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[29454] 【習作】Fate/stay night~魔術師と死神~ (Fate×ブリーチ)
Name: エドワード◆8d96d20e ID:3be99ad7
Date: 2011/08/29 18:25
注意書き

この作品はオリ設定を多分に含んでおります。
公式設定との相違点が多々あります。
また、パワーバランスはブリーチ≧Fateとなっています。

以上の事を許容できる方推奨です。



[29454] 第0夜「再誕生日」
Name: エドワード◆8d96d20e ID:3be99ad7
Date: 2011/08/29 18:27

Fate/stay night~魔術師と死神~
第0夜「再誕生日」


藍染を倒して、俺が死神の力を失って、半年が経った。

その間、俺は何をしたという事も無く、ただ手に入れた【普通】の日常を過ごしていた。

心の奥で燻る思いを無理矢理、より奥深くに押し込みながら…



今日も学校が終わって、いつもの道を通って帰る。
家に帰って、メシ食って、風呂はいって、宿題して、いつも通りに眠って、一日を終えるハズだった。

「きゃぁぁぁぁぁ!」

ー日常は崩れ去り、非日常が訪れる。

俺の体は声の方に向かって走り出す。着いたのは、何度か来た事がある公園だった。

そこには悲鳴の主だろう…少女が“浮かんで”居た。

理解する。
あの子は今、持ち上げられているのだ。俺の目には見えないけど、今までの経験が俺に状況を正しく伝える。

あの子はこれから喰われるのだ。
欠けた心を携え、生者を貪り喰らう<虚>に。数分、数十秒も経たない無い内に。

身体が、心が熱くなる。今の俺に戦う力は無い。嘗てのように皆を護る力は無い。

それでもただ見ているだけなんて事は俺にはできない。



「うおぉぉぉぉぉぉっ!」

虚が居ると思われる所にカバンを振り回しながら突撃する。

カバンは虚空を切るだけで、何にも当たらない。当然だ。
俺には奴等を認識できないんだから…

それでもカバンを振り回していると、突然重圧がかかり、俺は地に伏せる。
多分、手か足で押さえつけられたのだろう。とにかく身動きが取れない。

「い、いや…いや…やめてよぉ…」

女の子の顔がより深い絶望に染まっていく。
目は見開かれ、涙が滝のように流れだし、恐怖に顔が塗れる。



俺はひたすら、力を望んだ。ただひたすら、心の底から。

その時、何かが俺に手を差し出した。



ーーーーーーーーーー

俺は、護りたかった。だから俺は断言できる。
この時の選択を俺は絶対に後悔しないと…

あの子を助けられた事を、
俺は、「黒崎一護」は永久に、誇り続ける。

例え、俺の魂が磨耗し、消え去る事になろうとも。

ーーーーーーーーーー



[29454] 第1夜「白の少女と黒の死神」
Name: エドワード◆8d96d20e ID:3be99ad7
Date: 2011/08/26 17:54


Fate/stay night~魔術師と死神~
第1夜「白の少女と黒の死神」


アインツベルン城。この雪の降り続ける、冬の城が私の家。
私は雪は好きだけど、寒いのは嫌い。だからこの城は余り好きじゃない。

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。それが私の名前。

私は今日この城で、英霊を召喚する。大英雄ヘラクレスを。

聖杯戦争に勝ち残り、第三魔法“天の杯”を再現する使命を果たす為に。そして、私と私のお母様を捨てて、アインツベルンを裏切った衞宮切嗣に復讐する為に。



「イリヤスフィールよ…準備はよいな?」

魔方陣の中央に立ち、魔力を高める。

玉座のように最も高い所の椅子に座っているお爺様が鋭い視線で私を射抜く。魔方陣を囲むように立つ、一族の関係者達も同じように私を見る。…失敗は許されない。

何よりも失敗は復讐の機会が永久に消える事にも繋がる。故に私は成功させるしかない。

「素に血と魂。 礎に大剣と至りし者。祖には我が始祖ユスティーツァ。降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

ー召喚呪文を唱えながら何故か私は思い出していた。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

「―――告げる」

ー優しい母に抱きしめられた事を。

「―――汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

ー切嗣の肩に乗ってドングリを探した事を。

「誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。」

ーあの雪の日を。

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーー!」

ー暖かかった、雪の日を。

魔方陣の輝きが最高点に達する時、涙が一粒零れ落ちた。
その雫が地に落ちた時、魔力が爆発した。

「貴方は…」

目の前の男…オレンジの髪に、黒い装束の男はどう見てもヘラクレスには見えなかった。
それでも私は一縷の望みを掛けて聞く。

貴方は誰?、と。

「黒崎一護」

ーああ、私は失敗してしまった。

全ての道は今、閉ざされた。他でも無い私の手によって。

周りから怒号が聞こえる。ヘラクレスで無いどころか、日本人。それも狂化さえしていない。笑えてくるわね…

お爺様も激怒しているか、それとも失望しているか…どちらにしても私は役立たずとして捨てられるわね…

私はノロノロとお爺様を見上げる。

私の予想のどちらでも無かった。お爺様は驚愕していた。遠目でもわかる程に、私の傍に立つ男を見て。



お爺様は表情を普段の重厚なものに戻し、ゆっくりと口を開く。

「静まれ…」

その声は決して大きくは無かったけど、有無を言わせない迫力を持っていた。私も硬直してしまって、動けない。

「イリヤスフィールよくやった…この男と共に聖杯戦争を制すのだ」

「は、はい」

お爺様は何と言った?

よくやった?ヘラクレスを呼べず、何処の誰とも知れない男を召喚してしまった私が?

周囲がざわめく。

「ナハト老!どういう事ですか!?何故このような東の猿を聖杯戦争に参加させるのですか!このような凡夫、存在自体が煩わしい!」

男の一人が大声で騒ぎ出す。そういえばこの人は、酷い選民思想の持ち主だった。魔術師は少なからず、自分を世界の中心だと考える人が多い。

だけど、それは自分の技術や知能に自信を持っているから。だから、自分より劣る者を軽視する。

でもこの男は、自身には何も無いクセに、ただ日本人というだけでクロサキを否定した。

狙ったサーヴァントじゃ無いとしても、私の声に応えてくれた人だ…馬鹿にされたままではいられない。

「イリヤスフィールも同罪だ!所詮は作り物!紛い物!母親と同じ役立たずめ!!」

口から泡を飛ばしながら、男が叫ぶ。

その言葉に私の全身が熱くなる。一瞬で血が煮えたぎり、目に涙が溜まった。

コイツはクロサキだけじゃなく、お母様まで馬鹿にした!

「お母様はっ…」



「黙れよ、クソ野郎」



私が言い返そうとした時、男が壁に衝突した。男はそのまま地に崩れ落ちる。

「え?」

男が立っていた所にはクロサキが立っている。クロサキの動き、全く見えなかった…

「俺はいい。だけどな、マスターを傷つける事は許さねぇ」

クロサキの冷徹な声に辺りが静まりかえる。中には怯えて、腰を抜かす人もいる。

でも、私にはクロサキの声はとても優しいものに聞こえて、何だか嬉しかった。

私はクロサキに近づいて手を出す。

「クロサキ、私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。イリヤでいいわ、よろしくね?」

「よろしく、イリヤ。サーヴァント・バーサーカー。君を護り抜く事を誓おう」

差し出した手は強く握りしめられた。



[29454] 第2夜「天を衝く」
Name: エドワード◆8d96d20e ID:3be99ad7
Date: 2011/08/28 00:19


Fate/stay night~魔術師と死神~
第2夜「天を衝く」



クロサキを召喚してから一夜が明けた。木々の間から見える空は、相変わらずの曇り空。雪は降っていないのに、肌には刺すような冷たさを感じる。今日は一段と冷えるわね…

分厚いコートを着ていてこの寒さなのに、私の前を歩くクロサキは召喚した時の黒い服のまま。サーヴァントとはいえ、寒さ位は感じそうな物なのにね。



私とクロサキは今、アインツベルンの森に来ている。クロサキの戦闘能力のテストの為に。

クロサキの後を歩きながら、私は考える。クロサキには分からない事が多い。バーサーカーと名乗ったのに理性的だし、消費する魔力も通常のサーヴァント程度。

其処まではいいけど、その弊害で弱いとかだったらどうしよう…

昨日の内に幾つか質問したかったけど、妙な疲労感のせいで、気付いたらベットの上だった。



「イリヤ。ここか?」

クロサキが立ち止まる。その先には石で造られた舞台がある。そこが今日のテスト会場。この石舞台は魔力を流せば、オートでゴーレムを作成してくれる、便利な装置。昔、知り合いに貰った物だ、とお爺様が言っていた。

「ええ、そこの中央に立って」

テストは多数対一の戦闘。英雄なら楽に勝って貰わなきゃ困る程度のレベルのゴーレムを、1000体倒せば終了。

「それじゃ、始めましょうか。クロサキ」

「いつでも構わない」

「それじゃ…Tanz; die Puppe des Steines」



イリヤが魔力を流すと、舞台が隆起し、ゴーレムに姿を変えていく。その数は5体。

ゴーレムの精製の終了と同時に一護が消えた。

昨日の魔術師の時と同じように、一瞬の内に懐に入り込んで、拳を打ち付ける。

その拳を受けたゴーレムは爆発するように砕け散る。それを確認する暇も無く、次々とゴーレムは壊れていった。

しかし、ゴーレムは壊される度、倍になって復活する。幾ら速く動けても動くスペースが無くなっては意味が無い。

既に舞台上のゴーレムは300体を越えている。一護が動ける範囲にも限界が見えてきた。

それを理解した上で、一護はゴーレムを殴り続ける。

「クロサキ、宝具を使って!もうスペースが無いわ!」

「必要ねぇ!」

イリヤから指示が跳ぶが、一護はそれに従うつもりは無いようだ。彼は握り締めた拳だけを振るっていく。

ゴーレムの数が500体を越える。
その時、一体のゴーレムがイリヤに向かって走り出した。

「え?」

ゴーレムはその巨躯に見合った巨大な腕を振り下ろす。咄嗟の事にイリヤは反応できない。イリヤに石の塊が迫る。

「きゃあ!」

ガンッ!

「オイ…お前の相手は俺だろ?」

イリヤを押し潰す筈だった石の塊は、イリヤの前に立つ一護の刀によって防がれていた。



「クロサキ…」

「イリヤ、あと三歩下がっとけ」

そう言うと、クロサキのカタナに魔力が集まっていく。カタナが光だし、森を明るく照らし出す。体にピリピリと余波が伝わってくる。

私は言われた通り、きっちり三歩下がる。そしたら、急にピリピリが消えた。多分、クロサキがコントロールしているんだと思う。

「行くぜ…」

カタナから魔力が立ち昇る。私の魔力が急に減っていく。それでもバーサーカーの制御よりは全然少ない。

「―――月牙」

クロサキがカタナを振りかぶる。

「天衝!!」

ーゴッ!!

振り下ろされたカタナから、巨大な魔力の斬撃が飛ぶ。斬撃はゴーレムを全て飲み込み、石舞台さえも破壊しつくした…

「イリヤ、終わったぜ?」

「そうね…ねぇ、クロサキ」

私は気になってた事をいう事にした。

「何だ?」

やっぱりクロサキのこの口調、似合ってないわね。

「これからは気取った話し方するの止めて。戦ってる時の方が似合ってる」

「…わかった。一応サーヴァントとして遠慮してたんだけどな」

「要らないわよ、遠慮なんて。さ、帰りましょう?クロサキ」

クロサキを背に私は城に向かって歩き出した。




黒一色の部屋。中央に水が溜まった穴があり、その周囲を囲むように席が配置されている。

席に座るのは、アインツベルン現当主、ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンとその腹心達だ。

彼等は中央の水溜まりに映った一護とイリヤを見ていた。

「アハト老…何故ですか?」

腹心の一人がオズオズとアハトに問いかける。

「イリヤを狙った事か?それとも、奴をサーヴァントとして認めた事か?」

アハトは簡素に答える。その声に腹心はビクッとしているのだが、アハトの事をよく知る者が見たなら、アハトの機嫌がもの凄く良い事に気づいただろう。

「そのどちらもです」

「イリヤをゴーレムに襲わせたのは、バーサーカーのテストだ」

「テスト、ですか?」

さっきとは別の初老の男が聞く。

「そうだ…本当にバーサーカーか怪しい物だったが、確信が持てた。奴は紛れもない、バーサーカーだ…」

「して、奴を認めた理由は…」

昨日、一護に殴り飛ばされた男の父親が急かす様に言う。

「奴と同じ姿をした者を一度見たことが有る…」

「それだけ、ですか…?」

単純過ぎる理由に、全員が呆気に取られる。アハトはそれを見て満足そうに頷いた。

「それだけだが、重要な事だ」

そう言って、アハトはニヤリと嗤った。



ー1月半後

「お爺様、行ってまいります」

「うむ、アインツベルンの悲願、託すぞ」

「はい」

会話を終えると、イリヤは通信用の護符を燃やした。自家用ジェット機が離陸準備に入る。

ー行き先は日本。
ー求めるは聖杯。

白と黒の主従はドイツから飛び立った。




あとがき
ドイツ編終了です。

ブリーチといえばオサレバトル。ランサーに「なん…だと…」と言わせるのが楽しみです。


おまけで一護のパラメーター


バーサーカー(黒崎一護)

筋力:A(50) 魔力:E(10) 耐久:B(40) 幸運:C(30) 敏捷:A(50) 宝具:???

瞬歩:一瞬の内に移動する事ができる。

空戦:空での戦闘ができる。


技能

・戦闘続行:A(50) ・・・往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

・神性:B(40)・・・死神への人々のイメージから人霊ながら神性を持つ。

・直感:B(40) ・・・戦闘時、つねに自身にとって最悪な展開を”感じ取る”能力。数多の戦いの経験により、会得した。

宝具

・斬月 ・・・
ランク:B(40) 種別:対人・対軍宝具 レンジ:1〜40 

技・・・月牙天衝  斬月から高密度の魔力を斬撃として飛ばす技。

一応バランスが取れる様にしたつもりです…ツッコミ所満載かも…



[29454] 第3夜「冬木」
Name: エドワード◆8d96d20e ID:3be99ad7
Date: 2011/08/27 23:51



Fate/stay night~魔術師と死神~
第3夜「冬木」



日本のアインツベルン城。日本に到着した俺達はそこを目指していた。

移動手段はイリヤに買って貰ったバイク。生前に一通り乗り回した事があるから、特に問題無く運転できる。

運転はできるけどよ…バイクに400万ってのはどうなんだ…

「クロサキー!今深町に入ったわ!」

「あー、何かピリピリするな!」

魔力に関しては、ピリピリするって程度だ。それよりも…何か空座町に似てるな。

「急ぎましょ!セラとリズが待ってるわ!」

「そうだな!飛ばすから、しっかり捕まっとけよ!」

イリヤが掴まる手に力を入れたのを確認してスピードを上げた。



町の中心を抜けて、西に向かう。町の西側郊外の森は全てアインツベルンの物だそうだ。

こっちのアインツベルン城も馬鹿でかかった。イリヤ、セラ、リズと俺しか居ないのに城に住む必要があるのか疑問だったんだけど、イリヤ曰く結界やら低級霊の侵入を防ぐやらで都合が良いんだそうだ。

「お、セラ。何やってんだ?」

「見て分かりませんか?お嬢様の荷物を部屋に運んでいるのです。それとセラと呼ぶな、と言っているでしょう」

セラには大分嫌われてるみたいだな…何で嫌われてんのか分かんねぇから、どうし様も無ぇけど。

ま、それは別として。

「手伝うぜ。重てぇだろ、それ」

両手に持った荷物の塔。正直どうやってバランスとってんのか分かんねぇ。

「お嬢様の私物をサーヴァントとは言え、男に触らせる訳にはいきません。暇なら…そうですね、リズの変わりに玄関の掃除でもして来なさい」

失敗した…話かけるのが間違いだったか。

「…了解」



城の中を歩いて行く。…広い。生活するには城ってのは失敗作だよな。

ちょっと走って玄関に向かう。玄関には掃除中のリズが居た。

「リズ、お疲れさん。掃除変わるぜ」

「クロ…ありがとう。じゃあ私は庭の方に行く」

「おう、コッチは任せておけ」

俺がリズから箒を受け取ると、リズはパタパタと玄関から出て行った。



「クロサキー!」

俺が粗方掃除し終わった所で、イリヤが上から降りてきた。

「どうした?」

「下見に行きましょう」

下見か…町を戦場にしたくはねぇんだけどな…

勝ったけど、一般人を巻き込みました、じゃ話にならねぇ。…俺が上手くやるしか無いか。

「そうだな…あ、そういや丁度良いのあったな」

すっかり忘れてたけど、義骸持ってるんだった。実体化との違いが、肉体的に疲れない程度しか無いから忘れてたぜ。

義骸を出して、一旦霊体化して義骸の中に入る。調子は…悪くないな。

「クロサキ。それも宝具なの?」

「ん?いや、宝具って程じゃ無い。戦闘にも使えないしな」

「いえ、結構使えそうよ?それ。パッと見ちょっと変わった人間だもの。上手く使えば不意打ち位できそうね」

なるほどな。ただ、不意打ちは好きじゃねぇんだよな…その辺は一回話し合うとして、先ずはバイク取りに行くか。



私達はまず深山の方から見て回る事にした。主な戦闘場になりそうな穂群原学園、柳洞寺、海浜公園の順に調べて回った。

この地でお母様は命を落としたのね…アイツが裏切ったせいで…

アイツはもうこの世にいないけど、アイツには息子がいる。

ふふ、楽しみね…どうせなら聖杯戦争に参加してくれると良いんだけど。

「イリヤ、腹減らねぇ?」

「クロサキ…気が抜ける事言わないでよね…」

ああ、もう。何か空回りして気分だわ…

「貴方そもそも、お腹減るの?」

「霊体の時は良いんだけどよ、義骸だとな。ちょっと商店街行っていいか?」

「いいわよ…その後は新都の方に行くからね?」

へいへい、と適当な返事をしてクロサキはバイクのエンジンをかけた。



商店街の入り口でバイクを止めた。空は赤くなり始めている。

「私はここに居るわ」

イリヤは腹減って無いみたいだ。暫く何も食ってないハズなんだけどな…ああ、そういや遊子も「間食は我慢しなきゃ」とか言ってたな。

イリヤから金を貰って商店街の中に入る。…なんか情けねぇな。

周り見回しながら歩く。娯楽性施設こそ無いが、食品系は充実してるみたいだな。学生がチラホラ買い食いしてる。

何食うかなやんでると、一つの店が俺の目に止まった。名前は江戸前屋。俺の直感が告げてる…ココに行かなきゃ後悔する。

「すいませーん。大判焼き4つ下さーい。あ、こしあんと粒あん半分ずつで」

「まいど!お兄ちゃん見ない顔だね?」

愛想のいいおっさんが手早く渡してくれる。こういう店の人って人の顔覚えんの得意だよな。

「今日、引っ越して来たんだ」

「そうか!んじゃサービスだ。一個おまけしとくぜ」

焼きたての大判焼きを手渡された。

「サンキュー、おっちゃん」

礼を言って、イリヤのトコに戻ろうと振り返って歩き出すと、横から赤いのがぶつかってきた。

ドンッ!

「っと、悪りぃな。大丈夫か?」

赤は高校生位の男の、髪の色だった。地毛か?

「すまない。急いでたんだ」
「ん?…オマエ…」
「何だ?」
「いや、なんでもねぇ。急ぐんだろ?」
「あ、ああ。すまなかった!」

そういって赤毛は俺と反対の方に走り出す。今のヤツ魔術師、だよな?



「遅かったじゃない」

バイクを止めたトコに戻った俺は絶対零度の視線で出迎えられた。反射的に頭を下げる。

「すいませんでした!」

大分経っていたらしい…気付けば空は既に赤から黒に変わろうとしている。

「今から新都に行ったんじゃ夕食までに帰れないわね…」

「本当にすいませんでした…」

「もういいわ…その代わり、夕食は抜きね」

「…はい」

義骸を脱げば腹は減らないんだけど、折角の飯を食えないのは辛い。大判焼きを買っといてホントによかったぜ…



その次の日、新都に行って、下見ついでに俺の服を買った。当然のように支払いはイリヤ。店員の視線がイタイ。

バイト…するかな…






あとがき

感想で指摘された一護の神性についての言い訳。

型月の設定とは違うのは分かってるんですが…

世界中の人が持っている伝承の死神へのイメージから人霊ながら神性が付加され、その中でも霊圧の高さによって神性が高くなる…というのが作者の中でのオリ設定です。

「それなら平でも最低E−クラスの神性持ちかよ?」ってなりますよね。それでも神性は残して置きたいんです。

でも、流石にAは高すぎたので
、ちょっと下げます。すいませんm(_ _)m

型月は設定がしっかりしてる分、上手く擦り合わせないと矛盾が酷くなりますね…精進します。

次回から戦争が始まります。



[29454] 第4夜「前哨戦、死神と槍騎士」
Name: エドワード◆8d96d20e ID:3be99ad7
Date: 2011/08/29 21:56


Fate/stay night~魔術師と死神~
第4夜「前哨戦、死神と槍騎士」



冬木に着いてから大体2週間、夜だと言うのにイリヤが一人で出かけて行った。大人しく城に居ろって言われたけど、やっぱ心配だな…

こっそり様子見に行くか。



城から出て、瞬歩で移動する。森の出口が見えた所で、俺は足を止めた。

森の入り口の所に、全身青タイツの男が槍を肩に担いで佇んでいるのが見えたからだ。

歩いて、そいつに近付く。

「よう、悪りィな。ワザワザそっちから出て来て貰ってよ」

フランクな感じで、青タイツが話しかけてくる。

「…サーヴァントか…やりに来たのか?」

「ああ。話が早くていいねぇ」

「チッ…間の悪りィ奴だぜ」

「女と会う用事でも有ったか?そりゃ、野暮なマネしちまったな」

青タイツはニヤニヤと笑いながら軽口を叩く。

「女は女だけどな…そういうんじゃ無ぇよ」

「なら別に良いだろ。やろうぜ?」

逃げても追ってくるよな…つまり、しょうがねぇ闘いって訳だ。

「…着いて来い。人目に付くのはパスだ」

「森の中でやんのか?」

「中にちょうど良く開けた所が有る。そこでやろうぜ」

「OKだ」



「悪りィけど急がせて貰うぜ?」

正直な話、闘いは楽しみだ。だけど、それよりイリヤの安全が最優先だ。

「はっ!俺を舐めてんのか?」

「まさか。アンタより優先する事が有るだけだ」

「へっ、上等!!槍の英霊、ランサーだ!」

槍を構え、名乗りを上げるランサー。

「バーサーカーだ!」

俺も斬月を抜き、クラス名を名乗る。本名名乗りたかったんだけど、イリヤに止められた。相手が名乗った後ならいい、って条件は付けて貰ったけどな。



一護とランサー、双方に緊張が走る。

「「行くぞ!」」

初動は同時、だが先手は一護が取った。動くとほぼ同時に、ランサーの懐に入り込んでいる。瞬歩の速度には幾ら最速を自称するランサーで有ろうとも、追いつけない。一護の斬月が横薙ぎに振るわれる。

「甘ぇ!」

しかし、それはランサーの紅い槍に防がれていた。移動速度では一護に敗れたランサーだったが、技の速度は別の話だ。

ランサーは一護が懐に入ったのに気付いた瞬間に槍を縦に構え、斬月を防ぐ態勢に入っていた。

「月牙…」

斬月に魔力と霊圧が集中する。それを見たランサーはその場から飛び退がった。

「天衝!」

斬月から巨大化された斬撃が飛ぶ。ランサーは四足の獣の様に屈み、それを躱した。

そのまま、全身のバネを使って跳び、一護に肉薄する。構えられた紅の槍より放たれる、神速の三連突。

一護はそれを斬月の面で受ける。斬月は紅い槍を受けても、ヒビ一つ入って無い。つまり、武器の強度は互角。

優劣の差をつけるのは、使用者の技と力。そして、武器に込められた宝具たり得るその能力。



火花が飛び散り続ける。攻めては守り、守っては攻めるの繰り返し。

そう言うと長い間戦っているかのように聞こえるが、彼等の戦いはまだ10分も経ってはいない。

第三者が見ていたなら、自分の時が遅くなっているのかのような印象を受けるだろう。それ程までに、ただ、速い。



「はっ!やるじゃねぇか!!油断したら持ってかれるな!」

「宝具も使ってねぇくせによく言うぜ!」

一護は冷静に戦局を見て、思考していた。

(ランサーは技術のみで戦っている。それに、恐らくだが手を抜いてやがる。このままじゃ、宝具を使われれば負けるな。)

刀と槍が鎬を削る。

(だが、それはランサーにもわかっている事の筈だ…なら何故、宝具を使わねぇ?)

ランサーの不敵な笑みからは読み取る事が出来ない。

(使えるが、使わねぇのか…理由があって、使えねぇのか…)

最悪は宝具の発動。一護が次の手を探っていると、ランサーが不意に動きを止め、槍を担ぎ、口を開く。

「なあ、ここらで引き分けって事にしねぇか?」

それは一護に取って、予想外な提案。戸惑いから一瞬動きが止まる。だが、戸惑うと同時に、納得もしていた。

一護は、ランサーは最初からここで決着をつける気は無かった…だから宝具を使わなかったのだと、確信した。

「…いいぜ。本気じゃないアンタの相手も飽きてきた所だ」

元から速く終わらせて、イリヤの元に向かいたかったのだ。断る理由は無い。

「そりゃ、良かった。んじゃ、俺は帰るぜ」

「ああ。次は本気で来いよ?」

「へっ…上等だ。その時は、ケリつけようぜ」

ランサーは木の上に飛び乗る。

「あばよ、バーサーカー!次のテメェとの闘い、楽しみに待つ!」

そう言うと、ランサーは木々を足場に、跳び去って行った。



「さて、イリヤの所に行くか」

パスを頼りにイリヤの位置を探る。城から反応がした。

戦闘に夢中になっている内に帰ってたみたいだな。俺は城まで瞬歩で跳んだ。

城の玄関には仁王立ちのイリヤとハルバートを携えたリズがいた。

「クロサキ、大人しくしててって言ったわよね?私、サーヴァントと闘っていいなんて言ったかしら?」

底冷えする声でイリヤが俺に問い掛ける。ああ、感じ取れた。俺は地に伏す事になるな…

こういう時は言い訳に意味は無い。多分、悪くないんだけどな、俺。

「マスター…謝罪する。リズ…お手柔らかにお願いします」

「覚悟はいいみたいね、クロサキ。…リズ、やっちゃえ!!」

俺に向かってハルバートの石突が振り下――





あとがき

兄貴との初戦。戦闘に疑問感じる人がいるかもしれませんが、いずれ作中で説明します。

ところで、戦闘の長さってこの位ですかね?短いですか?


リアルで、テスト間近です。

1週間程、投稿できません。すいませんm(_ _)m


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