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[29970] 【習作】殺戮夫婦の大陸珍道中【ランス二次創作】改め【習作】はぐれヤンキー大陸珍道中【ランス二次創作】
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 17:59
今作品はアリスソフト発売のランスシリーズの二次創作です。

この作品ではキャラクター、時系列、人間関係に於いてオリジナル要素を含んでいます。

主人公はオリジナルキャラクターである【毛利竜麻】です。

なお、原作主人公であるランスも主人公の扱いを行い、彼の登場次第、二人の主人公を目指して物語を展開していきます。

この作品は作者の妄想で出来ています。

原作キャラクターとオリジナルキャラクターのカップリングも含みます。

それでも構わないという方は、よろしければ暇潰し代わりにこの作品を読んでいただければ嬉しく思います。

【2011/9/30】

ランスクエストクリアによる新事実発覚。

よって物語を停止し、急遽別作品として更新を開始いたします。

タイトルは【奴隷魔法使いの奴隷】。

次こそは、ランス9発売までの完結を目指して書いていきます。

我が儘な作者ですが、よろしければお付き合いください。

【2011/10/3】

結局ナギもランスと良い感じになりそうだなぁ……志津香いるし。

と、いうことで作品変更。

タイトルは【はぐれヤンキー大陸珍道中】。

本当に、我が儘な作者ですが、よろしければお付き合いください。

加えてこの記事でランスクエストに関する深刻なネタバレをしてしまいました。

自分がショックで、自分のことしか考えておらず感情を発露してしまいそのような事態を引き起こしてしまいました。

練炭様、VoV様、歩く大ポカ様並びにランスクエストクリア前の読者様方、本当に申し訳ありませんでした。

この場を借りてお詫び申し上げます。

【2011/10/4】



[29970] ~殺戮夫婦の大陸珍道中~プロローグ
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 17:59
「ようこそ、カスタムの町へ……そう書いてるよな、この看板」
「ああ、間違いなくそう書いている」
「洞窟じゃねぇか」
「ああ、間違いなく洞窟だな」

 ひゅるりと風が吹き抜ける荒野。
 ぽっかりと空いた穴の隣に立つ看板を前に、大柄な男と小柄な女は首をかしげた。

「道を間違えたのではないか?」
「んなはずはねぇ。これでも方向感覚には自信がある」
「知っている。少しからかっただけだ」

 小さく笑う女に、男は笑い返す。

 ようこそ、カスタムの町へ。
 何度読み返してみても、間違いなく目の前の簡素な看板にはそう書かれている。
 洞窟の中に町を作るなど聞いたこともない。
 そう不安はあるものの、方向違わず来たはずの場所に、目的の町を示す看板がある。 

 大陸南東部に位置する独陸都市国家群。
 通称自由都市。
 
 その昔、リーザス・ゼス・ヘルマンといった大国が出来るどさくさに紛れて独立していった小国の集合体地域であり、人類圏のほぼ4分の1を現在は占めている。
 三大国のような専制君主制ではなく、選挙によって選ばれた人間が都市長として国家をまとめる、いわゆる民主主義の形を取っている都市が多い。
 三大国のどこにも属しておらず、北のリーザスとは比較的友好関係なようだが、北西のヘルマン、南西のゼスとの関係は希薄なようだ。
 南東にある島国JAPANとは、ポルトガルのみ唯一交流がある程度だ。

 そんな自由都市地帯中部に位置するカスタムの町へ、今二人の旅人が足を運んでいた。
 
「洞窟を抜けた先には町がありましたー」
「何でもこれは魔法使いの仕業らしいな」
「ぬぁにっ!」

 眼を見開く男と辺りを見渡す女。
 視界にはとんでもない光景が広がっていた。

 地下の空洞の中に町が丸ごと存在しているのだ。
 民家があり、商店があり、教会がある。
 そして大半の建造物に、破壊の痕が残っていた。

「街を丸ごと沈める魔法使いか……。
 クククッ、大陸に出て早々と、血湧き肉躍る戦が出来そうだ」

 獰猛に小柄な女は笑う。
 ふわふわとした翠の髪を流れる風に揺らし、可憐なメイド服に身を包んだ外見からは想像できないほど猛々しく。
 器量良しの顔を見事に歪めて、女は笑った。

 女の名は【毛利てる】といった。

「おぉ……おぉぉっ……おおおぉぉっ……!」

 てるの隣、男のむせび泣くような声が聞こえる。
 大柄な体をすっぽり覆う黒いローブに身を包んだ男はどさりと膝を落とし、悪人面の三白眼には不釣り合いなとんがり帽子を頭から外して、声高らかに叫んだ。

「ビバ魔法使い! 魔法使い最高だぁっ!」

 男の名は【毛利竜麻】といった。

 驚くべきことにこの二人、正式な婚姻をすませて何年も床を共にする、いわゆる夫婦の間柄。
 さらに驚嘆すべきはてるの生家はJAPANの大名【毛利家】。
 彼女はそこの長女である。

 しかしはて、と疑問が残る。
 何故将来国主となるであろうリューマとてるがJAPANを離れて大陸いるのか。

 それは夫婦が長年の夢を叶えるためにと、国を抜けだしたから。

 妻は大陸の戦に参加し、魔人といつか死合うために。
 夫は幼いころから心に秘めた、願望を実現させるために。

「魔法使いに、俺はなるっ!」

 LP0001年10月。
 JAPANでは名の知られた【殺戮夫婦】は二人、大陸へと降り立った。



[29970] 第一話
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 17:59
 現在カスタムの町は地底に沈んでいる。
 魔法の力によって、町ごと地底に沈められたのだ。

 元々このカスタムの町には【魔導士ラギシス】が魔導の塾を開いていた。
 優秀な魔法使いを育て上げ、いずれ独立国家として存在するカスタムの町を守るための防衛戦力とするためだ。
 その計画に、カスタムの町も多いに援助していた。

 いついかなる事態が起こり、三大国家に攻め入られるかもしれない。
 もしくは他の独立都市に攻め入られるかもしれない。
 自衛の手段を持つのは都市国家として当然のことだった。

 そんなラギシスの塾の中、特筆すべき能力を示した四人の魔女がいた。
 将来は彼女たち四人を要として、この町を守る予定であった。

 ――事の始まりは一月前。
 四人の娘たちはラギシスに反逆を起こした。
 彼女たちは結託し、ラギシスの大事にしていた魔法の指環を奪い、そして彼を倒した。
 その後彼女たちは指輪の魔力によって、町自体を地下に封印し、今に至っている。

 町ごと地下に沈める、という人外の域に達する業。
 それを成したのがラギシスから奪った【フィールの指輪】。
 指輪は彼女たちの能力を数倍にパワーアップさせ、尋常ならざる力を彼女たちに与えたのだ。

 そして現在、彼女たち四人は地下に迷宮を築き、町の人間の生活を脅かしている。
 町へ大挙し押し寄せるモンスターを何とか街の男たちは力を合わせてそれを押し留めることに成功した。
 のだが……元凶である四人を倒しに向かった男たちは、誰一人として戻ってはこなかった。

 今や彼女たちには誰も手を出せず、その上町の少女たちが誘拐される始末。
 四人の魔女によって支配された地底都市、それが今のカスタムの町だ。




「で、どうするリューマ?」
「魔法使いに会いに行くに決まってんだろうが」
「で、魔法使いはどこにいるんだ?」
「知らん!」
「我も知らん!」

 瓦礫だらけの広場で、リューマとてるは互いに向き合い胸を張る。

「とりあえず一番偉い奴なら知ってんだろ。
 話し渋れば無理矢理と吐かせれば良いしよ」
「それは名案だ、流石は我の夫よ」
「照れるねぇ」

 頭にとんがり帽子をかぶりなおし、リューマはてると肩を並べて足を運ぶ。
 目指すは都市長の家。
 
 しかし暴力に訴え出るというリューマを是とするのだから、てる自身なかなかのもの。
 二人はどうやら似た者夫婦のよう。
 頭が人よりちょっとだけ弱く、人よりちょびっとだけ乱暴者なのは二人揃って言えることだ。

 ■

「JAPANからはるばる……それは申し訳なことをしましたな」

 質素な家の質素なベット。
 その上に横たわる痩せた男は、咳き込みながらリューマとてるにそう告げた。

 男の名前は【ガイゼル・ゴード】。
 カスタムの町で都市長をしている、この街で一番偉い人間だ。

「死んだって……ホントかよ……」
「えぇ、偉大なる魔導士であったラギシス・クライハウゼンは四人の魔女の手にかかり」
「……俺の、計画が……弟子にしてもらって、魔法使いになる俺の計画が……」

 頭を伏せてぶつぶつと呟くリューマ。
 蹲り、膝を抱えて薄暗い雰囲気を醸し出す夫に妻は、頭上から直下する拳骨を落とした。

「ぐぉぉぉっ!」

 風を切り裂き、振り抜かれた躊躇いの無い一撃に、堪らずリューマの口から苦悶の声が漏れた。
 六尺を越えるリューマに比べ、ふたまわり以上も小柄なてる。
 で、あるが怪力無双の実父【毛利元就】から色濃く受け継いだ血が成す鉄拳は並ではない。
 古くなった床板に、リューマの下半身は大きくめり込んだ。

「痴れ者が……リューマ! 貴様が我に語ったあの魔法使いへの熱き想いは、ただ一度挫けただけで折れる弱きモノか!
 幼き頃より憧れ、剣を棄ててでも身に修めたいと語ったモノは、それほど弱き想いか!」

 気迫の籠る、てるの一声。
 大気を震わさんとするその声にベットに伏せるガイゼルは身を強張らせ、隣に立つ彼の娘【チサ・ゴード】は身をよろめかせた。 

「ウワッハッハッハッ! んなちっぽけなもんで止まっていられる夢じゃねぇよ」

 豪快に笑い声をあげて、リューマは自分を見つめるてるを見返した。
 流石は自分の嫁、自慢の嫁だ。

 JAPAN出身の自分にとっては初めての大陸。
 大陸情緒にあてられて、少しばかり自分の芯を貫いていた旅の目的が揺らいでいたのかもしれない。

 その浮ついた気持ちを、これで魔法使いになれると安易に考えていた気持ちを、てる入魂の一撃で吹き飛ばしてくれた。
 じんじんと頭に残る痛みが心地良い。
 地下に沈められ、空の見えないカスタムの町。
 だが今の空は自分の気持ちに負けず劣らず澄みきっているとリューマは思った。

 床板から抜け出し、いつものように不敵な笑みを口元に浮かべる。
 そんなリューマに負けず劣らずにやりと笑ったてるは、仁王立ちで問いかけた。

「ならばどうするリューマよ!」
「単純な話だ。俺は今弟子入りしようとしてた魔法使いを殺せる魔法使いが居る町にいるんだ」
「うむ! なれば我はその魔女どもを踏み潰そう」
「なら俺はその魔女に魔法を習おう」

 呆然とするゴード親娘を尻目に、二人は自らの世界を作り上げていく。

「だったらどこにいるんだ魔女どもは!」
「我は知らん!」
「俺も知らん!」

 むぅ、と頭を捻るリューマとてる。
 考え、考え、思いついたように顔を見合わせて、二人はガイゼルへと詰め寄った。

「都市長! 魔女どもは一体どこにいる!」
「言わねぇなら無理矢理にでも吐いてもらうだけだがなぁ」

 つい先日は鬼畜戦士を相手にし、今は強面の二人に問い詰められているカスタムの町都市長ガイゼル・ゴード。
 彼は降り注ぎ来る自分の不幸を神に呪った。

 ■

「リューマよ、あの都市長は中々の大器であるな」

 破壊の痕が大きく残る家の中。
 はたきを持ち汚れた家を掃除するてるは、手を止めることなくそう言った。

「まったく同意だ。魔女どもの居場所を教えてくれるだけじゃなく、悪さを止めたら金もくれるってんだからさ」
「その上住居も差し出すとは……リューマがいずれ国主になった時は、劣らぬ男であれ」
「任せとけや」

 力強く言いきったリューマに、思わず微笑みが顔に浮かぶ。
 その顔をみせるのが少し気恥ずかしいのか、てるは振り向くこと無く掃除を続ける。

 てるには二人の妹がいる。
 上の妹を【吉川きく】、下の妹を【小早川ちぬ】といった。

 二人はてると同じく、父である元就の血を色濃く受け継ぐ、猛々しい武士として育った。
 女だてら戦場で殺戮を繰り返す娘を見て、彼女らの母【毛利美伊】は夫である元就の血が濃いと喜んだ。
 だがそれと同時に、女としての己を腐らせていくのは是としなかった。

 故に、美伊は彼女らに女としての嗜みを仕込んだ。
 てるには掃除を、きくには炊事を、そしてちぬには作法を。
 自分自身は女である、そう自覚させるために。
 
「手伝うか?」
「いらん。貴様はそこで大きく腰を下ろしておけ。
 これは我がリューマにしてやりたい、我だけの仕事だ」

 結果として、美伊の企みは成功した。
 それを最も強く示すのが、誰よりも色濃く元就の血を受け継いだ長女のてるだった。

 掃除だけではなく、炊事も、作法も、自ら望み母に教えを請うた。
 それはきっと――。

 二人が旅に出る数か月前。
 魔王が代替わりし、GI歴からLP歴に変わろうという時、美伊はこの世を去った。
 死に際に彼女は二人並び立つリューマとてるを見つめて、微笑み息を引き取った。

 母の遺言を守り、てるたち三姉妹は常にメイド服に身を包んでいる。
 美伊の想いは娘たちの中で息づいている。

「じゃ、遠慮なく」

 体内時計から推測するに、恐らく今は夜だろう。
 貰った家をある程度生活できるまでに立て直し、今日は終わりへと向かっている。

 慣れない椅子に腰かけて、対となる机の上にボロボロのえほんを広げた。
 やはり畳が楽だと思いつつ、大事そうにリューマはえほんに手をかけた。

 これが、夢の始まりだ。

 それはリューマがまだ幼い頃。
 唯一の肉親である祖父を失い、土地を奪われて同年代の孤児と一緒に盗賊を働いていた頃に遡る。
 
 とある日、襲った行商人。
 その中にあった、金持ちが子供に与えるために取り寄せた大陸のえほん。

 それはどこにでもある英雄譚。
 魔法使いの男が姫を助け、凶悪な魔物を倒すという物語。
 幼く、まだ文字もまともに読めなかった彼であったが、それでも心を激しく刺激した。

「魔法使いになる」

 言うは易く、行うは難し。
 金を溜めて魔道書を買ってみても、読めど読めども理解できない。

 それでもそれは夢だから。
 幼いころから憧れ続けた夢だから。

「俺は魔法使いになる」

 もう一度強く、誰に恥じるでもなく断言した。



[29970] 第二話
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 17:59
「さて、ここはどこだ?」
「我には皆目見当もつかん」
「奇遇だな、俺もだ」

 泉の淵に腰をかけて、男と女――リューマとてるは首をかしげていた。

「迷ったのか、俺たちは」
「そのようだな。
 ……しかし迷宮に迷う、という行為は付き物。
 こればかりは仕方あるまい」
「だよな。迷うって名前に付く訳だしよ」

 何がツボだったのか、顔を見合わせて二人はどっと笑う。

 思い返せばJAPANの迷宮探索でも、二人勝手にずんずんと奥へ進み、よく迷ったもの。
 懐かしい思い出が浮かんでは消える。
 強力な魔物を見つけ、てるが全速力で突撃し、それを追いかけてリューマも走り出し、一緒について来ていたなら元就も走り出し。
 妹たちも、もちろん部下たちも置き去りにしたのは今ではいい思い出。

 思い出によって思い出が引き上げられ、またふとまた思い出す。
 確かそれをきっかけに、てるの上の妹であるきくは【忍者】の技術を磨こうと言い出したはずだ。

 ――迷子になったてる姉たちを探す身にもなってくれ。
 死んだかと思ったと、初めて二人が迷子になった時わんわん鳴いて。
 今では口酸っぱく文句を言いながら、必ず迷宮探索に出かける時には一緒に来てくれていたきくの口癖だ。

 顔を見合わせしばし経ち、思いついたようにリューマは手を叩いた。

「そーいや、きくが言ってたわ。
 迷子になった時は声に出して今の状況を確認しろってさ」 
「ほぅ、きくがか。
 なればそれに倣い、現状把握に努めるとするか」

 カスタムの町を訪れた次の日。
 リューマとてるはさっそく街を沈めた四人の魔女が潜んでいるという迷宮にやって来ていた。

 【地獄の口】、カスタムの町に昔からある地下迷宮だ。
 そこに彼女らは潜んでいるらしく、町外れの井戸付近から侵入が出来る。

 それをガイゼルより聞きつけて、二人は嬉々として地獄の口へと向かった。
 てるは町を地下に沈める力を秘めた魔女と戦をするために、リューマはそんな彼女たちに魔法の教えを乞うために。
 アイテム屋で暗闇を照らす【ライト】を買い付けて、さっそくとそこへ乗り込んだ。

 地獄の口は、どこにでもあるような地下迷宮だった。
 石造りの通路が走り、分かれ道があり、モンスターが現れる。
 ごくごく普通の、てるに言わせればヌルい難易度の場所だった。

 ――存外魔女は期待外れかもしれない。
 出てくるモンスターの弱さにそんな思いが脳裏をよぎった時だった。

 二人の足元は突如として発光し、魔力の奔流にのまれ、気づけば泉の前で二人は立っていた。

「【魔法】だよな。
 俺らがここに来たのって」
「ああ。JAPANの迷宮では陰陽術の仕掛けによって、場所と場所を繋ぐ罠があったが……それの大陸式だろう」
「知ってんぜ、俺。
 てれぽーとってんだよ!
 やっぱ魔法すげー魔法かっけーっ!」

 子供のような笑顔でリューマは両手を突き上げる。
 自分が魔法という事情に関われたのが余程嬉しかったのか、強面を溶かしただらしない顔で地面を転がっていた。

 その姿を見て、てるの口元も自然と持ちあがる。
 相も変わらず不敵な笑み。
 だがにじみ出るような嬉しさが見て取れるのは、気のせいだろうか。

 ぶよぶよとした、赤いやわらかな地面。
 青の血管のような筋が前後左右に張り付いている。
 そんな場所に、二人は身体を移していた。

 【テレポートウェーブ】。
 リューマとてるを転移させたのは、そんな名前の設置型魔法だった。

「つまり我らはてれぽーととやらでここに来た」
「ああ。で、どっちから来たんだ?」
「知らん。我は魔法には疎い」
「俺は解る!」
「ほぅ」
「……かもしれねぇ」

 グッと拳を握りしめて、リューマは着ているローブに手を入れた。
 取りだしたのは皮張りの表紙の本だった。

「それは?」
「魔法の本だ!」

 胸を張り、見せつけるようにリューマは本を掲げた。
 そして本を開く。
 難解な単語が組み合わされ難解な文章が形作られている。
 魔法に携わっていない普通の人間ならば、数行で睡魔が脳を犯すか、飽きが全身を蝕むであろう。

 そんな本を、にやけた顔でリューマはぺらぺらとめくる。
 きりりと真面目な顔を作って、気分はさながら魔法使い。
 【テレポート】という文字を探して、リューマはさらにページを進める。

「リューマ、ひとつ聞いて良いか」
「おぅ、ちょいと待て。
 今これからこの魔法の原理を探ってやっからな」
「うむ、それは構わん。
 が、その本、どこでどうやって買った?」
「ポルトガで持って来た金を使って……あっ……」

 ぎぎぎと、錆び付いた鉄が音を立てるように、ゆっくりとリューマの首は横に移る。

「どうしたリューマ、我の顔はこっちだが」
「……ははっ……」
「どうしたリューマ! 我の顔はこっちだぞ!」
「正直スマンかったぁっ!」

 ガンッと大きな音が響く。
 地面に頭を打ち付けて、仁王立ちのてるの足元に跪いていた。

「何を謝っている?」
「内緒で路銀の一部くすねて魔法の本を買ってスマンかったっ!」
「何故だまっていた?」
「イヤ……怒られるかなって思って……な」

 頭に乗っかったとんがり帽子を持ち上げて、じぃとてるはリューマを見つめた。

「おこ……ってる?」
「黙っていたことに対してな。
 我はそこまで小さな女か」
「それはねぇ! てるは俺にゃもったいない自慢の嫁だ!」
「なれば言え。
 貴様の夢は知っている。
 黙っていられると……少し寂しい」
 
 微かに俯いたてる。
 そんな彼女の小さな肩に、立ち上がったリューマは優しく手を――。

「あれ、女の子たちは?
 あなたたちは……誰、ですか」

 置こうとしたところで止まった。
 声のした方向を向けば、もこもことしたピンク色の頭の少女が立っていた。
 その後ろには青髪の、戦士風の男もいる。

 誰ともなく口を開こうとした瞬間、目の前に映像が浮かびあがって来た。
 茶髪の、美しい女の映像だ。

「やはりお前が……彼女たちをどこにやった!」

 怒りを孕んだ声で、青髪の男は茶髪の女を睨みつけた。
 その姿をさも楽しげに見つめる女はくすりと微笑み、口を開いた。

「どうやら貴方達を甘く見ていたようね。
 牢屋の鍵を見つけるとは思っていなかったわ。
 ……ついでに引っ掛かった馬鹿もいるみたいね」
「なぁてる、馬鹿って誰のことだ?」
「我が知るわけなかろう。
 あの女に聞け」
「おぅ、ちょっと良いか姉ちゃん」

 小馬鹿にした視線を意にかえさず、リューマはずんずんと茶髪の女の方へと歩いていく。
 そしてその体に触れようとした手は、女をするりとすり抜けた。

「……魔法……?」
「ええ、それがどうかしたのかしら」
「魔法ぱねぇっ!」

 突然と大声を上げたリューマにビクリと茶髪の女は肩を震わせる。
 どうやら彼は魔法だと気づいていなかったようだ。

「……馬鹿は放っておきましょう。
 どうせ女の子たちを助けられず野垂れ死ぬと思っていたのだけれど。
 いいわ、今度は脱出不能の牢屋に閉じ込めてあげる。
 自分の力の無さを呪って、そのまま死になさい」

 茶髪の女の映像は白昼夢のように消え失せる。
 と同時に、その場にいた四人の意識も眠るように闇に溶けていった。

 ■

「もう駄目だわ。
 この牢屋からは抜け出せない」

 悲痛に満ちた声で、もこもこピンク髪の少女【シィル・プライン】は嘆いた。
 全身には疲労が満ちている。
 へたりとぶよぶよの地面に座り込み、彼女は小さな手で顔を覆った。

「シィルちゃん、まだ諦めるのは早いよ。
 頑張ればぜったい抜け出せる」

 そう言って励ますような言葉を投げかけるのは【バード・リスフィー】。
 精いっぱいの笑顔を浮かべて、シィルを諭していた。

「でもいろいろ試したけど…どれもダメだったじゃない。
 壁を叩いたり蹴ったり、魔法を使ってみたり、隠し扉を探したり……どれも、うまくいかなかったじゃない。
 それでも、それでもまだ方法があるというの」

 全身を埋める倦怠感は茶髪の女【エレノア・ラン】に閉じ込められた牢屋から出ようとした証。
 二人は諦めず、逃げ出そうと足掻いたのだ。

 だが結果は変わらなかった。
 壁はびくともせず、隠し扉などどこにもなかった。

 ここで死ぬ。
 ありふれた、されど最悪の絶望がふらりふらりと自分の周りを舞っている気がした。

「ランス様がいてくれたら……」

 だからふと、シィルは彼の名前を呟いてしまう。
 その男の名にバードは反応した。

「むっ、どうして……そうシィルちゃんはランス、ランス、ランスばかり言うんだ。
 そんな君を奴隷扱いするような男のどこが良いんだ」

 シィルの言う【ランス】という男。
 彼はいわゆる【冒険者】で、シィルはその男に買われた【奴隷】だった。

 金で買われ、家事をさせられ、危険な冒険にも連れて行かれ、夜の奉仕もさせられて。
 わがまま放題のランス。
 その矛先が最も多く向くのはシィルだった。

「えっ、バード」
「あんなの男のことなんか忘れてしまえよ、ランスなんかより僕を見てくれよ」

 そう言いながら、バードはシィルを後ろから抱き締めた。
 包み込むように優しく。
 ランスは決してシィルにはやってくれない、恋人のような抱擁。

「君が好きなんだ」

 心を込めたように、甘くバードはつぶやく。

 シィルはランスに連れられて、地下に沈んだカスタムの町をなんとかするためにここにやって来た。
 冒険者として、依頼を受けて、ランスと一緒に。

 バードもまた冒険者だった。
 何の因果か、この町を訪れた時に地下へと町は沈んでしまった。
 そしてこの町を元に戻すべく、バードは地獄の口に足を踏み入れたのだ。

「この洞窟を無事に抜け出せたら結婚してくれ。
 絶対君を幸せにする」

 二人が出会ってまだ一日ほどしか経っていない。
 同じようにテレポートウェーブに巻き込まれ、飛ばされた先で出会い、脱出するために手を組んだのだ。
 だがそんな時間など関係ないのだと言わないばかりに、優しく、だが強く、バードはシィルを抱きしめた。

「でも……」
「ランスのことなら心配するな。
 僕が話を付けてやる」

 そう言うとバードはさらに強くシィルを抱きしめた。

「シィルちゃん、君は僕のことが嫌いなのかい?」

 ――バードさんは良い人だけど……でも、でも、違う。
 シィルの頭には一人の男の顔が浮かんだ。

 口は大きく、ハンサムだけど悪人面。
 わがままで、エッチで、嫌になる時もあるけど、それでも大切なご主人様。

 緊張した空気が辺りに漂う。
 それを引き裂くように、壁が壊れる音が響いた。
 どうやら牢屋の壁が外部からの力により崩れたようだ。

「バード、助けに来たわよ。
 あれ……その人は……?」

 現れたのは白銀の髪を灰色のリボンでまとめた一人の少女。
 手にはカンテラのようなものを持ち、ほっとした表情でバードを見つめていた。

 だがだんだんと、やわらかかった表情はシィルを抱きしめるバードを見るにつれて強張っていく。
 そしてふっと小さく笑い、彼女は澄ました冷たい顔を作った。

「良いわ、またねバード。
 別に助けに来た訳じゃないのよ、ランの持つ生命の鏡を奪いに来ただけなんだから」

 そう言うと白銀の髪の少女、【芳川今日子】はすたすたと出て行った。
 しばらく経ち、今日子が出ていったのを確認すると、バードはそっと言った。

「行こうか」
「えぇっ!」

 何の後悔もなく、何の悪びれた風もなく、自然にバードはそう告げた。
 壁に空いた穴から外を確認するバード。
 呆然と見るシィルは何とか意識を再起動させ、部屋の隅で転がるリューマと楽しそうに笑うてるへと声をかけた。

「あのっ、外に出られるみたいですけど……」
「魔法やベーっ! 魔法すげーっ!
 一瞬で俺ら眠らせて転移させて……ぱねぇっ!
 な、な、なっシィルだったか!」
「あっ、はい」
「魔法使い?」
「一応ですけど……」
「弟子にしてくれ!」
「困りますよぅ」

 バッとシィルの前で土下座するリューマ。
 なんでもこの部屋を脱出しようと足掻いていた時にみせた魔法に感動しているらしい。

「炎の矢っ! 火爆破っ! ふぁいやぁれいざぁっ!」

 手を開いて、意識を集中させ、声高らかに叫ぶリューマ。
 だがそこには発現の兆しはまるで見えない。

「ぬわんでじゃぁっ!」

 再び魔法を連呼する。
 だが成果もまるで見えない。
 奇声を上げるリューマは、傍から見ればただの変人であった。

「あれが魔女の一人……。
 クククッ、期待外れかと思っていたが、これは中々に楽しめそうだ」

 一方でランの姿を見て、一端ではあるが力を見て、この先に訪れるであろう戦に胸躍らせてるのはてる。
 さながら初めての恋に溺れる乙女のように、ランの名前を呟いていた。

「楽しませろ、エレノア・ラン。
 身の削り合い、血の啜り合い……我の胸を高鳴らせてくれ」

 本人が聞けば全力でお断りします、な内容ではあるが。

 バードに告白されてかなり気まずい状況。
 そこにさらに現れた二人は、どうも少し変わった二人のようだ。

 はぐれてしまった主人を想い、シィルは小さくため息をついた。




~あとがき~

らんくえ様、はるきよ様、まほかに様、感想ありがとうございます。

リューマにてるさんが惚れたエピソードは必ず書きます。
てるさんのキャラを考えて納得していただけるよう気合を入れて執筆しますので、首を傾げるところがあればご指摘お願いいたします。

作者のランスシリーズは、4と4x以外です。
最初に入ったのが6で、その後鬼畜王から1、2、3、戦国、5D、ランクエと至ります。
と、言っても記憶が曖昧な部分もありますので、矛盾があればご指摘ください。
02は2010を買ってないんでやってないですね。
溜まっていた積みゲを崩したら買う予定。

ご期待に添えられるかどうかはわかりませんが、精一杯書いていきます。
ランスシリーズでオリ主とかw……と感じられる方もいらっしゃるでしょうが、何とか許容していただけれる作品として仕上げていきたいです。

【2011/10/2】





[29970] お詫びと更新停止のお知らせ~ネタバレ注意~
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 17:59
ランスクエスト、ひと月以上かかってようやくクリア。

そして後日談で、てるさんが……って……マジですか?

とりあえず、何と言ったらいいでしょうか……。

とにかく、このような創作をランスファンの皆様に見せたことを深くお詫びします。

自分は、ランスが好きです。

そして彼を取り巻く魅力的なキャラクターが大好きです。

だからこそ、そこに非常に我が儘ではあるのですが、自分の考えたキャラクターをランスたちの世界に参戦させてみたいなと思い、この度に筆を取る次第となりました。

その際、まず大前提として置いたのが、【ランスと深い仲になった女性はカップリング相手として選ばない】でした。

まぁそう考えると、ほとんどの女性キャラとカップリング出来ないのですが、そこは関係の深さを自分なりに考えて。

例えば謙信はダメだけど愛はセーフとか、志津香やマリアはダメだけどミリはなんとか大丈夫とか、サテラはダメだけどカミーラさんは問題ない、とか。

最後はかなり私情が入っていますが、他人から見ればどうよそれ? と言われる部分もあるかもしれませんが、それが自分なりの敬意のつもりでした。

ランスと、魅力ある女の子たちの間に出来る空気感が好きです。

それを壊してまで、自分の我が儘を通したいとは思いませんでしたので。

コレはすべて、てるさんがランスクエストに再登場して、舞い上がっていた自分が犯したミスです。

戦国だったら謙信に名取、戦姫に五十六、鈴女に香姫かなぁ、あと別枠で蘭と乱丸、お町さんにしのぶに黒姫、最後に火鉢……なんて認識の甘さがだだもれです。

てことで、まことに勝手ながら更新を停止させていただきます。

自分の拙い作品にもし、すこしでも期待して下さっていた方がいらしたとしたら、どのように謝罪して良いかわかりません。

ですがだらだらと続けたとしても、良い気分で書けないのでヘボッちい作品になるのは間違いないです。

なので早い内に切ります。

我が儘な決断、本当に申し訳ありませんでした。

最後に読者様方にお聞きいたします。

キザな紳士さんもいた訳ですし、ナギだったら、少なくとも9発売までは大丈夫ですよね?




[29970] ~はぐれヤンキー大陸珍道中~プロローグ
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 18:20
 現在、大陸の東側を占める人間が統治する世界となっている。

 【ジル】が【魔王】の座についていた時代には魔物たちの完全な奴隷となってしまっていた。
 だが、現魔王【ガイ】が人間を解放。
 それにより、人間たちは大陸東半分を使うことが許された。

 その後に内乱が起こり、結果国家が形成され現在に至る。
 今は大きく四つの地域と一つの島国に別れ、北西を【ヘルマン】、北東を【リーザス】、南西を【ゼス】、南東を【自由都市地帯】、その脇の島国を【JAPAN】としている。
 歴史上、人類による統一国家は聖魔教団以外存在しない。
 人間たちの三大国は表面上は和睦の関係だが、いつ戦争が起こっても不思議ではない常に緊張した状況にある。

 一方で大陸西部は太古から変わらず魔の支配する世界となっている。
 絶対君主である魔王を頂点に、血を分けられた【魔人】が従い、魔人に血を分けられた【使徒】が従い、その下に魔物たちが従う。
 完全縦割りの階級社会に彼らは生きている。

 大陸東部と大陸西部の交わる場所、つまり人間と魔の世界を隔てる場所には、人間たちは並々ならぬ力をかけて、防衛手段を講じている。
 歴史は人間と魔が対立していることを示している。
 魔物たちはいつ何時人間の世界に侵攻してくるかわからない。

 たびたびと魔物から被害を受けているゼスでは境に巨大な建造物を走らせた。
 名を【マジノライン】。
 北から1区、2区と全10区に別れており、魔物界側にはトラップや砦が数メートル毎に設置されている。
 山頂には200メートル毎に迎撃システムの制御室がある、40年の月日と国家予算の大半をかけて作られた大防衛線だ。
 ゼスはこれの維持に国家予算の四割を割いている。

 だが維持し続けねばならない理由は、それだけ魔という存在が人間たちに根源的敵対者として残っているから。

 ヘルマンも同様に、魔物を防ぐための百数十キロにも及ぶ【番裏の砦】と呼ばれる大防壁がある。
 ゼスが誇るマジノラインに比べると兵器は原始的だが、随時一個師団以上が常駐しており、何とか機能を果たしている。

 ――そんな番裏の砦から幾らか離れた先。
 ヘルマン領内から魔物たちの世界に向けて駆ける一団が見える。

 がちゃがちゃと鎧を打ち鳴らし、数人の黒い鎧に身を包んだ集団。
 黒鉄の鎧兜に盾、伝統の青いスカートを履く重装甲兵。
 【ブラックナイツ】の異名を持つ、ヘルマン帝国最精鋭の兵が集まったエリート騎士部隊だ。

「待たぬかぁっ!」

 一団の先頭を走る男が叫ぶ。
 声を投げる視線の先にはもうもうと立ち上る土煙り。
 何やら誰かを追いかけているようだ。

「待てと言われて待つバカがどこにいるってんだ!」
「ぬわっ! 魔物ごときが俺に逆らうかっ!」
「バカバカバーカっ!」
「黙れ、黙って経験値にならんかぁ!」
「HAHAHAHA!」

 うさんくさい笑い声が土煙りを払う。
 一団の視界に移ったのは、天突く金色のリーゼント。
 鯨がでかでかと背面に刺繍された白い特攻服を纏い、腹にはサラシを巻き釘だらけのバッドを手に、口にはタバコ。
 
「ファッキュー!」
「がああっ!」

 中指を立てて、リーゼントは一団を挑発する。

 リーゼントは人間に似た姿形。
 しかし人間ではなく魔物の一種【ヤンキー】と呼ばれる種族。

 だが普通のヤンキーとはまるで異なる容姿をしていた。
 ヤンキーはタハコをくわえてバットを振り回す不良なモンスターで、おでこにクジラLOVEの刺青をしたゴツい色黒男のはず。

 リーゼントはいわゆる【はぐれ者】。
 稀に現れる、同種族でありながら強い個性と能力を発揮する存在だ。

 彼は幾体かの魔物を引き連れ、魔物の世界に向けて全速力で走っていた。

「リョウ殿、もうしばし足を速めませんと」

 しんがりを行く【リョウ】と呼ばれたはぐれヤンキーの脇を黒く太い尾の生えた女が進む。
 Mと描かれた黄色い体操服に身を包む、薄紫色の髪の魔物。
 【マスターやもりん】の【リン】と彼女はいった。

「わーってるって。
 ほれエレン、もうちっと頑張れや」
「ん、んっ、おでがんばる」
「砦の末端近くを走っておりますからな。
 もう少しで山に入り、【カラーの森】へ行けば魔王様の領地まですぐですぞ」

 その前には褐色肌の巨人【デカント】の【エレン】。
 広げた手のひらには真っ赤な親指。
 巨大な一つ目と口が張り付いている。

「うっしゃ、もうちょい!
 それでマッカッカサー、アイツは?」
「いえ、私は」

 否定の言葉を返す【アカメ】の【マッカカサー】に、四体はちらりと後ろを向く。
 覆面海パンのマッチョが追いかけてくる一団に向かって大の字に身体を開いていた。

「この世は自由、そう自由なのです!
 みなさん一緒にフリィィダムっ!」
「死ね雑魚がっ」
「あふんっ」

 振りかぶり、打ち据えられた盾の一撃でマッチョは宙を舞う。

「あ~……うっ」
「みぎゃ」
「とった!」
「よし、よくやった」

 【フリーダム】の【キラ】はエレンにくちゃりと受け止められて、リョウたちはまたひた走る。

 目指すは一路、魔物の世界。
 ただ一つ、心に宿した誓いを果たすために突き進む。

「カミーラ様、アンタのために俺は行くぜ!
 俺のガキを産んでくれぇっ!」

 魔人を孕ませる、というふざけた願望を胸に。
 はぐれヤンキーは拳を握った。





~あとがき~

と、いうことで物語再始動です。

ランス世界での、しかも魔物による立身出世物です。

恐らくオリジナルキャラが、ほぼ魔物ですが何体も出るかと思います。

登場人物紹介も作りますので、よろしければ暇潰し代わりにこの作品を読んでいただければ嬉しく思います。



[29970] 登場人物紹介
Name: カカカ、カミーラさん◆93cac2ae ID:ff80b53e
Date: 2011/10/04 18:00
なにか新しい項目が増える度に随時更新していく予定。



【リョウ】

通常のヤンキーとは姿形の違うはぐれヤンキー。
金髪リーゼントに腹にサラシ、背中にでかでかと鯨の刺繍入りの特攻服、手には釘バッドにくわえタバコとそっちの意味でのヤンキー。
魔人であるカミーラを孕ませる、という目的をもって魔物の世界へ向かっている。
ただしはぐれ者であるため射精を一度すると死んでしまう。
名前は不良から。





【リン】

マスターやもりんと呼ばれる種族の女の子モンスター。
女の子も一人くらい入れようかな、と思い、ビジュアル的にお気に入りのやもりんを。
生真面目な性格なのが一人欲しかったのでマスターやもりんに。
名前はやもりんから。





【エレン】

デカントと呼ばれる種族の男の子モンスター。
やさしいおっとりした性格。
名前は進撃○巨人から。





【マッカカサー】

アカメと呼ばれる種族の男の子モンスター。
キレ者で、ちょっとした頭脳派。
名前は赤い身体と司令官から。





【キラ】

フリーダムと呼ばれる種族の男の子モンスター。
フリーダムな性格。
名前はガ○ダムSEEDパイロットから。




~更新~

【2011/10/4】


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