敵艦加速しました。急造艦6隻とアルファ級突撃艇2隻が輸送艦の方へ向かって行きます。また、敵艦隊より艦載機の発艦を確認、数25機です」リリアが敵艦隊の動きを報告する。
「全兵装起動、全砲門開け、コスモタイガー隊出撃!!」優の号令がフレイヤに響き渡る。
「了解、ライトニングリーダーより各機へ、俺達は、敵機の迎撃に出るぞ」健二が、小隊の仲間に檄を飛ばす。
「こちら、ライトニング2、分かってる、対艦装備のお嬢様たちのエスコートをすればいいんだろ?」
「ライトニング3 了解…ライトニング2、軽口をたたくのはいいがヘマをするなよ」
「フレイヤの直衛は、無人機10機でいいんだな?」
「ああ、俺達は、ピクシー小隊と、フェアリー小隊のエスコートだ、対艦兵装でもコスモタイガーD17ならそこそこ空戦も出来るが…念には念を入れて俺達が護衛に付く」ライトニング5からの問いに健二が答える。
「ライトニング小隊、コースクリア…全機発進!! 」
「了解、重力カタパルトセット、ライトニング1でる」
健二のコスモタイガーが飛び立つと、次々と小隊のコスモタイガーと直衛の無人機が次々と発艦していく。
「ライトニング、フェアリー、ピクシー各小隊…全機発艦完了、無人機部隊も全機発艦しました」香織が、報告する。
「敵艦隊、距離28000宇宙キロ、最大射程まで4000、有効射程距離まで12000」リリアが、レーダーを見ながら相手の距離を報告する。
「輸送艦の方に向かった突撃艇部隊は?」
「輸送艦を最大戦闘速度で追尾しています、およそ、7分で突撃艇の艦首衝撃砲の射程内に捉えられます」
「思考機雷に気付いている様子は無いわね…出来れば思考機雷で全滅してくれるといいんだけど」優が、唇に指を当てながら呟くように言う。
「敵艦隊、距離24000宇宙キロ」リリアが、敵の距離を報告するのと同時に、フレイヤの主砲からショックカノン特有の発射音を響かせ、閃光が伸びる。
「2番砲塔、6番砲塔の発砲を確認」突然の砲撃に驚き香織が、叫ぶ
ここで、時間を少し遡る…
主砲制御室にて砲塔の稼動確認と操作法の確認をしていたアムロは、一度目を閉じると呼吸を整えるように2~3回深呼吸をする。
「フレイヤ、敵艦隊は、射程に入ったか?」
「最大射程まで1500宇宙キロ、有効射程まで9500宇宙キロです」
「フレイヤ、最大射程に敵艦隊が、入る10秒前からカウントを頼む」
「有効射程でなく、最大射程ですか?・・・最大射程では、命中させるのは困難です。また、仮に命中しても敵艦のフィールド、装甲を貫くのは難しいのですが?」
「ああ、別に当てようとは考えてないさ…ただ、やはり一度も撃った事の無い状態で実戦というのは不安だからな、有効射程の前にある程度。試し撃ちをして感覚や癖を掴んでおきたい」
「フレイヤ、私もアムロと同様にカウントを頼む出来る事は、事前にしておきたい」シャアも慣れない砲手にプレッシャーがあったのだろう。
「分かりました、最大射程に敵艦隊が入る10秒前からカウントします」
「フレイヤ…頼む」
アムロとシャアは、カウントが始まるまで目を閉じると感覚を研ぎ澄まさせていく…
「敵艦隊、最大射程まで後10,9,8,7,6,5」フレイヤのカウントが始めると
アムロとシャアは、敵艦隊に向け照準を微調整していく…
「4,3,2,1」
「そこ!!」
「やってみせるさ!!」
アムロとシャアは、それぞれそう叫ぶと、主砲を発射した。
2番砲塔、6番砲塔の突然の砲撃に優は驚き、慌てて通信をつなぐ。
「えっ…幾らなんでも早すぎるわ。アムロさん、シャアさん!!」
「すまん、報告するのを忘れていた。取敢えず、有効射程距離に入る前に感覚を掴みたくてな、暫く試し撃ちをするがいいか?」
「こちらも同じだ、有効射程に入って慌てるよりも、今のうちにある程度の癖や感覚を掴みたい、牽制にもならんだろうが砲撃させてほしい」
「分かりました…2番、6番砲塔は、お二人がそれぞれ指揮してください。お任せします」アムロとシャアの不安は、もっともな事だと思い、2人の提案を優は、了承する。
「すまん、助かる」アムロは、そう答えると主砲発射のトリガーを再び引くのだった。
フレイヤの突然の砲撃に驚いたのは、優だけではなかった。
side 海賊
「敵艦、発砲しました!!」
重巡洋艦『ブラックフェニックス』のオペレーターが、叫ぶ。
「何だと!!・・・距離は?」
「24000宇宙キロです」
「駆逐艦クラスの有効射程は、精々14000~16000ってところだ、やはり道楽娘の素人集団だったか…こいつは、楽な仕事だぜ」
オペレーターの報告を聞いた海賊船団のお頭は、14歳の小娘がコスモアドベンチャーのまねごとをしている素人の集団だと判断し、内心ほそく笑む・・・
ブラックフェニックスのブリッジに居た、海賊たちも同様に気の緩んだ表情を浮かべたその時だった。
突然の衝撃が、ブラックフェニックスのブリッジに居た海賊たちを襲った。
「何だ、どうした!!」断続的に襲う激しい揺れに艦長席にしがみつきながら、海賊船団のお頭が叫ぶ。
「敵艦の砲撃が、艦右舷に直撃…距離が、離れているので、威力も落ちていますが…エネルギーフィールド出力低下7%」オペレーターが、信じられないと言った様子で報告する。
駆逐艦クラスの主砲は、口径が小さい分、その速射性能は高い、オペレーターが報告する間も激しい揺れが海賊たちを襲う。
「信じられねェ…あの距離で全て至近弾、それも直撃を多数含むだと…」海賊のお頭も悪夢のような現実に茫然と呟く。
「てめら、ぼさっとしてないで回避行動をとらねぇか!!」数秒後、立ち直ったお頭が、今だに茫然としている部下に怒鳴る。
「このまま、攻撃を受け続けてエネルギーフィールドを削り取られるつもりか!!…輸送艦に向かった突撃艇部隊にオーバーブーストを使わせろ!! 距離が離れていて威力が落ちているとはいえ、突撃艇には当たれば致命傷になりかねぇぞ」
お頭の命令で、フレイヤに向かっていた海賊船団は、回避行動を取るが、アムロとシャアの砲撃は、その回避行動を見透かしたかのように海賊船を捉えていく…
「エネルギーフィールド出力低下45%、ミサイル駆逐艦2番艦25%低下…何で当たるんだよ…」オペレーターが悲鳴を上げる様に言う。
「前方の小惑星の陰に回り込め、迂回して近づくんだ!!」吠える様にお頭の号令が響き渡った。
海賊sideend
Sideフレイヤ
「凄い…」優が、半ば茫然とした様子で呟く。
リリアと香織も同じようにスクリーンに映る様子を信じられないと言った様子でみていた。
有効射程の遥か彼方…最大射程に入ると同時に砲撃を開始したアムロとシャア…二人の砲撃は、普通なら至近弾になることも難しい距離で面白いように目標に命中させていく…
「牽制にもならないだろうがって…思いっきり命中させてるじゃない」呆れたように香織が言う。
「敵艦、回避運動開始…輸送艦に向かった突撃艇が急加速したわ・・・オーバーブーストを使用したようね…敵本隊は、小惑星の陰に迂回コースをとったわよ」香織が、モニターを見ながら報告する。
「これが、ニュータイプの力と言う事なのでしょうか?」リリアは、会談時にアムロとシャアが言っていたニュータイプの事を思い出していた。
「わからないわ…だけど、南部さんでもここまでの精密射撃は、無理でしょうね…」優は、砲撃の師である南部を思い出しながら言う。
「でも、アムロさんとシャアさんの砲撃のおかげでうまく海賊たちを思考機雷源に誘導できたわ…コスモタイガー隊は、海賊が機雷源に差しかかったら攻撃を開始させて」
「了解、コスモタイガー各機は、敵艦隊が機雷源に入ったら攻撃を開始して下さい」
「「「了解」」」香織の通信にコスモタイガーの各小隊長が答えた。