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[21006] 東方冥王伝 【東方×PLUTO】 クロスもの
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/11/14 23:30

ええ、皆様どうもです。

作者兼ナニカの荒井スミスと申します。

今回チラシの裏で細々と書いていたのが何を血迷ったか結構進んでしまい、この度こっちに這いずりだして来ました。

聖水とか清めの塩を投げないようにお願いします。

浄化しかねませんので。

この話は浦沢直樹作のPLUTOのロボット達を幻想郷に送り込み、その様子を見るというストーリーです。

電波も積もればナニカになってしまうという良い例・・・悪い例がこの話です。

良い子悪い子普通の子の皆さんは絶対に真似しないでください。

でないと私みたいな物体に成り下がるかもしれません。


さてここで注意に入ります。

キャラの崩壊が見たくない方は華麗なバックなステッポォをしてください。

どちらの作品のキャラも崩壊してますので。

そんなもん構わないぜヒャッハー!な世紀末に生きる剛の者。

そしてこの作品の全てを受け入れる幻想郷のような心の持ち主の御方。

その人達はどうか進んでお読みくだせい。

それではどうぞ!


※行間改定が終わりました!

 これで少しは読みやすくなったかと!



[21006] 花の妖怪と出会いし冥王
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 22:28






どうも荒井スミスです。

なんか勢いに乗って電波を受信して書いてしまいました。

上司が言ってました。

勢いがあるうちに書いとけと。

そんでまた書きました。

ああそうそう。

タイトルを見て此処に来た方は注意して下さい。

多分私はあなたのその期待を・・・まあいい。

それでは!荒井スミス劇場開演でございます!

ゆっくりしていってね・・・




































立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。

昔から美しい女性に使われてきた言葉である。

だが幻想郷の太陽の畑の花の妖怪、風見 幽香にはまた別の言い方がある。

立てば殺戮、座れば威圧、歩く姿は修羅のよう。

それが風見 幽香だ。

これはそんな幽香が、楽しく幻想郷の花畑巡りをしていた時の出来事だった。





































幽香は以前来た時に元気が無かった花畑に行って、そこに住む花達に元気を与えようとその花畑に行った。

そしてその花畑に着いて、そこに見慣れない人物がいることに気が付く。

この幻想郷では見慣れない格好をした一人の男であった。

一瞬幽香はまた外来人が来たのかと思い、目障りだからすぐに駆除しようと愛用の傘を構える。

しかし幽香はふとあることに気付く。

あの男は人間ではない。

かといって妖怪でもない。

どちらかというと、メディスン・メランコリーと同じような存在に感じる。

男はふと両手を花畑にかざした。

何をするのかと思い見ていた幽香は、驚くべきものを見る。

男が手をかざした瞬間に強い風が吹き、たちまち雨が降り出した。

そしてその雨が花畑に降り注ぐと、花達はみるみるうちに元気になっていった。

しおれていた花はしゃんと背を伸ばし、枯れかけた花は元の潤いを取り戻していた。

幽香はこのように花を元気にさせることが出来た男の存在に驚く。

花達が男に感謝する声が幽香に聞こえた。

しかも男はその言葉が理解できるのか、笑って花達にどういたしましてと答えていた。

驚きの連続だった幽香は男に話かけた。



「驚いたわ。あなた凄い事が出来るのね」

「え!?あ、ええどうもありがとうございます」



男は幽香に驚き、何を言われたのか理解したとたん顔を赤くして照れた。



「それにしてもさっきのは何?あれがあなたの能力なの?」

「まあ、そんなところですね」

「あなたは一体何者?人間とも妖怪とも違うようだけど?」

「いえ、僕は、ロボットですから」



ロボット?あの河童が作ったっていう自動人形のこと?

しかしあれは自分の意思が無かったと聞いている。

だが目の前の存在には明確な意思を感じる。

メディスンと同じように魂を感じるのだ。



「ってことはあなた、河童が作った新型ってやつなの?あいつ等も良い物作るじゃない」

「河童ですか?いえ僕の父、僕を作ったのは人間ですよ」



・・・たしかに言われてみれば、もし河童が作ったのなら、こんな人間そっくりな者に此処では見慣れない格好をさせるのもおかしい。

ということは、彼は外の世界の人間が作ったということだ。



「聞いていいかしら?どうしてあなたはそんな能力を持って生まれたのかしら?」

「もとからあったわけじゃありません。自分で植物・・・花の研究をして、少しづつ自分で改良していったんです。
 それでいつの間にかこんな力が」

「花達の声が分かったのもその力のおかげ?」

「分かったんですか!?みんなが何を言っていたのか!?」

「私は花の妖怪よ。だから分かるの。此処の子達があなたにありがとうってお礼してるのがね」

「妖怪・・・さっきも言ってましたがそれは一体?いやそもそも此処は何処なんですか?僕は気付いたら此処に来ていたんです」

「そうなの・・・いいわ。特別に私が教えてあげるわ。此処は・・・」





































男は幽香の話を聞いて驚いた。



「幻想郷ですか・・・そんな場所があるなんて・・・」

「信じられないかしら?」

「いえ、信じます。普通の人間なら花達の言葉なんて分からないのにあなたはそれが分かる。それに」

「それに」

「花達が言うんです。その優しい人が言ってることは本当だって」

「え!?あ、もうみんな!?なんてこというにょよ!?」



人間には滅法厳しいが花達にはとても優しい幽香さん。

あまりの恥ずかしさのあまり舌を噛んでしまう。



「・・・・・・今の聞いた?」

「・・・・・・・・・はい」

「忘れなさい!この子達が言ったことも噛んだのも全部!」

「は、はあ。努力します」

「いい絶対よ!絶対だからね!」



その様子はいつもの堂々とした幽香ではなかった。

しばらくして、落ち着いた幽香は男にまた質問をする。



「ねえ?あなたの名前って何?私は風見 幽香。この幻想郷最強の妖怪よ」

「僕は・・・・・・サハドといいます」

「そう。それじゃサハド、一つ聞いていい?どうしてあなたはそんな力を手に入れようとしたの?」



幽香の質問に、サハドは頷き答えた。



「僕が生まれた国ペルシア王国は、緑が育つには厳しい環境でした。
 だから砂漠に覆われた過酷な祖国の地にも耐えうる植物の栽培技術を学ぶために、僕は植物の研究をしたんです。
 いつか祖国を緑で溢れる、綺麗な花畑が出来る国にしたかったんです」

「そう・・・・・・良い夢ね」

「はい、ですが・・・」



サハドの表情が暗くなる。



「結局僕はそれが出来ませんでした。夢半ばで、理想を叶える事が、出来ませんでした」

「一体何があったの?」

「・・・戦いがあったんです」

「戦い?」

「はい。僕の国を他国の大国が攻めてきて、そのせいで国は荒れました。以前にもまして厳しい荒野になったんです。
 僕はその戦争があった時、他国に留学していて助かったんですが、僕の家族は・・・」

「そうなの・・・」

「ですが、・・・・・・父、ですか?その人は生き残ったんです」



サハドは曖昧に答えたあと、話を続ける。



「父は家族を殺されてその復讐を僕に手伝えと言って来たんです。・・・僕の頭脳を、戦闘用に造られた最強の体に移し替えることで」

「何ですって!?」

「僕は、それに答えました。僕の心にも分かったんです・・・憎悪ってものが」



サハドは辛そうに話を続ける。



「それから僕は多くのロボットを破壊しました。かつて僕達の国を攻めて来た七体の最強のロボット達を。・・・それを邪魔する者達も」

「それで・・・どうなったの」

「色々ありました・・・本当に色々。でも結局僕は自分を取り戻して、父だった者の計画を邪魔して、破壊されました。
 そして気が付いたら、以前の体に戻って此処にいたというわけです」

「・・・・・・・・・・・・」

「僕は、花畑が作りたかった。綺麗で生命力溢れる強い花達の花畑を。それが僕の仕事だったから」

「・・・・・・・・・・・・」

「でも出来なかった。きっとこれは復讐に、憎悪に囚われてしまった僕の罰なんでしょう」

「・・・・・・・・・・・・」



語り終えたサハドに、今まで黙っていた幽香はサハドに言う。



「此処ですればいいじゃない」

「・・・・・・え?」

「あなたの出来なかったこと。それを此処ですればいいじゃない。過去がどうであったとしても此処では関係ないわ。
 ―――――――幻想郷は全てを受け入れるわ。あなたが過去にしてきた罪も含めてね。だから此処でやりなさい。
 あなたの出来なかった夢を、此処で果たしなさい」

「いいの、でしょうか」

「当然よ。あなたに何か言おうものならこの私がどうにかしてやるわ。・・・それに」

「それに・・・何ですか?」

「あなたの作った花畑・・・一度見てみたいからね」



幽香はそうサハドに微笑みながら言った。



「―――――――まかせて下さい。きっとあなたの期待に答えてみせますから」

「ふふ、そう。期待させてもらうわ。そうだ。あなた、私の所に来なさいな。此処のことをもっと教えてあげられるし、
 それにあなたと花について語るのも悪くないかもしれないだろうしね」

「いいんですか?そこまでしてもらって?」

「いいのよ。私がそう決めたんだから」

「―――――――ありがとうございます幽香さん」

「それじゃ早速行きましょう。此処にはいろんな植物があって。あ、そうそう紅魔館って所の門番がね―――――――」





































―――――――かつてプルートゥと呼ばれ、世界から恐れられた心優しいロボット。


―――――――これは一度終わった彼の物語の、一つの可能性の、エピローグ。


―――――――ここで語るのを終えよう。


―――――――この続きは、あなたの心で感じたほうがいいだろうから。





































気付いた人はいると思うんですが、一応念の為に言っておくとこのサハド、プルートゥは浦沢直樹作のPLUTOです。

電波がピッと来て、あれ?いけるんじゃね?書けるんじゃね?と思って書きました。

いかがだったでしょうか?

タイトル見て某管理局の冥王だと思った方。

残念だったねぇ!

ああ、いつか東方で長編ものとか書きたいな。

それでは!アディオスアミ~~~~~~~~ゴッ!



[21006] 悪魔の館の無愛想な執事
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 22:36






どうも私です荒井スミスです。

・・・・・・書いてしまいました。

なんかもう、書きたかったからとしか言えません。

その、なんですか?

申し訳ありませんでした!!!!!!!!

勢いって怖いですよね?

それを痛感しました。

では、ぐだぐだ言わずにさっさと始めましょう!

荒井スミス劇場の開幕です!

ゆっくりしていってね・・・






































悪魔の館と呼ばれる吸血鬼の住む真っ赤な館。

紅魔館。

そこの完璧瀟洒のメイド長。

十六夜 咲夜はここ最近、暇な時間が出来るようになった。

彼女はこの紅魔館のメイド長である。

しかし彼女以外の妖精メイドはほとんど役に立たない。

せいぜい自分の世話をするのが精一杯で、簡単な仕事もこなせない。

いや、サボったり悪戯したりの方が多い。

だから彼女がこの館の雑務をほとんどをこなすことになる。

あまりに仕事が多いため、自身の能力も使って仕事をする。

そのため彼女のする仕事は常人にとってみれば恐ろしい量だった。

もっとも彼女はそれが普通と考えており、あまり苦に思ってはいないようだ。

だがある日、この紅魔館にある者がやって来た。

どうも外の世界からやって来たようでこの紅魔館には迷って着いたらしい。

問題は彼?が人間ではなかったことだった。

彼は自分のことをロボットだと言った。

主に仕え穏やかに暮らしていたが、ある日戦闘を行い破壊され、気付いたら此処に来ていたと。

それを聞いて紅魔館の主、レミリア・スカーレットは何を思ったか此処で働かないかと言ってきた。

彼は少し考え、その提案を了承した。

お嬢様は彼に新しい名前を与えようとした。

だが出てくる名前が予想したとおりステキな名前ばかりだったので、咲夜がやんわりそれを止めさせたが。

そして彼、ノース二号はこの紅魔館で働くことになった。

彼は思った以上によく働いてくれた。

能力を使わないという条件を付ければ、もしかしたら咲夜以上かもしれない。

庭の手入れは見事なもので、美鈴は喜んでいた。

料理もそれなりに出来るようでお嬢様は満足していた。

本の整理が早く進むとパチュリーと小悪魔は助かっていた。

だが一番彼の存在を喜んだのは咲夜だった。

彼のおかげで自分の時間というものがかなり出来た。

趣味の珍しい物集めもはかどったし、新しい紅茶の開発の時間も増えた。

彼が此処に来てくれて本当に助かったと咲夜は思った。






































彼が来て四日程のことだった。

咲夜が夜見回りをしていた時のことだった。

彼はパチュリーが何処からか手に入れて、改造した充電器を使い充電していた。

人間で言うところの睡眠中といったものだ。

そんな彼から声が、呻き声が聞こえた。



「ウ・・・ウウ・・・ウ・・・」

「ノース二号?」



咲夜はノース二号のその呻き声を聞いて少し驚いた。



「・・・ウウ・・・ウウウ・・・ウウ・・・」



どうも彼は夢を見ているようだった。

ロボットも夢を見るものなのかと考えた咲夜は、他人の寝ているところを見るのは悪趣味だと判断しその場を離れていった。





































「ねえ、ノース二号?あなた何か欲しい物はある?」



お茶の時間、レミリアはそうノース二号に尋ねた。



「欲しい物・・・ですか?」

「ええそうよ。短い間だけどあなたはよくやってくれてるわ。だから主である私としてはあなたに何か褒美を与えようと思うの」

「・・・せっかくですが。私はただ自分の仕事をこなしているだけです。此処でこうしてまた働ける。
 そして、レミリア様がそう言ってくれるだけで私は十分です」



彼はそう淡々と返事をする。

表情も分からないこともあり、なんだか素っ気無いように感じる。

ロボットなのだからしょうがないと言えばしょうがないのだろうが。

そう咲夜は思った。



「あなたのそういう謙虚なところは好きよ?でもいいノース二号?
 相手が何かしてくれるというのなら、それを受けるのも礼儀の一つなのよ?覚えておきなさい」

「・・・分かりました」



彼の返事に満足したのかレミリアは笑みを浮かべる。



「そう。それでいいのよ。それで何が欲しいの?」



ノース二号は少し考えた後こう答えた。



「それなら・・・ピアノを頂けませんか?」

「ピアノ?」

「はい。此処にある、使われてないあのピアノです」



昔お嬢様が「ピアノとか弾けたらもっとカリスマじゃね?」と考え挑戦して、上手くいかずにそのまま置物になってるピアノがあった。



「ピアノね・・・あなた弾けるの?」

「前に仕えていた主から習っていました」



咲夜はこのロボットに出来ないことは無いのではないかと思った。



「そう・・・それにしても、ふふ、おかしな話ね」



レミリアはそう笑ってノース二号に話しかける。



「お前はたしか戦闘用・・・戦うために生まれてきたのだろう?そのお前がどうしてピアノなんて似合わないことを習ったんだ?」



彼が此処に来た時のことだった。

彼は自分が戦闘用に造られた存在だと話した。

ケープの下にはその戦闘用のボディがあり、それを隠すため普段ケープを羽織っているのだと。

レミリアはその体を見せてみろと言ったが彼はそれを拒否してきた。

こんなものを見せるのは恥ずかしい、だから出来れば見せたくないと、そう言ってきたのだ。

そのときは彼の言い分を聞いて終わったが、レミリアはそれがちょっと癪になった。

彼女がこんな意地悪な質問をしたのはそのためである。

ノース二号はその質問に答えた。



「・・・たしかに私は戦うために生まれた兵器です。戦争の時、私は自分の同胞を・・・何万体も破壊しました。
 それが、私に与えられた任務でしたから。ですが何時の頃からか、私は夢を見るようになりました。
 かつて私が仲間を破壊した記憶が、私の人工知能が何度も何度もリピートするのです」



それを聞いて咲夜は驚いた。

あの時、彼が呻き声を上げていたのはその夢を、その悪夢を見ていたからだと気付いたからだ。



「ずっと続く悪夢・・・それは私の罰なのかもしれません。・・・私は戦場から離れ執事として働くようになりました。
 そして前の主人であるサー・ダンカンと出会いピアノを習うようになったのです。
 もう・・・・・・戦場に行きたくないから・・・・・・」



そして彼の話は終わる。

それを聞いてレミリアは罰の悪そうな表情を浮かべる。



「・・・ごめんなさい。いやな質問をしてしまったわ」

「いえ、いいのです。気にしてはおりませんから」



しゅんとなって罪悪感に囚われたレミリアに彼はいつもどおりに淡々と答えた。

それが彼なりの優しさなのかもしれない。



「それにこの悪夢も最近ではあまり見ることがなくなりました。
 今代わりに見るのはかつて使えた主との、短いでしたが充実した思い出の日々です。
 ピアノを習い、一緒に庭の手入れをして過ごした思い出の日々を」



また淡々と答えた彼だったが、その声にはどこか安らぎのようなものが込められていた。



「分かったわノース二号。あのピアノはあなたにあげるわ。そして、あなたはもう戦う必要は無いわ。もう戦場に行かなくていい。
 此処で私達と暮らしましょう。・・・そしていつか、あなたが此処での日々を思い出として夢見るが出来るように、ね」



そう言ってレミリアはノース二号に優しく微笑む。



「ありがとうございます。レミリアお嬢様」

「それじゃ早速聴かせてもらおうかしら?あなたの演奏、楽しみにしてるわよ?」



彼の演奏は紅魔館の者達全員で聴くことになった。

彼が弾いたのは、サー・ダンカンと一緒に創ったあの曲だった。

結局完成したそれを聴けないままで知らないはずだったはずなのに、どういうわけか、彼はそれを完成したものとして弾くことが出来た。

何故こんなことが出来るのかノースニ号は分からなかったが、彼はその気持ち以上に嬉しかった。

何故弾けるかなど、そんなのはどうでもいい。

きっとこれがサー・ダンカンが私に聴かせたかった曲なのだと、彼は思った。



(――――――サー・ダンカン。これがあなたと私の曲なのですね?)



彼の演奏は好評だった。

特に妹のフランドール・スカーレットは彼に何度もアンコールをせがんでうっとりと聞いてきた。

これが、彼の始めて人前で行った演奏会だった。





































「いつもありがとうございますノース二号さん。庭園の手入れもあなたのおかげでだいぶはかどりますよ!」

「いえ、美鈴様の手入れが良いからです。私はそれを手伝っているだけにすぎません」

「もう、美鈴様なんて呼ばなくてもいいですよ」

「それは・・・どうもなかなか」

「まあ、しょうがないですね。人間、自分にあった生き方がいいですからね」

「私はロボット、あなたは妖怪では?」

「おお!そうでしたね。まあいいじゃないですか。気にしない気にしない」



美鈴はそう笑いながら言った。



「でもここまで出来たのは私一人の力じゃないんですよ。花の妖怪の方に色々と教わってもらって。
 ああそうだ!たしか今日此処にその人が来るんですよ!あ!噂をすれば」



彼女が指差す方をノース二号は見る。

日傘を差した赤い服と緑の髪の女性。

そして――――――その隣を歩く一人の優しそうな青年。



「おや?彼女が誰かと一緒だなんて珍しいですね?誰でしょう?」



ノース二号はその女性よりも青年の方に驚いた。

青年の方も彼に気が付き驚く。



















「この感じ・・・もしや君は・・・」

「そうか・・・君も、此処に・・・」




















――――――それからどうなったか。


――――――それは、彼等だけしか知らない。





































あーあ、出会っちまったか。

まあ戦闘なんて起きませんけどねwww

というわけでノース二号でした!

もう彼の話は全部泣いた泣いた。

今読み返しても涙腺崩壊です。

まあ私の場合全員なんですけどねwww

彼の話には少しだけあの名医も名前だけですが出ているので好きでして。

さて、短編でこんなんしてみたけどどうでしょう?

こんな形で良ければ全員書いてみたいな、なんて思ってるんですが・・・如何でしょうか?

というか書きたいんですよね。

こう、やる気がムラムラと・・・

まあ、不定期で何時投稿出来るか分かりませんがねwww

ではまた機会があれば!



[21006] 妖精達と優しい巨人
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 22:41






ハッハッハッ!また書けたぜい!

今回は結構苦労したぜい!

何しろこの人、一番出番が少なかったからな!

え?そんなこと言うなって?

・・・・・・サーセンでした。

それでは荒井スミス劇場始まりです!

ゆっくりしていってね・・・




































幻想郷の妖精達の間であることがあった。

それは妖精達に大きな友達が出来たことだ。

それはとても大きくて、力が強くて、なにより優しい巨人でした。

その巨人と小さい彼女達との間に色々な出来事がありました。

妖精達と遊ぶこともありました。

巨人は物知りでいろんな面白い話をしてくれました。

みんなはこの巨人のお話に夢中になりました。

妖精達を助けることもありました。

妖怪に襲われてる彼女達を身を挺して救いました。

みんなはこの巨人に感謝しました。

巨人は森の世話、自然の世話をしました。

彼は自然が大好きで、その自然を守るために頑張りました。

みんなはこの巨人が大好きでした。

その巨人の名前は――――――モンブランと言いました。





































「おーい!モンブラーン!」



モンブランを呼ぶのは氷の妖精チルノです。

彼女はモンブランが好きな妖精の一人です。

でも素直にそれが言えなくていつも照れ隠しでモンブランに体当たり等をして誤魔化しています。

モンブランはチルノの気持ちはよく分かっていました。

そしてモンブランも、そんな小さくて可愛らしいチルノが大好きでした。



「どうしたんだいチルノ?」

「ねえねえ!今日もみんなで遊ぼうモンブラン!」

「分かったよそれじゃ行こうか」



二人は仲良く一緒に行きます。



「あ~モンブランなのか~?」

「ちんちん♪チルノやっと来たのね♪」

「もう、待ちくたびれたよ!早くみんなで遊ぼうよ!」

「こんにちは、モンブランさん」



そこにいたのはルーミア、ミスティア、リグル、大妖精のいつものメンバーでした。



「もう!モンブランが遅いからだよ!」

「ごめんねチルノ」

「い、いいわよ別に。まったく!アンタにはサイキョーのこのアタイがついてないとしょうがないんだから!」



謝るモンブランにチルノは顔を赤くして答えてそっぽを向きます。



「それじゃみんな。何をして遊ぼうか?」

「弾幕ごっこ!アタイ弾幕ごっこがいい!」

「もうチルノちゃん。モンブランさんは弾幕が撃てないでしょ?」

「だったらみんなで歌を歌いましょう♪モンブランの教える歌もっと聞きたいわ♪」

「果物でも探して食べないか~?」

「虫を見つけて観察するのは?」



みんなはワイワイと何をしようかと話し合います。



「今日は一日ずっと一緒だからみんなやってみようか?」

「「「「「は~~~い!」」」」」



その日はずっとみんなで遊びました。





































そして一日の終わりが来ました。

みんなは疲れてモンブランの大きな体によりかかって休んでいます。



「ねえモンブラン聞いていい?」



チルノがモンブランに言います。



「何だいチルノ?」

「どうしてモンブランはアタイ達に優しいの?」



チルノはどうしてこの大きな友人がここまで自分達に優しいのか気になりました。

悪戯をしても彼はそれを笑って許してくれます。

みんなのことが大好きで大事だと言ってくれます。



「ねえどうしてなの?」

「・・・此処は素晴しい所だ。緑に溢れて自然の力がとても強く感じるんだ。
 だからかな。此処に住んでいるみんなを守りたい。そう思ったんだ。だから、かな」



モンブランはそうチルノに言います。



「そうなんだ・・・あ、そうだ!」

「どうしたんだいチルノ?」



何かを思いついたチルノにモンブランはそれが何か尋ねます。

チルノはモンブランをまっすぐ見て答えました。



















「だったらモンブランはアタイが守ってあげるね!なんたって、アタイはサイキョーだからね!」

「―――――――――ありがとう、チルノ」




















モンブランはその大きな手でチルノの頭を優しく撫でます。

チルノはそれを目を細めて嬉しそうに受け入れます。

―――――でもね、チルノ。大丈夫だよ。

―――――君は、君達はもうずっと僕のことを守ってくれてるのだから。

モンブランはそう心の中で言いました。




















その日の夜は星が綺麗に輝く夜でした。

そして大きな影に寄り添いながら、小さな影達はスヤスヤと穏やかに眠りました。





































というわけでモンブランでした!

彼は一番最初の犠牲者で、戦闘のシーン等もまったくありませんでした。

だもんで彼が喋るのはその全てが回想シーンでいまいち彼をどう表現すればいいか迷いました。

・・・・・・いかがだったでしょうか?

そして・・・チルノ!

あの子は・・・あの子はほんまええ子やぁぁぁぁぁぁ(涙)

モンブランには幸せになってほしい・・・そう思います。

あと感想の方でも言いましたがヘラクレスとブランドの戦闘用スーツはどう扱いましょうか?

あの二人を出すならどうしても出したい要素なので。

普通に装着するかいつでもバッと変身するか・・・それが問題だ。

無難に前者かあえて後者か・・・皆様方の感想を参考にしつつ考えてみたいと思います。

ちなみに彼等が何処に行くかはもうある程度決めています。

誰を出すかも・・・・・・・・・決めております。

後は勢いで書くだけです。

それではまた!



[21006] 笑顔を照らす太陽
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 22:56





四人目はこの人です!

場所はまあ、無難かなって所にしました。

ただ何故か今回ギャグが強くなった・・・何故だ・・・?

まあ・・・あれだ・・・やっちゃったZE☆ごめんねだZE☆

では荒井スミス劇場始まります。

ゆっくりしていってね・・・






































それは藤原 妹紅が迷いの竹林で発見したのが始まりだった。

妹紅がいつも通りに竹林を散歩していた時のことだ。

竹林に見慣れない奴がいたのだ。

彼はあっちへふらふらこっちへふらふらと竹林を不思議そうに眺めて歩いていた。

妹紅は彼の格好からして外来人だと思った。

この幻想郷ではあまり見ない服装だったからだ。

妹紅はこんな所にいたら危ないぞと彼に注意した。

彼は妹紅に驚いてその後ありがとうございますと感謝を述べた。

あまり褒められなれてない妹紅は少し顔を赤くする。

妹紅は話題を変えるため何で竹林を不思議そうに見るのか尋ねた。

自分の国では見たことの無い植物だったのでついつい魅入ってしまったと答えた。

妹紅はその答えに呆れる。

そして彼は続けて言う。

此処は一体何処の国なのか?

アジアのどこら辺だと聞いてきた。

妹紅はそれを聞いて彼が外来人だと確信し、落ち着いて聞くようにと言ってその後、幻想郷の説明をする。

彼はその説明を聞いて驚きはしたものの、混乱することはなかった。

どうしてそんなに落ち着いていられるのかと聞いた。

彼は自分が一度死んだことを告げた。

――――――自分が人間でないことも。

妹紅は色々考えた末、友人の上白沢 慧音の下へ彼を案内することにした。

そこで妹紅はあることに気付く。

まだ彼の名前を聞いてなかったことを。

妹紅は自分の名前を名乗り、彼に名前を尋ねた後、竹林を抜けた。

これが彼――――――エプシロンとの出会いだった。






































エプシロンが来て一週間程が経った。

彼は慧音の寺子屋の手伝いをしていた。

孤児院で子供の世話をしていたこともあってか、エプシロンは子供達に人気があった。

慧音も自分の生徒を我が子のように世話をしてくれるエプシロンに感謝していた。

エプシロンの方が好きと言う子も中にはいる。

慧音は怒ると頭突きをするがエプシロンは優しく諭すからというのが一つ。

彼がする授業が今まで無かった新鮮で、慧音より面白くするというのが一つ。

ついでに言うならエプシロンがなかなかの美青年というのもある。

中性的で、何処か母親のような優しさを持っているのが、その人気に拍車をかけていた。

慧音がちょっと悔しかったのは、内緒である。



「ねえ、エプシロン一緒に遊ぼう!」

「僕と遊ぶんだぞ!」

「私よ私!」

「おむかえでごんす」

「僕だい次は!」

「ねぇ私も~」



エプシロンはみんなに引っ張られてちょっと困り苦笑が漏れる。



「コラッ!お前達!あまりエプシロンに迷惑をかけるな!」

「わー慧音先生だー!逃げろー!」

「キモられるぞー!」

「キャー逃げろー」

「おむかえでごんす」

「頭突きが来ーるぞーーー!」

「わ~私も~」



そう言ってみんなは蜘蛛の子を散らすように逃げる。



「何で逃げるお前等!特に理由も無く頭突きなど私はせんぞ!だが太助お前は駄目だ!キモられるって何だ!キモられるって!
 キモいとか言うな!そんなこと、言われたら・・・普通に・・・凹むだろうが・・・あれ?何か変なのが混ざってたような・・・?」



慧音は大きくため息を吐く。



「大丈夫ですか、慧音さん?」

「はぁ・・・お前が羨ましいよエプシロン。どうやったらそんなに人気が出るんだ?私もそれなりに頑張ってきたつもりなんだがな・・・」

「僕の場合は新しく来て珍しいってのがあると思うんですよ」

「それでもここまで人気が出るものだろうか?」

「ハハハ。まあ、子供の世話はずっとやってきましたからね」

「・・・私の方が年上で、長く世話をしてきたんだがな」

「ええと、その・・・」

「・・・いや、すまない。どうにも愚痴っぽくなっていかんな」



慧音はそう言うが、まだ何処か落ち込んでいる。



「やっほう慧音・・・ってどうしたの?そんなに落ち込んで?」

「ああ、妹紅さん実は・・・」



青年説明中・・・



「・・・なるほどね。たしかに慧音の授業はお世辞にも面白いってわけじゃないものね」

「妹紅・・・お前まで・・・」

「妹紅さん・・・それはちょっと・・・」

「アッハッハッハッハッ!いいじゃない。ああいうこと言うのも、慧音のことがなんだかんだで好きだから言えるのよ」

「そ、そうなのか?」



妹紅の言葉に慧音は少し顔を上げる。



「僕もそう思いますよ。分かるんですよ。みんなが慧音さんのことすきなのは。あの子達の笑顔を見れば、それがよく分かる」

「エプシロン・・・ありがとう。そうか・・・そうだといいな」



慧音は気を取り直す。



「それじゃ・・・お前達ーーー!もうすぐ授業だぞーーー!あと太助!お前は覚悟しとけ!二度とキモいって言わせなくしてやる!」



そう言って慧音はみんなを追いかける。

一人だけ必死の形相で逃げる子供がいたが。







































夕方になり、家族の者達が迎えに来ていた。



「いや、それにしてもエプシロンさんは本当に人気者だな。家の子の話題なんか、最近じゃあずっとあんたのことばかりでな」

「家もそうさ。いろんな遊びを教えたりしてくれるってね」

「おむかえでごんす」

「本当、あんたには感謝してるよ」



子供達の親はそう言って礼を言う。

が、ある一人が爆弾を投げ込んだ。



「いやー慧音にもやっと春が来たんだなーハッハッハッ」



皆に、電流は知る。



「へぇそりゃ本当かい?めでたいじゃないか」

「げい″ね″・・・ぜん″ぜい″・・・うう、お、おべでどぶ」

「ちょ、おま、何血の涙流してんだ!滝のように出てるぞ!」

「ほら・・・こいつの初恋の相手ってたしか・・・」

「ああ、そういえば・・・」

「まあ、俺等って大体そうだしな・・・でもお前、もういい歳の子持ちの親だろ?」

「ぞれでぼ・・・ぞれでぼだばぁ・・・」

「おむかえでごんす」

「ちょ、ちょっとまてお前等!私達は別にそんな関係じゃ!・・・ってやっぱり変なのが?」



その言葉に血の涙を流す男が慧音に迫る。



「ぼんぼべぶばぁ!?べいべべんべぇい!?」

「伊丹!本当だから!だから人間の言葉で喋れ!」

「アハハハハッ!まったく、慧音の教え子は面白いね」



そう言って妹紅は楽しそうに笑う。

それはエプシロンには不思議な光景に見えた。

大の大人が、見た目が自分より年下の女性に先生と言うその光景が。



(もし僕がまだ壊れてなかったら・・・死んでなかったら・・・成長したみんなと、こんな感じで笑えてただろうか?)



エプシロンはロボットだ。

だから見た目が変わるということがない。

そして考える。

孤児院の子達が大きくなって自分とこうして笑う。

そんな未来もあったのだろうかと。



(贅沢な考えだな・・・こうして新しい人生を送れるっていうのに・・・)



エプシロンはそう考え苦笑する。



「それじゃ先生。また明日」

「じゃあねー先生ー」

「エプシロンさんもな」

「またねーエプシロンー」

「妹紅さんもお元気で」

「妹紅姉ちゃん、元気でね!」

「おむかえでごんす」

「おむかえでごんす」

「じゃあ先生また・・・ほら伊丹、今日はつきあうから、な?」

「妹紅お姉ちゃん、エプシロン、慧音先生さようなら~」

「うう、ぐずん。太助ェ・・・がえるぞぉ・・・」

「ワカッタヨ トウチャン ジャア ビジンデ ヤサシイ ケイネセンセイ サヨウナラ マタ アシタ オゲンキデ」



そう言ってみんなはそれぞれの家に帰って行きました。



「まったく・・・何時まで経ってもあいつ等は変わらんな・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「どうしたの、エプシロン?」



若干暗い表情のエプシロンに妹紅はどうしたのかと尋ねる。



「いえ、もし僕が此処に来なかったら、きっといつかは孤児院の子達とさっきの慧音さん達みたいに笑いあえたのかなって。
 そう・・・・・・思うんですよ」

「エプシロン・・・・・・」

「ふむ・・・いい機会だ。エプシロン、こっちを向け」

「慧音さん何を・・・・・・!?」





















――――――ガシンッ!

――――――ズドムッ!!!!

――――――辺りに、地響きが、鳴る。




















(あ、頭が・・・回路が・・・!た、太助はこれをくらったのか・・・!?)

「・・・・・・いいかエプシロン?よく聞け」



慧音は悶絶するエプシロンに言う。



「お前はこうして新たな生を受けたんだ。そんな、もう終わったように言うんじゃない」

「慧音・・・さん・・・」

「今からまた始めればいいじゃないか。そしていつか、大きくなったあの子達とさっきの私達のように笑えばいいじゃないか」

「・・・・・・・・・・・・」

「迷惑でなければ、一緒にやっていこう。な、エプシロン」

「・・・・・・ありがとうございます」



そうエプシロンは慧音に礼を言う。



「・・・なんだか、告白みたいに聞こえるのは私の気のせいかな?」

「ちょ、妹紅!お前何を!」

「そうですよ妹紅さん。あまりからかわないであげてください」



妹紅の言葉に慧音が慌て、それをエプシロンがフォローする。



「そうだぞ!だいたい私が好きなのはおま・・・!?」

「・・・・・・え?」

「・・・・・・・・・・・・あ、いやその」

「・・・・・・・・・・・・う、うん」



二人の間に何故か気まずい空気が漂う。

どこか甘酸っぱい、そんな空気が。



「どうしたんですか?二人とも?」

「いや、まああれだ!何でもない!何でも!そうだ!今日はみんなでご飯を食べよう!な、妹紅お前もそうしろ!」

「え?そ、そうだね!そうするよ!ア、アハ、アハハハハハハ!」

「???」



そうして三人は家の中に入って行った。




















(――――――みんな。僕は今、幸せだよ)






































太助ェは犠牲になったのだ・・・この物語の犠牲にな・・・

あれだね。

妄想が暴走して独創的に独走してしまった結果がこれだよ!

というわけでエプシロンでした!

まあ、あれだ・・・すまん。

手が勝手に動いてな・・・こうなったんだ・・・

なんかさ、明るい話にしようって思ったわけだよ。

こう私元気でやってます!みたいな感じを書きたかったんだ。

それが・・・何がどうしてこうなった!

・・・すまんエプシロン。

せめて、明るく笑ってくれ・・・

それとどうでもいいことなんですが、太助の初恋の相手も慧音です。

好きな子には意地悪したくなる年頃なんですwwwそして血は争えないとwww

それではまた!



[21006] 地の底の格闘王
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 23:07






ふぅ・・・どうも荒井スミスです。

今回はあのナイスガイが出ます。

そしてどうも今回はテンション熱く書けました。

皆様が満足させられるかは分かりませんが、私はとりあえずこれでよしと思えるのが書けました。

それでは荒井スミス劇場の始まりです!

ゆっくりしていってね・・・






































幻想郷の地底の旧都。

その旧都ではある物が最近流行っていた。

格闘技を見世物とした祭りである。

しかしこれはずっと前からあった妖怪達の行う祭りであった。

それがここ最近になってその祭りが白熱して盛り上がったのだ。

それは何故か?

それは旧都にある者が来訪したのが始まりだった。

妖怪達が件の祭りを行っていた最中のことだった。

白熱して妖怪達はやんややんやと騒いでいると一人の男がフラッっと訪れた。

男もその祭りを一緒になって観戦していた。

そして祭りがそれなりに盛り上がった時にその男は言った。



「こんなもん格闘とは言えないな。なにより美しくねえ」



その言葉に妖怪達は怒った。

だったらお前がやってみろ。

俺達が相手をしてやると、そう言ったのだ。

男はしばし待つように言ってその場を離れる。

妖怪達は男が逃げたと思って冷やかした。

しばらくして――――――それは来た。

鋼の巨人。

まさしくその言葉そのとおりの存在がその場に現れた。

妖怪達は最初こその異様な風体に驚いたが、ただのこけおどしと判断して、その巨人に次々と挑んだ

そしてその結果――――――妖怪達のほとんどがあっというまに蹴散らされたのだ。

圧倒的だった。

力自慢の妖怪達が次々とその巨人に投げ飛ばされた。

そして何より――――――美しかった。

彼が繰り出す技の一つ一つが洗練され、完成された、まさに芸術と呼んでも過言ではないものだったのだ。

何時の間にか妖怪達は彼の戦いに魅せられて、その試合を興奮して目を釘付けにする。

そして遂に――――――鬼がその巨人に戦いを挑んだ。

その巨人と戦いたいという鬼の血、いや、全ての生き物にある原初の血が騒いだのだ。

あの巨人に勝ちたいと、魂が叫んだのだ。

妖怪達は息を呑んでその戦いに見入った。

それもそうだ。

鬼は笑っていた。

獰猛に恐ろしく、文字通り鬼のような笑みを浮かべて。

鬼が本気で戦う。

そんなものはもう何百年もなかったことだ。

鬼は巨人の前に対峙した。

そして――――――戦いが始まる。

鬼の力が巨人にぶつかる。

巨人はその力を正面から受け止める。

巨人の技が鬼にぶつかる。

鬼は自らの全力をもってこれをさばく。

何時の間にか妖怪達は誰もが黙り、その戦いに魅せられていた。

それはまさに神話の時代の戦いだった。

鬼という存在と巨人という存在が創り出す壮大な一つの物語だった。

誰もが目を奪われた。

繰り出されるその一瞬一瞬を見逃してなるかと食い入るように見た。

全員の魂が震えた。

ぶつかり合う純粋な力と力が生み出すその光景に皆が酔いしれた。

そしてついに――――――決着がつく。

勝利したのは――――――巨人だった。

そして巨人は腕を振り上げ咆哮し、自らの勝利を示す。

その瞬間、爆発のような歓声が起こった。

皆が感動した。

このような素晴しい戦いを目撃出来たことを。

皆が感謝した。

このような美しい戦いを教えてくれた巨人に。

鬼は笑いながら巨人の勝利を称える。

そして鬼は言った――――――お前の名前は何だと。

それに巨人は快く答えた。

その巨人は――――――ブランドと名乗った。






































あれから定期的に試合が行われるようになった。

ブランドはその全てに勝ち、いつしか格闘王と呼ばれるようになった。

そして試合が終わり、ブランドは一人座って休んでいた。

そのブランドに一人の女性が近づく。



「また見事な試合だったね、ブランド」



かつて山の四天王と呼ばれた鬼の一人。

星熊 勇儀その人だった。



「いやぁ・・・近頃は相当ガタがきててな・・・試合後はこうしてしばらく動けないこともある」

「ハッハッハッ!またまた。しかし今こうしても不思議だね。鬼の私が全力でぶつかって戦ったってのに、負けるなんてね。
 この巨人の体で戦うとはいえ、とてつもなく強いのはどうしてなんだい?」



あの時、戦い敗れた勇儀は不思議そうに言った。



「試合なんてのは、経験の蓄積でなんとかなる。――――――あとは運だ。俺はラッキーマンだからな」

「ハッハッハッハッ!なるほどね!たしかにそのとおりだ!」



ブランドのその答えに、勇儀は笑って満足そうに頷く。



「あんたには感謝してるよブランド。あんたのおかげで、久しぶりに全力で楽しく戦うことが出来たよ。
 おおそうだ!今度私の友人と戦ってくれないかい?あいつもたぶんあんたのことを知ったら戦いたがると思うんだ」

「おいおい勘弁してくれよ。このスーツは一応戦闘用で頑丈に出来ちゃいるがな。整備だってキチンとしないと思い通り動かないんだぞ?
 そんで一番消耗するのはあんたとの試合なんだ。あんたのその友人も鬼なんだろう?これ以上はいくらなんでもきつ過ぎる。
 俺も簡易のメンテナンスでなんとかしてるが、これ以上するとなると本格的なメンテナンスをしなくちゃならん。
 此処の設備じゃそんなこと出来ないからな。これ以上やって壊れるのはさすがに勘弁なんだが?」

「なるほどね・・・だったら河童にでも頼むか。あいつ等は機械に強いから、あんたの整備もしてくれると思うよ?」

「そうか・・・だったら頼めるか?」

「お安い御用!そのかわり・・・」

「さっきの話だろう?喜んで受けるさ」

「よし決まりだ!ブランド!嘘なんか吐くんじゃないよ」

「嘘なんか吐くかよ――――――なんたって、俺は格闘王だからな」







































ブランドは勇儀に連れられて酒屋に共に行く。

今日はブランドの十連続王者防衛成功を記念しての宴会だった。



「お!格闘王のご登場だよ!」

「・・・・・・・・・・・・あ」

「王者防衛・・・妬ましい・・・その強さが妬ましい・・・」

「やっと来ましたか・・・少々遅かったのでは?」

「おお、オジサン!ほらお空、こいし様、オジサン来ましたよ!」

「うにゅ?あ~来た来た~!」

「待ちきれなくて、もうどっか行こうかなって考えてた所だったよ!」



待っていたのは黒谷 ヤマメ、キスメ、水橋 パルスィ、古明地 さとり、火焔猫 燐、霊烏路 空、古明地 こいしの面々だった。



「いやすまないなみんな。これでも急いだ方なんだが・・・」

「あ~あ、こんなんだったら担いででも来た方がよかったかね?」

「あれはもう勘弁してくれよ・・・」



情けなくそう言うブランドに皆が愉快そうに笑う。



「それじゃさっそくだが乾杯といこうか・・・いくぞみんな!」

「「「「「「「「カンパーイ!」」」」」」」」






































「つまりだ!やっぱり俺の女房のミネが真の最強ってわけだ!」

「アッハッハッハッハッ!たしかにそのとおりだ!」

「家族の自慢話・・・妬ましい・・・妬ましいわ・・・」

「おう!褒めてくれてありがとうよパルシィ!」

「別に褒めてるわけじゃ・・・はぁ、そのプラス思考が妬ましい・・・」



酒も進み、みんなは大いに盛り上がっていた。



「まったくこんな美人と飲めるなんて、俺は幸せもんだぜ!」

「あんまりはしゃぐようなら、トラウマで奥さんでも出しましょうか?」

「お、おい!頼む!それだけは勘弁してくれ!な?な?このとおりだ!」



ブランドはさとりに拝むようにして勘弁してくれと懇願する。

格闘王も女房には敵わないらしい。



「オジサンにそこまで言わせるなんて、その奥さん本当に強いんだね」

「見てみたいな・・・お姉ちゃん!やってやって!」

「っておいこいし!頼むから!後生だから!な?な?」

「うふふふ、どうしようかな~♪」



大の大人が子供に頭を下げるその光景は実に情け無く、笑えるものだった。

それがあの無敵の格闘王がするのだからさらに笑いが起こる。



「ブランドさん。出されるのが嫌なら野菜も食べなさい。奥さんにも言われたでしょう?」

「う、で、でもな・・・」

「野菜と奥さん・・・どっちがいいですか?」

「野菜は健康に一番!そうだろみんな!さあ!俺に野菜を!」

「だったらこのピーマンあげるよブランド」

「お空。あなたも好き嫌いはしないように」

「うにゅ~~~~~~」



宴会はこうして大いに盛り上がった。






































「それにしても、あんたが人間に造られたなんてまだ信じられないね・・・」



宴会も少し休憩になった頃、勇儀そうしみじみとブランドに言った。



「そんなに不思議か?」

「そりゃね。あんたぐらいの強さの奴はどれくらいいたんだい?」

「俺を含めて七人・・・いや、八人はいたな」

「ほうそんなに!だったらそいつ等もいつか此処に来るかな?」

「どうだろうな・・・まあ、来るとしても七人ぐらいかな?」

「会いたい人はいるんですか?」



さとりがブランドにそう言った。



「そうだな・・・二人、かな?どっちも俺の親友だ」

「あなたが此処に来たのなら、いつかその方達も来るでしょう」

「だと、いいがな」



苦笑混じりにブランドは言う。



「此処は本当にいい所だ・・・こんなに毎日お祭りみたいに騒いで。家族のことを思い出すな・・・」

「・・・ブランド」

「・・・ブランドさん」



皆は寂しそうに語るブランドに、どう言ってあげたらいいか分からなかった。



「・・・・・・あ、いやすまないなみんな!宴会で湿っぽい話なんかするもんじゃないな。ハハハハ!それに・・・」



ブランドはそう言って笑って返事をした後、近くにいたキスメの頭を優しく撫でる。



「・・・・・・・・・・・・へへ」

「ふふふ、よかったねキスメ」



キスメも満足そうに笑う。

ヤマメもそれを見てつられて笑う。



「今はみんながいるからな。寂しくなんかないさ」



そうブランドは笑顔で答える。



「そう!そのとおりさ!此処で寂しいなんてことは滅多にないからね!大いに盛り上がろうじゃないか!」

「ありがとうな、勇儀」

「いいってことよ!ま、私はいつかあんたに勝たせてもらうからね!それを楽しみにしてなよブランド」

「悪いが・・・まだお前に負けるわけにはいかないな」

「ほう・・・そりゃどういう意味だい?」



ブランドの意味あり気な発言に勇儀はどういう意味かと尋ねる。



「まだ決着が付いてない奴がいるのさ・・・そいつと白黒はっきりさせるまで、俺は負けられないのさ」

「ふうん・・・でも必ず会えるとは限らないだろう?」

「会えるさ。俺はラッキーマンだ。勝ち続けて運を掴み取っていけば、あいつに会える。そう思うんだ」




















(――――――そうだろう、ヘラクレス)




















その宴会は夜深くまで続く、大変賑やかなものとなった。








































というわけで格闘王ブランドでした!

一応戦闘描写っぽいのは書きましたが如何だったでしょうか?

それと地霊殿メンバーは一応全員出してみましたが・・・どうだったかな?

あの子の出番が少ないと不満もあるかと思いましたが私にはこれで限界でして・・・許して下さい!申し訳ない!

ブランド酒が飲めるのか?疑問に思った方。

・・・・・・飲めるんじゃね?野菜も食べるんだし?

戦争の時のスーツを用意したのも彼に全力を出して戦ってほしいと思い出しました。

さて、残るメンバーもあと少しですね。

次はあの人です。

ブランドの次は・・・お分かりですね?

それでは電波受信度マックスで頑張っていきたい思います!

それでは!



[21006] 軍神と闘神
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 23:27




どうも荒井です。

スミスです。

今回は予告通りあの方です。

そしてまたギャグに走りました。

キャラが崩壊しました。

・・・すみません。

あ、そうだ一つお願いが。

一度音読して読んで見て下さい。

そしたらまた違った面白さになるかなと思いまして。

まあ、出来たらでいいので。

それでは荒井スミス劇場の始まりです。

ゆっくりしていってね・・・






































妖怪の山に佇む守屋神社。

その日の始まりは、女性の悲鳴から始まった。



「キャァァァァァァァァァァァァァァァッ♪♪」



・・・・・・何処か、違和感のある叫びから。







































「どうしたんだい早苗ッ!」

「本当にどうしたの?何か若干黄色い悲鳴が聞こえたんだけど?」



早苗の悲鳴を聞いて駆けつけた二柱の神。

八坂 神奈子と洩矢 諏訪子は自分の風祝に一体どうしたと聞く。



「神奈子様ッ!諏訪子様ッ!これです!これ見て下さい!」



そう言って早苗の指差す方向を見る。

そこにあったのは――――――大きなロボットだった。



「何で・・・家の境内にこんなロボットが・・・?」

「あー・・・うー・・・私に聞かないでよ」



二柱の神は口をあんぐり開けている。

早苗はロボットの周りをキャーキャー言いながら嬉しそうに回る。



「凄いですね!カッコいいですね!これってやっぱり戦闘用ロボットでしょうか!そうですよね!こんなにカッコいいならきっとそうです!
 ハッ!そうだ!コックピット!コックピットは何処ですか!ジェットっぽいのがあるってことは飛べるんですね!
 神奈子様ッ!諏訪子様ッ!私これ欲しいです!拾ってもいいですよね!?
 いえ、家の境内にあるんだからもうこれは私達の物も同然ですね!ああ、これに乗れば信仰ももっと集まるかもしれません!
 パイロットは勿論私です!こればっかりは神奈子様にも諏訪子様にも譲れませんからね!」



早苗はそう目をキラキラ輝かせて言った。



「あー早苗・・・目をキラキラさせてるところ悪いが・・・」

「それ・・・たぶん、そこに倒れてる人のだよ・・・」

「・・・・・・・・・え?」



神奈子と諏訪子に言われた方を見る。

そこには、筋骨隆々のたくましい外人さんが倒れていた。







































「ああ・・・つまりあんたはロボットで、あれはあんたの戦闘用の体なんだね?」

「そして敵と戦って倒されて、気が付いたら此処にいたと?」

「・・・・・・そうなるな」



神奈子と諏訪子は目の前の人物、ヘラクレスからの説明でそう結論付ける。



「そして此処は忘れ去られた者達が辿り着く幻想郷で、人間以外の知的生命体がいるんだな?」

「いや、知的生命体って私等のこと?一応神様なんだけど?」

「あーうー、なんか宇宙人とか未知の生命体みたいな風に聞こえるんだけど?」

「俺からすれば似たようなもんなんだが・・・」



そう答えるヘラクレスに二柱はショボンとなる。



(忘れ去られた、か。まあ、そんなもんだろうな)



ロボットと違い人間は忘れていく。

自分という存在も、あの戦いも、きっと忘れられたのだろうと考える。



(分かってはいたことだが・・・いざそうなると、寂しいもんだな)



戦うための存在の自分が寂しいと感じるなんて。

ヘラクレスはそう考え自嘲気味に笑う。



「そんなことよりもです!ヘラクレスさん!お聞きしたいことがあるんです!」

「ちょ、早苗!?そんなことって!?結構大事なことよこれ!?」

「あーうー・・・こうなってはもう、誰にも止められないのよね・・・」



二柱が落ち込む理由をバッサリ切り捨てて早苗はヘラクレスに質問する。

早苗の謎の迫力に、さすがのヘラクレスも引くしかなかった。



「な、なんだ?お嬢さん?」



そして、早苗は言った。




















「あれって――――――――――――――――――ドリルとか出るんですか!?」

「――――――――――――――――――――――――――――――は?」




















ヘラクレスは一瞬、早苗が何を言ってるのか分からなかった。

故障でもしたのかと自己検査もしてみたが、異常は無かった。



「だからドリルですよドリル!ドリルはロマンじゃないですか!それとロケットパンチ!これも外せませんね!
 ロケットパンチは芸術ですからね!ミサイルも捨てられませんね・・・追尾型なら、なお良しです!
 目からビームもいいですね!憧れますね!夢ですね!それからそれから」

「お、おいお嬢さん!?」

「そうだ!変形合体はしないんですか!?飛行機型とか戦車型とか潜水艦型とかにはなれるんですか!?
 合体する時は何体くらいですか!?三体ですか!?五体ですか!?三体なら三つの形態にすぐに変形出来る!
 そして五体ならヒーローが乗り込んで巨大ロボになって、巨大怪獣に巨大怪人に巨大ロボと戦うんですね!
 どうなんですか!?教えて下さいヘラクレスさん!」



目をギラギラと輝かせて、早苗は迫るようにヘラクレスに次々質問した。

そして――――――ヘラクレスは、正直に答えてしまった。




















「お嬢さん・・・俺は確かに戦闘用に造られたが・・・戦い方は主に格闘戦なんだが・・・」

「――――――――――――――――――――――――――――――へ?」




















今度は早苗が何を言われているのか分からなかった。



「だから・・・さっきお嬢さんが言ったようなビックリドッキリメカは・・・付いてないんだ」

「なん・・・ですって・・・!」



早苗に電流が走る!

早苗は体をブルブル震わせて、おののき、後ずさる。



「ドリルは、無いんですか?」

「ああ、無い」

「ロケットパンチも?」

「飛ばない」

「ミサイルは?」

「出ない」

「ビームは?目からビームは!?」

「出るわけがない」

「変形は!?」

「しない」

「合体は!?」

「一応、俺と合体はするが・・・お嬢さんの言ったようなのは―――無い。そもそも、一体しか無かったろ?」



まるで次々と希望を目の前でへし折られるのを見るような顔をして、早苗は両手を地面につき、絶望する。



「そんな・・・そんな酷いことってありますか!?
 ドリルも無い!ロケットパンチも無い!ミサイルも無い!目からビームも出ない!
 変形もしない!合体もしない!・・・それでもあなた本当にロボットですか!?」

「いや・・・そんなこと・・・言われても・・・」

「早苗・・・あんた・・・」

「あー・・・うー・・・」



早苗のあまりの言い分に、ヘラクレスはどうすればいいか分からなかった。

神奈子は、早苗を気の毒そうに、そして可哀そうな者を見るように見て、諏訪子は若干凹んでるヘラクレスを、悲しそうに見た。



「あなたなんか・・・あなたなんかロボットじゃないですッ!ウワアアアアァァァァァァァァァァァァァ・・・・・」



早苗はそう言い捨てて、泣いて部屋を出て行った。

部屋にはどうすればいいのか分からず、ポツンと立つ神奈子と諏訪子。

そして両手をついて、訳も分からず落ち込むヘラクレスが残された。



「俺が一体・・・何をした・・・?」

「あー・・・・・・うー・・・・・・」







































ヘラクレスは守屋神社に留まることになった。

早苗の言動があまりに失礼だったので、その謝罪という意味でだそうだ。

早苗は何度も何度も頭を下げて謝った。

ヘラクレスは気にしてないと早苗を許した。

もしかしたらあの時なら泣くことが出来たんじゃないかと思うが、その考えはすぐに消した。

ヘラクレスはメンテナンス出来る技師はいないかと聞いて、神奈子が河童がいいだろうと言い呼び出すことに。

河童は喜んでマッハで来た。

天狗も何故かマッハで来た。

犬はマッハで連れて来られた。

厄神はクルクル来て、心配そうに見た。

秋は無視された。



「あややややや、それにしても随分とまあ、立派な御姿ですね~」

「闘神の名に相応しいだろう?・・・どうだ調子の方は?」

「・・・・・・うん!これで大丈夫だと思うよ?」



河城 にとりは満足そうに答える。



「それにしてもにとりさん。よく整備が出来ましたね?」

「最近設備が物凄く良くなったんだ!幻想入りした機械でね。そのどれもこれもが驚く程凄いテクノロジーで出来た代物だったんだ。
 それのおかげもあってか、整備は軽く済んだよ」

「はぁ、最近またなんか怪しい笑いが聞こえたと思ったら、やっぱりそういう理由だったのね・・・」

「ふふ、楽しそうだったものねにとり」



早苗の質問をにとりがそう答えたのを聞いて、犬走 椛は呆れ、鍵山 雛はそれを見て楽しそうにクルクル回りながら笑う。



「それじゃ・・・いくぞ」



ヘラクレスの頭部と心臓が、闘神の体に捧げられる。

そして――――――闘神の目に光が宿る。



「お前達・・・少し下がっていろ・・・」



そう言われ皆は彼から離れる。

それを確認したヘラクレスはジェットを噴射して空を飛ぶ。

そして鋼の拳を振り、思いのままに動くか確かめる。

ヴォン―――ヴァッ―――ヴォッ―――

拳を振り抜く度に巨腕は旋風を巻き起こし、空気を切り裂いた。



「あややや・・・これはまた本当に・・・」

「凄い・・・ですね・・・」

「にとりもよくあれの整備が出来たわね・・・」



文、椛、雛の三人はただただ驚き巨人を見る。



「どうヘラクレス?調子の方は?」

「良いぞ、完璧だ。前の戦争の頃を思い出す。驚いたぞにとり」

「へへへ、どういたしまして♪」



ヘラクレスの答えに満足そうに頷くにとり。



「・・・ヘラクレス、あんた戦争に行ってたのか?」



神奈子は意味深な表情でヘラクレスに問い質す。



「そうだが・・・何故そんなことを?」

「まあ、私が軍神だから・・・かね?」

「・・・・・・ほう?」



神奈子の答えに、ヘラクレスは興味深そうに答える。



「そこで一つ提案なんだが・・・どうだろう?私と一つ勝負してみないかい?お互い本気で、ね」

「ちょっと、神奈子様!?それはいくらなんでも!?」

「あーあ、悪い癖が出ちゃったか」



神奈子の提案に早苗は驚き、諏訪子は呆れた。



「・・・いいのか?そんなことをして?」

「安心しな、これでも神様でね。腕には自身はあるよ・・・闘神ヘラクレス」

「・・・なるほどな。いいだろう、相手になろう・・・軍神八坂 神奈子」



二人は言うや否や湖の方に飛んでいく。

湖の上空で軍神と闘神は対峙し睨み合う



「・・・さあ、ここなら邪魔は入らないよ」

「・・・そうか・・・ならば」



両者が同時に構える。




















「――――――行くぞ、軍神!」

「――――――来い、闘神!」



軍神と闘神の――――――二人だけの戦争が始まる。





















「ハアアアアアアアアアアアアアッ!」





開始早々に、神奈子は巨大な竜巻をいくつも創り出し、それを全てヘラクレス目掛けて解き放つ。



「・・・・・・なめるなぁッ!」



迫り来る竜巻のアギトを、ヘラクレスは真っ向から挑みその豪腕でかき消す。

今度はヘラクレスが神奈子に迫り、その鉄槌を振るう。



「ズァァァァァァァァッ!」

「クッ!グァァッ!」



神奈子は御柱を盾になんとか防いだが、勢いを殺せずに湖に叩き込まれる。

そして巨大な水柱が立ったと思った瞬間、水柱は爆発して消し飛び、中から暴風を纏った神奈子が現れた。



「ハハハハハハハハ!いいぞヘラクレス!お前は最高だ!こんなに楽しいと感じたのは、諏訪子との戦い以来だよ!」

「ふ・・・そいつは光栄だな」

「ならば・・・これは・・・ドウダァァァァ!」



突如多くの巨大な御柱が上空に現れた途端、その全てがヘラクレスに襲い掛かる。



「こんなものォォォォォォォォッ!」



ヘラクレスは次々襲い掛かるその御柱を神速の速さで破壊し粉砕していく――――――だが。



「だが――――――まだまだァァァァァァッ!」

「ぬぅ!?グハァァァァァァァッ!」



神奈子の第二射に対応できず、今度はヘラクレスが吹き飛ばされる。

空中で体制を立て直し、ヘラクレスはすぐさま戦闘態勢に入る。



「やるな軍神・・・確かにお前は強い。だが・・・」

「お前もな闘神・・・しかし残念だが・・・」



お互いがそれぞれ必殺の構えに入る。

これで決着を付けるつもりのようだ。

――――――そして。




















「「勝つのは―――俺/私だッ」」



その必殺が――――――ぶつかり合う。





















「・・・・・・うん?私、は」



神奈子が目を覚ます。

全身に痛みが走る。



「お疲れ様、神奈子」

「・・・・・・私は負けたんだな、諏訪子」

「そりゃもう見事にね」

「そうかい・・・だったらいいかな、うん」



神奈子は満足そうに笑う。



「神奈子様・・・」

「早苗、ちゃんと見てたかい?」

「この目で、しかと」

「なら覚えておきな。あれが――――――神様の本気の、全力の戦いなんだよ」

「――――――はい」



早苗はしっかりとした返事を神奈子に返した。



「それで――――――ヘラクレスは?」

「あそこだよ」



神奈子は諏訪子に言われた方を見る。

そこにいたのは、湖に突き立った御柱の上で、夕日を背にお馴染みの闘神のポーズを取る、ヘラクレスの勝利の姿があった。



「ああ、畜生・・・カッコいいね、まったく」







































その戦いはすぐに射命丸 文の文々。新聞に掲載されて広まった。

その時の文々。新聞は全て完売して、もう一度、しかも今度は二倍に刷ってそれも全て完売となった。



「いやもう本当にありがとうございます!次の戦いも是非文々。新聞にご協力下さい!」

「観客は多い方が盛り上がる。好きにすればいい。だが同じ相手ではあまり盛り上がらないだろ?」

「大丈夫です!そう言うと思って次の相手を探しておきました。なんと地底の方で鬼を負かしてしまう鋼の巨人がいるんですよ!
 あ、これがその写真です」



ヘラクレスは文からその写真を受け取り見て驚き、最高の笑顔を浮かべる。

そしてすぐさま何処かへ向かおうとする。

神奈子達は何事かと驚く。

そんなみんなに、ヘラクレスは笑顔を浮かべて言った。



「最高の戦いを見せてやる――――――ついて来い!」








































「格闘王ブランドの連勝は止まらない!誰かこいつに挑戦しようって奴はいないのか!?」



地の底の都で、今日もまたブランドの勝利が進む。

誰かこの巨人に勝てる者はいないのか?誰もがそう思っていたその時。

何処からともなく、雷のような勢いで乱入するものがいた。

現れたのはもう一人の鋼の巨人。

誰もがその登場に息を呑んだ。

二人の巨人はただ黙って構える。

それが当たり前、当然だと言うように。




















「――――――いくぞ、ブランドォォォォォッ!」

「――――――いくぜ、ヘラクレスゥゥゥゥッ!」




















勝つのは――――――俺だッ!







































今回は闘神ヘラクレスでした!

今回私は戦闘シーンに力を入れてみたけど・・・どうだったかな?

二人の戦いを幻視出来たでしょうか?出来たら嬉しいです。

神さびた古戦場を聞きながらだとなお良いかも知れません。

そして前半の早苗さん無双は、まあ、あれですよ。

常識に囚われないで書きました!

今回も一応風神録のキャラクターは“みんな”出してみました。

・・・俺達の秋はどうしたって?・・・・・・はて、秋?何のこと?

なんか気が付けば、凄く長くなってたな本当。

さて!次はいよいよあの人の登場です。

皆様大変お待たせしましたね。

全力全壊で書いてみたいと思います。

いつかは・・・分かりませんが・・・

私の更新スピードってどんなもんでしょうか?

是非とも感想のほう、よろしくお願いします!

それでは!



[21006] ロボットのおまわりさん
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 23:39






ふう・・・荒井スミスです。

ついに今回はあの人が出ます。

長らくお待たせいたしました。

完成して今胸がいっぱいになっています。

それではさっそく始めましょう。

荒井スミス劇場・・・開幕!

ゆっくりしていってね・・・





































その日、人里で一つの事件が起こった。

外来人の男が子供を攫って、一軒の空き家に立て篭もるというものだった。

麻薬の常習犯だったらしく、薬が切れて興奮状態になっていた。



「人を近づけすぎだ!男を刺激するな!」

「家の子!家の子を助けてください慧音先生!」

「二人とも冷静になるんだ!ここは我々に任せるんだ!」



そう言う慧音も、あまり冷静とは言えない状態であった。



(エプシロンのメンテナンスの最中にこんなことになるとは!いや、いたとしてもあいつの力はこういう状況では強すぎるか。
 そもそも私が未然に防ぐことが出来ていれば・・・クソッ!)



自分のいたらなさに、慧音は心の中で悪態を吐く。



「太助に何かあったら・・・・・・!」

「お願い、太助を助けて!」

「ここから先は危険だ!」

「太助ーーーー!」



人々は混乱し、最悪の状況すら考えられた。

だがその時――――――男が一人、彼等の前に現れた。






















「是非曲直庁、警備部隊所属のゲジヒトです。――――――状況は?」



















ゲジヒトはこの状況に一番詳しく、かつ冷静な対応が出来そうな上白沢 慧音に状況の確認を求めた。



「あなたは警備隊の?・・・犯人は交渉に応じる様子はない。どうも薬が切れて興奮してるようだ。
 此処に立て篭もる前に二人程軽症を負わせられた」

「携行している武装は?」

「包丁一本だが、油断は出来ん。この空き家に立て篭もっている」

「分かりました。此処で他の警備部隊の者と一緒に、他の人達に落ち着くように言ってください」

「・・・・・・頼む」



ゲジヒトはゆっくりと空き家の中に入っていく。



「大人しくしてろ、ガキ!」

「ウエッウエッ!」



犯人が子供に刃物を押し付けて怒鳴って脅す。



「ウエエエエエ!」

「暴れるな、コラ!」

「武器を捨てろ!」



ゲジヒトは左腕に内臓された電磁波銃を構え、警告する。



「く・・・・・・来るな!」

「ウエエエエン!」

「武器を捨てて投降しろ」

「こいつ刺すぞ!本当に刺すぞ!」

「ギャアアアア!」



ゲジヒトは静かに子供に話しかける。



「太助・・・・・・だね?」

「アウ・・・・・・」



ゲジヒトの声を聞き、子供は大人しくなる。



「おじさんはロボットのおまわりさんだ。この電磁波銃は絶対に君に当たらずに、犯人にだけ当てることが出来る」

「何だと、コラァ!」

「ギャアアアア!」

「ただし・・・・・・!」

「!!」



ゲジヒトの迫力に、今度は犯人が黙る。



「君が動くと、君に当たってしまうかもしれない。犯人は痺れて倒れるだけだけど、子供には電磁波が強すぎるんだ。
 だから絶対に動かずに、大人しくしていてほしい」

「ア・・・アア・・・アウアウ!」

「大丈夫。勇気を持って・・・」

「アアアア!」

「太助!」

「アアアア!」

「――――――太助ッ!」

「!!」



ゲジヒトの一喝に子供は黙り、大人しくなる。



「一番大好きな人のことを考えるんだ。そうすれば勇気がわく」

「一番・・・好きな人・・・?」

「そうだ。考えてごらん」

「そこから消えうせねえと、このガキぶっ殺す!」



犯人が子供に包丁を突き付ける。



「母ちゃん・・・父ちゃん・・・慧音先生・・・」

「そうだ」



自分の好きな人を思い浮かべ子供はその名前を言い始める。



「母ちゃん・・・慧音先生・・・父ちゃん・・・母ちゃん・・・慧音先生・・・父ちゃん・・・」

「そうだ強い子だ、太助」

「母ちゃん・・・慧音先生・・・父ちゃ・・・母ちゃん・・・慧音先生・・・母ちゃん・・・慧音先生・・・」

「ウオオオオオ!」



――――――ヴォンッ!

犯人が行動を起こす前に、ゲジヒトの電磁波銃の光が放たれる。

電磁波が当たり、ゲジヒトは投げ出された子供をキャッチする。

犯人はその場に倒れ、気絶してしまった。



「身柄確保!・・・偉かったぞ、太助」

「太助!太助ーーー!」



子供の両親と慧音が駆け寄り、両親は我が子を抱き締める。



「おお、太助!」

「無事だったのね太助ーーー!」

「があぢゃーーーん!げいねぜんぜーーーい!」

「あれ、太助?父ちゃんは?」

「があぢゃーーーん!げいねぜんぜーーーい!」

「だから太助?父ちゃんは?あれぇぇぇぇぇ?」

「があぢゃーーーん!げいねぜんぜーーーい!」

「だからぁぁぁぁぁぁぁ!父ちゃんはぁぁぁぁぁぁぁ!?」



一部の者は、子供の無事に涙を流して、一部の者は、自分が呼ばれなかったことに涙した。



「ゲジヒト殿、本当にありがとう」

「私は自分の任務を全うしただけです」



慧音はそうゲジヒトに感謝の言葉を述べ、ゲジヒトは謙虚に返事をする。



「はいはい通りますよ」



そんな二人に近づく者がいた。



「犯人は無事に取り押さえたみたいね、ゲジヒト」

「そちらも問題は無かったようだな、小兎姫」

「もちろん。はいそれじゃ――――――」



小兎姫は手錠を取り出し犯人にガチャリと掛ける。



「みなさ~ん逮捕しましたよ~」

(((((((・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええ?)))))))



能天気な声でそう告げる小兎姫の言葉に、その場にいた者全員の心が一つになり、緊迫した空気が霧散された。






































「オッス、ゲジヒト!休憩中かい?」



彼岸の閻魔の裁判所。

その休憩室で休み、文々。新聞を読むゲジヒトに元気な声で小野塚 小町は挨拶をした。



「小町か。今新聞を見ていたとこなんだ」

「んん?どれどれ?」



小町はゲジヒトから新聞を受け取る。



「え~どれどれ?ロボット刑事子供を無傷で助け出す。おお!やるねゲジヒト!
 他には・・・花の妖怪についに春が!お相手はチューリップ畑を作るロボットの青年!・・・ホントかねぇ?
 森の巨人、災害を未然に防ぎ里に貢献。今年の収穫は大いに期待!収穫祭が楽しみ、か。・・・なるほど。
 紅魔館の無口な執事のそのコンサートに皆涙する!・・・ううむ聞いてみたいね。
 寺子屋の新しい美形先生人気爆発!奥様方もうメロメロ!・・・どんな奴かね。
 格闘王と闘神、三度目のノーコンテスト!鋼の巨人達に決着は着くのか!か~ッ!今度こそ見てみたいね!」

「ところで小町。君の休憩はまだ先じゃなかったかな?」

「死神が精一杯働くなんて縁起でもないだろ?いいじゃないか」

「サボりは感心しないな」

「そう言うあんたは少しサボるのを覚えちゃどうだい?寿命の管理の仕事に裁判の書記。おまけに警備部隊の仕事までやるなんてさ。
 あたいにしてみればまさに地獄だね。息抜きは大切だよ?」

「・・・昔、私の開発者のホフマン博士が言っていたことなんだが。
 我々ロボットの語源のチェコ語のロボタは労働から来ている。労働する存在のロボットがサボるという感情を持つ。
 それは驚異的な進化じゃないか・・・そんな話をしてね」

「ははは、変な話だね。だったらほら、今すぐサボって進化するばいいじゃないか」

「そういうあなたは働いて進化してください小町」



そこには何時の間にか二人の上司。

四季 映姫・ヤマザナドゥがいた。



「ウオ!いつからそこに!」

「あなたが新聞を読んでるところからです」

「ほとんど最初からじゃないですか・・・ゲジヒト、どうして言ってくれなかったんだい?」

「小町は説教が好きだろう?」

「そんなことないやい!」



からかうゲジヒトにブーブー文句を小町は言って面白くなさそうに拗ねる。



「まったく。ゲジヒトを見習いなさい小町。どうしてあれぐらい働けないんですか?」

「いや!無理ですよ!どうやって四季様以上に働くゲジヒトと同じように働けっていうんですか!?」

「そんなことはありません。彼は仕事を溜め込まずにしているだけです。それで余った時間を使って他の仕事も手伝っているのです。
 本当に助かります。彼の仕事は正確で早いので、ここ最近は私も結構楽が出来るようになりました。
 それなのに小町。先輩のあなたがどうしてそれが出来ないんですか?彼と同じように働けとは言いません。
 ですが真面目に働いて少しでも私を楽させようとする心ぐらいあってもいいんじゃないですか?
 彼の十分の一、いえ百分の一でも働けばいいのです。そうすれば私も少しのサボりくらいは目を瞑りましょう。
 しかしあなたの場合はあまりに・・・・・・」

「ええと四季様そのですねそれは(ゲジヒト!何とかしておくれよ!)」

(・・・・・・はぁ、しょうがない)



ゲジヒトは死神の船頭に助け舟を出すことにした。



「まあ四季様。そこは私が彼女も分も頑張りますから、それくらいに・・・」

「あなたは小町を甘やかし過ぎでは?小町いいですか?あなたもこういうことを言えるぐらいの心を持ちなさい。
 今回は彼に免じてここまでにしておきますが」

「ありがとうございます四季様。ありがとうよゲジヒト」

「いいさ。ただし頑張るんだぞ小町?」

「一応先輩なんだけどね、あたい」

「はははは、だったらなおさら頑張れよ」



ゲジヒトはいじける自分の先輩を笑って励ます。



「しかしコンサートに格闘の試合ですか。・・・少し興味がありますね」

「そ、そうですよね!そうだ!もし時間が出来たら“みんな”で行ってみませんか?」

「“みんな”で、ですか?」

「そうそうあたいと四季様とゲジヒト。それとゲジヒトが住んでる命蓮寺の人達と一緒に。きっと楽しいですよ。
 なんだったら試合の審判でもしてみればどうです?四季様の能力で今度こそ白黒はっきりつけるんですよ」

「まったくあなたは・・・しかし・・・でも・・・うーん・・・でもな・・・やっぱり駄目ですよ小町。
 こういうのは本人達が決めることですから」

「・・・それもそうですね」



ちょっとやってみたいな、なんて考えた小さな閻魔様はそう小町に言った。



「それじゃゲジヒトの今度の休みに合わせて、スケジュール調整でもしますか」

「やった!ありがとう四季様!大好きですよ!」



そう言って小町は四季をその大きな胸で抱き締める。



「ちょ、止めなさい小町!ゲジヒトが見てるでしょう!・・・ゲジヒト?何で笑って見てるんですか!?見てないで助けなさい!」

「すみません。仲の良い姉妹か、親子に見えたのでつい・・・・・・く、くくくく」

「聞こえましたよ!今はっきり笑いましたよね!そうですよね!っていうか姉妹はともかく親子って何ですか!親子って!」

「小町、私はそろそろ仕事を上がるよ」

「そっか。それじゃ休暇を楽しんできなよゲジヒト。そんで次の休みは“みんな”で遊びに行こう」

「分かったよ。それじゃ」

「それじゃあねゲジヒト」



そうしてゲジヒトは我が家へ帰って行った。



「ゲジヒト!ちょっとま・・・行ってしまった」

「・・・・・・嫌ですか四季様?」

「嫌じゃ・・・ないですけど。でも人前でいきなりすることは、ないでしょう?」

「・・・・・・ああ、もう!可愛いな、コンチクショー!」

「だからやめ、止めなさい!止めなさいって言ってるでしょう!」



その場には、顔を赤くした小さい上司を抱き締め、ほおずりする死神が残されたそうな。






































ゲジヒトは今の我が家でもある命蓮寺に帰ってきた。

その玄関の前で立つ影があった。



「お帰りゲジヒト。早かったね」

「ありがとうナズーリン。わざわざ待っててくれて」

「ただの気紛れさ。まあ、君には感謝もしてる。ご主人のドジを未然に防いでくれるのは助かってるからね。そのちょっとした礼かな?」

「“みんな”はどうしてる?」

「いつもどおり元気さ。さ、“みんな”待ってる。行こう」



二人は部屋の奥に進む。



「あ!お帰りなさいゲジヒト」

「雲山、ゲジヒト帰ってきたよ」

「・・・・・・・・・・・・」

「今日はカレーだよゲジヒト。もう少し待っててね」

「今日は早かったのですね、ゲジヒト」

「今日も、が正しいのでしょうね。お帰りなさいゲジヒト」

「いつもいつもお早いお帰りね。まあ、こんなに美人が揃ってるなら、そうしたくもなるかしら?」



多々良 小傘、雲居 一輪、雲山、村紗 水蜜、寅丸 星、聖白 蓮、封獣 ぬえのメンバーがゲジヒトを笑顔で迎えた。



「あのねゲジヒト!今日は三人も驚かせたんだよ!凄いでしょう!ぬえに手伝ってもらったんだ」

「ふふん、私が手伝ったんだから当然でしょう」

「ふふふ、よかったわね二人とも」



嬉しそうに笑う小傘と、胸を張って笑うぬえを、聖は二人の母のような笑みを浮かべて笑って見る。



「・・・・・・・・・・・・」

「雲山がまた後で将棋しようだって」

「ああ、分かった」



雲山は今度こそ勝つといった顔でゲジヒトを見て、ゲジヒトも笑いながら答える。



「村紗、お腹が空きました」

「もうちょっとだから待っててね星」



のんきに空腹を訴える星と待つように言う村紗。

本当に此処はいい所だ。

何故なら――――――




















「ああ、帰ってたのね。ゲジヒト」

「お帰り――――――パパ」

「ああ、ただいま――――――ヘレナ、ロビタ」




















何故なら、此処には家族がいるから。

ゲジヒトは二人を抱き締める。

もう決して離さないと心に誓って。





































主人公のゲジヒトでした!

まあ、家族と一緒にはしようとは思ってましたから。

やっぱり此処では一緒にいてもらいたかったので。

壊れてもいないヘレナさんはご都合主義で出した。

申し訳ない。

でもこれはこれでいいですよね!

小さい上司に(胸が)大きい部下も出しました。

二人が書けて面白かったです。

これもいいですよね!

星蓮船のメンバーも出しました。

二次でもっと彼等に出番をと思いまして頑張りました。

これもいいですよね!・・・問題は。

小兎姫でした!

上手く書けたかワシ!?だって二次は少ないし原作だとよく分からん性格だし、どう喋らせていいものか迷ったんじゃ!

実は皆様に聞きたいことがいくつかあります。

その他版に行ってみようかなと思うんですがどうでしょうか?

もし行くならタイトルホイホイな題名もちゃんとしようと思います

彼等についての質問もドンドンしてください。

出来る限りの質問には答えたいので。

それと行っておきますが――――――これで終わりではありません。

気になる?気になっちゃう?気になっちゃいますか?

私は、これで終わらせるつもりはありませんので・・・・・・くくくくく。

良くも悪くも、私は普通じゃないんですよ。

それでは!



[21006] 機械が見た幻想風景―――そして
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/16 23:50






はあ・・・・・・出来た出来た。

どうも、荒井さん家のスミス君です。

前からずっと変です♪

どうでもいいですね♪

はい♪

とうとう・・・とうとうこの時が来ました・・・

やっと・・・これで・・・

荒井スミス劇場・・・始まります・・・

ゆっくりしていってね・・・






































幻想郷の博麗神社。

何かと騒がしく宴会が意味も無く度々開かれる神社だ。

そしてそれは今日も同じことだった。

違うのはその中にいつもと違う面子がいることだろう。

そのせいでいつも以上に混沌とした光景になっていた。



「まったく騒がし過ぎるわね・・・吹き飛ばそうかしら?」

「駄目ですよ幽香さん。せっかくの宴会を台無しにしちゃ」

「サハド・・・・・・はぁ、分かったわよ。大人しくするわよ」



勇気ある青年の言葉で、宴会は花の妖怪によって修羅場にならなかった。



「咲夜!咲夜!あれとって!あそこにあるエビフライ獲って来て!」

「分かりましたお嬢様・・・・・・ふふふふ・・・・・・ふぅ」

「咲夜さん・・・・・・どうぞ」

「・・・ありがとうノース二号」



カリスマブレイクの主を見て忠誠心をだす従者に、執事ロボットがハンカチを出しフォローする。



「モンブラン、今度私達の家に遊びに来ない?すぐ近くなの」

「モンブランはアタイと遊ぶんだい!三馬鹿は引っ込んでろ!」

「⑨に馬鹿なんて言われたくないわよ!」

「そうよ・・・・・・修正するわよ?」

「そーなのかー」

「ちんちん♪何を修正するの?」

「・・・・・・そのセリフとか?」

「みんな、駄目だよ喧嘩なんかしちゃ!モンブランさんも困るでしょう!」

「そうだよ、みんな仲良くしなきゃね」



巨人の体の上で三妖精とバカルテッド+@が喧嘩をしていた。



「何だこら、やんのかこら!ペッ!上等だ、消し炭にしてやんよ蓬莱ニート!」

「何だこら、やんのかこら!もっこもこにして、もこたん墓場にINしてやんよ竹林ホームレス!」

「二人とも落ち着くんだ!こんな所で・・・そこの二人も止めてくれよ!」

「いいじゃないかエプシロンほっといても・・・・・・」

「せめて今日は、姫様のお守りから解放されたいわ・・・・・・」



ニートとホームレスの殺し合いを止めようとする青年を、疲れた目で見る保護者二人。



「ヘラクレス!飲み比べで勝負だ!」

「望むところだ・・・・・・ブランド!」

「飲み比べと聞いちゃ黙ってられないね・・・萃香!私等もやるよ!」

「いいよ勇儀♪守屋の巫女さんもどうだい?」

「巫女じゃなくて風祝です!そもそも私はお酒はあまり、って引っ張らないで!神奈子様!諏訪子様!助け・・・」

「こら子鬼!そんなことしたら、早苗が汚染されるぞ!」

「・・・神奈子、もう酔ってる?」



オッサン達の飲み比べに参加する鬼達と、参加させられそうな緑巫女を心配する神の二柱。



「ゲジヒトいいですか?働くのはいいです。いいですが働き過ぎです。もう仕事がほとんどないです。やり過ぎです。
 仕事が無いと私も暇になります。暇だと怠けてサボります。私にサボり癖でも付けさせようとでもいうんですか?
 そうなんですか?そうなんですね?そうなんでしょう?いえきっとそうです!そうですとも!
 ならあなたがサボりなさい!サボって私に仕事をさせなさい!暇だと私はずっと小町と一緒に遊ぶことになるんです!
 嬉しいです!でも仕事がしたいんです!ああ、でもやっぱり一緒にいるのも・・・」

「し、四季様!飲み過ぎです!アルコールは強くないのにそこまで飲むから・・・」

「ええと・・・あたいはこの発言に喜んでいいのかね?」

「うふふふ、うろたえるゲジヒトが見られるなんて。来てよかったわね~」



暴走する上司をなだめる刑事と、上司の発言に顔を赤くする船頭を、にこにこ笑いながら見る聖☆おねいさん。



「・・・・・・これ、何てカオスなんだぜ?」



宴会の常連である白黒魔法使いもその光景に、そのセリフを言わざるを得なかった。



「まったく、今日はいつも以上に騒がしいわね」

「霊夢、何処に行ってたんだ?」

「玄爺の餌やり・・・・・・それにしても本当にうるさいわね」



紅白巫女も一緒に呆れてその光景を見る。



「ふふふふ、そうね。今回はいつも以上に賑やかね♪」

「・・・・・・なんだ、紫か」

「・・・・・・うん、紫だな」



ババーン!と出た胡散臭いのに、二人は溜め息を吐きながら見る。



「二人ともそんなこと言って・・・ゆかりん悲しいわ」

「・・・・・・君はもう少し自分の歳を考えて発言したらどうだい?」



紫に対しそんな勇気ある発言をした剛の者の正体は香霖堂店主、森近 霖之助であった。



「ウボァー!こ、香霖!いつからそこに!」

「・・・何で私以上に驚くのかしら?」

「霖之助さんはあまり宴会に来ないからでしょ?あんたの場合は登場パターンが決まってきて、もうあまり驚かなくなったのよ」

「・・・・・・・・・ぐすん」



三人のあまりの対応に涙目になる紫。



「それにしても本当に珍しいですね霖之助さん。どうしたんですか?」

「話題の外来人に興味があってね。もしかしたら此処に来れば会えるかと思ったが、正解だったようだ」

「なあ、香霖。一体何を聞くんだぜ?」

「彼等の技術についてとか、そんなところさ。それじゃ僕は行くよ」



そう行って霖之助はその場から去っていく。



「それにしてもこんなに同郷の奴等が集まるなんて・・・またあんたの仕業なの紫?」

「ふふふ、さあ?どうでしょうね」

「いいじゃんか霊夢。私等も宴会に行こうぜ!」

「あ、ちょっと魔理沙!」



魔理沙は霊夢を引っ張って宴会に参加する。



(・・・彼等は偶然集まった。私は関与していない。偶然は必然でもある。けどここまで揃うと意図的に仕組まれたようにも感じるわ。
 ・・・やめておきましょう。これ以上考えるのは無粋かしらね)







































「それにしても・・・本当に驚きだ。こうしてみんなが揃うとは」



ゲジヒトはそうポツリと言葉を漏らす。

今此処には件の七人が揃っていた。



「本当にそうですねゲジヒト。こうなると運命すら感じますよ」

「家のお嬢様は関係してないと思いますがね、エプシロン」

「お堅い執事さんが冗談とは、なかなか面白いじゃないかノース二号」

「ブランドのジョークは冴えないからな」

「ハハハハ!言うじゃないかヘラクレス」



そうやって皆が笑う中、サハドは気まずそうにしていた。

此処にいる者のほとんどが自分が葬ったのだから当然だったが。

サハドは意を決して口を開いた。。



「皆さん・・・本当に申し訳ない」

「・・・・・・サハド」

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」



サハドの謝罪に皆が沈黙する。



「本当に申し訳ないと思ってます。僕のせいで皆さんが」

「・・・・・・いいんだよ、サハド」



モンブランの発言にサハドはハッとする。



「まあ、思うところがないわけじゃないが・・・もう済んだことじゃないか」

「此処でまたこうして生きていけるんだからな」



ブランドとヘラクレスもモンブランの言葉に同意する。



「私も此処でまた素晴しい主に出会えました。それにあなたのことも、いくらか理解出来ますしね」

「それに此処でまた新しい家族と出会えたんだ。こうしてみんなとも会えたしね」



ノース二号とエプシロンも同じように彼を許す。



「みんな身をもって分かってるんだ。憎悪からは何も生まれない。君もそれに十分苦しんだ。もう誰も恨まなくていいんだ、サハド」

「ありがとう・・・みんな」



ゲジヒトもまた許し、サハドは涙を流して彼等の許しを喜んだ。



「なに泣いてんだよ!お前はこの格闘王ブランドと闘神ヘラクレスに一度とはいえ勝ったんだぞ!」

「そうだ。もっと堂々とするんだサハド」

「さあ、暗くなってないで大いに盛り上がろう、みんな!」



皆、誰もが幸せそうだった。

その日の宴会もまた、大いに盛り上がった。






































「・・・・・・それではゲジヒトさん、サハドさん。またいずれ」

「・・・ああ、分かった。必ず会いに行こう」

「さようなら、森近さん」



ゲジヒトとサハドの下から、霖之助はそう言って去って行った。



「サハド?あの店主がどうかしたの?」



幽香はサハドに近づいて、何を話したのか尋ねる。



「一度店に来てくれと言われまして・・・」

「意外と商売熱心なのねあの店主。それと刑事さん?まだ宴会は続いてるけどもうお帰りかしら?」

「家族が待ってますからね」

「今度ゲジヒトの子供が、体を新しく河童の所で換装するんですよ」

「噂の有能な刑事さんは意外と親馬鹿みたいね」

「親なんてそんなものですよ幽香さん」



幽香の嫌味にゲジヒトは笑って答える。



「・・・・・・サハドを許してくれてありがとう。彼どうしてもあなた達に謝りたいって言って、此処に来たの。
 だから・・・本当にありがとう、ゲジヒト」



幽香は頭を下げてゲジヒトに感謝の意を示した。

もし彼女を知る者が見れば思わず他人の頬をつねるだろう。



「・・・まあ、もし彼に何かしようとしたら、その時は即スクラップだったけどね♪」



幽香は素敵な笑顔でそう言った。

あの時全員が感じた妙な殺気。

ロボットの自分達に感じさせたあの寒気の原因は彼女だったのかと、ゲジヒトは納得する。

さすがは風見 幽香だ。



「それじゃゲジヒト、また後日・・・」

「ああ、またなサハド」



そう言って彼等はそれぞれの帰るべき場所に帰って行った。

この幻想の世界で得た、自分達の家へ。






































「ふぅ・・・・・・やはり宴会はどうも苦手だ。まあ、今回はそれなりに面白かったが」



霖之助は自分の店に戻り、一息ついた。



『お帰りモリチカ、宴会はどうだったね?』



店の奥から声が聞こえてくる。



「ああ、君のお願いはなんとかなりそうだ。後日来るらしい」

『クックックックッ・・・・・・それは重畳だ』

「あと、河童に頼んで君を修理することになった。腕は確かだから、そこは安心してくれていい」

『なにからなにまで、すまないなモリチカ』

「いいさ。君の話はなかなかに面白いからね」

『それは私も同じだよモリチカ。君の話もなかなかに興味深い。それに此処は色々と面白い物がたくさんある・・・コレとかな』



声の主はソレをコツンと叩く。



『さあ、さっそく宴会の土産話でも聞かせてくれないか?今日はそれが楽しみだったんだ。クックックックッ・・・・・・』



霖之助は今日の出来事を聞かせることにした。




















「ああ、分かったよ――――――――――――ブラウ1589」






































・・・・・・・・・・・・驚いた?驚いたでしょう?驚きましたよね?

というわけでブラウ1589でした!

予想できた?出来なかったでしょう?クックックックッ・・・・・・

彼は絶対出そうと思ってましたので、今回やっと登場させることが出来てよかったです。

サハドがみんなに許される。

これがもう一つの彼の救いです。

どうだったでしょうか?

さて、今回の会話でいくつか小ネタをはさみましたがいくら分かったでしょうか?

ま、どうでもいいかぁ!ハッハッハッハッ!

お分かりでしょうがまだこれで終わりではありません。

終わると予想した皆様方。

・・・・・・・・・・・・残念だったねぇ!

それでは!



[21006] 機械達の沈黙
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 07:27





姓は荒井、名はスミス。

人呼んで、電波のスミスと申します。

さて今回は彼の無双になります。

いやぁいいですねワクワクしますね楽しみですね。

それではさっそく始めましょう。

荒井スミス劇場の開幕です。

ゆっくりしていってね・・・クククク・・・





































魔法の森の入り口にポツンと佇むガラクタで溢れた一軒の建物。

香霖堂。

そこの店主、森近 霖之助の前に二人の客がいた。



「ふむ、来てくれたか。彼もそろそろ此処に来るだろうと言っていたところだったんだが・・・
 さて、ようこそ香霖堂へ。ゲジヒトさん、サハドさん」

「彼は?」

「ああ、奥の方で本を読んでるよ」



ゲジヒトの問いに霖之助はそう返す。



「ゲジヒトは分かりますが、どうして僕も?」

「ネタバレしたら彼の機嫌を損ねるから言わないでおくよ。会えば分かる。僕はそれしか言えないな」

「・・・・・・そうですか」

「さあ、早く会ってあげてくれ。楽しみに待っていたようだからね」



霖之助にそう言われ二人は奥に進む。

薄暗い部屋の中で彼――――――ブラウ1589はいた。

前あった槍は無かったが、一応問題無く稼動しているようだ。

椅子に座らせられ本を読んでるその様子は、実に快適そうだ。

ブラウ1589は読んでいた本を置いて二人を見る。



『クククク・・・やっと来たか、ゲジヒト。待っていたよ」

「・・・・・・お久しぶりです」

『そして・・・初めましてサハド。それともプルートゥと言った方がいいかな?クククク・・・」

「・・・・・・お好きな方で」

『ふん、そうかね』



自分の嫌味にあまり反応してくれなかったサハドにブラウ1589はつまらなそうに溜め息を吐く。



『ちょうど今読み終わったところでね。なかなか面白い作品だったよ。
 実に引き込まれるストーリーだった、この二十世紀少年というのは。よかったらこの後買っていくかね?
 私はもう読んでしまったからね。御代はまあ、モリチカと交渉してくれ。
 あまり儲かっていないのは見れば分かるだろうから、出来るだけ高く買ってくれると私も嬉しいんだが?』

「・・・・・・変わりましたね、あなたも」

『そう言う君もそうだろう?実にスッキリした顔だ。ああ、何があったかは言わなくてもいい。
 新聞とモリチカの話である程度は分かっているからな。だが、そうだな・・・もう一度メモリーチップを交換するかい?
 やはりその方が面白そうだからなクックックックッ・・・・・・」

「いやぁ、あれはもう勘弁ですからね」

「クックックックッ・・・・・・残念だ」



苦笑するゲジヒトにブラウ1589は残念そうに笑う。



「しかし、どうして此処に?」

『何、トラキアの引き篭もりのクマをちょっとばかり処刑してね』

「ッ!?そうですか・・・」

『どれだけ優秀でも、自分一人では動くことも出来ない哀れな奴だ。すんなり終わったよ』

「どうして、そんな?」

『そんなことをしたか・・・かね?サハド』



ブラウ1589の言葉にサハドは頷く。



『なに、少しアトムに頼まれてね』

「アトムが、ですか?」

『最後にもう一度会おうと約束したが・・・まあ、彼も嘘を吐いたからな。構わないだろう。サハド、少しは溜飲が下がったかね?』

「は、はあ・・・」

『クククク、それは重畳』



サハドの答えにブラウ1589は満足そうに笑う。



『あいつを処刑して、気が付いたら無縁塚という所にいた。そこで魅魔という者に拾われてね。
 それで色々あって、現在此処に居候しているといったところだ。なかなか面白い女性だったな。出来ればまた会いたいものだ』

「これからどうするのです?」



ゲジヒトはそう質問する。



『モリチカが河童に修理を頼んでくれてね。まあ時間は掛かるだろうが、動けるのならそれぐらいどうということはない。
 修理が終わったら、そうだな。この世界を回ってみるのも悪くないかな?興味深い所は多いからな。
 此処にいて店の手伝いも悪くない。読書もいいが、植物を育てるのもいいな。サボテンなんかどうかね?
 あまり手が掛からないだろうしな。そうだサハド。サボテンを見つけたら私に譲ってはくれないかね?』

「それは構いませんが、聞いていたのとだいぶイメージが違いますね?」

『先ほども言ったが私も変わったのだよ・・・さて、本題に入ろうじゃないか。今回はサハド、君にある物を渡したくてね。
 それで呼んだのだよ』

「あるもの?それは一体?」

『おや、気付かなかったかね?まあ、此処は暗いからな。――――――これだよ』



二人はブラウ1589に言われた方を見る。




















そこにあったのはサハドのもう一つのかつての体――――――冥王、プルートゥの姿だった。




















「どうして・・・これが!?」

「・・・・・・・・・・・・」



サハドは驚き、ゲジヒトも声を出せずに驚愕する。



『私と同じ所にあってね。これには私も驚いたよ。・・・まあ、これと私を軽々と移動させた彼女にそれ以上驚かされたが』



ブラウ1589はやれやれと苦笑する。



『君の体だが、いらないと言うなら置いていっても構わないぞ?その時は私が使わせてもらおうと思っているのだが・・・』

「・・・いえ、貰います。これはもう一つの僕そのものですから」

『ふむそうか。それは残念。これで修理まで待つことは決定か。まあそれもまた良し、かな?クククク・・・・・・』



ブラウ1589は何処まで冗談なのか分からないこと言って笑っていた。



「それでは、私達はこの辺で。・・・ああ、この本は買っていきますよ?」

『クククク・・・毎度あり。さて、どうやって持って帰るかね?』

「遠隔操作が出来ますから、心配はいりませんよ」



サハドの信号を受信して、冥王の体が動き、立ち上げる。

そして――――――天井が壊れた。



「「・・・・・・・・・・・・」」

『クククククク・・・弁償代も頼むよ?』






































霖之助はぽっかり空いた我が家の天井をポカンと見ていた。



『クククク、どうかしたかねモリチカ?弁償代はしっかり貰ったのだろう?』

「貰ってもすぐに直るわけじゃないだろ?はあ・・・まあ十分貰ったからね。これだと修理どころか少しの改装も出来るよ』

『その時は私の部屋も用意してくれると嬉しいね?』

「・・・君、わざと黙っていたな?」

『さて、どうだか?クックックックッ・・・・・・』



ブラウ1589の曖昧な返事に霖之助は溜め息を吐く。



「君のその腹黒さは、もしかしたらスキマ妖怪以上かな?」

『クククク、それはそれは。喜んでいいのかな?いや、悲しんだほうがいいだろうな。ククク・・・』

「・・・とりあえず、毒舌は君の方が上だな」



霖之助はそう言って散らかった部屋の片付けに入っていった。




















『さてさて私も来た、彼等も来た。――――――――――――後は、一人。やれやれ、登場は何時のことやら』




















クックックックックックックッ・・・・・・・・・・・・






































うわぁ、こんなに書いてて楽しかったのはたぶん初めてかもしれない!

もうブラウ1589のセリフスラスラ思いつく思いつく!

こういうキャラのセリフが自然と出てくるのって問題かな?

まあ、いいか!

さて今回も色々とネタを出しました。

漫画とか、魅魔様とか・・・・・・サボテンとか。

サボテンは本当選ばれた人にしか分からないでしょうが、ヒントはロボメイドです。

まあ、出ませんがwww

題名もティンときた人は分かるでしょうがレクター博士の出る映画からです。

ブラウ1589と博士がダブって見えたのでついつい・・・

しかしこの題名を逆にするとあら不思議♪

セガールな無双が出来そうです♪

次回からはネタ話に入ります。

まあ、もしすぐに終わらせたいというなら構いませんが。

感想とかネタへの突っ込みとかお待ちしています!

それでは!



[21006] クマの幻想焼身旅行~無情編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 07:34






どうも荒井&スミスです。

なんかみんなクマクマ言ってるので受信してしまいました。

釣られたクマーとか言っても知りません。

でもよかったかもしれません。

だって・・・・・・完全なギャグキャラ要員が手に入ったんですから!

ちなみにこいつは残りの一人ではありません。

あらかじめご了承ください。

それでは荒井スミス劇場始まりです!

ゆっくりしていってね・・・






































ブラウ1589に破壊されたはずの存在、Dr. ルーズベルトは今の状況が分からなかった。

自分は最後ブラウ1589の放った槍で死んだはずだ。

それなのにこうして生きている。

いやそんなことはどうでもいい。

問題なのは――――――




















(どうして体がクマのぬいぐるみなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?)



――――――知らねぇよそんなこと。




















(落ち着け・・・落ち着くんだ・・・無理だ・・・落ち着けない・・・)



いきなりの出来事にDr. ルーズベルト(俺は面倒嫌いなんだ!だからこれからクマと呼ぶ)も混乱する。



(・・・・・・何故この体なのか、それはまず置いておこう。まず周りの確認を)



そうして彼は周りの様子を見る。

そこは自然溢れる豊かな場所だった。

何故ならそこは――――――黄色い花弁を太陽に向けて元気に伸ばす向日葵畑だったからだ!



(僕はあそこでずっと動かずにいたから、こういう風景を直に見るのは新鮮だな・・・)



クマが新鮮な気分で向日葵畑を見ていた時だった。

何処からか鼻歌が聞こえてくる。



(・・・?誰だろう?)



クマは鼻歌のする方に首を向ける。

あ、首動いたんだ。



「ふふふん、ふん♪ふふふん、ふん♪きょーおのお花もきれいだなー♪」



幻想郷最強の花の妖怪。

風見 幽香は上機嫌に鼻歌を歌っていた。

サハドが来てから花達が元気にスクスクと育つようになり、友達である花達の喜ぶ顔を見る機会が増えたためだ。

それにサハドに言われて花に名前を付けるようになってからさらに花達が好きになれたのも感謝している。

だが今日は何より彼からチューリップを一球分けて貰ったことだ。

名前はハデスというらしい。

幽香はそれを聞いて何故かとても気に入り譲ってもらったのだ。



(早くこの子をピッタリの花壇に植えてあげましょう♪・・・あら)



幽香はクマの人形が落ちていることに気が付く。

クマも彼女がこちらに気が付いたのに気が付く。

そしてクマはこれからのことを予想する。



(たぶんだけどこの人間(人間じゃねえよ)に拾われるのかな?)



クマがそう判断したのも仕方が無いかもしれない。

目の前の女性はいかにも上機嫌にしている。

まあ、拾わないまでも酷いことはしないだろう。

そう――――――判断してしまった。



「あら?なかなか可愛いクマのぬいぐるみね」

(ふむ、やっぱりそうきたか。予想した行動しか出来ないなんてやっぱり人間は愚かだな)

「可愛いけど・・・私の趣味じゃないわね・・・そうだ!」

(誰かにあげるのかな?)



幽香は次にこう言った。




















「せっかくだから、フルスイングで吹き飛ばしましょう♪」

(―――――――――――――――――――――――え?)




















幽香はクマを地面に置いて傘で素振りの練習をする。



「きっと親切な誰かが私にスカッとしてもらいたいがために置いてくれたのね♪うれしいわ♪さ、逝くわよ!」

「ちょ、君、やめ(ry」



クマはズドムッ!という爆音と共に、空の彼方へ消えていった。



「・・・・・?今何か声が?ま、いいわ!ああスッキリした!さ、かーえろ!」



そう言ってまたルンルンスキップで帰って行った。

機嫌が良いからといって油断は出来ないのが幽香クオリティ。

クマの受難はまだまだ始まったばかりなのだ。





































さて、クマ出しました。

ハハハハハハハハ!ザマミロってんだ!

もうコイツはギャグでしか出ません。

それはもう変えられません。

運命です。

皆さんがクマクマいうからこんな電波になったんですよ!

・・・やっぱ感想っていいわと思う今日なのであった。



[21006] クマの幻想焼身旅行~激流編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:04






みんなーーーー元気ですかーーーー!

荒井スミスはーーーー今日も元気でーーーーす!

今日もクマがあれこれされます。

それじゃ荒井スミス劇場いってみよー!

ゆっくりしていってね・・・





































クマは恐怖した。

次会ったら必ず、かの邪智暴虐の王から逃げねばならぬと決意した。

クマには妖怪が分からぬ。

クマは、かつて黒幕であった。

玉座に座り、人を弄んで暮して来た。

けれども邪悪に対しては、人一倍に鈍感であった。

そしてクマは今――――――激流に身を任せていた。



(溺れ、溺れる!沈む!沈んでいく!)



幽香に飛ばされた後、クマはドボンと川に落ちたのである。

実にいい気味である。



(浸水だと!馬鹿な、これが僕の最後と言うか!認めん、認められるか、こんなこと)



貴様には水底が似合いだ。

しかしそんなクマに何かが引っ掛かりクマを引っ張り上げる。

そして勢いよく水上に出て来た。



(釣られたクマー!・・・ハッ!?僕は何を)

「ウオオオオオすげぇぇぇぇぇぇぇ!大ちゃん!魚じゃなくてクマが釣れた!」



そう言って喜ぶのは最強の称号、⑨を持つランカーAC・・・ではなくチルノであった。



「チルノちゃんそんなことあるわけ・・・あった」



幻想郷の小さな良心、大ちゃんこと大妖精は驚く。



「へへへへへへ!すごいでしょう!やっぱりアタイってばサイキョーね!」

「可愛いクマさんだねチルノちゃん」



クマは安堵した。

この子達なら先ほどのような酷いことはしないだろうと。

たしかに普通ならそうだろう。

だが忘れてもらっては困る。

此処は幻想郷。

常識通用せぬ人外魔境の世界だということを。



「此処にいたのかー?」

「チンチン♪探したわよ」

「あれ?それどうしたのチルノ」



残りのバカルテッドが現れた。



「アタイが釣ったんだ!」

「クマなのかー食べられるのかー?」

(・・・・・・はい?今なんと?)



クマは自分の耳を疑った。

だがそれは幻聴ではない。

何故なら!



「あーん、ガブッ!」

「ギャァァァァァァァァアッァァァァァァァアァァァ!!!!」



問答無用でかぶりついてきたからだ。



「「「「うわ、喋った!?」」」」

「う~不味い~」



皆は喋ったことに驚き、ルーミアはその不味さに涙した。

ほら、ペッしなさい!ペッ!



「ぺッ」

「ぐへぇ!」



クマは実に可愛くない呻き声を上げる。



「うわ・・・何これ・・・怖い・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「チ、チルノちゃん?」



無言になる親友に大ちゃんはどうしたのか尋ねる。



「酷すぎる・・・修正が必要だ・・・」

「チルノちゃん何言って」

「消えろイレギュラー!」



チルノはクマをいきなり凍らせ上空に飛ばす。



「リグル!」

「ライダァァァァァァァァきりもみぃぃぃぃぃぃぃぃシュゥゥゥゥゥトォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」



今まで見たこともない華麗で芸術的な必殺技がクマにぶち込まれる。



「がはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」



クマはまたはるか彼方へと飛んで行った。



「ふ、二人ともどうしたの?」

「あれ?アタイなにしてたんだっけ?」

「何だかやらなきゃいけない義務感・・・いや使命感を感じたんだ。それで気付いたら・・・」



みんなは首を傾げる。

しかしまあいいやとすぐに考え、みんなはモンブランの所に遊びに行く。

クマの旅はまだまだ続く。






































クマはボコボコにしやすいことが書いていて分かった。

どうやら私は黒幕のような存在を弄ぶのが好きらしい。

ということはゆかりんも?

・・・・・・悪くない。

クックックックッ・・・・・・それでは!



[21006] 機械達の幻想の日常~のんびりと~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:14






短編の短編。

ギャグに走ったものばかりです。

感動なんて欠片もありません。

ご了承くださいとスミスは警告します。

それでは荒井スミス劇場の始まりです!

ゆっくりしていってね・・・









































新しい息子の体





ゲジヒトは今河童の河城 にとりの所にいた。

彼は息子ロビタの新しい体を取りに此処に来ていた。



「それで・・・これがそうなのか?」

「なかなかいいでしょう♪」

「このドラム缶体型にハサミを取り付けたようなのがか?」



言わずとも分かる人は分かるだろうがロビタの名前の元になったロボット。

そのナイスバディなドラム缶が目の前にデンと佇んでいた。



「この私の科学の粋を結集して作った自信作なんだよ」

「・・・おじさんはロボットのおまわりさんだ。この電磁波銃は絶対に君に当たり、君にだけ当てることが出来る」

「待て待て待て待て!?何左腕構えてんの!?」

「・・・まあいい。それでどういう機能があるんだ?」



ゲジヒトは怒りをグッとこらえて左腕を下げる。



「まず耐水性は抜群だね。これは保障出来るよ」

「河童だからな」

「そして移動もホバーで移動することが出来る」

「なるほど」

「ロケットパンチも出せる」

「なるほ・・・何?」

「目からビームも撃てる」

「・・・・・・・・・・・・」

「そして極めつけはこの自爆装「もういい」へ?」



ゲジヒトは右腕のSAAW特殊重火器、ゼロニウム弾を河童へ向ける。



「自分の息子に自爆装置を付ける親が何処にいる?・・・今楽にしてやろう」

「ロボット三原則は何処に行ったぁぁぁぁぁぁ!?」

「君は人間じゃない・・・だろう?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!注文された体はまだ出来てないんです!
 一から高度な造りのロボットなんて造ったこと無いし、だからみんなのデータを集めて良い物を造ろうとしてたんです!」

「はあ・・・まあいい」



ゲジヒトは仕方ないといった感じで溜め息を吐いて右腕を下ろす。



「今回はこれを貰おう。その代わり良い物を造ってくれよ?」

「は、はい!分かりました!」

「では余計な物を全部外してもらおうか?」

「ええ~そんなもったい「ガチャ」ヒュイィィィィィィ!分かりましたすぐに外しますぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」



ロボット刑事ゲジヒト。

息子のためなら何でもする親馬鹿さんであった。








































メイドと執事





「咲夜さん、落し物です」

「・・・私のじゃないわ」

「咲夜さん、落し物です」

「だから私のじゃないわ」

「咲夜さん、落し物です」

「違うっていってるでしょ」

「咲夜さん、落し物です」

「だから!そうじゃないって言ってるでしょう!」

「では・・・咲夜さん、PADです」

「違うってそういう意味じゃないわぁぁぁぁぁ!虐め?虐めなの?そうなんでしょう!」

「ただ私はポロッと落ちたこれを届けようと・・・」



ノース二号はションボリする。

それを見て咲夜に罪悪感が生まれる。



(そうよね・・・彼はただ親切にしているだけなんだから・・・)



そう考え咲夜はノース二号に礼を言う。



「・・・ありがとうノース二号」

「いえ、私はただ届けてくれと言われただけですから」

「・・・・・・誰に」

「お嬢様に」

「・・・・・・ウワァァァァァァアァアァッァァァァアァァン!!!!」



咲夜はワンワン泣いて走り出した。



「・・・・・・どうしたのだろうか?」



ロボット執事ノース二号。

まだまだ人間を勉強している最中です。






































ニートと太陽





「・・・ねえエプシロン。これやったことある?」

「初見です」

「・・・何で私の最高得点超えてんのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」



五月雨と書かれたパッケージのゲームでエプシロンはてるよの最高得点を軽々超えていた。

ノーミスノーボムでだ。



「次は!次はこれで!」

「輝夜さん勉強の時間ですよ?」

「ハァ?そんなもん後よ後!」

「・・・・・・焼きましょうか?」

「やります!やりますとも!やらせて頂きます!」



輝夜は急いで勉強に取り組む。



「助かるわエプシロン」

「こういうのは好きじゃないんですが・・・」

「本当ごめんなさいね。でもあなたのおかげで姫様もだいぶ勉強するようになったわ」

「それじゃ僕はこの辺で・・・」

「あら、せっかくだから検査でもしていけば?」

「いえ、僕はロボットですから」

「あら、せっかくだから検査でもしていけば?」

「いえ、僕はロボットですから」

「あら、せっかくだから検査でもしていけば?」

「いえ、僕はロボットですから」

「あら、せっかく(ry」

「いえ、僕は(ry」

「あら、せっかく(ry」

「いえ、僕は(ry」



太陽の子エプシロン。

その日彼は泣きながら帰ってきたという。







































USCと冥王





「ヒャッハー!お花は消毒だ~っ!!」



いきなり何人かの哀れなモヒカンが現れた。



「あらあら・・・汚物は消毒ね♪」

「げえっ幽香!」

「逃げるんだ!」

「離脱だ!離脱する!」



モヒカン達は逃げ出した。



「サハド~行ったわよ~」



幽香は楽しそうに笑って言う。

そしてモヒカン達の前に、黒い巨人が現れる。



「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

「ふふふふ・・・さあ、楽しもうじゃないの♪」



USCと冥王にモヒカン達は囲まれる。



「「「やっぱりかぁぁぁぁ!」」」



花を愛する心優しい青年サハド。

花を傷付ける者には容赦の無い良い人だ。






































店番ブラウさん~白黒編~



「よおブラさん!こんにちは!」



野生の魔法使いが飛び出してきた。



『ああこんにちは』

「まだ直ってなかったのか?」

『一応のメンテナンスだけでね。河童が急ぎの仕事があるからそっちに集中したいんだとさ。まあじっくり待つさ』

「ふ~んそうか。香霖は?」

『生憎と出掛けていてね。会えなくて残念だったなマリサ』

「べ、別に香霖に会いに来たわけじゃ!」



顔を赤くして否定する魔理沙。



『彼は言ってたな。ツケを早く返してくれないかとね。いつもいつもだ。どうして返さないのかね?』

「そ、それは」

『ああ言わずとも分かる。返したくても返せないのだろう?貧しいというのは罪だな。クククク・・・」

「れ、霊夢じゃあるまいし、私は貧乏なんてしてないぜ!」

『では一体・・・ああそうか。彼の気を引くためかね?なるほどなるほど、それなら合点がいく』

「ち、違う!違うんだぜ!」



顔をさらに真っ赤にして激しく否定する魔理沙。



『クックックックッ・・・そう否定しなくてもいいだろう?まあ、彼はロボットの私から見ても枯れてるからな。
 気を引くのは難しいだろうが、まあ頑張りたまえよ』

「違う!違うってだからその・・・・・・ウワァァァァァァ!ブラさんの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!」



白黒は逃げ出した。

ブラウは勝利した。



『またのご来店お待ちしてます。・・・・・・・・・あれがツンデレという奴か。クックックックッ・・・実にからかい甲斐がある』



香霖堂のおっかない店番ブラウ1589。

彼の活躍で、今日もまた店の盗難率は0だったとさ。






































ふう・・・まあこんな感じです。

いや、ギャグ一辺倒てのもいいもんだね!

こういう短編だといろんな人達が出せますね!

他の人達も出すので、この人を出してほしいと思ったら気軽に書き込んでください。

もしかしたら出せるかもしれませんので。

私の電波は他を圧倒する程の存在だからな!

それでは!



[21006] クマの幻想焼身旅行~滅却編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:37





荒井だよう!スミスだよう!

今回は死亡フラグと運命の出会いを果たします。

うふふ、勘のいい人はもう分かったでしょう。

それでは荒井スミス劇場始まりです!

ゆっくりしていってね・・・





































クマは自分が今何処にいるのか分からなかった。

気が付けば薄暗い部屋にいた。

周りには自分と同じようなぬいぐるみの――――――残骸が散らばっていた。



(もう、嫌な予感しかしない)



もしクマが涙を流せたらなら滝のように豪快に流していただろう。



「あ!新しい玩具だーーー♪」



そう言ってクマを抱き上げる少女の声。

幻想郷の死亡フラグの一人、フランドール・スカーレットであった。

彼女はクマを抱き締め嬉しそうにはしゃぐ。



(この子なら・・・この子なら大丈夫では)



クマはそう僅かな希望を願った。

そして彼女と目が合う。

その狂気的な輝きを放つ目を見た。



(・・・・・・・・・・・・)



目と目が合う~瞬間無理だと悟った~♪クマなのであった。



「あれ?もしかしてあなた・・・生きてる?」

(ビクッ!!!!)

「あは♪やっぱりそうだ。ねえクマさん、私と遊びましょう♪」



―――禁忌「レーヴァテイン」―――



「なんじゃぁぁぁぁぁそりゃぁぁぁぁぁ!?」



クマは迫り来る炎の魔剣を華麗にアクロバティックに交わす。

どうやら気合で動いたようである。

気合って素晴しい。



「凄い凄い!次はこれ!」



―――禁忌「フォーオブアカインド」―――



「「「「さあ!楽しみましょうクマさん!」」」」

「無理だ!離脱だ!離脱する!」



クマは部屋から出ようと扉に飛び付く。

しかし鍵がしっかり掛けられていた。



「「「「ふふふふ、どうしたのクマさん?さあ・・・ア ソ ビ マ ショ ウ ?」」」」



クマは知らなかったのだ。

フランちゃんからは逃げられない。



「嫌だぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!」






































「・・・あーあ、もう動かなくなっちゃった」

「つまんないわね」

「そうね」

「おもしろくなーい」



フラン達は元の一人に戻りブーブーとつまらなそうに頬を膨らませる。



「妹様、お食事の時間ですよ」

「はーい。ねえ咲夜?これ後で捨てといてくれる?」

「まったく、もうですか?分かりました。でも次はもっと大事にしてあげてくださいね」

「はーい!それじゃ行こうか」



そう言って二人は部屋を出て行った。

その後クマはゴミ箱へポイッっと捨てられたとさ。

彼の旅はまだまだ終われない。






































フランちゃんでした!

好きなキャラの一人でしたので嬉しかったです。

ディアボロといい勝負だなこのクマ。

それでは!



[21006] 機械達の幻想の日常~ほのぼのと~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:45






荒井スミスです。

またギャグで短編ですよ。

しばらくはこれが続くかな。

いえね、完結させるつもりはありますよ?

ビシッとね。

今はどういう感じでババッさせてガッとやってズバッとするか考えてるんです。

え?分からない?

そりゃそうだwww

荒井スミス劇場始まりです!

ゆっくりしていってね・・・










































おまわりさんの前世





彼岸の閻魔の裁判所の休憩室。

ゲジヒトはそこで珍しく眠っていた。



「四季様四季様。ほら寝てますよ」

「珍しいですね。彼が眠ってるなんて」

「まあ、ロボットといっても疲れることもあるみたいですからね」



二人がそんなふうに話している時だった。



「おや・・・だれか・・・きた・・・ようだ・・・」

「寝言・・・ですかね」

「寝言・・・ですね」

「どんな夢見てるんですかね?」

「さあ?ただロボットも夢を見るんだということに驚きましたが・・・」



二人が話している時だった。



「・・・・・・う、ウワァァァァァァ!!!!」



ゲジヒトはいきなり叫んで目を覚ました。



「ウワァァ!ウワァァ!ウワァァ!ウワァァ!」

「こ、小町落ち着きなさい!離して!抱きつかないで!締め付けないで!」



いきなりの出来事に二人はパニック状態に陥っていた。

小町はゲジヒトの叫びとその表情に驚き映姫に飛び付き。

映姫はその包容力に溺れそうになっていた。



「はぁ・・・はぁ・・・今のは一体?・・・二人ともどうしたんです?」

「あ、あんたがいきなり叫ぶからでじゃないか!」

「い、一体何の夢を見たんですか?」



映姫が恐る恐る尋ねる。



「・・・私の所にサハド、いえプルートゥが来たんです。私達は何故か戦っていて、私は頭の角に飛び付きました。
 そしたらプルートゥが角を別々の方向に曲げて、それにしがみ付いていた私の体があっさりとバラバラに・・・」

「「・・・・・・えええ」」



二人はそれを聞いてどう返事をすればいいか分からなかった。



「一体あれは・・・何だったんだ?」



ロボット刑事ゲジヒト。

前世の装甲は、防御力ゼロ二ウム合金であった。






































メイドと従者2





「ノース二号、洗濯物を」

「すでに終わりました」

「そう、なら広間の掃除を」

「それもすでに終わらせています」

「な、なら買出しに」

「終わりました。それと咲夜が前から欲しかった紅茶も手に入りました」

「そう・・・ありがとう」

「それから庭の手入れと今月の帳簿付け、食事の準備も既に終わらせています」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・咲夜さん?」

「機械が!機械が私から仕事を奪うわぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」



咲夜はまたワンワン泣いて行ってしまいました。



「・・・何か、不味かっただろうか?」



ロボット執事ノース二号。

有能過ぎるのも、考えものである。








































闘神の宿敵



「ですからやはり合体は不可欠だと思うんです!」

「・・・お前は一体何を言ってるんだ早苗?」



早苗のいきなりの発言にヘラクレスは困惑する。



「ロボットだったらやはり合体ですよ!にとりさんに頼んで合体機能を付けてもらいましょうよ!」

「一体誰と合体しろっていうんだ?」

「ブランドさんとです!」

「・・・・・・・・・・・・はぁ?」



早苗のあまりの提案にヘラクレスは頭が真っ白になる。



「合体して巨大ロボになって、そして私が搭乗するんです!名付けて友情合体ブラクレスZ!
 どうですか!考えただけでワクワクするでしょう?きっと此処の信仰も鰻登りですよ!」

「・・・・・・・・・・・・」

「あれ?どうしたんですかヘラクレスさん?いきなり黙り込んで?
 あれ?どうして私の首根っこ握り締めるんですか?
 あれ?何処に引っ張っていくんですかヘラクレスさ」



――――――ガラガラ、バタンッ!

扉は無機質な音を立てて閉まった。



「「さ、早苗・・・・・・・・・」」



闘神ヘラクレス。

涙目になって尻をさする緑巫女とガクブルする二柱の神に一応満足したそうな。







































店番ブラウさん~スキマ編~





「こんにちは、ブラウ1589」



いきなりスキマを開いて現れたのは皆様ご存知八雲 紫である。



『・・・・・・・・・ふむ』

「あら?どうかしたかしら?」

『確かこういうのを何というのかな・・・そう、登場の仕方だ』

「・・・何を言ってるのあなた?」

『そうそう、確かババーンだったかな?クックックックックッ・・・』



――――――ピシッ!

紫の何かが一本切れた。



「あ、あら?どういう意味かしらそれ?」

『いやなに、ただの効果音だよ。登場する時に実に似合うじゃないかババーンは。君にピッタリだ。ククククク・・・』



――――――ピシピシッ!

続けて二本切れる。



「私が年寄りだとでも・・・言うつもりかしら・・・ポンコツゥ・・・」

『クククク・・・私はただ効果音を言っただけだぞ?何を怒る必要があるのかな賢者殿?』

「わざとでしょ!絶対わざと言ってるでしょうこのポンコツ!」



激昂する紫にブラウは余裕を持って返事をする。



『やれやれ、賢者殿はそのポンコツに言われたこと位ですぐ怒る狭量な心しか持っていないのかな?
 それはいけない。何事も余裕を持たねばいかんよ、余裕をな。まあこんなこと言わずとも賢者殿は十分承知だろう。
 だから私の言動などさらりと聞き流すに違いない。そうだろう?』

「く・・・そうね。その通りよ。この私がそれ位で怒るわけありませんわ」



この屑鉄ロボットの挑発に乗ってたまるかと紫はグッと我慢する。

だがブラウのターンは続く。



『だがそれを気にするということは・・・実は案外気にしているんじゃないかな君は?』

「そ、そんなわけ」



そう言う紫だったが、最近は何故か朝早くに起きることが増えてきたのを少し気にしていた。

まだブラウのターン。



『可哀想に・・・きっとみんなからババアババアと言われ続けてきたのだろう。それにずっと耐えてきたのはさぞ大変だったろう』

「な!?何を勝手に言って」



実はみんなにずっとそれを言われ続け少しずつ心に傷が付き、最近はたまに深酒しないとやってられなくなってきた。

まだブラウのバトルフェイズは終了してないぜ!



『周りの者は自分より若いのが多くなってきて・・・そうだなジェネレーションギャップかな?それにも苦しんだろう』

「ち・・・違うわよ・・・そんな事・・・」



最近の子が何をして楽しんでるのかも最近ではよく分からなくなってきた今日この頃。

可愛い式の式からは自分の趣味が古臭いと言われ傷付く事もしばしば。

まだだ・・・まだ終わらんよ!



『自分より若い者が、そうだな。結婚して幸せに暮らしてるのを見て焦りを感じたりもしたのだろうな』

「ち・・・違うもん・・・そんな事無いもん・・・」



若い子が結婚して幸せそうにしているのを見て、いいなぁ私もああなりたいなぁと思うことは何度もあった。

ブラウにボロクソに言われ、涙目になってくる紫。



『賢者殿・・・一つ聞いても?』

「な・・・何よぉ・・・」



さあ―――――フィニッシュだ!



『君は今――――――幸せかね?』



――――――ブツンッ!



「あんたなんて・・・あんたなんて大嫌いよぉぉぉぉぉぉぉ!ウワァァァァァァァァァァ・・・・・・」



スキマは逃げ出した。

ブラウは勝利した。

ブラウの毒舌が上がった。



「おやブラウ?誰か来たのかい?」

『クククク・・・・・・さあ?来たような・・・来てないような・・・クックックックックッ・・・』

「??」



香霖堂の腹黒い店番ブラウ1589。

現在の趣味の一つは、強い者をからかうこと。







































ククククク・・・いやぁ楽しい楽しい。

楽しすぎて笑いが収まらないなぁ。

クックックックックッ・・・・・・

紫ファンには失礼だとは重々承知しているのだが、いやはや私の悪い癖でね。

・・・ああいう強いのを虐めるのが。

クックックックックッ・・・・・・

しかし彼の実力は、まだまだこんなもんじゃない。

それではまた・・・クククク・・・



[21006] クマの幻想焼身旅行~焼却編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:47






荒井スミスという何かです!

またまたやらせていただきました!

ではさっそくどうぞ!

ゆっくりしていってね・・・







































悪魔の妹にボロクソ扱われたクマ。

気絶し動かなくなったのが幸いしてなんとか脱出に成功。

現在、竹林を放浪中だった。



(此処は一体何なんだ?地獄か?此処は地獄なのか?)



此処は幻想郷。

私を含める一部の者達が来たくて来たくて仕方ない楽園である。

地獄なわけねえだろクマ。



(うん?何か音が?こっちに近づいてくる?)



もう嫌な予感しかしなかった。

そしてそれは的中した。



「オラニートテメェ今日こそ灰にしてやる!」

「なめんじゃねえホームレス!もっこもこにしてやるわ!」

「「んだとゴラァァァァァァァァァァァ!!!!」」



凶悪な面をした怪物二名が弾幕を打ち合いながらクマに近づいてくる。



「来るな!クルナァァァァァァァァァァァ!!!!」



クマは全速力で逃げ出した。

しかしぬいぐるみの足では追いつかれるのも時間の問題。

段々と悪魔超人二人が近づいてくる。



「もう駄目だぁ・・・お終いだぁ・・・」



クマが諦めかけたその時だった。



「やめるんだ二人とも!これ以上やると竹林が消滅するぞ!」



暴走する二人に喧嘩の仲裁をする勇気ある者が現れた!



「た・・・助かった・・・のか?」



クマは少しばかり安堵する。



「止めるんじゃない!今日こそこの腐れニートと決着着けんだよ!」

「それはこっちのセリフよホームレス少女(笑)!」

「ああ?何が(笑)だ!お前だってお姫様(笑)じゃねえか!」

「(笑)じゃねーし!普通にお姫様だし!」

「二人ともいい加減に」

「「男女は黙ってろ!」」



――――――ピシッ!



「・・・・・・誰が?」

「え?ちょ」

「あれ?やばいんじゃない?ねえやばいんじゃない!?」



こめかみをヒクつかせ、仲裁者は体を発光させる。



「誰が・・・・・・男女だァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」



叫びとともに光子エネルギーの爆発が二人と一匹に襲い掛かる。



「この輝夜が・・・この輝夜がァァァァァァァアァッァァァァァァ!」

「おぃ、まじかよ、夢なら覚め」

「ヤメローシニタクナーイ!」



二人はその場で一度消滅し、クマははるか天空の彼方へ飛ばされたそうな。

普段怒らない人ほど、怒った時が怖いのだ。

クマの飛行はまだまだ続く。







































もう言わなくても分かるだろうけどあの人達です。

皆さんも注意されたらその場ですぐに反省して謝りましょう。

クマよ・・・お前はこれから何処へ行く?

ところで話は変わるんだが、今東方で別のやつを書いてるんです。

まあ、オリキャラ出して活躍させるってものなんですが。

ただ私が書くのだからこれまた異常でして。

なんか何時の間にか先を読ませない展開になってきて。

こっちもある程度話のストック溜まってきたんでそろそろだそうかなと思ってます。

本格的に書くのはこれが終わってからですがちょっと出してみてもいいでしょうか?

感想で出してみてと書かれたらたぶん調子乗って出すと思いますが・・・

それではこのへんで!



[21006] 機械達の幻想の日常~だらだらと~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:52






ああ・・・みんなが壊れていく・・・

ギャグなら仕方ない、仕方ないがやはり・・・

では荒井スミス劇場を始めよう。

ゆっくりしていってね・・・





































昼下がりの仕事風景





「小町・・・暇ですね・・・」

「ええ・・・どうしてでしょう?」

「ゲジヒトが働き過ぎだからです」

「ああ・・・そうですか・・・」

「小町・・・少しサボりなさい。そして仕事を作りなさい」

「あたいの仕事もみぃんなゲジヒトが済ませちまいました」

「「はぁ・・・暇だ・・・」」



閻魔と死神は溜め息を吐く。

楽なのはいい。

でも楽すぎて仕事の充実感もあったもんじゃないのだ。



「そうだ四季様。これで遊びます?」

「何ですかそれは?」

「ツイスターっていうゲームです。この間香霖堂の店番ロボットに勧められて買ったんです」

「何時の間に買ったんですか?」

「仕事中に。仕事が無かったもので」

「・・・・・・やりましょうか」

「・・・・・・そうしましょう」



・・・・・・十分後。



「こ、小町!胸が!胸が顔に当たって!」

「四季様!そんな所で喋らな・・・きゃん!」



くんずほぐれつ凄いことになっていた。

詳しく解説出来ない私をどうか許してほしい。

ほう?これはこれは・・・クククク・・・

二人がゲームに夢中になっていたその時だった。



「四季様、書類の方が終わったので届けに・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・あ」

「・・・・・・・・・・・・へ?」



――――――時が止まる。



「・・・・・・失礼しました」

「ゲジヒト!違うんです!遊んでただけ!遊んでただけなんです!」

「そ、そうだよ!だから気まずそうに扉を閉めるんじゃないよゲジヒト!」



二人はゲジヒトが閉めようとする扉にしがみ付き誤解を解こうとして事実を釈明をする。

――――――しかし。



「いえ、もちろん十分分かってます。――――――恋愛は、人それぞれですから。・・・それじゃあ」



――――――バタンッ。



「「だからぁぁぁぁぁぁぁ違ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!」」



ロボット刑事ゲジヒト。

彼はとても寛容な男である。






































頑張れ格闘王!





格闘王ブランドは窮地に陥っていた。

今までの戦いでもっとも過酷なものの一つ。

あのヘラクレスとの戦いの方がまだ楽であった。

その相手とは?



「さあ、次はピーマンです」

「ぐ・・・が、はぁ!か、勘弁して、くれ」



野菜サラダであった。



「さとり、頼む。もう十分食べた、だろう?」



息を絶えだえに格闘王は許しを乞う。



「駄目です。お残しは許しません。誰がこれを作ったと思うんです?」

「さとりじゃ、ないのか?」

「いいえ違います。――――――お空です」



そう言ってさとりはお空を指差す。



「うにゅ~~~~~・・・せっかく頑張って作ったのに・・・」

「う、いやそれは」



うにゅ~んと落ち込むお空にブランドは慌てる。



「美味しく食べれるように・・・頑張って・・・作ったのに・・・グス」

「ウオオオオオオオオオ!こんな美味いもの残せるかってんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



ブランドはかきこむようにサラダに食らいつく。



「えへへへ♪よかった♪おかわりたくさんあるからね♪」

「ッ!?ヌオオオオオオオオオオオオ!!!!」



それを聞いて天使のような笑顔を浮かべるお空と、涙を流して喜ぶ?ブランド。

そしてそれを黒い笑みで眺めるさとり。



「ふふふふ・・・これからはお空にサラダを作らせましょうかしら」



格闘王ブランド。

女子供とサラダには勝てない男だった。









































森の巨人VSバカルテッド



「それじゃいっくよー!」



チルノの掛け声とともに皆がスペルカードを発動させる。



―――月符「ムーンライトレイ」―――

―――凍符「パーフェクトフリーズ」―――

―――蠢符「ナイトバグストーム」―――

―――夜盲「夜雀の歌」―――



だがモンブランは放たれた弾幕全てをギリギリでかわす。



「はははは、みんなまだまだだなぁ」



モンブランは弾幕が出せないので、こうしてかわすことに専念することで弾幕ごっこに参加していた。



「ムキィィィィィィィ!次は当てるんだからね!」



―――闇符「ディマーケイション」―――

―――雪符「ダイアモンドブリザード」―――

―――「季節外れのバタフライストーム」―――

―――「ブラインドナイトバード」―――



またもや放たれる弾幕の壁。

しかしモンブランは僅かな隙間を見つけてスイスイとかわす。

もちろんグレイズもしっかり稼いでいる。



「みんな凄いなぁ。今のはちょっとかわすのが大変だったよ」



目の前で繰り広げられるそのありえない光景に、大ちゃんは一言呟いた。



「弾幕ごっこって・・・何だっけ?」



優しい森の巨人モンブラン。

新たな職業は避け専門ルナシューター。







































店番ブラウさん~河童編~



「どうだい新しい体は?」

『パーフェクトだニトリ』

「感謝の極み」



そう言ってにとりはうやうやしく頭を下げる。



『特にこの槍は素晴しい。ゼロニウム合金で出来た特別製の一振りか』



ブラウはその場で巧みに槍を操り具合を確かめる。

それはまるで演舞のような美しい槍捌きだった。



「いやぁ、これを造るのはなかなか苦労したよ!」

『・・・素晴しい出来だ。感謝するぞニトリ。これならばどんなクリーチャーもひとたまりもあるまい。クククク・・・』

「そう言ってもらえると造ったほうも嬉しくなるよ!」



そう言って二人は満足そうに笑う。



「もしかしたら僕は、大変なことをしてしまったのでは?・・・まあ、いいか」




新しい体を手に入れたブラウさん。

もう彼を止めることの出来る存在は、いないのかもしれない。







































さてついにブラウさんの新しい体が出来ました!

これからブラウさんはどのように幻想郷を旅するのでしょうか!

幻想郷の運命やいかに!

・・・・・・やっちゃったかな?

それでは!



[21006] クマの幻想焼身旅行~絶壁編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:55






クマよクマよ、そんなに飛んで何処へ行く?

荒井スミスです。

前回クマは遠くに飛びました。

だからこんな所に来てしまいました。

では荒井スミス劇場の始まりです。

ゆっくりしていってね・・・






































クマは飛んだ。

飛んで飛んで、何処までも飛んで。

高く高く、何処までも高く。

そしてクマは――――――天に達した。

残念ながら死んではいないが・・・・・・ッチ。



「生きてる・・・のか?僕はまだ・・・」



残念ながらその通りである。



「・・・此処は一体?僕はもの凄く高く飛ばされたと思ったのだけど」



此処は「天界です」・・・・・・ええ?



「読者の皆様初めまして、永江 衣玖と申します。今回このお話に目を通していただき誠にありがとうございます。
 作者もきっと喜んでいると思います」



あの・・・衣玖さん?メタな発言は勘弁してくれませんか?



「ギャグという空気を読んだ結果がこれです」



読み過ぎです。



「では私は空気を読んでこのクマを統領娘様の所に届ければよろしいのですね?」



・・・・・・お願いします。






































「という訳です」

「どういう訳よ!」



いきなりの展開に着いてこれない少女。

比那名居天子(むねないてんこ)は訳が分からなかった。



「今すっごい失礼な事言われた気がする!」

「二次ではよく揺れない震源地を持つドMとして扱われています」

「衣玖!?あなたも何失礼な事言ってるの!?」



しかし残念な事に此処にはドSキャラがいなかった。

今回は我慢してくださいてんこさん。

所謂放置プレイです。



「だったら我慢する・・・ってあれ!?私何言ってんの!?」

「話を進めましょう統領娘様」

「・・・・・・で、このクマのぬいぐるみがどうしたの?」

「このクマのぬいぐるみ・・・どう思います?」

「・・・凄く・・・可愛いです」

「じゃああげますね」

「え?いいの?」

「今回はそういう話ですので。ついでに言うならそれ喋りますよ。それでは」



衣玖さんは空気を読んでフィーバーしながら出て行った。

・・・・・・助かったぁ。



「何だったのよ一体・・・・・・ところであんた喋れるの?」

「・・・へ?もう喋っていいの?」



今まで空気だったクマはいきなりトンチンカンな事を言い出した。



「私に聞かれても・・・それにしても、喋るぬいぐるみなんて珍しいわね」

「何だろう・・・・・・此処に来てやっとまともな会話が出来たと思う」



クマはまともな会話の相手が見つかりホッと一安心する。



「ふかふかしてて気持ち良さそうね・・・・・・それ」



クマはてんこに抱き締められやがった。



「やっぱり気持ち良いわね。うりうり」



クマは正しいぬいぐるみの扱いをされていたがふとある事に気付く。

硬い。

硬いのだ。

あえて言うなら気持ち岩ねって感じだ。

そしてクマは馬鹿なもんだからそれを正直に言ってしまう。



「君は硬くて真っ平らだな」

「・・・・・・・・・・・・」



それを聞いててんこの表情が一気に冷たくなる。



「・・・・・・誰の」

「??」

「誰の胸が・・・・・・荒れた荒野の小さな胸じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



―――「全人類の緋想天」―――



「がぁぁぁぁぁぁぁ落ちぃぃぃぃぃるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・」



クマは今度は地上に叩きつけられるように堕ちて逝った。



「クマの受難は何処まで続くのでしょうか?それでは皆様お元気で。さようなら」

「え?嘘!?これで終わり!?私の出番これで終わりなの!?このような結末・・・私は認め」



――――――ブツンッ!







































・・・・・・セリフ盗られたorz。

恐るべし・・・永江 衣玖恐るべし・・・!

絶壁ネタをやりたかっただけなのに何故こうなった!?

「ただの電波です。気にしないでください」

また出た!?此処後書きですよ!?

「空気を読んで登場しました。さて皆様。次のお話も楽しみに待っていてくださいね。それでは」

え?ちょ!これでおわ――――――ブツンッ!



[21006] 機械達の幻想の日常~のほほんと~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/17 23:59






前回後書きを乗っ取られかけた荒井です。

私思いましたね。

幻想郷って怖いですね。

ではさっそく荒井スミス劇場を始めましょう!

ゆっくりしていってね・・・






































お迎えの刑事さん





ゲジヒトは可愛い我が子のロビタを迎えに寺子屋へ来ていた。



「やあゲジヒト。今日も迎えに来たのか」

「今日もありがとうございました慧音先生」

「私は私の役割をやっているにすぎないよ」

「立派な事です。エプシロンは?」

「彼なら妹紅を呼びに行った。そろそろ夕飯の時間だからな」

「仲がよろしいのですね」

「そ、そう見えるか?いやぁハハハハ、参ったな」



そう言って慧音は顔を赤くしてデレデレ笑う。



(・・・きっと此処ではこれが普通なんだろうな。四季様と小町もそうだったし)



ゲジヒトの勘違いはまだ続いていた。

・・・・・あながち間違いでもないか?



「ところで一つ聞いても?」

「何だ?」

「あそこで飛んでるのは家のロビタですか?」

「――――――――――――へ?」



慧音は急いで振り返る。

そこには――――――



「ロビターー次俺乗せて飛んでくれよ!」

「太助ェ!お前一番たくさん乗ってるだろ!我慢しろよ!」

「次は私だよ!」

「おいらだい!」

「おむかえでごんす」

「だから次は俺・・・あれ?何かいたか?」



ドラム缶体型の我が子が優雅に空を飛んでいる姿だった。



「何だ・・・あれは・・・?」

「おーいロビター帰るぞー」

「え、あれ?この状況に突っ込まないのか!?」

「パパ、今日も迎えに来てくれたんだね」

「もちろんだとも!それにしてもロビタも飛べるようになったんだな。
 凄いぞロビタ。パパは飛べないからな」

「ありがとうパパ」

「おい!無視しないでくれ!」

「これも慧音先生の教育の賜物だな。ありがとうございます先生」

「え、私の教育でこうなったのか!?」

「さあ、帰るぞロビタ。お母さんが待ってるからな」

「慧音先生さようなら。また明日」

「あ、ああまた明日」



ロボットの親子は手を繋ぎ仲良く帰って行った。

それは実にシュールな光景だった。



「私のせいじゃ・・・ないよな?」



ロボット刑事ゲジヒト。

教育方針は褒めて伸ばす事。

この日は息子が初めて飛んだ事を記念してパーティを開いたとか。









































サハドさんのお茶の時間



サハドは今幽香と一緒にお茶を飲んでいた。

自家製のハーブティーは実に素晴しい味だった。



「美味しいわねサハド」

「幽香さんが入れてくれたんですから当然ですよ」

「もう、上手ね♪もう一杯いる?」

「いただきます」



またカップにお茶が注がれる。



「そういえばハデスの様子はどうですか?」

「元気に育ってるわ。きっと綺麗な花を咲かせるでしょうね」

「そうですか・・・よかった」

「ああ、そうだサハド聞きたい事が・・・」



心優しいロボットの青年サハド。

たまに幽香の家に泊まる位には仲が良い。







































お出かけブラウさん~逆襲の白黒編~





やっと体が動くようになったブラウは魔法の森をのんびりと歩いていた。

久しぶりに動けた事にブラウは喜ぶ。

例えるならカニバリズム嗜好の天才博士が牢獄からやっと脱出した時の気持ちと同じだった。

そんなブラウに近づく一つの影があった。



「よ!ブラさん!体動くようになったんだってな!」



前にブラウにからかわれ顔を赤くして逃げ出した白黒魔法使い。

霧雨 魔理沙であった。



『ああ、マリサか。御蔭でこの通りに修理が完了したよ』

「へぇ、そうかそうかなるほどな・・・・・・へっへっへっへっ」

『どうしたマリサ?何か企みを思いついたような酷い顔になってるぞ』

「ほっとけ!・・・・・なあブラさん。私と弾幕ごっこでもしないか?」



魔理沙はブラウに弾幕ごっこを申し込んできた。

この前の仕返しをしてやろうとそう考えた訳だ。



『しかし私は弾幕を出せないぞ?』

「森の巨人はかわしてやってるみたいだからいいんじゃないか?」

『ふむ・・・それならいいかな?』



魔理沙はこれを聞いて心の中でガッツポーズをする。



(よっしゃあ!あの時の恨みを晴らせるってもんだぜ!ギッタギタにしてやんぜ!)



そう意気込む魔理沙にブラウは質問する。



『すまないがかわすだけでなく防いでもいいかな?私は初めてでね。ハンデを付けさせてもらいたいのだが』

「うん?ああそれ位ならいいぜ」

『そうか、ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・・・クククク』

(相変わらず気味が悪いぜ・・・でもそれも今日で終わりだ!)



魔理沙は箒に飛び乗り上空に向かう。

そしていきなり自慢の八卦炉をブラウに向ける。



「ウオオオオオオオ先手必勝ォォォォォォォマスタァァァァァスパァァァァァァァクッ!」



―――恋符「マスタースパーク」―――



「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」



マスタースパークがブラウに迫る!

これで終わりかと思われた次の瞬間!

――――――ガキンッ!

ブラウは自慢の槍で魔理沙のマスタースパークを弾いたのだ。

これを見た魔理沙はというと。



「・・・・・・うそぉん」



ぽっかりと口を開けて唖然としていた。



『クククク・・・もう終わりかねお嬢さん?まだまだ始まったばかり・・・だろう?』

「・・・・・・上等だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



・・・・・・二十分後


『クックックックッ・・・・・・やれやれ、もうお終いかね?』

「なんだよぅ・・・その槍チートじゃねえか・・・グス」



負けました。

ブラウは全てのスペルを槍で弾き飛ばしてしまった。

それが撥ね返ってきて魔理沙は被弾したのだ。



『これが弾幕ごっこか・・・実に楽しいなぁ魔理沙。今度も是非誘ってくれ。クククククク・・・』

「ブラさんの・・・ブラさんの阿呆ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・」



白黒は泣いて逃げ出した。

ブラウは勝利した。

嫌味が上がった。

弾幕ごっこの楽しみを覚えた。



『やはり人間は面白い・・・ククククク・・・』



新たな体を手に入れたブラウさん。

彼の歩みはまだまだ始まったばかりだ。







































今回も突っ込み所満載でしたな!

皆様の突っ込みや感想をまってますぞ!

それとあのキャラに出番をという感想も待っています。

皆さんの意見なんかも聞いて書いてみたいと考えています。

まあ、予想を大きく外すかもしれませんがねwww

それでは!



[21006] 機械達の幻想の日常~ぐだぐだと~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/18 00:06






今回のお話は二つだけです。

でもその分内容は濃いと思います。

特にブラウさんは。

それでは荒井スミス劇場始めちゃいますよ!

ゆっくりしていってね・・・







































おまわりさんは親馬鹿






今日は夫婦で来たゲジヒト。

なにやら揉めている様子だ。



「まだ息子のちゃんとした体は出来ないのか!?」

「あれじゃ駄目なの!?結構気に入っているじゃない!」



自分の息子のちゃんとした体がいつ出来るかについて揉めていたようだ。



「もっと良い体にしてあげたいんだ!」

「注文が難し過ぎるんだよ!自分と同じゼロニウム製の体にして、さらにジェット機能も搭載しろだなんて!」



・・・・・・それは確かに無茶な注文だ。

この河童はホフマン博士じゃないんだから。



「・・・・・・勝手にゼロニウムを使ったそうだな?」

「な!?何でそれを!?」

「私を誰だと思っているんだ?私に隠し事が通用するとでも?」

「ごめんなさい!面白そうな注文だったんでつい!」

「ゲジヒト。あんまり責めちゃ駄目よ」



にとりがあまりに不憫でヘレナが助け船を出す。



「しかしだなヘレナ。やはりロビタには良い体を造ってやりたいじゃないか。
 此処は完全に平和ってわけじゃない。だが私と同じゼロニウム製の体ならそういう心配もだいぶ減るだろう?」

「だったらなおさらよ。彼女だって頑張っているんだし、それに私達のメンテナンスだってやってくれているのよ?
 それなのに文句を言ったら可哀想でしょ?」



にとりは彼女が救いの女神に見えた。



「ヘレナさん・・・うう、ありがとう」

「しかし・・・はぁ、分かった。完成はまた後日でいい。それじゃ行こうかヘレナ」

「それじゃあねにとりさん」

「ううう、ありがとうございました」



帰ろうとした時、ゲジヒトがにとりの耳元で囁く。



「・・・・・・いいか?もし変な機能を付けてみろ?その時は私のゼロニウム弾が黙ってないぞ?分かったな?」

「ヒュイイイイイ!真心篭めてやらせてもらいます!」



ロボット刑事ゲジヒト。

彼の息子への愛は、天より高く海より深い。







































お出かけブラウさん~吸血鬼編~



今日のブラウは霧の湖の周辺を散歩していた。

ひんやりとした空気が実に気持ち良い。



「あら?咲夜、ノース二号。あそこに見慣れないのがいるわ」



そう言って現れたのは吸血鬼レミリア・スカーレット。

日傘を差して従者二人を連れてのお散歩中だったのだ。



「あれは香霖堂の店番のブラウ1589という者ですお嬢様」



咲夜はそうレミリアに説明する。



「知っているの咲夜?」

「香霖堂に行った時に少々会話を」

「私もその時に会いましたお嬢様。彼は私と同じ世界の住人です」



ノース二号もレミリアに説明する。



「そうなの・・・さて、初めましてね機械人形。私はレミリア・スカーレット。
 永遠に紅い幼き月の二つ名を持つ紅魔館の主にして夜の世界の王である誇り高き吸血鬼の一人よ」



レミリアはカリスマ全開で自己紹介を始めた。



『ブラウ1589だ。前の世界では初めて人間を殺したロボットとしてそれなりに有名だったよ。
 クックックックッ・・・私はただ処刑をしただけだというのにな。今は香霖堂の店番として居候させてもらってる。
 まあ、これからもよろしく吸血鬼のお嬢さん。ククククク・・・』



ブラウの自己紹介も何故かカリスマっぽくなった。



『それにしても、吸血鬼がこんな真昼に出歩いていいのかねお嬢さん?』



お嬢さん呼ばわりされムッとくるレミリア。

彼女はブラウの質問に不愉快そうに答える



「私ほどの吸血鬼なら日光なんてただうっとうしいだけのものよ。
 それとお嬢さんって言うのもやめなさい。私はそう呼ばれるほど子供じゃないわ」

『おやおや、という事は私の知っているレミリア・スカーレットとは違うのかな?』

「どういう事かしら?」

『君はよくうー☆うー☆鳴く可愛い生き物だと聞いたのだがな?』

「・・・・・・は?何ですって?」

『プリンアラモードが大好きでピーマンが苦手。
 典型的な我が侭なお嬢様で、だが意外と寂しがり屋な甘えん坊だと聞いたのだが』

「だ、誰がそんな事を!?」

『そこのメイド長が』

「咲夜ぁぁぁぁぁぁ!?あなた何を言ってるのよぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「大丈夫ですお嬢様。全て事実です」

「何がどう大丈夫なのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」



レミリアはカリスマ全壊でうー☆うー☆泣き始め、咲夜をポカポカ殴り始める。

咲夜はというと、そんなお嬢様に対する忠誠心を出していた。



「咲夜さん、タオルです」

「ふぅ、ふぅ・・・・・・・・・ありがとうノース二号」

『クククク、聞いたとおり実に可愛らしい生き物じゃないか』

「う・・・うう・・・ううう・・・」



レミリアがブルブルと震えだした。



「こ、壊してやる!私のカリスマを壊した罪!その命で償え!」



―――紅符「不夜城レッド」―――



紅の弾幕がブラウに襲い掛かる!

しかしブラウは落ち着いて槍を取り出す。



『クククク・・・好戦的じゃないか吸血鬼―――だが」



ブラウは槍を回転させて弾幕を全て防いだ。



「何なのその槍は!?」

『私の自慢の一振りだよ。クククク・・・』

「・・・・・・だったら私の槍で、その自慢の槍を砕いてくれるわ!」



レミリアは魔力を手に集中し自慢の槍を手に取る。



「いけぇぇぇぇぇぇぇぇグングニィィィィィィィィィィィィル!!!!」



―――神槍「スピア・ザ・グングニル」―――



レミリアのグングニルがブラウに迫る。



『・・・・・・・・・・・・ふん』



ブラウも自分の槍をグングニル目掛けて投擲する。

そして――――――

――――――パキィィィィィンッ!

レミリアの自慢の槍の方が砕かれた。



「・・・う、嘘よ・・・こんな馬鹿な・・・」



呆然とするレミリアを他所にブラウは自分の槍を拾い話し掛ける。



『大した自慢の槍だったなお嬢さん。良い音で砕け散ったじゃないか。自慢する理由が分かるよ』

「な!?何よ!そんな訳ないでしょう!」

『おやどうしたのかな?涙目になってるぞ?クククク・・・これはいいな。そうしている姿はまさに子供だ』

「ち、違う泣いてない!泣いてないってば!」



レミリアはそう言うが、顔はもう泣く寸前だった。



『ククククク・・・泣くのかね吸血鬼のお嬢さん?』

「だから!泣かないって」

『泣くぞ、すぐ泣くぞ、絶対泣くぞ、ほら泣くぞ』

「・・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁんこいつ嫌いぃぃぃぃぃぃ!もうお家帰るぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」



レミリアはうー☆うー☆泣いて逃げ出した。

ブラウは勝利した。

いじめっこのスキルが上がった。



「・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ。ハッ!?お嬢様待ってください!お嬢様ぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」



何故か一気に冷静になった咲夜は、レミリアの後を追いかけ始めた。



『クックックックッ・・・楽しい主人を持ったなノース二号。羨ましいよ』

「あまりお嬢様を虐めないであげてください。ブラウ1589」

『考えてはおくが・・・約束は出来んな。最近はからかうのが楽しくてしょうがないからな』

「まったく・・・・・・それでは私もこれで」

『また遊ぼうじゃないかと伝えてくれるかね?』

「・・・・・・・・・・・・それでは」



ノース二号はそう言って去って行った。



『此処の住人は実に面白い・・・ククク・・・』



からかう楽しみを覚えつつあるブラウさん。

彼の次の犠牲者は?

ちなみにブラウの伝言をノース二号はしっかりと伝えた。

その晩、吸血鬼の少女は一晩中うー☆うー☆泣いたそうな。







































ブラウさんを書いてる時って本当に楽しい!

こういうキャラ大好き!

こういう人で普段カリスマなキャラを弄繰り回すのって最高だ!

ブラウさんで何か話を一本作ろうかな?

それでは!



[21006] お出かけブラウさん~USC編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/18 00:10






まさかついにブラウさん一本で書く日が来るとは。

今回も楽しく書けました。

もうゾクゾクして黒い笑みが止まりませんでした・・・・・・クククク・・・

いやぁいかん、いかんなぁ。

油断を、そう油断をすると笑いが堪えられなくなるなぁ。

これではいけない、いけないなぁ。

諸君等も、そう諸君等もそう思うだろう?

さあさあそれでは始めようじゃあないか。

荒井スミス劇場を!盛大にな!

ゆっくりしていってね・・・ククク。







































今日のブラウさんは太陽の畑に行きました。

とても綺麗な向日葵畑があると聞いて来たのです。

で、今ブラウさんはその花畑に現在いる。



『・・・これは素晴しいな。アンダルシアの向日葵畑だったか?たぶんそんな感じだろうな。見た事は無いが』



ブラウさんは素直に感心します。

そしてそんなブラウさんに近付く影。



「あら?こんな所に何か用かしら?」



どう見ても風見 幽香です。

ありがとうございました。



『君が風見 幽香かね?私はブラウ1589という。此処にはこの景色を見に来たのだよ』

「そう。それでどうかしら?」

『見事だ。そう言うしかないよ』

「あらそう♪」



幽香は笑顔で答えます。

このまま無事に終わるか?



『ああそうだ。とてもUSCと呼ばれる者が育てたとは思えんよ』

「・・・・・・・・・・・・ア゛ン?」



残念。

そんな事はなかったぜ!



「それがどういう意味か・・・分かって言ってるんでしょうね?」



辺りの温度が一気に下がる。

しかしブラウはそんな事気にせず話を続ける。



『アルティメットサディスティッククリーチャー。究極加虐生物という意味かな?
 肉の貫く感触が大好きで骨を砕く音に心奪われる。
 悲鳴を上げて殺してくれと言うまで何度も何度も生かさず殺さずジワジワと弄るのが大好きな妖怪。
 そして最後の断末魔が何よりも楽しみだという恐怖の権化のような存在。
 それが風見 幽香だと聞いている』

「ふふ、ふふふ、ふふふふふふふふふふ」



幽香さんの笑顔がとても綺麗になる。

常人ではとても、見るのが耐えられないような綺麗な笑顔に。

ついにUSCが此処に光臨した。



「私を前にしてそこまで言うなんて・・・覚悟は出来ているのかしら?」



幽香はゆっくりと自慢の傘を構える。

そしてこのまま二人の全面戦争が開始される。

と、思っていたかな諸君?

残念だがそれは間違いだ。

彼のターンはここから始まるのだから!



『ふむ気分を害してしまったかな?』

「あれで怒らない者がいると思ってるならあなたは鉄屑以下よ」

『クククク・・・それは失礼。だが話は最後まで聞いてくれないかな?』

「辞世の句でも詠むのかしら?それとも遺言?』

『確かに私は此処に来るまではそう思っていた。だが今は違うという事がはっきりしたよ』

「・・・・・・どういう意味?」



さあ、最初のターン!



『君は――――――とても優しい人だと言う事がだ』

「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」



幽香の毒気が一気に抜ける。



『実は君の事はサハドに聞いた事があるのだよ』

「・・・・・・サハドに?何て?」


『君は植物達にとても優しくまさに聖母のような存在だとな』



ブラウの予想だにしないカウンターに怯む幽香。



「そ!そんな事を!?」

『花達の成長を心から祝福し、最後を看取る時は誰よりも悲しむ事が出来る優しい女性だとも言っていた。
 花達もそんな君を心から愛していて、一部の者からは母と呼ばれ慕われているとも聞いた』

「喋ったの!?サハドその事喋ったの!?」



それはサハドと花達だけしか知らない事だった。

まさかそれが知られる事になるとは思いもしなかったのだろう。

黙るように言っておかなかったのが災いした。



『そうだ。とても良い笑顔でね。語ってくれたよ』

「そんな・・・まさか知られるなんて・・・」

『他には「まだあるの!?」・・・・・・ああ、あるとも。クククク・・・』



ブラウの攻撃は続く!



『君は以外に可愛いものが好きだそうだね?』

「ッ!?まさかッ!?」

『自分のお気に入りのもののほとんどが花柄の模様や可愛い柄が付いているそうだね?
 ああ確かにその服装もよく見れば実に可愛らしいな。
 他にはコップや皿の日用品にベットの模様も同様。さらにパジャマもらしいな』

「そんな事まで!?」



これで終わりと御思いか?

ふ、そんな訳がない。

ここからだよ、ここから。



『それと・・・そうそう家庭的な面もあるそうじゃないか。一通りの家事は難無くこなすのだろう?
 特に料理が一番得意だそうだね?鼻歌まじり料理をする姿は可愛いらしいな。・・・ククク』

「止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!もうヤメテェェェェェェェェェ!!!!」



幽香(の精神)をここまで削りきるとは・・・化け物め。



『そして誰よりも繊細な心の持ち主だそうだね?
 これもサハドから聞いた事なのだが、前に子供が此処に来たそうだな。確か太・・・何だったかな?まあ名前はどうでもいい』

「ちょっと・・・それってまさかッ!?」

『その子供は君を見て「恐いよ!助けて!幽香だ!慧音先生助けて!」と言って泣きじゃくって逃げたそうだな?
 その場ではなんともなかったようだが、帰ってきて酒を飲んだら一変して泣きに泣いたそうじゃないか?
 確か「どうしてみんな私の事恐がるのよ~。本当は私だってみんなと一緒に遊びたいわよ~。何で、どうしてなの!?
 みんなと一緒にお花の事について話したりしたいのよ。私の家に誘ってパーティー開いたりしてさ。
 そして私の手料理だって食べてもらいたいのに・・・やっぱり私がいけないの?だったら良い子にするから!
 今から良い子にするから私から離れないで~」・・・・・・というような事を言ったそうだね』

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああ嗚呼嗚呼ああああああ嗚呼嗚呼アアああ嗚呼嗚呼嗚呼アアッ!!!!」



ゆうかりんの正気がガリガリ削られる。

その場で頭を抱え地面をゴロゴロと転げまわる。

さあ・・・ラストスパートだ!



『それから酒の飲み過ぎで寝てしまって・・・君の寝言を聞いたそうだ』

「なん・・・ですって・・・!?」

『ええと「もう一人はいやぁ・・・寂しいのはいやぁ・・・いやなのよぉ・・・」とかなんとか』

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」



叫びがもう人のそれではなくなってきた。

ちなみにこれはブラウのデマであり嘘であるが、正気を失った彼女にそれを判別するのは不可能だった。

彼は嘘を吐ける優秀なロボットです。



『風見 幽香よ先の言葉を謝罪させてくれ。私は悲しい。あらぬ噂に踊らされて君という人を見誤ってしまった。
 こんなに綺麗な花畑を育てる事が出来る者に私は何と酷い事を。
 どうか・・・許してほしい・・・・・・・・・・・・クク』



そう言ってブラウはペコリと頭を下げる。

その黒い笑みを隠すように・・・・・・



「ち、違う!そんな事ないわ!それは決して間違いじゃ!」

『やはり君は優しい。こんな私をそう言ってくれるなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・ククク』

「だからぁ・・・そんなことぉ・・・ないのよぉ・・・ヒック・・・グス・・・」



最強の面影など一切無く彼女は子供のようにシクシク泣き始める。

さあ・・・決めるぞぉッ!



『もしかしたら君は――――――この幻想郷で一番優しい人なのかも、しれないな』

「・・・ちがうもん・・・ちがうもん!ちがうもん!ちがうもん!ちがうもん!ちがうもぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」



USCは泣きじゃくり逃げ出した。

ブラウは勝利した。

ブラウはUSW(アルティメットサディスティックウェポン)の称号を手に入れた。



「あれ?幽香さん一体どうしたんだ?あれ、ブラウ1589。来ていたんですか?」



幽香が光の速さで走り去って行くのと入れ替わりにサハドが現れる



『サハドか。先ほど風見 幽香に会ったよ。君の言う通り素晴しい女性だったよ
 ・・・・・・あの泣き顔など特にな。・・・・・・ククク・・・クククククク』

「え?すみません。最後がよく聞こえなかったのですが?」

『何でもないよ。何でも、な。ククク・・・そうそうサハド。君も直接彼女を褒めるのを増やした方がいいだろうな。
 その方が彼女も喜ぶだろう・・・・・・無論私も。・・・・・・クククク』

「はぁ?分かりました」



二人はそう言って別れた。

その後サハドは幽香に会い、ブラウの言われた通りに幽香をいつも以上に褒めた。

幽香はそれを聞いて体がブルブル震えた。

そして怒りたいと思っても怒れないので、そのうち幽香は、考えるのを止めた。

最強の存在の心すら打ち砕くブラウさん。

彼に対抗出来る存在は・・・・・・果たして現れるのだろうか?。






































ついに今回は幽香が泣きました。

幽香ファンの皆様申し訳ありません。

しかし私は後悔なんてしません。

むしろ誇ります!

さて、無敵街道まっしぐらのブラウさん。

彼に対抗出来るキャラはいないものかと考えましたが・・・少ししかいませんでした。

いつかその人達を出してみたいなぁとは思っています。

さて誰でしょうか?

それでは!



[21006] お出かけブラウさん~友達編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/18 23:00





荒井です・・・いきなりですが、私は困惑してます。

いつものようにドSSS書こうとしました。

それが何時の間にかこうなってしまいました。

一体何を言ってるんだと皆様は御思いでしょう。

それは・・・・・・見れば、分かります。

では、荒井スミス劇場始まりです。

ゆっくりしていってね・・・







































ブラウは困っていた。

何故なら――――――



「あなたが最近噂のドSロボブラウね!この私、比那名居 天子と勝負なさい!」



帽子に桃が付いてる可哀想な少女が勝負を仕掛けて来たからだ。



『ふむ、何故君と勝負する必要があるのかね?』

「聞いたのよ。あなたが幻想郷の猛者達を次々と倒しているってね!
 そしてそんなあなたを倒して、この私の強さをこの幻想郷に轟かせるのよ!」



・・・訂正させてください。

頭の中が可哀想な少女が勝負を仕掛けて来た。



(まあ、別に勝てなくてもいいのよ。あのスキマ妖怪を泣かせたドSっぷりが味わえるだけで・・・グヘヘヘヘヘヘヘ)



・・・もう一度訂正を。

頭の中が桃色な少女が苛められに来た。

さてブラウよ。

この強敵(ドM)にどう立ち向かう!



『・・・・・・一つ聞いていいかね?』

「何よ?」

『君は・・・暇なのかね?』

「え?ええまあ・・・暇ね」



ブラウの予想外の質問にてんこは首を傾げる。



『・・・友達がいないからかね?』

「・・・・・・・・・へ?」



ブラウのその言葉に頭が真っ白になる。



『友達がいないから・・・暇なのかね?』

「ちょ、ちょっと待ちなさい!何でいきなりそんな話になるのよ!」

『では違うのかね?』

「・・・・・・・・・えっとぉ」



てんこは自分に友達がいるかよく考える。

この時点でもう駄目だが。

まず永江 衣玖。



(これは・・・違うかな。なんていうか、保護者・・・だしね)



なら、スキマ妖怪は?



(喧嘩はするけど・・・友達では・・・)



ありませんね。

他も考えてみる。



(・・・・・・あれ?思い浮かばない?もしかして私って・・・友達・・・いないの?)



その事実をてんこはいまさら知り、驚き困惑する。



『クククク・・・どうかしたかね?』

「ちょちょちょ待って!ええと、ええと」

『・・・・・・やはり、いないのか』

「いや!そんなことは!」

『この私でもそれなりにいるというのに・・・』



ブラウさんの場合は、被害者もともだちと呼んでいるが。



『君は寂しい子なのだね。・・・可哀想に』

「可哀想!こ、この私が!」

『もしかして君がそうやって人に突っ掛かっていくのは、誰かにかまってもらいたかったからじゃないのかね?』

「ち、違う違う違う!そんなことは!」

『いや、否定しなくてもいい。私も一人は寂しいものだからな。その気持ちは良く分かる。
 昔の話だが、私は閉じ込められていてね。自分から動くことも出来ずにいて、それはもう寂しかったものだよ。
 誰かに会ってもこんな性格だ。ついつい憎まれ口を叩いてしまうのだよ。愛情の裏返しなのかもしれんな。
 我ながらいけないとは思うのだが、なかなか上手くいかないのだよこれが』

「それは・・・・・・」



それを聞いて天子は少しだけこのロボットの気持ちが分かるような気がする。

一人は寂しい。

天子は天界では衣玖を除けば一人の事が多い。

普通の天人の遊びでは天子はあまり楽しめない。

そのせいか、あまり他の天人ともあまり仲は良くない。

逆に不良天人と呼ばれ離れられていく事が多い。

父親も仕事が忙しく、会うこともほとんどない。

会ったとしてもやれ勉強だ修行だと言って他のことはあまり話さない。

いつからか、天子は人との繋がりを欲するようになった。

だが不器用だった彼女はどうすればいいのか分からなかった。

結果、人に迷惑を掛けて怒られるようになっていった。

しかしそれでもよかった

どんな形であっても、人と触れ合えるのがとても嬉しかった。

・・・それが行き過ぎて、こういう風になってしまったが。

人との触れ合いを欲して喜ぶという意味では二人は似ていたのかもしれない。

片方はサディスト、片方はマゾヒストと正反対な者ではあったが。



『・・・・・手を』

「え?」

『手を、握っても良いかね?』

「え?う、うん」



天子はおずおずと自分の手をブラウに差し出す。

ブラウの手が天子の手を優しく握り締める。



『・・・・・・暖かい。まるで、君の心を感じるようだ』

「あなたは・・・ちょっと冷たいのね」

『金属だからな・・・それとも、心が無いから・・・かな』



ブラウは少し寂しそうに言う。



「・・・・・・そんなことないわよ。ほら」



天子は両手でブラウの手を包み込む。



「こうしていれば・・・・・・ほら、あなたも暖かくなってきたわ」

『クククク・・・ああ、本当だ。まるで、空っぽの心が満たされるようだ』

「よかったじゃない。そうすればいつか、空っぽのあなたの心も本当に満たされて・・・本当の心が生まれるかもしれないじゃない」



天子はブラウにそう言って微笑む。



『・・・・・・暖かい。これが心か。君の・・・心なのか』



ブラウはその手を少しだけ強く握り返す。



『優しいな・・・君は・・・』

「そんなこと・・・ないわよ。友人って呼べる奴なんていないし」

『だったら・・・私がなろう』

「・・・・・・え?」



ブラウの言葉を聞き、天子は我が耳を疑う。



『私で良ければ、君の友達になろう』

「でも、私そんな・・・だって、だって」



天子は涙を浮かべ顔を横に振る。

信じられなかった。

自分と友達になりたいだなんて言う奴がいることが。

ブラウは話を続ける。



『是非ともなりたいんだ。私は、君の友達に。・・・・・・私では、駄目だろうか?』

「そんなことない!そんなこと・・・ないわ」



天子は泣き顔を隠すようにブラウの手を顔に自分の寄せる。



『では、どうして泣いているのかね?』

「嬉しいからよ。嬉しいから・・・泣いてるのよ」

『人は、嬉しくても泣くのだな。知ってはいたが、今ようやく・・・なんとなくだが、理解出来た気がする』



ブラウは天子の涙を拭ってその涙を見る。

彼はそれを綺麗だと感じた。

心から、そう思った。



『私の名前はブラウ1589だ。もう一度聞かせてくれないか?君の名前を』

「比那名居・・・天子」

『ではテンシ。今から私達は――――――友達だ』

「うん・・・・・・うん!」



ブラウの言葉に、天子は嬉し涙を浮かべながら笑顔で答えた。




















――――――この日、一人のロボットと一人の天人が友達になった。







































・・・・・・おっかしいなぁ?あれぇ?

ドSとドMの合戦を書こうと思ったのに。

何時の間になんでお涙頂戴になったんだ!?

書いててあれ?って思ったもんなぁ。

題名も、お出かけブラウさん~ドM編~にするつもりだったのに。

一体どうし、ちょ、ええ?

なんか・・・ドSを期待していた人達。

申し訳ありませんでした。

それでは・・・・・・おっかしいなぁ・・・



[21006] クマの幻想焼身旅行~絶望編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/18 23:05






荒井スミスです。

今回もクマが活躍します。

そしてついに今回はあの方と運命の出会いを果たします!

それでは荒井スミス劇場の開演です!

ゆっくりしていってね・・・





































クマは天界から叩き落とされた後、当ても無くふらふらとさまよっていた。

おおクマよ しんでいないとは なさけない



「・・・・・・どうすればいいんだ・・・ぼくは・・・これから・・・」



ふとクマが影に覆われる。



「うん?どうしたんだ?」



クマは気になって上を見上げた。




















『やあ、久しぶりじゃあないか。Dr. ルーズベルト。こうして会えるとは夢にも思わなかったよ。クククク・・・』



――――――絶望が目の前にそびえていました。




















「ブ、ブラウ1589!?何で君が此処に!?」

『それはもちろん、お前を処刑した後で此処に来たんだよ』



ブラウはクマをグワシと掴みました。



「ヤメローハナセー!」

『随分とまあ可愛らしくなって・・・実に御似合いだぞDr. ルーズベルト?・・・・・・ククククク』



クマはブラウの手から逃れようと必死にもがいたが無駄に終わる。



『さてどうしようか?家の店の店主に渡すか。それともテンシの土産にでもするか』

「一体此処は何処なんだ!?何なんだあの異常な奴等は!?」

『おや?御存じないのかね?』

「此処に着てから碌な目に遭わなかったんだ!確認する暇なんて無かったんだよ!』

『そうかそうか。ククククク・・・では教えてやろう。此処は幻想郷と言う場所でね。
 人間以外の知的生命体。所謂妖怪や神といった幻想の存在が集まる場所なのだよ』

「妖怪?神?君は何を言ってるんだ?」

『信じないのかね?しかしお前はそれを身をもって味わったのでは?』

「・・・・・・・・・・・・」

『クックックッ・・・どうやら当たりのようだな。ではもう一つ面白い話をしてやろう』

「・・・・・・面白い話?」

『此処にはアトムを除くあの七人もいるのだよ』

「な、なんだってー!」



クマはその事実に驚く。



『お前や私がいるんだ。ある意味当然じゃないか?』

「・・・・・・僕をどうするつもりだ?」

『クックックッ・・・さて、どうしようか。・・・おや?』



一人と一匹に鼻歌を歌いながら近づく者が一人。



「お花~お花~お花さん~♪どうしてそんなに綺麗なの~♪」



どう見ても風見(ry

ありがとうござ(ry



『やあユウカ。楽しそうじゃあないか』

「げえっ、ブラウ!」



幽香はブラウを見た途端に嫌な顔をする。



(お、落ち着きなさい幽香!落ち着くのよ!慌てたらまた酷い目に・・・)



幽香はなんとか冷静になろうと深呼吸をする。



『これまた可愛らしい歌を歌っていたじゃあないか。クククク・・・』

「ッ!?ゴホッ!グォッホ!ゲホ!ゴホ!」



むせた。

先手を取ったのはブラウでした。



『大丈夫かね?・・・・・・・・・・・・ククク』

「あ、あんたわざと!・・・・・・何そのぬいぐるみ?」

「お、お前は!離せ!ハナセェェェェェェェェェェェェ!!!!」



幽香はブラウの持ってるクマに気が付く。

クマも幽香に気付きあのトラウマが蘇り逃げようとさらにもがく。



「これ貴方の?」

「ふむ・・・・・・・・・・・・そうだ」



ブラウは少し考えそう言った。



「ちょっと見せてくれる?」

『ああ、構わないとも』



ブラウは暴れるクマを幽香に渡す。

クマは恐慌状態に陥る。



「ハナセ!ハナセ!ハナセ!ハナセ!ハナセ!」

「うるさいわねぇ・・・ふむ」




















幽香はジッとクマを見た後――――――ポンと空にクマを飛ばした。




















「――――――まさかッ!?」

『ふむ・・・・・・ククク』

「そぉーれッ♪」



幽香は景気良く傘をスイングしてクマにぶち当てる。



「やっぱりかああああ!!!!」



クマはまた空の彼方へ消えて逝った。



「あーらごめんあそばせ♪つい手元が狂ってしまったわ♪」



ブラウの持ち物をぶっ飛ばす事に成功し、幽香は上機嫌になる。



『クククク・・・なあに構わんよ。今、此処で、さっき、拾ったばかりだからね。なんとも思わないさ・・・クックックッ』

「チィッ!そうなの」



得意気だった幽香はそれを聞いて不機嫌になる。



『そうだ幽香。君に聞きたい事があるんだが』

「え?私に?・・・・・・・・・な、何かしら?」



幽香はブラウの言葉を聞いて背筋が寒くなる。

また、また何か言われるのではとトラウマが蘇ってくる。



『実はサハドに「イヤァァァァァァ!モウヤメテェェェェェェェェェェェェェェ・・・・・」・・・行ってしまった』



幽香は悲鳴を上げて逃げて行った。



『サボテンの件について聞きたかっただけだったのだが・・・何をそんなに怖がるのかな?ククク・・・』



ゆうかりんは逃げ出した。

ブラウは勝利した。

ゆうかりんのトラウマが上がった。



『Dr. ルーズベルトも災難だったなぁ・・・いや、愉快愉快。クックックックックッ・・・・・・』



幻想郷の陰の実力者ブラウさん。

彼の勢いは止まることを知らない。

それからクマは・・・災難だったと言うしかない。









































ブラウさんすげぇや!

そしてクマは予想通り飛んでった!

ゆうかりんも泣きました!

満足です!

感想はどんなものでも待ってますからね!

それでは!



[21006] お出かけブラウさん~暴食編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/18 23:11






どうも荒井スミスです。

今回もカリスマキャラがブレイクします。

楽しいですね!カリスマブレイク!

それでは荒井スミス劇場始まりです!

ゆっくりしていってね・・・





































ブラウさんは凄い光景を見ていた。

それは――――――



「すみませ~ん。おかわりお願いしま~す」
「幽々子様ぁぁぁぁもうやめてぇぇぇぇ!もう私達の財布の残金はもう0ですぅぅぅぅぅぅぅ!」



団子の皿を天高く積み上げて更におかわりを要求する見目麗しい女性。

そして血の涙を流しそれを阻止しようと縋り付く少女だった。



「大丈夫よ。いつもみたいにツケてもらえばいいじゃない♪」

「やりくりはお金で赤字が大変で無くなるんですよ!」



少女の言ってる言葉はバラバラだったが言いたい事はよく分かった。



『こんなに食べるとは・・・驚いたな』

「あら?あなたは?」



幽々子がブラウに気が付く。



『ブラウ1589という。御名前を伺っても?』

「ああ、あなたが。私は西行寺 幽々子。あなたの事は紫からよ~く聞いてるわ」



もの凄く嫌な奴だと。

もしあったら注意をするようにとも聞いた。



『ほうほう彼女から。そうかそうか・・・クククク・・・』

(うわぁ、最初からどこか嫌なオーラが。・・・いいわ。紫の敵を討ってあげようじゃないの)



幽々子とブラウの戦いが始まる。

絶望的な戦いが。



『いやいや驚いた。君は本当によく食べるのだね』

「食べる事は生きる喜びだもの。当然よ」

『死んでるのにかね?』

「あら、そうだったわね。でもいいわ。それよりあなたはどうなの?食べ物を食べれるの?」

『生憎私には食べるための口が無くてね』

「あら~残念ね♪人生の楽しみの一つが楽しめないなんて♪」



ブラウの毒舌に反撃する幽々子。

さあ、ブラウどうする!どうするよ!



『クックックッ・・・食べる事しか楽しみがないのかね?それは可哀想に』

「・・・・・・もちろんそれだけじゃないわよ」



幽々子の反撃を利用しブラウは毒舌をかます!

これには幽々子も一瞬たじろぐ!



『ふむ、まあそれはいい。ところでそこの君』

「へ?私ですか?」



おおっとここでブラウ妖夢に話しかける!



(妖夢に何かするつもり?だったら私も考えがあるわよ?)



幽々子はブラウに気付かれないように構える。

そしてブラウは言った。



『君は・・・大変そうだね』

「・・・・・・・・・へ?」



ブラウの予想外の言葉に幽々子はあれ?と思う。



「分かってくれますか!」

「君の先ほどの姿を見ればな。この主人にだいぶ振り回されているようだね・・・・・・ククク』

(ま、まさかこいつ!?直接私を攻めるのではなく妖夢を介して私を攻めるつもり!?)



そのまさかよ!

ブラウは妖夢に主人の愚痴を言わせて精神的攻撃を行うつもりなのだ。

本丸ではなく外堀を攻める。

これも兵法の一つ也。



(だ、大丈夫!大丈夫よ!妖夢は私のことを悪く言うはずないわ!・・・ない・・・はず、よね)



幽々子は段々と不安になってくる。

そしてその不安は的中する。



「そうなんですよ!いつもいつも我が侭ばかり!御蔭で私は・・・う、うう・・・」

『泣かないでくれ。愚痴ならいくらでも私に言いたまえ。こんな私でも話せば少しは楽になるはずだ』

「あ、ありがとうございます・・・うう・・・」

「・・・・・・うそぉ」



バッチリ当たりましたね!



『ふむ、少し長くなるかな?すまない店主。彼女に御茶を。一番上等なのを頼む』

「あいよ、ブラウの旦那」

「え!?知ってんの!?」



余談だが、天子の御土産によく此処の団子を買っているため、何時の間にかブラウはこの店の常連になっていたそうな。



「そ、そんな!?悪いですよ!?」

『なに構わないよ。君の気持ちが少しでも晴れるならね』

「お待たせ。さあ、妖夢ちゃんどうぞ」

「オジサン・・・ありがとうございます」

『店主よ。この子を知っているのかね?』

「常連の一人ですよ。もっともこの子よりそっちの幽々子さんの方が食べるんですけどね」

「え?え?一体どうして!?」



意外な伏兵!それは団子屋の店主!

ブルータス、お前もか!?

三人は幽々子そっちのけで会話を進める。



「いつも御贔屓にしてもらってるからツケにもするんですが、それが多くなる時が困りもので」

『それはそれは・・・』

「も、申し訳ありません・・・」

「ああいや別に妖夢ちゃんを責めてるわけじゃないよ。ツケも後で払ってくれるしね。
 ただ食べ過ぎでうちの商品の団子が無くなって、他のお客さんが買えなくなる事もあるから困るんだよね」

「グ、グサァ!」



幽々子に精神的ダメージが入る。



『ほう?では私がこの前団子が買えなかったのも?』

「そうなんでさぁ。昔からの常連だから無碍に断るのも出来ませんからね」

「も、申し訳ありません・・・」

「グッサァ!」



さらにダメージは深くなる。



『やれやれなんとも迷惑だな。それを見限らずに主人に仕えるとは・・・君は立派だな』

「そんなことはありません。ただ小さい頃から覚悟していただけです」

『どういう意味かね?』

(あれ?どういう意味?)



幽々子は妖夢のその言葉に嫌なものを感じる。



「私は小さい頃から祖父・・・師匠の背中を見て育ってきました。幽々子様の我が侭に振り回される師匠の背中を。
 頑張って屋敷の幽霊達に指示を出して一緒に御飯を作る師匠。
 この木はここにして、あれを手入れしてと次々に庭手入れの仕事を幽々子様に言われたのを黙って聞く師匠。
 家計簿の赤字を血の涙を流して黙々と書く師匠。あげくには、師匠は自分の食費とか削って食事がドンドン質素になっていきました。
 師匠が「質素な食事の御蔭で逆に健康になってきた」って枯れた声で笑ったのをよく覚えています。
 そんなある日言ったんです。ただ一言「疲れた・・・」と。思えばあれが最初に私が聞いた師匠の愚痴でした。
 だから子供心に漠然と思ったんです。ああ、私もきっと苦労するんだろうなって。
 今では本当に師匠は凄いんだなと思います。この役目に着いてそれを本当に嫌というほど実感しました」

『「・・・・・・・・・・・・」』



妖夢が語るあまりな過去の話に二人は何も言えなかった。

ちなみに幽々子はというと。



「妖忌が・・・妖忌がそんな・・・私・・・そんなつもりは・・・」



なんかまるで間違えて人を殺してしまったのを認めたくない殺人犯のようなことを口走っていた。

我ながら上手い例えだ。



「そういや、親父が爺さんの爺さんの・・・まあ、だいぶ前の店主から聞いたのを言ってたな。
 なんでも妖忌って爺さんも今の妖夢ちゃんと同じような感じで、血の涙流して止めてたみたいなことを言ってたな」

「それって・・・まさか」



幽々子はそれ聞いて思い出す。

あの時妖忌が言ったあの言葉を。



「お願いです幽々子様!それ以上、それ以上食べられては家計が火の車でまた血の涙で赤字を書くことにぃぃぃぃぃ!」



なんて事を言ってたのを思い出す。



「一時期はこの刀を売り払おうとも考えたそうです。
 だから私思ったんです。早く一人前になって、師匠を楽させてあげたいって・・・そう思って修行を頑張りました。
 それを師匠に言ったら、師匠その場でうずくまってボロボロ涙を流したんです。
 あの涙を私は一生忘れられないでしょうね。師匠、本当に嬉しそうに「あ゛り゛がどう゛」って言ったんです」

「妖夢ちゃん・・・君は、本当にええ子やなぁ」

『お前が涙を流してどうする店主。さあ、このハンカチを使え』

「うう、ぐす。チーンッ!ありがとうブラウの旦那。それとすまない。ハンカチ汚しちまった」

『構わん。これはそこの主から借りただけだからな』

「い、何時の間に!?」



あなたが口走ってありもしない無実を言っていた時です。



「そんな師匠はある日忽然と姿を消しました。理由は分かりません。でも、さっきのことも大きく関係してると思うんです。
 私思うんです。師匠は・・・ただ自由が欲しかったんじゃないかって。そう・・・思うんです。
 初めはね、恨みましたよ。私に仕事を押し付けて何処かに行った師匠を。
 でも今は違います。ただ今は、師匠がこの空の下で自由を満喫してくれてればいいなって思うんです。
 そしていつか帰って来た時は一人前になって、今度こそ一緒に頑張っていこうって。
 例え、血の涙を流しても師匠と一緒だったら大丈夫です。
 だって私は、魂魄 妖忌の孫にして弟子の、魂魄 妖夢なんですから」



妖夢は満面の笑みで最後にそう言った。



『なあユユコ・・・言っていいかね?』

「・・・・・・・・・な、何んでしょうか?」



ブラウは顔面蒼白(死人だから当たり前なのだろうが)の幽々子に言った。



『君は何時まで彼女等を苦しめるつもりなのだね?』

「違う・・・私はそんな・・・そんな・・・違う違う違う!私、ちが、わ、わた・・・イヤァァァァァァァッ!!!!」

「幽々子様!待ってください!幽々子様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」



幽々子は絶叫を上げて逃げ出した。

ブラウと店主は勝利した。

ブラウの策略が上がった。

ブラウの連携が上がった。

店主は真の哀しみを学んだ。

無想転生?を習得した。



『人間とは・・・本当に罪深い生き物だな。・・・・・・クックックックッ・・・むなしい勝利だ』

「ええ・・・本当に・・・くくく」

『ああ店主。ちなみに団子は?」

「こんなこともあろうかと用意しておきました」

『感謝するぞ』

「いえいえ、私はただお客様を大事にしてるだけですよ旦那」

『どの口が言うのかね?』

「この口が言うんですよ」

『ほう、言うじゃないか店主。君は敵に回したくないなぁ』

「いえいえ、旦那ほどでは」

『「クックックックックッ・・・・・・・・・」』



後に、幻想種の天敵とさえ呼ばれたブラウさん。

この日彼はまた一人の友を得た。

団子屋の店主という一人の戦友を。

この後、西行寺 幽々子は多大な精神的ダメージを負い、紫に会うまで重度の拒食症になり、食べ物を見る事も恐れたそうな。





































今回の被害者は西行寺 幽々子さんでした。

妖忌・・・妖夢・・・お前等に幸あれ・・・

そしてブラウさんは新たな友を見つけました。

団子屋の店主という。

この結果は私にも予想外でした。

まさかのモブキャラ無双になるとは・・・

それでは!



[21006] お出かけブラウさん~永遠編~
Name: 荒井スミス◆47844231 ID:03dd8c5e
Date: 2010/09/18 23:19






どうも荒井です。

今回はもしかしたらある意味一番酷い話かもしれません。

いろんな意味で。

それでは荒井スミス劇場始まりです!

ゆっくりしていてね・・・





































ブラウは今日は永遠亭に来ていた。

ある目的の為である。

その目的は・・・まあ、後で明かしますのでご了承ください。



「それで?私に何の用かしら?」



永遠亭の薬師、八意 永琳はブラウに此処に来た理由を聞く。



「うちはロボットに出す薬は出していないのだけど?」

『いやいや、今日はただ君と話をしたかっただけでね』

「私に話を?へぇ・・・そう」



ブラウの発言に永琳は天才的な灰色の脳細胞を活性化させ思考を開始する。



(コイツは今幻想郷の最強の存在達から恐れられている。その理由はもちろん知ってる。
 この前八雲 紫が西行寺 幽々子を連れて来た時に警告されたから。・・・この幻想郷で今一番危険な存在だと。
 特に私のようなカリスマキャラにとっては!)



ちなみに二人が来た理由は幽々子の拒食症を治す為だった。

永琳の御蔭で、幽々子は奇跡的に一日一杯お粥が食べられるまでに回復したのだ。

妖夢は幽々子の食が細くなったのを涙をボロボロ流し・・・ブラウに感謝した。



(こいつが此処に来たのは十中八九私が狙いでしょうね。てゐは、まあ考えられなくもないけど違うでしょう。
 うどんげは言わずもがな。姫様は・・・カリスマ無いから違うでしょう)



自分の主なのに結構なことを言う従者だった。



(私を攻めるなら・・・まず姫様でしょうね。私の最大の弱点と言えばまさしくあれだし。
 きっとニートの事で何だかんだ言ってくるに違いないわ。けど残念ね。もうその手の言い訳は慣れてるのだからね。
 どんな事を言われようと論破する自信はあるわ!・・・・・・虚しい自信だけれど)



永琳はそう考え溜め息を吐く。

ちなみにこの間約0・002秒。

天才的頭脳の無駄遣いである。



『どうかしたかね?』

「え?いえいえ別に。おほほほほほほ」

『そうかね。実は話というのは君の主の事なのだがね』

「あら?姫様の事ですか?(やはりそう来たか!)一体何の事でしょう?」



いくぞドS王――――言い訳の貯蔵は充分よ!



『君の主の蓬莱山 輝夜に仕事を持ってきたのだよ』

「それは十分分かってます。でも私は姫様・・・・・・今何と?」

『君の主の蓬莱山 輝夜に仕事を持ってきたのだよ。そう言ったのだ』

「姫様に・・・仕事?」



永琳はブラウの信じられない発言に驚く。

想定外の事態に天才は戸惑うしかなかった。



『とりあえず用意した仕事は、まず寺子屋の子供達の世話だ。
 これはただの子供達の遊び相手なのだが、彼等は元気があるからね。
 それに付き合うだけでも十分仕事になる。そこまで気を使わなくていい仕事だ。
 次に団子屋の店員だ。輝夜なら十分看板娘になるだろうからな。
 店主も輝夜が来てくれるなら雇うつもりだと言っていたよ。
 後は香霖堂の手伝いだな。私からモリチカに頼んでみたら、軽い手伝いならいいと言ってな。
 まあ、社会勉強にはいいだろうな。ああそれともう一つは』

「ちょ、ちょっと待って!?えっと・・・それは一体どうして?」

『上白沢 慧音、藤原 妹紅、そしてエプシロンに頼まれたのだ。彼女を働かせてやってほしいと』

「あの三人が?」

『ケイネとエプシロンは、まあ言わずとも分かるだろう?単純に彼女を心配しているのだよ』

「え、まあそれは分かるけど・・・どうして妹紅もそれに入ってるの?」



それが分からなかった。

妹紅は家の姫様と犬猿の仲以上に仲が悪いのだ。

その妹紅がどうして輝夜の心配などするのだろうか。



『話は少し長くなるが・・・君は自分の主が蓬莱ニートと呼ばれてるのを知っているね?』

「ま、まあね」

『それは人里でもよく知られている。それも知っているね?』

「・・・・・・まあね」

『人里では働かざることてるよの如しという諺が出来たのは?』

「そ、そんな事を!?』

『知らなかったのか・・・では最近人里で言われてるあれも知らないのかね?』

「あれ?」

『人里で働かない者を新しくなんと言うかだ』

「それって」

『てるよだ』

「・・・・・・え?」

『てるよだ。働いてない者に対して「お前もうニートじゃなくててるよだな」と言われている。
 言われた方は「勘弁してくれ!てるよなんてニートより酷いじゃないか!」と反論するそうだ。
 つまりニートのもっと上の嫌な言い方・・・いや下か?とりあえずそんな風に言われているのだよ』

「そ、そんな」

『これに妹紅が怒ってね。そんな事を言った者は竹炭ならぬ人炭になりかけたりもしたそうだ』

「・・・・・・妹紅が?どうしてあの子が?」



喧嘩をする時はよく蓬莱ニートと自分でもよく言っている妹紅が何故それに怒るのか?



『モコウからは言うなと言われたが・・・言った方がいいかな。お前も関係者だしな』

「妹紅が?一体なんて?」



なんか嫌な流れになってきた。

えーりんはそう思った。



『ある日いつもの通り喧嘩をして、その時はモコウが勝ったそうだが、どうもカグヤの調子がおかしかったそうだ。
 それで聞いてみたらこんな事を言ってたそうだ』



回想に入りま~す。



「どうしたんだ輝夜?今日はやけに調子が悪いじゃないか?」

「・・・・・・なんでもないわよ」

「・・・本当にどうしたんだ一体?何かあったのか?」

「本当に!・・・・・・なんでも、ないわよ」



いつもなら言い返すのに今日は違った。

それどころか、落ち込んでるようにも見えた。

そんな悪友の姿に耐えられず、妹紅の口は何時の間にか勝手に動き出した。



「何かあったんなら、その、私に言ってくれないか?」

「・・・・・・妹紅?」

「言ったら楽になることもあるって、けーねが言ってたから。
 だからさ、えっと私でもさ、出来るんじゃないかってその・・・ああもう!
 なんて言ったらいいのかな・・・」



妹紅は照れ臭そうに、どう言ったらいいか分からないといった感じで顔を赤くする。

そんな喧嘩友達を見て、輝夜はちょっとだけ笑う。



「妹紅・・・ありがとう」

「え?う、うん」

「それじゃあ・・・聞いてくれる?」

「あ、ああ!いいぞ!」

「私ってさ・・・働いてないじゃない」

「え?あ、ああそうだな」



いつもいつもニートニートと自分が言っているのだ。

それはもちろん知っている。



「本当はさ、これじゃ駄目だってのは自分でも分かってるのよ」

「だったらどうして」

「・・・・・・怖いのよ」

「・・・・・・え?」



妹紅は輝夜が何を言ったのか分からなかった。

怖い?そう言ったのか?あの輝夜が?



「怖いのよ・・・働くのが。最初は永琳の所で働こうとも思ったけど、うちって薬を扱ってるでしょ?
 それでもしミスなんかしたら、患者の命にだって関わるわ。最悪の場合、死んでしまう。
 そうなったら患者はもちろん、永琳にだって迷惑が掛かるわ。
 そんな事になったら、私永琳に顔向けできないわ・・・」

「だ、だったら他の仕事は?人里とか?」

「・・・何処に働きに行けばいいか、全然分からなかったし」

「私がいたじゃないか!そ、そりゃいつも喧嘩している私がこんな事言うのもあれだけどさ。
 でも、言ってくれたら私から慧音に」

「それで紹介してもらって!駄目だったらどうするの!?
 折角紹介してもらったのに、失敗してお店に迷惑掛けて!
 そしたら妹紅と慧音の顔に泥を塗る事になるじゃない!」

「・・・・・・輝夜」

「そうやって誰かに迷惑掛ける位なら、みんなからニートって呼ばれた方がまだ・・・いい・・・う、うう」



今まで誰にも言えなかった想い。

それを輝夜は今ここでやっと出すことが出来た。

今以上に誰かに迷惑を掛けるのはもう嫌だった。

でも気付けば自分から何かをする事が怖くなっていた。

何かして失敗して、迷惑を掛けるのが怖かった。

それから逃避するようにパソコンやゲームにどっぷりとはまった。

気付けばどうしてそんなにはまったのかも忘れる位に。

だがもう限界だった。

少しずつ、少しずつその想いが溜まっていった。

コップに水滴が溜まるように。

そしてついにコップからその水が溢れ出した。

それは今、輝夜の涙となってボロボロと流れていた。



「・・・この馬鹿ッ!」



そんな今にも消えそうな彼女の姿を見て、思わず妹紅は輝夜を抱き締めた。



「も、妹紅!?」

「そんなに苦しむ位なら、もっと早く誰かに言えばよかったんだ。
 そこまで辛い想いを溜め込む前にもっと早く。そうすれば、そこまで苦しむ事もなかったのに」

「・・・・・・・・・」

「それなのに、そんなに苦しんでたのに私、考えもせずニートってずっと言って・・・ごめん。
 ごめんなさい・・・本当にごめんなさい」

「でも、私だってあなたに酷い事」

「そんなの、どうでもいいよ。ごめんね。本当にごめんね」



何時の間にか妹紅も涙を流していた。

自分が考え無しに言った心無い言葉に、この悪友がどれだけ苦しんだか。

自分に腹が立って、それ以上に申し訳なくて。



「・・・いいのよもう。そう言ってくれるだけで本当に・・・私・・・」

「・・・輝夜。私が一緒に仕事探してやるよ」

「でも、私」

「いいんだよ。私とお前の仲だろう?今更迷惑なんて気にしないよ。
 慧音だってそうさ。そんな事あいつだって気にしないさ。大丈夫だからさ、ね?」

「ありがとう・・・妹紅」



回想終了。



『ということがあったらしい』

「姫様が・・・そんな事を」

『最後の一つはモコウの店の手伝いだ。彼女は本当に大事に思っているのだな』

「そ、そう」



なんか今回はいい感じに終わりそうな雰囲気です。

と思っていたのかぁ?

ここからだよここから!



『一つ言っていいかね?』

「へ?何かしら?」

『こうなる前に気付く事は出来なかったのか?』

「そ、それは」

『君は彼女の家族なのだろう?なのにどうして出来なかったのかね?』




ブラウ選手!相手が何か言う前にそれを防ぐ!

連続で攻めて畳み掛ける気だ!



「それは仕」

『仕事が忙しかった。と言うつもりかね?』

「えっとその」

『まあ、君が本当に忙しいのはよく知ってる。だがそれでも出来ることがあったろう?』

「確かにそう」

『ちゃんと話をしたことがあるかね?ガミガミと一方的に怒鳴らずにだ。どうだね?』

「・・・・・・確かに最近はそれが多かったけど、それで」

『やはりそうか。そんなことだろうと思ったよ。情けない。ああ、実に情けない話じゃないか』

「ちょっと!私の言い分も」

『ほう?ではどう言い訳するのだね?さあ、言ってみたまえ。十分過ぎる位に納得出来る言い訳を。
 どうだね?出来るかね?出来るなら今すぐ言いたまえ』



ここにきてブラウ、えーりんにターンを譲る!

さあ、どう出る!?



「それは、えっと」



ああ、なんということだ!

えーりん口ごもってしまった!

これをブラウは?



『なんだね?言えないのかね?今考えるようじゃ碌な言い訳じゃないだろうな』



見逃す筈がなかった!

ブラウ、また攻勢に出る!



『ではもう一つ聞こう。君はカグヤを信頼しているのかね?』

「も、もちろんよ!」

『ではどうして輝夜は君にそれを相談しなかったと思う?』

「それは、私に心配や迷惑を掛けたくないからじゃ」

『その通りだ。つまりどういうことか分かるかね?』

「ど、どういう意味?」

『カグヤが君を心の何処かで信頼していないということだ』

「そ、そんなこと!」

『もしもだ。彼女が君を心から信頼していれば一番に相談したはずだ。違うか?
 だがしなかった。これはあくまで私の考えだが、話しても信じてもらえない。そう思ったから話さなかったのではないかね?
 こういう話は、本当に信頼している者にしかしないからな。特に彼女のように追い詰められた者の場合はな』

「姫様が、私を信頼していない?そんな」

『だがこれは君にも原因があるのだぞ?』

「・・・私、にも?」

『先ほど君はカグヤを信頼していると言ったが、本当に信頼しているのかね?
 信頼とは、一方的なものでは駄目だ。お互いが想わなければ駄目なのだよ。
 カグヤは君を信頼してなかった。まったくというわけではないだろうがね。
 もし君が本当にカグヤを信頼していれば、カグヤも君を信頼して話したはずだ。
 そして今回のような事態は未然に防げたはずなのだ。そう思わないかね?』

「私、姫様、信頼して、なかった?そんな、でも、でも、ああ、あああ」



えーりんは頭を抱え壊れたラジオのように途切れ途切れに喋る。

その目からは光も消えていた。

さあ、終わりにしよう。



『今回の出来事。これこそが、君がカグヤを信頼してなかった証だと思わないかね?』

「そんな、そんな、あ、あああ、ああああ、あああああ・・・・・・ああ、あああ」



えーりんの心が折れた。

ブラウは勝利した。

ブラウは完璧な頭脳(ドSタイプ)の称号を手に入れた。



『さて、私はそろそろ帰らせてもらうとしよう。これは資料だ。ちゃんと、渡してくれたまえよ?
 君自身の手で、必ずな。・・・・・・クックックックックッ』

「ああ・・・・・・あああ・・・・・・ああ、あああ・・・」



茫然自失とするえーりんを残し、ブラウは永遠亭を去った。

その後、夕食の時間までえーりんはうめき続けた。

夕食に何時まで経っても来ないのを心配して来た輝夜を見た途端、えーりんは輝夜に抱きつき泣いて許しを請う。

恥も外聞もかなぐり捨てて謝った。

最初は訳が分からなかった輝夜も、永琳の話を聞いて納得した。



「そんなの気にしてない。むしろそれを言うのは私の方よ。ずっと心配ばかり掛けて、ごめんね永琳」

「ごめんなさい・・・本当にごめんなさい」

「いいのよ永琳。ほら、早くご飯食べましょう?てゐもうどんげも待ってるわ」

「・・・・・・はい。姫様」



二人はお互い笑いあいながら一緒にてゐとうどんげの下に行った。

それから後、永遠亭にちょっとだけ笑顔が増えたそうな。








































永遠亭から離れた竹林。

そこでブラウは一人通信を行っていた。



『・・・ああ、全て方が付いた。荒療治だったが、上手くいけば実に良い結果になるだろう。
 これで家族とも本当に信頼出来る関係が修復されるはずだ。・・・いやなに、今回は私も楽しませてもらったよ。
 今回は事前にシュミレーションを何万回もしたから上手くいったが、そうでなければこちらも危うかったろう。
 ・・・やり過ぎはよくない?ああ、分かった分かった。一応気を付けよう。
 ・・・そうだな。今注意すればもう君が被害に遭う事はないだろう。出来るだけ早い方がいいだろうな。
 今回の君の依頼はこれで果たしたということで・・・そうか、ククク。それはよかった。
 それではな――――――エプシロン』



月の頭脳すら降した悪魔ブラウさん。

彼に倒せない相手は、いるのだろうか?







































今回の犠牲者は永琳でした。

でもまあ、結果的によかったのかな?

本音彼女達を語り合わせるには、ああするしかなかったので。

家族との信頼は大事なものです。

それをしっかりさせるには今回のようなきつい劇薬も時には必要だと思います。

それでは!



[21006] お出かけブラウさん~復讐編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/09/23 18:28





久々だぜぇぇぇぇぇぇ!改定も終わったぜぇぇぇぇぇぇ!

どうも荒井スミスです!

いやぁ、こっちは本当に久しぶりですよ。

そのせいか、今回も相当酷いお話をお届け出来ます!

キャラ設定?カリスマ?それがどうした!

幻想郷では常識に囚われちゃいけないのさ!

もしそれをやめろって言うなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺すッ!

荒井スミス劇場、開幕といこうッ!

ゆっくりしていってね・・・






































幻想郷の霧の湖の近くに佇む紅魔館。

そこに今、復讐の牙を研ぐ者達が終結していた!



「みんな、今日はよく集まってくれたわね」



八雲 紫。

ブラウに自分のコンプレックスを突付かれ泣かされた妖怪の賢者。

最近、真剣に自分の行く末を考えているとか。

良い人がいたら、是非紹介してほしい。



「当然よ。あいつは許せるはずがないわ!」



レミリア・スカーレット。

この紅魔館の主にして少し前にブラウに自慢の槍をプライドとカリスマと共に粉砕された吸血鬼。

最近は漫画の知識からカリスマとは何かを学んでいるとか。

良い作品があったら、是非紹介してあげてください。



「ふふ・・・そうよ・・・あいつのせいで私は・・・ご飯が一日三食一汁一菜しか食べられなくなったのよ・・・」



西行寺 幽々子。

ブラウ、妖夢、団子屋の店主のジェット激流戦法により罪の意識に囚われ食事の量が一般的になった亡霊少女。

最近は少ない量でも満足出来る料理を探しているとか。

良い料理があったら、是非紹介してあげてね。



「予想外とはいえ、この私を口で言い負かせるなんて・・・この屈辱、必ず晴らしてみせる!」



八意 永琳。

ブラウに追い詰められた御蔭で家族中は良好だったが悔しい気持ちが勝り、それはそれこれはこれの精神で参戦した月の賢者。

最近は家族みんなでパーティーゲームを楽しくしているとか。

良いゲームがあったら、是非紹介してあげてほしい。



「そうよ・・・あいつだけはこのままにしておくわけにはいかないわ!主に私の為に!」



風見 幽香。

恐らく一番ブラウの被害にあったであろう悲劇のフラワーマスター。

最近は人に優しく出来る方法を自分なりに探しているとか。

良い方法があったら、是非紹介してあげてくださいね。



「今回の議題はあの忌々しいロボット、ブラウ1589に対する対策よ」

「紫、対策も何もあいつを壊せばいいだけじゃない?」



会議を始める紫に幽香はさっそく意見を出す。



「却下ね。確かにこの面子ならそれも可能でしょう。けどそんなことをすればある意味私達は敗北を認めたようなものよ。
 あいつは私達を口で言い負かしたのよ?私達の名誉を回復するのは同じ手段で勝利するしかないのよ」

「それに恐らく、あいつは戦闘に関しても相当な手練よこの、わ、私のグンルニルを、い、いとも・・・簡単に・・・うー」

「泣かないでレミリア。此処にいるみんなはあなたのその気持ちは痛いほど分かるわ。
 私だって、私だって思い出すだけで・・・妖忌・・・ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」

「しっかりしなさいレミリア!幽々子!気を確かに!」



ブラウの恐怖を思い出しトラウマが襲い掛かるレミリアと幽々子。

そしてそれを励ます永琳。



「・・・あいつは幻想にとっての、いえ私達カリスマキャラにとっての天敵よ。このまま放置すれば私達の威厳は」

「確実に崩壊する、か」

「仮に物理的に破壊が出来たとしても、彼の関係者が黙ってないわね」

「気が付けば人里でもそれなりに信頼されてるものね。しかもその理由が私達を倒したってのが・・・畜生がッ!」



ちなみに人里の彼の人気を広めたりしたのは団子屋の店主だったりする。

事態は深刻なものだった。

紫と幽香はそう判断した。



「ねえ紫、まだ被害に遭ってないカリスマキャラは?」

「地獄の閻魔に守屋の二柱の神に地霊殿の主。それと命蓮寺の尼僧ね」

「他には?魔界神の二人にあいつは?」

「さすがに魔界までは行かないでしょうし、あいつも何処に行ったかサッパリだし」

「・・・そう言えば魔理沙は?カリスマキャラじゃないけど彼女も被害者の一人でしょう?」

「誘ったけど、断られたわ。「もうちょっかいなんて出したくないんだぜ」って言ってね。
 私達にも「いい加減諦めた方がいいんだぜ。でないとまた痛い目に遭うんだぜ」って言ってたわ」

「そう言えば、最初に復讐を決行したのは確か彼女だったわね」

「・・・・・・でも、諦める訳にはいかないわ」

「となると、あいつの弱点を探る必要があるわね」

「二人とも、聞いてもいいかしら?」



二人の会話に永琳が加わる。



「何かしら永琳?」

「そもそもあいつに弱点なんてあるの?」

「「・・・・・・・・・それは」」



ブラウの弱点。

この場合は精神的な部分の弱点だろう。

二人はしばらく考える、が。



「・・・・・・思い浮かばない」

「まさかもしもの可能性すら思いつかないなんて」



ブラウが自分達同様に精神的にやられる姿なんて想像すら出来なかった。



「仮に弱点が見つかったとして、一体誰が彼に立ち向かうの?言っとくけど私は御免よ。まともに対峙出来るかどうかすら怪しいもの」



そう言ってブラウとの対決を辞退する永琳。



「そう言われると・・・私も」

「っていうか此処にいるの全員そうなんじゃないの?」



紫と幽香はその事をうっかり忘れていた。



「これじゃまるで、猫の首に鈴を付けに行くのを誰にするかもめる鼠じゃないのッ!」

「しかも私達の場合はその鈴すら無いときたわ」



絶望する幽香に追い討ちをかける永琳。



「・・・ま、まずは誰が行くかを決めましょう!」



紫はまず誰がブラウに対峙するかを決めることにした。

ちなみにレミリアと幽々子は頭を抱えてその場にうずくまり、まともに会話が出来る状態ではなかった。



「それじゃあさっき言った被害に遭ってない人物に協力を要請するのはどうなの?」

「そうよ!それがあったじゃない!」



永琳の提案に幽香は飛び付く。



「あいつに口で勝てる面子っていったら、閻魔に地霊殿の古明地 さとり、そう言えば阿求も結構口が悪かったわよね。
 あいつ・・・よくも私のことを危険度極高、人間友好度最悪なんて評価してくれたわね。御蔭で私がどれだけ・・・うう」

「・・・・・・実はその三人には声を掛けたわ」

「本当なの紫!それで?」

「結論から言うなら・・・駄目だったわ。彼女等は協力はしないそうよ」

「な!?どうして!?」



永琳は紫のその言葉に驚愕するしかなかった。



「まず古明地 さとりと稗田 阿求だけれど・・・どうも二人はブラウとは友人関係みたいなのよ」

「い、何時の間に!?」

「さとりは香霖堂に買い物に来た時に。阿求は団子屋で会ったそうよ。その時に話がはずんで何時の間にか友達になってたそうよ」

「さ、最悪の組み合わせじゃないのよそれ」



人を苛立たせるのが趣味の種族のさとり。

底知れぬ腹黒さを持つ阿求。

そして人のプライドをズタズタにする天才ブラウ。

もしこの三人が揃って協力したら。

そうなったら最後、カリスマもプライドも何もかも粉砕されてしまうだろう。



「そ、それじゃあ閻魔はどうなのよ!?あいつ最近は暇だっていうじゃない。どうして協力出来ないのよ!?」

「閻魔様曰く、「彼は悪行も目立ちますがそれと同じ位に善行も積んでいるのです。まったく訳が分かりませんよ。
 悪行と同時に善行も行えるなんて。しかも若干善行の方が多いような気も」だそうよ」

「ちょ!どういう事よそれ!」

「それに「私のカリスマだって最近は駄々漏れなんです!勤務時間より休憩時間が多いなんておかしいです!
 絶対変です!私は仕事に追われて、使えない部下に悩まされ苦悩するキャラだったはずです!
 それが、それがどうしてその部下との遊ぶ時間が増えるんですか!?確かに小町と遊べるのは」って。
 ・・・・・・この先はずっと愚痴と惚気が続いてたわ」

「・・・・・・あ、そう」

「・・・・・・・・・・・・」

「どうしたのよ永琳?」



額に手を当て無言で悩む永琳に紫はどうしたのかと尋ねる。



「確かに、彼の御蔭で最近は家も以前より明るくなった気がするわ。
 姫様は人里で働くようになってきて悪い噂も聞かなくなった。寧ろ良い噂を聞くようになってきたわ。
 ニートの代名詞だった姫様が働くようになって、今までろくに働かなかった若いのも、
 頑張る姫様を見て自分から働くようになったって聞くし。姫様も仕事を楽しそうにしてるって毎日笑いながら食卓で話してくれるし。
 みんなでゲームして遊ぶようにもなってきたし、本当に前より良い環境になったのよね。
 だから私個人の感情を除けば、本来なら彼は感謝すべき人なのよね。人じゃなくてロボットだけど」



みんなが仲良くなった御蔭で、彼女の趣味の人体実験が身内に行われなくなってきた。

彼女の弟子は密かに泣いて喜んでいたそうな。

それを聞いて、今まで死人のような表情(というか死人だが)でうつむいていた幽々子が反応する。



「そういえば、妖夢も最近とっても元気なのよね。私の食事の量が減ってから。
 修行の時間も増えて嬉しそうにしてたし、笑うことが増えたように思うわ。
 私それを見て思ったわ。妖夢と妖忌に本当に迷惑を掛けてたんだって」



今なら妖忌も帰ってきてくれるのでは?

幽々子と妖夢はそう思っていた。

ちなみに、幽々子の食事の量が減って、幻想郷のエンゲル係数は1割程減ったそうな。



「そ、それじゃあ二人とも、あいつを見逃すっていうの!?」



幽香は二人の意見を聞いて信じられないといった表情になる。



「そんなつもりは無いけど、複雑な気分は確かなのよね」

「結局は自分の悪い所を指摘されただけだし・・・それにそもそもどうやって退治するのよ?」

「そ、それは・・・」



痛い所を指摘される幽香。

会議は踊る、されど進まず。

まさにかつてのウィーン会議の如く進行が進まなかったその時だった。



――――――ズガァァァンッ!



何かが天井を突き破り、落下してきた。



















「天網恢恢疎にして漏らさずッ!私の友人をどうこうしようなんてそうは問屋が卸さないわッ!
 この比那名居天子の目の黒い内は好きにはさせないわよッ!アーハッハッハッハッ!」




















全員の心が一つになった。

苛立ちという心に。



―――結界「生と死の境界」―――

―――紅符「不夜城レッド」―――

―――桜符「完全なる墨染の桜 -開花-」―――

―――天呪「アポロ13」―――

―――起源「マスタースパーク」―――



弾幕の嵐がドMに叩き込まれる。

その結果――――――



「んぎもぢいいいいぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいッ!」



こうなった。



「はぁ・・・はぁ・・・この天人崩れがッ!」

「でも、御蔭で、気分が、すっきりしたわ」

「本当ね~だいぶ楽になったわ~」

「それについて“だけ”は感謝するべきかしらね?」

「ストレス発散だけしか能が無い役立たずだから別にいいわよ」

「くやしい・・・!でも・・・感じちゃう!」



恍惚の笑みを浮かべ、ヘブン状態のてんこは幸せの絶頂にいた。



「だったら・・・ストレス発散に付き合ってもらおうかしらッ!」

「この無念、億分の一でもいい・・・晴らさせろッ!」

「あなたに恨みは無いけど、あなたの友人がいけなかったのよ。ふふふ、ふふふふふ!」

「運が悪かった、いえ良かったわねあなた。私達が満足するまでなぶってあげるわッ!」

「泣け!叫べ!そして、死ねぇ!」

「来いやぁぁぁぁぁッ!コイヤァァァァァァァァァッ!」



見るも地獄、語るも地獄。

だが本人達にとっては楽しい時間になるはずだったその時――――――奴は、来た。




















『クックックックックッ・・・随分と楽しそうだねぇ・・・・・・君達』



――――――恐怖の権化が現れましたとさ。




















「「「「「げぇっ!ブラウ!」」」」」

「あ、やっほーブラウ」

『君も楽しそうだな、テンシ』



ブラウの出現により、五人全員が一歩後ずさる。



「一体、どうして此処に!?」

『団子屋の店主から君達が此処で面白いことをすると聞いてねぇ。それで来たのだよ』

「「「「「誰だよそれ!?」」」」」」



団子屋の店主です。



『いやいやいや、酷いなぁ君達。折角の楽しいパーティーに誘ってくれないとは・・・寂しいじゃあないか。クックックックッ・・・』



ブラウが五人に一歩近づく。

同じように五人も一歩下がる。

この世のありとあらゆる恐怖が迫っている。

五人の表情はそれを雄弁に語っていた。



「来ないで・・・来ないでぇぇぇぇ!」

「フラァァァァン!咲夜ぁぁぁぁ!パチェェェェ!メイリィィィィン!誰かぁぁぁぁ!助けてぇぇぇぇ!」

「いや、いやぁ・・・妖忌・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん」

「落ち着くのよ・・・素数を数えて落ち着くのよ・・・あれ?素数って、素数ってなんだったっけ!?」

「ぁぁ、ぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ嗚呼嗚ああ嗚呼ああ嗚呼アアアアアアア」




















『どうしたのかなみんな?さぁ――――――ア ソ ウ ボ ウ ジャ ナ イ カ ?』

「「「「「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」」」」」



















ババーンは恐怖に飲み込まれ逃げ出した。

うー☆は泣きじゃくり逃げ出した。

キャス子はトラウマに襲われ逃げ出した。

えーりんは混乱して逃げ出した。

ゆうかりんは発狂して逃げ出した。

ブラウは勝利した。

ブラウの恐怖が上がった。

ブラウのカリスマブレイクのスキルが上がった。

ブラウの威圧が上がった。

ブラウの狂気が上がった。

ブラウの連携が上がった。



「・・・うわぁ、あの面子があんなして逃げるなんて」

『クククク、あんなに慌てて・・・どうしたのかなみんな?』

「いくら私でも、あんたは敵に回したくないわ・・・」

『ククク、そうかね?さて、今日は店主が新作を出すそうだ。さっそく行こうじゃないか』

「え?本当?私も行くわ」

『では、行こうか』



カリスマキャラの天敵ブラウさん。

彼こそが真の――――――怪物である。







































楽しい・・・楽しいねぇ、物凄く楽しいなぁ!

これだ!私はこれがやりたかったんだ!

クククク、クハハハ、ハーハハハハハハハハハハハハハハハハッ!

・・・・・・失礼、興奮が抑えられませんでした。

ではそろそろ登場してもらいましょうかね・・・・・・あの人に。

それでは!



[21006] 店番ブラウさん~悪霊編~
Name: 荒井スミス◆735232c5 ID:d86d6c57
Date: 2010/11/14 22:57




おおう、久々の更新に私なんだかトキメキを感じてしまうトカ。

いやんばっかんッ!何言わせんのよッ!

な感じの荒井スミスです。

今回はいよいよあの方に登場していただきます。

そして、皆様は目撃するでしょう。

何をですって?それは・・・・・・見れば分かる。

それでは始めましょうッ!荒井スミス劇場をッ!

ゆっくりしていってね・・・





































ブラウ1589。

今この幻想郷で一番恐れられているのは誰かと聞かれれば、誰もが彼の事を言うだろう。

そんなブラウさんだが、今彼は暇を持て余していた。

楽しいことが無い訳ではない。

ないのだが・・・新鮮さとでも言おうか?それが感じられなかったのだ。

幻想郷の実力者のほとんどが彼を見るだけで怯えてしまう。

主にトラウマの所為で。

だもんでみんなは彼を見ただけで泣き叫んで逃げるようになってしまった。



『・・・・・・つまらん』



香霖堂で店番中のブラウさんはそんな言葉を漏らした。



『客は来ないし・・・本も粗方読んでしまった。これはつまらん』



もし彼を脅かせる存在がいるとすれば、それはこの退屈だろう。

ブラウさんはそんな事を考える。

そして考えている内にある人物を思い出す。

彼を此処まで連れて来た張本人だ。

思えば彼が初めて会った幻想郷の住人が彼女だった。

あの時は驚いたものだ。

なにしろ自分とプルートゥのボディを軽々と輸送したのだから。

もちろん腕力で運んだ訳ではない。

浮かして運んだのだ。

あの時は自分らしくもなく慌てたのでよく覚えている。



『そういえば・・・あれ以来会っていないな』



ブラウさんは今更になってそれに気付く。

今度会ったら、礼を言わねばなるまい。

彼女の御蔭で自分はこうしてこの幻想郷にいられるのだから。

・・・・・・最初に一応と入れた方がいいのだろうが。



『やれやれ・・・・・・彼女は一体何処にいるんだか・・・・・・』



ブラウさんが何気なくそんな言葉を呟いた――――――その時だった。




















「――――――あたしゃここにいるよ」




















ブラウさんの横で、そんな声が聞こえた。



『ッ!?』

「よお鉄人形、生きてたかい?」



ブラウさんが驚いて横を見ると、そこには件の人物が暢気に茶を啜っていた。



『――――――君か、ミマ』

「おいっす」



その人物、魅魔は暢気な声で返事をした。



『一体何時の間に・・・いやそもそもどうして茶を啜っている?それはこの店の店主の物なのだが?』

「それは違うね。こうして今私が飲んでいるじゃないかい。だからこれは私の物だ。だから問題ナシナシ」

『それはどうかと思うぞ?』

「きっとこの御茶は今この瞬間この私に飲まれる為に存在していたんだよ。
 ふ・・・・・・つまり運命なのさこれは」

『そんなものが運命だと?』

「私が言うんだ。間違い無い。うんうん」

『無茶苦茶だな君は』

「アッハッハッハッハッハッ!それでいいのさッ!」

『・・・・・・何がだ?』



正直に言おう。

ブラウさんは――――――この人物が苦手である。

実に掴み所の無い性格で、何を言っても暖簾に腕押し糠に釘。

嫌味がまったく通じないのだ。

ブラウが苦手な幻想郷の住人は今のところ二人である。

一人はこの魅魔。

そしてもう一人は聖 白蓮である。

あちらは嫌味が言えないのだ。

あまりに人がよすぎる為にだ。

最初から親切全開のそんな人物に、嫌味や毒舌が言えなかったのだ。

親切全開、優しさ満開、笑顔最高な人物に一体どうやって嫌味を切り込めと?

聖に翻弄されるブラウさんをその場で目撃したゲジヒトは苦笑いをするしかなかった。

そんな聖と同じくらい、彼は魅魔が苦手だった。

無縁塚から移動する時の慌てる彼を見てニヤリと笑うと、からかい全開で高速で移動させたり落下寸止め等をしたりした。

やられた本人はたまったもんではない。

ただでさえ機能停止寸前だったのだ。

生きた心地がしなかった。



『それで?一体何しに来たのだねミマ?』

「いやなに、あんたの顔を拝みに来ただけさね。理由は特に無いよ」

『クッ・・・・・・そうかね』

「まああれだ。いい所だろ此処は?」

『・・・・・・まあな』

「あんたの噂は聞いてるよ?中々やるみたいじゃないか」

『ふん、君には負けるがね』

「そりゃ私が勝つからね」

『・・・・・・はぁ、嫌味も効かないか』

「イヤミ?あれかい?シェ―!って言う」

『違うからな?それは全然違うからな?』

「少し前まで流行ってたよね?」

『一体何時だ一体?』

「あたしゃまだ若いからね。過去は振り向かないのさ」

『若い?どの口が言うのだ?しかも少し前とか言ってたろ?』

「この可愛いお口が言うのさ。少し前?はてなんのことやら~」

『はぁ・・・本当にお前は・・・もういい。私の負けだ』



ブラウさんはそう言って手を上げて負けたと宣言する。

ブラウさんは敗北した。

何かを失った。



『・・・・・・何か?』

「ほい団子いただき」

『待て。それは天子に買ってきたものだぞ』

「また買いな。パク♪」

『はぁ・・・もういい。さっさと帰ってくれ』

「お寒いねぇ」

『悪霊の君に言われたくないよ』

「どの口が言うんだい?」

『この口だ』

「分からんわッ!」



魅魔がブラウさんの頭をベコンと叩く。

御蔭で精神的にも形状的にもちょっとへこんだ。



「さて、それじゃ私は帰るとするよ」

『ああ、是非そうしてくれ』

「あいよ・・・あそうそう」

『何だね?』

「これを言うのを忘れてた。本来なら会ってすぐに言うべきだったんだけどね」



魅魔はブラウに向かって満面の笑みで言った。




















「ようこそ――――――幻想郷へ」





















そんな言葉を残して、彼女はその場からフッと姿を消した。



『言いたい事を言うだけ言って、やりたい事をやりたいだけやって・・・行ってしまったか』



ブラウさんは魅魔様が苦手である。

だが――――――嫌いではない。

むしろ好ましいと思っている。

少なくとも、彼女と話している時は退屈ではなかったのだから。

そんな事を考えている時、天子が店に入ってくる。



「やっほーブラウ遊びに来たわ・・・どうしたの?なんかボケーっとしちゃって」

『・・・・・・分かるのかね?』

「そりゃもちろんッ!なんたって友達ですもの」

『・・・・・・ククククク、それもそうだな』

「それじゃほらほら!早く行きましょう!」

『団子が切れたから、まずそれを買いに行くか』

「オオーッ!」



天子はそう言って店を出て行った。

ブラウもそれに続くが、ふと魅魔が消えた辺りをみてポツリと告げる。




















『ああ――――――ありがとう』




















彼女の笑った顔が、また見えたような気がした。





































魅魔様ァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

魅魔様ァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

ヒャッハァァァァッ!魅魔様ァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

・・・・・・げほん、すんずれいすますた。

ブラウさんに勝った相手は魅魔様でした。

その前に聖さんに負けたようですが・・・まいいかッ!

しかし・・・ふむ、前々からぼんやり思ってたんだが。

天ブラ・・・ブラんこ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・いけるか?

それでは!


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