御城衛。
本来はただの極々どんこにでもいるようなダメ人間であったのだが、原因不明ながらマヴラブの世界へと転移してしまうこととなった男だ。
そして彼は転移した先で生誕しダメ人間は更正され立派な若者として育った。
そう彼が「マブラヴALTERNATIVE~立ち上がれ 気高く舞え 天命を受けた戦士よ ~」の主人公である。
彼の生誕先である家は代々大日本帝国斯衛軍に所属、将軍家に仕えその守護を任としていた。
しかしそんな肩書きも彼の父の代で没落してしまう。
彼らを面白く思わない一部の上層部が陰謀を企てたのだ。
それから程なくして異星人と思われる侵略者、BETAに日本の国土を蹂躙される。
首都である京都は陥落、西日本全域は制圧され人的被害は国民の3割を死滅させられ、それを免れた者も苦しい生活を余儀なくされた。
そして半年後BETAの一大拠点である甲22号攻略作戦である明星作戦が発動。
見事に制圧に成功するがその際に父は戦死し、鳴海孝之が死人扱いになる。
そして翌年御城衛の物語が始まる。
御家再興を条件に帝国軍から国連軍への志願変更。
目的は大日本帝国現征威大将軍、煌武院悠陽の妹君である御剣冥夜の命。
さらに唯一の肉親である妹である御城柳を人質としてとられてしまったのだ。
この任務に苦しみながら半年間訓練に明け暮れることとなった。
しかし苦しいことだけではなく、彼は運命的出会いを果たすことにもなるのであった。
後に彼の妻となる女性、イリーナ・ピアティフとの出会いだ。
彼女に励まされ、あるいは励まし、互いに成長していった。
そして本来の主人公である白銀武と出会い本来の目的を目指すようになり、それに従い苦難もなくなったかに見えたそのときにそれは起こった。
彼も知っていたはずの12.5事件、沙霧大尉のクーデター未遂事件である。
本来なら知っていることのはずなのだが彼の上官である香月夕呼の実験に所為なのか知っているこの世界の記憶を欠落させてしまう。
だが知っていたとしても防げなかったのかもしれない。
兄と妹の殺し合い。
勝者は兄である衛であった。
心に深い傷を負いながらも新たな任務を与えられ妹の戦友たちとともに九州へと送られる。
そこで出会おう似たような傷を持つA-01第0中隊“エインヘリャル”隊長鳴海孝之と副隊長平慎二。
本来は中隊規模でありながら分隊まで数をすり減らしてしまった死人の部隊で彼は半年前と同じように孤立しようとする。
しかしそれを良しとしない妹の戦友である九羽、魅瀬、伊間の3人の娘。
酒を飲み交わすことにより自分の弱さを実感しそれに打ち勝つため三度立ち上がった。
九州の地から一転、朝鮮半島への定期間引き作戦。
そこで九羽たちのS-11の精神的刷り込み。
それを克服しようとあがき、新兵器であるXMNシステムの発動に成功し過去類に見ない損傷機や負傷者の帰還率を記録する。
休むことも発動する甲21号作戦。
大気圏外からの再突入作戦によりハイヴへの侵入を果たす。
だが溢れかえるBETAの群れに劣勢立たされ衛は撃墜されてしまう。
地上でも新兵器XG-70b凄乃皇が不調をきたし敗走へと追い込まれそうになっていた……が妹である柳が00ユニットと目覚め再起動。
鑑純夏の代わりに甲21号目標を制圧に成功する。
人々は沸き立ち白銀と御城は横浜基地で再開を果たす。
親交深める両部隊。
妹の復活をみて喜ぶ衛だがそれはすぐに打ち砕かれた。
大規模侵攻をBETAが仕掛けてきたのだ。
迎撃に出るエインヘリャルたち国連軍に帝国、さらに大東亜連合軍。
その努力の甲斐がありかろうじて殲滅に成功するもXG-70bと00ユニット予備機である柳を失うこととなる。
再び最愛の妹を失う衛。
その悲しみとともに元の世界の記憶を取り戻した。
御城衛が知った彼がこの世界に呼ばれた理由、白銀武を鑑純夏とは別の女性と幸せな道を歩ませることであった。
それを知り彼は怒り悲嘆したことだろう。
だが彼はその運命を受け入れ歩みを駆け足へと早めるのであった。
そして人類乾坤一擲の作戦、甲1号目標、オリジナルハイヴ攻略作戦“桜花作戦”の発動。
多大な犠牲を払いながらも最深部へと後一歩のところまで辿り着く。
そこで起こるBETAの新たな脅威。
戦術機の鹵獲、再利用しての迎撃である。
圧倒的な数に分散させられた戦力で立ち向かうが死人こそださずとも重傷者を多数だしてしまった。
死力を尽くして最深部へと辿りついたそこにはあ号標的と妹の柳とそっくりの衛士級BETAとでも形容すればいいのか、
BETA製の人間が米軍最新鋭機であるラプターと共にそこにいた。
再び妹殺しをしなければならない状況。
それを止めようと死に体の鑑純夏は最期の力を振り絞り、あ号へのハッキングに挑んだ。
その結果……世界は30年の猶予を手にすることができたのである。
だが彼が1度目の世界で鑑純夏の望みを適える事ができたのであろうか?
白銀武でさえ彼の可能性を多数集め、近しいものを殆ど失ってようやく掴んだ未来をただの1度で掴めるのか?
……答えは鑑純夏が知っていたのではないか?
『ああああ……行かなきゃはやく行かなきゃ、また取り返しのつかないことになっちゃう……』
この一言は横浜基地の地下で彼女が自身が言った言葉だ。
12.5事件での彼女の悲劇のことを指して言ったのだろうか?
それもあるだろうが、BETAに襲われたわけではない。
単に彼女の死を恐れたからだろうか?
…………それはこれから語ることにしよう。
マブラヴALTERNATIVE~天命を背負し始まり~
乞うご期待。