*第一〇話の内容をほのめかす描写があります。その点にご注意してお読みください。
プロローグ
――――彼女だけでは荷が重すぎたんだ。
「ワルプルギスの夜」の襲来。
この日、超弩級の力を秘めた強大な魔女が見滝原に現れた。
空は暗雲立ちこんで太陽の光が一切遮断され、大地は人の気配は無く、人工の光すらも皆無な廃墟と化した。それはこの世の終わりを思わせるほどに絶望的な光景であった。
廃墟と化した見滝原の瓦礫を足場に駆ける一人の少女。この惨劇を生んだ魔女に立ち向かう少女の名は暁美ほむら。この街に残された最後の魔法少女。
だが、「ワルプルギスの夜」は強い。
一人の魔法少女だけでは絶対に勝つことは出来ない、と魔法少女の間で囁かれているほどの存在は伊達ではなく、向かってくるほむらをいとも容易く吹き飛ばす。
吹き飛ばされたほむらは、そのまま背後のビルに激突。血を流し痛みで立ち上がるのも困難な状態となるが、それでもほむらは引こうとはしなかった。たった一人で戦いを挑むのがどれだけ無謀なことだとしても諦めず戦おうとする。
それは全て彼女のたった一人の大切な友達を守るために――――。
「そんな……あんまりだよ」
たった一人で戦うほむらの姿を遠くから眺めるのは、ほむらが守るべき友達――鹿目まどか。
「こんなのってないよ……!」
ただ見ていることしかできないまどかは嘆き、悲しみの言葉を吐く。
「――――まどか」
悲しむまどかのそばにいつの間にかそこに居た「魔法の使者」を名乗った謎の存在である白い生き物――――キュゥべえが告げた。
「運命を変えたいかい?」
「え……?」
「この世界の何もかも全て、君が覆してしまえばいい。それを可能にする力が君にはあるんだ」
「本当……に……?」
この絶望的な状況をただ傍観していることしか出来なかった自分が変えることができる。それはつまりほむらと同じようにあの強大な魔女と戦うことができ、勝つことが出来る。そんなキュゥべえの言葉に耳を傾けるまどか。
「――――っ!」
その様子を戦闘中にも関わらずまどかとキュゥべえのやり取りに気づいたほむら。
「まどかっ!」
まどかが契約を結ぼうとするのを止めようと必死に叫ぶ。
――――だがその声は届かない。
「もちろんだよ。だから――――」
満面の笑みでまどかに言った。
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
「駄目ぇぇえええーーっ!!」
そして新たな魔法少女が誕生した。結果的に強大なる魔女は倒された。
――――だがそれは、ほむらの望む結末ではなかった。
こうしてほむらはこれまで繰り返したようにリスタートへの回廊を歩み出した。
また……繰り返すのね。
幾度と繰り返しても同じ結末へと至る。一体どれだけ繰り返さなくてはならないのか。
――――いや、私は何度だって繰り返す。同じ時間を何度でも廻り、自分が望む未来を叶えるために!
それがほむらの願いであり、誓い。
それは彼女との交わした約束を果たすため――――。
だから戦い続ける。たとえそれが何千、何万回と繰り返すことになろうとも――――。
――――――――それでも駄目だったら?
心の何処かでそんな言葉がよぎる。
――――私には運命を変えることは出来ないのか?
――――私では彼女を救うことが出来ないのか?
たった一人の友達すらも守ることが出来ないの?
――――――――そんなの認めない。認めたくない、諦めない!
弱音を吐いたりはするものか。あの頃の弱い私はもういない、私は一人でも戦えるぐらい強くなったのだ。
それでも足りないというのなら――――だったら私は望む。
――――――――力が欲しい。
こんな絶望だけしか用意されていない運命を打ち破る力が――――。
大切な友達を守る力を――――。
まどかとの絆を取り戻す力を――――!
――――そして奇跡は起きた。
「え!?」
回廊を進むほむらに突然の閃光が襲った。
「くっ、……今のは一体――――?」
これまで何度も渡り歩いた回廊でこんなことは一度も起こらなかった。
一体何が起きたのかと、ようやく眩しい光に目が慣れるとゆっくりと目を開いた。
「――――なっ!?」
目を開くとほむらは驚きの声を上げる。
ほむらの目の前には――――眩い白銀の光を身に纏い、背中に翼を備えた光の巨人が現れたのだ。
「あ、あなたは一体何者なの?」
言葉が通じるかどうか分からなかったが、何もしないで睨み合いをするよりは何か行動するべきだと考え、警戒をしつつ巨人に声を掛ける。
しかし巨人からは返事は返ってこない。
『――――』
「えっ――――私に力を貸してくれる、というの?」
声はしなかったが、確かにほむらは巨人の意思を感じ取った。
巨人がほむらの前に現れた理由。それは自分を助ける為だという。巨人はほむらの強い意思に引かれてやって来たというのだ。
自分の為にやって来たという巨人に対してほむらは警戒を解くことはしなかった。 確かに自分は力を求めた。だがあの諸悪の根源のようにまた騙されるかもしれない、と正体不明の存在を相手に二度も心を許すほど浅はかでなかったほむらは巨人を警戒するのは無理もないことだった。
だが、ほむらは巨人から発する神秘の光に触れて感じ取った。
この巨人は敵ではない、と。何も根拠など無かった。ただ純粋にそう感じた。
巨人の胸のY字状の赤い発光体の前に浮かんでいるほむらは巨人の顔へと見上げる。巨人はただほむらを見つめるだけだった。
「――――――――いいわ。あなたを信じる」
そしてほむらは巨人を信じることにした。
今のままではこれまでと同じ繰り返しになるだろう。なら信じるしかなかった。
――――いや信じたい。この巨人からこれまで見えてこなかった一筋の希望という光を。それにほむらは賭けた。
「だからお願い。あなたの力を貸して」
――――まどかを救うために!
ほむらの言葉に頷く巨人。そして巨人は両腕を広げると再び閃光が――――
『――――』
「えっ」
先ほどと同じように巨人は何も言葉を発してしない。だがほむらには確かに聞こえた。巨人が自分に語り掛けたのを。ほむらが聞いたその言葉は――――。
そして私は戻ってきた。運命を変えるために、まどかとの絆を取り戻すために。
巨人と共に――――。
巨人は少女の意思によって別の宇宙から次元を超えて現われ、そして今度は少女の願いを叶えるために時空をも越えた。
時空と次元を行き来するほどの強大な力を持つ光の巨人。
それは太古より全宇宙の平和を守り続ける伝説の存在。
その名は――――ウルトラマンノア。
あとがき
こんにちは。初めての方は初めまして。
以前、Arcadiaで「haduki」という名で投稿していた「ハ月」といいます(読みは「はつき」です)。
本作は「魔法少女まどか☆マギカ」と「ウルトラマンネクサス」のクロスオーバーです。
twitterでフォロワーさんとネクサスとまどかって似てね? という話が事の始まりで。
ゼロのtwitterでの発言で点火。
闇月夜の宴さんの作品で爆発!
といういきさつで書いてみました。一人でも楽しめたらいいな、と思い投稿してみました。
それでは次の話で。
*タイトル名に「ほむら」ではなく「ほむほむ」なのはただ単に響きがいいからです。
ほむほむマジほむほむ