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[19621] 【VRMMO】CuriosityOnline【非デスゲーム】
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/21 02:00
チラシの裏より移動してまいりました。
初めてのSS執筆です。
いたらぬ点は多々あると思いますがよろしくお願いします。

・VRMMORPGもの
・デスゲームではありません
・とあるMMORPGでの経験をもとにしているので色々と影響されている部分が出てくると思います

誤字脱字はもちろん批評・酷評・突っ込みお待ちしております。

2010年6/17 初投稿
6/19 感想返しを本文最後に書くことにしました。それと全体的に微妙に改訂。ほぼ変化なし。

6/20 感想をフィードバックして4話と5話を少々修正。このフットワークの軽さはWEB小説の利点ですね。この小説は私と読者さんの合作とも言えます。どんどん突っ込みお待ちしております。


6/27 チラ裏より移動、改訂作業するの忘れてた。

7/1 ブレイカーが仕事をした…

7/2 誤字修正…したと思ったら間違えて11話2つになってました

7/15 感想を参考に少々修正

7/21 タイトルちょっとだけ変更&誤字修正



[19621] 0:インタビュー
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/19 23:34
GamersONLINEインタビューより抜粋

完全に情報統制がしかれ秘密のベールに包まれたVRMMORPG『Curiosity Online』
6月1日オープンβを開始するという。
今まで秘匿されてきた情報を運営チームをまとめる山野辺徹氏に聞いてきた。

記者「本日はよろしくお願いいたします。Curiosity Online(以下CO)は6月にオープンβを開始するという話ですが現在の状況などをお聞かせください」

山野辺氏「そうですね、準備万端整ったというところですかね。実際始まってみないと分からない部分も多いのですが私たちは自信をもってこの作品を世に送り出します」

記者「ゲームに対する自信の程が伺えますね。今回オープンβということですが何か制限や未実装の部分などはあるのですか?」

山野辺氏「今回のオープンβの目的はバグの洗い出しや負荷テストなので製品版と変わらないクオリティでお届けしたいと思っています。もちろんオープンβ後も追加要素などは開発して良く予定です」

記者「なるほど、それは楽しみですね。それでは肝心のゲーム内容についてお話をお聞かせください。今までCOは情報を全く流さずにテストなどが行われてきたのですがその理由などは何かあるのですか?」

山野辺氏「それはこのゲームの根幹といいますか開発思想に基づいた対応ですね。このゲームのタイトルでもあるCuriosityは好奇心という意味なのですが、我々はこのゲームの最大の目的は好奇心を満たす事であるという考えでゲームを開発してきました。誰しもが子供の頃は好奇心の塊だったと思うんですよ。あの生き物はなんだろうとかあの場所からみる景色はどうなんだろうとかね。大人になるにつれて薄れていくそういう物を取り戻したい、開発陣一同そのためだけに頑張ってきました」

記者「好奇心ですか。それは具体的にはどのようにこのCOに反映されているんですか?」

山野辺氏「細かい物は色々とあるんですが大きな所でいくとチュートリアルといわれる物がありません」

記者「え?全くないのですか?」

山野辺氏「はい、ゲーム内どころか公式ホームページ上にも全くありません。さらにヘルプなどの機能もすべて排除してあります」

記者「それはなかなかない試みですね」

山野辺氏「ええ、これはこちらでも賛否両論で開始したらお問い合わせがすごいことになるんじゃないかって話です。まぁお問い合わせされてもゲーム上の事は何もお答えすることはないのですけどね」

記者「なるほど、しかしそれならば操作方法などはどう知ればいいんですか?」

山野辺氏「ユーザーのみなさんの楽しみをあまり奪いたくないので答えづらいのですが、基本的にはゲーム内で見聞きして知ってくださいとだけ」

記者「基本的な操作方法から自分で手探りで探す必要があるのですね。なかなか手ごわそうなゲームですね。しかしそうすると攻略サイトやWikiなどはみない方が楽しめそうですね」

山野辺氏「そこが私たちが一番頭を悩ませたところですね。Wikiなどの作成を禁止するわけにもいかないし。もしかしたら、そこが一番時間をかけた部分かもしれません」

記者「というと何か対策があるということですか?」

山野辺氏「対策会議でかなり長時間話しあったんですよ。攻略ページを作る上で何が大変なんだろうと。その結論が物量作戦ですね」

記者「物量作戦ですか?」

山野辺氏「ええ。編集する部分が10個なら簡単に攻略サイトが作れます。じゃあ100個なら?1000個なら?10000個なら?その考えのもとで力技で攻略サイトと戦うことにしました」

記者「それはクエストなどの数を増やすということでしょうか」

山野辺氏「それも含めてですね。武器や防具、スキルにクエストなどをこれでもかという位盛り込んでみました。さらにクエストには1つ攻略サイト泣かせな部分も作ったんですよ」

記者「といいますと?」

山野辺氏「我々の間ではユニーククエストと呼んでいるのですがCOには膨大な数の1度しか行われないクエストがあります。一人が行ったらもうそのクエストは発生しないので毎回手探りで行うしかないのです」

記者「なるほど、とてもやりごたえがありそうですね。私も少しワクワクしてきました」

山野辺氏「プレイヤーの皆さんの好奇心を満たせれば幸いです」

記者「わかりました、それでは本日はありがとうございました。COのオープンβに期待します」

山野辺氏「こちらこそありがとうございました」



[19621] 1:スイッチオン
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/19 23:35
『VR』いわゆるバーチャルリアリティの技術が実用化されてはや10年。
もともとこの技術は医学用に研究されていたものらしい。
初めは目の見えない人の為に直接脳に映像を送る技術から始まり嗅覚や触覚、味覚などを研究していった結果が現在の全感覚投入、いわゆるフルダイブ型VRだ。
この技術に目をつけたのは各国の軍。
フルダイブして訓練を行えば怪我がないし弾薬や設備も想いのままだ。
軍の潤沢な資金で研究開発を行った結果VR設備の大幅なコストダウンに成功しついに民間にもこの技術の恩恵がもたらされた。
初めはスポーツの練習施設や様々な研究機関で実験などに使われていたがこんないいものを日本がほおっておくはずがない。
自分も物語の世界に入り込むアニメや18歳未満はお断りな方面への使用もものすごい勢いで増えていった。
そしてその流れはもちろんゲーム業界にも訪れたわけで。




俺は電車から降りるとジョギングの速度に近いスピードで歩いていく。
周りの目が少々気になるが致し方あるまい。
現在の時刻は19時35分。
どうしても20時までには家に着かなければならないのだ。

「くっ、あのクソ課長が横槍を入れなかったら有給取って準備万端で待ち構えていたハズなのに」

なんども仮病で休んでやろうかと思ったが一応社会人の端くれ、仕事を放り出すことができなかった。
課長にハゲが進行する呪いをかけつつ歩いているうちにアパートが見えてきた。
時間は19時42分。

「オーケイ、寛大な心で七分ハゲで勘弁しておいてやろう」

玄関のドアをくぐりながら服を脱ぐ。

「飯を食う時間は…ないな」

買ってきた弁当を冷蔵庫に叩き込み部屋着に着替えた俺はVRヘッドセットの準備にかかる。
このVRヘッドセットというものは1つ5000万以上という恐ろしい値段がしたVRベッドをコストダウンして一般発売できる値段に抑えた優れものだ。
まぁそれでも基本的に20万前後はするのだが機能から考えるとお買い得な気がする。
ヘッドセットのセッティングを終え時計に目をやると19時57分。
なんとか間に合ったようだ。
今日は20時から日本初オリジナルVR対応ゲーム『CuriosityOnline』のオープンβ開始なのだ。
このCuriosityOnlineはほとんど事前情報がなく全くの未知数と言って良い物だ。
それにも関わらず、いやだからこそなのかもしれないがネットでの関心がものすごく高かった。
VRヘッドセットが20万前後するのにも関わらず注文が殺到し、どのメーカーでも入荷待ちが続くという現状だ。
オークションで転売されたものが50万近くの値がついたり、慌てて購入したらバーチャルボーイだったり。
いやバーチャルボーイはちょっと欲しいけども。
そんなことを考えていたらそろそろ開始時刻だった。
「さてさて、一体どんなゲームなのやら」
俺は顔が勝手ににやけるのを止められないままヘッドセットをかぶりベッドに横になった。
事前にCuriosityOnlineのクライアントはインストールしてあるのであとはスタートボタンを押すだけだ。
ボタンを押しプレイ中に寝返りとかうてるのかなとか考えている間に俺の意識は電子の海へと流されて行った。



[19621] 2:スタティナオンライン
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/21 23:51
気がつくと俺は綺麗な湖畔に立っていた。
湖の中央には巨大な城が見える。
周りを見渡すと林や草原もあるようだ。
生物は見える範囲にはいない。

「なるほど、これが全感覚投入というやつか」

息を大きく吸い込むと草の匂いがする。
意識しないとこれがバーチャルであることを忘れそうだ。
それにしても一体どうすればいいのだろうか。
公式のHPにはほとんど何も書いてなかった。
書いてあったのはクライアントのインストール手順とログアウトの方法くらいだ。
あそこまで何も書いてないと逆に清々しい。
俺は周りの景色を眺めながら湖へと近づいていった。
澄んでいてきれいな水だ。
魚とかいるのだろうかなどと考えながら水に手を伸ばしてみると。

「うぉ、手がない!」

手を見てみたらあるべき所には何もない。
というか体もない。
気分はまさに透明人間。
地面に生えている草をつかもうと思ったが見事なまでにすり抜ける。
なぜこんなことになっているかと思案していると目の前に突然一人の女性が立っていた。

「キュリオシティオンラインにようこそ。私の名前はスタティナと申します」

俺は突然のことにスタティナと名乗る女性を凝視することしかできなかった。
見た目は20代前半、軽くウェーブのかかった金色の髪にゆったりとした白いドレスのようなものを着ている。

「どうかなさいましたか?」

おっと見とれてしまっていたようだ。
なんとか気を取り直し返事をする。

「いっいや何でも無いです」
「そうですか、それではアカウントの作成を行いますね。まずはプレイヤーネームをお教えください」

ふむ、どうやらこのスタティナさんはNPCのようだ。
時折揺れる髪の毛や小首を傾げてこちらを見る表情が可愛らしい。
…NPCだよね?
あまりにも違和感がなさすぎて自信がなくなってくるが流石に一人ひとり対応する訳にはいかないだろう。

「えーっと、名前はイツカで。綴りはItukaでお願いします」

この名前は昔からゲームでよく使っていた名前だ。
愛着もあるしこのゲームでも使えるといいなぁ。

「かしこまりました、そのお名前が使用できるか確認しますね」

うーむ、ちょっとドキドキするな。
使えなかったらどうしようかなぁ。
流石に†とかつけるのは避けたいな。
すると他の名前ってことになるがいまいちピンと来ないし。
でもこのキャラネーム作成は変な名前をつけにくいな。
面と向かってスタティナさんに言わないといけないわけだし。
ある意味世界観をぶち壊すネーミングの抑制になっているのかな。
それにしてもやたら確認に時間がかかってる。
どうしたんだろう、イツカという名前は何かまずいのかななどと思いながらスタティナさんの方を見ると。

【LinkDead】

スタティナさんの頭上に神々しく光り輝く文字が!
あーなるほどね、回線が切断されてるのね。

「っておい!NPCがLDスンナ!!」

これは一体どうすればいいのだろうか。
というかアカウント作成NPCがLDするって結構な問題じゃないのか。
さすがオープンβ、想定外のことが起こるな。
というかなぜかリンクデッドしたスタティナさんはたったまますーすーと寝息を立てていらっしゃる。

「これ本当にLDしてるのか?」

確認しようにも俺の体は現在絶賛空気中。
とりあえず接続が復活するのを待つしか無い。
この仕様がプレイヤーにも適用されるとするとLDしたら顔に落書きとかされそうだな。
そんなことを考えながらぼーっと周りを眺めているとスタティナさんがビクっと動いた。

「ハッ!ねね寝てないですよ?」

何も言っていないのに言い訳を始める姿を見て軽く不信感を抱きつつも声を掛ける。

「えーっと、名前のチェックはどうなりました?」

すると彼女は満面の笑みを浮かべながら言った。

「はい、大丈夫です。タメゴローは使用可能です!」
「ふざけんな!バグってんのか!」

思わず大声で突っ込んでしまった。
タメゴローなんて名前一体どこから拾ってきやがったんだ。

「え、え、間違えちゃいましたか?」

オロオロしながら尋ねてくるスタティナさんはちょっと可愛いななどと思いつつもタメゴローは嫌なのでもう一度確認をお願いした。

「タメゴローじゃないです。イツカですItuka!」
「はい、かしこまりました。そのお名前が使用できるか確認しますね」

なにやらデジャビュを感じつつも待っているとスタティナさんの目がとろんとしてきた。
これはまさかまたLDするつもりじゃ。

「まった、寝るな。寝るんじゃない!」
「わたしはNPCですよぉ、ねたりしないれふぅ」
「いやヤバいって、どう見てもお休み3秒前だって!」

俺の説得も虚しくスタティナさんの頭上にはまた無常にも【LinkDead】の表示が灯る。
…俺は一体いつになればゲームを始められるんだ。





この現象はアクセスが集中してサーバー負荷が高まったのが原因だったそうだ。
掲示板ではアカウントが作成できない人々が書き込みしまくりすごい勢いでスレが消費された。
このひたすらスタティナさんが居眠りするのを見るしかなかった現象は『スタティナオンライン』と呼ばれるようになった。
一部メーカーのVRヘッドセットに付いている撮影機能によりこの模様がアップロードされキュリオシティオンラインの人気上昇に一役勝ったとか。
確かにあれは尋常じゃない可愛さだった。



[19621] 3:ゲームスタート
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/19 23:35
「はい、Itukaは登録できるお名前です。このお名前で登録してよろしいですか?」

長かった、本当にここまで長かった…
スタティナさんが居眠りすること5回にしてようやく名前の登録ができるようだ。
LDする度にタメゴローにしようとするあたり何か運営チームの作為が見える。

「はい、それで登録お願いします」
「かしこまりました、少々お待ち下さい」

なにやら空を見上げて受信しているようだ。
改めて観察するとスタティナさんはかなりの美人さんだ。
そういえばVR内のキャラは3次元に含めていいのか?
それとも2次元に含まれるのだろうか。
間を取って2.5次元?
これはなかなか難しい問題になりそうだ。

「…を…てく…さい」

それにしてもスタティナさん可愛いな。

「もう一度おねがいします」

極上の笑顔を浮かべてスタティナさんがそう言ってきた。
まさか声に出てしまっていたか。
軽く赤面しつつもここで言わなきゃ男がすたるってもんだ。

「スタティナさん可愛いなって言いました」
「はい、結構です。パスワードの設定が終了しました」
「…え?」

しまったぁ、今のはパスワードの確認だったのか。
他人には絶対教えられないパスワードになってしまった。
まぁパスワードなんて他人に教えるものではないが。
軽くへこんでいる俺を不思議そうに見つめながら彼女は話を続けた。

「続きましてキャラクタークリエイトに移ります」

お、ついにキャラ作成か。
というか事前情報が全くなかったからどんな種類のキャラが作れるかわからないんだよね。

「まず初めに種族の設定をお願いします。種族をこの中からお選びください」
「うぉっ」

突然目の前にウィンドウ画面のようなものが出てきて少し驚いた。
ウィンドウを見ると男女ペアで画像が写っている。
画面をスクロールして確認する。
画像しか無いので見た目だけで判断する。

ヒューマン:見た目は完全に人間。中肉中背で特に目立った特徴は見当たらない。
エルフ:ファンタジーの王道エルフ。ほっそりとした体つきに尖った耳。やたら美形。
オーガ:大柄な体で筋肉質。見るからにパワー型と言ったところ。男はガチムチ、女は姐御って感じの見た目だ。
ドワーフ:低身長だが骨太というかがっしりしている。長いヒゲがダンディ。女性は肝っ玉母さんを地で行きそうだ。
ホビット:身長はドワーフと同じ位だがこちらは子どもっぽい見た目。というかショタ&ロリだ。これは人気が出そうな予感。
ライカンスロープ:ネコミミ!その一言に尽きる。男性は狼っぽいけど選べるのだろうか。とりあえずもふもふしたい。
リザード:まんま爬虫類。体は鱗におおわれしっぽが生えている。モンスターに間違われそうだ。

画像から得られる情報はこれくらいだな。
うーむ、非常に迷うところだ。
特にゲーム情報が無くゲーム内でのキャラクターの方向性も決めていないのでどの種族にするか決め手にかける。
おそらくどの種族にも得手不得手があるのだろう。
ライカンスロープは毛皮きてるから暑さに弱そうだし逆にリザードは爬虫類だから寒さに弱そう。
オーガとエルフは近接戦闘と魔法使いといった感じか?
ドワーフは鍛冶系の職人としてホビットは何なんだろう。
しばらく悩んだ結果ヒューマンにすることにした。
大抵こういう種族の人間タイプは万能なものと相場が決まっているし応用力が高そうだ。

「はい、ヒューマンですね。次に性別と容姿の設定を行います」

これは女にするとどうなるんだろう。
今しゃべってる声はリアルと同じ声だが女を選ぶとボイスチェンジャーでもかかるのだろうか。
んー性別は男でいいとして容姿の設定か。
俺の美的センスを発揮してやるぜ!
…と思ったがいじればいじるほどクリーチャーと化していくばかり。
設定できる数値が多すぎていじればいじるほどワケの分からないことになっていく。
胸だけでパラメーターが20以上あるぞ…
調整次第ではネカマではなく本当にオカマプレイもできそうだな。
おや、声の調整もここで出来るのか。
なるほど、自由度がたかいですな。
まぁ設定いじるのも飽きたので声以外はランダムにまかせよう。
そんなに突飛な姿にはならないはず。
いやタメゴローとか言ってくるのを考えると若干不安は残るが。

「これでキャラクターの設定は終了です。それではキュリオシティオンラインの世界をお楽しみください」

あー長かった、ついにゲームを始められますよ。
多少の達成感と多大なる疲労感に苛まれながら俺はキュリオシティオンラインの世界へと落ちていった。



[19621] 4:フリーフォール
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/21 02:15
気がつくと俺は階段の上に立っていた。
どうやら無事ゲームを開始することができたらしい。
目の前には綺麗な街並みが広がっている。
ここはいわゆる始まりの街というものだろうか。
とりあえず自分の姿を確認する。

「うん、よかった。ちゃんと手がある」

指をにぎにぎしながら体の動きを確かめていく。
身長はリアルと違和感を感じないから175センチ前後ってところであろう。
体は意外と筋肉質。
社会人生活で衰えの見えるリアルとの違いに軽く打ちのめされる。
筋トレしようと心に決めて改めて周囲の様子を伺う。
背後を振り向くと大きな神殿のようなものが見えた。
ここに出現したということはここが復活の位置なのかな。
この神殿は街の中でも少し高いところにあるらしく街を一望できる。
うーむ、ワクワクしてきたな。

「ふふふ、これから俺の冒険がはじまギャー!」

突然何かに弾かれるようにして俺の体が階段から真っ逆さまに落ちていく。
スタントマンの如く華麗に階段を転げ落ちた俺を周りの人が覗き込む。
恥ずかしさもあるがそれ以上に痛みに驚いてしまって少しの間動くことができなかった。
VRって痛みを感じるんですね。
もちろん30段近く転げ落ちた割にはダメージは少ないが確かに痛みを感じる。
なぜ階段を転げ落ちる事になったのかと思い先程まで立っていた所を見上げると大柄な女性がこちらを驚いた表情で見つめていた。
あの人はオーガかなと思っているとその女性が降りてきて不安そうな顔で声をかけてきた。

「あっあの大丈夫ですか?」

見た目にそぐわない可愛らしいアニメ声だったので少々驚いた。

「大丈夫…だと思う。だが一体何が起こったんだ?」

転げ落ちたときに打った部分をさすりながら俺は起き上がった。

「私にもよく分からないんですが此処にワープしたと思ったらあなたが転げ落ちていくのが見えたんです」

ふむ、どうやら俺が出現位置でぼーっとしていた為に他の人が出現した場所に重なってしまったようだ。

「でも本当に大丈夫でしたか?」
「うん、平気平気。まぁゲームだしね」

体のいろんな部分にしびれるような感覚はあるが特にコレといって問題はなさそうだ。

「そうですか、それならよかったです。じゃあ私は行きますね」

彼女もゲーマーの性を抑えられないらしくソワソワとあたりを見回しながら離れていった。
開始早々ひどい目にあったがいくつか気づくこともできた。
このゲームはどうやらダメージを負うと痛みとして反映されるようだ。
しかしその痛みはある程度軽減されている。
あとダメージを負った箇所は何かしびれるような感覚がある。
それもじっとしているとだんだん薄れていく。
チャラチャチャーン
ん?何だ今の音は。
周りを見ても特に何もない。
まぁいいか。
しかしこれは戦闘をするときは注意しないといけないな。
ダメージ量によっては泣いちゃうくらい痛いかもしれない。
今の階段落ちがどれくらいのダメージだったのかは分からないが。
そこでふと俺は思った。
このゲームはステータスとかはどうやって確認するんだろうか。
普通のゲームだとステータスウィンドウとかがあってそこから確認するものだがこの世界にも存在するのだろうか。
そこでふとキャラクタークリエイトの時を思い出す。
そういえばあの時ウィンドウ画面が出てきてたな。
ということはステータスウィンドウもあるかもしれない。
使い方を探さねばならないな。
たしかガメオン(GamersONLINE)のインタビュー記事でゲーム内で聞けみたいなことが書いてあったな。
ということはそこら辺のシステムを解説してくれるNPCなり書物なりが存在するってことか。

「まずは情報収集からだな」

とりあえずは街の構造を覚えがてらうろついてみよう。
石畳の道をぶらぶらと歩いていく。
雰囲気的には中世ヨーロッパといったところか。
ファンタジーの王道だなと思いながら周りを見ていく。
するとNPCとプレイヤーの見分け方がわかった。
NPCは数秒間見ていると頭上に名前が表示される。
どのNPCもものすごく人間くさい動きをするのでこうしないと見分けが全くつかないな。
お、あの兵士みたいな格好してる人もNPCか。
ああいう武器や防具はどこで売ってるのかなぁ。
兵士さんをジロジロと見つめていると突然こっちを向いて立ち上がった。
ちょっと不躾な行動だったな。
なんとなく気まずくなり足を速める。

「おい、君そっちは」

げげ、声をかけられた。
現状自分の戦闘力もロクに分からない。
それに見るからに兵士さんは強そうだ。

『おいおい、にぃちゃん。何ガン飛ばしとんねん。喧嘩売っとんのかわれ!ほれ、その場でジャンプしてみんかぃ。』

そんな妄想が頭の中を駆け巡る。
絡まれる前に逃げてしまおう。
そう思い急いで踏み出した右足が地面につくことはなかった。

「へ?」

ジェットコースターの落ちる瞬間のような内臓が持ち上がる感覚。
うん、現在進行形で落下中です。
落下しているということはいつかは着地するということで。

「ぬぉぉぉおおおおおおお!!!」

ドグシャッ!
チャラチャチャーン

これはやばい。
痛すぎる。
さっきの階段なんか目じゃない痛みだ。
例えるならサッカーボールを蹴ろうとしたら間違えて小指でタンスを蹴ってしまった痛みが全身に起こっているような感じだ。
これは駄目だ、あかんですよ。
涙が出ちゃう、だって男の子だもん。
痛みをこらえていると不思議なことに気がついた。
やばい、動けない。
なんか全身がしびれてます。
2時間くらい正座した後のように全身がビリビリしてます。

「おい、大丈夫か!?」

さっきの兵士さんが縄梯子のようなもので降りてきて俺の方に近づいてくる。
やばい、今体に触られるのは非常にまずいなぜってそれは。

「生きてるか?大丈夫か?」

らめぇぇぇぇぇ触っちゃらめぇぇぇビクンビクン。
しびれた体は非常に敏感なのですよ!
くうう、悔しいけど動けないので兵士さんのなすがまま。

「これを飲むんだ」

なにやら怪しげな小瓶に入ってるものを俺に飲まそうとしてくる。
なにこれ?やたらドロドロしてるんですけど。
こっこんなに飲めないよぅ。
などとダメージで錯乱した頭もその謎の液体を飲んだら治まってきた。

「・・・ふぅ。あのこの液体はなんですか?」
「あぁこれはHPポーションだよ。体力を回復する薬さ」
「なるほど、助かりました。ありがとうございます」
「いや気にしないでくれ。というか俺も謝らないといけない」
「なんのことです?」
「実は俺は警備の仕事をしていたんだ」
「警備?何を警備していたんですか?」
「何をというか君が落ちたこの穴に人が落ちないように警備するのが俺の仕事だったんだよ、あはははは」

豪快に笑ってごまかそうとしているな、この人。
俺がジトっとした目で見つめていると

「とっ取り敢えず上に戻ろうか」
「…そうですね。戻りましょうか」

縄梯子を登って俺と兵士さんは地上に戻った。
というか何だこの穴、15メートルくらいあるぞ。
よく生きていたもんだ。

「ということで申し訳なかったね」
「いえ、俺も不注意でしたし。ところでこの穴は何なんですか?」
「この前地震があったときに崩れたらしい。下の空間がなんなのかはこれから調査するようだ」
「そうですか、まぁ今後は足元にも注意して歩きますよ。あ、そうだ一つ聞いてもいいですか?」
「なんだね、俺が分かる範囲でよければ何でもお答えするよ」
「この街に図書館か本屋はありますか?」
「本屋の場所はちょっと分からないが図書館なら神殿の近くにあるぞ」
「神殿っていうとあのちょっと小高いところにある?」
「そうそう、神殿を出て目の前の通りを南に進むと聖堂があってそこの一階にあるはずだ」
「なるほど、分かりました。行ってみますね」
「ああ、今度は落ちる前に声をかけるよ」
「是非ともそうしてください!」

この兵士さん結構いい性格してやがるな。
それにしてもさっきのダメージはやばかった。
まさかあんなに痛いとは。
アレじゃゲームにならないから何かしらの回避手段でもあるのかな。
取り敢えず図書館に行けば説明書とはいかないでも何かヒントがあるかもしれない。
俺は不必要に足元を凝視しながら神殿へと戻っていくのであった。



[19621] 5:賢者の授業
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/21 23:55
この街は開始位置だった神殿を中心に東西南北に大通りが伸びている構造になっているようだ。
迷ったら取り敢えず神殿に向かえばなんとかなりそうだ。
先程兵士さんに教えてもらったとおり神殿から南に伸びている通りを歩いていく。
どうやらスタティナさんの居眠りの壁を超えた人が増えてきたようでずいぶんとプレイヤーが増えてきたようだ。
今のところリザードの人を見かけないがやはり人気は低いのだろうか。
そんなことを考えながら歩いているとなにやら荘厳な建物が見えてきた。
これが聖堂ってやつかな?
何を祀っているのか気になるな。
大きな扉をくぐるとエントランスのようだ。
正面の大きな扉が礼拝堂だろうか。
とりあえず目的は図書室なので左右にある扉を調べていく。
一つ目の扉は…これは懺悔室なのかな?
椅子と仕切られた壁が見える。
この部屋は違うな。
次の扉を開ける。
すると本の匂いというか紙の匂いが充満している。
ここが図書室だろう。
中に入っていくと机と椅子が1セット、あとは視界を埋めるかのように本棚が並んでいる。
軽く本の海に放心していると背後から声をかけられた。

「何かお探しですかな?」

突然声をかけられ驚いて背後を振り向くとそこにはローブをきた白髪の老人が立っていた。
長く白い髭はまさに賢者といった風格だ。

「お邪魔しています。すこし本を見たいと思いまして」
「そうですか、それは嬉しいですね。私はこの図書室の司書のようなことをしているヴァンダレンともうします。ですがこの図書室は少々特殊なのですよ」
「俺の名前はイツカです。特殊ですか?それは置いてある本がってことですか?」
「それもありますがそれ以上に変わっている部分があるんです。少々説明してもよろしいですかな?」
「あ、はい。お願いします」
「この図書室はできた当初は普通の図書室だったと言われています。ただある日有名な魔術師が亡くなった時に遺族の方が魔術師の保管していた蔵書を寄付なさったのです。その中には強力な魔道書と呼ばれる本が混ざっていたようでその日から図書室は変わってしまいました」
「魔道書?」
「ええ、魔法の力を宿した本を魔道書と呼びます。あとから分かったのですが魔術師は魔道書を保管するときに本棚に魔法を封印する魔術をかけるそうです。そうしないと魔道書同士干渉してしまい予想外の効果が現れるとか。その予想外の効果がいまここに現れているわけなんです」
「一体どんな効果が…?」
「それはこの本棚を見てみてください」
「あれ?背表紙に書いてある文字がちょっと読めないんですが」
「ええ、私も読めません。1つ目の効果がその認識障害です。一冊抜いてみますね」

老人が一冊赤い色の本を抜き取ると一瞬本が光った。

「ほら、見てみてください」
「…マイクとジェシーのラヴラヴ交換日記?」
「このように本棚から抜くと効果が消えます」

苦笑しながら本をもとに戻すとまた背表紙が読めなくなった。

「2つ目の効果なんですが今の本を抜いてみてください」

さっきの赤い本を俺は抜いてみた。
すると先ほどと同じように光ったかと思うと手には青い本がのっていた。

「あれ?さっきと違う本だ。読むだけでぐんぐん集中力が増す本?なんだこれ」
「おや、なかなか当たりの本を引いたみたいですね。今のが2つ目の効果の蔵書移動です。本たちは気ままに本棚を移動していくのですよ。せっかくなのでその本を少し読んでみてください」
「あ、はい。分かりました」

本を開いて読んでみる。
なになに

『諦めんなよ!諦めんなよ、お前!どうしてそこでやめるんだ、そこで!!もう少し頑張ってみろよ!もっと熱くなれよ…!!熱い血を燃やしていけよ…!!人間熱くなった時がホントの自分に出会えるんだ!言い訳してるんじゃないですか?できないこと、無理だって、諦めてるんじゃないですか?駄目だ駄目だ!諦めちゃダメだ!できる!できる!絶対にできるんだから!』

…何だこの本。
やたら熱いな。

チャラチャ、チャラチャチャーン

ん?また何か音が聞こえたような。

「スキルは上がりましたかな?」
「スキル?何のことです?」
「おや、もしかしてあなたは異世界からの旅人ですかな?」
「ええ、おそらくそれだと思います」
「それではスキルやステータスの説明が必要ですかな?」

ヨッシャー!キタコレ!!!
本を元の位置に戻しながら心のなかで叫ぶ。

「ええ、お願いします。基本的なことも何も分からないので。」
「分かりました、それではステータスの説明からいたしましょう。オープンステータスウィンドウと言ってみてください」
「オープンステータスウィンドウ」

すると目の前にキャラクタークリエイトの時に出てきたようなウィンドウが広がった。
なにやら色々書かれている。

名前:Ituka
クラス:異界の旅人
HP100/100 MP50/50 ST50/50
攻撃力10
防御力10
魔力10
命中力10
回避力10

属性抵抗値はすべて0か。

ステータスはわかりやすいな。
STってのは何に使うんだろうか。

「すみません、このSTというものはなんですか?」
「それはスタミナですな。行動するときに必要なものです。それが減ると動いたりすることも難しくなります」
「なるほど」
「ステータスについてはいいですかな?良ければ次の説明をしましょう」
「ええ、お願いします」
「では次にオープンスキルウィンドウと言ってください」
「オープンスキルウィンドウ」

さっきと同じようにウィンドウが開く。

集中力:3.0
自然回復:0.4
落下耐性:0.1
解読:0.1

集中力はさっきの集中力が増すという本の効果か?
もしかしてあの変な効果音というかチャイムみたいなのはスキルに関係していたのだろうか。

「スキルの欄に名前が幾つかありますかな?」
「はい、4つありますね」
「その名前を手で触れてみてください」

取り敢えず一番上の集中力に触れてみる。
するとまたウィンドウが開いた。

集中力:ランクE
説明『物事に集中する力。なにか行動を起こそうとしている時に妨害が入っても失敗しにくくなる。また行動の速度も早くなる』
取得状況:『読むだけでぐんぐん集中力が増す本』を読んだ。

「おそらく初めに表記されているランクというものは全部で10段階で表されています。最低がJランク、最高がAランクです。このランクはそのスキルを所持している人が少なければ上がり多ければ下がります」
「ということはEランクだと2人に1人くらいの割合ってことですかね?」」
「そうですな、だいたいそのくらいになるでしょうね。取得条件が珍しいものほどやはりランクが高いですね」

ふむ、どうやら集中力のスキルはそんなに珍しい物でもないようだ。
俺は他のスキルも見てみた。

自然回復:ランクJ
説明『体力を回復する力。何も行動を起こしていないときにHPやMP、STを回復する』
取得状況:ダメージを受けた後じっとその場で我慢した。

落下耐性:ランクA
説明『落下した時の衝撃に耐える力。高所から落下したときのダメージを軽減する』
取得状況:HPの99%を超える落下ダメージを受け死亡しなかった。

解読:ランクG
説明『記された物事を読み解く力。古文書などを読むためには必須』
取得状況:『読むだけでぐんぐん集中力が増す本』を読んだ。

おお!落下耐性はAランクだ!!
開始早々幸先が良い。
次に落下耐性の取得状況を見てさらに驚いた。
どうやら俺は穴に落ちたときに瀕死の重症を負ったようだ。
どおりで痛かったはずだ。
99%以上ということは残りHPが1以下になっていたということか。
危なく間抜けな死に様を見せることになるところだった。
しかしそのおかげでランクAのスキルを入手することに成功したわけなのでまぁいいとしよう。
もっとももうあんな痛みは感じたくはないが。

「Aランクのスキルが一つあるですよ!」
「おぉ!それは素晴らしい。ですが少々おちつき」
「これの取得状況なんですが!!」
「ですから少々落ち着きなさい。私を信頼してくれるのは嬉しいですがスキルの取得状況はあまり他言せんほうがいいですな。特に貴重なスキルならなおさらです。それは交渉材料になりますから秘匿しておいた方がいいですぞ」

確かに、冷静に考えるとこの秘密主義というか情報が封鎖されている世界においてスキル情報やクエスト情報はかなり重要な物だな。
スキル取得が嬉しすぎて舞い上がっていたようだ。
きを引き締めなければ。

「ああ、なるほど。確かにそうですね。ご忠告ありがとうございます」
「いえいえ、では最後にもう一つお教えいたしましょう。オープンログウィンドウと言ってみてくだされ」
「オープンログウィンドウ」

するとまたウィンドウが開く。
ウィンドウを除くとなにやら書かれている。

自然回復のスキルを発見した。
落下耐性のスキルを発見した。
クエスト:賢者の授業 を開始した。
『読むだけでぐんぐん集中力が増す本』を入手した。
集中力のスキルを発見した。
解読のスキルを発見した。

ふむ、名前の通りログが表示されているようだ。
ん?クエスト??

「以上で簡単ですが私からの説明は終わりですかな」

お、ログに何か追加された。

クエスト:賢者の授業 を終了した。

あぁ、なるほど。これもクエストだったのか。

「また何か聞きたいことや読みたい本があったら声をかけてくだされ。ここの図書室は特殊すぎてなかなか人が近よらんで寂しく思っておった所なんですよ」
「ええ、また本を読みに来ますよ」
「おっと、いい忘れておったがここの本は24時間で一冊しか読むことができんので注意してくだされ」
「はい、分かりました」

なるほど1日一冊ランダムで本が読めるのか。
でも交換日記とか読んでもスキル上がるのかなぁ。
そんなことを考えながら俺は聖堂の扉をくぐって外に出た。
今日はこれくらいにしておくか。
アカウント作成にずいぶんと時間を取られたしな。
続きはまた明日にしよう。

「ログアウト」

すると頭上にログアウトまで残り30秒と表示された。
そのカウントダウンが0になったとき俺はこの世界から切り離された。




-----------------------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
やっとゲームっぽさが出てきたような気もします。
説明セリフだらけなのが気になりますが。
読むと書くとは大違いでござるよ。


感想返し

>>赤楝蛇さん
確かにそんなスレが立ちそうですな。
スキルの種類もどんどん増やして行きたいところですね。

>>ドランチさん
確かに主人公がちょっとお馬鹿っぽいですね。
スキルの説明関係も少々修正を加えてみましたがそれでもお馬鹿要素はあまり変わってない気も…

感想&突っ込みありがとうございます。



[19621] 6:乙女のピンチ
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/15 21:14
ログアウトしたあと俺はそのまま眠ってしまっていたらしく気がついたら次の日の昼近くだった。
取り敢えず昨日の弁当を食べながら軽く掲示板を眺める。
スタティナオンライン?
あぁ、あの居眠りしてたやつか。
あれのおかげでスレの消費速度が恐ろしいことになってるな。
でも意外と本気で文句を言ってる奴が少ないのは、あの居眠りLDの効果かもしれないな。
…まさか運営はそこまで考えて?
スレを適当に眺めていると何人か戦闘について書き込みしている人がいるな。
なになに

58 名前:名も無き冒険者[sage] 投稿日:2030/06/8(土) 4:25:52 ID:WrKr6LBr
なんかでかい牛みたいな奴殴ったら一撃で殺されたwww
マジパネェっすよwww
デスペナはわかんねぇな、取り敢えず気がついたら神殿だったわ

ふむふむ、デスペナはこの人がスキルとかもってたら下がってたかもしれないとして気がついたら神殿ってのが気になるな。
この書き込みから見ると俺が受けたような痛みはなかったような感じだ。
死んだときは痛みを感じないのかな。
この人が書いてないってだけかもしれんが。
その辺は死んだ時に確認できるか。
いやでもあの痛みをまた食らうとなるとちょっと確認したくないかも。
食べ終わった弁当のゴミを片付け、VRヘッドセットの準備をする。
ベッドに横になりスタートボタンを押すと俺は湖畔に立っていた。
ログインするときはどういう風なのかなと思いながらキョロキョロしていると目の前にスタティナさんが現れた。

「お帰りなさいませ、イツカさん。パスワードをお願いします」

なるほどアカウント管理とログイン管理はスタティナさんなのね。
というかまさかパスワードってアレか。
非常に言いづらいけど仕方がない。

「スタティナさん可愛いな」
「はい、ありがとうございます。キュリオシティオンラインにログインしますか?」
「ええ、お願いします」
「それではキュリオシティオンラインの世界をお楽しみください」

昨日と同じように俺はキュリオシティの世界へと落ちていった。


気がつくと聖堂の扉の前に立っていた。
そうかログアウトした場所で再開できるんだな。
街の外ではどうなんだろうか。
今度試してみよう。
でもその前に街の探索が先だな。
また適当にうろついてみよう。
図書室みたいになにかクエストが起こるかもしれないしな。
取り敢えずこの神殿から南に続く大通りを真っ直ぐ行ってみるか。
周りを見ながら歩いていくとどうやら方角によって街の雰囲気が違うみたいだ。
昨日穴に落ちたあたりは飲食店が並んでいて割と賑やかな雰囲気だったが、このあたりは静かな高級住宅街といったところだ。
まぁ聖堂とかがあるような場所だからかな。
そう思いながら歩いていくと少し人通りも増え賑やかになってきた。
このあたりは中級層の住宅地のようだ。
たまに子どもが走り回っていたり洗濯物を抱えたおばさんなどを見かける。

「だ…たす…て」

ん?なんか聞こえたような。

声は集合住宅の隙間の道から聞こえているようだ。
声を頼りに俺は細い路地裏を進んでいく。

「誰か~助けて~~」

どうやら助けを求める声だったようだ。
くねくねと入り組んだ路地を進んでいく。
これ帰れるかな…
若干不安になりつつも進んでいくと通路いっぱいの巨大なリュックサックが目に入った。

「誰かぁあぁ、助けてぇぇぇぇええぇぇ」

このリュックサックが声の主らしい。
恐る恐る声をかけてみた。

「あの~大丈夫ですか?」
「え?まじ!?助けに来てくれたの?ヤッター、神様ありがとう!」

えらくテンションの高い人のようだ。
声からすると若い女性だと思うのだがリュックサックで全く見えない。

「一体どうしたんですか?」
「いやーそれがちょっと近道しようと思ったら思いのほか道が狭くて。カバンが引っかかっちゃったんですよ。まいったまいった。でもあなたが来てくれて助かったヨ!」
「え~っと、でどうすればいいんですか?」
「ちょっとこのカバンを持っといてくれない?その間に私は一旦脱出するからその後でまたカバン返して」
「このカバンをですか?ものすごく重そうなんですが」
「だいじょぶだいじょぶ!私が持てるくらいだから平気よ」
「う~む、不安だがやってみよう」
「ありがと、じゃあカバンもってくれる?うん、そうそう。じゃあ私離すね」

その瞬間ありえないほどの重量が俺の腕にかかる。

「ちょっ!これやばい。ムリムリムリムリ!!!」
「平気平気、頑張れ男の子!でさ、私がなんで近道しようとしてたかっていうと実はものすごくトイレに行きたかったんだよね」
「え?」
「ということでしばらくお願い!」
「いや無理だって!」
「あ、そのカバンの中身結構高価なアイテムも入ってるから落としちゃだめだよ。落としたら弁償ね。じゃっ!」
「待って、行かないで」

俺の懇願も虚しく女性はどこかへ走り去っていった。
というかマジこのカバンやばい。
見た目からして重そうなのはわかっていたがなにが入ってやがるんだ。
ぬぉぉぉ、腕がプルプルしてきたぞ。
チャラチャチャーン
ってなんかスキルが!
でも確認する余裕なんてねぇぇぇぇぇぇ!!!
早く、早く帰ってきてくれぇぇぇぇ。
ピコーン
なっ何だ今の音。
なんかスキル取得とは違う音がなったぞ。
ピコーン
うぉ、またなった。
なんだ、一体なんなんだ。
すでに俺はいっぱいいっぱいなんだぞ。
ピコーン
これはまさかカラータイマー的なものか?
俺の腕が限界に近づいているんじゃ。
ピコーン
ギャー、だめーーーーー!
俺の腕頑張ってーーー。
ピコーン

「誰かぁぁぁぁぁぁ、誰か助けてくださぃぃぃぃぃぃ」

ピコーン




「いやぁありがとう。助かった、助かった。もうちょっとで漏らしちゃうかと思ったヨ」

疲労困憊でうずくまっている俺のそばで軽々とカバンを背負ったヒューマンらしき女性はにこやかな笑顔を振りまいていた。

「一体何がはいっているんだそのカバンは。死ぬほど重かったぞ」
「あっそうか、自己紹介まだだったね。私は道具屋のジェシカ。ジェシーって呼んで」
「俺はイツカだ。道具屋でそんだけ荷物持ってるってことは行商かなんかか?」
「ううん、私ちょっと前まで実家の道具屋手伝ってたんだけど今度この街で支店を開くことになったの。だからこの荷物は引越しの荷物みたいなもんなの」
「なるほどね、どおりで凄まじい重さな訳だ」
「え~そんなに重くないと思うんだけどなぁ。だって女の子の私が持てるんだよ?多分君が貧弱なんだよ」
「ぐっ、助けた恩人になんという仕打ち。そんなんじゃ商売上手くいかないぞ!」
「ごめんごめん、そうだお礼にうちの試供品あげるよ」

ジェシーがそういうと目の前にウィンドウが現れた。
トレードウィンドウと書いてあるな。
そこに兵士さんが俺に飲ませたポーションと同じようなものが表示される。

「早く受け取ってよ」

受け取る?
どうすればいいのか分からずにオロオロする俺。

「あれ?もしかしてトレード初めて?」
「あっああ、初めての経験だ」
「じゃあ取り敢えずウィンドウの承諾って書いてある場所触って」

よく見るとウィンドウの下部に承諾と拒否と書かれた部分がある。
承諾と書かれた部分に触れるとウィンドウが消えた。

「おっけーおっけー、今のでトレード終了だヨ」
「すまんがトレードのやり方を教えてもらっていいか?」
「あいあい、助けてもらったしそれくらいはお教えしましょう。トレードは2つの方法があるのです。一つ目は相手を見ながらオープントレードって言うの。でもねこの場合人がいっぱいいるところや真っ暗で目が見えない状態とかだと使えないの。そんな時は二つ目の方法としてオープントレードって行った後に名前を言うの。例えば私とトレードするときは『オープントレードジェシカ』って感じ。試しにやってみて」
「ああ、わかった。オープントレードジェシカ」

するとトレードウィンドウが出現した。

「そうそう、そんな感じ。トレードしたアイテムはアイテムボックスの方に入るから注意してね。アイテムボックス一杯だとトレードできないよ」
「アイテムボックス?本当に申し訳ないがアイテムボックスとやらも教えてくれないか?」
「もー本当に何もしらないんだね。アイテムボックスっていうのはねこの世界の誰もが持っている見えないポケットみたいなものだよ。オープンアイテムボックスで確認できるの。基本的にこの中に入るものは15個でおんなじ種類のポーションとかはまとめて1個と見なされるの」
「基本的にってことは多かったり少なかったりするのか?」
「へへへ、それは秘密ぅ。もうちょっと仲良くなったら教えてあげないでもないヨ。で説明に戻るけどアイテムボックス以外にもアイテムを入れておけるものがあるの。アイテムポーチとかって呼ばれているものなんだけど私のこのカバンもそれなんだヨ」
「ポーチというには凄まじいサイズだな」
「まぁこれは例外的なものだけどね。使い方はアイテムボックスと一緒でオープンアイテムポーチでオッケー」
「アイテムボックスとアイテムポーチはなんか違うのか?」
「うん、これが全然違うのさ!まずポーチは裁縫屋さんとか服屋さんとかで買えるの。物によって入る量が違うんだヨ。でねでねアイテムボックスはいちいち開いてアイテム選んで取り出さないと行けないんだけどポーチは直接使えるんだよ」
「どういう事だ?」
「例えばボックスに入ってるポーション使おうと思ったらボックスを開いてポーションに触ってその後個数を指定するっていう手順なんだ。だけどポーチの場合ポーションって言うと一つ手に出てくるの。これはかなり便利なの」
「確かにそっちの方が全然いいな」
「ただしポーチにも良くない点があるの。それは体力が0になると中に入ってたもの全部その場に落としちゃうの。だから大事なものはボックスに入れておくんだよ」
「なるほどねぇ、勉強になったよ」
「うむうむ、私をもっと褒めるといいよ」
「はいはい、ジェシーさんはすごいですよ。そういえば一つ気になったんだが」
「ん?なぁに?」
「ジェシーは俺にトレードするときに何も言わずにしなかったか?」
「おっとイツカさんなかなか鋭いですな。実は思考操作って言って声に出さなくてもできるの。ただし音声操作に比べて難しいからなかなか出来る人いないんだよ」
「ジェシーって意外とすごい人なのか?」
「はっはっはー、もっと尊敬したまえ」
「うーむ、トイレを限界まで我慢してた人だからなぁ」
「そっそれは言わないで!ってだいぶ時間経っちゃったな。お店の準備もしないといけないからそろそろ私は行くよ」
「おお、色々教えてくれてありがとうな」
「そう思ったらうちでお買い物してね。北西区にお店あるからさ。名前は『ジェシーのプリティーアイテムショプ』だよ」
「…ちょっと入りづらい名前だな。まぁそのうち行くよ」
「うん、待ってるからね。それじゃ!」

あんな巨大なカバンを背負ってジェシーは走っていった。
元気なお方だ。
そういえば新しいスキルを入手していたな。
そうだ思考操作とやらでログを開いてみよう。
むむむむむ。
…だめだ開かん。

「オープンログウィンドウ」

若干何かに負けたような気がしつつもログを眺める。

クエスト:乙女のピンチ を開始した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
筋力スキルが0.1上昇した。
HPポーション(試供品)を入手した。
クエスト:乙女のピンチ を終了した。

入手したスキルは筋力か。
カバンを持っている時になっていたカラータイマーはどうやらスキルが上がった音だったようだ。
スキルはどうなっているかな。

「オープンスキルウィンドウ」

筋力:1.1
集中力:3.0
自然回復:0.4
落下耐性:0.1
解読:0.1

筋力が新たに追加されてるな。
筋力のスキルを見てみよう。

筋力:ランクJ
説明『筋肉の力。攻撃力などを上昇させる。持ち運ぶことができる重量にも効果がある』
取得状況:ジェシカのカバンを一定時間持ち続けた。

これはランクは低いけど結構重要なスキルだな。
攻撃力を上昇させるということは。

「オープンステータスウィンドウ」

おー攻撃力が11になっている!
なるほどね、こうやってクエストをこなしていけば基礎的なスキルは手に入りそうだ。
レアなスキルは特別なクエストか落下耐性みたいにまぐれで入手ってことだな。
これはスキルを収集するのが楽しみになってきた。
ふふふ、クエストフラグを立てまくってスキルを集めていくとしますか。






---------------------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
いろんな人が感想でくれた文章量の少なさをすこしずつ改善していきたい。
どれくらいが適正量なのでしょうか。


感想返し
>>通りすがりの日本人さん
ギクッ鋭い。
感性というか趣味が似ている気がします。
私の好みで書いていきますがお楽しみあれー。

>>赤楝蛇さん
素早い報告ありがとうございます。
言われたら猫の世界にしか見えなくなったにゃー。
やはり序盤は何やっても楽しい感じがいいですよね。

感想・指摘などなどありがとうございます。



[19621] 7:青ルビエの花
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/23 22:38
スキル集めを誓ったはいいが現在地はどこだろう。
ジェシーの声を頼りに歩いたから一体ここが何処なのやら。
とりあえず一旦神殿に戻るか。
神殿の天辺がうっすら見える方向へと歩いていく。
そういえばアイテムボックスを確認してなかったな。
こういうゲームは初期に何らかのアイテムが入ってたりしないかな。
練習をかねて思考操作を行ってみる。
むむむむ。
うーむ、難しいな。
何かコツというかうまいやり方があるのかな。
ジェシーは簡単そうに行っていたし。
思考操作って言うくらいなんだからその行為を強く考えたらうまくいきそうなんだが。
路地を歩きながら一心不乱にアイテムボックスを開こうとする。
集中力が足りないのだろうか。
集中力といえば図書室で見たあの本は集中力の本だったな。
よし、藁にでも縋る気持ちでやってみるか。

『諦めんなよ!諦めんなよ、お前!どうしてそこでやめるんだ、そこで!!もう少し頑張ってみろよ!もっと熱くなれよ…!!熱い血を燃やしていけよ…!!人間熱くなった時がホントの自分に出会えるんだ!言い訳してるんじゃないですか?できないこと、無理だって、諦めてるんじゃないですか?駄目だ駄目だ!諦めちゃダメだ!できる!できる!絶対にできるんだから!』

「ぬぉぉぉぉおおおおああああああああああ!!!!!」

懇親の力を込めてアイテムウィンドウを開くことのみを考えた。
するとついに目の前にウィンドウが!

ピコーン

「やった!!ついにできゲフゥ」

あまりにも集中しすぎた結果T字路の壁に激突した。

「あいたたたた」

なんとかアイテムボックスは開いたがこのやり方は何か違う気がする。
全力で集中してようやく出来るんじゃ使い道はないしなぁ。
今度ジェシーにコツを聞いてみるとしよう。
そういえば何かスキルが上がる音が聞こえたな。

「オープンログウィンドウ」

全く苦労せずに開くログウィンドウをみて若干苦笑する俺。
ログウィンドウを見る。

集中力スキルが0.3上昇した。

おお、集中力が上がったか。
さすが読むだけでぐんぐん集中力が増す本なだけある。
書いてあることを実践しただけで効果があるとは。
これで集中力は3.3だな。
そういえば苦労して開いたアイテムボックスをまだ確認していなかったな。
何が入っているのかな。
ウィンドウを確認するとHPポーションと何かナイフのようなものが入っている。
ポーションはジェシーにもらった試供品か。
このナイフは初期装備なんだろうか。
ん?
ウィンドウの下部に何かあるな。
この絵はゴミ箱と隣に表示されているのはGold?
これはお金か!
Gold:1000 と表示されているということは1000ゴールドあるということか。
これはお買い物が出来そうだな。
とりあえずナイフを取り出してみよう。
え~とたしかボックスは一度アイテムに触れるんだったかな。
ウィンドウのナイフのアイコンに触れると右手が光った。
その光が収まると小ぶりなナイフが握られている。
これはなんだろう。
じっと見つめているとウィンドウが開いた。

初心者用剥ぎ取りナイフ
説明『剥ぎ取り用ナイフ。モンスターなどに刺すことにより死体を素材へと変える。戦闘には使用できない』

ふむ、名前そのままな効果だな。
倒したモンスターに刺すだけで解体してくれるのかな。
確かに倒したモンスターをわざわざ解体していたら大変だな。
特に人型モンスターなんかいたら精神的に厳しいものがある。
今のところ必要はないからアイテムボックスに戻しておこう。
ナイフをしまいしばらく歩いたところ大通りまで戻ってこれた。
特に目的地は決めていないが一度神殿まで戻ってみるかな。
そういえば神殿の内部を見ていないことを思い出した。
何があるのか気になるので次の目的地は神殿に決定だ。
大通りをてくてくと歩いていくとあっという間に神殿にたどり着いた。
昨日この階段を転げ落ちたんだなぁと思うとなにやら体がムズ痒くなる。
階段を上り神殿の入口にたどり着いた。
中に入ろうとすると入り口に立っていた兵士に声をかけられる。

「神殿にいかなる用事かな、青年よ」
「いや特に用事って訳ではないですが中がどうなってるのかなぁっと思いまして」
「申し訳ないが安全のため正式な用事が無い者は入ることができないのだ」

ふむどうやらこの神殿は何か特殊な施設のようだ。

「ああ、そうなんですか。分かりました」
「うむ、すまないな」

兵士を乗り越えてでも入りたいというわけでもないのであっさりと引き下がる。
でも正式な用事とか言っていたな。
そのうちクエストとかで入れるようになるのかな。
なにやら重要な施設みたいだしレアなイベントが起きそうだ。
覚えておこう。
しかしいきなり目的が頓挫してしまった。
どうしようかな。
そう思いながら階段を見つめていると落下耐性スキルの事を思い出した。
この階段を使えばスキル上げできるのではないだろうか。
取り敢えず一番下まで降りて実験してみる。
まずは1段だけ上りそこから飛び降りてみる。
…何もなし。
2段目。
…何もなし。
3段目、4段目と増やして行き5段目。

グキッ!
ピコーン

お、スキルが上がった。
慌ててログを開く。

落下耐性スキルが0.1上昇した。

おーしっかりと上がっているな。
ステータスを見るとHPが99/100となっていた。
もう一度やってみよう。

グキッ!
ピコーン

よしよし、しっかり上がる。
痛みもなんか踏んだかな位の軽微なものだ。
痛みはダメージに比例するのだろう。
よしさらにもう一回!
…あれ?
ダメージが無いな。
もしかして落下耐性が上がったから5段じゃダメージがなくなってしまったのか。
じゃあ6段目なら。

グキッ!
ピコーン

予想通りみたいだな。
しかしこれは楽しい。
スキルが上がりまくりだぜ!
そんなことを繰り返し7段目までいったところでふと視線を感じる。
周りを見渡すと何か遠巻きに皆俺をみている。
冷静に考えるとここは街のど真ん中でさらにプレイヤーのスタート地点。
ものすごく人通りの多い場所だ。
そんなところでひたすら階段を上り飛び降り続ける人がいたら流石になんだこの変な奴はとなるな。
その変な奴とは俺のことだが。
急に恥ずかしくなってきた。

「なっなんか足の調子がおかしいかなぁ」

誰に言ってるのか分からない言い訳をしながら神殿を離れていく。

イツカの羞恥心が10.0上昇した。

そんなログが脳内で流れた。
落下耐性のスキル上げは人目の付かない場所で行おう。
スキルウィンドウを見ると落下耐性が1.2まで上がっていた。
1.2で階段6段分か。
スキルを上げていけば昨日落ちた穴でもノーダメージで降りれるようになるのかな。
ああ、そうだ。
若干足がしびれてるな。
HPはどうなってるのかな。
ステータスウィンドウを開くとHPは60/100となっていた。
地味にダメージを食らっていたようだ。
取り敢えずその場に座り込み回復するのを待つ。
立っているより座っている時の方が回復スピードは早いようだ。

ピコーン

ピコーン

定期的にスキルが上がる音がする。
確認すると自然回復スキルが上昇していた。
体力が全回復する頃には自然回復が0.9になっていた。

「さて、次は何処に行こうかなっと」

そう独り言をつぶやきながら立ち上がる。
そういえばお金はどうやって稼ぐのだろうか。
モンスターを狩って素材を売り払うのかな。
でもこういうゲームには冒険者ギルドのようなところがあってそこで依頼を受けられると相場が決まっている。
ちょっくらギルドを探してみますかな。
でもこの広い街を当てもなくうろうろとさ迷っても見つけられなさそうだ。
というか存在しなかった場合完全に無駄になるな。
うーん、どうしようかな。
悩んでいると女の子の声が聞こえた。

「お花いりませんか?一つ2ゴールドですー」

10歳くらいの女の子がカゴに花を入れて立っている。
花売りのようだ。
そうだ彼女にギルドの場所を聞いてみよう。

「お嬢さん、ちょっと尋ねていいかな?」
「はい、なんでしょう?」
「その冒険者ギルドみたいなものってこの街にあるかな?」
「はい、ありますよ」
「その場所を教えてもらえないかな」
「お花一つ2ゴールドです」

可愛らしい笑みを浮かべてそう言ってくる。
この子なかなか商魂たくましいな。
将来が楽しみだ。

「オーケイ、一つ買うよ」

アイテムボックスを開きGoldの部分に触れる。
すると数の入力を求められたので2と発言するとコインが2つ手に現れた。
それを女の子に渡し、交換に青い花を受け取る。

「ありがとうございます。冒険者ギルドは北西区にあります。入り口に大きな剣の看板があるからすぐ分かると思いますよ」
「ありがとう。またね」

ぺこりと頭を下げた女の子と別れると俺は歩き出した。
さっき神殿から離れるときに西の大通りに向かったからここから北のほうへ向かえば北西区とやらに出られるかな。
俺はさきほど買った青い花の匂いを嗅ぎながら北へ向かう。
この花いい匂いがするな。
花をじっと見るとウィンドウが開いた。

青ルビエの花
説明『温暖な気候の地に生えるルビエの花。色により香りの効果が違い青ルビエには鎮静の効果がある。調合などに用いられ香水の原料などにももちいられる』

確かになにやら落ち着く香りがするな。
この匂いは好きかも。
今度あの子を見かけたらまた買おうかな。
そんなことを思いながら冒険者ギルドへと足を進めるのであった。




現在のスキル値

筋力:1.1
集中力:3.3
自然回復:0.9
落下耐性:1.2
解読:0.1

所持金:998Gold






----------------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
こいつ外にでないなぁ。
ひきこもり型主人公のようです。
イツカが戦闘する日はくるのか!

感想返し

>>通りスカ裏さん
確かにスタミナ減っててもおかしく無いですね。
ステータス確認してなかったからその間に回復しちゃったってことにしておいてくだs

>>通行人Dさん
確かに突然逆にログが表示されると違和感があるかもしれませんね。
LinkDeadも自分が普通に使ってたから違和感を感じなかった!
貴重なご意見ありがとうございます、修正しておきます。

感想ありがとうございます。



[19621] 8:初心者への依頼
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/06 21:25
青ルビエの花をアイテムボックスにしまい、冒険者ギルドへと向かう。
北西区にあると言っていたがそういえばジェシーの店も北西区と言っていたな。
冒険に必要な店が集まってたりするのだろうか。
冒険者ギルドの近くには初心者向けの武器屋とかあるだろうし少し楽しみだ。
北へ向かって歩いて行くと少し大きめの通りに出た。
看板を見るとアドベンチャラーストリートと書かれている。
どうやらこのへんが冒険者向けの地区のようだ。
入り口に大きな剣があるらしいがいったい何処に…
あった!
凄まじいサイズの剣が入り口に突き刺さっている。
長さは俺の身長を優に超え2メートルを超えそうな剣だ。
一体誰がこんな剣を使えるんだろうか。
剣を眺めながら入り口の扉を越える。
冒険者ギルドというからてっきり酒場みたいなイメージをしていたがこざっぱりとしていて落ち着いた雰囲気だ。
なんとなくお役所みたいというか図書館みたいというか。
キョロキョロ見渡していると受付のお姉さんに声をかけられた。

「こんにちは、冒険者ギルドは初めてですか?」
「はいっ、ちょっと物珍しくて」
「ご要件はクエストの受注ですか?それとも依頼ですか?」
「えーっと受注の方ですね」
「ギルドカードはお持ちでしょうか?」
「いや持ってないです」
「新規登録ですね、かしこまりました。それではこちらの用紙の方に必要事項を記入してください」

用紙と鉛筆を受け取り記入する。
えーっと名前はItukaっと。
得意武器?
んー保留。
戦闘経験…なし。
推薦状…なし。
その他特技…なし。
なんだこの恐ろしく白い登録用紙は。
とっとりあえず武器の話を聞いてみるか。

「あの~得意武器が無いというかそもそも戦闘をしたことがないんですがどうすればいいですか?」
「空欄でかまいませんよ。その欄はギルドランクを決定するために必要なだけなので正直に書いていただければ結構です」

ギルドランク?
まぁ後で説明があるかな。

「わかりました。じゃあこれでオッケーです」
「はい、お預かりいたします。イツカさんですね。ギルドカードを発行いたしますので少々お待ちください」

いくら始めたばかりとはいえちょっとは鍛えてから来るべきだったかなぁ。
でもどの武器を使うとかまだピンとこないな。

「お待たせしました。こちらがギルドカードとなります。それでは基本的な説明に入りたいと思いますがよろしかったですか?」
「はい、お願いします」
「長々とお話ししても仕方が無いと思いますので簡単に説明させて頂きます。この冒険者ギルドの活用方法は大まかに分けて2点。クエストの受注とクエストの依頼です。クエストの受注は冒険者ギルド内に貼り出されている掲示板にある依頼を受注し、それをこなす事により報酬を得る事です。クエストの依頼は逆にお金を払い、他の冒険者さんに目的を果たしてもらうものです。戦闘を行うことができる人は受注、生産者などは依頼が多いですね」
「へぇ、自分で依頼を出すこともできるんだ」
「はい、そちらの詳しい説明を行ないましょうか?」
「いえ、今のところ依頼する用事はないのでいいです」
「そうですか、それでは受注に関する説明を行ないますね。まずはこのギルドカードを見てください」

カードを覗き込む。

名前:Ituka
クラス:異界の旅人
ランク:E
ギルドポイント:0
受注依頼:なし

「このランクは?」
「冒険者ギルドでは登録なさった冒険者をAからEの5段階に分けてあります。この評価は冒険者の実力や信頼度などを総合して決められています。その下のギルドポイントは依頼をこなすことによって増えていきギルドランク昇格の判断材料になります」
「ギルドランクってあがると何かいいことがあるんですか?」
「冒険者ギルドの依頼はすべてギルドランクと同じようにランクで分類されています。受注することができる依頼は自分のギルドランクと同レベルまでなのでギルドランクを上げることによりより多くの依頼を受注することができますね」
「つまり今はランクEの依頼しか受けられないわけか」
「はい。それに追加いたしましてイツカさんは戦闘経験が無いということなので討伐系依頼を受ける前に講習を受ける必要があります」
「講習?」
「新人冒険者を支援するための制度です。講習を受けることにより安全にある程度戦闘スキルを鍛えることができます」
「へー、そいつはいいな」
「ただし受けることができる講習は1つだけで武器の種類によって講習料がことなります」
「え!?お金取るの?」
「申し訳ありませんが必要経費がある程度かかりますので。講習の予約をなさいますか?」
「うーん、取り敢えずは保留にできますかね?」
「はい、先程もご説明したとおり討伐系の依頼は受けることができませんがそれ以外なら受けることができますので」
「それじゃあ保留で。とりあえず受けれる依頼を探してみようかな」
「本来ならば掲示板から依頼書をはがしていただいてこちらで受注という形ですが初回ということで、よろしければこちらで調度良い依頼をお選びしましょうか?」
「お、お願いしようかな」
「かしこまりました、それではこの依頼などはいかがでしょうか」

机の上にスッと1枚の依頼書が出された。

依頼:酒場手伝い
依頼主:酒場ゴーレムフィスト店長ラルゴ
依頼内容:酒場の開店準備手伝い
報酬:1000Gold
ランク指定:なし
ギルドポイント:5

ふむ、酒場でのお手伝いか。
それで1000Goldももらえるならいい気がするな。
これなら安全だろうし講習を受けるにもお金がいるから取り敢えずこれを受けてみよう。

「オッケーです。この依頼を受注します」
「はい、かしこまりました」

受付のお姉さんがギルドカードに手をかざすと受注依頼の欄に『酒場手伝い』と浮き上がった。

「これで受注完了です。この依頼書を持って現場に向かってください。場所は依頼書に書かれている地図の所です。依頼を達成・失敗にかかわらず終了時にはここにもどってきてくださいね。それでは頑張ってください」

お姉さんに見送られ冒険者ギルドを出た。
依頼書を見るとここからそんなに離れていない場所のようだ。
地図を見ながら歩いていく。
すると拳骨とともにゴーレムフィストと書かれた看板を見つけた。
ここだな。
入り口のウエスタンドアを押しながら店の中にはいる。

「おい坊主、まだ準備中だ!夜になったらまたきやがれ」

全身筋肉と言わんばかりのマッチョな男がカウンターでグラスを拭いていた。
オーガなのだろう、身長も2メートルを超える圧倒的な存在感だ。

「いや客じゃないんだ。冒険者ギルドの依頼で来たんです」
「なんでぇ坊主はそのなりで冒険者なのか?まぁひよっこはしかたがねぇか」

確かに俺の今の装備は初期装備のただの服だ。
だけどもちょっと傷つく。

「俺はこの店の店長のラルゴだ。坊主、お前の名前は?」

坊主坊主と言われるがそんな年でも無いと思うんだがな。
あ、でもこのキャラの顔を確認してないな。
もしかして童顔とかなのかな。

「あー俺の名前はイツカです」
「ふむ、イツカだな。よしじゃあ早速仕事だ。ちょっとこっち付いて来い」

店長はカウンターの横の地下に向かって続く階段を降りていく。
俺はその後ろを慌てて付いていく。
階段を降りていくとそこは酒蔵になっているようだ。

「今回の依頼はこれを運んでもらうことだ」

ぽんぽんと酒樽を叩きながら笑顔で話しかけてくる。

「それって空樽ですよね?」
「空樽を酒蔵においとくわけねぇだろ。安心しろ、満タンだ」

おいおい、まじかよ。
この酒樽西部劇の村にでもおいて有りそうなデカさだぞ。
一体何リットル入るんだよ。

「じゃあこれを五樽上の酒場まで運んでくれや」

いきなり依頼を破棄するわけにもいかないしやるしかないか。
見た目より軽い事を祈りつつ樽に近づく。

「よいしょおぉおおっぉあぁぁぁぁあ」

掛け声と共に一気に持ち上げる。
なんとかギリギリもてなくもない。
これなら運べるかも。

「大丈夫そうだな、俺は上で開店準備してるから終わったら声をかけてくれ」

店長に返事する余裕もなくよたよたと階段へ向かう。
これは…中身が液状なので歩くとなかの酒がたぷんたぷんと動く。
そのせいでバランスが取りにくく余計に疲労する。

ピコーン

この音はスキルアップか。
どうせ筋力だろう。
こんな重いもの運んでいるんだからせめて筋力ぐらい上がらないとやってられない。
スキルアップの音をBGMに一歩一歩確実に歩んでいく。

「くそぉぉぉなぜ俺はゲーム内で肉体労働しているんだぁぁぁ!!!」


その後一時間ほどかけてなんとか五樽運び終えた。
酒場の一回に思わず座り込む。
ステータスを見るとSTが3/50になっていた。
途中で休憩を挟みながらやっていたのにこの有様だ。

「おぅ、坊主運び終わったか」
「は・・・はぃ、なんとかぁ」
「結構結構。依頼書を寄越しな」

店長は依頼書にサインをすると俺に返した。

「これで依頼は達成だ。ひよっこにしてはまぁまぁ気合見せたな」

そう言いながら俺の運んだ酒樽を肩に軽々と担ぐとカウンターの方へ運んでいった。

「俺が運ぶ必要ないじゃん!」
「はっはっは、この依頼はひよっこのための依頼だからな」
「どっどういうことです?」
「これは公然の秘密なんだが冒険者なりたての奴が勧められる依頼ってのは実はギルド側からだしてる依頼なんだよ」
「なんだってそんな事を…」
「まぁ初心者支援の一環ってやつだな。簡単な依頼で仕事に慣れることができるし、基礎スキルも鍛えられてさらにお金ももらえる。そうすれば初めに挫折する奴も減ってギルドも仕事がやりやすいって事だ」
「はぁ、それを聞いたら何かどっと疲れましたよ」
「まぁまぁいいじゃねーか、これでギルドに報告に行けば小銭も入るしお前も飲みに来いよ」
「ええ、考えておきますよ。それじゃあギルドに戻ります。ありがとうございました」
「おうよ、また仕事に来いよな」
「気が向いたらきますよ」

店長の話を聞いている間にSTも回復したのでゴーレムフィストをあとにする。
スキルを確認したら筋力が5.6も上昇していた。
それに伴いステータスも攻撃力が1上昇し12に。
まぁ確かに安全にスキルをあげれてさらにお金ももらえるとなると悪くないかもしれないな。
初めてのお給料にワクワクしながら冒険者ギルドの扉を開いた。





現在のスキル


筋力:6.6 ↑up
集中力:3.3
自然回復:2.4 ↑up
落下耐性:1.2
解読:0.1


所持金:998Gold




----------------------------------------------------------------------------------------------
あとがき

コツコツとスキルアップ。
それにしても未だに説明セリフばっかりだな。
いつになったら冒険するんだこいつ。
そういえば1万PV突破しました。
拙いSSを見ていただきましてありがとうございます。


感想返し

>>雪林檎さん
効果音は痛そうだけどダメージは1なんで痛みは極微量ですね
自然回復は体力を回復するスキルなんで回復時に上がる設定にしていたのですが違和感ありますかね?

感想ありがとうございます。



[19621] 9:初心者講習
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/06/23 22:37
冒険者ギルドに入り受付へと向かう。

「いらっしゃいませ、ご要件はクエストの受注ですか?それとも依頼ですか?」
「受注した依頼が終了したんで戻ってきたのですが」
「依頼の終了報告ですね。ギルドカードと依頼書をお見せください」
「はい。これです」

カウンターの上にカードと依頼書を置く。

「はい、結構です。依頼の達成を確認しました。ギルドポイントが上昇したことを確認ください」

カウンターの上のカードを確認するとギルドポイントの欄が5になっている。

「次に報酬ですがこの場での支給と銀行への振込みどちらになさいますか?」
「銀行?そんな所あるんですか?」
「はい、このギルドの建物の裏手にございます。そちらに口座があれば報酬を振込みで受け取ることが可能です。お金も軽いとはいえ重量がございますから」

お金にも重量あるのか。

「あー、口座はまだ無いので現金でお願いします」
「かしこまりました、トレードウィンドウを開かせていただきますね」

そう言うと目の前にウィンドウが開く。
この人も簡単そうに思考操作を…
くそぅ、俺もそのうちほいほい開けるようになってやるぞ。
ウィンドウのGoldの欄が1000になる。

「間違いがなければ承諾をお願いします」
「わかりました」

チャリーン

なにか小銭を落としたような音がする。
確認の為にアイテムボックスを開く。
無論音声操作で。
Goldが1998になっている。
しかしまだ青ルビエの花以外買ったことがないから物価がわからないな。
そういえば講習もお金がかかるって言ってたっけ。

「すいません、講習の代金とかって聞けますか?」
「はい、わかりました。良い機会ですし講習の説明もお聞きになりますか?」
「じゃあお願いします」
「かしこまりました、それではこちらの紙を御覧ください」

何か表のようなものが書かれた紙が出てきた。

「こちらが受けることができる講習の種類と値段の表です。この講習の目的は最低限戦うことのできるスキルを鍛えることです。受けた講習によりその武器スキル及び関連スキルの訓練が行えます。例えばこの片手剣講習をお受けになると片手剣スキルの他に盾スキルなども教えてもらえるそうです」
「へぇ、それは有難いな」
「講習を終えると平均的に10前後までスキルが上がるそうです。ただし講習は1種類しか受講することができませんのでご注意下さい」

うーん、なやむなぁ。
片手剣が300Goldで片手槍が400Gold。
ん?
この剣総合900Goldってのはなんだろう。

「すいません、この剣総合ってのはなんですか?」
「そちらは片手剣や小剣、大剣など剣スキル全般の講習です。そのかわり補助スキルなどはあまり教えてもらえないそうです」
「あーだからちょっと高いのか」
「そうですね、ですが講習を受けた武器はギルド公認のショップで初級武器を値引きしてもらえるので剣総合講習をお受けになるとその分多くの武器が安くなるというメリットもございます」
「うーむ、悩むなぁ」

講習の数も非常に多く未だ使用武器を決めていない身としてはなかなか難しい選択だ。
そう思いながら紙を眺めていると一番下に気になるものがあった。
総合1800Gold。
なんだこのやたら高い講習は。

「この一番下の総合ってなんですか?」

なにやらお姉さんが少し苦笑したような気がする。

「それはこちらで受けることのできるすべての武器を対象とした講習です」
「え!?全部教えてもらえるんですか?」
「はい、その代わりに関連スキルや補助スキルは一切なしです。さらに上昇スキルも5前後らしいです。大きな声じゃ言えませんがあまり人気のある講習ではないですね」

なるほどだからさっきの表情だったのか。

「あのー例えばスキルなしで武器を使うとどうなるんですか?」
「スキルなしでですか?私は戦闘の経験がないので聞いた話ですがなかなかあたらなくて大変だそうです。スキルも最初の発見までが大変らしいとのことです」

うーむ、ただ武器を使っただけではスキル発見にならないのかもしれないな。
ということは無条件でスキルを発見できそうな講習は非常に重要ってことか。
そうすると使用武器を決めていない今、選択肢を多くしておいた方がよい気もする。
でも1800Goldかぁ。
よし、決めた。

「総合でお願いします」
「…総合ですね、わかりました。講習代金は1800ゴールドになります」

さっき受け取った報酬も一瞬で出て行く。
さらば酒場での1時間よ。

「はい、確かに受け取りました。講習はあちらの階段から地下に降りて4番訓練室です」
「わかりました」

階段を降りていくといくつかの扉が見える。
扉の一つ一つに大きく数字が書かれている。
え~っと4番はっと。
あーここか。
少し緊張しながら扉を開く。
中は円形で土がしかれている。
なにやら小規模なコロシアムみたいな雰囲気があるな。
周りを見ていたら入ってきた扉の反対側にある扉が開いた。
入ってきたのはほっそりとした銀髪のエルフだった。

「あ、あなたが総合講習を受講なさるイツカさんですか?」
「はい、そうです」
「私は総合講習を受け持つロイエンタールと申します。気軽にロイとお呼び下さい」
「はい、ロイさんお願いします」
「いえいえ、こちらこそ。講習を受けてくれて本当にありがとうございます。この講習なぜか全然人気がなくてこまっていたんですよぉ。今までに受けた人は数えれるくらいなんです。片手剣とかの講習はあんなに人が入っているのになぜなんでしょうか」
「やっやっぱり値段とかじゃないですかね」
「そうなんですかねぇ、でもあなたがうけてくれたので久しぶりに仕事ができます!気合入れて教えちゃいますよ」
「ありがとうございます」

不人気講習ってのは本当だったみたいだな。
まぁ戦闘経験無い人しか受けられない上に1800Goldだからなかなか受ける人もいないのかもしれない。

「まず初めにスキルについてのお話をしましょう。イツカさんはどれくらいの知識がおありですか?」
「えーっとウィンドウの見方とかランクとかその辺は分かります」
「ふむ、なるほど。ではスキルの上限が100だということは知っていますか?」
「え!100までしかないんですか?」
「ええ、そうです。どのスキルも100まであげるとそれ以上は増えないそうです。またスキルの合計数も実は上限があります」
「合計にまであるんですか」
「はい、覚えているスキルの合計値が1000になるとそれ以上スキルが上がらなくなります」
「ということは使わないスキルは発見しない方がいいんですかね?」
「いえ、スキル値は上げるだけでなく下げることもできます。スキルウィンドウを開いてみてください」

言われるがままウィンドウを開く。

「スキルの名前の横に上向きの三角形のマークが有りませんか?」

確認してみると確かに▲のマークがある。

「それが上昇のマークです。それが上向きの間はスキルに対応した行動をとるとスキルが上昇します。次にその三角に触れてみて下さい」

筋力の▲に触れると〓の表示になった。

「横棒2本の記号になりましたよね?その状態だとスキルが固定されて上昇も下降もしません。それではもう一度触れてください」

〓に触ると▼になった。

「これはスキルが下降するってことですかね?」
「はい、その通りです。その状態にしておくとスキル合計値が1000を超えている場合下降していきます。取り敢えずはまだ必要ないと思うので上昇に戻しておくといいでしょう」

もう一度触り▲に戻しておく。

「スキル上限が100で合計値の上限が1000ってことはスキルは10個ってことですかね」
「そういうスキルの人もいると思いますが別にスキルを100まで上げなければいけないわけではありません。例えば魔法使いが筋力を100まで上げてもそんなに使い道はないですよね?かと言って0にしてしまうとアイテムなどをあまり持ち運びすることができません。なのでこれと言ったスキル構成はなく人により最適のスキル構成が違うということです」
「なるほど、ただ上げればいいって訳でもないのか」
「ええ、でも上げたほうが効果が高いことは間違いありません。武器スキルを例に説明しましょう。武器を使うとそれに対応した武器スキルがあがります。しかしスキルを上げたからと言って攻撃力が上がるかと言ったらそれは違います。攻撃力はあくまで筋力や武器の性能によります。それでは武器スキルを上げる意味がないかと思われるでしょうがちゃんと上げる意味があります。まず武器スキルをあげると武器の扱いがやりやすくなります。ステータスの命中力があがったり攻撃時の隙が少なくなります。次に武器の装備制限の解除があります。少しこの剣を振ってみてください」

ロイさんが腰の剣を抜き俺に渡してきた。
綺麗な装飾が施されている剣だ。
手に握り振りかぶってみる。

ビュン

ストン

この剣はすごい。
石の壁に刺さっている。
ただ問題は振った瞬間すっぽ抜けてロイさんの顔をかすめて後ろの壁に突き刺さったことだ。
若干ロイさんの表情がこわばっている。

「えーっとなんかすみません」
「いえ、大丈夫です。いま振ってもらったように武器の装備制限以下のスキルの場合まともに扱うことが出来ないのです。この剣の装備スキルは70なのでイツカさんには扱えなかったというわけですね」

なるほどね、いい武器を装備したかったらスキルを上げろって訳だ。

「他にもスキルにはテクニックと呼ばれるものが存在します。一つ例を見せましょう」

ロイさんは壁に突き刺さった剣を抜き部屋の真中に置かれている巻藁に向かった。

「ハードスラッシュ!」

声を上げたかと思うと上段から袈裟懸けに巻藁を切り裂いた。
攻撃があたった瞬間なにか光ったような気がしたがあれはなんだろうか。

「今のが剣スキルの初級テクニックのハードスラッシュです。普通に切るよりも敵に与えるダメージが大体1.5倍ほどですね。テクニックによっては色々な効果があります。このテクニックにもスキル制限がありそれを超えないと使用することができません」
「今のテクニックってこの講習で教えてもらえるんですか!」
「ははは、残念ですがここでは教えることができません。片手剣講習とかだと教えてもらえるそうですがこの講習はすべての武器についてお教えしないといけないので時間的に無理なんですよ。すみませんね」

しまった、講習選択をミスったか!
しかししょうがない、テクニックというものがあるということを知ることができただけでもよしとするか。

「それではまず片手剣の説明からいきましょう」
「はい、おねがいします」

これから始まる講習に胸を踊らせながらロイさんの言葉を待つのであった。



現在のスキル


筋力:6.6
集中力:3.3
自然回復:2.4
落下耐性:1.2
解読:0.1


所持金:198Gold





--------------------------------------------------------------------------------------------------
あとがき

ついに戦闘スキルを取得するよ!
でもこの展開だとイツカは色物スキル構成になる予感がプンプンする


感想返し

>>ぐるーにーさん
ありがとうございます、期待にお答えできるように頑張ります!


>>雪林檎さん
自然回復のスキルはあくまで行動を行っていない時の回復能力なので戦闘スキルが低い状態で高くなってもいいかなぁっと。
後出しですが9話の説明にあるように合計値の上限の問題もあるので平気かと思ったんですがいかがでしょうか。

>>はきさん
表記方法は会話文はカタカナで地の文はアルファベット表記にしようと思っていたのですが最後の所がカタカナ表記に成っていましたね。
修正しておきます。

>>通りスカ裏さん
依頼料の方はギルドからのご祝儀ってことにしておいてくださいw
クエスト期間の指定は確かに長時間働かされそうですね。一応期限のあるクエストには依頼書に入れるようにしておきます。
隠しパラメータ…面白そうですね!



[19621] 10:講習の成果
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/06 21:50
「はい、以上で講習は終了です。お疲れ様でした」

ロイさんが少し疲れた顔で言う。
俺も疲れているので軽く会釈するだけだ。
肉体的にはゲーム内なので暫く座っていれば勝手に回復する。
しかし精神的な疲れはどうしようもない。
なぜそんなに疲れているのかというと武器の数が多かったのだ。
まさかあんなに武器があるとは、総合を侮っていた。
俺が講習を受けた武器を羅列すると

小剣、大剣、片手剣、斧、片手槍、両手槍、棒、ハンマー、ナックル、弓、銃

全部で計11種類各30分ぐらいの講習だったので合計で5時間半。
疲れるはずだ。
若干ロイさんの表情が強ばっているのは疲労というより俺が原因だったかもしれない。
例をあげると

~大剣~
「じゃあこの剣を振ってみましょう」
「はい、って重!」
「あれ?あーその剣ちょっと必要スキルが高かったかな。じゃあちょっとこの剣とかえってなんでこっちにくるんですか!」
「けっ剣が重すぎて姿勢が保てないんですよ!」
「剣を持ったままこっちにこないで!剣を手放して!!!」
「あーそうですね、じゃあぽいっと」
「こっちになげないでーーー」


~銃~
「じゃあさっき説明したとおりあの的を狙って下さい。まずは一発でいいです」
「はい、わかりました」

ダーン

ダーン

ダーン

「結構反動強いんですね、腕がかなり跳ね上がりましたよ」
「ええ、そのせいで私のマントに穴が開いたんですね。というか一発でいいっていったじゃないですか!」
「いやぁ反動のせいで指がトリガーにあたっちゃって」

うん、だったかもじゃないな。
確実に原因は俺だな。
まぁ初めての戦闘スキル取得で少し舞い上がっていたということで勘弁してもらおう。
こっちは初心者だしね。

「まぁ色々ありましたがイツカさんはすべての武器の講習をしっかりと受けていただけたということでプレゼントを上げましょう」
「え?マジですか!講習って何か貰えるんですね」
「おそらくこの講習だけだと思いますよ。まぁ今まで最後まで全部講習を受けてくれた人がいないので渡すのは初めてなんですがね」

まぁ5時間半もの拘束時間を考えると途中で離脱する人もいるのかもしれない。

「プレゼントなんですがこれです」

ロイさんは一冊の本を取り出した。
タイトルは『ハーレムパラダイス伝説』

「ロイさん、あなたってそういう人だったんですか。むっつりスケベですね」
「ちちち違うんですよ。別に私の趣味ってわけじゃないんですよ!読んで貰えれば分かります」
「いやそんな、こんな恥ずかしいタイトルの本を人前で読むだなんて。ロイさん、自分の性癖を人に押し付けるのは良くないことですよ?」
「そんな性癖じゃないですよ!読んで!この場で読んでみて!」
「もう、しょうがないですねぇ」

えーっとどんな本なのかな。



「ちょっと!あなたいったい誰が本命なのよ!」
「そうですわ、私というものがありながら他の娘にまで気をやるなんて!」
「おにぃちゃんが好きなのはもちろん私よねぇ?」
「何を言ってるんだ、僕に決まってるだろ!」
「あらあら皆さん往生際が悪いですねぇ」
「あぁ?ふざけんな俺が本命にきまってんだろが。ぶっ飛ばすぞ!」
「私はご主人様に一生尽くしてよいと許可を得ました。なので私がいれば他の方々は必要ありません」
「何言ってんのよ、私だって一生そばにいるって言ってもらったんだから!」
「まぁまぁみんな聞いてくれ。僕はみんなを愛している。ひとりだけを選ぶなんてできないよ。だから平等に全員に等しく愛を与えるよ。それじゃいけないかい?」

ニコリ

「「「「「抱いて!!!!」」」」



…なんだこの頭の悪い本は。

ピコーン、チャラチャ、チャラチャチャーン

おや、何かスキルを発見したようだ。

「スキルは発見できましたか?」

え?
驚いてロイさんを見る。

「武器総合というスキルを発見しているはずです。確認してみてください」

慌ててスキルウィンドウを開くと確かに追加されている。

総合武器:ランクA
説明『すべての武器を扱うことのできる力。スキルを所持していなくても武器を扱うことができる。ただしクラスが器用貧乏時しか効果は発動されない』
取得状況『武器スキルを10個以上取得した状態で『ハーレムパラダイス伝説』を読んだ。

おおおおお!
これはすごい。
ランクAってのも嬉しいが効果が凄まじい。
これひとつで武器を使い放題か!

「その表情だとちゃんとスキルを発見できたみたいですね」
「はい!でもこのスキルすごいですね。これさえあれば武器スキル無くていいだなんてチートじゃないですか」
「チート?」
「あぁ、反則って意味です」
「なるほど、しかしそううまくはいかないんですよ」

ロイさんは苦笑しながら説明する。

「武器総合スキルと一緒に他のものも発見しませんでしたか?」

他のもの?
ログを見てみる。

解読スキルが5.0上昇した。
総合武器のスキルを発見した。
クラス【器用貧乏】を発見した。

「クラス器用貧乏…?」
「ええ、クラスの知識はありますか?」
「あーギルドカードとかに書いてあるやつですよね?」
「ええそうです。そのクラスというものはスキルと同じように特定の条件により入手することができます。クラスには何かしらの効果がありそれを付け替えることにより効率よく物事をすすめることができます」
「なるほど、でもこの器用貧乏ってクラスはなにかあんまりよくなさそうなイメージがあるんですが」
「効果はステータスのクラスを触れば確認できますよ。自分の目で確認してみてください」

言われるがままステータスを開く
クラスの欄に触れてみると別にウィンドウが開いた。

クラス:異界の旅人
説明『異界からさまよい渡りし旅人。何者でも無いがゆえ何者にも成ることができる』
効果:なし

クラス:器用貧乏
説明『あちらこちらに気をやる浮気性なあなた!どれも中途半端になってはいませんか?そんなあなたにぴったりでしょう』
効果:攻撃力が0.8倍 初級武器しか扱うことができない 初級テクニックしか扱うことができない

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!」

驚きだ、この器用貧乏とかいうクラスはデメリットしかないじゃないか。

「こんなクラス一体誰が使うんだ」
「武器総合の説明に書いてあったでしょう?クラスが器用貧乏であることが前提条件になっているんですよ」
「でもこのクラスじゃ強い武器を見つけても装備できないってことじゃないですか」
「ええ、そうですね。でも使い方次第ですよ。講習の最初に私の剣がスキル70の剣を持っていることは言いましたよね?私は武器総合スキルもありますが片手剣スキルも上げているんですよ。今はイツカさんに講習するために器用貧乏クラスをつけていますけどね。クラスは付け替えることができるのでうまく活用するのが冒険者の常識なんです」

なるほど、奥が深いな。
まぁ選択肢は大いに越したことはないしランクAのスキルなんだから喜んでおくか。
最悪使わないという選択もあるし。

「その本返していただいていいですか?そんな本ですが結構貴重なものなんですよ」

確かにこの本は内容は酷いがランクAのスキルを覚えるのに必要なんだからレアなんだろうな。
持っていることがばれると少し恥ずかしいだろうが。
そんなことを考えつつ本を返す。

「それではこれで本当に講習はおしまいです。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」

ロイさんに別れのあいさつをして訓練室をでる。
受付のお姉さんに一応報告しておくか。

「あ、講習終わりました」
「お疲れ様です。講習を終えられましたので討伐系の依頼も受注することができるようになります。お受けになりますか?」
「えーっと取り敢えず武器がないのでまだいいです」
「そうですね。装備でしたらギルドの向かいの通りにあるエッグブレイカーというお店がよいかと思います。初心者向けの装備を扱っているところで値段もお手頃です。イツカさんは総合講習を終了なさったのでこの紙を持っていけば割引してもらえます」
「ありがとうございます。じゃあちょっと見に行ってきますね」
「いってらっしゃいませ」

ギルドをでて教えてもらったエッグブレイカーを探す。
すこし周りを歩いていると卵から剣が突き出ているデザインの看板を見つける。
名前からしてここかな。
なかに入ると所狭しと武器屋防具などが置かれている。
巨大な剣やポーションが入ったびんなどを珍しげに眺めていると声をかけられた。

「おい、坊主。なにか探しものか?」

振り向くとそこには見覚えのあるガチムチマッチョのオーガが立っていた。

「ラルゴさんここでなにしてるんですか?お店は平気なんです?」
「ん?お前は弟の酒場へ行ったことあるのか?」
「へ、弟?」
「ああ、俺の名前はゴルン。ここエッグブレイカーの店長をやっている。酒場のラルゴは俺の弟だ」

言われてみると少しこのゴルンさんのほうが背が高い気もする。
しかしそっくりだな。

「で坊主は何か探してんのか?」

ゴルンさんにも坊主呼ばわりされるのか。

「えーっと先程冒険者ギルドで講習を受けまして。受付のお姉さんにこのお店を紹介されたんですよ」
「なるほど、坊主は卵からくちばしが出てきたくらいか。なんの武器を使うんだ?」
「武器はまだ決めてないんですよ」
「講習受けた武器でいいんじゃねーのか?」
「総合の講習受けたんですよ」
「お前変わった奴だな。んーだったらいくつか武器を使って合う奴をさがすしかねーな」
「そうですねぇ、取り敢えず遠・中・近3つの距離で戦える武器が欲しいですかね」
「そーすっと一般的なところでは片手剣に槍に弓ってとこか」
「銃ってあるんですか?」
「あることはあるがひよっこにはおすすめしないぞ。銃自体が少し高価だってのもあるが撃つための弾が結構するんだよ。だからある程度稼げるようになってからのほうがいいとおもうぜ」
「なるほど」
「坊主、予算はどれくらいなんだ」
「えーっと…198ゴールド?」
「よし、帰れ」

ゴルンさんは俺に向かいしっしと手を振る。

「そんな!この店は客を差別するんですか!」
「あほか、198ゴールドじゃポーションも買えんわ!」
「えーそうなんですかぁ。というか物価がいまいち分からないんですが」
「うちの商品でいったらそこのダガーが2000ゴールドだ。片手剣は盾とセットで2500、槍は2000で弓が2200って所だ」

ぐっ結構するんだな。
ラルゴさんとこでの仕事が1時間で1000Goldだったのを考えると7時間くらい働かないと装備が揃えれない。

「あ、割引券あるんですが198ゴールドで買えちゃったりしませんか?」
「一昨日きやがれってんだ」

くそー、しょうがない。
ギルドで仕事して稼ぐしか無いか。

「わかりました、お金稼いでまた来ますよ」
「おぅ、ちゃんと割引はするから頑張って稼いできな」

新たな目標ができたな。
そういえばさっき気がついたんだがステータスのウィンドウに時計が付いている。
これはどうやら現実の時間を表しているようだ。
時刻は深夜2時35分。
さすがに疲労感があるな。
講習も6時間近くかかったしな。
そろそろ一旦現実に戻るか。
「ログアウト」
明日からはお金稼ぎだな。
そんなことを思いながらログアウトのカウントを眺めていた。





現在のスキル



筋力:10.2 ↑up
集中力:3.3
自然回復:8.7 ↑up
落下耐性:1.2
解読:5.1
小剣:5.1 New!
片手剣:5.0 New!
大剣:4.9 New!
斧:5.1 New!
片手槍:4.8 New!
両手槍:5.3 New!
棒:4.5 New!
棍棒:4.7 New!
素手:5.3 New!
弓:6.0 New!
銃:5.4 New!
総合武器:0.1 New!







-----------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
講習終了、無事戦闘スキルをゲットしました。
まぁまだ装備何もないので意味ないですが。

話数も10話と区切りがいいのでそろそろオリジナル板に移ってみようかなんて考えております。
おそらく次回更新時に多少手直しをかけてオリジナル板に移動していると思います。
沢山の感想ありがとうございました。
もしよろしければオリジナル板のほうでもかわいがってください。


感想返し

>>通りすがりさん
確かに花売りの少女は涙目ですね
一般NPCと冒険者関係とでは消費するGoldが違うということにしておきましょうw

>>雪林檎さん
一応スキル全部ひっくるめて1000です。

>>kntさん
発見したスキルは0.0に下げてもそのままです
なので割と廃人プレイヤーとの垣根は低くなる…はず

>>はきさん
今回の講習は取り敢えず主要武器なだけで何種類あるのかは私にも不明ですw
修行風景大幅にカットしてしまって申し訳ない!

>>通りすがりの日本人さん
完全に読まれきってましたね
名前も全く同じとかオマエハオレカ



あれ、板移動するときはこっちは消していくのかしら?



[19621] 11:又旅人間
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/15 21:15
「おーい、ジョセフィーヌちゃ~ん。どこにいるんだ~い」

今俺はとあるお金持ちの屋敷にいる。
現代日本で生活している俺にしたらありえないほどの大きさだ。
トイレだけでも俺の部屋と同じくらいの広さとかいったいどうなっているんだ。
まぁゲームの中の建物に文句を言っても仕方がないが。
そんな豪邸で何をやっているかというと冒険者の仕事だ。
どんな依頼かというと

依頼:ペットの捜索
依頼主:金持ちマダム マザス
依頼内容:マザス邸の中でのペット捜索
報酬:5000Gold
ランク指定:なし
ギルドポイント:5

こんな感じの依頼だ。
何がいいってこの報酬。
初めにやった酒場5回分とは非常にありがたい。
あの後色々と依頼を受けてみたがどうやら最初の依頼は本当に初心者の為だけのものだったらしい。
講習を受けてしまうと戦闘能力ありとみなされて受けれなくなるそうだ。
なので仕方がなく他の依頼を受けていたのだがなかなかお金が貯まらない。
アイテム配達で250Goldとか路地裏の掃除で150Goldとか…
高額な報酬の依頼はやはり人気のようで貼り出してすぐに誰かが受けてしまうのだ。
なので安い依頼でちまちま稼いでいたのだがついに俺も高額依頼をゲットした。
しかも内容が室内でペットの捜索という楽さ。
これで5000Goldは美味しすぎるな。
ちゃっちゃとペットのジョセフィーヌちゃんを見付け出して報酬をいただこう。
たしか特徴は白と黒のトラ柄の猫ってことだけど何処にいるのかな。
心当たりの場所が無いか聞こうにも人が全然見当たらないな。
これくらいのお屋敷ならメイドさんとか執事がいるものかと思っていたがそうでもないのかな。

ガタガタッ

おや、今物音がしたな。
この部屋にジョセフィーヌちゃんがいるのかな。

「ジョセフィーヌちゃん見ーつけたっ」

確かにジョセフィーヌちゃんはそこにいた。
白と黒のトラ柄だし猫科であることは間違いない。
だがしかしこれは断じて猫ではない。
猫はもっとこう可愛らしいものであってこんな獰猛なものではないはずなんだ。
体ももっと小さくて断じて3メートルを超えようかというサイズではないんだ。
つまり目の前に何がいるかというと…
一定時間凝視していたせいか名前が頭上に表示された。

【ホワイト ファング】

うん、モンスターだこれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
やばい、やばいよ。
こんなん絶対に初心者がどうにかできる生き物じゃないよ。
ふざけんな何が猫だ、これじゃ詐欺だろ。
とりあえず見なかったことにして部屋から出よう。
野生動物は急に動くと反応して飛び掛ってきそうだからゆっくりと目は離さずに後退りで出る。

ササッ

ササッ

うん、こっちが一歩引くと向こうが一歩進む。
やぁぁぁぁぁばあぁっぁぁいぃぃぃぃ。
まずいぞこの状況は。

ササッ

ササッ

くそ、凄まじいプレッシャーを放ちながらついてきやがる。
いったいどうすればいいんだ。
戦闘して倒すってのは確実に無理そうだ。
隣の部屋に立てこもってみるか?
扉をあけて部屋に入り扉を閉める。
それくらいならなんとか間に合いそうな気もする。
よっよーし、いっちょやってみるか。
俺が部屋をでたら一気に隣の部屋へと飛び込もう。
行くぞ、行くぞ、今だ!

ガチャ、バタン

よーし、これで部屋に入ってこれないだろう。

ガリッガリッ、メキメキメキ

おいおい、嘘だろう。
ジェニファーちゃん、君のおうちだよ。
壊しちゃダメだろう。
ってまずいそんなこと考えてる場合じゃないぞ。
とっ取り敢えず部屋のどこかに隠れよう。
しかし相手は野生動物、匂いでばれるか?
お!いいところに香水が。
これをまず部屋中にまいてっと。
ん?これ香水じゃないのか?
えーっと又旅水?
なんじゃそりゃ。

ミシミシミシ

げげっ、時間がない取り敢えずこのでかいクローゼットに隠れよう。
俺がクローゼットに入った瞬間扉は破壊されたようだ。
ジョセフィーヌちゃんの荒い息遣いが聞こえてくる。
クローゼットの隙間から部屋を見ると俺を探しているのかうろうろするジョセフィーヌが見える。
香水の効果はあったみたいでこちらには気づいていない。
これならばなんとか隠れきることができるかも。

チャラチャチャーン

ビクッ!

ガタン

ななななんだスキルを取得したのか。
驚かせやがって。
あれ…ジョセフィーヌがこっちを向いている。
なぜこっちに近づいて来るんだ。
まさかさっきの物音で?
このままクローゼットのドアごと粉砕されたらヤバイ。
こうなったら一か八か飛び出してみよう。
…怖いけど。
せーのっ

「だりゃあぁあぁぁぁぁぁぁあぁ」

謎の掛け声と共にクローゼットを飛び出し一目散に部屋から飛び出す。
こうなったらもう走り続けるしか無い。
もしかしたらジョセフィーヌが諦めてくれるかもしれない。
走りながら後ろを確認すると。
うん、見事に追ってきている。
何処に逃げればいいんだ!
なにかいい案はないか?
そうだ、依頼の事前説明で捕まえたら中庭に連れてきてくれって言ってたな。
つまりそこには俺以外の人がいるはずだ。
うん、1人いれば確率は2分の1だな。
3人いれば4分の1だ。
よし決めた、中庭に行こう。
今ここは3階だから取り敢えず階段を降りねば。
小回りはこっちの方が効くんだぜ。
ってジョセフィーヌちゃん壁走ってるーー!
重力仕事しやがれ。

「うおっ」

ドタンバタン

壁走りに驚いて階段からダイブしてしまった。
しかしこちとら落下耐性もちじゃーい。
なにやらスキルが上がった音がしたがそんな余裕はない。
2階までは降りてこれた。
中庭はどっちだぁぁぁあ。
テラス発見、ということはこの下が中庭か。
テラスの扉を蹴破り躊躇せずに中庭へと飛び出す。
一瞬の浮遊感のあとに着地の衝撃が来る。

メキッ

ピコーン

なにやら足から嫌な音が聞こえたが聞かなかったことにしよう。
周りを確認すると中庭の中央に人が集まっているのが見える。
ふふふ、そんなところにいらしたんですね。
今行きますよ。
集団に向かって全速力で走る。
後ろからはジョセフィーヌちゃんの気配がバッチリと追いかけてくる。
よしこのままあの集団の中に飛び込んでそのまま駆け抜けよう。
そうすれば俺以外の誰かに気を取られるはずだ。
そう思いながら集団の真ん中を駆け抜ける。
これでミッションコンプリートだ!
後ろを振り返るとそこには一直線に俺に向かってまっしぐらなジョセフィーヌの姿が。
そんなばかなーーーーー!
再度走りだそうとしたが足ががくがくしてうまく走れない。
しかし少しでも逃げなければジョセフィーヌのおやつになってしまう。

チャラチャチャーン

うるさい、いまそんな状況やないねん!
あ、やばい足がもつれた。
仰向けになり確認するとジョセフィーヌが飛びかかる体制が見えた。
あーこれは死んだな。
目の前をフサフサのジョセフィーヌの毛が覆い尽くした。





「こんなにジョセフィーヌちゃんが懐いた人は初めてですわ。普段はおとなしいジョセフィーヌがこんなに遊んでもらいたがるなんて。よろしかったらまた遊んでやってくださいな」

うん、生きてるんだ。
どうやらジョセフィーヌは別に俺に襲いかかったわけじゃなくて遊んでもらいたかったようです。
顔中ベトベトになるまで舐められてその後お腹を晒してゴロゴロ言ってます。

チャラチャチャーン

あぁ、またなんか発見したな。
後で確認しよう。

「えーっとこれで依頼達成でいいでしょうか?」
「ええ、ええ。よくやってくれました。ここにサインすればいいのね」

依頼書を受け取り屋敷をでる。
とりあえずログを確認しよう。

隠行のスキルを発見した。
落下耐性スキルが0.1上昇した。
落下耐性スキルが0.1上昇した。
落下耐性スキルが0.1上昇した。
落下耐性スキルが2.8上昇した。
持久力のスキルを発見した。
クラス【マタタビ人間】を発見した。

…マタタビ人間?
なんだこれは一体。

クラス:マタタビ人間
説明『猫科の動物を惹きつけてやまないフェロモン駄々漏れなあなた。そんなあなたに贈るこのクラス。猫好きにはたまらないでしょう』
効果:動物・モンスター問わず猫科の生き物を魅了する

これは喜んでいいのだろうか…
そのうち猫型モンスターに遭遇したら使ってみるか。
スキルの方も確認してみよう。

隠形:ランクD
説明『姿を隠し敵に見つからないようにする力。敵に見つかっていない状態でなければ効果はない』
取得状況:ホワイトファングより身を隠した。

持久力:ランクI
説明『長時間運動し続ける力。最大STや移動時の消費STなどに効果がある」
取得状況:STが0になった状態で行動した。

ふむ、ランクはそんなに高くないがどちらもなかなか重要そうなスキルだな。
この依頼はちょっと大変だったが身入りもよかったようだ。
そうだ、せっかく居住区のある南区に来たんだからついでに図書室にも寄って行こう。
もしかしたらハーレムパラダイス伝説みたいにレアな本があるかもしれないし。
聖堂の扉をくぐり図書室の扉を開ける。
そこには図書室の主ヴァンダレンさんがいた。

「どうもこんにちは」
「いらっしゃい、今日も本をみにきたのかな?」
「はいそうです」
「選ぶことはできないが好きな本を見ていってくだされ」
「ありがとうございます」

んーどの本にしようかな。
まぁどうせ認識障害が掛かっているせいでどれ選んでもおんなじなんだろうが。
目についた黒い本を抜いてみる。
一瞬本が光りての上には赤い本が乗っていた。
タイトルは『マイクとジェシーのラヴラヴ交換日記』
…これはこの前ヴァンダレンさんが説明の時に抜いた本と同じだな。
まぁ効果は期待できないが解読のスキルくらいはあがるだろう。

○月×日 ジェシー
今日レ£ぁTょT=レニぁぇTょ<τ寂UヵゝッT=∋ォ
寂U£(≠〃τぉぅちτ〃一人τ〃泣レヽちゃッT=
婚忸会ぅ`⊂(≠レ£レヽッレ£oレヽ慰めτЙё

□月○日 マイク
俺も寂しかったよ。
でもこの会えない時間が僕らの愛を育むって考えたらなんとか我慢できるよ。
次あったときはめちゃめちゃ可愛がるつもりだから覚悟しておいてね。

λ月∞日
今日レ£レヽッレ£oレヽレヽッレ£oレヽ可愛ヵゞッτ<яёτぁレ)ヵゞ`⊂ぅ
嬉U£(≠〃τTょレヽちゃッT=Йё、〒∧ッ
⊇ωTょレニ泣(≠虫レニTょッちゃッT=σレ£ぁTょT=ヵゞレヽゑヵゝらT=〃∋?

パタンッ

ピコーン

どうやら解読のスキルが足りないようだ。
マイクの部分しか読めない。
いったい何が書いてあったんだろうか。
えーっとスキルは。
うぉ、5も上がってる。
この本古文書かなんかなんじゃないのか?
まぁいいや取り敢えず本を戻しヴァンダレンさんにあいさつをして聖堂をでる。
依頼達成の報告をするために冒険者ギルドに戻らねば。





現在のスキル


筋力:12.4 ↑up
集中力:3.3
自然回復:9.5 ↑up
持久力:0.1 New!
落下耐性:4.3 ↑up
解読:10.1 ↑up
小剣:5.1
片手剣:5.0
大剣:4.9
斧:5.1
片手槍:4.8
両手槍:5.3
棒:4.5
棍棒:4.7
素手:5.3
弓:6.0
銃:5.4
総合武器:0.1
隠行:0.1 New!

合計:86.0



所持金:2198Gold





--------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
チラシの裏からオリジナル板に引っ越してまいりました。
よろしくお願いします。
相変わらず戦闘する気配のないイツカさん。
まぁ武器もないしね。
ちなみに勝手に上がってるスキルは描写されていない依頼で上がったことにしておいてください。


感想返し

>>通りすがりの日本人さん
スキルの成長はおそらくないと思います。
個人的にそれさえあればOKという完全上位互換はあんまり好きくないので。
メリットとデメリットのバランスを取ってどのスキルも使い道を作っていきたいところです。

>>剣さん
食べ物を武器…料理人に怒られそうですけど面白そうですねw
変形武器とか男のロマン溢れ出しますね。

>>赤楝蛇さん
スキルは常に好きに弄れるのが魅力の一つということで。
スキル制MMOはレベル制にない楽しみがあるです。
投擲はまぁあれは狙って投げてないってことでw

>>はきさん
そうか、括弧の数はあまり考えていませんでしたね。
あの本の内容は11人だそうとしたけどもメンド臭くなって途中でやめt
あの本は一体どんな内容なのか読みたい気もしますね

>>雪林檎さん
花売りの少女は薄幸なんでしょう。
まぁその辺の花を摘んで売ってる商売上手と捉えると…
板変更の情報ありがとうございます

>>通行人Dさん
効率重視のプレイもいいですけどこういう一見無駄の多そうなプレイの方がなんだかゲームを楽しめていそうですよね。
今後もイツカ君には迷走しまくって欲しいですな。



[19621] 12:ジェシカ先生の思考理論
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/03 00:40
「はい、結構です。依頼の達成を確認しました。ギルドポイントが上昇したことを確認ください」

無事報告も済み報酬もゲットした。
所持金7198Gold。
ようやく武器を買うことができそうだ。
スキップし始めようとする心を抑え早足でエッグブレイカーへと急ぐ。
扉を開けるとゴルンさんがカウンターで剣の手入れをしていた。
こちらに気づきニヤリと笑う。

「よう、坊主。金は貯まったのか?」
「坊主じゃ無いですけどお金はなんとか稼いできましたよ」
「198ゴールドじゃねぇだろうな?」
「あれは物価が分からなかっただけですって」
「まぁいいがな。で、何がいるんだ?」
「片手剣と両手槍と弓をお願いします」
「はいよ。カッパーショートソードが2500ゴールドでカッパーショートスピアが2000ゴールドにウッドショートボウが2200ゴールドだな。合計6700ゴールドで講習割引で3割引いて4690ゴールドか。坊主防具はどうするんだ?」
「あー防具のことはすっかり忘れてたなぁ。いくらぐらいするもんなんです?」
「革鎧を全身フル装備で6000ってとこだな。講習割引は武器にしかできねぇぞ」
「じゃあ予算的に無理ですね」
「ふーむ。じゃあひよっこの門出を祝って革の胸当てと武器の代金込みで6000ゴールドでどうだ?」
「いいんですか?」
「ああ、うちは防具のバラ売りは普段やってねぇんだけどな」
「ありがとうございます!」
「気にすんな、じゃあトレード出すぞ」

トレード窓にお金を移す。
アイテム欄にアイコンが4つ並んだのを確認して承諾をおす。

「毎度あり。ここで装備していくかい?」

ゴルンさんの言葉に顔がにやける。

「はい、でもどうやって胸当て装備するんでしょうか?」
「普通に着てもいいんだがステータスウィンドウでも装備できるぞ」

ステータスウィンドウにそんな機能があったなんて。

「えーっと、どうすれば?」
「ステータス開いてアイテムウィンドウからアイテムをつかんで移動させるだけだ」

ふむ、試しに革の胸当てをステータスウィンドウに移動させてみた。
するとステータスの右にマネキンのようなものが現れる。
布の服を着たマネキンの上に革の胸当てを落としてみる。
その瞬間自分の胸が一瞬光った。
光が収まるとそこには茶色い胸当てが付いていた。
なるほど、これなら着替える手間が省けるな。

「無事装備できたみたいだな。ついでにステータスを確認してみな」

言われたとおり確認してみると防御力が10から13.3に上がっていた。

「その革の胸当ては大量生産品だから性能は並だな。だがスキルの高い奴が作ったものだと同じ革の胸当てでも防御力が高かったりするんだよ。もちろんその分値ははるがな」

生産スキルもあるのか。
興味があるな。

「こういうものを作るスキルってどうやって上げるんです?」
「あ?興味あんのか。生産スキルは基本的には工房とかで修行だな。ある程度スキルがあれば色々作ってるだけでも上がるみてぇだがな」
「なるほど、ありがとうございます」
「いいってことよ。あとそうだ坊主は3種類の武器を使うんだろ?ならポーチを買ったほうがいいんじゃないか?」
「あー!ポーチの事を忘れてました。裁縫屋で買えるんですっけ?」
「裁縫屋でも買えるが専門店のやつは値がはるぞ?金足りんのか?」

えーっとさっき6000Gold払ったから残りは1198Goldか。

「あと1198ゴールドしかないんですけど足りますかね?」
「1000ゴールドかぁ。それじゃあいいやつは買えねぇな」
「そうですかぁ。またお金ためないとなぁ」
「道具屋いってみたらどうだ?初心者用のポーチなら買えるかもしれんぞ」
「道具屋でポーチも売ってるんですか?」
「ああ、安いのなら売ってるはずだ。最近新しい道具屋ができたみたいだから見に行くのもいいかもな」

もしかしてジェシーの店の事だろうか。

「わかりました、見に行ってみますね。色々ありがとうございました」
「いいってことよ。あ、いい忘れてたが武器の手入れはしっかりしろよ。鍛冶屋がやってくれるぞ」
「わかりました」
「せいぜい頑張んな!」

ゴルンさんに見送られて店をでる。
なんだかんだであの人面倒見がいいな。
だから冒険者ギルドで初心者に勧められるってわけか。
次の目的地は道具屋だな。
ジェシーの店も北西区にあるっていってたし行ってみなければ。
思考操作のコツも聞きたいし。
周りを見ながら歩いていく。
たしか名前はジェシーのプリティーアイテムショップとか言ってたな。
何処にあるんだろう。
そう思いながら路地に入るとパステルピンクの凄まじい建物が目に入った。
看板にはポップ体で『ジェシーのプリティーアイテムショップ』と書かれている。
これか…
凄まじく入りにくい雰囲気を放っているな。
というかこれは冒険者が入るような店では無い気がする。
ジェシーには悪いけど他の道具屋で買い物をしよう。

「あっれー!そこにいるのはイツカ君ではありませんか」

背後からそう声をかけられた。
振り向くとそこにはジェシーが立っていた。
ぐっ、店の中じゃなかったのか。

「もしかしてお店見に来てくれたの?ありがとぉ、まぁ入って入って」

俺の背中を押しながら店に入っていく。
というか精一杯抵抗しているつもりなのだが何も無いようにずるずると押されてしまった。
なかにはいると外見通りなかもファンシーな感じだった。
店の雰囲気はぬいぐるみでも売ってるような感じなのに置いてある物は謎の草やら怪しげなビンやらなので異様だ。

「で何を買いに来てくれたの?」
「えーっと道具屋にもポーチが売ってるって聞いたからさ」
「ポーチが欲しいの?あるにはあるけど性能的におすすめしないよ?」
「お金があんまりないんだよ」
「ふむぅ、なるほどね。一番安い奴だと4つしか入れられないけどいい?」
「ああ、今武器が3つあるからそれが入れば取り敢えずいいや。いくらだい?」
「んーこの前助けてもらったし1000ゴールドでいいよ」
「おお、ありがたい」
「他の道具はいいの?」
「ポーチ代払うと198ゴールドしかないんだよ」
「198ゴールドじゃポーションは無理ね。薬草位だったら買えるけどどうする?」
「じゃあそれもセットでお願い」
「はいはい。薬草は一個50ゴールド4つポーチに入れておくね。2ゴールドはおまけしちゃう」

トレードウィンドウに全財産の1198Goldを移す。
これで正真正銘一文無しだ。
早いところ依頼を受けて稼がないとな。
胸当ての時と同じようにポーチをステータスウィンドウに移して装備する。

「前にも言ったとおり街の外でやられちゃうとポーチの中身は全部落としちゃうから注意してね」
「ああ、わかった。あとちょっと聞いていいか?」
「ん?なになに?」
「思考操作のやり方というかコツというかそういうものを教えてもらえないか?」
「んーコツかぁ。イツカ君がうちの常連になってくれるなら教えてあげないでもないよ!」

この店の常連…すこし躊躇うが背に腹は変えられん。

「ああ、わかった。買い物はこの店でするから教えてください」
「よしよし、じゃあこのジェシカ先生が教えてしんぜよう」
「お願いします先生!」
「なんかこれ気分がイイネ。えっと思考操作なんだけどこれは名前の通り思考だけで操作するのね。でも人間って普段一つの事しか考えていないって状態は少ないと思うの。仕事しながらお昼ごはんの事とか好きな人の事とか晩ご飯の事とか考えてたり」

そんなんでこの道具屋は大丈夫なんだろうか

「でね思考操作で何かする場合他に考えていることや無意識の思考が邪魔をしちゃうのね。特に戦闘時とかだとうまくできないのはその思考の混線が原因なの。それを極力防ぐために私は思考操作とその他で回線を分けちゃうイメージかな」
「回線を分ける…?」
「んーっと頭の中に自分が二人いるイメージかな。でその片方は思考操作専用の自分にして思考操作が必要なときはそっちでやるの。これができるようになると普通に喋りながら思考操作したり戦闘しながら思考操作できたりするよ」
「簡単そうに言うが難しいんじゃないか?」
「まぁ難しいは難しいよ。前にも言ったかもしれないけど私は結構すごいんだよ!」
「ハイハイ、さすがジェシー先生ですね」
「むーなんか馬鹿にされてる気がする」
「そんなことはないですよ?まぁ練習あるのみってことか」
「ポーチの中の物なら思考操作しなくても呼べばでてくるからそんなに急いで覚える必要はないかもね」
「かもな。できるに越したことはないから練習はするけどね」
「練習もいいけどちゃんとお金稼いでうちでバンバン買っていってよね!」
「善処しますよ。じゃあ買い物するためにも稼いできますかね」
「頑張ってね」
「ありがと、またくるよ」
「ありがとうございました」

最後だけは店員ぽかったな。
そんなことを思いながら店をでる。
装備も整ったことだしそろそろ討伐系の依頼も受けてみようかな。
せっかくのゲームなんだし血沸き肉踊る戦闘に興味がないわけではない。
それ以上に深刻にお金ないし。
冒険者ギルドに入り掲示板を眺める。

「どれがいいかなぁ」

簡単そうな依頼を探すのであった。







現在のスキル


筋力:12.4
集中力:3.3
自然回復:9.5
持久力:0.1
落下耐性:4.3
解読:10.1
小剣:5.1
片手剣:5.0
大剣:4.9
斧:5.1
片手槍:4.8
両手槍:5.3
棒:4.5
棍棒:4.7
素手:5.3
弓:6.0
銃:5.4
総合武器:0.1
隠行:0.1

合計:86.0


【持ち物】
カッパーショートソード New!
カッパーショートスピア New!
ウッドショートボウ New!
薬草×4 New!
HPポーション(試供品)
剥ぎ取り用ナイフ


所持金0Gold







-----------------------------------------------------------------------------
あとがき
ブレイカーさんのいい仕事で綺麗に消えた。
書き直したらなんか違う話になった気もする。
やっと武器を手に入れたItuka、ついに戦闘か!
スキルも長くなってきたし上昇した分だけ表記にしようかな。


感想返し

>>南雲さん
俺もこんな能力欲しいですよ!
でもライオンとか寄ってくると考えると怖いかもw

>>雪林檎さん
どこかでマタタビの語源の一つに疲労回復してまた旅ができる=又旅っていうのがあるとか聞いたような気がしたので又旅にしてみました
なんとなく雰囲気も良かったってのはあります
木天蓼は知らなかったですけどね!

>>通行人Dさん
UP表記修正しておくです。
犬用とかもあったらたまらんですな。
猫屋敷…ジュルリ
ユニーククエストなんであのクラスは意外とレアだったり
股旅水と猫系生物の合わせ技の奇跡ですね


皆さん感想ありがとうございます



[19621] 13:初めての討伐
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/06 21:48
掲示板には様々な依頼が貼り出されている。
引越しの手伝いに新しい魔法薬の実験にフレイムリザードの討伐?
うーん、簡単そうな討伐系依頼はないかなぁ。

依頼:スモールラット討伐
依頼主:農民 ローガン
依頼内容:森の中でのスモールラット討伐
報酬:1000Gold
ランク指定:なし
ギルドポイント:5

これはいいんじゃないだろうか。
名前からしてそんなに強くなさそうだし。
一応受付のお姉さんに聞いてみよう。

「すいません。この依頼受けたいんですけどこのスモールラットって俺でも倒せますかね?」
「スモールラットはそれほど手強いモンスターではありません。冒険者ではない一般の成人男性でも倒すことができると思います。ただ群れを作っている事が多く囲まれると厄介かもしれません」

ふむ、やはり初心者向けのモンスターみたいだな。
それならばスキルを磨きながらお金も稼げそうだ。

「なるほど、じゃあこの依頼受けます」
「はい、かしこまりました」

手続きを済ませギルドを出る。
依頼書の地図を見るとどうやら街の外に出るようだ。
今まで一度も街から出ていないので少し楽しみだ。
依頼主と落ち合う場所は南門か。
大通りを南に進んでいけばいいのかな。
この街はかなり大きいのでまだ行った事のない所ばかりだ。
そのうち探検して把握しておこう。
大通りを南にひたすら歩いていくと壁が見えてきた。
今更ながらこの街は壁に囲まれていたんだななどと思う。
そのまま進んでいくと大きな門にたどり着いた。
これが南門だろうか。
鎧を着た兵士が立っているので聞いてみよう。

「すいません」
「ん?なんだい?」
「ここが南門であってますか?」
「おう、その通り。ここが南門だ」

待ち合わせ場所はここでいいようだ。

「門を見に来るなんて観光か何かかい?」
「いえ、冒険者ギルドの依頼で待ち合わせ場所が南門なんですが来たことがなかったので」
「へぇー、君冒険者なのか。そうは見えないな」

くっ、革の胸当てをしても冒険者に見られないなんて。
そんなに一般市民オーラが出ているのだろうか。

「そっそれにしても大きな壁ですね」
「ああ、すごいだろ。この壁はぐるっと街を囲んで外敵から街を守ってくれているんだ。おかげで俺らは夜もぐっすり眠れるってわけよ」

兵士さんと世間話をしていると一人の男性が声をかけてきた。

「あのー、冒険者ギルドの方ですか?」
「あ、はいそうです。俺が依頼を受けたイツカです」
「よかった、私が依頼主のローガンです。よろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
「それでは移動しながら今回の依頼の話をしますね」
「了解です」

兵士さんに別れを告げローガンさんと門を出る。

「今回の依頼なんですが最近私の畑の作物が荒らされましてね。食べられた作物を見るにスモールラットの仕業だと思うんですわ。畑の近くに森がありましておそらくそこに住み着いてるんでしょう」
「スモールラットって何匹くらいいるんですか?」
「畑の荒らされ方を見るとかなりの数がおりそうなんですわ。おそらく100匹くらいの群れですかな」
「え?100匹もいるんですか!?」
「安心してください。別に100匹全部倒せと言うわけじゃないんですよ。スモールラットは短期間に群れの数が減るとその場所は危険と感じて移動するんですわ。なんで10匹くらい倒していただければ結構です」

それでも10匹か。
スモールラットの強さはわからないが大変そうだ。

「お、見えてきましたな。あれがその森ですわ」

ローガンさんの指す方向を見ると確かに鬱蒼とした森が見える。

「一応討伐した証しとして尻尾を取ってきてくだされ。他の部位はあなたの好きになさってください」
「わかりました。それじゃあちょっと行ってきますね」
「はい、私は向こうの畑にいますので終わったら来て下さい」

ローガンさんと別れ森へと歩いていく。
森の直前で止まり中を覗うと薄暗い。
とりあえず戦闘の準備をしよう。
アイテムボックスとポーチのウィンドウを開く。
アイテムボックスから武器をポーチの方へ移動させる。
これでウィンドウを開かなくても武器が取り出せるはずだ。

「カッパーショートソード」

試しにつぶやいてみると一瞬両手が光り右手に剣、左手に盾が現れた。
盾は腕に固定されているタイプで左手は自由に使えるようだ。
もう一度カッパーショートソードとつぶやくと消えた。
便利だけど毎回名前を読んでいるとそのうち噛みそうだな。
これは名前を正確に言わないと出ないのかな?

「ソード」

おお、ちゃんと出た。
別に正式名称じゃ無くても出し入れすることができるみたいだ。
何度も出し入れして色々試してみた。
するといくつかわかったことがある。
どうやら省略した名前で出そうとするとたまに失敗するようだ。
弓を出そうとしたときに背後で急に物音がして驚いたらなぜか槍が出てきた。
不思議だ、今度ジェシーにでも聞いてみよう。
あとどうやら何も装備していない状態で出す時よりも入れ替えで装備するときの方が若干時間がかかるみたいだ。
素手の状態で剣を装備した時よりも槍などを装備した状態で剣を装備した時の方が1~2秒ほど時間がかかった。
実験はこのくらいにしてそろそろ依頼を片付けることにしよう。
茂みをかき分けて森の中へと入っていく。
森の中は何かの動物の鳴き声や鳥のさえずりなどが聞こえる。
スモールラットは何処にいるのだろう。
そう思いながらうろうろしていると何かが四足で歩いているのが目に留まる。
暫く見ていると頭上に名前が表示された。

【スモールラット】

当たりみたいだ。
しかしこれはスモールと言ってよいのだろうか。
結構大きくて俺のイメージしていたねずみと違う。
同じねずみでもカピバラくらいの大きさだ。
これでスモールってことは他のねずみ系のモンスターって…
気を取りなおしてスモールラットを観察する。
地面の匂いを嗅ぎながら歩き回っている。
餌でも探しているんだろうか。
見た目は意外と可愛らしく倒すのが可哀想になるが依頼のためだ。
心を鬼にしてポーチから弓を取り出す。
木矢をつがえて狙いを定める。
弓を引き絞り手を離そうとしたその瞬間。

ガサガサガサッ!

何かが飛び出しスモールラットに突っ込んだ。
突然のことに驚き思わず手を離してしまい矢があらぬ方向へと飛んでいく。
飛び出した何かは一瞬矢の刺さった木を見た後こちらを見た。
お互いににらみ合いになる。
するとまた頭上に名前が表示された。

【フォレスト クーガー】

これはまずい、サイズ的には1.5メートルほどでそれほど大型というわけではない。
しかしどっからどう見てもこいつは肉食だ。
このままだと襲われる可能性大だ。
どうする、どうするんだ俺!
そうだクーガーっていわゆるピューマの事だよな。
ということはこいつはネコ科なんじゃなかろうか。
そう思うと顔もネコっぽい気がしてきた。
それならばマタタビ人間の出番ではないか。

「オープ」
「ガルルル!!!」

うひぃ、声を出したらすごい勢いで威嚇された。
これは下手なことをすると飛び掛ってきそうだ。
思考操作でなんとかステータスウィンドウを開くしか無い。
フォレストクーガーとにらみ合いを続けながら必死でウィンドウを開こうとする。
ぐむむむむむむ
しばらくするとパッと目の前にウィンドウが広がった。

「開いた!」

その瞬間声に反応したのかフォレストクーガーが飛び掛ってきた。
思わず頭を抱えしゃがみ込むと頭上を飛び越したようだ。
振り向くとちょうどフォレストクーガーもこちらに向き直る。
慌てて先程開いたステータスウィンドウのクラスをマタタビ人間に変える。
すると先程まで凄まじいプレッシャーを放っていたフォレストクーガーがゆっくりと擦り寄ってきた。
喉をグルグルとならし体を擦りつけてくる。
可愛いやつめ。
暫く撫で回しているとフォレストクーガーが立ち上がり先程仕留めたスモールラットを加えて戻ってきた。
そして俺の足元でスモールラットを離す。

「え?俺にくれるのかい?」

そうだと言わんばかりに俺の足に体を擦り付ける。

「ありがとうな」
「「「ガルル!」」」

ん?
なにか声が多かったような。
後ろを振り返るとさらに二匹のフォレストクーガーがいた。
口にはまたもやスモールラットを加えている。
呆然としていると俺の足元にスモールラットを落とし撫でろと言わんばかりにアピールしてくる。
取り敢えず二匹の頭を撫で回していると背後で音がした。
振り返ると最初の一匹が茂みに飛び込むところだった。
ガサガサと音がなりしばらくして静かになるとおなじみの光景になった加えられたスモールラットが現れた。

「おいおい、マジかよ」


その後結局フォレストクーガー達は撫でては獲物を持ってきてまた撫でられては獲物を取りに行くということを繰り返した。
最終的には俺の周りは彼らの取ってきた獲物でいっぱいになってしまった。
どうしようかと思ったがこのまま置いて行っても勿体無いのでありがたくいただくことにした。
アイテムボックスから剥ぎ取り用ナイフを取り出し手近なスモールラットに突き刺してみた。
するとウィンドウが開く。
ウィンドウを見るとスモールラットの尻尾というアイテムが入っていた。
これが依頼達成の証拠か。
尻尾を自分のアイテムボックスに移していく。
同様にしてナイフを突き刺してアイテムを回収していった。
すべて回収したところ尻尾は18個もあった。
これだけあれば依頼は達成だな。
さらにスモールラット以外も混ざっていて色々とアイテムが増えた。
使い道はわからないから後で街で誰かに聞こう。

「君たちありがとうね」
「「「ガルルルル!」」」

三匹が声を揃えて鳴く。
敵対していなければものすごく可愛いじゃないか。
三匹とも森の出口まで付いてきたが森の外まではでないらしくそこでお別れした。
ローガンさんの畑は森から5分ほど歩いたところにあった。

「ローガンさん、依頼終わりました」
「お、イツカさん。早かったですね」
「えっええ、まぁ」
「証しの尻尾を確認させてもらえますか?」
「はい、これです」
「1,2,3…18っと。これだけ狩れば十分ですね。今頃森から逃げ出しているところでしょう」
「依頼は達成で大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。依頼書にサインするので貸してください」

依頼書を取り出しローガンさんに渡す。

「そういえば森にフォレストクーガーなんかがいて驚きましたよ」
「え!?そんな恐ろしいモンスターがいたんですか!」
「え?はい、三匹いましたよ」
「もももも申し訳ない!あの森にはそんなに恐ろしいモンスターが今までいなかったに」
「そうなんですか?」
「じゃないとランク制限なしなんてならないですよ。冒険者ギルド宛に手紙を書くので少し待っていてくだされ」

どうやらあのフォレストクーガーは予定外だったようだ。
持っててよかったマタタビ人間!
少ししてローガンさんが戻ってきた。

「依頼書とギルド宛の手紙です。これを受付の方にお渡しください」
「わかりました」
「本当にもうしわけなかった」
「いえ、別に怪我とかしてませんし」
「あなたはギルドランクは低いのに優秀なお方だ。今後も何かあったらあなたにお願いしますよ」
「ありがとうございます、それでは俺は街に戻りますね」
「はい、それでは」

ローガンさんと別れ町へと戻っていく。
歩きながら今回の依頼のことを考える。

「…あれ、俺結局武器使ってない」





現在のクラス

異界の旅人
器用貧乏
★マタタビ人間


現在のスキル

【基礎スキル】
筋力:12.4
集中力:3.3
自然回復:9.5
持久力:0.1

【戦闘スキル】
小剣:5.1
片手剣:5.0
大剣:4.9
斧:5.1
片手槍:4.8
両手槍:5.3
棒:4.5
棍棒:4.7
素手:5.3
弓:6.0
銃:5.4
総合武器:0.1

【その他のスキル】
落下耐性:4.3
解読:10.1
隠行:5.4 ↑up

合計:91.3


【持ち物】
カッパーショートソード
カッパーショートスピア
ウッドショートボウ
薬草×4
HPポーション(試供品)
剥ぎ取り用ナイフ
スモールラットの前歯×8 New!
ネズミの毛皮×15 New!
ネズミの肉×17 New!
ベビーボアの牙×1 New!
アララウナの尾羽根×1 New!


所持金0Gold



----------------------------------------------------------------------------------
あとがき
やっと外に出たひきこもりイツカ。
早速マタタビ人間の大活躍ですよ。
私もピューマなでてぇぇぇぇえ!


感想返し

>>通行人Dさん
初めての戦闘いかがだったでしょうか?
…戦闘…か?
ドロップアイテムとかは今後色々と出てくるんじゃなかろうか

>>はきさん
交渉スキルはありそうですね
スキルが上がるとナンパもうまくなりそうだ!
あとクラスとスキルの表記を少し変えてみました

>>ドランチさん
イツカの詳細な評価ありがとうございます
ここまで全く他のプレイヤーと絡んでいないのでそのうち絡ましたいところですね


感想ありがとうございます
あと修正作業失敗して色々混乱させて申し訳ありませんでした
以後気をつけます



[19621] 14:ランクアップに向けて
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/21 01:44
冒険者ギルドのカウンターの前で俺はぼけっと今回の依頼の事を考える。
初めての討伐依頼ということで少し緊張していたのだが結果は戦闘なしか。
楽といえば楽だったがスキルもほとんど上がらなかった。
まぁ戦闘は今後に期待しよう。
それにしてもフォレストクーガーは結構可愛かったな。
最初はすごく怖かったがマタタビ人間の効果が出たあとはちょっと大きいネコと化していた。
そういえばこのゲームはモンスターをペットにすることはできるのかな?
できるなら可愛いモンスターを連れて癒しにしたいところだ。
現実では一人暮らしだからペットを飼い難いからな。
やはり飼うならネコ系か。
マタタビ人間があればいくらでも捕まえ放題な気もする。

「なるほど、わかりました」

おっと完全に意識があらぬ方へ飛んでいた。

「あの森にフォレストクーガーが移住していたのは把握していませんでした。こちらの不手際です。申し訳ありません」
「いっいえ、別に怪我もしてないですし」
「いえ、依頼のランク指定はこちらの仕事ですのでそれに問題があったのですからギルドの責任です。フォレストクーガーはそれほど強力なモンスターではありませんがそれでもランクEに回すような仕事ではないのです。お詫びといっては何ですがギルドポイントに20ポイント加算しておきます」

ラッキー。
フォレストクーガーのおかげでギルドポイント得しちゃったな。
そういえばそのフォレストクーガーはどうなるんだろう。
俺のせいで討伐とかされちゃったらなんか可哀相だな。

「フォレストクーガーってどうなるんですか?」
「どうといいますと?」
「討伐とかされてしまうんですかね?」
「そのような依頼があれば討伐されるかもしれませんが依頼がなければこちらから干渉することはありません。討伐してギルドに得があるわけでもありませんし」

確かに。
むしろ放置しておいたほうが依頼が増えてギルド的には良かったりするんだろうか。
まぁ一安心だ。

「報酬の方はどうしますか?」
「現金でお願いします」
「かしこまりました」

うーむ、そろそろ銀行に口座を作ったほうがいいのかなぁ。

「イツカさんのギルドポイントが100を超えましたのでランクアップを行うことができます」

そう言われてギルドカードを見ると115になっていた。
さっきおまけでもらった20ポイントで100を超えたようだ。

「説明をお聞きになりますか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました。ランクアップを行うためにはランクアップクエストというものを受けていただく必要がございます。イツカさんはランクEですので『誘いの洞窟』攻略が目標となります。この誘いの洞窟はギルドが管理をしているダンジョンでランクEのギルド員しか入ることができません。この洞窟に入り証しを持ち帰ることが達成条件です」
「え~っと中にはモンスターがいるんですよね?」
「はい、います」
「もし失敗した場合はどうなるんですか?」
「このクエストには達成期限はありません。なので最終的に証しを持ち帰ることができればランクアップです」

ふむ、失敗しても何度も挑戦できるのか。
ということは難易度的に結構高めで何度も挑戦させて実力をつけさせようってことなのかな。

「わかりました。ランクアップクエストを受けます」
「かしこまりました。ランクアップクエストを受ける際はギルドにお越し下さい。ギルドのワープゲートから直接洞窟に入ってもらうことになります」

ワープゲート…そういうものもあるのか!
まぁ取り敢えずは準備をしないとな。
ギルドから出ようと振り返るとすぐ目の前に誰かが立っていた。

「ぬぉっ、近っ!!!」

思わず声を出してしまった。
そこに立っていたのはライカンスロープの女性だった。
頭上を見ると名前は表示されない。
どうやらプレイヤーのようだ。
相手ははっとした表情で一歩下がった。

「すっすまん」
「いえ」

軽く会釈をして俺はカウンターを譲った。
なんであんなに近くにいたんだろう。
首をかしげながらギルドから出る。
ランクアップクエストの準備のためにジェシーの所に行くかな。
討伐依頼の尻尾以外のアイテムの用途も聞きたいしな。
ネズミの肉とか何に使うんだろう、食えるのかな?
などと考えながら通りを歩いていると後ろから声をかけられた。

「ちょっとそこの君」

振り返ると先程のライカンスロープの女性だった。

「あーさっきの。何か御用ですか?」
「えーっと先程は済まなかった」
「いえ、特に気にしてません。御用はそれですか?」
「いっいやそれもあるのだが他にも用事があってだな」

話をするには少し遠かったので少し近づいた。
すると女性は近づいた分だけ下がった。
…ショックだ!
俺の傷付いた表情に気がついたのだろう。
女性は慌てて弁解を始めた。

「違うんだ!別に君のことが嫌いとかではないんだ。ただ…その…匂いが…」

さらにショック!
仮想空間なのに体臭がするなんて。
しかも避けられるほど酷いとか悲しすぎる。
思わずその場にへたり込む。

「ハッ!違うぞ、べっ別に臭いとかそういうわけじゃなくてだな」

あたふたと弁解を続ける。
この人はいい人なのかもしれない。

「いいんです。俺の体臭が臭い事を教えに来てくれたんですよね?イゴキヲツケマス…」
「だから違うと言ってるじゃないか。むしろいい匂いというかなんというか。さっきも思わず嗅いでいたら君が振り向いて驚いたんだ」
「ほっ本当ですか?」
「ああ、本当だから立ち上がってくれ。他人が見たら私が君を虐めているみたいじゃないか」

臭いわけじゃなくてよかった。
立ち上がり俺は女性に尋ねた。

「体臭のことじゃなかったら一体何の御用でした?」
「えーっとその前に君何か香りのでる道具とか使っているんじゃないか?ちょっと香りに酔ってしまいそうなんだ」
「道具?今持っているのは身につけている装備とかしかないと思うんですが。あとは薬草とかネズミの肉とか」
「説明しにくいんだが甘い香りというか嗅いでいると気持よくなってくるというか」

うーむ、一体どの道具がいけないんだろう。
モンスターのドロップアイテムは取り出せば匂いもするだろうがアイテムボックスに入っているんじゃ匂いもしないし。
ライカンスロープだから匂いに敏感でボックス内の匂いも感知できるのかな?
…ん?
ライカンスロープ?

「あのぉ、もしかしてあなたはネコ系のライカンスロープですか?」
「ああ、モデルはオセロットだ。それがどうかしたか?」
「いえ、ちょっと匂いの心当たりが。オープンステータスウィンドウ」

ステータスウィンドウを開きクラスを器用貧乏に変更する。

「おや、匂いがなくなったな」

やっぱりかぁぁぁ。
どうやらマタタビ人間はライカンスロープにも効果が及ぶみたいです。

「取り敢えず立ち話も何だからそこの店へ入らないか?」

指し示した先は落ち着いた感じの店舗だった。
女性についてなかにはいるとコーヒーのいい香りが漂っていた。
どうやらここは喫茶店のようだがこのゲーム、そんなものまであるのか。
オープンβ初日からやっているが今まで口にしたものはポーション位だったので飲食物があるということに気がついていなかった。
財政的に色々なお店を見てまわるということができなかったというのもあるが。

「コーヒーでいいかな?」
「あ、はい」
「オリジナル2つ」

女性はなれた様子で注文をした。

「この店よく来るんですか?」
「ん?ああ、見つけたのは最近だがお気に入りの店だな。そういえば自己紹介もまだだったな。私の名前はノエルだ」
「俺はイツカです」
「イツカ君か。よろしくな」
「こちらこそ。それでノエルさんは」
「ノエルでいいよ」
「えっとノエルは俺に何の用だったんです??」
「先程ギルドで後ろにいたんで聞こえたのだがランクアップクエストに挑戦するのかい?」
「ええ、さっき手続きしました」
「実は私もランクアップクエストを少し前に受けたんだ。それで一人で挑戦してみたんだが見事に失敗してね。だから誰かとPT組んで挑戦できないかと考えてたんだ」
「なるほど。誘いの洞窟でしたっけ?そんなにヤバイんですか?」
「私が入ったところはそれほど強いモンスターがいたわけじゃなかったんだ。ただトラップとかに気を取られている間に敵に近づかれてしまってね。私一人じゃ少し厳しいかなと感じたんだ」
「武器スキルは弓かなんかですか?」
「いや私は魔法使いなんだ」

魔法使い?
そういえばステータスにMPがあったな。
でも魔法使いってローブとか着て木の杖か何かを持っているイメージだった。

「獣人が魔法使いだとおかしいかい?」
「えーっと獣人は盗賊とか戦士ってイメージだったもので」
「まぁそうだろうね。実際獣人はそっちの方にステータス補正がかかってるみたいだしね」
「そうなんですか。でも魔法は楽しそうですね。どうやったら覚えられるんですか?」
「ははは、そう簡単には情報は教えられないな。君が私と組んでくれるってんなら教えてあげなくもないが」

うーむ、やはり情報はこの世界では重要だな。
でも簡単にPTを組むってのはどうなんだろうか。

「なっなんだったらさっきの香りの情報と交換でもいいぞ」
「そんなに気に入ってくれたんですか?」
「いやっ!別にそういうわけじゃないぞ!!」

ものすごい反応だ。
恐るべし、マタタビ人間。
でもマタタビ人間の情報と交換で魔法の情報か。
どうなんだろうか。
どっちの情報が重要なのか皆目見当もつかない。
でもせっかくのプレイヤーとの接触だし情報交換しておくか。

「わかりました。さっきの匂いの情報と交換で」
「そっそうか!ししし仕方がないな。魔法はだな西区にある魔法ギルドで習うことができるんだ。ただし教えてもらうには雑用をしてギルドポイントを稼ぐか誰かからの推薦状を貰わないと習うことができないんだ。ただし魔法を教えて貰うごとに結構な額の寄付金が必要になるから気をつけたほうがいいぞ」

うーむ、大した情報でもなかったかな。
ギルドがあるってことは街をうろついていれば気づけたかもしれない。
まぁしょうがないか。

「それでさっきの良い香りの正体はなんなんだ?アイテムかい?」
「あーアレはですねクラスの付加効果なんですよ」
「何?どいうことなんだ?」
「マタタビ人間というクラスの効果で猫科の生き物を魅了するらしいです」
「それが私にも効果を及ぼしたということか」
「おそらくは。依頼の帰りでクラスを変えるのを忘れてたんですよ」
「それの効果はどれほどのものなんだ?」
「んーっと取り敢えず猫科のモンスターがものすごい懐きましたね」

ガタッ!

ノエルが身を乗り出した。

「えっと、どうしました?」
「そのクラスはどうやって入手したんだ!?」

ものすごく興奮してらっしゃる。
耳はピンと立ち目はランランと光っている。
正直ちょっと怖い。

「あの少し落ち着いてですね」
「どうやって取得したのかと聞いているんだ!」

誰か助けてくれ。

「お待たせしました。オリジナルコーヒーでございます」

天の助けだ!





スキル&アイテム等変化なし


所持金1000Gold













---------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
ついにイツカが他プレイヤーと接触です。
というかマタタビ人間うらやましすぎる


感想返し
>>セイキさん
モンスターテイマー面白そうですね
さらにイツカが自力で戦わなくなりそうですがw

>>赤楝蛇さん
取り敢えずは生存させておきました
ただこいつをペットにすることはないかな?

>>○よさん
一人だとイツカは何時まで経っても戦闘しなさそうなのでPTフラグを立ててみました
あと魔法の設定もちょっと出してみた
ただイツカは色物スキルに走りそうですけども
あと俺がパニック状態でした

>>はきさん
一応街の周りには小動物的な練習用モンスターが居るはずなんだがひきこもりなもんで…
図書館は定期的に通わせたいですね

>>したさん
一応明記されていないところでもログアウトや日にち経過が起こっている設定
イツカは社会人のライト層なんで適当にスキルを習得していくと思われます
変態構成って憧れるよね!

>>通行人Dさん
思考操作は結構難易度が高いみたいです
そのうち使いこなせるようになるとカッコいいね
今回コーヒーが出てきたんでそのうち料理スキルとかも触れていきたい


感想ありがとうございます



[19621] 15:猫好きレベル
Name: Ione◆2fe557b6 ID:0e633f31
Date: 2010/07/21 01:55
文字通りコーヒーブレイクでなんとか落ち着きを戻したノエル。
というかさっきの興奮っぷりはビビったよ。
コーヒーが冷めるという説得でギリギリ理性を保っているみたいだ。
安心しながら一口コーヒーを含む。
む、このコーヒーかなり美味しいんじゃなかろうか。
普段はコーヒーなんて眠気覚まし位にしか飲まない様な俺の舌でも分かる。
バーチャルの世界とはいえなかなかやるもんだ。
コーヒーを見つめながらそんなことを考えているとウィンドウが開いた。
このコーヒー、アイテムなんだ。

喫茶店『Peaceful Time』オリジナルコーヒー
説明『喫茶店 Peaceful Timeのオリジナルブレンドコーヒー。重厚な味わいと爽やかな後味で人気の一杯。風抵抗+10、睡眠抵抗Lv1』

ちゃんと効果まであるのか。
でもこれどうやって戦闘する場所まで持って行くんだ?
テイクアウトとかあるのかな。
コーヒーを味わっているとすでに飲み干してしまったノエルがソワソワし始めた。
暴走する前に話を聞いておくか。

「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だとも!万全の体調だよ!!」

うーむ、あまり大丈夫ではなさそうだな。

「えーっとさっきのは一体?」
「いやすまん。すこしばかり興奮してしまった。ところで先程のクラスの話なんだが」

この人どんだけマタタビ人間に喰いつくんだ。

「そんなに猫が好きなんですか?」
「いや別にそれほどでは」
「好きじゃないんですか?」
「好きじゃないわけじゃないというか」
「好きなんですね?」
「…スキデス」

やっと白状したか。

「違うんだ、聞いてくれ!私は確かに猫が好きだ。だが好きのレベルで言うと一般的な猫好きレベルだと思うんだ」

先程の醜態を見るに一般に収まる気が全くしないな。
あれが普通なら俺は猫嫌いに属してしまう。

「だが私は猫に好かれないのだ。いいや本当の事を言うと嫌われるといったほうが正しい。だからせめてもとアバターを猫系にしたんだ。それだけで私は満足だった。だが君は猫に好かれるクラスがあるといった!これに興奮しないで何に興奮しろというのだ!そうだろうイツカ君、私はなにか間違ったことを言っているかね!」

ぐっ、自分のセリフでボルテージを上げおった。
俺の襟をつかみ前後に激しく揺さぶる。
また一気にトップまでギアが入ってしまったな。

「ちょっ落ち着いて」
「落ち着けだと?十二分に私は冷静だよ!過去これほどまでに落ち着いたことなどないってくらいだよ!」

駄目だ、この人話し通じない。
どうにかせねば。
あ、そうだ。

「オープンステータスウィンドウ」

俺とノエルさんの顔の間にウィンドウが出現する。
近すぎて見難いがなんとかクラスを変更した。
すると先程まであんなに興奮していたノエルさんが少しずつおとなしくなってきた。

「だからぁわたしはぁれいせいなんですよぉ。なのでぇくらすのぉじょうほうをねぇ」

うーむ、マタタビ人間ってやばくないか?
プレイヤーにここまで効果でるって色々と問題がありそうな気がする。
後で公式にメールしといたほうがいいかもしれないな。
不具合かもしれないし。

「空いたカップをお下げしてよろしいですか?」

興奮状態が収まったと見てウェイトレスさんが食器を下げにきた。
あれ、このウェイトレスさんもライカンスロープだ。

「すいません、ちょっといいですか?」
「はいなんでしょう?」
「この辺なにか匂うというか香るというかそんな感じしません?」
「そうですね、甘い香りがしますね。少し香りがきつい気もしますけど不快な匂いではないですね」
「えーっと匂いを嗅いでもなんともないんですか?」
「ええ、別にコレといって」
「そうですか、ありがとうございます」
「いえ」

ふむ、ウェイトレスさんには特にそこまで効果はないようだ。
とするとこの目の前で机にのの字を書きながらなにかつぶやいている人は一体…
NPCとPCでは効果が違うのだろうか。
それともこの人が効果ですぎなのだろうか。
どちらかと言うと後者が望ましいな。
取り敢えず落ち着いただろうからマタタビ人間を解除しよう。

「なぜわたしはねこたちにきらわれるんだぁ。なにがわるぃ…ん?」

どうやら効果が切れたようだ。

「大丈夫ですか?」
「…」
「あのー?」
「つまり話を総括するとだなそのクラスの情報を是非とも教えてもらいたいということだ」

この人無理矢理話しを修正しおった。
今までの事はなかったことにするつもりだろうか。

「まぁそこまで猫が好きって言うなら教えてあげますよ。俺も猫好きですし」
「ぜひ頼む」

ノエルにペット捜索の依頼の話をざっと話した。

「ふむ、つまりは依頼の成功報酬だったのかな?」
「んー多分そうなのかなぁ?スキルみたいに取得状況がでてるわけじゃないんで合ってるかどうか分からないですけどね」
「その依頼がまた出るのをまつか…しかしそれがユニーククエストだった場合…」

完全に自分の世界に入ってらっしゃる。
情報交換も終わったしそろそろお暇するかな。

「じゃあそろそろ俺は」
「待った!PTの件の返事をもらっていない」

そういえばそんな話しだったな。
完全に忘れてた。

「なんで俺なんです?別に俺そんなに強くないですよ?たぶん」

戦闘経験が0なので強いとか弱いとかそういうレベルではないかもしれない。

「全然かまわない。声をかけたのはほとんど偶然みたいなもんだしな。自分で言うのも何だが私は結構強いと思う。魔法使いという職なので詠唱する時間を稼いで貰えればよいのだよ」

うーむ、つまりは壁役が欲しいというわけか。

「それに君といれば猫系のモンスターが出てきたらもしかしたらなでることができるかもしれないし…」
「え?何かいいました?」
「いっいや別に何も?」
「うーん、でも全然知らない人とPT組むってのもなぁ」
「ネットゲームじゃそんなに珍しいことでもないと思うがな。そうだ、それならば一度PTを組んで狩りをしてみないか?それで相性がよければ一緒にランクアップクエストに挑戦する」
「そうですね、じゃあ一度狩りに行ってみますか。どうせ狩りするんですからギルドで依頼も受けておきましょう」

喫茶店を後にしギルドへと戻る。
掲示板に貼り出されている依頼を確認する。

「うーん、どれがいいですかね。強くない初心者向けの依頼がいいんですが」
「猫系…猫系…猫系…」
「あっあのーノエル聞いてる?」

ノエルは完全にあてにならないな。
2,3枚依頼書を手に取り見比べていると突然ノエルが声をあげた。

「あった!これだ、これ」

依頼書を俺の方に見せつける。
えーっとなになに?

依頼:モンスターの討伐
依頼主:ルクソール地方領主
依頼内容:コムオンボ大荒野の主アロンダイト タイガーの討伐
報酬:500000Gold
ランク指定:B
ギルドポイント:5

ビシッ

「痛い、何をするんだ」
「こんな依頼返してらっしゃい!」
「なんでだ、素晴らしい依頼じゃないか」
「ノエルの頭の中は猫しかないのか?そもそもランク指定Bって受けられないじゃないか」
「ハッ!しまった」
「だから早く返してらっしゃい」

ノエルは残念そうな表情で掲示板に依頼書を戻す。
あの人猫好きすぎだろ。
また変な依頼持ってくる前に決めてしまおう。
よし、これでいいや。


依頼:素材採集
依頼主:料理屋店長 グレイシス
依頼内容:タイニー ボアの肉を納品
報酬:1000+α
ランク指定:なし
ギルドポイント:5

「ちょうどいい依頼があったから受付通してくるねー」

未だに猫猫言いながら掲示板を見ているノエルを置いて受付に向かう。
依頼の受注を済ませ入り口で佇んでいるノエルの元へ向かう。

「受注してきたよ。このまま向かおうかと思ってるけど準備とか時間は大丈夫?」
「平気だ。君とギルドであったときクエストを受けようと思っていたから準備は終わっている」

俺も前回の依頼でまったく消耗していないから特に問題はない。
強いて言えば矢を一本消費したぐらいか?

「俺も準備できているからこのまま行こうか」

2人で連れ立って歩く。

「依頼主との待ち合わせは何処だ?」
「えーっと南区の料理屋Old Windだって」

依頼書の地図を見ながら南区を歩いていると飲食店が並んでいる一角に目的の店はあった。
ドアを開けて入ると中は喧騒に包まれていた。
ノエルとどうしたらいいのだろうかと立ち尽くしていると店員さんに声をかけられた。

「お客様は2名様ですか?」
「客じゃなくて冒険者ギルドの依頼で来たんですけど」
「あ、冒険者さんでしたか。少々お待ちを」

店員さんは厨房の方に歩いていった。
当たりを見回すとNPCだけでなくPCも結構食事をしていた。
この盛況っぷりからすると美味しいんだろうな。
今度食べにこよう。

「すいません、お父さんちょっと今手が離せないようなので私がお話させてもらいますね」
「はい、わかりました」
「依頼内容なのですがタイニーボアの肉を取ってきて下さい。数は最低10個はお願いします。10個を超えた分については5個ごとに250ゴールド報酬とは別にお支払いします。明日の仕込みに必要なので朝までには持ってきてくださいね。何か質問はありますか?」
「タイニーボアって何処にいるんです?」
「そうですね、南門から出て南西に進むとあるリカベトスの丘にいるはずです」
「わかりました、じゃあ行ってきますね」
「はい、よろしくお願いします」

店員さんと別れお店を後にする。
歩きながら横を見るとノエルが楽しそうな表情をしていた。

「何か面白いことでもあった?」
「いや楽でいいなと思っていただけだ」
「左様ですか」
「PTで狩りするのも初めてだから楽しみだな」

俺は戦闘すらまだまともにしたことがないですけどねと心のなかで思った。
南門を抜けて南西の方角を見ると広大な草原が広がっていた。
うーむ、少しワクワクしてきた。
今度こそまともに戦闘したいな!







スキル&アイテム変更なし


所持金1000Gold






-----------------------------------------------------------------------------------
あとがき
なんというか猫一色
そろそろイツカにも戦闘させてあげたい


感想返し
>>雪林檎さん
猫だけじゃなくて猛獣すら手懐けられるなんて夢のまた夢ですね
ウンピョウとか撫で回したい!
魔法については今後どうなることやら

>>はきさん
おそらくノエルさんが酔いやすい体質なんでしょう
バグかもしれませんが
基本的にライカンスロープへの効果は好感度に+補正がランダムでかかる程度だと思います

>>通行人Dさん
ノエルはご想像通りの人物でした
猫に焦がれるあまり自身も猫化してるのかもw
武器購入の為に地味に依頼を受けてたりしたんですよ
肉体労働系ばっかりを!

>>妄想EXさん
まっしぐらなPCでした
一応オープンβなのでおそらくその辺のシステムも設定不足なのでしょう
実際に存在したら色々と問題起こりそうですね

>>でろでろさん
このMMOの肝は多彩なクエストなので世界のすべてがクエストフラグ!
そんなゲームあったら何時までも楽しめちゃいますよね
ライカンスロープのイメージはクロノクロスのヤマネコくらいかな?
ただキャラメイク次第で人間に近づけたり獣に近づけたりできるとしておこう

感想・誤字報告ありがとうございます




[19621] 16:初めての戦闘
Name: Ione◆2fe557b6 ID:dc5f7b76
Date: 2010/07/30 03:02
俺とノエルは南門からでて南西のリカベトスの丘へやってきた。
丘といってもほぼ平らな草原だ。
その草原で地面の匂いを嗅ぎながら歩き回っている豚がいる。
毛がふさふさしていて大きさは大型犬程度だ。
これがタイニーボアであろう。
この世界の大きさの基準がいまいち信用ならないな。
このサイズでタイニー・・・
まぁいいか。
一匹離れているタイニーボア、君に決めた。

「ノエル、ちょっといいか?」
「ん?なんだい」
「ちょっと一人でやってみたいんだ」
「相性を試すんじゃなかったのか?」
「それを確かめるためにも一度一人でやってみたいんだ」

正直一度も戦闘したことが無いのでやってみたかっただけだ。
俺がものすごく弱くても最悪ノエルに助けてもらおう。

「わかった、私は君のお手並みを拝見させてもらおうかな」
「及第点をもらえるように頑張りますよ」

ノエルから離れ弓を取り出す。
慎重に矢を番え狙いを定めていく。
手を離すと緩やかな放物線を描きタイニーボアに突き刺さった。

ピコン

刺さった瞬間タイニーボアは少し飛び上がりまわりを見回す。
今のうちに2本目の矢を取り出し構える。
構えたと同時にタイニーボアも攻撃者を察知したのかこちらを見てその場で地面を蹴っている。
矢を放つが慌てていたためか狙いは外れタイニーボアの右の地面に刺さった。

「スピア!」

そう叫び弓の変わりに槍を装備した瞬間タイニーボアがこちらに向かい走り出した。
くそっ、こいつ結構早いぞ。
槍を握る手に力を込める。
まだ遠い、まだだ、まだまだ、今だ!
槍の攻撃範囲と思われる距離ギリギリで槍を突き出す。

ピコン

タイニーボアの体に穂先が刺さるが表面を傷つけるにとどまる。
一瞬タイニーボアの動きが止まりかけるがそのまま突っ込んできた。
慌てて左へ転がるように回避する。

「ソードッ」

剣と盾を装備できたことを確認し背後を振り返る。
すると目の前には勢いのついたタイニーボアがいた。

「ちぃっ!」

回避は不可能と判断し盾を構える。
構えるや否やガツンと衝撃が走る。

チャラチャチャーン

何かスキルを手に入れたらしい。
タイニーボアを見るとその場で頭を振っている。
チャーンス!

「往生せいやぁぁぁぁあああ」

右手に握り締めた剣を力の限りタイニーボアの頭に叩きつける。

グシャッ!

ピコン

グシャッ!

ピコン

切ると言うより鈍器で殴っているような感じだ。
2度3度と叩いているうちにタイニーボアは崩れ落ち動かなくなった。

「よっしゃー!勝ったぞ!」

ノエルの方を向き笑顔で手を振る。
若干顔が引きつっているが何故だろうか。
アイテムボックスから剥ぎ取り用ナイフを取り出しタイニーボアの死体に突き刺す。
戦利品はタイニーボアの肉1つか。
肉をアイテムボックスに移しノエルの方へ歩いていく。

「なんとか一人でも倒せたよ。見ててどうだった?」
「その、なんというか・・・荒々しかったな」

確かに最後はただ鉄の棒で乱打しているのと大差なかった気もする。

「まぁそのうちスキルも上がってきたらもう少しスマートに戦えると思うよ」
「だといいが。さっきの君はモヒカンにトゲ付き肩パッドしててもおかしくない感じだったぞ」

なんという世紀末、今後は気をつけよう。
そういえばスキルを何か入手していたな。

「オープンログウィンドウ」

弓スキルが1.4上昇した。
筋力スキルが0.3上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
両手槍スキルが0.8上昇した。
筋力スキルが0.7上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
盾のスキルを発見した。
持久力スキルが0.5上昇した。
片手剣スキルが0.5上昇した。
筋力スキルが0.8上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
片手剣スキルが0.5上昇した。
筋力スキルが0.8上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
片手剣スキルが0.8上昇した。
筋力スキルが0.6上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
片手剣スキルが0.8上昇した。
筋力スキルが0.5上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
総合武器スキルが0.9上昇した。

うーむ、後半のログがカオスだな。
でもスキルが結構上がった。
嬉しいことだ。
そして入手したスキルは盾か。
片手剣とセットになってたし前衛としては必要なスキルかもしれないな。

「オープンスキルウィンドウ」

盾:ランクF
説明『盾を用いる技術。敵の攻撃を防いだりすることが出来る。敵の攻撃を防ぐことが出来た時、何らかのダメージを与える場合がある』

盾は槍や片手剣のように武器スキル扱いのようだな。
もしかしたら何らかのテクニックが存在するかもしれない。

「何かスキルでも入手したのか?」
「うん、盾スキルが出たよ。ノエルの目論見通り壁役も出来そうだね」
「だといいな。次はどうする?まだ一人で戦うのかい?」
「いや満足したからいいや。結構ギリギリだったしね。次はノエルも一緒に戦おう」
「分かった。私の力をお見せしよう」

妙に張り切っているな。
魔法も見てみたいしノエルに頑張ってもらうとしよう。

「じゃあ俺が弓でターゲット取るからその間に魔法を詠唱してくれ」

そうノエルに言い俺はまた一匹でいるタイニーボアを探す。
お、一匹食べ物を探すのに夢中で仲間と離れつつあるな。
充分離れたことを確認し弓を構える。
ノエルに視線をやるとコクリとうなずいた。
それを合図に矢を放つ。
先ほどと同様に矢が刺さりこちらを向くタイニーボア。
今度はノエルの詠唱時間を稼ぐことが目的なので片手剣に持ち替える。
攻撃を防御していたら盾スキルも上がるかもしれないし。
矢が刺さったまま突進してくるタイニーボア。
動きも先ほどのものと大差ないので落ち着いて待ち構える。
もしかしたらある程度は動きがパターン化されているのかもしれないな。

ゴィン

腕に音と共に衝撃が伝わる。
少しよろめいたが特に問題なし。
このままノエルの詠唱時間を稼がせてもらおう。

ゴィン

ガツン

ゴガッ

ドゴッ

メキッ

えーっと、ノエルさんまだかなぁ。
なんかちょっと疲れてきたですよ。
腕もなんだか痺れてきた。
これはもしかしてダメージが多少貫通してきているんではなかろうか。
タイニーボアをはさみノエルと直線状に位置取りする。
ノエルを見ると目をつむりまだ何事か唱えている。

ドガン!

今までよりも強烈な一撃に俺は吹っ飛ばされてしまった。
特にダメージが合ったわけではないが体勢が崩されてしまった。
このまま座り込んでいてはやられる。
そう思い顔を上げるとノエルと目が合う。
その瞬間猛烈に嫌な予感がした。
ノエルはこちらを指差して叫んだ。

「ファイアーボール!」

その瞬間炎の塊が飛んでくる。
タイニーボアとその近くに転がっている俺に向けて。
退避ー、退避ーーーーーー!
慌てて俺は転がるようにその場を離れる。
直後背後で爆発が起きる。

「ギャーーーーー!」

爆風に煽られ転がる俺。

「熱い!なんか背中が熱いよ!」

チャラチャチャーン

肩越し背中を見るとなにやらちろちろと火がくすぶっている。
その場でごろごろ転がりなんとか火を消す。
確実に最後の魔法のとばっちりが一番ダメージが多かった気がする。
体を起こし爆心地を振り返るとそこにはタイニーボアの死体が・・・無い!?
え?
どういうことなの?

「私の魔法はどうだったかな?なかなかのものだっただろう」

得意げにたずねてくるノエル。

「撃つ前に警告が欲しかったとか俺を軽く巻きこんでいたとか言いたいことは色々あるんだがとりあえずタイニーボアはどこいった?」
「私の魔法で見事に倒したぞ!」
「いやそうじゃなくて、死体は何処いったんだ?」
「そういえば死体が無かったな。死体も残らないほど私の魔法が凄かったというわけか」
「チョーップ」

ゴンッ!

「いったー!何をするんだ、チョップといいながら剣の柄で殴るなんて。言葉は正確に使おう」
「うるさーい!肉を集めに来ているのに死体も残らないほどぶっ飛ばしてどうするんだ」
「あっ・・・」
「君、完全に目的を忘れていただろう」
「いやその、ちょっと気合入れすぎてしまったというか」
「気合の問題なのか・・・もう少し威力の弱い魔法はあるのかい?」
「弱い魔法というかさっきのファイアーボールもMPを込めすぎたというか」
「MPを込めすぎた?」
「ああ、魔法を発動するには詠唱という準備段階があるんだが実はこれなくても魔法は発動するんだ」
「え?じゃあ詠唱の意味は一体」
「詠唱無しでも発動はするんだが威力が著しく低い。それを補うために詠唱があるんだ。さっきの魔法はその詠唱を少しやりすぎてしまったみたいだな」
「次は気をつけてくれよな。さすがに初めての死亡が仲間の魔法とか笑えないから」
「善処するよ」
「もう少し休憩して回復したら次のタイニーボアを狩ろうか」
「分かった。MPが0に近いから少し待っていてくれ」
「一発で0ってどんだけ燃費悪いんだよ」
「つっ次は抑え目でやるから心配しないでいい」

そういえばなにやらスキル取得の音が鳴っていたな。
ログを見てみるか。

弓スキルが0.9上昇した。
筋力スキルが0.3上昇した。
盾スキルが0.6上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
盾スキルが0.6上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
盾スキルが0.6上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
盾スキルが0.8上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
盾スキルが0.7上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
盾スキルが0.6上昇した。
持久力スキルが0.5上昇した。
魔法抵抗のスキルを発見した。

魔法抵抗か。
ノエルの魔法で炙られたのが良かったのか。

魔法抵抗:ランクD
説明『魔法に抗う力。魔法の効果を減少させる力がある。回復魔法など一部例外あり』
取得状況:ファイアーボールを受け死ななかった

防御用のスキルのようだな。
しかしMPを全部消費した一撃とは言えさっきの魔法はかなりの威力だった。
俺も魔法を使ってみたいなぁ。
そのうち覚えてみるかな。


現在のクラス

異界の旅人
★器用貧乏
マタタビ人間


現在のスキル

【基礎スキル】
筋力:20.0 ↑up
集中力:3.3
自然回復:10.0 ↑up
持久力:6.1 ↑up
呪文抵抗:0.1 NEW!

【戦闘スキル】
小剣:5.1
片手剣:7.6 ↑up
大剣:4.9
斧:5.1
片手槍:4.8
両手槍:6.1 ↑up
棒:4.5
棍棒:4.7
素手:5.3
弓:8.3 ↑up
銃:5.4
盾:4.0 New!
総合武器:1.0 ↑up

【その他のスキル】
落下耐性:4.3
解読:10.1
隠行:5.4


合計:126.1


【持ち物】
タイニーボアの肉×1 New!

所持金1000Gold




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あとがき
ついに初戦闘
ここまで長かったな
知らぬ間にスキルも100超えましたな


感想返し

>>はきさん
おそらくノエルさんは猫が好き過ぎて少々行き過ぎているのでしょう
とりあえず戦闘してみました
ちなみにこの猪大ナメクジくらいの敵です

>>大さん
ありがとうございます
更新がんばります

>>るるいえさん
僕の考えた最強のMMO!
半分冗談ですがMoEをさらに改良したものが出来たらいいなぁ

>>通行人Dさん
確かに肉球はなさそうですねw
ねこねこオンライン・・・そういうものもありだな

>>zendamanさん
運営もある程度はっちゃけていたほうが楽しいですよね
システムがはっちゃけてると問題あるかもしれませんが
ゲームの設定は僕の理想のゲーム!って感じなのでやりたくなったあなたは私と感性が近いのかも!

>>雪林檎さん
今回ちょろっとだけ魔法が出てきましたが召喚魔法とかも出てくるやも!
使い魔といえばやっぱり猫ですよn

>>クロトリさん
マビはOPβの時にひたすら木を殴ってダイエットしていた思い出が
やはり猫はいいものですね

感想ありがとうございます


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