勢いだけで書いた。後悔も反省もしていない。
画面をスクロールしたらマジで地雷原だぜ?
あんたにその覚悟はあるかい?
絶チル憑依、勘違い。
一話 勘違いモノにでてくる原作キャラは大体通知表に人の話をよく聞きましょうと書かれている←ここテストでます。
わたしこと、東郷鈴は転生者でTS。すなわち前世で男だった者である。中身は脂ぎった30台後半のオッサンで、多分死因は急性アル中だ。
年甲斐も無く一気呑みなんてするから悪かった。
せっかくの忘年会がぶち壊しだ。同僚には悪いことをしたと思う。
それはそうと、
「・・・・どうしてこうなった。」
「わからん。本当に一体全体どうした事だこれは・・・・。」
この爬虫類のような気持ち悪い目つきをしたイカにも悪役幹部といった風情の青年は、私と同じで転生者でTSある。名前は村田恭介。
前世では女子大生だったらしい。
顔立ちはそれなりに整ってはいるが、いかんせんその目つきとスカリエッティばりの顔芸。ついでに言うとぶっきらぼうな口調と神に見放されたかのごときその魔の悪さ、そして元女故の少々なよっとした動きが全てをぶち壊しにしている。
はじめあった時ぶっちゃけ私もキモイと思った。コイツも私と同じ転生者でなかったら、担当官といえど夜道に気をつけなければならなかっただろう。それくらい、生理的に受け付けないレベルの男だ。コイツは。
まぁ付き合ってみれば、良い所もそれを補って余りある愛嬌のある男(女?)なのだが、第一印象は最悪なのは間違いない。
初見でコイツの本質を見ぬくことのできるヤツがいたら私はソイツに処女を捧げてやってもいい。
それくらい、コイツは初心者キラーだ。
そのせいか、目を剥くほど有能な男なのだがB.A.B.E.L.内では毛虫のように嫌われている。
前の世界では友達百人できるかなという小学一年生に与えられる最高難度の任務を見事こなそうかと言うほどの社交性あふれる女だったらしいのだが(それはそれで気持ち悪い)、こっちに来てからは小中高と孤立しっぱなしで、両親や兄弟にも敬遠される聞くも涙語るも涙といった風情だ。
口調も、中学ごろまで女口調でオカマ状態だったらしいのだが必死で直したらしい。
効果があったかは疑わしいが。
「・・・そう気を落とすな。キョウ。次またチルドレンとの合同訓練があるじゃないか。こんどこそ友達の一人もできるって。ほら、あの何だっけ、皆本とかいう担当官。話してみたけど結構気さくだし、初対面の、しかもエスパーの私を本気で心配してくれるような優しい男だからさ、ほらお前の事もきっと分かってくれるって、な?」
「本当?うう・・・・私が努力するたびド壺にはまってる気がするんだよな。こないだコーヒー入れにいった時だって、すれ違った時目が合ったんだけどあれ、絶対殺気でてたって。僕そんな嫌われる事したかな・・・?」
それはほんとうに疑問だ。B.A.B.E.L.に入ってからコイツとペアを組んで半年程になるが、コイツは本当に善良な男だ。少なくとも私のそこそこ長い人生の中で一番。
だから、あんなチルドレンのようなおっかない(しかもうざい)エスパーにもあれほど優しく出来る人間がなぜコイツをそれほどまでに嫌う・・・いや、憎むのか。
容姿やしぐさではない。
なにか深刻な誤解でもあるのだろう。
「大丈夫大丈夫。その内きっと何とかなるって、ほら諦めるな、前を見ろ。すくなくとも私一人はお前の見方だよ。」
「うううう・・・・うん、ありがとう・・・ぐすっ。転生してからこっち、こんなに優しくしてくれたのは鈴だけだよ。・・・・・うん、今度こそ、今度こそ・・・・。」
思わず顔を上げる。目から汗が溢れそうだったから。その姿があまりにも憐れで・・・・。
────おお、神よ。天おわします神よ。今日も今日とて、無駄と知りつつ祈ります。もしも貴方が見ているのなら、この憐れな魂にどうか救いあれ。
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この僕、皆本 光一はB.A.B.E.L.でチルドレンの担当官をするようになって多くの犯罪者やテロリストを見てきたと思う。
それ以前からも、この回り過ぎる頭のせいで多くの嫌な人間と向き合ってきた。
───だが、村田恭介程の邪悪を僕は知らない。
彼は兵部や普通の人々なんか目じゃない、正真正銘の悪だ!
同情も共感もできない純粋な邪悪。
そんな奴がこの世に存在することを始めて知った。
局長も何故あんなヤツをB.A.B.E.L.にいつまでも在籍させているんだ。局長の人柄は知ってる。やむにやまれぬ事情があって手出しできないのだろうが・・・・これじゃ鈴ちゃんが救われない。
下手に村田の奴が有能だから質が悪い。
合同訓練では最強の筈のチルドレンすら、村田の指揮下にある9歳の鈴ちゃんに勝つことが出来ない・・・・・。
「くそっ!!」
ドンッ!!
無意味に壁を殴る。八つ当たりしたって鈴ちゃんの境遇はなにも変わらないっていうのに!
「皆本・・・・私、私・・・・もっと強くなりたい!私・・・嫌だよこんなの。こんなに胸がざわざわするの、嫌なんだ・・・。」
「薫・・・・。」
僕たちに出来ることは無いのか!?
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さて、合同演習当日である。
先に言っておくが私、東郷鈴は実はバトルマニアである。
これも先に言い訳しておくが、私も前世では男だった。男だったからには、男の子だったのである。
男の子だったからには・・・・そう。剣と魔法、超能力に憧れ、一度はかめはめ波をうって見たいと思うのは当然の事と言えるだろう。
前世では喧嘩もしたことのない私だか、こちらにきて、ESPを発現してからはもうバリバリの武闘派である。
リアル聖闘士やリアルサイヤ人が出来るとなれば、バトルマニアにならない日本男児はいないだろう。間違いない。私が保証する。
キョウはこの手の荒事に関わると殆どポンコツなので仮説本部に立てこもらせて出てこさせない。
出てきてもたたき返すだけだが、前世で女だったとはいえ、情けない男だ。
「・・・・・・敵影、捕捉。固体名 明石 薫。相手はまだこちらに気付いていません。単独行動が気がかりですが、今なら奇襲可能です。指示を恭介様。」
とりあえず、一応バベルも軍隊は軍隊なので対外的には口調もそれっぽく通している。
『明石 薫と交戦を許可する。死力を尽くして闘いたまえ。』
キョウは基本荒事の最中はこんな風にそれっぽい言い回しで丸投げの指示しか出さない。
どうせこういうときはポンコツなのだから無駄なことは言うなと念を押してあるからだ。
あの時ばかりは頑なにウンとは言わなかったが、
絶交すると言えば泣いて謝ってきた。私以外友達のいないこいつに友情をたてにするのは心苦しかったが、これは譲れなかった。
なにせ勤勉な無能程恐ろしいモノはない。コイツに指示を任せるとちょっと危なくなったらやれ撤退しろやれ避難しろとガタガタ五月蠅い。
“あの”チルドレン相手に多少の無茶なくして勝つことなど出来ないのは分かりきってることだろうに。あの敗北主義者め。
キョウの事は大好きだし親友だと思っているが、この臆病なところだけはいただけない。
目つきとか以外で苦手なところといえばそれだけなのに、残念なことだ。過保護すぎるのも考え物だ。
『了解。明石 薫を落します。吉報をお待ちください恭介様。』
本部に伺いを立てるのも、マニュアルに従ってるだけで本当は煩わしくてしょうがない。
だがもう心配ない。ここからは、闘争の時間だ。私を縛る枷はもう何もない・・・・!
────獲物を前に舌なめずりとは三流の仕事とはよく言ったものだ。
猛獣以上に恐ろしい獲物をまえに思考はクールでクリア、体は熱く煮えたぎって、ハートは恐ろしい程震えている。
「薫・・・・ああ、薫ぅ。最高だよ、お前は。私の全てを受け止めてくれるのは、お前だ。お前だけだ。早く闘ろう!わくわくするよな、お前も!」
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私、明石 薫はESP能力者で日本に立った三人のLv7の特務エスパー。
そしてチーム、ザ チルドレンの一人だ。
対外的にはザ チルドレンはB.A.B.E.L.最強のエスパー部隊で通っているが、実際は違う。
コードネーム、ザ サーヴァント───東郷鈴。
彼女が本当のB.A.B.E.L.最強。複合能力者とはいえ、彼女はLv6。超度で勝り、数で勝り、年齢すらこちらが上だ。
私たちには皆本という最強の参謀もついてる。
けれど・・・・勝てない。
理由は分かってる。
私たちは、小さな頃からこの強力すぎる力に振り回されえて決して幸福とはいえない幼少期を過ごしてきた(小4はまだ幼少期とかいったらぶっ飛ばす)が、鈴ほどじゃない。
鈴は、いつも怖いほど無表情だ。誰にたいしても敬語で、心を開かない。
大人から見れば、理想的なイイコのエスパーと言える行動を演じている。
自分たちみたいに命令に背いたり、無茶なことはしない。
むしろ自己主張が希薄で、犬みたいに従順だ。(実は凄く自己主張激しいです)
特に、命令には何があっても逆らわない。(命令する村田本人が既に傀儡政治だから)
いつも見かける時は、ESP訓練室やトレーニングルーム。前見た時はAチームの人たちとESPリミッターをつけて格闘訓練までしてた。
無表情ながら、鬼気迫る迫力にB.A.B.E.L.最強のAチームのおっさんも困惑しながら相手をしてた。
なにせ、鈴は強い。Aチームのリーダーのおっさんも本気で相手をしなきゃいけないほどだって愚痴ってた。それもESP無しで、だ。
相手を誉めるとかそんな雰囲気でもなかった。ただ単純に鈴の事が心底怖かったといった感じだった。
それを責めることは私には出来ない。私も───彼女のことが怖い。
鈴は強い。この間だって、私たちが普通の人々に軍用ECMで捕まったとき、
ECM下でも作戦行動可能だからって村田の糞野郎に無理やり投入が決められたらしい。(鈴が恭介に無理やり申請させました。)
ニヤニヤ哂いながら「往け。」の一言で死地に叩き出されたというのに、
彼女は泣き言の一つも漏らさないで笑みさえ浮かべて私たちの救出作戦を了承してくれたという。(もう村田はヤケになってます)
局長は、もしも一言でいいから鈴がぽつりと弱音を吐きさえしてくれれば、それを言質に出動を取りやめさせたって言ってた。
でも、鈴は私たちの無事だけを祈って、笑って死地に飛び込んだという・・・。
いっつも馬鹿やってる局長のあんな顔始めてみた・・・・局長も、苦しいんだ。無力な自分が悔しいんだ・・・。
顔面を殴られて鼻血が噴出しても、歯が抜けても、骨を折られても、銃で撃たれても鈴は止まらない。(バトルマニアですから)
鈴は強い。でもそれは間違った強さだ。まだ9歳で、私たちの一つ下なのに殴られる事より、銃で撃たれるより恐ろしい事を知っているんだ。
だから、闘う。闘えてしまう。
────私は皆本に救われた。だから今度は私の番なんだ!
私が、鈴を止める!鈴を助けるんだ!
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「うーん、また僕の知らないところで誤解が進行してるような気がする・・・・勘弁してよ・・・・。」
つづく。