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[17149] (ネタ)~勝手に魔改造~(NARUTO・オリ主転生・一部TS・チート・過積載)
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/09 21:53
 よくぞ。
 良くぞ間に合ったと自分をほめたい。
 孤児院に隠された地下室を見つけ三年。
 わずか六歳の身では材料を集めることすら困難だった。
 失敗した回数など数えるのも馬鹿らしい。
 俺をこの世界に転生させた悪魔――メタトロンと名乗る悪魔から貰った、『天狗眼』をもってしても作業は難航を極めた。
 そもそも術の基礎理論から学ぶところからはじめたのだ。
 禁術を超える忌術とも言うべき『穢土転生』、それを更に発展させた『尸解仙転生』をたった三年で構築したのは奇跡とも言える。
 しかし、この部屋を見つけたとき――『穢土転生』の理論と大蛇丸が実行しようとした転生体を呼ぶための媒体を見たとき、俺はこの妄想ともいえる難事に取り付かれた。
 そして三年。
 忍具にも使われるチャクラを通しやすい物質と、膨大な符で作られた三体の人形の間に立つ。
 部屋を覆うように書き敷き詰められた呪文は、すべて俺がチャクラをこめながら書いた血文字だ。
 俺はゆっくりをめを開くと人形を凝視した。
 そして眼にチャクラを廻し集中していくと膨大間文字と数字の羅列が見えてくる。
 これこそが俺が悪魔に貰った『天狗眼』の正体。
 六道より外れたる外道の力。
 世界より外れるゆえ世界に干渉できる力。
 天狗眼の『世界の根源を見て改変する力』を使い、人形に膨大な仙気を集めていく。
 仙気――外気、外功とも呼ばれる森羅万象を司る大いなる力だ。 固めたものを仙丹などと呼び、これを頓服することが仙人に至る一つの道である。
 そして、尸解法とは仙人に至る至高の方法。
 仙気を体内に入れるのではなく肉体を捨て去り、新たな体を仙気自体で練り上げ作り出す途方もない術であり、その核として口寄せ穢土転生を用いて、人形の中心に埋め込まれた陰陽八極の思想から作られた珠に封じる。
 人形はその過程で霊山に匹敵する莫大な仙気を圧縮し留める器であり、穢土転生の生贄とする小動物の檻でもある。
 余談だが生贄は身代わり用のウサギで、霊格は通常であれば人間に遥かに劣るが、天狗眼を使い底上げしている。
 閑話休題。
 影分身三体にそれぞれの起動印を任せ、まるでオーケストラの指揮者のように天狗眼を使い術を調整していく。
 天狗眼を使い自らのチャクラ容量。 チャクラ運用能力。 術理解力。 など片っ端からドーピングしているので行えるが、素の状態でこの術を起動したなら一秒と持たず失敗していただろう。
 術難易度で言えばトリプルSクラス。
 スペランカーを足で操作しながら1回も死なずクリアーする難易度と言えば分かるだろうか?
 とにかく泣きたくなるほど難しいのだ。
 やがて人形は激しく発光すると砕け散り、中から一人の青年と二人の少女が現れた。
 本来ならば三人の青年が現れるはずなのに二人の少女になっている。
 あまりのことに愕然とした俺はつぶやいた。


「ん~~~? 間ぁ違えたぁかなぁ?」





    合掌



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




もし続いたらほめてください。
あと、TSしてしまったお二方の名前募集。
もし応募がなければ
衝撃の・あるべる子

素晴らしき・ひっつからる子
にしようと思います。
ちなみに姉妹です。



[17149] 001
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/11 23:55
 猿飛宗家の前当主であり、里長たる火影でもある猿飛ヒルゼンを筆頭に、御意見番である水戸門ホムラ、うたたねコハルがヒルゼンの両脇に座り、その周りを特別上忍など里執行部が固める。
 里の政治中枢部ともいえる顔ぶれから少し下がって座するは、犬塚、油目、奈良家、山中家、秋道家など、里に大きな影響力を持つ大家の当主たち。
 しかし、その中に筆頭とも言うべき二大瞳術家当主の姿は無かった。
 それは、木の葉権力の集結ともいえる面々である。
 この場を襲われれば木の葉を崩すこともたやすいほど、重要な顔ぶれを集める意味を図り、誰もが口を閉ざして重い空気の中思案を続ける。
 一刻…… 二刻…… どれほど経っただろうか? 海の底のような沈黙の中では長くも短くも感じる時の中すっと襖が開き、一礼をして夕日紅上忍が告げる。
「参られました」
 誰もが息を呑み見守る中入ってきたのは予想外の二人だった。
 木の葉創設の功労者にして大罪人うちはマダラを排出し、写輪眼と言われる血継限界を用いた瞳術を有する、木の葉二大家のひとつ『うちは』の宗家当主うちはフガク。
 そして写輪眼と双璧をなす『白眼』と言われる、同じく血継限界のみによって伝えられる瞳術と、柔拳と呼ばれる白眼を用いた特殊な体術によって、近接では木の葉最強とも言われる『日向』当主日向ヒアシ。
 猿飛、犬塚の仲の悪さと並ぶ、木の葉でも水と油で知られる両家の当主が揃い踏みとは、ただ事ではない。
 しかし、二人を従えるように入ってきた男の顔を見て、更なる驚愕に襲われた。
 驚愕と言う言葉すら生ぬるい。
 予め話を通していたはずの火影や御意見番ですら、口を閉めることすら忘れ呆然としている。
 話を聞かされておらず、かつてはその男と親友と呼び合った仲である、奈良シカク、山中いのいち、秋道チョウザに至っては目玉をこぼれ落としそうなほどである。
「な……」
 誰もが絶句し言葉を続けることが出来ない。
 やがて、男はすべてを見渡せる位置に座り、両脇を侍従のように恭しくうちは、日向の両当主が守るように座ると、誰からかぽつりと呟く声が聞こえた。
「よ、四代目」
 ぼさぼさの金髪に碧い瞳。 大型の獣のようにしなやかでありながら、とても力強く鍛え抜かれた体躯。 彼こそが六年前、里襲った災害とも言うべき妖魔――九尾の狐を退けた英雄である、『四代火影』波風ミナトである。







「生きておったのか」
 思わずヒルゼンの眼に涙がたまる。
 自分の手で埋葬し、また葬儀を出した孫弟子であるが、それすらも忘れただただ胸に熱いものがこみ上げてくる。
 それと同時に背に負った重い積荷が降りた気がした。
 自分は三代目である。 三代目火影である。
 四代目火影である波風ミナトが戻ってきたのならば、この場所に座るのは自分ではない。
 年々精彩と力を失っていく己の体に、ヒタヒタと近づく寿命の足音を聞き、六年前に失われた可能性を思い、苦々しく唇を噛んだことなど一度や二度ではない。
 残された時間の少なさと、里に抱える問題の数や大きさに絶望する日々。 それでも眉間に皺一つ寄せることも出来ない立場。
 年甲斐もなく、ただ無性に泣きたくなる日もあった。
 報われた。
 ヒルゼンは思った。
(神や仏は居た)
 現実主義者である忍者にはあるまじき考えである。 三度の大戦を潜り抜け、つばを吐きかけたこともあった。 しかし、今この瞬間だけは感謝しよう。
 よくぞ。 よくぞ、この男を木の葉に返してくれた。
 腰を浮かし、今にも抱きつきそうになるヒルゼンはミナトの眼を見て凍りついた。
 それは、まるで塵でも見るように、どんよりと薄暗く濁った瞳だった。 それだけではない。 注視してみれば、木の葉の象徴たる葉を象った額宛に、痛々しい一本の傷が付けられてあった。
 それは里を抜けた者。 抜け忍が象徴する証である。
「ミナト…… いったい」
 奈良シカクの搾り出すような問いかけは、この部屋で目の前の三人を除くすべての者の共通の問いかけだった。
 ミナトばかり見ていたが、うちはフガクと日向ヒアシの額宛にも一本傷が入っている。
 一瞬にして剣呑な気配に包まれた室内。
 迂闊なことを言えばこの場で殺し合いになってもおかしくはない。
 相手は三人であるが木の葉最強とも言うべき三人である。
 誰もが金縛りにあったように動けなくなる中、ヒルゼンは諦めたようにどかりと腰を下ろし、深く息を吐いた。
「ナルトのことか?」
「俺は自分の子を迫害させるために死んだんじゃない」
 その言葉は冷たく響く。
「俺は火影として里を守る。 里を守るために命を捨てる。 なるとすら犠牲にした。 その対価はナルトを守ることだったはずだ。 俺が亡き後、里がナルトを守ってくれると信じたからこそ、俺は嗤って死ぬことが出来たんだ。 約定は破られた。 もはや留まる理由はない」
 ヒルゼンは血が出るほどこぶしを握った。



「ちがう」



 いのいちだった。
 ヒルゼンに眼で叱責されるも続ける。 
「俺たちはナルトを憎んでなどいない。 里の者たちも、いまは子を親を失った悲しみに狂っているだけだ。 時が癒してくれれば、いつかは分かってくれる」
 シカクとチョウザも同じ想いだと眼で訴える。
 シカクの言葉にミナトはうつむき、ゆっくりと言った。
「ここに…… ここに来るまでにお前たちの子供を見てきた。 いの、シカマル、チョウジだったか? 笑いあう子供たちを見て、俺が守った木の葉の平和を知ることが出来た」
 喜色を浮かべる三人に、ミナトは冷ややかに続ける。
「そこになぜナルトがいない? 俺たちは親友じゃなかったのか? 親友だと口にする俺を、お前たちは心の中で侮り笑っていたのか?」
 天国から一転地獄へ。
 三人は絶句した。
「いのいちよ。 おまえはいつか里の者も分かってくれると言ったな? なぜ、分かって貰えるのをナルトが待たなくちゃいけない? 辛い言葉と暴力になぜ耐えなきゃいけない? 俺が九尾を封じて六年だ。 これは短い時間じゃない。 いつ里のものの心は癒えるんだ? 六年もかかって癒えなかったものが、そもそも癒えるのか?」
 三人から視線をそらし、ヒルゼンと御意見番を見る。
「ヒザシの件もそうだ。 雲に非があるのに何故ヒザシを差し出す? 戦争回避? バカバカしい。 非もなく里のものを差し出す惰弱なお前らは侮られただけだ。 戦争も辞さぬという強い態度こそ戦争を避ける唯一の手段なんだ」
「そしてお前たちは履き違えた。 里を守るために俺たちが居るんじゃない。 俺たちを守るために里があるんだ。 だからこそ、俺たちは里を守る。 俺が死んでも里が俺の大事なものを守ってくれると信じるからこそ、危険な任務に飛び込んでいける。 命をかけることが出来るんだ」
 誰も反論することが出来ない。
 ダンゾウなど苦虫を潰したような顔をするが、それでも一言たりとも声を上げることが出来なかった。
 沈黙が続き、ヒルゼンは重い唇を上げる。
「この老いぼれの首ならば喜んで差し出そう。 どうにかならぬか?」
 驚き割り込もうとする御意見番の二人を手で止める。
「どうにもならない」
「……せめて。 欠片ほどでも木の葉を想ってくれるなら。 かつて木の葉を愛してくれた残照があるなら、十年待ってくれないだろうか?」
 いまミナトが木の葉を割り、うちはと日向をつれて木の葉を抜ければ、木の葉は荒れに荒れるだろう。
 英雄たる四代目火影、そして木の葉の両翼たるうちはと日向の里抜け。 木の葉にとって致命傷とも言える。 他の四影に侮られ、いい様に食い荒らされることは眼に見えていた。
 忍界大戦に続き九尾襲来。 六年経った今でも木の葉が癒えたとはいえない。 決定的に人材が不足しているのだ。
 しかし、ここでミナトを引き止めることは出来ない。 力で訴えれば最悪の内戦になる。 恐らくミナトは民の粛清を躊躇わないだろう。 それでまだ勝てればよいが、うちは、日向が付いた以上負ける公算のほうが高い。 ミナトを暗殺も考慮したが、あやつを殺せる忍びなど木の葉には居なかった。
 押し黙るヒルゼンにミナトはこれまでで最大の爆弾を投げかける。
「さて、皆も気になっているだろうが、俺が蘇ったわけを話そう。 蘇ったといっても人間ではなくなった。 詳しくは話せないが、あるものの手で仙人として転生したのだ。 妙神山のガマ仙人のようなものになったと思ってくれればいい」

「そして…… これが重要なことなのだが」

「俺以外にお二方も転生を果たされた」

 空襲のような爆弾の雨の中、すべてを吹き飛ばして更地にしてしまうほど強大な爆弾を落とされた気分だ。
 見渡せば誰もが死人のように真っ青な顔をしている。
 御意見番であるうたたねコハルに至っては、口から泡を吹き後ろに倒れていた。
 隅に控えていたダンゾウは飛び上がりミナトを射殺さんばかりに睨む。 ヒルゼンもまた手に持ったキセルを落とし、畳を燃えた灰で焦がしていた。
「お二方も俺と同じ意見だ。 それどころか、木の葉の死を嘆き、このまま腐り落ちるより己の手で介錯を望まれたが、ある者の提案でこの里抜けの案となった」
 ヒルゼンはフガクとヒアシを見るが動じてはいない。
 迂闊だった。
 もちろん、自分が師と仰いだ方々の復活を予見することなど出来ない。
 しかし、あれほど仲の悪いうちはと日向が手を結んだことに、もう少し考えをめぐらせるべきだった。
 ミナトは四代火影で英雄ではあるが、木の葉両翼たる大家の両家を結ぶには貫目が足りぬ。
 なるほど。 お二方ならば可能だろう。



「六年だ。 六年待とう」
 ゆっくりとミナトは宣言する。
「ナルトがアカデミーを卒業するまでは待つ」
 その言葉にヒルゼンは眼をカッと開く。
 五年。 いや、重要なのはそこではない。
 ミナトはナルトがアカデミーを卒業するまでは待つと言っているのだ。 つまりは、ナルトをアカデミーに通わせる意思があるということである。
 これは、ミナトがくれた最後のチャンスなのだろうか?
 良くも悪くも今回の話はナルトを中心に廻っている。
 ナルトがアカデミーに通い、心から友と呼べる存在を見つけたとき。 ナルトがこの里を許してくれたならば、ミナトは今回の里抜けを撤回してくれるかもしれない。
 言うべきことは済んだと、掻き消えた三人。
 瞬身の術ではない。
 腐ってもかつてはプロフェッサーと言われた忍びだ。
 瞬身の術ではないことは分かる。
 恐らくは飛雷神の術だろう。
 失われた四代火影の秘術。
 三人が消えた場所を見つめ、絶望に染まった面々は、取り返しの付かない事をしてしまった事を、今になってようやく理解した。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


続いたのでほめてください。
あと。
二人は兄弟なので名前だけでお願いします。
ちなみに私の衝撃の・あるべる子はあるべるこが名前です。
衝撃の~は称号です。
砂の~とかコピー忍者~みたいな



[17149] 002
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/10 20:26
 澄み渡る青空。
 草むらに直接座っているので若干尻が冷える。
 本当なら、アルバイトで訓練場の清掃に向かうはずが、なぜかミナトさんに拉致られてうちはの里に俺は居た。
 右のほうを見るとナルトとサスケが掴み合いの喧嘩をしている。
 理由は知らないが、微笑ましく二人を見ているミナトさんとフガクさん。 なんだピクニックに来た家族みたいだ。
 左を見ればイタチさんの術実演。
 忍者が手の内をホイホイ見せて良いのだろうか? うちの幼女二人が「今はこんな術があるのか」としきりに感心している。
 こんなにも爽やかな昼前なのに、この場にS級忍者四人とかキナ臭いにおいがプンプンする。
 そんなことを考えていると、向こうのほうから日向家御一行もやってきた。 ヒナタだけじゃなくネジもいる。 ヒアシさん和解したのかな?
 見かけは家族合同のピクニックだが、その気になれば小さな里なら…… いや、もしかしたら木の葉だって落とせるかもしれない面子だ。
 臭すぎる。
 ミナトさんと眼が合ったらニヤリと笑われた。
 うちは壊滅を止めてやるぜーとか、伝説の忍者に教えてもらって俺TUEEEEするぞとか。 ちょっと前の俺を殴り殺してやりたい。
 陰鬱な気持ちで、あの復活の儀式の後を思い出した。






 薄暗い地下室の中、沈黙する四人。
 当然だが、復活した彼ら(うち2名幼女)は俺に説明を求めた。
 尸解仙転生という術式の説明。 それにより彼らが人間でなくなったことの説明。
 目的は、これから始める物語の師であり仲間になって欲しいこと。 その物語の説明に頭解入の術という、予め組み込んでおいた情景や文字、知識などを脳内に直接再生する術を使った。
 それがいけなかった。 いや、いずれ分かることだろうが、暗い密室で使うべきではなかった。
 使えば一発で秀才になれる勉強要らずの術は、元々は尸解仙転生開発にあたり知識の習得が面倒で開発した術である。 三年自分で使ってきた術であり、一番の錬度と信頼を置いている術なのだから失敗は無い。
 しかし、術が終わり再生が済んでもう三十分になろうというのに、三人は動かない。 幼女二人は眉間に深い皺を寄せ険しい顔をしている。 もう一人の青年――ミナトさんは能面のような喜怒哀楽をそぎ落としたような顔をしていた。
 ちょっと不安になって「ミナトさん?」と呼ぶとぽつりぽつり、独白するように呟いた。
「俺は忍びだ。 命のやり取りなんて忍界大戦では日常茶飯事だったし、人を殺したことも両手使ったって数えられない。 殺したくなかったやつの命を奪ったこともある」
「はぁ」
「はじめて知ったよ。 心から憎しみで人を殺そうと決意したときは、こんなにも穏やかな気持ちに成れるんだな」
 こえええええええええええええええ
 怖すぎる。 ミナトさん怖すぎるよ。
 なるほど。 考えていたのはナルトのことか。
 そりゃ原作読めばこの里の連中が、自分の息子にした仕打ちもわかるしな。
 命がけで守った里のこの行動は、そりゃトサカにくるだろう。
 となると……
 ちらりと幼女二人に視線を移すとなにやら悲壮な決意を固めた顔をしている。
 ミナトさんのこともあるし、聞きたくは無い。 聞きたくは無いが、不安を押し殺して聞いてみる。
「平和な里だな。 しかし腐っている」
「私と兄上が目指した里はこのようなものだったのか? あいつが…… あいつらが命と引き換えに目指した平穏とは、こんなにも悪臭のたつものだったのか?」
 自分たちで木の葉崩しするつもりか?
 やばいよ~ やばいよ~
 大蛇丸と違って、この三人がやれば成功しそうな気がする。
 失敗しても成功してもどえらいことになる。
 ここに至りようやく俺は自分のしたことに恐れを抱いた。
 悪魔にこの力を貰ったとき、かつて読んだ2次系SSのオリ主のように、俺もこの世界で物語に介入しようと思った。
 特にNARUTOは後半になると大好きなキャラが次々と死んでいく。
 ヒナタ誘拐のときもどうにかしたかったが、当時三歳の俺には力があっても手段は無かった。
 そして手段を欲した俺はこの地下室を見つけたのだ。
 九尾によって親を失った俺が預けられたこの孤児院。
 大蛇丸が人体実験の材料集めのために作ったという、由緒正しい孤児院を探索した結果発見した地下室を見て狂喜した。
 多くの先輩方の人骨を供養し、残された数々の研究資料を読みふける。
 その中に穢土転生の術式資料と、成そうとした転生体の材料があったことは天啓にすら思えたのだ。
 しかし、どうやら簡単に考えすぎたらしい。
 漫画ではよくある台詞だ。
『強い力には強い責任がある』
『力を使う意味を知らなければならない』
『馬鹿に刃物』
 気分はもう
 やっちまったな~
 やっちまったな~
 太鼓を叩きながら褌一丁で踊っている気分だ。
 影からナルトたちを支援するはずが、俺が大蛇丸になっちまったよ。
 オロオロする俺にはどうすることもできない。
 なにやらマダラと~なんて話してる兄弟を制したのは、意外とも言うべきミナトだった。

「俺は…… 俺は木の葉を愛していたんだ。 心の底から大好きだったんだ。 里も忍びも…… 火影という名も」
 抑えきれない涙は、冷たい地下室の床をぬらし、薄暗い石の壁はミナトの声を反芻するように響かせた。
「ナルトにしたことは許せない。 裏切られた絶望感に気が狂いそうだ。 でも…… それでも、この里を。 木の葉を崩すものは看過できない」
 ああ、この人は火影なんだと思った。
 公と私、憎しみと愛の狭間で揺れ動く炎。 冷たくも燃え盛るその火に心を焦がしているんだろう。
 目を向ければ幼女二人も同じ顔をしていた。
 どうすればいいのかわからない。
 でも許すことは出来ない。
 そんな顔だ。
 

 重い沈黙が続く室内。
 なんか底なし沼に嵌った気分。
 小市民が力を貰って暴走した結果がこれだ。
 なんとか二人を説得しようと考えていて思い浮かべたのは、昔大好きだった2次SS投稿サイトだ。
 そこには色んなNARUTOの世界があり、いろんなナルトがいろんな物語を紡いでいた。
 それを思い出し、名案が浮かんだのだ。
「あ、あの。 嫌なら抜ければいいんじゃないですか?」
 俺の提案に三人とも目を丸くする。
「里を抜けろって…… 抜け忍になれということか?」
「火影だったものが木の葉を抜ける?」
 全うな常識を持つ忍者にとって、里抜けという考えは最初から除外される。 だからこその盲点。
 実際『抜け忍』の文字よほど重いのだろう。 三人とも渋い顔をしている。
 それだけ抜け忍狩りは熾烈を極めるということだろうか?
「抜け忍にならずに里を抜けるんです」
 俺の提案に三人とも『?』を浮かべてる。
 やばいな~。 なんかテンションあがってくる。
 このテンションで失敗したのに、喉元過ぎれば? まだ過ぎてないのに、また突っ込もうとする俺はなんと呼べばいいんだろう?
「里に抜けることを認めさせるんですよ」
「そんなことが」
「できます。 あの物語を見たでしょ? 木の葉には火種がくすぶってるんです。 つまりは『うちは』と『日向』です。 この二つをつれて抜けることを認めないなら内戦です。 執行部も暗部も断れないですよ。 木の葉が絶対勝てるなら内戦になるだろうけど、雲の脅しにびびってヒザシさん差し出すような連中です。 うちはと日向とミナトさんで脅せば一発です」
 唖然とする三人。
 しかし、ミナトさんはどこかホっとしたような顔をした。
 逆に頭の固い二人は
「うちはと日向が木の葉を抜けるものか」
 なんて言う。 そこは君たちの説得でイケますって。
 少なくとも『うちは』は絶対いける!
 初代と二代目は神格化してるような連中だ。 これほどの交渉人は世界中探したっていないだろう。
「里抜けか」
 ミナトさんは静かに目を瞑る。
 この問題の根幹はナルトへの迫害だ。
 幼女二人もミナトさんの決断に従うとしい、静かに座っている。
 やがて見開いたミナトさんの瞳には強い意志の光が戻り、不退の決意が宿っていた。
「うちはと日向に会いに行く。 お二方。 同行をお願いいたします」
「「承知」」
 幼女二人も満足げに頷いた。
 木の葉崩しに比べれば木の葉抜けのほうが遥かにマシだ。 この作戦段階でうちは虐殺も回避されるだろう。
 思わず腰が抜けそうになるほど脱力する。
 悪魔から貰ったこの力はチートだろう。
 使い方を誤らなければ『最強』だって『俺TUEEE』だってできる。
 でもおれはこの力の使い方を学ばなくてならなない。
 過ぎた力は自分を滅ぼす。
 幸いというべきか、力に対して多くの経験を持つ三人と知り合えたのだ。 忍術や体術と同時に力の使い方も教えてもらおう。
 しかし、いまは最悪の事態が回避できたことを、ただ喜んでいてもいいはずだ。
 やりとげた顔の俺は地下室を出ようとしたところで、幼女二人に呼び止められた。
「「ところで、次は我らが女の子供になっている理由を説明してもらえるんだな?」」
 俺の受難はまだ続く。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



前回コメ返し忘れていてすみません。
書き溜めではなく、毎回書いているので勢いが切れたら更新停止します。
稚拙な部分が多いとは思いますが、暖かく見守ってくれるとうれしいです。



[17149] 003
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/11 23:53
 この六年で里上層部もナルトに対する迫害改善に尽力した。
 しかし、根のように奥深くまで侵食された、里人の差別意識を拭う事は容易ではなく、暗部を使い暴行するものを処罰し続けるも、逆にそれがナルトに対する恐れを増幅させる結果となった。
 そして四代目波風ミナトの言った期限の年。
 頭痛と胃痛によって幹部の大部分が欠席するという事態になりながらも、晴れやかにアカデミーの卒業式が行われた。


 蕾をつける桜のしたで、親子並んで写真を撮るナルト。
 俺の知る物語ならば合格を祝う親子を、ブランコに乗りながら寂しく見ていたはずである。
 頭を撫でるミナトさんの手を、照れて振りほどくナルトの顔を見たとき、六年前後悔した尸解仙転生の術が、少し報われたような気がして思わず笑みがこぼれた。

 アカデミーを卒業した面々は原作とほぼ差が無いものの、俺と三人の介入によってその中身は大きく変質している。
 まずは、ミナトさんの出現とうちはが壊滅しなかったため、それほど性格がゆがまなかったナルトとサスケの二人。
 ナルトはミナトさんの要請により、天狗眼をつかい封印術式を変更した。
 天狗眼により妖魔としての邪悪な部分を減らした結果、九尾とは対話が可能となったのだ。
 それは尾獣を持つ里に知られれば、襲われかねないほど劇的な変化となり、2年にわたる説得の結果、封印術式は口寄せの契約のようなものになる。
 口寄せは時空術式によって扉を開き、口寄せ契約を行った魔物を呼び出す術であるが、この封印術式は魔物自身ではなく魔物のチャクラを呼び出せるものである。
 そのさい、原作のように膨大なチャクラによってナルト自身を破壊したり、また暴走しないようにする安全弁となっているのだ。
 結果、ミナトさんの個人的な修行をつけてもらったナルトの成長は著しく、こと実技に限って言えばアカデミー2位の座を油目シノと競い合うほどになった。
 対して原作より多く能力を落としたのがサスケである。
 うちは崩壊のトラウマが無いサスケは、うちはの名にそれほど大きなコンプレックスを持たず、学科こそアカデミー上位という好成績だが、チャクラを用いた実技では集団の中ごろ程度に落ち着いた。
 原作では独学でアカデミー主席を取った男が、イタチという偉大な兄に指導してもらって平均的な実技成績という、人間ヤル気が何より大事という証明を見た気がする。
 この二人だけではなく、旧家の面々も多かれ少なかれ原作から変化が見られた。
 大きいところならば日向ネジと日向ヒナタ。
 うちの幼女姉妹がヒアシさんに与えた影響は大きく、ヒアシさんと和解したネジはヒナタを本当の妹のように可愛がり、また自身の訓練時間を減らしてまでヒナタを気にかけた。
 ミナトさんと親友だった山中、奈良、秋道の子供である、いの、シカマル、チョウジも原作と比べなくては分からないほどだが、変化しているように感じる。
 分かるところで言えば、いのがサスケを追いかけなくなったり、シカマルが面倒臭そうにしても、それを口に出すことは無い。
 そして行われた班選別。
 当初はナルト、サスケ、ヒナタのスリーマンセルになると思ったが、里上層部の強い嘆願でヒナタの代わりにサクラが加わることとなって驚いた。
 原作の修正力かと怪しんだがそうではなく、このままナルトに対して関与できなくなる事態を上層部が恐れたためだ。
 旧家の子供ではなくサクラを選んだのは「里人のナルトに対する考え方は変わってきている」というアピールだろう。
 そのためナルトに対する偏見の少ないサクラが選ばれたわけだが、普段里人の行動を見る限り成果が上がっているとは言いにくい。
 ただ、ナルト、サスケ、サクラの班の担当上忍は原作より大きく逸脱し、『波風フトウ』という暗部上がりで、今年上忍になったばかりの新米に任される事となった。
 もちろん波風フトウは元四代目火影の波風ミナトである。

 さて、そこでミナトさんに居場所を追われることとなった、原作の担当上忍であるはたけカカシはというと……



「ごごごっごべんざはひっ」



 いま目の前で拷問されていた。

 木遁で捕縛されたカカシの足の裏を羽箒でこちょこちょしながら、うちの幼女改め少女二人、過神モミジと過神カエデに視線を向けると、まるで大魔神のように憤怒の形相で腕を組んでいる。
 
 最初は木の葉のエースと聞いて期待していたのだ。
 一分くらいは眉を寄せるも下忍相手ならばと我慢していた。
 五分経ったころプルプル震えだしたので、怖くて声をかけられなくなった。
 そしてカカシは入ってきた瞬間、木遁によって捕縛され、モミジとカエデのわっくわく大折檻を受けることとなったのだ。


「忍者を辞めろ」

 普段は鈴の鳴るような可愛い声のカエデだが、いまはあらゆるものを凍りつかせる絶対零度の命令だ。
 モミジに至ってはこのまま埋めそうな勢いだった。

「貴様は忍者を何だと思っている? 遊びで忍者をやっているのか? 上忍の端くれなら忍者の心得を諳んじれるだろう? 今ここで言ってみろ」

 忍者の心得。 それは部隊長である中忍に上がる時に教えられるため、中忍の心得とも言われる至言である。
 天無くば智を知り機に備え、地無くば野を駆け利を求めん。
 弱点を補い、心技体を揃えれば忍者の正道とも言うべき、任務の安全につながると記した言葉であるが、そこに含まれた意味はそれだけではない。
 智とは恥。
 忍者にとって恥ずべき行いを知らなければ、機――機会、依頼を得ることは出来ない。 地は里を野は国を表し、利――糧を得るために走り回れと教えている。
 忍務――仕事とは天より振る雨のように、ただ口をあけて上を向いていれば入るというものではない。
 積み重ねられた血と汗は信頼という名の結晶となり、それだけが忍務を得る手段となるのだ。
 その信頼を作ることは、とても困難で途方も無い時間を要するが、壊す時は実に容易で一瞬。
 だからこそ忍者は掟を作る。

 ひとつ。
 忍びは裏切ってはならない。
 ひとつ。
 忍びは任務を放棄してはならない。
 ひとつ。
 忍びは仲間を尊ぶべし。

 数々の掟は里と忍びを守る鎧であり、日々の糧を得る剣でもある。
 忍びならば…… ましてや上忍が蔑ろにしていいはずが無く、『遅刻』など言語道断の掟破りなのだ。


「誰が遅刻する忍びを信用する? お前が遅れて任務地についたとき、部隊が全滅していたらお前は仲間になんと詫びる? 密書、物資、援軍、伝達、ありとあらゆる物が時間の誤差無く求められるのだ。 届かぬ密書のため戦になったら、届かぬ物資のため部隊が飢えたら、届かぬ援軍のため全滅したら、届かぬ情報に価値がなくなっていたら。 時間は金と知れ」


 いつのまにか木で出来た土下座マシーンにより屈服され、モミジに足で頭を踏まれているカカシ。
 カエデはゴミでも見るような眼で、カカシに延々と忍びとは何かを説いてた。

「明日貴様を試験する。 それに受からねば我等の担当上忍とは認めぬ。 もし試験に落ちればアカデミーからやり直すんだな」

 日が傾き、西の空が赤くなったころカエデはそう言って話を終えた。
 木遁を解くも、カカシは土下座のポーズを崩さない。
 長い間維持していたから、その格好で固まっちゃったんだな。
 腐ってもだ上忍だから大丈夫だろうが、姉妹が去った後こっそり医療忍者を呼んでおいてあげた。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



サスケはあまり好きじゃないので不遇です



[17149] 004
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/12 19:09
 目の前に荒ぶる虎と、逆鱗に触れられた龍が居る。
 今日の予定に「木の葉の里から上忍一名離脱」と記しておこう。
 あれほどの目に会っても懲りないカカシの根性を称賛すべきか、馬鹿は死なねば直らないと嘆息を漏らすべきか……
 俺に出来ることは、真っ赤になって怒る龍虎のとばっちりがこっちに来ないように、訓練場の隅でプルプル震えていることだけだった。


 一時間ほど経っただろうか? 怒りのあまり具現化したチャクラをうねらせている二人から、もう少し距離をとるべきか? あまり距離を開けすぎると逆に目に付いて標的にされるかも? なんて思案しているところに人影が見えた。
 心の中で阿呆な上忍の冥福を祈り、静かに眼を閉じていると人影は別の人間だったようだ。

 波風フトウこと波風ミナト上忍と、第七班(ナルト、サスケ、サクラ)の三人だった。
 どうやらこの訓練場で伝統のテストをするつもりだそうだ。
 モミジとカエデは訓練場を使うために許可が要ることを知らなかったようだ。 もっともカエデは「そういえば」なんて言ってるので、この制度が出来たころの記憶はあるみたいだが。

 ミナトは三人に休憩するように言い、モミジとカエデからカカシの所業について説明を受けている。
 モミジとカエデは忘れているようだが、カカシは元々ミナトの生徒なのだ。
 今の木の葉の不甲斐なさを嘆き、彼を担当した上忍を罵倒し始める姉妹。

「あいつを受け持った上忍は何を教えたんだ?」 

「聞いた話ではかなりの使い手だったようだが、教導する才能には恵まれなかったんだな」

 二人の罵倒を聞いているうちに、今度はミナトが真っ赤になって震えだしてきた。
 一通り話を聞くと、腰につけていた鈴2つをはずし、俺のほうに歩いてくる。


「コジ。 おまえ、あの試験知ってるよね? 悪いがお前がやってくれ。 突然なんだが俺は用事が出来てね」


 今にも体の穴という穴から火を噴出しそうなミナトに「下忍が下忍をテストするのはまずいでしょ」なんて言えるはずも無く、からくり人形のようにひたすらうなずく。
 そうしていると向こうのほうから、


「いや~ 人生に迷っちまって」


 へらへら笑いながら歩いてくる銀髪覆面忍者が見えた。





 合掌




「何でお前が試験するんだ? アカデミー主席だからって俺たちを舐めてんのか?」
 
 原作から比べると歪んでいないが、それでも生意気なサスケが言う。
 ナルトのほうも


「こっそり合格しておいてくれよ。 どうせやんなくても分かるってばよ?」
 

 何が分かるんだろう?
 今試験をせずに分かったことは、サスケが生意気だって事と、ナルトがズルしようとしてたぐらいだぞ? これで判断下すなら一発で不合格になると思うんだがそれで良いんだろうか?
 サクラはサクラで目をハートマークにしながらサスケにべったり。
 ミナトさん、ちゃんと説明したのかな?
 不合格になれば落第だって伝えたのかな?


「試験官が上忍から下忍になっただけでも破格のサービスだろうが? 阿呆なこと言ってないでさっさと準備しろ」


 面倒臭くなってきたので投げやりに言ったらサスケのやつ、気に入らなかったのか起爆符とかヤバ目の忍具を準備している。
 体術そこそこ、忍術もそこそこ、忍具の使い方は目を見張るものがあるが、原作と比べるとやっぱり覇気が無いというか…… かなり弱体化しているな。

 ナルトもヤル気になったみたいで準備運動をしている。
 多分だけど、ミナトさん影分身を教えているんだろうな。
 チャクラコントロールも九尾の影響がなくなったおかげで、格段に上達しているし、原作と比べてコイツは何か隠しだまを持っていそうだ。
 これで、学科も頑張れば原作サスケと入れ替われただろうに、勉強のほうはからっきしでドベ街道をまい進していた。

 サクラは…… しらん。 準備しろつったのに、準備しない子なんて先生知りません。

「それじゃ、ルールを説明する。 この鈴を俺から奪えた奴が合格だ。 見てのとおり鈴は二つ。 一人は確実にアカデミー行きとなるから頑張れよ~」

「「「なっ?」」」
「鈴二つとか不公平だってばよ」
「そうよ。 馬鹿なこと言ってないでちゃんと試験しなさいよ」

 愚痴りまくるナルトとサクラを横に、サスケは面白いとばかりに笑っている。
 実力が伴っていればクールに見えるんだろうが、今のコイツがこんな顔をしても滑稽なだけである。
 ホント面倒だな。 ミナトさんこいつらを下忍にする気あるのかな? 里抜けの準備も続けてるみたいだし、ここで下忍にさせなくても問題ないんじゃないか? サクっとボコって失格にして、世界の広さを教えれば良いんじゃないか?
 色々ネガティブな思考に陥るが、手を抜いたとうちの姉妹に知られたら折檻されそうなので、ほどほどに真剣にすることにした。

「合図は~ あ~ 時計が無いので適当に。 そのうちチャイム?が鳴ると思うので制限時間はそこまでね」

 そう言い終えると同時に三人とも森に入り姿を隠す。
 普段の言動が馬鹿っぽくて、座学こそ赤点量産機のナルトであるが、こと実技に関しては上忍に迫るものがある。
 俺は地獄の幼女姉妹に、血反吐を吐くような――それこそ、いっそ殺せと何度叫んだか分からない修行を課せられた結果、天狗眼で底上げされた身体スペックと使いこなせるようになったわけだが、ナルトは天然ものだ。
 チャクラ運用こそ新式封印術でスムーズに行えるが、それ以外は原作のままなのだ。
 対するこちらは、総合チャクラ能力強化、筋繊維ピンク色強化、特殊皮膚加工強化など、仮面ライダーも失禁するような改造を自分に行っている。
 その上でハートマン軍曹よりも厳しい、悪魔も逃げ出す双子の取特訓を受けた俺に、模擬だし未熟なころとはいえ何度かポイントを上回ったこともあるナルト。
 本物の才能に嫉妬を感じるが心の底から尊敬する。
 主人公補正というものか? 常人には到達できない場所に立てる人間の輝きを見た気がした。


 さて結構時間が経ったわけだが、誰も襲ってこない。
 アカデミーで力を見せすぎたか? 思ったより警戒しているな。

 主席を取ったとき双子には「アカデミーとはいえ実力を見せるのは忍者の恥。 こちらは隠し、相手の情報を奪うのが忍者の正道だ」と散々怒られたものだ。
 現に双子はアカデミーどころか里で比べても、ワンツーフィニッシュを決められるような力を持ちながらも、その力を抑え悟られることはせず、くの一クラスの主席を山中いのに譲っている。
 そんなくの一クラスいちの秀才こと春野サクラは、森のなかでサスケの名を呼びながら歩いていた。

 原作で知っていたが、目のまで見ると脱力する。
 こいつ、本当に忍者か?
 忍たま乱太郎だって…… いや、同レベルくらい?
 完璧にギャグ忍者だな。
 そんなサクラを囮にする気まんまんな気配が二つ。
 サスケのやつ、隠行術はまぁまぁ良いじゃないか。
 アカデミー卒業にあたり、イタチさんからしごかれた?
 ナルトのほうは上忍もしくは、特殊な探索スキル持ちじゃないと分からないレベルだ。
 チャクラの放出レベルを辺りの動植物レベルまで落として、その質もかなり近く同化している。
 臭いなんかはまだ隠しきれてないだろうけど、十分実践で使える隠行術だ。

 まぁ、こっちから仕掛けないとずっと動きそうに無いので、原作どおりサクラには幻術にかかってもらう。


「幻術! 超兄貴の術」

 幻術・超兄貴の術とは…… ご想像のとおりです。
 素晴らしい夢の世界に堕ちたのだろう、サクラは泡を吹いてぶっ倒れた。
 倒れた際に、思いっきり後頭部をぶつけたわけだが、それでも覚めない俺の幻術精度に拍手を送りたい。
 そしてサクラが倒れた瞬間、三方向からクナイが飛んできた。
 特殊な三又のクナイ。 柄の部分に符を仕込めるタイプ。
 あれってミナトさんから貰ったんだろう。
 それを追うようにナルトの影分身3つが突っ込み、足の裏に貼り付けていた手裏剣をクナイと同じ軌道に蹴り投げてきた。
 影分身3体というのは良い判断だ。
 それ以上多いと逆に邪魔になる。
 無尽蔵にチャクラがあるくせに、この堅実なチャクラ運用。 マジでナルトは侮れない。
 イタチさんに比べて、1回失敗(カカシ)してる分、ミナトさんの教導スキル上がってるのかな?
 しかし、サスケのほうが隠行下手なんだから、先に仕掛けてナルトを隠せば良いのに、ビビリ君め。

 こっちもクナイを投げて、起爆符クナイを打ち落とし手裏剣は避ける。
 それを合図にナルトと体術に入った。

 正面二人でダブルのように怒涛のフェイントを使った連撃。 もう一人は確実に背後を突いてくる。
 ただの影分身3体による強襲じゃなくて、ちゃんとした多人数格闘術だ。 スリーマンセルのお手本のような動きに「もうナルトだけ合格させて、影分身でスリーマンセル組めば良いんじゃね?」なんて考えがよぎる。

 前の二人を蹴り飛ばした瞬間、落ちていた手裏剣の変化が解けた。
 なるほど。 最初のクナイは変化した本体を守るための壁だったわけだ。 
 後ろのやつも蹴り飛ばす動作に入っていたため、ナルトの本体に鈴を触られた。

 奇襲の失敗を悟ったナルトはそのままの慣性で距離を開ける。。
 そのタイミングでサスケが飛び出し馬から虎の印を結んだ。

「火遁! 豪火球の術」

 忍具を準備していたのはブラフだったか。
 確かに使う相手の前で武器を晒す阿呆はいない。
 サスケは大きく息を吸い込み後ろへのけぞる。
 まさか、この術を使えるのか? と思ったら


 バフッ


 失敗。
 顔の辺りを火傷して悶絶するサスケ。
 こ、これが狙いだったのか?
 俺もあまりのコントに大爆笑。
 サスケと同じように腹を抱えて悶絶した。
 呆然とする、ナルト。
 使えもしない術を実践に持ってくるなよ。
 サクラが起きていれば幻想を打ち砕かれただろうが、いまだ彼女は夢の中。

 顔を抑えてうずくまるサスケ。
 呆然と立ち尽くすナルト。
 白目をむいてピクピクしてるサクラ。
 腹を抱えて笑い続ける俺。
 なんかシュールな光景だ。

 笑いすぎてケヒョッケヒョってなってる俺に

「アッーーーーーーー!」


 という豚を絞め殺したようなカカシの悲鳴が聞こえた。
 というわけでタイムアップ。
 本来の趣旨で採点すると大失格。
 カカシに言わせれば仲間を囮にするやつは忍者のクズだというだろう。 俺なら遅刻するやつも忍者のクズだと反論するが……
 そもそも、ナルトもサスケもサクラを仲間だとは思っていない。
 ナルトのほうはサクラのことを異性として少し気に入っているようだが、忍者にとってそんなものは毛ほども任務に影響されるものではないのだ。
 サスケのほうは完璧アウトオブ眼中。
 そう考えると、このチームはナルトとサスケのタッグに、サクラという外部要員を加えたチームに見える。
 なら、外部要員を犠牲にして任務達成も忍っぽくて俺的にはOKだと思う。
 そもそも、チームなんて一朝一夕できるものじゃないしね。
 潜った死線と共に食べた飯の数だけ、チームワークってのは深まると思う。
 以上を踏まえて採点すると……
 サクラ――論外
 サスケ――面白かったです
 ナルト――花丸

 ……



 ……



 ……


 面倒だし合格で良いや。
 下忍として実力が足りない気がするが、実践でしか学べないことも多いし、ミナトもんが何とかしてくれるだろう。
 何とかなら無くても里抜けになればチーム解散だしね。
 俺は何やら隠しだまで挑もうとするナルトを止めて、三人に試験の合格を言い渡した。


 ぐだぐだな試験になったが、俺が試験官ならこんなものだろう。

「あ~、もうお弁当食べて良いよ。 でも、時間までは帰らないでね」


 その弁当には影分身で蝶強力な下剤を仕込んでおいた。
 忍者たるもの、自分で用意した飲食物以外を口にするべからず。
 こういうのは身をもって覚えないとね~




 見上げる空には雲がゆっくりと流れていく。
 木の葉の空は今日も穏やかだった。

















「アッーーーーーーー!」








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 好きなキャラはマイト・ガイです。
 贔屓したいが、どう使えば良いか分かりません。



[17149] ネタ
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/13 21:02
 今回はネタです。
 本編と繋がってはいますが、この設定が本編に出るかどうかは分かりません。
 これを読まなくても本編に読むことに影響されることはありません。
 自重を忘れたネタの嵐、クロスオーバーの津波です。
 元ネタを知らないと楽しめないかもしれないので、そういうのも容認できる方のみお進みください。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 六年前、俺は3人の火影を蘇らせたことを後悔した。

 大きな力の持つ影響力と、それに伴う責任の重さに恐怖したのだ。
 人は後悔し、それを教訓とし学び、そして糧にして変わって行くものである。
 これを『成長』とよぶ。
 しかし、同時に人は後悔や教訓を忘れ、糧にしたはずのそれは糞となってヒリ出て元に戻る。
 ようは、人間簡単に成長しない。 学んだことをすべて生かせれば、世の中賢者聖人だらけということだ。


 ここにも成長しない奴が一人。 喉もと過ぎて熱さを忘れた俺は『天狗眼』という、力を使いたくてたまらなかった。
 しかし、NARUTOの世界に関与するのはやはり躊躇する。
 やろうと思えば、ナルトをザ・ニンジャにすることも、サスケを一発で万華鏡写輪眼開眼させることもできるがしない。
 その分、俺を含む過神3兄弟は思いつく限りチートをしているが、それ以外だとイタチさんの眼と体を直したことと、ナルトに新型封印術式を組んでやったくらいだ。
 ミナトさんはこのままで(といっても仙術使い放題のチートボディだが)で良いと、ナルトと一緒に暮らしている。


 木の葉崩しの原因を作りかけたときは大いに焦った。
 物語に介入したいが、介入したことによる世界の反発が怖い。
 そうして我慢しているとフラストレーションがたまる。
 そこで作ったのがこの結界空間である。

 時空術式を応用し、異空間に固定されたオーストラリアほどの大きさの結界空間。 その強度はネタで作った災呼銃――霊子振動による仙気増幅現象を用いて、テンションが上がれば上がるほど威力を増すという、洒落にならないほどヤバイ砲撃を跳ね返すほどだ。
 まさにネタ空間。
 俺が自重をすべて捨て去った夢の空間である。
 この空間は、東に研究区画、西に修行区画、南に居住区画、北に封印区画、そして中央に管制区画に分類される。
 まず、研究区画はこの空間最大の目的である「俺が自重せず天狗眼の能力を使う」ために作られた場所だ。
 そこで災呼銃をはじめ、様々なネタ呪物やネタ術式を開発しているわけだが、その中には制御が難しかったり、やりすぎちゃったものもあるわけで、そういったものを厳重に封印しているのが北の封印区画だ。
 次に居住区画はそのまま俺たちの家。
 木の葉の里にも家はあるが、あちらはカモフラージュで、すぐにこちらへ転送してきてる。
 といっても俺たち三人とも貧乏性で豪邸にすむことができず、プレハブみたいな四畳半の掘っ立て小屋に住み、居住区画のほとんどが山や海といった自然で構成されている。
 そして、うちの魔王姉妹の要望で出来た修行区画。
 伝統的な自然を使った訓練施設から、重力制御や仙力制御などの各種環境を変更できる施設もある。
 その全てに俺の血と汗と涙と怨嗟が染み込んでいる、曰くつきの区画でもある。
 最後に管制区画は、この空間自体を制御している場所で、以前ネタで作った自動人形たちが制御していたいるする。
 ちなみに、管制区画を抜いた四つの区画には、それぞれを統括する管理人とも言うべき自動人形がいて、最古の四人なんて呼ばれている。
 閑話休題。


 最近はアカデミーを卒業したので時間が出来た。
 もちろん任務があるわけだが、担当上忍であるカカシが毎日遅刻してきてくれるので、罰として代わりに行わせている。
 雑草を抜いたり、迷子の犬を追いかける里一番(笑)の忍者。
 やばい。 笑える。
 まぁ、そんなこんなで暇が出来ると研究室に篭るのがライフワークとなった。

 今研究しているのはゲッター線の精製。
 そもそも、この世界にはゲッター線が無いので、これが物凄く難しい。
 研究区画の管理人兼助手である、自動人形のアレッキーノと議論した結果、いつものように『仙気』でどうにかならないか? という考えに行き着いた。
 俺の発明は殆どが仙気を使っているので、もう仙人を名乗ってもいいような気がする。
 むしろ宝貝?
 こんど、打神鞭とか雷公鞭とか作ってみようかな?
 雷公鞭使って、カカシが本当に雷を切れるか試してみるのも良いな。
 話を戻して、もし開発に成功したらどちらがゲッター2に搭乗するかで、アレッキーノと掴み合いの喧嘩をしていると、研究所のブザーが鳴り響いた。

 ハザードレベルは5。
 核融合炉の暴走ですらハザードレベル1だというのにいったい何が起きた?
 場所は第七研究所。
 時空術式の研究施設で、時間制御すら可能としている場所である。
 すぐさま現場に急行し、事態の確認を図る。
 研究所の時異相空間室に到着したとき、三十二枚の界曲次元装甲を中和しながら問題の原因が現れた。
 対消滅はおろか、確立操作攻撃すらものともしない、俺の創作物でも上位に入る強靭な装甲を破って出てきたのは、銀髪金眼ですらっと背の高い優男だった。

 その容姿を例えるなら神我人。
 知らない人も多いと思うので説明すると、天地無用という九十年代を代表するアニメに出てくるラスボスで、原作では星のように大きな船に乗って星々を渡り、いかなる法も倫理も無視して真理を探究する科学者であった。
 その眼に宿った知性の輝きは、この男もまた科学者だと語っている。

 男は悠然と俺のほうに歩いてくる。
 それを見たアレッキーノは飛び出し、男を捕縛しようとするが、逆に見えない何かによって拘束された。



 歩みを止めない男。



 泰然と立つ俺。



 嘘です。

 内心を表すなら。


 やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい


 恐怖のあまり動けなくなっただけです。
 正直、うちの双子の十倍くらい怖い。
 これが。ライオンに睨まれたガゼルというやつか? 絶対に避けることの出来ない死に直面したとき、生物は逃げることすら出来ないという。

 撃って良いのは撃たれる覚悟のあるものだ。
 そんなことを言ったやつがいる。
 言い換えれば殺して良いのは死ぬ覚悟のあるやつだけって事だろう。
 むりむりむりむり。
 殺す覚悟は出来ても死ぬ覚悟なんか出来ない。
 人間ってそういう風に出来てないんだよ。
 逃げることも、戦うことも、覚悟することも出来ず、ただオロオロと怯える俺に、銀髪男は跪いた。

「主よ」

 男が口にしたのは予想外の言葉だった。

「一万二千年…… 一日たりとも主を忘れたことはございません。 お会いしとうございました」

 その眼に涙がたまる。
 美形に跪かれて「主よ」なんて、異世界で12個ある国の王様でもしろというのか?
 戸惑う俺に銀髪男が語った内容は、俺自身が忘れていた黒歴史とも言うべきプロジェクトだった。




 あれは数年前。 九尾との関係改善に成功し、ナルトに新型封印術式を組んでやったころだ。
 俺はナルトの主人公特性である尾獣が欲しくなった。
 しかし、誰かの尾獣を奪うことは出来るが、それはNARUTOの世界への干渉になる。
 そこで俺は人工尾獣の製作に取り掛かった。
 素体となったのは身代わりの術用のうさぎ。
 食用からペット、生贄、囮、特攻爆砕の術にまで万能なにくいやつ。
 その中でも特に俺に懐いていた一匹の小さな白ウサギを選んだ。
 俺は尾獣が敵対することを恐れ、魂から存在にまで干渉し、絶対てきな洗脳を施す。
 その上で、様々改良を加え人間並みに知能を高くした。
 声帯が無いので会話こそ出来ないが、知能指数でいえばナルトやサスケすら上回ったころ、餌として特殊な精製をした仙丹――蓬莱薬や青春の果実、知恵の木の実、蟠桃、変若水、甘露丸、ネクター、エリクサー、アムリタなど、思いついた限りの霊薬を与えた。
 その結果、ウサギから強大な霊力を持つ生物に生まれ変わったわけだが、俺と同じで力があってもその使い方が知らなかった。
 そこで俺はうさぎに修行を命じた。
 長い時間を生きた魔物はそれだけで特殊概念を得たり、経た時間の分だけ霊格があがる。
 天狗眼をつかった霊格操作より美しく無理の無い霊子構造を持たせるため、俺は修行場所として時間経過の異なる異空間をつくり、そこへウサギを投げ入れたのだ。
 そして、ウサギの存在も投げ入れたことも忘れ数年……
 こちらの数年は異空間では一万二千年だったらしい。
 異空間突破を俺が与えた試練だと思い、俺に会いたい一心で己を磨き続けたウサギは、生物という枠を超え別の存在に進化したようだ。
 俺を敬愛するあまり、俺と同じ人間の姿をとっているが、その本体は全ての生物の特徴を得た星より巨大な獣らしい。

 ちなみに時間の異なる異次元を突破することは、ゲームのキャラクターが2次元という枠を超えて現界するくらい難しい。 つか不可能です。 まさに神の領域に足を突っ込む方法なんて、天狗眼を使っても無理だし、俺には想像すらできない。

 そしてうさぎは見事試練を突破し、この世界に舞い戻ってきた。    
 愛しい主人である俺に会えたことを心の底から喜び、褒美に名と契約を求めてきたのだ。

「名と誓いを。 我が全ては主のものです」

 名前は良いんだけどね。
 契約か……
 なんて言うか、合体? というか キモツィー? というか、尾獣として常に俺と繋がっていたいらしいだ……。
 本心をいえばこんな危険生物? と常時接続とかお断りしたいが、一万二千年待ち望んで居た奴にNOといえるはずも無い。
 っていうのが建て前で本心は怖いからです。
 心の中では泣きながら、顔では笑って神我人の名と、ナルトに組んでやった封印術式をおなかの辺りに刻み繋げた。




 色々協議した結果、普段は最古の四人の上司としてこの空間の総括管理人をしてもらうことにした。
 そして、俺があちらの世界でピンチになったらお腹の術式つかって、助けてくれるってことで。
 こうしてまたこの空間の住人が一人増えたわけだ。




 教訓・自重はやっぱり大切です。




 でもそのうち忘れて、また自重しなくなるかも……




 そんな日常の一コマ。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




次回は幕間でその次に本編に戻ろうと思います



[17149] 幕間
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/15 19:35
 手元の書類を見る。
 過神コジ。
 九尾襲来により両親をなくし孤児となり、過神カエデ、過神モミジ――初代様と二代目様の兄となった者。
 今年、アカデミーを首席で卒業し、はたけカカシを担当上忍として下忍に任官した少年である。
 過神――過ち、過去、過ぎたる、繋げるならば、過ちの神、過去の神、過ぎたる神。 いろんな意味を読み取れるが、名に神をつけるとは…… そこに深い意味があるような気がするが、孤児だからコジと名乗るふざけた感性に迷いが生まれる。
 実際の授業を受けているところ見たが、その実力に驚愕した。
 初代様と二代目様に個人的な修行をつけてもらっていると思うが、それを考慮しても尋常ではない実力だ。
 上忍以上――特殊上忍…… いや、三忍に匹敵する実力を有しているように見える。
 もしかしたら彼も復活した過去の偉大な忍びなのだろうか?
 考えれば考えるほど、わけが分からなくなる少年である。
 しかし、この少年がナルトと並び、里を震え上がらせる問題の鍵であることは間違いない。

「どう思う?」

 書類を投げ渡し、そばに控えていた森乃イビキ特別上忍に問う。

「こりゃ、素晴らしい成績ですな。 私がアカデミーに通っていたころと比べると、恥ずかしくて赤面してしまいます」

「そんなことを聞いているわけではない」

「出来るなら、二十四時間監視して情報を集めたいところですが」

「あの二人が許さんだろう」

 はいと森乃特別上忍はうなずく。

「正面から請えば少しは会えますが、影から監視は危険ですな」

「危険?」

「留守の間、家に忍び込もうとしたゲンマが全治二週間です」

「ふむ」

 溜息を吐き椅子に体を沈める。
 四代目の里抜け発言ももちろん大問題だが、四代目を含むお二人が蘇った秘術も知らねばならない。
 死者の蘇生。
 誰もが馬鹿な話だと一蹴する奇跡が目の前にあるのだ。
 これは忍びの世界だけではない。
 知られればすべての里と大名家が…… いや木の葉を含むすべてのものが狂い、そして襲ってくるだろう。
 この世界自体が狂乱の中で破滅するかもしれない秘事。
 なんとしても手に入れ、死者蘇生を阻害もしくは無効化する方法を見つけなくてはならない。
 しかし、相手は伝説になるほどの手練。 強硬に出ることも出来ず、忍者の本分である影からの奪取も高すぎる壁である。

「頭が痛いの」

 そして首尾よく術を手に入れたとして解析できる人材が居ない。
 正確には召喚しているが、積み上げられるのは失敗の報告。
 おそらく、この術を解析できるものは三忍である大蛇丸か綱手…… あとは、砂の国のチヨくらいか?
 大蛇丸も他里のチヨも論外であるため自然と頼れるものは綱手に行き着くが、その綱手は木の葉を去りいくら使者を送ろうと帰参する気配は無い。
 それだけでも胃が痛い話だが、唯一木の葉と友好であった三忍最後の一人である自来也もその姿を消した。
 理由は分かっている。
 自分に愛想が尽きたのだ。
 大蛇丸。
 綱手。
 そしてミナト。
 何がプロフェッサーだ。
 何が火影だ。
 この木の葉の危機の多くは自分の失態である。
 弟子である大蛇丸の根を理解せず、正しく導いてやることが出来なかった。
 綱手もそうだ。
 あやつの悩みを聞き、道を示してやることこそ師の務めではなかったか?
 九尾襲来のときも老いぼれが生き残り、前途ある若い忍びに全てを負わせてしまった。
 そやつから頼まれたナルトを守ってやることも出来ず、そうした全ては火種となって里に燻っている。
 老いた…… いや、そもそも自分に火影などという大役を務める能力など無かったということか?
 この期に及んで逃げだろう。
 里長たるもの決して口にしてはならぬ言葉だろう。
 しかし分からない。 分からないのだ。 
 どうすればよい? 誰にも聞けぬ、相談など出来ぬはずが、お二方は蘇られた。
 何もかも捨てて、お二人の下に参じたいという欲求が口から出そうになる。
 火影の編笠など自分がかぶってよいものではない。
 この編笠に相応しい者がそこに居る。 なんど纏まらぬ議会のさなか叫びそうになったことか。
 こんな愚物を師と仰ぐことなど、自来也も馬鹿らしくなっただろう。
 煙管の灰を落とし、新しい草を詰める。
 火をつけ口に咥えたところで、イビキの報告が続いた。

「ダンゾウ以下、根の動きにも怪しいものが」

 根か……
 盟友であり暗部を統括する男。
 そして『根』の首領。
 闇の闇。 暗部の暗部。 木の葉という大樹を地に埋もれ支える支柱の支配者。
 自分が表の火影ならば、裏の火影とも言うべき忍びの暗躍。

「木の葉が割れるか」

 ぽつりと吐き出された言葉は、揺ら揺らと立ち流れる紫煙と共に消えた。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




幕間です。
短くてすみません。
次回本編に戻ろうか、ちょっとしたオリジナル入れようか迷っています。



[17149] 005
Name: 鶏頭◆72a73b92 ID:a9056849
Date: 2010/03/17 20:35
「んじゃ、行って来るってばよ」

 元気に手を振りながらナルトが駆けてゆく。
 最近は小さな任務が多かったため、今回の任務は張り切っているのだろう。
 憮然としているが、心なしかサスケもニヤついている。

 その日、俺達十三班は初めての長期任務だという七班を見送りにいったのだ。
 普通は忍者の任務に見送りなどという習慣は無いが、俺たちもその日は任務が入っていたし、サクラを除く七班の面々とは仲がよかったので、任務のため集合するついでに七班を見送ろうということになった。
 行き先は波の国。
 原作どおりなら、Dランクの任務でありながら、ガトーカンパニーというマフィアと、霧の鬼人こと桃尻再不斬が襲ってくるため、実質はAランクに達する任務である。

「ミナトさんは勧誘するつもりなんですか?」

 隣に居るカエデに尋ねる。
 再不斬は転生系SSだと助けて仲間にするパターンが多いが……

「桃尻再不斬って霧の鬼人でしょ? 同級生皆殺しにするような奴を仲間にして大丈夫なんですか?」

 あの顔はやばいよね。
 顔ネタでギャクキャラ化してるケースが多いけど、本質はNARUTOでも屈指の残虐な忍者だ。 性格は顔に出るというところか?

「ももじり? あ、ああ。 同級生の殺し合いは霧の教育方針だからな。 個人的な意見だが、三年も手間と金かけて育てた忍びの卵を叩き割るとか、正気を疑うところだ。 しかし、能力的には恐れるものじゃないだろう?」

「考えてみれば下忍百人くらいちょろいですね。 ナルトが百人ならちょっと梃子摺りそうですが……」

 サスケやサクラなら千人いても余裕だな。

「残虐性をアピールするための噂だろうが、忍者はマフィアじゃないんだ。 必要なときにちゃんと殺せるなら、それ以上は余分だよ。 本来、三忍だとか木の葉の黄色い閃光だとか、名前が売れることは忍者にとって宜しくない。 里としての武名は他里に対する抑止力や、依頼を受ける際の知名度になるが、個人的に有名になることは任務を阻害する場合もある。 最近の忍びはどうも派手というか、自分たちが隠密であることを理解していないようだな」

「手厳しい」

「そういう派手なのは侍に任せておけば良い。 俺たちは闇に生きるものだ」

「でも、それだったら仲間にする意味あるんですか?」

「本命は白とかいう血継限界持ちだな。 ミナトに何か考えがあるらしい。 再不斬はオマケだ。 といっても、カカシ程度の実力はあるらしいし、まったく使えないということは無いだろう」

「カカシさんの評価低いですね」

「「カカシだし」」

 カカシだもんね。

 しかし――下忍でAランク任務とかナルトも大変だな。
 あいつの性格からすれば望むところなんだろうけど、多分サスケは写輪眼を開眼できないだろうし、サクラはアレだから実質ミナトさんとタッグの任務じゃないか?


 心の中でナルトの安全を祈っておく。
 俺というイレギュラーのおかげで、ヤバイ任務だとポロっと死んでしまうかもしれないからね。






 そんな風に考えていた時期がありました。







 まず最初に、カカシが時間通りに来たところからオカシイと感じた。
 モミジとカエデの武装が念入りだったのもヒントだったのだろう。
 そもそも今回の任務は『脱穀のお手伝い』
 農家に行って脱穀のお手伝いをするだけの任務に、武装が必要なわけが無い。
 毎回カカシが遅刻をし、その罰として俺たちの代わりに一人で任務に向かわせていたから、そのことに気づけなかった。

 何も知らず、阿呆面で口笛まで吹きながら里から出たら、ボンッカカシが変化をとき、そこから現れたのは曼荼羅オメメのイタチさん。
 驚きのあまりコシを抜かしてへたり込む俺の前に、次から次へとびっくり忍者大集合。
 白いオメメの人や、でっかい犬を連れた人。 鉄板みたいな刀を持った人に、ジャラジャラ鎖を身につけている人。
 どの人も個性的で共通点皆無ながら、一箇所だけピタリと揃っている部分がある。

 つまり。




 全員堅気じゃない!




 一見するだけで、オーラの小さな白目の人と犬の人ですらカカシレベル。 刀の人と鎖の人はイタチさんと同じ臭いがします。
 この場で忍界大戦出来そうな豪華メンバー集めていったい何をするんだ?

 未だ立てない俺にイタチさんが手を貸してくれた。
 ツラは殺人機械みたいだけど良い人だ。
 そうして立ち上がった俺に一人ひとり挨拶をしてくる。

 一枠一番白目の人
「日向宗家より派遣されました日向ユカタと申します。 末席ながら日向の名に恥じぬよう、精進いたしますのでお見知りおきを」

 二枠二番犬の人
「俺も犬塚宗家から派遣された犬塚ペロだ。 宗家の思惑は知らんが、面白そうなメンバーが集まるみたいなんで来たが、予想以上だ。 来たからには仕事はする」

 三枠三番刀の人
「可愛い子だねぇ。 ちっちゃなころ鬼鮫みたいだよ。 おっと名乗りだね? あたしゃ唐草マンボっていう。 ただの抜け忍さね」

 四枠四番鎖の人
「食うか?」

 うん。
 帰ろう。
 あと、ボルト・クランクじゃないんだから、鎖は食べられないよ。

 敬礼をして里に帰ろうとする俺を木遁で捕縛する二人。
 捕縛は良いんだけど、いや良くないけど、ジワジワ締まってきて痛い。 泣きそうなほど痛い。

「俺は過神モミジ。 この通り木遁使いで木の葉の下忍だ」
「同じく過神カエデ。 そこで呻いてる阿呆の妹ということになります」

 わかったから離して? ね? なんか、色々出ちゃうよ?

「うちはイタチ。 今回の任務の隊長を務める」

「最後にそこの抜け出そうとしてるのが過神コジ。 アレは見かけが馬鹿だが、見かけどおりではないよ」

 俺に視線が集まる。
 つか、アレってひどくね?
 義理の兄とはいえ、お兄ちゃんに向かって物扱いかよ。
 チャクラを膨張させて、木遁に出来た隙間から出る。
 本気でかけられたら一瞬でトマトジュースになる術を身内に使うとか、あの兄弟を育てた奴の顔が見たい。
 なんとか逃げる方法は無いかとチャンスを伺っていたら、逃げたら木遁火炎土下座の術だとか言われて、里の方向をイタチさんに封じられた。


 ハハハハハ

 乾いた笑いしかでない。


 そうして虚ろに笑っていると、ダブルオーナンバーズに指令を渡すかのように、カエデが任務の説明をしていく。

 行き先は音の里。

 しかも日帰り。

 恐ろしいが……

 出来れば聞きたくないが……

 聞かないと駄目なんだろうな。

 意を決して二人に聞いたら、花が咲いたような可愛らしい笑顔で答えが返ってきた。


「「マン・ハント」」


 今回の任務は音の里襲撃。
 大蛇丸をヌ殺して里ごと頂くんだって。
 しかも日帰りで。
 イタチさんと眼が合ったら苦笑された。
 他のメンバーも驚いていないところを見ると、知らなかったのは俺だけだったようだ。




 サスケ辺りとトレードで波の国に行けば良かったと、心の底から涙した。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 今回は手直しを続けているうちに訳が分からなくなってきました。 そのうち物語を進めることが出来れば改めて手直ししたいと思います。

 あと、鮫肌男と桃尻忍者とかどうかな?


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