<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[16360] 最後の決は 我が任務(ガンパレ世界からMuv-Luv)前書き お知らせ
Name: 亡命ドイツ軍人◆0cb91e07 ID:5ca77799
Date: 2011/01/24 07:37
はじめまして。亡命ドイツ軍人と申します。
メカ本で機械化歩兵の使えなさに絶望したので、ガンパレ世界からMuv-Luvオルタ世界に、戦車随伴兵ことスカウトのオリジナルの軍人を飛ばして歩兵をBETAとの戦場に復活させるため、主人公にいろいろがんばってもらいます。
武装やウォードレスの名前は黒い月での最終決戦でオルタ世界に来たためオリジナルになっております。
オルタやったのが随分前のことなのと歩兵とゆう名のスカウトの物語と飛ばされた先の国の奮闘物語でオリジナルの設定が多々入ります。
その点にご注意ください。

プロットがPCが死んだ時に一緒にお亡くなりになり、プロットを一から書き直しましたので今まで書いてきたのとは異なり、ドイツ民主共和国一本槍で行きたいと思います。
一度一話以降を削除し新しく投稿していきます。
更新は遅くなるでしょうが、拙い本作をよろしくお願いします。



[16360] 最後の決は 我が任務(ガンパレ世界からMuv-Luv)プロローグ
Name: 亡命ドイツ軍人◆0cb91e07 ID:5ca77799
Date: 2011/01/11 13:04
20XX年X月X日
私シュバルツ・ミュッケンベルガー ドイツ第三帝国国防軍軍曹は、現在黒い月最後の幻獣領土に対する戦線に戦車随伴兵(以後スカウト)の一人としている。
私の周囲には、黒い月戦線の人類側総戦力が集結している。この一戦に勝利すれば我々人類は、1945年から続いた幻獣との長き戦に終止符を打てる事となる。
しかし、敵の幻獣にとってもそれはいえる。地球に残された戦力は、この戦線と比べて圧倒的に少なく、我々が負ければ地球は再び幻獣共の領土になるだろう。
この戦線でそのことについて考えているのは、万年軍曹の私だけではないだろう。

私の人生を振り返れば、第五世代の人類として1963年に誕生し、ほとんどの第五世代の戦友が人類を裏切り、幻獣側に付いたなかで数少ない人類側の第五世代として、過酷な作戦ばかりに投入され裏切ったかつての戦友を殺害したこともあった。
1989年には人類側に残った第五世代の戦友達は、私を残して皆先に、ヴァルハラへと逝った。
それからは、孤独な戦いだった、同胞たる第五世代は、私一人であり任務も一人で投入された。
1999年に、今の上官となる学兵達の部隊に、ベテランスカウトの一人として配属された。
彼等は、私が第五世代だと知っても笑って仲間だと、戦友だといってくれた。
それからは、彼等と共に歩み笑った。
私の軍人としての経験を元に忠告していた私は、指導軍曹のような立場になってしまっていた。
彼等と共に、戦場を駆けるのは楽しかった、整備班とウォードレスや武装を創るのも楽しかった。

今回の戦闘は、ユーラシア大陸上陸作戦並みの激戦となるだろう…この日記が最後になるかまだ書けるのかは、私にはわからない。
古来より陸戦を決するのは、歩兵である言われている。
スカウトは、戦場の花形ではないが、最後の決をつける役目もあるのだ。
明日は、歩兵と名に付くスカウトとして奮戦して見せよう。

幻獣戦争終結20周年記念雑誌特集の戦死後回収されたシュバルツ・ミュッケンベルガー軍曹(当時)日記より抜粋

風が頬を通り過ぎる。
そのおかげで、私は目覚めることができた。
私は、幻獣の攻撃で右脇腹を深くえぐられたはず。
傷の手当をしなければ。
ノロノロと左手を動かしえぐられた場所に手を当ててみて、私は驚愕した。
傷が無い…次第に冷静になっていく。
周囲は、青々とした森の中だ。
黒い月の戦線でないことは確かとなった。
現状は受けたはずの傷が無く、近くに道が見える森の中である。
また弾薬類は、使用したのだが出撃直前のフル装備になっている。
装備に、異常があるか確認しなければ。

装備の異常は、ウォードレス可憐ドイツ型系統のフェンリル GPS以外異常なし
         ウォードレス付属電磁推進器 異常なし
         ヒヒイロカネ製高周波大鎌 異常なし
         40ミリ高射電磁機関砲(レールマシンキャノン) 異常なし
         20ミリ高速速射ガトリング砲 異常なし
         03式熱線砲(レーザーライフル)異常なし
         11式熱線機関砲(レーザーアサルトライフル) 異常なし
         Pfeifer Zeliska(パイファーツェリスカ) 異常なし
         工兵用手榴弾 異常なし
         煙幕手榴弾 異常なし
         各種マガジン 異常なし
GPSが起動してるが衛星を捉えていない…理由としては、衛星が全て幻獣に打ち落とされたか衛星が無い過去であるか、ワールドタイムゲートが何らかの原因で開いた先の異世界となる。
まず衛星を全て落すのは不可能であるから衛星説は却下だな。
異世界か過去かは、目の前の道をたどっていけばわかるはずだ。

道なりに進んで一時間弱ぐらいのところで街が見えてきた。
近くに基地らしきものも見える。
人型戦車らしきものが、基地から飛んでいく!?
人型戦車が、飛べるようになったのはいつからだ?
よく観ると人型戦車より無骨だ…それに動きも鈍い。

基地の所属を示す旗は遠くて見えない…ライフルのスコープ越しに見えた、上から黒赤黄の旗と同じ色で真ん中に何か模様がある旗だ。
色の配色はヴァイマル共和国時代の祖国の旗に似ているが、あの旗には模様などはなかった。
となるとどうやら、過去ではなさそうだ。…消去法で異世界か。



亡命ドイツ軍人です。プロローグですが、ベルリン陥落が1983年なので東西ドイツの陥落って1983年後半ぐらいなんでしょうか?知ってたらどなたか教えてくれませんかお願いします。



[16360] 最後の決は 我が任務(ガンパレ世界からMuv-Luv)第一話
Name: 亡命ドイツ軍人◆0cb91e07 ID:5ca77799
Date: 2011/01/11 22:25
異世界だとわかったので本部との連絡をしてみたのはいいが、連絡が通じないことがわかった。
これはまずいことになった、本部からのバックアップを期待できないだけではなくワールドタイムゲートと通じていて、初観測の世界であればいずれは私のシグナルを元に救助に来てくれる可能性があるが…最悪なパターンはゲート通過中に、何らかの影響を受けゲートの補正が効かないことが発生し、通じていない場所に飛ばされた場合だ。
通信端末から、全ゲートに向けた通信を送ってみたが反応無し…同盟を組んでいる他組織に向けても試してみたが、やっぱり反応無し。

………最悪のパターンだ。元の世界への帰還は絶望的であり、武器弾薬は今あるだけで終わりときたもんだ。
食料にいたっては、レーション二日分しかない。
異世界で餓死するのは勘弁だ、よって行動方針は食糧確保を優先する。

そうなると、異世界の基地の警備状況を見て忍び込みレーションをちょっと頂くか、この格好で保護を求めるかだが…この格好だと撃たれるな確実に。

異世界の基地を観察し始め四時間ぐらい経ったであろうか?
警備は、我々の世界と比べてあまりにもザルと分かった。
…それでいいのか異世界の兵隊よ。
まぁ忍び込むこちらは、楽でいいけどな。

人型戦車モドキが、不定期に訓練に出て行くな…あ一機エンジンが爆発した。
落ちてくるな。
基地が近いしそっちに向かうだろうから、ここは安全だな。
こっちに向かって落ちてくるなよ。
くそ今日は厄日だ。

『そこの機械化歩兵!ハッチを開けてくれ!墜落の衝撃で歪んで空かないんだ』
機械化歩兵って何だ?
周りには何もいないが…私のことか。
ハッチってどこだ?
あぁあそこか。…大鎌の高周波発動してと。
「今から切り開いて開ける、動くなよ」
え!?手に伝わる感覚がバター並みって、無骨な外見でどんだけボロイ装甲なんだ人型戦車モドキは。
中から出てきたのは、何というか眼のやり場に困る格好をしたお嬢さんでした。

[女性衛士]
私が訓練のためMig-21を操って、次の機動に入ろうとしたとき機体に衝撃がはしった。

ダメージチェック
右噴射跳躍装置脱落
左噴射推進装置一部破損
機体制御は可能。

「エレファント05からエレファント01!右噴射跳躍装置が脱落しました。機体制御は可能…っつ!左噴射推進装置にも異常発生…機体制御機能にも異常…落ちる」

機体が高度を下げていき地面が迫ってくるが、今の状態ならソフトランディングできる。
…あれは!機械化歩兵…間に合え!
機体が地面に叩きつけられた、幸い私は無事だ、ハッチが衝撃で歪んだらしい。
さっきの機械化歩兵に助けてもらうとするか。
「そこの機械化歩兵!ハッチを開けてくれ!墜落の衝撃で歪んで空かないんだ」
しばらくして準備できたのか声がかかった。
『今から切り開いて開ける、動くなよ』

切り開くって、他の訓練中の戦術機に救援でも頼んだのか?
それにしては、戦術機の稼動音が、聞こえない。

ハッチが切り開かれて、コックピットに光が差し込む。
機械化歩兵に、礼を言うために、外に出た。

あれは!?新型の機械化歩兵か?
目の前の機械化歩兵は、宇宙服のような外観の無骨な装甲服ではなく、外観が美しく壮麗な装甲服であった。
じっくり観察していたかったが、機械化歩兵はなにやら困惑していた。
おそらく、強化装備を見るのがはじめてなのだろう。
私は礼を言うため口を開いた。

「ドイツ民主共和国軍中尉の、リディア・ロイエンタールだ。救助に感謝する」

このときの私は、眼の前の機械化歩兵と長く戦列を共にするとは、思ってもいなかった。
[女性衛士out]

「ドイツ民主共和国軍中尉の、リディア・ロイエンタールだ。救助に感謝する」
お嬢さんは、今何と言った?
ドイツ…民主共和国だと!?
この世界の祖国は、ソビエトに負けたのか。
女性の兵士は珍しくも無いが、あの格好は何とかならんものか。
私は敬礼し、見つかってしまったため、保護をしてもらうために口を開く。

「自分は、ドイツ第三帝国国防軍軍曹のシュバルツ・ミュッケンベルガーであります中尉殿。
どうやらここは、私の、世界ではないようなので、保護を求めたいのですが?」

中尉殿は、どうやら事態が飲み込めないらしい。
そうこうしているうちに、人型戦車モドキの同型機が近くに来ていた。
中尉殿は、おそらく部隊の隊長と通信しているようだ。
…牢屋行きの予感がするぞこれは。

しばらくして、やり取りが終わったのか、中尉殿が口を開く。

「ミュッケンベルガー軍曹だったな?すまないが、武装を解除してこちらについて来て貰う」

武装解除ね…ウォードレスを脱いだら裸なのだが、いいのかね?
「すまないが、武器は、そちらに渡すが、ウォードレスは、勘弁してくれ。これを脱ぐと裸になってしまう」
中尉殿は通信を再開し、ウォードレス着用を認めてくれた。
…よかった、変質者にならずにすんだ。

中尉殿に、武装を渡す…地面に置いたてことは、持てないらしい。
どうやら人型戦車モドキに、もって行かせる事になったようだ。
手のひらに置いていく、ツェリスカは中尉殿が持ってくれた。

軍事基地は、おかしかった。
立派な飛行場があるのに、航空機がヘリと輸送機の類しかない。
対空設備もほとんど無い…どういう事だこれは?
航空機が、ヘリや輸送機ぐらいしか発達しなかったのか?
それとも別の理由か?
…ふむこれは、実に興味深い現象だ。
どうやらハンガーに、向かっているようだ。
…やっと着替えられる。

ハンガーに到着後、憲兵共に囲まれながら着替えを済ます。
…ウォードレス内部に軍服を収納する場所を造っておいてよかった。
年嵩の憲兵が、懐かしいものを見るような目で私の軍服を見ていた。

憲兵共に囲まれ移動した私は、検査に次ぐ検査で少し疲れていた。
…憲兵の監視つきの牢屋の中でだが。

検査結果が出たと憲兵が言っていたが、私はいまだ牢屋で待機中。

体内時計で三日過ぎたころに、牢屋の外が騒がしくなった。
憲兵の敬礼の仕方をみるに、おそらく軍の幹部クラスの人物が来たらしい。

私の牢屋の前に、軍幹部にふさわしい貫禄を身につけた二人の人物が現れ、口を開いた。

「ドイツ第三帝国国防軍軍曹の、シュバルツ・ミュッケンベルガー君だね?
私は、ドイツ民主共和国軍機械化歩兵総監の、アドルフ・ローゼンベルク少佐だ。隣は、同軍機械化歩兵副総監の、ディトリッヒ・シュナイダー大尉だ。
君の身柄は、私たちの預かりとなった」

総監と副総監なのに、二人とも大尉と少佐だって!?
階級が低すぎるとなると機械化歩兵とやらはまだ練成途中なのか、配備途上となる
少佐殿たちに前後を挟まれて、車に乗せられた…拒否権は、与えられなかった。

車内の雰囲気は、私の予想に反して穏やかだった。
シュナイダー少佐が、私に問いかけてきた。

「ミュッケンベルガー君が異世界から来たとは、どうやら本当らしいね。
この世界には無い武器や装甲服といった武器関連の物、それに君の体の遺伝子情報などもね」
私はこの異世界でも、どうやら孤独なようだ…元々いた世界では戦友がいたから孤独ではなかったが。
「私の、装備をお調べになられたのは分かりますが、修復不能なまでバラしていませんよね?」
私の問いかけに、少佐たちは笑っていた。
…まさかバラしたのか修復不能になるくらいに。
「安心しろ、ミュッケンベルガー君。君の装備をバラしたいのは、非常に魅力的だったが失うのも惜しかった。
だから君が許可するまでは、お預けにしたから大丈夫だ。
今から向かう基地に保管してある」

心臓に悪いぞこの二人は。
疑問に思った基地のことや今が何年かを聞くために、私は口を再び開いた。

「少佐殿。今は西暦何年何月でなぜ基地に航空戦力がほとんど無いのかを、教えてくれませんか?」

少佐たちは、小言で相談している。
…どうやら疑問には、ローゼンベルク少佐が答えてくれるらしい。
「西暦1975年8月8日だ。
航空戦力がほとんど無いのは現在戦争している、異星生命体が原因としかいえないな」
どうやら幻獣と同じようなのが、この地球にもいるらしいことは分かった。
それからの車内は基地に着くまで、皆無言だった。

車が止まる。
どうやら目的の基地に付いたらしい。
少佐たちに続いて車を降りる。
何だこの基地は、まだ建設中じゃないか!
…よくみたところ、5割は完成しているようだ。
建設中の基地に驚きつつも、少佐たちの後を追う。

到着したのは司令室だった。
…そういえば、機械化歩兵総監と副総監だったなこの二人。
二人と、机をはさんで向かい合う。
ローゼンベルク少佐が口を開く。

「シュバルツ・ミュッケンベルガー!
貴官はドイツ民主共和国の機械化歩兵軍曹として、機械化歩兵部隊へ所属となる。
なお貴官の任務は、一つ目は貴官の世界の、装甲服・銃火器類・近接戦闘用兵装をこの世界でも開発し、運用可能とすること。
二つ目は上記装備品を、運用可能な部隊を錬成すること。
なお任務開始は、明日からだ。以上だ」
私は、敬礼し命令書を受け取った…下士官として染み付いた性だ。

それから少佐たちに疑問点を何点か質問してから、渡してもらった基地内地図を見ながら自分の部屋へ向かい、ベットに横になった。

明日からは、ハードスケジュールだ。
幸い兵器開発は、部下がつくからまだ楽だが、ウォードレスを生体強化していない人間に着用させるのは…芝村の姫様式で練成すれば、大丈夫だろう。
何人訓練に耐えられるかは、運任せだが。






どうも、亡命ドイツ軍人です。第一話投稿しました。
主人公には、これからほぼ不眠不休でがんばってもらいます。
スカウトが戦術機に随伴すると名称は戦術機随伴兵にすべきか、機械化歩兵(?)にするか、他の名称にすべきか迷ってます。
マブラブ世界の、スカウトの名称に案がある人は感想版に書き込みお願いします。


次回予告 ウォードレスなら歩兵も戦場に立てるのだ!
      光線級から身を守るのは強化した煙幕弾だ!
      突撃級?猪なんてよければ問題ないよろしいならば電磁推進器だ!
      銃は熱線と電磁と高速速射それと、近接兵装は高周波装備で十分だ!
      の四本立てで、兵器開発を行います。
     
      あくまでも予告です。



[16360] 最後の決は 我が任務(ガンパレ世界からMuv-Luv)第二話
Name: 亡命ドイツ軍人◆0cb91e07 ID:1f1f094d
Date: 2011/01/24 07:38
1975年8月8日 ドイツ民主共和国 機械化歩基地(建設中)

指令書を受け取った後与えられた部屋へと入り、この部屋にある監視機器を潰し軍服のままベッドで横になる。
この世界の歴史を聞いたが、はっきり言って異常である。
私の元居た世界はこの世界よりも技術はあるであろうが、その技術は他の世界からの物である。
死の商人組織セプテントリオンがその良い例であろう。
それに対して私の今居る世界では、その様な組織の影を見る事ができないにもかかわらず異常なまでに一部技術が発展している。
宇宙開発や人型兵器に関する技術がその主たる例であろう。
…この世界での身分が今より強固な物になったら調べてみるか。

纏まらない思考に区切りをうち、まどろんでいた私の軍服のポケットが震える。
ポケットが震える原因の通信機を取り出し、通信回線を開く。
雑音とノイズが酷いが、呼びかける音と歪んだ人型が映る。

「此方ミュッケンベルガー通信回線を開いた、繰り返す此方ミュッケンベルガー通信回線を開いた」

『ミュ…ガー君…だったか、君の…失…かった』

雑音が酷すぎて何を言っているのか分からない。

「雑音が酷すぎて何を言っているのか分からない、映像ノイズは仕方が無いとしても雑音は何とかならないか?」

通信装置に映る歪んだ人型が、周りの人間に指示を出しているように見える。

『ミュ…ベルガー君、君の居る世界の捕捉を完了した。
これで通信の音声だけだが普通に繋がる筈だ、映像の方は残念ながら今のところゲートが不安定な為安定しない』

ゲートが不安定…よく生きてこの世界に出られたものだ。

「補足を完了したという事は、使われていないワールドタイムゲートだったのですかな?」

『我々にとっては新しいワールドタイムゲートだが、…救出部隊を送ることは不可能に近い』

「それは、ゲートの安定化による救出が不可能という事でしょうか?」

通信機に映る歪んだ人型は、私の言葉に首を振るようなしぐさを行い否定を示す。

『君が行方不明と成ってから此方では既に数十年経っている。
その間にGIGUと賢人会議が壊滅し…残念ながら此方はセプテントリオンに備える為、動かせる戦力は殆ど残っていないのだ』

GIGUと賢人会議が壊滅…神聖同盟の一角が崩れたのか!?
神聖同盟は二つの組織を失い、残った組織も壊滅した組織の代わりに戦力を割かねばならない。
この世界に戦力を派遣した場合、セプテントリオンがパワーバランス上更に有利になってしまう。

「情況は分かりました…しかしながらこの世界では組織の力を借りなければ生き残ることは難しいと思われます。
代わりの提案ですが、GIGUと賢人会議の残党はどれだけ保護していますか?
それと戦力は無理でも物資の輸送は可能でしょうか?」

『我等千人委員会が確保しているのは、GIGUの一名だけだ…神聖同盟全体では、GIGUが先の一名に
賢人会議が3名の合計4名を保護している。
物資はゲートが安定次第、状況が許す限り送る』

4名か…セプテントリオンは徹底的に両組織を叩いたようだな。
物資は何時途切れるか分からないが、送ってくれるのは良い事だ。

「その保護した4名の職種は?…前にいた第五世界の軍隊界基準で聞かせてください」

『技術者兼整備士2名、スカウト(歩兵)2名だ』

歩兵の二人は私の両脇を固めてくれるし、パイロットがいれば輸送機で迅速な部隊展開が出来る。
何よりも嬉しい誤算は技術者兼整備士が居る事であろう、状況が悪化し物資輸送が途絶えたとしても
技術者が居ればこの世界でも劣化だろうがウォードレスが作れる。

「その5名を私の部下として、此方の世界に送っていただくことは出来ますか?」

通信機の歪んだ人型は暫し考え込み、口を開く。

『彼らに確認し、本人が許可したら其方へと送り出そう…結果は追って伝える、メディアの姫君の加護があらんことを』

「メディアの姫君の加護があらんことを」

互いにメディアの姫君の加護を祈り通信を終える。
ベッドに再び横になり、確約ではないとは言え支援が得られる事に薄く微笑む。


同年8月9日 同所 0500時

ツェリスカを整備していた私に耳に通信機の音が聞こえる。
通信機を手に取り通信回線を開くと、昨日とは違い明瞭な通信画面が映る。

『ミュッケンベルガー君、先日の件だが全員が了承した。
それに伴い4名の人員と第一次補給物資の其方への世界移動の準備が完了した。
転移場所が確保できしだい其方への世界へと第一次補給物資の転移を開始する…何か質問事項は?』

「第一次補給物資の規模はどの位でしょうか?
規模によって私のこの世界での上司だけでは、場所を用意するのは不可能かもしれませんので、出来るだけ詳しくお願いします」

『第一次補給物資の規模は、工作機械類とデータ閲覧及び設計用のPC類とウォードレス数着を
第五世界基準貨物コンテナで20数個を予定している。
それと人員に関しては既にミュッケンベルガー君の居る場所への転移を開始している』

コンテナで転移してくるのならば、この基地の物資集積所でも問題ないであろう。
人員の事はもっと速く伝えて欲しかったが、この部屋の広さならば4名は入る…窮屈だろうが。

「人員の転移完了時間は後どの位でしょうか?」

『後260秒後にはミュッケンベルガー君の傍へと転移を完了している』

「…了解しました、メディアの姫君の加護があらんことを」

通信機越しに敬礼を送り通信を遮断する。
腕時計を確認し、手早くツェリスカの整備を済ませ受け入れ態勢を整える。
勲章を付けた軍服を確認し、一度外して軽く磨いてから付け直す。
歩兵突撃賞(銀賞)・白兵戦章(金賞)・戦傷章(金賞)・柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章…見栄えの為に付けたが多い。
懐から草臥れた煙草を取り出しマッチで火をつけ、人員が転移してくるのをゆっくりと待つ。
辺りが眩く輝き、その光が収束し人型を取る。

「よく来てくれた、この世界での諸君等の上官になる千人委員会実働部隊所属のシュバルツ・ミュッケンベルガーだ」

「GIGU第2海兵歩兵師団所属のウルリケ・シュテルエーダです」
シュテルエーダは、金髪碧眼のモデル体系の女性である。

「賢人会議技術開発局兵器試験評価部隊所属のハンス・フリードリッヒです」

フリードリッヒは、頼りない見た目とは裏腹に、無駄の無い引き締まった肉体をしている男である。

「賢人会議技術開発局所属、グリーサス・グーデリアン」

グーデリアンは、白衣を纏った長身の典型的な技術者といった感じの男である。

「賢人会議第一空中歩兵団所属のゲオルグ・オフレッサーだ」

オフレッサーは、筋骨隆々の大柄な人物で野蛮人の見本といった感じの男である。


私は転移してきた4名を連れて、総監室へと向う事と詳しい事情は其方で話すと連絡を入れる。
総監室へ向う前に、ハンスとグリーサスにウォードレスの訓練仕様書を此方の世界の携帯用PCで作成してもらう。
その間我々は、実戦部隊を如何にして一から編制するかを纏めようとしていた。
我々3名はスカウトの中でも、ウルリケは海兵で私とゲオルグは空挺と通常の歩兵の違いこそあれ陸軍である。
多数決でウルリケが折れてもよさそうなものだが、海兵の訓練方式から折れる気配はまったく無い。
…勇猛果敢な海兵隊が好きなら、前の世界でイギリスの友人と参加したSAS(Special Air Service)式でいいか?

「シュテルエーダ…貴官の言いたいことは良く判ったが、この世界での我々の所属はドイツ民主共和国陸軍であり
ドイツ民主共和国海軍は強襲揚陸作戦が遂行できる戦力を保有していない…言っている意味が分かるな?」

いいかげんウルリケの話に付き合うのも嫌になってきたので、口を開いてウルリケに折れるように促す。
もっとも多少イラついていたので強制に近い言い方になってしまったが、問題ないであろう。
ウルリケが渋々ながら意見を下げたのを確認し、私はある言葉を口に出す。

「Eine Person gewinnt, die ein Risiko eingeht,…英語ではWho Dares Wins危険を冒したものが勝利する。
私が前の世界のドイツ第三帝國崩壊後にイギリス軍に編入され後に入ったSASの標語だ…部隊の標語はこれにする。
よって部隊の練度も最低でもSASと同クラスを目標とした訓練を行うこととする…何か意見はあるか?」

ゲオルグは厳しい訓練でも問題ないと言いたげな笑みを浮かべ、ウルリケはSASと聞いて口を開く。

「SAS位までの練度を求めるのでしたら、
海兵式訓練を取り入れても問題はなさそうですので、訓練計画に組み込んでも良いでしょうか?」

ウルリケの言葉に私は問題ないことを頷く事で示す。
ハンスとグリーサスの作業終了を確認し、私は4人を引き連れローゼンベルク少佐の待つ機械化歩兵総監室へと向う。


機械化歩兵総監室へと到着した我々は、ローゼンベルク少佐付きの秘書官に案内され総監室の内部へと入る。
ローゼンベルク少佐に対して、この世界での軍隊に組み込まれている私だけが敬礼し
答礼を受けてから気を付けの姿勢で待機する。

「楽にしたまえミュッケンベルガー軍曹」

私はローゼンベルク少佐の言葉に従い、休めの体制になり口を開く。

「ローゼンベルク少佐殿、急な面会を許可していただきありがたく思います。
此度は私が元いた世界からの支援があり、私の後方に居る4名が私に対しての人員の支援になります。
この4名に対する指揮権は私にあり、この世界での上官であるローゼンベルク少佐殿といえども命令することはできません」

ローゼンベルク少佐に少しばかりの嘘をついたが問題なかろう。

「…気になっていた其方の4名は、ミュッケンベルガー軍曹の世界からの支援ということか。
指揮権は軍曹にあるといったが、こちらからの要請は一切聞かないということかな?」

「まず私を通して私が可能だと判断した場合はローゼンベルク少佐殿達の要望を実行させていただきます」

ローゼンベルク少佐は私の言葉を聞いた後、一度小さく苦笑してから私の眼を見つめ直して口を再び開く。

「如何に軍曹いた世界の技術が進んでいようとも、出来る事と出来ない事があるようだね。
軍曹の用件は大体今の話で分かった、4名の身分と立場を保障して欲しいのだね?
…しかしそれは私にとって大変な事であるが、それに見合う対価が軍曹には出せるのかな?」

私は後ろに居たハンスを促し、ハンスは携帯用PCの画面を開きそれを秘書に渡してから元居た位置に戻る。
私は秘書に目線で渡した携帯用PCをローベンベルク少佐に渡すように促す。
秘書から携帯用PCを渡されたローゼンベルク少佐は、画面に表示された事を食い入るように見つめる。

「いかかがでしょうか、ローゼンベルク少佐殿…これでも対価には成らないとおっしゃりますか?」

「見たところ仕様書の様だが、素晴しい性能ではないかこのウォードレスは…だがこの世界でも作成できるのかね?
出来なければ、これは対価とはなりえないのを分かってこれを掲示したのか?」

「それとその仕様書は、あくまでも我々の世界で言う訓練機の仕様書に過ぎませんがこの世界でも
作成可能である最高の物と言って良いでしょう。
しかしながらこの世界の工作機器では訓練機が精一杯ですが、機密保持が出来る物資集積所と
その一帯を確保できるのであれば、元居た世界からの工作機械の支援を受ける事も可能となります」

私の発した言葉に、苦笑の笑みを浮かべたローゼンベルク少佐は秘書に指示を出し、秘書が去った後改めて口を開く。

「其方の4名の身分と立場を保障する為の書類を後で軍曹に渡す。
それと機密レベルの高い物資集積所は、明日完成する第2ハンガーで手を打とう。
その集積所に送られてくる物資を加工する塔は第2ハンガー脇にある同日完成する第3ハンガーを宛てる…これで良いかね?」

私はローゼンベルク少佐の言葉に頷き、肯定を示す。

「ミュッケンベルガー軍曹、物資搬入の際は私とシュナイダー大尉が居る時に行ってもらう」

見られても別段問題は無いのでそれも肯定し、総監室を後にする。
部屋に戻ったところ、秘書からウルリケ達に書類が渡されウルリケ達の部屋の用意も出来た事が告げられた。
秘書が書類に記入漏れがない事を確認し、すべての書類を受受け取り明日には受理されるとの事で
ウルリケ達もこの世界での身分と立場が翌日には確りとしたのである。






新規書き直し版第2話投稿です
データとプロットが、PCが死んだときに飛んでしまいましたので大規模改定というより書き直しとなりました。
プロットまで書き直しとなりましたので、第一話までは修正が効きますので同じですがそれ以降が大きく
変わっていましたので今までのを一話以降全て削除しましたが、これからも遅い更新でしょうがよろしくお願いします。
今話に出て来た勲章の説明をしておきます。
歩兵突撃章は歩兵が銀賞で戦車擲弾兵が銅賞の勲章であり授与条件は
歩兵(擲弾)突撃に三回以上参加した者
歩兵(擲弾)反撃に三回以上参加した者
歩兵偵察任務に三回以上参加した者
歩兵突撃の際に肉弾戦を行った者
断続的な歩兵戦闘の中で三日参加した者

白兵戦賞の授与条件は
銅章、15日の装甲支援なしの近接戦闘に対して叙勲があった。
銀章、30日の装甲支援なしの近接戦闘に対して叙勲があった。
金章、50日の装甲支援なしの近接戦闘に対して叙勲があった。

戦傷章の授与条件は
1回から2回の負傷で黒章
3回から4回の負傷で銀章
5回以上の負傷で金章。
ただし腕や足を失ったり、失明をするなど重大な負傷をした者には銀章、再起不能となった者には金章が必ず授与

柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章の授与条件は
第一級鉄十字章を受賞し戦功を立てて、騎士十字章を受賞し戦功をさらに立て、柏葉付騎士十字章を受賞し戦功を立て、
柏葉剣付騎士十字章を受賞して戦功を立てると貰える勲章です。

受賞条件から考えると…主人公何者!?と思われるかもしれませんが、考えての受賞です。
50日間装甲支援なしで近接戦闘を行った時に3回以上の歩兵突撃を行っていますし、
その時に柏葉剣付騎士十字章をもらえるだけの戦功を立てて無傷で帰還しましたが、この後に不幸が降りかかり7回負傷しましたw
次回は物資到着と訓練計画作製だと思います。
お読みいただいた皆さんに、『メディアの姫君の加護があらんことを』



[16360] 最後の決は 我が任務(ガンパレ世界からMuv-Luv)第三話
Name: 亡命ドイツ軍人◆0cb91e07 ID:1f1f094d
Date: 2011/01/30 18:42
1975年8月9日 ドイツ民主共和国 機械化歩基地 第2ハンガー(建設中) 1000時

真新しい塗料の臭いがするハンガーに、私を含めた6名の男と1名の女が居る。
私は腕時計を確認し、頭の中で物資が転送されるまでの秒読みを開始した。
後10・9・8・7・6・5・4・3・2・1…今。
照明の光のみで照らされていたハンガー内が、先程までの光量とは異なった眩い光を放つ。
眩い光が消え、先程まで空っぽであったハンガー内に二十数個のコンテナが鎮座する。

「驚きましたね…其方の世界では、この様な大荷物を任意の場所にいきなり送る事ができるのですかミュッケンベルガー軍曹?」

シュナイダー大尉は開いた口がふさがらず呆然としているが、コンテナ二十数個がこの場に現れたのであるから仕方が無い。
ローゼンベルク少佐の方は声こそ普段通りだが、今起きた現象に呆然としていた。

「いきなりという訳ではありませんローゼンベルク少佐、送る為には座標の指定やその他多大な労力が要ります。
もっとも多大な労力でも送れるのは、一月にこのコンテナ50個位が限界でしょうが」

ハンスとグリーサスに、ウォードレス用のコンテナを開けるように手で指示しながら言葉を選び答える。
実際はほぼ無制限であるが、あまりこの物資輸送に期待してもらっては困るので嘘と真実を混ぜてある。

少佐に許可を取り、この第2ハンガーに置いてある没収され返還された私のウォードレスを着込み、
コンテナ内の物資を梱包されたままの状態で隣の第3ハンガーへと運んでいく。
その間ハンスとグリーサスは転送されて来たウォードレスの不具合を調べ、問題なかった2機をウルリケとゲオルグに指し示す。
指し示されたウォードレスをウルリケとゲオルグは着込み、私と同様に梱包された物資を第3ハンガーへと搬入する。
ウォードレスを残し粗方搬入し終えた所で、ローゼンベルク少佐とシュナイダー大尉が現実世界に復帰する。
現実世界に復帰した二人をウォードレスの傍まで連れて行き、グリーサスにウォードレスの説明をさせる。

「ウォードレスとは、骨格強化された第6世代型人類用の対幻獣装甲服を指す。
強化プラスチックと人工筋肉で構成されており、此方の世界で言うとしなやかに動く機械化歩兵装甲と言った所だ。
人工筋肉とはそれ単体が1つの生き物であり、液状の蛋白質もしくは炭水化物を代謝して自己の維持とエネルギーと作り出す。
この際機械を通す事で人工筋肉のエネルギーが増幅され、通常の人間一人で成せない事が可能となるが
初期型には稼動可能時間が存在する為、それを過ぎるとただの歩兵として戦った方が戦場の邪魔にはならない
…以上だが、何か質問は?」

「初期型には稼動限界時間が存在すると言いましたが、この場所にある物はどのタイプに当たるのでしょうか?」

「この場所にあるのは、ユーラシア奪還作戦用にマイナーチェンジされた数の上での主力であった初期型です。
改装されたのは主に蛋白燃料の循環器系であり、それにより10日間の蛋白燃料の交換無しで
継続戦闘できるようになっております。
それ以上は蛋白燃料の劣化の関係上継続戦闘は不可能であり、人工筋肉も機能が低下します」

ローゼンベルク少佐の問いにグリーサスはよどみなく答える。
…多少説明が多い気がする。
ちなみに私のフェンリルはフェンリル初期型に改良を加え、設計の再変更が行われた初期改良型の部類に入るが
初期改良型とは言え、設計の再変更が行われている為後期型ウォードレスと同等の性能を確保している。

「…10日間しか作戦展開できないのか、それは汎用兵器としては致命的だな」

シュナイダー大尉は呆れた口調で言う。

「…このウォードレスは生身の人間とは違い、24時間の連続戦闘を行った場合の活動限界が10日間です。
それ以外は人工筋肉の活動を最低限にし、蛋白燃料の循環も最低限にすることが可能…その場合は
状況にもよりますが20日間は戦闘可能ですが、10日間の24時間連続戦闘など人が持ちませんから
継続戦闘期間は20日間と言った所でしょう」

「装着者に対する制限はあるのでしょうか?」

「装着者に対する制限はあるといえば有りますが…この世界においては関係ないでしょう」

ローゼンベルク少佐の質問に答えたグリーサスの答えに、少佐は再び質問する。

「この世界においてとは、どういった意味に当たるのですかなグーデリアン技官?」

「ウォードレスの装着者で、もっとも効率的に運用できる世代が居ないという意味です。
甚大な努力が必要ですが、この世界の人々つまり我々の世界で言う第一世代型人類でも装着は可能という事です」

「第一世代型人類ですか…第一世代ということは他にも世代があるのですかね?」

「第一世代は我々の世界における、オリジナル・ヒューマンつまり人としての原種の事です。
第二から第四世代までは、遺伝子操作を行ってオリジナル・ヒューマンとは外見上の変化はありませんが、
筋力などは上昇しています。
第五世代は、我々の世界で大部分が人類に反逆を起こした為ロストナンバー扱いですので、詳しい事は分かりません。
第五世代の詳しい事が聞きたいのでしたら、ミュッケンベルガーさんに聞くと良いでしょう…唯一の人類側の生き残りなので。
第6世代は、我々の世界での安定した強化クローン兵士で骨格は強化プラスチックでIQは平均470であり、
筋力も大幅に強化され運動能力は常人の10倍とされています。
またウォードレスを最も効果的に扱えるのがこの第六世代になります。
第七・八世代もおりますが、此方は生産数が少ない為詳しいことは分かっておりません。
有る時期から第一世代の繁殖能力が低下してきた為、クローニングが行われそれが後の世代となりそれが我々の
世界の人類となります…最も人類と言って良いのは外見だけになっていますがね」

「…君達の世界の人類は、人であって人では無いと言う事か」

シュナイダー大尉の呟いた言葉がハンガー内に響く。
人であって人では無い…その通りである。
だが我々は、人類であると声高く宣言できる…それがあの世界では普通だったのだから。
ローゼンベルク少佐とシュナイダー大尉は、グリーサスにその後質問する事無く解散を命じた。
私は明日中には訓練計画予定表を、概要でも良いいと付け加えてからであったが…


同日1400時
私は訓練計画を作成する為に敵を知らねば成らぬと思い、ローゼンベルク少佐からこの世界の敵の情報・映像が
纏められた資料を借りてきて、それをウルリケとゲオルグの二人と一緒に見ていた。

この世界の敵の名はBeings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race(人類に敵対的な地球外起源種)
略してBETAであり、主要な種別は要塞級・重光線級・光線級・要撃級・突撃級・戦車級・闘士級の7種である。
我々ウォードレス着用者であるスカウトから考えると、要塞級・要撃級・突撃級は唯の的であり絶好の鴨である。
重光線級・光線級はその射程と精度は脅威であるが、光砲科幻獣を相手にしてきた我々には脆弱目標である。
逆に怖いのは、膨大な数で押し寄せてくる戦車級・闘士級と言った小回りが利き俊敏な小型種である。
…どの世界でも異形共は物量で我々を圧倒するか。

「突撃級は速いだけ、要撃級は攻撃範囲が狭い、要塞級に至っては唯のデカブツ…この程度の敵が高脅威度って残念ね。
重光線級と光線級は正面にしか攻撃できない欠陥兵器ですか…しかも重光線級は、歩兵を舐めているとしか言えない造詣ですね。
闘士級はウォードレスにとっては、あの鼻の筋力は厄介ですが隊列が維持できていれば問題なしね。
一番厄介なのは戦車級…数が多い上に俊敏性も抜群で、戦車の装甲すら砕く強靭な顎を持つか…コボルトより厄介かしら?」

「戦車級・闘士級は俺達歩兵のメインディッシュ!
要塞級・突撃級・要撃級は唯のミンチの材料ですな!
重光線級・光線級は正面に入らなければ問題無しのデザート!…幻獣共の方が厄介で手強く感じるぐらいの簡単さでさぁ!」

ウルリケの呟きとゲオルグの大きな濁声が聞こえてくる。

「二人の意見に私としても同意だな…うみかぜゾンビや、きたかぜゾンビに追われないし、空飛ぶ要塞スキュラもいないし、
対地制圧をかけてくるゴルゴーンのバカの嵐も無い…我々スカウトにとっては、物量差に気をつけさえすればまるで天国だな」

私の言葉に、ウルリケとゲオルグの二人は頷き肯定を示す。
この世界の敵の攻撃方法や種類を確認し終え、部隊で運用するウォードレスの選定にかかる。

「物量は幻獣と同じく敵の方が圧倒的に人類を上回っているのは、承知していると思う。
そこで問題になるのはどのウォードレスを正規装備にするかだ…私としては重ウォードレスを推したいと思う」

「私も重ウォードレスに賛同いたします…重ウォードレスでしたら大口径砲も運用できますので」

「重ウォードレスには賛同しますが、ミサイルネズミと騎兵槍運用部隊用に特殊ウォードレスを推薦いたします」

「特殊戦ウォードレスと言うのは、静寂系統の事か?
あれは脚部以外の倍増率は低く装甲もほとんどないが、隠密性には確かに優れているな。
だがBETAの探知方法が不明であるし、兵の人命を考えてハウリングフォックス系統では駄目か?」

「ミサイルネズミや騎兵槍運用部隊は、この世界においての目標は光線属種となるでしょう。
それまでに運用部隊が損耗しては話になりません、ですので隠密性が優れた機体を充てるのが良いと思うのですが?」

…隠密性を優先し取り敵をやり過ごすのを取るか、人命を優先し損耗覚悟にするかと言う事か。
ハンスとグリーサスの二人に何とか出来ないか聞いてみる必要がありそうだな。
ゲオルグに暫し待つように伝え、内線を第3ハンガーことウォードレス開発室に繋ぐ。

「フリードリッヒです…ご用件を」

「ミュッケンベルガーだ、少し相談したい事がある。
静寂系統の隠密性を維持し、ハウリングフォックス系統の白兵戦機能を持ったウォードレスの作成は可能か?」

「可能かどうかはわかりません。
誰もその様な事を考えたことは有りませんので、一から研究する事になりますから…時間が掛かります」

「何時頃までには可能かどうかが判明する?」

「3・4日中にはグリーサスと纏め上げて見せます」

「了解した…出来たら知らせてくれ」

内線を切り、ゲオルグに向き直る。

「ミサイルネズミと騎兵槍運用部隊についてはまた後日話し合う事にする。
…静寂系統とハウリングフォックス系統の良い所を、美味く合わせられるか検討するからな。
スカウトの標準装備は重ウォードレスでいいな?」

『異議なし』

「さて次は武装だが…重ウォードレスを採用した事により、大口径砲も使用可能となったが此れを如何するかだ。
私としては、40ミリ高射電磁機関砲と20ミリ高速速射ガトリング砲を射撃武装の主軸に添え威力を重視し敵を制圧する。
また弾切れの心配の無い03式熱線砲と、11式熱線機関砲の二つをサブにし弾切れ時の対応を行う。
拳銃は個人の自由にしたいと思う。
近接装備は超高度カトラスをサブとして、後は選択制のハルバートやクレイモアと言った長物を主としたい。
後は工兵手榴弾と煙幕手榴弾で十分であろう」

「大口径火砲しかないのは、補給面で不安ですので12.7ミリ弾を使用するM2を主軸にしたいと思います。
近接装備と拳銃に、射撃武装のサブとして弾切れの無い熱線兵器を採用するもの理にかなっていますし、
工兵手榴弾と煙幕手榴弾も必要と言うのには同意です」

「シュテルエーダに俺も同意するが、熟練した下士官と指揮官クラスには電磁高射機関砲とガトリングを宛てたいと思う。
熟練した兵士と指揮官はスカウトの場合士気を上げる為、最前線の先頭に立っている事が多いよって敵を接近させない為に
武器の威力は必要だ」

「ふむ…フィフティキャリバーか…良かろう、一般兵にはそれでいきたいと思うがシュテルエーダどうだ?」

ウルリケが無言で頷き肯定を示したので、武装面も此れで決定した。
他には何も議題は無いので解散を宣言し、ウルリケとゲオルグは各々の部屋へ帰って行く。
訓練計画は海兵隊式を主軸に空挺訓練も加えられたもので、訓練兵にとっては地獄といって言いものが既に出来上がっている。
はっきり言って脱落者が半数程出るのが、普通と考えられるメニューである。
その訓練メニューに部隊で運用する予定の装備品を沿え、ローゼンベルク少佐の部屋へと書類を携え向う。

書類を渡したローゼンベルク少佐は苦笑しながらも受け取ってくれた。
その時口にしていたのは、『フリードリッヒ君とグーデリアン君に、詳しくあの後話を聞いていなければ許可しなかった』
との事だ…まあ常人にはウォードレスを着るのでも一苦労だから、そう言われるのも当然と言えば当然の訓練計画である。
後は準備が整いしだい配属予定の者を苛め抜くだけである。




第3話投稿です。
今回は準備期間といったところで、此れから本格的にスカウト部隊が始動します。
多分次回は訓練を書くのが面倒なので、配属予定の者との顔合わせかな?
政治将校は着任しますが、修正前と同様に懲罰部隊となります。
懲罰人員でしたら次ぎはありませんので、訓練脱落者も殆ど出ません…半数も脱落させてられないですからね国家戦力的にw


作中で説明されていないガンパレ用語解説
光砲科・幻獣を12科に分けた内の一つで、基本は直脚属であり体の各所にある目からレーザーを発射する。

コボルト・直脚属光砲科のパペット小型幻獣 全高約1M 全長2M 体重70kg
     犬系の獣身を持つ3つ目の幻獣であり、目に一つからレーザーを出す。
1999年8月から戦線に登場した。
     ゴブリンに変わる主力であり、1万5千前後が百体前後のグループに別れ実体化し、徹底して敵の中の脆弱な場所を
     狙う陰湿な攻撃特性を持つ。

うみかぜゾンビ・非骨格群体属寄生科ドール中型幻獣
        戦闘ヘリうみかぜの残骸に寄生し再生された幻獣側の戦闘ヘリ

きたかぜゾンビ・非骨格群体属寄生科ドール中型幻獣
        戦闘ヘリきたかぜの残骸に寄生し再生された幻獣側の戦闘ヘリ

スキュラ・外骨格属浮遊科のドール中型幻獣 体長40M 体重7t
     蹂躙戦を主任務とし1~2体のスキュラが中型幻獣に混じって出現する。
     全長30M程の長い尾ひれを持つ生体飛行船の表面に7種の肥大化した小型幻獣の上半身が寄生している。
     これらの小型幻獣はいずれも生体レーザー及び生体ミサイルを保有し、スキュラからの強力なエネルギーが供給され
     通常よりも遥かに強力な弾幕を構成する。
 全部で14の射線をもち、装甲目標用に主眼に大型の生体レーザー発振機を持つ。
空飛ぶ要塞とも言われ、絶望的な壁に見える装甲の厚さと射線の多さで戦場に君臨し、人類軍の肝を冷やした。 

ゴルゴーン・鳥脚属擬竜科のドール中型幻獣 体長10M 体重45t
      背中に90発の生体ロケットポッドを保有し多長距離砲戦型幻獣であり幻獣の侵攻はゴルゴーン部隊の
      砲撃戦から始まる。
      濃密な弾幕を作る事で人類の部隊を消耗させるのを基本的な戦術とする。

バカ・外骨格属装甲科の小型幻獣であり、ミノタウロス等の中型幻獣と共生している武器化幻獣の一種。
   ERA(爆発反応装甲)として機能する他、中距離戦では生体ミサイルとして敵の追尾し着弾時に強酸を撒き散らす。

静寂・奇襲、待ち伏せを目的として設計された特殊ウォードレス 通称「忍者」。
センサーを強化された頭部は大きく傘を被ったように見える。
温度センサーによる探知を防ぐ体温遮断系を装備し、レーダー探知を逃れるレーダー反射塗料を使用し、
さらに腿部に煙幕発射機を搭載している。
指先にはワイヤーガンを標準装備し、移動・トラップなどに使用できる。
足裏にはかぎ爪が仕込まれている。
装甲はほぼ全廃され、さらに脚部以外の増幅率は低い。

ハウリングフォックス・身長160cm~190cm、重量40kg
強襲降下兵用に開発されたウォードレス。
非常に人気が高いが、装着時間はわずか40分であるが。
しかしながら重装甲と瞬発力を兼ね備え、接近戦闘では無類の強さを発揮した。
人工筋肉の圧迫が激しく、鍛え上げたエリート兵でなければ装備することはできない

可憐・熊本鉱業高校が開発した、日本を代表する重ウォードレス
可憐という名前とは対照的に、恐ろしくいかめしい姿をしているおり、
今次の防衛戦争前に開発されたドレスの中では最高の性能を保有する。
 人工筋肉と逆フィードバック理論を利用した二本の人工腕を持ち、これを自在に扱って戦う姿は阿修羅を連想させる。 
非常に重量があり故に目立った機動力はないが、それを補う豊富な武器装備が可能であり
単横陣による制圧前進をもっとも得意とする。
  その重武装は突出しており、初めて公表された時には開発関係者をあっと言わせた。 
当時のどこを探しても、7.62mm重機関銃を4門装備できるドレスはなかったからである。 
かわりに機動力および防御力は低く、また航続性能も低いと評価された。
しかしながらそれを補うだけの攻撃力があったので、それらは大した問題になりえなかった。 
本機の乏しい機動力を補うために、通常はどの部隊も歩兵戦闘車とリテルゴルロケットを装備している。
  ここまでも分かる様に、本機の高性能は一般にウォードレスにもっとも必要とされる性能であるところの機動力を、
きれいさっぱりと切り捨てている。 
 本機はその優秀性から、はやばやと熊本の各高校に輸出・ライセンス生産が行われ、数々のバリエーションを生んだ。
 バリエーションの中でも特出されるのが開陽高校において独自に開発された、単機で中型幻獣と戦うことが出来るように
出力と武装・安定性を改良した対戦車戦特別型タイプで、<突撃型D(ストライカーD)>と呼ばれ、
実際に中型幻獣戦に運用された。 
この機体は重量比から過剰とも言える火器であるところのフルスケールリニアキャノンを二門装備し
前面に装甲楯を装備したタイプである。 
この機体の運動力は数々の改修で落ちているために小型幻獣戦闘力は低く、これを補うために通常型と混ぜて使われた。 
通常型可憐7機が小型幻獣の露払いをする中、本機が突撃を行ったのである。
その他有名なバリエーションとしては、本国仕様といわれる前期量産タイプAがある。
これは、後の量産型より複雑な機構を有し、脚部を強化。
楯と象徴的な2本の軍刀を装備する騎士の様なシルエットをしており、量産向きでない部品を多用しているものの
性能はA型より高い。
チューナップによっては通常型でも12.7mm弾使用火器の同時運用も可能。
主人公の装着するフェンリルは可憐D型のドイツ第三帝國独自改修機であり、ドイツ人特有の無駄に凝るかつ高性能を誇るが
整備が非常に難しい物と成っている。

ミサイルネズミ・榊ガンパレに登場した要塞陣地内を駆け巡り、穴から顔を出しミサイルでスキュラ攻撃を行った兵士の事

ここまでお読みいただいた皆様に『メディアの姫君の加護があらんことを』



[16360] 最後の決は 我が任務(ガンパレ世界からMuv-Luv)第四話
Name: 亡命ドイツ軍人◆0cb91e07 ID:1f1f094d
Date: 2011/02/26 02:28
1975年8月10日 ドイツ民主共和国 機械化歩基地 総監室 0900時

ローゼンベルク少佐から部隊編成のことについて話があると連絡があり、今私は総監室の控え間にいる。
呼び出した本人は、なにやら党本部から急遽やって来た高官の相手をしており今は居ない。
高官が来た用件は、十中八九私が編制する部隊のことであろう。
…手駒に取り込み自身の札を増やしたいが為に。
高官との話し合いが終わったのか、ローゼンベルク少佐が応接室から戻ってくる。
執務室へ戻ってきたローゼンベルク少佐が、疲れた顔でコーヒーを不味そうに飲んでから口を開く。

「此方から呼び出したのに、待たせてしまったようだな軍曹。
君のウォードレス部隊の事だが、我々機械化歩兵科の手を離れ、国家保安省の歩兵課装甲擲弾兵科として新設される予定である。
それに伴いミュッケンベルガー軍曹及び配下人員は国家人民軍所属ではなく、ドイツ民主共和国国家保安省へと身分が移される。
それと大尉に昇進となる。
編成する部隊だが…囚人兵を主体とした懲罰部隊となる。
しかしながら、私としてはこの決定に納得はしていない」

「新兵ではなく、囚人兵なのは何故ですか?
それと私が国家保安省へと身分が移される理由も伺いたい」

「戦線では一人でも多くの兵を欲している、つまり訓練時での脱落者は余り出したくないのだよ。
囚人兵ならば、脱落した場合次ぎはない…つまり脱落者は殆ど出ず、部隊の編成も速やかに出来ると言う事が前者の質問の
答えである。
後者に関して言えば、君の出身が関係している…国家保安省にはナチスの亡霊である国家保安本部第Ⅲ局・第Ⅳ局つまり
ゲシュタポや親衛隊情報部(SD)の出身者が多い、つまりお仲間がいるからと言う事が第一の理由である。
第2の理由としては私が後手に回り、国家保安省が先手を取り裏で手を回したからとしか言えんな」

私は国防軍出身者であってナチズム信者のゲシュタポやSDの奴等と一緒にしないで欲しい。
そもそも奴等と国防軍は犬猿の中と言っていい位に、国防軍に所属する殆どの人間は奴等を毛嫌いしているのだ。
そういった感情が沸きあがり、私は声を荒げて反論していた。

「囚人兵の件は納得しましたし、亡命者の件も納得はいきませんが理解しました。
しかしゲシュタポやSDと、私を一緒にしてもらっては困ります!
確かに私はドイツ第三帝國の軍人ですが、奴等とは仲良く出来ません!
私はナチズム信望者ではなく、ドイツ国民を守る為に反ナチの国防軍派閥によって誕生したのです!
それがナチズム信者と一緒の職場になる!?…例えそれが国家上層部の判断だとしても、私は拒否させていただきます!」

私の怒声に秘書が何事かと執務室に入ってきたが、ローゼンベルク少佐は何でも無いと身振りで示し退出させる。
私はその行動を見て冷静さを少しは取り戻したが、瞳の色はおそらく攻撃色に変わっており殺気も収めてはいなかった。

「やれやれ…私達は相当毛嫌いされているようで」

ローゼンベルク少佐とは違う声が室内に響き、応接室から大佐の階級章を付けた人物が執務室へと入ってくる。

「…私は入室を許可していないが、シュタージ(国家保安省)は礼儀を知らんのかねハイドフェルド大佐?」

「此れは失礼しましたな、ローゼンベルク少佐。
君は私に会うのが初めてだったね、私はジムゾ・ハイドフェルド大佐だ…君の毛嫌いしているシュタージの者だ」

「大佐だか何だか知らんが、ゲシュタポと親衛隊の奴等と馴れ合う気はない!」

私はハイドフェルドと名乗った大佐に殺気を叩きつけながら答える。
それを奴は肩を竦めながら、微笑を浮かべていた。

「…ハイドフェルド大佐、信頼関係なき者は戦場では役に立ちません。
上層部の大多数には、そういった考えは無いのでしょうな…あるとしたら再考願えるように取り計らっていただきたい」

私は軍の方が良いのでローゼンベルク少佐の発言はありがたい、奴等とは絶対に一緒の職場で働きたくないからな。
しかしローゼンベルク少佐の物言いは、共産主義国では少しばかり不味いのではないのだろうか?

「ローゼンベルク少佐…先程の発言は国家に対する侮辱と考えとも宜しいですかな?」

ハイドフェルド大佐の口元が歪に歪む。

「いいとも、その時は私のヘルマン伯父上に頼るとしよう。」

「ヘルマン伯父上?…それがどうしたと言うのですかなローゼンベルク少佐?」

ハイドフェルド大佐はそれがどうしたと言わんばかりの態度であったが、ローゼンベルク少佐の次の言葉で表情が強張る。

「私の伯父上のヘルマン・ローゼンベルクは、国家人民軍副政治局長の役職についている…いっている意味が分かるかね大佐?」

「わ…私の失言でした!どうか先の一件は忘れていただきたい!
忘れていただけるのでしたら、しかるべき礼もいたしますので!どうかお願いします!」

ハイドフェルド大佐の発言にローゼンベルク少佐の口元が僅かに歪む。
ハイドフェルド大佐がそれに気が付いていない内に、ローゼンベルク少佐は次の言葉を投げかける。

「軍部は最前線で活動できる歩兵部隊を欲して居る…前線の維持や衛士の救出の為にね。
ここまで言えば何をもって礼にすればいいか、ハイドフェルド大佐でもお分かりでしょう?
ああ後、それができなければ伯父上に私が大佐に侮辱されたと言ってしまうかもしれませんね」

ローゼンベルク少佐は、ハイドフェルド大佐に止めの言葉を打ち込んだ…清々しいまでの笑みを浮かべて。
ローゼンベルク少佐の言葉を聞いたハイドフェルド大佐は顔を真っ青にし、急いで執務室から逃げるように出て行った。
しかしながらその顔には、ありありと憎しみの念が見て取れた。

「ハイドフェルド大佐は、礼がなっていませんね…そう思いませんかミュッケンベルガー軍曹?」

先程までのローゼンベルク少佐とは、正反対の何時もの好々爺然とした笑みを浮かべながら私に質問してくる。
その問いに私は、ローゼンベルク少佐の豹変に驚き一時的な苦笑を返すしかなかった。
苦笑を納め問いに答えようとした時、執務室に備えられた電話が鳴りローゼンベルク少佐がそれを手に取る。

「礼儀が成っていないハイドフェルド大佐の母屋からの電話ですか…分かりました此方に廻して下さい。
ローゼンベルク機械化歩兵総監ですが、いったい何の用件ですかな?
…そちらの若造が先に迷惑を掛けてきたのですよ…そうですか、では叔父上にこの事を…何です?
私はついさっき、機嫌がとても悪くなったのですが?…貴方では話になりませんね、もっと上の方を出してください…では」

ローゼンベルク少佐は電話機を荒々しく切る。
それを見た私は、引きつる顔を勤めて平常に保ち声をかける。

「ナチズムの巣窟出身の大佐からの仕返しですかな少佐?」

「彼は上司に有る事無い事を言ったようですが、私としても易々とそれに従う気はないですからね…少し脅してやりました。
無論次の対策はしてありますよ…軍曹には悪いですが、この部屋の会話は全て録音してありますから、それが証拠と成ります」

ローゼンベルク少佐は、どうやら表面上は好々爺然としているが中身は真っ黒らしい。

「私の処遇は如何様になりましたか?」

私が問い掛けたところ再び電話が鳴り、暫し待つように身振りでローゼンベルク少佐は示す。
先程の電話の時とは異なり、朗らかに話しておりそれもすぐ終わる。
電話を切り、私に向き直り口を開く。

「完全に処遇が決定するまでは、ヘルマン叔父上…ヘルマン・ローゼンベルク中将の預かりとなります。
叔父上からの伝言ですが、部隊編成はこのまま進めてもよいとのことです。
部隊員候補の到着予定は、3日後の1400時との事です。
訓練は、陸軍に所属する計画書通りでお願いします。
他の海空宙に所属する場合も有りますので、その訓練計画も入れられるようにお願いしますよ」

「了解しました…礼儀がなっていない者達の事は、考慮しなくても宜しいのですね?」

「所詮奴等も陸軍ですので、問題ないでしょう。
文句を言ってきても、無視すれば宜しい…叔父上以外にも上層部に伝は未だ有りますので、私が握りつぶしますよ。
此れで私も腐った上層部の仲間入りとなりましたが、前線で活動できる歩兵部隊は貴重ですし結果的には良い事でしょう」

…ローゼンベルク少佐、親族の権力を自身の為に使わない貴方は尊敬に値しますよ。
出来うる事ならば、貴方の元で戦果を上げ貴方を将官にしてあげたい位です。

「あ、礼儀知らずのせいで一つ忘れていました!
部隊には政治士官が付くのですが、その紹介を忘れていました…少し待ってもらえますか?」

政治士官…部隊の監視などを担当する軍人の事か、ソ連方面に逃げた者の話だと融通の聴かない無能者が多いらしい。
できれば有能な人物であって欲しいが、無理であろうな。
政治士官について考えていたら、その政治士官様が到着したらしい。

「紹介しよう、此方はシュバルツ・ミュッケンベルガー元軍曹で現大尉だ。
ミュッケンベルガー大尉此方が、貴官の部隊に政治士官として配属されるスティア・ノール中尉だ」

「スティア・ノール中尉です、よろしくお願いしますミュッケンベルガー大尉」

無表情で近寄りがたい雰囲気の女性士官である。
この様な人物は心の奥底に何かを抱えているものである。
その抱えているものは総じて瞳に良く現れる。

「シュバルツ・ミュッケンベルガーだ、私は叩き上げの士官ゆえ訓練では手を抜かせない。
また命令には何があろうとも従ってもらう…例え政治士官と言えどもだ、分かったなノール中尉?」

「…了解しました、ミュッケンベルガー大尉」

互いの挨拶を行い、ローゼンベルク少佐に対し目線で聞きたい事があるのでノール中尉の退室を求める。
それを確認したローゼンベルク少佐は、ノール中尉を退室させ私の言葉を聞く為にこちらに向き直る。

「彼女は優秀なのですか、ローゼンベルク少佐?」

私の問いに、ローゼンベルク少佐は暫し考え込んでから答える。

「負傷して政治士官となるまでの衛士としての任務達成率は76.4%だから優秀な人材だね。
優秀だけど彼女の所属した部隊は、全て損耗率80%を超えている。
それの性で彼女は死神扱いで、今の彼女になっちゃってからは軍の爪弾き物でね、
損耗率に関して問題ない懲罰部隊の政治士官として、配属されたんですよ。
…ここから後は、独り言です。
彼女が配属された表向きの理由はさっきの事ですが、裏向きの理由は彼女の親の意向ですね。
懲罰部隊では死者が多くでるのは当たり前ですから死神扱いも無い、よって彼女の精神も安定すると考えたそうですよ」

「死神ですか…80%なら可愛いものです。
20%も生き残っているではないですか、それだけ生き残っていれば死神は名乗れませんね。
私自身…ある部隊に所属するまで居た部隊は全て私一人を残し全滅しています。
死神という称号は、部隊全滅を何度も繰り返し生き残った者達が背負う称号です。
…彼女は味方の死に耐えられなかっただけの心の弱い人間だと思いますので、軍を退役する事を親には勧めたいですね」

私の言葉にローゼンベルク少佐は、苦笑いを漏らす。
彼自身も薄々と感じた事を言ったからか、漏れた苦笑いであると思う。

「退役を推奨しますか…本来ならばそれが一番でしょうがね、それは親が許さないでしょうし本人もそれを望みません。
まともな親を党上層部に持つ者の中では皆なそういうものですから…そういう人は少ないですがね」

まともな親を党上層部に持つ者の弊害か…これも一種のノブレス・オブリージュといっても良いのだろうか?
しかしあの眼が気になる。
彼女の瞳には生を渇望する光は無く、奈落の様な暗い混濁とした絶望に染まっていた。
…この様な瞳の兵士は総じて死にたがりである。

「優秀と言う事は分かりましたが、あの瞳は気に入らないですな」

「眼ですか?」

私の言葉にローゼンベルク少佐が驚き聞き返してくる。
彼女の雰囲気を先に感じ取ったが故に、瞳の中に有る物を見逃したのであろう。

「瞳です、絶望に染まり暗い闇の底の様な瞳でした。
そういった瞳をしている奴らは、私の経験上…生ではなく死を望んでいます。
彼女が今のままでしたら、兵に関りますので変更願えないでしょうか?」

「…他の政治士官を探し出している余裕は我が国には有りませんし、我慢してはいただけませんか?」

「…彼女は無謀な行いをします、それを成し遂げ死ねなかった場合はもう一度といった具合に何度でも行うでしょう。
それを見ていた兵は憧れ…無謀だと知りながらもそれを行おうとするでしょう。
そうなれば兵の損亡度も上昇して補充が追いつかなくなり、国家防衛にも悪影響となります」

部屋の中に沈黙が訪れる。
ローゼンベルク少佐は瞳を閉じ、私の言った事に対しての自分の考えをおそらく纏めている。

「私としても上層部に伝えては見ます。
期待はしないでくださいよ…彼女の両親は私の一族よりも党上層部に食い込んでいますのでね」

ローゼンベルク少佐は、此れで話は終わりだと言う態度になり私に退室を促す。
私は敬礼をすると共に目礼で礼を示し退出する。



同年8月13日 第3ハンガー内臨時会議室 1410時

待望の部下達が到着した。
軍刑務所出の無法者の部下達が。
出入り口には憲兵が配置され、銃口は部下となる予定の者へと向けられているのが確認できる。
此れで漸く前日に決まった陸軍機械化歩兵課装甲擲弾兵科としての編制が始まる。
我々が入室すると共に、私達が入ってきた出入り口の憲兵が捧げ銃を行う。
我々はそれに答礼し、ゲオルグが大声で命令を発する。

「気を付け!装甲擲弾兵指揮官に敬礼!」

部下となる予定の者が軍靴を盛大に鳴らし、気をつけ敬礼する。
ゲオルグを除いた我々は答礼し、正面から部下となる予定の者をサッと流し見る。
私達が答礼を解いたのを確認したゲオルグが再び大音声で命令を発する。

「直れ!…大尉殿お願いします」

私はゲオルグの命令の後に続いた言葉に頷いてから、言葉を発した。

「私は新設される事になった装甲擲弾兵部隊指揮官シュバルツ・ミュッケンベルガー大尉である!
諸君等は私が率いることになる部隊の候補生であると同時に執行猶予者である…言っている意味が分かるな?
…『ふざけるな!お前はいったい何様のつもりだ!?』…」

私が喋っている途中に野次を飛ばした馬鹿がいた。
憲兵にそいつを引っ立ててくるように指示を出す。
憲兵に両腕を抑えられ3名が私の前に連れてこられる。

「右から囚人2998号・7824号・10341号です大尉殿」

連れてこられた者達を務めて冷徹な眼で見遣りながら、憲兵にある事を聞く。

「この者達の刑罰は?」

「はッ!10341号以外は銃殺刑です大尉殿。
10341号は懲役5年であります」

憲兵の言葉を聞き、ホルスターの留め金を外す。
私の行動を見た憲兵は、囚人2998号と7824号をきつく抑える。
ホルスターからツェリスカの予備として持っていたモーゼル・ミリタリーを引き抜き、
両者の頭部に9mmパラベラム弾を続けざまに撃ち込む。
乾いた銃声が響き、両者の頭部が弾け赤と白が混じった液体が飛び散り憲兵の服と床を濡らす。
暫し痙攣した後事切れた両者を私は一瞥し、奥の出入り口に近い憲兵に事切れた両者を指し示す。
その憲兵がボディーバックを持った人物と両者を素早く回収し、囚人10341号と共にこの場を去って行く。
…囚人を率いるに当たり上層部から厳命された事とは言え、無抵抗の者を撃ち殺すのは実に不愉快である。

「…3名の兵を失ったのは実に残念だが、此れで諸君等が置かれている状況が分かったであろう。
諸君等には選択権は存在しない、私が不要と判断した時点で刑罰が実行される…先程の愚か者のようにな」

先程とは打って変り、この場は静寂に満ち溢れていた。
それを確認した私は、部隊の説明を始める。

「装甲擲弾兵部隊とは何か諸君らに説明しよう。
諸君等は機械化歩兵部隊のことは知っているだろう、あの部隊は閉所では行動しにくい上に前線での活動は困難を極めている。
装甲擲弾兵部隊は、それらの欠点を解消する事を目的として新規兵装を装備した部隊である。
我々の活動場所は最前線…BETAと血で血を洗う事を求められている。
如何だ嬉しかろう?」

静まり返った仮設会議室に居る部下予定の者達からの反応は無い。
それはそうであろう…醜悪なBETAと殴り合えといわれているのだから。
私は顔色が蒼白になっている部下予定の者達を一瞥し、口元に醜悪な笑みを作りながら言葉を続ける。

「声が出せないほど嬉しいか、それは大変結構な事だ。
訓練は明日の0700時から開始するが、0000時まではこの部隊に入隊する事を拒否する権限を与える。
入隊拒否者は憲兵に申し出る事…最もその場合は刑罰がすぐさま執行される事となる。
戦って死ぬ事を選ぶ者が多い事を私は願っている…以上だが、何か質問事項は?」

「フ…フレデリック・ローウェン二等兵でありますが、ひ…一つだけ聞いても宜しいでしょうかミュッケンベルガー大尉殿?」

誰も質問しないと思っていたが、どうやら聞きたい事がある奴がいたらしい。
手を挙げた者に支援が集まり、私もその者を確認する。
若いあどけなさを残した青年である…年の頃16~7といった所であろうか。

「宜しい許可する」

「この部隊に入隊し、戦死した場合は家族に遺族手当ては出るのでしょうか?」

遺族手当てか…私が説明するより党の指導員であり政治士官であるノール中尉の方が、説得力があろう。
私はノール中尉に視線を送る。
ノール中尉は私に一礼してから、前に出て先程の質問に答える。

「当部隊の政治士官を務めるスティア・ノール中尉である。
先程の質問であるが戦死者遺族手当ては、一般部隊よりは4割ほど軽減されるが支給される事となっている。
また他の懲罰部隊とは異なり、訓練を完了した時点で同じく4割ほど軽減されるが一般部隊と同種の保障が約束される。
しかしながら訓練課程終了後部隊に配属され、再び罪を犯した場合は有無を言わさず死刑となる。
…此れで宜しいかローウェン二等兵?」

「あ…ありがとうございました!」

ローウェン二等兵は先程の青白い顔とはうって変わり、その眼に一つの決意が見えていた。
彼の質問の答えを聞いて、同じように決意の色が見える瞳になったものが何人も居る。
…部隊員候補が全て居なくなる事はどうやらなさそうである。
その後暫く待ったが、他に質問も無い様なので解散を宣言した。
仮設会議室から憲兵に連れられて彼等が出て行く。
私達も今後について少し話した後解散した。


解散した後外を歩いていた時に懐かしい感覚がした。
前の世界で何度か会った事のある、良き神々の居る場所へと近づいた時の様な感覚である。

「新しい世界の少年を鍛える為に来てみれば、懐かしい者に逢ったようだ」

ペンギンである…コートを着た煙草を吸っているペンギンである。

「白にして黄金か…どうやってこの世界に?」

「旅をしていたら偶々この世界にな…移動は出来るから問題は無いぞ」

「移動が出来る…ハードボイルドだからか?」

ペンギンは頷く…何でもハードボイルドで済ますとは、何時も通りのペンギンである。

「む!?連れていた従者達は如何した?」

「黒き月で散ったよ…皆人を守る為に」

私の言葉を聞き、ペンギンは暫し眼を瞑り嘴に銃(ベレッタ)を当て祈る。
ペンギンは祈りを止め、心を籠めて声をあげる。

「ゴットスピード!よきゆめに付き従った幻獣達よ!」
「ゴットスピード!我勇敢なる輩にして従者達よ!」

私もペンギンの声にあわせ、最敬礼の状態であらん限り心を籠めて声を上げる。
我々の言葉にこの世界のリューンが、優しい風で我々を癒す。
癒しの風が吹く中、ふと心にあることが浮かびそれを口に出す。

「鍛えるべき少年が見つかったのなら教えてくれ、白にして黄金の友よ」

「何故知りたがる?」

「その者が良き友となるかを知りたい…いや違うな、我身技を持ってどれ程の者か調べてみたいとでも言おうか?
私にも良く分からないが、心がそう望むんだ…この世界で鍛えられし者を試しその覚悟を見よと」

私の言葉を聞き、ペンギンは笑う。

「黄にして東雲が、その心が期待するならそれに答えなくてわな!
良いだろう、鍛える少年を見つけその少年を鍛え上げその暁には知らせよう」

ペンギンの言葉を聞き、私も笑みを浮かべ答える。

「メディアの姫君の様に、偉大な嘘つきで偉大な魔法使いである心優しき者となるか、
今代のシオネ・アラダの様に唯一人の女性の為に生きる人外の伝説にして、豪華絢爛たる光の舞踏の様になるのか
楽しみにしているぞ、白にして黄金よ!」

私の言葉にペンギンは去りながら羽(手)を挙げて答える。
それを見送る私は来るべき未来が楽しみで、胸中が一杯になっていた。





第4話更新です。
ペンギンが出てきました…分かる人には分かるペンギンです。
カッコいいよねあのペンギンさん…赤マントのネコさんも好きですが。
主人公のオーマは黄です…絶技を使わず身技で戦うって主人公にピッタリでしょう。
殴り合いが得意な主人公ですからね。
次回は訓練すっ飛ばしての小規模戦闘となるかと思います。


今回出て来た無名世界観用語集

○にして○○ オーマネームであり最初の○にはオーマ色が入りその後にはオーマ内色が入る

オーマ  体系化されたある種の学問であり、技術体系見たいな物でもあり、一つの文化・文明・思想・血縁・地縁でもある。
     7つのオーマがありそれは互いに競い合っている。
     今回出て来たオーマは白(リン)と黄(セマ)である

リューン 精霊的な何かであるとしか分かっていない

シオネ・アラダ 万物の調停者もしくは至高のアラダという意味の人族に与えられる称号
        神々と人の仲立ちを行い至高の歌い手や思考の調停者とも呼ばれる。
        互いに反目するオーマのまとめ役であり唯一人のオーマ七体系の筆頭
        オーマのバランス上最小の勢力から選ばれるがその勢力が最弱とは限らない
        今代のシオネ・アラダはガンプ(青)オーマの出身である
        断りがない場合は先代のシオネ・アラダの事を指すことが多い

メディアの姫君 偉大な嘘つき・偉大なる魔法の女王であり先代のシオネ・アラダである
        歴史内で5指に入る最強のアラダでもあり、千億を超えるリューンを使う無視無欲の優しい女性でもある
        すべての神々にその力を認めさせ神々との盟約を作った人物でもある

リン(白)オーマ 全てのオーマの源流である
         属性は純潔と制御 オーマシンボルは鎖に繋がれた純白のドレスのオーマ 武楽器は琴弓
         高い適応能力を持ち、他系統の絶技も使用できる
         七つのオーマの中で最弱と言われているが決して弱くなく、ガンプオーマから見て弱いだけである

セマ(黄)オーマ 絶技を使わずその身技を使って戦うことを信条とするが、その身につけた技は絶技とほとんど変わらない
         属性は未来と挫折 オーマシンボルは突き立てた拳のオーマ 武楽器は管爪

絶技 絶技を使える者からの伝授が必要であるが精霊回路を刻むことによっても使用可能
   音声命令や魔法の呼び方が異なる同じものである

ここまでお読みいただいた皆様に『メディアの姫君の加護があらんことを!』


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.04658317565918