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[2435] スリーピング・ビューティ余話 「1人の優しい山神さま」
Name: かいず◆19b471f3 ID:79663dda
Date: 2007/12/24 00:48
「スリーピング・ビューティ」の最終話ぐらいの時期の話です。




「いやぁー、季節はもう、すっかり冬っすねぇ」
自分は、上空から山々を見渡したっす。
今年の冬は、少し寒くなりそうっす。山々の頂上付近ではもうすっかり雪化粧をしているっす。
うーん、白い山肌は、心がときめくっす。
山は男の全てっす、シンボルっす。
熱い血潮がたぎるっすよーぉぉぉおおおお!
ととと、熱くなりすぎたっす。落ち着くっす。
「これからは、雪山登山の季節っすからね。登山道や登り口もちゃんと整備しておかないと駄目っすよね」
今後の予定を色々と考えながら、彼女との約束を守るため、待ち合わせの場所に向かうっす。

おっと、自己紹介が遅れたっす。
自分は、この山の山神っす。
といっても、神様になりたてのビギナー神様なんで、まだまだ修行中の身っすよ。
自分は、明痔大学のワンダーホーゲル部の部員だったんすけれど、この山の登山中に遭難して死んでしまって、幽霊になってしまったんす。
この自分が幽霊部員だなんて、シャレにならないっすよね。
何もかもに絶望して自暴自棄になっていたんすけれど、
自分が変われるキッカケをくれた人達がいるっすよ。
それは、東京でGSをやっている美神さん達っす。
彼女達のおかげで、自分は山の神様になれたっすよ。
そのあと死津喪比女との戦いがあったっす。
その時に、おキヌちゃんが無事に生き返ることができて本当に良かったっすよー。
彼女には、第二の人生を思いっきり楽しんで欲しいっす。
おキヌちゃんは、この山の先輩っすからね。
自分がおキヌちゃんの分も頑張らないといけないっす。
えっと、横島さんっすか?
まぁ、彼はあいかわらずでしょうねぇ。



「神様、ごめんなさい。忙しいのに呼び出しちゃって」
彼女は待ち合わせ時間よりも、大分早く来ていたっすね。
自分がもっと急げば良かったっすね。
先に待ち合わせ場所の祠の前いた学生服姿の女の子が、自分にペコリと頭を下げたっす。
「いや、全然いいっすよ、早苗ちゃんの頼みっすもん。自分は、いつでもオーケーっすよ!」
この可愛らしい娘さんは、早苗ちゃん。
彼女の家系は、この山を代々守ってこられた神社の方で、ご両親には自分はいつもお世話になっているっす。
早苗ちゃんは、おキヌちゃんのお姉さんでもあるんすよ。

いつも笑顔の早苗ちゃんは、今日はなんだか悩んでいる様子っす。
自分が相談にのれることだったら良いんすけれど。
「あの、神様・・・神様って、つい最近まで、大学生だったんですよね?」
早苗ちゃんは、意を決したように話し出した。
「合コンって・・・、どんなものなんですかっ!!」

え、合コンっすか?合コンって、あの合コンっすよね?
「だっ・・・大好きな山田先輩が、今度の土曜日に合コンに参加するって、偶然聞いちゃって・・・。
合コンって女の人達といちゃいちゃしたりして、カップルになったりするんでしょ・・・。わ、私、どうしたらいいの・・・。もう、心配で、心配で・・・」
あわわ、早苗ちゃん、泣きそうっすよ~。
山田くん、こんな可愛い子を泣かせるなんて、悪い男っすね。
「合コンっすか~。自分もそんなに詳しいわけではないっすけれど・・・。
そういえば、2回くらい友達に数あわせだとか言われて連れて行かれたくらいっすねぇ」
自分でいうのもなんなんすけれど、全然モテなかったっすねぇ。
何がいけなかったんすかねぇ。よくわかんないっす。
まぁ、自分には山があるっすからね。
「娘さん、山男に惚れちゃいけないよ」ってなもんっす。

「合コンっていっても、友達との付き合いで仕方なく参加したりとか、普通の飲み会とか食事会みたいな面もあるっすからねぇ・・・。山田先輩も、友達に誘われて
仕方なく参加しているかもしれないっすよ」
自分がそう言うと、早苗ちゃんは、ハッと顔をあげたっす。
「そうなのかな・・・。でも、先輩って、すごくかっこいいし、優しいし・・・。
参加した女の子がほっておく訳ないよぅ・・・」
あああ、ついに泣き出してしまったっすよ~。
んー、早苗ちゃん、大分参っているっすね。
ここは一つ、女性の意見も聞いた方が、いいっすね。

この前、ようやく手に入れた携帯電話で、連絡をとるっす。
今の時代、神様も携帯電話くらい持っているっすよ。
お金は、おさい銭や地元の方達からの寄付とかで払っているっす。
自分が、地元の人達と協力して積極的に遭難者を出さないような対策したり、
山猿や猪による被害を最小限にするようにと動き回っているのが、
受け入れられているみたいっす。
ほんと、ありがたいっすよ。

頼りにしている彼女のアドレスに電話をかけたら、すぐに出てくれたっす。
「あら、神様?何か忘れ物でもしましたか?」
電話の相手は、美衣さんという女性っす。
彼女は、少し前に息子さんと一緒にこの山に移り住んできて、自分の仕事を手伝ってくれているっすよ。
実は、彼女は化け猫さんで、各地を転々としていたみたいっす。
偶然、この山に来た彼女と話をしたときに、横島さんの話題が出てきて、びっくりしたっす。
それ以来、彼女はこの山で腰を落ち着けて、地元の人とも仲良くやっているみたいっす。
息子さんのケイ君も、利発な子で可愛いんすよー。
今は、小学校に通っていて、人間の友達とも仲良く勉強しているみたいっす。
「美衣さん、ちょっと相談したいことがあるんすけれど、時間は大丈夫っすかね?
早苗ちゃんにアドバイスしてあげて欲しいっすよ」
美衣さんに、相談の内容を伝えると、彼女はすぐそちらに行きますとのこと。
あ、確か今日はママさんバレーの練習の日だったのに、ありがたいっす。



[2435] スリーピング・ビューティ余話 「1人の優しい山神さま」その2
Name: かいず◆19b471f3 ID:79663dda
Date: 2007/12/24 01:13
結局、山田先輩は、合コンには参加しなかったみたいっす。
早苗ちゃん、ほんと良かったっすね。
あの後、早苗ちゃんは美衣さんに色々と恋愛相談をしているみたいっす。
美衣さんなら親身に相談になってくれるし、頼れるお姉さんって感じっすよね。
しかし、今回もまた、自分は役にたたなかったっすね~。
山の神様だなんだといっても、まだまだ修行が足りないっすね。
「あら、神様も山田先輩に会いにいったりしたんでしょ?」
美衣さん、シーッ!それは、早苗ちゃんにナイショっす。

山田先輩は、友達に誘われて仕方なく合コンに参加するつもりだったみたいっすよ。特に女性といちゃいちゃしたり、そこで彼女をつくるつもりもなかったみたいっす。
なぜなら、なんと彼には好きな女性がいたんすよー。
ずっと前から好きで好きで、でも告白できなくて悩んでいたらしいっす。
自分は、彼を励ましたっす。
男なら、自分の思いを相手にどーんと伝えるっす。
真剣な思いは、必ず相手に伝わるっす。
たとえ結果がダメでも、胸を張るっす。
それだけ惚れた女性がいたというのは、人生にとって、
とても幸せなことっすからと。
そして、この話は二人だけの秘密にするという男の約束もしたっす。
あとは、彼の勇気だけっすよ。





「神さま、早苗お姉ちゃん、今度デートするんだって!すっごく嬉しそうな顔して、僕に話すんだもん。なんだか僕まで嬉しくなってきちゃったよ」
ケイ君は、お母さんが作ってくれたご飯を美味しそうに食べながら自分に教えてくれたっす。
「おおーそうっすか~。ほんとに良かったっすよ~」
自分も美衣さんが作ってくれた大根の煮物を美味しくいただきながら嬉しくなったっす。
美衣さんもニッコリとしているっす。
美衣さんの話によると、先日、山田先輩が真っ赤な顔をして、早苗ちゃんに告白をしたらしいっす。
山田君、男を見せたっすね!
二人の恋が実って、ほんとに良かったっす。

おキヌちゃんも、自分のことのようにすごく喜んでいたらしいっす。
あとはおキヌちゃんの記憶が戻るといいんすけれどねぇ。
自分は、あれから何回か彼女と顔を合わせたことがあるんすけれど、記憶が戻ることはなかったっす。
美衣さんやケイ君と会っても同じっす。
なんか引っかかっているような感じはしているみたいっす。
ちなみにおキヌちゃんは、山の神である自分のことを昔からの義父さんの知り合いなんだなー、
美衣さんとケイ君は、山の神様のお手伝いさんなんだなーと思っているみたいっす。
いまは、我々も彼女には自分のペースで記憶を取り戻して欲しいので、遠くから見守るだけなんす。
もどかしいっすけれどね。
さて、明日からは、がけ崩れが起こりそうな場所を重点的に見回ることにするっす。






「おキヌちゃん・・・!おキヌちゃーん!今日さあ、私少し遅くなるんだけれどー」
「早苗おねえちゃん!また山田先輩とデートなの?」
「いや・・・、まあそーなんだけどさ」
「いいわ!義父さんと義母さんには、うまくいっとく!」

校舎のはるか上空から、二人の姿をそっと見る。
あははーと照れ笑いをする早苗ちゃん。
くすくすと笑うおキヌちゃん。
ほんと、仲の良い姉妹っすね。
ふと視線を変えたら、なにやら見覚えのある車が停まっているっす。
あれは・・・美神さんと横島さん!

二人とも、こっそりおキヌちゃんの様子を見に来たんすね~。
おキヌちゃんは、自転車で車のそばを通り過ぎたけれど、二人には気づかなかったみたいっす。
横島さん、ボンネットを開けていったい何しているんすかね。
おキヌちゃんに、泣き顔を見られたくないのかもしれないっすね。
うーん、彼女の記憶が戻るのは、まだ少し先のことっすか・・・。
そう思っておキヌちゃんの方を見ると二人のいる方を振り向き、何やら気にはしている様子。
うん、この三人の絆は、とっても強いっすからね。
すぐにでも、全部思い出すっすよ。
それにしても、おキヌちゃんもとても可愛い娘さんっすから、そのうち彼氏ができるかもしれないっすね。
本当に、早く記憶が戻るといいっすね。
それまで横島さん、浮気しちゃあ駄目っすよ!





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