『僕と契約して魔法戦士になってよ!!』
(*M*)みたいな顔をしたマスコットがテレビの中でそんな台詞をのたまう。
TVアニメ『魔法戦士☆たもつマギカ』だ。
一見すれば、どこにでも居るようなマスコットキャラだが、悪徳業者顔負けのやり口のせいで
営業だの、淫獣だの、吐き気を催す邪悪だの、そのグラフィック見せんな!だの散々な言われ様である。
内容の方は子供向けとは思えない程のハードさはあるが、これはこれで一周しているものがあってか何気に人気は高い。
現役魔法少女である高町なのはも、通じる部分があるのかついつい見てしまっていたりする。
まぁ、今回は今朝に遠くから届いたビデオメールを見るためにTVを付けたまでだが。
差出先は海外から。
そして差出人はフェイト・テスタロッサ。
内容は、フェイトの裁判が近々行われ、クロノやリンディが尽力した結果、極めて軽い処分になり保護観察で済みそうな事。
そして、裁判が済み次第、地球へ、海鳴へやってくるという事。
もちろん、なのはもフェイト宛にビデオメールを送っている。
距離が離れていてもこうして通じる事が出来るのだから、いい時代になったものである。
フェイトやユーノにまた会える。
もちろん、その事は凄く嬉しい。
少し心に陰を残しているのは、あの日、あの場所から何も言わずに消えてしまった人が居たから。
アースラの観測記録では、一つの次元物質転送を確認した。
転送先は第九十七管理外世界日本海鳴市。
それがサウザーであるという確証は無いし、大量に残された血痕やジュエルシードの暴走もあったせいか、リンディからも生存の可能性は低いと言われていた。
生きていると確信したのは、フェイトとの別れの日。
リボンの交換をして、フェイト達の転送が始まる直前になって、まるで見送るかのように二本の光の柱が天を貫いたのだ。
いきなり現れたエネルギー反応にアースラの方では騒ぎになっていたようだが、フェイトだけは誰が何をしようとしているのか知っていた。
南斗鳳凰拳の継承の儀式。
あの時とは違う、一対一での正面からのぶつかり合い。
それを聞かされた時、止める為に文字通り飛んで行こうとしたら、どちらかが死ぬような事にはならないとフェイトに言われた。
理由を聞くと、ただ一言『母さんの友達』だからと言うだけ。
プレシアとサウザーの間に何があったのかは誰も知らない。
あれ程、この世界を憎んでいたプレシアが、望んでいた筈の次元断層を自らの手で封じ、最期の最期にフェイトを娘と呼んで死んでいった。
その答えは、もうサウザーに聞くしか無いのだが、連絡先なんて分かるはずもない。
ただ、アリサ経由で鮫島から南斗鳳凰拳伝承者を襲名した事と、それによって世界中を飛び回って偉い人と会っている事は聞いた。
届くかどうか分からないけど、手紙でも書いて送ってみようかと考えた所でインターホンが鳴った。
「お母さん、今ちょっと手が離せないから、なのはお願いね」
「はーい」
時間は午後八時を越える所で丁度夕食時。
士郎、恭也、美由希は道場で稽古をしており、手が空いているのはなのは一人。
そんなわけでモニターの前に立つと、そこには凄く覚えのある顔が写っていた。
「夜分恐れ入る。高町士郎殿はご在宅だろうか」
「は、はい」
相変わらずの雰囲気の口調に、なのはも思わず返事を返すと玄関へと駆け出す。
ドアを開けた門の先では、サウザーと見た事の無い少女が立っていた。
「む」
何か知らないが随分と勢いよく開いたドアと、飛び出してきたなのはを見てサウザーも僅かに声を漏らす。
そして、そのまま眉間に皺を寄せると、呆れた感じの声を出した。
「……分かっているだろうが、妙な真似だけはしてくれるなよ」
「?」
今にも溜息を付かんばかりの口調に、なのはも小首を傾げる。
妙な真似と言われても、全く以って心当たりが無い。
魔法の事だろうかと考えたところで、サウザーとは違う別の声が庭の方から聞こえてきた。
「妙な真似って、お前、俺を何だと思ってんだよ」
「尻拭いは常に他人任せな上に、今自分が不法侵入をしている事の自覚が無い性質の悪い馬鹿の事に決まっているだろう」
「相変わらず頭がカテーな。今からそれじゃ、将来ハゲんぞ?このデコボッチが」
「え?あの、その」
なのはの眼前で飛び交う罵詈雑言。
今にも互いに相手を殴り飛ばさんばかりの雰囲気に、どうしようかと慌ててみても止まりそうな気配はしない。
困り果てた顔でいると、今度は凄く申し訳なさ気なユリアに声をかけられた。
「大丈夫。……いつもの事だから」
「そうなんだ……」
ただ、大丈夫と言ったユリアにも、ここから口プレイデスマッチに発展しないとは言い切れないのが悩みの種。
サウザーは他人ん家の前で口プレイデスマッチをしないと信じてはいるが、ジュウザがどう出るかは分からない。
少なくとも、ジュウザが仕掛けなければ、今まで何も起きなかったのである。
とはいえ、ユリアと同じぐらいの少女の前で醜態成を見せるような無節操さは持っていなかったのか、ジュウザもここで引き下がった。
「まぁいいや。俺はジュウザ。んで、こっちのがユリアってんだ。仲良くしてやってくれな」
自分の名前だけ短く言うと、ユリアの背中を軽く押してなのはの前に出した。
サウザーからはボロカスに言われてはいるが、切り替えの早さと、面倒見は結構良いので年下からは兄貴分として慕われていたりする。
まぁ、そうでなけりゃあんだけ好き放題やらかしてるジュウザが里に居られるわけないという事だ。
ちなみに、今現在の南斗勢の出で立ちは、ユリアは見た目そのままの良いとこのお嬢様、ジュウザがゲーセンにでも居そうな気の良い兄ちゃん。
そしてサウザーが国の偉いさんとかと会う時の姿。
と言ってもきっちりした正装ではなく、特に気を使っているわけではない。
むしろ、気を使われている方なのでなんだっていいのだ。
それはさて置いて、人と友達になる事にかけては右に出る者が無いなのはが、そんな『仲良くしてやってくれ』とか言われて行動を起こさないはずがない。
眩しいぐらいのすっげぇ笑顔でユリアの前に出ると
「わたし、高町なのは。よろしくね、ユリアちゃん!」
「う、うん」
ぶっちゃけた話、ユリアは友達いない勢である。
もちろん、ただのぼっち勢というわけではなく、あの里の中であんだけリハクとダーマが張り付いていれば
余程のKY野郎でも無い限りユリアが南斗聖拳中枢に繋がりを持っているかぐらい理解出来る。
だから、本人が望んでいないにしろ、どこか一線を引いた扱いをになってしまっている。
そんなわけで、初めて同じ年代の女の子からそんな事を言われたので戸惑ってしまったのだ。
そんな二人を見ながら、こっちは任せておけば大丈夫だろうと思いながら、半年振りに高町家へ足を踏み入れたのだった。
「まずは、南斗鳳凰拳の伝承者となった事へ、おめでとうと言うべきかな。その若さで南斗の頂点とは大したものだ」
「いえ、父に比べればまだまだ未熟。あの時、構えの先を出されていたのなら敵わなかったでしょう」
テーブル一つ挟んで行われる、御神真刀流小太刀二刀術伝承者と南斗鳳凰拳伝承者の会談。
二人の立場的な事を考えれば、もっと場所が良くてもいい気がしないでもないが、アポ無しで来た為に自宅である。
別に隠して困るわけでもないし、天翔十字鳳の先にある二つの奥義の事は話の流れで説明はしておいた。
「それにしても、先生もお人が悪い。あの天翔十字鳳がただの構えにすぎなかったとは」
今の今まで南斗鳳凰拳最後の切り札と思っていた奥義が、実は繋ぎの構えだと知ってか士郎も言いながら苦笑いを漏らしている。
あの継承の儀は、あくまで先代伝承者が使う天翔十字鳳のみを破ったという事であって、その先にある構えを使われていたのなら間違いなく敗れていた。
まして、オウガイは歴代伝承者の中でただ一人、南斗鳳凰拳究極奥義『落鳳破』を体得している。
そこまでいって初めて並んだと言えるのだ。
ちなみに、サウザーが士郎に対して敬語を使っているのには当然理由がある。
南斗鳳凰拳伝承者になったとはいえ、士郎も御神の使い手だし、昔の事とはいえオウガイも賓客として迎えた事のある男。
どっかの筋肉馬鹿や、後先考えずに行動する性質の悪い馬鹿と違って、その辺りの事は弁えているのだ。
まぁ、その片割れは今の所は大人しくしているが。
ちなみに、ここまで来るヘリの中で、この辺り一帯の主要な場所は全て二人にも説明しておいた。
一つが、バニングス家。二つが、月村家。そして三つ目の高町家である。
バニングス家は南斗蛇鞭拳の鮫島が執事兼警護をやっている事と、月村家は南斗白鷲拳のダルダが関わっていた事実から、しばらくの間リロンとハッカが護衛に付いていた事。
そして高町家は、オウガイも認めるだけの力を持った剣の使い手だという事を簡単に伝えた。
最終的な目的は、なのはと話を付けリンディの協力を仰ぐ事だが、目下の目的はオウガイから預かった物を士郎に届ける事にある。
南斗鳳凰拳伝承者が直々に、それも先代伝承者の言付を預かってきたのだから、雰囲気も相応の物になる。
互いに歴史ある剣と拳の使い手として、それなりの礼儀を持った話し方をしていたのだが、横合いから邪魔が入った。
「うわー、こいつが爺様以外に敬語使ってんの久しぶりに見たな」
「貴様は大人しく黙って茶菓子でも食ってろ」
さっきまでの丁寧な言葉使いはどこへ吹っ飛んだのか、ジュウザに向けて死ねと言わんばかりに吐き捨てる。
当のジュウザはというと、とっくの昔に空になった皿を指差して平然としている。
黙って自分に出された茶菓子をスライドさせると、ジュウザのペースに乗せられている事に気付いたのか一度咳払いをして場を改めた。
「……こちらが父よりの書状と、もう一つ」
やっぱこいつ連れてくるんじゃなかったかと思いながらも平静を取り戻し、懐から封の施された書状と、南斗の紋章が刻まれた二振りの小太刀を置く。
「これは?」
「里の鍛冶に打たせた物で、無銘なれど業物に匹敵する一品だとか」
「……なるほど、先生らしい。息子が世話になった礼にと書いてあるよ。本当ならこちらからあの時のお礼に出向くべきなんだろうけど」
士郎とオウガイが最後に顔を合わせたのは、あの爆破テロ事件以来でそれっきり。
止血の秘孔で命は繋いだものの、意識不明の重傷で一時は本当に危なかった。
峠を越えたのは、ある日突然病室に現れた男が士郎の身体に触れた時から。
三日程で話せるまでになった回復振りに医者は奇跡と言っていたが、その正体は言うまでも無く北斗神拳だ。
その時のリュウケンの『礼なら私にではなく、我が強敵オウガイに言うといい』という言葉は今でも忘れられない。
南斗聖拳では手に余ると、門外不出が常の北斗神拳伝承者であるリュウケンを動かしてくれたのだ。
その時の事を思い返しながら士郎は恭也と美由希を呼んだ。
「恭也、美由希、こっちに来なさい」
言葉の重さから、重要な話かとやや神妙な面持ちで
二人が揃ったのを見ると士郎は両手に小太刀を持ち、それぞれを二人の前に差し出した。
「これ、父さんの恩人から送られた物なんじゃ」
「俺には『八景』があるからな。それに先生もその事は承知の上で送ってくださったんだ」
その事について特に異論は無いのかサウザーも頷く。
一度渡したものなら士郎がどう扱おうが勝手だし、オウガイにも御神の現状を伝えてあるのでそうなのだろう。
「南斗聖拳が人を活かす為の活人拳であるように、御神もまた人を活かす活人剣。それを忘れるなよ」
今では暗殺拳として認知されている南斗聖拳だが、少なくとも六聖拳の本質は活人拳だ。
紅鶴拳は少しばかり危ういところがあるものの、それでも代々皇帝の居城を守護していた事に変わりは無い。
むしろ、妖星を御しきるのが将星の役割の一つと言える。
そんな師弟のやり取りを眺めながら、サウザーは出されたコーヒーを飲みつつ今後の事を考えていたりする。
相変わらず魔法の事は話していないと見え、ユーノの姿も無い。
事が事なので出来れば、リンディにも話を付けて協力を仰ぎたいところで、出来るかどうかは別にして、なのはと話を通す必要がある。
歳の近いユリアも居る事だし、まぁどうにでもなるだろうと思っていると、話は終わったのか士郎が妙な事を聞いてきた。
「そう言えば、サウザー君は十五だったんだっけか」
「ええ、まぁ一応は」
「……うちの美由希は十七なんだけど、どうだろうか」
唐突にそんな事を言うもんで、さすがのサウザーも、このオッサンは一体何を言っているのだろうかという顔付きになった。
どうと言われても何がって話である。
そんな表情に気付いたのか、士郎はやや俯きながら美由希の方を見ながら答えた。
「いや、この歳になっても浮いた話しの一つも浮かんでこないものだから、少し心配になってね……」
「ちょっとお父さん!?恭ちゃんも黙ってないで何とか言ってよ!」
「まぁ、俺もそれは薄々感じていた事だが……」
「酷いよ!?」
まぁ確かに年頃の娘が毎日毎日剣の稽古では、父親としては心配にもなるのだろう。
恭也も同じだが、こっちはリア充なので特に問題になっていないというか、自分の稽古に付き合わせてきたという自責もあるので逆に心配になってきたらしい。
ただ、三つ編み眼鏡属性持ちの彼女が顔を赤くしてあわあわしている姿は、見る人が見たら一発ノックアウトなのだけども。
プチ親子兄妹喧嘩勃発でさっきまでの厳粛な雰囲気はどこへ行ったのかという体たらくだが、残念な事にもっと騒がしいのは南斗勢の方である。
「おい、良かったじゃねーか。今なら可愛い妹も出来て、お兄ちゃんって呼んでもらえるぞ」
「……どうやら貴様とは本気で決着を付けた方がいいらしいな」
「止めて!お兄ちゃん止めて!ぶぁっはっははは……!HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
もう待ってましたと、この期に乗じてジュウザが煽りに煽る。
今にも殴り飛ばさんばかりのサウザーが迫ってもジュウザの煽りは止まらない。
裏声まで出して自分で言った事が余程ツボにハマったのか、ジュウザ爆笑集というタグが付かんばかりに笑い続けている。
普段であれば、即刻世紀末バトル開始であるが、生憎とサウザーは他人様の、それもオウガイが手土産持たす程の男の家でんな事やる程、自重出来ない訳ではない。
それを分かっているから、この馬鹿はギリギリのラインを見極めて煽ってきているのである。
ただし、人を怒らせる事にかけては右に出る者が居ない男にも、もちろん弱点は存在する。
「HAHAHAHA……あいて!」
ジュウザの笑いを止めたのは、北斗でも無ければ南斗でもない一発。
珍しく怒った感じのユリアがジュウザの手を力一杯つねっていた。
「い、いや、ユリア。これはそのあれだ」
「謝って」
普段の飄々とした姿はどこに行ったのか、まるで母親に悪戯が見つかった子供のよう。
これがリハクなら煙に撒いてとっとと逃げ出すところだが、今のユリアにそんな事すれば、向こう一ヶ月は口を聞いてくれないとかいう事になるし実際なった事もある。
何とかして言い訳にようとするも、きちんと謝るまで許す気は無いのか手を離してくれない。
世紀末幼稚園修羅組学級委員長もユリアの前では形無しである。
凄くしょんぼりした顔でジュウザが項垂れていると、サウザーが溜息を吐きながら言った。
「この俺に対してああいう物言いが出来るのは貴様ぐらいのものだが……。まぁいい、今回は珍しい物が見れたという事にしておいてやる」
ぶっちゃけた話、サウザーとジュウザでは大きく差がある。
天翔十字鳳を抜きにした単純な拳の実力では6:4といったところでほぼ五分というところだろう。
だが、鳳凰拳を伝承する前ならともかく、正統伝承者となり名実共に南斗の頂点に立った今では立場が違う。
その差がどれ程の物かというのは、リハク辺りが普段どういった形でサウザーと接しているかで理解出来るはずだ。
とはいえ、サウザーもこんなジュウザを見た事が無かったし、一緒に頭を下げるユリアを見て怒る気も失せたらしい。
ただまぁ、呆れ顔でこのド阿呆がと言いたそうにしていたのは言うまでもないが。
「……お見苦しい所をお見せした。今日はこれで失礼させて頂く」
「もう帰るのかい?先生の近況も聞きたいし、泊まってくれていっても構わないけど」
「俺一人だけならともかく、三人ともなればご迷惑が。それに、しばらくはこの街に滞在する予定なので、その話はまた後日という事で」
もう場所の手配は済ませてあるし、何より連絡も入れずにいきなり訪れたという事もある。
それに真の目的は達成したわけで今の所は急ぐ必要も無い。
まぁ、これ以上は醜態成を見せるわけにいかないという考えのが大きかったが。
とにかく改めてその話をするなら、手土産に美味い酒でも持ってくるかと考えながら高町家を後にしたのだった。
「さて、アレは渡してくれただろうな?」
前もって手配させたホテルへと向かう道で、サウザーがユリアに向けてそんな事を言う。
今回、高町家に持ってきた物は三つ。
オウガイから士郎への書状と対の小太刀の他にもう一つ。
ユリアに持たせたなのはへの手紙である。
手紙と言ってもそこまで大した事は書いていない。
里であった事のあらましと共に、魔力を狙うという事から身辺の注意を促す事と、明日の指定した時刻と場所に来るようにという内容である。
前のような形で話をしてもよかったが、内容が内容なだけに少し時間をかけたいので、一応持ってこさせた物が役に立った。
そのユリアはというと、ジュウザの背中の上で物凄く眠そうにしながら小さく頷いている。
何だかんだで、里から出る事が少ないので、滅多にない遠出を結構楽しみにしていて朝早くから起きていたらしい。
それだけ見ると、ならいい、と短く言うと、今度はジュウザが質問をぶつけてきた。
「おい。いい加減、どういう事なのか教えろよ。お前がオッサン達にも何も言わずに動くからには、何かアテがあるって事だろ」
「……まぁいいだろう。貴様もあの女が空を飛んでいたのは覚えているな」
「ああ。舞空術があるなんざ聞いた事ねぇけど何なんだありゃあ」
「原理はよく知らんが、ここと違う次元の世界には魔法という物がある。ヤツが使っていたのはそれだ」
「何言ってんだバーカ!……って言いたいとこだけどよ、俺も実際見ちまったからなー」
本当はジュウザを連れてくるつもりなど毛頭なかったが、一応これでも南斗六聖クラスの使い手である。
言葉で説明するのも面倒だったし、ユリアも懐いているので渋々といったところだ。
割とあっさり魔法の事を受け入れると、大体の予想は付いたのかジュウザも当たりを付けてきた。
「で、まさかとは思うけど、あの娘もそうなのか?」
「察しがいいな。それと、お前達も知っているフェイト・テスタロッサも、ああ見えてかなりの使い手だ」
「まぁじでぇ?」
「冗談でこんな事を言うものか。一度距離を取られれば、この俺でさえ一筋縄ではいかん」
「……って事はお前、前からそんな面白そうなモンがあるって事を知ってて黙ってやがったな?」
「まぁ、特に言う必要がなかったからな」
「汚ねぇ、こいつマジ汚ねぇ」
言えば言ったでロクな事を言わんだろうが、と思いながらジュウザの文句を軽く受け流す。
経験から、真面目に相手するだけ時間の無駄だと悟りきってしまっているのだ。
歩きながら明日以降の予定を組み立てていると、物凄く久しぶりの感覚に襲われる事になった。
「これは……」
辺り一帯から人の気配が消え、景色の色が変わる。
何者かが結界を張ったという事だ。
すぐに後ろを振り向くと、何が起こったのかいま一つ掴めていないジュウザも異変に気付いたのか目を細めている。
魔力反応型の隔離結界であるのなら、ユリアを背負っていたジュウザはともかく、魔力もクソも何も持っていないはずの自分が入っているのは解せない事である。
まぁ、分からない事をいくら考えていても仕方ない。
今すべき事は一つしか無い。
「跳べッ!!」
その言葉と共に、サウザーとジュウザの立っていた場所の地面が炸裂音をあげると同時に土煙を辺りに舞い上げる。
グレをぱなしたわけではなく、上空から何発か弾が降り注いできたせいだ。
ただし、土煙が晴れた先には何も残っていなかったが。
「あっぶねぇー!どこのどいつだ!」
「気を付けろよ。さっきも言ったが距離を取られ続ければ勝ち目など無いに等しいのだからな。とにかくお前は守りを固めていろ」
「性に合わねぇが今は仕方ねぇ。頼んだぞ!」
すんでのところで避けたジュウザが毒を吐き、サウザーが注意を促す。
攻撃を仕掛けてきたからには敵であり、敵であるのなら迎え撃つまで。
ただ、ユリアが狙われている事を考えるのなら、攻めと守りは分けた方がいい。
手の内を少しでも知っている方が攻めに回った方がいいと判断を下すと、邪魔な上着を脱ぎ捨て空を見上げた。
サウザー達が臨戦態勢に入る一分程前。
「大物が二つに小さいのが一つ。……近い方からやる!!」
海鳴市の遥か上空で赤いコスチュームに身を包んだ少女が封鎖結界を張った。
手にする得物は、小さな身体には似つかわしくない金属質な鎚。
こんなナリでも、ヴォルケンリッターの一人で鉄槌の騎士の異名を取る歴戦の兵である。
結界に反応した魔力反応は言葉のとおり三つ。
さっそく蒐集を始めようと、近い方の一組に上空から攻撃を放った。
大物は仕留められなくても、邪魔なヤツを先に片付けられればいいというぐらいの気持ちでぱなしたのだが、着弾地点には何も残っていない。
上手く避けられたと思い視線を別の場所へ移すと、凄く露骨に嫌そうな目を向ける二人組みが空を見上げながら言い争っていた。
「おい、マジでどうなってんだよ。それとも、あれか?お前の周りには、魔法少女が集まるってか?死ねばいいのに、このペド野郎が」
「誰が好き好んであんなのを相手にしたいと思うものか。なんなら、あれより先に貴様との決着を付けてやってもいいんだぞ?」
「上等だ。お前の鳳凰拳と俺の我流拳、どっちが上か白黒付けようじゃねぇか」
まさか、こんなチビっ娘が相手とは思っていなかったのか、二人とも物凄くやる気を無くしてしまっている。
さらに性質の悪い事に、ジュウザが口プレイをぱなすと、さっきの事もあってかサウザーも売られた喧嘩を買う。
ビキビキと、今にも殺し合いが始まりそうだったが、無視されている事に苛立ちを隠せなかったのか、少女が二人に向けて怒気を孕ませた言葉を向けた。
「あたしを無視するとはいい度胸してんじゃねーか」
鉄槌の騎士と呼ばれた自分を前にして、余裕ぶっこいた態度というか、完全にシカト決め込まれているのが相当気に食わなかったらしい。
ただ、一つだけ誤算があったとするのなら、サウザーもジュウザもいい具合に高まっていて、それどころじゃねぇっていう事。
「やかましい!!子供は牛乳でも飲んでさっさと寝ろ!」
「ルセェ!!チビは家帰ってアニメでも見てろ!!」
互いに向けていたマジ切れ寸前のベクトルを少女へと向ける。
高まっている人間に何言っても無駄という典型例である。
言葉は違っていても言ってるニュアンスはほぼ同じ。
言葉の意味を理解すると、今度は少女が顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「あたしはガキじゃねぇーーー!!」
とは言うものの、身長、容姿、ファッション及び趣向。
その全てから判断すれば、立派なお子様である事は誰の目にも明らかで、全くもって説得力という物が無い。
そんな、いつ口プレイがリアルファイトに発展するか分からない世紀末と化した戦場に新しく現れたのは、白い魔導師だった。
「こんな街中で結界を張るなんて、一体どういう……」
白いバリアジャケットを身に付けたなのはが文字どおり飛んできたのだが、そこに映っていた一触即発の光景に言葉が止まる。
メンチを切り合うサウザーとジュウザ。
そしてその二人に向けて罵詈雑言を放つ赤い女の子。
でも、全く相手にされていないというか、時折的確な罵倒が二つ帰ってくる。
そのうち『ウルセー肋骨折れろ!』だとか『流行んねーよ!』とかいう意味不明な煽りになってしまっていた。
どうしてこうなったかというのはなんとなく想像が付くので、何だか少し可哀想になってきた。
そうこうしていると気が付いたのか、少女が凄い剣幕でなのはに詰め寄った。
「んだよあいつらは!こっちの話全然聞かねぇし、勝手に喧嘩始めるしよ!」
「え、えっと、とりあえず、お話を聞かせてもらえるかな」
眼下でなおも睨み合いを続けるサウザーとジュウザを指差しながら少女が喚きたてた。
ガン無視された挙句、口プレイの巻き添えを食らったせいか少し涙目である。
そんな少女を見て、なのはも戸惑いながらも話を聞こうとすると、いきなり殴りかかられた。
「いきなりなにするの!?」
「うっせぇ!てめぇの魔力をよこしやがれ!」
開幕ブー下段小足の如き速攻をギリギリのところで避けるも少女の勢いは止まらない。
本来の目的である蒐集の対象の片割れがノコノコと姿を現したのだから攻撃を仕掛けない理由は無い。
もっとも、それは3割真実で7割が建前。
とりあえず誰でもいいからブン殴りたかった。
早い話が八つ当たりである。
「グラーフアイゼン!カードリッジロード!!」
"Explosion"
少女のデバイスが重厚な金属音を立てると共に蒸気の煙を辺りへと撒き散らす。
それだけで相手の雰囲気が変わった事を理解したのか、
"Ruhring Form"
年頃の少年なら目を輝かせる事間違いなしの変形機能。
とはいえ、なのはにとってはそれを悠長に眺めている暇など無い。
あのデバイスが、まるで戦闘機のエンジンのように火を噴いているからだ。
「ラケーテン・ハンマー!!」
爆発的な推力から生み出される一撃とスピードはかなりのもの。
初撃は上に飛ぶ事でかわしきったものの、第二撃は防ぐ事しか出来ない。
咄嗟にシールドを展開させると、頬を汗が伝った。
鎚の切先とシールドが火花を散らすと、手応えの重さから押し切られると感じ取ったなのはの脳裏に半年前の光景が浮かぶ。
恐らく、初めての状況であれば、攻撃に負けまいとして競り合っていただろうが、幸いな事にこの手の対処法は嫌と言う程に学んでいる。
まぁ、学んだというよりは、アースラでやった訓練の時にサウザーに何十回とシールドをブチ割られて身体で覚えたと言った方が正しいだろうが。
その時に教えて貰ったのは、相手の力に逆らうのではなく、相手の攻撃を受け流す事。
もちろん、サウザーのような技量があるわけではないので完璧というわけではないが、なのはには空戦魔導師ならではの強みがある。
シールドが砕けて、少女が振るう鎚とレイジングハートが激突すると、迷う事無く後ろへと飛んだ。
「あぅ……!」
それでも衝撃を完全に殺しきれなかったのか、レイジングハートにも亀裂が入り、なのはも地面に向けて吹き飛ばされる。
だが、直撃よりは遥かにマシというもので、ダメージその物は大した事は無い。
問題は、地面に激突した後の追撃を受けられるかどうか。
攻撃その物は非殺傷であっても、何かに激突した時に受ける衝撃までは話は別。
バリアジャケットがあるとはいえ、吹き飛ばされて激突するというのは小学三年生の女の子にとっては怖い物以外の何物でもない。
もちろん、それを黙って見ているような南斗勢ではないが。
「……っと!物騒なチビだな」
あんだけ派手にドンパチやられては冷戦を中断せざるを得ないのか、激突する手前ででジュウザがなのはを受け止めた。
子供とはいえ、人一人があの勢いで落ちてきたというのに、完全に勢いを殺しているというのはさすがと言える。
衝撃一つ感じなかった事に、やっぱりこの人も凄い人だったんだなぁと改めて思い、お礼を言おうとすると背後から迫る鉄球を見た。
「あ、危ない!」
「あー、気にすんな。それより怪我はねぇか?」
なのはが声をあげても、ジュウザは慌てるどころか笑顔さえ浮かべてなのはの無事を確かめる。
気付いているにも関わらず何もしない。
だが、ジュウザがそう言って何もしない理由がなのはにも分かった
「まったく……。貴様だけなら放っておくんだが、まぁそうもいくまい」
いつの間にか、ジュウザと背中合わせに立っていたサウザーが右手を一度鳴らす。
次の瞬間、迫っていた四つの鉄球は、ほぼ同時に消え去ってしまっていた。
「相変わらず速えーな。お前、裂波とか使えんじゃねぇか?」
「試した事が無いから知らん。まぁあの技は一発放つだけなら、そう難しくは無いと聞くが」
この場で何が起こったのか知覚出来たのは二人のみ。
ちなみに、サウザーが言うように伝衝裂波はコツさえ覚えれば放つ事は容易な部類に入る。
ただ、何が奥義たらしめているのかと言うと、南斗最速を誇る拳速から放たれる射程と連射速度である。
極めれば十分な殺傷力を持たせたまま、地面を滑らす衝撃波を何十メートルも無数に飛ばせるのだ。
無論、攻撃を消された方は話の意味を理解出来ないようだったが。
「おい……、今なにしやがった」
デバイスの形を最初の物に戻した状態で、少女が最大級の警戒心を込めて言う。
少女の持つデバイス『グラーフアイゼン』から撃ち込まれたのはただの鉄球ではない。
誘導弾としての特性を持ち合わせた中距離用魔法。
その放った四発全てが命中する直前に消えてしまったのだ。
避けたのなら、鉄球は相手を追い続けるし、防御魔法で防ごうとしたのなら貫こうとする。
かといって、相殺されたわけでもなく、消え去るという不可解な光景に警戒心を覚えたのか、やや距離を置いた状態でサウザーを睨みつける。
対するサウザーは特に気にするわけでもなく、両手を開く事でヴィータの疑問に答えた。
「あたしのシュワルベフリーゲンを握り潰したってのかよ!……てめぇ、バケモンか!!」
幼く見えるが百戦錬磨のベルカの騎士。
その中で、防いだり相殺した敵は何人も見てきた。
だが、高速で飛来する四つの鉄球を、空中で掴み握り潰したやつはただの一人として居やしない。
化物と言うのも無理からぬ事ではあろうが、サウザーは平然とした口調で短く言った。
「ああ、よく言われる」
「アイゼンッ!もう一発だ!」
"Explosion"
サウザーからして見れば、別に大した事はしていない。
人間止めたレベルの動体視力と反応速度は、例え至近距離からショットガンぱなされても、撃ったの見てから回避余裕である。
着弾の衝撃に関しては、闘気で押さえ込んでいたし、何より非殺傷設定のようだった為に傷を付けるには至らない。
射撃戦では勝負が付かないと判断した少女が、再び形を変形させたデバイスを手にサウザーに迫る。
だが、南斗鳳凰拳伝承者に対してそれは限りなく無謀。
怒りに任せた攻撃は、直線的で極めて読みやすい。
わざわざ間合いに入ってきてくれるのなら討ち取るのは容易だが、あれ相手にそこまでしたくないので、狙うのはカウンターでの武器破壊。
しかし、そこで邪魔が入った。
頭上後方から飛来する鞭のような形の刃がサウザーを襲う。
死角からの不意を付いた攻撃だが、それに反応出来ないようでは南斗六聖拳筆頭はやっていられない。
相変わらずの超反応で背を向けたまま刃を掴むと、その先にある主の姿を軽く一瞥する。
まさか、素手で掴んでくるとは思ってもいかなかったのか、苦虫を噛み潰したような顔をしているのがよく見える。
「甘く見られたものだな。この程度の攻撃がこの俺に通じると思ったか」
いかに魔力で身体強化をしていようが、南斗鳳凰拳を極めたサウザーとは膂力の差が違いすぎる。
さらに悪い事に、刀身そのものはちょっとやそっとで千切れるような作りはしていないらしい。
得物を手放すなら良し。
離さないのなら、このまま引っ張って地面に叩き付けるまでだとしたところで、背後から迫る気配に気付いた。
「何っ……!」
突如現れた大柄な男の蹴りがサウザーの右側頭部を狙う。
掴んでいた刃を持ったまま腕で防いだが、不意を突かれたという事と結構な威力という事もあって、さすがのサウザーも体勢を崩して刃を離してしまう。
並みの人間ならガークラしてビクンビクンしていただろうが、この程度の蹴り南斗白鷺拳の足元にも及ばない。
それも承知の上で、ジュウザからは煽りが飛んできた。
「あれぇ!サウザー様ともあろうお方が今の見えないんすかー!?」
恐らく転送か何かで背後に現れたのだろうが、それだけで南斗鳳凰拳伝承者の不意を付ける物ではない。
投げがねぇ!とは言わないが、一発食らったのは紛れも無い事実。
それならば最大限に利用してやるかと、ことさら隙を見せてみたのだがどうやら一筋縄ではいかないらしい。
「ザフィーラ!邪魔すんな!」
「退け、ヴィータ!シグナムをやったのはそいつだ!」
「……っ!マジかよ、こいつが!」
可能性は高いと思っていたが、やはりあの女の仲間だったようだ。
ヴィータと呼ばれた少女も南斗聖拳の事を知っているのか、距離を離してしまった。
男の方も攻撃が目的ではなかったのか、サウザーの姿勢が崩れた事で空へと身を移している。
椅子を外される形となってしまったサウザーは、力を込めていた右腕を下ろしながら毒付いた。
「三人か。……思っていたより出てくるのが早かったな」
後一歩分踏み込んできてくれれば、カウンターの一撃を叩き込む事が出来ただけに、相当場数を踏んでいるという事が理解出来る。
仲間が出てくる前に捕らえたかったが、そう上手く事が運べば苦労はしない。
さっきの事から、なのはとヴィータとでは7:3で不利であるし、戦場を空に移されてしまっては集中攻撃の的になってしまう。
ユリアに至っては種籾勢であり、何より敵の目的が魔力を狙っているというのなら、必然的に狙いはこの二人になる。
伏兵の可能性も考えると下手に攻めに出れば、その隙を付かれるのは必定。
守りながら攻撃を仕掛けてきたところを、一撃で切り伏せるのが手だが、南斗聖拳を知っている連中が迂闊に仕掛けて来る可能性は極めて低い。
むしろ、制空権を掌握したまま空からの攻撃に徹して、疲労の蓄積と戦力分断を図ろうとするはずである。
「で、どうすんだよ。俺らだけならいいけど、結構ヤベェぞこれ」
「喚くな。打つ手は考えてある」
ジュウザもそれを理解しているのか、珍しく真剣な顔付きで身構えている。
拙い状況というのはジュウザに言われるまでも無く、その状況を甘んじて受けれるほど呑気な性格はしていない。
敵の攻撃をサウザーとジュウザで防ぎ、なのはが地上から固定砲台として攻撃に専念する。
幸いな事に、連中は近接戦闘主体で遠距離戦はそう強くないと見た。
とにかく、作戦だけは伝えておこうとした時、空から金色の光が降り注いだ。
「新手か!」
そう叫んだのは、空の騎士達。
牽制が目的だったか、一発も当たる事は無かったが、その光はなのはにとっては、幾度と無く見た物。
「これって……」
最初は話も出来ないまま敵として出会い、途中から手を取り合って、今ではかけがいの無い友達。
フェイト・テスタロッサが応援として駆けつけたのだった。
ヒャッハー!あとがきだーー!
聖帝様が結界に入れた理由は、雷霆フラグって事でさ。
アニメ系の聖帝様の闘気は金色。
聖帝様の魔力光が紫だったら、北斗無双仕様の紫金色の闘気になる(キリッ
ジュウザはまぁ、ユリア背負ってたからって事にしといてくだしあ。
聖帝様がヴォルケンズ三タテしかけたのは非殺傷って事を考えれば、こんな感じになるんじゃないでしょうか。
次回はラウンド2とシュウの出番のはずです。
そして修羅の国ではジャギ様が対トキ1.7バスケを開発
いつまで新しい仕様が究明されるのこのゲーム……
では次回までサラダバー!
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し )). ::i `.-‐" J´((
ソ トントン ソ トントン
P.S↑口プレイに敗北したヴィータちゃんと、的確に煽る聖帝様とジュウザのイメージ図