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[22315] ナカジマ家の日常(sts後サウンドX前 N2R同居後スバル一人暮らし前)
Name: なんとか家◆0d68d2f7 ID:ba4fe846
Date: 2010/10/03 20:12


その日はポカポカ陽気が気持ちのいい日、温かふわふわな布団の魔力が最大限に発揮されます。

でも・・・そろそろ起きないといけません。

でもでも・・・後5分・・・後10分・・・。

うん、それぐらいしたら眼を覚まそう。

目覚ましはノーヴェを起こしに来た時に止めちゃったから、自分で数えないと。

1~2~ぐ~・・・。


「ん・・・?」


意識が落ちる寸前、直ぐ真横で寝ている赤髪の女の子がモゾモゾと動いた。

その子はあたしと同じ顔をしているんだけど、あたしと違って赤い髪で金の瞳をしています。

友達には2Pスバルって言われるけど、ちゃんとノーヴェって名前が有るんだからそう呼んでほしい。

ノーヴェ・ナカジマ、あたしの家族で姉妹です。

布団の温かさを良い具合に上げてくれていたノーヴェがムクリと上半身を起こす。

人間湯たんぽが居なくなり、寒さにうんうん唸っていると。


「スバル・・・こんな所で何してやがる・・・」


それ以上に冷たい声で呼びかけれた。

けど、


「にゅにゅにゅ、もう食べられない~」


今、あたしは肉まん200個早食いにチャレンジ中なのです。

今まさに50個目の肉まんを口に入れ・・・な!これは肉まんではなくピザまん!!。

審判さ~ん、これ肉まんじゃなくてピザまんですよ~・・・え?これは当たりで家族みなさまで行ける温泉旅行ゲット?。


「意味不明なこと言ってねぇで起きろ!!」


ノーヴェに肩を掴まれ頭をシェイク。

頭が自動的に上下運動、うぅ・・・脳が揺れる~。


「ノーヴェ駄目だよ、いくら予選であんまんが喉に詰まって失格になったからって横取りしたら」

「あたしは予選敗退かよ、じゃなくて起きろ!! って!なんでもうこんな時間!目覚ましかけたはずなのに!!」


ノーヴェがあたしを手放し、目覚まし時計を掴んで悲鳴に近い声を上げる。


「大丈夫だよ、あたしが目覚まし止めてからまだ5秒ぐらいしか経ってないから」

「もう30分近く経ってるよっ!つうか一発殴らせろおおおおおおおおおおお!!」

「わひゃーッ」









**********


「ったく!テメェのせいで遅刻寸前じゃねぇか!!」

「ふえぇ・・・ごめんなさーい」


パジャマから制服に着替え、ノーヴェの部屋を飛び出してリビングに向かう。

二人共仕事に遅刻しそうです。

なのでダッシュ!ダッシュ!!。


「つうかなんでアタシの部屋で寝てるんだよ!」

「昨日ノーヴェが寂しいって言うから・・・お姉ちゃんが添い寝してあげたの忘れたの?」

「森羅万象全てねじ曲げてんじゃねぇ!あたしは昨晩1人で寝たはずだ!!つうか添い寝されるならチンク姉が良い!!」


即答かつ本音を答えられた。

ノーヴェ、チンクのこと好きだからなぁ。


「あたしはギン姉が良いよ」


ギン姉暖かいし、大きいし、うん・・・最高。


「誰も聞いてねぇよ!つうかギンガの所に忍び込めよ!!」

「だって恥ずかしいもん」

「あたしのところに来るのは恥ずかしくないのか!?」

「というかノーヴェ、そんなに怒ってて疲れない?」


朝から叫びっぱなしだよ?。

あたしがそう言うと、ノーヴェの額にピクリと青筋が浮かんだ。


「全部お前のせいだ~!!」

「あいひゃひゃひゃひゃ!!」


階段を駆け下りながら頬の左右を掴まれて引っ張られる。

凄く痛いというか・・・こんな足場が不安定なところでそんなことされたら・・・あ、階段踏み外した。


「「わきゃああああああああッ!!」」


二人で階段の上をゴロゴロと転がりながら一階に到着、うぅ・・・無傷なのが奇跡的です。

さすがあたしの身体、頑丈だ。


「でも、ノーヴェ重いよ~」

「重いとか言うな!!」


腹ばいに転がるあたしの背中にノーヴェが乗っています。

うぅ、中身のあ・・・アンコが出ちゃう~。


「二人共、朝から元気だね」


上方からおっとりとした優しい声をかけられる。

顔を上げると栗毛でお下げな女の子、ディエチがあたし達を見下ろしていた。

ディエチ・ナカジマ、あたしのお姉ちゃんです。


「おはよう!ディエチ」

「うん、おはようスバル。ノーヴェ、立てる?」

「ありがと・・・」


ちょっと引っ込み思案な所が有るけど、とっても優しいお姉ちゃんです。

だから、私も助け起こしてほしいなぁ・・・。


「スバルも大丈夫?」

「うん、ありがと!」


ディエチの手を借りて起き上り、前を向けば先に起き上ったノーヴェが廊下を全力ダッシュしているのが見えた。


「ちょ!抜け駆けだよー!! また後でねディエチ、待ってよノーヴェ!」

「うるせぇ!こっちは急いでるんだ!!」


再び駆けだすあたし達にディエチが忠告。


「二人共、そんなに急ぐとまた転ぶよー」

「そんな子供みたいに何度も転ばな・・・わきゃああああああッ!」

「あはは、さっそくノーヴェ転んで・・・わきゃああああああッ!」

「ぐはっ!あたしの身体にダイブすんじゃねぇよ!!」

「大丈夫、あたしは痛くないよ」


ノーヴェの身体柔らかいからダメージ無し。


「もう一発殴らせろテメェ!!」

「わわわ!すぐ退くから!!」

「二人共、そんなに騒ぐとチンク姉かギンガに怒れるよ?」

「行くぞスバル、静かにな」

「そうだねノーヴェ、静かにね」

「・・・何だかんだ仲良いんだから・・・」


姉妹ですから、もちろんディエチも含めてね。









**********


リビングに入って直ぐに朝ごはんの良い匂いが鼻をくすぐり、お腹がくぅくぅ鳴きだします。

そして、眼の前のテーブルには新聞を広げながらコーヒーを飲む父さんが居る。

ゲンヤ・ナカジマ、白髪の短髪・・・ガタイのいい身体、あたし達の自慢のお父さん。

父さんはリビングに飛び込んできたあたし達に気付くと、新聞紙から視線をこちらに向けて。


「おはよう、スバル、ノーヴェ。朝から元気いっぱいだな」

「おはよう父さん。うん、元気いっぱいだよあたし達・・・ってノーヴェ?」


隣に居るはずのノーヴェが消えている・・・まさか、神隠し?。

なんてことは有るわけ無く、あたしの背中に身を縮めて隠れていたり。

あはは、ノーヴェは恥ずかしがり屋なんだから。


「ほらほら、ノーヴェもおはようって」

「やーめーろー」


背中に隠れるノーヴェを父さんの前に押し出す。

その顔は凄く真っ赤。

父さんにアイコンタクト、今時は絶対誰もしない親指を上げての返事が来ました。


「ノーヴェ、おはよう」


父さんがもう一度朝の挨拶。


「お・・・おはよう。と、ととと・・・」


ノーヴェが俯きつつ、ちゃんと挨拶を返して父さんのことを『父さん』と・・・。


「と、トマトジュースが飲みたい・・・」

「「・・・それは無い」」

「っ!!」


二人で突っ込むと、ノーヴェは顔を真っ赤にしてリビングを飛び出していく。

父さんと呼ぶまでの道のりは長くて険しいみたいです。


「はぁ・・・もしかして俺は嫌われてるのか?」


ノーヴェの後ろ姿を見送りつつ、頭を掻く父さん。


「そんなことは無いよ。きっと、どんな距離で付き合えば良いか悩んでるんだと思う」


ノーヴェは真面目だから、きっと難しく考え過ぎてるだけ。

もしくは純粋に恥ずかしいだけとか。


「姉のお前が言うんなら、そうなんだろうな」

「えへへ」


姉って言われるの、少しだけ照れくさい。


「ギンガに飯作っとくように言っておくから、お前は顔洗って来い。ノーヴェもな」

「っ・・・」


いつの間にか、リビングの入口からこちらを覗いているノーヴェに父さんはそう言った。









**********


「気になるんなら話しかければ良いのに」

「うるさい・・・」


ノーヴェと一緒に洗面所に行って顔を洗う。

うん、バッチリと眼が覚めた。

顔を赤くしながら膨れるノーヴェが可愛いので笑っていると。


「お二人さんおはようっス!今日は良い天気っスね」


洗面所の入り口が開いて、赤毛の髪を後ろでアップにした女の子が元気良く登場。

ウェンディ・ナカジマ、明るく元気な妹です。


「そうだね、つい二度寝とかしたくなっちゃうよ」

「実際に二度寝してただろう・・・」

「えへへ」

「笑ってすますな」

「おーおー、お二人は仲が良いっスね。妬けちゃうっスよ」

「そんなんじゃねぇ!」

「寂しいならお姉ちゃんの胸に飛び込んでおいでー」


両手を広げて受け入れ態勢完了。


「スバルお姉ちゃーん!」


ウェンディが周囲に花畑風景を描きながらあたしの胸に飛び込む。


「「ひし(っス)!!」」

「アホらし・・・」

「ノーヴェもやる?」

「絶対にやらねぇ!」


抱き合うあたし達を尻目にノーヴェは洗面所から出ていく。

つれないな~。

とりあえず抱き合いを解除。


「ノーヴェは恥ずかしがり屋っスから」

「わかってるわかってる。けど、もう少し素直になってほしいとか思ったり」

「けど、そこが可愛いところっスよ?」

「それもそうだね」


ウェンディと二人、クスクスと笑い合うのでした。









**********


リビングに戻るとテーブルには父さんの他に先に戻ったノーヴェ、それとチンクが座っていた。

チンク・ナカジマはあたしより小さいけどお姉さんです、それも大人なお姉さん。

普段は右眼に眼帯をしてるけど、今はご飯中なので外してます。


「ノーヴェ、父上に挨拶はちゃんとできたか?」

「チンク姉、おはよう」


父さんの間にチンク姉の挟んで座り、その小さな背に隠れるようにしながらノーヴェが挨拶。

そんなに恥ずかしいなら父さんから離れた席に座れば良いのに、近い席に座るのは・・・ある意味ノーヴェらしいです。


「いや、姉にではなく。・・・父上、すまないな」

「いやいや、俺は気にしちゃいねぇよ」


チンクがちょっとすまなさそうな顔をするのに、父さんは快活に笑って返す。

そこにあたしも突撃―。


「チンクおはよー」

「ああ、おはようスバル。そうだ、ギンガが呼んでいたぞ」

「うん、わかった。ありがとねー」


そういうわけでキッチンに突撃ー。









**********


キッチンには朝ごはんの良い香りが充満していて、空腹のあたしに深刻なダメージを与えます。

というわけでついつい近くに有るお皿からおかずを一個、


「こら」

「あいた!」


もらおうとして、その手を軽く叩かれた。

手を叩いたのは、青髪ロングヘアーで綺麗なお姉さん。

ギン姉ことギンガ・ナカジマ、あたしがもう少し大人になったような雰囲気で・・・綺麗で強くて優しい自慢のお姉ちゃんです。

エプロン姿のギン姉は、腰に手を当てながら困ったような笑顔を浮かべる


「スバル、つまみ食いは駄目よ」

「は~い。ギン姉、おはよう」

「おはよう、スバル。料理運ぶの手伝ってくれる?」

「うん」


ごはんだごはん~♪。









**********


リビングへ料理を運ぶ間に、家族のみんながテーブルに集合。


『いただきます』


全員が揃ったところで、合掌していただきます。


あたしを含めた6姉妹+父さん、計7人がナカジマ家です。

姉妹はギン姉を長女に、チンク、ディエチ、あたし、ノーヴェ、ウェンディ。

みんな健康で凄く元気。

だからご飯もよく進みます。

というか遅刻しそうなので早食い、行儀が悪いけど・・・いつもの三倍スピードで早食い!!。


「スバル!それあたしの肉団子だぞっ!!」

「早い者勝ち~バクバクバクバク!!」

「っー!テメェの寄越せ!!バクバクバク」

「あー!あたしのたまご焼きー!!」


ご飯(特盛り)片手にノーヴェとおかず争奪戦を展開。

被害甚大、至急たまご焼きを口の中に収容。


「いや~この二人見てると飽きないっスね。食欲も湧かないぐらいに」

「ウェンディ、ちゃんと食べないと姉のように大きくなれないぞ」

「・・・」

「すまん、私の失言だったから無言で姉を見下ろすのは止めてくれ」

「二人共前衛組だから、カロリー消費が激しいんだよきっと」

「ディエチの言う通りだろうな、その点私は身体も小さいからカロリー消費も最小限に・・・・・・」


あ・・・チンクが自滅してテーブルに突っ伏した。


「もう・・・みんなご飯の時は静かにしないと駄目よ」

「良いじゃねぇかよギンガ、暗いよりはマシだろ」

「父さんは新聞読みながらご飯を食べるの止めてください」

「へいへい」


父さんがギン姉のジト目を受け、新聞紙を畳む。


そんな感じの朝食風景、毎日楽しいです。

さて、ご飯もいっぱい食べたし・・・今日もお仕事お仕事~。















[22315] ナカジマ姉妹、料理をする
Name: なんとか家◆de21c670 ID:ba4fe846
Date: 2010/10/04 23:06



今日もお仕事終了、いつもより早い時間に終わったから・・・久々に商店街へ行って寄り道中~。

ふふふ・・・今日こそアイス5段重ねをこの手に。

みんなのお土産はアイスキャンディーにしよっと。

それにしても、夕方だから仕事帰りのお父さんとか夕飯の買い出しに出ているお母さんでいっぱいだ。

というか食べ物系のお店から食べ物の良い香りが~。

ってアレ?あそこに見える栗色おさげのお姉さんは・・・。


「ディエチ―」

「?」


あたしが手を振りつつ大声を上げると、買い物袋を手に商店街を歩いていたディエチが立ち止まって振り向いた。

やっぱりディエチだと思いつつ、人にぶつからないよう気をつけながら小走りで近づいて行く。

あたしの姿に気付いたディエチは驚いたように眼を丸くしていた。


「スバル、もう仕事は終わったの?」

「うん、今日はもう上がって良いって言われたんだ。ディエチはお買いもの?」


あたしが聞くと、ディエチは買い物袋を掲げる。

その中には沢山の食材が入っています。


「ギンガに買い物を頼まれてね。今日は夜から仕事だから、今の内に手伝えることはやっておこうと思って」

「アレ?今日は休みじゃなかったの?」

「仕事場の友達からメールが来てね、困ってたみたいだからお手伝いに行くんだ」

「そうなんだ、頑張ってね。あ、急ぐんならあたし買い物するよ」

「うんうん、大丈夫だよ。多分、大げさに言ってるだけだろうから。それよりも、今日の晩御飯・・・私が当番だったんだけど」

「大丈夫大丈夫、あたし達で何とかするから気にしないで」

「・・・なら、良いんだけど」


笑顔で答えるあたしに、ディエチは歯切れの悪い言葉で返した。

その後、あたし達は別れて念願の五段積みアイスをゲット、お土産も買ってルンルン気分で帰宅したんですが・・・。

あたしは後悔しました・・・どうしてディエチの言葉をちゃんと考えておかなかったのかと。

今日は父さんとギン姉は108部隊の仕事で帰りが遅く、チンクも遠出の仕事で帰ってくるのは深夜頃、ディエチは今聞いた通り夜に仕事が入ったから・・・。

今ナカジマ家に居るのは6姉妹の下三人、仕事が早く終わったあたしと、同じく仕事帰りのノーヴェ、今日はバイトが休みなウェンディです。









**********


「これは重大な問題っスね」

「うん・・・非常事態だよ」


家に帰った後、お土産のアイスキャンディーを三人で食べつつ作戦会議。

下三人姉妹作戦会議・その1『今日の晩御飯をどうするか?』。

議長、スバル・ナカジマ

司会進行、ウェンディ・ナカジマ

書記、ノーヴェ・ナカジマ

未届け人、アイスキャンディー62個

会議室、リビングのテーブル。


「スバルは料理できるっスか?」

「アイスなら全種類作れるよ」

「それは素晴らしい才能っスけど、アイスでお腹は膨らましたくないっス・・・」


あたしは全然問題無いんだけど、二人に断固拒否されました。

ちぇ・・・アイスの家とか作りたかったのに。


「二人はどうなの?」

「無理っス。ナンバーズで料理作れたのはディエチぐらいだったっス」


ウェンディが頭をポリポリと掻きながら答える。

確かにディエチの料理は繊細で美味しい、もちろんギン姉の料理もお袋の味って感じで美味しいけど。

というわけで、チンク・ノーヴェ・ウェンディは料理が作れないと。

だけど、その言葉に異を唱える者が。


「ウェンディ!チンク姉はちゃんと作れてたぞ!!」

「確かに肉のくん製とか千切りサラダとか驚くぐらい上手く作ってたっスけど、ああいうのは野戦食とか非常食って言うんスよ」


憤るノーヴェに苦い顔で答えるウェンディ。

長い間戦地に行っている時とか、そういう料理技術は必須だって言うからね。

・・・あたしも1人暮らしとか考えてるから、料理とか覚えないとな~。

まぁ、それは明日に置いて・・・今は今日のご飯だよ。


「ねぇねぇ、もしかしてチンクの部屋にくん製とかないかなぁ?」

「さすがに家族の部屋をあら探しするのは気が引けるんスけど」

「だよねー」

「そうだぞ!チンク姉の服とかベットとか触るなんてあたしにはできない!!」

「・・・息を荒げながら言われても説得力無いっスよノーヴェ」

「う、うるさい! つうか・・・こんな会議してないで出前とか取れば良いんじゃないのか?」

「甘い・・・このアイスキャンディーぐらいに甘いっスよノーヴェ」


出前を取ることを提案するノーヴェに、アイスキャンディー(イチゴ味)を突き付けながらウェンディが身を乗り出す。


「冷たッ!ほっぺたにアイスくっ付けんじゃねぇ!!」

「あ、ごめんっス」

「それで、何が甘いのかな?」


口の中にアイスを入れてコロコロと転がすウェンディに聞く。


「確かに出前を取れば手軽に豪勢な料理を味わえるっス」

「そんなに高いモノ頼めないけどね」

「美味いのは良いけど、腹いっぱい食わせろよ」


うん、ノーヴェの言う通り質より量だよ。

というか美味い!安い!早い!多い!!がいちばん良い。

あたし達の言葉にテーブルをドンと叩くウェンディ。


「若者がそんな偏ったものばかり食べてたらいけないっスよ!」

「ハンバーガー屋でバイトしてる奴が言うなよ」

「というかアイス落ちるからテーブル叩かないでほしいよ~」

「余計なちゃちゃは入れたら駄目っス!」


なんか興奮してきたウェンディからアイスさん達を避難させつつ話を聞く。


「出前を取れば私達のお腹は膨れるっスけど。夜遅くに帰ってくるギンガやチンク姉、ディエチにパパりんはどうするっスか?
お腹を減らして帰って来てみれば部屋中に漂う良い匂い、だけどそこにはご飯では無く空の容器と請求書だけ、なんて悲しい光景っスか」

「いや、ギン姉達はきっと外で食べてるんじゃないかな~とか。お金はあたし達で分割して払えば良いじゃないの~とかツッコミ所は多々有るんだけど」

「お腹を空かせたチンク姉に手作り料理・・・帰ってきたチンク姉にご飯にする?それともお風呂にする?それともあた・・・ぐはっ!!」


きゃー、ノーヴェが鼻から噴水を噴き出して倒れた―。

血飛沫からアイスを非難、緊急退避ー!救命魂にかけてこの子達だけは守る!!。


「ノーヴェは落ちたっスね、スバルも料理とか覚えてた方が今後のためになるっスよ」

「う~ん、そうかもね~」


さっきも少し考えたけど、1人暮らしするなら料理ぐらいできないと駄目だし・・・。

うん、三人で頑張ってみよう。

きっと大丈夫『三人寄れば文殊の知恵』って、言葉が地球に有るぐらいだし。

というわけで、ナカジマ下三姉妹クッキング~。

まずは手洗い~、エプロン装備~。









**********


料理手順、①材料チャック&メニュー決め。


「材料は有るんスよね?」

「うん、ディエチが明日明後日の分まで買い出ししてたから大丈夫だと思うよ」

「じゃ、なにを作るかなんスけど・・・ここは無難にカレーとかで良いんじゃないかと思うっス」

「いや・・・それは駄目だ」


ウェンディの提案に、鼻にティシュを詰めて止血するノーヴェが首を振る。


「その心は?」

「きっとカレーなんて作ったらチンク姉は自分が子供扱いされてるんだと思って落ち込む。だから、ここはクリームシチューを作るぞ」

「大差無い気がするの私だけかな?」

「ノーヴェの中じゃきっとクリームシチューは大人な食べ物なんスよ。それにシチューって牛乳に材料ブチ込んで煮るだけっスから、楽チンで良いじゃないっスか」

「それもそうだね」


ノーヴェに聞こえないように、ウェンディとコソコソと耳打ちし合う。

とりあえず、今日のご飯はシチューで決定~♪。



料理手順、②具は何にするか?。


「お肉お肉~」

「ここはやっぱり鶏肉だろ」

「お二人さん、ササミと手羽先ってのが有るっスけど・・・どっちにするっスか?」


ウェンディが二種類の鶏肉が入ったパックをあたし達に見せる。


「シチューの場合って、どっち入れれば良いんだろ?」

「あ、あたしに聞くなよ。うぅ・・・間違えるとマズイよな、どうしよう」

「ササミとかってサラダで良く見るっスよね。でも、手羽先も別の料理で・・・う~ん」


いきなり難関が待ち受けていました。



***ギン姉のお料理レシピ~***


「ササミも手羽先もシチューのお肉として使って大丈夫です。
ササミのお肉を使えば低カロリー高タンパク質なヘルシーシチューができますし、手羽先を使えば鶏のお肉と骨の両方からうまみが出てとても美味しいシチューができますよ。
みなさんも是非お試しください」


*****************



「とりあえず、両方入れるっスか?」

「うん、そうだね」

「外れだったら取り出せば良いだろ」


とりあえずお肉は両方入れることに。

次は野菜です。



「ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー、あとキノコだな」


ノーヴェがまな板の上に大量の野菜をゴロゴロと並べていく。


「ん~何か味気無いっスね。何か冷蔵庫に良いモノは~ないかな~っス」


ウェンディが冷蔵庫に首を突っ込む。

電気代勿体ないよ。と、言いながらあたしも冷蔵庫の中を見る。


「ねぇねぇ、ギン姉が前作ってくれたシチューに何かサクサクしたの入ってなかった?」

「あ~、何かあったっスね。名前が喉元まで出かかってるんスけど出て来ないアレっスね。確か油っぽいんすけどサクサクしてて、あっ・・・天かす見付けたっス」

「「それだ!!」」


ノーヴェと一緒に天かすが入った袋を指差す。

まさに油っぽくてサクサクしたモノ!。

これを加えれば何かリッチな気分~。



***ギン姉のお料理レシピ~***


「シチューに入っている油っぽくてサクサクしたモノ、それはクルトンと呼ばれるパンを細かく切って揚げたものですね。
揚げるのができない人は、フライパンでバターと一緒に炒ると簡単にできます」


*****************



料理手順、③下処理


「野菜を洗うの終わったよー」

「じゃあ、切るぞ。ピーラーはどこにあったっけ?」

「ストップっス」


包丁を手にしたところでウェンディのストップが入る。

あたし達は野菜を手に振り向く。


「何だよ?」

「今はエコの時代・・・皮ごと野菜を食べるのが良いと思うっス」

「そういうもんか?」

「チンク姉がゴミをなるべく出さないようにしろって言ってたっス」

「よし、ぶつ切りにするぞ」


チンクの名前が出た途端、高速で皮つきのままの野菜をぶつ切りにしていくノーヴェ。

見てて微笑ましいな~。

さて、ノーヴェは野菜切ってるし・・・あたしはお肉切ろうっと。



***ギン姉のお料理レシピ~***


「野菜は皮のままでも衛生上大丈夫と言えば大丈夫です、ただ食感や見た目が落ちたり・・・ジャガイモはシチューに入れると皮が剥けて食べにくいです。
それとジャガイモは必ず芽を取りましょう、メラニンという毒が有り・・・1個や2個なら大丈夫ですが、スバル達のように沢山食べると非常に危険です」


*****************



料理手順、④ルーを作ろう。


「牛乳を火にかけるっスよ」

「「おー!!」」


牛乳を入れた鍋を弱火でコトコト煮る。

けど、何か違うな~。シャバシャバでトロリとしてない。

三人で鍋の中を覗き込みつつ、どうトロミを付けるか考える。

うんうん三人で唸る中、閃いたのはノーヴェ。


「なぁ、何か粉を入れるんじゃないか?」

「「あぁ!!」」


ウェンディと一緒に手をポンと叩く。

そうだ、粉を入れないと。


「トロミを付けると言ったらこれっスね。片栗粉っス!!」

「って!ちょっと待った!!」


片栗粉が入った容器を取り出し、スプーンですくって牛乳に入れようとするウェンディを止める。

間違ってる、間違ってるよウェンディ。


「片栗粉は水で溶かないと1か所に固まるってギン姉が言ってたよ!」

「おお!スバル冴えてるっス!!」

「えへへ~、ちゃんと覚えてるよあたし」


水で溶いた片栗粉を投入、うん・・・ちょうど良い具合にトロリとしてきたね。

それに火が取ってきたのか、白い泡がブクブク立ってきた。



***ギン姉のお料理レシピ~***


「クリームシチューのホワイトルーは、小麦粉とバターを白いクリーム状になるまで炒めたモノです。そこに牛乳を加えるとクリームシチューができます。
生クリームなどを入れるとコクが出て美味しいですよ」


*****************


料理手順、⑤具を入れて味付け。


「野菜とお肉を投下っス!!」

「おー!!」

「というか、腹減ったから強火で一気に仕上げないか?」

「そうっスね、弱火から強火へチェンジ!!」


ノーヴェの提案で強火に火加減をチェンジ、グツグツと煮ていく。

あとは味付けしたらできあがり~。

お塩と胡椒を入れ・・・あっ!?。


「あぁ!30グラムぐらいの塩が鍋の中に!!」

「ふぇ~、ごめんなさい~」

「大丈夫っスよ、砂糖を入れればきっと中和できるっス!!」

「できるわけないだろ・・・。ここはこれだ!!」


暴挙に出るウェンディを止め、ノーヴェが取り出したのは真っ赤な果実・リンゴさん。

良い香りが漂ってとても美味しそう。

でも、それをどうするの?。


「カレーとか辛いモノを食べる時に、摩り下ろしたリンゴを加えるとそんなに辛く無くなるだろ」

「おお、確かにそうっスね」

「だから、これを擦って入れれば何とかなるだろ」

「あ、ありがとうノーヴェ~」

「し、姉妹だからな・・・助けあうのは当たり前だろ」


プイッと顔を背けて赤い顔を隠しつつ、小声で言うノーヴェ。


「ノーヴェ~!!」

「だ、抱きつくな!!」

「とりあえず、擦ったリンゴ入れるっスね」



***ギン姉のお料理レシピ~***


「シチューは弱火でじっくりことこと煮ましょう、強火で煮るとお肉や野菜の中が生になっている可能性が有るので注意です。
最近では電子レンジでお肉や野菜に火を通してから加えるパターンが有りますね。

そして、味付け時に間違って濃い味にした場合は・・・牛乳を入れて味を薄めましょう。絶対に擦ったリンゴを入れないでください」


*****************



料理手順、⑥盛りつけて食べる。


鍋をリビングに持っていって、テーブルに着席。

平皿にシチューを盛り付け、うん・・・白くてトロトロしてて見た目はバッチリ。

後はパンを焼いて・・・。


「あっ!食パンが無いっス!!」

「しまった!ナカジマ家はご飯派だったー!!」


ご飯大好き家族です。

困った・・・今からご飯を炊くと、お腹の空腹具合がメーターを振り切っちゃう。


「ふっふっふ」


あぁ・・・。と、悲観するあたしとウェンディに対し、不適な笑みを浮かべるのはノーヴェ。

なんだなんだと視線を向けると、テーブルの下からナカジマ家の炊飯器を取り出した。

ま・・・まさか!。


「こんなことも有ろうかと、ちゃんと炊いておいた」

「さっすがノーヴェ!!」

「何がさすがかは置いておいて。ちゃんと炊けてるっスかそれ?」

「バカにするな、ちゃんと洗剤で米を洗ったぞ。しかもバターライスに挑戦したみた、バターが無かったからサラダ油を使ったけど」

「「おぉ・・・」」


チンクの教育は凄い、もうお姉ちゃんよりできた娘になってるよ・・・。


「もういつでもお嫁に行けるね」

「ぶっ!バカ言うな!!」

「漫才やってないで早く食べないっすか?ご飯冷めちゃうっスよ」


ウェンディが光り輝くご飯をお皿に盛る。

完成です。

やっぱり三人居ればちゃんとご飯作れるね。

後は合掌して・・・


「「「いただきます」」」


三人揃ってシチューをスプーンですくい、口の中へ入れた。

あと、ご飯も一緒に。



***ギン姉のお料理レシピ~***


「洗剤は体内では分解されにくく、多量摂取はとても危険です。
最後に、みなさんは料理をする時・・・ちゃんと料理本などを見ながら料理しましょう。
下手な知識はかえって危険な場合が有ります。
最悪の場合・・・」


*****************



「「「△○■*★△*@○●!!!!!!!!!!!!」」」

『相棒!どうしました相棒!!イスから転げ落ちて口から泡を吐いて!!』


マ、マッハキャリバーの声が遠い・・・ああ・・・意識が霞む・・・。



*****************


「こうなります」










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