第二話
作業開始が宣言されてから十数分が経過した。
今の状況はと言うと、彼女の説明を聞いていた何人かがチームを組む為に歩き回ったりしている。だが、殆どの人は一人で行くみたいで、単独でポツポツと床に座っている。たま~に近づいたり離れたり……そんで自然とチームに成ったりもしたりしていた。
俺か? 俺は、最初に腰掛けた壁際から動いていない。独りで行くつもりだからね。
さて、俺もそろそろ作業を……ん?
「あの~、アスナさん。この手はなんですか?」
ギューっと俺の服の袖を掴むアスナ。心なしか上目使いな気もする。
「い、いや……イツキがあまりにも心配だからな。一緒に行ってもいいかもかなぁと……」
いや、どう言う頼み方なの? って、そんなに不安げに服の裾を引っ張らない!
「はぁ、分かった。一緒に来てもいい……」
「うむ、そうでなくてわな!」
おい~、何その変わり身? やっぱ止めようか? って、だから服の裾を引っ張るな!
「で、どうすればいいのだ?」
そう言ってアスナは窓をツンツンと突く。
そこからなのか!? とりあえず、アスナにこのチートシステムの基本を教えたやった。後は、自分なりにやってくれるだろう。
はぁ。さて、俺はどうするかな……。
「オルタの世界、なんだよな……」
タケル達が、ボロボロに成りながら地球のBETAの親玉を倒し人類に希望をもたらす。だけど、タケルは全部を失って、誰からも忘れ去られて……だったな。
「あの“めでたしめでたし”、変えられるか?」
選択によっては、十分にやれるかもしれない。
『あら? あのエピローグが不満?』
「……いや、アレはアレでいいんだ」
だが、あの世界に――全部忘れて平和な世界で笑って暮らすってのは、あいつらがあの世界で天寿を全うしてからでもかまわないだろ?
『……なるほどね~。
そうね、色々間魅して君に20,000ポイントボーナスしちゃいましょう(うんうん、この子がタケルちゃん応援派で良かったわ♪ 私が担当した人、なんだかんだでタケルちゃんアンチに成っちゃうのが多かったのよね~。この子は期待できるかしら?)』
『臭さ絶好t(ボカ!)『五月蝿い!』』
な、なんだ今のは? ……何もなかった。うん、風の精霊なんて何処にも居なかった。
ん~、にしても20,000ポイントってかなりの大盤振る舞いだな? え~と、これでオレの今の持ち点は150,000ポイントか。アスナは……たしか130,000ポイントだったな?
「のう、イツキはどうするのじゃ? 自分の強化か、部隊を連れて行くのか……」
ポイントを確認していると、アスナが話しかけてきた。まぁ、チームを組むのだから相談もしなきゃならんな。
「俺か? 俺は……」
そう言って窓を確認する。ま、俺が選択する項目は、最初っから決まっている。
「初期スタートは部隊(仲間)を連れて行くぞ? 一人じゃ、まずまともに戦えないからな」
平和な日本で暮らし、何の訓練も積んでない俺たちだけじゃ、ハイヴを潰すどころかその前のBETAの間引作戦だけで死亡フラグが乱立するだろう。それこそR-TYPEシリーズの初見殺し並みにフラグが乱立する……。あ、R戦闘機を持ち込めばフォースと波動砲で楽勝……って、ダメだダメだ! 今度はBETAより凶悪なバイドが地球で暴れちまう。
どんなオワタな世界だよそれ?
そんな事したらマブラヴ・オワタネイティブになっちゃうよ!?
純夏ちゃんが脳みそのまま飛び跳ねちゃうよ!? 怖すぎるよ! 白銀に治癒不可能なトラウマ植えつけちゃうよ!!
「な、何を独りで身悶えているのじゃイツキ? キモイぞ?」
ひ、ひでぇな。
「ハァハァ……。まぁ、ちょっとした妄想だ。
それと、自身の強化なら後々の戦闘でのLvUPで十分に出来るからな。俺は、ここで無理をしてオレTUEEE! をやる気はない」
「ふ~ん……」
不死は色々と魅力的だが、確実に悪手。BETAに捕まって永遠の脳髄化フラグが立つ……快楽地獄かぁ。それはそ……ゲフンゲフン! それか、夕呼先生の色々な実験台にされて精神崩壊するかだな。
さて、項目を選択……する前に、
「お~い、ちょっと確認していいか?
自身の搭乗機についてなんだが……、ネクストACの操縦に必要なAMS適性やインプラントなどの手術も、この“自身の強化”って言う項目に含まれるのか?」
一応ざっと見た限りでは、自身の強化の項目には不死化とか一回コンテニュー権とかが並んでいる。だが、今俺がした質問の項目は見つからない。ただ単に俺が見落としているだけかも知れないが……。
俺の質問に、窓の中の女の人は目をパチクリさせた。
『……いい発見ね。
そうね~、その答えは“ちーとはじめました”で、グラーバグ1が高効率教育センターで行った体験型教育プログラムを思い出せば分かるわよ?』
? 体験型教育プログラム……ってアレか? 頭にUSBぶっ刺して、WW2や湾岸戦争の歩兵戦とか各種乗り物(人型ロボットも含む)を乗りこなしたり、経営陣の訓練を受けたりと言う……ん? USB? うん、確かアレは耳の裏にUSB端子があって、それに接続していたな。となると、神様印のインプラントがされるわけなのか?
『ええ、そう。
それから、君は乗る機体に対して最適化されるわ。……ここまで言えば、十分理解できると思うんだけど?』
「……つまり、俺は戦術機だけではなくネクストにも乗れると」
インプラントをされているって事はそう言う事だろうな。最適化の適応範囲ってヤツで、AMS適性がなくても最初にネクストを搭乗機に選択すれば乗れるようになるんだろう。
女性はにっこり笑うと、
『よく出来ました♪
ちなみにこの選択は、どっちでもできるグレーゾーン的なモノね。他にも、乗ろうと思えば特別な適性が必要なスーパーロボットも乗り回せるわよ?』
なるほどね~。まぁ、今回はそれは置いておこう。
『でも、その選択には当然として自身強化としてのコストがかかるわ。
モノによって割合が変わるけど……。ネクストACなら――それプラス、自由なアセンブルを行った機体でだと、ここで入手した全ポイントの三割(今だと45,000ポイント)になるわね。
もちろん、これは君自身の強化……も含めるけど、大多数は君のネクストの費用よ。戦術機ならタダでプレゼントなんだけど……』
戦術機ならタダでプレゼントか……。安いわけではないが、後々の事を考えるとこの選択は吉と出ると思われる。大出力のコジマ・ジェネレーターにより、戦術機をはるかに凌駕した物理装甲に対レーザー装甲の実装。コジマ技術により人型での音速航行を可能にした――オーバーブーストおよびプライマルアーマー。時速700kmオーバーの瞬間加速能力――クイックブースト。国家解体戦争を成し遂げた兵器と言うネームバリューも後押ししてくれる。
ん? ちょっと待てよ、
「自由にアセンブルできる機体でだと三割? なら、それ以外の選択もあるのか??」
『あら、ちゃんと気がついたのね?
ACfAの初期ストレイド四機種からスタートするなら、ポイントは一割(今だと15,000ポイント)で構わないわ』
初期四機種が一割か……。なるほど、参考にさせてもらおう。
「ところで……アスナはどうするんだ?」
コイツの守備範囲が分からんからな。どんな作品から誰を引っ張ってくる気なのか……、
「ん? あ~、イツキが仲間を連れて行くのじゃろう? ならワタシは、自身強化で行こうと思っておるのじゃ」
ナンデスト?
「え~と、不死化とかはあんまりお勧めできな……」
「違う違う。
自身強化と言っても、それを取るわけじゃない。フィクションキャラのスキルとか装備を持って行くと言っておるのじゃ!
ちょーどその説明をしてもらってな。候補を幾つか上げた所なんじゃが……」
へーそんな事も出来るのか、どれどれ?
サムス・パワードスーツ――ただし、性能はアザーエムの初期状態。これで五割の消費か(ダメージを軽減するバリアスーツや、強力なプラズマビームなども撃てるフル装備状態は、十割の消費ね)。
アルター能力――モノにもよるが、殆どのキャラのアルター能力が五割以下の消費で習得可能ね。カズマのシェルブリット(最終形態)なんかは十割か……。
無限の剣製――ただし、一切の贋作データ無し。これで二割か……(英霊エミヤシロウと同等の能力だと、十割ね)。
魔法技能――要選択で二割から十割? よく分からないが、何かを選択する必要のある大雑把なモノだな……。あ、無限の剣製も魔法技能(魔術だったか?)に含まれるから二割なのか。
「オマエの守備範囲が分からんな……。
てかアルター能力や魔法技能って、オマエ生身でBETAと戦う気なのか?」
サムス・スーツはまだ分かる。鳥人族の超テクノロジーの塊であるスーツなら、BETA相手に十分に戦えるだろう。スーパービームなら反応炉も吹き飛ばせそうだし、スクリューアタックならBETAに取り付かれずに進攻できるだろう。溶岩の高温にだって耐えられるスーツの防御力なら、レーザーにだって十分に耐えられるだろう。
アルター能力も、絶影(初期)などなら戦車級を相手取るには十分な力がある。スーパーピンチクラッシャーは……まぁ、アレだな。シェルブリット(最終形態)なら、力押しでハイヴを陥落させる事も……。
魔法系もそれなりに――ネギま! の千の雷や、スレイヤーズのドラゴスレイプみたいな対大群魔法ならそれなりに期待は出来るな。
だが、アルターにせよ魔法にせよ、生身でBETAと戦うつもりなのかアスナは? 高確率でマミるか、ミンチになるぞ?
「距離さえ取れば問題はないじゃろ。現に歩兵もBETAと戦っておるしな。
で、この魔法技能じゃが、どの作品の魔法を使うかでポイントの消費が変わるようじゃ。あ、それと習熟具合も消費量に影響するのう」
「まぁ、そう言われればそうだが……。で、アスナはどうする気なんだ?
やっぱパワードスーツか?」
まぁ、フル装備状態なら、単独でもハイヴを陥落させられそうなチート武装だからな。原作でも単独でスペースパイレーツの惑星要塞を陥落させているし……。あ、ハイヴを水攻めして、グラビティスーツの効果で反応炉まで楽々到達するのも悪くないな。BETAは水中に対応した進化をしてないし……。
「だが、かなりの量の水を投入する穴堀機が必要になるな……」
ドリルが必要になるよなぁ……グレンラガンか?
「う~む。パワードスーツも悪くないのじゃが、魔法とか言うのも使ってみたいと前々から思っておってな……。
無限の剣製で……あ、コイツは銃火器の製造に変更も可能だそうじゃ。で、延々と後方から銃火器無双を……」
「ま、まぁ、ゆっくり考えてくれ。俺は俺の作業を進めるから」
「うむ、ではもう少し悩んでみる事にするか……」
アスナに期待するのは止めておこう。戦力として使えれば御の字と言う事で……。
「ま、仮決めシステムってのが有るみたいだから、ある程度候補が決まったら話し合えばいいな」
今までは、決定したら一つ前の選択に戻って……に10,000ポイント必要だったようだが、チームを組んで活動する様になったために仕様を一部変更したらしい。
さて、俺はどうするか……グラーバグ1は、横浜基地の横に出現したんだよな? で、戦闘に……。似たような作品で、国境無き軍隊は横浜基地から少し離れた場所に基地を置いたけど……やっぱり戦闘に突入してたな。
「半可な放し方じゃ、横浜基地とドンパチする羽目になるんだよな……」
できればそんな事したくないんだけど……。なら、海上にメガフロートを作ってみるか? 太平洋上なら、そのまま横浜港に接岸するのも良いし……。いや、日本海にして、佐渡ヶ島からBETAの死骸を採集しまくるか? う~む。でも、どちらにしても横浜基地か帝国軍と戦う事になりそうだな……。
「タケルに協力するには、香月博士と交渉する必要があるんだよなぁ……やっぱ、有利な交渉材料が必要になるよな?」
う~ん、戦力位しか用意できないんだよな。もうちょっと有利になるようなモノはないか? 技術……は、即物的な交渉材料としてはインパクトがなぁ。
「……とりあえず、連れて行くメンバーを決めるか」
悩んでいたって時間の無駄だからな。
先ず一人目は……砲撃戦担当で――有澤重工社長、有澤隆文と雷電は鉄板だな。彼は小規模とはいえ一企業の社長をしていた。是非、その榴弾技術と経営手腕をあの世界でも生かして欲しいと俺は思っている。
「後は、近距離戦担当で真改のスプリットムーンかな?」
1,000発マシンガンのモーターコブラにACの看板兵器――ムーンライトを装備し、さらに追加ブースターでワープしてくるというインファイト型だ。狭いカーパルス内で張り付いてくるから恐ろしく苦戦した経験がある。コントローラ無しだから出来る常時後ろ張り付きは、今思い出しても恐ろしかった。
出来れば癒し系でダン・モロを連れて行きたいな……。でも、コストが割に合わない。
これが宇宙世紀に飛ばされ、成層圏でブルーデステニー二号機と戦い、三号機と共にアンサラーを落としたスーパーなダン・モロなら喜んで連れて行きたいのだが……。生憎と彼は、通常兵力程度ならどうにかなる程度のリンクスであった。
「ネクストACからなら、この二人か?」
だが、なんか男ばっかりだ。女の子が欲しいな……リンクスで女性って言うと少佐にリリウム。あとは……、
「メイか?」
メイ・グリンフィールド。新旧混合のGAマンを主体に、支援メインで構成されたメリーゲートを駆る女性リンクス。ゲームでは最大三回も支援機として選択可能なキャラなんだよな……。ダンよりも使えるし、一応候補にあげておくか。
「……ん? 待てよ、パイロットを選ぶと機体が付属して来るんだよな?
お~い、もしかして艦長とかを呼ぶと、そいつが乗っていた戦艦ないしが付属してくるのか?」
『おお!? また鋭い指摘だねぇ~君。
その質問の答えだけど、パイロットと同じように――艦長を選択すればその人が登場していた船が付属させる事ができるわ。例えば、ブライトさんだと、ホワイトベースやアーガマとか……ね?
あ、だけど、他のクルーは付属しないから……例えばタシロ提督を呼んでヱルトリウムを習得しても、ちゃんと動かせるように成るには相当な人員を用意する必要があるわね』
なるほど、人員が必要か……。
「……そいつは、このモブ兵士(洗脳済み一個大隊――600人、10,000ポイント)か、こっちの自動歩兵(一個小隊――50機+生産ライン、10,000ポイント)を選べばいい、かな?」
思案の結果、警備員兼作業者として自動歩兵――ザ・サードに登場する2mから4m程度の戦闘用アンドロイド。ただし、コイツは原作と違って培養脳ではなく量子コンピュータに神様印のAIを装備――を採用する事にした。機械ゆえに生身の兵隊より強力だし、洗脳にポイントを払う必要もない。現地で好きなだけプラントから量産できるから人員面で色々と役に立ちそうだ。
「そういや、出現する時間はどこなんだ?」
一応確認してみたが、スタート日時は2001年10月22日……ちょうどタケルがあの世界にやってくる日だな。
ちなみに、この出現時間の変更も可能との事だ。
『ただし、2001年10月22日を基準に一ヶ月前に戻るたびにコストが10,000xチームの人数分のポイントが必要になるわ。二人なら20,000で、五人なら50,000ポイントね』
正直に言って、五人でだと恐ろしく割に合わない選択だな。出現場所も0~10,000ポイントで決定する必要があるから……うは、それも含めると恐ろしい初期コストになるぞ?
「う~ん、小惑星帯のハイヴを潰して地球に向かうってのもアリだと思ったんだが……」
10月22日に出現して、下手にちんたらしていたら桜花作戦始まっちまっている可能性すらある。
う~む、終焉の銀河からやってきたαナンバーズみたいに小惑星帯に後方支援基地を立ち上げて、ハイヴをサーチ・アンド・デストロイ。G元素を手土産に香月博士と交渉したかったんだがなぁ……。あ、だけど、広大な小惑星帯でハイヴをサーチ・アンド・デストロイする時間を考えると、恐ろしく非現実的な選択か? マクロス系技術でフォールドでもしないとやってられんかもしれん。
「一応、BETAの支配地域と言う区切りなのか。コストがかからないって言う点だけは魅力的なんだが……」
だが、出現した宙域にBETAのハイヴが在ると言う確証は無い。難しい選択……あ、
「たしか、土星の衛星――タイタンだったかにハイヴが在るって言っていたよな? あそこに……」
『タイタン? メタンの海でバカンスでもするの?』
は? ……え~、タイタンの情報(ウィキ程度の情報)を教えてもらった。月よりもデカイ衛星で、メタンの雨の降る大気があると……。で、火がつくと燃え上がる危険性が有るとか無いとか……。
「……タイタンでBETAの採掘は無理そうだな」
サムスのパワードスーツとかなら何とかなりそうな気がするが……、やっぱりBETAの死骸が回収しづらいな。やっぱり地球上のどこかに基地を建てるか? 比較的ハイヴの近い場所にして……。いや、待てよ?
「たしか、火星の衛星は小さいんだよな?」
たしか、小惑星が火星の引力に捕まって……とか言ってたか? だったら、自力での脱出もできるかもしれない。大きめの宇宙戦艦とかを基地にして、衛星の周りを……。そう言えば、火星の衛星ってハイヴが建造されてたっけ?
『それは、行って見てのお楽しみね。
私が答えられるのは、基本的にこのシステムについてだけで、現地の事はあまり教えられないのよ』
ムムム、意地悪だな……。う~む、どうするかな? 火星の衛星にハイヴが無かったら……、
「……待てよ? ハイヴ着陸ユニットがアレで、終焉だとバサラが……だったな。他でもハイヴ着陸ユニットがやって来たり……」
やれるか? やれるのか??
「……クレート(資材)もポイントである程度購入可能か?」
プラントの成長に加算されないクレートの購入(5,000t)、10,000ポイント。ただし、購入するたびに必要になるポイントが二倍に成る……。試しに三度購入してみたら、それだけで70,000ポイントも消費してしまった。最速、5,000tだけあれば初期資材として十分なのだ。後はハイヴからBETAを収集すればいい。
「よし、なら初期の資材は問題ないとして、実際にそれを決行して失敗した場合のプランBは……」
とにかく一杯の窓を出現させプランの試行錯誤を行っていく。
お、恒星間光速移動技術も取れるのか……。あのSSだとコマンダーレベル10あたりで選択可能な項目だったが、この準備部屋だとそう言う制限がないようだ。多少ポイントが割り増しになっているのが痛いが……。
「使える船で手ごろなヤツは……。宇宙、または低重力下での戦闘経験のある……。大気圏突入能力のあるヤツで……。
マクロス系技術……は使えるか? 使えるな。他に使えそうなモノは……。
クソ! ポイントが足りない上に行き当たりばったりなプランニングだな……」
チラリと時計を確認すると、既に残り時間が06時間26分に成っていた。いつの間に!?
「アスナの方はもう決まったか?」
たしか、自身の強化を……、
『僕と契約し(ry』
ガガガガガ!
俺は、その白い悪魔のいる窓を別の窓で覆い隠した。更にその危険な窓をゴミ箱へと投入する。更にそのゴミ箱を別のゴミ箱に……。よし、
「う、うむ、なかなかに危ないところじゃった。
あ~、ワタシの方は決まったぞ?
魔法技能(リリなの系)と汎用デバイスに魔導師ランクAじゃ。
無限の剣製は……ワタシではネタ程度でしか使えないしのう。サムス・スーツもモーフボールの事を考えると……」
ああ、あのナゾの球体化ね。どういう風にしてしまっているのか分からないけど、明らかにあのボールのサイズは小さすぎるよね? 換気ダクトの中を転がれる位小さいんだよ?
「魔砲少女か、でも何でリリなのなんだ? ネギま! の魔法でも……」
「あっちは、難しい論理構成にラテン語や古代ルーン語での詠唱がたいへんなのじゃ。それに比べて、リリなのの魔法は武器としては使いやすい……と、考えての」
なるほど、まあリリなのの魔法は質量兵器の代わりみたいな位置づけだからな。低レベル同士での単純な早撃ちなら、リリなののデータ式のほうが(おそらく)早いし強い。それに、あの世界の魔法は『高度に発展した科学の産物』的なものも含めているからな。下手な超常現象よりとっつきやすいだろう。
あ、でも高レベルになると……ネギま! の方に軍配が上がるかな? あの世界、ドンドン強さのインフラが進んでるしね。ネギみたいに千の雷を無詠唱でぶっ放せるようになれば、歩く災害クラスに……。いや、何処かの誰かが映画版なのはのSLB(スターライトブレイカー)は水爆クラスの破壊力があるとか試算したヤツがいたな。ソレを考えると、う~ん……。
「とりあえず、ワタシの方は四割のポイントの消費で終わっりそうじゃ。イツキの方はどうなのじゃ?」
「とりあえず、こういうプランで行こうと考えているんだが……ポイントがな」
「ふむふむ……と成ると、ワタシも別のものに変えたほうが……」
「いや、アスナに戦力としての価値を期待してないから」
「な!?」
すまんな。だが、その残り六割のポイント(90,000/150,000ポイント)は……、
「すまんイツキ、もう三割ほど貰っていくぞ?」
そう言って、また窓に向かいなおすアスナ。う~む、これで譲渡されるポイントが45,000に減ってしまったのか……。
「ま、さっさと決めるか……」
*
残り、00時間14分……、
「やっと決まった」
時間的にヤバイが、何とかオレ達の部隊を編成できた。
内容はと言うと、
先ず、アスナが魔法技能(リリなの系)と汎用デバイスに魔導師ランク:AA。チート・エミュレーター――理論構成とかを無視して、他作品の技等をミッド式魔法として再現できるようになるプラグだ。
まぁ、個人での戦闘能力はバカにできない様になったみたいだから、施設内とかの戦闘で頑張ってもらおう。下手にBETAの支配地域で飛んだら、光線級の餌食になるからね。
俺は、
先ず基地として、アナハイムエレクトロニクスの航宙作業艦ラビアンローズを選択した。
出現地点は火星の衛星軌道上……。火星の衛星で反映していると思われるBETAハイヴを駆逐して、香月博士との交渉材料としてG元素を手土産にするつもりだ。そのため、宇宙空間での戦闘ができる面子……ガンダム系を初期メンバーに加える事にした。宇宙戦艦も豊富だし、シリーズも多いので使えるキャラは沢山居る。AC系よりも連れて来れるキャラが豊富なのが嬉しいね。選定に困るけど……。
「参謀としても高性能なカティ・マネキン大佐と、ウラル級大型宇宙輸送艦を宇宙での拠点にするか」
ウラル級大型宇宙輸送艦――00セカンドシーズンの最後で、反アロウズとしてマネキン大佐が指揮を取った大型航宙母艦だ。左右に計六つのコンテナを装備し、最大で96機のMSを格納できる。武装がレールガンとミサイルだけと言うのが心もとないが、ラビアンローズと一緒に拠点として使用する分には悪くないだろう。
っと、それから彼女の夫……最強の死亡フラグブレイカー事、不死身のコーラサワーにジンクスⅢだな。意外とエース級パイロットなんだよなコーラサワーって……。
GN粒子かミノフスキー粒子かで悩んだが、西暦を舞台にしている00なら、マヴラブの舞台となっている20世紀頃の世界情勢も理解が早いだろう。
この他に、ナタル・バジルール少佐と大気圏に突入可能なAA級二番艦ドミニオン。コイツは、連合軍が開発したGの運営母体にして対MS戦を考慮された戦艦――アークエンジェル級、その二番艦だ。
武装はウラル級よりもはるかに豊富で、陽電子破城砲・ローエングリンを始め225cm連装高エネルギー収束火線砲・ゴットフリート、110cm単装リニアカノン・バリアントと言った非常に強力な火器が揃っている。
また、防御兵装として、75mm対空自動バルカン砲塔システム・イーゲルシュテルンを各所に配置し、艦橋後方ミサイル発射管の対空防御ミサイル・ヘルダートや艦尾大型ミサイル発射管――全24門から艦対艦ミサイル・スレッジハマーや対空防御ミサイル・コリントス、大気圏内用ミサイル・ウォンバットに対空榴散弾頭ミサイルなどを吐き出してくれる。両舷に4門ずつ設置されている多目的射出機には、アンチビーム爆雷やフレア弾などといった物まで完備されているなど痒い所にも手が行き届いている仕様だ。
そして、最大の特徴である対ビーム装甲――ラミネート装甲を全面に採用している。
この装甲は、ビームの熱量と運動量を吸収して防御するという物で、廃熱さえ十分に行えればビームを完全に防御できるという優れもの。コレなら光線族種の凶悪なレーザーも十分に防いでくれるだろう。
一応ドミニオンは、種死の時のAAと同等の能力になるように――大気圏からの単独離脱能力などの改修をポイントで行っておいた。
ACfAの世界からは、メイ・グリンフィールドとメリーゲートを。社長とかは、ポイントの都合で後で召喚する事にした。それに、最初は宇宙だからね。陸戦主体のAC……それもタンク型の雷電は相性が悪いだろうと言う判断からだ。
あ、それから俺の搭乗機だが……時間がなかったので初期ストレイド四機種から、オーメルサイエンス社製パーツを使用したタイプ・ランセルを選択した。実際にゲームでもコイツを初期機体にしたしね。名称は、ストレイドからジャベリンに変更した。
で、このタイプ・ランセルは、四機種の中ではかなりバランスの取れた中量機体だ。腕部にライフルとレーザーブレイド、背中にはミサイルポッドとチュエーンガンを装備している。そして、この機体だけが初期からアサルトアーマーを装備しているのだ。
「戦車級対策として、アサルトアーマーは是非とも外せない武装だからな」
後は、撃震とACノーマル・ソーラーウィンドなどの製造ラインを購入。
時間は、ポイントの都合上一ヶ月だけ早い9月に出現する事にした。もうちょっと戻ればTEの最後辺りに介入できたかもしれないな。
「ま、それは仕方ないか……(てか、いきなりソレだと俺達が死ぬな)。
技術も取れるだけ取ったし、もう大丈夫だな?」
『時間一杯まで粘ったわね~。まともに作業してるの、もうあんた達くらいよ?』
マジか?
「……まぁ、ここでやれるだけの事はやったしな。問題はないだろ?」
そう、やれる事は全部やった。後は出撃するのみ! ポチッとな、
『そう。それじゃ、がんばってね~』
そして俺達は、光に包まれ地獄へと旅立った。
………
……
…
『……3、2、1、0!
ふぅ、時間切れね。あそこで伸びている子達は、救済パック指定で……よし、作業終了!
あ~もう、この不況のご時世、使えそうな若者の就職先として異世界救援隊派遣会社を設立しようって言う主の御心は分からなくもないけどさぁ……ワタシ達の苦労も考えて欲しいわよねぇ』