァァンッッッ!!!」


 全身を快感が駆け抜け、そして股間から透明で粘る飛沫をピュッピュッ! 助手席のシートを濡らす。

 
「横島さん、もう、止めてよ……」


 息を荒げて横島を涙目で見ながら、必死の懇願。

 だけども横島は聞こえないフリ。
 もちろん、横島はアキラの裸体を赤の他人、特に男になんか見せるつもりはないし、実際に見せてない。
 現在この車は、アキラには解らぬ様に文珠で形成された幻術に包まれているのだ。
 外からこの車を見ると、マッソーな詠春のマッスルポーズが見えたりする。
 対向車の男共は、そんな詠春の幻に驚きの表情を浮かべているのだ。
 アキラが類稀なる動体視力で見た男のイヤらしい視線は、言い方は悪いが全てが自意識過剰によるモノである。

 もちろん、そんな状況に持っていったのが我等が横島忠夫であるのだが。


 ヒュゥゥン、ヒュゥゥン……と風を切り、何台も何台も車とすれ違う。

 20才前後の若い男が居た。30過ぎの脂ぎったおっさんが居た。
 60過ぎのじーさんが居れば、大学生っぽい女性も居た。

 車がすれ違う度に、その車の運転者達は一人残らず驚いた眼差しでアキラの方を見るのだ。

 実際はマッソーな詠春を見ているのだが。

 とにかく、自分が見られていると思い込んでしまったアキラ。

 胸の谷間を通るシートベルトのせいで盛り上がる胸。
 その胸を揉まれて飛び出す乳首。
 間断なく続く軽い絶頂。
 アキラの蜜でぐっしょりと濡れてしまった助手席のシート。
 口を半開きに、段々と荒くなっていく吐息……

 次第に吐息は激しさの中に甘さが含まれていき、「んんぅっ!!」アキラは大きく乱れ始めた。

 横島の右手がアキラの胸から段々と下がり、股間の中央部に差し掛かると、花芯を親指で押し潰しながら、彼女のクレバスに指を沈めた。


「んぅっ!」


 ネットリ生暖かい液体を掻き混ぜながら、横島はアクセルを思いっきり踏み込んだ。


「先ずは一速、続いて二速!!」


 親指でクリトリスを捏ねくり回し、同時に、グチュ、グチュグチュ……!! 彼女の中を激しく掻き混ぜた。


「三速、四速、ハイトップ~ッ!!」


 グチュグチュグチュ、グジュジュジュジュジュ、ヌジュジュヌジュジュジュジュ………!!!
「んっ!あ、あぁん!!や、ダメ、やめて!イッちゃう、し、らない人に、見られて、るのに、っっ!!」


 あまりに激しい指の動きに、透明だった蜜が白く泡立ち、横島の手の平をベタベタに汚していった。

 アキラは髪を振り乱しながら何度も高みに昇る。
 だけども、アキラは激しい絶頂の中、安堵していた。
 なぜなら自らの膣内を激しく掻き混ぜる程、車のスピードが速くなり、対向車からの視線が少なくなっていったからだ。
 時速120kmを越えた辺りになると視線はまったく感じなくなり、ウィィィィン、っと窓が開け放たれるのにも気にならなかった。
 車内を暴れ狂う風に髪をなびかせ、その風圧がたわわに実った胸を押し潰す。

 アキラは声を荒げる。

 ある意味、完全に外の世界と切り離されたこの空間で、横島の愛撫に身を委ねたのだ。


「き、気持ち、いいよ……でも、これじゃ……や、やだぁ、んっ!」


 何度もイってはいる。
 でもだ、お腹の奥がキュンキュン鳴って、本当の満足は得ていない。
 欲しい、欲しいのだ。自らの奥に。
 早く車を止めて、自分の中に彼を迎え入れたい。繋がりたい!

 そうオネダリしようと口を開きかけたその時だ、キュキュキュッ……ブレーキ音と共に、車が減速し始めたのは。

 アキラは遂に横島がそのつもりになったのだと、最初は思った。
 だが、目の前で、青いランプが点滅し、黄色いランプに変わって、最後に赤のランプへと切り替わる。
 信号だ。さっきまで走っていた郊外を抜け、市街地へと入ったのだ。

 夜の街だ、人は歩いていなかった。

 でも、青に変わり、車がどんどんと街の中心部へと向う毎に、人がまばらに増え始める。

  
「おっ、今の信号待ちしてたおっちゃん。アキラのおっぱい凝視してたな」

「ひっ!?」


 ビクリ、とアキラは再び身体を強張らせた。
 絶頂感冷め止まない肢体は、嫌悪感を隠し切れずにしとどに溢れていた蜜が徐々に勢いを失っていった。


「ほれ、さっき道を歩いていた奴等も、アキラを指差して何か言ってたし」

「い、いや……ほんとに見られるのは、ダメ……だって、横島さん以外に、見られるのは、気持ち悪い……」


 紅潮していた顔と身体が青ざめ、横島の当初の予定から外れ始めた。
 彼女の中を掻き混ぜていた指も、蜜の供給が減ったせいで抵抗感が増えてスムーズにいかなくなり、あれ?っと首を傾げた。
 露出癖の気があったアキラは、ガンガンに乱れまくりエロエロになる予定だったのだ。

 でも、


「見られそうと、見られるじゃ、全然違う。横島さんは好きだけど、これは違う」


 青ざめてはいたけれど、快感に蕩けず、キッとした表情で言い切った。
 そして外からは見えないようにと、両腕で再び胸を覆い隠し、身体を前かがみに傾けた。

 アキラは気づいたのだ。

 いつも外でする時は、開放感も相まって、とても気持ちが良かった。
 けれど、今こうして本当に見られてしまえば、快感なんてものより身の毛もよだつ嫌悪感しかなかったと。

 アスナ、あやか、千鶴、夏美、のどか、夕映、木乃香。
 彼女達仲間や、裕奈、亜子と言った友人達に見られながらスルのとは、まったく違った。

 それに気づくと、サァーっと身体が冷めた。
 もう、これ以上は見られたくない、見せはしないのだ。
 例え、それを横島が求めていたのだとしても。


 横島は、シートベルトを身体に食い込ませながら前かがみになっているアキラを横目で見ながら、微妙な表情を浮かべた。
 始めから余所の男共に見せるつもりはなかったが、エロエロ調教しているつもりが純愛路線にいってしまったでござる。

 そうは思っても、実際は嬉しかったりするのだが。

 つい最近、今アキラが言った様な事を木乃香に言った覚えもある。
 それをアキラ自身が言ってくれたのだ。
 嬉しくない筈がない。


「ホントはさ、文珠で作った幻術に覆われてんだ。だから、誰にも見られてないんだぜ」

「………そう……だったの……?」

「横島忠夫、嘘つかない」

「そっか、よかった……」


 安堵の溜息を零すアキラ。

 そんなアキラに、当初の思惑とは違うけど、まいっか、と横島は小さく笑った。
 本当は人通りの多い街中をグルグル周るだけのドライブのつもりだったが、急遽変更。

 たまたま目に入ったデパートの看板を見てハンドルを切る。
 駐車場に入ると、入り口近くの駐車スペースに車を止めた。

 時刻は夜の8時過ぎ。

 まだまだ子供連れの親子が沢山出入りしている時間だ。
 微笑ましい子供の喚声が聞こえてくる。
 横島は自分の身体を締めているシートベルトを外し、続いてアキラの身体を締めているシートベルトも外す。
 シートを倒し、車内の空間を広げると、おもむろにアキラの両胸を揉みしだき始めた。


「あふっ……い、いたい、よ……もっと優しく、揉んで……いぃ、ン、はぁ……」

「その割には随分とエッチな顔してるぞ」

「そ、そんなこと……ない……くぅう、ん」


 口では如何こう言ってるものの、素直に身を委ねているアキラ。
 だが、実は外が気になって仕方無い。
 何せ近くを通る人全てが、こちらを驚いた顔で見るのだ。
 中には不思議そうに指差す子供までいて、アキラは気が気でない。
 横島を信じているから抵抗もしなければ、甘く喘ぎ声も上げたりする。

 でも、見られている『かも』しれない。

 この状況はアキラの肢体を熱く燃え滾らせた。
 腰を引き寄せられ、そして、ギシッ! 車が揺れる。


「い、イキナリ奥まで、入っ……ちゃ……入っちゃった……っ!」


 両足が車の天井にぶつかり、頭は助手席のドアに半掛け状態。
 狭苦しい車内の中で、それでも横島はアキラを完全に押し倒し、自らの♂を彼女の♀の深くまで突き込んだのだ。
 いつもみたいに自由自在に腰を蠢かす事は出来なくても、アキラに全体重を掛けて押し潰しながら肉棒を出し入れし始める。

 ギシ、ギシ、ギシ、ギシ、ギシシシ……

 リズミカルに揺れる車体。

 アキラの身体が車の中で揚げられたばかりの魚の様に跳ね続ける。
 2人の生殖器が交じり合う湿った音が外まで響き、通行人の目を惹きつけて止まない。

 もちろん、彼らが見えるのはマッソーな詠春だ。

 でもだ、


 ───ママ、あの人なにやってんの?
 見るんじゃありません! さ、行くわよ、●●ちゃん!!──────


 とか、


 ───おいおい、あれ、すっげーなオイ!
 ああ、あのピクピク痙攣する大胸筋、たまんないネー!─────────


 などなど、どんな幻影なのか知らないアキラは、本当に見えてないの……? と僅かに不信感が滲み出る。
 麻帆良でスルときは、いつも通りすがりの人達を見ることはあっても、こうやって注視されることは無かったのだ。
 でも、見られてない。どんなにこっちを見てるように見えても、実際は見ていないのだ。
 そう何度も自分を説得するように心の中で繰り返し、でも、聞こえてくる、見えてしまう。

 コチラを指差し、ヒソヒソと話す人の群れが……


「ダメなのに……ん、あ、はぁああああああああぁあっ!」


 アキラに淫らな悲鳴を上げさせた。


 ───な、なにっ!? 今の声ッ!!


「えっ?」


 絶頂の衝撃が冷め止まぬ中、肩で息をしながらアキラは外の声に目を大きく見開き横島を見る。


「見えなくても、声は素通り。でっかい声出したら聞こえてまうぞ?」


 ヒュッ、思わず息を吸い込む。

 熱くなっていた身体が瞬時に冷めそうになるも、彼女に打ち込まれた肉棒がそれをさせない。

 横島の腰の動きが本格的に加速したからだ。


「っあ! ああっ、あ、ま、待って、横島さん、ダメぇっ!?」


 そう懇願するも虚しく無視され、柔らかで敏感な内膜を熱の塊である肉棒でいい様に掻き混ぜられた。

 アキラの脳裏が真っ白に染まる。

 一度点いた彼女の体の火は止まらず、大きく仰け反ると悲鳴を上げて肢体をガクガク震わせた。


「いやあぁ! いやいやぁ、あっ、あっ……いぃ、んっ、あはぁ……き、気持ち、いいっ……ち、ちがうっ! あ、ああぁ、でも、んふぁ……」

「……どっちだ? 続けて欲しいんなら最期までここでスルし、止めて欲しいんなら場所を変えるぞ?」


 言いながら腰の動きを回転から小刻みな挿入に切り替える。
 細かくお腹の奥を突かれるアキラは、もう何も考えられなくなってしまいそう……
 でもそうして声を張り上げてしまえば、いくら一般人が相手でも術を破られてしまうかもしれない。
 この手の術は、相手に気づかれた時点で半分破られてるも同じなのだから。
 でも、止まらない。声を上げたい。聞かせたい。でも聞かせたくない。止まって欲しい。
 矛盾した考えが何度も脳裏を巡って、でも何度も襲い掛かってくるエクスタシーが更にグチャグチャにしていくのだ。

 そして遂には、


「よ、横島さんの、おちんちん、ズプズプって、おまんこの中ぁっ、う、動いて……あぁああうっ、ひぃあうっ、はああぁ──────ッ!!」


 車の周囲どころか、デパートの中まで響きそうな程に大きく嬌声を上げてしまった。

 しかもだ、隠語付きで……

 ザワザワざわめき始めた周囲。
 マッソーな詠春もそうだが、この状況、流石にマズイ。

 このままでは官憲のお世話になってしまうではないかっ!?

 横島はエッチな顔で自分を見上げるアキラの腰に手を回すと、そのまま運転席に座る自分の膝の上へと乗せる。
 地味に最奥を突かれた事で、アキラは「あぁんっ!」甘い声を上げるが横島はそれどころでない。
 乱れるアキラを押さえ込み、シートベルトをして2人きっちり固定すると、アクセルを踏み込んで駐車場から逃げ出した。

 走り出す車。

 アキラにキツク抱きしめられながら、横島は今度は人気の少ない郊外を目指す。

 少々前が見づらく、運転もしづらいこの状況。
 だが横島は、「ふんっ!」腰を跳ねさせる。
 アキラのポニーテールがピョコンと跳ねて、横島の視界を僅かに隠す。

 だけどもそんなん気にならねー!


「アキラ、動いて」


 短く、端的に、要点のみを告げる。
 横島はまだイってないのだ。
 アキラに打ち込まれた肉棒は、いよいよ熱を持って膨れ、彼女のお腹を突き破らんばかりだ。
 彼女も自分だけが何度も達していたのは解っていた。
 市街を抜け、人通りも車通りもまばらになってきた中、アキラはゆっくりと腰を上下させ始めるのだった。
 横島の座るシートは、すでにアキラから滴る愛液でヌルヌルとなり、彼女が腰を下ろす度にむっちりと弾力のある尻が横島の膝にパシンと音を鳴らした。














 横島とアキラは、まぐわったまま只管車を走らせ続ける。
 そうして左右の景色が山林に囲まれた場所のサービスエリアに車を止めると、横島はアキラを車の外に連れ出し、ボンネットに胸を押し潰す形で彼女の上半身を乗せた。
 車の外に出ている以上、横島の文珠による幻術の効果はない。
 当然、認識阻害の札もなく、でも人の気配は一切ない。
 アキラは、背筋がゾクゾクする自分に気づき、悩ましげに眉間を歪め、唇を噛み締めた。

 嫌だ、そんな感情よりも先に、スリルと快感を感じてしまう自分に嫌悪して……


「全部アナタが悪いんだよ? わかってるの、横島さん……」


 横島は笑う。ああ、確かに俺のせいだな、そう思って。

 そうして横島は彼女の茂みに手を伸ばす。
 初めてこうして抱き合った半年前には、まったく無かった茂みだ。
 少なめであるが、今ではこうして大人の女らしく茂ってきており、べったりと吐き出された蜜でアキラの内腿に張り付いている。
 そこを越えた先まで指を伸ばし、ぱっくり開いたワレメのビラビラに指を添えた。


「そろそろ、イカせてもらうぞ、アキラ」


 本日、まだ一度もイってない赤黒く照り光るナニを、ズズ───っと押し込んだ。


「あっ、ふぁ……んっ」

「ドロドロだな、アキラんなか」

「ん、ふぁ……だ、って、好きだから……ああ、いっ」

「なに?俺のピーが好きだって?いつの間にこんなエロ娘に……、お兄さんは悲しいゾ!」

「ち、違うよっ!? んァ、あァっ、よ、こしまさんがっ……すき……っ、好きぃいっっ!!」


 その瞬間、込み上げてくる愛しい感情そのままに、横島は此処まで溜めに溜めた精を、

「俺も、好きだ! アキラっっ!!!」一気に放出した。


 アキラは嬉しげに身体を波立たせ、膣内がうねった。

「あ゛───ッッ! 出てる……っ、でてるっ!でてるよ……っ、ああああああ、あっ!!」


 横島は背筋を反らし、アキラに絞り取られるように射精していった。
 そして射精が完全に終わらない内から、再び腰を揺さぶり始めた。


「んっ……ひぃンっ……」

「2回戦、はーじまーるぞー」

「ま、まだ、イってるの、に……」


 夜風に肢体を撫でられながら、空を仰ぎ見、淫らに喘ぎまくる。
 残念なことに、見える夜空は曇り空。
 星一つ見えやしない。
 でも、視界の端に、ピョコンとたぬきが跳ねた。
 親子連れのたぬき。
 さっきの駐車場の親子連れを思い出す。

 するとタダでさえ敏感になっていた肢体が、更に感じやすく、肛門までもがピクピク蠢き……


「ぅぅうんっ! あっ、あ───! イッ、イッ、イッちゃ……」


 両腕を、肘の辺りから痛みを伴うほど引っ張られ、


「ま、また……っ、イッ、これ以上は、こっ、壊れっ、ああっ、あっあ───」


 ボンネットで押し潰していた胸が浮かび上がり、突かれる度にブルンと揺れる。
 立ちバック、後背座位、立位、そしてアスファルトの上で正常位。
 最後の最後でようやくキスをして、ドプププププププッッ!! 


「あうっ! ん、ああ、横島さんのあったかいので……イッちゃう、イッちゃうよォッ!! ふぁぁあああああぁああっ!!!」
















「折角のデートだと思ったのに……」


 キチンと服を着た状態で、アキラは少しだけふくれっ面。
 時間も随分と遅くなり、普通のお店なんか閉まってる。
 やってるとしたら深夜営業のコンビニとかしかないだろう。


「ドライブってのはこうして車を走らせるのが目的で、どっかに立ち寄ったりするのは邪道なんだぞ?」

「……それって、楽しいのかな?」

「だったら、家に帰ったら聞いてみるさ。楽しかったか?ってな」

「うん、聞いてみて」


 きっと、楽しかったって言うと思うよ?

 アキラはふふふ、と小さく笑う。

 

 
 山を走り、川を横切り、海を眺める。

 日常の何気ない話をしたり、しりとりしてみたり……

 2人だけの空間で、飽きる事無く口を動かし続ける。

 窓から入ってくる強烈な風を浴びながらアキラは、今日と言う日を一生忘れない、そう思った。
 
 
 

 

















































 後書き

 うな……?

 前話、ラスト部分にほんの少しだけ加筆あり。



[11660] ネギま!のほほん記 第31巻  エロ有り(あやかSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/08/12 17:46







 夢を見た。

 心から待ち望んだ存在が、自分と巡り合う前に失われてしまった、そんな切ない夢を……








 あやかは寝起きの気だるい身体を無理に起こすと、知らず流れていた涙をぬぐい、グルッと自分の周りを見た。
 彼女にとって、もう離れるなど有り得ない大切な仲間、大切な新しい家族の存在を無意識に求めて。

 でも、「ああ、そうでしたわね……」居ない。
 
 ここは寮ではない、実家だ。
 春休みが始まると、両親との時間を過ごす為に実家へと帰ってきたのだ。

 あやかはベッドからのそりと立ち上がると、着ているパジャマを脱ぎ捨てる。
 下着姿のまま姿見の前に立ち、右手を腰のくびれに当てて軽くポーズを取った。
 麻帆良に居る時とは違い、色気よりも清楚さを前面に出した白いブラとショーツに身を包んだ肢体。
 鏡には、初めて彼と出会い、彼の使徒となってからあまり変わってない気がする体型が映し出されていた。

 とは言っても、腰のくびれも、身体のまろびも、どちらもその頃とは比べ物にならないぐらい女になってはいるのだが。


「むむむ……もう少し、胸にボリュームが欲しいのですけど……」


 もう成長しないのは解っている。
 でもだ、彼の趣味を考えると、どうしてももう一押し欲しい。

 大きい胸とお尻。

 マザコンである彼にとって、それは比類ないセックスアピールに成り得るのだ。


「ないものネダリしても、しょうがないですわ」


 明らかに強がり混じりの捨て台詞。

 クルリと身体をひるがえらせて、一日の始まりの準備を始める。
 部屋に備え付けの浴室で目覚めのシャワー。
 あやかはシャワーを浴びながら、もう随分と会っていない気がする彼を想って少しだけ寂しい顔をする。


「はぁ……」


 切ない溜息。

 先ほど少し残念に思った胸の谷間に流れる雫。
 それを追ってあやかの指がツツゥーと白皙の肌を流れる。
 その指が股間のクレヴァスを目指し、更にその中心地へと滑っていく。

 成長が止まり、もう無毛が約束されてしまった女の部分。
 半年前は皆が同じように無毛だったのに、今では千鶴とアキラがソコを茂みに覆われさせていた。
 生えてる方がいいのか、それとも生えてない方がいいのか、あやかには分からない。
 全ては横島の趣味次第なのだけれど、あやかはやっぱり残念だと思っている。

 もっとも、産毛すらないアスナのように、どれだけ成長したとしても生えてくる可能性がゼロよりはマシ。

 アスナが聞いたら激怒しそうな事を考えて自分を慰めると、あやかは指を更に奥へと進めていった。
 ワレメを数回なぞり、シャワーのお湯ではないヌメリを帯びた淫水を満遍なく指に塗りつける。

 チュプ……「あ……んっ……」肉ビラを割りながら膣内へと沈めていった。
 そして、チュクチュクチュク……浅い入り口部分だけで出入りさせる。

 じんわり下腹部が熱くなり、甘い痺れにあやかはうっとり目を細めた。

 脳裏に思い描くは、お調子者でスケベなダメ男の顔だ。
 もう、10日近く彼の顔を見ていない。声を聞いていない。何より、彼の体温を感じていない。

 簡単に言えば欲求不満なのだ。

 更には今日見た夢……

 死んでしまった弟への想い、切なく、苦しい。
 だから軽い現実逃避の一環で、こうして刹那の快感に身を浸す。 

 でも、すぐさま首を左右に振ると、「いけませんわね」そう言って指の動きを止めた。

 火照った身体を冷まそうと、シャワーから出るお湯を冷水へと切り替える。
 冷水にビクンと身体を震わせ、胎内に篭った熱を外へと追い出した。

 自嘲が混じった苦い笑みをしながら浴室を出ると、何時の間にやら用意されていた着替えに袖を通す。
 最後にアスナより譲られた神通棍を太腿のホルダーにしまうと、コンと手の甲で叩く。
 そうする事で、自分が【何】なのか心に刻むのだ。
 お金持ちのお嬢様ではない、横島忠夫の使徒という自分を。



 そうして部屋を出て、屋敷のホールへと差し掛かると、ソコにはあやかを待つ両親の姿が。


「どうなさいましたの?」

「すまんな、あやか。急な仕事が入ってしまって、これから行かねばならんのだよ」


 遠くない未来、確実に訪れる別れ。
 だからこそあやかと彼女の父母は、貴重な休日を大切に過ごしていた。
 冬休み、春休み……こういった長期休暇は特に。
 あやかは残念そうに顔を曇らせる。
 彼女の母は、そんなあやかを優しく抱きしめると、耳元で囁いた。


「私たちの代わりに、あやかの好きな人に来てもらいましたからね」 

「えっ!? 忠夫さんが……ですの?」


 母の言葉に顔を輝かせる。
 でも、そのあやかの表情を見た父は、


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、私の可愛いあやかぐわぁああああああああああああっ!!」


 両手で自らの頭を掻きむしりながら、激しく前後左右へと振りまくる。
 悲哀な叫びが屋敷中に響き渡り、でも次の瞬間……ドゴォッッ!!! あやかの目の前で、母の拳が父の脇腹にメリ込んだ。
 苦しそうに這い蹲る父は、母に首根っこ掴まれてそのまま屋敷の外へと連れだされてしまった。

 バタン、と閉じる玄関の大扉の向こうから、


「いい加減になさいまし! アナタも婿殿のことを気に入ったと申していたではありませんか!」

「それとこれとは違うんだぁあああああああああああああッ!!」

「何が違いますの?」

「お前は気にならんのか!? 私のあやかが、あの男にあ~んなことや、こ~んなことをされてんのだぞ!」

「それは、もう納得済みでしょうに……」

「あ、あああの時だけだっ! わわわ私のあやかが、い゛や゛じゃぁあ────────────ッッッ!!!」

「うっさい、もう黙れ……」


 ズガンッ!!

 喧騒の終わりに響いた衝撃音。
 その音の後、さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返り、遠くから車が走り出す音が聞こえた。
 タラリとこめかみ辺りから汗が流れ落ちる。
 あやかは理解があり過ぎる母に感謝するとともに、
 次の帰省の時にはもっと父を構ってあげよう。
 明日、麻帆良に帰るあやかは、密かにそう思いながら客間へと踵を返した。

 浮き足だっているのか、メイド達が微笑ましそうに自分を見るのにも気づかずに、クルクル~っと踊りながら。

 そうして客間の扉を勢い良く開け、


「忠夫さん、ようこそいらっしゃ……い……まし……た…………」


 目の前の光景に絶句した。



 雪広邸は可也の広さを誇る大邸宅だ。
 使用人の数も100人を優に越えており、その中でも雪広家に仕えるメイドは容姿端麗である。
 さらには妖しげな武術まで使えるスーパーメイドなのだ!
 そんなスーパーメイドにもてなされている横島が、ナニもしない訳がない。



「びっじんっのメイドのおっねぇさ~ん! ちょっとここ乾燥してないッスか? 唇が乾いちゃったな~」

「えーと……、若旦那さま……?」

「ほれ、責任取って、おっねぇさんの熱~い唇で湿らせてぇ~な~」

「えっ? ええっ!?」

「じゅってぇーむ」


 むーんと唇をタコのようにして突き出す横島。
 困ってオロオロするメイドさん。

 あやかはロケットの様な勢いで駆け出し、横島の手前で身体を半回転。

 あやかのスラリとしたキレイな足がスカートから飛び出て……、横島の顔面に炸裂した!
 










 バシンッ!! 

 扉の向こうから聞こえる衝撃音に、古くから雪広家に仕えてる執事の老人は柔らかく相好を崩すのだった。




















  ネギま!のほほん記  第31巻  あやかSPイベント①  



















 「仕方がなかったんや~!」


 おろろ~んと泣き叫ぶ横島。

 何も知らない者が見たのなら、彼の悲しみに同調してしまいそうになる切ない慟哭。
 でもだ、そんな彼の正面で、春だというのにブリザードを発生させてる彼女を見たら、そんな気にはなりゃしない。


 「で、他に言うべきことはありませんの……?」


 怒りのこもった問いかけに、流石の横島も言葉を詰まらせた。
 それもその筈、彼女は心底怒っていたのだ。
 自分に会いに来ときながら、他の女……しかも自分家の使用人にコナをかけていたのだから。

 到底、許せるモノじゃない。

 だけども、そんな怒りはすぐに霧散する。


 「メ、メイドさんが悪いんや……! 漢を惑わすメイドと言う魅惑的な職業を創りだした奴が悪いんじゃーっ!」


 おバカな人だと知ってはいたが、とってもアホな言い訳である。

 あやかは、はぁ~っと呆れた溜息。
 でもまあ、さっきまでの憂鬱感は確かになくなった。
 だから、「私を迎えに来てくださったんですの?」
 と、怒りのオーラを消失させて、あやかは嬉しそうに笑ってみせた。 
 だけども、横島はまだあやかを警戒しているのか、オドオドと落ち着かない様子。

 罠か……? と警戒する横島に、あやかはもう怒っていませんとハッキリ告げながら、彼の女になった時のことを思い出していた。

 あやかが、目の前の情けない3枚目の使徒になった時のことを……

































 小さく、本当に小さくだけど、カタカタと身体が震えてしまった。
 それでも彼女は無理矢理にでも顔を笑みの形に固定すると、申し訳無さそうにしている目の前の男に向って、両手を広げた。

 アナタがそんな顔をする必要なんてありませんわ……

 そんな気持ちを込めて、「どうぞ、いらしてくださいませ」と言ってみせた。

 愛する両親の為にも、的外れな罪悪感に押し潰されそうになっている千鶴の為にも、自分の為に泣いてくれた夏美の為にも、死ぬ訳にはいかない。 
 例え人としての理から外れようとも、もう、両親と千鶴の慟哭なんて聞きたくない。
 でも、成す術もなくここで死んでしまう彼女には、どうしようもなく……
 だけどそんな自分の、ここで失われてしまう筈だった命を助けてくれると言うのだ、彼は!
 生きてさえいれば、両親はもう嘆かずとも済む。
 千鶴も時間は掛かるかもしれないけれど、あやかさえ生きていれば、そんな的外れな罪悪感から解放されるだろう。

 だから、本当にそんな顔をしないでください。

 
 「あやかちゃんは、これで俺の使徒になる。永遠を俺とアスナと共に生き続けることになる」

 「はい、わかってますわ」

 「使徒の不死性と、性魔術による魂の補完。その両方がないとあやかちゃんは死んじまうからだ」


 そう言うと、横島の手があやかの胸を押し潰した。
 14歳になったばかりの少女にしては、随分と大きく形の良い胸。
 それが横島の手の動きで、ぐにぐにと形を変えていく。
 あやかは初めて感じる快感に戸惑いながら、横島を迎え入れる為に広げた両腕を、徐々に圧し掛かって来る彼の背中に回した。
 初めて至近で見る、父親以外の男の身体。初めて感じる男の体温と体臭。

 どちらもあやかをクラクラさせる……


 「う、っく……」


 頭が、理性が、どんどん蕩けてくるみたいに。

 ───ああ、これが性魔術なのですね……?

 甘い喘ぎを漏らしながら、僅かに残されていた理性がそう告げる。
 触れ合う肌から、横島の魔力が流れ込んでいるのだ。


 「破瓜の痛み、消せるけどどうする?」


 そしてぶしつけな問いかけ。


 「初めての痛みはそのままでお願いしますわ」


 そう言うと、重なり合った身体がズリズリと蠢き始める。
 両足を抱えるように広げられ、あやかの女の部分に、ピトリと湿った何かが押しつけられた。

 ヒュッ……女になる予感に息を呑むあやか。

 ギチッ……!

 ギチギチギチッッ!!

 軋む音と共に、ゆっくりと彼女の中に熱い熱の塊が入り込んだ。


 「か、は……あ、ううっ、んっくぅ……っ!?」


 痛みのあまり息が出来ない。
 目を大きく見開き、無意識で横島の肩に歯を立てた。
 噛み付かれる痛みに僅かに眉を顰めた横島だったが、そのまま気に止める事無く、ズズ……と腰を更に奥へと進めて行く。
 そうして雁口の全てが飲み込まれると、腰の前進を止めて、あやかの顔を覗き込んだ。


 「こっから先に進んだと同時に、あやかちゃんは完全に俺の女になる」

 「……あ、はぁ……は、い……」


 股間を裂かれる様な痛みに声が振るえる。
 でも、間近にある横島の顔に、心が落ち着き始めた。
 優しい、それでいて傲慢な牡の顔。
 これから自分の全てを征服する男の顔だ。


 「永遠に、ワイのモンや……!!」


 キュンっとお腹の奥……子宮が鳴った。

 目の前の男は、正直言えばあやかの趣味ではない。
 彼女の趣味は少し特殊で、幼い頃に亡くした弟への想いが、微妙に捻れまくってショタコンだ。
 細かく理想を言うならば、礼儀正しく快活で、可愛い系の少年が超!好み。
 明らかに横島は趣味から外れている。
 更には今日会ったばかりの青年に、そんな感情を持てる訳がない。

 ないのだが……こんな状況だからだろうか?

 胸が、切ない……


 「今の私は、アナタのこと、愛してる……なんて言えません」


 だから、あやかは、


 「でも、少しづつ、アナタのことを好きになっていきたい。大地に芽吹いた若葉が大樹になるように、少しづつ、アナタを愛していきますわ……」 


 横島はちょっと驚いた風な顔をした後、子供みたいに嬉しそうに笑ってみせた。
 オデコにチュッと横島の唇が押し付けられ、次に目蓋、頬……最後に唇を重なり合わせる。


 「んっ……」


 あやかにとって、生まれて初めてのキス。
 唇を割って、舌が入り込んでくる。
 意識の全てが侵入してきた舌先に集中し、あやかがおずおずと自分の舌で彼の舌を迎え入れようとしたその時、

 ブ、ツン───ッ!!

 あやかの胎内に納められていた肉棒の前進が再び始まり、彼女の乙女の証を貫いた。
 余りの痛みに振り乱すあやか。


 「ぁ゛……ッ! 私の中に……はいっ、てぇ……くっあ、あぁん!」


 乙女の硬い膣道を割り開いてくる横島自身に、あやかは思わず身体をよじって逃げ出そうとしてしまう。
 でも、あやかは首を振って瞬時にそれを止めると、逆に横島の肩に手をやると、力を入れてしがみついた。
 健気な行為なのだが、あやかの顔は、今にも泣き出してしまいそう。


 「……っ! 全部、入ったら……すぐに儀式を終わらせちまうからな。あとちょっと辛抱してくれっ」

 「だい、じょうぶっ、ですわ……お気になさらず……お好きなように……あうッ、あ、ああ……う、んぐ……!」

 「そんなこと言うと、後悔するぞ……?」

 「ふ、ふふふ……私、後悔なんてしませんの……いぁ……あぁっ! がぁっ!?」


 横島なりに、ゆっくり慎重に進んでいた肉棒が、あやかのこの宣言で、一気に最奥をドンッ!っと突いた。

 衝撃であやかは絶叫し、ぐっと首を反らす。
 凄まじい痛みで、爪先がピンと張って体が硬直してしまう。
 涙をぼろぼろと流し、口を忙しなくパクパク開閉する。

 それでも遠慮なく始まる律動。

 全身を引き裂く様な激痛と、身体が蕩けてしまうような快感が同時に襲ってくる。

 結局この日、あやかは使徒となった後も処女地を存分に蹂躙された。
 あらゆる体位で抱かれ、都合3度、子宮に目掛けて熱い子種が放出される。

 次の日も、そのまた次の日もそうやって抱かれ続ける日々。
 彼女の魂の補完が完全に終わるまでの間、ずっと、ずっと……

 この日芽吹いた若葉は、その抱かれ続けた一ヶ月間の間で大きく成長し、そして今では、大きな大樹となった。

 あやかは、確かに横島を愛している。
 恩人でもあるのだし、でも、恋はなかった。

 それに夏美と違って、自分が愛されている自信もあまりない。

 それでも彼に必要にされたいとは思っている。

 だから……























 片頬に手をあて、あやかは大きく溜息。

 そして言うのだ。


 「メイドさんが欲しいのでしたら、これからは私に言いなさい!」

 「……へっ?」

 「欲しいのですか! 欲しく無いのですか! はやくどちらかにお決めなさい!!」

 「ほ、欲しいっス!」

 「では、そこで少しお待ちなさい。ああ、私が居ない間、ウチのメイドに手をお出しになったら……」

 「……なったら?」


 あやかの視線がツツーと横島の股間の部分に行き……

  
 「チョン切りますわ。いいですわね?」

 「さ、サー! イエス・サー!」

 「マムですわ」

 「マム! イエス・マム!」  


 直立不動で敬礼する横島。
 それを満足気に見やると、あやかは部屋を出て行った。

 そしてしばらくして部屋に戻ってきた時、あやかはメイドさんだった。
 黒と白のシックなデザインのワンピースにロングスカート、その上から清楚なエプロン。
 最後に太腿まで伸ばした長い金色の髪にヘッドドレス。

 まさにメイド。いや、むしろメイド長である!


 「さ、みなさん、この方の面倒は全て私がみます。アナタ方は速やかに通常勤務にお戻りなさい」
 

 一斉に「ハイ」と返事をするメイドさん達。
 彼女達はシュパッ!っと姿を消した。
 目を白黒させる横島は、「忍者……?ここのメイドは忍者なんか!?」と驚きを隠せない。
 そんな横島の膝の上に乗るあやか。
 彼女はたっぷりと唾液を絡めた舌で、横島の唇を丁寧に舐め回す。

 そして何度も啄ばむようにチュッ、チュッ、とキスをし、


 「んふ……唇、湿らせて欲しかったのでしょう?」


 艶然と微笑みながら、手の平で揉むように横島の肉棒をズボン越しから刺激を与える。
 あやかから、むせ返る程の牝の匂いが立ち昇り、横島の肉棒はズボンを突き破らん程に猛々しく勃起した。


 「忠夫さん。ウチのメイドに、ナニをして貰いたかったのですか……?」


 軽やかな手つきで背広の上着を脱がせ、ズボンに手をかける。
 そして一気に下着ごとズリ下ろした。
 邪魔な布地から解放された、横島のビーンとヘソまでそり上がったナニがあらわになる。


 「はやく、おっしゃってくださいな……」 


 予想外の展開に、横島は口をぱくぱく開けたり閉めたり。
 あやかは、コレで誇り高い女だ。
 その誇り高い女が目の前でメイドになってトロンとした瞳を魅せている。
 まるで現実感を感じないではないか。

 これは夢か……?

 横島がそう思っていると、あやかはいつまで待っても、彼女が欲しい答えを言ってくれない横島に痺れを切らした。


 「手でいたしますの……?」


 手を伸ばし、目の前のナニを優しく掴み、シュッシュッと上下する。


 「それともお口でしょうか……?」


 手のしごきを止めると、肉棒の先端から滲み出る先走りを舌で舐め取る。


 「お、おおう……」


 思わず唸ってしまった横島を嬉しそうに見上げ、俄然やる気の出たあやかは亀頭を舐めねぶりながら咥え込む。

 咽の奥まで飲み込みながら、ちゅうちゅうと先走りを吸い立てる。
 そして舌による愛撫と咽での締め付けで、横島を追い立てた。
 咽奥に突き立てられた肉棒が、より硬さと熱さを増していき、あやかは一心にじゅぽっじゅぽっとストロークしていく。
 まるで膣の中の様な締め付けと快感に、横島は最早絶頂間近。
 だが、ここであやかは口中から肉棒を抜き出し、妖艶な眼差しを横島に向けた。
 自らの唾液でヌトヌトになった肉棒の竿に舌を這わせながら、メイド服の上着を掛け合わせていたボタンを外す。
 ノーブラだったのだろう。胸を押さえつけていた布がなくなると、ブルン!と揺れながら美乳が飛び出る。
 その美乳を下からすくうように持ち上げ、肉棒を谷間に挟んだ。


 「やっぱり、胸でするのがいいんですの……?」


 半年前に成長を止めてしまった、それでも同年代の平均よりもボリュームたっぷりのオッパイ。
 その柔軟な乳肉に包みながら、慣れた様子で肉棒をしごき始める。
 上半身を淫らにくねらせ、唾液でネットリした肉棒を刺激する。
 あやかのなめらかな柔肌で擦られ、心地いい痺れが横島を襲った。


 「あ、あやか……?」

 「なにを戸惑ってますの? まあ、いいですわ。それよりも、さっさとお決めなさい!」

 「な、なにを?」

 「手がいいのか、お口がいいのか、それとも胸の谷間がいいのかですわ」

 「む、ぐぐぐぅ……」

 「ふふっ……そんなに悩むのでしたら……」


 あやかはたわわな乳房を両の手の平でしっかりと鷲掴み、リズミカルに左右の乳を交互に、前へ後ろへ揺すり動かす。
 心地好い乳房の感触に、横島の腰は震え、肉棒がビクッビクッと脈打ち、乳肉を越えあやかの唇まで迫り上がってくる。
 その飛び出た肉棒の先端を、唾液でねっとり濡れた舌で弄りながら、身体の揺れを尚一層激しくしていった。


 ────んく、ちゅぶ、じゅる、ちゅっ、くちゅっ、ちゅぷ、ちゅぱ…………


 ゾクゾクした刺激に、横島はあやかの胸に、顔に、自らの子種をぶちまけたくて仕方ない。
 そして、その衝動を押さえなければならない理由は、どこにも無かった。


 ビュクッ! 乳房の谷間で、肉棒が弾けた。

 あやかの乳房に、整った顔に、キレイな金色の髪に、びちゃびちゃ多量の精液を撒き散らす。


 「アアアッ……忠夫さんのが……いっぱい私の顔に……」

 
 むせかえる程の生臭い匂い……
 その匂いに、あやかはうっとりと目を細めた。
 身体の奥に熱が灯り、目の前の男を欲して止まない。

 あやかはスカートを捲り上げると、彼女のエッチな体液で濡れたショーツを太腿の半ばまで脱ぎ下ろす、
 そのままスカートの端布を口に咥え、ヒクヒク蠢く女淫を横島に見せつけた。
 ソコから溢れ出す愛液が太腿を濡らし、テカテカとヌメッた光を反射する姿に、横島は鼻息を荒くした。
 何より、上目遣いでジッと自分を見つめるあやかが、可愛くて仕方無い。


 「入れるぞ……」


 コクン、と首を縦に振り、嬉しそうに眉尻を下げるあやか。
 春休みに入って以降、していなかった主との交わり。


 ────はやく……はやく、して……ください……


 その無言の訴えが合図となった。
 腰を引き寄せられたあやかは、横島の導きのままに彼の膝に乗り、熱い肉の棒を自らの中へと沈め始めた。
 横島専用のその穴は、最初に軽い抵抗があっただけで、ズブズブと奥へと侵入していく。


 「く、あぁあっ───! い、いいっ、ですわ……!!」


 蜜でヌルヌルになった胎内に押し入れられる感覚に、子宮がキュンキュンなってるのが分かった。
 あやかももう我慢出来ないとばかりに、自ら腰を振り始める。

 ただ生きる為だけにしていたこの行為が、いつの間にこんなに愛しいモノに変わっていたのだろう?

 
 「あ、あ、あんっ、きもち、いいですわっ、あああっ、熱くて、おっきいいアナタのおちんちんがぁっ、きもちいいのぉっ!!」


 肌と肌を擦り合わせながら、激しく腰を振り合う2人。

 一対の淫らな獣の交わりは、いつ果てる事無く続けられ……
 日が暮れ、夜の帳が落ちてようやく終わったその行為は、夕食前に汗と体液を流すために入った浴室でも再び行われ。







 結局、日が変わる寸前に帰って来たあやかの両親と共に、夕食を食べる事になった。
 ダクダク涙を流して泣きくれる父を華麗に無視しながら、あやかは母の言葉に顔を赤く染めた。


 「早く孫が抱きたいわぁ~」


 明後日の方を見ながら、わははと笑う横島のこめかみには、大きな汗の一滴。
 余計に大きく嘆き泣き喚く父が母に強制的に黙らされたその時、急に真面目な顔になった母に告げられる。


 「あやか、真面目な話ね、アナタには少しでも早く子供を産んで貰いたいと本当に思っているのよ……?」

 「まだ、流石に早いですわよ、お母様……」

 「アナタはいずれこの世界を去ってしまう。それはアナタを生かす為にはしょうがない事よ。でもね、あやか。
 その時、私達にアナタ達の子供を残していって貰いたいのよ……」


 本当に突然の話に、あやかは目を白黒させる。
 でも、すぐにその意味が分かった。
 娘が居なくなるから寂しくて、だから孫が欲しい……と言うだけではない。

 この家を継ぐ者が必要なのだ。

 勿論、雪広グループにはいくらでも優秀な者が居るし、親族も沢山いる。
 それでも、直系の血筋が持つ意味はとても大きかった。
 例え母と子の絆を断ち切ることになろうとも……

 だからあやかはチラリと横島に視線を送る。

 子供と言われて思い浮かんだのは、亡くなってしまった弟のこと。
 その子を、今度こそこの世界に誕生させてあげたい。
 きっと、私の子になって産まれてくる。
 何故だか分からないけれど、そう確信していた。

 そのことに、アナタはどう思ってくれるのしょうか……


 「あー、そういや俺、アッチに子供いるんだわ。正確には、もうそろそろ産まれてるよなーっだけどよ」

 「えっ……?」


 あんぐり大口を開けるあやか。
 見れば彼女だけでなく、彼女の父と母も同じように大口を開けていた。


 「いんやー、すっかり忘れていたぜ。ルシオラが知ったら首絞められるんちゃうんか?」


 あはは……と能天気に笑う横島に、あやかは胸から湧き上がる衝動を堪えるのに精一杯。

 ────ルシオラ……? それが忠夫さんとの間に子供を作った女の名前……

 アスナから聞いた向こうの家族の名前には無かった名前。
 アスナの友人・知人にも無かった名前。

 ────この事、アスナさんは知っているのでしょうか……? 

 まあ、今はこんな大事な事を黙っていたロクデナシに制裁を加えることが先ですわね。


 あやかはとても良い笑顔で両親の顔を見つめると、


 「子供でしたら、遅くても2年の内に産んでみせます。ええ! 産んでみせますとも!!
 例え結婚が出来る年に足らずとも、立派に産んでみせますわ!! オーホッホッホッホッホッホッ────────────!!!」


 初めて彼女が『向こう』の人間に対抗意識を持った瞬間である。

 頼もしそうに娘を見る母は、
 「まあ、頼もしい言葉……楽しみだわ。ねっ、アナタ?」
 「孫は抱きたい……だが娘をこれ以上傷物にされるのは……」母の言葉に迷う父を引き摺りながら部屋を出て行った。

 残されたあやかは、あくまで能天気な表情を崩さない横島に、 

  
 「さあっ、逝きますわよ! 今日は寝かせませんわ! ええ、決して寝かせるもんですか……ッ!!」


 夜叉。

 この二文字に相応しい形相。

 あまりの恐ろしさに逃げ出そうとする横島だったが、あやかは素早く表情を変え柔らかく微笑む。

 あれ? 気のせいか……?

 あやかは首を傾げる横島の手を引き、自分の部屋へと連れ込んだ。
 そうして逃げられなくしておき、心置きなく色んな意味で制裁を加え、あやかは一つの約束をもぎ取る事に成功する。



 次の日の朝、横島の運転で麻帆良へと帰るあやかの顔は、昨日の朝と違って満面の笑顔。



 ────私の可愛いアナタ。いつか必ず私が産んであげます。ですから、楽しみに待っていましてね。


 弟の部屋になるはずだった場所に視線を送り、そして、前を見る。

 見る先は過去ではなく、未来。その先は、みんなの待つ麻帆良だ。




 
 あやかも、横島も気づかない。

 キラキラ、眩しい光が2人を包んでいた事に……

 キラキラ、キラキラ……
 








































 後書き

 リズの中は熱いレモンティーv
 何ソレ、すごく興味あるw

 順調なら次回は130万HITスペシャルかと。



[11660] ネギま!のほほん記 第32巻  エロ有り(美空&ココネSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/08/27 01:45




 あやかと一緒に車で自宅へと帰る途中の事だ。
 他愛もない話で盛り上がりながら、麻帆良学園都市内部へと入った時だと思う。

 不意に霊感が危険の鐘を鳴らす。
 このまま家に帰れば、間違いなく酷い目に遭うと……
 こめかみの辺りからタラリと流れ落ちる汗をぬぐい、視線を助手席に座るあやかへと送る。

 すると、あやかもまた恐怖からなのか、身体を硬直させて、


 「わ、私、このまま寮へ帰りますわね」


 震えた声でそう言った。


 「……いいのか? 家には夏美と千鶴も待ってんだぞ?」


 だが俺の言葉に頭を勢いよく振ると、


 「え、ええ……今アナタと帰れば巻き込まれる……そんな気がしてなりませんから……」 


 すまなそうにそう言った。
 見捨てられた……と言う事なのだろうか?


 「どうかご無事で……」


 などと言うあやかを寮へと送った後、理由の解らない絶望感に苛まれながら、危険を指す自宅ではなく教会を目指して車を走らせた。
 取り合えず、この良く分からないシグナルが消えるまでは、ここで時間でも潰していよう。

 俺は教会の入口前に車を横付けすると、ドアを勢い良く開けて運転席から降り立った。
 ここには従者であるのどかと夕映が居る。
 それに仕事のパートナーであるシスターシャークティも居た。
 ここで彼女達と楽しく時間を過ごしていれば、その内に危険も遠ざかるだろうと言うもの。
 ちなみにエロイことは一切考えてない。
 何故なら、昨日の朝から今日の今朝方に掛けてまで、さっき逃げた金髪の使徒に搾り尽くされたからだ。

 何がって? 弾丸だよ、男の弾丸。
 赤玉が出るんじゃないかって位、撃たされまくったぜ……

 それはともかく、教会の中はシーンと静まり返っていた。

 シスターはおろか、のどかと夕映までいない。
 と、そこまで考えてから思い出す。
 シスターは知らんが、のどかと夕映はウチにいるんじゃん。

 昨日の夜からウチに泊まり、女の子だけのパジャマパーティーをしていたはず。
 なら、今頃は男の目がないことを良いことに、ダラダラしているに違いない。
 ガッカリと頭を下げた俺は、これからどうやって時間を潰そうかと考える。
 だけども、それはすぐに必要なくなった。

 たった今、俺が開けた教会の入口の扉を潜り抜ける2つの気配。


 「あっれー、横島さんじゃん。今日は来ないはずじゃ……何かあったんスか?」


 春日美空。

 シスターの教え子であり、アスナ達のクラスメイト。
 そして、シスターと初めて結ばれた日に、性魔術を求めて俺に抱かれた少女である。
 その少女の右手に繋がれている小さな手の持ち主。

 ココネ・ファティマ・ロザちゃん。

 シスターと同じ褐色の肌を持つ小学生だ。
 その少女が美空ちゃんの手を振り解き、トタタタ~と駆けて俺の腰辺りにトスンと飛び込んできた。

 あれ? 俺、この子にこんなに懐かれていたっけ?

 嫌われているとは思ってないけど、顔を合わすなり抱き付いて来るほど好かれていた気はしない。


 「……ミソラ、捕まえたよ」

 「へ……?」


 ココネちゃんの捕まえた発言に、目が点になる。
 一体全体何が起ころうとしてんだ?


 「あー、シスターシャークティに会いに来たんなら、今日は無理っスよ? 地域ボランティアの方に顔を出してますから」


 ココネの方にチラリと視線を送りながら、美空ちゃんは俺が知りたいだろう事を教えてくれた。
 ただ、いつもみたいな悪戯っ子な表情でなく、何故だかモジモジしながらほんのりホッペがピンク色。
 さりげなく入口の扉にカチンと鍵を掛けると、「んっんっ!」と咳払い。


 「えっと、だからね……? 今日はもう誰も来ないから……恋人みたくお願いするね……」


 据え膳食わぬは男の恥。

 例え精力尽き果てようと、かわいこちゃんにおねだりされれば、アッと言う間にガチンと装填!
 鼻息荒く、明らかに普通のシスター服と違って、丈がやたらと短いスカートの裾をまくり上げつつ押し倒した。

 腰にしがみついたままのココネちゃんの存在を、完全に脳裏の外に追いやりながら……






















    ネギま!のほほん記  第32巻  美空&ココネSPイベント① 

 
 
























 美空の足元には、適当に脱ぎ散らかされたシスター服と下着が散らばっていた。
 初めての時とは違い、身体には布一つ残していない。
 陸上部で鍛えられたスラリとした肢体が、惜しげもなく晒されていた。
 美空は上体をくの字に屈ませ、いわゆる立ちバックの体勢になると、それを維持する為に壁に手をつく。
 顔を真っ赤にしながら突き出した臀部が、ゆらりと揺れた。

 正直な話、美空は自分の行いに少し呆然である。
 数日前に見た横島の姿がなければ、初体験の相手だとは言え、間違いなくこんな恥かしい格好しなかった。
 

 アノ日、そういう関係と成る前から好意はあった。
 友人関係としてのソレであってもだ。
 でも、ソレはアノ日に少しだけ恋愛感情が入り混じり、そして数日前に完全に堕ちてしまった。

 美空はソレを自覚している。

 性魔術を言い訳に、横島の体温を感じたいと思う程度には。
 ただ、横島とココネ。どちらか一方を選ばなければならないとしたら、迷わずココネの手を取る程度ではあるけれど。
 とは言っても間違いなく恋愛感情を持っている訳で、だからといって横島の言葉に迷う事無く服を脱ぎ捨てた自分に呆然としたのだ。

 顔が熱い。恥かしくて目を開けられない。
 
 
 「んん……あ、あぁん、いい……」
 

 背筋をなぞられ、思わずこぼしてしまった喘ぎ声に、赤みを帯びた顔が更に赤くなった。
 身体中を這い回る手の動きに、小さくない快感を感じる。
 足がプルプル震え、ただ立っているのも辛くなってきた。


 ぺちょ……

 「ヒッ!?」

 脇に感じる湿った何かの感触に悲鳴がもれた。

 えっ? もしかして舐められたの……?

 美空が混乱する頭でそう結論付けていると、むぎゅっと両の胸を握り潰された。


 「あっ────! やぁ……っ」


 胸の柔肉に指が沈み、その指と指の間から赤い突起が飛び出した。
 横島が美空の淡い乳房をムニムニ揉みしだき、飛び出した乳首を捏ね回す。


 「うっ、あぁっ、横島さんっ、私ぃ……」


 美空は、胸部を中心とする痺れと、腋を、脇腹を、徐々に下へと降りていく舌から得られる快感に夢中になる。
 だけども、高みに昇り、イってしまう寸前、胸を弄る横島の手、全身を這いずり回る舌の動きも、ピタリと止まってしまった。


 「もっと、もっとしてよぉ……」
 

 閉じていた目を開け、股の間から覗き込むように横島の顔を見た。
 口から出た懇願を、横島は楽しそうに聞いている。

 恋人みたくしてって言ったのに……!

 快感に蕩けていた頭が、苛立ちと怒りに染まっていく。

 でも、横島はニヤニヤ笑っているだけ。

 腰にしがみ付いたままのココネを、無意識なのか優しく頭を撫でながら。
 不満そうなココネと一瞬目が合い、やば、忘れてた……と、ちょっとだけ苦笑い。
 そのお陰か、身体の芯から甘い痺れが僅かに取り除かれたけど、二度目の横島の愛撫が始まりスグに淫靡な声を上げてしまう。
 そして再び熱が頂点近くまで高まると、ピタリと美空を嬲る手と舌の動きが止まってしまう。


 なんで……なんでなんでなんで……っ!!


 もう、その時にはココネに意識はいかなかった。
 美空は我を忘れて肉の悦びに支配されていたから……
 脳裏が快感で白い花火になって弾け、お腹の奥から湧き上る絶頂感を期待して止まないのだ。

 でも、横島はそれを許さない。

 三度始まる美空の全身を弄るような愛撫。
 焦らしに焦らされた美空が、今度こそはと絶頂の予感に甲高く悶え叫んだ。
 だけども、横島は絶頂に達しようとした美空の肉体を強引に引き止める。

 
 「あぁ……なんで……? もう、イカせてよ……横島さん……」


 美空は辛そうに嘆願する。
 胎内で暴れる行き所のない快感の波が、美空を犯し続けているからだ。
 股間からは、ポタリ、ポタリと、まるでおしっこをしてるみたいに、絶え間なく愛液が滴り落ちる。

 これ以上はもう耐えられない。

 早く、早くイカせて……!

 でも、やはり横島は美空の言葉に耳を貸さない。
 横島はまだ聞いてないから。

 初めは楽して魔力を上げようとする美空への罰みたいな性魔術だった。
 苦痛よりも快感が先に来るような優しいセックスではあったけれど、初めての体験がそんなんなんて、かなり酷い罰だと言える。
 横島自身にとってみたら、対価が美空の初めてなのだから、かなり割が良かっただろうけど。

 しかしだ! だったら2度目の性魔術の対価は何だ……?

 例えば彼の使徒であるアスナとあやかは言うまでもない。
 横島の身体……神核を維持するための魔力の提供。
 それはアキラを始めとする面々も同じ事で……
 なら、美空にも当てはまるのでは? と思うかも知れないが、そこは大きく違う一つがあった。

 愛情の存在である。

 アスナ達にはそれが有り、だけども美空にはソレがない。

 ではシャークティは?

 彼女は横島自身が始めたラブゲームの相手。
 それに、彼女自身も不器用だけども確かに愛情を示す行動は出ていた。

 でも、やはり美空にはソレもない。

 実際はあるのだが、もちろん横島が知るわけない。
 知らなければ、無いのと同じである。

 だから、


 ───2度目の性魔術がしたければ、まずはソレを示せ。
 恋人同士みたくして欲しければ、俺への愛情をみせてみろ。
 俺へ愛の忠誠を誓わなければ、これ以上は……ナシだ! 
 でなければ、もっと淫らに! 快感の虜となった牝の爛れた懇願をしてみせろ!


 横島のいっそ傲慢としか言えない行動に、横島にしがみついたままのココネは怒りに震える。
 大切な美空が、苦しそうに懇願しているのに、横島は何もしないのだ。


 「ミソラをイジメないで……!」


 小さく囁かれた抗議の言葉に、横島はココネのお尻を軽く撫で回し、


 「苛めてるんじゃないぞ? 待ってるだけだ……」


 四度目の愛撫を開始しながら、楽しそうにそう言った。


 「マッテル……?」

 「そう、待ってる。いいか、ココネちゃん。性魔術は俺を好きでいてくれないと効果が薄いんだ」


 もちろん嘘である。
 だけど、横島のテンション的には本当だ。
 そう考えてみたら、まったくの嘘ではないけれど。
 ちなみに横島。尻を撫で回しながら話までして、まだココネの存在を忘れている。
 目の前の美空という獲物をいたぶるのに夢中で、その他の事に脳のソースが使われていないのだ。
 
 
 「っふぁ……あああっ……ま、待ってるって、ンっ、なに……」
 
 「恋人なんだろ? 言ってくんなきゃ本気になれん」


 素っ気ない返事。

 わからない、わからない、わからない!

 全身を嬲られ、頭が蕩けている美空にはわからない。
 花芯を摘まれ、緩急をつけて擦られ、先端を下で弄られ、快楽に包まれている美空には、わからない。
 そして……四度目の愛撫での絶頂の寸前、また責めを中断された。

 なんで……?どうして……?こんなに、こんなに……


 「好きなのに……」


 横島の指が、美空の女の入り口を、割り開く。


 「何だって?」


 そして、感情を抑えた声。
 もう少し、もう少しで完全に自分の手に堕ちるのだと、喜びを抑えた声。


 「……すき」

 「ん? 聞こえんな~」

 「すきすきすきすきすきすき……好きッス!! だから、もう、許して……」

 
 凄まじいまでの達成感。
 色気よりも先にくる子供っぽさ。
 そんなイタズラ好きの子供っぽい少女が、股間からだらだらと愛液を垂れ流し、泣きながら好きだと叫んで自分を求める。

 横島は腰にしがみついたままのココネに、ズボンを脱がすように指示した。
 何故なら、両手は美空の花びらを開くのに使われているし、これからその部分を舌で嬲るのに忙しい。
 美空は敏感な粘膜を舌で愛撫される感覚に、ようやく最後までイカせて貰えるのだと、誰に言われるまでも無く理解する。


 「あぁあっ、イク、イク、やっと……イッ……ひいいぃん!」


 プッシャアアァッ!!

 美空の股間から噴出す潮。
 横島の顔を全面に濡らし、背筋が折れんばかり反らしながら、満足気な絶頂の声を上げた。
 涙と唾液で汚くなった美空の顔。膝から力が抜け落ち、崩れるように床に倒れこんだ。
 冷たい床の上で、目は焦点が合わず、でもとても幸せそう。
 ココネはそんな美空を見て胸を撫で下ろすと共に、急いで横島のズボンをずり下ろした。

 急がないと、美空はまた意地悪をされてしまうかもしれない。

 だから硬いナニでひっかり、とても脱がし辛いズボンを必死で脱がせ、ついでにパンツも脱がせ、更には何でか自分の着ていた服まで脱いだ。
 そんなココネはともかく、横島は自由になった相棒に頼もしげに視線を送る。
 昨日、限界まで搾り取られた相棒だ。
 それがこんな短時間でここまで回復しているなんて、素晴らしい相棒ではないか……


 悶絶する程の絶頂に、立つ力を失くして床に倒れこんだ美空を見下ろしながら、横島は上着を脱ぎ捨てた。
 これで、この教会内に居る者全てが一糸まとわない。
 横島は床に胡坐をかいて座り込むと、床で寝転ぶ美空を自分の膝の上に抱き寄せ、惚けている彼女の唇を吸った。
 細かい痙攣がいつまでも冷め止まない肢体が、横島のキスで更に酷くなる。
 洪水にでもあったかの様なヴァギナの濡れ具合に、彼女がどれほど感じているのか分かるというモノだ。

 
 「……は、ぁぷ……ん、ちゅ……んぅっ……チュ、チュ……ンンッ……好き……ああ、好き好き好き……ッスよ……」


 啄ばむようなキスの合間、僅かに唇が離れるたびに、トロンとした瞳で壊れたレコードみたいに好きだと囁く。
 満足気に笑う横島は、背中に張り付いて興味深げに観察するココネに相も変わらず気づかずに、美空の耳元に自分の唇を近づけた。
 れろぉっと耳朶を軽く舐め、小さく悶える彼女の胸を揉みしだきながらこう言った。


 「俺も、美空ちゃんの事が好きだぞ……?」

 「……へ? あ、あぁ……あああ……イぁ──────っ!!」


 最初、不思議そうに横島の顔をジッと見た。
 快感に惚けた頭が徐々に横島の言葉を理解していき、意味を完全に理解した瞬間、美空はさっきの絶頂が生易しいと言ってもいい位に大きく達した。
 激しいオーガニズムを迎えた美空は、ぐったりと目を閉じて、はぁはぁと荒い息を繰り返す。
 細かい痙攣はいつまで経っても冷めやまず、ビクっと震える度に恥かしい蜜を股間から吐き出してしまう。
 床はしとどに濡れ、まるで雨漏りでもしたかの様な水溜りを作っていた。


 「いい表情してんな~、美空ちゃんは」


 横島の言葉に、美空は子宮がひくつくのが分かった。

 たった今、これだけ盛大にイッたばかりなのに……

 もっと、刺激が欲しい。

 太くて、肢体を切り裂くような刺激が……


 「よ、横島さん……私……が、欲しいっす……」

 「コレが欲しいのか?」


 くちゅり……

 美空のワレメをなぞる硬い肉の棒。

 ぐちゅ……ぐちゅぐちゅ……

 ゆっくりと、もどかしいまでの速度で往復するそれに、美空は我慢が出来ないとばかりに何度もコクコク頷いた。
 そして、横島の背中に張り付いていた裸の幼女、ココネも……
 美空に見えるよう、横島の腋の下から顔を出し、コクコクと同じように何度も頷く。
 ここにきて漸くココネのコトを思い出した美空は、ココネに一度視線を送り、次に脱ぎ捨てた自分のシスター服へと視線を送る。
 ココネはそれだけで何が言いたいのか分かったのだろう。
 ウンと頷き返し、トタトタ走って美空のシスター服を取りに行き、ポッケをまさぐり始めた。
 流石の横島も、ココネのコトを思い出したのか、やっべーなんてボソっと呟き……

 次の瞬間、再び忘れた。


 「横島さん、早く、わ、私のっ、中に、きてぇ……」


 美空から、今にも泣き出しそうな表情で訴えられたからだ。
 ワレメをなぞっていた肉棒を一旦下げ、先端を膣口に当てると、期待の眼差しで見つめてくる美空の濡れそぼったヴァギナを、割り開くように侵入を開始した。
 ようやく待ちかねていた感覚に、美空は悦びの声を上げる。


 「ん、んん、っはぁあぁ……おっきぃ……横島さんの、熱くて、気持ち、いい……よぉ……」


 美空はそう言うと、まだ二度目のセックスなのに、自分から激しく腰を振り始める。

 技巧の欠片もないその行為に、


 「ほら、自分ばっか気持ちよくなっとらんで、俺を満足させるんだ」

 「ご、ごめん……んくっ! でも……どうしていいのか、わかんないっ……あぁ、ンっぅ……イぃア、あぁあん!」


 仕方ないとばかりに、肉壁を深く深く抉る。

 ズリュッ、ズチュっ、ズズン、ズン!!

 美空の腰振りに合わせ、何度も何度も腰を回転させる。
 頭が痺れて、気持ち良くて、身体が言う事きかない。

 もう、抑えられない……もう……


 「わ、私……らめぇっ! イクのぉっ! んあ、あっ、あぁあっ、はっああ──────っ!!」


 びく……びくびく、びくんっ!

 横島もまた、快感に痙攣する美空の子宮目掛けて、精液を吐き出した。

 お腹が熱くなる。

 子宮が満たされて……


 「あ、ふぁ──────っ」


 震えながら、どこまでも熱い溜息を目一杯吐き出すと、美空は横島の胸にもたれかかる様にしながら意識を失った。

 最後に「ココネ……ほどほどにスルんだよ……」と言い残し。













 横島は困り果てていた。

 美空を完全に屈服させ、満足気に彼女の胎内からズルリと肉棒を抜き出したその時に、気づいてしまったからだ。

 背中に感じる熱い体温。
 発情しきった美空の体温に匹敵するぐらいに熱い。
 横島は、恐る恐る背中に張り付いていた熱い体温の持ち主を、自分の膝へと引き寄せた。
 混乱していたのか、グチョグチョになった美空をそのままにだ。
 美空と横島の身体に挟まれるようにチョコンと座った少女は、三白眼の目でジロリと2人を見、ぶーっと頬を膨らませた。

 横島はもうどうしていいのか分からない。

 なんでココネが裸なのかとか、もうどうでも良い位に。
 ただ、ここはきっぱり断らなければとだけ思ってた。
 中学生になったばかりのアスナとやっちゃたりはした。
 見かけが幼女っぽい夕映ともやっちゃったりはした。

 でもだ、リアル小学生とヤルまで自分は落ちぶれてはいないはず……!


 俺は、ロリではあってもペドではない!


 横島に残された最後のジャスティス!
 この正義を、破壊させはしないのだっ!!


 「ココネちゃんに性魔術はマダ早いぞー」

 「……ナンで?」

 「まだちっちゃいからなー」

 「オッキクなったら……?」

 「おう! 大きくなったら、むしろワイの方からお願いする!」


 横島は、この話の流れを生涯後悔することになる。
 彼がペドへと堕ちた切欠。


 「じゃあ、コレでイイ?」


 ココネが赤い飴玉を口にした瞬間、ボン! と煙に包まれ、それが晴れた時には少女は20才前後の美女となっていた。
 アガーンっと大口開けて呆然とする横島は、そのままココネに自分の肉棒をギュっと握られ……


 「ミソラとイッショにベンキョウした」


 見かけと違ってやはり何処か幼い所作の彼女に、咥え込まれた。
 舌で、唇で、指で、髪の毛で……
 前日にあやか、たった今美空に注ぎ込んで力を完全に失ってしまった彼の相棒が、不死鳥の如く力を取り戻す。
 見かけは美女、中身は幼女なんてシチュエーションに萌えてしまったのだろう。

 美空とヤッテイタ時よりも、当社比1.25倍である。


 「ミソラのアジがする」


 ちゅ……ぺろっ……ん、んちゅ……

 美空の味が良かったのか、ココネは嬉しそうに肉棒を舐める。
 ぬるりと暖かな唾液の感触と、根元をしごく指の柔らかさに、相棒の猛りはますます高まる。

 
 「キモチいい……?」

 「あ、ああ……気持ちいい……」

 「……ガンバル」


 
 更に気を良くしたココネは、先端を舐め回し、舌先でほじくるように差し込んできた。



 ああ、もう我慢が出来ない。
 このまま、出しちまうか?
 それとも……
 フェラチオをしている女は、見かけ20台の褐色の美女。
 でも、中身は小学生のココネちゃん。
 ああ、本当、もう何が何だか……


 目がぐるぐる回って、混乱が最高潮。
 気づけばココネを押し倒し、横島は女に相棒を突き込んでいた。


 みぢっ……みぢぃ……

 「イタッ……! イタイ……!!」


 先端が入り込む。
 あまり濡れていない、でも凄まじく熱い膣壁。

 キツイ! ここまでキツイのは、横島も初めてだ。

 横島は凄まじくキツイ膣道を、抉るように何度も往復させ勢いをつけると、一気に処女膜をブチ抜いた。


 「ギィア゛ア゛ア゛──────ッッ!!」


 激しい痛みに、ぶんぶん首を振るココネ。
 横島は焦ったように性魔術を発動させると、痛みを取り除き快感を増幅させる。
 すぐさまにその効果が出たのだろう、あっと言う間に苦痛の叫びが消え、甘い喘ぎ声に変わった。
 ホッと胸を撫で下ろすと、子宮孔まで突き込まれた肉棒をゆっくり引き抜き、そして再びゆっくりと子宮孔まで挿入していく。

 20台の熟れた美女にしては、何故だか恐ろしいほどに奥行きがないソコを、何度も、何度も……


 「オカシイ……アタマ、ヘンなる……」

 「おかしくないぞ? それがいい女の反応だ」

 「そう、なの……?」

 「ああ、そうだっ」


 横島は徐々に腰の動きを速めていく。
 興奮が止まらないのだ。
 目の前の牝から快楽を引き摺り出してやりたい。
 淫靡な声を上げさせて、思うが侭に喘がせたい。
 この女の子宮を、自分の子種で満たすのだ!

 欲望が抑えられない横島は、股間の熱を吐き出すために何度も子宮を強く叩き、美女の唇を貪った。

 そして……


 「ャ! あっ……ああっ──────あぁ──────っ!」


 生まれて初めての絶頂に身体を戦慄かせる美女の子宮目掛けて、本日最も濃い精液を放出した。

 どぷっ! ドプドプドプッ!! ビュクククククククク…………!!!

 子宮に納まりきらない精液が逆流し、ブブッと鈍い音を出しながら性器の結合部から噴出したその時、


 ボン!

 美女が、幼女にかわった。


 上は小さい身体に、少し肋が浮き出た平らな胸。
 でもその先端は幼いながらも屹立しており、平坦な胸を彩っている。
 下は幼女のワレメを引き裂く凶悪な肉棒。
 ぽっこり膨らんだお腹は、肉棒の形と、精液を注ぎ込まれたせいだろう。
 それでも幼いながらも女としての本能なのか?
 エッチな汁が湧き出て、横島が僅かに腰を揺らがすだけで、秘唇のクチュクチュ音が鼓膜を振るわせた。


 「横島さん……ソコまでヤッちゃったんだ……」


 意識を取り戻した美空の、あっちゃーと言わんばかりの呆然とした呟き。
 横島も、自分が成したことに呆然自失。

 だけども、


 「ミソラ、マリョク上がってるよ!」


 嬉しそうなココネに、美空は笑みで返した。

 まっ、いっか。

 そう思いながら、繋がったままのココネを横島から引き離した。
 ドプン、ドプン……絶え間なくココネの股間から沸き出す桃色混じった白濁液。

 どんだけ出したんスか、横島さんは……

 なんて呆れながら、でもちょっと同情。


 「ワイは、ペドやない。ペドやないんや……」


 精神が崩壊したみたいに、ぶつぶつ呟き続ける横島を見てしまったから。
 美空は、こうしてしまったのは間違いなく自分だし、と優しく彼に抱きつくと、


 「んじゃ、ペドじゃなくてロリだって、証明してみせる? 私の身体でさ」


 優しく微笑んでみせた。

 その微笑に精神を僅かに回復させた横島は、ペドよりゃロリの方がマシと、良く分からん理屈で獣になった。


 「俺は……ペドじゃねーんだっ!!」


 勇んで美空を貪ろうとするも、だがしかし、無邪気に参戦するココネ。



 美空はココネを抱き締めると、仰向けに自分の身体を横たえ、ココネの尻肉をグッと押し広げる。

 横島がさっきまで犯していた幼女のワレメを、くぱぁっと開いて見せ付けたのだ。

 同時に自分の足も開き、ココネに言って自らのワレメも開かせた。


 「ね、どっちがいい? 私のピッチピチの14才なロリま●こ? それとも、幼女なココネのキツキツおま●こ?」


 上下に並んだ二つのワレメ。

 迷ったように、交互に肉棒の先っぽを押し当て、そして……


 「うぉおおおおおおおおおおっ!! どっちもオレんじゃぁ──────っ!」


 覚醒。


 「アッ、アッ、アァ……ッ! ンアァアッ、気持ち、イイっ! もっと、もっとして、ヨコシマさんっ!!」

 「んんっ!いいよっ、横島さぁん……あ、あぁあああ、わ、わたし、もう、ダメ……ん、あ、はぁああああぁあっ!!」


 交互に何度も差し込み、思うが侭に堪能した。

 全てが終わった時、ソコに居たのは肩で息をしながら虚ろな視線で天井を見上げる美空と、激しい絶頂で気絶してしまったココネ。

 2人は全身を白濁塗れ。
 股間からは、泡立つ精液と愛液のブレンドジュースがこんこんと湧き出て止まらない。

 美空はブンブン首を振って気を取り直すと、気絶してしまっていたココネを優しく微笑みながら見つめた。
 しばらくして目を覚ますと、自分を見つめていてくれた美空に嬉しく思う。
 でも何だか恥かしくて、照れ隠しでクルリと周囲を見渡す。
 すると視線の先には体育座りでブツブツ呟き続ける横島の姿。


 「ミソラ、ヨコシマさんマタだよ?」

 「アハハ……」


 横島に視線を送る美空は苦笑い。
 でも、ココネが心配そうなのを見て、ちょっとした悪戯を思いつき……


 「ねえ、ココネ。横島さんを元気にする方法あるんだけどさー、スル?」


 ちっちゃい頭をコクコクと何度も上下させるココネ。


 「ココネのちっちゃいオッパイを、ビタッてくっつけながら、耳元で囁くんだよ」

 「ナンて?」

 「大好き、ってね」


 2人、まるで仲の好い姉妹みたいに手を繋いで横島の身体に近づくと、胸を押し付けながら艶のある声で囁いた。


 「「大好き……!」」
 

 その言葉は横島の感情の波を高め、興奮の悦楽を増加させた。

 その後は、言うまでもない……























 「ワイは、ペドやない。ペドやないんや……」

 ブツブツ呟きながら帰宅した横島は、千鶴の手によって汚い花瓶と成り果てた。


















































 そして、その日の終わりに……


 「アスナももう中3か~。受験はどうする?」

 「受験って、ウチはエスカレーター式だから必要ないわよ」

 「そっか……」

 「そうよ。で、どうしたの急に?」

 「……明日からは、あんまここに帰ってこれんからな。ちょっと色々と話がしたくなってな~」

 「ったく、帰る場所を守るのも、使徒の役目でしょ? 安心してよ」

 「ああ、安心した」


 もう、皆が寝静まり、シーンとなった暗がりの廊下。
 僅かに灯る光で出来た2つの影が、そっと重なり合った。

 それは、のほほんとした平穏のお終いを告げるキス。
 だけども、すぐにこの平穏を取り戻すのだろう。

 真面目にあーだこーだするのは性に合わないのだし。


 「続きはベッドだな」

 「……ウン。あっ、ちょっとタンマ。何か色々と臭いわよ? 先ずは、お風呂……ね?」


 その日、4人の女の子を相手に発射した弾丸の数は、過去最高であったとか何とか。



































 後書き

 ロリ島ペド夫 爆誕!


 龍宮をヒロインSS書いてた2次作家涙目~w
 オレ、マジでホッとしたわww
 警戒してたザジ、龍宮、双方ともコレだったかんな……

 ほんとに、ホッとした……

 後は、超だ……!

 アイツだけはどうしてもストーリーに絡んでくるから、お願いだから再登場で訳の分からないパワーアップだけは……やめて!!



 そしてお知らせ。

 旧作『ヨコアス』を、小説家になろうグループのノクターンノベルズに順次投下しようかと思ってます。
 最低限の誤字修正と、見苦しい部分の訂正のみをして、2~3日に1話投下ペースで。
 なろうにて投下実験も終了し(気づいたらにじファンに移動になってたけどw)以前、ここで投稿させて貰っていた分を、明日にでも投下します。
 ちなみに、新規の話は一切ありません。軽い手直しをするだけです。

 ああ、Rはずっとここで投下します。
 向こうに行くのは無印だけ。



[11660] 一周年記念アタック!
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/12/28 00:38
  時間軸? そんなん知るか!

























  さてお前ら、文珠の可能性を知っているか……?











  ヨコアスR 連載1周年企画 文珠ちょっとエロ小話集










  そのいち 『分/身』








 ジレンマ。

 そう言ってもいい感情がオレを支配する。
 やってみたい。
 でも、それは嫌だ。
 他の男に見せるのも嫌なのに、穴を預けるとかありえん。
 でも興味はある!

 そんな相反する矛盾した考えがオレの心を襲っていた。


 「それで、一体何がしたいのよ?」

 「二穴責めじゃあーっ!」


 道具を使えば良い?

 ダメだ! ダメだダメだダメだあ!!
 勿論、いざとなればそれで妥協はする。
 実際、のどかにしたコトあるし。
 だけども、オレがしたい二穴責めはそうじゃない。

 そうじゃないんだ……!!

 生きた、2つの肉棒に翻弄される姿を見たいのだ!
 膣道と腸内で蠢き合う、肉の棒。
 時に重なり合い、時にぶつかり合いながら、互いを高め合い、そして女を喘がせる。

 ああ、魅惑の2穴責め……

 だが、先ほど言った様に、他の男と女を分け合う気は一切ない。
 ならどうするってんだ!?

 そう、だったら、全部オレで逝けばいいんだ!

 
 オレは口を半開きにして呆れた視線を向けてくるアスナを引き寄せ、ベッドに横たえると、煩悩を集中させる。

 思い描くは『俺』がアスナのヴァギナを貫きつつ、『俺』がアスナのアナルを犯す。
 せっかくだから、更に唇を割り、喉奥を突く『俺』に、パイズリさせる『俺』
 おまけに右手で手コキして貰う『俺』に、左手でして貰う『俺』

 ここまで来たら輪姦だが、まあいい。

 相手は全部オレだ!

 きっと、アスナの顔が快楽に歪み、凄まじいまでの痴態を見せてくれるはず!

 妄想が高まる!

 煩悩が股間を直撃し、熱く! どこまでも熱く!!


 「ウォオオオオ! 煩・悩・全・開ッ!!」


 手の中にある2つの文珠が光輝き、その光が収まった時、現れたのは6人の俺。
 俺は満足気に頷くと、「もう、好きにしなさい……」っと心底呆れた口調のアスナの上に覆いかぶさり、


 「んじゃ、イクぜ!」


 そう言って、グイッと膣口に肉棒を押し付けた。
 だが挿入する寸前、ドゴォッ!! 右頬に衝撃!
 ベッドから転げ落ちながら見たのは、右拳を突き出す俺。


 俺2「テメー、アスナのま●こはオレんだぁーっ!」

 俺3「アホかー! オレのに決まっとんわ!」

 俺4「はん! 貴様ら程度の祖チンが、俺のアスナを満足させれるわきゃねー!」

 俺5「キサマも俺等と同じサイズじゃー!」

 俺6「ぐふふふ、好きにやってろ愚民ども。その間にアスナの全部はオレんだ!」



 ……は?

 全部俺だと言うのに、なんだこの惨状!?
 でも、確かに俺だと言うのに、コイツラがアスナとやるんだと思うと胸がムカムカする!



 真俺「ざけんな! それは俺んじゃぁーっ!!」




 結局、その日アスナとの全部俺で輪姦エッチは実現出来なかった。
 何故ならこの後、俺同士による壮絶な殴り合いが始まってしまったのだから……
 呆れたアスナはさっさと一人寝を決め込み、俺は文珠の効果が切れるまでの間、戦い続けたのだった。












 横島忠夫、自分との戦いにより大幅レベルアップw





















  そのに 『双/根』




 股間からぶらーん、ぶらーんと揺れる巨大なナニ。


 「た、忠夫……? なに、これ……」


 恐怖を隠し切れないのか、震えた声でそう呟くアスナに、ニヤリと俺は微笑んで見せた。

 昨日の失敗。

 それは例え相手が俺だとしても、俺以外に俺の女を抱かせるのは我慢がならないって事だ。
 矛盾している言い方だ、言ってる俺も何が何だか分からない。

 ならどうすれば良いか?

 簡単だ。MY,BIG SONが2つあれば良い。
 俺は文珠『双/根』によって二本に増えた剛直を、アスナの眼前に突きつけていたのだ。

  
 「こ、こんなの……壊れちゃうわよ……」


 流石はアスナだ、キチンと分かっている。
 これで得られる快感は、最低でも通常の倍。
 前と後ろの穴を同時に抉られるなんぞ、中々体験出来るものじゃあないしな。
 俺は邪悪な笑みを浮かべながらアスナに覆い被さると、膣とアナルの双方に肉棒を押し込んだ。


 「ヒッ……い゛あ゛───!? ひぅううっ! く、苦しい! 抜いて、よ……っ! いやぁ、死んじゃうっ!!」


 前後の穴を同時に犯されて、アスナは声を戦慄かせる。
 快感も行き過ぎれば苦痛だ。
 事実アスナは激しく痙攣させながら、涙を流して抵抗を止めない。
 俺が相手だと言うのにだ。

 それほどの衝撃! これならば、スグに慣れて快感の虜になるはず……!!


 だが少し待って欲しい。
 アスナの快感は2穴責めによって通常の2倍以上だといってもいいだろう。
 でもだ、それは俺にも当て嵌まる。
 俺も通常の2倍……、いいや、2乗の気持ちよさ!!
 2つの肉棒から、それぞれ感じる膣道の締め付けと、直腸の柔らかさに頭が白くなる。

 たった、7往復しただけなのに……

 しかもアスナは初めての2穴責めの為か、恐怖でいつもより中がキツク締まり、少しでも油断したらイってしまいそうだ。

 
 「な、中で2つこすれてるの分かる……ぅ!? た、だお……わらひ、もう……イッ、ちゃぁ……く、ンンあぁああ……」


 9度目の往復の途中、アスナがユラリと身体を捻らせ……ビュククククウウウウ!! 

 暴発させてしまった……
 アスナは、アナルとヴァギナ、双方に注ぎ込まれる精液の感触に目を細めながら、


 「あれ? もうイッちゃったの?」


 俺はその瞬間、「がふっ!?」血を吐いて倒れた。



 勿論、この後スグに復活し、再戦したのだが……
 この業を他の娘達に使うのは、少し待たなくてはダメだろう。
 今はただ、アスナを相手に修練を重ねるのみ。

 せめて15分は持つようになるまでは…………























  その3 『同/調/領/域』






 昨日の激戦の所為だろう。
 アスナはアソコとお尻が痛いと今日の夜伽を完全拒否。
 もっとも、俺自身もいつもの倍以上の射精で腰がふらつく。

 やっぱ双根は問題だらけだ。

 2本あっても、精液を作り出す部分は一つのまま。
 一回の射精で2回分放出するせいで、へばるのも早い。
 これじゃあ、今日はどんなに頑張っても2回か3回ぐらいしか弾が撃てん。

 ならば、至高の一発を放たなければなるまい!


 「はあ……そうですの……」


 なんとも呆れた口調で、その上とても眠たそうでダルそうだ。

 ぶっちゃけ、あやかはまったくヤル気がネー。
 時計を見れば、時刻はAM2:00。
 よくよく考えてみたら寝てて当たり前か。
 夜這いするにしても、ちょっとばかし時間が遅すぎた。

 なんて思っていたら、あやかは寝ぼけ眼のまま布団から抜け出し、色気も何もないパジャマの裾に手をかけた。

 そのままスルリとたくし上げ、可愛いおへそがチラリと覗く。
 なんていうか、義務感丸出しのその行動に、俺は「ちょっと待たんかい!」と荒げた声を出しながら、パジャマを脱ごうとしていたあやかの手を止めた。
 不思議そうに首を傾げるあやか。

 そして、今の俺の声で目を覚ましてしまった夏美と千鶴。


 「夜這い、かしら?」

 「ぇ!? あ、えと、私もパジャマ脱いだ方がいいかな……?」


 2人は顔を振って眠気を飛ばし、あやかと同じようにパジャマを脱ぎ始める。
 俺は慌てて2人を止めた。なんせ、今日はたった一人を相手にするつもりなのだ。
 だけどもだ、こうなってしまったら残された2人は可哀想なのではないだろうか……?
 俺は3人の手で服を脱がして貰いながら、しょうがねーか。今日は3人まとめて……と思ったその時、天啓が降りた。

 感覚を共有すればいい!

 そうすれば、直接抱かれずとも俺を感じて気持ちよくなれるはず!!


 野暮ったいパジャマに身を包んだ3人をキレイに並べて立たせると、この世界の魔法をヒントに開発した新しい技のお披露目をする。



 右腕に霊力を集める。
 集められた霊力を、いつものように収束させず、一つのイメージを持って、解き放つ!

 イメージは、ネギの使う武装解除。

 放たれた霊力の轟きは、3人の身体に纏わりつきながら……ブワッ! 身に着けていた物、全てを吹き飛ばした。
 「きゃあっ?!」と驚きの悲鳴を上げる3人の肢体を、ジィッと鼻息荒く視姦する。

 俺の中で力が沸き上がる!

 宇宙意思すら捻じ曲げる力、煩悩。


 「おぅるぁぁああああああッ、煩悩、ぜんかぁーいっ!!」


 文珠「同/調/領/域」が発動し、俺があやかの胸を鷲掴むと、ビクンっと他の2人も同じように肢体を跳ねさせた。


 そ・し・て……
















 「やあぁっ……ぐちゃぐちゃになっちゃうよぉ……ああぁ、横島さん、いいんちょ、ちづ姉……ダメ! こんなんじゃ、スグにイッちゃ……うぅん!!」
 「お、おかしいですわ……! 私のなかっ、に、居ないはずの忠夫さんを、感じ、る……っ! あっ、ああぁ、お、大き……い、んんふぅ……!!」
 「はぁ、はぁ、あぁぁ……アナ、タ……好、きよ、私の、アナタ、アナタ……あっ!ひっ!いぃっ! ひぅっ!! あっっっ! 頭が、真っ白になって……」


 俺が抱いてるのは夏美だけ。
 だけども、俺が夏美の膣道をゆっくり行き来する度に、あやかと千鶴は夏美を同じように感じている。
 夏美の唇を吸い、乳首を捏ね、膣壁を抉り、子宮を突きまくる。
 するとあやかと千鶴は、口中を蹂躙され、胸を襲う痺れ、胎内を抉られる疼き、そして、子宮を押し出される快感。

 それは錯覚だ。

 実際に、あやかのワレメも、千鶴のワレメも、ヌレヌレのネトネトではあるが、俺の肉棒の形に広げられてはいなかった。
 ぱくぱくと痙攣はしてるものの、だ。
 俺自身も、荒い息遣いに混じった喘ぎ声に頭がクラクラしてくる。

 頬を上気させ、切なそうに俺を見る3人の少女に、もう正気ではいられない。
 俺の中で眠るS気質が、夏美を、いいや、3人の少女達をネチっこく責め上げろ訴える。

 ああ、良いだろう。どこまでもイカせてやる。何度でも、何度でも、お前達が未だ到達していない遥か彼方まで、な……

 俺は夏美の腰を抱え込み、ゆっくりとした抽送を開始する。
 始まる3人の美少女達が奏でる甘い3重奏。

 これは、良い!

 今度から複数を相手にする時は、一人一人相手にするよりこうして纏めてヤッタ方が……いや、モッタイネー!

 やっぱ一人づつ丁寧にやらなきゃな……

 そんなコトを考えながら、ネチッこく朝まで夏美を犯しぬき、ついでにあやかと千鶴とも結局はやっちゃった。


































 だけども、話はこれで終わってはいなかったのだ……
 文珠『同/調/領/域』は、この女子寮全体に影響を与えてしまい、健やかに眠っていた少女達の身体に影響を与えまくった。

 横島を知る少女は、彼に抱かれる夢を……
 知らない少女も、見知らぬ男、横島に抱かれる夢をやっぱり見る。
 直接身体に影響を与えるこの技で、男を知らないはずの少女達の淫声が寮中に響き渡っていた事を、横島は知らない。
 翌朝、顔を真っ赤にして汚れた下着を洗う少女達。
 敏感になってしまった肌を、恐る恐る浴場でキレイにする少女達。

 寮中に、女の甘酸っぱい匂いが充満し……




 「はぁ……ウチ、やっぱり横島さんのコト、好きなんかな~。まき絵~、どう思う?」

 「ふぇ!? わ、私、見てないよ! 横島さんとエッチする夢なんて!!」

 「……は? まき絵、もしかして……」

 「ち、違うよ! 私が好きなのはネギ君だもん!」

 「いや、でもネギ君はまだ子供やし」

 「違うってばぁ~!!」







 「な、何だって横島さんにエッチな事される夢なんて!? ネットのやり過ぎか? 今日は早く寝よう……」








 「那波さんの彼とスル夢見るなんて……」

 「ううう……私なんて彼がいんのに……欲求不満よね……」

 「ねーねー、何か、お腹の中にまだ居るような感触しない?」

 「桜子、アンタ……、コホン、そ、それにしてもさ、3人同時に同じエッチな夢見るなんて……」

 「そんだけインパクトが強かったのよ、那波さんとあの人のエッチ」

 「でもさ、気持ちイクなかった?」

 「「はぁ~……」」






 「今日はお兄様に甘えに行こっかな? お姉さま、いいですか?」

 「えっ、す、好きにしなさ……いいえ、私も行きます。メイをあの野獣の好きにさせ……いえ、決してアノ夢が気になる訳では……」

 「お姉さま?」

 「は、はやくなさい! 学校に遅刻するわよ!」







 「うわっ! すっごー! 見てアキラ、これ。私さ、夢ン中でむっちゃ横島さんにイカされちゃった~」

 「そんなの見せないで! まったく裕奈は……」

 「あっれー? アキラもぐっちゃじゃん!」

 「うるさいよ。はぁ、横島さんに、会いたいな……」












 で、その日の深夜。


 「そういう訳でして、ご主人さまが何かやったとしか思えないのですが?」


 頭を痛そうに抑えながら、夕映はあやか達の部屋で寝転ぶ横島に詰問する。
 なんせハルナは、横島が知らず見せた夢で妄想力がアップし、起きるなりマンガを書き始め、のどかはその手伝いにてんてこ舞い。
 でも横島自身は自分が何か変な事をした覚えは一切なく、小首を傾げて本当に分からない風だ。
 夕映はアレ?っと思ったが、「まあ、実害はのどかだけですし、いいですかね……」と何もなかった事にした。

 そして……


 「私の火照った身体を慰めて貰えるですか、ご主人さま……」


 制服のスカートの裾をたくし上げると、そこには蜜を大量に湛えた夕映の女の部分が露になった。
 寝転ぶ横島の位置からでもはっきりと見える程、ヒクヒクいやらしく蠢くソコが……


 「ノーパンだなんてエッチな子だな、夕映は」

 「はい、私は……ゆえはご主人さまだけの、エッチな牝奴隷ですから……」


 ジト目で睨みつけるあやか達の視線も何のその!
 夕映は横島の肉棒を自分の中に受け容れると、大きく背筋を反らしながら、歓喜の声を上げた。
 夢の中で何度もイカされはしたが、やっぱり本物には到底敵わない。


 「ああぁ、いぃです、ご主人さまぁ。とても素敵な、のです……い、イイですよぉ……!!」 


 激しく肢体を揺さぶられる夕映の顔は、とても幸せそうに蕩けきっていた。
 同時に、不満そうな声を上げるあやか達。
 横島は当然の様に文珠を出すと、昨日と同じく『同/調/領/域』を発動させた。

 途端、女子寮が淫靡な気に包まれる。
 昨夜と同じ。
 それも、昨日の夢で火照らせ持て余し気味の肢体がそのままで。

 横島はそんなコトとは露知らず、夕映の子宮口目掛けて何度も亀頭をぶつける。
 夕映は身体をびくつかせ、随喜の涙を流しながら絶頂に達した。
 当然、あやか達も、見えぬ横島に犯される感覚に、夕映と同時に大きく絶頂する。
 そう、寮中の女子生徒全てが、横島の幻影に再び犯され絶頂したのだ。

 これは、昨日の夢の続き。

 今も私は寝ているのだ……

 そう自分を誤魔化しながら、少女達は横島の幻影を受け入れる。

 再び感じる女の悦びに、到底抗える術など持たないが故に……

 
 「満足したか、夕映?」

 「はぁ、は、い……ですけど、ご主人さま。どうか、アナタのお好きなように、私を……」

 「いいんか? 壊れちまうかも知れんぞ?」

 「嬉しい……ご主人さまに、壊され、たい……です……」

 「いいだろう。あやか達も、覚悟しろ!」

 「「「うん(はい)」」」


 握られる文珠。
 文字は、一昨日アスナと木乃香を蹂躙した『双/根』
 更に、自分が間単にイカないよう『持/久/力』を発動させた。
 
 夕映は、あやかは、千鶴は、夏美は、寮中の女子達は官能と言う刺激が膣と腸、そろって揺さぶられる。
 終わらぬ快感の波、膣道を侵略される感触、続いて始まる腸内を通る野太い肉棒の感覚。






 「ひあっ! んうっ! あぁん! ク、苦し、い……誰か、たすけ、て……いぁ……あ、いぃ……っくぅうーっ!!」

 「い、イヤ! 私の中で、何か出てる! あっ、ふぁああっ、熱ひぃぃいい!」

 「ひッ、ひぃ! イッちゃう! お尻とま●こイッちゃうよぉ!」

 「あ、あぁ……なんかこうしてる、とっ……史伽と一緒に犯されてる……みたいっ、あっ、あっ、あひぃい、い、いよぉ……!」

 「お、お姉ちゃん……い、いっしょにぃっ、イ、イキたいっ!」

 「ふ、ふみ、か、イ、クよ……」

 「う、うん!」

 「「あっ゛、あ゛っ、イ、ぃくぅ────────!」」


 寮のそこら中から聞こえてくる、こんな感じな苦しげな嬌声。
 2つの穴を同時に犯される感触に、肢体を戦慄かせ、この饗宴が終わりを告げるまで嬌声を上げ続けた。
 2つの深奥に注ぎ込まれる暖かいナニかの感触に、うっとりしながら意識を閉じた。

 殆どの少女達は、目覚めるなり各々適当な理由を付けて記憶を封印し、何事も無かったかのように日常に戻る。






 ちなみに同調領域はこの日以降も度々使われ、寮に住まう少女達は、いやらしく淫らに扇情的な肢体へと、知らず開発されていくコトになるのだ……
















































 ヒロイン’sの従順度の高さ順に並べてみたw


 夕映、千鶴、のどか、愛衣、アキラ、夏美、木乃香、アスナ、あやか、茶々丸、美空、ココネ、裕奈


 何気に使徒達の方が従順度が低いですw
 夕映は信仰の域に達しているので、全てを受け容れます。断トツです!
 ヨコアス(旧作)で言う所の、のどかの領域を越えてます。
 千鶴は一見支配側に見えますが、横島の言葉は最終的に何でも受け容れ状態です。
 のどか~木乃香間は殆ど差がありません。
 アスナは小さい頃からの付き合いなんで、程々。
 それよりも義姉や愛子達の言葉を優先するでしょう。
 信頼度と恐怖度がダンチですw
 あやかは自らを使徒として僕であると自分を見ていますが、時に一歩離れた視線から全体を見ることが出来、盲目の愛を捧げている訳ではないです。


 おまけ

 愛情度

 夏美、アスナ、あやか、千鶴、愛衣、のどか、アキラ、夕映、木乃香、美空、茶々丸、ココネ、裕奈


 恋愛度

 夏美、アスナ、愛衣、のどか、木乃香、千鶴、夕映、アキラ、あやか、茶々丸、美空、裕奈、ココネ


 淫乱度

 裕奈、のどか、アスナ、アキラ、千鶴、夕映、あやか、木乃香、茶々丸、美空、夏美、愛衣、ココネ


 開発度

 アスナ、あやか、千鶴、のどか、アキラ、木乃香、裕奈、夕映、夏美、茶々丸、美空、愛衣、ココネ


 こんな感じでRを読んで頂ければ、新しい扉が開くかもw






 後書き

 テメーらの文珠の可能性を言ってみろ!
 決してネタ探しじゃねーぞ!
 ホントだぞ! ホントのホントなんだからな!

 ちなみに俺が残してる文珠の可能性は……

 『触/手』『緊/縛』『敏/感』『幼/女』『擬/似/妊/娠』


 それはともかく(笑)、作者はそろそろ課題で忙しくなる時期です(涙

 更新はスランプとか関係無しで遅くなります。
 ちなみに、去年の同じ様な時期には、逆に更新が速くなったという記録がありますw
 現実逃避でグイングイン妄想力が高まったからねw
 でも、今年は多分無理なんじゃないかな~。
 地味作業中心なんだよね、今年の課題はさ……
 余計なことせんで、ひたすら地味作業続けないと永遠に終わらない(涙

 って言うか眠たい。

 おれ、コレ投下したら2時間眠るって決めてんだ……



[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第1巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/09/03 22:09




 春の始まり。

 祇園に咲く満開の桜、風で舞い散る花びらの中で、憂鬱に樹を見上げる女が一人。
 凄絶なまでの色気を湛えた悲しげな表情は、見る人の胸を切なくする。
 手には一枚の写真。
 幸せそうな女と、どこか苦笑いをしている幼児顔の青年。
 それは幸せだった頃の証。

 女を復讐に駆り立てる最大の……


 「千草姉ちゃんっ!」


 飢狼の如く目つきが鋭い少年が、少し怒った風に女に声をかけた。


 「小太郎はん? こないな場所で、どないしたん?」


 女、天ヶ崎千草は不思議そうに小首を傾げた。
 千草が知る限り、少年、犬上小太郎が京都祇園に居るはずはない。
 今ぐらいの時間なら、いつもは修行に専念してるはずだから。


 「こない場所って……千草姉ちゃんを迎えに来たんや」


 ちょっと照れ臭い小太郎は、だけども何処か不快そうに千草の手をチラリと見た。
 小太郎にとって、勝ちたくても勝てない相手。

 絶対に自分の方が彼女のコトを幸せに出来る自信があるのに。

 でも、死人には勝てん。


 「ああ、そかそか。すまんかったなぁ、小太郎はん」


 千草は小太郎の視線に気づくと、素早く何でもない風を装い写真を懐に仕舞い込み、殊更楽しそうに小太郎の手を握った。
 小さい子供の手。急に千草に手を握られた所為なのか、緊張して熱っぽく、汗ばんできた。
 その感触が好きでたまらない小太郎は、ギュっと目を瞑り何事かを決意すると、ゆっくりと目蓋を開け、真摯な眼差しで千草を見つめる。
 例え恥ずかしくても、この手を離したくない。今の小太郎にとって、千草は世界で、全てだ。


 「なあ、千草姉ちゃん。俺、強うなったろ?」

 「そやな、ほんまに強くならはったなぁ」

 「せやろ!? だったら……」

 「うん、そやな。もう、他の男に抱かれたりせんよ」

 「っっしゃあ────!!」


 千草の手を握ったまま、小太郎は逆の手を高々と上げ、歓喜を爆発させた。

 認められた!

 これでもう、他の男の匂いを肌にこびりつかせている千草を見ることはないのだ。  
 写真の男も、スグに忘れさせて見せる。

 喜びに沸く小太郎。

 だが、千草は小太郎に分からぬ様に、目を冷酷に細めた。

 関西呪術協会が本気になった今、凡夫どもから魔力を掻き集めるのは危険が過ぎる。
 それに、敵対していた東からやって来た横島忠夫の存在もあった。
 奴がいるならば、コレ以上は本当に無理だ。
 京に集まる裏関係の男達全てから魔力を収奪し、スクナ復活の贄にしてやろうと思っていたのに。
 これでは足りない。その気はまったく無いけれど、例え小太郎の魔力と精の全てを収奪してもマダ足らない。
 復活させるだけなら可能だが、千草がしたいのはスクナを喰らうこと。
 スクナ復活だけで力尽きてしまう今の状態ではダメなのだ。
 スクナを復活させ、その上でスクナを喰らえる力を残せなければ意味がない。
 そうでもしないと、横島忠夫を倒せるだけの力を手には出来ないのだから。

 そう考えていた時だ、一頻り歓喜を爆発させて満足した小太郎が、思い出したと口にする。


 「月詠に聞いた話なんやけど、麻帆良に居る長の娘とサウザンド・マスターの息子が、修学旅行でコッチに来るって話だったそうや」

 「はあ? それはホンマの話なんか?」

 「でもな、今の京都は危険やから、中止になるって話や」


 サウザンド・マスターの息子とやらは知らないけれど、長の娘なら千草は知っていた。
 その身に秘められし膨大な魔力。
 スクナを復活させても、まだ余りあるだろう。


 「なあ、小太郎はん。横島忠夫と一戦しよう思うとるんやけど……」

 「マジかっ! 戦る! 俺が戦る!! 絶対に、戦る!!」


 危険だから中止、なら危険じゃなくなればいい。
 どうしたら危険じゃないと判断される?

 なら、犯人が捕まればいい。

 千草が捕まれば、長の娘は京にやってくる。
 恐らく東西両組織の狙いは、サウザンド・マスターの息子を象徴とした、東西の和睦。
 長も、娘を麻帆良に送ってからは碌に会えていない。

 この機会を逃したくはない筈。

 問題は、捕まった後のことだけど……


 「月詠と新入りには譲らん。ええんやろ? 千草姉ちゃん!」


 この2人に任せておけば大丈夫。
 捕まってる間の尋問も、今の長ならそれほど酷い事にはならないだろうし。


 「ただし、十中八九、負けやで? それでもええんの?」

 「はん! 俺は負けん!!」


 何より、天狗になってる小太郎の鼻を、一度徹底的に折る必要もある。
 そうすれば、きっと小太郎は今よりももっと大きな男へと成長するだろう。

 人が最も成長する切欠は、恋と、復讐と、敗北なのだから……


 千草は意気上がる小太郎の唇を、ぴ、と指で押さえ、途端に真っ赤になった彼の手を握る力をギュっと強くする。


 「口では何とでも言えるしな~」


 からかう口調でそう言いながら、咲き誇る祇園の桜を背にする。

 神鳴流の『狂剣士』月詠と、『完全なる世界』の魔法使い、フェイト・アーウェルンクスの待つアジトへと向って。
 月詠には強者との死闘を、フェイトにはスクナのデータを、それぞれ与えれば決して裏切る事はない。
 特にフェイトは、横島忠夫を殺した後の、次の獲物だ。
 アレは大戦を引き起こした悪の組織の一員。
 千草にとって、両親の真の仇と言ってもいいだろう。

 だから、
  
 横島忠夫を殺っても、まだまだアンタんトコには逝けへんくなってもうた。ごめんなぁ、ラプシィアはん……

 千草は小太郎の文句を聞き流しながら、目で笑いかけ、火照り始めた身体をくっつけ合いながらゆっくりと歩いた。

 この温もりから離れたない言うたら、ラプシィアはん怒るやろなぁ。

 チクリとする心の痛みを振り払う為のなのか、千草はスグにでも小太郎を感じたい、そう思った。



























     俺が為に鐘よ鳴れ  第1巻  始まりの鐘























 横島が関西呪術協会に滞在し始めてから、3日目の夜。
 彼が千年王都である京を巡回するようになってから、犠牲者の数がピタリと止まったコトが正式に確認された。
 時折まだ見つかっていなかった被害者の遺体が発見されたりはしたが、『新しい』犠牲は出なくなったと言っていいだろう。
 これだけでも横島を西に招聘した価値はある。
 東に頭を下げるのは……などと言った批判的な意見も完全に消えた。
 これにより東西和睦の話も加速し、東との融和を掲げていた詠春は、横島に頭が下がる思いだ。
 もちろん、娘に手を出されていたコトを知れば、横島の命は儚くなるが。



























 いつものシスター服でなく、古都である京の雰囲気を守るとか何だとかと言う理由で、白地に桜の花びらがふんだんに描かれた浴衣に身を包んだシャークティ。

 褐色の肌には似合いませんとか言ってた割には、とても嬉しそうに横島の横に並んで歩いていた。


 「横島さん、気づいてますか?」


 口元を嬉しそうにしたまま、目だけ僅かに細める。
 背後から近づいて来る何者かに、自分たちが気づいているのだと悟られぬように。


 「気づかん訳ないだろうが! さっきすれ違った舞妓さん、バストが優に95を超えてやがったっ!! 
 着物の上からでもタユンタユン揺れる乳。着物と巨乳の相性は最悪だと思ってた俺の想像を遥かに超えて……っ!
 素晴らしい、実に素晴らしい! あれこそ、まさに理想の果て……
 あれは、あれはワイんやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」


 両腕をVの字に天に掲げ、横島は「ひゃっほー!」と勇んで通りすがりの舞妓さんを追いかけて行ってしまった。

 頭イタッ……
 『頭痛が痛い』とはこの事か。

 シャークティはこめかみを指でグリグリしながら、呆れた溜息。
 まあ、仕掛けはしっかりと施していたみたいだけど、それでも……


 「敵を欺く為とはいえ、こんな情けないやり方はどうかと思いますよ?」


 シャークティは小さく口にする。
 事実、尾行していた者は嘲るような視線を横島が去った方へと向けていた。


 「では、始めましょうか……」


 慣れぬ浴衣姿とは言え、この浴衣は関西呪術協会から好意で出された特注品。
 戦闘だってお手の物だ。
 何より、今の彼女は力が充実している。
 この3日、彼女は横島と寝室を共にしていたのだ。
 おかげで一時的に増幅された魔力が、シャークティの身体の内側から弾け出さんばかり。


 シャークティは得物の十字架を手に、勢いよく後ろを振り返る。
 相手は……十代前半の少年。恐らくは『混じり者』
 純粋な人間ではなさそうだ。


 「はん! 気づいとったんかい!」


 ツンツン尖った髪から、ひょこっと犬耳が飛び出している。

 狗族か……
 狗族は総じて戦闘力が高い。
 シャークティは警戒を高め、腰をグッと落とし、戦闘態勢に入った。

 彼女の周囲に、手に持つ十字架に良く似た魔力で編まれた十字架が浮かび上がる。
 

 「女には手は出さん……って言いたいとこやけど、横島忠夫が戻ってくる前に潰させて貰うわ!」


 右手に膨大な気を纏わせ、それが爪の形を成す。

 あれで裂かれでもしたら、即死ですね。
 だけども、負ける気が一切しないのは何故でしょう……

 脳裏に描かれる横島の顔。

 シャークティは乙女の顔で頬を赤らめ、そして……
 2人の間で互いの戦闘意欲が最大に高まり、ぶつかり合って、爆発する!

 ダンッ! 小太郎が地面を蹴る。
 恐ろしい速度でシャークティの間合いに入り、空気を切り裂きながら右手を振り上げた。


 「おおっ!!」


 雄叫びを上げ、拳を振り下ろした瞬間、右足がついた地面が突如陥没し、小太郎はバランスを崩し、「へぶっ!?」っと鈍い声を出しながら大地にキスをした。

 シャークティはプッと小さく笑う。

 小太郎に対してではない。
 この罠を仕掛けた横島にだ。
 横島とシャークティが京を巡回する様になってから、もう幾日も過ぎている。
 巡回中、横島が最初にしたのは、 詠春に許可を取っての罠の設置だ。
 2人の巡回コースは、言わば彼にとってのキリングフィールド。 
 そのキリングフィールドを発動させる為の仕掛けを、彼は此処から離れる時にしっかり発動させていたのだ。


 当然、横島は罠に引っ掛かった相手を、決して逃しはしない。
 弱った相手を逃がさず倒す。これこそ彼が美神令子から学んだ戦術だ。

 怒りに震え立ち上がろうとする少年の背後に忽然と現れた横島は、無言でムギュっ、と少年の背中を踏みつける。


 「あ~あ~、これじゃ悪モンじゃんか、オレ……」


 実際、今の横島は誰が見ても悪者だ。
 グリグリと踵で少年の背中を踏み躙りながら、実に楽しそう。
 とてもじゃないけど、悪者以外の何者でもない。
 シャークティも流石にやり過ぎだと、思わず止めたくなる。
 もう一人、コチラを伺ってる気配がなければそうしていただろう。

 一方、踏み潰されている小太郎はと言うと、怒りと羞恥で顔が真っ赤である。


 「この卑怯モンがぁーっ! 正々堂々と勝負せんかっ!!」

 「わはははははー。負け犬の遠吠えとは実に心地良いワイ! なあ、そう思わんか、べっぴんの姉ちゃん?」


 ユラリ、空間が揺らいだ。
 その揺らいだ空間を更に歪ませ現れ出でる妙齢の女性。
 喪の和服に身を包ませ、それを着崩して大胆にも肩と胸の谷間を露にしていた。
 壮絶なまでの色気を湛えたその姿に、シャークティは横島がルパンダイブをするんじゃないかと、変な所でドキドキする。

 だけども横島、小太郎を踏んづけたまま、冷たい視線を女に向けるだけ。

 それもその筈。この女は、横島の大事な女達を傷つけた存在。
 何より、飛燕剣の使い手にして性魔術の行使者。
 今、彼と共に居るのがシャークティである以上、気を抜いていい相手ではない。
 例えば詠春や、そこまで行かなくてもタカミチ辺りと一緒だったら、遠慮なくルパンダイブだったが。


 「あん時の女だな?」

 「あん時のお嬢さん方は、元気かいな?」

 
 横島の問い掛けに挑発的な口調で返す。
 傲慢な程に背を反らせ、横島を嘲笑いながら。


 「ああ、テメーに斬り飛ばされた腕も、心の傷も、ぜーんぶ俺の愛の力で癒したったわ」


 笑って言い返しながら、横島は右手に霊力を集める。
 収束させ、一本の剣を創りだすと、その剣先を小太郎の首に押し当てた。


 「降伏しろ。そしたらオマエの大事なガキの命は保障してやる」


 人質を取るのは美神令子直伝の奥義である。
 シャークティは頬をピクピク痙攣させ、だけども横島は楽しそうに、ニヤリと笑った。
 その笑みが、陽性である所が逆に怖い。
 そして思い出す。横島が何と呼ばれている存在なのかを。

 『紅き翼の汚点』

 これは確かに汚点と呼ばれても仕方ない。
 シャークティは納得したかのように頷くと、決意した。


 ────横島忠夫を真っ当な人間にする!
 これこそ神が私に与えたもう試練なのでしょう……


 好意を持っている男の余りに非道な行いに、少しだけ現実逃避したとも言う。

 
 一方、小太郎と千草は……


 「千草姉ちゃん! 俺に構わず逃げるんや!」

 「なに言っとんの、小太郎はん。あんたを捨てて逃げられへんよ……」

 「ね、姉ちゃん……」

 「小太郎はん……」

 「う、うう……ごめんな、千草姉ちゃん。俺がこんな卑怯モンの罠にかかりさえせーへんかったら……」

 「ええんよ。でもこれで分かったやろ? 上には上がいるって」

 「そか? こんな卑怯な手を使うような奴、正面から戦えば俺は負けん!」

 「ばか! ばかばかばか!! 小太郎はんの大バカモン! 勝った奴が強いんや!
 それにな、この男、ほんまに強いんやで? ウチが全力で戦っても、まず勝てん位に、な。
 なぁ、そうやろ? 横島忠夫はん……?」

 「さあな? で、どうすんだ? 降伏すんのか、しないのか……」

 「降伏、させて貰います」


 懐に隠し持っていた札を全部捨て、ゆっくりと頭を下げた。
 そして悔しそうに泣き出す小太郎に、労わりの視線で慰める。
 横島はそれ等を横目で見ながら携帯で詠春に連絡を取ると、「ふー、終わった終わった」と肩をポンポンと叩く。
 シャークティのジトっとした責める視線なんて気にしねー。

 ただ、少しばかり気になるのは、ラプシィアとの関係……なのだが、ここは関西呪術協会のテリトリー。
 関東魔法協会で世話になってる横島が、彼女に尋問するのは控えた方がいいだろう。
 だから、後で詠春に聞けば良いかと問題を先送った。

 横島は、詠春に引き渡す前に何で自分で尋問しなかったのかと、後に後悔することになる。



















 この日を持って、京を中心にして起きた惨劇は終息した。
 天ヶ崎千草は、犬上小太郎を自分が操った被害者だと断じ、全て自分の罪であると言いきった。
 まだまだ子供と言ってもいい年齢であったこともあり、小太郎には同情的な視線が集まる。
 その身に流れる人外の血も、お人好しな詠春には逆に好意の対象となったようだ。
 千草の正式な処分は東西和睦が成った後と決められ、そしてその時に小太郎の正式な処分が決められる事になる。



 そして、横島は……


 今日はもう遅いからと、呪術協会に最後の宿泊。
 与えられた一室で、クドクドクドクド……と、きつ~い説教をシャークティから受けていた。 


 「ですから……き、いているの、です……か……ンい゛……っ」


 ギヂィ、グ、ググググゥゥ……

 乾いた肉のワレメに、無理矢理挿入されていく音。
 苦痛の混じった喘ぎは、すぐに淫靡なやり取りに変わって。


 「ら、らめぇ! ひぃあぁっっ!!」

 「なんだ、もういらないんか……」

 「ち、違います!」

 「んじゃ、なんだ?」

 「も、もっと、して……」

 「して? 何をして欲しいんだ?」

 「激しく、突いて……」

 「何処に、何をだ?」

 「わ、私の、おま●こに、アナタの熱くて硬いおち●ちんを……」

 「いい子だ、シャークティ。今日は寝かさん!」

 「あ、ああ、私は、なんてはしたないコトを……ですが……あっ!ひっ!いっ!」

 「いい反応するようになっちゃって。ほんと、可愛いッスよ、シャークティ……」

 「うあぁっ!ああっ!き、来ます!わ、私、もうっイクっ!イキます! イクイクイクイクイクぅううううーッッ!!」


 パシン!パシン! 激しく肉がぶつかり合う音が響く。
 横島はシャークティの尻をガッチリ掴み、彼女の熟れた肢体を思う存分突き上げた。
 シャークティは高々と嬌声を上げ、その声が屋敷中に反響するのも気にならない。
 魔法使いとしての責務も忘れ、ただ愛しい男との肉欲に溺れる。

 一度知るともう手放せない、愛と肉欲に溺れ続ける……





 横島とシスターの関係を知った詠春は、2人の関係をとても祝福したとか。


 あれだけモテなかった横島さんにも、ようやく春が来たのですね……と。




 
 







  


























 後書き

 キンクリさん「濡れ場スキップするよ!」 

 

 新章突入です。
 って、まったくのオリジナル展開。
 あれ?エヴァは……?



[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第2巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:84759a7e
Date: 2010/10/14 08:49



 それは、横島が京に行く、少し前の話……





 走る、走る、走る……

 息を切らせ、恐怖から目に涙を溜めて、走る。
 後ろは決して振り返らない。

 ナニかが、とても怖いナニかが、私を追いかけているから。
 ついさっきまでは、あんなに楽しかったのに……
 ネギと、最近仲良くなったハルナと千雨の4人で、あんなに楽しい時間を過ごしていたのに。

 こんなコトなら、ネギ君と一緒に帰れば良かった。
 そしたらこんな怖い目には遭わなかったのに……

 でも、後悔してももう遅い。
 今の彼女はただの憐れな獲物に過ぎない。


 「ひ……っ!?」


 背後から暗い影が全身を覆い、彼女は恐怖で体勢を崩した。
 走った勢いそのままに、咲き誇る一本の桜の木の根元に、ズサササッ! と倒れ込むように転んだ。
 すりむき、ヒリヒリ痛む肘や膝。
 でも、そんなの気にしている場合ではないと、少女は震える脚に力を込めて立ち上がろうとする。

 だけど、立ち上がれない。

 影が、彼女の目の前で、嗤ったから。


 「い、いやぁ────────っ!!」




 暗い影がまき絵を覆い、チクリとした痛みを首筋に感じたと同時に、彼女の意識は霧散した。












 ジュ……ジュルルルル……

 思う存分処女の生き血をすすり、満足そうに目を細める。


 「思った通り、中々の血中魔力じゃないか」


 暗い影の正体、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが楽しげに嗤う。


 「クックックッ……クハァーッハッハッハッハッハッー」

 「マスター、楽しそうですね」

 「ああ、分かるだろ? この娘を使って奴の息子を誘き出す。ようやく、ようやく私の身に架せられた呪いを解く事が出来るのだ!」

 「ネギ先生はまだ子供です。程々に……」

 「分かっているさ。だがな、茶々丸。死にさえしなけりゃ問題ない。後は横島忠夫が何とでもするだろう。そう、死にさえしなければ、な……」


 それは横島への信頼からか?
 それとも、彼に対する当て付けか。


 「でしたら、今の内に横島さんにお詫びの品を送らないといけませんね」

 「はぁ? そんな必要はない。これも協定の一つだ」


 本人が聞いたら、そんなコトまで含まれておらん!
 そう言うに決まってるだろうコトを、平然と言ってのける。

 でも、そんなエヴァに、茶々丸はちょっとだけ嬉しそうにこう言った。


 「どのような下着を身に着けていきましょう……、マスター、新しく可愛い下着……いえ、少し大人びた色気のあるのを作って下さい。今すぐ」

 「お、おい、聞いてるのか、茶々丸?」


 主の声をまったく聞かず、それどころかトンデモない発言をしだす茶々丸に、驚き目を大きく見開くエヴァ。


 「いえ、やはり定番はリボンを全身に巻いて、私がお詫びの品です。どうかご賞味下さい。こんな感じの方が良いでしょうか?」


 もしかして? ああ、もしかしてもしかして……


 「茶々丸、もしかしてお前?」

 「ああ、いけません! そう言えば明日から京へと出張なさると……マスター、やっぱり下着はゆっくりでいいです」

 「いや、だからな? お前と横島忠夫の関係なんだが……」

 「……? 言ってませんでしたか? 私はあの方の恋人……の一人です」


 言うなりポポっと頬を赤らめる。
 機械を越え、『人』となった証。
 その仕草は正に恋する乙女その物で。

 でも、エヴァはそんな茶々丸に納得出来ない。出来るはずがない。


 「ちょっと待て! 恋人と言う所もそうだがな、一人ってどういう意味だ、オイ!」

 「横島さんは私が知る限り、
 アスナさん、雪広あやかさん、村上夏美さん、那波千鶴さん、大河内アキラさん、
 宮崎のどかさん、綾瀬夕映さん、近衛木乃香さん、佐倉愛衣さん、明石裕奈さん。
 それにシスターシャークティとも大人のお付き合いをなされているようです。
 後は、最近のコトですが、和泉亜子さんも怪しいですね。
 あっ、つい先頃、春日美空さん、ココネ・ファティマ・ロザさんも落ちたようです。
 ついでに言いますと、アスナさんは私の初めてのお友達で、想い人でもあります」

 「なんだその数は……頭が、痛い……ってオイ! 神楽坂明日菜は女だろうが!!」

 「頭が痛い……風邪ですね。 早く帰りましょう。封印された状態のマスターは、ただの10才の少女のそれと変わりありませんから」

 「あ、ああ、そうだ、な。きっと疲れているのだ。最近、少し興奮気味であまり寝れてないからな……」

 「そうですね。お眠りになる前にお飲みになるのは、ホットココアとホットポー、どちらになさいますか?」

 「ホットポーで頼む。甘い蜂蜜たっぷりでな」

 「了解しました、マスター」


 やや疲れ気味のエヴァと、話題が横島から逸れた時から、無表情で淡々とする茶々丸。
 そんな2人がこの場を離れ家路に着くと、残されたのは死んだように眠るまき絵だけ。
 彼女の存在はキレイさっぱり忘れられ、翌日心配して捜し歩いた亜子に発見されるまで、桜の木の下で眠り続けた。
 春になったからとは言え、まだまだ寒い夜空の下で一晩中眠り続けた彼女は、だがしかし、風邪の一つもひかなかったとか何とか……

 ようするに、バカは風邪ひかない。



























  俺が為に鐘よ鳴れ  第2巻   親の心、このちゃん知らず




















 3年一学期の始業式。
 なのに教室には2人分の席が空いたまま。
 口角を吊り上げ、挑発的な目で自分を見ているエヴァンジェリンに、アスナは嫌な予感がしてたまらない。
 そして、それは息せき切って現れた亜子によって明らかになる。










 人気の無い保健室で、ネギが難しい顔して出て行くのを無言で見送るアスナ。
 その彼女の目の前には、まき絵が静かな寝息を立てていた。

 「あんのロリばばあ……っ!!」

 口汚く罵り、苛立たしげに床をダン!と蹴っ飛ばす。

 アレだけ私の血を啜っておいて、マダ足りないって言うのっ!

 しかもだ、ただ血を吸っただけでもないみたい。
 エヴァンジェリンは間違いなくまき絵に支配の魔術を仕掛けている。
 だけど未だ魔力を封じられている今のエヴァには、彼女を支配して操るなんて出来ないはずなのに。
 でもわざわざこんな仕掛けを施しているのだから、間違いなく『半吸血鬼』となり、エヴァの下僕として発病するのだろう。

 本当はスグにでも吸血鬼化を防ぐ為の治療をしなきゃ、なんだけど……


 「これも、協定違反になるのかしら」


 安易に行動出来やしない。
 下手に動いて難癖付けられるのはゴメンだ。
 だとしても、何らかの嫌がらせ位はしてやりたいけど……

 頬に手を当て、ふう……、と大げさなまでに大きな溜息。

 どうせネギの命は保障されるのだし、まき絵に対してもそう酷いコトはしないだろう。
 アスナは、それぐらいならエヴァンジェリンを信じていた。
 例え数日間と言えども、共に過ごした相手だ。
 エッチぃことされたりと、まあイヤな思いは沢山したが、非道に堕ちず、外道になり切れない甘さのあるヒトだとは解っている。


 「ま、こんな場所でウダウダしてても、どうにもならない、よね……」

  
 後は、ネギの頑張りに期待するしかない。
 敏いあの子のコトだから、まき絵が魔法関係のトラブルに巻き込まれたコトには気づいているはず。
 ハルナが傍に居る以上、桜通りの吸血鬼の噂も耳にしているだろうし。
 アスナはもう一度大きく溜息を吐くと、何も気づかなかった振りして教室へと戻った。

 成り行きを見守るコトしか出来ないってのは、ちょっとキツイわね……

 今の彼女はタダの傍観者。
 だけども、やれるコトはやっておこう。

 教室に戻るなり、最近修行して実力がみるみる上がっている長瀬楓に声をかけるアスナだった。

































 そして、時間は戻る。


 横島が京都へと出張した4日目の早朝。
 夜明け間もない時間、闇が白ずみ、段々と青くなっていく中、眩しそうに空を見上げる。
 眼の奥が押し潰されるような痛みに、僅かに顔を歪めるものの、どことなく満足気に微笑んだ。


 「太陽が黄色いぜ……!」


 横島にとって、一度は言ってみたかったセリフ。
 超絶古臭いモノではあるが、実年齢で考えてみたら爺さんも良いトコなんで、こんなものだろう。
 そんなコトよりも、鼻の穴をピスピスさせて得意げな顔……いわゆるドヤ顔してるのが凄くウザイ。

 眠気覚ましに「ううーん」と唸りながら大きく伸びをし、身体のコリをほぐす。
 そしてヘロヘロに成りながらも気丈に立つシャークティを抱きよせ、見送りに来ていた詠春に軽く手を上げた。


 「んじゃな」

 「ええ、また会いましょう、友よ」

 「……なに気取った言い方してんだか。サブイボ立ったわ」


 横島の口の悪さに、でもアハハと楽しそう笑う詠春。
 詠春にとって、横島は最も熱い時代を共に駆け抜けた友の一人。
 その友の変わらぬ姿と態度に、何だか自分まで若返った気さえした。
 横島も、詠春の言葉にボリボリ全身を掻きむしった後、少しだけ真面目な顔して、もう一度、


 「んじゃ、またな。詠春」


 『またな』

 そう言い加えて、うっすらと口元を緩めた。
 詠春が嬉しそうに頷くのを見て、横島は文珠を握り締める。

 イメージは……麻帆良学園都市、ダビデ広場前の教会内。


 「さー、帰ったら木乃香ちゃんの作った朝飯を、腹一杯食うでー!」


 最後に詠春に対し、これ以上ない位に挑発的な言動をして、転移した。
 後に残るのは、悔しそうにプルプル震える詠春と、彼の付き添いをしている関西呪術教会の巫女。


 「わ、私だって……娘の手料理が……食べたいというのに……あのバカは……っ」


 必死に宥める巫女さんの甲斐なく、数瞬後、関西呪術協会本部では、神鳴流の決戦奥義が雨霰と降り注いだとか何とか……
 
























 横島が麻帆良学園都市内にある教会へと転移を果たすと、シャークティは気が抜けたのか、フラ~っと長椅子にヘタった。
 昨夜の情事の激しさからか、寝不足の上に足腰に力が入らず、もう立つ事さえも覚束ない。


 「大丈夫ッスか?」

 「は、はい。大丈夫です」


 シャークティは、京都滞在中は浴衣か着物姿だったのだが、今はもう何時ものシスター服に戻っている。
 新鮮さの欠片もない姿ではあるが、何故か異常なまでにスカートの裾が短いこのシスター服。

 充分以上に横島の目を楽しませていた。

 ぐったりと長椅子に身体を横たえ、スラリと長く、エキゾチックな色合いの脚が惜しげもなくスカートから飛び出ている。
 疲れている所為だろう、呼吸は長くゆっくりで、シャークティの平均的な胸が、たゆんたゆん、と息を吸うたび小さく揺れていた。

 横島は、昨夜存分に触ったり、撫でたり、舐めたり、ピーを擦りつけたりしたものの、まだまだ満足なんかしていない。
 だから何気ない風を装いながら、ニョキッと飛び出ている彼女の太腿にスーッと手を伸ばした。
 だがシャークティは、そんな横島の手を抓って追い払うと、


 「学園長への報告は私がしておきます。お疲れ様でした」


 怜悧な魔法先生としての顔で、ピシャリと横島を拒否。
 内心は、これ以上されたら頭が可笑しくなっちゃう……なんて年に似合わず可愛い口調でオロオロしてたりするのだが。
 ついでに言えば体力的な限界でもある。
 関西呪術協会の総本山に宿泊した4夜、その全てで横島と身体を重ねたのだから、疲労困憊なのも仕方無い。

 ちなみに横島、気力・体力・精力、全て充実。
 朝からギンギン状態。

 何より、これを最後にしばらくシャークティとの機会は恵まれないだろう。
 アスナ達に比べ、シャークティとの大人同士のセックスは実に良いものだ。
 年齢を重ねて得る色気は実にタマラン。

 なもんだから、冷たく拒否……その実いっぱいいっぱいで涙目なシャークティの太腿に再び手を伸ばす。
 膝からジリジリと昇ってくる指に、ひ~~~っ!?っと悲鳴を上げたいのを堪えながら、大人な態度でもう一度抓ってやろうとするシャークティ。

 だけど、


 「シャークティ、身体が俺を欲しがってるっスよ」

 
 いやらしく笑う横島。

 女の本能なのか?
 それとも好きな男に求められているせいなのか?

 シャークティが僅かに身を捩るだけで、くちゅり、濡れた股間から淫音が聞こえる。

 それでも、そう! それでも!


 「欲しがってません! 早く帰りなさい!」 


 青筋立てて、更には魔力で編まれた十字架まで浮かび上がらせている彼女の剣幕に恐れ慄いた横島は、スタコラさっさと慌てて逃げた。
 後に残されたのは、本気で疲れ切った様子のシャークティただ一人。
 肩で息をしながら、「た、助かった……」と呟きながら思うのだ。

 あの人を真っ当な人間にするなんて、私には無理な試練なのでしょうか……?

 視線の先のマリア像が、ムリです。そうはっきり言ってる様な気がしてならないシャークティであった。






















 「ちぃっと調子に乗りすぎたか……」


 反省めいたコトを口にしながら、でも足取り軽く家路に着く横島。
 この四日間、あまりに思い通りにコトが運び、尚且つシャークティとの関係が上手くいってたんで油断した。
 好感度、あんま下がってないといいんだがな~、なんて軽くメタッた事を考える。

 ついでに、エヴァの件、上手くいってるといいんだが……と出来の良い弟的存在となりつつあるネギの心配をしながら、玄関のドアのノブに手を掛けると、


 「アンタが横島忠夫さんですかい? 旦那の帰りを今か今かと待ち侘びていましたぜ!」


 玄関の横、郵便ポストの前に、喋るオコジョが一匹。
 何だコリャ? 妖怪変化……か?
 それに、自分と同じ何かを持っている同属嫌悪に似た不快感。

 面倒事になる前に、祓っとくかな。

 サイキック・ソーサーを展開すると、ほいっとオコジョに向けて解き放つ。


 「みぎゃー!?」


 みっともなく泣き喚きながら、ギリギリの所でヒョイッとかわす。
 たった今までオコジョが居た場所が、ズガーン!っと土を巻き上げ爆発した。


 「イキナリなにするんスか、アンタはー!」


 サイキック・ソーサーの爆音と、オコジョの叫び声。
 アスナとネギは何だ何だと横島達が居る場所へ。


 「あっ! おかえりなさい横島さん」


 ネギの明るい声と、そして、


 「おかえり、忠夫!」


 嬉しそうなアスナの声。

 3~4日いないだけだったのに、何だろう?
 なんか、凄く久しぶりに帰ってきた気がする。


 「おう、ただいま、アスナ、おまけでネギ」

 「おまけって酷いですよ、横島さーん」


 シャークティとの情熱的な日々も悪くは無いが、やっぱり自宅でのんびりが一番だ。


 「あー!オレッチを忘れないでー!」


 バタンと閉まった扉の向こうから、何か聞こえてくるけれど、もう今の横島の関心が向くことは本当にないみたい。
 木乃香の作る朝食の匂いが鼻をくすぐり、お腹をグゥ~っと鳴らせ、ネギとアスナの微笑みを誘う。


 「横島さん、朝ごはん終わったら、少し相談したい事が……」

 「ん?いいぞー。でもまずは……あっさメシ! あっさメシ!」


 エヴァのコトだなと、割かし簡単に返事を返し、それよりも木乃香の作る朝ごはんの方が気になって仕方無い。
 写メで詠春の携帯に送って自慢したろう! なんて思っていたから。


 「何や何や、さわがしーなー……って横島さんや! おっかえりー」

 「ただいま、木乃香ちゃん」


 朗らかな笑みを見せてくれる木乃香を、パシャっと一枚。

 横島には、詠春の嬉しそうで、そして悔しそうな顔をしている様がありありと脳裏に描かれて。


 「何しとるん?」

 「可愛い木乃香ちゃんの姿を、永遠にしよう思うてな」

 「私はナシかい!」

 「えっと、ボクが撮りましょうか?」

 「んじゃ、皆一緒の所をとろな?」


 横島を中心に、右隣にアスナ、左隣に木乃香、そして膝の上にネギを乗せ、デジカメのタイマー機能を使ってパシャッと2枚目の写真。

 写しだされたその一枚。少し歪な感じがしないでもないが、間違いなく幸福を象徴とする家族の一枚であった。









 携帯メールではなく、PCの電子メールで送られたその一枚に、詠春は嬉しそうに目を細める。
 大きくなった木乃香とアスナ姫、そしてあのバカの息子のネギ。

 自分も歳を取るはずだと、懐かしそうに……

 もうしばらくしたら、この子達と会えるのだ。
 その時には無様な姿は見せられない。

 あのバカの盟友として、恥かしい姿など見せられる筈はない。
 詠春は久しぶりに木刀を手にすると、庭に出て軽く素振りをする。

 思っていた以上に鈍った身体。
 長としての仕事柄、仕方ない事では有るけれど。

 それでも、ビシュッ!ビシュッ!!

 空気を切り裂くその剣尖。
 決してそこ等の有象無象には成しえない鋭さを持っている。

 ネギが訪れた時には、ナギの話と、ついでに軽く稽古を付けてあげるのも良いだろう。
 そして木乃香にも……
 いつまでも自分たちが守って上げられる訳では無いのだ。
 裏を教え、これから歩む道先を考える切欠を与えよう。
 東西の和睦さえ成れば、もう目に見える危険はグッと減るのだ……

 これからは手元で育てるのも有りかもしれない。
 だが木乃香にも今の生活がある。
 大きく求める訳にはいかないか……
 でも、今までと違って、これからはちょくちょく顔をあわせることも楽になる。
 たくさん娘と会って、いっぱい話をし、いつか娘をかっさらう男が現れるその日まで、大事に大事に見守るのだ。

 優しい顔で、だが振り下ろす剣の鋭さは凄まじい。
 娘を掻っ攫う男に向けた明らかに殺気混じりの剣閃に、見ていた護衛は背筋を凍らせる。

 詠春は知らない。

 既に大事な娘はかっさらわれた後だって。


 朝食のあと、色々と汚れた身体を洗おうと、横島は脱衣場へと向かい……


 「ネギー、朝風呂入るぞー」

 「あ、僕はイイです。それよりお風呂から上がったら、キチンと相談にのって下さいね?」

 「ネギ君と入らないんだったら、ウチと一緒に入ろな?」

 「おー。木乃香ちゃーん、先に入ってるぞー」

 「あーい」 


 しかも、今まさに、艶やかに開発されてしまった肢体を、その開発した男の目に晒しているなどとは、思いもよらず。

 父の知らぬ間に、娘は好きな男を見つけてさっさと女になっているなんて……


 「あーん、ダメやって……えちぃコトは、夜にアスナと一緒に、や……っ……ぁ……」


 ツンと尖った乳首を摘まれて、感電したみたいに、ビクンと身体を跳ねさせる。
 しっとり濡れた唇を塞がれて、目はうっとり蕩けるような眼差し。

 ぱしゃっ、ぱしゃっ、ぱしゃっ……
 ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ……
 あん、あん、あん、あん、あん……

 湯船の中、飛び散る水飛沫と、盛んに上下する女の肢体に、狭い浴室に反響する喘ぎ声。


 「ふー、極楽、極楽」

 
 適度に熱い湯船と、火傷すんじゃないかって位に熱い女の胎内。そして耳をくすぐる美少女の甘い吐息。
 その全てがとっても心地良くって、思わず出ちゃう唸り声。
 こんな感じでいやらしく口元をにやけさせている横島に、娘を奪われているなんて本当にまったく思いもよらない。


 「そういや仕事先で詠春の世話になってな~」

 「ダメ、や……今は、そんなんよりも、ウチのコトだけを考えて……」

 「ったく、この親不孝モンの淫乱娘が……」

 「だれ、が……ウチをこんなん……し、たと思っとるん……んぁ……」


 しっかりと腰を掴むと、いよいよ横島の腰の動きは激しさを増していく。
 はちの字を描くように楕円を描き、それに合わせて木乃香が腰を上下する。
 長年連れ添った夫婦でも中々出来ない素晴らしい共同作業。
 2人の情欲と興奮は高まるばかりだ。


 「なんじゃ、気持ち良さそうな顔しちゃってからに。こんなエロ娘は、俺がしっかり管理せんといかんな!」

 「は、い……ウチの、ちっちゃくてエッチなおっぱいも、横島さんが欲しくてヒクヒクするお●んこも……ぁぁ……」

 「エッチなおっぱいとお●んこが何だって?」

 「あ、あぁん! う、うぁ……横島さんに、しっかり管理してもらわな、ウチぃ、ウチぃ……もう、生きて……いけへんもん……んぁ……」

 「いい子だ、木乃香! 褒美にワイのミルクをたっぷりくれてやる!!」

 「あ、あん、ウチの胎ん中に、たっぷりミルク注いで、ほ、ほし、ぃ、うぁん、は、はやくせぇへんと、ウチ、も、もうイッちゃう! あっ、ああ────────ッッ!!」
 

 ほぼ同時に、遠く京の空の下。

 詠春のまだ見ぬ(と思っている)にっくき男の幻想に向って振る剣もまた、まるで木乃香の絶頂の叫びに合わせる様に激しくなっていた。


 「娘と付き合いたいのでしたら、先ずは私を倒した後、交換日記から始めるんDEATHね!!」


 鬼気迫るその姿に、関西呪術協会の人々は、サムライマスター健在!っとの認識を新たにしていた。












 一方、横島家の外では……


 「オレッちのコトを忘れないでくだせぇー!」


 あやかが作った対オコジョ妖精の結界に阻まれ中に入れず、外から必死な声を上げるオコジョが一匹。
 主(?)である筈のネギにすら忘れ去られ、こんな筈じゃなかったと……
 ここに来てから盗んだ下着に包まり泣いた。


 「あら、一枚見当たらないと思いましたら、やっぱりアナタだったんですね……?」


 お泊まり用にと、横島宅に置いてあった下着。
 定期的に持ち帰り、洗濯していたあやかであったが、その中の一枚……特にお気に入りだった黒のシルクが見当たらない。
 もしやと思い来てみたら、エロオコジョの巣になってるではないか!

 あやかの殺気混じりの視線に、必死に言い訳するオコジョであったが……

 だがそれも、神通棍を鞭の様にしならせる女の攻撃により、「みぎゃー!」儚く散った。

















 「なんか外うっさいわねー」

 「あっ、カモ君のこと忘れ……」


 ネギは何かを言いかけたが、窓から見える金色夜叉のようなあやかを見て、


 「横島さん、早くお風呂から上がらないかなー」


 日和った。


































 後書き

 原作時間軸で言えば、ネギが家出する日にあたります。

 カモと横島ですか?

 横島が、自分以外の下着ドロを許すはずないと思うんだ……

 んで、次回はネギVSエヴァ

 横島の出番、まるでなしw




[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第3巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:84759a7e
Date: 2010/10/25 22:03


 風呂上りのフルーツ牛乳をゴクゴク飲みながら、色んな意味でのぼせた木乃香に膝枕。

 いつの間にか来ていたあやかの、木乃香のコトで批難する視線にタラリと冷や汗を流しつつ、誤魔化す目的混じりにネギの相談を真面目な顔して聞いてみた。
 あやかの手により外に吊るされているオコジョ妖精。
 彼の室内飼いは完全に反対されているので、それ以外の、恐らくはエヴァンジェリン絡みの相談事である。

 横島の予想どおりに、ネギの相談事はエヴァ絡み。
 手に汗握ったり、呆れたり。そんなネギのお話の始まりである。

















         俺が為に鐘よ鳴れ  第3巻  ネギと吸血鬼





  












 桜通りの吸血鬼。 

 最近、女子寮で流行っている噂だ。
 そして、今朝方気絶した状態で発見されたまき絵の首筋。
 鋭い2本の牙で噛んだ痕と、僅かに残る魔力の残滓。
 噂と被害者。その2つからネギは吸血鬼の仕業と判断し、桜通りの巡回をする事にした。
 自分の生徒の安全が脅かされている、と言うだけではない。
 昨夜、まき絵と最後に会ったのが、ネギだったのだ。

 あの時、もしも僕がキチンと彼女を寮まで送っていたのなら……
 
 元々責任感と自虐癖のあるネギのコトだ。
 そう思ってしまうのも仕方ないのかもしれない。

 ネギは学校でのあれこれが終わるなり急ぎ足で帰宅し、台所へと直行。
 吸血鬼対策として首筋に大量のニンニクペーストを塗りつけ、更にはテーブル用ガーリックパウダーをポケットに忍ばせ夜のパトロールへと出かけた。
 この時、チラリとアスナ達について来て貰おうかと考えたネギだったが、子供らしい正義感と意地の発露なんだろう。
 何より、ここ最近の修行の成果にも自信があった。
 ネギはおよそ戦闘狂(バトルフリークス)などというタイプではないが、父親がアレである。
 初めての実戦に身体がウズウズしているのかもしれない。
 だから結局は一人で出かけてしまった。

 アスナはそんなネギにホッとする反面、心配そうな視線で家を出るネギを見送る。
 もしもネギに助けを請われれば、ちょっと困った事になったから。
 エヴァンジェリンとの協定的に、アスナはネギの手助けが出来ない。
 もっとも、アスナはその代わりと言っては何だが、前もってネギに好意(恋愛的な意味ではない)を持っている楓に声を掛けてはいたのだが。


 「ネギ坊主は助けを必要としてないみたいでござるな」

 「そうみたいね」


 無駄足をさせてしまった楓に、アスナは両手を合わせて謝罪しながら、窓からネギの姿を追う。
 ネギは数回杖を振って身体を慣らすと、魔力で身体能力をアップ、そのまま勢いよく走り去った。


 「追いかけた方が良いでござるかな?」


 心配げなアスナを微笑ましく思っているのだろう。
 口元を笑みの形にほころばせ、糸目がちな目の片方を常になく大きく開けた。
 そんな楓にアスナは、コクンと頷く。


 「危なくなったら助けてやって……って、やっぱいいわ。見物してもいいけど、手出し無用ね」


 だけど、すぐに慌てて首を振った。


 「……いいのでござるか? 相手はエヴァ殿と茶々丸殿でござろう?」


 ネギに勝ち目は無い。
 楓は言外にそう言っている。
 だがアスナは面白そうにニヤリと笑った。
 見る人が見たらこう思うだろう。
 彼女の師の一人、美神令子の笑い方そっくりだと。


 「さあね。もしかしたら、もしかするかもよ?」


 封印状態のエヴァとネギ。
 正面から正々堂々と戦り合ったら、勝つのはネギだ。
 学園結界により力が封印されているエヴァは、ただの10才の少女と同じ。
 そんなエヴァでは、ネギと正面から戦ったら勝ち目は本当に薄いのだ。

 そう、正面から戦えば……の話である。

 エヴァには600年蓄積した戦闘経験がある。
 前準備をしっかりとしておけば、まだ戦い方が幼いネギを軽く捻るのも容易いこと。
 更には実力的に楓と同等に近い茶々丸までもが前衛としてついたなら、やはりネギに勝ち目は一切ないのだ。

 だけども、アスナは確信していた。
 エヴァは決して本気になんかならない。
 自らを最強の悪の魔法使いと位置づけている彼女。
 正々堂々かはともかく、真正面から挑み、土壇場になるまで茶々丸の介入は許さないだろう。

 ならば……勝つのは、ネギだ。

 茶々丸が出てきた瞬間に逆転される可能性が高いけど。
 でも、それもまたいい経験である。

 負けても、茶々丸がいれば酷いコトにはならないでしょうし。

 自分で呼んどいてなんだが、だから楓は手を出さないほうが良いだろう、とアスナは思う。

 だけどその楓にとって、ネギは好ましい存在だ。

 危険があるのなら助けてあげたいと思うし、エヴァや茶々丸との手合わせは、良い修行になる。
 楓は、3年になる前、図書館島での屈辱を忘れはしない。
 目の前のアスナの好い人であろう、横島忠夫への対抗心である。
 甲賀中忍である楓に悟らせずに現れ、そして消える……
 楓のお株を奪うその行為。忍者として自分がどれほど情けなく思ったか!
 あの日から楓は……いいや、楓だけでなく、一緒にその場にいた刹那や古菲も屈辱から修行に修行を重ね……

 確かに鍛えられた感覚と肉体。
 試すのにはいい相手だ。

 更にアスナやその後ろに居る横島忠夫への貸しにもなる。
 一石二鳥どころか三鳥だが、アスナの含みを持たせた発言に、興味が沸いてきた。


 「ふ、ふふふ……それは楽しみでござる」


 弱者が強者に挑む姿を見るのは、いずれ横島に挑戦する気満々の楓にとって、言い方は悪いがそれはとても興味深い見せ物になるだろう。
 楓は今し方ネギが出て行った玄関のドアノブに手をかけると、そのままガチャリと玄関のドアを開いた。


 「エヴァンジェリンと茶々丸さんには見つかっちゃダメよ?」

 「分かってるでござるよ。では……」


 片手をシュバっと上げて了解の意志をアスナに伝えると、次の瞬間には楓の姿は消えていた。


 「なかなか速いわね……こりゃ、私もうかうかしてらんないかなぁ」


 言いながら、アスナの口角は嬉しそうに釣り上がる。
 彼女の師は美神令子であり、その夫である西条輝彦であり、そして最もアスナに色濃く影響を与えた、バトルモンガーこと伊達雪之丞である。
 当然、雪之丞のバトルジャンキー的な何かをしっかりと受け継いだアスナ。
 アッチの世界にはレミや冥菜しか居なかった、同年代で同等以上の力を持つ相手。
 しかもレミや冥菜と違って、楓は同じ前衛だ。
 身体がウズウズしてくる。


 「雪じいちゃんが忠夫やピートさんに持ってた感情って、こんなんだったのかもしんないわね……」


 ライバルに成り得る存在。
 恋敵なら山程いるが、コト戦闘方面では初めてだ。
 ブルル、と身体が震えた。


 「あのさあ、雪じいちゃん。私ね、勘九郎倒せるようになるの、思ったよりも早いかもよ……?」


 抑え切れない闘気に震える身体を抱き締めて、視線は鋭く、いつまでも消えた楓の方を見つめるアスナだった。


























 一方その頃、ネギはと言うと……

 女子寮から見下ろせる桜並木。
 寮から学校へと続くその道を、ネギは父から譲られた杖を手に、ゆっくりと歩く。
 日は完全に落ち、空には大きな満月。
 ネギの正面から来るやや強めの風が、ザザアァっと桜の花を散らしていた。


 「フフ、待たせたか、ネギ・スプリングフィールド」


 頭の上から聞こえてくる声。
 目の前の電灯、その上で、黒いフードを被った少女が一人。
 いいや、少女ではない。
 その雰囲気、オゾマシイナニカ……

 僅かに、本当にほんの少しだけ身体が震えた。

 緊張なのか、武者震いなのか、それともやっぱり恐怖なのか……
 後ろへ大きく跳んで距離をとりながら、でも、ネギの口元は笑っていた。


 「まき絵さんを襲ったのは、アナタですか?」

 「ああ、そうさ。私は、悪い魔法使いだからな!」


 言いながら、黒いフードの少女は試験管とビーカーをネギに向って投げつける!


 「フリーゲランス エクサルマテイオー!! (氷結武装解除)」


 流暢に韻を踏んだ詠唱。
 あまりに速く、あまりに美しい発音に、思わずネギは聞き惚れてしまう。
 なにせ自分の理想の詠唱を聞いた。そんな気がしたから。
 だから今のネギなら簡単にかわせる筈のその攻撃を、正面から受け止めてしまうことになってしまう。
 試験管とビーカーから魔力が溢れ、爆発する寸前、ハッと我に返ったネギは、杖持つ左手とは逆の手、右手を突き出し魔法障壁を素早く張る。
 ややタイミング外れのその防御は、ネギの衣服の袖口を凍らせ粉砕。

 それを見た黒いフードの少女は、ナギの息子といえど、しょせんは10才のガキか……と鼻で笑った。

 口角が傲慢な程に釣り上がり、嘲る視線でネギを見下ろす。


 「これで、ようやく呪いを解ける……フフフ、ハハハハ……アハハハハ」

 「何の、ことですか……?」

 「さあな。キサマが勝ったら教えてやるよ」


 そうですか、では教えて貰います!

 声に出さず、ネギは黒いフードの少女にそう告げた。
 嘲り見下ろされる。実際にされると、思っていた以上に頭にくる。
 だけども、心ならずともこの状況に持ち込めたのは有利だと、ネギは勝利を確信した。

 修行の成果。ここで見せなきゃ何処で見せる!

 ネギに、もう震えはなかった。


 「その言葉、忘れないでくださいね?」


 ネギは静かに言いながら、身体を夜の暗闇に躍らせる。
 かざされた右手から縦横無尽に放たれる、魔法の矢の群れ。
 たかが小僧と侮っていた彼女を驚かせるには充分な密度!

 普段の修行の相手……

 例えば夏美かのどか辺りなら、瞬殺できる程の威力と圧力を持った魔法の矢。
 それでも、夕映とあやか、そしてアスナにはまったく通用しないし、万が一全弾命中しても間違いなく軽症で済みそうだ。

 その 『程度』 の攻撃である。

 吸血鬼なら死にはすまい……

 連弾・光の199矢。

 エヴァンジェリンを中心とした半円空間全てを覆い尽くす、絶対不可避の情け容赦ない攻撃が……
 あまりに想定外すぎてフードの奥で頬を引き攣らせた彼女に、ズガガガガガッッッ!!! 炸裂した!


























 っと拳を強く握り締めるネギ。
 気分が高揚してたのだろう、立ち上がって力強く語っていた。
 だが、ここでシュンと落ち込みを見せる。


 「どうした? って聞くまでもねーか」

 「はい……この後、あっさりと逆転されました」


 エヴァが相手なら仕方ない。
 そう思う横島だったが……




















 光の矢の着弾による爆発で、土埃が舞い、ネギの視界を遮る。
 ネギは今まで感じた事のない手応えに、勝利を確信した。
 もしも、この時横島が居ればこう言ったろう。

 それは敗北フラグだ!っと…… 

 事実、舞い上がった土埃が晴れた時、衣服の半分がズタズタに切り裂かれ怒りに震えるエヴァが居たから。
 怒りと屈辱で目が赤く充血し、その驚くほど白い肌が、切り裂かれた衣服の隙間から曝け出している。


 「やってくれたな……死ぬか、小僧……ッ!!」

 「ええっ!? き、君はウチのクラスのエヴァンジェリンさん!?」


 初めて感じる本気の殺意。
 エヴァが死を間近に感じた所為か、学園結界で封印されているはずの真祖の力が顔を出しているのだ。
 最強種族の一角と詠われる真祖の怒りに、ネギは恐怖し息を呑んだ。
 背筋がゾゾッと怖気、全身が総毛立つ。
 心なしか呼吸までも苦しく、今すぐこの場から逃げ出してしまいたい。

 その様子を遠くから見守っていた楓は、ネギを助けようと身を乗り出した。
 が、恐怖に震えているはずのネギの顔を見た瞬間、気を落ち着かせる。
 確かに恐怖に震え、身を小さくしているネギ。
 だが目だけは爛々と輝き、むしろこの状況を楽しんでいるみたいだ。


 「ふ、ふふふ……ネギ坊主もやるでござ、る……な……?」


 だがしかし、楓の安堵と感嘆を込めた呟きが最後まで発せられる前、主のピンチとばかりに飛び出した茶々丸の猛攻で、あっさりと捕縛されてしまうネギ。


 「茶々丸……空気、嫁……」


 エヴァの呆れたようなツッコミ。
 さあ、これから私の真の力を見せてやる!っといった所でコレだ。
 呆然としても仕方ないかもしれない。
 なにせエヴァ、まだネギに対して何の力も見せていないのだから。
 エヴァは茶々丸に何か一言言ってやろうと思ったが、

 まあいい。まずは、このバカげた呪いを解くのが先だ。


 「茶々丸、そのガキを私の下へと連れて来い」

 「はいマスター」

 「ズルイですよー! ここからが本番なんじゃなかったんですかあー!」


 ああ、私もそう思っていたよ……

 ネギの言葉に思わず頷きそうになるエヴァ。

 でもだ、でも……


 「申し訳ありません、ネギ先生。これもマスターの命令ですので」


 これは私の本意では、ない!


 「くっ! 流石は悪の魔法使いですね。ボクの認識もマダマダ甘かったようです」


 ネギは右手をポケットの中に突っ込むと、何やら取り出し……

 エヴァと茶々丸は、ネギのその行動に緊張し身構え、だけども次の瞬間、すぐに霧散した。
 白いハンカチを、しっかと握った拳でヒラヒラさせながら、


 「降参しま~す」


 止まる時間。
 だが次第にエヴァの身体がワナワナと震え……爆発した。


 「お前はそれでもナギの息子かーーーッッ!!」

 
 突如出てきた父の名前に、ピクリと眉を跳ねさせるネギ。
 だけどもスグに素知らぬ振りして状況を伺う。

 もちろん、ネギはこのまま血を吸われるつもりなんて無い。
 その為に戦闘中、常に自分の位置を確認しながら戦ってきたのだ。

 まだ沢山言いたいコトがあるのか、エヴァは青筋立てながらブツブツ呟き、それでもまずはと、ネギの胸倉を掴む。
 ネギの首筋を露出させ、少しでも恐怖を煽ってやろうと大きく口を開いて牙を剥き出しにする。


 「悪いが、死ぬまで吸わせてもらうぞ……!」


 月光に反射して、キラリと牙が光り、それを見せ付けながらネギに近づいたが、


 「……う? ……っ……ンン? き、さま、なんだこの臭いはぁーーっ!?」 
 

 気持ち悪そうに鼻を押さえて後ろに後退した。
 吸血鬼対策にと、首筋に塗りつけていたニンニクペーストの威力である。
 エヴァは吐き気がするのか、徐々に顔色を悪くし、そんな彼女を心配した茶々丸がネギを解放して駆けつけようとした、その時!

 自らを抑える力が減衰したと判断したネギは、そのまま茶々丸の手を振り払うと、ヒラヒラさせてた白いハンカチを放り捨てる。
 そしてハンカチと握られた拳で隠していたテーブル用ガーリックパウダーの蓋を瞬時に外し、気持ち悪そうにしていたエヴァの口の中に瓶ごと放り込んだ!

 それは、ネギの想定を超えた結果をもたらすことになる。

 咳き込み、苦しんでいたエヴァが、新鮮な空気を求めて大きく息を吸い込んだ瞬間だったのだ!

 食道と気管、そして肺。その全てにニンニクの粉末が入り込み、


 ブフォッ!!


 口といわず、鼻からもニンニクで出来た粉末を噴出しながら、エヴァは倒れた。



 勝った……!



 喜ぶネギと、がほがほ咽ながら、それでいてピクピク死後硬直のような痙攣をするエヴァ。
 白磁のような肌は青ざめ、筋肉が弛緩しお漏らししたのか、下着が盛大に濡れて大地を尿で潤す。
 流石の茶々丸も、エヴァの尋常でない様子に焦っていたのだろう。
 急いで主の下へと駆けつけた茶々丸は、勝ち誇るネギを無言で殴り飛ばし、エヴァを抱えて迷わず逃げた。

 時を同じくして、離れた場所からその様子を見ていた楓も、頬をピクッピクッと数回引き攣らせたあと、疲れたように寮の自分の部屋に帰る。
 
 残されたのは、策がなり、勝利した喜びが一瞬にして消え去ったネギだけ。

 殴られ、痛む頬を呆然とさすりながら思うのだ。

 なんだろう、勝ったはずなのにこの空しさ。
 やっぱり、どんな争いごとでも暴力はいけないんだね……

 初めての実戦で勝利(?)したにも関わらず、ネギの表情は曇ったままだった。




 そして、次の日のホームルーム。

 昨日と同じ、空いた席が2つ。
 でも、居ない人間は昨日とは違う。
 今日はエヴァンジェリンと茶々丸の2人だ。

 大丈夫かなぁ……と、エヴァにした仕打ちを後悔し始める。
 午後になってから登校した茶々丸にエヴァのコトを聞くと、やはり昨日のニンニクパウダーがよほど効いたのか、今は寝込んでるとだけ。

 次の日も、その次の日もエヴァは登校せず……

 受けたダメージから回復しきれず、そのまま風邪をひいてやっぱり寝込んでると茶々丸に聞いてしまったネギの罪悪感は最高潮に達した。


 悪いコトをしたのは彼女だ。
 でも、だからと言って、彼女を傷つけても良い訳ではなかった。
 何より、自分は彼女の担任の教師だというのに……  


















 「どうしたらいいんでしょう……」


 今にも泣き出しそうなネギを見ながら、何だろう? この複雑な気持ち。
 真っ白く、足跡一つなかった雪原を、汚く泥まみれの足で踏み荒らした気分と言ってもいいのか……

 ネギに美神流くさい戦い方を教えた奴は誰だ!って俺じゃん!?

 もしもアリカ辺りに知られたら、それだけで折檻されまくる気がしてならない横島は、ちょっとそれも好いかもなんて思いながら、ゴホンと軽く咳をして気を変えると、


 「そうだな、悪いと思ってんなら見舞いに行って謝ればいい。んで、ついでに生徒を襲った訳でも聞いて来い。勝ったのはお前だし、聞きたいことも教えてくれるだろう」


 横島らしからぬ、真面目な返答。

 そんな横島を胡散臭そうに見る、アスナとあやか。

 もしかして、コイツ偽者じゃない?
 いいえ、本物だと……信じたいですわ……

 アスナとあやかは視線を交差させ、素早くアイコンタクト。 

 だけども、これまたスグに気を取り直して、


 「でしたら私がお見舞いの品を用意しますわね」

 「す、すみません。ですが、お世話になる訳には……」

 「コイツんち金持ちだから、あんま気にしなくていいと思うわよ」

 「アスナさんの言い方はどうかと思いますが、ネギ先生、本当にお気になさらずに……」

 「……ありがとうございます、いいんちょさん」


 そうして、今スグにでもエヴァンジェリンの下へと行こうするネギ。
 だが、アスナが何かを思いついたように声をあげた。


 「あっ!」

 「どうしたんです、アスナさん」

 「念の為にさ、誰かについてって貰いなさい。ああ、私は用事があるから無理よ?」

 「すみません、ネギ先生。私もですわ……」

 「でしたらよこし……」

 「んー、出張で疲れたなー」


 わざとらしく伸びして、疲れたふりする横島。
 ネギはどうしようと困った様子を見せるが、と、その時、外で騒ぐ獣が一匹。


 「俺っちにお任せくだせぇー!」


 吊るされていたオコジョが、必死にそう訴える。

 だから。 そう! だから!!


 「横島の旦那ぁー! 兄貴は俺が守ってみせます! だからどうか俺っちをここに置いてくだせぇー!」


 下着泥棒2千枚の罪で手配され、逃亡。
 ここ麻帆良に来てからは、アスナ達の下着を盗み、そしてお風呂の覗き……
 次々に明かされるオコジョ妖精アルベール・カモミールの罪。
 横島のいない間に麻帆良に来たカモだったが、これらの罪により横島宅を追い出され、何とかこれの撤回を望んでいるのだ。


 「まずはネギの護衛とサポートをしっかりな。ここに住む件はその結果を見てからだ」

 「へい! ネギの兄貴は俺っちがきっちりサポートしやす!」


 不安だが、まあ一人ぼっちでエヴァのトコに行かせるよりはマシか。

 ネギの目でのお願いもあり、横島はそう思うコトにしたものの、自分のように屋根から吊るされて蓑虫状態のオコジョに、しっかり釘を刺すのは忘れない。

 だって、彼女達の下着をクンカクンカして良いのは俺だけだ!

 だから、

 「下着ドロなんてウラヤマし……もとい犯罪行為。これから先は一切許さんぞ?」

 「へい!」

 「もしも破ったら……」

 「や、破った、ら……?」

 「ワンダーホーゲルどもの一週間ものの下着の山ん中に放り込んじゃるわ!」


 いつの間にかアスナとあやかを両脇に引き寄せ、ネギに見つからぬように乳を揉む。
 更には膝の上にぐったりしてる木乃香の頭をのせて、美少女3人囲ったハーレム野郎。

 テメーに羨ましいなんざ言われたくネーよ!っと思ったものの、横島の発するあまりの鬼気に、冷や汗ダラダラ流しながら何度も頷くカモであった。

 





































 現在のネギ達の戦闘力順(-横島&アスナ)


 あやか≧夕映AF≧アキラ=ネギ>夏美≧のどかAF



 後書き

 霊能奇道美神横島流……なんて言葉が思い浮かんだw

 ネギパートは書くのが疲れる……

 でも書かないと図書館島の時の様な未記載ミスが出てくるんでそれも難しく……

 ちなみに、次もネギパートです。SPだけどな!





[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第4巻  エロ有り(TS注意!ネギSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:84759a7e
Date: 2010/11/16 23:12
 注! 微野菜注意報w


























 警戒を解かない茶々丸を間に置き、怒り狂うエヴァンジェリンを何とか宥めすかしての会談は、どうにかこうにか無事終了。

 そうは言っても、ネギの格好はボロボロだ。
 物を投げられ、爪でひっかかられる等々のおかげで、身体中に軽い打撲や引っ掻き傷ができて見るも無残。
 でも何とか訳も聞いたし、今後は一般人への吸血行為を自粛するとの言質も取れた。
 父のコトは聞けず仕舞いだったけど、彼女が横島以上の情報を持っているとも思えなかったので、その辺りを急ぐつもりはない。

 それよりも気になるのは……


 「ねぇカモ君」

 「なんすか兄貴?」

 「どうしたらいいのかな……?」


 登校地獄。

 父であるサウザンド・マスターがエヴァにかけた呪いを解いていいものなのか?
 そして、解くにはどうしたらいいのか? 

 カモが教えてくれたエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルと言う少女は、父に封印される15年前までは闇の世界でも恐れられる600万ドルの賞金首。

 そう簡単に呪いを解いていい相手ではない。
 むしろ永遠に封じてしまっても、誰からも文句は出ないだろう。
 いや、むしろ喜ばれる。

 でもだ、彼女はネギの生徒だ。
 そう思ってしまえば、15年間ひたすら中学生というのは同情してしまう。
 ちょこちょこ生徒から血を吸ってるみたいだが、学園長やタカミチ、そして横島が何も言わないのだから特に問題って訳でもないのだろうし。
 この辺は新参のネギがどうこう言える立場でもないし、何かしらのボーダーラインがあって、そこまでは許される範囲であると見るのが得策だ。
 実際、まき絵の健康状態も悪くはない。
 もちろん、あまりに行き過ぎる様なら、注意の一つはしなきゃだろうけど、自粛するとの言質もとれたし、まあ大丈夫だろうと思う。

 そして次に思うのは、呪いを解く方法だ。

 ネギが視た所、エヴァンジェリンを蝕む呪いは無茶苦茶だ。
 彼女も忌々しそうに言っていたが、適当な呪文をバカ魔力でカバーして無理矢理編んだ呪い。
 とてもじゃないが、普通のやり方では解けそうもない。
 一番良いのはかけた本人が解くか、その魔力を超えた力で強引に解呪するかのどちらかだろう。
 反則技として、呪いをかけた血筋の者……ネギの血をたっぷり使えば解ける可能性もあるのだろうが。
 いや、それにしたって、現在のネギの魔力じゃあ、死ぬまで血を吸い取らなければ解けないくさい。

 だからネギは、何とかしてあげたいのだけど、どうすればいいのかワカラナイのだ。 


 「せめて木乃香さんクラスの魔力がボクにあれば、どうにでもなるんだけど……」


 ネギの舎弟を気取るカモは、難しげに「うぅ~ん……」と唸る。
 カモが見る限り、ネギの魔力は強大だ。
 だけども、英雄サウザンド・マスターや、西の姫君近衛木乃香などと比べたら確かに見劣りする。
 そして今すぐネギをそのクラスにまで押し上げるのは……無理だ。


 「いや、ちょっと待てよ……」


 そう言うとカモは、どこからともなくタバコを取り出し火をつける。
 ぷはぁ~と一服し、心をクールにすると、頭をフル回転させて記憶の中から必要な何かを導き出した。

 それは、ここに来る前にちょこっとだけ調べた紅き翼の……


 「そう、横島忠夫だ」


 ハッと思い出したように出た名前、横島忠夫。
 現在ネギの保護者で、そして父の戦友……


 「横島さんがどうかしたの、カモくん?」

 「せいまじゅつッスよ、兄貴! 横島忠夫が女にのみ行使できる、異世界の魔力UP儀式魔術でさぁー!」 

 「聖、魔術……それって、どんな魔法なの?」

 「さあ、俺っちも知らんけど……横島の旦那に直接聞いたらどうスか?」


 興味はある。

 でも、本当にそんな魔法があるんだろうか?

 そう思ったネギだったが、そう言えばウチに来る人達、時折魔力量が微妙に上がっていたような気がする。

 気のせいだと思っていたけど、これって、もしかして……?


 「でもさ、僕は男なんだから、どっちにしてもムリっぽくない?」

 「そこなんスよねー。女になるマジックアイテムなんて聞いたことねーんだよなー」


 と、その時だ、ネギの記憶の片隅に、ピピッと来るものがあったのは。
 それは何気ない日常の一コマ。


 「……そういえば、横島さんが『女』って文字の入ったちっちゃな球に、凄い魔力を込めてたけど……」

 「これっすか?」

 「そう、それ……え?」


 カモが取り出した一つの珠。
 それには確かにあの日見た、『女』の一字が入っていた。
 ネギは大きく目を見開く。

 なんで、それが、ここに! 


 「こんなコトもあろうかと、黙って借りといたッスよ!
 それに文珠ッスよ、これ! 汚点とまで呼ばれる紅き翼の横島忠夫が、たった一つだけ魔法世界に誇れるマジックアイテム!
 関係者にのみに配られたってソイツは、今では一つ、数万ドルで取引されてるっちゅーお宝ですぜ!!」


 げへへ、とイヤらしい笑い方をするカモ。


 「だ、ダメだよカモ君! それじゃ泥棒……」

 「いやいや、違いますよぉ、兄貴~。これにゃー、ヤバイってくれーの魔力が込められてるんですぜ? こんな危険物、ほっとくワケにはいかないッスよ!」

 「でもっ!」

 「……兄貴、これもみんな兄貴の為なんすよ。こんなスゲー魔力が込められた一品、使えば間違いなく……」


 そう言うと、イヤらしい笑い方を止め、遠く空を見ながらタバコの煙をたっぷりと吸う。
 そしてフゥーっと白い煙を吐き出し、ネギの方を見ると、


 「安心してくだせぇ。全ての罪は俺っちにあります。兄貴はただ、それを使って魔力を上げてくれたら俺っちは満足っすよ」


 うさんくさ……もとい、優しげに笑ってみせた。


 「カモ君、君は……」


 うるると目を潤ませるネギ。


 「兄貴……」

 「カモ君……」


 2人(?)はヒシッと抱きあい、ネギはカモに勧められるまま『女』の一文字が入った文珠を……


 飲んだ。


 他の文珠を遥かに越えた力を持っているそれは、横島が特別に魔力を込めた一品。

 ネギの身体と心が女に変わり、魂さえもそれに引き摺られ。
 その全てが、文珠に込められた横島の願いのままに……


 なんでも言うこと聞いてくれる、美人で裸のねーちゃんに、メタモルフォーゼ!!


 「きゃあああああああああああ!!」
 

 少年とは思えない悲鳴を上げて、まっぱな身体を片手で隠しながら、箒にのって家までひとっ飛び。

 残されたカモは、


 「マジかよ……横島の旦那、アンタ一体何者なんだ……!」


 ちょっとしたお遊びのつもりだった。
 見かけさえ変われば、あのスケベで有名な横島忠夫に付け入る隙が出来ると、ただそれだけを考えて。
 例えば魔法薬を使えば、姿形は変わって見えても、実際の中身は変わらない。
 なのに、幻術ではなく、確かに女になっていた……!!

 

 妖精であり、立派なエロリスト、パンツマスター・カモには、分かる。

 まやかしでも、偽りでもなく、今のネギは、本物の、女だ!


 女になってナイスバディーを晒すネギに見惚れるより先に、呆然と、ただただ呆然とするカモであった。


 が、そうは問屋が降ろさない!

 背後から、ヌラァっと現れ出でた女……


 「なに、今の!?」


 アスナの声に、カモは走馬燈のごとく、これまでの人生……もといオコジョ生を振り返るのだった。
















  俺が為に鐘よ鳴れ  第4巻  ネギSPイベント①














 ネギがエヴァのお見舞いに行ってすぐ、アスナ達もスグに出かけてしまった。
 協定的な意味で、エヴァんトコに行きたくないだけかと思ってたのに。
 アスナも、あやかも、そして横島との行為でへろへろになってた木乃香まで。

 あやかと木乃香は部活で、アスナは……


 「ちょっとね、身体がウズウズうずいちゃって」


 んじゃ、ワイとしっぽりー!

 なんて言おうすると、すぐさま、


 「先に言っとくけど、そういう意味じゃないわよ?」


 凄みのある声で言い、ビシッ!っと拳を突き出すと、どことなく死んだ雪之丞を思わせる笑い方をする。

 こりゃ、あんま触れない方が身のためだな。
 だから横島は、「んじゃ、俺は寝てるわ」と言いながら、手をフラフラ振って自分の部屋に戻った。

 適当に服を脱ぎ捨て、ふかふかな布団に包まって目蓋を閉じる。
 昨夜から今朝方まで続いたシャークティとの情事と、ついさっき浴室で燃えた木乃香とのエッチ。
 疲労が溜まり、身体が睡眠を欲しているのが良く分かる。
 うつらうつらとしていると、そ~っと扉を開けて家を出る気配が3つ。
 アスナ達だな、そう思いながら、意識を閉じていった。  

 そして20年前の夢を見る。

 懐かしく、くやしい思いをしたあの頃の夢。
 しょせん俺はヒーローじゃなく、道化に過ぎないと心底思わされたあの頃の夢。
 御伽噺のように、ナギがアリカ姫を助けて笑っている光景。

 俺には出来なかった。

 助けるどころか、助けられてばかりの俺には……
 最後は、いつも、ルシオラとイオの最期……

 ナギには出来て、俺には出来ない。

 男として、俺はお前に……

 くやしくて、情けなくて、でも、ホッとして、嬉しく思えた2人の結ばれて幸せそうな姿。

 時系列も内容も、なにもかもがぐちゃぐちゃな夢の中で、それでも懐かしさと郷愁に心地好さを感じる。


 そう夢に浸っていると、ガチャっ、玄関のドアが開き、すぐさまバタン!と閉まる。
 誰かが家の中に入って来る気配を感じて、意識が覚醒しだした。
 浅い眠りの中、意識を伸ばして気配を探ると、知ってるような、知らないような?

 ネギ……?

 いや、ネギにしてはちょっとオカシイ気がする。

 歩幅、体重、息遣い……

 どれをとってもネギにしては大きい。



 エヴァに何かされたか?

 苦笑いしながら、再び夢の続きを見ようと意識を閉じる。
 なのに、ごそごそごそ……煩くてかなわない。
 次第に物音は部屋の外から中へと移り、しまいには横島の身体を揺すり始める。
 横島は煩わしげに揺する手を払った。
 パシッ! と乾いた音を響かせ、だけども横島は、はて……?っと寝ぼけた頭で疑問に思う。

 知らない手の感触だ。しかも、おんな……?

 寝ぼけ眼をうっすらと開け、目に映るぼんやりとした人のシルエットに目を凝らす。

 一瞬、ドキっと胸が高鳴った。

 腰まで届く鮮やかな赤い髪が、横島の目に飛び込んだから。


 「み、美神さんっ!?」


 ガバッと布団を押しのけ、勢いよく上半身を起こすと、急ぎ目を擦ってもう一度良く視る。

 いるはずない。いるわけがない。
 何より今の彼女の赤い髪は、年のせいで白い物が多く混じり……
 ってここまで考えて、背筋が恐怖でゾクッとした!

 思わず目の前の赤い髪の女を放っておいて、左右に顔をふって安全を確かめてしまう横島。
 アノ人がここに居ないことを確認しながら、だったらやっぱり目の前の女は美神さんじゃねーなと、少しだけ残念な胸の内を隠しながら、ゆっくりとした動作で顔を見た。
 
 彼女は、確かに美神さんじゃなかった。
 でも横島の目は驚きに大きく見開く。
 今見た夢の登場人物、アリカ・アナルキア・エンテオフュシア。

 美神さんとは違った意味で、こんな場所に居るはずのない人!

 横島は、もう一度ゴシゴシと目を擦り、よーく見てみると、違う。
 金の髪は赤に。勝気に釣り上がった目は、垂れ下がってどこかしら柔らかく。
 本人と言うよりは、アリカの妹か、それとも娘……?

 年の頃は18才前後。

 紅き翼と別れてスグにこさえて産んだ子なら計算に合う……かもしれない。
 2人の子はネギだけだと聞いていたが、女の子だからと俺に隠していやがったのか?

 そう考えながら、視線を顔から下へと下げていく。

 ……なんでか知らんが真っ裸。

 出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいるナイスバディーの横島好み。

 そこで、はたと気づいた!
 ベッドの枕元、そこにある引き出しに手を伸ばし、文珠を捜す。
 『女』の一文字が入った特別製の奴を!

 もしかして! もしかして! もしかして!!
 ない、ない、ない、ない、な~い!
 手探りでいくら探しても、ない!!


 そうか……そういうことか……
 ついに俺は! なんでも言うこと聞いてくれる美人で裸のねーちゃんを造り出すことに成功したのだ!!
 そう、俺はまた一つ、文珠の可能性を広げたのだ!
 全ての不可能……出来ないことなどない男に成るための第一歩を、遂に! 遂に!!


 横島は内心のワクワクを隠すことなく、垂れ目アリカ(仮称)の腰に手を伸ばし、抱き寄せた。


 「え、えと……その、女があーで、性魔術を、その、なんて言えば……」


 垂れ目アリカは、目にたっぷり涙を溜めながら、わたわたとする。

 横島はピーンっときた!

 顔がアリカに似ているのは、ちょうど夢でみたせい。
 性魔術は文珠で創られた命を維持する為に、俺の精力を欲しているのだと! 

 ちなみに横島。

 寝起きで混乱してるのか、ここまでの間の矛盾点にはいっさい気づきはしない。

 それはともかく、横島は素早く体勢を入れ替えると、自分が垂れ目アリカの上となった。
 その瞬間、僅か0.002秒の間に、着ていたランニングシャツと柄パンを脱ぎ捨て臨戦状態へと持ち込むのだ。

 そこで気づく。

 名前だ。


 「なあ、名前は……?」


 付けてやるのもいいだろう。
 だが、先ずは彼女に聞いてみるのが先決だ。


 「え? ネ……じゃなくてですね、えと……ネカネ! ネカネです!」

 「ネカネか。んじゃネカネ、性魔術がしやすい様に、足を広げるんだ」

 「あ、はい!」


 元気に返事をする『ネカネ』
 もちろんのことだが、『ネカネ』は『ネギ』である。
 外見は18才前後の美少女であっても、中身は性的知識の欠片もない10才に満たない少年だ。
 だから惑う事無く横島の言に従い、足を開いて股間を剥き出しにした。
 それでもやっぱり恥かしいのか、ほんのりホッペを赤く染めて……


 「これで……いいんでしょうか……?」


 晒される一本の縦スジ。
 横島はそのスジを指で数回なぞると、じんわりヌメッた愛液が滲み出す。


 「あうっ!? ひっ、イ、ンン、あ……な、なんです、か……これ……!?」


 初めての性的快感に戸惑うネカネ。
 横島もあまりに感じ易い彼女に、ちょっと驚いた。
 ちょっと撫でただけで、指はベトベトでヌトヌトだ。
 とうぜん、これもまた文珠の力である。

 女の字にこめられた、横島の切なる願い……

 なんでも言うこと聞いてくれる、美人で裸のねーちゃんには、当然エッチな想いがたーっぷりとこめられて。
 だからネギは、身体は茶々丸並みに感度が高かった。


 「あっ、だ、ダメ!? なんか出ちゃうっ!!」


 絶頂感に恐怖し、激しく首を左右して何かに抵抗しようとするネカネ(ネギ)。
 でも決してその大元になってる横島を拒否しようとか、彼に言われて開いた足を閉じようとしない。
 何故なら横島の言う事ならば何でも言う事聞いてしまう、都合の好い女になってしまったのだから!
 文珠に込められた恐るべし横島の怨念……とでも言うべきか?
 ここまできたら、間違いなく呪いのアイテムである。


 「ああああ、や、やぁあああああああああっっっ!!!」


 ぴゅっ、ぴゅぴゅぴゅぴゅっ

 絶頂し、間欠泉の如く愛液の潮を噴出すネカネ(ネギ)。
 切なそうな息を吐き出しながら、ブルルっと何度も身体を痙攣させた。


 「な、なんで、すか……今の、は……」

 「今のはな、イクってんだ」

 「イク……ですか?」

 「そう、だからこれからは、今みたいな感じがしたら、きちんとイクって言わなきゃダメだぞ?」

 「は、はい、わかりました……」

 「んじゃ、キチンと出きるかどうか、練習してみっか!」


 横島は慈父の如き顔でそう言い切ると、絶頂感冷め止まないネカネ(ネギ)のアソコを再び指で弄くり始めた。




















 「あ、あああ、そんなに指を動かされたら、スグにまたイクしますよっ!!」

 「そういう場合は、イッちゃいます、だな」

 「い、イッちゃいます!! うあああああああ!?」


 絶叫すると同時に、ネカネ(ネギ)は腰の奥がさっき以上に熱くなり、


 「イクッ、イッちゃうぅーっ!!」


 身体がフワッと空に浮かんだ気がした。
 ネギ(ネカネ)は意識が朦朧とするなか、嬉しそうに女になった自分の身体の上にのってくる横島を、どこか他人事のように見ていた。
 股間から伸びるピーは、ネギの知るソレよりも遥かに大きく、硬く、天を突いており、どうしてそんなになっているのか不思議でならない。

 もしかして、アレが聖魔術のキーなのかな?

 ボンヤリしながらそんな事を考えていると、ネギの大きく膨らんでしまった胸を、横島の大きな手がむにゅむにゅと揉みしだき、形を変えさせ弄び始めた。

 
 「ネカネ、そろそろ本番いくけど大丈夫か?」


 ネカネ……お姉ちゃん?
 あ、そうだ、ボクのことだ……

 ネギはすぐに自分がネカネと名乗ったことを思い出すと、聖魔術のことだなと、大きく頷いて見せた。


 「んじゃ、もっと大きく足を開いて、腰を突き出せ」


 ふんふん鼻息荒い横島の、ちょっと乱暴な言い方。
 でもネギは、反感なんて一切湧かず、それどころか彼の言う事なら何でも頷いてしまいそう。
 少しだけそのことに違和感を感じたけど、その違和感がすぐに薄れていく。
 それはネギが飲んでしまった文珠の効果だったけど、そんなのネギが分かるはずも無く。
 急速に横島にとっての都合がイイ女になりつつあるネギは、むしろ悦んで股を開いて見せた。
 羞恥心の欠片もない行動だったが、横島もその辺は教育次第だと、これから先の調教に胸が踊る。
 ネギの股間からコンコンと湧き出るエッチでネトネトした液体を、自らのMyサンに塗りこむと、


 「照準セェーット!」


 肉棒の先端をネギの女陰の入り口に合わせ、くちゅりと音を立てる。


 「あ、はぁ、んぅっ……って何でそんなトコに……!? あ、ああ……ひっ、お、大きいのが、ボクの中に……イィ……んくぅっ」


 性知識が無い故に、驚き大きく目を見開くネギの膣内に、ぐちゅっ、先っぽがヌメリ込む瞬間、横島の背に、言い知れぬ悪寒が走った。

 またあの間違いを犯すつもりなのか!

 心の中のもう一人の彼が、彼自身にそう訴える。

 脳裏に鮮やかに蘇る、アノ光景……
 神殺しセリカとイタシテしまったアノ光景だ!

 ま、まさか……な……そんな訳ねーよな……?

 先っちょが胎内に入り込み、苦しそうに、だけども切なそうに潤んだ瞳で見つめてくるネギと目が合う。

 大丈夫だ。どこから見ても、女だ女!

 僅かな不安を振り払い、更に腰を前へと進める。


 「んっ、ぎぃ、いい……あああ、あん! だ、ダメ! それ以上進んだら、ボクがボクじゃ、なくなる……気がする……あ、うぁんっ!」」


 嫌がる彼女の両腕を押さえつけ、挿入された先端を、入り口付近でグネグネ蠢かせる。


 「ら、らめぇなのにぃ……やぁぁ……っ、き、きもち、いいよぉ……んんんっ……」


 弾けるような快感の波に、彼女の腰が大きく揺れた。
 彼女の女としての生殖本能が脳髄を痺れさせ、ネギという少年ではなく、ネカネという偽りの少女が本当になっていくのだ。

 文珠の洗脳が思春期前の少年を消し去り、牝となってしまった彼女は、舌を突き出し彼を、横島忠夫を求めた。

 突き出された舌先が、ぴちゃ……横島の舌先と軽く触れ合う。

 ぴちゅ、くちゅ、くちゅ……段々とその行為は大胆になっていき、触れ合うだけでなく、絡め合い、互いの唾液を啜りあい、そして唇の中へと導きあう。


 「んむ、ん……ちゅ、ぢゅる、ちゅぱっ……キス、イイ……ん、ぢゅう……ぢゅ……っ」


 唇と唇の間から、唾液が絡み合う音が響き、彼女の瞳が甘く蕩けてくる。
 次第に先端だけが挿入された性器からも、くちゅくちゅ淫音が響きだし、

「ああ、もうダメです! もっと奥に挿入(いれ)てください!」

 両足を横島の腰に絡ませ、ガッチリと身体を固定させた。
 横島はそろそろイクかと、やたらキツイ膣内(なか)を無理矢理割り開きながら押し進み、処女膜手前で一旦停止する。
 そして気合を入れて、イザ!っと腰に力を入れた瞬間、ゴンッッ!! 頭に激しい衝撃が襲い、横島の意識が遠のいた。

















 「ま、間に合った……」


 ハァハァと激しい息切れを起こしながら、心底安堵の表情を浮かべるアスナ。
 横島を殴り倒した際についた血を適当にピッピッと振り払う。
 そうしてネギ(?)の身体に圧し掛かって気絶する横島の腰を掴み、僅かに挿入されている肉棒を慎重に引き抜いた。


 「あ、あぁんっ」


 ズルリと抜け落ちる衝撃に、妖艶な喘ぎ声をあげるネギ。
 あまりにも色気ある声に、アスナは背筋がゾゾッとする。
 学校の前で不審な行動をしていたエロオコジョを締め上げ、急いで家に帰ってきたが、ここまで女になっているとは思わなかった。

 流石は横島の煩悩霊力を溜め込んだ文珠なだけはある。

 上気した頬と潤んだ瞳で、心配そうに横島を見つめるその姿。
 どこから見ても、恋する乙女が愛する男を心配する様だ。


 「なにするんですかっ、アスナさん! ああ、横島さん、大丈夫ですか! 死なないでぇっ!!」


 ああ、ダメだ、この子。文珠の力で完全にイッちゃってる……

 アスナは痛そうに額を押さえながら、ふるふると首を横に振った。

 オコジョから聞くだけは聞いていた。
 ネギがなんで性魔術を欲していたか。
 それはエヴァンジェリンの呪いを解くためだ。
 だからと言って、ここまで女にならんくても……

 アスナはいつも持ち歩いている切り札……その中でもスペシャルである文字が無記入の文珠を取り出すと、『消』の字を刻む。

 そして、抗議の視線をむけるネギの頭に、バンっと叩き付ける。 
 

 「へぶっ!?」


 イメージは、ここ数時間の記憶の消去。
 続いて再び『消』の字の文珠を使い、『女』の文珠の効果を打ち消した。
 17~8才の美少女だったネギの姿は、あっという間に元の少年の姿に戻る。

 そう、横島と、ネギ。2人裸で重なり合って……

 と、その時だ。

 必死の形相だったアスナを見かけ、面白そう……もとい心配して追いかけたとある人物が部屋に入って来たのは。


 「アスナ~、何があった、の、よ……ウハッ! キタ! 横島さん×ネギ君とか何て私得なシチュエーション!?
 す、スケッチしないと……って違う! デジカメで撮影が先!! ああ、なにコレ! 胸が高鳴るぅぅぅぅぅぅ~!!!」


 パシャパシャパシャッ!!

 ハルナの眼鏡がキュピーンと光り、同時に激しいストロボのフラッシュ。
 レンズの先は、そそり立つ横島の肉棒と、それに押し潰されるネギのちっちゃいナニがある股間。

 その状態は、腐女子言語で言う所の、兜合わせというやつである!

 鼻息荒く、むしろ鼻血が出んばかりに興奮しまくるハルナの、


 「腐腐腐腐腐……」


 妖しくオゾマシイ嗤いに、アスナは……


 「へむろっ!?」


 迷わず背後から蹴りを入れ、ハルナが気絶した所でネギの部屋に放り込み、続いて裸のネギも放り込んだ。
 後に残されたのは、相変わらずナニを雄々しくさせている横島一人。


 アスナはボンッ! と顔を真っ赤にし、


 「えっと、このままにしといたら可哀想よね?」


 目をきょろきょろ忙しなくさせながら、ひくつく怒張に指を這わせる。
 ドクッ!ドクッ! 指に伝わる蒸れた熱気に、アスナの心も熱く淫らに堕していく。


 「朝はこのかとしたんだから、私だって……」


 スカートを捲り、端を口で咥え、下着を横にずらして、陶器のようにツルツルとしたワレメを剥き出しにする。
 そして、続けざまに指を添えて割り開くと、もう興奮しているのかトロリと蜜が垂れてくる。


 「もう我慢できないよぉ……」


 ゾクッとするほど艶のある声で言いながら、ネギの愛液でネトネトする怒張に合わせ、腰を沈めた。

 ぬぷぅ……ぐち、ぬちゅぅ……

 一見未成熟、その実かなり熟成されている膣に、硬く大きい男根を押入れていくのだ。


 「ふ、ふふふ……男の娘とするよりは、私とシタ方がいい、んだからっ!」


 ついさっきまで楓とトンでもバトルをしていたアスナ。
 戦いの興奮に火照った身体は、ある意味発情していたのと何ら変わりはなく。


 「は、あ、あ、い、いいよ……忠夫ぉ、すきぃ……」


 数瞬後にはもうネギとハルナのことなんて忘却の彼方に、横島の上で淫らに踊り狂う。

 ただ、この時のアスナは気づかなかった。

 横島の渾身の霊力が篭った文珠の威力を……
 『アレ』を、同じ文珠だとはいえ、たった一つで完全に効果を消し去るなんて不可能なんだと……
 今もアノ効力は、ネギの精神と肉体の奥深くに、静かに眠っているだけなのだと……


 なんでも言うこと聞いてくれる、美人で裸のねーちゃん。


 この呪いにも似たナニかが、静かに、静かに、ネギの中でたゆたっている。







 まあ、それはともかく……

 早々に気絶から覚めたハルナが、裸のネギを見て、ナニもしないワケがない!


 「今のうち、今のうち……っとぉ!」


 気絶したままの裸のネギに色々とポーズをさせて、スケッチブックに物凄い勢いで書き込むハルナだった。































 後書き

 段階的に言うなら、
 1で偽ネカネ変身でギリギリセーフ。2できつねぎ♀バージョンでアナル処女喪失。3できつねぎ♀バージョンで処女喪失か?

 あと、ネギとエヴァのやりとり、面倒だから詳しく書かないでいいよね?

 ついでに報告。

 ノクターンの方で投稿させて頂いている旧作 ヨコアス!が完了しました。

 よろしかったらこちらの方もご覧下さい。




[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第5巻  微エロ百合有り(アスナ&木乃香)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:84759a7e
Date: 2010/11/23 23:15

 ネギの血を少しと、茶々丸が用意しておいた薬のおかげだろう。
 熱も大分下がって身体が楽になったエヴァンジェリンは、つまらなそうに天井を見上げ、つい先ほどまで居たネギとの会話を思い出す。
 性格は父親に似ず温厚で真面目で誠実で、とてもじゃないが、先のガーリックパウダーを使った責めなど考え付く玉じゃない。

 だとしたら、やはり……!

 ギリリッ! っと歯が軋む音が響く。

 あんな戦い方を坊やに教えたのは横島忠夫だ!

 ネギを鍛えるのが協定違反だとは思わん。
 吸血鬼対策を教えるなとも言わん。

 でもだ、だからと言ってアレはないだろうがっ!!

 歯を噛み締め過ぎて、口一杯に広がる血の味は屈辱の味。
 10才にもならないガキの所業でお漏らししたなどと、600年の生において最大の屈辱である。

 おのれ! おのれ横島忠夫!! とこうなるのが当然なほどに。

 だけどもエヴァンジェリン、怒りや屈辱はこれ以上ないほど感じてはいても、暴発するほど我を失くしてはいなかった。

 視線を天井からチラリとずらす。


 「どうしました、マスター? のどが渇きましたか? 蜂蜜水とレモン水、どちらにしましょうか」

 「ああ、別にのどが渇いたわけじゃない。だが、そうだな。蜂蜜水もいいが、ここはホットワインを頼むよ」

 「では卵と蜂蜜に砂糖をたっぷりで用意します。少しお待ちを……」


 読んでいた本にしおりを挟みパタンと閉じ、椅子から立ち上がる。
 優雅な動作でペコリと一礼すると、台所に行く為に階段を降りて行った。
 エヴァンジェリンは茶々丸を目で追いかけ、視界から完全に消え去ると優しく目を細めるのだ。


 「随分と人間らしくなったじゃないか。これも横島のおかげ……なのだろうな」


 茶々丸のことがある。

 だから頭に血を上らせず、冷静に考えを巡らせる。
 自分をあんな目に合わせたネギには、まだまだ足りはしないが、先ほど仕返しをしたからこれで良しとする。
 それに今度の計画の先では、充分以上にその借りを返すつもりだし。
 だからあの坊やに対してはもういい。

 問題は、横島忠夫だ!

 常のエヴァンジェリンの思考だったなら、自らを縛る封印が解けた後にぶちのめしに行くだろう。
 それだけのコトをされたし、またその資格もあると彼女は思っている。
 だが、茶々丸に恋心なんて厄介な物を芽生えさせ、人間に近づけたのは横島だ。


 「フン! まったくもって忌々しい限りだな……」


 エヴァンジェリンは悪態を吐きながら、疲れたように目蓋を閉じた。
 協定があり、直接に手は出せない。
 だけどもだ、明後日の夜に実行される最終作戦のついでで一当てしてみるのもいいかと、そう思う。
 簡単に言えば、嫌がらせである。


 「坊やへの試し当てに使うつもりだったんだがな。まあ、いいさ」


 佐々木まき絵を使い、彼女の周囲の人物を下僕へと堕し、あのエロガッパへの刺客とする。
 もちろん、その程度で如何こうできる相手ではないと分かっていた。
 後で文句を言われそうなこともだ。もっとも、言い訳なんて如何にでもなる。
 例えば、ニンニク責めにしてくれた報復だとでも言えばいいのだ。

 灰色ギリギリでも、悪の魔法使い的に見たら、とても優しいやり方なのではないか……?


 「クッ……ハハハハハ……」


 堪えきれないように、エヴァンジェリンは楽しげに笑った。


 「マスター、お元気になられたのですね?」


 暖かい湯気が出ているホットワインの入ったカップを載せたお盆を持った茶々丸が、階段を昇りながら声をかけた。


 「ああ、薬が効いてきた。それを飲んだら、もう一眠りするよ」


 笑いを止め、優しくそう言う彼女の声には、何故だかとても母性が溢れているみたい。
 茶々丸もまた、どことなく嬉しそうに、「はい、マスター。明日は一緒に登校できそうですね」と笑みを返した。


 

  

  
















    俺が為に鐘よ鳴れ  第5巻  ネギとハルナと仮契約と



















 「う、うう……酷いですよ、ハルナさん……」


 ネギは膝を抱えるようにして丸くなりながら、さめざめと泣く。

 だって、もうワケがワカラナイ。

 エヴァンジェリン宅にカモと一緒に行ったのは覚えている。
 そこでボコボコにされながら彼女の話を聞いたのも覚えていた。
 だけど、そこから先の記憶が無いのだ。
 それに目を覚ました時の状況……

 裸で大股開きになりながら、ハルナに大事な部分をスケッチされる。

 泣いても許されるはずだと、ネギは心底そう思う。


 「私としたことが、好奇心と煩悩に負けてついフラフラと……ってことでさ、わるかったって。だからゴメンね~、ネギく~ん」

 「反省してる風には見えませんよっ!」

 「アハハ~」


 ネギに悪いことしたなんて、絶対に思ってないだろうハルナに、ジトッとした目で睨みつけるネギ。
 少年は、ここに来てから随分と強くなった。
 少なくても、ここに来る前ならハルナの言葉を真に受けて、謝罪を素直に受け取ってたはずだ。

 でも今のネギは違う。

 もっとも同じ時間を過ごした相手だということもあるけれど、やっぱり横島の影響なのか、そう簡単には納得しない。
 更なる追求をしようと口を開きかけたその時、ハルナが先制の言葉を発した。

 彼女とて、この学園都市内で伊達にネギと一番長い時間を過ごしている訳じゃあないのだ!


 「んじゃさ、お詫びに私のも……見る?」


 ネギの正面に腰を掛け、スカートの端を持ってチラリとたくし上げる。
 わずかに覗く股間のデルタな布を強調するように膝を立て、少しづつ股を開いていった。
 ネギの子供おにんにんをスケッチして興奮でもしていたのか。
 完全にあらわになった下着の股間の盛り上がりの部分は、ワレメの形に濡れて黒ずんでいる。
 それにうっすら見える密林の黒が合わさり、性的知識がまるでないはずのネギをドキドキさせた。 


 「わぁっ!? な、なにをしてるんですか!」


 驚いたネギは、目を両手で覆い隠し、必死に見ていないとアピールする。だけど相手が悪すぎた。


 「そんな風にされたら、お姉さん傷ついちゃうな~」


 にやにや笑いが凄くアップ!
 ハルナはネギににじり寄ると、目を覆い隠している両手を自らの手を重ねてどかしていく。
 真っ赤になってアワアワするネギ。
 それはとても嗜虐心が刺激される表情だ。

 ハルナの胸がドキン!っと高鳴る。

 おふざけだった筈なのに、身体に火が灯ったみたいに、とても熱い。
 女子寮在住の女子生徒たち全てに言えることだが、この時期、彼女達は何かの切欠さえあればエロに落ちやすい性質を持っていた。

 それは夜見た淫夢の影響か……?
 それとも元から持ってた物なのか……?

 どちらなのかはワカラナイ。

 分からないけど、ハルナは今すぐ目の前の獲物をいたぶりたい気持ちを抑えられそうにない。
 あやかとは違い、ショタコンでは無かった筈なのに、それでも目の前の獲物が、とても美味しそうに見えるのだ。
 ハルナはチロリと唇を舐めて存分に濡らすと、ヌラリと光るその唇で、プルプル震える可愛らしい獲物の唇を塞い……


 「ちょーっと待ったぁーっ!」


 あわやの所で、バン!っと扉を蹴り開けて部屋に入って来る一匹の獣。
 獣……オコジョ妖精のカモとしては、このままハルナお姉さんのエッチな課外授業を覗き見するのが至上ではあった。
 だがしかし! ようやく、ようやくこの家の中に入れたのに、こんなんほっといたら元の木阿弥になる可能性がひっじょーに高い!
 もしも、再びこの家を追い出される事にでもなったら、カモにはもう行く場所がない。

 例えその当人達が、コソ~リ、エッチな組体操しててもだ!

 ちなみにカモ。今、アスナがいる横島の部屋に近づこうとは思わない。
 その部屋でムフフなことが行われているだろうと知っていてもだ。

 だって、覗いてるのが万が一にでもバレたら、死 ぬ

 カモはパンツ魔神としてエロに命を掛ける生き方に疑問はないが、間違いなく死ぬであろうなら、当然それは回避する。

 ようするに、アスナが怖かったのである。

 ネギが横島の文珠の力により女になってしまった後、ドス黒いオーラを発するアスナに捕まった。
 数日前、下着ドロで捕まった時に感じた恐怖なんか可愛らしいと言っても過言ではない位の恐怖を感じた。

 それは獣の本能か? この女に逆らったら死ぬと、その時はっきりカモには分かったのだ。
 それに彼女は気づいていた。カモがネギに何を囁いたのか。
 性魔術。それは男と女の性行為によって生じたエネルギーを基とした儀式魔術。

 そんなのモノを少年であるネギに進めたのを……

 いや、本当は気づいていなかったのかもしれない。
 それでも、あの時感じた恐怖は、確かにカモの生存本能に警鐘を鳴らした。

 正直に話さなければ死ぬと。

 簡単に言えば、アスナのプレッシャーに負けてゲロッたとも言う。
 更に簡単に言えば、心はあくまでネギに捧げているつもりだが、本能はアスナに屈服してしまったのだ。
 だからカモはアスナを怒らせるようなことをするつもりは無かった。
 喉元過ぎて熱さを忘れる程度には、だけど。
 それに、実はあんま反省したり、先々の危険の為に今のチャンスを逃すつもりも、また無かったりする。

 ようするに、エロイ行いを止めるだけが目的なんかじゃあ、当然ないのだ!


 「どーせキスすんなら、仮契約にしましょうぜ!」


 仮契約をして従者を作るのは、兄貴と慕うネギのためにもなる。
 なんせ、あれで真祖の吸血鬼が矛先を収めるとは到底思えないからだ。
 従者にするなら、この家によく出入りしてる少女達の方が即戦力にはなる。
 だがだ、もしも彼女達に手を出したら、あのスケベ野郎が黙っちゃいまい。
 カモは危険な橋を渡るつもりは、【あんまり】なかった。
 ようするに、状況が許せば狙うが、今はその状況じゃないってことである。
 だからと言って、目の前の彼女に期待していないワケでもない。
 早乙女ハルナと言う少女は、カモの同類だろう。
 であるなら、間違いなくおもしろ……もとい、兄貴の力になるはずなのだ!

 何より金になるし。


 「それってさ、のどかやゆえが持ってる、不思議アイテムに変化するカードだよね!」

 「のどか嬢ちゃんやゆえっちが持ってるのかどうかは知らんが、その不思議アイテム。アーティファクトっつーんだぜ!」


 それはそれはわる~い顔で、カモはニヤリと笑った。
 カモは問答無用で魔法陣を出し、それを見たハルナもカモと一緒でニヤリと笑った。

 ああ、この姉さんは、間違いなく俺っちと同類だ!

 目と目で分かりあったカモとハルナ。
 ハルナはGJとばかりにサムズアップし、そのまま困惑するネギを魔法陣の中で押し倒す。
 カモの登場で冷めた身体に、再び熱が灯る。
 迷わずハルナは初めての唇を少年に捧げ、魔法陣が光り輝いた。


 パクティオー!


 一枚のカードが浮かび上がり……


 「よっしゃー! 仮契約カード、ゲットだぜっ!!」


 5万オコジョ$ものお小遣いゲットに沸くカモと、


 ちゅ、ちゅ、じゅるるるる……


 ディープなキスに夢中なハルナ。
 バタバタもがくネギに、世間の荒波は余りにキツカッタ……


 「ハルナ姉さん、兄貴はまだまだ子供っすから、ほどほどに頼むっすよー」


 初めてのキスに夢中なハルナに、カモの声が聞こえたかどうかは……不明である。

 なんせ、攻めてたつもりが気がつけば……

 ネギは、学習能力の高い子である。
 先ほど、横島としたディープなキッス。
 記憶に残らずとも、身体はしっかり覚えてた。
 自然と舌をうねらせ、ハルナの口中を弄りだす。
 丁寧に歯茎を舐め、唾液を絡めて流し込み、そして……


 「へっ? もしかして、兄貴が責めてんすかっ!?」


 カモの目の前で、ハルナはビクンと身体を跳ねさせて、ピーンと足を突っ張らせた。

 ビクビク痙攣を激しくさせて、


 「ん、んんんんんぅぅぅぅうううううううううッッッ!!??」


 夢でもなく、自慰でもなく、ネギにイカされたハルナは、目をトロンとさせた。

 ああ、イッた。ネギ君に、イカされちゃった、わたし……
 気持ちよかった。すごく、すんごく。
 このままじゃ、冗談じゃなく、最後までイってもいいかもしんない…… 

 息を荒げ、唇から離れたネギをボーっと見つめ……ニヤリと笑う。

 でも、主導権は私が握らないとダメっしょ!


 「つづき……してもいいよ? それとも、今度こそ私から イ ク ?」

 「うわっ! だ、だめ……ですって! そんなとこ触らな……あ、アッー!」


 攻守があっさり入れ替わり、本気になったハルナの指が、ネギの大事な部分に……


 いかないで、仮契約カードをカモから受け取った。

 そうしてカードの裏表を興味深そうに見た後、目を白黒させるネギにもう一度ニヤリと笑いかける。


 「んっふっふーん。残念だったぁ?」

 「なにがですかーっ!!」

 「ナニがって、ねぇ?」

 「うわあああぁあぁああっっ」


 両手をバタバタさせるネギと、それを楽しそうに見るハルナ。

 やっぱ、私一人じゃなくって、あの娘も巻き込もう。その方が面白そうだしね。

 ハルナはそう思いながら乱れた服を直し、ネギに服を着せていく。
 そうして、オロオロしているネギの手を取り、


 「さて、と……行くよ、ネギ君」

 「へっ? どこにですか?」

 「千雨ちゃんのトコ! アノ子もコレ欲しがるっしょ! それにさ、さっきの続きは、そこで……ね?」


 目をパチンとウインクさせて、エヘヘと笑うハルナは、何処となく女の顔をしていたとか何とか……


  
     

 




 
















 ネギの部屋から聞こえてた水音よりも、更に粘着的な水音が聞こえてくる部屋。

 ぬちゅ ぬちゅ ずちゅ ずちゅん

 2人の男女が激しく身体を絡めさせて、愛を確かめ合っていた。


 「はぁ、はぁ、はぁあ……ね、ネギとパル……うぁんっ、か、仮契約し、たみた、い……んぁあ、あ、ああんっ」


 今し方感じた不可視の魔力の不自然な流れ……
 男の下で、苦しそうに喘ぐ少女……アスナは絆を紡ぐための魔法の発動を感じた。


 「あ、あのエロオコジョ……ひっ、はっ、ああ、仮契約の……ま、魔法陣をつく、れる……みた、いいぃ……くぅっ……あぁああああ……」


 アスナは思うのだ。

 あのエロオコジョに利用価値が出来たのだと。
 学校サイドを通さないでも、仮契約を結ぶ事が出来るのだと。
 これで夕映やのどかと同じように、自分も彼との間に結んだ契約で得られるアーティファクトを手に出来るのだ。

 アスナは考える。

 さて、どうやって彼をその気にさせようか?

 だけどその彼は、


 「10才にもならんガキの分際で、年上のお姉さんとエッチな課外授業するなんざ、ふてぇー野郎だっ!」


 横島には分かった。
 いま、ネギがとても好い思いをしているのだと!
 そんなイケメン予備軍に対する嫉妬に狂った横島は、鬱憤晴らさでおくべきかっ!っと言わんばかり。

 横島の激しい突きを子宮に叩きつけられながら、アスナは微笑んだ。

 バカでバカでバカで……ホントにバカなヤツ。

 アスナは手を横島の頬に添える。
 愛おしい気持ちを込めて、何度も頬を撫でながら、
 

 「ただおは、私としてる、で……しょ?」


 たっぷりの想い込めた言葉に、横島は腰の動きは止めずとも、目をぱちくり。


 「そういや俺なんでアスナとやってんだーっ!! ネッカネちゅわーんはどこ行ったァーッ!!」

 「私で文句あんのかーっ!」

 「いや、別に……ないけど……ネカネちゃんは?」

 「知らないわよっ!」

 「……そうか、性魔術が間に合わなかったのか」


 残念そうに顔を俯かせる横島。

 すまん、俺がさっさとヤッテれば……

 横島は失ったネカネへの想いに目を潤ませ、ついでに、ハルナのオッパイを手にしたであろうネギのリア充ぶりに怒りを燃やしながら嫉妬する。

 ちなみに、パンパン!パンパン!! 腰の動きは激しいままだ!

 そんな横島に対して、アスナは自分の身体の奥からプチンと何かがキレる音を確かに聞いた。


 「私を抱きながら、他の女に気を取られるなんてイイ度胸ね? 温厚な私でも、いい加減にキレルわよっ!!」


 アスナは横島を徹底的に「あんぎゃーっ!」とボコり、その後に帰って来た木乃香と二人でOSHIOKIした。

 もう、2度とよその女にうつつを抜かさんように徹底的に。

 横島が絶対に動けないように縛り、更に文珠まで使って動けないようにすると、2人は横島に見せつけるよう、自然と69の体勢になる。
 互いが互いの性器に顔を埋め、敏感な部分を責めあった。
 膣内を指でくちゅぐちゅ蹂躙し、溢れ出る蜜をすすり合う。

 その光景に、ゴクンと横島が咽を鳴らした。


 「俺も混ぜろぉおおおおおおおッッ!!!」


 だけども、2人はそんな横島には意識をやらず、

 
 「あぁああ、このかっ、わ、わたしっ、もうっ!」

 「アスナっ、う、うちも、もうっ、や、やあ……だめぇえええええっ」


 同じタイミングで絶頂し、互いの顔を愛液でぐっしょりと濡らしていた。
 そうしてはぁはぁ荒い息を吐きながら2~3分休憩し、そして……


 「なあ、次はウチのとアスナのを……」

 「いいよ、このか。ほら、忠夫に良く見えるように腰を上げなさい。」

 「恥かしいわぁ……」

 「だいじょうぶ。いつも、もっと恥かしいことしてるじゃない」

 「……アスナ、優しくしてな……」

 「わかってるわよ、このか。だからさ、このかも優しくして、ね……」

 「うん、いいよ、アスナ。大好きや」

 「私も、このかが大好き……」


 粘った水音とくぐもった嬌声。そして女の甘い蜜の匂い。


 「あ、あす、な……っ」

 「ふふ、ねえ、どうかな?」

 「あっ、ああああ、そんなっ、激し、い、す、すぐに、い、イっ……」

 「いいわよ、このか。たくさんイキなさい」

 「い、いややっ、あ、アスナと、アスナと一緒じゃなきゃいや、や……!」

 「このか……うん、わかっ、た……ぁ、あぁあんっ」


 くちゅくちゅ性器を擦り合う音が、一層激しく淫らになって、


 「アスナ、あ、あ、あぁっ、もおっ、もおおおお、だめぇええええっ」

 「ああ、こ、このかっ、い、一緒にぃ、ひ、あぁああああああああっ」


 2人は大きく喘いで達すると、びくびく快感に震える肢体を抱き合った。
 重なり合う2つのワレメから、絶え間なく潮がぴゅっぴゅっと噴き出て周囲を汚し、横島の顔まで届いてく。

 視覚、聴覚、嗅覚だけでなく、そこに味覚まで加わっては、もうダメだ。

 辛抱たまらんくなった横島は、必死に謝り倒し参加したいと願ったけれど、これが罰だと2人は聞き入れなかったとか。

 そして始まる3回戦。

 その光景に横島は、血の涙を流して悔しがった……










 ネギ? ネギはネギで……













 翌日、朝のホームルームに姿を現したネギは、エヴァンジェリンが出席し喜ぶ一方で、何処となくゲッソリやつれてた。

 ついでに言えば、どこかニヤニヤしてるハルナと、顔を真っ赤にして机に突っ伏している千雨の姿が確認された。












































 後書き

 久しぶりにいっぱい会話文を書いた気がするw

 時間軸は、今回の話終了時点で、停電の一日前です。

 ネギが童貞か否か……

 童貞ですよ? もちろんw
 弄ばれただけですww

 これでエヴァ編のネギパート終了ってことでw
 えっ? エヴァvsネギ?
 見たいの? いらんよね?



 それにしても、いつもプレビューでチェックを何度もしてから投下するんだが……現在使用不可で結構キツイです。
 なんせ、誤字脱字の修正だけじゃなく、そこから更なるストーリーや文章自体の修正やの書き足しとかもしてたもんだから、どうにもこうにも(涙

 おのれ業者めっ!
 ネギま!のほほん記第2巻消滅だけじゃ満足しないってーのかっ!!



[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第6巻
Name: uyr yama◆157cb198 ID:f5287d36
Date: 2010/11/29 15:21




 アキラは最近、少しだけ気鬱気味である。
 体術も、気の練り込みも、思ったよりも上達しないからだ。

 しかし、それは正確ではないのだろう。
 彼女の上達スピードは、常人のそれを優に上回っている。
 でも彼女はとてもそうは思えないのだ。

 目の前の少年が、もの凄い勢いで強くなっていくのを、間近で見てるから。

 最初に手合わせした時はアキラの圧勝。
 今戦りあったら恐らく互角。
 一週間後には確実に負けるだろう。

 励む修練に差はない。
 むしろアキラの方が高度な修練を積んでさえいる。
 だからこれは単純な才能の差だ。


 「はぁ……」


 心が重く感じた。


 「ネギくん、凄いな……」


 思わず出てしまった言葉。
 羨望と嫉妬を隠し切れてない声色で、言ってしまった言葉。

 アキラは才能があった。他の誰よりも才能があった。
 才能だけで言えば、あやかや夕映よりもずっとあった。
 でも、ネギの凄まじい才に比べると、自分の才能がとてもちっぽけで、色あせて見えてしまう。

 アキラは自信があった。
 アスナには及ばないものの、同時期に修練を始めた夏美やのどか、それに夕映よりも戦いに秀でていたから。
 性格的にアキラは戦闘に向いてる訳では無かったけど、それでもそのことはちょっとした誇りでもあったのだ。
 そしてアキラはそのコトに驕り高ぶるでもなく、他者を見くだす訳でもなく、夕映に追いつかれ追い越されても祝福出来た。

 もちろん、今度は逆に追いつき追い越そうと思ってはいたけれど。

 でも……


 「さあ、ネギ。来なさいっ!」

 「はいっ!」


 鷹揚に立つアスナの誘いに、ネギが応えて踏み込んだ。


 「やああああ───っ!!」


 放たれる高速の拳。
 アスナは身体を横に半身ずらし、ネギの拳に更なる勢いをのせて払い、そうして軽く足を引っ掛ける。
 流された拳と、足を払われたことによるバランスの崩れで、ネギはそのままズザザザーッっと地面に転がった。


 「攻撃が素直すぎるわね。そんなんじゃ、いつまで経っても私や忠夫に一撃入れるなんて出来やしないわよ?」


 そうだろうか?

 十分以上に速く見え、アキラにはあんなに余裕を持ってさばく自信はない。
 アスナや横島に一発入れようなんて思ったことは無かったけれど、なんだろう、とても、悔しい……


 「くっ……まだまだぁっ!」


 ネギは吼えると同時、勢い良く立ち上がった反動を使って、ビシュッと空気を切り裂く鋭い蹴り放ってみせた。
 アキラには避けられそうもないタイミングでの鋭い蹴り。
 でもアスナにしてみればまだ甘い。
 その蹴りを自らの蹴りで相殺し、いや、力で押し切った。
 やや鈍い音と共にアスナの蹴りがネギの脇腹にめり込み、


 「ぐっ!?」


 呼吸が止まる程の衝撃に、ネギは身体をうずくませる。


 「簡単にっ、動きを止めないっ!!」


 間髪いれず放たれた拳がネギの顔面を捉える寸前、ピタリとアスナは止まった。


 「ッ!!」


 ヒュッっと息を吸い込むネギ。
 そして悔しそうに、


 「参りました……」


 そう言って、うつむいた。


 「痛くても、苦しくても、その場で足を止めたらやられるだけよ? そういう時は、まず距離を取りなさい」

 「はい」

 「まあ、言うほど簡単に距離なんて取れないでしょうけどね」

 「そういう時は、どうすればいいんですか?」

 「我慢すればいいんじゃない?」

 「……何をです?」

 「痛いの」

 「…………はぁ、分かりました」

 「何よその間は」

 「いえ、なんでも。ただ、少し考えが脳筋気味だなぁって」

 「なによその言い方っ! まるで私がバカみたいじゃないのよっ!!」


 喧々囂々と言い合いしながら、再び組み手を始める2人。
 ネギの動きは先ほどの手合いよりも更に鋭く、攻撃を受けても足を止める事無く、明らかに上達してみせていた。







 「……あ、はは、は……一週間? 今日中に追い越されるよね、これ……」


 呆然と、ただ呆然と。

 心に湧いてくるのは嫉妬?
 いや、違う。私は、羨ましいんだ……


 「ん? どうしたんだ、アキラちゃん」

 「あっ、はい。なん、でも……何でもないです、横島さん」


 私は、アナタと、肩を並べて歩きたいのだ。
 あの日の様に守られるだけじゃなく、私がアナタを守りたいのだ。
 強くなりたかった訳じゃない。

 ただ、アナタを……アナタの、ただ一人になりたかったのだ……




 ある意味アキラの羨望は、急速に成長するネギよりも、むしろアスナに向いていたのかもしれない。
 横島忠夫の最も傍にいる女性、神楽坂明日菜との実力差を急速に縮めて行くネギが羨ましい。
 アスナが、横島忠夫にとっての特別、そんな彼女みたいに自分も成りたいから。

 そう、アキラは、知らずアスナに嫉妬していた。
 もちろんだけど、それは本当に小さいモノだった。
 誰もが持ってる、小さな小さなモノだった。
 ただ、その黒い感情を自覚した時、アキラは自らの汚さに嫌悪する。 


 気落ちするアキラに、横島は心配そうにおっぱい揉んだりしたけれど、彼女は何の反応も返すことなく。
 今日は学園都市の全体が夜8時から停電になることもあって、割と早い時間に解散となり、アキラは肩を落として家路についた。

 落ち込んだ気分、そのままだった所為なのだろうか?

 アキラはその後、エヴァンジェリンに操られたまき絵と、そのまき絵に噛まれて同じく傀儡となっていた裕奈と亜子に襲われ、為す術もなく捕まってしまう。
 今の彼女の実力ならば、簡単、とは言わないけれど、十分以上に何とか出来たはずなのに。

 両脇を裕奈と亜子に抑えられ、まき絵に首筋を噛まれ意識が遠のく中、アキラは思った。










      もう 負けたく ないのに































 身体が軽い。
 こんなに身体が軽いのは初めてだ。
 アキラは霞みがかった頭で歓喜する。

 これなら勝てる。彼女に、勝てるッ!!

 エヴァンジェリンの下僕となり、半吸血鬼化したアキラは、心の奥深くに眠るエゴを無理矢理に増大された。
 優しく戦いを好まない心は鳴りを潜め、嫉妬と独占欲と言った暗いモノに心が占められていく。
 本来のアキラでは有り得ない。でも確かに彼女の感情の一つではあるのだ。


 「アハッ、アハハハハ、ハハハハハハハハハハハ」


 だから、まき絵、裕奈、亜子の3人の瞳が虚ろなだけであるのに対し、アキラの瞳は狂気の色に染まってしまった。


 「ふんっ、キサマ、素質があるのではないか?」


 殊更楽しげに笑うエヴァンジェリンと、心配そうに見る茶々丸。
 そんな視線を気にも止めず、用意されたメイド服に袖を通す。


 「一人は坊やを此処へと連れて来い。残りの3人は、横島忠夫を仕留めて来るのだ」

 「「「はい、エヴァさま」」」


 まき絵はネギへ、裕奈と亜子は横島へ、でもアキラは動かない。


 「どうした? さっさと行かんかっ!」


 エヴァの苛立たしげな怒声が飛ぶも、アキラはやっぱり動かない。

 くすくす嗤い、首を振る。

 だって違うじゃないか。

 私は横島さんが好きなんだから、彼に危害を加えたくはない。


 「洗脳が浅かったか……?」


 チッ、と舌打ちして、嗤うアキラに手を伸ばそうとするエヴァ。
 だけどもアキラはスッとエヴァの手が届く範囲から逃れ、


 「横島サンじゃなく、ワタシはアスナと……タタカイたい」


 片言混じりでそう言うアキラに、エヴァは目を数回パチクリした後、大声で笑いだした。

 そして言うのだ。


 「いいだろう。見事仕留めてくるがいい、大河内アキラ」

 「アリガトウございます、エヴァさま」

 「あの小娘にとっても、良い試練になるだろうさ」


 エヴァンジェリンの何か暖かい物が入り交じった呟きに、アキラは反応を返したりせずに、無言で踵を返して夜の真の暗闇の中を疾走する。

 【こう】なる前とは比べ物にならない身体能力と、溢れんばかりの妖し混じりの膨大な気。

 これなら勝てるかもしれない。

 アスナに、委員長に。彼が大切に想う使徒達に。


 そうしたら、ワタシがアノ人の……イチバンに……なれるのだ。

 




















    俺が為に鐘よ鳴れ  第6巻  勝利の方程式



















 学園都市一斉メンテによる停電となったその頃、横島一家は当然の如く、家で静かに過ごしていた。
 実は横島がホームセンターで買ってきたバッテリーのお陰で、家が停電状態にならないこともあり、いつも通りテレビを見ながらのちょっと遅めの夕食中である。

 だけど、箸の動きは止まっていた。
 ビリビリと家が、いや、この学園都市が震えてるのを感じていたからだ。

 そんな中、横島とアスナは遂に来たのかと思った。
 想定していたよりも、ずっと早いタイミングではあったが。
 横島とアスナは、エヴァが動き出すのは満月の日。だからもうしばらく時間がある。

 そう思っていた。

 だが、先ほど停電となった瞬間、凄まじい魔力の奔流を2人は感じ取った。
 いや、アスナと横島だけじゃない。
 ネギと、カモもだ。


 「な、なんですかコレっ!?」

 「こいつあ……まさかっ!」

 「エヴァンジェリン、だな」


 どういったワケか不明だが、エヴァが封印から解けたようだ。
 それにしても凄まじい。
 魔力量だけなら中級魔族に匹敵するのではないか?
 そう思いながら、横島が視線を外から移すと、ネギは顔を真っ青にしていた。


 「これが、エヴァンジェリンさんの、本当の力……」


 呆然と呟かれた言葉に、だが横島は首を横にふった。


 「今日は満月じゃねーし、多分これよりも上があるな」

 「そう、ですか……これが、真祖……」


 ゴクンと生唾を飲み込む。
 最近のネギは成長著しい。
 故に、必要以上にエヴァの力が解ってしまう。


 「あの~、エヴァンジェリンさんの封印は解けたみたいですから、もう僕を襲うなんてないですよね?」


 アハハと虚しい笑い方をしながらの質問は、実はネギには何て答えが返ってくるのか解ってた。
 それはネギの自称相棒であるカモも同じで、「兄貴……」と呟きながら静かに涙する。
 こう見えてもこのオコジョ。中々に義理人情に篤いのだ。
 もっとも、自身の身の安全と秤にかけたら、あっさり安全の方に秤が傾く危うい所もあるのだが。


 「ネギ、自分でも信じてないことを言うモンじゃないぞ。第一、力は戻っても呪いは解けてないみたいだしな……」


 カモと同じく、横島も言いながら首を横に振って涙した。
 その横では、アスナも同じように……
 唯一人、木乃香だけはぽやや~んっとしていたが。
 それらを見たネギは、最強種族の一角である真祖とやり合わなければならないのか……と同じように涙する。
 しかも、どうやら横島とアスナの助けは期待できそうにないと来た。


 ああ、このままじゃ死んでしまう……!
 ……いや、全力近い真祖と言えど、しょせんは吸血鬼に毛が生えたようなモノッ!
 だったら、またニンニク責めでなんとかすれば……
 でも、そうしたら、あの時みたいな凄惨な状況に……


 ネギの脳裏には、数日前に自分の所業によりあられもない姿でダウンしたエヴァの姿が思い浮かんだ。
 そして、ベッドで苦しそうに唸る彼女の姿も。

 
 うっ……やっぱりマズイよね……


 ……でも、でも、

 「死にたくなぁーいっ! ボクには父さんに会うって至上の目的があるんだぁ! だから、かわってくださいよっ横島さぁーん!!」



 ……子は親の鏡と言う。

 しかし、ネギは親であるナギとアリカのコトは殆ど知らない。
 ならば、此処での親代わりに近い形である横島に似ても仕方ないのかも知れない……


 「あ、兄貴っ! たとえ横島の旦那が見捨てても、俺っちだけは兄貴とずっと一緒でさぁー!」

 「カモくん……」

 「兄貴……」

 「カモくんっ!」「兄貴っ!」「カモくーんっ!」「兄貴ぃーっ!」


 ひしっ!っと泣きながら抱き合う2人(?)だった。

 と、その時である。
 ピンポーンとドアホンが鳴ったのは。
 ネギは緊張に身体を強張らせる。


 「ネギ・スプリングフィールド。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさまが、きさまにたたかいをもうしこむ。わたしについてこい」


 外からなのに、不思議なほど澄んで聞こえてくる片言の声。


 「この声……まき絵さん!?」


 そう言えば、彼女はエヴァンジェリンさんに噛まれたことが……
 色々あって忘れてたけど、もしかして……?


 「ネギ、逝け! 逝ってまき絵ちゃんを助けて来いっ!」

 「……なんかイントネーションが可笑しい気がしますが、分かりました! 行ってきますッ!」


 真祖を相手にする不安もある。
 自分よりも遥かに強大な相手と戦う怯えもある。
 でも、それらの感情が、まき絵さんを助ける! と決意することで薄れていった。
 部屋へと急ぎ戻ったネギは、秘蔵のアンティークを懐に隠し、万が一の為のテーブル用ガーリックパウダーをポケットに忍ばせる。
 こうなったら、勝利の方法を選ぶつもりはネギにはない。
 被害が自分にだけではないのだ。
 まき絵が巻き込まれてしまっている以上、もうネギには容赦する理由なんて欠片もないのだから。

 いざとなったら、ニンニクだけでなく、アナタの嫌いなタマネギ地獄を味合わせてあげますよ!

 そう小さく決意の言葉を口にしながら、ネギは魔法使いのローブを羽織った。
 そして最後に父親から貰った大きな杖をしっかり握ると、部屋の窓から身を乗り出して飛び降りる。

 ズザン!っと格好よく地面に降り立ったネギ。
 横島が見れば、こんのイケメン予備軍が!っとがなり立てるだろうぐらい、決まっていた。

 そうして顔を凛々しく引き締め、被害者であるまき絵に優しい笑みで笑いかける。
 ネギを待っていたのだろうまき絵のメイドな姿に少し引っ掛かりを覚えたものの、


 「まき絵さん、似合ってますね、その格好。とても可愛いですよ」


 紳士的に彼女の姿を褒め称えた。


 「ふ、ふぇっ!? じゃ、じゃあいくよ、ネギくん」

 「はい、必ずアナタを助けてみせます、まき絵さん」

 「う、うん……」


 操られながらも、僅かに意識が残ってるのか、頬を小さく赤らめたまき絵の先導で、ネギは夜の暗闇に消えていった。

 そして、カモも……


 「旦那、俺っちも行ってきます」

 「……ネギを頼むぞ」

 「任せな! 俺っちには、勝利の方程式が見えてるんでな!!」


 そう! カモには勝利するための方法が解っていた。
 エヴァンジェリンの魔力が解放されたのは、恐らく停電と同時である。

 だったら……

 援軍を呼ばなければならない。
 ネギの相棒である自分が、ネギの従者達を……!
 ただ……チラリと横島とアスナを見るカモ。
 この2人が居れば、そんなん必要ねーんだけどな。

 でも、カモには分かっていた。

 この家に近づいて来る3つの気配。
 さっきのまき絵と同等程度の気配が2つ、そして最後の一つはアスナと互角の気配!?

 ……とはいっても、しょせん目の前の化け物(横島)に比べたら見劣りはする。
 カモは妖精なだけあって、横島の不可視の力を恐れ敬っていた。
 この力は、自分のような存在には猛毒なのだと。
 だからといって、力だけが戦力じゃない。
 相手の能力如何では、そんなのあっさり覆される時もある。
 なんせ、目の前の男は、化け物であると同時に、無類のスケベ野郎なのだから。
 近づいてくる匂いは、間違うことなく女の香り。
 スケベ心が災いして、あっさり負ける可能性もなきにしもあらず。

 だから、カモは言うのだ。


 「旦那と姐さんも御武運を……」


 自分たちは大丈夫。
 さっきも言ったが、確実に勝てる当てがある。
 カモはそういう思いを込めてペコリと頭を下げると、ネギを追って……いや、女子寮目指して家を飛び出すのだった。



 中々大胆なメイド服着た3人の美少女を横目に、カモは駆ける。

 絶対なる勝利を掴むため。

 物量攻めと様々な後方支援が可能な早乙女ハルナ。
 彼女が居れば、アスナ級の実力を持つ茶々丸の足止めも可能だ。
 なんせ彼女は絶対に本気にはならない。

 そして最強の悪の魔法使い、ダークエヴァンジェルを封じ込める最大の一手。


 「兄貴ぃっ、時間稼ぎ頼みますぜっ!」


 電子の精霊の担い手、スーパーハッカー長谷川千雨が居れば、科学混じりの結界に括られている闇の福音を封じ直すなど容易い。


 そう、容易い筈なのだ。

















 


 「なんじゃこりゃーっ! ボーナスか? ボーナスステージに突入しとったんかっ!!」

 「こんな時に、なにバカなこと言ってんのよッ!!」


 ビシッ!バキッ!ドガガガガッ!!

 明らかに複数からなる凄まじい打撃音と、横島の「あんぎゃーっ!?」断末魔な叫びに涙しながら、カモは駆け続けるのだった。


 「旦那ぁ、あんた漢だぜ……」


 どんな時でもエロを忘れない。そんな横島に尊敬の念を抱きながら……








[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第7巻  微エロ有り(亜子)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:f5287d36
Date: 2010/12/14 09:01




 力が欲しいなんて思ったことはない。なんてことは絶対にない。
 現実的に力がなかったら困ることは幾らでもある。
 彼女にとって特別な存在、横島忠夫は何度もその思いを味わったそうだ。


 大切な人の隣に立って戦う戦士になるため。
 自分なんかに恋してくれた女性のために、超上級魔族を倒そうと決意した時。


 この2回。彼は心から力が欲しいと願った。
 その願いはどちらの時も叶えられ、だけども結局一番大切な存在は失われてしまった。


 こんな話を、とてもほろ苦い表情で語ってくれたのを、今でも鮮明に覚えている。

 普段の彼はおバカでお調子者で臆病者で……
 真面目にことに当たるなんて、まずありえない。
 怖いことや痛いことがあったなら、脇目も振らずさっさと逃げるダメな人。
 そんな彼が力を欲するのは、いつも誰かの為だった。
 普段の彼の行状もあってか、きっとそうしてくれた女性の方は、とても嬉しかったのだろうと私は思う。
 いわゆる、ギャップ萌えってヤツだろうか?

 実際、そうされた片方の人に話を聞いてみた。

 胸がきゅんって高鳴ったわね。
 その時の私は素直じゃなくって、ついついぶん殴っちゃったけど……


 苦笑いしながらそう語ってくれた人は、今では別の男性に嫁いで子供どころか孫までいた。


 旦那のことは愛してる。
 でも、横島忠夫は、私【たち】にとっては【特別】なのよ。


 そう笑う彼女は、年にも関わら……何かしら?ゾクッとしたわ。
 ……とにかく、とてもキレイで可愛らしかった。


 だから私たちが力を求めるのは自然の流れ。
 戦士になりたい訳じゃないけど、大切なあの人の隣に居るには、力があるに越したことはない。

 特に私は、それ以外にも目的があるし。

 私には勝ちたい人がいる。
 人を捨て、魔族へと堕ちた怨霊。
 彼に勝ちたい。雪じいちゃんを殺した彼に!
 復讐心がまったくないとは言わないけれど、私は純粋に彼に勝ちたいと思うのだ。
 それが死んだ雪じいちゃんへの、何よりのはなむけだからと信じてる。


 で?

 アンタはどうなの?

 ケンカが嫌いなアナタ。人を傷つけるのが嫌なアナタ。
 でも、誰よりも積極的に学園長の依頼を受けていたアナタ。
 そして今は、私と戦い、そして勝ちたいのだと言うアナタ。


 ねえ、矛盾してない?

 それとも、エヴァンジェリンに操られてるからとでも言うつもり?
 確かに、【その】影響は受けてるみたいだけどさ、アンタ、自我を取り戻してるでしょ?


 「うん。横島さんの顔を見たときからね。でも、心の奥から湧いてくるドス黒い何かを抑えられそうにないんだ」


 そう……でもさ、その状態で勝っても、ホントのアンタの力じゃないわよ?


 「分かってる。でも、この力はいつか必ず届く場所にある力に私は思えるんだ。だから……」


 ふーん。ま、いいけど。どの道、勝つのは私だからね。


 「そうかな。今の私、けっこう強いよ?」


 知ってる。

 身体能力の大幅な上昇。そして気の膨大なアップ。
 経験と技を除外すれば、今の私と同等ってとこかしらね?

 そう言って、私は凶暴な笑みを浮かべた。
 それはいつも優しげに笑うアキラもいっしょ。
 ただ、その凶暴な笑みは、互いにだけ向けられた訳じゃなくって、


 「あーん、もう! ダメだって横島さん!」

 「う、ウチのえっちぃトコ、触ったらダメや!」

 「わははは、よいではないか、よいではないか」


 文珠【覚/醒】で正気を取り戻した2人の身体を、弄り放題な忠夫に向けられた。


 「いいか、よく聞け。こうしてるんは、全部治療のためなんだ。決して美少女なメイドさんとエッチがしたいわけじゃないんだーっ!」

 「ほんま~?」

 「うっそくさーいっ」

 「ホントだって! 性魔術っていってだな……」


 裕奈は笑いながらあっさり忠夫を受け入れて、あっと言う間に喘ぎだす。
 亜子さんは、ちょっと戸惑いながらも、どことなく嬉しそうに頬を染めて忠夫のアレに舌を這わし始めた。

 ってか亜子さん、いつの間に忠夫のことを?
 ……とりあえず、視界に入れないようにするのが、精神衛生上不可欠ね。

 私がそう思ってると、アキラも同じように思っただろう。
 コクコク何度も頷いて私に同意した。

 はぁ、さっさと、始めましょうか?


 「いいよ、アスナ。始めよう……」


 忠夫が裕奈、亜子さんの2人と致してるのを必死に視界に入れないようにしながら、私とアキラは拳を交わす。
 よくよく考えてみれば、彼女とこうして手合わせするのは初めてだ。

 心が湧き立つのが分かる。

 こんな時、私はやっぱり雪じいちゃんの弟子なんだと思うのだ。
 忠夫が嫌がるバトルジャンキー的な何かを、自分はしっかり受け継いでしまったのだと……
















   俺が為に鐘よ鳴れ  第7話  みっつの想い


















 「ああああああっ!」

 「せぇあっ!」


 まずは挨拶変わりと、2人は気合の声とともに拳を激突しあう。

 考えてみれば、素手での格闘タイプとこうやって戦り合うのも初めてだと、アスナは少しだけ心が躍った。
 先日、忍者……もとい長瀬楓と戦り合った時もそうだ。
 戦うのが、ちょっと面白く感じてきているのだ。
 もしも横島がそれを知れば、とてもイヤ~な顔をしてみせただろう。
 アスナ自身、そんな自分にビックリだし。
 彼女が戦う術を手にしようとしたのは、決して戦う行為が楽しそうって思った訳ではないのだし。

 単に、仲間はずれが嫌だっただけなのだ。

 最近のほほんとしてるから忘れてしまってるかもしれないけれど、彼、横島忠夫は【戦う】人だ。
 痛いのや辛いのが嫌いなくせに、そんな彼の職業は、悪霊や妖怪をしばき倒すゴーストスイーパーなんてヤクザな仕事である。

 そして、幼いアスナの周囲に居た者達もそうであった。

 アスナの姉であるタマモは金毛白面九尾の狐にして、横島除霊事務所の副所長(現・所長代理)である。
 前世の往時では、単体で日の本の精鋭一万人と互する力を持っていた。
 今がどうなのかいまいち不明ではあるけれど、少なくても現在のアスナよりは断然強いだろう。

 横島の一番弟子を自称するシロは、強力な人狼である。
 単純な接近戦でいえば、横島なんざ相手にもならない。

 唯一戦闘職でない愛子とて、その固有能力はとても恐ろしいものだ。
 自らのインナースペースに誘い(いざない)、洗脳して己の思うがままに出来るのだから。
 何より彼女こそが、『あの』世界における横島家最強である。
 彼女に逆らえる者は、横島を含めて誰もいない。
 強さとかそんなちっぽけな理由じゃなくて、純粋な恐怖……もとい、食事とかメシとか食い物的な意味で。
 元々料理は得意じゃなかったはずなのに、気がついたらあの不味いメシが麻薬の様に蝕むだ。
 なんで? どうして!?
 俺は、私は、マリアの作ったメシが食いたいのにっ!

 それはともかく、こんな家族に囲まれて、力を欲っせずにいられようか?

 事実、他にも理由は色々あれど、アスナが横島の使徒となった理由のひとつでもあるのだ。
 家族に置いて行かれたくない。家族の足でまといになりたくない。彼のそばにずっといたい。

 大好きだから。愛してるから。彼が、彼らを、愛しているから。

 今になって思う。

 あの頃の感情は、恋愛感情ではなく家族愛だった。

 でも、今は違う。

 恋してる。彼に、横島忠夫に、恋してるのだ。

 アスナは、アキラの感情がよく分かる。
 横島の家族である自分に、心から嫉妬してるのだ。

 だって、


 「アンタだけじゃない! 私だって、嫉妬してんのよっ!!」


 アキラの激しい攻撃を逸らしながら、アスナは思いの丈を込めて叫ぶ。


 最初から恋人であるアナタ達に!
 ドライブに連れてってもらったりするアナタ達がっ!!
 私は妹で!家族で!だから恋人みたいな時間が全然なくって!!

 それを不満に思ったことはなかった。だって、家族だったんだもん。

 でも、今は!!


 溢れ出す悔しい思いを霊力に変え、右手に集中させる。
 腕が赤い霊力にまとわれ、次第に何かを形成していく。


 「うるさい! アスナには解らない! 怖いんだ! あの日、横島さんが救ってくれなきゃ、私は……私は化け物に犯されたんだっ」


 彼がいなければ、私はここにはいなかった。
 犯されるだけではすまなかったかもしれないんだ。
 殺された可能性だって高いんだ!
 目の前で夏美の腕が斬り落されて、食べられて。
 すえた様な酸っぱい臭いのする醜悪な化け物どもが、私達にいやらしい視線をむけてくる。
 服を裂かれ、胸を嬲られ、汚い一物を押し付けられて、腐臭のする精液を浴びせられた。

 怖かった、苦しかった。なのに、何も出来ない自分に絶望した。

 そんなあの日の恐怖を、今でも忘れられないっていうのにッ!!

 最初は感謝の気持ちだけだったかもしれない。
 でも、やっぱりそれでも特別だったんだ!
 そうじゃなかったら、例え流されてだって身体を許すもんか!
 だから!彼の特別であるアスナが、羨ましい!憎いんだ!!


 アキラは、アスナが魔装拳を形成するまでの時間を与えるつもりはない。
 半吸血鬼化に伴う膨大な身体能力の向上は、間違いなくアスナに匹敵……いいや、超える力を手にしていた。
 しかも借り物の力だけじゃない。彼女の生来の力。生命力解放(オーラバースト)が、目を覚ましかけている。
 特殊な訓練をつんでいないにも関わらず、時に楓や刹那、真名と言った面々を感嘆させる身体能力を見せていたアキラのレアスキル。
 それが半吸血鬼化で無理矢理引き出された力を基に目覚めさせ、なおかつアキラは自分の意志で使いこなし始めているのだ。

 だからって、ここでアスナが戦闘能力を上げられては困る。

 アキラはイイ試合がしたいんじゃない。

 アスナに勝ちたいんだ!

 自分の力は確かに上がってる。

 でも、相手が強くなるのを待つなんて、ありえない!!


 「やあああああっ!」


 全身のバネを使って地面を蹴り、一気のアスナの懐近くまで潜って渾身のオーラをまとった片手突きを放つ!

 エヴァンジェリンから与えられた魔力のせいか?
 それとも、この輝きこそがアキラの生命解放の力なのか?

 アスナの魔装拳の如く、蒼く輝く拳がアスナの紅い魔装の拳を刺し貫いて、霧散させ、彼女の側頭部をとらえた。

 「ぐぅっ!?」予想を遙かに超える強烈な一撃に、アスナの身体は弾け飛んだ。
 どうにか空中で体勢を立て直し倒れるのは防いだが、あまりの衝撃と痛みにアスナは頭がクラクラする。

 何より、

 魔装がアキラの気に貫かれた!?
 完全魔法無効化能力を持つ、自分の魔装が……ッ!!
 もしかして、魔装に無効化能力は付与されない?

 今まで当たり前に思ってた力の発動が無かった。
 あれほど忌み嫌っていた力だというのに、いざ無いとこうして動揺するなんて、我ながら情けない。

 遠のく意識を必死に繋ぎ止めながら、アスナは悔しさに顔を歪ませる。

 そんな彼女を狂気混じりの視線で見下しながら、アキラは更に気を高めていくのだ。

 これでアスナが終わるはずがない。
 それを、良く知っている。 
 知っているから手を止めない。

 どこまでも自分の気持ちをぶつけるのみ!


 「化け物に犯されて、ぐちゃぐちゃにされて、そしたら、もう、横島さんは私なんか見てくれない……だからっ! 使徒であるアスナが羨ましいんだ!」


 使徒になれば、もう怖がらずにすむ。
 だって、永遠に彼のモノとなる契約でしょ?
 敵に破れ、犯され、汚れてしまっても、彼のモノであれば、捨てられはしない。
 ……違う。そんなのにならなくっても、私は捨てられなんかしない。

 わかってる。分かってる。解ってる。判ってる!!

 でも、ダメなんだ!

 怖い、怖い、怖いぃ!!

 口に出せない恐怖に、アキラの身体はブルブル震えた。

 寒い、寒いよ、横島さん。だから、助けてよ、横島さん……

 恐怖を湛えた瞳で彼を見る。
 すると彼は私を見て、優しく微笑んでくれるのだ。


 「使徒になったら、もう怖くないんか?」


 静かな声が、アキラの胸にしみわたる。
 エヴァンジェリンの洗脳が解けても尚残った狂気。
 その狂気を完全に晴らす、優しい穏やかな声だ。
 アキラは泣きそうな目で彼を見る。声を聞くだけで、何をそんなに恐れていたのか、わからなくなってしまう。


 「……わからない。でも! 今よりずっと幸せになれるって、私は思ってしまう! 思っちゃうんだッ!!」

 「そんなイイもんじゃないんだぞ?」

 「うん、知ってるよ。だって、家族と別れなきゃならなくなるんでしょ?」

 「ああ、そうだな」

 「いいんだ。悲しいけど、それ以上に、アナタのそばにいたいから。って言うかさ、こんな真面目な話してる時くらい、エッチなことやめてよっ!」


 ちょっとだけ怒って言うアキラの瞳には、もう狂気は残されていなかった。
 むしろ、横島にしなだれて気絶してる裕奈や、夢中になって横島の股間に顔を埋める亜子の方に問題がある。
 うつろな瞳は快感に惚けて、性魔術の支配下に完全にあるのだと一目でわかった。

 横島の声で完全に自我を取り戻したアキラと違い、ようするに、正気ではないのだ。アキラと反対に、その横島の邪な行為によって。























 粘膜接触するためとの言い訳で、亜子は横島の肉棒を口内に沈めて激しく前後に動かしていた。


 ────んっ、んんぅぅ……じゅる、ぢゅるるぅ……ぐぷっ、んぐ、んぐ、んぐぅ……


 唾液と先走りが混じり合う味に恍惚となりながら、亜子は身体の奥が熱くてたまらない。

 何かがこみ上げてくるのだ。
 それは性感ではあるのだが、それだけじゃないのだと、亜子は無意識にわかってた。


 これが、魔力なんや……


 潤んだ瞳を横島にむけて、もう、我慢でけへん……そう哀願する。

 すると分かったとばかりに髪を思い切り掴まれ、乱暴に、そして激しく喉奥をゴンゴンと何度も突かれる。
 その衝撃に「うぐっ!?」吐き気がこみ上げ、でも彼は気付かないフリ。
 亜子も鼻で大きく息を吐き出し吐き気を堪えつつ、何かに後押しされるように舌を蠢かせ彼を悦ばせようと必死だ。
 その甲斐あってか、ドビュルルルルッ! 唐突に放たれる熱い精の塊。

 彼の精液を喉奥に感じ嚥下しながら、亜子は今までにないほどの絶頂感に身体が震えた。


 「ンンンぅ……んぐぅううううううううううううううっ!!」


 止まらない痙攣の中、亜子は先ほど感じた魔力が全身をめぐり、そして枷となっていた何かがキレイに取り除かれるのが解った。


 すご、い……
 この快感、癖になりそうや……


 全身から力が抜け落ち、ずり落ちるように彼の肉棒が口中から出ていくと、亜子は腰が抜けたように倒れこんだ。
 その倒れこんだ亜子の顔めがけて、まだ出し足りなかったのか、もう一度、ビュクビュクビュクビュルルルルル、大量の精が放たれる。

 「あ、ああ、熱い……」

 惚けた口調でそう呟きながら、亜子はその精を自分の顔に塗りたくる。
 そうして最後に唇に塗りこみ、れろぉっと舌で舐めまわした。

 「にが……」

 そう言いながら、意識が遠のいていく。
 奇しくも隣には気絶した裕奈が横たわっており、亜子はクスリと笑いながら身体から力を抜いた。
 そして最後の力で、横島の顔を下から覗き込むようして、


 「こんなんしてもうたら、もう、お嫁いかれへん。責任、とって……よこし、ま……さ、ん」


 亜子は、可愛く笑って言えたと満足そうに気を失った。
 前回、亜子が部活の先輩にフラレタ時の方が、よほど大胆でえっちぃかったろうにと、横島はチラリと思う。
 どの道、魔法の世界の事情を僅かなりとも知ってしまった亜子と裕奈を、そのまま放置は出来ないのだから、当面は木乃香と同じ扱いでいこうと考えてはいたのだが。


 そして、亜子は夢を見る。
 何度か見てしまった、彼とエッチなことをする夢……ではない。


 彼と手をつなぎ、公園の並木道を歩く夢だ。
 沢山の女の子に手を出す、最低最悪な男だと思ってた。
 それでも、彼女の友人達の多くが心を奪われてるだけあって、まあ、優しい人なんだろうとは思ってた。
 突拍子もないことで、良く笑わせてくれる人だとも思ってた。
 でも、恋愛感情はないはずだ。
 でもでも、こうやって手をつないで歩くのは、とても楽しい。
 亜子は自然と頬がほころぶ自分に気づいてた。


 ──── 横島さん。目が覚めたら、アナタのことを教えて欲しい。そうやないと、アナタのこと、キチンと好きになれへんから……

 もっと、アナタのことを、教えて、ください。

 そう、何度も、夢のアナタに問いかける。
 

 

















 アキラの目の前で、親友の亜子がビクンと身体を痙攣させたと思うと、そのまま腰を抜かして崩れ落ちた。
 そんな彼女に苦笑いしながら、今の自分が嫉妬や嫉みをあまり感じていないのに驚いた。


 いや、違う。これがいつもの私だ。
 今更なのだ、彼の女癖の悪さなんて。
 あれ? だったら何でわたし……?


 自意識を取り戻してはいたけれど、自分を取り戻してはいなかった。
 自分を取り戻すと、不思議に嫉妬や嫉みはすぅーと胸から消えていく。

 完全に無くなった訳じゃない。
 それはいつも胸の奥にあるものだ。
 でも、それで怒りを感じたりはしない。

 そうじゃなきゃ、彼の傍になんていられないから……

 握った拳を見る。
 さっきアスナを殴り、彼女の血で濡れた手を。

 血だ。彼女を怪我させたのだ。
 罪悪感が胸を焦がし……はしなかった。
 どうしてだろう? 自然と顔がほころぶのだ。

 嬉しいのか? 私は……
 彼女を怪我させて? 

 違う、彼女に怪我を負わせれる自分が嬉しかった。

 それは、可能性の証明。

 私でも、アスナに勝てる可能性があるのだという、証明だ。

 友人を怪我させて喜ぶなんて、我ながら最低だと思うけどね。

 そう思いながらも、アキラは再び拳を強く握り締めた。
 すでにエヴァンジェリンの影響から完全に脱し、混ざり気のない純粋な自分の力、蒼い気を高めていく。
 何故なら、目の前の、額から血を流している少女の霊力が、爆発的に高まってきてるから。


 「ありがと」


 アスナがポツリと呟く。

 何が?とはアキラは問いかけたりしなかった。


 「私さ、甘えてたみたい」


 誰にも見せられない力。でも、どんな力でも無効化できる便利な力。
 忌み嫌い、この世界の誰にも知られるワケにはいかない力。
 そんな力なのに、あるのが当たり前みたいに思ってた。
 霊力と反発したのか、それとも魔装拳と反発したのか……
 それはまだ分からない。でも……!

 爆発的に高まるアスナの霊力……違う?
 それは微妙な違い。霊力だけど、霊力じゃない。

 それは【魔力】
 この世界で使われる魔力とは違う、真正の魔族の力の源である【魔力】
 アスナが知らない内に、雪之丞の手により魔族ジークフリードと契約し手にしていた力だ。

 完全魔法無効化能力。

 アスナに害ある不可思議な力を無かったことにする不思議な力が、今までこの力の完全な発動を許しはしなかったのだ。
 使い方を一歩誤れば、途端に魔族へと堕ちる危険な力なのだから、これはかえって良かったのだろう。

 そんな危険な力がアスナの全身を覆い、凝縮し、固体化し、一個の魔力で編まれた鎧と成す。
 同時に攻撃力と防御力が凄まじいレベルまで上昇する。

 そう、魔の力を用いて、自らの潜在能力を引き出し物質化させる。

 これこそが、魔装術!

 今までアスナが使ってた、魔装拳。
 雪之丞のそれと比べ、いっそまったく別物といった方が納得できるソレなんかと比べ、圧倒的な力がアキラを退かせる。
 それを見ていた横島も、二人の保護対象の少女のことも忘れ、あんぐりと大口を開けていた。

 まるで、雪之丞の魔装術を思い起こされるその勇姿に……

 ただ違うのは、髪まで覆う魔装術で出来た鎧の色が、色鮮やかな紅だというぐらいか?


 「続き、する?」


 アスナのいっそ傲慢といってもいい程の言葉。
 それは、もうアキラに勝ち目はないのだと、見下しているとしか思えない。
 でも、それは事実なのだろう。
 アキラの目覚めたばかりの、それでも強大な力のはずの蒼い気が、まるでみすぼらしく見えるのだから。


 ここは引くべきだ。
 さっきまでの自分は自我はあっても正気じゃなかったと。
 でもアキラは首をふった。


 「うん、するよ。ここで逃げたら、一生後悔するから」


 言うなりアキラは前に出る。
 彼女にとって、最高の一撃をアスナにみまうために。

 だけど、ゾクッ、背筋が凍った。

 瞬時に前に出るのを止め、感の赴くままにアキラは後ろに跳び退る。

 たった今までアキラの居た場所が、ダン!ダンダンダンッ!! ズザッッ!! 打撃音と共に土埃をあげてクレーターを作った。

 いや、それだけじゃない。

 最後の一撃。それは拳撃じゃない……

 剣撃だ!

 アキラは、いや、横島こそが目を大きく見開く。
 魔装術を使うアスナの右手に握られし紅の大剣。


 「どこから、そんな物を……」


 いや、取り出したのではない。

 創ったのだ!アスナが!魔力でッ!!

 雪之丞が横島と戦い勝利するために編み出した魔装拳。
 それは雪之丞が、横島に勝つ為だけに編み出した、雪之丞にだけ許された必殺の業だった。
 同時に自分が死んだ後、ただそれが失われるを惜しんだ彼が、アスナにも気づかぬように仕込んでいた技でもある。
 アスナはその、自らの中に基礎を作られてた技を、もっとも自分が使いやすいものに変換したのだ。

 今の彼女は拳で戦うのがもっとも強い。
 だけども、本来の彼女の才能は、剣、いや、大剣にこそあったのだ。
 どこまでも無意識でそれを創り出し、そうしてアスナは大きくその剣を構えた。


 飛燕剣 身妖舞


 横島が、自ら創り出した霊波刀で、幾度となく悪霊・妖怪を斬り捨てた必殺の剣技。
 異世界の神殺しの業。
 それをアスナが横島に教わることなく、使ってみせた。

 高速の剣閃が、空気を斬り裂きながら纏うオーラを吹き飛ばし、凶暴な魔装のアギトが右袈裟に斬り上げられ、アキラは死を感じる。

 エヴァンジェリンにより着せられたメイド服はズタズタに、ゴシック調の下着すらただの布切れ。
 鍛えられた、だけど女の柔肌を守りぬいてるその肌から、血の滴が飛び散った。
 防御しきれない。いや、しても腕ごと斬られるだけだ。
 最後に、首筋に迫る剣閃に恐怖した。

 かわせない、よけれない、逸らせない、防御もできない。
 死、死、死……どう考えても助かりっこない。


 やだ、死にたく、ない……


 だけど、視界に影がかかった。
 目の前を、自分よりも背が低いはずなのに、とても大きく見える背中で一面となった。


 「よこし、ま、さん……」


 ハンズ・オブ・グローリー

 霊力で出来た小手と爪。
 それでアスナの剣を鷲掴む。


 「アホかーっ! いや、アホはワイかーっ!!」


 アキラを殺しかけたアスナを怒鳴りつけると同時に、ここまで放置してしまった自分を責める。
 そうして両手に霊力をためると、パンッ! 目映い光で目と脳を眩ませた。

 サイキック猫だましである。

 激しい閃光に網膜がやられ、意識が遠のく。
 アスナはグラリと顎を上げ背を反らしバタンと地面に倒れこんだ。

 魔装術が解ける……
 アスナの意識が、完全に落ちたのだ。

 そして、アキラも、


 「生きてる、わたし……」


 生きてる実感を感じるために、目の前の男に抱きつこうとするが、膝から崩れ落ちた。


 アキラが魔の力に酔って戦いが始まり、酔いが冷めると今度はアスナが魔装に呑み込まれ、最後に横島が息を切らせて戦いを終わらせる。


 この惨状。彼女達の内にたまった鬱憤を聞き出そうと傍観してたが、明らかに失敗だったぜ。

 流れる汗がひとしずく。

 横島は、アスナ、アキラ、裕奈、亜子。
 4人の少女が気絶し倒れ伏す姿に、


 「……反省はあとにしよ」


 とりあえずはと、家の中から窓にへばりつく様にして、こちらを心配そうに見ている木乃香に声をかける。


 「こーのかちゃーん、寝床の用意、頼むな~」

 「あーい」

 「おっと、せっかくだから、怪我したこの子ら使って、癒しの魔法の練習でもしてみっか?」

 「ほんまっ!?」

 「魔法は詳しくないから、結構適当になるけどな」


 4人の少女を両腕で纏めて持ち上げると、さっきまでのシリアスな空気もなんのその、かる~い空気まとっておうちに帰る横島だった。































 あとがき


 これでエヴァンジェリン編は終了です☆

 横島vsエヴァンジェリン?

 あるわきゃねーしw

 で、次話。

 一話丸々使ったエロ書いたんだが……

 文字数ばっか増えて、なんかエロく書けなかった。

 ちなみに次回はSPです。

 俺が為に鐘よ鳴れ 第8話 (´・ω・`)だれかのSPイベント①

 内容はともかく、容量は2話分超です☆きらっ☆




[11660] 俺が為に鐘よ鳴れ 第8巻  エロ有り(亜子SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2010/12/25 09:08





 恋……

 というには少し可笑しな気がした。
 彼女、和泉亜子は確かに横島忠夫に親愛的な感情を持っている。
 それは彼女が失恋したときのトンでも体験によるものだったけど。
 でも、それが恋かと問われたら、亜子は迷わず否定しただろう。
 例え相手のナニを胸の谷間に挟んで擦ったり、口に含んでアレコレしたり、はたまた寝ている彼の唇を奪ったりしたり何かしてもだ。
 なぜなら、和泉亜子にとって横島忠夫は、どうにも評価が定まらない相手であったから。
 仲のいい友人である大河内アキラ、明石裕奈の2人は彼の恋人だ。

 それだけじゃない。

 亜子が知る限り、神楽坂明日菜、雪広あやか、村上夏美、那波千鶴、宮崎のどか、綾瀬夕映の6人も彼の恋人である。
 恐らくだけども、まず間違いなく自分が知る以外にも関係を持ってる女性がいるだろうと確信もしていた。

 3枚目な容姿で度を過ぎたスケベにも関わらず、あれでトンデモない女たらしなのだ、横島忠夫は!

 とは言え、軽蔑はしても嫌悪は出来なかった。
 恋人として名を上げた少女達は、亜子にとって友人である。
 その中でも最初に上げた2名は親友と言っても過言ではないだろう。
 そんな彼女達が、自分以外にも相手が沢山いるのを知っても、彼に対する恋心を捨てようとはしない。
 亜子自身も、彼がいい人であることは良く知っていた。

 何より、夢は願望の現れという。

 見るのだ。彼の夢を。彼と愛し合う夢を。彼に抱かれて悦ぶ夢を。

 もっと、もっと!
 突いて、嬲って、犯しぬいて!!

 そう思ってしまう自分がいるのだ。

 恋……ではないはず。

 でも好意は持っているのだろう。


 だから、こうなってもおかしくはないのだ。

 彼を、好きになりたいと思っても……
 彼と、恋をしたいと思っても……

 だから彼の夢を見る。
 だから彼を知りたいのだ。

 このままじゃ、心が壊れてしまいそうだから。


 そう。

 きっと、これが恋の始まりの日だったのだと、後に遠い未来に笑って言って見せた彼女は、ほんのりほっぺが赤かった。



















  俺が為に鐘よ鳴れ  第8話  亜子SPイベント①


















 暗闇に慣れた瞳に目映く灯る。
 学園都市に光が戻った。
 予定の時間よりもずっと速くに。

 同時に、目端の利く者には感じていただろう、そら恐ろしいまでの強大な魔力が消失した。
 こう消えたということは、エヴァンジェリンがネギに破れた証拠だ。
 頑張ったな。そうネギを称賛するとともに、さて、ネギが帰ってくる前にさっさと寝るかと横島は窓から離れた。

 アスナとアキラは色々あったからダウン中。
 今日の復活はないだろう。
 木乃香はそんな2人への癒しの魔法の失敗で不貞寝中である。
 彼女本来の魔力でいえば造作もない様にも思えるが、魔法を使ったこと自体が今回初めてだったのだ。
 緊張もあったし、無駄に力も入っていた。
 なにより、結局魔法を発動させれなかった。
 アスナ達の怪我を治せなかったのだ。

 いくら才能があるとはいえ、いきなり魔法なんざ使えるわきゃねーし。

 横島自身はそう思っていたのだが、意気揚々と初めての魔法に挑んだ木乃香はガックリした。そしてそのまま不貞寝である。
 ちなみに2人の怪我は、横島が苦手なヒーリングでしっかり治療済みだ。

 最後に裕奈と亜子だが、こちらも完全にダウン中。
 半吸血鬼化を性魔術で解いたとはいえ、元がただの中学生。
 どうにも身体に残る違和感がぬぐえない。
 性魔術とは、粘膜接触による儀式魔術である。
 2人は性器同士の接触……いわば挿入こそなかったものの、裕奈はディープキスから性器への愛撫。
 亜子は相手の性器への口腔での愛撫により、身体に直接魔力を流され走査されるという内側から犯される感覚に疲れ果ててしまったのだ。

 そんな訳で5人の美少女といってもいい可愛いらしい少女達全員が、横島家のリビングに敷かれた布団で静かに眠っていた。

 だけども……


 「んぅ? 横島……さん?」


 もぞもぞと布団から顔を出し、手で目をごしごししながら寝ぼけた口調で問いかけてくる声。


 「起こしちゃったか?」

 「ふえ……?」


 まだ寝ぼけてるのだろう。
 布団から這い出ると、ぽんと彼の胸の中に飛び込んだ。
 彼女は夢を見ていた。
 彼と手をつないで公園を歩く夢だ。
 夢の中で彼女は何度も問いかける。
 彼の色々なことを。

 だから、聞く。彼女の中の欲求をそのままに。


 「聞か、せて……」

 「……何をだ?」

 「たくさん……」


 まき絵に襲われ吸血鬼と化したことや、アスナとアキラの戦い、性魔術のこと、聞きたいことは沢山ある。

 でも、


 「でも、一番聞きたいんは、横島さんのことや……」


 彼女は思う。
 自分が知る彼のことを。


 神楽坂明日菜と近衛木乃香、それにネギ・スプリングフィールドの実質的な保護者。
 女タラシで凄いスケベ。


 これだけだ。これだけなのだ!

 B以上C未満までしてるというのに、これだけしか知らない。
 だからエヴァのことも、吸血鬼にされたことも、どうでもいい。
 とにかく彼のことを知りたい。
 だって、そうじゃないと、彼のことを好きになれない。

 
 「俺の……?」


 ちょっと困ったような呟きに、彼の腕の中でコクンと頷く。

 そう、腕の中。

 ……腕の、なか?

 ビクンと身体を跳ねさせて、胸板に押し付けてた顔を上げる。
 彼の、横島忠夫の顔が見えた。
 ちょっと困りながらも女の子を抱きしめる感触に、鼻の下が伸びるのが隠しきれない彼の顔が。
 そう認識したら、背中と腰に回る腕の感触がとても生々しい。


 これは、夢じゃない。現実や……!


 顔に血が上って行くの分かる。


 「ど、どうした急に?」


 夢心地にほわほわしてたのが、急に顔を真っ赤にさせたのだ。
 それは心配するだろう。
 横島は吐息がかかる位に顔をよせた。


 近い近い近ぃぃいいいいっ!!


 ついさっきフェラチオしたとは思えない初心さで更に顔を赤くした。
 見た目だけなら、とても2枚目とはいえない顔に。

 でも、なんでだろう?
 こうやって見ると、愛嬌があってそれなりに魅力的に見える。

 と、いきなり顔をマジマジと見始める。
 まるで百面相のように表情をくるくる変える少女に、横島は小首を傾げた。

 一体なにがなんだか……まあ、なんの話をするにせよ、この場所じゃ皆を起こしちまう。

 そう考え、混乱したままの彼女を連れて、皆が眠るリビングを出た。
 茶色いちっちゃな電気が点いてたリビングと違い、夜々中で薄暗くひんやり肌寒い廊下をひたひた歩く。


 「あ、あの~」

 「ん? どうした?」

 「どこ行くんですか?」

 「俺の部屋。あのままアソコで騒いだら、みんな起きちゃうだろ」


 それに、ネギがいつ帰ってくるか分からない。
 あの子はリビングの惨状を見れば、何も言わずとも部屋に戻って勝手に寝るだろう。
 そこに起きてる自分が居なければ、だが。
 だからさっさと部屋に戻る。例え彼女の件がなくてもだ。

 面倒な話は、明日の朝まとめてでいいだろう?

 なんせ、彼女……和泉亜子と明石裕奈。ことによれば佐々木まき絵にまで魔法バレがあったのだ。
 自分のミスで発覚した訳でもなく、特にネギに過失があった訳でもない。

 完全に被害者であるはずの自分達が、なんで下手打てば罰則受けそうな事態に陥ってるんだか……

 とにかく、こんな面白くない話は、明日の朝以降にしたいもんだ。
 と、考えた瞬間、チラリとこの事態を引き起こした元凶への仕返しを思いつくが……
 亜子の体温と柔らかい肌の感触に、どうでもいいやと仕返しについて考えるのを後回しにした。

 そうして部屋に行くと聞くなり全身真っ赤に染め上げた亜子の腰に手を回しながら、廊下の先、2つある扉の手前の扉を開ける。
 そこは月明かりに照らされた、キングサイズのベッドがある部屋。
 むしろ、キングサイズのベッドしかない部屋ともいう。
 申し訳なさ程度に、部屋のすみにある机になんか目がいかない。
 それぐらいドでかいベッドだ。
 そんなベッドを見て、これから先の未来を想像したのだろう目をぐるぐる回してあうあう言う亜子に、横島は心底思うのだ。

 俺のことを聞きたいと言う彼女。

 ぶっちゃけ、自分語りなんざ酒を飲んで酔っ払うか、ピロートークかのどちらかじゃないとやっとれん。
 そうは言っても、中学生に酒の相手をさせるのはどうかと思うし、今さらだけども、ただの少女である亜子に手を出すつもりも『あんまり』なかった。
 手でシテもらい、胸でシテもらい、口でもシテもらってはいたけれど。
 それに、自分のことを知りたいのだと言ってくれる彼女に、無体なことはしたくない。
 まあ、ちょっとだけイタズラしたりはするだろうけど。

 わははは、と横島は笑いながら、全身あますとこなく真っ赤にしてる亜子の着てる服、メイド服を脱がしてく。
 ゴシック調の下着姿があらわになると、亜子は少し慌てた様子で背中を見られないように隠した。
 横島はそんな亜子の可笑しな様子に気づかないフリして彼女を抱き上げ、ベッドの中央にぽすんと寝かせる。
 そうしてドギマギ落ち着かない彼女の横に自分の身体を横たえ寝そべった。


 「んで、何から話そっか?」


 言いながら布団を引き寄せ、2人包まるように被せると、静かに亜子の言葉を待つ。
 背中を見られたら……そう思ってた亜子は、 恥ずかしそうに顔の半分を布団で覆い隠すと、おずおずと声を発した。


 「え、えーと、まずは年かな?」

 「永遠の18才さ」


 プッと小さく笑い「ホントは何才やの?」と、すっかり硬さが抜け、実に楽しそう。


 「うーん……もうすぐ80くらいか?」

 「嘘ばっかついてると、ほんまに怒るよ?」


 言葉とは裏腹に、あははと笑う。
 そうして次から次へと益体もない、でも彼女にとってはとても重要な質問を繰り返すのだった。




 横島さんも魔法使いなん?

 いんや、ゴーストスイーパーだ。

 ゴーストスイーパーってなに?

 退魔士みたいなもんだな。

 陰陽師とか?

 あー、俺って実は異世界から来てさー。

 えっ? それほんまやの?

 ああ。

 じゃ、じゃあ、いつか帰っちゃうの……?

 そうだな。

 ……みんなを置いて?

 うんにゃ。着いて来てくれるんなら一緒に連れて帰る。

 そ、そっかぁ……

 
 

 初めは彼の正体(?)
 次に彼が体験したオモシロおっかないお話。
 そんな話をどれだけしていたのだろう?
 気付けばネギも帰宅済み。
 もう、とっくの間に自分の部屋で疲れを癒し眠りについてる。

 そして横島の手が、無防備な亜子の胸に伸びた。
 なのに、亜子は抵抗しない。
 横島の成すがままに胸を弄られ、可愛い喘ぎ声を「あぁん」と小さく上げた。


 「はぁぁ……い、いたずらしちゃ……ダメ、や……ぁ……んぅ……きちんと、お話し、し、て……」


 亜子は横島を本当にしょうがない人だと思いつつも、気にしないフリして彼の話に耳を傾ける。
 横島の行為がだんだん大胆になっていき、ブラをずらされ、直接胸を触られ、搾るように揉まれ、先端を摘ままれ、そうして最後にショーツの中に忍び込んでくる。

 くちゅ……

 水音が、驚くほど部屋に響く。
 聞こえた。聞こえてしまった。
 きっと彼の耳にも。

 エッチな娘やと思われたら……

 なのに、彼は相変わらず素知らぬふりして、


 「んで、とっさに文珠使って冷やしたんだが、俺とマリアは戻れんくてなー。
 そのまま大気圏に突入しちまって。そん時のマリアのセリフが、どこに落ちたいですか? なんだぜ」


 なんて話しながら、亜子の顔を覗きこむ。

 話自体はとても面白いし、先がとっても気になるのだけど、正直それどころじゃなかった。
 ショーツの中で蠢く彼の指がくちゅくちゅ止まらない。
 亜子の処女洞に指先を埋め、泡が立つほどかき混ぜられる。
 恥ずかしさと痺れるような快感に、瞳がうるうると潤んできた。
 彼の唇が、そんな亜子のまぶたにチュッとキスをすると、もう、ダメだ。
 様々な色が入り交じった感情が爆発し、自分から彼の唇を奪いにいった。
 そして亜子の唇が彼の唇に届く寸前、まるで彼女を押し潰すように横島から唇をふさぎにいく。
 ギシっとベッドのスプリングが軋み、亜子にとって実は4度目となるキスが激しく、甘く、淫らに、夢中になる。

 唇を合わせるだけじゃないキスが、こんなに身体を熱くさせるなんて……

 口の中を生暖かい舌で蹂躙される。
 同時に流し込まれる唾液。飲みきれない唾液が唇からこぼれ、頬を汚す。


 苦しい……

 息ができない……

 なのに、やめてほしくない。


 不思議な感情が胸の内から溢れ出て、亜子はその感情が赴くままに両手を横島の髪の毛の中に差し込んだ。
 さわさわと撫でるように指を這わせる。
 彼の頭を掻き毟りながら、もっと!もっと!と彼の顔を引き寄せた。
 そうして更に深く、決して離れぬように唇を密着させる。
 夢中になって彼の舌に自分の舌を絡め、彼の唾液を嚥下する。
 瞳から涙が溢れ出る。頭が蕩けて自分がなにをしているのか分からない。


 この人は、少しでもウチに心をよせてくれるんやろか……


 そう蕩けた頭で想いながら、ただの好意だった筈の感情が別の何かに変わっていくのを感じた。


 唇がはなれる。
 涙でボヤけて見えないはずなのに、どうしてか見える彼の瞳が、とても真剣さを帯びてドキッとする。
 もう一度、食むように唇を啄ばまれ、


 「なんも抵抗せんなら、最後までいっちまうぞ?」


 布団を退けながらそう言われた。

 ……こんな時、なんて言えばいいのだろう?

 というか、こんな節操無しにあげちゃっていいんだろうか?


 でも……でも、思う。
 満足はしてないけど、たくさん話は聞いた。
 ……ドキドキした! もっと、もっとお話しを聞きたいと思った!
 本当に、本当に楽しかったのだ。
 もう、フラレた時みたいに流されて……じゃない。
 これから先、彼を思い浮かべるだけで、胸が切なくなるだろう。

 でも、いっぱいいるのだ。

 自分以外にも彼の周りには女の子が。
 自分よりも可愛く、キレイで、美人で……
 ウチのような脇役じゃなくって、主役になれるような女の子達が……

 そんな中に加わって、ウチも見てもらえるのだろうか?
 放っておかれはしないだろうか?
 そうなるくらいなら、最初から関わらない方が身のためだ。

 でも……

 何度めの『でも』だろう?
 それ『でも』!

 好きって言ってほしいと思った。

 抱きしめてほしいと思った。

 いっぱいキスしてほしいと思った。


 だって、きっと、これは、もう、恋 だから。


 「好きって言ってください。そしたら、ウチのこと好きにしてもええよ……」 

 「……好きだ」

 「ほんま?」

 「ああ」

 「アスナよりも」

 「アスナの方が好きだな」

 「じゃあ、いいんちょよりも?」

 「あやかの方が好きだな」

 「……それじゃダメや」
 
 「……そっか」


 残念そうにそう言った彼の顔は、いつもと違って少し大人に見えた。
 胸がキュンとする。
 頬にたまった熱が、たまらなく心地好い。
 だから身を起こし、自分から彼の唇を啄ばんだ。
 チュッと合わさり、そしてすぐにはなれる。
 涙が頬を伝い、感情がどうにも昂ぶってとまらない。


 「ダメやけど、好きってもう一度言ってくれたら……」

 「亜子ちゃんが、好きだ。だってよ、俺はこの世の美女に美少女、ぜーんぶ好きだからなっ!」


 プッと笑う。

 感情の昂ぶりが冷え、だんだんと冷静さを取り戻してく。
 それでも、彼が好きだと思えるのだから、この気持ちは本物だ。
 手を彼の背中に回す。

 ギュッと抱きついて離れるもんか!と。

 そうして言うのだ。
 一世一代のセリフを。


 「ええよ、ウチを抱いても。でもや! たまにでええから、ウチのこともキチンと見てな?」

 「ダメだな」


 その言葉に、あの日、あの人にフラレた以上のショックを感じた。
 ああ、そうか。ウチは、物語の主人公にはなれへんかったか。
 くっ……嗚咽が出そうになるのを堪える。
 泣いてたまるか! 泣いてたまるか! と意地をはって。
 でも、その必要はなかった。


 「たまにじゃなくって、しょっちゅう見てやる。亜子ちゃんが望むだけ、俺が、俺たちは、ずっと一緒だ」


 独占欲がない訳じゃない。
 この先何度でも嫉妬するだろう。妬み嫉むだろう。

 それでも、もういいや……

 そう思っちゃった。


 静かな家の中。
 気絶したままのアスナとアキラと裕奈。不貞寝してる木乃香。ちょっと前に帰ってきたネギ。
 みんな寝静まったこの家で、たった2人。この家の中(世界)でたった2人。


 「好き……です。ウチは、横島さんのこと、好きや」


 瞳に溢れた涙が遂に決壊し、だあっと勢いよく頬を伝って流れ落ちる。
 だって、とてもロマンティックに感じてしまったから。
 もう、この人のそばを、決して離れはしないのだと、ショーツを脱がされながら亜子は思った。
 嗚咽混じりの喘ぎ声を出しながら、そう思ったのだ。


 「いつか、アスナよりも、いいんちょよりも、アキラよりも、ゆーなよりも! 誰よりもウチが一番好きやと言わせてみせるからっ」


 舞台に上がろう。主人公として、自分の物語の舞台に。
 脇役でいいなんて、もう2度と言わないし思わない。
 だって、本気だから。負けたく、ないから……


 「ん? 裕奈ちゃんよか、亜子ちゃんの方が断然好きだぞ?」


 ……この時、しゃあっ! っとガッツポーズしてしまった亜子を、責められるものは、少なくても彼の周りに居る女性陣には誰も居ない。


 「しゃあって言っといてなんやけど、好きに順番つけるんはどーかと思いますよ?」

 「そーせんと、万が一の時に困るからな」


 冷たく、どこか悲しげに澱んだ暗い笑み。
 亜子の心胆が冷え、でも同時に、悦びに震える。
 彼の、この底抜けにスケベで明るい男の狂気を触れることが出来たから。
 それはホンの一瞬の出来事。だって、すぐに嬉しそうに彼女の身体を攻略し始める。
 本人も狂気を出したことに気づいてはいない。
 それぐらい一瞬だった。
 でも亜子は悦びに震え、ただそれだけで……

 「ひぃあああああああああああああああ」

 膣腔から密を多量に吹き出し、ビクビクと痙攣する。
 自然界の牝が強い牡を求めるように、そこに欲しくてたまらない。
 冷えた心を暖める、彼自身が欲しくて たまらない。






























 そして、横島も……

 ヤルつもりはなかったんだが、そう自嘲しながらも、少女の柔肌を這いずる指の動きを止めるつもりはなかった。

 好きだと言って欲しい。
 好きです。

 そうハッキリ言われて発奮しない男は漢じゃねぇー!

 それに亜子の反応がとてもいい。
 処女であることに疑いは無い。
 男に触られるのに慣れてる様子もないし、裕奈みたいにオナニー慣れしてる感じもない。

 なのに、だっ!

 とっても開発されてる感じ方なのだ。
 そんな亜子が特に秀でているのは お尻 である。
 どこを触れても素直にアンアン甘く囀る亜子だけど、特にお尻に触れたときの反応が凄かった!

 この子、才能あんなー。

 横島が鼻息荒くそう思っても仕方ないくらいに。
 尻たぶを軽く揉んだだけで小さく絶頂し、尻の割れ目に指を這わすと蜜壺から潮を噴く。
 腸液もいやらしく滲み出て、横島のモノをココにおいでと誘うのだ。
 指にねっとり絡まる腸液に、知らずゴクリと生唾を飲み込んだ。
 横島はこれ以上ないくらい亜子の尻に夢中になってしまった。
 だから亜子に何を聞かれても、素直に答えてしまう。
 誰にも見せたくないはずの、心の内に隠しているもう一人の冷たい自分をさらだけしながら。
 そんな感じでやっちまった横島だったが、その事実に気づくことない。
 なんせ、その横島は横島じゃなかったからだ。
 どこまでも追い詰められ、生きる為に創られた彼の一面ではあるのだけども、この平和な場所では余程のことが無い限り大丈夫。
 だから横島の本質、スケベ心そのままに、亜子の後ろの穴に指を滑り込ませた。

 まるで吸い込まれるように、


 「んぁっ! ゆ、指が、ウチのお尻んなかに入って……あっ、ひぃんっ!」


 ヌルリと指が半ばで挿入された。

 抵抗がまるでない。
 この穴は、そんなに簡単な場所じゃないというのに……

 千鶴は色々あって別事情だとして、例えばアスナ、あやか、夏美、アキラ、のどかの5人はアナルセックス経験者である。
 この5人は暴走した横島に無理やり後ろを犯された訳だが……そりゃー酷いモノだったらしい。

 切れて。

 横島の文珠による治療を要したのだから、本当に酷かったのだ。

 そして夕映。

 彼女は挿入前に念入りに準備を施し、そうしてイタシタ訳だが、それでも切れた。
 抜き差ししながらこっそり霊力で治療したのも、今ではいい思い出だ。たぶん……

 なのに、亜子のココはと言えば……!

 恐ろしいほど絡まるヌメヌメした腸液。
 慣れた彼女達の大よそ5倍は滲み出てる。
 しかも腸壁の弾力性ときたら、指を曲げて爪を立てても、


 「あくっ……! ひ、ひあ……はぁ……んぅ……」


 気持ち良さそうによがるだけで、傷一つつけられない。

 何という尻力だ……っ!
 これが伝説の尻穴なのかっ!?
 何の訓練も必要とせずに、男のモノをどこまでも呑み込むブラックホール。

 ……てっきり都市伝説だとでも思っていたぜ。

 しかも、亜子の凄さはそれだけじゃなかった。
 抵抗なく指を飲み込むだけじゃなく、後ろの穴をこんなに弄られても嫌がらないのだ。
 普通、なかなかそうは出来ない。
 横島に全部を捧げても後悔しないと高言しそうなアスナでさえ、本気で嫌がった穴だ。
 夕映を除いて他の面々も、横島が暴走さえしなければ、決して許したりしなかったはず。
 なのに亜子はいやがらない。抵抗しない。まるで当たり前のように横島の指を受け入れる。
 指を一本から二本に増やす。
 やはりヌルリと楽に飲み込み、ぬちゃぬちゃ粘る音を響かせる。



 「亜子ちゃんがお尻でよがるエロっ娘だったとは……」


 秘所からダラダラ愛液をあふれさせ、尻穴からも腸液をダラダラあふれさせる。
 誰がなんと言おうとも、彼女がエッチな娘であるのは疑い様がない。天然の、尻穴奴隷となれるエッチな娘だと!


 「そ、そんな激しく出し入れされたら……あぁぁっ、んっ、んぁぁ……だ、誰でも、こ、こう、なる……はぁぁう……っ」


 でも、亜子は知らない。知らないのだ!
 普通、イキナリこの穴でここまで感じられはしないのだと。
 そして、自分のアナルが凄まじくいやらしく、何より魅力的なのだと。
 連続する絶頂に激しく身体を震わせる亜子は、知らない。
 そんな無垢な亜子に、横島はもう我慢が出来そうになかった。
 この目の前の、自分を好きだと言ってくれる少女を、自分専用の尻穴奴隷に仕立て上げる。
 アスナ達に知られれば、ぶん殴られること間違いなしの欲求を、止められそうにないのだ。


 体勢を変えて胡坐をかいた形で座ると、短い間に何度も絶頂し、ぐったりする亜子の身体を持ち上げる。
 そうして彼女をクルリと回転させ背中を向けさせると、尻の割れ目に肉棒を沿わせた。



 亜子は背中を見られる恐怖よりも、ゾクリと背中が泡立つような快感に溺れてしまう。

 気持ちいい。気持ちが良すぎる。

 夢の中で彼に抱かれた時よりも、ずっと、ずっと……!


 「い、イクっ、また、イっちゃ……んぅうううう……!」


 目の前に、『また』 バチバチ星が流れる。
 下の唇から、とめどなく蜜が噴いて、膝がかくかくして力が入りそうにない。
 恥ずかしくって、でもどうしようもなく気持ちよくって、尻の割れ目を行き来する、熱い塊に貫かれたくって。


 横島さんの言うとおりや……
 ウチはスケベな娘で……でも、でもだ、きっとこうなったんは横島さんのせいや。
 誰にでもこうなるなんて思いたくない。
 好きな人にこうされるから、スケベな娘になってしまうんや。


 「そうだ! 亜子ちゃんの尻は、俺のピーを挿入されるためにあるんだ!」


 きっと、これはタチの悪い洗脳みたいなものだ。
 それでも亜子はイイと思った。
 こうされる前に、好きだと思ってしまったのだから。
 好きな人にそう言われ、そう思ってしまうのなら、別にいい。


 「せやったら、い、挿れてみて……横島さんの、おちんちん……」


 それでも恥ずかしいのには変わらないから、両手で真っ赤になった顔を覆い隠す。

 瞬間。

 ぐちゅ、ずるるるん。
 膣壁と違い、つるつるした腸内を、横島の肉棒が通り抜けた。


 「ほんまに、はっ、はいって、きぃ……! んああああああああああああああああああ……ッ……ああぁ、あ、あ、ひぃ、い、んぅうううっ!」


 大きく絶叫したあと、息も絶え絶えに口をぱくぱくさせる。

 お尻に感じる圧迫感と痛み。
 亜子は痛みに耐えながらお尻の方を見てみた。
 彼の影で見えはしなかったが、確かに杭の様なモノがお尻の辺りから生えている。


 「痛いか?」

 「い、痛い……けどっ、、ふわふわして、気持ち、ぃぃ……」


 亜子は、快感自体は知っていた。
 横島の文珠のせいで見る、リアルな夢のせいで。
 でも、アレはここまで凄くなかった。
 ここまで気持ちよくはなかった。
 なにより、快感を知ってるつもりで、実はまだ何も知らなかったのだ。
 リアルみたいな感じと、リアルに感じるの違い。
 穴を拡張され、腸粘膜を擦られながら、彼の鼓動を、息遣いを感じる。

 こんなの知らない。

 なんて、なんて凄い……

 夢はしょせん夢でしかなく、恐ろしい絶頂感で白ずむ意識が、更なる快感で無理やりに何度も起こされる。

 背中の傷を見られるのが気にならない。
 ここまでされてるのだから、当然気づいてるだろうに、彼は何も言わない。
 言わないで、ただただ犯してくる。舌がはった。傷跡をなぞるように。
 ビクッ、身体が跳ね、今まで以上の快感が脳を貫く。

 亜子が快感に戦慄いてると、横島もまた同じように凄いと戦慄く。

 膣壁と違い、つるりとした腸壁の感触がどこまでもヌメリ絡みつき、何の抵抗もなく横島の肉棒を飲み込んだからだ。
 初めてだというのに、こんなにも容易く……!

 だが、亜子のアナルの締め付けが、決して緩い訳ではなかった。
 むしろキツイ! なのにグイグイ奥へと引き込まれる。

 このままでは負けてまう!

 そんな訳にはいかない!
 処女の小娘に、この横島忠夫が負けるわけにはいかないのだッ!!

 横島は、勢いよく腰を引き抜いて、ズ、グン……ッ!

 直腸の壁をカリ先で、入口の肉が幹で擦りぬく。
 圧迫され、拡張されてく感じがお尻の奥まで押し寄せ、最後に尻たぶに彼の陰毛がさわさわと撫でる。


 「ひぃあああぁあぁぁぁあああああああああああ!!!」


 横島は身体が震えた。亜子のあまりのイキっぷりに。
 苦しそうに、なのにどこまでも貪欲に横島を後ろの穴で受け止める彼女が、愛おしい。
 色の抜けた青みがかった彼女の髪に顔を埋め、悪い男の顔で笑った。

 ……これはワイんや!

 この女の身体に、俺という存在を刻み込み、俺以外に目を向けることない俺だけの女にしてやろう。

 そう、笑った。

 それは悪い男の顔ではあったが、決して暗いモノではなかった。
 むしろ底抜けに明るい、ただのドスケベ野郎の陽気な顔。

 そんな横島の心の変化に、亜子は深く貫かれながら感じた。
 横島の腕が柔らかい亜子のお腹を包むように抱きしめ、亜子は自分が彼の全てを受け入れたのだと悟ったから。
 首をねじり、仰ぎ見るように彼の顔を下から覗くと、頬を紅潮させて微笑んだ。
 感極まり、再び涙が瞳からこぼれ落ちるのにも気づかずに、うれしい……と小さく囁く。
 彼女のセックス感は、以前2夜連続で見た淫夢で狂い、こうしてアナルを犯されてるのも当たり前としか思えない。

 そんな筈はないのに。

 処女のまま、こうして後ろの穴だけを犯されるなんて、よほどスケベでどうしようもない男に引っ掛からない限りありえないのに。
 これを当たり前だと、愛されてるのだと錯覚してしまう。

 だからこそ! 彼女の類い稀なる才能が開花した。
 普通なら使われることなく一生を終えるだろう穴を、スケベ一代男に目をつけられてしまうことで。
 でも、彼女は自分を不幸だとは思わないし思えない。
 お尻の中が一杯になって、その一杯にしてる熱の塊が好きな男のモノだから、とても幸せだと感じるのだ。

 だからもう、彼から離れられないとわかってしまった。


 「動く、ぞ……!」


 そんな彼にお尻を犯されて、


 「あ、あ、動いとるっ、ぐぽぐぽって……ひ、ひぃあ、ああぁ……いっ、いっ、いあ……っ!」


 彼の動きに合わせて、次第に自分で腰を動かしながら何度も達してしまうような、いやらしい女の子になってしまったのだと。

 気持ちよくて、幸せで、死んじゃいそうや……

 そんな亜子だ。

 横島から見ても当然痛そうにしていないし、苦しそうにしてるのも、感じすぎて困惑してるようにしか見えない。

 この娘は本当に大丈夫だ。

 ずっ、ぬぶぶっ、ずずっ、ぬぬぬぬぅ……
 
 奥まで押し入れた肉棒を、アナルから抜け落ちる限界まで引き抜く。


 「んああああっ、ら、らめぇ……っ! おしりっ、きもち……いっ、あっ!」


 巻き込まれ拡張された部分が戻り、それでも内側の肉をめくりながらカリを入口に引っ掛け止める。
 そして今度は亜子の自重を使って、ずぶずぶと再び奥まで挿入していく。


 「やぁん!」


 またもや限界まで拡張されゆく快感に、亜子のヴァギナから蜜が止め処なく溢れ出す。
 そしてもう一度抜かれ、また挿入され、

 ぐちゅん、ぐちゅん、ぐちゅん、ぱちゅんっ!!

 淫らな音を立てながら、終わらない、終わらない……
 頭にもやがかかり、もう何度達してしまったのか分からない。
 亜子が分かるのは、横島の激しい息遣いと、熱い塊の感触だけだから……


 「こ、こわれる……っ! ウチ、こわれ……あっ、あ、あぁぁ────ッ!!」

 亜子が高みに達したと同時に、横島は勢いよく肉棒を彼女の中から引き抜き、ぶっしゃぁあああああああっっ!! 大量の精の迸りを放出した。

 体力尽き果てた亜子が見たのは、亜子の背中の傷目掛けて沢山射精したことで満足した横島の顔。


 「傷……ウチのこと、気持ち悪いって思わんへんの……?」


 疲労困憊の中、それでも必死に紡がれた言葉。

 横島はしばし悩み、


 「傷、消してやろうか?」


 傷跡にぶっかけた精液を、必要以上に塗りたくりながらそう言った。

 敏感な傷跡に塗りたくられる精液の感触。
 疲れ果て、もう喘ぐ体力さえ残されていないはずの亜子が、それでも甲高い嬌声をあげた。
 アナルを犯される時と同じくらい……いいや、それ以上の快感が身体を走ったからだ。

 も、もうダメ……これ以上されたら死んでしまう。

 なのに彼は、


 「でもな、俺はこんな傷は気にならんぞ?」


 そう言いながら、今度は肉棒を直接擦りつけてきた。
 精液塗れの傷跡に、ゴリゴリと擦られる感触は、どうにも我慢できそうにない。


 「ひっ、あっ、あっ、あぁっ、ら、らめぇっっ! い、いやや! こんなんでイキたく、ないっ……やぁ、やら、やら、やらぁぁぁっっっ!」


 亜子の全身を異質な絶頂が走り抜ける。

 まるで傷跡が性感帯になったような激しい絶頂。


 「いっ、イクッ! そんなトコでイってまうーーーッ!!」


 同時に、彼の肉棒からおびただしい精液が射精され、傷跡と言わず背中全体を、
 首筋からうなじを、そして髪の毛に至るまで白濁塗れにされ、もう一度、この日最後の絶頂をしてしまう。


 「んくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううううっっ!!!」


 仰け反るようにしてイってしまった亜子は、仰け反った先に待ち構えていた横島に唇を囚われた。
 大きくイってしまい、大量の酸素を欲する亜子なのに、喉を通るのは彼の吐息と熱い唾液。
 軽い酸欠状態になりながらビクビク身体を痙攣させ、意識が白ずんでいく。


 背中が灼ける。ウチの醜い傷が、横島さんの精液で灼かれて、熱い……


 そんな中、横島の言葉で更に熱く、どうしようもない程に熱く……


 「さて、2回目に行くとするか」

 「ひぃっ!?」


 悲鳴を上げる。


 「も、もうダメや! お願い! やめてっ!」
 

 ずちゅり、雁が亜子の腸壁を掻き削りながら、ズルズルと奥へと挿入される。


 「あぐっ!? んあっ、はぁぁぁ……っ!」


 再びアナルを貫かれる快感に、亜子はとうとう意識を手放した。

 背中の傷を気にしないと言う彼に、最後の一遍まで心を奪われながら…………





























 後書き
 
 どうでもいいことだが、後ろの穴レベルw順。

 亜子>千鶴>夕映≧アスナ=あやか=夏美=のどか=アキラ

 木乃香と裕奈はアナル処女。もちろん、タマモ、シロ、愛子といったGSメンバーもそこだけは処女w



[11660] 閑話の1  エロ有り(亜子)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/02/07 10:51

 完全に気絶してピクリとも動かなくなった亜子を抱きしめたまま、フウとやり切った男の顔で息を吐く。
 そうして亜子のアナルから肉棒をズルリと引き抜くと、ドプッドプッと出てくる大量の精液に苦笑した。

 どんだけ出したんだよ、俺。

 いや、これは仕方ないんじゃないか?
 処女のクセにアナル完全調教済みなんて素晴らしい女を作るための結果なんだし。
 だから仕方ないのだ。
 失神してしまった状態の亜子をやっちまおうと思っても。
 チラリと睡姦なんて言葉が脳裏を過ったが……


 「うん、俺は悪くない。悪くない……」


 彼女の足を開かせ、まんぐり返しと呼ばれる体勢に持っていくと、剥き出しに晒される未使用新品のお☆んこと、たった今初体験を迎えたアナルが見える。

 おま☆こもアナルも、どちらもキレイなピンク色。
 なのに前者は大量の蜜を湛え、また後者もコプコプ精液が零れていた。
 ゴクン、と思わず喉を鳴らすと、発作的に精液に濡れた菊穴に指を差し込んだ。


 「……っ!」


 ビクッと亜子の身体が跳ねる。
 だが、まだ目を覚ます様子はない。
 調子に乗り、2本目を刺す。
 再びビクンっと身体が跳ねるが、やはり目は覚まさない。
 亜子が目を覚まさないことに安堵しながら、少し大胆に2本の指でぐちゃぐちゃとかき混ぜた。


 はー、はー、はー、んはぁ……


 亜子の呼吸が激しく乱れる。
 感電したみたいに痙攣し続ける。蜜壺から溢れる蜜の量が半端ない。
 面白い、いつまでも見ていたい。
 そうは思うが、このまま続けたら起きちまう。
 と、横島は一旦指を引き抜き、精液と腸液に濡れた指を今度は彼女の前の割れ目に添えてみた。

 アナルの愛撫を止めたことで止まった痙攣が、再び始まる。
 だけども、それは先ほどまでとは比べ物にならない位小さなものだ。

 やっぱ亜子ちゃんは後ろの穴の方が好きなんだなぁ~。

 そう思いながら、彼女の膣口を割って指を沈めた。
 そうして彼女の未開通のソコに、たっぷりと自分の精液を塗っていく。
 今日、亜子の処女膜を破るつもりはない。
 いずれ、直で注ぎ込む予約と、自分の物だと言う匂い付けみたいなもんである。


 そう思いながら、彼女のドロドロになった下半身に再び肉杭を押し付けた。


 「……ぁ」


 もちろん、その場所はヌレヌレのおま☆こではなく、精液でどろどろとなった菊穴だ。

 そうだ、この子はマダ処女なんだ。
 処女のアナルを眠ったまま犯す……

 ドクンッ!!

 息子の硬度が増す。先端の亀部分がグオンと唸る。

 ここまで興奮したのはいつ以来か……?
 まるで思春期の頃みたいではないか!

 少年時代の劣情……


 これはたまらん!たまらんぞぉーっ!!


 心から吠えた。

 そして劣情の赴くままに腰を突き出し、いまだ乙女である少女のアナルを貪るために肉棒をねじ込んだ。


 「……ぃ……んぁ……」


 失神したままビクビクビクン!っと身体を痙攣させる亜子。
 震えるたびに腸液と愛液をピッピッと飛び散らせる。

 なるほど……ここに夢中になるバカがいるのも頷ける。

 それほどの快感、それほどの悦楽。
 起きてた時より数段心地よさが増してるそこを、存分に味わい尽くすために、横島はゆっくりと腰をピストンさせる。

 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ

 都合4度。たったそれだけのピストン運動で、ビュクッ!ビュクビュクビュクッ!!

 ……やってしまった。

 睡姦、処女、究極のアナル。この3つの要素が合わさり、横島を昂ぶらせすぎたのだ。
 横島はやられたと思うと同時に、とあることに驚愕する。
 ポトリと自分の中から柔らかい亜子のお腹の上に落ちた珠、文珠。

 まさか……まさかまさかまさかっ!!
 そう、まさかなのだ!

 横島が神格者となり齢を重ね、気付けば煩悩だけで創るのが難しくなった文珠が!
 魔力によらず、その煩悩だけで精製されたのだっ!
 あの、美神除霊事務所でバイトしてた時みたいにっ!!


 早漏の如き射精。煩悩だけで出来た文珠。
 永遠の18才だと言ってはいたが、実のところ自分が若いとは思ってなかった。
 なんせ老けたタカミチを見ても、まだまだガキとしか思えなかったのだから。

 それが……!


 「ふっ……俺もまだまだ若いってことか……」


 そう笑い、そっと亜子の傍から離れた。



 ……するつもりはなかった。
 上から目線でなんだが、今回は見逃してやるつもりだった。

 でも、亜子。

 彼女のおかげでそれは違うと理解した。
 その考えは、くだらない大人の考えだ。

 協定だの貸しだの、そんなことばっか考えるんは!

 そうだ! 俺は永遠のエイティーン!!

 やられたらヤリ返す!

 それでいいじゃん。

 難しく考えるのは止めて、アキラと亜子と、ついでに裕奈。

 横島忠夫の女に手を出した報いってヤツを、受けて貰おうか。


 横島は服を着ると、部屋から出て庭へと出た。
 庭の端に無造作に置かれているドラム缶を抱え、ニヤリと笑って真夜中の麻帆良を疾走する。

 ドラム缶の中身、それは大量の腐ったニンニクペースト。
 横島はエヴァンジェリンと関わりを持って以来、『もしかしたら』に備えての準備をしっかりと整えていた。
 仮にも相手は悪の魔法使いを自称する真祖の吸血鬼。
 気を許していい相手では決してない。
 そんな彼女が、アキラと、裕奈と、そして亜子に手を出した。


 「あの娘らに手を出した以上、まさかただで済むとは思ってねーよな?」


 ……その頃、自宅のベッドで貪るように眠っていたエヴァンジェリン。

 彼女は横島なんぞ口でどうにでも誤魔化せると思っていたに違いない。
 それは、確かにそうだろう。

 ただし!

 彼の大事なモノに手を付けなければ、だ!

 彼女は出してしまった。

 横島が最も大切にするモノに。

 ネギとの戦いで疲れ切っていた彼女は、まさか横島の襲撃があるなんて思いもよらない。
 そんな彼女の幸福な眠りが終わるまで、あと数分…………













 明け方、アスナとアキラが起き出し横島の部屋を訪ねると、どろどろのぐちゃぐちゃで、それでも幸福そうに眠る亜子しかいない。
 彼女がここにいること自体は、そう不思議でもない。
 昨夜のアレや、朝起きて亜子が布団の中にいなかった時点で、こうなってるだろうと予想はついていた。

 でも、なんで彼はいないのだ……?

 首を傾げる2人だったが、疑問はすぐに解けた。
 脱衣場の方から実に楽しそうな鼻歌が聞こえてきたからだ。


 なーんだ、お風呂かぁ。

 2人は顔を見せ合って笑い合うと、足を脱衣場へとむけて動かせる。

 2人の間に昨夜のわだかまりはない……と言ったらウソになる。

 でも気にしない。

 彼が彼である限り。

 私は、私達はずっと一緒なのだ。

 
















    閑話の1   亜子SPおまけと説明人横島



















 横島宅リビング。

 いつもはそこそこ広い感じのするこの場所は、現在とても狭く感じさせる。
 食卓を囲むソファーの上座に横島。その右隣でベタベタ甘えている亜子。左隣にはネギ。
 そうして、その3人を囲むように、アスナ、木乃香、あやか、千鶴、夏美、アキラ、のどか、夕映、裕奈、ハルナ、まき絵、千雨が居た。
 15人。それだけいれば狭くも感じるだろう。
 この場に居る者達の共通点。
 それは、横島とネギの関係者であること。
 この世界の【裏】を知っていること。もしくは、知ってしまったことだ。
 そう、今回の騒動で裏を知ってしまった亜子、裕奈、まき絵のための場である。
 いや、より正確には知っている【だけ】の、もしくはそれに近いハルナと千雨の2人のための場でもある。

 まずは魔法についての話と、その秘匿についての説明がなされ、続いて雑談代わりに様々な話をする。






 





 彼の生まれた世界は、オカルト技術が社会に認識されている世界である。
 でも、この世界は違う。
 オカルト……それを魔法と呼ぶこの世界。
 この世界では、一般的に魔法は空想上の物なのだ。
 初めはおかしな話だと彼は思った。
 彼にとって、オカルト技術は当たり前の物だったから。
 でも、そう言えばと、ふと思い出す。
 自分の生まれた世界でも、頑なにオカルトを認めない人もいたっけな、と。


 「えっと、変な話ですよね? 公的に認められた国家資格まであるのに……」

 「自分の目で確認して、更に自分でも使えないと認めない。そんな人も沢山いんだよ。
 まあ、俺の知ってる奴は、単に幽霊が怖くて認めたくないってだけだったんだけどな」


 あははは

 そう笑い声が部屋に響いた。
 問いかけてきたネギも、今回魔法を知ってしまった子らも、同じように笑う。
 ただ千雨だけは、そりゃ認めたくないだろうよと、皮肉気に笑っていたが。

 ともかく、横島は話を続ける。

 オカルトのある世界と、オカルトが存在しない世界。
 正確には、公的には認められてない世界だが。
 とにかく、広義には無い世界だと言ってもいいだろう世界。
 当時の横島は、特にすることが無かったせいか、その2つの世界の比べてみた。

 ……驚くほど、なにもなかった。

 なにがって? 違いがだ。

 同じ地球を基にした世界だからだろうか?
 はたまた、何かの切欠で別れた世界だからだろうか?
 横島の世界とこの世界。
 異世界というよりは、パラレルワールドに近いのではなかろうか?


 「でも! でもですよ? 魔法……そちらではオカルトと呼ばれるものを堂々と使えるのなら、こちらの世界と違って沢山の人を救えてるのではないでしょうか?」


 その分、世界はもっと平和になる。
 この世界のオカルト技術者である魔法使い。
 彼らは現代社会と平和裏に共存する為に、その存在を秘密にしている。
 先に言った、魔法の秘匿である。
 だけど、そのせいで救えない人達がいる。
 魔法さえ使えれば、きっと助けられたろう人達が。
 【立派な魔法使い】であろうとしている自分達が、なんのしがらみもなく人助けが出来る。
 それはとても素晴らしいことだ。
 だからきっと、その世界は平和な世界に違いない。


 しかし、横島は否定する。

 横島の世界とこの世界。
 オカルト技術の根本が違う。

 横島達が使うオカルトは【霊力】
 それは魂の力だ。

 ネギが使うオカルトは【魔法】
 それは精神の力だ。

 霊力とは違い、魔法という名の技術は完全に確立されていた。
 簡単に言えば、魔法は力の大小こそあれど、特殊な事例を除けばだれでも扱える洗練された技術である。

 でも霊力は違う。
 特定の者達しか使えない、酷く曖昧な能力なのだ。
 遺伝によってある程度の継承はされるものの、それだって確実なんて言えない。
 代を重ね、廃れ、失われた霊能がどれほどあろうか?
 
 そして、世界の在り方。

 横島の世界は、元々がオカルト有りの世界だ。
 政治や経済に大なり小なり関わってもいる。
 他にも魔族と呼ばれる人の手に余る存在だっている。
 特にタチが悪い奴らには、世界各地の国家や宗教団体がこぞって賞金を懸けていたりもするけど。

 オカルトテロと呼ばれる事件がある。
 下手を打てば都市まるごと消滅しても可笑しくない事件だ。

 呪術と呼ばれる力がある。
 人を呪い、苦しめる力だ。

 それらすべてに携わり、事件を解決するのが、そう! 横島達ゴーストスイーパーである!!
 彼等は普通の人では扱えない力を用いて、普通でない事件を解決するエキスパート達だ。

 ただし、この世界の魔法使いとは違い、彼らは無償では動かない。
 高額の報酬。これがなければ決して動きはしないのだ。
 公的な機関、オカルトGメンと呼ばれる組織が有るには有るが、その所員の殆どはGSに比べると取るに足らない者達ばかり。
 それでも彼らのお陰で、一般的なオカルト事件は防がれてはいた。
 それにしたって、そうなるまでに必要とした戦訓は膨大である。
 どれだけの犠牲の上に平和が成り立っているのか。
 想像するだけで寒気がする。

 それを踏まえて考えてみたらどうだろう?

 横島の世界は、この世界と比べて平和だろうか?

 ……いや、そんな筈はない。

 要するに、横島達の世界は平和でもなんでもない。
 むしろこちらの世界の方が、オカルト犯罪が無い分だけ平和なのだ。


 「そ、そんなぁ……」


 ネギの茫然とした様子に、夕映が、

 
 「世界の違い……だけではないんでしょうね……」


 世の為人の為に働くことが、この世界の魔法使いとしての在り方。
 そう思ってる者達からみれば、ゴーストスイーパーなどという在り方は噴飯ものであろう。


 「んな訳ねーじゃん」


 千雨はその考えを鼻で笑った。


 「まーな。どこの世界も同じだな」

 「……っ…………」


 横島の千雨を肯定する言葉に、ネギはすぐさま否定しようとするけど、尻すぼみに声が小さくなった。

 ネギも解ってた。
 認めたくないだけで。
 だから聞いてみよう。


 「魔法の存在が明らかになったら、この世界はどうなると思いますか?」

 「そうですわね。数年でオカルト犯罪が多発するようになりますわね」


 ネギの問いかけに、あやかが神妙な声で答える。
 先にも言ったが、魔法は特殊な事例を除いて、誰にでも使えるようになるだろう洗練された技術だ。

 最初は物珍しいだけのこの技術は、間違いなく軍事利用され、テロリストにその技術が渡り、犯罪に使われ、人を傷つける。
 飛行機ひとつ乗るのにも勇気が必要な、そんな世界になるかもしれない。

 だってそうだろう?

 爆弾もなく、銃もなく、ナイフもなく。
 その身ひとつで乗り込んで、魔法の呪文を唱える。
 すると、ボーン! と飛行機は爆散するだろう。
 自殺したい。でも一人で死ぬのは嫌だ。
 そんな奴が真っ先に考える死に方の一つになるかもしれない。
 街でナイフを振り回すよりも、よっぽど簡単だ。
 他にもコンビニ強盗、殺傷事件、自爆テロ……
 オカルトが限定的な者にしか使えない横島の世界よりも、いっそ激しく危険な世界になる可能性が高すぎる。

 そして、それらを防ぐための機関がこの世界にはない。

 魔法使い?

 数が足りなすぎる。

 犯罪は、いつ、どこで、誰が起こすか分からない。

 その犯罪に対応するのには、理念でも志でもない。数が必要なのだ。

 その数が揃い、法的機関が出来るまでに、どれだけの人が理不尽に泣くだろう?


 「なるほどな。だから【立派な魔法使い】かよ……」


 さっきから皮肉が効きすぎる千雨の言葉に、ネギは否定する材料がなかった。


 「まーそうなんだろうな。それを考えた奴らは胸糞悪い奴らだが、その考え自体は正しいんだろうな」


 武道、という言葉がある。

 明治初期。文明開化と共に庶民にも開かれた様々な武術があった。
 剣術、柔術を始めとする、今の時代にも僅かに残る日本古来の人殺しの業。
 担い手である彼らは、その存在自体が凶器である。
 その肉体。その技。その在り方。その全てが。
 そんな彼らを力ずくで押さえつけ、思想をもって力の振るい所を変えていったのが、柔道、剣道である。

 礼に始まり礼に終わる。

 武道に携わる者。格闘技に携わる者。その全てが最初に教わる言葉。
 礼を用いることで武を納め、礼を知ることで暴を抑える。
 逆に言えば、これがしっかり出来ない者に、武を与える訳にはいかない。

 立派な魔法使いの在り方も、この考えに通ずるのではないか?

 と言うのが、千雨の気づいた点であった。


 「はぁ……」


 大きくため息を吐くネギ。
 横島はそんなネギの頭をガシガシ乱暴に撫でる。


 「ナギのうんこは、本当にヒーローだった。女を救い、悪のラスボスをしばき倒し、世界に平和をもたらした、真のヒーロー。
 そうしてその後は世界を巡り、困ってる人達を沢山救った立派で偉大な魔法使い。お前は、そんな立派な親父を目指すんだろう?」

 「はいっ!」


 横島は自分のセリフに体を掻き毟りたくなる衝動を押さえながら、微笑ましそうにネギを見た。
 正直な話、英雄なんて呼ばれる異常者を目標にするのは間違いだって心底思ってる。

 でもま、子供はこれぐらいの方がいいんだろう。

 横島はもう一度、ネギの頭を乱暴に撫で、


 「そろそろ時間じゃないのか?」


 そう言って、ネギを立たせて尻を叩いた。


 「あっ! そうでした!! エヴァンジェリンさんと約束が……!」


 エヴァね……?

 元気だといいよなあ。

 そう内心でせせら笑う横島に、ネギを始め誰も気づきはしない。


 それはともかく、昨日エヴァとの戦いで勝利したネギは、彼女にいくつかのお願いをしていたのだ。

 一つ目、授業をさぼらない。
 二つ目、この学園都市にいる間は、誰も襲わない。
 三つ目、父のことについて、知っている話を聞かせて欲しい。

 その父の話を聞かせて貰う約束をしていたネギは、慌てて外に出かける用意を済ませ、ハルナと、嫌がる千雨、そして、


 「私も行く! エヴァちゃんには言いたいことがあるんだよね!」


 怒ってます! そう言いたげなポーズをとる裕奈。
 彼女はアキラと亜子にも一緒に行こうと誘ったが、首から【反省中】のカラーボードを下げてるアキラと、横島に甘え中の亜子はそれを断った。


 「あーこー。昨日までと態度変わりすぎっ!」

 「ウチは舞台に上がったんや。だからええんやっ!」

 「はあ?」


 そんな亜子に小首を傾げながら、ネギ達と共に家を出る裕奈。


 「行ったわよ」


 アキラと同じく、首から【猛省中】のカラーボードを下げてるアスナがぼそりと言った。
 彼女の視線の先には、テーブルに突っ伏してる横島。
 真面目モードで語り疲れた彼は、頭からプスプス煙を噴きだしていた。

 そして、嗤う。


 「ふはははははははははははははははははははははははははははは! こんなん俺がすることじゃねー!」


 横島は横島だ。
 決して世界がどうのとか考える男じゃなかった。

 横島がすることは……!

 右手が、亜子の身体をなぞる。


 「きゃうっ!? ぅ……あぁ、んっ、み、みんなの前じゃダメや!」


 強い刺激を与えられ、快感に身体を震わせる。
 昨夜、いや、今朝方まで散々嬲られた肢体。
 まだ、熱が完全に収まっていない肢体。
 押し退けようとする亜子の手を押し退け、横島は弄る手を止めようとしない。
 下着は瞬く間にドロドロの愛液に濡れ、アスナにまで滑る光が見えるほど。


 「も、もう、いややって言うとるのに……んぁっ! こんなの続けられたら……み、みんなの前でイッちゃ、う……あ、あぁっ! ひぁあああああああっ!」


 拒む言葉もどこまで本気か?
 亜子は快感に身を震わせながら、横島の胸にすがりついたまま。
 いいや、もうすでに口から出る言葉も……


 「横島さんの指ぃ……凄く感じ……ひあぁ……あ、あ、んああっ!」 


 こんな亜子の痴態を見ている少女達は、まさか彼女が処女だとは思うまい。 

 息も絶え絶えに喘ぐ亜子に、横島は更なる責め苦を加えようと指を伸ばした。
 スカートをめくり、この場に居る少女達全てに見える様にゆっくりと下着を脱がしていく。
 両手で赤い顔でいやいやとする亜子に、だが横島は止めようとしない。
 指先が、亜子の尻の割れ目をなぞる。


 「ちょ、ちょぉっ!!」


 亜子の制止の声に、やはり横島は止まらない。
 いや、イタズラッ子の表情を浮かべ、どんどんと行為はエスカレートしていくばかり。
 ただアスナ達には解った。
 彼は最後までするつもりがないことを。
 亜子をからかって遊んでいるのだ。

 ……ある意味、余計にタチが悪い。


 「はぁ、また増えましたわね……」


 ずっと彼に甘えた様を見せていたのだ。

 ライバルが増えたと、当然気づいてる。

 そんな思いが込められたあやかの言葉に、一様に頷いて見せる少女達であった。















































 一方……

 凄まじくニンニク臭い家を、必死に何とかしようとする茶々丸はてんやわんやの大忙し。

 そんな中、怒りと屈辱にブルブル震える少女が一人。


 「お、おのれ……横島忠夫っ! きさまだけは……きさまだけはゆる、さ……ん……茶々丸との仲、ぜーったいに認めてやらんからなーっ!」



























 後書き

 ダメだ。論文書いてたせいか、どうにも文章がワケワカメ。

 新年一発目。
 あけましておめでとさんです。
 本年も、よろしくお願いいたします。

 さて、次回は

 閑話の2 タマモSP

 です。

 その次は……ノクターンノベルズの総合pt企画

 ヨコアスR 逆行大作戦!(ヨコアスR終了後ifw)

 を書いてみようかな?って思っていたりなんだり……

 内容は……定番の逆行。ただし黄昏の姫巫女(逆行バージョン)付きでGS美神をやってみよう!ですw

 こちらはまだ未定だから、書かない可能性もかなり高いがw
 そいやこっちも170万HITいってたんだよね……
 うん、次のHIT企画は180万でw


 ……ところで、お前ら知ってるか?
 このxxx板で、uyr yama でもヨコアスRでもいい。検索してみろよ?
 なんでか記事数か一つ増えるんだ。
 なんだよこれ? 前に業者削除に巻き込まれて消えたまほらのほほん記第2巻の呪いか……?



[11660] 閑話の2  エロ有り(タマモSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/02/07 12:11

 はぁ……

 熱く、艶めいたため息がこぼれる。

 タマモは縛られて不自由な身体をよじり、特徴的なナインテールの髪を揺らそうとする。
 だけどもキューティクルが完璧な筈のその髪は、紅潮し、玉の様な汗に濡れた身体に張り付いたまま。
 それでも僅かに揺らめいた髪が、サラリと肢体を撫でさすった。


 「あ、あぁんっ」


 感度が高まりすぎているのだろう。
 髪が軽く肢体を撫でただけで、どうしようもなく感じてしまう。

 胸が、アソコが、切なく、苦しい……っ!


 「ヨ、ヨコシマぁ……」


 アイツの名前を呼んでしまう。
 いやらしい蜜でヌルヌルになってしまった内股の熱さに、どうにかなってしまいそうだから。

 でも、アイツは私を楽にはしない。
 だって、これは罰なのだ。

 身体の奥にドンドンたまっていく熱に気が狂いそうになりながら、タマモはせめて自分で慰めれればと手を動かそうとする。
 でも頭の上で縛られている両手は動かない。動かせない。
 ギシ、と天井から吊るされている身体を支えるロープが揺れ、腕が引き千切られるような痛みに襲われただけだった。
 ポタリ、と股間から蜜の一滴(ひとしずく)が床に落ちる。
 足を開脚させられ、その膝下に棒を通され縄で固定されて剥き出しになっているアソコから。
 身体の自由は一切なく、アイツが私をいたぶるつもりなんだと嫌でも解る。


 ……言えば楽になるのだろうか?


 私はアナタの性奴隷です。そう告げたら、楽にしてもらえるのだろうか?
 腕を引き千切られるような痛みから解放し、そうして熱のこもった肢体を蹂躙してくれるのだろうか?


 ああ、いけない。

 私は誇り高い九尾の狐。
 あんなスケベに屈する訳には……


 なのに……


 アイツに触れられたい。

 アイツに嬲られたい。

 アイツに犯されたい。

 アイツに、アイツに、アイツに……


 あんなバカを、どうしてこんなに想ってしまうの?


 潤んだ瞳でアイツを見る。
 もう、我慢できないと。

 そんなタマモの様子を見た彼は、無言で腕を振り上げた。
 腕の先、手に握られているのは黒い馬上鞭。


 「ヒィっ!」


 思わず息を吸い込みこぼれる悲鳴。


 ち、違う! それじゃない! 私が欲しいのは、ヨコシマ、アンタの……


 ビシィッ!

 「ぎゃん!」


 激しい痛みがタマモを襲う。
 ヒリヒリと馬上鞭で叩かれた場所が痛み、みみず腫れに赤い線を作る。


 痛い……

 痛いよぉ……

 怖い……

 怖いよぉ……


 スンと鼻をすすり、涙がボロボロとこぼれ落ちる。
 なのに、股間から溢れだす蜜の量が、グワッと跳ねあがった。


 「なあタマモ? 俺の記憶が正しいなら、お前は今、罰を受けてる最中だったよなぁ?」


 アイツはそう言いながら、私のアソコに馬上鞭を這わせる。
 ぬちゃ……と粘る水音がそこから響き、恥ずかしさと情けなさからタマモの顔は紅潮した。


 「なのに何だ? このグチャグチャに濡れたココは! 俺をロリコンに堕とし、自分は変態趣味に倒錯しようとしてたんか!」

 「ちっ、ちがっひぃうっ!?」


 反論しようとした瞬間、バシン! と再び鞭がタマモの柔らかい腹を打った。


 「どこが違うんじゃ!どこがっ!! おかげで俺は、冥菜ちゃんの口でイッちまったじゃねーかっ!」


 だあっ! と滂沱のように涙を流す様に子宮がキュンと高鳴った。
 冥菜に手を出しかけたんなら、アスナに手を出すのももう少しよね? と。
 恐怖と痛みに強張る顔が、蕩けた牝の表情に変わった。
 股間から溢れる蜜の量が、これ以上なく増加し、尻を伝って床にぴちゅん、ぴちゅん、と水たまりを作っていく。


 「ったく、この淫乱狐が……!」


 水たまりに視線を送り、忌々しそうにそういうアイツに、身体がブルルと震える。
 呆れと蔑みの混じった視線が、どうしようもなくタマモを熱くさせるのだ。


 「鞭で叩かれても反省するどころか、気持ち良さそうに喘ぐとはな……」


 そう言いながら、ポケットから銀色の輪を取り出す。

 指……輪? シルバーリング?

 タマモも立派な女の子。
 何より前世は傾国の美女とも言われた女。
 当然、この手の装飾品は大好きだ。
 もっとも、横島の前では興味がないフリはしているけれど。

 だけども、それはタマモが思っているような良い物ではない。


 横島は馬上鞭を放り棄て、手をタマモの豊満な胸に伸ばす。
 やわやわと揉みしだくと、簡単に形を変えてしまう胸を搾るように揉み、ツンと飛び出た乳首を摘まんだ。


 「あ、あふっ……んぅ、くぅあ……んんっ」


 無遠慮に弄るその手の動きに、タマモは恍惚としてしまう。
 切ない吐息をもらし、甘い声をあげる。


 「あ、はぁ……んぅ……き、きもちいいよぉ、ヨコシマぁ……」


 もっと、もっと可愛がって……

 そうスケベな顔で自分を見ているだろうアイツに、熱い吐息でおねだりする。

 でも、違う。

 アイツはスケベな顔をしてなんかいない。
 冷たい。どこまでも冷たい目で見ている。

 そして、パチン! アイツの手にある指輪と思しきリングから、バネ仕掛けの音がした。
 指で引っ張ると輪が開き。離すとパチンと締まる。


 「こいつはリップルリングって言ってだな、まあようするに、乳首にするピアスみたいなもんだ」


 サアっと熱い何かが引いて、冷たい汗が流れる。
 顔が青ざめ、唇がわなわなと震えた。
 息が再び恐怖で不規則になる。


 「い、いや……やだってばヨコシマ……ウソ、だよね……?」


 哀願するように上目遣いで問いかける。
 そんなタマモを心底楽しそうに見下ろしながら、パチン、パチンと何度も音を立てた。
 手にあるリングは全部で3つ。
 その内2つをポケットにしまい、残った一つのリングの輪を開く。
 そうして乳首の上に持っていくと、イヤ、イヤ、と首を横に振って嫌がるタマモを嘲笑うようにしてパチンと指を放す。


 「いぎぃぃぃぃっ!? イダイ、イダイぃぃぃぃい゛い゛い゛っ!」


 肉を貫く痛みに、つんざく様な絶叫をあげる。
 なのにアイツの手は止まらない。
 無事なもう片方の胸をムンズと掴み揉み搾ると、ツンと飛び出た乳首を捏ね繰り回す。


 「やだやだぁっ! ゆ、るして……ごめん、なさい……だから、やめてってばぁっ」


 天井から吊るされているのも気にしないで、身体を強引にねじってアイツの手から逃れようともがいた。

 腕が、痛い。
 肩から腕がもげてしまそうな程に。
 でも、それよりももっと怖い。
 痛い、痛いのだ。
 穴が開き、リングを通された乳首が……!

 でも、アイツはやめてくれやしない。
 
 乳首の根が勢いよく締め上げられる。
 さっきとは違って、今度はゆっくりと。


 「あ゛あ゛あ゛あ゛……ッッ!!!」


 痛みに悶えるタマモのピンク色した乳首が、ぷっくりと膨らんで血を滴らせる。
 最後に、ブツン! と肉を貫く音が鼓膜に響き、


 「……ぎぃっ!? あっ! ……だいっ、いだいよ、ヨコシマぁ……!」


 しゃくり上げるようにしてタマモは泣きだした。
 スン、スン、と鼻をすするタマモの顔は、涙とよだれでぐちゃぐちゃだ。


 やめて……

 ごめんなさい……

 だからもうゆるして……


 タマモは泣きながらそう訴える。
 すると、彼は床に投げ捨てた馬上鞭を再び手に取り、振り上げた。


 「い、いや……ぁ……」


 ビュン!
 鞭が風を切る。

 いや、切ったのは……


 「ひゃあっ!?」


 タマモを吊るしてたロープ。
 タマモはビチャッと自らの蜜で作り上げた水たまりに尻から落ち、目をパチクリする。
 相変わらず下半身は棒と縄のせいで開脚させられているけど、肩から腕がもげそうな痛みからは解放された。


 終わったのね……
 これから先は、ただただ快楽の海に溺れるだけ。

 乱暴に髪の毛を引っ張られながら、タマモはそう安堵する。
 肉棒を頬に押し付けられ、タマモは当たり前のように、それを愛おしげに口中へ招き入れた。
 ガシガシと喉奥に何度も肉棒を叩きつけられ、苦しさから涙がとまらない。
 だからと言って、少しでも舌の動きを怠けると、途端に指が乳首に刺さったままのリップルリングの穴に通る。
 グイッと乳首が引き千切れるんじゃないかってぐらいに引っ張られ、悲鳴が喉から迸りそうになった。
 でも喉をふさぐ肉杭で、くぐもった悲鳴すらでやしない。
 タマモは痛みに意識が飛びそうになるのを堪えながら、前世の記憶で貴人を悦ばせた技術を必死に使う。

 九尾狐の本能で、目の前の強い牡に庇護されたいと願う心で。

 口には決して出しはしない。
 他人がみたら横柄な態度のタマモである。
 とてもそうは見えない。見えるはずがない。
 こんな自分を知っているのは、彼女を支配する目の前の男と、昔からのツレであるシロだけだ。

 愛……ではない。

 当然、恋でもない。

 むしろ彼に寄生しているのだろう。


 愛子は愛人として。
 シロは愛玩動物として。
 そしてタマモは性奴隷として……

 寄生し、代わりに全身全霊を持って尽くす。
 それが人ではない、妖(あやかし)としての生き方。

 ……いいや、これこそ【人】なのかもしれない。

 そう思いを巡らせていると、喉奥に熱い性の塊を放出される
 ゴホゴホ咳き込み、飲みきれなかった精液を吐き出す。
 すると、ピシャンと頬をアイツの手で叩かれた。
 真っ赤になった頬を抑えてタマモは泣いて謝り、床に零した精液を舐めとりながらそう確信した。


 傍から見たら、乱暴されてるようにしか思えない光景。
 でも、これがタマモにとって一番嬉しいセックスのアリカタ。


 「挿入れてほしいか?」

 「い、挿入れてっ! 挿入れてくださいっ!!」


 自分の欲望を曝け出す。
 足の拘束をそのままに、身体をくるりと回転される。
 後ろ向き、獣の姿で尻を突き出す形で、タマモは期待に胸を焦がした。 

 入口に亀頭が押し付けられる。
 ぐちゅ、と粘る水音。
 恥ずかしい。
 だけども、それ以上に……


 「あ、あ、う……くぅああああっー!」


 奥まで一気に貫かれる。
 あまりの快感に、目がチカチカした。


 「挿入れたぞ、タマモ?」


 そう言いながら、ガシと頭を掴まれ強引に彼の方を向かされた。
 快感から涎を垂らす姿を曝け出され、タマモは恥辱に震える。


 「この淫乱狐め……!」


 そう再び罵られ、髪を鷲掴みされ引っ張られた。


 「があっ!?」


 痛い!

 でも、そう訴える前に、腰が激しくピストンされる。

 痛み以上の快楽。


 「い、いいっ、ヨコシマ、いいよぉ……」
 
 
 例え、髪を引っ張られながら後ろから犯されようと。
 ついでとばかりに尻を叩かれようとも。
 叩かれ真っ赤になった尻を振り、彼に何度も哀願する。
 乳首のリングを引っ張られ、乳首が取れちゃうと泣き叫び。
 ゴリ、ゴリっと膣壁を掻き削るアイツの肉棒の激しい律動に、タマモの膣ヒダがキュウキュウ蠕動させてしまう。


 「おっ、いいぞタマモ!」

 「あぁっ、わた、しもっ! いいっ、いいのぉ……!」


 心地好い……

 アイツに犯されるのが、どうしようもなく快感だ。

 アイツに与えられる痛みが、私は生きているのだと実感させてくれるから。
 もう、一人じゃないと。私を使ってくれるアナタがいるのだと。

 その快感こそが、タマモの九尾としての欲望。

 肢体に、どうしようないくらい大きな、大きな、火が灯る。

 穴を開けられた乳首が痛む。
 髪の毛を引っ張られて頭が痛む。
 叩かれて真っ赤になった尻が痛む。
 子宮を叩く、いいや、子宮に入り込んだアイツの肉棒でお腹が痛む。

 でも、これこそが私に相応しい愛され方。
 そこからもたらされるのは、前世での普通のセックスなんか目じゃない、遥かに大きい快感なのだから。


 「そろそろお前も動け」

 「う、うん……わかった……はぁ……ん、んぅうっ」


 言われるままにタマモは腰を動かした。
 アイツが悦ぶようにと、殊更淫らに膣内をうねらせながら。

 グチュッズチュッヌチュッジュブッ! 

 膣内がかき回されて、どうにかなってしまいそう。
 痛みも、快感も、それら全てが合わさって……!


 「あっ、あぁっ、ヨ、ヨコシマぁ、ヨコシマぁっ! イクっ、もう、イッちゃうぅうーっ!!」


 叫ぶと同時に、膣内でアイツの肉棒がビクビク跳ねた。

 
 「出すぞっ!」

 「は、はやくっ! はやく出して……! じゃないと、いっしょにいけないっ。だってわたし、もうっ!! イっ、いぃい゛……っ!」


 ドプッ!

 最初の熱の塊が、直接子宮を犯してく。
 子宮を征服され、全身を駆け抜けるような快感。


 感じるっ! アイツの精液を……っ! ああ、もう、私は……


 「いやぁあああああああああっ!」


 なんて、なんて快感……
 これをアノ子と一緒にするのを考えただけで、身体がもっともっと熱く……!

 ああ、アスナ、私の可愛い妹……
 貴方と一緒に、おそろいのピアスをしましょう?
 乳首に、ラビアに。
 そうして、決して外されることのない首輪をつけて貰うのだ。

 シロのよりも立派なおそろいの首輪を……




















 「……マモっ! タマモ! はやく起きるでござるっ!!」

 「……あっ? ああ……?」

 「いつまで寝惚けてるでござるか! さっさと起きんと朝食抜きになるでござるよ!」

 「いいわよ、別に……それよりももっと寝かせてよぉ。良い夢見てたんだからさ……」

 「はぁ、先生の夢でござるな? 気持ち解らんでもないでござるが、さっさと起きねば冥菜殿と蛍子殿が来てしまうでござる」


 冥菜はともかく、蛍子の名前でガバッと布団から飛び起きた。
 せっかくの夢の余韻よりも、ヨコシマの子供に会いたかったから。
 どうしようもなく欲求不満な今日この頃、アイツの残滓を持っている蛍子はその欲求を僅かなりとも解消させてくれるだろう。

 タマモは呆れた様なシロの視線を無視してシャワールームに飛び込むと、汗と愛液に濡れた身体を洗い流す。


 そう言えばシロのやつ、私が見た夢をアイツの夢だって断言してたわね。
 匂いがしたのだろうか? 女の、匂いが……


 「はぁ……ったく、あのバカ犬め……」


 ため息がてらに罵倒しつつ、股間に指を這わせてみた。
 クチュリとした粘液が指に絡み、「んっ」小さく艶めいた声がもれる。
 そのまま指先が膣内(なか)へと……


 「タマモっ!」


 ……シャワールームの外からシロの苛ついた声にうんざりする。
 挿入せずに「分かってるわよ!」と、唇を尖らせ全てを洗い流した。

 女としての欲望も、九尾としての欲情も。









 シャワールームから出ると、バスタオル一枚持って食卓のあるリビングへと足を運ぶ。
 濡れた髪をゴシゴシ乱暴にふきながら、素っ裸で中に入ると、咎めるような視線を感じた。


 「女所帯なんだからイイじゃない」

 「ダメよ。ドクターが居るでしょ?」

 「どうせココには来ないわよ」


 愛子にそう言いながら、バスタオルを身体に巻いて席に座った。
 本当だったら、長方形のテーブルの上座に横島が座り、その斜め横の左右をタマモとシロが座る。
 更にシロの横に愛子。タマモの横にアスナが座り、最後に横島の正面がマリアであった。
 でも、今は横島とアスナがいない。

 たった2人。たった2人だけのはずなのに、とても寒く感じるのは何でだろう?

 ……理由は分かっている。

 心の一番大切な部分を占拠されているからだ。
 大切な妹であるアスナと、そして寄生対象であるヨコシマに。

 はやく帰ってこないかな。
 そうしたら、2人でヨコシマに……

 タマモはバスタオルの上から胸を弄る。
 今はない、ピアッシングの痕を。
 そうして塞がってしまった穴の辺りを愛おしげに撫で、


 「そういえばさ、何人連れて帰ってくると思う?」


 ぶしつけにタマモはそう言った。
 愛子の頬がヒクリとひきつく。
 意味は分かっている。
 あのスケベ男が、よその世界にいって女を作らない訳がない。
 一応はアスナに注意してはおいたが、どれほど効果があるのやら。
 もとよりアノ子は、タマモの性教育のせいでセックスに対して大らかだ。
 その辺りが心配でならないと愛子は思うのだ。


 「2人。2人までなら何とか我慢するわ」

 「拙者は3人でござるかな? あまり連れて来られると、拙者の散歩の時間が減ってしまうでござるし」

 「5人ね。5人は連れて帰ってくるわよ、あのバカ」


 なんせこの世界での10年で、タマモ、シロ、愛子、アスナ、マリア、冥菜、レミ、めぐり、すずめと、タマモが知るだけで9人の女を落としているのだ。

 2~3人で済む訳ないじゃない。

 そうせせら笑う。


 「……そうね。だったら準備しとかないと。横島君を迎える準備を……ね?」


 連れて帰ってくるだろう女に対しての準備じゃない辺りが、とても怖い。
 シロは尻尾丸めてブルブル震え、だけどもタマモは余裕の表情である。

 5人くらいでオタオタすんじゃないわよ!

 何人小娘が増えようとも、タマモには自信があった。

 女としての自信が。


 だけども、これより未来の話。
 横島が連れて帰ってきた女の数を知ったタマモは……


 「アンタ、調子にのるのもいい加減にしときなさいよ……?」


 愛子と2人。怒りのオーラをまとわせて、遠く異世界からやってきた彼女達を、大層恐れさせたとかなんとか……






























 後書き

 作中の夢は、GS日記第7巻はアスナ&冥菜との入浴後になります。
 なんか、鬼畜でSな性行為、うまく表現できなかった(汗

 今後のエロテキスト上達を祈って……

 は、ともかく(笑) 更新、久しぶりでしたね(汗
 モチベーションがガリガリ削られて、やる気がいまいち……ね?

 一応ですが、ノクターンノベルズ様の方に、新話を更新しています。

 総合pt500突破記念企画 ヨコアスR 逆行大作戦!! ① 違うタマモ

 この話も、この次と次の話も、まだまだストーリーが走ってはいませんがね、一応は逆行ものですw
 良かったら読んでやってください。

 次回の更新予告は、感想返しにて少しだけ。






[11660] 閑話の3  (NTR美砂)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/03/08 00:09






 それは、誰にとっての自業自得だったのだろう?








 エヴァンジェリンのネギ襲撃から翌々日のこと。
 エヴァ&茶々丸主従が、横島家へとやって来た。
 とは言っても、茶々丸の主たるエヴァンジェリンの意識はなく、ただ彼女に運ばれているだけの存在ではあったが。
 そのぐったりと意識のないエヴァを大切に抱きかかえている茶々丸は、横島の顔を見るなり、キッと強い視線で睨みつける。


 「ひぃっ!?」


 思わず仰け反り逃げ腰になる横島。

 今の茶々丸、0.8美神級の威圧感である!


 「ど、どうしたの茶々丸さん?」


 ちょっと怖々だけど、彼女のレズ友……もとい親友だと自認しているアスナが問いかける。

 だって、茶々丸さんは忠夫が好きなはず。
 なのに、どうしてこんなに怒ってるんだろう?
 ……まあ、原因は……なんだろうけど。

 案の定その通りで、茶々丸は怒りの籠もった視線を横島に向けながら話し始めた。


 「横島さんがマスターを襲撃し、ニンニク塗れにしたのです」

 「はあ、それは大変やったなぁ」

 「しかもそのニンニクが腐っていまして、襲撃の現場である我が家は腐海を越えた別の何かに……」


 ジトッとした視線が、家族の筈のアスナや木乃香から向けられる。

 いやいや、お前ら事情は知ってるだろう?

 そう言いたげな横島に、2人の目は、やりすぎよっ! と言わんばかり。
 まあ、そう思うのも仕方ない。
 被害者であるエヴァンジェリンは酷く具合が悪そうに唸り続けてるし、茶々丸まで疲れ切った表情を隠せないでいる。
 なんせ横島の襲撃を受けてからこっち、家中に蔓延するニンニク臭を消す為に、丸一日以上、掃除し続けたのだ。
 なのにその間、ただの一度も魔力の回復が行われておらず、少しでも気を抜けば省エネモードに入って眠りについてしまいそう。
 魔力さえ回復出来れば、24時間休み無しでの活動が可能な茶々丸だったが、マスターであるエヴァは真っ青な顔でダウンしたまま。
 当然、魔力の回復なんて出来やしない。
 横島は、彼女の機嫌を取る為にも魔力を回復しようか? と言いかけるも、茶々丸も横島がどう反応するのか分かっていたのだろう。


 「結構です」


 先制攻撃!

 横島には無表情でキッパリ断る一方、


 「アスナさん、お願いできますか?」


 アスナに対してわざとらしく頬を赤らめて、そうお願いした。
 アスナを見つめる今の茶々丸は、誰が見ても可愛い恋する女の子。
 横島に対する怒りの見せ方といい、アスナに対しての恋する女の子みたいな対応といい。

 本当に、人間みたい。

 アスナは優しい笑みを浮かべると、茶々丸に素気無い態度を取られてへこむ横島を見る。

 茶々丸を【人間】にしたのも、自分を【人】に近付けたのも、みんなみんな、アナタ。


 「それと、家の脱臭が終わるまで、こちらに泊めて頂きたいのですが……」

 「ええよええよー」

 「そうそう、困った時はお互いさま、ってね」

 「ありがとうございます、このかさん、アスナさん」

 「部屋は……茶々丸さんは忠夫の書室に。ダウンしてるエヴァンジェリンは客間かな?」

 「ウチ、部屋の用意してくるな」

 「私も手伝わせてください」

 「そうやなー。じゃあ、いっしょにしよな?」


 これより数時間後、環境が良くなったおかげだろう。
 意識を取り戻したエヴァンジェリンは、茶々丸のこの行動を非難するも、すぐに納得。
 客間から横島の部屋に移動し、巨大なベッドのある彼の部屋を強奪を慣行。


 「確かキサマには貸しがあったよなぁ。なぁ、横島忠夫?」


 などと言って横島を部屋から追い出すことに成功する。
 自分の女を連れ込んで、色々とエロエロなことをする部屋だ。
 当然、彼にとって最も過ごしやすい環境が整えられている。
 もちろん、色々と大切な物もあるし、なにより客間のベッドは狭かった。
 
 それに……

 大声で、実に楽しそうに笑いながら、


 「私がここに居る間は、エロイ行為は禁止だっ」


 うす~い胸を大げさにまで反らし、そう言ってのけるエヴァンジェリン。


 「まあ、仕方ないわね」

 「そうやなぁ」


 アスナと木乃香は、何故かこれに従い。
 茶々丸は、やはりツンとした態度を崩さない。
 後からエヴァンジェリンとの同居を知ったネギも、


 「……よく分かりませんけど、いいんじゃないですか?」


 とすぐにこれに同意。
 半泣きになった横島は、「幼女(偽)がワイの部屋をとったぁーっ」と負け犬の如く泣き叫んで家を飛び出した。


 「まあ、最近ちょっと調子にのりすぎだから……」


 そう言った明日菜の脳裏に過ぎるのは、ここ最近急速に増えている彼の女の顔。
 知ってる限りでも片手の数を優に越え、その殆ど……ってか全員が彼女のクラスメイトだった。
 当然、明日菜にとっては面白くないし、自分のクラスメイトに手を出すな!なんて思うのも当然だろう。
 それに何より、何かゾクッと背筋が凍ったのだ。
 このまま元の世界に帰ったならば、愛子だけじゃなく、姉であるタマモにまで折檻されてしまうと……
 セックスするのが悪いとは、アスナは思わない。
 そのこと自体は、とても自然な行為だと思っているから。
 それはタマモの間違った性教育による物だったけど。


 嫉妬するなら混ぜて貰えばいいのよ。


 どこかしら、こういう考えがあるのがアスナであった。
 だけども、流石に今の状況は面白くない。
 亜子に裕奈と、女を増やした横島に。

 そう、面白くない。

 だからエヴァンジェリンにベッドを奪われ、茶々丸にすげない態度をとられて悲しむのを見ても、ざまぁ、としか思わなかった。

 これで少しは反省しなさいっ。

 そう……

 だけど、これこそが間違いだった。
 あくまで結果論ではあったけど。
 でも、確かに間違いだったのだ。

 だって、うぉーんと泣きながらどっか行った彼は、自分のクラスメイトをナンパしやがったのだ!















     閑話の3  柿崎美砂の、ナ・イ・ショ♪





















 「ねーねー、あれっ、あれっ!」


 桜子が彼の存在に気付いたのは、明後日から始まる修学旅行で着る服を買いに出かけた先だった。
 彼……それはクラスメイトである那波千鶴の彼氏である。
 私、柿崎美砂は、その彼にちょっとした逆恨みをしていた。
 その那波さんの彼氏のせいで、自分の彼氏との仲が微妙になってしまったのだ!


 「ちょっとそこの君ぃっ、可愛いね! 僕とちょっとだけイイことしない?」


 やはぁ!

 と元気良く手を上げて道行く女性をナンパしている彼に、イラッとする。

 そう、この男だ。この男の……アレ、のせいで、私は……っ!!




 あれは、4日前のこと……


 私は、付き合ってる彼氏とちょっと好い雰囲気になった。
 彼は大学生。まあ、私と比べれば、十分に大人である。
 いつかはそうなるだろう。そう思っていたし、何よりどうも最近の私は欲求不満らしく、いやらしい夢までみてしまう。
 だから私は、素直に唇を彼に捧げると、盛り上がった気分のまんま、彼の部屋に行った。

 彼の部屋でシャワーを浴び汗を流す。
 そうして脱衣場から出ると、彼は裸で腰にタオルの状態で私を待っていた。

 緊張と、何より恐怖なのだろう。
 身体が強張って思う様に動かない。
 この時の私は、本当に【あんなモノ】が入るの? そう恐怖していた。

 あんなモノ。

 それは、あの日見た、那波さんの彼氏の アレ だ。

 太く、長い、アレ。

 あんな凄いモノが、……に入るとは思えない。
 でも、彼女には入ったのだ。
 だったら私にだって入るはず。

 それに夢の中ではズボズボ入ったし……

 そう時折見てしまう、那波さんの彼とシテしまう夢を思い出した。

 あ、まずい。こんなの思い出しちゃダメよね……

 私はブンブン勢いよく首を振って、この光景を脳裏から叩きだす。

 そうだ。

 ここで彼に抱かれれば、この先夢を見る時は、彼に抱かれる夢になるだろう。
 そうすれば、もうあんな夢は見なくなる。
 あの人に抱かれて嬉しそうに喘いでしまう夢を見てしまうのは、あの日、那波さんと彼のセックスする姿が、あまりにもインパクトがあったせいだ。

 どうしたの美砂? そう言って心配そうに私を見る彼に、
 ううん、何でもない。ちょっと、その怖いだけだから。そう返すと、彼は立ちあがった。

 たぶん、私を抱きしめて安心させようとでも思ったのだ。

 その、時だっ! そう、その時。

 彼の腰に巻いていたタオルが、ハラリと落ちた。

 彼のアレが露わになる。
 そそり勃つアレが。
 その時私は、思わず口にしてしまった。

 運命の言葉を……


 「ちっちゃっ!」


 ……那波さんの彼氏のアレが特別大きかったのか。
 それとも彼のアレが特別小さかったのか。
 私には分からない。
 私が知るアレは、彼と、そして那波さんの彼氏のモノだけだったから。


 ただ、ひとつだけ……

 その日、彼のモノは更に小さくなってしまった。
 気まずい空気が2人の間を流れる。
 自信を失くしてしまった彼は、ただ、もう帰ってくれ。そう言うだけで。
 それから私は彼と連絡を取れてない。
 携帯に電話しても、メールをしても、返事は、ない。

 私が悪かったのだろう。

 でもだ! 那波さんの彼氏を苛立たしく思ってしまうのは仕方のないことだろうと私は思う。

 彼のアレさえ見なければ、こんな気まずい状況にはならなかった筈だ。
 八つ当たりなんだって、分かってる。
 那波さんとの情事を覗き見た私こそが一番悪いんだって分かってる。

 それでもっ、それでも私は……っ!


 アンタを恨まずにはいられないのよーっ!!





 ふと気づけば、那波さんの彼氏と桜子が、実に楽しそうに話をしていた。
 そういや、桜子は彼に興味津々だったっけ。
 ただ、もう一人の友人である釘宮円は、そんな桜子に「ダメだってっ!」と止めに入ってる。
 それもそのはず。
 桜子は、彼にナンパされていたのだ。
 私は、男のその行為に頬がピクピクとひきつった。


 アンタ、那波さんの彼氏でしょうがっ!?


 それは桜子も知っているはず。
 だって、あの日、彼と那波さんの睦み合いを覗き見たのは、私と、円と、そして桜子の3人でなんだから。
 あの時見た那波さんは、学校での彼女とは違って、凄く可愛く、幸せそうで。
 この世全ての幸福の象徴にすら見えたものだ。

 そこまで想ってくれる彼女を持っておきながら、この男は……!!



 だけど私は、唇を吊り上げ、意地悪く笑う。

 そう、そうなのよ。
 目の前の男は、彼女が居る分際でナンパする最低野郎。

 この浮気の証拠を那波さんに送ってやれば……

 私は写メでこの男が桜子にいいよる光景を那波さんに送る。
 すぐさま、しゃららら~んと返信メールが届き、私はそれを彼に見せつけてやろうと思ったけど、その前に文面を見て絶句した。


 ≪(^ー^* )フフ♪ 明日はアスナの誕生日ですので、キチンと誕生日プレゼントを用意しておくように伝えておいてください('-'*)ヨロシク♪≫


 へ……?

 この反応、本気で意味がわかんないんだけど?


 私は驚きに目を見開くも、必死にそれを押さえようと、胸に手をやり、大きく深呼吸をする。


 すぅー、はぁー、すぅー、はぁー。


 そうしていると、楽しげな声が聞こえてきた。


 「やっほーっ。だったら早速カラオケ行くよ~っ!」

 「こらっ桜子っ! 今日は修学旅行で着る服買いに来たんでしょ」

 「え~!? だってぇ……」

 「んじゃさ、パパっと用事終わらせて、それからカラオケ行こうぜ!」

 「う~んもう、仕方ないなぁ」


 ……なになに何なのっ!?

 ちょっと見ない間に、あのナンパ男が大嫌いな円がっ!

 難しい顔してるけど、口元が何かすっごい楽しそうになってる!?

 桜子は……もう何も言うまい。
 彼の腕に胸を押し付ける様に自分の腕をからめて笑ってた。

 男は男で、


 「……この俺がナンパを成功させただと!? フラレまくりだった過去の俺よ! 数多の失敗は無駄ではなかったのだ! わーはっはっはっはっはっー」
 

 とやたらとテンション高いし。
 ぶっちゃけ引くわ。
 なのに桜子と円も楽しそう。


 なんで?


 そう思った私は、円に何があったのか問いただす。
 円もこの直前まで、確かに不快感しか感じなかったそうだ。
 でも、彼の声を聞いている内に、まるで夢の中にいるみたいな気分に変わっていった。
 私もそうだけど、桜子も円も、彼に抱かれる夢を何度か見ていたのだ。

 その夢の中で私達は、彼を蕩けるような瞳で見つめ、彼の声に一喜一憂する。
 彼のぬくもりにうっとりと身体を預け、そして彼を身奥に迎えて悦び喘いだ。
 それは、頭がどうにかなってしまいそうな程の、凄まじい快楽。
 夢から覚めると、下着はぬっとりとした粘液に濡れ、まだ誰も、何も迎え入れたことのない筈の膣奥に、彼のモノがまだいるみたいに……
 眠りながら何度もイってしまったのだろう。
 身体はビクビク痙攣が止まらず、息はとても荒いまま。
 頬はこれ以上ないくらいに上気し、思わず、彼の名前を呼んでしまう。


 ────さんっ。


 彼氏の名前ではなく、彼の名前を……
 ただそれだけで、心が、身体が、痺れたみたいに震えてしまう。
 しばらくすると、不思議とその名前は思い出せず、でも、彼の…… 
 

 ヤバっ!?

 ぶんぶん首を振って、今考えていたのを脳裏から振り払う。


 私には付き合ってる彼がいて、彼には付き合ってる彼女がいる。
 このままナンパされてしまっては、どちらにとっても不幸にしかならない。


 むん!


 両の手を、ぎゅっと握って気合を入れる。
 そうして、≪このままじゃ、桜子達がナンパされちゃうってばぁっ!?≫っと那波さんに再度のメール。
 こうしておけば、流石の彼女も彼氏の不実に動くだろう。


 鼻の下を伸ばして、左右に桜子と円を侍らせている男を見て、ふっ、と鼻で笑った。
 アンタがそうしていられるのも、あともう少しだけよ!


 ……そう思ってたんだけどな~。


 那波さんからの返事は無く。
 そうこうしている内に全ての買い物を終えてしまった。
 途中、彼……横島さんから聞いた沢山の話。
 彼の同居人は、私達のクラスメイトである神楽坂明日菜と近衛木乃香。
 最後に担任の教師である子供先生ネギくん。
 その事実にビックリし、気づけば警戒心が薄れ、楽しく、とても楽しい時間を過ごしてしまった。
 なんせ気づいたら、私達はきゃーきゃー歓声を上げながら、カラオケしてたんだから。


 ……一時間程熱唱し、ようやく我に返った私は、正気を取り戻す為にトイレに行って一息ついた。 


 すると、そんな私の様子をみてとったのだろう。
 横島さんが心配そうに廊下で私を待っていたのだ。


 「美砂ちゃん、大丈夫かい?」
 
 「だ、大丈夫です。心配しなくて結構ですっ」


 ちょっとキツメに言ってしまい、私は少しだけ後悔する。
 なんせ、今のところ彼は何ら悪いことをしていないのだ。
 まあ、彼女がいるのにナンパするのはどうかと思うけど、一応は彼女である那波さんの公認(?)
 むしろ、罪があるのは私だろう。
 彼に逆恨みして、色々とキツイことばかり言ってるのだから……

 なのに彼は、


 「なんか悩みあるだろ? 歌ってた時は楽しそうだったみたいだけど、それ以外の時は、ちょっと、な……」


 ……大人な、優しい声色。

 下心なんて微塵も感じ取れない。
 後に「下心満載だったぞ?」って教えてくれたけど、この時の私にはそう思えた。
 だから、ちょっとほろっとしてしまった。
 どうやら私は、自分で思っていたより、まいってたみたい。
 そういえば、下心なしで、こうして優しくされたことがあったろうか……?
 などと心の片隅で思いながら、私は彼氏との間にあったことを打ち明けた。


 横島さんは、頬を一瞬だけ引き攣らせたけど、ん゛っん゛っと大げさに咳払いし、


 「男だったらショックではあるな」


 額から汗を一滴流しながら、慎重にそう言った。
 声色からは、彼への同情心が見え隠れしているのが分かる。


 「……やっぱり、そうなんですか?」

 「まあな。ちっちゃいとか、早いとか、ってのは禁句だ」

 「そ、っかぁ……」


 自嘲めいた呟きに、だけど横島さんはこう言った。


 「美砂ちゃんの不用意な言葉が始まりだけどな、そいつはそいつで結構最悪だぞ」

 「……えっ?」

 「自分の彼女を、こうして不安な気持ちにさせてんだから」


 なんてキザったらしい言葉。
 私は心配してくれての言葉なのに悪いなって思いながら、プッて小さく笑う。
 だけど横島さんは、そんな私に不快になるでもなく、「元気がでたみたいでよかった~」とオーバーアクションで言うだけで。
 私は、そんな横島さんの仕草にドキドキする。

 

 「あんま遅くなると、桜子ちゃんと円ちゃんが心配するな」 


 うん、そうだろうな、とは思うけど、もう少しだけ2人きりでいたいな。

 10分……いや、5分でいいっ。

 私は立ちあがろうとする彼の腕を急いでつかむ。


 「どうかした?」

 「ああ……っと、そうそうっ! 話し聞いてくれたお礼……したいなって、思って」


 そう言った瞬間、髪がファサっと彼の手に巻き取られた。
 顔が、近づいてくる……


 どきどき、どきどき、どきどき、どきどき……


 彼の顔は、とても悪い男の顔。
 唇の端が、ニヤリと吊り上がる。
 やばい。心臓が口から飛び出そうなくらい、激しく高鳴ってる。

 だめっ! だめだめだめ……

 でも、本当に私はそう思っているの?

 声に、出ない。

 ダメだと。これ以上近づかないでと。
 どんどん、どんどん近付いてくる彼の顔に、近づかないでって。

 彼の唇が、私に近づき……

 ぎゅっと、私は目をつぶる。
 ふるふる震える身体。

 まるで、初めてキスした時みたいに……ううん、違う。

 もっと、もっと私は……


 ちゅっ


 私の額に、口づけられる。


 ……肩から力が抜けた。
 緊張してたのが、バカみたい。
 私は両手で額を押さえ、不満からむ~んっと唇を尖らせる。


 「緊張して損した……」

 「んなことばっかり言ってると、いつか痛い目見るぞ?」


 心からの忠告なんだろうけど、少なくてもナンパ男が言うセリフじゃない。

 それに、私は……


 「痛い目、みてみたいな……」

 「……彼氏いるんだろ? いいのか?」

 「いい……よ……横島さんこそ、那波さんいるでしょ? 浮気しても、いいの……?」


 それは挑発的な口調ではなかった。

 どこか怖々とした……
 迷子になりそうな、子供の、ような……


 「千鶴? 俺の恋人は……だぞ?」


 私の眼は、きっとまんまるになってしまったに違いない。
 那波さんを含めた彼の恋人【達】の名を聞いてしまったから。

 真正のスケコマシだ、この人っ!

 でも、だったら、ちょっとぐらい……

 そう、思ってしまう。
 だって、これだけ居るなら、ちょっとくらい……いいよね?

 彼氏だって、今は私を避けてるんだし……

 横島さんに言われる今の今まで、すっかり忘れていた彼氏のことすら言い訳にして、私は横島さんの首に腕を回す。
 ほんの少しだけ、下品にならない程度だけ唇を開け、私は彼を待った。

 すると、すぐさま奪われる。

 私の唇が、心が、奪われる……


 「んぅっ……」


 小さく小さく、吐息を漏らす。
 舌が差しこまれ、私の舌を絡め捕る。

 ぴちゃ、ぴちゃ、くちゃ、くちゅ

 舌と、唾液が絡み合う音が周囲に響く。


 私の知ってるキスと、なんて違う……
 荒々しく、熱く、熱く、あつく……


 「くっ……」


 私は呻くように顎を上げ。
 こくん、と唾液が喉を流れた。
 横島さんの匂いが私の胸を通り過ぎ、きゅん、とお腹の奥が高鳴った。


 ゆっくりと離れる彼の唇。
 2人の間を伝う、粘着した液体で出来ている銀の橋。
 それが、プツン、と切れた瞬間、私の我慢も限界に来たのだと悟った。

 もう、彼氏のことを思いだせない。

 カラオケしながら待ってるだろう、桜子や円のことも思い出せない。
 ただただ私は、彼を欲する身体のうずきを、切なさを、何とかして欲しくって……


 「……つづき、して」


 魂に刻まれた、彼の与える快感が欲しくて、私は彼に、身をゆだねた。


















 チャラリラ~♪

 ●U,お留守番サービスです……


 なあ、美砂。時間あるならさ、今日、これから会わないか……?


 留守録モードになった携帯から聞こえてくる声。

 でも、私は、そんなのよりも……


 んぐぅ……は、ん……ん、んうぅぅンッ!

 ほら、出ないと。


 そう言われ、快感に震える手で、私は携帯の通話ボタンを……

 ピッ

 あ、美砂? あのさ……





















 後書き

 久しぶりの一人称。しかもヒロイン視点。
 かなり、きつかった。
 なのに、つづきます。

 次回はこの続き。

 閑話の4 美砂ntrSPイベント です☆

 そして、次回も美砂視点の一人称。

 ……ノクターンの逆行もの。
 今回の話よりもずっと前に書き上がってるんだが、発表するタイミングを逸してしまった(汗
 次出すとしたら1000ptなんてすっげぇ高いハードルになってしまったんだが……
 たまんのかよっ!? もしかしたら、日の目をみないまま時間だけが通り過ぎちゃったりしてw

 もう、めんどくさいからいっちゃうけど、ヒロインは 氷室早苗です。




[11660] 閑話の4  エロ有り(NTR美砂SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/03/08 00:14





  閑話の4  美砂SPイベント ①  









 たった今出たばかりのトイレに入ると、横島さんは入口に清掃中の看板を立てた。

 その行動に思わず笑ってしまう私。


 「ん? どうかしたんか?」

 「横島さんの手慣れた感じが、ちょっとおもしろくって」

 「言っとくけど、こんなんすんの初めてだぞ?」

 「ほんとぉ~?」


 疑わしげな私の視線に、横島さんは不意打ちで私を抱きしめることで視線から逃げた。
 背骨が折れんばかりの荒々しく力強い抱擁に、私は恍惚とした溜息を漏らす。

 なんていうかさ、これすごくいいわ……

 そううっとりしていたからだろう。

 「口、あけて」

 と耳元で小さく囁かれた言葉に抗える筈もなく、素直に従い唇を開いた。

 
 「ふぁ……」


 唇が開くと同時に漏れ出した、小さな嬌声。

 気づけば無遠慮に弄られていた胸から感じる快感からなの……?
 それとも、この人に深い、深い、キスをしてもらえるのだという悦びから……?
 
 私は横島さんの言いなりに開いてしまった唇から、唾液に塗れた舌を突き出す。

 ……自分が、どうしてこんないやらしいことをしてしまったのか解らない。

 突き出した舌をチロチロ蠢かし、そう茫然と今更ながら思ってしまう。


 「……舌を、犯して欲しかったのか美砂?」


 きっと、そうなのだろう。
 ……ううん、我ながらそうとしか思えない。

 それに、呼び捨てにされた。美砂って……
 ブルルと、身体が歓喜に震えた。

 言われた言葉の内容の恥ずかしさよりも、そうした歓喜が先に来て、私は淫蕩な牝の表情でコクンと頷くのだ。
 すると横島さんは、口をもごもごさせ始めた。

 くちゃ、くちゃ……

 唾液の粘る音が響く。
 そしてゆっくり開かれた唇から覗く、たっぷり唾液を絡んだ舌。

 背筋が、ゾクリと痺れた。

 昨日の私なら、間違いなく汚いと顔を顰めるだろう。

 なのに、私は……っ。


 「はやくしてってば」


 思わず言ってしまった急かす言葉に、私の頬は燃えるように熱くなった。
 顔を両手で覆い隠してしまいたい。
 でも、そうする前に、横島さんの舌が私の舌に重なった。 
 多量に注ぎ込まれるネットリした彼の唾液と、激しく絡み合う舌と舌。
 くぐもったうめき声のような喘ぎが、ぴったり重なった唇と唇の隙間から僅かに漏れ出し、扉の向こうから聞こえてくる喧噪を打ち消すのだ。
 同時に、スカートの中をまさぐられつつ暴け出され、ショーツの中に彼の手が侵入してきた。
 茂みを越え、ぐっしょりと濡れるアソコを手のひらで揉むように愛撫されると、私はあまりの刺激に意識が遠くなってしまう。


 「ふあ……んぅ、あっ、あぁあぁ! ああっ、あっ!」


 きもち、いい……
 すごく、すごく、きもちいい……


 「あ、はぁ……あ、あぁん……ぅ……い、いい……もっと、して……横島さ、ん……私を……あ、うぅ……ンっ!?」


 彼の唇から無理矢理に逃れると、快感に蕩けた甘い声で彼におねだりする。
 唇の端から納まり切れなかった彼の唾液が私を汚すけど、むしろそれが心地よく思えてしまう。

 そう、私は汚して欲しいのだ。

 アナタの唾液で、私の身体を、アナタの精液で、私の胎内(なか)を、アナタので私を……

 横島さんに耳朶を食まれながら、思うのはそんなことばっかり。
 耳をべたべたに唾液塗れにされるのが、こんなに気持ちが良いものなんてと、私は思ってしまう。

 もしも、もしもだ。

 横島さんの……あれを全身に浴びせられたら、どんなに……


 ああ……
 ダメ……ダメ……
 考えただけで、身体が、どうしようもなく切なく、熱く……
 もう、イッちゃいそう……


 「くっ、ふぅ……っ」


 こぼれた吐息は、明らかに発情しきった女の溜息。 
 そんな私に、横島さんは意地悪くこう言うのだ。

 
 「もう我慢できないのか?」


 私は何も答えられなかった。
 でも、横島さんには分かってしまったはずだ。
 返事をするかのように、頬がどうしようもなく熱くなったことを。

 
 「随分と敏感な身体だな。オナニーばっかしてるんだろ?」


 嘲るような彼の言い方に、私は焦って反論する。


 「そ、そんなことないってば!」

 
 でも、私のようやく出た否定の言葉は、何の説得力もない。

 その証拠に、ショーツの中で蠢く彼の手が出す音。

 にちゃあ……


 「んはぁぁぁ……っ」


 横島さんの指に絡まる、私の愛液が奏でる淫音。
 そして、私の歓喜の叫び。
 こんなにいやらしい私が、何をどう言っても、信じてなんかもらえない。

 でも、でもっ。

 本当なの。

 私は、オナニーなんて、そんなには……


 「そっか。オナニー慣れしてたからじゃないのか……」

 「う、うんっ。私、ほんとに……」


 信じてもらえたっ!

 そう喜ぶ私だけど、


 「じゃ、俺のことが好きだからか? だからこんなに感じるのか?」

 
 何も、言えなくなった私。
 今日初めて話した様な人を好きだなんて、ありえるのだろうか?
 答えられない私を急かす様に、秘所を弄る指の動きは激しさを増し。

 
 にちゅっ にちゃっ にちゅっ にちゅっ にちゅぁ


 粘液の奏でる淫音が、大きく、激しく、この扉の向こうまで聞こえてしまうんじゃないかってくらいに、大きく……

 ああ、違うって言ってしまえば、私はオナニー好きの変態に……
 でも、好きって言ってしまえば……

 ……なんだろう? なにか不都合があったろうか?

 言ってしまえば、もっと気持ちよくして貰えるかもしれない。

 だったら、私は……


 「わ、わたし、は……」

 「うん?」

 「よ、よこ、しまさんが、す……」


 好きです。

 そう、口にしかけたその時、


 チャラリラ~♪


 携帯の着信音が鳴り響いた。

 この着メロ、彼だ……

 出ないと。

 でも、出たくない。

 そんなのより、もっと……

 そう考えていると、携帯は留守電サービスに変わった。


 ≪●U,お留守番サービスです……≫

 ≪なあ、美砂。時間あるならさ、今日、これから会わないか……?≫


 留守録モードになった携帯から聞こえてくる声。
 びくんっと身体が強張った。
 罪悪感が、私を苛む。

 そんな私の膣内に、僅かに入り込んだ彼の指が、ぐちゃぐちゃ音を立てて入口付近をかき混ぜる。


 「んぐぅ……は、ん……ん、んうぅぅンッ!」

 ≪それで都合を聞きたくてさ、電話したんだ≫


 横島さんの指の動きだけで、私は彼の声を聞き流し、快感に夢中になってしまう。

 はやく、はやく切れてっ!

 彼に対する罪悪感……だけでない。それ以上に、もしも横島さんに疎まれたらどうしよう?
 そういう風にしか考えられないくらい、頭がバカになってしまった自分に気づいてしまった。
 だって、処女でオナニーをあまりしたことのない私でさえ、横島さんの愛撫が飛びぬけて上手なのだろうと分かるぐらいに、刺激的で快感なのだ。
 そう、あの怖いくらい大きく長い横島さんのおちんちん。
 アレを自分の中に、挿入(いれ)て欲しいと願ってしまうぐらい。

 だから、今度こそ好きと言おう。
 そうすれば、きっと思う存分、横島さんの絶技で私を嬲って貰える。

 ああ、それはどんなに気持ちがいいのだろう……?

 横島さんに蹂躙されるのを想像するだけで、どうしようもなく身体が熱くなってしまう。

 なのに横島さんは、


 「ほら、出ないと」


 私は嫌だと言える筈もなく。
 快感に震える手で、携帯の通話ボタンを……

 ピッ

 押した。押して、しまった……


 ≪あ、美砂? あのさ……≫


 携帯電話から聞こえてくる彼の声に、私は一抹の罪悪感を感じる。

 だけども……

 横島さんは私のショーツを膝下までずり下ろすと、ヌレヌレになったアソコに、チュッと口づけた。


 「ひゃんっ!?」
 

 思わず出してしまった甘い声。


 ≪ど、どうした美砂!?≫


 心配そうにする電話の向こうの彼。
 私は全身を貫く様な刺激に震えながらも、心配する彼に悟られぬよう細心の注意をする。


 「な、なんでもないよ? それより今さ、桜子達とカラオケに来てんのよ」

 ≪そうだったんだ。そういや、ちょっと遠いけどそれっぽい音聞こえるな≫


 彼の優しい声が耳を打つ。
 そのまま楽しげに話題を変えて盛り上げようとする彼だけど、私は当然それどころじゃない。


 ぴちゅ、ぐちゅ、ぴちゃ、ぬちゃ……

 剥き出しな私のアソコを、横島さんの舌が弄り回しているからだ。


 ひぅ……あ、あ、あぁあ……だ、だめ……横島さん、や、めて……っ……


 唇を噛み、漏れだそうとする嬌声を堪えながら、声なき声で横島さんに訴えかける。
 でも、私の身体は素直だ。
 気づけば横島さんが舐めやすい様にと、腰を突き出していた。


 ────いい子だ。


 携帯のマイクでは拾えない小さな囁き。
 その声だけで、私の背筋を快感が走った。

 
 くぅ……あっ、はぁ……

 ぴゅっぴゅっ、と、私のアソコから飛沫が飛び散る。
 膝がガクガク震え、力が抜けて、そのままガクンと腰が抜ける様に横島さんの身体に崩れ落ちた。
 正確には、横島さんの顔に、私のアソコを押し付けるようにくの字になった。


 ああ、イッた。イッちゃった、私……


 そんな私を横島さんは、くの字になった体勢のまま持ち上げ、個室のドアを開き、洋式トイレの便座に私を座らせた。
 膝下まで脱がされた下着を片足に残すようにして降ろすと、足をM字の形に開かせ、アソコと、お尻の穴まで晒される。

 おそらく私の顔は真っ赤だろう。

 ……ううん、顔だけじゃない。身体全部が真っ赤だ。

 だって、凄く熱い…… 


 ぴちゃん……っ


 アソコから滴り落ちる淫水が、トイレの水たまりに落ちた音。


 ≪なに、今の音?≫


 ……うるさい。


 ≪どっか水漏れでもしてんじゃない? ずいぶんボロイ、カラオケBOXだな≫


 けらけら笑う声が、酷く鬱陶しい。
 癇に障る……

 今の私は、それどころじゃない!
 どれだけ辛いと思ってんの!!
 声を、堪えるのが、どれだけ……っ!!

 横島さんの、秘裂をくまなく舐めまわす行為が、どれだけ私を追い詰めているのかっ!?


 「あ……あ、あぁ……はぁ……んッ、んあぅ……」


 僅かにこぼれた呻き声に似た喘ぎが、遂に携帯のマイクに拾われてしまう。


 ≪え? なに? どうしたのっ!?≫

 「あぁ……ん……う、うぅん、なんでも、な……いっ……」

 ≪でもさぁ≫

 「ここ、さ……電波の入りが、あふっ……わ、わるいから……声が遠いだけ、だって……ぁ……」


 だ、だめ……お願い、少しでいいの……通話が終わるまででいいから……

 
 そう、思っている、はずなのに……

 私は携帯を持つ手と逆の手を伸ばし、私の股間に顔を埋めている横島さんの頭に手を置くと、彼の髪をくしゃくしゃにいじり回し始めた。

 それはまるで、

 もっとして……

 そう言ってるも同じ行為。
 その行為に応えるよう、横島さんは私の女の部分を指で大きく広げ、膣奥深く目指して差しこんできた。


 ぐちぃ……じゅ……ブブブブブゥゥ……ッ


 「ひっ!? あぁ、んッ!」


 凄まじい刺激は、噛みしめた唇を超えて、大きく喘ぎ声を外に漏れだす。
 私は咄嗟に携帯を柔らかい胸で押しつぶし、声が届かないようにする。


 ≪……ッ……!!≫


 何事かを言っているのは分かるけど、その声は私の耳まで届かない。
 そして、私の声も届かないのだろう。
 そう思ってしまうと、私は、身体の抑えがきかなくなってしまった。


 ……イク……イッちゃう……っ!!

 信じ、らんない……

 彼と電話しながら、横島さんにイかされるなんて……!!

 でも、感じるっ! 感じるのぉっ!!


 「きちゃう……わたし、もう、きちゃ……うぅうううううううッッ!!!」
 

 …………頭が、真っ白になった。
 こんなの、初めて……


 激しい息切れに似た息遣い。
 止まらない絶頂後の痙攣。
 背筋に残る、甘い痺れ。


 どれもこれも、今までにない快感……


 潤んだ瞳で、それを成した男を見つめる。
 彼は……横島さんは、私の股間から離れ、ズボンのファスナーを下ろした。

 ジジジィ……

 ゆっくり下ろされ、そして出てくる大きなモノ。
 あの日見た、アレだ。
 ある意味、私の運命を狂わせたモノだ。
 コクン、と思わず生唾を飲んでしまう。
 そして、それが合図となった。


 横島さんは、私の両足を抱え込むと、その大きなおちんちんを私のアソコに押し付け、ぐちゅ、先っちょをネジリ込む。


 「ひっ……ぐうぅっ!」 


 苦痛の混じったくぐもった声が漏れ、それが収まると、横島さんは胸に押しこんだ携帯を私から奪い取り、私の耳に押し付けた。


 ≪……した! 大丈夫か美砂ッ!!≫


 その声に、私はどうすればいいのか?
 上目遣いで横島さんを覗うと、好きにしろと顎をしゃくった。


 ……切りたい。
 話を打ち切って、横島さんに集中したい。
 先端だけ私の中に入った、横島さんのおちんちんが気になって仕方ない。
 そうだ。私は、もうここで初めてを失う。

 ロストバージンがカラオケボックス。しかもトイレだなんて……

 でも、後悔はない。
 私はもう、横島さんに囚われてしまったのだから……


 「だ、いじょうぶだよ? ちょっと混雑しててさ」

 ≪あ、そうなんだ。よかった……それでさっきの続きなんだけどさ……≫ 

 「ちょっと待ってよ! もういい加減にしないと桜子達が待ってんの!」

 ≪いや、あとちょっとだけだから。話し聞いてくんない?≫


 苛立ちと焦りを隠せない彼の声。

 だけど、むしろ私の方が……


 グググググ……


 涙目で、奥へ、奥へと入ってくる肉杭を見る。

 横島さんの大きなおちんちんが、私の狭い未通の穴をくぐりぬけ、押し開いて……


 ぶち、ぶち、ぶちぶちぶち……っ


 いっ、たぁ……ッ!


 ≪ホントにいい加減に俺の話を聞けって!≫


 破瓜の血が、横島さんのおちんちんの幹を伝う。

 ああ、私は乙女の証を横島さんに捧げてしまったのだ……

 そう余韻に浸ろうと思っても、ズ、ズズズ、ズゥ……、止まらない。
 横島さんが私の奥へと進むのが、止まらないのだ。

 はいる、はいる、はいってくるっ!

 私のアソコがギチギチ広がって、どこまでも、どこまでも奥にっっ!!


 「んぅ……ふ、ぅ……かはぁ……!」


 苦しさに、息が乱れる。
 痛々しいまでに押し広げられた私のアソコ。
 そこをゆっくり、少しづつ、嬲る様にねじりこまれる横島さんのおちんちん。

 ああ、これが男と女。
 これが、セックス……

 大きく目を見開いた私は、そこから目をはなせない。
 痛いし、苦しい。快感なんて感じてない。……はずなのに、快感だ。
 矛盾してるけど、本当にそんな感じで。


 「……たしの、拡がってる……ぅ……いっきに……れて……」

 ≪はぁ? ……きちんと俺の声、届いてる? いや、そっちの声も今一聞こえづらいし。やっぱかけ直そうか?≫

 「だからそうしっ!? ぐっ! あ……んぐぅ……い゛っ!? い゛い゛い゛い゛ッッッ!!!」


 ギチギチ硬い音を立てながら、肉をかき分ける。
 血と、僅かに混じってきた愛液を潤滑油にして、私の奥へ奥へと……

 コツン……

 最奥に横島さんのおちんちんがぶつかり……

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……

 私は荒く息を吐き出し、自分を【女】にした男を見る。


 ……彼氏の声を聞きながら、殆ど今日知ったばかりのクラスメイトの彼氏に処女を捧げた。


 なんて、背徳感……

 なんて……快感……


 「まだ、全部じゃないぞ?」

 ≪……美砂? 誰、今の声?≫


 ぐ、ぐぐぅ……っ

 最奥へと至った筈のおちんちんが、私の子宮を持ち上げて、未だ挿入に至ってなかった部分までもを私の膣内へと納める為に、侵攻を再開した。

 お腹が盛り上がる。

 横島さんの形に、私のお腹が……!

 そうして、トン、と横島さんの腰が私の腰とぶつかる。
 横島さんの陰毛が私の茂みと触れあって、ようやく全べてが挿入されたのだと分かった。


 はぁー、はぁー、はぁー

 正確に3度。
 等間隔で深呼吸する。
 目じりに溜まっていた涙がこぼれ、頬を伝った。
 横島さんは私をしっかりと抱きしめると、携帯を睨んでクイッと顎をあげた。




 ────いっそ聞かせてやろうぜ?

 「い、いや……ッ」


 反射的に出してしまった拒絶の言葉。


 ≪えっ? なにが?≫


 その言葉に、彼が何事かと聞き返してくるけれど、私は……


 「ヒィッ!? ああっ!!」


 トン、トン、トンと子宮を何度もノックされ、


 ────深いのと


 最奥から一息に入口付近まで引き抜かれ、


 ────浅いの


 ヌチュ、ヌチュ、ヌチュと、浅い場所でぐちゃぐちゃに掻き混ぜられ、


 「~~んっ、んぅ、んッ!」


 声を出さないので精一杯で、もう、もう……っ!!


 ────彼氏以外のちんぽで犯されるなら、どっちがいいんだ?


 「ふっ、ぅっ、ぁぁ……よ……さん、なら……ど、どっちで……も、いい……から、せめて、けーたいきらせ……くぅぅん!」
 

 ────しょーがねーな。ほら、切っていいぞ。


 優しい声色でそう囁くと、ズチュン!と膣奥まで一気に突き込んでくる。

 そうして急かす様に腰をゆっくりとグラインドし始めた。


 「あぐっ、あぅ……」


 私は頭が真っ白になりそうな快感に抗いながら、電話の向こうで戸惑いの声を出している彼に、


 「あ、あのさ、話はカラオケ終わってからいいでしょ?」

 ≪あ? あ、ああ……じゃあさ、終わったらいつもの場所にさ≫

 「う、うん、わかった。終わったら、イク……イクぅ……」


 ああ、イク、イク、イッちゃいそう……


 「から、ねっ。じゃ、切るよ」

 ≪おう。じゃな美砂。俺、お前が好……≫


 プツン

 最後まで聞かず、携帯を切る。
 そのまま電源を切り、私は……その瞬間から甲高い声で嬌声を上げた。
 侵攻が終わり、征服が始まったのだ。

 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ

 激しい抽送で、淫水に塗れた肉棒で、私の膣内を犯す音が響く。


 痛い……
 でも、それ以上に刺激的。


 「あっ、ああぅ! い、イイっ! 凄いいっ、横島さんっ!」


 彼氏のことなんて、すっかり脳裏から消え去って。
 扉の向こう……いつまで待っても戻ってこない私達を心配して来た桜子と円にも気づかない。

 ……気づく、訳がない。

 今の私は、横島さんだけしか見えないんだから。


 「……どうだ? 痛い目見た気分は?」


 痛い目?
 ああ、そうだった。そうだったね。


 「す、すご……っい……わ、わらひ、もう……!」


 うん、凄い。

 私のなかでビクビク痙攣するアナタが、本当に凄い。

 私は、もう、アナタがいないとダメなレベル。


 「ずぼずぼってぇ……」

 「もっと、ずぼずぼしようか? それとも違うのしようか?」


 動きが変わった。
 激しく行き来していたおちんちんが、今度はぐちゅぐちゅ私の膣内をかき混ぜ始める。
 えらの部分で膣壁をかき削りながら、乳首をこりこり刺激し、首筋にキスマークを付けていく。


 アソコが、身体が、壊れちゃう……


 でも、横島さんも、もう終わりが近いんだと何故か分かった。
 横島さんは私の胸を痛いぐらい揉みながら、私の唇をふさぎ、私の最奥でぐりぐりしていたと思ったら、唐突に動きを止めた。

  
 「ひっ!?」


 小さく漏れてしまった悲鳴と同時、


 「んあぁぁぁあぁぁぁッ!!」


 横島さんの精液が、私の子宮目掛けてビュクビュクと噴射された。


 「で、でてるぅっ! 横島さんの精液ぃ……びゅくびゅくってぇぇぇええぇぇぇッ!!
 お腹の中に、い、いっぱい、いっぱい……す、すごいぃいッ! ひあぁぁぁッ! んぐぅぅううぅぅぅッッ!!」


 私は絶叫のように悲鳴を上げながら、その凄まじい快感にビクビク痙攣が止まらない。
 激しく果てない絶頂感。

 いく、いく、いっちゃう! また! また!! 

 この短い間で、どれだけ達しているのだろう?


 「わ、たしぃ……イクよぉ……ま、まら、イ、ッちゃううぅっ! あ、ああ、また、またイクぅ! 止まんない!止まんないのよぉっ!!」


 ああ、ダメ。ダメなの……
 ぴゅっぴゅって、一杯お腹に赤ちゃんの素が……
 このままじゃ、妊娠しちゃ、う……


 「もう、手遅れだろう?」


 ああ、そっか。そうだったんだ……
 だったら、もういっかぁ……


 「んあぁぁッ! あっ、あぁぁぁああぁッッ! ひやぁぁぁあああぁぁぁぁッッッ!!!」


 お腹を満たしていく横島さんの熱い精液に、恐怖は一切感じない。
 ただうわ言で、イク、イク、イクのぉ……そう何度も朦朧とした意識のまんま、繰り返す。
 何度も何度も身体を震わせ、ビクビクと絶頂を繰り返し、その快楽に酔いしれ、溺れていったのだ。

 そして、どれだけの時間、そうしていたのだろう?

 ズルリと私の膣内から抜け落ちる横島さんのおちんちん。
 でも、私のアソコは大きく横島さんの形に開いたまんま。
 ぽっかりと開いたアソコから、ゴポゴポと音を立てて、注ぎ込まれた精液が逆流し始めた。

 混じり合った性臭に包まれながらぼうっと見ていると、私はようやくあの言葉を口にする。

 言おうと思って、言えなかった言葉……


 「横島さん……」

 「んぅ?」

 「わたし、アナタのこと…………」


 その言葉を口にした瞬間、私の身体は再び貫かれ……


 「んぁっ! はぁ、あぁ……あ、はあ……なか、うごい、てぇ……イク、イッちゃうっ! あ、あぁあああああぁああ! 横島さぁあああンぅッ!!」


 お腹の奥の野太い律動に、狂おしいまでの艶声をあげた。

 奥をトントンされるのが、とてもいい……

 横島さんは、激しい動きで腰を前後に動かして。

 ……違う。
 私が、動いていた。
 横島さんの動きに合わせて、私、が……

 自分で、横島さんのおちんちんを子宮に当てて、悦んでいたんだ。
 私は自覚するなり、興奮し、腰の動きを尚更激しく速くする。


 「気持ち良さそうだな」

 「う、うん……気持ち、いい……ん、ンン……ッアぁ……っ!」

 「もう彼氏のちんぽじゃ満足できなくなっちまうぞ?」

 「いい……それで、いいってばぁ……横島さんのしか知らないで、いい……からぁっ! だから、もっとぉ!もっとぉ……っ!!」

 「ああ、もっともっと愛してやる美砂……」


 小さく名前を囁かれ、横島さんの舌が、私の唇を這い始めた。


 すご……い……

 これだけで、すごくエッチな気分になっちゃう。


 激しく腰を揺さぶりながら、私は彼の舌を求めて唇を開く。
 口中に入る彼の舌が、右に左と私の頬の裏を舐めていく。


 彼の唾液が、ほんのり甘く感じるのは、気のせいなのかしら?


 夢中になって、その甘い唾液をすすってしまう。
 こうしていると、アソコまで、どんどん気持ち良くなって……
 前後運動が、とても簡単にスムーズに動く。
 つい数分前まで、こんなことなんてした事のなかった私の膣内が。


 「い、いいぞ……美砂っ」

 「よ、横島さん……っ、んっ、んちゅっ、ちゅぅ、ンンン、んぅっ……」


 嬉しい。横島さんが悦んでるっ!
 私で、私の身体で……っ!!

 私はそう思うと、甘い快感に身体とろけてしまいそう。
 上下運動だけでなく、左右に腰をくねらせて、少しでも悦んでもらえるようにと夢中になった。

 
 「スケベな腰の動きだな。まだ破瓜から間もないって言うのにな?」

 「や、だぁ……そんなこと、言わないでよ……っ」

 「いやいや、褒めてるんだって、美砂」


 するとご褒美だとばかりに横島さんは力強くおちんちんを突きあげた。


 「ヒァ────────ッ!!!」


 嵐が、来た!

 感じられるのは彼の鼓動と彼の息遣い。それと、彼の熱いたぎりが私を犯す感触だけ。

 グッ、グッ、ググンッ!

 子宮を突かれるたびに、痛みによる痺れと、快感による痺れが混じり合い、頭が真っ白に訳が分からない。

 私はいったい、何をしている?

 私はいったい、何を叫んでる?

 口を大きく開けて、何事かを求め、叫び、喘ぎ、悶え、啼いた……


 「ンアッ、ハァァッ! アッ、アァンッ! も、もう、げん、かい……ッ……アハァアッ!」


 限界を悟った私は、私の胸を揉みしだいていた横島さんの手を掴む。
 指に指を絡め、ぎゅっと握り、潤んだ瞳で彼を見上げ見ながらこう言うのだ。


 「わ、私を、汚してっ! アッ、アアア……やく……いぅ……イクっ、イクイクっ、イク~~~ッ!」


 私のお腹に打ちつけられる、彼の腹。

 ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!

 肉と肉を打つ音が、どうしてこんなに心地好い?
 

 「うぉぉぉっ!」


 横島さんは咆哮すると同時に、勢いよく私の膣内からおちんちんを抜き出すと、私の願い通りにするためなのか、

 バシャ……バシャバシャバシャ……

 私の顔、私の髪、私の服、私のスカート……
 全身くまなく浴びせられる、彼の熱い塊。

 私の体内を、凄まじい勢いで駆け抜ける快感に、背骨が折れんばかりに背を反らせ、甲高い声で嬌声を上げた。

 トイレの中とは言わず、廊下どころか、この店内全てに響く様な、嬌声を……

 でも、私はなんの気にもならなかった。

 目の前のモノが、未だにたぎって、私を誘う。


 「横島さん、今度は中に……お願いしても……いい?」


 どろどろのぐちゃぐちゃの、破瓜を迎えてまだ間もない筈の赤く腫れたその場所を、指で開いて彼に乞うた。


 「最後だぞ? 桜子ちゃんと円ちゃんも、廊下で終わるの待ってるし、な……」


 ガタン。と大きな物音が聞こえた。

 でも、私はなーんも気にならない。

 だって、私の意識は、官能一色に染まってしまったから。


 「ほれ、今度は美砂からな」


 体勢を入れ替え、横島さんが便座に座り、私は彼の膝の上に乗った。
 自分の指で押し開いたその場所に、横島さんのたぎりを導き、身体を落とす。
 すると、なんの抵抗もなく横島さんをずぶずぶ飲み込んでいった。

 さっきまで処女だった私が。

 そこらの淫乱な雌豚のように、彼のモノを……


 「あ、あぁんっ、いい! いいよぉっ!」


 もう、彼になんのいい訳も出来ない。
 横島さんにされた訳でなく、自分から彼のモノを胎内へと挿入したんだから。
 自分でも驚くようなことを口走りながら、淫らに悦び叫ぶ私。
 込み上げる衝動のまま、激しく腰を動かして、私の胎内で打ち震える彼の射精を促した。


 「わ、わらひ、もうっ、おかしくなるぅうっ!」


 私は、膣壁を激しくヒクヒク痙攣させて、肉杭をシゴキ立てる。
 肩で息をしながら、お腹を圧迫される感覚に酔ってしまいそう。

 こんな私は、横島さんを求め誘(いざな)い、絶頂による爽快感を求めるだけの、ただの牝でしかないのだろう。































 「おーいっ、こっちこっち!」


 大きく手を振って、私を呼ぶ彼。
 私は小走りで彼の方へと駆け寄ると、


 「ご、ごめん、少し遅れちゃった?」


 両手を合わせて頭を下げた。


 「いや、そんなに待ってないよ」


 彼はそう言って私の肩を引き寄せると、ゆったりとした歩調である場所を目指す。


 「あれ? なんか少し生臭い……匂いするぞ?」


 そう言われ、ぶるっ……身体が震えた。


 「えっと、触られるのが嫌だった? それとも……」


 なんか、不快。
 アンタに触られたくない。

 どうしてか、そう思っちゃった。

 ……どうして?

 本当は分かってる。
 どうしてそう思っちゃうのか。


 「いやさ、美砂って明後日から修学旅行だろ?」

 「うん、そうだけど?」

 「だから時間あいて気まずくなる前にリベンジ……ってさ?」


 ゾワっと背筋を走る悪寒。
 彼に【アレ】をされる。
 そう思うだけで、鳥肌が立った。

 そうか、私はもう彼のこと、何とも思ってないんだ。

 ……あれ? 違う。

 私って、彼のことを好きだって、思ったこと、あったっけ?

 ああ、そうだ。最低だ私……


 顔が少し好みだから。
 それに彼氏の一人や二人いた方が格好いいから。


 そんな風に思ってたんだ、私……

 目から涙があふれ、零れる。
 イキナリのことに、驚き慌てふためく彼。
 お腹の奥の、ポカポカした感触が、そんな彼の様子に苛まれる。


 「ご、ごめ……なさ、い……」


 呟かれる謝罪の言葉。
 眉をしかめる彼の顔を見て、私は……


 ドプッ、ドプッ、ドプ……ッ


 私の中から溢れだし、下着を濡らす。
 横島さんの、熱い精液。


 この場に居るのが、横島さんだったらいいのに。

 太ももを伝うあの人の精液の感触に、うっとりしないよう心を戒めながら……

 最低にも、そう思っていた。


 ああ、横島さんに、全身をくまなく汚してもらいたい。
 足の爪先から、髪の毛いっぽんいっぽんに至るまで、あの人の白濁した液体で、何度でも汚して欲しいの……


 「どう……いう、意味だよ? なんでここで泣くんだよっ!?」


 私の頬を打つ、彼の平手。

 彼の当然と言っていいだろう怒りは、私の心にさざ波ひとつ起こさなかった。

 


























 後書き

 実は180万番目にこの作品をクリックしたの俺なんだぜ?
 感想がえし作るのに uyr yama で作品検索したらさ、1799999だったんだ!
 いや、ほんと興奮したぜ……
 すぐさまクリックした後、ブラウザバックで戻ってuyr yamaで再び検索! 1800000の栄光を確認しちまったぜ。

 ……なんでかPVが180000【3】だったけどさ……

 でも俺は信じてる。俺こそが180万なんだとっ! 俺が180万だッ!!


 そんな訳で次回は 180HITスペシャル企画 です。たぶん。

 あと宣伝。

 ノクターンノベルズにて、本作ヨコアスRの完全書きおろしが2本投下されました。


 総合pt1000突破企画 前編  ヨコアスR 逆行大作戦!! ② 氷室の者

 総合pt1000突破企画 後篇  ヨコアスR 逆行大作戦!! ③ 絆のいち 早苗


 タイトル通り、ヒロインは氷室早苗です。

 よかったら読んでやってくだしあ。



[11660] 閑話の5  エロ有り(円SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/05/23 00:10






 はぁ……

 小さくため息をつきながら、自分の体に絡んでいる腕を押し退け上体を起こす。
 なんだかおっぱい鷲掴みされていて、しかも中々はなしてくれなかったけども。
 彼の手を無理矢理振り払うと、はなれる瞬間、指が私の乳首をひっかいて「んっ」と小さく腰が震えてしまった。


 「もう! エッチなんだからっ」


 窓から差し込む月明かりに照らされる、暴虐の痕が生々しい自分の肢体。
 所々に唇で吸われた赤い斑点が散逸し、他にも乾いたナニかの体液がガビガビになってこびり付いていた。
 もう一度、はぁ……と額を押さえて溜息を吐こうとしたその時、彼の腕が彼女の腰を絡め取り、抱き寄せる。


 「ひゃんっ」
 「うにゃにゃっ!?」


 奇しくも重なった、口から漏れた甘い響き。
 抱きしめられるように、彼の胸に頭を置くと、目が合った。
 同時に甘い吐息を吐きだした椎名桜子が、


 「いいよね~、これ────」


 そして……


 「う、うん。いい、これ。クセになりそう……」


 彼女は、先程までの自分の行為が、信じられない。
 でも、この心地よさは、麻薬だ。
 横島の胸に頬を当てると、彼の鼓動が、トクン、トクン、と鼓膜を震わせ、その振動がとても心地好くって、うっとりと呟く釘宮円は、そう痛感していた。
 痛む股間も、この温もりを感じるための試練だったと思えば、なるほど納得である。
 初めてには大きすぎるソレを挿入された時には、この世の終わりなんじゃないかって位の焼けつく痛みに大泣きしたけど。

 それでも終わってみれば、「ほんとに、いい……」

 もう一度うっとりそう呟き、頬を何度も彼の胸に擦りつけた。
 ちょっと離れた場所で眠る美砂には気づかれない。
 でもおでこがぶつかるような距離で、桜子も同じように頬を擦りつけているのに気づいてしまえば、円にはもうこの衝動を止める術はなかった。

 セックスという行為にハマる人がたくさんいるのも分かる気がする。
 刹那的な快楽に興じるのは、心が楽なのだ。
 とは言っても、流石に円はそこまで考えている訳ではない。
 初めての男である横島に、擬似的かもしれない、恋をした気分でいるのだ。
 男女関係においては、多分に潔癖な所がある円らしいといえばらしい。 
 抱かれたいと思ってしまったのも、抱かれて凄く気持ちよかったのも、こうして横島の胸に抱かれて心地好いと思ってしまうのも。
 全部が全部、横島に恋をしたのだ。そう思ってしまったのも。

 もちろん、それには理由がある。

 本来なら嫌いなタイプである筈の横島に嫌悪感を感じずにいられるのは、あの日見た夢と、この日使われた文珠。
 でも、もう遅い。事実が何であれ、サイは投げられ、彼女の中のラブストーリーは始まってしまった。
 たくさんのライバルを蹴落とし、自分が彼の隣に立つたった一人の女になるためのラブストーリーが。

 負けない。と、他人を応援するのではなく、自分を応援する。
 横島専用ともいえよう程に、たった一晩でこなされ尽くしたこの身体。

 キチンと責任とって貰わなきゃ。


 そう思いながら、ツンと横島のほっぺを突いた。

 むにゃ……

 寝惚けてるのか、寝苦しそうに悶える横島。
 円はそんな横島を見て猫口になった。


 ────なにこれ、面白いっ!


 円は横島の頬をプニプニぷにぷに。

 それはもう、幸せそうな顔で……






















 朝、目を覚ましたらオッパイが3組。
 昨日、知ったばかりのオッパイである。
 しかも何でか、その内の平均的なオッパイの持ち主は、自分の頬に指を突き刺しつつ、すんごくいい笑顔で眠っていた。
 横島はその指を優しく払うと、我知らず頭を抱える。
 最初に抱いた美砂はともかくとして、円と桜子には手をだすつもりなんてなかった。

 ……いいや、美砂にだってそうだ。

 なんか浮かない顔してる彼女を慰めていると、よくわからんうちに『そう』なったのだ。
 横島は、自分がモテル男だなんて、決して思ったことはない。
 まあ、最近モテ期が来た!とも思ってはいるが、それも半分冗談混じりである。
 横島『個人』が思うに、なにもなく自分を好きになってくれた女は片手の指の数ほどもいない。

 ルシオラ、イオ、愛子、そして夏美。この4人だけだと横島は勝手に思ってる。
 実際はそうでもないんだが、横島がそう思っている以上、横島の中では当然そうなんだろう。
 だからだ。ナンパが成功し、なおかつベッドINまで行くと考えていなかったのは……
 なもんだから、この展開は流石の横島も茫然自失だったり。
 最初の一人である美砂は、まあ、うまい具合に話が進んだといえるけど、残りの2人は、どうして自分なんかに初めてを捧げたのかさっぱりだ。

 美砂とやってるトコ見てあてられたか?

 とも思うのだが、その前から妙に好感度が高いような気がしてならん。
 低いよりは断然いいけども、というか、基本的に低いのが当たり前な感じのする横島にとって、理由のわからん好意はちょっと怖い。
 そう思いながらも、しっかり最後までヤルんだから、煩悩に忠実な横島らしいといえよう。

 なんてつらつらと考えながらも、現実逃避気味の自分から我に返った。
 いや、返らなければならない。なんせ……


 「今日はアスナの誕生日じゃねーか……」


 やばい……やばいやばいやばいやばい……超やべぇ!
 家を飛び出したんは、エヴァに部屋を盗られたからだけじゃなく、アスナの誕生日プレゼントをアスナに気づかれずに買いに行く為だったのだっ!
 なのに、誕生日プレゼントどころか、アスナのクラスメイトをナンパして朝帰り。しかも3人まとめて頂きました!



 ……バレたら死ぬっ!?


 当たり前のように結論を出した横島は、実はいろんな意味で幸運だったことに気づいてない。
 なんせ横島が今いるこの場所は、麻帆良女子寮である。
 そしてここは横島忠夫の第2使徒、雪広あやかの縄張りだ。

 主と使徒は繋がっている。
 繋がっているから、大体どのあたりにいるのか分かるらしい。
 らしい、というのは、横島にはあまり分からないからだ。
 もちろん、それはアスナも、そしてあやかも。
 それは横島が『主』として、まだまだ未熟だからだろう。
 そして、アスナとあやかも、使徒として未熟なのだろう。
 だから主従としての絆の感応力はとても低い。
 ただ、あやかは横島やアスナよりも『分かる』『ようだ』。

 と、それはともかく、あやかならば、この距離……同じ建物内にいるのならば気づけるのだ。

 だけども運がいいことに、あやかは横島宅に外泊中。
 裕奈の時のような状況にならずに済む。
 言うならば、浮気の相手バレはしないのだ。
 しないはずなのだが……
 朝になっても帰らない横島に不満を持った千鶴がバラす可能性は結構ある。

 知らずに女を増やされるのは腹立つけれど、自分の手の中でなら、どれだけ増やしてもかまわない。
 しかし、いつまでも『無関係』の女の所にしけこまれるのは、ムカッとくる。……微妙な女心である。

 例を出すなら、アスナ、あやか、夏美達ならばオールオッケー。
 どれだけしけこまれても文句の一つも出はしない。
 むしろ混ぜて欲しい。

 木乃香、アキラ、のどか、夕映達は、色々と条件付でならオールオッケーだ。
 何より彼女達は千鶴の中で、いずれはアスナ達と同じ領域までくるだろうし。

 裕奈、亜子、そして今回の3人は、ちょっとした火遊び状態。
 軽く肌を合わせる程度なら問題ないけど、一晩独占するのはそうそう許しはしたくない。
 まあ、彼女達も、その後の付き合い方では木乃香達の領域へ、更に頑張ればアスナ達の所まで至る可能性はある。
 特に、亜子は横島へのアピールを頑張っているからか、もう少しで木乃香達の領域に達しそうだ。


 そんな千鶴は現在横島宅にお泊まりで、リビングにお布団敷いて就寝中。
 彼女が寝ている間に家に帰れれば、首の皮一枚で助かるだろう。
 こんな感じで、横島は時間が指し迫っているのに気づいているのか、眠っている3人娘を起こさぬように静かに脱ぎ捨ててある服に袖を通す。
 そして服を着ながら、自分が『女』にした彼女達の艶姿をガン見した。
 ゆったりとした寝息と、鬱陶しい自分の精臭を打ち消す、芳しい女の芳香に囲まれて。
 昨日の出来事を回想しながら鼻の下を伸ばす横島であった。

 

 










 



    閑話の5  円SPイベント ①
























 肢体を惜しげもなく開き、今日会ったばかりの男のモノを誘いこむ。
 そうして女は純潔を捧げ、いや心こそを捧げたのだろう。
 円は、全身を白濁した液体で汚す友人の姿にそう思った。
 心が疼く。ゴクンと生唾を飲む音が鼓膜を震わせ、だがその音を立てたのが自分なのか、それとも隣の桜子なのか。
 ただひとつ分かるのは、心以上に身体が疼くのを知覚していることだけだ。

 清掃中と書かれた看板をどかす横島と、そんな彼に甘えるようにしなだれる美砂。
 精臭を漂わせ、まるで陵辱にでもあったような姿の美砂を、どうやってこの場から退出させるか?
 当然考えなきゃならないそのことよりも、異常なほど疼く身体を鎮めて貰いたい。
 既に蹂躙され尽くした美砂はともかく、円も、桜子も、その身は男を知らぬ真白の乙女。
 だけど、その身は乙女なれど、精神(こころ)は知らずに凌辱されきっている2人である。
 もちろん、それは横島とて知らぬこと。もっとも、知らぬとて、成したのは確かに横島であるけれど。
 だがその事実こそが、この場において全てを物語る。

 とはいえ、まずは美砂である。

 なんとかこのカラオケボックスから脱出しなければ……

 しかし、その心配は無用であった。


 「3人とも、ちょっとだけ目をつぶってくれ」


 イタズラッ子みたいな顔する横島に、もう完全に信頼しきっているのだろう。
 美砂が真っ先にまぶたを閉じた。

 こんなことをしてる場合じゃ……

 そうは思うものの、正直どうしようもなく。
 円も素直に目を閉じようとすると、すでに桜子は閉じていた。

 なんでだろう?
 出遅れた!って思ったのは。
 まあ、ともかくとして、円も素直に目を閉じた。
 そうしてすぐに、「目あけてもいいぞ」と言われ、目を開ける。


 まず、臭い。
 横島と美砂から放たれていた精臭が、跡形もなく消え去っていた。
 当然、それだけじゃない。
 全身至る所にこびり付いていた精液までもが消え去っていた。
 ゼリー状の白濁液に犯されガビガビになっていた筈の髪は、さらさらとした触感を取り戻し、見られたもんじゃない服は、買ってきたばかりのような真新しさ。
 当人である美砂はもとより、円も桜子も、頭がなんだかわけわかめ。


 えっ? えっ? えぇっ!?


 口から飛び出しそうな困惑の叫びは、だがしかし、その直前で、


 「横島イリュージョンっ!」


 変なポーズをキメル横島さんに、その叫びは口から出ることはなく、楽しげな笑い声に変わった。

 

 

















 その後、溜息混じりに美砂が携帯で彼氏と連絡をとり、この場から一抜け。
 このまま解散かな?と横島は思ったけれど、結局は3人でカラオケを続けることになった。
 最初に予約した時間が3時間であり、まだ1時間しか使ってないのにもったいない。
 そういう理由が主ではあるけど、


 「これからが本番だよ~っ!」

 「そうそう。せっかくの横島さんのおごりだしね」


 それ以上に桜子と円がまだ遊び足りないと感じたのである。
 彼女達がその気なら、横島に否やはない。


 「ふっ、ならばカラオケタダちゃんの異名をとる、この横島忠夫について来いっ!」

 「「お~~っ!!」」


 
 そうして30分くらいの間は普通に歌い、気づけば桜子と円で横島をサンドイッチにしつつ歌い……
 歌声の中に、「~~♪~~♪~~っぁ、ぃ♪~~ん、あ……♪~~くっ……ふ、ぁん♪」とくぐもった女の甘い喘ぎが混じり始めたのは1時間ほど経過した頃だろうか?
 なんせ邪魔するスケベ男がいるのだ。まあ、仕方ないよね? そう円は思う。
 桜子はしぼるように胸を揉まれ、円もお腹の辺りとはいえ、肌を嬲るように撫でられていた。
 だから声が羞恥と快感に震えてしまっているのだ。

 更には、自分の下腹を撫でる彼の手が、次第に下へと……ジーンズの中へと、そして更にショーツの中にまで侵入してくる。

 手を振り払わなきゃ。

 そう思う一方で、手の侵入を心待ちにしてる自分がいるのに気づいてしまう。

 たぶん、桜子も一緒なのだろう。

 円は、今まで見たことのない艶のある顔で歌い続ける桜子に視線をやりながら、そう確信した。
 その歌声は、ゾクリとするほど色気を湛え、円の心を、肢体を、震わせる。
 ナニカに耐えられなくて、太ももを擦り合わせるようにモジモジすると、くちゅ……とアソコが濡れて淫音を響かせた。


 「くぅ……っ」


 恥ずかしくて顔を俯かせながら、円は堪え切れなかった声を漏らした。
 気づけば、唄声はやんでいた。当然だ。
 桜子の唇は、横島の唇によってふさがれているのだ。
 歌える訳がない。だからだろう。
 ただ、リズミカルに唾液が混じり合う音が、くぐもった声に合わさるように聞こえた。
 まるで、今流れている曲みたいに。

 桜子ばっか……

 そう、不満に唇を尖らせた。
 円は知っている。たぶんだけど桜子も知っているのだろう。
 横島忠夫に抱かれる悦びと快感。そしてそれ以上の愛情を。
 なんで知っているのか分からない。
 でも、知ってしまっているのだから、もうどうにも我慢のしようがなかったのだ。 
 だから自らの秘所地を荒らそうとする彼の指先が、いっそもっと自由に動かせれるようにと、ジーンズのファスナーを下ろして緩くする。
 熱い吐息を吐きだしつつ、そのままジーンズを太ももの半ばまで脱いで見せた。
 露わになったショーツが、彼の手の形に膨らんでいることよりも、ワレメの形にうっすらとシミが出来ている事の方が恥ずかしい。

 こうして、ただでさえ熱い頬が、更に紅潮さを増した。
 あまりの恥ずかしさに思わず両手で頬を覆い隠そうとする円だったが、それは叶わなかった。
 そうする直前に、たった今まで桜子の唇をふさいでいた横島の唇が、円の唇をふさいだからだ。


 「んっ!」


 抗議の声が出そうになるも、唇をふさがれているのだ。
 当然、出る訳がない。
 思わず、トントンと彼の胸を叩いて抗議する。
 でも、聞かない。聞いてはくれない。

 イキナリなんて酷い……!

 そう思うけれど、唇を割って侵入してくる彼の舌先に意識が集中する頃には、もう愛おしさしか感じられなかった。

 これも、何でか分からない。
 分からないけど、どうでもいいや。
 トントン胸を叩くのをやめ、横島の首に腕を絡める。

 唾液の味がする。
 2つの味が入り交じった。
 そしてたった今、自分と桜子。それに横島さん。3人の味が混じり合い、口の中を犯していく。

 ぴちゅ、くちゅ、くちゅ、こ、くん……

 唾液を飲まれ、飲まされ、それがちっとも嫌じゃない。
 舌がはぐきをなぞるたび、身体がピクピク細かく跳ねる。
 気持ちよさと切なさで瞳が潤み、彼の顔がぼやけ、思った。

 イッちゃうっ! キスされてるだけなのに、私イッちゃうよぉ……

 「んっ、んぅうっ!?」

 何かから逃げるように喉を反らした。
 でも、逃げられない。
 股間の間に膝を入れられ、グリグリ押し潰されて。

 ああ、ダメ……きも、ち、いいよぉ……

「ンンンッ、ン……ッ、ンぅっ!!」

 円の意識が遠のき、四散した……






 そうやって意識が何度も飛ぶ中、思い出せるのは、桜子が貫かれる瞬間。
 円はその時、桜子の中に蹂躙する横島の背中に覆いかぶさり、苦痛の声を上げる桜子の意識をやらずに、ひたすら甘えるように横島の首筋に唇を押し付けるだけだった。

 そして一番覚えているのは、自分の番の時に決まってる。


 「くっ、力抜いて、円ちゃん」

 「ぬ、抜いてますってっ! い゛っ、いだ、いだい゛っ!!」

 「なんつー、手応えのある……こんな手強いんは初めてだ……っ」


 彼が、グッと腰に力を入れ、前へと進めようとしているのが、円には分かる。
 でも、大きい彼の肉杭が、入口から先へとまったく進めない。
 すぐそばで、股間から血の色が混じった白濁液を垂れ流す桜子は、あれほどやすやすと挿入ったというのに。


 「じゅうぶん濡れてんだがな~」


 そう言いながら横島は腰を引くと、円の未熟なスジに指を這わせた。
 溢れだす愛液を指に塗り込むと、慎重に慎重を重ね、膣内へと潜り込ませる。

 ぐ、ぐ、ぐぐぐ……

 横島の中指が、かなりの抵抗にあいつつ、少しづつ円の中を犯していく。


 「ぎぃっ……」


 苦痛に顔を歪ませる円。

 初めてがこんなに大変だとは思わなかった。
 美砂と桜子も、こんな痛みに耐えたのかと思うと、尊敬の念が湧くほどだ。
 実際は円の『鋼の処女膜』と違って、2人は極々普通であっただけなのだけども、彼女は当然それを知らない。
 知らなかったから、悔しく思った。情けなく思った。
 美砂も桜子も、この痛みに耐えて横島さんを迎え入れたのに、私は痛くて泣いて、それできっと途中でやめてしまったんだ、と。

 なんて思ったのもホンの一瞬だけ。
 円はすぐに腰を大きく跳ねあげた。
 慎重に膣内に挿入された中指だけじゃない。
 いまだ皮を被っていたクリトリスの包皮を、愛液でヌトヌトになってる人差し指で剥かれつつ、親指で執拗に愛撫され始めたのだ。


 「ひぁああっ!? んぁあ……な、なにコレっ? ダメッ、ダメッ、ダメぇぇえ!!」


 円が喉を反らせて嬌声を上げると、横島の指が差し込まれている淫裂から、大量の飛沫が噴き出した。
 それでも横島は愛撫をやめようとはしない。
 むしろ、ココが先途とばかりに尚一層激しく刺激し始めたのだ。

 声にならない絶叫をあげる円。
 円にとって、ここまで強い刺激は生まれて初めて。
 快感に蕩けるどころか、苦痛になるレベルである。
 少しでも行き過ぎた快感から逃れようと、激しく首を左右に振る。
 そうして足をばたつかせるも、気づけば横島ではなく、桜子にその足を押さえられてしまった。


 「しゃ、しゃくら、こ……?」


 呂律の回らない口調で問いかけるも、当人である桜子は円の方を見てはいなかった。
 彼女が見ているのは一点、横島のみである。


 「ねーねー、知ってるかなー?」


 嬉しそうに横島に話しかける桜子の表情は、イタズラッ子のような……それでいてご褒美をねだる子供のような。


 「私と美砂と円はね? チア部でぶいぶい言ってるから、こーんな風にしても平気だったりするんだよねー」


 桜子は、円を長椅子に横たえさせると、その背中に回りこみ、彼女の膝を掴んで持ち上げる。
 横島から見ればその格好は、まるで『 U 』の字になっており、円の股間の盛り上がりが強調される、とてもエロい格好であった。
 まあ、いわゆるまんぐり返しといってもいい、その格好。
 円の羞恥心を煽るにはじゅうぶん過ぎた。


 「さ、桜子、はなして……」


 蕩け切った頭が冷え、呂律もだいぶ正常に戻りはしたが、それでも何度もイかされた身体はいう事をきかない。
 鼻血を堪えるようなポーズで鼻を押さえる横島の、ギラギラした欲情オープンの眼に、ゾクッとする恐怖を感じて仕方ないというのに……


 「ほにゃらば本番行くよ~~~」


 能天気な桜子の声に、イラッとするも、それより何より、再びアソコに押し付けられた横島の肉杭が恐ろしく思う。
 

 「角度、よし! 円ちゃん、イクぞ?」


 恥丘の土手の盛り上がりを、下から攻めるような45度の傾斜角。
 美砂と、桜子と、そして横島のそれぞれエッチな体液塗れの肉杭が。


 「息吸って、そして吐く……」


 言われた通りに息を吸い、吐く。そして再び吸おうとした瞬間だ。

 ギヂィッ!「ヒィッ!?」

 先端がワレメを開き、僅かに円の膣内へと入り込むのに成功した。
 先程挿入に失敗した時以上の痛みが円を遅い、思わず腰が引けてしまいそう。
 だけども、引こうにも背中にはびったりと桜子が張り付いており、逃げようにも逃げられない。


 「だいじょうぶか、クギミー?」

 「く、クギミー言うなっ!」


 そう悪態をつけた瞬間、横島の逞しすぎる肉棒が、円の膣内の奥を目指して進行し始める。

 恐ろしく狭く、そして堅い。
 横島はそう思いながら、円のやや小ぶりな胸に両手を置き、体重を掛ける。
 これだけ堅固な処女膜。時間をかければかける程、ただただ辛くなるだけだろう。
 横島としても、ここまで硬いのは経験になく、少し自信がないものの、そんなそぶりは一切見せず、一息。


 ギギィ……ッ! ゴム同士が擦りあう様な音だ。
 それが、ヂヂヂヂヂィィ……ブヅンッ!!
 そのゴムを、無理矢理引きちぎった様な感触がしたかと思うと、円は身体を大きく跳ねさせた。


 「ヒッ!? ギィアアアアアァァッ!!!」


 円の甲高くも痛々しい悲鳴が、狭い個室に反響する。


 「イ、イだ、イ゛ダ……」


 痛みに悶え、涙をボロボロ流す円だったが、横島もまた痛い。
 まるで膣痙攣にでもあったみたいにキツ過ぎる締め付けは、横島という豪の者にとっても、快感よりも先に苦痛が来る。


 どうする?
 今日は処女膜貫いたってことで良しとするか?

 まあ、ナンパした相手との情事に、次があるかどうかは不明だが。
 それでも、どちらにとっても苦痛なら、続けるよりは……


 そう考えていたはずなのに!

 横島が実際にした行為は……


 「んふぁっあああ!」


 苦痛の声が一転、円は不自然なまでに明らかに快感混じりの嬌声を上げた。
 性魔術……ではない。

 文珠『淫』『媚』『蕩』『愛』

 4つの文珠の効果を、その身一つで受け止めさせられた円の肢体と心。

 卑怯ということなかれ!

 このまま鋼の膣道でするよりは、万倍も億倍も円にとってはいいはずだ!


 どこまでも『淫』らに。
 まるで『媚』薬を使ったみたいに敏感に。
 『蕩』けてしまう肢体でもって。
 思う存分『愛』される。


 鋼の膣道の窮屈さはそのままでも、泉の如く湧き出て止まらない『愛』液のヌメリのおかげで、思いのほか容易く行き来が可能になった円の膣内。
 何より円自身の横島への狂おしいまでの感情が、どれだけ苦しくても……
 いいや、むしろ苦しければ苦しい程、横島に抱かれているのだと思えて嬉しくてならなかったりする。


 「よ、横島さん……」

 「……くっ、な、なんだ?」

 「わたしのなか、気持ちいいかな……?」

 「お、おう。ここまでキツイんは、初めてだっ」

 「それって、いいこと……ん、なの?」

 「ゆるゆるよりは、キツキツの方が断然いいに決まってる。それに円ちゃんのココは、もう全部オレのモンだからイイも悪いもないしな」


 円の横島への溢れんばかりの『愛』が、この言葉で爆発した。
 横島の肉棒をギュギュウと締め上げる円の膣壁が、凄まじい勢いで痙攣し始めたのだ。
 彼女を背中から抱きしめるよう拘束していた桜子にまで響くその痙攣は、文珠の効果を遥かに超えて、内臓がめくれそうな激痛を、完全なる快感へと変えてしまった。
 年相応に成長してはいるものの、美砂や桜子に比べれば遥かに小ぶりな、でも素晴らしく形の良い胸の膨らみが小刻みに激しく揺れ。
 ピンと勃起した乳首が、その存在感を誇示していた。


 「な、なんかへん……まるで私の身体じゃないみたいに……んぅあぁぁぁぁぁっ!」


 凄い。凄すぎる。
 身体の敏感な部分が、まるで剥き出しになったみたい。
 激しく、それでいて間断なく続く絶頂の嵐は、自分を犯す横島を心に強く焼きつけた。
 桜子のせいで、はっきり見えてしまう2人の結合部が、その気持ちを更に確かな物にしていく。
 へその下辺りが膨れる程突き入れられ、それがカリの部分辺りで引っ掛かるまで引き抜かれて。
 そんな淫靡な光景を、ライブで見せつけられるのだ。
 しかも自分の身体である。興奮しても仕方ない。
 だから10を遥かに超えて連続に絶頂する円は、完全に心も身体も『蕩』けきった。

 ……ここまでイッてしまえば、普通なら気絶しても可笑しくはない。

 それほどのイキっぷりではあったが、横島への『愛』なのか、一向に落ちる気配はなかった。
 流石の横島も、『淫』や『媚』、それに『蕩』はともかく、『愛』はやりすぎだったな……そう後悔するほどだ。

 行き過ぎる快感は苦痛しかもたらさない。
 だから人は限界を超えたら気絶するのだ。

 なのに円は、チア部で鍛えた身体と精神。
 なにより横島への溢れんばかりの『愛』から生まれる献身によって、意識を絶対に落とそうとはしない。

 これは危険だ。

 横島は、自身のしでかしたことにそう思うも、同時に、どうしようもなく想ってしまう。
 涙と唾液で汚れに汚れ、アへ顔を晒す円の顔をそっと撫で。


 「かわいいな、おまえは……」


 思わず横島はそう囁いてしまった。


 円は、美少女といってもいいだろう容姿の持ち主である。
 ただ、それは可愛い系というよりも、短くショートにした髪形のせいもあるのだろうが、カッコいい系と言った方がいいだろう。
 はっきりと言えば、こう面と向かって可愛いなんて言われたのは初めてだった。
 正確にいえば、何度も言われたことはある。
 円もそうだが、大抵一緒に行動する美砂や桜子も美少女だ。
 当然、街を歩けばナンパされるのは日常茶飯事。
 そんな男どもからチャラチャラした口調ではあるが、可愛いね、とは言われていた。
 言われていたが、記憶の欠片にも残していなかったのだ。
 いや、所詮はナンパ男の言う事だと、意識に留めていなかったのだろう。
 ここで、横島さんもナンパ男だよ?なんて言うのは、空気を読まないセリフだと、桜子は円ごと力強く抱きしめられながら思ったのはナイショである。

 そんな感じで桜子と横島にサンドイッチされた円は、快感からだけでなく、瞳が喜びに潤んだ。
 その瞬間、彼女を縛っていた文珠の効果、全てを超えたのだ。

 『同/調』『淫』『媚』『蕩』『愛』

 大した力を込めてなかったせいもあるのだろうが、様々な事が絡み合って作られた想い。
 そう、確かに作られた想い。しかしそれを切欠にしたとはいえ、その想いが、本物になった。
 円は横島の胸に額を押しつけながら、喉が裂けるんじゃないかというぐらい、大声で泣き叫んだ。
 そして、その瞬間。自分の中で蠢く愛おしい存在がビクビク震え、爆発する。
 悶え、喘ぎながら精を受け止める円は、脳天まで突き抜ける甘美の中、得も知れぬ解放感と、そして肉の悦び、何より横島への愛情に、にっこりと笑う。
 その笑みは、この淫靡な雰囲気漂う中では、あまりにも場違いな笑みだった。
 欲しくて欲しくてたまらなかった玩具を、ようやっとの思いで買って貰った子供の笑み……


 どうしてこんな気持ちになったのか分からない。
 ナンパ男なんて嫌いだし、何より彼はクラスメイトの恋人だ。


 横島と桜子。2人に挟まれ身動き一つままならない円は、唯一自由に動かせる腕を彼の背中に回す。


 ダメだ。こんな奴、好きになってはダメだ。
 そう思うのに、どうして? なんで?
 でも、うん、そう……彼のバカっぽいとこは、確かに好みかも。


 背中に回した手で、しっかと彼にしがみつく。


 ああ、そうだ。
 順番は少し……いや、かなりおかしいけれど。
 もうムリ。こう思っちゃたんだから、しょうがないよね?


 トゥルルルル♪ っと室内機が鳴った。
 個室の使用時間の終わりがきたのだろう。
 だから円はいうのだ。

 万感の想いを込めて……


 「また、会ってくれますよね?」


 ナンパでの情事なんて、その殆どが一夜だけものだ。
 でも、そうはさせない。させて、たまるかっ!

 その言葉に応えるよう、引き抜かれかけた肉棒が、もう一度勢いよく最奥を突き。
 円は大きく嬌声を上げて、遂に意識を遠のかせた。


 ああ、答え、聞いてないのに。
 せめて。そう、せめてメアドくらいは……


 そう思いながらも、意識をつないでられない円の耳に、親友の桜子の声が聞こえた。


 「えへへ~、くぎみんも言ってるしさ、どっかで続きしよっ」

 「門限あんだろお前ら」

 「えーっ! でもぉ……」

 「だから、どっかじゃなくて……」


 ……それってどうなんだろう?

 横島の発言にそう思いながら、プツリと意識が切れた。






 目を覚ました時、横島さんが横にいてくれたら、いいなぁ……


 その想いが叶ったのか、円が目を覚ますと、一応は隣に彼がいた。

 ただ、美砂と、そして桜子の2人を相手にハッスルしてたけど……


 「あっ、起きたの?」


 なぜか頬を赤く腫らし、髪から何から、白濁液まみれでうっとり蕩けてる美砂。


 「んんっ! で、でちゃうっ、またでちゃうってばぁ~~っ!!」


 横島さんにおっぱいをしぼられて、母乳らしきものを噴出させる桜子。
 そんな2人に目が点になった円に、美砂は全身に精液を塗り込みながら気だるそうに言うのだ。


 「桜子ももうすぐ終わると思うからさ、次は円でいいわよ? 正直キツくなってきたしさ、もう満足しちゃったのよね」


 まるで乱交のような状況で、当たり前のようにそういう美砂に、何に、誰に対してなのか良く分からない嫌悪が少しだけ顔を出すも、円は素直にコクンと頷いた。


 聞きたいのはさっきの答え。

 ううん、それ以上の言葉……


 桜子を蹂躙し終わった彼の背中に飛び乗った円は、思いの丈をぶつけるように彼を求める。
 自分の指でアソコを割り開くと、小さく開いた穴から、大量に注がれた白濁液が溢れ出た。
 円に余裕はない。横島が欲しくて欲しくてたまらないのだ。
 お腹が熱い。どうしようもなく、欲しいから。
 そんな浅ましい自分を自覚した円だったが、不思議とそんな自分が嫌いにはならなかった。
 そんなことよりも、はやく欲しくて、頭がおかしくなりそうで。
 だから早くと懇願しつつ、それでも待てない円は、そそり立つ肉棒を自分の股間にあてた。
 そうして再び自分の中に彼の分身を迎え入れ、じんとする痛みと、きゅんてする刺激に背筋を大きく弓なりに反らしながらも、


 「円のここ、ほんと最高の狭さだぜ」

 「私を選んでくれたら、いつでもその最高を味わえるよ?」


 軽口で返せる円は、もう一端の女であろう。
 もっとも、そんな余裕はスグに吹っ飛ばされてしまったけれど……


 「んじゃ、その最高で、たっぷりしようっかな~」


 円の膣内は、もう横島の精液と自らの愛液でぬっとりと濡れている。
 元がどんなにきつかろうと、これだけ濡れてたら意味がないと言えるほど。
 そんな場所の、奥深くまで抉られているのだ。

 主導権は完全に横島のものである。


 「んあっ!?」


 円の腰が跳ね上がる。
 横島の肉棒が、ドリルの様に回転しながら膣粘膜を掻き回し始めたのだ。
 それは、普通ならありえないこと。
 だが、横島には可能だ。文珠『回/転』。まさに文珠の大盤振る舞いである。


 「ひああぁぁっ! な、なにコレ!? ヤダッ、ダメッ! おかしくなるっ! おかしくなっちゃうってばぁ────ッ!!!」


 人外の成せる技に、円は悶絶した。
 そんな円に、横島は一切の容赦はない。
 腰を動かさずとも、激しい快感を与えているだろうに、更に抜き差しを繰り返し始めたのだ。
 円は、そのあまりに凄まじい威力に、もはや軽口どころではない。完全に心が屈服した。
 口の端から止め処なく涎を垂らし、横島の成すがままに身体を揺らすしか出来ない。
 だがその文珠『回/転』は、円だけでなく、実は横島からも余裕を失わせることになる。

 以前使った『双/根』程ではないにしろ、やたら狭くキツイ円の膣の締め付けの中で、激しい回転を強いられてみろっ!

 とてもじゃないが、余り長くもちそうにない。
 もっとも、それ以上に円の方こそ余裕がないどころか、すでに軽く限界を突破している。
 横島は、そんな円の様子に安堵しながら彼女の腰に腕をまわして持ち上げると、肉棒の先端の回転を最高速にしつつ、一気に最奥へと突き込んだ。
 そして子宮腔にピタリとその先端を押し付けると、


 「こ、のまま、出すぞ、円っ」


 流石の横島も、あまりの快感に息もたえだえとしながら宣言する。
 泣きながらコクコクと何度も頷く円を見た横島は、ぶるると腰を震わせたと思うと、大量の精を放った。
 その熱い精の迸りに、円はガクガク身体が震えて止まらない。

  
 「あぁああっ! アぁああっ!! 熱いっ、熱いよっ! いっぱいっ、あはぁあっ、なかにぃ、あ、あぁ、かちゃん、できちゃ……アァアアァアアアアアア────ッ!!」


 円は、休む暇なく、何度も駆け上がっていく。
 何度も、何度も、そう、果てしなく、何度もオーガニズムにガクガク身体が震える。
 横島は、それを愛しむようにゆっくりと引き抜き、再び突き入れた。


 「ふっ、くっ……くぅぅぅ……ま、また、入ってぇ……」


 円の膣内だけじゃない。何度も射精しただろうに、横島の肉棒は、まだ力を一切失わせていなかった。

 それを、嬉しいと円は感じているのだ。
 少しづつ抽送が激しくなる横島。
 それに合わせて円の腰も揺れ始める。

 
 「あっ……あぁっ! もっと、もっといっぱいして……もっと……奥に、熱いのかけて……」


 円がそうねだるなら、その願いはすぐにかなうだろう。
 横島とて、もう遠慮はしない。
 ドロドロのぬちゃぬちゃになろうが、変わらずキツイままの円の膣粘膜を、凄まじい勢いで荒らしていく。

 とても尋常ではない。

 ドリルのように回転する肉棒を、激しく出し入れされるのだ。
 快感に狂っても可笑しくはないはずだ。
 当然のように彼女の嬌声は激しさを増していく。

 だから、きっと、そうなのだ。

 この状態で言う言葉。それは事実なのだ。
 嬌声に混じった胡乱な言葉。
 僅かにだが、意味の通じたその言葉は、横島の心を震わせて。


 今日、初めて会った女だ。

 しかもナンパした女だ。

 それでも。

 そう、それでもだ。

 いつか。いつの日か。

 この女を孕ませてやろう。


 そんな欲望に囚われかけながら、横島は多量の精を円の膣内に注ぎ、彼女の全てを自分色に染め上げながら、こう耳元で囁いた。


 「もうおまえはオレんだ」


 凄まじい快感と、終わらない激しい絶頂感の中、円はこの言葉を心に刻まれた。


 ああ、そうなんだ。

 私、もう、横島さんの、ものなんだ……


 大声で絶頂の声を上げながら、円はそう思った。








[11660] 閑話の6  エロ有り(桜子SP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/06/05 09:52





 横島は昨夜のご乱交を思い返して冷や汗をかきかき。

 そして、

 いやいや、今はこんなん思い返してる場合じゃねーと、身体中からする精臭をいつもの様に文珠ですっぱり消し去った。


 ただ……

 そう、ただ……


 ここ最近、バカなことに文珠使いすぎたせいか、あれだけあった文珠の数が少しだけピンチだ。
 ちんこドリルとかアホすぎだろう。とは思うものの、後悔は一切ない横島である。
 あれで硬過ぎな円の膣内を蹂躙し尽くし、短時間で俺好みで俺専用に開発したんだからと。
 まあ、代わりに彼女のアソコは真っ赤に腫れちゃってしまったけども。

 ……やっぱかわいそうだったかな~?

 とチラリと思いはしたが、あんあん可愛く泣いて悦んでいた円を思い出してすぐに否定した。
 横島は、円の寝顔を見ながら、その時のアへ顔を思い出して馬鹿みたいに何度もウンウン頷き、

 あれはえがった~。

 鼻の下を伸ばしながらそう呟くと、いかんいかんと急ぎ身なりを整え、窓を開けて足をかけた。
 男女の睦み合いから発する独特な臭いが、窓から入る朝のさわやかな空気で消えていく。

 ここは麻帆良女子寮6階の一室。
 窓から顔を出し、下を見れば随分な高さである。
 とは言え、横島的には大したことは無い。
 なんせ彼はここから、しかも気絶した円を背負ってこの部屋に来たのだから。

 怖くなかったの?

 と聞かれれば、怖いというよりは懐かしかったと答えるだろう。
 誰かを背負って壁をよじ上るのは初めてでも、かつて美神のお宝拝む為に犯した危険に比べれば、なんてことはない。

 そう、あれは≪Death≫だった……

 見つかったら、たとえ東京タワーのてっぺんからでも容赦なく叩き落とす女。

 それが美神令子である!


 ……ああ、よく生きてたな。ただの人間だったはずの当時のおれ。
 そりゃあ不死身認定されても文句は言えん。
 そんな俺でも50年ほど前に死亡判定されたがな。わっはっはっ。
 

 窓から顔を出し、落ちたら普通は死ぬだろう高さから下を見ながら、顔は笑顔、でも心で泣いた横島。
 だがしかし! 結局生きてるんだから、不死身認定はあながち間違いでは、やはりない。

 いやいや、俺だって死ぬときゃ死ぬわっ!

 そう、遠い誰かに訴えつつ、横島はバカやってないでいい加減家に帰るかと、窓から身を乗り出した。
 前髪が外気に触れ、風でなびくかと思いきや、臭いは文珠で打ち消していたものの、汗だの何だのを消していなかったせいだろう。
 べったりと額に張り付いたままで、横島の顔が不快で歪んだ。
 と、その時だ。ついさっきまで横島が寝ていた場所で、のそりと誰かが起き上がったのは。


 「……んう? よこし、ま……さん……?」


 静かに。
 どこまでも静かな行動であったはず。
 気配なく(?)去ろうとした横島に、それでも気がつけたのは、きっと幸運なのだろう。
 だって、このままなんの約束もなく別れるのは、いくらなんでも酷いから。


 「あ~ん、かえっちゃうの~っ!?」


 桜子は焦って横島に抱きつくと、イイ感じに育っている豊かな胸を押し付けて。
 いびつな形に押し潰されたそれは、今にも窓から出ていこうとしていた横島を、確かに止める効果があった。
 たわわに育った乳房に埋没してしまっている乳首を指でクリクリと掘り起こされながら、桜子は快感よりも安堵のため息を吐く。
 クラスの中でもトップクラスに大きい胸は、桜子にとってちょっとだけ自慢である。
 ただ、同時にちょっとだけコンプレックスだった、埋没乳首。
 それがこんなにも彼に対するセックスアピールになるなんてと苦笑い。

 そして、思うのだ。


 帰したくない。

 このまま帰したら、きっとただのナンパした一人の女で終わっちゃう。

 そんなのダメ!

 だって、わたしは……














       閑話の6  桜子SPイベント ①















 一目見た時から、気にはなっていた。

 どこか……
 そう、どこか。

 別に、昔どこかで会ったとか、そういう意味じゃない。
 ただ、心がざわざわとざわめく。

 そして、


 うらやましい。


 いつか見た、彼に抱かれているクラスメイトにそう思った。

 ……なんでそう思っちゃったんだろう?
 わからない。わからない。わからない。
 でも、求めちゃう。
 わからないのに、求めちゃう。

 でも、ああされたいと願った。
 那波さんの様に、彼に抱かれて、中にいっぱい出して欲しいって願った。
 そうすれば…………だと思うから。

 






 「んぅ……ッ!?」


 桜子の身体はブルルと震えた。
 決して窓から入ってくる冷たい風のせいではない。
 クリクリと埋没した右の乳首を刺激されつつ、そうされている側と反対側の左の乳房にかぶりつかれたからだ。
 口の中いっぱいに乳肉を頬張りつつ、右の乳首にそうしているように、舌の先で穿り返すように乳首を刺激する。

 
 「ぁ……っ、ぃぃっ!」


 うっとりと、甘い痺れに酔ったよう。
 穿られた乳首も、そんな桜子の痴態に反応してか、まるで男の性器のように勃起した。
 普段は埋没している桜子の乳首。
 だがその乳首は、横島の中指の腹から飛び出すほどに硬く尖る。
 横島は親指と中指の腹で押し潰しながら激しく摩擦する一方、口に含んでいる方を歯で噛みつつ唇を窄ませて吸い上げた。


 「ふぁっ、ああ、はぁ……ん……」


 びくびく身体を鋭敏に反応させる桜子。
 唇から洩れる吐息は次第に荒く、切なく。
 何かが込み上げてくる感覚に、もう、我慢が出来そうになかった。


 「あっ、あっ! も、もう……っ! だめっ!」


 いやいやするように首を振る桜子だったが、その意思表示とは裏腹に、横島の後頭部に手を回すと、しっかり逃がさぬ様に乳房に押し付けた。
 それは無意識だったのかもしれない。
 でも、確かにそれは、もっとして……と言ってるも同じ。
 横島も、だったら遠慮なくとばかりに、乳首の窪みに舌や爪を引っ掛け、更に強くその感覚の後押しを始めた。
 桜子の乳房は、横島の暴虐により何度も激しく形を変えて、こすられ、しぼられ、もまれ、噛まれ、吸われ……ッ!


 「や……ぁッ!?」


 桜子が、ギュッとまぶたを閉じた。
 そのまぶたが、ぴくぴく痙攣しているのは、決して眼の錯覚ではない。
 何かを堪える様に、でも堪え切れない何かを耐える様に……


 「は……あぁ……」


 そして、甘く切ない息を吐き出した瞬間、まるで男性が射精するみたいに乳首から乳白色の液体が噴き出した。

 いや、違う。

 母乳だ。


 「んあっ!で、でちゃうっ!わたしのミルクでちゃうぅぅぅうううッ!!」

 
 桜子が絶叫を上げると、彼女の胸から母乳が飛び出したのだ。
 横島は夢中になってしゃぶりつく。
 実は横島、こうして母乳を口にするのは、幼児期を除けば初めてだ。
 本人は否定するだろうが、軽くマザコンの気がある横島である。
 こうやってオッパイを吸って、母乳を飲む。その行為がどれだけの悦びを持ってすることか。
 吸えば吸う程に止め処なく溢れるミルクを、帰らなきゃとか、アスナの誕生日がとか忘れて、ひたすら喉の奥に流し込む。
 口の中でシコる乳首を存分に甘噛みしながら舌で嬲る。
 桜子の喘ぎが甲高くなり、だけども表情は気持ちよさげに蕩けていた。


 もっと、もっと出て!
 そうして私を刻み込みたい。
 横島さんと私を結ぶ絆を作りたいから……


 「ひあぁ……横島さん、わたしのおっぱい、いっぱい吸ってぇ……」


 横島は、ならば逆のおっぱいもとばかりに一旦おっぱいから口を放す。
 だかしかし、そこから無駄に溢れだしていた母乳を見て、「もったいねぇ……」と小さく呟いた。

 そうもったいない。もったいなすぎるだろ!

 右のおっぱいを口にすれば、左のおっぱいから出る母乳が儚く床にこぼれ落ち。
 左のおっぱいを口にすれば、右のおっぱいから出る母乳が夢幻の如くなり。


 昨日、ほぼ初めて口にした母乳。
 思っていた味とは違い、決して甘くもおいしくもなかった筈なのに、どうしてだろうか?
 おいしくないのに、とても美味しい。

 そんな魅惑の母乳が……っ!? 

 世界は、なんて優しくないんだっ!


 横島の絶望たるや、察するにあまりあった。
 だが! そこは我らが横島である。



 母乳、母乳、母乳、母乳、母乳…………………

 おっぱい、おっぱい、おっぱい………………


 
 ああ、そうだ。おっぱいだっ!

 おっぱいには無限の可能性があったのだっ!


 横島はダンディーにニヤリと笑うと、全身を朱に染め上げてうっとりする桜子の双乳を鷲づかんだ。

 

 ……なにがしたいのかな?

 桜子の素直な気持ちである。


 まあ、わかるヤツには分かるだろう。
 気がついて当たり前のその行為。
 横島は双乳をよせ、両の乳首を重ね合わせると、おもむろに両方いっぺんにかぶりつく。
 そして乳首の根元を歯先で締め上げ、ぢゅうううっと音を立てて吸い上げる。


 「ん゛っ!? んにゃぁぁあッッ!!」


 もう、なにがなんだかわからない。
 ただ胸を吸われてるだけなのに……
 桜子の肌は異常に鋭敏になり、窓から吹きよせる朝の風を感じるだけで、快感を訴えてくる。
 昨夜、カラオケボックスで迎えたロストバージンの時よりも、その後にこの部屋で抱かれた時よりも。

 ずっと

 ずっと……

 横島に母乳を吸われながら桜子は、瞳を潤ませ、頬を真赤に染め上げて。
 豊満な乳房に顔を埋める横島を、再びふんわり抱きしめた。
 両腕をその頭に優しく絡め、熱く熱をもった頬を頭のてっぺんに押し付ける。
 そして、すりすり、すりすり。と頬ずり。


 ────すきぃ

 小さく呟く。

 やっぱ一目惚れだったんだよね、これって……

 その一目惚れの相手が、自分の乳房に顔を埋めて、ちゅうちゅうオッパイを吸っている。


 ひゃーん、すっごい幸せだよ~。


 この幸せをもっともっと続けたい。

 だから。

 そう。

 せめて。

 ここで別れてしまうにしても……

 メアドのひとつくらいは、教えて貰うまでは、絶対に帰さない! 


 そんなの普通に聞けばいいじゃん。
 ……なんて思うなかれ。
 エッチする方がアレかと思わないでもないけれど、受け手でもあったのだし、やっぱけっこう緊張するものなのだ。

 だから、


 「あ、あのね……?」


 声が震える。
 決して、快感からではない。

 怖い。

 もしも嫌だって、言われたら……
 そんな風に言う人ではないって知っている。
 それでも、怖い。


 「よ、よよこ……し、ま……さん……」


 声がどもる。
 みったくない言い方である。
 桜子は、ブンと一回、大きく首を振った。
 コクンと、唾を飲む。
 腕の中の男を、ぎゅっと抱きしめ、想いをいっぱいに込めて。


 「あのね、また、会えるよね……?」


 帰ろうとしている男を母乳を引きとめた女としては、これで精一杯の言い方だったのかもしれない。
 乳房に吸いつくのを止めて、そう言った女に男がなんて言ったのかは……言わずともわかることだろう。














 霊力もなく、魔力もない。当然、気の扱いなどに長けてる訳でない、ただの人間。
 それが椎名桜子のはずなのに。
 でも、ただの人間でありながら、その身に幸運の精霊を宿している稀有な少女でもあった。
 横島は、幸運の精霊の存在に気づかずに、この少女の母乳を飲むたび感じる何かの高まりにも気づきはしない。


 ……そんな異常、気づけないのは修行が足りないからだ。
 修行など一切しない男である。それも仕方ないのかもしれないけども……


 












 横島は、窓を背にしていた身体を、桜子と入れ替える。
 彼女を窓のさんに座らせ、身体を外へと押し倒した。
 ここは地上6階。かなりの高さ。
 桜子は恐怖に声を上げるが、横島は彼女の腰のくびれにしっかりと手を回し、彼女が落下するのをふせいでいた。

 だからと言っても、やはり怖い。やめてっ!

 そう訴えるのは当たり前である。
 だが、横島はやめない。
 桜子は、必死に窓のさんに指を立て、力をこめた。

 これでもチア部。
 恐怖さえなければ、自分の体重を指だけで支えるなど容易い。

 でも、これがいけなかった。
 だったらと支えてくれる力が消えた。
 ガクンと、体が外に傾き、寮の壁に背中がついた。
 ヒィっ!? 恐怖の声が漏れ、身体が強張る。
 意識が遠のきそう。
 だけど、ここで意識を失わせたら、死んでしまう……
 そんな目に合わされているというのに、なんでだろうか?
 彼を責める気持ちがまったく出て来ない。


 これが惚れた弱みなのかな?


 そう思いつつも、何とかこの状況から抜け出そうともがけるのは、流石は麻帆良の人間。
 只者ではないといった所か。だが、それでも横島の非常識には敵わない。
 強張った身体で腹筋を使い、上体を起こす。
 いや、起こそうと力を入れた瞬間、その強張った身体をほぐす様に、桜子の全身を撫で回す手。


 「く……ん、んぅうッ! ちょ、だめ、死んじゃ……あんっ!」


 昨夜初体験で女にされた際に、キレイに剥かれたクリトリス。


 敏感なその部分が……熱い。


 横島の眼には、ぷっくりと膨らみ、水気を溢れさすその場所が、はっきりと見えた。

 
 ああ、自分は酷いことをしている。
 今日、誕生日を迎えるアスナを忘れ。
 彼女は、今日が自分の誕生日なんて覚えてはいないだろう。
 それでも、彼女を『支配』する自分が忘れてはいけないのに。
 なのに、息を飲む。
 この女を、自分だけの『物』にするために。


 そうすれば、俺は……


 桜子の抵抗なんて気にもとめない。
 太ももを割り、女の部分を剥き出しに。
 そして、濡れたソコに一気に自分の分身を突き刺した。


「ひゃぅうッッ!?」


 起きかけた身体が、再び背中に壁につく。
 窓のさんにかけた指が外れ、ガリガリと爪でその壁をかいた。

 でも、『落ちる』浮遊感はない。
 『堕ちる』浮遊感。

 がくがくがくっと何度も身体を恐怖と、それ以上の快感に痙攣させて、二度、三度と絶頂する。
 吊るされた身体が、物理的に激しく浮き沈み。もちろん、その時には自分の膣内を肉棒が往復している。
 目も眩むような愉悦に襲われ、隣の部屋どころか、寮中に響きそうな嬌声を上げた。
 そんな中で桜子は思うのだ。

 もしも……もしも彼が私を放したら、私は地面に叩きつかれて死んじゃうのだ。

 なのにどうしてかな?

 怖いよりも、『ほしい』


 「も、もっとぉ……もっとしてぇ……ぁ、あっ、ああん!」


 耳に聞こえる音は、ぐちゅぐちゅっと粘着質な淫音。
 桜子の身体は完全に横島の手に落ちていた。

 
 「ひああっ! あひっ、あひぃんっ! あ、ああああぁっ!」


 膣穴を貫き、激しく肢体を揺さぶられる度に、恐怖よりも快感に髪を振り乱し、あられもない喘ぎ声を漏らす。
 横島の抽送は激しさを増し、子宮を揺さぶる様な勢いだ。
 桜子は高まり続ける快感に、もう自分が何をしているかさえ分からなくなってきた。
 熱く疼く様な感覚と共に、膣奥から溢れだす愛液が、ぽたぽたと地上目掛けて降り注ぐ。
 もしも下に誰かいたのなら、雨が降っているのかと勘違いしてしまいそうなほどに。
 恍惚と甘い息を吐く桜子は、そんなことにも気づかない。
 無意識とはいえ女の本能なのか、膣奥を収縮させては肉棒を食い締め。


 「さ、さくらこちゃん、イッちまいそうだっ」


 横島はよいしょとおっさん臭い声を出しながら、桜子の身体を持ち上げ、宙吊り状態から解放すると、そのまま部屋の中……
 さっきまで横島と桜子が寝ていた場所まで運んでいった。
 背中に、布団の柔らかさを感じる。

 生の実感。

 いくら快感で誤魔化そうと、やはり恐怖があった。
 今になって、身体が恐怖で小刻みに震えた。
 すんっと一回だけ鼻をすすり、「怖かったよ~」と涙声で訴える。
 わりぃわりぃと、全然悪そうにない謝り方で謝りながら横島は、グンと自らの欲望を、桜子の奥深くまで埋めていった。

 昨夜まで未使用だった膣洞。
 昨夜、横島のモノになった膣洞。
 そこは、確かに熱い蜜が熟成されて、どろどろのぐちゃぐちゃ。
 まだ14才。性を知るにはいささか早い桜子の女が高まった証。
 彼女は再び恐怖を忘れ……いや、恐怖を忘れてしまおうと、生をもっと感じようと。
 足を横島の腰に絡め、両腕でしっかりとしがみついて離さない。

 そう、もう2度と離さない。離れ……たくない……

 横島の腰が律動を再開する。
 先程、外で宙吊りにされていた時よりも深く、深く、どこまでも深くで。
 結合部からグプグプと溢れだす蜜。溢れだす快感。溢れだす、愛。


 「すき、すき、すきぃ……っ。横島さんが、好きぃ……」


 ああ、なんでこんなに好きなんだろう……?
 昨日、初めて話した人なのに……

 でも、分かる。

 身体の奥底で、私じゃない私が叫ぶのを。

 好きです。愛してます、離れたくない。
 あなたに会いたかった。あなたが欲しかった。
 あなたがいれば、私は元の私になれるかも。
 でも、私も桜子。だから、いっしょに愛して欲しい。
 私はあなたが好きだから。だから桜子もあなたが好きなの。

 想いが溢れる。好きだ、好きだ、好きだ。
 声を荒げる。それは生々しいまでに女の嬌声。
 隣で寝ている円や美砂は、そんな桜子の嬌声を聞いても起きはしない。

 椎名桜子『絶対幸運時間』


 「出してぇ……私(桜子)の中に、いっぱい出して孕ませてぇええええぇぇえええッッ!!」


 ドクン、ドクン、ドクン……

 桜子が絶叫すると同時に、彼女の子宮に大量の精液が放出された。
 恍惚の顔で、その精液を全て子宮に納めた桜子は、狂いだしそうな快感に、熱いため息を漏らす。
 そして、ゆっくりと甘えるように腰をくねらせた。


 「ん? なんだ? もっと欲しいのか?」


 言葉に出さず……いいや、言うまでもないのかもしれない。
 小さく可愛らしくコクンと頷く桜子に、横島はもう辛抱たまらんと荒々しく彼女の肉体を蹂躙する。
 再び痛々しくめくれ上がったラビアは、しかし桜子の感情のまま、卑猥な動きを繰り返し、横島を悦ばせるのだ。
 そう出来るはずもないのに。
 昨日、処女を失くしたばかりの彼女には、無理な話だというのにだ。
 桜子と横島が睦み合う隣。
 安らかな寝息を立てる円と美砂のアソコは、痛々しくも赤く腫れ上がっている。
 当然だ。初めての性行為。慣れない身体。処女にとっては凶器にしかならない横島の剛棒。
 その全てが、今日こうしてセックスするは無理だと語る。

 なのに、桜子の身体は違う。
 横島の肉棒を易々と受け入れ、精を欲しがり肉棒を締め付ける。

 愛してる……

 愛してる……

 愛してる……


 「ふあっ! い、ああああああっ」


 桜子の弱い部分を、横島の肉棒のえらが削ぎ落す。
 桜子は、たまらないとばかりに声を荒げた。
 気づくと、桜子の目じりから涙があふれ出す。


 しあわせ……
 

 「ん? もっとして欲しいってか?」

 「あはっ、そんなの、横島さん次第だよぉ~。だって、私(桜子)は……」


 ところで、横島は気づているだろうか?
 桜子の声が、一瞬二重になって、そして一つになったのを。
 そう、一つになる。
 いつしか精神と肉体の狭間に巣食っていたナニかと。
 でも、それは決して自分でなくなるわけじゃない。

 それも、確かにもう一人の私(桜子)だから。


 どうやら、桜子の『最も』弱いぶぶんは、子宮のようだな。
 幸せそうに蕩ける桜子の反応に、横島はそう断じる。

 そこに出せ。横島のナニかがそう叫べば。
 
 ここに出して。桜子のナニかがそう叫ぶ。

 横島はその声に従い、秘奥を細かく速く激しく、トントンと何度も小突く。

 
 「い、いいっ、いいのぉ……ひっ、あ、あぁん、ああああっ、あぅんっ」

 「くおっ!? だ、出すぞっ!」

 「……うん……うんっ! わらひのぉおまんこにいっぱいだしてぇーっ!!」


 角度を変え、強弱を変え、小突くスピードを上げる。
 桜子も横島の精を受けるため、ひくひく激しく身体を痙攣させて射精を促す。
 横島の硬い胸に押し潰されている桜子の乳首から、間断なくぴゅぴゅっを母乳が噴出し、彼の服を汚してもいた。
 子宮も熱く火照り、膣内の温度が上がりに上がり。
 そして、遂に……!


 「うおおおおおおおおおおおおっ!!」

 「あぁああっ、あぁああっ、熱いのいっぱい中にぃぃぃいいいいい!! ひぁあああぁぁああああああああ……」 


 まるで噴火の如く激しく勢いのある2度目な射精。
 桜子も、そして『桜子』も、満足そうに微笑みながら、力を抜いた。


 そう、満足した。
 長年足りなかった全ての栄養を補給した。

 そして、愛も……


 彼を逃がさないと絡めていた足を解き、しがみつくように背中に回した両腕も解いた。

 意識が遠のく。
 眠気が襲う。

 なんでかなぁ?
 急にすんごくアソコが痛くなってきた。

 きっと、腫れてきているんだろう。
 昨日、今日と、これだけ激しくやれば、そうなるのも当たり前。


 「横島さん、また、会ってね……?

 「いいぞ。メールくれたら、スグに会いにくるさ」

 「約束だよ~っ!」

 「おう、約束だ。んな訳で、手付にもう一発っと!」

 「……へ? も、もうむりだよ~っ!? ちょ、だ、ダメ……これ以上したら、私、わた……あぁん」


 絶対幸運時間も、愛する者には効果なし。
 自らの知らない能力。
 それでも、漠然とだが理解はしていた人外の幸運。
 桜子はその日、生まれて初めて、『自分の思い通り』にいかない現実を叩き込まれる。
 その、横島好みに豊満な肉体に、徹底的に、エロく、どこまでもエロく……


 力ない抵抗は容易く排除され、三度膣洞をうねる彼の分身。
 抜かず3発。言葉でいえば容易いが、実際やれば苦痛が勝る。
 イッたばかりの桜子の肢体は、これまで以上に激しく感じ。

 あげる嬌声は、甘い3重奏。
 桜子だけでなく、円と美砂まで。
 横島の手技に翻弄されて、横島に直接犯されている桜子と共に啼いていたのだ。
 ここまで起きなかったこと自体が不思議なのだ。
 それに彼女達は親友で。
 いっしょにこうするのは嫌じゃなかった。

 でも……

 気づけば2人は横島に促されるようにして、桜子の胸にかぶりつき。
 乳首を舌で転がしながら、母乳を吸っていた。


 「らめぇ~っ!? らめらってばぁ~~ッッ!!」


 呂律の回らない舌で抗議するも、2人は聞こえてないのか止める気配は一切見せない。
 横島の指に、アソコの中を掻き回されて、切なそうにしながら熱い鼻息を桜子の乳房に吹きかけているのに。

 なのに、やめない。

 つらいでしょ? エッチなことされて、もっと口から声を出したいでしょ?

 そう思いながら、でも実は桜子はやめて欲しくなかった。


 しあわせ……


 昨日から、何度そう思ったことだろう。
 でも、今が一番かもしんない。
 好きな人に抱かれながら、大好きな親友と戯れられて。


 あっ、そうか。
 私が思っていたラッキーよりも、もっと凄い幸せなんだ……


 「イッちゃうっ、イッちゃうっ、イッちゃううぅぅうううううぅぅうううっ」


 桜子の意識が。幸せ一色に染まった。
 相変わらず自分の乳首に吸いついたままの2人を優しく抱きしめ。
 子宮に流れ込む彼の熱い子種。
 横島さんがいっぱい。すっごく嬉しい。

 桜子はそんな幸せ一杯な気持ちのまま、先程逆さ吊りに犯された窓から外を見た。

 キレイに青く澄んだ空。

 ほにゃっ、と表情を崩し、もう一度、オーガニズムに絶叫する。
 射精で脈打つ肉棒を、膣粘膜と子宮に感じて、だいすきだよ────そう、大きな声で。


 「い……イク、イクイクッ、イッちゃぅうううっ!!」


 ゴポリ───抜かれた肉棒。彼の形のまま、開いてしまった膣穴から零れる愛情が、酷くもったいなく思えるのは、私だけなのかな?
































 「派手にやりすぎた……どうしよ……」


 小一時間後、気絶した少女3人を抱きしめながら、茫然と呟く横島がいた。
 桜子の膣内を肉棒で掻き回しつつ、手マンで2人の少女を蹂躙する。
 しかも昨日もこっそりしていたのだが、『同/調』させているために、2人はまるで本当に膣内を掻き回されているように感じさせれたことだろう。
 それでも2人が変に思わなかったのは、今だ処女明けであり、横島以外の男を知らず、しかもその横島がテクニシャンなために不思議に思わなかったのだ。

 しかしそれにしたって、文珠の使い過ぎだし、


 「朝帰りどころか、昼帰りって……」


 アスナの怒った顔でなく、アスナの悲しそうに微笑む姿が脳裏を過ぎり、横島は慌てて家に帰ることに。





 窓から勢いよく飛び出し、

 走って

 走って

 走って…………

 家の玄関のドアをバンと開け、


 「た、ただいま……」


 どことなくオドオドとそう言った瞬間、チーン。と股間を蹴り上げられた。

 股間の痛みに悶絶する横島の視界には、おほほと笑う千鶴と、般若のようなアスナ、木乃香、あやか、夏美、アキラ、亜子。
 のどかと夕映だけは、ちょっとだけ不満そうではあるものの、それでも心配そうではあった。まあ、助けてくる感じは一切ないが。


 やべぇ、ばれてるよ。死んだな、おれ……


















 ────あんぎゃーっ!?


 「煩いぞ、まったく……」

 「ああ、横島さん、大丈夫でしょうか?」

 「……茶々丸?」

 「なんでしょうか、マスター」

 「なんだ、その手に持ってる物は?」

 「バールのような物ですが、何か?」

 「言ってることと、やろうとしてることが……いや、なんでもない」

 「では心配なので、私も横島さんの様子を見に行ってきます」

 「ああ、ほどほどにな」

 「はい、わかっています。ほどほどに、ですね」


 ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ



 妖しい嗤い方をしながら嬉々として出て行った茶々丸に、力なく首をふったエヴァンジェリンだったが、すぐに、自業自得だな。と面白そうに笑うのだった。


























 後書き

 次回は予定を繰り上げて、修学旅行編プロローグに入ろうかと。
 ちなみに当初の予定はアスナSPイベント……
 アスナェ……w




[11660] 鬼鳴きの古都 第一巻  エロ有り(アスナSP)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/10/26 14:11








 クラスメイトを毒牙にかけた忠夫を皆でぼこり、ピクピクとしか動かなくなった所を見計らい、リカバーする前に荒縄でグルグル巻きにしてやった。


 ああ、本当に、もう、この人は……
 『向こう』に帰ったら、愛子姉さんたちになんて言い訳するつもりなんだろう?

 そんなちょっとアレな誕生日を、それでも幸せいっぱいに過ごし……そして、夜になった。
 エッチ禁止令。それを出した彼女は、彼の部屋を占拠して眠りについたまま、覚める様子はない。
 それもそのはず。眠った頃合い見て彼が成した悪行。『眠』の文字の入った文珠をその部屋に放り投げ……
 もう、彼女は今日の昼過ぎまで目覚めることはないだろう。

 そうして、私は抱かれた。

 明日は修学旅行だというのに、きっと私は朝まで愛する男の腕の中。
 これでは京都までの移動の足、新幹線の中で、ただの一度も目を覚ますことなく眠呆けてしまいそう。











 にしても、何度こうして彼に抱かれたんだろう。
 抱かれる幸福を噛みしめる私の身体には、彼の知らない場所なんてまったくない。
 子宮は彼の精液で何度もたぷたぷにされ、文珠の避妊がなければとっくの間に孕んでる。
 まあ、それはそれで、構わない。

 ……主にアッチの友人である誰かさんに負けたくない的な意味で。

 けれど……

  
 「いやっ、ひっ、ひぁ……もう、もう、だめぇ、やだ……気持ちよすぎてっ、く、苦しいっ……んんんーっ」


 まるで暴走するジェットコースターみたい。
 あまりに酷く揺さぶられ、視点が定まらなくってブレてしか見えない。

 ……思考も、うまく働かない。

 それでも、私は一枚のカードから手を放さなかった。
 私の絵姿が記載された、一枚のカード。
 この日した、大切な絆の証、仮契約カード。
 使徒である私の、主である彼へのもう一つの絆の証。


 私こそが彼を守る第一の盾。

 私こそが彼を救う第一の剣。

 永劫を彷徨う旅人の彼を敵から守り、彼の敵を斬り伏せる盾であり剣。


 その証である。


 ……なんだろう?

 あんまり役に立ってないよ?って『高★なの★』と『クス★・★ズハ』辺りに言われた気がしたのは。

 ……って誰?

 まあ、いいわ。

 今はそれどころじゃないし。


 「そろそろ本気でいくぞ?」


 えっ? 本気じゃなかったの?

 と思いつつも、「う、うんっ」と素直に頷く私。


 彼は私が頷くなり、全力で抽送をはじめた。
 亀頭のエラで膣壁を掻きながら引き抜き、そして勢いに任せて子宮を突く。
 ベッドがキシキシと乾いた音を立てる。
 視界はチカチカと星が走り。髪は激しく振り乱れ。
 激しく腰を振る彼と私の接合部は、ぐちゅぐちゅに泡立った。
 汗が滲み、湿り気が増していく肌の感触。匂い立つ女の香。
 肉と肉がぶつかって、パンパンと乾いた音が、セックスしているんだと周囲に知らせる。

 そんな状況の中、


 「アスナっ、アスナっ、アスナっ」


 お腹の中を掻き回されながら、何度も名前を連呼される。
 それだけで、私は身体だけじゃなく、心までも蕩けてしまう。


 「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁっ、あぁんっ!」


 私は官能に支配されたみたいに声をいっそう荒げてしまった。
 痺れるような激しい抽送に身ぶるいする。
 背筋がゾクゾクして、腰の震えが止まらない。

 イクのが、止まらない……


 「も、もうらめぇ……っ! らめなのぉっ!」


 呼吸がうわずり、呂律が回らない。
 私は、もうやめてと、これ以上されたら頭がおかしくなっちゃうと、なんども訴え。
 でも、彼はやめない。やめてくれるはずもない。
 抗議に胸をとんとん叩きながら、必死に彼を睨みつける。
 さぞスケベな顔を晒しているのだろう。そう思いきや……
 彼は、淡く穏やかに微笑んでいた。


 「アスナん中はあったかいな……やっぱ、お前が一番イイ……」


 私の一番奥まで穿ち、優しく頬を撫でさすりながら、そう言う彼。

 ……誰と比べたの?

 昨日、ナンパした女の子たち?
 柿崎さん? 釘宮さん? 椎名さん?

 私と、ナンパで一夜を共にした程度の女達と比べないでよ!

 私の心は怒り一色に……なるかと思いきや。
 身体の奥からジワジワ感じてきて……
 きっと、こうやってナンパして昼帰りを誤魔化すつもりだ。
 つもりだって、分かっているのに、騙されてしまいそう……
 鼓動が早鐘みたいに高鳴ってしまう。身体が、熱い。

 でも、この程度で許してあげるわけにはいかない。


 「ふ、ふんっ、スケベ、変態、ダメ男っ」


 でも、罵る言葉とは裏腹に、私の頬は紅潮し、瞳はきっと潤んでる。
 そんな私の状態を分かっているのだろう。

 ……いいや、どうすれば私が悦ぶのか、彼にとっては赤子の手を捻るようなもの。
 だって、私の身体の全ては、彼が開発したんだもん。本当にずるい人よね?

 そうこうしている内に、私の中で、性欲旺盛な彼の律動が終わりにむかって本格的になった。
 激しい律動に、たまらなく嬌声をこぼしながら、彼の成すがままに敏感になった身体を揺さぶられる。
 力強く何度も貫かれ、先端が膣奥を叩くたびに、どうしようもなく子宮を震わせた。
 ……震えは絶頂の証。彼の子種を子宮に注いで欲しいのだという、私の欲望の発露。


 「くっ、ん、んんっ……んあっ……! ひっ、い、いく……ぅ……また、いっちゃ、うぅんっ!」


 逞しい、愛する人の肉棒の出し入れが、甘美な刺激となって、私の心を支配する。
 もっと……もっと……乱暴にして欲しい。何度も何度も頭を真っ白にして欲しい。

 そんな想いが無意識に行動に出たのか、腰をいやらしくくねらせてしまう。


 「ん? なんだ? おねだりか?」

 「ちっ、ちがっ!? ちがうってばぁーっ!」


 激しくされればされるほど、私は身体の奥から大量の淫液を溢れださせ、どれだけ感じてしまっているのか一目瞭然。
 それに何より、私にも嫉妬や対抗心みたいなものがあるのだ。

 昨日ナンパされて彼に抱かれた椎名さんたちなんかよりも、私のほうがずっといいもん!

 醜くも、そう思った瞬間、私の中で彼の肉棒が爆発した。
 びゅくびゅく、びゅくびゅく、びゅくびゅくと、長い、長い、精の放出。


 「いやぁっ! またイクっ、イッちゃうのぉぉおおお!!」


 激しく脈動しながら精液を放出し続ける彼の肉棒。
 その大量に吐き出される精液が、私の子宮を満たす感触に、身体が大きく反り返る。
 意識が、遠のく……
 だけど、彼は私を許してはくれない。
 反った身体を戻す様に、彼に力強く抱かれ……

 「アスナ、愛してる……俺だけの、アスナ……」

 耳元で、愛を囁かれた。
 瞬間、心の奥から歓喜が溢れ出る。
 強い恍惚感に、全身がまるで性感帯のように敏感になった。

 私を抱きすくめる力強い腕。
 私の身体を押し潰す、細身の、だけども、その実、とても鍛え抜かれた彼の身体。
 首筋にかかる、彼の荒い呼気。
 私の身体の中を抽送する、脈打つ熱い彼の肉棒。
 勢いよく子宮にかけられる、彼の精液。

 その全てが、私のオーガニズムを、今までにない領域まで高めていく。

 
 「あぁああっ、熱いっ、熱いのが、いっぱい! なかにぃっ、あ、あぁ、あぁああぁあああああ!」


 びゅくびゅく、びゅくびゅく……

 とまらない、とまらない。
 膣内に放出される射精が、私がイクのが。
 ああ、もうダメ。何も考えられない。
 身体が、心が、気持ち良すぎてバカになっちゃう。
 女が疼く。私の中の、醜い女の部分が。
 どうしようもなく彼が欲しくて。
 私の中に、いっぱい彼を感じたくって。


 「もっと……もっと、だしてぇ……」


 私のおまんこ、忠夫の精子でいっぱいにして。

 ならばと、彼は私の禁断の領域に、肉棒の先端を押しこみ始める。
 子宮口に彼のモノが、グリグリ、グリグリ……本来ならば、入る筈のないその場所の奥を目指して。


 「ひっ!? ぎぃぃいいいぃいいいいいいっ」


 痛みに目がチカチカした。
 でも、それ以上の女の悦び。
 彼の形にぽっこり膨らんだお腹が、彼の膨大な量の精子によって、更に大きく膨らんでいく。
 はひゅーっ、はひゅーっ、と少しおかしい呼吸がでる。
 異質の感覚に、恐怖で顔が歪んだ……違う。あまりの快感に顔が歪んだのだ。


 「あーあ、こんなアへ顔しちゃってからに……」


 そう言って私の顔を優しく包む彼の手は、いつも以上に優しく暖かく。
 何より、とても官能的に淫らに思えた。腰が、跳ねる。膣から精子混じりの蜜が噴き出した。
 そう、私はそれだけで、もう一度、イってしまったのだ。


 「まったく、どうしてこんなエロい子になっちゃったんだか……」

 「わ、わらひのせいじゃないもん。忠夫がわたしをこうしたんだもんっ」


 涙ながらそう言えば、イイ子イイ子と頭を撫でる。
 すると私は、くぅんっと啼いて、身体を大きく痙攣させる。

 ああ、またイッちゃった……

 そう思っていると、全て出し終わったのかズルリと引き抜かれる彼の肉棒。
 私の中から彼がいなくなってしまった。寒い、そして寂しい。
 ゴポッ、ゴポッと膣から噴き出す彼の精液に、更にその感情は大きくなった。

 止めたいのに、止まらない。

 彼の形に大きく開いたままの私のおまんこが、それを止めてはくれないのだ。

 どうしよう? と思っていると、彼の肉棒が頬を突く。
 きっと、キレイにしろと言っているのだ。
 私は戸惑いなく彼の肉棒を口にすると、頬肉と舌でキレイに磨き上げていく。
 そして、ちゅぅっとまだ出しきれていなかった精子を強烈な勢いで吸った。
 コクンコクンと、嬉しそうに残滓を飲んでいると、もういい、と彼は私の口の中から出ていった。

 寂しい。再びそう思う。

 唾液にヌラリと光る彼の肉棒は、私の乳房によってキレイに拭われ。


 「ああ、なんかアスナのおっぱいでもう一回出したくなってきた……」

 「なに遠慮してんのよっ。好きに、したらいいじゃない」


 少しだけ理性が戻って来たのか、勝ち気にそう言い返したけど、ホントはして欲しいくせにと笑う彼に私は真っ赤。
 見透かされたみたいで、恥ずかしいよりも、ちょっと悔しいと思う。

 だから……

 少しだけ素直になってみてもいいかもしんない。
 たまには、そうっ。
 今日は、私の誕生日なんだから。


 「……うん、欲しいよ。いっぱい、欲しい。今日は……今日ぐらいは、アスナだけのアナタでいて欲しいの……」


 子供の頃のように……ううん、違う。
 私は、こんな風に甘えたことなんてない。
 だから、子供の頃には出来なかった、目一杯甘えた口調でそう言った。

 すると、突然、彼の肉棒が膨張し、暴発した。
 私の顔目掛けて降り注ぐ白濁液は、とどまるトコロを知らず。

 あれ? もしかして、私の言葉だけでイッちゃった?

 冗談半分にそう思いながら彼の顔を見てみれば、顔が真っ赤になっている。
 そして、うおおおおおおおっ! 大声で叫んだと思いきや、私を四つん這いにする。

 彼の目の前には、獲物となる私の穴が2つ。
 忠夫は、私のおまんこに勢いよく肉棒を突き刺した。
 そうして正確に10回、私の中を行き来すると、先の勢いのまま強引に引き抜き、今度はアナルへと挿入する。
 いきなり割り開かれた肛門は、まるで彼の肉棒を受け入れるのが当たり前のようにズブズブ飲み込んでいく。

 だから、苦しそうにうめく私に配慮なんてしない。 
 いや、その必要は最初からなかったのだ。
 だって、すぐに私の苦悶の声は、悦びに満ちた嬌声になった。
 そうして再び、正確に10回。私の中を行き来し、また、強引に引き抜き、また前へ。
 これを何度も何度も繰り返し、私のおまんことアナルに行ったり来たり。

 その間、忠夫は声を発さない。
 獣のような呻き声を上げるだけで、なんにも……なぁんにも……

 もしかして、さっきみたいな風に言われるの、慣れてないのかな?

 だったら、これから二人っきりのエッチの時は、必ずこう言って甘えよう。
 私は女の悦びに打ち震えつつ、そう誓った。
 そうすれば、彼はきっと今まで以上に私を可愛がってくれるだろう。

 それにしても、凄い。凄すぎる。何が何だか分からなくなる程の快感の嵐。
 今まで凄いと思っていたのが、単なるそよ風にすぎないって思うくらいだ。
 今の私が耐えられる快感を大幅に超えている。
 これに耐えられるのは、タマモ姉さんくらいでしょうに。


 「アスナ……お前、いつの間にこんなに女になったんだ……」


 呻く様な忠夫の声は、私の耳には届かない。
 だって、私はそれどころじゃなかったんだもん。

 じゅぷじゅぷエッチな音を立てる私の局部。
 彼のおちんちんが、激しく私のエッチな穴に出入りする。
 時折、思い出したように何度も塞がれる私の唇。
 喉を通る彼の唾液。
 手にある仮契約カード。

 でも最後に見たのは、文珠。

 ころころ落ちる、文珠。

 いっぱい、いっぱい、いっぱいの、文珠を見ながら私は─────────

 許容量を超えた快感に、気絶した。














 ─────────意識を失ったアスナを、それでも攻めるのをやめないのは、なんてことはない。

 今まで感じたことがない程、身体が昂ぶっているからだ。
 射精するたび、アスナの膣内や腸内がキュンキュン締まるんだから、仕方ないっちゃあ、仕方ない。
 しかもだ、気絶してるアスナを抱くのは、まるでレイプしてるみたいで、やたらと興奮する。

 そんな俺の感情に反応しているのだろうか?

 文珠が次から次へと、ころころころころ……


 「は……はは、は…………」


 笑いが止まらんのは、文珠が大量に出来ちまうほど煩悩が爆発してるからじゃない。
 アスナへの、愛おしさが止まらないからだ。
 さっきのアスナのセリフ……似た様なセリフは、今まで他の女達から何度も言われている。

 そうだ、言われ慣れているはずなのだ。

 なのに、止まらない。

 俺の劣情が、情欲が、愛情が……アスナへの想いが止まらない。


 パンパンパンパンパンパンパンパンパン……ッ!!
 ヂュプヂュプヂュプヂュプヂュヂュププ……ッ!!

 激しく腰をアスナに叩きつけ、乾いた音と、粘る水音を同時に出し続ける。
 意識のないアスナの身体は、俺の勢いに押されて右往左往と身体を跳ねさせる。
 そんな彼女の身体を、俺はしっかりと抑えつけながら、止めようもない劣情を、ただひたすらにぶつけ続けた。


 「なあ、アスナ……」


 気絶してるアスナに届く筈はない言葉。


 「なあアスナ……」


 でも、だからこそ、口にする。


 「お前が、3人目なんか?」


 腰を振りながら、アスナの胸のぼっちに舌をツンと伸ばす。
 屹立した乳首は、まるで俺の想いに応えるように、プルンとしていた。
 そして、乳房を舐め、鎖骨に舌を這わし、首筋の味を堪能し、顎に伝っていたアスナの唾液を舐めとり、頬に流れた涙を味わう。
 唇を丹念に舐めまわし、そうして最後にアスナの口の中に舌を侵入させた。
 すると、気絶してるはずのアスナの身体が痙攣し始めた。

 こんな状態でもイクんだな。
 それとも、そんなに俺にキスされるんが好きなんか?

 と頬を緩ませ、グイッとアスナの一番奥まで突き入れる。
 精液と愛液でぐちゃぐちゃのアスナの胎内は、驚くほど狭く、でも気絶してるおかげで少し緩んでた。
 そんな中を、いつもより大きくなった肉杭で、今までよりも、奥へ、奥へ……
 デコボコで、吸いついて来る膣壁の誘惑を乗り越え、射精を我慢し、ついにアスナの子宮に、さっきよりも更に亀頭がずっぽり入り込んだ。
 気絶して、弛緩してるからこそできた行為。
 夕映と違って成長著しいはずの肢体が、俺のちんぽの形に、ぽっこりお腹が膨らんだ。

 そして、ドビュルルルルルルルルルルゥゥゥゥゥッ!!!

 アスナの身体が跳ねる。
 ビクンビクンっと、釣ったばかりの魚のように。
 だけど、嬌声はあがらない。
 気絶してるから? いいや、そうじゃない。
 これだけイケば、例え気絶してようともくぐもった声は出る。
 でも、俺が出させない。
 そのために、唇を塞いだのだ。
 アスナの吐息を感じる。
 声を出せない苦悶の表情。
 でも、出させない。
 すべてを俺の物にしたい。そんな欲望。

 ああ、なんて……なんて、甘美……


 『愛』する女の身体は、どうしてこんなに心地が好いのだろう?

 気づけば、赤玉が出るぐらい射精していた俺は、疲れた身体をアスナの横に投げだした。
 心地好い疲れの中。まだ細かく痙攣しているアスナを抱きしめ……


 どんな夢、見てんだか……と小さく笑う。
 だってよ、エッチな夢以外、見られるはずはないじゃないか。

 そう、笑った。





 だけども、アスナの見ていた夢は、決してエッチな物ではなかったのだ。

 横島のオーバーフローした霊力を大量に注ぎ込まれたアスナ。
 セックス……言わば交合という神事にも似た状況。
 かつて持ってた『姫《巫女》』の称号。

 その3つが合わさったおかげなのだろう。

 優秀な霊能者の証、危険を知らせる、そんな、ちょっと変わった夢を見た。 












 ─────────アスナSPイベント② end




















 親代わりとも言えた大切な人の命の色で、大地が赤く染まった。
 腹に大きな穴が開いている。息も苦しそうに吐くだけだ。


 「あ、あああ、あ……」


 目を、大きく見開いた。
 感情を失わせ、自らを何もないと言わしめた、その顔が。
 きっとこの時のワタシは、悲しみとやるせなさに苦しんでいたのだろう。


 「幸せになりな嬢ちゃん。あんたには、その権利がある」

 「やだ……ダメ、ガトーさん! いなくなっちゃやだ……!!」


 喉が張り裂けんばかりに叫んだあの日、確かに『ワタシ』は『わたし』になった。
 人形だったワタシは苦しみの生を吹き込まれ、きっと人としての産声をあげたのだ。

 大切だった人達との別れ。
 大切だった人との死別。


 辛い……

 苦しい……

 そして、悲しい……

 
 ワタシをわたしに変えたのは、愛情なんて暖かいモノじゃけしてなかった。
 それでも、今の私があるのは、確かに愛情っていってもいいもので。


 「なあアスナ。忘れちまえば楽になれる。でもな、忘れちまえば、その忘れた相手を、本当の意味で殺しちまうんだ」


 殺したくない。
 ワタシを守り、わたしを産んでくれたあの人を、忘れはしない。 


 「そっか。じゃ、いいよな、タカミチ?」

 「……アナタがそういうなら、師匠も文句はいいませんよ、絶対に」


 暖かい手に抱き上げられる。視線が、同じ高さになった。
 優しく目が細められ、きっと、わたしを愛してくれる目なんだ。
 わたしを、幸せにしてくれる目なんだと、わたしは思った。


 「俺は、元の世界に帰るつもりだ。アスナちゃんも一緒に来るか?」

 「ん。行くよ。タダオが行くなら、ワタシも行く」


 この世界に、わたしはイラナイ。

 ナギもガトーさんもいないこの世界。わたしは、タダオとタカミチ以外には、誰もイラナイ。
 そのタダオが遠くに行くというのなら、わたしはついていかないと。
 ガトーさんの残滓を追い駆けるタカミチの傍では、きっとわたしは邪魔にしかならないから。


 「タダオ、ワタシね、幸せになりたい……」

 「おう! 絶対に、幸せにしてやるさっ」

 「姫さまを頼みますよ、忠夫さん」

 「俺に任せとけって! わっはっはっはっはーっ」


 あの人が死んでからは、色がなくなったように感じた世界。
 なのに、色を取り戻した気がするのはなんでかな?
 そんなことを考えながら、わたしたちは彼の故郷への道が通じやすいというマホラを目指す。


 でも、わたしは咎人……
 たくさんの憎悪に塗れし者……

 黄昏の姫巫女 アスナ・ウェスペリーナ・エンテオフュシア


 「ば~か。アスナちゃんは使われただけだ。悪いのは、周囲の大人達だぞ? ナギも、ガトウも、タカミチも、もちろん俺も。誰もアスナちゃんを責めてないだろ?」


 優しい声で、優しい口調。


 「ほら、ア~ンしてみ」


 言われた通りに大きく口を開けると、一文字、何かの字が刻まれた透明の珠を、口に入れられた。
 アメかと思ってなめてみたけど、全然甘くないしおいしくない。
 訝しげに、首をコテンと横に倒す。


 「なめるんじゃなくて、飲むんだ」


 言われてわたしは、コクンと飲んだ。
 つるんと喉を通ってく感触のあと、なんだろう?
 身体が妙な感じがした。わけが分からない。


 「これで、しばらくはアスナちゃんを『隠』せる。その間に……」

 「分かってます。麻帆良の代表には、もう話を通してます」

 「じゃ、急ぐか」

 「はい」


 風に、なった。
 物凄い勢いで景色が流れ。
 走る、走る、走る、走る。
 タダオが、私を抱きかかえたまま、走る。
 わたしは、彼の胸に顔を隠し、そっと呟く。


 ───サヨウナラ


 ダレにむけられた言葉か……

 ナニにむけられた言葉か……


 ワタシはガトーさんと一緒に死んで、わたしになった。

 そしてわたしは世界を捨てて、私になるのだろう。



 ───でも

 私になっても、ワタシも、わたしも……
 決して、消えはしないのだと、私は知ることになる。


 忘れようとした……忘れていた。忘れたかった、この世界での私の業。
 星の数ほど人を不幸にした私を、求める誰かの陰謀か。でも、私はもう人形じゃない。

 あの頃とは違って私には私の意思があり、決してアナタたちの思い通りにはならないと───


 










 コレは予知夢か、はたまた警告か?

 全ての事件が終わったあとに、私はこの夢のことを思い出し。

 霊能力者にとって、夢は大切な情報源にさえ成りうるのだと、令子おばあちゃんに言われてたっけね。

 全てが失われた光景を見ながら、そう思った。


































 


 ───やっほーっ! 今日は待ちに待った修学旅行の日だーっ


 なんだかやたらと疲れる夢を見てたら、とても元気な子供の声で起こされた。


 「……うるさいわねぇ」


 アスナは身体に絡み、胸を鷲掴む横島の腕と手を振りほどき、身体を起こす。
 寝惚け眼をこすって時計を見れば、時刻はAM5:30.起きるにはまだ早い時間である。
 恐らくは家中に響いたと思われるネギの朝の一声。
 昨夜……というか、つい2時間ほど前まで横島とのセックスに興じていたアスナにとって、迷惑以外の何物でもなかった。
 ……とは言っても、起きてしまった子供をひとり放置する訳にもいかず。
 一応、修学旅行の引率という責任ある立場柄、自分達生徒とは集合時間が違うのかもしれない。
 ちなみにアスナ達の集合時間は9時であり、集合場所である大宮駅へと行く電車の時間を考えれば、8時には家を出たいところだ。
 身だしなみを整えたりなんだりする時間を考えても、やっぱり早い気がしないでもないが、遅いよりは断然まし。
 寝足りない時間は新幹線の中で寝ればいいのだし、それより何よりネギの食事の世話をしなければ。
 それに、現在自分の隣でイビキかいてる横島にアスナは言われていたことがあったのだ。
 正確にはアスナだけでなく、みんなに、ではあったけど。


 ほんと、何かしらね? アホなことじゃなければいいんだけど……


 もちろん、アスナはその思いが叶わないことを、よ~く知っていた。

































 ───油断

 この世界に来てから、いくつの『油断』をしたのだろうか───by 横島 忠夫














 横島はアスナが着替えて部屋から出ていくのを、寝たフリしながら見送ると、少しだけ、顔を苦く歪めた。

 なぜ苦々しい顔をしているのか?

 決してナンパして昼帰りで相手バレしたからではない。ないったらない。
 どうにか身体で誤魔化したとか、一切ない。ないったらない。
 そんな、どうでも良い様な良くない様なことではない。

 話は少し長くなる。

 少し前に京を中心にした事件があった。

 精気を吸いとられ───恐らくは性魔術と思しき技術によって、ミイラ化した男性の遺体がいくつも発見された事件である。

 関西呪術協会の長である近衛詠春は、被害者の状況から見て、異世界発祥の儀式魔法『性魔術』により、精気を吸収され尽くした遺体と断定。
 詠春はこのことから、現在関東に居座っている横島に協力を求めることにする。
 和平交渉を進めているとはいえ、関西にとって関東魔法協会は敵対関係にある組織。
 そんな組織に、例え客員とはいえ所属している男に依頼するのは、彼らの錦司が許さない。
 許さないはずなのに、詠春は周囲の反対を押し切ると、長としての権限を使って断行したのだった。

 結果は……上々。

 事件は解決し、更には関西に所属している者たちと、横島自身との信頼関係すら結ぶことに成功したのだ。
 これは、これから行われる和平への、大きな前進にも繋がったろうし、詠春の立ち位置も安定できた。

 しかし……

 横島にとって見たら、関東と関西の仲がどうとかとか、詠春がどうなろうが、正直どうでもいい。
 いや、まあ友人ではあるから、多少気にはするけど、もういい年した大人の男。
 自分のことぐらい、自分でなんとかしやがれ! とまあ、横島は自分のことは一切棚上げ。
 それよりも、気になることがあったればこそ、わざわざ京都くんだりまで来て事件を解決したのだ。

 性魔術の行使者……天ヶ崎千草。
 彼女が一体どのようにして性魔術という異世界の技術を手にしたか?

 横島の予想はこうだ。


 彼女は、先に横島が不意打ちで滅ぼした、ラプシィア・ルンと繋がっていた。
 もしくは、ラプシィア・ルンから性魔術を学んだ女が、誰かしらの男に教え、そこから天ヶ崎千草へと渡った。


 前者ならばいい。
 天ヶ崎千草を捕縛したのだから、後は詠春に任せておけば、性魔術という異世界の技術の氾濫はなくなったと考えてもいいから。

 横島は、それぐらいならば詠春を信頼しているのだが……

 しているのだが……っ!

 あのバカ! ちっともその後の取り調べの結果を知らせてきやがらねーっ!!
 後者だったらどうする!
 そうでなくても、もしも天ヶ崎千草が、他の第3者に性魔術を教えていたのなら……

 横島としては、この世界で性魔術が氾濫すること自体は構わないと思っている。
 だが、ラプシィア・ルンの手によって広まったとするならば、現在その技術を持っている者達は危険人物だろうと思えた。

 危険人物かつ、天ヶ崎千草は京都の人間。
 これからアスナたちが行く場所も京都。

 ……心配しすぎなのかもしれない。

 だけども……



 もう油断はしないのだと、横島は決めていた。
 決めていたから、横島は一つの方策を実行する。

 文珠。

 万能の霊具であるコレは、実のところ、体内に取り込めば、通常よりも効果が長持ちしたりする。
 恐らくは体内にあることで、文珠自体が生命エネルギーとか何かを取り込んでいるのだ。
 刻まれる文字によっては一ヶ月。そうでなくても4~5日程度は持つだろう。


 横島はベッドからのそりと立ち上がると、ネギに渡す幾つかの通常文珠と、そしてアスナ達へと渡す通常文珠の種類と数を考える。
 ネギは……まあ、文珠の『本当』を教えていないのだから、この世界の一般に知られている「治」「防」「爆」「氷」のうち、「治」「防」「爆」を。
 他、千鶴、アキラ、のどか、夕映、木乃香達にも、これと同じ物とは別に、最も使いかってのいい「護」を。
 最後に、アスナ、あやか、夏美の3人の霊力使いには、更に文字が刻まれる前の文珠を一個ずつ渡す。

 そして、念には念を……

 何度も言うが、横島はもう油断しないと決めている。

 だから、トドメのひとつ。

 ……いや、むしろコレが本番。

 ハイパー文珠『守/護』

 これを彼女達の体内に取り込ませれば、修学旅行期間中くらいならば、まあ、【本物】でも出てこない限りは大丈夫だろう。


 「さァーてっ! いっちょヤるとスルかっ!!」


 腕をぐるぐる回して腰をフリフリ。
 これ全て準備運動なり!

 何を考えているのだろうか?
 いやらしい笑い方をする横島の下半身は昨日、一昨日とハッスルしまくったとは思えない程、熱く滾り。


 「急がねーとやる時間がなくなるっ!」


 更に念には念をとか言いつつ、自分の部屋……現在、エヴァと茶々丸のいるその場所に、昨夜と同じく「眠」の文珠を放り込む。

 これで準備は全て整った。

 あとはネギが行き次第……


 「ぐふふふふふふふふ」


 明らかにスケベな笑いが横島家に響き。



 「なんかえらい楽しそうやな~」

 「……変なことにならなきゃいいんだけど」

 「むりやろ、それは」

 「分かってるわよ、そんくらいっ!」

 「えっと……どうかしたんですか?」

 「お子様には関係ない話やな~」

 「そうねー、あと10年はかかるわね」


 あははと楽しそうに笑い合う少女達と、む~っとするネギ。そして、したり顔でウンウン頷くオコジョがいたとか何とか。






















 後書き

 えっ?茶々丸に「眠」って効くの?

 この場合、スリープモード「休《眠》」状態になるらしいよ!

 文珠は使い手である横島の発想力だかんね! 横島ならエヴァを眠らせつつ、茶々丸をスリープモードに移行させるなんてわけねーのさw








[11660] 鬼鳴きの古都 第二巻  エロ有り
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/10/26 20:30



 どうしようか迷いはした。
 でも、昨日会ったし、毎日メールもするし。
 だから後ろ髪引かれたけれど、裕奈の誘いにのり、朝一番で集合場所に行くことにした。

 でも……


 「なんやろ? 失敗した気がしてならんわ……」


 妙にテンション高い裕奈やまき絵の横で、はぁ~とため息。


 間違いない。ウチの横島さんレーダーが、チャンスを逃したと告げている。


 「どったの亜子? もっとテンション上げてこ~よ~っ!」

 「はぁ……そんなんやから、後発のウチより下やって言われるんや……」

 「なにが~?」

 「なんでもないって。世の中、知らん方がええこともあるし」


 首を傾げる裕奈をよそに、ははんと笑ってみせる亜子は、確かに女として勝者であった。

 だけどもすぐに肩を落とす。


 あ~あ、アキラと一緒に横島さんトコ行けばよかったわ。
 もしかしたら、いってらっしゃいのちゅ~して貰えたかもしれんかったのになぁ。


 亜子の期待……というか妄想は、あながち間違っちゃあ、いなかった!

 まあ、いってらっしゃいのちゅ~ではなく、いってらっしゃいの 合体!
 だから処女なのに後ろは開発済みが売りの亜子は、多分ヤッて貰えなかったけども。
































 横島の目の前には8人の美少女がいた。
 彼女達は何物にも代え難い大切な存在だ。
 そんな彼女達の手には、今しがた彼から渡された文珠が数個。
 彼女達はそれを手のひらで転がしながら思う。


 文珠は、とても貴重な物だ。
 彼女達が文珠を渡されるより前に、先に家を出たネギにも渡してはいたが、それよりも明らかに多く渡されている。
 いいや、それどころか、今日、この場には来なかった裕奈や亜子に比べ扱いが上の証拠。
 正直、女のプライドが充足されて、すごく嬉しい。
 でも、妙に鼻の穴が大きくなってる彼の顔に、とてもいや~な予感。



 (どうせエロいことでも考えているんでしょ)

 (するんならはやくしてくれないかな?)

 (集合時間、遅れてしまいますわ)



 いつもなら彼の思惑に従順な彼女達。でも、今日は少し違う。
 文珠を貰ったとは言え、流石の彼女達も今日は特別なのだ。
 修学旅行の集合時間に遅れて、置いて行かれるのはたまったもんじゃない。
 しかし、そんな考えも吹っ飛ぶようなことを、横島がポツリと呟く。


 「俺は、もう油断はしない。後悔するような羽目になる訳にはいかんのだ……」


 真面目な表情でそう言った横島に、なんでだろう? 身体が熱くなった。
 エロがどうだの、修学旅行がどうだのと、そう考える自分が矮小に思えてしまう。
 瞳が潤んでくる。胸がキュゥンと高鳴った。そして……
 気づけば言われるがままに、ショーツを太ももの半ばまでずりおろし、彼に背を向け、壁に手をつき、スカートをたくし上げ尻を露出する。

 8人全員が、である。

 実に艶やかな光景。
 が、どこか異様な光景でもあった。
 そんな中、いち早く正気に戻った少女が2人。
 彼女達は、

 (あれ? やっぱりエロいことじゃん(でしたのね))

 呆れた口調でそう言いかけたが、それよりも早く横島が取りだしたハイパー文珠。
 刻まれた文字は……『 守 護 』


 「これからお前らが行く場所には俺がいない。俺はお前らを守ってやれない。だが! これが代わりにお前らを守ってくれるはずだっ!」


 (……大げさじゃない? たかが修学旅行よ?)

 (なんか悪い物でも食べましたのかしら?)


 流石は使徒。自分の主を良く理解している。結果、アスナとあやかは少し冷めたけれど……
 チラッと横を見れば、みんな胸をキュンキュンさせてるし、鮮やかに頬を紅潮させ、うっとりしていた。


 ……恋する乙女として、なんでか負けた気がするアスナとあやかであった。










 さて、そのお相手たる横島の内心と言えば……



 ふ……ふははは……あは……わーはっはっはっはっはーっ

 すばらしいっ! じつにすばらしいぞォーっ!!

 自分も合わせて9人もの人がいれば、少し広めとは言え所詮は一般住宅に毛が生えた程度の我が家では少し狭く感じる。

 だがそれがいい!

 狭いからこそ、若々しいヒップをふりふりさせる美少女がびっしり敷き詰められたリビングの光景は、まさに男の理想郷。

 ああ、ここが俺の求めた場所だったのだな。

 甘酸っぱい女の匂いに囲まれて、これからヤルことを思えば何やら下半身がみなぎってくる!
 昨日、一昨日とひたすら消費した我が分身の波動砲も、この空間にいるだけで充電されていくではないか……


 横島はニヤケそうになるのを堪えながら、まずはと、アスナのお尻をさわさわと撫でる。


 「ちょっと! イキナリなにすんのよっ!」


 乗り気じゃないせいか、すぐさま文句が出る辺り、流石はアスナと言ったところか。
 だがしかし、彼女の『ココ』は正直モンだ。


 「ひっ、ん……くぁ……」


 今朝方まで散々膣内射精しまくったここは、少しの愛撫でもうヌレヌレ。
 上の口が黙らないなら、下の口で黙らせる。まさに下種外道を地に行く男。
 しかも他の少女達から訝しく思う前に、2本の指で挟んだハイパー文珠をアスナの中に挿入した。


 「つ、つめた……っ、あんっ」


 ズブズブ指が根元まで入るまで奥に挿入する。


 「文珠は身体の中に取り入れると、通常よりも効果が長持ちする。『守護』の文字入りなら、これでおおよそ5日は持つだろう」


 真面目な顔でそう言いながら、アスナの膣内で、珠をころころ転がす横島。
 中を冷たい珠と、2本の指で掻き回されるのは、たまったもんじゃない。
 しかも、多分気のせいではないだろう。
 何か言おうとするたびに、横島の指はアスナの弱い所を突いてくる。


 「や……ん、だ、めぇ……ゆるし、て……ひぐっ! ひぅぅぅぅ……!」


 イキそうなのだろう。
 止め処なく溢れ出る蜜は、ぽたぽたとフローリングの床に落ち、小さな水たまりを作り始めていた。
 これだけ濡れたらもう大丈夫。
 横島は、ズボンのチャックをジィーっと下ろす。
 ポロンと飛び出す雄々しくそそり立つ肉の槍。
 やたらと黒光するそれは、いっそ神々しいまでの存在感を露わにしている。

 その時、すりり……と太ももを擦り合わせたのは誰だろう?
 あやかか? 夏美か? 千鶴か? 木乃香か? のどかか? 夕映か? アキラか?

 少なくても、今現在嬲られているアスナではないだろう。

 横島はそう思いながらアスナを嬲るのを『一時』止めると、2~3歩、後ろへと下がった。
 肩で息をするアスナを中心に、ズラリと並んだ、尻、尻、尻……ッ!
 この素晴らしい光景を見ながら、横島は悩んだ。


 まずはアスナの膣内に入れた文珠を、キチンと奥まで入れようか?
 それとも先に、全員の膣内に文珠を挿入するのが先だろうか?


 どちらを選ぶにせよ、悩める時間は驚く程に少ない。
 なぜなら、修学旅行の集合時間が迫っているのだ。
 それを考えれば、タイムリミットは一時間弱。
 一人に使える時間は、おおよそ7分強。
 その短い時間の中で8人もの少女に膣内射精しなければならないッ!

 なんという試練だ……
 これでは、ひとりひとり、じっくり味わえないではないか!!


 「あ、あの~、私、準備ができました────」


 悩む横島に、まっさきに声を掛けたのは、のどか。
 これで中々に彼女はアグレッシブだ。
 事実、たくし上げられたスカートの中は、彼女自身の指でくぱぁと割り開かれ、糸を引く女淫口。
 そこから粘液が溢れ出ているのを見れば、さぞかし期待しているのだろうと分かる。


 「よし、いい子だ。これならスグに入れれるな」


 先程アスナにしたように、2本の指の間に文珠を挟めた横島は、のどかの膣内に文珠を挿入する。
 なんの抵抗もなく奥へと飲み込まれていく指と文珠。
 きゅうきゅうに締め付けてくる膣壁が、のどかのここが中々の名器に育ったんだと教えてくれた。
 むろん、育てたのは横島だ。


 「ふぁああっ、横島さんの指が、私のおまんこにずぶずぶって入ってきます──」


 背筋をゾクゾク震わせ、恍惚の表情でうっとりする。
 だが、そんなのどかを初めて見た面々は、ギョッと彼女を凝視する。

 いつもは引っ込み思案で、みんなより一歩後ろに下がっているイメージのあるのどかが、こんないやらしい言葉を使うなんて……

 驚いたような視線がのどかに集中し、でものどかは気にしない。
 今ののどかは横島のことでいっぱい。

 彼の指が卑猥に動く度に、冷たい文珠がコロコロとお腹の中で蠢いて。
 のどかはハァと熱く艶めいた吐息が漏れてしまう。
 それがまた、周囲の少女達の視線が強くなる一因だけども、やっぱり今ののどかにはどうでも良いことだった。
 とても心地好くって、周囲の視線なんかに気をやってる場合ではない。


 「も、もう、我慢できないっ。横島さんのおちんちんで、私のお腹の中をかきまぜてください────っ!」


 のどかは、いつも通りにズンっとお腹の奥を突き上げられるのを熱望するけど、


 「みんなの中にも文珠入れんとならんから、少しだけ我慢して待っててくれな」


 横島はそう言って、壁を削るようにしながらのどかの中から指を引き抜くと、ねっとりとした粘液のついた手でパンとのどかのお尻を叩いた。


 「ひゃんっ!?」


 と可愛い声を出すのどかではあったが、横島は後ろ髪引かれる思いで彼女から離れる。
 ひとりひとり、ゆっくり相手をしてるだけの時間はない。

 とにもかくにも、まずは全員の中に文珠を挿入せねば!

 最初は露出的な意味で濡れているアキラの中に、続いて千鶴、あやか、夏美、木乃香、夕映と、順々に挿入していく。
 そうやって全員に挿入した頃には、すでに10分という貴重な時間が過ぎ去っていた。
 これで残された時間は50分。一人に使える時間は6分強。
 一秒とて無駄には出来ん!
 8人もの美少女の蜜に塗れ、ベタベタでグチュグチュな指。
 その指を、何気ない動作でのどかの唇に塗り込んだ。
 唇に塗られる粘液の感触……甘酸っぱい、女の香り……
 アスナの、アキラの、千鶴の、あやかの、夏美の、木乃香の、夕映の、何より、自分の味。


 「ご、ごしゅじんしゃ、ま……わたし、もう────ひっ!?」


 蕩けた表情でおねだりしたのどかは、最後までおねだりの言葉を発することなく、唐突に、ズグンとお腹の奥を揺さぶられた。


 「ああ───っ! おちんちんでおまんこ、いっぱい広がって……ずんずんって子宮を───」


 具体的に自分の状況を口にするのどかに、アスナ達はコクンと生唾を飲み……行動を開始した。
 制服と下着を脱ぎ、キレイにたたむ。
 なんせこの後は修学旅行。着替えを消費したくはなかった。

 だから制服が皺だらけになったり、変な液で汚れないようにしないと。

 続いて数人が浴室へと走り、濡れタオルと蒸しタオルの用意をする。
 行為のあと、シャワーで汗を流す余裕なんてないだろう。

 のどかは、息もつけない程激しく腰を揺さぶられながら、そんなアスナ達をチラリと見た。


 (このままじゃ私だけ制服汚れちゃう。ずるいよ────)


 一瞬だけそう思うも、すぐに圧倒的なまでの激しい抽送……コツコツ、コツコツと、何度も文珠が子宮口を叩き。


 「ここまで奥に挿入れりゃあ、もう抜けねーだろ。後は……栄養抽入じゃーっ!」


 ただでさえ早かった抽送が、更に速くなった。
 のどかの身体のことを考えない、あまりに身勝手で激しい抽送だ。
 でも、仕方ない。これぐらい急がなきゃ、間に合わん!
 両手でしっかりのどかの尻を掴む。
 そしてひたすら腰を前後させまくる。

 それはただ『射精』するためだけの行為……
 愛情を感じるセックスではない。
 だけど文珠。そう、『守護』の文珠の存在が、それを否定した。
 だからのどかは、この射精するためだけのセックスに、嬉しそうに悦びの声を上げる。
 他の仲間達に聞こえるように、最初に『準備』したはずのアスナよりも先に抱いて貰った優越感のまま、聞いた者全てが、頬を赤らめてしまうくらい淫靡に。

 そしてのどかは、艶めかしく、蕩けた表情で、


 「えいよう……注いでくださいっ! 私のエッチなおまんこに、いっぱい注いで────」


 頭が真っ白になった。

 高速ピストンで秘肉を抉られ、子宮口をごつごつ文珠ごと突き上げられて。
 そう、横島自身である肉棒と、横島の力である文珠。
 その2つがのどかを……一年前までは、内気で男性恐怖症の女子中学生だったはずののどかを、淫猥な牝へと変貌させ、絶頂の高みへと昇らせた。


 「ひぃあああっ!」


 絶頂し、大きく仰け反ったのどか。
 横島もまた、のどかの絶頂の締め付けで終わりを告げた。
 ……いいや、終わらせた。
 のどかに挿入してから、今までに掛った時間は……5分40秒。
 自由に使える時間は、あと20秒強しかない。
 きゅんきゅん締め付けてくるのどかを惜しいと感じつつも、少女達を集合時間までに送りださなければならない。


 「イクゾっ! のどかぁっ!! 煩悩放出……もんじゅ────ッ!!!」


 それは、まさに煩悩だった。
 お腹の奥……もう指では届かず、そう簡単には抜け落ちないだろう深奥まで入り込んだ文珠が、子宮目掛けて射精され精液を浴び、熱を持った。
 精液を栄養に、文珠が発動したのだ。
 文珠の熱は、のどかに横島を強く感じさせる。
 ガクンと膝から崩れ落ち、ズルリと自分の中から彼のモノが抜け落ちた。
 不思議と、精は一滴とて外には出ない。

 あれだけお腹の中に放出されたというのに……


 どうして?


 そう思ったのは一瞬だけ。
 熱い、熱い、文珠に吸われているのだと、すぐに気づいてしまったから。


 (もう一回、今度はきちんとお腹の中に射精してください───)


 そう言いたくて。

 潤み、熱の籠った瞳でのどかは横島を見上げるも、すでに彼はアキラを抱いていた。
 嫉妬、苛立ち……胸を苛む負の感情。

 でも……

 のどか以外の女の子達は、全員裸で彼にお尻を向けて一列に立っている。
 その向けられた尻に、順繰り順繰り、腰をパンパン叩きつける様は圧巻だ。

 アソコがじゅんとした。

 羨ましい……というよりは、アソコに私も加わりたい。
 『みんな』と一緒に、加わりたい。
 そう思えたことが、とても嬉しくて。
 のどかは『みんな』が用意してくれた新しい下着に着替えるために、汗と唾液で汚れた制服を脱ぎ、ついでブラを肩から外した。
 丁度その頃、アキラの中に精が放出され、残り半分はお前んじゃ!っと放出途中で引き抜き、夏美の中にぶちまける。
 最後の一滴まで彼女の中に放出すると、次は千鶴の中に、その衰えぬ肉棒を突き刺した。
 同時、2人はさっきののどかのように膝から崩れ落ち、熱を持ったお腹をさする。
 のどかは用意されていた濡れタオルと蒸しタオルで身体をふきつつ、2人の手が届く位置にタオルを放った。


 「あ、あんがと」「ありがとう、のどか」

 「私こそだよー。ありがとう、みんなー」


 満面の笑みで2人に返しながら、再び視線を彼に戻すと、やっぱり順繰り、順繰り、女の子の中を行ったり来たり。
 千鶴の中で十回こすれば、つぎはあやかの中で12回。
 続いて木乃香の中を蹂躙し、夕映を犯してアスナを弄ぶ。
 2周、3周とそれらを繰替えし、限界が来たら放出する。
 千鶴が崩れ落ち、木乃香の腰が抜ける。


 これは……羨ましいけど、超きつい……


 残ったアスナとあやか、そして夕映を見てそう思う。
 3人の足はガクガクで、いつ崩れ落ちてもおかしくはなかった。
 逆に横島は、既に3回射精してるせいか、次の射精まではまだまだ時間が掛りそう。
 アスナとあやかは、一番小さい夕映を挟むように庇う。
 体力で言えば、夕映は2人に遠く及ばず。こうして抱かれるのにも慣れていない。
 だけども、アスナとあやかは泣きそうな声で喘ぎ、それを耳元で聞く夕映もやっぱり泣きそうだ。

 横島は庇い合う3人を一纏めに抱き寄せ、実に楽しそうに3こすりづつ順繰り挿入を繰り返す。


 「ひっ! いぃ……ら、らめぇ────ッ!!」


 甲高い悲鳴を上げるアスナ。


 「ご、めん……なさ、い……ごめん……な、さい……」

 「だ、だいじょうぶ……ですわ、ゆえさん……あ、あぁあ────ッ!!」


 そんなアスナの声に罪悪感が過ぎる夕映と、大丈夫だと慰めるあやか。
 美しい光景だ。だからこそ、滾る。

 横島の肉棒は雄々しさを増し、両脇のアスナとあやかの胸を乱暴に揉みつつ、狭く小さな夕映の膣中を乱暴に蹂躙しまくる。
 以前、子宮に無理矢理入れようとした夕映の気持ちに答えようと、彼女の奥を突きまくったのだ。
 なんせ今の夕映の濡れ具合はハンパない。これなら多分いけるだろう。
 ゴリゴリ、ゴツゴツと子宮に肉棒を叩きつけ、次第に口を開いていく子宮口の中に文珠ごと先端を押し入れる。

 凄まじい快感を耐えていた夕映に、激しい痛みが襲う。
 激痛で視界にチカチカと星が走り、アスナとあやかも心配そうに見てくる。
 でも。今の夕映には、大丈夫ですよと、笑顔で返すこともままならない。
 そして遂に……ごぷん!っとお腹に激しい衝撃と、膨れあがる未知の感覚に絶叫を上げる。


 「いぎぃぃぃいいいいいいっ!?!?」


 誰の目からでも明らかに、夕映のお腹が横島の形に膨れあがった。
 悲痛な声だ。でも……口角は悦びに吊り上がっていた。

 のどかは夕映の気持ちを知ってるから止めるつもりは毛頭ない。
 他の娘達も、悲痛な声を上げているというのに、どこか嬉しそうな彼女を見て、止めようとは思えなかった。

 でも、これ以上は痛いだけだ。
 焦らずじっくり開発せねば。

 夕映の奥の奥まで挿入した横島は、一旦彼女の中から肉棒を引き抜き、再びアスナの中に突き込んだ。

 3擦り擦って引き抜いて、今度はあやかの中へ。
 同じように3擦り、そして再び夕映を犯す。
 それを何度も繰り返すと、3人の嬌声に力が無くなっていく。
 もう立っているのも辛いのだろう。
 夕映は完全にアスナとあやかに支えられ、2人もまた、互いに支え合うように必死だ。
 足の痙攣も、のどか達から見るだけで痛々しく、早く終わってあげてと願うばかり。

 いや、願っているだけではダメだ。行動しなきゃ。

 のどかは新しい下着を手に取るのを止めると、そんな3人を救おうと行動を開始した。

 後ろから横島に抱きつき、3人の尻を楽しそうに突く横島の尻に、舌を伸ばす。
 瞬間、猿の雄叫びのような声を出す横島。
 だが、のどかは彼の肛門を舐めるのを止めようとはしない。
 汚い……なんてまったく思わない。
 むしろ、今まで見たこともない感じの横島に嬉しく思った。
 気づけば他の子達も、のどかに続けとばかりに横島の身体に抱きつき、舌を伸ばす。
 夏美が右腋を舐めれば、千鶴が左腋に舌を伸ばす。
 アキラが右足の指をひとつひとつ丁寧に唾液で汚していけば、同じように木乃香が左足の指を汚していった。


 ああ、なんて一体感。今、私達はひとつになっている。


 だから、もう嫉妬も、苛立ちも……完全にないとは言えないけれど、それ以上に、私は……私達は…………



















 「のどかって、顔に似合わず大胆だったんだ……」


 アスナは京都へと向かう新幹線、あさま506号の中で、小さく呟く。
 今、彼女の肩には、疲れ切った……でもあどけなく笑って眠るのどかの頭がある。
 あどけない顔で、すーすー幸せそうに寝息を立てるのどかを見ると、横島のアナルを舌で穿り返したエロ娘だなんて思えない。
 この新幹線の中で、男のアナルを舐めたことがある人なんて、この子以外にいるだろうか?

 (まあ、多分だけどいないわよね?)

 アスナはくすくす笑い……目蓋を閉じた。
 京都まではまだ時間がある。
 それまでは寝ていよう。
 だって、忠夫は警戒していた。
 貴重な文珠をいくつも渡し、なにより滅多なことでは使わないハイパー文珠まで使ってみせた。
 お腹に感じる熱と力は、はっきりとそれが事実だと彼女達に理解させる。

 まるで、常に彼に抱かれてるみたいに感じさせる、このハイパー文珠の存在に……

 はぁ……大きく艶っぽいため息をこぼし、にへらと頬を緩める。

 大事にされてる証。愛してくれてるって証。

 だから、嬉しい……


 ……でも、これはちょっとやめて欲しかったかな?

 そう思いながら、へその下辺りを撫で、次に太ももの内側を撫で、最後にお尻を撫でる。
 行為が終わったあと、悪乗りした横島に悪戯をされたのだ。


 へその下には『 ↓ 横島忠夫専用まんこ 』

 左右の太ももの内側には『 ↑ 横島忠夫のみIN 』『 ↑ 横島忠夫以外の侵入を禁ずる 』

 最後に両の尻たぶに『 横島専用アナル → 』『 ← 横島専用ケツまんこ 』


 油性マジックで、こんなバカなことを書かれてしまった。
 京都の旅館には露天風呂があるというのに、こんなんじゃ入れない。
 まあ救いがあるとしたら、8人全員が書かれたってことだろう。
 上手く協力できれば、他の誰かに見られずに入浴出来るかもしれない。

 ……しれないけどさぁ。


 (あーもうっ! ほんとろくなことしないわねっ! 帰ったら絶対ぶん殴ってやるんだからっ!!)


 時間が差し迫っていたのと呆気にとられちゃったせいで、みすみすこんなん許しちゃったけど、絶対に許さない。
 そう思いながらも、どこかしら嬉しく想ってしまうのは、明らかに惚れた弱み。
 アスナはもう一度、はぁ……と大きく艶っぽいため息をこぼす。

 もしも男が聞けば、それだけで興奮しそうなため息を吐き出すアスナの閉じたまぶたの裏側は、彼が……微笑んでいた。




















 「あっ、アスナさんとのどかさんも寝ちゃってますね」

 「あっちでゆえちゃんにいいんちょ、それにこのかとアキラちゃんも寝てたよ~?」

 「千鶴さんと夏美さんも寝てたよね? なんかあったんかな~?」


 訝しげに首を傾げる3人は、だけどもすぐに何もなかったように、パトロール、パトロールと足を進めた。


 「千雨さんはギリギリになっても私を巻き込むな!って言ってますし、何かあったらアスナさんたちに手伝って貰おうと思ってたんですが……」

 「だいじょーぶだってネギ君。ゆえやのどかはともかく、アスナは何かあったらスグに起きて手伝ってくれるって」

 「そうだといいんですけど……」


 結局、8人は京都に着くまで目を覚ます事はなく。

 それが何もなかったからなのか、それとも、何かあってもなのかは……この時点でのネギには分からなかった。




























































 自身に絡まる呪術の鎖を、内側からひとつひとつ丁寧に腐らせる。
 だから表面は神々しいまでに銀の光りを放つそれは、実のところ、中身はボロボロになっていた。

 それにしても、本当に甘いものだ。
 と彼女は嘲笑する。

 自らを縛る呪鎖も、閉じ込めるべき牢屋も、どれもこれもが子供騙し。
 力だけは呪鎖のせいで自由に奮えはしないが、それ以外は快適である。
 綺麗に掃除されている畳の上で、嘲りを浮かべた笑みを口元に張り付かせながら、彼女は力を蓄え。

 その時を、その機会を、じっと待つ……


 「時が来たよ」


 どれだけ眠っていたのだろうか?
 外から休みの終わりを告げる声が聞こえた。


 ああ、ようやく始まる。


 彼女が望んだ復讐の、始まりが。


 「ふ……ふははは……あはははははははははははははははは…………」


 堪え切れない歓喜が爆発した。
 だけども、それはすぐに治まり、不気味な程に表情のない顔で、迎えに来た少年に、


 「お疲れさん。では、行こか……」


 そう言った瞬間、彼女を縛っていた鎖は塩となって崩れ落ち、彼女は自由を取り戻す。
 数回パッパッと埃を払うような仕草で自身の服を叩くと、今しがたまで自分が座っていた場所に、『自分』が現れた。


 「……幻術ですか?」

 「そうや。ウチらが逃げ出したってバレたら、獲物が警戒するかもしれんやろ? で、そんことより、小太郎はん。なに新入りの後ろに隠れてんのや。いつまでもウジウジしとらんで、さっさと元気だし」

 「俺は元気やっ!」

 「そか、ならええな」

 「……ふんっ! 俺はもう負けん。だから……」

 「わかっとるよ。でもな、小太郎はん。負けるいうんは、諦め、心が折れた時のことを言うんや。小太郎はんは、まだ心折れとらへんやろ?」

 「当たり前やっ!」


 これだけ元気なら大丈夫。

 冷たい視線は、心なしか暖かく灯り。
 小太郎と呼ばれた少年を優しく胸に抱き寄せると、自身を迎えに来た少年に目配せする。
 そして彼が、仕方ないねと呆れた顔しながら、スゥっと影に消えたのを確認すると、後を追うように牢から出た。


 「千草姉ちゃん、歩きにくいて……」

 「ええやろ、久しぶりなんやから」


 ああ、幸せだ。愛されることがこんなに幸せだったなんて。

 なのに……

 愛した男の仇と、大切な家族の復讐を忘れられない。
 なんてくだらない人間。なんてダメな女。
 それでも、それでも、今、この時だけは……


 「アジトに帰ったら、エッチしよか? もちろん、性魔術なしで、な……?」

 「……マジで!?」

 「ああ、マジや」

 「っしゃーっ!」


 この子の温もりを、たっぷり感じとこう。

 そう思った。
























 後書き

 9Pに挑戦! やっぱむりでしたw

 それはともかく……


 uyr yamaの煩悩力が尽きかけています。
 そんな私の煩悩と妄想を刺激するようなシチュエーションを……キサマらの煩悩を俺に見せてくれ!
 簡単にいえば、こういうエッチが見たいなぁってのを教えて欲しいです。

 下記のように、感想欄にて書いて下されば、作者は助かります。


 
 参考例……ネギま!のほほん記30巻の場合


 キャラ:大河内アキラ

 シチュ:ドライブ中に露出調教&カーセックス



 こんな感じで、簡単に書いて下さって結構です。
 なお、SPがclear!しているキャラが望ましいです。
 その中でも特にありがたいキャラは……



 高音、愛衣、千雨、朝倉



 ノクターンの逆行大作戦的な意味で、



 愛子、おキヌ、小鳩 



 逆行大作戦の方が、無茶なエッチが可能です。
 ヨコアス本編では、あまり無茶なエッチは不可能です。

 ついでに文珠の可能性についても随時募集してます。


 注意!

 採用されるかどうかは微妙です。
 っていうか、主に作者の煩悩と妄想を刺激するのが目的なので、採用されない可能性がとても高いです。
 ただ採用されることもあるので、その場合は該当話の後書きにてお知らせします。




[11660] 30万HITスペシャル企画 ヨコなの 第1話
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/04/26 09:14
 ヨコアスR完結数十年後のお話。

 ただのネタなんで、深く考えず、頭を空っぽにしてお楽しみ下さい。




































「いややーっ!? それだけは堪忍やぁーーーーっ!!」

「お待ちなさいっ! ツベコベ言わずにさっさとコレにお着替えなさいっ!!」


 10才前後の少年が、泣きながら18才前後の少女の魔の手から必死に逃げる。

 少年の名は横島忠夫。
 少女の名は雪広あやか。


 少年……、いや、横島忠夫の中身は100歳を軽く越える。

 そして雪広あやかはその使徒である。

 使徒とは主である横島にとって、言い方は悪いが僕と言っても過言ではない。
 その僕が、主である横島を追いかけるのには訳があった。


 既に出会ってから幾年月。
 夜の生活にマンネリが来たのである。

 もちろん横島はそんな事は思っていない。
 いつでも、どんなんでも、大切な女との情事をおろそかにする事など無いのだ。

 だがあやかは違った。野望があったのだ。

 彼女は元来、幼い少年が大好きな所謂ショタコンである。

 そんな彼女にとって理想の少年といえば、幼き頃のネギ・スプリングフィールドと言えよう。
 そして、ネギと言えばあやかにとって忘れられない脳内メモリーが一つ有る。

 まだ使徒になったばかりの頃、学園祭で見たあの姿、通称キツネギ。

 あれを見た瞬間、あやかは体中の色んな穴から色んな液体を噴き出してしまう程に興奮した事を、昨日の事の様に覚えている。


 あやかはその時、こう思った。

 まるで初恋の乙女の様に、恋焦がれてしまいそう。
 だけど、私には愛する人が……
 ならば、あの人を少年にしてしまえば良いのですわっ!!


 彼女は後に錬金術師であるDr.カオスに師事し、そして遂に雪広あやか特製「スーパー若返り薬」の完成に到ってしまったのだ。

 横島が必死の思いで隠し通した「年齢詐称薬」と違い、若返りオンリーで効果時間はあやかの胸先三寸。
 横島は当然の事だが飲むのを嫌がった。
 だが、愛する使徒の頼みだ、一度だけと約束し、それを飲んだ。

 結果、彼は若返り、あやかと共に情熱的な夜を過ごしたのだ。
 あやかの興奮振りはそれはもう凄まじく、3日3晩に渡り燃えに萌えた。
 彼としても、そこまで悦んでくれるのならと、時々ならば小さくなろうと約束したのだが……

 調子にのったあやかは、子供用の巫女服とウィッグを何処からか入手し、「横島忠夫、男の娘計画」を発動してしまったのだ。

 そして、冒頭にもどる。 


「オカマになるんはイヤじゃーーーーーーーーッ! おがーーーーん、助けてぇーーーーーーーーーーっ!!」


 泣きながら、もう何年も前にお亡くなりになった母親に助けを求める横島。
 齢100過ぎても尚、母親に助けを求める男……
 千年の恋も冷める情けない姿。

 だが、あやかは違った。

 キタコレ萌え……

 両の鼻の穴から、ブーッと血を噴き出し、そのまま幸せそうに地面へと横たわる。


 今しかない、逃げるのは今しかない!

 横島は今の内にと逃げ出そうとするが、あやかとて只者では無い。

 符術師でもある彼女は、前もって用意した「金剛不動縛符」の札を使い、横島を拘束済みだったのだ。

 逃げようにも体がピクリとも動かない。
 横島は必死に術から逃れようとするも、ズリ……ズリ……、と地面に突っ伏したまま、少しづつ此方に近づいて来るあやかが怖くて堪らない。


「ヒィィーーーーーッ!!」


 泣き叫び、力を暴走し始める横島。
 少しづつ金縛りが解けて、文珠を使うだけの余裕が出来てくる。


 横島は迷わず使う。

(転/移)のハイパー文珠を!

 だが、暴走中の横島にキチンと力を制御する事は出来なかった。
 普段の倍以上の負荷がかかり、そのまま次元を割って世界を移動してしまう。
 もしかしたら自分に助けを求める息子を哀れんで、母親である百合子が助けたのかも知れない。

 そのお陰なのだろうか? これより後、2度と彼に女装をさせようとする者が現れる事は無かった。


 世界転移するほどまで彼を追い詰めてしまったあやかは、彼女と同じく彼を愛する者によって、3日間の正座を言いつけられる。

 ただ彼女達は誰も彼の事を心配なんてしていない。

 その内帰って来るだろう……と。

 帰っては来た。だが、それは10年にも及ぶ長い時間が必要だったのだが。







































 その日、普段と変わらない平穏な一時を過ごしていた家族が在った。


「おにーちゃん、おねーちゃん、朝ごはんの時間だよ~」

「うむ、分かった。では、これが最後だ、美由希」

「はいっ!」


 庭にある道場で剣術の修業を勤しむ兄と妹。
 朝食の時間だと、彼らを迎えに来た幼い少女。

 その少女に少し待つようにと伝え、兄、高町恭也は手に持つ二刀を美由希に向け構える。
 これに対し妹、高町美由希は恭也の出方を伺う。


「も~! 2人とも~はーやーくー」


 幼い少女、この兄弟の一番下であるなのはが2人を急かすと、恭也が美由希へと向って小太刀を突き出す。

 美由希はこの攻撃を右の小太刀で受け止めようとするも、スルリと抜け、気づけば咽元に小太刀を突きつけられていた。


「参り……ました。何だったの、今の? こう、防御をすり抜けて来たって言うか……」

「さあな。お前もスグに出来るようになる。その様に鍛えてきたからな」



 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



 なのはは、ようやく道場から出てきた二人にタオルを渡すと、

「もう、はやくしないと学校遅刻しちゃいます」

 プンプン怒って2人を更に急かす。



 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



「ごめんごめん、なのは」

「ああ、悪かったな、なのは」



 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



「ねぇ、おにいちゃん、おねえちゃん。さっきから聞こえるコレ、何なんでしょうか?」

「さあ?」

「なんだろうな?」



 ァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアっ!!




 段々と大きくなる謎の叫び。
 3人は何となく声が聞こえてくる空を見上げた。

 遥か上空に点が見える。
 それが段々と自分達が居る方へと落ちてきており、それに従い叫び声も大きくなってくる。


「えっ? まさか……、人が落ちてくるの?」


 美由希の呆然とした声。
 そこで恭也が、ハッと我に返る。


「美由希、スグに此処を離れろっ!」


 恭也は言うや否や、なのはを腋に抱え、一目散に家の外へと逃げ出した。
 美由希もそれに続き、一瞬の間を置いて、ドッシィーーーーーーーーーーーン! と轟音を立てて庭に落ちた。


 砂埃が上がる。周辺の家々から人が出てくる。
 なのはは恐怖で硬直してしまい、恭也と美由希も呆然と何かが落ちてきた庭の方を見つめ続ける。

 いや、落ちてきたのが何かは分かっていた。

 人だ。それも、なのはと同じ位の小さな子。
 なぜそんな小さな子が空から降ってきたのか分からない。

 でも、ただ一つ分かる事がある。

 それはその子が生きてはいないだろう、と言う事だ。
 人の形すら残ってはいまい。

 そう恭也と美由希は判断する。

 確かめに行かなくては成らないのだろうか?
 平和で平穏な日常を貪っていた2人は、今の庭の状況を想像するだけで吐き気がしてくる。
 足が動かない、呼吸もままならない、情けない自分に腹が立つ。


「早く助けに行かなきゃ! おにいちゃん、おねえちゃんっ!」


 それは他愛もない子供の言葉。どれだけ急いでも意味の無いこと。

 だがなのはは恭也の手をすり抜けると、兄と姉の制止の言葉も聞かずに庭へと走り行く。
 やや呆然とした後、なのはの後を追う2人。
 そして、庭に出て見た光景は……、人型の形に穴が開いている庭。


 ありえねー!


 恭也と美由希は心の内で突っ込みを入れた。

 空高くから落ちてきて、人の形で穴が開く筈は無い。
 固い地面に激突したならば、柔らかい人体など粉微塵に砕け散る。
 もしや、降って来たのは人ではなく、人型の何かか?
 いやいや、それでもコレは無いだろう!!


 2人がそんな感じで常識と戦っていると、頭が柔らかく不思議な世界と順応しやすいなのはが、穴の底に向って声を掛けた。


「だいじょうぶですかー」


 反応など、返る筈が無い。
 2人は常識からそう思っていると、


「たーすけてー、だーれかぁー」


 穴の底から答えが返って来る。


「ブゥーッ!!」


 思わず吹き出してしまう2人。
 そんな2人に苛立たしげになのはが命令口調で言った。


「おにいちゃんもおねえちゃんも、さっさと動いて! じゃないと、あの子が死んじゃうよっ!?」


 どうやら穴の底にいるのは子供の様だ。
 現実逃避しつつ、恭也と美由希は思った。
 が、なのはの視線が怖く、これ以上考えるのを止めると、穴の傍に行き、件の子供を助けに行く。

 気づくと周辺の家々から出てきた人達も来ており、皆で穴の周辺を掘り進めた。
 ある程度掘り進めると、うつ伏せで埋まっている少年の背中に手が届く。


「だ、大丈夫か……?」


 恐々と声を掛ける。
 すると、ボコッっと土が盛り上がり、少年が顔を出した。


「し、死ぬかと、思った……」 



 ホントに生きてたぁーーーーーーーーっ!?


 大人達の心からの叫び。
 そんな大人達など気にもせず、なのはは少年に語りかける。


「だいじょうぶ?」

「な、なんとか……」

「わたし、高町なのは。あなたは?」

「俺は横島忠夫。ところで此処どこ?」

 









 ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第1話 それは不思議な出会いなの?








































 始まらないの。






[11660] 40万HITスペシャル企画 ヨコなの 第2話
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/07/08 18:44




 空から沢山の流星が流れ落ちる。

 次元を越え、この世界の隙間の奥から零れ落ちるみたいに。




「きれいだね~、ただおくん」

「あーん? 腹減ったなー。メシまだっすか、美由希さーん」

「もうっ! ただおくんのいじわるっ!!」

「あはは、まーだだよ、ただくん」




 横島忠夫が、あの流星の様にこの世界に落ちてから早半年の月日が流れた。

 近隣住民の皆様は精神的に柔軟だったのか、あっと言う間に横島と言う別世界からの来訪者を受け入れ、尚且つ、霊能なんて物まで受け入れた。

 それ以来と言うもの、横島は四次元ポケット(偽)に入っていた金目の物を売り払い、ここ、高町家の居候として過ごす事になったのだ。

 外見年齢から、高町家の家長である士郎に末っ娘のなのはと同年にされたのは痛恨事だったが、成長しない体を元に戻すために日々色々と頑張っている。

 これは、そんな横島忠夫の、元の体に戻る為の試練の物語である。














 ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第2話  魔『砲』の呪文はリリカルなの?




















 高町なのはの魔法の才能は凄まじい。

 魔法と限定するならば、横島が知る最高の天才、ネギ・スプリングフィールドに勝るとも劣らない。

 年の程は満8才。奇しくも、ネギが横島と出会った年齢とほぼ同じ。


 ならば、この少女を自分が鍛えれば、どれ程の才を魅せるだろう?

 

 なーんて事は、いっさい! 考えなかった、我等が横島忠夫は。

 だが少女の熱心な求めと、そして家族の、

「なのはに魔法を教えてくれるんなら、3食昼寝付き部屋住みOKよ?」

 との言葉に、あっさりと頷いてしまう。



 それからと言うもの、なのはは横島が持っていた綾瀬夕映著『魔法大全』を元に、着々と魔法少女の道を歩み、そして……




「ねー、ただおくん」

「なんだ?」

「あの流れ星、魔法の力を感じるんだけど」

「ダメだぞ? アレは俺のだ。アレをゲットして元の身体に戻るんじゃーーーッ!!」

 

 横島は、この地に舞い降りた魔力の塊を手に入れる為に動き出す。



「元の身体に戻った方が、美由希さんも嬉しいやろ? もっと大きくなるんだぜ?」

「あれよりもっ!? は、入るかなァ~?」

「ねー、ただおくん、おねえちゃん。大きいってなにが?」

「な、なのは!? なのはにはまだ早いと思うよ? うん」

「えー、ずーるーいーっ! いっつもおねえちゃんとばっかりっ! なのはにも教えてよーっ!!」


 横島はこの日より、3日ほど高町家を離れる事になる。

 そして、その間に事件が起きる。

 後に、プレシア・テスタロッサ事件と呼ばれる出来事が……


































 感じるのは、悪しき魔力。

 目の前の存在は、わたしの大切な人たちが住む町を破壊する存在。


「お願い、きみっ! ボクに力を貸してっ!」


 オコジョ妖精の助けを求める声に応え、わたしはポケットの中から一枚のカードを取り出す。

 これはきずな。わたしの一番大切な人とのきずな。


 胸に想いを。奏でるは魔法の言葉っ!


「アデアット!」


 私の全身が光輝く。
 服がただおくんが可愛いって言ってくれた、私立聖祥大附属小学校の制服のスカートをちょっと短くしたものに。
 そして右手に感じる私のアーティファクト『マホウノシンケン』タイプ・ソード。


「ニーベルンゲンの指輪、力をかしてっ!」


 左手の薬指にはめられた、あの人との約束の証。
 左手に納まるは戦女神の盾。


「リリ・カル・マジ・カル……………『戦いの歌(カントウス・べラークス)』!!」


 身体に流れ込む戦闘強化の魔力。


 そして、

 地を蹴り、瞬動。一気に悪意の塊の背後に回る。


「なっ!? なんて速さなんだ! それに、あの魔法、もしかして、この世界の原住魔法なのか!?」


 手に持つマホウノシンケンで切り刻む。

「飛燕剣奥義、紅燐舞華斬!」


 悪しき魔力に煌く剣閃が走り、バラバラに裂かれ、コアが浮かび上がる。


「とどめッ! リリ・カル・マジ・カル! 百重千重と重なりて走れよ稲妻(ヘカトンタキス・カイ・キーリアキス・アストラプサトー)!」


 詠唱と同時に、私のアーティファクト『マホウノシンケン』がタイプ・ロッドに変わり、ニーベルンゲンの指輪と融合、魔力の最大値が跳ね上がる。

 その魔力を杖先に乗せて、

「いっけぇーーーーーーッ!! 千の雷(キーリプル・アストラテー)!!」


 ドッ!!! 魔法の砲台になったわたしから、凄まじい千雷の魔力が放たれる。

 コアを貫き、オコジョ妖精が張った魔法結界も紙くずの様にあっさり貫くと、夜の暗闇に染まった空が暁の光を灯していく。


 バリーーン


 一瞬の間を置いて、コアが完全に消滅した。

 辺りを覆っていた悪意の霧が消え去り、オコジョ妖精の魔法結界も完全に消え去った。

 私はホッと息を吐く。

 だってアレは、ただおくんが欲しがっていた魔法の力の塊。

 アレが有ったら、あの人は自分の世界に帰っちゃうかもしれないのだ。


「なぁーーーーーっ!! ジュエルシードがぁーーーーーーーーーーッ!!」



 うるさいの、オコジョ妖精。


 私はご近所迷惑なオコジョ妖精に「しぃー」ってすると、周囲の被害を見て逃げちゃう事に決めた。

 なのにワーワーと喚き散らすオコジョ妖精。

 このままじゃ見つかっちゃう。

 置いて帰ろうと思ってたんだけど仕方ないので、ムンズっとオコジョ妖精の首根っこ捕まえて家に帰ったのです。


 気をつけなきゃ。

 ただおくんのお話に出てきたオコジョ妖精、アルベール・カモミール。

 その子とこの子、世界は違っても同じ存在かもしれないから。

 エロオコジョ。下着ドロ。その他etcetc……


 ふふふ……わたしの下着に手を出したら承知しないの!


 そう思いながら、トテトテ夜の道を歩くのでした。






























 一方、その頃……


「これで10個目っと! これだけありゃ、元の姿に戻れるかもしれねーな」


 休止状態のジュエルシードを集めまくり、ホクホク顔の横島。


「ふっふっふっ……ふぁーっはっはっはっはっはーーーーーっ! ようやく、ようやくワイの本当の身体に戻るんやぁーーーーーーーーーーーっ!!」


 静まり返る夜の暗闇の中、悪党染みた笑い声がご近所迷惑っぽく響き渡った。


「待ってろ美由希ぃーーーーーっ!! スグにワイのスーパーなモノで、アフンアフン言わせちゃるかんなぁーーーーーーーーっ!!」



































 続きは50万HITなの。













 とらいあんぐるリリカル ヨコなの! 高町家住人及びなのは友人人物設定


 横島忠夫

 2つの世界を文字通り股にかけたエロリスト。
 あやかのスーパー若返り薬のせいで、元の大人の姿に戻れない。
 文珠を使っても、3時間程で子供の姿に。
 あやかの趣味なのか、アソコの大きさだけは子供サイズではない。
 元の大きさの3分の2w
 近隣住民の皆様は、横島の事を知っています。
 他の世界から来た非常識な存在だと。


 高町なのは

 魔法少女。
 綾瀬夕映著「魔法大全」を教科書に魔法使いになった。
 体術、剣術を横島から習い、更に簡単な魔法の修行までつけて貰っている。
 たった半年で恐ろしい程の強さに。
 横島曰く、ネギと同等の成長スピード。
 主な力は、
 瞬動、虚空瞬動、飛燕剣、ネギま世界の魔法、横島との仮契約カード、ニーベルンゲンの指輪。

 寂しい気持ちを全て横島が癒してくれて、今ではちょっと依存気味。
 ヤンデレヤンデレ、なのは様が通る。
 一応、ヒロイン。

 横島への呼称は、ただおくん。


 高町美由希

 剣術小町。
 兄、恭也と一緒に横島から気の扱いを教わる。
 結果、恐ろしいまでの強さに到ってしまう。
 リリカル陸戦Sランクオーバーww
 小太刀2刀無敵ですw
 恭也が忍と付き合ってラブラブなのに落ち込んでいたところを、横島に心の隙をつかれた。
 ショタッ気があったのか満更ではなく、なのはと一緒にラブラブ状態。
 エロ担当真ヒロイン。

 横島への呼称は、ただくん。


 高町恭也

 リリカル貧弱恭也だったのが、横島から気の扱いを教わりKYOUYAにクラスチェンジ。
 忍曰く、血の味が格段と良くなったらしい。
 以前は高町家内の風景は主に、ラブラブ士郎&桃子、恭也&美由希、なのはポツーンだったのが、気づいてみれば自分がポツーンに。
 元から居た妹2人と、新たに出来たもう一人の妹が横島にべったりなのがちょっと寂しい19才。

 横島への呼称は、忠夫。


 八神はやて

 図書館で読書中に、この世界について少し調べようと訪れた横島と知り合う。
 魔本に呪われていた少女は、横島の文珠で解放され、ただの少女に。
 闇の書は転生システムでトンズラしようとするも、横島にキャッチ。
 彼の四次元ポケット(偽)の中で眠っています。
 そんな訳で今では、文珠の力で完治して普通に歩けます。
 彼女の保護者に疑問を抱き、士郎と恭也が月村・バニングス家の力を借りて調査。
 グレアムから親権を奪い、高町家の養子に。
 事態を知った猫姉妹が高町家に襲撃をかけるも、YOKOSHIMAとKYOUYAの逆撃を受け昇天。
 高町家を襲った悪の妖怪と思われています。なーむー。
 どこぞのタチの悪い爺は、失意で管理局を退職。
 イギリスに隠棲している所をタイーホ。
 執拗な取調べを受けている。
 高町はやてとなった彼女は、桃子に懐き、愛情たっぷりに育てられる。
 今では喫茶翠屋のお手伝いを心から楽しくしている。
 お菓子作り大好きや!

 横島への呼称は、ただ兄ちゃん。 

 
 高町士郎&桃子

 当初、なのはが魔法使いになるのを渋るものの、結局なのはの熱意に負けて後押しする事に。
 まあ、忠夫君が付いていれば大丈夫でしょ。
 と、桃子さん。
 士郎さんはちょっと嫉妬。
 でも、なのはの孤独を癒した横島を全面的に信頼している。
 3人目の娘、はやてを喫茶翠屋の跡継ぎにしようと画策中。
 桃子さんの頭の中身……長男恭也、長女美由希、次男忠夫、次女はやて、三女なのは。
 恐るべし、TAKAMACHI一家。
 だが間違えるな! 横島の中身は百歳越えとる!!

 横島への呼称は、忠夫君。


 月村すずか

 とらは設定、夜の一族。
 噂の横島を一目見た時から、彼の血が吸いたくて吸いたくてたまらなくなる。
 遂に我慢できずチューチューしちゃい、顔真っ青。
 でも、誰も気にも止めず。
 吸血鬼チックなすずかよりも、横島の方が非常識。
 そんなこんなで、今では夜の一族がどーのとか気にしてません。
 横島の血はむちゃんこ美味いらしい。
 わたし、もう他の血は飲めないよ、忠夫くん。
 準ヒロイン。

 横島への呼称は、忠夫くん。


 アリサ・バニングス

 絡みなし。
 顔見知り程度。
 興味はあれど恋愛感情は無し。

 横島への呼称は、ただお。







 後書き

 仮契約について。

 仮契約はネギま!の設定上から考えて、他世界で使える物ではありません。
 ですので、この辺りはご都合的な物と思って下さい。

 以上。



[11660] 50万HITスペシャル企画 ヨコなの 第3話 エロ有り(美由希H、なのは自慰)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/05/03 00:57
 女の象徴である胸の谷間に彼の小さな頭を挟み込むと、甘く切なく何度も何度も声を荒げる。
 秘窟の奥深くまで貫く肉棒は、私が知る筈のそれよりも一回りは大きく感じられ、彼の形を覚えきっていた筈の私を強く圧迫した。


「おっき……ぃっ!! あ……あうっ!? ただくん、もっとゆっくり……して……ぁ……あっ!」


 聞いて、見て、触って、それから自分の中に迎え入れ、それでも辛く、苦しく、でも愛おしく。
 自分の胸の中に居る少年の腰使いに翻弄されながら、私は何度叫んだか分からない言葉を口にする。


「ああっ!ただくんっ、ただくん、わたし、もうっ……いっ……ちゃうよっ!!」
  

 快感に震え、悶え、欲する。少年、横島忠夫の熱い熱い体液の放出を。

 少年の肉の剣を納める鞘として、好き放題に嬲られる私の肢体。
 その女の部分を悦びでヌチュリとくねらせると、彼の肉の剣が私の膣内で快感に打ち震える。
 これまでに感じた事が無い位、深く大きく広げられた私のアソコ。
 そこを抉り貫く速度をグングンと上げて、絶頂しそうで切羽つまった私を更に追い詰める。

 少しでも長く彼とこうして交わりたいのに。
 それなのに彼はいつも私の意識を快感の波で掻き消していく。


 ズプッ、グチュ、ヌプッ、グチュ、ヌチュ、クチュ、ズチュ……

「ふぁ、アッ、アッ、アン、ンハァ……ただくんっ、ダメ、もう……ゆるしてぇっ!」


 私の懇願と同時に、彼の肉の剣が子宮を強烈に突き上げる。
 全身がエクスタシーで痙攣し、目からは涙が止め処なく溢れ止まらない。
 生々しい抽送音と、私の切ないよがり声が部屋中に響き渡る。
 余りに激しい腰使いに、悪戯しないように胸で押さえつけていた彼の頭を離してしまう。


「プハァっ! 殺す気かっ!?」

「アッ、アッ、アッ、死んじゃう、私、もう、ダメだって!」


 ただくんの抗議なんて、もう私の意識には届かない。
 今私に有るは、彼の肉の剣でよがり狂う女としての自分だけ。


「あのままだったら俺が死んどったわ! ったく、ほらイケッ!!」


 ビュッ、ビュル、ビュルルルル……

 ただくんの言葉と同時、私の膣内を灼熱の液体で埋め尽くされる。


「あ……ああぁぁ……あ……ただ、くぅんっ……ひぃああああっ!?」


 お腹の中を犯す彼の灼熱の精液が、私の心を暖かい色で染め上げる。
 随喜の涙を流しながら、私の反応を楽しむ彼との時間が永遠に続けば良いのに、心からそう思う。
 ニュブッ、と鈍い音を立てて私の胎内から這い出た、酷くグロテスクな彼の肉の剣。
 嫌悪すらしそうになるそれが、とても愛おしく感じるのだから、私はもう彼が居ないとダメなんだ。

 御神の剣士として剣に生きるつもりが、彼の虜になり彼の望む生き方をしようと思うなんて、人生って分からないものだよね。


「ホントにおっきくなったね、ただくんのアソコ」

「ふっ、見かけは子供、アソコは大人、ゴーストスイーパー横島忠夫、ここに爆誕!ってか」


 ただくんが入手した10個のジュエルシード。
 彼はその内の一個を使って身体に掛けられた術を解こうとした。
 バキンっと何かが弾ける音がして、少しだけ枷が外れたと喜ぶただくん。

 でも次の瞬間、なのはに残りのジュエルシード全てを奪われた。


「オコジョ妖精のユーノ君の持ち物なんだから、ただおくんが勝手に使っちゃダメです!」


 そう言って。

 多分、なのはは不安なんだ。

 身体が小さく、力までも制限されてるらしい今のただくんでは、元居た世界には戻れないらしい。
 もしもジュエルシードを使って完全に元の身体に戻ってしまったら、彼は元居た世界に帰っちゃうのだから。


「ねえ、ただくん。私、ただくんのこと、好き……だよ……」


 見かけがなのはとかわらない子供に見える、彼の胸に縋り付く。

 傍から見たら滑稽に見えるかも知れない。
 でもね、実際の彼の年齢は100を超えるんだから、滑稽なんかじゃないよ。

 恭ちゃんが彼女を作って、彼の事がが好きだった私の心が不安定になった。
 そんな私の心を満たしてくれた彼。
 私の心の隙間を埋めた以上、責任はとらなきゃダメなんだよ?


「もう一回戦、イキたいって? よっしゃー! いくらでもヤッたろうやないかっ!!」

「そんなこと言ってないよ!」

「ふははははーー!」


 両手をワキワキさせ、面白可笑しく私にそう言う。

 顔に笑みを張り付かせ、心底楽しそうに笑いながら。


「もう! ふざけてないで、もっとキチンとして……ンウッ!?」


 柔らかな舌が私の口腔内に侵入し、甘酸っぱい唾液を流し込んでくる。
 コクン、コクンと飲み干しながら、私の頭は彼の事で一杯に。
 彼の舌を舌で絡めとり、絡めとられ、情熱的で甘美な時間。

 何度も言うけど、本当に永遠に続けばいいのに……

 情けない事に、私は魔法で此方を覗くなのはにも気づかず、彼の肉の剣を私の口で受け止めていた。 














 ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第3話  それはより良い未来なの?



















 海鳴の地に舞い降りた災厄の種、ジュエルシード。

 全21個の内、横島に使われただの宝石となったのが1。
 なのはに破壊されたのが1。
 そのなのはに、ユーノが自分のデバイス、レイジング・ハートを渡して封印して貰ったのが12。
 黒い少女の魔導師が持ち去ったのが1。

 
 すでに15個ものジュエルシードが何らかの形で無効化された。

 だが、ユーノは思う。

 黒い魔法少女の目的が何なのか解らない以上、油断は禁物。
 なのははなのはで危険な子だけど、彼女の目的は解りきっているので何とかなる。
 要するに、横島と言う男の子にジュエルシードの魔力を使わせなければ良いだけだから。

 ユーノは彼程の非常識な存在を見た事が無かった。

 なのはのこの世界特有の魔法にも驚愕したが、彼は異常だ。

 リンカーコアが恐ろしく不安定。なのにそこから引き出される力は凄まじいの一言。
 彼の幼い身体では引き出し切れていないが、成長したその時には歴史に残るほどの大魔導師となることは間違いない。


 ユーノはそんな非常識に囲まれ、胃が痛くなる毎日。

 資料で見て想像した第97管理外世界と全然違う、違いすぎる。

 魔法がある。魔法以外の気と呼ばれる力もある。HGSと呼ばれる超能力、霊力と呼ばれるオカルトまである。


 霊力を使って幽霊を見せてもらったが、いい加減にして欲しいと心底思った。

 そして魔力が半端ない恐ろしい狐。
 その狐が霊力(妖力?)で出した黒い稲妻、殺されるかと思った。

 HGSは力を使う時、背中に妖精みたいな羽が生える。
 それに何の意味が?ってツッコミ入れてみたけど、オコジョ妖精が何を言うと……
 ボクはオコジョ妖精じゃないって何度も言ってるのに!

 気と言う力は、黒い魔導師の使い魔を一瞬の内に滅多切りにするほどの力だ。
 血塗れになって撃墜されたその使い魔を、敵対しているとは言え、どこか憐憫の眼差しで見ていたのを昨日の事のように覚えている。
 大丈夫だろうか、あの使い魔は……、一応、治癒魔法をかけてあげたけど、不安だ。

 なんせこの世界には、非殺傷設定なんて優しいものは無いのだから。
 常に必殺上等。戦うからには勝つ。そして、戦うからには命がかかるのは当然。

 そんなトンデモ世界観……

 黒の魔導師の方は幼い少女という事もあって、なのはの姉、美由希から見逃して貰っていたが、万が一にもなのはが怪我でもした場合はどうなっていた事やら……

 あの黒い魔導師の少女は、管理局基準で言えば軽くAAA程度の実力はある。
 でもこの世界の人達には、魔導師ランクなんて鼻で笑ってしまう程度の価値。
 魔力? なにそれ美味しいの? と来たもんだ。

 価値観が違いすぎる。一刻も速くジュエルシードを集めて管理世界に帰りたい……
 お世話になっているのはありがたいけど、どうにもこの世界の空気にボクの繊細な胃がもたない。
 早く、早く管理局よ来い! 彼らに全ての問題を押しつけ、ボクは次元航行艦の中でのんびりするんだ。
 日がな一日を本を読んだりネットをしたり、スクライアの皆の所に帰ったら遺跡発掘なんて危ない仕事とっとと辞めて、図書館の司書にでもなりたいなぁ。
 狐なんて簡単に捕食出来るくらいの大きな犬を飼って、空いた時間には趣味となった盆栽いじり。

 なんて明るく素晴らしい未来図……


 今だ幼い身で、なんだか枯れた事ばかりを真剣に考えてるユーノ。


「どうしたのユーノくん、くーちゃんと遊び疲れちゃった?」

「えっ? いや、違うよなのは。それにアレは断じて遊びじゃない!」

「でも、すごく楽しそうだったよ?」


 狐の爪が!牙が!雷が!必死で逃げるボクを笑って見ている人達……
 確かに狐は楽しそうだったよ! でも、ボクは死にそうだったじゃないかっ!?

 涙が棒の様に流れて止まらない。


「あはは……、そうだね、うん、疲れた、ぼく……」

「そっかぁ。じゃ、今日はもう帰ろう? これだけ捜しても見つからないんだから、残りは海の中かも……」

「そうかもね。だったらもう、あの黒い子に全部任せちゃおうか?」


 ジュエルシードの使い道が解らないから危険。
 今でも確かにそう思う。

 でもさ、これってボクがやらなきゃいけない事じゃないよね?
 管理局の仕事だよね?
 うん、ボクはもう帰って寝たい。


 狐に襲われて疲労困憊のユーノは、もう限界ギリギリ。


 恭也さんと盆栽ながめて過ごすんだ……


 高町家でお世話になってからと言うもの、ユーノは恭也の傍が一番安らぐ。
 彼の物静かで枯れた雰囲気、親切で丁寧な口調、盆栽にかける熱意、どれも平和で素晴らしいと。


 そんなユーノにとって、もうすぐ人生全てを賭けた戦いが始まる事を、彼はまだ知らないでいる。

 それが彼にとって、幸か不幸かは分からない。

 ただ一つ分かる事は、ユーノ・スクライアが大人になったその時、盆栽と、そしてこの事件で知り会った愛する者が常に彼の傍らに。

 平和で平凡で、だが、この時知り会った誰よりも自分は幸せなんだと、ユーノは胸を張って答えるのだ。

 さほど遠くない未来の日常で。

























 その日の夜、なのはは最近日課の魔法の訓練と称し、こっそりレイジングハートを使っての覗きに精を出す。
 ユーノはすでに恭也の部屋でぐっすり眠り、誰もこのミッド式の魔法を感知する事が出来ない。
 いや、横島、恭也、美由希と言った面々は、大抵の監視には気づく筈なのだが、犯人がなのはと言う事もあり気づく事が出来ないでいる。
 まさか8才の少女が、自分たちを魔法で覗いているとは中々思わない。

 なのははいつもの様に、まずは横島の部屋に覗き用に魔法で作ったサーチャーを送った。

 だが、思った通り、ソコに彼は居ない。


「もう!ただおくん、またお姉ちゃんの所になんか行ってる!」


 胸の奥から湧き上がる不快感と言う名の嫉妬。
 そして、それ以上の期待。

 トクン……トクン……、鼓動が静かな部屋に響く。

 なのははパジャマに手をかけ、スルリと脱ぎ捨てた。
 シャツも脱ぎ、可愛いクマさんパンツも脱ぎ、頬を、身体を紅潮させ、体育座りでじっとサーチャーが姉の部屋に到達するのを待った。


 ピチュ……クチャ……あふ……んんんっ……くぅっ……


 粘りつく水音と、そして淫猥な喘ぎ声。
 サーチャーを通して感じ取れる2人のエッチな交わり。

 初めて見た時は、なのはにはわからなかった。
 でも、今ではわかる。ライバルで親友のすずかが教えてくれたから。
 すずかも自分の姉、忍と、なのはの兄、恭也との情事を覗き見てしまった事があったから。


「まただ……ただおくん、またお姉ちゃんとせっくすしてる……」

 
 8才とは思えないほど、怨念に満ち満ちたゾッとする声。
 だが次の瞬間、なのははそれとは真逆、うっとりとした表情に変わり、右の手の中指と人差し指をペロリと舐める。

 今まさに、美由希の舌が同じように横島の舌を舐める。 
 なのはは横島の舌の代わりに自分の指を舐め、その濡れた指先で自分の唇をなぞり、歯茎を這い、舌先で絡め取る。


 ピチュ……クチュ……ピチャ……


 美由希の部屋から聞こえてくる音と良く似た水音。
 息はハァハァと荒く、目は虚ろ。
 美由希に自分を投影し、右と左の手で横島の動きをトレースしていく。
 濡れた指先で、膨らみの無い平坦な胸を、円を描くように揉みしだく。
 隆起する桃色の突起を指と指の間に挟むと、コリコリと弾くように刺激する。
 その度に、ビクビクンと身体を跳ね上げ、恍惚の表情を浮かべた。
 うっとりと、その幼い容姿とは信じられない程に色気を湛えた。
 だが、その表情が次の瞬間、驚愕と喜びに変わる。


「ただおくん、それならなのはにも出来ると思うの……」


 なのはが初めて見る行為、それは美由希が横島の巨大な肉の棒を咥え込む姿。
 まずは舌で肉の幹を何度も舐め上げ、そして口中でクチュクチュと舌を這わせる。

 自分の小さな口で飲み込めるかどうかは分からないけど、少なくとも舐める事は可能なはず。
 彼が気持ち良さ気にしているのを見ながら、自分が彼の肉棒を口にする幻想を思い浮かべる。


 ───ありがとな、なのはちゃん。ワイが一番好きなんはなのはちゃんだぞ!


 妄想の中の横島が、なのはに微笑み掛け、愛を囁きながら自分の頭をナデナデする。

 その光景を瞼の裏で何度も再生し、頭を撫でる感触を幻視しながら、なのははベッドのシーツに顔を押し付ける。
 快感への期待からか、鼓動がどんどん早くなる。
 なのはは知ったばかりの性の快楽を、とても楽しんでいるから。

 お尻を高々と上げると、股間のクレバスにそっと指を忍ばせた。
 声を外に漏らさぬよう、シーツを噛み締めながら愛撫する。

 前にすずかに教わった通りに、花弁に爪を立てて引っ張り、既に溢れ出している愛液の分泌を更に促す。
 くすぐったさが入り混じった快感に、なのははうっとりと目を細めた。

 自分が興奮しているのが判る。

 熱を帯びた股間のワレメの上側を、トントンと優しく指で押しクリトリスをつつく。
 すると、背筋がゾクゾクする程の痺れる快感が体の中心へと走り抜ける。


「あ、あふああっ……うっ、うんんんっ!」


 なのはの股間からは、止め処なく蜜が溢れ止まらない。
 太腿を伝い、ベッドのシーツを黒く濡らし汚していく。

 もう十分以上に濡れたワレメに沿って、なのはは中指を滑らせながら膣内に指を潜り込ませる。
 指に肉ヒダのウネを感じながら、処女膜に達しないように慎重に動かし、指をくの字型に曲げると内壁を引っ掻き回す。
 
 ぐちゃぐちゃと粘った水音が、尚一層激しく止まらない。

 顔は満面の笑み。

 なぜなら、自分でも出来そうな事があったから。
 自分でも出来る。なのはそう思うと笑いが止まらなくなりそう。


「ただおくん、ただおくん……」


 何度も横島の名を呼び、そして妄想する。
 彼のモノを口に含み、彼を悦ばせる自分の姿を。
 そんな時、サーチャーを通して見る横島の顔が気持ち良さそうに歪む。
 それを見たなのはは、内壁を激しく掻き混ぜながら股間の突起を親指で押し潰す。
 同時に、胸の頂の突起をクニクニと摘み上げた。
 全身の毛穴が収縮し、鳥肌が立つ。


「ンンゥゥウウウウウウウウッ!!」


 なのはは身体を激しく震わせ絶頂する。
 奇しくもそれは横島が射精したのと同時で。
 声を抑える為に噛み締めていたシーツは涎でベトベト。
 いや、股間から吹き出した小水とも愛液とも言えるそれで、ぐっしょりと濡れる。

 ペタン……と床に転げ落ちながら、横島と美由希の更に進んだ情事を眺め見る。

 彼の肉の棒が姉の股間に突き刺さり、何度も声を荒げる姉。
 なのはは迷うように内壁の奥へと指を滑らせそうになるが、すずかにキツク止められているために、それ以上進むことが出来ない。

 もっと進みたい。でも、すずかちゃんに言われた通り、ソコを貫くのはただおくんじゃないと……


「ただおくん……なのはは知ってるんですよ? せっくすしてるのはお姉ちゃんとだけじゃ無いって……
 ファリンさんにくーちゃん、それに一回だけだけど那美さんとまで……」


 なのはは思う。早く大人に成りたいと……
 そうしたらこんな惨めな気持ちにならないのに。


 今やなのはの見る2人の交わりは、荒く激しく腰を振り合い、互いの名前を叫びあい、そして、彼の熱い熱い精液をその胎内に受けている。


 そこまで見ると、プツンと魔法を切る。
 毛布をベットから引き摺り降ろし、それに包まって床の上で眠りについた。
 お漏らししたみたいにぐっしょり濡れるベッドでは、到底眠れる気がしないから。


「ただおくんとせっくすしたい、したいしたいしたいぃっ! なのはじゃ、ダメ……なの……?」























 夢を見た。

 呪縛が解け、大人の姿になったただおくんの姿を。
 大人になって、おかあさんと同じ大きな胸の自分の姿を。
 快感に呆けた表情を浮かべながら、彼とせっくすする自分の姿を。

 傍には真っ赤な顔で自分をママって呼ぶ、今の自分くらいの可愛い少女が居る。

 右目と左目が違う色のとっても可愛い女の子。わたしのこと、なのはママっ、なのはママって何度も呼ぶの。

 その子の笑顔を見るだけで、どうしてこんなに胸が暖かくなるんでしょうか?

 私は愛しい少女のため、嫌がるただおくんをバインドで動けなくすると、少女の両足首を持ち、大きく広げて持ち上げる。
 動けなくなったただおくんの大きな肉棒に少女の股間を宛がい、一息に容赦なく奥まで突き刺す。
 痛みで涙を流す少女の雫を、自分の舌ですくい取りながらこう言うの。


「なのはママね、XxXxXと同じくらい小さなとき、とぉーっても悔しかったんだ。だからね、XxXxXには同じ思いはさせたくないの」


 痛みに震える少女とただおくんの接合部に流れる血、それを舌で舐めとりうっとりする。
 自分のアソコからは、次から次へと彼の精液がコポコポと溢れ出し、太腿を伝い流れ落ちる。
 それを勿体無さそうに私は指ですくい取ると、そのまま自分の口に運び、次に少女の舌に絡ませていく。
 ただおくんの大きな肉の杭に痛々しく串刺しにされ、苦痛で涙を一杯流し、それでも私の指をちゅっちゅっと舐めすする。
 そんな少女の姿に、再び私の身体は熱く激しく情熱的に滾るのだ。

 ああ、本当に幸せそう……わたし……



 これが……みら……いの……なのは……なの……?
























 現在の横島忠夫のチンコ力……本来の9割。















 次回は60万HITなの!













 後書き

 ヤンデレ……?
 いいえ、ただのエロなのはさんです。

 久遠が乱暴者に見えるかもしれませんが、明確に捕食対象……ではなく、本当に遊んで貰ってたつもりです。久遠的に。

 ノエルは~?ってのは、恭也が忍エンドならノエルもセットが常考。

 謎(笑)の少女とのピーはなのはの夢だよ? 間違えたらダメだかんねw 
 sts終了5年後くらいかなー、なんて言ってはみるけどww



[11660] 60万HITスペシャル企画 ヨコなの 第4話 前編
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/04/26 09:16
 ちょっとだけ眠りますね……

 ああ、……よちゃん、ゆっくりお休み。

 はい、ご主人さま……今度目を覚ましたら……またみんなで…… 

 俺も、アス……も、……かも、みんなでずっと待ってる。だから、一日も早く……

 おやすみ……なさい……ご主人さま……ナさん……あや…………









 精霊の住まう、竜神の力が宿った勾玉。

 力を使い果たした心優しき精霊は、今はただ安らかに眠り続ける。

 次の戦いが始まるまで、彼女は眠りから覚めるつもりは無いのかもしれない。










 















 ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第4話  初めてのチューなの! 前編





























 どんよりとした曇り空。いつ雨が降っても可笑しくない、そんな空模様。

 心までどんよりしそうなその日、ユーノは確かに一生分の幸運を使い切ったと思われる。

 彼にとって運命とも言える女性を、横島の魔の手から守り通す事が出来たのだから。結果論的に。
 彼女、黒の魔導師の『元』使い魔アルフが、なのはの友人アリサ・バニングスに拾われ、そのお披露目の場に彼が居なかったと言う幸運。
 アルフが黒の魔導師の操り手、プレシア・テスタロッサにより、強制的に黒の魔導師フェイト・テスタロッサとの使い魔契約を破棄され消滅しそうと言う幸運。
 この2つの幸運がなければ、後にユーノの人生のパートナーとなることはなかったであろう。

 そのユーノ最大の幸運である横島の不在は、美由希の作った毒りょ……もとい愛情の篭った手料理によって彼がきぜ……もとい幸せ一杯に眠っていたお陰だ。

 激しい戦いと無縁であったこの10数年、その中で最大の肉体的ダメージと精神的ダメージを負わされて。

 これは無意識下での美由希のファインプレーと言えよう。


「お願いだよぉ。あの子を、フェイトを助けてやってくれ……。あの子は何も悪くないんだ。あのオニババが……」

「もう喋らないで! 君は魔力が尽き掛けているんだ!」

「良いんだ! 私のこと何かよりもフェイトを」

「バカッ! 君がそんなんじゃ、そのフェイトって子がっ!!」

「でも、私は、もう……」

「君が良かったら、ボクと契約を結ぼう。そうしたら、僕の魔力で君の存在は消えない」

「でも! アンタも使い魔じゃないか!」

「ボクは使い魔なんかじゃない人間だ!! ユーノ・スクライア! オコジョ妖精でもなければ使い魔でもない!!」


 ユーノが目映く輝きだし、段々と人の形を取っていく。


「あれー? ユーノくんってオコジョ妖精じゃなかったんだぁ」

「どう言う事よ、なのは。アンタずっとアレがオコジョ妖精だって言ってたじゃない」

「ごめんねアリサちゃん。オコジョ妖精じゃなくって、ユーノくんはオコジョ刑だったみたい」

「オコジョ刑?」

「ただおくんから聞いた話なんだけどね、魔法使いさんが悪いことしたら、オコジョにされちゃうんだって」

「何よそれ? 魔法使いってどうかしてるんじゃないの?」


 ユーノとアルフ。

 2人が繰り広げる安っぽい寸劇の横で、のほほんと我関せずななのは達。
 ホントの本気で興味が無いのだろう。なのははすずかやアリサとのお話に夢中だ。

 一方アリサは、自分が拾ってきた大型犬が妖怪だったのに驚き、更にユーノが人間になったので二度ビックリ。

 

 なのはとただおが、風呂に連れて行くなって言ったのはこう言うわけ。
 確かに同年代の男の子に裸を見られるのはゴメンだわ。


 アリサは男の子の姿になったユーノを見て、心からそう思う。

 その時、ふと目に入った子狐の久遠を優しく撫でる。
 久遠は気持ち良さ気にアリサにすり寄り、右の前足をポンとアリサの足に乗せた。


「くぅ~ん」

「んもうっ! アンタって何でそんなに可愛いのよっ!」 


 つぶらな瞳の久遠を見て、思わず抱きしめてしまうアリサ。

 この可愛らしい狐は、アリサにとっては天敵とも言える男の使い魔だ。

 友人3人の心を奪った異世界からの来訪者。

 アリサは見たのだ。この男とすずかがイチャついてるところを!(アリサ主観)
 そして、それを見た次の日にはなのはと!(アリサ主観)
 そのまた次の日にはなのはの姉の美由希と!(事実)
 そのまたまた次の日にははやてと!(アリサ主観)
 そのまたまたまた次の日には……(アリサ主観)

 最後は彼に突っかかる場面をなのは達に見られ、色々と勘違いされてしまった。
 あの時のなのはの恐ろしさを、アリサは今でも時々夢に見てしまう。
 その度に恐怖の悲鳴を上げ、寝汗びっしょりで目を覚ますのだ。


 ────アリサちゃん? アリサちゃんだけは違うと、なのはは信じていたんですよ?


 突然敬語になったなのはの目の色は、ハイライトが消え輝きを失った目。

 背筋がゾクッとし、鳥肌が立つ。

 あの時、そもそもの原因である横島が庇ってくれなかったらと思うと……
 恋愛が関わると友情は脆いって言うけど、この年でそれを実感するとは思わなかった。





「どうしたのアリサちゃん?」


 すずかが不思議そうにアリサの顔を覗きこむ。
 アリサは久遠を抱きしめたまま、恐ろしい過去に囚われかけていたようだ。
 丁度ユーノと妖怪犬の寸劇は終わったようで、何だか急いで海の方へと走って行ってしまった。


「ユーノくーん、夕飯までには帰ってこなきゃダメだよー!」


 大きく手を振り返して返事をするユーノ、それを見送るなのは。


「犬さんも行っちゃったし、これから忠夫くんのお見舞いに行かない?」

「えーっ! 私は行きたくなーいー!」

「もう、アリサちゃんったら。ムリしなくても良いんだよ?」

「すずか! 何度も言うけど、私はあんな変質者の事なんて、何とも思って無いってば!」

「はいはい。忠夫くんもアリサちゃんの顔を見たら元気になると思うよ? ねっ! なのはちゃん!」

「にゃー!? すずかちゃん? アリサちゃん? ただおくんの一番はなのはなんだからね!」

「2人とも! 私はアイツのこと何て、何とも思ってないって何回言ったらわかるのよ!」

「「はいはい」」


 いっぱいの笑みを浮かべ、なのはとすずかはそれぞれアリサの手を握りしめる。

 久遠は急いでアリサの頭の上にしがみつく。

 2人はアリサの手を引いて勢い良く駆け出した。


「わっ、わっ!? ちょっとー! 2人とも急に走らないでよー!!」

「早く行かないと、美由希さんに忠夫くんが食べられちゃうかもだよー」

「そうなのっ! お姉ちゃんとただおくんはせっくすする仲なんだから、目が離せないのっ!」

「ちょっ!? せっくすって、あんのエロ野郎!」


 彼女の脳裏には、あのスケベな男の子が美由希と色々と致している生々しい映像がハッキリと浮かんだ。
 これも全てすずかがもたらしたエッチな知識のせい……なのだが、アリサの考えは違う。


 全てはただおのせいなのだ!


 なのはが怖くなったのも、すずかが少し変になったのも、はやては……なんか幸せそうよね?
 そうやって考えると、やっぱりアイツって居ないとダメなのかもしれないわね。
 あれで優しいところあるし、えっちなのもこれから私がキチンと教育していけば……


「って、あたしは関係ないってばあっ!」

「「はいはい」」


 突然否定しだしたアリサに、なのはとすずかは慣れた様子で返事をする。 

 2人から見たら、アリサの態度は照れ隠しにしか見えないから。

 口では何だかんだ言っても、横島と口喧嘩するアリサはとても楽しそうなのだ。



















 なのはは自分が子供だと言う事を良く理解している。

 それは認めたくない事だけど、現実はとても厳しい。

 横島にとってなのはたちは唯の子供で、守るべき対象としては扱ってくれてるけど、本当にただそれだけ。
 そこには甘いラブな感情は一切なくて、美由希の様に『女』としては絶対に見てくれない。

 でもだ、なのはには希望があった。
 それは大人になること……ではない。
 そんなに待って何かいられない。そうではなくて、久遠だ。

 アリサの頭の上に居る久遠、この子はただの狐じゃない。
 伝説に残る程の大妖怪であるこの子は、人間の姿にも成れるのだ。
 その姿は、なのはやすずか何かよりも、更に幼い幼女。
 そんな久遠が横島と肉体関係を持っているのだ。

 勿論それにはキチンとした理由があるのを、なのはもすずかも良く知っている。
 それでも、そんな幼い姿の久遠と肉体関係を結んでいるのなら、今の自分達でもいけるのではないだろうか?
 流石のなのはも、今の自分とせっくすしてくれるとは思ってはいないが……

 でも、少し位は……ちゅーとか……してくれたり……女の子として意識してくれたりするかも……

 もっとも、なのは達は知らない事だが、横島と肉体関係を結ぶ時の久遠は幼女ではない。
 久遠は幼女型だけでなく、魅惑のばっつんボディータイプもあるのだ!

 そんな訳で、現実はなのはとすずかにとって、とっても厳しい。
 なのはもあの手この手で色々と迫ってみたものの、当然の様に成果は芳しくなかった。
 いっそすずかと2人で迫ってみたら……とやってはみたものの、あっさりとスルーされる始末。
 結構大胆な格好……具体的に言えば、胸チラするシャツに短いスカート姿で、その胸を押し付けて唇を首元に埋めてみた。それも2人で挟み込む様にだ!

 だが、

「なんや、もう眠いんか? もーもこさぁーん、なのはちゃんとすずかちゃんがおねむっすー」


 ……この時だけは、流石のなのはとすずかも怒りで視界が赤く染まったものだ。

 次の瞬間、横島の全身は引っ掻き傷と噛み痕、最後に顔面打撲。

 そんな苦い経験はあれど、2人はまだまだ諦めてはいない。
 2人でダメなら3人だ! 3人でダメなら4人で迫ってやる!
 格好ももっと大胆に、いっそ裸……いや、裸よりももっともっと効果的な姿を考案し、「もう辛抱タマラン!」って言わせてみせる!!

 そうして一度でも自分を『意識』させてしまえばこっちのもの。

 徐々に徐々にと、彼の精神を犯していくのだ。真綿に水が染み込むように、少しづつ……

 その後は……なのはにとっては言うまでも無い。

 出来れば独占してしまいたいが、それがムリなのは、なのはにも良く分かっていた。


 姉の美由希は良いだろう。姉の事が好きだから。
 久遠も良し。くーちゃんは大切な友達だから。

 2人とも、自分よりも先に進んでいる。だから今更排除は出来ないし、したいけどしない。
 排除してしまったら、彼が、横島忠夫がとても悲しむ。彼の悲しむ姿を見るのは、なのはにとって本位では無い。

 それに横島の女好きは半端ない。『元』の世界にどれだけ彼の『女』が居るのか解りゃしない。

 だったら、自分の好きな姉や友達の存在位は許容しなくては。

 その代わり……元の世界の女は忘れて貰おう。
 元の世界に何か帰してやらない。
 横島忠夫は、もう自分のモノなのだ。

 その為の美由希であり、久遠であり、すずかであり、アリサであり、はやてなのだ。





 6人も可愛い女の子に囲まれたら、流石の彼もわたし達だけを見てくれる。

 元の世界の女なんか忘れて、わたしだけを見てくれる。

 帰さない、帰してなるものか。あの人は、もうわたしのモノだ。

 だからね? ただおくんをこの世界に引き止める為の……、ね? アリサちゃん。 





 なのははそんな想いをこめて、握った手を更にギュっと力を込める。
 家に向って走りながら、前を向く顔は妖しい笑み。
 アリサは気づかない。彼女の位置からはなのはの顔が見えないから。
 すずかは横目でチラリと見える。でも、すずかはクスリと小さく笑う。

 彼女にとって、このなのはは今更なのだ。


「なのはちゃん、顔、怖くなってるよ? そんなんじゃ、忠夫くんに……」

「ふえ!? あはは……、ありがと、すずかちゃん」

「どうしたのよ、なのは?」

「ううん、なんでもないよアリサちゃ……」


 妖しく、淫蕩な笑みを浮かべていた顔を、急いで元に戻す。

 心配そうなアリサに、普段の笑顔で応えようとしたその時、ビリビリとした感触がなのはの全身を走り抜けた。

 
「ジュエル……シード? 2個、3個……ううん、全部で6個。残りのジュエルシードが全部覚醒した……? 違う! 暴走してる!!」


 なのはは足を止め、先程ユーノと妖怪犬が走り去った方向を、厳しい目つきで睨みつけた。

 胸に込みあがるジリジリとした焦燥。
 なのはの第6感が確かに警鐘を鳴らす。

 まるで、コレをこのまま放って置いたら危険だと、自分の中の誰かが訴えかけているみたい。


「すずかちゃん、アリサちゃんをお願い。ウチに行ってお姉ちゃんに!」

「うん、わかった。なのはちゃん、気をつけてね?」

「くーちゃんは私と!」


 久遠はポンっと音を立てて幼女巫女の姿に早変わり。
 そのままなのはの背中にヒョイッとしがみ付く。


「えっ!? ちょっとー! 何があったのよ!」


 アリサの問いかけに答える事無く、なのははポケットの中から一枚のカードを取り出した。

 自分の姿見を記載されているそれを高々と掲げる。


「アデアット!」


 なのはの力の篭った叫び。
 彼女の足元からポワーっと光り輝いていく。

 全身が光で満たされ、手に持つカードが一本の剣へと姿を変えた。
 なのはのアーティファクト『マホウノシンケン』
 それをブンと勢い良く振って手に馴染ませると、そのまま空に上がる。

 ジュエルシードの気配を探り、その方向をジッと睨む。

 なのはの感覚は、ユーノが張ったらしい結界を捉えた。
 クルリと軽くバレルロールして、風を身体に纏わせる。
 風の精霊を全身に纏わせながら、小さな声で魔法の呪文を唱えた。


「リリ・カル・マジ・カル……戦いの戦慄(メローディア・べラークス)!!」


 術者の肉体を強化する白兵戦闘用の魔法を詠唱し、身体能力、反射神経を向上させる。


「いってらっしゃい、なのはちゃん! くおんちゃん!」

「良くわかんないけど、気をつけなさいよなのはっ!! 久遠、なのはをお願いね!」

「うんっ!」「まかせて、ありさ」


 2人はすずかとアリサに元気良く返事を返すと、一気に飛び去った。
 すぐに2人の視界からは豆粒みたいに小さくなって、それすらもあっという間に見えなくなってしまう。


「アリサちゃん、急ぐよ! 急いで美由希さんに伝えなきゃ!」

「わ、わかった!」


 言葉を返しながら、すずかはアリサの手を引っ張る。
 彼女の全力全開の走りに、アリサは引き摺られるようにしてついていく。
 でも文句は言わない。なのはが、親友が心配だから。

 息を切らせながらアリサは思うのだ。自分も、さっきのなのはの様に、空が飛べれば、魔法が使えれば……そう思うのだ……































 料理なんてよ、初めから美味しく作れるもんじゃねー。
 初めは不味い料理しか作れなくても、その内すぐに上達して美味い物を作れる様になるだろう。
 実際、俺の第1使徒のアスナが作る飯だって、最初はトテモ食えた代物じゃなかったんだから。 

 そう思って彼女の作る不味い料理を、週2~3のペースでウマイウマイ言いながら食ってきた。

 だがな、だがな! おかしいんだよ! 全然上達しねーんだアイツ!!
 いや、上達どころか、日々ダメな方向へと行きやがるんだ!
 初めは例え不味くても、確かに可食物だった。例え不味くてもだ!

 だがな、今日食ったモンを可食物だなんて、とてもじゃないが言えねーよ!

 最初の一口で宇宙を見た。
 二口目でアシュタロスと再会した。
 三口目でラプシィアのヤツがトテモ良い笑顔で手招きしてた。
 四口目でイオが号泣していた。
 五口目でおキヌちゃんが、六口目で美神さんが……

 その後の記憶が俺には無い。

 頼むから味見してくれ……、最後にそう呟いたのだけは覚えている。
 傷つけたかもしれん。だが、これ以上は流石の俺も耐え切れなかったんだ。
 軽い罪悪感と、もしかしたらこの地獄から解放されるかも。
 そんな期待を胸に、少しづつ俺の意識が回復していく。

 なんでか俺の中の霊力が大量に消費されているのが分かる。
 ただの手料理から受けたダメージが、ここ10年で最大だったってどうよ?

 一体どんな毒物をこしらえたんだ、美由希……


 
 そんな事を考えつつ、目を瞑ったまま周囲の気配を探る。
 なんだか場の気が乱れかけている。

 声が聞こえる。

 恐らくは俺をこんなにした美由希と、この声はすずかちゃんか? それにはやてちゃんとアリサちゃん……かな?
 まだダメージが完全に抜け切らない所為なのか、ハッキリとは分からない。


「……のはちゃんが……はい、急いで……」

「……ったよ。安心して、すずかちゃん……サちゃん。……ちゃん、案内してくれる?」

「はいっ!」

「アリ……と……やてはただくんをお願いね」

「わかりました、美由希さん」「任せてな、姉さん」


 耳鳴りが酷くて、声が今一良く聞こえない。

 だが、なのはちゃんに何かがあった事だけは分かった。

 俺は身体を起そうとするが、毒でも盛られたみたいに身体が痺れて起きれない。
 目を開けようとしても、まぶたがピクピクと痙攣して上手く開けれない。
 ようやく目を開けても、視界が白く霞んで全然見えない。

 ほんっっとうにぃっ! 美由希! キサマ俺に何を食わせた!!

 声帯を震わせ、怒鳴ったつもりが声すら出ていなかった。

 オレ、もしかしたら死ぬんじゃなかろうか?

 そんな未来が脳裏を掠める。
 それでも俺は、全身の力を振り絞り、勢い良く身体を起す。

「キャアッ!?」

 悲鳴と共にズボッと音がして、何かに顔を突っ込んだ感じ。

 白く霞んでいた視界が暗闇に変わる。
 プニプニとした柔らかくも暖かい、とても心躍る感触。

「ひゃん!」

 俺は手を伸ばす。すべすべしてて、やはり触り心地は実に良い。

「ばか! そんなトコ……ああんっ」

 だが何故だろう? 死をとても間近に感じるのは?
 美由希の料理以上の死の匂い。


「アアアア……ンタって人は……!! いつまで私のスカートの中に顔を突っ込んでんのよ! この変態っ!!」

「げふぉっ!?」


 鳩尾に入った小さい踵。肺に溜まっていた空気が強制的に吐き出された。
 俺はゴロゴロと床を転げながら、今自分が居たのがアリサちゃんのスカートの中だった事を知る。
 怒りの眼差しを向けるアリサちゃんと、呆れた表情を浮かべるはやてちゃん。


「傍から見たら、ほんまに変質者みたいやったで?」

「みたいじゃなくって、変質者なのよ! コイツはっ!!」


 アリサちゃんは俺の胸倉を掴み、ガクガクと激しく揺さぶった。


 こらアカン、体調が最悪な今の俺には、この揺れは可也キツイ……
 吐き気が、眩暈が、天と地がグニャグニャと揺れて何が何だかワカラナイ


「ア、アカン! 今のただ兄ちゃんは死に掛けやったんや! アリサちゃん、抑えるんやっ!!」


 はやてちゃんに宥められ、それでもアリサちゃんは「フーッ!フーッ!」と怒りの息を吐く。

 俺はと言うと、もうダウン寸前。
 霊力は足りんし、体力も尽きている。

 今日は何もしていない筈なのに…… 
 そう思いながら、目の前にいる魔力の塊と精気の塊に目をやった。

 ゴクリ……

 と思わず息を呑む。

 イカン、それはイカン。それをやってしまったら、ワイはペドに……まあ、既にペドだが。
 だがここ最近は手を出した覚えは無いし、精々見かけがアレな夕映くらいなモンだ。


「アリサちゃん、ただ兄ちゃんを殺ってもうたらダメや。なのはちゃんを助けに行ってもらわなアカンやろ」

「わ、わかったわよ! ホラ! さっさと起きなさいよ! この変態!!」

 アリサちゃんに罵られながら「な、なのはちゃんに何が……?」と必死に声を出す。

 イカン……、アリサちゃんの罵声が心地好く感じてきた……
 ワイは、変態やないって言うのに……

 俺がこんな事を考えているとは露とも思わないのだろう。
 アリサちゃんは焦った口調で答える。


「ジュエルシードが暴走してるって言ってたわよ! そんで美由希さんに応援頼んで、それでそれで……」


 俺、マジでヤバイんじゃないだろうか?
 あんな魔力の結晶が暴走してんのに気づかないとか……
 いや、それよりも美由希一人じゃ大変かも知れん。
 なのはちゃんなら大丈夫だと信じたいが。


「……恭也はどうした?」

「恭兄ちゃんは忍さんとデートに」「あんの野郎! 俺に隠れて忍さんとハッスル……グハッ!?」


 床に寝転んでいた俺の腹に、アリサちゃんの膝が落ちてくる。
 キレイに入ったそれに、回復してきた体力を再び激しく消費させる。
 ここで漸く思い出した。俺は今、子供の姿なんだっけ。

 だからか、こんなにダメージが来るのは。


「ただお! ふざけてる場合じゃないって、いい加減気づきなさいよ!!」

「こらえてえなアリサちゃん! ほらほら」


 アリサちゃんは再び「フーッ! フーッ!」と怒りで息を荒げる。 


「どっちにしても今の俺に出来る事はねーよ。体調最悪だし、なにより霊力が底を尽いとる」


 アリサちゃんを腹に乗せたまま、慎重に言葉を紡ぐ。
 腹に感じるプニプニとしたお尻の感触が、地味に俺の霊力を回復させる。
 ヤバイことに煩悩的な意味で。


「でも、何か出来ることあるやろ!?」

「せめて霊力が回復できたら何とか……いけるかなぁ……?」


 言いながら身体を起こす。
 急に俺の顔が目の前に現れたせいか、膝の上に乗った形になったアリサちゃんが顔を真っ赤にさせる。
 恥ずかしそうに俺から離れようとする彼女の顔を、両手で包み込み逃がさない。

 ぶっちゃけアレだ。ちょっとした仕返しって言うか……


「な! なななななにするつもりよ!?」

「霊力くれ」

「霊力ってあげれるん?」

「ちょっと恥かしい思いをするけどな」

「ど、どんな……?」

「最低でも、ちゅーだな」


 俺の言葉に頷くはやてちゃん。
 ボンっと顔がゆでだこになったアリサちゃん。


「わ、わかったわよ! ほら!!」


 アリサちゃんはそう言うと、身を乗り出して俺の頬にチュッと触れるだけのキス。


「ないわアリサちゃん。絶対にそれとちゃうから。ホッペにチュッて、この場面でそれだけですむ訳ないやろ普通」


 はやてちゃんは首を左右に振って、呆れたように溜息。
 そして俺のすぐ傍にくると、オデコにオデコをコンとぶつける。


「責任とってな……って、とってくれる訳ないか。ま、ええわ。私の初めて、ありがたく受け取ってな?」


 はやてちゃんは戸惑いなく俺の唇に自分の唇を重ねた。 


「ん、ンッ……ぅんっ」


 口内に差し込んだ舌に、くぐもった音を漏らすはやてちゃん。
 驚いて身を竦ませてはいるが、俺から離れ様とする気配はない。
 急な舌の侵入に驚きはある様だが、決して拒絶するつもりはないみたいだ。
 口の中にはやてちゃんの味が広がり、ペド的な意味で胸がザワザワとする。

 はやてちゃんは俺が舌で歯茎の裏や舌先を嬲る度に、体をピクンっと軽く跳ねさせ、息苦しそうに鼻息を荒くする。
 あんま苦しそう何で、様子見で唇を僅かに離した。


「はぁっ、はぁ……んっ、んあぁっ……ただ兄ちゃん……んふぅっ……」


 はやてちゃんは素早く息を整えると、今度は自分から舌を俺の口中へと差し込んでくる。


「うぅっ、ふっ、んぅううっ……はぁっ、あぁ……な、なんや、おかしなってきた……」


 一頻り俺の口中を舌で弄ると、トロンと潤んだ瞳を向けてくる。
 膝に乗ったアリサちゃんをそのままに、はやてちゃんを抱き寄せ背筋の上からツツゥーと下へとなぞっていく。
 再び唇を奪いつつ、舌を絡めあう。

 ぴちゅ……ちゅう……くちゃ……

 眼前で舌と舌とがいやらしく絡み合う所を見せつけられ、アリサちゃんは「ううう……」と唸り声をこぼす。
 そんなアリサちゃんを残った手で腰を掴むと、俺の腕の中に押し込めた。
 軽く抵抗するものの、すぐに大人しくこちらを伺うようにジッとする。

 丁度はやてちゃんの背筋をなぞっていた指がお尻にまで到達し、俺は彼女のお尻を鷲掴む。
 ビクッと身体を跳ねさせるはやてちゃん。
 俺はその瞬間、絡めあう舌を通して彼女の全身に俺の霊力を這わせていく。


「あんッ!? チュッ……ふぅ、ん、ん、んぁ……んんぅっ……」


 小刻みに身体が震えだし、はやてちゃんの吐息が熱く何度も吐き出される。
 彼女が感じる初めての性的快感に、まだ身体の方が戸惑いを感じているのだろう。
 完全に性魔術に囚われ、「ふんむぅっ!?」最後に大きく震え、ぷしゅっと彼女の股間から潮が噴き出す。

 彼女の中の魔力が俺の中に流れ込む。
 訓練されてもいなければ、性魔術的にも大した事をしてないにも関わらず、流れ込む魔力の質と量は可也のものだ。

 流石は単純な魔力量だけなら、なのはに勝るだけはある。ぶっちゃけた話、木乃香と同等か?

 はやてちゃんは俺の唇から離れると、クタァっと崩れるように床に倒れこむ。
 相変わらず身体がビクビクと痙攣しており、捲くれたスカートの中身、ショーツは股間の盛り上がりを中心に黒く濡れていた。
 俺は最後にはやての頭を数回撫で、「ありがとな、はやてちゃん」そう言って次の獲物にニヤリとした笑みを向けた。

 真っ赤な頬を引き攣らせ、涙目でコチラを見上げるアリサちゃん。
 俺の中の嗜虐心を激しく揺らす。
 すでになのはへの救援に行くぐらいの霊力は確保出来ている。
 当然アリサちゃんにちょっかいかける必要は無いのだが……


「す、するんなら早くしなさいよっ!」


 声を震わせるアリサちゃん。何か本当に変な気分になってきた。
 ペド? 今更なに言ってやがんだ!
 それに今の俺は外見年齢で言えば10歳前後。問題はあるまい。


「ちょっ、ちょっと待って! こ、この体勢はいや……だってアンタの……アレが……あたって……るぅ……」

「興味あるんだ? ちょっと触ってみっか?」


 オヤジ臭いセリフを吐きながら、俺はジッパーを降ろしナニを取り出すとアリサの手を導く。
 彼女の手が触れた瞬間、ビクンとナニが上下に揺れる。


「ヒィッ!? う、動いたわよ……って! こんな事してる場合じゃないでしょ! さっさとなのはを助けに行くんでしょ!」


 チッ! 気づいたか……
 と少し残念に思いながら、ナニをズボンの中にしまいチャックを閉める。
 そしてアリサの唇にチュッと軽く合わせると「ごっそうさん」と言って優しく微笑み掛けた。

 彼女の魔力量だと、キス程度の性魔術じゃ大した量は取れんからな。

 そう思っての事だったんだが……


「何よ! 私とじゃ出来ないって言うのっ!」


 目の端に涙をたっぷり浮かべるアリサちゃん。
 プルプルと身体を震わせ、今にも涙が零れ落ちそう。


「いや、初めてのチューは貰ったろ? 続きは、成功報酬って事でさ」


 そう言いながら立ち上がると、ズボンのポケットに手を突っ込む。
 ハイパー文珠『転/移』を握り締めると、なのはちゃんの姿を思い浮かべ、そこへ跳躍するイメージを膨らませた。


「行くの……?」


 少し不安そうなアリサちゃん。

 ここは男として、将来性豊かな少女を安心させなければ!


「ああ、なのはちゃんは任せとけ!」

「なのは、無傷で連れて帰りなさいよ。そしたらさ、もっとエッチなことしてもいいわよ……」


 ほんのりと赤いほっぺ。上目遣いで両手の指をモジモジ。

 やべ、萌えそう、オレ……

 湧き上がるピンク色の何かを振り払いながら、俺はなのはちゃんの下へと跳んだ。
































 続きはすぐなの!








[11660] 60万HITスペシャル企画 ヨコなの 第4話 後編
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/04/26 09:17







  ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第4話  初めてのチューなの! 後編

















 転移した先は海の上。

 既にジュエルシードの封印は終わっているのか、特に暴走体らしき物は見当たらない。
 だと言うのに、なのは達は剣呑な様子。
 黒の魔法少女を庇う形で、なのはが見知らぬ黒い少年と睨みあっている。
 そのなのはを更に庇うように美由希と久遠が、そしてその事に少し戸惑っている黒の魔法少女。
 波間をプカプカ浮かんでいる白い少年と人狼の女。

 ……マズイな。美由希はともかく、なのはじゃ黒い少年には勝てねー。
 単純な魔力はなのはの方が上だが、力量は向こうの方が圧倒している。
 見かけの年齢以上に場数も数多くこなしているのだろう、スキのない構え。
 美由希なら大丈夫だと思うが、敵?があの少年一人とは限らん。

 いや、それ以前になんで敵意剥き出しで睨み合ってんの、お前ら?

 とりあえず状況が掴めんので、声を掛けようとしたその時、ビリビリとした悪寒が全身を貫いた。

 長年望んでもいない戦いに身を委ねてきた俺の勘が、致死性の危険が迫っていると警鐘を鳴らす。

 次の瞬間、どんより曇った空を割り、魔力が込められた雷が、なのはと黒の魔法少女に降り注いだ。
 俺は咄嗟に身体を割り込み、なのは達の前に出る。
 

 続けて降り注ぐ雷を文珠で『引』き寄せつつ、身体全体を覆うように展開させた2つのサイキック・ソーサーで受け止めた。

 ってか、今更だが何でオレに引き寄せちまったんだ!
 他にもあるだろ! 有効的な文字が! 今は思いつかねーけどな!

 凄まじい衝撃が俺を襲う。
 サイキック・ソーサーを貫いてくるダメージ。
 激しい痛みで目がチカチカする。
 それでも俺の後ろには攻撃を届かせん!
 

「さっさと逃げろ! いつまで持つかわかんねー!!」


 叫びながら霊力を振り絞る。
 文珠を使って今度こそ如何にかしたいが、それを使う暇を与えてはくれないようだ。

 サイキック・ソーサーを貫く雷が、次第に腕を焦がしていく。
 焦げた嫌な臭いがやたらと鼻についてくる。

 視界の端に、波間を漂う白い少年が感電しているのが見える。これはまあ、どうでも良いか。

 そして、逃げろって言ったのに、今だ俺の傍を離れようとしない美由希、久遠、なのは。

 くそ! こんな事ならアリサちゃんからも魔力を徴収しとくんだったぜ!

 雷系魔法にジリジリ押され始め、このままじゃ、俺の力も限界……

 病み上がりの俺じゃ、これ以上はムリか? いいや、今のこの子供の体じゃ、どっちにしても無理臭い。

 バシュンッ! 左手で展開していたサイキック・ソーサーが弾け飛ぶ。
 同時に左腕が完全に黒く焼け焦げ、灼熱の様な痛みが俺を襲う。
 額から汗が滝の様に流れ落ち、鼻から出る息が荒くなる。
 食い縛る口中からは血の味がする。
 唇が切れたのか、それとも何気に内臓までダメージが達したのか。

 『元』の俺ならともかく、こんなん何時までも受け切れねー!


「美由希……、なのはを連れて逃げろ!」


 美由希が俺に向って何かを叫んでいる。
 だが、もう彼女の声は俺の耳には届かなかった。
 ただ解るのは、アイツがなのはをキチンと連れて逃げてくれたって事だけ。

 久遠が俺の腰にしがみ付こうとするも、黒い魔法少女が抱きかかえて逃げてくれた。

 ホッと息を吐く。何かババア臭い笑い声が聞こえるが、それはスルー。
 視界の端でジュエルシードが空間転移している様に見えるが、そんなんは俺の知ったこっちゃねー。

 それにしても何だ。こんな巨大な雷系魔法なんざ、久しぶりに見たぜ。
 雷系の魔法か……、ナギやネギと最後に会ってから、どれだけの時間が過ぎたんだろうな……


 すでに生を受けてから優に100年以上は生きた。

 イオが俺に押し付けた神核。
 それのおかげでココまで生きてこれた。充分過ぎる程に長い人生。
 すでにおキヌちゃんは逝き、美神さんも逝き、雪之丞やタイガーも逝き、当然の事だがオヤジやオフクロも逝っちまった。
 みんな首を長くして待ち侘びているに違いない。

 あれ? 異世界で死んだら、美神さん達が居る所には逝けないかもしれんな。

 まあ、それもいっか……

 使徒達がどうなるかは心配だが、それはカオスのじいさんが何とかしてくれるだろ。

 もしもの時の為に、前々からずっと言っておいたことだ。大丈夫なはず。


「あ~あ~、こんなんだったらさくらさんにコナかけときゃ良かった。あの耳と尻尾、ワイの好みやったのになぁ。それによ、あの人絶対エロティカルもふもふ……」


 俺は死を覚悟し、諦めた様な笑みを浮かべた……






























 んな訳があるかぁーーーーーーッ!

 死なんですむならウンコだって食ってみせる俺がこんな事で諦められるくぅわぁーーーーッ!!

 大体においてだ、こんなんでも一応は不老不死者だ。
 生半可なダメージじゃ死なねぇっつぅーの!
 例えばだ、首を薄皮一枚残して切り落とされても、虫の息だろうが死なんでいられる。
 死んだ方がマシ級の苦しみを味わうだろうがな。


 この場合、

 俺諦める→雷で黒こげ→でも死なない→超絶痛苦しい!


 ああ、冗談じゃねぇ。嫌だ、ひと思いに死なせてくれるんならまだしも、死んだ方がマシになるのはイヤだ!

 いや、やっぱ死ぬんもイヤじゃ!

 どうする? どうするよ俺? 死んだフリしたらそのまま殺されそうだし、だったらあれか? 久々にのっぴょっぴょ~んでもやってみるか?

 もしかしたらズッコケてくれるかも知れんし。

 ……良し! 逝くぜ!!


 そうして、必殺のポーズを取るため身構えようとしたその時、チリ……チリリ……

 耳の奥に響く、石が擦り合うような音。


 瞬間、俺の全身を竜気が包む。

 黒く炭化した左手は瞬時に治療され、灼熱の痛みもスゥーっと引いていく。

 外から見たら、さぞや俺は光輝いて見えるだろう。
 いや、ワイ自身が確かに光輝く存在であることには間違いないのだが。

 それはともかく、その竜気は雷を完全に食い止めながら、そこから少しづつ押し返してすらしている。


「ご主人さま、相変わらずおバカなことしようとしてますね?」


 懐かしい声が耳に響く。いつも肌身離さず持ち歩いていた竜の牙。
 その竜の牙に宿る心優しき精霊の声。

 暖かく懐かしい彼女の気配が、竜の牙から飛び出した。
 時代がかった黒のセーラー服に身を包んだ、真っ白い髪の少女。
 彼女は俺の背後に廻り込むと、ムギュッと抱きついてきた。
 小さい俺の体には、彼女の体が酷く大きく感じさせる。
 実際彼女の然程大きく無い筈の胸が、俺の頭の天辺にポヨポヨした感触を与えていた。

 ホッと息を吐く。これで死なんですむぜ。

 ようやく復活を遂げた使い魔に微笑を向けながら、俺は俺が出来る最強の一手を打つ。


「助かった~! さよちゃんグッドタイミング!! いよっしゃあー! 愛(ラブ)合体、やぁーってやるぜ!!」


 さよちゃんは笑いながら頷くと、俺の頬にチュッとキスをする。


「んじゃ、いっきますよ~!」 


 彼女の気配が四散する。

 パァーっと光の粒子になって俺の周囲を漂い、そして俺の中に吸い込まれていく。

 俺の中に、さよちゃんが入ってくる感触。
 2人は1人となり、彼女は俺の力の制御をする要となる。
 竜の牙に宿り、俺と性魔術による契約を結び、使い魔となった彼女の、彼女だけに備わった俺のための力、『精霊憑依(ポゼッション)』

 本当ならば、今の俺の体では耐え切れない筈の力の奔流を、さよちゃんが引き受けてくれる。

 俺は遠慮なく神核から力を大量に引き出す。
 すると右手のサイキック・ソーサーが消えうせ、代わりに竜の牙たる光る一本の竜神の剣が現れた。

 それを手に取り、身体の中から聞こえてくるさよちゃんの声に耳を傾ける。


≪敵位置、この近辺じゃないみたいですよ? どうします?≫

「とりあえず、いつもみたく力の制御を頼む。今の俺じゃ、精々2文字しか文珠を同期出来ん。だから……」

≪は~い、ご主人さまぁ。文珠展開、敵性攻撃、反射します! ぎゅおおーんっ!!≫


 気の抜けた声と同時に、俺の身体の中にしまい込んである文珠が外に飛び出す。
 
 次の瞬間、全ての雷が一瞬にしてこの空間から消え去った。
 今頃術者は黒焦げになっているだろう。
 あの雷全てを、反射してやったんだからな。


 静まり返る周囲。呆気にとられる者達。

 ただ、黒い少年の呟く「ユニゾンデバイス……なのか……?」と言う言葉が、この場に居た全ての者の耳にやたらと響いた。

 荒れた波は治まり、俺を除けば感電して気絶した白い少年以外は被害がなく。


「さよちゃん、おかえり」

≪ただいま、ご主人さまー! ところでアスナさん達はどうしたんです? あと、何かちっちゃくなってません?≫


 場違いに明るい声に、ちょっとだけ苦笑。

 ああ、説明すんのだりぃ~なぁ。
 そんな感じで身体を疲れでふらつかせる。

 呆然としていた美由希が、急いで俺の下へと駆けつけるのが見える。
 涙目で、なんかすっごく怒っているのがわかる。


「美由希、文句は後で……な? オレ、もう限界だから、あとは……任せる……」


 顔を美由希の胸の谷間に沈めると、疲労から来る眠気に身をゆだねた。

 美由希の胸……オレのおっぱお……ぱふぱふや……



≪はじめまして~。あの~、私は相坂さよと言います。あなたは?≫

「へっ? どこから声聞こえてんの!?」

≪ご主人さまの中からですよ。で、どこの誰さん?≫

「あ、高町美由希です……」

≪あのー、美由希さん。一つお聞きしたいんですが……≫


 う、うるさいぞ、さよちゃん! 頼むから素直に眠らせろ! このあーぱー(元)幽霊!!

 って思いながらあっさりといびきをかき始めた。





























「あー、もう戦闘行為はしないって事でいいのかな? 君たち」


 黒い少年が少し呆れた感で声をかける。

 美由希は苦笑い。さよも少しだけ苦く笑うと、要は済んだと勾玉の中に戻ってしまう。
 なのはは黒い少年のことなどどうでも良さ気。
 そして黒の魔法少女は、久遠を抱きかかえて茫然自失。
 それもそうだろう。彼女はたった今、大切な母親に捨てられたのだ。
 役立たずと罵られ殺されかけたのだ。

 そんな黒の魔法少女を元気付けようとするアルフ。なのははチラチラと心配そうに2人を見る。


 黒い少年はイビキかいて眠る横島を見、

「彼の治療もある。こちらに従ってくれないか? 身の安全は執務官の名において保障する」

「結構です。私達は家に帰ってこの子の治療をしますから」


 美由希が丁寧に、だが完全に黒い少年の申し出を断る。
 今の今まで敵対していた相手のフィールドに飛び込むなんて有り得ない。
 今の美由希は、妹のなのは、愛しい男の横島とその使い魔である久遠、母親に捨てられた少女フェイト、その4人の絶対なる守護者を自認する。

 そうそう軽はずみな行動は取れない。

 だが、空気を読めないおバカが一人。
 いや、それは言いすぎだ。彼がこうなったのは、美由希達のせいなのだから。


「行く! 行きます!! ボクはユーノ・スクライア! 救助願いが出てませんか!! ユーノです! スクライア一族のユーノ!!」

「ちょっとユーノ! フェイトを置いて行く気かい!?
 確かに今のご主人はアンタだけどさ、あたしにとってフェイトは一番大切な存在なんだ!
 あたしに自由と命をくれて、色んな事を教えてくれて、いつも傍にいてくれて、そんなフェイトを守る為にあたしは!!」


 虚ろな目をアルフにむける黒の魔法少女。

 黒の魔法少女、フェイト・テスタロッサは彼女にとっての全てを失ったばかり。

 たった一個のジュエルシードしか集められなかった罰として、使い魔であり大切な家族だったアルフを強制的に捨てさせられた。
 そして今度は、自分があの人の娘じゃなく、本当の娘の代わりに造られた存在だと暴露された。
 役立たずの人形だと、もうお前はいらない、どこへなりとも消えなさいと言われ、そんな自分を庇ってくれた男の子を呆然と見ていた。

 フェイトは思う。新しいご主人さまが出来たのなら、アルフはその人と一緒に居た方が良いと。

 こんな人形である自分となんかいるより、ずっと幸せだろう。

 心からそう思うのだ。


「出来れば皆さんに来て欲しいと思うのだけど?」


 目の前の空間にディスプレイが現れる。

 映し出されるのは長い髪の妙齢の女性。落ち着いた物腰で、柔らかく微笑みを浮かべる。

 突然現れた未来科学な現象に唖然とする美由希だが、それを一切顔に出す事無く自然に振舞う。

 そのモニターに映し出されている女性に向かい、軽く頭を下げてキッパリと断った。


「お断りします。この子、フェイトちゃんも私の方で面倒みますのでお構いなく。
 あー、ユーノくん?でいいのかな? は自分の思うようにして。本人の意思が一番だから」

「はい! ありがとうございます美由希さん! 今までお世話になりました。あっ、帰る前に一度高町の皆さんにご挨拶したいんですけど……」

「それは私じゃなくって、あの人に聞いた方が良いと思うな」


 視線をモニターに映し出されている女性に向ける。

 美由希はもう用事は終わったとばかりに、胸の谷間に顔を埋めて眠る横島と、ぼんやり横島を見つめるフェイトをそれぞれ抱き抱える。


「なのは! 久遠! 帰るよ!」

「うんっ!」

「わかった、みゆき」


 そのまま一気にすずかの待つ臨海公園へと飛び去った。

 それ以上の交渉すら許さず、あっと言う間に飛び去ってしまった美由希達を、残念そうに見るモニターに映し出される女。


「どうします提督。追いましょうか?」

「いいえ。こちらで追跡するからいいわ。それよりも、詳しい話を艦の方で聞かせて貰えるかしら?」


 とユーノの方を見る。

 ユーノは勢い良く何度も頷きながら、美由希達の方へと行こうとするアルフに「あっ、よろしく言っておいてね?」とあっさり。
 アルフはそれに頷いて後を追おうとするも、時既に遅し。身体を転移の光に包まれた。
 これもまたユーノにとって幸いだったと言える。
 これがなければ、彼女がユーノと一緒になる未来は無かったであろうから。





 光が消え去り、誰も居なくなった海。

 先程までの喧騒が嘘のように、そこはただ、静かに凪いでいた。

































 懐かしい、そう懐かしい光景。これは夢か……?

 だって、目の前で小さなアスナが泣いている。
 タカミチから託されてすぐの頃のように。
 決して涙は見せなかったけど、確かに泣いていたのだ。あの頃のアスナは。
 表情を失くした彼女の、精一杯の悲しみを表に出して。


「また泣いてんのか……?」

「…………」


 感情を失くした小さなアスナが、横島の声に反応する。
 横島は苦み走った顔をすると、手を伸ばして彼女を引き寄せた。

 寂しがり屋で、悲しくなるとすぐに自分の布団の中に入ってくる小さい頃のアスナ。
 まあ、大きくなってからも一緒に寝てるが、別の意味で。
 その少女が、再び小さな姿に戻って、声無き声を上げて泣いている。

 横島は郷愁に囚われながら、ベンチの上で横になっている自分の身体に抱き上げると、いい子いい子と頭を撫でる。


「なんかあったんか?」

「……かあさんの子供じゃなかったんだ」

「そっか……」


 返事をしながら頭を捻る。

 だがすぐに、これはこう言う夢なのだろうと勝手に納得。

 横島は元気でろ~、とばかりに小さいアスナの頭をグチャグチャになるまで撫で回す。
 いつもなら怒り出すほどにグチャグチャにしても、小さいアスナは成すがまま。

 こりゃ、随分と重症だな。
 そう思いながら今度は頬を引き寄せ唇を重ねた。
 小さいアスナにはした事が無い、マウス・トゥ・マウス。 
 ピクッと軽く身体を震わせるも、やはり抵抗無く受け容れる。

 ピチュ、ピチュ……と音を響かせ舌を嬲る。

 唾液の味が違うな? と思いながらも、服の下から手を差し込み、直接胸を揉みしだく。
 ふくらみの無い平坦な胸を、大きくなーれ、大きくなーれと念を込めながら撫で回す。
 しばらくはただそうして横島に嬲られるままだったが、次第により快感を引き出そうと横島の舌先に合わせて自分の舌先を絡めだした。


「んぅ……んんっ……」


 くぐもった声を漏らし、もっと確かな繋がりが欲しいと身体を横島に押し付けた。

 唾液が唇の端から零れ落ち、横島の顔を汚していく。

 もっと奥、もっと奥へとばかりに舌を横島の口中へ差し込み、無茶苦茶な勢いで暴れだす。

 それは小さいアスナの現実逃避。快楽に溺れ、嫌な事を忘れようとする心の動き。


「んふぅ……ンンっ!」


 突如積極的になった小さいアスナに、横島はちょっとだけ驚くも、胸を弄る手を残したまま、せっかくだからと残った手でスカートの中へと侵入する。

 下着越しにお尻を撫で回しながら、徐々に股間の盛り上がりへと指を伸ばす。
 しっとり湿りを帯び始めたそこを、ワレメをなぞり更なる快感を引き出す。
 盛り上がりを包むように揉みながら、クリトリスの辺りをグリグリと親指で刺激した。

 すると小さいアスナは横島の唇から「プハァっ!」と放れ、背筋を逸らし弓なりになって絶叫する。


「ヒィァァァアアアァァアアッッ!?」


 身体に電流を流されたみたいにビクビクと激しく痙攣する小さいアスナ。
 顔を涙と唾液で汚しながら、先程までとは違った意味で目が虚ろ。
 痙攣が次第に小さくなり、だが最後にもう一度、ブルルッと大きく震えると、股間を弄っていた横島の手がじんわりと熱くなる。


「アア……ダメ……ダメだよ……ンあッ!」


 横島の手と、小さいアスナの太腿を勢い良く流れ始める雫。
 熱く湯気立つそれで身体を濡らす横島。


「ご、ゴメ……んなさい……きらいに……ならないで……」


 ようやく出来た『何か』の繋がり。
 それが何かは小さなアスナにはわからない。
 でも、それを失いたくない。全部が偽者だった自分に、たった一つ出来たモノだから。

 しくしくと静かに泣く小さいアスナ。


「なに言ってんだ? 嫌いになる訳ねーだろうが」


 横島にとってみたら今更な話だ。
 小さいアスナの、今だ発達していない性感を刺激してしまったんだ。
 100%の確率で悪いのは自分だと決まっている。


「ほ……ほんと……?」

「ああ、本当だよ」


 失った表情が哀しみに変わり、そして今、ほんの少しだけど確かに小さく微笑む小さいアスナ。
 横島はホッと胸を撫で下ろす。自分の大切な使徒が泣くところなんざ見たくない。

 だから、


「で、何がしたいんだ? それを俺が絶対に叶えてやる。だからもう泣くな」

「か……かあさんに、会いたい……、会ってもう一度、お話したい……」


 おもらしで濡れた下着を脱がし、ポケットの中にあったハンカチで少女の股間をキレイに拭きながら、ようやく横島は気づいた。

 あれ? この子、もしかしてアスナじゃないのでは……?

 だが、時はすでに遅し。

 真っ赤にしてる『黒い魔法少女』
 その背後から恐ろしい顔の美由希。

 ああ、傍から見たら、これってすんげー変質者だよな。

 だが待ってくれ。寝ぼけてたんだ、解るだろ?
 それに今の俺は見かけ10歳児。
 妹思いのお兄ちゃんに見える事もあったりなかったりだ!


 ゴメスッ!


 正面の美由希に気をとられ過ぎて、背後に居たなのはとすずかに気づかなかった横島は、2人のコンビネーションブローによって静かに意識を閉じた。 

 笑顔で横島を瞬殺せしめたなのはとすずかに、恐怖の感情を見せる少女、フェイト。

 だが美由希は、そんなフェイトを見て安心する。

 さっきまでの虚無とは違い、確かに感情を見せているのだ。
 やり方は酷いものだったが、やっぱり2人っ切りにしておいて正解だったかな?
 問題は、公園の中という公衆の地でこんな行為に及んだ事だけど、まあ、幸い周りに誰も居なかったから良しとしよう。

 実の所は先程の黒い少年の一味、時空管理局の面々がこっそり覗いていたのだが……


「さ、帰るよ、みんな」

「ぶー! ただおくん、フェイトちゃんとキスしたー! なのはだってまだして貰ったことないのにぃっ!」

「ずるい……私もして欲しいってずっとずっと言ってたのに。ずるい……」




 美由希はフェイトの涎とおしっこで汚れた横島を、それでも大切に抱きかかえ、苦笑いをなのは達にむけた。


 自分とただくんの関係、気づかれないようにしないとマズイよね?


 なんて今更バレバレな事を思い。

 そして横島が隠し持っているだろう勾玉のことを考える。

 ちょっと前にそこから出てきた女の子。今は再びそこに居るのだろう女の子。間違いなくトラブルの種の一つ。


「ああ、もうっ! 難題山積みだよぅ。ま、いいか。後で考えよ……さあ、フェイトちゃんも一緒に帰るよ?」


 不安な様子を見せ始めたフェイトを優しく促す。

 横島の暖かい体温を感じながら、美由希はゆっくりとした足取りで歩き出す。

 これからの喧騒と、そしてその後に待ち受けるだろう戦いを思い、重い息を吐くのを堪えながら。
































 その頃、高町家では……


「うっわー。アリサちゃん、ドラマのヒロインみたいやったわ~」

「は、はやて! アンタ見てたの!」

「見てたも何も、ずっと一緒だったやないか。あーあー、私なんかキスどころかお尻まで触られてもうたのに、ずるいわアリサちゃん」

「そんなの知らないわよっ! アイツに言いなさい、アイツに!」
 
「さてと。今の内にパンツ取替えな……」

「なによ、漏らしたの?」

「うっ……なんや、頭真っ白になってもうて、そしたらちょっと漏らしたみたいなんや……」


 2人とも耳まで真っ赤。

 下半身丸出しで下着選びに夢中なはやて。
 鏡の前で、色んな表情を色んな角度で、そして色んなポーズをこれまた色んな角度で検証するアリサ。

 2人とも時折身体をくねらせ、変な唸り声を上げる。

 2人には何一つ不安なんてない。
 だって、あの男の子に任せておけば大丈夫だって知っているから。


「んなぁ、アリサちゃん」

「なによ?」

「ただ兄ちゃん帰ってきたら、どこまでさせてあげるつもりなんや?」

「あぅぅぅ………………よ」

「何て言ったん?」

「う、うるさいうるさいうるさーいっ!」 





 更なる修羅場の元が、こんな感じで美由希達を待ち構えていた。








































 続きは70万HITなの? でも2回やったから80万HITかもなの! 























 後書き

 適当に書いてる筈のスペシャル企画の方がPVの伸びが凄い件について。



 ヨコなの強者番付け

 横島+さよ(ラスボス)>久遠(ラスボス)>横島(大人)>越えられない壁>恭也>美由希>クロノ≧横島(子供)≧久遠≧なのは>フェイト>>アルフ>>ユーノ






 SAYOちゃんとYOKOSHIMAの精霊憑依。それはYOKOSHIMA無双で戦闘終了の合図w

 文珠の制御はYOKOSHIMA、力の制御はYOKOSIHIMAと一体化したSAYOちゃんの仕事。

 当然のように憑依中は、YOKOSHIMAの身体の中の文珠の出し入れに文字の刻みも自由自在。タイムラグ無しで文珠の展開が可能に!

 流石はパネェっすSAYOちゃん!

 こんな設定つけてたの忘れる位、出番がまだまだ先なんだぜ!

 ってか強すぎだって? いや、YOKOSHIMAもSAYOももう全ての冒険を終えてLv99+スキル完全習得状態なんで、今更成長とかナイナイ。

 YOKOSHIMA子供状態でなければ苦戦とか一切ないからw 数の子全員纏めて相手にしてもまだ余裕が有るくらい強いって思って良いよ、横島(大人)は。






[11660] 70万HITスペシャル企画 ヨコなの 第5話
Name: uyr yama◆157cb198 ID:c975af4b
Date: 2010/04/26 09:18


  ジュエルシード

  それは、願いを叶える不思議な宝石
















  ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第5話  悪魔降臨なの!

  

















 横島は目を覚ますなり、ブスっと顔を顰める。
 自分達を覗く視線を感じたからだ。
 覗くならともかく、覗かれるのは趣味じゃない。
 いや、美女や美少女に色々と覗かれるのは、紳士的な意味でありかもしれんが……

 そんな訳で傍らに侍っていた美由希に、「修行不足!」と軽くデコピンをかますと、起き上がって庭へと出る。
 先ずはサイキックソーサーを使い、近くに居た見えぬ監視を叩き潰す。

 続いてなのはを手招きして呼び寄せると、彼女を背中からギュっと抱きしめた。
 縮んでしまった横島とは、ほぼ同じ背丈の少女。
 横島は、なのはの首元に顔を埋めると、思わずクンカクンカと匂いを嗅ぎそうになる自分をグッと堪えた。


「はにゃっ!? にゃにゃにゃにゃ……」


 それでもなのはは両手をばたばた。顔は耳までまっかっか。


「落ち着くんだ、なのはちゃん」

「ひゃ、ひゃいっ!」 


 耳元で囁かれる大好きな人の声。
 くすぐったい様な、それでいてとても心地が良い感触。


「感じる?」

「うん……」


 感じる。彼の暖かさを。すっごくすっごく感じる。

 自分のお腹にキュッと巻きつく横島の腕に手を重ね、なのははうっとりしながら返事をした。
 そして次の瞬間、なのはを抱きしめている腕を通して、横島から力が流れ込んだ。


「ひゃあっ!」


 思わず声をあげてしまう。
 それも、艶を含んだ色のある声を。
 周囲の者、特にアリサやすずか等は顔赤らめてなのはと横島を見ている。

 ただ、目つきが酷く厳しい物だが。


「どうだ、見えてきただろ?」


 なのはの中で世界が広がりをみせる。
 身体中を横島の力が駆け巡り、優しく労わるようにではあったが、なのはの力を少しづつ拡張していく。
 力の拡張と同時に、更になのはの力の方向すらもコントロールしながら。
 それは50年以上の時間の中で身に着けた、横島なりの性魔術の奥義。
 力の使い方を直接身体に叩き込む、ある種とても乱暴な修行法の一つだ。
 事実なのはは始終、口をパクパク開け閉めしながら苦しげに息を吐く。

 ビクビクッ、と細かく身体を痙攣させ、目は潤み、口から舌を突き出して切なく喘いだ。。

 だが、確かになのはには見えていた。


「あはぁ……ングッ……う、うん、見える。これ、ただおくんが……あんっ……みせてるの?」


 横島の言う通りに何かが見えたなのはは、息を絶え絶えにしながらそう言った。

 なのはは出来るだけ平坦な口調で言ったつもりだったが、それでも随分と色っぽく、少し離れた場所で見ていたアリサとすずかをヒートアップさせる。
 2人にしてみれば、横島がなのはにエッチなイタズラをしている様にしか見えない。
 それでも口や手を出さないでいるのは、一番に抗議するであろう美由希が何も言わず、ただ苦笑いしているからだ。
 彼女が何も言わずにそうしているのなら、キチンとした理由があるはず。


「おう! だがな、これは全部なのはちゃんの力だ。訓練を積めば、すぐに自分一人でこのぐらい出来るようになるさ」

「あ……アレってサーチャー……んぅ、だよね? さっきの人達かなぁ……、やん」

「多分な。さ、なのはちゃんがアレを破壊するんだ。レイジングハートを出して」

「レイジングハート、お願い……」≪All right≫


 震える手で小さな宝石『レイジングハート』を掲げると杖の形へと変化する。
 同時になのはの衣服が弾け、白い制服のようなバリアジャケットに身を包まれた。

 相変わらず苦しそうななのはは、その杖の先を虚空に向ける。
 震える手が止まらず、杖の先がブレまくる。

 もちろんこんな状態で狙いをつけれる筈など無く、横島はなのはの身体を抱きしめていた手を解くと、そのまま腕を下から支えてあげた。

 彼に支えられている。なのはは嬉しさの余りに天に昇ってしまいそう。
 意気が上がる。彼に支えられている今なら、何でも出来る! 何処までも行ける!
 遥か彼方にあるだろう、サーチャーを打ち抜くなんて、とても簡単に感じてしまうのだから。


「スターライトぉ……」


 杖を握り締める力を強くする。
 すると横島からの力の導きが更に強まった。
 お腹が熱くなる。身体の中から何かを引き出される感じがする。
 レイジングハートに任せたまま砲撃しようとしたなのはの力を、横島が更に収束しているのだ。


「ブレイカーッ!!」≪starlight Breaker≫


 バシュウゥゥゥッ!! 

 杖の先が光に溢れ、そして爆発する。
 見えない筈の標的を目指し、なのはのスターライトブレイカーが放たれる。
 いつものなのはの魔法に比べ、一段と収束されている桜色の砲撃は、成層圏を抜け目標を貫いた。
 先程まで感じたコチラを伺う不快な視線が確かに途切れる。


「お疲れさん、なのはちゃん。頑張ったな!」


 一杯の笑みをなのはに向ける。

 横島の笑みを見て、なのはは気が抜けてしまったのか、ガクリと膝から力が抜け落ちた。

 腕を支えていた横島は、当然の様に少女を抱きしめるも、次の瞬間、「ひゃんっ!?」
 嬌声をあげてしまうと同時に、プシャァァッと少女の太腿を湯気立つ水が流れていく。

 なのはは、イってしまったのだ……


 止め処なく地面を流れ落ちる小水。
 頭に手を当て「あっちゃー」と唸る美由希。
 お漏らししてしまったショックで、ぐしゅぐしゅ泣き始めるなのは。
 先程までとは違う意味でヒートアップしてくるアリサ、すずか、はやて。
 3人の少女の殺気に中てられ顔を真っ青にする横島。

 次の瞬間、アリサの身体が宙を舞った。
 短いスカートから可愛い足が飛び出し、狙い違わず横島の顔面をとらえる。


「ろばぁっ!?」


 アリサの飛び蹴りをまともに受けた横島は、そのままゴロゴロと庭の端まで転がっていく。


「何だか分かんないけど、アンタが悪いのよっ! この変態!!」


 アリサの怒声は、高町家だけでなく近所中に響き渡った。
 もっとも、また高町さんちの横島くんかぁ~、ですんでしまう話なのだけど。
































 


 
 プレシア・テスタロッサの目的。
 それはジュエルシードに込められた膨大な魔力を無差別解放させることにより、人為的に次元震を発生させ、アルハザードへと旅立つ。
 自分のたった一人の娘、アリシアを生き返らせる為に。

 だが、それももう叶わない夢物語となりつつあった。
 プレシアは、先の横島の反撃により、死に体となっていたからだ。


「死ね……ないの……よ、アリシアを生き返らせるまでは……私は……ワタシハァッッ!!」


 アリシアを死なせてしまって以来、全ての時間をその愛娘を蘇生させるためだけに生きてきた。
 彼女の執念は計り知れない。彼女の想いの力は計り知れない。何より、彼女の絶望こそが計り知れない。

 そんな彼女の最後の願い、それは……



 アリシアの笑顔をもう一度見たい、たったそれだけだった。

 それだけなのに、彼女の目の前にあるポッドの中のアリシアは微笑まない。微笑んでくれない。
 何故なら、そのアリシアはただの肉の塊なのだから。
 だから、微笑むはずが無い。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
 アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
 アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
 アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


 血涙を流し、絶望と怨嗟に満ち満ちた絶叫を放つ。
 聞く者をそれだけで狂わせんばかりの狂声。









 そんな彼女の絶叫に応えたみたいに、ジュエルシードが一つ輝きだした。


『……マ! やめて、もうじゅうぶんだからっ!!』


 彼女の耳に、亡くした娘の声が聞こえてくる。
 ザー、ザー、と耳鳴りばかりで聞こえなくなってきたはずの耳に。
 それなのに、あの子の声が聞こえる気がするのだ。

 プレシアは残された力を振り絞り、床に這い蹲っていた身を半分起こした。



 2つ目のジュエルシードが輝きだす。

 ぼんやりとアリシアの泣きじゃくっている姿が見えてくる。
 くしゃくしゃに顔を歪ませ、こんな自分を心配してくれる優しい娘の姿が。


『ママ! もうダメだよ! これ以上それを使ったらダメだよ!! 死んじゃうよお、やめてぇーーーっ!!』


  
 涙が溢れ出てくる。アリシアの顔を、もっと良く見たいのに、それなのに、涙の所為で良く見えない。


「アリ……シア……ッ!! ああ、アリシア、アリシア、アリシア、アリシア、アリシア、アリシア、私の……たった一人の娘。
 大丈夫よ、アリシア。すぐにアナタを生き返らせてあげるわ……。もうすぐ、アナタを、アナタを、あな……た……を………………」


 3つ目のジュエルシードが輝きだす。
 ドクン……、彼女の止まりかけの心臓が跳ねる。

 4つ目のジュエルシードが輝きだす。
 黒焦げになっていた彼女の肌が、鱗の様な物に覆われていく。

 5つ目のジュエルシードが輝きだす。
 彼女の黒く長い、だが一切の手入れを成されていない髪が、サァーっと風に吹かれ紫色に変化していく。

 6つ目、7つ目のジュエルシードが同時に輝く。
 彼女の力の質が変化していく。禍々しい何かへと……








 その時、プレシアが倒れ伏す場所に騒音が近づいて来る。

 バン! 勢い良く扉を開けて入って来る時空管理局の武装局員達。

 彼らが見たのは、強い眼光で自分達を睨みつけるプレシア・テスタロッサ。
 その彼女の頭上に、キラキラ輝く7つのジュエルシード。
 そして、ジュエルシードが一つ、また一つと彼女の体の中に吸い込まれ……爆ぜた。

 背中から、ザンッ! 皮膚を切り裂き黒い翼が飛び出す。
 彼女の血が辺り一面に飛び散り、まるで血の雨が降っているみたい。

 バサッ、バサッ、と何度か翼を羽ばたかせる。

 羽ばたき巻き起こる風に黒い何かが纏わりつき、辺り一面の視界を真っ黒に染め上げた。


「がぁぁあああああああああっ!?」


 途端に苦しそうに首を押さえる武装局員達。
 苦悶の表情を浮かべ、胸元を何度も掻き毟る。
 バリアジャケットを展開していれば、BC兵器等も無効化できるはずなのに。





 次元航行艦アースラ内のブリッジで、モニター越しにその様子を見ていたリンディ・ハラオウンとクロノ・ハラオウンは、戦慄に背筋を凍らせた。

 その場に居る訳でもないのに解るのだ。
 プレシア……、いいや、アノ存在が人知を超えたモノだと。
 恐怖で鳥肌が立つ。

 リンディはブルル、と軽く何度か身体を震わせた後、ハッと気づいたのか、徹底的に遅れた指示を漸く出した。


「エイミィ、強制送還! 速く!!」

「……は? あ、はいっ、艦長!」

「続いて転送室を完全隔離! ドクターを呼んで!」


 汗がこめかみを伝い、頬を流れ、顎からポタポタと落ちる。
 今の彼女の内心は後悔で一杯。

 戦力を出し惜しみしてしまった。
 この次元航行艦アースラ最強戦力である自分と、その息子で執務官のクロノ・ハラオウンを最初から出しておけば良かったのだ。

 そうすれば……


「艦長、全員の死亡が確認されました……」


 こんなにも被害を出さずにすんだのに……


「はぁ……」


 重い溜息を吐くリンディ。
 そこらかしこに泣き声が聞こえてくる。
 全てが自分のミスから出た被害。
 ブチッ、と何か噛み切る音。
 見ればクロノが唇の端から血を流している。
 悔しそうに顔を歪め、今でも飛び出してしまいそう。


「ダメよ、クロノ」

「……解っています、艦長。今行っても、彼らと同じで殺されるだけですからね」


 ギリギリと歯軋りを鳴らしながら、モニターを睨みつける。
 そこには、狂った様に嗤い続けているプレシア・テスタロッサ。
 そのプレシアが、モニター越しからコチラを見てニヤリと嗤うと、パンッ! 爆発音が艦内のアチコチから聞こえてくる。


「次元跳躍攻撃です! 機関部損傷、通常航行に支障はありません!」

『今のは警告よ。これ以上の惨劇を見たくなければ、残り14個のジュエルシードを全て渡しなさい。でないと、あの第97管理外世界を無差別攻撃するわ』


 それだけ言うと、プツンと映像が途切れる。
 サーチャーを破壊し、こちらの影響下から完全に脱したのだろう。


 リンディはプレシアの言葉を反芻する。

 それは管理局への宣戦布告と言って良い。
 普通に考えたら正気を疑う。
 個人で次元世界を遍く大組織に喧嘩を売っているのだから。


「エイミィ、ユーノ・スクライア君とアルフさんを呼んで!」

「はい!」


 ジュエルシード、そしてプレシアの情報をもう一度詳しく聞く為だ。

 プレシアはともかくとして、ジュエルシードはユーノから聞いていたのと印象が違い過ぎる。
 勿論自分達の方でも調べは済んでおり、次元干渉型エネルギー結晶体であると言う事は解っていた。
 元々今回の出動は、そのジュエルシードにより次元震が発生する可能性があるとされた為だ。
 そのジュエルシードをロストロギアと認定し、管理局で接収する、ただそれだけの任務だった筈なのに。
 だが、今のプレシアを見る限り、その類の物だという印象は感じないし、その上、知らずの内に事態は最悪の方向へと進んでしまった。
 本局に戻れば、自分はもとよりクロノまで何らかの責任を負わなければならないだろう。
 こんなにも犠牲を出したのは、あの『闇の書』事件以来なのだから。

 リンディは先程のプレシアの姿を思い浮かべる。
 ゾクリ、と再び背筋が凍りつく。


「アレは人の手では勝てない……」


 思わず弱気な言葉が小さく零れた。
 だが、その声は思っていた以上に大きく響き、不安そうにこちらを見るクルーの反応を見て、再び自らのミスに顔を顰める。
 人知を超えた存在を目の当たりにし、歴戦の彼女も色々と混乱しているのかも知れない。


「ですが僕達は勝たなくてはならない。死んだ皆の為にも。何より、次元世界の平和を守る為に!」
 
「クロノくん……」


 クロノはリンディの失言を素早くカバーする。
 ここで心を折られる訳にはいかない。


「エイミィ、今までの戦闘データを本局へと転送してくれ」


 個人の力であの存在に勝てずとも、組織の力でならなんとかなるだろう。

 例えば、プレシアの居る『庭園』ごと、アルカンシェルで吹き飛ばす。
 だが残念な事に、この次元航行艦アースラにはアルカンシェルは搭載されていなかった。
 今から本局に戻り、改めてアルカンシェルを搭載する時間もなければ許可も下りまい。
 でも、これまでと、そしてこれからの戦闘データが本局に渡れば、次に彼女と相対する時にはアルカンシェルで対応が出来るかも知れない。

 もちろんクロノは『次』に期待するつもりはなく、一度でケリをつけてみせるつもりではあるのだけれど。
 執務官として常に最悪のケースを想定する、ただそれだけの筈なのだけれど。

 でも、心のどこかで解っているのかもしれない。
 先程、彼の母親であるリンディが呟いた言葉が真実である事に。

 重い沈黙の中、クロノはこれから取るべき対策を脳裏にツラツラ並べていると、ユーノがアルフを連れて艦橋に姿を見せた。

 先程リンディが呼び寄せた為なのだが、これはクロノとしてもありがたい。

 例え些細な情報でも欲していたからだ。


「これを見て貰えるかしら?」


 リンディの指示を受け、エイミィがモニターに先程のプレシアがジュエルシードを取り込む場面を映し出す。

 眉を顰めるユーノ。そしてアルフ。


「えっと……、これをボクにどうかしろ! とか言う話じゃ無いですよね!?」


 顔を青ざめさせて叫ぶ。

 確かにジュエルシードの発掘責任者ではあったが、こんな訳の分からない事態の責任を負わされる訳にはいかない。


「そうじゃないわ。ジュエルシードについてもう少し詳しい話を聞きかせてもらえないかと。それと、残り12個のジュエルシードの引渡しについての協力要請よ」

「ジュエルシードですか? レポートに纏めた以上の事はボクには解りません。
 あと、残りのジュエルシードは返してって頼めばすぐに返ってきます。
 アレを今現在持っているのは、多分なのはなんですけど、彼女はジュエルシードをさっさと処分してしまいたいと思ってますから。
 交渉するんでしたらボクが高町家に行きましょうか? 随分とお世話になりましたし、キチンとお礼もしたかったんで丁度いいですしね」

「お願いするわ、ユーノ君。本当は全てが終わってから返却交渉をしようと思っていたのだけど……」

「あんな危険な物だと解ってしまった以上、悠長な事はしていられませんよ、艦長」

「ええ、そうねクロノ。エイミィ、高町さん宅の映像を出せるかしら?」

「無理です、艦長。先程、横島忠夫くんが目を覚まして以降は、全てのサーチャーを破壊されています。衛星軌道上の物を含めて、全てがです」

「報告だと、この世界に魔法文明は無い筈だったんだが……」


 クロノの苦々しい言葉に、やはり苦笑するユーノ。

 魔法? そんなもんじゃねーよ! あの人達が非常識なのはよっ!!

 そう、声を大にして言ってやりたい。


「この世界の魔法もそうだけど……」


 エイミィが次々に映像を出していく。
 それは先の海上での決戦の映像。

 ジュエルシードの暴走体と、黒い魔法少女フェイト・テスタロッサを見知らぬ魔法形態で蹴散らす白い魔法少女、高町なのは。
 ジュエルシードと2人の魔法少女を確保しようとしたクロノを、あっさりと蹴散らす高町美由希。
 次元跳躍攻撃を、これまた見知らぬ魔法形態で防ぎ、尚且つ古代ベルカの融合機と思しき物の主(マスター)、横島忠夫。


「クロノ君をあっさりと蹴倒した高町美由希さん。この人、リンカーコアが無いです。多分ですけど……」

「はあ? そんな訳ないじゃないか」


 クロノが馬鹿馬鹿しいと斬って捨てる。
 だが、ユーノは知っている。彼女が正しいのだと言う事を。


「魔法じゃなくって、『気』って力だそうです。あと、横島さんの力も魔法じゃなくって『霊力』ですよ」

「……詳しく聞かせて貰える?」


 この日、ユーノが話した内容は、後に管理局全体を揺るがした。

 魔法文明が無い筈の世界の魔法。
 リンカーコアと言う先天的な物がなくても、高ランク魔導師を打倒しうる力、『気』
 魂と言う存在概念を初めて立証させた不可視の力、『霊力』
 それに『HGS』

 即戦力が欲しい地上本部だけでなく、本局、果ては聖王教会に至るまで、第97管理外世界に注目することになる。

 その際、元管理局の提督であったギル・グレアムが、現地の警察組織に収監されているのが判明した事は余り関係ない話だ。
  


 全ての話を聞き終わったアースラの面々は、呆然とユーノを見つめる。

 信じられない。でも、実際に映像と言う形ではあるが、立証されて記録にまで残っている。

 これ以上の否定は出来ない。

 リンディは難しい顔で少し考え込む素振りを見せると、次の瞬間、顔に笑みを貼り付かせる。


「現地協力者と言う形で、私達の作戦に協力して貰えないかしらね?」


 ユーノは、「勘弁して……、一刻も早くお家に帰して……」アルフの手を強く握り締め、そんな事ばかり呟きだす。

 アルフもフェイトが気になる一方で、この頼りない二人目の主を少しでも元気付けようと、しっかりと手を握り返すのだった。





































「いっつ~っ!」


 アリサに蹴られた痕をさすりながら布団に入る。

 既に時間は夜の11時。
 なのはとはやては夢の中。
 恭也と美由希も明日に備え、いつもの稽古も早々に切り上げ、やはり夢の中。
 そんな美由希と一緒に寝ているだろうフェイト。
 何故だかお泊りモードのアリサとすずかも、それぞれなのはとはやての部屋で眠っているのだろう。

 唯一、久遠だけが那美さんの所に帰ってしまった。

 そして、さよちゃん。
 彼女は再び竜の牙の中で眠りについた。
 俺のピンチに感応して目覚めただけで、ピンチが遠のいた今、再び黄泉の眠りについたのだろう。

 
 正直、明日の事を考えると、さよちゃんが居ないのは残念だ。
 このままじゃ、俺は大した戦力にはならないだろうから。
 霊力が完全に回復しきっていない。

 だからと言って、美由希から性魔術で奪う訳にもいかない。
 明日の主戦力である美由希から力を抜き取るなんて出来やしないし、何より彼女じゃ大した糧とはならないからだ。
 一番良いのは、明日は不参加の久遠から魔力を貰う事だったんだが、今日に限って帰ってしまった。

 ホント、今日の俺はろくでもない目にしかあってねーな……


 ・美由希の毒料理で半死半生、霊力の一時的喪失。
 ・強力な雷撃魔法で腕が黒焦げ、死の一歩手前まで追い詰められる。
 ・寝ぼけてアスナとフェイトちゃんを間違えてお漏らしをさせてしまう。罰として、なのはとすずかのツープラトンアタック。
 ・なのはをイカせてしまい、お漏らしをさせてしまう。罰として、アリサの真空蹴り。
 ・魔力回復の為に久遠とイタそうとしたら帰られた。


 多分、明日もろくな目には遭わないだろう。
 俺の霊感がそう告げていやがる。
 取り合えず明日は、恭也を前衛で突っ込ませ、なのはとフェイトちゃんが後衛で砲撃。
 俺と美由希は遊撃で少し離れた所からついて行くのが一番だろう。

 そこまで考えると、眠気が頂点に達し、うつらうつらと船を漕ぎ始める。


 少しでも多くの霊力を回復させるためにも、もう寝るか……

 そう思って布団を頭まで被った。
 被ったら、扉の前に小さな気配。
 コンコン。扉をノックする音。


「どうしたアリサちゃん?」


 俺は言いながら枕もとの電気スタンドに明かりを灯す。
 ギィーっと軋む音を立てながら、アリサちゃんがおずおずと顔を出した。
 小さな明かりに照らされる、パジャマ姿のアリサちゃん。
 どうしてなのかは解らないが、なんだか唇を尖らして不機嫌さをアピールしている。
 本当に解らない。解らないが、取り合えず謝っとこう。
 俺は若い頃からの処世術で、アリサちゃんが何かをする前に頭を下げようと布団から出ようする。

 すると、アリサちゃんはもじもじと、


「や、やくそく、でしょ……?」


 そう言いながら俺を押し留めると、そのまま布団の中に潜り込んできた。


「エッチなこと、してもいいわよ……」


 ヒョコッと顔の上半分だけだしてそう言った。
 昼にも思ったが、アリサちゃんでは性魔術を使っても殆ど糧とはならない。
 最後まですれば、ちょっとはマシな程度は霊力が回復するとは思うが……、流石に幼すぎた。

 やっちまったらロリを越えたペドとなってしまう。
 自分がロリである事には諦めがついてはいた。
 だが、ペドは嫌だ! 今までその経験が無いとは言わん。
 でも、これ以上はダメだ! 人として、何より横島忠夫として、それだけは認められんのだ!
 そう思い、適当にあしらおうと布団を押しのけアリサちゃんの上に圧し掛かり、そっと唇を合わせた。


「んっ、んっ……」


 唇と唇を触れさせるだけのつもりだった。
 それにちょっとだけ身体を弄って、彼女を満足させたらそのまま添い寝だけですませるつもりだった。
 だけど、もっと深く味わいたくなってしまい、舌を彼女の口の中に差し込んでしまった。


「ちゅぱっ、ちゅっ、くちゅっ……じゅじゅっ、ンンンッ!」


 舌を絡め合うディープキッス。
 一所懸命、俺に応えようとするアリサちゃん。
 そのいじましい姿に、ズグン、と下半身が熱を持った。

 ちょっと味見をするぐらいならいっか!

 俺はそう思いながら身を起こし、ズボンと一緒にパンツを脱ぐ。
 ポロンと飛び出す我が相棒。

 それを見て「ひっ……」と掠れた悲鳴をあげるアリサちゃん。
 もしかしてこの子、この手の知識を持ってんのか?
 そう思った俺は、彼女の耳元に唇を寄せると、

「この先ナニすんのかワカル?」

 そう言って、レロッと耳朶に舌を這わせた。


「んあっ……」


 可愛い声で喘ぐアリサちゃん。
 相棒の熱が上がり、段々と雄々しく太く大きくなっていく。
 それを見て、ゴキュッ、と恐怖で咽を鳴らすと、


「す、少しだけ知ってるわ。その、私のココに……」


 言いながらパジャマのズボンとパンツを膝下まで脱ぐと、股間のワレメに目線を向けた。
 顔を真っ赤にして、口でパジャマの裾を噛むと、小っちゃなサクランボみたいな乳首まで露にする。
 思わず鼻血を吹き出しそうになった横島は、慌てて手で押さえると「むむむ……」と唸る。

 幼女とは言え、ここまでされて黙っていては、男横島の名が廃る。
 いやいや、ちょっと待て。逆だ逆。手を出した瞬間、男が廃る。
 だが、いやいや、でも、うーん、ちょっとだけなら……、そうだ! 未来の美女に唾を付けとく位は許されるはず!

 脳内会議でしっかりと結論を出した俺は、アリサちゃんに導かれる様に、彼女の幼いアソコに手を伸ばした。
 しっとりと汗ばむアソコのワレメを、何度も上下になぞりながら未開発の性感を刺激する。


「ンン……んぅ……んぁぁ……」


 すると、すぐに少女の膣孔からトロっとした粘液が滲み出てきた。

 この娘はエッチな才能が有る!

 俺はそう仮説を付けると、スグにその仮説を立証するべく次の行動へと入った。
 2本の指でビラビラを押さえると、少しづつ焦らすように、くぱぁ~っとアソコを広げていく。


「あっ……、やぁん……」


 糸を引きながら開かれるアリサちゃんの膣口。
 鼻息を荒くしながら、相棒を彼女の開かれた膣口に押し付ける。
 ぐちゅぅ……、と先っちょがアリサちゃんのヌレヌレのワレメにピトっと貼り付く。


「あはぁっ!?」


 小さい身体を弓なりに反らすアリサちゃん。
 可愛い声を上げ、全身で俺に誘いをかけているみたいに見える。
 動悸が激しくなる。少し、また少しと、少しづつ俺の腰が前進していった。


 グッ……、グヌヌ……ヌチュゥ……


 雁口がアリサちゃんの膣口にはまり込む……直前、そこでピタリと身体が止まる。

 恐怖でガタガタ身体が震える。
 何故なら、扉の前に、美由希と言う名の悪魔が降臨していたのだから。


「ねえ、ただくん。言い残す事はある?」


 死刑宣告。
 アリサちゃんも、やはり恐怖で震えている。
 だが彼女は、布団の中に頭まですっぽりと隠すと、クークーとわざとらしい寝息を立てる。

 これで逃げられるつもりなんか?

 美由希の背後から現れたなのはとすずかがアリサちゃんを布団の中から引き摺りだすと、


「いやぁーっ!」


 叫ぶアリサちゃんをそのまま何処かへと連れて行った。


「きゃああああああああっ!!」


 遠くから少女の断末魔の叫びが聞こえる。

 俺はそっと心の中で手を合わせると、すぐに俺も逝く。待っていてくれ……、と小さく呟いた。


「じゃ、逝こうか?」


 


 

 

 


 

 






 
  















 続きは80万HITなの! だといいの……





[11660] 80万HITスペシャル企画 ヨコなの 第6話
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/04/26 09:19



 手が汗でベトベトして気持ち悪い。
 でも、それも仕方ないのだと思う。
 これから自分は、未知の力を使う、ある種ロストロギアと言っても過言ではない者達と交渉しなければならないのだから。
 上手く自分達のペースで話を進め、ジュエルシードの確保、そして何より、『化け物』プレシア・テスタロッサの逮捕協力を願わなければならない。

 しかしだ、そんなにうまく話が進むわけなどないだろう。
 最優先事項はジュエルシードの確保。次にプレシア・テスタロッサの逮捕協力。隙があるならフェイト・テスタロッサの保護、と言った所か。
 その上で、彼らの不可思議な力についての情報提供が叶えば言うことはない。

 高町家に近い公園に転移すると、嫌がるユーノに案内をしてもらい、息子のクロノと共に高町家に向かって歩き出す。
 第97管理外世界、その地方都市である海鳴市。平和で平穏で、どこにでもある平凡な街。
 子供の楽しそうな笑い声、道々を歩く猫達。
 ペットなのだろうか? それとも野良?
 野良にしては数が多いし、でも町並みは動物の糞などで汚れておらず、とても清潔的だ。
 そんな住み心地の良さそうな住宅街を歩き進みながら、目的地である高町家の前へと着いた。

 リンディは鼓動の激しさが増し、緊張感がMAXになった……なんて事はなかった。
 リンディと、そしてクロノは、それまで有った緊張感がぜーんぶ吹っ飛んだ。

 ぶらーん、ぶらーん。

 人間サイズの蓑虫が、高町家の屋根から吊り下げられて揺れていた。
 荒縄か何かでグルグル巻きで蓑虫状になっているそれは、確かに昨日、融合器を用いてプレシアの雷撃を跳ね返した少年、横島忠夫に他ならない。


「あっ、横島さーん、おはようございまーす」


 何事も無いかの様に、普通に朝の挨拶をするユーノ。


「おはよーっす……、ってダレだ?」


 それに対して、やっぱり普通に答える横島。


「やだなー横島さん、僕ですよ、ユーノ・スクライアですって」

「あん? ああ、オコジョ刑が明けたのか。良かったな、ユーノ。もう悪いことすんじゃねーぞ」

「なんの事ですか! なんのっ!!」

「なんのって、言いたくないのは分かるけどよ……」

「だからっ、ボクはっ! オコジョ妖精じゃぁっ!!」


 呆けた様に2人の諍いを見るリンディとクロノ。


「ねぇ、クロノ。大丈夫よね……?」

「……さあ? 艦長の発案ですからね。僕は知りません」


 本当にプレシア・テスタロッサに対抗出来るのかしら? と不安げなリンディであった。






















  ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  第6話  なのはのなのに!? なの!





















 玉座に身を沈め、モニター越しに侵入者の姿を睨みつける。

 2人の剣士が道を切り開き、その後ろから3人の魔導師が砲撃する。
 更にその後ろから悠々と歩く、人としての彼女を殺した少年。


「来たわね、私の願いを叶えるモノが……」


 自分の中にあるジュエルシードが教えてくれる。
 その、自分を殺した少年こそが、願いを叶えてくれるナニかを持っているのだと。
 それこそが残りのジュエルシードなのだと彼女は思った。

 待ち遠しい。
 早く来い。
 速く、速く、速く!!
 そうすれば、今も泣いている愛しい娘を救えるのだ。

 だから、はやく……

 そしてようやく、バン! 目の前の扉が開く。

 遅い、遅い、遅い、遅い!

 それに、邪魔なモノまで一緒ではないか!!


「フェイト、何しに来たのかしら? アナタはもう必要ではないのよ……?」

「……!? か、かあさん…・・・、わたし、は……」


 言葉に詰まるマガイモノ。
 悲しげなその表情は、彼女の傍らで泣いている愛しい娘と良く似ていて。
 胸が軋む。だが、それは錯覚にすぎない。

 だって、この子は私のアリシアではない。

 私の娘ではない。

 だからプレシアは、異形と化したその姿の背から生える翼を羽ばたかせる。


「消え失せなさい。オマエは邪魔でしかないのよ」


 ブワッ、瘴気が彼女の中から噴き出した。

 だが、それと同時に一人の少年が前に出る。
 人としての彼女に止めを刺したと言っても過言ではない少年。
 彼女が求めるナニかを持っている存在。

 その少年が一つの珠を放り投げた。
 するとあっという間に黒紫の大気が浄化され、澄んだ清浄な空気となってキラキラ輝く。

 なに? なにをしたの、一体!?

 驚愕するプレシアに、更に一歩前へと足を踏み出す少年。


「美女や美少女を守るのがワイの存在意義や。だから、俺が助けてやる、プレシア・テスタロッサ!!」

「なにをっ! ジュエルシード、それさえあれば、アリシアが! だから早く差し出しなさいっ、14のジュエルシードをっ!!」


 顔を憎しみに歪ませ、禍々しい魔力を全身から絞り出す。
 そして召喚、『前』の自分にはなかった筈の術式を発動する。
 彼女の魔力を糧にして生み出される異形なナニカ。
 彼女と同じ黒い翼、彼女よりも暗い紫の肌。頭から生える2本の角。
 この第97管理外世界の童話に出てくる悪魔そのもの。

 それらが数十体、彼女の呼びかけに応えたのだ。

 だが、ビシュッ! 閃光が走った。

 一人の青年がプレシアを鋭い眼光で睨みつけながら、悪魔を一体、手に持つ2刀の小太刀で切り裂いたのだ。
 続いて鋼の糸を使いもう一体、更には再び剣閃を煌めかせ、また一体。


「御神不破流の前に立つ不幸を呪え」


 視線をプレシアに固定したまま、青年が静かに怒りの言葉を吐いた。
 手に持つ小太刀を鞘に収めると、身を屈め、悪魔の集団の中央へと飛び込んだ。
 身体を捻り反転させ、勢い抜刀する。


「薙旋六穿」


 2刀の小太刀による2連抜刀6穿。
 気の込められた滅びを運ぶ剣閃が、彼女の呼び出した悪魔を消滅させていく。

 そして、その後ろから先ほどの少年が神妙な顔つきで前に出た。


 ジリ……ジリ……、自然と足が後ずさる。

 彼女は解った。解ってしまった。
 その少年の危険性を。
 7つのジュエルシードを用いて変化した自分を倒しうる存在だと。


「いやぁ……いやよ……、もう少しなのよ、もう少しで、あの子を、アリシアを生き返らせれるのに!」


 確かに自分は力を得た筈だ。
 強大な力を。

 なのに身体が震える。目の前の小さな少年に恐怖して。
 今の自分より、遥かに劣る魔力しか持たない筈の少年に! 
 たった今、不可思議な剣技で化け物を消滅させた青年よりも、尚恐ろしい。
 
 逃げなければ。アリシアを連れて逃げなければ!
 ジュエルシードは手に入らずとも、他のモノで力を蓄えればいいのだから。
 今の自分には無限の時間があるのだから。
 だからジュエルシードに拘る必要は無い。
 ここで目の前のモノから逃げ出して、そうすれば、いつかは、あの子を……!!


 なのに、彼女の傍らで泣き伏す小さな彼女の娘の身体を掴めない。
 娘を連れて逃げようとする彼女の手をすり抜けるのだ。


「ああああ……、アリシア、アリシア、アリシアァッッ!!!」


 絶望で絶叫する。
 早く逃げねばあの少年に捕まると言うのに、それが出来ない。

 怖い、怖い、怖い!
 人の殻を破り捨てた筈なのに、怖い。
 もうすぐアリシアの笑顔を見られる筈だったのに……
 ワタシのネガイが……

 少年は彼女『たち』の前に立つ。
 プレシアは恐怖で震えながらも、魔力を込めた手を振り上げた。
 ただの人であるならば、例えオーバーSランクの魔導師だって消し炭にしてしまうほどの力。
 でも、それでもプレシアの恐怖は収まらない。
 目の前のちっぽけな少年が恐ろしくて仕方ない。
 この少年が、今の自分の全てを否定する存在なのだから。


「なんで……よ……、なんでなのよぉっ!もうすぐなのよ、もうすぐあの子が笑ってくれるのよ!! あの子の笑顔が! 私はぁっ!!」


 プレシアの咆哮に、空気がビリビリ震えた。
 上げた手を振り降ろす。
 目の前の少年の力では防ぐ事など叶わぬ力で。


「アホかぁーッ!! 当ったら死んでまうやんかーっ!!」


 だが、少年は恐怖で泣きながらスルリと避けた。

 例えどんなに凄まじい力が込められようと、当たらなければ意味がない。

 プレシアはかつて大魔導師と呼ばれた女だ。
 しかし、所詮彼女は研究者上がりの魔導師。
 歴戦の兵である少年に、正面切って戦って勝てる筈などなかったのだ。
 魔族と言っても過言ではない強大な力も、冷静さを失った今の彼女では使いこなせない。

 勝て……ない……、殺され……るの……? アリシアの笑顔を見ないままに……


「まだ、私……は……」


 そんなプレシアを目の前にして、ビビッて涙をちょちょぎらせていた少年が、微笑んだ。

 柔らかく、とても穏やかに。
 それは、少年の恋人である剣士の少女すら見たことがない笑み。
 もちろん、白い魔導師の幼い少女もだ。

 そんな笑みを浮かべながら、少年はこう言うのだ。


「俺に……任せろっ!」


 手を彼女の右肩の上へと伸ばした。
 モニター越しで見ていた管理局の者達どころか、ここに来ている誰にとっても何もない場所に。
 プレシアと少年、横島忠夫以外には見えぬナニかにむかって。

 だが次の瞬間、「オオォッ!?」決して小さくない歓声。
 横島の手の先から、淡く青白い光と共に小さな少女の手が浮かび上がったのだ。 
 次第にぼんやりと見えてくる金毛の少女。
 その姿は黒い魔導師、フェイト・テスタロッサに良く似ている。


「これは……幻術……なのかっ!?」


 管理局の執務官である少年が呟く。
 呟きながら、幻術とは違う。そうはっきりと感じてもいた。
 目の前の暖かい光に、知らず涙が一筋頬を伝う。
 それはまるで母のお腹の中の様な暖かく優しい温もりだったから。


「ママ、もう止めて。もう、充分だから」

「アリ……シア……の声……?」

「おにいちゃんが力をくれたの。これでやっとママとお話ができる」

「……アリシア、もう少しだけ待っててちょうだい。すぐにアナタを生き返らせてみせるから、ね……」


 プレシアの意気が上がる。
 今なら何でも出来る。
 恐怖を感じた少年にでさえ、打ち勝ってみせる!

 だが、少女は悲しげに首を横に振った。


「ママ、死んだ人は絶対に生き返らないんだよ。だよね、おにいちゃん?」


 重々しく頷く横島。
 その顔は笑みから一転、苦く辛い表情だ。
 横島とて、生き返らせれるものならそうしてあげたい。

 でも、無理なのだ。

 かつて彼の大切な仲間であったおキヌとは違い、大規模な術式で守られていた訳でもない少女には。
 いいや、おキヌとて完全に死んでいた訳ではなかった。
 だから、死んだら生き返らない。それはありとあらゆる世界全ての共通の掟なのだ。


「ああ、だったら私は今まで何の為に……」


 紫色となった肌。それは人を捨てた証。
 プレシアは怖気走るその両の手で、顔を覆い隠し静かに涙を流した。

 人は絶対に生き返らない。

 誰に言われても納得などしなかっただろうその真実を、愛する娘に言われてようやく受け入れたのだ。

 次にアリシアは自分の姿そっくりの、でも、少し自分よりも大きな少女の方に目をやった。


「フェイト、ママを許してほしいの。いっぱいフェイトを傷つけたのは、ぜんぶ私のせいだから……」

「アリ……シア……、でも、わたし……は……」


 フェイトは自分の存在意義を全て失ったのだ。
 人形だと言われ、それでもアナタの娘なのだとプレシアに言いたかった。
 だけども、彼女の本当の娘が目の前に居る。

 だったらワタシは何なのだ?


「わたしは……アリシアのクローンだから、許すも、許さないも……ない……」

「違うよ、フェイトはフェイト。私のたったひとりの妹だよ」


 アリシアはプレシアの方を向き、「そうだよね? ママ!」と満面の笑みを見せた。
 それは彼女、プレシアが最期にジュエルシードに望んだアリシアの笑顔。
 プレシアは目を大きく見開くと、次に柔らかく目尻を下げた。
 一度静かに目をつぶると、今度はアリシアを通り過ぎてフェイトを見つめる。

 その視線は、優しい母の目。フェイトが心から欲したモノだった。


「そうよ、アナタは、私の愛する……娘……、ごめんなさい……フェイト……」

「かあ……さん……?」


 やや呆然としたフェイトの問いかけに、だがプレシアはこれ以上の言葉を紡げなかった。
 プレシアの願いは正しく叶い、だから彼女の中のジュエルシードは輝きを、力を失う。
 死の淵にいた彼女は、ジュエルシードの加護がなければ生きてはいけない。
 更に魔族へと堕ちた彼女には、もう人としての身体が残されてはいなかったのだ。

 サラサラと、足の爪先から砂になっていくプレシアの身体。

 その事に少し驚くプレシアだったが、彼女は小さく頷くと、満足気な表情で全てを受け容れた。
 自分の願いが、アリシアの笑顔が見たいという願いが叶ったのだから、こうして今までの罪を償いに逝くのだと。


「この子のことをお願いしても……」


 不思議な少年に、最期の願いを言葉で伝える。
 ジュエルシードによらない願いを。
 その言葉に、少年は自分の胸をドンと叩いた。


「言ったろ? 美女や美少女を守るのが俺の存在意義だって。だから、美女の願いは絶対に守るさ」

「あら……」


 まるで乙女のように頬が熱くなる。


「ふふふ……」


 アリシアが死んで以来、初めて顔が笑みの形に柔らかく緩んだ。
 しかも、恋する乙女の様なキレイに澄んだ微笑みの形で。

 彼女は最期の力を振り絞って少年に近寄ると、彼の頬に唇を押し付けた。


 その時、彼女の足元からキラキラ光る何かが溢れ、天から光が差し込んだ。
 その先に、かつての飼い猫だった使い魔のリニスがいる。


「あら、来てくれたの? あんなに酷いことをしたのに……」


 彼女を迎えに来たリニスは、いいんですよ、と小さく首を横に振ると、プレシアの方へ手を伸ばす。

 身体がふわりと浮かんだ。
 ふわふわふわふわ……、少しづつリニスの待つ天へと昇り、彼女は満足そうに…………逝ったのだ。

 跡に残るのは、彼女だった灰だけ。それすらもサーッと散ってしまう。


「アァァァァアアアアアアアアアッッッ!!!」


 その灰を必死で集めるフェイト。
 少女の悲しい慟哭が、この場に居る全ての者の胸を打った。

 だが横島の目には見えた。

 プレシアが本当に満足して死んでいった所を。
 死んだプレシアが、最後の最後にアリシアの、そしてフェイトの周りをクルリと心配そうに周って、そして輪廻の輪に正しく還った所を。


 そして……、


 ありがとう、ワタシの願いを叶えてくれて……


 ジェルシードは願いを叶える不思議な石。
 石が叶えた願いの力は、横島が彼女の前に来るまでの時間を稼ぐことだったのか?

 それは誰にも解らない。


 ただこうして、後にプレシア・テスタロッサ事件と呼ばれ、管理局から多数の犠牲者を出した事件は幕を閉じた。




























「じゃ、わたしももう逝くね。ママが寂しがるといけないし」

「アリシアも、私を置いていっちゃうの……?」

「だいじょうぶだよ。フェイトには新しい家族がいるでしょ?」


 そう言って、クルッと周囲を見渡した。
 そこにはなのはが居る。美由希が居る。恭也が居る。

 そして、横島が居た。

 フェイトの心を救ってくれた人。
 自分の想いを母に伝えてくれた人。
 なにより、堕ちた母を救ってくれた人だ。

 家族全員が彼に救われた。
 アリシアは感謝でいっぱい。

 ぐしぐしと泣き止まないフェイトを、この世界で一番信頼できる彼に任せると、アリシアもプレシアと同じように光に包まれた。


「いかないで……っ!!」


 小さい手を一杯に伸ばす。

 だけども……


「さようなら、フェイト。さようなら、みなさん」


 子供らしからぬ微笑みを浮かべ、アリシアはフワッと光に向って浮かび上がった。

 どれだけの長い間、少女は母親の憎悪に満ちた姿を見てきたのだろうか?
 母親の犯した罪を、どのような思いで見てきたのだろうか?

 見えぬ姿で、届かぬ声で、必死に、必死に、彼女は訴えていたのだ。

 ママ、もうやめて! 誰かママを助けて! そう何度も。


 それもようやく終わりを告げる。

 意外な形で。


「……あれ?」


 アリシアに差していた光が途絶え、おろおろと慌てふためく。


「えいっ! やあっ! とおっ!」


 両手を天に向け、掛け声を上げながらぴょんぴょん跳ねる。
 微笑んだ表情は焦りにかわり、今はすでに半泣き状態。
 その姿はとても愛らしい。


「ふぇぇ~、おにいちゃ~ん。ママの所にはどうやったらいけるのぉ……?」


 文珠を使わずとも、ゴーストスイーパーである彼ならば、容易く少女を輪廻の輪に還せるだろう。

 でも、なぜだかそうする気が起きなかった。
 そうする事が一番少女の為になるのが分かっているのに。
 懐かしい、本当に懐かしく大切な思い出が、横島の脳裏に過ったのだ。

















 ────あの……つかぬことをうかがいますが、成仏ってどうするんですか?




 ほんとうに懐かしい





 ────長いこと地脈に縛りつけられてて安定しちゃったのね。こりゃ誰かにおはらいしてもらうしか……





 最初の夏のはじまりの光景が視える





 ────あの……やってもらえないんですか、それ

 あんた、お金持ってる?────





 ああ、そうか

 ここは、長い人生の息抜きの場ではなく 





 ────こうしましょう! うちで料金分働きなさい! 日給はフンパツして30円!!





 3度目の夏のはじまりだったんだ





 ────やりますっ!! いっしょーけんめー働きます!!







 さあ、はじめようか

 3度目の祭りを

 新しい友人と、新しい仲間と、新しい恋人と、

 楽しく、忘れられない思い出を作るために


















 横島はなのはの手をとった。

 薬指の指輪を有無を言わさず外すと、恨めしそうに睨んでくるのを気にも止めず、アリシアを呼び寄せた。





 目を丸くして驚くアリシア。
 大喜びのフェイト。
 指輪をジトっとした目で、いつまでも見続けるなのは。
 いいのかなぁ?っていいたげな美由希と恭也。






 この日、高町家に新たな家族が誕生した。

 フェイトと、そして新たに横島の使い魔となったアリシア。

 金髪美少女姉妹である。


 それは同時に、横島忠夫が、完全無欠のぺドフィリアに堕ちた日の事だった。




















































 次の90万HITでヨコなの最終回なの!














 人物紹介


 高町 なのは

 影薄い。
 ヒロイン(?)


 アリシア・テスタロッサ

 横島の使い魔3号。
 出会ったその日の内にヤラレちゃったらしいw
 ニーベルンゲンの指輪に宿る事で、その存在感を増す事に成功した。
 同じ様な存在であるさよを姉のように慕う一方、フェイトに対してはお姉さんぶっている。
 指輪に宿ったせいか、なのはから逆恨みな憎しみを、これから先何百年も受け続ける事になった。

 横島への呼称はおにいちゃん。


 フェイト・テスタロッサ・高町

 高町家に引き取られるも、テスタロッサの名前は捨てなかった。
 姉であるアリシアと最初はギクシャクしていたものの、天真爛漫なアリシアにすぐに懐いた。
 同時に、横島への感謝の念からなのか、彼の言う事は何でも聞くし、何でもしてあげたい。
 なのはとはとても仲が良く、周囲からは百合説が出るほど。

 横島への呼称は兄さん。


 アリサ・バニングス

 作中に設定が変わった唯一の人物。
 作者が感想に流されたとも言うw
 アリシアとヤッたことで禁忌感を失くした横島に、小学校卒業前に初めてを捧げる事に成功する。
 なのは、すずか、フェイト、はやてといったライバルに大きく差をつけた。


 横島忠夫

 この事件を境に、なのはの姉、美由希を使徒として、フェイトの姉、アリシアを使い魔として迎え入れた。
 彼と恭也が見せた力に興味を持った管理局によって、特殊技能教導官として招かれる。
 恭也は断り忍と共にドイツに行ってしまう一方、横島は美由希を連れて週1~2のペースでミッドチルダで教導官として働いている。
 特に地上本部との繋がりは大きく、直接の高弟にゼスト、レジアスがいる。
 レジアスはメタボ拳士、ゼストが咸卦法の使い手として次元世界最強と呼ばれるようになった。







 おまけの人物紹介w


 横島タダヲ

 リリアン女学園2年生。
 長く黒い髪。愛嬌のある瞳。卓絶した運動能力。
 170cmを越える長身。引き締まったウエストに、バスト85cmのバランスが取れた美しいプロポーション。
 顔は美人と言うより可愛い。遅刻常習犯。ゴーストスイーパー横島忠夫の縁者と言われている。
 その正体は、Dr.カオスの実験失敗によりTSしてしまった本物の横島忠夫。
 薔薇の名を冠する少女の破瓜エネルギーを集める為に、リリアンに転入(?)した。
 現在、長い時間をかけて口説いた祥子と好い雰囲気。
 と同時に、モーションかけてくる柏木にサブイボが立つ毎日。


 小笠原祥子

 タダヲのクラスメイト。紅薔薇の蕾。
 横島タダヲにその貞操を狙われている。
 周囲からは恋人同士に見られている。
 少しキツイ感がある祥子が、横島だけに見せる柔らかい表情に人気がスゴイ勢いで上がってたり。
 現在の時間軸が、原作開始3ヶ月前なので、まだ祐巳たんの登場はない。
 婚約者であった柏木とはすでに婚約破棄。
 男色家であったはずの柏木が、何故かタダヲに興味津々なのに不快感を感じている。
 ちなみに『キーやんのママがみてる』の話の構成は、柏木→タダヲ→←祥子で出来ている。






[11660] 90万HITスペシャル企画 ヨコなの 最終話
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/05/02 00:58


 エッチした後の気だるい疲れに身を浸しながら、俺は隣で眠るなのはちゃんの可愛らしい寝顔に頬を緩めた。
 いつもは両サイドに結ってる髪がベッドの上で扇状に広がり、将来性抜群のオッパイがなのはちゃんの呼吸に合わせて上下する。
 小さい頃から見知っている可愛い顔が、本当に幸せそうに緩んでいるのだ。
 行為の最中も嬉しそうに、何より幸せそうに嬌声を上げるなのはちゃんを思い出し、もっと早く可愛がってあげれば良かったと、少しだけ後悔。
 そう言えば、美由希と関係を結んだ頃から、ずっと私も!って言ってたっけな。なんて思い出しながら、何とはなしに窓の方を見た。

 カーテンに手を伸ばし、バッと開く。
 外は雲一つない星空で、異世界の月が暗闇の部屋を照らしだす。
 暗闇の中で見るなのはちゃんの裸体もキレイだったが、こうして月明かりに照らされるなのはちゃんは、もっとキレイだ……、なんて俺らしくない事を思わず呟いてしまう。
 あんま恥ずかしいセリフを呟いてしまったせいだろう、顔が真っ赤になっちまった。
 誰かに聞かれでもしたら、それだけで恥死してしまう。
 顔を赤くしたまま苦笑いすると、さっきの恥ずかしい自分を忘れようとなのはちゃんの上に覆いかぶさった。


「ぅ……ううん……」


 寝苦しそうに唸るなのはちゃんの柔らかい肢体を満遍なく撫でさする。
 特に太腿のプニっとした感触を堪能しつつ、ついさっき破瓜の血を流したばかりのなのはちゃんのアソコに、自分の肉棒をグイッと押しつけた。


「ん、んん……んぁ……くぅんっ」


 それだけでなのはちゃんは、ビクンっと腰を跳ねさせ、ベッドをギシギシ揺らす。
 感度の高い身体に、ホント可愛い女だよな、とあまりの愛らしさに感動していると、バサッと何かが落ちた音がした。
 何だ? そう思いながらなのはちゃんの身体から離れ、ベッドの下を覗き込んだ。
 そこには一冊のノート。
 そのノートを見た瞬間、ドクン! 心臓が爆発しそうな程に鼓動を速めた。

 これは……危険なモノだ……

 たった一冊の何の変哲もないノートなのに、そのノートが恐ろしくて仕方ない。
 見てはいけない、手に取ってはならない。
 俺の第6感がそう告げるのに、手が勝手に伸びてそのノートを手に取ってしまう。
 身体がブルブル震え、喉がカラカラに渇く。
 表紙に書かれているタイトルが、見たくもないのに目に映る。


 【なのにっき】


 可愛い丸文字で書かれた、これまた可愛いタイトル。
 ホッと胸を撫で下ろす。俺は一体何を恐れていたんだか……
 ハハハ……、渇いた笑い声を上げ、額から流れ落ちる汗を拭った。
 やっぱりなのはちゃんは可愛いなぁ。
 恐怖が完全に消え去り、俺はさっきまでの自分を笑いながらパラパラと日記をめくった。 

 親しき仲にも礼儀あり。

 例えどんなに親密な仲でも、他人の日記を盗み見るのは最低だ。
 だが、この時の俺は、安堵の中にもどこか恐怖が残っていて、いつもならば絶対にしない行為をしてしまった。


 知らなければ良かった。

 そんな後悔が待っているとも知らずに。




















  ヨコアス外伝  とらいあんぐるリリカル ヨコなの!  最終話  なまえをよんで























  ♂月♀日  

 きょう、ただおくんから貰った婚約指輪をアリシアちゃんに盗られた。
 なんなんだろう、あのゆーれーは? ずうずうしいにほどがある。
 憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。
 あれは私の指輪、私の指輪なのに、なのに私の指輪が、あんな悪霊に奪われるなんて、怨めしい。
 妹分のフェイトちゃんのお姉ちゃんじゃなかったら、消してやるのに……
 












  ♂月♂日

 朝起きたら、あの悪霊がただおくんの使い魔になっていた。
 私よりもちっちゃいくせに、私よりも先にただおくんとセックスしたってことだよね?

 ムカつく……

 憎しみで人を殺せるなら、あの悪霊はもう死んでる。
 って、ごめんね、アリシアはもう死んでるんだっけ?

 こんど那美さんに頼んでお祓いしてもらうのがいいと、なのはは思うのです。













  ♀月♂日

 お姉ちゃんがただおくんの使徒になりました。
 とっても嬉しそうです。
 お兄ちゃんのことが好きだったくせに。

 このアバズレが。

 でもまあ、あんな毒料理しか作れないダメ女でも、一応は私の姉なんだ。
 ただおくんを繋ぐ鎖としては、そこそこマシな部類。
 ここは大きな心でがまん、がまん。
















  ♀月♀日

 淫乱未亡人リンディのせいで、明日からただおくんが月の半分をミッドチルダで活動することに。
 なんなんだろう、あのババア? 砂糖入りのお茶を飲む糖尿ババアの分際で、私のただおくんを連れて行ってしまうなんて。

 ほんと、死ねばいいのに……

 いや、殺そう。











  ♀月♂日

 お姉ちゃんの作ったポイズンクッキーを、化粧ケバイ婆に差し入れしてあげた。
 婆が死んだら、ただおくんがミッドチルダに行かなくなるかも。
 そう思うと楽しくてしかたない。












  ♂月♀日

 若づくリンディがウチの喫茶店でシュークリームを食べてた。
 お姉ちゃんの作ったポイズンクッキーを食べなかったのかな?
 そう思って聞いてみたら、おいしかったわよ?って平然と言われた。
 恐るべし若づくリンディ。
 これが次元世界を支配する組織の幹部の力なのか。
 時空管理局の上層部は、みんなこんなんなのだろうか?
 なのははそんな組織には近づきたくありません。
 今度、ただおくんにも言っておこうと思いました。












  ♀月♂日

 ただおくんに弟子が出来た。
 どんな女だろうか?
 万が一の時のために、ただおくんから貸してもらった陰陽大全で覚えた呪殺の準備をしとかなきゃ。
 これ以上のライバルは必要ありません。










  ♀月♀日

 ただおくんの弟子の殆どが、むさい男と既婚者であることが判明。
 ホッとした。
 人妻には要注意しなきゃだけど、なのはは良い子ですからただおくんのことを信じます。
 だけど念のためにお姉ちゃんが持ってきた、写真付き資料をチェックしときます。
 油断は一生の後悔です。信じることと警戒を怠らないのは違うんだよ。
 で、お弟子さんは、メタボに時代遅れな偽サムライ。
 しゅーなんとか言う格闘技をしているおばさんに、召喚魔法を使う子持ちばばあ。
 うん、これなら大丈夫だよね?














  ♂月♂日

 小学校卒業間近。なのはもそろそろお年ごろ。
 いい加減にただおくんも手を出してくれたらいいのに。
 いつでもなのはは、両手を大きく広げて、ただおくんを待ってます。













  ♀月♀日

 アハ……、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
 アリサちゃんが、抜け駆けした。
 アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
 ただおくんと、エッチした、あのアリサちゃんが。
 私は好きでもなんでもないわよ! なんて言ってたアリサちゃんが。
 そりゃ、なのはも親友のアリサちゃんなら良いと思ってました。
 でも、それはね? あくまでもなのはの次以降なんだって、なんで分かんないのかな?
 私いったよね? ただおくんはなのはのモノだって。
 だいたいさ、まだ小学生のくせにただおくんとセックスするなんて……、ウラヤマシイ……
 何回キスしたのかな? どんな風に抱かれたのかな? 明日、アリサちゃんを呼んで聞いてみよう。
 もちろんすずかちゃんにも来てもらわないとね。
 アリサちゃんを縛るロープを用意して、あとはすずかちゃんに頼んでなんか口をふさぐ物を用意してもらおう。
 そう、確かギャグボールとか言うの。あれをアリサちゃんの口に嵌めてあげるんだ。
 アリサちゃんのアソコから、ただおくんの精子を捻り出す時に騒がれたら困るからね。












  ♀月♂日

 今日のアリサちゃん、いつものツンとした部分が完全に消えて、一日中ふにゃーってなってたの。
 問い詰めようって気すら起きなかった。
 はぁ~、なのはも大人になって、少しはがまんしようと思います。
 そんな訳で、アリサちゃんにはスペランカー3周クリアの刑で許してあげた。














  ♂月♀日

 今日から中学生。
 制服姿をただおくんに見て貰った。
 可愛いって言ってくれた。
 すごく嬉しい。
 なのに……フェイトちゃんとはやてちゃんが、私よりも先に……

 ねぇ、みんな。私、言ったよね?
 私が最初だって……
 なんで分かんないのかな?
 これからフェイトちゃんとはやてちゃん、2人とお話してくるね。









  ♂月♂日

 ウフフフフフフフフフフフフフフフフ。
 さくらさんがただおくんを誘惑した。
 すずかちゃんは知っていたのに、私に黙っているなんて、これはもう裏切り行為だと思っていいんだよね?
 スターライトブレイカーと千の雷。どっちがいいかな?
 明日すずかちゃんに聞いてみよう。











  ♀月♂日

 すずかちゃんにスターライトブレイカー。











  ♀月♀日

 さくらさんにディバインバスター。











  ♂月♀日

 なんか今日はみんな優しかった。
 どうしたんだろう?











  ♂月♂日

 那美さんが仕事で海鳴に来た。
 ミッドから帰ってきてたお姉ちゃんといちゃいちゃしてるみたい。
 百合なの……?
 そう言えば、くーちゃんはただおくんの使い魔なのに、ただおくんと一緒にいないでいいのかな?










  ♂月♀日

 今日も那美さんはウチに滞在。
 寮の方には顔を出さないのかな?
 それはともかく、明日は那美さんに悪霊の祓い方を学ぼうと思う。











  ♀月♀日

 あはっ。

 さっきお姉ちゃんのトコに行ったら、ただおくんとヤッてたの。
 それ位はあんまり気にしてないんだけど、一緒に、くーちゃん。
 ううん、くーちゃんも仕方ない。だってくーちゃんは使い魔だもん。
 悪霊アリシアとは違って、これも仕方ない。
 でもね、そこになんでか那美さんまでいるの。
 おかしいよね? 一度だけの関係じゃなかったの?
 それどころか、お姉ちゃんとくーちゃんと那美さんで4Pっておかしくない?
 なんで、なんで、なんでっ!!
 4人でするんなら、なのはも誘ってくれてもいいと思うの!!
 そうじゃないなら、関係のない那美さんは追い出せばいいんじゃないかな?
 だよね? なのははおかしいこと言ってないよね? なんでみんなわかんないんだろう……












  ♀月♂日

 那美さんに千の雷、時々スターライトブレイカー。














  ♂月♀日

 那美さんが慌てて九州に帰った。












  ♂月♂日

 最近、レイジングハートが私の動きについてこれない。
 こんな不良品を私に渡すなんて、ユーノ君もいい度胸してると思うの。














  ♀月♂日

 ユーノ君と電話でお話。














  ♀月♀日

 レイジングハート改良計画。
 ジェ……なんとかさんがパワーアップしてくれるって話らしい。
 楽しみだ。











  ♂月♀日

 電話越しでスカ……なんとかさんとお話。
 気取っててキモイ。
 でも私の魔力に完璧について来れる様に、レイジングハートをパワーアップしたみたい。
 お礼に今度何かあったら助けてあげようと、義理がたいなのはは思います。














  ♂月♂日

 ただおくんにミッドに来ないかと誘われた。
 これはプロポーズだと思っていいんだよね?
 お嫁さんフラグktkr!











  ♀月♀日

 ミッドチルダ滞在中。
 ただおくんは急に入った仕事があるとかで、2~3日は私の相手が出来ないんだって。
 残念。でも、お嫁さんであるなのは大きい心で許してあげたのです。
 そんな訳で、明日からは一人でミッドの観光をしようと思います。











  ♀月♂日

 知り合いのジェイ……なんとかさんのお家にお邪魔しました。
 ただおくんに浮気だと思われたら困るから、最初は行くつもりなんてなかったんだけどね。
 でも、ジェイさんのお家には娘さんが沢山いるとかで心配ないって話だったから、ちょっとだけお邪魔することに。
 ジェイさんは真正の変態だけど、まあ、なのはとただおくんの邪魔にはならない存在っぽい。
 それどころか、その無駄にありあまる知識が、私とただおくんの明るい未来に活用出来そうな気がする。
 明日も暇だったら好感度を上げに行こう。













  ♀月♀日

 ジェイさんのお家に行ったら壊滅していた。
 ただおくんのお弟子さんに襲撃されたとか。
 せっかくなのはがジェイさんの知識を活用してあげようとしたのに……














  ♂月♂日

 やっとただおくんが帰ってきた。
 女の子連れてだけど。
 名前はキャロちゃん。
 ただおくんが幼女だけに養女にしたって♪
 もちろん、すぐさまディバインバスター・フルバースト。

 で、ボロボロになったただおくんから詳しく話を聞いた。
 何でも尻の穴が小さな部族(ただおくん談)の、人としての器が小さい族長が、大きな力を持ってるキャロちゃんが怖くて村から追い出したんだとか。
 そんなどうでも良い話はともかく、ただおくんの養女ってことは、なのはの娘ってことだよね?

 夫・横島忠夫、妻・横島なのは、長女・横島キャロ。

 うん、悪くない、となのはは思うのです。















  ♂月♀日

 なんでかフェイトちゃんまでミッドに来た。
 なんで? 来ないでよ! フェイトちゃんは邪魔なんだって、何で分かんないのかな?
 なんて思ってたけど、今はぐっじょぶ。
 いっっっっつもただおくんと一緒にいる悪霊とさよさんを連れて遊びに行ってくれたから。
 お姉ちゃんもキャロちゃんを連れてどこかに行っちゃったから、今夜はただおくんとの初夜!

 ……長かった。本当に長かったの。
 これでようやく、なのはとただおくんは、宇宙開闢より決まっていた正しい関係に戻るのだ。
 婚姻届も用意してある。
 なのははまだ中学生だけど、今の内から書いておいてもらえば、16になったと同時に提出も出来る。

 これからは呼び方も変えなきゃね。

 ただおくんから忠夫くん。これが一番かなぁ?

 私のことはなんて呼んでもらおう?

 やっぱり今までどうりに『なのはちゃん』
 それとも『おまえ』

 いやここは、『なのは』って呼び捨てが一番なの!





























 結婚……だと!?

 いや、それはまあ良い。良くはないけど一先ず置いておく。
 さくらさんと那美さんが、突然俺を見て怯えるようになったこと、不思議には思っていたんだ。
 なんかやっちまったんだろうか? そう思っていたんだが……

 まさか本当に、なのはちゃん……が……?

 いや、違う。そうじゃない。きっとこれは何かの間違いだ。

 俺は震える手で、日記を閉じた。

 喉からゼーゼーと変な呼吸音が出る。
 さっきまで身体が火照っていたというのに、何だろう? この寒気は。
 シャワーでも浴びて、身体を温めて、頭の中をすっきりしよう。
 そう思い、ベッドから降りようと腰を上げた。
 すると、ガシっ! 足首を掴む小さな、だけど力強い手。


「どこに行くのかな? 忠夫くん……」


 ヒィッ!? 思わず出そうになった悲鳴を、何とか喉で食い止める。
 俺の足首を掴んだなのはちゃんは、無垢な笑顔で俺に微笑みかけると、発展途上の肢体を惜し気もなく露わにして身を起こす。
 まだまだ小さめな胸をプルンと揺らし、俺の身体にしなだれた。

 なのはちゃんは俺の胸板を満遍なく舐め回し始めると、熱く発情した吐息を吐きながら、陶然と唾液を擦りつける。


「おいし……」


 ポツリと零れるなのはちゃんの言葉に、情欲よりも恐怖を感じるのは何故だろう?
 俺らしくもなく縮こまってしまった相棒を、なのはちゃんは華奢な指で絡め取る。
 キュッと握りしめたと思うと、舌で俺の全身を舐めながらシュッ、シュッ、リズミカルに手首を上下させた。


「くぁっ……」


 思わず呻いてしまった。
 そんな俺の様子に、嬉しそうに目を細める。
 なのはちゃんは俺の上に覆い被さってくると、力を取り戻しつつある肉棒を、自分の女の部分にぴったりと合わせた。
 グチュン、と抵抗なく飲み込まれる。
 まるで、なのはちゃんに喰われるみたいに……
 だけども俺は、何だか分からない恐怖を忘れようと、夢中になって腰を跳ねさせた。


「あは……ンンっ! ひぃぅ……、あぅん、あん、あん、ひぁんっ!!」


 経験なんて無いにも関わらず、やけに慣れた調子で腰を合わせてくる。
 まるで娼婦のように……、いいや、確かにさっきまで処女だった。
 なのに、なぜこんなに上手なんだ!?


「んンンっ、ああぁぁぁぁあああああああ、んぅあっ!!」


 膣道をビクビク痙攣させると、大きく背を反らして絶頂の声を上げた。
 でも、なのはちゃんの動きは止まらない。

 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅん……

 延々と、俺がイクまで続けるのだろう。
 頭がぼ~っと白む。
 揺れるなのはちゃんの胸を手で包み、むぎゅ、むぎゅっとその柔らかい感触を堪能する。
 なのはちゃんは首を左右に振り、長い髪を激しく振り乱し、甘い声を奏でる。
 細かく、いいや、激しく痙攣を繰り返し、目の焦点はどこか遠くに、口の端からは唾液が零れ、顎を伝って胸の谷間を濡らしていった。
 なのはちゃんがイクたびに、シャワーみたいに最奥で潮を吹きかけられ、狭い膣道でギュギュっと締め付けてくる。
 先端に浴びせられる愛液の激流と、柔らかく包むヒダの感触による激しい快感が俺を襲って、目の奥にチカッと星が走り爆発した。

 ドクンッ! ビュッ、ビュクビュクビュク……

 精液が勢いよく解き放たれ、彼女の胎内をたっぷり満たしていく。


「ああ、あん……なのはの中、ただおくんの赤ちゃんの素でいっぱい、だよぉ……」


 ビクッ、ビクっ、痙攣しながらもなのはちゃんは俺にキスを求め、唇が合わさった途端に、これでもかと舌で口の中を蹂躙してくる。
 なのはちゃんの子宮を俺の精液でたっぷり満たした頃、ようやく満足そうに俺の唇から離れた。
 舌で自分の唇についた俺の唾液を、れろぉと美味しそうに舐め取ると、狂気のこもった瞳で俺を見上げるのだ。


「ねぇ、忠夫くん」

「……なんだ?」

「私のなまえ……よんで……」


 この時、自分が蜘蛛の巣にかかった哀れな獲物だと、理解した。

























 まあ、次の瞬間、素早く体勢を入れ替え、激しくなのはちゃんを攻め立てて屈服させたけどな!





 なのはのヤンデレチックな所は、元の世界に帰るまでに何とかすりゃいっか。



 と、問題を先送った。 














 夜が明け、朝になり、みんなが帰ってくる。
 この次元世界における俺の家族が。

 そろそろ着替えて皆を出迎えなきゃ、そう思って立ち上がると、「レイジングハート、セット……アップ!」背中からなのはの声と共にピンク色の光が目映く溢れた。

 後ろを振り返ると白い魔法少女がいる。
 小学生の頃の様に、髪の毛を両端で結ったその姿は、とても清楚で可憐な美少女だ。
 ただし、艶然と微笑む顔がなければだが……
 ゾクリとする程の色気を湛え、確かに屈服させたはずの少女が俺ににじり寄る。
 気づけば俺の身体はバインドで逃げれなくなっていて、パクパクと口を開け閉めする事しか出来ないでいた。

 なのはちゃんは白いバリアジャケットのスカートの端を掴み、そろそろと捲り上げた。 
 栗色の茂み、その奥にある秘境が姿を現し、その秘境がパックリと口を開けている。
 ついさっき注いだばかりの白濁液が、ゴポリ、と音を立てて零れ、太ももを伝い、ベッドのシーツを汚すのだ。
 全裸で仁王立ち状態になったまま固定された俺は、目の前のなのはの淫靡な姿から目を離せないでいる。


「ねえ、忠夫くん」

「な、なんだ……?」

「こーゆーの、萌えると思うの」


 魔法少女のコスチュームを着たままのセクロス。
 確かに股間にある宇宙戦艦ヤマトの波動砲のエネルゴンが充填されていく。
 充分に満足し、萎れきっていたはずのヤマトが、力を取り戻し、雄々しく唸り帆を立てる。
 ビーンとしたその佇まいは、最早神々しいとしか言えそうにない。
 そんな神々しさ満天の相棒に、熱い視線を送るなのはちゃん。


「これから来る人達に、私達の愛を見せつけちゃおうよ。ね、忠夫くん……?」


































 なまえをよんで?

 もっと、何度も、何度でも……








 動けない横島の首に腕を巻きつけ、自らの中に彼自身をパックリ咥え込んだなのはは、その日、他の面々が帰ってくるまで行為を止めようとせず。
 いいや、帰って来ても、まだ……、これからが本番だと、激しく、情熱的に、横島を求める。
 美由希に見せつけ、アリシアに勝ち誇りつつ、フェイトに教え込むみたいに。
 そして、何がなんだか分からないでいるキャロと、2人の……いいや、なのはの行為を唖然と見続けるフェイト達。
 幸せそうに、だけどもその行為には、確かに狂気が混じっていて……
 でもだ、それを見つめるフェイトは、美由希は、アリシアは、さよは……
 そのあまりに熱いなのはの想いに引き摺られ、切ない狂気に、心を犯される。







『わたし、高町なのは。あなたは?』

『俺は横島忠夫。ところで此処どこ?』


 あの日から始まった、すべて







 ねえ、ただおくん

 わたしのなまえをよんで

 そうしたらね?

 その時から

 2人だけの世界が

 始まるんだ

 だから

 わたしと

 ただおくんは

 ずぅっと

























                  いっしょだよ
 
































 とらいあんぐるリリカル ヨコなの!   




 お し ま い ♪























 ヨコなの!終了時 女性データ



 高町なのは 非処女 病愛

 高町美由希 使徒 愛

 高町はやて(八神はやて) 処女 恋

 フェイト・テスタロッサ・高町(フェイト・テスタロッサ) 処女 恋

 アリシア・テスタロッサ 使い魔 親愛

 月村すずか 処女 狂愛

 アリサ・バニングス 非処女 愛

 久遠 使い魔 親愛

 神咲那美 非処女 恋→脱落(千の雷&スターライトブレイカーにより)

 綺堂さくら 非処女 恋→脱落(ディバインバスターにより) 

 横島キャロ(キャロ・ル・ルシエ) 処女 親愛






 非処女は全員が横島にヤラれて脱バージンです。

 使徒、及び使い魔は非処女です(性魔術的に)。







































 次はなんと100万HITなの!




 100万HITスペシャル企画案をちょっとだけ開示するの!!




 A案 とらいあんぐるリリカルヨコなのsts
 (stsは『スーパーな』『高町なのはの』『性事情』の略)

 B案 おまもりリカルなのはと鬼斬り役と
 (ヨコなの世界におまもりひまりが合体!)

 C案 銀河忠夫伝説 ~わが征くは煩悩の大海~
 (ライン春子と銀河統一戦争)

 D案 スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION Y
 (クスハたんとサイコーにドライバーな関係を構築)

 E案 YOKOSHIMA QUEST ~犬姫さまと横島さん~
 (ムーンブルクの王女とらぶらぶファイアー)

 F案 カードキャプターさくら 極楽大作戦!
 (けろちゃんが横島)

 G案 ぼんのうたるもの
 (うたわれるものでアルルゥ&クーヤ&サクヤがヒロイン)

 H案 大横島
 (大悪司 ピーチマウンテンからスタート)

 I案 起動戦士ガンダム YOKOSHIAMA ですてにー
 (ブルーではなく種 ラクスお持ち帰りで種世界が健常化)

 J案 マールでYOKOSHIMA!
 (マール王国物語 3世代踊り食い)

 K案 鋼鉄天使マリア
 (鋼鉄天使くるみ(原作版)で鋼鉄ファイトをマリアと茶々丸でGo!)

 L案 スクラップド・プリンセス ~煩悩男との艶恋歌~
 (マウゼルといちゃついてみよう!)

 M案 もともと永遠だったYOKOSHIMA
 (永遠のアセリアで横島ラキオスに召喚、後、大暴れで速攻王様ブッ殺!ルート)

 N案 霊能騎士(オカルティックナイト)YOKOSHIMA
 (魔法騎士レイアース(原作版)でモコナに召喚されちゃった)

 O案 キーやんのママがみてる 2nd
 (アレの続き)

 P案 Fate/イリヤとしないto!
 (続きが思い浮かばない(汗))

 Q案 ヨコアスなの! ~アスナVSなのは~
 (時間軸はわかるな?きっとただじゃすまないww)




 どこまで本気なのっ!?
 





[11660] キーやんのママがみてる&Fate/イリヤとしないTo!
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/05/10 00:21






 穢れを知らない無垢な少女が、天使の微笑を浮かべながら門をくぐり抜けていく。

 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。

 もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒なんて一人しかいない。


 私立リリアン女学園。

 ここは、乙女達の園……




















  ヨコアス外伝  キーやんのママがみてる 超!加筆修正見直し版



















 HR開始のチャイムが鳴る中、一人の少女がマリア像の前を通り抜けた。


「遅刻ぅっ! このままやったら遅刻してまうっ!!」


 サラサラとした長く黒い髪をなびかせながら、少女は必死に走り抜ける。

 少女の名前は横島タダヲ。

 『身体』は正真正銘の『乙女』

 でも、その正体は……、Dr.カオスの実験により、女になってしまった横島忠夫である!

 彼は元の男に戻る力、薔薇の名を冠する少女の破瓜エネルギーを文珠に集めるため、此処、リリアン女学園に転入したのだ!
















「おっはよー! 祥子ぉ!!」

「もう、また遅刻ギリギリなの? あなたももう2年なのよ、いい加減落ち着いたらどう?」

「祥子がキスしてくれるなら考える!」

「はあ、まったくあなたって人は……」


 タダヲは、祥子の隣の席に座ると、彼女の肩にしなだれかかる。

 途端に周囲から「キャー!」という歓声が上がった。


「タダヲさんと祥子さんの絡みが見られるなんてぇっ!!」


 そんな声に応える様に、タダヲは顔を上げると、祥子の唇の少し横に自分の唇を押し付けた。


「もうっ! なにするのよっ!!」


 怒った口調ではあるものの、顔は怒ってはいなかった。

 いいや、それどころか、嬉しそうに釣り目がちな目が垂れ下がっている。


「ね、祥子。今日、どう……?」


 タダヲの言葉に、やや躊躇いがちに、だがしっかりと頷き返す祥子。

 真っ赤な頬を緩ませて、とても幸せそうに微笑んだ。




















 授業が終わり、放課後。

 タダヲと祥子はチラッとだけ目が合う。
 これから薔薇の館で生徒会の仕事だろう祥子は、タダヲの耳元に口を寄せると、


「少しだけ待っててちょうだい。お姉さまに今日は用事があって残れません、って言ってくるから……」


 タダヲの胸がドキンっと高鳴った。
 そのつもりでこの1年間、ずっと彼女を口説いてきた。
 でも、いざそうなると、少しだけ戸惑ってしまう。

 いいのだろうか……? 中身男であることを黙ったままで……

 だが祥子はそんなタダヲの気持ちなどわかっているとでも言わんばかり。


「何を戸惑っているのよ。私がいいと言っているのだから、タダヲは気にせず目的を遂げなさい」

「へっ!?」


 焦って祥子の方を振り向く。
 けれど、彼女はそんなタダヲを置いて、さっさと教室から出て行ってしまった。

 もしかして正体がバレているのだろうか?
 彼女は小笠原財閥の令嬢だ。
 タダヲの徹底的な身辺調査をしたのかもしれない。
 だとしたら、彼女は私(俺)の正体と目的を知ってて……?

 祥子の残り香を胸いっぱいに吸い込むと、さっき感じていた罪悪感からきた鼓動が、違う意味のドキドキに変わる。


「終わりだーーーーーっ!! これから先、変態カマ野郎の十字架を背負って生きる事になっちまったーーーーーっ!!」











 廊下を歩きながら聞こえてくるタダヲの叫び声。

 祥子は口元を押さえてクスリと笑った。

 彼女(彼)の正体を知ったのは2年に上がるとき。
 初めて出来た親友の正体を知ったとき、祥子は裏切られたと思う反面、どこか納得もしていた。
 祥子の婚約者だった柏木優が、彼女に関心を寄せていたからだ。
 それも尋常ではない程の関心、明らかに恋愛感情としか思えなかった。

 ああ、男の人だったのね。だから優さんは……、流石は男色家。あなどれないわ。

 それから大よそ半年の時間が過ぎ去り、その間ずっと彼女(彼)を観察してきた。
 その結果出た答えは、タダヲはタダヲ。それ以外の何者でもない。そんな答え。
 彼女は親友で、そして周囲の認識通りに、今日、遂に本当の恋人同士になるのだ。

 沢山いる『彼』の恋人達のコトは調べがついている。
 でも、『彼女』の恋人は私が最初。そして、最後。
 なぜなら、薔薇の名を冠する乙女の破瓜エネルギーを回収させるのは、私が最初で最後だから。

 お姉さま方にも、そして、令とその妹や、白薔薇の蕾の志摩子にも手は出させない。

 あの長く黒い髪も、クリッとした愛嬌のある目も、細身で、でも意外とがっしりしている肢体も、ぜーんぶそのまま。
 これから先、タダヲはタダヲのままで、ずっと、ずーっと……

 逸る気持ちを抑え、優雅に微笑みながら颯爽と廊下を歩く。
 頬は桃色に、目元は柔らかく垂れ、唇はしっとり、お腹の奥がきゅんとする。



 にこにこにこに、今日も紅薔薇の蕾は絶好調だ。


















































 後書き

 いや、だから言ったっしょ?
 大した内容じゃないって。

 短っ!? って思われた方、最初期バージョンはコレの5分の1。
 最終バージョンでも半分程度なんだぜ?
 エイプリルフール嘘企画なんだから、多大な期待をしてもらっちゃ困る。
 当然の事だけど、続きなんてないからね。



















 更におまけ

 感想にて、次のHIT企画は型月で、ってあったんで、ちょっと妄想してみた。
 でも型月SSは色々とアレなので、妄想垂れ流しで終了ww










 ヨコアス外伝  Fate/イリヤとしないto! 



 サーヴァントデータ

 クラス:ゴーストスイーパー

 マスター:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

 真名:横島 忠夫

 性別:男性

 属性:神性・淫

 能力

 筋力:B  魔力:B

 耐久:C  幸運:E~A (そん時によって上がったり下がったり)

 敏捷:A  宝具:E-~EX

 保有スキル

 霊力:A
 対魔・対霊特効

 飛燕剣:B
 異世界ディル=リフィーナの東方に伝わる剣術
 対人、対軍ソードスキル

 絶対回避:A
 1日に1回、どんな条件下でも敵性攻撃を回避出来る

 煩悩全開:EX
 聖杯戦争中、1回だけ使える魔力増幅技能。
 ただし、使えば女性陣から総スカン

 逃亡:A
 どんな不利な状況だろうが逃げてみせる

 性魔術:A
 性行為による魔力の収奪行為、及び精神支配が可能な儀式魔術

 文珠作成
 強引な世界移動により、この世界限定で作成に制限がついている
 仮マスターであるイリヤたんとのセクロス1回につき、通常文珠2個、ハイパー文殊1個
 その他女性とのセクロス1回につき、通常文珠1個 の作成が可能
 転移時の文珠所持数は0
 元々持ってた分は家に置き去りっぽい

 令呪無効
 令呪?なにそれおいしいの?
 当然、ブーストとしても使えない

 ナンパ
 成功する確率1万分の1

 身体保持
 1日に一回イリヤたんとエッチしないと死んでまう

 ギャグ補正
 ギャグっぽかったら死なないっぽいよ

 計画無効
 横島がいる限り、どんな謀もあっさり崩れるさ!

 お持ち帰り
 全てが終わると、気に入った女の子は自分の世界に持って帰ってハーレム要員




 宝具

 『さよちゃんあたっく(竜の牙)』
 ランク:E  種別:対人宝具  レンジ:1~2 最大捕捉:1人
 竜神小竜姫の力が宿っていた神器に住み着いちゃった元浮遊霊、さよのちょっと頑張った攻撃。
 ぶっちゃけ使えないが、霊力や飛燕剣と合わせる事により、そこそこ使える力が発揮されたりされなかったり。



 『さよちゃんといっしょ(相坂さよ)』
 ランク:A  種別:対人宝具  レンジ:1 最大補足:自分
 竜の牙の精霊たる相坂さよとの合一により、全パラメーターが2ランク上がる。
 ついでに体内に貯蔵されている文珠の制御等も行えるが、そもそも聖杯戦争中はそんなに文珠を持ってないんで意味はない。
 さよちゃんと抜かず3回戦をした後か、主たる横島のピンチ以外には発動しない。



 『アリシアがんばる!(ニーベルンゲンの指輪)』
 ランク:E-  種別:対人宝具  レンジ:1 最大補足:自分
 魔族ワルキューレの力が宿っていた魔具に住んでる幼女霊、アリシアの絶対(笑)防御。
 頑張れば子にゃんこ3匹分の攻撃を防ぐことが可能。



 『アリシアといっしょだもん(アリシア・テスタロッサ)』
 ランク:E  種別:対人宝具  レンジ:1 最大補足:自分
 ニーベルンゲンの指輪の精霊っぽくなってるアリシアとの合一により、全パラメータが軒並みE-って笑えね?
 ただし、猫さんからの絶対的な親愛を無条件で手に入れる事が出来たりする。



 『魔神を解放せし救いの霊撃(竜の牙+ニーベルンゲンの指輪)』
 ランク:EX  種別:対人宝具  レンジ:1~2 最大補足:1人
 地上を侵攻してきた超上級魔族アシュタロスの対界宝具『究極の魔体』を破壊し、アシュタロス自身を時の牢獄から解放した一撃。
 (主観的に基づいた話で、事実とは微妙に異なったりそうだったり)
 致命的な弱点さえわかれば絶対に殺せる。致命的な弱点がわかったらな。
 発動条件はマスターとのハイパー文珠による『合/体』



 『全てを滅する嘆きの砲火(逆天号)』
 ランク:EX  種別:対界宝具  レンジ:10~∞ 最大補足:天体規模
 超上級魔族アシュタロスの先兵として、神魔の拠点を次々に殲滅していった悪夢の兵鬼。
 その兵鬼を、人界最高の錬金術師Dr.カオスが異世界間移動航行艦として改造し、更には異世界の魔導科学の結晶を詰め込んだ。
 主砲にアルカンシェル断末魔砲。一個の天体を軽く滅ぼす力がある。
 ただし、そのあまりの力に驚愕した神魔の最高指導者が、アルカンシェルを完全に封印した。
 よって、現在ただの(?)異世界を移動するための航行艦である。
 召喚するには、文珠65535個が必要。
 ぶっちゃけ聖杯戦争中は出てこれない(笑)





 横島忠夫wiki

 超上級魔族アシュタロスを倒した英雄の一人。
 だがその数年後、テロリストから人々を守る為に自分自身を犠牲にし、彼は次元の彼方へと消え去ることになる。
 しかしゴキブリ以上のしぶとさで、数十年後になんでかひょっこり顔をだした。
 その後は、美女・美少女・美幼女を多数囲ったハーレム野郎として、全世界の持たざる者達の憎しみを一身にうけて反英雄となる。
 称号として『ロリコン神』『ペドキング』『淫行帝』『この世全ての男の敵(あんりまゆ)』















 



 Story
 

 イリヤたんに召喚される横島。
 でもイリヤたん、令呪はあるのに一切言う事を聞かせられない。
 『サーヴァントになりなさい!』『いやじゃ』
 涙目の少女に罪悪感を感じる横島。
 だったら俺の世界の契約方法で少しの間だけなってやる、と性魔術えっちらおっちら。
 イリヤたんの初めて美味しく頂きました!
 その時ポンっと出来た文珠をアインツベルンの当主にプレゼント。
 すると聖杯?なにそれおいしいの?状態になる。
 きっと根源だったかなんだったかが見えたり見えなかったりしたんだろう。
 その後、聖杯戦争の開始を聞いても、横島「メンドクセ」、当主「もういいんじゃね?」状態だったが、周囲が煩いし変に思われるのも何なんで仕方なく参戦。
 聖杯たるイリヤではあったが、もう聖杯イラネ状態だったんで、これが終わったら好きにしていいよ、ただし文珠を100個くれたらね、って言われる。
 そんな訳で冬木に到着後、ひたすらセクロスに励んだりしながら遊び暮した。



 VSアーチャー戦……イリヤを抱えて神速の逃げ足。
 VSライダー戦……ワカメをはったおし本を奪う。
 VSランサー戦……ナンパ勝負にて敗北。
 VSセイバー戦……たけのこの里をあげたら懐いた。
 VSアサシン&キャスター戦……アサシンと門前でグチり合う、それを聞いて怒って出てきたキャスターの剣幕にビビッて逃走。
 VS黒桜戦……文珠で蟲を全部浄化、ついでにライダーを返してあげた。黒くなったのは士郎と凛がセクロスしてたのを目撃しちゃったから。
 VS臓硯……文珠で蟲を浄化したら消えちゃった。
 VS金ぴか戦……アーチャーがんばれ。
 VS似非神父戦……気づいたらしろーとりんちゃんが凹ってた。
 聖杯の破壊……セイバーのエクスカリバーがビカッと光った。
 VSアンリマユ……こっそり黒桜が捕食した。

 横島、宝具使用回数ゼロで聖杯戦争終了しちゃう。

 撃墜サーヴァント……無し
 撃墜女性陣……イリヤ、リズ、セラ、ライダー、黒桜

 総括……役に立ったり立たなかったり。







 















 聖杯戦争が終わり、それでも尚生きている自分。
 タダオへの感謝の念が胸に広がる。
 でも、すぐにそれが悲しみでいっぱいになった。

 だって、彼は、


「かえっちゃうの、タダオ……」


 私は涙声でそう言った。
 彼を困らせるのが分かっていながら、言うのを止められないのだ。
 セイバーに、アーチャーも、自分の居るべき場所に帰ってしまったのだから、やっぱりタダオも帰らなきゃならない。

 この世界に居る気満々なライダーの姿が気になるが、タダオに教えてもらった異世界の使い魔契約が、黒桜との間に結ばれているからだろう。
 そうでなくてもタダオ自身は実のところ英霊ではない。彼には元の世界で待っている家族がいるのだ。

 でも、帰ってほしくない。ずっと一緒にいたかった。
 わたしを救ってくれた彼と、ずっと一緒に……

 だから、次の言葉には心底驚いた。


「もうちょい遊んでくつもりだぞ?」

「……はぁ!?」


 一瞬、彼の言葉が理解出来なかった。
 でも、じわじわその言葉の意味が分かって、そして、爆発した。


「タダオーッ!!」


 両手を一杯に広げ、大好きなサーヴァントの胸に飛び込んだ。
 いいや、聖杯戦争は終わってしまったのだから、彼はもうサーヴァントではない。
 大切な人だ。大好きな人だ。


「それによ、元の世界に帰るときも、一緒についてくりゃいーのでは?」

「えっ? 第2魔法だよ!?」


 そんな私の疑問をよそに、盛り上がりをみせる周囲。


「お嬢様が行かれるのでしたら、私どもも共に行かねばなりませんね。ヨコシマに任せるのは不安ですから!」

「セラは少し素直になった方がいい。もちろん、イリヤと一緒にリズも行くよ」


 近くでライダーが私も、とか、その後ろで、私も一緒に行かないとダメなんでしょうか?とか言いながらついて来る気満々な黒桜もいる。

 平行世界移動が出来る事を、誰も疑問に思ったりしてなかった。
 よくよく考えてみたら、そういえば結構簡単に出来るって言ってたっけ。

 だったら、これからも、ずっとずーっと一緒なんだ。



「さすがは文珠……なの? タダオ?」

「まあな。だ・か・ら! さっそく作るとしよっか!」


 いつものエッチな笑みを浮かべ、私を抱きしめる力が強くなる。

 頬が熱くなる。
 胸がきゅ~ってなる。

 唇を彼の唇によせ、ちゅっと音を立てて重ね合わせた。
 タダオの舌が私の口の中を蹂躙する。
 舌があっという間に彼に囚われ、ぴちゃぴちゃと舐め合いながら唾液を嚥下していく。
 肢体が火照り、アソコがじゅんと濡れてくる。
 それを羨ましそうに指を銜えて見るリズとライダー。
 はしたない!なんて言いながら、やっぱり羨ましそうなセラ。
 次は私もお願いします。なんてヌケヌケと言ってくれる黒桜。
 そんな彼女達を横目に、タダオの手が私のスカートの中に侵入し、さわさわと下着を撫でる。
 お尻からアソコにかけて、じっくり、ねっとり……


「ん……、タダオぉ……すきぃ……」


 頭がぽや~っとしてくる。
 気持ちいいよ……、もっと、して……タダオ……

 でも、シロウとリンのキツイ怒鳴り声で、意識が現実に戻された。


「ちょっとそこのエロサーヴァント! なにやってんのよっ!!」

「そ、そうだっ! イリヤはまだ子供なんだぞ!」


 魔術師のくせに、これくらいでグダグダ言わない!
 それに、これからもっとスゴイ事をするんだから、ねっ?

 こわーい2人から逃げる為に、タダオは神速の逃げ足で世界を駆ける。
 その後ろからセラを抱えてついて来るリズに、同じように黒桜を抱えてついて来るライダー。


「くふふふ……」

「イリヤ、楽しそう。良かった」


 リズの嬉しそうな声。
 暖かいタダオの腕の中、もの凄い速さで流れる風景。

 そんな中、私は私の楽しい未来を思い描く。

 タダオと出会うまで、考えたこともなかった未来を。


 お金はある。時間もある。何より……


 追いかけて来るシロウを見る。

 私の義弟。あの人の息子。

 その彼を見て、私は心の中であの人に別れを告げた。


 ばいばい、キリツグ。


 私はみんなと、なにより彼と、新しい家族になって、


「いっけぇーっ!!」

「うっしゃー! しっかりつかまっとけよ、イリヤ!!」


 生きていく。
















 おしまい。

 


 さあ、ツッコむんだ!



[11660] 100万HITスペシャル企画
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/12/07 08:55


「なんだ? この白まんじゅう」


 ある日、ある時、ある場所で、彼、横島忠夫は不思議な生き物に出会った。
 額に紅いルビーのような宝玉が貼り付いた、マシュマロみたいな不思議な生き物。

 ぷぅぷぅ♪ 機嫌良く鳴きながら、横島の足元をウロチョロ、ウロチョロ。


「新種の妖怪か……?」

「ぷぅっ! ぷぷぷぅ~」


 横島にとって、この手の不思議な生き物に懐かれるのはいつものことだ。

 この世に生を受けてから、おおよそ二百年。

 最早、対処にも慣れきっていた。


「もう帰るんだけどよ、いっしょに来るか?」


 いやそ~に、そう言う横島。

 そう、この白まんじゅうから面倒事の匂いが、もうっ! って位に凄まじい。
 逃げられるモンなら逃げ出してしまいたいほどだ。
 でも、逃げても追っ払っても無意味。
 結局は巻き込まれ、下手をすればもっと面倒になったりさえするのだから。


「ぷぅ~、ぷぷ~っ!」


 横島の問いかけに、嬉しそうに首……はないけど上下して頷いてみせる白まんじゅう。
 そうして身体(?)を屈め、勢いをつけて……ビョンッ! と跳びはね、横島の頭に乗っかった。


「ぷぅ! ぷぅ! ぷぅ~!」


 そのまま頭の上でビョンビョン跳ねながら、とても楽しそう。

 多分、さっさと連れて行けとでも言ってるんだろうな。

 横島は小さく乾いた笑いをしながら、ゆったりとした歩調で家に帰るのだ。

 この10年ばかりの平和な時間。

 それが終わりを告げたと、誰に言われるまでもなく自覚しながら……




 そう、今この瞬間から、横島忠夫の新しい試練が始まったのだ。

 数多の世界を駆け抜け、数多の世界に救いをもたらす戦いがっ!



 なんて予定は特に無い。




















        PV1000000HITありがとうスペシャル企画























 横島の予想を覆し、数週間が過ぎ去った今も、何事も起きずに静かに時が流れていた。

 週に一度は行われるアスナとなのはのガチンコバトルを見つつ、
 膝にイリヤの尻。
 右腕にあやかのボイン。
 左腕にフェイトのボイン。それらの感触に鼻を伸ばす。

 ただ、頭の上を跳びはねる、

「ぷぷっぷぅ~、ぷぷぷぷぅ~♪」

 この白まんじゅうだけは余計だったが。


「ご主人さま、予想を裏切り何も起きないですね?」


 エターナルロリータの称号を横島から贈られているメイド服の少女が、手に持つお盆から飲み物を手渡しつつそう言った。
 その立ち振る舞いは、百年を越える研鑽の賜物なのか、とても自然で、ただのメイドとは思えないほどに優雅である。


「うーむぅ……、俺の勘も衰えたんかな~」

「いえ、こんなの誰が見ても面倒事だと思うですよ?」


 ロリメイドの視線は当然に白まんじゅう。
 どこか咎める様なその視線に、だが白まんじゅうはどこ吹く風。


「ぷっぷぷぅ~♪」


 実に楽しそうだ。

 気がつけば、恒例のアスナvsなのはも終わりを告げ、2人仲良くノックダウン。
 初めの頃はアスナの一方的勝利が続いていたのだが、最近はなのはの巻き返しが凄い。
 アスナもそんななのはに警戒しているのか、この頃は修行に励んでいる姿を良く見かける。
 そんな感じで戦闘力がグングン伸びて……横島はこの2人、どこまで強くなるつもりだ!っと恐怖を感じていた。

 なんせ、今はもう勝てる気がしない。

 ただでさえ才能に溢れる2人。それが衰えぬ身体で数十年休むことなく修行を重ねたのだ。
 修行なんざしない横島を越えるのは当然の理だろう。
 とは言っても、下半身のバトルでは絶対に負けない自信がありはする。
 一日といえども、欠かさずにセクロスバトルをしているのだからっ!


「んじゃ、見せ物も終わったし、そろそろ寝るとすっか」


 見せ物じゃないわよっ!?

 なんて声が聞こえてきた気がするものの、横島も、その周囲の女達もかる~くスルー。

 まったく相手にしない。

 正直、このやりとりを10年以上繰り返しているのだ。
 最初はグダグダ言っていた纏め役のあやかでさえ、最近では何も言わずに放置である。
 ぶっちゃけ、何か物を壊すとか、周囲に迷惑をかけるとかじゃない限り、もうどうでもいいのだ。
 それに、今もフェイトとイリヤに、「今日は小さい忠夫さんでイキませんこと?」などと言いながら、きゃっきゃっウフフ状態だし。
 ショタだお推進委員会会長を務める雪広あやかは布教に熱心である。
 しらけているイリヤはともかく、フェイトなんかは、「初めて会った頃のちっちゃいタダオ……」なんてホッペが赤くなっていた。

 これは危ない流れだ……

 横島は自分に引っ付いている3人を纏めて抱き寄せると、これ以上話が変な方へと逝かないように、本日のメインディッシュを頂くことにした。
 今日のローテーションは、あやか、イリヤ、フェイトの3人。
 本来だったら出会うことが無かった筈の3人を、横島は自分のベッドの上でまとめて愛するのだ。
 そんなルンルン気分な横島は、今日はどんなプレイでいこっかな~、なんて考えながら寝室へと向かう。
 期待から股間が唸り、ズボンがもっこり盛り上がっている。
 あやかも、イリヤも、フェイトも、瞳が潤んでいた。
 女の匂いをかもしだし、スリスリと身体を擦りつけてくるのだ。

 はやくはやくはやく……

 横島だけじゃない。女達もまた、横島を求めて身体が熱い。
 この所の横島は、戦闘力等の向上はないものの、なにやら神気めいたモノをまとっていた。
 胸の神核が、完全に身体に馴染んだ証拠。
 最早、横島は神魔の一角に名を連ねてもおかしくはない。

 ただ、流石に元が人間であるだけあって、昔以上に使徒との交わりが必要となってはいるが。

 それにつられているのか、彼の使徒達も横島を激しく求め……
 それとも横島の心の負担を減らすために、そんなフリをしているのか?
 恐らく後者ではあろうが、まあ、どちらにしても、横島に百年近く開発されまくっている肢体。
 彼に軽く触れられるだけで、恍惚と痙攣してしまう。
 そんなエッチな身体を、アスナとなのはがバトっているのを観戦中、ずーっと愛撫され続けていたのだ。

 キスして欲しい。唇だけじゃなくて、色んなところに……

 そう想って瞳が潤んでも仕方ないだろう。



 でも、その願いは叶わないのだ。



 突然、横島の頭上で跳びはねていた白まんじゅうの額の紅いルビーが、黄色く色を変えて激しく輝きだした。

 驚いて目を大きく見開く女達。

 そして、頭上の白まんじゅうから凄まじい力を突如感じる様になった横島も、大きく目を見開いた。
 その力の大きさは、異常なんて言葉がいっそ生易しい。

 桁が違う。

 横島が知る最強の力の持ち主、アシュタロスさえ頭上の白まんじゅうに比べれば赤子以下の存在。
 いわんや、横島と頭上の白まんじゅうとを比べたら……
 逃げようにも頭に貼り付いている今、それが叶う筈もなく。

 どうすれば……

 そう思ったその時だ、



 ───時は来た。

 

 直接頭に響く声。

 頭の上だから横島には見えないが、白まんじゅうは背中に真っ白い翼を生やし、神々しく光り輝いていた。

 何度も言うが、なんでか横島の頭の上で。
 余程気に入ってるのだろうか?
 離れようとする素振りが全く無い。




 ───横島忠夫、汝に願おう。

 一つの世界を救わねばならなくなった気高き心の持ち主。

 その心の持ち主の手助けをして欲しい───




「それは……女か? 美人のねーちゃんだなっ!?」




 ───そうだ。14才の……美少女。




「チッ! ちょい若すぎんな……」


 横島のその言葉に、じと~っとした視線を向ける複数の女達。
 彼女達の心は一つ、今更何言ってんの? このバカ! である。




 ───だが、今のお前では、それは叶わぬ願い……




「修行でもしろってーのか?」




 ───違う。我が与える力の半身を探すのだ。
 そして、その力を完全に自らのモノとした時、再びお前の前に現れよう───




 相変わらず横島の頭の上で、神々しい光を発しながらそう言う白まんじゅう。
 その白まんじゅうの口が丸く開くと、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ……周囲の空間とは違う空間が、その口の中に現れた。

 そして、丸く開いている口を、ガバッと大きくすると……バクンッ!!

 横島の頭にかぶりついたのだ!
 じたばた抵抗しながら、頭から首、そして胴体へと、徐々に白まんじゅうに食われていく横島。

 とてもシュールな光景である。

 そして遂に足の爪先までもが飲み込まれると、白まんじゅうは満足げに口を閉じ、

 けぷっ

 っとゲップした。

 完全にこの世界から消え去った横島。
 使徒達は彼と繋がりがあるために、それが解る。
 生きてはいる。だが、この世界にはいないと。

 そうして思うのだ。

 なぜ?

 彼を行かせるならば、使徒である自分たちもなぜ一緒に行かせないのだ?
 ギンッ! と厳しい視線を白まんじゅうへと向ける使徒+α。
 特にあやかとフェイトにイリヤは、とても恐ろしい眼光だ。
 ようやくの夜のお勤め日。
 それが、台無しになったのだ。
 恨まずにいられよう筈がない。

 だが白まんじゅうは、「ぷっぷぷっぷ~~♪」楽しそうに鳴きながらビョンビョン跳ねる。

 跳ねて跳ねて跳ねて、そして、突如その姿がこの世界から消滅した。


「ちぇっ、逃がしちゃったか……」


 イリヤは柔らかい口調でそういうものの、その顔は恐ろしいまでの怒りを含んでいた。
 そして思いついたのか、足をとある方向へと向けて動かし始める。


「マッドどもの巣窟に行くわよ!」


 その言葉に、その場に居た全ての女達が頷いた。

 追いかけるのだ。彼をっ!
 そして、あの白まんじゅうに、報復の放火をっ!!

 この場に居る全ての女達の心は一つになった。

 アスナも、なのはも、イリヤも、その他諸々に、横島の姓を持つ娘達も……

 初めて全員の心が一つになった。

 そう、これ以上の女(ライバル)は必要ないのだっ!


























 さて、そんな感じで女達がヒートアップしていた頃、件の横島忠夫は、子供みたいにはしゃいでいた。
 様々な世界を渡り歩いて来た彼だったが、目の前の光景は、そんな横島の漢心をくすぐるものだったからだ。


 崩れ落ちるドーム状の建物。
 その周囲を飛び交う虫の形をした飛行物体。
 そして、それ等を迎撃する白いロボット。


 しばし、そんなSFチックな光景に見惚れていた横島だったが、崩れ落ちたドーム状の建物の近くで怪我をして倒れている少女を発見した。

 目の前の漢心をくすぐる光景なんぞより、女の子の方が大切だ!

 当然の様に横島はその少女の下へと駆け寄ると、頭から血を流している少女を抱き上げた。
 そうして安全そうな建物の影まで連れて行き、膝に少女の頭を置くと、額の患部に霊力を流してヒーリングしていく。 

 少女は、年の頃は18才くらい。
 髪は青空色のショートヘア。
 この少女の、特に特筆すべき点は一つ。
 苦しそうに身をよじる度に、ブルンブルン上下に揺れるオッパイだろう。

 ノーブラか……?

 いいや、横島アイにはこの娘がキチンとブラをしていると出ている。

 だとすれば……!
 なんて……、なんて神秘的なオッパイなんだっ!!

 白まんじゅうへの怒りは消え、逆に心からの感謝を送りたい。


 こんな素晴らしいおっぱいの所に連れて来てくれて、ありがとう!


 そんな素晴らしいオッパイを凝視しつつ、それでもしっかりと少女の傷を癒していると、


「う……うう……りゅ、りゅうせい……くん……」


 少女のその言葉に心底絶望した。
 なんせ、ナンパする気満々だったのだ。

 それなのに、ああ、それなのに……目の前のおっぱいが、男憑きだったなんて……っ!!


「あ……あの、アナタは……?」


 そうこうしている内に完全に覚醒してしまったのか、少女はやや不審な者を見る目つきで横島に尋ねた。
 確かに、目を覚ますと見知らぬ男の膝枕だったなんて、ビックリにも程がある。

 
「うん? ああ、横島だ……」


 男付きである事実にガッカリしてしまっていた横島は、非常に元気の無い声で、少女の問いかけに答えた。

 答えになっていない答え。
 でも、特に害がある人じゃない。

 少女はそう確信すると、不意に気づいた。


「あれ? そういえば私、怪我をしていたと思うんだけど……?」


 首をコテンと傾け、不思議そうに呟いた。
 ちなみに、首を傾けただけで、横島の目の前のケシカランおっぱいが、ブルンっと上下に揺れたのは、実にケシカラン。
 そんなお前がけしからんよ! な横島は、


「俺が治したんだよ」


 と言いながら、再び霊力によるヒーリングをしてみせた。

 もう殆ど残ってはいない傷。
 それでも女の子の顔だ。
 毛筋ほどの怪我でも残すわけにはいかない。
 それに、目的もあった。
 この世界で、この手の力がどう見られるか。
 日常的に使われるなら良し。
 禁忌な力ならばこの先隠す。
 知られていないのならば、やっぱり隠す。

 それを、目の前の体内に恐ろしいほどの霊力を内在させている少女に使う。
 この世界で普通の力なら、簡単に礼が返って終わり。
 隠されていたり、使われることのない様なモノなら驚きの顔を見せる。

 禁忌ならば、嫌悪の表情だろうか……?

 まあ、それはこの子の性向しだいだろうが。
 ともかく、そんな試金石的意味合いもあったのだ。
 もちろん、メインはこの娘の傷を治すことだが。 
 そして、少女の反応は……驚きだった。
 目をパチクリさせている。


「あ、あのっ! この光は、いったい……」

「これか? これは霊力って言ってだな、こうやって怪我を治したり、悪の化け物を退治したりする時に使う力だよ」


 少女の反応から、この世界ではこの手の力は使われていないか、それとも隠されているかのドチラかだろうと当たりをつける。
 様々な世界を渡り歩いた経験からそう判断すると、目をキラキラさせて色々と聞きたそうにしている少女の手を引き、少しひらけた所にでた。

 ロボットの戦いがいよいよ佳境に迫って来たからだ。

 周囲を飛び交う虫型の飛行物体の攻撃が激しさを増し、それに呼応するかのように、ロボットの動きも洗練されていく。
 一体づつ確実に、拳と、サイキックソーサーみたいな兵器で虫型飛行物体を破壊していく白いロボット。

 そして、そんなロボットの活躍に、


「りゅーせーくーんっ、頑張れーっ!!」


 ピョンピョン飛び跳ねながら応援する少女。
 当然、おっぱいは激しく揺れていた。


 もったいねー、もったいねー。


 横島は少女のおっぱいをガン見しながら、呪詛のように呟いた。

 と、その時だ。目の前の空間が歪みを見せたのは。

 ビシッ! ビシビシビシ……ッ!!

 音を立て空間が歪み、軋み、その先から、大きな青い手が飛び出した。
 それから三角の頭が、そして、足、胴体……、そう、2機目の巨大ロボットである。


「すっげー」


 思わず飛び出した言葉。

 この世界、なんてちゅうに心をくすぐる世界なんだ!

 女の子に囲まれ楽しくエロスに過ごす毎日だったが、どうやらこんな刺激も欲しかったようだ。
 横島はここ最近の停滞していた日常から飛び出し、本当に滅多に無いことだが、楽しさと喜びでワクワクがどうにも止まらない。
 だが、そんな横島と違い、さっきまで白いロボットを応援していた少女の顔が、恐怖に染まった。
 身体を緊張させ、不安そうに白いロボットと青いロボットを交互に見る。

 横島もそんな少女の様子に気づき、


「あれ、敵なんか?」

「私にはわかりません……、で、でも! なんかとっても嫌な感じがするんです!」

「ふ~ん……」


 気のない返事を返し、視線を2機のロボットに戻す。
 2機のロボットは、確かに対峙し、緊張を高めていた。

 そして、先に動いたのは白いロボット。
 サイキックソーサーみたいな兵器を青いロボットに向けて発射した。


「ダメだろ。動きが素直すぎる」


 横島の呟き。

 そして、その通りに青いロボットは簡単にその攻撃をかわした。
 そして続けざまにどこからともなく槍を取り出すと、白いロボットの胴体目掛けて突き出すのだ。

 シュザザァァアアッッ!!

 衝撃だけで地面を抉るその一撃は、胴に吸い込まれる寸前、白いロボットが右腕を犠牲になんとか回避。
 だが、槍撃を喰らった腕は破壊され、宙をクルクル舞い、そして地面に激突する。

 その衝撃で揺れる大地。

 顔を真っ青にする少女。

 少女は焦った様子で横島の方に向き直ると、彼の手を握り締め、必死の視線をむけた。


「助けて! リュウセイ君を助けてくださいっ!!」


 そう、少女の脳裏に浮かんだのは、さっきの暖かい光。
 もしかしたら、目の前の青年ならなんとか出来るかもしれない。

 だって、悪い化け物を退治する力だって言ってたもの。

 だけども、横島だってそんな事を言われても困る。

 幾ら何でも、目の前の巨大ロボット同士の戦いに割り込むなんて冗談じゃない。
 全力全開でいけば倒せそうな気もするが、流石にそこまでしようとは思えない。
 第一、そんな事をすれば目立つではないか。
 ああ言う巨大兵器があると言うことは、生身での超人的な存在が、この世界には居ないのだろうから。
 とは言え、目の前で必死に助けを求める少女の願いを無下にはしたくない。
 例えそれが自分以外の男を想ってのことだとしてもだ。

 ん~~、しゃーないか……

 少女に聞こえぬように「タハハ……災難や……」と諦めた笑いをすると、横島は体内に存在する神核を全開に回し、力を外へと放出する。

 ブワッ!!

 身体に力が満ち満ちてくる。
 今ならば、確かに目の前のロボット程度、一蹴してみせる自信があった。

 そう、普通の人間如き、例えスーパーなロボットに乗っていたとしても、俺の敵では……ないっ!!

 さあ、行くか。目の前の存在を破壊しに……

 右手に煌く破魔の剣。
 左手に輝く破邪の盾。

 ハンズ・オブ・グローリーと、サイキックソーサーである。

 そして足に力を込め……、それ等を使って眼前の敵をぶった切るッ!!

 だがその寸前、横島はピタリと動きを止めた。

 頭に響いてくる、神々しくも厳かな声を聞いたために。



 ───汝、我を纏いて敵を討て!



「へっ?」



 ───我が名を呼べ! 我は魔神! 虎王─────────




 横島の心に浮かんでくる言葉。

 フッ……と横島はニヒルに笑った。

 齢200近くになって訪れた、ちゅうにの心が彼を燃え滾らせる。
 少女の腰に手を回して自分の方へと抱き寄せると、目を瞬かせる少女ににっこり微笑みかけた。

 そして叫ぶのだ! 自らの半身の名を!!


「でろぉーーーっ! 虎王ケルヴェロォースッッ!!!」



 横島の足下を中心に、半径ン十メートルの魔法陣が大きく描かれた。
 いいや、足下だけじゃない。
 彼の頭上にも魔法陣が現れ出でる。
 その2つがジリジリと引き寄せ合い、横島と少女を押し潰すように重なり合うと、遂にその姿を現したのだ。

 獣の魔神 虎王ケルヴェロォスがっ!! 

 その姿はまさに王者。

 黄金色に四足歩行のその姿は、少し離れた所で戦っていた白いロボットの搭乗者、リュウセイを狂喜させた。


「ゾイド……かよ。ホントに居たんだ、ゾイド……っ!」


 青いロボットに押されてピンチだって言うのに、その声には喜びが混じっている。

 しかし、次の瞬間、焦りに目を大きく見開いた。

 光り輝く獣の王者を、まるで従えているかのように傲然と立つ青年の腕の中に、彼の良く知る幼なじみの姿があったからだ。


「クスハーッ! なんだってお前そんなトコにっ!! クソっ! うらやまし……じゃねえっ、危ねーから、さっさと逃げるんだっ!!」








 そして、それより更に離れた場所で、そのリュウセイの戦いを見ていた男もまた、狂喜と愉悦の混じった笑いをする。


「あれは……、なんだっ!? ククク……フハハハハ……アーハッハッハッハッハァッ!!」


 件のパイロットのデータに驚かされ、エアロゲイターの未確認人型機動兵器に恐怖し、そして、今現れた神々しい獣の機動兵器に目を奪われいた。

 そんな時に、その場の最高責任者であったイングラム・プリスケンの狂笑。
 彼を深く愛するアヤ・コバヤシでさえ、今の彼には背筋が怖気走る。





「ああ、そうか。そう言うことか、アカシックレコードよ!

 これで俺の願いが……ようやく、俺は、ゴッツォの楔から解き放たれるのだっ!!

 来いっ! 俺の下へっ!! 真のサイコドライバーよっ!!!」

















  ヨコアス外伝  スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション YOKOSHIMA



               OGYⅠ-1   『魔神 降臨』



















 つづくんか?




 次回は110万HIT……だといいね……




































 後書き

 ちなみに今回の話、スパロボOG(α混じり)+魔法騎士レイアース。
 それにちょっとだけ●ー●●●●●ー ●●●に続けれるようには考えてる。

 ああ、そうさ! 作者はレイアースがスパロボに参戦するのを、只管に待ち続けている愚か者なのだよ……

 いつか、いつかきっと……


 そして! ヨコアス無印プロット公開!
 まとめるの面倒だったんで、中止!

 あとはあれかな?
 今回、100万いってもいかなくてもヨコアスRって言ってたんだけど、次話が、またまた長くなっちゃって……
 夕映&のどかSPイベントは、前中後編の3部になっちゃった。
 んな訳で、今更話がぶった切れるも糞もねーや……、って訳で、100万HIT公開に。
 

 みなさんが望んでいただろうヨコなのSTSや、アセリアで横島は、無しっ!!

 じゃっw



[11660] 1111111HIT企画 横島エロ無双SP&無印ネタ語り
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/11/03 16:12
 これは、IFのネタ的なお話。

 もしも、ヨコアスの横島さんが、ディル=リフィーナから落ちた先が紅き翼のメンバーの下でなく、原作のマホラ学園都市だったなら……

 そして、テンプレなストーリー設定だったら……

 どぞ



































 門の向こうは、空の上だった。
 浮遊感、続いて頬に感じる強い風の壁。
 すぐに自分が落下しているのだと分かった。
 戦いに疲れた身体を無理矢理に起動させ、霊力の輝きを両手に集める。


「うっ……らぁっああああああああああああああああああああああッッッ!!!」


 地面に霊力を叩きつけ、落下の衝撃を和らげる。

 それでも……ズドンッ!! 地面に叩きつけられる衝撃は、激しく肉体を損傷させ、意識を遠のかせた。


「……っとっ!! 大丈夫なのっ!!」


 聞こえてくる女の叫び声。
 困惑と、そして恐怖が滲んだ声。


「ここは……どこ、だ……?」


 ここが『あの』世界ではないだろうとは、分かっている。
 知らぬ世界、聞いたところで自分に分かるはずもない。

 それでも、聞きたかった。

 だって、聞こえてくるのは、懐かしい、


 日本語だったのだ。


 懐かしい、懐かしい、数十年間、ずっと、ずっと帰りたかった故郷の……

 知らず目に涙が溢れ……


「マホラよマホラ! ちょっと、こんな所で死なないでよッ!! ネギー! ネギー! あんた魔法使いなんだから、さっさと何とかしなさいよーーっ!!」


 意識が、途切れた。


















   ヨコアスR異伝 横島エロ無双SP①
















 目を覚まし、最初に見えたのは知らない天じょ(ry

 まるで、自分が産まれた世界にある学校の保健室みたいな……そんな光景。
 いいや、この薬品臭、それに、白を基調とした壁紙、体重計にその他諸々。
 何処から見ても、保健室だ……
 胸に沸き上がる熱い何かは、喜びの感情だろうか?
 しかし、それをグッと堪える。
 なぜなら、ぬか喜びの可能性が高いのだから。

 そうして、目線を人の気配がある方へと向ける。

 自分が眠るベッドの上に、覆い被さるようにして眠る少女がいた。
 髪の両端を、鈴が付いたリボンで結わえている少女。
 すーすー幸せそうに眠る少女を起こすのには少しだけ気が引けたが、このままでは埒があかないと、彼女の肩を叩いて起こそうとする。

 が、次の瞬間、部屋の外から感じる強烈な殺気。

 俺は迷わず殺気を向けてくる方へと、サイキック・ソーサーを放った。
 ドアを突き破り、隠れ潜む『敵』に向かって霊力による致死性の攻撃が、ズガァアアアンッ!! 炸裂する。
 その衝撃音で、静かに眠っていた少女は目を覚まし、辺りをキョロキョロ見回した。


「な、なにっ!? なんなのよ! いったい!!」


 慌てふためく少女を自分の背中に隠すと、サイキック・ソーサーの爆発でもくもくと煙が上がる方へと、キツイ視線を送った。


「君は……危険人物ってことでいいのかな?」


 煙の向こうから現れたのは、顎に無精髭を生やした30過ぎだと思われるおっさん。
 両腕は俺の攻撃を受けたせいなのか、ダラダラと血を流し、目には怒りが込められていた。


「テメーほどじゃねーよ。怪我人に殺気をむけてくる様な野郎が、人を危険人物扱いしてんじゃねぇーッ!」


 2人の間に高まる緊張。
 確実に、実力は俺が上だ。
 だが、だからといって油断は出来ない。
 目の前の男に、どんな切り札があるのか知れないのだから。
 ジリジリ焦げ付くような殺気をぶつけ合い、そして、それが爆発する!
 互いに必殺の構え。ほぼ同時に腕を振り上げ……


「いいっ……加減にっ!! しなさーーいっ!!」


 美少女の激怒の声撃に、2人の争いは強制終了するのだった。

















 ……それからの話をしよう。



 ツインテールの美少女にしばかれた俺とむさい男。
 怒り狂う美少女に正座で説明を強要される俺。
 自分の事情を話すと、ムサイ男は頭を下げ謝罪し、その後に学園長の下へと連れて行かれ、何故か女子中の教師、しかも何故か10才の子供教師の補佐で副た(ry

 要するに、ここは俺が生まれ育った世界ではなかったのだ。
 微妙にずれがある平行世界と言ったところなのだろう。
 そうでなければ、身元不明の不審人物を、こんなに簡単に教師にしたりなんかしやしない。

 ぶっちゃけ、非常識である。

 まったく、俺に言われる様じゃお終いだぜ?

 そうこうして勤務初日。

 この地が恐ろしい程の霊地だと知った俺は、その力の中心地である大木を何とか利用出来ないかと考え、木との契約を直接結ぶ事を思いついた。

 子供先生の授業を斜め見ながら、放課後になると同時に文珠『絆』を使って木との間に契約を結ぼうとしたのだが……

 突如、昨日の美少女、神楽坂明日菜にピンク色の液体を飲まされてしまう。
 それは明日菜ちゃんが実験台として俺に飲ませた、子供先生が作った惚れ薬。
 それと俺が手に持っていた『絆』の文珠が好い具合に影響しあい、麻帆良女子中全体に桃色の光線が降り注いだ。
 学校中の人間が俺に惚れ、だがしかし、有り難いことにその効果は一時間足らず。

 モテタイ、モテタイ。

 そう思ってはいたが、これはダメだ。

 集団で襲い掛かってくる女子中学生……

 昔々、その昔、同じように惚れ薬を使ってマリアに襲われたときと同じ恐怖を感じた。

 本当に、惚れ薬は、ダメだ!!

 俺の心に多大な傷を残しはしたが、効果が短かったお陰で被害がとても小さくすみ、ホッと胸を撫で下ろす。
 とは言え、惚れ薬自体がご禁制の品だったらしく、それを作り、これ程の騒ぎを起こした子供先生は魔法先生失格の烙印を押されてしまった。

 就任、僅か一日。
 彼は新年度から魔法小学生として、この世界の一般常識を学ぶ事になる。

 空いてしまった子供先生が受け持つはずだったクラスは、何故か俺が担任として面倒を見ることになり……





 そして、今へと到る。







 その日の教師としての仕事を終え、エヴァンジェリンの家を目指して急ぎ足で歩く。
 今の俺は、もう元の世界に帰ろうとは思っていなかった。
 世界を超えるリスクを負おうとは思えない。
 なんて理由もあるのだが、今の状況を捨ててまでも美神さん達に会いたい訳では無くなった。
 ってのが一番の理由だ。

 惚れ薬。

 確かにその効果は完全に消えた。
 いいや、それは正確ではない。
 少女達の心の奥深くに、愛情と言う名の『絆』が架せられていたのだ。
 力ある大木との絆を結ぼうとした俺の力と、子供先生の作った惚れ薬。


 惚れ薬+文珠『絆』+大木=横島先生スーパーLOVE!!


 しかも、これによる感情の現れは、惚れ薬事件の時の様な暴走状態ではなく、普段の人格そのままで、しっとりと愛情をぶつけてくるのだ。

 だから、気づくのに時間が掛かってしまった。

 気づき、文珠の並行励起による『惚薬完全解除』をしても、心に刻み込まれた愛情はすでに本物で……

 最初は至近でこの力を浴びた明日菜。
 後に知った彼女のレアスキル、完全魔法無効化能力と『惚れ力』がせめぎ合い、苦しむ彼女を性魔術により解放した。
 コレにより責任を取る形で明日菜と恋人同士になってしまったのだが、教師失格にはならず、なぜだか学園長から祝福された。

 次にエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
 彼女を苛む制約(ギアス)を外す為に、やはり性魔術による解放を行い、コレより後、彼女は俺の使い魔となる。

 そして次は狂剣……

 と、気づけば、あれよあれよとクラス全員と致してしまう事態に……



 これでも3-A生徒以外の接点が少ない生徒達からは、なんとかこの効果を完全に打ち消す事が出来たのだ。

 幾ら何でも教師として失格すぎる……

 いいや……もう、この事については何も言うまい。
 彼女達の、俺、横島忠夫へ対する愛情は本物なのだから。
 ならば、応えよう。そしてしなければならない。
 彼女達との平穏を守る為に、この世界に共に落ちただろう、ラプシィア・ルンを倒さねばならない。

 奴は、強い。

 神殺しセリカ・シルフィルとその仲間達+俺が総力で挑んで返り討ちにされた程だ。
 強くならなければならない。
 誰よりも、あの神殺しよりも、ラプシィア・ルンよりも!
 ここまで強くなりたいなんて思ったのは、アシュタロスをブッ倒すと決意した時以来だ。

 そう思いながら、「ただいまー」とエヴァ宅のドアを開ける。


「おかえりなさいませ」


 出迎える茶々丸。
 彼女は俺の着ていた背広の上を脱がせると、地下へと続く階段へ誘う。
 そこには、エヴァンジェリンご自慢の別荘がある。
 其処で待っているのだ。俺の可愛い女達が……

 地下へと降りると、塔のミニチュアが入ってるガラスの球体があり、その前に立つ。
 すると、フッと転移の魔法陣が現れ、俺はそのガラスの球体の中へと転移した。
 中は南の海のような温暖な気候で、遠くに見える塔の手前に、3-Aの生徒達が俺を待っているのが見える。
 俺の背後に居る茶々丸以外、誰一人欠ける事無く、全員が、それもメイド服で。

 ……逸る気持を抑え、茶々丸に残りの服を脱がせて貰う。

 Yシャツ、ズボン、靴下、そしてパンツ。
 遂に全裸となった俺は、両手をYの字に高々と上げると、


「もーうっ! しんぼうたまらーーーんっ!!」


 楽園(パライソ)へと向って駆けるのだ。


「きゃー♪」


 嬉しそうな30の嬌声。
 先ずは恋人である明日菜に突き入れ、次に使い魔であるエヴァ、さよ、刹那、茶々丸の順に犯していく。
 そうして愛人であるザジ、木乃香、超、美空……と、一人残らず喰っていくのだ。
 1日が外での1時間になる不思議別荘の中で、こうして大規模な儀式性魔術を行い、同時に彼女達が使徒として相応しい姿へと成長するまで毎日……
 確実に、ラプシィア・ルンを越えたと自負するその日まで……

 飽きる事無く、延々と……






 だが、俺は気づいていなかった。

 明日菜の力が、惚れ力との戦いで『究極完全不思議力無効化能力』にクラスUPしていたことに。
 それによって明日菜と交わるたびに、俺の避妊術、文珠「避/妊」が無効化されていたなんて。

 そのせいで、さよと茶々丸を含めて全員が 妊娠 してしまうなんて!

 全員をサークル状に並べてお尻を向けさせ、順繰りに抜き差しして、マ☆コ比べ~

 なんてバカやってた俺には、気づけなかったのだ。

 いや、もうすでに、この時アスナは妊娠していたのだ。

 ルシオラを、その腹に宿していたのだ……



「ねえ、横島さん。ううん、パパ。お腹、撫でてよ。わかる? この中にいるのよ? 私と、貴方の赤ちゃんが……」










 












 HAPPY EN……D?









 IF世界の簡易人物立場表


 恋人(正妻) 神楽坂 明日菜

 使い魔 エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル
     桜咲 刹那
     相坂 さよ
     絡繰 茶々丸

 愛人  その他3-A生徒全員













 後書き

 ね? テンプレだったでしょ?

 だよね……? これが、テンプレだよ……ね……?

 きっとこの後の話は、


 別荘で全員が性長しまくり使徒化。
 ついでに性魔術的に経験値がウッハウッハで3-A生徒強化。
 でも修学旅行先はネギがいないからハワイ。
 ネギがいないからヘルマン戦も当然なし。
 ここで明日菜妊娠発覚、エヴァの別荘に引き籠もり、ルシオラ出産。
 助産婦はエヴァの別荘に居る茶々丸のお姉さんズ。
 学園祭編も超が横島にLOVEなので普通のエロコメ。
 この辺りでその他全員が妊娠発覚、エヴァの別荘で出産するために引き籠もる。
 もちろん産まれてきた子供は全員女の子w
 みんなで仲良く子育て開始。

 そして第2部へ。


 子育て先生 よこしマ! 連載スタート。

 もしくは、

 ママたちは中学3年生! 連載スタート。 


 あれ? テンプレな筈なのに、ヨコアスRとは比べ物にならない位、原作から遠く離れたぞ……?
 あと、魔法世界……編は……どこ、いった……? なんで、こうなった……!?





[11660] 130万HITスペシャル企画  エロ有り(クスハ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2010/12/12 10:49









  ヨコアス外伝  スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション YOKOSHIMA



               OGYⅠ-2   『クスハ・ミズハ』
















 四肢をこらし、大地を踏みしめるその足が、早く目の前の敵を屠れと戦慄いている。
 今、自分が獣の王になっているのだと言う一体感。手は前足に、足は後ろ足に。

 ただ、腕の中でうずくまる美少女のオッパイの感触だけが、自分が獣ではないんだと教えていた。


 「アレを、やっちまえばいいんだな……?」


 酷く楽しげに嗤うのは、魔神ケルベロスに選ばれたパイロット……いいや、騎士である横島忠夫。
 いっそ凄惨と言ってもいいその笑みに、彼に幼馴染を助けてと願い出た少女は、恐怖に顔を強張らせた。


 「え……? あ、はいっ!」


 内心の恐怖を押し隠すように慌てて返事をする。
 だけども、抱き締められるようにして横島の腕の中にスポンと納まるクスハは、何故か触れ合う肌がとても熱く感じるのだ。

 怖いのに、怖いはずなのに、何故……?

 クスハは不可視の力で光り輝く横島の身動き一つだけで……


 「───っ!? んぁあっ!」


 電気みたいな衝撃がビリビリと身体を走り抜け、お腹の奥から何かが来る。
 それは生まれて初めて感じる子宮の疼き。
 クスハは、ただただ混乱するばかり。
 思わず身体をくねらせ、腕の中から出ようとするも、


 「動くな! 気が散るっ!!」

 
 横島の怒声にビクリと身体を硬直させる。


 「しっかりしがみついとけ!」


 その言葉に、クスハはしっかと横島の背に手を回し、言われた通りにしがみついた。
 ポニョンとクスハの胸が横島の硬い胸板に押し潰されて、でも横島は珍しく気にもとめない。
 今の彼の中に有るのは、目の前で轟然と立つロボットを破壊する。ただその一事のみ。

 ただ、一つだけ問題がある。

 本当だったら、今頃あやかとフェイトにイリヤから、性魔術による霊力補給をしていた頃だ。
 だからなのだろう、魔神を思うがままに操るには霊力が絶対的に足りない。

 だけども、この少女の潜在能力……彼の使徒である木乃香と比べても、見劣りはしない。
 だから横島は、少女の中を渦巻いて外に飛び出したがっている霊力を、触れ合う肌から性魔術を用いて吸い上げていた。
 

 クスハはビクッ!と身体を震わせる。
 見知ったばかりの男に抱きつく自分に、何より、頭が蕩けそうな快楽に。
 自然と目が潤み、口を半開きにしてうっとり横島を見上げた。 

 クスハが見上げた横島は、自分に視線を向けることなく上体を捻らせた。同時に魔神が大地を蹴る。
 ギラギラとした視線で槍持つロボットを睨みつけ、横島は右手でグイ! クスハの尻肉を掴む。


 「ひゃんっ!」


 脳天を貫く快感に悶えながら、クスハは聞いて、そして見る。


 「ハンズ」


 魔神が跳躍した浮遊感


 「オブ」


 グワァッ! 右前足を振り上げ、霊力を纏った爪が光輝き


 「グロォーリィィィィィィイイッッ!!!」


 前足から伸びる光の爪が、人型機動兵器を切断する姿!
 そのまま標的を貫き、その背後へと降り立った魔神は、


 「ンあぁ──────っ!!」


 クスハの絶頂の叫びと同時に、

 『ガァアアアアアアッッッ!!!』

 勝利の咆哮を上げた。

 そして一瞬の間を置き、ドォォオオオオオオオオン!! 人型機動兵器が爆発し、戦いは終了する。
 魔神の中では、初めての絶頂に身体を震わせるクスハが、ハァハァと息を荒げながら、快感に潤んだ瞳で横島を見ていた。

 口から唾液を垂らし、陶然となりながら、これからの未来に想いを馳せる。

 クスハは『知っていた』

 自分がこれからどうなるか……

   


 




























 


 『ガァアアアアアアッッッ!!!』

 
 猛琥から発せられる咆哮が、ビリビリと空気を震わせる。

 グッ……恐怖と畏怖で咽を鳴らす。

 誰が鳴らしたのか分からない。
 むしろ、自分が鳴らしたのではないかと、アヤ・コバヤシは思った。
 様子の可笑しいイングラムが気にはなるが、それよりも目の前の光景から目が離せなくなっている。
 リュウセイ・ダテの乗る、量産型ゲシュペンストMk-ⅡタイプTTから送られてくるデータになど、誰も目をやらない。
 送られてくるデータが教えてくれる試作型T-LINKシステムの発現具合は、どれも目を見張るものだと言うのに。
 

 「な、なんなの、アレは……?」


 圧倒的な威圧感に、知らずこぼれた呟き。


 「フ……今の我々で如何こう出来る存在ではないな」 
 

 楽しげな彼が、まるで次元の違う化け物にアヤは見えた。

 この言い方では、まるで何れは如何にかするみたいではないか……?

 無理だ、とアヤは思う。
 目の前の獣の機動兵器は、人が触れて良い物には思えなかったから。

 だけども、


 「どうしたアヤ? この程度で恐怖する様では、これから先の戦いを潜り抜けるなど到底不可能だ」


 イングラムのいっそ傲慢と言ってもいい態度。
 彼の内側から発せられる覇気に、アヤは身体の芯が痺れた。
 好意を抱いていたせいもあるのだろう。
 その身体の痺れが全身を支配し、胸の内から湧き上がってくる高揚感に陶然としてしまう。


 「すみませんでした、少佐」


 頭を深く下げ、次に上げた時には、アヤの目には恐怖も畏怖も失せていた。

 そう、この程度で恐怖などしてはいられない。
 アレは少なくとも敵ではない。現時点では……だけども。
 だったら、恐れ、畏れる必要が何処にある?

 不敵に嗤いながらタイプTTの回収を指示するイングラムに倣うよう、アヤもまた小さくうっそり嗤った。

 見れば自分たちが呼び出した何の力もない観測用のヘリに囲まれ、それでも不快に思うでもなく、ただ困惑したかの様にオロオロしだした獣を見て畏怖が薄れた所為もある。
 残念な事に、最後には逃げられてしまったのだが、それでもアレが自分たちに牙剥く存在ではないと、この場に居た全ての者は悟ったのだった。


 「残念でしたね、少佐」

 「何がだ?」

 「今の獣型の機動兵器を確保出来ませんでしたから」

 「言ったではないか。アレは今の我々に如何にか出来る存在ではないと」

 「……でしたら、何故アレを取り囲んだのですか?」

 「コレでどういった行動に出るか見た……と言ったらアヤ、お前は俺を軽蔑するか?」


 それは取り囲んだヘリを、無駄に犠牲にするだけの指示だ。
 乗っているパイロット達を殺す指示だとしか言えなかった。
 でも、アヤは嗤いながら首を横に振る。
 彼女も、イングラムの解き放たれた狂気に影響を受けているのかも知れない。

 嗤いながら、「最小限度の犠牲で済むのなら、仕方のないことです」そう言って見せた。

 イングラムもまた嗤う。

 ここに来て、随分と頼もしくなったではないか……と。


 「アヤ、覚えておけ。アレこそ真の念動力者、サイコドライバーだ」

 「サイコ……ドライバー……」

 「そうだ。お前と、リュウセイ・ダテが未完成のサイコ・ドライバーだとしたら、今の獣型の機動兵器に乗っていた存在こそ、完成されたサイコドライバーなのだろう」

 「ふ、ふふふ……では、もう私はいりませんね?」


 楽しそうに、本当に楽しげに嗤うアヤ。
 でもその瞳は、自らが言った言葉など、一欠けらも信じてはいない。
 そしてイングラムもまた、アヤを必要としなくなる筈などなかった。
 当初の計画など既に放り捨て、今の彼にはアレの搭乗者を自らのモノにすることだけを考えているのだ。
 アヤも、リュウセイ・ダテも、彼にとって必要な駒として十分に利用出来る。
 決して無理ない適度な試練『だけ』を与えて、ゆっくり確実に成長させていけば良いだけになったのだから。
 完成されたサイコ・ドライバーになるまでの試練を必要とはしなくなったのだ。

 『今』のアヤならば、イングラムにとっての片腕ともなれるだろう。

 一皮剥けた、今の彼女ならば……


 「世迷言など言ってる暇はないぞ、アヤ。SRXこそが、俺の最強の手札となるんだからな」


 そう言って、周囲の喧騒を余所に、アヤを自らの胸元に引き寄せた。

 そして、耳元で囁く。


 「今夜、俺の部屋に来い」

 「……はい、少佐」


 瞳をトロンとさせるアヤを見下ろしながら、常にないほど優しく笑いかける。



 ヴィレッタを早く呼び戻そう。

 もう、アチラに用はない。

 必要なのは、信頼出来る駒と、そして、アレを俺のモノにする為の……策だけだ。












































 拒否しようなんて、抵抗しようなんて、とても思えない。
 これが願いの代償なんだと、誰に言われるまでもなく思ったから。
 正気を失い、獣のようになってしまった彼に蹂躙される。
 マグマのように熱く、鋼のように硬い肉杭を身奥に打ち込まれ、クスハは艶の混じった苦痛の声を上げた。
 その瞬間、脳裏に幼馴染の彼の顔が過ったが、すぐに消えた。
 ここで押し倒されるまでに感じていた甘い痺れが、それ以上他の男を考えさせるのを良しとはしなかったのだ。
 何より、彼が『こうなってしまった』のは、自分のせいなのだと理解していた。
 それに、彼から流れ込む力の波動が、とても心地好いモノでもあったのだ。
 だから自らの双丘に顔を埋め、我武者羅に腰を振り続ける彼を、慈しむようやさしく抱き締める。


 「グッ……焦らなく……ても、だいじょうぶ……ああっ、です……私は、逃げません……んっ、い、い、いぁあ……」


 足を彼の腰に絡め、決して逃げないのだと慈母のような笑みを浮かべた。
 まだ痛みの方が先に来、脂汗が額から滲み出るけど、不器用に彼の腰の動きに合わせて自らも腰を振る。
 そして、唐突に最奥へと注ぎ込まれる精のほとばしりに、ふるふる震えながら満足気に目を細めた。






 これが契約。

 あの時、あの場所で、幼馴染を救う為に必要だった代償。
 放っておかれれば、死ぬはずだった自分を助けてくれた礼でもある。
 だから行為が終わり、正気を取り戻すや否や、月明かりしかない夜の荒野で、土下座で謝り続ける彼に対してその必要はないのだと笑えるのだ。
 ビリビリに破られ、無残な布切れでしかなくなった服で大事な部分だけを覆い隠す。
 それでも太腿に伝う紅い鮮血と、白濁した精液は隠せなかったけど。

 そんな状態で土下座する彼の前で、ちょこんと座る。

 下げる頭の上にクスハを感じた横島は、おずおずと頭を上げた。
 目に飛び込んできたのは、優しげに頬を緩めるクスハの笑み。
 そして、横島の中の魔神が彼女を求めて唸りをあげた。

 この娘が、白まんじゅうが言っていた力の半身ってヤツか……?

 事実、クスハの中から感じる、未だ目覚めきっていない力の波動をビンビン感じていた。

 でもだ、でも……彼女には好きな男が居るのだ。

 ───犯っちまった俺が今更言えることじゃないけれど……
 なのに、なんでこの娘こんなにサバサバしてるんだ?


 クスハは顔を上げた横島に満足したのか、立ち上がり、月を背にして「う~んっ!」と伸びをした。
 そして前屈みをし、大きな胸をブルンと揺らして、


 「さ、もう行きましょう、横島さん!」


 と言ってのけた。


 「家まで送ればいいんか?」

 「違います」

 「えっと、んじゃ何処に?」

 「あなたと、そして私の中の魔神ユエと一緒に、救うべき世界へ……」


 横島と繋がった時、流れ込んだ力。
 それが魔神ユエ。
 同時に、クスハには自分がやれることが視えた。

 14~15才の少女が、滅び行く定めにある世界を救う使命があり、それの手助けが出来るのだと。

 力になりたい。

 生来の優しさをもつ彼女は、自然とそう思った。


 看護師になりたかった。
 幼馴染の少年と、平凡な家庭を築きたかった。
 この世界で、幸せに生きて、死にたかった。

 でも、それはもう遠い夢。

 幼馴染の命との等価交換。


 「あっ! でも、まずは私の着替えが先かな……?」


 ズタボロの格好に、クスクスと楽しげな声が漏れた。


 ちなみに横島。

 魔神ユエと言われた瞬間全てを悟りはしたが、真っ先に脳裏に過ったのは、エターナルロリータなメイドの角出し怒り狂う姿だったり。

 そして、あまりに扇情的な格好なクスハに、股間がムックリおっきしてしまう。
 布の隙間からチラチラのぞく柔肌が、横島の鼻息を荒くしたのだ。

 結局彼女は着替えを取りに帰れず……

 そのまま横島に、もう一度押し倒された。


 「んじゃ、まずはエッチな体操でお互いを良く知ることから始めよっか?」

 「ええっ!? で、でも……はぃ……わかり、ました……」

 
 月明かりの下、荒野に響く虫の声に混じり、甘い睦言が聞こえてくる。
 次第に2人の会話は途切れ、クスハの確かな喘ぎ声だけが響き渡った。


 「やめっ、んくぅううう……っ! イッ、いぃいいぁあっ、もう、わたし、おかしく……なっちゃうっ、や、やぁ、だめぇええっ!」


 終わらない嬌声と、パシン!パシン!と肉を叩く音がいつもでも、いつまでも……





 この後、クスハ・ミズハは幼馴染の少年の訴えにも関わらず、生存を絶望視された行方不明として扱われることになる。

























 そして、数ヶ月の時が流れた。

 
 ディバイン・クルセイダース、コロニー統合軍の蜂起。
 そして地球圏を覆う戦乱。

 そんな中、アイドネウス島で繰り広げられている最終決戦。
 それを見下ろすように見ている、重なり合った影が2つ。
 2つの視線の先は、一体のトリコロールカラーの人型機動兵器だ。


 「助けに行かんで、ええんか?」

 「うん。リュウセイ君なら大丈夫」 

 「本当に、ええんか……?」


 その言葉は、好きな男の所に行かないでもいいのか? と言う横島の問いかけ。

 でもだ、


 「こ、んなことしながら言われても、あぁん! ……説得力、ない……と思う……ィあっ!!」


 横島の肉棒が、クスハの肉壁を深くえぐった。
 この数ヶ月で開発され切った肢体を、思いっきり刺激されているのだ。
 ちょっと気を許しただけでイってしまいそう。


 「んっ、あぁ、あっ、よ、横島さんっ、あぁあっはあ、激し、すぎ……るっ!!」


 眼下の戦場から聞こえる爆音も何のその。
 くぐもった水音と、肉と肉とがぶつかり合う乾いた音が、その音に負けてたまるかとばかりに辺りに響かせる。
 何より、あの機動兵器のパイロットへの嫉妬が入り交じっていた。
 だからこそ、いつも以上に激しくクスハを攻め立てる。

 横島に激しく攻め立てられて、凄まじい快感に理性を奪われたクスハは、髪を振り乱して甲高い声を上げた。
 その声を聞き、横島は満足そうに腰のピストン運動の速度と力強さを増していく。
 クスハの膣内は横島の肉棒を愛おしいとばかりに締め付け、結合部からはぐちゃぐちゃと粘った水音を響かせる。
 快感の波がピークに達し、2人は終わりが近づくのを感じた。


 「んぉ……クスハ、そろそろ、イク……ぞ!!」

 「は、はい! い、一緒に……っ!!」


 クスハは慣れた感じで横島の唇を奪うと、くちゅくちゅと舌を絡み合わせる。
 2人はこの数ヶ月で得た絆を確認しながら、淫らな腰の動きを激しくした。


 「ああ……ッ、あ、あ、気持ち、いい……ッ!」


 ぐちゅ、ぐちゅ、膣道がウネリ、肉棒に絡みつく。
 ブルンブルン上下する豊満な胸に顔を埋めながら、股間が快感に膨張した。


 「ウォォォオッ!! クスハッ! お前は、ワイんやっ!!」


 横島は最後に渾身の一撃をクスハの奥に叩き込む。
 彼女の一番奥に穿たれた肉棒は、ドクンっと爆発した。

 ───びゅくっ、びゅる、びゅくびゅくびゅくっ!!

 たぎった白濁液が、濁流の如くクスハの子宮を犯していく。


 「う、くっ、うぅうっ───!わ、たし、もう……イ、イクッ!んぁ、イッちゃ、あ、あ、あぁあああああっ!!」
 

 

 ビクン!ビクン! 数回痙攣した後、クスハは名残惜しそうにもう一度横島の唇を求める。
 激しく舌を口中で暴れさせながら、最後にもう一度、ビクビクンっと身体を震わせる。
 最後の細かい絶頂に満足したのか、クスハは唇を離した。
 横島との間に唾液で出来た銀のアーチを作りながら、億劫な様で立ち上がる。
 ニュブッ……とクスハの胎内から横島の肉棒が抜け落ち、唇と同じ様な愛液で作られた銀のアーチを作った。

 それらがプチンと切れたとき、クスハは後ろを振り返って再び戦場を見下ろした。

 トリコロールの機体、リュウセイの乗るR-1が属する部隊と、そして真っ赤な巨大人型兵器。
 それらと、そして紅い機体と同じ系統で作られていると思われる、真っ青な巨大人型兵器。

 どうやら戦場はクライマックスを迎えているようだ。
 クスハは股間から流れ落ちる白濁液をそのままに、横島に視線を送った。
 コクン、と頷く横島を見て、性魔術により一時的に高まった霊力を身体に巡らせ、右手を天に向ける。


 「来て、龍王っ! ユエェ───っ!!」


 雲一つ無い筈の空だった。
 それがみるみると黒い雲に覆われ、雷を振らせ始める。

 クスハは、龍だ。
 その体躯、蛇の様にウネリ、黒い雲を割り、雷を纏う。


 クスハが手にした彼女の半身、魔神龍王ユエ。
 それでも横島とクスハが救うべき世界へと誘われない。
 横島とクスハは、この状況をクスハの力足らずと判断した。
 なにせ横島との性魔術がなければ、こうして魔人を降臨させることが出来ないのだから。

 ならば、する事は一つ。

 修行と、そして実戦。
 初めての戦場に緊張するも、見守っていてくれる横島に無様な姿は見せられない。
 彼のパートナーとして、彼の弟子として。
 そして何より、理不尽な宿命に囚われた少女の力に成りたいが為に……














 突然現れた伝説の神獣に、戦場は三つ巴の硬直に陥った。

 それを興味深げに観察し続ける、青い巨大ロボットのパイロット、シュウ・シラカワ。
 再び現れた、真のサイコドライバーが操っていると思われる2体目の機動兵器に、すぐさま腹心であるアヤとヴィレッタに情報収集を命じるイングラム・プリスケン。
 最後に、赤い巨大ロボットのパイロット、地球圏を覆える程の覇気を持った、ディバイン・クルセイダース総帥ビアン・ゾルダーク。

 彼は神獣の形持つ機動兵器に視線を向け、口角をニヤリと吊り上げると、

 「クハハハハハハハハハ──────!!」

 大声で笑い出す。

 そして……

 「この一戦に勝ち残った者こそが、美しき地球の未来を担うのだ! 逝け! クロスマッシャー!!」


 赤と青の螺旋が赤い巨大人型兵器、究極のアーマードモジュール、ヴァルシオンから魔神ユエに向って放たれた。
 それを容易くヒラリと避け……戦場に、クスハの詠唱が響く。


 「出でよ雷精! 急急如律令!!」


 陰陽紋がヴァルシオンを取り囲むように出現し、雷が一斉に放たれる。

 ズガガァァ─────!! 

 耳をつんざく様な破壊音と、そして砂煙が舞う。

 だけども、一迅の風が吹き砂煙が晴れると、ソコには無傷のヴァルシオンが……!


 「歪曲フィールド全開! 貴様に、この私が倒せるか……?」


 睨み合う魔神と究極ロボ。

 始まる2体の超越者の戦いに、生きていたのだと言う喜びが入り混じりながら、リュウセイは悲しみの声を上げた。


 「なんでだよ……なんでお前がそんなモノに乗ってるんだ! クスハ─────ッ!!」



 地球圏の未来を決める決戦が、始まる。




























 「アイツだな? あの時、お前を抱き締めてたあのゾイド乗りだな! ズッコイぞクスハ! 俺も、俺もゾイドに乗せろーっ!!」


 たぶん。

  


   



































 ユニットデータ(スパロボOGS風味)


 魔神虎王ケルベロス(フル改造)

 HP   12000
 EN   520
 運動性 140
 装甲  1800


 地形
 空 -
 陸 S
 海 C
 宇 A


 特殊能力

 念動フィールドS
 HP回復(小)
 EN回復(小)


 武器名

 サイキック・ソーサー(MAP)   攻撃 4200 射程 2~9 命中0 CT0 EN80 空S 陸S 海C 宇A
 サイキック・ソーサー        攻撃 4800 射程 3~12 命中+30 CT+10 EN30 空S 陸S 海C 宇A
 ハンズ・オブ・グローリー(中距離) 攻撃 5400 射程 2~4 命中+50 CT+50 EN20 空B 陸S 海B 宇S
 ハンズ・オブ・グローリー(近距離) 攻撃 6000 射程 1 命中+70 CT+80 EN15 空- 陸S 海A 宇S
 横島スペシャルサンダー(以下略)  攻撃 7500 射程 1 命中+20 CT+10 EN300 空- 陸S 海S 宇S 


 属性 ボスキャラ



 横島忠夫 Lv.EX


 性格 スケベ

 成長 もうしない

 SP 500


 精神

 ひらめき 10 
 加速 5
 幸運 20
 応援 15
 愛  75
 文珠 120


 ツイン精神

 ハイパー文珠


 特殊技能

 念動力 L10
 ラッキー L10
 底力 L8
 援護攻撃 L1
 援護防御 L3
 カウンター L1
 SP回復
 ヒット&アウェイ
 アタッカー
 予知
 強運
 見切り


 属性 ラスボス










 つづくで~






 次回は140万っぽ。













 後書き

 イングラムの要請で、ヴィレッタは宇宙でなく、イングラムの副官として任官しました。
  
 作中で出たハンズ・オブ・グローリー(近距離)のイメージは、
 【ゾイド新世紀スラッシュZERO】に出てくる【ライガーゼロ】の『ストライクレーザークロー』ですw

 次回のヨコアスRは、ようやく終わるSP地獄最終章(笑)
 2年生最後の話。次々回からはサブタイトル(ネギま!のほほん記)の部分も変わるんでね?

 美空&ココネ SPイベント①
 
 これ終わったら、しばらくエロは書かないんだ、おれ……



[11660] 150万HITスペシャル企画  エロ有り(クスハ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:84759a7e
Date: 2010/12/07 09:02





 「あー、そりゃ無理じゃ」


 もんの凄く怖い顔でやってきたアスナ達に、素気無く手をパタパタ振るドクターカオス。
 彼の後ろには、アスナ達が求めてやってきた物、異世界間移動航行艦 『逆転号』 がある。
 しかし、逆転号は10年に一度の大分解整備の途中であり、とてもじゃないが使えそうもない。


 「整備が終わるのには、半年ほどかかる予定です」

 「むぐ……っ、んじゃ、逆転号以外の方法でアノ人の所に送ってよ!」

 「逆転号以外の方法で行くとなると、そうじゃな、1人か2人が限度じゃろう」

 「それにご主人サマの居場所を特定するのに時間がかかるヨ?」

 「どの位でしょうか?」

 「そうダナ、2~3ヶ月といったところネ」


 ガックリ肩を落すアスナを始めとした女達。
 この怒り、如何にして晴らそうか……ッ!
 でも、次の言葉でそれ所ではなくなった。


 「では、誰が行くですか?」


 先ずは第一使徒であるアスナが名乗りを上げた。
 彼女以上に横島を知る使徒はなく、彼女以上の戦闘力を持つ使徒もまた居ない。
 だけど完全魔法無効化能力が仇になり、通常より転移に負担が掛かると、ドクターカオスにより却下される。

 ガンガンと壁に頭を打ちつけ、無念さを現すアスナを放っておき、次に名乗りを上げたのはなのは。
 アスナと匹敵……いいや、完全魔法無効化能力さえなければ、確実にアスナを越えるだけの力を手に入れた魔神。

 だがしかし、


 「なのはちゃんは忠夫くんの使徒じゃないんだから、除外だよ?」


 幼馴染の少女の一言。
 勿論、納得いかないなのはは抗議の声を上げるのだが、実姉である美由希の裁断により却下された。


 「ただくんの下へ行くのは使徒の役目だよ? なのはは逆転号の準備が出来てからにしなさい」


 ヤンデレちっくななのはだったが、大切な姉の説得、耳を傾けない訳にはいかなかった。
 それに、キャロやヴィヴィオといった彼女の養い子達まで美由希の援護に回り、母としてなのはは引き下がらざるを得ない。

 アスナとなのは、最強の2人が脱落し、牽制し合う面々。

 本来ならば、使徒達の纏め役であるメイド長あやかが行くべきなのだが、彼女はメイド以外にも事業を幾つも手がけており、この世界からは離れられない。
 ならば次席メイド夕映の出番だろうが、彼女自身は逆転号と共に行く気である。
 自身が居なければ、この灰汁の強い面々の抑え役が居なくなってしまうコトを良く理解しているのだ。

 それを知る使徒達は、次第に闘気を高め、カオスの研究所どころか世界を壊さんばかりの力を放出し始める。
 このままで歴史に残る最大の事件、アシュタロス侵攻に匹敵する霊的災害が起きても可笑しく無い。

 そんな時だ。

 悠然と大きな胸を突き出し、頬に掛かった髪を軽く払いながら前に出る女。


 「なら、私が行きますね? 私達だったら転移の負担が少し減りますし」


 使徒と言う名の従者でありながら、自身もまた従者を持つ変り種の使徒。
 元の色がすっかり抜けた白い髪をなびかせ、その髪が掛かる頬には禍々しく波打つ紅き闇。
 妖しく嗤う彼女は、使徒最恐の名を欲しい侭にしている存在だ。
 直接戦闘こそアスナ達武闘派に劣るが、それさえも彼女の従者が居れば何の問題もない。
 いいや、破壊した筈の大聖杯の一部をその身に取り込んでいる彼女のことだ。
 自身の深層意識(イド)を用いた魔術を使えば、対等以上に戦う事も可能なはず。

 何より、繋がりのあるこの主従ならば、転移の負担も通常の半分程度で済むだろう。


 「ふむ……そうじゃな。それが一番じゃろうて」


 カオスの言葉にガックリと肩を落とし、でも彼女なら仕方ないと何処か納得する。

 残念そうに踵を返す同僚を見て、女は満足そうに頷いた。

 恩人である彼はやはり大切な人。
 そして、彼女の従者が愛している男でもある。
 何より彼が居るからこそ、心底欲した平穏で穏やかな日常を送れるのだ。


 「ウフフフ、あの白いマシュマロみたいなの、私が食べちゃいますね」


 主と従者。2人の想いは重なり合って、狙いは白まんじゅうの首一つ。
 こっそりこの世全ての悪を喰らい、正気を失いかけた彼女を何気にもう一度救ってくれた男を取り戻す為に。




 先輩じゃない……
 先輩みたいにアナタを想えない。




 でも アナタは 私のモノだ




 「でしょう、ライダー?」

 「……アスナとなのは、2人を出し抜くのは至難ですよ?」

 「ウフフフ、アハハハハ……」


 嗤う女の影が、獲物を求めてゆらりと波打った。

 影はどこまでも深く、暗く、澱み……



























  ヨコアス外伝  スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション YOKOSHIMA



               OGYⅠ-3   『おっぱい』

 

 
























 爪を振るい、牙を剥き、雲を纏いて雷を落す。

 だが、その攻撃のどれ一つとっても、目の前のロボットに傷一つ負わせられない。
 歪曲フィールド、ロボットの操縦者が言っていたバリアの名前。

 アレが有る限り……いいや、そうではない。
 アレの乗り手、ソレ自体が化け物なのだ。

 と横島は関心したように唸り声を上げた。

 人の可能性を見た。
 人は、人のまま神をも越えたと。

 アーマードモジュールと言う名の機械で出来た鎧を纏い、鍛えに鍛えた肉体と操縦テクニックで、サウザンド・マスターの千の雷すら超える砲撃を難なく放つ。

 ブルル……ッ

 身体が小刻みに震える。
 この世界の人間は、ある意味本当に凄まじく化け物だ。

 魔法使い、妖怪、悪魔、魔族、神……

 それ等とすら互角以上……、違う。
 モノによっては遥か遠けき力。
 特に、今クスハと戦っているアーマードモジュールの操者は。


 「こりゃ、まじーな……」


 横島の顔が強張った。

 クスハの初めての実戦の相手としては、やばすぎた。
 それに、ここに来てようやく間違いに気づいた。
 白まんじゅうの言った 『我の与える力の半身』

 クスハじゃねぇー!
 クスハは、ただの協力者。

 魔神である虎王と龍王が白まんじゅうがくれた力だとすれば、力の半身ってのは人じゃなくて……

 その時だ、クスハの操る龍王が、ヴァルシオンの猛攻に捕まったのは。
 ディヴァインアームの一撃が、龍王の蛇体の腹に打ち込まれ、その衝撃により吹き飛び距離が出来るや、


 「メガ・グラヴィトンウェーブ!」


 黒き重力の衝撃が、龍王に乗るクスハを襲う。

 ミ、シ……ミシミシミシ……ッ!!

 ズズゥンっと小爆発を繰り返しながら、機体が重力により軋む。


 「だ、ダメ、これ以上……持たないっ!?」


 恐怖に声が霞む。
 初めての実戦。初めての明確な死の恐怖。
 目に涙が溜まり、救いたいと願った自分こそが、本当は救われたいのだと声を上げたくなった。
 でも、クスハは弱気になりかけた心に負けたくない。
 唇を噛み、口中を鉄の味一杯にして感覚を現実に引き戻す。


 「負けない……負けないんだからぁ!!」


 声を張り上げ、自らを押し潰す重力に打ち勝たんと力を振り絞る。
 龍王がクスハの闘志に応え、咆哮を上げた。

 だが……


 「追の一撃……塵となれ、クロスマッシャー!」


 虹色の死の光線。
 単純な出力なら先のグラヴィトン・ウェーブに劣るが、単体への破壊力ならば遥かに勝るヴァルシオン最強の一撃!
 少し離れた場所から戦況を見守っていたリュウセイが、焦燥の声で幼馴染の名を絶叫する。
 その場に居た全ての者が、ヴァルシオンの勝利を確信し、神獣が敗北するのを幻視した。

 が、突如、龍王の手前に出現した人影。

 横島が焦りまくった顔してクロスマッシャーを、『反/射』した。
 物理法則どころか、ありとあらゆる常識を翻し、クロスマッシャーというエネルギーが何の気無く進行方向を逆にする。
 だがヴァルシオンはその巨体に似合わない敏捷さを持ってあっさりと自らの放った攻撃をかわし、横島と言うちっぽけな目標に向ってディバインアームを振り下ろす。

 ガ、ギィンっ!

 固い金属が擦り合わさった音。
 横島は涙をちょちょびらせながら、必死で巨大なサイキック・ソーサーでその攻撃を受け止めた。
 キシキシとヴァルシオンの間接が軋みを上げ、それでも目の前の大きな盾は破られない。
 とは言え、神格者と言えど所詮はちっぽけな人間。
 恐怖から背筋に電流が走る。


 「だあああああああ! むっちゃこえ~~~っ! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死んでまう~~~ッ!?!?」


 絶叫を上げながら、考えられることは逃げる事だけ。
 何より相手は巨大な人型兵器だ。
 それも一体で世界を相手取ることさえ出来る究極のロボット。
 恐ろしいまでの力が横島を襲い、とてもじゃないが、この状態を維持出来ない。
 横島が、文珠使いでなければ、の話だが。
 いっそ、死んだふりしたい!などと口にしながら、横島はサイキック・ソーサーを破壊せんとするディバインアームを『弾』く!

 ディバインアームが、 ヴァシュッ! 気の抜ける様な音と共にサイキックソーサーから弾かれた。

 「な、なんだ、と……ッ!?」

 驚きの声を上げるヴァルシオンのパイロット。
 またもや物理法則を無視した事象に、ヴァルシオンの上体が崩れ……
 その隙を狙って横島はサイキック・ソーサーを放った。
 しかしその攻撃は歪曲フィールドによって防がれ……無い!
 フィールドを『貫』き、その無傷の赤い機体を、ズガァン! 破壊音を立てて最初の傷を付けるコトに成功する。 

 だがヴァルシオンのパイロットは、衝撃によろめく機体をあっさりと立て直し、再びディバインアームの剣先を横島に向ける。


 「見事だ、異界からの来訪者よ。我はディバイン・クルセイダース総帥、ビアン・ゾルダーク。汝の目的は如何?
 コトによっては、我が全ての力を持って貴殿を排除せねばならんのだが……」


 サイキック・ソーサーによって出来た破壊跡から、 バチッ! バチバチバチッ……!! 
 決して小さくない火花を撒き散らせ、それでも尚轟然と覇王足らんとするビアン・ゾルダーク。
 横島は息が切れそうになるのを堪え平然とした風を装うが、次の一撃が来たら、もうどうにも出来ん。

 あの傷を付けるのに、どれだけの霊力と精神力を用いたか!
 あの一撃は、横島にとっての必殺だったのに……!

 横島にはもう虎王を呼べるだけの力も残されておらず、クスハを連れてどうやって逃げるかだけを考える。

 それに、これ以上の戦いは無意味だ。
 目の前の男……ビアン・ゾルダークは世界の秩序を乱し、世界征服を目論んだ悪党。
 だと思っていたのに、どうやら違うようだし。

 これでは、単に戦場を荒らしただけの道化ではないか……
 いや、元々道化ではあるけども。


 「目的、か? 悪党を懲らしめに来たんだが……どうも話と違うみたいだしなー。もう、帰っていい?」


 まさか、クスハの修行の為、そこそこ強そうな相手とバトりに来ましたなんて言えやしねー。
 しかも相手がそこそこ所か、世界最強を名乗っても良い位の相手だったとか、マジで笑えん。
 動きを止めたヴァルシオンを横目に、敗北し、もはや龍王の状態すら維持できなくなったクスハの下へと行くと、じゃ!っと手を上げ横島はさっさと『転/移』した。

 ようするに、逃げた。





 


 「一個体存在の力による空間転移ですか。興味深いですね」

 「……アレをどう見る、シラカワ博士」

 「そう……ですね。恐らく害は無いでしょう」

 「そうか。ならば、後は計画通りに頼む」

 「ですがヴァルシオンも傷つきました。ここは公平に、彼らにも少しダメージを負ってもらいましょうか。このグランゾンで……」

 「いや、その必要はない。もう時間も差し迫っているでな」


 天空に幾つもの流れ星。
 そのひとつひとつが、沢山の命が失われた証なのだ。
 中でも一際大きく輝き堕ちる流星。
 ビアンの盟友たるマイヤー・V・ヴランシュタインの乗座。
 コロニー統合軍が旗艦マハトが、大気圏の熱に燃やし尽くされている輝きである。
 今、この星の未来をヒリュウ改に集いし剣に託し、散ったのだ。
 であれば、ビアンも一刻も早くハガネの力を試し、マイヤーに続かねばなるまい。

 ズシンッ!

 ヴァルシオンの脚をハガネの主力、R-1に向けて一歩前へと進める。
 突如現れた龍王と、そして横島の非常識さに圧倒されて時間を止めていた者達が、ハッと我に返った。
 それは龍王のデータを只管に取っていたイングラムも同じで。
 彼も真のサイコドライバー個人の力に目を奪われていたのだ。

 だが、それもここまで。

 ここから先は……


 「総員、いつまで呆けている。戦闘、開始だ……!」


 自らの駆るビルトシュバインの固定武装、サークルザンバーを起動させた。
 ヴァルシオンの歪曲フィールドは確かに強力だったが、サイコドライバーのお陰で綻びを見せている。
 ただの人間に出来ることが、機械の鎧を纏った我等に出来ないはずは無い。


 「リュウセイとマサキは、俺とイルムが開けた穴を突け! イルム、遅れるなよ? 行くぞっ!!」


 イルムが駆るグルンガストと共に、ヴァルシオンへと突撃するイングラム。
 口元に浮かぶ笑みは、いつものニヒルな笑みではない。
 サイコドライバーが見せた霊力の輝き。
 あの輝きで、失われた何かを取り戻した感じがする。
 今のイングラムは喜びに満ちていた。
 彼は確信する。彼のサイコドライバーの力さえあれば、自らを縛る楔からの解放が叶うと……

 安堵。そして 『仲間達』 と共に在ることに、心躍る。


 「俺達の行動は無意味ではなかった。だから、それぞれの世界に何らかの結果を生み出しているはず。
 そしてこの世界にもユーゼス・ゴッツォが居るのなら、奴を倒すのは……俺の役目だ!」


 一人の人間として……

 そう、人造人間でありながら、人間としての心を決して捨てなかったキカイダーのように。
 例え出自が何であろうと、リュウセイ達と共に、『地球人』として、この星の未来の為に。

 ガイア・セイバーズの一員だった頃の意識が、一瞬だけだが僅かに顔を出す。
 そしてその瞬間、ビルトシュバインのサークルザンバーとグルンガストの計都羅睺剣が、ヴァルシオンの歪曲フィールドを完全に打ち破った。

 続くリュウセイのR-1とマサキのサイバスター。

 「おらぁーッ! TーLINKぅ、ナッコーッ!!」
 「いっけぇー! アカシックバスターッ!!」


 R-1の腕に纏う念動フィールドの輝き。
 サイバスターの全身を覆うプラーナの輝き。

 目映いばかりの光が戦場を覆い、R-1がヴァルシオンの装甲を破壊したと同時、アカシックバスターの突撃がヴァルシオンのコックピットを貫いた。


 「この光……そして、先ほどのサイコドライバーが放った光……そうか、これこそが……」

 イングラムは光に魅せられ……思い浮かぶ過去の情景に向かい、優しく微笑んだ。





 ヴァルシオンと言う作られた『巨悪』に、ハガネに集いし勇者達が剣。
 ビアンとマイヤーが望んだ、痛みを伴った世界の認識の改変。

 人類に 逃げ場なし。

 地球圏の未来を担う剣を研ぎ上げる為に、ビアンとマイヤーは散ったのだろう。
 彼らが最後に思い描いたのは、奇しくも同じ、自分の子供の未来であった。





































 「こら、反省せんとアカンな……」


 苦々しく呟いたのは、クスハを連れてスタコラサッサと逃げ出した横島である。
 意識を失い、微かにだが時折辛そうに呻くような声を漏らすクスハ。
 初めての実戦。なのに相手は最強クラス。
 言うならば、未だ未熟だというのにメドーサやラカン辺りのとんでもクラスと戦わされたのだ。
 しかもその原因が、横島の慢心と勘違いときたら、もう反省するしかない。
 その源泉は白まんじゅうから貰った力、魔神。
 ロボットに乗り込んで戦うなんて、ガキの頃に見た夢の光景。
 心が踊り、少し調子に乗っても仕方がなかったとも言える。

 それが自分ひとりで済む話だったなら……だけども。


 「クスハ……」


 治癒の霊力を込めた手で、優しく頭を撫でる。
 名前を呼ぶ声には後悔と懺悔が入り混じり、情けない自分を殴りたい。
 救うべき世界へと誘われない理由、それを横島はクスハの力足らずと判断した。

 それがそもそもの間違い。
 白まんじゅうはこう言ったのだ。

 ───我が与える力の半身を探せ

 白まんじゅうから貰った力、それは魔神である虎王と龍王であろう。
 先にも言ったがクスハではない。
 クスハは協力者で、言うならば横島のこの世界での半身。
 虎王と龍王の半身なんかじゃない。


 「う、うう~ん……」


 身をよじり、苦しそうに唸りながら僅かに目を開けたクスハ。
 何度か目をパチクリ瞬きながら、ハッと気づいたように起き上がる。


 「ご、ごめんなさい、わたし……」


 クスハの胸に去来する申し訳なさ。
 あれだけ修行をつけて貰って、尚且つ性魔術で力を分け与えて貰って、なのに、結果を出せなかった不甲斐ない自分。
 悔しくて、情けなくて、もうどうしていいのか分からなくなって、クスハは泣きそうになった。

 でも、

 「違う」

 横島も、また泣きそうに顔を歪めていた。
 「謝るんは、俺だ」と言って。
 他人から貰った力に溺れちまったと……
 齢百数十年、久方ぶりに童心に返り、ハシャギ、調子にのった挙句、女を戦わせた。

 でもクスハは首を傾げた。
 自分が力足らずで実戦不足なのは本当だ。

 だから責められるのは私。

 いんや、俺だ!

 私です!

 俺だ!

 私ったら私です!

 
 ………………………………………………………………


 決して短くない時間、そうやって言い争っていた2人。

 むむむむ……ッ!

 ぬぬぬぬ……ッ!

 シカメっ面で睨み合っていたが、何だかおかしくなって、横島とクスハは一緒に大口開けて笑った。


 「ありがとう、横島さん。私ね、きっとアナタと一緒に居るのが楽しいんだと思う」


 そう言いながら立ち上がり、短いスカートがふわりと捲くれ、真っ白い清楚な下着がチラリと見えた。
 むっちりとした太腿に、そのデルタゾーンはとっても艶かしく、横島は「おおっ!」っと地面に這い蹲るようにして手をつきながら、下から覗き込む。
 戦闘前にあれだけ睦み合ったというのに。
 クスハは「もうっ! 真面目に聞いて下さいっ!」と口調だけ怒ってみせた。

 楽しい。

 これから先、戦いに明け暮れるだろう未来を想っても、なお楽しく感じられる。

 それは横島が一緒だからだ。

 私はアナタの半身。
 アナタは私の半身。
 アナタの失敗は私の失敗で、私の力足らずはアナタの力足らず。

 クスハは地面に這い蹲っている横島を立たせると、左手で彼の手をとり、残った手で頬をなぞる。


 「楽しくて楽しくて、だから忘れちゃいそうになる。私は、運命に翻弄される人達を助けたいが為にアナタの手を取ったのに……」


 頬をなぞる彼女の右手に、横島は残された左手を重ねると、いつものおバカな道化の顔でなく、歳を経た落ち着きの有る表情になる。


 「いんじゃないか? 世界や他人より、まず自分。自分を不幸にしてまで他者を救う必要なんかねーよ」

 「そう……かな? いいのかな?」


 良いんだよ。
 そう囁きながら、横島はクスハを抱き寄せ、地面へと座り込んだ。
 横島の膝の上に座る形になったクスハは、僅かに抵抗してみせたものの、すぐに大人しく腕の中に納まった。
 和やかで優しい空気が2人の間を流れ、だがふとした拍子にクスハが先ほどの戦闘のコトを思い出す。


 「アレからどうなったんでしょうか……?」

 「さあ、な。多分だが、あのおっさんの負けだろ」


 ここまでは良かった。
 気になるのは当然だ。

 だが、

 「リュウセイ君、大丈夫だったかな……」

 ヒク……横島の頬が引き攣る。

 腕の中のクスハが、他の男の名を呟きながら、心配そうに遠くの空を見上げてる。
 リュウセイ・ダテ。トリコロールの機体に乗ってた、クスハの幼馴染にして想い人。
 嫉妬の念が、体を支配する。

 「ハ───、あ……」

 胸をムニュムニュと揉まれ嬲られ、熱い湯船に入った時のように、クスハの口から自然と漏れ出す甘い喘ぎ。


 「胸だけでイカセたる……っ」


 少しだけ怒った声に、クスハは自らの失敗を悟った。

 だけども、もう遅い。

 上着を捲くられ、たわわに実った双乳を外気に晒される。
 戦闘前の行為と、初めての戦闘で得た緊張感。
 この2つの所為なのか、それともただただこれからの行為に期待しているからなのか?

 染み一つ無い形の良い乳房は、薄っすらと汗ばみ、乳首がプクっと膨らんでいた。
 横島は、ビンビンにそそり立ったその乳首を指先で抓り、グリグリと転がす。


 「ひぃっ、んっ、んあああぁっ! よ、横島さん、痛い!」
 
 「痛い? んなん、当たり前じゃ! これは、お仕置きなんだからな……! でもな、こんなはしたなく乳首を勃起させる淫乱娘にゃー、無意味なお仕置きかもな」


 笑いながら、更に乳首を摘む指に力を込め、捻り上げる。
 指の腹で潰され、捻られる刺激に、クスハは仰け反りながら絶叫した。
 ソノ顔は、確かに苦痛よりも悦楽の色が濃く出ており、淫乱娘なんて侮辱的発言も頷けられると言う物だ。


 もっともっとよがれ。
 俺以外の男の顔なんざ、もう一生思い浮かべられなくなる程に……


 乳首を摘んだまま、残った3本の指と手の平を使い、弾力のある乳房をグニグニと揉み、クスハの口から一際甲高い嬌声を引き出させる


 もう、この女は俺んだ!と、子供が玩具を手放さない様に良く似ている。


 「おっぱいだけで、こんなに感じる変態は、クスハぐらいなもんだろうな……」

 「うぅあっ、そ、そんなことっ! 私は、変態なんかじゃありませんっ!」


 否定するクスハに、いんや、お前は立派な変態だよと、耳元で囁く。

 なんせ、お前は俺の半身。
 だったら、変態に決まってるだろ?


 「あ、あぁあ……」


 どこか納得したみたいに小さく喘ぐような声を漏らし、ガックリ肩を落すクスハ。

 
 「だからな、オッパイだけでイクような変態でいいんだ。俺の相棒なんだから、俺だけの女なんだから当然だ」


 悪い男の顔になり、クスハのピンク色の突起をピンピンと爪弾く。

 
 「きゃふぅぅっ! ち、乳首、弾かないでぇ……あっ、あっ、あひぃっ!」

 
 乳首を叩くリズムに合わせ、クスハの体がビクビク跳ねる。
 瞳が潤み、段々と熱を帯びていく視線で横島を見つめた。
 否定の言葉と裏腹に、期待と情欲に濡れた視線。
 それがあまりに色っぽく、迂闊にも頭がクラクラする。

 思わず、ク~スハちゃあああああん! なんて言いながら飛びかかってしまいそう……

 だが横島とて百数十年、ただ黙って生きてきた訳じゃあない!
 おっぱいだけでイカセまくっちゃると決めたからには、曲げる訳にはイカンのだ!

 とは言え、横島自身の欲棒もまた、臨界点間近。

 ギンギンにそそり立つ息子が、我もとばかりに主張してくる。
 しばし懊悩する横島だったが、先ほども言った通り、百数十年生きた経験はダテじゃなかった。
 ファスナーを降ろし、いきり立つ肉棒を外に出すと、お宝……もといクスハのオッパイの谷間に挟み込む。
 これでオッパイだけを責めつつも、自分も気持ちよく一石二鳥!
 そう言えば、これだけ見事なおっぱいを前にして、未だパイズリの一つもしてないとは、横島忠夫一生の不覚!
 大きな乳に包み込まれた肉棒、その深い谷間から飛び出た亀頭をクスハの口元に突きつけながら、ゆっくりと腰を揺らし始めた。
 汗で濡れた柔い乳肉に、欲棒がしっとりと吸着する感触がたまらなく気持ちいい。


 「あ、あん……な、なに……なん、なの……?」

 「これがパイズリだ」


 クスハの乳を支配している感に、倒錯めいた喜悦を口元に浮かべる。

 
 「クスハの全ては俺のモンだかんな。だから……」


 だから……の後に続く言葉。

 それを容易く想像できるクスハ、子供なんだからと苦笑い。
 こんな子供の部分が、クスハの胸の奥をキュンキュンさせるのだが、それを横島は気づいていない。
 リュウセイは初恋の人で幼馴染の特別な人ではあるけれど、今はもう、恋愛的な感情は全て彼に捧げられているのだというのに。
 だからクスハは、激しく乳房の間を行き来する肉棒に、愛おしげに舌を伸ばす。
 唾液を垂らし、肉棒の抽送を助けるためだ。
 そして、こうしたらいいのかな? なんて思いながら、自らのおっぱいで肉棒を揉んであげた。


 「き、気持ち、いい……?」

 「お? お、おう!」


 少し驚いたあと、嬉しそうに頷く彼に、本当に可愛い人だと思った。
 荒っぽく胸を揉み、激しく胸の谷間を行き来する肉棒。
 更には乳首の先端をキツク摘まれ、クスハは腰を悩ましげにくねらせながら、うっとりと甘く熱い息で喘いだ。


 「私で、気持ちよくなって。だって私はもう……」


 本当、何度言ったら分かってくれるのだろう?
 あの日、アナタに抱かれてからは、ずっとアナタだけを見ているというのに……

 胸の中で暴れる愛する男の肉棒を、恍惚とした瞳で魅入ってしまう。

 ああ、胸だけじゃなく、私の胎の中に来て欲しい。
 いっぱい、いっぱい、アナタの精液で満たして欲しい……

 クスハは横島の肉棒の先端から噴出する精液を、顔一杯に浴びせられながら、そんなコトばかり考えていた。
 唇についた精液を手で拭い、汚れた肉棒を口の中に迎え入れて扱き出す。
 口の中に溜まった唾液と、肉棒にこびり付いた精液を舌に絡めるようにしながら音を立てた。

 ぐちゅ……じゅぷっ、じゅぼっ……ちゅぱ、ちゅっ……

 力を失いかけた肉棒は、クスハの口の中で再び力を取り戻す。
 先端部分を唇で吸い上げながら、もう一度とばかりに乳房で竿の部分を激しく扱く。
 そうして益々逞しくなった肉棒を一旦口から追い出すと、熱い視線を横島に向けるのだ。

 口の端から唾液が零れ、クスハの大きな乳房を濡らしていく。

 それはとても扇情的な光景で、横島をいきり立たせるのに充分だ。


 「あの、次は、ここ、で……」


 そう言いながら下着をズリ降ろし、アソコをクパァっと指で広げてみせる。
 糸引きながら広げられたヴァギナは、彼を求めてパクパク蠢き、クスハがどれだけ興奮しているのか分かると言う物だ。
 だけど、この後クスハはオッパイだけを延々と嬲られ続けてイカされまくる。
 結局本番は一切なく、身体の奥に淫らな痺れを残したまま欲求不満になってしまったクスハは、これ以降安易に他の男の名前を口にする事はなくなったとか何とか。






























 ユニットデータ(スパロボOGS風味)


 魔神龍王ユエ

 HP   7500
 EN   220
 運動性 110
 装甲  1400


 地形
 空 S
 陸 B
 海 S
 宇 A


 特殊能力

 念動フィールドS
 HP回復(小)


 武器名

 雷精招来(MAP) 攻撃 2800 射程 2~5 命中0 CT0 EN120 空S 陸S 海― 宇A
 雷精招来      攻撃 3700 射程 2~8 命中+30 CT+10 EN20 空S 陸S 海― 宇A
 雷爪襲破      攻撃 4200 射程 1 命中+20 CT+30 EN0 空S 陸B 海A 宇S
 尾巻襲破      攻撃 4500 射程 2~4 命中+10 CT+10 EN10 空S 陸B 海A 宇S
 雷光逆鱗破    攻撃 5200 射程 1~2 命中+20 CT+30 EN80 空S 陸S 海C 宇S


 属性 一般ユニット



 クスハ・ミズハ Lv.30


 性格 強気

 成長 万能系


 SP 156

 精神

 必中 15
 鉄壁 25
 集中 15
 熱血 45
 覚醒 60
 愛  65


 ツイン精神

 祈り 20


 特殊技能

 念動力 L6
 援護防御 L3
 集中力


 属性 メインヒロイン




















 後書き

 すまんが、原作知らない人への配慮はあんまりありません。
 あしからずご了承の程を……

 今回の原作……

 スーパーヒーロー作戦
 スーパーロボット大戦α(PS版&DC版)
 スーパーロボット大戦OG(GBA版)
 スーパーロボット大戦OGs(PS2版)
 スーパーロボット大戦OG(アニメ版)


 スーパーヒーロー作戦は、130万HIT企画後、こっそり買ってプレイ済みですw
 いや、クスハがセーブ要員だとか聞いたんで、どういう感じでの出番なのか、どうしても知りたくなっちゃって……
 感想板で教えてもらいはしたんですけど、どうしても好奇心が抑えきれずにw
 ちなみにお値段は300円でした☆

 あとは……

 HIT企画はネギま!キャラ以外のキャラで話が中心です。
 簡易データ表の下の方に注目だ!

 最後に……

 大聖杯が何だとか、世界のバックアップがどうたらこうたらとか、スパロボOGのイングラム設定は等々……そんなん俺知らねーしw
 知らねーからゲームやった印象と小説読んだ印象とアニメ視た印象まんまで書いても問題ねーべ?ww



[11660] 180万HITスペシャル企画
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/04/18 14:11


 注! 原作を知らない人への配慮はないです。
























 地上ではディバイン・クルセイダーズの総帥、ビアン・ゾルダークがダイテツ・ミナセ率いるハガネの部隊に討たれ。
 宇宙ではコロニー統合軍総司令官、マイヤー・V・ブランシュタイン が、レフィーナ・エンフィールド率いるヒリュウ改の部隊に討たれた。
 地球圏には一時の平穏が訪れ、だがしかし、それが嵐の前の静けさであるのだと、疑うものは誰もいない。

 ビアンが示唆した異星人の侵略もある。
 いや、それ以前に、ディバイン・クルセイダーズとコロニー統合軍の残党をまとめ上げた、アードラー・コッホとの戦いもある。
 地球圏の未来を決める凄惨な戦いは、むしろこれからが本番になるのだろう。


 だけど、確かに今この時は平和なのであった。































 「行かれるのですか、少佐……」


 事後の女の、気だるそうな中にも艶が入り混じった声だ。
 声を掛けられた男は、ベッドからのそりと出て、「ああ……」と言葉少なに答えながら思うのだ。


 行くも何も……アヤ、最近のお前は絶倫すぎるっ!


 そう言いたい。言って、やりたい……ッ!!

 頬が削げてるんじゃないか?ってぐらい吸われまくった漢の、口には出来ない魂の叫び。
 それを喉下でグッと堪えながら考える。
 先日のヴァルシオンとの決戦時に見た光り。

 リュウセイの超念動。
 マサキのプラーナ。

 真のサイコドライバーと出会ったからなのか、2つの超常の力の発露を目の当たりにして以来、常に感じる自分ではない自分。

 そのせいだろう。

 ペースが狂われっぱなしだ。
 そうだ。俺はもっと、こう……


 「フッ、アヤ。俺にはまだしなければならないことがあるんでな」


 ニヒルに口角を吊り上げる。
 だが、その余裕もあっさりと崩れた。


 「少佐、せっかくのお休みなんです。ですから、もっと、ね……?」


 腰を掴まれ、再びベッドの中に引き込まれる。
 思わず口から出そうになる悲鳴。
 素早く唇をふさがれたイングラムは、これが人の欲望か……と心で泣いた。




























 数時間後。

 重い足を引きずる様にして歩いていると、不意に来る脳を犯す囁き。
 クッ、と呻くような声が喉から漏れた。
 自分が自分でなくなっていく不快感から反吐が出そうだ。


 タイムリミットが近づいて来たか……
 急がなければならならない。
 自分が、自分でなくなってしまう前に。



 そう思いながら腰をトントンと叩き、ハガネの艦内の通路を歩く。
 正直なところ、どれだけシリアスぶってみても、第3者からみたら滑稽にしか見えない。
 それもこれも、横島なんかに関わろうとしているせいだろう。
 あの男は、無意識に人を、特にイケメンを道化に貶める。
 その道化っぷりをイングラム本人が気づいてない辺り、涙を誘うが……


 「イングラム」

 「……ヴィレッタか」

 「例のターゲットの居場所、把握できたわ」

 「────そうか」


 その返事に、安堵の色が混じっているのに気づけるのはヴィレッタだけだろう。
 なんせ彼女は、イングラム・プリスケンの影。
 彼のクローンとしてこの世に生を受け、彼の最も近くで彼の為に生きてきたのだ。


 「しばらくここを離れる。後は……頼んだぞ」

 「分かったわ。でもね、イングラム?」

 「……なんだ?」

 「アヤの面倒まではみれないわよ?」 


 ふふん♪と実に楽しそうに笑いながら、クルリと背中を向けて去っていく。
 ヴィレッタも、イングラムの枷が外れそうなのに安堵しているのだろう。
 常になく上機嫌であった。
 もっとも、それだけではないのだろうが…… 


 まあ、ともかく、イングラムは急ぎこのハガネから離れる準備を始めた。
 元々、この艦に長くいるつもりはなかったのだ。
 もっとも、それは枷に嵌められたまま、だったのなら、ではあるが。

 今は……そう、必ずここに戻ってくるつもりだ。

 罪はある。

 イングラムはエアロゲイターと呼ばれる異星起源知性体と思われる集団の一員。
 当然、地球人類に対し不利益だろう事も行ってきた。
 エアロゲイターの本拠地であるネビーイームに、様々な情報や『サンプル』を送っていたのだ。
 到底許される所業ではないだろう。
 例え枷をはめられ、そうせざるを得なかったのだとしても……

 いや、進んでしてきたのだ。
 その枷を外す為に。自分の為に。

 だが、それでも……





 イングラムは自嘲めいた重い溜息を吐き出すと、ヴィレッタに渡された資料に目を通す。

 中国は山東地区にある遺跡、蚩尤塚。
 そこで発掘作業のバイトをしているカップル。

 男の名を、横島忠夫。

 女の名を、水羽楠葉。

 男の方はともかく、女の方……間違いない。
 リュウセイの幼馴染の名と一致する。


 「フッ……フハハ、アハハハハハハハハハハッ」


 イングラムの偽悪めいた笑い声が、ハガネの艦内に響き渡り……


 「見つけましたよ、少佐!」


 だが、すぐさま笑いを止めて逃げ出した。




















  ヨコアス外伝  スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション YOKOSHIMA



               OGYⅠ-4   『放たれた黒の愛』
















 ────私が欲しかったのは、当たり前の日常。







 朝、起き抜けの寝惚け眼で朝食の準備を終えると、土蔵で鍛錬のしすぎで、クタクタになって眠る先輩の寝顔を堪能してから、そっと肩を揺さぶる。


 『朝ですよ、先輩。起きてください』

 『……ん? あ、ああ、おはよう桜』


 朝一に先輩と挨拶できる幸福に頬がゆるむ。
 一緒に朝食を食べ、一緒に学校に行き、一緒に……

 でも、そんな私にとって宝石の様な日々は、あっさりと崩れ落ちた。

 先輩が、遠坂先輩……姉と、デキたのだ。

 先輩の腕の中で、甲高く喘ぎ声をあげ、背筋を弓なりに反らすあの人。
 私の目の前で、私に気づかず、とても幸せそうに、幸せ、そうに。

 私は兄さんに犯され、おじいさまに蟲でぐちゃぐちゃにされ、なのに、あの人は……

 そう思ったら、もうダメでした。
 心が、闇に堕ちたのだ。
 でも、そんな私を、再び光ある場所に戻してくれた人がいた。
 『彼』は私を、本当の意味で『元』に戻すと、何事もなかったかのように去って行く。

 なのに私は、光には耐えられそうになかった。
 元に戻っても、汚れたモノは変わらないから。

 だから、衝動は、収まらない。

 何より、先輩と姉さんが一緒にいるのが嫌だ。

 そこは、私の場所です!

 そう言いたくなる醜い私は、きっと先輩には相応しくないのでしょう。 
 だからなのかも知れない。
 目の前にあった、解り易いまでの堕ちた証。
 黒き杯、この世全ての悪を取り込んでしまったのは。
 結果的に、私はすぐさま『彼』に再び『元』に戻らされたが……

 ううん、違う。

 あの黒い杯は、欠片ではあったけど、確かに今も私の中に……

 だからもう、違う。

 私は、違う。違うのだ。

 違う、違う、ちがう、ちが、う……



 あの人『達』の仲睦まじい姿を見たくなくって、『彼』に乞うて使徒となり、逃げ出した私は、今も届かぬ夢に、そっと、手を伸ばす。























 イングラムがハガネを離れて数週間後。

 世界は再び戦乱の渦の真っ只中になった。
 ディバイン・クルセイダーズとコロニー統合軍の残党が蜂起したのだ。
 警戒待機中だったハガネの艦長、ダイテツ・ミナセは、途中ヒリュウ改と合流しつつ、新生ディバイン・クルセイダーズと死闘を繰り広げる。
 イングラムがいなくなった事により、機動部隊の指揮を任されることになってしまったアヤ・コバヤシ大尉。
 補佐にヴィレッタ・バディムが就いてるとは言え、個性的な面々が多い部隊を指揮するには経験が足りなすぎた。
 その間隙をつかれたのだろう。
 とある能力によりアードラー・コッホに身柄を狙われていた、シャイン・ハウゼン王女を浚われてしまう。

 指揮官としての力不足を自覚したアヤは、以後、コロニー統合軍との戦いで、見事にヒリュウ改のPT部隊を指揮し勝利に導いたキョウスケ・ナンブ少尉に指揮権を譲る。
 階級的に問題があったものの、キョウスケ・ナンブ少尉を中尉に戦時特進の推薦をすると、自らは実験部隊であるSRXチームに戻った。
 キョウスケ・ナンブ中尉の指揮には問題が多々あったものの、戦時における勘と突貫力は凄まじく、連戦連勝を重ねる。

 しかし、アードラー・コッホも只者ではない。
 ディバイン・クルセイダーズとコロニー統合軍。
 その双方が敗れ去った原因……特殊部隊による一点突破を用いた敵中枢部の撃破。
 自分達がしてやられたその作戦を、攻守入れ替え実行したのだ。
 アードラーは手元にある先行量産型であるヴァルシオン改4機の内、3機にマンマシン・インターフェイス ゲイムシステムを搭載させると、
 
 1号機に、洗脳を施し完全にシステムの一部となったシャイン・ハウゼン王女。

 2号機を、元・特殊戦技教導隊テンペスト・ホーカー。

 3号機に、自らが見出したテンザン・ナカジマ。

 最後のシステム未搭載の4号機を傭兵トーマス・プラット。

 彼らにそれぞれ託すと一気呵成に攻め上った。
 連邦軍は強襲に対処仕切れず、遂には地球連邦政府の中枢であるジュネーブまで軍を進められてしまう。
 ハガネ、及びヒリュウ改の部隊は、急ぎ駆けつけようとするも、足止めに派遣されたテンペスト・ホーカーのヴァルシオン改に苦戦する。
 ゲイムシステムに完全に組み込まれてしまったテンペスト・ホーカーの脅威は凄まじく、ようやっとの思いで撃墜した時には、ジュネーブは陥とされてしまっていた。

 ここまでか……

 そう思ったのも束の間、何故かディバイン・クルセイダーズの覇道の足歩みは止まったのだった。






 











 
 そのアードラー・コッホが機上するディバイン・クルセイダーズが旗艦、グレイストークは混乱の坩堝である。

 連邦軍の主力を撃破し、ルクセンブルクを陥落せしめ、地球の覇権をこの手にする寸前だったというのに……っ!

 アードラー・コッホは、年老いても尚ギラギラする野心が見透かせる傲慢な口調を、ピタリと止めた。
 年齢に相応しく皺枯れた顔を、驚愕に染め、


 「ば、馬鹿な……化け物……いや、まさか人間か……?」


 茫然と呟きながら、モニターに映る凄惨な光景に見入っていた。
 兵士達の機銃の一斉射を軽くかいくぐり、その間隙を縫って鮮血の肉片をまき散らす。
 もちろん、その肉片は『彼女達』の物じゃない。兵士達の物だ。
 人間には出来ない。出来るはずがない。

 身体に機械を埋め込んだか?
 いや、あの筋肉の躍動は確かに生身だ。
 なにより、あの影……
 妙に露出の大きなパイロットスーツに身を包んだ長身の女を従える、あの……化け物っ!


 「ふふふ、はやく逃げないと、食べちゃいますよ?」


 ────ひぃっ!?


 誰の悲鳴か?
 いや、この場に居る……違う。この艦に乗る全ての命の悲鳴だ。
 分かった。理解してしまった。
 この日、この時、この場所で。

 自分が食われ死ぬのだと……


 「ねぇ、ライダー? どの食材も、あまりイイものではないみたい」

 「あまり贅沢をいうものではありませんよ、桜」

 「ふふ、そうね。こぉんな外道じゃないと、横島さん、許してくれないもんね?」

 「タダオは……いえ、何でもありません」

 「そう? じゃあ、おなかくうくうするし、始めよっか」


 ズルリ……

 彼女の影が大きく拡がる。
 どこまでも、どこまでも。
 この世界の全てが覆われんばかりに……

 誰も動かない。動けない。
 恐怖で現実から逃避し、ブツブツ埒もないことばかり呟く。
 すると、不意に耳に……違う。脳に直接響く声。





 ────ねぇ、今もソコで私達を見てるヒト。アナタの存在は、私におじいさまを思い出させる。

 あの、世界を思い出してしまう。姉さんと、先輩がいた世界を……

 不愉快なんです。

 許せない。

 だから、あなたは取り込んであげるわ──────








 澱んだ虚無の闇が、全てを蔽い尽くす。


 「ひ、ひひひ、夢じゃ、これは、夢……」


 そう、目を覚ませば、優秀な頭脳を持つこのアードラー・コッホの下で、地球は一つとなるのだ。
 迫りくる異星人など何するものぞ!
 例え化け物が相手だろうて、このアードラー・コッホの手にかかれば、素晴らしい兵器に……


 「ひはははははははははははははははははははは」


 天から伸びる紅い光。

 呪層界・胎蔵曼荼羅────さあ、いっしょに溶けましょう

 覇業の途上にあったはずの老人は、ゲブッと肉を磨り潰す音と共に時間を止めた。







 ────安心して。みんな一緒だから







































 「どうでしたか、桜?」

 「ええ、この世界、大体理解出来たわ。ライダーはどう?」

 「私の方も、ハイパー文珠『接続』のおかげでしょう。少々手間取りましたが、この世界とアクセスできましたよ」

 「英霊としての力も?」

 「はい。騎乗の英霊としての力も、この身に流れ込んできています」

 「じゃあ、アレ使える?」


 そう言った彼女の視線は、青い巨大ロボットへと向けられた。
 遠くから見た時から思っていたが、こうして近くで見ると、本当に凄い。
 ドクター達が整備する逆転号を初めて見た時も思ったが、これはそれ以上だ。


 「恐らくは……いえ、あれは私の物です!」


 問われた方は、最初だけ神妙に答えて見せていたのだが、途中から興奮が冷め止まない様子。
 彼女は騎乗の英雄。この手の乗り物には目がないのだろう。


 「マン・マシン・インターフェイス、ゲイムシステムってのがついてて危険みたいだけど……ライダーなら大丈夫だもんね」 

 「はい、お任せを。それより、おまけに付いてた少女の方は……」

 「異能者みたい。味見、しちゃおっか?」


 妖艶に嗤いながら、視線を巨大ロボットから、中学生程度と思われる少女へと移した。






 ────そうだ。力をつけなくては。

 アスナさんにも、なのはさんにも、負けない力。

 そうして責任を取ってもらわないと。

 私をこんな風にした『彼』に。

 先輩じゃないのに、私の正義の味方じゃないのに、私を救ってしまった、最も憎い『彼』に……











 「力、いっぱいつけなきゃね?」

 「……はい、そうですね」

 「ねぇ、ライダー」

 「なんですか、桜」

 「ライダーは、横島さん、好き?」

 「ええ」

 「愛してる?」

 「はい」

 「じゃあ、もっと、もっと、協力してね?」

 「わかってますよ、桜」

 「そうしたら、私のおこぼれ、たくさんあげるから」



 ────私が欲しかったのは、当たり前の日常。


 生温い日だまりなあの場所で、たくさんの仲間と彼に愛される日々。

 それは私が欲しかった、当たり前の日常じゃ、決してない。

 なのに、ああ、こんな日常も悪くない。

 そう、思ってしまいそう。

 だから、そう思ってしまう前に、アナタを私だけのモノに。

 憧れていた、2人だけの世界を。

 先輩とではないけれど、かわりに、アナタと……







 少女を裸に剥きながら、にこりと笑った桜の表情は、失くしてしまったあの頃のようにあどけない。

 でも、それは見せかけだけだ。
 桜は、どこまでも壊れてしまっている。

 でも、きっと大丈夫。

 私には。
 私達には。


 あのおバカがいますしね。


 首筋に歯を立て魔力を吸い上げつつ、少女のうっすらとした茂みの奥に指を這わせた彼女の従者は、そう信じている。













 『ハガネ』『ヒリュウ改』がグレイストークを包囲したのは、その数時間後。
 彼らが見た物は、艦内に散逸する惨劇の跡。

 どれも、『人』 だったと思われるナニカと、

 「なにがあったのかわかりませんし、知りません」

 にこやかにそう言ってのける、シャイン・ハウゼンだけだった。






























 「うおっ!? な、なんかゾクってしたっ!」

 「キサマのことだ。どこぞで手を出した女に恨まれでもしてるんだろう?」


 フッ、と口角を吊り上げて邪悪に笑うイングラムは、見下したような視線を横島に向けたままそう言うと、横島の腕を掴んで離さない。


 「失礼なこと言うなや! 俺は男に恨まれることはあっても、女に恨まれる覚えなんかねーよ! ってか手をはなしやがれっ、気持ち悪いわっ!!」

 「……手をはなして欲しければ、アソコへ行こうとするのをやめればいいだけだ」


 イングラムがクイッと顎で指し示す先はシャワー室。
 現在、ここの責任者である妙齢の女性が使っている場所だったりする。


 「クスハに頼まれてるんでな。キサマがアホなことしでかそうとしたら、しっかりと止める様にと」


 そうして始まる力と力のぶつかり合い。
 互いに互いを睨めつけ、2人から発せられる濃厚な殺気で、周囲の空間がキシリと歪んだ。


 「ふざけんなっ! エリさんのお宝を拝むチャンスを逃してたまるかッ!!」


 無駄に高まる霊力は、だがしかし、次の瞬間……


 「横島さん? な・に・をっ! してるんですか?」


 背後から感じる凄まじいまでのプレッシャーに四散した。
 横島の腕を掴むイングラムの手から力が抜ける。

 逃げるなら、今だ!

 なのに、横島の身体は恐怖で動かない。


 「イングラムさん、ありがとうございます」

 「あ、ああ。気にするな。これも呪いを解いてくれた礼の一つだ」


 まあ、呪いを解いてくれたのは横島だが……という言葉をしっかりと飲み込みつつ。
 ついでに声が震えてしまったイングラムだが、これを情けないとは思わなかった。
 それだけに、彼女が発するプレッシャーが凄まじいのだ。


 「すんませんッしたーっ!」


 だから横島が土下座して謝る姿を見ても、それが当然だと感じさえする。
 イングラムは、背中をびっしょりと汗で濡らしながらも、それを決して悟らせはせず。
 何でもない風を装い、クスハに手を上げて挨拶をすると、そのままその場から去った。
 背中から聞こえてくる「アンギャーッ!?」悲鳴なんて気にしない。


 「そろそろハガネに戻らなければ……」


 決して彼らから逃げるためじゃない。
 そう誰かに言い訳をするイングラムは、確かに枷から解き放たれて。


 「しぬ、しぬ、しんでまう~~~っ!?」

 「この程度でアナタが死ぬなら、こんなに苦労はしませんっ!」

 「ぎゃ────ッ!!!」


 耳をつんざくような爆音と、地面を激しく揺るがす振動に、イングラムは歩幅を大きく足早に逃げ出した。
 その姿は、全てを取り戻した筈の『因果律の番人』としては、とても情けない姿に違いはなかった……








 




 

 窓の外から聞こえる喧騒に、彼女はクスリと笑みをこぼす。
 学生の頃から研究三昧だった彼女にとって、彼、横島忠夫は不可思議な存在だ。


 ────私みたいな面白みのない女にコナかけて、何が楽しいのかしらね?


 シャワーに濡れた髪を、やや乱暴にバスタオルでぬぐいながら彼女はそう思う。
 それでも先程クスリと笑って見せたように、口元が笑みの形に固定されているのは、既に心の一部が彼に奪われている証拠なのかもしれない。
 彼女はどこかしら楽しい雰囲気をまとったまま脱衣室を出ると、機嫌よさげに学生時代に聞いたと思われる何かのCMソングを口ずさむ。
 今日の発掘作業は全て終了しており、作業員や、彼女と同じ研究員達とすれ違いがてらに挨拶しながら廊下を歩いた。
 すれ違った者達は、横島に絆されつつある彼女を楽しく見ていたのにも、気づかずに。

 そうして自分の部屋を目指して歩いていると、不意に談話室から光がこぼれているのに気づいた。

 何の気なしにヒョイッと中を覗いて見る。

 するとスポンサー筋から視察に来て、なぜかそのまま居ついた男、孫光龍。
 明らかに西洋人の容貌であるというのに、中華系の名を持つ、どことなく胡散臭い男。
 そんな彼が、彼女すら見たことのない不思議な石碑を写した写真を見ていた。
 超古代文明を専門に調べる考古学者である、彼女にすら見た事のない遺跡物と思われた。
 思わず孫光龍の背後から、覗き込むようにしてその写真を見ていると、


 「あァ、気になりますかね、コレ?」

 「え、ええ……」


 気障に嗤う彼に、ちょっとした反感がもたげるも、それ以上に気になる。
 見れば、彼女達のチームが発掘している遺跡に描かれている絵画や文字と、とても良く似た文明の物に見えた。


 「これは一体……」


 茫然と呟く彼女を見て、孫光龍は唄う。


 「大破壊を創世神ズフィルードと共に生き延びた、神であって神でなく。人であって人でない存在。最古のサイコドライバーにして、この星を守る真の守護者」

 
 そして最後に、彼女に聞こえない声でポツリと、その名を呟く。


 「えっ、なに? なんて言ったの?」

 「さァて? さっ、僕はもう部屋に帰って寝ますね?」

 「ちょっ、ちょっと待って!」


 彼女の呼び止める声に、孫光龍は答えず、背中を見せて手をヒラヒラと振った。


 ────ガンエデンが目覚めるまで、あの方に仕えるのも悪くない。
 この地に眠るアレを破壊したい衝動もあるが、あの方の命だ。しばらく静観するとしましょうかね……


 そして視線の先にいた、表情の無い顔で自分を監視する男に、小さく頭を下げる。
 するとその男は、溶けるように身体が崩れ落ちると黒豹へと姿が変化し、そのまま夜の帳が落ちはじめた世界へと姿を消した。



 ────さァっ! この僕を使いこなしてみせろっ! バラルの僕にして、四霊、応龍の超機人、真・龍王機に選ばれた、この僕をッ!!


 と、その時、突然、孫光龍の横を疾風が駆け抜けた。


 「ああっ! エっリすわぁ~ん、み~っけ!」

 「よ、横島さん!? クスハさんにおしおきされてたのでは? あ、あの、今はそれどころじゃ……」


 一つの言霊を、孫光龍の耳に残して……


 ────よく分からんが、美人のねぇちゃんを巻き込むんじゃねーぞ?


 そう、やけに耳にこびりつく、殺気混じりの言霊を。

 孫光龍は嗤う。

 シルクハットで表情を隠しながら。

 静かに、静かに。


 ああ、面白い。

 そう、静かに。




























 ユニットデータ(スパロボOGS風味)


 黒桜&ライダー

 HP 2800
 EN  500
 運動性 250
 装甲  600


 地形
 空 B
 陸 S
 海 ─
 宇 ─


 特殊能力

 令呪
 EN回復(大)


 武器名

 アレストチェーン  攻撃 3500 射程 1~4 命中+20 CT+30 EN 0  空S 陸S 海C 宇─
 ブレイカーゴルゴーン  攻撃 3700 射程 1~5 命中+80 CT+10 EN 50  空A 陸S 海A 宇A 追加効果 石化
 ヘブンスフォール(MAP)  攻撃 3900 射程 1~5 命中+10 CT+50 EN 200 空A 陸S 海B 宇─
 ペルレフォーン  攻撃 4000 射程 1~2 命中+80 CT+80 EN 150 空S 陸S 海─ 宇─
 アート・アンリマユ  攻撃 4300 射程 1 命中+20 CT+80 EN200 空B 陸S 海─ 宇─ 追加効果 吸収※1



 属性 イベントユニット








 間桐桜 Lv.50


 性格 黒

 成長 大器晩成


 SP 180

 精神

 信頼 30
 補給 60  
 応援 50
 脱力 45
 覚醒 70
 愛 180


 ツイン精神

 戦慄 35


 特殊技能

 魔術 L7
 SP回復
 集中力
 この世全ての悪
 令呪(使用回数3)※2 


 属性 恐怖







 ライダー Lv.EX


 性格 普通

 成長 もうしない


 SP 500

 精神

 加速  5
 集中 10  
 不屈 10
 気迫 40
 信頼 30
 愛  50


 ツイン精神

 魂 70


 特殊技能

 魔術 L9
 インファイト L9
 ヒット&アウェイ
 アタッカー
 リベンジ
 見切り


 属性 中ボス









 ※1 これ使って敵を撃破した場合、対象死亡・経験値UP
 ※2 横島による文珠『令/呪/補/充』で回復可能





 参考

 間桐桜

 横島への想い

 友11 親20 恋 0 愛20 色20 計71

 『先輩』への想い

 友20 親20 恋20 愛12 色18 計90



 ライダー

 友18 親20 恋15 愛20 色20 計93 








 後書き

 レビ・トーラー(ネビーイームルート)
 リリー・ユンカース(DCルート)
 安西エリ(超機人ルート)      ←ピッ!


 って訳で、だいぶ前にしたアンケートの結果から、超機人ルートへと進みます。
 ちなみに作者は、この時レビ・トーラーが選ばれるだろうと思ってたんだけどね……
 ああ、どれが選ばれても、最後はまったく変わんないからね、一応言っとくとw

 ただこの時点で孫光龍とビッ……もとい『彼』が出てくるのは、このルートだけだけど。

 す~なのあ~らしに……

 『彼』の強さ設定は、アシュタロス≦ってことにしてます。

 過大評価……じゃないよね?
 ああ、十けっ……はでないよ?
 あれら出したら、キャラが濃すぎて話がまとまらんw


 ちなみに、レビルートだと、当面の敵はイングラム。
 リリールートだと、アードラー(強補正)でした。

 もう2人とも、敵としては退場しましたねw
 これもHIT企画ならでは。話を急いだ結果ですww


 











 おまけで、エイプリルフール企画のアレの簡易プロットから抽出したQ&A


 ヒロインは誰?

 破壊神カーディス。
 小ニース(淫乱腹黒娘)にあらず。
 つんでれカーディスという誰も書いてない新たなジャンルを開拓しようと思った。

 ファリスの聖女はどうした?

 日々バカッぽくなってくベルドの為、横島の人格汚染ぶりに対抗しようとしてファビョった。
 以降、ヴァリスに帰って隠棲。歴史からその名を消した。

 伝説の主人公は?

 原作と同じ。カーラにはめられた。
 コイツだけは素で横島の人格汚染に対抗できてた。
 が、退場したため、ベルド達の悪乗りは凄まじい方向へ……

 魔神王はどうやって倒した?

 文珠の大盤振る舞い。ガシガシダメージ与えれるようにして、皆でふるぼっこ。
 弱った所で押し倒して性魔術に及ぼうとするも、大ニースに阻まれ横島ふるぼっこ。
 唖然とする魔神王に、隙ありとばかりにソウルクラッシュ奪ってベルドがトドメをさした。
 その後、横島を色んな意味で危険に思ったカーラが、魔神王を倒して気が抜けてる所を狙ってディメンションゲート。

 英雄戦争は?

 ファーンとベルドのロードス全部を巻き込んだ最強決定戦。
 これもやっぱりカーラに邪魔されて相討ち。
 原作と違って、聖女が迎えにくるとかない。
 ベルドはもちろん、ファーンも内心、ファリス?なにそれおいしいの?状態。
 なにより、ファリスの聖女が聖女になれなかったw
 ついでに言えば、大ニースは信仰をかろうじて守ったせいか、聖女っぽい。
 しかし処女ではないww

 小ニース(淫乱腹黒娘)はどした?

 もっと黒く淫乱な黒桜辺りのおかげで、問題なく黒を曝け出せるGS世界で生きる。
 ってか、GS世界ならカーディスとかナニールとか関係ねぇー。
 とか思ってたら、カーディスこうりんw
 でも、平然と黒い自分を受け入れる。
 白と黒をその日の気分で閨の感じを使い分けたりするに違いない。

 作者はロードスを何だと思ってやがる!?

 カーラの名前を出せば、大抵はオッケーになる。
 それがロードス島戦記(伝説)だと、作者は認識している。









































 さて、追加パックの用意があるがどうするかね?

 内容……黒桜×シャイン

 見たいならば、感想の最後に、ひっそりこっそり

 わっふる

 とだけ入れたまえ。条件をクリアした場合のみ、後悔……もとい、公開しよう。

 以上だ。



[11660] 180万HITスペシャル企画 追加パック  エロ有り(黒桜×シャイン)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/04/21 20:32
 注! 実はこれ、没分です(汗

 でももったいないんで、晒しますw



















 寒く冷たい暗闇の中、少女はひとり、恐怖に耐えようと自分の幼い身体を抱きしめる。
 これでも、リクセント公国の王女なのだ。
 子供のように恐怖するのは、彼女の誇りが許さなかった。
 なのに、どうしても震えてしまう。
 そんな弱い自分に絶望し、大切な人達の名を心の中で弱々しく叫んだ。

 お父さま、お母さまぁ!

 そうはいっても、まだ13年しか生きてない少女の世界はとても狭く。
 両親といった肉親に助けを求めるのが精々で……

 でも、そんな中、両親のそれよりも、強い、強い、思念を向ける存在がいた。
 王女としての立場。欲しくもなかった超常の力。
 人を遠ざけてきたそれらがあっても、両親と同じように自分を叱ってくれた、たったひとりの男性。

 ライディース・F・ブランシュタイン。

 彼のことを思うだけで、胸がとくとく高鳴る。
 だから両親に助けを求めるそれよりも、もっと強い思いの籠った思念で助けを求めた。

 ライディさまっ!

 心に思い浮かぶ彼の姿は、現実では見たことのない、優しい笑み。
 その空想の中の笑みだけを心の支えに、少女はもう少しだけ頑張ろうと気を張るけれど……


 ────この方が、アナタが慕う男性ですか?


 突如聞こえた女性の声は、少女を閉じこめる寒く冷たい暗闇を裂いた。
 そうして柔らかく暖かい感触に包まれた少女は、ホッと胸を撫で下ろし、声の主を捜そうと思念を伸ばす。

 それがいけなかった。

 少女がしなければならなかったのは、逃走。
 もっとも、少女が知覚する全ては、少女自身が創り出した精神世界。
 逃げようにも、実は身体を押さえられている現実、逃走など出来ようはずがなかった。
 それに少女にしてみたら、この声の持ち主は救世主に他ならない。

 首筋を襲うチクリとした痛みも気に止めない。
 肌に感じる暖かさの方が大切だから。
 少女は暗い闇から解き放ってくれた温もりに身を、そして心を預ける。

 それは、とても心地の好いモノ。

 とても、とても……


 「あっ、はぁ……ん」


 柔肌を滑る手の動きに、少女は震えるように喘いだ。
 たやすくその快感を受け入れたのは、先程までの自分が自分でなくなっていく恐怖から逃れられた、確かな証拠が欲しくって。


 「力を抜いてくれませんか? そうしたら、もっと気持ちよくしてあげますよ?」


 そして耳元をくすぐる声に、確かに自分は救われたのだと。
 心を守るために閉じた心を、そして、『目』を開いた。

 なんてキレイな……

 少女は目にいっぱい飛び込んできた女性の顔に、そう思った。
 頬に脈打つ禍々しいナニかも、少女の眼にはとても、とても、キレイにしか見えない。
 薄く紅まじりの白い髪も、優しく冷酷な瞳も、自分を食べようと舌舐めずりする舌先も、全部、全部が……


 「あうんっ!?」


 不意に背中から胸を鷲掴まれて、漏れ出てしまった嬌声。
 驚いて顔だけ振り向いてみれば、眼鏡をかけた美女が、そこにいて。
 自分を愛でるのが楽しいのか、彼女は本当に嬉しそうに目を細めた。

 13才という年相応にしか膨らんでいない胸。
 でも、今は雪のような白さを、火傷しそうなほど熱く火照らせ。
 淡く膨らむその場所に食い込んだ指が、ゆっくりと蠢き始める。
 少女は、そこから与えられた刺激に、ビクリと肩が震えた。
 止まらない指の動きに陶然とするも、それ以上の刺激に声を荒げた。
 正面のキレイな人が、少女の股間に顔を埋めたのだ。
 舌の先でチロチロとワレメと、その上部にある突起を嬲られ、少女は悶える。
 少女の反応に満足したキレイな人は、一旦顔を上げると、目を細め、口元を酷薄な、でも少女には一切の恐怖を与えない笑みの形を作った。


 「おなまえ、聞いてもいいですか?」


 うっとりするような、それなのに、ゾクッと悪寒が走る声だった。


 「シャ、シャイン・ハウゼンですわ……」


 唾液ですべるアソコに、キレイな人の指が這う。


 「あ、あなたたちは、いったい……?」 


 身をよじって、なんとかその指から逃れようとしながらの問いかけは、シャインの胸を胸を揉みしだく女性の、熱いキスで止められて。


 わたくしのファーストキスが……


 そう思いながらも、悲しくはなかった。
 ただ、少しだけ残念なだけで。
 もしかしたら、この2人の女性に魅入られてしまったのかもしれない。
 シャインはうっすらそう思っていると、耳元にキレイな人の唇が近づき、言葉を放った。

 間桐桜とその従者、ライダー。

 その名を心に刻みつけ、シャインは腰を跳ねさせた。
 『桜お姉さま』の指が、シャインの膣粘膜を犯し始めたのだ。
 と、同時に、『ライダーさん』の指が、シャインの腸粘膜を刺激する。


 「んぅ────ッ!!」


 唇をライダーさんにふさがれながらの絶叫は、桜お姉さまの愉悦を増すだけで。


 ────好きな人との初めてなんて、そうそう出来るものじゃないんですよ?


 桜お姉さまが口に出してそう言った訳でもないのに、何故かそう言われた気が、シャインはした。


 「ねえライダー。そろそろかわってくれない?」


 名残惜しそうに、自分の唇から離れたライダーさんを見ていると、すぐに桜お姉さまの唇が近づいてくる。

 2人の間に挟まれて、きっと私は女になるのだろう。

 唇を吸われながら、シャインはぼうっとした頭でそう思った。
 前と後ろに挿入された指が、艶めかしく蠢き始めた。
 ぬちゃぬちゃと、淫液が音を奏でる度に、必死にかみ殺す嬌声。


 「我慢、しなくてもいいのですよ?」


 ライダーさんの声に、そういえば、どうして我慢してるんでしたっけ……?
 そんな思いが、桜お姉さまの「声、聞きたいな?」なんて導きで……


 「や、いやぁっ、です、わ……ん、んんっ……」

 「ほんとにイヤですか? シャインさんのここ、こんなにヌルヌルってしてるのに?」


 指が生み出す快感に、何かが壊れそうだった。

 いや、このままでは完全に壊れてしまう……

 そう思うのに……
 はず、なのに…… 


 「い、いやじゃありません……」


 桜お姉さまにだけ聞こえるよう、小鳥が囀るみたいな小声でそう言ってしまった。
 その瞬間、少女の中で枷が外れてしまったのだろう。
 桜とライダー。2人の指の動きに合わせるよう、淫らに腰を揺らし始めた。


 「お姉さま、お姉さまぁ……っ!」


 少女の求めに、桜は応えた。
 ズルリと……何かがシャインの胎内を拡張した。


 「あぐっ!」


 シャインの顔に苦痛が浮かぶも、それも少しの間だけ。
 桜の動きに合わせてシャインの肢体が揺れると、可愛い口から甘い嬌声が漏れたのだから。

 ああ、私はセックスしているのですね。

 そう実感がわくとお腹の奥がきゅんと鳴った。
 

 「あっ、あ……あァァ────ッ!!」


 突き抜ける絶頂感と、終わらない欲望。
 だがシャインとて13才という若さにして、国をまとめるに相応しい聡明な頭脳の持ち主である。
 負けじと目の前のお姉さまの柔らかそうな胸を、ぎゅっと力任せに掴んだ。
 それは今までこの手の行為をしたことのない少女の、精一杯の行為ではあったが、ただ痛いだけの行為でもある。
 しかし、相手は桜であった。彼女は、この手の痛みには耐性がある。むしろこの程度では気持ちいいとさえ言えた。
 とはいえ、何も知らない少女を教え導くのはお姉さまの役目だ。


 「あ、はぁ……シャインさん、こういうときは、もっと優しく……ね?」

 「は、はいっ、桜お姉さま……」


 瞳を切なげに潤ませながら、シャインは桜に言われた通り、手のひらで優しく乳首を揉み、乳首を転がすように弄った。
 お腹の奥を、得も知れぬナニカに犯されながら、でも、お姉さまの胸の感触はとても心地好い。
 そううっとりしていると、直腸を犯すライダーさんの指が、指ではなくなった。
 それはきっと、前を犯すナニカと酷似したものなのだろう。
 大きく後ろまで拡張される感触に、シャインはたまらず「やめてください」と叫びたくなった。
 が、シャインはお姉さまと、その従者の全てを受け入れようと、ギリリと歯軋りを鳴らしながら懸命に耐える。
 シャインの中では、今まさに、2つの何かが壁越しにぶつかり合っている。

 痛みはない。

 ただ、恐ろしいほどの快感だけだ。
 その証拠と言う訳でもないが、シャインの中はしっぽりと熱く滑っている。
 お姉さまとライダーが腰を動かすだけで、シャインはあまりの悦楽に可愛らしく喘いでいた。


 「あぁっ、あんっ、ああぁあ! ああうっ! やぁあっ! と、とても、イイですわっ!」


 一国の王女として、いつも誇り高くあろうとする彼女が、今や懇願するように叫び求める。

 それに応えるつもりなのか。
 お姉さまとライダーさんは視線を重ねて頷きあうと、ナニカをシャインの奥の奥まで侵入させる。


 「これで、最後……」

 「おいきなさい、シャイン」


 慈しむよう2人からしっかりと抱きしめられ、ナニカがギュルリと振動し始めた。


 「ああっ! ダメッ! ダメです! こ、このままじゃわたくし……あァアッ、いっ、イクぅううううううぅっ!!」


 激しすぎるオーガニズムに、唇は戦慄くように震えて止まらない。
 そんなシャインの頬を、お姉さまとライダーさんは優しく撫でさする。
 2人とも、何も言わないけれど、シャインにはその優しい気遣いが手に取る様に分かる気がした。
 そのぬくもりが嬉しく、ただ寄り添ってくれるだけで、天にも昇る気持ちになれた。

 だから……


 「あ、あの……」

 「なに?」「なんですか?」

 「も、もういちど……」


 引き抜かれかけたナニカが、再びシャインの奥に差し込まれた。
 容赦なく襲いかかってくる快感と、確かに感じるお姉さまの鼓動。
 それは自分を救ってくれたお姉さまと『ひとつ』になった証である。

 見ればヌルリとしたナニカが、体内から出たり、入ったり。
 ずちゅずちゅというくぐもった水音を響かせていた。


 「どうですか、シャインさん?」

 「あっ、はぁああ、い、いい、お、お姉さまぁ。頭が、真っ白になって……」 


 なんて、なんていう悦楽……

 余りの悦楽に、惚けたように口を大きく開けると、桜お姉さまの唇がシャインの唇に近づいた。
 名前の通り、キレイな桜色の唇だ。
 シャインは迷わずその唇にしゃぶりついた。
 そうして激しく舌を動かしては、お姉さまの唾液を吸いたてる。

 自分の思いの丈をぶつけるように。

 まるで、愛する人にするように。


 ああ、すき、すき、すき……好きですわ……


 ……ナニが好きなのだろう?

 この淫靡な行為?

 それとも桜お姉さま?

 わからない。わからないけど……


 再び体奥に熱い塊を放たれて、ブルルと歓喜に肢体を震わせるシャインは思うのだ。



 男性ではないのですから、ノーカンですわよねっ!



 桜お姉さまとライダーさんが思っている以上に、このシャイン・ハウゼンという少女は、とても強かな少女なのである。






























 後書き

 没理由。

 途中からライダーの存在が消えた。
 百合なのに、架空元素・珍宝wを発生させてシャインを貫いてしまった辺り。
 ライダーもよくわからん珍宝を発生させてしまった辺り。
 途中で何書いてんのか解らんくなった。
 いまいち作者のノリも悪かった。

 以上です(汗

 って、さっき気づいたんだが、いつの間にか感想数が2000超えてるwww
 みなさん、いつもありがとうございます。これからもどうぞよろしく。

 そんで、次回の更新は……むこうになります。



[11660] ロードス島戦記Y 邪神戦争編 序
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/04/28 17:57


 過ちが 暗黒から魔物を呼び出した

 世界が闇を包み 暗黒の中で人は息絶え 王国は滅んだ

 だが 暗黒と戦うために光は集まった

 人は立ちあがった その手に剣を持ち

 エルフは立ちあがった 輝ける森の奥から 弓を取って

 ドワーフは立ちあがった つち打つその手に斧を持ち代え

 光はまとまり希望の太陽となった

 太陽は暗黒を切り裂き 勝利した 森で 山で 平野で そして海で 空で

 闇の魔物は自らのすみかに逃げ帰った

 そこは魔物の聖なる地 世界で最も深き迷宮

 その奥に異界への扉はあり 魔神の王が暗黒の玉座につき 邪悪なる右手を上げて 呪いを世界に送っていた

 選ばれし百人の英雄たち その暗き死の迷宮に挑む

 あまたの英雄たちは 暗黒の地で闇と戦い そして冷たき躯となった

 それでも 光は迷宮の奥底までを照らし出した

 七人の英雄が魔神に挑み 世界は救われた


 一人は騎士 白き鎧をまとい 聖剣を手にしたヴァリスの王 ファーン

 一人は戦士 魔神を打ち取り そして心を魔神に奪われた暗黒皇帝 ベルド

 一人はドワーフ 失われし石の王国の最後の王 フレーべ

 一人は魔術師 世界の知識を知る 大賢者 ウォート

 一人は神官 大地の法を守る 清きマーファの神官 ニース

 一人は道化師 ロードスに笑顔を取り戻す風来人 タダオ

 そして最後の一人は無口な魔法戦士 名前も告げず去っていった光の使徒

 かくして光は戻り 闇は去る










 「カーラの言葉ではないが、まったく厄介なことだ。しかも今度はベルドもファーンもあのバカも、それにおまえさんまでおらん」

 「代わりに新たな勇者が立ち上がりましょう。わたしは、ロードスの未来を憂いてはおりません。
 いかなる困難、いかなる災厄が訪れようと、ロードスの民は必ず勝利します。わたしは、そのことを確信しているのです」


 年老い、全ての生命力を使い果たしたニースは、最期の言葉を口にすると安堵の息を吐き、フレーべに支えられ、再び背中をベッドに戻した。

 それから、ゆっくりとまぶたを閉じた。いや、閉じようとしたのだが……


 「うぉら筋肉ジジイっ! 俺の女にエロい手で触れんじゃねーっ!!」


 ハッと大きく、目を見開いた。
 あの日、初めて会った時のまま若い姿の彼は、フレーべを蹴り飛ばすや否や、シッシっと手で追い払う。
 フレーべと、そしてウォートは、数瞬茫然としたあと、思い出したように大声で笑いだす。
 ニースもつられるようにクスリと笑うと、本当に嬉しそうに相好を崩した。
 そんなニースに、フレーベとウォートは、目を優しく細めると、無言で部屋から出ていく。
 これが2人がニースにできる最後のことだろう。

 愛する者と、2人きりで愛を語り合う。
 とても簡単なことだ。
 でも、2人には許されなかったことだ。

 だから、最期だけでも……


 「ひさしぶりですね」


 本当に嬉しそうな声色でそう言ったニースは、だけども、少しだけ顔をうつむかせる。


 「いつまでも若いアナタと違って、私はこんなにも年老いてしまったわ……」


 今の自分に恥じ入る訳ではないけれど、好きな男には、自分が最も美しかった頃の姿を覚えていてもらいたい。
 そう思えたことに驚きと、少しだけの喜びを感じたニースは、そんな自分をほろ苦く笑った。


 「アホなこというな。初めて会った時より、ずっと美人じゃねーか」


 横島の言葉に、うっすら頬を染める。
 横島は、そんなニースに手を伸ばすと、優しく髪を梳き、そして数十年ぶりに彼女を抱きしめ、唇の味を堪能した。



 ……どれだけそうしていたのだろう。

 自然と2人はかつてのように……いや、位置はまったくの逆か?

 ニースは横島の膝の上で、甘えるように横になっていた。
 そして、震える手を伸ばす。
 横島は、その手を掴み、優しく微笑む。

 これから、彼女は最期の言葉を言うのだろう。
 横島は哀しみを押し隠し、彼女の紡ぐ言葉を、一言残らず脳裏に焼きつけようと耳をこらす。


 「お願いしても、いいかしら……」

 「なんだ?」

 「孫娘をお願い。あの娘は、『この世界』で幸福になるのが難しい娘……だから、アナタの世界に……」

 「ま、まごだってーっ!? ワイという者がありながら……」

 「ふふ、で、どうかしら?」

 「あ、ああ。だいじょぶ。うん、だいじょぶ……」

 「本当はね、その母親の方を頼みたかったのだけれど……アナタは、会いに来てくれなかったから……」

 「うっ!? す、すま……」

 「ふふ、謝らないで? これは、私のわがままなのよ?」

 「お、おうっ」

 「そして、最後にもう一つ、いいかしら?」

 「ん……」

 「ロードスに、笑顔を、お願い。あの時みたいに、えがお……」

 「分かった。よく分からんが、分かったよ、ニース。俺に、この横島忠夫に任せとけって!」

 「ああ、安心した……これで、ゆっくり、と、ねむ、れ……る……」

 「おやすみ、ニース……」

 「おやす……み、なさ……い、タダ、オ……」





 星が、落ちた。

 この日、マーファの愛娘とまで呼ばれた偉大な司祭は、愛する男の膝の上でこの世を去ったのだ。

 彼女の幸せそうな死に顔は、だがしかし、ロードスを守護する力が失われてしまったのだと、彼女の娘婿には感じられてしかたなかった。

 が、彼女は、このロードスに、まばゆいばかりの光を残した。

 例え闇に堕ちても、再び笑顔と言う名の火を灯す。そんなワイルド・カードな光を……


 ロードスの民は、一年後に、再びそれを知る。










          ヨコアス外伝   ロードス島戦記Y(仮) 道化師再び










 くろのこけし「なに?ニース(小)が消えただと!? よし、ならOVA版だ」

 はいえろふ「触手ぷれいとかないでしょうね……?」

 えろふ好き「OVAなら俺が主人公ww」

 ふこうおう「俺の成長と活躍する場面が……不幸だ……」

 YOKOSHIMA「カーディス?美人は全部おれんじゃーっ!」

 はかいしん「美人っ!? ふ、ふんっ! あんたなんて好きでもなんでもないんだからねっ!」

 しょーねんこーてー「あれ?おれの輪廻転生な力とかなくなったんですけど?」

 そーどますたー「マーモがふつうになって、もれの国SUGEEEEE」

 各国のおうさま「m9(^Д^)ぷぎゃー 小説版じゃねーからマーモお前のもんにならんしww」

 あしゅらまん「もれはくりすたにあ行ってしあわせなるんだっ」

 しんおーばるさん「……ぷっ」








 こんなかんじなものがたりが、いま……

























  嘘企画だし始まんない(なれーしょん@永井一郎)





















 後書き

 これ、エイプリルフール時に投下された嘘企画です。
 当然、続きません。

 今回のメインは実はこれ↓

 ノクターンノベルズ様にて、新話の更新ありです。


 総合pt1500突破記念企画

 ヨコアスR 逆行大作戦!! ④  再び始まるあの熱かった日々、その序章


 ヒロインは……六道冥子


 以上ですw



[11660] 没シーン①
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/08/17 21:54


 これはノクターンで投下されてる総合pt2000突破企画で予定され、

 アスナのエロシーンって別にいらなくね? とか なんか暗いしやっぱ没ね!

 って感じでボツられた話です。




























 それは横島ならぬ、悲壮な覚悟であった。
 真祖の吸血鬼。
 この人界において、魔族に匹敵するだろう力の持ち主。真正の化け物。
 そんなのを相手にするのだ。
 『神格者』であった横島忠夫ならともかく、『人間』である横島忠夫では、悲観的な感情のひとつやふたつ、出ても当然だろう。



 「大丈夫なの、タダオ?」

 「なんとかなるだろ」


 不安そうなアスナに、それでも気楽に言葉を返すのは、愛する少女に心配をかけたくない一心だ。
 もちろん、アスナはそんな横島の心内に気づている。
 伊達に数百年の永きに渡って、彼の隣に居続けた訳ではない。
 
 苦しい時があった。悲しい思いもした。
 寂しい時も、辛い思いも、いっぱい、いっぱいした。

 でも、それ以上に楽しかった。楽しく、楽しく、たのしく……
 大好きで、愛するアナタと一緒なら、たとえ永劫の時を彷徨おうと、なんの後悔があろうものか。


 アスナは、スカートのホックを外した。
 するりと脱げ落ちるスカートと、そして、露わになった純白のぱんてぃー。
 今のアスナは小学生で、女としての丸みもなにもあったもんじゃない。
 でも、でも、それでも! 彼女は女だった。
 純白の下着が盛り上がった部分が、黒く湿っている。


 「ひとりで、イッチャウんデショ?」

 「ああ、流石に小学生のアスナを連れてったら、世間の目がまじでヤバい」


 今現在の横島ならば、真祖の吸血鬼は手に余る存在。
 だが最強の使徒であり、何気に主である横島よりも強かったアスナだ。
 咸卦法による身体強化を用いずとも、互角以上に渡り合えるだろう。
 しかし、横島の言うとおり、中身がなんであろうと、見た目が小学生であるアスナを、仕事の現場に連れていく訳にはいかない。
 むろん、もう後がないとなったら、何が何でもアスナを使うが。
 でも、今は『マダ』その時ではない。

 アスナの存在は『奥の手』

 神格者としての力を失った横島にとって、『文珠』と同じか、それ以上の切り札なのだ。
 たかが真祖の吸血鬼如きに、その 切り札を出す訳にはいかない。
 この先、『何』と戦うことになるのか分からないのだから。
 ……いいや、横島には解っている。
 この先……さほど遠くない未来に、横島は戦うのだ。
 『魔族』と呼ばれる超越的存在と……

 無論、アスナも解っている。
 だからこそ、下着を脱いだ。

 細く、肉付きのあまり良くない太ももの半ばまで脱ぎ下ろされた純白の下着は、黒く汚れた場所から粘る透明な糸がピンと張り。
 恥ずかしそうにモジモジするアスナの魅力を、これ以上ないくらいに大きくしていた。


 「ワタシのかわりに、ワタシのマリョクをもってって」


 互いに高め合うのではなく、自分の魔力を持っていけ。
 それは確かに力になるだろうが、今のアスナはあくまで小学生。
 魔力の低下……更には生命力の低下は、とても危険だ。

 しかし、


 「ダイジョウブ。さなえオネエチャンがいるから、なんとかなるわよ」


 そう言って、完全に下着を脱ぎ捨てると、指を秘所に当て、くぱぁと割り開く。
 ピンク色でキレイな膣壁が、男を……いや、横島を求めてウネウネと蠢いていた。


 下は7才、上は数万才までオッケな横島だ。
 当然アソコはパオ~ンとみなぎった。
 しかし、今はそんなことをしてる暇はない。

 さっさと用意をすませ、冥子ちゃんのとこに急がねば……


 「ひ、ぃあ……く、くるし、い……も、もっと、ゆっくり……あ、はぁ……ンっ!」


 って思っているはずなのに、手は、幼いせいか浮き上がった肋骨を撫で、下半身は見事に合体していた。
 もう何度となく挿入したアスナの膣内は、だけども年相応にとても狭い。
 太い肉杭の侵入を拒もうと、キリキリと締め上げた。
 互いに最初はとても辛い。
 だが、ある一点を過ぎれば、とてもスムーズになるのも解っていた。
 だからゆっくりしてと言われても、横島はアスナの奥へ行こうとする速度を緩めない。
 ギチッ、ギチッと硬い音を立てメリ込むたびに、


 「あ゛ッ……ぎっ……はあぁ……ッ……!!」


 アスナは苦しげに背を反らし、肌には、おびただしい量の脂汗が浮かんでいる。

 だけども、ズプンッ!


 「はぁ……あぁ……」


 奥を突く衝撃と同時に、アスナは安堵のため息を吐いた。
 一度挿入してしまえば、あとはもう楽……
 横島は遠慮なく肉穴を肉杭でこね回す。
 すると奥から蜜が止め処なく溢れ出て、肉杭を包む柔肉が蕩けてくる。
 『前』から続く、横島の為だけのソコは、どうすれば彼を悦ばせれるのか熟知していた。


 「アン……アッ、ハァッ、ン……ねぇ、ワタシのオマンコ、キモチ、イイ……?」

 「お、おう。気持ちいいぞ!」


 嬉しそうにえへへと笑い、アスナはもっと頑張ろうと手を横島の首に回す。
 そうして身体を固定させ、肉棒を押しこまれる度に、静かに自分も腰を揺らめかせ始める。


 「アッ、アッ、アァ……スキに、ウゴイテいいんだよ? ワタシのぜんぶは、タダオのものだから……」


 今の彼はただの人間。
 今の私もただの人間。
 でも、例えしっかりとした霊的な繋がりなんてなくっても、私はいつでもアナタの女。
 だからアナタが必要だというのなら……ううん、例え必要ではないと言っても。

 私から持っていけるモノは持っていって?

 だって私の全部は、横島忠夫の物なのよ?


 アスナは横島を満足させため、激しく、淫らに腰を揺らす。
 ツインテールの髪が激しく舞い、肢体から飛び散る汗がキラリと光った。。


 「ア、アスナ……ッ!?」

 「タダオ、モッテいって! ワタシのマリョクをっ!! あっああんっ!!」


 どぷっ! どぷっ! どぷどぷどぷんっ!!

 子宮に直接吐き出される精液が、アスナのお腹を熱く燃やす。
 と同時に、霞む視界。吸われていく魔力。
 アスナは、残された力で精一杯に手を伸ばし、横島の頬を撫でた。


 「ケガ、したらダメだからね」

 「わぁってるって。俺が真祖如きにやられるわきゃねーだろ?」


 ふふんと笑いながらアスナの膣内から肉棒を引き抜く。
 そうしてネットリする粘液に濡れた肉棒の先をアスナの頬で擦った。


 むう~っとちょっとイヤな顔をするアスナだったが、仕方ないなぁっと抵抗せずに、その瞬間を待つ。


 びゅく、びゅくっ、どぴゅぴゅぴゅぴゅ──────


 勢いよく吐き出された白濁液は、アスナの顔と髪を満遍なく汚した。
 膣内射精と顔射ですっきりさわやかな横島は、体力・魔力・気と、全てがオールグリーンの絶好調!
 これも全てアスナのおかげだと、白濁液に濡れるアスナの顔を軽くぬぐい、その小さな唇に、啄ばむようなキスを雨のように降らした。

 そして……


 「早苗ちゃんにもよろしく言っといてくれ。んじゃ、いってくる」


 横島忠夫、出陣!

 少し大げさな言い方ではあるが、まさにこの表現こそが相応しい。
 いつになく真面目な表情を浮かべた横島は、無言でアスナに背中をむけ、右手を軽く上げる。

 
 「いってらっしゃい」


 小さく投げられた言葉は、確かに彼の耳に届いたのだろう。
 横島は上げた手をヒラリと揺らし、玄関を出て、アスナの視界から消え去った。
 アスナはまだ膨らんでない胸を押さえ、ペタンと尻もちをついた。

 
 いつもいつも、いっつもエロいことばかりなアイツ。
 バカでバカでバカで……どうしようもないバカだけども、やるときはやる。
 そんな人が見せた、『やるとき』の顔。
 飽きるぐらい永き時を共に過ごしていたはずなのに、胸のトキメキがとまらない。
 もう、口から心臓が飛び出てしまいそう。
 冷たい床にペタリと張り付いたアスナのお尻に、生温い液体の感触までしてきた。
 M字に開かれた足の付け根から、先程膣内に出された白濁液が、ごぷっごぷっと溢れ出ているのだ。

 いや、それだけじゃない。透明な、女の蜜が、溢れ出ている。


 どれだけベタ惚れなのよ、わたし……
  

 幼い顔を紅潮させ、アスナはそう呟き、小さな指を股間に這わせ、白濁混じりの女の蜜をすくう。
 とろりとしたその液体を、自らの唇にぬり、舐めた。


 「ン……ッ、ふぅ……」


 身体がビクンと跳ねる。
 イってしまった。たったこれだけで、イってしまった。


 ……もうダメ。
 がまんできないよ……


 唇に這わせた指を、再び足の付け根へと伸ばし……

 細く、狭い肉の道を、アスナの小さな指が2本、じゅぷじゅぷ卑猥な音を立てて沈んでいく。
 背筋を走るゾクゾクする感じに、目をギュッてする。
 小さな口からは、よだれを流し、泣き叫ぶような声を出した。
 魔力どころか、生命力さえ捧げて弱っているはなのに、止まらない欲望。
 身体どころか、魂さえも調教され切った証拠なのだろう。


 「あ……あぁ……あっ、あ、あ、あああ……タダオ、わたしぃ、あはぁ、んっ……」


 とおにも満たない幼い少女の淫靡な甘い啼き声は、横島が無事に帰って来るその日まで、たびたび聞こえることになる。

 


























 さて、そんなこんなで、アスナのおかげで悲壮な気分をぶっ飛ばし、
 真祖の吸血鬼なんぞ、ぺぺのぺぃってしてやるぜ!
 って感じで意気揚々となった横島。
 だがしかし! 空港で待ち合わせていた冥子と合流し、依頼人が前もってチャーターしていた飛行機に乗った、その瞬間。


 「あーっ! れーこちゃんだーっ!」


 恐怖に身体がすくんだ。

 ギンっと恐ろしいまでの眼光で自分を睨みつけてくるナイスバディーな美女……そう、美神令子の視線に。



































 ……全部ボツですw






[11660] せっちゃんといっしょ! ①
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/09/04 19:20






 朝になってお布団から出ると、そこは知らない場所でした。

 いつも使ってる可愛い枕も、隣で寝ていたはずのこのちゃんもいない。

 女子寮なのは間違いないみたいなんだけど……誰の部屋だろ?

 どうしてここにいるんだろ?

 ととさまのイタズラかな?

 そう思いながら周囲をキョロキョロすると……


 「どうした刹那? 寝惚けてるのか?」


 龍宮が牛乳パック片手にいた。

 おかしい。

 ととさまと龍宮は、なんの関係もないはずなのに。

 ってことは、ととさまの仕業じゃない?

 だったらこのちゃんかなぁ?

 でも……うん、なんか変だ。

 私は訝しむ龍宮をほっぽいて、可愛さの欠片もない寝間着を脱ぎ、枕元に置いてあった制服を着る。

 う~ん。なんだか制服の着心地も違うし、それ以前にショーツもブラも可愛くない。

 こんなんじゃ、急にととさまと……な時、ちょっと恥ずかしいかも。

 まあ、ととさまは気にしないとは思うけど。

 でも、可愛い下着か色っぽい下着の時の方が悦んでくれそうだし。

 ととさまを想い、私は少しだけ頬を朱色に染める。

 そんな私に、本当に失礼な! 龍宮は変な物でも見る目で私を見た。


 「本当にどうしたんだ刹那? 拾い食いでもしたのか? それとも最愛のお嬢様と仲直りでも出来たのか?」 

 「……お嬢様?」


 このちゃんのことだろうけど、確かに大切だけども、最愛?

 悪いけど私の最愛はととさまだ。

 だって、捧げたんだもの。私を全部、捧げたんだよ?

 大好きだし、愛してるのは、ととさまだ。

 ……まあ、龍宮の誤解を解く必要もない私です。

 気にしないでさっさとこの部屋から出て、自分の部屋に帰りましょうか。


 「お、おい刹那っ! ちょっと待てっ! おいッ!!」











────────────────────────────────────










 ……うん、おかしい。

 部屋の中がからっぽです。

 というか、埃の溜まり具合から、もう何ヶ月もこの部屋は使われていないみたい。

 私は不安で一杯になりながら、お友達のあすなちゃんとのどかちゃんのとこに行ったんですが……

 表札が、綾瀬&早乙女&宮崎になってます。

 のどかちゃんはいるみたい。

 でも、なんであすなちゃんでなく、綾瀬さんと早乙女さんなの?

 ……変だ。変だ変だ変だっ!!

 私は泣き出さんばかりに涙をいっぱい瞳にためて、寮の窓から飛び出した。


 「う、うわっ桜咲さん!? ちょっあぶな……っ!!」


 背後から切羽詰まった早乙女さんの声が聞こえたけれど、気にする余裕のない私は、そのまま背中の翼を広げて空を滑走。

 魔法の秘匿とか頭によぎったけれど、そんなのはどうでもいい。

 あとで怒られるとしても、今の私はこの不安をどうにかすることだけを考える。

 そう、ととさま。

 ととさまのとこに行けば……

 きっと、みんな何食わぬ顔しているに違いない。

 そして私は怒るのだ。

 もう、このちゃん! あすなちゃん! のどかちゃん! っていっぱい、いっぱい怒ってやるんだ。

 不安から逃れようと夢想する私は、もうととさまの家の方しか見えやしない。

 ただただその方向だけをキッと睨む。そうしないと、泣いちゃいそうだから。

 そして、家が見えた。

 ととさまの家が。

 不安が大きくなる。

 もしもととさままでもが変だったらどうしよう。

 涙目で玄関前に降り立つと、震える手でチャイムを押した。

 ぴんぽ~ん、と響く電子音。


 ────へ~い、ちょっと待ってな~


 ととさまだっ! ととさまの声だっ!!

 キィィっと開かれる玄関扉。

 ひょいっと顔を出すととさま。

 ととさまの顔を見た瞬間、私を苛んでいた不安が晴れた。


 「ととさま────っ!!」


 私は両手を大きく広げ、ととさまの胸に飛び込む。


 「うおッ!? な、なんやーっ!?」


 キュッと抱き付き、ととさまの体温をいっぱいに感じ、私は………… 
















────────────────────────────────────
























 あれから数週間が経ちました。

 結果から言えば、この世界は私のいた世界ではありません。

 そして、今の私の身体も私の身体ではなく、この世界の私の身体で……ととさまを受け入れ、女になった私ではなく、まだ無垢な少女です。

 しかも! のどかちゃんが言ってた豊胸マッサージ、結構効いてたみたいで、この世界の私のおっぱいは、どうも元の私のおっぱいよりちっちゃいです。

 このことを、この世界のこのちゃんに話したら、すんごい顔してととさまの部屋に突撃しました。

 後にゆえさんも同じようにしてましたから、どこの世界もおっぱいの悩みは一緒なんだな~。

 それにしても、どうしてこうなったのかは、さっぱりです。

 元の世界にあるだろう私の身体に戻りたくても、どうすれば戻れるのか分からず仕舞い。

 というか、そんな方法はきっとないんだと思う。

 もう、ととさまにも、このちゃんにも、あすなちゃんにも、のどかちゃんにも……みんなに会えないんだと思うと悲しいけれど。



 人と人との関係性が微妙に違うこの世界。

 例えば、この世界のこのちゃんは一般人です。

 というか、私とタイプが似てるんじゃないかなぁ?

 しかもこの世界の私と絶縁状態だったらしく、今の私との関係がとっても嬉しいって言ってくれる。


 「違うせっちゃんかもしらんけど、せっちゃんはせっちゃんや!」


 そう言ってくれたのは嬉しかった。

 のどかちゃんはあすなちゃんスーパーラブじゃなくって、普通にととさま大好き!な人。

 正直、逆に気味が悪かったです。

 あと、一番驚くべきポイントは、あすなちゃんが娘ポジションでないことです。

 おかげで私が娘としての愛情を独り占めです!

 こんな感じで、この世界のみんなもとっても暖かくって優しくて。

 まだ、あっちのととさまのことが忘れられない私は、こっちのととさまに身体を捧げてはいないけど、いつかは……と、そう思う。

 まあ、まだまだ娘として一杯甘えたいので、時間をかけるのは丁度いいのかもしれませんけど。




 そんな訳で、今日も今日とて、私はととさまの膝の上で朝ごはん。


 「いただきま~す」















────────────────────────────────────


















 膝の上でただ甘えな少女、桜咲刹那ちゃん。

 この娘に父親として慕われるんは、正直なんだかむず痒い。

 というか、膝の上というより、ピーの上に尻をグリグリするのは狙っとんのか?

 こう、ムラムラってきやがるぜ……

 さて、どうしようか……?





 1、ちっちゃいオッパイ気にしてるみたいだから、レッツ!豊胸マッサージ!!

 2、せっちゃんのお口で乾杯!フェラチオをして貰おう!!

 3、後ろはノーカン。アナルセックス!

 4、レイプ!レイプ!レイプ!!

 5、娘として可愛がるだけ(エッチなし)









────────────────────────────────────






 1、ちっちゃいオッパイ気にしてるみたいだから、レッツ!豊胸マッサージ!!

 で決定しました。


 名前 せっちゃん

 距離 0→1

 関係 親娘

 属性 無垢

 感情 親愛

 処女膜 有り

 開発度 0










 









[11660] せっちゃんといっしょ! ②
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/09/05 16:14




 1、ちっちゃいオッパイ気にしてるみたいだから、レッツ!豊胸マッサージ!! ←ピッ!

 2、せっちゃんのお口で乾杯!フェラチオをして貰おう!!

 3、後ろはノーカン。アナルセックス!

 4、レイプ!レイプ!レイプ!!

 5、娘として可愛がるだけ






 1が選択されました


 名前 せっちゃん

 距離 0→1

 関係 親娘

 属性 無垢

 感情 親愛

 処女膜 有り

 開発度 0














 

 うしっ! おっぱいマッサージで逝こうか!

 刹那ちゃんが来て以来、木乃香や夕映がやたらとせがむこのマッサージ。
 効果の程は微妙だが、本人(刹那)が効果あったと言うんだからあったんだろう。
 俺は自分の膝の上で、あむあむ一生懸命ご飯を食べる刹那ちゃんのお腹に手を回す。
 ピクンと一瞬だけ身体を跳ねらせ、チラリと上目遣いでこちらを覗う。
 コテンと首を小さく傾げ……すぐに食事を再開した。

 なんだろう? この罪悪感は……
 やたらと良心が痛む。
 こういったら何だが、見かけがやたらとミニマムな刹那ちゃん。

 俺の見立てでは、

 身長 151cm
 バスト 71cm
 ウエスト52cm
 ヒップ 74cm

 と、中々にロリだ。

 そりゃあ夕映に比べたらまだまだイケルし、ココネに手を出してしまった現状、今更ではある。
 だが、ここまで『親愛』の情を見せられれば、いくら俺だって罪の意識を感じるというものだ。

 しかし……しかしだッ!

 胸の大きさに悩む乙女の愁いを晴らすことこそ漢ではないだろうか?
 よし、メシが食い終わり次第、おっぱいマッサージしてやろう。













────────────────────────────────────













 肉体は精神の器。

 ととさまは私にそう言うと、『元の私』と相違点────おっぱいについて語ります。
 やっぱり元の私との違いが大きければ、精神を病む切欠になるかもしれないって。
 そんなわけで、今日からは寝る前のおっぱいマッサージが日課になりました。
 ……こういうトコは、あっちのととさまとちょっと違うなって思います。

 だって、あっちのととさまは、こういうの少し嫌がっていましたし、抵抗したよね?

 のどかちゃんの悪謀の前には形無しでしたけど。
 ……まあ、のどかちゃんはよしとして、こっちのととさまは積極的です。
 嫌がるどころか、とても楽しそう。
 そんなに楽しそうにされちゃうと、嫌だなんていえないし、楽しくなっちゃいます。

 私はくすくす笑いながら、ひとつ、こちらのととさまを受け入れ……


 「よろしくお願いします」


 と頬を染めた。







 








────────────────────────────────────










 そんなこんなで、瞬く間に一週間が過ぎ去り……


 夜。また、いつもの時間が始まる。











 私はお風呂に入って身綺麗にすると、かわいいショーツをはく。
 もしかしたらととさまに見られるかもしれないし、きちんと勝負パンツです!
 こちらの私はその辺り、全然なっていなかったので、ちょっと悪いかな?とは思ったけど、通帳からお金を出して買いました。

 ……凄いんですよ? こっちの私。
 通帳のお金が中学生のお小遣いレベルを軽く超えてます。
 あと、持ち物も逆の意味ですが凄かった。
 なんていうか……無骨?

 私物で可愛い物はありません!

 そんなことを考えながらブラを手に取ります。
 でも、どうせ脱がされるんだし……と着替え袋の中にすぐに戻す。
 そして直接素肌ににゃんこ柄のパジャマ(ととさまに買って貰った)を着ると、目的地へと向かった。

 途中、やたらと艶めかしい格好のあすなちゃんとばったり。
 あすなちゃんは前を肌蹴させたワイシャツ一枚の、凄まじく色っぽい格好。
 胸の先端だけがワイシャツの布で隠れ、他の場所……おなかやアソコは丸見えです。
 汗や他色々の体液で身体を滑らせるあすなちゃんは、とても……その……エッチです。
 今の今までナニをしていたのか丸分かり。 
 こちらのととさまは、あっちのととさまと違って欲望に素直です。
 おっぱいマッサージをして貰っているから分かるのですが、あちらのととさまよりも、明らかにこちらのととさまの方が上手だったり。
 もしも知ればあっちのととさまがガックリ肩を落としそうです。

 まあ、あっちのことは今更です。

 それよりも……

 あすなちゃんはバツが悪そうに頬をかくと、「せつなちゃん、お風呂あいてる?」誤魔化す様にそう言いました。
 私がコクンと頷き返すと、「えへへ、じゃあね~」って急ぎ足で私の横をすり抜けていきます。
 ただ、どことなく足がふらついていたので、少し心配。
 私はあすなちゃんが浴室に消えるまで見送ると、たった今までそのあすなちゃんがいたんだろう場所に行きました。

 そう、ととさまの部屋です。

 私はととさまの部屋の前に立つと、ドアをトントンとノックします。
 返事が返る前にドアのノブを回し部屋の中に入ると、ツンと汗と精臭が入り混じった匂いがしました。

 少しだけ胸がもやもや。

 これは、嫉妬……なのかなぁ?

 今更なのにね。

 あっちのととさまだって、このちゃん、あすなちゃん、のどかちゃん、千鶴さん、そして私と、5人もの女の子に手を出してましたし。
 こっちのととさまは……正直、どれだけ手を出してるのかさっぱりです。
 少なくても軽く10人は超えてると思われます。
 あっちのととさまがあれだけ悩んだ『ロリ』の扉を、こっちのととさまはあっさりパスしたんですね。
 その分、エッチの技術は凄いです。
 私はおっぱいしか揉まれてませんけど、それだけでも分かるぐらい凄い。
 ただ戦闘能力はあっちのととさまの方が上みたいですけど……

 ……もう比べるのはやめにします。
 どっちにも失礼だし、そろそろ私は……

 そうして、私は視線をととさまに向ける。
 ととさまは大きなダブルベッドの縁にいつも通り座って私を待っていた。
 私はそんなととさまの膝の上に座り、

 
 「んじゃ、始めよっか?」

 「はい、お願いします」   


 パジャマの上着を首の辺りまでまくられて、露わになってしまう、今の私の双丘。
 元の私のよりも、やや小ぶりなそれを、ととさまは後ろから抱きすくめ、むんずと、でも優しく乳房を手のひらにおさめた。

 
 「はぅ……んっ、くぅ……」


 乳首が、ツンと尖る。
 ただでさえ速くなってた心臓の鼓動が、いっそう速くなった。
 そんな私の様子を見て、ととさまは乳房の根元まで指を下ろし、ゆっくりと撫で始めます。
 指が蠢くたび、私のお腹がきゅんと鳴る。
 息が、荒くなる。
 これはただのマッサージ。

 なのに、まるで……あの人に抱かれてるように……
 そう思った……思ってしまった瞬間、「ひゃんっ!?」耳たぶを食まれた。
 耳朶を舌で嬲られ、唾液でたっぷりと汚される。


 「ダメだぞ~? 刹那ちゃんは、もう俺のなんだから……な?」


 そう言いながら上乳まで撫で上げると、そこから膨らみにそって下に戻り、今度はぎゅっと掴みあげる。
 ツンと尖った乳首が、更に強調されるように飛び出しました。
 そして、その乳首を指先でキュッと摘まれ、前に引っ張られます。

 
 「あっ、やぁ……」


 一週間前の私なら痛みに泣いただろう。
 でも、今の私には、痛みは一瞬しか感じません。
 乳首から感じるヒリヒリした熱は、今の私にとっては快感で。 
 私が感じてるのに気づいてるだろうととさまは、面白がって何度も乳首をひっぱては放すを繰り返しました。
 相変わらず、耳を唇と舌で犯しながらのその行為で、私の身体は熱く火照り、お腹の奥のきゅんきゅんが止まらない。


 ダメ……このままじゃ、ウチ、イッちゃう……


 私の反応を見て、今度は少ない乳肉を集めるようにしながら揉みしだき、時折思い出したように乳首を指先でツンと爪弾く。
 そのたびに私は甲高い声を上げ、まるで情事の最中のように身悶えました。


 ああ、もうダメや……本当に、イッちゃうよぉ……


 このマッサージを始めた最初の頃は、胸の中心の硬い部分のせいで、気持ちいいよりも痛かった。
 でも、こうして毎日繰り返す度に、私の胸は快感を生み出すエッチな場所に成り果てた。


 「ああ、ととさまぁ……ウチぃ……ウチぃ……もう……」

 「ん~? マッサージが気持ちええんか?」


 本当、違う。
 この辺り、ととさまだったら、何かに耐えるように……
 でも、このととさまは、むしろ積極的に私の肢体を貪ります。


 「き、きもち、いいれす……」

 「いい子だ。刹那ちゃんは、本当にいい子だ」


 私を追い詰め、そして……逃げ場を塞ぐ。


 「ほんとう?」

 「ああ、本当だ。エッチな刹那ちゃんは、本当にいい子だ」

 「おっぱいだけでイっても?」

 「ああ」

 「だったら、いっぱい甘えてもいい?」

 「ああ、一杯甘えさせてやる。別の俺より、もっと……もっと……」

 「一杯女の子囲ってるのに?」

 「おお! 世界中の美女と美少女は全部ワイんだからな!」


 ダメな言葉です。

 でも、この言葉で、ととさまとととさまが、重なった。

 そして私は……















────────────────────────────────────

















 一際大きな喘ぎ声を出して絶頂した刹那ちゃんは、俺の胸にぐったりともたれかかったまま動かない。
 時折、余韻でビクンビクンと小さく絶頂を繰り返す他は、本当に動こうとはしなかった。
 どうやら、いい感じにおっぱいの感度を上げることに成功したみたいだ。
 この一週間、犯したくなるのを抑えて我慢した甲斐があったというものである。



 「ととさま……」

 「なんだ?」

 「頭、なでなでして……」


 言われるがまま、頭を撫でる。
 髪を優しくすくうように撫でると、「あぅ……」と本当に心地よさげに唸る。
 みれば、パジャマのズボンは股間の辺りがまるでお漏らししたみたいに黒く変色していた。


 「ほれ、ズボン脱げ。風邪ひくぞ?」


 優しくそう言ってみれば、恥ずかしそうではあったが、素直にズボンとパンツを脱ぐ刹那ちゃん。
 実は初めて見る刹那ちゃんのアソコは、まだまだ少女然としていた。
 女として扱うにはまだ早い。そんなアソコである。
 でも、これまた俺にとっては今更だ。
 こんな程度でどうこう言うなら、アスナに手を出したりなんかしやしねぇ。
 況や、ココネちゃんのと比べたならば、刹那ちゃんのオマンコは十分に大人である。 

 そう、俺はムラムラしているのだ!




 名前 せっちゃん

 距離 1→5(最大値10)

 関係 親娘

 属性 無垢

 感情 親愛

 処女膜 有り

 開発度 0→2(最大値10)

 開発内訳……

 胸 0→7





 さて、どうしようか?







 1、おっぱいを極めろ!ですっきり

 2、口技を仕込め!ですっきり

 3、アナルを調教!ですっきり

 4、木乃香に夜這いだ!ですっきり

 5、レイプ!レイプ!レイプ!!ですっきり

















[11660] せっちゃんといっしょ! ③
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/09/08 16:37









 1、おっぱいを極めろ!ですっきり

 2、口技を仕込め!ですっきり

 3、アナルを調教!ですっきり ←ピッ!

 4、木乃香に夜這いだ!ですっきり

 5、レイプ!レイプ!レイプ!!ですっきり






 3が選択されました



 名前 せっちゃん

 距離 5(最大値10)

 関係 親娘

 属性 無垢

 感情 親愛

 処女膜 有り

 開発度 2(最大値10)

 開発内訳……

 胸 7







 うしっ! このムラムラは刹那ちゃんの尻に責任とって貰おう!

 とはいっても、未だ未開発のアナルじゃあ、俺のちんぽは受け入れられまい。
 亜子ちゃんの様な特別な人間は、特別だからこそ珍しく、当然刹那ちゃんの尻は普通人。
 ……とは思うが、一応念の為、確認だけはしとくとするか。

 もしかしたら、亜子ちゃん級かもしんないしな!

 少しだけ期待しながら、おっぱいマッサージによって捲くられている上着を完全に脱がそうと、


 「ばんざーい」


 って言うと、刹那ちゃんは素直に「ばんざ~い」と、両手をあげた。
 マッサージでぐちょぐちょに濡れたため、下は先に脱いでいる刹那ちゃん。
 なんていうか、とってもコケティッシュな光景だ。
 俺は内心のドキドキを隠し、刹那ちゃんの服を脱がしてあげると、更に素晴らしい光景が待っていた。

 すらりと鍛えられた少女の肉体は、一切の贅肉がなく。
 美しいまでの白い肌と合わさり、いっそ幻想的とさえ言えた。
 そんな少女の未熟な股間は、いたいけな外見と相反するようにヌラリといやらしい蜜でぬれている。

 まるで、俺を誘う華のように……

 俺は刹那ちゃんという華に誘われた蜂の如く、彼女の花弁にふらふらと手を伸ばす。


 「あ……っ、だめ……や……」


 ちょっとした衝撃で壊れてしまいそうな刹那ちゃんのぐっしょり濡れた恥丘の谷間を、指で何度も往復させる。
 すると、すぐにかぼそく甘い嬌声が刹那ちゃんの唇から漏れ出し、俺の股間の暴れん棒が、期待でブルンと上下に震えた。


 ふ……期待する気持ち、分からんでもないが少し待て。
 お前が活躍するのは『ここ』じゃなく……こっちだっ!


 刹那ちゃんの蜜で滑る指先を、少女の後ろ……アナルにぷつりと差し込んだ。


 「ひゃんっ!? あ、あぅ……ぐっ……い゛い゛っ!」


 慣れた所作で俺の指を受け入れる刹那ちゃん。
 どうやらこの娘、あっちの俺にアナルを犯された経験があるようだ。


 ……あっちの俺のなんと外道なことよ。
 こんな無垢な少女のアナルを好き放題に蹂躙していたとはっ!


 とは言え、この身体は薄汚い男の欲望に晒されてはいない、まっさらな肢体である。
 俺は義憤に燃えながらも、このまっさらな肢体をどう自分色に染めようかワクワクしながら指を動かし始める。
 指を圧迫する刹那ちゃんの狭い腸道の締め付けは、初物らしいキツさと固さ。
 滑る指先をもってしても、スムーズとは程遠い感じで、慎重に入口付近を何度も往復させた。
 そうして少しづつ奥へ奥へと挿入させながら、俺は思う。

 これは、今日の挿入は無理臭いな。
 亜子ちゃんのような特別でない限り、処女地なアナルへのペニス挿入は腸粘膜を傷つけるだけだ。
 ここは大人の余裕でグッと我慢し、時間と日にちをかけてほぐしていくか。

 で、代わりと言ってはなんだが……

 後ろの穴を指で犯すのを一旦やめると、快感と羞恥に震えていた刹那ちゃんを抱き寄せる。
 そうして腕の中にすっぽり納まった刹那ちゃんは、本当に嬉しそうに頬ですりすりしてきた。


 「ととさま、今日は一緒に寝てもいいですか?」


 ……いつもマッサージの後はアスナや木乃香とエッチするから部屋に帰していたんだが、今日はもうヤッちゃってるから隣は空いてる。
 そうでなくても、こんな風に甘えられるんは初めてで、どうにも突き放したり出来そうにない。
 はっきり言おう。可愛くって、しゃーないわ。胸がきゅんきゅんしやがる。

 これからお尻の穴を色々弄くったりするのだと思うと、罪悪感が……

 なんて思いながら承諾し、その刹那ちゃんの手を借りて服を脱いだ。
 裸の、しかも股間を蜜で濡らし、尻穴までもが腸液にヌラリと濡らす美少女に服を脱がして貰うのは、なんていうかとても淫靡だ。
 恐らくではあるが、このまま犯しても抵抗はしないだろう。

 だが焦るな。先にも言ったが、まずはアナル。
 じっくりねっぷり可愛がり、刹那ちゃんの心に焼き付いてる別世界の『俺』の姿を消し去ろう。
 ねとねとのぐちゃぐちゃに、もうこれ以上ないという位に甘く、甘く……
 服を完全に脱がして貰い全裸になった俺は、「いいよ」と笑い、刹那ちゃんをベッドに押し倒す。

 すると、ほんの一瞬だけ恐怖の顔を覗かせる刹那ちゃん。
 だが俺は、「大丈夫、刹那ちゃんがその気になるまでしないから」と意識して優しい声色で囁きかけて安心させる。
 俺に抱きすくめられたまま、本当に嬉しそうにする刹那ちゃん。
 だけどすぐに顔を曇らせ、俺の股間に視線を送る。
 自己主張の激しい俺のチンポが、刹那ちゃんを欲してギンギンにいきり勃っているからだ。


 「あ~っ、と、ちょっとだけ、してもいい?」

 「……はい。ととさまの好きにしてください」


 最初からするつもりだったくせに、刹那ちゃんには自身の決意だと思わせる。
 『された』と思うよりは『自分で選んだ』と思う方が効果が高いのは言うまでもないだろう。
 効果とは、これから始めるアナル調教のこと。この辺りは、汚い大人のやり口だと言われても反論出来そうにない。
 ……まあ、いい。これが俺だ。刹那ちゃんの心を手にするためなら、どんな汚いことでもしてやろう。

 そう誓いながら刹那ちゃんの頭をひと撫で。
 続いて優しく体を抱きすくめ。
 うっとり目を細める刹那ちゃんを、最後にクルリと半回転させる。
 うつ伏せに寝転ぶ体勢になった刹那ちゃんの細腰に腕を回し、持ち上げる。
 結果、刹那ちゃんの股間の土手どころか、目的の菊門までもが俺の眼前に艶やかに露わになった。
 刹那ちゃんは、羞恥に堪えるようにギュッとシーツを掴む。
 皺になるシーツが、これからの情事を連想させて、とてもエロく感じるのは気のせいか?
 そんな俺の期待に応えるみたいに、刹那ちゃんはおずおずと、だがしっかりとした口調でこう言った。


 「すまた……ですか? それとも、お尻で……ですか?」

  
 ああ、あっちの俺にやられてるんか!

 クソ! ド外道がっ!

 誰かが俺の内心を知れば、お前が言うなと返ってきそうなことを考えつつ、


 「ちょっと違うぞ~。その2つを合わせるんだ」

 
 そう言って、未だ蜜が溢れる処女マンコに再び指を這わす。
 さっきと同じように、たっぷり蜜を指に塗り込み、それを潤滑油にして刹那ちゃんの尻の谷間に満遍なく塗り込んでいった。
 そう! マンスジによる素股ではなく、柔らかい刹那ちゃんの尻たぶを使ってチンポを挟む行為……これも素股と言うのだろうか?
 とにかく、蜜と腸液と汗でヌメリを帯びたそこに、俺のチンポを這わし、そして挟んだ。
 まるでちっちゃいおっぱいでのパイズリみたいな感覚で、ただし、時折チンポの雁に引っ掛かるアナルがとても好いアクセント。


 「ひ……ぃ……はぁ……はっ、あ、はぁ……き、きもちいい、ですか……?」

 「ああ、気持ちいいぞ、刹那ちゃん」

 「こ、こんなんされる初めてで……どうしたらいいのか……あぁん、わか、んないっ、ひぃ、です……ふぁあ……くぅっ」
 
 「初めて……だとっ!?」

 「は、い……後ろに挿入れてもらいはしましたけど、こうやってするのは、はじめ……きゃぁんっ!?」


 その言葉を聞いた瞬間、俺はあっちの俺に勝利したのだと魂が震えた。
 ちんぽの硬度は増し、大きさまでもが一回り膨らんだ気さえする。

 いいや、


 「あ、ああ、おっきく、あっちのととさまのよりも、おっきく……うぅン……」


 俺の、勝ちだっ!!

 後に刹那ちゃんから、こっちのととさまはエロが強いけど、戦闘力では向こうのととさまのが上と言われ、微妙な顔をすることになる。

 まあ、(変態)紳士としては俺のが上、ってことなんだろう。間違いねぇ。


 とにかく、この時の俺は、実に爽快な気分で射精し、刹那ちゃんの背中を精液塗れにしたのだった。

 もちろん! その精液を手ですくい、刹那ちゃんのアナルやまんこに塗り込んでやったのは言うまでもない。


















────────────────────────────────────
















 そんなこんなで、瞬く間に一週間が過ぎ去り……


 夜。また、いつもの時間が始まる。










 今、ついに私は、こっちの身体の後ろの初めてを、ととさまに捧げた。
 一週間かけてほぐした私の尻マンコは……(ととさまにこう言えって言われた)……入口付近の抵抗を最後に、割とすんなり奥までととさまのおちんちんを飲み込みました。
 ただ、私の知ってる大きさよりも一回り大きく、妙にゴツゴツしているせいか、とても苦しく感じます。
 そう、苦しいのだけど、それ以上に感じる凄まじいまでの快感の奔流。


 「あうぅンッ……だめやぁ、そんなにかきまぜられたら、ウチ、うちぃ……っ、おかしくな……いや、ああ……!」


 ととさまとアナルでとは言え、ひとつになっているという悦びからくる快感は、私の官能を燃え上がらせます。
 息も絶え絶えによがりまくる私は、ととさまの目からどのように見えているのでしょうか?
 きっと、可愛いって言ってくれるよね?
 だって、ととさまの腰の動きは逞しく、とても激しい。
 腸粘膜を穿るジュプジュプと言った艶めかしい音と、ぱんぱんとととさまの腰と私の尻がぶつかり合って出る乾いた音が、それを証明しているのだ。


 ああ、ととさま、ととさま、ととさまぁ……


 私は開発されきった尻穴を犯される快感によがり狂いながら、ととさまの名前を連呼する。


 膝の上で甘えさせてくれるととさま。
 お風呂で身体を洗ってくれるととさま。
 毎日一緒に寝てくれるととさま。
 もう、剣を持たないでいいんだよ、と言ってくれたととさま。
 ずっと、ずっと傍に居てくれ。そう言ってくれたととさま。


 おちんちんで突かれるたびに、そんなととさまの顔が一杯に脳裏に広がって。
 私のアソコから滲み出る愛液の量は洪水のように太ももを伝い、ベッドのシーツをぐっしょり濡らす。

 知っているはずの、でもこの身体は知らない腸を犯す感覚……
 知っているのに知らない感覚は、私の身体と心の剥離を証明していて。
 でも、この行為で少しづつ、でもしっかりと重なってきている気がします。

 そんなことを考えていると、ととさまは身を乗り出す様にして私の唇にチョンと唇を合わせた。

 こっちに来てからは、初めての、キス。

 ……あうぅ。もしかして、ファーストキスになるんでしょうか?

 そう思った瞬間、身体にビリっと電流が走った。
 胸が、トキメク。ととさまが、好きだと……ときめいたのだっ。
 そして、そんな私の心の揺れに、身体も反応したみたい。

 ぎゅっぎゅっ、ってととさまのおちんちんをキュウキュウにし、ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ……


 あ、ああ、ああぁ、もう、ダメ、イッちゃ、う……
 

 「うおおおおおっ! 刹那ちゃん、そろそろ出すぞっ!!」


 宣言と同時に、ととさまはおちんちんはズブリと根元まで私のお尻の中に押し込んだ。
 そして、ドクッ!! 凄まじい勢いで私の中で射精する。

 私はととさまの射精の衝撃に頭が真っ白。

 あまりに圧倒的な悦楽の奔流に、大きく嬌声をあげながら……


















 名前 せっちゃん

 距離 5→8(最大値10)

 関係 親娘

 属性 無垢

 感情 親愛→恋愛

 処女膜 有り

 開発度 2→6(最大値10)

 開発内訳……

 胸 7
 尻 0→7








 1、絶頂した衝撃で、ととさまに愛を誓ったり

 2、絶頂した衝撃で、おもらし

 3、絶頂した衝撃で、背中の羽を出

 4、絶頂する寸前、和泉さんが乱入

 5、やっぱりなんか物足りません、と微妙な顔を







 ……しちゃいました。









[11660] せっちゃんといっしょ! ④
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2011/09/12 23:03





 1、絶頂した衝撃で、ととさまに愛を誓ったり

 2、絶頂した衝撃で、おもらし ←ピッ!

 3、絶頂した衝撃で、背中の羽を出

 4、絶頂する寸前、和泉さんが乱入

 5、やっぱりなんか物足りません、と微妙な顔を





 2が選択されました





 名前 せっちゃん

 距離 8(最大値10)

 関係 親娘

 属性 無垢

 感情 恋愛

 処女膜 有り

 開発度 6(最大値10)

 開発内訳……

 胸 7
 尻 7










 それは悪夢のような瞬間でした。

 ただでさえ長大なととさまのおちんちんは、敏感になったお尻の奥の奥まで征服し、更にそれでも届かない奥へはととさまの熱い子種が犯してく。
 だから、ダメっ!? そう思った時には遅かったのかもしれません。
 堪えようと力を入れたくても、凄まじいアクメによってそれも叶わず。
 むしろ、そうしようとしたことで、キュッと締まった括約筋は、ととさまのおちんちんを締めてしまい、アクメを更に高めてしまいます。


 「ひぃうぅううっ!? ら、らめですっ! ととさま、ちょっと待ってぇ……っ!」

 「待ってって、刹那ちゃ~ん。こんなに俺のチンポ締め付けといて何言ってんだ?」

 「らってぇ! らってぇっ! でちゃう……でちゃいま、す……」


 ……出してはいけない。
 でも、ととさまの射精は……

 腸粘膜をぎゅるぎゅる犯す精のマグマは、私の頭の中身を真っ白に変えていく凄まじい奔流────凄まじい、快感。
 身体をくねらせて逃げようとする私────でもととさまは許してくれない。
 シーツを掴み、歯を食いしばり、力を入れて堪えようとする────ととさまの射精の勢いは、そんな努力を嘲笑う。


 「あ……あぁ、あっ!? いやあ────ッ!!」


 強烈な快感がお尻の中を駆け抜けて、私は背を大きく反らして絶叫しました。
 腰がガクガクします。
 大きな声を出しちゃったけど、このちゃんやあすなちゃんに聞こえなかったよね?
 そんな埒もないことを考えながら私は……


 「も、もう、我慢でき、ませ……んぅ……っっ!!」


 じんわり下半身が熱くなりました。
 太ももを伝う液体が原因で……
 初めはちょろちょろ……でも、少し出したことで抑えが効かなくなっちゃったんでしょう。

 がくんがくんと、私は大きく痙攣を繰り返しながら、じょーっと────────


 ベッドのシーツがぐっしょり。
 ツンと鼻を刺激するアンモニア臭。

 私はととさまとお尻で繋がったまま……ごめんなさい。嫌いにならないで、と大声で泣きました。






















────────────────────────────────────















 ああ、やっちまった。
 もちろん刹那ちゃんが漏らしたことじゃあない。
 刹那ちゃんの限界を超えさせてしまったことだ。
 無論、刹那ちゃんの身体の開発的には悪いことではない。
 だが、泣かしてしまってはダメだ。

 ってか、おもらしなんて、俺からしたらご褒美だぜ!

 なんて思っていたら……


 「せっちゃんっ! どないしたんっ!?」

 「せつなちゃん、大丈夫っ!?」


 扉を壊す勢いで部屋に飛び込んで来た2人。
 一見、尻を犯されて泣いている様に見える刹那ちゃんに視線を送り。
 次に、そんな刹那ちゃんの尻にチンポつっこんでいる俺を見る。


 「横島……さん?」「忠夫、あんた……っ!」


 2人の怒りのボルテージが凄まじい勢いで上がっていくのが、俺には分かった。
 アスナの手が真っ赤に燃える。あれは魔装拳の発動を意味していた。
 木乃香はと言えば、怒りに堪えるよう顔を俯かせている。ただ、その背後の影が、やたらとゆらゆら揺れているのは何故だろう?
 ……間違いなく、俺にとって碌でもない嵌めになるのは間違いないだろうが。
 なんて言うか……昔、美神さんやおキヌちゃんに折檻されてた頃の感覚というか……


 ああ、こりゃ死んだわ。


 そう思いながらも、俺はさっきの刹那ちゃんのお漏らしに萌えに萌え。
 射精して満足した筈のチンポが再び隆起していた。
 俺は背中に冷たい汗を流しながらも、アスナ達にバレぬよう僅かにではあるが、ゆっくりと腰を動かし始める。
 どうせここでヤラレるんなら、せめて最期は刹那ちゃんの尻で逝きたい。


 「あ、あぁ……ダメ、や……ととさま、やめぇ……あぁん……また、おもらししてまうよぉ……」


 泣きながら抗議の声を上げる刹那ちゃん。
 でも、その声に甘い喘ぎが混じっているのはご愛嬌というものだ。

 なあ、そう思うだろアスナ?


 「アンタぁっ! せつなちゃん泣かしといてナニやってんのっ!!」


 理解されない孤高の俺は、迫りくる拳を刹那ちゃんに覆いかぶさるようにしてかわす。


 「ひぐぅっ」


 偶然(笑)だが、この行動により今まで以上に奥にチンポ突っ込まれた刹那ちゃんは、苦しそうに呻き声をあげた。
 同時に、まだ膀胱に残っていたのだろう残尿がちょろちょろ流れ。


 「いやっ、いやっ、いややぁ……」


 泣きながら、力なく首を横に振り続ける刹那ちゃん。
 俺は結果的(笑)にだが、刹那ちゃんを盾になる形してアスナに攻撃を戸惑わせつつ、泣き暮れる刹那ちゃんの耳元に口を寄せた。


 「おもらし? 上等じゃねーか。俺は刹那ちゃんのおもらしする姿に、めっちゃメロメロだぜ?」


 むろん、そんなバカなことを言ってる間も腰の動きは止めやしない。
 間断なく襲い来る快感に、身体を細かく痙攣させながらの甘い言葉は、確かに刹那ちゃんの心を震わせた。


 「……ほんま?」

 「ああ、「そうやね。せっちゃん、ほんまかわええよ?」

 「このちゃん……」

 「せっちゃんっ」

 「このちゃん、すき……や……」

 「ウチもや、せっちゃん……」


 ……俺の言葉を遮ぎった木乃香が、気づけば刹那ちゃんと愛を語り合っている。
 アスナは魔装に覆われた手を上げ下げして……はぁ、と疲れたため息。
 正直、俺もため息こぼしたい。
 今や場の流れは完全に木乃香の物であり、俺に尻を犯されてる刹那ちゃんと愛を確かめ合うようにキスをしていた。


 「……ね? 私たちもしよっか?」


 そう言ったのはアスナだ。

 アスナは俺の首に腕を回すと、おもむろに唇を貪ってきた。

 喧騒だってた部屋が静まり、聞こえる音は3種類。
 俺とアスナ、刹那ちゃんと木乃香ちゃんが唇を貪りあう音。
 俺と刹那ちゃんの接合部から粘る水音。
 そして、俺の腰が刹那ちゃんの尻にぶつかる音だけだった。















────────────────────────────────────


















 そんなこんなで、瞬く間に一週間が過ぎ去り……


 夜。また、いつもの時間が始まる。










 「せつなちゃんのここ、ほんとに可愛いわね」

 「なに当たり前のことゆうてんの、アスナ?」

 「だってさぁ、ほんとに可愛いんだもん」


 あの日、私のおもらしが切欠で、このちゃんとあすなちゃん、それにととさまと。
 とっても仲良くなった気がします。
 今も、お風呂で4人、こうして仲良くするくらい……


 浴室の洗い場で、私はととさまにアナルを串刺しにされながら、このちゃん、あすなちゃんの2人に、おっぱいを揉まれてます。
 あすなちゃんはもとより、このちゃんと比べても一際小さい私のおっぱいは、何が気にいったんでしょうか?
 こうして一緒にお風呂に入るたびに、やたらと揉まれます。
 正直、ちょっとだけいやなんですが、逃げようにもととさまにしっかりと貫かれている私は、逃げ出すなんて出来るはずもなく。
 身をよじる度に、逆に腸粘膜を刺激されて喘ぐことしかできません。


 「ふ……どうだ? 俺が育てた刹那ちゃんのおっぱい?」

 「流石ね。見直したわよ、忠夫」

 「ほんまやよ。惚れ直したわ、横島さんっ」


 そう言いながら、あすなちゃん、このちゃんのお2人は、私のおっぱいにかぶりつきました。
 乳首をころころ舌で転がしながら、乳房に歯を立てて甘噛みします。
 ただでさえお尻にととさまのおちんちんが突き刺さっているのに、こんなの耐えられません!
 いまだ処女のままの私のおまんこが熱くなり、感じている証拠の白く泡立つ蜜が溢れ出てきて止まらなくなってしまう。


 「このちゃん、あすなちゃん、や、やめてよぉ……」

 「いやや」「いやよ」


 『この桜咲刹那の身体』は、もうととさまと、このちゃんと、あすなちゃんの手によって、何もかもがいやらしく。


 「ねぇ横島さん、せっちゃんをもっと気持ちよくしてあげて欲しいわ~」

 「そうね、早く……みたいもん。せつなちゃんの一番かわいいところ♪」


 私の右足は、このちゃんに。
 私の左足は、あすなちゃんに。
 2人はグイッと私の足を大きく開かせ。
 ととさまはしっかりと私の腰を抱きしめ、排水溝へと誘っていく。
 そして、ズルリ……と引き抜き、ズプン……と挿入。
 身体が上下に激しく揺れて、私の息は荒く切なく、従順な子猫のように小さく鳴いた。
 ととさまに腸内をぐちゃぐちゃに掻き回され、あすなちゃんが割れ目を優しくなぞり、このちゃんが尿道を刺激する。

 ……3人とも、エッチな顔です。そして、とても幸せそう。

 きっと私もエッチな顔で、そしてとっても幸せな顔をしてるんだと思います。


 「は、ぁ……も、もうイク、イキます……」

 「ああ、魅せてくれ、刹那ちゃん」

 「は、はい……見て、ととさまぁ……っ!」


 肉欲が弾けた。
 ととさまの子種が、私の腸内を凄まじい勢いで逆流し、私の頭の中はアクメで真っ白。
 絶頂でぶるぶる身体は震え、そして……

 ちょろ……

 排水溝目指して黄金のアーチを描く、私の小水。

 最初は弱く、そして段々と勢いを増し……


 「これ見ないと、もう身体が燃えないのよね……」


 そう言いながら、私の顎をクイッと持ち上げ、そのまま深いキスをしてくるあすなちゃん。
 このちゃんはこのちゃんで、「もう我慢できへん」と、ととさまにキスを求めてた。
 私はと言えば、あすなちゃんにキスされながら、再び腰を回転させ始めたととさまに頭がいっぱい。
 ぐちゃぐちゃお尻の中を掻き混ぜられるのは、とても気持ちがいいのだから。
 特に、おしっこをした後は、その快感は倍増される様な気がしてなりません。


 「ううん、気のせいやない。みんな、みんな、せっちゃんのおしっこするとこ見たら……」

 「そうだな、刹那ちゃんは……」












 『せっちゃんはし~し~天使(エンジェル)』   ≪ノーマルエンド 3≫







 ファイナルステータス

 

 名前 せっちゃん

 距離 8(最大値10)

 関係 淫愛家族

 属性 特殊性癖

 感情 愛情

 処女膜 有り

 開発度 6→7(最大値10)

 開発内訳……

 胸 7
 尻 7
 おしっこ 0→7

 隠しパラメータ

 せっちゃん親密度……8(最大値10)
 せっちゃん恋愛度……7(最大値10)
 せっちゃん幸福度……6(最大値10)
 せっちゃん淫乱度……4(最大値10)
 せっちゃん妊娠度……0(最大値10)

 最終総合得点……61点

 総評

 最後まで辿り着くことが出来ませんでしたアナタ方は、胸→尻→放尿とマニアックな性癖の持ち主です。
 せっちゃんは、そんなアナタ方のおかげで元の世界に戻ることなく、この世界で処女のまま特殊な性癖に目覚めていくことでしょう。


 ようするに……この変態どもめっ! ≪幕≫















 これにて、2周年記念アタックは終了します。

 バカ企画にお付き合い頂き、ありがとうございました。

 こんなバカな作者ですが、3年目もよろしくお願いいたします。



 by uyr yama  2011/9/11






[11660] 鬼鳴きの古都 第三巻  百合有り(アス×あや)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/07/14 00:02







音羽の滝の延命水は、古くは源義経・弁慶主従も飲んだと伝えられる日本十大名水の筆頭である。
三筋に流れ落ちる滝の清水は、飲んだり打たれたりすることでご利益があるとされていた。
打たれるのはともかくとして、観光として人気なのは、もちろん飲む事である。
三筋の右から、健康・美容・出世のご利益があるとされ、観光用には、健康・学業・縁結びとなっていた。
ただ、3種類全てを飲むと、その欲深さからご利益は失せてしまうとも伝えられている。






「松風や 音羽の滝の清水を むすぶ心は すゞしかるらん」


遠く、それらを見下ろしながら、だらしなくも煽情的に狩衣を着崩した女がボソリと呟いた。
それを聞いた学生服にニット帽の少年は、


「なんやそら?」


と小首を傾げた。
女は優しく眼を細めると、


「花山法皇が詠んだ歌やな。清水寺の拝観券の裏に書いてあってな、まあ簡単にいうたら、観音さまを褒め称える歌や」

「へ~」


と適当に相槌を打つ少年の頭を、ポカリと叩く。


「あいたっ!?」


やや大げさに痛がるフリをする少年に対し、女は首を横に振って諭し始めた。


「んな昔の歌を諳んじろなんて言うつもりはありませんえ? でもな、今の小太郎はんみたく、武、だけでよしとするのはダメやな」


そう、力だけでは、『自分』のように堕ちてしまう。
文を学ぶということは、心に余裕を持つのに繋がるだろう。
少年の血気盛んな在り方は、いずれ命を縮めてしまうかもしれないのだ。
その時、自分がこう言っていたことを思い出し、少しでも踏み留まってくれたなら……

と、そこまで考えた所で、女は、ふふふ、と楽しげに笑った。


「いや、今のはやっぱなしや。小太郎はんは、今のまんまが一番だしなぁ」

(そう、犬上小太郎いう少年は、私、天ヶ崎千草とは器が違う。んな小さく纏まる必要はないんや)


「……ええんか?」

「ええよ。小太郎はんは、小太郎はんらしゅうしとるんがええよ」

「そ、そか……?」


小太郎は、少し照れ臭そうにポリポリと頬をかいた。
その仕草があまりに愛おしく思えた千草は、思わず抱きしめたくなる衝動に襲われるもグッと我慢をし、視線を元に戻した。
すなわち、音羽の滝、である。
より正確には、音羽の滝の周囲にいる中学生……西の長の娘である近衛木乃香が千草の目的なのだ。
ついでと言えば、横島忠夫と繋がってるらしい少女達にもちょっかいかけたい。

天ヶ崎千草と犬上小太郎にとって、横島忠夫ならともかく、眼下にいる中学生など遊び相手にもならん。

……はずだったのだが。


「にしても、凄まじい警戒やなぁ」


2人の、というか千草の想定を超える警戒の密度に、流石の彼女も苦く笑った。
件の女子中学生ときたら、ふわりと吹く風にすら反応し、しかも自分達の仲間以外が傍によることすら許さない。
そんな鬼気迫る様子である。正直、尋常じゃない。


「千草姉ちゃん」

「なんや?」

「ここは引いた方がええんちゃうか?」

「ふ、ふふふ……」


小太郎の提案に、思わず千草は笑ってしまう。
千草は嬉しかったのだ。
前へ出ることしか知らなかった小太郎が、こうして後ろへ引く提案を出来るようになったことが。
だけども小太郎は、そんな千草に唇を尖らせた。

「なんで笑っとるんやっ!」

「ごめんごめん、馬鹿にしとるんやないよ?」

「ほんまかぁ?」

「ほんまほんま」


千草は笑いの衝動を堪えたまま小太郎に謝ると、サァっと身を翻す。
ここは下手に手を出して警戒を深くさせるよりも、じっくり機会を覗うのが上策だ。


「帰りましょか、小太郎はん」

「おうっ!」


元気良く返事を返した小太郎を微笑ましく思いながら、千草は最後にチラリと後ろを振り返る。
これからの目的に必要な贄として相応しい少女、近衛木乃香と、憎い男の女である少女たち。

(しかし、あれが横島忠夫の女……弟子達か。流石やな)

あそこまで出来るのならば、最早遠慮はいらない。敵地とはいえ、修学旅行などという浮かれてもしょうがないイベントの最中で、あれだけの警戒をし続けられるというのは、中々大したものだ。
千草は感心したように嗤う。小太郎に向けた笑みとは違い、どこまでも凄惨で、残酷に、嗤ったのだ。

































時刻は丑三つ時。
普段なら寝静まっているこの時間でも、修学旅行と言う一大イベント中の女子中学生にとってみたら、まだまだ宵の口と言ってもいいだろう。
ただでさえ普段から騒がしいので有名な3-Aの生徒である。当然と言えば当然の話で、いつも以上に、ワイワイ、ガヤガヤ、大騒ぎ。
むろん、教師にとってみたらとんでもない。
見敵必殺とばかりに、騒いでる生徒を発見次第に怒号を飛ばしていた。
そんな最中、入浴時間などとうに過ぎたはずだというのに、こっそり大浴場を使っている一団がいた。
彼女達は総勢8名。3・3・2のグループに分かれ、こそこそ入浴を済ましていく。
どうしてそんなにこそこそと? と思うかもしれない。
ヘソの辺りや太ももの裏側にお尻といった彼女達の身体の至る所に、横島忠夫専用マンコだの、横島のみinだの、他人に見られたら恥ずかしいではすまされない、なんとも卑猥な落書きがしてあるからだ。

もしもこんなん見られたらと思うと……冗談ではない。

階段昇りゃ、下から覗かれないか心配で。
風吹きゃ、スカートめくれないか心配で。
着替えとか入浴なんざ、クラスメイトと一緒になんか当然むりむり。

でも、一番ヤバいのは……3-Aの担任、ネギ・スプリングフィールドだ!

アスナなんて、今日までに2度は公衆の面前で全裸の露出ショーをさせられた位、あのガキは脱がし魔だっ!!
というか、くしゃみすると魔力が暴走して武装解除が発動するとかどこのエロゲですか?
アスナは心の底からツッコミたい。というか、ツッコンで教育した。主に拳で。
こう、身体で覚えこませたのだ。大丈夫だろうとは思う。思うのだが、それでも2度脱がされたのは事実。到底安心なんて出来やしない。

そんな訳で、アスナは新幹線を降りてからというもの、折角の修学旅行だというのに、警戒し通しで楽しむ所ではなく。
こうして宿に着いてからも、着替えやなんやで警戒を解けず。
入浴時間もクラスメイトと一緒なんて当然無理で。
時間をずらして入るのはいいけど、それでも危ないからアスナはひとり警戒、警戒、常時警戒。
なんせラッキースケベの申し子、ネギが来たら厄介だ。

最初の組、木乃香・のどか・夕映が入浴をすませ……


「ごめんなぁ」
「ネギ先生の見張りは任せてくださいー」
「すみません、この借りはいつか必ず……」


申し訳なさそうに頭を下げる彼女達を見送り。
次の組、千鶴・夏美・アキラが入浴をすませ……


「うふふ、お布団暖めておくわね」
「あ~いいお湯だったぁ……」
「のどかから連絡。ネギ先生、寝たみたいだってさ」


なんだか約一名、やたらと色気振りまいて不穏なセリフを吐いてたが……まあ、脅威のひとつは消え去った。アスナはホッと胸を撫で下ろす。


「あとは、私たちだけですわね……」


疲れた切った声色のあやかに、「……そうね」と同じく疲れた声で返事を返す。
とは言え、これで少しは気が抜ける。
アスナには、自分一人なら大抵のトラブルを何とか出来る自信があった。
まあ、足手まといになりそうなあやかも居るには居るが、彼女ひとりぐらいなら、連れて逃げることも出来るだろう。
何より、彼女は同じ使徒である。使徒となってそろそろ一年、いい加減自分のことは自分で出来るはず。

分かっていますわ。
とあやかは答えたい。のだが……

(その問題の大本を作ったのが主様とか、少し納得がいかないですわ)

ツンと唇を尖らせ……すぐに首を横に振った。



ですけど、まあ……横島忠夫というトラブルメイカーのしもべとして、確かにこれくらいの危機は自分で何とかしないといけませんわよね


























普段滅多に入れない広いお風呂。
実の所、アスナは結構楽しみだった。
これが他のクラスメイト達ならば、寮の大浴場がここの風呂よりももっと広いため、そうでもないのであろうが。
しかしアスナは自宅(?)通い。大浴場も楽しみだったし、他のクラスメイト同様、露天風呂も楽しみだ。
これで変なイタズラ書きがなければ、心行くまで堪能出来たろうに。帰ったらあのバカ、タダじゃおかない。
と、この場に居ない、あの男に怒りを感じる今日この頃。もっとも、書かれた時は夢心地でもあったのだが。


(あ、ああマズイわね。身体にイタズラ書きされて夢心地とか変態じゃないのよ)


ブンブン首を振って、開きかけたヤバい扉を慌てて閉じる。
そんなアスナを変な物を見る目で見てくるあやかに、


「なによ!」


とキツメの口調で牽制し、何事もなかったかのように露天風呂へと続く戸を、カラカラと横に引いた。
湯気がむわっとする。温泉特有の匂いが鼻につく。
露天風呂は思ってたよりも断然広く、実に風流だった。
アスナはかけ湯をして軽く汚れを流すと、熱い湯船に足を入れる。
肩まで湯に浸かりながら、ふぃ~、と何とも気の抜けた声を漏らした。


「ごくらく、ごくらくぅ」

「ババ臭いですわよ?」

「……しょうがないじゃない。疲れたんだもんっ! だいたい、そういうアンタだって随分と気の抜けた顔してるわよ?」


やや熱めの温泉の湯は、とても気持ちがいい。身体の芯から疲れが取れる気がする。
疲れが澱の様に溜まっているあやかは、おほほほ、とお嬢笑いで誤魔化しつつも、アスナと同じく全身を湯に浸らせくつろぐのを止めはせず、両手を組んで、うんっ、て伸ばすと、そのまま肩までどころか顔の下半分までブクブク湯に沈めた。


「ったく、人のこと言えないじゃないのよ……」


呆れた口調でそう言いながら、アスナも縁に頭をのせると、同じようにブクブク沈んだ。
2人の視線は自然と空へ。湯気で霞んで見える満天の星空は、どこまでも深く。なんだかとってもロマンチック。

これで隣があやかじゃなくって、大好きな男の人だったらな~。

アスナは、えへへ、とにやけた。
顔が赤いのは、湯にあたってるだけではないだろう。
今朝方の激しい情事を思い浮かべる。
うん、やっぱり皆一緒よりも2人っきりでアレコレしたい。
もちろん、イタズラ書きはナシの方向だ。周囲の視線が気になるし。警戒し続けんの疲れるし。

そんなことを考えていると、自分の膝に、こつん、とあやかの膝がぶつかった。
しかも何度も、こつん、こつん、とぶつかってくる。

(なによ?)

と横を見れば、ナニを妄想しているのやら。
あやかはいやん、いやん、と身体をくねらせている。

人の振り見て我が振り直せとは良く言ったものだ。
今の彼女の痴態は、まさに数瞬前の自分そのもの。
アスナはヒクリと頬を引くつかせると、いけないいけないと、ぱしゃぱしゃお湯を顔にかける。

(うん、気持ちいい)

湯で濡れたせいか、風が冷たく感じられ、火照った頬をひんやりしてくれた。とても心地が好い。
ただ、隣でいまだ、いやん、いやん、してる色ボケが鬱陶しくて仕方ない。

そろそろ止めるべきだろうか?

チラリと横を見れば、初めて彼女と出会った時から然程成長していない胸が飛び込んできた。
それでも大きさで言えば、アスナと大概変わりがないのだから、使徒とならずに自然と成長していれば、どれだけ巨乳になったか分からない。
釣鐘状の形が美麗なおっぱいは、同性のアスナから見ても魅力的だ。これがこのまま大きくなったなら……
横島も多分そう思っているから、魔力だか霊力による身体的成長に積極的になっているのだろう。

にしても、なにを妄想して興奮してるのか。
満天の星空を目指すかのようにツンと尖った乳首が、やたらとアスナの腕に当たってくる。
そろそろいい加減にして欲しい。
というか、

(コイツほっぽいて、さっさと身体を洗っちゃおうかしら?)

心底そう思う。だって、時刻はもう深夜。さっさと寝ないと美容に悪い。
まあ、いつもはこの時間も起きていたりはするのだが。
主に、今現在あやかが妄想している様なことをしてて。

と、そこでハッと気づく。

茶々丸さんだの、性魔術の練習台だので、いつもいつも襲われる。
茶々丸さんは……まあ、結構好きだけど、それでも自分は百合じゃないのだ。性魔術の練習と称して襲ってくるのは本当にやめて欲しい。
だからだ、ここはいっちょ反対に襲ってやろう! 一度襲われれば、どれだけ嫌なのか解るというものだ。

アスナは気づかない。
嫌だと言う百合的行為に、然程嫌悪を感じなくなっているからこそ、こんな考えが浮かぶのだ。
百合じゃない、百合じゃない。
そう言いながら、茶々丸との関係に疑問を持たず、安易にこういう行動を取る時点で、既にいけない扉を開いているのだと、いい加減気づいた方がいいだろう。

だから、ちょっと待って、なにかおかしい……と思った時にはもう遅い。
半ば妄想の世界にトリップしているあやかの状態は、崩しかけの砂山のように、軽いひと押しだけで……


「ひゃんっ!? ア、アスナ……さん? いったいなにを……って、あふっ!?」


容易く堕ちる。
あやかとアスナは、同じひとりの男の手により開発された肢体を持つ、いわば姉妹みたいなものである。
互いの弱い部分など当然の様に知っており、アスナが攻めればあやかも負けじと攻めに入った。
弱点を攻撃し合う2人は、唯でさえ妄想により火の点きかかって身体に燃料をブチ込む事と同意だ。
気づけば感じるまま、身をくねらせ、絡み合い、深夜の露天風呂に、

────は……ぁぁ、ぃ……ぅんっ、はぁ、はぁ……あ、あぁ、あ、あん……

2人の少女の悩ましい息遣いが静かに響く。
これだけ燃え上がった心と体を鎮めるには、もはや人肌の温もりが必要だ。
2人は潤んだ瞳を見せ合うと、自然と距離を近づけていく。
アスナはあやかとキスをするのは初めてじゃなかった。
間に主である横島を挟んでの3Pをする時は、大概しているものなのだ。
だけども、こうして2人きりでするのは初めてである。
なんか違くない? とは思ったけれど、唇と唇を近づけるのを止めようとは思わなかった。

なのに、唇がぶつかり合う寸前に不自然なまでにピタリと止め、アスナはぺろっと舌を出した。
あっかんべー、と言うよりは、何かの合図の様である。
あやかはそれを見るなり、少し嬉しそうにしながら同じように舌を出し、アスナの舌を、ツン、と自分の舌先で突き、次に唇をペロリと舐める。
慣れ親しんだ筈のアスナの味は、なんだかいつもよりも甘く感じた。あやかはもっと甘さを感じたいと、アスナの舌を絡め取る。
互いの息が感じる距離で、ぴちゃぴちゃ音を立てて舐め合う2人。

(もうダメ、すんごく気持ちいい)
(なんか頭がぽ~っとしてきましたわ……)

アスナとあやかの思考は桃色吐息。
2人とも、もう完全に周りは見えない。
見えるのも、感じるのも、互いだけだ。

(あやかの蕩けてる姿をもっと見たい)
(アスナさんの甘い唾液をもっと感じたい)

舌を絡ませ合いながら、2人の思考の行き先は一致した。
これから唇を貪り合うのに、鼻がぶつからないように2人は自然と顔を斜めに傾ける。

「はぁ……」

と同時に熱い吐息を吐き出すと、2人はぴちゃぴちゃと音を立てながら、夢中になって舌の粘膜を擦り合い、最後の距離を縮めていく。

頭がぼぅっとして、思考が正常に働かない。
こんな場所で、こんなことしたらダメなのに。

僅かに残った理性でそう思っていたはずのに、アスナの手はあやかの背中に回っていた。

(これじゃ、まるで恋人同士みたいじゃない……)

これはマズイ。でも舌を舐め合うのをやめられない。
そしてついには、ヌルリと互いが互いの口腔に舌先を差し込んだ。
興奮して体温が上がっているのだろう。あやかの口の中は、温泉よりも熱く感じた。
アスナは思わず、「あっ……ふ、ぅ……」と恍惚とした吐息を漏らしてしまう。
こういう時、互いの身体を知り尽くしているのは問題である。気持ち良すぎ。


「アスナさんの唾……とても、おいしいですわ……」


あやかは一旦キスを止めると、うっとりとそう言った。
悪い気はしない。クラクラする。


「じゃあ、もっと……飲んで……」


アスナはそう言うと、濃厚なキスを再開し、背中に回した腕に力を込めた。
グッと引き寄せられたあやかの乳房を、自分の乳房で押し潰す。
あやかも慣れたモノで、大量に流し込まれる唾液を飲み干しながら、身体をくねらせ、自身の乳首とアスナの乳首の位置を合わせる。
硬く屹立した乳首を潰し合った瞬間、ビリリと脳に電気が走った。腰が崩れ落ちてしまいそうだ。
しかも喉を通るアスナの唾液が、とても熱い。もう、エッチなことしか考えられない。

それもこれも、お腹がいつまでも熱いせいだ。
じんわりと熱いお腹の奥には、文珠がある。だからこの熱さは、横島を感じさせる。
しかも相手はアスナだ。同じ使徒である。

アスナの手が背中をさする。
アスナの舌が口腔を蹂躙する。
アスナの唾液が喉を犯す。
アスナの、アスナの、アスナの……違う、それは全部、横島忠夫……

そう、もっとも横島忠夫を感じさせる相手、それがアスナである。
むろん、それはアスナにとっても同じだ。
彼女にとってもっとも横島忠夫感じさせる相手、それがあやかである。
これ以上ないパートナーが相手なのだ。夢中になって当然かもしれない。
だから、じーんとした痺れが、お腹から身体全体に広がって、快感に頭が支配されても仕方ない。

欲しいのだ、アスナ(あやか)が。

ト、クン、と一拍遅れて心臓が激しく高鳴った。身体中が熱く火照る。
これじゃ、本当に恋人同士よね。うん、それも、いいかも……

(あやか、あやか、あやか、あやか……)
(アスナさん、アスナさん、アスナさん……)

夢中でキスをしながら、心の中で彼女の名前を何度も呼んだ。
すると、文珠に支配されている子宮が勢いよく打ち震え、ヌメル体液がトロリと太ももを伝っていった。

アスナは、持て余しそうな熱を何とかしようと、あやかの股間に膝を擦りつける。
使徒になったせいで成長が中2で止まり、アスナと同じく無毛の股間は、ツルリと彼女の太ももを滑った。
瞬間、あやかの喉が快感に打ち震え、熱い吐息の甘さが増した。
まるで媚薬のような熱波の吐息で、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
これはダメだ、癖になる。
熱に浮かされたように、あやかの髪に指を絡ませかき混ぜて、腹を空かした餓狼のように激しく口腔を犯した。

……違う、犯しているんじゃなかった。犯されている。
あやかの股間を攻めていたはずが、逆に股の間に足を差し込まれ、グイグイと股間を押し上げられてる。
髪も同じようにぐちゃぐちゃにされ、しかも歯茎や舌の裏を、あやかの舌が舐め擦っている。

ああダメだ、気持ちいい。
びくびくってアソコが痙攣しちゃう。

まるで鏡のように、互いが互いを犯してる。息が、苦しい……
2人は息継ぎをするみたいに一旦唇を離す。ただ、潤んだ瞳で、離れがたい気持ちをこれ以上ないくらいに露わして。


「すき、すき、すきよ……」
「すき、すき、すきですわ……」


アスナとあやか。2人の相性は実に好い。
主と使徒という関係がなければ、横島よりもずっと上だ。
出会いが違くとも、必ず関係を深めるであろう2人は、いっそ運命だと言ってもいいぐらい。

そんな2人が、まるで告白するみたいに想いを伝える。
……場に流されての言葉ではあったが、決して嘘ではない。
だからこそ、熱が高まった。愛情が深まった。想いが……爆発した。

すぐに啄ばむように何度も唇を合わせ、


「愛してる、愛してる、愛しているわ……」
「愛してます、愛してます、愛していますの……」


口を大きく開けて、互いの唇にかぶりついた。
重なり合う唇の隙間から、おびただしい量の唾液がこぼれる。
自分の唾液を飲ませたいと。アナタの唾液を飲みたいと。
舌を絡ませ、送り合い、こぼれ落ち、身体を唾液で汚していった。
2人は互いを抱きしめる腕の力を強くした。2人の間には隙間すら許さない。そんな想いだ。
唾液で滑る身体を擦り合うのは、とてもとても気持ちが良かった。横島に愛撫されるのとはまた違った快感である。癖になりそう。
鼻から出る息が、苦しそうに、切なそうに、激しく熱くなっていく。


んんっ……んちゅ、ちゅちゅっ、ちゅく、ちゅぅぅぅぅ……


露天風呂ではない、ネットリと粘るようなキスの音と、少女の悩ましい息遣い。
いっそ別世界のような空間で、2人は夢中になって相手の唇を貪った。
そして不意にアスナの指があやかの内股に伸び、なんの予告もなく膣の中に侵入する。


「んっ! んんんぅ~~っ!!」


乱暴な行為に、あやかの腰がビクンと跳ねた。
快感よりも苦痛が勝り、口がアスナの唇で塞がれていなかったら悲鳴を上げていただろう。
だけども、横島忠夫の指や舌、何より肉棒により開発されきったあやかの膣は、アスナの乱暴な指の動きを受け入れるに十分で、すぐにぐちゃぐちゃといやらしい音を奏で始めた。
アスナはあやかの身体が受け入れたと知ると、指を一本から二本、そして三本へと増やしていく。
横島の太く大きい肉棒を何度も飲み込んでいるにしては狭くキツイあやかの女の部分は、痛いくらいにキュウキュウ指を締めつけてくる。
それに負けじと三本の指をぐねぐねいやらしく蠢かせれば、あやかは面白い様にビクビクと腰を痙攣させ始め、んくっ……と喉を反らせた。
イキたいのだな、とアスナは思った。


(すぐにイかせてあげるわね……)


更に指の動きを激しくしようとした瞬間、あやかの細く長い指が、アスナのヴァギナをそっと撫でた。
優しい愛撫だ。だが、アスナの体の熱が最高に達した。
くちゃ、くちゃ、くちゅ……と自分のアソコから、粘る水音が聞こえたからだろう。
こんなにぐちゃぐちゃに濡れてるなんてと、今更ながら恥ずかしくなったのだ。

そんなアスナの様子を可愛らしく思いながら、あやかはたっぷりとアスナの愛液を指に塗り込んだ。
そしてゆっくり、だが根元までアスナの膣内に挿入していく。


「ん゛っ、ん゛~~~っ!!」


なんて優しい愛し方。意識が眩みそうなほどの快感だ。
キスを続けたいという欲求で堪えたが、背中が仰け反りそうになった。
アスナは軽い抗議に睨んでやろうと思ったけれど、


(イクなら、一緒ですわ……)


あやかの無言の言葉に、胸が苦しくなる。
アスナは、うん、うん、とキスをしたまま小さく何度も頷き返し、すぅーっと鼻から大きく息を吸った。


(あやか、イキなさい!)
(アスナさん、おイキなさい!)


2人は身体を歓喜に見悶えながら、愛液まみれでべたつく指を折り曲げた。
いや、折り曲げようとした瞬間、


「あっ!?」


と2人ではない少女の、しまった! と言わんばかりの焦りが混じった声と、ガラガラガシャーンとけたたましい何かが落ちた騒音に、アスナとあやかは、まるで石化したかのように、ピシリと固まった。

やば。エッチに夢中で警戒解いちゃった……ヒヤリとした汗が背中に流れる。
それでも深く絡み合ったまま、目だけで音のした方を見てみれば……

背も小さく、胸も小さく、雪の様に白い肌を持つ、一人の少女。
慌てて床に落としたお風呂道具を掻き集めている彼女のことを、アスナは無論、あやかも当然のように知っている。
2人が通う麻帆良学園においての要注意人物、桜咲刹那。
いつもは凛と孤高を保っている桜咲刹那は、自身を見る2人の視線に気が付くと、全身を真っ赤に染め上げ、あわあわとし始めた。


なんだろう? この可愛い生物……ちょっとイメージと違くない?

絶体絶命な状況の最中、アスナとあやかは、刹那の焦った様子を見て、なんだか逆に落ちついた。



  見られたっぽいの、キスしてるトコだけで、イタズラ書きはセーフみたいね。

  みたいですわね。では、この続きは後で……

  しないわよっ!
 


わたわたと何か言い訳をし始めた刹那を横目にしながらも、キスをやめずに目と目で会話をする2人であった。


































一方その頃……




初めて見たときから愛してましたー!


横島お得意(?)のナンパのセリフである。が、


初めて見られたときから愛してましたー!


今の彼女の様子を端的に説明するには良いセリフだ。というか、俺ってもしかして取り憑かれた? 
にっこにこしながら自分の斜め後ろをフワフワ飛びながら憑いてくる……もといついてくる様子に、横島は少女に気づかれないくらい小さく頬を引き攣らせ。

でも、

「なんか懐かしいよなー」

掘り起こされる遠い昔の記憶に、キュッと目を細め、郷愁を感じていた。








[11660] 簡易データ表
Name: uyr yama◆157cb198 ID:afcdcf20
Date: 2011/09/21 20:50


 現状のスキル表

 正ヒロイン’s

 神楽坂 明日菜 SPLv2

 霊能   A
 性魔術  E
 霊的戦闘 A
 体術   S
 拳戦闘  S
 飛燕剣  E
 剣戦闘  D
 銃撃   A
 銃戦闘  B
 神通棍  B
 咸卦法  A
 魔装術  A
 料理   S
 掃除   S
 洗濯   S
 奉仕   S
 床技能  A
 百合っ娘 E
 完全魔法無効化能力 EX 

 『job』

 第1使徒
 見習いゴーストスイーパー
 魔法生徒(偽)
 魔法使いの従者
 霊能力者
 魔装使い
 中学生
 新妻
 主婦
 家政婦
 王族
 百合姫
 

 『簡易プロフィール』

 横島忠夫の第1使徒。
 前後ともに非処女。
 姉にタマモ。
 雪之丞を師に持つ。
 魔装術を発動すると、雪之丞最終形態の色を紅くして、髪の毛まで覆った感じになる。
 魔装術を行使してる間は、完全魔法無効化能力は発動しない。
 AFは原作準拠。






 雪広 あやか SPLv1

 霊能   D
 性魔術  D
 霊的戦闘 B
 体術   A
 柔術   A
 神通棍  B 
 符術師  B
 札製作  A
 陰陽術  B
 料理   E
 掃除   E
 洗濯   E
 商売   B
 奉仕   S
 床技能  S

 『job』

 第2使徒
 見習いゴーストスイーパー
 魔法生徒(偽)
 魔法使いの従者(偽)
 中学生
 委員長
 お嬢様
 メイド長

 『簡易プロフィール』

 横島忠夫の第2使徒。
 前後ともに非処女。
 ラプシィア・ルンの使役する化け物に襲われ、魂をじわじわ溶かし喰われた。
 人として生きる事が出来ない程に霊気構造を失った彼女は、両親、千鶴、夏美による説得を受け、横島の使徒となり命を繋ぐ。
 以降、性魔術による治療を一月以上に渡り受ける事になった。
 もちろん両親にも説明済み。
 彼女の両親にとって、横島忠夫は恩人にして婿みたいな者。
 財閥のTOPなだけ有り、裏の世界を少しだけ知っていた彼等は心から横島に感謝している。
 あやかは治療の終盤に霊力に目覚めると、横島が明日菜の為に持ってきた六道女学園で使われている霊能関係の教科書を譲り受け、GS世界の陰陽師関連を中心に勉強中。
 お札製作、神通棍の扱い、そして横島との情事により勝手に覚えた性魔術を習得済み。
 現在、その性魔術を完全なモノにする為に研究中。
 ついでにメイドの心得を得る為の修行も開始中。






 村上 夏美 SPLv1

 霊能   A+
 性魔術  E
 霊的戦闘 C
 体術   B-
 剣術   B-
 料理   A
 掃除   A
 洗濯   B
 演技   B+
 奉仕   C
 タチ   A+

 『job』

 使徒見習い
 見習いゴーストスイーパー
 魔法生徒(偽)
 魔法使いの従者(偽)
 中学生
 女優

 『簡易プロフィール』

 前後ともに非処女。
 右腕を天ヶ崎千草により切断され欠損してしまうも、後に横島の文珠と煩悩全開の2大奥義により復元した。
 その結果、高濃度の霊力で出来ている右腕の所為で、霊力に目覚めてしまう。
 霊能は、H・O・G。(変な風に略して読まないようにw)
 横島忠夫のハンズ・オブ・グローリー劣化版である。
 そばかすや赤毛のくせっ毛を気にしていたが、今は昔。
 横島が散々に褒めてくれたお陰で、今はむしろ希少価値的な意味で気にいってる。
 横島の体液が大好きで、唾液、精液を問わず悦んで飲み干す。
 機会さえ与えてしまえば、小水すらも悦んで飲むだろう恐ろしい子。
 現在、女同士のエッチに上手になり(彼女自身は百合ではない)ルームメイト相手に猛威を奮っている。





 那波 千鶴 SPLv1

 魔法  E
 性魔術 E
 料理  A
 掃除  S
 洗濯  S
 介護  S
 奉仕  S+
 床技能 C
 気迫  EX

 『job』

 中学生
 巨乳
 愛人

 『簡易プロフィール』

 前後ともに非処女。
 後ろの初めてを触手に奪われる。
 後に横島の分身で、念入りに快楽器官へと調教された。
 千鶴曰く、一回り大きくて苦しかったらしい。
 色々あったけど、現在は横島が元の世界に帰る時にはついて行こうと心に決めた。
 使徒になるつもりはない。
 初めはともかく、今は決して後ろむきな思いからでもない。
 人として精一杯に生きる事、それこそが自分の役割なんだと思っている。






 大河内 アキラ SPLv1

 気   A+
 性魔術 E
 体術  A+
 泳術  S
 料理  B
 掃除  C
 洗濯  C
 奉仕  D
 露出  A-
 オーラバースト EX

 『job』

 使徒見習い
 見習いゴーストスイーパー
 魔法生徒(偽)
 魔法使いの従者(偽)
 中学生
 スイマー

 『簡易プロフィール』

 前後ともに非処女。
 横島の特異な調教により、ちょっとした露出的快感に目覚める。
 オーラバーストは、Fateのセイバーが使う魔力解放の生命力バージョン。
 原作において、素で美空のアーティファクトを超える脚力と跳躍力を持つ彼女のレアスキル。







 近衛 木乃香 SPLv1

 魔法   E+
 性魔術  E+
 料理   S
 掃除   A
 洗濯   A
 魔力増幅 EX

 『job』

 中学生
 図書館探検部
 占い研究会
 お嬢様

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。





 宮崎 のどか SPLv1

 魔法   C
 性魔術  E
 魔法戦闘 E
 体術   E
 罠感知  A
 罠解除  A
 地図作成 D
 環境適応 E
 料理   C
 掃除   C
 洗濯   C
 奉仕   C
 露出   E-

 『job』

 魔法使いの従者
 魔法生徒
 中学生
 図書館探検部
 シスター見習い

 『簡易プロフィール』

 前後ともに非処女。






 綾瀬 夕映 SPLv1

 魔法   B
 性魔術  E 
 魔法戦闘 B
 体術   C
 AF   E
 罠感知  A
 罠解除  A
 地図製作 A
 危険察知 E-
 環境適応 A
 奉仕   E
 肛辱   E+
 高速思考 EX

 『job』

 魔法使いの従者
 魔法生徒
 中学生
 図書館探検部
 探求人
 シスター見習い
 エターナルロリータ

 『簡易プロフィール』

 前後ともに非処女。





 ────────────────────────越えれそうで中々越えられない壁 でも切欠があればあっさり越えられる壁

 サブ・ヒロイン’s


 和泉 亜子 SPLv1

 蹴撃   D
 奉仕   C→B
 治療技術 E
 肛辱   S+

 『job』

 中学生
 マネージャー
 保険委員

 『簡易プロフィール』

 前は処女、後ろは貫通。
 好きだった先輩にフラレた際に、色々遭って横島と軽く身体を重ねる。
 後にエヴァンジェリンにより僕化、そして横島による解放にともない裏の世界の一端に触れた。
 その時の横島のいたずらにより類い稀なるアナラーとしての素質が開花。
 横島による横島のためだけのアナル奴隷となりかけている。
 彼女が不幸なのは、それが普通ではないことに気づけないこと。
 性的倫理が横島の文珠『同/調/領/域』により壊れており、当たり前のように後ろで愛された。
 前でしないことを訝しんではいるが、それは大切にして貰ってる証だと勘違いしている。
 この間違いに彼女が気付けないこともまた、彼女にとっての不幸なのかもしれない。
 本人は結構幸せそうではあるのだが……
 ちなみに、後ろ専門職になったのは、

 原作亜子のAF……どでかいドーピング注射→浣腸→あならーw

 という至極当然な発想の連続によるもの。
 決して作者が変態だからではない。

 



 佐倉 愛衣

 魔法   B
 魔法戦闘 B
 体術   C
 AF   C
 妹属性  A
 奉仕   D

 『job』

 魔法生徒
 魔法使いの従者
 中学生

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。







 春日 美空 SPLv1

 魔法   D
 魔法戦闘 D
 体術   D
 AF   B
 逃走   S
 悪戯   A
 環境適応 B

 『job』

 魔法生徒
 魔法使いの従者
 中学生
 陸上部
 シスター見習い

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。






 ココネ・ファティマ・ロザ SPLv1

 魔法   C
 魔法戦闘 D
 体術   D

 『job』

 魔法生徒
 小学生
 シスター見習い

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。






 絡繰 茶々丸

 体術   A-
 銃撃   S
 拳戦闘  A-
 銃戦闘  S-
 罠感知  A-
 地図製作 S
 危険察知 A-
 ハッキング S
 料理   A-
 掃除   A-
 洗濯   A-
 百合っ娘 A
 奉仕   A-
 S属性  E- 

 『job』

 魔法使いの従者
 ガイノイド
 中学生
 ネットダイバー

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。






 明石 裕奈

 魔法   E
 体術   D+
 奉仕   B
 自慰   S
 バスケ  A

 『job』

 中学生
 バスケ部
 ファザコン

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。
 複数プレイ(横島+女複数)大好き。 





 柿崎 美砂 SPLv1

 応援 B
 自慰 D
 
 『job』

 中学生
 チアリーダー
 寝取られッ娘

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女。
 彼氏がいたが、横島にあっさりコマされた。





 釘宮 円 SPLv1

 応援 B
 名器 EX

 『job』

 中学生
 チア部

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女




 椎名 桜子 SPLv1

 応援 B
 母乳 C+
 絶対幸運時間 EX

 『job』

 中学生
 チア部
 幸運少女
 精霊憑き

 『簡易プロフィール』

 前は貫通、後ろは処女
 幸運の精『フォーチュン』をその身に宿す少女。
 横島とのセックスにより、フォーチュンと一体化したけども、特に影響はない。




 



 









 ここまでで出てきたスキルEXの簡易解説


 文珠  文字を霊力で刻む事によって、その力の方向性を決める事が出来る万能の霊具の作成及び、制御能力。  
 煩悩全開 性的な興奮をする事で、力の出力を上げる事が出来るトンデモ技能。
 完全魔法無効化能力 幻想的な力を自分の都合良くキャンセルする事が出来る能力。 
 魔力増幅 絶対的な魔力量が多くなる。
 高速思考 高速で思考出来る。
 気迫  例えどの様な状況下においても、冷静さを失わずに相手と対峙する事が可能。戦闘時、戦闘力がUP。
 天才  超の技能。技能習得に必要な経験が、常人の10分の1。
 超天才 EXを除く全ての技能を修得するのに必要な経験が、常人の数百分の一ですむ。全ての習得技能に+が付く。
 魔力暴走 何かって言うと魔力を暴走させてしまう能力。コントロール不可。
 オーラバースト 時間制限有りの身体能力の倍増。限界まで使えば生命力が枯渇する危険なスキル。
 名器  ミミズ千匹、きんちゃく、3段締め等の内、最低でも2つを持ってる傾国の女。抵抗判定に失敗した全ての男を虜にして離さない。
 絶対幸運時間 この世全ての事象が思い通りに動く可能性がある幸運時間帯を創り出すことが出来る。







 文珠設定

 便利アイテム文珠ですが、この世界において紅き翼のヨコシマが作る強力なマジックアイテムとして、知ってる人は知っています。
 ただし、万能の霊具ではなく4種類ある強力なマジックアイテムとして。
 「治」「防」「爆」「氷」
 最初から文字付きで、紅き翼や関係者にくばってます。
 普通、この中の文字が書き換えられるとは思いませんからね。
 変に魔力込めると壊れるかも、って感じで変にいじる事も無いでしょう。
 研究されたらってのもあるかも知れませんが、そこまで不思議な物だとも思われてはいないようです。
 この世界で文字を変えるのは、不可能。
 霊力自体は発達してませんから。













 横島のヒロインへの認識表

 使徒……アスナ、あやか
 大切な人……令子、おキヌ、ルシオラ、イオ
 家族……タマモ、愛子、シロ、マリア、千鶴、夏美、木乃香、アキラ、のどか、夕映
 恋人・愛人……小竜姫、冥菜、レミ、愛衣、亜子、シャークティ、茶々丸
 セフレ……裕奈、すずめ、めぐり、美砂、美空、ココネ、桜子、円、美砂
 知り合い……ハルナ、千雨(ntr)、高音、刹那
 知り合い(非攻略対象)……まき絵、しずな、エヴァンジェリン、楓、古菲



 左上にいくほど、横島にとって好感度・恋愛度・重要度が高い順です。









 女性陣の横島認識表


 アスナ 一番大切な人
 あやか 主さま
 千鶴  永遠
 夏美  恋人
 アキラ 恋人
 のどか ご主人さま
 夕映  ご主人さま
 木乃香 旦那さま(夫的な意味)
 愛衣  お兄様大好き
 茶々丸 好き
 美空  好き
 ココネ 好き
 裕奈  好き
 亜子  恋人
 刹那  要監視対象
 高音  混乱中
 千雨  ネギ達の保護者
 桜子  好き
 円   愛してる
 美沙  好きだけど今はセフレ、いつかは恋人に……
 シャークティ 愛してる

 愛子  恋人
 タマモ 寄生対象
 シロ  先生
 マリア 大好き
 小竜姫 恋人
 冥菜  夫
 レミ  大好き
 すずめ 旦那さま(夫的な意味でなく雇い主的な意味)
 めぐり 旦那さま(夫的な意味でなく雇い主的な意味)







 ヒロイン達の現状の立場


 使徒

 第一使徒 神楽坂明日菜(ネギま!)
 第二使徒 雪広あやか



 使徒候補

 村上夏美(ネギま!)
 宮崎のどか
 大河内アキラ
 綾瀬夕映
 近衛木乃香
 佐倉愛衣
 六道冥菜(GS美神オリ)



 最後まで付き添う女性

 那波千鶴(ネギま!)
 神楽坂玉藻(GS美神)
 九十九愛子
 犬塚シロ
 マリア・セカンド
 小竜姫
 小笠原レミ(GS美神オリ)
 六道めぐり
 神崎すずめ



 横島のw

 春日美空(ネギま!)
 柿崎美砂
 釘宮円
 椎名桜子
 ココネ・ファティマ・ロザ
 明石裕奈
 和泉亜子
 絡繰茶々丸
 シスターシャークティ





 おまけで本編外のヒロイン達の現状の立場(スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション YOKOSHIMA 開始時点)


 
 魔神

 高町なのは(リリカルなのは)
 高町ヴィヴィオ



 使徒

 第?使徒 高町美由希(とらは3)
 第?使徒 フェイト・テスタロッサ・高町(リリカルなのは)
 第?使徒 月村すずか
 第?使徒 横島キャロ
 第?使徒 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(Fate)
 第?使徒 黒桜


 使徒候補

 クスハ・ミズハ(スーパーロボット大戦α&OGシリーズ)


 
 使い魔

 相坂さよ(ネギま!)注!先行登場
 アリシア・テスタロッサ(リリカルなのは) 

 久遠(とらは3)ロスト


 最後まで付き添う女性

 ライダー(メドゥーサ)(Fate)
 リーゼリット
 セラ



 横島のw(全員ロスト)

 綺堂さくら(とらは)
 神咲那美(とらは3)
 アリサ・バニングス(リリカルなのは)
 高町はやて
 小笠原祥子(マリみて)











 ヨコアスR 原作一覧

 GS美神(本編)
 魔法先生ネギま!(本編)
 戦女神シリーズ(本編)
 リリカルなのは(30~90万HIT企画)
 マリアさまがみてる(エイプリールフール企画)
 Fate/stay/night(おまけ)
 スーパーロボット大戦シリーズ(100~150万HIT企画)
 魔法騎士レイアース(100万HIT企画)
 ロードス島戦記(エイプリルフール企画)



[11660] 逆行大作戦!! 第一話  エロ有り(ロリタマ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/04/25 21:10





東京都は某所にある喫茶店。
店内のレトロな雰囲気が、とても心を穏やかにさせる。

店の中から見渡せる外の風景は、無骨なコンクリートジャングル。
目の前の道路は走り交う車が途切れることはない。

なのに、ここだけまるで時代に取り残されている様な感がするではないか。
この雰囲気を楽しめるようになるには、それ相応の歳月が必要だろう。

事実、この店の常連は須(すべか)らく年配の方だ。

窓から覗くオフィス街を横目に、今日も酸いも甘いも噛み分けた者達が集(つど)っている。
コーヒーの香りを楽しみ、アナログなレコードプレーヤーから流れるクラッシックやジャズを楽しむ。

そんな、本当の大人だけに許された場所……


その店に、10歳くらいの少女を連れた高校生の少年が、窓際のボックス席を占領していた。

少年はジーパンにジージャン。額にバンダナ。
顔は明らかに3枚目。
視線を窓の外に固定したまま動かない。

連れの少女は、ツーテールにまとめた長い髪。
両目の色が違う神秘的なオッドアイ。
服装は可愛い系のピンクのワンピース。
その服が気に入らないのか、時折嫌そうにピラピラした服をつまんでブーたれていた。
なのに、表情の動きが余りなく、無表情と言った言葉が良く似合い、実際の所は不機嫌なのかどうかは不明だ。
ただ無表情なのにも関わらず、その少女から滲み出る高貴さと、美少女と言ってもいい顔の造作は、僅かなりとも損なわれてはいない。

 
……どう見ても不釣り合いな2人だ。
世の中には似てない兄妹など山ほどいるが、この2人は兄妹ではないだろうとはっきり思える。
貧乏臭そうな学生の少年と、どこぞの国の姫君と言っても通じるだろう美少女。
店のマスターや常連客は、その2人をこっそり盗み見ながら想像を逞しくしていた。
ローマの休日のようなロマンスを想うご婦人がいれば、いやさ、あれはどこぞのお嬢様と丁稚だろうと笑うご老人。
それぞれが、それぞれの想像で楽しく過ごす。
これもまた、この店での楽しみ方の一つなのだろう。
そんな店の中で件の少年と少女は、周囲のひっそりとした注目に気づかずに、飽きることなくガラス越しに外を眺め続けていた。


「ねえ、タダオ。レーコおばあちゃんマダ?」


どことなく片言な少女の言葉。
それが不満なのか、少女は口元をむにむに両手でマッサージする。


「うう……うまくシャベレナイ……」


少年は視線を外に向けたまま、そんな少女の頭に手を伸ばし、せっかくの整えられた髪が乱れてしまうのも気にせずに、ぐわし、ぐわし、と乱暴に撫でる。

嬉しそうに相好を崩す少女に、面倒臭そうにこう言った。


「しゃーねーだろ。まだガキなんだし」

「……ワカッテルわよ!」


少女はツンとした口調と態度だったけど、撫でられているのがとても嬉しいのだろう。
目元がきゅっと細くなって、実に気持ちよさそうに見えた。

と、その時だ。

少年の目がクワっと大きく見開いたのは。


「……来た」

「ホント?」


少年の言葉に、少女は少年の視線の先を見た。
赤い髪を颯爽になびかせる20才前後の美女が歩いてる。
この時代流行りのボディコン姿に身を包んだ彼女は、高いピンヒールにも関わらず、とても足取りが軽快である。

……少年と少女の口元が緩んだ。


懐かしい……


特に少年はその思いが強い。
少女にとっては、見かけが若いのに少し違和感があったけど。

女はビルの外壁にビラを貼りつけると、そのまま来た道を戻るようにそのビルの中に入って行った。
2人は視線をビルの立て看板に向けた。


  【 美神令子除霊事務所 5F 】


少年は、隠しきれない憧憬の想いを込めて、ジッとその立て看板を見る。
今日がその除霊事務所の事務所開きの日だ。
すぐにでもこの喫茶店を飛び出し、さっきの女性を追いかけたい。
そうして、再び【あの】時間を彼女と共に過ごすのだ。

美神除霊事務所で……!

それはなんて魅力的な案だろう。
だけども、少年は寂しそうに笑う。

だって【彼女】は、【彼女】ではない。

少年は、そのことを【戻って】からの3年で、よーく理解していた。
今も2人の帰りを待っているだろう、少年と少女の家族のおかげで。

だから少年は、


「帰るぞ、アスナ」


そう言って席を立つ。

一緒にしたら【彼女】に対しても、また【彼女】にとっても、失礼だし迷惑だろう。

何より、もう少年は……



          極貧生活はご免だっ!! 



贅沢に慣れ切った今の少年では、あの頃の生活は事実上、不 可 能 !!
いやいや、少女と、そしてもう一人の家族を養わなければならない身。
例え生活費の大部分を両親が賄ってくれているとしても、最低限の稼ぎは必要なのだ。
でも、【彼女】の下ではそれは 不 可 能 !!

だから少年は苦く笑う。
守るべきものが、彼女以外にもある自分に。


────すんません、美神さん……


小さく呟かれた言葉は、傍らの少女の耳にしか届かない。
少女はそんな少年の手に自分の手を滑り込ませると、ギュッと強く握りしめる。


「ばーか」

「うっさいわ!」


悪態をぶつけ合う2人は、だけども、とても微笑ましい。
喫茶店のマスターも、この店の常連客も。誰も彼もが心暖かくなる2人の間に漂う空気。

ただ気になるのは……


「帰ったら覚えとけよ? 足腰立たんくなるまでやっちゃるわっ」

「もう。慰めてホシイならホシイって言いなさいよ」


どうにもこの2人。
ふかーい関係に見えるのだ。
プラトニックなラブでなく、ステディなラブ。
肉体関係有り有りの、そんな関係に見える。
高校生と、小学生の、そんな2人が……!


だけども2人は、そんな訝しむ視線に気づくことなく会計を済ませると、店を出た。
まばゆいばかりの燦々に輝く太陽の光に目を細め、そうして2人は手を繋いで街のざわめきの中に姿を消す。



それは再び始まる、長い、長い、終わりすら見えない長い旅路の始まり。



少年の名は横島忠夫。

少女の名は横島明日菜。



ただの少年と、この世界には居ない筈の少女。 

なんの因果か魂だけの逆行をしてしまった彼と彼女の、もう一つの物語の開幕である。



























 ヨコアスR 逆行大作戦!! ① 違うタマモ


















 



これより、3年ほど時間をさかのぼる。




ある日のことだ。
横島が目を覚ますと、そこは遠い過去の情景だった。
なんせベッドから飛び起き見覚えのある部屋から出ると、数百年前に逝ってしまった、父と、そして母がいたのだ。


「よおっ忠夫! 今日はずいぶんと早起きだなっ!」

「おはよう忠夫、珍しいわね。朝ごはん、まだ出来てないわよ?」


テーブルの上に新聞を広げて読んでる父。
台所で朝食の用意をしている母。
ガキだった頃、当たり前のように見ていた風景。

なのに、なんでだろう……?

目から涙が溢れ、とまらない。
もっと見ていたいというのに、涙でぼやけてしまう。
慌てて涙をぬぐいながら、クッと喉を鳴らして呼んでみた。


「親父……おふくろ……」 


……ダメだ、止まらん。


諦めたのか、横島は膝をつくと滂沱のように涙を流した。
もう、止めようとは思わない。
数百年前に死に別れた家族と、また、会えたのだ。

何が恥ずかしいことがあろうか?


突然子供のように泣き出した息子に、両親は流石に様子がおかしいと慌てふためいた。
何とか宥めすかして息子から聞き出した話は、とても現実だとは思えない物語。
人の理(ことわり)を外れ、神の領域へと足を踏み入れた息子の魂の話である。


「忠夫、お前は数百歳になってもバカのままか」


何があろうと、お前は俺達の息子だ。
そう言って笑い飛ばした父に、人としての器で負けたと改めて思い知らされた。
その後、話はトントン拍子に進んでいく。
横島の【今】は、普通の中学生の身体。
せっかくだ。もう人として生きて死んでいこう。
そう思った。
だが、すぐ母に諭される。


「アンタだけが【戻って】来た訳じゃあ、ないかもしれないでしょうが」


横島と共にいた者。使徒……そして使い魔。
魂で繋がっていた彼女達だ。
何がどうなってこうなったのか、さっぱり分からない以上、彼女達も一緒な可能性は非常に高かった。
だが同時に、今の時代、彼女達は生まれていない。
しかし、彼女達が生まれるのを待とうものなら、それは人の身を捨てた方が早い。ってか無理

でも、人の身を捨て、なのに彼女達が【戻って】いなければ……?

正直、シャレにならん。
もう十分以上に生きたと自負する横島だ。
これ以上の意味ない生は勘弁願いたい。
戻る前、それでも生き続けていたのは彼女達が居た。それだけの理由なのだし。
その彼女達を迎えようとしたのに、その彼女達が【別人】になってましたじゃあ、流石の横島も報われない。

だが、そこで横島は気付いた。

唯一、今の時代を生きているだろう使徒がいた。
神格者 横島忠夫の第一使徒 神楽坂明日菜。
旧名 アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア。
今も薄汚い奴らの道具として、必要な時以外は封印処置されてるだろう彼女。
彼女が【戻って】いても、【戻って】いなくても、関係なく迎えに行かなければならない。
そうして彼女が戻っていたのなら、再び永遠を手にしよう。
そうでなければ、彼を待ちわびて一生を台無しにしてしまう者が出るかもしれん。
もちろん、再会なった時には、再び使徒となるか選んで貰おうと思ってはいるけど。
なんせ彼女達も、生き飽いている可能性がとても高いのだ。

でも、彼女が戻っていなければ?

その時は、横島は普通の人間として、この世界だけで一生を終えよう。
普通に結婚し、子供を作り、孫の誕生を祝い、老いて……輪廻の輪に入る。
本当に魅力的な生き方だ。
永遠を彷徨っていた横島にとって、本当に、本当に。


……どちらにせよ、まずはアスナを迎えに行ってからだ。
世界を渡る方法は、もう十分に理解しきっている。
足りないのは力だけ。
その力も、魂が神格者であった横島である。
ちょっとした訓練だけで文珠の一つや二つ、再び創れるようになるだろう。




横島は両親にその事を話すと、すぐさま行動に移った。

現在の横島は中学一年。
身体も、霊力も、共にどうしようない位に貧弱。
ならば、まずは自らの霊格を上げるためのセックスパートナーを作らなければ。
地道な修行なんざ、横島の頭に掠めることすらなかった。
そんな横島がセックスパートナーとして真っ先に頭に浮かんだのは、タマモである。
タマモは横島自身とは何の契約も結んでいないため、この時代に戻っている可能性は低かった。
だが同時に、それは彼女自身の身の危険もそのままである。
横島と出会った時のタマモは、例え九尾の狐といえど、まだ発生したばかりの弱い妖怪であった。
その彼女が、生まれて数年の弱い時期を人間に追われて過ごしていたのだ。
何らかの切欠で、死んでしまう可能性が高い。

だったら俺が保護すればいいじゃないか。


そんな訳で、横島は栃木県は那須高原へと急ぐ。
彼女が発生する可能性が一番高いのが、那須高原にある殺生石周辺だと思われたからだ。
とは言え、実際に出会えるかどうかは分からない。
でも横島は欠片ほども心配していなかった。
自分とタマモの縁(えにし)を信じているのだ。
そうして事実、横島が殺生石の前に立つと同時に、彼女は産まれた。


きゅーんっ


九つの尻尾をぱたぱた振って懐いてくる子狐タマモ。
人型をとらせれば、10才前後の全裸な美少女に早変わり。


……そういや、初めて会った頃は中学生くらいの容姿だったっけなー。
だったら、今ぐらいの時期ならこんなもんか……


横島の中のイメージでは、もうすっかり大人でナイスバディーな美女。
でも今はちんまい美少女。
恐ろしいくらい無垢な笑顔なタマモをあやしながら、横島ははたと気づいた。
いや、気づいてしまった。


まずい。こりゃマズイ。
なんせ両親には言ってある。
自分の性魔術の相手を連れて帰ると。
あんまいい顔をしなかった母に、これが一番好い方法なんだと説得した横島だったが……
こんなちっちゃい子を連れ帰った日にゃー、間違いなく半殺し……いや、全殺しもあり得る。


「いやじゃーっ!」


両手で頭を押さえながら、恐怖のあまり激しく痙攣する横島。
魂の随まで刻み込まれた母への恐怖は、齢数百を数えても健在のままだ。
そんな横島を、きょとんと見ていたタマモは、ペロッと彼の頬を舐めた。


「じょぶ?」


大丈夫? そう言ってんだよな。

心配そうにするタマモに、横島は心を落ち着かせた。
まだ産まれたばかりの少女に心配かけるなんて、ちょっとばかり情けない。

ただ同時に思う。

流石、九尾の狐。
その所作の一つ一つが男を誘う。
小首を傾げ、上目遣いで横島を見つめる潤んだ瞳。
雪のように白い肌が、横島の視線を感じて華ひらくように桜色になっていく。

横島の手のひらが、まるで吸い寄せられるようにタマモの淡いふくらみに伸び……


「……んぁ」


艶のある声でタマモは啼いた。
肌がしっとりと汗ばみ、今まさに、少女の肢体が発情しているのだと解った。


……家に帰れば、しばらくこうした機会に恵まれることはないだろう。
だったら、今の内に九尾の妖力を貰っとくか。
齢数百を数える横島は、外見年齢が下は5才。上は80才までならオールオッケー。
性魔人として名を轟かせた彼にとって、今の10才前後の外見をとってるタマモは十分にストライクゾーンである。
ロリコンだのペドフィリアだので悩む時期はとうに過ぎた。
だから例え生まれてまもないどころか、生後数十分だろうと余裕でヤレル!


アホな自信に満ち溢れ、傲然と胸を張る横島に、タマモは嬉しそうに身を預けた。
生まれて直ぐの可愛い容姿も、こうして横島にあっさりと身を預ける様も、全部が全部、九尾の本能。
愛らしい姿で庇護欲を誘い、牝の本能剥き出しに、牡の性欲を引き出し誘う。
強い牡に出会えたことが運命ならば、こうしてその牡の庇護化に入ることこそ本望なのだ。


「タマモ、俺は横島忠夫だ」

「タマモ? ヨコシマタダオ?」

「タマモはお前で、横島忠夫が俺の名前」

「んっ!」


自分の名前をタマモに刷り込みながら、横島の指は幼いワレメへと伸びた。
ソッと、軽く数回撫でる。
すると、あっという間に幼い花弁は湿り気を帯びた。
更なる快感を引き出そうと、横島は指の動きを大胆にする。


くちゅ くちゅ ぬちゅぅ……


「んっ、ああ、ああぅ……」


快感がタマモの脳まで駆け上がり、その快感に震えながら喘ぎ声を小さく上げた。


「なあタマモ」


横島はタマモのワレメを撫でさする手の動きを止めず、名前を呼んだ。


「俺のこと、好きか?」


生まれてまだ数十分しか経ってない少女への、自分以外の存在を知らない少女への、かなり卑怯な問いかけ。
タマモは横島の狙い通りにコクコク何度も頷いた。
そんなタマモに横島は、チュッとまぶたに口づけする。


「だったら、これからはずっと一緒にいような?」

「ずっと……?」


おずおずと聞き返すタマモの脳裏には、前世で人間達に追われた恐怖。
その内の恐怖だけが鮮やかに蘇り、本当に一緒に居てくれるのかと不安な様子。

横島はそんなタマモの様子など分かっているのだと言わんばかりに、指先を幼いワレメを割って膣内へと潜り込ませた。
「ああっ!?」と頤(おとがい)を反らすタマモに、「ずっと、ずっとだ」そう言って笑いかけた。

横島は知っている。
タマモが本当に求めている物を。
自分を守り、自分をずっと傍に置いておいてくれる存在が欲しいのだと、知っていた。

タマモは、その強すぎる力の反面。
何かに寄生しなければ生きていけない、かよわい心の持主なのだ。


「だからな、タマモ? お前の力、俺にくれ。代わりと言っちゃなんだが、お前に家族をやろう。優しい両親に、可愛い妹。そして、俺だ」


タマモは横島の言葉に喜びを、そして横島の指の動きに悦びを与えられ、うんうんと何度も頷いた。

そんなタマモの様子に、これなら大丈夫だと確信し、横島はタマモに獣型に戻るようにと指示する。
そうして素直に狐の形態をとったタマモを毛布に包み、


「ジッとしてろよ?」


きゅーんと鳴くタマモに優しい口調でそう言いながら、横島は慎重にリュックの中に隠し入れた。
このまま今日泊まる予定のホテルへと連れて行き、ムフフなことをするのだ!
なんせ家に帰ってしまえば、もうこんな機会は永遠に訪れないかもしれない。

そう、恐ろしい母の存在があるのだから……












タマモは狭いリュックの中で、ジッとしたまま考える。

脳に流れ来る知識。
それは九尾狐として討伐された記憶……ではなかった。
もちろん、横島の知る【タマモ】の記憶でもない。
たった今、【主人】となった男を悦ばす術(すべ)だ。
タマモは、小さく、小さく、きゅーんと鳴く。

主人となった男に、力を感じた。
どんな危険からも守ってくれる、そんな力を。
ただ、それは権力によらない力。
そこは少し残念に思う。
でも、本当に強い男に【なる】匂い。 

うれしい、うれしい、うれしい! 
そう、きゅーんと鳴いて、まぶたを閉じる。
生まれたばかりの身体を、ゆっくりと休めるために。





次にタマモが目を覚ますと、そこはふかふかなお布団の上。
タマモは興味津々にキョロキョロ周囲を見渡すと、ボンと人型になった。
そうして甘えるようにタマモは横島に身を寄せる。
すると、タマモの絹のような肌を、彼の手が流れる様に滑っていく。
華奢な肩から始まり、背中を伝い、お腹へとまわる。


「……ん、くすぐったい」


ふるる……と身体を震わせ抗議の声。
なのに、タマモは抵抗しようとせず、ジッと横島の成すがまま。
タマモは、視線を感じていた。

彼の視線を、自分の唇に……

タマモは、顎をあげてそっと目を閉じる。

頬が上気するのは、彼に愛撫されているから?
それとも、恥ずかしいから?

ううん、きっと、それは……

ちゅっ

軽く、唇を合わせるだけのキッス。
いっかい、にかい、さんかい、と。
数を重ねるたびに、キスがドンドンと深くなっていく。
目がとろんと惚けてしまう。
興奮する。
どうしようもないくらいに。
なのに、行為は唐突に終わりを告げた。
両肩を掴まれ、彼の方を向かされると、その肩を押し下げ、タマモは膝立ちの体勢となった。
眼前に突き出されている男の象徴。
バキバキに硬く屹立した男根は、タマモの女をどうしようもなく責め立てる。


どうすればいいの?

舐めれば……いいの?


タマモは九尾の知識にある通り、舌先を伸ばして横島の肉棒の先端に触れた。

すると硬い男根が、ビクンとタマモの目の前で跳ねる。


 「こ、これで……いいの……?」


おずおずとそう言うけれど、彼は何も言わない。
でも、タマモは彼を悦ばせるための知識を信じた。
今度は舐めるだけでなく、小さな口を精一杯大きく開け、彼の象徴を飲み込んでいく。
口一杯に頬張りながら、一生懸命に舌を蠢かせ、彼の反応を事細かに観察する。


どこが気持ちいいのか。

どうすれば悦ぶのか。


今のタマモにとって……

生まれたばかりで、横島しか知らないタマモには、横島は世界の全て。
その一挙一動が、タマモにとってはとても大切。
だから気にしない。気にはならない。
頭がぼ~っとして、身体が高みに達する度に、内から力が奪われていく感じは、気に、ならない。
【玉藻の前】としての知識なのか、これが房中術に近い何かだというのが解っていても。

今のタマモにとって、彼が世界なのだから。



 









……やっぱ違うんだな。

横島はタマモの様子にそう断じた。
似て非なる存在と言ったらいいのだろう。
横島の知るタマモは口が悪い。
基本的に、何をするにも反抗的で、でもその実、気を許した者だけに見せる甘々な態度がとても愛らしい女である。

それが最初からデレデレ。

この様子じゃあ、女性上位主義のSな女王様風。でも実はマゾッ気溢れるM奴隷なんてギャップ萌えだったタマモと違い、ただの愛奴隷になりそうな予感!
それはそれで構わないのだが、あの何かと言うと首輪をして欲しいとねだる彼女が懐かしく思える。
と、そんな事を考えていると、涙目で見上げてくるタマモと視線が交わった。
悲しそうにウルウルしている彼女を見て、すぐさま自分の失敗に気づく。

比べたら、悪いよな……

そう自戒しながら、タマモの髪の毛を、やや乱暴に引っ掴んだ。
同じに思うのは不味いが、悦ぶ行為は一緒だろう。

だったら、詫びも含めて徹底的に悦ばせてやる!


ゴン!ゴン! と激しく喉奥を肉棒で突き始める横島。
タマモは喉奥を突かれる苦しみに、遂には涙を決壊させてぼろぼろに泣くけれど、横島には分かっていた。
立ち膝をしているタマモの股間から太ももを伝う、透明でいやらしい液体の量が増大したことに。


そんなろりタマモのぷにぷにぼでーのいやらしいまでの魅力が無限大まで高まり……
横島自身の理性の糸が、プツンと切れた。
……元々切れかかってる様な物だが、彼なりの最後の一線が失われたのだ。
なんせ今の横島は、実のところ  童 貞  である!
しかも中学一年という、性の目覚めの年。
思春期に入り始めの彼の肉体は、魂を超えて暴走した。

横島は肉体の欲求に応えるようタマモの口中から肉棒を抜き出すと、彼女の膝を押さえて足を大きく開かせた。


「タマモ、するぞ!」

「う、うん……わかった」


この時のタマモは、実際のところはナニをするのか分かってはいなかったのかもしれない。
でも、タマモはそれでも喜びに身体を打ち震わせた。

ああ、これでもう安心だ。
もう追われることなく、安楽な生を謳歌できる。

そういう気持ちで……

タマモは本能に従い、自分の指を秘唇に添えて、ぱっくりと開く。
ぬちゃあっと粘るような水音を立てながら開いたソコは、とてもキレイな桜色。
横島はそんなタマモの行為に後押しされるように、キツイ処女穴に肉棒を押しこんだ。


「い゛っ!? うあぁぁぁっ、あぅんんんんんっ!」


痛がるタマモを押さえつけるようにして、一息に奥まで挿入すると、横島は満足そうに息を吐いた。

脱!童貞!!

【戻って】の生において、初めての女はタマモ(幼女バージョン)である。

破瓜の痛みに戦慄くタマモを見下ろしながら、腰を抱きよせ、更に深い所目指していく。
タマモは止まらない痛みに、まるで陸に打ち上げられた魚のようにぱくぱく口を開閉させる。
その外見年齢も相まって、本当に痛ましい姿だ。
でも、横島はやめようと思わない。もちろん、タマモもだ。
特にタマモにとって、この行為は彼に気にいられるためには必要なことだと認識していた。
……実のところ、もしもタマモが少しで嫌な素振りを見せたのなら、例え身体の欲求が激しかろうと横島は止まっただろう。
だけども、それはタマモの望むものではない。
彼女が欲するのは、優しくされることではない。
確かな絆。それが心底欲しいのだ。
かつての……前世の彼女の主であった鳥羽上皇より与えられることのなかった絆を。


「主(あるじ)、さまぁっ……んくぅぅぅっ」


処女喪失の痛みに耐え、自ら腰を動かし始めるタマモ。
自分のことを【主】と呼んだことに驚いた横島ではあったが、そんなタマモのいじらしい行為。
横島が発奮しない訳がなかった。

タマモの狭く幼い膣内の感触がたまらない快感を生み出す中、横島は激しいグラインドで彼女の処女地を荒らしていった。

2人の結合部からおびただしい量の処女血が流れ、だが同時に、同じくらい多量の蜜も溢れだす。
ただ、その蜜は2人の激しい行為により白く濁り、泡立ち、これが初めての行為だなどとはとても思えない光景である。


「あう……も、もう、だめっ、だめぇええぇえーっ!!」


タマモの膣内(なか)がキュウキュウ痙攣を繰り返し、大きく口を開いて絶叫した。
横島は腰を丸めてその口を自分の唇でふさぐと、更に激しく腰を蠢かせる。



────主の身体と心。その全てを私に夢中にさせてみせる。

タマモの身体と心。その全てを支配し征服してやる────



妖(あやかし)の本能。

齢数百を超える魂の欲望。

そのふたつ。重なり合って、ドヴッ、ドクドクっ、ドクンッ!!

肉棒から精がほとばしり、内側からタマモを犯し、自らの色に染めていく。
同時にタマモの子宮が、膣道が、激しく収縮を繰り返し、横島の欲望を搾り、搾り、搾り……


「タマモ、2回戦イクぞ」

「う、うん……」


抜かず2発目、3発目。
横島の自制はタマモの女に削り取られ。

もしもこの横島の身体が、戻るまえの身体であったなら、こんな風にはならなかったろう。
でも、横島の魂は熟練であっても、この肉体は童貞であった。
童貞で、タマモの妖力……九尾の魅惑な肢体には、到底打ち勝つなどありえない。
このままでは、精も根も突き果てるまで、タマモに奪われ尽くすが自然の流れ。

タマモを腹の下に敷き、狂ったように腰を前後させる横島は、このままではタマモのことしか考えられない傀儡(くぐつ)と成り果てよう。

それをタマモは望んではいない。
いないのだが、これこそが九尾狐の業なのだ……

ただ、横島とて只者ではない。
3度目の精を放出すると同時に、「ざけんなっ!」そう怒鳴ると、性魔術を発動させた。

奪われた生命力と霊力。
その全てを取り返し、続いて九尾の妖力をも奪っていく。


「あっ! あぁあっ! 気持ちいいっ、気持ちいいよぉ!!」


今度は逆に狂ったようにイキまくるタマモ。
力を、本能を、その全てを奪い尽くされ、タマモは恍惚の表情で横島を見る。
無意識化の本能で、タマモは思った。


ああ、流石は我が主。


蕩けるような視線を横島の視線に絡め、だが横島は怒っていた。

タマモの膣内(なか)から肉棒を抜き出すと、彼女を四つん這いに後ろを向かせ、尻穴に肉棒を押し付ける。
ここは、【戻る】前のタマモとは、一度足りともしたことがなかった場所。


「ひぎぃいいいっ!?」


タマモは悲鳴を上げた。
出すことしか知らない筈の器官。
でも、出すこともまだしていない器官。
その場所を初めて通る物は、汚物でも、他のナニ物でもなく、横島の肉棒をこそが初めてそこを通るのを許された。
いや、そうすると、横島が決めたのだ。


「痛いっ痛いっ! こんなの知らない! 知らない!」


九尾の知識にもない性の行為。
それに恐怖し、怯え、でも……


「タマモの全部は俺の物だっ」


その言葉に、タマモは力を抜いて、全てを横島に任せた。
途端に、壊れてしまうんじゃないかと思えるぐらい、激しく腰を打ち突かれ。
でも、苦しさと痛みが、甘い快感に変わった。


「ああ、ああっ! おかしく、どこか、ふわって……っ!」

「そういう時はな、イクって言うんだ」

「イク、イク、イクぅうううっ! んあああああああああっ!」


大量の精でタマモの腸内粘膜を焼きながら、横島は、ふうっ、と安堵の吐息をする。


もう少しでタマモに喰われるとこだった……

危ない、危ない。


そう安堵の溜息だ。
例え魂は熟練だろうと、この身体はピュアなチェリーだったことを失念していた。
そう思いながら腸内から肉棒を抜き、腸液と精液、そして愛液でぐちゃぐちゃになったソレをタマモの唇と舌でキレイにさせる。
幼たまもんの愛らしいご奉仕に胸をキュンキュンさせつつ、帰る前にもう一回しとくかと鼻息を荒くした。


ただ、横島は忘れてた。
いや、思い出そうとはしていた。



なんだっけなー?

このまま帰ったらヤバい気がするんだが……


ゾクリとする寒気に身を凍らせる。


「どうかしたの?」

「良くはわからんが……たぶん、死にはしない」


よく分からない絶望感に打ち震える様子を見て泣き出したタマモを、慌てて横島は宥める。
背中から抱き寄せるようにして膝の上に座らせると、嬉しそうに頬をずりしてくるタマモに、もう何度目か分からない淫心が首をもたげた。
その感情のままに軽くタマモを持ち上げ、秘部を貫く。


「いうっ……あ、あぁぅ……」


ジュプ、ジュブブブ……

腰を激しく上下に動かし、タマモは甲高い声を上げる。
後ろから支える様にして胸を掴んで揉みしだく。


はやく大きくなーれ。

はやく大きくなーれ。


そう念じながら、自分の知る未来のタマモよりも大きくして見せると、横島は自分の名前にかけて誓った。


時に、横島が母の手により撲殺一歩手前までボコられる、18時間前のことであった。








[11660] 逆行大作戦!! 第二話 
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/05/02 13:10




横島玉藻。

それがこの世界での、彼女の名前だ。
戻る前は神楽坂だったから、横島はそのつもりでいたんだけども。

父と母の反応に、まあいいかと。


「娘ってのは、いいもんだなぁ」


父は鼻の下を伸ばしてデレデレに。
母は母で新しく出来た娘の髪をいじるのに夢中である。
特徴的な九尾なポニーテールが解かれ、さらりとしたロングの髪を丁寧に梳いていた。

その光景に、あれって尻尾みたいなもんだと思ってた。
と軽く首を傾げながら、このまま狐の形態に戻ったらどうなるんだろう?

そんな誘惑に駆られる横島ではあった。

まあ、それはともかく、両親がタマモを気にいったみたいにかわりない。
タマモも、デレデレな父と母にあっという間になつき、なんだか除け者にされた気分で横島は少し面白くなかった。
父と母。その双方からタマモを毒牙にかけた件でボコボコにされ、冷たい床に血塗れで這い蹲っている横島は、自分がそう思ったことに苦笑い。
中身は数百歳でも身体は中学一年生。
精神が身体に引きずられているのか、それともこれが素の自分なのか。
多分、そのどちらもだろう。



こんな感じで、まあ、いろいろ有りはするけれど、タマモは横島の家族となった。
戸籍上でも横島夫妻の養子となり、正式に横島の血のつながらない妹である。

そして、もうひとり。

彼の義理の妹となるであろう娘がいた。


タマモとの初体験時の性魔術により、文珠精製能力の取得と、異世界への片道切符程度には十分な程の霊力を手にすることが出来た横島。
横島と離れたくないと、「にーちゃ、やぁーっ!」とぐずるタマモを両親に託し……っていつの間に主さまがにーちゃに? 
まあ、それはいい。とにかく未来の義理の妹を迎えに行くべく颯爽と異世界への扉を開いた。



「んじゃ、行ってくるわ。タマモのことよろしく頼む」

「ああ、さっさと行ってきな、バカ息子。タマモのことも、後の事も任せときなさい。それから……気をつけて行くんだよ」


不敵な笑みを浮かべ、でも最後に心配そうにそう言った母に、大丈夫だと笑う横島。
なんだか顔に熱がたまる。
親に心配されるってのは、なんだかむずかゆい。

あとは、そう。後の事について。

それは学校のことだ。
横島は現在中学生。
義務教育の途中である。
しかし、横島はこれから異世界へと渡ってしまうのだ。
こちらに戻ってくるのには、早くても3ヶ月。
遅ければ1年はかかるだろう。
それもこれも、向こうの世界でタマモに代わる性魔術のパートナーが出来るかどうかによるのだ。
この時点でのアスナでは無理だ。
圧倒的なまでに霊格が足りないのだ。
アスナも黄昏の姫巫女などと大層な二つ名を持ってはいるが、しょせんレアスキル持ちってだけの只の人。
九尾狐のタマモと比べる自体が間違っている。

まあ、これらの問題は、向こうに行ってから考えればいい。
横島はそう思っている。

ただ、そうなると学校が問題なのだが……その辺りを母がなんとかするのだろう。

聞いた話では、ヨーロッパ辺りへの語学留学……ってことになるらしい。
幸いといってはどうだが、横島は外国語だけはそこそこ出来る。
いや、ナンパするために様々な国や世界、それに種族の言葉をマスターしていた。
単純な中学生の教育内容……国語、数学・社会・理科。
主要五科目の内、英語を除いた四科目。この辺りの方が、間違いなく解らない。
そう思えば、この留学設定は、とてもつなく横島に有利に働きそうだ。

これで高校受験の推薦もいけるだろう!

なんてとらぬ狸の皮算用的な事を考えながら、横島は世界を渡った。



横島は世界を渡るなり魔法世界へと直行。
そのまま文珠『気/殺』を使いながらオスティアに潜入し、アスナを奪取。
代わりに幼女型マネキンを置いてトンズラした。


この世界のこの後の歴史が大幅に変わるな。

何よりだ、完全魔法無効化能力を使おうとアスナの封印を解いてみたら、出てくるのがマネキンとか……

まさに、プギャー。

その場面、この目で見れないことが残念でならんっ。


そうチラリと思ったが、ま、いいかとアスナを連れて魔法世界から旧世界は日本へと戻った。
ところで、アスナは確かに【アスナ】であった。
アスナは突然の事態に多少の混乱はしたものの、アナタが一緒ならそれでいいと、再び横島の使徒となる決意を固める。
と言うか、別の誰かに【第一使徒】の座をやるのが気に食わなかっただけともいう。
名目上の実権はあやかに、実質的な実権は夕映に。
他の使徒たちに対して、なんら力を持たない名前だけの第一使徒ではあったが。
そう、実権なんてどうでも良かった。

第一使徒。第一位。

なんか格好いいわよね?

……アスナなんざ、しょせんこんなもんだ。

もっとも、今の横島の力では使徒を作ることはできない。
そこはこれからの修行(?)次第であろう。
まあ、とにかく、横島は再び永遠を手にすると決めた。

どういった形で永遠を手にするか……

それは、まだ決めてない。

少なくても、【戻る】前のように、【彼女】の【神核】を貰うつもりはない。
ただ、もう一度彼女と会い、今度は別の関係を作りたいとは思っているけども。
どちらにせよ、まだまだ先の話である。

今はとにかく強くなろう。

あの時のように、彼女に庇われなければ生きられない自分ではなく、強く!強く!何処までも誰よりも強く!!


そう誓いながら、横島は麻帆良に足を踏み入れた。
この地にある、後に世界樹とあだ名づけられる木と契約を結ぶ為と、そして、あの娘との再会を願って。


横島がこの地に訪れた【時】は、西暦にして1953年の半ば。

そう、彼女が居るのだ。

もうその身を自縛霊と化しているだろう彼女が。


「あーっ! 横島さーんっ! アスナさは~んっ!」


ふえ~ん、と大泣きしながら世界樹の方から飛んでくる相坂さよに、横島とアスナはホッと胸を撫で下ろす。
彼女が横島やアスナと同じように【戻って】いたことに対する安堵だ。
ただ、戻ってきても幽霊な彼女に涙はした……

そんなこんなで、これより横島とアスナは、おおよそ半年の月日を彼女と共に過ごすことになる。






















   ヨコアスR 逆行大作戦!! ② 氷室の者


















────私、待ってますね。

へ?

みなさんは、きっとここに戻ってきます。だから、その日まで、ずっと、ここで……

さよちゃん、そしたら、ずっとここで一人ぼっちになっちまうんだぞ?

大丈夫ですよ。横島さんと出会う前はずっと一人だったんです。だから、大丈夫。
それにね? 一人じゃ、ないですよ? どんなに距離が離れても、私はアナタとずっと一緒です。
アスナさん、今はアナタだけ。だから横島さんを……私の大切なご主人さまを、よろしくお願いします。

ウン、マカセテっ!

少しのお別れ……

ああ、少し、だな。

ウン、すこし。

またね、ごしゅじんさま。

またな。

マタネ!




泣きながら手を振る彼女に応えるよう、2人も一杯に手を振り返す。
2人は次第に世界を移動する光りに包まれ、そして……まばゆく、どこまでもまばゆく……








光りが、弾けた…………













「やっと起きだんか……」

「……ああ、おはよう、早苗ちゃん」


身体を激しく揺さぶられ、寝惚け眼で声のする方に目をやると、六道女学院の制服に身を包んだ少女がいる。

あれ? なんで、俺?

横島は寝ぼけた頭で、どうして自分が寝ていたのか思い出す。
学校サボって美神除霊事務所の事務所開きを覗きに行って、そのままアスナに甘えるように身体を重ね、んで……


「ほら、アスナも! さっさと起きんがいっ!」

「あう~」


横島の腕を枕にして眠る少女を起こす彼女を見て、やべっ、と身体を硬直させた。
学校サボってアスナとやってたなんて、彼女が怒るには十分である。
事実、起きるのを拒否するように、いやいや、ってしてたアスナの頭に、ガツンと拳骨が落ちた。
目から火花が出るような痛みに、先程までとは違った意味で、いやいやするアスナを無理矢理立たせ、そのまま浴室へと放り込む。
横島は、ふんっ、と荒々しく鼻息を飛ばす彼女を恐怖の眼差しで見ていると、案の定と言って良いのか、彼女のドロップキックが 「こんのっ、エロガッパがぁっ!!」 横島の顔面に炸裂した。

彼女の名は 氷室早苗。

この戻った世界での、横島とアスナの家族である。
ちなみに、彼女との肉体関係はというと……

あるような、ないような?

要するにBまで。寸止め状態であった。


「あんたもさっさと風呂さ入ってこい! ベダベダなうえに臭いべっ!!」

「へ~い」


横島は、蹴られて痛む鼻頭を押さえながら、手をひらひらと振ってアスナが居る浴室へと行った。
残された早苗は、「あんの助平が」とか「これだから東京モンは」とかぶつぶつ不平を言いながら、乱れた布団をキレイにしていく。
様々な体液でベトベトになっているシーツを剥がし、洗濯したてのふかふかシーツに変えると、うん、と満足そうに頷いた。

そして、チラリと浴室の方へと目をやる。

かすかに聞こえる嬌声が、2人が再び睦み合っているのだと早苗に分からせた。
眉が不機嫌そうにピクンと一瞬跳ねる。
早苗は苛立たしい気持ちを、はぁ、と大きく息を吐き出すことで押さえると、浴室へと続くドアをガンっ!と思い切り叩いた。


「エロイことさしてねーで、さっさと上がらんかいっ!!」


途端に慌ただしく動き出す浴室の気配に満足すると、早苗は鼻歌混じりで夕食の準備に取りかかった。
早苗にとって横島という存在は、本来だったら唾棄すべき存在だ。
事実、横島が『戻る』前の世界では、蛇蝎の如く嫌われていたのだし。
なのにどうして?
そう思うかも知れないが、それもこれも、第一印象が凄まじく良かったおかげだろう。
早苗が初めて横島と対面した時は、紳士的で、礼儀正しく、のちに早苗の妹となるおキヌという名の幽霊。
彼女にとても親身になって問題を解決してくれた、優しく、そして誠実な男であった。
早苗も、今ではそれらの殆どがまやかしなのだと分かってはいたが、既に好ましく思っていたこともあり、何より横島の秘密の一端を明かされていたこともあり、どうにも嫌いにはなれそーにない。

いや、むしろ好きなのだろうと早苗は思っている。

でなければ、例えおキヌの件以来、家族ぐるみでの付き合いがある横島の母からの直々のお願いだったとはいえ、こうして彼の面倒を見るべく同棲しようなどとは思わなかったはずだ。
まあ、高校を地元のではなく、霊能科のある六道女学院にするつもりだった早苗にとって渡りに船、というのもあったけど。
そんなことを考えながら料理していると、とことこ足音が聞こえた。


「さなえオネエチャン、お風呂オワッタ」

「そうが。きちんと頭ふいだか?」

「ウンっ」

「んじゃ、箸や皿を出しといてくんろ」

「ワカッタ」


アスナの可愛い系なピンクのパジャマ姿に頬を緩ませる早苗。
ぜんぶ、早苗が買いそろえた物だ。
それがアスナには不評だと知ってはいるが、可愛いんだから仕方ない。
思わず後ろから抱きしめてしまいたくなる衝動をグッと堪えていると、「あがったぞー」なんて親父臭い声が。
声のする方を見ると、腰にタオルをまいただけの横島がいる。
脱衣場には着替えからなにから全部用意してあったというのに。

本当にダメな男だ。

そう内心で罵倒しながらも、早苗の頬は緩みっぱなし。
冷蔵庫から牛乳パックを取り出し、コップになみなみと注ぐと、「ほれっ」と手渡す。


「おっ、やっぱ風呂上がりは牛乳だよなー」


なんて良いながら、実においしそうにゴクゴク飲み干す横島。
ただ、だらしないと言うか、何と言うか……
口の端からこぼれ落ちる牛乳の白い奇跡が、早苗を少しだけイラッとさせた。
すぐさまエプロンのポケットからハンカチを取り出すと、げふっ、と満足そうにゲップする横島の頬にあてる。


「まったく。ほんとにおめぇさは、わたすがいなけりゃダメなんだから……」


そう言ってキレイに牛乳の軌跡をふいていく。
箸や皿を食卓に出し終わり、次の指示を貰いにきたアスナは、そんな早苗の様子に苦笑い。

数百年の経験がなかったら、間違いなく嫉妬してたわね。

そう、愚痴のようにこぼすアスナであった。






















夕食が終わり、身体に引きずられているのか、それとも単純に横島との絡みで疲れ切っていたのか。
たぶん、そのどちらでもあろう。
たった今まで9時から始まるトレンディードラマを視ていたはずが、気付けばアスナが夢の中。
横島は、すーすー、と静かな寝息を立て始めたアスナを起こさぬように慎重に抱き上げると、彼女の部屋のベッドに寝かせる。
そうして茶の間に戻ると、かぶりつきでテレビに夢中になっている早苗に少し嫉妬した。

だって、主演が銀ちゃんだったから。

クソがっ。戻る前はおキヌちゃんで、今度は早苗ちゃんかよっ!?

これだからイケ面は……っ!!

多分に嫉妬混じりにブツクサ言い捨て、不貞腐れながらソファーにごろりと横になる。
そんな横島に気づいているのかいないのか……いや気付いているのだろう早苗は、テレビに顔を向けたまま、真面目な声で話しかけた。


「明日、だな……」

「そうだなー」


早苗の結構深刻そうな声色に、だが横島は軽く応えた。
自信があるのだろう。
早苗も、彼は大丈夫だろうと信じてる。
だけども、危ないことには変わらないのだ。

だって、明日は……


「GS資格試験は、死んでもおかしくねーんだべ?」

「うーん? そうだなー」


なのに、あくまで軽い調子の横島に、少しだけカチンとくる。

でも、すぐに鎮静したけど……

早苗は六道女学院の生徒である。
特に六道の生徒にとって、GS資格試験に臨み、合格するのが最終目標。
だからこそ、かの試験の危険性は、散々に教わっていた。
でも同時に、先ほども言ったが信じてもいた。

早苗は見たから。

あれから2年近く経った今でも、簡単に思い出せる光景。
目蓋を閉じるだけ、ただそれだけで、何度も鮮明に思い描かれる彼の勇姿。
おキヌを死津喪比女の呪縛から解き放つため、死闘を繰り広げ、見事勝利した横島忠夫の勇姿を。




────死津喪比女っ!

テメーはこの、未来のゴーストスイーパー横島忠夫が、極楽に送ってやるぜッ!!




光りの盾と、光りの剣。

まるでゲームの中の勇者のような彼。

その勇姿に違わず、襲い来る死津喪比女の群れを、ばったばったと斬り捨てる。

力、技、知恵。

その全てが圧倒的で……

最後に使った【召/喚】と書かれた二つの珠で、死津喪比女の本体を地上に呼び出し、【滅】の珠でその存在を完全に消し去った。


────ギャアアアアアアア


死津喪比女の断末魔の叫びが山々に木霊する。

全ての呪縛から解き放たれたおキヌちゃんの頬笑みが、とてもまぶしく思え。

そして、それを難なく成し遂げた彼の背中が、とても大きく、逞しく、見えた……




その背中に憧れ、彼のようになりたいと早苗は思った。思って、しまった……

横島と共に来ていた彼の両親と親しく話した。
GS資格試験を受けれるのは、満16才からである。
だから彼が16才になってGS試験を受けれる年になり、そうして資格をとったなら、彼の下で働かせて欲しいと願いもした。
それは正しく叶い、彼の両親が栄転でNYに行く際に、彼の世話を頼まれた程だ。

そう、これは通過点にすぎない。

彼がGS資格を取り、そんな彼の下でGS見習い、もしくは助手として働き、いずれは彼のようなGSになるという夢の、通過点。

でも、もういいっ!

そう言ってしまいそうになる。
いや、もしも彼の本当を知らなければ、そう言ってしまったろう。

なのに、どうしても心配が止まらない。

彼が負けるところなんて、想像出来ない。

でも、やっぱり心配で。

なのに、なのに……




鼻くそほじりながら、ぼへ~っとテレビを見ている彼。



この態度はあんまりでねーか?








早苗は憤慨一歩手前状態になるが、むろん、横島とて鼻くそほじりながら考えているのだ!
今の横島の戦闘能力は、最盛期に比べればただの貧弱なボーヤ。
でも、よほど抽選が悪くない限りは大丈夫だろうと思っていた。
もちろん、危なくなったらさっさとギブアップするつもりだ。
試験は今回だけではないのだ。
むしろ次回の試験だと、雪之丞達がいる分、楽かもしんないし。

なんせ手の内知ってるかんな!

そうワハワハ内心で大笑いする横島。

早苗は、横島がそんな事を考えているなんて露も知らず。
心配な気持ちが止まらない。
なのに、横島自身は何ていうか……気が抜けてる?
彼の実力は分かっているけど、こんな感じじゃやっぱり不安だ。

ふぅ、っと大きく息を吐き、苛立ちや怒りを一先ず堪えると、早苗は目をテレビから離して横島へとむけた。

少しでも、力になりたい。

そう思いながら立ちあがり、寝っ転がる横島のパジャマのズボンに手をやり、一気にパンツごと脱ぎ下ろす。


「わたすの霊力やるから、怪我、すんでねーぞ……?」


頬を染めながら、横島のソレに舌を這わす。
まだ力なく萎れた状態のソレは、早苗の舌が先端を数度突くと、途端に力をましてグオンといきり立った。
やたらと大きく野太いソレを丁寧に舐めながら、コレがアスナのちっちゃい身体にぐぽぐぽ出たり入ったり……と妄想を逞しくさせる。
そして、いざ、口の中に頬張ろうとした瞬間、彼をやる気にさせる案が思い浮かぶ。

それは……

早苗は横島の肉棒をギュッと握ると、真剣な表情になって横島を見上げる。
そうして、やや、やぼったい手つきで肉棒を擦りながら、こう言った。


「怪我せんで、最後まで勝って、んで優勝したなら、わたすの初めて、をあげるから……頑張れ……っ!」



早苗は知っている。

彼にとってのココが、過去の世界だと。
この世界と繋がっているかどうかは不明だが、遠い未来で待っているだろう者達を、迎えに行かなければならない彼を。

早苗は知っている。

両親と共にNYへ行ってしまったタマモや、今現在一緒に暮らしているアスナと彼が、どうして睦み合っているのか。
そのことをどうかと思ったし、明らかに間違っていると思いもしたけど、彼の両親に説得され、今では認めてた。

貞操観念の強い早苗は、当然の様に身持ちが硬い。
そんな早苗を説得した両親の凄さはともかく、それ以来、早苗は横島のご乱交には口を挟んではいなかった。
ご両親の言うように、横島とアスナが睦み合う度に、2人の霊力が跳ね上がるからでもあるし、何だかその行為をする2人が、とても自然に見えたからでもある。

そうして霊力を上げ、霊格を上げ、そして存在を上げる。

性魔術と呼ばれる技術には、それだけのポテンシャルがあり、事実早苗も少しだけお世話になってもいた。
六道女学院に入ったはいいが、高い霊媒体質以外に特殊な霊能を持たない早苗は、入学早々壁にぶち当たったからだ。
せめて霊具……神通棍や破魔札の威力を上げるために霊力の向上を図る。
これが早苗が壁を打ち壊す為に考えた結論であった。
当然、その方法に一番いいのが横島との睦み合いで、最後の一線こそ許しはしなかったが、それ以来、定期的に口や胸を使ってしてはいたのだ。

ただ、横島がその先も望んでいたのには気づいてた。

当然、早苗もいずれは……とも思っていた。

だから……


「よっしゃーっ!」


右腕を高々と上げて喜びをあらわにする横島に、胸を撫で下ろした。
初めては、もう少し、こう……っていう残念な気持ちもあったけど、彼が怪我するよりはずっとマシ。
それに、こんなに喜んでくれるのなら、女冥利に尽きるというもの。
ライバルであるアスナや、今はNYに居るタマモが先に進んでいるのもあるし、来年には早苗と同じように六道に入学するだろうおキヌに先んじるいい機会でもある。
おキヌは間違いなく、このロクデナシにホの字なのだから。
助けられたという記憶もないのに、ただ、普通に出会い、普通にこの男に恋をした。
普通、普通、ふつう……だからこそ、この男はそんなおキヌに萌えるだろう。


……負けない!
おキヌちゃんは可愛い妹だけんども、いんや、だからこそ負けらんねっ!!


早苗は、「俺はやる! やーってやるぜっ!」と叫んでいる横島の様子に微笑みながら、彼の肉棒を口に含んで舌で扱きあげた。


やる気さえ出せば、きっと怪我もせずに無事に帰ってくる。


それに、これで優勝なんかしたら、わたすは勝利の女神け?


なーんてほくそ笑みながら、ビクビク震える肉棒を、愛おしそうに喉の奥で締め付ける早苗だった。









……GS試験の結果は、完全勝利。

はらはらしながら学校に行った早苗は、六道の3年生の上位成績者も資格試験を受けていたこともあって、ほぼリアルタイムで二次試験の様子を見る事が出来た。
みな、3年生の先輩を内心はどうあれ応援する中、ひとり横島を大声で応援する早苗は、否が応でも悪目立ち。

しかも応援する相手が、一次試験を軽々と突破。

二次試験も、試合時間で最大かかった時間が27秒。

最短で0.8秒なんて圧倒的な強さで勝った 【 男 】 である。

先輩の応援もしないで……何ていう嫌悪だけでなく、女子高的な妬みや嫉みの視線を大量に浴びせられるも、早苗は気に止めずに応援を続けた。
結果、この学院のボスである六道に、横島込みで唾をつけられることになるが……まあ、それは後の祭りである。 

とにもかくにも、このGS試験を過去最高成績でトップ合格した横島は、方々から注目を浴びることになるのであった。












[11660] 逆行大作戦!! 第三話  エロ有り(早苗)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/05/09 20:38





「やああああああくうううううううそおおおおおおおおくうううううううううううっっっっ!!!!」


鼻息を荒くしながら帰宅した横島に、あっという間にお姫様だっこで浚われてしまった。
早苗はポリポリ頬を掻きながら、チト薬が効きすぎたべか? ってちょっと後悔。
む~んっと突き出してくる唇に、苦笑いしたまま手で押さえると、


「仕方ねぇな。約束すたもんな」


本っ当にっ仕方ないっ!的な口調でそう言って、全身から力を抜いた。
そんな2人を呆気に取られながら見ていたアスナは、疲れ切った顔で自室に帰った。

たぶん、今日は夕食抜きね。

アスナの予想は的中し、2人は翌朝になるまで寝室からは出て来なかったとかなんとか。














      ヨコアスR 逆行大作戦!! ③ 絆のいち 早苗













寝室に連れ込まれ、2人きりになった早苗と横島。
早苗は横島の腕の中から逃れる様に抜け出すと、いきり立つ横島を宥めながら六道女学院の制服を丁寧に脱いでいく。
続いてショーツを脱ぎ、最後にブラのホックを外すと、目を血走らせ、食い入るように自分のストリップを見る横島の視線に顔を赤らめた。

スケベぇな視線だ。

もっと余裕を持っていられんのか?

そう思わないでもないけれど、こうして余裕をなくすっていうことは、それだけ自分を欲しがっているということだ。

そう思えば、少し……いいや、かなり嬉しく思える。

横島としても、手や口、胸でして貰ったことはあれど、こうして全裸を拝ませて貰うのは実は初めて。
スル時も、早苗が一方的にしてくれるだけで、横島はその早苗の若鮎のような瑞々しい肢体には、指一本足りとも触らせてもらえないでいた。
柔らかい胸の感触も、暖かい口中の感触も、知っているのは横島ペニスのみ。
知らないやつが見れば、それで十分だろっ!? っと怒鳴りたくなる事実だが、横島的にはおあずけ状態みたいなもんなのだ。

手で触れ、唇で啄ばみ、舌で舐め、口全体でしゃぶり尽くす。

遂に、遂に! その全てを許される時が来た!!

横島は興奮を抑えきれない様子で早苗の二の腕を掴むと、グイッと自分の方へと引き寄せる。
バランスを崩して倒れこむように横島の胸に身を預ける早苗の顎をクイッと持ち上げ、緊張に震える唇をなぞる様に舌を這わせた。

リップでもしていたのだろう。
少しだけ甘い味のする唇。
その唇を横島が優しく食むと、早苗はピクンと身体を痙攣させた。


「キス、すたんか……?」

「いんや、今のはただの味見。キスは、これからだ」


そう、彼女はフェラチオをしたことはあっても、実はキスをしたことがなかったのだ。 
だから何の予告もなくキスされたことに少し不満の声をあげたのだが、横島は違うと言う。
早苗は上目遣いで横島と視線を交わしたまま小首を傾げた。

だってそうだろう?

たった今、確かに唇と唇が合わさったのだ。

なのに、なんで?

横島はそんな早苗をベッドに押し倒すと、これからするのが本当のキスだと小声で囁きながら、彼女の唇を指で抉じ開けた。
驚き目を見開く早苗の頬に唇を押し付けると、唇を抉じ開けた指を彼女の口の中に挿入する。
そうして早苗の舌をその指で挟んで愛撫する。
ビリリッと早苗の身体に電流が走った。


「ンッ!?」


……なんか、凄く気持ちよかった。

ただ、舌を指で触らているだけなのに……


その指が抜き取られる。
唾液をたっぷり絡んだその指は、ねっとりと糸を引いており、早苗は羞恥に顔が熱くなる。

 

まずい。

だって、横島は自分の頬に口づけしたまま。

恥ずかしいのがバレてしまう……

思わず身を捩って逃げ出そうとしてしまう早苗だけれども、唾液に濡れ、粘る指先で淡い膨らみの先端をイキナリ摘まれ、「ひゃあっ」と思わず声を上げる程の快感に、身体が痺れて動かない。
しかも喉から出た嬌声で開いた唇に、覆いかぶさるように横島の唇が塞がってきたのだ。

目を、大きく見開かせる早苗。

今度こそ、本当にキスだ。
そして、これが本当のキス、なのか……

これなら、確かにさっきのキスと思ったのはキスじゃない。

早苗はそう思った。

横島の舌が口の中を弄り、自分の舌を絡め取り、さっきの指でされた時よりも、ずっと凄い快感の電流が背筋を流れている。
ビクビク間断なく身体を震わせていると、じゅるる……と自らの唾液を汚い音を立てて飲まれるのも、普段なら嫌悪感しか感じないはずなのに、なんだかとても胸が熱くなる。
蕩けたように頬を緩ませ、今度は自分がと、彼の唾液をすすり始めてしまうほど。


こんなん変態じゃなかべか?


チラリとそんな考えが脳裏を掠めるも、どうしようもなく快感なのだ。

やめたくない。やめられるわけがない。

横島としても、そんな早苗のいじらしい様子が可愛くてしかたない。
特に早苗からは、理不尽……とは言いがたいが、筆舌しがたいほどに嫌われていた記憶もあって、異常なまでに可愛く思えてしまう。
何より、実は横島にとって、早苗は初めてでもあるのだ。

そう、同年代とのセックス。

戻る前の横島の相手は、大きく年上(小竜姫、イオ)か、凄まじく年下(明日菜、なのは)としか肌を合わせたことがなかった。
愛子は一応クラスメイトではあったけど、彼女を同年代と言ってもいいのやら……

その点、早苗と横島は間違いなく同い年である。

同年代との思いが通い合ったセックスは、横島に尋常じゃない程の興奮を与えてしまう。
本当だったら、このまま愛撫を続けて、その乙女の肢体を柔らかく蕩けさせるのが定石だと言うのに、興奮を抑えられない横島は、自らの一物を早苗のアソコにあてがってしまう。
ここで早苗が少しでも恐怖を見せたのなら、横島の目は覚めたことだろう。
そうして優しく何度か絶頂を体験させ、横島の異常な肉棒を受け入れやすい状態に持っていけたろうに。
だが早苗は横島とのキスに夢中になってしまい、横島に胸を弄られて得られる快感も、アソコあたる硬いナニかの感触も、全部が全部、愛おしい物に思ってしまっていた。
初めての体験ということもあったし、横島を信じてもいたのだろう。

だから、気づいた時には挿入されていた。

まあ、早苗としても、これが嫌な訳ではないのだが……
それでも予告無しの挿入は、早苗に大きな負担を与えてしまう。


「うあ゛っ!? んぅうっ! い、いだ……」


早苗は、アソコを引き裂かれる様な痛みに表情を歪ませ喘ぐ。

ああ、今、自分は犯された。

そうはっきりと自覚出来る痛みだ。
横島の身体が、そんな早苗の身体に伸しかかるようにして眼前に迫ってくる。
彼の身体が近づくたびに、ギチギチと音を立てて自分の膣内(なか)に肉杭が突きこまれているのだ。
予告なし。早苗への気遣い無しの挿入だったけども、早苗は嬉しかった。

そして横島も、肉棒に伝わる強い抵抗。

早苗の処女膜の感触に喜びを隠せない。
戻る前では信じられなかった事だ。
あれだけ自分を嫌っていた女が、この戻った世界では、まったく別の関係を築くことに成功したのだから。

だから横島は思うのだ。

使徒達のことは別として、もうこの世界を【戻った】世界だと思うのはやめようと。

早苗とこうした関係を築けたように、例えば美神さんやおキヌちゃん。

それに小鳩ちゃんや冥子ちゃん。

他にも親友だった雪之丞の彼女、弓さん等々……

NTR……ごほんごほん、もとい彼女達とまったく新しい関係を築くことも可能に思える。


なんだコレ? すんげー楽しくなってきた!


戻り、大切な女達と強制的に別れた不満。
もう一度、永遠を手にしなければならなくなった不満。
それらが全て、こう思った瞬間に吹っ飛んだ。


大切な俺の女達よ! まだ見ぬ美女・美少女達よ!

俺はやる! どこまでも高く飛んでやるっ!!


そう思いながら、早苗の膣内を蹂躙するのを阻む最後の壁。
それを破り、更に結合を深くするべく横島は早苗に圧しかかった。

 
「んぁあっ!」


背筋を弓なりに反らし、痛々しい絶叫を早苗は上げた。
目からぼろぼろ零れる涙は、破瓜の痛みからくるものなのか、それとも……


「横島……わたすのこと、好きって言って、くんろ……」

「早苗ちゃんは言ってくんないのか? 俺の事、好きって」


先には言わない。
愛しもするが、それ以上に愛されたい。
横島はそう思いながら腰をねじると、早苗は「ああっ!」と大きく喘いだ。


熱い塊が、わたすの膣中(なか)をかき混ぜている。

痛い、痛い、痛い…… 


快感とは程遠い感触。


なのに、その痛みがとても気持ちよく感じるのは何でだべ……?

わたすって、マゾなんだべか?


そう思ってしまった瞬間、ずちゅ、2人の結合部から粘る水が湛え始めた。
横島はここが攻め所と、早苗の足を抱える様に持ち上げながら両手で胸を鷲掴み、激しく刺激を与えながら、最後のひと突き、根元まで肉棒を早苗の膣内にねじ込んだ。


「いやああぁああああああああああっ」


悲鳴があがった。

結合部から、赤い雫が溢れ出す。
この瞬間、早苗は少女から女になった。
横島は限界を超えて突きいれた肉棒を8の字にゆっくりと回しながら、早苗の瞳からこぼれ落ちた涙をぬぐう。

止まらない痛み。
反応し始めた女の肉。

僅かに感じる、でも段々と大きくなっていく快感。
それら全てに頭がごちゃごちゃになりながら、早苗は横島の暖かい手で拭われる涙を蕩然と見た。

頬が、いや、全身が熱い。


好き……

好き……

好き……


溢れだしてくる想いは、たった二文字の言葉だけ。
早苗は泪をぬぐう彼の手に自らの手を重ね、溢れだす想いを口にしてみた。


「横島。わたすは、アンタが好きだ……」


……言わせた。

遂に、遂に……っ!

横島は歓喜する。
重なった手に指を絡め、もう一度唇を重ね、そして……


「俺も、好きだ……っ!」


そう言った瞬間、早苗は爆発した。


「あ、あああぁぁっっっ!!」


横島の言葉に感極まり、早苗の全身がうねる様に跳ねた。
早苗にとって、性魔術によらない初めての絶頂。
蕩然とする早苗の膣内は激しく踊り、挿入された肉棒を更に奥へと誘った。
激しく痙攣を繰り返す胎内の蠢きは、余りにも心地よく、横島の射精感を否応なく高めてしまう。
それは、横島にとって計算外の快感。
思わず、「うおっ!?」っと唸り声を上げて暴発してしまった。

くっ、しまった!?

そう思うと同時に、流石は横島。
しっかり早苗の尻を掴んで密着すると、余す事無く全てを注ぎ込んでくれるわっ!とばかりに子宮口目掛けて撃ち出した。

ドドドドドッ!

まるで土石流の如く流れ込む精液の奔流に、早苗は女の悦びに身体を震わせた。


「ふぁ、あ、あ、ぁ……横島が、わたすんなかに……たくざ、ん……」 


お腹が、熱い……
このままでは、妊娠してしまう……
いや、キチンと避妊しとるんだったべか……?


早苗は意識が遠のきそうな程の快感の中、ちょっとした不安に苛まれるも、「膣内(なか)で出すんじゃねーべっ!」と決して横島を突き飛ばそうとは思わない。
このまま膣内に出し続けられたら、妊娠してしまう可能性に気づいていても。
それどころか、早苗はもっと深く、奥まで! とばかりに手を横島の背中に、足を腰に絡め、しっかと抱きつき離れない。

膣奥にあたるマグマのような精のほとばしりが、とても、とても心地好い……
思考は千々に乱れ、早苗はもっと、もっとと、身体を揺すってしまうほど。
これが妊娠的な意味で危険な行為だと分かってはいても、もう早苗にはとめられないのだ。
この、どうしようないくらい、胸を焦がす彼への想いを。
それに気づいてしまったのなら、妊娠も、決して怖い物なんかじゃない。
いや、むしろ、妊娠してしまいたい。
彼の子供を抱くのは、きっと幸せの証なのだから……

横島も、そんな早苗を可愛く思い、ぐりぐり子宮を肉棒の先端で擦るのをやめ、更なる射精をする為に腰を前後させ始めた。
まだ完全に射精を終えてはいない。
だけども、これは単なる暴発なのだから、キチンとした射精をするための抜かず2発目。

じゅぶじゅぶじゅぶじゅぶじゅぶぶぶぶ……

処女だった筈のキツイ膣道は、大量に射精された精液によってヌメリを増し、実にスムーズに最奥から入口付近まで行き来する。
休む間もなく始まった2回戦に、遠のきかけた意識も無理矢理に覚醒され、再び早苗は甘い声で啼き始めた。

つい数十分前まで処女だった身体は、一度大きく達したせいか、痛いぐらいに敏感だ。
軽く腰を揺らめかせただけで、「くぅあっ、ひ、ひぃ……ら、らめぇ……」呂律が回らなくなるほど感じてしまう。


「なにがダメなんだ?」


意地悪な口調でそう言う横島に、いつもなら抗議の声を上げるどころか、手が出るだろう早苗が、泣きそうな顔で、いやいや、と力なく首を振るだけ。

こんな可愛い態度されたら、もっと意地悪したくなってしまうじゃないか!

横島は、「言わなきゃわからん」と冷たく言ってのけると、腰の動きだけでない。更には激しく胸を揉みしだきつつ、唇で乳首を食み始める。


「ひああっ!? こ、壊れ……る゛っ……これ以上されたら、わた、す……壊れてしまう゛……が、あ、あ、あぁ……」


止まらない快感。止まらない痙攣。
早苗は目を見開き、口を大きく開け、舌を突き出し、なんとかこの快感を耐えようともがき喘ぐ。

横島の背中に回した手を解けばいいのか?
横島の腰に絡ませた足を解けばいいのか?

たぶん、そのどちらも必要なのだろう。
この密着した体勢では、横島のエロい行為がダイレクトに早苗の肢体を嬲ってしまう。
なのに、早苗はそのどちらも解こうとはしなかった。

密着することで感じる彼の鼓動が、とても心地良く感じてしまう。
例えどんなに辛い快感地獄の中でも、とても、とても幸せに想ってしまう。

だから、


「よ、横島……ぁ……」


苦しそうな様子の早苗に、流石の横島も少しだけペースをダウンしようかな~なんて思っていたのに。


「もっど激しくしてもいいがら……わたすのこと、置いてか、ない……で……」

「何、当たり前のこといってんだ? 俺は早苗ちゃんを置いて行ったなんかしねーよ」

「……うん」


嬉しそうな早苗に、横島もまた嬉しそう。
嬉しいから、もっとサービス。


「んじゃ、早苗ちゃんのリクエスト通り、激しくするぜ!」

「……へ?」


こういう流れだと、優しくするのが普通でねえのか?

早苗の声なき声に、横島は気付かぬフリ。
早苗の絡みつく腕と足を解き、引っ繰り返して尻を高々と上げさせる。
獣のような格好を嫌がる早苗を強引にねじ伏せ、そのままバックから激しく腰を打ちつけた。

ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん


「ひっ、い、い、い、いぃ……死ぬ、死ぬ、ひぁ、ダメ、だ、や、ああぁん、イク、イク、イクゥゥゥゥウウウウウ」


ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん


「……ああ、またが? も、もうダメだべ! もう、もう、わたす、またぁ……………ひっ! あぁあぁぁあああっ」


ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん


「い゛っ!? いだっ!! そ、そこはきたな……あ゛……あ、が……ひぎぃぃいいいいぃいいいいいいいいいいいいっ」


ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん 


「も、もうらめ……らめ、らめ、らめぇ……あ、あ、あぁ……ぁ……っ……んぁ……い、いぃ…………」


前も後ろも、どろどろのぐちゃぐちゃ。

夕方から翌日の朝方まで続いたこの終わりの見えない睦み合い。
早苗の身も心も、完全に横島の物になるのには十分な時間であり。

早苗の身体は、横島ナシでは生きられない領域まで調教され尽くし……






「あんましてっとバカになってしまうがんなっ! すんのは月に一回だけだぞ……そんな悲しい顔してもダメっ! っく、仕方ないべ、半月にいっかい……週に、いっかい……みっかに……よ、夜だけなら毎日……あ、朝もちょっとだけなら……あぁん……」



アスナもいっしょに、ほぼ毎日仲良く身体を重ねる姿が見られたとか何とか……

















横島は、圧倒的な強さをGS協会に見せつけた事により、正式なGS免許を割と早く取得した。
本来だったら少し時間のかかるこの正式なGS免許の発行。
だが、何故だか後見人に名を連ねて【いた】六道の一声により、たった3ヶ月。そう!3ヶ月後には横島の手に渡る。
横島は史上最高成績による試験突破と、この六道の力を背景に、銀行から多額の融資を受けて、遂にGS事務所を開くことになった。

場所は、渋鯖人工幽霊壱号。

この地での事務所開きに、チラリと美神のことが頭を掠めたが、ここは横島【達】にとっての帰る場所。
この場所以外での事務所開きは考えられない。

何より、家賃タダだし。

すんません、美神さん。

横島は心の中でわりと適当に謝りながら、除霊助手に氷室早苗を迎え、遂に横島除霊事務所の開設準備が整う。

美神令子、小笠原エミ。
GSトップ2と呼ばれるこの2人。

その2人に並ぶ、若手凄腕ゴーストスイーパーとして勇名を馳せる横島忠夫の物語が、遂に始まったのだ!



「ばっ! バカかおめはっ! 今日は大切な事務所開きだべッ!!」

「んなこと言ったって、早苗ちゃんの巫女さんルックがワイのパトスを刺激するんじゃーっ!!」

「ひっ! だ、だめ……ん、んぁ……くぅううううっ」

「ねえ? お客さん来ちゃうよ?」

「わははははーっ」

「あぁん、いっ、あぅん……っ」

「……ワタシを仲間はずれにしないでよー」

「ふわっ、あ、アスナ……やめ……乳首、ころころすんでね……あぅんっ」

「ア~ス~ナ~っ! 早苗ちゃんのオッパイはワイんだぞ!」

「ひぃっ!? ふ、ふたりして……も、もう……わたす……あ、あぁあ……あ────ッ!!!」



……たぶん。

































同時刻、某所にて……


「んで、コイツがその横島忠夫?」

「そうよ~。大変だったんだから、その報告書もってくるの~」

「……なんていうか、貧乏くさい顔ね? それに妙にぶん殴りたくなるっていうか……丁稚むき?」


目の前のぼへ~っとしたショートボブの女から受け取った書類の束を、面白くなさそうな顔でめくる。
一通り目を通すと、フン、っと見下すように鼻で笑い、その書類の束をゴミ箱へと放り捨てた。

面白くない。そう思うと同時に、なんだろう? 妙に懐かしい……
そんな感じのする男の子に彼女は思えた。


「あ~っ! 大変だったっていったじゃない令子ちゃ~ん!」

「ごめんごめん、それに、ありがとね冥子。それよりさ、本人知ってんでしょ? どうだった、コイツ?」

「横島くんは~、大きくて、すごいじょうずよ~?」


いやんいやん、とくねくねする目の前の友人の姿に頬を引き攣った。


一体なんなの? この反応は……!?

そう言えば、この男。仮免中は冥子の助手をやってたんだっけ?

冥子んとこ、最近目立ったミスもないし、全部このスケベそうなガキが何とかしたっていうわけか。

……やるわね。プッツン使いのレアスキルでも持ってんのかしら?


「でね~? 横島くんったら、冥子とぉ……きゃーっ! 令子ちゃんったらぁ、なにいわせるのよ~」


ブワッと大量の霊力が溢れ出す。
以前なら、ここで彼女は暴走していた。
女はビクビクしながら友人の動向を注視しつつ、先程捨てた報告書の男に戦慄する。


六道冥子のぷっつんが治った。

そう噂で聞いたときは、何をバカなと思ったけれど……
だけど事実、今、こうして彼女は自分の力を掌握しきっていた。
以前なら考えられない。ありえ、ない!

それを成したのがこのガキだとすれば……

前評判、それに相応しい実力、そして六道。
力・名声・後ろ盾と、全てを持ち合わせた嫌な奴ってわけね!


「ふ、ふふふ……横島忠夫、見てなさい? アンタ如き丁稚風情が、この美神令子の敵じゃないって、おしえてあげるわっ!」


丁稚の部分で一瞬だけ、はて?と首を傾げるも、すぐに脳裏から振り払う。
そうして、いやんいやんとクネクネダンスを踊る六道冥子と、高笑いに笑う美神令子。


……やばい奴に目を付けられた、横島忠夫の明日はどうなるっ!?



「めいこ、いっつも指だけでメロメロにされちゃってぇ……」

「はぁっ!? め、冥子? ちょっとあんた一体……」

「それでね、めーこがちょっとでもいっちゃうとぉ、冥子ちゃん、この程度で気をやるようじゃ、暴走癖は治らないよ?って優しい声で囁くのよぉ~?」

「なっ!? ななななななな……ち、ちがう、落ち着くのよ美神令子! 冥子のことだから、どうせ……」

「でねでねぇ? 30分我慢できたら、ご褒美って、大きいお注射で……めーこ、お注射嫌いだけど、横島くんのお注射は大好きなのぉ」

「ちがうちがうちがうちがうちがう……冥子に先を越されたとかありえない。そうありえないわよそんなこと……」

「私にお注射した横島くんたら~、冥子ちゃんのなか、きもちいいよ?って嬉しそうに冥子のなかをずぼずぼしてぇ……んもうっ! 令子ちゃんったらエッチなこと言わせないでよ~っ!」


冥子のクネクネダンスが佳境に入り、美神令子はブツブツと呟きながら虚空を見つめる。


えー!? 令子ちゃんて、二十歳過ぎてもまだ処女なの~?
処女が許されるのって、高校生までだよねー。
きゃははははは……


「んなっ! 冥子! アンタっ!!」


怒りの形相で冥子をみた美神は、だがしかし、冥子は今もクネクネ踊ってトリップして、


「横島くんたら~、ほんと~にめーこのおっぱい好きなんだから~。そんなにむにゅむにゅしても~、おっぱいは出ないのよ~?」


なんて甘ったるい台詞を吐いてるだけだし。
やっぱ幻聴、なの……?
いや、だとしても!

……処女で悪いかっ!
ずっと女子校だったんだモン!
しかたないじゃない!!

に、しても……この私がっ!
冥子に先を越された。冥子に先を越された。冥子に……冥子に……冥子に……めい、こ……に……ッ!!


「フ、フフフ……あはははは……アーハハハハハハハハハハハハ…………横島忠夫、殺スッ!!」


間違いなく八つ当たりな怒りに目を充血させ、美神令子は吼えた!


……自業自得な横島忠夫の明日は、マジで暗黒である。


「んもぅ、れいこちゃん欲求不満なの~? あのね~、めーこ思うんだ~。定期的にせっくすしたら、令子ちゃんもすっきりしてキリキリしなくなるんじゃないかな~って」

「むきぃーっ! 冥子! あんたって娘はーっ!!」


むしろ死ぬ?





[11660] 逆行大作戦  第四話  エロ有り(冥子)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/05/27 16:33


横島忠夫。

他のゴーストスイーパーよりも隔絶している彼の力の中でも、特に優れている物がある。
それは幾百年にも及ぶ様々な経験則と、浅くはあるものの、並行世界や異世界とも呼べる異界の知識だ。







便宜上、名義だけではあるが、横島の弟子的な立場となった早苗は少し困っていた。
彼女は高い霊媒体質をのぞけば、凡百の霊能者と大差ない程度の資質の持ち主でしかないから。
当然、性魔術による霊力の底上げはあるが、即戦力に繋がりはしない。

だからだろう。

早苗は、当たり前の様に、美神令子の戦闘スタイルを選んだ。

すなわち、霊具使いである。

悪霊どもを祓う為、符を用い、神通棍を振るう。

しかし、それがどうにも上手くない。
いや、かなりの上達はしているのだ。
それこそ、同じ六道女学院の同級生達から比べれば、卓越している技術と霊力。

でも、この程度ではダメだ。ダメなのだ!

横島忠夫の名前は、業界内では最早ブランド。
史上最速最強で試験をくぐりぬけ、更には本免許の取得まで史上最速。
名前だけの一流であった六道冥子を、事実上の『一流』に仕立て上げた手腕は、関係各所を驚愕させた。

そんな彼の最も傍にいると目される早苗である。
注目度が半端ない。いっそ、息が苦しく、悲観的な感情に犯されてしまいそう。

横島は、早苗が辛そうにしているのにスグに気づいた。
そして、何に苦しんでいるのかも、スグに気づく。

初めに戻ろう。

横島は幾百年にも及ぶ経験と、浅くはあるが、並行世界や異世界とも呼べる異界の知識を持っている。

横島は思う。

早苗を『特別』にしようと。
そうすれば、彼女はもう悩まない。

他の誰かでは難しいだろう『特別』
でも、横島には出来る。早苗を、特別にすることを。

『浅く』『広い』異界の知識。それさえあれば容易く。

なんせ大衆が求めるのものは、深い知識や技術でなく、解り易く『正義』っぽい何かだ。
そして横島が早苗を『特別』にするために思い浮かべたのは、とある世界の退魔士である、神咲那美。
彼女のちょっと変わった除霊術である。

高い霊媒体質は、すなわち、高い感応力に他ならない。
早苗の妹であるおキヌの秘められし霊能、ネクロマンサーほどではなくても、彼女にも似たようなことは出来るはず。


そう、これこそがっ! 横島除霊事務所のイメージ戦略の一つにすら成り得るのだッ!!

 



















古ぼけて、朽ち始めている何かの工場跡地。
シン……と静まりかえったその場所で、巫女は手を差し出した。
差し出す先には、何もない。
なのに、その手を中心に空気が動いた。

風が吹いたのだろうか……?

いいや、違う。

私達には見えない。

でも、確かにそこにいるのだろう。

私達はゴクッと生唾を飲み、巫女の一挙手一投足に注視した。
すると、何もない……恐らくは、そこにいるだろう『彼』に向かって彼女は微笑む。

優しい笑みだ。

自分を産んでくれた母を思い出すような……とても優しい笑み。
そんな笑みを浮かべながら手を差し伸べる巫女の姿は、私達の心を、確かに暖かくした。

と、その時、光が、彼女の手の先の空間から溢れだした。

まるで蛍が舞うように、沢山の光りが舞っている。
その沢山の光りの中、私達は奇跡を見ることになる。


『妻や、子供たちは、俺を思って泣いていたのか……?』

「そうだ。死んで、そして彷徨って、その事を、とても辛く思ってる」

『でも、ここを離れる訳には……だってよ、ここは俺の……』

「だけんども、もう、ここは別の誰かの物だべ?」

『違うっ!ここは俺の……俺の……っ! なのに、アイツが、アイツらがッ!!』


暖かった雰囲気が、とたんに寒々しい空気へと変わった。

私達は、『彼』を知っている。
『彼』は、先祖代々の土地と建物を騙し取られ、絶望の中で自殺した男であった。
『彼』の憎しみは、いかほどのモノなのだろう?
そんな怒りや恨みから発せられる負の感情。
一般人な私達にも分かる、その明確に暗く恐ろしい感情は、私達の身体を恐怖で震わせた。

でも、巫女は恐怖を見せない。

いや、恐れてすらいないのか?

彼女の暖かい笑みが曇ることはなかった。
それどころか、暖かい笑みは更に深く、どこまでも深く……


「あんたを騙したヤツは、もうキチンと報いを受けた。だから、もう……」

『……でも、ここは、俺のッ!』


それでも怒り冷め止まない『彼』に、巫女は一歩、前にでた。
ビクリと霊体を震わせ、怖がるように後ろずさる『彼』に、やはり巫女は優しく笑ってみせる。


「辛かったな……苦しかったな……」


『彼』はハッと彼女をみて、涙を流した。
巫女の言葉は、どこかしら田舎臭い訛りがあったが、素朴で優しげで……
気づけば、私達も、『彼』と同じように涙した。
辛かったのだろう。苦しかったのだろう。彼を思って。 
そう、彼女の声と雰囲気は、それほどに真摯であったのだ。


「でも、このままじゃ、アナタは家族と会う事ができない」

『妻とも、娘ともか……』

「でも、望んでください。願ってください。輪廻の輪に入り、いつか再び、愛した者達と会えるのだと……」

『望めば……願えば……会えるのか……?』


私達の目から見ても、『彼』からもう憎しみを感じることはなかった。
『彼』は、ただ、巫女を見つめていた。

全ての恨みが晴れた訳ではないのだろう。
苦しみの対価を手にした訳でもないのだろう。

それでも『彼』は、険のとれた顔で、巫女を見つめていた。
不意に、そう、気づいたら、天から光が差していた。
『彼』を包むように、『彼』を守るように。
そして、『彼』は表情を柔らかくした。


『分かっていた。分かっていたんだ。こんなことをしてても、妻も子供達も、喜びはしないってな……』

「そう、ですね……」

『家族に、伝えてはくれないか? 愛してる。幸せに……と』

「はい、分かりました」

『ああ、ありが……とう……』


 シャン……


巫女の手にある霊具についてた鈴が鳴った。
天に昇ろうとする『彼』への、もう迷わないようにとの道しるべなのか?
『彼』は、その鈴の音に目を細めると、もう一度、深く、深く、頭を下げた。

身体が、薄くなる。存在感が、消えていく。
巫女に願いを託し、想い晴らし、満足したのだろう。
『彼』は天に昇り、そして……還った。


私たち取材班は、鎮魂の鈴に涙を流します。
その時は、その音の意味を知りはしませんでしたが、それでも、私達は……


 シャン……

 シャン……

 シャン……

 

気づけば、私達は、手を合わせていた。

頬が熱い。

涙を流していたのは分かっていた。

胸が、暖かく、暖かく……







ゴーストスイーパー。

それは、悪霊『退治』の専門家である。

なのに、彼女は……

横島除霊事務所は、退治ではなく、自らの意思で成仏してもらおうと努力する。
もちろん、凶悪な悪霊や妖怪、魔族などといった驚異的な存在に対しては、横島所長の隔絶した戦闘能力が唸りを上げる。

でも、横島所長は忘れない。

力で屈服させるだけじゃない。

心……

そう、心こそが大切なのだと。
























 


「さなえオネエチャン、すんごくカッコイイ!」

「ひゃあーっ、はんずかしぃ~」


特集、あのGSを追えっ!

その番組を見たアスナの感想に、早苗は恥ずかしそうに両手を頬にあてた。
耳まで真っ赤にした彼女は、だがしかし、満更でもなかった。
当然のように、しっかりビデオ録画もしてたりするし。


「ホンモノの巫女みたい」

「わたすは本物の巫女だっ!」


怒った風に怒鳴り返す早苗。
でも、口元は緩みきり、目尻は下がっていた。
本当に怒っている訳ではないのが丸わかりである。


誇らしかった。

業界でも有名な横島忠夫の除霊助手として、堂々と胸をはれるのが。


嬉しかった。

少し気が早いかもしれないけれど、あと半年もすればやってくる妹。

氷室キヌ。

彼女に恥ずかしくない姉であれると。


安堵した。

自分と同じく、横島忠夫に心を奪われた妹に、決して小さくない『差』をつけれた。


おしおきとばかりにアスナをジャイアントスイングする早苗は知らなかった。
差をつけたと思っている妹が、実は世界でも数人しかいないネクロマンサーだということに。

 














しかしまあ、うまくいったなぁ、と横島は思った。
特に早苗の台詞なんざ、オリジナルではなく、参考としていた神咲那美の言葉に近い。
それでも成仏してくれるのだから、早苗の力は本物なのだろう。
何より、これで明日からは依頼がじゃんじゃか来る可能性が高い。
今も階下から聞こえる電話の音が、それを証明しているではないか。
横島が高校生である以上、受けれる仕事の数は限られている。
それでも、このイメージ戦略によって、そこそこ質の高い仕事を『選べれる』ようになるだろうことは間違いなかった。


────ふはははははははははははははははははははははははは


悪い顔で笑う横島は、確かに両親の血を受け継いでいた。
商才。特に営業とプレゼンテーションにその才を発揮しまくる横島は、だがしかし。
この瞬間、美神令子から凄まじいまでの敵意を浴びせられることになったのだと、気づきはしない。

3割減。

横島によってもたらされた美神令子除霊事務所への、大口依頼件数の減少率である。




「横島忠夫……貧乏臭い顔してる分際で、この私の仕事を奪うなんざ、いい度胸してるじゃない……っ!」


必ず、アンタを……ぶっ潰すッ!!

美神令子は握り拳に親指を立てると、クルリ180度下へ落とす。
まるで、見えないアイツに、地獄へ堕ちろ! そう言わんばかり。

そして、高々と笑いだした。

横島忠夫が美神令子の怨敵になった瞬間である。


────あはははははははははははははははははははははははは


前の世界では、弟子と師匠の関係だった2人の笑い声は、なんだろう。とても良く似ている。
















  ヨコアスR 逆行大作戦!! ④  再び始まるあの熱かった日々、その序章














と、まあ。

色々と事務所の発展に頑張っている横島だったが、実は結構困っていた。
高校1年から高校3年へと入る直前まで、大小様々な事件に巻き込まれたり飛び込んだりした激動の2年間のことである。
今から準備をしておけば、かなり楽に事件を解決できるんじゃないかなあ……なんて思う横島ではあったが、事件の内容をさっぱり覚えちゃいなかった。
美神さんの命がアシュタロスの紫マッチョに狙われていたなぁ、とかは覚えているんだが、時系列とか、実際にどういった事件があったとか。

その辺りの記憶が100年を超える時の中で、すっかり薄れてしまっていたのだ。

実際、すでにひとつヤッちまっていたりもする。

まあ、これは記憶とは関係なく、ただ欲望に負けただけだけど。









「あ、あぁんっ。そ、そんなに焦らなくても、冥子、にげないわ~」

 
年上ぶって見せてるんだろう。

横島に押し倒された形になっている六道冥子は、そう言いながら身体から力を抜いた。
20才過ぎの割に、やたらと童顔な少女みたいな顔を、これ以上ないくらいに紅潮させて。
つぶらな瞳は、こぼれ落ちる寸前まで涙を湛え、自分では気づいてないのだろうが、身体が細かく震えてた。
それでも大人ぶりたい彼女は、スカートの中に震える手を忍ばせると、ややもたつきながら下着を脱いでみせる。

冥子らしからぬ、レースの部分が透けてみえる黒いシルクの下着。
しかも下着の中心部が、線の一筋を引いて濡れていた。

そんなエロリカルな姿と、普段の子供然としてる彼女とのギャップが凄まじく、横島の煩悩を刺激してやまない。
下半身がいきり立ち、もうどうにも止められそうになかった。

まあ、最初からやめるつもりはないけどな。

横島は、当然と言えば当然なことを考えながら、冥子の手を取り、いきり立つナニに導いた。
ここ最近の冥子は、どうもお姉さんぶりたいらしく、こうすれば喜んでくれるのだ。


「も、もうっ、横島くんたらこんなに大きく熱くして~。しょうがないから、冥子がしてあげるわ~~」


本当に嬉しそうに、もう、にっこにこしながら、ゆっくり丁寧にナニを扱き始める。
冥子は舌を伸ばして唾液をたらすと、しなやかな指にその唾液を絡ませて、ナニ全体に満遍なく塗り込んでいった。
ただでさえ硬く屹立していたナニが、更にカチカチになっていく。
先端に先走り液が滲み出るのを見て、冥子はソレを嬉しそうにする。


「横島くんの準備~、できたみたいね~」


冥子は早速とばかりにスカートの内部にソレを導くと、ナニを取る手とは逆の手。
その手を横島の背中に回し、横島に覆い被される形になって背中を床につけた。


「さあ、いいわよ~」

「いいわよって、冥子ちゃんの準備は?」

「わたし~? 私のことは気にしないで任せて欲しいの~」


そう言ってほのかに微笑むと、横島の腰を引き寄せ、横島のナニにヌルリと熱い粘液を湛えた自らの秘部に押し当てる。

もう、じゅうぶん準備は出来ていた。
横島に助けを求めようと思った時から、期待していたのだ。

それに、こうした方がお姉さんぽいし。
いつも私を包みこんでくれる横島くん。
そんな彼を、これからは私が包み込むのだ。

冥子はまだまだと、横島の腰に足を絡め密着すると、「うん~っ!」と気合を入れた。


「くおっ! め、めいこ……ちゃん?」


不意打ちの様に、生温かい感触が横島のナニを包んだ。
ああ、確かにこれなら準備はいらない。
冥子の中は、横島が何もせずとも、こんなにもヌルヌルだ。


「んじゃ、遠慮なく」


冥子に導かれるようにして挿入された肉棒の先端を、今度は横島自身の意思で、グイッと半ばまで差し込んだ。
ふるふると震えながらも頑張っていた冥子は、その瞬間、たまらず大きく喘いでしまった。

それでも冥子らしからぬ意思の強さの表れか?

キッと涙目ながらもお姉さんぶるのをやめようとはしない。
いつもみたいに、身体の芯までメロメロに甘やかされるのも悪くはないけど、冥子はこれでも年上なのだ。

甘やかされてばかりじゃなくって、甘えさせてあげたい。

ただただ甘やかされてきた冥子にとって、そう思えたこと自体が驚きである。

横島としても、年上のお姉さんタイプが好みであるし、こんな冥子ちゃんも新鮮で悪くない。

思わず冥子を抱きしめて、そのまま蹂躙してしまおうと彼女の太ももに手をやり、ガバッと大きく開かせようとする横島だったが、


「だめ~!今日は冥子がしてあげるんだから~!!」 


涙目で、ぷんぷん怒る冥子の剣幕に、大人しく冥子の頑張りに任せることに。それに何だか可愛いし。
下からだと手慣れた女とて苦労するだろうに、「んしょ、んしょ」と拙くも頑張って腰を動かす冥子に、たっぷりの愛情を感じつつそう思った。



そう、これこそが ヤッちまったことであった。

ちょっとした味見のつもりだったのに、本気になって惚れられるのは不味かったのだ。
六道冥子は横島の使徒である六道冥菜の祖母であり、その子供にしてやはり使徒である六道蛍子の曾祖母である。
使徒であるアスナが横島と同じく戻っていることを考えれば、恐らく……いいや、間違いなくこの2人の使徒も戻ってくるだろう。

しかしだ、戻る前の世界では、六道冥子は鬼道政樹と結婚し、子供を産んでいる。
そして、その子の子供が冥菜であり、冥菜と横島の子供が螢子であった。

だが、この世界でそれはない。絶対にない!
冥子はこの横島忠夫の女なのだ!

鬼道に譲る気なんざ毛頭ないし、他の男になんて言わずもがなである。

だから絶対にない。

でも、そうなると冥菜はどうなるのだろうか?

そして螢子は?

いや、それ以前に螢子は螢子なのか? なんて疑問もありはした。

螢子の前世はルシオラで、この世界ではルシオラはルシオラとしてアシュタロスに創られるのだろう。

だとしたら、ルシオラは螢子なのか、それとも、『あの』ルシオラなのか?

螢子は、確かにルシオラの魂と記憶を持ってはいたけど、やっぱり『螢子』であり、『ルシオラ』ではない。
だからルシオラはルシオラで、螢子は螢子として産まれるんだろうか?

ってか産まれてこれるのか?


……ダメだ。訳が分からんくなってきた。



「どうしたの、横島くん~~」


頭がぐるぐるしてたせいだろう。冥子が心配そうに横島を見上げていた。

 
「へ? いや、なんでもないッスよ?」


横島はすぐさまそう言うと、冥子に全て任せていたからか。
何気に半分しか挿入ってなかったナニを、誤魔化す様に残り半分を突き込む為に、冥子の腰を掴み、自分の身体を起こして対面座位の形に持っていく。
十分に濡れている冥子の膣道は、何の抵抗もなくズブズブと横島の肉棒を根元まで飲み込むと、冥子は感極まったように「あぁん」と喘いでおとがいを反らした。
冥子の膣内は、もうすっかり横島の肉棒の形を覚えており、まるで誂えた刀の鞘の如く、ぴったり綺麗に肉棒が納まった。
その事実が冥子を悦ばせ、子宮がキュウンと疼き、結合部から愛液が溢れ止まらず、トロトロ流れ落ちて床を濡らす。


お姉さんするよりも、やっぱりこうされる方が私らしいわ~。


冥子はいつもそうされているみたいに、横島がしやすいよう身体の角度を変えると、おでこを横島の胸に押し当て、これから始まる淫靡なダンスに備える。

が、しかし、不意にされたうなじへのキス。
激しいダンスに備えた心と身体はヘロヘロに腰砕け。
そこを一気呵成に攻められたらたまらない。


「あっ、あぁっ、だ、ダメよ、横島くん~、こんなに激しくされたら……んんんっ! め、めいこ壊れちゃうわ~~ッ!!」


横島くんに抱きしめられて。
横島くんと一つになれて。
横島くんにいっぱい愛されて。

ただそれだけでスグにでもイってしまいそうなのに……

わたしの奥を何度も突きながら、気をつけないと聞こえないような小さな声で呟く横島くん。


────冥子ちゃんはオレんだっ! 鬼道にも誰にもやらんっ!
 
 
鬼道……

冥子には誰だか分からない。

でも。

そう、でも。

横島くんが敵意を見せるなら、私は決して近づかない。



「大丈夫だから~。私は横島くんしか見えないもの……」


冥子は小さく恥ずかそうにそう言うと、横島に何度も子宮を叩かれながら、ワンピースの裾を掴んで服を脱ぎ捨てる。
むしろここまで着衣のままだったのが驚きではあるが、実は今こうしている場所は横島除霊事務所の所長室だったりする。
いつ早苗や明日菜、はたまた仕事の依頼に訪れる客が現れるか分からない。そんな場所であった。

まあ実際は、直前で人工幽霊一号が教えてくれたりするのだろうが。
ただ、冥子はこの事務所が、そういう存在だと知らない。
知らないから、いつ、誰が、突然現れるか分からない。
そうビクビクしながらのセックスであった。

正直なところ、冥子はここでスルのはイヤだ。
でも、冥子がここに来た理由もあって、横島の行為を止めれなかった。

それは急な仕事の依頼。
しかも相手は真祖の吸血鬼である。
真祖は魔族に匹敵しうる力の持ち主。

命がけの相手になるだろう。
そんな相手との死闘に巻き込もうというのだ。
むしろ冥子から積極的に体を許した。
というか、冥子も怖くて、横島のぬくもりが欲しかった。

それでもこんな場所は嫌で。
でも、少しでも早く横島が欲しかった。
だからいつでも何もなかった風を装えるよう、服を着たままであったのだが。

それを、やめた。

もっと一つになるために。
もっとアナタを感じたいから。
もっと私を知って欲しいの。

そうして喜怒哀楽。
その全てをアナタと共有したい。

だって、わたし……

紅潮した身体に、玉のような汗の粒を纏わせ。
冥子は荒い息をしながら最後にハーフカップの黒のブラを内側に折り返すと、サクランボのような乳首がまろび出る。


「横島くんっ、好きぃ、好きなのぉ……おしごと手伝って欲しいからだけじゃないのよ~? 横島くんだから、わたしぃ、わたし~~っ」


冥子が初めて見せる、積極的な姿に、横島は心の奥底にあった鬼道への罪悪感が薄れていった。
まあ、この世界では、そもそも冥子と鬼道の間に何かがある訳ではないのだから、その罪悪感自体が的外れではあった。
一番気にしなければならない冥菜と蛍子についても、


「あぁっ、横島くん~。いいっ、いいのっ、すごいのっ!」


気の抜けるような喘ぎ声を聞いて、何とかなるべと少し前向きに考える。
すると面白いものだ。
あまりの気持ちよさに射精しそうになるのを堪える度に、冥菜の顔がチラつくのだ。

横島は悟る。

たぶん……ではあるが、横島と冥子の間に出来る子供。
それが冥菜になるんじゃないだろうか?
そう思っただけで、激しい射精感に腰が熱くなる。
文珠『避/妊』の効果を消してしまいたくなる。

だが、ダメだ。

まだ、ダメだ。

冥子は二十歳でも、横島はまだ高校一年生。
子持ちになるには、流石にまだはやいだろう。
あと、最低でも2年。2年は待たなければ。
だが覚えておけ。2年。2年経てば、ここに俺の子を孕ませてやる!

そう誓いながら、冥子の腹を優しく撫でる。
いつの日か冥子が孕む子を慈しむように……

横島は、冥子を孕ませたい衝動をグッと堪え、大きなストロークで激しく冥子を打ちたてた。

冥子はあまりの激しい律動に、キラキラと脳裏で星が弾ける。
視界がぼやけて見える。


「横島くん~、わたし、わたし、もうっ、もう~~ッ!」


激しく痙攣してとまらない冥子の身体。
横島の目の前で大きく震える小ぶりな胸。
迷わず横島はその小ぶりな胸にかぶりつき、ころころと乳首を舌で転がしながら、ゴンッ! と力強く肉棒を子宮腔に打ちつけた。


「め、めいこ、もうイッちゃうわ~。あ、ああ、んあ────ッ!!」


横島は、絶頂の痙攣と解放感に震える冥子の子宮をググッと押し上げる。
冥子は自分の子宮を押し上げる横島のナニが膨張したのを感じて、彼が熱い精の塊を発しようとしているのだと、これまでの経験から悟った。


「だ、だして~、冥子の中を、横島君でいっぱいにしてほしいの~~~ッ!!」


……ドブッ! ドブドブッ! ドグンッ!

熱い奔流が冥子の子宮口に大量に押し寄せる。
達したばかりの冥子は熱い精液の感触に、更なる高みへと昇りつめた。


「ひぃあ~~~~~~~ッ!!!」


身体が、心が浮き上がるような感覚だ。
そう、まるで全身で快感が弾ける衝撃と言ったらいいのだろうか?
それは想像を絶する悦びだ。
好きな人の精液を胎内で受け止めることが、こんなにも素敵だなんて思わなかった。
冥子の身体が、悦びにぶるぶる震える。
そしてもう一度……いや、今まで以上に甲高く、冥子は絶頂の叫びを上げた。


「ああっ!め、めいこ、また、またぁ……ッ! イクぅうううううぅぅううううううッッ!!」



冥子の最後の絶叫は、人工幽霊一号の結界すらも貫いて、大きく外へと響いたらしい。
ちょうどその時帰って来て、そのまま部屋へと直行し、気づかないフリをしていたアスナが、夕食時に顔を真っ赤にしてそう言った。
何でも、未来の腹黒冥子とのギャップが凄まじく、まるで冥菜を見ているみたいで落ち付かなかったとかなんとか。

 




「よ、よこしまくん~」

「なんすか?」

「冥子……がんばるから、いっしょに来て……」

「いいっスよ。ってか、冥子ちゃん一人に、そんな化け物の相手はさせませんって」

「うん、ありがとう……」


精臭がむんむんと漂う中、ゆったりとピロートークで誓う。

真祖。

横島がその言葉で最初に思い浮かぶのは、闇の福音と呼ばれた真祖の吸血鬼。
彼女クラスが相手なら、今の横島じゃ勝つのは難しいだろう。

だが、負けない。誰が、負けるかッ!

 
横島は、冥子の髪をすいて頭に手をかけると、そっと抱き寄せた。
吐息が触れあう距離まで近づいた顔。
冥子は熱い息を吐きながら、「横島くん……」と名前を呼んだ。
小さく呟いた冥子は、そのまま唇を横島に奪われ、瞳を潤ませうっとりする。



いつもなら、頼る相手は令子ちゃん。

でも、だいじょうぶ。

横島くんがいっしょなら、例え相手が強力な真祖の吸血鬼でも、ぜんぜん怖くない。
そう、令子ちゃんに頼るのではなく、横島くんと『一緒』にがんばる。
横島くんと一緒なら、どこまでもがんばれる。

 
 
2人のそんな決意と誓いは、だがしかし。
そこまで緊張しなければならない相手かどうか不明である。

なんせ相手は……

戻る前の横島の親友の父親
妹の旦那のいとこがドラキュラ
中世で脳みそが立ちぐさっとると、当時の横島に言わしめた……


        ブラドー伯爵


である。   



 
そこまで気を張らなきゃならん相手でもないかもしれん。
ただ、その魔力は本物だろうが、それ以上に気にしなければならないことがあるのに、横島は気づいていない。
まあ、この記憶がまったく残っていないのだから、仕方ないのだが……


相手がブラドー伯爵ならば、当然、あの人も来るのだろう。

そう! 横島と美神の運命が。

2人の千年の恋が、静かに足音を立てて近づいていた。


……今の横島は、美神にとっては怨敵だったりするのだが。




「あ、あ、あぁんっ! 横島くんっ、横島くぅん~~ッ!!」


でも横島は気づかない。


「お! お! おおうっ! そろそろ2回目イクッスよ!」

「くる、くるのっ! あっ、ああああぁぁンっ!!」


気づかないから……


「んふぅ……は、はぁ……お、お腹のなか、たぷたぷしてるわ~~」

「んじゃ、3回目、イクとしますかっ!」

「だ、ダメぇ……これ以上、冥子の中には入らない~~っ!?」

「限界……そう感じてからが本当の勝負っす!」

「……分かったわ~、冥子、がんばるっ! ひぃ、い、いぁぁああああああああ……」」






[11660] 逆行大作戦  第五話  エロ有り(冥子)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/07/12 17:32

それは悲しい思い出。

焦がれる程に想ったあの人を失った、遠く忘れ難い大切な記憶。







「お疲れさまっした、美神さん……」


もう物言わぬ老婆の亡骸を、愛おしそうに何度も撫で。
閉ざされた目蓋はもう開かないのだと、慟哭の声を上げた。
雨のように止まらない涙は彼女を濡らす。
もう、彼女の声は聞けない。
あの最も熱い2年間を共に過ごした彼女の声を。
そう思った瞬間、まるで胸にぽっかり穴が開いたような気がした。

決して埋まることのない、大きな穴が…………







「……しまくん、横島くん~っ」


どこか間延びした声が、意識を覚醒させた。
目を何度かシパシパさせて、ああ夢か……と大きく息を吐いた。
戻る前の世界で開いた沢山の心の傷穴。
この世界に、いわば『逆行』しても、その傷は癒えはしない。
同じ外見、同じ魂。でも、違う。
『あの』美神令子とはもう会えないのだと、死んでしまったのだと。
だから、傷は決して癒えないのだと。 

でも、この傷の痛みにはもう慣れた。
終わらないジクジクした痛みには……

……永く生きてたら別れは無数。
美神さんだけじゃない。
たくさんの大切な人達と、たくさんの別れ。
ひとり、ふたり、さんにんよにんと……泣いて泣いて、いっぱいのさよなら。

……次第に痛みに慣れ、涙も枯れ果て。

虚ろな嗤いと、諦念の無表情が普通になった頃、それが突然起きたのだ。
世界が巻き戻り、大昔に逝ってしまった大切な両親との再会。

そして……








横島は、心配そうに自分の顔を覗き込む女に笑みをみせる。


「大丈夫っスよ。ちょっと昔の夢を見ただけです。それより、イタリアに着いたんですか?」

「ううん、まだよ~。あと~1時間くらいじゃないかしら~」


女の横島を想う気持ちは本物だ。
だから無理矢理作った笑みだと、女……六道冥子にはすぐ分かった。
でも、心配をかけないためなんだろうと、冥子は気づかないふりして微笑み返す。
こういう気遣いこそが、大人の女の証だからと。

ただただ子供っぽかった冥子にしては、格段の成長である。
このことを冥子の両親が知れば泣いて喜んだろうし、逆に美神令子や小笠原エミなどが知れば、これは夢ねと現実逃避するだろう。
なんて冥子は苦笑しながら────それこそが成長の証なのだが────横島の問いかけに何でもない風に答え、ポケットからハンカチを取り出し、彼の顔をふいた。

額の汗、頬を伝う涙のあとを、優しい慈母の表情で微笑みながら、丁寧に、丁寧に……
 

「あ、ありがと、冥子ちゃん」


……なんだか、やたらと照れ臭い。


「いいのよ~。私が好きでやってるんだから~~」


うふふと笑う彼女に、横島はトクンと胸が高鳴った。
本当にいい女だ。顔に熱がたまるのが分かる。
横島は真っ赤になった頬をポリポリかいて、目をキョロキョロどっちらけ。
このまま彼女の顔を見てると、心が魅せられてしまいそうで困る。
横島は誤魔化すように狭い飛行機のシート────それでもファーストクラスだが────で身を捩らせ、うん、っと伸びをし……

あれ? 別に魅せられてもいいんじゃね?っと思い返す。

だって『この』六道冥子は横島忠夫の恋人だ。
魅せられたって何の問題もありゃしない。

そして考える。

イタリアまであと一時間。
一時間もあれば色々やれる。


「もうっ、横島くんたらエッチなんだから~」


艶然と微笑む冥子に下心を見透かされたなと思いながら、横島はズボンのチャックを開け放ち、社会の窓からこんにちわ。
にょっきりいきり勃つ巨根に目を白黒させる冥子の頭を優しく引き寄せる。
蒸せる男の体臭が、冥子の鼻を襲う。
日本を出立してからこっち、トイレ以外はずっと飛行機のシートに座っていたのだ。
当然、シャワーなんて気の利いた物で身体をキレイになんてしておらず、とても臭い。
が、冥子は嫌な顔ひとつせず、ちろりと舌を伸ばし一舐め。
味をじっくり確かめ……ほにゃっと微笑んだかと思うと、痺れるような快感に身を任せながらすぐに口に含んだ。
冥子の可憐な唇は、横島の醜い肉棒で一杯だ。
だけども、冥子の顔に嫌悪はなかった。
口いっぱいに広がる汗や残尿の味は、横島忠夫の、大好きな人の、味。
その味を噛み締め、冥子はもっと味わいたいと首を前後に振った。
周囲にチュパチュパ音が立ち始める。


「おいしそうにしゃぶるなぁ」

「だって、とっても美味しいのよ~?」


一旦、肉棒を口から出してそう答え、すぐに再び横島の股間に顔を埋める。
陶然とした表情を浮かべながら、無我夢中でフェラチオを続ける冥子の頭を優しく撫でる横島は、心地好い快感に目を細めた。

今の冥子はすんげーエロイ。

この世界の、横島忠夫『の』六道冥子が。

クッと悪い男の顔で小さく笑い、快感に身を委ねると同時に、頭の冷静な部分でイタリアで待ち受ける真祖との戦いを考える。

真祖の吸血鬼。冥子が受けた仕事の討伐対象。
この人界においては、ほぼ最強といってもいい存在である真祖。
当然のように自身につきまとう死の臭い。

だが、横島は嗤う。

こりゃ~、絶対に負けられんな。こんなスケベな冥子ちゃんは、俺以外の男を知る必要なんてない。
そうだ、死ねばこの女は別の男の下へと行くのだろう。
六道家の次期党首としてでもあるし、一人では生きられない弱い女でもあるのだし。
横島はそう思いながら冥子の後頭部に手を添えると、ゴンゴンと激しく彼女の喉に肉棒を突き上げる。


「んじゃあ、一発目いくっすよ?」


宣言と同時に射精をし、だけどもゴンゴン喉を突くのをやめはしない。
喉に精子を浴びせられながら、更に肉棒で突かれまくる冥子はたまったもんじゃない。
でも、呻き声をあげることなく、むしろ嬉しそうに頬を緩めながら横島のなすがままの冥子は、とても幸せそう。
彼の精液を喉に通すだけで、身体全体に波打つような快感が広がっていく。
下腹の辺りがキュンキュン脈打ち、花弁から湧く潤いで下着が濡れた。
彼のことがたまらなく好きなんだと自覚させられる。
じゅるじゅる音を立てて精液を飲み干した冥子は、ずるりと肉棒を口から出すと、期待の眼差しで横島を見上げる。

ゾッとするほど色気のある表情だ。


「どうしたんです? 誰がやめていいって言いました?」

「あん、でも冥子ぉ~、横島くんに抱いて欲しい……」

「ダメですよ。流石に飛行機の座席でやったらバレます。イタリアの空港に着いたら存分に可愛がってあげますから……」

「……あげますから~?」

「今は黙って俺のちんぽをしゃぶってろ。好きでしょ?」


いつになく厳しい口調で。
いつになく悪い男の顔だ。

冥子は自分の身体を開発した男の、初めて耳にする言葉に、身体の芯に熱が灯った。
身体が細かく痙攣する。小さく漏らした甘い喘ぎ声。
冥子は、絶頂してしまったのだ。
それは完全に横島に屈服した証。
冥子は目を潤ませ、頬を上気させ、ビクビク身体を震わせ……


「うん、好きよ~。大好き~~」

「んじゃ、スチュワーデスさんに見つからんよう、しっかりこっそりしゃぶれ」


座席のリクライニングを最大にして、ゆったりと背もたれにもたれ、傲慢なまでの態度で冥子を促す横島。 
隣の座席から身を乗り出し、一見膝枕をして貰っているような体勢の冥子に、再び喉奥まで肉棒を飲み込ませる。
じゅぱっ、じゅぱっ、と静かな機内に微かに響く淫音。
冥子の苦しそうな鼻息がそれに続き、否応もなく横島の欲望に火をつけた。
腰の奥から、再び熱い精の塊がせり上がって来る。
だが、そう簡単には出してやらん。


「もっと舌に唾液を絡めて、唇をすぼませろ。吸う力ももっと強く、喉の奥まで受け入れるんだ」

「……ふぁい、わふぁったわ~」


愚直なまでに言われるがまま奉仕を始める冥子に、横島は褒美とばかりに手を伸ばす。
冷え症なのか、冥子は暖かそうなロングコートを着ている。
そのコートのボタンを、上から一つづつ外していくと……中から出てきたのは上着ではなく、黒のブラジャー。
紅潮させている冥子の真白い肌にはよく映えて。
だが明らかに彼女の趣味ではなかった。
むしろ横島の趣味に直撃だろう。
この、コートの下は裸……まあ下着は着けてるようだが……なんて弩ストライクだ。


……本当に可愛い年上のお姉さんだ。
こんな可愛い子を、前の世界では鬼道のヤツがスキにしていたかと思うと、沸々と不快感が湧きあがる。

まあ、明らかに俺が寝取ったみたいなもんだがな。

そう嗤いながらも、罪悪感は一切ない。
横島にしてみたら、鬼道正樹はほぼ見知らぬ赤の他人。
精々知ってることと言えば、冥子と決闘みたいなのをして、才能差『だけ』で負けた可哀そうな男とか……確かおキヌちゃんの高校時代の担任だったっけ?

って程度である。

横島自身との関係は、まったくないのだ。
だから当然のように罪悪感など一切湧かず、むしろ背徳感でやたらと興奮しまくりだ。

それにだ、過去に戻って別の男と結ばれた女を自分の女にしてしまう。

なんという達成感……!

……この達成感が、後に横島による過剰な女漁りに続くのだが……まあ、ここでは割愛する。



と、そんな達成感に満足しながら、鼻息荒く冥子のブラの中に手を差し込んだ。
手のひらに丁度収まる冥子のオッパイは、とても柔らかく、それでいて張りがある。
そんな極上のオッパイを、思うが儘に揉みしだく。
すると肉棒の先端にかかる息が更に熱くなり、喉がキュッと締まった。

……こりゃええ。すんげぇ気持ちよくなった。

思わずオッパイを揉んでいる手とは逆の手で冥子の髪を掴み、しっかりと固定させる。
続いて腰をグリグリとグラインドさせ、喉奥で肉棒の先端をマッサージ。
流石に苦しそうに呻く冥子だったが、横島は嗜虐心に火がついたのか、決してやめようとは思わない。

むしろ、

イタリアに着くまで、冥子ちゃんの口に何発出せるかな?

なんてことばかり考え。
でも苦しそうな冥子も、

横島くんのエッチなお汁~、イタリアに着くまで、どれだけ飲まされるのかしら~?

心内ではうっとりしていた。


……これから死闘が待っているとは思えない、すんごくエロいカップルである。



 

















────────────────────────────────────














朝焼けにはまだ遠い。

だが、月はもう天にない。

そんな、時間に……

崩れ落ち、瓦礫と化した城を背にした化け物が一匹。

怒りに瞳を紅く染め、凄まじい、世界を塗り替える程強大な魔力を放出させる。


────ああ、これは人では勝てない


常人ならばそう思う。

だが、彼は違う。違ったのだ!


「キサマが真祖の吸血鬼だな。俺か? 俺は、キサマみてぇな悪党を退治する……


              ゴーストスイーパー横島忠夫ッ!」


右手が光る。

手首から先が霊力に纏われ、光る剣となり────


「俺がキサマを────極楽に、送ってやるぜっ!!」


化け物たる吸血鬼の胸板を貫いた。














────────────────────────────────────















 



「って、きっとこんな感じなんだべな~」

「……サナエおねえちゃん、ちょっとタダオに夢ミスギ」

「んなことないべ? 死津喪比女との決戦は、こんな感じだったじゃねえか」


あの人も、やる時はやる人だから……とアスナは早苗に分からぬよう小さく苦笑い。

とはいっても、その『やる時』が年に一回あったら奇跡ともいえる彼のこと。
そうそう格好好いことなんてある訳ない。
大体、津喪比女との決戦は、100年に一度あるかないかのイベント戦。
あんなのを基準にして考えたらバカを見る。
だけど、まあ……それを抜きにしても、


「かっこよかった」

「だべ? だったら真祖なんちゅう化け物相手なら、こんくらい格好ええとこ見せてくれるに違いねぇべさ」 


普段が普段である。
あの時の横島に魅せられた早苗だからこそ、こういう時はすんごく格好好いとこ見せて欲しい。

そう思うのが当たり前。

だからこそ……


「いっしょに連れてって欲しがったなぁ。そりゃあ、わたすが足手まといだ、ってのは分かるけんども……」


何気に世間では『幽霊癒し(ゴーストテイマー)』なんて厨二臭い2つ名持ちになった早苗だが、所詮は付け焼刃の救霊だ。
しかも相手は『幽霊』ではなく、真祖……怪物や妖怪と言った存在である。
救霊じゃあ、足手まといにしかならない。
一方、もう一人のアスナも小学生。
例え中身が凄まじい力の持ち主でも、外見が小学生では世間体的な意味で連れていく訳にはいかなかった。

……が、これは表向きの理由である。

横島明日菜は……いや、神楽坂明日菜は、主であった横島さえも超える力の持ち主。
『戻って』来た今、その力の大部分は失われてしまったけれど、それでも断然強い!

そう、下級の神魔程度なら軽くあしらえる程度には。
もちろん、横島には無理な話である。
なにより彼女には、横島と同等クラスの戦闘経験と、横島以上に、


『完全魔法無効化能力』

『咸卦法』

『飛燕剣』

『伊達式格闘術』

『真・魔装術』


希少(レア)な能力(タレント)に技法(スキル)。そして、この時代には基礎すら出来ていないはずの伊達式格闘術を修めている。
それらを小さな身体に詰め込んだ、使徒である経験を持つ少女。

使徒の中では、主に戦闘の専門家であった彼女が、例え小さな身体に戻ろうとも弱いはずがない。
そうだ。アスナさえいれば、例え真祖の吸血鬼といえど敵ではない。

だが横島はアスナを置いて行った。
いや、真祖以上の相手でも置いて行くだろう。
横島にとっては『切り札』。
『あいつ』との戦いが確定するまで、決して切らない伏せたままのスペシャル。

それが、アスナだ。

アスナも分かっているからついて行きたいなんてワガママは言わなかった。

言わなかったけども……


「ウン、私もいっしょに、行きたかったなぁ……」


視線は部屋の外……窓からのぞく遠い空。
あの人がいるイタリアへと繋がる、遠い、空……
言葉も、表情も、小学生には決して見えない女の表情(かお)で。
いつまでもいつまでも、早苗と一緒に見続けた。





















で、その横島はというと……




むろん! 2人の期待を裏切る行為!! しまくりまくりの最低野郎ッ!! で、ある。








空港に到着するなり、冥子に急かされるようにして女子トイレの個室に駆け込んだ横島は、


「横島くん~、もうイジワルしないで~~! 冥子、これ以上待たされたら泣いちゃうわ~」


冥子はそう言うと、慌ただしくコートのボタンを外していった。
中はさっき横島が見たとおり衣服は身に着けておらず、黒のブラとショーツに、色気むんむんガーターベルト。
それさえもガーターベルトだけを残して乱暴に脱ぎ捨て、あっさりと隠された肌を晒した。
ここは空港のトイレの個室だ。
壁一枚どころか、薄板一枚向こうは公共の場。
にぎやかな喧騒がダイレクトに聞こえてくるこんな場所で、冥子は迷うことなく裸になった。

……その事実に、興奮した。

無垢な少女みたいな女だった六道冥子が、ここまで堕ちたのかと思うと、鼻息が荒くなってしょうがない。
実際、機内で横島のモノをしゃぶり、ただそれだけで身体がメロメロな冥子のマンコは、もう十分以上に濡れそぼっている。


「こりゃ前戯の必要はないな。しっかしチンポしゃぶるだけでこんなに濡らすなんざ、どんだけエロいんじゃ、冥子ちゃんはっ!」


ツンと乳首が尖った胸の谷間に、まるでお祈りするみたいに両手を合わた冥子は、その言葉にブルルと身体を震わせた。


「こ、こんな女にしたのは横島くんよ~」


少しだけ泣きそうな冥子だが、横島には分かっていた。
ただでさえ濡れていた股間が、更に湿り気を増している。
感じているのだ。言葉だけで。
これは、もう少し言葉で責めてみた方が面白いかもな。


「こんな外国のトイレで服脱ぐような変態のくせして、人のせいにするんスか?」

「ち、ちがうもん~~っ!」

「ほれ、冥子ちゃんのエッチな汁」


人差し指と中指を使って、冥子の濡れている股間の割れ目を優しくなぞり、溢れだす蜜をすくって冥子の口元に持ってきた。


「認めた方がいいッスよ?」


口角を吊り上げ、いやらしく笑いながらその指を冥子の口の中に突っ込んだ。


「あ、あぁ……」


奇妙な味が、冥子の口の中に広がった。
酸っぱいような、甘いような……そんな奇妙な。
でも、不思議と嫌じゃない。

自分のだから?
それとも、私が……だから?


「おいしいっすか?」

「わ、わかんないわ~。でも……どきどきするの~~」

「やっぱり。それは変態だからです。冥子ちゃんは、変態なんすよ」

「……いや~っ! 冥子、変態はいや……」


最後まで言わせず、横島は冥子の言葉に上書きするようにこう言った。
 

「何度でも言います。冥子ちゃんは、変態だ。変態だから、ここで、俺の子を孕めっ」

「……横島くんの……こども……?」

「そうっすよ。冥子ちゃんは変態ですからね」

「へん、たい……? わたしは、へんたい……」

「こんな誰が来るかもしれないイタリアの空港のトイレん中で孕むなんざ、変態じゃないと出来ませんよ?」


横島は冥子の左足を抱え上げ、いつでも挿入可能な体勢に持っていくと、おもむろにちんぽを取り出し、冥子に見えるようにユラリと揺らした。
ギンギンに勃起したチンポは、あまりに雄々しく猛々しく。冥子は思わずゴクンと生唾を飲んだ。


「どうします? 変態だって認めるんでしたら、コイツで冥子ちゃんを犯してあげます」

「わたし……わたし、は……」


煮え切らない態度だ。
横島は、もう少し押してみるかと、チンポで冥子のヌレヌレの割れ目を優しくなぞってみた。


「あっ、あっ、横島くん……あん、き、気持ちいいのぉ……あ、あっ、あああ……っ」


くちゅくちゅと、淫らな音が響かせ割れ目をなぞるチンポは、でも冥子が絶頂しそうになると、すっと後ろに引いた。
 

「この先、して欲しくないっすか?」


そして、冥子の身体が少し冷めたのを見計らい、そう言って今度は亀頭でクリトリスをグリッと押し潰した。


「ひぃあんっ!?」


ビリビリした僅かな痛みと、それ以上の圧倒的な快感の予感に、目がトロンとなった冥子。
この瞬間、冥子は自分が、


「私は、へんたいです~、だから~、冥子に種付けしてください~~っ」


変態だと認めたのかもしれない。


「よく、できました」


言うなり、横島は冥子のクリトリスをグリグリしていたチンポを、ご褒美ですと小さく囁きながら冥子の膣口に押しつける。
そして、グッと腰を押し出し……ズプンっ! なんの抵抗もなく一気に奥までちんぽを飲み込んだ冥子は、首を反らして快感に喘いだ。
 




甲高く上げる嬌声は、ここが空港のトイレなんだと、まるで分かってないみたい。

……いいや、分かっているはずだ。

でも、声を上げるのをやめるつもりが冥子にはなかった。
だって、自分は変態なのだ。
変態だから、周りに聞こえるように声を出し、変態だから、ここでエッチしてるんだとみんなに知らせたい。


だから、だから、だから


「私……横島くんの赤ちゃん、産みたい……」

「ああ、いいですよ。俺の子を……そうですね、女の子で、名前は冥菜かな?」

「めーな? ……うん、いい名前~。じゃあ横島くん、冥子の中に、めいなちゃんをちょうだい……」


妖しく腰をくねらせ、きゅぅっと横島のチンポを締め付ける。
受精の為の準備なのか、冥子の子宮はいつもより下に降り、子種が来るのを今か今かと待ち受けた。
熱く濡れ、蠕動する膣壁。小刻みに身体を揺らす冥子の顔は、完全に発情しきった女の顔だ。

あの子供っぽい冥子が、俺の子種が欲しくて牝になりやがった。
なんちゅー達成感。実に素晴らしいっ!

とそう思いながら、冥子の唇に自分の唇を重ねキスをした。
舌を絡め、夢中になって唇を貪り合う。
鳥肌が立つような快感だ。頭がクラクラしてくる。

だが、キスだけで満足する訳にもいくまい。
一旦、唾液の橋を作りながら唇から離れ、より深く繋がるために腰を突きだす。
イキナリの刺激に仰け反る冥子を追うように腰を前後させ、激しく抽送を繰り返した。


「イク……冥子、イッちゃうのぉ……横島くんはげしくって、冥子のオマンコ、もう……我慢できない~~~っ」

「冥子っ、俺もそろそろ、イクぞっ!」

「うん、イクッ、イクぅっ!! んんっ、あああああぁぁぁっ!!」


そして……ドクン!! 横島は、冥子の子宮の中に、一気に精を放った。
瞬く間に埋め尽くしていく精液は、冥子の中だけでなく、心までをも満たしていった。


「あっ、あぁ……出てる……出てるのぉ……めいなちゃんが、私のなかに……あ、はぁ、はぁあん……」


最後の一滴まで搾りだそう膣壁を痙攣させる冥子は、惚けたよう顔で横島を見つめる。
小さい唇を仄かに開けて、求めるのは一目瞭然。
横島は、軽く苦笑いしつつも、冥子の想いに応えた。


「あ、んぅ……横島くぅん……」


たっぷりの唾液を冥子の喉に通しながら、腰をゆっくり回転させ始める。

……2回戦の、始まりだ。


「一回じゃ、妊娠したがどうか分かんないすからね? だから……」

「……だから~?」

「冥子ちゃんが妊娠するまで、中に出し続けますよ?」

「あぁんっ、横島くんの~、私の中でまた大きく……いいわ~、一杯して~。私、早くめいなちゃんに会いたいもの~」

「んじゃ、種付けセックス、再開しますかっ」









六道冥子。

彼女の活躍は、ここでの攻防を最後に、しばし空白期間が訪れる。
次に彼女の勇姿(?)が見られるのは、これより1年以上あとであった。

閑話休題。




























2人は空港のトイレで心も身体もすっきりさわやかになったあと、待ち合わせ場所である発着場へと足を急がせた。
そこには『前の世界』での親友が何故かいた。
訝しんで見ていると、彼が依頼人よ~、と普段ののほほんとした感じではなく、結構真面目な顔で……冥子なりに……そう言った。
この辺りは、横島の教育による結果だろう。

に、してもだ。

依頼人がピートで、討伐目標が真祖ということは……

真祖の吸血鬼ってもしかして?

横島は戻る前の世界でのピートの父親への愚痴を思いだしつつ、用意された小型の旅客機に乗り込んだ。
そうして、考えてたのと違って楽な依頼になりそうだなと思った瞬間、凄まじい殺気に身を震わせた。
思わず身構えかけながら殺気の先を辿ってみると、そこには……


「……おいピートっ! これはどういうことだっ!!」

「えっ!? なんのことです? っていうか、自己紹介しましたっけ?」

「なに言ってやがる! いくら俺でもダチの名前くらい忘れんわっ!」

「ダチって……僕が? 友達、ですか?」


少し嬉しそうに顔をほころばせるピートに気づかず。
完全にテンパッた横島はそれどころじゃない。
ってか、自分が何を言ってるのか分かってはいないだろう。

なんせ今の横島にとって、ピートは見知らぬ他人にしかすぎないはずだ。
でも、その当たり前のことに気づく余裕はまったくない。

恐怖 恐怖 恐怖

そして、助けが欲しい。

『前』に高校生だった頃なら、迷わず、おがーんっ! と叫んだはずだ。

でも、今なら……


「あ゛ずな゛ーっ! た~ずけで~~っ!」

「あ、あのね~横島くん。冥子思うんだけど~、小学生のアスナちゃんに助けを求めるのは流石にどうかと思うわ~」


わたわたと、でも年上のお姉さんとして何とかかんとか横島を宥めようとする冥子。
でも当の横島は、冥子の言葉なんて耳に入りゃしねー。
彼の視線はたった一人の女に釘つけだ!

冥子はそのことに、チラリと嫉妬を感じ……


「間違いねぇっ! あの視線は……殺すッだ!? なんで! どうしてーっ! 俺は覗きもセクハラもまだしとらんぞーっ!?」

「お、落ちついて~、横島く~んっ。本当にどうしたの急に~~!?」


……る所ではなく。
もう何が何だか訳が分からない。

しかもだ、


「いやあぅ────っ!?」


恐怖が頂点に達したのだろう。
頭を抱えて、恐怖の雄叫びまであげる始末。

だが、その雄叫びはスグに止まることになる。

青筋立てた、一人の美女の手によって……


「うっさいわねっ! 静かになさいっ!!」


ドゴンッ!!

激しい打撃音と共に、喧噪は治まった。
シーンと静まり返った機内には、頭から血をダクダクと流し、悶絶したままピクピク痙攣する横島の姿と、ぽか~んな他乗客。

「よっ、よこしまく~んっ! 大丈夫~~ッ!?」

横島に、文字通り彼を血の海に沈めた美神令子は、

「ちょっと令子ちゃんっ! 横島くんになにするのよ~っ!」

冥子が初めて『友達』に向けた怒りに戸惑い。
思いもしなかった彼女の剣幕にオロオロし、ばつが悪そうに頬を掻く。

先に同乗していた小笠原エミに言わせれば、男を知らない女のひがみ……


「誰がひがんでるって! こいつが喧(やかま)しいからぶん殴って静かにさせただけじゃないのよっ!」


……なんだそうな。





[11660] 逆行大作戦  第六話  エロ有り(モブ)
Name: uyr yama◆157cb198 ID:3242a2d6
Date: 2012/08/03 23:45





一風変わった雰囲気の少し古くさいセーラー服を着た少女が、墓地をしずしず歩いていた。
少女の容姿は黒髪黒目と、由緒正しい大和撫子の外見まんま。でも、それ以上に気になる部分がある。

それは、少女がなぜか学校の机を抱えているからだ。
これなら通りすがりの者達が一瞬ギョッと凝視してしまうのも仕方ない。
でも少女はそんな周囲からの視線を気にも止めず、ひたすら目的の場所……大切な人が眠っている墓を目指した。

大切な人とは、少女の初めての友人である。


「……久しぶり、になるのよね? だって私にとっては3日程だけど、アナタにとっては35年ぶりなんだもの……」


少女は墓の前に立つと、口元を小さく綻ばせてそう言うと、墓をキレイに掃除し始めた。
でも少女は、掃除しながらも語るのをやめようとはしなかった。楽しげに話しを続ける。


「ねえ、お孫さんときちんとお友達になったわ。あの子ね、普段の態度からして横島くんのこと好き好き~なのよ? 青春よね~~」


こしこし、こしこし

丁寧に丁寧に墓石を磨き。

さぁーっと最後にペットボトルに汲んでおいてあった水を墓の天辺からかけ流し掃除を終えると、今度は花瓶と花を取り出し活ける。
そして最後に、墓の対面に机を置くと、端に座った。

目は優しく細められ、墓の主と少女の仲の良さがうかがえる。
事実、墓の主は少女と30年以上一緒に過ごした仲だ。
そして、共に一人の男に抱かれ、愛した仲。

少女と墓の主が愛した男は、少女の創った不毛の学園生活を終わらせた男。
少女に、本当の青春を教えてくれた男。
恋を、愛を、教えてくれた、たったひとりの男。

少女はゆっくり目をつぶる。


「私たちの青春……私たちの、初めての……恋……」


思い返す。終わらないHRが終わった、あの日のことを……



























   ヨコアスR 逆行大作戦!!⑥   リターンな横島忠夫の高校生活 上























教室に着くなり、ぐた~っと机に突っ伏すのは、我らが横島忠夫その人である。
元々やる気があまりない男ではあるけれど、ここまでやる気がないのも珍しい。

それもそのはず。

彼はGSの仕事でイタリア出張から帰ってきたばかり。
本当は今日ぐらいサボりたかったんだけど……


「さっさと学校行がんかいっ! こんの唐変木ッ!!」


同棲……っていうか同居人である早苗の凄い剣幕によりサボりは断念。
まあ、出席日数的な意味でも、GSの仕事がないなら学校へは行っておいた方がいいのは確か。
今のところは余裕があるけど、この先の展開次第で学校に行く暇がなくなるのかもしれんのだから、行ける時に行っておいた方がいいのは自明の理。


(……なのは分かってんだけどよ~)


どうにも調子が出ないのは、大きな仕事を終えたという達成感と、懐かしい面々との再会のせいだろうか?
美神令子と出会い、小笠原エミと出会い、ピート・ド・ブラドーと出会い、悲しいことにボケてたドクターカオスと再会し、そして、マリア……
この世界に戻る前は、横島忠夫の恋人の一人だった高性能アンドロイド『マリア』。
彼女の中に、当然だけれど横島忠夫という存在は一切なく、しかも自我まで薄いときたもんだ。
身体が鋼鉄だからセックス出来ないってぇーのはともかく、心が通じ合わないのは、どうにも悲しく、どうにも遣る瀬無く、どうにも虚しく思ってしまう。

そんなアンニュイな横島忠夫 (16)は、机に突っ伏したまま、うつらうつら……と、色々と疲れたイタリアでの事件をダイジェストで思い返していた。









ブラドー島での戦いは、いわば冥子ちゃん劇場だった。
ブラドー島に着くなり、ブラドー伯爵の居城を、外から12神将で城ごと攻撃。
恐ろしい程の圧倒的な暴力。崩れ落ちる城を見て恐怖に震えるピート。
そんなピートを素早く女の魅力でしっとり慰め、戻る前の歴史よりも10年近く早くゲットしほくそ笑むエミ。


(しまった!!)


とエミを落とし損ねてガックリ肩を落とす横島ではあったが、戻る前のピートの純愛っぷり知ってる分、実はそんなに残念でもなかったりする。

いや、むしろホッとしたというか……

戻る前の世界では、親友であり、同じ永遠の旅人でもあるピートの嫁さんだった小笠原エミ。
純情一途なピートは、彼女の死後、何百年経っても、ただただ、エミを愛し続けていた。
真逆に女漁りしまくって、一大ハーレムを形成していた横島とは大違いの純愛野郎である。

そんなピートに横島はいつも言っていたもんだ。


────せっかくのイケメンがもったいねぇ。
お前がその気になったなら、俺以上のハーレムだって作れるだろうに……


大きなお世話な横島に、ピートはいつも微笑んでこう返すのだ。


────まあ、僕だって男ですからね。
ハーレムに興味がないって言ったら嘘になりますが……
それでも、僕が愛する女性は、後にも先にもただ一人。
小笠原エミだけなんですよ────────────


ほろ苦く、郷愁を誘う切なそうな声色で、ただ彼女を想う言葉を口にする。

……一人では生きられない横島と、一人で生きる術を手にしてしまったピート。
横島とは真逆の存在だった彼は、だからこそ、いつまでも横島の親友でいられたのかもしれない。




まあ、そんな話だ。ここは涙を飲んで諦めよう。
それに、だ。ピートとエミが結ばれなければ、2人の孫娘であるレミは生まれないし。
冥菜とは違い、彼女はダンピールの特性を持っていたこともあり、横島の種から生まれるとは思えないのだ。

そう考えていると、瓦礫と化した城から怒り狂って飛び出したブラドー伯爵が、12神将『バサラ』にアッサリ捕まり頭からアグアグ。
ブラドー伯爵の心が折れるまで続けられたアグアグにより、彼に支配されていた島民達も解放され、ここにブラドー島に平和が戻った。

……地下で反逆の時を虎視眈々と狙っていた唐巣神父をそのまま放置して。


こんな感じで、冥子の精神安定ぐらいしか役に立ってはいない横島。
とは言え、それは美神令子や小笠原エミもまったく同じ。
2人は経費もかからず報酬丸儲け、うひひひひ、ぐらいは考えていただろうが……

 




などと、美神とエミの腹黒そうな笑い声を必死に脳から追い出していると、不意に背中に、ふにゅん、と柔らかい感触がした。


「よ~こし~まくんっ♪」


声と、何よりおっぱいの感触で、自分の背中に覆いかぶさってきたんがクラスメイトの女子だと分かる。

横島のクラスには、女子が19名いる。
ちなみに、横島の『お手付き』は、ほぼ半数の9人である!
そして、いずれはクラスを制覇し学年を制覇し……ついには学校制覇までいってみせる!!
当初はそんなBIGな野望を持っていた横島の、悲しき被害者の一人が、背中のおっぱいの主であった。

ちなみに現在はそんな野望は持ってない。

なぜなら……ハズレの存在を忘れていたから。
もう少し詳しく言えば、ハズレとは容姿的な意味ではなく、性格的な意味である。
齢数百を数えれば、よほど酷いのは別としても、外見の良し悪しなど二の次三の次。

……そこッ! じゃあ美神令子はどうなんだ!って言いたそうな顔しない!!
あの人はあれで中身は結構可愛いかったりするのだ。
守銭奴なのも、愛情を得られない代わりに欲した代償的な意味合いが強く、なにより、なんていうか……ツンデレ?

……まあ、それはそれとして。

そんな訳で今の横島は、教室に学校中の美少女女子高生を裸にして詰め込み、射精会……もとい写生会を開くなんていうちっぽけな夢しかもってないのだ。


(ふっ……俺も謙虚になったもんだぜ……)


と、誰かが聞いたら間違いなく激怒しそうなことを考えながら、横島は背中に押し付けられたオッパイの感触を堪能する。
時折身体をゆさゆさ揺らしてみたり、グイッと背中を反らしてみたり。
横島の動きに合わせてぐにぐに形を変えるオッパイは、気づけば中心部に硬いシコリみたいなのが出来てきた。
自然と背中に乗った少女の吐息が、「ん……あ、は……ぁ……んぅ……」と次第に甘く切なく荒い物に変化する。

男共は細く聞こえる少女の喘ぎ声に身体の一部が変化して、自らの席から立つことも出来ず。
クラスの女子達は頭痛そうに抱える者と、どこか羨ましそうな者が半分づつ。
これは横島が落とした女と、そうでない女の違いだろう。

にしても、実に心地好い。
オッパイの感触が……ではない。


むろんオッパイの感触も心地好いが、それ以上にモテナイ男共の怨嗟の念が心地いいのだ。


チッ! とか クソがッ! とか 死ねッ! とか……そこかしこから聞こえてくる呪いの呟き。
かつての自分が呪いをこめて言ってた言葉と、さして違いはないだろう。そんな呪詛混じりの言葉である。


「……くっくっくっ……うわははは、あははははははははははははっ。モテナイ男共の怨嗟……まさに嫉妬乙!」


だから思わず本音を口にしてしまっても仕方あるまい。
もっとも、横島は自分の内心を口にしてしまったことに気づいてないが。
昔からの悪癖……心の中で思っていたことを、ついつい口にしてしまう癖……が、悪い場面で出てしまったのだ。

横島の背中に乗ってた少女は、殺気だった男達を見るなり、すすっと彼から離れ、薄く笑う。
イタズラが成功したような、そんな笑みで。
少女は、横島がクラス制覇……学年制覇……そして、学校制覇!! の夢を見る切欠を作った始まりの少女。
解りやすく言えば、クラスで最初に落とされ抱かれた女であった。

少女の名は、唯香。
アスナか早苗辺りが唯香を見たら驚きそうな美少女だ。
ちなみに、美少女だから驚く訳はない。

似ているのだ、彼に。
横島忠夫に、似ている。
……別に、容姿が横島に似ているかと聞かれれば、少し違うと答えるだろう。
容姿は横島と違い、間違いなく美形である。
まあ、目元とか唇の形は似通ってはいるが、よくよく見なければそうは思わない。

では性格か? と聞かれれば、やはり違うと答えるだろう。
というか、女横島など誰得か!?
いや、これもまた、明け透けな所や、ムードメイカーな所は良く似てはいる。

だけど、それ以上に……


存在感や安心感と言った、口では説明し辛い何かが、横島と良く似ていた。 
もっとも、本人同士はそうは思っておらず。
実際、横島がこの娘に手を出そうとした切欠は、この娘の存在を知らなかったからだ。
現在横島のクラスメイトは、ほぼ戻る前と同じであるというのに。

そう、『ほぼ』。
ほぼである以上、微妙に違う点が当然あり、それがこの少女、唯香であった。
横島は、男の顔は速攻忘れるが、女の顔は忘れない。
なのに、唯一知らぬ女である唯香に興味を持たないはずがない。
あえて言うなら、知っているが知らないクラスメイトを本当の意味で受け入れる為の、いわば儀式だったのだ。
……まあ、一番の理由は、唯香にとって横島は理想の男性像に近いから……なんだけども。


唯香は、おばあちゃん子である。
そんな彼女が小さい頃に聞かされた、おばあちゃんの唯一人の大切な男性が、横島とだぶって見える。
……若くしてこの世を去ってしまったおばあちゃんが、もう一度会いたいと心から願ってやまなかった男性に。


唯香は横島が男子一同からボコられてるのをクスクス楽しそうに見ながら思うのだ。
一緒にいて愛おしいと思う彼は、おばあちゃんが捜していた人の血筋なのかもしれないと。




そう、捜していた人に近しい人かもしれないけれど、横島忠夫はろくでもない男だと、彼と親しくない者は口を揃えてこう言った。
実際、やっていることはろくでもないのだ。
自身が通う高校のクラスメイトのほぼ半数に手を出し、ハーレムを形成している男……ろくでもないに決まってる。

だけども、どうしてだろう?

横島のクラスには、本当の意味で彼を嫌っている者は一人としていなかった。
それは彼をボコッてる男子一同もそうだし、未だ手つかずの女子達もそうである。

どうにも憎めないのだ、横島忠夫という存在は。
なにより気づけばいつもクラスの中心は彼で、彼がいる時といない時ではクラスの雰囲気がまるで違う。

ムードメイカーであり、愛すべき道化師……それがクラスにおいての横島忠夫の正当なる評価。

中でも女子の半数近く……いいや、大多数にとって間違いなく『大切な人』だった。















「あいたたた……あいつら、手加減なしで殴りよってからに……」

「私達みたいな美少女囲ってるんだから、少しぐらいは痛い目みないとね~」


唯香はからかい口調でそう言うと、自分と同じ、横島に落とされてしまったクラスメイトが用意した救急箱を受け取り中から赤チンと傷パットを取り出すと、打撲や裂傷を丁寧に治療し始めた。
横島は息も絶え絶えで制服はボロボロ。嫉妬に狂った17人の男共の圧倒的な暴力は、彼を持ってしても対抗出来はしなかったのだ。

一通りボコって満足した嫉妬男(シットメン)共は、ケッ! と吐き捨てると、そのまま教室を出て行った。
まあ、その後彼らは同じクラスの女子達にボコられ、死屍累々と廊下のすみにうち捨てられたのだが……


「この世界の女共は化け物かッ!?」


一般人……そう、美神やエミ、冥子等と違ってただの一般人なはず。
なのに、この戦闘能力……って、そういや戻る前は普通に自分がこうされてたっけなぁ……と感傷なのか遠い目をする。
ただ、たぶんさっきと同じで、自分が口に出して言ってしまってることに気づいてない。

唯香は、かなりカチンときた。
お前が言うなっ! とか色々言いたいことはあるけれど、ここは態度で示すべきだろう。
唯香と、他少女達の横島を治療する手が、急に乱暴になった。

「つっ!?」と痛がる素振りを見せる横島に、「しみるの我慢!」とさっきまでの優しさなど消え失せ、厳しく言い放つ。

横島忠夫は、これでもハーレムを平然と運営してのける男だ。
怒れる女性に宥めるのには長けている。
親身になって治療をしてくれた唯香は当然として、そんな自分を心配そうに、でもどこか不満そうに囲んでいる8人のクラスメイト。
むろん、9人が9人とも自分の恋人である。
だから当然、少女達を宥めるにはどうするのが一番効率がいいのか、よ~く解っていた。


























男子と女子の青春一杯の喧騒は、こっそり様子を覗っていた彼女を心底楽しませた。
もしもこの子が来てくれたなら、マンネリ化してきた学園生活も改善出来るかもしれない。

だから、

「……うん。あの子がいいわ」

そう決めた。
だけども……


「それとも先生になってくれる人を捜すのが先かしら?」


私達の情熱を受け取ってくれる、そんな素晴らしい教師が欲しい。
そうも思う。
彼女はしばし考え込むと、


「でも、まずはクラスメイトを揃える方が先よね。じゃないと青春は盛り上がらないわ」


何度もうんうん頷き、くすくす笑う。
纏う妖気は高まって、とどまる所知らず。


眼下の少年少女のやりとりは、まさに青春そのもので。
彼女は期待に胸を膨らませる。
だって、本当に楽しそう。
あの中に、自分も加わることが出来たなら……きっと、もっと青春な筈だ。

青春、青春、青春……っ!

だから彼女はジッと機会を待つことにした。
このクラスの中心人物である男。
どことなく危険な香りのする彼がスキを見せるのを待って。

ジッと……ジッと……

それが、今の彼女の青春を破壊するなんて思わずに。

ジッと、ジッと…………


ただ、この時、彼女がもっとキチンと男を観察していたのならば、この後の展開は変わっていたに違いない。
今は彼の周りに女子が一杯いるからと、少しだけ目を離して『自分のクラス』での活動を中心にしてしまい。
結果、彼女は見逃した。横島という男の一端を見る機会を失ってしまったのだ。

彼がどういう人間なのか、表面だけでも解る、その機会を……






























昼休みが終わり、午後の授業の始まりのチャイムが鳴り響く中、とある人気(ひとけ)のない教室から悩ましげな声が聞こえてくる。
それは複数の女子の喘ぎ声が合わさったハーモニー。
教室の中を覗いてみれば、9人の女子と一人の男子からなる不純異性交遊が見られるはずだ。
男子は言うまでもない横島忠夫その人で、女子は横島のクラスメイト兼恋人である。
だが、その不純異性交遊の現場は、いっそ異様という言葉が生易しい。
男一人に女9人の乱交現場である。

異様なのも当然なのかもしれないが、その行為自体が通常の行為ではなかったのだ。
横島に突かれ、激しく身悶えては抑え切れない嬌声を喉から迸らせる一人の少女……というのは、学校の教室であることを考えればインモラルではあるが、まあまあ普通である。
が、他の8名の女子までもが、同じように身悶えては嬌声を上げているではないか。

そう、それもそのはず。

よくよく見れば、残り8名の女子達の若鮎のような瑞々しい肢体には、光る触手のような物が絡みつき、ウネウネと淫らな動きを繰り返している。
その光る触手は横島の両手から出ており、知る人が見ればこういうだろう。


『ハンズオブグローリー』

横島忠夫の有名な霊能の一つ、霊波刀に近い。


え……霊波刀? yes! 霊波刀!


横島が何百という年数をかけて編み出した、莫大な数に増えた使徒達を寝技で組み伏せる為のハーレム用性奥義の一。
これにより、一度に相手する女性の数を大幅に増やし、それどころか、今までノータッチであったある場所にすら調教の手を伸ばすことに成功したのだ。
さて、それは一体どういうことなのか、目の前の実例を元に説明……ペニスで直接犯されている女子を除き、横島の両手から出る光る霊能の触手で犯される8人の女子の様子を見てみよう。
無数の光る大小太細様々な触手は女子の肌にいやらしく絡みつき、膣穴やアナルは無論、乳房や乳首を締め付け、うなじや腋にウネっていた。

その中でも特に視るべき所は細い触手。
乳腺や尿道にまで侵入し、更には微小な霊力まで流して性感を刺激する。
霊力による性感刺激は、とある世界で仮契約と呼ばれる儀式を参考にしていた。
これにより、霊力を流される被験者の身体の内側……人の手が絶対に届かない場所への性感開発すら可能になったのだ。


……で、あれば、その身を襲うは、人の身では到底到達出来よう筈の無い高みの性感。
気が狂いそうになる程の連続した細かい絶頂が、『自分の番』がくるまで延々と続く。
もっとも、自分の番がきても終わるのは細かく小さな連続アクメだけで、代わりに始まる極大の官能は、暴風などという言葉がいっそ生易しく感じるものだ。

今現在、自分の番がきて横島に直接突かれている女子を見ればそれも納得。


「ィ……ッ!? ぅぁああ……ヒッ! あ────ッ────ッ!!!」


口からだらしなく涎を垂らし、随喜の涙は滂沱の如く流れ止まらない。
髪を振り乱し、言葉にならない言葉で喘ぎに喘ぐ。

辛い、苦しい、もうやめて……
だって、流石にこれは少しキツイ。
抵抗したいし、なんとか逆襲したくもあるが、しょせんは15~16の小娘。到底太刀打ち出来る筈もない。
実際、9人の内、2人は横島と出会う前に彼氏がいた経験有りではあるが、横島と前カレは比べるのもバカバカしい。

高校生の筈の横島忠夫のテクニックは、その実、スケベ中年のねちっこいテクニックなど鼻で笑う程度でしかない。
数百年もの間、毎日欠かさずセックスしてきた横島のエロ経験値は既に那由他にすら到達している。
それに女を高揚させる雰囲気作りと、巧みな話術が合わさった時、もう彼無しでは生きてはいけない肢体にされてしまうのだ。

それに比べて前カレなんざ、数でいえばせいぜいが1人か2人と、数回程度しか女を抱いた事のない初心者同然。
横島の超絶エロテクニックの前では、前カレとの経験なんて無いのと同じなのだ。
……いや、知っていればこど、横島の凄まじさが良く解る。
残り7人の横島以外の男は知らない女子達も、そんな前カレとの経験談を聞き、横島と比べれてしまえば……もう他の男なんて目には入らない。
それだけの超絶テクニックで容赦なく攻められ、しかも象徴たる彼のペニスの大きさときたら!
……比べること自体がおこがましい。
アリンコと象さんくらいの違いが間違いなくある。
で、あれば、辛くて辛くて仕方ないのもしょうがないではないか。


「あ、あぅ……ぁ、これひじょうさえた……ひ、ひんら……う……んんんんんっ!!」


これ以上されたら死んじゃう! もうやめて! と、いいたい言葉は言葉にならず、でも……
ついさっきまで霊能である触手に犯されていたせいのだろうか?
彼に直接貫かれるのは、本当はイヤじゃない。
見かけによらず逞しい胸に抱きすくめられて感じる彼の体温。
ただ機械的に快感を引き出す触手と違い、暖かく、暖かく、暖かく……


「……す、きぃ……だい、す……き……ぃ……」


横島に貫かれている女子は遂に辛さを乗り越え、足を、腕を、彼の背中に絡ませた。
いわば大好きホールドというヤツだ。


「おっ! 積極的だなぁ。かーわいいぞぉーコイツーっ!!」


ドクンっ!? と膣内で縦横無尽に暴れ倒す横島チンポが脈動した。


「ひぃっ!?」


と恐怖に大きく目を見開く。
だって、ただでさえ大きい彼のチンポが、一回り……違う! 二回りは大きくなった。

……早く逃げないと、大変な目にあっちゃう! そう思うのだけど……

かわいいって言ってくれたことが嬉しくて、歯がガチガチ恐怖に鳴っても、絡めた腕や足が解けそうにない。


「俺の腰の動きにゆっくりでいいから合わせるんだ」


膣内を往復する速度は、確かにさっきまでよりゆっくりだ。
なのにお腹の中の感度がおかしくて。
泣きそうなくらい感じてしまい、ガクガク腰が痙攣して止まらない。
だから動きに合わせるなんて、到底出来そうにない。


「んんぅ……っ! す、すご……すぎ……あ、あぁっ、なにも、考えられなく……あ、あ、あ、ん、イクのがとまんないよ……っ!?」

「だいじょーぶだいじょーぶ。あせらず、ほれっ」


くんっと腰を跳ねらせる。
すると、目も眩むような愉悦が全身を襲った。
合わせなきゃって思うのに、痺れるような快感に身震いすることしか出来ない。


「ご、ごめ……っ、でき、な……ん、ん、んぅううっ!」


悔しくて、申し訳なくて、目に涙がいっぱいたまった。
だけど横島は気にするなと優しく背中を撫でさすった。
……気持ちが昂ぶる。悔しさではなく、嬉しくて涙があふれた。
この時、自分では気づいてないのだろうけど、抽送に合わせて自然と腰が揺らめき始めた。
気持ちが、快感に打ち勝ったのだ。
周囲の……触手に犯され嬌声を上げる声が聞こえなくなった。
見えるのも、聞こえるのも、感じるのも……ただただ彼のモノだけで。


すき、すき、すき……キスして、すき……


泣きながら唇を突き出し、欲しい欲しいと身体を揺さぶる。
そして思いは叶い、唇を塞いで貰った瞬間、びゅくびゅく、お腹の奥で弾ける何か。


どくん、どくん、と子宮を満たす。
……満たされる。
お腹の中だけじゃない。心が、満たされる。
幸せそうに微笑を浮かべ、更にきつく彼を抱きしめ。


  すき……


もう一度、心の中でそう告げた。
気づくと彼は自分の身体から離れ、次の女子の下に行ってしまったけども。
彼の体温を感じれないのは少し寂しい。
でも、再び身体を這い始めた触手が、その寂しさを失くしてくれた。
ちょっとイヤだった触手が、こんなにも愛おしく想える。
それはきっと、これから彼を感じられるから。

見れば自分よりも先に抱かれ、そうして同じように再び触手に纏わりつかれている『仲間達』も、股間から精液を垂れ流しながら嬉しそうに喘いでいる。
逆に、まだ彼に抱かれていない子は、少しだけ辛そうだ。

……早くアナタ達もシテ貰えるといいね?

そう思いながら両腕を大きく広げ、彼の波動を感じる触手を、身体の中に一杯受け入れた。


このように、『夜のハンズオブグローリー』に猛威に晒された者は、気づけば一様にこうなってしまう。

ストックホルム症候群とでも言おうか?
それともマッチポンプ?
……どちらも同じか。

とにかく、横島自身が作り上げたハーレム用性奥義は、どれも一律たちが悪い。
そのたちが悪い奥義に晒されている女子達は性欲旺盛なお年頃。
だから好きな男に嬲られる悦びも確かにあり、それを無理矢理引きずり出された結果がコレだ。
少女達の心の中には、霊能力なんて怪しげな力で犯された苦しい記憶よりも、優しく愛されたという記憶だけが残った。

昼休みも完全に終わり、5時限目の授業も半ばが終わったであろう時間には、彼女達は仲良く股間から蜜と精をブレンドさせたいやらしい液体を垂れ流しながら、実に嬉しそうに『夜のハンズオブグローリー』を受け入れていた。
横島が雄々しくペニスをソソリ立たせながら仁王立ちする足元に、躾けられた犬の様に這い蹲りながら期待の視線を向けるのだ。
横島はそれに応えるように、自らのペニスをシュッシュッと擦り、それを見た女子達は顔を上げてうっとりとその時を待つ。
そして……ドビュルルルルルルルルゥゥゥゥゥッッッ!!! 顔と言わず全身に豪雨の如く降り注ぐ白濁液。
まるで敬虔なる信徒のように陶然としながらその身に浴びる女子達は、「はふぅ……」と熱のあるため息をしながら、ブルルと身体を震わせた。


一人一発、最期の顔射で10発目。
5時限目の残りの時間と、6時限目の授業の間で、なんとか体力回復させねーとな。

と、横島は突かれたように腰をトントンと叩いた。
なんせこれからなのだ。彼女達を宥めるために出した提案は。

まあ、簡単に言えばデート。
9人の女子と横島一人じゃバランス悪いが、これはこれで仕方ない。

他の男なんざいらんからな。

横島は現役のゴーストスイーパーだ。
だから金はあるけど、思っていた以上に暇はない。
暇がないのは、これでも事務所を持って経営までしているからだけども……
だからこそ彼女達との時間は余り取れず、取れたとしても早苗や冥子、何よりアスナが優先だ。

彼女達も不満だったろう。
せっかく恋人になったのに、相手を全然してくれないのだ。
横島としては、イタリアでの仕事で入った収入が思った以上に莫大……数億円規模……だったこともあり、今週一杯は仕事をするつもりはなかった。
学生だからといい訳し、これから入って来る仕事を全てキャンセルするつもりなのである。
そこで空いた時間のほぼ全てを、彼女達との時間に使う。
そう約束し、彼女達を宥めたのだ。

今やっていたのは、それの手付け……というか、横島への報酬である。
なんせデートの資金は全て横島の財布からでるのだろうし、あれこれと物をねだられもするのだろう。
横島も普段あまり構ってやれない罪悪感もあり、学生としての限度を超えない限りは買ってやるつもりだ。
まるで援助交際みたいな感じがしないでもないが、実際問題魂の年齢は膨大に離れているし、金なんてもんは使ってなんぼのモンである。

っていうか、積極的に遣わねば、経済も回らない。

そんな言い訳をしながらも、本当の所は何かを買ってあげるというのは、結構楽しいものなのだ。
それだけが目当ての女だったらアレではあるが、彼女達はそうではない。
横島が金持ちであることもあって遠慮はしないだろうけど、そういう女じゃないっていうのは間違いないから。
横島は彼女達に気づかれぬように文珠を使い周囲を『清』めると、目をパチクリさせる彼女達に、


「俺の霊能だよ」


と笑って誤魔化した。

他の世界ならともかく、この世界では霊能というオカルトは、立派に社会権を得ている。
『何が何だか良く分からない力』というのが、一般的な認識ではあるけど、だからこそ、この不思議現象にも納得してしまう。
ただし、一般人ならば……だけれども。
流石に普通は、こんな現象を起こせはしない。

でも彼女達は当然それを知らない訳だから「へ~、凄いね~」とか「わたしも覚えたいなぁ」とか、反応はいい感じに上々である。
後は5時限目終了までここで身体を休め、6時限目の授業は教室で寝て過ごし、放課後は彼女達と街に出かけて普通の高校生らしく楽しもう。 
横島は、9人の中でも一際元気な唯香を抱き寄せ眼をつぶると、そのまま心地好い疲れの中で意識を閉じた。
5時限目の終了のチャイムが鳴るまでそうして過ごし、6時限目は当然のように居眠り状態。
古文の教師が時折忌々しそうにチョークを投げつけたりしたものの、横島は平然と居眠りを続けていた。
くーくー決して小さくない寝息を教室に響かせる横島に、9人の少女達は微笑ましそうに見ている。

ただ……眠ることで体力や精力を回復させているとしたら、この後、ちょっと大変だよね? と少しだけ戦々恐々。
なんせ9人でがかりでメロメロにされたばかりである。
放課後は、場所も時間もさっきの比ではないだろう。
そんな中で、本気の横島忠夫に抱かれてしまう。
きっと、それはとってもエキサイティングで、でも一方的な蹂躙劇だ。
……ぐちゃぐちゃのドロドロにされる様をあまりにもリアルに想像出来てしまい、ヒクリと頬を引き攣らせる女子達。


ああ、もうこれはあれじゃない? 他にも何人か誘ってみようよ。


彼女達には自分達以外にも彼に想いを寄せ始めている子がいることを当然のように認識しており。
その子達を誘うことに不満はあれど、それ以上に安堵の念があった。
数が増えれば構って貰える時間は減るけれど、それ以上にエッチの時間が楽になる。
……だったら抱かれなければいいんじゃないの? と思うかもしれないけれど、それは論外、話にならない。

彼女達とて思春期特有の暴走気味な性欲があるのだ。
当然、セックスが嫌いな訳ではない。むしろ好きだ。もっとも、相手が横島忠夫なら……という前提条件が付くけれど。
ただ、一人では……違う、9人程度の数では、彼の全力全壊のセックスには付き合い続けることが出来ないのだ。
それは屈辱でもあるし、残念でもある。
いつかは一対一で最後まで付き合えるようになるつもりではあるけれど、今はムリ。絶対に無理。
そんな訳で、9人は9人とも、自身のクラスメイト……ただし女子のみ……をグルリと見渡した。


誰にしようか? とこっそり相談する彼女達は、当然のように見逃さない。
誰も彼も、みんな居眠りする横島をチラチラ見ている。

これは誰を選んでも大丈夫かな?

そう思いながら2~3人、ピックアップしていく彼女たちではあったが、残念なことに、その努力は報われなかった。

なぜならば……

突如天井から降って来た机……いいや、化け物が、赤く大きな禍々しい舌で横島の胴体を絡め取り、そのまま机の下に飲み込んでしまったのだ。


「よ、横島くんっ!? いやああああああああああああっ!!」


普段なら眠気と戦う静かな古文の授業が、一転して騒然とした場になった 
そして、直後に自分達をも飲み込む机に……


「横島くん助けてぇーっ!」


その彼がいない今、少女たちの願いはただむなしく。
だれにも、どうにも、出来ようはずはなかった。







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