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[26692] 【習作】魔法少女リリカルなのは/エピソードS(スカル)
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/05 10:34
消しカスです。

ここでは初投降の作品となります。

少し前にここで書いていたことを修正しました。

感想を下さった3人様、すいませんでした。ミ(__)

これからは言い訳なんてしないように、努力して書かせていただきます!

※主人公をオリキャラから鳴海荘吉に変えます
が、『W』の荘吉とは少し違うところもあると思いますのでご了承ください。

……この物語は仮面ライダースカルと

……魔法少女リリカルなのは(STS前ぐらい)の提供でお送りします。

4/1・『おやっさん語録』を追加

4/1・『Kと出会う/月明かり』を追加

4/1・『Kと出会う/竜使いの少女』を追加

4/1・『Eを救出!/悲しみの少年』を修正

4/1・『Kと出会う/竜使いの少女』を追加

4/3・『Cな人形ご用心!?/キャロが地球へ行くそうです』を追加

4/4・『Cな人形ご用心!?/少女誘拐事件』を追加


4/5・『報告』を追加

プロローグ



世界には『ガイアメモリ』と呼ばれるものが世界で流通していた。

ガイアメモリを使うことにより『ドーパント』と呼ばれる超人(かいじん)になってしまう。

さらにガイアメモリには世界の記憶がメモリ一つ一つにバラバラに宿されており、『マグマ』『スイーツ』『ミラー』など様々だ。

副作用もあり、暴走することも少なくはない。

酷い場合は使用者自身がメモリの力に飲み込まれ、死に至る場合もある。

そんな恐ろしいものを誰が、どのように、何の目的で作り出したかも今だ不明である……。


そして『時空管理局』もこのガイアメモリなどについても調べているが、情報はないに等しい……。


人々は不安に駆られていた……しかし、そこには『仮面ライダー』と呼ばれる男が世界の涙を止めるため、活躍していたのである……。





ミッドチルダ・鳴海探偵事務所前




「本当にありがとうございました。……本当に……」

「ありがとう、おじちゃん!」

少し派手めな服を着た女性が白ずくめの服装の男に涙ながらに礼をしていた。

その横には小さな少女が男に向けて満面の笑みで礼を言っていた。

「いえ、私は私の仕事をしたまでですよ。ご婦人。……ただ、その子から目を離さないようにしてくださいね……」

男は黒いコートを羽織っており、白い山折のソフト帽子を左手で押さえたまま、女性に言葉を放った。

彼の名は『鳴海 荘吉(なるみ そうきち)』

ミッドチルダのある一角に探偵事務所を持ち、ハードボイルドな雰囲気を放つ男だ。

年齢はまだ30代前半だが、低い声とそのハードボイルドさゆえに40代後半にも良く間違われるのが最近の悩みである。

そして今回、依頼者はミッドチルダで有名な資産家であり未亡人、大事な娘を誘拐されてしまい、この鳴海探偵事務所に依頼を申し込んできたのである。

資産家なだけに、おおらかに『娘を誘拐されました』とはいえない。

そこで、家に居る人物たちからこの事務所の噂を聞き、たずねてきたのだ。

そしてたずねてきてすぐ、「娘を探してください!」と泣きつかれ、荘吉も動揺を隠せず、慌てていたが、事情を聞くとすぐに事務所を出て行き、情報通の知り合いから依頼者の娘の場所を特定してもらい、すぐさま救出したのである。


「はい!また娘と無事に暮らせると思うと……うぅ……」

「おかーさん?なかないでー」

依頼人は娘が帰ってきたという喜びを感じ、涙を流し続けている。
それを娘がハンカチを出しながら、心配そうに見つめている。

涙を流す母を思いやる娘……この暖かな情景を荘吉は微笑みながら見つめていた……。




鳴海探偵事務所内



荘吉は依頼者と娘の2人と別れを告げ、事務所内へ戻ってきた。

「今日は他に依頼は……無しか……」

荘吉はタイプランターが置かれている机の上にある書類を見ながら呟き、回転する椅子に座り込んだ。

事務所内はミッドチルダの未来的な雰囲気とは違い古ぼけており、古い小説やCDなどがある。
部屋は二つあり、ソファとテーブルのある部屋。
ここは主に依頼人の話などを聞くときに使用する。


もうひとつは荘吉が使用するタイプランターなどが置いてある机のある部屋。
ここでは事件の整理や書類を置いている。
部屋のくぼみ部分にはもちろん就寝できるよう、ベットがある。

そして帽子が5個ほどフックに引っかかっていた。

荘吉は少し休もうとベットに横になったが、数分後、ポケットの中から伝わる振動で眠るのをやめ、体を起こす。


ズボンのポケットに入っているギジメモリと呼ばれるメモリで動く『メモリガジェット』の通信手段などに使えるクワガタ型の携帯電話『スタッグフォン』に電話がかかってきた。

荘吉はスタッグフォンを開け、電話形体にする。

「もしもし、荘吉だが?」

荘吉はスタッグフォンを開き、電話型にして相手の応答を待つ。
相手はどうやら女性のようである。


「フェイトか……依頼?あぁ……あぁ……なるほど、分かった。」



荘吉はスタッグフォンの電源を切ると、ベットから降り、何処かへ出かける準備をし始めた。

「……持ち物はこれと……これか」



荘吉は机の上に持ち物を並べ、整理していく……

その中にドクロのような形で『S』の文字が入ったメモリもあった。


「今日は忙しいな……」

荘吉は少し愚痴をこぼすが『依頼人は自分を頼ってきている、それに答えられるのは自分しかいない』と言い聞かせ、ソフト帽子を被り、事務所を出た……。



[26692] Eを救出!/悲しみの少年
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/01 13:31
エリオ・モンディアルは暗く狭い部屋の中で軟禁されていた……。

「…………。」

何も考えていないかのように、目には生気を感じられない。

表情も上の空のようにボーッとしていて変わることは無い。

腕を縛られ、猿轡をかまされたまま横たわる少年の体と服は洗ってないせいか、ところどころにシミがあり、痣もある。

そして、ずっと研究機関の人間から非人道的な扱いを受けてきたせいか、目つきは6歳の少年には合わないくらい鋭く、他人を拒絶しているような雰囲気をかもし出していた……。

そして彼はすでに死んだエリオ・モンディアルのクローンであり、『プロジェクトF』によってつくり出されていたである……。












Eを救出!/悲しみの少年








「………。」

エリオは何をするでもなく、ただ単に横たわった状態で堅い地面を見つめていた。
その瞳は何を見ているのかは……分からない。
事実を突きつけられ、連れて行かれる『ニセモノ』の我が子を見捨てた両親を思い出しているのか……。

または非人道的な扱いをしてくる研究員たちか……。

「………。」

何もしゃべらず、ただ単に地面を見つめる6歳の少年は、悲しくもあり切なそうでもあった。



『っ!……ぉ!?っ……ぁ……ぃ!!?』

「?」

部屋の外からはなにやら言い争うような音がし始め、エリオは不審に思い眉を寄せたが、どうせまた自分の研究を仲間にバカにされてケンカでもしてるのだろうと思い、あまり気にかけなかった。

『ぉい……!?っ!……!』

「……?」

しかし声は自分が捕らえられている部屋の近くまで来ているようで、男の『何かに』怯えたような声も途切れ途切れだが聞こえてきた

(よっぽど頭にきてたのか?……まぁ、考えてもしかたないか……アイツらの考えることなんて、理解したくもない……!)


エリオは今までの非人道的な扱いを思い出し怒りに顔を歪ませ、研究施設の男たちの変わりなのか、地面を思いっきり睨みつけた。

すると次の瞬間


「ぐぁああっ!」



「!?」

扉をぶち破って白衣を着た研究員が部屋へ転がり込んできた。
エリオは一瞬驚き、扉と研究員を交互に見やる。

そして扉の外れた部屋に、低い男の声が響いた。

「たくっ、手間のかかる奴らだ……ん?ボウズ、お前……」

扉の取れた部屋へ白いズボンに白い上着、はては白いソフト帽子を被った白ずくめの男が入ってきて、エリオに気づき、一瞬身構えたが子供だったのを確認し、近づいてきた。

男の名は鳴海 荘吉、ミッドチルダにしがない探偵事務所を持つ男である。




「!……ぅ!!」

エリオは突然の来訪者を威嚇するように、憎たらしそうに睨みつけ、体から電撃を流し、近づけないようにする。
プロジェクトFによって作られた人造魔導師であるエリオは、電気を扱う魔法ができるようである。
しかし、今までの酷い扱いのせいでほとんど体力はなく、電撃も不安定にエリオの周りを飛び交っている。

荘吉はエリオの傍まで近寄り、左手でソフト帽子を押さえながらしゃがみこんだ。

「やめときなボウズ、そんな悲しみしか伝わらない攻撃は……俺の名は鳴海 荘吉……探偵だ。ある依頼人からの願いで『この施設に捕らえられている子供を助けるのを手伝ってほしい』といわれた。ボウズ、とりあえずここから出るぞ。」

エリオはその言葉を聞き終わると、突然浮遊感に襲われた。
理由は荘吉がエリオを脇に抱え、立ち上がっていたからである。



「ぷはっ!……おい!離せ!離さないと……」

エリオは猿轡と縄を解かれ、荘吉を睨みつけ狼のように吼えたて、先ほどと同じように電撃を身にまとうが……
荘吉はまったく気にする素振りを見せず、目線だけを脇にいるエリオに向け、ため息をつく。

「……俺はさっきも言ったよな?悲しみしか伝わらない攻撃は……やめときな。
俺はそういう攻撃をする人物を多く見てきた……
ボウズ、知ってるか?俺が何人そんなやつらを見てきたか」

「うるさい!お前に指図されたくない!それにそんなの知るか!……お前に俺の気持ちなんか分からない……っ!」

エリオは荘吉の言葉をさえぎり、怒りに身をまかせ大声で吠え立てる。
まるで子供のときから親から、群れから見放され、絶望と孤独しか知らない狼のように……

そして先ほどよりも電撃は威力を増し、荘吉の服は少しずつ焦げていく……だが、荘吉は気にせず走る。

「なら教えてやろう……俺の見てきた数は50人くらい……だったかな。
そしてその中の48人は……救いようのない馬鹿どもでな、そいつらは全員、自分のことなんか他人に分かるはずがないと決め付け








死んだ」


「し、死んだ……!?」

エリオは驚愕の表情を浮かべ、荘吉を見やる。
荘吉は冷静な表情のままで、走りながら言葉を続けた。

「あぁ、麻薬に手をだし死んだやつ。
自殺をしたやつ。
罪もない人々を殺し、死んだやつ……腐るほどいたさ……」

(こ、この人……一体何者なんだよ……)

エリオは荘吉が一体どんな人生を歩んできたのか、少し気になった。
彼はどんな世界で、どんな人を見て、どんな生き方をしたのか……気になった。

「だからボウズ、お前はそうなるな。
お前はまだ若い……辛いことや悲しいことも多くあるだろう……だがその分楽しみもある。
その楽しみをお前自身で掴みにいってやれ。
たとえその体が普通の人間と違っていても、親に見離されていようと……生きろ。
そしていつかお前を否定するやつにいってやれ
『悲しみは人強くする』と」


(悲しみは人強くする……本当かどうか知らないけど……でも……ただひとつ俺にやることができた気がする……『生きる』ってことが)

まだ子供のエリオには荘吉の言葉の意味はあまり分からなかったが、自分の中でやるべきことが一つ、できたように感じていた。
そしてその時の荘吉の表情は、エリオには我が子を暖かく見守る父親のように優しく見えた。




そして、数分走って鉄の匂いと薬品の匂いが入り混じった不快な匂いのする場所に出てきた。
周りは曲線を描いた鉄製のポンプのようなものや、電力を流すためのケーブルなどがあった。


そして一番目立つのがポツンと真ん中にある巨大な階段つきのステージ。
階段とステージの端には白いスロープが見受けられ、ところどころがさび付いてきているようにもみえる。


「……」

「?どうした、迷ったか?」

広い、鉄で出来たステージの下に隠れた。
荘吉は真剣にケーブルの間から何かを見つめているが、エリオは荘吉が迷ったのだと思っていた。

荘吉は数分ケーブルの間からのぞいていたが、何かを諦めたような顔をした。
ただエリオは荘吉が何を見ていたのか分からず首を傾げていた。

「いや……ただ……」


荘吉が言葉を最後まで言うか言わないかのタイミングで

「へっへっへっへっ……」


「!なっ!?」


「いたぞ!侵入者だ!」


「……囲まれていたようだ……」

そう、荘吉が立ち止まったの理由、それは……。

「ネズミさんよぉ!何処にガキ隠したか知らねぇが返してもらおうか!あれは結構金になるんでねぇ……」

周りをタキシードを着た男たちに囲まれていたからであった……。
男たちはギャァギャァと騒ぎながら、あわただしく侵入者(荘吉)を探し回っている。
しかし幸いにも相手は荘吉には気づいているが、体の小さなエリオには気づいていないようだ。


「……」

「ど、どうすんだよぉ!」

エリオは目に涙をため、荘吉の腕の中でジタバタと暴れた。
『また捕まったら酷いことをされる』と経験上の勘で感じていた。



「ボウズ……少し隠れてな……」

荘吉はエリオをそっと地面に降ろし、何処かに隠れるよう指示する。

「……う、うるさい!分かってるよ!」


エリオは隅の出っ張りのある部分に隠れ、荘吉の行動を見届けることにする。
しかしエリオは内心では、どうせ俺を捨てて逃げるつもりだと思っているようで、荘吉を睨みつけていた。

「いいか……終わるまでそこを一歩も動くなよ……」

荘吉は真剣ななまざしでエリオを見つめ、人差し指をピッと立て、動かないように忠告する。

しかし、エリオの予想は外れることとなる。



荘吉は左手で帽子を押さえながら物影から出て行き、男たちの前に進み出て行った……。

「……ネズミ、ってのは……俺のことか?ちなみにガキなら逃がしたぜ……」

(!?あいつ、自分がどういう状況にいるのか分かってんのか!?)

荘吉は上着を脱ぎ捨て横へ放り捨てた後、エリオは逃げたと嘘をついた。
エリオは男たちの力は大体知っており、管理局に指名手配されている極悪なやからも居た。

「……なるほど、逃がしたのか……まぁそれが嘘でも本当でも、こっちとしてはアンタにも逃げられて外(かんりきょく)とかに色々と漏れちゃぁとまずいんでね……だからさ、死んでくれねぇか?……お前ら!やれ!」

男たちの中でも顔の至るところに傷を持ったリーダー格の男が下っ端らしき男たちに命令を言うと、男たちは荘吉に向かい、襲い掛かって来た。


「……まったく、こういうやつ等の相手は疲れる……。」

荘吉は冷静に相手を見ていた。
これまで血の気の多い人間と戦ってきたことも少なくはない。
ましてや組織ぐるみで襲われることも多いほうだった。

「依頼を途中で放りなげるのは探偵として、失格……だからな」

荘吉は自分のポリシーでもあり、心の支えでもある教訓を呟き、
両手を握りこぶしにして、攻撃の構えを見せた。

(な、なんかカッコいい……)

エリオはそんな荘吉が悪に立ち向かう特撮もののヒーローのようにかっこよく見えていた。



[26692] Eを救出!/お前の罪を数えろ
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/03/30 15:45
これまでの話

ミッドチルダに小さな探偵事務所を構えている『鳴海 荘吉』。
彼は新たな依頼を受け、ある研究所から少年を見つけ保護しようとした。

しかし!
タキシードを着た男たちに周りを囲まれ、立ち往生していた……。











Eを救出!/お前の罪を数えろ







「うがぁあああ!!」

「とうっ!」

荘吉は向かってくる右目に眼帯をつけた男の右頬を殴りつけ、横へ吹っ飛ばす。
男は思いっきり殴られ、足を踏ん張ることも出来ず、そのまま床へ転がり気絶した。
荘吉は格闘技などの護身術を覚えているので、肉弾戦は得意分野なのである。

「このやろー!」

「ふっ!」

仲間を一人倒され顔を真っ赤に怒りで染めた男に、後ろからも襲い掛かられたが、荘吉はあせることなく体を回転させ、向かってきた男の顔に左手の甲で殴りつけた。
男は数秒宙に浮いていたが、すぐに地面と激突し、気を失った。

「うおおおお!」

「とるぅぁああああ!」

「は!……ふっ!」

荘吉は向かってくるタキシードの男たちを階段の半ばまで降り、スロープに捕まりながら2人の男を蹴り飛ばし、

「でああああ!!」

「でぁ!」

後ろから向かってきた男を階段の上から背負い投げして地面に叩きつけた。

3人男たちは軽く痙攣を起こしているようだったが、悪に手を染めたのが運の尽きというやつだろう。

そして……タキシードの男は最後の一人だけになった。

「う、うぉあああああ!!」

男は自分ひとりになってしまい、不安が大きくなり、ほとんどがむしゃらに腕を振りながら荘吉に向かってきた。

「冷静さを欠くと……人間失敗するもんだぜ……」


「へっ?……あ、あああぁああ!」




荘吉の強さと残りは自分一人になってしまった恐怖で男はほとんど周りが見えなかったため、軽く横に退いた荘吉に足を引っ掛けられそのままスロープの上を回転しながら越し、床に落ちて気を失い伸びた。

「つ、強い……」

エリオは目の前の男の強さに圧倒され、少し笑顔になり目の輝きを取り戻していた。


「これで終わりか……?」

荘吉はスロープを飛び越え、周りを見渡しながらエリオに近づいた。
エリオも少し警戒し、顔を前後左右に忙しなく動かしたが、
周りは気絶した男たちばかりで、今は特に襲われる心配はないようだ。



「よし、ボウズ。今のうちに逃g」

「そこに誰かいるんですか!?」

するとエリオたちのほうに向かってくる数個の足音と女性の声が聞こえた。


「!?ま、またかよ!」

エリオは後ろからはまた鉄を踏む音が聞こえ敵だと思い身構え、鋭いまなざしでにらみつけた、が、そこに来たのは……



「大丈夫ですか!?荘吉さん!」

「フェイトか……そっちの方も大丈夫か?」

少し息を切らせながら、一人の女性が心配そうに荘吉に聞いてきた。
荘吉は女性のことを知っているのか、ほっとため息をつき安心して、女性に近づいて話しかける。


大人しそうな顔立ちの金髪のツインテールで、黒いマントと黒い服、そしてディバイスと呼ばれる道具の一つ、『バルディッシュ』を持った女性『フェイト・T・ハラオウン』と数名の管理局員が来た。

彼女は若干14歳にもかかわらず、元ある素質と努力の結果、時空管理局の新米執務官になっていた。
荘吉とも、中学のころからの知り合いで、今回彼に依頼を申し込んだのも彼女である。
それほど荘吉は信頼できる探偵、ということだろう。


「え?……知り合いなのか……?」

エリオは荘吉に不安そうに尋ねると、荘吉はただ一言「あぁ」と言い、そのままフェイトに近づく。
慌ててエリオも荘吉の後ろに隠れながら歩み寄る。


「フェイト、色々と捜索していてこのボウズを見つけた。とりあえず保護をしてもらえるか?」

「ボウズって、彼のことですか?……この子、体中傷だらけですね……酷い……キミ、大丈夫?」

フェイトは荘吉の後ろに隠れているエリオを見てたずねると、エリオはまだ信用しきれていないのか軽く警戒しており、顔は険しいままである。
それでもフェイトはエリオに向けて「私はキミの敵じゃないよ」と笑顔で言った。
フェイトの母性あふれる笑顔にエリオは一瞬ドキッとしたが、すぐに荘吉の後ろに隠れ、心情を悟られないようにした。

フェイトは時空管理局でもかなり美人の部類に入る。
この年でも少々人見知りするのがたまに傷だが、細かい気配りができ、先ほどのような笑顔で落ちる男局員も少なくない。


「そういえば名前を聞いてなかったな……ボウズ、お前……名前は?」

荘吉は帽子を左手で押さえながら後ろを向き、エリオの目線までしゃがみ、名前を聞く。
エリオは一瞬言うべきなのか迷い目線を忙しそうに彷徨わせたが、自分の名前を言うことにした。

「エリオ……エリオ、モンディアル……」

恥ずかしそうに俯きながらエリオは自分の名を言った。
荘吉はエリオが答えてくれたことに笑顔で「よく言ったな、ありがとう」と礼をいい、立ち上がった。


「へぇ~、エリオって言うんだ……カッコいいね♪」

フェイトはエリオの頭に右手を置き、笑顔のままで頭を撫でる。
エリオは一瞬ポカンッとした表情を浮かべたが、すぐに顔を真っ赤にさせ

「!な、なにしてんだよ!?」



照れた。

エリオは突然フェイトに『カッコいい』と褒められ、頭を撫でられたのに驚き、すぐさま後ろに引く。

「え?なにって……撫でてただけなんだけど……いや、だったかな?」

フェイトは可愛らしく首をかしげ、エリオに問いかける。
どうやらフェイトは頭を撫でたことに悪気はないようで、『ただ撫でただけ』という理由のようだ。


「あ……う……うぁぁ……」

大人のしかも女性に頭を撫でられたのは母親ぐらいしか知らない少年は、顔を赤く染め照れていた。
まだ女性を良く知らない少年としては、当然の反応とも言えるだろう。
その様子に荘吉には微笑ましく感じた。

「さぁ、早くここから出よう。追っ手が来るかもしれない」

荘吉は顔を険しくし、左手で帽子を深く被りなおし、全員で逃げようとした









「逃がしませんよ」

「「「「!?」」」」

奥のほうからメガネをかけたひょろ長い白衣男が現れた。
男の顔は雪のようにとまではいかないが白く、病弱的に見えた。

「ふひひひ……」

男は不気味に笑い、鉄を踏む音を響かせた。
カンッ、カンッという足音が近づくとともに、緊張で荘吉たちの心音も大きくなる。

「まだ人が……!?」

「それも……かなりタチの悪そうなやつだな……」

施設内にまだ敵がいることに全員少し驚いていたが、男に向かって身構えた。

フェイトはバルディッシュを構え、少し後ろの武装した局員たちも構えた。


空気はほんわかとしたものからピリピリとした張り詰めた空気に変わった。



「くくくく……」

男はそれを見て愉快そうに笑い、白衣のポケットからUSBメモリのようなものを取り出す。
荘吉はメモリに見え覚えがあるのか、顔を少し傾けメモリをよく見ようとした。

そして……

『ドクター!』

「ぬんっ!」

メモリのようなものを、左肩付近のコネクタにメモリを挿入する。
男は少し苦痛に顔を歪ませたが、すぐに体が変化し始めた。


「あ、あれは!?」

「ガイアメモリ……ということはドーパントか」

エリオはドーパントやガイアメモリについては知らないらしく、変化した男の姿に目を見開いて驚愕して、後ずさりしていた。
しかし、荘吉はドーパントを倒すこともしているので、特に驚く様子は見受けられない。
しかし、表情は依然険しいままである。


「どうですか、私のこの姿?これこそ!魔法を越えた究極の力だ!」

男は両腕を大きく開け、大げさに振舞う。
『医者の記憶』を持つガイアメモリを取り込み、白を強調し、背中には数本の注射とメスなどの手術道具が円を描くようにそろっている異形の怪人『ドーパント』へと姿を変えていた。

「さて……私の『研究材料』を、返してもらいましょうかぁああああ!!」

男は研究員らしく、エリオの返還を要求してきた。
ドクター・ドーパントは背中からメスを取り出し、荘吉たちに襲い掛かってきた。

だが荘吉はその言葉を聞いたとき、自分の中の何か切れた音を感じた。

「研究、材料……だと?

残念だがこいつは研究材料なんかじゃない……感情を持った立派な『人間』だ……」

荘吉は静かに怒気を含ませた言葉を放ち、「少し下がっていろ」とフェイトたちを下がらせる。

「荘吉さん……」

フェイトは少し上ずった声で荘吉の名前を呼ぶ……
荘吉は顔を少しフェイトたちに向けた後、ドーパントに向き直った。

フェイトはまだ不安そうな表情をしていたが、すぐさまエリオを抱きかかえ、局員たちと共に距離を置く。

「はっ!魔力も持たない貴様に、何が出来る!」

ドーパントはそのまま気にするそぶりも見せず、メスを振り回しながら向かってくる。

荘吉は左手で帽子を取り、男を睨みつけながら

「何が出来るだと?……まぁ、キサマの顔に一発パンチをぶち込んでやれるな」

「はぁ!?」

ドーパントを挑発した。

ドーパントは意味が分からない様子だったが、荘吉は『ロストドライバー』と呼ばれるベルトを取り出し、腰に巻きつけ、右手にドクロのような形をした『S』の文字が書いてあるメモリのボタン部分を押すと音声が流れた。

『スカル!』

「変身……」

荘吉は言い終わると、ロストドライバーの右側にメモリを入れた。

「!?ガイアメモリ!?」

ドーパントは驚き、足を止め一旦動きを止める。

(な、何者だ!?あいつ!)

ドーパントはガイアメモリを持つ荘吉を観察するように睨みつけた。

『スカル!』

荘吉はそのままスカルメモリの入った部分を人差し指と中指で外側へはじき出すように腕を開けると周りに黒い粒子のようなものが現れ、荘吉の体を包み込んでいく……

「あ、あれは……?」


「な……なんだ!お前は!?」



ドーパントだけでなく、エリオもその姿に驚いて目を見開いていた。

顔はガイコツのような形で色は銀色で瞳は大きく黒色、額の真ん中あたりには頭頂部に向かって角ばった『S』のような文字を示すキズ。
首元にはボロボロの白いマフラーが変身した時の風圧で軽くなびいており、
体は黒く銀色のラインの入ったガイコツを連想させるような姿になったからだ。

『骸骨の記憶』から生まれるハードボイルドなHERO……

名は……

「俺か?俺の名は仮面ライダー……スカル」

スカルは左手に持った帽子を静かに被りなおすと、手の人差し指をドーパントに向け、手首を返し、こう言った。

「さぁ……お前の罪を……数えろ」

(か………カッコいいーー!!)

「荘吉さん!がんばって!」

エリオはもうボルテージMAXなようで、渋カッコいいスカルの姿をこれでもかと言うぐらい脳裏に焼き付けようとしていた。
って言うかものすごい笑顔である……。

しかし、それに相対するように、スカルとドーパントの戦いをいくつも見てきたフェイトはスカルが心配のようで、表情は不安で険しくなっていたがスカルを応援していた。

「す、姿を変えたぐらいでぇ……図に乗るなぁああああ!!」

ドーパントは体を大げさに振り乱し、怒りをあらわにした。
そして飛び上がり、メスをスカルに思いっきり振り下ろす。

はずだったが



「ふっ!」

「なっ!?ぐああああ!」

スカルの武器でもある銃『スカルマグナム』の銃弾を受け、勢いをなくし床に墜落してしまった。


「く、くそぉおおお!!」

ドーパントの攻撃を受けた場所からはモクモクと白い煙が起っている。
体勢もふらふら揺れ、弱弱しくなっており、攻撃は効いているように見える。

そしてドーパントは立ち上がったが攻撃を受けたことで逃げ腰になり、施設の壁をメスで切り裂き、人一人出られるような巨大な逃げ穴を作り出し外に逃げ出した。

「逃がさん!」

スカルはすぐさまドーパントのつくりだした穴をくぐり、ドーパントを追った。



[26692] Eを救出!/これで終わりだ……
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/03/29 21:42
これまでの話

タキシードの男たちを倒した荘吉たち……

そこに忍び寄る新たな足音!
しかし、それは依頼人でもあり時空管理局の新米執務官のフェイトと同行していた数名の局員のものだった。

仲間と合流し、施設を出ようと提案した矢先、本当の敵が!

エリオを『研究材料』と呼ぶ研究員の男はガイアメモリを所持しており、超人『ドーパント』へと姿を変えた。

しかし、エリオは立派な『人間』だと怒りながら主張する荘吉。
彼は『仮面ライダースカル』へと変身し、ドーパントを追いかけていた……。











Eを救出!/これで終わりだ……










「ハァ、ハァ、ハァ……な、ナンなんだよあいつ!?」

ドーパントは走りすぎて息が上がっており、肩が忙しなく上下に動いている。
声もスカルの力を見せ付けられた恐怖と走って逃げてきた疲れで上ずっていた。

施設から逃げ出したドーパントは木々が生い茂る森林に逃げ込み、逃走をはかっていたようだ。
この森林はかなり見通しが悪く、たとえ追ってきていたとしても見失っているだろうとドーパントは予想……いや、確信していた。
そして息を整え、速くここから逃げようと一歩踏み出した瞬間












「鬼ごっこは終わりか?」

「!?……な、あぁ……!」

その確信は上から聞こえた声で粉々に崩れ落ちた。

ドーパントはすぐさま上を見て、木の枝の上に立っているスカルの姿を認識した。

「とうっ!」

スカルは帽子を左手で押さえながら、登っていた木の枝から華麗に飛び降り、着地した。

「お……お前……どうして!?」

ドーパントはこんな見通しの悪い場所でどうやって追いついてこれたのか分からないようで、驚きながら逃げようと後ろへ後ずさったが、恐怖でうまく足が動かずこけてしりもちをついてしまった。

「どうしてつけて来れたのか……だろう?答えてやるよ……」

スカルはそういうと右手の人差し指でドーパントの右肩をさす。
そこには100円玉くらいの大きさで、その中にいくつもの丸が射撃の的のように重なり、中心の部分が赤くチカチカと間を置いて光っているものがあった。

「こ、これは!?」

「そう……『発信機』だよ……」

スカルがそういうと肩には黄色いクモのようなものが乗っていた。
これはメモリガジェットの『スパイダーショック』という道具で、元は腕時計の形をしているが、『スパイダー』のギジメモリを挿入することにより虫型形態に変形する。
主に高い崖から落ちそうになったとき、本体から射出型のワイヤーを噴出して落下を防いだり、相手に発信機をつけることで『電波受信機』として機能するので、ターゲットを追跡することも出来るのである。

「く……くそぉ!くそぉおおお!!」

ドーパントは怒りで体を振り乱し、近くに生えていた木を数本なぎ倒した。
倒れた木は鈍い音を立てて横になった。

「お前は俺からは逃げられんぞ……俺は地獄の底までも憑いていってやる」

「ひ、ひぃいい!うがががっ、がっ!」

ドーパントはスカルから逃げようとあわただしく体を起こして立ち上がりスカルとは逆方向に逃げようと走りだしたが、スカルマグナムの銃撃を受け、前のめりに倒れてしまう。

それでもドーパントは逃げようと立ち上がるが、スカルはドーパントに近寄り、肩をつかみ、自分の正面に向きなおしさせて、攻撃をしかけた。

「ふっ、でぇ!だぁ!」

「ぐふっ!おごぉ……!」

スカルはドーパントに左フックを喰らわせ、続けて右腕を大きく後ろに引き、強烈なラリアットをドーパントの喉元に喰らわせた。
ドーパントは強烈な攻撃を続けて受け、ラリアットで後ろへ大きく飛ばされ、転がった。

『スカル!マキシマムドライブ!』

スカルはロストドライバーのメモリの挿入口を内側に持ってきて、右手に持ったメモリをスカルマグナムのメモリ挿入口に入れる。

『マキシマムドライブ』……
これをドーパントに喰らわせることでメモリを体内から取り出し、元の人間と体内に取り込まれていたメモリを体外に追い出し2つに分裂させ、おまけにメモリを壊すことも出来るのだ。
このことを『メモリブレイク』と言う。

「これはエリオの心と……体と……未来を傷つけた、罪だ」

スカルは機械音が鳴り響くスカルマグナムをドーパントに向け、

「い、いやだあああああ!!」

ドーパントは注射器を何処からか取り出し、球体型のエネルギー弾のようなものを注射器の針の先から生み出し、スカルに向けて数個撃ち放つ。

「これで終わりだ……」

引き金を引いた。


ドーパントのエネルギー弾は無残にもスカルマグナムの銃弾にかき消され、残像だだけが数秒残り、消えた。

「ぐ、ああああああ!!!」

そしてドーパントの体に火花を上げながら当たる銃弾。
その強烈な銃弾にドーパントも耐え切れず、後ろへ吹き飛ぶ。

吹き飛んだドーパントは電撃を体に纏わりつかせながら立ち上がるが、次の瞬間大きな爆発音とともに「ぎゃああああ!」という男の断末魔が聞こえた。

「……」

スカルはスモークの架かる中、倒したドーパントがいた場所に近づいていく。
そして、ドーパントの体にモヤのようなものが架かった後、そこには白衣を来た男と煙を上げて粉々に壊れたガイアメモリがあった……。













「荘吉さん、手伝くださってありがとうございます……」

フェイトはあの後荘吉から事の終わりを聞いて、キレイな金髪を風でなびかせながら礼をした。

「これで依頼は終わりだな……ん?」

荘吉は事前に乗って来ていた愛車のバイク『スカルボイルダー』にまたがり、事務所に戻ろうとしたところ、モジモジと可愛らしく顔を赤くしたエリオが局員に渡されたのであろうタオルで体を包みながら近づいてきた。

「え……えっと……その……」

「ほらエリオ」

エリオは何かを言いたそうにチラチラと荘吉を見ていたが、フェイトに笑顔で後押しされ、荘吉の目を目を見て、

「あ、ありがとう!!……~~っ!!」

「ほぅ……」

エリオは荘吉に自分からお礼を言いたかったらしく、顔を赤くさせながら上ずった大声で荘吉に『ありがとう』とお礼を言った。
しかし恥ずかしいらしく、言った後はタオルで自分の顔を隠してしまった。

荘吉としてはエリオにお礼を言われるのはサプライズだったので、一瞬面食らったように驚いたが、すぐに笑顔になり、エリオを見つめた。

「エリオ……」

「~~~!……?」

エリオは荘吉に自分の名前を呼ばれ、次になんと言われるのか少し不安に思ったが、ふいに頭に何かを乗っけられた感触に不思議に思い、載せられたものにオドオドとしながら両手を伸ばし、触れてみた。

「これって……」

エリオは両手で頭に乗せられたものを自分の目の前に持ってきて、それが何かを理解すると、キラキラと目を輝かせ笑顔になった。

「エリオ、おまえはそいつが似合う男にいつかなれ。
そして、それが似合うようになったときが……お前が『強く』なった証拠になる。」

荘吉はヘルメットを被り言うと、スカルボイルダーのエンジンを鳴らし、現場を後にした。


「はいっ……!」

エリオは遠くなって行く荘吉には届かないだろうが、それでも自分の決意を曲げないように大きく返事をした。


そして、保護施設へ向かうように指示したヘリに乗ったフェイトが言うには、エリオは荘吉から渡されたものを被ったり眺めたりして終始笑顔で送られたそうだ……。












エリオが荘吉から渡されたもの……それは荘吉が被っていた白い山折のソフト帽子であった……。




そして場所は変わって鳴海探偵事務所。

の荘吉の机の上には書類が一枚置いてあり、タイプランターで打ったようで紙に英語でこう書いてあった。

(翻訳)
依頼人【フェイト・T・ハラオウン】

依頼内容【とある施設に捕らわれている子供を助けてほしい】

依頼報告【成功(帽子を一つ救助した子供に渡したが、それは以外は特に異常はない)】





そしてベットには……

「……」

仕事で疲れた荘吉が仰向けに別の白い帽子で顔を隠しながら眠っていた。



[26692] 遊園地でP!?/双子の姉妹
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/03/30 17:37
これまでの話

施設を捨て、逃げ出した『ドクター・ドーパント』を追ったスカル。

ドーパントはスカルの強さに逃げ腰になり、逃走を計るが、スカルの『マキシマムドライブ』を喰らい倒された。

かくしてエリオも荘吉の『漢』らしさを見せ付けられ、憧れと尊敬が芽生えていた……。











ある日の朝……

依頼は突然やってくる……









遊園地でP!?/双子の姉妹










「ねーねー!おやっさん!」

「……スバル、ゲンヤの言い方を真似するなよ……」

「すいません荘吉さん、いつも言って聞かせてるんですが……こら!スバル~!」

鳴海探偵事務所には青い髪の毛をしたボーイッシュな少女と紫っぽい髪の毛のしっかりしていそうな大人びた感じの少女がいた。

性格は違うが顔つきが似ているこの2人、実は姉妹である。

青い髪の少女は妹の『スバル・ナカジマ』と言う。
膝より少し上まで切れている短パンを穿いており、服も女の子が着るシャレた感じの服ではなく、男の子が着るようなものだった。
しかし、スバルにはそれが一番良く似合うようで、違和感は特に無い。
書類を置いている机の椅子に座る荘吉の膝の上に乗り、嬉しそうな顔で話しかけていた。

一方、紫の髪の毛の少女は姉の『ギンガ・ナカジマ』。
こちらはボタンがついている白いワイシャツのような服を着て、かわいらしいワンピースを穿いており、スバルの服とは打って変わって女の子らしいものであった。
荘吉に妹の言動を謝り、妹を叱り付けた。

ちなみに『おやっさん』と言う呼び方は、このナカジマ姉妹の父親である『ゲンヤ・ナカジマ』が荘吉を呼ぶときに言うあだ名のようなものだ。

こう呼ぶ理由はゲンヤ曰く『これのほうがなんか呼びやすいから』らしい。
自分の娘(スバルの方)が真似するのは予想外だったらしいが……。

(ゲンヤめ……またなにか奢らせるか……)

荘吉は頭の中でへらへら笑う白髪のゲンヤを想像し、少しひどい事を考えていた。
エリオを救出したときのカッコいい時とは大違いである……。

「おやっさん!私ね、遊園地に行きたい!」

「ん?あぁ……ま、ゲンヤから頼まれた依頼でもあるし、俺も今日は少しハメを外すか……」

スバルは膝の上で大きく円を描き、キャッキャッとはしゃいでいる。
おそらく描いた円の意味は遊園地の観覧車のつもりだったのだろう。
まだ幼いスバルの笑顔はとても母性本能をくすぐられるものがある。

荘吉もミッドチルダで探偵事務所を開いてからはあまり休みを取っておらず、今日は依頼も兼ねてこの2人を遊園地へ連れて行くことにした。

ちなみになぜ『依頼』なのかと言うと、それは少し前にさかのぼることになる……












少し前の話

「娘を預かってほしい?」

「おぉ、そうだ」

ソファの部屋には白髪を生やした中年の男性『ゲンヤ・ナカジマ』が書類を片付ける荘吉と話しており、ナカジマ姉妹は大人しくちょこんと座って

「これすごくおもしろーい!」

「スバル!静かにしなさい!」

……いなかった。主に妹が。

スバルは事務所内の物……と言うかメモリガジェットを虫型形体にして遊んでいた。
もちろん姉であるギンガは妹の落ち着き無い態度を鬼の形相で叱り付けた。
スバルもギンガの恐ろしい形相に涙目になって、小さくごめんなさいと呟いてソファにしぶしぶ座った。

さすがはおねえちゃんである。

(ゲンヤ……ギンガはクイントに似てきたな……)

(あぁ、家でも結構厳しいんだよ……ま、小さな嫁さんだと俺は思ってるよ)

大人2人は子供たちに聞こえないようにコソコソとしゃべり合っていた。
ちなみに2人の母親であり、ゲンヤの妻でもある『クイント・ナカジマ』
彼女は荘吉とも何度かあっており、一緒に飲みに行くぐらい仲は良かった。

しかし、彼女は仕事の最中、最近出没してきたガジェットなどと戦闘し、殉職してしまっていた。
ちなみにこの事件はほとんど詳しい内容が発表されておらず、遺族でもあるゲンヤも、この事件についてはほとんど何があったか聞かされてはいなかった。

「……で、話を戻すが……

娘を預かってくれと言うのは、どういう意味だ?」

荘吉はソファの背もたれには寄りかからず、体を前のめりにしてゲンヤに聞く。

「あぁ、実はなぁ……今日は久しぶりに休みをもらったから娘たちと出かける予定を入れてたんだ。
だが緊急でな。今から行かなきゃならなくなった。
だからお前に娘たちを預けに来たんだ。」

「正しく言い換えれば、『俺の変わりに娘たちを連れ出して、遊ばせてやってくれ』……と言いたいのか?」

「そう、それ。ちなみに遊園地に行く予定だったんだ……今日いけたら何年ぶりかの遊園地だったのに……」

ゲンヤは地面にorzな感じで滝のように涙を流し、悔しがっていた。
それを荘吉は苦笑いで見つめ、少し考え込んでいたが……

「良し、その依頼、受けよう……」

依頼を引き受けることにした。

「おぉ!?本当か!……俺の変わりに楽しんできてくれ……」

ゲンヤはその言葉を聞くと一瞬顔をほころばせたが、やはり自分も遊園地に行きたかったのか、まだ目に涙を浮かべ、自分が行けないことを引きずっていた。
ゲンヤの周りにはどんよりとした暗い影も見えてくるほど、落ち込んでいる(悔しがっている?)ことが見て取れた。










「ギン姉!見てみて……くもーー!」

「きゃーーー!ってそれ本物じゃないでしょ!」

スバルはもう大人しくすることに限界が来たのか、ソファから降りてスパイダーショックを自分の後ろに隠し、ギンガを驚かせようと目の前に差し出す。
ギンガはノリツッコミみたいな感じでツッコミ、妹を叱る。
しかし本気ではないらしく、少々笑顔で怒っていた。

こっちはこっちで楽しんでいたのであった。











遊園地

ミッドチルダにある遊園地は、親子で来ている人もいれば恋人、家族で来ている人もおり、賑やかだった。
周りを見ればソフトクリームや綿菓子が売ってある店もところどころにあった。

「ねぇねぇパパ!こんどはジェットコースターに乗りたい!」

こちらは親子で遊園地に来ているようで、少年は父親の服のすそを引っ張り、楽しそうな顔でジェットコースターを指差した。

「おぉ、いいぞ~!でもびびりすぎて漏らすなよ~?」

「む~!ボクもうそんなくらいじゃおもらししないよ~!」

少年は父親にバカにされた気分になり、顔をふくらませ少々ご立腹の様子だった。

「ふふっ、2人ともケンカしちゃだめよ?」

その様子を見て、母親は少し楽しそうに父子に注意した。










「……」

そして、遊園地のベンチには恨めしそうに周りを睨みつける男が座って居た……。



[26692] 遊園地でP!?/食べすぎシスターズ
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/03/30 22:42
これまでの話

時空管理局の知り合いゲンヤに依頼として預かったスバル、ギンガのナカジマ姉妹を遊園地に連れて行くことにした荘吉。

しかし、荘吉たちが向かう遊園地には怪しい影があった……。













遊園地でP!?/食べすぎシスターズ











「わーい!ゆーえんちー、ゆーえんちー!」

「スバルー!あんまり遠くに行っちゃダメよ~!」

ミッドチルダの遊園地にやって来た荘吉たち。

スバルは遊園地の入り口ゲートをいきおいよく通った後、笑顔でくるくると回って喜びを表していた。
ギンガはもちろんそんな妹が心配で、注意するのだが……

「うわ~!あ!観覧車だー!」

スバルは何処吹く風と言う感じで、ギンガの注意など聞いてはいなかった。

「スバルは元気だな……しかし今日は人が多いな……」

「はい……スバルが何処かに行ったら見つけにくいですよ……」

荘吉は入り口ゲートからゆっくりと通って来て、ギンガの隣に立った。
荘吉はいつもの白いスーツではなく、ネズミ色スーツに黒い縦のラインが入った外出用の渋いものを着ていた。

「まぁ、その時はこいつで探せばいいさ……」

と、荘吉は肩に乗せているスパイダーショックをギンガに見せる。
どうやらスバルが迷子にならないように、発信機をつけておいたようだ。
ギンガは「そうですね」と、微笑み、荘吉とともに歩き出す。

「ギン姉!これ面白いよ!」

「え~?あ!?ホント!面白い!」

スバルは入り口ゲートの近くにあったボードゲームが面白かったようで、ギンガを呼び、一緒に楽しんでいた。

「ふっ……来て正解だったな……」

荘吉は軽く笑みをこぼすと、スバルたちに近寄った。









ヒーローショー会場

荘吉たちが来ている遊園地には今日ヒーローショーが開かれており、親子連れの人が多くいた。
舞台もそれなりに広く、背景はごつごつとした岩の模型などで彩られていた。

「おかーさん!次元ヒーローミッドマンまだ来ないの~?」

「まだよ~ミッドマンはね、悪の組織と戦ってて今は忙しいのよ。もうすぐ待っていれば来てくれるわ」

「そうだぞ~ミッドマンは強いけど、ここに来るにも時間と体力がいるんだ。
お前もミッドマンみたいになりたいんだったら、少しくらい耐えるんだ」

「うん!ボク、ミッドマンが来るまで待つ!」

ヒーローショーはまだ開始されていないようで、ところどころでザワザワと楽しく話合う声が聞こえる。


「………私が居た時はこんなに遅くはなかった……っ!」

しかし、舞台を恨めしそうに睨むフードを被った男が居た……。













「はむ!はむっ!ん~~、おいし~!」

「ホントね、ここのスパゲッティすごくおいしい。」

スバルとギンガ、そして荘吉はある程度遊び回ったようで、少し早めの昼食を食べていた。

「……あぁ、確かにうまい……うまいんだが……」

荘吉はスパゲッティを巻いたスプーンを口に運ばずそのままくるくると回していたが、テーブルに顔を向けると


「これは少し……食べすぎだろう?」

「「ふぇ?」」

荘吉が言うと、スバルとギンガは口いっぱいにスパゲッティを含み、不思議そうな顔をしていた。


スバルとギンガ……彼女たちは顔つき以外にも似ているところがもう一つあった。
それは……


「これでもう……30人前だぞ?」

テーブルに重ね上げられた少し大きめの皿……
それも全部と言っていいほどスバルとギンガの分であった。
スバルは食べ盛りと言うにも限度があるほど食べており、皿は16枚
ギンガは13枚だった。
もちろん荘吉は1枚である。

どう考えても2人が食べすぎであるが……


「でも、まだ食べられますよ?」

「後10こぐらいたべられるよ~」

(……この2人の胃袋はどうなってるんだ……)

荘吉はまだまだ余裕の表情をしているナカジマ姉妹を見て、苦笑いしか出来なかった。


「はぁ……ん?」

自分の分のスパゲッティを食べるのを止め、荘吉はふと遊園地の広場らしきところを見た。
すると、フードを被ったいかにも怪しい格好の男を見つけたのである。

「……今日は休みをとった意味もない……か?」

荘吉はしぶしぶと席を立つと、2人に「少しここで待っていてくれ」と言い残し、男の後を追った。










「……」

男は人気のない場所まで来ると、近くのコンクリートの影に隠れ、着ているコートのポケットから何かを取り出す。

「これで……あの不真面目なヒーローショーを……」

『パイレーツ!』

男が取り出したもの、それはガイアメモリだった。
男は服を上にずらし、右腹にあるコネクタにメモリを挿入する。

「く、ぅぅぅうううおおお!」

すると男の姿は見る見るうちに変わっていった……


「う……あぁ……」

男の姿は顔はガイコツ、頭には海賊が被っているフチが左右に尖っている帽子を被っており、腰には左側のホルスターに銃、右側には剣を持っていた。

「ふ、ふふふ……この力さえあれば……」

『パイレーツ・ドーパント』は白い革の手袋をはいた自分の手を見つめ、小さく呟いた。













「やはりドーパントだったか……」

「!だ、誰だ!?」

ドーパントは後ろから男の声が聞こえ、体を強張らせたがすぐに振り向いた。
そこには帽子で顔を隠しながら近づいてくる荘吉の姿があった。

「休むに休めないな……変身……」

『スカル!』

荘吉は顔を少し上げると、取り出したロストドライバーを腰に巻きつけ、スカルへと変身した。


「さぁ……お前の罪を……数えろ」

スカルはお決まりのセリフをポーズとともに言うと、ドーパントへと走りよった。



[26692] 遊園地でP!?/HEROは誰だ
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/03/31 22:47
これまでの話

依頼として預かったスバルとギンガを遊園地につれてきた荘吉。

しかし、『ヒーローショー』に異常な恨みを持つ男がドーパントとなったのを目撃し、戦っていた……。





















遊園地でP!?/HEROは誰だ











「はっ!」

「ぐっ!このぉ……!」

スカルはドーパントに向けて強烈なパンチを放つ。
ドーパントは攻撃を喰らい、後ろへ数歩引き下がり、悔しそうに呟いた。

「お前、なぜガイアメモリを持っている?」

スカルは男に向けて、落ち着いた声で問いかけた。

「はんっ!そんな事、誰が言うか!」

ドーパントは右手に剣、左手に銃を持ちスカルに襲い掛かってくる。

「ふっ!たぁ!」

スカルは剣と銃弾を素早く避けていくが、

「おらっ!」

「がぁっ!……ぐっ……」

攻撃を全てはうまく避けきれず、何発か銃弾を喰らってしまった。
スカルの胸部からは白い煙が起っており、喰らったことが見て取れる。

「こっちもあんまり時間がないんでねぇ……」

武器をしまったドーパントはそういうと、何処からか球体型の爆弾を取り出してきた。

「!?」

「これでも……喰らっとけ!」

ドーパントは勢い良く爆弾を投げ、地面に落とす。

「っ!……これは……煙幕!?」

スカルは両腕をクロスさせ、防御の姿勢をとったが爆弾がただの煙幕を出すものと分かると驚いたように顔を左右に動かした。

爆弾からはモクモクと赤・青・黄の様々な色の煙幕が立ち昇り、ドーパントの

「くそ、この大量の煙幕でやつが見えない……」

「はははははー!じゃーなー!」

ドーパンとはそういうと、何処かへ走り去ってしまった……。
スカルにはドーパントに逃げられた悔しさだけが残った……。





















「ねぇねぇ、ギン姉。おやっさんは何処まで行ったのかなぁ?」

「さぁ……もしかして何かのトラブルに巻き込まれたんじゃ……」

店に残されたスバルとギンガは、荘吉が中々戻ってこず心配しているようだった。
現に椅子に座っているスバルの足は落ち着き無くぶらぶらと前後に揺れており、ギンガも胸のあたりで両手を組んで、荘吉の無事を祈るようなポーズをしていた。

「……」

「……」

さすがの元気が自慢のスバルも、こればかりは暗い雰囲気になり、俯いていた。

「すまなかったな、スバル。ギンガ」

「!おやっさんだ~!」

「荘吉さん!?大丈夫ですか!?何処か痛いところは?」

しかし荘吉が現れたのを確認すると、二人とも安心したのか、少し笑顔になった。
ギンガに関しては荘吉の体をポンポンと叩いて体に何か問題がないか確かめるほど心配だったようだ。

「あぁ、特に悪いところはない……だが、やつに逃げられたのだけは、少し痛いな……」

「やつ……ですか?」

ギンガは悔しそうに眉を寄せる荘吉を見て、「どうゆうことですか?」と言い、話を聞く事にした。

「あぁ、実はな……」

荘吉もギンガの少し真剣な態度を見て、先ほどあったことを話すことにした……。

















ヒーローショー会場

「皆ー!遅れてすまないかった!俺は悪を倒し、正義を貫く……次元ヒーローミッドマン!」

会場ではヒーローショーが開始されたようで、舞台には某五人組戦隊の赤い戦士の服と右腕が取れる某改造人間の口が出ているヘルメットをつけている戦士がいた。

「ミッドマーン!」

「すげー!俺近くで本物見るの初めてー!」

会場の子供たちはミッドマンが来た瞬間からはしゃいでおり、席を立ってまで見ようとする子供もいた。

「皆、今日は悪の組織『KILA(キラー)』の怪人を倒すのに手間取ってね。
でも、もう大丈夫だ。安心してくれ!」

ミッドマンはパンチやキックをするポーズを使い、身振り手振りで怪人をやっつけたことを子供たちに語った。

そしてこの次に悪の組織KILAのボス『エラー』の声がして、怪人を送り込んでくるストーリーになっていた。

(そろそろ声優がしゃべる頃合だな……)

ミッドマンの中の俳優は予定通りに進むと思っていた……


だが



「そうか……なら俺が相手をしてやろうか?……このヒーローショーの従業員、全員をなぁ!」

「!?だ、誰だ!(こ、こんなセリフじゃなかったはずだぞ!?一体誰が……)」

ミッドマンの俳優は、いきなり聞こえた声に驚き、顔を前後左右に動かし辺りを見回した。

「はっ!」

すると先ほどスカルと戦っていた男が舞台へ上がりこんできて、中央にいるミッドマンに近づいた。

「はっ!なんだなんだぁ?ここのヒーローショーは、やっぱり俺が主役じゃねーと盛り上がらねぇみたいだなぁ!」

「あ、あんたは!?(この前クビになった俳優じゃないか!?)」

ミッドマンはいきなり現れた人物が元同僚だったことに驚きを隠せなかった。

「俺と変われ」

『パイレーツ!』

男はメモリを使い、ドーパントへと再び姿を変えた。

「なっ!?ほ、本物のバケモノぉ!」

さすがに戦士でも超人でもなんでもないミッドマンは腰を抜かし、ドーパントから距離をとろうとしたが、

「おいぃ、それは酷いんじゃないかぁ?こうやって元同僚がわざわざ会いに来てやったって言うのによぉ……」

しかしドーパントもミッドマンから距離を置くつもりは毛ほどないようで、少しずつだが近づいていく。

「ミッドマーン!何してるんだよぉ!」

「早く怪人を倒してよぉ!」

しかし何も知らない子供たちは強い『次元ヒーローミッドマン』を応援していた。
だが少し皮を剥けば特撮に出てくるヒーローも、現実ではただの『人』。
本物の怪人と戦う気力も力もやる気もあるわけが無い。

「ほらぁ!変われよ!」

「ひぃいい!!」

ドーパントの異形な姿に恐怖し、ミッドマンは情けない姿を子供たちに見せるはめになる。

しかし、怪人と戦う気力と、力と、やる気があるHEROが……

いるとすれば?













―――なら変わってやるよ……お前の相手を、だが

「!?こ、この声は!」

ドーパントは低い男の声が聞こえ、辺りを見回す。
もちろんこの声の正体は、先ほど聞いたので知っている。

―――さっきの借り……きっちり返しに来たぜ……

「とうっ!」

「な!?ぐあぁ!」

言葉が終わると共に、ミッドマン側の岩の模型の後ろから現れたスカルがドーパントの顔面を殴りつけた。
ドーパントはスカルの奇襲攻撃を受け、大きくミッドマンから離れた場所へ吹き飛ぶ。

「大丈夫か……」

「あ、あんた……もしかして噂の仮面ライダー!?」

スカルはミッドマンに軽く顔を向け、安否を確認するが、当のミッドマンは噂の本物のHEROに驚いていた。

「ぐぅぅ!キサマ……性懲りも無く!」

「悪を倒すのが……俺のポリシーであり、役目だからな……」

左手で帽子を押さえながらドーパントの怒りも軽く受け流し、スカルは右手をドーパントに向け、手首を返し言った。

「さぁ、お前の罪を……数えろ……ふっ!」

「ぐあああっ!」

スカルはセリフを言うと、スカルマグナムから銃弾を放ち、攻撃を仕掛ける。
ドーパントも攻撃を受け、膝を地面についた。

「皆さん!ここは危険です!避難してください!」

「あの怪人は本物ですよー!」

そして客席にはスバルとギンガが観客たちへ避難するよう呼びかけていた。

「え!?あれ本物なの!?」

「坊ちゃん!早く逃げるわよ!」

「うわー!あのガイコツカッコいいー!」

ドーパントが本物の怪人と知ると、客たちは慌てふためきながら逃げるが、中にはスカルに魅了されている子供もいた。

「ティアナ!早く逃げるよ!」

「う、うん……」

そしてその中にはツインテールでオレンジ色の髪をした少女の手を取り、逃げようとしていた青年もいた。
少女はまだ現状が把握出来ていないのか、曖昧な返事をしながらスカルを見つめていた。
青年の名は『ティーダ・ランスター』、そして妹の名は……




『ティアナ・ランスター』と言う。


そして、幼い彼女はこのとき、初めて見た……




ドクロの顔を持ち、

黒いボディに銀色のライン、

そして首にはボロボロの白いマフラー、

右手には黒い色をし、横倒しの赤い字で『S』と書かれた銃を持ち、

白い山折のソフト帽子を被ったHERO、




『仮面ライダー』を。



「ぐあああ!」

客が居なくなった会場には、ドーパントの悲痛の叫び声が響いた。

「ふっ!はっ!……どうらぁ!」

スカルは弱ったドーパントに休む暇を与えず、攻撃を繰り出していく。


「はぁぁぁぁ……『ライダーパンチ』!」

「ぐふぉぁ!!」

スカルは紫色をした風を右手にまとい、渾身の『ライダーパンチ』をドーパントの鳩尾に捻じ込んだ。
ドーパントは勢い良く舞台から飛び出し、客席の椅子に背中をぶつけた。

「くそぉおお!俺が……俺が!このショーの主役なんだぁああああ!!」

ドーパントは立ち上がり、スカルへと襲い掛かろうとした。

「ショーも舞台も……きちんとした俳優と裏方の人間がいなければ……ただのお遊びだ。

キサマは主役と言う宝石に目が眩み、関係者(ソレ)らのありがたさが分からなくなった哀れな金の亡者だ。


そろそろ……終わりだ」

スカルは髑髏状のエネルギーを胸から発生させ、ドーパントが近づいてくると、顔面に飛びまわし蹴りを喰らわせるマキシマムドライブを発動し、横へ吹き飛ばす。

「ぐ、ぉおおお!!」

吹き飛ばされたドーパンとは壁に激突し、地面にうつ伏せに倒れると、爆発を起こしながら倒された。

煙がなくなると、爆発があった場所には男と『海賊の記憶』を持つパイレーツ・メモリが

「おやっさーん!すごいよ!カッコいいー!」

「スバル!まだ危ないわよ!」

後ろ側の客席の椅子に隠れていたスバルたちがスカルの元へと走り寄って来た。
スバルはスカルの戦闘に感激したのか、目が星になっており、キラキラと憧れの目で見ていた。

ギンガはまだドーパントが復活するかもしれない不安もあり、スバルへ注意しながらスカルの元へ近寄ってきた。

「……」

スカルは左手に帽子を持ちながらメモリを抜き取ると、スカルのボディが黒い粒子となり風に乗りながら消えた。
そして再び帽子を被りなおし、スバルたちに向け苦笑いを向けた……。
















依頼者【ゲンヤ・ナカジマ】

依頼内容【娘2人を預かってほしい】

依頼報告【成功(遊園地でドーパントに出会ったのは予想外だったが、スバルたちがそれなりに楽しんでいたようなので良しとする)】

追記【ゲンヤには精神的苦痛(スバルのおやっさん発言)もあるので、何か奢らせる事にする】



事務所に帰ってきた荘吉はすでに眠っているが、書類にはまだスバルの自分への呼び方を引きずっている節が見え、ゲンヤに奢らせることまで書いていた。

鳴海 荘吉……結構根に持つタイプのハードボイルドなのだろうか……
それは本人以外分からない……



[26692] Kと出会う/竜使いの少女
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/01 14:53
これまでの話

スバル、ギンガと共にやってきた遊園地。
しかしパイレーツ・ドーパントの出現を発見し、戦いを挑んだスカルだったが、一度は逃がしてしまう。

ガイアメモリの使用者は『自分がいつも主役』でなければ納得がいかない性格ゆえ、ショーから外されクビになった恨みからショーを壊そうとしていた。

しかし、駆けつけたスカルによりドーパントは倒されたのであった……。
















そして時は進み新暦71年ごろ……


















Kと出会う/竜使いの少女







「はぁ……これが最後の食料みたいだね、フリード……」

「きゅくる~~」

とある森林が生い茂る世界に、ボロボロの服装をしたピンク色の髪の毛を持つ少女が対面に座って(立って?)いる小型の竜に話しかけていた。

どうやら手に持っているナシのような果実が最後の手持ちの食料のようだ。

「……村を出て……もう4日ぐらい、かな?」

少女の名は『キャロ・ル・ルシエ』。
第6管理世界 アルザス地方少数民族「ル・ルシエ」の一人……いや、“だった”
と言ったほうが正しいのかも知れない。

キャロは6歳にして白銀の火竜を従えるほどの才能を持っていた。
しかし部族の中にはその力を『危険』と考える者も多かった。
それ故キャロの力を恐れた長老は、キャロを里から追放することにしたのであった。

「フリード……これ、全部食べていいよ」

「きゅくっ!?きゅ~~……」

キャロは持っていた果実を笑顔でフリードの前に置く。
キャロが優しい事を知っているフリードは、キャロ自身も空腹なことは分かっていた。
しかし、キャロは結構頑固なので、「いらない」と言っても「遠慮しなくていいよ」と笑顔で言ってくることも多い。

「きゅー!きゅーくー!」

「どうしたのフリード?遠慮しなくてもいいんだよ?」

フリードは自分の体よりも少し大きな果実を顔で押して、キャロの元まで動かすがキャロはそれでも食べないようだ。

そして数分経ち、結局フリードが折れ、果実をシャリシャリと食べ始めた。

「おいしい?……そう、良かった……」

キャロはおいしそうに、しかし少しすまなさそうに食べるフリードに向け、笑顔で話しかけていた。

すると

「ぐわぉおおお!!」

「「!?」」

突然森の中から大きな体をした、ティラノザウルスのような竜が木をなぎ倒しながら鋭い牙を見せ、キャロたちの前に現れた。

ただ体には金属部品のようなものが集まっており、もしかしてこの竜はニセモノと思われたが

「ぐううううおおおおうっ!!」

「きゃーー!」

「きゅくるー!きゅっ!?」

キャロは竜が振るった尻尾の風圧で大きく吹き飛ばされ地面に倒れた。
それを見たフリードは自分の主がやられたと知ると、怒り心頭で突撃したが、体格差や力の差も大きく、腕で叩き落されてしまった。

その竜は大きな尻尾を横へ振り乱し、吼える姿はまさに本物の竜に見えた。

だが勘違いしてはいけない。
この竜は『Tレックスの記憶』を持つガイアメモリを使用し、姿を変えた『Tレックス・ドーパント』なのである。
元の姿は大人の平均身長ぐらいで、顔はそんな体には似つかないぐらい大きく、体と顔がアンバランスなのだが、金属部品を体に集めて大きくし、本物の恐竜ほどの大きさにもなるのである。
どうやら何者かがガイアメモリをこの世界の何かの竜に挿入し、生まれたドーパントなのかもしれない。

ちなみにガイアメモリは人間だけでなく、動物にも使用できるものもいくつか存在する。


「ぐわぅううう!!」

「う……うぅ……(どうしよう、4日間なにも食べてないから体に力が……)」

ドーパントはキャロの姿を確認すると、飢えた狼のごとくキャロを食らうために襲いかかった。
しかし、キャロは空腹だったため、思うように体に力が入らず、地面に伏せたままだった。

「ぐわああああぉおお!!」

(嫌だ……私……死にたくないよぉ!)

キャロは目に涙を浮かべ、心の中で自分の思いを叫んだ。

そしてドーパントの鋭い牙が生える口がキャロを食おうと開けた

















その時


『スカル!マキシマムドライブ!』

「ふっ!」

「ぐぅぁ!?ぐぼぼぼぼぼぼっ!」

突然現れた謎の人物が、銃でドーパントの口内を撃った。

(!?……だ、誰?)

キャロは自分の目の前にいる人物をも見ようとするが、助かったと言う安心のせいか、それとも空腹のせいか、目をゆっくりと閉じて眠ってしまった。

「ぐぅ、が……」

ドーパントの口からは銃弾が当たった証拠に、白い煙がモクモクと立ち昇っていた。
そしてドーパントは銃で撃たれた反動で後ろへ大きな音を立てながら倒れた。

後に残ったのは壊れた『Tレックス』のメモリと気絶した手のひらサイズの小さな竜だった。



スカルは左手で帽子を持ちながらメモリを抜き取り、変身を解除すると、白いスーツと白いシャツ、白い帽子を持った荘吉に戻った。

「この子、気絶しているな……」

荘吉は自分の後ろに倒れていた少女のほうを向き、帽子を再度被りなおしてしゃがみ込む。

「ここの世界の住人か?……しかし、服もボロボロだな……ん?」

荘吉は少女を真剣な眼差しで数分観察していると、何時の間にか隣できゅーきゅー!と吼える小さなドラゴンに気が付いた。

「この子のペットか?……何があったか知らんが、とりあえず俺の事務所に戻ろう」

荘吉はそういうと、管理局から特別に貰った『携帯型簡易転送装置』を使い、自分の事務所に座標を置くと、荘吉の周りから丸い魔方陣が現れ、次の瞬間には荘吉とキャロ、そしてフリードの姿は消えていた……。



[26692] Kと出会う/月明かり
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/01 16:18
これまでの話

里から自分の力を恐れられ、追放された少女『キャロ・ル・ルシエ』と相棒の小型竜『フリードリヒ』。

追放されて当てもなくさまよっていたところ、Tレックス・ドーパントに襲われピンチになったが、なぜか現れたスカルにより助かった。

だが助かった安心のせいか気を失ってしまい、眠りこけているところをドーパントを倒した荘吉に抱えられ、フリードと共に鳴海探偵事務所へと転送された……。




















Kと出会う/月明かり











鳴海探偵事務所内

「ふぅ……さて、この子をどうするか……」

事務所へ戻ってきた荘吉は、帽子をフックへかけ、ベットで寝ているキャロに上着を毛布代わりにかぶせた後、椅子に座って難しい顔で悩みこんでいた。
ちなみにフリードはキャロの寝ている傍で待機しており、荘吉を睨みつけていた。

(まさか……あの世界の事をクロノから調査依頼を貰っていってみれば……10歳にも満たない少女と竜を持ち帰るハメになるなんて、思っても見なかった……)

荘吉は軽くため息をつくと、少し前のことを思い出していた。

それは依頼報告も兼ねて、キャロとフリードを拾ったことをクロノに話したときのことであった。

『クロノ・ハラオウン』

出身:ミッドチルダ首都クラナガン近郊
所属:時空管理局本局・次元航行部隊
階級:執務官・提督
役職:XV級艦船「クラウディア」艦長

何処をとってもエリートまっしぐらな階級と役職を持っており、フェイトの義兄で、士官学校時代からの友人だったエイミィ・リミエッタと結婚し、2児の父となっているクールな男性だ。
だが結構な不幸体質で、時空管理局のエース・オブ・エースと謳われる『高町 なのは』が破壊した物の賠償金と大量の始末書。

黒い死神と恐れられている義妹の『フェイト・T・ハラオウン』が壊した(ry

歩くロストロギアと言われる『八神 はやて』が(ry

などなど……
ただのパシリのような存在としても、最近は噂されているようである。

まぁそれは置いておくとして、このクロノに報告をしたときいわれた言葉が「荘吉さん……それ何てフラグ?」である。しかもちょっと声が(なぜか)上ずっていた。
その時荘吉は思った(あぁ、こいつ今まで始末書書いてたんだな……)と。
そして心の中でクロノに小さく南無と唱えると、報告を続けた。
結果、「それじゃぁその子は現地の子なんですね……とりあえずこちらで保護する手続きをしておきますので、その間その子の面倒を見ていてもらえますか?」と言われ、承諾した。

そして電話を切る際、クロノの「また残業か……」と言う絶望に満ちた声が聞こえたように思えたが、荘吉は聞かなかった事にしておいた。

(しかし……預かると言っても、服やら下着やらを買わなければならないな……)

荘吉はベットですやすやと眠るキャロを横目で見やり、少し悩んでいたが

(……仕方がない、地球に帰って『彼女たち』の力を借りるか……)

荘吉は再びスタッグフォンで電話をかけた。

「あぁ、俺だ。荘吉だ……あぁ、少し頼みたい事があってな……」

荘吉はそういうと電話の相手と数時間話し合った……。
















荘吉が地球の知り合いと電話を済ませて、キャロが目を覚ましたときにはすでに闇で辺りが良く見えない深夜になっていた。

(……あれ?ここは……)

キャロはベットから体を起こし、辺りを不思議そうに見渡した後、自分のすぐ傍に眠っているフリードがいたことを確認した。

「フリード!良かった……」

(でも……ここは一体何処……?)

キャロは一瞬笑顔になったが、すぐに表情を曇らせ、不安そうに顔を動かす。

「起きたか……」

「きゃぁ!?」

キャロは暗闇で周りが見えない中、突然男性の声がして体を震わせたが、良く見ると椅子にの背もたれにもたれ掛かり、月明かりに照らされながら眠っていたと思われる男性が右目を薄く開いてキャロを見つめていた。

「……あ、あの!……あなたは?」

キャロは自分にかけられていた大きめの上着で姿を隠し、おどおどしながら荘吉に名前を聞く。

「名前を聞くときはまず自分から名乗るものだぜ……レディー」

荘吉は椅子から立ち上がり、キャロにゆっくりと近づく。
キャロからは月の明かりのせいで、荘吉の表情はしっかりと確認はできないが、別段怒っている様子はなかった。

「わ、私の名前は、キャロ・ル・ルシエといいます!で、こっちの子は私の友達のフリードリヒって言います!……え、ぇっと……」

「俺の名は鳴海 荘吉……ここで探偵をしている……」

荘吉は緊張気味なキャロに自己紹介をすると、キャロの目線まで腰を下ろし、言葉を続けた。

「俺はお前が竜に食われそうになったところを助けて、ボロボロだったお前とこの竜……フリードをつれてきたんだ。」

「もしかしてあのとき来てくれたのって……」

「あぁ、俺だ……」

キャロはそのことを聞くと、「本当にありがとうございます!」と頭を下げてお礼を言った。

そして荘吉はそんな素直なキャロを見て少し苦笑いをしたが、すぐにまた真剣な声になって話しかけた。

「キャロ、突然で悪いがお前を保護することになった……それでまた突然なんだが、お前の服を買いに行くために別世界へ行こうと計画してるんだが……来るか?」

以前荘吉の表情は読み取れないが、それでも優しい目をしてるのだとキャロは感じた。
キャロは荘吉のことを『いい人』と思い、「はい」と一言言った。

「そうか……なら、明日の朝ここを出る。それまで心の整理をしておいてくれるか?」

荘吉はそういうと、また椅子に戻り、眠った。

キャロはまだ顔も良く知らない男だが、何か暖かい感じがして、不思議と不安は無かった。

(……ナルミソウキチ、さん……一体どんな顔をしていらっしゃるんでしょうか?)

キャロは荘吉がどんな男なのか、少し興味津々に思いながら床についた……。
















そして地球に降り立ったときキャロは目撃する……

荘吉が変身する仮面ライダースカルを……そして

ドーパントを……



[26692] おやっさん語録
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/01 16:49
このページはおやっさんの名(迷?)言を話の軽い解説も入れながら紹介しようというコーナーです。

話のネタバレにもなる可能性があるので、まだ読んでいない人はご理解の上、このコーナーを開覧してください。






























Eを救出!/悲しみの少年から

・自分の事なんか分からないと決め付けるエリオに荘吉が自分の過去に見てきたエリオと同じようなことを言った人物が数多く死んだという事を話し、エリオはそうなるなと説得した言葉。

「だからボウズ、お前はそうなるな。
お前はまだ若い……辛いことや悲しいことも多くあるだろう……だがその分楽しみもある。
その楽しみをお前自身で掴みにいってやれ。
たとえその体が普通の人間と違っていても、親に見離されていようと……生きろ。
そしていつかお前を否定するやつにいってやれ
『悲しみは人強くする』と」


・エリオと共に脱出する際に、タキシードの男たちに囲まれ、自分を奮い立たせるために呟いた自分の探偵としてのポリシーでもあり心の支えでもある言葉。

「依頼を途中で放りなげるのは探偵として、失格……だからな」




〃/お前の罪を数えろ

・エリオを『研究材料』と呼ぶ男に怒りながら向けて放った言葉。

「研究、材料……だと?

残念だがこいつは研究材料なんかじゃない……感情を持った立派な『人間』だ……」



・スカルに変身した際に必ずポーズと共に言う言葉。

「さぁ……お前の罪を……数えろ」






〃/これで終わりだ……

・エリオのこれからの成長に期待した荘吉がエリオに自分の帽子を渡した際に言ったことば。

「エリオ、おまえはそいつが似合う男にいつかなれ。
そして、それが似合うようになったときが……お前が『強く』なった証拠になる。」





遊園地でP!?/双子の姉妹

・スバルの『おやっさん』発言の元凶でもあるゲンヤを内心恨みながら思った少し腹黒い言葉。

(ゲンヤめ……またなにか奢らせるか……)



〃/食べすぎシスターズ

・遊園地でパイレーツ・ドーパントを見つけた際に呟いた愚痴(ことば)。

「休むに休めないな……変身……」



〃/HEROは誰だ

・パイレーツ・メモリの使用者が、『自分が主役』じゃないと納得のいかない強欲な男で、関係者たちのありがたさを忘れたその男に喝を入れるために放った言葉。

「ショーも舞台も……きちんとした俳優と裏方の人間がいなければ……ただのお遊びだ。

キサマは主役と言う宝石に目が眩み、関係者(ソレ)らのありがたさが分からなくなった哀れな金の亡者だ。


そろそろ……終わりだ」


・依頼も成功……したのだが、スバルの(ry をまだ引きずっている事が見て取れる報告書。

追記【ゲンヤには精神的苦痛(スバルのおやっさん発言)もあるので、何か奢らせる事にする】



以上、新たな語録が誕生すれば追記する予定。



[26692] Cな人形ご用心!?/キャロが地球へ行くそうです
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/03 21:33
これまでの話

ある世界で調査をしていた荘吉。

そこでTレックス・ドーパントに襲われていた少女キャロと相棒のフリードリヒを救出。

そして深夜に目を覚ましたキャロに、服を買いに行くために、地球の知り合いをたずねることをキャロに話した。

そして、逆光で顔はまだ分からない荘吉を想像しながらキャロは眠りつき……

朝が来た……












Cな人形ご用心!?/地球への帰還











鳴海探偵事務所

「う……ぅぅん……」

キャロは事務所の窓から差し込む明るく、暖かい日差しを浴びながら体を起こした。
キャロのつむじ辺りからはぴょこんとピンク色の髪の毛がはねているが、これは寝癖ではない。
元々こういう髪型なのである。

「起きたか、キャロ……」

「!……ぁ、あなたは……」

キャロはいきなり声をかけられ一瞬驚き、声のほうを見ると

「深夜にも自己紹介をした鳴海 荘吉だ。昨日は良く眠れたか?」

「あなたがソウキチさん……(失礼かもしれないけど……想像通りの人だ……)」

キャロは眠りながら考えていたソウキチ像とほとんどピッタリで逆に驚いた。

荘吉はいつもの白ずくめの格好で、帽子を左手で押さえながら机の椅子に座っていた。
机の上には小さめの黒いスーツケースが置いてあり、荘吉は地球へ行く準備は出来ているようだ。

「キャロ、昨日も言ったが今日は地球へお前の服を買いに行く……心の準備は出来たか?」

荘吉は帽子を押さえたままキャロへ顔を向け、問いかけた。

(……ちきゅう……私が行った事のない世界……)

しかしキャロは顔を俯け、不安そうな表情で考えていた。

それもそうである。
キャロは自分の生まれ育ったル・ルシエのある世界……いや、村しか見たことがない。
それゆえ他の世界(ほし)へ行くと言う事には不安と恐怖があった。

「……キャロ」

「は、はい!(……もしかして、怒られる……のかな?)」

荘吉は椅子から立ち上がり、キャロのいるベットへと歩み寄る。
キャロは自分がはっきりと意見を言わないから荘吉を怒らせたと思っているらしく、現に両目をギュと閉じ、両手も握りこぶしにして怒鳴られることを覚悟していた。
だが

「やはり……
今日はやめるか?」

「……ぇ?」

荘吉の口から出た言葉は怒鳴り声でもなく、
冷たく突き放すような言葉でもなく、
ただ怖がる娘を思いやる優しい父親のそれに思えた。

「お前の知らない星だからな……不安を感じて当然だ……」

(ソウキチさんって……すごく優しい人、なのかな……)

荘吉はキャロの頭を右手の手のひらで軽くなで、優しく話しかけた。
そんな荘吉を見てキャロは心なしか、胸が温かくなるのを感じた。

「い、いえっ……私、行きます!その、ちきゅうに!」

「そ、そうか……なら準備をして出発だ……」

荘吉はキャロの大声で少し驚いたが、すぐにキャロの頭から手を離し、立ち上がって書類の整理をし始めた。

「後、キャロ」

「あ、はい!」

「……もしお前の身に危険が及びそうになったら……助けてやる」

(……ソウキチさん……)

そして不安も消し飛んだ。














地球

「ここが……ちきゅう……」

「そうだ……そしてここが俺の生まれ育った星でもある」

荘吉とキャロは地球へ降り立った。
キャロは自分の星以外の景色を見て驚いている様子であるが、荘吉は少し懐かしむような目つきで景色を眺めていた。

地球の何処かにある『海鳴市』
ここで高町なのはやフェイト・T・ハラオウン、八神はやての時空管理局最強の魔導師を生み出した場所でもある。
そしてここで『PT事件』や『闇の書事件』と言われる管理局もかかわった大きな事件があった。

海沿いに街があるので、夏場は海水浴もできることで有名である。

「すごいところですね、私の村とは大違いです……」

「きゅくる~!」

「ふっ……そうか」

キャロは木々が生える自分の世界と、ビルや高速道路がある海鳴市の違いに驚いていたようだ。
キャロの左腰辺りにある小さなバックにフリードを入れており、フリードは景色を見てテンションが少しあがっているようだ。
荘吉はそんな2人(?)の驚く顔を見て軽く微笑していた。

「さて、景色ばかり見ててもしかたがない。
今日はお前のそのボロボロの服の代わりになるものを探しに来たんだからな」

「はぅぅ……そうでした……」

荘吉はキャロに渡す女の子物の服など持っているはずもないので、少年時代の小さな上着だけしかキャロのボロボロの服を隠すものはなかったのである。

そして荘吉たちはある店へ向かう事にし、歩き始めた。








とある廃棄工場

「えええと……ききき今日はどんな子がいるかなぁ?」

「……」

薄暗い工場の中で、めまぐるしくパソコンをいじっている太ったメガネ男が椅子に座りながら興奮しきった顔で西洋風の青いふりふりのドレスとカチューシャ、白い手袋を履いた少女の人形に話しかけていた。

「……」

「だだだ大丈夫だよ!いいい今まではずっとせせせ成功してきたんだから!」

男は人形に向かってつばを吐き出しながら大声で怒鳴りつけていた。

「だだだだから、こここ今回も成功するよ!」

男はそういうと椅子から立ち上がり、工場の荷物を置いておく倉庫の少し大きめの扉を開いた。

「ふふふふ……ここここんなかかか可愛い子達がいいいいるんだからさぁ……」

男は倉庫の中のものを見て、不気味に笑っていた……。

倉庫の中にあるもの……それは……


















猿轡をされ、体を縛られ気絶している小さな少女が4人ほど
監禁されていた。



[26692] Cな人形ご用心!?/少女誘拐事件
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/04 00:15
これまでの話

キャロの服を買いに地球へ帰ってきた荘吉。

キャロは初めて見る海鳴市の景色に見とれていた。

しかし、とある廃棄工場では人形と喋る不気味な男が4人もの少女を監禁していたのであった……。
















Cな人形ご用心!?/少女誘拐事件











喫茶店・翠屋

海鳴市にある喫茶店『翠屋』
ここのスイーツはおいしいと評判で、若い人から少し高齢の人にも愛されているスイーツ店である。

「いらっしゃいませ~……って鳴海さん!」

「おぉ、士郎か。久しぶりだな、元気にしていたか?」

「えぇ、そちらも元気そうで何よりです」

店に入ると高町なのはの父である『高町士郎(しろう)』が接客をしていた。
士郎は40歳ほどの年なのだが、ソレに似合わず若々しく見え、20台後半でも通用するほどの外見を持っている。
そして昔は御神流の後継者の一人であり、要人たちのボディーガードもしていたが、今では引退して翠屋のオーナーをしている。

ちなみに昔ボディーガードの仕事を請けた際、何度か荘吉とも顔を合わせたことがあり、今では愚痴をこぼせるほどの仲である。

「いらっしゃ~い。あら?荘吉さんじゃないですか、久しぶりですね~」

「桃子……あぁ、久しぶりだな」

そして店の奥からは喫茶店「翠屋」のパティシエ兼経理担当をしている『高町桃子(ももこ)』が調理場から顔を出した。
彼女は33歳と言う若さであるのだが、士郎と同じく、顔つきは若々しい。
高校生と言っても通用するほど若い……。
彼女のパティシエとしての腕はかなり高く、外国で修行をしてきたと荘吉も聞いた事があった。

「「荘吉さん!」」

「うぉっ!?アリサとすずかか……」

荘吉は一瞬驚いたが、すぐに知り合いの二人だと分かると安心した。

「はい、アリサと」「すずかですよ」

そして客席ではオレンジ色のショートカットヘアーの少女『アリサ・バニングス』と紫っぽい色のロングヘアーの少女『月村すずか』が笑顔で荘吉の前に並んでいた。
彼女たちは中学の頃から荘吉と知り合いで、たびたび地球にある荘吉の事務所にも訪ねてきていた。

「美由紀と恭也は……」

「あの2人なら出かけてますよ、荘吉さん」

荘吉は桃子に聞くと、桃子は笑顔で答えた。
『高町美由紀』と『高町恭也』……高町なのはの姉であり、兄でもある兄妹である。
あいにく今日2人は外出中で、いないようである。

「そうか……ところで例の件なんだが」

「えぇ、分かってますよ……ところで、その後ろに隠れている子がキャロちゃんですか?」

「ひゃい!?」

桃子はカウンターから荘吉へ近寄り、体を猫背にしながら後ろを除くと緊張でがちがちのキャロが荘吉の服をつかんでいた。
初対面の人間にいきなり名前で呼ばれてキャロは変な声を出して驚き、荘吉へ体を寄せる。

「安心しろ、俺の知り合いのやつらだ……お前に危害を加えるやつはここにはいない」

「そ、そうでしたか……すみません、失礼なこをして……」

「いやいいのよ、こっちも驚かせてごめんなさいね?」

荘吉の言葉を聞いてキャロは安心したのか、荘吉から体を離れさせ、桃子に頭を下げて謝った。
桃子もキャロの頭を優しく撫でて謝る。

「桃子……キャロのことはまかせたぞ」

「あら?何処へ行くの荘吉さん?」

荘吉はキャロを桃子へ預けると、そのままきびすを返し店を出て行こうとした。
桃子は荘吉が扉を開けた瞬間に質問した。

「そうですよ、一緒に行くんじゃなかったんですか?」

「私もてっきり一緒に行くのかと思ってましたけど……」

アリサとすずかも荘吉も共に買い物についてくるものと思っていたようで、少し不満そうな表情をしていた。

荘吉は後ろへは振り向かず、扉を開けたまま話した。

「俺は少し……寄るところがあるんでな」

そういうと翠屋を出た。
キャロは荘吉がいなくなって少し心細くなったが

「さあキャロちゃん!服を買いに行くわよぉ!」

「ふぇ!?あ、は、はい!」

テンション高めの主婦桃子により、少し引いていたが買い物に行くことを思い出した。

「でも桃子さん、キャロの今の服ボロボロですよ?これで街を歩くのはちょっとかわいそうなんじゃ……」

アリサが静々と桃子に耳打ちする。
キャロの服装は荘吉の上着でボロボロの服をギリギリ隠せている程度で、少しでも腕を伸ばせばその服が見えてしまう状態だった。

「あ!それもそうね……じゃぁ一度家に来てなのはの小さい頃のおさがりがあるからそれに着替えていきましょうか!
それとなのはので何か気に入るものがあれば遠慮なくもらって行ってもいいわよ」

「あ、えぇっと……はい……」

お母さんスイッチの入った桃子は「なのはのお下がりは家の何処に置いといたからしら?」など呟きながら帰宅の準備をしていた。

「士郎さん、お店頼めるかしら?」

「あぁ、今日はお客さんもあんまり見えてないし、イザって時はバイトの子たちもがんばってくれるだろうから。
安心して買い物に行ってくるといいよ」

桃子は「ありがとう、士郎さん」と笑顔で言うと、士郎の右頬に軽くキスをした。
士郎は両頬を照れくささでで赤く染め、桃子も少し上機嫌だった。


「やっぱりお2人はラブラブですね~」

「本当、うらやましいくらいですよ」

(あ、あれが夫婦、なんでしょうか?……あわわわ!?)

すずかとアリサは軽く笑いながら茶化していたが、キャロにはまだこういう類は早いのか、先ほどのキスシーンを思い出し顔を真っ赤に染めてオーバーヒートしていた。















海鳴・鳴海探偵事務所

地球の海鳴市にある鳴海探偵事務所。
外装はミッドのものとは少し違うが、内部はほとんど変わりは無い。

キャロたちと別行動をしていた荘吉は事務所の扉を開けて入る。

「あ!旦那じゃないすっか!?お久しぶりです!」

「お、お帰りなさい……なのかなぁ……」

「サムにストーンか……俺がいない間、事務所を掃除してくれていたとは……すまんな」

事務所内には箒とちりとりを持ったいかつい男と、雑巾で顔を隠しておどおどしているひ弱そうな男がいた。

いかつい男の名は『尾藤 勇(びとう いさむ) 』と言って、昔数々の犯罪を犯してきた札付きの悪である。
しかし、荘吉の漢気あふれる姿を見て犯罪からは足を洗い、荘吉のことを『旦那』と慕っている。
荘吉からは『サム』と呼ばれて信頼されている。

おどおどしたひ弱そうな男の方は『ストーン』と言い、昔荘吉が初めてのドーパント退治の際にサムが紹介した建築物オタクの情報屋である。
ちなみに荘吉からは「臆病なくらいが調度いい」と言われている。

「旦那が異世界で困ってる誰かを救うために働いてるんだ、こっちも旦那のためにと思って働いてるだけのことですよ」

「ぼ、ボクはあんまり働きたくはないんだけど、で、でもねぇやっぱり荘吉さんのおかげでボクらも無事でいるわけだしねぇ……」

サムは分厚い胸を張って堂々と答え、ストーンもおどおどしているが、荘吉の活躍でこの世界も平和なのだと遠まわしに伝えた。

「ホント、お前たちは心の優しいやつらだ……ところで、サム」

荘吉はそういいながら、玄関のすぐそばにあるソファに座り込み、サムに話しかけた。

「もちろん承知してますよ。
此処最近の海鳴の様子でしょぅ?」

「さすがだ、サム……で、何か不可解な事件はあるか?」

荘吉は真剣な目つきでサムを見て、たずねた。
サムは箒とちりとりを地面に置き、荘吉と向かい合うソファに座った。

「不可解なのかどうかは良く分かりませんが……此処最近、海鳴で4人もの少女の誘拐事件が多発してるんです」

「少女の誘拐?……少女好き……いわゆる越えてはならない一線を越えたロリコンと言うわけか……」

「誘拐された少女の身元もぉ、誘拐場所もぉ、全部違いますからねぇ……特定は難しいですよ……」

ストーンはいつも持ち歩いているノートパソコンのインターネットを開けて、少女誘拐事件の記事を見せる。

「何々……ふぅむ……………サム、ストーン」

「「はい」」

荘吉はパソコンをストーンに返し、二人の名前を呼んだ。
2人は姿勢を正し、荘吉に次の言葉を待つ。

「この事件……少しやっかいになるかもしれん……だが、連れさられた少女たちの親御さんの涙が……俺には見える……」

「旦那……それじゃぁ!」

サムは少し上ずった声で荘吉を呼ぶ。
荘吉は軽くうなずき、

「あぁ……この事件、スピード解決で行くしか少女たちの安全の保障と方法はないな」

ソファに前かがみになりながら言った。

「任せてくださいよぉ!俺とこいつでかかれば、ロリコン野郎の尻尾も簡単に掴んでやりますよ!」

「そ、それはちょっと難しいな、うん……」

サムは意気揚々とソファから立ち上がり、ストーンの肩に腕を回し、微笑みながら宣言した。
一方ストーンは苦笑いしながら少し意気消沈しているが、捜査には協力してくれるようだ。

「サム、お前はそれぞれ少女たちが誘拐された場所で聞き込みを……ストーンは少女たちを隠せそうな誰も使っていない廃棄工場や物件を調べてくれ」

「わっかりましたー!」

「と、とりあえず調べてるんだな、うん……」

サムは荘吉の指示通りに聞き込みをしに街へ、ストーンはパソコンで海鳴市にある廃棄工場などを調べ始めた。

しかし

「……(これでいい……これでいいんだが……何か、何か嫌な予感がする)」

荘吉は何か不吉な事が起こりそうな予感がしていた。
表情も眉間に皺を寄せていて険しく、ウロウロと落ち着き無く事務所をうろついていた。











そして、予感は的中する。


「……ん?スタッグフォンに着信……」

荘吉はズボンのポケットから鳴り響く音で着信がきたと感じ、スタッグフォンを取り出し、電話に出る。

「もしもし……鳴海だが……」

そして電話の相手は

『も、もしもし!荘吉さん……』

「その声……アリサか……どうした、何か慌てているようだが……」

電話の相手は翠屋でもであったアリサだった。
しかし今は電話越しにでも分かるぐらいに動揺しており、声も涙声でかすれていた。

そして後ろからは大勢の人の声が聞こえてきており、パトカーのサイレン音も聞こえる。

「とりあえず、落ち着いて何があったか話せ、いいな?」

荘吉は冷静にアリサを落ち着けようと、指示する。
アリサも電話の通話口から少し顔を離して深呼吸する息も聞こえてきた。

『じ、実はね………』

そして荘吉は次の言葉を聞いて黙ってはいられなかった。

「……キャロが……誘拐されただとぉ!!」












キャロたちの身に一体何があったのか……

そしてキャロはなぜ誘拐されたのか……

もし、キャロの誘拐が海鳴でも起きている事件の同一犯で行われているとしたら……


(キャロが……危ない!)

荘吉はスタッグフォンを閉じると、事務所の扉を開けて飛び出していった。




「……い、一体なにごとね……?」

ストーンは目をパチクリさせて荘吉の慌てように驚いていたが、すぐに捜査に戻り始めた。



[26692] 報告
Name: 消しカス◆352921e3 ID:c79832cd
Date: 2011/04/05 10:34
どうも、消しカスです。

仮面ライダーの放送回数もついに1000回を突破!

実にいいものでしたよww



話は変わりますが、この『エピソードS』ともう一作を作ろうと考えています。

「まだ完結してねーだろ」とか「次の投降早く」と言う方、申し訳ございません。

とりあえずこの報告を見て気分を害する方もいらっしゃるでしょうが、

『エピソードS』の方もできるだけ早く投降しますので、どうかご協力お願いします。


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