そういうとアリスと一緒についてきた雑種のちび犬
のちにジークという名前を貰う事になる小さな勇者が
あちこちをクンクン嗅いでは弾薬を集めてくる
「よーしいい子だ えらいぞ」
アイツは消費した弾薬には届かないが補給が出来てホクホクである
アリスと名乗った少女は父親が家に入れて貰えず、自分も見殺しにされたにもかかわらず何も言わなかった
そのアリス父を入れなかった家はミサイルの直撃を受け、壁に大穴が空きグールに蹂躙されたわけだが
そのあとヌカランチャーで生存者ともどもグールはひき肉になった
「さて、こいつはヘリコプターだと思うんだが動かせるだろうか」
平野がオスプレイがどうたらこうたら言って最後に
アメリカでヘリの離着陸は訓練受けたという
次の日、朝早くに荷物をある程度まとめ飛ばす
「さすがに真っ暗闇を飛ばせないからね、高城さんの家はあっちの方角かな」
「コータの癖に頼りがいがあるとかおかしいわよ」
数分上空を飛びながら観察するがあちこちで煙が出ているが消防が機能していない
「この感じだといずれ焼野原かな」
「パパがいくら頑張っても大火災には勝てないわ やはりどこか安全な所に避難しないと」
雑談しつつ髙城亭の庭にどうどうと降りる
「なんだ、自衛隊が助けに来てくれたのか!」
「違う、我々は学生だ」
「なんだよっ、くそっ、期待させやがって・・・」
右翼の構成員と近所の住民が出迎えてくれた
そうしているうちに髙城パパと髙城ママがやってきた
「そうか、うちの娘を助けてくださったのか 礼を言う しかし、そちらの甲冑姿の方はどうしてそんな恰好をしておるのだ?」
「まぁヘリコプターがあれば付近の捜索やらお引越しがかなり助かるわ」
「まってください、こいつの航空燃料はオクタン価が160くらいの筈だ。その辺のハイオクを入れても飛ばないし早期燃焼すればエンジンがいかれる。そうなったら空飛ぶ棺桶だ」
「航続距離が1,627kmという話だが、通信網が寸断されている どこが安全なのかわからん しかしこれを移動させるのは飛ばすしか無いだろうね」
よしんば大型トレーラーがあったとしても道はグールでふさがれている
鞠川の友達の持ち物なので使用にかんしてはどうするか今後話し合うとした
「誰かが逃げようして落とされでもしたら事だからな」
アイツは不逞の輩が近寄れないように地雷で周りを囲むと満足した
そして空いている部屋を借りて一休み
むろん無為には過ごさず
貯めていたCNDが低い中華アサルトライフルと中華10mmピストルを二個一修理で八割くらいまで直す
ほぼ新品にしてもどうせ撃ち続ければ状態は悪くなるし、砲手は多い方がいい
銃を管理しているらしき構成員に20丁ほど渡すと ありがてえ と喜んだ
代わりに何かよこせというとてんでバラバラの火器とその弾を渡される
「バラエティがありすぎて運用しづらかったんだよ あ、7.62持ってたらくれよ」
まあどこからか弾持ってくるだろうと
ちび犬を呼びつけては拾ってこさせていたのでそれなりに溜まったので渡す
「俺の名は松戸 エンジンがついてるものならなんでも直せるぜ」
「それは心強いな」
そうして腹が減ったので配給を受け取り
もそもそ食べていると平野が消音機月10mmピストルを取り上げられそうになって揉めている
止めようかどうしようか迷っていると毒島がサムライアーマーとサムライヘルメットにサムライソードという出で立ちで止めに入る
「やめんか」
「なんだおめえ 皆を守るために使うから提供を求めただけだぞ」
平野が銃が無かったらアイデンティティがどうのこうの言う
「しょうがないこれを寄贈するから許してやってくれ」
ミニガンをひょいと放るとドスンという音を立てて地面にめり込む
「む、協力感謝する」
メンツが保てたのか構成員は数人でミニガンを持ち上げ二階に運んでいく
「ぼくは、銃が無かったらただのデブオタなんだ・・・」
OTAKUのテンプレのような発言に慰めの言葉は出てこない
黙ってヌカコーラを差し出すと「なんかこれ発光してるんですけと人間の飲み物ですか?」
「ああ、放射性同位体ストロンチウム90が光っているだけだ」
それでも飲もうとしないのでrad-xを先に飲んで念のためrad-awayを後で飲むように教える
「そこまでして飲みたいほどおいしいんですか?」
「飲み物はそれかビールかウォッカかワインかブランデーだな」
「普通の水でいいです」
「放射能汚染された水しかないけど」空き瓶に汲んだ手洗いの水をちゃぷちゃぷ見せる
その頃、髙城ママは運用する人間が居なければ電気も水もストップすると深刻な話をしていた。