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[16289] 魔法少女リリカルなのは GOLD KING (Fate×なのは)    
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/05 16:42
題名通りリリカルなのはとFateのクロスです。

出来るだけご都合主義がないようにします。

リリカル世界に行くのはギルです。(fateルート)

性格はホロウよりです。

ギル以外のサーヴァントも登場します。

型月世界で死んだ人間が出てくるかもしれません。












 「憎らしい女だ・・・最後までこの我に刃向かうか」


だらりと下げた腕を上げ目前の騎士を確かめるように、彼女の頬を指でなぞる。


「だが許そう。手に入らぬからこそ、美しいものもある」


指が滑る。上がっていた腕が、力無く地に落ちる。


「ふん―――ならばこそ、我がおまえに敗れるは必定だったか」


不機嫌に舌を鳴らす。
そうして、最後に。


「ではな騎士王。―――いや、中々に愉しかったぞ」


口元に皮肉げな笑みを作り、黄金の騎士はかき消えた。






(ふん。―――結局セイバーは手に入らなかったか・・・・まあいい、よい暇潰しにはなった・・・・)


ギルガメッシュの意識は緩やかに薄れていった。






                                    


 「何だ?ここは・・・・・・」


彼が目を開いた時、広がっていたのは全く理解が出来ない光景だった。


「ここは何かの屋内か・・・いや待て忌々しいがサーヴァントが消滅すれば聖杯に取り込まれる筈、これは何の茶番だ」


少なくともここが聖杯の中には見えない。


「ちっ―――だが致し方ない・・・・まずは此処が何処か確認せねばならんな・・・・」


そういい彼は建物の中を進んでいく。
中は広くまるで誰かの屋敷のようだ。


「ふんっ汚らわしいな。これ程の妄執、どれのものかは知らんが不愉快なことだ」


到る所に染み付いた鬼気迫った妄執を感じ取り不愉快そうに吐き捨てる。
だが


「しかし、これ程の怨念、並みの雑種に出せる物ではない、これはまっ、ん」


いつの間にか彼の前には大量の意思の無い兵士が傀儡兵が刃を向けていた。


「ほう人形が王たる我に刃を向けるか・・・失せろ!!!」


その言葉と同時に数多の宝具が飛び傀儡兵を粉々にする。
たかが傀儡兵が彼の魔弾を受けられる筈が無い。


「ほう、漸く、この館の主の御出ましか?」


皮肉げな笑みを浮かべながら目前に現れた女を見る。
だがその瞳は明確な殺意をもって女を睨みつけている。


「あなたは何者?管理局の人間じゃないようだけど」


「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない。といいたいが貴様には聞きたい事があるのでな。今しばらく生かしておいてやる」


どこまでも上から目線のギルガメッシュにプレシアも不愉快になる。
そして、


「少し眠りなさい」


魔法を放った。


「愚か者が格の違いすら分からんか、女」


王の財宝から鏡のような盾を取り出す。
魔法は盾に当たるとそのまま放った本人を襲った。


「なっ!!ぐっあああぁぁ!!!」


予想外の出来事に避けるのが送れてモロに自身の魔法を喰らってしまう。


「我は少々、機嫌がいい。二度目までは許した。・・・・・だが次はないぞ、女」


そのままプレシアの目の前まで歩いていくと思いっきり蹴り飛ばした。


「ぐっうう」


蹴られた彼女は呻き声を上げるが英雄王は全く気に止めた様子もない。


「さて、最初の質問だ。ここはどこだ女?」


目の前に堂々と佇む男を見て思ってしまった。
それは理解というよりは生物としての本能からの思いだ。
こいつには絶対に勝てない。この男は自分を殺す事に何の躊躇いも無い。
今、自分が生き永らえているのは単なる気紛れにすぎないのだと・・・・


「時の庭園・・・私の居城よ・・・」


時の庭園・・・彼には覚えの無い単語だ。


「ほうで時の庭園とは、どこにある。日本か?それとも中華の国か?」


日本という単語にプレシアには聞き覚えがあった。
確かジュエルシードが落ちた世界の国名が日本だったはず・・・


「日本と言う事は貴方は地球の人間なの?」


問い掛けに対して不機嫌そうに宝具を飛ばす。
放たれた剣はプレシアのすぐ横に突き刺さる。


「女っ質問しているのは我だ。――――だが気になる事を申したな・・・地球の人間だと?如何いう事だ?地球以外に人間がいるのか」


目の前の女の言い方はまるで自分が地球人ではないような言い方だった。


「何を今更・・・・・・ああそう、そういう事、貴方、次元漂流者ね」


「次元漂流者?何だそれは?」


「簡単に言えば迷子よ・・・異なる世界から他の世界に何らかの理由で転移してしまった人間、それが貴方、でも良かったわね地球の人間なら直ぐに帰れるわよ。座標も知っているし・・・」


本来ならばこのような親切はしないが、彼女も目の前の男には早々にここから立ち去って欲しい。


「成る程・・・で貴様が先程、使った魔術。あれは何だ?我は今まであのような魔術は見た事がない」


「魔術?ああ魔法のことね・・・そんなに変かしら。ミッド・チルダ式は一般に流通している魔法よ」


(魔術ではなく魔法か・・・・ふん茶番と思ってはいたが中々に我を愉しませてくれそうではないか・・・)


「その魔法とやらについて詳しく説明せよ。簡潔にな」


詳しく簡潔には少々矛盾しているが、そこはギルのクオリティ
大魔導師であるプレシアは人に教えるのも非常に旨く、彼にデバイスの事や基本的な魔法について説明していく。


「ほお・・・実に興味深い・・・で最初に言っていた管理局とはなんだ?」


「管理局っていうのは時空管理局のことよ。言ってしまえば次元世界における警察みたいな組織で主に次元犯罪者の逮捕やロストロギア・・・古代の遺失物の事だけど・・・の管理・確保などが仕事よ」


管理との言葉で彼には気になる事が含まれていた。


「聞くが地球は管理局とやらの支配化にあるのか?」


気のせいか先程より威圧感のある声色で訊く。


「いいえ地球は管理局の管理下には無いわ.ただ管理外といっても次元犯罪者が逃げ込んだりロストロギアが落ちたりした場合は別、管理外世界だろうと必要であれば介入するわ・・・実際、地球出身の管理局員もいるし・・・」


(成る程、そんな輩が忍び込めば魔術師どもや教会の奴等が気付かぬ筈が無い。やはり平行世界か・・・・・だが例え平行世界であろうと王たる我の庭に無断で荒らすとは許し難き雑種共よ!!!我直々に滅ぼして・・・・いや王である我の庭を掃除した者として恩賞を与えるか・・・・)


「そうか。ではデバイスとやらを寄越せ」


いきなり変わった話に一瞬だが唖然とする。


「デバイスって・・ええ分かったわよ。持ってくればいいのでしょう!!!」


何か言い返そうとしたが宝具の群れがプレシアを真っ直ぐに狙っていたので何も言えずに従う。


(そういえば、あの男が何者か聞いてないわね)


いくら自分でも、あんな規格外は相手にしたくない。さっさと持ってくるとしよう。





 「はい。これがデバイス・・・一応、私の持っているデバイスの中でも最高の物よ(フェイトとプレシアのデバイスを除いて)どう満足した」


(粗悪品渡そうかと思ったけど・・・・)


その場合、自身の体が串刺しにされるのは目に見えている。


「ほうこれがデバイスか」


「Yes.My lord」


「ほう聞いてはいたが本当に言葉を話すか・・・・いいだろう、貴様を我が財に加えてやる」


「Thank you My lord」


そう言うと王の財宝にデバイスをしまう。


「ちっ不味いな・・・セイバーとの戦いで魔力を使いすぎたか・・・」


セイバーとの戦いで受けた傷は何故か元通りになっていたが魔力は元通りではなく・・・否、更に減っていた。
いかに受肉したサーヴァントであろうと魔力の供給なしでは存在できない。
早急に魔力供給を受けなければ困った事になる。


(だが、この女では満足に魔力供給はできん。どうやら優秀な魔術師・・・いや魔導師らしいが、これは病に侵されているな)


「女、ここには他に魔導師とやらは居ないのか?」


駄目元でプレシアに聞いてみる。


「ここには居ないけどさっき地球に向かった子がいるわ・・」


疲れているのか、つい正直に答えてしまう。


「そうか、で豊富な魔力を持っているか?」


「・・・・・・・ええ持っているわ」


(ほう、この間、その者に何か思う事があると言う事か・・・いい退屈凌ぎにはなるか?)


「そうか、なら早々にその者を呼び出せ。ああ、まさか嫌とは言わぬよなぁ、もし断るならば今死ぬだけだ」


「はあ~分かったわよ!!呼べばいいんでしょ呼べば!!!」


色々とあり過ぎて自棄になり叫ぶ。
そしてそのまま自身の・・・・・・娘であるフェイトにここに来る様に伝える。




「ふっ、精々我を愉しませろよ世界!」




誰に言うでなくそう呟いた。








後書き

次回はフェイトが登場します。







[16289] 第2話   Fate
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 23:11
 「あのっ母さん、今、帰りました」


ギルガメッシュは入って来た少女を観察する。
自分と同じ金髪赤眼の整った容姿、
だがどこか孤独な瞳をしている。


(この小娘・・・成る程、造花か・・・つまりは奴の娘の贋作といったところか)


この世全ての富を手に入れた英雄王の心眼は少女の出生の秘密を一目で看破する。


(だが魔力量は申し分ない)


少女の内包する魔力は前マスターである言峰は勿論のこと、更にその前のマスターである遠坂時臣をも上回っている。
サーヴァントの魔力供給も問題ないだろう。


(贋作というのは気に入らんが・・・まあ致し方ないか・・・・)


「そのジュエルシードはまだ・・・・」


「その事で呼んだんじゃないわ。この男があなたに用があるそうよ」


そう言ってプレシアの横に座る青年に目を向ける。


少女と同じ金髪赤眼
端整というには美しすぎる容姿
見るだけで分かる威圧感
そしてカリスマ。
それは少女の知る限り全く覚えの無い人間だった。


「あの、貴方は誰ですか?」


自身に用事があるという男に恐る恐る尋ねる。


「女、ジュエルシードとは何だ?」


だがその問いを完全に無視してプレシアにジュエルシードについて尋ねる。
彼にとって目の前の少女は自身に魔力を供給させるための道具でしかない。


「ジュエルシードはロストロギアの一種よ。全部で21個あって周囲の生物の願望を叶える特性を持っているわ」


(つまりは願望機か・・・・聖杯と同じ紛い物ではあるまいな・・・・)


元の世界にあった願望機・・聖杯を思い浮かべる。
あれは確かに願望機ではあったが、あらゆる願いを破壊という行動でしか叶えられない欠陥品だった。


「そうか・・・で、そこの小娘、今から我と契約しろ」


「えっ」


いきなり言われた事に何のことか分からずに戸惑う。
見知らぬ人間からいきなり契約しろと言われたら当然の反応だろう。


「あなた、契約って何の事?フェイトには、これからやって貰う事があるのよ。貴方に構う暇は「黙れ」なっ!!」


抗議の声は宝具が飛んだことにより強制的に黙らされる。
鎖で縛られたプレシアはそのまま地面に叩きつけられる。


「言った筈だぞ、三度目はないと、王の慈悲の言葉を忘れ刃向かったという事は、覚悟は出来ているのであろう」


背後の空間から武具が出現して狙いを定める。
整列した宝具は王の号令一つでプレシアの体を貫くだろう。


「身の程を弁えぬ輩は、死ね雑種」


号令と共に宝具が敵を抹殺する為に飛び出す。
宝具は全て首や心臓などの急所に向けて放たれている。
一つでも喰らえば命を完全に吹き飛ばすだろう。


「母さんっ」


だがそれは割って入った一つの影に防がれた。
少女――フェイトはギルガメッシュとプレシアとの間に飛び込みシールドを展開する。
だが宝具の威力の前には魔導師一人が咄嗟に張ったシールドなど唯、当たるのを先延ばしにする事しか出来ない。


「くっ、はあああ!!!」


全魔力をシールドに集中する。
決して破られる訳にはいかない。
もし自分が倒れれば次は後ろにいる母が餌食となる。
それだけは認めるわけにはいかない。


「何っ!」


少女のシールドは英雄王の一撃を防ぎきっていた。


予想外の展開に彼は驚愕する。
年の割には高い魔力量だとは思っていたがまさか宝具による攻撃を防ぐとは・・・


「貴様、何の真似だ、何故この女を助けた?」


純粋な疑問から聞く。
彼の見る限り、この少女はプレシアの作った人形であり、確固たる己の意思も無いように思えたからだ。
別に間に割って入った事を驚いたのではない。
単なる人形でも主人の危機には身を挺して守るだろう。
だが、この造花は自身の意思でプレシアを助けたのだ。


「母さんを傷つけるのは許さない」


殺気を受けつつも気丈に、その瞳を睨み返す。


「クックックフハハハハハハハッッッ人形が確固たる意思を持つとは、クックッおい小娘、貴様の名は?」


急に笑い出すと少女の名を聞く。
そこには、先程とは違い、道具としてではなく少女自身に興味を持った様子だ。


「えっ、えっとフェイト・テスタロッサ」


今さっきまで自分を殺そうとしていた相手が急に笑い出した事に理解が追いつかない。
何で彼はこんなにも面白そうに笑っているのだろう。


「ほうフェイト(運命)か覚えたぞ。・・・では褒美だ。お前の母とやらの事は特別に許してやろう」


鎖が解け解放される。
そのままプレシアは地面に倒れこむ。


「母さん!」


フェイトは母を支えようと駆け寄るが、鬱陶しそうに追い払われる。
そうしてプレシアは体の自由を確かめるように立ち上がり再び英雄王に尋ねる。


「でっ如何いう事、契約って、いきなり契約しろと言われても何も分からないわ」


大魔導師としての矜持か何の負担も感じさせない声色で言う。


「その事か。いいだろう。一から説明してやる。感謝しろよ」


そう言った後、語りだす。

自分が英霊である事

聖杯戦争という大儀礼にサーヴァントとして呼ばれた事

そしてセイバーのサーヴァントとの戦いの後、何故かこの場所に居た事を説明する。


「そういう訳だ。それで魔力が不足している故に魔力を供給するマスターが必要なのだ」


正直二人は理解が追いつかない。
二人とも卓越した頭脳を持ってはいるが彼の話した事は余りに突拍子もない事なのだ。


「正直信じられないけど、あれ、宝具だっけ、あんな物を見せられたら信じずにはいられないわね」


「御託はいい。で如何する。我と契約するか?何、ただとは言わんぞ。そのジュエルシードとやら我も手伝ってやろうではないか」


「どういうつもり・・・・さっきまでとは態度が全然違うじゃない」


いきなり態度を改めた男に警戒心を持つ。
自分では敵わないだろうが、いつでもデバイスをセットアップできる状態にしておく。


「我は貴様に聞いているのではない。口を閉ざせ女!・・・それでフェイトよ、決めるのはお前だ」


あえて命令でなく選択肢を与える。
その瞳には愉悦の色が浮かんでいる。


「・・分かった。契約するよ」


フェイトが選んだのは契約だった。
自分でも何故、こう答えたのか分からない。
ただ、何となく彼に惹かれたのだ。
引かれた理由も根拠もないが、ただ何となく目の前に堂々と佇む黄金の王に興味を持ったのだ。


「ほう。では我の後に続けるがいい」


過去の記憶から言峰が唱えた再契約の詠唱を引っ張り出す。





「汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に。聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うのなら―――」


「誓おう。汝の供物を我が血肉と成す。フェイト・テスタロッサ、新たなるマスターよ」


魔力供給のパスは滞りなく繋がり、英雄王に再び最強たる力を与える。
そしてフェイトの手の甲に令呪の模様が浮かび上がる。
本来は言峰の物であるソレは世界の壁を越えて新たなるマスターに捧げられた。


今此処に黄金の主従が誕生した。







【クラス】アーチャー
【マスター】フェイト・テスタロッサ
【真名】ギルガメッシュ
【性別】男性
【身長・体重】182cm 68kg
【属性】混沌・善
【能力】筋力B 耐久B 俊敏B 魔力A 幸運A 宝具EX

【クラス別能力】

対魔力:C

二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

単独行動:A+

マスター不在でも行動できる。

【保有スキル】

黄金律:A

人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。

カリスマ:A+

大軍団を指揮・統率する才能。
ここまでくると人望でなく魔力、呪いの類である。

神性:B

最大の神霊適正を持つのだが
ギルガメッシュ本人が神を嫌っているためランクダウンしている。

【宝具】

王の財宝

ランク:E~A++
種別:対人宝具

黄金の都に繋がる鍵剣。

空間を繋げ宝物庫の中にある道具を自由に取り出せるようになる。

使用者の財があればあるほど強力な宝具になるのは言うまでもない。


天地乖離す開闢の星

ランク:EX
種別:対界宝具
レンジ:1~99
最大捕捉:1000人

乖離剣エアによる空間切断。
圧縮され絡み合う風圧の断層は、擬似的な時空断層となって敵対する全てを粉砕する。

対粛清ACか同レベルのダメージによる相殺でなければ防げない。
宝物庫にある宝具のバックアップによってはさらに威力が跳ね上がる。

セイバーのエクスカリバーと同等か、それ以上の出力を持つ‘世界を切り裂いた‘剣である。




後書き

ギルがフェイトと契約する話でした。
ちなみにギルのステータスはzeroを基本としています。
なのはのサーヴァントは・・・誰にしようかなぁ。
やっぱりランサー?それとも王道でセイバー?大穴でバーサーカー。
ちなみにFate以外の型月キャラの登場は未定です。出て来るかは分かりません。
でもだすとしたら・・・ネロ教授どかロアどかも出したいな・・・・
いっそのこと、ワラキアでも出してしまおうか・・・・
いやネコアルクも捨てがたい(死んでないけど)













[16289] 第3話   Food
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 23:11
 「で、フェイトよ、お前は転移魔法を使えるのか?」


彼の世界で転移という魔術は、魔法にかなり近い魔術であり、現代において使える人間は極僅かしかいなかった。


「うん、使えるよ」


だがフェイトはあっさりと肯定する。
魔術では再現困難な転移をこの年齢で扱う事に自身の知る魔術とは似ても似つかない事を再確認した。


「そうか、失敗するなよ」


だが念のために忠告しておく。
もし間違って砂漠の真中にでも転移した日には目も当てられない。


「大丈夫だよ。何回もやった事あるし・・じゃあ、やるよ」


魔法陣が出現して二人を包み込む。
ギルガメッシュは一抹の不安を抱きながらも忽然とその場から消えた。








 「どうやら成功したようだな」


目に映るのは何処かのマンションの一室だろうか・・・
フェイトも動揺していない様だし転移は成功したと見るべきだろう。


「フェイト、お帰り・・・って誰だい!!そいつ」


主人の帰りを待っていた使い魔のアルフが主人と一緒に現れた男に対して警戒する。


「待ってアルフ。この人は新しく私のサーヴァント?になった・・・あれ・・そういえば名前は何ていうの?」


平行世界や聖杯やらサーヴァントについては聞いていたが名前はまだ聞いていなかった。過去の英雄ならば間違いなく名前はあるだろう。


「我の名か?ふん、いいだろう我が名をその胸に刻むがいい。我が真名は人類最古、古代ウルクの英雄王―――ギルガメッシュ」


かつてセイバーに名乗ったのと同じ様に己が名を明かす。
ちなみに彼もフェイトに自分の名前を言うのをうっかり忘れていた。
この、うっかりといい黄金律のスキルといい、間違いなく凛との相性は最高にいいだろう。


「ギルガメッシュ・・・それに英雄王?、あっそのギルガメッシュって王様だったの?」


「然り、真の王はこの我を置いて他にはおらん。後は有象無象の雑種にすぎん。気骨のある賊はいたがな・・・」


思い出すのは、唯一人、全力を持って叩き潰した、彼が認めた王、征服王イスカンダル。
自身が、ここに居るならば彼も、この世界にやって来ているのであろうか。


(いや、今は考えても意味の無い事か・・・)


「ねえフェイト、さっきから話に全くついて行けないんだけど。結局、こいつはどこの誰で、何なのさ!!!」


無視されていた少々、怒りながら言った。
どうやら自分を差し置いて会話していたのが気に食わなかったらしい。


「えっとギルガメッシュはね・・・・・」






                                    説明中




「英霊ね~という事は味方って事でいいのかい?」


「ああ我もジュエルシードとやらには興味もあるしな。ところで地図はないか?確認したい事がある」


「地図?あるよ」


はいっと地図を渡す。
ちなみにこれはジュエルシードの探索ように買った物だ。


(やはり冬木市は無いな・・・ほう、この街の名は海鳴というのか・・)


地図のどこにも冬木の名が無い事を確認して、ここが平行世界だという仮説を磐石なものにする。


「まあいい、ところで犬、食事を用意しろ。お腹が空いたぞ」


普通のサーヴァントであるならば食事は取る必要は無いが生憎彼は普通のサーヴァントではない。


「私は犬じゃなくて狼だ!・・・そういやフェイト、今日のご飯は?」


その言葉をうけたフェイトは冷蔵庫からコンビニ弁当を取り出す。
ちなみに鮭弁。特価250円


「戯け!!何故王たる我がよりによってコンビニ弁当なんぞ食わねばならん!!!台所はどこだ!!!我がつくる!!」


そう彼は英雄王!コンビニ弁当なんて認めない。


「えっでも材料が・・・・」


「フハハハハハハハッッッ甘いな甘すぎるぞフェイト!!見せてくれよう我が財の力を!!!開け、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」


空間が歪みそこから数多の財が出現する。


包丁を始めとする食器



野菜



チーズ

その他、多くの調味料

だが侮るな、それら全てが英雄王の目に掛かった至高の一品(神代のものじゃない)


「見せてくれる王の力を!!!」





そうやって出来上がった料理は・・・・


「おいしい」


「これ美味いね~でも何で料理ができるんだい?どう見ても、料理する様な人間に見えないんだけど」


「色々あったのだ・・・・・」


思い出すのは地獄の日々、
来る日も来る日も出てくる食事は激辛マーボーのみ。
あの時ほど令呪の存在を恨んだ事はない。
あのマーボーで何度死ぬかと思ったか・・・
その御蔭か気付いたら料理が出来る様になっていた。



ちなみに、その後、フェイトが少食だった事が発覚、だがギルガメッシュの剣幕に押されて残す事が出来ず、追い込まれる事になる。






後書き


ギルが少し崩壊する話でした。ちなみにギルが料理が出来る事に関しては完全にオリ設定です。まあホロウでもかなりキャラ崩壊していたから、この程度は目を瞑ってくれると幸いです。
なのは側のサーヴァントが相変わらず決まらない。
迷う。セイバーにするかランサーにするか・・・小次郎だと基本的に接近戦しか出来ないし神秘どか疎いから無理だしキャスターだと瞬殺されそうだしバーサーカーは狂ってるしアーチャーはありがちだしライダーは別の所で出したいし・・・zeroから出すとなると、一番いいのはランスロットかな?宝具的に対抗できるから・・・・イスカンダルは下手に地球に召喚すると世界征服に向かっちゃいそうで無理、ジルは駄目だ、全然リリカルじゃなくなる・・・ネコアルク出すと完全にギャグに変わるからなぁ、ギルは油断慢心がなければ文句無しの最強キャラだから下手な奴と戦わせると瞬殺してしまう。
となると能力と性格的に一番妥当と思うのがランサーかセイバーです。ランサーなら生き残る事に特化されてるし、ついでに言峰がマスターのせいで能力が下がっていたと解釈すれば十分にいける。セイバーなら能力値も全体的に高いしアヴァロンもあるなら対抗できる。もしご意見がありましたら感想を下さい。









[16289] 第4話   Magic
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/25 18:01
 「魔法を教えろ」


全てはその一言から始まった。


「魔法?あんた英霊って奴の癖に魔法が使えないのかい?」


アルフの思考では英雄=強い=魔法が使える、という事になるらしい。


「魔術なら使えん事はないが・・・生憎、この世界の魔法とやらは未知の物でな。それに何かと使い勝手が良さそうだからな。覚えておいて損はあるまい」


いかに卓越した頭脳を持ったギルガメッシュも魔法については何も知らない素人だ。
自分一人でも会得する自身はあるが誰かに教わるほうが効率的だ。


「うん、いいよ」


こうしてフェイトによる魔法講座が始まったのであった。






                                   
 適当に誰も居ない草原に転移した後、結界を張り準備する。


「それでギルガメッシュはデバイスは持ってる?」


「ああこれか」


王の財宝から取り出したのは先日、プレシアから強奪まがいの事をして手に入れたデバイスだ。
ちなみに形状は黄金の宝石だ。


「I haven`t seen you for a long time.My majesty.(お久しぶりですね。陛下)」


出て来て早々に挨拶を交わす辺り礼儀正しいデバイスの様だ。
このデバイスならギルガメッシュともうまくやれるだろう。
これが毒舌だったら・・・・・・


「これがギルガメッシュのデバイス?名前は何ていうの?」


「I am no name.(名前はありません)」


このデバイスはプレシアの持っていた物だが彼女が名前を付けなかったので名無しだ。
もしギルガメッシュがプレシアから強奪しなければ一生放置されていただろう。


「そうか、では王たる我が貴様に名を付けてやる。光栄に思えよ」


悩む。
このデバイスは他ならぬ英雄王の所有物の一つである。
故に貧弱な名前は付けられない。


「よし決まったぞ。貴様の名はマルドゥクだ」


マルドゥクとはバビロニアで信仰されていた武神でエアの息子でもある。
乖離剣エアの息子になるのだろうか・・・・


「Thank you My majesty」


どうやらデバイス――マルドゥクも嬉しそうだ。
光がピコピコと点滅している。


「いい名前だと思うよ。良かったねマルドゥク」


「本当、あんたにしては、いい名前じゃないか」


自分のことの様に笑いながらフェイトが言う。
少しだけバルディッシュを始めて渡された時の事を思い出してしまう。


こうした穏やかな雰囲気の中で魔法講座は始まった。




                    
                               STEP1:起動させよう。



 

 「それで、如何にして、魔法を使うのだ?」


「ええとね、じゃあまずは私がセットアップするから見ててね」


フェイトがセットアップと言うと瞬く間に服装が変わる。
流石にこれにはギルガメッシュも驚いたようだ。


(転移だけでなく、世界が違うとこうも違ってくるとはな・・・これでは、TVで見た魔法少女そのままでないか・・・・)


10年間現界していた彼は結構、頻繁にアニメを見ていたりする。
フェイトの姿はそのアニメそのままだ。


「じゃあギルガメッシュもセットアップしてみて」


(我もだと!!!我にあんな服を着ろと言うのか!!おのれええぇぇ魔法を習得するには恥に耐えんといかんとは・・・)


人とは少々異なるファッションセンスを持つ彼だが、流石にフェイトの様な格好はしたくない。


[陛下、別にセットアップしたら絶対に服が変わるという事はありません。何でしたら陛下が今、着ておられる服をバリアジャケットに設定しますが・・・]


(むっ何だこれは・・・頭の中に声が・・・貴様かマルドゥク)


[はい、これは念話といって魔法の一つです]


[むっこうか]


[はい初見でマスターするとは流石陛下です]


[フハハハハッッ我に不可能などは無い!・・・・でバリアジャケットの件だったな。ああ貴様に任せる。もしも我にフェイトの様な服を着せたならば死ぬ事になるぞ]


[Yes your majesty]


やたら気遣いが利くデバイスである。
執事でもやっていけそうだ。
ちなみに今ギルガメッシュが着ている服はライダースーツだ。


「それでは・・・・起動せよマルドゥク!!」


「Yes your majesty」


ここで王様華麗に変身・・・・と思いきや、さっきと全く変わらずにライダースーツのままである。


「あれ失敗?」


服装が全く変わらなかったので失敗したと思ってしまう。
無理はない。これでは仮面ライダーが変身しないようなものだ。


「戯け、王たる我が失敗など、する訳がなかろう。ただバリアジャケットが今の服装と変わりないだけだ」


これに対して反対意見を二人が浴びせる。


曰く、面白みがないどか

見分けがつかないどか

意外な猛攻を前にしてついに英雄王も折れる。


「ええい分かった。バリアジャケットに関しては後ほど考える。それより今は魔法であろう。次は何をするのだ?」





                                 STEP2:攻撃こそ最大の防御なり





 「じゃあ最初は攻撃魔法から、ためしに、あの岩に向けて魔法を撃ってみて」


指を指したのは結構な大きさの岩
大体3Mぐらいだろうか・・・
あれなら的として申し分ない。


「いいだろう」


己がデバイス、マルドゥクの言う通りに魔法陣を展開して岩の狙う。
ちなみにギルガメッシュの魔力の色は金ピカだ。


「いけ」


ギルガメッシュの一言と共に岩が粉々に破壊される。
どうやら砲撃と相性がいいらしい。


「凄い。初めてで、あれだけの砲撃を・・・・」


自分が先程の威力の砲撃を撃てるようになるまで掛かった時間を思い出してヘコンでしまう。


その後、ギルガメッシュが砲撃よりも広域攻撃に適正があった事が判明した他は問題なく進んでいった。



                                 STEP3:トラップ発動、聖なるバリアミラーフォース






 「じゃあ防御魔法だけど・・・私が攻撃するから、それを防いでね」


「はっ、誰にものを言っている。我は最古の英雄ぞ。その様な事、造作もない」


その言葉にカチンときたフェイト。
渾身の力を込めた砲撃をギルガメッシュに放つ。


「何!」


防御も初めてにしては強力なものだったが、流石にフェイトの砲撃に耐え切れず破られる。


「くっのああああぁぁぁぁ!!!」


持ち前の慢心のせいで王の財宝から盾をだすのが遅れ吹っ飛ばされる。


「はっ、大丈夫!?」


つい我を忘れてぶっ放してしまったフェイトが慌ててギルガメッシュに駆け寄る。



その後、怒ったギルガメッシュを宥めるのに1時間を要した。





                                  STEP4:白魔法がないと旅はキツイです





 「それじゃあ次は補助魔法をやるね」


ギルガメッシュを抑えるのに息も絶え絶えになりながらも健気に続ける。
星になった遠坂時臣が見たら同情するだろう。




補助は基本的に結界、治癒、転移、捕獲、変身と色々ある。


ギルガメッシュは中でも捕獲に適正がありアルフを雁字搦めにしていた。
ちなみに転移魔法が成功した時はかなり感激していた。
だが逆に治癒には全く適正が無かった・・・
本人は治療は医者の仕事だと思っているので気にしなかったが・・・





                                 STEP5:I CAN FLY





 「フハハハハッッ見ろ、今我は飛んでいるぞ。フハハハハハハッッッ!!!」


自在に空を飛びまわるギルガメッシュ・・・かなり喜んでいる。



「・・・・嬉しそうだね」


「・・・・うん」



それを少し冷めた目で見つめる二人。
確かに自分も初めて空を飛んだ時は感動したが、それも最初の一時間で落ち着いてきた。
だがギルガメッシュは大体三時間ぐらい空を飛びまわっている。
意外な一面を見た二人はギルガメッシュの印象を少しだけ変えた。



その後、更に二時間飛び回った後、家に帰ったが既に一日が終わり次の日になっていた・・・・





後書き


ギルが魔法を教わる話でした。ちなみにギルに適正があるのは砲撃、広域攻撃、捕獲の三つです。なのはのサーヴァントは次の話で登場予定です。ここで皆さんにお願いが・・・ギルの魔法とバリアジャケットに関しての案を募集します。特にバリアジャケット、正直黄金の鎧の印象が強すぎて全く案が浮かびません。
それと感想に質問が多かった何故、フェイトがギルの宝具を防げたかに関してですが理由は

・放った宝具自体が数個だったこと

・火事場の馬鹿力

・余り強力な宝具(グラムどか)じゃなかった

・破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)の様な魔力による防御を無効化する様な宝具でなかった


という理由があったからです。
つまり、あの時点でフェイトはかなり危険な賭けに勝ったという事です。
この話は頑張ってA`sまでは続けたいです。それ以後は未定です。
stsにギルを絡ませるのはキツイ。
でも挑戦してみたくはある・・・・

更に余談ですが、この話の他にギルを恋姫の世界に送る話もありました。
いつか機会があれば書こうと思います。
ギルのキャラは好きなので・・・





[16289] 第5話   Servant
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/20 17:49
 [聞こえますか?この声が聞こえる貴方、僕に少しだけ力を貸して下さい]


なにこの声?これは、あのフェレットさんが話してるの?


「お願い、僕のところへ・・じか・・・・ん・・・き・・けん・・・・・な」


声は段々と聞こえなくなると力が抜けてベッドに倒れこんでしまう。
今のは、あのフェレットさんが助けを求めてるの?
私はとても気になって、動物病院に向かいました。


夜の町を走り動物病院につくとまた変な感覚がしました。


「あれは!・・・・」


獣みたいな唸り声と一緒に何かが爆発したような音が聞こえたの。
そしたら窓からフェレットさんが飛び出してきました。
今はあのよく分からない怪物から逃げないと・・・



「来てくれたの・・・」


「えっ喋った!?」


いきなり喋りだしたフェレットさんに驚いてうっかり落としそうになってしますが今は逃げないと


「お願い、僕に少しだけ力を貸して。君には資質がある」


「資質?」


「僕はある探し物の為に、ここではない別の世界から来ました。でも、僕一人の力では想いを遂げられないかも知れない。だから迷惑とは分かっていますが、資質を持った人に協力してほしくて・・・」


そう言うとフェレットさんは私の上から飛び降りると


「お願いします、お礼はします。必ずします。だから僕の持っている力を君に使ってほしいんです。魔法の力を!」


「えっ魔法!?分かった如何すればいいの?」


そう言うとフェレットさんは赤い宝石を渡していいました。


「それを手に目を閉じて僕の言う事を繰り返して」


「う、うん・・・あっ」


フェレットさんの言うようにしようとしたんだけど、あの怪物が真っ直ぐに突撃してきたの。
急いで逃げないと・・・
だけど怪物はとても速くて逃げられそうにありません。
ごめんなさい・・・・・


「■■■■■■■■■■■■ッッッ!!」


だけど何かが光ったと思うと怪物は誰かが蹴り飛ばしていました。


「嬢ちゃんか?俺を召喚したマスターは」


街灯の明かりに照らされた男の人はなのはにそんな事を言ってきました。







                                    




 「たっく、本当っ運ねえよな俺も・・はっ何考えてんだ俺は、英雄ってのはいつだって理不尽な理由で死ぬもんだ。だが最後の相手が金ピカとはねぇ。出来ればセイバーの奴と決着をつけたかったがな・・・・」


アイルランドの光の御子、クー・フーリンは静かに消えていった。



(ちっ何だこりゃ・・・何も見えねえ・・・これが聖杯に取り込まれるって事か・・・言峰の野郎め、如何でもいいこと聞かせやがって・・・)


薄ら笑いをした言峰の顔を思い出してやめる。
あんな奴の顔なんて思い出すだけで腹が立つ。


(あっ何だこりゃ!?まさかまた誰かに召喚されるのか・・・・へっどうやら俺も漸く運がでてきたじゃねえか)


こうしてランサーは何処かもしれない世界に旅立っていった。





                                    ◆
 「んっ如何いう事だこりゃ?受肉してんじゃねえか」


自身が肉を持っている事に驚愕した。
聖杯を使えばサーヴァントの受肉も出来るだろうが自分は途中で敗退したし全く受肉するような覚えは無い。


「あの、貴方は誰ですか?」


突然現れた男に問い掛ける。


青いボディースーツ

赤い瞳

そして豹のような痩躯

男・・・ランサーはそこに居るのが当然のように立っていた。


「だから嬢ちゃんが俺を呼び出したんだろ・・・・おっそれ令呪じゃねえか。てっことはまた聖杯絡みか?」


しかし聖杯の事なんて知らない二人は理解が出来ない。


「あっ危ない!!」


先程吹っ飛ばされた怪物は自分を蹴り飛ばした相手目掛けて突っ込んできた。
あの巨体は一撃で人間の体なんて粉砕するだろう。


「たっく邪魔だ」


再び怪物を蹴ると今度は10mぐらい吹っ飛ばされる。
凄まじい威力だ・・・・・


「召喚されて早々の相手がアレかよ・・・」


溜息をつきながらも槍をだして怪物に向かっていく。
目にも止まらぬ速さで駆けた男は怪物の体の真中に槍を突き刺す。


「たっく何だこりゃ?直撃にしては対して利いてねえな」


怪物はランサーに攻撃を繰り返すが、最速の英霊には相手の動きが止まって見える。
目にも止まらぬ速さで怪物を六回突き刺す。


「何なんだ・・・あの人は・・・・・あっ!でもそんな事より今のうちに・・いくよ準備は大丈夫?」


戸惑っていたなのはも力強く頷く。


「我、使命を受けし者なり」


「えっと・・・我使命を受けし者なり」


「契約のもと、その力を解き放て」


「契約の元、その力を解き放て」


「風は空に、星は天に」


「風は空に・・・星は天に」


「そして不屈の心は・・・」


「そして不屈の心は・・・・・・・」


「「この胸に!!!」」


「「この手に魔法を!レイジングハート、セットアップ!」」


桃色の光が現れる。
なのはが目を開けると学校の制服と似ている服を着た姿で立っていた。


「おいおい・・・・今度のマスターはどうなってやがんだ・・・」


その姿を見たランサーは思わず呆れた声を出す。
前の神父といい自分のマスターはまた癖のある奴のようだ。


「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアルⅩⅩI、封印!」


封印の魔法とともに化け物は消えて後には青い宝石が残った。
かなり高い魔力が込められた宝石だ・・・・あかいあくまが見たら血走った目で手に入れようとするかも知らない。


「おっやるじゃねえか嬢ちゃん」


封印が終わり一息つくと青い槍兵が歩き寄ってきた。


「あの貴方は誰なんですか?」


自分をマスターと言った男に向けて言う。
少なくとも自分はマスター何て名前じゃない。


「成る程イレギュラーという事か・・・・まあいい詳しいのは後だ。俺の事はランサーって呼びな。そんな事より早く逃げねえと不味い事になるかもしれねえぜ」


ランサーの指摘した通り辺りは怪物が暴れまわったせいで破壊され尽くしている。ここに留まればやがて人が来るだろう。


「ごっごめんなさ~い」


 三人はとり敢えず公園に向かっていった。


「ところで貴方は一体、誰なんですか・・・それにその槍・・・魔法に似た力だと思うんですけど・・・」


「魔法?魔術じゃなくてか?」


確かに自分の持つゲイ・ボルクはどちらかと言うと魔法に近くはあるが・・・
それでも魔法ではない。


「あのっ魔法と魔術って如何違うんですか・・・」


なのはには魔法も魔術も同じ様に感じる。
一体どう違うのだろうか・・・・


「それは僕も聞きたいです。教えてくれませんか?」


「へいへい、その代わり・・・あ~ユーノだっけ、お前の事についても聞かせて貰うからな」




                                  情報交換中


「聖杯戦争・・・そんなものが・・・・」


ランサーから聖杯戦争や魔術について教えてもらったユーノが呟く。
自身の全く知りえない事柄に驚きを隠せないでいた。


「まあ驚くのも無理はねえが・・・俺としちゃ魔法って奴のほうが驚き何だが・・・」


ランサーも魔術とは似ても似つかない魔法に感心している。


「でこれから如何するよ?」


「あっお父さん達に黙って出てきたんだった」


だがランサーを見て押し黙る。
ユーノならフェレットだから何とかなるがランサーは人間。
絶対に問い詰められるだろう。



「別に話しゃいいじゃねえか」


あっさりと言う。
彼からしたら駄目でも野宿すればいいやといった感覚なので問題は無い。
霊体化できれば問題はないが何故か受肉している彼にそれは出来ない。


結局はランサーの意見を受けて正直に両親に申し出る事にした。





 「お帰り、こんな時間に何処にお出かけだ。それにその人は誰だ?」


なのはに向ける視線とは違い警戒心を宿した瞳でランサーに言う。
そして恭也は感じていた。
この男が出す雰囲気、足運び間違いなく強い。


「あ~面倒臭えな~おいユーノお前が説明した方が早いだろ」


自分で説明するのが嫌なランサーがユーノを放り投げる。
それを慌てて美由希が受け止めた。


「おっとと、あら可愛い。なのはこの子の事が心配で様子を見にいったのね」


「始めましてユーノと言います」


「へえユーノって言うんだ・・・・・・っえ・・・・しゃべったああああぁぁぁぁぁ!!!!」


物凄い大声に驚いた父、高町士郎と母、高町桃子が


「煩いぞ美由希!今何時だと思っている」


「だってフェレットが!」


「あの~こんばんわ」


「なっ喋った!!」


高町家は大混乱に陥ってしまった。
なのはが右往左往している内に恭也がランサーに戦いを挑んだり、美由希がフェレットが喋った事を友達にメールしようとしたり・・・etc・・・・
結局は桃子の殺気を込めた一言に全員口を閉ざしたが・・・



「成る程・・・魔法か・・・」


高町一家+二人は道場で事の顛末について話していた。
恭也も自分がのされた相手が彼の光の御子だと聞いて納得していた。


「それで俺達に何か出来る事はないのか」


「やめとけ、魔術のまの字も知らねえ一般人が手伝っても邪魔なだけだ」


突き放す一言に恭也は押し黙ってしまう。


「安心しな。嬢ちゃんは俺のマスターだからな。しっかり守ってやるよ」


ランサーの一言で何故か高町家の皆は安心する。
これが英雄の持つ信頼だろうか?
何となく彼が守ると言うならば大丈夫という感じがする。
最初は少し警戒されたランサーも直ぐに高町家の皆と打ち解けていった。





おまけ


光がやむと、そこには筋肉ムキムキのOKAMAが立っていた。


「あらん始めましてねん。ダンサーのサーヴァント召喚に従い参上したわ♪」


その体は鍛えられ物凄い筋肉を持っている。


下半身に申し訳程度にビキニパンツを穿いている。
頭部はツルツルのスキンヘッド、
左右の耳の上からは三つ編みにされた髪が伸びている。
間違えなく変態だ。


「ひっひゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


目の前の男?を見たなのはは脱兎の如く自宅へと逃げ帰る。


「あらいやだ♪私の美貌に驚いて逃げてしまったのね♪罪な女だわ♪」


「■■■■■■■ッッッ」


本来明確な自我のないソレが目の前の存在の異様さに後ずさる。


「ふんぬ―――――――――――――――――!!!!!」


一撃で化け物は消し炭になった・・・・ジュエルシードごと


「うふふ♪逃がさないわよ♪」


その日、高町家に断末魔の悲鳴が響いた。



【クラス】ランサー
【マスター】高町なのは
【真名】クー・フーリン
【性別】男性
【身長・体重】185cm 70kg
【属性】秩序・中庸
【能力】筋力A 耐久B 俊敏A+ 魔力B 幸運E 宝具B+

【クラス別能力】

対魔力:B

魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】

戦闘続行:A

往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

仕切り直し:C

戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を戦闘開始ターンに戻し技の条件を初期値に戻す。

ルーン:B

北欧の魔術刻印・ルーンを所持。

矢よけの加護:B

飛び道具に対する防御。
狙撃手を視界に収めている限りどの様な投擲武装だろうと肉眼でとらえ対処できる。
ただし超遠距離からの直接攻撃は該当しない。

神性:B

神霊適正を持つかどうか。
高いほどより物質的な神霊との混血とされる。

【宝具】

刺し穿つ死棘の槍

ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:2~4
最大補足:1人

ランサーの持つ紅の魔槍。そして彼が編み出した対人用の刺突技。
槍の持つ因果逆転の呪いにより、真名開放すると「心臓に槍が命中した」という結果をつくってから「槍を放つ」という原因を作る、つまり必殺必中の一撃を可能とする。急所を穿つことにより、確実に相手を死に至らしめることができ、一対一の戦いでは非常に効率がいい。
ちなみに、発動したと同時に「相手が死ぬという結果」が成立しているため、仮に放った直後でランサーが死んだとしても、槍はひとりでに動いて相手を貫く。
回避に必要なのは俊敏性ではなく、槍の作った因果を捻じ曲げる程の強運。

突き穿つ死翔の槍

ランク:B+
種別:対軍宝具
レンジ:5~40
最大補足:50人

魔槍ゲイボルクの本来の使用方法。渾身の力を持って投擲し、相手を攻撃する。
「刺し穿つ死棘の槍」が命中を重視したものならば、こちらは威力を重視している。
しかし、因果逆転の呪い・必中の効果は健在である。なお、一人一人を刺し貫いていくのではなく、炸裂弾のように一撃で一軍を吹っ飛ばす。
ルーン魔術を使えば更に威力を上昇させることが出来る。



後書き

ランサーが来訪する話でした。
最初はフェイトがなのはが出会う話から始めるつもりでしたが、やっぱりここから始めました。
なのはのサーヴァントは一番希望にあったランサーです。ちなみに、なのはのサーヴァントになった事でステータスが全体的にワンランク上がっています幸運以外。これからも兄貴は苦労する事でしょう。
やっぱり兄貴にもデバイス持たせたいですね。ルーン魔術を習得しているんで、たぶん習得できる筈です。
ちなみにおまけで召喚された人は分かると思いますが恋姫無双に出演した、あの人です。あれは完全にネタですので、はやてのサーヴァントになったりする事はありません。





















[16289] 第6話   Destiny
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 23:10
 「ふむジュエルシードを見つけたか」


ギルガメッシュが先日買ってきたガンダムVSガンダムをプレイしていると、ついにフェイトがジュエルシード発見の報を持ってきた。


「致し方ない、今やっとデビルガンダムにまで辿り着いたのだが・・・では我も行く案内しろ」


「えっでも私一人でも大丈夫だよ」


人にものを頼んだ事のないフェイトはつい遠慮してしまう。
それにゲームで忙しそうだし。


「お前の意見など聞いてはいない。我が行くと言ったのだ。疾くと案内するが礼であろう」


有無を言わせぬ口調にフェイトが逆らえる筈も無く、結局は同行する事になった。





 「・・・・・・・・おい、真にあの様な物がジュエルシードなのだろうな?」


「・・・間違いないよ・・・・・ねえバルディッシュ?」


「Yes sir」


二人の視線の方向には、巨大なネコの姿がある。
確かに凄い力のようだが少々拍子抜けだ。
少なくとも普通の人間が見たらそう思うだろう。
だが・・・・・・


(今回は小規模だがあの石に込められた魔力、我が財に匹敵する)


だが・・・・・・・


(だが魔力はあるが制御できん欠陥品か・・・・どれもこれも願望機という物は不完全な物ばかり・・我が財に加えるには値せんな)


早々に見切りをつけるとジュエルシードに近づいてきた人影を凝視する。


「クッハハハハハハッッッあの駄犬め!貴様もこの世に迷いでたか!それに、あの小娘、魔力だけならフェイトを上回るか、クックック中々良い感じに歪んでいるでないか。全くこの世界はつくづく我を飽きさせん」


面白いものを見付けた彼はフェイトが戦う戦場に向かった。




 「くっ・・・・・・・!」


フェイトは目の前の相手に苦戦を強いられていた。
もう一人の白いバリアジャケットの少女はいい。
だがもう一人・・・・・
この青い槍兵は自分の戦闘能力の遥か上を行くのは間違いない。
その証拠に自分は精一杯に戦っているのに相手は本気を出している様子はない。


「なめるな・・・・!」


静かに呟くと更にスピードを増してランサーに迫る。
そのまま後ろに回りこみ・・・・


「へっやるじゃねえか!」


無理だった。ランサーは増したスピードに僅かに驚くが全く焦ることなく逆に回りこむと軽く突き飛ばした。


「はあ、はあ」


強い・・・・自分の最高のスピードを持ってしても勝てない。
今までは空を飛んで避けてきたが今自分は地面に叩きつけられている。
このままでは・・・・・


「ふん、調教がなってないようだな、犬」


その声と共に極太の砲撃がランサーに迫る。


「なっ貴様は・・・・・くっ金ピカ!てめえもこの世界に来てたのか!!」


見間違える筈が無い。
髪は逆立ってはいないが、全てを見下す表情
圧倒的なカリスマ
初めて見る白と黒が絶妙にマッチした服
自分を殺した相手が頭上の空に君臨していた。




 「あの、ランサーさん。知り合い何ですか?」


何やら只ならぬ因縁がある様なのでユーノが聞いてみる。


「ああ、こいつはサーヴァントだ」


「そんな、じゃあランサーさんと同じ存在なの!?」


ランサーの声に真っ先に反応したのは、なのはだった。
まさか自分と同じ様にジュエルシードを集めている少女が自分と同じ様にサーヴァントのマスターだなんて・・・


「おい娘、我をそこの駄犬と一緒にするな。我は英雄の頂点に君臨する英雄王ぞ。それが、この様な犬と同列に見るとは無礼である」


「・・・狗と言ったな・・・貴様!」


瞬間、大気が凍りついた。
辺りの魔力がランサーの槍を中心に鳴動していく。


「言った。何を怒っている。我は事実を言ったまでであろう。ああ違ったなぁ。貴様は狗では無く駄犬だったな。ふむ確かに我の言い間違いだ駄犬」


その言葉が終わるか否や槍兵は目前の相手に疾走する。
今の速さは先程フェイトを相手にしていた時よりも速い。
いやそれだけじゃない。
なのはと言う優秀な人間がマスターになった事で前の世界よりも速くなっている。


「フェイト、お前は、あの小娘を相手にしろ。我は少々この犬を躾けておく」


王の財宝―――ゲート・オブ・バビロン
真名が唱えられ黄金の都への扉が開いていく。


「さあ餌の時間だ。精々我を楽しませろよ、駄犬!」


その言葉で十を越える数の宝具が一斉にランサー目掛けて飛ぶ。
飛来する魔弾は全てが必殺の威力を持ってランサーを


「ふんっ」


突き刺さなかった。
ランサーの持つスキル、矢よけの加護は狙撃手を視認している状況において、相当に有利にはたらく。
飛来する宝具を避け、また避けきれないモノは槍にて叩き落す。
最速の英霊は本来の力を遺憾なく発揮していた。


「ちっ空飛んでないで降りて来い貴様!!」


「戯け、王たる我が何故雑種共と同じ地に着かねばならん」


そして、王の財宝から二十の魔弾が発射される。
だがまたもランサーはこれを防いで見せた。


「ほう、少しは見直したぞ犬。では、この様な趣向はどうだ」


再び後ろの空間から多数の宝具が出現する。


「これらは全てが必中の概念を持った宝具・・・・上手く避けろよ」


「くっそ!」


必中の概念を持つ宝具たちは矢よけの加護を無効にしてランサーを正確に貫かんとする。
飛来する宝具・・・その全てを見定め寸前の所で・・・・・叩き落す。



「これも防ぐか。では少し難易度を上げよう・・・・」


次に現れた宝具は全てが今までのモノとは段違いの魔力を放っている。
間違いなく一級品の武具だ・・・・
見れば見覚えのあるモノがいくつか・・・・


「さあ!次は避け「終わったよ」られ・・・・・終わっただと?ジュエルシードは手に入れたのか?」


「うん。だからここは退いて」


(確かに今この犬を殺すのは造作もないが・・・・すぐに殺しても面白みがない)


「いいだろう。ではなランサー、次に見える時はもっと我を楽しませろよ」


「待て、テメエ!!!」


ランサーの言葉を完全に無視してギルガメッシュは飛び立っていった。




 「フェイト。あの小娘はどの程度の強さだ」


マンションに帰る途中、ギルガメッシュがフェイトに聞いてきた。


「・・・・才能はあると思う。でも経験が足りない。問題はないよ」


(発展途上か・・・・だがあれは磨けば光るな・・・犬も中々いい主人を見付けたものよ)


「ところでフェイト、今日のお前のデバイス・・・変形していたが我のマルドゥクも変形出来るのか?」


「えっそれはマルドゥクに聞いてみないと・・・・・」


そう言うと王の財宝の中から己がデバイスを取り出して


「おい貴様は変形できるか?」


「It is impossible.(不可能です)」


その一言にギルガメッシュは凍りついた。


(いや待て、確かこのデバイスを作ったのがプレシアなら奴に言えば改造出来る筈だ。クックック是非、マルドゥクにはドリルに変形出来るようにしなければ・・・・)


邪な事を考えながらギルガメッシュは帰路についた。



後書き

ギルガメッシュのBJですが必要無いと言う意見が大半だったので余り変えない事にしました。ギルのBJはライダースーツの上の白い部分と黒い部分を逆にした様な感じです。
今回はギルとランサーの初戦の話でした。戦闘描写でおかしな点がありましたらご報告下さい。ではまた・・・








 



[16289] 第7話   Human
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 23:10
 我は今、海鳴温泉どかいう旅館に来ている。
ジュエルシードが見つかったのがこの近くだからだ。
しかし寂れた所だ。王たる我には相応しくないな。


「まあいい。稀には愚民に紛れるも一興・・・」


「はあ、あんたって相変わらず偉そうだね」


「ん?何か言ったか?」


「いや何でも」


ちっ、変な犬だ。まあ良い。せめて温泉ぐらいは我を楽しませろよ。
チェックインとやらをアルフに任せて我は早速、温泉に向かう。
しかし味気ない場所だ。貸切にすべきだったか・・・・


「ここだな」


男湯と書かれた暖簾を潜ると、そこには思いがけない相手がいた。


「ほう貴様も来ていたのか?犬」


「てめえ金ピカ!」


節操の無い男だ。このような場所で我に槍を向けるか。しかし我は犬を相手にする気分ではない。


「ひけ犬。我は今貴様に構う暇などない」


目障りな駄犬を無視して我は直ぐに服を脱ぐと扉を開け温泉に向かう。
何やら後ろで犬が吼えていたが如何でもいい。あの様な男など幾らでも見てきた。今更興味などない。


「ふむ、我が財には劣るが雑種の造りにしては上出来よ」


衆愚共にはこれで十分であろうが我に浸からせる物としては粗末な物だ。


「よお金ピカ、入るぜ」


何故か喧しい犬が我の前に浸かってきた。つくづく邪魔な賊だ。ここで消してくれようか。


「何の用だ犬。我は貴様など目に収める気などない。失せるがいい」


やはり貸切にすべきだった。我の近くに犬がいるだけで気分が悪い。



「は~俺としても本当は話しかけたくも無いが・・・それでお前は知ってんのか」


知っているか・・・つまり何故我がこの世界に居るかという事か・・・
はっきり言うと、この事ばかりは我にも理解できん。本来であるならば大聖杯に十数年単位で集めた魔力を使い英霊の座からサーヴァントを召喚する。そして敗れ去ったサーヴァントを小聖杯・・・あの造花の心臓に満たす事により根源とやらに辿りつく・・それが冬木の聖杯戦争の筈だ。しかし実際に小聖杯には行かず、あろう事か別の平行世界に居る。我もこの様な事は経験した事がない。アンリ・マユの影響かとも思うがアレにその様な真似はできん筈だ。


「知らぬ。だがそれに何の意味がある。如何な世界であろうと我が英雄王である事にかわりは無い。ならば我は我の思うままに生き喰らうだけよ」


「だろうな・・・そんであの嬢ちゃんは何でジュエルシードって奴を集めてんだ?」


「以外だな。貴様は何も考えず戦うだけの馬鹿と思っていたのだが」


「はっ俺だって、別に戦う理由ってのはあんま興味はねえよ。俺はただ戦いが出来りゃそれでいいしな。だがね~今度のマスターってのが難儀な性格でうじうじ悩んでんだよ。たっく何も考えず戦えばいいじゃねえかとは思うんだがな」


フェイトの戦う理由――それならば見当はついている。プレシアが自身の造花を娘と言っておきながらあの冷遇・・・娘が死んで変わりを造ったが失敗したといったところだろう。そして願いの適うジュエルシード・・・大方死んだ娘を蘇らしたいといったところか・・・だがフェイトはその事を一切知らずに必死に母の為に奮闘している・・・・クックックこれ程の喜劇はそうはない。


「貴様の問いに答える気など無い。我はもう上がるぞ。これ以上貴様の顔など見ても不愉快だからな」


我は湯船から出るとタオルで体を拭いてから浴衣を着る(マイ浴衣)
さて・・・んっあれはアルフか・・・そう言えば小娘に忠告しに行くと言っていたな。アレは魔力のみに限ればフェイトを越える。だがその内側は酷く歪だ。だが後の世に英雄と謳われる者達は何かしら他人と違う内面を持っている。ジュエルシードを求めて二人は争う。出来すぎだな、これでは神話の英雄譚と同じだ。しかしだからこそ面白い。貴様等がどう足掻くのか・・・・見せて貰うぞ。


「おいアルフどうだ。奴は」


「ああ対した事無いよフェイトの敵じゃない」


違うな奴は今でこそフェイトより弱いがやがて打ち倒すだろう。
あれはそういう存在だ。


「では我も少々あの小娘を見ておくとするか」


「ふ~ん、じゃああたしは温泉に入って来るから」


我は早速、三人の小娘に近づく。
声を掛ける理由は・・・連れが迷惑をかけたでいいだろう。


「待てそこの娘」


我の声を聞くと慌ててこちらを振り向く。
他の二人は何やら警戒しているな・・・


「なのはに何の用でしょうか?」


小娘の友人らしき金髪の小娘が我の前に来て言う。
この年で、そこまでの目が出来るとは・・・少々稀有な雑種だな。


「なに、連れが少々絡んでいた様なのでな。気になって見に来ただけだ」


なおも二人は警戒を解こうとしない。


[小娘、精々我を楽しませろよ。我も何かと退屈なのでな]


さて挨拶もすんだ事だ。
フェイトがジュエルシードを見つけるのにまだ時間があるな。部屋で暇を潰すか。




 「むっ金ピカ、またテメエか」


部屋に行く途中再びランサーと鉢合わせしてしまった。


「失せろ犬、我は今貴様の相手をする気分ではない」


「ああ同感だ。俺もテメエの面なんざ見たくもねえ」


そう言うとランサーは小娘達が向かった方向に歩いていく。


「ランサー、あの小娘にも言ったが・・精々我を楽しませろよ。貴様のマスターも我のマスターも中々に稀有な存在だからな」


「如何いう事だ・・・」


「言葉通りの意味だ。我は人の業を何よりも好む。この世全ての財を集めてなお、人の持つ業は面白い。これに勝る娯楽はそうは無いからな」


さて話は終わりだ。何の悪戯かは知らんが未知の世界に来たのだ。
少しは楽しめる。





後書き


感想に批判が多かったので大幅修正しました。








[16289] 第8話   Hero
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 23:09
 「うは~すごいねこりゃ、これがロストロギアのパワーってやつ!?」


「随分不完全で不安定な状態だけどね」


「あんたのお母さんは何であんな物欲しがるんだろうね?」


「さあ分からないけど理由は関係ないよ。母さんが欲しがってるんだから手に入れないと」


ジュエルシードを集める理由に大体の予想がついているギルガメッシュはそれを静かに聴いていた。
別にこの事を二人に教えるつもりはない。今教えたら面白みに欠ける。


「むっ」


フェイトが封印を終えると昨日の少女が来ていた。
彼女もジュエルシードの気配を察知して来たのだろう。
そしてこれはギルガメッシュの予想通りに事が運んでいる。


「あ~らあらあらあら、やっぱり来ちゃったか」


「それを、ジュエルシードをどうする気だ、それは危険な代物なんだ!」


「さあね応える理由が見当たらないよ。それに言ったよね良い子にしてないとガブッといくよって」


アルフが犬――狼の姿に変わる。


「やっぱり彼女は使い魔だったか」


「使い魔?」


「そう、あたしはこの子に造って貰った魔法生命、主の魔力を命とする代わりに命と力の全てを賭けて守るのさ!」


アルフが白い魔導師に襲い掛かるが
寸前のところでフェレット(白い魔導師の使い魔?)の魔法で何処かへ消え去る。
恐らくは転移魔法を使ったのだろう。


「結界による強制転移魔法・・・いい使い魔を持っている」


「ユーノ君は使い魔って奴じゃないよ。私の大切な友達!」


フェイトがムッとした表情になる。
アルフを馬鹿にされたとでも思ったのだろうか。


「で、どうするの?」


「話し合いで何とかできるって事ない?」


「私はロストロギアの欠片・・・ジュエルシードを集めないといけない。それは貴方も同じ。なら私達はジュエルシードを求めて戦う敵同士ということになる」


「だから、そんな勝手に決めないように、話し合いって必要なんだと思う」


どうやら、白い魔導師はフェイトに話し合いを求めている様子だ。
間違ってはいない。戦争でも何でも争いというのは最終的には話し合いで解決するべきだからだ。稀に日本のように無条件降伏を迫られることもあるが・・・・


「言葉だけじゃ・・・何も変わらない・・・伝わらない!」


「だから言ったじゃねえか。んなもん思いっきり戦った後にやりゃいいって」


痺れをきらしたランサーが白い魔導師に言う。
彼としては、戦いの前に話し合いなど面倒くさい事この上ない様子である。


「ランサーさん!」


「は~何でそう難しく考えるかね~まあいい。金ピカは俺が抑えといてやる。なのはは早くあの金髪の嬢ちゃんと戦いな」


槍を取り出すとギルガメッシュに向かって構える。



「ギルガメッシュはあの青い人をお願い。私はあの子を・・・」


「良いだろう。ここでは我の戦いの邪魔になる。やるのなら向こうでやれ」


ギルガメッシュの戦いは派手だ。近くに居れば一緒に攻撃しかねない。
フェイトもこの前、少しだけギルガメッシュの戦いを見たので素直に頷く。
そのまま白い魔導師とフェイトは空高くに飛び立っていった。


「どういう風の吹き回しだ、金ピカ。貴様が他者を気遣うとは」


「別に変わる性分など持ち合わせてはおらん。ただ我は奴等の戦いを観戦しようと思ってな」


そう言うと王の財宝から遠見の鏡を取り出して自身の前に置く。
そこにはフェイトと白い魔導師の戦いの光景が映し出されていた。


「観戦だと?どういうつもりだ」


目を細めて目の前の男を睨みつける。


「言葉通りの意味だ。あの二人・・・この年にしてこの力量。いかに、この世界の魔法とやらが使い勝手がよかろうと、これ程の人材はそうはいまい」


それはランサーも感じていた事だ。
魔術師ならば一生賭けても辿りつけない強さを二人は僅か9歳で持っている。(魔術師にも例外はいるが・・・主にキャスターとか)


「確かに二人が年の割りに強いっていうのは認めるがよ。それが如何したってんだ」


「ここまで言っても分からんか。真に度し難き衆愚よ。まあいい、あの二人もしや磨いたら英雄に到る事が出来ようぞ」


英雄―彼が言うのは世間一般でいう英雄ではなく英霊。即ち自身とランサーと同じ様な存在である。


「英雄だと?」


「そうだ。それも守護者のような存在でなく真の英霊となる素質を奴等は持っている。あの二人の生は存分に我を愉しませてくれようぞ」


邪悪な笑みを浮かべながら目の前に映る二人を見る。
どうやら決着がついたようだ。砲撃を放って油断した白い魔導師をフェイトが魔力刃を当てている。


「もうここに用はない。ランサー。何があっても小娘から目を離すなよ。もしも奴が事故やらで死ぬ事があれば興醒めだからな」


己がデバイス、マルドゥクを起動させる。


「ちっとことん腐ってやがるな貴様!」


目の前で言ったランサーを一瞥すると飛行魔法を使い飛び立っていった。



後書き

今回は殆どギルとランサーの会話で終わってしまいました。
何時になったら戦闘シーンに入れるかな?
それではまた・・・・・









[16289] 第9話   Heart
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 23:09
 「アルフ・・・何を食している」


街の散策から帰ったギルガメッシュが見たのはドックフードをバクバクと食べるアルフの姿だった。
ドックフードを食べる妙齢の女性・・・中々シュールな光景である。


「いや~これ結構いけるね。・・・あげないよ!」


「いらん!!!」







 「このような場所で何をすると言うのだ?」


ここは海鳴市にあるビルの屋上。下を見れば街を行きかう人々の姿が目に映る。
彼等は今自分達の街に危険なロストロギアが落ちてきたという事も知らないだろう。


「鬱陶しいものだ」


「いきなりどうしたんだい?」


いきなりの呟きはアルフとフェイトに関心を持たせた。
鬱陶しい?確かにゴミゴミしてはいるが幾ら何でも鬱陶しいは無いと思う。


「昔の話なのだがな。十人の奴隷を選び、その中で”いなくともよい”モノを殺そうとした事がある」


「そんな!殺すなんて!」


本来は心優しい少女であるフェイトは殺すという単語に驚き反発した。


「まあ聞け。それがな、一人も殺せなかった。いかな人足とは言え無駄なモノなどいなかったのだ、かつての世界には、だがこの世界には余裕が溢れている。十人どころか何千という人間を選んだところで、殺せない人間など出てきまい。――――まったく、おそろしく人間に優しい世界になったものだ。実に気色が悪い」


そうならば数を減らしたほうが・・・・・


「それは違うよ・・・」


フェイトはギルガメッシュの独白に対して応えた。呟くような細い声。
だがその実、真っ直ぐな瞳を持って言う。


「私はあんまり世間に出た事はないけど・・・たぶん不必要に見えても必要なんだと思う。どんなに無駄に見えても・・・どんなに要らなく思えてもきっと何かそれぞれ価値があるんだと思う」


それは誰に向けた言葉だろうか・・・
フェイトは英雄王でなく自分の心に言い聞かせるように応えた。


「クックフハハハハハハハッッッッッ!!フェイト・・・貴様は実に我を興じさせる。無価値なものにも価値があるか・・・・まあよい元よりこの世界は我の世界ではない。精々この世に蔓延る雑種共がどう生きるか見物するしよう」


これは面白いとばかりに笑い出す。見所のある小娘と思っていたがこれ程、己を愉しませるとは・・・・


「ねえ~お二人さん。ここに来た本来の目的を忘れてないかい?」


「あっ!そうだった・・・じゃあちょっと乱暴だけど周辺に魔力流を打ち込んで強制発動させるよ」


「ああちょっと待って。それアタシがやる」


「大丈夫?凄く疲れるよ」


「アタシを一体誰の使い魔とお思いで。任せてよ」


「うん。それじゃあお願いね」


周辺に魔力流が吹き荒れる。
そしてアルフの魔力はジュエルシードに打ち込まれ強制的に発動する。
辺りが暗くなり海では雷が舞う。


「どうやら小娘達も来ているようだぞ」


この気配は間違えなく白い魔導師とランサーのものだ。
タイミングから考えて自分で探し当てたのでなくアルフの魔力に反応したジュエルシードの気配を察知したのだろう。


「早く片付けよう、バルディッシュ!」


「sealing from set up.」


フェイトは急ぎジュエルシードを封印しに向かう。
見れば白い魔導師も急ぎ封印しようとしている。
二人の魔力は互いに別方向からジュエルシードにぶち当たった。


「リリカルマジカル」


「ジュエルシード、シリアル14」


「「封印!」」


光が止みジュエルシードも活動を停止した。


「アルフは使い魔を!ギルガメッシュは青い人をお願い!」


「はいよ」


「・・・・・」


だがギルガメッシュの関心はジュエルシードにもランサーにも無い。あるのはフェイトと白い魔導師のことだ。彼の視点から見ても、あの少女はこの僅かな時間で著しい成長を遂げている。前は全く相手にならなかったが今ではフェイトと互角に戦うまでに強くなっていた。天才と言う他に当てはまる言葉は無い。英雄と謳われる人間も最初は唯の素人にすぎない。そしてギルガメッシュが始めて見た時の高町なのはは単に魔力が非常に高い人間程度の認識だった。どこか動きや攻撃もどこか甘かったソレは今や卓越した動きへと昇華されている。確かにまだ熟練したとは言い難いしどこか甘い点は残っている。だがそれを差し引いても少女の成長は異常だった。生まれ持った魔力、直感、戦闘センス全てが一級品だ。そしてフェイト、自身のマスターである彼女も素晴らしいモノを持っている。確かに魔法の早熟度に関しては少々劣るかもしれない。だがそれ以上に極上の力を持っている。圧倒的なスピードとそれから繰り出される斬撃・・・腕はまだまだだが良い師を持てば伸びるだろう。


「何だランサー。我は忙しいのだ」


「単なる確認だよ。テメエ二人の戦いに手を出さねえのか?」


「貴様が手を出すというならば今ここで消す・・・だがそうでないならば我は一切手をださん。例えフェイトが戦いの最中に死のうと其れは奴がそれまでの女だったというだけのこと・・・そんな女、我には興味も無ければ執着も無い」


それが英雄王の意思だった。確かに二人の少女には英雄になる素質がある事を見抜き観察しようと思った。世にある全ての快楽を手にした男にとっては人の人生ほど飽きない娯楽は無いからだ。どんなに退屈極まりない一生を送る人間でも物語がある。それが英雄候補の一生ならば極上の物語となるだろう。だが英雄譚に異物がいては面白くない。己が力を使えば早々にランサーを殺し、白い魔導師も消す事ができる。しかしそれでは意味がない。そんな物語はギルガメッシュは望んでいない。白い魔導師がフェイトを必死に説得してフェイトは必死に母の為に戦う。英雄王をしても予測がつかない。


「だがまあ・・・我も見物するだけというのは少しばかり退屈なのでな」


王の財宝から数多の武具が出現した。
それは全てがランサーに向いている。


「なっ!テメエやり合う気は無いんじゃなかったか!!」


一瞬で後ろにバックステップして言う。今の攻撃は確実にランサーを殺そうと狙って撃たれた物だ。


「我は気紛れだからな。犬は犬なりに我を興じさせろよ!!」


宝具の雨がランサーを襲う。
だが今回はギルガメッシュも完全に遊んでいるつもりなのか強力な宝具や必中の概念を持つ宝具ではない。この概念ならば問題無く避けれる。


「やはりつまらん。貴様では我を本気にさせるには至らんか」


「何!」


猛獣の様な形相で睨んでくるが気にしない。いっその事この場で消そうかどうか真剣に考えてみた。しかしランサーを殺した場合、あの少女の性格から考えて怒るだろう。いや怒るだけならいい。もしかしたらランサーの死を悲しみ復讐に燃えるかもしれない。そうなれば必然的に殺した相手、即ちギルガメッシュを狙ってくるだろう。そうなれば些か面白くない。


だが彼の思考は巨大な爆発で強制的に停止する事になる。


膨大な光それは宝石・・・ジュエルシードが発したものだ。
光は二人の少女を包み込み今また二人のサーヴァントをも包んでいく。


「まさかこれ程の力を持っていたとは・・・むっ結界が割れる?時空まで歪めるとは・・・」


一種の魔力の暴走だ。成る程願いを叶える力というのは伊達ではないようだ。
しかしこれでは早く封印しなければ不味いことになる。己がデバイスであるマルドゥクを取り出してジュエルシードの元に向かっていく。


だがギルガメッシュが到着するよりも早くに光は収束して辺りには静寂が戻る。
その中でフェイトは破損したバルディッシュを待機モードにしてジュエルシードの前に降り立つ。


そして、それを


自身の手で掴んだ。


「いかん!」


ギルガメッシュは自分の最高のスピードでフェイトに近寄ると弾き飛ばした。


「何を!」


「愚か者が!これは我がやる。マルドック!ジュエルシード封印せよ!」


「Yes your majesty」


黄金の魔力が青い宝石を包み込み、やがて静まる。
どうやら封印が成功した様子だ。
ちなみに始めての封印魔法だったので成功して安心していた。


「フェイト!」


だが途中で止めたとはいえジュエルシードを自身の手で掴んだフェイトは力を使い果たして倒れそうになる。
アルフが支えて、なのはを睨んだ。
明確な敵意になのはもビクッとなってしまう。


「アルフ、今は退け。とり敢えずは目的の物も手に入った」


今ここで無理に戦わせるのは得策ではない。今ならば確実になのはが勝つだろうしそんな結末はギルガメッシュも望むところではない。


「分かったよ」


基本的にフェイトが一番のアルフも素直に頷き飛び立っていった。







 「ここは・・・」


フェイトが目を覚ますとマンションのソファの上だった。
たぶん、あの後力尽きて倒れてしまったのだろう。


「目が覚めたかい!」


そして横を見るとアルフが嬉しそうな表情で喜んでいた。
どうやらかなり心配をかけてしまったようだ。


「うん。もう大丈夫だよ」


体を起こそうとして気付いた。
体が軽いのだ。当たり前だがジュエルシードを素手で掴んだのだ。ならば酷い怪我を負った筈・・・なのに自分の体は痛みがあるどころか前よりも軽くなっている。まるで疲れがとれたような・・・・


「起きたか」


底冷えする声が部屋に響く。
声がした方向を見ると自分と同じ髪色、同じ眼の色をした青年が立っている。
そういえば何故自分は彼と契約したのだろうか・・・・
彼と最初に出遭ったのは時の庭園に母であるプレシアから連絡がきた時のことだ。
プレシアに攻撃したのを見て咄嗟に割って入り攻撃を防いだら何故か気に入られてそして契約したのだ。だがそう思えば変な話だ。何故自分は母を攻撃した相手と契約したのだろう・・・


「何故、あのような真似をした。確かに貴様のデバイスは損傷していたが我のデバイスは健在であった。それにアルフもいたしな。ならば我にでもアルフにでも言えばよかろう」


「でもそれだと二人が危険だし、やっぱり私がやったほうが「戯け!」いっ・・」


「侮るなよフェイト。我は最強だ。お前如きに心配される覚えなどない。それにな貴様が死ねば我に魔力を送る者も居なくなる。故に死ぬ事は我が許さん」


フェイトは戸惑っていた。いつも母に怒られる時はいつも辛かった。だがギルガメッシュから死ぬ事は許さんと言われたら何となく嬉しかったのだ。


「今は休んで置くのだな。ジュエルシードはまだ残っている」


そう言うと踵を返し


「傷は我が財で治しておいた。感謝しろよ、この妙薬一つを争い五つの都市が滅んだ一品だ」


自分の部屋に戻っていった。



(何故こうもイライラする・・・・まあいい寝るか)


自分の部屋に入るとそのまま静かに眠りの世界に旅立って行った。









[16289] 第10話  Fake
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/15 19:51
 ギルガメッシュ、、フェイト、アルフの三人(二人と一匹?)は時の庭園、つまりはプレシアの居城に戻ってきていた。
別にジュエルシード集めが終わったという訳ではなく一旦今までの成果を報告するためだ。フェイトも今回は短期間にしては沢山集めたと、アルフにも言われていたので心なしか足取りも軽い。


「じゃあ私は母さんに報告してくるから二人はここで待ってて」


「我もデバイスの事でプレシアには用があるからな。早々に終わらせろよ」


(奴にはマルドゥクにドリルの変形するよう改造させなければな)


「気をつけてね・・」


今回はたぶん大丈夫だとは思うがやはり心配だ。かといって自分が付いて行けば更に不機嫌になってフェイトを虐めるかもしれない。
口惜しいが此処で待つのが一番フェイトの為になるのだとアルフは経験から理解している。


「大丈夫だよ。母さん優しいから・・・」


そう言うと扉を開けて入っていった。









 「どうした元気ねえな」


学校から帰ったなのはは一目で分かるほどネガティブオーラを振り撒いていた。疲れたというよりは悩み事がある雰囲気だ。きっと学校で何かあったのだろう。少なくとも学校に行く前よりも表情が暗くなっている。


「何でもないです・・・」


搾り出したような声で言う。
だが無論ランサーはこんな嘘が通じる程、馬鹿でも鈍感でもない。きっと言いにくい事なのだろうと予測をつけた。だが悩みというのは吐き出さなければ溜まってしまう。


「そんな表情で言われても説得力ねえよ。話してみな。楽になるかもしれねえぜ」


あえて軽い口調で言う。重い口調で言ったりすると逆に言い難いものだ。


「じつは・・・」


金髪の少女、フェイトと友達になりたい事・・・その事を悩んでいたらアリサが怒って喧嘩してしまったこと・・・そして今回は自分が悪い事・・・


「あ~何だ。いいダチを持ったじゃねえか」


どこかからかうように言った。


「あのっ如何いう事ですか?」


「あのな~そのアリサってこの前の温泉の時にいた将来有望な嬢ちゃんだろ?如何いうことって決まってんじゃねえか。あの嬢ちゃんが怒ったって結局はなのはを心配しての事だろ?なら深く考えることじゃねえ。フェイトって嬢ちゃんの事もそうだ。ダチになりてえんなら全力で戦えばいいじゃねえか。少なくとも俺はそうだったぜ」


その言葉でなのはに渦巻いていたモヤモヤが消えていくような気がした。
そうだ深く考えても仕方がない。全力で戦って、自分の事を認めて貰いお話をすればきっと友達になれる筈だ。


「有難う御座います!」


さっきとは打って変わって明るい表情になると自分の部屋に走っていった。


「たっく世話がかかるマスターだねえ・・・・」


やれやれ、と首を振りながらも嬉しそうにランサーは笑みを浮かべた。
どうやら今回のマスターは最高らしい。今日はいい事がありそうだと考えながら自分も翠屋に戻っていった。そろそろ休憩も終わり。働かなければ・・・・


「あっランサー君、あのお客さんにシュークリームを」


「あいよ」


「ランサー君、あっちの娘にパフェを持っててね」


「へいへい」


ランサーは今日も大活躍・・・・・・





 ギルガメッシュとアルフがフェイトが戻るのを待っていると部屋の中から悲鳴が聞こえてきた。この声は間違えなくフェイトの声だ。そして一緒に聞こえる音・・どうやら鞭か何かで叩かれているらしい。時の庭園には四人の人物しかいない事を考えると誰がやっているかは明確だ。


「何だよ。一体何なんだよあの女、あんまりじゃないか!ギルガメッシュ何とかしておくれよ!!あんたなら何とか出来るだろ!!」


この男が傲慢な男だというのは知っている。だがそれと同時に彼がどれ程強いのかも知っていた。


「確かに少々、時間が掛かり過ぎでもある」


そう言うと扉に手をかける。


「少し行ってくる。貴様はそこで待っていろ」


ゆっくりと中に入っていった。





 「何の用かしら?まさか止めにきたの」


鞭を振るう手を止めると侵入者を睨みつけた。
だが男はフェイトを一度だけ見ると直ぐに興味がなさそうに目を逸らした。


「戯け、何故王たる我がその様な事で足を運ばねばならん。貴様に用があるのはこれだ」


後ろの空間から金の宝石がプレシアに向かって飛んだ。
それをキャッチして見てみると、確か自分がギルガメッシュに強奪まがいの方法で奪われたデバイスだった。


「そのデバイスにドリル型の変形機能を付け足せ。その杖型と宝石の形態だけだと些か味気無いのでな」


「・・・・どうせ私が嫌と言ったら殺すんでしょ?ええ分かったわ、ドリル型でいいのね。直ぐには無理だけど・・・・そうねえ二日三日もあれば終わるでしょう」


「そうか・・・ところでもう一つ話がある。だがフェイトがここに居ては面倒なのでな、フェイト今すぐアルフの元に戻れ」


そう言うとフェイトを縛っていたバインドを破壊した。


「いいわ戻りなさいフェイト」


プレシアからの許しがでると、ノロノロと扉に向かって歩いていく。
やはり体中が痛むのだろう。体を引きずる様に扉まで足を運ぶと部屋から出て行った。


「それで話というのはなにかしら?」


「なに簡単な事だ。フェイトのオリジナルはどこだ?」


「!!!!」


何故この男がそんな事を知っている。アリシアの事は自分以外は知らない筈だ。
咄嗟に身構えると相手の出方を伺う。


「どこで知ったのかしら?」


「侮るな。フェイトが造花である事ぐらい初見で知っていた。そして貴様のフェイトへの態度、願いを叶える宝石・・・ここまで揃えば貴様が自分の娘の蘇生を願っていく事など早々に理解できる」


あっさりと言うが、、他の人間なら不可能だろう。
初見でフェイトを造られた生命だと見抜けたのも英雄王の眼力あっての技だ。


「そう・・・・それで貴方は如何する気?」


バルディッシュの記録から見ても、この男はフェイトを気に入っている様子だった。ならばそれに仇なす人間を排除しようとするだろう。戦っても勝ち目は無いだろうが逃げるだけならば何とかなる・・・・プレシアは転移の準備を整えるといつでも逃げられるように目の前の男を警戒した。


「別に如何もせん」


だが彼女の予想はあっさりと裏切られた。


「どうもしない?貴方あのお人形に随分入れ込んでいたみたいだけど・・・つい先日もあの子をジュエルシードから助けたようだし・・・」


「何故そもそも我がフェイトの為に何かをせねばならん。確かに我はフェイトをジュエルシードから庇いはした、奴が死ねば我に魔力を送る者が居なくなるからな。だが貴様がフェイトを酷使し最終的に娘を蘇らせ何処かへ消えようと我は何の関心もない。それに拷問にしても我が罪人共にアレを遥かに越える苦痛を与えていたからな。特に思う事などない」


どうやらプレシアはギルガメッシュの性格を見誤っていたようだ。
そして彼の言葉が真実ならば彼は自分の計画に何ら支障は無いということだ。


「そう、なら話は終わり」


「ああ、さて我はそろそろ戻るとしよう」


そう言うと元来た道を戻り


「ああそうだ。貴様の部屋らしい場所からデバイスを少々借りてきたぞ。暫くマルドゥクの代用品が必要だからな」


転移魔法を作動させて消えていった。






後書き


今回はギルガメッシュとプレシアの話でした。
そしてちゃっかりと翠屋でバイトしていたランサー。
次回、クロノ・ハラオウン暁に死す?をお楽しみに・・・・










[16289] 第11話  Black
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/19 21:21
 フェイトとアルフは新たにジュエルシードの反応のあった公園に来ていた。
ギルガメッシュはあれから何時までたっても戻ってこなかったので二人だけでやって来たのだ。


「結局ギルガメッシュの奴、どこいったんだろうねえ」


「分からない・・・でもこれは最初から私の役目なんだから、いつまでもギルガメッシュには頼れないよ・・・」


そうは言うが内心では心配していた。ギルガメッシュから聞いた通り令呪の繋がりで彼が今もどこかで生きているのは分かる。だが相手のほうから遮断されているのか、居場所を探る事はできない。何度か探知魔法を使ってみたが姿を隠しているのか見つからない。もしやと思い母に連絡して聞いてみたが返答はとっくに帰ったとの答え・・・・


(私・・・見捨てられたのかな?)


彼が誰かに敗れるとは思わない。ならばきっと自分に愛想をつかせてしまったのではないだろうか。


「はっ!」


ジュエルシードが一つの木に取り込まれると、その木は巨大な化物へと変わった。


「こいつ生意気にバリアまで張ってるよ!」


アルフの言う通り、木の化物はバリアを張りフェイトの魔力弾を防いだ。
だがそれだけじゃない。あの白い魔導師達もジュエルシードの気配を察知してやって来たのだ。そして今こちらにギルガメッシュはいない。と言う事は一人で魔導師と青い槍兵を抑えなければならないのだ。
だが白い魔導師も青い槍兵も今はフェイトよりジュエルシードにより生まれた化物を倒すのが先決のようでこちらには手を出してこない。
なら負ける訳にはいかない。何としても白い魔導師よりも早くジュエルシードを手に入れなければ・・・





 戦場から離れたビルの屋上にサーヴァント――ギルガメッシュは佇んでいた。
自分の前には前に使った遠見の鏡を置いて戦いを見物している。


「ジュエルシードにより生まれた怪物も四人がかりでは分が悪いか・・・」


鏡の中ではランサーに枝を木っ端微塵に貫かれ白い魔導師とフェイトにボロボロにされていく木の化物が映っていた。
やがて耐え切れずに木の化物は消滅して中からジュエルシードが出てくる。


「しかし味気ない・・」


ギルガメッシュにとって腹立たしいのはフェイトの事だ。
今までフェイトが造花―――造られた存在だと知って尚も行動を共にしたのは少女が人形としてではなく一人の人間として確固たる意思を持っていた事に興味を覚えたからだ。
しかしプレシアからの拷問の後の表情――あれは彼が侮蔑する自身の意思のない人形に他ならない。
そういう意味ではまだ彼がフェイトを完全には見捨ていない事のほうが一種の奇跡なのだ。他の人間ならば自分の意思を失い人形となったマスターなぞ早々に見捨てていただろう。


(・・・・チッ、まただ・・・何故こうも腹が立つ・・)


理解不能の腹立たしさに不機嫌になる。
そう思うが否やプレシアから強奪した名も無きデバイスを起動させ転移魔法を行う準備をする。
簡単な事だ。腹立たしさの原因は恐らくはフェイトにある。ならば此処にいても問題は解決しない。




 「ギルガメッシュ!!」


木の怪物を倒し中からジュエルシードを引っ張りだした所で黄金の王が現れた。



「ちっやっとお出ましかよ金ピカ!」


常にギルガメッシュの存在を警戒していたランサーの動きは速かった。
一目散に駆け出すと一瞬で距離をつめていく。


「フェイト!我はランサーをやる。貴様は白い魔導師を相手にしろ!!」


一瞬だけ戸惑ったが直ぐに気持ちを切り替えて白い魔導師に向き直る。



「ジュエルシードには衝撃を与えてはいけないみたいだ」


「うん、昨夜みたいになったら、私のレイジングハートもフェイトちゃんのバルディッシュも可哀想だもんね・・」


確かにフェイトもバルディッシュが傷つくのは嫌だ。


「だけど、譲れないから」


「うん分かったよ・・・・だけど私が勝ったらちゃんとお話を聞いて貰うから」


もはや語るべき言葉など不要、この場で雌雄を決するのみ!
二人は視線を交差させると、そのまま激突、


「ストップだ!!」


しなかった・・・・一人の全く空気の読めない少年によって・・・


「ここでの戦闘は危険すぎる!一旦デバイスを下げるんだ」


だが


「おいおい誰だよテメエ。いきなり乱入してきて決闘の邪魔をするとは貴様、決闘を舐めてんのか!」


殺気を滲ませながらランサーが言う。
彼にとってみれば真剣勝負に横槍を入れるのは許せない事なのだ。


「僕は時空管理局のクロノ・ハラオウン執務官だ。決闘だか何だか知らないが事情を聞かせて貰おうか」


(あれがプレシアの言っていた時空管理局か・・・・だがまだ子供・・・時空管理局とは一体どういう組織だ?そう言えばロストロギアの回収も仕事だと奴は言っていたな。ならばジュエルシードを回収しに来たと言う事か・・)


黒い服の少年――クロノはとり敢えず一番年長者?であるランサーに事情を聞こうとしたのだろう。ランサーに近づいていった。だが


「フェイト!ギルガメッシュ!逃げて」


空からの魔力弾により後退する。
フェイトはその隙をついてジュエルシードに手を伸ばすが下からの魔力弾によって邪魔された。


「フェイトちゃん!」


魔力弾はフェイトを邪魔するだけでは無くプレシアの拷問によって傷ついた体に更なるダメージを与えてしまった。
急いでフェイトを背負い離脱しようとしたアルフに向けて更なる攻撃を加えようとする。だが


「やめて!!撃たないで!!」


そこに白い魔導師―なのはが立ち塞がった。
黒い魔導師の敵だと思っていたなのはが庇った事により動きが止まってしまう。
その隙をついてアルフは全速力で離脱していった。
少し悔しそうな顔をした後高度を下げて地上に降りていく。


「クロノ、お疲れ様」


突如として空間に画面が現れると緑色の髪を持った女性が映し出された。


「すみません。片方は逃がしてしまいました」


「ま~大丈夫でしょう。それとそっちの子とそちらの二人にはアースラに案内してもらえるかしら」


「了解です」


そう言うと画面が閉じて後には何も無い空間だけが残った。
クロノは四人と一匹(ユーノのこと)に向き直ると


「そういうわけだ。これから君達にはアースラに来て貰う。ご同行願おうか」


「おいだから、その前に「戯け!!」けっ・・・」


ランサーがクロノに文句を言おうとしたが奥から聞こえてきた声に一旦黙った。


「王たる我が何故貴様等如き雑種に呼び出されなければならん!!」


「王だって?訳の分からない事を・・・・いいから君にはアースラにきてもらっ!!!」


返答は攻撃だった。哀れクロノは絶対に喧嘩を売ってはならない相手に喧嘩を売ってしまったのだ・・・


「異なる平行世界とは言え我の庭に無断で上がり込んでいてその口、どうやら躾が必要らしいな、雑種!!」


王の財宝が開く。中から古今東西の宝具の原典が出現していき


「やれ」


敵を滅ぼさんと進軍した。
初見の攻撃だが咄嗟に空に上がって避ける。
だが内心は全く見たことの無い攻撃方法を使う相手に混乱していた。


「くらえ!」


「Blaze Cannon」



渾身の砲撃、未だ理解できない敵だが、これで少しは手の内を晒すだろう。
黄金の男に砲撃が直撃すると大量の土煙が上がる。


「やったか・・・」


間違いなく直撃した。
アレの直撃をまともに喰らえば唯では済まない。恐らくは気絶しているだろうと思い警戒を解いてしまう。


「はっ」


気付いた時には遅い。煙の中から放たれた一本の槍は正確にクロノの心臓目掛けて直進してくる。
避けられない、一瞬だけでも警戒を解かなければギリギリで対応できただろう。だが彼は最後に詰めを見誤った。それが命取りになる。


「おっと」


しかし寸での所で青い影が槍を弾き飛ばした。


「何のつもりだ?ランサー」


煙からは全くダメージが見受けられないギルガメッシュがランサーを凝視していた。どうやら自分が必殺と信じた一撃が他者に防がれた事が気に障ったらしい。


「まあ俺は、こんな奴どうでもいいんだけどよ、俺のマスターが助けろって言うからな」


親指でなのはを指さした。


「興が醒めた」


宝具を王の財宝へ納めるとそのままフェイト達が逃げた方向とは別方向へと去っていった。


「おいまだはな「少し黙ってろ」むぐぁ」


尚もギルガメッシュに向かって何か言おうとしたクロノの口を塞ぐ。
折角、嵐が去ったと言うのにまた呼び出しては意味が無い。


「あいつについても説明してやっからアースラだっけ?早く案内しな、小僧」


「ぐふぁ・・・ぼっ僕は14歳だ!!」


こうしてクロノ・ハラオウンは何とかギルガメッシュから生還した。





後書き


クロノ生存!ちなみに、あの時ランサーが助けなければクロノは確実に星になってました。もしなのはがクロノを助ける選択肢を選んでいなかったら・・・・・
ギルとフェイトも別行動に入りました。そして次はランサーとユーノによる管理局へのサーヴァントについての説明。このssでは全然出番が無かったユーノ、次回は少しだけ輝ける?










[16289] 第12話  Eye
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/25 18:22
 「すげえな・・・こりゃ・・」


転移魔法でついた場所はSF映画にでも出て来そうな光景だった。
確か暇な時見たTVにこんな光景があった・・・
ユーノは普通だがなのはも物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回している。


「クロノ!」


転移してから少し歩くと緑色の髪の女性がやってきた。


「艦長、持ち場を離れては・・・」


「あなたが心配だったの・・・・怪我はない?」


「ええ大丈夫です・・・・・そこの彼が・・・・武器を落としてくれたので・・」


クロノには執務官としての自負がある。
それなのに油断した挙句、現地の人間に救われたとなれば悔しがるなというほうが無理だろう。


「ああ安心しな。別に怪我どかはしてねえよ」


「貴方は・・・・この度はクロノを救っていただき有難う御座いました」


「なっ艦長!?」


「貴方は何がどうであれ命を救われたのよ、貴方もお礼を言って」


クロノも馬鹿ではない。頭が硬い所もあるが世間一般からみても良識のある人間である。悔しいが間違えなく正論でもある・・・・あの時、ランサーが割って入っていなければ死んでいただろう・・・


「今回は・・・助かった・・・感謝する・・」


だがやっぱりプライドが邪魔をするのか固い口調になってしまう。
だがランサーはそれを咎めるほど礼儀に煩い人間でもなければ、それを気にする男でもない。
それ以前に別にランサーは自らの意思で助けた訳でもない。ただマスターであるなのはに助けてっと言われたから助けただけ・・・


「礼なら、なのはに言いな。俺は頼まれたからやっただけだ」


「そう、ありがとう」


女性のほうが言うとクロノにも促す。


「ああ、ありがとう」


相手が少女だからか今回は普通に礼が言えた。
その後、立ち話も何なので艦長室に向かい話をする事にした。
ちなみに、なのはは何故に和室?と驚いていた。



 「それでは聞かせて貰えますか何故ジュエルシードを集めていたのかしら?あっこれは粗茶ですけど・・・」


「ええ実は






という事なんです」


「そう、ジュエルシードは貴方が・・」


「はい。あれは僕が見つけた物。だから僕が集めなければならないんです」


「立派だわ・・・・」


「だが同時に無謀でもある」


その言葉にユーノは項垂れてしまう。
彼―クロノの言うとおり、なのはに助けて貰わなければ何も出来ないまま終わっていただろう。


「それで、もう一つ聞きたい事があります。貴方・・・それにあの槍・・・あれは一体何ですか・・・ジュエルシード程ではありませんが、かなりの魔力を持っているようですが・・」


「ああ、その事だけどよ・・・ユーノお前のほうが説明上手いだろ?頼んだ」


「えっ!また僕ですか・・・・何か最近、説明しか出番が無いような・・・・・」


ランサーは馬鹿ではないが相手に対して理論だてて説明していくのは苦手だ。
その点ユーノは人に教える事に関してはかなり上手い。


「分かりました。では説明します。まずランサーさんですが平行世界から来た人です」


「平行世界?次元世界とは違うのか?」


「はい。平行世界って言うのは、あったかも知れないIFの世界・・・次元世界とは全く違います・・・分かりやすく言うと・・・そうですね・・・次元世界への転移を国と国との移動だとすると・・・平行世界の転移は星と星の移動みたいな感じでしょうか・・・すみません、僕もランサーさんから聞いただけでよく分かってないもので・・」


「平行世界・・・・そんなものが・・・・」


クロノは自分の全く知らない未知の世界が存在したことに衝撃を受けていた。
隣のリンディも言葉にはださないが同じ事を感じているのだろう・・・


「そしてその世界でランサーさんは英霊と言われる存在なんです」


英霊?また出てきた未知の単語に耳を傾ける。


「英霊っていうのは・・・過去、現在、未来で偉業を成し遂げて英雄となった人が死後に英霊の座という場所に招かれる・・・でしたっけ?」


「ああ間違っちゃねえよ」


「では・・・それで、ランサーの世界の魔導師、その世界では魔術師と呼ぶらしいですが、は七人の魔術師が七人のサーヴァントを英霊の座から招いて戦う聖杯戦争をしていたそうなんです。ランサーさんは・・その負けてしまったそうですが気付いたらこの世界のなのはに召喚されていて、今に到る訳です」


ユーノの長い説明が終わると二人は頭の整理をしていた。
ミッド・チルダ式と呼ばれる魔法を扱う彼等にとっては英霊なんていうものは理解の範疇に無い存在だ。


「じゃあ、その槍は何なんだ?凄い魔力を放っているが・・」


先に口を開いたのはクロノだった。
ランサーの赤い槍を指差して言う。


「これは宝具だ・・・まあ俺達英霊のシンボルみてえな物だな・・・・ようするに英霊の武器ってことだ」


「そうですか。ところでランサーさんで良かったわよね?貴方と戦っていた金髪の男性・・彼も英霊なんですか?」


柔らかそうに言うが、その実、虚偽は許さないと瞳が語っている。
それに理由はどうであれ自分の息子を殺そうとした相手に口調も少々キツイものになる。


「ああ、あいつも英霊だ・・・」


どこか履き捨てるようにそう言った。



 
 「もう一つ聞きたい事がある。金髪の少女、確かフェイトだったな。彼女が逃走した方向とは別の方向に彼は逃げた。逃走経路を誤魔化すためという事もあるが、それにしたって、この金髪の男がとった行動は怪しい。僕が主である彼女に攻撃したにも関わらず全く庇う素振りを見せなかった。もしかして彼女は使い捨ての可能性もある」


「そんな使い捨てだなんて」


使い捨てという単語になのはが反発した。
人を物みたいに言う事は彼女にとってみれば許せない事なのだろう。


「残念だが小僧。そいつは外れだ。マスターには令呪ってのがあって謂わばマスターの印みてえなモンだ。あの嬢ちゃんには間違えなく令呪があったしマスターであるのは間違えねえよ。それにあいつがマスターを庇わなかった理由だったか?そいつに関しては知らん。我の強い奴だからな・・・喧嘩でもしたんじゃねえか?」


結局はギルガメッシュが何を目的として動いているかは分からずじまいだ。


「分かりました。ではこの件については我々時空管理局が全権を持ちます」


「君達は今回のことは忘れて、それぞれの世界へ戻って元通りの生活に戻るといい」


だがそんな事なのはは納得しない。
反論するがクロノに民間人の出る幕じゃないと言われる始末だ。


「まあ急に言われても気持ちの整理も出来ないでしょう。一度家に帰って三人でゆっくり話し合うといいわ。その後でまた改めてお話しましょう」


なのはとユーノは素直に立ち上がり帰ろうとするが


「いい女と思ったが中々狸じゃねえか」


その呟きで足を止めた。


「どういうことかしら?」


「簡単だ、本当に関わらせたくないなら選択肢なぞ与えずにおけばいい。だが実際には選択肢を出した。ようするに俺達に協力するように選択させてえんだろ。おまけに金ピカもいるしな」


少しだけ目を瞑ると


「ええそうです。確かにランサーさんもなのはさんも今は喉から手が出る程ほしい戦力です。こんな回りくどい事をしたことは謝罪します。なので力を貸してくれませんか?」


言い逃れは出来ないと判断して正直に頼むことにする。
クロノは実直だからこういう腹芸は苦手なので自分の母が言った事に驚いている。


「どうするんだ、なのは」


答えは分かっているが一応聞いておいた。


「はい!協力します!」


こうして、なのはは正式に管理局に協力することになったのだった。






「駄目だよ。時空管理局まで出てきたんじゃもうどうにもならないよ。このまま逃げようよ!」


「駄目だよ・・」


「だけど雑魚なら兎も角、あいつ一流の魔導師だ!それにギルガメッシュもどっかいっちゃたしさ!」


こんな自分に尽くしてくれるアルフ・・・
自分には過ぎた使い魔だと思う。


「私はフェイトに笑って!幸せになって欲しいだけなんだ。なのに・・・」


「ありがとう、アルフでも私母さんの願いを叶えてあげたいの。たぶん母さんの為じゃなくて自分のため・・・後もう少しだから私のために頑張ってくれる?」


「約束して。あの人のためじゃなくて、フェイトはフェイトのために戦うって」


私は頷く。
そうこれは自分のため・・・ジュエルシードを集め終わればきっと母さんも元の優しい母さんに戻ってくれるはずだから・・・
だけど脳裏に浮かぶのは一人の男の人・・・
自分の元から居なくなってしまった青年――――――英雄王ギルガメッシュ、強い意志を宿した瞳だけど何となく寂しそうな瞳をした人・・・


何だろう・・・ギルガメッシュのことを考えると私もアルフと同じ様に胸が苦しくなる・・・





幼いフェイトにはこの気持ちの正体が分からなかった。




後書き



ギル行方不明。そして少しだけ輝けたユーノ。今後は説明キャラとして定着するかも・・・・
次回は海上での決戦。そしてギルも登場します。
皆さんから寄せられる感想は書く上で励みになると同時に参考になります。今後もドシドシ感想を下さい。











[16289] 第13話  Real
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/18 23:00
 「フェイト、駄目だ空振りみたいだ」


「そう」


アルフの問いに私は短く返答する。
時の庭園から帰ってすぐにジュエルシードの回収を始めたけど、管理局に見つからないように探しているので中々思うようにいかない。
かといって大々的に動けば管理局に発見されることになる。
私に、あの執務官と戦えるだけの力があればいいのだけど私では勝てない。もしも私が捕まれば母さんにも迷惑がかかる。それだけは絶対に避けないと。


「だけど・・本当にギルガメッシュの奴は何処行っちまったんだい!あいつがいれば執務官相手でも何とかなるかもしれないってのに!!」


「仕方ないよ・・・もともとギルガメッシュには関係の無い事だったんだし」


口ではそう言うが心の中では思ってしまう。
ギルガメッシュの力はよく知っている。強い母さんが相手にもならなかったんだ、強いに決まっている。
だけど頼っちゃいけない。私自身のやるべき事なんだ。
だけど・・・・


「なっ!!ギルガメッシュ!あんた何処行ってたのさ!!」


アルフが突如叫んだので振り返ると
そこには
ギルガメッシュが
最初見たような
ヒトではない
モノを見るような目で
木の上に一人
佇んでいた・・・・


「消えろ」


その一言と同時に私とアルフに向かって無数の魔弾が飛ぶ。
私は咄嗟に後ろに跳んで避けると、さっきまで立っていたところは無残に破壊されつくしていた。
これは・・・どういうこと・・・・ギルガメッシュが私を攻撃した?


「あんた!!いきなり何を」


アルフがギルガメッシュに掴み掛かろうとする。
だけど背後の空間から飛び出してきた・・・あれは紐?みたいなモノに拘束されてしまう。


「くそ!何だいこりゃ!?力が・・・力が全く入らない!!」


 アルフもフェイトも知るよしも無いだろうが、この紐こそグレイプニル、北欧神話においてロキの生み出した怪物フェンリルを封じた紐である。
この紐は獣に対して圧倒的な拘束力を持ち相手が狼においてはこの宝具に勝る一品は存在しないだろう。



 「そんな・・・何で・・」


何でギルガメッシュが私をコロソウトスルノダロウ
何故ギルガメッシュが・・・私に美味しい料理を食べさせてくれたギルガメッシュが?私が魔法を教えるとあんなに喜んだギルガメッシュが?私を何度も守ってくれたギルガメッシュが?この前、執務官が現れた時も駆けつけてくれた。私がジュエルシードを素手で掴んだ時も代わりに封印してくれたし治療もしてくれた。最初にあの青い人と戦った時も助けてくれた。そんな彼が・・・何故?


「何でだと?――――まあいい今まで我に魔力を献上してきた功を認め貴様が死ぬ理由ぐらいは教えてやる」


「あんた!!!フェイトを殺すだって!!?」


「煩いぞ少し黙れ」


アルフの体を縛っていた紐が今度は口を塞いだ。
モゴモゴと口を動かすが紐は全く解ける様子がない。


「貴様はそこで主が死ぬのを見ていろ」


そのまま紐が動き出して近くにあった木に縛り付けた。
相当強く縛られているのだがアルフは精一杯の力を込めて逃げようとする。
だがその努力は、あの紐のまえには全く意味をなさない。


「貴様を殺す理由―――――――簡単な事だ。我は贋作を何よりも嫌う。何一つ本物が存在しない贋作なぞ価値はない。だが雑種、貴様に価値を認め僅かながらも助力してやったのは他ならぬお前自身の意思によって生き行動していたからだ。
だが―――――――何だソレは、今の貴様には自我が無い。ただ母の思うがままに従っている人形にすぎん。己が真実を直視しようともせずに、ただ惰性のままに逃げ隷属するのみ、これが人形と云わず何と言う。そんな輩が我のマスターであるという事実だけで虫唾が走る。もはや生きる価値なぞあるまい」


私に自我が無い?そんな筈は無い。
私は母さんの為に・・・・違う私は母さんにまた昔のように笑って欲しいから。
また優しい母さんに戻って欲しいから!!!
それを邪魔するなら例えギルガメッシュでも倒さないと・・


「ほう、人形は人形なりに足掻くか・・・・いいだろう。貴様が我を打倒する様な事があるならば我はジュエルシードを集めるのに協力してやろう、悪い条件では無いであろう?我の力を持ってするならばランサーなど相手にすらならん。無論他の者共もな。そら我を倒せれば貴様の目的は完遂したも同然であるぞ」


それは嘘だ・・・・いやギルガメッシュは嘘は言わないだろう。
だが彼は負ける何て万に一つも考えていないのだ。
だからこそ遊ぶ。自分の期待を裏切った人間をより無残に殺すために


「先手は譲ってやる。せめて人形なりに我を愉しませろ、雑種!」


言葉通りギルガメッシュは動かない。
ただこちらの出方を見ている。
恐らくは如何なる攻撃であろうと防ぐ自信があるのだろう。
余裕の表情でこちらを見つめている。


「やるしか・・・・」


バルディッシュを構えるとギルガメッシュに向き直る。
相手は母さんすら余裕であしらった相手だ。勝ち目は薄い。
だけどやるしかない。例え・・・・例え相手がギルガメッシュだとしても!


「バルディッシュ」


「Yes sir」


魔力刃を形成すると自分の出せる最高のスピードで飛び上がる。
ギルガメッシュの攻撃は後ろにある空間から射出される宝具による攻撃が基本。
厄介なのは全ての魔弾がかなりの威力を持っていることだ。これだと下手にバリアで防ぐことが出来ない。そしてデバイスを母さんに預けたから魔法は簡単なモノしか使えない筈。
ならとるべき選択は一つ。どんな攻撃だろうと、当たらなければどうと言うことはない!


「ほう中々のスピードだが・・・・」


しかしギルガメッシュは相変わらず余裕な表情だ。
常人ならば驚愕するスピードを見ても何の恐れもない。
悔しいが油断している今がチャンスだ。
魔力弾を放ちつつ後ろに回りこんで斬撃を


「その程度か雑種」


だがギルガメッシュは自分の姿を完璧に見切っていた。
その瞳は真っ直ぐに私の姿を凝視している。
空間より一本の剣を取り出すと一振りする。その剣から突風が飛んだと思うと私の手を凍らせた。


「くっ!」


冷たい冷たい冷たい冷たい、腕が痛い。だけどこの程度・・・魔法で手の氷を蒸発させると一旦距離をとる。だが迫り来る七つの魔弾。それは正確に私を狙っている。急いで体を左に向けて避ける。だが急な方向転換のせいで全身に激痛がはしった。


「どうした我をもっと愉しませろ」


 ギルガメッシュが新たに放った一つの剣はブラハの魔法の剣。
一度撃たれれば敵の首をことごとく切り落とすという。


 「追ってくる!?くっ」


高速で接近してくる剣は私がどんなに逃げても追ってくる。
例え右に向かおうと左に向かおうと止まる事無く私をコロソウト追ってくる。
このままでは避けられない。砲撃を放つしかない。


「撃ち抜け轟雷」


「thunder smasher」


電撃を纏った砲撃がブラハの魔法の剣に当たると動きを止め地面に落ちていく。
何とか打ち落とせた・・・・これで・・・え、何これ刃?
私の腕から刃が出ている。違う私の腕に刃が突き刺さっているんだ。


「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


痛い。早く抜かないと・・・
だが刃は私が抜こうとする前に勝手に抜けていった。
不味いこんなに動きを止めていたら格好の的だ。早くこの場から離れないと
甘かった・・・・・今こんな事を考えている時点で遅かった。
体中に巻きついている鎖、物凄い力で引っ張られると私は地面に落ちていった。


「所詮は雑種・・・この程度か」


見下すような声、気付けばギルガメッシュが目前にまで歩いてきていた。
このままじゃやられる!!魔力刃を形成して切りかかる。今ならバリアジャケットも展開していない。ただの斬撃でもダメージを与えられる筈だ。
直線的に攻める何て事はしない。相手の間合いに入る直前で右に避けて切り込む。


「おいおいその程度か」


だけどそのフェイントは全くギルガメッシュには通じなかった。
刃がギルガメッシュに迫るが空間から取り出した槍で防がれる。
そしてそのまま私に向けて槍を突いてきた。
この距離じゃ避けられない。なら防ぐしか・・・
だけど私は基本的には相手の攻撃は避けて防ぐタイプの魔導師だ。
防げるだろうか?いや違う防がないと!!


「バルディッシュ!!!」


「yes sir」


寸前で限界までの魔力をこのシールドに使う。
このシールドなら防げるかもしれない。


「詰めが甘いな雑種」


だけどギルガメッシュの赤い槍はシールドを無いが如くすり抜けると私のお腹を貫いた。血が逆流する。鞭で叩かれた比ではない。焼けるような痛みが私を襲う。もはや声すらでない。だけど目の前の相手は待ってはくれない。そのまま首を掴むと投げ飛ばされた。


「ぐっがはっぁはっ・・・」


口から血がこぼれる。熱い・・・お腹が熱い。頭がクラクラする。
薄っすら目を開けるとギルガメッシュがまるでゴミを見るような目で私を見ている。
嫌だ・・・私をそんなふうには・・・・見ないで・・・


「ここまでか・・・・人形、詰まらんな。少しは愉しめると思ったが所詮は造花これが限界か」


どこか諦めた様な口調が聞こえてきた。
そうか・・・・・私はギルガメッシュに・・・見放されたんだ・・・


「その傷では我が手を下すまでも無いか・・・・ああ一つ教えておこう。この近辺は我が財による結界が張られている。プレシアの助けを期待しているなら諦めるのだな」


母さんは来てくれない・・・・・じゃあ私はここで死んじゃうのかな。
もう一度だけでも私に笑いかけてほしかった。もう一度だけでも母さんと・・・


「やはり下らん。他者より与えられた虚構の記憶に縋るしか出来ん人形が!母だと?笑わせるなよ人形!偽の記憶により生まれた偽の愛情・・・理解できんか?貴様には何一つ本物が存在しないのだ。お前のような人形に我が財を使う事すら惜しい。そのまま一人ゴミのように朽ち果てるがいい!それが貴様に相応しい死に方だ。汚らわしい人形が!」


ギルガメッシュが踵を返し去っていく。
薄れていく意識を何とか繋ぎ止める。
彼は一体さっき何て言ったのだろうか?私の母さんへの愛情が偽物?
違う!絶対に違う。もしかしたら・・・・もしかしたら母さんは私の事を愛して無いのかもしれない。でも・・・だけど私の母さんへの愛情だけは・・・・私が母さんの事が大好きなのは・・・絶対に真実なんだ!!


「何のつもりだ。人形」


私を射抜く冷たい視線。だけどそんなもの関係ない。体の隅々にまで力を込めて立ち上がる。痛い、熱い、立ち上がるだけでも苦しい。だけで


「取り消して・・」


「ん?」


「取り消して!!!」


出来る限り精一杯叫ぶ。大声を出した反動でまたお腹が焼ける様に痛い。
だけど負けたくない。絶対に!!


「取り消せだと?何をだ」


「私の母さんへの愛情が偽物だって言ったの取り消して!!」


「何が違う。貴様は所詮プレシアから与えられた偽の記憶を「関係ない!!」っ何だと?」


「私の記憶が母さんから与えられた偽物だっていうのは分からない。でもギルガメッシュの言う事だから本当の事なんだと思う。でも!!!偽の思い出でも私の愛情は偽物じゃない!!!」


再びギルガメッシュがこちらに向き直る。


「いいだろう。そんなに早く死にたいならば今殺してやる」


負けられない。私を馬鹿にするのはいい。
でも母さんへの想いだけは本物だから!


遠くを見るとアルフが泣きながら紐を解こうと暴れていた。
私は念話で大丈夫。と告げるとギルガメッシュに向かっていった。




















[16289] 第14話  Friend
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/20 17:56
 「失せろ」


迫り来る無数の魔弾、それらが全て私を標的と定めて襲い掛かる。
だけど・・・・


「避けれないことはない」


ギルガメッシュの攻撃は確かに厄介だ。
それぞれが別の力を持った必殺の宝具。
中にはさっき私のバリアを無効化した槍のようなモノもある。
つまり迂闊に防御すればあっさりとやられる危険性が高い。
だがその点では私はギルガメッシュと相性がいい。
基本的に私の戦い方はスピードを活かした高速戦闘
砲撃も出来ない事はないが、あの白い魔導師の子と比べると劣る・・・
だけどそれはつまり相手の攻撃は避けて防ぐタイプということ。
宝具の中には自動追尾の機能があるモノもあるみたいだけど、それだって冷静に見極めれば打ち落とせない事はない。
ならば・・・・


「ちっ、我が死ねと言ったのだ、疾く自害するが礼であろう」


新たに発射される光弾、一旦は避けたけど自動追尾の力があるのか追ってきた。
頭がクリアになる。
頭が冷めるとでも言うのだろうか?
お腹から血が一杯でてきて体中も痛い筈なのに頭は酷く冷静だ。
迫り来る宝具を真っ直ぐ見て・・・タイミングを合わせてバルディッシュを一閃、何とか打ち落とせた。


その後も続く魔弾、より激しさを増すが空を駆け弾の軌道を読み取ろうとする。
急加速に急な方向転換を繰り返して避けていく。
体が悲鳴をあげるが無視する。
避けなければ串刺しにされるのは明白だ。
避けきれない宝具は寸前まで引き寄せて・・・・横から叩く。


だがそれだけではない。
横から飛来する宝具、
これは青い男の人が持っていた槍?
そう言えばギルガメッシュは英雄の持っている武器は全部持っているような事を言っていた。
なら英雄である青い人の槍を持っていてもおかしくは無い。
ギルガメッシュは確か因果逆転の呪いを持つ必中の槍とか言っていた。
なら!


全速力でギルガメッシュの後ろに回りこむ。
もし私を狙うなら槍はギルガメッシュを貫く筈・・・


「我にその様な子供騙しが効く訳が無かろう」


一本の剣を取り出して槍を叩き落とす。
だけど予想済み
最初からこんなことで倒せるとは思っていない。


「バルディッシュ!!」


「yes sir」


本当の目的はコレ
槍の迎撃をする瞬間に後ろから接近戦を仕掛ける。
今ギルガメッシュはBJを着ていない。
単純な斬撃でもそれなりにダメージを与えられる筈


「接近戦か・・・だが甘い!」


剣と打ち合い鍔迫り合いが始まる。
だけど剣に込められた魔力が半端じゃない!
このままじゃバルディッシュが破壊される!
一旦後ろに下がり再び空へあがる。


これは予想だが・・・・
ギルガメッシュの接近戦での力量は、あの青い人よりも劣ると思う。
何というか・・・・圧倒的な力量というものを感じないのだ。
だがそれでも腕が悪い訳ではない。
青い人には劣るかもしれない。だけどその動きは全く素人には見えない。
もしかしたら力量自体は私ぐらいなのかもしれないけど持っている武器が違う。
悔しいけどバルディッシュではあの剣と何回か打ち合えば破壊されてしまうだろう。



「ほう、人形風情が少々やるではないか・・・・ふむ、ではこういう趣向はどうだ」


空間より一本の・・・・あれは確か刀?を取り出すと背後の空間が閉まっていく。
閉じた!?なら今はあの刀しか使えない筈・・・チャンスだ。
今なら砲撃が効くかもしれない。


「撃ち抜け轟雷!」


「thunder smasher」


砲撃がギルガメッシュに向かっていく。
見たところ持っている刀からはたいした魔力は感じられない。
これなら・・・・いける!


「斬れ」


その一言で私の砲撃は斬られた。
そう相殺したでも防がれたのでもなく斬られたのだ。
刀を思いっきり振ると砲撃は先っぽから段々と真っ二つに割れていく。


「これはな、この国に伝わる刀で名を千鳥、またの名を雷切という」


「らい・・・きり?」


「然り、宝具としてのランクは少々低いがこと相手が電気ならばこれ程の宝具はそうない」


甘かった。
相性がいい?それは完全に間違いだった。
彼はそんな生易しい存在では無かった。
どんな相手であろうと持ち前の圧倒的な手札の中から最も相性の悪いモノを選ぶ
そうギルガメッシュは他者の弱点をつく事に誰よりも長けているのだ。


「どうした。もっと我を愉しませろ」


相変わらずギルガメッシュは余裕そうに構えている。
再び姿を現す宝具の軍勢達、圧倒的・・・そう表現するしかないだろう。
見えるのは剣、斧、槍、中には杭のようなモノまである。
それぞれが出身の異なる武具達、
込められた概念も
込められた思いも
込められた魔力も
全てが違っている宝具、その数30、今までの比ではない。


「体が!・・・・」


体から段々と力が抜けていく。
ようやく思い出した・・・私は今かなりの出血をしている。
神経が麻痺しているのか頭が痛みを認識できないようにしているのかは判らないが今の今まで痛みを感じなかった。
さっきまでは戦闘に支障がでないから良かったが今そのしっぺ返しを喰らっていた。
痛みを感じないのはダメージに気付かないのと同じ事、私の体は私の知らないうちに限界を迎えていたのだ。


だけどこんな所で・・・・倒れたらアルフが・・・・母さんが・・・


「漸く力尽きたか、人形」


ギルガメッシュが私を見下している。
人形・・・・その通りなのかもしれない。
私は今まで母さんの言う事を破った事がない。
いやそれは間違いだ。破った事はある。
だがそれは失敗ではあるが反抗ではない。


そう私は今まで母さんの言う事に逆らった事がないのだ。
人形――――――そうかもしれない。
母さんの言う事を聞くだけの人形、ただのモノ・・・・


私はただ母さんが笑っていれば良かった。
記憶の中にある母さんの笑顔。
草原の上で私に笑いかけてくれた母さん。


でも考えたくはないけど・・・・ギルガメッシュの言う通り私の頭の中にある記憶が全て偽物だったとして・・・
私は母さんを愛していないのだろうか?


違う、それだけは違う。
断言できる。フェイト・テスタロッサは母さんを愛している。
これは絶対に変わらない私の答え・・・・・・


なら何でギルガメッシュは私を人形と言ったのだろう?
私は母さんが私に笑いかけてくれる為にジュエルシードを集めている。
言ってしまえば勝手な欲でジュエルシードを欲している。


それなら私は人形ではない?
でもギルガメッシュは実際に私を人形と呼んで襲ってきた。
ならなんで?・・・・・





違う――――――――私は母さんを愛してるんじゃない。


依存しているんだ。
依存、つまりは母さんだけを根幹に置いているという事・・・
母さんという核が無ければ動けないヒトの形をした人形・・・・・


そうか、だから私は・・・・ギルガメッシュに見放されたんだ・・・


たぶんだけど・・・
ギルガメッシュが本当に愛するのは
誰にも譲れないモノを持っていて、それを貫く事が出来る人・・・


例え愛したモノを守ろうとして結果的に愛したモノに裏切られたとしても
朋と呼んだヒトに裏切られたとしても・・・・


勿論、自分が間違ったときには他の人の意見を聞いて直したりするほうがいいだろう。
だけどそれでも譲れない心。
偽物の意思でもなくて・・・
偽物の記憶でもなくて・・・
本当の信念。





 「そうだよね・・・・」


人形が立ち上がる。
既に死に体・・・・
動いたのは予想外だった。


「まだ立ち上がるか・・・・・人形。つくづく度し難き人形よ」


この女に対する思いとして一番適切なのは――――期待外れだろう。
我は最初、人形の分際で意志を持ったコレに興味を覚えた。


だが、この人形はプレシアのたった一度の拷問で心を打ち砕かれ傀儡となった。
最初は少々様子を見たが・・・・・・すぐに理解した。
コレは意思を持っているように見えてその実ただの人形であった。
その様な輩、生かしておいても価値は無い。


「そうだね・・・・ギルガメッシュの言う通りかもしれない・・・・・私は母さんの人形で・・・たぶん中身も空っぽなのかもしれない・・・」


「そうか理解出来たなら「でも!」」


「私は私だけの意志で・・・・信念でここにいる!他の誰でもない自分だけの意思で!・・・・・だから負けられない。ギルガメッシュが立ち塞がるなら私はそれを越えていく」


我を越えるだと?
馬鹿な事を我を越えるものなぞ、この世のどこにもありはしない。
例え天上の神共も我を律することなぞ不可能だ。


「ほざいたな、人形。我にここまで啖呵をきったのは誉めてやろう。褒美だ塵一つ残さず消し去ってくれる」


三十の我が財が人形に狙いを定める。
ボロボロの人形なぞ我が財の前に成す術も無く消し飛ぶであろう。


「はああああ!!!」


む!魔力弾を地面に当てて土煙をあげたか。
その様な小細工で我が財を防げるとでも思ったのか?
例え姿が見えなかろうとも土煙の全てを消し飛ばせば意味はあるまい。


「やれ」


我の号令と共に撃ち出される宝具
土煙の方向を粉々に粉砕し更に多くの土煙をあげた。
もしその中に人がいるならば間違いなくバラバラになるであろう。
中にいればだが・・・・


「だああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


後ろから人形が迫る。所詮は人形の浅知恵
王たる我には通用せん・・
ゲート・オブ・バビロンより宝具を放ち消し飛ばす。


「何?」


だが宝具が直撃すると人形の姿は蜃気楼の如く消えていった。
消えるという事は本体ではなく身代わり・・・


「ギルガメッシュには教えてなかったね。これが幻術魔法、私はあんまり得意じゃないけどね!」


我の後ろから人形が迫ってくる。
そしてたいした威力もない魔力弾を放ってくる。
そのまま奴は魔力刃を向けて突っ込んできた。
もし何の対応もしなければ魔力刃が我が体を貫くだろう。


「愚かよなぁ、人形貴様の作戦なぞ我には通用せん」


あんなモノ一目見た時より偽物と気付いていた。
少々小細工をして人形を引っ張りだしたのは面倒であったからだ。
この様な愚か者の相手をするのも飽きた。


「死ね」


我が指を鳴らすと射出された財が雑種の心臓、腹、五体を貫き
そして衝撃のせいか地面が炸裂した。


再び辺りに静寂が戻る。
今や森の中は風の音とアルフが暴れる音しか聞こえない。
どうやらあの犬め主人の死に絶望し怒り狂ったと見える。
まあいいついでに奴も消しておくか。


「さてアルフ・・・貴様も人形と同じ場所に逝くがいい・・・ムッ!」


王の財宝を展開する前に気付く。
煙が晴れるとそこには”何も無かったのだ”
馬鹿な。エアで殺したなら兎も角、我が財にて貫いたのだ。
原型を留めぬとはいえ死体が残るはず・・・
ならば・・・・・!


「だあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」


地面から雑種が飛び出してくる。
そうつまり奴は二体目もまた幻影であったのだ。
そして幻術という事を悟られない為に共に誘導弾を放っておいた。
だがそれを我は本体が魔力弾を放ったと誤認した。
何という屈辱。もはや楽に死ねると思うなよ。


「無駄だ。途中までは良かったが最後に運に見放されたな雑種!」


奴はボロボロで全く余裕が無い様に見える。
その証拠に奴が出来るのは真っ直ぐに突っ込む事のみ。
フェイントなぞ考える力も残ってはいないのだろう。
無駄だ。ただ真っ直ぐ突っ込むだけの攻撃なぞ我には何の脅威でもない。
少し横に避け心臓を貫いてくれる。
我は蔵の中よりグラムを取り出す。そして・・・


「消えうせろ雑種!」


「当たれええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


刃が心臓を貫いた。












 「馬鹿なっ・・・」


我の心臓にはバルディッシュの刃が突き刺さっている。
非殺傷設定で死ぬ事は無いし我の耐久はB、そこまでのダメージでもない。
だがこれが殺傷設定ならば・・・間違いなく我の心臓を止めていただろう。


目前の少女は動かない・・・
いや動けない。もはや力尽き気絶しているのだ。
唯でさえ腹を突かれた上に土の中を進むという暴挙。
体はあちこちが骨が折れたり砕かれたりしているだろう。


あの時
我がフェイトを刺し殺そうとした時・・・
令呪が発動したのだ。
本来なら令呪とは使う意思が無ければ発動しない。強い思いに反応して発動するなぞ論外だ。
未熟者や半人前なら別だが・・・・・・


だが結果的に令呪は発動した。
即ち当たれと・・・


いや令呪だけなら如何とでも出来た。
いざとなれば鎧を装着すれば良かったし動けなくとも盾を出す事も出来た。
元より、聖杯の泥を浴びても生還した我だ。令呪の一回なぞ抵抗できる。



しかしそれも出来なかった・・・

そう我に必死になって迫るフェイトが・・・・

かつての朋のように映ったのではないか。

神に造られた存在の癖して最強たる我に歯向かい

そして唯一無二の朋となった男に・・・・



「クックックまさか我がな・・・成る程Fate(運命)、ならば我等が会うは必定であったか・・・そういえば約束があったな・・・」


自分の体を貫いた少女を確かめるように腕を伸ばして頬を指でなぞる。


「よかろう。これより我が力はそなたと共にあり、そなたの運命は我と共にある。ここに契約は成立した」


それは本来何の意味も無い言葉・・・

だが彼にとっては何よりも意味がある。

はっきりと言うのであれば、これは偶然の産物だ。

ただ運よくギルガメッシュの宝具が地面に当たった、運よく二体目も幻術と気付かなかった。BJを着ていなかった。相手が既に死に体で最初より更に油断していた。令呪の偶発的な発動、etc・・・・

だがそれがどうしたのだ・・・・

例え奇跡中の奇跡だろうと勝利を掴んだのは紛れも無くフェイトなのだ。
英雄王相手に一撃を与える・・・それがどれ程の奇跡なのか・・・
実際に対峙した者でなければ理解できないだろう。


だからこそ英雄王は少女を褒め称え存在を認める。
自分の暇潰しの道具ではなく一人の確固たる人間として・・



「世界には真に面白い事があるものだ・・・・なぁエンキドゥよ」



森の外では太陽が爛々と輝いていた。




後書き


フェイトVSギルガメッシュ決着です。
ついにギルガメッシュが本当の意味でフェイトを認めました。
これで少しは大人しく・・・・・ならないだろうなぁ・・
フェイトが幻術魔法を使ったのは、フェイトって優秀だから出来るんじゃね?という勝手な予想です。原作とは全く関係がありません。だけど苦手なので殆ど使わない設定です。今後は使う事は無いと思います。
次回は決着の後の話です。
それではまた次回・・・・
















[16289] 第15話  Ship
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/22 01:42
知ってる天井だ。
確か私はギルガメッシュと戦って・・・・
そうだ!アルフは!


「フェイト!目を覚ましたんだね!!」


アルフの声が聞こえたほうを見ると紐で縛られたアルフが部屋の真中にいた。
そして横には
私をコロソウトシタ人が尊大に座っていた。


「目覚めたかフェイト。我を待たせるとは戯けた女だ」


皮肉げな笑みを浮かべながら言う。


「どうして?・・・・」


何でギルガメッシュがここにいるのだろう。
私は見放されて捨てられた筈・・・
そういえば何でギルガメッシュは私をコロソウトしないのだろう?
判らないことだらけだ。


「・・・昨日の出来事をよく思い返してみよ」


昨日の出来事?
私は確か・・・ジュエルシードを探索していたらギルガメッシュに襲われて
そして戦いになったんだ。
それでお腹を貫かれて・・・・あれ?何ともない。
それに確か私は何とかギルガメッシュに一撃を与えられたけど気絶したはず・・・
何で生きてるんだろう?


「ちっ、面倒だが一から説明してやる。心して聞くがいい」





 「む、不味いな。このままでは出血多量で死ぬな」


フェイトがバルディッシュから手を離し倒れた。
気丈にも気絶したまま立ってはいたが限界を迎えたのだろう。
仮にも我が認めた女、ここで死なすには惜しい。
それに一様は約定もある(第13話の約束)
まずは犬の拘束を解くか。


「解けた!ギルガメッシュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!!!」


ちっ空気の読めない犬め!
相手にするのも面倒だ。
我は再び犬を拘束する。


「くそっまた!!フェイト!しっかりして!くそっこの紐さえなけりゃ!ギルガメッシュあんたねぇ絶対にぶっこ「静まれ!」ろし・・」


「フェイトを救いたいならば水を持ってこい。我が治してやる」


「嘘をつくんじゃないよ!さっきまでフェイトを殺そうとしていた奴が何で今度は助けようとするのさ!!」


「ほう。では我と戦いフェイトを救うか・・・だがいいのか?貴様の力ではフェイトは救えん、プレシアに見せたところで、あの女が治療するとは思えんな」


「くっ・・」


「もう我にフェイトをどうこうする意思も無い。それに我に勝利したならばジュエルシードの回収に力を貸す約定もある」


我が言うとアルフは忌々しそうに水のある場所へ向かっていく。
それにしてもアルフのあの様子・・・どうやらフェイトはいい忠犬を使い魔にしたらしい。
さて我もアレを取り出すか。


「持ってきたよ。あんた本当にフェイトを助けるんだろうね!!」


喧しい犬だ・・
我はアルフの持ってきた大量の水にある物を漬ける。
そしてその漬けた水をフェイトに浴びせた。


「あんた何してんだい!!」


アルフがそのまま我に殴りかかろうとしたので再び紐で縛る。


「戯けが良く見よ」


アルフがフェイトを見るとまるでビデオの巻き戻しを見ているかのようにフェイトの傷が塞がっていく。
妙な方向に曲がっていた足も治っていった。


「こりゃ・・・」


「これは敬氏の璧という物だ」


「敬氏の璧?」


「中華がまだ唐と呼ばれていた時代、敬遷と名乗る道士が献上した璧でな。この玉を浸した水を傷口にかければ如何なる傷もたちどころに治したという。我の持つコレは更にその原典、宝具による再生不可の呪いでもなければ大抵の傷は楽に癒す事が出来よう」


さてそれより今はフェイトのマンションにでも行くか。
何時までもこの様な場所にいるのも味気がない。






 「という訳だ」


でもまだ分からない事がある。


「どうしてギルガメッシュは私を助けたの?」


そうだ。一撃は与えたがダメージは微々たるもの・・・
気絶した私なんて簡単に殺せた筈だ。


「戯け、貴様はあろう事か我に一撃を与えたのだ。他の凡俗どもと我を一緒にするな。雑種に与える一撃と我に与える一撃が等価とでも考えているのか?大概にしろよフェイト。貴様は王たる我に確固たる信念を示し認められたのだ。その栄誉を誇るがいい。今の貴様は我の認めた女だ」


認められた?私がギルガメッシュに?
胸が熱くなる。嬉しい。その思いで一杯だ。
この言葉だけで死に物狂いで戦った価値があるような気がする。
何かスッキリした。痛い思いはしたけど得るものは多かった。
私自身の矛盾、愛情ではない依存、心の中にあったモノをギルガメッシュは無理やり引っ張り出してしまった。
だけど私はソレを受け入れる。どんなに歪だろうと私はソレを貫き通す。たぶんソレが私の答え何だと思う。


「ところで・・・何でアルフは縛られてるの?」


「一々我に殴りかかろうとするのでな。こうして紐に繋いで大人しくさせている」


「ああもう!この紐解きな!」



その後、二時間程話し合い、何とか仲直りは無理だったけど休戦に持ち込めた。





 「よし見つけた残り六つ!」


フェイトは今、海面に大量の魔力を打ち込んでジュエルシードを強制発動させていた。
地上には恐らくはジュエルシードは無い。ならばどこにあるか?
そう海鳴は名前の通り海が近い。ならば残る場所は海しかないと判断しての行動だった。本来ならば賢いやり方ではない。魔力を多量に使うし、何よりジュエルシード六つを一人で封印するのはかなり難しい。
だがフェイトにはその無理が出来る。



アースラ、ブリッジにて


「漸くお出ましか。おい坊主、さっさと転移の準備をしな」


適当なデバイスを貰い、ある程度は空を飛べるようになったランサーが言う。


「その必要はない」


だがクロノから返ってきた答えは不許可だった。


「あれだけの魔力を打ち込んだんだ。放っていおいても自滅する。その後でジュエルシード諸共、彼女を捕獲すればいい」


つまりは漁夫の利を狙うということ・・・
冷たいかもしれないが間違った判断ではない。
フェイトが少女とはいえ管理局から隠れているという事は犯罪に関与している可能性が高い。
仮にフェイトが失敗して死んだとしても無理に出撃して、民間協力者である、なのはやユーノ、ランサーを失ってしまえば元も子もない。
だが・・・・


「ちっ、馬鹿かテメエは」


「馬鹿だと!」


「ランサーさん!?」


ランサーの言葉にクロノが怒りなのはが驚く。
ちなみにユーノとこっそり独断行動する算段をしていたが出遅れてしまう。


「忘れたか、あそこには嬢ちゃんだけじゃねえ。金ピカも出て来る筈だ。言っとくが金ピカなら多分、ジュエルシードだろうと楽に封印出来るだろうよ」


確かにあの男なら・・・
リンディもその意見を聞いて思い直したのかランサーとなのはに向き直る。


「分かりました・・・ではクロノ執務官、民間協力者三名、出てくれますか?」


「「はい!」」


「了解しました」


「んじゃ行くとするか」



四人は現場へと転移していった。




 「フェイトちゃん!」


「フェイトはやらせないよ!」


突如として現れたなのはにアルフが臨戦態勢をとる。


「待ってくれ僕等は・・」


だがユーノの言葉は天空より降り注ぐ魔弾の雨で塞がれた。
幸い威嚇に放たれたのか全てが四人には当たらずに通り過ぎる。


「なっ!!あれは・・」


「金ピカの奴あんなモンまで持っていやがったのか!」


「すっ凄い・・・・」


「ほえ・・」


「話には聞いてたけど・・」


「ギルガメッシュ!」


上から眩いばかりの黄金の船が姿を現す。
そしてその上に佇む英雄王が下にいる六人をまるで神のように見下している。


「見るがいい、そして畏れるがいい。これが『王の船』というものだ」



頭上に降臨した王が


まるで駆けつけた四人を嘲笑うが如く


眩い黄金の船で


高笑いをしていた。





おまけ2

マーボー神父の次回予告(出演者は言峰だけです。言峰の声を想像しながらご覧下さい)



さ~て来週のなのはさんは!!


言峰だ。教会で神父をしている。


最近は少年犯罪が増えている。実におもし・・・ゴホンッ、実に悲しいことだ。


私自身もついこの前、自称正義の味方を目指す少年に胸を突き刺された挙句に泥の沼に落とされてしまった。


どこぞのワカメは学校の人間全てを溶解しようとした挙句に銀髪幼女の筋肉ダルマに殺されるわで私の町では中々におもし・・・もとい悲しい悲劇が続いている。聖職者としては実に嘆かわしい事だ。



さて次回は


王様無双


逆切れなのはさん


プレシア奮闘記


の三本だ!


来週は見たければ見るがいい。



ジャンケン・・・・・マーボー!!!!


クックック、フハハハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!




後書き


今回は時間が無いので短めです。
なので適当に思いついたネタをいれておきました。
ちなみに予告は本当です。








[16289] 第16話  Fight  
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/27 16:38
 頭上に現れた黄金の船、その余りの威容に六人は声が出なかった。
まさに王の船だと言わんばかりに光輝くソレは空を支配する王者として君臨しているのだから。


この船こそがギルガメッシュが信頼する飛行宝具の一つヴィマーナ
多くの伝承で登場する空飛ぶ船、その原典である。


「くっ、このおおおぉぉぉ!!」


一番最初に動いたのはクロノだった。
頭上のヴィマーナに圧倒されたか威圧されたか知らないが己のデバイスであるS2Uを構えると砲撃を放った。


「・・・・」


無言でギルガメッシュが自身の船に迫る魔力を見ると
船を庇うように鏡のような盾が出現し砲撃を跳ね返した。


「ちっ、避けろ」


ランサーがクロノの首根っこを掴むとそのまま引っ張る。
跳ね返った砲撃は今までクロノがいた場所を通過していた。
あのまま動かないでいたらモロに喰らっていただろう。


「くっ、すまない。だが何なんだアイツは・・・」


自分でもそれなりに自信のあった砲撃があっさりと跳ね返された事にショックをうける。だが状況はそんな事を許してはくれない。


[ギルガメッシュ]


[何だ?フェイト]


[私は白い子の相手をするから、他の人をお願い]


[よいのか?我の力をもってすれば、雑種共など纏めて消せるが]


[うん。あの子とは、正々堂々と戦いたいから・・・・それと殺さないでね!]


[殺すなだと?・・・・・よかろう]


無視する事も出来るが王としての矜持が一度した約束を破る事を許さない。
王が虚言を吐くなど許される事ではない。
他の偽りの王ならば別だが・・・・


「開幕だ、踊れよ雑魚共」


王の財宝が今までに無い規模で開いていく。
思えばギルガメッシュはこの世界に来てから一度も”戦った”ことがない。
ランサーとは唯の暇潰し
クロノは道端のゴミを払うような気分で
フェイトには断罪を・・・

だがまだ油断慢心はしているが初めてまともに戦うのだ。


「散るぞ!固まってりゃ避けられん!」


実戦経験が豊富なランサーは一瞬で今のギルガメッシュの危険性に気付く。
だが間に合うだろうか、黄金の王とその財の醸し出す威光でユーノは足が竦んでいる。
クロノはユーノほど酷くはないが、頭上の宝具達の魔力に圧倒されて言葉を失っている。
そしてランサーも辛うじて空戦が出来るようにはなったが、空での戦いが始めてで全く慣れてない。いつものスピードどころかユーノよりも遅いかもしれない。
だが王はそんな三人を待ってくれる程、優しくはなかった。


魔弾の豪雨が三人を平等に襲う。
だが全ての宝具が逆向きに発射されているのを見ると一応はフェイトの言った事に従ったようだ。
クロノとユーノが慌ててバリアで防ごうとするが、数が多すぎる。
バリアが破られると二人はあっさりと撃墜した。


「おい!っち・・」


ランサーは先程から一歩も動かず魔弾を叩き落しているが数が余りにも多すぎる。
最悪なのは空中なので思うように動けず立ち往生してしまった事だろう。
このままでは遠くない内にやられる。
だが・・・


「天の鎖よ!」


ギルガメッシュが乖離剣エア以上に信頼する宝具
自分の親友な名を冠した神を律する鎖が半神の英霊クー・フーリンを縛りつけた。


「これはあの時の!クソッ」


「犬には鎖が似合うであろう。さて二人は・・・」


有象無象を薙ぎ払ったギルガメッシュはフェイトともう一人の魔導師が戦っている場所を眺める。
既に二人の戦いも終幕に差し掛かっていた。



 「フェイトちゃん!」


「はあああぁぁぁぁぁ!!!」


なのはが語りかけるがその一切を無視して切りかかる。
ギルガメッシュと命を懸けた戦いを経験した事により経験地が遥かに上昇している。
今のフェイトは阿修羅すら凌駕する頃合だ!


「うっ、話を・・・聞いて!!」


無視された事が頭にきたのか、なのはもレイジングハートを構え後ろにバックすると誘導弾を放つ。


(これは・・・またあの時の感覚)


ギルガメッシュと戦った時と同じ様に頭がクリアになっていく。
あの誘導弾には平均的な魔導師ならば撃墜するほどの魔力が込められているが・・
ギルガメッシュの宝具に比べたら威力も恐ろしさも下がる。
ならばあの時と同じ様に軌道を見極めそして落とす!


「そんな・・」


次々と誘導弾が落とされていく、その動きには無駄が無い。
最低限の労力で確実に落としていく。


「だあああ!」


そして高速で接近して・・・・・バルディッシュを振りかぶる。
だが敵も中々にやるようだ。相手もデバイスでバルディッシュと打ち合うと
そのまま互いに後ろに下がる。


「やるね・・」


「フェイトちゃんこそ・・」


息を切らしているが表情はそれを感じさせないほど明るい。


「でも”負けたくないから”」


「私もフェイトちゃんに”勝ちたいから”」


そして再び二人は激突する。
二人はクロノみたいに平均して全てが出来るという訳ではない。
フェイト・テスタロッサはスピードと接近戦において高町なのはを上回る。
高町なのはは防御と砲撃においてフェイト・テスタロッサを上回っている。
故に二人の戦いは如何にして距離をつめるかに直結する。


フェイトが迫れば、なのはは誘導弾と砲撃を駆使して後ろに下がる。
なのはが遠のけば、フェイトはスピードを活かして接近して来る。
互いに有利な立ち位置が違う。だからこそ二人の戦いは激化する。


だが・・・・・


「ジュエルシードが!!」


今まですっかり忘れていた。
未だに封印されていないジュエルシードは段々とその力を凄め、今や全てを飲み込む竜巻となって暴走している。
このままでは・・・不味い!


「急いで封印しないと・・・」


「フェイトちゃん・・・」


先程とはうって変わって心配そうな表情をフェイトに向けた。
だけど二人はもう一つ忘れていた。王の存在を


「どいていろ」


黄金の船が竜巻に近づいて行く。
だが如何にギルガメッシュの誇る船であろうと、あの竜巻に衝突すれば唯では済まないだろう。


「危ないよ!ギルガメッシュ」


「あんた何してんのさ!」


アルフとフェイトが慌てて止めようとするが
ギルガメッシュが蔵より取り出した三叉の槍に込められた膨大な魔力に
二人は口を閉ざしてしまう。


「さあ目障りな暴風を消し去れ」


バビロンから射出するのではなく自分の手で槍を掴み
それを竜巻の暴れる場所へと
投擲した。


「そんな・・・竜巻が・・」


なのはが呆然とした口調で呟く。
これが竜巻が突如消えたのならギリギリで常識の範囲内だ。
だが今、竜巻は・・・・・・・・
より巨大な暴風により掻き消されていったのだ。


ポセイドン、その名を聞いた事があるだろうか?
クロノスとレアの子にしてギリシャ神話における”海洋神”である。
そしてギルガメッシュの投擲した槍こそポセイドンの力の象徴たる宝具
名をトライデント。岩を裂き風を起こすと伝えられるソレは格としては破格のA++に達するだろう。


「フェイト、何をしている」


「はっ・・・ジュエルシード封印!」


ギルガメッシュに促されると慌ててジュエルシードの封印を行う。
すると竜巻も収まり辺りには静寂が戻ってくる。


「さて此処に用などあるまい。帰るぞ」


そう言うとヴィマーナは再び天高く舞い上がり
何処かへ消えていった。






 
 数刻後、時の庭園にて


「ゴホッ、予定外だわ・・・まさかデバイス造りに熱中しすぎて体調を悪化させるなんて・・」


プレシアは激しい自己嫌悪に襲われていた。
マルドゥクから提案された改造案、そしてソレを詳しく理解するために
わざわざアニメを全編鑑賞したのだ。アニメという今まで触れた事のない存在に触れたプレシアは食い入る様に熱中してしまったのだ。
おかげで寝不足+病気がたたりマルドゥクの改造が進んでいないどころか魔法すら使うのが厳しくなってしまった・・・・・だがGガンは良かった・・・


「何をやっている?・・・・」


気付けば目の前には黄金の王がいた。
聞くところによれば大量のジュエルシードを手に入れたのでマルドゥクを取りに来るついでに来たのだと言う。


「悪いけど、改造は終わってないわ」


「何!貴様、二三日で終わるという言葉は偽りであったのか」


怒りの表情で王の財宝が展開されていく。
そしてプレシアは・・・・


(ああここで私は死ぬのね・・・御免なさいアリシア、母さんは貴女を蘇らせる事が出来なかったわ・・・)


何て事を漠然と考えていた。


「It waits and it is His Majesty.
To remodel me, was carrying out all one's powers.
Please give the benevolence humbly in the large heart」


《お待ち下さい陛下。
プレシア女史は私を改造するのに全身全霊を尽くしていました。
何とぞ寛大な心で慈悲を与え下さい》


だが予想外の所から助命嘆願の声がした。
プレシアが持っていた黄金の宝石、マルドゥクである。


「ほう、申してみよ」


「Then, I say while fearing it.
Regrettable had striven while it slept so that might remodel me suitably to noble, magnificent, strongest barrel His Majesty.
It is a woman who unexpectedly has the bone though thought this woman and.
It seems that it is worth making the best use of」


《では畏れながら申し上げます。
プレシアは私を気高く華麗に、そして最強たる陛下に相応しく改造するために、寝る間も惜しみ奮闘していました。
この女、ただの婆と思っていましたが意外と骨のある女です。
生かす価値はあると思われます》


「その言葉、嘘偽りは無いであろうな?」


「It is a no theory.
Let's swear it because the loyalty to my His Majesty is bet」


《無論です。
私の陛下への忠義に賭けて誓いましょう》


それを聞くと展開していた武具をしまい


「よかろう。己が身を削ってでも王たる我の命を完遂しようとした功は認めよう。だが御蔭で貴様の病も随分進行したようだな」


傍目から見てもプレシアが重病人だというのは丸分かりだろう。


「マルドゥク、何で私を助けるような真似を?」


「It is a silly question.
It was judged that killing here was regrettable and advised His Majesty because you had been unexpectedly carrying it out for His Majesty.
If you die, nobody remodels me in it.
It did not separately wish spared one's life for you」


《愚問ですよ。
予想外に貴女が陛下の為に尽くしていたのでここで殺すのは惜しいと判断し陛下に進言しただけです。
それに貴女が死ねば私を改造する者が居なくなりますからね。
別に貴女の為に助命を願ったのではありません》


本当はアニメに熱中してしまっただけなのだが・・・・
言わないでおこう。
そんなやり取りをしているとギルガメッシュが近づいてきて


「口を開けろ」


「はっ!?」


「口を開けろと言ったのだ」


そう言うと謎の液体を無理やり口に突っ込んでくる。
不味い、想像を絶する不味さだ。


「ガハッハアハア、何を飲ませたの?」


「直ぐに判る」


?と首を傾げたのも束の間、突如として襲ってきた痛み。
熱い、まるで骨が溶けてるみたいだ。


「くっぐああああああぁぁぁぁぁ」











「ねえ、貴女の飲ませたのが若返りの薬というのは理解したわ」


「そうか」


「まあ本当はそんな物理解したくは無いのだけど・・・それに何でそんな物持ってんの!ていうツッコミはこの際おいておくわ」


「そうか」


「だからこそ・・・・私は貴方に言いたい事が一つあるわ・・」


「申してみよ」


「何で

































何でフェイトぐらいの年まで若返ってんのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


時の庭園にプレシアの絶叫が響いたとさ。



ちなみに


「加減を違えたな」


それが答えだった。




~マーボー神父の次回予告~(よかったらグー、チョキ、パーを選んでおいて下さい)


言峰)さ~て次回のなのはさんは!!


カ)みんな~元気してる!愛と正義の執行者カレイドルビーここに参上!


最近、シェロが全く構ってくれないのよね~あのマジカル紙袋ときたら・・・・



                                   愚痴が二時間ほど続く



カ)あらそろそろ話を進めないとね。全くあのルヴィアの御蔭で余計な時間を取られたのだわ。


さて次回は


幼女になったプレシア


なのはさん珍道中


ギル様の華麗な食卓



の三本なのだわ



カ)来週もまた見るのだわ!プリズムmぼぎゃぐぁ


言)凛、それは私のセリフだ。では気を取り直して次回もまた見るがいい


ジャンケンマーボー!!!(チョキ)


フハハハハハハッッッ



後書き


ノリでプレシアを幼女にしてしまった。後悔はしてない。









[16289] 第17話  Life  
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/03 13:56
 「忘れていたが、そろそろフェイトが来るな」


その言葉を聞いたプレシアは絶句した。
もしフェイトに自分のこんな姿を見られた日には・・・
考えたくも無い。


「今すぐ戻しなさいよ!」


「断る。少なくとも貴様がマルドゥクの改造を終えるまではな。分かったならば早々に改造を仕上げるがよい」


「だから、フェイトは今ここに向かっているのでしょう!?改造なんてそんな一瞬で終わる訳ないわよ!!」


性格が少々、激しくなったのは若返りの影響だろうか?
プレシアは腕をジタバタ振りながらギルガメッシュに詰め寄るが
正直言って全く怖くない。むしろ微笑ましい。


「あの・・・母さん。今戻りました」


そんなやり取りをしている内にフェイトが扉の前まで来てしまった。
完全にパニック状態になり頭を抱えてもだえている。


「・・・・変身魔法を使えばよいのではないか・・」


「・・・・・そっその手があったわああああああああぁぁぁぁぁ!!!」


気が動転してつい魔法の事を忘れていたプレシア。
慌てて変身魔法を使うと、元の・・・・・・じゃなくて元より少し若いプレシアになる。


「おい・・・・」


「べっ、別に若返りたいとか思ってた訳じゃないんだからね!」


「・・・・・・」


そんなこんなでフェイトが入ってくる。
ちなみに微妙に若返った姿のプレシアを見て首を傾げていた。
だが持ち前の天然さを発揮してすぐに納得する。


「あのっ母さん。ジュエルシードを六つ集めてきたよ・・」


そして歩み寄ると何かの箱を渡そうとする。


「これは、お土産です。よかったら食べてください」


そうフェイトはこのお土産を買うためにギルガメッシュより後に来たのだ。


「私に・・・コレを?」


興味をもって中を見るとそこには
とても美味しそうなシュークリームが四つ入っていた。


(・・・これは・・・・美味しそうね・・・・・)


幼女化したプレシアは甘い物が好きらしい。
それに彼女の目から見て目の前のシュークリームは今まで食べたどれよりも美味しそうだ。
早く食べたいという気持ちが膨れ上がる。


「そう・・・・・貴女は引き続きジュエルシードを集めなさい。それと・・・・流石は私の娘よ・・・・」


そう言うとプレシアは奥の部屋へと消えていった。


「・・・今、母さん。流石私の娘って・・・」


(母さんに誉めて貰えた・・・・・よし!ならジュエルシードを頑張って集めないと!)


「あっそうだ。コレ、ギルガメッシュにも」


渡してきたのはプレシアに渡したものと同じシュークリーム。


「ほう、我に貢とは中々に大儀である。どれ・・・」


そう言うと手に取り口に運ぶ。
そして食べた瞬間


口全体に広がる甘み
だが決して無駄に甘すぎないソレは心地よいものを感じる。
即ち美味い。


「見事だ。よもや我に驚きを感じさせるシュークリームが存在したとは・・・フェイト!今すぐこのシュークリームを買った店へ案内するがよい!」


そう言うとフェイトの手を引っ張り時の庭園から消えていった。
ちなみに突然腕を掴まれた事にドキドキしていたのはギルガメッシュに悟られなかった。






 「ランサーさん!私強くなりたいの!」


「はっ?」


アースラ艦内で突如としてなのはがそう言った。
思い起こすのはフェイトとの戦い。
結果だけを見れば引き分けに終わったが、もしもあのまま続けていたら不味かっただろう。
このままでは負ける。そう感じたなのはは一番強そうなランサーに師事を願い出たのだった。


「成る程、あの嬢ちゃんに負けたくねぇってか。いいだろう、他ならぬマスターの頼みだ。おいクロノ、場所あるか?}


「・・・君という奴は・・・いいけど条件がある」


「条件?」


「そうだ。なのはだけじゃなくて僕にも訓練をつけて欲しい。正直言うと悔しい。コレでも執務官という自負がある。それが全く相手にもされないなんて・・」


「いい目になってきたじぇねえか。いいだろう。そうと決まれば話は早い」


そしてクロノは母であるリンディに場所の提供を
ランサーは魔導師という存在にどういった訓練をすればよいのかと考えていた。



 「で、何から始めるんだ?」


訓練場にはクロノ、なのは、ユーノが揃っている。
ちなみにユーノは、あの後なのはに訓練の事を聞かされて急遽参加した。


「それ何だが、俺は魔法ってのは知ったばかりだし空戦も初心者だ。技術的には教えられる事はない・・・なら」


ランサーの手に赤い魔槍が握られる。
そして瞳はまるで獲物を狙う肉食獣のように輝いていた。


「命を賭けた戦いってやつを体に叩き込むだけだろうが!」


青い影が疾走しクロノを蹴り飛ばす。


「なっ、いきなり!?」


「そら敵は待ってくれねえぞ」


速い。まるで風のように次はなのはに近づくと魔槍をその心臓目掛けて突く。
咄嗟に避けようとするが足が動かない。ランサーから発せられる殺気に小学生のなのはは耐え切れないのだ。


「うっ、」


思わず目をつむる。
だが何時までたっても予期していた痛みはこない。
ゆっくりと目を開くと心臓の直ぐ手前で停止した魔槍が目に止まった。


「理解したか?今の手前等に決定的に足りねえもの、度胸だ。非殺傷設定があるから死にはしない?笑わせるなよ、戦いは常に命を賭けてのモノだ。もしも死ぬ覚悟がねえんならここで寝てな。小僧共」


冗談など全く感じさせない声が訓練場を響き渡る。
そこまで大きな声でない筈なのに何故か大きな声に思えた。


「・・・・そうだな。僕は少し甘かったようだ。死ぬ覚悟か・・・知っていた筈だったのに何時の間にか忘れてしまっていたよ・・」


幼い頃に母と自分を置いて殉職した父が目に浮かぶ。
あれから自分は父の様な管理局員になろうと執務官になった。
最初の頃は才能もなく師である二人に扱かれる毎日だったがAAA+の魔導師になり周りから持て囃される内に大事な事を忘れていたようだ。


「だから・・・だあああああぁぁぁぁぁ!!!」


色々と吹っ切れたクロノがランサーに突撃した。


「死ぬ覚悟・・・」


正直言えば死ぬと言われてもソレが如何いう事なのか余りよく理解出来ない。
漠然と死にたくは無いとは思う。自分が死ぬ事を想像してみる。
たぶん家族は悲しんでくれるだろう。そして友達であるアリサとすずかも。
もし自分の大切な人が死んじゃったりしたら悲しいと思う。。。いや絶対に悲しい。
もし死にたく無いなら如何すればいいか。簡単だ魔法を捨てればいい。
魔法を捨てて元の日常へと帰る。命を一番大事にするなら最もいい選択の筈だ。
だけど・・・・あの悲しい、昔の自分みたいな瞳をした少女を見て・・・・
ならここで止めたくはない。確かに危険かもしれない。それでも譲れないものがあるから。


「私は戦います!」


そして、なのはもまたレイジングハートを構えた。




「・・・・・・あの僕は・・・・?」


そして訓練場に一人佇む少年の呟きが誰にも聞かれる事も無く響いた。







 「ここが翠屋か」


「そうだよ。ここが美味しいシュークリームが売ってるって評判のお店。アルフのドックフードを買う時に人が話してるのを聞いたんだよ」


「衆愚共の噂にのるか・・・我の認めたシュークリームを出す店だ。同然ではあるな」


そう言うと扉に手をかけ店内に入っていった。
店の中は昼食時を過ぎた為か、それ程込んでない。
この時間は学生もまだ学校の途中だろう。
だがそれでもチラホラと人がいたが・・・
そして店内にいた全ての人間は新たに入って来た客らしき人間を見ると思わず目を見開いた。


「何かこっち見てるけど・・・・どうしたのかな?」


「王が入ってきたのだ。民草が王に注目するは当然であろう」


全く気にした様子も無く店内を歩いていった。
確かにギルガメッシュの言ったことは当たっている。
金髪赤目の整った顔立ち。
圧倒的なカリスマ
そして・・・・・思いっきり腹の見えている服・・・
何だか服のせいで他の二つを台無しにしている気がする・・・


「おい店主はお前か?」


「あっ・・・はい。何になさいますか?」


如何に怪しい客とはいえ客は客だ。
慌てて元の世界に戻ってきて応える。


「シュークリームを六個だ」


簡潔に応えると近くのイスに座る。
そして空間から・・・・PSPを取り出した。


((((何故にPSP・・・・・・・))))


店内にいる全ての人間の心が一つになった事を知らないギルガメッシュは電源を入れると早速ゲームを開始した。
ちなみにソフトはガンダムVSガンダムNEXTだ。
今はどうやらゴッドガンダムでプレイしてるらしい(コスト3000しか使ったことが無い)


「面白いの?」


ギルガメッシュのやっているゲームに興味を持ったのかフェイトがたずねてくる。


「やりたいのか?・・・・まあよい、我はPSPは幾らでも持っているからな」


((((幾らでも?))))


再び空間からPSPが出てくる。
色は標準的な黒だ(ギルガメッシュの使っているのは特注品の金ピカ)


一連の操作方法を叩き込むと早速通信対戦に入る。


「どれを選べばいいの?」


「フム、これはどうだ。この少年、何の力も持たない雑魚の分際で中々に良く足掻く見所のある雑種だ」


画面にはガンダムDXと出ている。


「へ~じゃあこれにするね」


このゲーム自体始めて触れたフェイトは特に考えも無く言うとおりの機体を選んだ。


「では我はコレだ」


選んだのは相変わらずゴッドガンダム。
いい加減に他の機体を使えといいたい。


「ゆくぞフェイト。ガンダムファイト!」


「れっレデイイイイイィィィィィィィ!!!!」


「ゴオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!」


他の客の事を考えようともせずに雄叫びがあがる。



ちなみに結果は・・・・



「フハハハハハハハッッッ!!!何処を見ている。我はここだ。ここにいるぞ」


とか


「我のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!」


など必殺技のオンパレードに初心者であるフェイトはパーフェクトで敗北したとさ
ちなみに出て来たシュークリームに舌鼓をうった後、騒ぐだけ騒ぎ颯爽と消えて行ったとさ。



「あっ嵐の様な人だった・・」


高町家の大黒柱はギルガメッシュが去った店内でそう呟いた。






~マーボー神父の次回予告~(よかったらグー、チョキ、パーを選んでおいて下さい)



言)さ~て次回のなのはさんは!!


ワラキア)キッキッキッキッ、ツマラないツマラナイ、次回予告なんてツマラナイ!優れた錬金術師ならば誰でも辿り着ける、私たちは魔法使いのように出し惜しみはしない。
ちゃんとssの全てを知り、きちんと計算すれば誰でも辿り着くよ。変え様の無い終焉に!!アトラスは狂人の蔵なんだ。ssに避けられない滅びがあると知り、あらゆる手段をもって対抗策を作る。
けれど対抗策を作れば作るほど、最終回はおぞましさを増して作者を打ちのめした。何をしようと救いなどない。
私たちはあらゆる読者に平等な愉しみをもたらす為、未来を読んでssを運営しようとした。
なのに、まず始めに出てきたのは滅びなんだ。
考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。・・・・!!そう、あらゆる方法をシュミュレートした!
なのに手を尽くせば手を尽くすほど、私たちは余計ひどくてメチャクチャでグロテスクなssを運営するだけだったんだ!
狂った。滅びの未来に至った錬金術師はみな狂った。狂ったように未来に挑んだ。そして本当に気が触れた。
救いナンテありはシナイ娯楽なんてアリハしない、ツマらないツマラナイ!
ツマラナイクダラナイ、ウバイアイコロシアイ!!ソウシテ自滅シロ、ツマラナイ自滅シロ!
キ、キキ、キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ――――――――――キキ、キ、キ。ひ。ひひひひひあはははははっはははは!
作者よ回せ
秒針をサカシマに
誕生をサカシマに!
ssをサカシマに!
回せ回せ回せ回せ回せ回せ・・・・・!!
サテジカイハ!!!


王の嗜み


魔王育成計画


決戦へ



の三本ダ。
カットカットカットカットカットカ、カ、カ、カ、カットカットカットカカカットカットカッtカーーーッッ


言)私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。
我が目の届かぬもんおは一人もいない。
打ち砕かれよ。敗れたもの、甥たる者を私が招く。私に委ね、私に学び
私に従え。
休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる。
装うなかれ。許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を。
休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。永遠の命は死の中でこそ与えられる。
――許しはここに。受肉した私が誓う。

―――”この魂に憐れみを”(キリエ・エレイソン)




言)やれやれ私の出番をとるゲストには困ったものだ。
では気を取り直して、次回もまた見るがいい


ジャンケンマーボー!(グー)


フハハハハハハハッッッ



後書き


次回辺りでフェイトとなのはのバトルに入れそうです。
無印が終われば一旦間を挟んでA`sに入っていきます。
無印の最終話の次にタイガー道場をやるので質問や要望があればこの機会にお願いします(答えられない質問、応じられない要望もあります)
ではまた・・・・











[16289] 第18話  Crime
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/04 19:34
 夜の街を金髪の男が歩いている。
言わずと知れたギルガメッシュだ。
しばらく歩くと海鳴臨海公園に入っていく。
深夜だけあって公園には誰もいない。
ギルガメッシュはそのまま公園の中心まで歩いていくと


「はぁ!」


大量の魔力を放出した。
眩い黄金の魔力が公園から噴出す。
まるで黄金の噴水のようだ・・・・・
一見すれば魔力の無駄使いにも見えるが意味はある。
何故なら・・・・


「あの・・・」


予想通り白い魔導師という魚が釣れたのだから。
なのはは戸惑っていた。アースラにいたら突如、海鳴公園にて多量の魔力を感知したという情報を得て来てみたが、そこに居たのはギルガメッシュ1人。フェイトと使い魔のアルフはどこにも見当たらない。


「小娘、明日の五時ここでフェイトが待つ。そこで手持ちのジュエルシードの全てを賭けて戦え、無論、フェイトが敗れたならば、こちらのジュエルシードを渡そう」


「ふぇ?」


いきなり言われた言につい口をポカンと開けてしまう。


「言った通りだ。既にジュエルシードは貴様等の持つものとフェイトが持つ物で全て、これ以上集めるのであれば貴様等から奪うより他にあるまい」


確かにアースラでもジュエルシードの残りは全てフェイトが持っていると聞かされていた。だから近いうちに話をしようと思ったのだが先手をきられたらしい。


「さて我は帰るぞ。ああもし姑息な真似をしようものなら・・・・・理解しているな?」


そう言って、卑怯な真似は許さんと告げる。


「待ってください!」


「何だ?小娘」


「私の名前はなのはです!小娘じゃありません」


どうやら小娘と呼ばれるのが嫌だったようだ。


「もしもフェイトに勝つような事があろうものなら呼んでやらん事も無い」


そう言うとギルガメッシュは再び夜の街へ消えていった。





~アースラ艦内~



 「で、どうすんだ。その決闘の誘い。受けるのか?」


アースラに戻ると直ぐに今さっきギルガメッシュに言われた事を皆に伝えた。
クロノやリンディは驚いた顔をしたが直ぐに元の落ち着いた顔に戻っている。
そして現在はランサーに如何するか聞かれていた。


「受けます。私、フェイトちゃんとお話したいから」


迷い無くそう答える。
そこには短期間で良くも悪くも大きく成長した少女の姿があった。


「艦長?」


「ええ分かったわ。許可します。頑張ってね」


リンディの許可もでた。
後は明日に備えるのみだ。
それにこの話は悪い話ではない。
ランサーは認めたくは無いがギルガメッシュと一対一で戦った場合、勝機が非常に薄いのは理解している。彼は自分の力に誇りを持ってはいるが過信はしていない。気に食わない男ではあるが強いのは間違いないのだから・・・
そしてリンディもロストロギア、ジュエルシードは次元震を起こすほど危険なモノ。位置の特定も出来ていないのでむこうから出て来るのであれば万々歳だ。


決戦は明日の五時
なら今は早く寝たほうがいい。



 「伝えてきてやったぞ」


フェイトとアルフが玄関を見るといつも通り不遜な表情をしたギルガメッシュが立っていた。どうやら伝えてきてくれたらしい。


「だが良いのか?決闘などせずとも我が力を持ってすれば容易い事だが」


「うん。あの子とは真っ直ぐ向き合いたいから」


初めて出会った時は何も知らない少女だった。
だが激突するにつれ強くなっていった少女。
そして何度も自分に話しかけてきた・・・・


「いいだろう。明日の戦い、我は一切の手出しはせん。己が力を奮い、あの小娘を破るがいい」


「うん」


そう言うとギルガメッシュは立ち上がり自分の部屋に戻っていった。
明日の戦い、ギルガメッシュがこの前の戦闘から予想するとフェイトが勝つだろう。だが、仮にも英雄となる素質があると見抜いた少女だ。自分が劣っていると理解してそのままの筈がない。傍にはランサーもいる。以前よりも強くなっていると考えるのが妥当だろう。明日の戦いが楽しみだ。予想がつかない未知の可能性、予想通りの未来ほど面白味のないものはない。


明日に、あの白い子と戦う。
本当にジュエルシードを優先させるならギルガメッシュに戦って貰ったほうが効率もいいし安全だろう。だけど何故か、あの少女と決着をつけるのは自分の手でやりたかった。理屈ではない。ただ戦いたい、そして勝ちたい、そうしなければ前に進めない気がするから。勝算は正直に言うと五分五分だと考えている。アルフに聞けば絶対勝つと言ってくれるだろうが、これはカンだ。理屈も何も無い、だが何となく明日の戦い油断すれば敗北するのはこちらだろう。落ち着こう、相手はギルガメッシュみたいな規格外じゃない、同じ魔導師・・・・・


それぞれの思惑の中で夜は静かにふけていく。



そして後日、AM5:00 海鳴臨海公園



向かい合う二人の少女
黒と白、対極のBJを纏った二人が今、激突する。
少し離れた位置にはランサー、アルフ、ギルガメッシュ、おまけにユーノが揃っている。クロノ達もアースラでこの戦いを観戦しているだろう。


「フェイトちゃん・・」


フェイトは静かに、向かいに立つ少女を見つめている。
レイジングハートから全てのジュエルシードが吐き出される。
即ち正々堂々と戦う為の証。


「私もジュエルシードを全部賭ける、だから私が勝ったらお話を聞いてもらうから」


「約束する」


辺りに静寂が戻る。
二人ともピクリとも動かない。
ただ相手の瞳を真っ直ぐに直視している。


「はああぁぁぁ!!」


先手はフェイト、目にも止まらぬスピードでなのはに迫る。
だがランサーに比べたら速さが足りない。
だが接近戦ではフェイトに分がある。元よりなのはの特技は砲撃魔法
ならば敵から離れなければ始まらない。
誘導弾で牽制する。


複数個放たれた誘導弾、だけど、これぐらいの数なら落とせる。
魔力刃で一つ一つ確実に叩き落していく。そして隙を見出すと、素早く直進して、なのはに向けて振りかぶる。


「うっっ」


だが、なのはも中々にやる。
バリアで魔力刃を防ぐ。そして狙い通り。
今フェイトは自分に集中している。なら・・


「っ!後ろ」


隠れていた誘導弾が後ろからフェイトを打ち落とさんと迫り来るが、その程度でやられる程、弱くはない。確かに少しだけ驚いたが特に問題は無い。軽くバルディッシュを一振りして破壊する。




 「やはり、あの小娘も前より強くなっているな、ランサー貴様か?」


「ああ、といっても俺は単に戦場での心構えってやつを叩き込んだだけだがな」


あれから、なのはとクロノには殺気を叩きつけた上でランサーとひたすら模擬戦を繰り返した。高速の槍を何回も何回も目の前で見せられた御蔭かフェイトのスピードにも十分に対応できるようになっている。流石に完璧とはいかなかったが即席にしては十分すぎるほどだ・・・


「それにしても、手前のマスター、確かフェイトと言ったな。あの嬢ちゃんのほうこそ短期間に凄まじく成長してんじゃねえか」


最初見たフェイトはランサーの目から見てどこか頼りなく人を傷つけたりするのを嫌っているように見えたが少なくとも今のフェイトには甘さが微塵も無い。つまりは、ある程度の覚悟は既に出来ているという事・・・この短期間に教えようと思っても教えられる事ではない。


「我が少しばかり揉んでやっただけよ」


ランサーもギルガメッシュがフェイトを殺そうとして、そこから生還した事により成長したとは思わないだろう。くれぐれも他の人は真似しては駄目だ。死ぬから。


「あっ!フェイトが仕掛けるよ」


アルフが上空を指差す。
そこではバインドで手足を縛られたなのはにフェイトが大魔術を行使しようとしていた。


「助けなきゃ!!」


やっと出番が来たとばかりユーノが向かおうとするが


「待て」


ランサーに首根っこ掴まれて動きが止まってしまう。


「何してんですか!?このままじゃ、なのはが・・」


「いいか。この戦いは、なのは自信が望んだことだ。そして正々堂々の決闘である以上、邪魔する奴は許さねえ。もし通るなら死を覚悟しな」


それは冗談などではない。本気だと瞳が告げている。


「それに、なのはは負けた訳じゃねえ」


そう言って二人の戦っている空を指差した。


「疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」


詠唱が終わると周辺から多くの魔力弾が出現する。
まともに喰らえば不味い。
この時、アルフは勝利を確信し、ユーノは敗北を確信した。


「フォトンランサー・ファランクスシフト、撃ち砕け、ファイアー!」


そうして、なのはは爆風に包まれた。




 勝った?
少なくとも私が撃てる最高の魔法をぶつけたはず、なら・・・・
だけど煙が晴れるとそこには杖を構えたあの子の姿があった。
私にとっての最高の魔法を喰らって耐え切った事に驚く。
手加減などしていない一撃で倒せ無かった事に軽くショックをうけるが
今はそんな事を考えている場合ではない。


「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション!」


「Starlight Breaker」


周辺の魔力があの子の魔法陣に収束していく。
 足りない魔力を他から補う。これは魔法というよりは魔術に近い。
そして大気の魔力が白い魔導師の元に集う。
 

 不味い!アレを喰らったら・・・
だが手足が動かない。これは・・・バインド!
バインドブレイクも間に合わない。これじゃあ!


「これが私の全力全開! スターライトブレイカー!!」


杖が思いっきり振り下ろされると同時に巨大なピンク色の魔力の塊が迫り
私を包み込んだ。


「やったの?」


確実にスターライトブレイカーは直撃していた。
ならば普通は倒せた筈だろう。そう普通なら・・・


「だああああぁぁぁぁ!!!」


だがフェイトは墜ちていなかった。
全身の痛みを捻じ伏せ今また頭上に佇む魔導師へと向かう。


「あっ!」


一度倒したと思い気を抜いたのが不味かった。
襲い掛かるフェイトを見失ってしまう。


「どこに!?」


辺りを見回すがどこにもいない。
上、右、前、左、後ろ、どこにもフェイトを見つける事が出来なかった。
なら残るは・・・


「したっ!」


なのはの考え通りフェイトは下だった。
僅かな隙をついて急上昇して、そのままバルディッシュを振る。
それは、確実になのはの首目掛けて落とされた。


確かに振り落とされた。
このままなら確かにフェイトの勝ちだっただろう。
そう途中で気絶しなければ・・・・
既にスターライトブレイカーの直撃を受けたフェイトは限界だったのだ。
力尽きたフェイトは重力に従い落下していくが


「負けたか」


途中で飛んで来たギルガメッシュが受けとめる。


「ごめん・・・まけちゃった・・・」


「惨めだなフェイト」


ギルガメッシュの厳しい言葉に落ち込んでしまう。


「貴様は仮にも我のマスター、敗北するとは許し難き罪よ」


「・・・・・・」


「だが貴様は最後の最後まで己を貫き通した。誉めてやろう、お前は中々に我を愉しませた」


そう言うと滅多に見せない笑みを浮かべる。
そして二人はゆっくりと大地に降りていった


※シリアスに入ったので空気を読んで次回予告はお休みです。

後書き

フェイトVSなのは 終了。

次回はプレシアの暴露、どうなるフェイト。

それではまた・・・次回に・・・



[16289] 第19話  Revolution
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/04 18:59
 「来た!」


クロノがなのはにジュエルシードを確保するよう指示を与えようとした時、ブリッジにエイミィの声が響き渡る。モニターを見ると空が唸り紫色の雷が轟いていた。
そして、雷はジュエルシードに直撃してその姿を消していく。


「OK、尻尾掴んだ」


だがこれが決めてとなった。
今まで分からなかったプレシア・テスタロッサの居城を特定したのだ。


「よし不用意な物質転送が命取りだ、座標を」


「もう割り出して送ってるよ!」


その言葉を聴くとリンディが立ち上がり


「武装局員は転送ポッドから出動、任務はプレシア・テスタロッサの捕縛です」


「「「「はい」」」」」


時の庭園に武装局員達が出撃した。



 「この魔法、プレシアか」


天から落ちた雷は正確にジュエルシードだけを貫き転送した。
牽制にフェイト達に当てなかったのはギルガメッシュに当てるのが怖かったからだろう。


「これは・・・母さんが・・・」


呆然と頭上の雲を見つめる。
だが既にそこには何もない空が広がるだけだった。


「あの~」


「何だ小娘・・・・ああ名前でいう約定であったな。で何の用だ、なのは」


「実はアースラに来て欲しいんですけど・・」


「アースラ?ああ管理局とやらの船の事か・・」


次元を渡る船、興味がある。ヴィマーナも船であるが次元を超える事は出来ない。


「よかろう。案内しろ」


「えっ?」


フェイトは何か言いたそうにするがギルガメッシュの剣幕に逆らえず頷いた。




 「これが次元を渡る船・・・・宝具というよりも宇宙戦艦に近いな」


見れば見る程、艦内はSFアニメで見た戦艦と瓜二つだ。
魔術では到底考えられない。やはり世界が違う所以だろうと納得するが
ちなみに囚人服を着せようとした局員がいたがギルガメッシュが一瞥すると泣いて逃げ出した。


「お疲れ様、そしてフェイトさん・・・・・それと、ギルガメッシュさん?」


「貴様がこの船の頭か?女狐」


「なっ」


「貴様の事など興味は無い」


そう言うと歩いていき
一番、周りを見渡せる席、即ち艦長用のイスに座った。


「あっそこは私の」


「黙れ女狐、さてプレシア、如何足掻くか見せて貰おうか」


王の財宝より酒を取り出すと、そのまま飲み始める。


リンディは余りの事に呆けているがアースラには1人、物凄く頭の硬い少年がいた。


「来て早々おい!君は一体何様のつもりなんだ!!」


「我様」


「ふざけrむぐっ」


何か言おうとしたが寸前でランサーに口を塞がれる。


「やめとけ、あいつに関わると碌な事がねえ。ああやっときゃ大人しくしてんだ、ほっとけって」


ギルガメッシュが普通の人間なら他の局員達も文句を言いそうだが、それを許さないのもカリスマA+の成せる業だろうか?何故かギルガメッシュが艦長席に座っても全く違和感がない。
そしてその間にも画面は進み武装局員がプレシアを追い詰めていた。
投降しろと言うがプレシアは全く知らん顔でそこに立っている。
そして複数人の局員が奥の扉を蹴り破って中に入っていった。
そこには・・・・


「嘘!」


なのはが素っ頓狂な声をあげる。だが無理は無い。
扉の奥にはフェイトにそっくりな少女が生体ポットの中に浮かんでいたのだから。


「私のアリシアに近づかないで!」


局員達が一撃で打ち倒される。


「いけない!! 彼らをすぐに戻して!!!」


リンディが焦った声で指示を出した。
一人残らず倒れ伏した局員それぞれを魔方陣が包み、姿を消す。恐らくアースラに還ったのだろう。



「時間がもう無い………たった9個のジュエルシードでアルハザードに辿り着けるかは分からないけど」


歌うようにプレシアが語りだした。


「でも、もういいわ。終わりにする。この子を亡くしてからの暗鬱な時間を………この子の身代りの人形に記憶を与えて娘扱いするのも………聞いていて、貴方のことよ、フェイト」


はっと息を呑む声が聞こえる。


「折角アリシアの記憶をあげたのに、役立たずで、ちっとも使えない私のお人形」



「プレシアは最初の事件の時に娘の……アリシア・テスタロッサを亡くしているの。そして彼女が最後に行っていた研究が……
使い魔とは違う、使い魔を超える人造生命の研究、そして死者蘇生の秘術。フェイトっていう名前は当時彼女の研究につけられた開発コードなの」


エイミィが補足した。


「でも駄目ね。作り物の命は所詮作り物、失った命の代わりにはならないわ」


愛おしそうにアリシアの入ったポットを撫でる。



『アリシアはもっと優しく笑ってくれた。アリシアは我侭だったけど、私の言うことはとてもよく聞いてくれた』


「やめて」


「もう貴女なんかイラナイワ。何処へなりとも消えなさい!」


「やめてよ!」


なのはが悲痛な叫びをあげる。


「いい事を教えてあげるわ。貴女を作り出してから、ずっとね私は貴女の事が・・」


「お願い、もうやめて!!」


「大嫌いだったのよ」


どこまでも無表情にプレシアが言い終わる。
そして存在を否定されたフェイトは
ゆっくりと崩れ落ちた。



「庭園内に魔力反応を複数確認、いずれもAクラス、数は、何これ!? 百、百五十、どんどん増えていきます!!」


エイミィが驚いて叫んだ。
恐らくは傀儡兵とやらを呼び出したのだろう。



「これより、プレシア・テスタロッサを捕縛しジュエルシードの回収をします。転移は既に準備は出来ていますが、彼女の居城にはかなりの数の魔力反応があります。無理はしないように」


この場にいる、なのは、クロノ、ランサー、ユーノ、そして共に行くと言ったアルフに向けて言う。
フェイトは、医務室へと連れて行かれた。ギルガメッシュも付いていった事を考えると余りプレシアに興味はないのかと思う。


「安心しな。あの婆の首根っこ掴んで引っ張ってきてやるよ」


そう言うと五人は時の庭園へと向かって行った。



 「一杯いるね・・」


入り口に辿り着くと大量の傀儡兵が侵入者を待ち構えていた。


「まだ入り口だ、中にはもっといる」


そうな事を言っている間に一つの影が傀儡兵に迫った。
ランサーは一瞬で距離と詰めると蹴りと槍を巧みに使い傀儡達を打ち倒した。
余りのスピードに四人は声も出ない。


「行くぞ」


ケロッとした顔で言うと内部に入っていく。
慌てて四人もそれに続いていった。


「ここから二手に別れよう。君達は最上階の駆動炉の封印を、僕とランサーはプレシアの所に行く、それでいいか?」


確認の意を込めてランサーを見る。


「ああ構わん。んじゃ、なのは怪我すんなよ」


「はい、ランサーさんも気をつけて」


「ハッ誰に言ってやがる・・・任せな」


なのはとユーノとアルフは最上階へと跳んでいった。



 「ここは・・」


たぶん医務室だろう。先ず始めに白い天上が目に入った。
情けないな私・・母さんに何て言われようと覚悟はしてたのに・・・
やっぱり直に言われると、悲しかった。
悲しくて悲しくて、寂しかった。
それにしてもクローンか・・・最悪ただのジュエルシードを集めるだけの道具として作られたとも考えたけど、それよりはマシ?なのかな。
画面を見ると、あの私と何回も戦った子がいる。
そして・・・・



「やはり下らん。他者より与えられた虚構の記憶に縋るしか出来ん人形が!母だと?笑わせるなよ人形!偽の記憶により生まれた偽の愛情・・・理解できんか?貴様には何一つ本物が存在しないのだ。お前のような人形に我が財を使う事すら惜しい。そのまま一人ゴミのように朽ち果てるがいい!それが貴様に相応しい死に方だ。汚らわしい人形が!」


前にギルガメッシュに言われた言葉が思い起こされる。
あの時、私は何を決心した?
そうだ・・・まだ何も始まっていない。私は何一つ始まっていない。


「そうだよね、バルディッシュ」


「get set」


バルディッシュに再び魔力が走る。


「漸く起きたか。男を待たせるとは戯けた女だ」


扉を見ると、初めて見る黄金の鎧を纏ったギルガメッシュが笑みを浮かべて立っていた。


「ごめんね、待たせちゃった?」


「全くだ。後少し起きるのが遅かったならば退屈で貴様を殺すところであったぞ」


ギルガメッシュが言うと全く冗談に聞こえない・・・いや冗談じゃなくて本当何だろう。


「さて行こうか『マスター』プレシアに用があるのだろう」


「うん、行くよバルディッシュ」


「yes sir」


さあ行こう。母さんの所へ。




なのはは次から次へと現れる傀儡兵に苦戦していた。
だがそれは一つの光により逆転する事になる。
なのはを刺し殺そうとした傀儡兵に雷が降り注いだ。


「フェイトちゃん!」


なのはが見上げると、先程まで気絶したフェイトがバルディッシュを構えて飛んでいた。


「get set」


「サンダァァレイジ!」


砲撃が傀儡兵を包み込み破壊する。
そしてそなまま降りてくると、なのはの前に降り立つ。
だが・・・


「はぁ!」


巨大な傀儡兵が壁の向こうから出て来た。
しかしそれは・・天より降り注いだ豪雨により塵となった。


「ギルガメッシュさん!!」


「話は後だ、行くぞ」


簡潔に言うと、そのまま飛行魔法を使い飛び上がる。
そしてついた場所には


「まだあんなに!!」


辺り一面に傀儡兵の群れが広がっている。
数は・・・・数え切れないほど大小さまざまな鎧が待ち受けていた。


「フハハハハハッッッ人形風情が王の進軍を阻むか!」


同時に数え切れない程の魔弾が傀儡兵に飛ぶ。
あるものは槍、あるものは剣、またあるものは、矛に貫かれ四散する。


「むっ」


だがギルガメッシュの背後の地面から傀儡兵が飛び出し、手に持った斧を


「はああぁぁぁ!」


振るう前にフェイトにより両断された。


「危なかったね」


「余計な真似を・・」


さあ、もう邪魔する物は何一つ存在しない。

黄金の主従は時の庭園の主の下へと・・・・




後書き

次回で無印篇終了です。
無印が終われば皆大好き?タイガー道場の時間(特別ゲストが登場するかも)







[16289] 最終話  GOLD KING
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/05 16:39
 「ごめんなさい、アリシア、でもあと少しで、こんな筈じゃない日常を取り戻せるわ・・」


優しく娘の入ったポットを撫でる。
その瞳には涙が浮かんでいた。

ドンッという音と共に壁が破壊された。
そこには傷だらけのクロノが
そして上の階からフェイトとアルフとギルガメッシュが降りてくる。


「あら誰かと思えば管理局の執務官ね。貴方の所へは、ありったけの傀儡兵を行かせたのだけど」


「頼りになる相棒がいたんでね」


そう言うと息を吸い込んで


「世界は、いつだって……こんなはずじゃないことばっかりだよ!!
ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!!
こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは、個人の自由だ!
だけど、自分の勝手な悲しみに、無関係な人間を巻き込んでいい権利は、
どこの誰にもありはしない!! 」


自身の思いを叫んだ。
そう彼もまた父親を失っている。
そして父を失った時も気丈に微笑んでいた母の姿も
故に大事な人を蘇らせたいという気持ちは分かる。
だがその為に他人を巻き込む事は執務官としてじゃなくクロノ・ハラオウンをして許せない。


「母さん」


「何をしにきたの!!」


怒りの形相で睨みつけた。


「貴女に言いたい事があって来ました」


プレシアの前に立つと微笑み


「私は・・・私はアリシア・テスタロッサではありません。貴女にとって唯の人形だったのかもしれません。だけど・・・だけどフェイト・テスタロッサは貴女に生み出して貰った貴女の娘です」


「ふふふッアハハハハハッだからなに?今更、貴女を娘と思えばいいの!?」


どこか自虐気味に笑い


「貴女がそれを望むなら」


フェイトは確固たる意思をもち答えた。


「クダラナイワ。ええクダラナイ。私の娘はアリシア1人、貴女な「戯け、下らんのは貴様のほうであるぞ、プレシア」


「下らないですって!!私がアリシアを蘇らせる事の何処が下らないの!!」


「クックック、蘇らせるだと?戯けた事を、その様な芸当、不可能であると貴様も理解しているのであろう」


「理解してるですって、ふざけないで!!アルハザードに行けば全ての望みが・・」


ギルガメッシュは新しい事に気付いたとばかりに納得する。


「成る程、そのような絵空事にも僅かばかりは期待していると見える。藁をも掴むとは貴様を言うのだろうな、だが本当の目的は違うのであろう?」


今、全てを見抜く王の心眼が


「どういうことよ・・」


「貴様の目的・・・それはフェイトを自身の呪縛より解放する事であろう」


プレシア・テスタロッサの真実を告げた。




 「如何いう事だ。フェイトを自身の呪縛から解放するって・・」


真っ先に食いついたのはクロノだ。


「言葉通りだ。フェイトは今まで、この女に依存していた・・何をするも母のため、母の喜ぶ事のため・・・・貴様は娘を蘇らせる研究の傍ら気付いたのであろう。自身は病に侵され先がないであろう事、そして、自身の死と同時にフェイトもまた死を迎える事を・・」


フェイトとアルフはもう声もでない。
ただ目を見開いてギルガメッシュとプレシアを見つめている。


「貴様は悩み、そして答えを出した。それが今回のジュエルシードの事だ。まだ娘の蘇生を諦めないでいた貴様はジュエルシードの事を聞きつけ計画を思い付いたのだろう。ジュエルシードに込められた大量の魔力を使い、アルハザードとやらへ向かう、分の悪い賭けだがな。そしてフェイトにはジュエルシードを探させる傍らで執拗に虐待を加える。本来ならば使える駒を虐待するなど愚行でしかない。だが貴様の真の目的の為には必要な事だった・・最初は管理局に保護させるつもりだったのか?流石にそれは判らんが、お前はフェイトの記憶とバルディッシュの記録から都合のいい存在を見た、それが高町なのは、喜んだであろうな貴様は、小娘の存在が、もしかすればフェイトの支えに成るやもしれん。更に嬉しい誤算は」


横にいるクロノを指差し


「管理局であろうな。直ぐに理解したがアースラの雑種共はフェイトの境遇に同情し悪いように扱わんだろう。後は自分が全ての罪は自分にあると暴露した上でわざとフェイトに出生を教え、そのまま、存在すら怪しいアルハザードとやらに消えればいい。正直に言うなれば、この我すら騙されたぞ。中々の演技力だ」


「違うわ!!私は「王に対して虚偽は許さん!」ほっ」


「言っておくが我が財の中には貴様の真実を晒す術など幾らでもある、どれ一つ試しに使ってみせようか」


駄目だ・・・いくら嘘を吐こうと、英雄王の前では無意味。
ギルガメッシュが真実を暴けたのはプレシアが若返ったからだろう。
演技とは例外もあるが年を重ねるごとに上手くなる。
心に秘めたモノを仮面で覆い隠し真実は胸に秘めておく。
そしてプレシアの演技は英雄王を騙す程に完璧だった。
違う。フェイトに対して言った事も少しは思っていた事なのだろう。
普段はフェイトを憎む自分を前面に押し出して、本当ならば愛おしい娘を胸が張り裂けそうになる思いで傷つけていたのだ。だがギルガメッシュが若返りの薬を使った事でそれが・・・崩れた。
如何に中身は大魔導師であろうと所詮は幼い少女にまで若返った存在、嘘は苦手だった。


「母さん!!」


耐え切れなくなりフェイトが母に駆け寄る。


「来ないで!!!」


だがプレシアから発せられた雷が阻む。


「貴女の未来に私は不要よ・・・・それに未練がましいと笑うかもしれないけど、それでも私はアリシアも愛しているの」


もはや言い訳を出来ないと悟り
今はジュエルシードを発動させる事に集中する。


「だから・・・・お別れよ。貴女は貴女の人生を精一杯に生きなさい」


天井が裂け岩が落ちてくる。
プレシアは最後にフェイトに向かって泣きそうに微笑を浮かべ


次元の狭間へ

消えていった・・




「母さぁぁぁっぁぁぁああん!!」


「やめるんだ!!次元震がおきる」


「フェイト!気持ちは痛いぐらい分かるけどさ!ここは危ないよ!!」


アルフとクロノが必死に次元震に飛び込もうとするフェイトを羽交い絞めにする。


「ふんっ」


だがギルガメッシュが手刀を入れ気絶させた。


「何をっ」


「戯け、引くぞ!!」


そのままフェイトを抱き上げると
出口に向かって走っていく。
クロノとアルフもそれに続いていった。


「フェイトちゃん!」


声が聞こえた場所を見ると駆動炉の封印を終えた、なのはが此方に向かってくるのが見える。


「なのは!早く脱出するぞ。このままじゃ巻き込まれる!!」


焦ったふうに叱咤すると


「わ~ってるよ」


天井を破壊して上からランサーが降り立った。


「よかった無事だったのか」


「あんな鉄屑にやられるようじゃ英雄なんて呼ばれねえよ・・・・って話してる場合じゃねえな」


その間にも時の庭園は今にも崩れそうだ。
四人は急いで時の庭園を後にする。





「フェイトちゃん・・・」


なのはが涙を溜めた瞳で呟く。
アースラに戻った、なのは達はクロノからプレシアの真実を伝えられ、如何しようも出来ない、もどかしさに囚われている。
確かにフェイトは救えた・・・・だが娘の為に自身を犠牲にしたプレシアは救えなかったのだ。
今、フェイトは医務室のベッドで暗い瞳をして座っている。

「何を辛気臭い顔をしているのだ?」


医務室の扉が開くとギルガメッシュが入ってくる。
その声は涼やかな声で全く空気を読んでいない。
本人に言えば己が空気だ!と言いそうではあるが・・


「何処行ってたんだ」


「ああ、この鼠に案内をさせ探検に行っていたのだ。見新しい物ばかりでな。意外と愉しめたぞ」


傍にいるのはユーノ、どうやらギルガメッシュに拉致されて無理やりアースラの案内をやらされた様子でグッタリとしている。


「あんたっ、フェイトが今こんなに悲しんでいるってのに」


アルフがギルガメッシュに掴みかかろうとするがランサーが必死に推し留める。
無論、ギルガメッシュが心配なのではなく、こんな所で暴れられたら一大事だからだ。


「ああ、そういえば忘れていたな」


パチンっと指を鳴らすと空間が割れ

そこからフェイトと同い年ぐらいの少女が

飛んだ。

それはもう結構な勢いで

フェイトに・・・・


「きゃっ!」


フェイトが驚いて悲鳴をあげる。
そして見ると、母に良く似た少女が目の前で目を回していた。


「はっ!私は虚数空間に落ちたはずっ!ここは・・・アルハザード?」


「アルハザードって母さん!?えっでも何で小さく・・」


「ぷっプレシアだと・・一体何がどうなって・・」


「にゃっ!どうなってるの!?」


「あたしが分かる訳ないだろっ!」


「おいおい」


「あっ眩暈が」


「しっかりして下さい艦長!」




~回想~


「ふんっ愚かな女だ」


他人が見たら同情するであろうプレシアにもギルガメッシュは何の興味もない。
プレシアの真実を暴露したのも自分が騙されたのが気に食わなかったからだ。
本来ならば、こんな場所は一刻も早く退くだろう。如何にギルガメッシュでもこの場に留まるのは危険すぎる。だが・・


「いっいかん!プレシアよりマルドゥクを返却させるのを忘れていた!!」


そうだ。未だに改造させる為に渡したマルドゥク、それを取りに来るのも時の庭園に来た目的の一つだったではないか。
プレシアの真実を暴露するのに夢中でつい忘れていた。
今更、新しいデバイスを用意するにも、あれは結構、気に入っている。
ここで失う訳には・・・


「ええい、ならば」


そうと決まれば話は早い。
虚数空間に飛び込むと、変身魔法のとけたプレシアをキャッチ。
そしてそのまま、


「開け王の財宝!」


蔵の中にプレシアを突っ込むと


「天の鎖よ!!」


岩へ鎖を絡ませる。
だが虚数空間からは脱出できない。
そして絡ませた岩も段々とヒビが入り


「おおおおおおお?
馬鹿な、天の鎖を持ってしても脱出できぬのか!?
ええい、断崖絶壁や堕落事故ではあるまいし何を
これしき!我はともかく我の財力を侮るなよ!さあ、友
よファイトだ!頑張って我を助けよ! 」


これも友情の力か・・・
天の鎖は見事にギルガメッシュの期待に応え虚数空間から脱出する事に成功した。


「見よ。これが友情の力」






~回想終了~


「理解したか」


「・・・・もう疲れた・・・・」


「ドンマイ」


がっくりと項垂れたクロノにランサーが肩を叩く。
余談だが、これを期にランサーとクロノは深い友情で結ばれる事になる(BL的な意味じゃない、主に被害者同士という意味で)


「母さん・・・母さん!!」


フェイトはフェイトでクロノ達の事なんかお構いなしにプレシアに抱きついて泣いている。


「駄目よ。フェイト、私は貴女のそばにいちゃ・・」


「そんなことない!!」


そう言うと再びフェイトはプレシアの胸でワンワンと泣き出す。
それを見ている、なのはとアルフも目が潤んでいる。
それはとても優しい光景に見えた・・・





「じゃあ行ってきまーす」


少女、高町なのはとランサーは海鳴臨海公園へと向かった。
ユーノとの出会い、フェイトとの戦い、そしてプレシア・・・
色々あったがそれも終わり、なのはは元の日常へと戻っていた。
そんなある日、アースラからの電話。
内容はフェイト・テスタロッサが本局へ向かう前に君と会いたいと言っている。
と言われた、なのはは一目散に約束の場所、海鳴臨海公園へと向かった。


「フェイトちゃーん」


公園に到着すると綺麗な金の髪の少女が目に入った。
少女はぎこちない笑みを浮かべながら、なのはを出迎える。


「あんまり時間はないが少し話すといい。僕達は向こうにいるから」


そう言うとギルガメッシュとアルフ、ランサーも離れていく。


「来てもらったのは、返事をするため」


「え?」


「君が言ってくれた言葉。友達になりたいって」



「うん、うん!」


「私に出来るなら、私でいいなら、って。だけど私、どうしていいかわからない。
だから教えて欲しいんだ。どうしたら友達になれるのか」


「・・・・簡単だよ」


「え?」


「友達になるの、すごく簡単」


「・・・・」


「名前を呼んで?はじめはそれだけでいいの。
君とかアナタとか、そういうのじゃなくて、ちゃんと相手の目を見て、
はっきり相手の名前を呼ぶの」


「・・・・・」


「私、高町なのは。なのはだよ 」


「・・・なのは」


「うん、そう」


「なのは・・・」


「うん」


「なのは・・・」


「うん・・・」


「ありがとう、なのは・・・」


「うん・・・・」


「なのは」


「・・・うんっ! 」


「君の手は暖かいね、なのは」


「っく、うっ・・・」


「少し分かったことがある。友達が泣いていると、同じように自分も悲しいんだ」


「フェイトちゃんっ!」


「ありがとう、なのは。今は離れてしまうけど、きっとまた会える。
そうしたら、また、君の名前を呼んでもいい? 」


「うん・・・うんっ」


「会いたくなったら、きっと名前を呼ぶ。
だから、なのはも私を呼んで。
なのはに困ったことがあったら、今度はきっと、私がなのはを助けるから 」





 「うう・・・・ランサー・・・あんたんとこの子は、ほんっと、良い子だねぇ」


少し離れた場所でアルフが貰い泣きしている。


「前にも言ったが・・一体どういう風の吹き回しだ」


フェイト達の様子を静かに眺めていたギルガメッシュに聞いてみる。


「変わる性分など持ち合わせてはおらぬ。今回は偶々、我の行動がフェイトの救いとなっただけであろう」


二人を見るギルガメッシュはどこか懐かしいモノを見るかのように涼やかな笑みを浮かべている。


何時までも続くように思える時間、だが何事にも始まりがあれば終わりがある。
どんなに別れを惜しんだとしても時間は待ってはくれない。


「時間だ」


クロノがそう告げると二人は少し離れる。
だが何もしなかった訳ではない。
二人は再会と友情の証にリボンを交換したのだ。


「そういえば・・・あのフェイトちゃん、それにプレシアさんとギルガメッシュさんは、これから・・」


どうなるの?・・と聞こうとして


「そうだ。色々あって言ってなかったな。事情があったとはいえ彼女が次元干渉犯罪の一端を担っていたのは事実だ。重罪だからね、数百年以上の幽閉が普通なんだが・・「そんなっ」何だが!」


「状況が特殊だし、彼女が自らの意思で次元犯罪に加担した訳じゃない事もはっきりしている。たぶん簡単な保護観察までもっていける。それと・・・プレシア女史だが・・」


そこで一回、言葉を区切る。


「実は本局にプレシア・テスタロッサは既に虚数空間に落ちて死亡したと報告してしまったんだ。プレシア自身も、あの男の訳の分からない薬とやらで若返ってしまっているからね、色々と艦長と話し合った結果、プレシアは既に死んだ事にしたよ。若返ったプレシアはプロジェクトFの試作品という事で押し通す」


それを聞いた、なのはは嬉しそうに笑い


「ありがとう。クロノ君って優しいんだね」


「なっ、」


「頭の硬い奴かと思ったが、意外と分かってんじゃねえか」


ランサーにも背中を叩かれた。


「あっそれとギルガメッシュさんは?」


何気なく聞いた一言でクロノの体が固まった。


「ああ、あいつはミッドに観光に行くどかいって同行するよ・・本来なら・・事情聴取どか色々あるのに・・・あいつは・・・」


米神をヒクつかせながら言う。
かなりイラついているようだ。


「おい雑種、何をモタモタしている。王を待たせるとは何事か?」


「ああもうっ君は一体なんなんだー!!!」


「我か?我は人類最古、古代ウルクの英雄王―――ギルガメッシュ」


「そんな事を聞いてるんじゃない!」


どこか微笑ましいやり取りをしながら人影は段々と消えていく。
そして・・まるで蜃気楼のように四人の人影か消えていった。



英雄王との出会いにより歴史は本筋より離れた。


本来の道を外れた歴史がどこへ向かうかは



誰にもわからない。





 魔法少女リリカルなのは GOLD KING


~完~



[16289] タイガー道場
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/06 09:38
藤)タイガ~ど~じょ~


藤)は~い始まりました第一回、タイガー道場、師範代の藤村大河と


イ)同じく弟子一号で~す


藤)今回は後書きと本編の補足みたいのが役割のタイガー道場、私の出番を待っていた諸君!待たせたな。キラッ


凛)お前の活躍何て誰も期待してねーよ


イ)あっ先輩、チース


藤)何か変な人の声が聞こえた気がするけど・・・きっと何かの幻聴ね。きっとタイガー道場を乗っ取ろうとする某国の諜報機関の陰謀ね!


イ)・・・・・


藤)えーと今回は本編で出番がなかったギルガメッシュさんのデバイス、マルドゥクさんがゲストとしてお越ししてます


マ)Ich bin nach einer langen Abwesenheit, allen,

《皆さん、お久しぶりです》


藤)・・・えっと何語?


イ)ししょーそれドイツ語っすよ


マ)Es ist die Straße.
Weil es eine schöne Dame mit viel Anstrengung in dieser Stelle gab, ist es eine Sache mit viel Anstrengung

《その通りです。
折角、この場に可愛らしい淑女がいましたので、折角ですので》

イ)うん、ありがとう


藤)あの~お二人さん。ちょっと私には何話してるか分からないから日本語で・・・せめて英語で話してくれないかな~


マ)使えない虎ですね。仮にも人にモノを教える人間ならドイツ語の一つや二つ理解してなくで大丈夫なのですか?貴女のような教師がいるから日本の教育が・・


藤)チェストー!!


マ)ムグァ


虎竹刀の一振りがマルドゥクに振られる。
マルドゥクは道場の天井を突き破って吹っ飛んでいった。


藤)ふっ悪は滅びた・・・


イ)折角のゲストが・・・



藤)さてと!気を取り直して今回の俗に言われる無印はどういうストーリーだったの?答えよ弟子一号


イ)そう焦らないでよ大河、でもそうね、無印編へ言うなればギルガメッシュとフェイトが出会う最初のストーリー。簡単に言うとギルガメッシュと信頼度を高めていく話。勿論、話自体もギルガメッシュとフェイトの二人を焦点において進まれるわ


藤)考えればそうね~今回の話ではランサーさんはあんまり活躍しなかったしね~


イ)ただでさえ、あんな性格のギルガメッシュを抑えるにはストーリー丸々使って地盤固めしないと無茶苦茶に原作破壊して終わりじゃない。敵として登場させるなら兎も角、味方として登場させるのにこれ程、難しいキャラはいないわよ。特にリリカルなのはではね


藤)そうよね~ギルガメッシュさんなら自分の世界に管理外世界なんて付けられてたら、怒り狂って戦争始めちゃうような人だもんね


イ)そこは突っ込まないでほしいわ。ギルガメッシュは平行世界の事だからって割り切っているけど、少しでも選択肢を間違えたら即、DEAD ENDなんだから。


藤)今回の話ってそんなにDEAD END要素多かったの?


イ)適当に数えたら大体、二十個ぐらいあったわ。無印編だけでHFルートのDEAD ENDを越えるのは流石と言うべきかしらね。


藤)そっそれは・・ははは本当!流石ギルガメッシュさんね!!


イ)ししょー無理してないっすか?


藤)無理?なっなんのことかな~、じゃっじゃあ、この話は此処まで、次の話題いってみようか


イ)話を逸らしてないっすか?


藤)何の事かしら、オホホホホ


イ)・・・・・・・・・


藤)それじゃイリヤちゃんは、何か今回の話で、お気に入りの場面どかある?


イ)やっぱり、ギルガメッシュがフェイトを偽物って言って殺そうとするシーンかな


藤)ああ、あのシーンね。他のクロスオーバーssだとプレシアさんを説得しに行ったりフェイトちゃんを励ましたりするからね・・・確かにギルガメッシュさんは説得どか励ましたりしなさそうね。


イ)そうね、他のサーヴァント達だったら大抵はそうするでしょうね。まあギルガメッシュだし


藤)だよね~


イ)ところで、ししょーは好きなシーンは何なんっすか


藤)私?私のお気に入りは・・・ギルガメッシュさんが料理をする場面かな。私もギルガメッシュさんの料理食べてみたいし


イ)大河に聞いた私が愚かだったわ・・・




藤)では!この機会にA`s編の次回予告っぽいのを(ネタばれ注意)


イ)今後は間に日常編を挟んで、もしかしたらネタを一回ぐらい入れた後にA`S編に入るわ


藤)みんなが待ちに待った、はやてちゃん側のサーヴァントも登場


イ)そしてギルガメッシュのデバイス、マルドゥクの活躍に聖祥小学校に転入してくる『二人の』転入生


藤)A`s編ではフェイトちゃんとギルガメッシュさんではなく、待ちに待ったランサーさんと、なのはちゃん、そして、はやてちゃん側のサーヴァントに焦点が当てられるよ~


イ)勿論、ギルガメッシュも活躍するわ。


藤)それじゃ今日はここまで!また会える日までGood Lock


イ)下には簡単な次回予告があるわ。ネタばれが嫌な人は見ないほうがいいよ




        予告編


プレシア事件より幾ヶ月の月日が流れた。。

ランサーは海鳴にも馴染み、高町なのはも友人と穏やかな日常を送っていた。

そう一人の少女との再会を心待ちにして

だが・・・・平和な日常は長くは続かなかった。

突如現れた少女に襲われる、なのは

そして新たなるサーヴァント

そして・・・・・新たなる転入生


少女達は微笑み

法の守護者は苦しみ

騎士達は戦い

王は哂う


魔法少女リリカルなのは~騎士達の狂宴~・・・・・・始まります。



[16289] それいけ英雄王! 
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/19 21:08
・最近シリアスしか書いていないので、ほのぼのとした番外編です。

・キャラ崩壊があるかもしれません。

・本編とは全く関係ありません。

・Fateとリリなの以外のキャラが登場します。


それでも構わないという方のみご覧下さい。



 「アルフ、私も料理をしようと思うんだけど?」


唐突にフェイトが言った。


「料理?それなら毎日ギルガメッシュがやるじゃないか」


アルフの疑問は当然だ。
地球に来てからは朝、昼、晩は全てギルガメッシュがつくっておりコンビニ弁当は冷蔵庫に放置されたままだ。
そしてギルガメッシュは性格はアレだが意外と料理の腕は良く・・・・いやその表現は適切ではない。プロのシェフに引けをとらないほどに上手い。なのに何故?


「でも毎日ギルガメッシュばっかに頼ってちゃ駄目だと思う・・・それに今日はギルガメッシュは夜までゲームセンターで遊んでくるって言ってたから帰ってくるの遅いと思うよ」


そんなこんなでフェイトの料理初体験がスタートした!




「で、料理するのは分かったけどさ~フェイトって料理経験無いだろう。どうすんだい?」


「ふふふ、甘い!甘すぎるよアルフ!!知識が無いならデバイスを使えばいいんだよ!!!バルディッシュ」


「Sir yes sir!!!I think that the cookbook is necessary.」


《私はお料理の本が必要だと思います!サー!!》


「じゃあ逝くよ!アルフ」


「何か字が違うよおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



フェイトとアルフ、バルディッシュは街を歩いていた。
当然、本屋を探すためだ。確か地図にはこの辺りだと書かれていた筈・・・・
暫く歩くと・・・見えた!!あの妙に近未来的な本屋


「ここが、書店ソレスタルビーング・・・・行くよ!!」


「は~もう諦めたよ・・・」


自動ドアが開き中に入る。
店内は何故か分からないけどロボットのプラモデルで一杯だ。
どれどれ・・・・ガンダムダブルオー映画化!!!・・・・どうでもいいのでスルーする。だがそれ以外は他の店と変わらない。いやどちらかと言えば平均以上だろう。そうして辺りを見回していると店の奥から一人の少年が歩いてきた。


「チョリース!!!アルバイトの刹那で~す。よろしチョリース」


[フェイト・・・何言ってんの、こいつ?]


[さあ、この世界の言葉は一様勉強したんだけど・・・・もしかしたら、この地方のHOUGEMなのかも]


[ホーゲン?なんだいそれ?]


[確か・・・地球の人間は土地ごとに別の言葉を話すって母さんが言ってたよ]


[It is different.It is a greeting that he says that became popular only momentarily before the age.Doing is done by being if used as a gag]


《違います。彼が言っているのは一昔前に一瞬だけ流行った挨拶です。ギャグとしても使われていたらしいです》


[へえそうなんだ~]


また一つ賢くなったと内心喜びながら店員にお料理の本がどこにあるか聞こうとする。


「それで~もしかして~俺に会いに来ちゃったってやつ~うわっマジパネェwwwwwwwww」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」


フェイトの中にあった何かが消えていく。
この頭がヒリヒリして熱いような感覚・・・・・即ち殺意!!!


「少し・・・頭冷やそうか・・・」


「こちらアルフ、目標をぶん殴る!!!」


プツーンときれた二人は拳に憎しみを込め敵を殴る!!!
だがそれは突如目の前に降り立ったOTOKOによって防がれた。
店内に佇む男はまるで幽鬼のようだ・・・


「何者だ!!!」


アルフが男に叫ぶとゆっくりと顔を上げる・・・そして


「私か?私はグラハム・エーカー。この少年に心奪われた男だ!!!」


金髪の男がそのままフェイトに近寄ってくる。
そして


「君のような俗物は・・・くらえハムパンチ!」


「わっ!」


「アルフ!!」


余りの速さにアルフは全く対応出来なかった。
凄まじい強さだ・・・・・無駄に・・・


「さて次は君の番だ・・・・」


そして次の獲物・・・・フェイトに擦り寄ってくる。
その様子はまさに変態だ。


「やだ・・・・」


「無駄だぞ少女・・・ここにはもう誰も来ない・・・ハァハァ最近はご無沙汰でね本来ならば美少年にしか興味は無いのだが・・・ハァハァ・・」


このままでは変態によってフェイトのピーはピーされてピーされた後にピーされてしまう。逃げようとするがグラハムの部下ハワード、ダリルに囲まれて逃げられない。


「さあ少女!ハァハァ・・」


「待てぃ!」


だが救いのヒーローはやって来た。


「ギルガメッシュ!」


「何奴!」


ドアを破壊して現れた黄金の男はグラハムに向き直ると


「貴様に名乗る名など無い。悪党にはただ死という罰が下るのみ・・・・死ね雑種」


「ほう中々やるようだが・・・・・喰らえハムキック!」


だがそれを華麗なステップで横に避けると思いっきり顔面を殴り飛ばす。
飛ばされたグラハムはそのまま本棚にぶち当たり呻く。


「殴ったな・・・・・父上にも殴られたことないの・・・・に・・・」


あの名言を言えて満足したのかグラハムは本に溺れて溺死した。


「ふん他愛の無い」


「ギルガメッシュ!」


フェイトがギルガメッシュに抱きついてくる。


「我にかかればあの程度の賊など一撃よ」


そう英雄王にかかれば変態の一人や二人ものの数ではない。


「だが何故この様な場所にいる?ジュエルシードはどうしたのだ?」


「それは・・・・そのギルガメッシュに料理をつくってあげたくて・・・・」


頬を赤く染めながらモジモジと呟く。
ギルガメッシュはフェイトの頭を撫でると


「戯け、料理は素人がそう出来るものではない。そう料理の本を見てもな」


「ごめんなさい・・・・・」


「だが・・・・我に料理を献上する意思は大儀である。そうだな褒美に今日はお前の好きな料理をつくってやろう」


「・・・ありがとう!」


二人は騒ぎを聞きつけた警察が来る前に書店から消えていった。
ちなみに、その姿はまるで仲の良い親子のようだったと目撃者である某狙撃手さんは語った。




 「あの二人・・・私の事忘れてるよね!!!」


そして店内にアルフの叫びが木霊したそうな・・・・・



めでたしめでたし?





後書き


シリアスだけに耐え切れなくてついやってしまった・・・・
次はフェイトVSギルガメッシュ決着編です。










[16289] マルドゥク改造日記
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/02/20 22:47
ここは時の庭園、大魔導師プレシア・テスタロッサの居城。


そしてフェイトを使ってジュエルシードを集め実の娘であるアリシアを蘇生する為に奮闘している女性、プレシアは今・・


盛大に頭を悩ませていた。




 「ドリルって相変わらず無茶な注文する奴ね・・・」


マルドゥクの設計図を見ながら唸っているプレシア
ドリルの原理は知っているがデバイスにドリルを組み込むなど全く聞いたことが無い。
一体どのように改造すればいいだろうか?
適当に改造して渡すという選択肢も考えたが何となく変な道場の光景が浮かんだのでやめておいた。


「そうだわ。マルドゥクに意見を聞いてみようかしら」


デバイスとはいえ、あのギルガメッシュと共にいたのだ。
何かいい案を知っているかもしれない。
そうと決まれば早速マルドゥクを保管してある部屋へ向かった。


「Oh how was the la done?Lady」


《おやおや、如何しましたかな?レディー》


「・・・・・・」


何となく紳士的なデバイスに怒りを覚えながらも話を進める。


「ねえマルドゥク、ギルガメッシュの奴がドリルの変形を付け足せと言ってきた件だけど・・・何かいい案ないかしら?正直言うと私には近接武器としてのドリルしか案がないの。それだけだと怒りそうだし・・」


「Is it a matter of the instruction of His majesty?
As for the drill,I also feel the one to be fascinated.
His Majesty might have been similarly fascinated,too.
The drill is man`s dream.
It is asoul.
Of course,the drill for the adjacent combat might be necessary as you sa.
However,it is not only that.」


《陛下の命の件ですか?私もドリルというものは心引かれるものを感じます。恐らくは陛下も同じ様に心引かれたのでしょう。ドリルは男の夢です。魂です!無論貴女の言うように近接戦闘用のドリルは必要でしょう。ですがそれだけでは駄目なのです》


何やら熱く語りだした。
しばらくドリルがどれだけ素晴らしい武器なのか三十分程続き、やっと話が戻った。


「Rigmarole is made like this.
And, it is a drill for the bombardment that proposes from me though it is a matter of the drill」


《長話はこれぐらいにしましょう。それでドリルの件ですが、私から提案するのは即ち砲撃用ドリルです!》


「砲撃用?」


プレシアが驚くが当たり前だ。
普通ドリルって聞けば近接でしょ?


「You ssm not to suffice understanding a little.
is it good?
His Majesty`s mind cannot be crertainly understood from your small brains.」


《貴女は少々理解が足りていないようですね。いいですか確かに貴女のような小さい脳味噌では陛下の御心が理解出来なくて当然です》


プレシアの頭で何かが弾けた。
思考がクリアになり体が目標を破壊するだけの兵器になる。


「はっ!いけない。こいつを破壊したら私が破壊される!」


だが寸でのところで我に返った。


「It is blockinf.
The giro rotation is added to the shot bombardment and it settles.
In addition,the spray penetration oj the bombardment where the giro rotates rises,and will be able to be called the technique of the blow kill without fail exactly.
And,it good?
Can three surcharges oj the thing that the main remark cracks and it can be said to you the vassal ou though it is thought that it is not possible to understand.It is a thing told to have to be able to do the transjormations other than the drill.
Hammer and golve for instance so.
The hammer is understood even if it doesn`t say.
It is aking brave man.
And,the glove.This is already a god finger.
How degnified it is!
Ah the drave figuer lf His Majesty who draws out is agreet defference.
It is this ・・・・the gloomy-natured.
It hears or is you.
Wprk is started early if what I say was able to be understood.
And,the return Iam handled to the place for which His Majesty waits as soon as possible.」


《つまりです。放たれる砲撃にジャイロ回転を加え収束。更にジャイロ回転した砲撃の貫通力は上昇、まさに一撃必殺の技と言えるでしょう。そしてそれだけではありません。貴女には理解出来ないと思いますが主の言われた事の三割り増しが出来て初めて本当の臣下と言えるのです。ようするにドリル以外の変形も出来るようにしろと言う事です。そう例えばハンマーとグローブ!ハンマーは言われなくとも分かりますよね。勇者王です。そしてグローブ!これはもうゴッドフィンガーの事です。ああ必殺技を繰り出す陛下の勇姿、何て凛々しいのでしょう。この根暗な老婆とは大違いです。聞いていますか貴女!私の言うことが理解出来たなら早々に作業を始めるのです。そして陛下の待つ場所へ一刻も早く戻り私を使って貰うのです》


何やら腹の立つ単語が聞こえたがこの際無視しよう。
それより気になるのは新しい武装の案だ。
確かに砲撃にジャイロ回転させて貫通力を上げる何て前代未聞だ。
研究者だったころの血が騒ぐ・・・・


「いいわ!その挑戦受けたわ!見事ドリルもハンマーもグローブも再現して見せましょう!どうせする事も無いし」


早速今聞いた案を実行するために設計図を作らなくてはならない。
プレシアは急いで元の部屋へと帰っていった。




「ところで・・・」


「What is it?」


《何ですか?》


「勇者王とゴッドフィンガーってなに?」


その後、二作品について一時間程聞かされましたとさ。





後書き


時間があったので何となく書いてみた・・・・






[16289] 閑話1  クロノ・ハラオウンの憂鬱
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/07 20:03
 時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンは今、地上本部のあるミッドチルダへと来ていた。
隣にはフェイトにユーノ、後に続くようにアルフの姿がある。
事の始まりは五日前のこと・・・・


~回想~


「フェイト!」


僕は焦っていた。
そしてコレを一刻も早くフェイト達に言わなければ・・


「如何したの?クロノ」


キョトンとした顔で僕を見てくる。
一緒にいたフェレットもどきとアルフも同じ様に僕を見てきた。
だが今はそんな事を気にしてる場合では


「落ち着いて聞いてくれ」


フェイトの前に立つと真剣な表情で切り出す。
僕の真剣さを理解してくれたのかフェイトも真面目な表情になる。


「実は・・・フェイトの裁判・・・いきなり無罪が確定した」


「えっ!どういうこと!?」


戸惑っているな・・正直に言うと僕も信じられないが・・・


「兎に角、無罪が確定したんだ。保護観察も何もない・・完璧に無罪だ」


フェイトが喜んでいる。
理由は分からないが無罪が確定したのだ無理はない。


「じゃあ急いでギルガメッシュと母さんに報告しないと・・」


ギルガメッシュとプレシアはここにいない。
プレシアの場合は幾ら幼い姿になったとはいえ犯罪者が本局にいれば色々と不味い事になる可能性があったのと、ギルガメッシュがミッドに観光に行く際に連れて行ってしまったのだ。
二人はミッドに行ったきり三ヶ月も連絡を寄越さない。
僕も裁判と仕事が忙しくてギルガメッシュに構う時間が無かった。
心配だがプレシアも付いている。
大丈夫だとは思うが・・・・


「それでは次のニュースをお送りします。
三ヶ月前に設立されて以来、異常なスピードで業績を伸ばし続けていた“バビロニアカンパニー”ですが、つい先日に管理局に対して多額の寄付をしたと記者会見で発表しました。副社長のプレシア・アーチボルト女史によれば一企業として治安維持に協力するのは当然と述べており・・・・」


待て、聞き捨てならない言葉が聞こえなかったか?
いや・・・きっと疲れてるんだな。フェイトの裁判で徹夜の日もあったし・・・
今日ぐらい早く寝るか・・・うん


「ねえクロノ、今母さんの名前を・・・」


「フェイト、この次元世界に同じ名前の人間なんて幾らでもいるさ。
さてそろそろギルガメッシュの奴と連絡を取らないとな」


「CEOの“ギルガメッシュ”氏は相変わらず公式の場には滅多に姿を現さず・・・」


は~僕の人生って何なんだろ。
ギルガメッシュね~、いや同姓同名だろ。
次元世界には三ヶ月で大企業を設立して管理局に多額の寄付をするギルガメッシュなんて幾らでも・・


「って!いるかーーーーーー!!!!」


これが僕の休日が消滅した瞬間だった。


~回想終了~


「ここがバビロニアカンパニー・・」


目の前に聳え立つ高層ビル
つい最近に設立され短期間で異常な成長を遂げた企業
電化製品を始め家庭用デバイスの作成や家政婦ロボットや防犯設備などからスナック菓子まで扱う企業だ。
僕は受付まで行くと


「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンです。会長か副社長に繋げてくれませんか?」


「執務官ですか?・・・分かりました。少々お待ち下さい」


誰とも知れぬ人間なら兎も角、僕は執務官、受付の人も無視は出来なかったようだ。


「確認がとれました。社長と副社長がお待ちです。案内の者を寄越しますので少々、お待ち下さい」


ふ~取り敢えず第一の問題はクリアだな。
暫くすると大柄な黒服の男が先導して一つの部屋へと連れて行く。
そう社長室へと・・・・・


「社長」


コンコンと扉をノックする。
すると


「はい、中に入れてあげて下さい」


聞いた事のない声色が響いた。
その言葉を聴いた黒服は黙って扉を開けると横にずれる。


「行こう」


フェイト達を促し中へ入った。
そこには・・・・


「久しぶりですねマスター」


見たことのない金髪紅目の少年がフェイトを見てそう言った。


「えっマスター?」


案の定、フェイトも戸惑っている。
知らない人間に久しぶりと言われたら誰でも似たような反応をするだろう。


「あれ?分かりませんか。まあマスターは何処か鈍そうですし仕方ないかもしれませんね」


「鈍い・・」


フェイトが落ち込んでいる。


「ちょっとあんた!フェイトの事を知ってるような口ぶ・・・あれ?この臭いって・・・あれ?」


アルフはこの少年に見覚えがあるようだ・・・
待て、インゴットのような金髪、ルビーのような赤い瞳、このパーツを持った人間がいなかったか?そうつい最近に・・・


「ありえない・・・」


いやだが、プレシアも若返りの薬を使って子供になったのだ・・・なら・・・


「まっまさか・・・ギルガメッシュなのか?」


「はい。正解ですよ。お兄さん」


少年はニパッと笑うと僕達に近づいてくる。


「えっ嘘・・へっ」


フェイトはまだ混乱している。
無理はない。フェイトはこの中では一番、ギルガメッシュと一緒にいたんだ。
あの傲慢な男が礼儀正しい少年になっていたら驚くだろう。


「間違いなく本人ですよ。何でも飽きたどか言って若返りの薬を飲んだみたいです。我ながらよく分からない人ですね」


まるで他人事のように言う。
面影こそあるが性格は成年体とは似ても似つかない。


「ギル、いきなり、その姿を見れば誰だって驚くわよ」


社長室の扉が開くと、プレシアが入ってくる、無論、小さくなった姿のままで。


「プレシア、仕事は終わったんですか?」


ギルガメッシュ?が僕等に向ける瞳とは違い厳しい表情でプレシアを見る。


「ええ終わったわ」


目の下に隈をつくった顔でプレシアが部屋のソファに座った。


「まあいい。もう君が若返った事については何も言わない。それより何で会社を設立したりしてるんだ!君は観光に来たんだろう。それに三ヶ月だぞ三ヶ月!どこをどうしたら三ヶ月で大企業が誕生しているんだ!!君の御蔭で僕の休日は台無しだ!大体、金はどうした!君には最低限の金しか渡していない筈だぞ!」


「それですか・・・実は僕のスキル・・サーヴァントの持った能力みたいなモノですが・・・には黄金律というモノがあるんです。判りやすく言うと強烈な金運ですね。その御蔭で少ししたら所持金が無駄に膨れ上がってまして・・・それで暇潰しに会社を作ってみたんです」


「暇潰しで会社・・・」


もういい。こいつに常識は通じないんだ。
ランサーの言っていた事が漸く身に染みて分かった。
こいつに関わると碌な事がない。


「僕は疲れたから帰るよ・・・フェイト達は折角の再会なんだ。ゆっくりしていくといい」


さあ帰って寝よう。
もしかしたらコレは夢かもしれない。




 「くっクロノ!」


クロノが帰ってしまったので必然的に部屋には私とアルフ、母さんはソファで寝ているから除外すると小さくなったギルガメッシュしか居なくなる。


「どうしましたか?マスター。お茶でも入れましょうか」


「あっうん。ありがとうギルガメッシュ・・」


「ギルでいいですよ。成年体と区別するの大変でしょう」


そう言うと背後の空間からコップを取り出すと紅茶を注ぐ。
いい香りがする。美味しい紅茶なのが飲まなくても理解できた。


「・・・・・・・・・」


如何しよう、会話が続かない。


「そうだ。無罪おめでとうございます、良かったですね、マスター」


「ありがとう、それと私の事は今まで通り名前でいいよ」


「分かりました、ではフェイトと。この響きは実に君に似合ってますね」


不味い、きっと私の顔は真っ赤だ。
こんな顔、ギルに見られたら・・・


「成る程、彼が気に入るわけです」


「ねえギル、聞きたい事があるんだけど」


私が俯いているとアルフがギルに話しかけた。
ギルの注意もアルフに移った筈


「何ですか、アルフ」


「子供になったのは分かったけどさ幾ら何でも性格違いすぎじゃないかい」


「まあ色んな人に聞いても同じ反応でしたから、僕が悪いんだって分かってます。
本当、何で人に嫌われる事をするかなあ」


まるで我が事ではないように溜息をつくギル、いや我が事だからこそ溜息をつくのだろう。


「それじゃあフェイト、天気もいいですし出掛けませんか?」


えっ!?


「判りやすく言うとデートです」


「でっテエエエエェェェェェェェェェトオオオオオォォォォォォォォ!!!?????」


デートって、あのデートだよね。ギルが私と・・・


「デートは初めて?大丈夫、女性をエスコートするのは男性の役目です」


そう言うとギルは私の腕をつかんで


「アルフさんは、鼠さんと一緒に会社でも探検していて下さい。案内をやりますので」


そう言うと腕を引っ張って会社の外へ向かっていった。



初のデート、貴方はどれを選ぶ?


A王道の遊園地

B釣り

Cショッピング

D映画

E男ならホテル





~マーボー神父の次回予告~(グー、チョキ、パーを選んで下さい)



言)さ~て次回のなのはさんは!!



蟲爺)カッカッカ初めまして、なるのかの?
間桐臓硯じゃ、Fate/stay nightでも屈指の悪の大御所
伊達に数百年間生きてきた訳じゃないわい。


ワシも色々と、この世全ての悪の根絶を目指し奮闘してきたのじゃが
息子が家出するわ孫がワカメやらエセ神父には体を消されるわ孫娘に潰されるわで、全く近頃の若い者は・・・もっと年寄りを大事にせんで如何する。
ワシの味方なぞアサシン(真)ぐらいじゃ。


さて次回は



初デート


初恋


そして・・・・


の三本じゃ。
全くワシの若い頃を思いだすのぉ



言)次回もまた見るがいい。

ジャンケンマーボー!!(グー)


フハハハハハハッッッ




後書き


子ギルのステータスを追加しておきました。
よかったらご覧下さい。
ちなみに、はやてのサーヴァント、ヒントは騎士です。



[16289] 閑話2 フェイトデート&ユーノの悲劇
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/08 16:24
「ここは・・・」


フェイトの目の前にあるのは“ウルク”遊園地と記された看板
ギルガメッシュが暇潰しに買収した遊園地である。


「行こうか」


手を繋ぐと、そのまま歩いていく。
園内に入ると観覧車やらジェットコースターなどの定番なものから、世界一速いメリーゴーランドという変なモノまである。


「何処に行く?」


「えっ、じゃあ」


フェイトが指差したのは以外にもジェットコースター
ギルは僅かに意外そうな顔をするが


「行こうか」


直ぐに気を取り直して向かっていく。
互いに手を繋いで歩く様子は人が見たら兄妹にも小さな恋人にも見えるだろう。
ちなみに乗る際に身長が足りないという問題が発生したが、ギルが係員と“お話”すると、まるで魂が抜けたかのように許可したのにフェイトは気付かなかった。


「楽しかった?」


「うん、楽しかったよ」


始めてジェットコースターに乗ったが魔法で空を飛ぶのとは違い新鮮だった。
ギルは再び次は何処へ?と聞いてくるが


「次はギルが決めていいよ」


「えっ、判った。じゃあ僕についてきて」


ギルは某運命の主人公のように鈍くない。
寧ろ鋭い、なので折角の好意を無下にするのは良くない事を理解していた。
その後、アトラクションを回っているとフェイトが立ち止まる。

「・・・・・」


フェイトが見ているのはクレープ店
甘い香りは離れた位置にいるフェイトの食欲を刺激する。


「・・・」


ギルは何も言わずクレープ店に近づいていく。
このままでは置いて行かれると慌てて追いかけた。


「フェイトは何がいい」


「えと・・・何でもいいよ」


「そう、それじゃあ・・・・」


適当に二つのクレープを買うと片方をフェイトに渡す。
そして近場にあったイスに座り食べ始める。


「あっフェイト、頬にクリームがついてますよ」


「えっ・・」


「動かないで・・」


ギルは頬についたクリームをとると
お約束通りソレを自分の口へ運んだ。


「クリームよりフェイトのほうが甘いね」


「ちょっ、ギル~!」


顔は、もうトマトみたいに真っ赤だ。
思考がグチャグチャになって何も言えない。
ギルは逢えて何も言わず、そのまま自分のクレープを食べ終えた。


その後、王道のアトラクションから妙なモノまで大抵のモノを乗りつくす。
当初こそ戸惑っていたフェイトも始めて来る遊園地に次第に夢中になり始めた。
だが楽しい時間は長くは続かないもの・・・
空は黒く染まり閉園の時間が迫ってきている。
実は既に閉園時間を迎えているのだがギルがオーナー権限で黙らせた。


「最後にアレに乗りましょう」


「うん」


ギルが指を指したのは観覧車
最後に乗る為にとって置いたのだ。

観覧車の中は子供二人で使うには広く互いに向き合う形で座る。
段々と上に上がる観覧車がフェイトには終わりへのカウントダウンに思えてしまう。


「楽しかった?」


「うん・・」


そう楽しかった。
今までは魔法の訓練どかで遊ぶ暇なんて無かった。
フェイトの頭にあるアリシアの記憶にはあるが、それはフェイトの思い出ではない。
だからこそ・・・・終わってほしくない。


「悲しまないで」


頬に暖かいモノが触れたと思うとギルの手がフェイトの頬を撫でている。


「終わりは悲しいものだけど、同時に新しい楽しみの、始まりでもあるんだ。
それに僕はフェイトが好きですから、フェイトの悲しい顔は見たくありません」


「新しい楽しみ・・・・?・・・じゃなくて、えっ」


「うん、好きな人、それと外を見て」


頭が回らない。
脳の回線がショートしたみたいだ。
ギルの言葉に逆らえず外を見ると

美しい夜景が広がっていた。


「人造の光とはいえ見事でしょう。この遊園地の名物なんですよ」


綺麗・・・その単語しか浮かんでこない。
それ程、眼下に広がる光景は美しかった。







 
 バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク


「アルフ~もう十袋目だよ」


バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク


「僕もう帰っていいかな」


バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク


「じゃあ帰るからね」


バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク


「じゃあねアルフ・・」


だが哀れにもユーノに逃げ場所は無い。


「あっ貴女はプレシアさん?・・・・」


「ふふふ、駄目じゃない。貴女には私の仕事を手伝うという義務があるのだから」


退路は・・・・アルフがドックフードを食べながら塞いでいる。
転移は・・・駄目だ、目の前の少女は大魔導師と呼ばれた者、逃げられる訳が無い。


「そっそれでも、守りたい時間があるんだーー!!」


「無駄よ。貴方に足りないのはッ!情熱思想理想思考気品優雅さ勤勉さ!
そして何より――

速 さ が 足 り な い !」


「まっ負けてたまるかーーー!!!」


「戦闘力・・・
たったの5か・・・
ゴミめ・・・」


「くっクロノの事かーーーー!!!」


「アンタの事よ」


アルフから的確な突っ込み
ユーノは90のダメージ


「私の戦闘力は530000よ」


「僕が・・・
この僕が・・・
未来を変えてみせる!!!」


「効かないわ」


「そっそんな僕の魔法が・・・み・・・ミスリルのラムダ・ドライバは未完成じゃなかったのか!?いやそれどころかその強さは―なんなんだ、君はっ!?君はいったい、何者なんだっ!?」


「教えてほしい・・・
バビロニアカンパニー副社長。社員ナンバー□□□□□□□□。二期でも母親の―
プレシア・テスタロッサよ!!」


「あ――――――――――――――――――――――――――――――――」


その後、ユーノは翌朝、五時まで仕事を手伝わされたとさ




~マーボー神父の次回予告~(グー、チョキ、パーを選んで下さい)


言)さ~て次回のなのはさんは!!


脳1)この作品では初めてになるな。最高評議会である。

脳2)しかしリリカル勢では初の出演に抜擢されるとは我等の人気も、鰻上りだと思えるな。

脳3)左様、本編では正義を愛する我々は裏切りにより悲劇的な死を遂げるが、このssにおいては、我らに相応しい活躍が見込めるであろう。


脳)さて次回は・・・・


ランサーのデバイス


プレシアの受難


A`s前夜


の三本である。



言)次回もまた見るがいい

ジャンケンマーボー!!(パー)


フハハハハハハハはッッッ





後書き


資料設定にバビロニアカンパニーを追加



[16289] 閑話3  戦闘狂とプレシアのアイス
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/09 11:23
「おっ着たか!」


今日、ミッドからランサーにとって待ちに待ったモノが届く。
そう専用のデバイスだ。
今まではアースラに置いてあった余り物の簡単なデバイスを使っていたが、漸く自分専用のデバイスが着たのだ。


「さてクロノの奴、いったいどんなモノを・・・」


クロノによると、性能は高いが、ある問題があり誰も使わなかったそうだ。
使い難いのか?と聞けば、そうではないと答える。


「まあ性能がいいなら別にいい」


「ランサーさん、デバイス届いたんですね!」


包みを開ける途中で、なのはが降りてくる。


「ああ、今開けるところだ」


中から出てきたのは・・・・指輪だった。


「へ~指輪か、これなら槍を振るうのも問題はねえな」


ランサーの戦闘の基本は槍
即ちデバイスも戦闘ではなく補助専用のモノが好ましい。


「おい起きろ!」


「Roger!」


《了解です!》


「ほう威勢がいいじゃねえか。で、名前は?」


「O nome que há honra nomeado por nosso produtor!!O nome é Albion, também!」


《我が製作者に名付けられた栄誉ある名前!!その名も、アルビオン!》


「アルビオンか。いい名じゃねえか。んじゃ早速、どっかで魔法の鍛錬でもするか」


「Roger!」


 「この辺りでいいな」


やって来たのは、毎日なのはが練習している場所
ここなら結界を張れば誰もこないだろう。


「んじゃっと飛行魔法でもやってみるか」


「Roger!」


調子は最高だ。
アースラで貰ったデバイスでは上手く飛べなかったが流石は補助専用のデバイス。
まるで地面に足を着いてるように飛べる。
これなら・・・・・・


「なら仮想敵でも用意してみるか」


イメージするのはセイバー。
決着は着けられなかったが、彼女程の騎士は中々いないだろう。


「やるか」


その掛け声と共にランサーが疾走する。
仮想敵のセイバーはランサーと同じ様に空を駆け
そして不可視の剣を


「見えねえのは厄介だな。だが!」


そう今の彼は以前の彼ではない。
高町なのはという優秀な人間がマスターとなった事により生前の力を完璧に取り戻している。


「だが・・・やるな」


仮想敵のセイバーの猛攻はランサーの疾走をもっても容易に組める相手ではなかった。
剣戟が一閃
ランサーの首目掛けて放たれる。


「イメージだけで、これか・・・・たっく、本物と戦えなかったのが惜しい」


そう言うと一回、地面に降りてくる。


「Mestre」


《主よ》


「ん?なんだ」


「Eu sou impressionado por ... eu intensamente agora!
Eu fui feito um ano atrás.
Mas eu só sou entretanto para ajuda por alguma razão eu esperei a briga que eu tenho calor!
A disposição o mestre convencional me trata, usar para só metastasis!
Nunca havia o homem corajoso que atravessou um campo de batalha comigo!
Mas!!O senhor atravessa um campo de batalha com tal eu!!
Eu não posso estar alegre tão!
A si mesmo arrisca tudo que isto, e nos tornemos sua espada!!」


《私は・・・私は今、猛烈に感動しています!
私は一年前に作成されました。
ですが私は熱い戦いを望んでいたというのに、何故か私は補助専用!
これまでの主は私を治療やら転移やらだけに使う始末!
誰一人として私と共に戦場を駆け抜けてくれた猛者は居なかったのです!
ですが!!貴方は、こんな私と共に戦場を駆け抜けて下さる!!
こんなに嬉しい事はありません!
これより我が身は全てを賭して貴方の剣となりましょう!!》


「へっ気が合うじゃねえか!んじゃ次いくか!!」


「Roger!」


戦闘狂のサーヴァントと戦闘狂のデバイスは共に戦場を駆ける事を誓うのであった。





 「仕事は終わったのか?プレシア」


「なっ!ギルガメッシュ!ええ終わったわよ、六時間かけてね!!」


「そうかでは褒美だ。このアイスをやろう」


「ふっ嘗めないでほしいわね。私も大魔導師と呼ばれた女、たかだがアイスで・・・」


「よいのか?これは、貴様の欲していた新製品のアイスなのだが・・・」


「なっ!貴方・・どこでそれを・・・」


「そうか要らないのなら仕方ない、どれ我が食してみるか」


そう言うとギルガメッシュはアイスを口に・・・


「まっ、待って!!」


「ん?要らないのではなかったか?」


「べっ別に欲しくなんか・・」


「そうか・・では・・」


再びアイスを口の中へ・・・


「ああ!欲しいから!食べないで!!」


「漸く素直になったか。だが我に虚偽を言った罪は重い。
そうだな、試しに、アイスを、この私に恵んで下さい、とでも言ったら餌を恵んでやるぞ」


くっ!
プレシアの中を凄まじい葛藤が渦巻く。
アイスは食べたい・・・だがその為に恥をかくのか・・・
アイスかプライドか・・・
プレシアが選んだのは


「ぅぅ、あっアイスをこの私に恵んでください・・」


上目遣いで目をウルウルさせながら言うロリプレシア、その様子はなんとも・・・・


「・・・いっいいだろう。ほれ食うがいい」


「ふんっ!」


アイスを掴み取ると、そのまま、ハクハク食べ始める。


「・・・あの時、助け出して正解だったやもしれんな・・」






後書き


次回からA`s編が開始です。
遂に、はやてのサーヴァントも登場。



[16289] 魔法少女リリカルなのはA`s~騎士達の狂宴~
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/10 13:51
「は~」


少女の名は八神はやて、この家に一人で住んでいる少女である。
幼い頃に両親を亡くした彼女は父の友人と名乗るギル・グレアムにより生活費を賄われている。
だが少女はまだ幼い。
体が五体満足ならば小学校に通っている年だ。
少女の足は原因不明の病で動かない。
病院でも必死に治療を試みようとしてはいるが、原因は解らないまま時は進んでいく。
そして少女が溜息をついたのは、それだけが理由ではない。


「もうなれたと思ったんやけどなぁ~」


唯でさえ、まだ親の愛情が欲しい年頃である。
八神はやては孤独だった。
病院には石田先生という医者がいて何かと面倒を見てくれるが、それでも家にいて世話をしてくれる訳でも、家族という訳でもない。


「叶わない願いかもしれへんけど・・」


家族が欲しい・・・
そう少女は願ったのだった。


「なっなんやこれ!!?」


突如として家のリビングに浮かび上がったこれは・・・魔法陣?
そう、この模様は図書館で借りてくる本に描かれている悪魔を呼び出す魔法陣そのものだった。


「うっ嘘やろ?」


確かに家族が欲しいと願ったが、まさか悪魔が召喚されるとは思わなかった。
試しに頬を抓ってみるが痛い。
つまり夢ではない。


「でも・・・家族になってくれるんなら、悪魔でもいいかな」


やがて光が止むと魔法陣の中心には一つの影が立っていた。

全身を覆う黒い鎧

刻まれた数多の傷も鎧の精悍さを損なう事はない

そして黒騎士は

物凄く戸惑った顔をしていた


(何故だ?何故私は現界している!?私は王の手で裁かれた筈だ?なのに何故ここにいる?)


「あの、悪魔さん・・・」


(悪魔?そうか私の事か、だが魔術師が英霊と悪魔を間違うか?ならばこの少女は一体?)


「その・・私の願いを聞いて出てきたん?」


「願いとは?」


「その、家族が欲しいて願ったんやけど・・」


(家族?この少女は天涯孤独の身なのか?むっよく見れば微弱ながらも魔力がある、ラインも繋がっているか、だがこの程度の魔力では英霊を召喚するなど不可能だ、なら守護者として呼び出された?いや違う、そうならば目前に排除するべき敵が存在するはず。仕方ない、この少女に問うか)


「申し訳ありませんが、私には今の状況が理解出来ない、
もし知っているのなら教えて欲しいのですが」


「えっとその~私もようわからん、家族が欲しい願ったら、突然、魔法陣が出てきて・・」


「貴女は魔術師ではないのですか?」


「魔術師?うちは、そんなものやないよ」


(魔術師でない・・・ならばイレギュラーな召喚なのか?つまり少女は魔術の事を知らぬ一般人、なら一般人が原因は不明だが何かの拍子に英霊を呼び出してしまったと考えるのが普通か?くっ私に魔術についての知識があれば・・)


「つまり貴女は魔術師ではなく、何故私を召喚したか判らないと?」


「そうや」


(なら一般人が魔術と関わるのは得策ではないな)


「そうですか。なら私は少ししたら消滅するので今回の事は忘れて下さい」


「えっ消滅するって、何でなん!?」


原因は不明だが彼は狂化の呪いが解けた状態でサーヴァントとして現界している。
おまけに何故か受肉しているが、
しかし彼は命を惜しむ事はしない。
魔術師でない者が自分と関われば間違いなく厄介な事になるだろう。


「いえ、貴女は魔術師でなく、私を召喚したのもイレギュラーです、ならここは潔く消え去るのが互いの為でしょう」


「あかん!」


「何故ですか?私のような存在がいても貴女にとっては百害あって一利無しです」


「私はずっと一人やった。悪魔でもいい、家族が欲しかったんや!」


(家族・・・・そうだ私は贖罪を望んでいた・・・ならばこれが私にとっての贖罪なのでしょうか?王よ・・)


ふと自分を斬った王の姿を思う
王は泣いていた、自分のような人間の為に泣いていたのだ・・
そして目の前の少女も泣いている。


「分かりました。貴女が望むのでしたら私は貴女の傍にいましょう」


「ほんとに!?」


少女は嬉しそうな表情を見せるが彼はそれを遮る。


「しかし契約を結ぶにしても私の事を知って貰わなければなりません」


「えっ悪魔やないの?」


「・・・いえ私は悪魔ではありません。
私は英霊と呼ばれる存在です」


「英霊?」


「はい、人の身に余る偉業を成し遂げた人間が死後に英霊の座という場所に招かれてる、その存在は人よりも精霊に近いのです」


「偉業っちゅうことは」


そこで黒騎士を見る。
瞳は貴方も偉業を成し遂げた英雄なのかと聞いていた。


「私がしたのは偉業ではなく大罪ですが・・・遺憾にも私の名はそれなりに知られています」


「なんていう名前なん?」


「ランスロット・・・そう呼ばれていました」


「嘘っほんまに!?」


はやてもランスロットの事は知っている。
足の不自由な彼女はよく図書館に通っていた。
そこで見た本にはアーサー王伝説も含まれる。
そして、その本の中で描かれる一人の騎士も・・・
湖の騎士、そして裏切りの騎士として伝わる円卓最強の騎士、それがランスロット
彼の騎士の振る舞いはまさに完璧で国中の女性や騎士達の憧れだったという。
その彼が今、目の前に・・・


「本当です、貴女の知る通り私は王を裏切り国を滅ぼした大罪人です。それでも私を傍に置きますか」


「置く!」


「なっ、少しは悩んだりしませんか?」


「なんでなん?そやもう直ぐ夕飯の時間や。あっ兄ちゃんはそこで待っといてな」


「にっ兄ちゃん!?」


「ほんならな~」


取り付く暇も無い
どうやらランスロットは尻に敷かれる運命だったようだ。



 「はいどうぞ」


目の前に広がる料理は美味しそうな香りを漂わせている。
サーヴァントとはいえ何故か受肉している以上、食事をとる必要がある。
試しに一口


「なっ、こっこれは・・・」


「あっもしかして口に合わなかった・・」


「・・いえ・・・素晴らしい、わっ私は生前このような美味しい食事をとったことが、ありませんでしたので・・・」


そう言うと初めて使ったとは思えない箸捌きで料理を平らげていく。


「そんなに不味かったん?」


「はい・・・とても雑でした」


そういえばイギリスって料理が不味いって評判だったな~と思いだす。
はやては、今後はランスロットに美味い料理を食べさせてやろうと決心する事になる。



 それからの毎日はとても穏やかだった。
ランスロットは直ぐに現代の生活にも慣れ今では、はやての変わりに家事全般をこなす事も多くなっていた。石田先生も最初はランスロットを警戒していたが、やがてそれも薄れ信用するようになっていく
そして明日は、はやての誕生日、どこかでケーキでも買おうと決めると明日に備えて寝る筈だった。
そう呪われた書が覚醒しなければ・・・


「何だ!この魔力は!?」


突如として発生した魔力はマスターである八神はやての部屋から感じる。
彼は一瞬で私服から甲冑へと変わり、近くに置いてあったモップを掴むと
全速力ではやての部屋に向かった。
だが彼は焦っていたが故に気付けなかったのだ。
今までは微々たる供給だった魔力が、ランスロットに生前の力を完全に取り戻させる程の魔力に変わっていた事を


「貴様等ーーーー!!!」


最初に見えたのは、四人の人影、マスターであるはやては、ベッドの上で固まっている。
本来の歴史では気絶したが、前にランスロットで見慣れたのか意識はあった。


「何者だ!」


ピンク色の髪を持つ女性に答えたのは黒く染まったモップだった。
慌てて自信の剣、レヴァンテインで受けとめるが、


「っく、何て力だ・・・」


「答えろ、貴様等は何者だ!」


はやての前に降り立ち、四つの人影を威圧する。


「それはこちらのセリフだ、貴様こそ主とはどういった関係だ」


完全に張り詰めた雰囲気・・
後ろで、はやてが、関係だなんて・・・と頬を赤らめていたのは何かの間違いだろう。


「私は・・・はやてのサーヴァント兼、騎士兼、家族のランスロットだ!」


つい昔の癖で名乗りを上げてしまう。


「騎士だと?しかし家族・・・つまり貴方は主と近い関係なのですね」


「主とは、はやての事か?」


「はい、我等守護騎士はそこにおられる主に仕えるものです」


「なぁ~」


緊張状態ははやての一言で終わりを迎える。


「なんや色々事情がありそうや、一回話を聞いたほうがいいと思うんやけど・・」


確かにランスロットも今の状況はよく分からない。
だが目の前の四人には敵意を感じられないのは確かな事だ。
結局はリビングで互いに話をする事になるが・・


「まさか・・・闇の書だと・・・平行世界だとは気付いていたが・・・そんなものが・・」


「我等も長い時を存在していましたが・・・英霊とは・・・・おいお前達は聞いたことは?」


「ある訳ねえだろ」


「私も聞いたことは・・・」


「同じくだ・・」


「ええやないか。兎も角、分かった事がある。守護騎士達の主として衣住食の面倒をみなあかんという事や・・」


守護騎士達は理解出来ないといった顔をしている。


だがやがて守護騎士達は心の底から八神はやてに忠誠を誓う事になった


そう全ては序章


これより始まる物語は三人のイレギュラーを含める事で変化していく




魔法少女リリカルなのはA`s~騎士の狂宴~・・・・始まります




後書き

予想していた人もいるようですが、はやてのサーヴァントはランスロットでした。
今回はA`sのプロローグでしたのでランサーやギルは登場しませんでした。次回から登場予定
リインフォースが救済されるかどうかは、今後の展開次第ということで・・・・

追伸

ランスロットのステータスを更新しました。
ランスロットのステータスは、はやてのサーヴァントになった事で上がってる部分もあれば狂化が解けた影響で下がっている部分もあります。



[16289] 第1話   騎士の初戦  
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/12 12:14
アースラ艦内にてギルガメッシュは・・・・酒を飲んでいた。
フェイトの裁判はギルガメッシュの権力により勝利したが、その後フェイトは嘱託魔導師になる事を希望、ギルガメッシュとプレシアに相談するが


「そう・・・・貴女が決めたのなら私に反対する権利はないわ」


とはプレシア談、そしてギルガメッシュは


「己が道など己で決めろ」


と一蹴されてしまった。
基本的にギルガメッシュはフェイトがどの様な道を行こうが構わないらしい。
ただ余りにつまらない人生を歩むつもりなら何をするか分からないが
まあそんなこんなで正式に嘱託魔導師となったフェイトはアースラで第九十七管理外世界(ギルガメッシュの前でそう言うと痛い目にあうので、アースラのクルー達は地球と呼んでいる)即ち地球へと向かっている途中だ。久しぶりの再開にフェイトの胸は高鳴っていたが一つのアラームにより予定は台無しになる。


「これは・・・なのはさんが襲われているの!?」


目の前のモニターに映るのは赤いBJを着た少女に、フェイトの友達である高町なのはが襲われている映像だった。


「艦長いきます」


友達のピンチに落ち着いてはいれれないフェイトは直ぐに転移の準備をした。


「ええお願い」


そう言うとフェイトは、友のいる戦場へと転移していく。


「再会は戦いの最中でか、クッ、全くもって我を愉しませる」


ちなみにギルガメッシュは相変わらずワイン片手でモニターをニヤニヤと見ている。
ちなみに、管理局に裏から手を回し民間アドバイサーという形でアースラに乗船していた。
分かりやすくいうと、種に出てきたアズラエルと同じ。


「ギルガメッシュ代表は、手を出さないのですか?」


僅か三ヶ月でリンディより偉くなってしまったギルガメッシュ、
本当に認めたくないが事実なので、下からモノを言う事になる。


「人形風情に我が財を使うまでもない、
それに、あのような事は庭師の仕事だ」


人形?と一瞬だけ気を取られるが今はそんな事を考えている場合ではない。
モニターを見るとフェイトが押している。これなら・・・




 今にも振り落とされる死の鉄槌を、なのはは、凝視していた。
このまま死ぬのだろうか?


(っフェイトちゃん、ランサーさん、クロノ君、ギルガメッシュさん)


だがそれは間に入った黒い人影により阻まれる。


そう、間違う筈がない、

何度も戦って

最後には朋となった少女が

そこに悠然と立っていた。


「ちっ、仲間か!?」


「……友達だ!」


「民間人への魔法攻撃、軽犯罪ではすまない罪だ」


「あんだてめぇ、管理局の魔導師か?」


「時空管理局、嘱託魔導師……フェイト・テスタロッサ」


名乗りを上げるとバルディッシュを構える。


「抵抗しなければ弁護の機会が君にはある、同意するなら武装を解除して」


「誰がするかよ!」


予想通りの言葉を聞いた瞬間、魔力刃を形成して疾走する。
すると突然の動きに驚いたのか僅かに動きが鈍り


「はっ!」


「くっ速え」


持ち前のスピードをフル活用し時に後ろ時に下からバルディッシュを振るう。
距離を取ろうとするが逃がさない。
フェイトは今までプレシアとたまにギルガメッシュの訓練(ギルガメッシュのは訓練というより暇潰しに、甚振っているのが正しい)によりスピードに磨きをかけていた。そうランサーに迫るほどに
その強さにカートリッジを使うタイミングを考えるが、


「なっ!バインド」


フェイトに集中しすぎたのが不味かった。
ヴィータはもう一人(一匹?)の敵であるアルフのバインドに容易く捕らわれてしまう。
フェイトは素性を尋ねようとする。


「はあああ!!」


「なっもう一人いたの!?」


黒い甲冑を着込んだ男?はフェイトに黒い何かを振るう。


「フェイト―――ってうわぁ!」


援護に入ろうとするアルフに腹を叩きつけられる衝撃が襲う。


「二人目っ」


ピンク色の髪をポニーテールにした女性がアルフを威嚇する。
ならばと、殴ろうとするも、目の前の女には通じない、


「なっ奴は!」


その頃、アースラではギルガメッシュが普段見せない驚いた顔で画面を凝視している。


(奴は、間違いないバーサーカー、しかし何故ここに、やはり第四次の者も来ているのか?)


「ギルガメッシュ、どうしたんだ」


クロノが聞いてみると


「・・・懐かしいモノを見たのでな、それと一つ言っておいてやる、、奴はサーヴァントだ」


アースラ艦内に衝撃が走る。
サーヴァント、即ちランサーやギルガメッシュと同じ英霊ということ
そしてサーヴァントがどれ程の力を持っているかは自信の目で見たことだ。


「そんなランサーは一体何処に行ったんだ!」


何故かこの場にいないランサーに憤りを感じてしまう。
だが無理はないだろう、彼がいればサーヴァントにも対抗できるのだから


フェイトはクロノ達の危惧した通り押されていた。
今はスピードで誤魔化しているが、相対する者が持つ力量、パワー、全てがフェイトを上回っている。


「恨みはないが・・・・・」


気付いた時には遅い
ランスロットは後ろに回りこみ
手に持った武器を


「おっと、それ以上は俺が相手になるぜ」


そこには飄々とした態度のランサーが槍を構えている。


「たっく人がデバイスに慣れるついでに、山で鍛錬してたってのに、だが悪くねぇ、まさか新しいサーヴァントに出会えるとはな!!」


今、彼の頭にあるのは、マスターを襲われた怒りでも、修行を邪魔された事に対する腹立たしさでもない。
ランサーが持っている感情は“喜び”再び肉を持ち現界したが相手をするのはギルガメッシュみたいな奴やクロノ達のようなヒヨッコばかり、彼の望んだ戦いをする者は居なかったのだ。
だが事情や理由は知らないが目の前にはセイバーに勝るとも劣らない騎士が自分の敵として相対している。戦う理由は十分だ。


「くっまさかサーヴァント?私の他に現界しているとは・・・」


「おらっどうしたっ!」


相手は突如として現れたランサーに戸惑っているが彼は攻撃を止めない。
ランサーの槍は赤い閃光の如く動き、ランスロットを追い詰める。
だがランスロットも超人的な力量で軌道を読み捌く。


「やるじゃねえか、テメェどこの英霊だ」


「自分から真名をばらすサーヴァントがどこにいる!」


「そりゃそうだな」


戦いはより激しさを増していく。
しかし二人共、まだ全力ではない
ランスロットはまだ己の真の宝具を解放しておらず
ランサーもまた空中戦の感覚をつかもうとしている。
だが、それでも尚、二人の戦いは凄まじい。
黒い影と赤い閃光が走る。
二人の周辺はまるで結界が張られているみたいに錯覚するほどだ。
既に二人は当初の目的を忘れ目の前の敵との戦いだけに集中している。


「っありゃ!」


結果内にピンク色の砲撃が走る。
見れば己のマスターである高町なのはが胸から手を生やした状態で魔法を放ったのが理解出来る。


「っち」


マスターの危機となれば見過ごす訳にはいかない。
急いで、なのはの下へと向かう。
だがその間にランスロットや他の騎士達も何処かへ消えてしまった。



「あれは!」


クロノは少女の持っている本を見て叫んでしまう。


「第一級捜索指定ロストロギア、闇の書」


「知ってるの?」


知っている・・・
そうクロノの父親、クライドが最後に関わり、そして殉職した事件
それが闇の書・・・・


「ほうあれは・・・」


もう一人、闇の書を見て思う事があった人物がいた。
そうご存知ギルガメッシュである。


(あの人形共のような精巧な擬似生命を実体化させるとは・・・・だが惜しいな。
“破損していなければ”我が財に加える価値があったのだが・・・)


生憎と壊れた欠陥品に用はない。
それより気になるのはバーサーカーのことだ。
第五次に参加したサーヴァントだけではなく第四次に参加したサーヴァントも現界している。
ギルガメッシュはもしやと思い、聖杯がどこかに無いか調べてみたが、気配はなかった。
全ての物事には理由がある。ならば自分やランサー達が呼び出されたのにも理由があるはず
しかし、全てはまだ謎のまま




~おまけの短編(八神家編)~


「できたで、今日は肉団子や」


テーブルの上にほかほかの肉団子が置かれた。


「これは・・・また美味しそうな料理です・・」


ランスロットにとって肉といったら、ただ適当に焼いただけのモノ
正直に言うと嫌な思い出しかない


「そんじゃ、いただきます」


「「「「「いただきます」」」」」


挨拶は欠かさない、
それが八神家のルール
それに比べて近頃の家庭は・・・おっと話がそれた。


「う~やっぱ、はやての料理はギガウマだぜ」


元気よく肉団子にパクつく


「こらヴィータ、しっかり野菜を食べなければ・・」


これを注意したのは意外なことにランスロット
仕事をする事が出来ない彼は、それならばと積極的に家事を手伝い、今ではご近所でもそれなりに知られる仲だ。どこぞの腹ペコ王(ニート)に聞かせたい話である・・・おっと再び話がそれた。

余談だがスーパーの特売日には持ち前の身体能力をフルに使い、主婦達をバッタバッタとなぎ倒したランスロットの姿が、まるで狂った戦士のように思えたから、主婦達の間で黒き狂戦士として伝説化されていたりするが、これは別のお話


「さて・・・・むっ!」


大皿に残ったのは一つの肉団子

一瞬のアイコンタクト

結論、誰も譲る気はない

ならば


「円卓の騎士の業、今こそ魅せる時!」


「烈火の将を嘗めないでもらおう!」


「それはアタシの肉団子だ!」


「湖の騎士、シャマル、癒しと“強奪”が本領です」


「俺は・・・・・・俺は犬じゃなぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」


一斉に飛び上がり

鋭い闘気を纏い拳を振りかぶる


「ジャアアァァァァァァァァァァンンンンンンンケエエェェェェェェェェェェンンン」


「ポオオオオォォォォォォォォンンンンン!!!!」


ランスロット:グー

他:チョキ

という訳で


「やはり、はやての料理は美味しい」


となるわけで・・


「くっ何故だ何故、我等は勝てない!」


「これが・・・私達の限界なんですか」


「クソオオォォォォォォ」


絶望に沈む三人


「しっかりしろ!三人共!今再び敗北したからといって諦めるのか!!」


「「「!!!」」」


「我等守護騎士、なんとしても主を守ると誓った筈だ!!それが数回の敗北で諦めるのか!!我等の誓いはその程度のモノだったのか!!!」


ザフィーラの言葉に再び守護騎士達の目に活力がともる。


「そうだ、我等は大切な事を忘れるところだった」


「そうだよな・・・ここで諦めるわけにはいかねぇよな」


「ザフィーラ、御蔭で立ち直れたわ、ありがとう」


そういったやり取りの中で一人だけ冷静だった、はやて


「そういうノリは本編中にやってな」


なんていうツッコミがあったどかなかったどか


後書き

先ずは初戦、ランサーVSランスロットが終了
ちなみにランスロットがジャンケンで負けなしなのは、スキル精霊の加護により武勲(肉団子)を立てうる戦場(食卓)において優先的に幸運を呼び起こしているからです。
では次回に・・・



[16289] 第2話   騎士の誓い
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/12 13:59
「それで聞かせて欲しい、あの黒い騎士は何者なんだ?」


ギルガメッシュの前にランサー、クロノ、リンディ、が揃っている。
襲撃者の一人である黒騎士の正体を知る為だ。


「それと気になる点がある」


そこでモニターを操作して黒騎士の映像を出すと


「彼の持っているコレは・・・一般的な武装局員が持っているデバイスと一致する、だが理由はわからないが、この黒い影に侵食されて強度が増している・・・だったか?」


「間違いねえ、あのデバイスからは宝具の気配を感じた」


「そこに気付いたか、雑種にしては見る目がある」


少しだけ関心した様子で頷くと


「だが貴様等に言う気は無い、そんなに知りたければ自分で調べるのだな」


クロノが何か言っているが無視する。
それよりも興味があるのは闇の書だ・・・プレシアに調べさせるか?


「もし・・」


「ん?貴様は」


話しかけてきたのは初老の男性
だが瞳からは老いなど感じさせない強い意志を感じる、
そう何かを決断したかのような・・・


「これは・・・リンディ提督から聞いています、私はギル・グレアム、管理局で提督をしています
この度はギルガメッシュ代表にお会いできて光栄です」


「それで我に何用だ・・グレアムとやら?」


「貴公の武勇伝は聞き及んでいます英雄王閣下」


「女狐が喋ったのか?」


「はい、ですが貴方の伝承については以前より聞き及んでいます、
実は私は地球の出身でして・・おっと、つい話し込んでしまいましたな、では私は・・」


そう言い終わるとグレアムは去っていく。


「待つがよい」


ピタッと足が止まる。


「貴様が何を考えているかは知らんが・・・励めよ」


ギルガメッシュは見透かしたかのように言うと再び歩み始める。
だがグレアムには冷や汗が浮かんでいた。



 「そうだ、ランサー実は君に是非とも会いたいと言っている人がいるんだ」


「会いたい?まあいいぜ、誰なんだ?」


「ギル・グレアム提督といって、まあ僕の目標みたいな人だよ」


へえと頷くと、そのグレアムが待っている部屋へ入っていく。


「君が彼の光の御子ですかな!」


入った瞬間、変な親父がランサーに向かってきた。


「ああ、そうだけどよ」


普通の人間が見たら妙にテンションの高いオッサンにしか見えないだろうが
ランサーは戦士の勘で、このオッサンが多くの修羅場を潜り抜けた猛者であることを悟る。


「そうですか!!いや~リンディ提督から聞いた時は驚きましたよ!まさか彼の光の御子が現世に蘇るとは!!」


[おいクロノ、なんでこのオッサンは盛り上がってんだ?]


[グレアム提督は地球出身なんだ、もしかしたら君のファンなんじゃないか?]


「あっそうだ。写真を一緒に撮ってくれませんかな?あとサインも!」


今や歴戦の猛者は少年の顔へと戻っている。
無理はないかもしれない。
日本においては知名度が低いが、クー・フーリンは自他共に認める最高の英雄である。
それと生で会うなど・・・
日本人にとっては織田信長
中国人にとっては諸葛孔明
に生で会うようなもの・・・興奮するなと言うのは無理だ。


「まあいいけどよ・・・」


ランサーも自分のファンを無下に扱う事はしない。


ちなみにクロノは


「僕の中でのグレアム提督のイメージが崩れていく・・・」


どか言ってたそうだ・・・・




 「我だ」


「あっギルガメッシュ!なんの用、私は何時も遊び呆けている貴方と違って忙しいのよ!」


「そう言うな、今度は褒美に翠屋のシュークリームをくれてやろう」


「シュークリーム・・・・・って私は騙されないわよ!でっなに!」


「闇の書について調べろ、期限は我が次に気になるまで、金は幾らでも使え、遅れた場合は死ね。以上だ」


そう言うと電話をきる。
プレシアが何か文句を言っていたような気がするが気にしない。


「さて、どうするか」


ふと考えると、フェイトとなのはが再会している頃だなと思いだし医務室へ向かう。
医務室のドアをノックもせずに開けると


「「あっ」」


なのはとフェイトが抱き合っている
そう・・・まるで恋人のように・・・・


「王たる我が読み間違えるとは・・・・邪魔したな」


流石にギルガメッシュも男女・・・じゃなかった女女?の営みを邪魔するほど無粋ではない。


「・・・・」


「・・・・」


なのはとフェイトは固まったまま動けない
しかし暫くすると気付く。
このままでは私達、変な誤解をされないか?


「「待ってーーーー!!」


「むっ!まさか見境を無くしたか!?」


フェイトとなのはが道行く女性を襲いまくる光景が目に浮かぶ


「ええい、それは不味いぞ、その様な真似はをXXX板でやれ!」


「誤解だよ(なの)!!」


その後、二人はギルガメッシュの誤解を解くのに一時間を有し、感動の再会はドタバタなモノへと変わってしまったとさ。




 「ここにいたのか、ランスロット」


「シグナム、なんだ?」


一人で夜空を見上げていたランスロットの隣に立つ。


「いや何をしているのかと思ってな」


「ただ空を眺めていただけだ・・」


会話が続かない・・ただ静かに時が流れる。


「蒐集はどうだ?」


「ああ、このペースならクリスマスまでには終わるだろう、お前には感謝している、
それに貴公のような騎士と共に戦場を駆けるのは私にとっても誉れだ」


その言葉にランスロットの顔が僅かに歪む


「私は誉れある騎士などではない。
理想的な・・・そう誰よりも完璧であった王を裏切り、国を滅ぼした男だ」


シグナムが、しまった、と後悔するが遅い。
既に蓋は開かれてしまった。


「私は馬鹿だった。
完璧な騎士・・それに縛られ国を朋友を王を、そして愛する女性すら失った。
王と腹を割って話すこともせず、全てを得ようとして、結局は全て失った!
国は滅び朋友を斬り、愛した女性すら笑ってくれなかった!!」


「ランスロット・・・」


シグナムは何か言おうとするが・・
駄目だ彼に言う言葉が浮かんでこない。


「だが・・・何一つとして守れなかったのだ。せめて今生の主、はやてだけは全てを犠牲にしてでも救ってみせる!!例え、この世全てを敵にしても!!」


そう言うとランスロットは家の中へ戻っていく。


「そうか・・・不器用なのだな・・」


ランスロットの後姿を見つめながら、そう呟いた。



[16289] 第3話   騎士の休息
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/14 17:46
「わぁーっ! 凄い近所だ」


「本当?」


「うん、ほら、あそこが私の家!」


なのははマンションのベランダから見える自分の家を指差す。
今回の闇の書事件の担当になったリンディを始めとするアースラークルーはなのはの保護を兼ねて海鳴市にあるマンションを新しい本部にしたはずだったのだが・・・・


「は~いつこのマンションのオーナーがギルガメッシュさんになってたのかしら?」


「艦長、僕はもう考えるのを諦めました」


「そう・・・私も疲れたわ」


借りたマンションのオーナーが何時の間にかギルガメッシュに変わっていた事に驚き二人はすっかり意気消沈している。
頑張れ二人共!きっと報われる時が・・・こないな


「新形態子犬フォーム!」


「なのはの友達の前ではこの姿でないと」


アルフはよかった・・・だが


「あれっ!ユーノ君・・・いたの?」


「凄い気付かなかった」


「唯の鼠かと思ったが・・・・気配遮断のスキルを持っていたとは・・・」


「いたのかフェレットもどき」


「あらやだ、気付かなかったわ」


皆の言葉にユーノは白くなり・・・静かに崩れていった


「ドンマイ」


ランサーが肩を叩くと


「絶望した!原作ではそれなりに活躍するのに、この作品では空気扱いに絶望した!」


だがフェイトとなのははお喋りに夢中で誰もユーノの言葉を聞いていなかった。


「なのは、フェイト、友達だよ」


「「はーい」」


クロノがそう言うと、二人は笑顔で立ち上がり玄関へ走っていく。


「こんにちは~」


「来たよー!」


「アリサちゃん、すずかちゃんいらっしゃい」


「こんにちは」


「初めましてってのも何か変だよね?」


「ビデオメールで会ってたもんね」


「うん、でも……会えて嬉しいよアリサ、すずか」


出会いを喜びながら四人は家の中へ入っていく。


「なっあんたは!」


「あっ貴方は!」


しかしアリサとすずかは、ソファの上でジャンプを呼んでいたギルガメッシュの姿を見ると驚愕する。


「ん?誰だ」


「あっあんたは温泉で絡んできた・・」


記憶を辿ると、温泉旅館へ行った時に、なのはの近くに、二人の姿があったような・・・


「あっごめんね、そのギルガメッシュは私のサーヴっじゃなかった、その・・」


少しパニックになったフェイトを見かねてリンディが助け舟をだす


「あの人はフェイトさんの保護者なの、ところで温泉旅館って?」


そう言うとアリサは、海鳴温泉に行ったら、変な女が絡んできた後にギルガメッシュが話しかけてきた事を言った。


「そう・・・・でもギルガメッシュさんも悪気はなかったの。許してあげて・・」


「そういう事なら・・」


「分かりました」


二人が頷く。
ちなみに当のギルガメッシュは


「ほう今回のワンピースは実によかったぞ」


なんて言ってたそうな・・・


その後は、なのはの両親の経営する翠屋に引越しの挨拶といった形で向かっていた。


「こっこの店は!」


「あれっここのお店・・」


「あれっフェイトちゃんとギルガメッシュさん、翠屋を知ってたの?」


「うん、実はジュ、じゃなかった、前に海鳴に来た時、ギルガメッシュと二人で来た事が・・」


「まあいい、さて」


何か言い終わる前にギルガメッシュが扉を開き


「あっ貴方は!」


店主である高町士郎が見たのは、インゴットのような金髪と赤い瞳を持った青年、数ヶ月前に店にやって来て、ガンダムVSガンダムをやっていた男だ。


「シュークリーム五個だ」


そう言うとイスに座り再びジャンプを読み始める


「ワンピースの続きが気になり先に読んだが・・・こち亀は良い」


ちなみに、リンディが士郎に挨拶したり、フェイトが制服を手にして頬を赤らめたりとあったのだが、ギルガメッシュは完全にスルーしてシュークリームを食べていた。


「おいランサー、我のシュークリームを早く持ってくるがよい」


「うるせえ!今行く!」


「むっ馬鹿か貴様は!そんなに速く動いたら中のクリームが・・」


「はっ槍の英霊をなめるなよ」


「ええい、このバイトが!!」


この大騒ぎを見て、士郎はランサーのバイト代から幾ら引こうか考えるのだった。
頑張れランサー、負けるな、主に幸運Eに



 「さて皆さん、実は先週急に決まった事なのですが今日から新しい友達がこのクラスにやってきます。海外からの留学生さんです。フェイトさん、どうぞ」


「し、失礼します」


入ってきた少女にクラスがざわつく。


「あの、フェイト・テスタロッサと言います! よろしくお願いします」


拍手が巻き起こりフェイトが驚く。
なのはとすずかは笑顔でアリサは今後の学校生活がもっと面白くなると想像していた。
だが


「皆さん、静かに。実はお知らせはこれだけじゃないんです」


担任の先生の言葉にクラスが再び静まる。
今度の事は、なのはとすずか、アリサも予想外の事で一体なんなのか気になっていた。


「どうぞ」


先生の言葉と共に入ってきたのは

インゴットのような金髪

ルビーのような瞳

全身から発するカリスマ

少年はフェイトの隣に立つと


「はじめまして、ギル・テスタロッサ、ファミリーネームの通りフェイトの兄です」


クラスを見渡すとニパッと笑う。
反応はそれぞれだ、
フェイトは知っていたので同様していないが
アリサとすずかは、知らないフェイトの兄という存在に驚き
なのはは


(えっギルガメッシュさんが小さく、それにフェイトちゃんのお兄ちゃんで、えっと・・あれ?)


こうしてギルガメッシュ改め子ギルは聖祥小学校へと入学したのだった。




~おまけの裏話~


「ところでギルガメッシュさん」


「なんだ女狐」


「戸籍はどうしたのかしら?私はギルガメッシュさんの戸籍は兎も角、子供のギルガメッシュさんの戸籍は作ってないのだけど・・」


「ああ、なに少し、この国の政治化と“おはなし”したら快く作ったぞ」


「そっそう・・・でも何でフェイトちゃんと同じクラスに?転入生が二人なら他のクラスになるはずじゃ・・」


「学校の責任者とやらに“命令”したら快く了承したぞ」


「・・・もう私も考えるのを止めたわ」


ギルガメッシュは再び視線を持っている漫画へと向ける。


「はぁ~」


どうやら聖祥小学校もギルガメッシュの手の内になっていたようだ。


「少しお酒でも飲もうかしら」


リンディはとぼとぼと、歩いていった。



~おまけの八神家~


「さて今日の晩御飯の為に戦うか」


腕を捲くりながらランスロットが呟く


「あのそんなに大変なんですか?」


「そうかシャマルは初めてだったな、そうだ決死の覚悟で戦わなければ目的の物は手に入らない」


「戦うですか?」


シャマルが何か言いかけたその時

空気が凍る

シャマルも戦場でこの空気は感じた事があった

これは殺気、それも複数の


「えっこれは・・」


思わずクラールビントを起動させてしまいそうになる


「始まったな、これがタイムバーゲン、主婦達の戦場だ」


「たっタイムバーゲン・・」


「いいかシャマル、一つ言っておく」


「なんですか?」


「死ぬなよ」


そう言うが否やランスロットは疾走する。
主婦達の波へ突っ込むと手刀を叩き込み潰していく。


「あっあんたは黒き狂戦士!だがアタシも伊達に主婦一筋三十年、スーパーの白い悪魔と恐れられたわけじゃないよ!!」


どこからか取り出したフライパンでランスロットを叩くが
その前に素早く手刀で気絶させる。


「来たね、黒き狂戦士、だが我等、黒い三連星を抜けるかな」


黒いジャージを着たオバちゃん達が隊列を組んで襲ってきた。
だが、ランスロットは


「なっあたしを踏み台にしたぁ!?」


天高く跳躍したランスロットはキャベツの前に立ち素早く手に取る。


その頃、シャマルは・・・・


「邪魔!」


「えっきゃ~」


「無駄無駄無駄無駄無駄!!!」


「そんな~あっお財布が!!」


そんな事があり、今後は絶対にタイムバーゲンの時間には来ない事を決意するのだった。




後書き


沢山の感想ありがとうございます!
次回は、ギルの学校生活の話になります。
それでは次回に・・・・




[16289] 第4話   騎士の驚愕
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/15 02:13
休み時間、転入生を待ち受ける第二の関門といっていい。(第一は自己紹介)
そう何故なら


「ねぇ、向こうの学校はどんなのだったの」


「すげー急な転入だよね、何で?」


「日本語上手だね、どこで覚えたの?」


「前に住んでた所ってどんな所?」


そう質問攻めにされるからだ。
フェイトはクラスメイトから絶え間なく話しかけられ戸惑うが


「少し落ち着いて下さい、一度に質問されてはフェイトも混乱してしまいます」


フェイトの兄という設定で転入してきた子ギルが納めていく。


「じゃっ俺質問!」


「はいどうぞ」


「向こうの学校ってどんなかんじ?」


「ほらフェイト」


フェイトに答えるように促す。


「えっと、私は普通の学校には行ってなかったんだ。家庭教師というかそんな感じの人に教わってて」


そう言うと再び騒ぎ出す。


「はいはい、ではそこの・・・」


「拙者は後藤でござるよ」


「では後藤君、なんですか?」


「江戸の歴代将軍で一番好きなのは誰でござるか?」


「えっえど?」


「フェイトはまだ日本の歴史には疎いんです」


「そっそうでござるか・・」


そんな具合にフェイトが答えられない箇所は子ギルが補足していき無事に第二関門はクリアした。


「わっ私の出番が・・・」


某ツンデレ少女がそんな事を言っていたのは・・・たぶん聞き間違いだろう。


[あの・・・ギルガメッシュさん?]


[なんですか、なのは?]


[やっやっぱりギルガメッシュさんなの]


[そうですよ、僕も小学校という場所には興味がありましたから]


[そっそうなんだ・・]


[あっ僕の事はギルと呼んで下さい、敬語も不要です]


[でも・・・]


大人のギルガメッシュを思い出すと少し抵抗感がある。


[安心して下さい、別に怒ったりしません、でも成年体の時は分からないな、本当どうして人に怖がられる事をするかな~]


[うっ・・・じゃあギル君?]


[はい、それと、なのは危険ですよ]


なにがと言いかけた時


「高町さん、授業中に何をやっているんですか」


「えっその・・・」


「ではこの問題は高町さんにやって貰いましょう」


黒板には、なのはの不得意な国語の問題が・・


[恨むからねギル君]


[こういう時もありますよ]


ちなみに子ギルは念話をしながら、しっかりとノートをとっていた。


 「起立―――――――礼」


「「「「「さよおなら」」」」」


全ての授業が終了して学校が終わる。


「なのは、フェイト、すずか、ギル、帰るわよ」


アリサが四人を呼び帰ろうとした。


「あっ僕は後藤君達と遊んで帰るので先に帰っていて下さい」


「えっそうなの?」


ギルの隣には後藤君の他に八人の男子生徒の姿が・・・みれば教室の外にも待っている人影がある。


「ギルー速く行こうぜ」


男子生徒の一人、山田光次郎が急かしてきた。


「今行くよ、じゃっさよおなら」


そう言うとギルは教室を出てどこかへ行ってしまった。



 「風が心地よいな」


ホームベースには子ギルの姿がある。
九回裏、二死満塁、三点差まさに物語りのような状況である。


「最後のバッターはギル殿でござるか、だが打たせはせんでござる!」


そういうと後藤君は大きく振りかぶって


「あっあれは・・・」


「しっているのか?太郎!」


「ああ、後藤君が自分の認めた強敵にしか使わないとされる投法、サイドスロー、知っての通りサイドスローは肩に負担がかかるから、小学生の間は封印している投法!それが今解放されようとしてるのか!」


「だが仕方ないかもしれない」


「どうしてだ玉三郎!」


「ここまでの相手の得点は2、その全てがギルの活躍によるものだ」


そう最初はタイムリーヒットで次はスクイズ、これまで目立たないながらも、確実に成果をだしてきた
それに六回からキャッチャーがギルと交代してからは点が入らなくなった。


「これが拙者の全力全開!手裏剣ボールでござるよ!」


今まで以上にキレのあるボールが襲う。


「なっそれは!!」


だがギルも負けてはいない。


「あれは・・・あのホームラン王、王貞治の一本足打法!」


タイミングは完璧
カキーンという音が鳴るとボールは、空高く飛んでいった。


「くっ拙者の完敗でござる・・」


しかし後藤君の表情は敗者には似合わない穏やかな顔、彼もまた一つ成長したのだろう。


「おいあそこって確か爺さん達がゲートボールしてる場所じゃ・・・」


「そういや・・・おいもしかして不味いのでは」


その頃にはギルがベースを回り終えて帰ってくる。


「おいギル、不味いって」


「どうしたんですか光次郎」


「ギルがホームランした場所、爺さん達がゲートボールやってる場所なんだよ」


それは不味い、ギルは謝りに行こうとする、
だがギルだけを行かせる訳には行かないと、他の男子・・・というか全員が着いて来たが


「あれっなんか物凄いスピードで誰かこっちに向かって来てないか?」


「接近する人影、一つあります!通常の三倍のスピードで接近します」


ギルが目を凝らすと
頭にボールが当たったのか、たんこぶをつくった少女が猛スピードで走ってきた。


「アタシの頭に傷を付けたのはどいつだあああぁぁぁぁぁぁ!!!」


「やばい、やばいってこれ・・」


「物凄い怒ってるぞアレは・・」


本来なら一人の怒った女の子に恐怖することなどないが、接近してくる少女は殺気を纏って・・あれはハンマー?で向かってきている。


「僕が話してきますよ」


「おいギル、一人じゃ・・」


「大丈夫です。僕に任して下さい・・・それに元は僕がホームランを打ったせいですし・・」


反論は聞かずにギルは怒れる少女へと接近していく。


「手前か?アタシの頭にコイツをぶつけてきたのは」


ギルは少女を見て一瞬だけ目を細めるが


「はい、悪気は無かったとはいえ申し訳ありませんでした。女性の頭に傷をつけるなんて、男性として言語道断です、僕に出来る事があれば何でも言ってください」


「あっ分かればいいんだ、そうだ!何でも言っていいんだよな・・」


「はい」


「ならアイス奢れ」


「アイスですか・・・」


「ああ」


簡単なお願いに確認したがどうやら本気のようだ。
幸い所持金は・・・・・数え切れない程ある、店ごと買い取っても所持金はビクともしないだろう。


「では僕の知ってるお店でいいですか」


ギルは少女を連れて歩いて十分程度の場所にある店で


「何がいいですか?」


「イチゴだ」


店員にイチゴのアイスを注文すると、それを少女に渡す。


「お前は買わないのか」


「僕はアイスの気分ではないので・・・・そう云えば名前を言ってませんでしたね。僕はギルと呼んで下さい」


「アタシはヴィータだ」


アイスを頬張りながら答える。
やがて食べ終えると


「やっぱアイスはギガウマだぜ」


大好物のアイスを食べれてホクホク顔だ。


「ヴィータ、遅いと思ったら何をしている」


端整な顔立ちをした男性が近づいてきた。


「あっランスロット!アタシが悪いわけじゃねえぞ!こいつがアタシの頭にボールを当ててきて、そうしたらアイスを奢るって言って・・」


「そうか、ああそうだ、君は・・・・ヴィータと遊んでくれてありがとう」


男性は礼を言うと


「ええ構いませんよ、バーサーカー」


その瞬間

空気が

凍りついた



後書き


子ギルを書いてて気付いた事が一つ
こいつは絶対にギャルゲの主人公には出来ない。
鈍感どころか鋭いし、イケメンだし性格もいいし、金持ちだし、こいつが主人公だと彼氏無しは直ぐに攻略されてしまい物語が成り立たない。
どちらかといったら、乙女ゲーの攻略対象?
攻略対象が全員サーヴァントの乙女ゲーなんてあったら面白いかも・・・

生徒会長:ギルガメッシュ

副会長:子ギル

陸上部エース:ランサー

弓道部エース:アーチャー

教員:ヘラクレス

他にもランスロットやらディルムッドやらワカメやら・・・

長々とお話しましたが次回に・・・・



[16289] 第5話   騎士の真実
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/16 16:52
何故だ、何故この少年がバーサーカーという単語を知っている?
私が聖杯戦争に参加したサーヴァントだという事は、はやてと守護騎士達にしか話していない。
まさか誰かが喋った?いやそれはないな、待て先日私と戦った男は間違いなくサーヴァントだった。
獲物からすると槍の英霊?しかし私の外見は狂化の呪いから解放されたことで、見た目ではバーサーカーとは分からない筈・・・ならこの少年は一体?私の他にあの時の聖杯戦争に参加したサーヴァントがやって来たのか、その可能性が一番高いな、ならこの少年はマスターということなのか。


「やっぱり気付きませんか」


「なにっ私と君は会った事があるのか!?」


私の記憶には彼の姿は・・・・
待てよ、金髪に赤目そのパーツと一致するサーヴァントが一人いたな
そう考えればどことなく面影が


「察したようですね。貴方の考えている通りですよ」


「!!ならお前はアーチャー?」


「そうです、バーサーカー久しぶりですね」


目の前のアーチャー?は微笑を浮かべた。
確かに容貌は似通っているが性格は全く違う。
どうなっているんだ?


「おい!ランスロット、取り敢えずこいつは敵なんだろ!!ならっ」


「!!!!!」


不味い、こいつは・・・・こいつには手を出しては・・・
だが遅い、既に結界が張られている。
既にヴィータも騎士甲冑えと姿を変えていた。


「やれやれ、血の気が多いですね」


アーチャーはあれは・・・デバイス?を起動させると空へと飛び上がる。


「五月蝿え!!」


不味いヴィータ、相手はあの得たいの知れないサーヴァントただ突っ込むだけでは!!


「仕方ありませんね」


後ろの空間より十の剣、槍、矛が出現した。
それらはヴィータに照準を合わせると


「避けられますか?」


一斉に射出された。
だがヴィータとて守護騎士として数多の戦場を駆け抜けてきたのだ。
中には百を越える誘導弾を放ってくる相手もいた、それに比べれば十の魔弾は避けやすい。
素早く右に避ける。

ドスッ
鈍い音が聞こえた。
ヴィータの腹に“見えない何かが”突き刺さっている。


「ぐっなんだよこれ・・」


「貴方に答える必要はありません」


目に見えない何かを手探りで掴み抜いた。
しかし相手は待ってくれない。


「僕のこの手が真っ赤に燃えるぅ!勝利を掴めとぉ!轟き叫ぶ!ばあぁぁく熱!ゴオォォッドォ!フィンガアァァァーーー!!!!!」


真っ赤に燃えた手がヴィータの頭を掴み


「ヒートエンド!!」


ヴィータはそのまま吹き飛んだ。


「くっヴィータ!」


奴のあれは非殺傷設定で使われていた、ならば死には至ってないはず。
管理局の武装局員から奪ったデバイスを起動させ空へ上がりヴィータを受けとめる。


「ぅぅあの野郎・・」


「喋れるか?なら大丈夫だな」


そう言うと、ヴィータは自分で飛べると言うので手を離す。
そして目前に佇むサーヴァントえと目を向けた。


「う~ん、やっぱり成年体でやらないと威力は落ちるか、でも中々の威力、プレシアはいい仕事をいたようだ」


などと自分のデバイスについて感想を述べていた。


「悪いが私にも目的があるのでな、ここで消えて貰うぞアーチャー!」


「なんですか、先に仕掛けて来たのはそちらでしょう。僕はそれに対して応戦しただけです」


「それは理解している、だが私にも譲れないものがある!」


「譲れないもの?ああ闇の書の事ですか」


くっ気付かれている。
だが闇の書の事は私の世界の者では知らない筈
ならば奴のマスターは管理局側の可能性が高いな。
暫くの間、睨み合いが続く。


「やめました」


そう言うと奴は警戒をといて下へ降りていく。


「なんのつもりだ?」


「言葉通りです。僕は貴方達と戦う気はありません、それに今日はフェイトに晩御飯を作って上げる約束もしましたしね、女性を待たせる男なんで最低ですよ」


「悪いがそれは出来ない、お前を逃がしては私たちの事を他の者に伝える可能性がある」


アーチャーは、はぁ~と溜息をつくと


「闇の書の主、八神はやて九歳、両親は早くに亡くしており、今まではずっと一人暮らし、しかし彼女が八歳だったある日、外国の親戚と名乗る男性一人と同居を始める、更に後に続くような形で外国の親戚と名乗る三人とペット一匹と同居することになる、間違いはありませんか?」


暫く思考が追いつかない。
顔から冷や汗が流れた。


「どこで・・それを・」


「僕の宝具には色々な者があります。中には神を律する鎖だったり若返りの秘薬だったりと、その中にある人を探し出す宝具を使い貴方達の居場所を特定し後は共に住んでいる八神はやてについて調べれば簡単に答えはでます。貴方達も家の周りに結界を張るなどはやっていたようですが、残念でしたね」


そう言うと再び去って行こうとする。


「待て!」


「まだ理解出来ないんですか?僕のマスター、管理局の嘱託魔導師なんてやってますが、にこの事を報告すれば分かりますよね?」


「・・・・・・・」


「僕は闇の書に興味も関心もありません、あるとすれば・・・そうですね、闇の書を巡って起きる戦いにこそ興味があります。ですが、どうしても戦うと言うのであれば仕方ありません。気は乗らないですが相手をしましょう。では僕は行きますので」


最後に一瞥すると結界を容易く抜け何処かへ消えていった。





 「本当なのか!?それは」


「本当だ、奴は・・アーチャーは私たちの居場所と闇の書の主も特定している。だが奴はマスターや管理局に報告する気はないらしい」


「信用出来んな」


次に口を開いたのはザフィーラだ。


「だが迂闊に手を出しては管理局にこの場所が特定されるかもしれん」


「すみません、私の結界が役に立たないで」


泣きそうな顔でシャマルが言った。


「いやシャマルの責任ではない。我々も宝具という存在に関しては素人だ
それより今は今後を如何するかを考えよう」


「でもさ、どうすんだよ、あいつ戦ってみて分かったけど、やばいよ」


強気のヴィータがそんな事を言うのは珍しい。
それが、相手の強さを守護騎士達に明確に教えていた。


「私は奴に手を出すのは得策ではないと思う。奴がその気になれば、この場所は簡単に管理局へと伝わるだろう、それに奴は闇の書にも興味がないと言っていた。先ずは様子を見たほうがいい」


「・・・・それが妥当か」


他の者にも反論はない。
一先ずはこれでお開きとなった。




 「出来ましたよ」


フェイトの目の前に美味しそうなカレーが置かれる。


「さっお兄さんやリンディ提督もどうぞ」


「これは・・・君が作ったのか?」


あのギルガメッシュがこんなに美味そうな料理を?
それがクロノには信じられない。


「そうですよ、特にカレーには自信があります。言峰の紹介でカレー狂の人に叩き込まれましたから」


埋葬機関の第七位の事を思い出し感慨に耽っている。
そう言うと子ギルもイスに座り食べ始めた。
カレーは好評でエイミィとアルフはおかわりをした。


「あっ少し連絡が着たので席を外しますね」


途中でギルが席を立つ。
マナー違反なのだが子ギルは一応は大企業の社長でもあるので誰も口を出さなかった。


他の者に聞かれない位置へと移動すると


「それで、どうでしたか、プレシア?」


「調べはついたわよ。両親が亡くなった八神はやてに父の友人という名目で資金援助している人物、ギル・グレアム」


「やっぱりですか。そうだと思いました」


「でも凄いものね、アースラは闇の書の主の手がかりすら掴んでないんでしょう?」


「それは僕の宝具の力ですよ」


「本当に規格外ね、じゃっ私は他にやる事があるから」


そう言うと通信がきれる。


「さて面白くなってきましたね」


薄くギルは微笑んだ。



後書き


次回はギルガメッシュがグレアムに接触します。




[16289] 第6話   騎士の怒り
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/17 18:45
 グレアムは使い魔であるアリア、ロッテと共に本局の廊下を急ぎ足で歩いていた。
事務仕事が一段落したので少し休憩を入れようかと思ったところで来客の知らせ。
何でもあのバビロニアカンパニーのギルガメッシュ代表が来たらしいと。
僅か三ヶ月でミッド有数の大企業にまで成長したバビロニアカンパニーは最近の話題の一つだ。
さらに拍車をかけているのは、滅多に公式の場に姿を現さないCEOギルガメッシュ氏の影響である。
端整過ぎる顔立ちに全身から漂うカリスマ、ミッドの女性達の注目を集めるには十分すぎる、
ちなみに財界人から縁談の話が結構きてるが全て無視している。
ギルガメッシュが待っている部屋の前につくとノックをした。


「入れ」


前に聞いた声が響く。
扉を開けるとソファに座ったギルガメッシュが血のように紅いワインを飲んでいる姿が見えた。


「それでギルガメッシュ代表、私に何の御用ですかな?」


「貴様の意図を知りたくてな」


「意図ですか・・・・」


何でもないように答えるが目は細まり冷や汗が流れている。


「そうだ、八神はやてに生活支援をしているのは何故だ?」


アリアが魔法をロッテがギルガメッシュを殴ろうとするが
空間より飛び出した紐が二人を拘束する。


「躾のなっていない猫だ、で何故だ?」


アリアとロッテには目もくれずグレアムに再度尋ねる。


「どこでそれを・・」


「聞こえなかったか、我は何故か?と聞いたのだぞ」


グレアムの頭のすぐ横を短剣が通る。
頬から血が流れ床へ落ちた。
何か都合のいい嘘は無いかと思案するが無駄だろう。
生物としての本当が彼には勝てないと告げているし何より嘘をついたとて彼が他の者、クロノ達に話せば意味が無い。


「11年前の闇の書事件から私は独自に闇の書の転生先を探していました」


「ほう雑種の父、確かクライドとやらの仇討ちか?」


そこまで調べているのか!と目を見開く。
どうやら自分は彼を余りにも過小評価していたらしい。


「きっかけはそれです、そして私は闇の書の主を発見しました。何気なく調べた私の故郷である地球にあるとは私も予想外でした、ついでの気持ちで調査したのですが未来は分からないものです。ですが完成前の闇の書を見つけようと余り意味が無い、主を殺そうと闇の書を破壊しようと結局は次の主へと転生してしまう、両親のいない少女を見て心が痛んだが同時に運命かと思いました。孤独であるなら、その分、悲しむ人も少なくなる。生活の支援をしていたのは、せめて永遠の眠りにつく前ぐらいは幸せに過ごしてほしかったから。偽善ですね」


「それで如何なる方法で闇の書を」


「秘密裏に作らせた氷結の杖、デュランダルで闇の書の発動直後の数分の間に主ごと凍結させ次元の狭間か氷結世界に閉じ込める、これなら闇の書の転生機能は働かない」


「そうかでは我は帰るぞ」


そう言うとソファから立ち上がり部屋から出て行こうとする。
その際にアリアとロッテを縛っていた紐も解けた。


「終わりですか・・」


「?何を言っている。何が終わったのだ?」


「えっそれは・・」


「何を勘違いしているか知らんが我は止めるつもりはないぞ」


「!!」


「たかが小娘一人の犠牲で済むのだ、安い犠牲であろう」


冗談などではない。
ギルガメッシュにとって少女一人の命など興味がないのだ。


「それとも何だグレアムとやら、貴様は小娘を殺す事を躊躇しているのか?」


「それは・・・・・罪のない少女を犠牲にするなど許せる事では・・・」


「愚かな、罪の無い少女だと?はっ笑わせるなよ、いずれ災悪を巻き起こす小娘など罪以外の何物でもない。王の邪魔になるものなど疾く消えるが礼であろう」


そこに同情や哀れみの色は全く無い。
ただ邪魔になるのなら殺すと、彼は言っているのだ。


「貴方は人を殺す事を何とも思わないのですか?」


気付いたら彼にそう問い掛けていた。


「当然であろう。王が何故、衆愚を裁くのに躊躇う必要がある。民とは王に身命を捧げる物、王の害となる者など生きる価値などない」


そう言い残すとギルガメッシュは去って行った。



 「あっギルガメッシュさん!本局で何してきたんですか?」


ギルガメッシュが戻ってくるとエイミィが尋ねてくる。


「野暮用だ、それより通信、フェイトとなのはにか?」


「はい、今新しく組み込んだカートリッジシステムの説明を・・」


していたところです、と言おうとした時に喧しい警戒音が響く。


「前の人形共か」


「はい、至近距離にて緊急事態!」


報せは直ぐにリンディの下へ伝えられクロノ、そしてフェイトとなのは、ランサーが出動した。


「さて我も行くか」


「えっ!ギルガメッシュさんも!?」


エイミィが何か言おうとしたが既にギルガメッシュの姿は消えていた。


 「ランサー何をやっている?」


ギルガメッシュが到着早々目にしたのはビルの屋上で溜息ついてるランサーだった。


「何も糞もねえよ、あのバーサーカーはいねえし、なら他の騎士と戦おうとすれば、なのはとフェイトが一対一で戦うどか言い出すしよお、それに素手の奴の所にはアルフがいっちまったしよ、クロノと支援役ってのを探すのも興味ねえから観戦してたんだよ」


「成る程」


背後の空間からイスとポップコーンを取り出すと


「やはり観戦にはポップコーンだな」


と言って食べ始める。
完全に映画気分だ。


「おっいいもん持ってんじゃねえか」


「むっ貴様、それは我のポップコーンだぞ!」


「硬いこと気にすんなよ」


ランサーまで映画気分・・・クロノが見たら頭が痛くなるだろう。


「ほうフェイトの奴、腕を上げたな」


「ああ前よりも強くなってやがる」


フェイトのスピードは以前よりも更に上昇していた。
スピードだけではない、全体的な力量が上がっている。


「ほう貴様の主人である、なのはも腕を上げたようだな」


ギルガメッシュが見る先には大量の誘導弾を自在に操るなのはがいる。


「修行の成果だな」


ほのぼのとした光景
戦況はさらに動く、
ヴィータの・・・あれは鉄球?のような物がなのはに弾かれランサー達のいるビルに当たる。
それだけならば問題はなかった。
ゴンッ


あれだけの戦いが一斉に静まった。
破片の一つがギルガメッシュの頭部に当たったのが理解出来る。


「不味いわね」


「ええ不味いですね」


リンディとエイミィが言う。
あのプライドの高いギルガメッシュが頭部に破片を当てられた場合どういう行動にでるか
考えなくても分かるだろう。
リンディは急いで現場にいる全員に指示を与える。


「フェイトさん、なのはさん、アルフさん、ランサーさん、それにクロノ!ギルガメッシュさんを止めて!!このままじゃ不味いわ!!」


だが遅い、
既に英雄王は立ち上がっている。


「王の頭部に傷をつけるとは、雑種如きがああぁぁぁぁ!!」


王の怒りが響き渡った




後書き

ギルガメッシュ暴走



[16289] 第7話   騎士の家出
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/18 17:29
英雄王の背後の空間が蠢く。
出現したのは古今東西の聖剣、魔剣、それらは全て一級品の神秘


「失せろ!」


唐突に発せられた一言により数多の軍勢は豪雨のように守護騎士達に迫る。
発射された弾丸は絶え間なく打ち出され敵だけではなく建物を次々に破壊していく。


「ちょっギルガメッシュ!あたしらにも当たるよ!これっ」


アルフが叫ぶ。
そうギルガメッシュはフェイト、なのは、アルフに対して全く配慮していない。
兎に角、数え切れない程の魔弾が無差別にビルなどを破壊していた。


「くっギルガメッシュの奴!」


敵の一人シャマルを追い込んでいたクロノはリンディからの指令を受けてギルガメッシュの元へと急行していた。
ここで守護騎士の一人を見逃すのは悔しいが、このままではフェイト達が死にかねない。


[ランサー聞こえるか!]


[あっなんだよ]


[今すぐギルガメッシュを止めてくれ、このままでは結界がもたない。結界が破壊されれば市街地にまで被害が出る]


[たっく仕方ねえな]


クロノの頼みを受けたランサーは槍を手に持ちギルガメッシュに迫った。
それに、このままだとマスターが巻き添えくって死にかねない。


「何のつもりだ!駄犬!!」


「悪いがマスターの危機なんでね、落ち着けよ、たかが破片が当たっただけじゃねえか」


「戯け、王の頭部に傷をつけるという行い万死に値する、それを邪魔するのならば、死ね」


ランサーにも魔弾が飛ぶ。
かといって守護騎士達への攻撃が止んだ訳ではない。
完全に無差別攻撃状態である。


「くっランスロットの言ったとおりデタラメな奴だ。レヴァンテイン!カートリッジロード!」


魔力を纏い黄金の騎士へと向かう。
そして


「紫電一閃!」


鋭い魔力がギルガメッシュへと飛ぶが


「ふんっ名ばかりの贋作にすら劣る模造品がっ!」


蔵より一本の剣を取り出した。
終末の炎を纏いし魔剣
その名はレヴァンテイン
蔵より取り出したソレを思いっきり投げつけると烈火の将の業は更なる炎により焼き尽くされていた。


「模造品が真作に勝てる訳がなかろう、では死ね」


二十の宝具達が烈火の将を射殺そうと飛ぶ。
この距離、この間合いでは避けられない。


「申し訳ありません、主はやて」


シグナムは静かに目を閉じた。


静寂が訪れる。
ギルガメッシュが攻撃を止めたのだ。


「何のつもりだ、なのは」


数多の宝具がシグナムを貫く直前にシグナムの危険を悟った、なのはは魔力を全てスピードに回す事で何とかシグナムを救う事に成功したのだ。


「なんでって、あのままじゃ・・・」


「死んでいたか?」


「分かってるなら何で!?」


「王に無礼を働いたのだ、ならば然るべき罰を与えねばなるまい」


「罰だなんて、そんなの間違ってます!」


「間違っているだと?愚かな事を貴様等の尺度で我を測るでない、我は最古の英雄王。雑種共とは全てが違うのだ」


「そういう見下す態度はいけないと思います!」


「そうかならば消えろ」


明確になのはを消すべき対象と意識して魔弾を放つ。
しかし金の閃光が魔弾を叩き落した。


「フェイト・・・・貴様は仮にも我のマスター、故に大抵の無礼は見逃してやろう、だが弁えろフェイト、王の決定に背くと言うのなら」


ギルガメッシュの手に禍々しい瘴気と毒を放つ槍を持つ


「その四肢、腐らせる事になるぞ」


ギルガメッシュは本気だ、
冗談などではない、敵対するならば容赦なく殺すと瞳が伝えている。


「悪いが俺のマスターを殺ろうってなら容赦しねえぜ」


「僕も君の勝手を許すわけにはいかない」


ランサーと何時の間にか来たクロノがギルガメッシュに得物を向ける。
今や戦場はギルガメッシュVS全員といった形に変わりつつあった。


「なっこれはっ」


睨み合いも束の間
結界が他の力によって破られようとしている。


「くっもう一人の守護騎士か!」


クロノはギルガメッシュの暴走があったとはいえ、みすみす見逃してしまった女性を思い出して悔しくなる。ギルガメッシュが暴走していなかったら守護騎士を一人、捕らえられていたのに


「逃がすと思うのか」


多くの武具が守護騎士達に飛ぶ、
しかし結界の中心に落ちた雷の影響で狙いが定まらない。


「退くぞヴィータ!ザフィーラ!」


守護騎士達はこの期を逃さず離脱していく。
そしてヴィータがなのはの近くにきて


「鉄槌の騎士、ヴィータお前の名は」


「なのは、高町なのは!」


「高町なのっなの・・・・ええいっ呼びにくい!」


「逆切れ!?」


「兎も角勝負は預けた!次は殺すかんな!覚えてろよ!」


そう言うとヴィータは他の守護騎士と同様に消えていった。


「終わった・・・」


それは誰の声だろうか?
辺りに再び静寂が戻ってくる。


「ってお前いつのまに子供に戻ったんだ!」


ランサーが大声を上げたので皆そこに目が行く。
そこには彼の言ったとおり再び幼年体へと姿を変えた英雄王が立っていた。


「なんでも詰まらん、らしいです。本当、どうして人が嫌がることをするかなあ」


その言葉に答える者はどこにもいなかった。





 「シグナム、ヴィータ、ザフィーラ!どうしたんだ!?」


ランスロットが帰還した四人を向かえるとボロボロになった騎士甲冑を纏った三人がいた。
無事なのはシャマルだけである。


「すまんな・・・不覚をとった」


「アタシが・・・アタシがあいつに破片をぶつけなければ・・・」


悔しそうにヴィータが言う。


「破片とは・・・・!まさかアーチャーに!?」


「ああ戦闘中に流れ弾がビルに当たって、その破片があの金ピカの頭に当たったんだ・・」


「お前が気に病む事ではない、我等とて予測出来なかった」


「ごめんなさい・・・私がもっと上手くサポートをしていれば・・」


その言葉に今まで口を閉ざしていたザフィーラが返答した。


「いやシャマルはよくやってくれた。あそこで結界が破られなかったら我等は皆、死んでいたかもしれん」


「ザフィーラの言うとおりだ、我々はランスロットの言ったアーチャーを侮っていた、正直あれ程の規格外とは・・・」


「そうか・・・・なら今度からは私も常に同行する」


「いいのか?確かにお前がいるならば心強いが」


「ああ、それに私の宝具なら奴とも有利に戦える筈だ、はやてには暫く現代の暮らしを知る為に旅に出るとでも言ってくれ」


「だが・・・」


「いいのだ、そんな事があった以上、私も家でぬくぬくと過ごす訳にはいかない」


会話が終わるとランスロットは、はやてに旅に出る旨を伝えにリビングへと向かった。


「すまんな・・」


烈火の将の言葉は守護騎士全員に共通した思いだった。


後書き

ランスロット家出
そしてギルガメッシュ拗ねる
次回はついに子ギルがはやてに接触?


追伸

設定資料に二つの武器を追加



[16289] 第8話   騎士の問答
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/20 15:04
ランスロットが旅に出ると言ってから早二日
はやてはシャマルと一緒に図書館へ来ていた。
今日は前に知り合った友人、月村すずかとの約束があるのだ。


「すずかちゃん待った?」


「ううん私も今来た所だよ、それと」


すずかが促すと金髪赤目の美少年、ギルが立っていた。


「始めまして、すずかのクラスメイトのギルです」


ギルは図書館に興味があると言って、すずかに案内を頼んだのだ。
最初は本当に、異なる平行世界では存在している書物も違うのではと思い図書館へと案内を頼んだだけだったが、すずかが新しく知り合った友人が“八神はやて”である事を知り驚いたものだ。


「始めまして八神はやていいます」


十人が十人、美少年だと答えるであろう彼は、近寄りがたい雰囲気を持たず、どちらかと言うと近寄りやすい。圧倒的な存在感、彼がいるだけで図書館に華があるように思えた。
しかし一方でシャマルは激しく混乱していた。
昨日見た金髪赤目の青年、彼を子供にしたら恐らくはこの顔になるだろうと予測される。
しかしランスロットから聞いてはいたが性格が違いすぎる。
そして意図が分からない。ランスロットが言うにはアーチャーは、はやての事を管理局へ言うつもりはないらしい。念のために口を塞ごうにも、前回でアーチャーがどれ程、理不尽な強さを持っているかは分かった。ランスロットと共闘しても勝率は3%に満たないだろう。


[殺気が溢れてますよ人形]


[!!・・・・貴方の目的はなんですか]


[目的?僕は図書館に本を見に来ただけですよ、貴方の飼い主との出会いも予想外の事です。まあ丁度いいかもしれませんね、飼い主がどういった人物か紙面上では分からない事もありますからね]


[はやてちゃんに手を出すなら・・・]


[やれやれ血の気が多いですね、守護騎士は皆そうなんですか?それにしても、かなりの素質を秘めていますね、流石は夜天・・・いや闇の書の主に選ばれる事はある]


[本当に管理局へ言う気はないんですか?]


[本当ですよ、僕にしたら前の事も想定外なんです。本当、何で簡単に怒るかなあ、御蔭で僕の予定が無茶苦茶になる恐れがありましたよ]


[予定?]


[そうです、僕のマスター・・・フェイトと言うんですが彼女が成長するには試練が必要です。古今東西、伝説に刻まれた英雄達は過酷な試練を乗り越えたからこそ歴史に刻まれるんです。それに僕にとっては・・・・・・・いや何でもありません。兎に角、貴方方が暴れれば暴れる程、フェイトが強くなる機会が増え肉体的にも精神的にも成長します。僕は・・・・・彼女に期待しているんですよ]


念話を止めるとギルは再び、すずかとはやての会話に入っていく。


「へえ~ギル君には妹さんがおるんかあ~」


「そうだよフェイトちゃんって言って凄く可愛いんだよ」


「確かに色々と可愛い妹です、それと、はやての家族は」


「私は両親が幼い頃にな・・・それでずっと一人暮らしだったんよ」


ギルは演技で申し訳なさそうに振舞う。
全く隙の無い完璧な演技は誰も演技とは見抜けない。


「でも今は別にそんな事ないで、今はシグナム達、それに今は旅に出たけど頼もしい兄ちゃんもおるしな」


「旅に出たですか?」


「そや、ちょっと前に旅行っていうか・・・一人旅にでてな、まあたまに連絡もくるし元気でやってるとは思うんやけど・・・」


「そうですか・・・それでは僕は用事があるんで」


「えっギル君、帰っちゃうの?」


「はい、これから少し予定がありまして」


そう言うとギルは特に何も借りず図書館を後にした。


「成る程、何も与えられず時を過ごした人形が尻尾をふった理由が理解出来ましたよ」


予測はついていたが確定ではなかった。
しかし実際に会って話す事で核心へと変わる。


「だけど・・・・甘い」


なのはやフェイトとは違い覚悟が足りない。
彼女がまだ本格的に魔法に触れていないからだろうか?


「今後に期待させて貰いますよ八神はやて」


小さな英雄王は微笑を浮かべながら家へと帰る。
胸の奥に期待を秘めて

だがもしも闇の書が止められない程の災悪をもたらした時は


「その罪は償って貰いますよ」


彼にとっては闇の書を完全に破壊するなど容易い。
王の財宝には魔術的な契約を初期化する宝具も対象に完全なる死を与える宝具もある。


 「なのはどうしたの・・・」


なのはは朝から元気が無い
アリサがいうには何か悩んでいるらしい。
アリサやすずかに話さないと言う事は魔法関係だろうか?
そう思い聞いてみたのだが


「実はギルガメッシュさんの事で・・・」


意外な名前が出てきた事に驚く。
なのはとギルガメッシュはそれ程、接点がないように思えたからだ。


「ああ前の事?」


考えたら直ぐに分かった。
なのははギルガメッシュに攻撃されている。


「あんなに簡単に・・・・・」


殺すと言いたいのだろう。
よくよく考えると私が未だに生きているのが一つの奇跡だ
ギルガメッシュは誰に対しても容赦しない。
自分が障害と定めた人には問答無用で攻撃する。


「私はギルガメッシュの言っている事が少し理解出来る・・」


「えっ」


「ギルガメッシュは凄い王様できっと誰よりも偉かったんだ、だから私達とは価値観が違うのかもしれない、ギルガメッシュは私達よりも強い、戦う強さじゃなくて心が、私は人を殺すのは怖い、誰かを自分の手で殺すなんて私には考えられない、もし誰かを殺したら・・・私は言い訳すると思う、仕方がなかったって、だけどギルガメッシュは言い訳はしない、きっと人の命を背負ってるんだ」


「・・・・」


「あっごめん・・・・話し込んじゃったね」


そう言うとフェイトは手を振り去って行った。
だがなのはは未だに納得出来ない。
それに内容が魔法関連であるし親には言いにくい。
暫く考えると一人の顔を思いつく。
そうだ彼ならば・・・・
なのはは自分のサーヴァントの下へ向かった。



「成る程・・・・つまり、なのはは人を殺す事は駄目だっていいたいのか?」


「はい・・・そんなの間違ってます」


「おいおい、忘れてるかもしれんが俺も人は殺したぞ」


なのははポカンと口を開ける。
そうだ、彼も歴史に刻まれた英雄、人を殺しているのだ。


「いいか殺す理由なんて色々とある命を賭けた決闘、主君の命令とな、だが俺から言えるのは一つだけだ」


そこで一端区切ると、なのはの頭にポンッと手を載せる。


「後悔するな、槍をとる理由なんて様々だ、人を救う為にしろ何にしろ、武器を手にしたなら後悔しないように使え」


飄々とした騎士は立ち上がると再びバイトに戻ろうとする。
しかし、なのはには聞きたい事があった。


「ランサーさんは何で武器をとったんですか?」


「決まってんだろ、騎士になりたかったからだよ」


そこには後悔など一片も無い。
彼は短命を運命付けられた人生を思いっきり生きたのだ。


「武器をとる理由・・・」


自分が武器をとったのは何でだっただろうか・・・
最初はユーノ君の手伝いだと思っていた。
だけどジュエルシードの暴走による街の破壊
それからだ・・・もうこんな被害を出さないようにしようと
その為に魔法の力を使おうと決心したのは・・・


「頑張らないと・・・」


それが人としての歪みであることに少女は気付けない。




~胎動~


まだだ、まだ足りない
既にかなりの数そして質を集めた
だが□□□□□□には足りない□□□□には届かない
己は□□□□、最強だ、勝てる存在はいない
だが□は数が多い、徒党を組まれると厄介・・・・いや己すら滅せられるかもしれない
しかしこれは己の意思、自分の意思は□□の意思
ならばこそ実行しなければならない
この次元世界の為にも・・・・


「目覚めたか・・・・・この世界の英雄」


今再び軍勢に一人の騎士が加わる
彼は、この世界において幾度も正解の窮地を救ったとされる英雄だ
この世界の者なら彼を知らない者はいないだろう・・・・
既にこの世界は滅んでいるが・・・・


「お前には命を与える、第九十七管理外世界において少々厄介な鼠がいる、それの力量を試して来い、
試すだけだ、殺しはせず危なくなったら離脱しろ」


果ての英雄は無言で頷くと転移魔法を使い消えていく
今まで彼が居た所には何も無い
少しばかり風に当たると己も何処かの世界へと渡る
まだだ、まだこれからだ・・・・準備が必要不可欠
影の後ろには人と思われる死体の数々が転がっていた



後書き

今回はなのはの歪みについて書きました。
これを第三部への伏線に出来たらいいですね。
では次回に・・・・・




[16289] 第9話   騎士の死合
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/21 03:10
「シグナム!!」


龍のような化物にシグナムが拘束される。
私はデバイスで触手を切り裂きシグナムを救出した。


「すまない油断した」


「そんな事より・・・来るぞ!」


疲労していたとはいえシグナムを捕らえるとは・・・・・中々の強さだ。
しかし私が嘗て戦った龍に比べれば遅い!
迫る触手の悉くを切り払い眉間へ一撃を叩き込む。
殺しはしない、殺してはリンカーコアを奪えないからな。


「っ避けろ!」


だが空から飛来した落雷により龍は何処かへ逃げていった。
直ぐに追いかけようとするが・・・


「ようバーサーカー、また会ったな」


どうやらこの男を倒さねば駄目らしい。
私の目の前には飄々とした態度で殺気を放つランサーの姿があった。


 「逃がしては・・・・貰えないようだな・・・・」


「あったりまえだ、俺がどれだけ手前との戦いを待ち望んだと思ってやがる」


ランサーは既に何時でも戦う用意が出来ている。
鋭い眼光でランスロットの姿を凝視していた。
だが顔には喜びの色が見てとれる。


「ならば・・・・討たせて貰うぞランサー!」


「やる気になったか・・・・・でっ空と地上どちらがお好みだい?」


「ならば地上で」


「そうこなくっちゃなあ、やはり俺は地上で戦うほうがいい」


そう言うとランサーは地上へと降りていく。
ランスロットも続き降りる。
幾ら空戦の技術を会得しようと彼等は生前、大地に足をつけて戦っていたのだ。
やはり地上戦のほうが得意。


「んじゃっやろうか!!」


ランサーは湖の騎士へと疾走した。



その頃、フェイトとシグナムも本格的な戦いに入っていた。
カートリッジシステムを搭載した事により条件は互角
後は両者の実力が勝敗を決する事になる。
フェイトは持ち前のスピードを活かして後ろに回りこむ
だがシグナムは数多くの戦場を駆け抜けた事で会得した勘でそれを察知
逆にカウンターを入れてきた。


「やるなテスタロッサ!!」


「ええ貴女も・・・」


フェイトにまたあの時の感覚が戻ってくる。
思考がクリアになり、あらゆる物事を冷静に分析した。
経験は圧倒的に相手が上
しかし彼女は疲労している
そしてスピードにおいてはこちらに分がある。


「だあああぁぁぁ!!!」


ならばフェイトがとる選択は一つだけ
もっと速く、もっと強く飛ぶ
フェイトは戦いの最中にも進化を続けていた。



「ほらっよっと」


紅い閃光が走る
ランスロットはその悉くを黒く染まったデバイスにより受け流し時にはカウンターを入れるが


「くっ・・・」


デバイスにダメージが溜まってきている。
如何にDランク程度の宝具となったとはいえ所詮は量産品、それにこれは丈夫なデバイスではない
ランサーの槍を立て続けに受けたソレは既に限界が近かった。
もしも槍を完全に受け流す事が出来たなら損傷は軽微だっただろうが彼にそんな神業を越えた力量はない、出来るとすれば彼の佐々木小次郎だけだろう。
だかそれだけではない、相手のランサー・・・彼が非常に手強いのだ。
豹を思わせる俊敏性、獅子のような力、どれもが一級品
だが何時までも続くと思われた槍撃はいきなり終わりを迎える。


「おい何時まで隠すつもりだ?」


「!!!」


「お前の本当の得物を抜きな・・・・あるんだろ?」


本当の得物・・・・それは即ち彼の真の宝具
彼の聖剣と同じく星により鍛えられた剣


「そうだなランサー、確かに抜くしかないな」


ランスロットを覆っていた影が綺麗さっぱり消滅した。
虚空へと手を伸ばすと一振りの剣が手に握られる。
この剣こそ彼の湖の騎士は振るったとされる決して毀れない剣
無毀なる湖光《アロンダイト》


「ゆくぞランサー。覚悟はいいな」


「ああいいぜ、来な!!」


先程よりも獰猛な笑みを浮かべランサーが答えた。
アロンダイトを抜いたランスロットの俊敏はランサーと同等
そして筋力、耐久、幸運においてもランサーを上回る。
もしも賭けをするなら多くの人間がランスロットへと賭けるだろう。
だがサーヴァント同士の戦いが果たしてステータスで測れるだろうか?
答えは否である、
常人を遥かに超越した英雄という存在は
人が測れる存在ではないのだ


「はっはっは、やるじゃねえか!!」


「そちらもな!!」


ランスロットの胸に宿るのは喜び
終わる事のない後悔と罪悪感に呪われた彼
だがランサーとの戦いは彼に再び戦う事の喜びを思い出させていた。
ならばこそ彼は、この時だけ全てを忘れる。今の彼の頭にあるのは王への罪悪感でも闇の書を完成させねばならないという感情でもない。
ランスロットが考えているのは相手であるランサー以外をおいて他にはいないのだから。
黒き影と紅い閃光が幾重にも渡り交差する。
既に時間の感覚は消えた。
離れた場所では突如現れた仮面の男がフェイトのリンカーコアを奪っていたりするが彼等の目には入らない。
その戦いはエイミィ達、アースラクルーも、そしてギルガメッシュも見ていた。
誰も何も言わない・・・・いや言えない。ランスロットとランサーの戦いは、まるで結界のようなモノを張り巡らせ他者の介入を許さないのだ。


「どうしたランサー!貴様の腕はこの程度なのか!!!」


「ぬかせ!よいしょっと!!いいねえ、戦いってのは、こうでなきゃな!!」


もはや常人にはランサーの槍を見る事は出来ないだろう。
今までは数多く見えていた槍が今では何も見えなくなっている。
それを凌ぎ時には首を狙った一撃を叩き込むランスロット


「そらっ!!」


ランサーが槍を振るい地面を叩く
途端に吹き荒れる砂埃、これを合図に二人は距離をとる。
周囲の魔力がランサーの槍へと収束する。
即ちサーヴァントの持つ必殺


「その心臓――――――貰い受ける!」


ランスロットもまた構える


「ならばその首級――――――貰い受けよう!」


今までの戦闘が嘘だったかのように静まり返る。
両者は睨みあったまま動かない。
ただ相手を見つめるのみ
時が流れる
何が合図だったのだろうか
両者は同時に駆けた


「刺し穿つ――――――ゲイ」


「無毀なる――――――アロン」


二つの影が同時に交差する
伝承に曰く
円卓に集いし騎士には王を上回る力量の持ち主が二人いたという
ガウェイン卿
強情で勇猛果敢な忠義の騎士
そしてもう一人がランスロット
湖の騎士、完璧なる騎士、荷車の騎士、そして裏切りの騎士
武勇でも騎士道を守る心でも、円卓の騎士の中で並ぶ者がなく、まさに彼は円卓最強の騎士だっただろう
対するは彼の光の御子
ケルト神話の半神半人の英雄
数多くの戦場を駆け抜け最後は非業の死を遂げた戦士
そして振るった得物はゲイボルク、決して外さぬ因果逆転の槍
その両者が今
激突した


「死棘の槍―――――ボルグ!!!」


「湖光―――ダイト!!!」


魔槍はありえぬ軌道を描き心臓へと向かう
星に鍛えられた剣は疾風の如き速さで光の御子を斬り裂かんとする




「ガハッ・・」


ランスロットの鎧には槍が突き刺さっている。
だが槍は心臓ではなく直ぐ横を貫いていた。
スキル―精霊の加護
武勲を立てうる戦場において効果を発揮するソレは光の御子との決闘において十全の効果を発揮していたのだ。
対するはランサー
彼の肩から心臓の辺りには剣が突き刺さっている。
だがランサーの得物が槍である事が幸いした。剣よりも遥かに長い得物はギリギリの所で急所に届かせなかったのだ。
しかし両者ともに満身創痍、互いにサーヴァントでなければ死んでいる傷である。


「へっだが・・・ここで終わる訳にはいかねえよな・・・ランスロット」


「ああそうだな・・・クーフーリン」


だが彼等は戦いを止めない
クレイジー、そう例えるのがピッタリだろう。
確かにお互いに重症、だが彼等は退かない。
何故ならば彼等は・・・・英霊なのだから


「「!!!!」」


ランサーとランスロットが一斉に飛びのく
飛来したのは黒く光った雷
視線の方向には
ランスロットの鎧より遥かに禍々しい鎧を纏った騎士が立っていた




後書き

ランスロットVSランサー一先ずは終了
そして大ピンチ、ギルガメッシュもランサーとランスロットには対して興味がないので加勢はせず
現在の二人は、とてつもなく弱ってます。
では次回に・・・・



[16289] 第10話  騎士の咆哮
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/23 13:35
「ちっ問答無用かよっ!」


禍々しい鎧を纏った悪魔のような騎士は何も言わずランサーへ迫ってくる。
2mを越えた身長に身の丈ほどもある大剣そして顔の上半分は牛のような仮面で覆われている、魔法陣は三角形、ならば恐らくはベルカ式。
太刀筋は豪快だが精密さも兼ね備えてランサーに振り落とされる。


「ちっ」


普段であれば問題ないが今はランスロットの戦いで消滅一歩手前の重症を負っている。
そして悪魔の騎士の筋力は傍目から見てもランサーと比べても見劣りしないレベル、
ならば、まともに受ければ危険だ、巧みに槍を使い受け流す。


「くっ・・・」


その頃、ランスロットも悩んでいた。
もし騎士道に従うならばランサーに加勢するべきだろう。
幸い敵は近くにいたランサーを狙っていた。
しかし彼には騎士道を捨てても守り通さねばならない者がいる。
全てを得る事は出来ない。それは生前が証明済みだ、ならば・・・・


「ランサー・・・・・すまないっ」


己がデバイスを起動させシグナム達との合流場所へ向かう。
その顔には苦渋の色が浮かんでいた。


「くっこいつっ」


ランサーは退却したランスロットなど気にも留めず戦っている。
いや違う、他の事に気を取られれば最悪、自分が二人になりかねない。
それだけ、この男は厄介だった。豪快に見えて精密な剣技、巨大な大剣を軽々しく振り回す力、平常時のランサーでも苦戦しただろう。彼が上回るのは現状では力量だけかもしれない。


「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」


空から大量の魔力が降り注ぐ、
クロノの放った剣のような魔力はランサーと悪魔の騎士が戦っていた場所一帯を破壊した。


「たっく攻撃すんなら一言ぐらい言えクロノ」


「無事だったのか・・・・前に聞いた対魔力Bは伊達じゃないってことか」


悪びれも無く言った。
ランサーだからよかったが、これが対魔力Dのランスロットならダメージを受けていただろう。


「だが敵さんも無事のようだな」


クロノの魔法が十本突き刺さった状態でなおもダメージを感じさせない足取りで歩いてくる。
少し力を込めると黒い雷が全身を奔りクロノの魔法を弾き飛ばす。


「JA・・・」


「あっ?」


「JAAAAAARYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!]


大音量の咆哮
体中に走る雷も激しさを増して彼を覆う。
雷は彼の持つ大剣をも覆い


「JAAARYAAAAAAAEEEEEUUUUUUUU!!!!!]


先程を上回る速さでクロノに接近してきた。
直ぐにランサーも飛翔してクロノを庇う。
クロノは師が優秀だった為、接近戦もある程度は可能だが相手が悪すぎる、
正体は不明だが、重症とはいえランサーを苦戦させた相手だ。


「くそっ」


傷が痛む。
ランスロットから受けた傷は本来ならば致命傷だ、
如何に彼がサーヴァントとはいえ休養を要するダメージ
それを持ち前の往生際の悪さで跳ね除ける。
だが限界は迫ってきた。
より激しさを増す斬撃
対魔力のスキルはある程度の魔術(この世界での魔法)を無効化出来るが間接的、つまりは魔法によって強化された剣を無効化する事は出来ない。
クロノも必死に援護してはいるが相手が最悪だった。
決してクロノが弱いわけではない、ただ相手がクロノの魔法を喰らってもダメージを感じさせる事なく戦っているからだ、非殺傷設定による魔力ダメージ、これでは効果が薄いのではないか?とも思う。


[クロノ君、ランサーさん]


[なのはか!]


[私があの人を全力全開で吹っ飛ばすから避けて下さい]


[っ怖いねえ、タイミングは?]


[レイジングハートにお願いします]


[そうか頼んだよ、なのは]


[うん!]


「5」


ランサーの槍が敵の大剣を受け流す


「4」


敵の雷がクロノを襲う


「3」


ランサーとクロノはタイミングを合わせ


「2」


飛翔する、


「1」


悪魔の騎士も追おうとするが


「残念、時間切れだ」


ランサーの言葉通り
遠く離れた位置には既に発射体制に入ったなのはが構えている。


「全力全開!!スターライトッ!ブレイカァァーーーーッ!! 」


極太の砲撃が騎士へと迫る。
ランサーの世界ではランクAの魔術に相当するパワー
その馬鹿魔力が騎士の体を包んでいた。


「GOOOOOOOOッッッ」


やがて砲撃により発生した大量の砂埃が晴れていく。
砂漠の上には騎士が仰向けになって倒れていた。


「どうやら、あの男も、なのはの砲撃を喰らったら立ち上がれないようだな」


「だな・・・しかし末恐ろしいねえ・・・」


ランサーはなのはが成長した時の姿を想像すると・・・・・


「さて彼には色々と話して貰わないとな・・・」


突如乱入してきた魔導師
ベルカ式を使ったと言う事は魔導師というよりは騎士だが・・・
どうやら守護騎士達の仲間でもなさそうだ。
クロノはバインドを使う為に近寄っていく。


「なっ!」


だが騎士はクロノが近付くと、ゆっくりと立ち上がっていった。


「馬鹿な・・・・なのはの砲撃を喰らったんだぞ・・・・なのはの・・・」


「ちっ!」


クロノは戸惑っていたがランサーは素早く反応すると
騎士の胸を貫く。


「やったか?」


「GGXAA」


だが胸を貫かれて尚も騎士の動きは止まらない。
逆にランサーの槍を掴んで離さない。
抜こうとしても万力のような力で捕まっていて抜く事が出来ない。
騎士は大剣を振りかぶると
紫色の雷に貫かれた


「あっあれは・・・」


クロノが上を見ると
果ての大魔導師が
黒い微笑を浮かべて
佇んでいた


「主役は遅れて登場するものでしょう」


再び雷が騎士へと迫った




~ユーノの受難~


「はぁ疲れた・・・」


ユーノはクロノの要請と
ギルガメッシュの“命令”によって無限書庫で闇の書の調査を行っていた。
だが意外な事にギルガメッシュはユーノに補佐を付けた、秘書のロリス・バーナである。


「ユーノ様、何をしておられるのですか?」


「えっそのちょっと休憩を・・・」


ビリビリビリビリビリ


「ギャアアアア」


ユーノの左腕に着けられた腕輪が起動してユーノを痺れさせる。
これはギルガメッシュがプレシアに言って作らせたモノで簡単にいうとスイッチを押すとビリッとくる
通称は“拷問君”パワーを調整すれば名前通り拷問が出来るようになる。


「調査は終わったんですか?」


「えっそれは・・・・」


ビリビリビリビリ


「ギョエエエ」


「終わってないんですね?」


「はい」


「なら早く続きをお願いしますね」


「そんな、少しぐらい休ませて・・・・嘘ですやりますから押さないで下さい!!」


再びボタンを押そうとしたのを見て慌てて作業を開始した。
ちなみに、ロリスもユーノと一緒に休みなしに働いている。
哀れユーノは休みなしで調査にあたった。
だが彼の努力は報われた、御蔭で闇の書に関する調査は本来の歴史よりも早く終わったのだから。
しかし残念ながら調査が終了した途端、ユーノは過労で倒れ、ロリスが調査結果を管理局へは言わずギルガメッシュだけに報告した為、実際にクロノ達が知るのは本来の歴史と同じ時期になるのだが・・・
ユーノが幸せになれる時はくるのだろうか?
頑張れユーノ!






[16289] 第11話  騎士の正体
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/24 16:15
「死になさい」


雷が騎士へと落ちる。
膨大な魔力が騎士を焼く、
その威力はキャスターのサーヴァントを連想させた。


「プレシアっ君が何でここにいるんだ!」


「仕事を全力で終わらせて来たのよ!長かったわ、ギルガメッシュに無理やり副社長にされた、もう四ヶ月、ついに私は休暇を手に入れたのよ!」


再びプレシアの頭上に膨大な雷が収束して


「それを、闇の書事件ですってぇ~それの御蔭でギルガメッシュに調査を依頼という名の命令がきて休暇が潰れて、やっと仕事が終わったかと思えば何よこの変態牛兜は!!」


オーバーSクラスの大魔導師は伊達じゃない。
未来の白い魔王を連想させる砲撃(殺傷設定)が騎士へと撃ち放たれた。


「GGGGGGGBBBBBIIIIIIIIAAAA!!!!!」


だが騎士も負けてはいない。
彼の肉体に刻まれた中でも最強の業を解き放つ。
彼の魔力変換資質も電気、大剣に魔力が集まっていく。
しかし彼に刻まれた呪縛は命令違反だと叫ぶ。
騎士は□□□□□□より危なくなったら離脱しろと命令を受けている。
そして彼は今、危険だ、相手の魔導師はミッド式、それにサーヴァント、ランサーがいるうえに、もう一人、多彩な攻撃方法を持った魔導師と遠距離には砲撃魔導師までいる、幾ら彼でも、このままでは負ける、かといって彼に離脱は出来ない、転移魔法は使えるが、専門ではない、彼は戦う者であって補助する者ではないのだ。しかし、それは彼には出来ないというだけ、彼の同類には


「なっ転移魔法!この状況で!?」


プレシアが驚くのは無理がない。
既に彼女の砲撃が迫っているのだ、その状況で転移魔法、彼には、その兆しはなかった。
ならば彼の仲間が?


「UAAA…………………」


最後にランサーを一瞥すると、漆黒の騎士は霞となって消えていった。
そして辺りに静寂が戻る、
しかし言える事は唯一つ


「終わったのか」


クロノは今まで経験した事のない死の予感から解放されるのを感じた。




 「そのランサーさんは」


アースラに戻ってすぐにランサーは医務室へと移送された。
今は治癒魔法で体を癒して眠っている。
幸いサーヴァントであるランサーなら直ぐに回復するとギルガメッシュも言っていた。
彼の言うとおり傷だけなら既に塞がっている。それは外見だけであって中身はまだ回復していないが、なのはは優秀なマスターだ、それに無毀なる湖光には治癒不可の呪いがある訳でもない。


「だがこいつは何なんだ、仮面の男はまだ守護騎士達の仲間ではないか?……少なくとも闇の書の完成を求めている事はわかる。だがこいつは目的が分からない、ランサーが言うには彼は殺意をもって襲ってきたと言った、それに、ランスロットどか言うらしい男の対応から見て仲間ではない事は明白だ。それに最初の攻撃は二人に向けて行われていたし、それに彼は守護騎士達のようなプログラムでもない。ランサーの槍で胸を貫かれても動けるなんて………普通はそれだけで致命傷だ」


「そうね、でもベルカ式の魔法を使ったという事はギルガメッシュのようなサーヴァントではないという事でしょう、それに、あの男、最低でもAAAクラスはあるわよ、そんな犯罪者なら時空管理局のデータにある筈でしょう」


プレシアの言った通り次元犯罪者、それも高ランク魔導師の犯罪者に関しては情報が多い、
得意な魔法、術式、経歴、戦闘データと色々あり、情報部も高ランク魔導師の情報は重要視していた。
それは高ランク魔導師一人がどれだけ凄まじい力を持っているかを物語っている。
エース級の魔導師一人いれば百人の低ランク魔導師を簡単に倒す事が出来る。
味方なら頼もしいが敵になれば高い実力を持った魔導師程、厄介な相手はいないだろう。
なので、突如現れた騎士もデータにある筈なのだが、それもない。


「もしかしてランサーさんと同じようなサーヴァントなんじゃないんですか?ランサーさんもギルガメッシュさんも魔法を使いますし」


なのはが口を開いたがリンディが否定する。


「戦い方から見て、かなり魔法を使い慣れた感じでした、可能性はなくもないですが、低いでしょう。それに一応、ただの人間とランサーさん達、サーヴァントを見分けるぐらいの技術はあるわ」


「えっそうなんですか?」


「ええ、守護騎士と違ってランサーさん達は殆ど人間と見分けがつかなくて大変だったんだけど、それより、問題はもう一つ」


「そうですね、あの騎士を逃がした魔導師、全く見た事のない術式でした、ミッド式でもベルカ式でもない、独自の魔法体系。あの騎士と同様に管理局のデータにはありません、だけど、転移の兆しが見えたのは発動から僅か三秒……最低でもAAA、最悪、SSSランクの可能性もある」


そこにエイミィが大量の書類を持って歩いてくる


「はい、これが管理局のデータにあった高ランク魔導師のデータ、犯罪者だけじゃないから大変だったよ」


「すまないエイミィ、あの牛兜のせいで今日は徹夜かもな……」


クロノは膨大な量の書類を見て唸る。
だがクロノには他に気になる事があった。
仮面の男、長距離にいた、なのはを一瞬で捕らえた程の魔法の腕、それに殆ど時間をかけずフェイト達のいる場所まで移動した転移、そして接近戦の力量、どれもが最高の腕だ。管理局に欲しいぐらいに
解せないのは、それ程の魔導師が何故、闇の書の完成を、主でないのは守護騎士の対応で分かる。
クロノは自分の知る中で、あんな芸当が出来る者はいないかと考えるが…………


「いないな、一部は出来そうなのがいるけど、近接と魔法両方はいない、それに転移魔法にしたって」


しかし、そこで一つの考えが閃く。
何も転移魔法を使わなくてもいい、変身魔法で違う人間が同じ人間に見せればいい。
それに彼女達なら……いや違う、大体なんで彼女達が………
彼女達は管理局員、それに闇の書の完成を手伝う必要がある、寧ろ彼女達は闇の書を憎んでいる筈、
だが考えれば考える程、辻褄があっていく、牛兜に関しては分からないが……………………
それに、あの人ならアースラに侵入してシステムダウンを起させることも可能……
だが感情が認めようとはしない、


「だが……僕は管理局の執務官だ」


私情を挟む事は出来ない。
可能性がある以上、調べる必要がある、
だが、その決断は14才の少年には重すぎた。




 目を覚ますと医務室の天井が見えた。
そうだ私は、あの人と戦って、それで……胸を貫かれて


「フェイト目が覚めたのね」


私の寝ていたベッドの隣に小さくなった母さんがいた。
あれ?でも母さんは仕事中じゃ……


「何でここに居るのかって顔をしてるわね、仕事を終わらせて来たのよ、本当っ疲れたわ」


そう言って微笑む母さん、
私はギルガメッシュに仕事を減らすように言わなければと決意する。
母さんは私の頭を撫でると抱きしめてくれた、
小さくなっちゃったけど母さんが母さんである事に変わりはない。


「よく頑張ったわね、フェイト」


心があったかくなる。
私が………私が一番欲しかった幸せが、母さんの腕の中にはあった。
これだけを求めて私はジュエルシードを欲していたんだ……
だけど何だろう……幸せなんだけど………




 「そうですか貴方も知りませんか」


ギルは漆黒の騎士、牛兜の正体をある男に尋ねていた。
自分でも正体の見抜けない男、それはつまり世界を手にした彼すら知りえない概念という事だ。
つまりは、この世界でしか存在しないモノ………
この世界の技術に関して詳しい彼に聞いてみたのだが、彼も知らないと言っている。


「それに最後に牛兜を逃したアレ………魔術でした」


彼には直ぐに分かった、
最後の転移、あれは魔法ではなく魔術だ。
しかし正確にいえば魔術ですらない。あれは魔法と魔術を融合させたモノ………
魔術は習得するのに恐ろしく時間がかかる、なのはのように習得するなど不可能だ。
無理して習得させても一年、だが転移魔法を習得するのは無理、それ以前に転移自体が魔法一歩手前の神秘なのだ。
そして方向性の異なる魔法と魔術を融合させる程の技術力、


「ええ分かりました、そうだ彼は元気ですか?……………はいでは、これで、スカリエッティ」


連絡をきると医務室へと向かう、
勿論、フェイトの容態を確認しに行くのだ。
現れた謎の男、魔術、そして……………
ギルは黒い笑みを浮かべて歩いていった。





後書き

色々と裏で暗躍する子ギルとスカさん
そして、最後に
ライダーのマスターに関する第二ヒント
ルーテシアではありません
では次回に………………………



[16289] 第12話  騎士の覚醒
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/28 14:30
 「なに!はやてが倒れた!!!」


ランスロットはとある世界でシャマルの報告を聞いていた。
はやてが危ないのは理解していたが、早すぎる。
もう少しで闇の書が完成するというのに………


[それで少し戻って来て下さい。はやてちゃんも寂しそうで……]


「悪いがそれは出来ない。私の目の前に大物がいるのでな!!安心しろ直ぐに終わらせる」


頭上には巨大な口を持った紫色の竜
魔力も今までの雑魚とは比較にならない、
こいつを蒐集すれば、闇の書のページも随分と進むだろう。
ランスロットは己が剣を構え龍へと迫った。



 「えっはやてのお見舞いですか?」


ギルは、すずかの新しく知り合った友人、八神はやてにクリスマスプレゼントを渡しに行こうという提案を受けていた。なのはとフェイトも乗り気のようでプレゼントを何にするか考えている、だが……


「申し訳ありませんが遠慮します。これから外せない用事があるんで」


「ちょっと、どんな用事よ!」


「あっアリサちゃん…落ち着いて」


アリサが怒り、すずかが宥める。
いつもの光景だ。


「それでギル……用事ってなに?」


ギルと一番親しいフェイトが聞くと


「それはプライベートなんで言えません。でもそうですね、僕も行かないのは心苦しいのでプレゼントを買うので預かって下さい」


そう言うとギルは一つの店に入って行き、何かを買ってくる。
幾ら用事があってもフォローは忘れない、気が利くというのだろうか?


「では、僕はこれで………」


軽く別れを済ますとギルは去って行った。


 「ここだよ」


一方でフェイトとなのはを含めた四人は、当初の予定通り、はやての病室に来ていた。
フェイトの手には自分のプレゼントだけではなくギルのプレゼントもある。
何気なく来た病室、だがフェイトとなのはの二人は信じられない人影を目にする事になった。


「「!!!」」


「「!!!」」


見間違えようもない、そこには今まで戦ってきた守護騎士三人が勢ぞろいしていたのだ。
犬とランスロットはいないようだが……
ヴィータは警戒の色を隠そうともしない、シグナムとシャマルは顔だけは何時ものままだが、内心ではかなり警戒を強めている、そう最悪ここで殺す事に………………


 病院の屋上ではフェイト、なのは。そしてシグナム、シャマル、ヴィータが相対していた。
どちらも警戒心を最高潮にまで高めている、


「はやてちゃんが闇の書の主だったんですね」


なのはが守護騎士達に問い掛けると


「あと僅かで……我等の悲願が叶う」


烈火の将は己が主の為に剣を抜く


「邪魔をするなら、喩えはやてちゃんの友達でも……」


シャマルも己が主の為なら主の友人でも……と牙をむいた。


「ダメなんです!闇の書のデータは改変されているから、完成させても、はやてちゃんは「オラアアァァァ!!」


だが言い切る前にヴィータがハンマーを振るってきた、
咄嗟に防御するが………重い
なのはは哀れにも遠方へ吹っ飛ぶ、
吹っ飛んだ方向が炎上した、ヴィータは一瞬だけ倒した!と思うが……
炎の中から地獄の閻魔のように、ゆっくりと歩いている人影が一つ、


「悪魔めっ」


ヴィータは気付いたらその言葉を口に出していた、
本来なら九歳の小学生に言う言葉では無いが、確かに今の、なのはさん……もとい、なのはは悪魔というのが相応しいく思える。


「悪魔でいいよ…………悪魔らしいやり方で話を聞いて貰うから!!」


そう言って己がデバイス、レイジングハートを構える、
その姿は魔法少女には見えない、寧ろ魔王少女?とっ兎に角、なのははヴィータに向かって突っ込んでいった。


「馬鹿か手前ベルカの騎士に接近戦を挑むなんて………」


だがヴィータの言葉は完全に裏切られる、
突貫して来た
なのはは守護騎士もびっくりの攻撃を仕掛けてきたのだから
迫ってきた、なのはのデバイスを弾き頭にキツイ一撃を叩き込もうとするが、


「なっ!!」


なのはは狂化……じゃなくて強化した拳でヴィータの顔面を殴り飛ばしたのだ、
本来なら一朝一夕の技なんて楽に対処出来るが、あんまりな攻撃方法にヴィータの反応が遅れてしまった。そのまま、先程なのはが吹っ飛んだ方向へ吹っ飛ばされる。


「取り敢えず、今は全力全開で吹っ飛ばしてから、お話を聞いて貰うの!!」


どうやらランサーの影響は+には働かなかったようだ。
ランサーの大雑把さが変な方向に作用して余計に過激になってしまった。
未来の教導でバリバリ鉄拳制裁している姿が目に浮かぶ………


 一方のフェイトもシグナムと激戦を繰り広げていた。
防御を半ば度外視して速さだけを追求したBJ、このまま早口で喋りださないか心配だ。
それは置いといて、クロノ、プレシアという優秀な教師と、ギルガメッシュの暇潰しという名の虐めを耐え抜いたフェイトの回避能力は特筆すべきモノに達している、こと避ける事に関しては天下一品、
そして避ける中でシグナムに斬撃をお見舞いする、だがシグナムは長年の勘と経験でそれを防いでいく
嘗めてはいけない、守護騎士達は闇の書の主の下で何百年、もしくは何千年と戦ってきたのだ。純粋な戦闘回数なら英霊を上回る、


「相変わらず、やるな!テスタロッサ」


「貴女もシグナム!」


何やら二人共、当初の目的を忘れかけて戦っている。
しかし終焉は唐突に訪れた、
守護騎士達三人の体をバインドが縛ったのだ。


「なっこれは!?」


解こうとすぐが抜けられない、
かなりのレベルの魔法だ。


「貴様等あああァァァァァァ!!!!」


だが途中で他の守護騎士達の危機にザフィーラが乱入してきた、
しかし頭に血が上った相手程、組みやすい相手はいない、
あっさり仮面の男のバインドに捕まりリンカーコアを抜かれていき、
姿を消していった。


「うわあああああぁああ!!」


他の守護騎士達も同様だった、
シグナムも
シャマルも
平等にリンカーコアを抜き取られ消えていく、まるでサーヴァントが消滅するように……
その存在は消していった。

なのはとフェイトも動こうとするがバインドに絡められて動けない、
やがて転移魔法が発動して、はやてが姿を現す、
はやては混乱していた。
突如としてベッドから屋上に移動していて、目の前には傷ついたヴィータ、そして変身魔法で姿を、なのはとフェイトへと変えた仮面の男……


「はやてちゃん、君はね、病気なんだ」


「闇の書の呪いっていう病気」


「もう、治らないんだ」


「喩え闇の書が完成しても……君は助からない」


明かされた真実に、はやては硬直した。
自分の病気は絶対に治らない、それは自分が遠くない将来に死ぬと告げられたのと同じ、
今までは死ぬのなんて怖くなかったが………ランスロットを始めとした家族を得てからは……


「そんなん……ええねん、ヴィータを離してっ」


「この子達はね、もう壊れちゃったんだ」


「未だに機能している闇の書をまだ使えると思い込んでいた」


「無駄な事をしていたんだよ」


「無駄ってなんや!ランスロットは!! シグナムは? シャマルはどうしたん!?」


フェイト(仮面の男の変装)は怪しげな笑みを浮かべると、今まで守護騎士達の立っていた場所を見る
そこには、はやてが買って上げた守護騎士達の服が……
二人がこんな場所で服を脱ぐわけが無い……そして四人はプログラム体といっていた。
ならば答えは一つ……


「この子達ね、もう壊れちゃってるんだ」


「壊れた機械は……壊しちゃおう」


そして最後にヴィータを……
はやては必死にヴィータを助けてと叫ぶが


「救いたいなら勝手にどうぞ……」


「出来ればだけどね?」


そして最後にヴィータも跡形も無く消滅した。


「ウワアアアアアアアアアアアアァァァァァァアアアアァアああああああワアアアア!!!!!」


今まで叫んだ事のない程の音量
はやての足元でベルカ式魔法陣が展開され
その姿を変えていった。


現れたのは、はやてとは似つかない銀色の髪を持った妙齢の女性
彼女は頬に一筋の涙を……


「また全てが終わってしまった………一体幾たびこんな悲しみを繰り返せばいいのか……」


そして………


「我が力は主の願いそのままに……」


終焉が始まった



後書き

言える事は一つ
ティアナ頑張れ!!




[16289] 第13話  騎士の消失
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/04/02 13:46
 「そろそろ頃合か」


「そうですね」


とある一室で、ギルガメッシュの問いにグレアムが答える。
そうもう少しなのだ。
破壊しても破壊しても無限に転生を繰り返す闇の書
それの呪いから解き放つ時が


「失礼します」


アリアとロッテを連行してきたクロノが現れなければ
それは、グレアムの計画が終わりを告げる言葉だった。



 「なんだこれは………」


地球に戻ってきたランスロットが見たのは信じられない光景だった。
守護騎士達の気配はどこにもなく、唯一人、銀髪の女性と二人の魔導師が戦っている。


「おいっランスロット!んな場所で突っ立ってんな!!」


「ランサー!」


その時、なのはから連絡を受けたランサーが、飛んで来た。
最速の英霊は伊達ではない、素早く闇の書に接近すると、紅き魔槍で突く。
まるで分裂したように見える槍は、闇の書を襲うが、展開されたバリアは、まるでヘラクレスの肉体並に硬く突破出来ない。ならば真名解放して………


「あれは!!」


フェイトが、闇の書が行使しようとしていた魔法を見て叫んだ。
あれは、紛れもない、友達である、なのはの魔法、スターライトブレイカー。
あんなものを喰らえば防御の上からでも……


「なのは!逃げるよ!」


「え、そんなに離れなくても………」


「馬鹿!自分の出鱈目な砲撃の威力ぐらい把握しろ!!」


なのはが反論しようとするが、ランサーが首根っこ掴んで離脱する。
自分の力を把握しない事程恐ろしい事はない。


「っておい、あそこに立ってんの、お前等の朋じゃねえか!!」


ランサーの獰猛な眼光が、アリサとすずかの人影を捉えた。
二人が確認すると間違いなく、アリサ達だ。何らかの影響で結界内に取り残されてしまったのだろうか
理由は分からないが、それを議論している場合じゃない。
三人は高速で、二人の下へ向かう。


「アリサちゃん!すずかちゃん!!」


「えっ!?なのは」


「嘘っなのはちゃん!?」


突如空を飛んで来た友達二人に驚愕した。
誰でも、自分の知り合いが空飛んできたら驚くだろう、二人もその例に漏れず、激しく混乱していた。


「おいっ来るぞ!!」


闇の書が、魔法行使の準備が整ったのか、ピンク色に光る魔法陣に、巨大な光が凝縮していた。
そして………


「スターライトブレイカー」

それは、誰にも聞き取れないような小さな声、だが魔法の威力は決して小さなモノではない。
嘗てフェイトを飲み込んだ破壊の閃光が迫ってくる。
あれの直撃を喰らったフェイトは、威力を良く覚えていた。


「なのは!」


なのはが、前衛でバリアを張り、フェイトとランサーが、二人に被害が出ないように防御する。
しかしフェイトは兎も角、ランサーは防御系はかなり苦手なので、余り意味は無かったが……いざとなれば自分の体を盾にすればいい。受肉したとはいえ、サーヴァントであるランサーは、他の人間とは比べ物にならない程の耐久力があるのだ。
やがて光が止み、再び静寂が戻ってくる。


「ちょっと何が起きてるの!!なのは答えなさいよ!!」


「あっアリサちゃん……」


アリサが激高しかかっている。
それを、すずかが抑えるのは、何時もの光景であるが、状況は日常とは程遠い戦場なのだ。


「おいっ二人をアースラに送れ」


「えっでも魔法に関係の無い人を送るのは………それよりも他の安全な場所に……」


「馬鹿野郎!戦場に危なくねえ場所なんてねえよ!!」


エイミィが反論しようとするが、ランサーの一言に黙ってしまう。
なんといったて、ランサーが一番“戦場”を理解しているのだ。
リンディを見ると、黙って頷いている。


「分かったよ、じゃあ二人をアースラに送って!!」


「わかりました」


なのはが答えると、二人の足元にピンク色の魔法陣が浮かぶ。


「えっなのはちゃん、フェイトちゃん」


「ちょっちょっと……」


何か言おうとしたが、その前に二人は、更に現実離れした光景を見る事になった。
目の前には、SFアニメに出てきそうな、艦内、そして緑色の髪を持った女性が微笑んでいる。






 「リーゼ達の行動は貴方の仕業ですね、それとギルガメッシュは知っていたのですか?」


クロノが静かに喋りだす。
それは今回の事件の核心に迫るモノだった。


「そうだ、私が二人に指示をした。ギルガメッシュ代表はクロノ達よりも早く、この事態に気付いただけだよ。別に私の計画とは何も関係はない」


クロノは、何故教えなかったんだと、ギルガメッシュを睨むが、本人は唯笑みを浮かべるだけだ。
これ以上、ギルガメッシュに関わっても無駄と判断して話を戻す。


「貴方は掴んだのですね、闇の書の在り処と現在の主、八神はやてを
ですが、完成前の闇の書を破壊しても余り意味は無い、例え破壊したとしても、次の転生先の下へ向かうだけですから」


クロノの問いが正しい事をグレアムの表情が答えている。


「だから手出しをせず、闇の書の完成を待った。見つけたんですね闇の書の永久封印の方法を」


「両親に死なれ天涯孤独の身になった、あの子を見た時、心は痛んだが、運命だとも思った。天涯孤独なら、その分、悲しむ人も少なくなる」


「永久封印の方法は、主ごと強力な氷結魔法で凍らせて、次元の狭間か氷結世界に閉じ込める、そんなところですね」


「クロノ!これが闇の書事件を終わらせるのにベストな方法なんだよ!!」


「今までだって、闇の書の主はアルカンシェルで吹っ飛ばしている。それにこの方法じゃないと、また闇の書は復活してしまう、今からでも遅くは無い。この方法が有効なのは、暴走から五分間だけなんだ」


だがそれを冷たい表情で


「だが、その時点では、八神はやては永久凍結をされるような犯罪者じゃない、違法だ」


「そのせいで!そんな決まりのせいで、悲劇が繰り返されてるんだ!!クライド君だって……あんたの父さんだってそれ「ロッテ」


ロッテの言葉をグレアムが遮る。


「法以外にも提督のプランには、問題があります。凍結の解除はそう難しくはない筈です。どんなに、隠しても人の恨みや悲しみ………欲望は、そう遠くない内に闇の書の封印を解き放つ」


そう言うと、クロノは出て行こうとするが


「アリア、デュランダルを彼に」


「えっ!」


「彼なら上手く使うだろう」


大気状態になった氷結の杖、デュランダルがクロノの手に渡される。
曲げない意志を示したクロノにグレアムは一縷の期待を込めたのだ。
しかしクロノが己が信念を示さなければいけない相手はもう一人いた。
その男は、まるでクロノの道を閉ざすように、扉の前に立っている。


「ギルガメッシュ邪魔をするのか?」


「答えよ」


「なに?」


「我が問いに答えよ、雑種」


表情には、何時もの馬鹿にした色は見受けられない。
そして嘘偽りをした場合は殺すという雰囲気を持っている。


「貴様は、八神はやてとやらの、封印に反対のようだが……何故だ?」


「さっき言っただろう、それは違法だか「戯けが」なに?」


「これは滑稽だな。まさか、あの小娘が罪人ではないと言うのか貴様は?
本来ならば雑種如きに、言うべき事柄でもないのだが………王の慈悲に歓喜するがよい。
法とはな、唯一人、王が定め王が決めるもの、そして我の法により、我に害となる存在は全て、罪人なのだ。しかし……フム、この世界は我の支配が届かぬ異界故、貴様等衆愚共の概念に合わせて言ってやろう。
問おう、貴様は法と命のどちらを、選ぶのだ」


「なにを!?」


「封印が不完全という逃げは許さん。
例え不完全であろうと、ただ破壊するのに比べれば、失われる雑種共の命は少ないだろうからな」


確かに人の欲望はキリが無い。
次元の狭間に落とそうと、氷結世界に閉じ込めようと、人は、何時の日か闇の書の封印を解き放つだろう。
しかい逆に言えば、解き放つのに、時間がかかる。
そう闇の書が転生するよりも長い時間が………そうすれば失われない命も多くあるだろう。
しかしクロノの答えは


「ギルガメッシュ、例えば、君が自動販売機の前で、コーラにするか、コーヒーにするか悩んだとする。だけど君は両方欲しい、どうする?」


「何を言っているか分からんが……決まっているであろう。その程度のこと、両方手に入れればよい事だ」


「そうだ“その程度のこと”なんだよ」


「なに?」


「僕にとって、闇の書の転生機能の破壊も闇の書の主を救う事も“その程度の事”なんだよ!」


一瞬だけ呆然としたギルガメッシュの横を、クロノは素早く走り抜けていった。
僅かに動きが停止していたが、やがて笑い出す。


「フハハハハハハハッッッ“その程度の事”か、間違いではない。我にとっては、両方を救うなど児戯にも等しい行いだ、しかし雑種風情が王の児戯を、その程度と吼えるか!!その心意気、本来ならば断罪するべき事柄だが……全くこの世界は我を全く飽きさせる事が無い」


哂いつくすと、ギルガメッシュも戦場へと歩いていった。





 その頃、闇の書との戦場では、プレシアも参戦して大乱闘が続いていた。
所有者に絶大な力を与えるとされるロスロギア闇の書は、その力を十二分に発揮していた。
ランサーから真名解放して、一撃で葬るか?との提案があったが、なのはに却下された。
なんといったって、ランサーの刺し穿つ死棘の槍には非殺傷設定なんていう便利な機能は存在しない。


「くっ私も迷うわけにはいかないか………」


その頃、ランスロットも決意を固めていた。
あの銀髪の女性が闇の書であり、中に、はやてがいるのも理解できた。
ならば自分がする事は、主君を助ける事だけ、
ランスロットは、黒く染まったデバイスを構えると、闇の書に向かって行った。


「くっ駄目だ、もっとスピードを上げないと」


その頃、フェイトも闇の書相手に手間取っていた。
迫り来る魔弾の数々を避けるのは、かなり骨が折れる。
ならば捉えきれないスピードで……

フェイトのBJが変化していく。
防御を度外視してスピードだけを追及した姿へと……


「はぁっ」


先程よりも増したスピードに、闇の書の反応が遅れる。
華麗に魔弾の豪雨を避けていくと、闇の書の目の前に到着した。
隣には、同じ様に魔弾の豪雨を潜り抜けたランスロットがいたが、彼に構っている暇はない。
魔力で形成された刃を闇の書へと振りかぶった。


そして同じ時に、ランスロットも、闇の書へと迫っていた。
魔弾は全て、神業的な力量で叩き落し、そして進む。
はやてを救出する方法は分からないが、この闇の書を気絶させれば勝機はあると考えたのだろう。
黒く染まったデバイスを振りかぶり



二人は虚空へと消え去った







後書き

次回は、セイバー+円卓の騎士の皆さんが登場です。
上手く書けるよう頑張ります。



[16289] 第14話  騎士の再会
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/05/07 22:15
 「フェイトを吐き出しなさいッ!」

プレシアの紫色の雷が闇の書を襲う。
それをあっさりとシールドで防ぎ、お返しとばかりに砲撃を放った。
既にフェイトとランスロットが飲み込まれてから数分が経過している。
エイミィによると、生きてはいるそうだが、相手はロスト・ロギア、何が起きるか想定不能。

「ちっ、厄介なもんを飲み込んでくれるッ!」

ランサーはいざとなれば己の『刺し穿つ死棘の槍』を使って闇の書を殺そうと思っていた。
八神はやて、とかいう少女は助からないかもしれないが、そんな事で槍を鈍らせる程、ランサーは甘い男ではない。
なのはやクロノならば躊躇するだろうが、ランサーは絶対に躊躇しないッ!
彼等とは比べ物にならない程、場数を積んでいるのだ。

「ふんっ!」

迫る魔弾を槍で弾く。
そして舌打ち。

――――だがフェイトが飲み込まれた事でその予定は消え去った。
ランスロットはいい。
確かにもう一度戦いたい相手だったが、ランサーは戸惑いなく槍の真価を発揮しただろう。
しかしフェイトは違う。
別にフェイト本人がどうこうという訳ではない。
彼女のサーヴァントであるギルガメッシュが槍を鈍らせる。

今のギルガメッシュとは例えているなら、爆発していない核爆弾のようなモノだ。
今は大人しくしているが、一度爆発すればどんな事になるか分かったものじゃない。
少し衝撃を与えたら大爆発を起す可能性のある危険物―――――それがギルガメッシュだ。
そしてフェイトという少女は爆弾を爆発させるだけの可能性を持っている。

ランサーはギルガメッシュの事を嫌っているが、その実力を侮ってはいない。
彼のサーヴァントが間違いなく“最強”だというのは動かせられない事実だ。
故に躊躇する。
闇の書を殺せても、ソレを遥かに越える天災が起きる可能性があるから………





――――――――――――――――――――――――――――


ここは………どこだ?
私は闇の書と戦って………どうした?

思い出せない。
私は一体何をしていた?

「くっ、しっかりしろ!」

頬を張り自分に言い聞かせる。
そうだ、私は闇の書を気絶させようと近付き……
呑まれたのだ。

「ここはどこだ?」

見渡すばかりの霧。
足は付いているという事は地面があるのだろう。
暫くすると段々と霧が晴れてくる。

あれは……人影!?
人がいるのか!!

私は慌てて人影の下へ向かい。
そして………

「―――――――――ッッッ!!!」

「どうしたのですか?ランスロット。顔が変ですよ」

ありえない。
何故この方がこの場所にいるッ!

「何故、貴方がここに!!王よ!?」

私が見た顔は……
ブリテンの王、アーサー・ペンドラゴンその人だった。



――――――――――――――――――――――


「ここは………」

闇の書に特攻して目を覚ました場所は………
どこだろ?

でもなんとなく見覚えがある。
そうだ、時の庭園だ。

「アリシア、アルフ、フェイト、朝ですよ」

この声も聞いた事がある。
これは確か………

「まさかッ……」

だけどそんな筈はない。
彼女は自分にデバイスを渡し消えた筈なのだから…

「うぅん、おはよ。フェイト」

自分と同じ顔。
まるで鏡を見ているように。

彼女の名も知っている。
アリシア・テスタロッサ、自分のオリジナル。

「三人共、起きてますか」

分からない。
アリシアとリニスが何故、此処にいるのか。
しかし確実なのは――――――アリシアとリニスはこの場所に存在するという事だけだ。



―――――――――――――――――――――――


「なっはははは、飲め飲め!!今宵は無礼講だ!!」

「そうだ!!我等が王もお許しになられた!!」

「朋友が王妃を王から奪って結婚するんだ!!これ程、めでたい事はないぞ!!」

私の眼前では、二度と見る事の適わない筈の光景が展開されている。
ガウェインがいる。
モードレッドがいる。
ケイ殿がいる。
ベディヴィエールがいる。
トリスタンがいる。
私の為に崩壊した円卓の騎士達が昔と変わらない姿でそこにいた。

「しかし驚いたよランスロット」

「と、トリスタン……何がだ?」

「何がって?決まっているじゃないか。堅物の君が“王に王妃の愛を賭けた決闘”を申し込むなんて誰も思ってもいなかったよ。
いやはや君が、そんなに情熱的な男だったとは……」

私が“王に王妃の愛を賭けた決闘”を申し込んだ?
馬鹿なそんな事は私はやっていないッ!

「本当の事なのか、それは?」

「おいおい、当事者の君が何を言うんだ。
本当の事だからこそ、皆こうして騒いでいるんじゃないか」

トリスタンの表情には、嘘をついているような影はない。
つまり本当に私が決闘を申し込んだ?
馬鹿なッ!!

「違う、私にはそんな記憶………」

「フンッ、どうした?泥棒騎士。己のした事を恥に思い自害したくなったか?なら早くこの場から去り死ね、貴様の血で折角の料理を穢したくはない」

「あっ……貴方はケイ殿」

「何を変な目で見ている。悪いが私に男色の気はない。
貴様が見境のない獣になるのは構わないが、襲うならトリスタンでも襲っていろ」

「いやっそれは酷いですよケイ殿」

トリスタンが反抗する。
だが王ですら頭の上がらないケイ殿にトリスタンが歯向かえる筈もない。

「なっはははは良いじゃないか、ケイ殿。
それよりも私は我等の王が女子であった事のほうが驚きましたぞ!」

「ガウェインか……確かにあの愚妹は、折角長年隠していたのをフイにしおって、一時は肝を冷やしたぞ」

「けっ、ケイ殿!今、王が女子であると言われましたが……」

「おいっ、何を言っている。お前が王に決闘で勝った時、王自らが我等にだけ打ち明けられたのだろう
まさか頭でも打ったのか?」

チャンスだ。
頭を打って記憶が混乱しているふりをすれば、情報を聞きだせる。

「そのようだ、先程道端で転んで………恐らくその影響かもしれない」

苦しい嘘だと思うが、ガウェインが特に疑った様子もなく

「たっく、お前もどこかぬけている……仕方ない。取り敢えず最近起こった事を教えてやろう」

ガウェインの話は驚く事ばかりだ。
まず王がモードレッドを自身の息子と認めた。
今やモードレッドは完全にファザコンらしい。
そして自分が王に対して、王妃を賭けた決闘を挑み………自分とギネヴィア様との仲を認めさせたらしい。

ここまで来れば自分にも理解出来る。
これは恐らく闇の書が見せている幻なのだろう。
マーリン殿が語ってくれた魔術にも、人の欲望を刺激する幻を見せ騙す術というのがあったらしい。

だが良いじゃないか。
確かにこの世界は現実ではない。
しかし自分とギネヴィア様の仲を認められ、モードレッドも息子と認められた。
皆が幸せに笑っているんだ

これでいいじゃないか。



―――――――――――――――――――――――――――――


「アリシア、フェイト。ご飯にするわよ」

目の前に並べられた食事。
母さんが作ったようだ。

「わーい、今日はカレーだよフェイト!!」

「う、うん。そうだねアリシア」

アリシアと仲良くカレーを食べる。
味は―――――――美味しい。
ギルガメッシュには悪いけど、このカレーには言葉じゃ言えない何かがあるような気がする。

「フェイト、駄目ですよ。頬っぺたにカレーが付いてます」

「ごっ、ごめんリニス」

私がカレーをふき取ろうとした時

「頂き!」

「へ?」

アリシアが素早く、私の頬に付いていたカレーを指で取って舐めた。

「こらっ、アリシア。行儀が悪いわよ」

「えへへ、御免なさい。母さん」

母さんは形の上で叱ったけど、笑いがなら言っていては説得力がない。
その表情を見て、私は心にあるモヤモヤが消えていくような気がした。

 「フェイト、ご飯を食べ終わったら二人で遊ぼっ」

アリシアは変わらない。
いつも笑顔だ。

分かっている。
この世界が闇の書が造った仮初の世界だという事も。
だけど………

「分かった、どこで遊ぼうか?」

「う~ん、あの木の下!」

私にはアリシアを否定する資格がない。



――――――――――――――――――――――――――――――


綺麗な空だ。
とても幻とは思えない……

私は一度、宴会場を離れ夜風に当たっていた。
夜空にはいつだったか、戦場で見上げたのと同じ、美しい星空。

「どうしたのですか、ランスロット?こんな所で」

「アーサー王こそ何故このような場所にいらしたので?騎士達は」

「彼等は撒きました、全く幾らめでたいとはいえ少し騒ぎすぎです。こんな事では騎士として誇りに欠ける」

溜息を付いているが、王は“笑っている”
笑っているだけだと思うかもしれないが、私は知っている。
王は……笑ったこと等、唯の一度もない。
そんな王が何の気兼ねもなく笑っている――――――――それがとても素晴らしい事のように感じた。
故に私は―――――――――――――

「申し訳ありません、私は……………行かねば」

迷う。
本当に行ってもいいのかと

「そう――――ですか。
理由を聞かせてくれはしないか?」

「私に―――この世界は眩しすぎる。
もしも現実でも、貴方と全力でぶつかっていれば……貴方が笑っていれば……こんな美しい世界となったのかもしれません」

「ならっ!」

「ですが、この私は違う。
王を裏切り、円卓に崩壊を招いた大罪人、それがサー・ランスロットです」

「それは違う。
貴方は真に忠義の騎士だった!私が……私が王に成らなければッ!!」

「困ったお人だ。
ですが私ではなく、宴会場の彼等の為に言わせて頂きます」

そうだ。
これだけは本心から言える。
恐らく……皆も同じだろう。

「私達は貴方に仕えられて幸せでした」

「そんな……ですが私はっ!」

「王………これは嘘偽りない本心です。
そして、円卓の騎士達の総意でもあります」

虚空から一振りの剣を掴む。
王の持つ聖剣と造りを同じくする、私の剣。

「時間です。
私には待っている主がいる、それが正しいのか私には分からない。
ですが、私は私の想いを貫こうと思います」

王――――――――いや彼女は寂しそうな表情を浮かべると、納得してくれたように微笑む。

「おいおいっ我々には挨拶なしか?」

「なっ、トリスタン、それに皆も!」

何故ここに?

「何を水臭い、朋友が朋友を見送りに来て何が悪い」

「全く、泥棒騎士風情にわざわざ足を運んでやったのだ、少しは喜ばんか愚か者」

本当に私には勿体無い朋友達だ。
もう迷いの一片もない。

「無毀なる湖光がッ!」

朋友の血により黒く染まった剣が、本来の色を取り戻していく。
彼のエクスカリバーと同じ――――聖剣へと戻っていく。

「無毀なる――――――アロン」

全力を込める。
一太刀にて楽園を斬ろう。

「湖光―――ダイトッ!!!」

空間が裂け、私は新たなる主の下へと戻っていった。



―――――――――――――――――――――――


「雨だ」

アリシアが呟いた通り、空は曇り雨が降ってくる。

「フェイトどうしたの?そんな所にいたら濡れちゃうよ」

「私はもう少し此処にいるよ」

「なら……私も一緒に雨宿り♪」

母さんが言っていた事が分かる。
確かにアリシアと私は似ている―――――顔だけは。
だけど私とアリシアは性格が違う。
やっぱり私は……

「ねぇアリシア、この世界は夢で………貴女はこの世界でしか存在出来ないんだよね」

そうだ。
私とアリシアは同時に存在出来ない。
アリシアが生きていたら私は――――――――――存在しない。

「夢でもいいじゃない、此処で一緒に暮らそう。
この世界なら私達はずっと一緒にいられるんだよ」

「うん、分かった。
アリシアが望むなら私はこの世界にいる」

私はアリシアから母さんを奪った。
私だけが幸せになるのは………駄目だ。
この世界ならば、母さんもリニスもアルフも………アリシアも皆が幸せになれる。
なら現実じゃなくても――――――――いいじゃない。

「駄目だよフェイト。やっぱりそれは違う」

「え?アリ……シア?」

「待ってる人が………母さんだけじゃない、一杯、一杯待ってる人がいるんでしょ」

「それは…………」

答えられる訳がない。
待っている人が―――――――――いる。
母さん、アルフ、なのは、リンディ艦長、クロノ、アリサ、すずか、ランサー、そしてギルガメッシュ
だけどッ!
だけどそれはッ!

「私は………大丈夫。
知ってる。お姉ちゃんは妹のためならなんだって出来るんだよ」

「だけどッ!それじゃアリシアがッ!!私だけ………私だけが母さんと一緒で……私がッ…」

涙が溢れる。
アリシアを心配させるだけだって、分かっているのに止まらない。

「泣かないでフェイト。私の事は心配ないよ」

手の平にはバルディッシュ。
それはこの世界の出口の鍵。

「うっ……」

溜まらずアリシアと抱きあう。

「泣かないで、フェイト。フェイトが泣いてると私も悲しい」

「うっ、うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

泣いた。
もう何も考えられなかった。
私は母さんに愛して貰っている……だけどアリシアはッ。
私は幸せだ、だけど幸せだからこそ辛い。

「じゃあ、行ってらっしゃい、フェイト」

「うん」

アリシアの姿が薄れていく
まるで蜃気楼のように……




 フェイト泣かないで

フェイトが泣いていると私も悲しい

だけどフェイトが笑っていれば私も嬉しい

私の事は心配しないで

大丈夫だから………

私はフェイトのお姉ちゃんだもん

お姉ちゃんが妹を助けるのは当たり前でしょ

じゃあねフェイト



だけど………

もしワガママが許されるなら

一つだけ願いが叶うなら

フェイトと母さんとアルフとリニス

皆でもっと遊びたかった

もっと一緒にいたかった

フェイトと一緒に朝御飯を食べて

学校に行って

勉強………はちょっと苦手だけど

一杯遊んで一杯笑って

夜には一緒にいる……

そんな風に過ごしたかった

でも私は気付いてるんだ

それは叶わない願い

不可能なこと……

だからフェイト

勇気をだして

幸せになって

そして元気に生きて……ね。

サヨナラ

現実でも一緒に居たかったな







[16289] 感想数200突破記念 マーボー道場
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/12 19:57
言)さ~てマーボ道場の開幕だ、では弟子一号、お前にこのコーナーの趣旨を問おう


士)おいこら、いつ俺がお前の弟子になった!


言)残念だったな衛宮士郎、このコーナーではお前は私のげぼ・・・もとい弟子という設定なのだ


士)ふざけるな!何で俺がよりによって、お前なんかの


言)可笑しなことを、だが忘れているようだな、弟子一号、お前と私は本編においても師匠と弟子の関係ではないか


士)おいいつそんな設定が・・・


言)簡単だ、お前は凛の弟子だろう?


士)ああそうだけど・・・


言)そして私は凛の兄弟子であると同時に第二の師でもある、ならばお前は私の孫弟子という事になるのだが


士)んなっ!


言)理解したか?お前が私の弟子でなくなるには、凛の弟子を辞めるということだ


士)くっ・・言峰、お前!


言)面白い面白いぞ、フハハハハハハッッッ


士)ああもういい!話が進まない。でっ俺をこんなコーナーに引っ張ってきて何をするきだ?


言)こんなコーナーとは心外だ、作者が第二回人気投票では主人公の癖にトップ10にすら入れなかったお前に同情して、出演させたというのに


士)なっ、それは・・・・


言)おまけに、自信の未来の姿でもあるアーチャーは3位、私のサーヴァントであるランサーも6位、全く主人公を名乗るなら、せめてもう少し人気が出てからにするのだな


士)グハッ


言)さて負け犬に構っていても仕方がない、今回は感想数200突破を記念して作成秘話や今後の展開などを語る。ネタばれが嫌なものは見るな




言)さて始めはプレシア救済の秘話だ


士)ああこの話では、救われてよかった


言)それなんだが実はだな


士)なんだよ


言)作者はプレシア生存ルートと死亡ルートの両方とも考えていたのだ


士)それじゃ、プレシアが救われないルートの可能性があったのか!


言)そうだ、ちなみに内容は

プレシアが原作以上に暴れて、高町なのはやアルフを殺そうとする

だがそれをフェイトが魔法で殺してしまう

事件後に発覚するプレシアの真実

そして、フェイトは自殺寸前にまで追い込まれるというBAD ENDだ


士)ふざけるな!そんな話認められるか!!


言)私としては、このストーリーでいって欲しかったが・・・現実とは無情なものだ


士)このルートじゃなくて本当に良かったよ


言)だが、このルートに分岐しなかったのにも理由がある


士)理由?


言)そうだ、作者は、どっちにするか悩んでな、そして結局は


士)結局は?


言)運に任せたのだ


士)はっ?


言)具体的にいうなら、コインで表が出たら生存、裏が出たら死亡という具合だ


士)そんな適当に・・・


言)人の生死などそんなものだ。今日は健康な青年でも明日には病に侵された重病人やもしれん、それが人の世だからな


士)・・・・・・


言)まあいい、そんな理由で残念ながらHappy Endになってしまったが、そうなると、どうやって救うかの問題になる


士)確か・・ギルガメッシュの若返りの薬を飲んだんだよな


言)そうだ、これは他のssでも見かける手段だが・・・だからこそ面白みが欠ける


士)まあ確かに・・・そう言われれば


言)だからこそ一捻り加えようと思ったのだが・・・そこで閃いたのが幼女化
ギルガメッシュ自身がこれを飲んで幼年体にまで若返った事を思いだして、ギルガメッシュが子供になるのならプレシアも子供になるのでは?と適当な理由で生み出されたのがプレシアならぬロリシアだ


士)まあ救われたんだからいいけど・・・


言)しかし、この話を見てる皆には気になる事があるだろう


士)なにがさ?


言)決まっているだろう、即ちリインフォースをどうするかだ


士)あっ!


言)今回もコインが大活躍するな


士)おいっ!


言)安心しろ、今回も救済ルートと死亡?ルートの両方を想定済みだ


士)ならっ


言)何処に行く気だ、衛宮士郎


士)決まってる、今から本編にいって助けてくる!


言)残念だが、この道場にいる我々は幽霊のような存在、現実世界には干渉することは出来ない


士)くっ・・・そうだ!現実世界には俺がいるはずだ。俺はお前と違って死んでない!


言)そんなに現実の自分が気になるなら、ポチッと


士)なっ


言)ほう


画面の中では、士郎と凛がXXX板でしか表記できないゴニョゴニョなことを


士)消せ!今すぐ消せええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


言)クックック、セイバーが消えた途端にこれか・・・まさに獣だな衛宮士郎


士)うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ


言)さて衛宮士郎に何時までも構っている場合ではない時間も押しているからな
このssを呼んでいる皆の中には、はやてのサーヴァントがランスロットであった事に落胆した者もいるのではないか?
そんな皆に良い報せがある、
ライダーは本編に登場する、これは確定事項だ


士)それはどうだかな・・・


言)むっ起きたのか衛宮士郎


士)・・・俺が言いたいのはお前が信用出来ない相手ってことだ


言)ほう


士)お前は確かに嘘はつかない、だけどお前は嘘じゃないけど本当でもない事を言うだろ


言)つまりどういう事だ


士)ついに追い詰めたぞ、復唱要求!“登場するライダーはイスカンダルである”
どうだ、答えられるか!


言)“いや登場するのはメドゥーサだ”


士)へっ


言)つまりお前の勘違いという事だ


士)ガハッ


言)さて馬鹿な少年が恥を晒したが気にするな。
それでライダーのマスターに関するヒントだが

スカリエッティではない

六課のフォワード陣ではない

ギンガではない

オリキャラではない

A`s編にライダーは登場しない

ヒントはここまでだ。
もし誰か当てた者には先着で一名に、このssにチョイ役として登場させよう
ちなみに複数人の名前を記しても無効だ



言)ちなみにシャマルが湖の騎士だからランスロットと被るのでは?
との問題はスルーしてほしい











[16289] 設定資料
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884
Date: 2010/03/18 17:27
・題名通り本作の設定資料です

・読まなくても問題はありません

・ギルガメッシュが新しく宝具を使うか、物語に区切りがつく度に更新します

・新しいデバイスや道具などが登場した場合も更新します










【王の財宝の宝具】


天の鎖


神を律する黄金の鎖。
数少ない「対神宝具」のひとつで、相手の神性が高い相手ほど制約・拘束力が高まる。
しかし、いくら縛り上げたところで相手を無力化できるわけではない。ちなみに神性を持たないものにとっては少々頑丈な鎖。


黄金の鎧

名称不明
ギルガメッシュが真面目に戦う時に装着する鎧。
数多くの鎧の中でも愛用の一品なので鎧というカテゴリーでは最高のモノと予想できる。
セイバーのエクスカリバーを何度も受けても軋む程度だった事から少なくともAランクの宝具の可能性が高い
本作品では初めてリリカル世界に訪れた時と時の庭園で気紛れに着た他はBJかライダースーツで戦っていた。
ランクAのエクスカリバーで破壊できないのでランサーの刺し穿つ死棘の槍が効かない可能性も・・・


レヴァンテイン

ランク:A++
種別:対城宝具

知っている人も多いと思うが炎を纏った魔剣
炎の国ムスペルヘイムを統べる巨人スルトの持つ杖(本作では剣として扱う)ロプト(ロキの異名)がニヴルヘイムの門の前で作ったもの。
スヴィプダーグは、巨人族の娘メングラッドを探し出して妻にしなければならないという呪いをかけられていたため、世界中をさまよっていた。彼はヨツンヘイムの砦リュルに辿り着いたが、そこで門番である、フィヨルスヴィドとの問答となる。砦に入るには、番犬の気をそらす肉が必要である。その肉はユグドラシルの上に住む黄金の雄鶏ヴィドフニルでなくてはならない。ヴィドフニルを倒せるのは、スルトの持つレーヴァテインだけである。レーヴァテインは、スルトの妻シンモラが九つの錠をかけた鉄の宝箱に入れて守っている。シンモラからレーヴァテインを譲ってもらうには、ヴィドフニルの黄金の尾羽を贈るしかない。
レーヴァテインとは『傷つける魔の杖(枝、串)』の意であるが、『~の枝』という形はケニング(比喩)で剣を表すこともあり、レーヴァテインが剣である可能性もある。ただし、スルトの持つ世界を焼き尽くした炎の剣と同一のものであるというの言及は無い。
北欧神話には他にもガンバンテイン、ミストルテインなど、語尾にテインとつく武器が数多く存在するが、それらはいずれも杖の形を取っている。
トライデントと同じくセイバーのエクスカリバーと同等の出力を持った魔剣。
ちなみに巨人が扱うのだから剣も巨大じゃないの?とは言わないで下さい。


ピサールの毒槍

ランク:B
種別・対人宝具

ペルシアの魔人王ピサールの持つ毒槍。常に放たれている毒と障気と熱を押さえるために、普段は氷水をいれた水瓶に浸けられている。
トゥレンの息子達である長兄ブリアン、次兄ユッハル、末子ユッハルヴァ(もしくはアネ)からなる三兄弟はダーナ神族の正統な王族たちだった。彼らはヌァザが擁立した新王ルーを嫌っており、純血の王族でない上に巨人族フォモールの血を引いているルーが許し難かった。妖精王の加護を得ているルーには手出しができなかったため、代わりにルーの父キアンを殺害した。殺される寸前に放ったキアンの最後の魔術により父の死を悟ったルーは王城に戻り、犯人を殺すのは容易いが彼らには死に勝る苦しみを与えるべきだと三兄弟に償いの試練を示した。それは「三つの林檎、一枚の豚の皮、一本の槍、二頭の馬と馬車、七匹の豚、一匹の子犬、一本の焼き串、三度の叫び」を取って来るというものであった。一見簡単そうな品々だがそれぞれが魔法の品々で、強力な守護者がそれぞれの品を守っていた。このうち「一本の槍」にあたるのが、このピサールの毒槍だ。
この槍を受けた者は死に勝る苦しみを与えられる。
ギルガメッシュは主に脅しや拷問に使っている。


トライデント

ランク:A++
種別:対城宝具

ヘレネス(ギリシャ)神話の海神ポセイドンの武器。三叉の槍、銛。
ティタノマキア(ティタンの神々との戦い)でクロノスを降したのち、キュクロプスよりトライデントを与えられた。この武器はポセイドンの力の象徴でもあり、岩を裂き風を起こすことができる。
また、このトライデントには泉を湧かせる力もあり、愛するアミュモネが旱魃で苦しんでいる時、この戟で岩を突かせると三筋の泉が噴き出したという。また、アテナイを巡ってアテナと争った時、アクロポリスの中央を打ちエレクテーイスという泉を湧き出させた。 セイバーのエクスカリバーに匹敵する出力を持っている。


グレイプニル

ランク:A+
種別:対獣宝具

北欧神話の狼の怪物フェンリルを縛った紐。
獣、特に狼に対しては凄まじい拘束力を持っている。
人間に使っても、それなりの効果を発揮するが獣に対して使うのに比べると拘束力は落ちる。


プラハの魔法の剣

ランク:B
種別:対人宝具

9世紀の建都以来、神聖ローマ帝国の首都になったこともある古都プラハ。「百塔のプラハ」ともいわれるこの街を守り続けているという伝説の魔法の剣。
ヴァーツラフが「国民の敵は去れ」と叫べば、魔法の剣が空を飛び回り敵の首をことごとく斬り落とすという。


雷切

ランク:C
種別:対人宝具

日本の歴史上の武将、大友氏の家臣、立花道雪(旧名 戸次鑑連)の刀だがギルガメッシュが所持しているのは、それの原典、千鳥という名前だった。
道雪がある時、雷にうたれたが死ななかったという。この時、雷を斬ったとも、愛刀「千鳥」をもっていたので助かったともいわれ、話の真偽はわからないが、この話が広まったためか、「雷切」と呼ぶようになったという。
ランクは低いが雷を切ることに関しては中々の宝具。


原罪(メロダック)

「選定の剣」の原典。派生品に「グラム」、「勝利すべき黄金の剣」などがある。
魔剣・太陽剣グラム:北欧神話における選定の剣であり、北欧最大の英雄シグルドが所有した。ドイツの叙事詩『ニーベルングの指輪』ではバルムンクの名で呼ばれる。
“最強の聖剣”に匹敵する“最強の魔剣”であり、竜殺しの特性も有する。竜の因子を持つ騎士王にとってはまさに天敵。


敬氏の璧

ランク:A
種別:対人宝具

中国の伝説。璧(へき)とは玉を平たく円形に磨いた物で、中央に穴があり、外辺の幅が孔の倍あるものをいう。幅が同じものは環。
唐代、睿宗帝に敬遷という道士が献上した。
この玉を浸した水を傷口にかければどんな傷もたちどころに快癒するという。
ギルガメッシュが所持するのは、コレの原典。


ヴィマーナ

金ピカ鎧に我魂。
三巻で初めて空を飛ぶ―――――そんな英雄王閣下の空中機動兵器。
水銀を燃料とする太陽水晶によって、太陽エネルギーを発生させ駆動するというエリア51も真っ青のインド発ハイテク宝具。
古代インドの神話にはこれ以外にも古代マシンガンやら古代核弾頭まで素敵ウェポンが満載だそうだが、きっと英雄王の財宝庫ではフルコンプしてるに違いない。


若返りの薬

文字通り若返る薬。
10年間、受肉して現世に留まったギルガメッシュはコレを使って性格を変えて過ごしていたらしい。

遠見の鏡

名前の通り、遠くを見る為の鏡

鏡の盾

Fateルートでイリヤの魔術を跳ね返した盾
名称不明

不可視の剣

名称不明
名前の通り見えない剣


【ギルガメッシュの他者の呼び方】



名前で呼ぶ人(クラス名含む)


フェイト・テスタロッサ

アルフ

高町なのは

ランサー

プレシア・テスタロッサ

セイバー

エルキドゥ

言峰綺礼

征服王イスカンダル

遠坂時臣



渾名?で呼ぶ人


女狐:リンディ・ハラオウン

鼠:ユーノ・スクライア

犬:ランサー&アルフ

駄犬:ランサー

騎士王:セイバー

贋作者:アーチャー&衛宮士郎



その他


雑種:クロノ+その他

女:プレシア+女性






【好感度】


1位:エルキドゥ

2位:天の鎖

3位:乖離剣エア

4位:セイバー

5位:フェイト・テスタロッサ

6位:マルドゥク

7位:高町なのは(将来の成長に期待)

8位:プレシア・テスタロッサ(便利な奴隷)

9位:ライダースーツ

10位:ユーノ・スクライア(便利な奴隷2)


嫌いなモノ


1位:蛇

2位:自分

3位:贋作

4位:マーボー

5位:人形






【デバイス紹介】


マルドゥク

種別:インテリジェントデバイス


ギルガメッシュがプレシアから強奪したデバイス。
性格はギルガメッシュとフェイト以外には慇懃無礼な態度をとる。
プレシアによる魔改造で色々と怪物的なデバイス

【形態】

Standby Mode 《スタンバイモード》

形状は黄金の宝石
この状態でも、ある程度の魔法を使う事が出来る。
ただ大規模な魔法行使の際には他の形態に変形するほうがいい。

Normal mode 《ノーマルモード》

形状は黄金の杖
大抵の魔法を平均的に使える基本形態

Hammer mode 《ハンマーモード》

形状は黄金のハンマー
某勇者王の使うモノに酷似している
サーヴァントであるギルガメッシュが使う事を前提に改造された為、人が使う事を度外視して破壊力のみを追求している。

Fighter mode 《ファイターモード》

形状は黄金の手袋
肉弾戦に特化された形態で某ガンダムの必殺技を模した魔法を使える

Drill mode 《ドリルモード》

形状は黄金のドリル
プレシアがマルドゥクの進言した改造案に応える為に自身の持つ全ての技術を使って作られた形態
凄まじい高速回転により周囲の魔力を収束し更にそれをジャイロ回転で放つという怪物兵器
だが普通の人間には腕が耐え切れないので使用不能

King hero mode 《英雄王モード》

形状は無し
ギルガメッシュ自身が使うのでなく王の財宝内に収容して使用する
魔術では難しい転移や飛行などを使うのに特化されたモノ
ギルガメッシュが全力全開で戦う場合使用するが、これが使用される日は・・・・


アルビオン

種別:補助専用インテリジェントデバイス


謎のデバイスマスターが作り上げた高性能な補助専用デバイス
確かに性能は高いが性格が間違っているとしか考えられない。
異常なぐらい好戦的で無駄に熱い。熱血野郎。
大抵の人は、この性格について行けず返品する事になる。


Um modo de anel(指輪モード)


主に戦闘補助が目的。
このデバイスに唯一つある形態。







【その他の王の財宝内の道具】


PSP

全カラーを持っている。
ちなみに愛用のカラーは特注品の金ピカ


王の台所

ランク:三ツ星
種別:対人技能

ギルガメッシュが王の財宝に蓄えた食材と食器の数々。
小ギルが夕食がマーボーしか出ない事に絶望して料理を覚えた。
その後、暇潰しに世界旅行に行った時に色々な料理を学んだ。
子ギルの時に覚えた料理スキルは大人に戻っても変わらず、ギルガメッシュの才能もあって、プロ級の腕を持つに至った。


ゲームソフト

膨大な量のソフトを所持している。
ジャンルは格ゲーからRPGまで様々




魔道書や呪いの書、漫画や雑誌などジャンルを問わず多くの書物が納められている
ちなみに本の中には宝具も存在する。



その他、趣味で収集したモノ


戦車

軍用ヘリ

数多くのスポーツカー

クルーザー(ギルガメッシュ号)

銃火器

現金数十億

バイク

ケータイ

スポーツ用品

その他の日用品



【バビロニアカンパニー】



社員構成

CEO:ギルガメッシュ

一応はトップという立場だが全く仕事をせず、公の場所にも滅多に姿を現さない
仕事は子ギルとプレシアに丸投げ状態。

社長:子ギル

実質の総責任者
持ち前の優れた能力と黄金律により三ヶ月で大企業に成長させた。
社員の中には幼さを危惧する者もいるが、大抵の者はカリスマA+にやられて文句がでない。
ちなみに公式の場へは子ギルが大人のギルガメッシュに変装して行く。


副社長:プレシア・アーチボルト(苗字はギルガメッシュが適当につけた)

幼女化した果ての大魔導師、プレシア・テスタロッサ。
無理やりギルガメッシュに副社長に押し上げられた被害者
かなり忙しい。



秘書:ロリス・バーナ

ギルガメッシュの秘書。
非常に有能な女性で用事を伝える前に、必要な物を用意する。
だがこの女性じつは・・・・・


黒服:クロ・クローイ

子供の頃から何故か高い背と厳つい顔から周りの者に畏れられていた。
バビロニアカンパニーに就職する際にボディガードと間違われて入社させられてしまった哀れな人。
魔導師ランクはBと結構高いが治癒魔法しか満足に使えない。
趣味は園芸。


食堂のおばちゃん:本名不明

ギルガメッシュが直々に入社させた謎の人物
数多くの次元世界の料理をマスターした謎の女性
彼女の料理の為に入社する者もいるという。
趣味は人間観察と若者の人生を見守る事



詳細


レジャー施設からデバイスなど、多くの物事を取り扱っている。
ちなみに家事に特化した家庭用デバイスは魔導師の主婦に大ヒットした。
管理局地上本部に対して多額の寄付を行っているのでレジアス中将に太いパイプがある。勿論、本局にも地上本部には劣るが寄付をしていて、フェイトが突如無罪が確定したのもギルが手を回したから。三ヶ月でクロノやリンディより社会的な地位が上になってしまった。





















【サーヴァントステータス】


【クラス】アーチャー
【マスター】フェイト・テスタロッサ
【真名】ギルガメッシュ
【性別】男性
【身長・体重】182cm 68kg
【属性】混沌・善
【能力】筋力B 耐久B 俊敏B 魔力A 幸運A 宝具EX

【クラス別能力】

対魔力:C

二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

単独行動:A+

マスター不在でも行動できる。

【保有スキル】

黄金律:A

人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。

カリスマ:A+

大軍団を指揮・統率する才能。
ここまでくると人望でなく魔力、呪いの類である。

神性:B

最大の神霊適正を持つのだが
ギルガメッシュ本人が神を嫌っているためランクダウンしている。

【宝具】

王の財宝

ランク:E~A++
種別:対人宝具

黄金の都に繋がる鍵剣。

空間を繋げ宝物庫の中にある道具を自由に取り出せるようになる。

使用者の財があればあるほど強力な宝具になるのは言うまでもない。


天地乖離す開闢の星

ランク:EX
種別:対界宝具
レンジ:1~99
最大捕捉:1000人

乖離剣エアによる空間切断。
圧縮され絡み合う風圧の断層は、擬似的な時空断層となって敵対する全てを粉砕する。

対粛清ACか同レベルのダメージによる相殺でなければ防げない。
宝物庫にある宝具のバックアップによってはさらに威力が跳ね上がる。

セイバーのエクスカリバーと同等か、それ以上の出力を持つ‘世界を切り裂いた‘剣である。



【クラス】ランサー
【マスター】高町なのは
【真名】クー・フーリン
【性別】男性
【身長・体重】185cm 70kg
【属性】秩序・中庸
【能力】筋力A 耐久B 俊敏A+ 魔力B 幸運E 宝具B+

【クラス別能力】

対魔力:B

魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】

戦闘続行:A

往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

仕切り直し:C

戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を戦闘開始ターンに戻し技の条件を初期値に戻す。

ルーン:B

北欧の魔術刻印・ルーンを所持。

矢よけの加護:B

飛び道具に対する防御。
狙撃手を視界に収めている限りどの様な投擲武装だろうと肉眼でとらえ対処できる。
ただし超遠距離からの直接攻撃は該当しない。

神性:B

神霊適正を持つかどうか。
高いほどより物質的な神霊との混血とされる。

【宝具】

刺し穿つ死棘の槍

ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:2~4
最大補足:1人

ランサーの持つ紅の魔槍。そして彼が編み出した対人用の刺突技。
槍の持つ因果逆転の呪いにより、真名開放すると「心臓に槍が命中した」という結果をつくってから「槍を放つ」という原因を作る、つまり必殺必中の一撃を可能とする。急所を穿つことにより、確実に相手を死に至らしめることができ、一対一の戦いでは非常に効率がいい。
ちなみに、発動したと同時に「相手が死ぬという結果」が成立しているため、仮に放った直後でランサーが死んだとしても、槍はひとりでに動いて相手を貫く。
回避に必要なのは俊敏性ではなく、槍の作った因果を捻じ曲げる程の強運。

突き穿つ死翔の槍

ランク:B+
種別:対軍宝具
レンジ:5~40
最大補足:50人

魔槍ゲイボルクの本来の使用方法。渾身の力を持って投擲し、相手を攻撃する。
「刺し穿つ死棘の槍」が命中を重視したものならば、こちらは威力を重視している。
しかし、因果逆転の呪い・必中の効果は健在である。なお、一人一人を刺し貫いていくのではなく、炸裂弾のように一撃で一軍を吹っ飛ばす。
ルーン魔術を使えば更に威力を上昇させることが出来る。


【クラス】アーチャー
【マスター】フェイト・テスタロッサ
【真名】(子)ギルガメッシュ
【性別】男性
【属性】混沌・善
【能力】筋力D 耐久E 俊敏D 魔力D 幸運A 宝具A++

【クラス別能力】

対魔力:C

二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

単独行動:A+

マスター不在でも行動できる。

【保有スキル】

黄金律:A

人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。

カリスマ:A+

大軍団を指揮・統率する才能。
ここまでくると人望でなく魔力、呪いの類である。

神性:B

最大の神霊適正を持つのだが
ギルガメッシュ本人が神を嫌っているためランクダウンしている。

【宝具】

王の財宝

ランク:E~A++
種別:対人宝具

黄金の都に繋がる鍵剣。

空間を繋げ宝物庫の中にある道具を自由に取り出せるようになる。

使用者の財があればあるほど強力な宝具になるのは言うまでもない。

だが幼年体では宝具の大量展開を行えず破壊力が下がる。



天地乖離す開闢の星

ランク:-
種別:対界宝具

子ギルでは使用不能





【クラス】バーサーカー
【マスター】八神はやて
【真名】ランスロット
【性別】男性
【身長・体重】191cm 81kg
【属性】秩序・善
【能力】筋力A 耐久B 俊敏B+ 魔力C 幸運B 宝具A++

【クラス別能力】

狂化:-

一度倒された事で狂化の呪いから解放されている。


【保有スキル】

対魔力:D

魔除けの指輪による対魔力を有する。
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けけのアミュレット程度の対魔力。

精霊の加護:A

精霊からの祝福により、危機的な局面において優先的に幸運を呼び寄せる能力。
その発動は武勲を立てうる戦場のみに限定される。

無窮の武練:A+

一つの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘力を発揮できる。


【宝具】

騎士は徒手にて死せず

ランク:A++
種別;対人宝具
レンジ:1
最大補足:30人

手にしたものを自身の宝具として扱う宝具能力。どんな武器、どのような兵器であろうとも(戦闘機や木の枝などでも)手にした時点でDランク相当の宝具となり、元からそれ以上のランクの宝具を手に取れば従来のランクのままランスロットの支配下に置かれる。ただし人工知能を有したデバイスやユニゾンデバイスは該当しない。つまりランスロットがリインフォースⅡを手にしたからといって黒リインにはならない・・・面白そうだけど


己が栄光のためでなく

ランクB
種別:対人宝具
レンジ:0
最大補足:1人 

自らのステータスを隠蔽する能力。
狂化により劣化しステータスを隠蔽するだけに留まっていたが理性を取り戻した事で他者に成り代わる能力を取り戻している。
また上手に調整すれば服だけ変更したり出来る便利な宝具。

無毀なる湖光

ランク:A++
種別:対人宝具
レンジ:1~2
最大補足:1人

―――他二つの宝具を封印することにより初めて解放される
ランスロットの真の宝具。
この剣を抜いている間、
ランスロットの全てのパラメーターは1ランク上昇し、
また全てのST判定において成功率が2倍になる。
さらに龍退治の逸話を持つため
龍属性を持つ英霊に対しては追加ダメージを負わせる。


【無毀なる湖光、使用時のパラメーター】

筋力A+ 耐久A 俊敏A+ 魔力B 幸運A 宝具A++

『もし狂化を使用した場合』

筋力A++ 耐久A+ 俊敏A++ 魔力B 幸運A 宝具A++


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