人間とは赤いモノなのだと少年は理解した。
そして世界も本当は赤いのだと、少年は了悟した。
焦げ臭い空気と濛々たる炎は、祭りのキャンプファイヤーでさえこんなにも酷くない。
輪になって踊り躍った人々は、今や全身を赤くしてごろごろと寝そべっている。
暮れなずむ夕焼けが空をも赤く染め上げ、焙られた熱波は村中を覆い尽くす。
地獄もかくやという風景のただ中でぼんやりと、種々雑多に様々な赤を眺めていた。
「離して……離してよっ……!」
声と、足音と。複数の気配。風見鶏が風に吹かれるようにそちらを向くと、隣家に住む同い年の少女が襟首を掴まれ、暴れていた。来月一足早く十四歳になるんだと、喜んでいた覚えがある。
少女を子猫よろしく持ち上げているのは大柄な男たちだ。細剣、曲刀、無手。思い思い不均衡に、ばらばらな衣類と武具とを好き勝手に纏っていた。
奴隷。高く売れる。少女の抵抗に混じってそんな単語が耳に届く。話にしか聞かないような言葉が平気で使われていて、薄れていた現実感が一層重みをなくす。
と、不意に少女と目があった。知らなければ気付きようのない場所で座っていた少年を見つけて、その口が、あ、という形を作り、
「っ……!」
少女は唇を引き結んだ。てっきり助けて、と叫ぶと思っていたので拍子抜けする。
肩すかしを食らって、けれど意図を理解できないほど間抜けなつもりは、残念ながらない。
子供と大人。それも一対複数。勝てるはずがないことは、助けられるはずがないことは一目瞭然を大幅に越えて明白。
むしろ、片方だけでも捕まらない方がいい、と。こんな状況下でそんな打算的に判断できることに驚く。
驚いたと、思う。生まれてこの方動いたためしのない表情筋が、僅かなりとも反応した、ような気がするほどに。
そしてそれは間違いなく気のせいなのだろうけど、どうしようもなく勘違いなのだろうけど。
ふらり、と身体が立ち上がった。
石造りの、火の回りようがない子供だけの隠れ家。レンガで造った、高台に通じる階段の“中”。汚れに見せかけて、空いていた覗き穴。
忽然と、まろぶように現れた少年に、男たちも意表を突かれたらしかった。少女は愕然と、何で出て来たんだと言わんばかりに泣きそうだ。
ふらり。ふらふら。ゆらぁり。
熱に浮かされたように、足が覚束ない。事実、周りは熱だらけで、誰も彼も顔を赤くしているけれど。
「……ふむ」
と、一行の中でも鋭い眼をした男がそんな声を漏らす。
「プリンセスを助けに来たナイトか、はたまたおこぼれに預かろうとする愚物か」
「さあな。どっちにしろ売るか殺すかしか使い道がねえ」
「男のガキ……値段は微妙だろ」
「ならば殺そう。せめてもの情け、一太刀で絶命せしめん」
レイピア。針のような切っ先が虚空を穿つ。男の実力はそれなりのようで、それなりに速く、狙いは的確だった。ピンポイントで少年の額を刺し貫こうとしていた。
ふらり。とタイミング良く少年がよろめいたせいで、それは外れたが。
「む。動くな」
「ひはは、ざ~んねん! 俺がやる!」
ジャッ、と抜き打ちに曲刀が弧を描く。三日月さながらの断面と軌道。斬るというより、断つことに主眼を置いた武器。それもまた、後ろへ傾いた少年の顎先を撫でるだけに終わる。
「ああ?」
「バカじゃねえのお前ら? 先に捕まえて殴り殺せば済むだけの話だろうが、よっ!」
蛇が獲物に襲いかかるような俊敏さで、襟元へと腕が伸びる。鉤状に曲げられた指先が服を捕らえた。
奇怪に歪んだ表情で振りぬいた男の右拳は鉄鋼に覆われ、殴られたら頭が粉砕するような代物。
当たらなければ、意味はないけれど。
ぶんっ、と振り抜き、男の目が点になる。
外れようのない攻撃が、外れていた。
「「「…………」」」
ようやく。本当にようやく、何かがおかしいと気付く男たち。得体の知れない沈黙に火の爆ぜる音が介入し、離れたところでは他の仲間が働いているはずなのに、ここだけ別次元に移し替えられたような違和感。
呑気だな、と少年は評を下す。呑気に油断し、呑気に慢心し、命の危機などこれっぽっちも感じていない。
この村は、良い村だった。群島でも大陸でもなく、小さな小島の小さな漁村。百名足らずの人口で仲の良い相手もおらず、むしろ無口無愛想が気味悪がられていたけれど、それでもここは住みよい村だった。
無いなら無いで、普通に生きるが。これまでよりも、不便に思うだけだが。
全てに疎遠であればこそ、仇討ちなど選ぶべくもない。
だから、
「――赤」
つぷりと、伸ばした腕が男の胸に沈む。
凝然と目を見開いた男の腕から、力が抜ける。持ち上げられていた少年の身体が地面に着くのと並行して、少年の手も動く。
下へ。服を破らず、肉を裂かず、胸に沈んだ腕は内腑を縦断する。
その身体が大きく痙攣した。少女も他の男たちも、凍りついたように眺めるだけで微動だに出来ず。
「――温かい」
ずるり、と腕が抜ける。細長く、ぐにゃぐにゃで、黄土色をした、管と一緒に。
絶望的な顔で、あ、あ、と呻く男の目の前で、引きずり出される。取り出される。ずるずると、伸びるそれが数メートルに達し、止まる。ピンと張った紐のように、頼りなく、揺れる。脂汗が男の額を伝い落ち、風が吹くだけで苦痛に歪む。
やめろ、とその顔が言っていた。やめてくれ、とその目が訴えていた。憐憫を誘う表情。
しかし、何をやめろというのだろう? 結果だけ見れば、今日この島で何十回と行われた行為と全く同じだと言うのに。
自分がやってきた行いをやめろと言うのは、酷く滑稽だ。
「っっっっっ――――――――――!?!!?」
絶叫が被さり、千切れる音は聞こえなかった。それでも手応えはあった。古いゴムを引き千切るような感触に総毛立つ。蛇口から水を出すように、血が溢れ出る。地面を、男を染め、瞬く間に絶命する。失血死ではなく、ショック死のようだった。
赤い世界に、新たな赤が上塗りされる。鮮やかに鮮烈な、温かく綺麗な、真紅。
撒き散らされた鮮血の渦中に立ちながら一滴すら身に触れさせず、佇む少年。その口元が歪み、子供じみた笑いを作り、
「――――くふ」
ぞあ、っとその場にいた全員の産毛が逆立った。風邪をひく前のような悪寒に晒された。
赤く、紅く、どこまでも朱い、少年の背に悪魔の翼を幻視する。
「……のっ」
震え上がった声が喉につかえ、
「能力しゃ――」
叫んだ時には、少年の腕が胸元へ沈んでいた。脈打つ心臓が掴み出され、待ちきれないと言うように、即座に握り潰される。血が弾け飛び、少年の身体をすり抜けて地面へ注ぐ。その隙に身を翻した三人目は、不運にも足をもつれさせたところを襲われた。紅を撒き散らして、命をも散らす。
「くふ……くふふふ……!」
笑う、哂う、嗤う。先程理解した通り、先刻了悟した通り。
世界は赤く、人も赤い。
それが真理。
真理は、正しい。正しい故に、真理。それ以外の解答は不要。
「……赤、たくさん」
怒声が聞こえる。倒れた仲間の様子に気付いた者が、呼び集めている。
集まってくる。赤が。多数に多量に大量に、少年の所へと集まってくる。
素晴らしいことだ。少年はふらりと歩みを向ける。素晴らしいことだ。胸中で繰り返す。
「赤く、なあれ……♪」
心からの愉悦を実践すべく少年は動き。
言葉通りの光景が、描いた通りの景観が、赤に塗れて事実となった。
「……あ……」
へたり込んだ少女に目を向けると、あからさまに身が竦んだ様子で、怯えた様子で。
赤い死体に囲まれて、赤い世界に覆われて。
ぞくりとする。
少女の前に立つ。ビクッ、と頭を抱えてうずくまる。当たり前の反応で、当然の対応だ。腕を取って立ち上がらせようとしても、頑なに身を縮めて。少し辟易する。
「……赤くなる?」
ぶんぶんと首を振って、少女は否定。ちょっとだけ残念な気持ちがしたけれど、今日はもう十分に満足したような気もする。
満足。満ち足りる。空気は悪いが、清々しい。
「じゃあ……行くよ」
死にたく、ないなら。
付け加えた囁きは効果覿面で、泣きそうな顔ではあったけれど、事実瞳は潤んでいたけれど、少女は立った。
その手を引いて、死者の狭間を歩きだす。触れた瞬間の強張りは、気付かなかったことにして、尋常ならぬ死体の群れを乗り越える。
パチパチと、爆ぜる火の粉は彩って、木肌人肌、熱は等しい。
見慣れ使い慣れた道を歩く間、一言も会話はなく。家事の手伝いであかぎれながらも瑞々しい手を感じつつ、今まさに炎が絶頂に達する中を歩いた。途中村はずれのまだ燃え移っていない民家から、毛布とシーツ、乏しいお金と食糧、それにナイフとフォークを一本ずつ拝借し、バスケットに詰め込んだ。返す予定はないし、返す相手も今やいないけれど。
小高い丘を挟んで広がる島の半分、森の方へと逃げる。登り切った丘の上で、振り返った少女の息を呑んだ音に、少年もまた振り返る。
そこには火と煙があった。火と煙しかなかった。小さな島の半分近くを、赤と黒が塗り潰し、衰えもせず盛り狂う。
生まれてずっと過ごしてきた村の有様に、気丈を保とうとして失敗した少女の瞳から、雫が一筋。お父さん、とその口が呟き、そう言えば親一人子一人だったかと思い出す。
煉獄のような炎の照り返しを受け、とっくに日は沈んだはずなのに、少女の横顔を緋色に染めていた。背まである長い黒髪は絹糸のように細く、さらりとして、村一番の器量よしと囁かれた容姿は、悲惨な村の絵を背景に、より一層の輝きを帯びて見えた。
思わず、手が伸びる。その頬に触れ、驚いてこちらを見た少女の黒い瞳には、赤紫の自分の目が映っていて。
衝動的に、その唇を奪った。
少女が凍りつく。見開いた瞳と合わせたまま、肩に腕を回して、口づけを深く。
「ん……っ……、……!」
突き飛ばそうとして失敗し、暴れ出しそうになった少女の足を刈って、自分を背に草むらへ倒れ込んだ。
すぐに横へ転がり、少女の上を取る。
「や……やめて……!」
倒れた拍子に唇の重なりが解け、少女が言った。なぜ? と聞き返す。
「だって、私には恋人が……」
「……シュリオなら」
押し倒した少女の頬を撫でつつ。
「もう、死んでる」
「っ……」
唇を噛んで、少女が顔をそむけた。驚いた様子がさして見られないのは、この状況で生きているという期待がどうしようもなく低かったからで。
首筋を掠めるようになぞり、顎を摘まんでこちらを向かせる。再度、その口を塞いだ。
少女は身体を固くしたけれど、抵抗はしなかった。
キスに応えようとも、しなかったけれど。
「……頭を割られて、死んだ」
口づけを続けながら、時折離して囁く。指先は首筋から鎖骨を撫で、背中で結ばれた紐を解く。
「後ろから、鉈で割られた」
首の後ろから腰元まで、紐を引くと一気に素肌が現れる。柔らかな姿態が、震えた。
「隠れて、見てた」
「っ――何で!」
少女の憤りが爆発する。
「何でっ……隠れてたの!? 強いのに、海賊を全部やっつけるぐらい強いのに!!」
「……強くなったのは、ついさっき」
ズボンのポケットから少年が取り出したのは、果物の皮だった。島でも取れるサラックと呼ばれるヤシの実に似ていたが、本物のサラックには波のような縞模様はない。
ないけれど、少女はそれに見覚えがあった。
「そっ……それ、村のご神体……!」
「島の外だと、悪魔の実って、呼ばれてる」
妙なことに腐りもしないこの果物。島に流れ着いた漂流船から発見された物らしいが、百年単位で昔の出来事だと聞いた。それだけの期間、腐らず虫も湧かないとなれば、ご神体と崇めたくなる気持ちも分からないではない。
世界の情報が嫌になるぐらい入ってこない小さな島で、少年がその果物を悪魔の実と気づけたのも、漂流船のおかげだった。難破したらしいその船には、白骨死体と幾許かの金銭と、悪魔の実の図鑑が入っていた。
それに載ってこそいなかったけれど、奇妙な果物の正体を悟るには充分過ぎる。
「……僕は超人系、ユラユラの実を食べた、波人間」
多分そうだろうと、感覚的に当たりは付けているけれど。
それがなぜ物質透過になるのかは、いまいち不明。
海賊共に取られるのが嫌だったから、襲撃に気付いてすぐ社へ向かい、隠した。
本当は、食べるつもりはなかったけれど。泳ぐのは好きな方だから、食べる気なんてなかったけれど。
少女に借りを作る方が、途方もなく嫌だっただけだ。
……などと、説明するのも馬鹿らしい。
何度目かも知れない口づけの中で、舌を差し入れた。ビクリと、驚いたように逃げる舌を捕まえる。無味のはずの唾液が甘く変わったような錯覚を覚え、啜り上げ、呑み。逆に注ぎ、頤を反らし、コクリと喉奥に滑らせる。
身体の下で、少女が身じろいだ。閉じた瞼の先でまつ毛が震えている。
「…………ファン」
今にも壊れそうな表情で、少女が名を呼んだ。
「私のことが、好きなの?」
「……ラナには興味、なかった」
淡々と答えた自分の声は、予想以上に熱が籠もっていた。
「つい、さっきまでは」
その言葉を聞いて、少女――ラナは、目を閉じ、力を抜く。上下一体のワンピースを、足元から抜き取る。シャツを脱がせる。ファンもまた、服を脱ぎ捨てる。
満天に煌き始めた星空の下、炎に包まれた村の上。少年と少女は、互いに未成熟な姿態を晒す。
「私は……好きじゃない」
肌を重ね、互いの体温を感じ、耳元でラナは囁いた。
「今は、まだ」
育ちかけの膨らみを少年の手が撫でる。微かに身をよじらせた少女の口から、あ、と声が漏れる。しこりとなった胸の頂点を口に含まれ、ラナは口元を押さえた。卵を持つように優しく、少女の胸を指の形に変えていく。
「や、ぁ……!」
火ではない火照りが滑らかな肌に浮き上がる。指先で胸を、腹を、背を。舌先で喉を、腋を、臍を。刺激する度に少女の体が反応する。ビクリビクリと、さざ波のように肌が波立つ。
荒い息を吐くラナの口から、あ、と音が零れる。ファンの指は下腹を越え、太腿の内側をなぞっていた。
くちゅり、と少女の入口に触れる。熱く濡れた無毛の秘裂を上下に擦れば、粘ついた透明の液体が指に絡みつき、悲鳴にも似た叫びを少女が上げる。ぴったりと閉じた二枚貝のようなワレメはやがて緩み、薄ピンク色の内壁を覗かせた。
空恐ろしいほど心臓が高鳴った。少女の足の間にそろそろと身体を進め、充血した灼熱の交接器をあてがう。未体験の熱さにラナの身体が強張った。
顔を上げると、ラナがこちらを見ていた。数秒見つめ合った後、少女が目を伏せる。それは了承の合図なのか、それとも諦めの表れなのか。判断のつかないまま、急き立てられるように突き入れた。
迸りかけた絶叫を、ラナが喉の奥に抑えつける。その瞳から流れた涙の理由は、痛みと悲しみのどちらだろう。
「あ……ぅ、あ……!」
堪えても堪えきれない苦鳴が滑り出て、けれど気遣う余裕はなかった。何かが破れるような感触を過ぎ、少年は少女の温もりに包まれていた。狂おしいほどに切なく温かい狭穴が、理性を奪い本能に置き換えていく。
腰を引くと、ずるりと這い出た肉棒に処女血が纏わりついていた。完全に抜ける直前で、再び送りこむ。今度こそ少女が悲鳴した。貫かれる痛みから逃げようとしても、組み敷かれた少女に逃れることは叶わない。
「ひ、や……っ、痛い……! ファン…っ!」
自分の名を呼ぶ少女の口を、今一度口で塞ぐ。んっ、んっ、と突き入れる度に震えていた声帯が、ほどなくして質を変えていった。苦鳴から喘鳴に、苦痛の声が艶めかしい色を纏う。
唇を離し、互いに荒い呼気を吹きかけながら見下ろす。朱が上ったラナの頬。ファンを見上げる瞳は苦痛とは別の理由で潤み、蕩けたような表情だった。
「あっ……あ…あんっ……や……ふぁ、ファン……ファン……私、あ、私……!」
最後まで言わせず、キスで言葉を封じる。ただ擦り上げていただけの膣壁が蠕動を始め、愛液を増して雄に絡む。ぎゅうぎゅうと締め付けられ、少年が呻いた。
唾液を交換し、潤滑液を交歓し、触れ合う全てから少年と少女は互いを求める心を交感し。
ラナを抱き締めると、少女の四肢は少年へと巻きついた。もはや理性や思考など何の役にも立たない。異性を感じ交わることしか考えられない。
腰の動きを相互に補完して、成熟の階段を登り始めたばかりの二人は雄と雌へと成り果てる。
湿った音が連続し、絶え間ない嬌声が木霊する。
衝動のまま、少年は少女の最奥へと突き入れ腰を止めた。少女の中で生命を宿す器官が期待に震え、受け入れるべく降りてくる。
「あっ、あっ………あ、やぁあああああああ――――――っ!」
全てが爆発したような錯覚ののち、少女のナカへ濃密な液体が注がれた。子宮が白濁に汚れ、自分の絶叫を聞きながら、少女の意識もまた白い闇へと落ちていく。
「………………はあ……」
終わりを迎えた気だるさと、強烈な快感にくらくらする。大人が病みつきになるのも分かるような気がした。
名残惜しさを感じつつ少女から己を引き抜くと、自分の吐き出した白濁液が、少女の秘所からとろりと溢れた。
この少女を自分が犯したのだという征服感に、知らず唇が笑みを刻む。
赤もいいが、白も悪くないらしい。
くふふ、と笑いながら、バスケットから取り出したシーツに少女を横たえ、再び肌を重ねた。不思議と心地よい少女の裸身を抱き締め、毛布を被る。
明日からどうしようか、という疑問も今だけは些細なことのように思えた。赤と白の疲れに睡魔が襲いかかり、少年もまた眠りへ落ちる。
若く幼い雛鳥の交わりを、登りかけた月だけが眺めていた。
数年後、少年の能力を伝え聞いた海軍きっての科学者、Dr.ベガパンクは即座に解答を導き出した。
超人系ユラユラの実の波人間。
正確には、超人系ユラユラの実の、
――――量子人間。