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[30554] IS学園の男子生徒Aの物語<ネタ>
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2011/11/17 19:39
どうしてこうなった。


今の俺の心境を語るならこの一言しか浮かばない。
となりにいる男子以外、周りには女子しか居ない、まあ女子高だからしょうがないんだけど。

うん、女子高なのだ、しかも特殊な女子高。
その名もIS学園。
女性にしか扱えないという不思議な兵器、インフィニットストラトスの扱いを学ぶ学園である

そしてそんな特殊な女子高に何故か入学する俺ととなりの男子。
何故こんな状況になったのかというと話は少し遡る。







「う~、トイレトイレ」

今、トイレを求めて歩きながら全力疾走(要は早歩き)している俺は中卒の大工見習いをしているごく一般的なぽっちゃり男。
強いて違うところをあげるとすればオタクってとこかナー、名前は田中桂太。
そんなわけで仕事で多目的ホールに来ていた俺はトイレを探していたのだ。
ふと開いているドアの奧を見ると一つの鎧が鎮座していた。

ウホッ!いいIS……。

[のらないか]

脳内にそんないさじヴォイスが聞こえた様な気がした俺は誘われるままホイホイとISに近づいちゃったのだ。

んで、俺の前にいたらしき男子がISを動かし、それに俺が驚いた事でISを動かしていた男子は俺に気づいたようで慌てて触れていた手を離す。
んで、駆け付けてきた女性達に驚いて俺もISに触れてしまい 、なんとISを動かしてまったのである。

そのあとは色んな施設をその時一緒に動かした男子、織斑一夏共々転々とし、最後に世界初ISを動かした男達として公表された。







そうして俺達はIS学園に入学させられる事になり、俺は大工見習いからIS学園生徒にジョブチェンジしたのだった。
回想が途中まではくそみそなのは気にしてはいけない。

あぁ、周りの視線が痛い、もう現実逃避の為に寝ようかと考える。


「なぁ、桂太」


うるさいなぁ、現実逃避させてくれよ。
仕方なく現実逃避をやめ、とりあえず名前を呼び合うぐらいには仲良くなった一夏に顔を向ける。


「何だよ?」

「周りは女子ばっかりだけど、お互いに頑張っていこうぜ……」

「ああ……」


しかし女性関係で苦労しそうなのは一夏の方だろうと思う。
だって一夏、イケメンなんだもん。
爽やかな好青年、微笑むと女性がクラッてきそうなくらい。
それにくらべ俺は自慢じゃないが、イケメンでもフツメンでもないフトメンだしなぁ。


「あ、一夏」

「何だよ?」

「挨拶、お前の番」

「織斑一夏くん!」

「うぇ!?」


憐れ、心の準備が出来てなかった一夏、おかげで変な声を出して周りからクスクスと笑い声が。
ちなみに現在は一年一組の自己紹介タイム中である。


「あの~、大声だしちゃてごめんなさい、でもあから始まって、今、おなんだよねぇ、自己紹介してくれるかなぁ、駄目かなぁ?」


教壇に立ち、すまなそうに一夏に謝っている緑色のショートカットで眼鏡をかけた女性の名前は山田真耶さん。
童顔で俺達と同じ学生に見えるが、れっきとした副担任だ。


「お、織斑一夏です、宜しくお願いします」

「え、それだけ?」


席を立ち緊張しながら挨拶した言葉があまりにも短く、つい突っ込んでしまったが俺の言葉を聞いた一夏は気まずそうに顔をしかめる。
すると一夏は軽く深呼吸、そして……!



「以上です!」



思わず全員ガクッとずっこけた。
ボケの事をわかってるじゃないか一夏、流石の俺もそう来るとは思わなかったぞ。
あ、新しく教室に入って来た人に一夏がげんこつされた。


「げ、千冬姉!?」


驚いた一夏に更にもう一発。


「学校では織斑先生だ」

「先生、もう会議は終わられたんですか?」

「ああ、山田君クラスへの挨拶を押し付けて済まなかったな」


山田先生と軽く話しているキリッとしている美人、たしか名前は……。


「諸君、私が担任の織斑千冬だ、君達新人を一年で使い物にするのが私の仕事だ」


あ、そうだ織斑千冬さんだった。


「「「キャーーー!!」」」

「おおぅ!?」


突然の周りの女子達の歓声に思わず驚く俺。


「千冬様!本物の千冬様よ!!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです、北九州から!」

「私、お姉様の為なら死ねます!」


おうふ、凄いな千冬さん、お姉様なんて言葉リアルでは初めて聞いたぞ。
あ、でも千冬さんは呆れてる。


「毎年よくもこれだけの馬鹿者が集まるものだ。 私のクラスにだけ集中させてるのか?」


え、しかもこれ毎年恒例なの?


「お姉様、もっと叱って罵って~!」

「でも時には優しくして~!」

「そして付け上がらないように躾をして~!」


駄目だこのクラスメイト達、早くなんとかしないと。
しかしまわりのキャラが濃すぎて、俺が見事に空気である。
……って事は寝てもばれないかな? よし、そうと決まればお休みなさい。

ゴチンっ!

「ぐはっ!?」


しかし俺の頭に強い衝撃と痛みが走った。
顔を上げると俺にげんこつをした織斑先生がいた。


「貴様は貴様で、教師の目の前で何堂々と寝ようとしている」

「いや、俺は完全に空気だから寝てもばれないかなぁと思いまして」


ゴチンと再びげんこつが炸裂した。


「ぐおぉぉ……っ」

「お前、馬鹿だろ」


一夏の呆れた声に痛みが強くて言い返す事ができなかった。






HRが終わり一時間目の準備をしていると教室の周りがど偉い事になっていた。
具体的に言うとほかのクラスの生徒達が一夏と俺を見に来ているのだ。
まあ、物珍しさで来ているのだろうが俺達からすればかなりきつい。


「俺達完全に見世物だな、一夏」

「ああ、珍獣じゃないんだぜ、俺達」


そうしてうなだれる俺達、すると一人の女子が近づいて来た。


「ちょっといいか」


ふむ、ポニーテールが似合うこの女子、視線は一夏に向いている所を見るに一夏に用があるようだ。


「一夏、この娘はお前に用があるらしい、けど多分ここじゃ話しづらいだろうから外に行って来いよ」
「だけど……」

どうやら俺が心配らしい。
まぁこの中に俺一人残すことが心配なんだろう。


「ま、気にすんな。 俺は大丈夫だから」

「わりぃな……」


二人は廊下に出て行った、しかも後ろに廊下や教室に居た女子の大半を引き連れて。
ふぅ、これで少しは楽になったな、それにしても向こうに向かわずにこちらに残る奴が居るとは思わなかったけど。


「ちょっとよろしくて?」

「ほへっ?」


いかん、油断してたから話しかけられて変な言葉が出てしまった。


「まぁ、なんですのそのお返事!ワタクシに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら」

「悪い、この空気の中で話しかけられるとは思わなかったからな、つい変な言葉が出て」

「まぁ、そういう事でしたら許しあげますわ」


俺に話しかけて来た金髪を腰まで伸ばし、どことなく品があるような気がするこの女子、はて、どっかで見たことあるような……あ、もしかして。


「もしかして……、イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさん?」

「あら、ご存知でしたのね」

「まあ、趣味がネットサーフィンだからね、一応ISの事を調べてたからなぁ。 所で何か用があるの?」
「興味がありましたの、世界でただ二人だけ、男でISを操縦できると聞いていましたので」

「けど、男で操縦が出来るだけだぞ? 最近少し乗った程度だから初心者も良いところだし、しかも何故だかはしらんが俺は打鉄しか反応しないし」

「? どういう事ですの?」

「言葉の通りだよ、打鉄はきちんと反応してくれたんだけど、他の機体となるとうんともすんとも言わなくなる……」


キーンコーンカーンコーン


「チャイムがなったから話の続きはまた後な」

「ええ、それでは失礼しますわ」


オルコットさんは席へと戻り、まだ教室の周りに居た女子達は自分達のクラスに戻っていった。
それに入れ代わるように一夏とポニーテールの女子も戻って来たのだった。





後書き

とあるSSに影響を受けて思わず書いちゃったよ(汗。

追記 うわぁ、変な間違いしてましたのでしました。ご指摘ありがとうございました。



[30554] 二話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2011/11/17 19:33
「なあ、一夏」

「……何だよ?」

「お前、俺に馬鹿って言ってたけどさぁ、お前も馬鹿だろ」

「うっ……」

「必読の参考書を電話帳と間違えて捨てるとかないわ~」


そう、このお馬鹿は入学前に必読すべき参考書を古い電話帳と間違えて捨ててしまうというポカをやらかしたのだ。
まあ、そのせいで織斑先生から一撃喰らっていたが。


「うぐっ、け、けどお前だって真耶先生が質問を受け付けてきた時、手を挙げてたじゃないか!」

「し、仕方ないだろう俺は暗記とか苦手なんだから!」


俺はただ単純に覚えきれなかった、だってあれかなり分厚いんだぜ、暗記に自信がない俺は覚えきれなくて、俺も織斑先生から一撃喰らいました。


「人の事言ねぇじゃないか!」

「何だと!」

「何だよ!」


俺と一夏はガルルと睨みあっていたが、お互いにガクンとうなだれる。


「……睨みあってもしょうがない、俺の参考書見せてあげるからお互い補習を頑張ろうか、一夏……」

「ああ、わりぃな……、それに馬鹿とか言って悪かった……」

「俺の方こそごめん……」


参考書を間違えて捨ててしまった一夏と参考書を持っているけど覚えてなかった俺、どっちも五十歩百歩だった。


「ちょっとよろしくて」

「あ、オルコットさん」


俺達が補習をしていると再びやって来たオルコットさん、そういやさっきは話の途中で切り上げてたな。


「さっきの話の続きだろ?」
「ええ、それの続きもありますが……」


そしてオルコットさんは一夏の方にも視線を向ける。


「こちらの方にもお話を聞かせて貰おうと思いまして」

「え~っと、君は誰?」

「まぁ!ワタクシを知らない、セシリア・オルコットを? イギリスの代表候補生にして、入試首席のこのワタクシを!?」

「あ、質問いいか?」


オルコットさんがの話の途中で一夏が手を挙げる。


「下々の要求を答えるのも貴族の役目ですわ、よろしくてよ」


一夏は神妙な顔をし……。



「代表候補生って何?」



周り全員ガクッっとずっこけた。
今日一日でまさか二度もずっこけるとは思わなかったなぁ……。


「し、信じられませんわ、こちらの方は知っていらしたのに、常識ですわよ常識!」

「桂太、代表候補生って何だよ?」


不思議そうな顔をしてこっちを向く一夏。
こ、こいつは……。


「だ、代表候補生ってのは国家代表IS操縦者の候補生として選出された人の事だよ」

「そう、代表候補生というのはエリートなのですわ、……単語から想像したらわかる事でしょう?」

「そう言われればそうだ」

「そう、エリートなのですわ! 本来ならばワタクシの様な選ばれたとは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運なのよ」


そうしてオルコットさんの後ろに舞うバラの赤い花びら。
まあ、撒いてるのは俺だが。


「……なにしているんだよ、桂太」

「いや、今のオルコットさんの喋りを聞いていたら背景にバラが必要かなと思ってしまってつい」

「おいおい……」

「貴方、中々わかっていますのね、ええっと……」

「あ、HRの自己紹介の時に挨拶してなかったな。 俺の名前は田中桂太だ、よろしく」

「ええ、こちらこそよろしくお願いしますわ。……それはともかく、ワタクシは優秀で優しいですからISの事でわからない事があれば、まぁ泣いて頼まれれるばあなた方に教えて差し上げないこともなくてよ? 何せワタクシ、入試で唯一! 教官を倒したエリート中のエリートですから」

「あれ? 俺も倒したぞ、教官」

「「はぁ!?」」


一夏の発言に同時に驚く俺とオルコットさん。
俺の相手は山田先生だったが結構強かったぞ?
俺の前に一夏は戦ってたけどあの人相手に勝ったのかよ。


「倒したっていうか……、いきなり突っ込んで来たのを避けたら、壁にぶつかって動かなくなっただけだ」


なるほどなるほど、……何してんの山田先生!?


「わ、ワタクシだけと聞きましたが?」

「女子ではってオチじゃないのか?」


あ、なんか危険信号が出た気がする。


「あなた、あなたも教官を倒したって言うの!?」


ヒートアップして顔を真っ赤にしながら、オルコットさんか一夏に詰め寄る。


「お、落ち着けよ、な?」

「これがおちついていら……」


キーンコーンカーンコーン


授業開始を告げる鐘の音がなり、オルコットさんの話を遮った。


「話の続きはまた後で、よろしいですわね!」


席に戻るオルコットさんを一夏は呆然と見送っている。
俺はと言うと……。


(あ、俺の話の続きをしてなかったな)


そんな些細な事を考えていた。







「それではこの時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する」


ん、一、二時間目は山田先生が教壇に立ってたけど三時間目に教壇に立つのは織斑先生か。


「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないとな」

クラス対抗戦に代表者?


「クラス代表者とはそのままの意味だ。 対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席など……まあ、クラス長と考えてもらってもいい。 自薦他薦は問わない、誰か居ないか?」

「はい、織斑君がいいと思います」

「えっ」

「はい、私もそれがいいと思います」

「はっ、お、俺?」

「他には誰か居ないのか? 居ないのなら無投票当選だぞ」


居ないみたいですね、流石イケメン、俺なんか一声も出てないのに。
いやまあ、別にいいけどさ。


「ちょ、ちょっと待った! 俺はそんなのやらな「納得がいきませんわ!」あ?」


一夏の声を遮る用に声を張り上げるオルコットさん、どうかしたのだろうか?


「そのような選出認められません! 男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」


いや、流石にその言い方は駄目だろ。


「大体、文化としても後進的な国に暮らさないといけない事自体、ワタクシにとっては堪え難い苦痛で!」


あ、一夏がオルコットさんを睨んでる。
こりゃ一夏、カチンときてるな。


「イギリスだって大したお国自慢ないだろう、世界一まずい料理で何年覇者だよ」

「っ! 美味しい料理だって沢山ありますわ! 貴方、ワタクシの祖国を侮辱してますの!!」


やばいな、売り言葉に買い言葉だ。
しょうがない、俺が止めるか……。


「二人共、ストップだ!」

「何で止めるんだよ、桂太!」

「そうですわ、貴方は黙っていて下さいませ!」

「ああもう、ごちゃごちゃとうるさいからだよ! そんなに言うなら決闘でもなんでもすればいいだろうが!」

「なっ」

「一夏もそれで構わないよな?」

「ああ、四の五のいうよりわかりやすい」

「本気で言ってますの?」


オルコットさんが怪訝な顔をして尋ねてくる。
当たり前だ、オルコットさんは代表候補生として選ばれる力量を持っている、だから……。


「ああ、ただし一夏と一緒に俺も戦う。 力量の差は開いているからこれくらい構わないだろ、オルコットさん?」

「おい、桂太」

「ええ、いいでしょう! ただし、わざと負けたりしたらワタクシの小間使い、いえ奴隷にしますわよ!」

「わざと負けるなんて事、俺も一夏もしないよ!」

「いい加減にしろ!……話はまとまったな。 それでは勝負は一週間後の月曜日。 放課後、第三アリーナで行う、三人とも用意しておくように。 それでは授業を始める」


織斑先生が手を叩いて話を終わらせた。
そして授業を進めていき、俺はノートを書いていく。


「なあ、桂太」

「ん、どうした一夏?」


ノートを書いている時に、隣の一夏が話しかけてきた。


「悪いな、俺の喧嘩に巻き込んでしまって」

「ああ、気にするなよ、俺がしたくてしただけだからな」


オルコットさんの性格を見るにどちらにしろ決闘を行う流れになってたと思う。
ならばあそこに割り込むことで、空気を返じょゲフンゲフン一夏を援護できるかなって思っただけだ。


「けど二対一か……」

「どうしたんだよ、一夏?」
「いや、女子相手に男が二人掛かりってのがなぁ……」

「いや、相手は代表候補生なんだし、しょうがないだろ。 むしろ二人掛かりでも圧勝される可能性もあるんだからな」

「それはわかってるんだがなぁ」


……やれやれ、ここは一言言っとくか。


「割り切れよ、でないと死ぬぜ?」

「いやいや、おかしいおかしい、あとそれ死亡フラグだろうが!」


フハハ、キシナーイ!




後書き

まさにテンプレ、しかしオリジナル要素が考えられない罠。



[30554] 三話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2012/01/06 22:42
「「…………」」


放課後、俺と一夏は黙々と参考書を見ながら補習中。

来週にはオルコットさんとの決闘があるのだ。
向こうは代表候補生、こっちは二人掛かりとはいえ圧倒的な力量の差がある。
だからとりあえずISの事を把握しようという事で頑張っているのだが……。


「「なぁ」」


お互いに今日出た一問を指差し……。


「「この問題わかるか?」」


お互いに同じ問題で躓いていた、駄目じゃん俺ら。


「ああ、織斑君に田中君。 まだ教室にいたんですね、よかったです」

「「はい?」」


呼ばれて顔を上げる俺達、そこには山田先生が書類片手に立っていた。


「えっとですね、寮の部屋が決まりました」


そう言って部屋番号の書かれた紙と鍵を山田先生が渡してきた。
だけど、あれ?


「俺達の部屋、決まってないんじゃなかったんですか? 前に聞いた話だと、一週間は自宅から通学してもらうって話でしたけど」


一夏が俺が聞きたいことをかわりに聞いてくれた。
そう、確かに俺もそう聞いていたのだけど……。


「事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいです。 ……お二人はそのあたりのことって日本政府から聞いてます?」


最後の方は俺達にだけ聞こえるように小声で聞いてきた。
ああ、何となくわかった。
あのニュースが流れた後、自宅にマスコミやら色んなとこの大使やらなんやらがやって来たからなぁ。


「そう言うわけで、政府特命もあって、とにかくお二人を寮に入れるのを最優先したみたいです。 一ヶ月もすればお二人の部屋が用意出来ますから、しばらくは相部屋で我慢してください」

「成る程、それなら俺も一夏も荷物を一回帰って準備しなきゃいけないので、今日はもう帰っていいですか?」

「あ、いえ、荷物なら――」

「私が手配をしておいた。 ありがたく思え」

「げえっ、関羽!?」


パァンッ!

いきなり現れた織斑先生に思わず驚いて、つい口走ってしまった俺の頭に織斑先生の出席簿がクリティカルヒット、すっげぇ痛い。


「誰が三国志の英雄か、馬鹿者。 それはともかく、生活必需品だけだがな。 着替えと携帯電話の充電器があればいいだろう」


マジか、まあ携帯があれば最低限は出来るけど、寮に個人で使えるパソコンあるかなぁ……。


「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。 夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。 ちなみに各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。 学年ごとに使える時間が違いますけど……えっと、その、お二人は今のところ使えません」

「え、なんでですか?」


おい、馬鹿。


「ここには俺と一夏しか男は、いないだろうが」

「そういやそうだった……」


まあ、例外は居るけどな。
例えば用務員の轡木さんだったっけ。


「えっと、それじゃあ私たちは会議があるので、これで。 織斑君、田中君、ちゃんと寮に帰るんですよ。 道草くっちゃダメですよ」


ここから寮まで五十メートルだっけな。
ふむ……。
織斑先生と山田先生が教室から出ていくのを見送ると俺と一夏は席を立った。


「それじゃあ今日のところは寮に向かおうぜ、一夏。
流石に今日はいろいろ限界だ……」

「ああ、そうだな……」


そうして俺達は寮に向かって行った。







寮に着いた俺達、お互いに部屋番号を確認したところ、一夏は1025室、俺は1032室という事でとりあえず別れ、今1032室の前に来たのだが……。


(嫌な予感しかしない……)


そう、どう考えても女子と相部屋である。
だからってどうしようもなくて。
ええい!
とりあえずノック。

コンコン

……反応無し。
鍵は開いてる。

ガチャ

部屋に入ると、まず目に入るのは天井付きのベッド、そして同居人の私物と思わしき物が複数。
天井付きのベッドとか初めてみたぞ、おい。
一応もうひとつベッドがあるけど隅に追いやられている、ここの同居人はちゃんと他の人に気を使うべきだと思う。


「誰かいますの?」


同居人の声が聞こえたその瞬間の俺の反応は早かった。
どっかで聞いた事ある声だとか、そんな事関係なくて、急いで部屋の外に脱出。
声を聞いて部屋を出るまで、この間は三秒以内だと思う。


「キャッ! 一体何事ですの!?」


まぁ、部屋から出た後、扉を急いで閉めてしまったせいで大きな音が出たから、中に居た(おそらくシャワーを浴びていた)同居人を驚かせてしまったけど。
俺の予想が正しければ恐らく同居人は……。
とりあえず扉越しから話かける。


「あ~、いや、本当にごめんなさい。 ……オルコットさん」

「その声は……田中さん?」


さ~て、なんて話そうかぁ……はぁ。


「オルコットさん、取り合えず髪を乾かしたりしててくれないか? 話があるから」

「? 何故貴方はワタクシがシャワーを浴びていた事を? ……まさか先程のは!」

「単刀直入に言うよ、しばらくの間ルームメイトになる田中桂太です、よろしく」

「………は?」


※事情説明中※


「……って訳で今に至る、OK?」

「納得いきませんわ! 何故ワタクシが極東の猿なんかと一緒の部屋ならなきゃいけないのですの!」

「そんなこと俺に言われても困る、俺だって困惑してるんだから」


オルコットさんの言いように流石にイラッ☆ってしてきた俺です。
オルコットさんはどうにも今時の女性みたいだしなぁ。


「そんなに言うなら取り合えず室長の織斑先生にでも抗議してくればいいじゃなイカ」

「ええ、そうさせてもらいますわ!」


そうしてプンスカと織斑先生の元に向かうオルコットさん。
あ、そういや織斑先生達は会議があるって言ってたけど……まあ、いいか。
さてさて下手ないちゃもんつけられても困るから部屋の外で待つとするかね。







「………」

「あ、戻ってきたか」


しばらく待っていると、うなだれながらオルコットさんが帰ってきた。
まあ、結果は聞かなくてもわかるな。


「くぅぅ~、仕方ありませんから! 特別に私と同居する事を許してあげますわ! ただし少しでも愚かな事を……」

「分かってるよ、流石に国際問題になんか発展させたくないからなぁ、俺も」
「分かっているのでしたらよろしいのです」


さてさて、IS学園の一日目でイベントが盛り沢山とはね。
まあ、それでも……。


「まあ、改めて。 これからよろしくな、オルコットさん」

「ワタクシは不本意ですけれどね」


こういうのも悪くない……。



おまけ


「あの、オルコットさん」

「なんですの?」

「なぜゆえ俺は、毛布で簀巻きにされてるのでしょうか?」


いきなり毛布に包ませられて、ロープと鎖をグルグル巻かれ、簀巻きin俺が完成しました。


「極東の猿ですもの、発情してワタクシを襲ってこられたら困りますもの」

「これは少し酷いと思うんだ」

「知りませんわ、それではお休みなさいませ」


トイレとかは……無視ですかそうですか、……しくしく。




後書き

うん、セシリアのキャラが掴めてないような気がする今日この頃。
主人公設定を少しだけ晒してみる。



田中桂太
身長162cm
体重80kg
見た目、坊主ほどとは言わないがかなり髪の毛は短い、見た目も痩せればフツメンに入るくらいだが如何せん太ってる。
性格は温厚。
自分のオタクな所を女子に見られて引かれると困るので、隠してはいるが、それでも時々ネットスラングが出てしまっていて困ってる。



[30554] 四話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:1629add8
Date: 2011/11/20 00:18
「んん~、……へぁ?」


どうにも寝苦しくて目覚める、けれども頭が寝起きでうまく働かない。
体を伸ばそうとするが何故か体が動かない。
仕方なくボーッと辺りを見渡す。
無駄にお金をかけてそうな照明、奥のカーテンから朝日が少し見える事から朝だという事はわかる、そして顔を横に向けてみる。
そこにはオルコットさんの寝顔があった、しかもドアップ。
どうやらオルコットさんは寝ぼけて簀巻きになっている俺を抱きまくらみたいにして寝ているのだろう。
……あ、夢か。
寝ぼけた頭でそう結論づける。
だって、こういうイベントは一夏が起こすのであって、俺が起こすわけないのである。
それにしても……。


(オルコットさんの寝顔、超可愛い)

「んっ……」


オルコットさんの吐息を感じる。
自分の顔は紅くなってるだろうなぁ。
やべ、なんだか眠たくな…って……。


しばらくして1032室から悲鳴とビンタの音が響いたのはお約束であった
ちなみに誤解されそうでしたが何とかとけました。






「おい、どうしんだよその頬、見事に真っ赤だぞ?」

「気にするな、多分お前も通る道だからよ、一夏」

「?」


俺は悪くねぇ、悪いのは女尊男卑の世界なんだ!
そんな気持ちな食堂の朝だった。


「………」


ごめんなさい、周りの女生徒の視線+ポニーテールの少女の不機嫌オーラはマジキツイです。
一夏の、一緒に飯食べようぜ!なんて話に乗るんじゃなかった……!
と、取り合えず話し掛けてみよう……。


「あ、あの~」

「……なんだ」

「お、俺の名前は田中桂太だ」

「………知っている」

「あ、ああ、そうなんだ、ええっと……」

「…………篠ノ乃箒だ」

「篠ノ乃さんか、よろしく」

「…………」


は、話しづれぇぇぇ!?
な、名前も聞けたからもういいよね?
この空気堪えられねぇ……。
飯を一気に食べる!


「そ、それじゃあ先に行くよ、一夏、篠ノ乃さん」

「ああ、また後でな」

「………ああ」


俺は食堂を後にした。







俺は自慢じゃないが、頭が悪い事は自覚している。
暗記系なんて天敵みたいな物だ。
そんな俺だけど、今まで頑張ってきたのだ。
先生の言葉を一字一句逃さず書き写すという事をしながら。
だから……。


「例えば皆さんはブラジャーをしていますよね。 あれはサポートこそすれ、それで人体に悪影響が出ると言うということはないわけです。 もちろん、自分にあったサイズのものを選ばないと、形崩れしてしまいますが――」


いきなりこんな事を言わないでほしい、ノートにブラジャーって書くの気恥ずかしいです。
……ふと、俺達と目が合う。
そこで一回きょとんとした山田先生は、数秒置いてからボッと顔を赤くした。


「え、えっと、いや、その、織斑君と田中君はしていませんよね。 わ、わからないですね、この例え。 あは、あははは……」


山田先生のごまかし笑いはなんとなく微妙な雰囲気を漂わせた。


「んんっ! 山田先生、授業の続きを」

「は、はいっ」

浮ついた空気を、咳ばらいでシャットアウトする織斑先生。
織斑先生に促されて山田先生は慌てて授業を再開した。


「そ、それともう一つ大事な事は、ISにも意識に似たようなものがあり、お互いの対話――つ、つまり一緒に過ごした時間で分かり合うというか、ええと、操縦時間に比例して、IS側も操縦者の特性を理解しようとします。 それによって相互的に理解し、より性能を引き出せることになるわけです。 ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして認識してください」


ISにも意識があるねぇ、って事はあの時聞いた、あのいさじヴォイスはISが俺を呼んだ声だったのかねぇ。

キーンコーンカーンコーン


「あっ。 えっと、次の時間では空中におけるIS基本制動をやりますからね」

たしか実技と特別科目以外は基本担任が全部の授業を受け持つんだっけ。
IS学園の先生は大変だなぁとしみじみ思う俺だった。


「ねえねえ、織斑くんさあ!」

「はいはーい、質問しつもーん」

「今日のお昼ヒマ? 放課後ヒマ? 夜ヒマ?」


昨日はどうやら様子見だったようです。
山田先生と織斑先生が教室を出るなり女子の半数がスタートダッシュ、一夏の席に詰めかける。
どうやらイケメンとフトメンの差が出て来たようです、ちくせう。
取り合えず机に突っ伏した。


「ねえねえ~」

「ん?」


呼ばれた気がしたので顔を上げる、するとそこにはだぼだぼな制服を着た一人の少女が立っていた。


「えっと、君は?」

「布仏本音だよ、よろしくね、けーたん」

「あ、うん、よろしく。 え、けーたんってあだ名?」

「うん~、田中桂太だから~けーたんなんだよ~」


まさか話し掛けられるとは思わなかったなぁ。
しかし、けーたんかぁ……。


「あだ名で呼ばれるのは初めてだな、うん、嬉しい」
「そうなんだ~」

「ところで布仏さんは「本音でいいよ~」……本音さんは俺に何か用?」

「ん~と、けーたんはなんでISを動かせたの~?」

「さぁ? しいて言うならISに呼ばれたからじゃない?」

「え、それってど―ういう――」


パァンッ!


隣で叩かれた音が聞こえたから横を見てみると、そこには頭を叩かれ悶絶している一夏と、織斑先生がそこにいた。


「休み時間は終わりだ。 散れ」


織斑先生の言葉にみんな席へと戻っていく。


「田中、これを受け取れ」


黒色の質素な腕輪を織斑先生が渡してきた。


「織斑先生、これは?」

「お前用にチューニングされたIS、打鉄だ。 まあ、チューニングされたと言っても待機状態に移行出来る様になっただけだがな」


へぇ、これが俺用のISかぁ、……やべっ、めっちゃ嬉しい。


「これからよろしくな、相棒」

[ああ、こちらこそよろしくな]


……………今、いさじヴォイスが聞こえたような気がしたんだが。
ま、まあ気のせいだよな、気のせい。


「そして織斑、お前のISだが準備までに時間がかかる」

「へ?」

「予備機がない。 だから少し待て。 学園で専用機を用意するそうだ」

「???」

「はぁ、山田先生、織斑に専用機の事を教えてやって下さい、どうやらわかってないみたいですから」
「はい、わかりました」


ん、おかしくないか?


「織斑先生、なんで俺のは用意できたのに、一夏のだけ用意出来なかったんですか?」

「政府が早急に用意できるのが打鉄一機だけだったからな、まずお前に回したんだ。 そして織斑はデータ収集を目的として専用機が用意されることになった。 わかったか?」

「なるほど、そういう事でしたか、分かりました」


しかし一夏は専用機か、羨ましいなぁ。


「――って事なので、本来ならIS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられないんです。 けれど織斑君の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになったんです。 わかりました?」

「な、なんとなく……」


山田先生の説明を聞いて一夏は頭の中で整理しているのだろう、うんうん唸っている。


「あの、先生。 もしかして篠ノ乃さんって篠ノ乃博士の関係者なんでしょうか……?」


女子の一人がおずおずと織斑先生に質問する。
確かに同じ苗字だし、篠ノ乃なんて苗字珍しいしなぁ。


「そうだ、篠ノ乃はあいつの妹だ」

あ、やっぱり関係者だったんだ。


「ええええーっ! す、すごい! このクラス有名人の身内がふたりもいる!」

「ねえねえっ、篠ノ乃博士ってどんな人!? やっぱり天才なの!?」

「篠ノ乃さんも天才だったりする!? 今度ISの操縦教えてよっ」


授業中にも関わらず篠ノ乃さんの元に集まる女子達、織斑先生に叩かれたいのだろうか?
というか、最後の人は一応オルコットさんという代表候補生がいるのだからオルコットさんに教えてもらえば――。



「あの人は関係ない!」



篠ノ乃さんの突然の大声。
それにより思考を中断された俺はパチクリと瞬きする。
どうやら一夏や篠ノ乃さんの元に集まっていた女子も、同じような表情をしていた。


「……大声を出してすまない。 だが、私はあの人じゃない。 教えられるような事は何もない」

そう言って、篠ノ乃さんは窓の外に顔を向けてしまう。
女子は盛り上がった所に冷水を浴びせられた気分のようで、それぞれ困惑や不快さを顔に浮かべながら席に戻って行った。


「さて、授業を始めるぞ。 山田先生、号令」

「は、はいっ!」


山田先生もどうやら気になる様子みたいだが、きちんと授業を始める。
それにしても、いろいろイベントがありそうだなぁと、俺はしみじみ思っていた。




後書き

たいして進んではないでござる。
まぁ、次でようやく戦闘をするんだけど……。



[30554] 五話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2011/11/21 01:17
「安心しましたわ。まさか二人共訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」



休み時間、早速俺達の席にやってきたオルコットさんは、腰に手をあててそう言った。


「俺は打鉄だから、訓練機と代わらないけどね」

「まあ? 一応勝負は見えていますけど? さすがにフェアではありませんものね」


まさかのスルーである。
どうやら朝の事を怒ってるっぽい。
あれ、俺は悪くないだろ。


「? なんで?」

「あら、ご存知ないのね。 いいですわ、庶民のあなたに教えて差し上げましょう。 このワタクシ、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生……つまり、現時点で専用機を持っていますの」

「へー」

「……馬鹿にしてますの?」

「いや、すげーなと思っただけだけど。 どうすげーのかはわからないが」

「それを一般的に馬鹿にしていると言うでしょう!?」


ババン! オルコットさんが両手で一夏の机を叩く。
ああ、もう。


「おい、一夏、あんまり喧嘩を売るな。 オルコットさんも落ち着けよ」


「けど桂太……」

「そちらが悪いのでしょう」

「喧嘩両成敗、だ。 オルコットさん、英国淑女というのは、むやみやたらに敵を作るものなのか? 違うだろう」


「うっ」

「それはそうですが……」


はぁ、やれやれ……。


「はい、二人ともごめんなさいは?」

「「え?」」

「悪い事をしたらごめんなさい、これは常識だろうが」

「……わかったよ。 ごめん、セシリアさん」

「ん、ほら、オルコットさんもごめんなさいは?」

「な、なぜワタクシが」

「ごめんなさいは?」

「で、ですから」

「ご、め、ん、な、さ、い、は?」

「うっ」


じと~。


「ご、ごめんなさい……」

「うんうん」


喧嘩両成敗、これ大切です。


「ま、まあ。 このクラスで代表にふさわしいのはワタクシ、セシリア・オルコットである事をお忘れなく」


ぱさっと髪を手で払って回れ右、そのまま立ち去っていく。
その動作が綺麗だ、モデルでもしていたのかねぇ。


「う~ん、オルコットさんは悪い子じゃないんだと思うんだが、やっぱり風潮のせいかなぁ」

「そうか?」

「まあ、言っててもしょうがないか。 昼飯食べに行こうか、一夏」

「ああ、ちょっとやることあるから先に食堂に行っててくれ」

「うい、わかったよ」


さてさて、今日は何を食べようかねぇ。







「お~い、桂太」

「来たか……って、篠ノ乃さんを連れて来たのか」


食堂で待っていたら、少しして一夏が篠ノ乃さんの腕を掴んでやって来た。


「ああ。 って、まだ食べてなかったのか」

「一応食券は買ったけどね」

「俺達も食券を買うか。 箒、何でもいいよな。 何でも食うよなお前」

「ひ、人を犬猫のように言うな。 私にも好みがある」

「ふ~ん。 あ、日替わり二枚買ったからこれでいいよな。 鯖の塩焼き定食だってよ」

「話を聞いているのか、お前は!」

「聞いてねえよ。 俺がさっきまでどんだけ穏和に接してやってると思ってんだ馬鹿。 台無しにしやがって。 お前、友達出来なかったらどうすんだよ。 高校生活暗いとつまんないだろ」

「わ、私は別に……頼んだ覚えはない!」

「俺も頼まれた覚えがねえよ。 あ、おばちゃん、日替わり二つで。 食券ここでいいんですよね?」


プラスチックの食券をカウンターに置く一夏。
しかし右手だけでやってるが不便そうだな、大概で左手を離してもよさそうだが。
ちなみに俺も日替わり定食で、二人が言いあってるうちに注文して受け取ってます。
だって俺、思いっきり空気だったんだからなぁ。


「いいか? 頼まれたからって俺はこんなこと、普通はしないぞ? 箒だからしてるんだぞ」

「な、なんだそれは……」

「なんだもなにもあるか。 おばさんたちには世話になったし、幼馴染みで同門なんだ。 これくらいのお節介はやらせろ」

「…………」


あ、この二人、幼馴染みだったのか。
やけに仲がいいと思ったら。


「そ、その……ありが――「はい、日替わり二つお待ち」……」

「ありがとう、おばちゃん。 おお、うまそうだ」

「うまそうじゃないよ、うまいんだよ」


そう言って学食のおばちゃんはにかっと笑う。
いい人そうだけど、少しずらして欲しかった。
ほら、一夏にお礼を言い損なって篠ノ乃さんが不機嫌な顔をしたし。
まあ、おばちゃんには批はないんだけどなぁ……。


「箒、桂太、テーブルどっか空いてないか?」

「…………」

「箒?」

「はあ、向こうが空いてるから、向こうに行こうか、一夏、篠ノ乃さん」

「…………」


一夏の手を払って、自分の分の日替わり定食を手にスタスタと歩きだす篠ノ乃さん。
とりあえずちょうど空いていたテーブルにつく。
俺っていらない子なんじゃないのかと本気でおもった。


「そういやさあ」

「……なんだ」

「俺達二人にISの事を教えてくれないか? このままじゃ来週の勝負で何も出来ずに負けそうだ」

「くだらない挑発に乗るからだ、馬鹿め」


かなり的確である。


「それをなんとか、頼むっ」

「俺からもいいかな、頼む」


「…………」


無視されたでござる。


「なあ、箒――」

「ねえ、君達って噂のコでしょ?」


一夏が話している途中で、隣の女子に話しかけられる。
どうやらリボンの色を見るに三年生らしい。 リボンの色が青なら一年、二年なら黄色、三年なら赤だ。


「はあ、たぶん」

一夏が返事をすると、先輩は実に自然な動きで隣の席にかけた。
ちなみに俺は座る段階で空気をよんで少しだけ離れてました。
…………俺、いらない子?


「代表候補生のコと勝負するって聞いたけど、ほんと?」

「はい、そうですけど」


先輩は見事に一夏を見てます、はい。
仕方ないね、一夏イケメンなんだもの、………………泣いてないよ?
まあ、とりあえずさっさと食べてここから離れよう。
ガツガツガツ。


「ごちそうさま、またあとでな、一夏」

「あ、ああ」


先輩にこっそり御免ねって言われたけど、空気を読むのは辛いよママン







とりあえずまだ昼休みは終わってないけど……そうだ、誰かにISの事を教えて貰おう。
問題は誰に教えて貰うかだけど……。

オルコットさんは×、対戦相手だし駄目だね。

篠ノ乃さんも×、友達ですらないしね。

後は……、そうだ本音さんに頼もう。
本音さんなら教えてくれそうだしな。
よし、善は急げ、本音さんに頼みに行こう。
どこにいるかわからないけど、とりあえず教室に行けばなんとかなるだろ。







教室に来たわけだけど本音さんは居なかった。
さて、どこにいるんだろ?
とりあえず誰かに聞いてみるか。
とりあえず近くに居た女子に聞いてみよう。


「なあ、布仏本音さんはどこに居るかわかる?」

「本音さんなら、確か生徒会室に居ると思うよ」

「何で生徒会室に?」

「確か生徒会書記になったって言ってたから」


本音さん生徒会に入ってたんだ、意外だ。


「ありがとう、助かったよ」

「別にいいよ、お礼なんて」

「ん、そうか。 じゃあ」



さて、生徒会室に行ってみようかな。




後書き


今回戦闘すると言ったが、あれは嘘だ。
いや、ほんとに申し訳ない(汗

しかし主人公の空気っぷりがハンパないなぁ



[30554] 六話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2011/11/22 02:38
はい、やってきました生徒会室、はたして本音さんは居るのだろうか?
まあいいや、とりあえずノックを。

コンコン


「はい、どうぞ」

「失礼します」


生徒会室には本音さんは居ない、かわりにいたのは二人の女子だけだった。
一人は三つ編みに眼鏡といかにもお堅い感じのする女子、リボンの色は赤だから三年生らしい。

そしてもう一人は水色のセミロングの髪、扇子を口元に当て、いたずらっぽい笑みを浮かべている。
リボンの色は黄色だから二年か。
ん、この人どっかで見たことあるぞ?
ん~。


「何かご用でしょうか?」

「あ、そうだった。 布仏本音さんを知りませんか?」

「あの子は多分、IS整備室にいると思いますよ」

「あ、そうですか」


むぅ、IS整備室かぁ、向かう時間はもうないなぁ、仕方ない放課後にでも頼むか。


「あら、本音ちゃんに何か用だったのかしら?」

「あ、いえ。 個人的……個人的? まあ、とりあえず用があったんですけど……」

「ふぅん……」


セミロングの髪の先輩がなんか企んでる用に見えるのは気のせいだろうか、ふむぅ。
まあ、いいか。


「では、失礼しました」

「ねえ、田中桂太君」

「何で俺の名を、ってそういやニュースで報道されたんだったか。 はい、何ですか、先輩?」

「今日の放課後、ここに来てくれない?」

「? わかりました」

「話はそれだけよ」

「? では、失礼しました」


何だったんだろ?
…………まあ、いいや、とりあえず教室に戻ろう。







「どうしてこうなった」


あ…ありのまま (中略) 何を言っているのかわからn(ry
まあ、極端に言えば放課後に生徒会室に行ったらセミロングの人、生徒会長でもありロシアの代表でもある更識楯無先輩に、アリーナに連行され、何故かISでの戦闘をする事になりました。


「あの、生徒会長」

「楯無でいいわよ?」

「……楯無先輩、何で俺と先輩が戦う事に?」

「ん~、面白そうだから?」

「…………いや、おかしいでしょう、俺、ISの稼動時間20分ぐらいですよ? そんな超弩級初心者の俺と戦って何が楽しいんですか?」

「面白いじゃない」

『何たってIS自体にに選ばれたんでしょう?』

『単なる気のせいかもしれませんよ?』


話の途中でいきなり秘匿回線になったんでこっちも秘匿回線にしたが何でだ?


『可能性は充分あるかもしれないわよ? 打鉄しか扱えず、何より貴方が入試で触れた打鉄しか扱えないなんて』

『……どこでそれを?』

『さて、どこかしらねぇ?』


そう、俺は確かに打鉄しか扱えないと言ったが、正式に言えば、あの時触れた打鉄しか扱えない。
それが分かったのが研究所での事だった。
つまり俺は、今展開しているこの打鉄しか扱えないのだ。
なんで途中で秘匿回線にしたかわかったけど……たしかこれは、機密のはずだったんだが。
だから俺も話す時はその辺は厨ニ的にしてぼかすつもりだったのに。
まあ、いいや、どうせ聞いたって教えてくれなさそうな感じだし。


「だいたい、俺に何の得があるんですか? こんなワンサイドゲーム」

「私に勝ったら私が貴方を鍛えてあげると言っても?」

「確かに魅力的ですけど、どう見ても無理ゲーです、本当にありがとうございました」

「勿論ハンデはあげるわよ」

「ハンデ?」

「そ、貴方は10分間の内に一撃でも私に当てれば貴方の勝ち、勿論その間に私は一切攻撃はしないから」


むむむ、難易度が上がったけどそれでもかなりの無理ゲー、しかし……。


「……わかりました、この勝負受けます」

「あら、そう」


可能性は限りなくゼロだけどゼロじゃない!
兆が一勝てて、ロシア代表であるこの人に鍛えて貰えればオルコットさんとの戦いで勝てる確率が上がるからな!


「それじゃあ行きます!」


右手に打鉄の標準装備の刀を出現させ、俺は不敵に笑う楯無先輩に突撃した。







可能性は限りなくゼロだけどゼロじゃない、そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
いや、ぶっちゃけ無理ゲーすぐる。
刀で突撃したはいいけど柳に風、のれんに腕押し。
ものの見事に回避されました。
刀を振っても、ものの見事に当たらない。
アサルトライフルを撃っても未来予知してんじゃないのって感じで優雅に飛び回って回避するし……。
だから俺専用の武器、大槌にジェットノズルを取り付け、振りの早さと威力を上げたこの[飛びかけや]を使ってるだけど……。


「うらぁ!」

「まだまだねぇ」


スカッと空振り、そして……。


「のわぁぁっ!?」


飛びかけやの勢いに負けて、思いっ切り体制が崩れた。
使ってみてわかったが、この飛びかけや、ものすごくじゃじゃ馬だった。
どうする、残り時間も少ない。
くそ、どうする……。


[やれやれ、しょうがないな]


ふと頭に響くいさじヴォイス、え、どこから?


[とりあえず目を閉じな、話はそれからだ]


勝負の途中だが打開策が浮かばない。
だから俺は目を閉じてみた。







[目を開けていいぜ]


声を開ける、するとそこは……。


「何で俺は……公園に居るんだ!?」


楯無先輩と戦っていたはずなのに、目を開けるとそこは公園だった。
どういう事なんだってばよ……!?


[よう]


左側から声をかけられ、慌てて振り向いく、そこにはベンチに一人の若い男が座っていた。

ウホッ! いい男……。

じゃなくて!


[ようこそ、田中桂太]

「何であんたは俺を知ってんだ、というかここはどこだよ」

[お前さんを選んだのは俺だぜ? だから俺がお前さんの事を知っていて当たり前さ]

「俺を選んだ……? っ、まさか!」

[そう、俺は打鉄。 お前さんを選んだ男だよ]


青いツナギを着たちょっとワルっぽい男――本人曰く打鉄――は不敵に笑った。


「突然そんな事言われても信じられるか、常識的に考えて」

[そんな事言っておきながらお前さん、実は納得してるだろう]

「…………」


否定できない、感覚がこいつは俺の相棒の打鉄 だと言っているから。


「……仮にお前が打鉄だとして、なぜお前は俺を選んだ」

[そんなの簡単、それはお前さんがイイ男だったからさ]

「はぁ?」

[正確に言えばイイ男になりそうだったからかな]


……俺がISに乗れたのは実に簡単な理由でした。
俺は選ばれし者だ! って厨ニ的に考えていたのに実は選ばれし者(笑)だったとか。


「なんだ、もしかして俺より前にそんなやつが現れてたら、お前はそいつを選んでいたのか?」

[ああ、それはそうだったろうな]


そう、偶然だったとか。
……あれ?


「じゃあ何で一夏は乗れるんだよ?」

[さあな、それは俺も知らん]


どういう事だってばよ……。


「ってかここはどこ何だよ?]

[ああ、詳しい説明は省くが、簡単に言えば俺のプライベートスペースさ。 用があってお前さんを呼んだんだ]

「用?」

[お前さん、あの楯無って奴に勝ちたいかい?]

「ああ、そりゃな。 勝てばロシアの代表者に鍛えてもらえるんだ、当たり前だろJK」

[なら簡単さ、俺と儀式を行えばお前さんは力を得られるからな]

「力?」

[そう、単一仕様能力さ]


単一仕様能力だって!?
単一仕様能力とは確か、ISが操縦者と最高条件の相性になったときに自然発生する固有の特殊能力だったか。
けど通常は第二形態からしか発現せず、能力が発現しない場合が多いんじゃなかったっけ。


[その儀式をすれば俺てお前の相性は最高に高まるからな、自然と単一仕様能力は発生するさ]

「……それの儀式を行えば簡単に勝てるのか」

[ああ、お前さんは簡単に強くなれるさ。 さて、どうする?]


打鉄が真剣な眼差しでこちらを見ている。
答え?
答えは……!



「だが、断る!!」



[ほう、なぜだか聞かせてもらおうか]


先程の真剣な表情とは違い、今度は能面のような無表情な顔でこちらに尋ねる打鉄。
決まってる、なんたってな。


「俺は確かに強さが欲しい、けど、そんなふうに簡単に手に入る力なんていらない。うまくは言えないけど、誰かに与えられた強さなんて本当の強さじゃないと思うから」

[…………]


「それが俺の答えだ。 だからたとえここで負けて楯無先輩に教えてもらえなくても、他の方法でコツコツと地道に強くなるさ」


[…………くく]

「?」

[はっはっは、いいねぇ、合格だよ!]

「はっ?」


いきなり笑い出す打鉄、な、なんだ?


[やっぱりお前さんを選んだ俺は間違いなかったか!]

「どういう事だってばよ……?」

[何、俺はお前さんを試したかっただけだ]

「試す?」

[ああ、お前さんが俺を使うに値するかをね]

「で、合格と?」

[ああ、そうだ。 そのために呼んだんだから]

「はた迷惑な……で、ちなみに儀式をするって言ってたらどうするんだ?」

[あそこに連れ込んでやることやった後、お前さんから手を引いてたさ]


ちなみに打鉄が指差したのはトイレだった。
…………、ナニヲスルツモリダッタンダロウネ。


[さて、そろそろ戻りな]

「ああ、しかしどう勝とうかねぇ」

[力は渡さないけど、とある技なら教えてやるよ]

「技?」

[ああ、とは言っても、かなり知名度のある技だけどな」

[ああ、その名前は――








――ってわけだ]

「たしかにそれなら、それも使えるが……そんな簡単に使えるのか?」

[今回は俺が力を貸すから大丈夫だ。 けど、次からは自力で使える用になれよ?]

「ああ、わかった」

[それじゃあ目を閉じな、意識を向こうに帰す]


目を閉じる、最後に打鉄の激励の声が聞こえた。







目を開ける、そこはアリーナで、目の前には楯無先輩がいた。


「あと30秒だけど大丈夫?」
「はい、では行きます!」


楯無先輩に向かって突撃、楯無先輩は予想どうり俺の突撃を避け、距離をあける。
俺は楯無先輩の方に無理矢理方向転換、そして……。


「なっ」


そのまま瞬間加速《イグニッションブースト》を発動、虚をつかれ少し身を止めた楯無先輩のIS詰め寄り、その勢いのまま……。


「だらしゃぁぁぁっ!!!!」


左の拳を突き出した。




「おめでとう、合格よ」





後書き

今回書きたかった主人公が、何故ISに乗れるかを書けたから満足でござる。
すべては偶然、別に主人公じゃなくてもいいというのが書きたかった、後悔はしていない(キリッ



[30554] 七話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2011/11/24 23:06
「あ、鍛える前に一つ言いたい事があるんだ」

「はい、何ですか、楯無先輩?」


晴れて合格となり、喜んでいた俺に、楯無先輩から一つ注意があるらしい。
なんじゃらほい?


「貴方が使ってたあのジェットハンマーね」

「飛びかけやですか?」

「あれ、しばらくの間使用禁止ね」

「な、何ですか!?」

「使った本人が一番分かってるでしょう?」

「テレホンパンチですね、分かります」


い、いやね、分かってるんだよ?
飛びかけやは特性上振り回すだけしか出来ないから、取り回しが最悪だって事が。
しかもさっきの戦いの時だって避けられた後、物凄く隙だらけだったし。


「さて、それじゃあさっそくおねーさんが鍛えてあ、げ、る」

「ういっす、よろしくお願いしますっ」







そんなわけで、月曜日。
オルコットさんとの対決の日を迎えたわけです。
しかし……。


「――なあ、箒」

「なんだ、一夏」

「気のせいかもしれないんだが」

「そうか。 気のせいだろう」

「ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」

「…………」

「目 を そ ら す な」


何だろう、雲行きがあやしい。


「なぁ、篠ノ乃さん」

「何だ?」

「この一週間、一夏に何教えていたの?」

「一夏が会わないうちに、剣の腕が随分落ちていた、だからたるんでいた剣の腕を鍛えなおしていたんだ」

「……まさかそれだけ?」

「し、仕方がないだろう、一夏のISが無かったんだから」

「いや、確かにそうかもしれないけど……、知識とか基本的なこともあったんじゃ」

「…………」


目を逸らさないでほしい、まあ、いい。
それよりも、だ。


「大体、たるんでいたってどういう事なんだ?」

「六年前までは一夏は私より剣道の腕は高かったのだ、しかしこの前に勝負した時にはあっさり負けたんだ……」

「ふむ、そういう事ね」


大体わかった。
ま、これは俺じゃ関与できない事が含まれてるな。
まあ、とりあえず……。


「一夏は別にたるんでなかったと思うよ?」

「どういう事だ?」

「ま、その辺は宿題にするよ、恋する少女にね?」

「っ!?」


最後の方は篠ノ乃さんの耳元でボソッと呟いてみたが、篠ノ乃さんは顔をボッっと赤くした。
う~ん、イケメン+幼馴染みで考えてみたがズバリだったか。
それにしても一夏は爆発すればいいと思うよ。


「ん、桂太。どうしたんだ、それに箒も?」

「いや、何でもないよ?」

「そ、そうだ、何でもないぞ!?」

「? 箒、顔が赤いけどどうしたんだよ?」

「な、何でもないと言っている!」

「待てって、え~っと」

「っ!?」


おお、あれは鈍感系主人公の伝家の宝刀、顔赤いけど熱があるの?でこピタじゃないか、それを平然と使うとは。
やっぱり一夏はもげて爆発すればいいと思うよ。
あ、篠ノ乃さんが、混乱して一夏をどついた。


「なあ、一夏。 もちろんオルコットさんの事調べてきたよな」

「え?」

「え?」


なにそれこわい。
じゃなくて。


「調べてないの、一夏?」

「あ、ああ」

「敵の情報を調べるのも戦いの一つだろう……」

「わ、わりぃそういうの考えてなかった」

「はぁ、まあいいけどな。 よく聞け――」

「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」


第三アリーナ・Aピットに山田先生が駆け足でやって来た。
しかし山田先生、なんかいつもよりあたふたしてないか?


「山田先生、落ち着いてください。 はい、深呼吸」

「は、はいっ。 す~~は~~、す~~は~~」

「はい、そこで止めて」

「うっ」

「いや、何アホなこと言ってんだよ、一夏。 それに山田先生もなに本気で息止めてるんですか」

「いや、なんとなくノリで言ってみた」

「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者」

パァンッ!

そんな一夏に織斑先生の毎度お馴染み出席簿アタック、実に自業自得である。


「千冬姉……」


パァンッ!


「織斑先生と呼べ。 学習しろ。 さもなくば死ね」

凄く厳しいです……。

「ふん、馬鹿な弟にかける手間暇がなくなれば、見合いでも結婚でもすぐできるさ」

どうやら一夏がなんか思ったらしい、しかし織斑先生は読心術が使えるのかよ。


「そ、それでですねっ! 来ました! 織斑くんの専用IS!」

「織斑、すぐに準備しろ。 アリーナを使用できる時間は限られているからな。 ぶっつけ本番でものにしろ」

「この程度の障害、男子たるもの軽く乗り越えてみせろ。 一夏」

「え? え? なん……」

「「「早く!」」」


山田先生、織斑先生、篠ノ乃さんの声が重なる。
すると、ごごんっ、と鈍い音がして、ピット搬入口が開く。
斜めに噛み合うタイプの防壁扉は、重い駆動音を響かせながらゆっくりとその向こう側を晒していく。
そこには白いISが、装甲を解放して操縦者を待っていた。
ん、待てよ。


「織斑先生」

「なんだ、田中」

「これ、初期化と最適化はどうするですか?」

「時間がないからな、両方とも実戦でやってもらう」


うわーお、やっぱりか。


「それ、きつくありませんか?」

「やれなければ負けるだけだ」


何と言うハードモード、一夏の方を向いてみると、ISの装着を完了していた。
さてさて、俺もISを展開するかね。
右手を上に大きく上げ。


「変身!」


ISが展開され、打鉄が装着される。
えっと、一夏のISは、白式ねぇ。
武装は…………え?


「なぁ、一夏」

「なんだ?」

「お前のIS、武装が一つしかないんだが……マジなのか?」

「えっ」


俺に言われて慌てて確認する、一夏。


「……マジだった」


一夏ェ……


「……まあ、いい。 一夏、俺が集めた情報によると、オルコットさんのISで注意すべき武器は二つ、まずは特殊兵器『ブルー・ティアーズ』 オルコットさんのISはこの特殊兵器を積んだ実戦投入一号機だから同じ名前がついたんだ。 この兵器は早い話がビットだな」

「ビットってあのビットかよ」

「そ、あのビットだよ。 んで、次に注意すべき兵器は六七口径特殊レーザーライフル『スターライトmkⅢ』 中距離から遠距離使える物で、おそらくオルコットさんのもっとも使う兵器だと思う」

「成る程……」

「まあ、オルコットさんの事だから、これ以外にも隠し玉はありそうだ、油断はするなよ?」

「わかったよ」


さてさて、これからどうなるかねぇ。
ピット・ゲートに進む。


「なぁ、打鉄。 俺達は勝てると思うか?」

[90%以上の確率で負けるな]

「厳しいねぇ」

[それじゃあ諦めるかい]

「は、10%未満とはいえ勝てる確率があるんだ。 なら、行くしかないだろ常識的に考えて」

[そうだ、男は度胸、やってみるものさ!]


さてと、いっちょがんばりますか!




後書き


更新するのが遅れてしまった(汗



[30554] 八話
Name: ポニコーン◆557455a7 ID:4abbb7e4
Date: 2012/01/06 22:46
「あら、逃げずに来ましたのね」


ふふんとオルコットさんは鼻を鳴らす。
特徴的なフィン・アーマーを四枚背に従え、どこか王国騎士のような気高さを感じさせる鮮やかな青色の機体『ブルー・ティアーズ』。
んで、オルコットさんが今持っているあの巨大な銃器がスターライトmkⅢだろうな。
さてさて、試合開始の鐘は既に鳴っている、って事はいつ撃ってきてもおかしくはないか。


「最後のチャンスをあげますわ」


左手の銃を下げたまま、オルコットさんは、右手の人差し指をびっとこっちに突き出す。


「チャンスって何だ、オルコットさん」

「ワタクシが一方的な勝利を得るのは自明の理。 ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげないこともなくってよ」


そう言って目を笑みに細める。


[相手さん、左目が射撃モードに移行、セーフティのロックを解除したようだぜ]


打鉄の言葉を聞いて、覚悟を決める。
向こうはいつでも撃てるって事だ。
アサルトライフルを二丁呼び出し、こちらも射撃モードに移行、セーフティを解除する。
一夏もたった一つの武器である近接ブレードを展開した。
そうだ、秘匿回線を開いてっと。


『一夏、俺がお前の初期化と最適化の時間を稼ぐ。 それまでの間一夏は攻撃は控えて、動き回っていてくれ』


一夏に指示を出しておく。
俺もたいして強いわけではないけど、少なくとも一夏よりは動けると思うからな。
とりあえず俺が頑張るしかないか。


「それはチャンスとは言わないよ、オルコットさん」

「まったくだ」

「そう? 残念ですわ。 それなら――」

[敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認、こっちに来るぜ!]

「お別れですわね!」


回避運動、間に合えぇぇ!っ!


「ぜぇぜぇ、危ないじゃないかオルコットさん」

「あら、避けましたのね。 当たると思っていたのですが」

「ギリギリだったけどな」

「そうですか、なら踊りなさい。 ワタクシ、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」

「っ、散開だ一夏!」

「おうっ!」


射撃、射撃射撃射撃。
ちょ、おま。
撃ちすぎ撃ちすぎ!? 右方向へと回避、何発かは当たるが一夏と俺の二人掛かり故に少し一人辺りの攻撃頻度は少ない。
とりあえずは左手にアサルトライフルを、右手に近接ブレードを展開する。


「二手に分かれようとも無駄ですわ!」


来たよ、ビット! ひたすら回避ぃぃぃっ!?


『一夏、とりあえず回避に専念しろ! とりあえずはお前の一次移行が終わるまで!』

『わかった!』


さぁ、逝きますか!







「――二十七分、持った方ですわね。 褒めて差し上げますわ」

「そりゃどうも……」

「やったー、オルコットさんに褒められたー……」


やばいな、やっぱきつい。
いやまあ何となくだけど分かった事がある。


『一夏、気づいたか?』

『ああ、あのビット、どうやらあいつが毎回命令を送らないと動かない! しかも――』

『その時はオルコットさんはそれ以外の攻撃を出来ない、おおかた制御に意識を集中しないといけないからだろうな』

『今からあいつの懐に踏み込もうと思う、だから桂太は……』

『一次移行が終わる様子が見えないからな、お前の背中は俺が守ってやるよ』

『ああ、頼んだぜ相棒!』
『任せろ、相棒!』


一夏がオルコットさんに向かって突撃、俺も追従するようにバックで一夏の後を追う。

穿たれるレーザーをくぐり抜け、一夏が一閃。
真っ二つにされたビットは爆散。
俺もアサルトライフルを連射、弾を何発も喰らったビットが爆発。


「なんですって!?」


驚愕するオルコットさんに向かって一夏が切り込む。


「くっ……!」


後方に回避するオルコットさん、そしてまたその右手を振るう。
そしてビット3とビット4が飛んでくる。
俺達は軌道を先読み、一夏がビット3の後部推進器を破壊して落とし、俺もビット4を近接ブレードで切り裂いた。


『とりあえずビットは全部撃破か、少し楽になったな』

『ああ、けど油断は禁物だ、一夏』

『しかしセシリアのビットの機動が読めたのは大きかったな』

『ああ、あれは必ず俺達の反応が一番遠い角度を狙ってきてる』


ISの全方位視界接続は確かに完璧、だけど人間には真上や真下、真後ろなんかを直感的に見る事は出来ない。
送られてくる情報を頭の中で一回整理する分、そこにはコンマ数秒の遅れが生じてしまう。
オルコットさんはそこを突いてきている。
だから、逆に言えば、どこに飛んでくるかは自分で誘導できるということでもある。
俺と一夏は背を預けていたから真後ろは隙はなかった、故にビットを追い詰めるのは楽だった。


(さてさて、油断せずに行こう)







行けるか?

機体の性能差から、先にオルコットさんの間合いに入った一夏を見てそう思う。
いや、待て。
代表候補生に選ばれるぐらいの実力を持ったオルコットさんが間合いに入られての対策ぐらいあるだろ、……やばい!?


「――かかりましたわ」


にやり、とオルコットさんが笑うのが見えた。
一夏も恐らく危険を感じて距離を置こうとしているが間に合わない。


ヴンッ――。


オルコットさんの腰部から広がるスカート状のアーマー。
その突起が外れて、動いた。


「おあいにく様、ブルー・ティアーズは六機あってよ!」


一夏はおそらく回避が間に合わない。
しかもさっきまでのレーザー射撃を行うビットじゃない。
弾道型だった。
間に合ぇぇぇぇっ!!!


体当たりに近い形だったが一夏を吹き飛ばす事に成功した俺だったが――。


ドカァァンッ!!!


赤を超えて白い、その爆発と光に飲み込まれながら、輝く白を見ていた。


『田中桂太――エネルギー0』


ま、後は頼んだよ、相棒。







試合結果は――俺達の勝利で終わった。
一次移行を終えた一夏の白式の持つ近接特化ブレード《雪片弐型》の一撃を受けたオルコットさんのブルー・ティアーズはシールドエネルギーが0になり俺達の逆転大勝利ってわけなのだ。

もしかして、俺居なくても勝てたんじゃね?って思ったが気にしたら俺は多分辛くなるから考えない。

あれ、目から汗が出てきちゃったよ、おかしいな。




あとがき


投稿が遅れすぎてしまったでござる。
あと、主人公は勘違いしてますが原作より一夏のシールドエネルギーの消費が少なかった故に勝ちましたので主人公はいらない子ではないはず。


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