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[14392] 《習作》喧嘩代理屋サル
Name: ダブ◆bc402f76 ID:d9a35e28
Date: 2009/11/30 22:29
夜8時、都心から離れた所に使われていない2階建ての倉庫がある。

倉庫の外壁のコンクリートはボロボロになり、少し触っただけで剥がれ落ちる。

窓ガラスは所々割られ、風が入らないようにベニヤ板で何とか防いでいた。

不良達が面白がって描いた落書きが、より一層気味悪さを引き立て、周辺に住んでいる住民は倉庫の前を歩こうとはしない。

しかし、この倉庫は夜な夜な灯りが付けられていた。

そして倉庫の1階には冷蔵庫、ノートパソコンとパソコンを置く木製の机、ソファーが2つ、テーブルにサンドバックがあり、3人の男と1人学生服を着た女学生が居た。
女学生の髪は黒く肩まで伸ばし、白い肌に華奢な四伎、パッチリとした瞳、あどけなさが残る顔。
女学生はソファーに座り、居ずらそうに俯いて横目でチラチラ周りを見ている。

1人の男の髪は黒く、白パーカーに青のジーンズに眼鏡を掛け、ヘッドフォンを使いノートパソコンで、音楽をずっと聴いている。

1人の男の髪は真っ赤で、短パンに上半身を裸にして、夢中でサンドバックに蹴りを入れたり、パンチを入れていた。それを永遠と。

1人の男の髪は茶色で、白のシャツにネクタイ、黒のズボンを着て、爽やかそうな男。

白シャツの男は冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、女学生に渡し、テーブルを挟んでソファーに座った。

不味い所に着てしまったのではないか。

女学生は嫌な予感がしていた。

こんな夜更けに、見ず知らずの男達と居るのは生まれて始めてであった。
女学生の頭の中は、ずっと最悪の事態が絵に浮かび、冷や汗を掻いていた。

目の前の男がビクビクしている女学生に小さく微笑む。

「恐がらなくて良いですよ。今アナタが想像していることはしませんから」

女学生はハッとし、考えていた事を当てられバツの悪い顔をする。

それを見た白シャツの男はクスッと小さく笑い、口を開く。

「まずは自己紹介でもしましょうか。僕は美山 悠。このメンバーからは茶ザルと呼ばれているから、まあ好きに呼んで下さい。
それで、あのヘッドフォンを掛けているのが左江田 翔太。あんまり喋らなくてマイペースな性格だけど良い人です。黒ザルって僕らは呼んでるからこれも好きに呼んで下さい。
最後にあのサンドバックを叩いたりしている奴は「ハイハイハーイ!俺の名前、渡 辰間!! 赤ザルって呼んでね!」……」

辰間はサンドバックを蹴るのを止めたかと思えば、女学生の側に顔を覗かせて溌剌として声で悠が紹介するのを遮って名乗る。

女学生はいきなり現れ、声の大きい辰間に驚き、ひっと声を漏らした。

「大変良い自己紹介ですよ赤ザル。
ただ彼女が少し引いてます。少し落ち着いてください」

悠は表情を崩さず、静かに言う。

赤ザルはテーブルに置いてあるタオルを取り、汗を拭きながら、悠の横に座った。

少し間を置き、では、と悠が言葉を繋げる。

「僕達は自己紹介をしました。次はアナタの名前をお聞かせ下さい」

悠が丁寧な口調で言った。

「……真中 愛理です」

女学生、愛理は少し考えて言った。

何もしないと悠は言ったが、愛理はまだこの男達の事を信用はしていなかった。

ここは人通りが無い。

無いと言うことは、何が起きても闇に葬る事が可能。

何時でも逃げれるように、警戒しなくては。特に辰間という男にと言い聞かせる。

「真中 愛理さんですね。分かりました。良い名前ですね。可愛いらしくて。
さて、早速本題に入りましょうか」

そう、彼女には目的が有って此処に着たのだ。

「僕達は喧嘩代理屋サル。アナタが出来ない喧嘩を私達が代理でやります。
黒ザルが喧嘩の相手を捜索し、または情報集め、赤ザルが喧嘩をし、真中さんと詳しい打ち合わせをするのが僕になります。個々までは宜しいですか?」

愛理は無言でゆっくりと頭を縦に振り、悠は更に続ける。

「代理料はお金の時もあれば、物にもなります。アナタに何か特技があればそれが代理料にもなります」

愛理は怪訝そうな顔をする。

「特技ですか?」

「はい。例えば歌だったり、踊りだったりとか、まあ僕達が興味を引きそうなものですね。ちなみに何か特技はおありですか?」

愛理は少し考えて、歌もそれ程上手いわけでもなく、踊りも踊れない、ならば自分の特技はコレしかないと、ダメ元で言ってみることにした。

「えっと……、趣味でバイオリンを弾いているのでそれでも良いんですか」

「うっわぁ! マジで! 俺バイオリンなんて生で聴いた事無いから聴かせて!」

予想外に辰間が身を乗り出して食いつき、愛理は辰間のテンションの高さに愛理はまた引いた。

「決まりですね。では愛理さんはバイオリンということで宜しくお願いします」

悠は一礼し、愛理もつられて頭を下げる。

辰間だけは目を輝かせて、愛理を見つめていた。
第一印象は顔つきから怖い人印象があったが、子どもの様なその眼に、愛理はクスッと小さく笑った。

「漸く笑いましたね。
可愛い笑顔ですね。ね、赤ザル」

「可愛いな〜。 俺今回の喧嘩気合い入れるわ!」

悠と辰間に誉められ、恥ずかしくなった愛理は慌てて顔を背けた。

「代理料も決まったところで話を戻しましょう。愛理さん、今回アナタの依頼内容を聞きかせ下さい」

悠の言葉に愛理は堅くなり、先ほど柔らかくなりそうだった表情が険しく、身体は全身を振るわせ、悔しそうに唇を噛みしめる。

和み掛けていた雰囲気が重く、空気はゆっくりと流れていた。

更に、この3人の男に話すべきか思い悩む。

これは軽々しく赤の他人に話すべきではない。

どうするべきか、答え倦ねていると、辰間が口を開く。

「俺馬鹿だからさ、愛理ちゃんが何に悩んでるか解らないけど、どれだけ傷ついたか解るよ」

「え?」

「昔の俺と同じ眼してる。辛くて、誰かに助けを求めてるんだろ?
なら俺達に話してみなよ、愛理ちゃんの心傷を」

辰間は軽い口調だが、力強い眼で言う。

愛理は苛っとした。この人達に、私の受けた心の傷を話した所で解るわけがない。

それが表情に現れ、辰間を鋭い視線で睨む。

そこに悠が割って入る。
先程の爽やかな笑みではなく、真剣な顔つきで。
「愛理さん、赤ザルは人の痛みが解るんです。心の傷がね。
赤ザルはこのメンバーの中で1番地獄を見てきましたから。
まあ、愛理さんが見てきた地獄と比べるのはどうかと思いますが……、
地獄を多く見た人程、他人に優しく、何かしてあげたいと思うんです。
話してみて下さい。
僕達に話した処で何が出来る分けでもなく、解決できる分けでもないですが、聴くことは出来ます。話せば少しは楽になると思いますし、それに僕達は愛理さんの敵ではありません。そこだけは信じてくれませんか?」

悠は力強い言葉で諭す。
愛理は少しの間、悠と辰間の言葉を信じて良いものか考え、結論がでる

「1ヶ月前……。姉が自殺しました」


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