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[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第一話「7人の同志たち」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/13 19:23
人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第一話「7人の同志たち」



とある街に、若き社長「Ⅰ(トニック)」が一身発起で会社を興(おこ)しました。
それは何が出来るかも分からない、小さな小さな会社です。

一緒について来てくれた同志は以下の6名

専務 「Ⅳ(サブドミナント)」
本部長「Ⅴ(ドミナント)」


そして「Ⅰ社長(トニック社長)」の側近で雑用をこなしてくれる「Ⅲ(サード)」と「Ⅵ(シックス)」

「Ⅳ専務(サブドミナント専務)」の右腕を買って出てくれる「Ⅱ(セカンド あだ名で「トゥー」とも呼ばれる)」

「Ⅴ本部長(ドミナント本部長)」の傍にいるけれど、あまり役に立たない新人社員の「Ⅶ君(セブン君)」


最初は自分たちが仕事の中で何をするべきか?どう動くべきか?
そんな右も左も分からずに、せっせと働いているうちに、ようやく少しずつ仕事にも慣れてきたようです。
設立から数ヶ月経った頃には、マニュアルらしきものもキチンと出来ていました。


仕事の流れとしては、まずⅠ社長自らが率先して注文を受け付け、
その注文に応じて専務や他の社員が対応して制作業務に当たり、
最後にⅤ本部長がⅠ社長に報告をして終わるというスタイルです。

(・・・なぜか仕事における立場では、Ⅳ専務よりもⅤ本部長の方が役者が上なんですね(--;
しかし役職・役柄の適任としてはⅤ本部長よりもⅣ専務の方が「Ⅰ社長の性質に近い」ため、
Ⅳさんが専務になっているわけです。。。ややこしい関係ですが覚えておきましょう)


でも、たまには思い通りにならない時もあり、
Ⅴ本部長が体を壊して、急遽「Ⅳ専務の慣れない業務報告」で終わったり、
Ⅴ本部長がちょっとミスをして不安定(sus4)になったり(その後きっちりと仕事をしてくれたから良いのだけど)
Ⅲ君やⅥ君が変わりにⅤ本部長から業務連絡を受け取ったのは良いけど報告の仕方が拙くて、
結局Ⅴ本部長がⅠ社長に伝える形を作らなければならない・・・・・・そんな2度手間になったり。。。


まぁ、毎日毎日働いていると色々なことがあるのが当たり前だけれど、
とりあえず1つ1つの事例・行動に名前をつけることによって明確化しようとⅠ社長は考えました。
そちらの方が、部下に指示を出す時にも注意する時にも、時間や手間を省けるというものです。


Ⅴ本部長→Ⅰ社長 【ドミナント終止】

Ⅳ専務→Ⅰ社長 【サブドミナント終止(アーメン終止)】

Ⅳ専務→Ⅴ本部長→Ⅰ社長 【サブドミナント→ドミナント終止】

Ⅴ本部長→ⅢさんかⅥさんに報告するが、彼らの報告があやふや 【偽終止(もう一度やり直し)】

Ⅴ本部長が少しミスをしたけど、その後キチンと正しくⅠ社長に報告 【ドミナントsus4→ドミナント終止】


少しずつではありますが、この会社では業務連絡の短縮化に対する意識も芽生え始めているようです。

そうそう、、、社員一人一人、自分のポジションや仕事を理解して、
きちんと仕事に合わせて自らの技術を磨いているようです。

そんな彼らの切磋琢磨している姿に社長並びに上司も刺激を受けて感化されたのか、
ある意味、社員以上に社長・専務・本部長も、自分に磨きを掛けて頑張っているようです。

そんな中「お互いに社内で協力・調和し合うために最適な力関係」が段々と整ってきました。


Ⅰ社長→Ⅰ ⅠM7 Ⅰ6

Ⅱさん→Ⅱm7

Ⅲさん→Ⅲm7

Ⅳ専務→Ⅳ ⅣM7 Ⅳ6

Ⅴ本部長→Ⅴ7

Ⅵさん→Ⅵm7

Ⅶ君→Ⅶm7(♭5)


・・・まだまだ仕事に不慣れなのか、彼自身の性格のせいか、
新入社員のⅦ君だけは(♭5)が付いてしまうようです。
(それもまた、彼の持ち味なのかもしれませんけどね(^^;)

しかし、他の社員も、やはり力量不足や才能の差なのか「m(マイナー)」がついてしまいます。

その辺りを見比べると「さすが上司はすごい!」

Ⅴ本部長はマイナーなんて付いていないようだし、
Ⅰ社長・Ⅳ専務においては「M(メジャー)」まで付いて、オマケに技を2つも持っています。
やはり会社をグイグイ引っ張る力を持っている主要人物だけのことはあります。


さて、これからの彼らの成長・・・そして会社の成長が楽しみですね♪



[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第二話「ⅡさんとⅤ本部長の連係プレイ」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/13 19:24

この社内の中で、一際仲の良い二人がいました。

Ⅳ専務(サブドミナント専務)の【直属の部下】であり、
実は【Ⅴ本部長(ドミナント本部長)の親友】でもある「Ⅱさん」です。

Ⅱさんは主にⅣ専務の部下としてⅣ専務の傍で仕事をしていて、
そのⅣ専務当人はⅤ本部長との架け橋的な役目もしてる人なのですが、
実は「やり取り」においては長年付き合ってきたⅡさんの方がⅤ本部長とのやり取りの愛称が良く、
彼らのそんな仲の良いツーショットを、彼らのあだ名を捩って「トゥーファイブ」と呼んでいました。

そんな彼らが絡んだ時の仕事の処理の速さは尋常ではありませんでした。

Ⅰ社長(トニック社長)がⅣ専務に指示。Ⅳ専務が他の社員と一緒に仕事に手を取られているので、
直属の部下であるⅡさんがそれを手伝う形でⅣ専務の代理として(代理コード)
親友でもあるⅤ本部長に素早く業務連絡。(トゥーファイブ)
その内容をⅤ本部長がⅠ社長に報告して仕事が終了。(ドミナント終止)

仕事をスムーズに、且つキレイな形でスパッと終わらせてしまうスゴい連係プレイです。

「Ⅰ→Ⅳ→Ⅵm」→「Ⅰ→Ⅱm7(Ⅳの代理)→Ⅴ7(トゥーファイブ成立)→Ⅰ(5度省略で静かにフィニッシュ)」


そんな彼らの仕事振りを見ていて、やはり自分の立場を取られたような気になるのは、他の社員。
同じマイナーを持つものなのに、Ⅱさんだけは特別なんです。そりゃ、あまり気が宜しくないでしょう。

Ⅶ君はただでさえ自分の才能の無さに打ちのめされた挙句、先輩の連係プレイを目の前で見せられて、
自暴自棄&鬱っぽくなって隅で引っ込んでますが。。。(^^;;;

しかし、マイナーな割に血気盛んな他の社員たち(笑)は
「よし、自分たちも社長の代理としての役割をもっと果たそう!」と、
彼らの連係プレイを見習って、自分たちの仕事を自分たちでもっと増やそうと考え始めました。

「そうだ!Ⅱさんに出来るのに、自分たちに出来ないわけがない!ただの雑用係で終わってたまるか!」
そんな社員の気迫溢れる意思により、この会社では「代理」が盛んに行われるようになっていきました。

Ⅰ社長の代理→Ⅲさん・Ⅵさん
Ⅳ専務の代理→Ⅱさん
Ⅴ本部長の代理→頼りないⅦ君

・・・まぁ、、、Ⅴ本部長は部下に恵まれなかったので、
それを気遣ってⅡさんが支援してるのかもね。。。(^^;;;;;;
そんなことを言ったら、またⅦ君が落ち込むかもしれないけれど・・・

早速「Ⅲさん」と「Ⅵさん」は、自分に出来る範囲で社長の代理を買って出て、
その光景が「ダイアトニック♪」の社内では、いつしか日常の風景のようになりました。

「Ⅲm→ⅣM7→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅵm」
「Ⅵm→Ⅲm7→Ⅳ→Ⅵm」→「Ⅲm7→Ⅳ→Ⅴsus4→V7→Ⅵm」→・・・・・・

その場その場で「必要なものを付ける(7度を足す)」・「不必要なものを外す(7度を外す)」
「後味がシンプルなのが一番良い結果を出す(最後は5度も省略するのが良い場合もある)」などの
それぞれに臨機応変な応用やテクニックも周りを見て覚え始め、仕事を終わらせることは出来ないけれど、
それならそれで「仕事を充実させる」という方面に活路を見出した彼らの「代理行為」は、
きっと社内の活気をより一層盛り立ててくれることでしょう。



[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第三話「突然舞い込んできた不慣れな業務」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/13 19:27
有限会社「ダイアトニック♪」は、日々の業務の中でさまざまな物を作り上げ、
お客様に提供していましたが、、、ある日、突然「今まで受けたことのないオーダー」を
お客様から受けてしまいました。

主に「楽しいもの」・「前向きになれるもの」を中心に作って提供していた彼らに対して、
お客様がオーダーしたものは、なんと「少し悲しくなるようなものが欲しい」とのこと。。。

「これまた世の中には奇妙な趣向を持ったお客様もいるものだ、、、(^^;」
。。。などと暢気に構えている場合じゃありません。

・・・そんなものをまったく作ったことのない彼らは戸惑いました。
もちろん「そんな物を作るマニュアル」なんて社内にはありません。
これから急いで【それに見合ったマニュアル】を作らなければいけなくなってしまいました。

慣れない業務・注文に、みんなで試行錯誤を繰り返し繰り返し、、、、、、
各社員が自分の役割を見直し、Ⅰ社長(トニック社長)の決断において出来上がったものは。。。

Ⅰm Ⅱm(♭5) ♭Ⅲ Ⅳm  Ⅴm ♭Ⅵ ♭Ⅶ

というもの。
さらに今までの経験を活かして、すぐに「自分の範囲で出せる力」も即座に作り上げられました。

ⅠmM7(またはⅠm7) Ⅱ m7(♭5) ♭ⅢM7 Ⅳm7 Vm7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ7

・・・・・・色々と力関係が逆転しています。

Ⅰ社長がマイナー?Ⅳ専務(サブドミナント専務)まで・・・
(しかしマイナーの上にメジャーを付けることも可能なところは、さすが社長!!!)
さらに極めつけは「Ⅴ本部長(ドミナント本部長)とⅦ 君」の立場が真逆に・・・

Ⅴ本部長がマイナーで、その代わりに直属の部下のⅦ君が「以前の本部長と同等の力」を・・・???
そしてⅤ本部長の親友である「Ⅱさん」なんて「以前のⅦ君の立場」になっています。

(さてさて、こんな世界観になって喜んだのは、今まで活躍の場が余りなかった「Ⅶ君」です。
まさに「ようこそ!私の世界へ」という気持ちでしょう)


それぞれを見比べてみましょう。

ビフォー    アフター

ⅠM7     →  Ⅰm7 or ⅠmM7
Ⅱm7     →  Ⅱm7(♭5)
Ⅲm7     → ♭ⅢM7
ⅣM7     →  Ⅳm7
Ⅴ7      →  Ⅴm7
Ⅵm7     →  ♭ⅥM7
Ⅶm7(♭5) →  ♭Ⅶ7


「・・・まぁ、これも仕事なのだから仕方ない(´Д`
♪あ~きらぁめぇましょ~ 諦めまぁしょぉ~♪」 


そんなことよりも

「よし!これならお客様のご要望通りのものが作れるだろう!」と意気込む社員。

「それに【作り方にも2通りのやり方がある】って分かっただけでも、
今回の【少し悲しいものを・・・】という注文をしてもらえて、本当に良かったよ」

「ダイアトニック♪」の社員たちは、新しい製作方法を身に付ける事となり、
今までのやり方を「メジャースケール(長調)」・・・そして今回のお客様のご要望によって
新しく作られた体制を「マイナースケール(自然的短音階)」と名付けて、
早速その「少し悲しいもの」を「マイナースケール」で作り始めました。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・しかし、いざ製作を開始してみると【とある大問題】が発生しました。
出来上がったものは、どれも「悲しすぎるもの~悲しいもの」ばかり

お客様からの注文は「少し悲しくなるようなもの」です。
誰も「思いっきり悲しくなるようなものを作って」などとは言われていません。

「これではお客様からクレームが来るかもしれない。。。」

完全に壁にぶつかってしまった7人・・・さて、どうやってこれを乗り越えるのでしょうか・・・




[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第四話「やはりⅤ本部長は最重要人物(?)」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/13 20:40
お客様からの斬新な(?)注文により、苦戦を強いられる「ダイアトニック♪」の社員たち。。。
「少し悲しいものを・・・」という内容に対して、四苦八苦しながら新体制を整えたのは良いものの、
その新体制「マイナースケール」で出来上がるものは、「少し」どころか「かなり~思いっきり悲しいもの・・・」

「このままではお客様からクレームが来るかもしれない」

「この新体制には、どこかに重大な欠点・欠陥があるのかもしれない。。。
それか、誰かの役割か、みんなの仕事の割り振りや力の配分を間違えているのか・・・」


・・・「誰か」の力配分・・・???
特に力配分で重要なポジションを占めているのは、やはり重役の3人・・・ですよね・・・

。。。。。。もう一度、以前の「楽しいもの」などを作っていた時の彼らの力量を、
「メジャースケール」の体制と、今回の新体制「マイナースケール」での
両者の力関係や役割配分を見直すことになりました。


「Ⅰ社長(トニック社長):以前 M →今回 mM or m」

「Ⅳ専務(サブドミナント専務):以前 M → 今回 m」

「Ⅴ本部長(ドミナント本部長):以前 7th →今回 m7」


・・・段々と問題点が見えてきたような気がしました。。。
Ⅰ社長とⅣ専務は確かに「m」が付きましたが、それにしても以前の力量を未だに確保しています。
Ⅰ社長なんて、もうすでに新体制の感覚を掴んだのか、以前よりも技が1つ増えて力量を増しています。


Ⅰ社長
メジャー Ⅰ ⅠM7 Ⅰ6 →マイナー Ⅰm  Ⅰm7 ⅠmM7 Ⅰm6

Ⅳ専務
メジャー Ⅳ ⅣM7 Ⅳ6 →マイナー Ⅳm Ⅳm7 Ⅳm6


Ⅳ専務のマイナー技もなかなかのものです。

「いつかマイナースケールだからm、、、じゃなく、メジャースケールでもこのmを使っていけるかな?」

とⅣ専務もまんざらじゃなく自身有り気www・・・それをさらに煽るように応援する周りの社員たち。。。
いつかメジャースケールで正式デビュー出来れば良いですね「Ⅳm(サブドミナント・マイナー)」


そうなってくると問題は「Ⅴ本部長」です。
「数少ないミスを除けば、常に7th一本勝負」という本部長だけが使っていた力技が、
いつの間にか「m7」という平社員レベルの力量にまで落ちています。

確かにⅣ専務も「m7」になっていますが、他の技もキチンと持ち合わせており、
何よりも性質や使える力量が元々「代理でもないのにⅠ社長に似ている」というⅣ専務ならではの持ち味を
最大限に活かすことによって、仕事の中では特に欠点という欠点は見当たらないのです。

(Ⅰ社長が不在の時には、代理のⅢさんやⅥさんだけではなく、
 彼が「会社の副代表」として仕事をスタートさせることも出来るのです。
ⅢさんやⅥさんが代理を務める時よりも自然に・・・・・その辺りは「さすが専務!!!」という感じです)

しかしⅤ本部長の仕事上での技や力量は、彼独特の立ち位置や絶妙な力配分の上でのみ可能な技で、
社員の間でも「Ⅴ本部長の7thからⅠ社長のM7 or トライアドへの力強くストレートで簡潔な流れ」を
【ドミナント・モーション】と銘打って、社員が尊敬と憧れの眼差しで彼の仕事を見つめていました。

「いつか、自分たちもⅤ本部長のような、立派な社員になりたい!」と。。。。。。


しかし【そのドミナント・モーションが、マイナースケールでは成り立っていない】のです。
ここで、この問題の原因がハッキリとしました。

周りの社員も「確かに以前のⅤ本部長の勢いがない」とみんなで頷いていました。

「やっぱりⅤ本部長には今まで通りの【7th一本】で頑張ってもらわないといけないのかも・・・」

改めてⅤ本部長の力量が「他には変えられないものだ」と、
社長以下社員全員が認め、彼が全力で仕事を出来る環境を整えることが、
今回の要望を答える新体制の形成に繋がるかもしれない。。。と、再び一致団結を心に決めました。


それにしても、それ以上に「Ⅰ社長」と「Ⅳ専務」は、他の社員とはまるで別格なのだと分かりましたね。
Ⅴ本部長ですら揺らいでしまうような仕事なのに、この2人は、まるでそれすら楽しんでいるようでした。
また、仕事場ではⅤ本部長よりも立場が低いⅣ専務ですが、キャリアが断然違います。

Ⅴ本部長は社員と同じ力量である「m7」になれば、すぐに「力不足・役不足」になってしまうのに、
Ⅳ専務は「m7」に力をセーブしても、キャリアと経験と人徳で乗り切ってしまうのです。
だからⅣさんが専務になったのでしょうね。。。深~い話です。



[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第五話「熱戦♪新体制作り」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/13 21:00
Ⅴ本部長(ドミナント本部長)が思い通りに働くことが出来ない環境を作ってしまったのが、
「今回の失敗の原因だ」と気付いた社長並びに社員たち。。。

更なる新しい体制を立て直すために、今までの自分たちの位置関係を洗い直すことにしました。
今まで自由に感覚だけで仕事をしていた彼らですが、どうやら【業界のルール】の大切さに
やっと気付き始めた瞬間なのかもしれません。

実は彼ら・・・もとい、同じ業界の中なら誰でも、仕事の中で「一時的なパートナー」と一緒に仕事をしています。
別に1人で動いているわけではありません。常に「もう1人~4人」と一緒に行動して働いています。

例えばⅠ社長(トニック社長)が仕事する時には、その付き添いでⅢさんとⅤ本部長とⅦ君も
一緒に加担しています。だから、○○さんが・・・と言っても、彼らが単独で行動しているわけではありません。
ほとんどの場合、一人で動くことなどないのです。

この「ダイアトニック♪」の社内のみならず、同業の会社での社員の動きというものは
「常に他の誰かと一緒にいるのが当たり前」なわけですが、
そこには幾つもの「業界のルール」が設けられています。

【自分を『1番』と数えて「何番目の人までが手伝ってくれているたのか?」を、キチンと報告しなさい!
 ※但し、手伝ってくれているメンバーが、自分も含めて3人以内なら報告しなくても結構ですが、
   非普遍的な協力の仕方をした場合は、それもキチンと報告してください!】

という、社会ルールとしては当たり前のものです。

「決して、手柄を独り占めしてはいけない」と考えた業界の総帥が同業社内での協力体制を強化するために、
『手伝ってくれた仲間を自己申告するように』と命じたのです。

ただ、いつでも誰かが協力してくれている姿が、この業界の社内では当たり前なので、
一々協力者全員の名前を毎回挙げられても記録する方も困ります。。。
ですので【例外的な組み合わせじゃない限り、2人までの協力の場合は報告しなくても良い】としたようです。

この「ダイアトニック♪」の社内には、社長も含めて7人いるわけですが、グループ編成の順番はこうです。

Ⅰ社長・Ⅱさん・Ⅲさん・Ⅳ専務(サブドミナント専務)・Ⅴ本部長・Ⅵさん・Ⅶ君→
Ⅰ社長・Ⅱさん・Ⅲさん・Ⅳ専務・Ⅴ本部長・Ⅵさん・Ⅶ君・・・・・・2周しました。。。

見ての通り「それぞれのポジションがその名前の通りの順として決まっており、
【動く中心人物】に対して3番目・5番目・7番目と【奇数の人】が基本的にペアやトリオを組んで動きます。

報告しなくても良い【普遍的な合計3人までの協力】のことが【トライアド】と名付けられています。
3番目の人が抜けて、変わりに4番目の人が手伝ってくれた場合は【sus4】と呼ばれます。
当人+3番目+5番目+7番目=計4人の場合は【M7】か【m7】か【7】か・・・。。。。。。

・・・あれ?同じ「7」でも色々と種類があるのですね。。。
【その違いは・・・?】と言うと、

自分から数えて3番目の人の位置が「半ば3つくらい」の時は「m」を付けて呼ばれています。
「M」は7番目の人の位置が「半ば11くらい」の時は「M」と付けて呼ばれています。
「M」が付かない場合は「7番目の人との距離が、半ば10くらいの時」ってことになっています。

「m」は3番目の人の位置が自分から数えて、普通よりも短い場合(通常は半ば4つ)
「M」は7番目の人の位置が普通よりも行き過ぎている場合を指して、そう呼んでいるわけです。

ああ、だから「Ⅱさん・Ⅲさん・Ⅵさん・Ⅶさん」も【m】が付いているのは、
自分から数えて【3番目の人がそういう位置だから】なんですね。

同じように「3番目の人が半ば3」で、5番目の人と6番目の人も協力してくれている場合、
「○m6」という報告になり、3番目の人が「半ば4の正常な距離」の場合、「○6」という報告になります。
滅多にありませんが、5番目の人が抜ける時も稀にあります。

また渡す人・渡される人が同じで、流れだけが逆の場合、【それぞれの位置関係は逆転します】
「Ⅲ→Ⅵ」さんと「Ⅵ←Ⅲさん」は、同じ「ⅢさんからⅥさんへ」でも、位置は正反対の意味になります。

つまり社員同士の距離感が一番大切なんですね。
これらの【報告】も「自分の名前+手伝ってくれた人との距離」を報告することになっていて、
これを「コードネーム(ボイシング)」ということに業界内で決まっています。

しかも、ややこしいことに、たま~に社員の立ち位置自体が少しズレてしまう時があり、
奥に半ばズレる時は「#(シャープ)」(逆周りの場合は手前)
手前に半ばズレる時は「♭(フラット)」(逆周りの場合は奥)」と自分で宣言することになっています。

そして「Ⅰ社長~Ⅶ君までの、それぞれの位置を全体から見たもの」を【スケール】と呼び、
スケールの基準となる物差し「Cメジャー」で各社員の距離を計測するわけですが、
どのような形式のスケールを使っていても、これの結果にばかり頼っている同企業を「C調」と言います。

一見「Cメジャー」と同じ意味を持っている言葉のように聞こえますが、
これは「Cメジャー計測の通りにしか仕事を出来ない無能な企業」という嫌味や叱責も含まれています。
ですから、簡単に同業者には口に出してはいけない言葉でもあります。注意しましょう。

(G調・D調という言葉もあるようで・・・つまり、#や♭の宣言をしている社員が3人・4人・5人などになったら、
その会社内の位置関係や力の配分を全然把握できないという、そんな企業・経営者に対しての嫌味です。
どの業界にでもあるものですよね、こういうネガキャンな言葉・・・)

この業界では、誰がⅠ社長を勤めるのか?ということを「key=○○」と呼ぶことになっています。
ですから「key」=「代表取締役(Ⅰ社長)」ですね。

また、この業界ではⅠ社長~Ⅶ君までの役割や力配分の形式(スケール)は誰が社長になっても同じなので、
仕事の要領と位置関係さえ覚えておけば、例えⅦ君が社長になっても良いって事でしょう。

(Ⅶ君が社長=【key=B】(この例では「メジャースケール表記」です。
Bmは短調表記の場合の言葉。長調なのに「Am・Dm・Em」で表記をするのも同じく誤り。
 ※並行短調・短調表記と、長調表記、、、そしてコードネーム表記は、それぞれ全くの別々の解釈です。

 トニックに対して3人目がマイナーの立場であっても、長調の調性表記上で「m」を付けるのは全て誤りです。
 「m」は「コード表記」であって「キー表記(調性表記)」ではないので、別物扱いされます。混同はいけません。
 長調の場合は「名称(+♯ or +♭)」、短調の場合だけ「○m(+♭)」の表記であり、
 長調の調性表記の中で「m」を付けることを許されているのは「コードネーム表記・ボイシング表記」のみです)

さて、、、ここまで【業界のルールや規則】を初めて徹底分析して、
「今回の失敗」の理由もようやく見えてきた社員たち。。。

そして「Ⅴ本部長の力量の正体」も・・・・・・
業界のルールを見直して、その意味と奥深さを理解しつつある「ダイアトニック♪」の彼ら・・・

ここから、彼らの「本当のチームワーク」が発揮されていくことになります。




[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第六話「互いの役割と調性の基本」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/14 00:22
【業界のルール】をもう一度みんなで勉強し直して、
ようやく今回の「不調」の原因が分かった「ダイアトニック♪」の社員たち。。。

もう一度おさらいしておきましょう。


①Ⅴ本部長(ドミナント本部長)の「いつもの動き」(ドミナント・モーション)が
明らかに鈍っているために終止の一部が上手くいかなくなった。

②上手くいっている時は「Ⅴ7→Ⅰ社長(トニック社長)」なのに、
不調のせいか「Ⅴ7」が「Ⅴm7」になっていて、社長との連携がグダグダになっている。

③Ⅴ本部長当人の実力がどうのこうのというより、Ⅴ本部長に協力している人の影響により
  「m」が付いたことが最大の原因だと考えられる。
ドミナント・モーションのみならず、他者からⅤ本部長への引継ぎ・受け取りの際も不調である。

④「m」が付いてしまうのは、自分から数えて3番目の協力者との距離が「半ば3つ」の時

⑤#を宣言してる人は、それ以前の順番の人から見れば遠ざかり、以降の人から見れば近づく。
  ♭を宣言してる人は、それ以前の順番の人から見れば近づき、以降の人から見れば遠ざかる


・・・・・・そう、Ⅴ本部長が「7」から「m7」になってしまったのは、彼から数えて3番目の協力者であり、
直属の部下である「Ⅶ君」の立ち位置が明らかにおかしかった(♭を宣言している)からです。。。

順番で見れば「Ⅶ君はⅤ本部長の後続」ですから【♭を宣言すれば「半ば1つ近づく」】ことになります。
今まではⅤ本部長に「m」がついておらず、Ⅶ君が♭宣言したら「m」が付いたということは、
今までの距離が「半ば4つ」だったところが、その宣言で「半ば3つ」になってしまったということです。

「彼が何も宣言せずに、そのままの場所にいれば、Ⅴ本部長はいつもの実力を出せたのです」

・・・・・・こんなことを言われたら、ただでさえ落ち込んでいるⅦ君が、
さらに自信を失っていくかもしれませんが、それが今回の問題の現実です(笑)

3番目の協力者が「半ば3つ分の距離」だと、中心で動いている人に「m」が付いてしまいます。
Ⅴ本部長から数えて「3番目の協力者」というのは、Ⅴ本部長の直属の部下であるⅦ君のことです。。。

「マイナーの世界なら、僕にだって色んなことが出来るかも。。。Ⅴ本部長に近づく事だって・・・」と
いつも本部長の隣で働いている彼は、少し血気盛んに意気込みすぎて
【Ⅴ本部長の近くに行き過ぎたのかもしれませんね】。。。まぁ、その気持ちは分かりますけど。。。(^^;

でも、その勢いでⅤ本部長の持ち味を壊していたら世話がありません。
Ⅴ本部長の力量しだいで業務の流れ自体が狂ってくる事も見逃せないポイントです。

逆に言えば、これは「彼の完全な実力」なのではなく、周りの人間の立ち位置が変わったら通用しなくなるという、
そんな脆いものでもあったわけです。だから、こんなことで簡単に崩れたわけですね。

しかし、Ⅴ本部長が実力を発揮できていない環境では仕事にならないということを、
今回改めて痛感した「ダイアトニック♪」の社員たち。。。

だから、この「周りの位置関係」を「彼が全力を出せるように」と考えてあげて、
【社内での調和】を取り戻す必要があるわけです。
今までそれを考えていなかったのが失敗の原因です。

・・・・・・で、残念ながら「Ⅴ本部長に少しでも近づきたかったⅦ君」は、元の場所に戻されました(^^;;;

ⅠmM7
Ⅱm7(♭5)
♭ⅢM7
Ⅳm7
Ⅴ7
♭ⅥM7
Ⅶdim7

マイナースケールに続く、この新構成を「和声的短音階(ハーモニック・マイナー・スケール)」と称して、
どうしても不自然な流れになる「マイナー・スケール」に変わって使うことになりました。

しかし、このままではあまりにⅦ君が可愛そうなので、Ⅴ本部長の邪魔をしない場合に限り
マイナー・スケールからの流用として、♭を宣言して「♭Ⅶ7」として活動しても良いことになっています。
2つのスケールの良いとこ取りをしてⅦ君にも活動の幅が増えたこと自体は結果往来です。
(ついでに「Ⅵさん」も♭を外して「Ⅵm(♭5)」として活動することが可能です ※使い方にもよる)

「Ⅴ→Ⅰ」や「Ⅳ→Ⅰ」や「Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ」などの終止形態はメジャーとほぼ同じままに、
代理出来る社員の構成に、ホンの少しだけ変化が見られる点があります。


Ⅰ社長の代理・・・♭Ⅲ・♭Ⅵ M7・Ⅵm7(♭5)

Ⅳ専務の代理・・・Ⅱm7(♭5)・♭Ⅵ・♭ Ⅶ7

Ⅴ本部長の代理・・・役に立つ代理は無し


・・・・・・Ⅶ君の思惑とは裏腹に、Ⅵさんが着実に勢力を伸ばしているような(^^;;;
やはりⅦ君の才能の問題なのかな・・・(笑)



[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第七話「上司の真似事をする社員たち」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/14 18:20
前回の「短調騒動」から数ヶ月・・・いつものように仕事をしている「ダイアトニック♪」のメンバー・・・
しかし少し様子が違います。。。・・・・・・明らかにⅤ本部長(ドミナント本部長)を始めとした、
上司に対する眼差しが。。。いつもと違うのです・・・・・・

結局、Ⅴ 本部長の力量1つが狂ってしまうだけで、社内の調和がほぼ取れなくなってしまうほどに
自分たちの役割とは歴然な差があることがハッキリとしたわけで、社員にとって見れば気が気じゃないでしょう。

目標になる人物は「Ⅰ社長(トニック社長)」・「Ⅳ専務(サブドミナント専務)」
そして「Ⅴ本部長」なのですが、これまた前者2名(Ⅰ社長・Ⅳ専務)なんて、
「Ⅴ 本部長が調子を崩してしまう様な場面でも、余裕で堂々としているくらいの器の大きさ」だということも分かり、
つまりⅤ本部長を超えるくらいじゃないと、この2人の足元にも及ばないということも分かったから尚更です。

「自分たちがこのまま毎日努力を続けたところで、こんな凄い人たちのようになれるのだろうか・・・?
 寧ろ、中途半端な力しか持っていない自分たちなんて、逆に足を引っ張っているのでは・・・?」

目指すべき目標が余りに高すぎると、人は意気消沈し萎えてしまうものです。
「こんなこと、自分には出来ないだろう」と。。。
今の「ダイアトニック♪」の社員たちも、多分そんな気持ちで上司を見つめているのでしょう。
「越えられない壁」とは軽く言いますが、実際にそれが目の前に現れた時のショックというのは相当なものです。


そんな中でいつも通りに仕事をしているのはⅡさん・・・ええ、Ⅳ専務の直属の部下であり、
そしてⅤ本部長の親友でもある彼ですね。いつもⅤ本部長との連携技「トゥーファイブ」で活躍している。。。

・・・彼なら「少しでもⅤ本部長の実力に近づける術」を知っているかもしれません。
そう考えた他の社員は、業務終了後、みんなでⅡさんに詰め寄り問いかけました。

Ⅱ「う~ん・・・Ⅴ本部長の実力は何であんなに凄いのか分かるか?って、そんなの急に言われてもねぇ・・・」
いきなりの質問にⅡさんも戸惑い気味です(^^;

Ⅲ 「何か良い案はないものかなぁ・・・?
  まぁ、あの人に追いつくような調子の良い案なんて、
  そんな簡単にはあるはずないだろうけど・・・」

ため息を吐く社員一同・・・そんな時。。。

Ⅶ君「あの~~~」

いつも引っ込み思案のⅦ君が、珍しく意見をしてきました。

Ⅲ「ん?なにか良い考えでもあるのかい?Ⅶ君?」

Ⅶ君「ぇ~~~とですねぇ・・・・あの~~~
    この前、私が一歩前に出たという、たったそれだけでⅤ本部長の足を引っ張ってしまったように、
    やはり私たちの位置関係に、本部長との違いがあるのではないでしょうか・・・?
    あ、、、余計なこと言ってしまっていたらゴメンナサイ(;;」

Ⅵ「位置関係ねぇ・・・・・・そう言えば、マイナー・スケールの時も、その方法で解決したよね。。。
  一度洗い直してみましょうか。。。。。。」

平社員みんなで「Ⅴ本部長の技」を真似するための研究が始まりました。。。


Ⅴ本部長の持ち味と言えば「大体の社員からの報告は素で受け取れる」という器用さと、
そして「親友であるⅡさんとⅤ本部長との連係プレイである【トゥーファイブ】」
極め付けは「Ⅴ本部長→Ⅰ社長への報告の的確さ【ドミナント・モーション】」

の計3つの要素です。

まずは「器用さ」の面において・・・
これがマネできなければ、いくら距離だけを合わせても同じようにはいきません。
力量・力配分が大切であることなどは、以前からも何度も経験していることです。

社員たちは懸命に自らの力配分を、出来るだけⅤ本部長に近づけるように、
それから日々、研究と練習を繰り返し続け、、、、、
とうとう「Ⅴ本部長と同じ力配分」を身に付けることに成功しました。


Ⅱ7
Ⅲ7
Ⅵ7
Ⅶ7


Ⅲ「よし!!!これで、後は距離感さえ掴めば、Ⅴ本部長と同じような動きが出来るはずだよな?」

Ⅵ「それにしても、、、さすがⅡさんはウマイですねぇ・・・ただでさえ元々Ⅴ本部長と似ているのに、
  さらに意図的にマネをしたら、キレが違いますねぇ(^^」

Ⅱ「そ、、、そうかな・・・・」

Ⅰ社長「ほう・・・面白いことをやっているね。それはⅤ本部長のマネかな?」

Ⅱ「あ、はい!」

Ⅳ専務「楽しそうですねwじゃあ、私たちもちょっとやってみましょうか」

社員一同「・・・え???」


Ⅰ7
Ⅳ7


Ⅰ社長「こんなものかな・・・?」

Ⅳ専務「まぁ、そんなものでしょうね」

社員一同「・・・・・・(私たちの苦労の日々って、一体。。。。。。;;)」

Ⅰ社長「それにしてもⅡさんは、本当に似ていますね」

Ⅳ専務「普段からⅤさんと同じような感じなのに、彼の役目まで出来るようになるなんて、
     まるで彼が2人いるかのようですね」

Ⅱ「Ⅴ 本部長2人分って、、、そんな恐れ多いことです」


そんなやり取りの中から、Ⅴ本部長のマネをした動きを使った時の報告は
通常の「3番目・5番目の人などとの協力」とは全く別のものとしてカテゴリーが分けられ、
その時は「セカンダリー・ドミナント・コード」と報告するように決められました。

そして「Ⅴ本部長2人分(?)」と言われていたⅡさんは、他の社員とは異なる名称が付けられ
その談話の内容から「ダブル・ドミナント・コード(DD)」と報告するように決められました。


セカンダリー・ドミナント・コード

Ⅰ7
Ⅱ7(ダブル・ドミナント)
Ⅲ7
Ⅳ7
Ⅵ7
Ⅶ7


Ⅱ 「じゃあ、あとはⅤ本部長とⅠ社長との距離感・・・
  それと私(Ⅱ)とⅤ本部長との連携の時の距離感を調べるだけですね」

Ⅲ「それが出来るようになったら、どんなコードだって好きなように繋いで協力できるようになるな!
  今から楽しみだ!」

Ⅵ「まぁ、覚えるまで苦労するかもしれませんが、みんなでがんばりましょう。」

Ⅰ社長「そうですね。何事も、やっているうちに覚えてくるものです。気楽に行きましょう」


画して、彼らはⅤ本部長や、重要なモーションを正確に真似することが出来るのでしょうか?
そして、それらが可能になった時、どんな新しい世界が見えてくるのでしょう?
確かに楽しみなことですね。

しかし、、、Ⅴ本部長との力量の差は縮まりましたが、
Ⅰ社長とⅣ専務は更に遠い遠い存在になった・・・・・・というか、
この2人にはどうやっても勝てないと理解した瞬間でもありましたとさ(^^;;;




[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第八話「構成を打ち破る規格外の発生」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/15 20:11
満を持してⅤ本部長(ドミナント本部長)の真似事を本格的に始めた社長並びに社員たち。。。
しかし、肝心の距離感を調べる前に、Ⅰ社長(トニック社長)が、ここで重大な「ある事」に気付いたようです。

基本的に「メジャー・スケール」の基準にて調整を繰り返しながら研究を行っていたのですが、
明らかに「メジャーで普段見られる出来栄えとは違う」と気付いたのです。

それは先日発見したⅤ本部長の力技のマネ【セカンダリー・ドミナント・コード】を宣言した時の
その【筆頭者と協力してくれるメンバー間に起こる距離の違和感】によって起こる問題でした。。。

例えばⅠ社長が普段使っているのは「ⅠM7」というもの。
つまり【Ⅰ社長を筆頭に、お手伝いとしてⅢさん+Ⅴ本部長+Ⅶ君が加わる】
・・・という組み合わせによる動きです。

これを「Ⅰ7」という【セカンダリー・ドミナント・コード】に移行しようと思ったら、

【Ⅰ社長+Ⅲさん+Ⅴ本部長+♭Ⅶ君】

・・・なんと、Ⅶ君が自ら率先して「♭を宣言」しています。

というか『そうしなければ「Ⅰ社長の【M】を取り外せない」から』です。
なかなか気の利いた動きを自分でキチンと判断して出来るようになったものです、、、

筆頭者に【M】が付く場合は「筆頭の人と7番目の人との距離は、半ば11の距離」
「後続の人が♭宣言すれば、宣言した人より前の人との距離が1つ縮まる(以降の人との距離が1つ伸びる)」
「筆頭の人と7番目の人との距離が半ば10になれば、筆頭の人の【M】は消える」

お見事です!
あのキョドキョドしていたⅦ君も、今では立派な「ダイアトニック♪」の社員ですね♪♪♪

・・・・・・などと、おべんちゃらを言っている場合ではありません(゜Д゜;;;

メジャー・スケールと言えば「ⅠM7・Ⅱm7・Ⅲm7・ⅣM7・Ⅴ7・Ⅵm7・Ⅶm7(♭5)」と
協力する際のメンバー・・・つまりスケール内の構成員の配置場所が決められています。

(彼らが「#」や「♭」を付けて【報告】するのは【C以外の調性の際のコード名】のみで、
 彼ら自体が自分の【場所】に対して【#や♭を宣言】して【動く】ことは
 正規のメジャー・スケール構成上では【通常は決してないはずのこと】なのです。
※この解釈は非常に重要なことですので、必ず覚えておきましょう※)

しかし、この「セカンダリー・ドミナント・コード」を宣言すると、
元々最初から「7」を使っているⅤ本部長以外の人は、
「明らかにスケール外と分かっていても、協力者が自ら#宣言や♭宣言をする必要が出てくる」のです。


          #・♭を宣言する協力メンバー

ⅠM7→Ⅰ7      ♭Ⅶ

Ⅱm7→Ⅱ7      ♯Ⅳ(♭Ⅴ)

Ⅲm7→Ⅲ7      ♭Ⅵ

ⅣM7→Ⅳ7      ♭Ⅲ

Ⅵm7→Ⅵ7      ♭Ⅱ

Ⅶm7(♭5)→Ⅶ7  ♭Ⅲ ♯Ⅳ(♭Ⅴ)


これはなかなか複雑な動きです。。。全てのセカンダリー・ドミナント・コードを使おうとすると、
スケール内で12の動きという限界ギリギリの幅をフル活用することになります。

また、そのようなことをする場合『誰が、誰に対して、何をするために動くのか?』の
意味と理由をキチンと弁えておかないと、イージーミスを連発しかねません。

「しっかりと【それぞれの動きと役割】そして【その意味】を覚えておくことが大切だな・・・」と、
社員たちは口を揃えて頷きながらそう言いました。


Ⅰ社長「う~~ん・・・これを利用すれば現在のスケールから
      【似ている別の協調パターン・協力体制に飛び移って切り替えることも出来るかもしれないね。
      全部はムリだとしても『部分的に別の調性に転じる』ことくらいなら可能になるかも】

・・・まぁ、今はⅤ本部長の仕事の距離感に関する研究に戻ろう。
この手のものは、ヘタに触ると後々ややこしくなるから。。。
この件は後で調べて、キチンと纏めておくから安心しておいて」

社員一同「はい、分かりました。よろしくお願いします」



[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 番外編「全てが1つになるように・・・」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:873f1f28
Date: 2010/04/16 18:20
ある日・・・社員たちは社長室に呼ばれました。。。
それぞれに掛けられた言葉は同じ・・・・・・

「君達に、そろそろ学んで欲しいことがあるんだ。
後で、みんなと一緒に社長室に来てくれないか?」

と、ただそれだけを言い残して。
いつものⅠ社長らしくない神妙な面持ちだったことを、
彼らは今でも覚えているそうです。

ある程度、仕事も片付いて、社員が自主的に社長室の前に集まり始めました。
まるで、みんな同じ事を考えていたかのように、ほとんど全く同じようなタイミングで・・・

前以て、Ⅰ社長の表情から「多分、普通の話じゃないだろうな」と決意を決めて社員たちは扉を開けました。
この時「とうとう私はクビか・・・」と考えていたのはⅦ 君だけだったことは、秘密にしておいてあげてください。

社員一同「失礼致します」

Ⅰ社長「ああ、お疲れさま。。。どうぞ、そこに掛けてください」

社長が指差したソファーに、大人しく社員が腰を掛けました。
Ⅶ君一人だけ、そわそわとしながら、他の社員よりも遅れて腰を掛け始めました。。。(^^;

Ⅲ「あの~・・・話って、何なのでしょうか?」

社員の中でも一番血気盛んなⅢさんは、思わず単刀直入に問い始めました。。。
他の社員の顔色も、そんなに宜しくありません。みんな、気にしているのでしょう。


「なぜ、呼び出されたのか?」を。。。


しかし、そんな社員のうろたえている姿には目も刳れず、Ⅰ社長は淡々と応えを返し始めました。

Ⅰ社長「ああ、実は君たちの為に、仕事部屋をいくつか用意したんだ。良かったら使ってくれ」

社員一同「・・・・・・・・・・・・え???・・・はいっ??????」

Ⅰ社長「ああ、その部屋で好きなように仕事を楽しんでくれ。
きっと今の君達ならば、出来るはずだと信じているからね」

いきなりの思わぬ返答に驚きを隠せない社員たちでしたが、
少しⅠ社長の言葉も緊張感を含んだ物言いになっていました。

少し・・・・・・・・・いや、、、かな~~~り「イヤな予感」がしました。。。。。。
Ⅰ社長から言われた、呼び出しの際に使っていた言葉

『学んで欲しいことがあるんだ』

学ぶ?・・・・・・何を???
それと「部屋を与える」ということに、いったい何の関係が?
それを見抜いていたのは冷静なⅥさんです。


社員一同「・・・・・・・・・・・」

Ⅵ「あの~~~、社長。率直に伺って申し訳ありませんが、
今回はどのようなご意向があってのことなのでしょうか・・・?」

Ⅰ社長「・・・・・・まぁ、まったく説明をせずに、、、というわけにもいかないか。。。」

相手がⅢさんならウマくはぐらかされている所でしょうが、相手が冷静なⅥさんだったことに、
Ⅰ社長も余計な二言などは発さず、淡々と本題を語り始めました。


Ⅰ社長「実は、君達にはこれから【別々の部屋】で【今まで通りの仕事】をしてもらおうと思ってね。
そのために部屋を用意したのだよ」

・・・意味が分かりません。
今まで通りの仕事で良いのなら、別に今まで通り同じ部屋で仕事をしていても良いじゃないですか。

そう言いたげなⅢさんを、表情だけで見抜いたⅥさんが、
(暫く相手の話を黙って聞きなさい)と目で合図を送りました。

Ⅰ社長「君達が、どの程度まで仕事を習得出来るのかを、今までずっと試していたのだと、
そう言った方が正しいのかもしれない。。。黙っていて、すまなかった」

・・・そう言われたら何も言い返せません。。。とばかりにⅢさんの表情がコロッと変わりました。

Ⅰ社長「君たちが今までやってきた仕事というのは【同時に重ね合わせる】ものばかりで、
実は【バラバラに作ったものを重ね合わせる】という『本来の作り方』を教えてはいなかったのだよ」

Ⅲ「じゃあ、今までの仕事は、何だったって言うのですか?!」

Ⅵさんが止める間もなく、Ⅲさんが社長に噛み付いてしまいました。。。
しかし、これにも微塵も動じず、Ⅰ社長は静かに、しかし重々しい口調で、こう返しました。

Ⅰ社長「これから君達に【本当の大仕事】をしてもらうために、ほぼ必ず必要な準備だよ。。。」

Ⅲ「・・・・・本当の、、、大仕事・・・?」

Ⅰ社長「ああ・・・これからは、大変な仕事ばかりになるぞ。。。?
そのために必要な練習期間だったのだと思っておいてくれ。
これから君がもっと頑張るためにも必要なことだったんだ」

Ⅲ「・・・・・・・・・・・・」

・・・・・・さすが社長(^^;
冷静です。

Ⅰ社長「今まで、君達に練習をしてもらっていたものは【同時に重ね合わせる】というもの。
これは【和声法】と言うものです。しかし、現実的には和声法におけるコード表記(進行)というものは、
【ただの結果】のようなもの。。。

例えば「結果=ⅣM7」と言われても、その形式は様々・・・(以下、コード表記ではなく単音)

「1トラック目=Ⅰ→Ⅵ→Ⅱ→Ⅵ ※転回(ベース)」

「2トラック目=Ⅳ+Ⅵ→Ⅰ+Ⅲ→Ⅲ+Ⅵ→ Ⅲ+Ⅰ(ボイシング)」

「3トラック目=Ⅳ Ⅵ・・・→Ⅵ Ⅰ・・・→Ⅰ Ⅲ・・・→Ⅲ Ⅰ Ⅵ Ⅲ(アルペジオ)」

これもコードネームは「ⅣM7」です。

そして今回、君達に与えた【1つ1つの部屋】のことを【トラック】と言います。
つまり【全てのトラックの合計=ⅣM7】になっていなければ「それは間違いかもしれない」ということになります。
※トライアドの5度省略・Ⅴ7の7度省略・Ⅴsus4(9)の5度省略などの、省略による例外を除く

君達は「Ⅴ本部長のマネ」をして、これからもっと頑張りたいのだよね?
そうなると、最低限「ベースの部屋」と「それ以外の部屋」を分けることになるのですよ。

※ドミナント・モーション連発におけるベース進行は、ほぼ全て完全4度か完全5度の強進行になってしまうため、
【ト音記号のトラック】と【ヘ音記号のトラック】は『連続する転回』に備えて分けておいた方が良い。

※※但し、この考え方は【作ったデータを後から2つのトラックに分けることが困難なシーケンス】や
同じく「1つの五線譜を後からベース・その他の譜面に分ける機能などが付いていない場合」のもの

※※※『どのみち使う音源が違うわけなのでトラックは2つ以上に分かれるだろう』という事も指している。


もちろん、基本的なコード進行のルールを大幅に間違えていても間違いです。
これらの両方が正しくなければいけません。

この「部屋毎に分けて制作する=合わせれば意図した和声コードの結果になるようにあらゆる作り変えをして、
そして作品に合わせた作り方をした上で、作品の一部・その加工物を同作品の他の場所にも流用して強調する」
という方法を「和声法」とは全く異なる名称で【対位法(対旋律):アレンジ】と言います。

これからは、君達に、この方法を意識した作り方を覚えてもらいます」

そう・・・
今までⅠ社長が【和声法を懸命に教えてきたのは、実は『対位法(アレンジ)』の結果を正確に狙えるように、
部屋分けをするまでに出来るだけ必要な『和声法の基本的な基礎知識』を教え込むため】だったのです。

「トラックを合計しても、ほぼ和声法を正しく遵守している+商品の特徴の一部を商品の別の箇所に流用
 +商品の一部を再加工したもの複数を色んな箇所にも使用している」=一般的な【アレンジ】

つまり【和声法に背かずに上級者向けの作成方法である『対位法:アレンジ』で作るため】には
最も基本的なことである【和声法】の基本を先に知っていなければ、
なかなか狙った通りに正しく作れるわけがないだろう、、、というのが
Ⅰ社長が「ダイアトニック♪」の社員一同に伝えたかった事だったのでしょう。。。



[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第9話「連続的ドミナントモーション炸裂!」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:3107ef7d
Date: 2010/04/19 08:33
Ⅴ本部長(ドミナント本部長)の真似事を理解しつつある「ダイアトニック♪」のメンバーたち。
残されたのは「Ⅰ社長(トニック社長)」との連携で見られる「ドミナント終止」などの際の距離感の分析と、
もう1つの絶妙な距離感である「Ⅱさんとの連携技」である「トゥーファイブ」の際の距離感の分析です。

まずは「Ⅰ社長とⅤ社長のやり取りの際、どのような位置関係にあるのか?」
それさえ分かればこの両者の関係性と同じ様な動きを出来るようになるはずです。

この時に気を付けないといけないのは「誰から誰へ」の距離感は全て「上と下。つまり2つずつある」ということと、
それらは「真逆になる」ということ。。。(これは距離感(音程)の基礎の中でも最も大切なことなのですが、
あえてドミナント・モーションの説明に入るまでは触れずに置いてた内容でもあります。
その他の基本を知らずにいきなりコレを出すと非常にややこしいので。ここまで理解した上で覚えてください。
また、これは「第1転回~第3転回の結果予測」にも直結する話ですので、ベースの進行の基本にもなります)

【筆頭】から見た、同一音へ行き来する時の「上へ」と「下へ」の違いで起こる距離の関係

(上行した場合) 完全8度(オクターブ)   ←テンション・リゾルブ  (♭9)テンション・ノート

(筆頭から見て) 完全1度(ユニゾン)                         短2度

(下降した場合) 完全8度                                長7度

(と書いていくと、非常に文字数は消費するわ、誰かに伝えたり相談する時に余計に複雑な文章になります。
この際の「長」は【M】、「短」は【m】と表記され、その隣に「コードの根音(ルート)からの距離」が書かれます。
(またはⅠからの距離と解釈する場合もある)「完全」は【P】+【距離】・「増・減」は「aug/dim」で表記し、
以下のように数値+記号化された状態で譜面上・言論上では略されて表記されます)

Ⅰ  ♭Ⅱ   Ⅱ  ♭Ⅲ  Ⅲ  Ⅳ   #Ⅳ(♭Ⅴ)  Ⅴ  ♭Ⅵ  Ⅵ  ♭Ⅶ Ⅶ  Ⅰ
(root) (m)   (※sus4) (aug/dim)         (6)  (7) (M7)   ←コードの時

P8  m2  M2  m3  M3 P4  aug4(dim5) P5  m6  M6  m7 M7 P8 (オクターブ上)
   (♭9)  (9)  (♯9)    (11)             (♭13)(13)          ←テンション・ノート

P1  m2  M2  m3  M3 P4  aug4(dim5) P5  m6  M6  m7 M7 P8 ←(P1=Ⅰ
                                                           またはroot
この列が基準) 
P8  M7  m7  M6  m6 P5  dim5(aug4) P4  M3  m3  M2 m2 P1 ←(オクターブ下)
転回結果    

基本的に上にドンドン積み重ねる分には意味はあまり変わらない・・・というわけには行かないみたいですね。
ルートの上に3度・5度・7度と積み重ね、4つ目(ルートを含めて5つ目以降:短9度~)からは
「テンション・ノート」となり、それを使った後は「テンション・リゾルブ」(長2度~短3度下をルートとしたコード)で
【テンション状態を解決させる必要】が出てきますので、必要以上にガンガン積み重ねられません。
(だから【主要は4つ重ねまで】となっているのですね)

転回後の結果でもある下の列は「基準の※真ん中のⅠから見た時の、さらに上のⅠ(P8=オクターブ)へ
行くまでの距離」でもあり、つまり「m2」の「下にはM7と書かれている」ということは、
次のⅠ(オクターブ)に行くまでの距離が「長7度」、または「m2」を下に転回した時、
Ⅰ(根音)との距離は「M7になる」という意味です。(ベースをアレンジする場合には必須の知識となりますね)


さて、Ⅰ社長からⅤ本部長までの距離は「P5」・・・その下に「P4」と書いてあるということは、
さらに上のⅠまでの距離は「完全4度」・・・・・・つまり

【ドミナント・モーション】

ドミナント(Ⅴ)から上へ完全4度か、下へ完全5度

ということになります。
「半音数」で言えば【出発点から半ば5つ上か、半ば7つ下】ということになりますね。


Ⅲ「つまり、自分たちがⅤ本部長のマネをしながら、
自分から上に半ば5つ(P4)か、下に半ば7つ(P5)離れた人の方へ動けば良いわけだな」

Ⅵ「とりあえず、誰がどこへ動けるのか?を纏めてしまいましょう」

Ⅱ「そうですね、それを理解していれば、すぐに応用できるはずですし」


Ⅰ7→Ⅳ○○→???

Ⅱ7→Ⅴ7→Ⅰ○○

Ⅲ7→Ⅵ○○→Ⅱ○○

Ⅳ7→???→???

Ⅵ7→Ⅱ○○→Ⅴ7

Ⅶ7→Ⅲ○○→Ⅵ○○


Ⅲ「とりあえず、ちょっと練習だけしておこうぜ!」

Ⅵ「そうですね、早く物にしたいですからね」



Ⅲm7→Ⅵ7→

Ⅵ7→Ⅱm7→Ⅴ7・・・・・・あれ・・・次はどこへ・・・・・・?


Ⅴ本部長「おいおい。。。。このまま私がⅠさんに渡したら終了だぞ・・・」

Ⅵさん「ですよね。。。」

Ⅴ本部長「ⅢかⅥに渡せば偽終止だし、、、これだと、コードが少し伸びただけで、
結局あまり変わらないなぁ。。。
仕方ない・・・あまり使いたくないやり方だけど、少し手を抜いてみるわ」


Ⅲm7→Ⅵ7→Ⅱm7→Ⅴm7→ Ⅰ7→ⅣM7→Ⅲm7→Ⅵ7・・・・・・・・・・・


あ・・・一周繋がりましたね(^^

これを延々とバックで繰り返し流しながら他の部品を色々と足せば、それだけで作品が出来上がる・・・
という方法はとっくの昔から使われていますので、パクリにならないようにオリジナルの捻りを
キチンと加えておくように気を付けましょう。とりあえずこれが「永遠に同コードで進行」の1つの例です。
トランスとかテクノ系は特に、この「同コード永遠ループ+オリジナル部品(対旋律)や効果音」という考え方が
最も一般的に使われ始めた分野ですね。


Ⅱ「あれ?何気に、もしかして【トゥーファイブ】のマネもしてる?」

Ⅰ社長「あ、やっと気付きましたか^^;
上に行く場合はトゥー(Ⅱ)→ファイブ(Ⅴ)も完全4度、下に行く時は完全5度・・・」

Ⅵ「そう言えば、全く同じですね。Ⅴ→Ⅰ(P4)・Ⅱ→Ⅴ(P4)も
Ⅰ←Ⅴ(P5)・Ⅴ←Ⅱ(P5)も。。。」

Ⅰ社長「ええ。。。
     【ドミナント・モーション】も【トゥーファイブ】も
     上行きが【両方ともP4↑の位置関係】なんですよね。
     そして下行きが【両方ともP5↓の位置関係】なんです。
     ですから【ドミナント・モーションを行えば、同時にトゥーファイブと同じ距離】になります。

     但し「トゥーファイブが成り立つ」のは
【マイナーセブン】→【セブンス(7度省略可)】の時のみと決まっていますので、
     その場合は距離が同じでも厳密にはトゥーファイブのマネとは言えないことになります。

     「セブンス(7)→トライアド(5度省略可)・マイナーセブン(m7))」の場合が
【ドミナント・モーション】

「マイナーセブン(m7)→セブンス(7)※7度省略可」の場合が【トゥーファイブ】
     つまり、実は【協力者の手加減の違いを除けばどちらも同じもの】なんですね」

例)
Ⅲ7→Ⅵm7 【ドミナント・モーション】
Ⅲ m7→Ⅵ7 【トゥーファイブ】

※【トライトーンの解決】の為には「○7→○○m7・M7」の7度は両方とも含めた方が良いですが、
あまり複雑な4和音を連発したら聞き苦しい時がありますので、その辺りは臨機応変に。


Ⅲ「じゃあ、m7を付けたり、外したり、7を付けたりしながら「上へP4か、下へP5の距離へ移動」しながら、
たまに全く別の人にバトンタッチしてからスタートして、
また【ドミナントモーション】+【トゥーファイブ】を繰り返していけば、
終止形を使わずに延々と意図的にコードを伸ばし続けることが出来るということですね」

Ⅰ社長「そういうことになります。
しかし・・・その手口を乱発して使うと
非常に【厄介な問題】が出てきます」

社員一同「・・・・?」




[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第10話「マンネリ化する強進行ベースパターンと打開策【転回】」 其の壱
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:7540ec6b
Date: 2010/04/22 09:29
Ⅰ社長「まず、本題に入る前に【音階差に関する表記と、それぞれの関係性】のお浚いからね」

Ⅰ  ♭Ⅱ   Ⅱ  ♭Ⅲ  Ⅲ  Ⅳ   #Ⅳ(♭Ⅴ)  Ⅴ  ♭Ⅵ  Ⅵ  ♭Ⅶ Ⅶ  Ⅰ
(root) (m)   (※sus4) (aug/dim)         (6)  (7) (M7)   ←コードの時

P8  m2  M2  m3  M3 P4  aug4(dim5) P5  m6  M6  m7 M7 P8 (オクターブ上)
(♭9)  (9)  (♯9)    (11)             (♭13)(13)          ←テンション・ノート

P1  m2  M2  m3  M3 P4  aug4(dim5) P5  m6  M6  m7 M7 P8 ←(P1=Ⅰ
またはroot
この列が基準) 
P8  M7  m7  M6  m6 P5  dim5(aug4) P4  M3  m3  M2 m2 P1 ←(オクターブ下)
転回結果   


Ⅲ「あまり難しい話は好きじゃないですけど、、、
もう腹括りましたよ・・・(;; 社長、話の続きをどうぞ」

Ⅵ「Ⅲさん、、、何気に投げやりですね(;」

Ⅰ社長「まぁ、、、仕方ないですね。
この業界はイヤになるほどルールやテクや用語や理論が腐るほど多いですから。
でも、それを使って実践に取り組みたくても、知らなければ使うことすら出来ませんよ?」

Ⅲ「・・・分かりました。真面目にがんばります」

Ⅱ「誰も余り難しいことを考えるのは好きじゃないでしょうけど、
それが当たり前になるくらいにまで慣れるためには努力するしかないでしょうね。私もがんばります」

Ⅰ社長「良い意気込みですね。それじゃ、早速・・・・・・
所謂「ベース音」と呼ばれるものは、基本的に「リズム音の刻み」+「ボイシングの根音」で成り立ち、
同ペースで鳴り続ける音の刻みが、コード進行に合わせて音階を変えながら打ち続けるものです。

例)4/4  リズムの速度=1小節でクローズドハイハット8回
コード Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ7→Ⅰ

ベース (key=C)
AAAAAAAA→FFFFFFFF→GGGGGGGG→CCCCCCCC

それか「一発打ち」でA・・・・・・・・・・→F・・・・・・・・・・→G・・・・・・・・・・→C・・・・・・・・・・・

しかし、それだけだと余りにつまらないので構成音使い放題+さらにベースをアルペジオ風に扱って、
合いの手(フィル)の効果を付け加えたり、その道中に次の音に辿りつく前に寄り道をする「経過音」と
行き先とは違う方向に寄り道する「装飾音」・「刺繍音」という方法が許されています。
ドミナントモーションを連発すると「ベースの動き=完全4度か完全5度」ばかりになるのが
一番の問題点なのですが、それもこの理論を使って解決していくことになります」

Ⅲ「寄り道・・・?って、構成以外のものもアリですか?」

Ⅰ社長「何でもアリというわけではありませんね?」

Ⅲ「・・・・・・」

Ⅳ専務「Ⅲさんがドミナントモーションを使う時、誰が♭宣言しますか?」

Ⅲ「え・・・Ⅵさんが♭を宣言します」

Ⅰ社長「じゃあ、Ⅲさんが根音であるコードの時は
和音の構成外の経過・装飾として♭Ⅵも使うことが出来ますね」

Ⅳ専務「ついでに、ベースと言えど「コードの一部」ですから、Ⅲさんのコードの中で♭Ⅵさんが入ってくれば、
それでⅢさんのコードがセカンダリードミナントを宣言したことになりますから、
そのままⅦ君へドミナントモーションを打つことが出来ますね。
もし短3度を含んでいたら、そのままトゥーファイブも成立です」

Ⅰ社長「keyCで言うとE→B→D→♭A→Eなどですか・・・それは加工してアルペジオにして、
ベースは大人しくコードの順次通り+αでE→G→B→D→♭A→Eを基軸としてスタートして、
基軸+E→D→♭A→E→B→G・・・基軸+E→D→♭A→E→G→Bを繰り返して、
最後はアルペジオも含めてE→B→♭A→E→G→B→Eでフィニッシュ・・・という感じですね」

Ⅲ「すみません・・・既に頭が痛くなってきました。。。(;;」

Ⅳ専務「・・・まだⅢ7の構成音+オクターブしか音を使ってないのですけどねぇ・・・(^^;」




[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 第10話「マンネリ化する強進行ベースパターンと打開策【転回】」 其の弐
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:34cce06d
Date: 2010/04/22 18:30
さてさて、もはやギブアップ状態のⅢさん・・・他のメンバーも辛そうですが。。。
ちゃんとこの話を理解して、追いてくることが出来るのでしょうか・・・
(半分に分けてあるので少し遡って書いております)


Ⅰ社長「(Ⅲさんのセカンダリードミナントを中心にして考えるのならば)
keyCで言うとE→B→D→♭A→Eなどですか・・・それは加工してアルペジオにして、
ベースは大人しくコードの順次通り+αでE→G→B→D→♭A→Eを基軸としてスタートして、
基軸+E→D→♭A→E→B→G・・・基軸+E→D→♭A→E→G→Bを繰り返して、
最後はアルペジオも含めてE→B→♭A→E→G→B→Eでフィニッシュ・・・という感じですね」

Ⅲ「すみません・・・既に頭が痛くなってきました。。。(;;」

Ⅳ専務「・・・まだⅢ7の構成音+オクターブしか音を使ってないのですけどねぇ・・・(^^;」


Ⅰ社長「まぁ、正確には、この場合はそれしか使わずにⅢさんを最初と最後にして考えているから、
key=「リディアン(E-E)」という教会旋法の1つに当たるのものに、
key=Cの「Ⅲ7」の概念を捻じ込んで構成を作っている、というのが正しい見解なんですけどね。
表記や説明は全てCメジャー風に簡単に伝えてますけど・・・
(もちろん、このままだと不安定になりますが、気持ち悪い不安定さではないので、解決含めばOK。。。
で?不安定になる理由は?、、、そして解決する方法は??? それは各自で考えてくださいませ)」

ここで問題になるのが「転回時の音階差と意味」を考えながら、どれだけ自由に動かせるか?という事です。
次の音までに「寄り道」が可能になっている分、Ⅰ~Ⅶと音階差の意味を知らないと出鱈目な調性になります。

例えば、転回が不可能・不適切なら装飾か経過音に逃げた方が余程良いということになります。
一番の手っ取り早い例が「どこかでⅣ専務とⅦ君(key=Cだと「FとB」)がぶつかってしまう時」ですね。

Ⅶ君「え・・・?私はⅣ専務と一緒にいない方が良いんですか?」

Ⅰ社長「はい(^^;;;
位置関係上「Ⅳ専務とⅦ君の距離は半ば6」・・・
これは【トライトーン(三全音)】と呼ばれ、
私を基準に考えた時、#Ⅳか♭Ⅴ(aug/dim)に当たる音。。。

不協和音程にも協和音程にも、どちらにも属さないような空中に浮いた感じの不安定な音になります。
sus4を超える不安定さを持っていて、この状態に突入すると「トライトーンの解決」が必要になります。
(これはセカンダリードミナントを使い続けた時も同じです。故に上記の構成音だと解決が必要になる)

上記のベースの例で言うと「Ⅲ→♭Ⅵ→Ⅱ→Ⅶ→Ⅳ」というベースの構成が可能なのですが、
しかし最後の「Ⅶ→Ⅳ」はトライトーンでほぼ不成立になりますから、
オクターブであるⅢに逃げることになります。
↓トライトーン
コードの構成の根音であるⅢさんを1として言うと1→♭3→7→5→9がアウトで、
1→♭3→7→5→8はセーフということになりますね」

Ⅲ「アハハハハハ・・・・・・もう意味が分かりません(;;勘弁してください」

Ⅳ専務「ハハハ・・・だろうねぇ。。。
ベース音を器用に操るためには【どの音が悪いのか?どの音が使える音なのか?】を
把握しておかないと、周りの音とケンカすることになるから、実際は転回を乱発して使うのは、
それらの関係性をキチンと理解してから後の話なんですよね。
もちろん、解決策や対応策がある音までみんな省くのは持っての外です」

Ⅰ社長「これでも転回の代わりにアルペジオをベースに使っているだけだから、
まだまだ序の口なんですけどね」

Ⅲ「コレで序の口ですか・・・頭から湯気が出そうです」

Ⅳ専務「大丈夫大丈夫。「転回だ」と考えるから難しくなる。
実際は「アルペジオ」をベースに持ってくれば自動的に転回したことと同じような結果になるから、
アルペジオなどの「上ものの理論」を先にこうやって覚えて、それを後からベースと入れ替えたら、
ヘタに転回を考えるよりも良い結果が出てくるよ。そういう風に捉えれば良い」

Ⅲ「じゃあ、転回=【ベース音の上もの化・対旋律化】と言っても間違いではないわけですね?」

Ⅰ社長「転回しまくって、音程をドラムと主旋律の中間のベストな位置に合わせようとしたら、
イヤでもそうなるから、結果としては大体同じだと思っていいよ。
もちろん、お決まりの「ドドドドドドド・・・・・・・・」というベースの低音も捨て難いですから、
両方を小節の中で交互に混ぜても良いし。1小節内で「根音×5回+残りは構成音と装飾」のようにね。

ただアルペジオ化の際に気にしておかなければいけないのはベースより上の音から見て
トライトーンなどの距離感で上ものや主旋律とぶつからない様に計算しないと、
そこで不協和音みたいな音が出来上がってしまうから音階差をまず頭に叩き込まないと
感覚と手探りだけで探していると最終的に幾らでも時間が掛かることになるから
最初からこういうことを覚えておきましょうね。まぁ、それを逆手に使ってわざと不安定を続けてから、
サビの手前やラストのみだけ解決させるっていう方が上級者向けの考えらしいのだけどね。。。

って、、、お~い、Ⅲさん、大丈夫ですか?次の説明を続けますよ?」

Ⅲ「はい・・・・・・とりあえず、バファリン6錠ほど飲んできます(--;」




[18074] 人情活劇 有限会社「ダイアトニック♪」 番外編「Ⅶ君の存在意義と役割」
Name: 鬼ノ目発進号◆117aa725 ID:6bc86744
Date: 2010/04/24 10:24
基本の中でも若干ややこしい話なので番外編として。。。



Ⅶ君「はぁ・・・」

Ⅱ「ん?どうしたの・・・?Ⅶ君・・・なんか落ち込んでるみたいだけど」

Ⅶ君「いや・・・なんか色々と知れば知るほど、僕って長調だと、トコトン役に立たないんだな・・・って。。。
ちょっとウツ入ってます(;;」

Ⅱ「う~ん、そうかなぁ・・・」

Ⅶ君「そうですよ・・・特にコレと言って、みんなとの連携プレーでも役に立てないし。。。」


ええ、ここで普通なら「CM7」って連携で十分に役に立つじゃないか!と思い浮かべる所なのですが、
実際のところ「根音・3度・5度・7度」の中の【長7度】と【完全1度】という組み合わせは
【=根音の短二度下の構成音を上に転回した形】(M7⇔m2)ですので、
実は「CM7」という組み合わせは主要4和音のクセに、対位法の一部では「ルール外」という扱いになります。

(この辺りの詳しい説明は「ダイアトニック 第2章 対位法・対旋律」にて。。。。。。)

故に実質、教本などでも「Ⅶ=足手まとい」とか「Ⅶ=のけ者」なんて表現で書かれている本もあります。
言い方を変えれば「もっとも構成外に近い存在=Ⅶ」という位置付けになります。


Ⅶ君「その上に、トライアド1つ取っても、すぐに不自然な形になってしまうし。。。
最も基本的な三人での協力(3和音:トライアド)の構成すら不完全なんて、
なんか、僕ってみんなの足を引っ張っているような気がして。。。」

Ⅱ「ああ・・・確かトライトーン(三全音)に当たるんだよね。。。
う~ん・・・」

どう応えて励ましたら良いのか?・・・Ⅱさんも分からないようです。。。


Ⅰ社長「ん?どうした?なんか問題でもあったのか?
2人とも浮かない顔をして・・・(^^;;;」

Ⅱ「あ、社長・・・・・・」


Ⅱさんは、Ⅶ君が自己嫌悪に陥って落ち込んでいることや、
その経緯などをⅠ社長に説明して、何とか元気になってもらう方法がないかと相談しました。


Ⅰ社長「ああ、なるほどね。。。大体の話は飲み込めたよ。
確かにⅦ君は通常の長調の流れの中では経過・刺繍・装飾など、
一時的な流れの中でバックアップするのが主な役割になりますね」


Ⅶ君「やっぱりそうなんですか・・・・・・。。。。。。
じゃあ、私はどうすれば・・・みんなは5度移調で的確に変われたりもするのに、
私は基本的なことも出来ない・・・私はやっぱり役立たずなんですか・・・?(;;」

Ⅰ社長「いや、その全くの逆ですね。寧ろ「君にしか出来ない役割」があります。
他の人と同じことが出来ない分、他の人には真似できないことをやってのける能力もありますよ」

Ⅶ君「・・・・・・へ・・・?」

Ⅳ専務「ああ、例の【あの話】をしてるんだね」


Ⅱ・Ⅶ君「あ、Ⅳ専務」


Ⅳ専務「Ⅶ君は、 調の構成上のオーグメントやディミニッシュを避ける形で、
確かに基本的な三和音の時に【(♭5)】が付いて、
その結果として「トライトーン(半ば6の距離)」になってしまう。

そこで【もし、みんなと同じようになろう】と思ったら、
どの部分を訂正するべきだと思いますか?Ⅶ君?」

Ⅶ君「え~~~とぉ・・・Ⅳ専務に#を宣言してもらって、
一時的に「5つ目の音=半ば7」の状態を作っていただきたいと思います。
そうすればみんなと同じになります」

Ⅳ専務「ええ、正解です。あえて調性上のデミニッシュやオーグメントを踏むような形を選ぶのですね。
私が#を宣言して、Ⅶ君との距離を少し大きく取れば、
他の人と同じ三和音の形になりますからね」

Ⅰ社長「で、大切なのはここからです。

その【Ⅳ専務が宣言をして、位置を少しズラした瞬間に、
全体を見たら】どうなっていますか?」

Ⅶ君「・・・全体、、、ですか?」

Ⅰ社長「ええ、key=Cで考えてみてください」

Ⅳ専務「私が#を宣言して、他の人はそのまま・・・それって何と言いますか?」


C D E F# G A B


Ⅶ君「あ・・・・・・・・・・・これって「key=G」ですよね・・・・・・?」

Ⅰ君「ええ、その通り。
Ⅶ君が「正しい3和音」の構造を作り上げたら、
【一瞬、別の調になる】わけですね」

Ⅳ専務「で、その「調性を変えたまま(Ⅳに#宣言させたまま)」で続けてしてしまうことを【転調】
ホンの数小節だけ変え続けることを【部分転調】と言います」

Ⅰ社長「このルールは他のどの長調でも同じです。
自然に転調するためにはⅦ君の「変わろうとする力」が必要になります」


C D E F# G A B
       ↓
G A B C D E #F


Ⅰ社長「そしてこの「元々トライトーンを生み出していた減や増の部分」を線引きにして、
その前後を【デルタトーン】と言います。転調が行われる時、この2つのデルタトーンのうち、
前のデルタの最後のⅣさんがディミニッシュ(オーグメント)と入れ替わった後に、
デルタの前後の位置関係が真逆になっていることで次の調になっていることが分かると思います」


C D E F   (F#)  G A B
デルタトーン         デルタトーン

Ⅳを#Ⅳに入れ替え

C D E #F  /  G A B
デルタトーン       デルタトーン

デルタトーンの前後を入れ替え
(同時に4音目と5音目の間に新たな増・減が生まれ、
 新しいデルタトーンが形成される)

G A B C (#C) D E #F
デルタトーン       デルタトーン

Ⅳを#Ⅳに入れ替え

G A B #C / D E #F
デルタトーン      デルタトーン

デルタトーンの前後を入れ替え
(4と5の間に新たな増減の発生。そして新デルタトーンの形成)

D E #F G (#G) A B #C
デルタトーン         デルタトーン

Ⅰ社長「コレを繰り返していくと、以下のように調が移り変わっていきます」


        key=C →  key=G →  key=D →  key=A →  key=E   → key=B・・・・・・・・・・・
転調予告  B+#F  #F+#C  #C+#G  #G+#D  #D+#A


Ⅰ社長「大抵の表記は「この並び」での説明になっていると思いますが、
これは通常、主に円陣の様に表示され【五度圏】と呼ばれるもので、
業界の主軸となるルールの1つになります。

また、これらの流れに自然に乗るためには、
事前にⅦ君が先程の方法で【転調の予告を宣言】する必要が出てきます」

転調の予告=各長調のⅦm(Ⅶ+Ⅱ+#Ⅳ)

Ⅶ君「じゃあ、僕にも、僕の役割がちゃんとあるんですね。
なんか元気出てきました(^-^」

Ⅰ社長「ええ、ですから自信を持って良いですよ。
自然に構成外音やルール外の方に飛ぶには、
どうしてもⅦ君の力なしじゃ出来ないのは事実です。
意外性を持たせた作品造りのためにはⅦ君がどれだけ貢献してくれたか?で大きく変わります」


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