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[2651] 異世界エロ話(オリジナル
Name: 無屁吉◆ab65b77c ID:01b3c9db
Date: 2008/02/22 20:01
 ※危険回避のための諸注意※
 本作品はオリジナルのエロ小説です。
 俗に言う異世界召喚もの。男主人公の一人称で進んでいきます。
 エルフの女主人に飼われたり、獣耳メイドたちなんかに弄ばれます。純粋な人間女性は出てきません
 現段階で主人公は受身的ですが、後からどうなるかはわかりません。
 作者のリビドーが赴くままに書いていますので、そのうち攻めにまわるかもしれません。※三話でまわりました。
 今のところグロはありません。でもおしっこはあります。うんこはないです。
 頑張ってエロく書いてるつもりですが、当方未熟ものですので、物足りないかもしれません。
 そのときはどうかご指摘やアドバイスください。参考にして、もっとエロくしたいと思います。
 もちろん文章自体に関する指摘やアドバイスもお待ちしております。
 それから良いタイトルが思いつきません。誰か俺にネーミングセンスをください。
 以上、諸注意でした。以下本文です。
 
 1.
 
「――あっ、くぅ……」
 怖気にも似た快楽の波が、俺の背筋を駆け抜けた。
 耐えるように食いしばった歯の隙間から、情けなくも色づいた息が漏れる。
 目の前には妖艶な裸の美女。長くまっすぐに伸ばされた金髪の一房が、美しい体のラインに沿って薄桃色の乳首にかかっていた。それが奇妙にいやらしい。
 女のしなやかで、この薄暗い座敷牢の中でも白く映える指が、俺のペニスを猛スピードで、それでいて巧みに扱き上げていた。
「ふふ……毎度の事ながら、黒は強情よねえ。耐えているあなたのその瞳、潤んでいてとても綺麗。まるで黒曜石のよう」
「黒」と言うのは、女によって与えられた俺の名前だった。黒髪で黒目という純日本人的な特徴から取った安易な名前。無論、本名は別にあるのだが、この女は何度言っても「黒」としか呼ばない。
 楽しげに唇をほころばせながら、女は俺の剥き出しの胸板に、その豊満な乳房ごと身体を預けてきた。勃起した乳首がくりくりと俺の肌に押し付けられる。くすぐったくも気持ち良かった。
 その拍子にじゃらと、背後で重々しい音が鳴った。その金属音で俺は自身が後ろ手に手錠をかけられていて、更にそれと壁とが鎖で繋がれていることを思いだし、うんざりした。
 女はサディステックな切れ長の目で俺を眺めると、唐突に自身の唇を俺のそれに押し当てた。溜めていたのか相当量の唾液が差し込まれた舌を伝って流し入れられる。唾液の海で絡み合う舌と舌。
 俺は反射的に彼女の唾を嚥下し、それが引き金となって体をはねさせていた。
 女の手の中でビクンビクンと暴れまわり、大量の精を放つペニス。俺は膝から力が抜け崩れ落ちそうなるが、背後の壁に体重を掛ける事で何とか身体を支えた。
 俺の舌を舌で弄びながら、女は悪戯っぽく目を笑わせる。「我慢してたのに、いっぱい出たわね」なんていってる目だった。
 女はザーメンを潤滑油代わりにして、柔らかくなったペニスをぐにぐにといじっていた。
 ぐちゅねちゅとイヤらしい音が耳朶を打って、屈辱と恥辱と決して僅かではない被虐的な快感を、不本意ながら俺に与えていた。
 この女と俺とは結構な付き合いになる……と思う。数えていたわけではないし、日の光すら当たらないこの牢の中では時間の感覚も狂っているので正確なところはわからないが、それでも一、二年になるのではないだろうか。
 しかしながら、俺はこの女の名前すら知らない。ただ彼女は俺の「ご主人様」であるらしく、俺は彼女の奴隷らしい。
 正直なところ、憲法によって基本的人権が保障されてきた日本人の俺にはまったくもって受け入れがたい現実なのだが、ここには人権なんて言葉すらない。
 なにせ、ここは、この世界は、いわゆる一つの異世界っていう奴らしいのだ。それもファンタジー系の。
 ――ああそうそう、どうでもいいけど、今俺のチンコいじってる「ご主人様」は長い長いエルフ耳をしている。
 
 ◇
 
 異世界エロ話
 
 ◇
 
 俺がどうやってこの世界に来たのか、なんて理由はまったくわからない。
 ただ、大学から自分の部屋に帰ってきたとき、異常に疲れていてすぐにベッドにもぐりこんだのは覚えている。
 それからふと鼻に漂ってきた獣臭さにうなされながら目を開いたとき、俺は二足歩行する薄汚れた犬の着ぐるみみたいな奴に引きずられ、何処とも知れぬ場所にいた。
 視線をめぐらせて見ればどうやらそれなりの屋敷の中らしく、所々に使用人らしい少女(ただしみんな耳が長かったり、獣耳だったり、尻尾が見え隠れしていた)がいたり、素人目にも高そうな美術品が飾られていたり、赤に金糸で刺繍が施された絨毯が敷かれているのが目に付いた。
 一瞬状況が掴めずに呆然とした俺ではあるが、まず夢である事を疑い、床を引きずられる事による痛みでそれを否定し、次に俺を引きずる犬に抗議の声を上げた。
 犬は早口で日本語ではない言葉をまくし立てた。まったくもって何を言ってるのかは分からなかったが、言葉と一緒に飛んで気た拳が「黙れ」と言っていた。
 後から知った事だが、この犬はRPGなんかでおなじみのコボルトだったらしく、奴隷の売買を生業としているのだとか。そして当然俺は商品だった。
 やがて応接間らしいところに通されると、銀色のファーを首からかけた長耳女――つまりは俺の後の「ご主人様」だ――が豪奢なソファに身を沈めて待っていた。コボルトは女の対面のそれに腰を掛ける事もせず、やはり日本語ではない言葉を発した。商談の始まりだった。
 はじめ女は乗り気ではなかったようだが、コボルトが俺を女の前に突き出し何事かを言うと、途端に興味深げに俺の顔を撫で回し、じっと観察しはじめた。
 俺はと言えばこの異常な状況に怯え、かといって逃げ出すことも出来ずにただ震えているだけだった。
 そんな俺を情けないと思う人もいるかも知れないが、よく考えてほしい。気がついたらまったく見知らぬ場所にいて、犬の着ぐるみに引きずられ、耳が異常なまでに長い美女の前に突き出され、俺を置いてけぼりにして日本語じゃない言語で会話をし始めたのだ。
 びびってしまっても仕方がないと思う。
 コボルトとの会話の末、女は納得したのか指にはめていたきらびやかな指輪を外して渡した。コボルトはそれをしばらく眺め回すと、懐に収め、俺を差し出した。
 俺が売られた瞬間だった。
 
 ◇
 
 当人の意思とは無関係に、奴隷となった俺がはじめにされたことは身体を洗われる事だった。引きずられて来たから汚れていたのだろう。そして「ご主人様」はそれが気に入らなかったらしい。
 獣耳がついた四人の使用人(俗に言うメイドだ)が有無を言わせず俺を無駄にでかい風呂場へ放り込むと、その場であっという間に裸に剥かれて、溜められていた水を俺にぶっ掛ける。そう、お湯じゃない、水だ。
 あまりの冷たさに悲鳴を上げ暴れるも、やはり日本語ではない言葉をかけ――そのニュアンスは「じっとしてて!」といったところだろう――俺を抑えつける。
 そしてあくまで彼女たちは袖をまくりあげると、泡立てたスポンジで俺の身体を隅から隅まで洗い立てていく。
 ここでようやく事態についていけてなかった頭がまともな働きをはじめ、俺に羞恥心を思いださせていた。
 だってそうだろう? 正直なところ、このときの俺はまだ女を知らない清い体であり、生で家族以外の女の裸を見たこともなければ、俺の裸を女の子に見られた事もなかったのだ。恥ずかしがらないはずがない。
 だがまあ、いくら俺が恥ずかしがったところで、四人のメイド少女たちは洗うのを止めはしなかった。
 はじめはうつぶせにされて、背中やら足やら頭やらを乱暴に洗われた。それが終わると俺をひっくり返し、仰向けにする。股間にぶら下がる一物が晒されてしまう事に俺は再度悲鳴をあげ、起き上がろうとしたがまったく無駄な足掻きだった。
 というのも、この少女たち異常なまでに力が強い。両足を一人、腕をそれぞれ一人ずつの計三人で抑えられているのだが、微動だにすることも出来なかった。
 獣耳のメイドたちは皆一様に俺のペニスを見て、そしてくすりと笑った。俺の息子はこの異常な状況に、情けなくも興奮を示していたのだ。
 手の空いている一人――この中では一番小柄で、あどけない顔立ちをした犬耳の少女――が、瞳に淫蕩な輝きを灯して、泡にまみれた手をいきり立ったペニスに伸ばしてきた。
 ぬるりとした感触が、亀頭を撫でた。
「あ――」
 声が上がる。犬耳のメイドはそんな反応を楽しむように笑みをつくると、親指と人差し指つくった小さな環で、俺のペニスをしごきたてはじめた。
 くちゅくちゅと音を立て、一往復、二往復と環が動いた。カリ首が指で強く擦られるたびに、俺は吐息のような声を漏らしていた。そして三往復目で、
「くあ」
 小さな呻き声と共に、俺は絶頂を迎えていた。童貞の俺には快楽に耐える術などなく、あっけないほど文字通りの三擦り半。高らかに打ち上げられた白い毒液は、俺のペニスを握っていた少女の顔に命中し、幼い顔を汚していた。
 何が起こったのか理解できていないのか、少女はきょとんとし、周りのメイドたちがくすくすと笑う。
 そして俺の足を押さえつけていた猫耳のメイドが、ついと身を乗り出して、犬耳少女の顔についたザーメンをぺろりと舐めた。
 それでようやく事態を把握したらしい犬耳は、顔についた粘り気の強い精液を指ですくいとると、わざわざ俺の顔の前にそれを突き出した。
 まさか俺に――!? などとこの先の展開に恐れをなしていたが、犬耳はいまだ精液のこびりついた顔で淫靡に微笑むと、指についたそれを、ちゅるっと吸った。
 その行為のいやらしさに、俺が思わず目を逸らすと、萎えかかっていたペニスが生暖かい物で包まれた。
 はっと顔を上げると、石鹸と精液が混じりあって付着していた俺の息子に、足を押さえていた猫耳メイドがむしゃぶりついていた。上目遣いにこちらを見ると、からかうように目を細め、ずずずと音を立てて吸引をはじめた。
 本当の猫のようにざらついた舌は鈴口にぐいと差し込まれ、歯は甘噛するように裏筋を責めたて、喉奥で亀頭を刺激してくる。
 ぐったりとしていた我が息子は、達したばかりだと言うのにたちまち硬度を取り戻し、俺はと言えば無意識のうちに――未だに仰向けのままなのでわずかにではあるが――腰を上下に動かしていた。
「んぐっ、じゅるぶっ、ぐぅ……んっ」
 息苦しいのか眉をしかめる猫耳。だが、その奉仕を止めようとはしない。むしろ積極的に更に奥へと銜えようとしてくる。
 犬耳から受けた手コキよりも刺激が強い。しかし、それでもまだ射精をしないのは一度出しているからだろう。おかげでこの気持ち良さを長く楽しむ事が出来る。
 このときの俺は自分がどうしてこんな目にあっているのかなんてことはすっかり忘れていた。ただ与えられる快楽を一所懸命にむさぼり続けるだけ。
 ふと気付くと、犬耳が俺の唇を吸っていた。俺もまた首を上げ、舌をいれることでそれに答える。俺の口蓋を犬耳の舌がなぞり上げ、そのくすぐったさがペニスに与えられるものとはまた違った気持ち良さとなって俺をとろけさせた。
 更には俺の腕を押さえつけていた両脇のメイドたち――黄色い三角耳の何処か気の強そうな少女は狐耳娘だろうか? もう一人は大きな丸い耳。ねずみ耳娘なのだろうか、何処か悪戯好きそうな顔をしている――は、目の前で繰り広げられる情事に興奮したのか、息を荒げ俺の手をそれぞれの濡れた秘所へと導いた。
 経験のない俺には女を悦ばせるテクニックなんて持ち合わせてはいない。だが、雄としての本能だろうか、後の性交をよりスムーズにさせるため、俺の指先は自身の意思を離れて動いていた。ぐちゃぐちゃとした水音が風呂場に反響し、二人の少女のあえぎ声もまた響いた。
 犬耳も口づけだけでは我慢出来なくなったのだろう。唇をはなし、俺の顔をまたぐとその上でクロッチが濡れて変色したショーツを脱ぎ、ピンク色の割れ目を俺に見せつけた。ねちゃあ、とイヤらしく透明な糸を引いて、濡れそぼった花弁が開いた。
 むわあと発情した雌の匂いが俺の鼻腔を満たしたかと思うと、犬耳メイドは俺の口めがけて腰を落とした。ぱさとスカートが俺の顔全体を覆いつくし、視界が奪われ、ふさふさの尻尾が俺の首筋をくすぐる。同時に犬耳自身の匂いも篭り、更に強烈になった。
 しかし、それは嫌いな匂いではない。むしろ俺の性欲を増進させ、猫耳にしゃぶられているペニスは更に硬く太くなっていた。猫耳の鼻息が、ペニスの根元をくすぐった。
 俺は犬耳の雌汁をわざと大きな音を立ててすすった。普段なら絶対に美味いなどとは感じないだろう奇妙な味のそれも、このときの俺にはものすごく甘美なジュースだった。
「くぅん、きゅうぅん……!」
 甘えるような犬耳の声。俺は更に責める。鼻先で勃起したクリトリスを刺激しながら、舌で僅かに発達したびらびらを舐めあげ、時には優しく噛んだ。
 犬耳はすぐに腰をグラインドさせ、もっともっととせがむように俺の顔に女を押し付けて来る。
 彼女のリクエストに答えながらも、俺の両手は休んでいなかった。
 狐耳とねずみ耳の二人から出てきた汁が、俺の掌で湖を作っていた。俺はここで人差し指と中指をまっすぐ伸ばし、熱い肉壷の中に突っ込んでやった。二本指で膣を掻き回しながら、同時に親指はクリトリスの包皮を剥き、撫で付ける様に刺激を送る。我ながら視界が奪われているのに良くできたものだとは、後から思った。
「はぁ……はっ、はっ……」
 荒く、艶っぽい息が俺の手の遥か上から聞こえてきた。
 彼女たちもまた、自らより深い快楽をむさぼるために、腰を動かし始める。
 俺は自らの手で少女たちに悦びを与えられている事に酔っていた。男としてのプライドが満たされていくのを感じる。俺は舌と手の動きを更に早めた。
 それが、彼女には面白くなかったのだろう。先からずっと俺の息子を可愛がってくれているのに、すっかり俺に忘れ去られているような格好になってしまった猫耳には。
「おうふっ!?」
 突然俺の尻――よりはっきり言ってしまうなら、そこの穴に異物が進入してきた。
 細いその感触から察するに、猫耳の指なのだろうそれは、俺の腸壁越しにこりこりとした何かを刺激しはじめた。
 ――前立腺。
 そんな言葉が脳裏をよぎった。
 男性のGスポットとも呼ばれるそこは、訓練によっては射精以上の性的快感を得る事が出来るのだと聞く。
 が、当然俺はそんな訓練などしたこともないのでそんな快感を得ることは出来ないと思う。……思った、のだが、
「あっ、ひぐ」
 体の内側から与えられる未知の感覚と、ペニスに与えられる直接的な快楽の前に、俺はあっけなく二度目の精を放っていた。
「ん、ぐっ……」
 猫耳の喉の奥に直接放たれる俺の子種。
 それを彼女は苦もなくごくん、ごくん、と飲み干した。
 同時に犬耳が「んんんんんっ!」と声にならない叫びをあげ、股間から出てきた生暖かい液体を俺に浴びせた。
 その正体がなんなのか、射精の快感で溶けている俺の脳みそでもそれははっきりとわかったのだが、幸いにしてこのときはまったく気にならなかった。――誤解を招くようだが、俺にその手の趣味はないのであしからず。
 ぐったりとしながらも犬耳は腰を上げ、俺の顔から退けた。そしてそこで力尽きたのか、やけに緩慢な動作で洗い場の床に倒れこんだ。
 続けて腰を押し付けて、俺の指を更に奥へと導きこんだねずみ耳が絶頂を迎えた。甲高い悲鳴にも似た声を上げて、俺の手を下敷きにしてへたり込んだ。
 連鎖反応はまだ続く。狐耳もやはりというかすぐにイってしまったようで、しかし声は上げずに、どうしてか歯を食いしばるようにして身体を弓反にした。あわやそのまま後ろに倒れてしまうのではないかと思ったが、彼女はどうにか体勢を立て直すと逆方向に――つまりは俺に向かって――体を倒してきた。
 形の良い乳房がちょうど俺の顔の辺りに来たので、せっかくだから立っている乳首に吸いつき、こりと歯を立てた。狐耳は再び電気が走ったように身体をのけぞらせ、うっとりとした表情で目を閉じた。
 さて――残るは悪戯っぽく笑って立っている猫耳だけ。
 彼女は俺の腰をまたぐように立つと、スカートをまくりあげ、口に銜えた。
 白い脚に映える黒いガーターベルトが俺のフェチ心をくすぐる。ショーツは既にない。猫耳のあそこは既に準備ができているとてらてらと光って主張していた。そして彼女の長い尻尾が、揺れて俺を誘った。
 俺の単純な雄は、それであっという間に回復した。
 おいで、と俺は腕にまとわりつく二人をのけ、半身を起こして手招きする。猫耳は嬉しそうに目を潤ませて、ゆっくりと腰を落とし――、突如響いた冷たい声にその動きを止めた。
 はっとして俺と猫耳は声がした方を向く。
 するとそこ、つまりは風呂場の入り口には先ほどの長耳の女――くどいようだが、俺の「ご主人様」だ。このときはまったくもってそんなことはわからなかったとしても――が、微笑を浮かべて立っていた。
 ぐったりと寝そべっていた三人も慌てたように身体を起こし、直立の姿勢をとった。俺の腰の真上にいた猫耳も同様だ。
 俺はまったく事態を把握できず、長耳と今まで身体を交えていた四人とを見比べる。少女たちの表情には、ありありと恐怖が浮かんでいた。
 長耳は厳しい口調で何事かを四人へ告げると、踵を返した。
 四人は女の姿が見えなくなるとさっきまでの情熱的な姿が幻だったかのように事務的になって、俺の身体を洗いはじめ、あっという間にそれは終わった。
 俺は四人に服を着せられながら、再び事態についていけなくなったのを自覚していた。
 
 ◇
 
 俺が着せられた服は四人の少女たちと対になっている――つまりは執事風の黒いフォーマルなスーツだった。
 着替え終わった俺は、もしかして召使かなんかになれとでも言うのだろうか? などと思いながら、狐耳に連れられてひときわ大きな両開きの扉の前にいた。
 狐耳はノックをすると、中から答えが返ってくるのを待って扉を開けた。
 狐耳が一礼するのを見て、そうした方がいいのかと俺も慌てて倣った。それが不恰好だったのか、中にいた長耳の女は小さく吹き出した。じろりと俺を睨む狐耳。いや、睨まれても困るんですけど。
 そして長耳女が狐耳に声をかける。狐耳は怯えるように身を竦ませ、顔色も可哀想な位に青白くなった。
 が、長耳女はそれをなだめるように、優しい声色ではなしかけ、狐耳もほっと安堵の溜息をついていた。
 そこでふと、俺はある事に気付いた。
 それは彼女たちが交わす言語だった。いくらか冷静になって聞いていると、さっきから何処となく聞き覚えのある単語がちらほらと混じっている気がする。……あれ、これってもしかして、英語じゃね?
 俺がかろうじて聞き取れた単語は「マスター」だとか「ヴァージン」だとかという風に聞こえた。……聞き取ったのに奇妙な傾向があるのは気にしない方向で。
 しかし、あらためて英語だと認識して見ると、彼女たちの会話も所々ではあるが――やっぱだめだ、聞き取れん。よく考えたら俺は英語が苦手だった。書くのはまだどうにかなるが、リスニングや英会話なんて物はまったくもって無理!
 だけども、使われている言語がまったく未知な物ではないという事実は俺に僅かながら安堵を与えていた。なんというか、ここに来てから見た人物がどう見てもコスプレまがいの連中ばかりで、もしかしたら自分はファンタジーな世界に迷い込んでしまったのか? なんて不安を抱いていたからだ。
 だが、英語を使って話していると言うことはここは少なくとも地球である。連中が変な格好をしているのは、きっと頭のおかしい金持ちがコスプレ乱交パーティでも開いたのだろう。俺はそれに巻き込まれただけ、と。だとしたら交渉次第で帰れるかもしれない。
 ――我ながら支離滅裂で珍妙な考えだったとは思うが、当時の俺は本気でそんな風に思っていた。いや、思わなくては俺がどうにかなってしまいそうだったのだ。実際はといえば前述の通り、ファンタジー世界だったわけだが。
 やがて話が終わったのか、狐耳は再び一礼し、部屋を出ていった。取り残される俺。
 女は妖艶に笑むと、俺に向かって手招きした。
 俺は恐る恐る歩み寄る。
 そして柔らかそうなソファを指差しす。そこに座れということなのだろう。俺は素直に従った。
 女は俺を見ている。品定めをしているようなその目つきが、少し不快だった。
 俺は彼女の視線を断ち切るように、意を決して質問をする事にした。
「ふ……ふー、あー、ゆー?」
 あなたは誰ですか。
 のんきなようだが、まずは相手が何者かを確かめなくては話にならない。
 が、女はきょとんとしたように俺を見るだけで、返答をしてはくれなかった。
 もしかして、発音がまずすぎたのか!? それとも英語だと俺が思いこんでただけで、やっぱり全然違う言語だったのか!?
 そんな不安に頭を抱えていると、ようやく女がゆっくりと口を開いた。
 形の良い唇で、たった二語の単語を吐く。
「ユア、マスター」
 あなたの主人よ、と。
 



[2651] 異世界エロ話その2
Name: 無屁吉◆ab65b77c ID:01b3c9db
Date: 2008/02/20 09:31
 2.
 
 長耳女が口にした言葉を、俺は思わず反芻する。
「ます、たー……?」
 女はうなずく。
 この時俺は、やはり召使として雇うつもりだったのだ――なんて楽観的に考えてしまった。
 それが甘い考えだと思い知ったのは、まさに直後。
 女は俺の隣に腰をかけると、俺の首に腕を回してしな垂れかかってきた。女から柑橘系の香水の匂いがふわりと広がる。
 俺は先ほど童貞にはすさまじいまでのエロティックな経験をしたが、それでも妖艶に微笑む金髪美女の顔が間近に来ると、心臓は高鳴り顔面と海綿体に血液を送り込んでいた。
「あの……」
 と、俺が声を出した瞬間、首に女の腕ではない何かが触れた。それはいつもズボンに通している革のベルトによく似た感触で、かちゃかちゃと金属同士が擦れる音が聞こえた。
 女が満足そうに笑んで離れた。俺はとっさに何かされただろう首筋に手をやる。やって、何故か皮製の首輪らしきものがかけられている事に気付いた。そして首輪には太い鎖もつけられている。
「こ、これは?」
 俺は怪しくなってきた雲行きに、通じるわけのない日本語で尋ねていた。女は首輪に繋がる鎖の先を俺の目の前にちらつかせると、言い含めるようにゆっくりと、赤い唇をはっきり開いて言う。
「ユー、アー、マイン」
 あなたは私のもの。
 それでやっと、俺は現実を認めた。俺は売られてしまったのだと。人間でありながら人間以下の存在として扱われているのだと。
 正直なところ、薄々は感づいていたのだけれど、あえて受け入れようとしなかった可能性だった。
 しかしこうなってしまえば認めざるをえない。これが現実なのだから。そして認めた上で、
「――ふざけるな!」
 声を荒げ、立ち上がり、女に掴みかかる。いや、掴みかかろうとした。
 女は俺が手を伸ばしてきた瞬間、嘲笑うような目をして、鎖を思い切り引いた。
 俺はそのままバランスを崩しつんのめって、前方に倒れこむ。女が腕を開いて俺を抱きとめた。
 大きく、柔らかい乳房の感触が衣服越しにも伝わってくる。だが、己の理不尽な境遇と、転ばされた怒りにそれを楽しむような余裕はまったく無かった。
「く、この……」
 毒づくように呻く俺の口を、長耳女は強引に唇で塞いだ。
「んむぅ!?」
 とっさに顔を離そうとするが、俺の頭は女の片腕ががっちりと押さえ込んでいた。
 女はそのままの体勢を維持し、俺の股間にもう片方の手を伸ばし、ズボンの上からやわやわと揉みはじめた。
「ん……っ、んくっ」
 布越しだと言うのに、女が与えてくる刺激は強烈なものだった。
 俺の理性は腰を浮かせて逃れることを命じるが、身体は女の手から離れたくないと動くのを拒む。
 二人の荒い鼻息が至近距離で絡む。俺の唇の端からは飲み込めなかった唾液が漏れ、女の顔を汚していた。
 自然、俺のまぶたは閉じられていた。暗闇の中で、ただペニスに与えられる快楽を享受する。
 そしてややもせず、女が睾丸をこりっと少し強めに擦り合わせた瞬間、
「む、ぅんっ……!?」
 俺はパンツの中に精を放っていた。その快感に全身から力が抜け、それでも腰だけは女の手へ更に強く押し付けて、女に身の全てを預けていた。
 そうして女はようやく俺の頭から腕を放すと、両側から挟み込むようにして俺の顔を持ち上げる。
 唇と唇が離れ、エロティックな銀の糸橋がかかると、それもすぐに千切れた。
「ぷはぁ、はあ、はあ……」
 熱に浮かされたようにとろけた頭で、俺は女を見つめていた。女も微笑を浮かべ俺を見つめている。その目がいやらしく細められ、俺を誘っていた。
 気がつけばもう一度キスをしていた。今度は俺からだった。唇を押し付け、無理やりに舌を押し入れ、唾液をすすり、歯の裏から口蓋まで、届くところは余すところなく舐め尽くす。
 さっきまでの怒りなどすっかりどこかに飛んでいた。
 鎖で繋がれたことなどどうでもいい。物扱いされたことなどどうでも良い。
 今はただ、この女を抱きたい。この女を犯したい。この女を貪りたい。あるのはそんな雄としての欲求、本能。
 既に今日三度も――それも短いサイクルで――射精していると言うのに、俺のペニスはこれまでにないほどガチガチに強張っていた。俺は内側がぬるぬるになったズボン越しにペニスを女の太ももに押し付け、腰を前後にゆすり始めていた。
 俺の手が女の胸元に伸び、滑らかな布の感触ごと大きな胸をもみしだく。だが、すぐにそんな物では満足できなくなって、俺は女の服を破り捨てようと、襟に手をかけた。
 が、たしなめるように女にその手を叩かれ、行動を止められた。
 不満を隠しもせず女を見ると、仕方ないわねとでも言うように、胸元を大きく開いた。弾けるように服の中から双乳が飛びだす。俺は餌を与えられた犬のように、すぐさま喰らい付いていた。
 ――思えばこのとき既に「ご主人様」によって飼いならされていたのかもしれない。なんて思うのは相当後のはなしだった。
 右の乳首を強く吸いながら、左の乳房が俺の手の中で形を変えていくのを楽しむ。
 そんな相手のことなどまったく考えていない自分本位な愛撫を受けてなお、女は心地よさそうに微笑っていた。
 それがたまらなくいとおしく感じ、再び口付けをした。
 女が再び俺のズボンに手を伸ばした。片手だけで器用にベルトを取り払うと、ホックを外し、ザーメンの染みたパンツの中に手を入れ、子種にまみれたペニスを握り締めた。そのままゆっくりとしごきはじめる。
 穏やか、と言うよりはもどかしい気持ち良さに、俺は更なる刺激を要求するため、女の乳首をつねりあげた。
「あ」と女が初めて小さな悲鳴をあげ、それが俺の気を良くする。馬鹿の一つ覚えで、再び指で強く挟む。
 女は「やってくれたわね」と目で言って、ついに俺のパンツを全て下げた。
 外気にさらされ、跳ね起きるように現れたペニス。女はスリットの長く入ったスカートをまくりあげると、あらわになった片膝をペニスへと押し付け、強く擦り始めた。
 硬くも滑らかな肌の感触と、今までに体験した事のない屈辱的な責めに、俺の興奮は更に増す。
 女はペニスが更に硬さと熱を帯びてきた事で、それを感じ取ったのだろう。妖艶に輝く瞳に「膝なんかで気持ち良くなっちゃって、浅ましい」と侮蔑の言葉をのせてきた。情けない事だが、それでさらに俺のペニスに血液が集まっていた。
 もはや浅ましかろうが、軽蔑されようがなんだっていい。いまはただ、どうか俺に一時の快楽を。
 その想いが通じたのか、女の膝は力強さと速度を増す。俺もまた、こしをぐいぐいと膝に押し付けもっと気持ち良くしてくれと女にねだった。
 やがてもうすぐ絶頂を迎える、そんな前兆が俺の背筋を走ってペニスへと伝わったとき、女の膝が動きを止めた。
「……え?」
 どうしてやめるんだ、と唇の端から涎を垂らし、快感にぼやけた目で訴える。
 女は微笑を浮かべたまま、膝をはなし、股をゆっくりと開いた。挿入れなさいと言っているのだと理解した。
「ああ……」
 と、俺は期待に声を漏らしていた。ついにこの女を抱けるのだ。犯していいのだ。
 俺は震える手でペニスを掴むと、女の股を割るように両足を差し入れ、肉色に濡れて光る膣へと侵入を試みた。
 だが、俺のペニスは女の穴を捕らえる事が出来ず、ぬるりと割れ目を擦っていた。
 あれ? と焦りを感じながらももう一度挑戦し、同じ結果に倒れる。それを三度繰り返したあたりで、女の手が俺の息子を掴んだ。
 はっとして女を見ると、慈愛を感じさせるような優しい――しかしその根底に見えるのは雄を求める雌の本能で――微笑を浮かべ、ペニスを膣口へと導いた。
 ぐちゅりと卑猥な音を立て吸い込まれていくペニス。そう、入っていくなんて生易しいものではない。おれは思わずその気持ち良さに悲鳴をあげていた。
「ああっ、な、なんだこれぇ!?」
 女なんかよりオナニーの方が気持ち良い。そんな事を得意げに語っていたイケメン友人の話は嘘っぱちだった。
 根元をきつく締め付け、中で蠢く肉ひだが亀頭やカリクビと言った弱い部分を徹底的に攻撃する。オナニーごときで得られる快感では到底ありえない。
 俺はもはや腰を動かすことさえ出来ず、あっけなくもザーメンを放出していた。快楽に身を震わせて、尿道に残る精液一滴すら女の子宮に届けんと搾り出す。
 びくびくとペニスが膣内で暴れまわり、力尽きしぼむ。が、それもすぐに回復した。女の肉壁は萎えたばかりのペニスをなおも愛撫し、まだできるでしょう? と語って――否、命じていた。
 このとき俺ははっきりと理解した。俺が犯しているんじゃない。俺が犯されているのだと。
 もしかしたら、このまま搾り尽くされ殺すのではないだろうか――?
 そんな不安が頭をよぎるが、与えられる快楽に抗う術など俺は持ち合わせていなかった。
 そして俺は息を整えると、女の命を遂行すべく、細い腰を掴み、力任せに腰を振る。
「ア、ア、アッ!」
 その度に女の嬌声が上がり、俺の首輪に連なる鎖はじゃらじゃらと音を立て、肉と肉がぶつかり合う。
 ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てる結合部分に目を落とせば、白く泡立ったザーメンが掻き出されていて高そうなソファの布地に染みを作っていた。自らの子種が外に排出されていくのを見て、俺は不意に新たな種を植え付けねばならない――なんて義務感に襲われた。
 腰を振るスピードを更に上げる。女の中もそれに答えるように締め付けを増し、二人の快楽指数は上昇を続けていく。
 やがて、膣が震えるように痙攣をはじめ、女の絶頂が近いのだと俺に教えていた。
 女はじゃらと鎖を引いて、俺の顔を寄せるとキスをせがむ。俺は要望に応え、唇をあわせ、互いに舌を貪りあった。
 腰の動きはなおも速度を増し、女もまた自ら腰を振っていた。
 ふと、俺の視界に女の長い耳が揺れているのがうつった。身体をぶつけ合うたびにひくひくと動くそれに、俺は思わず口を寄せ、ぺろとひとなめした後、軽く噛み尽いた。
 瞬間――女が声もなく大口をあけ、俺に組み敷かれたままにもかかわらず背を弓反に跳ね上げた。
 同時にぎゅうと締め付ける膣に、限界に近づいていた俺の息子は白旗を上げ、またも女の中に精子をばら撒いていた。
 虚ろな目をして絶頂の余韻を楽しむ女を、俺は知れず抱き締めていた。そうしてもはや何度目かわからないキスを交わす。
 繋がったままの膣からは、どろりと白い毒液がこぼれだしていた。
 
 とまあ、これが俺の童貞喪失の全てであり、同時に「ご主人様」に飼われる事となった経緯でもある。
 
 ◇
 
 この世界にやってきて俺は人間必要に迫られることはなんでもすぐに覚えるものだと実感していた。
 何せ苦手だった英語での会話が、ものの数ヶ月で出来るようになっていた。無論日常会話程度ではあるが、それでも格段の進歩には違いない。
 読み書きもまた上達していた。俺が繋がれている座敷牢の中では、読書以外に個人の娯楽がないのだから必然と言えた。
 この座敷牢は例えるなら犬小屋だ。俺という犬を飼うための。
 内装だけなら普通の部屋と大差ない。本棚もあれば、ベッドもある。それから驚くなかれ、ユニットバスまであるのだ。
 どうやらこの世界、科学技術がファンタジーの割りに発展しているらしい。いや、ファンタジー世界の科学が立ち遅れているなんていうのは俺の偏見なんかも知れないが、正直びっくりした。照明も実は蛍光灯だったりして、元の世界と近い文明を持っているんだななんて奇妙な安堵感を覚えていた。
 ところで、この世界にはどうも「人間」という種族がいないらしい。より正しくは、いないと言うよりは遥か昔に絶滅したのだとか。
 これは俺がどうにかまともに喋れるようになった頃、「ご主人様」と交わした会話からわかったことだ。
 簡単に解説すると、その昔「人間族」は発展した科学力をもって栄華を極めていた。だけどなんかの拍子に絶滅した。以上。
 この「なんかの拍子」がなんなのかは諸説あるらしい。巨大隕石が降ってきただのトンデモな話もあると言う。何処の恐竜だよ。
 だが、科学が発展していたというのは疑いようのない本当の話で、現在使われてる技術のほとんどが人間が作り出した物――通称「人間の遺産」――を元にしているのだとか。
 人間の遺産の中には現在の科学水準を遥かに越えるものもあり、遺跡などから発掘されれば恐ろしいほどの高値で取引されたりもするんだそうだ。
 中にはそんな「人間族」を神と崇める人たちもいるらしい。俗に「人間崇拝」というらしく、何気に「ご主人様」も――相当歪んではいるのだが――その主義者だった。
 さて、なんでこんな話になったかといえば、俺が「ご主人様」に異世界からやってきた人間だと告げた事が発端となる。
 
 ◇
 
「はん」
 俺の話を聞いた「ご主人様」は鼻で笑った。
「ねえ、黒? そんな風に作り話で自分の価値を吊り上げようなんてしなくても、私は十分あなたを買っているわ」
 ところで忘れてる人も多いだろうが、黒とは俺の名前だ。
「いや、冗談でもなんでもないんですけどね」
 俺は「ご主人様」に腕を枕として提供しつつ、長い手触りの良い髪の毛を手で梳かしながら言った。
「ご主人様」は首輪につながれた鎖を引いて俺の顔を寄せると「いい?」なんて前置きして、口を開く。
「確かにあなたの容姿は人間族の特徴によく似ているわ」
 ここでいう人間族の特徴とは「特徴がない事が特徴」だそうだ。「ご主人様」のようなエルフみたいに耳が極端に長いわけでもなく、獣人たちみたいに獣の耳や尻尾があるわけでもないし、毛皮で全身が覆われているなんてこともない。
 なるほど、特徴がない事が特徴だなんて良く言ったものだと思う。
「でも、整形手術をすればそんな姿はいくらでも作れる。良くある話なのよ。人間崇拝者により人間に近い姿の奴隷を売ろうとするなんて。より高い値で飼わせる事が出来るから」
 つまり「ご主人様」は俺はあのコボルトの奴隷商人に整形されて売られたのだと思っているのだろう。まあ、異世界からきた――なんて話よりは、そっちの方が真実味がある。あるのだが、ファンタジー世界の癖に異世界人を受け入れないとかものすごく理不尽な気がするのは何故だろう。
「ふふ、もしかして最近構ってあげられなかったから『捨てられちゃうかも』――なんて心配になったの?」
「え?」
「ご主人様」は意地悪く笑うと、鼻の頭に軽くキスをした。
「大丈夫よ。捨てたりなんかしないから。私があなたを気に入ってるのは人間族に近いからじゃなくて、その綺麗な黒い瞳よ」
 そう言った「ご主人様」は楽しそうに俺の目を見つめていた。
 なにやら勘違いしてるようだが、それを否定して「ご主人様」の機嫌を損ねる真似をする必要もない。
 俺は笑顔を浮かべると、そっと「ご主人様」の尻に手を伸ばして、お礼代わりにゆっくりと愛ではじめた。
 
 ◇
 
 俺の仕事は「ご主人様」の性欲処理である。
 時にサディスティックに俺を責めるのは勘弁して欲しいと思うこともあるが、基本的に暴力は振るわない人なのでそれほど苦痛はない。ただ、男として女にいいようにされるのは屈辱的なだけだ。
 対して「ご主人様」の仕事は相当ヤバいものらしい。細かいことは「どうでもいいじゃない」と教えてくれなかったが、言葉の端々からマフィアの幹部なんじゃないかな、なんてあたりをつけてる。
 そもそも、奴隷なんて買うような人間がまっとうな職業についているわけがないとは思う。
 
 そんな俺の予想を裏づけするような出来事があるとき起きた。
 俺がいつものようにベッドの上で本を読んでいると、犬耳のメイド――薄情な事だがまだ名前を知らない――が座敷牢に入ってきた。
「あれ、もう昼飯?」
 俺は本を閉じながら尋ねるが、犬耳は横に首をふる。
「ご主人様がお呼びです。私に着いてきてください」
 いつも朗らかなはずの犬耳は強張った顔でそう言う。
「どうしたんだ? なんか様子が――」
「お願いですから早くしてくださいっ!」
 心配する俺に犬耳は声を荒げた。
 常ならぬ犬耳の剣幕に俺はかけてあった上着を取り、蝶ネクタイを締めるとすぐさま支度した。
 それを見て犬耳は牢の外に出た。俺もあとを追う。
 行く先は地上へ続く階段ではなく、更なる地下へと続く階段だった。
「何処に行くんだ?」
 歩きながら尋ねる。俺は初めて赴く場所と、犬耳の態度から不安を隠せなかった。
「俺牢より下には行った事がないんだよ」
 だからだろうか、返答がないにもかかわらず饒舌になるのは。
「……なんだか気味が悪いな」
 あたりの雰囲気が変わっていた。
 俺がいた階は座敷牢があるとはいえ内装もきちんとしていた。
 だが、ここの通路はコンクリートが剥き出しになっていて、電灯も最小限ついているだけで、不気味さを増していた。
 やがて犬耳は無言のまま、見るからに分厚そうな金属扉の前に立つ。扉の上部には小さくのぞき窓らしきものがついており、俺のいるような座敷牢などではなく、正しく牢屋と言った風情をかもしていた。
「失礼します。黒を連れてまいりました」
 犬耳がノックをし、そう言う。その声色はやはり硬い。
「待ってたわ。入りなさい」
 扉越しに聞こえる「ご主人様」の声。
 俺たちは扉を開いて部屋に入る。そして、俺は目を疑った。
「なんだ、これ」
 俺の視界に入ってきたのは三角木馬やら吊り具。そのほか一体どんな用途があるのかさえ分かりかねるような――しかし、そのどれもが人を傷つけるために作られたのだとわかる禍々しさを備えている――器具が数多くあった。
 その部屋の中央に我らが「ご主人様」はいた。いつもと同じように、銀色のファーを首にかけ、スリットの長いスカートを履いて。
 ただ違うのは、その手に持つのが俺の鎖ではなく長い革の鞭で、
「いらっしゃい、黒。今日のあなたの相手よ」
 そう言った「ご主人様」がさした指先には、きつくこちらを睨みつけてくる獣人の美少女の姿があった。ただし、裸の上両手足を縛られ、床に転がされた状態で。
 よく観察すると、彼女に見覚えがあった。俺がここに連れられてきたとき、俺の身体を洗った四人のメイドのうちの一人――ネズミ耳だ。彼女とは初めて接した時以来、身体を重ねることはおろか、顔をあわせることすらほとんどなかったので思いだすのに時間がかかった。
 ネズミ耳の裸身には鞭で打たれたのだろうみみず腫れが幾筋もあった。
 俺は事態が飲み込めず、もう一度同じ言葉を吐いた。
「なんだ、これ」
「なんですか、でしょう?」
「ご主人様」が俺の言葉使いを訂正する。言葉の調子こそいつも通りではあったが、どうしてか俺は寒気を感じずにはいられなかった。俺はすぐさま言いなおした。
「なんですかこれ」
「裏切り者に罰を与えているのよ」
「ご主人様」はあっさりと言う。
「裏切り者、ですか」
 俺はちらとネズミ耳を見た。が、刃物のような鋭い目に俺はすぐさま視線を逸らす。
「ご主人様」はそれを気にした様子もなく続けた。
「そう、裏切り者。こいつ事もあろうに私の命を狙ったのよ」
「なっ!?」
 その言葉に、俺は絶句する。正直奴隷と言う扱いではあるものの、身体を幾度も重ねた「ご主人様」にはそれなりに愛情の念があった。
 その「ご主人様」の命を狙っただと?
 目の前のネズミ耳にふつふつと怒りがわいて来る。
 そして、この状況、俺が呼び出された理由も検討がついた。
「わかりました。俺がこいつを拷問にかけて誰の差し金か吐かせればいいんですね!」
 俺は上着を脱ぎ捨てるとシャツの袖を巻くってネズミ耳に向かって進む。
 が、「ご主人様」は、
「違うわよ。黒は拷問なんてしたことないでしょ?」
「ええ、まあ」
 言われてみればそうだった。
「拷問って難しいのよ? 特に情報を聞き出すためのはね。殺さないように、でも苦痛は最大限に。そこの匙加減は素人には分からないわ」
 なるほどごもっとも。でも「ご主人様」えらく楽しそうに語ってますが怖いです。
「でも、そしたらなんで俺をここに?」
 尋ねると「ご主人様」は笑った。
「ご褒美よ」
「ご褒美?」
 思わず鸚鵡返しにすると「ご主人様」は続けた。
「こいつを黒に上げる。ここにあるものも自由に使っていいわ。こいつで遊びなさい」
 言って、ネズミ耳を指差し、次いで部屋全体をぐるりと指した。
 俺はごくりと唾を飲む。
「い、いいんですか」
「ええ。黒はよく私に尽くしてくれてるし、私もしばらく黒に構ってあげられそうにないのよ」
「え、どう言うことです」
「大きなお仕置きをしなくちゃならないから。――こいつを差し向けた大元の連中にね」
 そう言った「ご主人様」の笑みは酷薄なものだった。
 
 ◇
 
 私がいない間はその子の言う事を聞いているのよ。
 そう「ご主人様」は犬耳を指差し、牢――拷問室を出た。
 部屋に残されたのは俺と犬耳と――裸で転がされたネズミ耳。
 俺は好きにしろと言われたものの、どうしたものかわからずに犬耳を仰ぎ見た。
 が、犬耳はこちらを見向きもせず、つかつかと靴を鳴らしてネズミ耳に近づいた。そして、作業台のような机に置いてあった鞭を手に取ると、思いきりそれをネズミ耳に振り下ろした。
 風切り音と水面を叩いたような音が響く。
「あうっ」
 ネズミ耳は小さく悲鳴をあげると、叩いた犬耳を睨んだ。
 しかし犬耳はそれにひるむ事もなく、同じくらい鋭い視線で睨み返していた。
「よくもまあ、ご主人様のお命を脅かすような真似を……!」
 普段は温厚なはずの犬耳が怒りに震えていた。
 彼女は犬らしく忠義に厚い。それだけに「ご主人様」からの信頼も厚いのだ。
 聞けば孤児であった犬耳を「ご主人様」が引き取ったのだとか。だからこそ、犬耳は「ご主人様」を狙ったネズミ耳が許せないのだろう。
「この、恩知らずめ!」
「あぐぅ!」
 再び風切り音。そしてネズミ耳の身体に新たなあざができた。そして悲鳴が上がり、細長い尾がびくんと跳ねる。
 それが数度繰り返されて、犬耳はようやく叩くのを止めた。はあはあと肩で息をしながら、俺の方を向く。
「……ごめんなさい。黒の物に傷をつけてしまいました」
「い、いや。別に構わない。犬耳もこいつが許せない気持ちは分かるし」
 そう言って俺は引きつった笑みを浮かべた。
 ところでどうでも良い事だが、俺は犬耳メイドを「犬耳」と呼んだが、実はここだけ日本語だ。あんまり犬耳、犬耳と日本語で呼ぶもんだから、既に愛称のようになっている。もちろん、彼女はこれがそんな直球な意味だとは知らない。
「ところで、好きにしていいって言われたけど、どうしたらいいだろう?」
 すっかり困り果てている俺は、責められるほうはプロだが、責めるのはまったくのド素人だった。
 



[2651] 異世界エロ話その3
Name: 無屁吉◆ab65b77c ID:01b3c9db
Date: 2008/02/23 01:30
 3.
 
「提案します」
 ネズミ耳の処遇について、犬耳が手を上げた。
「はい、どうぞ」
「手足切り落としてダルマにして、肉便器にしましょう」
「うわ、グロ!?」
 子供みたいな顔してるくせに言う事が過激すぎる。しかも真顔で言うあたり本気なのだろう。気丈に振舞っていたネズミ耳も思わず身を竦めていた。
「だめ、却下。血とか見たくない」
「むう」
 不満そうに頬を膨らませ、犬耳はいつの間にか手にしていたのこぎりを床に捨てる。ガシャンと音を立ててそれは転がった。
 俺はばれないように小さく溜息をついて、ネズミ耳へと向き直る。
 改めてみてみれば、ネズミ耳は実にいい身体をしていた。ネズミなのだから小さいのかと思いきや、案外そうでもない。胸は手ごろな大きさで、張りもよさそうだった。乳首がつんと上を向いているのが可愛らしい。尻もまた、肉付きのいい触り心地のよさそうなものだ。
 ごくりと、俺の喉がなった。
「ご主人様」はこれを自由にしていいと言った。俺にくれると言った。
 この美味そうな身体を好きに貪っていいのだ。好きなように料理していいのだ。
 縛り転がされているネズミ耳がこちらを睨んでいた。その視線がまたくすぐったく、俺の心の何かに火をつける。それはきっと今まで使われていない部分。被虐ではなく、嗜虐。
 俺は知れず、鞭――ご主人様が使っていたひも状の物ではなく、乗馬に使うような細長い棒状の物――を手に取っていた。
「なあ」
 ネズミ耳に呼びかける。しかし、彼女は俺を睨んだままで、返事をしてくれない。
「なあ、どうしてご主人様を狙ったんだ」
 ネズミ耳は鼻を鳴らすと、そっぽを向いた。
 俺は手に持った鞭をそっと振るった。ぺし、と間抜けな音を立てただけで、ネズミ耳の肌には傷一つ着けてはいない。
 だが、
「ひぅっ!」
 ネズミ耳は面白いように身を縮めていた。
 さっきご主人様と犬耳に何度も叩かれていたからだろう。鞭が体に触れるだけでも、条件反射で怯えてしまうのだ。
 その様に俺は、興奮していた。
 醜悪な笑みを浮かべているのが、自分でも分かる。
 俺は膨れ上がったペニスをズボンで抑えつけながら、再びネズミ耳に問うた。
「教えてくれよ、どうしてご主人様を狙ったんだ?」
 鞭の先をネズミ耳の頬に当て、そこからつつと体のラインに沿って降下させていく。
 形のいい顎をなぞり、薄桃色の乳首を弾いて、小さなへそを通過すると、ついに無毛の丘に到達した。
 一度だけ、割れ目を狙って鞭を振るう。無論、さっきと同じくらい軽く。ネズミ耳の反応も、さっきと同じような過剰なものだった。
 俺は薄笑いを浮かべながら、鞭の先を割れ目の中に押し入れる。濡れてもいないそこには、いくら細い鞭と言えど中々入ってくれない。が、やがて体の防衛本能が働いたのだろう、くちゅと小さな水音がしたと思うと、鞭はネズミ耳の体内に飲み込まれた。
「濡れちゃったな、いじめられて」
「みっともない。変態ですね」
 犬耳が侮蔑の表情を浮かべて、吐き捨てる。俺は苦笑しながら、鞭で膣内をかきまぜるように手を動かした。淫猥な水音が更に大きくなって行く。
「床にまで垂れてきてるじゃないですか。鞭なんかを入れられて感じてるんですね、このマゾネズミ」
 更に犬耳の言葉がネズミ耳を襲った。それは屈辱に過ぎないはずなのに、どうしてか鞭の動きはよりスムーズになっていた。
「こいつ、犬耳になじられて悦んでる」
「真性のマゾですね。黒の他にそんなのが身近にいたなんて、驚きです」
「え、なんでそこで俺が出てくるの?」
 犬耳はそれには答えず、嘲笑を浮かべていた。その笑みがどちらに向けられたものかはあまり考えない事にした。
 俺は一度鞭を引き抜く。
 白っぽい糸を引いて、鞭はネズミ身の中からでてきた。先は完全に粘液にまみれていて、照明の光を浴びてテラテラと輝いていた。
「綺麗にするんだ」
 それをネズミ耳の唇に押し当て、舐めさせようとする。しかし、当然というか彼女は拒否した。そこで犬耳がすかさず鼻をつまんで、呼吸を制限する。
 息苦しさに耐えかねて、口を開いたところに、俺は鞭を滑り込ませた。
「んむぅ、む……」
 首を振って逃れようとするが、鼻をつまんでいる犬耳がいつの間にか頭もしっかりと固定していた。
 諦めたのか、ネズミ耳は鞭を舐めはじめた。屈辱だろうが、今はこの息苦しさから早く解放されたいらしい。
「美味しいかい、自分の汁は」
「美味しいはずないじゃないですか、こんなドブネズミのなんて」
 俺の問いに答えたのは何故か犬耳だった。俺は再び苦笑する。
 うっすらと涙を浮かべながら、ネズミ耳はまだ懸命に鞭を舐めていた。頬が鞭の形に出っ張ったりして、見てる分には面白いのだがいまいち興奮しない。何故だろうと考えると、もごもごとしてるばかりで、音が全然聞こえてこない事に気付いた。
「もっと音を立てていやらしく舐めてくれ。フェラチオするみたいにさ」
 リクエストにネズミ耳は視線で抗議するが、嗜虐の快感に目覚めた俺には、無力な相手のそんな目などもはや性欲を増すスパイスに過ぎない。
「ちゅぷ……むふぁ、んっく……じゅぷ、ちゅぱぁ……」
 ネズミ耳が音を立てて鞭をしゃぶり始めた。僅かに彼女の頬が色づいているのは、この異常なシチュエーションに興奮しているからなのだろうか。
 ねっとりと鞭の先に舌を絡めているのが、口の動きで分かった。舐められているのが鞭ではなく、俺のペニスだったらさぞかし気持ちがいいのだろう。そう考えると、股間が疼いた。
「噛み切られますよ」
 しかし、俺の考えを読み取った犬耳に水をさされる。
 ネズミの獣人は歯が丈夫だ。俺のイチモツ程度なら、苦もなく噛み千切るだろう。それはぞっとしない。
 鞭への奉仕が五分くらい続けられ、いい加減飽きたとき、俺はふと気付いた。ネズミ耳が太ももをこっそりと擦り合わせている事に。犬耳もそれに気付いたのだろう。サディスティックな笑みを浮かべて、口を開く。
「あらあら、鞭を舐めてるだけでも興奮するんですか。流石は多産のネズミ、繁殖能力だけはあるようですね。それともオチンチンじゃなくても、棒状のものなら何でもいいって言うんですか? 言いそうですね、だってあなたいやらしい変態ですもの。その薄汚いオマンコに突っ込めるものだったらなんだっていいんでしょう? だから、そんな風に脚を擦り合わせてオナニーしてるんでしょ? 早くまた鞭を入れて。我慢できないのぉって。ねえ、このドブマゾネズミさん?」
 犬耳の口から機関銃のように出てくる蔑みの言葉。ネズミ耳は形のいい眉をしかめながら、その辱めに耐えていた。耐えながらも、鞭への奉仕とももを擦り合わせる事は止めなかった。
「ひょっとして、本当に我慢出来ないんじゃないですか?」
 犬耳が哂う。そして背中からネズミ耳を抱きかかえるようにすると、自らの手をネズミ耳の股へともぐりこませた。
「んっ……!」
 鞭を咥えたまま悲鳴をあげる。股の間からぐちゅぐちゅと淫らな水音が鳴り、犬耳がくすっと声を漏らした。
「ねえ、黒。この子、もう限界みたいですよ? だってほら、ちょっと触っただけでこんなになって」
 そう言って、俺に突っ込んでいた手をかざして見せた。立てられた三本指にはそれぞれ透明な糸で橋がかけられていて、ネズミ耳の「我慢の限界」がどれほどのレベルなのかを示していた。
 俺はいやらしい笑みを浮かべると、ズボンのジッパーを下ろし、窮屈な思いをさせていた息子を取り出す。
 ネズミ耳の目の色が変わった。
「あ、はぁ……おちん、ちん……」
 欲情に染まった瞳は、目の前でちらつかされるそれに今にも喰らいつきそうだった。犬耳が抑えていなければ、拘束されたままのネズミ耳に俺は犯されていたと思う。
 俺は犬耳にネズミ耳をうつぶせにさせ、尻を高く上げさせる。細長い尻尾が揺れ、ネズミ耳の濡れそぼった割れ目が、まるで意思を持った生き物のようにひくひくと痙攣していた。そのあまりのエロティックさに、俺は早くも突っ込んで腰を振りたい衝動に襲われるが、ぐっとこらえてペニスの先を入り口に当てるにとどまった。
「欲しいか?」
 亀頭で僅かにはみ出たびらびらを擦りながら、俺は問う。
 しかしネズミ耳ははあはあと息を荒げるだけで、答えはしなかった。けれどもその桃色に色づいた吐息と、我知れず尻を振ってペニスをせがむ様が、彼女の意思を如実に語っていた。
「欲しいのか? 口に出して言ってもらわなきゃわかんないって」
「そうですよ、口は物食べるためだけについてるわけじゃないんですから。……ああ、ごめんなさい。あなたの場合はオチンチンをしゃぶるためについてるんでしたっけ?」
 おれの言葉尻にのって、犬耳が嘲る。その手はネズミ耳を器用に抑えつけながら、形のいい胸を揉みしだいていた。
 ネズミ耳は「うう」と呻きをあげ、目じりから涙を一筋こぼした。
 それで吹っ切れたのか、ネズミ耳はぐいと尻をつきあげると、俺へ顔をまわして懇願した。
「欲しい。オチンチンが欲しいのっ!」
「どこに?」
 意地悪く笑いながら尋ねる。ネズミ耳は顔を真っ赤にしながら、呟いた。
「あそこぉ……あそこにいれてぇ……」
「あそこじゃ分からないですよ。ねえ、黒?」
「だな。もっとはっきり言ってくれよ」
 俺と犬耳は二人顔を突き合わせてくすくすと笑う。
 ネズミ耳はもはや恥ずかしいなんて思う気持ちも失せたのか、拷問室に響けとばかり絶叫した。
「オマンコぉ……! 私のオマンコに入れてくださいぃ! はやく、はやくぅぅぅ! もう我慢できないのぉぉ!」
 卑猥な言葉をあっさりと口にして、ネズミ耳は尻を振って俺のペニスに割れ目を擦りつけてくる。それだけで、ねちゃねちゃと水音が鳴り響いた。
 俺はネズミ耳の頭に手を載せ撫でてやると、そっとその大きな耳に口を寄せ、尋ねた。
「どうしてご主人様を狙ったのか、教えてくれたら入れてやるよ」
「ふぇ、そ、そんなぁ……」
「入れて欲しくないのか? それじゃあ、気持ちよくしてやれないなあ」
 そう言って、俺が腰を引くと、ネズミ耳は慌てて「お金、お金が欲しかったの!」と叫んだ。
「……金?」
 単純極まりない、実にわかりやすい理由ではあった。
「十分なお給金は出てるはずですが」
 声にのせた怒りを隠そうともせず、犬耳が静かに問う。ところでどうでもいいが、俺は無給だ。奴隷だから。
「この街を出て自由になるのには、足りないわよぉ! もういいでしょ、はやく、早く入れてよぉ!」
 涙を流しながらネズミ身は尻を上下左右にふりはじめた。
 何となく犬耳にどうしたらいいか視線で尋ねると、好きにしろという目が返ってきたので、お言葉に甘えて好きにする事にした。
 俺はネズミ耳の尻を割ると、ネズミ自身の汁で濡らした指をアヌスに突き入れた。
 唐突な刺激に、ネズミ耳は「ひうっ!?」と声を上げる。
「きついな、やっぱ」
「ち、ちがうっ! そこは違うのぉ!」
 よほど気持ちが悪いのか、涙声で俺に抗議する。しかし、俺は聞く耳など持ってはいない。
 何故ならこれは、ネズミ耳に対する「お仕置き」であるのだ。
「ご主人様の命を、たかだか金で狙うだなんて許せんよなあ」
 そう、俺は怒っていた。ネズミ耳がご主人様を脅かした理由のあまりの下らなさに憤っていたのだ。
 俺は使い込まれていないアヌスを指でほぐしながら、言葉を続ける。
「そんな悪い奴をわざわざ悦ばしてやろうなんて思うほど、俺は人間出来てないんだよ」
「黒にしては、上出来な判断ですね」
 犬耳がそう言って笑う。俺は笑い返して、もうそろそろいいかなと、指を引き抜いた。
「ひっ、ひぃっ……」
「まあ、ちょっと切れるかもしれないけど、我慢してくれよ」
「イヤ、イヤぁ。やめて、やめて、ヤ、やぁあぅぅぅううあぁあいぃぃいいッ!?」
 アヌスにあてがったペニスを一息に押し込んだ。ネズミ耳の悲鳴が上がる。
「おおぅ……こ、これはまた、動かすのも一苦労な感じだ。ってか、俺もいてえ」
「十分に濡らしてないからですよ」
 犬耳がそう言ってローションを差し出すが、俺は首を振った。
「こいつ痛くないとお仕置きにならんでしょ」
 俺の言葉に、犬耳は「なるほど」と笑うと手に持ったローションを引っ込めた。
 俺はきついアヌスの締め付けにもめげず、腰を動かす。
「あぐぅ……あぐぐぐぅぅ……」
 その度にネズミ耳の苦しそうな声が聞こえ、俺のサディスティックな心を刺激した。
 何とはなしに、目の前でちらつく尻尾を握った。
「あひぃっ!?」
 総じて、獣人の尻尾というのは敏感な機関らしい。ネズミ耳も例外ではなく、細長い尻尾を強くひっぱらられた瞬間に悲鳴を上げていた。ただでさえきつかったアヌスが更にきつくなる。
「っ痛……ああ、でも、これはこれで気持ちいいかも……」
「黒もマゾですからね。痛いくらいがきもちいいんじゃないんですか」
 かもしれない。とは口にせず、俺は無言で腰をうごかしつづけた。
 抜き差しするペニスに、僅かに朱が混じった。見ればやはりネズミ耳のアヌスが切れていた。アナルセックスの訓練をしていなかったのに、いきなり突っ込んだのだから当然とは言える。
 僅かに可哀想だなと思う気持ちが芽生えはしたが、それでもペニスの出し入れを止めはしなかった。
 やがて、きつい締め付けに俺の限界が近づいてきた。さて、このまま出すか、それとも顔に思い切りかけてやろうか――なんて考えていると、
「あう、はぁ……ぐぅぅ……はあん……ふぅ、ふぅんんん」
 ネズミ耳の声に苦痛意外の物が混じり始めた事に気付いた。
「あらあら、見てくださいよ、黒! この子ったら本当のマゾですよ! 恥ずかしいことだけじゃなくて、痛いのだって快感に変えちゃう本物の変態です! 切痔にされてなお悦べるんですから、そうとうですよ!」
 犬耳が大口を開けて笑った。しかし、今のネズミ耳にはそんな嘲笑でさえ快感となるらしく、犬耳が何か言うたびにアヌスはきゅうきゅうと締め付けを増した。
「ああ、いい……犬耳、もっと言ってやって」
「もっとですか?」
 犬耳は少し考えるそぶりを見せると、こほんとひとつ咳払いをして笑いをこぼした。
「ふふ、お尻の穴はうんちをするところなのに、そんなところに突っ込まれてよがってるんですね。きっとあなたはうんちをするたびに気持ち良くなってイっちゃってる淫乱さんなんでしょうね。やっぱりあなたは私が最初に提案したように便器になるべきです。お尻の穴で気持ちよくなれるような変態さんなら、おしっこやうんちをかけられても気持ちよくなれますよ。大丈夫。私が保証します。あなたは正真正銘本物の変態なんです。公衆便所に備え付けられて、男の人のザーメンとおしっこを搾り取って飲み干すのがあなたに一番お似合いの仕事です。今だってほら、お尻から黒のザーメン搾り取ろうとしてるじゃないですか。ふふ、いっそこのままおしっこもしてもらって本当に肉便器になっちゃいますか? ああ、ほらほら、こんな事言われて気持ちよさそうに顔緩んでますよ。――変態ネズミ。このままイキぐるって死になさい」
 最後に、突き放すような犬耳の冷たい呟きで、ネズミ耳は背を弓反にした。同時に垂れていた尻尾がぴんと立ち上がる。
「ああああああっ! うっ、うぅぅんっ!!」
 びくんびくんと、体を痙攣させ、それに連動するようにアヌスが俺のペニスを絞る。俺はそれでとうとう、快感に抗う事を放棄した。背筋を電流が走り、睾丸を収縮させ、ネズミ耳の腸内に大量のザーメンを発射する。
「ああ、あつい……おなかぁ、あついのぉ……」
 熱に浮かされたようにぼんやりと、ネズミ耳は呟いて、身体を床の上に崩した。気を失ったらしく、もはやぴくりとも動かない。長い尻尾もまた、力なくうなだれていた。
 俺は以外にサディストの素質があるんじゃなかろうか、なんて変な自信を手に入れていた。マゾヒストだったらしいネズミ耳をこうまでとろけさせたのだから、そう考えたって間違いじゃないとは思う。
 ずると俺のペニスをネズミ耳の中から抜く。腸液と白濁液にまみれ、脈打っている俺の息子は僅かに萎えていた。
 犬耳がそれをそっとハンカチで拭うと、唐突に口に含んだ。
「ふぁふぁふぇふぃふぁふふょふぇ?」
 まだできますよね。
 犬耳がそう言って目だけで笑うと、ずずっと鈴口をストローのように吸った。中に残っていたザーメンがそれで残らず吸いだされ、犬耳の胃へと落ちて行く。
 そうして犬耳の奉仕であっというまに我が息子は硬さを取り戻した。
 ちゅぱっと、最後に亀頭にキスをして犬耳がペニスから顔を離す。
「ふふ……わたしも我慢出来なくなっちゃいました。黒、覚悟しててくださいね」
 ご主人様がいない間、たっぷりいじめてあげますから――なんて優しく耳元でささやかれた俺は、たちまちこれからはじまる犬耳の責めを期待して、胸を高鳴らせていた。
 やはり俺は、生粋のマゾヒストであるらしい。



[2651] 異世界エロ話その3.5
Name: 無屁吉◆ab65b77c ID:01b3c9db
Date: 2008/02/24 02:43
 3.5
 
「あら、黒ったら……いじめてあげるって言っただけなのに、さっきより大きくなっちゃいましたよ」
 くすくすと俺を辱めながら、犬耳は握り締めた俺のペニスを軽くしごいた。
 俺はお返しに犬耳の股間へと手を伸ばすのだが、それは犬耳の手によって遮られていた。
「だぁめ。黒は黙って私にいじめられてればいいんです」
 そう言って犬耳は唇を重ねてきた。僅かにザーメン臭がしたのはご愛嬌と言ったところだろうか。
 そして俺は犬耳に導かれるまま、診療台を思わせるベッドの上に転がされた。病院にあるそれと違うのは、両端に手足を繋ぐための革ベルトがついている事ぐらいだろうか。
「黒のオチンチン、震えてる……。期待してるんですね、これから私にされる事に」
 犬耳は微笑を浮かべると、俺の手だけをベルトで縛った。
 俺は四肢全てを拘束されなかった事が、どうしてか微妙にがっかりした。
 が、犬耳はそんな俺の内心を感じ取って、からかうように耳元でささやく。
「ひょっとして足も動かなくして欲しかったですか? ふふ、やっぱり黒はマゾなんですね。でも大丈夫……黒をとっても恥ずかしくしてあげますから。たぁっぷり、気持ちよくしてあげますから……」
 犬耳は俺の耳に息をかけ、耳たぶを甘噛みすると、そのまま舌を頬へ、顎へ、首筋へと言った具合にだんだん下降させてきた。
 まるでナメクジの通った道が濡れて光るように、犬耳の舌が通った場所はいやらしく光を照り返していた。
 やがて、舌は俺の乳首へと到達する。
「あは、黒の乳首、お豆さんみたいで可愛い。こぉんなちっちゃくても勃起してますよ」
 犬耳は俺の乳首へ舌を這わせたまま、視線を向けた。そして目を意地悪く細めると「食べちゃお」なんて独り言のように呟いて、小さな男の乳首に噛みついた。
 甘い痛みが俺の脳を突き刺し、それはすぐさま快楽の信号として変換された。
 俺の乳首は犬耳の歯で挟まれたまま舌先で転がされ、もう片方の乳首もまた、爪の先で弄ばれていた。
「おっぱいで感じちゃってますね、女の子みたいですよ――そうだ、今度、女装させていじめて上げますか? 乳首いじられて気持ちよくなっちゃう黒ならすごく似合うと思いますよ。ちゃんと下着も女物です。ブラジャーも着けましょうね。レースのひらひらがついたショーツの上からオチンチンしごいてあげます。きっとすぐに濡れちゃうんですよ、我慢汁あふれさせて。ますます女の子みたいですね。ふふ、黒、想像したでしょ? 自分が女の子の格好させられたままオチンチンいじめられるところを想像したんでしょ? 嘘ついてもダメですよ、だって、黒のオチンチンあふれてきたお汁でぬるぬるになってますもの――本当、可愛いマゾ奴隷さんですね」
 犬耳は笑顔を浮かべたまま、俺を言葉という鞭で打った。俺は浅ましくも、彼女の言葉の通りに自分の姿を想像して、ペニスを更に固く大きく膨らませ、濡らしていた。
 犬耳はそっと俺のカウパー液にまみれた亀頭を掴むと、ぬるりと手を滑らせた。敏感な部分に走った甘い刺激に、俺は小さく声を上げ、身をよじった。
「せっかくだから、女の子みたいに扱って上げますね」
 そう言って、犬耳は俺の胸から顔を離すと、足元へと移動した。何をしてくれるのか想像もつかないが、それはきっと恐ろしいまでに気持ちのいい事なのだろうと、俺の心臓は高鳴った。
「苦しいかもしれませんけど、じっとしててくださいね」
 犬耳はそう釘をさすと両足を掴み、腰を基点として俺の体を二つ折りにした。俗にちんぐり返しなんて言われる体位だが、されるのはこれが初めてだった。
 若干の息苦しさと、視界に息子が居座る不快感、そして尻の穴をむき出しにする屈辱的な姿勢。どれを取っても普通悦ぶことなどないはずなのに、俺は荒く息をついて興奮していた。
 俺の股の間から犬耳が顔を出して、淫猥な笑みを浮かべる。
「こうすると、黒のお尻の穴も、たまたまの入った袋も、エッチなオチンチンも何もかも丸見え。ふふ、今から全部可愛がって上げます。あんまり気持ちいいからって暴れないでくださいよ?」
 そうして、犬耳は俺の尻を割ると、そこに顔を埋めた。
「まずは宣言どおり、女の子みたいに――穴をいじってイかせて上げます」
 言葉と共に、俺のアナルに生暖かいものが差し込まれた。――犬耳の舌だ。
「あ、ふっ」
 くすぐったさにも似た快感に、俺は思わず声を上げる。それで気をよくしたのか、犬耳は中でさらに舌を蠢かし、腸壁をなぞり上げた。
 不浄の穴を少女に弄られるという恥辱的な行為に、俺のペニスはびくびくと震えていた。とろりと透明な滴が垂れて、俺の腹の上に落ちる。
 犬耳は「ぷはぁ」と舌を抜き、仕上げとでもいうようにアナルのしわ一つ一つを丁寧に舐めた。そしてくすくすと笑う。
「お尻の穴ひくひくしてますよ。舌なんかよりもっと固くて大きい物が欲しいっておねだりしてるみたい。うふふ、本当に女の子になっちゃいますか? いいですよ、あげます。私の指を突き入れて中をしっちゃかめっちゃかにかき回して上げます。前立腺もこりこり弄って、黒をすぐにイかせて上げちゃいますね」
 言葉を締めると同時に、ずぶりと犬耳の指が突っ込まれた。恐らくは人差し指と中指の二本だろうか。アナルが切れてしまうのではないかと思うような痛みに俺は悲鳴を上げた。
「うぐぁ……き、切れる! 切れちまう!」
「大丈夫ですよ。私知ってるんですから――この間、猫耳にこうされて黒がイっちゃったの。あの子楽しそうに喋ってましたよ。黒のお尻を指が二本入るくらいに拡張調教してやったぜーって」
 猫耳め人の恥ずかしいことをぺらぺらと!
 屈辱的な事ではあるが、俺の尻関係は猫耳によって開発されていた。今となってはそれこそアナルだけで絶頂に達することも出来るくらいにだ。繰り返すが、非常に屈辱的な事ではあるのだが。
「さあ、動かしますよ」
 犬耳はそう宣告すると、ずぶずぶと音を立てて指の抽送を開始した。先刻された犬耳の舌奉仕ですっかり滑りのよくなったそこは、本当に女の子の膣のように指を締め付けては快楽を貪っていた。
「ひ、ひぐ!」
「まだまだ……もっともっと気持ちよくして上げます」
 犬耳が呟くと、中の指の動きが変わった。今まではただがむしゃらにピストン運動をして、腸壁を刺激するだけだったのが、明確に目的を持ってある一点を刺激していた。
 急激に俺の中の快感が増大し、あえぎ声となって漏れ出てくる。
「あ、あ、あっ!」
「猫耳から教わった前立腺責めです――ほら、黒、はしたなくイっちゃいなさい」
 犬耳がいやらしく笑んで、ぐいっと、アナルの中で指を曲げた。瞬間、
「あぎぃぃっ……!」
 俺は身体を跳ねさせていた。普通に射精するよりも強い絶頂を感じ、食いしばった歯から悲鳴が漏れる。
 だがそれでも、俺のペニスからはただ我慢汁があふれているだけで、ザーメンは放出されていなかった。
 ――ドライオーガズム。主に前立腺の刺激で引き起こされるそれは、射精を伴わない絶頂を得る事が出来る。その快感は射精の十倍とも言われ、さらにはペニスが萎える事がないので、体力が続く限り何度でも達する事が出来ると言う。
 俺が味わったのは今まさにそれ。尾を引く快感に、俺は虚ろに宙を見つめるだけだった。口の端から涎が垂れるのを自覚したが、もはや拭うこともしない。
「何余韻に浸ってるんですか? これで終わりなわけないでしょう。女の子の悦びの後は、男の子の喜びで狂わせて上げます」
 犬耳はそういうと、差し込んでいた指を引き抜き、ぱくりと俺の睾丸を口に含んだ。
「あっ、ま、待っ……てぇっ!」
 絶頂を迎えたばかりで敏感になっていた俺は、その刺激であっけなく精を放った。身体を二つ折りにされてたのが災いして、飛んだ大量のザーメンが俺の顔にかかる。
「うわっ、あぅ……」
「あらあら、今度は顔射まで決められちゃいました? ますます女の子じゃないですか。いいえ、いっそこんな早漏なオチンチン切ってしまって、本当に女の子になっちゃいますか?」
 自らの白濁で汚された俺を見て、犬耳は意地悪く笑った。そして萎えかけたペニスに手を添えると、袋から竿にかけてねっとりと舌を這わせる。
「んっ……れろ……」
 唇が亀頭までたどり着くと、こぼれ出ているザーメンを舌で舐め取り、じゅると吸った。
 それだけでは飽き足らず、ペニスを口の中にくわえ込むと、首を前後に動かして刺激を加えはじめた。
 大きく開かされた股の間から身を乗り出してフェラチオに励む犬耳の姿は、何処かシュールでおかしく見えた。しかしその滑稽ともいえる行為でも、与えられる快感は確かなもので、節操のない息子はまたも硬さを取り戻す。
「あむ……黒のオチンチンの良いところは、すぐに元通りになるところですよね。それに……ちゅぷ……何度でも濃いザーメンを出してくれるところも、私大好きですよ」
 犬耳は俺のペニスに奉仕しながら、そんなことを言った。
 そしてその口腔愛撫はなおも続く。
「だから……じゅぱ……んむっ……たっぷり私のお口の中に注ぎ込んでくださいね。黒のおいしい赤ちゃんの種、私にいっぱい飲ませてください……んんっ」
 犬耳の舌は的確に俺の弱いところを責めて来る。さらには時々亀頭に歯を立てたり、鈴口に舌先をねじ込んだりと、刺激は様々に色を変え俺を飽きさせなかった。
 だが、既に何度も精を放っているのだ。なかなか犬耳の要望に応えることは出来ず、ただ先走りの汁ばかりが彼女の喉を潤していた。
「もう……出して欲しいときにはしぶといんですから。持ち主に似てひねくれものですね、このオチンチン」
 頬を膨らませ、犬耳がペニスを指で弾いた。
 犬耳のこういう表情は、彼女の持つあどけなさにすごく合っている。だがしかし、一番犬耳に似合う顔といえばやはり、
「だったら、今度は男の子と女の子両方の責めをしてあげます。そうすれば、いくら黒が頑固でもすぐに発射しちゃいますよ、きっと」
 俺をいじめるときの、この嗜虐的で淫靡な笑顔だろう。
 俺の頬はたちまち彼女の言葉に期待を示し、だらしなく緩んだ。
 犬耳はちらと挑発するように俺を見ると、小さな口で再び俺のペニスをしゃぶりこんだ。同時に片手は俺の尻をまさぐり、またもすぼまりへと進入を開始した。
 ペニスと前立腺という二つの性感帯を執拗になぶられた俺は、犬耳の言葉どおりにたちまち射精の前兆を感じていた。
 犬耳が顔を上げ「いいですよ」と微笑んだ。
 俺はその笑みを見て、快楽をこらえる努力を放棄していた。
「犬耳っ! 出るぅっ!」
 その叫びと共に、俺のペニスは打ち震え、犬耳の口の中へザーメンを注ぎ込む。
「んふっ……んっ……」
 犬耳は粘度の高いそれを舌の上でしばらく転がした後、こくと――多分わざとだろう――俺に聞こえるほどの音を立て、嚥下した。
「ごちそうさまでした――おいしかったですよ」
 俺は余韻を味わいながら、かろうじて「おそまつさまでした」と返していた。
 それがおかしかったのか、犬耳は小さく吹き出す。
「ふふ、それじゃあ美味しいザーメン飲ませてくれたご褒美を上げなくちゃいけませんね」
 いいながら、犬耳は持ちあげていた俺の足を下ろして、拘束されたままだった俺の手首を解放した。
 そして身を起こした俺の耳元でこう囁く。
「私のカラダ――好きに犯していいですよ」
 
 ◇
 
「あっ、あっ、ああっ!」
 短いスパンで喘ぎを上げる犬耳は、俺に後ろから貫かれていた。邪魔な服などは遠の昔に脱ぎ捨てている。
 全裸でまぐわう俺たちの姿はまさに犬の交尾といった風情で、結合部分からは、白く泡だったザーメンが出し入れをするたびに零れ出てきていた。
 既に三度も俺は犬耳の中で精を放っている。その前のも合わせれば既に六度ほどにはなろうか、しかし俺のペニスは未だ不屈の闘志をあらわにしていた。
 それというのも犬耳が自分を好きにしていいなどというからだ。普段はまるで主導権をよこさない彼女が気まぐれに与えた「ご褒美」。俺はここぞとばかりにそれを貪っていた。
「――ううっ!」
 俺は犬耳のことなど考えもせずに、彼女の奥に子種を叩きつける。
「ああ……でてるぅ……黒のオチンチンから、ビクンビクンってぇ」
 とろけた声で犬耳は悦に浸る。
 だが、俺のペニスはまだ硬く立ち上がっていた。
 俺は犬耳と繋がったまま、体位を変える。
「あはぁ……まだできるんですねぇ……黒、すごぉい」
 犬耳はそういうが、これだけ長時間のセックスで、快楽を得られる彼女も相当なものだと思う。
 俺はベッドに腰をかけ、犬耳を向かい合わせに膝の上へ乗せるように抱きかかえた。つまりは、対面座位の格好となる。
 そしてそのままゆさゆさと犬耳を揺さぶった。飛び散る汗がきらきらと照明の光を浴びて輝き、安っぽい診療台のようなベッドがギシギシと悲鳴を上げる。
「いっ、あうっ! あんっ」
 犬耳がその度に艶ののった声を漏らした。目の端からは快楽の涙がぽろぽろと零れ落ちている。俺はそれを舌でそっと舐め取ると、そのまま唇を重ねた。
 中で互いの舌が絡み合い、唾液を交換する。相手の身体から出た物を、自らのうちに取り込むその行為に、俺はどうしようもなく興奮していた。
「ん、んんん……」
 そうしているうちに、どちらともなく体を抱き寄せる。汗ばむ肌と肌の接触が、今はただ心地よい。
 俺は犬耳の髪の毛をいとおしげに撫で、背中をそっと愛撫する。くすぐるような穏やかな手の動きだが、今の犬耳にはそれで十分だった。
 未だ口付けたままの至近距離で、犬耳は目を悦楽にとろけさせる。
 犬耳の舌の動きが遅くなった。その代わり、俺自身を締め付ける肉壁の蠢きが増していた。もはや幾度目かも数えるのが馬鹿らしい、絶頂の前兆だった。
 俺は犬耳を抱きかかえたまま立ち上がると、屈伸運動の要領で抽送を開始した。じゅぶじゅぶといやらしい水音と、肉同士ぶつかり合う音が部屋に響く。
「ああっすごいっ……! 黒ぉっ……! すごいで、すぅっ!」
 犬耳の情欲に酔った涙声が俺の鼓膜を振るわせ、それが俺の腰を更に振らせるエネルギーとなった。
 ずぶずぶ、ぬちゃぬちゃ、俺と犬耳二人の結合部が浅ましく声を上げる。
 そして俺は犬耳の一番奥――子宮口を思いきり抉りつけた。瞬間、犬耳が電流を流されたように背を仰け反らせると、高らかに絶頂を迎えた。
「ああううぅぅぅ!」
 同時に俺は子宮口に亀頭を押し付けたまま、遺伝子を送り込んでいた。
 一滴たりとも零してなるものかと、しっかりと腰を密着させ、犬耳を抱き締める。すると、俺の股間が急に生暖かくなってきた。
「……ん?」
 ふと視線を落とすと、黄金色の液体が俺の足を伝って床に水溜りを作っていた。その正体が何かなんて考えるまでもない。
 犬耳の顔を見れば、快楽の余韻に浸って、だらしなく口を半開きにしていた。この分だと自分が漏らした事にも気付いていないだろう。
 俺は苦笑しながら犬耳をベッドに横たえると、彼女の中からペニスを引き抜いた。
 ごぼりとそんな音を立て、小水混じりに今まで注ぎ込んでいた大量のザーメンがあふれだしてきた。それは犬耳の膣口がひくひくと痙攣するたびに、こぽこぽと空気を含みながら出てきて、どうしようもないくらいに淫靡だった。
 俺のペニスは再び鎌首をもたげ、犬耳の「ご褒美」をまだまだ食い足りぬと主張している。
 なに、慌てることはない。今日という日はまだ長いのだ。犬耳を貪る時間は、たっぷりと残っている。
 俺はこれからどうやって交わろうか頭の中で考えながら、未だ余韻に浸っている犬耳の顔を眺めていた。
 
 



[2651] 異世界エロ話その4
Name: 無屁吉◆ab65b77c ID:01b3c9db
Date: 2008/02/22 20:00
 4.
 
「にゃーっ!」
 もはや言葉ですらないただの鳴き声を上げ、猫耳は俺の部屋――つまりは座敷牢――に入ってきた。
「暇だから遊びにきてやったぜー」
「仕事はどうした不良メイド。ご主人様がしばらく留守にしてるからってサボるんじゃねえよ。つか、人の憩いの時間を邪魔すんな」
 俺は読んでいた本から目を上げると、忌々しげに猫耳を見た。
 猫耳はやはり猫の性質を備え持っているのだろう、実に自由気ままに行動する。そして暇だと言っては俺の座敷牢へと侵入してくることが多かった。
 彼女の狙いは俺。ご主人様が出払ってる時なんかを見計らっては、俺をつまみ食いする。それは他のメイド――犬耳や狐耳なんかもしてることなのだが、猫耳の場合はより頻度が多かった。まあ、その程度のおいたならご主人様もお目こぼしをしてくれているので、問題ないといえば問題はない。
 しかし、それはあくまで向こう側の理屈。俺としては貴重な自由時間が削られてしまうので、あまり頻繁なご来訪は遠慮したかった。
 だが、猫耳はそんなことまったく気にしない。
 彼女はこちらへ向かってきながら器用にショーツを脱ぎ捨てると、いやらしく舌なめずりをする。
 俺は溜息を一つ吐き出して、覚悟を決めた。こうなってしまえば猫耳を止めるのは無理だ。とにかく満足させて早々のお帰りを願おうと心で呟く。
 猫耳がまた一歩、更に一歩と近づいてきた。そして――ベッドに腰をかけている俺の横を通り過ぎて行った。
「……あれ?」
「今日は別に黒が目当てで来た訳じゃないぜぃ」
 肩透かしを食らった俺に、猫耳はそう悪戯っぽく笑みを送ると、部屋の隅に向かっていく。そこには先日「ご主人様」からもらったネズミ耳が、メイド服姿で両手足を鎖につながれ這い蹲っていた。
 本当なら拘束などしたくはないのだが、自由にしておくと俺を人質に取って逃げようとするので――実際未遂に終わったものの一度あった――完全に俺へ従属を誓うまではこうしておく事にしている。しかし、マゾヒストで与えられる快楽に弱いくせに、妙に頑固なネズミ耳の調教が完了するのは、まだ当分先に思われた。
 そのネズミ耳の前に、猫耳がはしたなくも腕を組んで仁王立ちした。残念ながら俺からは見えないが、猫耳を床から見上げる格好になったネズミ耳には、彼女の可愛らしくもいやらしい割れ目が見えていることだろう。
「ふひひひ……」
 女の子には似つかわしくない笑い声をネズミ耳に浴びせ、くいっと小さく腰を突き出した。何を要求されるのか分かったのだろう、ネズミ耳はものすごく嫌な顔した。
「舐めてよ」
 そして、猫耳が告げた。それは一応はお願いの形ではあったが、その実命令に過ぎなかった。
 しかし当然、ネズミ耳にはそんな物に従わない。何せ一応のご主人様である俺の命令ですら、普段は無視するのだ。彼女に言うことを聞かせようと思うのなら、まずはたっぷりいじめて焦らしてやらなくてはならない。
 そっぽを向いて猫耳を無視したネズミ耳は、ごろんと床に敷かれたマットの上に転がった。
 猫耳は唇を尖らせて俺を睨みつける。
「ちょっと黒、こいつの躾どうなってんのさ」
「俺は調教されるのはともかく、するのはそんなに得意じゃないの。それ以前に、なんでお前は人のものを勝手に使おうとしてますか。ネズミ耳は俺がご主人様からもらった奴だよ」
「ケチケチすんなよなー。いいじゃん、黒の物はみんなの物で」
「よくねえよ」
 口ではそういうものの、実際は別にいいとは思っていた。ただ何故だかわからないが、この猫耳とはなしていると無性に反抗したくなる。それはもしかすると猫耳の大雑把な気性のせいかも知れない。
「使わせろよぅ。あたし前からずっとこいつをいじめて遊びたかったんだからさぁ」
 そう言ってちらとネズミ耳に視線を送る。その目は奇妙に艶めいていて、けれど、何処か獲物を前にした肉食獣のような凶暴さも秘めていた。……まあ、猫がネズミを前にすれば自然とそうなるのかもしれないが。
「なんだったらさ、あたしがこいつを躾けてやろうか?」
「だからダメだってば。さあ、ほれ、帰れ帰れ。そして仕事しろ」
 手で追い払う仕草をして、俺は再び本を開いた。
 猫耳は「へん」と鼻を鳴らすと面白くなさそうに入り口へと歩いて行き、
「――なんて、あたしが大人しく帰るとでも思ったか!」
 そこから跳躍一つで俺の目の前に戻ってきた。俺は獣人の身体能力に目を見張る間もなく、猫耳に襟を掴まれぽいと放り投げられた。
「うわっ!?」
 悲鳴と同時に柔らかい物にぶつかった。何かと思って視線を巡らせれば、俺はネズミ耳をクッションにしていた。「きゅう」と可愛らしい呻き声が上がる。
「げ、ごめんっ」
 慌ててネズミ耳の上からどけようとする。しかし、
「ていっ」
 猫耳が満面の笑顔で俺の上に飛び乗って、跨った。「むぎゅう」とネズミ耳と俺の悲鳴が合わさる。
「こ……のっ、てめえ……どけろっ!」
 俺はともかくとして、二人分の体重をかけられているネズミ耳が苦しそうだった。
 しかし猫耳は「ひひひ」とはしたない笑い声を立てると、俺の顔をぺろりと舐める。ざらついた猫特有の舌が、くすぐったい。そうして、意地の悪い光を目に湛えて言う。
「黒ぉ……あんたもちょっと躾が必要みたいだぜぇ? せっかくだから、そこのネズ公と一緒にあたしが教育してやるよ」
 うれしいだろ? そう言って八重歯をちらと見せた。
「そ、それは……」
 正直なところ、教育してやるという言葉には心踊るものがある。俺は今の自分の状況をも忘れて、生唾を飲み込んでいた。
「ふふん」
 猫耳は勝ち誇ったように唇を吊り上げ、俺をネズミ耳から下ろすと、さっき彼女にそうしたように仁王立ちになった。
「よぉし、それじゃあ早速はじめるぜ。覚悟はいいかぁ、黒にネズ公」
 俺たちを見下ろす猫耳の目は嗜虐の快感に酔いはじめていた。
 
 ◇
 
「……れろ、ちゅる……あふぅ、ぺちゃ……」
 猫耳がざらついた舌で俺のペニスを満遍なく舐めていた。刺激自体はそれほどでもないのだが、自分のまたぐらに美少女を跪かせるというシチュエーションと、わざと大きく立てられる卑猥な水音に、俺の興奮は否が応にもかきたてられていた。
「あは、もうひくついてるぞ。お前のチンポ」
 そう言って猫耳はぱくりと亀頭を加え、口をすぼめて吸う。口内ではれろれろと舌がカリクビを攻め立てていた。
 教育という言葉とは裏腹に、俺のペニスに淫猥な奉仕を続ける猫耳がちらりと上目遣いに見つめてきた。
「我慢汁がでてきたぜ……」
 そう言って一度唇をはなし、鈴口に浮いた水滴を見せつける。猫耳は透明で粘着質なそれを指でつつくと、糸を引かせて遊んだ。そして、ぺろりと亀頭を舐めて、我慢汁を口に含んだ。
「おいし……もっと出せよ」
 猫耳は熱っぽく目を細め、再びペニスの先をくわえ込んだ。同時に柔らかい手で、幹の部分をしごきたてる。
 その二つの刺激で、俺はたちまち破裂しそうになった。それを察した猫耳は「おっと」なんて言って唇を離す。
「教育なんだから、簡単にはイかせないからな?」
 俺がすっかり忘れていた言葉を吐きながら、猫耳は自分のリボンタイを解くと、いきり立ったペニスの根元をそれで縛った。きつくきゅっと締め付けられ、痛みに俺は小さく呻いた。
「可愛いぜ、お前のチンポ」
 最後に蝶結びのようにして、俺の息子を飾り立てた。その行為に何の意味があるのか考える間もなく、猫耳は再びペニスにしゃぶりつく。今度は一息に喉奥まで咥え、口腔全てを使って快感を与えてきた。猫耳の口の中は温かく、粘り気の強い唾液と、ざらざらした舌が俺のペニスを絡め取っていた。
 俺はまるで膣に挿入しているような錯覚を覚え、気がつくと必死に腰を振っていた。強引な動きをするたびに当たる歯の痛みもまた、いいアクセントとなってペニスを溶かす。
「んふっ、ぐむ……じゅぱ、んぷぅ」
 限界は再び近づいてきた。じわじわとペニスに快感が溜まってくるのを自覚し、今にも発射してしまいそうだった。
 俺は猫耳の顔を窺う。彼女は俺のペニスを咥えたまま、イヤらしく目を細めた。「出せよ」そう言ってるように思えた。
「くぅ……も、もうだめ、だ……!」
 俺は猫耳の頭を掴み腰を思いきり突き出した。猫耳が目を見開き、無理やり喉を割るペニスの感触に耐える。そして一番奥にたどり着いたペニスが、彼女の胃に子種を放とうと激しく脈打つ。そう――脈打つだけだった。
「あ、あれ……?」
 精を放つ事で得られるはずだった快感は、腰の中ほどでわだかまっていた。なんともむずがゆい、すっきりしないその感覚に俺は戸惑いを覚える。
「えほっ、けほっ……馬鹿。ザーメン出ないようにチンポ縛ったんだから当たり前だ。言っただろ、簡単にイかせないって」
 俺のペニスを口から抜き、咳き込みながら、猫耳は意地悪く言った。
 そして唾液に濡れた我が息子を握り締めながら、猫耳はちらと視線をネズミ耳に移した。
「そろそろネズ公の準備もできたかな?」
「あふぇ、ひぃ……?」
 猫耳の言葉に、ネズミ耳は荒い息をつき、虚ろな瞳を返してきた。その顔は涙と涎にまみれて、淫らに蕩けきっている。
 猫耳はネズミ耳の足元にやって来ると、スカートの裾をまくり上げた。あらわになった無毛の割れ目は、彼女の顔と同じように涎をこぼし、男を誘っていた。
「うわぁ、こんなに効くんだな……あのクスリ」
 猫耳が感心した、というよりも若干引きながら、そんな事を言う。
 そう、ネズミ耳がこうなってしまったのは猫耳が何処からか――多分「ご主人様」の物をちょろまかして――調達してきた媚薬のせいだった。
 クリーム状のそれをネズミ耳の膣壁とアヌスに塗り、猫耳の奉仕を見せつける。たったそれだけで指一本触れていないというのにこの有様だ。もしも後ろでに拘束されていなければ、彼女は今頃オナニーに狂っていただろう。
 それでも大声を上げてペニスをせがまないのは「ご主人様」に牙を剥いた者としての最後の意地なのだろうか。
「さて」
 ネズミ耳の状態を確認した猫耳は、縛られたままの身体を抱きかかえると強引に股を開かせる。
 そして「よっこらせ」と笑っいながら、天を突く我が息子殿をネズミ耳の肉壷へと導いた。
 ぐちゅにゅると卑猥な音を立てて俺のペニスがネズミ耳に喰われていく。そして、
「あ、あ、あ、あああああうぅうんっ!」
 それだけでネズミ耳は達していた。ぷしっと、結合したまま潮を吹き、そのしぶきが俺の唇にまで届く。
 所有物として以来、幾度となくネズミ耳が絶頂に達するのを見てきたが、ここまであっさり昇りつめたことは未だかつてない。俺はあらためて「ご主人様」のクスリの恐ろしさに肝を冷やしていた。
 がくりと、ネズミ見の体から力が抜けて崩れる。それを猫耳がすかさず支えた。そしてからかうようにけらけらと笑う。
「おうおう、こんなにあっさりイっちゃってぇ。まあ、これからはじめることにはそっちの方が都合がいいんだけど」
 猫耳はぐったりとしているネズミ耳の身体をゆっくり持ち上げた。それにより彼女の中で勃起したままのペニスが、敏感なままの肉壁を擦りあげる。ネズミ耳はその刺激で意識を取り戻し、再び脳を何倍にも増幅された快楽信号でとろけさせた。
「あっ、ひい、うはぁ……んっ」
 ビクッと体を弓反に痙攣させる。二度目の絶頂に、ネズミ耳の膣が俺のペニスをきつく締め上げる。俺はそれで再び射精の気配に見舞われるのだが、リボンで尿道をせき止められている状態ではどうしたところで叶わなかった。
「あああ、くそぅ……出るのに、出ないぃ!」
 あまりのもどかしさに、俺は悲鳴をあげていた。
 それを見つめながら猫耳は、心底楽しみだという声で、
「さて、と。ここからが本番だぜ。ネズ公はこれから数えるのも馬鹿らしいくらいイク。黒はどれだけ気持ちよくなってもザーメンを吐き出す事が出来ない。――さあて、どっちが先に壊れるかな?」
 そんな背筋がぞっとする事を言った。
 俺の顔色の悪さを見て取った猫耳は、ニヤリと悪い笑みを浮かべ、ネズミ耳の身体を叩きつけるように下ろした。
 ぱんっ、と肉と肉がぶつかり合う音を立て、ネズミ耳は三度目の絶頂を迎えた。
「ひぎいいいいいい!?」
「あは、おもしれー! なんか、まるでオナホールみたいだぜ、今のネズ公!」
 白目を剥いて歯を食いしばるネズミ耳を、猫耳は笑いながら更に更にと動かす。それは確かに、オナホールを使って俺のペニスをしごいているようにも思える単調な動きだった。しかし、中の快感はその非ではない。
 じゅぶじゅぶと水音を響くたび、ネズミ耳の絶頂の悲鳴が上がる。そしてその度彼女の膣は力強く的確に、俺を射精へと導いていた。どくんとペニスが脈打つが、やはりその先からザーメンは出ない。たまらず俺は悲鳴を上げた。
「ほどいてっ、ほどいてくれぇ!」
「んんなあああうんんんぅぅぅう!!」
 俺の懇願と、ネズミ耳の叫びが合唱した。
 イってしまったネズミ耳の中で、俺は再びの空撃ちをした。
 頭の中が茹ってくる。これ以上我慢させられてたら俺は本当に気が狂ってしまうか、溜め込まれたザーメンがペニスを破裂させてしまうかしてしまいそうだった。
「あ――たす、けてぇ……」
 俺は最後の力を振り絞り、猫耳に許しを請う。
「いひひひひ……ひぃ、ひぃ……」
 だがネズミ耳を抱きかかえながら、猫耳は目に涙を溜めるほどに笑い転げていた。しかし、俺の尋常じゃない様子に気付いたのか、涙を指で拭うと俺に微笑みかけた。
「ひひ……そうだな、それじゃあ黒はそろそろ許してやるか。調子こいてぶっ壊したりしたらあたしがご主人様に殺される」
 そして、俺のペニスの根元をきつく縛るリボンへと指を伸ばした。
「……あれ? 解けない。……あー、結び目がネズ公の汁吸いまくって固くなっちまってる。しゃあない、黒、切るから動くなよ。チンポ切れても責任とらないからな」
 猫耳はそう言うと爪を鋭く伸ばし、あっさりリボンを切った。用を終え、伸ばした爪が元に戻る。それを見届けた瞬間、今までせき止められていたザーメンが、一気にせり上がってくるのを自覚した。
「ああああっ!!」
 どくんっ、とペニスが唸る。尿道を精子と快楽が駆け上がってくる!
 俺は打ち震える腰をつき上げながら、絶頂の叫びを上げていた。
「出るッ! 出る出る出るぅうううッ!?」
 視界が真っ白になるほどの快感と共に、俺は溜まりに溜まったザーメンをネズミ耳の子宮へとぶちまけた。
「ああううっぐうううあああああひいぃぃっ!!」
 同時に、ネズミ耳ももはや何度目とも知れぬ絶頂にたどりついて、全身を痙攣させた。引く引くと蠢く肉壁が、まだ足りぬと俺のペニスから精を搾り取る。そしてそのまま、ついに意識を失った。
「ふふん、たっぷり我慢しただけあって、気持ち良かっただろ、黒?」
 何故か勝ち誇って言う猫耳。もはや睨みつける気力もない俺は、ただ力の抜けた瞳を向けて、「はあはあ」と荒く息を吐くだけだった。
「さぁて、これからはあたしも混ぜろ!」
 猫耳はネズミ耳を俺から退けると、柔らかくなったペニスの上に自らの腰を下ろした。
「大丈夫、すぐにおっきくしてやるって……」
 いやらしく舌なめずりをして、猫耳は無理やりに萎えたペニスを膣の中に押し込む。
 イったばかりで敏感になってた息子は、猫耳の中でぐにぐにと揉みしだかれると、毎度の事ながら硬さを取り戻していた。
「ほぉら、おっきくなった」
 猫耳は嬉しそうに笑うと、ゆっくりと腰を上下させ始めた。熱いと感じるほどの猫耳の中で、俺のペニスは更に硬度を増していく。
 さっきネズミ耳を使ってしたような搾取的なセックスとは違うスローな行為。それは猫耳が互いに昇りつめることを目的としているのだと俺に悟らせた。
 猫耳がうっとりした顔で俺にささやきかけてきた。
「へへ……ああ、やっぱ黒のはいいなぁ……なんかしっくり来るんだよ。……相性って奴かなあ?」
 こんな事を言うときだけ、猫耳は照れを見せる。それはまるで純な少女のようで、今行ってる情事とのギャップが俺を興奮させた。
 俺はそれに言葉では答えず、猫耳の頭を抱き寄せると彼女の唇を吸った。舌同士を絡めあいながら、俺と猫耳は互いに腰を動かす。「あっ、あっ、あっ!」
 ペニスが猫耳の最奥を突くと、弾むような嬌声を上げ素直に快楽を貪る。
 それが俺は嬉しくて、なおも腰の動きを強めていた。
「あひっ、黒! 黒ッ! 待って、待ってぇ!」
 俺の名を呼び、猫耳は欲情に濡れた瞳をちらと横へ向ける。その先には、仰向けで気を失ってるネズミ耳がいた。
「三人でっ、三人でしよっ」
 猫耳はなんだかんだでネズミ耳の事が気に入ってたのではないだろうか。だからこそ裏切りが許せなく、けれども本気で嬲るほど憎み切れはせずにこんな事を――ふとそんな益体のない事を思った。
 俺は(まあ、どうでもいいことかもな)と苦笑すると、猫耳と繋がったまま体位をバックに入れ替え、獣さながらの四足歩行をさせネズミ耳の元に移動した。
「あ、はぁ……」
 猫耳は嬉しそうに口を歪め、後ろから突かれたままネズミ耳に覆いかぶさる。俺はその勢いでペニスが抜けないよう慌てて追随した。自然、猫耳を膝立ちで犯す格好になる。
「ぁうん……ああ……」
 かかる重さでうっすらと目を開いたネズミ耳に、猫耳が口付けをする。ぼやけた意識のままネズミ耳はそれを受け入れ、更には猫耳に腕まで回していた。
 即効性だった故か、媚薬の効果も既に消えかけているようではあった。そうでなければ、このキス一つでネズミ耳は再び快楽地獄へとつきおとされていただろう。
 しかし、ネズミ耳の身体はすでに出来上がっていた。淫欲にとろけたあの顔つきになると、彼女はただひたすらに気持ちいい事だけにしか興味を示さなくなる。
 猫耳が長いキスを終え、唇を離すとネズミ耳は「いやぁ、もっとぉ……」と名残惜しそうに鳴いた。
「もっと? ふふ……いま、入れてやる……もっともっと気持ちよくしてあげるから……三人で一緒にぃ……」
 猫耳は熱に浮かされたような口ぶりでそう言うと、長い尻尾を自分の腰を経由させ、ネズミ耳の割れ目へと押し込んだ。
 ちゅぷちゅぷと音を立て、猫耳の尻尾がネズミ耳の中をかき回す。
「ひあぅ!」
「へへ……ブラシで中擦られてるみたいで気持ちいいだろぉ……?」
「ひぃんっ、あうっ! イイっ!」
 猫耳の尻尾が出たり入ったりするたびに、さっき中で出したザーメンが泡だって掻き出される。何とはなしに、昔理科の実験をした後、試験管を洗う様を思いだした。
 俺はその動きに合わせるように、猫耳をゆっくり突きはじめた。奥を抉るたびに、喘ぎ声がこぼれ出る。
「はあふっ、はあっ! く、くろぉ……っ」
「お前だって感じてるじゃないか」
 そのクセにネズミ耳を弄るような口ぶりをするのが俺にはおかしかった。猫耳は涙声で俺の名を呼び、だらしのない顔をこちらに向けてきた。
「お前ももっとか?」
「うん……もっと、もっとしてぇ」
 ねだる猫耳の口の端から涎が垂れ、それがネズミ耳の唇にかかった。二人が細い銀の糸で繋がれる。
 俺は猫耳のリクエストにこたえ、腰のグラインドを大きくした。猫耳はそれを受けながらもなお、尻尾でネズミ耳を犯すのをやめない。いや、むしろ俺が猫耳を突けば突くだけそのスピードは上がっていた。
「ひっ、ひっ、あうんっ!」
「くろっ! くろぉぉ!」
 二人の悲鳴の間隔が短くなってきた。どうやら絶頂は目前らしい。それが証拠に猫耳の中は俺のペニスを更に奥へくわえ込もうと、肉ひだを蠢かしていた。
「く、ぅ……!」
 俺は歯を食いしばって、精を零しそうになるのを耐える。
 三人で身体を重ねている事が原因なのか、絶頂の近い猫耳の膣内はいつも以上にいやらしく動いていて、俺のザーメンを早く早くと要求しているようだった。
 ――まずい。このままでは俺一人先にイってしまいかねない。それでは男としてあまりにも無様に過ぎる。
 なんとかして猫耳をイかせなければと思うのだが、これ以上抽送のスピードを上げると俺がもたないのは明白だった。
 さてどうしたものか。そう考えを巡らせたとき、俺はふと思いだした。初めてここに連れ込まれたとき、猫耳に何をされたのかを。
 俺はニィと頬を吊り上げると、親指をしゃぶり、濡らした。そして少し腰を離すと猫耳の張りのある尻を割り、すべりをよくした親指を中央のすぼまりに突っ込んだ。
「はうっ!」
 ここに来て新たな刺激を受けた事で、猫耳の体が震える。かつてされた前立腺責めは性別の違いで不可能だが、それでもこいつがアヌスで感じられる体質だと知っている俺は、遠慮なくそこをいじった。
「おしりぃ、おしりだめぇ……! イっちゃうよぉ!」
「構うな、イけっ!」
 俺はそういうと更に親指でアナルを抉りたてる。この姿勢のままピストン運動を続けるのは少し辛かったが、猫耳より先に達する無様をさらすよりはと堪えた。
 そしてそれから間もなくして、その時はやってきた。
「もう、だめ! くろっ! 一緒に、三人一緒にぃっ!」
「おう、よっ」
 突っ込んでいた親指を抜き、改めて俺は腰を振る事に集中する。その一突き目で、猫耳の中でペニスがきつくしぼりあげられた。
「ぐ、おお!」
 俺が吼え、猫耳の奥深くにザーメンを送り込んだのと同時に、重なり合う二人もまた絶頂を迎えていた。
「ひああああああ!」
「あんんんっ! くろぉおお!」
 猫耳とネズミ耳はお互いを強く抱き締めあいながら、叫んで身体を跳ねさせた。
 猫耳は余韻に浸るように中空を見つめ、ネズミ耳は「あ、ああ……」と息を漏らしていた。
 ぬぷりっ、と水音がして、猫耳の尻尾がネズミ耳の中から抜け落ちた。たっぷりと水気を吸って艶を帯びた尾は、まるで射精したばかりのペニスのようにうなだれていた。
 俺もまた猫耳の中からペニスを抜く。放ったザーメンがこぼれだして、床に長い尾を引き、落ちた。
 そういえば、教育らしいことは何にもされてないな――と胸中で呟きながら、まあ猫耳に限って言えばそれもいつものことか、なんて俺は思いなおしていた。
 ちらと視線を落とすと、いつの間にか二人は重なり合ったまま、すやすやと寝息を立てている。その手は何故か、恋人同士のように握られていた。
 



[2651] 異世界エロ話5
Name: 無屁吉◆ab65b77c ID:01b3c9db
Date: 2009/04/07 03:35
 5.
 
「……なにをしているの?」
「ふっ……ふっ……見ての、ふっ、とおりだ……ふっ」
 部屋に入ってくるなり怪訝そうにたずねて来た狐耳に、俺は汗まみれの顔を微妙にゆがませ、笑みを作って返した。
 しかし、彼女がそう聞くのも無理からぬことではあると思う。俺が腕立て伏せをしているところなど、見たことなかっただろうから。まあ、それを始めたのも今日からだから当たり前なのだが。
 俺が唐突にこんなことをしているのは、生活のあまりな怠惰さに危機感を覚えたからだ。
 朝起きて、飯食って、セックスして、飯食って、本読んで、セックスして、本読んで、飯食って、セックスして、寝る。多少の差異はあれど、毎日がこんなものだ。しかも強制的引きこもり。健康という言葉はどこへやら。
 いや、生活レベル自体はそう悪くはない……というか、むしろ良いほうなので、健康は健康なのだが。やはりこう、健全に体を動かしていないと、精神の健康というものが損なわれてしまう。そう思い立っての、腕立て伏せだ。
 ……べ、べつに、今日読んだ本が格闘ものの小説だったからなんて理由じゃないんだからねっ!
 などと、心の中で一人ツンデレていると、じいっとこちらを見ていた狐耳が、何かひらめいたように「わかった」とこぼした。
「エアセックス、正常位編」
「何が悲しくてこの環境でそんなむなしいことしなきゃいけませんか、俺!?」
 狐耳の言葉に思いっきり力が抜け、べたりと床につぶれながらも、抗議の声だけは高らかに。
 だいたいなんだエアセックスって。オナニーですらねえよ。
「違うの? てっきり黒が自分のへたれ受けさ加減に危機感を覚えての特訓かと思った」
「へたれ受けは俺の性癖ですので、いまさらかえようとか、危機感覚えるとかなんて無いですよ!? ……っと」
 自慢にもならないようなことを自慢げに言いながら、腕立て伏せから腹筋へと運動を変える。
「……騎乗位されながらも、なんとかして乳首に吸い付こうとするシチュエーションを想定してのエアセックス?」
「どんだけセックスにがんばってんだよ俺! っていうか、エアセックスから離れろよ!」
 こんな調子だとスクワットなんて始めた日には、ダイナミックな駅弁スタイルでのエアセックスとか言われかねない。
 俺がまだろくに言葉を解せ無かったころは、この狐耳、口数の少なさと、いつも引き締められている顔からとてもクールなお姉さんに見えていた。
 しかし、付き合いを深め、彼女たちが何をしゃべっているのか理解できるようになって来ると、そんなイメージは一変する。
 引き締められていたと思っていた顔は、ただ表情に乏しいだけ(しかし、感情に乏しいわけではないが)。口数はほかのメイドたちに比べて確かに少ないけれど、その分内容は今のように突拍子が無いものが多かった。
 結論として俺が今狐耳に抱いている印象は『天然』。そうとしか言いようが無い。
 はあ、とため息をひとつつき、気を取り直して腹筋を再開した。そうしながらも、顔は狐耳に向けたずねる。
「で、何しにきたの?」
「ん。今日はネズミ耳がここにいないから」
「ああ、そういや朝っぱらから猫耳が『借りるぜー』なんて連れていったっな」
 二人っきりで何をしているのか。いやまあ、猫耳がネズミ耳をいやらしくいじめ倒してるだけなんだろうけど。
「あれ? ネズミ耳がいないからって……おまえ、あいつに嫌いだっけ」
 他のメイド連中はそんなことを気にした様子が無かっただけに、多少の引っ掛かりを覚える。
「黒は持ち主だから情が移ってるのかもしれないけれど、ご主人様に牙を剥くようなやつ、好きと思うほうが少ない。……猫耳はその数少ない例外」
「猫がネズミを好きというのは、実に食物連鎖っぽい何かを感じるんだが……。まあいいや、で、ネズミ耳がいないからって、何しにきたのさ」
 俺の言葉に、狐耳は首を振った。そして「……鈍感。黒と二人っきりになりたかったに決まってる……」とうつむきつつ、小さな声でこぼす。
 ……え、なにこれ。なにこの反応。これって、まさか? もしかして、人生初の春が来た? 初恋人より先に、5Pとか経験してしまった俺に、健全な春が!? いや、この環境で健全もくそもあったもんじゃないかもしれないけれど、とにもかくにも、身体だけの関係から、精神的にもな、ああもう何を言っているのかよくわかんないよ、畜生!
 などと俺が思考のスパイラルに陥っているとき、ふと狐耳を見やると、彼女は顔中にあきれを浮かべて、一歩俺から遠のいていた。え、何その反応。
「うわ、猫耳が言ったとおりやってみたら、面白いくらい取り乱してる、この子……」
「からかってただけなのかよ、畜生!」
 だろーと思ったんだ! 俺は所詮卑しい肉奴隷ですよ! しかも発案は猫耳か! 覚えてろよあのやろう。
「ネズミ耳がいないから来たって言うのは本当。あいつの前で黒とするとか、超考えられない」
「超って言うな、超って」
 狐耳の言葉遣いはともかく、結局のところ、彼女も毎度のように俺といたしに来たわけらしい。
「まあいいや、とりあえずもう少し待っててくれ。せっかくメニュー決めてトレーニング始めたんだ。初日から半端に終わるとか情けなさ過ぎる」
「そんなのしなくていい」
 言って、狐耳は腹筋している俺の股間にまたがり、
「結局は、運動するんだから」
 と、上体を起こした俺の唇をむさぼった。
 狐耳の目がいたずらっぽく細められ、そっと閉じる。俺もそれに倣い、まぶたを下ろした。
「ん……」
 どちらが漏らしたのかわからない、濡れた声が耳に届く。俺は舌を突き出し、彼女の舌と触れ合わせた。ぐちゅと、絡まる舌に押しつぶされた唾液が悲鳴を上げる。
 目を閉ざしているからだろうか、普段よりも触覚が、聴覚が、嗅覚が鋭敏になっているのを感じる。
 ぬめる狐耳の口内の感触。肌をくすぐる鼻息。衣ずれのかすかな音。唾液が絡み合う粘着質な淫音。俺の汗のにおい。発情した狐耳の体臭。
 キスを続けたまま、俺は服の上から狐耳のそれほど大きくは無い胸をもむ。エプロンドレスとブラ越しであっても、やわらかい手ごたえが感じられた。狐耳も気分を出してきたのか、またがったままの腰をグラインドさせ、俺のペニスを刺激する。俺はズボンの中でむくむくと大きくなっていくそれで、お返しとばかりに狐耳をつきあげた。
 衣服を脱がないでする、擬似的なセックス。素股ですらないこの児戯じみた行為は、しかし視覚を閉ざしたせいで敏感になった俺に、ある意味普段以上の興奮を与えていた。
「んちゅ……あむ……」
 いまだに唇は離されていない。それどころかはじめよりも強く、淫らに、俺たちはキスを貪っていた。俺たちの口の周りはすでに唾液でべたべたで、口戯の激しさを物語っていた。
 だがさすがに息苦しくなってきて、俺はひとまず離れようと顔を動かし、
「んぐっ!? んむぅ!」
 引き抜こうとした舌を狐耳に思い切り吸われ、舌根に突っ張るような痛みが走った。
 さらに、離れることなど許しはしないとばかりに、狐耳の腕が背中に回され、そのまま俺を押し倒す。ごつん、と強い衝撃を床から頭に受け、俺はさすがに目を開いた。
 狐耳はすでにまぶたを上げていた。しかしその瞳は欲情に潤んでいて、俺を熱っぽく見つめている。そして俺と視線が合うと目だけでいやらしく笑い、ようやくキスをやめた。
 唇と唇にかかった銀の糸橋が、二人を結ぶ。普段よりもはるかに粘性の高いそれは、ちょっとやそっとでは壊れようも無いものに思え、同じ主に仕えるものたちとしての絆の深さのようにも――、
「ん」
 しかしあえなく口の周りをぬぐった狐耳の手でちぎられた。さようなら僕らの絆。
「って、拭うのかよ!」
「……? だって、べたべたしててきもちわるい」
 なんで俺が突っ込んだのか判らないといった風に、狐耳がきょとんとする。いや、たしかにべたべたするだろうけど。そこは雰囲気とか読もうよ。それともあれか、一人勝手に盛り上がってた俺が悪いか。
 まったく……なんて思いながら、冷静になってしまった俺も口を拭おうと手を動かし、
「ダメ」
 狐耳の理不尽な一言と、腕をがっしり押さえるという実力行使でとめられた。
「こんなときに女の子のつばを汚いもののように扱うのは感心しない」
「お前には言われたくなかったなあ、それ」
 ぬけぬけと真顔で言ってのける狐耳に、半ば本気で尊敬の念を抱いてしまう。自己中もここまで来るともはや天賦の才といえるだろう。
「そんな悪い子の黒には、お仕置きが必要」
 そう言って、狐耳は床に押し倒したままの俺の顔を両手で固定し、その少し上に自分の顔をもって来た。自然、俺たちは見詰め合う格好になる。そして流れるしばしの時。
 はて、お仕置きとは言われたものの、いったい狐耳は何をするつもりなのか。などと思った瞬間、不意に、狐耳の唇がわずかに開いた。そこから、ぬらりとした輝きを帯びた舌が先だけ突き出され、つうっと唾液が糸を引いて垂れる。その着地予定地点は、当たり前のようだが俺の顔。
「ちょっと、おまえ!?」
 反射的に声を荒げつつ、俺は顔をのけようとする。が、その細腕のどこにそんな力があるのか(とは言っても、獣人種である彼女らが筋力に優れていることはすでに承知であったのだが)がっちりと押さえ込まれた俺の頭は微動だにしなかった。
 狐耳は目で笑い、「うぇー……」と悪戯っぽい声を立て、ついに俺の唇の上へと唾を落とした。
 ほんの少しずつこぼされていく温めの粘液は、しかしよほど溜め込まれていたのだろうなかなか尽きることは無く、俺の唇へ注がれていく。やがてそこからあふれた唾液は、あごのラインに沿って床へと向かった。
 これが狐耳の「お仕置き」なのだろう。彼女のつばを拭おうとしたことへの意趣返し――というにはいささか理不尽なものを感じなくも無いのだが、それ以上に俺は美少女の唾液で顔を汚されると言う事態に、屈辱を伴う不思議な快感を得ていた。
「あは」
 つばの糸を繋いだまま狐耳が笑う。いつの間にか彼女の片手は俺の頬から離されて、ズボンの上からペニスをさすっていた。
「黒はこんなことでも興奮する変態」
 あざ笑うような彼女の言葉に込められた響きにはやはり侮蔑があり、そして悦楽があった。つまり俺が少女の唾液にまみれて喜ぶ変態であるように、狐耳もまた男を唾液まみれにして喜ぶ変態であるのだ。
 その証拠は声にだけ表れているわけではない。狐耳の息は桃色を帯びつつ荒くなり、頬もかすかに上気していた。
「まだ……もっとかけてあげる。いっぱい、いっぱいかけてあげる」
 熱にうかされたようにつぶやくと、再びよだれをたらしはじめる。だが、今度は唇だけが目標ではなかった。狐耳の顔はまるでソフトクリームを作るかのように渦をまき、俺の顔面に満遍なく唾液を注いだ。
 顔に水気が増えていくたび、狐耳に撫でられているペニスはびくんと悶える。そして、俺がよだれまみれの顔で見つめる彼女は、いやらしく、うっとりとして薄い笑みを浮かべていた。
 マーキング。ふと心にそんな言葉がよぎった。犬が電柱に小便をかけ縄張りを主張するように、狐耳は俺の顔に唾液をかけ、己の所有物だと主張する。無論、俺は「ご主人」様の所有物であり、彼女もそれはわかっている。つまり、結局これは、ただのごっこ遊びに過ぎないのだ。
 そう、過ぎないはずなのに――、
「黒、うれしそう……。そんなに私のつばが気持ちいい? 汚くされて、うれしい?」
「ああ……うん……もっと、もっとしてくれ……」
 俺はこんなにも、更なる侵略と征服を望むのか。「ご主人様」の奴隷であるはずなのに、快楽を与えてくれるのならば誰でもいいなんて、浅ましい自分が恥ずかしく思える。しかしそんな恥辱ですら、今の俺には興奮を促進させるスパイスに過ぎない。でも、俺は自分のそういうとこ、大好きです。
 だが、俺のそんな気持ちをわかっているはずなのに、狐耳は行為をやめた。
 え? と思わず声を上げ、彼女を見上げる。狐耳は多少赤らんでいるが、いつもの表情少ない顔になって、
「よろこばせたら、お仕置きにならない」
 そう、冷たく言ってのけた。
 ああ、そうだ。これはお仕置きだったのだ。当たり前のことをいまさら思い出す。
 俺はきっと、唾液にまみれたまま、とても情けない顔をさらしているだろう。さしづめ、目の前からえさを取り上げられた飼い犬のような。
「どうしたら、お仕置きになる?」
 狐耳が俺にまたがったまま首をかしげる。
「そうだ、黒は痛いのがいやだった。おしりを叩いたらいい? それとも鞭? 三角木馬に乗せて両足に重しを吊るすのもいいかもしれない」
 無表情のまま、恐ろしいことを言ってのける。俺は彼女の口にした内容に、背筋があわ立つのを感じた。俺は精神的なマゾであって、肉体的なマゾではないのだ。それはきっと、俺の心身に恐ろしいまでの苦痛を与えるだろう。まさにお仕置きの名にふさわしい。だが、狐耳はすぐに自分の言をひるがえす。
「だめ。黒はご主人様のもの。私が勝手に傷つけられない」
 それに、と狐耳は付け加え、
「こんなことを話しただけで、おちんちんがびくんびくんしてる。きっと実際にしても、黒はすぐに喜んでしまう」
 くすりと、微笑をこぼし、俺のペニスをなぞった。ズボンの上からだというのに、ぞくりと体が震える。それは今さっき、背筋に走ったものと同じ感覚だった。なるほど、彼女の言葉は正しい。俺は恐ろしさを感じていたのではない。未知の体験に、それによって得られる快楽に、思いをはせていただけだったのだ。
「でも困った。だったらどうしたらいいのだろう」
 本当に困ったというように、狐耳は思案顔で俺のペニスをさする。
 その動きは快楽を供しようと言うものではなく、電話しながら落書きするような手遊びに近かった。
 だが、それだけに、俺のペニスはゆるい快感にもてあそばれ、しかし射精するにはいたらない高ぶりに苦しまされる。
「ねえ、どうしたらいい?」
 問いかける狐耳の声はかすかに笑っていた。つまり、彼女はわかっているのだ。どうしたら俺を傷つけず、一番効果的にいたぶれるのか。そして、それはすでに実行に移されている。
 ごそごそと布地をいじる音。布越しに与えられる緩慢な刺激。いつまでも決定的な瞬間が訪れないもどかしさに、俺はついに音を上げた。
「もう、もう勘弁して……」
「勘弁?」
 ちょこん、とかわいらしいしぐさで首を傾ける。わかっている。こいつは間違いなくわかっている。絶頂を迎えない程度の快感を与え続けることこそが、男にとって一番つらく、きついということが。
「はやく、イかせて……」
「イきたいの?」
 次は竿ではなく、玉袋をつかみあげ、中の二つをこりこりとやわく揉む。それだけで再びペニスは跳ね上がるのだが、やはり射精にまでは至らない。
「イきたい。出したいから、お願い、早く……!」
「お願い? ふぅん……そのわりに、誠意が見えない」
 そんなことをいいながら、狐耳はズボンのジッパーを下ろし、ついに俺のペニスを表に出した。すでに先走りのつゆで濡れそぼっていた亀頭は、外気にさらされたことで一瞬冷たさを感じた。
 そいて狐耳はペニスを片手でがっちりとつかむと、きっかり三回、思いっきりこすり上げた。
「あ、あおお!」
 突然与えられた強烈な刺激に、一気に射精寸前まで昂ぶりが来る。しかし、後半回――文字通りみこすり半――こすられれば出せると思った瞬間、彼女の手は止まった。
「な、なんで……」
「お願いするなら、まずは言葉遣いから」
 意地悪くというより、まるで親が子供に言い聞かせるみたいな口調で、狐耳は言う。俺はすぐさま「お願いします! イカせてください!」と叫んでいた。
「よくできました」
 瞬間、彼女の手が動いた。同時に噴出す俺の精。それは高らかに宙に舞い、狐耳のメイド服を汚した。
「ああ……ああ……」
 射精の余韻に浸り、ただあえぎをもらす。狐耳の手の中では、快感の残滓にペニスが痙攣していた。
 狐耳は薄く笑んで、身体をずらし、萎えかけた一物を口に食んだ。そのまま尿道に残る精子を、丁寧に吸い上げる。
「んっ……」
 一流のテーブルマナーとでもいうかのように、不自然なほど音を立てず、ペニスにまとわりつく精を舐めつくす。狐耳の口から出たときには、白い精液にかわり、透明な彼女の唾液にまみれていた。
「……苦い」
 口元を拭いながら、狐耳は眉をひそめる。
「そんな風ににらまれても、ザーメンが苦いのは俺にどうすることもできんよ」
「毎日甘いもの食べさせたら、甘くならない?」
「多分俺が糖尿病で死ぬな。……そういえば、糖尿だとザーメン甘いとか聞くけどどうなんだろう?」
「……試してみる?」
「ノーサンキュウだ、バカタレ」
 何が悲しくて俺がお前の好奇心を満たすために病気にならなくてはなりませんか。あいにくそこまでのマゾ資質は持ち合わせておりません。
 さて、馬鹿なやり取りをしている間に、俺の息子は元気を取り戻していた。狐耳もそれに気づいて、ショーツを脱ぎ捨てた。床に落ちたそれは遠目にも濡れそぼっていることは明らかで、俺にやる気を与える。
 狐耳はごろんと隣に寝転がり、相変わらずの表情乏しい顔を俺に向けた。
「さあ、特訓の成果を見せて。黒」
 一瞬、彼女が何を言っているのかまるで理解できなかったが、はたとさっきまで俺がしていたトレーニングのことなのだと思い当たる。
「だから、こんなことのために運動してたんじゃないっての」
 苦笑交じりに毒づきながらも、狐耳の上に覆いかぶさり、スカートをまくりあげると、ズボンを脱ぐのももどかしく、彼女の入り口にペニスを添えた。亀頭に触れる愛液が熱い。このまま挿入しよう――としたところで、ふと思いつく。
「え、あ……ちょっと」
 狐耳の切なげな声。俺は入れようとしていたペニスを、彼女自身のスリットに擦り付けていた。多量の愛液でぬめるそこはスムーズに俺の腰を動かさせ、狐耳をあえがせる。
「あっ、黒っ、なんで……あんっ」
 時たま声が跳ねるのは、カリがクリトリスを引っ掛けるからだろう。そして「なんで」というのは言わずもがな、どうして入れないのかということだ。クリトリスを刺激されるのでも十分な快感は得られるのだろうが、ここの女性たちはそれよりも挿入されるほうを好んでいた。だからこそ、俺は意地悪く笑って、
「あっれえ? こういうとき、そんな言葉遣いでいいんだっけ」
「……意地悪」
 さっき狐耳されたことをそのまま仕返した俺を、恨めしそうな目で見る。その普段とは違う色っぽさに、ネズミ耳で備わってしまった俺の嗜虐心に火がついた。
「意地悪じゃあわからない。もっとはっきり口に出してみろよ」
 いいながらも、俺は腰を動かし続けた。ぬちゃぬちゃと音を立て、性器と性器がこすれあう。けれどもそれだけ。彼女が求める快感には届かない。
「意地悪、意地悪っ……あっ、もうっ……!」
 しかし狐耳もさるもので、なかなか屈服の言葉を口にしようとはしない。そこら辺は、俺とまるで違う。さて、どうしたものか。どうやったらこの狐耳に、いやらしくおねだりをさせられるだろうか。
 そんなことを考えていた、そのとき。
「意地悪、意地悪、意地悪! そんな黒は――」
 ぐいと、俺の意思とは無関係に腰が前に動いた。予定とは違う動作に、ペニスの命中地点もずれる。すなわち、狐耳の膣内へと。暖かく、やわらかく、それでいてきゅうきゅうと締め付けてくるその中で、俺の息子は興奮に身を震わせ、膨張した。
「ヤッパリ、無理やりのほうがいいみたい」
 何が起こったのか。簡単なことだった。狐耳が俺の尻を足で押した――それだけ。覆いかぶさられている状態で、よくも器用なと感心する。
 だが、事はそれだけで終わらなかった。
「痛っ、イテ、イテテテテテ!?」
「うふふ」
 俺の尻がつねられている。狐耳が足の指で俺の尻の頬をつねりあげているのだ。そしてそのままそれを引く。俺が痛みに耐えかね腰を引かせると、今度はさっきしたように尻を足で押した。
「黒がしてくれないなら、やらせるまで」
「いや、だからって、こんな風にする事はないだろうよ……。あっ、痛い痛い、マジやめて!」
「痛いのも気持ちいいくせに。私の中でどんどん大きくなってるよ」
 狐耳のいうとおり、彼女の膣の中で俺のペニスはどんどん硬さと大きさを増していた。けれどもそれは痛いのが気持ちいいからじゃなくて、お前の中が気持ちいいからなんですよ。……多分、きっと、自信が無くなってきてるのが非常にあれだが。
「ほらあ、もっと……強く動かしてぇ」
 そう俺に懇願しながらも、実際は強制だった。命令ですらない。狐耳の足が尻を引っ張ると、俺は痛みから逃れるため腰を引く。逆に押し込まれると、獣人族の筋力に対抗する術を持たない俺はなすがままにされてしまう。まるで人型バイブだ。そう思った俺がそのまま口にすると、狐耳はあえぎ混じりながらも、
「それじゃあバイブはバイブらしく、私を精一杯気持ちよくしてぇ……」
 そんな風に言ってのけた。
 なるほど、バイブね。もっともだと思う。所詮俺は性奴隷。大人のオモチャとたいした差など無い。愚問だった。
 ともなれば、だ。俺は俺の役目を果たすべきだろう。大人のオモチャとして、人型バイブとして。
「よしわかった。気持ちよくしてやろうじゃないか。めちゃくちゃ、気が狂うくらいに」
「あん、ようやく、黒がやる気になった……あっ!」
 俺は狐耳の両脇の床に手を突くと、それこそ腕立て伏せの要領で腰を上下させ始める。
 ふっ、ふっという俺の息に同調し、狐耳の甲高い嬌声が部屋に響いた。
「すごいっ、あぅ、黒、すごいよぉ! もっと、もっと早く、強くぅ、ん!」
 バイブレーターとしては、道具を使ってくれる人の要望に答えなければならないだろう。心の中でスイッチを強から最強へと切り替え、動きもまた激しく、グラインドや挿入を不規則にするなど、狐耳を飽きさせないようにする。
 ぬぶ、じゅぶと泡立つ愛液の気泡がつぶれ、いやらしい音を立てた。俺のペニスを刺激する彼女の膣内はうねうねと蠢いて、逃がすものかとばかりに締め付けていた。
 正直、今にも射精しかねなかった。だが、そうするわけにはいかない。俺はバイブなのだ。相手を満足させる前に電池切れなど、格好悪いといったら無い。
 俺は動きを大きく、ゆっくりとさせることで性感の制御をはかる。そしてその間の場つなぎとして、メイド服の上から彼女の胸を揉みしだいた。
「あ、ん……」
 ぐにぐにと手の中で形を変える二つの塊。俺はメイド服のボタンをはずすと、ブラジャーの中に手をもぐりこませ、じかにその感触を確かめる。
 すでに乳首は痛々しいほどに膨れ上がっていて、触れる指にはこりこりとした手ごたえがあった。
 俺は衝動に突き動かされ、狐耳の胸を露出させるとピンク色の頂を歯ではさんだ。
「ひゃんっ」
 狐耳が鳴く。俺は歯を左右に動かしつつ、乳首を舌で転がした。狐耳の膣壁が、きゅうと締まる。
「ぁん……ちくびぃ、かんじゃだめぇ……」
「らめほいはれへも」
 口から乳首を離すことなく、俺は狐耳に返す。それもまた刺激になったのか、狐耳がびくんと身を捩じらせた。
「くろ、そろそろ、そろそろいいでしょ……?」
 せがんでくる狐耳に、俺は胸から顔を離し、彼女の唇をむさぼった。そしてそのまま腰の動きを激しい物へと変える。
 互いのあえぎ声は、唾液と唾液が絡み合う粘着質な水音へと変わり、それは俺たちの下半身が立てる水音と合わさって、二重奏を演じていた。
「ん、ちゅ……ぱ、んんぅ……」
 狐耳の腕が俺の背に回され、しがみついてくる。俺はそれに答えるようにして、腰を一つ大きく突きだした。それが止めだった。
「んんんんぅぅぅ!」
 狐耳の体が大きく跳ね、そして細かい痙攣を見せた。
 背中に回された腕は、俺をぐいっと引き寄せ、抱きしめる。同時に唇もまた強く押し付けられ、俺の舌を強引に吸う。
 俺はぎゅうとひときわ強い締め付けを見せる狐耳の膣壁に、たまらず精を解き放っていた。どくんどくんと、子宮めがけて放出されていくザーメン。果たしてそれは己の使命を果たせるのだろうか、などとくだらない事を考える。
「ぷはぁ」
 しばらくして、狐耳がようやく俺の口を開放した。
「あは……」
 口にはしないものの、満足した――そう上気した顔に書いてある。
 俺もまた相手を満足させた事に充足した気分を得、そのままぐったりとする――のが、いつものパターンなわけですが。
「……あれ、くろ?」
 まだ快感のまどろみの中に居る狐耳のぼんやりとした顔を眺めつつ、俺は彼女の首筋に舌を這わせていた。
「あぅ、くすぐったい、やめて……」
 しかし、俺はそんな彼女の言葉を無視し、どころか乳房を愛撫し始めていた。
 イったばかりで敏感になっている狐耳の身体は、すぐさま反応を見せる。
「だめ……」
 狐耳の抵抗も力が入らないのか弱々しい。俺は悪い笑みを浮かべて、言う。
「言ったろ、気持ちよくしてやるって。――気が狂うくらいにさ」
「あ……」
 うん。さすがの俺もね、バイブ扱いはちょっとカチンとね。いや、俺が言ったことに狐耳は同意しただけなんだよ? でもね、そこはほら、否定してほしかった的なね? 奴隷はまだ生物だけど、バイブは物じゃん。無機物じゃん。でも、狐耳がバイブって言うなら、今日はそうなろうかなあとは思うわけですよ。だから、
「だから、精一杯バイブとしての勤めを果たさせていただきます」
 そう言って俺は、再び硬さを取り戻したペニスを、動かし始めていた。
 
 ◇
 
「うん、気持ちよかった。でも気が狂うにはまだまだ」
 数時間後。俺は見事に返り討ちにあっていましたとさ。……おのれ。


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