突っ込みどころ満載&修正したらかなり鬱な内容になりましたが、2話目後半からはお気楽な話になる予定です。
呪われた人生だった。
ただの一人も本当の友人なんか出来ず。その上家族にすら捨てられた。
勿論その程度で不幸だと嘆くつもりは無い。そんな人は探すまでも無く世界中どこにでもいるだろう。
それにずっとそんな状態だったと言うわけでもない。
少なくとも家族の温かみも知っているし、当時は友人だと思っていた人たちと遊んだ記憶もある。
実際運命のあの日までは不幸な人生では無かったと思う。
普通…平凡…そんな今から思えば金の延べ棒をいくら差し出しても手にはいらないような毎日があった。
ただ、それを知っているからこそ運命のあの日以来の絶望がより深まったのは間違いが無い。
そう、私はあの日全ての物を失った。
15歳になり高校に入り一年ながらも私は陸上部のエースとして充実した毎日を過ごしていた。
一つ年下の幼馴染の成長に日々どきどきし、また幼馴染も私を意識して背伸びしていた感じなところにまた幸せを感じる。
そんな平凡な毎日……
始まりは些細な事だったんだと思う。
ただ、順調に伸びる記録がその記録につぶされる先輩たちを、幼馴染を密かに思う女の子が私を疎ましく思い根も葉もない噂を……ほんのちいさな嘘を流したのだ。
「私は実は男である」と言う普通なら誰も信じないであろう噂を。
しかし、箸が転んでも楽しいような女子高生たちの噂話として広がるにはもってこいの話であったのだろう。
実際私は高校一年にして全国大会確実とうたわれる有名人であったし。
それに、私のハスキーボイスや女にしては高い身長。それにほどんど膨らみの無い胸などもその噂を後押しした。
私もそんな馬鹿な噂と有名税な物と流していたら、いつのまにか次に出るはずだった陸上大会の役員の耳にもその噂が届くほどになり冗談が冗談ではすまなくなる。
それに、私にはその噂をそんなまさかと完全に否定しきれない心当たりもあり一度病院で検査を受けることにした。
そう、私は15歳もうすぐ16歳になろうかと言う時にあってなおまだ生理がきていなかったのだ。
そして、結果が出た日私はすべてを失うことになった。
仮性半陰陽……一般にそう言われる症状。
本来は男なのに女の形をして産まれて来ることと聞いた。勿論そんな説明などそのときの私は聞いていられるほど落ち着いていなく後で母から聞かされたのだが……
それから私の人生は転落が始まった。
親は腫れ物を扱うように私に接するようになり。
それまでは私のことを自分達の「誇りだ」等とまわりに喋ってまわっていたはずの彼らは私の事を「悪魔の子」と呼びそれが元で私を殴らない日は無くなった。
実際田舎で生まれ育ち近所の目というものを強く意識して育ってきた彼らには私は汚物以外の何者でもなかったのだろう。
唯一味方についてくれていたはずの兄もその時の私には疎ましいものとしか思えずにやがて兄も私から離れていく。
友達は……親友と思っていたはずの子でさえ私を絶望させるだけの存在となっていた。
外に出たく無くて、でも病院には行かないと行けなくて外に出た私の目に入ってきたのは仲が良さそうに歩く幼馴染と親友の姿。
一度目があったとき等こちらの事を汚いものを見たとでも言いたげな顔をしてそのまま仲が良さそうに歩き去っていった。
親友と思っていた子ですらそんな感じであるのに他の子等はもっとひどかった。
「有名人と友達ならテレビに出れるかもと思ったのに。あ、もう話しかけないでね」
「今まで私たちの事だまして着替えとか覗いてたんでしょ。道理であんたがいると落ち着いて着替えが出来ないと思った。このヘンタイ」
「おいおい、おまえやろーだったんだって? 俺らに裸見せてみろよ。きゃはははは」
これらはその時に私がクラスメイトに話しかけられた言葉の一部だ。
その後も私はいろんなものに追い詰められていった。
自分を男だと思うことが出来ず、女の格好を続ける私を世間はより奇異の目で見る。
下手に私が有名だったのもいけなかった私は落ち着く場所も心休まるときも無く、やがて私は学校をやめ町から逃げ出していた。
何処をどう逃げたのか私は覚えていない。
でも、私がたどり着いたのは今までよりもさらに最悪な世界だった。
心に傷を抱え、高校中退。
しかし、そんな私を不況の世の中で雇ってくれるような所等無い。
気がついたら私は非合法な売春宿に男娼として流れ着いていた。
そんな世界で2年目変化が起こる。
売春宿の経営者が逮捕されたのだ。
しかし、私はその時はまだ17歳であったため逮捕されることは無く親元に引き渡される。
そして繰り返し味わう絶望と逃亡。
その後、どうやって過ごしたのか定かでない5年とその後の時には女性を装い時には男性として行う結婚詐欺。
そんな人としてどん底な生活が私が29になるまで続き。
私はついに後ろから刺されて死んだ。
最後の瞬間私の網膜に焼きついた忘れられない顔は懐かしい両親のもの。
「これで…やっと……」
そして、死体は雪山に捨てられた。
それからどれくらいのときが流れただろうか?
人はかつて起こした核戦争により滅び、地球は青い光の差さぬ死の星と化していた。
このまま世界は朽ち果てようとしていた時地球に訪れたものがいる。
その者達の気紛れにより一度は滅びた地球人類が再びスポットライトを受ける時が近づいていた。
『おーい、そっちは何かあったか?』
『いや、こっちには何も無いな。どうにもこの星はそれなりの文明を持っていたようだが、既にこの有様ではどのような星だったのか全くわからないな』
『ん、おい皆!! こっちへ来てくれ』
すでに赤い星と化し見る影も無くなった地球上空を、なんと形容すればよいのか既存の言葉で表すことが出来ないような者達がいくつかの影を地表に落としていた。
その中の一人と言っていいのだろうか?
ともかくその中の一つの影が何かを発見したのか地表に降り立つ。
そして、他の2~3の影もそれに続く。
『どうした?』
『比較的損傷の少ない死体がこの山の氷の中にあるんだ。もしかしたらこれでこの星の事が少しはわかるかもしれないぞ』
『そいつはすげえ!! お手柄じゃねえか!!』
『しかし、この体じゃどうにもなんねえな。仕方ないそれじゃあこいつの脳みそを取り出すぞ。おい、誰かこの氷ごと運ぶぞ』
そんな会話の後彼ら? は手馴れた様子で氷を運び終えるとそれを監視していた影の中でも上位にあるらしき影がさらに指示を飛ばす。
『そうだな、この脳みそは機械上で一度データを読み取って見るか。しかし、我々の機械だけではこの生物のことは理解しきれないかもしれないからな。その後この星と同じ猿形の人類が住む星の生物の脳に移植してみるか。それでこの固体の経過を見よう』
『わかりました』
『うむ、私は上位存在にこのことを報告するからそこからそこまではこの個体―そうだな『はjyhすあp』とでも名づけようの処理を行ってくれ。そして、その他は引き続きこの星の探索を続けろ』
『『『了解しました』』』
「あれ、私は一体? 何で生きているんだ?」
「……頭が痛い、何も思い出せない……私は『はjyhすあp』違うそんな名前じゃない……私は、私は……」
ここは何処だ?
暗くて狭い。
何もわからない、何もわからない。
ここが地獄なの?
地獄? 地獄って何?
頭が痛む……
あれから何日たったのだろうか、妙に代わり映えのしない毎日が続く。
壁の向こうからは人の話し声のようなものが聞こえる。
でも、聞いたことの無い言語だ。
あれから生きてた頃の記憶を取り戻していろいろ思い出したはずなのに。
これでも人を騙す為に主要な国の言葉は覚えたんだけど。
だめだ、また眠くなってきた。
っぐ、い、痛い。
何事ですかこの痛みは?
駄目、気を失ってしまう……
明るい、目がかすむ。
光が目に痛い。
物が良く見えない。
それにしても、体中が痛い。
だめ我慢が出来ない。
それに、まるで呼吸の仕方を思い出せない。
苦しい。
涙が――
「おんぎゃあーおんぎゃあー」
「さへfはへあっへjh」
「fgっづhvhrfjjsdrh」
なんだろう。
口から出てくるのは変な泣き声だけ。
それを聞いた周りにいる人達……声を聞いて始めて存在に気がついた。
その人たちは私には理解できない事を言っている。
喜んでるのか感情だけが伝わってくる。
いいや、今は疲れた。
複雑な事を考えるのはまた今度にしよう。
ともかく今は体中が痛い。
それに、なんか疲れた。
今は考えることを放棄しよう。
あれから二年が過ぎた。
どうやら私は生まれ変わってしまったらしい。
これは私にとっては何よりもつらい地獄だ。
人を信じられず、人を騙すことでしか生き方を知らない私を再び人の中に戻すとは。
しかも、人の庇護下に居なければ生きられない年齢にして。
これはどれほどの地獄でしょうか?
地獄の一つには人の世界があると聞きますがこれはまさにその内の一つにして地獄と呼ぶにふさわしい。
しかも、死ぬことも出来ない。
死のうとすると頭の中で「私は『はjyhすあp』上位者に地球人類のデータを送る為に最後の時まで生を全うすることが使命」と言う声が流れる。
私はそんな名前じゃない。
私は死にたい……
でも、私は生きなければならない。
きっと私は最後の最後まで死を拒絶するでしょう。
それこそ何をしてでも命を守るでしょう。
これはきっと呪い。
最悪な世の中を最悪な私が最悪なものたちに囲まれて生き無ければならない。
そういう呪い。
きっと私は遠からず狂うでしょう。
いえ、もうとっくに狂っているのでしょう。
そして、きっといつかこの狂気を持って上位者と呼ばれる者達に復讐するのでしょう。
ですが、今はまだ力が足りない。
何をしてでも生き抜く力を。
何を犠牲にしてでも私をもてあそんだものへの復讐を。
その為には力が必要になる。
想像もつかない力が、武力、権力、金そんなものでは足りない。
私自身の力? そんなものは信用できない。
今は考え付かない何かしらの力。
そういった力が。
早く力を身につけたい。
――そして、呪いを解き放ち私はこの最悪な世界から逃げたい――
さらに一年がたった。
どうも、親は私のことをどう扱っていいのかわからないようだ。
話しかけても興味の無い顔をされるかあからさまに無視をされ、話したかと思えば嘘を付く。
その上に男の子だというのに女の口調で話し女の服を好んで着る。
私が自分で考えてみてもこんな子供が出来たらどう扱って良いか迷う事でしょうと思う。
そして、母親の妊娠と共に私は再び捨てられた。
その時私が思ったことは、何も無かった。
ただ、これで安心な寝床と安心な食生活を失ったなと言うだけ。
捨てられた場所は流星街というところらしい。
世界中のごみが集まる場所。
まさに私にふさわしい場所。
最もどんな所であれ、私は私として生きていくだけでしょうが。
それから半年。
3歳ながらに、かつての経験を持つ私は幼子とは思えぬ怪しげな色気を放ち。
また詐欺を繰り返していた経験とこの場所で生き抜く為にと培った経験から弁が立つようになっていた。
そして、怪しげな色気を持ち大人顔負けの人を騙す才と経験をもつ私は密かに有名になっていたらしい。
そのことに気がつかず、いつもの様に出かけた私が帰ってきたとき、空き巣と出会ってしまう。
このとき私にとって幸運だった事は、その男が念使いだった事と正常な性観念を持っていた事だろう。
その男はナイフで私を刺すと金目の物を奪い逃げ去ってしまったが。
子供のこと等どうでもよかったのか私の生死を確認することなく。
その後奇跡的に生き残った私は念を習得する。
はじめは念というものを理解する事が出来ずに生死をさまよう時に見た幻覚かと思った。
ただ、感覚的にこれは体の外に出してはいけないものだと思い、体から湧き出る湯気のようなものを傷をふさぐように体の回りに纏うように意識する。
後から思うとこれが成功して私が生き残れたのにはあの呪いの影響もあったのだろうと思う。
ともかく生き残ることに成功した私はそれから1年かけて念というものについて学ぶ。
子供の体を生かしときには油断を誘い。ときには弱みを握り。またときにはじっくりと騙して最初は念と言う言葉すら知らなかったものについてのいろんな知識を集めていった。
そうして、今日は自分の系統を調べる日。
ロリコンのハンターを騙して手に入れた知識の通りに水見式という儀式を行う。
結果、葉っぱがかすかにだが揺れ動いている。
「ふむ、私は操作系ですか……私の様な特殊な生い立ちのものならばあるいは特質系かとも思ったんですが」
「まあいいでしょう。今は考え付きませんが操作系ということを最大限生かして生き延びる為に必要な能力と言うものをゆっくり考えるとしましょう」
「まずはどんな力を思いついてもいいように、それを可能にするための基礎の向上と知識を集めることに集中するとしますか」
それから1年半私は修行に費やす。
しかし、あくまでも私には念というものの才能は無いようだ。
私にある才能は唯一つ誰かを騙すと言うものだけということを痛感する。
思えばかつて生まれた時から性別を騙していたようなもの。
故に私は本当の自分と言うもので誰かに接したことが無いのだ。
そんな私に唯一つある才能が人を騙すことだったのは当然の成り行きなのだろう。
今更考えても詮無きことですね。
操作系というものから考えた私の能力候補は二つあったのですが。
その内の一つは才能が無いと言うのもありますがやはり私にはしっくりこない。
本当ならこちらの能力にしたかったのですが。
でも、私には騙す事しかないのでしょうね。
ただこちらの能力はしっくり来るとは言っても、それでも私の能力ではとても使いこなせない。
だからこそ幾重にも制約をかけて私でも使えるようにするしかない。
そして、一月後の4月1日私が最初に嘘をついた日―すなわちかつての生も今の生でも誕生日である日―その上世界に嘘が最も浸透しやすい日を利用して発を作ろう。
その為に準備しなくては。
そして、4月1日私は世界に反逆者としての産声を上げる。
「とうとうここまで来た。私はこの日この時を持って世界の時の流れのくびきから解き放たれ時の流れを騙す存在となる。世界よ!! 上位者よ!! 私は今ここにあなた達に反逆する!!」
やがてエイプリルフールクライシス『4月1日の災厄』と呼ばれるようになる人物が始めて世界に反逆の狼煙を上げた。
その者の能力は4月1日の午前中にしか使えず、本来の寿命を4分の一程に削り、他人に能力のことを知られてはならず、嘘をつき続けなければならない、その上これ以外に能力を作れないと言う幾重にも制約をつけやっと可能となった。
そして、その効果は唯一つのシンプルなもの。
すなわち時の流れを操作して世界を騙し1年歳をとったと言うことを嘘にするものだった。
懐かしかった。
なんというか、大筋以外ほとんど書き直した気がする。何というか、昔のままだとよくあるテンプレ神様に能力もらった系の宇宙人Verだったし。
その上主人公の性格が読んでて酷かったし。ただ、書き直しすぎて微シリアスのギャグ系の話だったのが厨っぽい鬱系の話になったのはなんでなんだろう。
まあ、こんな欝っぽい話なのは多分この話だけになると思いますけど。
それにしても、一人称な部分と三人称な部分が入り乱れて読みにくい。以前の作品を覚えてる方なら複線だと言うことに気がついてるかもしれませんが、どうにかしたほうがいいでしょうか。
ちなみに、主人公が考えていたもう一つの能力
人体の中で唯一細胞限界の無い細胞であるがん細胞を操作し毒性を無くし自分にとって都合のいいものとするものでした。
怪我を負ったら細胞分裂を活性化させ怪我を治し。細胞の老化を止め。筋繊維の破壊と再生を繰り返すことでのドーピング。等々
元々チートですが、さすがにこれはチート過ぎるのと、うちの主人公らしくない能力なので没にしたのと何よりもこの企画は元々2年前のエイプリルフール企画だったと言う理由で没にしたと当時のメモに。