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[21882] 【習作】S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)【ネタ】
Name: 草菜木◆a2547b9c ID:a56c10f4
Date: 2010/09/14 19:52
「ちょ、まてよ」

自然に口からこぼれた言葉はキム○クさながら(ヴィジュアルを除く)眉間に皺をよせて「信じられない」という表情のおまけつきだ。
のどかなのに剣呑な空気、百メートル上空に見える天井(そら)、そして正面遠くにそびえる巨大な宮殿、そして極めつけは……

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

20メートルはあるだろうフードを被った深紅の巨人だった。

「茅場、晶彦?」

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

ぽつりとつぶやいた正にその瞬間、フード付きの巨人、茅場晶彦は自ら名乗りを上げたのだった。

「ちょ…………まてよ」

唖然としつつ、呆然としつつ俺はつぶやく、キムタクのように(ヴィジュアルを除く)

「転生直後inSAOって……」

朗々と巨人・茅場が現状の説明、というより告知しているのをよそに、俺は、この世界での産声を上げた。


「それ、なんて開幕サドンデス!!?」






S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)






無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城。
それがこの世界の全てだ。
職人クラスの酔狂な一団が一つ気がかりで測量したところ、基部フロアの直径はおよそ10キロメートル、世田谷区がすっぽり入ってしまうほどもあったという。その上に無慮百に及ぶ階層が積み重なっているというのだから、茫漠とした広大さは想像を絶する。総データ量などと推し量ることができない。
内部にはいくつかの都市と多くの小規模な街や村、森と草原、湖までが存在する。上下のフロアを繋ぐ階段は各層に一つのみ、そのすべてが怪物のうろつく危険な迷宮区画に存在するため発見も踏破も困難だが、一度誰かが突破して上層の都市に辿り着けばそこと下層の各都市の《転移門》が連結されるため誰もが自由に移動できるようになる。
城の名は《アインクラッド》。約六千もの人間を呑み込んで浮かびつづける剣と戦闘の世界。
またの名を―――《ソードアート・オンライン》
ソードアート・オンライン第一巻アインクラッドより抜粋



それはとあるチャットルームにおいて日常的な風景だった。同好の士達が集まり話し騒ぎ、時に自らの成果を皆に報告したりして盛り上がっていた。
そして今日もまた、一人の職人が話題の種を放り込んだのだった。


鍛冶師 : 転生マシーンを作ってみた。
ダルヴァ: ついったー乙
関西  : 転生先はアイマス!の、一ファン……完璧モブやないか!
虫けら : ふ、お前なんかまだマシさ。俺なんてFateの世界でゾーゲン爺さん
の、身体のいちぶふぁあああくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
ジム  : あちゃー。それオワタ。ちなみに俺は禁書世界でLV1学生。なんて無
難ww
んだば : お、おではネギまでせせせせせったんの幼馴染!!ハアハア、せったんハアハア
模倣人 : 俺は藍蘭島に漂着。ただしホモスキルEXで。それなんてバツゲーム?
下駄弐 : ゼロ魔にてベルダンデに転生…………私、モグラですか?
自称鬼畜: いーじゃん土竜!漢字かっけー!それにルイズにくんかクンカイベントあるっしょ?ゾーゲンさんも蟲倉に紛れ込めば桜タソが……!!!
漆黒ノ羽: 死ね!Fateを……桜を汚す奴は皆死ねっ!!!
ダルヴァ: 信者乙。
下駄弐 : 乙です。
自称鬼畜: 乙~♪ってか、18禁ゲームで汚すなとか、それってどーなの?
英モドキ: Oh nonsense……
ジム  : だよねー。


「だよなー。確かに同情はするし可哀そうとも思うけど、文句言うならそんなシナリオ書いた某菌糸類先生にいうべきだわな。ま、当然お門違いだがね」

そんな光景を今日も俺は自室のモニターから覗いていた。
それにしても、桜はアレだからこそ、ちゃんと救済案として個別ルート用意されてるわけだし……イリアなんて、ある意味もっと悲惨だぜ?
そんな感じのコメントを掲示板に書き込もうとした瞬間、机の端に置いた携帯電話が振動する。着信を見るといつもの悪友だ。俺はキーボードに向かう手の軌道を修正して携帯をとり、通話ボタンを押した。

『たっくん』
『やめろ、俺はパイルなんぞ撃てねー』
『あぁ、アクセル仕様なんだね?じゃあタッカー』
『なお悪いわ!俺は自分の娘をキメラになんぞしねーっつーの!!』
『はは、ごめんごめん。ところでタカヤ。件の転生マシーン、やってみた?』
『いや、いま場違いな信者さんが叩かれてる最中だから』
『そんなのもうとっくに逃げたよ。ってことはやってないんだね?』

モニターを再び覗き込むと数分も立たずにごらんの有様だった。哀れ信者さんは多方向から無慈悲な攻撃を受けてログアウトしてしまっていたのだ。これはもう、ご愁傷様とか、フルボッコ乙とかしか言いようが無い。
俺は短時間でかなり進んでしまった会話ログをたどりながら悪友に話しかけた。

『お前はやったの?』
『うん。結構細かく作られてるみたいでさ。ついったーなんかじゃできない芸当だね』
『何処に転生した?』
『ペルソナ3でペルソナ使い』
『なんだよ。超美味しいポジションじゃん』

知識があれば原作介入も容易、うまくいけば俺tueeeeeeee!も夢じゃないドリームポジションに、俺は批判交じりの溜息を送るが、次の悪友の言葉にそれも吹き飛んだ。

『ただし、ストレガね』
『…………それは、また俺の名前の皮肉か?』

……たしかに原作に介入できる。つか、介入しなくちゃ死ぬ。介入しても死ぬ。介入する前に死ぬ?八方塞のハイリスクすぎるポジションだった。いや、もしP4の世界とリンクしているのなら助かる可能性もあると思うんだよ?二年後まで何とか生き繋いで、テレビの中に入り、自分と向き合ってペルソナを飼いならす。そうすれば正ペルソナ使いとして生きれるんじゃないだろうか?思えば、ストレガがつかうペルソナはみんなシャドウみたいに薄気味悪いヤツラばっかだったし、いまだシャドウに近すぎるために使用者を殺してしまうのではないだろうか?
思考が完全に脱線しかけたその時、悪友の声で現実に引き戻される。

『あ、そういえばロン毛くんの名前もタカヤだっけ?相変わらず記憶力だけはいいんだから。まあ、こんなもんだよ。製作者が意地悪なのかな。あんまし良いのを引けた人はいないみたいだね』
『ネギまで刹那の幼馴染ポジションの奴いたけど』
『あー……でも、リアルに考えてさ。彼女を落とすの無理っぽくない?そもそもお嬢様にゾッコンなズーレーさんだし、魅力チートな葱坊主もいるしね。それこそ、チートオリ主にでもならないと無理じゃないかな?』
『……言われてみればそれもそうか。刹那ファンならナチュラルにNTRな訳だな』

転生できるからと言って、必ずしもその作品の主人公になれるとは限らない。まあ、多くある二次小説の中にはたとえ原作にかする程度しか関わらなくとも、燻し銀を貫いた脇役オリ主たちも存在するのだが。

『で、やらないの?』
『うーん……』

正直俺は迷っていた。ぶっちゃけかなり興味があるし、酷評家で名高い悪友が『よくできている』と褒めるぐらいなのだ。ますます惹かれる。しかし……

『タカヤは昔からチキンだね。なにも本当に転生するわけじゃないんだから』

そんな安い挑発に乗ったら



「本当に、転生しちまった~~~!」

ごらんの有様だった。
確かに『転生マシーン』は良くできていた。良くできすぎていたのだ。


『ソードアート・オンラインにプレイヤーとして転生。
ただし、アインクラッドでログアウト不可能な状態から』


俺が前世で見た最後の光景は、そんな無慈悲な言葉を記すPCのモニターだった。





続く……のだろうか。



[21882] その1 現状確認?
Name: 草菜木◆a2547b9c ID:a56c10f4
Date: 2010/10/01 14:55




さて、現状を報告しよう。

今、俺が行おうとしている行動なのだが、細かく言うと手のひら、ヒジ、ヒザ、足の甲を地べたにべったりと密着させ、ヒザとヒジを曲げて頭もひれ伏している状態だ。
そう、もう余計な説明など、必要ないだろう。
俺が行おうとしているのは日本古来より脈々と受け継がれている伝統姿勢、“土下座”だ。

俺は、かの守銭奴商人ではないし、彼と対峙した英国商人でもない。長い長い商い(たたかい)の中で練磨された彼らの土下座には遠く及ばないだろう。しかし、俺は忘れない!彼らにあこがれ、悪友達と共に競い合い、この身に刻みつけたあの“DOGEZA”を!!
短期間ながらも必死で研鑽にはげんだあの青春を!!
そして、基本動作である“左右DOGEZA”“振り向きDOGEZA”“歩きDOGEZA”“立ちDOGEZA”“めくりDOGEZA”を習得した果てに至る、一つの極致が今、ここに!


「基本にして究極!秘儀、ジャンピング土下座!!!」


初動の跳躍によりできる限り高度をとり!
そのままヒジ、腰、ヒザの順で関節を折りたたむ!
そして姿勢が完成したところで高度な体重移動により身体を地面と平行に!
最後に、できる限り音を立てずに着地する!!


これぞ、我が秘儀。我が土下座に一片の悔いも無し!


そして、その見事なまでの土下座を、一挙手一投足余すことなく目に焼き付けた交渉相手、キリトとクラインは……



「………………」
「………………」



見事なまでに、ドン引きしていた。






S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ) その1 現状確認?






なぜ、このようなことになったかというと、それを説明するために少し時間を巻き戻す。
転生(転移?)し、現状を認識した俺は茅場の声をBGMに、パニクリつつも今後の方針を検討していた。
選択肢は大まかに3つ。

1、 原作に介入せずに始まりの町(ここ)で自堕落にひきこもる。

2、 原作に介入せずもそれなりに戦い、命を大事にしつつゲームを楽しむ。

3、 攻略組としてガンガンLVを上げて原作に介入する。

この3つだ。

正直、3はないと思う。
自分で言うのもなんだが悪友の言うとおり俺はチキンだし、特に何も武道をかじったことがないただのオタクだ。
運動神経があまり関係しないこの世界でも心構えや、精神的強さなどのアドバンテージは皆無といってもいい。
くわえて、パーティーを組む顔見知りが存在しないということ。いや、知らないわけではないのだが、ただ一方的に知っているだけなので同じことだ。
もしかするとお人よしな《風林火山》クラインや《月夜の黒猫団》ケイタなんかのパーティーに加えてもらえるかもしれないが、いかんせん自分には社交性も足りないことも理解している。
顔の見えないチャットならともかく、ここはVR世界、見ず知らずの相手とガチで対面しながら話すなんてこと、無理とは言わんが精神的にきつい。

となると対極となる1は?いや、これも無理だ。もといた世界の自分の部屋ならばともかく、こんな娯楽も食料もバリエーションに乏しい世界でひきこもるのはオタク文化(サブカルチャー)の漬物(ピクルス)と化した俺には拷問でしかない。しかも、SAO序盤に、たしか『ゲーム開始一カ月で二千人が死んだ』と書いてあったはずだ。おそらくその大部分はここ、『はじまりの街』で死んでいったのだろう。そんな気がふれそうな環境の中で、現実逃避もできない状況で、いまも夢うつつなこの俺がまともな判断をできるはずがない。外周から飛び降りようとする俺の姿を鮮明に想像してしまった。

それなら消去法的にも無難な2は?これなら何とか………………だめだぁ。
攻略に徹しなくても所詮はビーターの心得もないソロプレイヤー。そんな奴がボリュームゾーンにいても、

それなりのレベルでソロプレイ⇒犯罪者集団(オレンジギルド)と遭遇⇒あぼーーん。

なんてことになりかねない。それに……

「ちょっとまて、もしかしたら二次小説でおなじみの……」

俺みたいな異分子が紛れ込んだんだ。ひょっとしたらバタフライ効果がおこるかもしれない。俺が起こした小さな変化が絡みに絡んで、主要人物に変化を及ぼしてしまうかもしれない。攻略組じゃなくてもボリュームゾーンなら当然シリカもいるだろうし、職人クラスのリズベットとも鉢合わせするかもしれない。無視すればいいかも知れんが、転生なんてトンデモ体験をした後だ。何がどうなるかなんて全くわからない。となるとそれに間接的にかかわるキリトやアスナがどうにかなると、ゲームクリアも危ぶまれる。
いや、まて。それはさすがに誇大妄想だろ?こんな矮小なチキンが一匹、そんな影響を及ぼせるわけがない。
そう自分に言い聞かせても不安になってしまうのが、俺が俺(チキン)たる所以だった。

「主要人物に全く接触する可能性がない1なら、いや、たとえこの街にとどまって
もシンカーやユリエール、サーシャだっている。そもそもこの街にずっといたらそのうち〈軍〉が幅を利かせてカツアゲにおびえつつビクビク暮らすことに」

そんなのは、そんなのは!

「絶対に御免だ!!」

そして俺は走り出した。茅場明彦の説明はもう終盤で、あちこちでおそらくは数少ないβテスターたちがすでに行動を開始しようとしている。
俺が目指すのは二人、おそらく説明が終わった直後、自分と一緒に来るようにと、会話を始めるキリトとクラインだ。

「たしか、町はずれの馬車の影、だったか?」

自分の潜在能力(ポテンシャル)で唯一誇れる記憶力を頼りに、聞き耳立てながら二人を捜す。
人込みをかき分けながら、定まってしまった無謀な方針を思いうかべながら。
結局、決まった方針は3。自分の保身を第一にするのなら、危険なのは、最初から決まっているゲームシステムよりも、イレギュラーなオレンジプレイヤーたちだ。奴らも確か最初の一年は『殺しは』しなかったはず。その一年で何とか奴らよりも強くなり、自衛できるほどの実力をつける。そのためには…………

「キリトにエスコートしてもらって、スタートダッシュする以外に手はない!」

正直、3と決まっても確定ではない。自衛できるほどの実力さえあれば、戦線からドロップアウトして下層に安い家でも買ってのほほんと暮らすのもいいかもしれない。もしかしたら、SAOをプレイするうちに少しでも社交性が身について、どこかのギルドに入れるかもしれない。だから、それまでに、生き残ること。死なないこと…………強く、なること。原作どうこう考えるのは、それからでも遅くないはずだ。

「……馬車、馬車。馬車ってどの馬車だ?」

思い出せ。文庫本のSAOの序盤の文章だ。馬車だけじゃだめだ。どの馬車だ?思い出せ、思い出せ。

「たしか、『広場から』……『放射状にひろがる、いくつもの街路の一本に入り』って!そんなのわかるか!」

思わず初期装備していたであろう腰の鞘を納剣されたまま床にたたきつける。すぐに『ビギナーダガーを放棄しますか?』というウィンドウが出てきたのであわてて『NO』していそいそとダガーを回収していると……

「いいか、よく聞け。俺はすぐにこの街を出て、次の村に向かう。お前も一緒に来い」

このテノールにすら届かない、少年特有のアルトボイスは。

「あいつの言葉が全部本当なら、これからこの世界で生き残っていくためには、ひたすら自分を強化しなきゃならない。お前も重々承知だろうけど、MMORPGってのはプレイヤー間のリソースの奪い合いなんだ」

間違いない。彼は、この閉じられた世界を唯一解放できうる存在。

「……この《はじまりの街》周辺のフィールドは、同じことを考える連中に狩りつくされて、すぐに枯渇するだろう」

オタク(俺)達の偶像の結晶であり、この英雄譚(せかい)の英雄。
黒衣の剣士、キリトだ。

「今のうちに次の村を拠点にしたほうがいい。俺は、道も危険なポイントも全部知ってるから、レベル1の今でも安全に辿り着ける」

やはり、文庫本を読むのと、実際見るのとでは全然違う。
いまだ物語の序章だというのに、俺はキリトから輝くようなオーラを感じた。
きっと、俺が彼と同じ状況に陥ったとしても、クラインを助けようなんて思わないだろう。いつもながらのチキンさで、できる限り効率がいい狩り場なんかを独占するために奔走するはずだ。そして、今も。

「でも……でもよ。前に言ったろ。おりゃ、他のゲームでダチだった奴らと一緒に徹夜で並んでソフト買ったんだ。そいつらももうログインして、さっきの広場にいるはずだ。置いて……いけねえ」

今も、俺はこのクラインが蹴らざるおえないスタートダッシュの最終便を、目の前で奪い去ろうと思っているのだから。ほんとに、救えない。
俺はキリト達が話している馬車の裏側にもたれ、天井(そら)を見上げて嘆息した。
馬車をはさんだ向こう側では、原作通りクラインがキリトを断り、それでもキリトを気遣って明るい声をだすクラインがいる。


今しか、タイミングはない。この最終便に乗れる最後のタイミング。
後に思えば、おそらくこれが、最初で最後の岐路だったのだろう。
俺が彼らにかかわるか否か、この世界の終りにかかわるか否かの、最初で最後の岐路だったのだろう。


「悪いが、話は聞かせてもらった!」
「!!」
「!?」


二人は馬車の裏で聞き耳を立てていた俺の存在に気付き、そして文章は冒頭に戻る。















続いてしまったorz
君は感じているか!?このほとばしるような打ち切り臭を!!



[21882] その2 無謀な交渉
Name: 草菜木◆a2547b9c ID:a56c10f4
Date: 2010/10/01 14:56


猛然と迫りくるフレンジーボアをひらりとかわし、背後から鋭く斬りつける少年。
そんな少年のさらに背後にこそこそ隠れながら道を行くのが、少し前に酒すら飲める年になったはずの俺。
非常に情けない話ではあるが、ここはMMORPGの世界。自分の持つ技巧(スキル)と自分のキャラクターの力量(レベル)のみがものを言う弱肉強食の世界だ。
たとえ同じ駆け出し(レベル1)であってもβテスターとして場数を踏んだキリトと俺じゃ、比べるまでもなくキリトのほうが強い。
キリトは名も知らぬ片手剣技で猪を切り捨て、剣を斬り払ってから背中の鞘にしまい、そして振り向いた。

「タカヤ。大丈夫か?」
「こっちのセリフだな。お前が戦ってくれるおかげで、俺のHPバーは1ドットも削れちゃいないよ」

張り詰めた表情で訪ねてくるキリトに苦笑して返す。
この苦笑は自分の情けなさやら、キリトへの申し訳なさやら、とにかくいろんな負の感情の表れであり、決して年上の余裕などではない。

我ながら本当に情けない。つくづく、自分のバイタリティーの無さに反吐が出る。
それでも、俺はキリトの背中から眼を放さない。

キリトにいつか、この恩を返す日のためにも。そして何より、


俺自身のためにも。






S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)その2 無謀な交渉







俺が出会いがしらの会心の一撃(土下座)を決めて、二人がドン引きした後。俺は改めて二人に自己紹介した。

「俺はタカヤ。見ての通り、一応君らと同じSAOのプレイヤーだ」
「あ、あぁ。俺はクライン、アンタと同じだよ」
「あ、えっと……キリトだ」

さすが一つのギルドを束ねるクライン。不意打ちの自己紹介にも条件反射的にしっかり対応する。対するキリトはまだ土下座のインパクトが強かったのか、ポカンとしながら名乗った。

「よろしく」

にこやかにあいさつをする俺だが内心もう、非対人スキル(パッシブ)が発動してしまっていて心臓バックバクだ。しかしあまり時間はない。もうすでに茅場の話が終わっていくらか経っている。広場にはいまだ混乱しているプレイヤーが大部分だが、そのうち感の良いプレイヤーが町の外に出て狩りを始めるだろう。
そうなってからでは、もう遅い。一人抜け出して次の街に去ろうとするキリトを追い回すプレイヤーが出てきてもおかしくないのだ。

「さっきも言ったが、君らの話は聞かせてもらった。俺もこのままとどまったらまずいと思って、何とか行動を起こそうとうろうろしていたんだが、どうも勝手がわからない。悩みながら立ち往生していたところで……」
「俺とキリトが話しているのを立ち聞きしたっていうワケか?」

さすがクライン、話が早い。

「勝手に盗み聞きしたのは悪いと思っている。だが、俺だってこんなところで死にたくはない」
「あー……タカヤでいいんだよな?タカヤは、もうこの世界が茅場の言うとおりになってしまっているって確信しているのか?」
「……十中八九そうだと思う。ログアウト不可能の状態でプレイヤーをゲーム内に拘束するなんて、たとえサプライズイベントであってもやりすぎだ。まっとうなゲームマスターが、そんなことをするとは思えない」

だよな。そうだな。と、顔をゆがめてうなずきあうキリトとクラインを横目に、俺は罪悪感を抱いていた。十中八九なんて生易しいものじゃない。100%、この世界はすでにデスゲームに呑まれてしまっている。それを確信しているのはおそらくこの世界で、茅場と俺の二人きりなのだろう。
そう考えれば、俺も茅場も同じ穴のムジナだ。すべてを知りながら、彼らがこの世界で迷い傷つくのを傍観しようとしている。
思考がダークサイドに入りかけたその時、クラインの声で呼び戻される。

「つまりタカヤ。アンタはキリトについて行けねー俺の代わりに、こいつに守ってもらいながら次の街に行こうって言うんだな?」

クラインの眼はVRの映像だというのに気圧されるほどに真剣で、その眼力の前に圧倒されつつも、俺は自らの保身のために頼み込むしかない。

「不躾な上に卑怯な物言いだが、俺は君たちしか頼る相手がいないんだ」
「とは言ってもよ。アンタと俺たちはさっき会ったばっかりだ。俺にもキリトにもアンタに良くしてやる義理なんてないし、メリットなんかもねーだろ?」

変わらず鋭い視線で俺をにらみつけるクライン。
やはりタイミングが悪かったのか?そもそも原作登場人物に俺なんかが接触してはいけなかったのでは?いろいろと、無理がありすぎるよな……

「そう、だよな。時間をとらせて悪かった。さっきの話は忘れて……」
「けど、まあ……」

クラインの視線にたじろぎ、やむなく背を向ける俺をまたクラインの声が引き留める。

「それを決めるのは俺じゃない…………キリト。お前、どうする?」
「!!俺は…………」

さっきからじっと黙っていたキリトにいきなりクラインが話を振り、キリトは面喰って俺とクラインの顔を交互に見ていた。
どうにも煮え切らず、ずっと迷っているようだ。そしてその様子に耐えかねたのか、クラインが再び口を開く。

「俺は、こいつをつれてってやったほうがいいと思う」
「クライン!?」

心底驚いた顔をしてクラインをにらむキリト。いや、多分一番驚いているのは俺だと思う。我ながら「正気かお前」という表情でクラインを見つめているという確信がある。

「キリト、お前もさっきの見たろ。いきなり土下座するようなふざけた野郎だ。こんな変な野郎の恨みなんか買ってると、この先どんな仕返ししてくるかわかんねー」
「たしかに……」

いきなり変人指定ですか?いや、確かに自分だっていきなりそんなことされたら引く……引くよな?引く……だろ?
はっきりとした確信が持てなかった。

「それに考え方もしっかりしてたし、一応ちゃんと俺たちに交渉しようとしたわけだ。変な野郎だが、悪い野郎じゃねーと思うんだ」
「クライン……」

このとき、俺はある種の熱を胸の内に感じた。
それは、いろんな二次小説を求めてネットの中を駆けずりまわっていた、あのころに感じたのと同じ熱で。
確かにクラインはSAOにてそんなに華やかな活躍をしたキャラクターではない。だいだいキリトにくっついて、キリトの活躍の合間におまけのように書いてあるだけだ。
しかし、アインクラッドで、ここぞという肝心な場面にはいつもキリトのそばにクラインはいた。そう、クラインなくして『黒衣の剣士』はあり得ないとも、今は思えるのだ。
我ながら恥知らずに現金な話ではあるのだが、クラインのあまりの渋さにじーんときている俺がいる。
キリトも何か感じるものがあったのか、感慨深げな顔でクラインを見つめ、そして俺に振り返った。

「タカヤ」
「…………」

俺を見るキリトの視線にはもう迷いはない。芯の通った、まるで一本の剣のようで、思わず俺は言葉を忘れてしまう。これが、主人公(キリト)が主人公(キリト)たる所以なのだろうか?威圧されているわけでもないのに、俺は口を開くことができなかった。

「俺がアンタを次の街まで連れていく。それでいいか?」
「あ、ああ。願ってもない」
「……もう、あまり時間もない。急ごう」

キリトは軽くウィンドウを開いて装備を確認してからそれ閉じ、身をひるがえして歩き出した。チープな初期装備のタブレットを纏いながらも、その姿は堂々としつつ、颯爽としている。
俺は少し気後れしつつも彼に続こうとするが、

「っと、ちょっと悪い。話がまとまったところでなんだが、5分、いや、3分だけ、タカヤと話していいか?」

続こうとする俺の肩をクラインがつかんで引き留める。
ようやく腹をくくったはずのキリトと俺は怪訝な顔をしつつ、集合場所である街の出口門を確認してから別れた。周囲はいまだ騒然としているが、もう状況を把握したβプレイヤーらしき人影は見当たらない。

「ワリーな。時間がないのは俺にもわかっているんだが……」
「いや、もともとクラインが蹴った助け舟を、俺がトンビよろしくかっさらったんだ。でも」
「ああ、足手纏いな俺たちとは違う。キリトの奴にまで迷惑かけねーよ」

手短に済ますから。と早口で言うクラインの表情は先ほどの交渉時と違いほがらかだ。

「わざわざ引き留めたのはよう。お前に頼みがあるからなんだ」
「?」

思わず眉をひそめる。原作知識はあるものの、人の好意をかっさらうこのトンビチキン(どっちだ)に頼みごと?

「俺とキリトも、今日会ったばっかなんだがな?どうもあいつは『危なっかしい』気がするんだ」
「危なっかしい?彼はβテスターなんだろ?」
「いや、言い方が悪かったな。『危なっかしい』っつーより、『危うい』つーかな?」
「危うい」
「ああ、しっかりしてるようには見えるんがだ、どうも脆そうだ。」
「…………」

たしかに、もともとキリトは内向的な性格で、βテスターや黒猫団のこともあるが、彼がずっとソロをやっていたのはそのせいもある。

「多分あいつは強くなる。それこそ、この世界のトップランカーに名をつらねるぐらいにな。だが、どれだけキャラのLVが上がっても、中身は生身の人間だ。いつか、自分が上に登るために見捨てていった……たとえば俺みたいなやつのことを思い出して鬱になるかもしれねえ」

そこが危うい。と、クラインは言う。そしてひらめく。確かにキリトはメンタル面に脆いところがある。原作でも最初に見捨てざる負えなかったクラインに負い目を感じていたような描写もあった。だから、

「だから、俺を代わりに?」
「ご明察」

にやりと笑いながら顔をそらす曲刀使いの顔色は、照れているのか若干赤かった。

「あいつにずっと着いてってやってくれとか、あいつを助けてやってくれとか、そんな無茶は言わねー」

そもそも俺たちのが弱いしな。と顔を見合わせて苦笑する俺とクライン。

「だが、きっと俺たちにだってできることはある。あいつの背中をちょっと押したり、支えてやることぐらいわな」
「……あぁ。そうだな」
「だから頼む」

クラインはそう言い残して、俺とフレンド登録した後、自分の仲間を探しに人込みの中に消えていった。



俺はその背を見送るのも早々に駆けだす。キリトが待つ出口門へ。



保身だらけの頭の中のほんの片隅に、クラインの言葉が染み渡るように響いていた。













続く



[21882] その3 これからここで
Name: 草菜木◆a2547b9c ID:a56c10f4
Date: 2010/10/01 14:57
注意!次回からオリジナル要素や名称、設定などが出てきます。ご注意ください。























その時、俺はこの朗らかなステージに似合わぬ緊迫した空気を感じていた。
握りしめたダガーの持ち柄にはかくはずの無い冷たい汗を感じ、表情は鳴りもしない歯鳴りを食い止めるため、硬く食いしばっていた。

「ぶも、ぶも~」
「………………」

眼の前にはもう何度も見た小ぶりの猪、フレンジーボアがいる。
そう、俺はもう何度もこいつを見ているのだ。キリトに突進攻撃をヒラリとかわされ、数回剣で斬りつけられただけで消えていったこいつの姿を。それなのに。

「それなのに……なんでこんなに怖いんだよ?」

ソードスキルを出せないわけじゃない。
一度キリトにわがままを言って、死にかけたワームのとどめを刺すのをやらせてもらった。
その時は過去に文章で読んでいたコツと、目の前で散々実演してくれたキリトの挙動を保管し、少しぎこちないも短剣の基本単発スキル『ファーストスラッシュ』を発動させ、なんとか初陣を終えられた。
そのあと、「ワームは動きは鈍いけど、毒を持っていてそこそこしぶといから、慣れないうちは戦わないほうがいい」とアドバイスをもらった。
そういうわけで原作でも『スライム相当』といわれていたボアを狩りに来たわけなのだが。

「ぶも~!!」
「っ……!!」

お世辞にもドスの効いたといえないうなり声を上げながらこちらを威嚇し、前足で地面をひっかき始めるボア。これは突進攻撃の予備動作で、これも、もう何度もキリトの後ろから見ていた。
それなのに。

「ぬぉ!!」

無様に転がりながら逃げようとして、それでもかすり、HPを数ドット削られる俺。何ともなさけない……。
本当は、本当はこんなはずじゃなかったのだが。
キリトのようにとまではいかないが、無難にヒット&ウェイを決めながらボアをしとめる自分を想像していたのに、この体たらくだ。

俺は仮想の地べたに転がりながら、システムによって零れかける涙をこらえるのに必死だった。








S(そりゃあ)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)  その3 これからここで








キリトにボディガードしてもらいながら何とか第一層のもう一つの村にたどり着いた俺は、今後のことについてキリトと話していた。

「ここまで送ってくれてありがとう。ここからはなんとか、俺一人でやってみるよ」
「でもタカヤ、さっき初めて戦ったんだろ!?何の知識もないのに、ソロなんて無理だ!」

何とか俺を引き留めようと説得しようとするキリト、もしかしたら『ここまで俺が連れてきたのだから、これからも俺が面倒見なくては』と思ってくれているのかもしれない。
おそらくは原作でも、クラインがキリトについてきたのなら二人組でパーティーを組んでゲームを進んでいったのだろうと思う。
ここで俺がキリトと組めば、そのポジションをそっくりそのままいただける。
英雄の相棒という、これ以上ないおいしいポジションをだ。

だけど。

「もともとここまで送ってもらうだけって話だったろう?キリトが一緒にいてくれるのは心強いけど、それじゃお前が自由に進めない。どうしても、俺が脚を引っ張ってしまう」

そうだ。キリトの足を引っ張るわけにはいかない。
俺はスタートダッシュを何とかクリアしたが、キリトはβテスターとしてのアドバンテージをまだ使いきっていない。
いや、テスターたちはクローズドβ版で第六階層までクリアしているはず、むしろこれからが彼らの独壇場だろう。
安くて上質の武器を購入し、適切なスキルを身につけ、効率の良い狩り場でレベル上げができる。
それもキリトはソロだ。獲物なんて寄り取り見取りであっという間にレベルが上がるだろう。だからこそ。

「今がお前にとって一番大事な時期だ。それを俺のせいでお前が蹴っちまうのは、俺もクラインも望んじゃいない」
「………………」

だからこそ、俺は一緒には行けない。どんなに効率のよい狩り場を知っていても、不慣れな俺と一緒じゃ経験値効率も半分以下に下がってしまう。
それでなくとも、俺もキリトもPCモニターの前にかじりつくインドア派内向的人間だ。もし俺がクラインのように気さくな人間ならばともかく、四六時中一緒にいたら気疲れしてしまうだろう。
そんなことで、『黒衣の剣士』の足を引っ張るわけにはいかない。それでクリアすら危ぶまれるかも知れないのだから。
だから俺は、沈黙して消沈するキリトに諭すように続けた。

「キリト。はじまりの街でも話したが、おそらくこの世界はすでにデスゲームに呑みこまれてしまっている。それをクリアして、元の世界に帰るには一人でも多くの高レベルプレイヤーが必要不可欠だと思うんだ」

俺は諭すように、騙すようにキリトに語りかける。偽善が、どの口がそんな言葉をほざくんだと内心思いながら。しらじらしいこの罪悪感じたいが既に鬱陶しい。

「……でも、それじゃあクラインを残してきたのと変わらない」
「キリト……」

お前がそれを気に病むことはない。っていうのは、たぶんこちらの勝手な言い分なんだろう。
でも、これでいいのか?俺は、ここに連れてきてもらう条件としてクラインに頼まれたんじゃなかったか?「キリトを頼む」と。
なにか妥協案は……これじゃ、原作となんら変わらないじゃないか。


いや、むしろ変えないほうがいいのか?


「タカヤ?」
「いや、なんでもない」

また薄汚い打算が顔を出すがそれを無理やり引っ込める。
そう、キリトに同行を申し出た時点で、俺は既に原作に介入している。それならいっそ、打算なんか全部抜きにして、自分の思うとおり動いていいのではないのか?
しかし、臆病な俺にとって『自分の思うとおり動く』というのは、『なるべく原作どおりに無難に動く』ということで…………

「じゃあさ、宿屋は一緒の店にしないか?」

結局、中途半端な妥協案しか思い浮かばなかった。

「宿屋を?」
「そう。流石に宿屋の中まで足手まといって事はないだろう?」
「まあ、そりゃあそうだが」
「狩りは効率重視のためにお互い単独でやって、宿屋で合流してから食堂とかでだべるんだよ」
「………………」

急造の妥協案のためか、キリトのリアクションは微妙だ。焦って矢継ぎ早に喋る俺を、苦い表情はしていないものの、いまいちポカンとした顔で見ている。

「こんな状態で一人で居てもお互いネガティブになるだけだろうし、夜になると余計なこといろいろ考えちまうだろうし、そもそもお互い始めたばっかりなんだから情報交換なんかも……って、これは俺が一方的に必要なのか」
「…………」
「キリト?」
「…………くっ」
「…………?」
「ぷっ……あはははは!」

何が面白かったのか、いきなりキリトが噴出した。
逆にポカンとしてしまう俺。別にギャグを狙ったわけではなかったのだが……
まあ、とりあえず空気が柔らかくなったので話を続ける。

「多分、俺もお前と一緒に高レベルプレイヤーになれるのが理想なのかもしれないけど、多分俺には無理だからな。MMORPGはそんなに得意じゃないし」
「……じゃあ、なんでここに来たんだよ?」

なんでだろうな。と苦笑しつつ、俺も聞きたいよ。と内心でさら別の苦笑が浮かぶ。
キリトも笑いをこらえながら苦笑していた。

ただ、MMORPGが得意でないというのは本当だであり、俺はMMOよりもコンシューマーのRPGのほうが好きだ。時間をかければかけるほどに育てるキャラは答えてくれるし、ステ振りを間違うだけで絶望するようなことは稀だ。さらにシステムに完璧に調製されたゲームバランスのために行き詰ることがあまりない。
だが、MMORPGは別だ。ここには俺以外のプレイヤーがいるのだ。俺は彼らに影響を受ける。いい意味でも悪い意味でも。

「わかった。そこまで言うなら狩りは別行動しよう」
「ああ、ありがとう」

そのあとキリト『やれやれ』といった表情で
『できるだけ街の近くで狩りをすること』
『HPが1/3以下になりそうなら逃げること』
『絶対に無理はしないこと』
とありがたいアドバイスを俺にくれて、その後村門から出て、フィールドに戻っていった。



そして俺は一人になった。そう、一人だ。そこに寂しさを感じたりしない、昔、チビガキだったころはずっと一人だったのだから、あのころに戻っただけだ。

「ま、そのせいか学校の通信簿に『協調性に欠ける』っていっつも書かれてたっけ?」

MMORPGには、キリトやクラインの様に他のプレイヤーが存在する。
彼らのような善人に触れて心温まることもあるし、顔も知らない人と連携が上手くいったりすると素直に嬉しい。
しかし、嫌がらせや執拗なPKを繰り返すオレンジプレイヤーなどの悪人。それとギルド内でのいざこざやらで、心がささくれ立つことも多い。

気分のアップダウンが激しい。
それがMMORPG、顔も知らぬ他人と一緒にプレイするゲームの特徴なのだと、俺は思う。
とにかく人間関係は面倒くさい。
そういう風に、誰かに自分が揺さぶられるのは、俺はあまり好きじゃないのだ。
できるだけ心はフラットに。かつ、楽しくありたい。

「…………所詮、ひきこもりのネガティブ理論かな?」

でもこの理論も、どうやらここでは通用しないようだ。
いまだクラインの言葉とキリトの心配りで、この胸は熱を持っている。
俺はもう一つ苦笑を重ねつつ、キリトとは別方向のフィールドに出て行った。







そして話は冒頭に戻る。










続く


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