どうしてこうなった。
今の俺の心境を語るならこの一言しか浮かばない。
となりにいる男子以外、周りには女子しか居ない、まあ女子高だからしょうがないんだけど。
うん、女子高なのだ、しかも特殊な女子高。
その名もIS学園。
女性にしか扱えないという不思議な兵器、インフィニットストラトスの扱いを学ぶ学園である
そしてそんな特殊な女子高に何故か入学する俺ととなりの男子。
何故こんな状況になったのかというと話は少し遡る。
◇
「う~、トイレトイレ」
今、トイレを求めて歩きながら全力疾走(要は早歩き)している俺は中卒の大工見習いをしているごく一般的なぽっちゃり男。
強いて違うところをあげるとすればオタクってとこかナー、名前は田中桂太。
そんなわけで仕事で多目的ホールに来ていた俺はトイレを探していたのだ。
ふと開いているドアの奧を見ると一つの鎧が鎮座していた。
ウホッ!いいIS……。
[のらないか]
脳内にそんないさじヴォイスが聞こえた様な気がした俺は誘われるままホイホイとISに近づいちゃったのだ。
んで、俺の前にいたらしき男子がISを動かし、それに俺が驚いた事でISを動かしていた男子は俺に気づいたようで慌てて触れていた手を離す。
んで、駆け付けてきた女性達に驚いて俺もISに触れてしまい 、なんとISを動かしてまったのである。
そのあとは色んな施設をその時一緒に動かした男子、織斑一夏共々転々とし、最後に世界初ISを動かした男達として公表された。
◇
そうして俺達はIS学園に入学させられる事になり、俺は大工見習いからIS学園生徒にジョブチェンジしたのだった。
回想が途中まではくそみそなのは気にしてはいけない。
あぁ、周りの視線が痛い、もう現実逃避の為に寝ようかと考える。
「なぁ、桂太」
うるさいなぁ、現実逃避させてくれよ。
仕方なく現実逃避をやめ、とりあえず名前を呼び合うぐらいには仲良くなった一夏に顔を向ける。
「何だよ?」
「周りは女子ばっかりだけど、お互いに頑張っていこうぜ……」
「ああ……」
しかし女性関係で苦労しそうなのは一夏の方だろうと思う。
だって一夏、イケメンなんだもん。
爽やかな好青年、微笑むと女性がクラッてきそうなくらい。
それにくらべ俺は自慢じゃないが、イケメンでもフツメンでもないフトメンだしなぁ。
「あ、一夏」
「何だよ?」
「挨拶、お前の番」
「織斑一夏くん!」
「うぇ!?」
憐れ、心の準備が出来てなかった一夏、おかげで変な声を出して周りからクスクスと笑い声が。
ちなみに現在は一年一組の自己紹介タイム中である。
「あの~、大声だしちゃてごめんなさい、でもあから始まって、今、おなんだよねぇ、自己紹介してくれるかなぁ、駄目かなぁ?」
教壇に立ち、すまなそうに一夏に謝っている緑色のショートカットで眼鏡をかけた女性の名前は山田真耶さん。
童顔で俺達と同じ学生に見えるが、れっきとした副担任だ。
「お、織斑一夏です、宜しくお願いします」
「え、それだけ?」
席を立ち緊張しながら挨拶した言葉があまりにも短く、つい突っ込んでしまったが俺の言葉を聞いた一夏は気まずそうに顔をしかめる。
すると一夏は軽く深呼吸、そして……!
「以上です!」
思わず全員ガクッとずっこけた。
ボケの事をわかってるじゃないか一夏、流石の俺もそう来るとは思わなかったぞ。
あ、新しく教室に入って来た人に一夏がげんこつされた。
「げ、千冬姉!?」
驚いた一夏に更にもう一発。
「学校では織斑先生だ」
「先生、もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君クラスへの挨拶を押し付けて済まなかったな」
山田先生と軽く話しているキリッとしている美人、たしか名前は……。
「諸君、私が担任の織斑千冬だ、君達新人を一年で使い物にするのが私の仕事だ」
あ、そうだ織斑千冬さんだった。
「「「キャーーー!!」」」
「おおぅ!?」
突然の周りの女子達の歓声に思わず驚く俺。
「千冬様!本物の千冬様よ!!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです、北九州から!」
「私、お姉様の為なら死ねます!」
おうふ、凄いな千冬さん、お姉様なんて言葉リアルでは初めて聞いたぞ。
あ、でも千冬さんは呆れてる。
「毎年よくもこれだけの馬鹿者が集まるものだ。 私のクラスにだけ集中させてるのか?」
え、しかもこれ毎年恒例なの?
「お姉様、もっと叱って罵って~!」
「でも時には優しくして~!」
「そして付け上がらないように躾をして~!」
駄目だこのクラスメイト達、早くなんとかしないと。
しかしまわりのキャラが濃すぎて、俺が見事に空気である。
……って事は寝てもばれないかな? よし、そうと決まればお休みなさい。
ゴチンっ!
「ぐはっ!?」
しかし俺の頭に強い衝撃と痛みが走った。
顔を上げると俺にげんこつをした織斑先生がいた。
「貴様は貴様で、教師の目の前で何堂々と寝ようとしている」
「いや、俺は完全に空気だから寝てもばれないかなぁと思いまして」
ゴチンと再びげんこつが炸裂した。
「ぐおぉぉ……っ」
「お前、馬鹿だろ」
一夏の呆れた声に痛みが強くて言い返す事ができなかった。
◇
HRが終わり一時間目の準備をしていると教室の周りがど偉い事になっていた。
具体的に言うとほかのクラスの生徒達が一夏と俺を見に来ているのだ。
まあ、物珍しさで来ているのだろうが俺達からすればかなりきつい。
「俺達完全に見世物だな、一夏」
「ああ、珍獣じゃないんだぜ、俺達」
そうしてうなだれる俺達、すると一人の女子が近づいて来た。
「ちょっといいか」
ふむ、ポニーテールが似合うこの女子、視線は一夏に向いている所を見るに一夏に用があるようだ。
「一夏、この娘はお前に用があるらしい、けど多分ここじゃ話しづらいだろうから外に行って来いよ」
「だけど……」
どうやら俺が心配らしい。
まぁこの中に俺一人残すことが心配なんだろう。
「ま、気にすんな。 俺は大丈夫だから」
「わりぃな……」
二人は廊下に出て行った、しかも後ろに廊下や教室に居た女子の大半を引き連れて。
ふぅ、これで少しは楽になったな、それにしても向こうに向かわずにこちらに残る奴が居るとは思わなかったけど。
「ちょっとよろしくて?」
「ほへっ?」
いかん、油断してたから話しかけられて変な言葉が出てしまった。
「まぁ、なんですのそのお返事!ワタクシに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら」
「悪い、この空気の中で話しかけられるとは思わなかったからな、つい変な言葉が出て」
「まぁ、そういう事でしたら許しあげますわ」
俺に話しかけて来た金髪を腰まで伸ばし、どことなく品があるような気がするこの女子、はて、どっかで見たことあるような……あ、もしかして。
「もしかして……、イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさん?」
「あら、ご存知でしたのね」
「まあ、趣味がネットサーフィンだからね、一応ISの事を調べてたからなぁ。 所で何か用があるの?」
「興味がありましたの、世界でただ二人だけ、男でISを操縦できると聞いていましたので」
「けど、男で操縦が出来るだけだぞ? 最近少し乗った程度だから初心者も良いところだし、しかも何故だかはしらんが俺は打鉄しか反応しないし」
「? どういう事ですの?」
「言葉の通りだよ、打鉄はきちんと反応してくれたんだけど、他の機体となるとうんともすんとも言わなくなる……」
キーンコーンカーンコーン
「チャイムがなったから話の続きはまた後な」
「ええ、それでは失礼しますわ」
オルコットさんは席へと戻り、まだ教室の周りに居た女子達は自分達のクラスに戻っていった。
それに入れ代わるように一夏とポニーテールの女子も戻って来たのだった。
後書き
とあるSSに影響を受けて思わず書いちゃったよ(汗。
追記 うわぁ、変な間違いしてましたのでしました。ご指摘ありがとうございました。