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[27599] 【習作・オリジナル】転生ハーレムでモッテモテ…になる筈だった。
Name: もにょり◆843b5c97 ID:c5f98b7c
Date: 2011/05/15 21:32
はじめまして、もにょりと申します。
この話は

・神様転生
・主人公最強系
・TS

などの要素を含みます。苦手な方は回れ右してください。
続きものを書くのは初めてなので文章力はお察しください。


いったん三話以降を下げて改稿します。



[27599] 一話 テンプレだって良いじゃない、人間だもの。
Name: もにょり◆843b5c97 ID:c5f98b7c
Date: 2011/05/05 19:03
 定石がなぜ定石たり得るのか?それはその手が多くの戦局において好手たり得るからだ。つまりはこういう事だ。テンプレってのはそれが世の人間(ただしオタクに限る)の最大公約数的願望だからテンプレになり得るんだよ!



 …と、いう事で俺は今真っ白い空間に浮かんでいます。別に死んだ覚えはないんだけどなぁ。普通に大学行って帰ってきて家のドア開けたらこれだよ!ついでに目の前にはカエサルみたいなトーガ着た白髪で髭もじゃの爺が胡坐かいて浮かんでいる。ヨガファイアー!は出してないけど。爺の癖にオッドアイとか誰得。きんきらだなオイ。

「えーと…神様?」

「うむ、わしはまごう事なき神様じゃ。」

「…転生?」

「話が早いのう。」

 うむうむ、と満足そうな爺、もとい神。

「俺、いつ死んだっけ?」

「死んではおらん。と、いうか死んどったらわしの役には立たん。ちょっと用事があっての、異世界の生きた人間が必要なんじゃよ。」

「用事…って何か魔王倒してほしいとか世界救ってほしいとかそんなん?」

「いや、観光したいのじゃ。」

「…観光。俺が?そっちで?」

「いやいや、わしが、お前さんの世界でじゃ。ぶっちゃけ自分の世界を見守るのにも飽きてのう、たまには界外旅行に行きたいんじゃよ。」

 なんだこの定年後のサラリーマンみたいな。いや、よく考えたら現役だよ、この爺。大丈夫かその世界。

「もう来てんじゃん。俺が何で必要なん?」

「これは精神体でのう、異世界で受肉するにはその世界の生き物が必要なんじゃよ。別に誰でも良いんじゃが、お前さんはそれなりに好条件での。」

「別にふっつーの大学生だけど?」

「あんまり大富豪だの王族だのに成り代わっても何かと身動きとれんようになるじゃろ?お前さんは若くて健康で、食うに困らん程度に裕福で、成人して一人暮らししとる。深い仲の女子もおらんようじゃし、想い人も今のところ無し。非日常への願望も強い。この国なら食文化も娯楽も発達しとるし、他国の面白そうな情報も簡単に入ってくる。異世界に来ると全知全能という訳にもいかんでのう。」

「なるほど…で、神様が俺に成り代わって、俺はそっちの世界で転生すると。」

「うむ、何でもほしい特典付けちゃるぞ?」

 うーん…何か悪魔との契約みたいだな。死後の魂の代わりに今すぐ魂以外の全部よこせってところか。去年の比較宗教論で「異教の神は悪魔として扱われやすい」とか言ってたような。…まぁ俺が死ぬわけじゃないなら別に家族も悲しまないし。彼女居ない歴=年齢だから悲しませようがないし。就職活動とかお先真っ暗だし。…良いんじゃね?来世で勝ち組人生送るってのも。良いんじゃね?チートとかハーレムとか。後ハーレムとか。

「何でも?」

「うむ。」

「何個でも?」

「まぁ良かろ。」

「じゃあ…、銀髪赤目の超美形で剣も魔法も超一流で、ニコぽナデぽ標準装備で女の子にモテモテになりたい!あ、あとついでに家は金持ちで一生健康でついでに未来なんぞも見えちゃったりすると尚可。」

「うぉ、一息に随分言うたのう。銀髪赤目、絶世の美貌、剣・魔法共に超一流の才能、微笑んだり撫でたりすることで魅了可能、女子に慕われ、裕福な生家と一生健康な体、未来視の能力付きじゃな。」

 自分の一生と引き換えだ、欲張り過ぎということもないだろ。ほんとはオッドアイもほしかったが爺とお揃いとかマジごめんである。

「うぃ、それでよろしく。」

「うむ、自分の作った世界といえど受肉しとる間はわしも介入できん。お前さんの人生が良きものであるよう祈っとるぞい。ではお互い死んだ頃にな。」

「ぼんぼやーじ!」



 特にエフェクトも何もなく、入った時と同じように唐突に白い世界は消え去った。今まさに産道から出されたっぽいのでとりあえず泣いとこう。

「ふぎゃぁぁぁぁ!(物心ついたころに思い出すとかにしとくんだった…!)」

「奥様、元気な女の子でございますよ!」

 なん…だと…!?



[27599] 一話半 父の独白
Name: もにょり◆843b5c97 ID:c5f98b7c
Date: 2011/05/15 21:33
side father

 うちの娘は本当に可愛らしい。神が我が家に使わした天使なのではないかと私は常々疑っている。どうしよう、ある日いきなり天からの迎えが来たら。

『お父様、お母様…今まで育ててくれてありがとうございました。』

「当たり前だ!お前は私達の可愛い娘ではないか!」

『いいえ、私は天の国で罪を犯し、この地に落とされた罪人でございます。』

「確かに美しさは罪だと言うが、お前が私の娘であることには何の変わりもない!私の生んだ、私の愛しい娘だ!」

「生んだのは私ですわ、あなた。」

「おかあたま、おとうたまはいきなりどうちたの?」

「お父様はね、ちょっと自分の世界に浸っているだけなのです。見てはいけませんよ。」

 その時は国軍を丸ごと借りうけてでもにっくき人攫いどもを駆逐せねば…!まさか、まさかそんな事はないとは思うが娘がこの地を離れたいと言うのであれば…

「その時は私も着いて行くとも!お前を一人にするものか…!」

「おとうたま、どこへゆくの?」

「お前の居る所が私の居場所だよ。」

 娘が初めて「とうたま」と言ったのは一歳を少し過ぎた頃だったか…。娘が言葉を発する日を今か今かと待ち望んで、領地の視察から強行軍で戻ってきたというのに…!

「人でなしどもめ…!あ奴らには主人を敬う心など無いのか!?」

「まだ根に持っているのですか、『かあたま』や『りりぃ』や『うーと』に先を越されたことを。」

「ローザ!三十八番目だぞ!?三十八番目だ!実の父たる私がメイドや執事達に先を越されて!信じていたのに…!」

 それを知った時は絶望と憤怒のあまり目の前が真っ暗になった。すぐに愛らしい声に引き戻されたが…

「おとうたま、なかないで。」

「お前が言ってくれるならすぐ泣き止むとも。さあ、お父様を慰めておくれ。」

 最愛の娘を抱きしめつつ思う。この子を泣かせたりは絶対にしまいと。私はまだ若輩でこの地に封ぜられて日も浅いが、娘が育つここを素晴らしい土地にしよう。良いもの、優しいものだけに囲まれて生きられるようにしよう。そうして何時か大人になって、誰よりも美しく心優しく成長した娘がこう言うのだ。

『お父様、お母様…今まで育ててくれてありがとうございました。』

 隣には国一番の立派な青年が立って、こちらをまっすぐ見据えている。

『大公様…いえ、義父上。お嬢様を僕に下さい!』

「………誰がやるかぁぁぁぁあ!」

「おかあたま、おとうたまがたいへんです!」

「ええ、大そう変ね。うつるからリリーとあちらへ行っていなさい。」

side out



side mother

 この人の妄想癖にも困ったものだわ。これさえ控えれば最高の夫なのだけど。愛情深過ぎるのも考え物ね。

「あなた?あなた。いい加減こちらへ戻っていらっしゃい。」

「娘が欲しくば私の屍を超えてゆけぇぇぇぇ!!」

 …駄目ね。強制終了しなくては。あの炎神像が重さとしては手頃かしら。光背が刺さらなければよいけれど…。

side out



[27599] 二話 身から出た錆にはメッキをしよう。
Name: もにょり◆843b5c97 ID:c5f98b7c
Date: 2011/05/06 13:24
 ハロー、僕サイネリア。おむつ替えられる日々とか延々語っても意味ないのでキングクリムゾンするんだぜ!あ、サイネリアってのは今世の俺の名前です。まぁあからさまにエリザベスとかマリアンヌとかじゃなかっただけマシ…か?マシってことにしとこう、うん。この世に生を受けて早五年、銀髪赤目の超絶美幼女となった俺ですが…ただいま絶賛誘拐中です。ど う し て こ う な っ た 。



 もろもろのチートを願った俺だが、おおむねそれはかなった模様。お袋様譲りの銀髪に親父殿の赤褐色をちょっと鮮やかにした赤目、割と美男美女な両親の良いところだけ受け継いでさらに磨きをかけた感じの美貌。剣は持ったことはないが運動神経は良いようだし、魔法もまだ習ってないが記憶力や集中力はなかなかのもんだ。家のメイドさん達にも何かと可愛がられてるし、親父殿に至っては大公殿下らしい。今まで怪我や病気も何一つしたことがない。未来視も試しにやってみたら至って平和な未来が見えた…はずなのに。いきなり出入り商人にかっさらわれるとか何故だ…!



 よし、ちょっと今日のことを思い出してみよう。今日は何時もの通り出入り商人が館に来る日で、お袋様と侍女とでキャッキャウフフしつつ商品を見ていた。何か月かに一度布地だの宝飾品だのインテリアの小物だのを持ってくるのだ。半鎖国状態のうちの国で輸入品をコンスタントに仕入れてくるこの商人は結構なやり手らしいが、その度フリルの服が増えてゆくので俺にとってはぶっちゃけ天敵である。

「サイネの目にはこの臙脂の天鵞絨が合うかしらね。」

「こちらの浅黄色の絹もお嬢様の御髪にぴったりですわ。」

「見てくださいましこの水晶の髪飾りの細かいこと!」

 うん、やる気おきねぇ。テンションだだ下がりやわー。美人のお袋様が着飾るのは良いさ、目の保養だよ。でもさ、俺が着るのはマジ勘弁してほしい…!メイド萌えだからってメイド服自分で着たいか?スク水萌えが自分でスク水着てたらとりあえず通報するだろ!?またこの商人が来る度レースのリボンだの小鳥の置物だのご機嫌取りで俺にくれるんだよ。中身もちゃんと女の子なら喜ぶんだろうが、すまんが割といらん。

「お嬢様はお疲れのようですね。こちらの砂糖菓子などお召しあがりになられますか?」

「さとう…!?」

「ええ、この度帝国より新たに仕入れることとなりまして。ご覧ください、星のようでしょう?」

 こ、こここ金平糖やー!!前世で見たものほどカラフルじゃないけどあのトゲトゲ鉄球形は間違いない!何で金平糖でここまで大騒ぎすんのかって?ぶっちゃけこの国砂糖がむちゃくちゃ高級品なんだよ!雪国なのでサトウキビとか植えられないんだろう。砂糖大根はどうだか知らんが、何かの樹液から細々と精製しているらしい。果物も種類が少ないし、甘味とか超貴重。

「ほんとにもらっていいの?」

「もちろんでございます、お嬢様。」

「うれしい…!」

 顔面破壊レベルでマジにうれしい。やべぇみ な ぎ っ て き た 。一日一個ずつ大事に食おう。親父殿がくれって言ってもやらん。お袋様は…一個だけならあげよう。いやーここまで甘味に飢える日が来るとは思ってなかったわ。前世はコンビニ行ったらチョコでもアイスでもより取り見取りだったからなぁ。あ、いかんいかん思い出すと食いたくなってくる。今は金平糖に集中だ、俺。

「…お、お喜びいただけて何よりでございます。」

 テンション上がりすぎてて商人にちょっと引かれた模様。いつもにこやか爽やか好青年が一瞬固まってたもん。どうどう落ち着けひっひっふー。ちょっと外の空気でも吸うか。

「おかあさま、わたくしおにわであそんでまいります。」

「そう、水辺にはあまり近づかないようになさいね。」

「はい、おかあさま。」

 うん、うちの庭無駄に広くて池だの小川だのあるんだわ。池はともかく川とか…すごく、セレブです…。小魚見るのは結構楽しいんだが。しゃーない、秘密基地にでも行くか。



 館には前庭と裏庭と中庭があり、俺の秘密基地は前庭の植え込みの中にある。が、秘密基地なので馬鹿正直にまっすぐ行ってはならんのだ。裏庭のバラの迷路をグネグネと経由し、館全体をぐるりと囲う塀に沿って木の枝を伝いつつ前庭に移動し、服が汚れないぎりぎりの所まで身を低くしながら向かうのが美学である。ガキ臭いと言うことなかれ、今の俺は正真正銘五歳のガキんちょだ。金平糖の小瓶を片手に軽々木登りするのだからやっぱり大した運動神経だと思う。

「いまたべるか…?いや、おやつのじかんにというのもすてがたい。」

 なーやーむーぞー。どっちにせよここにはさすがに置いとけないよなぁ。こっそり虫篭とかは置いてるものの流石に食いもんを屋外に放置はよろしくない。秘密基地っつっても庭師には把握されてるだろうし。んー…枕元の棚が無難なところか?でも寝る前に食うと虫歯になりそうだ。むぅ…よし、とりあえず一個食おう。脳みそ使う時には甘いものなんだぜ!

「ふぉぉ…うーまーいーぞー!」

 もう一個…っていかーん!自重自重。あの兄ちゃんもたまには良いもんくれるなあ。次来た時にも甘いもんくれるといいなぁ。…ん?俺お礼言ったっけ。嬉しいとは言ったが有難うとは言ってないような。普段さして欲しくもないもんもらった時でもちゃんと言ってんのに。いかんいかん、グレートありがとウサギ!ぽぽぽぽーん!とかやったら余計ドン引きされるから普通に礼を言ってこよう。



「あれ、ちょうどかえるところか。」

 勝手口(それでも結構広い)から出てきたところを発見。今日は割とお袋様たちのショッピングが早めに終わったようである。珍しい…。まぁ良いや、下に降りて、っと。

「お嬢様!?」

「こんにちは。きょうはおかしをありがとう。」

「…どういたしまして。それを言いにわざわざおいでくださったのですか。」

「うん。さっきはおれいをいいわすれたから。つぎはいつこられるの?」

「三か月後を予定しております。隊商の帰りにも因りますが…」

「わかった。まってるね。」

 三か月後…!三か月後にはまた菓子が来るよきっと!こんだけ喜びアピールしとけば次もきっと菓子をくれるはず。感謝と打算の入り混じった笑顔でサーセンふひひ。あれ、何かをこらえるような顔をしてどうした兄ちゃん。打算がばれたか?

「お嬢様…!」

「むぐっ!?」

 いきなり抱きつくんじゃねぇよ!つーか息苦しっ…

「っ!」

 首筋の衝撃共に視界が暗くなってゆく…。



 という訳でまとめると、

①菓子をもらう

②礼を言う

③さらわれる←今ココ!

 …意味が分からん。なにこれ営利誘拐?それとも政治的な何かか?今までそんな素振りもなかったんだけどなぁ。あんなかっさらいやすい所に一人で居たのがいかんかったか。馴染みの顔だったから油断したぜ…!とりあえずこの暗さと狭さ、肌触りから言って布地の入った箱の中らしい。手足は…縛られてない。猿轡とかもされてない。五歳児相手で油断したか。この箱鍵とかついてたか?そっと、気づかれないように…重っ…!

キキィ、

とかすかな音を立ててどうにか蓋が上がった。これは馬車ん中だな。商人も使用人も乗ってない、荷馬車か。箱から出て後部の幌をちょろっとだけめくってみる。箱馬車は…居ないな。前を走ってるんだろう。こっから飛び降りるか?映画なんかだとカーブを見計らって…止まった。えぇぇぇぇマジかよどーすんだよこっち来るよ!

「お目覚めになられたのですね、お嬢様。」

「ここはどこですか?どうしてわたしはここにいるのですか。」

 がっちり手をつかまれた。くそっ、逃げられん。しかも顔が近い。

「お嬢様…お慕い申し上げております!」

「!?」

 まさかのロリコン…だと…!?いや、俺の年だとむしろペドか、ペドなのか。つーかこれはもしや貞操の危機なのか!?

「突然のことでさぞや戸惑われたことでしょう。しかし…この熱い気持ちが抑えられないのです!今日『嬉しい』とおっしゃられた時のあの笑顔を拝見してから、お嬢様のことが頭から離れません。その愛らしいお姿が脳裏にまたたいて奥様のご注文にもうわの空で応対する始末…。」

 今日からかよ!マジで突然じゃねぇか。………笑顔?まさか…ニ コ ぽ か !

「愚かな男とお思いでしょう。年も身分もあまりに違うお方にこのように恋焦がれて。せめて貴女が妙齢の、下級貴族か何かの令嬢であったなら、希望も持てたやも知れません。ですが実際には二回りも年下の、この国で最もやんごとなき身分のご婦人のお一人であらせられる…!」

 えぇぇぇぇまさかマジで俺ニコぽで誘拐されてんの!?何でだよ今まで別に何ともなかったじゃねぇかよ!そりゃ両親にも使用人にも溺愛されたくってるけど普通に子供に対する愛情だぞ!?何でいきなりそっち方向に目覚めちゃってんのぉぉぉ!?

「この思い、胸に秘め墓場まで持っていくつもりでおりました。ですが、『待ってる』と言ってくださった、再び笑いかけてくださった…私は、私は…!かくなるうえは貴女をさらい、この国を出て帝国へでも逃げましょうぞ。幼少のころより勉学と仕事ばかりに邁進し続け二十年余、これほどまでに何かを欲したのは生まれて初めてなのです!」

 俺の目をまっすぐ見たままこれでもかというほど情熱的な思いを長々ぶちまけてくれちゃった兄ちゃんだが…マジで周りが見えていない。

「あの…うしろをみてください。」

「はい?」

 鬼のような形相の親父殿と護衛のおっちゃんらに囲まれてますが。



 そんなこんなで親父殿の馬に乗って館へ帰宅。つーかよく考えたら今回生まれて初めての外出だわ…どんだけ箱入り。俺が見当たらない&商人の様子がおかしかったってことで追いかけてきたらしいですね。犯人は縛られて馬車に乗せられて引っ立てられてきました。

「貴様…覚悟はできておろうな。」

「…はい。申し開きは致しませぬ。いかようにもご処分ください。」

「処分など一つしかない!私が直々にそっ首刎ねてくれる!」

 えぇぇぇぇ即行!?拘留とか裁判とかナッシング!?つーかアレか、貴族誘拐とか裁判しても死罪とかそーゆーアレか!

「おとうさま、まってください!」

「サイネ、あちらへ行っていなさい。子供の見るものではない。」

「おとうさま、ころさないでください!わたくし、なにもこわいおもいはしていません。わたくしのせいでひとがしぬのはいやです!」

 マジで勘弁してください!ニコぽで人死にとか現代日本人にはハードル高すぎだからぁぁぁ!!

「サイネ…罪は裁かれねばならんのだ。ましてや他ならぬお前をさらうなど…」

「おねがいですおとうさま、おねがい…!」

 必殺!泣き落とし!!マジで頼むよ親父殿ぉぉぉ!これマジ泣きだからぁぁぁ!!

「サ、サイネ、泣き止んでおくれ。お前に泣かれたら父さまはどうして良いか…!」

「う、ぐすっ、お、おねがいきいてくれますか?」

 涙目で見上げろ!裾をきゅっと握れ!心持ちふるふるしろ!

「う、しかしだなぁ…」

「ふぇ、うにゅぅぅぅ」

 羞恥は忘れろ、女優になるんだ!涙は女の最大の武器なんだろ!?

「わ、わかったから、お願いだから泣き止んでおくれ。殺さないから…」

「さいねとおとうさまのやくそく、ですか?」

 相手が引いたところで畳み掛けろ!言質を取るんだ俺!

「…わかった、約束だ。この男には別の処分を下そう。」

「ありがとうおとうさま!」

 笑顔でフィニッシュ!!……燃え尽きたぜ、真っ白に…!俺は知っている、親父殿は家族との約束は絶対に破らん。俺の誕生日に間に合わせるため吹雪の中を駆けてきてお袋様に絞られたこともあるくらいだ。…しかし軽い気持ちで頼んだニコぽでこんなことになるとは…。せめてナデぽだけにしとくんだった。危うく罪の無い(本来なら罪を犯さなかっただろう)人の命を奪うところだった。どうにか打ち首だけは回避したが、それでも俺があの兄ちゃんの一生を狂わせたことには変わりない。どう詫びていいか…きっと親父殿が会わせてくれないだろうし。ニコぽマジ怖い…。



[27599] 二話半 使用人の嗜み(※微エロ)
Name: もにょり◆843b5c97 ID:c5f98b7c
Date: 2011/05/15 21:37
side butler

 初めまして皆様、私ペリカリス大公家執事のウートカと申します。お嬢様が三番目に発されました言葉が私の名でございましたことはアナトラ家末代まで語り継ぐべき栄誉と思っております。館における私の仕事は銀器や磁器、地下の酒蔵の管理に始まり、旦那様方の給仕、書状の整理、男性使用人たちの監督に至るまで多岐にわたります。
 しかし中でも最も重要な使命は他の仕事を可及的速やかかつ完璧に終わらせた後、この館の内で最も美しく最も偉大で、最も貴重な宝―――、つまりはお嬢様をお見守りすることなのです。



 本日は雨も止み、お嬢様は庭の秘密基地に行かれました。最近は晴れると必ず外で遊ばれるので、庭師のポルトリやオルニテスが使用人たちから私的制裁にあっているのをよく見かけます。おや、どうやら迷い込んできた子猫を捕まえたご様子。

「こにゃんこの肉球万歳…!」

 お嬢様のお喜び万歳…!五年前不届きにも身の程知らずの若造めが、畏れ多くもお嬢様を館より攫い逃げ出したことがございました。それ以来お嬢様はめっきりふさぎ込まれ、私ども家人の前でも滅多に感情を表さぬようになられました。おいたわしやお嬢様…!こうして遠くの物陰に身をひそめるのでもない限り、あの愛らしい笑顔や笑い声を堪能することもできなくなってしまったのです。

「お前どこから来たんだ?まだ毛がふわっふわですねー。半年ぐらいかなぁ。お母さんは一緒じゃないのか?」

 お嬢様の小さな御手が子猫の黒い被毛を撫でているのが見えます。ああ…!私も猫であったなら!背を撫でられ、指で作った輪に尾を通され、両前足の肉球をふにふにと揉まれたい!濡れた鼻でお嬢様の薄桃色の指先をくんかくんかしたい!

「ははは、くすぐったいぞこいつぅ。そんな奴は…こうだ!」

 あぁ、そんな、仰向けにして脇腹わしゃわしゃしちゃらめぇ!ああ、あの猫がゴロゴロと喉を鳴らす様が我がことのように良くわかる。
 あぁぁ、お嬢様の柔らかい腕先を両手両足で抱え込んで、人差し指と中指をまとめて舐めたり噛んだりしゃぶったり…!ぷくぷくの掌にざらついた舌先を這わせてうっすらとかいた汗を味わったり!

「ん、こら、どこまで舐める気だ。」

 うぉぉぉぉ夏服のやや開いた襟ぐりから覗く華奢な鎖骨を!鎖骨を!!
…ふぅ、流石にべりっと引きはがされたか。羨ま…けしからん猫め。

「あ、ちょっ、どこに入って…ひぅ!?」

 ごふぅっ!

side out



side housekeeper

 あ、ウートカが倒れましたね。あれしきのことで噴血するとは…情けない男です。ここからは私リリーが侍女頭として余すことなく見守りましょう。お嬢様をお一人にしておいてはならぬのですから。

「ひん、やめっ、そんなとこ舐めんな!」

 まくれたスカートからほっそりとした太ももが見えます。最高級の白絹よりも更に白く滑らかな肌…!いえ、その内からほのかに血の透ける桜色に上気した柔肌、唾液に濡れて一層艶めくその曲線を何に例えることができましょう。「お嬢様」。そうお呼びすることしかできませんとも。あぁ、とうとう座り込んでしまわれましたわね。

「ああクソ、泥だらけになったじゃないか。こんの馬鹿猫!」

 立ち上がって浴場に向かわれるようです。子猫は…連れて行かれるようですね。急いで先回りしなくては。



 お嬢様の身を清めるという大役、未熟な小娘たちに任せるわけにはまいりません。耳の後ろから足のつま先まで隅々余す所なく洗い上げましたとも。猫も私が洗っておくと申し上げたのですが…。

「良いのです。私の猫なので私が洗います。」

 湯帷子一枚で御手ずからあの畜生をお洗いになるとのこと。くっ…!こうして脱衣所から聞き耳を立てることしかできないなんて…!む、あちらの給湯室からなら…どうにか見えそうですね。いささか暑いのが難点ですが。

「ふはは、さっきはよくも好き勝手やってくれたな?逆襲の時間だ!」

 口とは裏腹にそっと湯をかけ優しく泡立て、予想外に手際のおよろしいこと。お嬢様…立派になられて!私感無量ですわ。

「おぉ、思ったよりばっちかったな…今度はしっぽですよー。」

 小さな御手で夢中になって洗われて…帷子が随分肌蹴ているのにもお気づきでないご様子。入浴中のお姿をこうしてこっそり見るというのも新鮮ですわね。…それにしても暑いわ。

「お前いつの間にか喉まで鳴らして…。猫の癖に風呂好きなのか?」

 そんな濡れて萎んでみずぼらしくなった子猫に惜しげもなく笑顔をお向けになるなんて。む、猫がまたしても舐め始めましたわ。

「あ、こら、もう洗ってもらったんだからな。やーめーなーさ、ちょ、ほんと止めろって!ちょ、今はマジでやば…!」

 あの猫畜生今度はお嬢様の胸元を!あぁ、それ以上肌蹴たら…!

「やっぁあ!ふぁ、んなとこ舐めちゃ駄目!揉むのも駄目!こら、吸うのはもっと駄目ぇ!」

 かっふぅぅ!!

side out



side mother

 今日はウートカとリリーが倒れたと報告が来たわ。ウートカにはそろそろ雇用者として注意をしておくべきかしら。
…にしてもリリーまで倒されるとは思わなかったわね。サイネ、我が娘ながら恐ろしい子…!

side out


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