ささてさてやって来ました、ミッド北部にある『第50番隊隊舎』。
かなり年季が入っています。
なんでも、管理局が出来た当時からある建物を使用しているらしい。
隊舎を建て替えるほどの、予算が回ってこないそうな。
陸は予算が少ないらしいからなぁ。
リリカルなのは
蝶の羽ばたき
まずは挨拶をと、コンコンと隊長室の扉をノックし、
「入れ」
との声を確認したあと、失礼しますと入室する。
その姿を確認したとき俺は、一瞬固まってしまった。
なぜなら、目で書類を読みながら、こちらを向いた男が、レジアスだったからだ。
しかし、本編より大分若い。
大体三十路前といったところか。
隊長室で作業をしているところを見る限り、この隊の隊長はレジアスなのであろうが・・
しかし、なんで隊長やってんだこの人?それに何で若いんだろうか?
そんな事を考えつつも、とりあえずは挨拶をしないと、
「イスト=ヴィッツ准尉です。本日からの着任の為の挨拶に参りました」
「そうか、よく来てくれた」
そう言ってきた。
「私はレジアス=ゲイズ三等陸佐だ。この時空管理局陸士50部隊の隊長を勤めている」
本編より大分若いのに、やたら威圧感があるのはなぜだろう。
「我々、時空管理局における陸士隊の主な任務は、文字通り地上の平和を守ることである」
俺ははいと頷く。
「しかし、現在、海の介入等により、陸は深刻な人手不足に陥っており、上手く機能しているとは言いがたい状況だ」
確かにその通りだと、士官学校の授業で理解していた。
「特に我が隊は、士官学校から説明があったとは思うが、一番魔道師ランクの高かった隊士が海に引き抜かれた事と、任務中の怪我により、数名が動けない状況だ」
聞けば聞くほど、本当に悲惨な状況だというのが解る。
「よって、士官学校出立ての新人だからといって、訓練を満足にすること無く、任務に投入せねばならない」
猫の手も借りたいとはこの事だな
「よって、これだけは、確認して置かなければならん」
「はい。何でしょうか?」
「ここでやっていく覚悟はあるか?」
そう言って、真剣な目でこちらを見つめてきた。
これが、中将まで上り詰める男の目か・・。
ならば、こちらも嘘偽り無い言葉で答えないとな。
「私は、両親の『何所に行っても、自分に恥じぬよう全力を尽くしなさい』という言葉と心を持って、今ここに居ます」
と、答えた。するとレジアス隊長は
「そうか、試すような真似をして悪かった。
明日の朝、朝礼の時に紹介する予定なので、今日は隊舎全体を回って、何所に何があるか位は把握をしておいてくれ。
それでは、イスト=ヴィッツ准尉、今この瞬間からお前は我が隊の一員だ。下級とはいえ自身が士官であるという事を忘れずに、これからの任務に励め」
了解しましたと、そう返事をした後、一礼して退室した。
次に向かったのは、他の部隊の隊員が待機している部屋に行き、誰だと聞かれたので、自己紹介。
無難にこなせたと思う。
ただ、包帯を巻いている人が数人居たことと、部隊全体の空気がピリピリしていたのが、少し気になったところだが。
これからどうした物かと、その場で突っ立ていると、
「イスト=ヴィッツ准尉、隊舎の中は、もう回られたのでしょうか?」
と自分より少し年上の局員に話しかけられた。
キリッとした目が印象の知的美人といった感じの外見だ。
しかし、服の上からでも、鍛えられた体をしているのが解る。
そんな俺の視線を気にしたのか、目の前の局員は
「えっと・・、なにか?」
そう言って、不審そうな目でこちらを見てくる。
「すいません、良く鍛えられた体だなと思って。
隊舎の中はこれから回るところです」
と答えると、その局員は
「なら、私が、隊舎の中を案内しましょうか?」
と、言ってきた。
「そのお言葉はありがたいのですが、仕事はよろしいのですか?」
隊舎に詳しい人がいてくれた方が助かるが、業務に支障が出てはいけない。
そう思って聞いてみると
「大丈夫です、休憩もかねてですから」
と返事が返ってきた。
「それならお願いします」
「はい。そういえば、挨拶が遅れましたね。
私はアイシス=アクシオと言います。
階級は二等陸士です」
改めて、よろしくお願いしますと頭を下げる。
そんな様子を二等陸士は少し笑った顔でこちらを見ていた。
それからアイシス二等陸士に連れられて、隊舎全体を見てまわる事に。
しかし、改めてみてみると本当にボロボロだな。ところどころにひび割れが起きている。
「しかし、准尉も大変なときに来られましたね」
「そうなんですか?」
「この地区は今、かなり治安が悪化の一途をたどっています」
改めて念を押されるほど酷いのか・・。
「部隊長もそう言ってましたね。でも覚悟の上です」
こんな所で怖気づいていては、この先やっていけないからな。
そう返事をするとアイシス二等陸士は
「そうですか、これから共に戦う仲間として期待していますよ」
と言ってきた。これはがんばらないとなぁ。
「期待にこたえられるよう精進します。ところで、あとでこのあたりの地形のデータと犯罪の起き易い場所などの詳しい情報を送ってください」
そう言うと、少し驚いた顔をした後、
「仕事熱心ですね」
そう言って、またこっちを見て微笑んでいた。
隊舎の案内が終わった後に、アイシス二等陸士に、
「とりあえず今日は、自由に隊舎の中を見て、大体の場所を把握しておいてください。
訓練は明日からになります」
「よろしいのですか?訓練を行わなくて」
と尋ねてみると、
「幾ら人手不足とはいえ、初出勤でいきなり初出動は有り得ませんから。
まずは隊に慣れる事を優先してください」
と言われたので
「解りました」
と、いって二等陸士に情報をもらったあと、部屋に戻って情報の整理を行う事に。
とりあえず、少しこのあたりの情報を把握しておかないと。
もらったデータを確認したのだが、ここは、思っていた以上に治安が悪い場所だった。
ある程度は仕官学校で聞いていたのだが想像以上だった。
未熟な俺では、任務でいつ死んでもおかしくないという状況である。
父にも連絡を取って、ここのことは知っているのかと聞いてみた所、実は父は、ある程度ここの状況は聞いて知っていたそうな。
その事で父に、情報収集不足だとお説教を食らった。自分で調べて自分で考える事を学んでほしかったというのもあって話してくれなかったらしい、
「情報を集める事は、生き残るために、もっとも必要なものの一つだ。正確な情報があれば在るほどお前だけでは無く、お前の隊全体の生存率が上がる。
以後、同じ事を繰り返さないよう、気を付けるようにイスト准尉」
「解りました、フィールダー一等陸尉」
「お前が死んだら、悲しむ人間が居ることを忘れるなよ」
そう言って父は連絡を切った。
確かに父の言うとおり、俺はここに所属するにあたって、ほとんど情報を集め無かった。
正直、隊の名前くらいしか把握してなかったしな。
その為、レジアスが部隊長であることも知らなかったし。
以後気をつけよう。
そういえば、レジアス隊長がなんで若いんだろうか。
ひょっとして、アニメの時期より前なのか今?
そもそも、俺は熱心なファンじゃなかったから、何年に起こったとかまったく覚えてない。
というか、俺の原作知識って大まかな事柄を把握している程度だからな。
あとで、PT事件や闇の書事件を調べておくかな。
とりあえず、資料の整理が思っていたよりも速く終わったので、今日は無しと言われましたが、訓練をしますか。
さてさて、やって来ました訓練室。
俺以外も結構人が居ます。
訓練室の使用方法を教わり、早速訓練を開始。
まずは最初にすることは、父からもらったデバイスの試運転である。
このストレージデバイス『ザクス』は、安定性に優れ、かなり頑丈な代物だ。
しかも、安定性のわりに、拡張性もそれなりにあり、その上メンテナンス性も高い
それに加えて、製作会社や、デバイスのパーツ専門のショップなどから
記憶容量や、並行処理能力など、かなりの種類のカスタマイズ用のパーツが、お手ごろ価格で発売されているなど、至れり尽くせりなものだ。
士官学校時代に支給された訓練用のデバイスに比べて少々重いが、それでもかなり近使い勝手のよさそうな代物だ。
実際に魔力を通してみると、まだ俺用には微調整はされてはいないが、それでもいい感じに魔力がデバイスに伝わっているのが解る。
それじゃあまずは射撃魔法を試して見ますかと、まずは軽くシュートバレットを一発的に向かって撃ってみる事に。
今までの感覚通りに魔法を発動させて見ると、凄い事が解った。
発動までの時間がぜんぜん違うのだ。
今までの約三分の二位の時間しかかってない。
しかも、今までと同じ魔力量でAー判定の威力である。
テンションの上がった俺は、一気に四発起動させてみる
ここでさらにビックリ。
魔法の並列使用における負担が、かなり違うのである。
これならもう二三発位は同時に起動させることが出来そうだ。コントロールが効くかは疑問だが。
まぁそれは、後の楽しみに取っておくとして、砲撃と拘束も試してみますかと起動させてみる。
試した結果、どちらの魔法も今までの魔力消費で威力と発動スピードが三割増という、凄い結果が出た。もう、このデバイスに夢中である。
これを選んでくれた両親に、後でお礼のメールを送っておこう。
さて、今から訓練を開始するのだが、問題はどう訓練するかだ。
これからの、自主錬の方向性で自分の局員としての生き方が決まる
簡単に言えば長所を伸ばすか、短所を無くすかだ。
長所を伸ばすのなら射撃をさらに上げ、短所を無くすのなら空戦技術を上げる事で凡庸性を高める。
普通に考えれば、後者なのであろうが、俺はあえて射撃を訓練することにした。
なぜなら、未だに高町なのはには程遠いからである。
しかし、我ながらマルチタスクが苦手な為、同時に魔力光弾を操る能力が低い。
今の俺では4つを超えると、コントロールがほとんど効かなくなる。
俺の射撃適正は攻撃力に繋がる魔力圧縮に偏っている。
殆どの人は大体、どちらか一つなのが普通ならしい。
威力と同時操作を同時にこなす才能を持つ高町なのはが異常なのだ。
ということで、この度、入局を機に、方向を転換することにしたのだ。
クロノである。
クロノの使っていた魔法に一発の魔法を操作しながら、複数の敵を貫通する魔法が合った事を、覚えていたのだ。
同じことが出来そうな魔法を調べてみたところ、どうやらスティンガースナイプというらしい。後もう一つ、クロノが使ってたっぽい魔法で、スティンガーレイという、威力こそ低いものの、貫通力と速さに優れた魔法も訓練するつもりだ。
とりあえずはと、さっそくスティンガースナイプを使ってみたのだ。
使ってみた感想はというと、クロノもたいがい化け物だというものだった。
この魔法、使用魔力量こそ、それほど多くは無いものの、操作が半端じゃないレベルで難しく、俺の今の技術では到底使いこなせる魔法では無かった。
加速は出来ても、急停止や右折左折などの方向転換でタイムラグがある。
それにスティンガーレイの方も、発動速度や発射速度、貫通力などが足りていない。
二つとも,このまま実戦で使用できるレベルには達していない。
今のところは封印しておこう。
というわけで、俺が今日から訓練するのは、
『魔法操作』『発動速度』『発射速度』『貫通力』の四つだ。
とりあえず、基本魔法のシュートバレットで、その四つを訓練して、基礎能力を上げることにする。戦闘でも主にこの魔法を使用する事になるだろうしね。
また長いスパンで修行することになるだろうなぁ。
とりあえず、先ずは発動速度から鍛えますか。
結局その日は訓練法を考えることに費やし、デバイスを整備スタッフに預け、局員第一日は終えることとなった。
次の日の朝、レジアス隊長による、部隊全体を集めての朝礼が行われた。
普段は毎週一回のペースで行われているらしいのだが、今日は俺が入ったということで臨時で行われる事になった。
レジアス隊長の横で改めて、隊全員に挨拶を行った。
50番隊の隊員は、戦闘員32名と非戦闘員15名の二つを合わせて47名だ。
俺は、その中のスフィア小隊に所属することになっている。
小隊長は、階級は曹長で、何年も勤続しているベテランだそうな、
アイシス二等陸士は、その小隊の所属だそうな。
昨日案内を申し出てくれたのは、俺が配属される事が判っていたというのもあるらしい。
この小隊には今、アイシス二等陸士ともう一人、小隊長の2人しか居ない。
何でも、この隊に所属していたA+の隊士が、この間海に引き抜かれたことと、それに加えて、その穴を埋めようと無理して、大怪我を負った隊士二人が入院中だかららしい。
とてもではないが、小隊として機能しているとはいえない。
朝礼の後は、小隊ごとにミーティング。
これからの予定などを聞くことに。
二等陸士に連れられて、小隊の待機所に行くとラテン系の血がはいってそうな男が一人待っていた。どうやらこの人が小隊長のようだ。
「俺は、ラクティス=カローラ曹長だ。これからよろしく頼むぜ」
と、挨拶してきた。どうやら見た目の通り、明るい感じの人のようだ。
「よろしくお願いしますカローラ小隊長」
と返事をする。すると、カローラ曹長は
「硬いね~。ラクティスでいいぜ!」
「解りました、ラクティス小隊長」
と言う風なやり取りをしている。うまくやっていけそうだなと考えていると、アイシス二等陸士が
「ラクティス小隊長、階級が上の相手いきなりなんて口の聴き方をしているんですか!」
と言ってラクティス小隊長を怒り出した。
「へーい」
と、まったく反省の様子が無い。
ゆるい小隊長と、真面目な隊員の、凸凹コンビって感じだなと考えていると、アイシス二等陸士が、此方に向きながら
「准尉もです!階級が下の相手の口調がおかしい事をアッサリ流さないでください!」
とこっちにも説教を始める。
「いや、僕が部下になるんですから、それが普通なんだとおもって・・・」
しどろもどろになりながらそう言葉を返すと、
「階級がなんの為に有るかを、考えてください!」
と言って、怒られた。
それからしばらく二人そろって怒られた後、改めてミーティングを開始する事に。
「改めて伝えておくが、うちの小隊は本当に余裕が無い。
今この小隊の活動は、他小隊の援護以外、満足に行えない状況だ。
その為、本来ならば、新人は二ヶ月は基礎トレを行った後に、任務に就くことになるのだが、お前の場合、その時間をとることは先ず無理だ。」
そう言って、小隊長は真面目な顔で此方を見てくる。
こういう状況では真面目な人なんだなと思いつつ、
「この状況では仕方が無い事と思います」
と、俺は返事を返す。
「だが、幸いなことに、お前は、遠距離からの攻撃を得意としており、クラスも送られてきた資料によればB+ランクの威力を持っている。遠距離戦に限って言えば、ここでは即戦力クラスだ。
というわけで、お前の魔法訓練は、余裕のできるまでの間、射撃の技術を磨く事に専念してもらう。」
即戦力って、文字通り本当に即戦力なんだなと、改めて理解した。
「今現在でB+なんだろう?これから努力しだいでは、もっと伸びるさ」
と、親指を立てながらこちらを見てくる。
そんな様子を見ながら、俺は
「努力します」
そう返事を返した。
思っていた以上に期待されてるみたいだな・・・。
ミーティングの後、早くなじむ為という理由で、小隊メンバーの前でだけは気軽に喋ると言う風に決まった。正直、局員に成り立てなのにいきなり敬語だと、こっちも非常にやりずらい。
アイシス二等陸士も、小隊メンバーの前でだけは先輩と呼ぶ事に決まった。
まぁ、決まったあとも向こうは敬語で話しかけてきてたけど。
俺の訓練メニューは、午前中は筋トレで、午後は射撃訓練に費やされることになった。
訓練初日であるにも関わらず、午前中の筋トレは、思っていた以上にスパルタだった。
何でも早ければ、俺は来週中にも、任務に投入される予定らしいからだ。
そのため、最低限死なないようにするため相当きついメニューを組んだと、小隊長は言っていた。
筋トレが終わったあとに射撃訓練を開始する。
先ずは二人に、俺の使える射撃魔法を見せることになった。
調整を終わったザクスを構え、シュートバレットを一発発動させ、的に向かって撃ってみる。
判定は昨日よりさらに上がってAランクだった。
「おい、なんか聞いていた話と違うぞ」
小隊長がこっちを見ている
昨日、新しいデバイスで試してみたら、今までよりもいろいろ能力が向上していたんです。今までの数値は士官学校の支給品で出た数値です」
「新しいデバイス?少し貸してみろ」
そういって、俺のから小隊長がデバイスを受け取って観察している。
「これはザクスか。なかなか良いものを持っているのだな。」
「はい、両親が管理局に入る時の祝いにと。陸士お勧めの品だと父は言ってました」
「そうか、そういえば、イスト准尉の父親は、一等陸尉だったな」
そういえば全力で撃ってなかったと伝えると、撃ってみろと言われたので一発撃ってみた。
判定はA+。
二人ともかなりビックリしていた
次に速度と操作性能、そして発動速度を計ってみることに。
四発を同時起動させ、四つの的に命中させる。
すると出た判定は威力A-速度A操作性能A-発動速度B-だった。
隊長曰く、これだけできればこの段階ですでに、射撃に関して言えばAランクだそうな。
ちなみに、ついでに砲撃と拘束も計ってみたのだが、こちらもあがってどちらもC+だった。威力はともかく、発動速度が、どちらも遅いのがランクが低い理由らしい。
俺の魔法は、発動してから狙い打つまで、やたらと時間がかかるからなぁ。
飛行魔法?現状ではまだお察しくださいレベルだ。多少速度が速くなったところで、技術が追いついていなければ、大して変らないからだ。
とりあえず、昨日考えていた通り、これからの訓練では、弱点である発動速度を鍛えたいのですがよろしいですか?と聞いてみると、OKとの事。
了解を得たので早速開始。
訓練としてはやることは簡単だ。
的に向かってショートバレットを放つ。
一分間に、何回唱えることが出来るかをチャレンジするだけ。
現在、俺が一発を放つのにかかる時間は、呪文発動まで4秒、敵を認識するのに3秒、放てとデバイスに伝えるまでの2秒の計9秒だ。
したがって1分間に放つことが出来る魔法は6回だ。
その回数を増えれば、発動速度が上がっているという事になる。
というわけで、俺はその日から、発動から発射までの動作を、魔法訓練の間中、ずっと繰り返すことにした。
小隊長とアイシス先輩は、向こうで近代ベルカ式のデバイスを装備しながら、肉弾戦の訓練を行っていた。今の俺では目で追うのがやっとのレベルだ。
正直、拳で語り合っている二人が羨ましかったりもするが、仕事に好き嫌いは無しだと自分を叱咤しながら、訓練に集中した。
訓練の後、用事があるので失礼しますといって、アイシス先輩と別れて、小隊長と二人で飯を食べる事になった。
「聞いてはいたが、恐ろしくバランスの取れてない魔道師だなお前は」
そう言って、小隊長は笑っている。
「射撃ばっかりやっていたもので」
我ながら偏りすぎて入るなと自覚はしている。
「まぁ、そのお陰でお前が着てくれたんだから、そのヘンテコぶりには感謝しないとな」
そう言って、笑っている。
「買いかぶりすぎですよ」
「そうでもないさ。実際の話、陸の魔道師で、一部とはいえ、技能がAランク超えている人間はかなり少ない。俺だって陸戦B+だからな。アイシスだって陸戦C+だ」
「そうですか・・・」
実際のところ、凄いといわれても、なのはやクロノを知っている俺としては、自分のヘッポコ加減には泣けてくるんだがなぁ。
「なんにせよ、お前は、お前が思っている以上に期待されているって事だ。
何せ、久々の士官学校出だからな。
これからよろしく頼むぜ」
そう言って、こちらを見てくる。
「はい、よろしくお願いします」
俺は、上司に恵まれたようだ。
デバイスを整備スタッフに預け、自分の部屋に戻った後、俺の知っている事件についてネットで調べて、わかった事が一つある。
最後に起こった闇の書事件は、二十年近く前だった。
レジアスが部隊長をやっている事から考えて、今はクロノの親父さんの死んだ、前の闇の書事件より前なのだろう。
おそらく、これから何年かの間に、はやての前の主が起こす闇の書事件が起きる可能性が高い。
ということは、局員である俺は、人殺しをなんとも思わない、闇の書の守護騎士達と戦わないといけない可能性がある。
Sクラスの戦いに巻き込まれるなんて想像もしたくないし、俺程度の魔道師を、守護騎士達との戦闘に投入するとは考えにくいが、自衛の為強くなっておかないといけない。
しかし、何年に何が起こったとかちゃんと把握して置けばよかったな。
あれ?そういえば、なんかもう一個、昔に起こった事件があった気がするが・・・。
たいした事が無いから、きっと忘れているんだろう。
後書き
改定しました。
主にラクティスとアイシスの事と、イストの階級を准尉に変更しました。
しかし、階級が一気に上がると直さない箇所がかなり増えたORZ
立場が大きく変わったことにより、周りの対応が変わったのがやっぱり原因かなぁ