「どちくしょ~、何で老師とここのとこ毎日戦闘せにゃならんのだ~」
叫び声を上げながらも、老師の怒涛の攻撃を何とかかわしているのはさすがとしか言えない。
「ほれ、横島さっさと攻撃をしなければ、新しく作った武器が無駄になるぞい」
そう言いながらも、攻撃の手を緩めないのだから全く持ってひどい闘神である。
「だったら、最初のころみたいに試しうちさせて下さいよ。こんなに攻撃され続けられたら、人間には反撃なんて不可能ですよ~
(ちくしょ~最初のころは、老師も試しうちの標的になっていてくれてたのに、恨みで思いっきり攻撃してたのがばれたか?)]
「武器は実戦の中で扱えてこそ意味があると思ってな、それにワザと食らうのは性に合わん。(まあ実際に食らうと、ワシでも軽く後退したり防御せねばならんものがいくつかあったのでな)」
「後半が本音か~このクソ猿~~」
横島が老師と戦闘している訳は、彼がルシオラとの絆と今度こそ大事な存在が出来たとき守れる強さを求め、太極図型の文珠を
自由に作れるようになりたい旨を老師に相談しに妙神山を訪れたのが不幸の始まりであった。老師の元には、小竜姫にも知らせて
いない客人がいた。 互いに自己紹介したところ、サマエルと名乗られた。彼は魔界でもかなりの実力者であるらしい。
何故そんな魔神がいるのかと言うと、彼も老師と同じ趣味を持っているらしく、よく討論をするらしい。互いに方向性の違いで
よく最終的に、殴り合いに発展するらしい。お互いにまだ少しは理性が残っているのか、互いに結界をはり外に気づかれないようには
しているらしく、気づかれたことはないらしい。
両者に訪れた理由を話したところ、条件付でOKをもらえた。その条件と言うのが、両者のはまっているゲームの武器等を
作るのに文珠を使用することであった。
太極図型の文珠作成修行には、前回の修行時と同じように老師が展開した空間内で行われた。今回は、老子だけではなくサマエルとも
ゲームをするはめになったのである。行ったゲームが、二人の作りたい武装の元になっているらしく横島も無理やりやるはめになるのだった。
修行のラストはもちろん老師との一騎打ちかと思っていたのだが、面白そうだとかいうふざけた理由でサマエルも交えた1対2という、
戦いではなく処刑になった。死ぬ思いを何度も体験したが、2人がうまくて加減したのか天に召されることもなく、
何とか太極図型文珠を作成できた。記念すべき初単語は「蘇生」であった……(横島に使った記憶なし、修行終了後二柱は妙に優しかった。)
そして、老子・サマエル・横島の2柱と1人の武器共同開発が始まったのである。色々な武器を開発したわいいが、普通の人間では
振るえないものや、打った反動で肩が外れるなど凶悪極まりないものばかりできた。横島自身も、文珠によるサポートなしでは
使えないものばかりであった。というか横島が使うには、文殊との同時使用で真価を発揮するものが大半であった。
素でも使えそうな人物は、目の前にいる二人のような神族や魔族、知り合いではマリアなどの腕力や強度の高いものぐらいであろう。
武器の他にも、防具とアイテムの作成を行った。アイテムの中の一つに、時間移動もできる転移装置を作ってしまった。
冷静になって3人で考えてみると、時間移動は最高責任者の承諾が必要であり、それを単独で使えるような装置を作ってしまって
大丈夫なのかという話になってきた。とりあえず武器の性能テスト終了後にどうするのかを決定することにした。せっかく苦労して
作ったものを壊すのは、気が引けてしまったのである。すぐに壊していれば、横島に悲劇(喜劇?)は起こらなかったであろう。
ちなみに作ったもののほとんどは、「収納」の太極文珠に収め、ペンダントにして横島の首にかかっている。「収納」の太極文殊を
首に下げているのは、ダサいという話になり老子とサマエルの力で文字を見えなくした。
そして話は冒頭に戻る。
「ちょっと考えたんですが、老子かサマエルが武器のテストすればいいじゃないですか~」
「ワシには、如意棒が有るしのう」
「俺も武器は使わない主義でな」
「「それに、作った武器が振るわれてるのが見たいから(の~)(な)」」
「そんな理由で、闘神と魔神との戦闘を交互に繰り返すのは嫌じゃ~」
会話をしながらも、横島はブリッジしながら走ったり、手に持った紅色の槍で棒高跳びのように跳んだりして人間離れした回避能力を
見せていた。ちなみに手に持った槍はまだ一度も振るわれていない。
「ほれ早くその槍の力を見せて見よ、本物とは違うが、それでも似た攻撃をお前なら文珠で再現できるじゃろう、
早くせんともう少し力を出すぞ」
この槍は老師の願いで作った武器であり、横島でも文殊なしで振るえる数少ない武器であった。
「ふざけるなこの猿!(くそやっちゃる、でもこの槍の力だと真正面から突進することになるからな、それは無理だ。
あの猿相手に真正面から突進するなんぞ、自殺志願者か雪之丞みたいな戦闘狂だけじゃ)」
そして横島は、「転移」の太極文殊を発動し、老師の上に出現すると、
「その心臓寄こせや!」
叫び突きを放とうとしたが、その瞬間老師の姿が横島の視界から消え、いつの間にか
横島の横にいた老師が、ほとんど手加減抜きの攻撃を放つと、如意棒を頭部に食らった横島は、
見事に飛んで行ってしまうのだった。
「馬鹿者が、転移などつまらんマネをするではないわ」
老師の攻撃を食らった横島は
「…(あかんこの衝撃は、大気圏突入以上だ…死ねる)」
横島が吹っ飛んだ先にて、転移装置に衝突してしまい装置が起動してしまったのだ。この転移装置の元となった名は「リュケイオス」と呼ばれていた。
こうして世界から横島忠夫が消えたのである。