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[25922] うみ物語【元ネタ:パチンコCR海物語シリーズ】
Name: く~が◆81c3a1e7 ID:93067524
Date: 2011/02/12 10:22
どうも、く~がでございます。

1ヶ月くらい前から体調を崩し入院しておりましたところ、パチンコの名機として有名な、『海物語』を元にSSが書けたら、と思いプロットをおこしました。


・ 設定が全てオリジナルです。
・ 登場人物も、パチンコが分からない人にとっては訳分からないと思います。
・ 恋愛モノです。
・ 数話で完結するかもしれません。



以上で、気に入らないことがありましたら、読まないことをお勧めします。

また、体調の問題で再び入院したら長期間空くことがありますので、ご容赦の程をお願いいたします。






それではどうぞ。




初投稿
 11.2.9



[25922] プロローグ
Name: く~が◆81c3a1e7 ID:93067524
Date: 2011/02/09 23:13
とある海岸線。

金色の綺麗な髪をポニーテールでまとめた見た目6~7歳くらいの女の子。
その純粋な眼は、ひたすら目の前の海へと注がれていた。
その眼に映るのは、緑色の髪、活発そうなまさに『男の子』という感じを体一杯に表現させて海の中ではしゃぎまわっている幼馴染。


「おーい、マリン?こっち来て一緒に泳ごうぜ?気持ちいいよ~?」


その男の子から声をかけられる。
マリンと呼ばれた女の子は、嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、


「うん!!今行くよ、サム!」


喜色満面の大声で返事をし、海に向かって走り始めた。



うみ物語~プロローグ~  ファーストコンタクト



「あ~、今日も楽しかったね、サム」

「うん、でもさ、マリンも泳ぎ上手になったよな?前まですぐに沈んでいたのにさ」

「あ、まだそれ言う?むぅ・・・私だってがんばってるんだからね?」

「あはは、ゴメンてば。機嫌直せよマリン。・・・あ、ほら。あそこに駄菓子屋あるぞ?好きなやつ1個だけ奢ってやるからさ」

「ホント?やった~!」

「はぁ、こうでも言わないとマリンずっと機嫌悪いんだからな・・・」

「ん?何か言った?サム」

「え?う、ううん?何でもない」

「でね?今度私んちの隣の空き家があったでしょ?そこに誰か引っ越してくるんだって!」

「へー、そうなんだ?引っ越してくるのってどういう人なんだろ」

「もしかしたら私たちと同じくらいの子が来るかも!?」

「あはは、それだったら友達になってくれるかな?」

「うんうん、なってくれるよ、絶対!!」


空がそろそろ夕焼けを彩る時。
二人仲良く、体全体で喜怒哀楽を表現しながら歩く子供二人に、道行く通行人が優しい目を向けながら通り過ぎていく。



緑髪の男の子こと、『立岩沙夢』(たていわ さむ)ことサム。両親との3人暮らし。
金髪の女の子こと『海原真理』(うなばら まり)ことマリン。両親、妹との4人暮らし。
この二人が住んでいる町は、とある地方の人口数百人の漁村である。
近年どんどん寂れていき、若者の姿は少ない。
若者は街の方に出て行き、残っているのは10数人の30代を除けば殆どが50歳以上の高齢者。

そんな中、毎日のように元気に漁村を闊歩する二人は、殆どの村民の周知とするところであった。
毎晩同じ時間に散歩するお爺さん、お婆さんはこれが楽しみで散歩する、と語る。





「「こんにちは~!!」」


駄菓子屋に到着し、二人揃って元気な挨拶をする。
駄菓子屋の主人はお婆さんであり、もう高齢ともあって中々耳が聞こえにくいのだ。
だが、二人の元気な挨拶はしっかりとお婆さんの耳に届く。


「はい、いらっしゃい。あらあら、二人ともホントに仲が良いわね~・・・」

「うん!!わたしサムのこと大好きだもん!」

「マリンてば、ホントにすごいよな・・・オレ、口に出してなんか言えない・・ブツブツ」


マリンの直線的とも言える口上に顔を真っ赤にして俯くサム。
それを見て不思議がるマリン。


「あらあら、まあまあ・・・」


お婆さんはいつものこと、と、温かい目で二人を見守る。


「ほ、ほら、マリン?せっかく買いに来たんだし、どれが良いんだ?早く決めようぜ」

「??変なサム・・・えっとね~・・・コレ!!」


サムの誤魔化しに可愛らしく首をかしげながらも、マリンはおもちゃコーナーに行き、そこであるものを手に取る。
それは一つ100円もしないような、おもちゃのブレスレット。
黄色の綺麗な色をしていて、向日葵のような笑顔をするマリンにぴったりのように感じた。

サムはそう思いながらも口には出さず、それを受け取ってお婆さんの所に持って行く。


「ん、それで良いんだな?婆ちゃん、これちょうだい!」

「はい、毎度。80円だよ。・・・へぇ・・・マリンちゃん、良いのを見つけたね~・・・」

「え?うん、綺麗だし、サムからのプレゼントだからね!」

「そうかいそうかい・・・これはね?好きな人と一緒になる為のおまじないがしてあるのさ。マリンちゃん、これをずっと大事にしなさい・・・?」

「?良く分からないけど分かった!ありがと、お婆ちゃん!」


マリンは、嬉しそうに早速手首につけ、軽い足取りで外の方に出て行った。
それを見て、サムは首からさげていたガマグチのサイフから100円玉を取り出す。


「婆ちゃん、100円ね?」

「はい、20円のお釣りだよ・・・ねぇ、サム」

「ん?なんだ?婆ちゃん」


サムに手招きし、自分の方に引き寄せると、お婆さんは棚の中からあるものを取り出した。
それは、先ほどサムがマリンに買ってあげたブレスレットと色違いのブレスレット。


「?婆ちゃん、これって・・・」

「いいかい、サム。これはお婆ちゃんからのプレゼントだ。マリンちゃんにも言ったけど、これを無くさないように持っておくんだ・・・いいかい?」

「わぁ・・・なんか、緑色に光ってきれいだな~・・・」


お婆さんは、サムを見つめながらもそれ以上は何も言わない。

やがて、ひとしきり満足したサムが、


「なあ、これいくら?マリンとお揃いだからな、欲しくなった」


と聞いた。


「言ったじゃないか、サム。これはお婆ちゃんからのプレゼントだって。でも・・・そうだね。じゃあお代をもらおうかね」

「え?プレゼントじゃなかったの?」


途端に表情を歪ませるサム。子供特有の表情の変化だ。


「いいや、プレゼントさね。お代と言ってもお金はいらないよ。そうだね~・・・今から10年経って、それを持ってマリンちゃんとウチに着てくれたらそれで良いよ。覚えていたら・・・で良いから」


何とも不思議な要求をしてくるお婆さんに、サムは不思議そうに視線を向けるが、やがて。


「うん、分かった!絶対マリンと一緒に来るよ。オレと婆ちゃんとの約束だ!!」


元気よく返事し、待たせているマリンの元に駆けていくサム。
それを見ながら、お婆さんはポツリと独りごちた。
手の中には、いつのまにか取り出していた一枚の写真。


「さてさて、『運命の環』か・・・あれがあの二人にどういう運命をもたらすのか・・・サム、マリン・・・そして・・・」




『初めまして!私海原真里。マリンって呼んでね!』
『オレは立岩沙夢。サムでいいぜ』

『え・・え・・・わ、私は・・・』









~そして10年が過ぎる・・・~









「きゃ~、遅刻遅刻!やっば~・・・」


お約束であるパンを口に咥え、青色のセミロングの髪を靡かせて一人の少女が走る。
目元には泣き黒子を有し、勝気な感じの視線、そして耳元の髪は軽いロールが巻く。
手首には、マリンのとは色違いの青色のブレスレットが輝く。

『環ノ口 倫』(わのくち りん)ことワリン。10年前にマリンの住む家の隣に引っ越してきた。両親と弟、妹の5人暮らし。

その姿を見た男子は必ず振り返るほどの美貌を持ち、それでいてそれを重きに思っていない。

・・・その走る姿が何よりの証拠であろうことは、幼馴染のマリンは良く知っていた。


「ワリン!早く早くぅ!このペースじゃあ遅れちゃうよぉ~」

「分かってるわよ、マリン!ったく、この私としたことがとんだ失態ね・・・まさかマリンに起こされるとは!!」

「むぅ、そんなこと言ったら今度から起こしてやらないから」

「はあ、はあ、はあ・・・っく、その上からの物言いもムカツクけど・・・・はあ、はあ・・・何でアンタの方がそんなに足速いのよぉ~!!」

「ん~・・・わかんない」

「走りながら可愛らしく首をかしげないで、お願いだから!!」


姦しく走る二人。
16歳という思春期において、この二人が何をもたらすのか。

そして。


この場にいるはずのもう一人は?



様々な海環境で渦巻く、3人が奏でる恋話『うみ物語』。

次話、『放浪』

私達を放っておいて、許せないわね、マリン!?
ん?んー、サムがいればそれでいいよ。
くっ、この天然っ子は・・・!













[25922] 1話~放浪~
Name: く~が◆81c3a1e7 ID:8dc1338e
Date: 2011/02/12 12:03
波の音が聞こえる・・・

ここは・・・?
オレは何をしてたんだっけ・・・?
何をしようとしてたんだっけ・・・

ダメだ、頭が朦朧としてる。
自分が今、どういう状況なのかも分からない。
でも・・・

あのあの二人の声なら・・・どこでだって聞こえる。
『海』を通して・・・これは『あの日』に繋がった絆の力。
あの時も・・・今のような感じだったっけ。

波に呑まれていくマリン、追いかけるオレ。
そして眼を閉じて何かを祈るようにするワリン・・・

はは、あの時からこの質は変わらないんだな。
今に至るまで・・・


・・・※※※・・・


・・・マリン?
・・・
・・・・・・助けて・・・・・・


っ!!

「マリン!!」



うみ物語~第2話~  放浪



≪この度は、当フェリーをご利用いただきまして、誠にありがとうございます・・・あと20分ほどで、当フェリーは那覇新港に到着いたします・・・≫



「ひげっ!?」


2等寝台の上。狭い室内の中壁沿いに備付られた、2段ベッド式の寝台。
サムは起き上がった早々また仰向けに倒れることとなった。
立ち上がろうとした瞬間、近くにあった天井に頭をぶつける羽目になったのだ。





愉快な悲鳴を上げ、再びベッドにダイブするサムに、下の寝台を使っているおじさんから声をかけられた。


「おい、大丈夫か?すげぇ音がしたけどよ」

「いつつ・・・あ?あ~、大丈夫っすよハハハ。ついつい寝ぼけちゃって」

「そうかい?まぁ無理をしないこったな。それとそろそろ沖縄に着くって放送があったからな、そろそろ準備しておいた方がいいぞ?」

「あ、はい。どうもっす」

「おう、いいってことよ」


下のおじさんと軽く会話を交わした後、サムは素早く着替え、枕にしていたバッグを引き寄せて持ち物を確認していく。


「あ・・・」


そこでふと気づく。ベッドのコンセントから伸びている充電器に接続されていたのは、出発前に幼馴染二人から渡された携帯電話。
そういえば充電していたっけ、と思いながらも、携帯電話を開く。

着信履歴を確認すると、そこには2人しか登録されていないメールアドレス、電話番号の嵐が。


「はは・・・こりゃあ顔あわせた瞬間に怒られそうだ」


そう呟きながらも、サムの表情は緩んでいた。
メールを確認する。


From:マリン  今どこにいるの? 
From:ワリン  いい加減連絡入れなさい! 
From:マリン  もう学校始まっちゃったよ?連絡だけでもくれると嬉しいんだけど。 
From:ワリン  アンタがいないからマリンの天然が冴えてきて手に負えないわ!早く何とかして! 
        ・
        ・
        ・

確認すること、20数件。
GWに、自分が最低限の荷物を持って旅に出た日から1週間目辺りからメールが急増している。それにも気づかず、バッグの中に入れっぱなしだった自分にも笑えてくる。
気づいた時にはバッテリー切れで、フェリーの中で充電し、今に至るわけだ。
そして昨日今日は鹿児島~沖縄間のフェリーに乗っていたせいで電波が届かなくて着信すら出来なかった状態・・・だとすると。

ピピピピピ・・・ピピピピピ・・・


「ほら、きた」


早速着信される電話。
それを確認することなく、サムは携帯電話を閉じる。
どう考えてもお怒りになっているのは確実なのだから、せめて言い訳を考える時間くらいは欲しい。


自分は、あの二人から・・・離れたのだから。


・・・ザァッ・・・


そんな複雑な心境のサムの耳に、波の音が聞こえてくる。
かつて、3人の絆を紡いでくれた母なる海の鼓動。
地元から遠く離れた、ここ沖縄の海はいかがなものか。
どういう縁(えにし)を紡いでくれるのか。


サムの心は、未だ見ぬ沖縄が誇る『美ら海』へと向かっていった。





「あっ・・・今日は繋がったわよ、マリン!」

「ホント?出てくれると良いんだけど・・・」

「・・・あっ、途切れた。ダメね、あいつ出る気さらさら無いわ」

「・・・」

「あ、ほら、なんていうか、サムの身に危険は無いってのは私達が良く知ってるでしょ?心配することなんか無いわよ」

「・・・うん」

「(う~・・・マリンがこんな顔するなんて・・・早く返事しなさいよ、馬鹿サム!)」


休み時間ごとに、二人は携帯電話を片手にサムへと連絡を取ってみる。が、ここ1ヶ月の成果は芳しいものではなかった。
基本的に機械オンチであるサムに、取扱方法は二人で徹底的に教えた。それもサムの家で、一晩かけて(お泊り込み)。

携帯電話には反応を示さないが、サムからの波動は常に届いている。
一緒にはいないが、気配はマリンとワリンを包み込んでいるのだ。
思いつめたら暴走しがちなマリン、そして冷静でありながら時には強攻策も辞さないワリンが行動を起こさないのは、その恩恵のおかげであろう。




二人が通う高等学校は、地元の漁村から山を一つ越えた町にある。
通学時間が片道で1時間半ということから、二人は町の方に下宿しそこから通っているのだ。

二人は、その容姿とプロポーション、性格の三拍子がそろった美少女達ということで、入学早々アイドルのように仕立て上げられた。
初日からファンクラブまで出来る始末である。


16歳にして未だ純真無垢の笑顔を持ち、周りをも笑顔にしていくマリン。
16歳にして大人びており、その挙動は大人である教師もが眼を向けるというワリン。


正反対のようで、似たところを持ち合わせている二人が、入学1日目にして人気にならないはずが無かった。
噂を聞きつけ、他校から見に来る男子生徒もいたり、都会の方からはどこぞのアイドル事務所からのスカウトも1日置きに来るほどだ。
因みに、そのスカウトと一緒に来ていたカメラマンが、下校途中のマリンとワリンを隠し撮りをし、それが地方雑誌に載って『ミス・マリンちゃんコンテスト』という企画で、堂々の1位2位を独占していたりする。

そんな華やかな2人は、そんな周囲にも拘らず何も変わらない、自然体のままで過ごした。


が、2人の知らないところで影で蠢く醜い面も存在する。
それが今のサムの現実逃避(?)の一因になっているのは確かなのだ。

校内、もしくは市内飛び越えて県内一の美少女とまでされるマリンとワリンの幼馴染であるサム。そのサムに、羨望と嫉妬の感情が集中するのは当然の帰結だと言える。

マリンは、異性の中では唯一、心を許す存在のサムには満面の笑みを浮かべ、まるで甘えているかのように接する。
ワリンは、その暴走しがちなマリンを抑えながらもサムと親しく裏表の無い会話をし、その頻度は他の男子の類を見ない。

それを毎日のように見ていた他の男子は、それはもう嫉妬の視線でサムを見据えた。
それはクラス全体に広がり、サムが一人でいる時は誰も話しかけようとしないし目線すらあわそうとしない。影でこそこそと、マリンやワリンには聞こえないように、そしてサムには聞こえるように叩かれる陰口。


サムは、そのことを冷静に分析できていた。
サム本人にとっても、幼馴染2人の美しく華やかな成長は大いに戸惑うばかりであったからだ。昔と同じ様に、毎日のように接してくる2人。

2人は全然変わらないなと思いつつも、自分が変わってしまったことを責めるサム。
サムの、ネガティブに歪んだ精神はやがて、クラスの苛めに過敏に反応する。
それは、高校入学と同時に両親が水難事故で帰らぬ人となったサムの心を更に抉る形となったのだ。


(オレは2人の側にいない方がいいんじゃないか?)
(オレがいることで、2人に迷惑がかかるんじゃないか?)
(2人は多分変わることはない・・・)
(両親もいないオレには、失うものは何も無い・・・ならば)


約1ヶ月前、GWに突入する前の一コマ。


そして。



舞台は沖縄へと移る。










「三線の音・・・?」
「あれ・・・キミは確か、あの時の・・・」

次話、『海神』

・・・サム・・・
あ・・・あ~、ほら、マリン?前行きたいって言ってた映画見に行かない!?
・・・映画・・・うん、そうだね!
(はぁ~・・・精神が疲れるわ・・・)



11.2.12  加筆・修正


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