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[32480] (習作)宇宙戦艦ヤマト オリジナルジェネレーション(多クロス)
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/27 13:12
初めまして、わたしは虹姫琴魅(にじひめことみ)と申します。
宇宙戦艦ヤマト オリジナルジェネレーション 
この物語は、ヤマトやマクロスを始めとするSF物のクロスオーバー小説です。ヤマトは、完結編から100年後の物語です。また、PS2ゲーム版グッドエンディングルートを経てのストーリーに為、スターシャ、サーシャ、古代守、山南艦長、山本、生存ルードです。
マクロス側は、フロンティア最終話から半年後です。また両者の兵器性能ですが、普通に考えれば通常航行速度が光速の99.9%のヤマトにはバルキリーですら追いつけませんが、その辺は、SRWののりで見てあげてください。
初めての小説と言う事でつたない部分も多々あると思います。また、ネタに走る事も多いと思いますのでご承知ください。





第一話 プロローグ


無限に広がる大宇宙、数多の煌きには無数の命が生まれそして消えていく。度重なる戦火に見舞われた地球もその雄大な歴史の僅かな1ページに過ぎない。
西暦2203年突如、異次元断層から現れた、別の銀河との衝突という前代未聞の災害。母星を失い、水の回遊惑星アクエリアスを使い地球を水没させようとするディンギル帝国とのヤマト最後の戦いから既に100年が過ぎようとしていた。

時に西暦2305年・・・・

一隻の星間豪華客船が、木星付近を航行していた。全長800メートルを超える純白の緩やかな曲線の優美な船体は、その大きさもあり見るものを釘付けにする魅力を持っていた。その船のVIPルームに一組の老夫婦が、落ち着かない様子で過ごしていた。

「どうも、こういう部屋は落ち着かないな」

苦笑を浮かべながら話すその顔には、深いしわが刻まれている。しかし、その瞳には、強い意志と精悍さにあふれている。

「あなたの場合、自分で指揮しないと気が済まないのでしょう、それも客船ではなく、護衛についているあの戦艦あたりの」

と言いつつ窓から見える新主力戦艦を指差す老婆もまた、その歳を感じさせない魅力にあふれていた。

「まあな、こんな飾りだらけの部屋よりは落ち着くだろうな」そう答えながら老人は、豪華な装飾品に飾られた部屋を頭をかきながら見回している。

「そんなことを言ったら、わざわざ、護衛艦つきでこの船を用意して下さった地球連邦の皆さんに申し訳ないわ、それに地球に着けば優にも会えるんですから」

「そうだな、地球まであと一日、それまでは、我慢するか・・・それにしても久しぶりの地球だな。帰ったらまずは、あそこに行こう、雪」

「そうですね、英雄の丘に・・・みんなに会いに行きましょう」

この老夫婦は、古代進と森雪である。雪は結婚し姓は、古代に変わっているので、正確には古代雪であるのだが・・・


ヤマトの最後から100年以上も経ったこの時代に何故2人が生きているのか・・・・その疑問に答える為に少しこの時代について説明しなければならないだろう・・・・

西暦2205年・・・ヤマト最後の戦いから2年後、地球を含む太陽系は、急速に復興し元の繁栄を取り戻しつつあった。そして銀河も異次元の銀河と融合し複合銀河と言う世にも珍しい形態をとる。そのため、今までの航路は、意味をなくし新たな航路図が必要となった。
そのため西暦2206年地球政府は大規模な探索団を派遣する事になる。
銀河各地に散った探査団は、そこで様々な、異文明に遭遇する。友好的な種族もいれば、好戦的な種族もいた。文明の方向性がまったく違うものもあった。
そんな中、異星間の交流も生まれていく事になる。様々な文明の技術を吸収応用する事で地球の文明は、急速に発展していく事になる。中でも医療技術は急速に進歩しクローニング技術の応用により平均寿命は大幅に延び160歳となった。
また、遭遇した多くの異星人の中にワルキュリア人と呼ばれる種族がいた。ワルキュリア人は、真紅の瞳と青く輝く髪を持つ美しい種族であったが、特筆すべきはその能力だった。生身で銀河間を行き来し、物理法則を超越し星々を創る事すら簡単にしてしまう、その能力は神に最も近き種族とまで言われる程だった。
ワルキュリア人は、銀河同士の衝突と言う未曾有の災悪に見舞われた2つの銀河に住む全ての命のために重力異常や惑星同士の衝突を防ぎ、住む星を失った種族の為、銀河中にまた銀河外の暗黒空間に数多の星々を創り、多くの種族が、新たな安住の地を求め、宇宙に散っていくことになる。

地球もまた大航海時代に突入し、多くの星星に移住していった。
五十数年と言う時をかけ人類は、銀河系の外にまで勢力図を伸ばす事になる。
しかし、急速に拡大する勢力範囲は、地球政府と地球防衛軍の許容範囲を超え、多くの宇宙海賊や犯罪組織を生む事となった。それらの被害が増えていくにつれ、地球から離れた星々は、地球政府に対する不満や不信感が高まり独立運動の機運が高まっていた。

西暦2260年、辺境の7つの星が独立国家を宣言するとそれに追従するかのように幾つもの星々が、その主権を主張し独立を宣言していくことなる。
その後15年にわたる独立戦争を経て、81の星間国家が誕生する。西暦2276年に独立戦争が終結してから30年経った現在も多くの種族が、新天地を求め、あるいは一攫千金を狙い、宇宙に飛び出していく・・・大航海時代は続いていた。

古代と雪の2人が、地球に向かっているのには訳があった。英雄の丘で初代ヤマトのメンバーと再会し、沖田艦長他の英霊たちに会いに行くのもその一つだが、来孫にあたる。織姫優に会うためでもあった。
優は、14歳になった記念に始めて宇宙に上がりもう一人の高祖父である真田志郎に会いに行くことになっていた。そのついでに真田に渡す予定のデーターカプセルを優に渡す為でもあった。
データーカプセルは、13年前、突如行方不明となった、優の母親から届いたものだった。それゆえ古代は、そのカプセルを優に託そうと考えたのだった。




[32480] 第2話 織姫優
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/28 21:29
「う~ん・・オービタルリング第13ドックと・・あれね」

軌道エレベーターから出てきた少女が、目的のドックへ向かうチューブライナーに飛び乗るように駆け込んでいく。
パッチリした瞳の整った顔立ち、腰の辺りまである黒髪をポニーテールしている。健康的にスラッと伸びた手足、モデル並のプロポーション、少女が、聖テレサ学園の制服を着ていなければ、実際に何かのイベントのコンパニオンか、撮影かと思う人も居たかもしれない。

「おっ、優ちゃんじゃないか、優ちゃんも古代達の迎えかい?」

「南部さん、それに相原さん、はい、進おじさん達をドックまで迎えに」

名前を呼ばれ、振り返った少女は、声を掛けてきた2人の老人に笑顔で応える。

「あれ、おじいちゃんって言わなくなったのか?」と相原が聞くと

「うん、おじいちゃんって言うと嫌な顔するから、今はおじさんって呼んでます」

「ははは、実際、じじいの年齢なのに古代らしいと言えばらしいか」

「相原、年齢的には俺たちも同じだぞ、それに、平均寿命だってまだ30年以上あるんだ、まだまだ老け込むには早いさ」

「分かってますよ、南部さんは、相変わらずまじめだな、俺はね、優ちゃんから見たら十分じじいだって事実を言っているの、実際、玄孫の子供なんだから」

「なら、相原さんだけ、おじいちゃんって呼びましょうか?」

「うっ、優ちゃんみたいな可愛い子におじいちゃんって呼ばれるのは、嬉しいやら悲しいやら・・・やっぱりやめて」

慌ててそう答える相原。その後3人は、顔を見合して笑うのだった。


地球の軌道上赤道外周を一周するオービタルリングに新主力戦艦2隻に護衛された純白の豪華客船が入港したのは、調度 優たちが、13ドックのターミナル到着した時だった。

「大きな船・・・」

優は、ターミナルの窓から見える新主力戦艦を見てそう呟く。

「新主力戦艦、形は、白色彗星と戦ったころの主力戦艦の艦底部にも艦上部と同等の武装がついた感じだが、大きさが違うからな・・・850メートル級宇宙戦艦だもんな」

南部が、感慨深げに説明する。

「ヤマトの3倍以上の大きさだからな・・・聞いたか、今月にも完成し就役予定の新アンドロメダ級は、950メートル級宇宙戦艦って話だし、地球防衛軍旗艦として開発中のしゅんらんは、1000メートル級らしい」

と相原がため息交じり言う

「おいおい、迎えに来てくれたのかと思ったら、宇宙戦艦を見に来たのか?・・お前らは」3人の背後から苦笑交じりの声がかかる。

あわてて振り返ると3人の前にひと組の老夫婦、古代進と雪がいた。

「そういえば、此処のターミナルゲートは、窓と逆方向にあるんでしたね・・・古代さんも普通に声をかけて下さいよ、びっくりするじゃないですか」

相原が頭をかきながら言う。

「お久しぶりです、古代さん」

南部が手を差し出すと古代は、しっかりとその手を握りかえした。

「3年ぶりですね、宇宙平和大使として宇宙を回って見てどうでしたか?」

南部がきくと古代は、その表情を少し曇らせながら

「酷いものだよ、各国の中央星域はともかく、そこから少しでも離れると宇宙海賊やマフィアの艦隊が幅を利かせていて正直、ユニバーサルガーディアンやギャラクシーポリスのパトロール艦が、単艦で出て行った日には、逆にやられちまうだろうな・・・」と告げる。

「そこまでひどいんですか?連邦内じゃ、海賊の話なんかほとんど聞かないのに」

「太陽系は、地球連邦の中心だからな、ユニバーサルガーディアンもGPも大艦隊が駐留しているし、防衛軍の保有艦艇数も人類圏最大だ、各星域にも十分な防衛艦隊がいる、海賊も少ないさ」

古代が、笑いながら答える。

「俺も、ニュースに見ましたよ。特に自治領のように、星間法が、適用されないところは、酷いらしいですね」

相原が、言う自治領とは、大航海時代の冒険者たちが、自分たちが発見した星、開拓した星を自分たちの出身国家ではなく、自分たちで統治すると言うもので自治領の大きさもさまざまである。スペースコロニー一つで自治領を名乗るものもあれば、十数個の惑星からなるものまである。

星間国家との違いは、星間法が適用されないため星間国家からの侵略に対してはユニバーサルフォース(無国籍宇宙軍・・・平和維持軍)の要請は出来るも海賊や民間のアウトローの襲撃に対しては、個々で対応しなくてはならないと言うものである。

「ああっ、クリューゲル領の主都惑星コルンは、実質、海賊に支配されている状態だったよ…誘拐、人身売買は、当たり前、俺たちの護衛についていたGPの女性隊員が、用を足しにトイレに行ったら暴漢に襲われそうになったほどだ」

「GPの隊員がですか・・・」

南部も自分の予想を超えた事態に驚きの声を漏らす。

本来なら海賊の天敵でなくては成らないGPが、白昼堂々と襲われるのだから、南部が驚くのも無理はない、辺境宇宙を実際に見て回らなければ分からないことの方が多いのが今の複合大銀河の実情なのだった。

「こんな時こそ、ヤマトがあればと思うよ」

「ヤマトか・・・でも古代さん、今は星間法がありますよ。野良海賊はともかく、自治領に連邦所属のヤマトはその領域内に入ることもできませんよ」

厳しい表情で呟いた古代に腕を組みながら南部が答える。

「白色彗星の時のように自分たちの意思で出撃することも難しいでしょう・・・あの時は、何事もなくても命令違反で軍法会議、処罰か何かで済んだでしょうが、今は様々な国家がありますからね下手をすれば星間戦争…宇宙戦争になりかねません」

相原が言う通りで地球連邦から独立した人類圏の国家や他種族の国家中にも今やガルマンガミラスに次ぐ大国となった地球連邦を疎ましく思っている国家は多くあり、何かあれば政治的圧力、下手をすれば無数の国々が争う、宇宙戦争になりかねないのが現状であった。

難しい顔で考え込む男達に呆れたように溜息をつきつつ雪が古代に声をかけた。

「かわいい来孫に声もかけないで男3人で何を話しているのかしらね」

「あ、いや・・・」

古代は、慌てて優の方へむくと相原が笑いながら

「古代さんは、優ちゃんが、あまりに美人になってたからビックリしたんですよ。嫁にしたいとか思っているんじゃないですか」とからかう様に言う

「アホか、そう思っているのは相原お前じゃないのか?」

「昔から、相原は、美人には節操がないからな」

古代と南部に代わる代わる言われ相原は、両手を上げて

「もう勘弁して下さい」と苦笑する。

その様子を見て再び雪は、呆れたような表情を浮かべるのだった。


優は、古代たちと共に帰路のチューブライナーに乗っていた。優の手には、先ほど古代から渡されたデーターカプセルが握られていた。そのカプセルは、実の母親から届いた物だという…
優には、母親の記憶が、殆ど無かった、物心つく前には既に行方不明になっており、その顔すらはっきりとは思いだすことが出見ないでいる。自分の容姿が、母の若いころにそっくりだと周りの人は言うがやはり実感がないのが本当のところだった。

「お母さん」

そう呟くも、その顔は、濃い霧に阻まれたかのように霞んでしまい、はっきりと思い出すことはできなかった。寂しくないと言えば嘘になる。父親は、優を愛してくれたし旧ヤマトの乗組員やその家族も優を可愛がり、時には厳しく育ててくれた。学校でも活発で気さくな優は、人気があり友人も多くいる。私は、幸せなんだと思う。自分が、不幸だと思ったことはない。

しかし、死別したわけでものなく、離婚したわけでもなく母親がいないというのは、まだ思春期の優にとっては、寂しさと、悲しさそして、怒りの入り混じった思いが、心の奥底に生まれてしまうのはしょうがないことなのだろう。

母親が行方不明になって13年・・・優の1歳の誕生日に突然いなくなった母、しかし、優の誕生日には、必ず母親からの誕生プレゼントが毎年届くのだ。差出場所不明の為、母親がどこに居るのかは、分からない、何故いなくなったのかも分からない・・・母の行方不明の理由がないということも優の寂しさの一つなのだろう。納得できる理由がないというのは、大人でも辛いものなのだから・・・
14歳の少女が、母親に会いたいと思うことも不思議ではないのだろう。

「優、お母さんに会いたいのか? それとも恨んでいるのか?」

古代は、握ったデーターカプセルをジッと見つめている優に気づき声をかけた。

「恨んではないと思うよ…そりゃ、少しは怒っているけどね、ただ、何で居場所も連絡先も教えてくれないのか、会えないのか聞きたいんだと思う」

優は、少し考えるように間をおき答えた。

「会えない?」

「毎年、誕生日にプレゼントを贈ってくれるから、私の事を忘れたわけじゃないでしょ? だから理由があるんじゃないかって」

優は、そう答えるが、その言葉に少しずつ自信が無くなっていくのは、自分の希望も入っているためだろう。
実際に子供には、物だけを与え世間体をとり、親本人は子供のことなど気にも留めず他のことに夢中なる親や子供ことなどなんとも思っていない親など幾らでも居るのだ。

古代は、そっと優の頭に手を伸ばすと優しく、それでいて力強くなでる。

「もう、おじさんたら子ども扱いしないでよ」

優は、少し怒ったように言うがその顔は、真っ赤でテレ隠しなのは誰の目にも明らかだった。

「そんな風に言ってるうちは、まだまだ子供だよ」

そう言うと古代は、優の頭に手の平を乗せるように優しくポンポンと2回軽く叩く。

「優は、宇宙に出るのは、初めてだったよな?」と言いながら古代は、優の頭から手を離す。

「うん、地球軌道付近までなら、皆にいろいろ教えてもらいながら行く事は多かったけど、その先に行くのは初めて」

優の言う皆のとは、旧ヤマトの乗組員やその家族たちの事である。

「そうか、宇宙は、広いぞ怖くはないか?」

「うん、大丈夫だよ…だって、子供ころから皆に色々教えてもらって、早く星間を旅したいって思っていたんだもん」

優が、瞳を輝かせながら答える。

「実際、優ちゃんは優秀ですよ」

二人の会話を聞いていた南部が話に入っていく。

「そうなのか、3年も離れていたからな・・・・・」

「ええ、シミュレーターですが、艦隊指揮、艦砲砲撃、操艦、艦載機での防空、対艦攻撃、どれをとっても、宇宙戦士訓練学校の首席並みの成績ですよ」

「ほう、そいつは凄いな」

古代は、思わず感嘆の声を上げた。

「先生が、良すぎるもの」

頬を染めながら、慌てて言う。

生きた伝説の旧ヤマトのクルーに褒められてこそばゆいのだろう。
だが、優の言う通りで艦隊指揮は、宇宙大使として旅立つ前に古代自身が、また山南提督や北野が、操艦は、島次郎(島大介の弟で兄の後を継ぎ2代目ヤマトの航海長を務める)、砲撃は、名手の南部が、戦闘機関連は、加藤四郎、山本、坂本、椎名と旧ヤマトのオールメンバー直々にレクチャーされているのだ。まさに宇宙一の技術を幼少の頃から直に見て叩きこまれてきたと言ってもいいだろう。
そして、子供の吸収力は、凄まじくスポンジが水を吸うように技術を吸収していく。また子供の発想力は、時として様々な応用法見つけ出していくようになっていった。

「今じゃ、北野に艦隊戦で4回に1回は勝っていますよ」

「なに…地球防衛軍参謀長にか…そいつは凄いな」

「南部さんも優ちゃんの新砲撃システムに一方的にやられたばかりじゃないですか」

相原が、ニヤリと笑いながら会話に加わる。

「新システム?」

古代が、訝しげな表情を浮かべながら相原に聞き返すもの無理はないだろう。

南部は、精密な砲撃では、旧ヤマトクルーの中でも随一である。
それはすなわち地球防衛軍の中でも随一なのだ。それが砲撃戦で一方的にやられるなど考えられなかったのだ。

「デスラー戦法でも使ったのか?」

古代は、経験則の中から1つの戦法を上げてみるが相原にあっさりと否定される。

「デスラー戦法ではなく、艦載機による、長距離砲撃誘導システムですよ」

「艦載機? それならもうあるだろう」

古代の言う通りで、艦艇のレーダー範囲外の敵を艦載機のレーダーで発見し艦艇と艦載機のレーダーのシステムリンクによりリアルタイムで敵の位置、行動を把握し艦砲砲撃を行なう方法は、昔からある。

「ええ、でも優ちゃんのは、艦艇と艦載機のレーダーシステムのリンク可能距離外での話なんですよ」

「リンク外?」

「古代さん、ディンギルとの戦いの時、コスモゼロでハイパー放射ミサイルを補給中の敵艦隊をレーダーシステムのリンク外での超々距離砲撃をしたのを覚えていますか?」

「ああっ、冥王星域の戦いの時か、雪が補給中の敵の位置を知らせたやつだろう…だがあれは、補給中で敵が止まっていたからだぞ、動いている相手にはそうそう、当たらんだろう?」

古代の言う冥王星域の戦いとは、ディンギル軍の電撃的な猛攻とハイパー放射ミサイルにより地球防衛軍が壊滅し、最後の希望として出撃したヤマト艦隊とディンギル艦隊との戦い事である。
ヤマト側は、奇しくも第二次世界大戦時の戦艦大和最後の出撃時の艦隊と全く同じく…軽巡洋艦[矢矧]他駆逐艦と言う艦隊とも言えない戦力での出撃であった。

そして、冥王星域でディンギル艦隊との戦闘に突入する。
善戦するも物量におとり、ハイパー放射ミサイルの対抗策も無い状態での戦闘で、軽巡洋艦[矢矧]が駆逐艦戦隊が次々とハイパー放射ミサイルの餌食なっていく。
また、ある駆逐艦は、ヤマトを庇い、ヤマトとハイパー放射ミサイル射線の間に入り、自らその船体にミサイルを食いこませ爆沈していった。ヤマトと駆逐艦[冬月]の2艦を除き全滅・・・もはや、戦闘は、ディンギル側の一方的な攻勢となった時、突如ディンギル軍は、攻撃を止め戦闘空域より離脱したのだ。

この時のヤマト艦長、沖田は、コスモタイガー隊を補給のため帰還させると撃沈させられた味方艦の生存者の救出のために救命艇を発進させる。
救命艇より救出隊が、宇宙遊泳で生存者に近づいて行った時、ディンギルの戦闘機隊が負傷し宇宙に投げ出された味方艦のクルーや救出隊に攻撃してきたのだ、身動きできない負傷兵や無防備な救出隊はなす術もなく、戦闘機のパルスレーザーに蜂の巣にされていく。それは戦闘とは、とても言えるもではなくただ一方的な虐殺であった。
満足に身動きすることも出来ない負傷者や救命艇を破壊され宇宙に溺れている状態の救護クルーを戦闘機は、文字通り蹂躙して行った。艦載機を補給のため格納してしまったヤマトは、なす術もなくその虐殺を見ていることしかできなかった。
艦砲やパルスレーザーでは、敵機以外にも被害が出てしまい…まだ、宇宙に取り残されている生存者まで巻き込んでしまう為だ。

敵戦闘機は、しばらく、その一方的な殺戮を楽しむと引き上げていく。

その戦闘機を追尾する為、古代は、コスモゼロ単機で出撃したのだった。先の戦闘で負傷していた為、森雪と共に…
敵戦闘機を追尾し補給中のディンギル機動艦隊を発見する。古代は、ヤマトに敵艦隊の位置を伝えようとするが、その途中で先の戦いでの傷が追跡中の敵機との戦闘で開いてしまい気を失ってしまう。古代の代わりに雪が、敵艦隊の位置を伝え。ヤマトの最大射程での砲撃で敵の移動補給基地ごと機動艦隊を壊滅させたのだった。

この時、ディギル軍司令ルガール・ト・ザールは、ヤマトとの距離を十分すぎるほどに取っており、艦砲など届くはずがないと考えていた。だからこそ、補給地点にこの空域を選んだのだ。自軍の戦艦の最大射程のおよそ倍の距離…相手の槍が届かない遥か彼方に陣取り、必殺の槍…ハイパー放射ミサイルを補給しし、その槍を持ってヤマトに止めを刺す。華麗なる勝利…ディンギル軍司令ザールは、そう確信していた。

だが、その幻想は、突如降り注いだ閃光により砕かれることとなる。

コスモゼロよりもたらされた座標にヤマトより放たれ必殺の波動カートリッジ弾が、機動要塞に降り注ぐ。機動要塞は、周りにいた、補給中の艦艇を巻き込み巨大な火球となり四散しその爆炎は、水雷艇母艦や戦艦を次々と飲み込んでいく。
ディンギル艦隊は、ザールの旗艦を除きその爆炎に飲み込まれ四散していった。ザールは、その様子を呆然と見ることしか出来なかった。
太陽系に進攻後、連戦連勝、瞬く間に地球防衛軍を壊滅させ地球人類を地球に封じ込めることに成功した。そして地球軍の最後の戦力として出てきたのは、今は無き母星付近で一度叩き潰した戦艦と軽巡洋艦と駆逐艦が数隻という艦隊とも呼べない寄せ集めの戦隊…その戦隊も第一次攻撃でほぼ壊滅状態と言ってもいい打撃を与えていたのだ。これで負けを予測しろと言う方が酷なのかもしれない。
未だ誘爆を続ける自軍の艦隊を横目にザールに逃げるように撤退するしかなかった。

この時の砲撃は、確かにレーダーのリンクシステム範囲外だった為、無線による口頭での敵の位置座標を伝えなければならなかった。だが、この方法では…高速で移動する敵艦隊が相手では、どうしても命中率が極端に下がってしまう。
目隠しをして飛んでいる鳥をスイカ割りのように周りに人の声だけで誘導されて撃ち落せと言われるのと同じだからだ。
古代の言う通りでディンギルとの戦いで命中したのは相手が補給中で止まっていた事も大きな理由の一つなのだ。

「優ちゃんは、レーダーリンクシステムを搭載した。小型の中継ポッドを偵察機に搭載したんですよ、小型ミサイル並みの」

相原が得意げに説明をする。

「ポッド?」

「ええ、戦艦と艦載機の間に設置することでリンクシステムを繋いでしまうんです。無線の中継基地と同じだと思えば分かりやすいですかね」

「なるほど、しかし考えてみれば単純な話だな・・・なんで今まで考え付かなかったんだ」

古代は、あごに手をやりながら不思議そうに考え込む。

「30年前までは、単純に技術的な問題でしたね。小型ミサイル並みのスペースに、ワープ通信に高性能コンピューター、次元レーダーとソナーを組み込めなかったのが正解です」通信長らしく相原が手ぶりを交えて説明をする。

「なるほど、だが・・・近代なら技術的な問題もないはずだ、何故考え付かなかった?」

「それは、発想自体はありましたがどれも使いづらいシロモノで計画途中で打ち切られたんです」

自らも南部重工の会長として試作開発していた南部が、話に加わり説明する。

中継ポッドの試作機と開発されたのは、レーダー衛星の改良型であった。これは、偵察機1機に1つしか積めないため、敵がいると予測される位置の中間地点に設置するか発見後一度持って設置するか、発見の知らせを受けてから設置のための艦載機を飛ばすかしか方法がなく高速で移動する艦隊には、甚だ効率が悪かった。
または、偵察機一機を中継の為に配置する方法もあったが…ポッドに比べ敵に発見されやすい航空機では逆に味方艦の位置を芋づる式に相手に教えてしまう可能性があり、その研究は軽視される結果となっていた。
また、通常のリンクスステムでの砲撃でも相手と同等かやや上回る射程を確保出来ていた事も大きな理由だった。

「なので、小型ミサイル型のポッドは人口知能搭載でミサイル同様自走しますから、発見後に味方戦艦のとの中間地点に自動で飛んでいきますしその速度は、戦闘機より高速です。 小型で敵に発見されにくいという利点もあります」

南部は、技術的な事を踏まえながら説明を続ける。

「大きさも小型ミサイル並みなので一機の偵察機に複数積めますから扱いやすさも抜群です。さらに優ちゃんは、空間魚雷を改装した中継ポッドも提案しています」

空間魚雷とは、対潜宙艦などに使われる次元空間魚雷の事で別次元に潜んでいる潜宙艦などを攻撃する兵器のことである。その名と通り、別次元を航行することのできる魚雷でこの魚雷を改装した中継ポッドも当然、別次元を航行することが出来る。
そして、目標地点に到着すると潜水艦の潜望鏡のようにレーダーと通信アンテナを通常空間に出し燃料が切れるまで偵察機と母艦の中間地点に移動する。通常空間には小型ミサイルよりはるかに小さいマルチアンテナが数本出ているだけなので、さらに敵からの発見がされにくくなるという利点があった。

「なるほどな」

相原と南部の話を聞き、古代は感心したように優を見つめると再び南部たちにむきなおり

「南部、相原、2人から見て優は、宇宙戦士としてどう思う?」と聞く

「そうですね。僕は、今のマニュアル重視の連邦軍の艦長より優秀だとおもいますよ」

相原は、考えるまでも無いといった感じで答える。

「自分も後は実践経験を積ませる段階だと思いますよ。優ちゃんは、子供の頃から宇宙戦士訓練学校に通っているようなものですからね」

南部の言う通りで、子供の頃から、古代や山南提督と言った超一流の宇宙戦士相手にシミュレーションとはいえ戦っていたのだから(本人は、将棋や碁と言ったようにゲームで遊んでもらっている感覚だったのだが)

「なので、例の計画は、2段階ぐらいはやめてもいいと思います」

南部は、付け加えた。

「そうか」

2人の答を受け、古代は何かを決心したように頷いたのだった



[32480] 第3話 英雄の丘
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/06/18 12:15
古代と雪が、地球に帰還した2日後、優達の姿は、英雄の丘にあった。

「沖田艦長並び地球を救うために命をかけ戦い散って行った、誇り高き宇宙戦士達に敬礼!!」

古代の号令と共にその場にいた全員が、胸の前に腕を持っていき宇宙戦士の敬礼をし黙とうをささげる。

ヤマト初代と最後の艦長となった沖田十三の像がたたずむ英雄の丘に古代をはじめとする旧ヤマトのクルーとその家族、一族が集まっていた。
黙祷を捧げ終えると、そこは、宴の場となった。久しぶりに会う旧ヤマトクルーたちは、それぞれの近況を報告しあう者、今の連邦政府に対する不満を口にする者、さまざまであった。

旧ヤマトは、その活躍とは裏腹に実に短命の船であった。建造からわずか3年でその生涯を終えることになる。その短い生涯の中で地球の運命をかけた戦いを幾度となく繰り返すことになる。

わずか3年・・・されどなんと密度の濃い3年間だったのだろう、その後数十年、変わらぬ友情と連帯感が今この場にも確かに存在している。旧ヤマトのクルーたちの表情を見ればそれが分かる。
度重なる、危機を力をあわせ乗り越えてきた自信と信頼が、ヤマトの乗り組員だったと言う誇りが彼らを今も一つにつないでいるのだ。

優は、それを羨ましく思う。私にも何時か…こんなにも素晴らしい絆で結ばれた仲間が出来るのだろうかと

「姫ちゃんも、明日、よいよ星の海にでるんだね」

優に妙齢の美しい女性が話しかけてきた。眼鏡をかけたスレンダーな美女だ。セミロングの黒髪を無造作に後ろで束ねているが、その魅力を損なうことはない。

ちなみに姫とは、優の愛称の一つである。名字から呼びやすい2文字をとった在り来たりの愛称だったのだが…小学生の低学年ぐらいまでは、姫や姫ちゃん呼ばれることを気にした事は無かったが、中学生ともなると流石に姫と呼ばれるのは恥ずかしいと思うのだがその思いとは裏腹に優と名前で呼ぶのは、家族と旧ヤマトのブリッジクルーぐらいで多くは姫の愛称の方が定着している。

「佐渡先生、姫ちゃんって呼ぶのはもうやめて下さいよ、結構恥ずかしいんですよ」

「あら、姫ちゃんは姫ちゃんじゃない? 呼びやすいし」

日本酒を飲みながらケロっとした表情で佐渡先生と呼ばれた女性は優に答える。

「呼び易いって、優も2文字じゃないですか。漢字なら1文字ですよ」

「いいじゃない、姫ちゃんは姫ちゃんなんだから」

日本酒を手酌し始めケラケラと陽気に笑うこの女性は、佐渡愛香。旧ヤマトクルーで10年前に亡くなった佐渡酒造の玄孫である。
酒造と同じく医の道へと進み、今や名医として地球連邦にその名を知られている。年齢的には50近いがクローニング技術の応用で肉体年齢(細胞年齢)は24歳前後で優にとっては年の離れた姉のような存在でもあった。愛香も優の事を可愛い妹のように見ている節もありこれはあいこであろう。

「姫ちゃん、明日の予定は聞いているの?」

「うん、明日の正午にメトロポリスの第7ドックに来るように言われたけど・・・行き成り出発のドックが変更になったりして…何か聞いていませんか?」

優は、今朝英雄の丘に集まる前に古代に言われたことを思い出していた。
初の星間旅行と言うこともあり色々な手続きをし終え、準備も出来ていたのだが、古代から行き成り当日の集合する宇宙港の場所が変更が伝えられたのだ。

オービタルリングにある20の宇宙ドックのうち9つが民間の宇宙ドックなのだが当初、優も民間の宇宙ドックから民間船に乗って出発するはずだった。
しかし、古代は、メトロポリスの第7ドックに集合するように優に言ったのだ、手回しの良いことに民間船のチケットは、既にキャンセルされていた。メトロポリス第7ドックと言えば連邦軍の地底ドックである。何故、そんなところに集合するのか優には、分からないのだ。

「ふ~ん、まだ、何も聞いてないのか、古代おじさんも人が悪いな・・優ちゃん明日は、サプライズがあると思うから楽しみにしていてよね」

「愛香さん、ソレはまだ、ヒミツのハズですよ」

そう言って現れたのは赤いボディのロボットだった。人型、それも人間に限りなく近いアンドロイドが主流となった現在に於いては、かなり珍しい円柱形のボディにキャタピラ状の足など、3世代は昔のデザインである。

「アナライザーじゃない、またスカートでもめくりに来たのかしら…でも残念ね、今日は、ジーパンよ。ちなみに姫のスカートめくったらスクラップにするわよ」

愛香は、現れたロボットにそう言いながらに日本酒の入った杯をわたす。

「アッ―、愛香さんヒドイ、ワタシだっていつもスカート捲りをしているわけでは無いのです。」

アナライザーと呼ばれたロボット怒りながらも愛香から盃を受け取るとそれを頭から浴びる。浴びるほど飲むとはよく言うが…酒を浴び酔っ払っているこのロボットは、アナライザー、旧ヤマトの乗組員でヤマトの最初の航海から最後までずっと一緒に戦ってきた唯一のロボットである。
外見は、100年前と全く変わっていないがセンサーや分析能力、各種オプションは、最新のバージョンに換装されている。
愛香の医学の師でもあり曾祖父でもある佐渡酒造とも良き飲み仲間だったと言うアナライザーは、愛香とも良き飲み仲間であった。

「サプライズ? 何があるの?」

優は、2人に聞くが

「当日のお楽しみよ」「それは、ヒミツです」

と2人に言われてしまう。

「「へぇ~、でも、サプライズって言うのは私たちも興味があるわね」」

そうユニゾンして会話に加わってきたのは、二人の美少女だった。

「麗さん、詩織さん」

「姫ちゃん、ヤッホー」

と手を上げて近づいてくる紺に近い黒のロングヘアーの活発そうな少女が、山本麗。

その麗の後ろで手を振りながら近づいてくる同じく紺に近い黒髪をサイドテールしている少女が山本詩織。

この2人は、ヤマトの艦載機コスモタイガー隊の山本と椎名の玄孫で双子の姉妹である。姉が麗で妹が詩織で姉は、椎名譲りのスレンダーな美少女であるのに対して妹は、かなりの巨乳の少女である。

一瞬、アナライザーの全身が、ピコピコと激しく点滅したが愛香の一睨みで収まったようだ。ただ、2人ともミニスカートなのだがその下にデニムのレギンス着ているのを見たアナライザーが、残念そうに見えたのは気のせいだろうか・・・

「姫ちゃん、明日、出発場所が防衛軍の第7ドックになったの?」

「うん、明日の正午に第7ドックに来るように進おじさんに言われたんだけどね」

「第7ドックと言えば、新造艦やテスト艦なんかの専門ドックだったな・・・」

麗と優の会話を聞き疑問の声を上げたのは、加藤健二、コスモタイガー隊の加藤四郎の玄孫である。

「加藤ハ、相変ワラズ加藤四郎ニソックリダナ」

アナライザーが、言うように健児は、若かりし頃の加藤四郎に瓜二つで宇宙戦士訓練学校で飛行科の制服を着るとあまりのそっくりさで教官が驚いたほどであった。
麗、詩織、健二の3人もまたコスモタイガーのパイロットを目指し日夜、宇宙戦士訓練学校で汗を流している。

「でも、急に変更なんて大変ねじゃない?」

「うん(ゴッゴッゴッゴッゴ)」優が、詩織に答えようとすると大気を震わせながらアイオワ級宇宙戦艦が英雄の丘近くの上空を通り宇宙へと上がっていく・・・

「でけぇ、船だな」

健二が空を見上げながら、通り過ぎる戦艦を見てつぶやく。
優もまた、空を見上げながら考えていた。

まっサプライズって言っているし…これ以上愛香さんたちに聞いても無駄みたいね。当日の楽しみにしておけばいいか。優は、そう思うとすれ以上追及しようとはしなかった。

いつの間にか、日は落ち空には星々が輝き始める。

優は、明日はよいよ、宇宙に外宇宙に行くんだ、そう思うと優は、自然に空の先にある星々に宇宙に向ってそっと手を伸ばしていた。



[32480] 第4話 えっ!? サプライズ!!?
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/27 16:58
英雄の丘での宴の翌日、優は、メトロポリス地球防衛軍第7ドックに向かっていた。

初の星間旅行を楽しみにしていた優だったが、突然の予定変更と昨日の愛香から聞いたサプライズと言う言葉がいまだ分からず多少の不安もあった。だが優が、外宇宙に出るのを一番勧めてくれたのも古代なのだ。だから、いまさら宇宙に出るのを中止にするはずもないし…
優は、古代の真意を測るが・・答えなど出るはずもなかった。

エレベーターの到着音に優は、「フゥ…」一息つくと悩むのをやめた。考えても答えは出ないし…行けば分かる事だしね。優は、そう思うと待ち合わせ場所に向った。

「優、こっちだ」

父親の自分を呼ぶ声を聞き優は、そちらに走っていく。そこには、古代、雪、南部、優の父親である。織姫 学がいた。

「よく来たな、優」

古代が、優に笑いかけた。

「おじさん、何で急に集合場所変更っていうか…星間旅行の予定を全部キャンセルしたの? 誰に聞いても教えてくれないし」

優は、少し頬を膨らませて詰め寄るが、古代も父親も笑うだけで答えようとしない。


まだ、サプライズを取っておく気かしら。優は、昨日、愛香に言われたサプライズと言う言葉を思い出した。

優は、古代達の後について長く薄暗い通路を無言で歩いていた。
長い通路を抜けると広い空間に出た。幾つもの照明が、輝いており…今まで薄暗い通路を歩いてきた優は、その眩しさに目が霞んでしまう。手で光を遮り明るさに目が慣れてくると優は、改めて顔を上げた。


優の目に飛び込んできたのは、3隻の船だった。駆逐艦に小型空母?・・・優がそう思ったのも無理はないだろう。

「360m級、三胴高速駆逐艦だ」

古代が、目を丸くしている優に眼前の船を紹介した。

三胴艦…と言うことは、三隻だと思ったあれは、一隻と言うことなのね。
優は、古代の指差した船を改めて良く見る。形としては、ヤマトの最後の出撃時に同行した駆逐艦の両サイドに白色彗星の中型空母がくっ付いている感じと言うのがしっくりくるだろう。中央の駆逐艦部は、360mと大きくなったために艦上部の艦橋より前部に2連装ショックカノンの砲塔が2基、4×3のランチャータイプのレーザー砲塔が1基、後部には2連装ショックカノンが2基と武装が強化されている。
そして艦底部に艦上部と同等の武装が付いている。その両サイドに白色彗星の中型空母が(330m)ついている感じである。接合部など多少の形は変わっているが駆逐艦としては、規格外の設計なのは確かだろう。



「優、お前の船だ」


古代が、事もなげに言った為、優は、最初は意味が分からず「ふ~ん」と古代の言葉を聞き流してしまった。
後学の為、地球防衛軍の新鋭艦を見せる為に此処に呼んだのかと思ったからだ。しかし、古代の言葉を頭の中で繰り返す内に…


「ええ~~!!?」


優は、悲鳴に似た叫びの後は訳が分からず言葉も続かないのだろう・・・船と古代を交互に見ながら口をパクパクさせる。

「だから、お前の船だと言っているだろう」

古代は、何を当たり前のことを聞くんだと言った様子で答える。

「今まで色々教えてきたことを実践して、真田さんのところまで自分で行くんだよ」

と古代は事もなげに説明を続けた。

「えっ…でも、私は、宇宙戦士訓練学校にもまだ行ってないんだよ? 民間の宇宙飛行士学校だって行ってないし」

「何を言っているんだ…物心つく前から俺たちから色々教わっているし、地球軌道付近までなら何度も言っているじゃないか」

慌てて言う優に古代が答える。

「でも、地球防衛軍の軍艦をいきなり私の船だなんて」

「あー、この船は、地球防衛軍所属じゃないです。南部重工名義で個人用に作らせた船だから」

と南部が話に加わってくる。

「ふぇ?」優は、訳が分からず聞き返すしかなかった。

「だから、この船の所属は、コスモアドベンチャー・・つまりは、冒険者の持ち船と言う事になんだよ」

南部が、その冒険者は、君だよとでも言う様に優を指さしながら言う。

「えっ、えっ」

もはや、優は、パニック状態だった。何かを言うと思っても言葉が出ない。
行き成り一隻の船を任されたのだから当たり前の反応だろう。

「でも、14歳の子供の船って、乗組員が納得しないでしょう」

「乗組員なんていませんよ」

南部が船を指さしながら説明を続けた。

「雪風型、自律AIを搭載している、半自動無人駆逐艦だからね」

雪風とは、まだ、ワープ技術のない頃の地球防衛軍の古代守の乗艦、突撃駆逐艦[雪風]を大山トチローが改装した、自律AI搭載の無人駆逐艦の事である。

ガミラスとの戦いで撃破されスクラップ同然の姿で打ち捨てられていた雪風を修理改修したこの船は、白色彗星帝国に身を寄せていたデスラー率いるガミラス艦隊は、ヤマトとの戦闘後に残存艦隊を集めて新たな母星を探す旅に出ることになる。

その旅に出る前に一目母なる星を見ようとガミラス星に寄るのだが、そこでデスラーが見たものは謎の艦隊が母星で大々的に発掘作業を行っている姿だった。
母なるガミラス星を傷つけられ怒りに燃えるデスラーは、謎の艦隊…黒色帝国との戦闘になる。
その戦闘でデスラーは、母星たるガミラス星を失いうことになる。ガミラス星の消滅の為に双子星として引き合っていた引力を失い軌道を外れ暴走したイスカンダル…その知らせをデスラーから受けスターシャと古代進の兄、守を救うべく発進したヤマトと共に戦った船の中の一隻である。

雪風改は、その後、黒色帝国が地球を占領した時も黒色帝国母星へ向かうヤマトともに最後まで戦い抜いた英雄艦でもあった。
大山トチローの作った自律AIは、地球防衛軍のコントーロールセンターで制御する無人艦とは違い、コントールーセンターを攻撃されたり、不意打ち等の突発的な状況にも対応できる優秀なものであった。(PS2ゲーム宇宙戦艦ヤマト3部作参照)


この三胴駆逐艦にもその自律AIの発展型が搭載されているのだった。

「だから、優ちゃん一人でもこの船は、動かすことは可能だから大丈夫」と南部

「一人でって何!? 一人でって」

優は、顔を真っ赤して怒鳴るが・・古代も南部も何処吹く風といった感じで話を続ける。

「優、防衛軍所属でないお前の船に防衛軍兵が乗り込むわけにもいかないだろう、だからこれから宇宙に出てお前のクルーを自分で探すんだ」

「はい?・・・これから宇宙で・・・・???」

この人は、何を言っているんだろう…14歳の女の子が、指揮する船のクルーになりたがる船乗りが居ると思っているのだろうか、そもそも星間航行はおろか地球軌道の先・・・月にすら言ったことがないのに。

「いくらなんでも1人は、無理だわ、メカニックや医療的な問題はどうするのよ」

優の言う通りで優は、ちょっとした整備や応急処置程度の事なら出来るが、本格的なオーバーホールや医療は、専門外である。例えば、機関の故障などが起こった場合、配線程度なら何とでもできるがばらして根本から直さないといけない様な故障の場合はお手上げなのだ…

「なら、早くお前のクルーを自分で見つけるしかないな…優艦長」

「優なら出来るさ、自分を信じなさい、お前は、地球防衛軍の参謀長に勝ったことがあるしお父さんは、出来る限り知識をスキルを伝えたつもりだぞ」

古代と父親の言葉を聞き、優は、小さくため息をついた。こうなったら、何を言っても無駄なのだろう。古代おじさんは、頑固だし…お父さんも、宇宙に関して言えばスパルタだ…一度決めたらよほどの事がない限り変更はないはずだ。

頭では納得しても感情の方はそうはいかない、優は、2人の言葉にだんだん腹が立ってきていた。
宇宙を旅するという事は、命がけの事だ、宇宙船の装甲の外は、真空と無数の宇宙線が飛び交う死の世界と言っても過言ではない。宇宙に憧れていたとは言え、何の準備も覚悟も無く行き成り一人で宇宙に飛び立てと言われたのだ、事前に相談も無くに…

優が、古代達の思惑に気づくにはあまりにも若かった。そして若さは時としてその感情を抑えきれない時がある。今の優は、まさにその状態だった。

「おじさま…わかったわ」

優は、呟くようにうなずいた。

「そうか…」

古代が、頷いた優にと近づき言葉を続けようとした瞬間、左頬に激しい衝撃が走った。パーンと言う乾いた音がドック内に木霊する。

「でもやり方が気に入らないわ…本人を蚊帳の外に全部勝手に決めちゃうなんて…それも命が関わる事を」

古代は、自分の頬をはった優を一瞬怒鳴りそうになるが、涙目で訴える優の姿とその言葉にその怒声を飲み込んだ。

「ごめんなさいね。14歳とはいえ自分のことは自分で決めなくてはならないし、優だって決めたかったはずだものね。しかもこんな大切な事を何も話さないで勝手に決めたことは謝るわ」

雪が、優の手を取り頭を下げる。

「でもね、進さんは、何も考えがなくてこんな事をしたのではないのよ…あの人は、口下手で不器用で誤解されがちがけど誰よりその人ことを思って考えているわ」

雪は、優に微笑みかけながら古代に向きなおった。

「優、すまなかったな…どうも軍艦乗りだった頃の性分が抜けなくてな・・・ちゃんと前もって説明しておくべきだったよ」

古代は、頭を掻きながら苦笑いを浮かべる。

「俺が、優をコスモアドベンチャーとして登録したのは、優が、地球防衛軍の入隊年齢に達していないのもあるが…本当の目的は、今の複合大銀河の実態を、自分の目で実際に見て自分の将来を決めて欲しかったからだ」

古代は優の両肩を掴むと話を続けた。

「今、この複合大銀河には、無数の星間国家や自治領があり、一国の軍隊に入隊すると思う様に身動きがとれなくなる。一冒険者ならどこにでも行ける…もちろん、その過程で起こった障害を自力で乗り越え、行動の結果により起こることの全てを自分で責任を負わなければならないがな。
だからこそ、自分の手で信頼できる仲間を集めてほしいんだよ。そしてこの世界を見てきて欲しい、その結果、お前がどんな道を選ぼうともそれは優、お前自身が決めることだ」

古代の真摯な瞳を見て優は、言葉に詰まった。この人は、こんなにも自分を信じ期待してくれているのだと…そして、私に自分の将来を決める上でその世界の事を知る機会を与えてくれることをまだ中学生の私にそれを許してくれているのだと…

「おじさま・・・」そう呟き古代を見つめる優の瞳には涙が浮かんでいた。嬉しかったのだ。父や祖父から聞いていた古代達、旧ヤマトクルーの英雄譚を幼少のころから聞きその英雄たちから幼少の頃より直に会い教えを受けてきた。それは、憧れであり尊敬であり目標でもあった。また偉大なる師でもあるその人にこうまで思われていたのだから…

「さっきは、叩いてしまってごめんなさい…私、あまりに行き成りすぎて、訳分からなくて」

「いや、俺の方こそ悪かったよ。人には言葉があって、お互いに意思の疎通が出来るのに、昔から何度もそう思ってきたはずなのにな」

古代は、そう言うと苦笑いを浮かべた。

「確かに、自分も14歳の時に行き成りこの船を与えられて一人で宇宙に行けなんて言われたら、ふざけるなって切れてたかもしれないですね」

南部もバツが悪そうに頬を掻きながら言う

「そうだな、優…今さらだが、この船で真田さんのところまで行くか?」

古代が優に向きなおって聞く。

「うん、行ってみる。真田おじさんの所までいった後もしばらく旅をしてみるわ」

「そうか、ならこの船の艦長としての最初の仕事だ、この船の名前を付けてやってくれ」

古代は、優の背中を押すと改めて船の全景が見える位置に移動した。
優は、眼下の船を見ながらしばらく考え込むように幾つかの名前をブツブツと呟いていく。

「フレイヤ…うん、フレイヤにする」

優は、自分の好きな女神の名前をこの船に付けることにした。

「フレイヤか」古代は、優を見ながら呟く。

「いい名前じゃないか」

そう言うと古代は、優を乗船タラップの前まで誘導する。

「コスモアドベンチャー、3胴高速駆逐艦[フレイヤ]艦長、織姫優…この世界を思いっきり見てこい」

古代が、そう言いながら右手を差し出した。

優は、その手を握り返しながら頷きながら「うん」と答えると乗船タラップに足をかけた。



[32480] 第5話 サプライズ!!
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/27 23:56
「コスモアドベンチャー、3胴高速駆逐艦[フレイヤ]艦長、織姫優…この世界を思いっきり見てこい」

古代が、そう言いながら右手を差し出した。優は、その手を握り返しながら頷きながら「うん」と答えると乗船タラップに足をかけた。


その時だった、


「間に合った」と言う声と共に数十人の人々がドックの入口より入ってきたのだ。

「愛香先生!!」優と古代が、ほぼ同時に入ってきた人々の先頭を歩く女性の名を呼んだ。

愛香は、タラップの前に居る優の前までくると「姫ちゃん、この船の名前はもう決めたの?」と優に声をかけた。

「えっ? はい、フレイヤと名づけました」

「ふ~ん、フレイヤか」愛香は、フレイヤと名付けられた船を見ると改めて優に向き直り、背筋を伸ばすと気を付けの姿勢をとる。

「コスモアドベンチャー、フレイヤ艦長に報告、全身全科医、佐渡愛香、麻酔医、フィリップ・シュタイナー、看護師長、小野礼香、救命艇パイロット、ケビン・スワロー、オスカー・マーべリック含む、医師8名、看護師22名、パイロット5名、計35名を医療班として乗艦許可をお願いします」愛香が、そう言うとその後ろに並んでいた34人が、愛香と同じく気を付けの姿勢をとる。

「愛香さん、これはどう言う事ですか? 優は、これから宇宙に旅立ち自分で仲間をクルー見つけて行くんですよ」古代が、突然現れた愛香達一行に戸惑いながらも声をかけた。

「知っているわ、何度も聞いたもの」

「なら、何でこんなところに居るんだ、だいたい乗艦許可ってどういう意味だよ」古代は、愛香に詰め寄るが、愛香は何処吹く風と言った感じで

「何の為に来たのかと言われれば、さっきも言ったように医療班として[フレイヤ]に乗艦許可を艦長の姫ちゃんにもらう為、乗艦許可は、船にクルーまたは客として乗り込む為に艦長または船の持の持主、会社などから許可を頂くこと」と答える。

「いや、だから、優のクルーは、優自身がこの度で探して決めていくと・・」

「それに、旅の出発地に共に旅をしたいと思う人がいてもそれは不思議な事ではないと思わない・・古代さん」古代が、言い終わらないうちに愛香はそう言うと優へと視線を移した。

「愛香サンの言う通りです。[フレイヤ]のクルーを決めるのは優さんです。古代が、とやかく言う必要はアリマセンネ」

「アナライザー!!」

「ワタシも、[フレイヤ]の乗艦許可を頂キタイ」と優の前まで来て言う。

アナライザーの後ろには10体程のロボットがいた。これまた卵を横にしキャタピラ状の足を付けたタイプや円柱・・ドラム缶に車輪がついたタイプなど数世代は前の形のロボットである。見た目とは裏腹に中身は最新式なのは言うまでもないことだろう。

「姫ちゃん、乗艦許可くれるの、くれないの?」愛香が、優を見据えながら聞いた。

その目は真剣そのものである。その様子を見ていた古代は、小さく頷くと優を見た。愛香もアナライザーも自分の道を自分で決めたのだ…そして、[フレイヤ」の艦長は優だ、彼女たちを自分の船に乗せるか乗せないかは優が決めることなのだ、自分がとやかく言う事ではない…アナライザーの言う通りなのだ。

優の視線を感じた古代は、再び小さく頷く、優、お前が決めろと…

優は、古代が小さく頷くのを見るとこの決定権が自分にある事を悟った。

しかし、今日は、何と言う日なのだろうか…初めての星間旅行が、いきなり自分の船を与えられ、自分で旅をすることになった。一人でこの複合銀河の実情を見る旅になるはずだったのに出発前にこれだけの人が共に旅をしたいと集めってくれたのだ。
優は、泣きそうになっていた…嬉しくてたまらないのだ。
心の中で納得していたとはいえ、初めての星間の旅を一人で行くというのは不安があって当たり前だ、でも、私を信じてそれを許してくれた偉大なる師たち。
そして14歳の初めて宇宙に出る小娘の船に乗りたいと言ってくれる愛香さんたち…
感無量とはこの事だろう…

「佐渡愛香ならびに医療班、アナライザーとドロイドの乗艦を認めます。乗艦後、各員の配置を決めるので全員、ブリッジに集合して下さい」

「了解」優の艦長としての初の命令に乗艦を許可された全員が敬礼を返したのだった。

10分後、優たちは、メインブリッジに集合していた。360m級、しかも三胴艦の艦橋は、思った以上に広く、人間36人、ドロイド11体が集合しても狭く感じることはなかった。
できたばかりの新造艦特有の匂いが漂っている。

「えっと、これから各員の配置を決めます。まだ、クルーの人数が全然足りないので専門外の部署の仕事もしてもらうことになります。承知して下さい」優が、緊張した面持ちで言う、声が少し震えていたかもしれない。

それも仕方のないことだろう、今ブリッジにいるメンバーの中で、優は、一番年下であり宇宙船乗りとしての経験(実際に星間を旅した)も一番少ないのだ。

「了解したわ、姫ちゃん」

「アマリ緊張せずに自然体で行キマショウ」愛香とアナライザーに言われ、優は、一度大きく深呼吸をする。

「そうね、行き成り艦長らしい威厳や風格が生み出させる事なんて出来ないし、自分らしくやりますか」優は、そう言うと年相応の笑みを浮かべる。

「それじゃ、ブリッジクルーから決めていきましょう」幾分、砕けた口調で再度提案する。
「艦長は、姫ちゃんで…操船は、アナライザー貴方でいいかしら?」

「当面は、ソレデ行クシカナイデショウ」愛香の提案にアナライザーが答える。

「愛香先生、医療班の中から何名かブリッジクルーに回してくれませんか?・・・流石にブリッジ要員が、私と操艦のアナライザーだけでは…」

「そうね、たしか如月は、確か宇宙戦士訓練学校あがりで通信、レーダー、観測を専攻してたわね」

「えっ、はいオペレーターとして2年ほど防衛軍の重巡に配属されていました」如月と呼ばれた看護師は、セミロングの黒髪で身長は、160センチ、温和そうなグラマラスな女性で、フルネームは如月香織という。

「救命艇パイロットとしての経験はそれなりにあるが・・・流石にコスモタイガーD17で空戦は、無理だぞ」ケビンが、両手を上げながら言い、その横でオスカーが頷いていた。

ケビンは、180センチの長身に筋肉質のがっちりした体格を誇っている。外見年齢36歳前後で実年齢は、その倍である。

オスカーは、救命艇パイロットとしても新人で実年齢が25歳、外見年齢も同じくらいだろう。中肉中背でツンツン頭の金髪が特徴の男だ。

「そうなると、両サイドの空母に搭載されている、コスモタイガー(D17.地球防衛軍の主力戦闘機でコスモタイガーシリーズの最新鋭機)を操縦できるのって姫ちゃんぐらい?・・・宝の持ち腐れね」愛香がやれやれと言った感じで言う。

「最悪、艦長が艦を離れて偵察に行くとかになるのかしら」如月が目を丸くして言う

「いや、ドックファイトをしないなら俺たちも出来るが…偵察ぐらいなら出来るかな…見つかったら一目散に逃げるけどな」ケビンが、あまり自信なさそうに言う。

「機関部員に砲手、空戦隊…技術部員、戦闘部員…白兵戦部隊もいないのね」優が、必要人員を確認する。

「白兵戦部隊については、多少当てがあるのよね」

「本当ですか、愛香先生?・・・看護師の中に陸戦隊か空間騎兵出身の人でも居るの?」

「いやいや、流石にそこまで特殊な経歴の持ち主はいないわね、ただもうそろそろ、到着すると思うのだけど・・・」愛香が、時間を確認しながら答えるのと同時にブリッジに古代からの通信が入った。

「優、4式内火艇がフレイヤに着艦申請しているんだが…ドック搬入ゲートを開けていいのか?」

「えっ、内火艇?・・・」

「あっ、それ多分、さっき言ってた、私の知り合いだわ。古代さん、内火艇を入れてちょうだい」

「ああっ、わかった」古代は通信を切ると搬入ゲートを開放する。

すると3機の4式内火艇が、滑るようにドック内に進入しフレイヤの飛行甲板に着陸する。3機の内火艇は、順次艦内に収容されていった。第4格納庫に内火艇が収容された頃には、優と愛香も第4格納庫に到着していた。

3機に内火艇の後部格納庫のハッチが開くと兵員輸送車がそれぞれ2台計6台が飛び出し優たちの前まで来ると停車した。輸送車の後部扉が開くと次々と装甲服と重火器を装備した兵士たちが降りてくる。その兵士たちは、一目で地球人ではないとわかるだろう…
何故ならば、降りてきた兵士たちの姿は、ファンタジー小説やRPGに出てくる獣人、所謂、ワ―ウルフやワ―タイガーのような姿をしていたからだ。

「リシュタス人」優が驚くのも無理はないだろう。

リシュタス人とは、リシュタス星を主星とする。中規模国家で原住民が獣人である。

獣人の特色として一番の特徴は、その身体能力が上げられるだろう。反射神経、パワー、スピード、持久力どれも地球人を圧倒しているのだ。

また獣人と言っても様々種類がいるのも特徴の一つで、例えば、狼の獣人は、そのスピード他の追随を許さず。猫の獣人はその身軽さと俊敏さに特徴がある。

「俺たちリシュタス人を見るは初めてかい?」虎顔の獣人が、牙をむき出しにして優に話しかける。多分、笑っているのだろうが、初めて見る優にとっては、なかなかに迫力のある顔である。

「うん、はじめて見るわ」

「そうかい、俺は、傭兵団「ビーストウォーリア」の団長、アモンだ。愛香の誘いで来たんだが。」

「ビーストウォーリアってあのリシュタス最強って言われている…強襲白兵戦部隊の」

「ほう、俺たちの事を知っているのか、艦長は、あんただろ? 乗艦許可もらえるか?」

知っているも何もないだろう、『ビーストウォーリア』と言えば、超能力や魔法(正確には、精神的自然干渉術)を使うエルフ人(本来は、別の名前だが、地球人には発音不可能の為、外見が、エルフに似ていることからエルフ人の了解を取り、エルフ人と呼んでいる)の大異能力者で構成されている『精霊騎兵団』と並び称される部隊である。

「逆にこちらからお願いしたいくらいです…でもなんでこの船に?」

「俺たちは、愛香さんに大きな借りが有るからな…それを返す為ってとこさ」

「借り?」

「ああ、俺たちは、傭兵だからな仕事場はいつも戦場さ、俺を含め多くの仲間が愛香さんの治療で命を取りとめ現場に復帰できてな、まあその借りを返しに来たわけだ」アモンは優に右手を差し出しながら言う。

優は、その手を握り返した。

アモンは、握手をしながら「まっ、取り敢えずは、一年お前さんに付き合うさ…その後はお前さん次第さ」

「わたし次第?」

「俺たちが、お前さんを気に入ればクルーになってもいいだろうし、気に入らなければ其処でさようならってな」

「なる…了解したわ、では、改めてビーストウォーリアの乗艦を許可します。ただし、本艦は、現在クルー不足のため艦の運行の為に各部署に配置する事になると思います。それでもいいですか?」

ほう、俺たちリシュタス人、しかもビーストウォーリア団長の俺の覇気を攻も簡単に受け流すか・・・まさか気づいてない訳でもあるまい。

「了解した、艦長…あとで団員の名簿を持っていくそれを見て適材適所を決めてくれ」

「分かりました、では、ようこそフレイヤに」優はそう言うと愛香の方を見る。

「私は、治療するのに貸しだなんて思ってないんだけどね、ここ数年、こいつから貸しを返させろって五月蝿くてね…丁度良いから呼んだって訳さ」

「佐渡先生、五月蝿いなんて…そりゃ無いぜ」アモンが情けない声を上げる。

「とりあえず、これから、出航のシーケンスに入るので皆さんは、愛香さんの指示に従って各部署についてください」優は、そう言うとブリッジに戻っていく。

「了解」愛香は、そう答えるとアモンと共に団員を書く部署に振り分けていった。

(さてとこの船は、俺たちの家となりえるのか楽しみにしてるぜ、お嬢ちゃん)アモンは、優が出て行った方向を見ながら微かに笑みを浮かべていた。



[32480] 第6話 フレイヤ発進!!
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/28 21:51
アモンと愛香に医療班とビーストウォーリアの物資の搬入状況を確認した後、二人と別れたあと優はブリッジに向かっていた。

優は、ブリッジに戻ると艦長席に座るとメインシステムである自立AIのフレイアを起動させる。

「フレイヤ、各システム起動」

「了解、システムを起動します」

優の呼びかけに自律AIのフレイヤが答え、その命令どおりに各システムを起動させていく。

「各システムの起動確認…システムチェック…全システムオールグリーン」如月香織が、優に報告する。

「愛香さん、乗組員の配置状況はどうですか?」優が、愛香に通信を繋げるとホログラフスクリーンが開き、そこに愛香の姿が映しだされる。

「大体、振り分けを終えたけど…ある意味、無理矢理よ」

「無理矢理?」

「ええ…例えば、主砲には、戦車の砲撃手や野戦砲の砲手を充てたりとかね」

「あはははっ・・・それは、凄いな~」

「笑い事じゃないわよ!!…砲手に充てた人員だって、ビーストウォーリアが、陸戦や敵艦への白兵戦なればそちらに行かなきゃならないんだから」

「その辺は、フレイヤ(AIの名前)におんぶに抱っこで行くしかないわね」優が、ため息をつきつつ答える。

「そうね…あと、機関部員と技術班になりそうな人は居なかったわ」

「機関部員ニツイテハ、暫くの間は、ドロイドたちにヤラセレバイイデショウ」アナライザーが、フレイヤの操縦席で各システムや計器、操縦桿を確認しながら言う

「うん、其れしか無いみたい…アナライザー以外のドロイド達は、エンジンブロックに移動して下さい」

優に声をかけられたドロイド達は、次々とブリッジから出ていき機関部へと向かって行った。

「フレイヤ、発進シーケンス開始、アナライザー、マニュアルで発進するわよ。フレイヤそのフローを宜しく」

「了解しました」

「姫チャン、マカセテクダサイ」

優の指示にフレイヤとアナライザーがそれぞれ答える。

「アナライザー、私一応、艦長なんだから…姫ちゃんは止めて」優は、艦長席に突っ伏しながら言う。

「ソレハ、難シイデスネ…モウ、癖みたいなモノデスカラ」

「アナライザー…あんたロボットでしょうが…」とジト目でアナライザーを睨みつけるが、

「ソレハ、私ガ、高性能ダカラデス」とどこ吹く風のごとく言う。

「はぁ」優は、ため息をつくと「香織さん、全艦に通達!! 本艦は、これより発進シーケンスに入ります。総員直ちに配置につくように」

「了解」

「全艦に通達、本艦は、これより発進シーケンスに入る。総員配置に付け、もう一度繰り返す、本艦は、これより発進シーケンスに入る。総員配置に付け!!」防衛軍でオペレーターの経験が、在るだけあり中々に様になっている。

「ドック内、注水開始!!」

「ドック内、注水開始します」AIフレイヤ答えると同時にドック内に海水が流れ込んでいく。

「注水率、30%…40%…50%…上部注水管閉鎖便オープン…注水率、70%」

ドック上方の注水弁が開きそこからも海水が、ドック内に注ぎ込まれる。ドックの水位は、ますます勢いを増して上昇していった。

「本艦、完全に水没しました。船体に異常なし」香織が、艦の状況を報告する。

「注水率100%」

「ロック解除!!」フレイヤの注水カウントが100%になったのを聞くと優は、船体の固定アームを解除する。


ガコン、ガコン、ガコン


大きな音をたて次々と固定アームが解除さていく。

「補助エンジン始動…微速前進」

「補助エンジン点火…微速前進」優の指示を受けてアナライザーが、操作パネルを操作し操縦桿をゆっくりと動かしていく。
その動きに合わせ、艦内に重低音のエンジンが響きその力を振るわせるように船体を振動させる。固定アームから開放されたフレイヤの船体が、ゆっくりと動き始める。

「メインゲートオープン」

優の指示と同時にドックのメインゲートが開いて行く。

「第5船速!!」

「波動エンジン出力上昇、微速から第5船速へ」

優の指示を復唱しながらアナライザーが、フレイヤの速度を上げていく。
メインゲートから出るとフレイヤは、深度600メートルの海中にでる。

「第4船速、浮上開始」

「第5船速カラ第4船速へ…艦首30度上ゲ・・・」アナライザーが、フレイヤの速度さらに上げる。

「深度、400・・・200・・・」

「メインエンジン点火、第3船速へ」

「メインエンジン点火、フライホイール接続、第4船速から第3ン船速へ」アナライザーがコントロールパネルを操作するとフレイヤのメインエンジン始動し、海中から飛び出し、その船体を空に押し上げていく。

「第1船速・このまま大気圏を突破します」

海中か爆音を響かせながら飛び上がったフレイヤは、そのまま加速を続け高度をどんどん上げていく。

「第3船速カラ第1船速へ」

「第1船速から一杯へ」

「第1船速から一杯へ」優の指揮に復唱し操縦するアナライザー

「大気圏の突破を確認、地球の引力圏より離脱しました」フレイヤの声が全艦に響き渡った。



優は、メインスクリーン映る地球を見ながら、ここまでは、何度も訓練できた事があるけど…ここから先は初めての世界なんだ。
不意に何とも言えない恐怖と不安が、優を襲った。

宇宙は、神秘とロマンの世界であり、人類に残された最後のフロンティアと言っていいだろう。しかし、同時に死の世界でもある。宇宙船の装甲の一歩外に行けば、真空と放射線の生身の人間が生きることを許さない世界なのだ。
昨夜まで旅行のつもりでいた14歳の少女が、不安になるのも仕方ないことだろう。

しかし、優には、その不安を恐怖を振り払う事が出来ていた。持ち前の好奇心や行動力もその一つなのだろうが、それ以上に自分の道を自分で決める事を許しその背中お押してくれた、古代たちヤマトのクルーが、14歳の少女の船に乗り込んでくれた愛香たちの心が、しっかりと優を支えているのだった。



[32480] 第7話 旅立ち
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/29 04:23
地球の引力圏を脱出したフレイヤは、地球からある程度の距離を取り他の艦船航行に邪魔にならない位置で静止した。

そのブリッジでは…

優は、暫くメインスクリーンに映る地球を見ていた。訓練では、何度も見ている景色であったが…自分の船で見るその景色は感慨深いものであった。
アナライザーは、無言で操作パネルを操作し船の向きを変えた。ブリッジの窓から直接、地球が見える。

優は、艦長席から立ち上がるとブリッジの前いの方にある戦闘指揮席(戦闘班長の座る席)まで歩いていく。ブリッジの窓から見える地球に見入っていた。

ついに、地球から旅立つのね…
旅行気分だったのにまさかコスモアドベンチャーとして…しかも艦長としてこうして地球を見ることになるなんて思ってもみなかったわ。
眼下に見える青く美しい星。度重なる戦火にみまわれ、一度は死の星となった地球も100年にわたる人類のテラフォーミングにより、ガミラス戦役前の地球以上に豊かな自然の星となっていた。

綺麗な星、だけど其れだけじゃない…何度もで立ち上がる人類を育んできた母なる星。

私は、今から母なる星から飛び出してこの無限の宇宙を公開して行くんだ…
持ち前の好奇心でワクワクする反面、未知への恐怖やコスモアドベンチャーとしての選択で起こりうる出来事に対する責任とプレッシャー…
14歳の小娘の船に乗ると言ってくれた愛香やアナライザー達対する感謝と嬉しさと

何時の間にか優は、自分の瞳が潤んでいるのに気が付く…こんな顔見せれないな。

そう思った時だった。

「オービタルリングより『ベガ級、突撃艇』が、本艦に急速接近中!!…数は4隻」

優と同じく地球に見入っていた香織が、レーダースクリーンの点滅に気が付き慌てて叫ぶ。

「接近中の突撃艇のシグナル確認、防衛軍の物ではありません。コスモアドベンチャー…冒険者の船です」

フレイヤが、自分のセンサーで捉えた情報を報告すると同時に接近中の突撃艇をメインスクリーに映し出した。

突撃艇は、150メートルから45メートルの小型艇の事で高速で敵に突撃しその火力をぶつける戦闘艇のことである。
100メートル未満のものは、その防御力は戦闘機に毛が生えた程度でしかない。ただ、ワープが、可能なためコスモアドベンチャーが、最初に購入する船や小さな自治領の警備艇として活躍している。
ベガ級突撃艇は、全長75メートル、武装は小型回転式高出力素粒子砲が2基、艦首ショックカノン1門 2連装パルスレーザー4基、そして船外に波動ミサイル4発を搭載できる。形としては、コスモハウンドを少しシャープにし装甲と砲塔がつき大きくしたような形をしている。小型戦闘機のコスモホークを一機搭載できるため駆け出しのコスモアドベンチャーに人気がある突撃艇である。

「全艦、第一級戦闘配備!! 香織さん!! 至急、接近中の戦闘艇に通信、本艦に近づく目的を」優涙をは拭いながら、矢継ぎ早に指示を出すが、内心は焦りと自責の念が湧き上がる。

(地球に見とれて…対応が遅れるなんて…)

「全艦、第一級戦闘配備!! これは訓練ではない! もう一度繰り返す、全艦、第一級戦闘配備!! これは、訓練では無い」香織の声が、艦内に響き渡る。

「フレイヤ!! 各砲塔起動、アナライザー!!…突撃艇の右翼下、距離7000、回り込んで!!」

優は、指示を出すが…突撃艇に近づかれすぎてる。戦艦ならともかく…駆逐艦クラスのフィールドと装甲じゃベガ級の艦首衝撃砲は脅威だ…

その時、ブリッジに男の怒声が、響き渡った。

「幾ら、不意を付かれたとはいえ対応が遅いぞ!!」

「えっ、えっ」

「その声は、健二君ね…」

突然の怒声に驚いている優とは対照的に香織は、呆れた様に手元のコンソールを操作するとメインスクリーンに加藤健二の姿が映し出される。

「悪い悪い、あまりに隙だらけだったから思わず、急接近しちまった。だが、さっき言った事は本当だぞ…」

「ナラ、ソウイウ悪フザケヲスルトドウナルカ…教エテヤロウカ」

いつの間にか戦闘指揮席に座ったアナライザーが、フレイヤの各砲等を突撃艇に向ける。

「馬鹿野郎…マジで砲塔をこっちに向けるな、突撃艇には、山本姉妹とこその友人の女性パイロット候補生も乗ってるんだぞ」

フレイヤの主砲が、旋回し突撃艇に狙いを定めるのを見て慌てて健二が叫ぶ

「チッ」そう呟くと、アナライザーは操縦席に戻っていく。

「お前、今、舌打ちしたろ!! 口も舌も無いくせに!!」

「健二、話が進まん…こちら突撃艇グラディウス以下4隻、貴艦の指揮下に入る」そう言って通信に割り込んできたのは、麗と詩織の兄…山本隆だ。

年齢19歳、外見年齢は、17~20前後、長めの茶髪が、肩の辺りまできている。妹と同じく戦闘機パイロットとして訓練学校を卒業している。

「えっ、いいの?」優が、思わず素で聞き返す。

「ああっ、俺と加藤、麗に詩織を含めパイロット候補生20名、後は、突撃艦砲手8名、機関部員8名、整備士4名の軽40名だ」隆が答える。

「皆、ありがとう…本当にありがとうございます」優は、頭を下げる・・・うれしくて泣きそうな顔が、見られるのが嫌だったのかもしれない。

「艦長が、簡単に頭を下げるなよ…とりあえず、全員そっちに移りたいから接舷するぞ」

「了解しました…香織さん、全艦にこの事を通達してください。 フレイヤ接舷用デッキ用意して」

「「了解」しました」」有の支持を受け香織とフレイヤ実行する。

「あっ、ところで突撃艇は、どうするの」優が聞くと

「ああっ、4隻とも無人コントロールシステムが付いている、フレイヤでコントロールできるはずだ」

「確認しました、コントロール可能です」フレイヤが答える。

「それじゃ、接舷するぞ」隆は、そう言うと通信をきった。

20分後、突撃艦4隻の乗組員をフレイヤに移し終えると麗と詩織は、ブリッジに来ていた。

「ハロハロ、姫、昨日ぶりー」麗は、ブリッジに来るなり優に抱きつく。

「ちょっ 麗さん」

優が、両手をバタバタさせるが、麗がガッチリと抱きしめていて抜け出せそうに無い。

「お姉ちゃん、まずは報告しないと」

「あっ、そうだったわね、お兄ちゃんと健二、パイロット候補生は、コスモタイガーの格納庫に行ったわ、機関部員これも訓練生だけど、エンジンブロックに向かわせたわ、砲手も整備員の各部署に行かせたわよ」

麗は、自分の近くにフォログラフスクリーンを展開させ、配置した場所映しながら説明していく。
しばらく、艦内の人員配置を見て優は、OKのサインを出す。

「でも、姫も大変よね…コスモアドベンチャーの艦長なんて聞いてなかったんでしょ?」

報告を終えた麗が、優に大変だったねと笑いかける。

「うん、全然聞いてなくてしかも雪風型自律AI搭載艦で一人で宇宙に出ろなんて言われた時は、本当に頭の中が真っ白になったわ」優が、苦笑しながら言う。

「うわ~、近所の散歩じゃあるまいし古代のおじさんも無茶考えるな」詩織が、呆れたように言う

「全く、無茶苦茶もいいところよ、幾ら、雪風型自律AIが優秀だと言ったって一人なんてないわよ」麗が、声を荒らげて言う。

「でも、愛香さんのアナライザーも来てくれたし、麗さんたちも…あれ、そう言えば、麗さん達は、どうしてこのことを知ったの?」

優は、英雄の丘で麗も詩織も健二も愛香が言っていたサプライズの意味を知らなかった事を思い出す。

「あー、私と詩織で宴のあとに愛香さんとアナライザーを追いかけてね」

「うん、それでお姉ちゃんと二人で直談判のつもりで聞きに行ったんだけどね…私たちが口止めされてるのは、姫ちゃんだけだからねって言って、あっさり教えてくれたわ」

「そう、それで、お兄ちゃんや健二に連絡とって、仲間集めて姫を追いかけてきたってわけ」麗が、得意げに言う。

「でも、本当にいいの「姫、私も一緒に来た皆もね、姫と一緒に星の海を行きたいと思ったのよ、それは、姫が可哀想だとか同情とかでなく、共にこの先も一緒に歩いて行きたいからただそれだけの事」

「うん、だから気にしないでね。それより年齢も近いし同じ女だし、何かあれば相談してくれると嬉しいかな」

満足に人員配置もできていない船に乗ることに本当に良いのか心配した優が言おうとした言葉遮るように言った麗と詩織の言葉に優は、嬉しさのあまりまた、涙が滲むの感じながら、二人に抱きつきながら「ありがとう」と繰り返していた。

その後、しばらく優と麗、詩織は、雑談をすると麗たちは、コスモタイガーの確認と整備の為、ブリッジから出ていく。

そして、再び優が、艦長席に座ると

「艦長、これからどうしますか?」

フレイヤが、優に今後の予定を聞く。

「うん、今回の事でやっぱり、私もクルーも経験が足りないことが分かったわ、ビーストウォーリアと医療班以外は、候補生が殆どだし」

優は、そう言うと何かを決意したように続けた。

「なので、ビルトフェルト暗礁宙域にてしばらく訓練をしたいと思います」

「ビルトフェルト暗礁宙域ですか…了解しました」

「香織さんは、全艦にこのことを伝えてください…アナライザー、テストを兼ねて小ワープを行います。ワープ準備」

「了解デス」

香織は、艦内放送でビルトフェルト暗礁宙域で訓練を行うこととワープ準備にはいることを伝える。

「各員配置完了」香織が、報告する。

「波動エンジン出力上昇」フレイヤがエンジンの出力を上げていく。

「ワープ10秒前。9.8.7.6.5.4.3.2.1.…ワープ」

アナライザーが、カウントにあわせコンソールを操作しワープのレバーを引くのと同時にフレイヤは、光に光の航跡を残し消えていた。




[32480] 第8話 訓練開始
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/30 06:55
小ワープに成功したフレイヤは、木星星域に到達していた。その後、船体チェックを行い異常が無い事ないことを確認すると直ちに、大ワープ、連続ワープのテストに入った。

そして、地球を出発して10日後、目的地のビルトフェルト暗礁宙域に到着した。

途中、いくつかの地球型の惑星やテラフォーミングされた星や衛星、コロニー都市などに寄り、コスモアドベンチャーギルドで乗組員の募集をするが、地球を出て数日しか経っていない14歳の少女の船に乗りたがる船乗りなどいるわけも無かった。

居たとしても…コスモアドベンチャーに登録したのはいいが、自前の船も無く、酒場で管を撒いているしかないような奴が、からかい半分で声をかけてくるのが関の山だった。

それでも、人の少なかった機関部、技術部、整備部などの学生があわせて15名ほど名乗りを上げたのは予想外の幸運と言えた。
未熟なのは、お互い様…とりあえずは、ビルトフェルト暗礁宙域での訓練で物にしていけば良いし…とりあえず期間は、3週間を予定しておこう。優は、艦長室で航海日記をつけながら、訓練内容を組み立てていた。

艦長室よりブリッジに戻った優は、艦内放送のスイッチを入れると

「これより、フレイヤは、ビルトフェルト暗礁宙域に突入します、突入後直ぐに訓練を開始します。総員、配置についてください」と指示を出す。

フレイヤは、ビルトフェルト暗礁宙域に突入していった。


ビルトフェルト暗礁宙域は、一応地球連邦領ではあるが地球から58000光年も離れた古戦場である。ワルキュリア人が、多くの惑星を作ったが、無数の独立政権や異性人との戦いで100光年の範囲の星は、全て破壊されていた。戦いが終わり、ワルキュリア人が、新たな星を創るが、戦争のたびに破壊され、これを繰り返すうちに、無数の星の残骸、小惑星やガス帯、無数の宇宙船や要塞の残骸が浮かぶ、宇宙での有数の難所となり、新たに星を創る事も出来なくなっていた。
また、ジャンク漁りや地球連邦の領内としては、宇宙海賊が多く出ることでも有名である。

訓練1日目

「フレイヤ、近距離、中距離、長距離、最大射程にあるデブリに適当にマーキングをしてそのデーターを各砲塔に伝達」

「了解しました」

「まずは、停止状態での砲撃を行います。砲手のいる砲塔は、マニュアルでそれ以外は、フレイヤお願い」

「了解しました」

「一番砲塔、配置完了」
「二番砲塔、配置完了」
「四番砲塔、配置完了」
「コスモタイガー隊、全機発進準備完了」
「医療班、配置完了」
「こちら機関部、総員配置完了」
「技術班、整備班」配置完了

各部署からの報告を聞き

「総員配置につきました」香織が優に伝える。

「全砲、右翼の敵(デブリ)距離8000に照準あわせ!!」

優の号令にあわせ各砲塔が、旋回し始める…

フレイヤの操る砲塔は、直ぐに照準を合わせるが、やはり戦車砲や突撃艇の小型砲しか扱った事が無い砲手にとっては、難しいようで砲塔が何度も左右鈍れるよう旋回させている。

やっと照準をあわせ、砲撃を開始するが命中率は、6割といった所だろう。

その後、微速、通常航行速度、戦闘速度、最大戦速、回避運動を行いながら等、様々な場面を想定しての砲撃訓練を行う。静止状態でも6割程度の命中率だった砲撃が、高速駆逐艦並みの速力を誇るフレイヤが速度を上げる度に命中率が下がっていく。
それに対して、AIフレイヤが制御している砲塔からの砲撃は、命中率100%であった。

「相手は、回避行動もとらない隕石郡にデブリよ、慌てなくていいからよく狙いなさい」優が、まだ慣れていない砲手に落ち着くように声をかける。すると、命中率が少しづつ上がり始めていく。元々、最新鋭艦として造られたフレイヤは、砲撃の制度も高く、レーダーや照準、自動追尾装置も高性能な物を搭載している。その為、余程、緊張してたりテンパっていなければ、、訓練性でもそこそこの命中率をたたき出すことは十分可能なシステムなのだ。時間をかけてそのシステムに慣れ始めるとその命中率もターゲットに照準を合わせるスピードも飛躍的に上がっていった。

また、同時に攻撃を受けた事を想定しての救助訓練に破損箇所の応急修理訓練、それにコスモタイガー隊による、デブリ密集空域での偵察訓練に空戦訓練、戦艦のデブリや小惑星を敵艦に見立てての対艦戦闘訓練など多岐にわたった。
食事と小休憩をはさみ、ほぼ訓練という内容であった。


2日目

1日目と同様の訓練を繰り返す。ぎこちなかった照準も大分スムーズになり命中率も上がってきていた。また、フレイヤと連携も取れてきて咄嗟の場合も目標の大きさ等で個別、同時砲撃など行えるようになっていった。

フレイヤから発進した、コスモタイガー隊は、隆、健二、麗、詩織が、それぞれ4機ずつ率いて計5機で1小隊とし4小隊をつくり、フレイヤ方向に流れてくるデブリ帯を敵編隊に見立てて攻撃を仕掛けていた。

まずは、全機によるロングレンジからのミサイル攻撃を仕掛ける。コスモタイガー隊から放たれた軽80発のミサイルが、次々にデブリに命中し破壊していく

その後、隆と健二の率いる2小隊が、デブリの進行方向の正面から麗と詩織の小隊がその左右から攻撃を仕掛けた。デブリとすれ違いざまにパルスレーザーを浴びせてゆく。コスモタイガー隊が、デブリ帯を抜けるのと同時にフレイヤの主砲から放たれた砲撃がデブリ帯を吹き飛ばした。

一度補給に二フレイヤに戻ったコスモタイガー隊は、補給後直ぐに最出撃をする、今度は、AIフレイヤが操作する無人機のコスモタイガーとの連携訓練を始めるのだった。有人機20機を含む合計61機のコスモタイガーが、次々にフレイヤから飛び立っていく。
「全機に告ぐ…今回の任務は300キロ級の小惑星のクレパスを抜けての奇襲を想定しての訓練だ、先頭は、俺のストーム小隊が行く、麗と詩織の小隊は中央、殿を健二のライトニング小隊で行く、無人機は、有人機に2機づつ付く形で行く」隆の指示が、コスモタイガー隊にとぶ。

「了解・・・先導は、任したわよ」麗が翼を振りながら答える。

「全機クレパスに突入するぞ!!」隆の号令と共にコスモタイガー隊は、その速度を上げて一糸乱れぬ動きで全機クレパスに突入していく。

クレパスは、1000メートル級の宇宙戦艦が4隻並んで航行できる幅があるものの無数の鍾乳石のように突起した岩が柱の様に幾つも並びまたルート迷路のようになっておりコスモタイガー隊は、それらを縫うように飛翔していく。

「ヤバッ、今機体の腹に掠った」麗の小隊の女性パイロットの肝を冷やしたような呟きが通信器から流れる…

それでもスピードを落とさずに機体を岩柱を次々に避けて飛ばしているその技量は感嘆に値するものだった。

そしてクレパスの中でやや広い空間に出た時だった・・・先頭を飛んでいた隆のコスモタイガーのコックピットにロックオン・アラートが鳴り響く

「なんだと!!」突然の警報に機体を旋回させると先程まで居た場所にパルスレーザーが撃ち込まれる。

立て続けに撃たれるパルスレーザーを躱しながら敵を確認すると、小型の戦闘ターゲットドローンの編隊が模擬戦用のパルスレーザーを乱射しながら向かってきていた。

「たく・・・姫もやってくれるな、ストームリーダーより各機へ、どうやら姫からのプレゼントらしい、敵戦闘用ドローン数20、他にも伏兵がいるかもしれん用心しろよ、全機タリホー」

隆の号令と同時にコスモタイガー隊は、猛禽のごとくドローンに襲いかかっていく。戦闘ドローンは、小型で機動性も高いが最新鋭のコスモタイガーD17の性能には及ばずまた、数も20機と少なくたちまち駆逐されえていく。
狭い空間でのドックファイトだったが、奇襲戦ということでコスモタイガー隊は、クレパスから出ることなく高機動戦を行い、撃墜判定をただの一機も受けることなくすべてのドローンを撃ち落としていた。

「伏兵の反応も無いわ」詩織が、最後ドローンを撃墜するとそう報告する。

「見たいだな、各機編隊を組み直せ、もう目標は、目と鼻の先だ、最後まで気を抜くなよ」隆の指揮の元、コスモタイガー隊は、再び編隊を組むとクレパスを進んでいく。

「目標地点でまあと15秒、全機対艦ミサイルのロック解除・・・5.4.3.2.1、全機上昇!!」

隆の号令と共に一斉に急上昇でクレパスから飛び出していく61機のコスモタイガーは、攻撃目標のゴルバ型浮遊要塞の残骸に向け次々にミサイルを放っていった。

「目標の破壊を確認、全機帰投する」隆は、未だに爆発を続けるデブリを見ながらそう言うと機体をフレイヤにと向けたのだった。

その後も、コスモアドベンチャー必須のスキルとして小惑星やデブリ(ジャンク)から資源の発掘や回収訓練も開始する。船体アームや作業艇を出し、小惑星やジャンクから資源を発掘、回収していく。
これまた、なれない作業の為か船体アームぶつけて曲げてしまったり、作業艇を小惑星に擦ってしまったりと逆に壊してしまう場面もあったが、これも整備班や技術班による、修理訓練と教材として利用されたのだった。

3日目

昨日、フレイヤ(AI)に資源回収を続けるように頼み、休んだ優たちは、フレイヤの格納庫、四隻の突撃艇にめい一杯積まれた資源と、発掘中にの小惑星に山のように詰まれた売り物になるジャンクが積まれているのを見ることになる。とりあえず、艦内工場で、大型コンテナを多量に作り、それに入りきらない資材や資源を入れ牽引し最寄のギルド基地に向ったのだが、そこでまた一つの問題が起こったのだった。

スペースコロー群、テキサスサイドにあるコスモアドベンチャーギルド所有のコロニーに入港する。
入港して直ぐに資源やジャンクを買い取るバイヤーが、集まるドックへとフレイヤを進める。
そこで、ギルド、民間のバイヤー達に交渉し売るものの値段を決めるのだが、優が、交渉に行くと、相場よりかなり安く買い取り額を提示してくるのだ。

「レアメタルが、5000クレジット…レアアース3500クレジット、資源、資材、ジャンクが、合わせて6500クレジットってところだな嬢ちゃん」赤毛で大柄な筋肉質の男のバイヤーが、つけた値段は、現在の相場の半値よりやや上と言ったところだ。

「そんな!!…幾ら何でも安過ぎるわ!!」あまりの金額に優がバイヤーに食って掛かる。

チッ、ガキの癖に見たことも無い新鋭艦なんぞのに乗ってるんだ、どこぞの金持ちの嬢ちゃんだろうが…

つまり、年齢的にコスモアドベンチャーの名声的にもフレイヤのような、オリジナルの最新鋭艦もてるはずの無い優が、金持ちの娘の道楽でコスモアドベンチャーの真似事をしているように見られてしまったのだ。

「そんな事は無いぜ、最近この種類の資源や資材はだいぶ安くなってんだ…これでも、初顔合わせってことで大分、レートは良くしてるんだぜ、贔屓にして貰いたいからな」バイヤーは、内心とは裏腹に人のいい笑顔を浮かべて言う。

「えっ、でも」と優が、何かを考えるように口ごもるのを見て

バイヤーは、後一押しと思い言葉を続けようとするが、その時、バイヤーの後ろから男が話しかけてきた。

「ほう、いつからそんなに安くなったんだ?、これじゃ、海賊船を拿捕して売っても弾代にすらならないな」

「あん、誰だ言い掛かりを付けるのは!!」バイヤーが、商売の邪魔をした声の主の方に振り向き啖呵を切るが、その姿を見ると見る見るその表情を強張らせていく。

「随分、アコギな事をしてるじゃないか」

「アモンの旦那…この嬢ちゃんと知り合いで?」恐る恐るといった感じでアモンに聞く。
 
「ああっ、俺たちの雇い主だ」

「この、嬢ちゃんが」驚いたように優を一度見ると、アモンに向き直る。

その後、アモンとバイヤーとの値段交渉が始まり、結果的に総金額26000クレジットの収入になった。それでも相場並みかやや低いぐらいであろう。

優は、稼いだお金を使い弾薬・食料・消耗品・乗組員の娯楽用品などを補給すると再び訓練に戻った。



4~9日目

砲撃、対空訓練、高機動回避運動、比較的損傷の軽い廃艦を使っての修理や改造訓練、フレイヤとコスモタイガー隊の連携攻撃訓練、艦内に敵が侵入したと想定した白兵戦訓練などその訓練は、壮絶を極めていた。

艦内食堂で食事をしていた、愛香や隆、それに付き合っていたアナライザーが、「「優「姫」ちゃんは、確かに古代さんの血を引いてるぜ(わ)」」と愚痴るほどであった。

また、採掘やジャンク回収訓練も行い、訓練後の休憩時間や睡眠時間中は、フレイヤが引き続き行うことで、2日に一回は換金する事が出来ていた。


そして10日目

いつものように訓練をしているたのだが、香織が、奇妙な通信波をキャッチした。

何これ…SOS…救援要請!!

「艦長、ビルトフェルト暗礁宙域、D117フィールド・ポイントF143空域よりSOS信号受信…救援要請です!!」香織が叫ぶように報告する。

「どこからの救援要請なの?」

「それが…通信の出力が低い上にどうやらレーザー通信のようで…そこまで…」香織が申し訳なさそうに言う

「レーザー通信!? …非常時にレーザー通信なの超空間通信でなくて」優が、聞き返す。

星間を旅する宇宙船には、基本どんな文明LVの惑星とも通信が出来るように各種、通信装置が、搭載されているが普通星間内を航行する船は、光より早い超空間通信を行うことが普通で緊急時にレーザー通信を悠長に送る事はまず無いと言っていい。

超空間通信機が壊れているか、超空間通信以外でこちらの通信装置で対応不可能な超光速通信法があるのか、超空間通信の技術がないのか…1番以外は、アンノウンの確立が大…

でも、救援要請をキャッチしたのだから…やっぱり助けないと


「香織さん、全艦に通達、本艦は、救援信号をキャッチした為、現場に急行する。場合によっては、戦闘もありえる。各員、配置に付くように」優が、そう指示を出すのと同時に香織が、全艦に通達し、アナライザーが、フレイヤを発信させる。

優は、この後、最初の運命の出会いをするのだった。



[32480] 第9話 異世界よりの来訪者
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/03/30 06:57
UC0093、第二次ネオジオン抗争

アムロとシャアUCを代表する2人のニュータイプの宿命の戦いも最終局面を迎えつつあった。

二つに割れ地球に落下していくアクシズの後部を無謀にもMSで押し上げようとするアムロ。

「無駄だ、アムロ」

「黙れ!! シャア…たかが、石ころ一つ、νガンダムは、伊達じゃない!!」

νガンダムのパワーを全開にすると背中のテールノズルから光の尾が伸びる。
そのアムロの意思を反映させるかのようにνガンダムから淡い光の帯が伸びていく…
それに呼応するかのように、ジェガンが、GMⅢが、νガンダムの周りに集まりアクシズを押し戻そうとする。

先程まで、このアクシズを地球に落とそうと戦っていた、ネオジオンのギラ・ドーガまでがその輪に加わりエンジンを全開にしていた。
爆装している機体もある、いつ爆発してもおかしくない機体もある。

「だめだ、摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞ!」アムロが、叫ぶが

「地球がダメになるか成らないか・・・・やってみる価値はありますぜ!!」今にも爆発しそうなMSに乗っているパイロットが吼える。

「何が起きているのだ…チッィ、メインカメラが死んでいるとは」その時、シャアは、地球を救おうとする多くの人の思を感じた。何だこの暖かさは…

「そうか、しかし、この暖かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ、それを解るんだよアムロ!」

「わかってる、だから世界に人の心の光を、人が変われるということを見せなければならなのだろう、シャア!!」

「クエスは、ハサウェイと分かり合える事が出来た。貴様にマシーンにされたクエスですら変わることが出来たんだ…そして今、このアクシズを押し戻そうとしてるMSのパイロットたちもだ」

「そうよ、人は、変わることが出来るわ…たとえ一人じゃ無理でも人と分かり合っていく事で」

破損したαジールから、ピンクのヤクトドーガに乗り換えたクエスが、アクシズに取り付きスラスターを全開にする。

「そうだよ、人の心を…人は、分かり合えるんだってとを」ハサウェイが、叫ぶ

アムロのクエスのハサウェイのアクシズに取り付くパイロットたち強い意思をサイコフレームが共鳴するように光り輝きνガンダムから漏れる輝きが、アクシズを包み込むように強くなる…と同時にガラスが砕けるような音とともに光の膜が砕けると・・・そこには、アクシズもそれを押し戻そうとしていたMSも1機残らず消えていた。まるで最初から何も無かったように跡形も無く…





「ここは・・・アクシズは、地球はどうなった!!」

サイコフレームの共鳴による光の爆発のような現象後、どうやら気を失っていたらしい。
アムロは、慌てて機体のチェックをする。酸素の残量から気を失っていたのは10~15分ぐらいだということが分かった。

「機体に異常は無いが…此処はどこなんだ、地球も月も見当たらないとは」

アムロは、νガンダムのセンサーと通信装置をフルに使い索敵と通信を送るがブライトにも通信は繋がらず、ラーカイラムも見つける事は出来なかった。

「アムロ!! いるの、いたら返事をして」

「クエスか!! どこにいるんだ」

「アクシズにいるわ、ハサウェイもシャアも皆もいるわ」

「皆?」

「うん、アクシズを押し戻そうとした皆よ」

「アクシズは・・・あそこか、今行く」

アムロは、アクシズを見つけるとその方向へνガンダムを操縦していく。

…しかし此処はどこだ??・・・異様な数の小惑星…アステロイドベルトか、それに見たことも無い宇宙船の残骸は何だ…明らかに戦闘艦のようだが…
アムロは、周りに漂う残骸を見ながら疑問だらけのこの状況を少しでも整理しようと頭を働かせるが周りを見れば見るほど混乱していく。

…円盤型に芋虫のような戦艦…円盤に無理矢理水上艦の艦上部の構造をつけたような船、中には、宇宙より海上が似合いそうな戦艦の姿も見える。どの船もまったく見覚えが無い…あの巨大な土器みたいな形のアレは船なのか…ゴルバ形浮遊要塞を見て思わずつぶやいてしまう…


アクシズに到着したアムロは、クエスのヤクト・ドーガに先導されこの場所に飛ばされてきた人たちが集まる場所に案内された。
そこには、100機近いMSが集結していた。シャアもアクシズと共にこの場に飛ばされた破壊されたムサカから、無事だったギラ・ドーガを引っ張り出しそれに乗ったらしい。

「シャア、此処はどこだ?」

「私にも分からんよ…ただいえる事は、周りにある残骸に見覚えがあるものは無いというだけさ」

「そちらも同じか…」

アムロとシャアが考え込むように押し黙るとνガンダムにハサウェイのジェガンが近づいてくる。

「アムロさん、それよりあって欲しい人がいるんです」ハサウェイが、言う

「あって欲しい?・・・誰にだ?」

「アレを見れば分かります」

「うん?・・何だ…リ・ガズィじゃないか」

「アムロさん、ロンド・ベルのリ・ガズィは、半壊状態ですよ」

ハサウェイにそういわれ改めてみるとBWS形態のリ・ガズィに破損箇所は見られなかった。

「大尉、此処はどこなんですか?」

リ・ガズィからアムロに通信が入る。

「その声は、ケーラか!?」

「何ですか、そんなに叫ばなくても聞こえますよ」

行き成り怒鳴るような口調で名前を呼ばれ驚いたようにケーラが答える

どう言う事だ、ケーラは、確かに死んだはずだ、其れも自分の目の前で強化人間の手にかかって…

その後、ケーラと話してみるとどうやら、自分たちと違う世界…平行世界、つまりパラレルワールドのケーラとしか思えないと言う事が分かった。

何の冗談だ!! これは、売れないSFファンタジーじゃあるまいし…
アムロは、思わず心に中で愚痴る。

「信じられません…大尉が、私の知っている大尉ではなく、別の世界の大尉なんて」

ケーラが、信じられないという表情で言った声は少し震えていたかもしれない。

「ああっ、俺も信じられないよ…だが、ケーラの話を聞く限りそうとしか思えない」

「何故ですか!!」

「俺が、居たロンド・ベルは、ラー・カイラム他、グラップ級が、数隻という規模だ」

「そんな、5thルナが、地球に落とされてから、大規模な増援が来たはずです!!」アムロの言う事が信じられないのかケーラは、半分怒鳴るように声を荒げて言う。

「ああっ、聞いたさ、ネィル・アーガマにラー・ディッシュ級3隻・アレキサンドリア級6隻・グラップ級4隻・サラミス改が15隻・アルビオン級2隻が増援に着たんだろう?」

「はい、増援と合流後、条約を破棄しアクシズを地球に落とそうと移動を開始した…ネオジオンとの決戦に出発しました。私は、リ・ガズィで先行偵察に出たのですが、途中、行き成り光に包まれて」

「此処にいたわけだ」

「はい」

「しかし、ケーラが、居なくなったとなると、その世界のロンド・ベルのは、MS編成も苦労しそうだな…まあ、数で押し切れそうだが」

アムロハ、もし自分たちの世界でケーラが、決戦前に居なくなって居たらと考え身震いする。

「何を言って…そうですね…大尉の世界では、増援が無かったんですね」

「ああ」

「私の世界のロンド・ベルは、増援の中に艦船だけ無くMSとパイロットも当然、補充されています」

「なるほど」

「カミーユがZⅡでジュドーが、フルアーマーZZ・ルー・エル・ビーチャ・モンド・イーノ・ファはリ・ガズィでプルⅡが、キュべレイで加わっています。それにデラーズ・フリートとの戦いで活躍された、不死身の第4小隊やコウ・ウラキにキースと言った歴戦の猛者も居ましたから」

「…まったく、俺たちの世界もそれだけの援軍をよこしていれば…こんな事にはこんなことには成らなかったかもしれなかったのにな・・・・」

「大尉、どういうことですか?」

アムロは、ケーラにこの場に来る前に起こった事を説明する。

「アクシズをMSで押し戻そうとする事自体…無茶苦茶ですよ!! その時に、サイコフレームが異常反応していたからとそのせいだとは言えないでしょう?」

「まぁ。そうなんだがな」

あの時の感じた感覚は、常識を超えていたのも確かだ…しかし、異世界のケーラが、居るという事は…

「シャア…もしかしたら此処は…」

「私たちの居た世界とは違うといいたいのだろう?」

「シャア」

「そこのリ・ガズィのパイロット、ギュネイが殺したはずだからな」

「!?」自分が、殺されたと聞いてケーラ派、驚きの声を上げる。異世界の事とはいえ…気分の良いのもではないのだろう。

「知っていたのか?」

「ギュネイは、隠していたがな・・・アムロ、私は、そこまで甘くは無いよ」

「とりあえず、今は、生き残る事を考えよう、兎に角、酸素と水、食料の確保だな…アムロ、今はお前が指揮を取れ」

「シャア何を言って「私は、隕石落としの罪人だ、しかもここにいる大半は、連邦のパイロットだ、分かるだろうアムロ?」

アムロの言葉をさえぎりシャアが言う。

その言葉通りで連邦のパイロットからは、シャアに対して明らかに敵意を向けるものまでいる。

「了解した。とりあえず生き残る為に探索する人数は、ひとりでも多いほうがいい…皆もいいな、とりあえず此処がどこなのか…そして、酸素の残っていそうな、船を捜してくれ」

そうアムロが、言った時…突然GMⅢの1機が爆発する。

「何だと!!」

シャアが、慌ててビームマシンガンを構えると数十機の見たことも無い戦闘機がMS部隊に攻撃を仕掛けてきたのだった。

芋虫型の戦闘機や円盤型戦闘機が、次々にMSに襲い掛かる。

MS部隊も反撃するが、戦闘機のスピードが、速すぎるため命中しない。

「なんてスピードだ、まるでMSが、レシプロ機だ」アムロが叫ぶ

「デブリや小惑星が密集している所に逃げるんだ、小回りならMSの方が上だ、相手スピードを殺せる場所に行くんだ」シャアが吼えるように言う。

その間にも、次々とMSが、蜂の巣にされ撃墜されていく。

「うわー、逃げ切れない…誰か助け、がぁぁぁぁ」シェガンのパイロットの悲痛な叫びともに火球の花が咲き命が一つ失われていく。

何とか小惑星やデブリが、密集している場所に逃げ込むMS部隊、それを逃がすまいと戦闘機もまた、次々に小惑星帯に突入していく。

アムロは、νガンダムの背を小惑星につけると、息を殺しタイミングを測る。芋虫型戦闘機が、小惑星を回避し通過しようとした時、丁度、νガンダムの頭上を通過する形となりその瞬間を狙いビームサーベルで切り裂く。
真っ二つになり爆発する芋虫型戦闘機を確認することなく、アムロは、GMⅢの後ろに付いた円盤型の戦闘機にビームマシンガンを向ける。かなり距離が離れていたが、その狙撃と言ってもいい攻撃は、寸分の狂いも無く円盤型の戦闘機にまるで吸い込まれるように命中する。

「次ッ」は、そう叫ぶとνガンダムを追われている味方機の方へと向けた。


「糞ッ、後ろを取られた…」ケーラは、BWS形態のリ・ガズィで振り切ろうとするが、相手のスピードが桁違いに速いため早々に追いつかれてしまっていた。

ケーラは、機体を左右に振ったり障害物の合間をすり抜けたりと逃げ切ろうとするが、相手は、ぴったりと後ろにつけておりしかも追跡機は、2機に増えていた。

駄目だ…やられる。そう思った瞬間、後ろの2機が黄色いビームに撃ち抜かれ爆発する。

「なっ」思わず驚きの声を上げるケーラに近づいてくるギラ・ドーガより通信が入る。

「間に合ったようだな、怪我は無いか?」

「シャア・アズナブル!!」

「無事なようだな…ケーラと言ったか?」

シャアは先程のアムロとの会話を思い出しながら確認する。

「私は、まだ貴様を信用もしてなければ、許していない、気安く名前を呼ぶな!!」ケーラが吼える。

ケーラにとってのシャアは、隕石落としの罪人であり何人もの戦友を殺した張本人である。
戦友殺しについては、敵味方に分かれれば命を殺りあう…それが戦争だ、理屈は理解してても感情は、そう簡単に納得はできない。
そもそも、そんなに簡単に納得できるのなら報復(戦争)など起こるはずも無いのだから・・・

「それでかまわんよ、ただ今は、この危機を乗り越える為に協力するしかないのだ、そっれは、分かるだろう?」

「そんな事は、分かってるんだ」

「なら、それで良い、行くぞ!!」

「命令するな!!」そう言いながら、ケーラは、シャアのギラ・ドーガと共に味方の援護に向かった。



その後もMアムロのやシャアの狙撃やクエスのファンネルで何機か堕とすことが出来たが、MS側の被害は既に半分の50機を超えていた。

「このままでは・・」アムロがそうつぶやいた時・さらに後方から高速に接近してくる機影をレーダーが捉えた。

「トドメを刺す積もりか」そう思いビームマシンガンを構えるが、コックピット内に響いた声はその予想を大きく裏切るものだった。

「こちら、コスモアドベンチャー・フレイヤ所属、コスモタイガー隊、加藤健二、そちらの救援信号をキャッチした援護する」

「同じく、フレイヤ所属、ピクシー小隊隊長、山本麗、援護します」

「以下同文 フェアリー小隊隊長 山本詩織です。援護します。…全機突撃!!」

3小隊15機のコスモタイガーが、MSを攻撃していた、芋虫方戦闘機や円盤型戦闘機に猛禽のごとく襲い掛かっていた。

突然のコスモタイガーの来襲にまったく対応できない芋虫方戦闘機や円盤型戦闘機は、次々に撃墜されていく。

「見ろよ。大型ロボットだぜ、かっけーー」そう喜ぶ健二に

「興奮するのは良いけど、後ろが疎かになってるわよ」

MSを見て興奮し注意がおろそかになった…健二の後ろに張り付いた円盤型戦闘機を麗が撃ち落す。その時だった麗のコスモタイガーの後方に野太いビームが伸び芋虫形の戦闘機を貫き爆発する。

…あの距離から狙撃したの…よっぽど、ライフルと機体がいいのかそれとも腕がいいのか…ビームを放ったであろう白と黒のモノトーンでデュアルアイのロボットを見る。

10分後全ての敵機を撃破した頃に純白の戦闘艦フレイヤが到着した。

「こちら、コスモアドベンチャー・フレイヤ艦長の織姫優です。SOS信号を聞いてきました」

「こちら、地球連邦軍ロンド・ベル所属、アムロ・レイ大尉だ、救援感謝する、こちらは、酸素も残り少なく出来れば救助・・・保護して欲しいのだが」

「了解しました。後10分ほどで本船団所属の輸送船がきますのでその船ならそのロボットも搭載できると思います。」

資源の発掘やジャンクの回収でためたお金でよりジャンクの回収の効率化を図る為500メートル級の輸送船を購入したのだが、それが役に立ったようだ。

輸送船が到着すると両サイド大型格納庫に次々とMSが、着艦していく。

「申し訳ありませんが、そちらの代表者と話がしたいので何名かは、本艦の方へ来ていただけますか?」優が、アムロ達に会談を申し込む

「了解した、こちらも聞きたい事が山ほどあるからな、そちらの申し出を受けさせていただく」

アムロはそう答えると

「シャア、ケーラ・クエスは、一緒に来てくれ」

「僕も行きます!!」アムロが、メンバーを決めるとハサウェイも名乗りを上げる。

「分かった、ハサウェイも来い、他のメンバーいいな」アムロは、そう言うと機体をフレイヤに向けた。






ちなみにクロス元は、GUNDAM EVOLVE 5 RX-93 ν GUNDAM です



[32480] 第10話 アムロ…未知との遭遇
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/04/01 23:19
アムロは、νガンダムのモニター越しに自分たちを助けてくれた戦闘機部隊…コスモタイガーと言ったか…の母艦と思われる、《戦艦》フレイヤを見ていた。グラップ級いや、ホワイトベース…ネェルアーガマより大きいな、ラー・カイラムほどではないが自分達の世界なら間違いなく艦隊旗艦クラスの戦艦だ。

白を基調とした海上艦のように連装の砲塔が艦橋を中心に艦の前後に睨みを利かすように付いている。しかもそのサイドにカタパルトブロックではなく空母クラスの艦艇がくっ付いているのだ。いわいる、三胴艦という奴だろう。これだけの船を所有するコスモアドベンチャーという組織は一体…

アムロの分析は、検討外れなのだが、其れも仕方のない事だろう。
アムロ達の居た世界では、コスモアドベンチャーという宇宙の冒険者など居なかったからだ。そもそも、太陽系の木星域が活動限界のUC時代では、冒険者の意味など無いといっていい。精々、スペースクルザーでコロニー付近を飛ぶ金持ちがいるくらいで個人所有の軍艦など無いと言いっていいだろう。

しかも、先程、通信したフレイヤの艦長…明らかに少女だったぞ、いくら女性の年齢は読みにくいとはいえどう見ても10代だ…しかも下手をすれば半ばぐらいにも見えたぞ。
ブライトもホワイトベースの艦長就任時は19歳だったが、あれは、艦の軍人が先の戦闘で皆戦死した為、残った士官がブライトのみだったためだ…

MSをも圧倒する高性能戦闘機、艦隊旗艦並みの戦艦を所有する聞いた事も無い組織、その艦長が、10代半ばから後半の少女、警告もなしに攻撃してきた謎の敵に異世界…
考えれば考えるほどに頭を抱えたくなる。

アムロは、νガンダムから通信ワイヤーを発射しシャアのギラ・ドーガと接触回線を繋ぐ。

「シャア、この後どうする?」

「どうするも無いだろう、こちらは、酸素も推進剤も切れ掛かっている。今は、フレイヤの誘導に従うしかあるまい」

「ああっ、それはそうなんだがな…どうも相手が読めなくてな」

「それは、私も同じだよ…あの優と言う少女が、あの船の艦長かも怪しいものだしな」

「どういうことだ?」

「なに、ミネバのことを思い出しただけだ」

シャアは、フレイヤの艦長が、子供と言っていい優がしている事で一瞬、ミネバのことを思い出していた。

ジオン公国を支配していた、デギン・ザビの次男、ドズル・ザビ、その娘、ミネバは、ネオ・ジオンの象徴として大人たちに物心付く前から利用されていた。
外界と隔絶したアクシズという世界で教育と刷り込みにより、偏見に満ちた少女となっていた。
その時のことを思い出し、苦虫を潰した表情浮かべる。

「成る様にしかならんか、歯がゆいな」

「珍しいな、貴様が、そんな事を言うとは」

「茶化すな、アムロ!! 交渉材料もなければ、命が助かる為には何としてでもフレイヤに保護されなければならんのだ…」

「そうだな…シャア、正直貴様が、やった事は許せない、だが、状況が状況だ頼りにさせてもらうぞ」

「了解した、アムロとりあえずは、フレイヤの誘導に従おう…その後は、慎重にこの世界の情報を聞き出すんだ」

「分かっている…ケーラ、クエス、ハサウェイ…着艦体制に入るぞ、MS用のカタパルトデッキじゃないからな。慎重に行けよ」

「「「了解」」」

5機のMSは、フレイヤ左舷空母ブロックの滑走路の誘導灯に向かって進んでいった。





「4機のロボットと大型戦闘機1機が、本艦に接近してきます。彼らが此方と会談する一行のようね」香織がレーダーを見ながら言う。

「メインスクリーON」優が指示を出すとフレイヤが、メインスクリーン、ホログラムスクリーンを起動させ近づいてくるMSを映し出させる。

黒と白のモノトーンのロボット、デュアルアイに角…たぶんアンテナだろうけど何でVの字であんなに目立つ位置なのよ。
緑のモノアイにピンクのモノアイのロボット…
それに緑のモノトーンの機体に近い形のロボット…

本当に人型の機動兵器なんだ…

優は、近づいてくるMSを驚いた表情でみていた。人型機動兵器などそれこそSFアニメや映画にしか出てこない夢物語の兵器だからだ。

それにしても、コスモタイガー隊からの映像を見た優は、あのロボットが、星間戦闘用の兵器とは思えなかった。戦闘機の中でも対艦戦闘に主眼を置いた芋虫型戦闘機は、その重武装ゆえに他の戦闘機に比べ、スピードが劣るのだが…あのロボットは、其れにすら全く追いつく事が出来ずにいたからだ。それに技術班の解析では、ロボット使用している、粒子兵器では戦闘機はともかく艦船には、駆逐艦クラスですらダメージを与えるの困難とのことだった。

技術形態が、違うだけではなく、まるで過去から迷い込んだような印象が受ける。優が、MSを見て感じた第一印象がこれであった。

「フレイヤ、左舷滑走路にあのロボットを誘導して、滑走路誘導灯点灯」

「了解しました。誘導ビーコンを送ります」

「海賊の戦闘機の母艦が、まだ近くにいるかもしれないわね…隆に連絡、小隊各員に無人機2稀づつ付けて、周辺の哨戒にあたるように」

「了解、隆さん…ストーム小隊は、無人機を2機づつ付けて哨戒任務に就いて下さい」

「こちら、山本、了解した。…ストーム小隊各機出るぞ」

香織からの連絡を受け、隆がコスモタイガーのコックピットに飛び乗る。

「ストーム2、了解」
「ストーム3、了解」
「ストーム4、了解」
「ストーム5、了解」
隆の小隊である、ストーム小隊の隊員たちも手早く発進準備を整えていく。

「無人機、重力カタパルトに移動…発艦準備完了」
無人のコスモタイガーも整備員とフレイヤのコントロールにより右舷の滑走に移動していく。

隆たちストーム小隊が、次々に発信すると無人機もその後追うように発艦していった。

「各機、無人機を連れて散開、索敵を開始しろ」隆の号令のもとストーム小隊は、それぞれの担当エリアに散っていった。


「ベガ級突撃艇は、コスモホークを発進させて輸送艦の直衛に当たらせて」

コスモタイガー隊が偵察に出たのを確認すると優は、海賊の来襲を警戒し無人コントロールの突撃艇に指示を出した。

「総員、第一級警戒態勢…足の短い芋虫が居たんだから…近くに敵船がいる確立は高いわ…気を引き締めるように…愛香さん、アモンさんは、ロボットのパイロットの出迎えをお願いします。その後は、ブリッジに案内してください」

「分かったわ」
ホログラムスクリーンに映る、愛香が答える。

優は、着艦態勢に入ったロボット見ながらどう相手の情報を聞き出そうか考えていた。



アムロ達は、フレイヤの誘導ビーコンに従いMSをフレイヤ左舷の飛行甲板に着艦させた。
その後、技術班の隊員の誘導に従いながら大型機用のエレベーターを使い艦内に入った時、急に体が重くなるのを感じた。

何だ!!…突然の事で一瞬罠かと慌てるが、その後は特に何も無く、体の重みも次第になれたのか違和感は、無くなっていた。
何だったんだ今のは、

「アムロさん」

「何だ? ハサウェイ」

「此処、重力がありますよ…さっきの体が重く感じた時に慌ててしまってコックピット内で立ち上がってしまったんです。そしたら、体が浮くことなく立ち上がれたんです!!」

ハサウェイの言葉を聴き、アムロもまた、立ち上がってみるが確かに無重力状態での浮遊感がまるで無かった。

シャアやケーラ、クエスも同様のようで驚きの声が聞こえてくる。
ますます、SFファンタジーだな…遠心力での人工引力でなく重力発生装置なんてものが本当にあるならな…アムロは、自分たちの常識がまるで通用しない事に頭を抱えたくなる。

だが、こんな事で驚いていた事が馬鹿馬鹿しく思えるくらいの衝撃を受ける出会いが待っていることをアムロは、知る由も無かった。



MSから降りたアムロ達は、自分たちを迎えに来てくれた人物を見て固まっていた。あまりの事に思考がついていかずに、頭の中が真っ白になっていた。
自分たちに話しかけてきた、セミロングの黒髪を無造作に後ろで束ねている眼鏡をかけた、アジア系の美女は、固まっている自分たちを不思議そうに見ているが、アムロもシャアもそんな事に気が付かないほど混乱していた。

愛香と名乗った、アジア系の美女の隣にいる人物…人物と言って良いのかも甚だ疑問だが…それを見たとき暫く思考が停止してしまっていた。

そこに居たのは、2メートルを超える巨体を重そうな装甲服で包み仁王立ちしている、ワータイガーだったからだ。

「俺の顔に何か付いているのか?、それともリシュタス人を見るは、初めてなのか?」ワータイガーの男…アモンが、問いかける

アモンとしては、笑顔で言ったつもりなのだが、それを見たケーラは、「ヒッ」と小さな悲鳴を上げるほどおびえていた。

「すまいな、私たちは、リシュタス人というの聞いた事が無いし、貴方の様な種族ともあった事が無いのだ」シャアが答えるとアモンは、ぞれじゃ仕方ないかと肩をすくめながら言う。

「とりあえず、こんな所で立ち話もなんだし…ブリッジに案内するわ…艦長も待ってるしね」

愛香は、そう言うと先導するように歩いていく。

アムロ達もその後を付いて歩いていくが、あまりに想定外の事が立て続けにおきたため…暫くの間、誰一人として一言も話す事は無かった。



[32480] 第11話 会談その1…隕石落としの男
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/04/15 03:05
愛香の案内でブリッジの向かうアムロたちは、暫くフレイヤの艦内を歩いていた。

「やはり、重力があるな、感覚は地球やコロニーに居るのと変わらない…」

「ああ、そのようだな…船の通路全て遠心力による人工引力とは思えん」

「と言う事は、やはり重力制御なのだろうな」

アモンとの衝撃的な出会いからようやく立ち直ったアムロとシャアが、小声で話しているとそれにケ―ラとクエスが話に加わっていく。

「大尉、ここは、やはり異世界なんですね…あの愛香と言う女も地球人じゃないのでしょうか?」
リシュタス人のアモンを見たショックからまだ立ち直れないのか、その隣を歩く自分たち同じ容姿の愛香もまた、自分たちとは大きく違う種族なのではないかとケ―ラは考えていた。

「わからないさ…そもそも、この世界に地球があるかどうかも分からないんだ」

アムロは肩すくめながら言う。

「アムロ、でも、あの人たちからは嫌な感じはしないわ、私も最少は驚いたけど…悪い人たちじゃないと思うわ」

クエスが、アムロの腕に抱きつきながら言う

「それは、ニュータイプの勘ってやつかい?」

ケ―ラが、それを見て少しムッとしたように言うが

「ははは、ケ―ラ、ニュータイプは、そんな便利なものではないさ、だが、俺もあの二人からは、嫌なプレッシャーは感じられないな、シャアはどうだ?」

「ああ、私も彼らからは、妙なプレッシャーは感じないな、だからと言って彼らが悪人ではないとは言い切れんがね」

「違いない、何が起こるか何が出てくるか見当もつかないからな、油断せずにいくぞ」

アムロの言葉に皆、小さく頷くのだった。



異世界ね…アムロたちにとっては細心の注意を払った密談(ヒソヒソ話)も人間をはるかに凌駕する聴覚を持つアモンにとっては、丸聞こえであった。

重力制御であれだけ驚いているのだから、彼らには無い技術なのだろう。
だが彼らは、地球連邦軍ロンド・ベルと名乗った。しかし、アモンは、傭兵という職業から兵器関連の知識はかなり詳しい方だが、地球連邦に人型機動兵器が実在したという話を聞いた事はなかった。
つまり、パラレルワールドからの来訪者と言うことか。しかも、話を聞く限りじゃ、異星人との交流も無い様だしな、異世界から来訪した同胞か…

うちの艦長も宇宙に出て20日目でまたえらい拾い物をするもんだな。
それが、強運なのか悪運なのか…
アモンは、ニヤニヤと笑いながらそんな事を考えていた。


「ようこそ、駆逐艦フレイヤに」

ブリッジに到着したアムロ達に艦長席から立ち上がった優が、右手を差し出しながら近づいていく。

「地球連邦軍ロンド・ベル所属、MS部隊隊長アムロ・レイ大尉です、救援と救助に感謝します」

「ネオ・ジオン総帥、シャア・アズナブルだ・・・と言っても今は、ただのMSパイロットだがな」

「ロンド・ベル所属、MS第12小隊長のケーラ・スゥです」

「ハサウェイ・ノアです」

「クエスよ、よろしくね」

アムロとシャア、ケーラは、軍人らしい敬礼をし優の差し出した右手を取り握手をする。

ハサウェイは、美少女で其れも健康的でスタイルのいい優にかなりドギマギした様子で握手をする際には顔を真っ赤にしていた。

クエスは、優と握手をしながら「あなた、何だか不思議な感じがするわ」と微笑む。

アムロ達の自己紹介を受けて優たちも自己紹介をしていく。

「コスモアドベンチャー、織姫優です。この船団のを率いています。また、船団旗艦の駆逐艦フレイヤの艦長をしています」

「ちょっとまってくれ、この船が、駆逐艦なのか?」

アムロは、自分が戦艦…其れも艦隊旗艦クラスの大型戦艦だと思っていただけにそれが、小型艦である駆逐艦だといわれ思わず聞き返していた。
シャアも相手の性能的に自分達より技術的に進んでいる相手だと考え、自分達の船より大型化されている可能性を考えていたが、せめて、グラップ級やムサカ級といった、艦隊の中核をなす巡洋艦クラスだと考えていた。
それを駆逐艦といわれやはり驚いた表情を浮かべている。

他の面々も似たような表情で驚きを浮かべていた。

「ええ、新造艦ですが、駆逐艦ですよ」

と優が、何で驚いているのだろうと訝しげに答える。

此処に来るまでの間にアムロ達の密談を聞き唯一、事情を知っているアモンだけが、その様子を見てニヤニヤ笑っていた。
信じられないといった表情を浮かべるアムロたちに

「自己紹介を続けるけどいいかしら?、全身全科医の佐渡愛香よ、医療班の班長をしているわ」

「看護師長の小野礼香です」

「オペレーター兼看護師の如月香織です」

「ワタシハ、アナライザー…万能型アンドロイドデス…今ハ、操舵士ヲシテイマス」

「俺は、白兵戦隊のビーストウォーリアの団長アモンだ、宜しくな」

「自分は、デルファだ、ビーストウォーリアの副団長をしている」ワーフルフ形のリシュタス人が。器用にウィンクしながら言う

「私は、鮎川リリアです。あなた方は、ファーストネームが先に来るのかしら? もしそうなら、リリア・鮎川になります。」

そういったのは、明るめの金髪に近い茶髪を腰のあたりまで伸ばした。美しい少女だ…だが、頭に猫耳がり、腰からは猫の尻尾が生えている。
リリアは、猫型のリシュタス人と地球人の混血で1/8ほど、リシュタス人の血をひいている。その為、外見がほぼ地球人の外見だが耳と尻尾があり、リシュタス人としての鋭敏な感覚と反射神経を備えている。似たような外見の種族にキャーティア人がいるが、まったくの別の種族である。

「私は、ブリッジ保安員兼レーダーを担当しています」

えっ?…リリアの言葉を聞き優は、一瞬疑問の表情を浮かべるが愛香から機密通信が入る。スーツの襟に内蔵された通信機は、短距離なら思考通信も可能で声に出さなくても通信できる優れものである。

「リリアの事だけど、今日の訓練後に優に紹介して艦橋要員に配置してもらう予定だったのよ…香織が、レーダーから通信から一人でやってるのも負担が大きいしね」

「それに、リリアは、混血が進んでいて地球人に比べれば身体能力はかなり高いが、俺達純血のリシュタス人に比べるとどうしても劣るからな…普段は、俺達と共に作戦行動をする他種族の白兵戦部隊の指揮をとったりするんだが、今は俺達以外の白兵戦部隊もいないからな」とアモンが、説明する。

「そこで、強襲揚陸艦のレーダー部員の班長をしていた事もあるから、姫ちゃんの護衛も兼ねてブリッジ要員にしたわけ…今は、正体不明の一団を艦に乗せた事でもあるし、念のためにね」
愛香が、アムロ達を見ながら言う。

「うん、愛香さん、アモンさんありがとう…リリアさんよろしく」

自分を心配してくれている愛香とアモンに礼を言うとアムロに向き直る。
もちろん、今までの会話は思考通信なので声一つ上げていない。

「アムロ大尉」

優が、アムロに話しかけると

「アムロでいい、此処は、あんまり階級とか関係ないようだからな、それより色々聞きたい事があるんだが…まず、此処はどこなんだ?」

アムロは、自分が大尉と名乗った時にフレイヤ側の乗員、艦長の優ですら自分の階級を言わなかったことで階級にあまり意味が無いのではないかと考えていた。
普通、保護なりした相手が軍人の場合、階級の意味は大きいはずだからだ。
艦長なら佐官クラスだ、自分が大尉と名乗れば当然階級を言うだろう…

「ここは、ビルトフェルト暗礁宙域ですよ」と優が、答える。

「ビルトフェルト暗礁宙域…聞いた事が無いな、それは、太陽系のどの辺だろうか?…ああ、太陽系はわかるか?」

シャアが、顎に手を当てながら優に聞く。

「天の川銀河の太陽系ですよね?…第三惑星が地球の?」

「ああ、そうだ」

「それは、わかりますよ、私は、地球生まれの地球育ち20日前までは、地球で暮らしてたんでうから」
優が、微笑みながら答える。

ふむ、地球から20日か…という事は、アステロイドベルトということか…シャアは、アムロの方を見るとアムロも自分と同じ考えなのか頷いている。

「ここは、地球からマゼラン星雲方向に58000光年の位置ですね。本艦は、新造艦と言う事で慣らし運転的な意味合いもありましたから20日もかかりました」

「58000光年!?」ハサウェイが、思わず驚きの声を上げる。

他の面々は、声も出ないのか…驚愕の表情を浮かべている。心なしか、顔色も青ざめているように見える。

「ちょっと、どうしたのよ?」

愛香が、顔色を失い呆然としているアムロ達に声をかける。

「彼らは、異世界、パラレルワールドの住人じゃないのか…フレイヤに乗った時にも人口重力装置に驚いていたしな、それに俺達は、傭兵という職業柄、各国の兵器や部隊名にはある程度で精通しているが、俺もデルファもリリアも地球連邦に人型機動兵器が実戦配備されたなんて話は聞いたことも無い」

「それに、ここが異世界だという事は、薄々彼らも感じているはずさ」

アモンが、愛香の横に移動しアムロに言う。

「それは、確かに俺達も感じていた…連邦の主力MSであるジェガンや俺達の世界では間違いなく最高性能機であるνガンダムが、追い行く事も出来なかった戦闘機に人口重力…それに失礼だが、俺達の世界に貴方達のような獣人…いや、リシュタス人は、見たこと無かった」とアムロが答えると

「というより、異星人に遭遇した事が無いのだ」とシャアが補足する。

「どうやら、ここは、先ずお互いの世界のことを話した方がいいようね。まずあなた達の世界の事を聞きたいわ」

愛香が、アムロに近づきながら言う。

此方の情報を与える前に少しでもアムロ達の素性や人柄を知りたい為だ。もし、先程の戦闘が、海賊同士いざこざなら何をしでかすか分からない。

「そうだな、このディスクを再生する事は出来るか?」

アムロは、νガンダムの戦闘データをコピーした光学ディスクを愛香に渡す。

「どう? 出来そう?」

愛香は、香織にディスクを渡す。

「光ディスクですね…大丈夫、再生できます」

香織が、ディスクを再生するとメインスクリーンにνガンダムの戦闘記録がうつしだされた。

「これは、すげぇな・・・」MS同士の激しい戦闘、その迫力にアモンが思わず唸る様に言う。

「もし、MSのエンジン出力がコスモタイガーと同じならこっちの航空戦力じゃ太刀打ちできないわ…とくにνガンダムとこの赤いMS相手じゃ」

戦闘機乗りとしての訓練も受けている優が呟くように言う。
機体性能もだけどパイロットとしてのLVが、あまりに違いすぎる。

互いのビームライフルを紙一重で避けあい、接近すればビームサーベルで斬り合う2機のMSの動きに優は、見入ってしまう。

「人が人に罰を与えるなどと!!」
「私、シャア・アズナブルが粛正しようと言うのだ! アムロ!」
「エゴだよ! それは!」
「地球が持たん時が来ているのだ!」
激しい攻防を行いながら…お互いの思いをぶつけ合う2人

やがて、シャアの乗る赤いMSサザビーが、徐々に押され始めていく

「チッィィ…パーワーダウンだと!!」突然、ビームサーベルの出力が落ち叫ぶシャア

ブリッジにいる誰一人声を発することなくメインスクリーンに映る出来事に見入っていた。
アモンすら軽口をたたくことなくいた。

場面は進み・・・

「お前達は頑張りすぎたんだ…アクシズの後部は、地球に落下する、私の勝ちだアムロ!!」

「黙れ!! シャア…たかが、石ころ一つ、νガンダムは、伊達じゃない!!」

νガンダムが、落下するアクシズに取り付き押し戻そうとパワーを全開にする。
そのアムロの意思を反映させるかのようにνガンダムから淡い光の帯が伸びていく…
それに呼応するかのように、ジェガンが、GMⅢが、νガンダムの周りに集まりアクシズを押し戻そうとする。

「やめろ、こんな事に付き合う必要は無い!!」

アムロが叫ぶが、ただに一機もアクシズから離れようとしない。

「ギラ・ドーガまで!!」

先程まで、このアクシズを地球に落とそうと戦っていた、ネオジオンのギラ・ドーガまでがその輪に加わりエンジンを全開にしていた。
爆走している機体もある、いつ爆発してもおかしくない機体もある。

「だめだ、摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞ!」アムロが、叫ぶが

「地球がダメになるか成らないか・・・・やってみる価値はありますぜ!!」今にも爆発しそうなMSに乗っているパイロットが吼える。

「何が起きているのだ…チッィ、メインカメラが死んでいるとは、そうか、しかし、この暖かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ、それを解るんだよアムロ!」

「わかってる、だから世界に人の心の光を、人が変われるということを見せなければならなのだろう、シャア!!」

「クエスは、ハサウェイと分かり合える事が出来た。貴様にマシーンにされたクエスですら変わることが出来たんだ…そして今、このアクシズを押し戻そうとしてるMSのパイロットたちもだ」

「そうよ、人は、変わることが出来るわ…たとえ一人じゃ無理でも人と分かり合っていく事で」

破損したαジールから、ピンクのヤクトドーガに乗り換えたクエスが、アクシズに取り付きスラスターを全開にする。

「そうだよ、人の心を…人は、分かり合えるんだってとを」ハサウェイが、叫ぶ

アムロのクエスのハサウェイのアクシズに取り付くパイロットたち強い意思をサイコフレームが共鳴するように光り輝きνガンダムから漏れる輝きが、アクシズを包み込むように強くなる…と同時にガラスが砕けるような音とともに光の膜が砕けちった。
激しい光が収まるとそこは、無数のデブリと小惑星が浮かぶ空間だった…

「…確かに、この世界の話ではないわね、私達の地球にこんな事件があった事は歴史上にもないわ」

愛香がはそう言いながらシャアを睨み付けていた。

異世界の事とはいえ地球を破壊しようとしたシャアに嫌悪感を抱いたからだ。

「それに、この世界でなら、隕石落しなど意味無いからな…それこそ、波動砲搭載艦…駆逐艦クラスが1隻あれば防げる」アモンが事も無げに言う。

「どうして、あなたは…地球に住む人たちを粛清…いえ、虐殺しようとしたの」

優もまた、シャアに厳しい目を向けるが、そこには一人の男が、何を思いそこまでの事を考えたの知りたいという思いもあった。

「それを話すには、私の生涯を話すことになる、それでもいいかね」

「ええ」

シャアは、地球に住む人々【アースノイド】とスペースコロニー住む人々【スペースノイド】について語る。

自分達をエリートと思い地球から宇宙に住む人々を支配しようとするアースノイド…

コロニーの独立を訴えた、父…ジオン・ズム・ダイクン

ザビ家による父の暗殺…父の復讐を誓い、名前を変えザビ家が支配する、ジオン公国の軍人になったこと、その後の一年戦争

その戦争で生涯のライバルというべき男、アムロとの出会い、運命の女(ひと)ララァ・スンとの出会いと永久の別れ…

「この時ほど、自分の不甲斐無さ、力の無さを呪った事は無い」シャアは、搾り出すように言う。

「それは俺も同じだ…あの時、俺がもっと早くララァが近づいているのに気づいていれば・・・」アムロもまた俯き目を閉じ震える声で言う。

「ザビ家への復讐を終えた俺は、暫く身を隠しながら、世界を見て回った…」

そこで見たのは、アレだけの戦争が起きても変わらないアースノイド…連邦政府だった。しかもさらにエリート意識とスペースノイドに対する偏見と差別で凝り固まった姿だった。
ティターンズ…連邦のエリート部隊…しかし、実態は、地球育ちというだけで優遇された部隊だった。

「そして、30バンチ事件が、起こった…ただ、反連邦の集会とデモをしただけだというのに、奴らはコロニーの空調システムに毒ガスを流し込んだのだ」

シャアの言葉を聞き、思わずアムロを見る優たちに

「ああ。本当の事だ、コロニー内に毒ガスをまいたのさ、念入りに緊急用の酸素供給マスクに繋がる、酸素供給管にまでな…、コロニー内の民間人は全滅、死者は1500万人とも言われている」

「ティターンズの暴走はそれだけじゃない、反連邦組織エゥーゴに協力的だったと言うだけで月面都市グラナダにコロニーを落とそうとしたり、コロニーに再び毒ガスを撒いたりとその暴挙を上げれば限が無いくらいさ」アムロが忌々しそうに言う。

「そんな、同じ地球人なのに」

「もしかしたら、同じ地球人だから許せないのかもしれないな」

事実、人間は、些細な事で争い殺しあっている。それが、殺人LVから戦争という大義名分を立てての殺し合いまでだ

その理由は、宗教、肌の色、富、領土、資源と様々だ。
大昔には、個人の名誉や一人の女性をめぐり国同士が争うことすらあった。
そこで生まれた、憎悪と恨みは…報復やテロという形をとり更なる憎悪を生み出していくのだ・・・

「シャアは、ティターンズに対抗する為に反連邦組織エゥーゴの中核メンバーとして活躍する事になる…名もクワトロ・バジーナと変えてな」

「ああ、あの時の私は、まだ人の可能性を信じていたからな」

その後、カミーユとの出会い、アムロとの再会、ダカールでの国際会議にて自分の出生を明かし演説したことを話す。

「俺は、あの時、貴様は、政治家に成るべきだったと思ったよ」

「それは、アムロ…お前にも言えたことだぞ」

「何で俺が?」

「世にニュータイプという言葉を広め、一年戦争のエース…話題性では、俺と同等だろう」

行き成りの事に疑問声を上げるアムロにシャアが、何を言っていると言うように説明する。
シャアは、ティターンズ壊滅後、再び世界を見てまわった事を話す。その中で、アースノイドは、何一つ変わろうとせずに地球の資源を食いつぶし、自然を破壊し地球から宇宙を支配しようとする地球連邦の高官達に絶望していく事…

「だとしても…隕石落しは、してはいけないと…私は思います」

シャアの話を聞き終えた優が、重い空気に包まれた沈黙を破るように静かにだが強い意志をのせて言葉を紡いでいく。

「確かにティターンズのやった事は赦せないし、その暴走を許してしまった連邦政府、その後も変わることなく傲慢な考えを当たり前のように思っていたことも許せないと思う…でも、だからといって、地球に住む人を無差別に虐殺しても良いなんて思えないから・・・」

「地球にもあなた達と共にティターンズと戦った志のある人たちもいたはずです。それに日々の生活を送っていた人たちも…」

「その通りだ…だが、それしか方法が無かったのだ・・・一年戦争時以上に連邦との戦力差は開いていた…正攻法の戦いでは物量に飲まれ敗北は必至だったからな」

「それでも、貴様は、後悔しているのだろう」

「アムロ、私は、そこまで恥知らずではないよ…私が、後悔などしたら私の言葉を信じ戦い死んでいった兵たちに合わす顔が無い」

「シャア…」アムロは、ララァがシャアの事を純粋といっていた事を思い出した。

確かに純粋なのかもしれないな…純粋すぎるゆえに人類に絶望してしまい…それを正す為に急ぎ過ぎてしまった…不器用にもほどがあるぞ…シャア…アムロは、そう思うと呆れてしまう。

「俺達の世界の事は、このぐらいで良いだろう? 次は、この世界の事を聞きたいのだが良いだろうか?」アムロが、シャアから視線を外し優たちに向き直り言う。

「ええ…そうですね、香織さん、ヤマトの記録と大航海時代、独立戦争時代のファイルをスクリーンに映してくれる」

「了解」

香織が、メインスクリーンに映像データを再生させる。

それを見てアムロたちは、再び絶句するほどの驚愕をおぼえる事になるのだった。




[32480] 第12話 伝説の宇宙戦艦
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/05/21 00:35
会談その2です。ヤマトの活躍を詳しく書くとそれこそ小説数冊分になるのでかなりの駆け足というかマッハです。







メインスクリーンに映し出された映像をアムロたちは、信じられない思いで見ていた。

太陽系の外周…冥王星まで基地を作るほど繁栄していた地球が、ガミラスの宣戦布告ともに戦闘状態となり戦争に突入していく…
だが、それは、戦争と呼べるものではなかった。
地球防衛軍の戦艦のレーザーもミサイルもビームもガミラス側の艦船に傷一つ着ける事が出来ず。ガミラス側の粒子砲は、一撃で防衛軍の戦艦を撃沈していく…
それでも果敢に立ち向かっていく防衛軍の将兵たちは、自分たちの世界の将兵とはその信念が違うように思う。

シャアは、アナベル・ガトーを思い出していた…まさに武人だな…もし地球連邦軍の高官たちこちらの世界の将軍たちの様な志を持っていてくれたのならと各惑星の基地の将兵やその家族を救うために出撃する防衛軍の艦隊をみて、同じ人間なのにこうも違うのかと思う。
もし、自分たちがいた世界の連邦軍ならば、コロニーが襲われても救援の艦隊など出す事は無いだろう…

場面は、変わり火星戦での大敗…そして、地球本土への攻撃、遊星爆弾による攻撃に変わっていった。
地球に降り注ぐ遊星爆弾…破壊される大都市いや都市が蒸発したと言っていいその光景にアムロたちは恐怖した。

(私は…このような事を行なおうとしたというのか…)シャアは、多くの人々が住む大都市が蒸発していく様を、海が干上がっていく光景を青き地球が赤い死の星となっていく様を厳しい表情で見ていた。
アクシズ一つで、海が干上がることは無い、地表全て焦土となることも無いだろう・・だがやろうとしている事は同じなのだ…粛清と抹殺と言う目的は違えど・・・

「これは…しかし、地球防衛軍は、ほぼ壊滅、この戦況を覆すことなど不可能だ…地球政府は、降伏したのか?」

シャアは、兵器の圧倒的な性能の差ともはや戦力といえる艦隊を失っている地球防衛軍に勝ち目などあるわけがないと思い優に聞く。

「いえ、この後、人類に希望もたらした人いました…香織さん、お願い」

シャアの尤もな疑問に優は、香織に場面を先に進めるように頼む。
香織が、コントロールパネルを操作すると…

「私は、イスカンダルのスターシャ、…」メインスクリーンに正に絶世の美女と言うのに相応しいブロンドの長い髪をなびかせた女性の姿が映る。

「綺麗…」クエスが、ため息をつくように呟く。

「ああ、只、綺麗なだけではない…何と言うか高貴というか神聖ささえ感じる女性(ひと)だな・・」アムロもスターシャを見てその美しさと醸し出される雰囲気に飲まれそうになるを感じていた。

「彼女は?」

「彼女は、イスカンダル星の女王、スターシャ…成す術も無くガミラスに蹂躙されていた地球人類に希望をもたらした人よ」香織がフォログラムスリーンに映し出されたスターシャを見ながら言う。

「彼女は、地球に波動エンジンの設計図と放射能除去装置コスモクリーナーが、イスカンダルに在る事を知らせてくれたんです…それを届けてくれた妹のサーシャは火星付近で撃墜され火星に不時着した差に亡くなったわ…正に命をかけて地球に希望を届けてくれたのよ」

「まってくれ、スターシャは、異星の女王なのだろ…その妹が何故…見ず知らずの地球に命を賭けてまで来るんだ?」

女王の妹と言えば王族それもその星のトップに限りなく近い人間のはずだ、其れが戦争状態の危険地帯に来る理由がアムロには、分からなかったのだ。

「スターシャの住むイスカンダルは、ガミラスの本星の双子星、二連星なんです…そこで隣人たるガミラスの総統デスラーの残虐な行いに心を痛めていました」

「だが…自分の妹を自ら死地に向かわせるというのはな…しかも、見ず知らずの他人のために」

シャアはナンセスだと感じていた。言い方を悪くすれば自己満足だとも感じてしまう。そもそも彼女にとって地球人が救うに値する種族かという事も甚だ疑問なのだ…

場面は、進んでいく…

そして、優たちにとっては伝説の宇宙戦艦ヤマトの旅立ちの場面となる。

「我々は、このヤマトでイスカンダルへ行き何としても放射能除去装置コスモクリーナー受け取り地球に戻らなければならない!! 片道148000光年、往復で296000光年、途中、ガミラスの大艦隊も立ちふがるだろう…」

ヤマト初代艦長、沖田艦長の言葉を真剣な表情で聞く若者達…

「これは、ナンセスだ」シャアが、思わず唸る様に言う。

「ああ、テストも何もしていない未知の動力搭載艦で…ガミラスの勢力圏をぬけて行こうというのだろう…しかも250メートル級の戦艦の1隻で…無理を通り越して無謀だ…しかし、選択肢が、それしかないという事なのか」

アムロは、あまりに無茶苦茶な司令に驚くが、今までこちらの世界の実状を考えれば仕方がないことなのかもしれない…何もしなくても1年以内に放射能汚染により人類は滅亡してしまうのだからと考える。

異星人から持たされた未知の動力炉(波動エンジン)、起動テストもなく出撃、そして、地球防衛軍を壊滅し太陽系内にも幾つもの基地をもつガミラス軍の勢力圏を越えて148000光年という遥かな星を目指す旅など…成功の確率など1%もないだろう。

アムロもシャアも幾度も戦争を経験している。
その中で感じた事は、どんな高性能なMSや戦艦があっても圧倒的な物量の前には無力だという事だ…
例えアムロが、νガンダムで一空域の戦線を支えてもそこを擦り抜けた敵に艦隊を殲滅させられてしまえば、それは負けなのだ。
極端な話、武器弾薬量以上の敵が出てきた時点で負けである。

優たちは、自分達にとっては伝説であり幾度も地球を救った英雄艦でもあるヤマトをナンセスと言われ内心少しムッとするが、自分達も異世界でたった1隻でこれだけの戦果を上げた戦艦が在ると言われたら同じ反応をするだろうと思い、表情に成す事はない。

その後のアムロたちの反応は、驚愕を通り越してなにやら諦めた表情になっていく。

木星でオーストラリア大陸並みの大きさの浮遊大陸を波動砲で破壊した時は

「たった一発で…アクシズでより遥かに大きい…えっ、オーストラリア大陸並みの大きさなの!? 」とクエスが信じられないといった表情を浮かべる。

アムロやシャア、ケーラは、余りの威力に顔が引きつっていた。
「ありえない」「エネルギー保存の法則は」「サラミス級の宇宙船にコロニーレーザー以上の破壊兵器だと」などブツブツ言っていたが…

7色星団でのドメル将軍との決戦、ガミラス本星でも決戦へと映像は、進んでいく。

なんで単艦の戦艦が、空母5隻の航空戦力を防ぎきれるんだ!!
この世界の人々や異星人は、講和や交渉などしないのか?など考えるのだが驚きの連続でもはや言葉にする事はなかった。

ただ、イスカンダルに到着した際の古代守との再会の場面でアムロが「何でこの人が、イスカンダルにいるんだ!!、どうやってここまで来たんだ!!」と怒鳴るが、シャアが首を振りながらアムロの肩に手を置くのだった。

その後、数ヶ月で赤い死の星が、青い生命の星に戻り大都市が作られた事に驚き
ヤマトを超える性能の宇宙戦艦が、次々完成し地球防衛軍が再建されていくのに驚く…

そして、白色彗星帝国との戦いの場面になっていく。

テレサから大いなる危険を知らせるメッセージ、それをまったく取り合わない防衛軍の高官達
それに憤り、自らの意思でヤマトを発進させるヤマトのクルー達。

「命令違反をしてまで、どこの誰からのものかも分からない通信で旅立ったにか…彼らは」
シャアは軍人として信じられないものを見ている気分であった。
軍隊とは、規律ある武装集団である。
規律無く個々の判断でその力を振るえば、それは、無法者と変わらない・・・

だが、呆れはしてもその熱き魂には正直、うらやましくも感じていた。
青春時代を含め、復讐と人類の革新を想い、とってはならない手段を用いた自分には眩しく感じたからだ。

テレサとの出会い、宿敵デスラーとの戦い、そこで生まれた奇妙な友情…

「彗星帝国に身を寄せていたとはいえ…私の心情は地球人に近い…古代、白色彗星の弱点は、上部と下部の同時攻撃だ」そう言い残し去っていくデスラー


その後は、白色彗星艦隊と土方率いる地球防衛軍の決戦、つかの間の勝利と彗星都市と激戦
防衛軍の象徴たるアンドロメダの特攻でも無傷の彗星都市に絶望する地球人類…

そこに立ちふさがったのは、やはりヤマトだった。激戦の末、彗星都市内部に潜入し動力炉を破壊する事に成功する。

徳川機関長、新米、加藤、斉藤…多くの犠牲者を払い戦いが終わったと思ったのもつかの間、彗星都市の中からコロニーより巨大な戦艦が現れたのだ…

超巨大戦艦ガトランティス…その圧倒的な存在感は、傷つきエネルギーも底を付きかけたヤマト…それを見ていたアムロたちにまさに絶望…変えようのない悪夢に見えていた。

突然現れたテレサ…反物質生命体である彼女が、自らの命を引き換えにガトランティス向かっていく…そして太陽がもう一つ生まれたかと思う閃光と共にテレサもガトランティスも消滅していた。

その後もヤマトの記録は続いていく…

デスラーの通信を受け、イスカンダルを救う為に出撃するヤマト…この時、初めてヤマトは艦隊を組んで戦うことになる。謎の暗黒帝国との戦闘、デスラー率いるガミラス艦隊との共闘。
ゴルバとの戦いと勝利…

暗黒星団帝国に占領されハイペロン爆弾の起爆装置を破壊する為に出撃するヤマト、途中第7艦隊の残存艦を加えながらも暗黒帝国の母星を破壊する。

その後も太陽の膨張による第2の地球探し…

異次元の銀河との衝突とデンギル帝国との戦いとヤマトの最後、

ワルキュリア人との邂逅と大航海時代、宇宙海賊の跋扈と独立戦争と続いていく。

全てを見終えたアムロたちは、ため息すらつくことが出来なかった。

人口重力発生装置、波動砲、ワープ、クローニング技術…夢物語のような世界…
何より、あのワルキュリア人は何だ…反則もいいところだ…

「理解できないほど進んだ科学は、魔法と同じと言うが…まさか、それを実感する事になるとはな」シャアが、肩をすくめて言うがその表情は、疲労困憊という感じだ。

「わずか3年で4つの異星人に攻め込まれ、太陽の暴走で一つの星間国家との戦争…よく闘い抜けたものだ」そう言うアムロも…数百隻単位の被害を数ヶ月でどう回復させているんだ??

自分達の常識が音を立てて崩れていく、あのクエスですら絶句しているのだから、ただ自分達がとんでもない世界に来てしまったことだけは実感する事が出来た。

「この船が、個人の所有なんて信じられませんよ」ハサウェイが、言うと

「あら、でも少女の宇宙冒険者しかも船団の頭よ…この船団を国にするなら女王よ、カッコいいじゃない♪」と衝撃たら立ち直ったクエスが、表情を輝かせながら言う。

「ほう、女王か」

「女王ね」

「アモンさん、愛香さん…私は、嫌ですからね…女王なんて」優が、笑いながら頷いているアモンと愛香をジト目で見ながら言う。

「ところで、アムロさんたちは、これからどうしますか?・・・地球に行くなら送りますけど?」優が、アムロに向き直り言う

「いや、この船はこの世界の宇宙を見て回るんだよな…俺達も同行したい」

「私もそれでいいと思う、はっきり言って私達の世界とは違いすぎて判断材料がないのが現状だ…君達が、この世界の事を見て回るのなら同行するのが、この世界を知る近道だろうしな」

シャアもアムロと同意見であることを示す。

「大尉が、そう言うならいいと思います…正直、地球に行っても、私達の地球とは違うのですから…」

「私は、この船の人たち気に入ったわ」

「クエスが、行くなら僕も行くよ」

「と言う訳なんだが…」仲間達の意見を聞きアムロが、優に向き直り聞く。

「はい、アムロさん、シャアさん、ケーラさん、クエスさん、ハサウェイさん…フレイヤのクルーとして乗艦を許可します。本艦は、ただいま人員不足のため、専門部所以外にも働いて頂く事になると思います。」

「了解した、艦長」

「こちらケビンだ、生存者の救助を終了した。ロボットパイロット10名、海賊のパイロット7名…他は、ダメだった」

「ご苦労さま…それじゃ帰還して「こちらストーム4…ポイントα104にて海賊の艦隊を発見、重巡1、駆逐艦3、突撃艇13、画像を送る」

救命活動に出ていた救命艇からの通信を受け帰還命令を出すのと同時に偵察に出ていたストーム4より海賊の艦隊の発見の知らせが届く

「香織さん、ストーム4からのデーターをスクリーンに、ストーム小隊は、突撃艇ともに輸送艦を護衛しつつコスモアドベンチャーの基地へ」

「全艦第一級戦闘配備、総員配置に付け」

優の号令と共に、愛香もアモンもブリッジから飛び出していく…

「シャア、どうやら、彼女は、本当にこの船団のリーダーらしいな」

「そのようだな…アムロ、私達も行くぞ、この世界を見るのだろう」

「無論だ…行くぞ皆」

「「「了解」」」

アムロたちもまた空母ブロックへと向かうのだった。







[32480] 第13話 戦闘開始
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/06/18 12:14
「こちらストーム4…ポイントα104にて海賊の艦隊を発見!!、重巡1、駆逐艦3、突撃艇13、映像を送る」

偵察に出ていたストーム小隊の4番機より海賊船団の発見の知らせが入ると同時に艦内に警報が響き渡る。

救命艇での救助により、わずか10名とはいえ撃墜されたMSのパイロットが救助された知らせを聞き表情を綻ろばせたアムロたちも突然の警報に驚く。

見知らぬ異世界で行き成り襲われたのだ、フレイヤに保護されたとはいえ同胞が多いほうが心強いのは確かだ、それに単純アクシズを押し返そうと戦った仲間の命が救われたのが嬉しかった。
自分達の危機を救い、さらに撃墜された仲間のパイロット捜索、救助までしてくれた目の前に少女に例を言おうとしたアムロは、先程まで人懐っこい笑顔を浮かべていたその少女の表情が凛とした指揮官の顔に代わるのを驚いて見ていた。

「香織さん、ストーム4からのデータを各スクリーンに、艦種の確認を、皆、海賊の艦隊が近くにいるのは、想定内の事なんだから、初めての実戦だからって慌てず、急がすにけれど迅速に整然と各員対応するように!!」
優が、艦内に檄を飛ばす。

優の号令と共に、愛香もアモンもブリッジから飛び出していく…


「総員戦闘配備、海賊の船団が接近中、これは訓練ではない、もう一度繰り返す、これは訓練ではない」香織が、全艦に戦闘配備を発令する。

「マーズ級重巡洋艦にフレッチャー級ミサイル駆逐艦が2、キリング級駆逐艦が1か…突撃艇は、45メートル級の急造艦が6、65メートル級4、150メートル級が3隻か…ストーム小隊は、突撃艇ともに輸送艦を護衛しつつコスモアドベンチャーギルドの基地へ」

「こちら、隆だ、いいのか?…そっちの援護に行かなくて」

「うん、輸送艦は、まだ改造もしていないから足が遅いわ、武装も隕石やデブリ用のショックカノン2門とパルスレーザーが数機…突撃艇に追いつかれたら終わりだもの…お客さんも乗せているんだから落とされるわけにいかないわ…お願い」

「了解した。 輸送艦に指一本触れさせないさ、そっちも無理はするなよ」

「うん、輸送艦の離脱時間を何とか稼いでみるわ」

優は、隆との通信を終えると

「フレイヤ、無人ドローン5射出、周囲の小惑星やデブリの位置、伏兵の探索をさせて」

「了解、ドローンを射出します」

フレイヤの左右の空母ブロックの艦底部から円盤に翼が生えたような形のドローンが射出される。
ドローンは、デブリ密集空域や巨大小惑星帯へと向かい索敵を開始する。

「波動爆雷発射管開け!! 思考機雷装填、輸送艦後方距離12宇宙キロのデブリ帯に放出、また、本艦前方の小惑星帯とその迂回路にも思考機雷を設置して」

「了解、全波動爆雷発射管オープン」

フレイヤの復唱と同時にフレイヤの艦尾部の上甲板の装甲が開きそこに波動爆雷の発射管が現れ、次々と思考機雷を撃ち出して行く。思考機雷は、目的の空域に行くとカプセルは破裂しその中から3機の機雷が、散らばっていく。

「海賊船団接近!!距離48000宇宙キロ、約54宇宙ノットで向かって来てるわ」リリアが、コスモレーダーを見ながら叫ぶ

その様子を見ていたアムロは「シャア、どうやら、彼女は、本当にこの船団のリーダーらしいな」と隣に立つシャアに言う。

「そのようだな、アムロ…しかし大した指揮ぶりじゃないか」シャアは、次々に的確な指示を出していく優を感心したように頷く。

「ああ、それに、さっき初めての実戦と言っていたが…この練度の高さは何だ?」

「よほど、激しい訓練をしたのだろ…アムロ、私達も行くぞ、この世界を見るのだろう?」

「無論だ、それにただ飯を食う訳にもいかんからな、ここはフレイヤに協力するぞ、皆、行くぞ」

「「「了解」」」

アムロ達は、ブリッジを出るとMSを格納した空母ブロックへと走っていた。


side 海賊

マーズ級重巡洋艦『ブラックフェニックス』…
ビルトフェルト暗礁宙域を縄張りとする新興の宇宙海賊パーヴェルに属する船で1船団の旗艦として、駆逐艦3隻と突撃艇13隻を率いて暗礁宙域に入り込むコスモアドベンチャーや資源発掘やジャンク回収に来る、ジャンク屋や輸送船をカモにしていた。

「なんだと、アンノウンの攻撃に向かった戦闘機隊が全滅だと!!」艦長席に座るサンタのような立派な髭を蓄えた筋肉質な大男が、吼えるように叫ぶ。

「お頭、芋虫型戦闘機、デスイーターⅨ共に全滅」

「どう言う事だ?…アンノウンの人型機動兵器は、弱っちかったんじゃねーのか!!」

「スピードが圧倒的に遅かったと聞きましたぜ…お頭」

「戦闘機隊からの通信を再生します」

スクリーンに映し出された戦闘機からの映像は、見たこともない人型機動兵器を次々撃ち落していく味方機の姿だ。
確かにスピードで圧倒しておりロボット側は、そのスピードに対応しきれていないように見える。
ロボット(MS)が、デブリ密集空域に入るとその機動性を活かし、反撃してくるがそれでも味方機側の優勢は変わらず、殲滅するのも時間の問題に思える。

「何で、これで全滅するんだ?…」お頭と呼ばれた男が、オペレーター席に座る男を睨み付けながら怒鳴る。

「邪魔が入ったようですぜ」

「邪魔だと!? 」


「こちら、コスモアドベンチャー・フレイヤ所属、コスモタイガー隊、加藤健二、そちらの救援信号をキャッチした援護する」
「同じく、フレイヤ所属、ピクシー小隊隊長、山本麗、援護します」
「以下同文 フェアリー小隊隊長 山本詩織です。援護します。…全機突撃!!」

突然の通信と共に地球防衛軍の最新鋭機のコスモタイガーD17が、味方機に襲い掛かっていく。

「全周波数で平文で通信してますね」

「コスモアドベンチャー・フレイヤだと、何者(なにもん)だ!?」

「敵艦の映像捉えました…メインスクリーンに映します」

何だぁ…ありゃ、スクリーンに映ったフレイヤを見て、海賊船団のお頭は、思わずうめき声を上げる。
見たことも無い新鋭艦に最新鋭機のコスモタイガーD17部隊、突撃艇の中でも信頼性の高い、高性能艦のベガ級4隻に500メートル級輸送艦…
まさか、コスモアドベンチャーのランカーじゃないだろうな…

ランカーとは、無数にいるコスモアドベンチャーの上位10万位以内に入っている、コスモアドベンチャーの事でそこに名を連ねることは、宇宙の猛者ということになる。

もしそうなら、数で勝っているとはいえ、正直戦いたくはない。
海賊船団を率いるこの男は、そう考えていた。

「ありやした…コスモアドベンチャーのリストだと、20日前に地球から初航海にでたルーキーです。旗艦名は『フレイヤ』、艦長は【織姫優】…14歳の小娘ですぜ」

『ブラックフェニックス』の解析班の男がコスモアドベンチャーの登録リストから得たデータをスクリーンに映し出す。

「ほう」

スクリーンに映し出された優の映像を見た海賊船団の頭は、目を細める。
顔立ちは、かなり良い、スタイルも大き目な胸、くびれたウエスト、形の良いヒップ…これは、高く売れるな。こんな小娘が、特注の新鋭艦を指揮してるってことは、どこかの金持ちの娘の道楽ってことか…飛んで火にいる何とやらってな

「野郎共!! 相手は14歳の金持ちの道楽娘が、指揮する船団だ!! あの新鋭艦を奪い、小娘を手に入れるぞ、そうすりゃ、海賊団の中の地位も上がれば、小娘を売り飛ばすのもあれだけの船を特注で作らせられる家だ、身代金を要求してたんまり頂くものなんでもござれだ!!」海賊船団のお頭が、叫ぶ。

「急造艦6隻とアルファ級突撃艦(65メートル級)2隻で輸送艦を拿捕しろ!! 残りは、あの新鋭艦をやるぞ!!」

頭の号令がと同時に海賊船団は、最大戦闘速度でフレイヤへと向かって行った。

海賊sideend


Sideフレイヤ

空母ブロックに到着したアムロたちは、10代半ばから後半の少年少女達がコスモタイガーの出撃準備をしている姿を見る。

「敵艦の突撃艇…150メートル級の映像、もう少しアップに出来ないか?」健二が言うとフレイヤが150メートル級の突撃艇を拡大しホログラムスクリーンに投影する。

「麗、この突撃艇少し変じゃないか?」健二が、スクリーンに映る150メートル級の突撃艇の内2隻を指差しながら言う

「そうね、重武装が売りの突撃艇なのに甲板部に砲塔もミサイルランチャーも無いわね…それにこれは、誘導灯かしら…」麗は、唇に指を当て考えながら気がついた事を挙げていく。

「たぶん、この2隻は戦闘機のキャリアね…さしずめ軽空母と言ったところかしら…」

「麗もそう思うか…コスモタイガーの装備を変更するぞ、麗と詩織の小隊と無人機隊は、対艦ミサイル8発と対空ミサイル2発、俺の小隊は、対空ミサイル8発とマイクロミサイル10発に換装してくれ」

健二の指示に整備班がコスモタイガーにミサイルを装填していく。

「パイロットたちもみな若いな…」

シャアが驚いたように言う。

「ああ、救援時の通信の時、通信をよこした隊長たちも高校生ぐらいの感じだったが、パイロット全員が10代とはな…しかも皆、かなりの腕前だった」

アムロも唸るように呟く。

「すまないが、MSは、出せるか?」アムロが、近くの整備班の人間に声をかけるが

「MS?…ああ、あのロボットの事か、燃料と酸素は補給しておいたが出てどうするんだ?」

「どうするって、もちろん出撃するのよ!」クエスが、何を当たり前の事を聞いているのよといった表情で答える。

「出撃してどうする? 出撃してもスピードが違いすぎて、戦闘機の相手をするのも難しいだろうし、MSのビーム兵器じゃ、艦艇のフィールドと装甲は撃ち貫けないぞ!!」整備員が、怒鳴るように言う。

確かに整備員の言う通りだった。
先程の戦闘でも戦闘機のスピードに圧倒され、数的に半数以下の戦闘機に完敗したばかりなのだ…

クエスは、その言葉に悔しそうに俯く…その肩をシャアがやさしく手を乗せると…

「クエス、君のヤクト・ドーガは、ファンネルもある、相手は、ミサイル駆逐艦が複数いるらしいからな空母の甲板で対空攻撃に参加するだけでもかなり違うはずだ」

「シャア…うん」クエスは、シャアに向き直り頷くと、ヤクト・ドーガに乗りこんでいく。

その様子を見つめる、アムロに麗が、近づいて行く。

「アムロさんってあの白と黒のモノトーンの機体のパイロットでいいのかしら?」

「ああ、あの機体は、νガンダムと言うんだ…確か、山本麗さんだったかな?」

「麗でいいわ、」

「なら俺もアムロで良い、で何の用だ?」

「わかったわ、アムロ…先程の戦いで助けられたお礼を言いに来たのと提案があってね」

「助けられたのは、お互い様だ、気にしなくていい、で、提案とは?」

「あなたの射撃は、はっきり言って凄かったわ…MSは、改造強化するまでは、戦闘は厳しいでしょ?」

「ああ、さっき整備員にも言われたよ」自分の愛機を役立たずのように言われ一瞬ムッとした表情をするが、事実なのだから仕方ないとアムロは苦笑を浮かべる。

「それでね、フレイヤの主砲の砲手をして見ないかしら」

「俺が、主砲の砲手を?」

「ええ、今のフレイヤは、搭乗員不足で砲手も少ないのよ、正直、あれだけの腕前をほっとく手は無いわ」

「なるほどな」アムロは、優が人手不足の為、専門外の部署に着いて貰うかもしれませんと話していたのを思い出す。

「正直、艦船の砲手などやったことは無いが、やるしかないんだろうな」アムロは、ため息交じりに答えると

「フレイヤ、主砲の管制室まで案内してくれ」

「わかりました」

「アムロ私も行こう」シャアが、アムロに続いて行こうとする。

「頼む、シャア、ケ―ラとハサウェイも来てくれフォローを頼む」

「「了解」」

その後、アムロとケ―ラは艦上部の主砲…第2砲塔の砲手として配置に着く。シャアとハサウェイは、艦底部の砲塔…第6砲塔の砲手として配置に着く。

その後、アムロとシャアは、主砲を旋回させたり上下角を合わせる等、一通り動かしてみる。

その様子をブリッジでモニターしていた優が、「2番砲塔、6番砲塔…何をしているの?」と通信を入れる。

「こちら、2番砲塔アムロだ、今砲塔の稼働確認と操作法の確認をしている、もう少しやらせてくれ」

「6番砲塔シャアだ…同じく稼働確認と操作法の確認をしている」

「えっ、二人とも何で?」優が、突然の事で驚くが

「今のMSでは、この世界の戦闘では役に立たん、そこで砲手として今回は、戦闘に参加させてもらう」シャアが答える。

「そう言う訳だ、正直、艦艇の砲手なんて初めての経験だが役には立って見せるさ」アムロが言う

「わかりました、期待させてもらいますね」優も笑みを浮かべて感謝の意を表す。

「ああ、やって見せるさ」


「敵艦加速しました。急造艦6隻とアルファ級突撃艇2隻が輸送艦の方へ向かって行きます。また、敵艦隊より艦載機の発艦を確認、数25機です」リリアが敵艦隊の動きを報告する。

「全兵装起動、全砲門開け、コスモタイガー隊出撃!!」優の号令がフレイヤに響き渡った。
























次回は、ついに本格的な戦闘シーンです。

うまく書けるか・・・プレッシャ―が・・・・

作者は、今回が、処女作です。



[32480] 第14話  ニュータイプ
Name: 虹姫琴魅◆64c63f8d ID:2b243900
Date: 2012/08/03 00:40
敵艦加速しました。急造艦6隻とアルファ級突撃艇2隻が輸送艦の方へ向かって行きます。また、敵艦隊より艦載機の発艦を確認、数25機です」リリアが敵艦隊の動きを報告する。

「全兵装起動、全砲門開け、コスモタイガー隊出撃!!」優の号令がフレイヤに響き渡る。

「了解、ライトニングリーダーより各機へ、俺達は、敵機の迎撃に出るぞ」健二が、小隊の仲間に檄を飛ばす。

「こちら、ライトニング2、分かってる、対艦装備のお嬢様たちのエスコートをすればいいんだろ?」

「ライトニング3 了解…ライトニング2、軽口をたたくのはいいがヘマをするなよ」

「フレイヤの直衛は、無人機10機でいいんだな?」

「ああ、俺達は、ピクシー小隊と、フェアリー小隊のエスコートだ、対艦兵装でもコスモタイガーD17ならそこそこ空戦も出来るが…念には念を入れて俺達が護衛に付く」ライトニング5からの問いに健二が答える。

「ライトニング小隊、コースクリア…全機発進!! 」

「了解、重力カタパルトセット、ライトニング1でる」

健二のコスモタイガーが飛び立つと、次々と小隊のコスモタイガーと直衛の無人機が次々と発艦していく。

「ライトニング、フェアリー、ピクシー各小隊…全機発艦完了、無人機部隊も全機発艦しました」香織が、報告する。

「敵艦隊、距離28000宇宙キロ、最大射程まで4000、有効射程距離まで12000」リリアが、レーダーを見ながら相手の距離を報告する。

「輸送艦の方に向かった突撃艇部隊は?」

「輸送艦を最大戦闘速度で追尾しています、およそ、7分で突撃艇の艦首衝撃砲の射程内に捉えられます」

「思考機雷に気付いている様子は無いわね…出来れば思考機雷で全滅してくれるといいんだけど」優が、唇に指を当てながら呟くように言う。

「敵艦隊、距離24000宇宙キロ」リリアが、敵の距離を報告するのと同時に、フレイヤの主砲からショックカノン特有の発射音を響かせ、閃光が伸びる。

「2番砲塔、6番砲塔の発砲を確認」突然の砲撃に驚き香織が、叫ぶ

ここで、時間を少し遡る…

主砲制御室にて砲塔の稼動確認と操作法の確認をしていたアムロは、一度目を閉じると呼吸を整えるように2~3回深呼吸をする。

「フレイヤ、敵艦隊は、射程に入ったか?」

「最大射程まで1500宇宙キロ、有効射程まで9500宇宙キロです」

「フレイヤ、最大射程に敵艦隊が、入る10秒前からカウントを頼む」

「有効射程でなく、最大射程ですか?・・・最大射程では、命中させるのは困難です。また、仮に命中しても敵艦のフィールド、装甲を貫くのは難しいのですが?」

「ああ、別に当てようとは考えてないさ…ただ、やはり一度も撃った事の無い状態で実戦というのは不安だからな、有効射程の前にある程度。試し撃ちをして感覚や癖を掴んでおきたい」

「フレイヤ、私もアムロと同様にカウントを頼む出来る事は、事前にしておきたい」シャアも慣れない砲手にプレッシャーがあったのだろう。

「分かりました、最大射程に敵艦隊が入る10秒前からカウントします」

「フレイヤ…頼む」

アムロとシャアは、カウントが始まるまで目を閉じると感覚を研ぎ澄まさせていく…

「敵艦隊、最大射程まで後10,9,8,7,6,5」フレイヤのカウントが始めると

アムロとシャアは、敵艦隊に向け照準を微調整していく…

「4,3,2,1」

「そこ!!」

「やってみせるさ!!」

アムロとシャアは、それぞれそう叫ぶと、主砲を発射した。





2番砲塔、6番砲塔の突然の砲撃に優は驚き、慌てて通信をつなぐ。

「えっ…幾らなんでも早すぎるわ。アムロさん、シャアさん!!」

「すまん、報告するのを忘れていた。取敢えず、有効射程距離に入る前に感覚を掴みたくてな、暫く試し撃ちをするがいいか?」

「こちらも同じだ、有効射程に入って慌てるよりも、今のうちにある程度の癖や感覚を掴みたい、牽制にもならんだろうが砲撃させてほしい」

「分かりました…2番、6番砲塔は、お二人がそれぞれ指揮してください。お任せします」アムロとシャアの不安は、もっともな事だと思い、2人の提案を優は、了承する。

「すまん、助かる」アムロは、そう答えると主砲発射のトリガーを再び引くのだった。



フレイヤの突然の砲撃に驚いたのは、優だけではなかった。


side 海賊


「敵艦、発砲しました!!」

重巡洋艦『ブラックフェニックス』のオペレーターが、叫ぶ。

「何だと!!・・・距離は?」

「24000宇宙キロです」

「駆逐艦クラスの有効射程は、精々14000~16000ってところだ、やはり道楽娘の素人集団だったか…こいつは、楽な仕事だぜ」

オペレーターの報告を聞いた海賊船団のお頭は、14歳の小娘がコスモアドベンチャーのまねごとをしている素人の集団だと判断し、内心ほそく笑む・・・

ブラックフェニックスのブリッジに居た、海賊たちも同様に気の緩んだ表情を浮かべたその時だった。

突然の衝撃が、ブラックフェニックスのブリッジに居た海賊たちを襲った。

「何だ、どうした!!」断続的に襲う激しい揺れに艦長席にしがみつきながら、海賊船団のお頭が叫ぶ。

「敵艦の砲撃が、艦右舷に直撃…距離が、離れているので、威力も落ちていますが…エネルギーフィールド出力低下7%」オペレーターが、信じられないと言った様子で報告する。

駆逐艦クラスの主砲は、口径が小さい分、その速射性能は高い、オペレーターが報告する間も激しい揺れが海賊たちを襲う。

「信じられねェ…あの距離で全て至近弾、それも直撃を多数含むだと…」海賊のお頭も悪夢のような現実に茫然と呟く。

「てめら、ぼさっとしてないで回避行動をとらねぇか!!」数秒後、立ち直ったお頭が、今だに茫然としている部下に怒鳴る。

「このまま、攻撃を受け続けてエネルギーフィールドを削り取られるつもりか!!…輸送艦に向かった突撃艇部隊にオーバーブーストを使わせろ!! 距離が離れていて威力が落ちているとはいえ、突撃艇には当たれば致命傷になりかねぇぞ」

お頭の命令で、フレイヤに向かっていた海賊船団は、回避行動を取るが、アムロとシャアの砲撃は、その回避行動を見透かしたかのように海賊船を捉えていく…

「エネルギーフィールド出力低下45%、ミサイル駆逐艦2番艦25%低下…何で当たるんだよ…」オペレーターが悲鳴を上げる様に言う。

「前方の小惑星の陰に回り込め、迂回して近づくんだ!!」吠える様にお頭の号令が響き渡った。

海賊sideend


Sideフレイヤ


「凄い…」優が、半ば茫然とした様子で呟く。

リリアと香織も同じようにスクリーンに映る様子を信じられないと言った様子でみていた。
有効射程の遥か彼方…最大射程に入ると同時に砲撃を開始したアムロとシャア…二人の砲撃は、普通なら至近弾になることも難しい距離で面白いように目標に命中させていく…

「牽制にもならないだろうがって…思いっきり命中させてるじゃない」呆れたように香織が言う。

「敵艦、回避運動開始…輸送艦に向かった突撃艇が急加速したわ・・・オーバーブーストを使用したようね…敵本隊は、小惑星の陰に迂回コースをとったわよ」香織が、モニターを見ながら報告する。

「これが、ニュータイプの力と言う事なのでしょうか?」リリアは、会談時にアムロとシャアが言っていたニュータイプの事を思い出していた。

「わからないわ…だけど、南部さんでもここまでの精密射撃は、無理でしょうね…」優は、砲撃の師である南部を思い出しながら言う。

「でも、アムロさんとシャアさんの砲撃のおかげでうまく海賊たちを思考機雷源に誘導できたわ…コスモタイガー隊は、海賊が機雷源に差しかかったら攻撃を開始させて」

「了解、コスモタイガー各機は、敵艦隊が機雷源に入ったら攻撃を開始して下さい」

「「「了解」」」香織の通信にコスモタイガーの各小隊長が答えた。



[32480] 第15話 ブービートラップ
Name: 虹姫琴魅◆d4a6fade ID:a9467dda
Date: 2012/10/16 06:02
「凄い」

コスモタイガーのコックピットからフレイヤの突然の砲撃にも驚きの声を上げた麗だが、その最大射程ギリギリの砲撃を回避運動をとる敵艦隊に面白いように命中させる、アムロとシャアの技量に思わず感嘆の声を漏らす。
MSでの射撃が、凄かったから砲手を勧めたのだけれど…初めて触れる、異世界の艦船の主砲をここまで扱うなんて…

「お姉ちゃん…アムロさんたちに砲手を勧めてたけどこうなるって分かってたの?」

「まさか、MSでの射撃が、凄かったから頼んでみたけどここまでとは思わなかったわ」

「これが、ニュータイプってやつの力なのか…案外、コスモタイガーにもすんなり乗れちまうのかもな」

健二が、軽口をたたくが…麗も詩織も笑う事は出来なかった。

「コスモタイガー各機は、敵艦隊が機雷源に入ったら攻撃を開始して下さい」

香織からの通信が入る。

「ライトニングリーダー了解、各機聞こえたな」

「フェアリーリーダー了解、健二、敵機は、任せたわよ」

「ピクシーリーダー了解、健二、私達も対空ミサイルも積んでるし空戦も出来るわ…ある程度はこちらに回しなさい」

「そう言うな、麗…きっちり敵艦までエスコートしてやるよ」

「全機、機雷源まで移動するぞ!! 敵機も来ているはずだ、索敵を怠るなよ」

「了解」

コスモタイガー隊は、機雷源へと飛翔していった。

直衛機を除き、敵本体の迎撃に向かうコスモタイガー隊をモニターで見ていた優に香織が

「輸送艦に向かった敵別働隊、機雷源まで後20秒…速度そのまま、機雷に気づいた様子はないわ」と報告する。

「敵艦隊速度そのまま…輸送艦まで距離17000宇宙キロ、艦首衝撃砲にエネルギー反応!!」

リリアが、予想通りと落ち着いた様子で言う。

「機雷源まであと10.9.8.7.6・・・」

「輸送艦に向かった別働隊は、隆さん達に任せましょう、本艦は、敵本隊の迎撃に出ます…コースターン、左110度、下方35度、ガス雲に突入します。デブリ、小惑星には気をつけて」

「了解シマシタ…左110度、下方35度」

アナライザーが、パネルを操作するとフレイヤは宇宙を滑るように進んでいく…

その時、輸送艦の遥か後方で幾つのも閃光がきらめきそれは、火球に変わっていった。



海賊別働隊の指揮を取るアルファ級突撃艇の艦長の痩身の男は、後数十秒で輸送艦を捉える位置につけていた。

「野郎ども、本命は、ベガ級4隻と最新鋭のコスモタイガーに守られてる、索敵を怠るなよ、パルスレーザー対空警戒厳…全船に通達、艦首衝撃砲用意!!」

痩身の男が、吼えるように怒鳴ると同時に戦隊の先頭に位置していた急造艦が突然爆発し四散する。

「何だ!! 何が起こった!!」

痩身の男が、突然の事にがなりたてるように叫ぶが、その表情は動揺の色を隠しきれてはいない。

「思考機雷です…かっ囲まれてます」

その言葉通り、敵の接近をキャッチした思考機雷が一斉にスラスターを吹かし海賊の別働隊に向かっていく。

「全船団、対空防衛、回避運動開始、パルスレーザー撃まくれーーー!!!」

痩身の男の号令の突撃艇のブリッジに響き渡る。
海賊の別働隊の突撃艇部隊は、その速力を活かしデブリ帯を縫うように移動しながら持てる火力の全てを使いピラニアのごとく群がってくる思考機雷を迎撃する。
いくつかの機雷を蜂の巣に撃破し幾つかの機雷はデブリにぶつかり爆発するが…如何せん突撃艇の火力では限界があった。
急造艦の一隻は、デブリをかわしその間を抜けたところ先回りをしていた思考機雷に正面から衝突し船体の1/3を失い爆炎を上げながらデブリに激突し爆発する。
また、別の急造艦は、3機の機雷に追いつかれ大爆発を起こし粉砕される。

「急造艦1番艦、5番艦轟沈・・・くそっ6番艦も喰われた!!」

アルファ級突撃艇のオペレーター男が、そう叫ぶ間にもまた1隻と思考機雷の犠牲になっていく。

「アルファ級突撃艇2番艦、機雷一発命中、中破…だめだ、機雷に囲まれてる…」

オペレーターの悲痛な叫びと同時に爆発の閃光と衝撃が船体を揺らす。

「アルファ級2番艦、反応ロスト…ちくしょう、急造艦4番艦の反応も消えた!!」

「兎に角、このデブリ帯から抜けろ!」

痩身の男の命令で残存の突撃艇が、デブリ帯の外へと向かっていく。


「ほう、2隻も機雷源を抜けてくるか…ストームリーダーより各機へ、敵突撃艇に仕掛けるぞ!! 俺とストーム2は、上方から残りは下方からタイミングを合わせて一気に行くぞ」

「「「「了解」」」」

隆は、小隊に指示を出すとコスモタイガーを旋回させ敵突撃艇へと向かい加速させる。ストーム小隊と無人機部隊は、一糸乱れない動きで編隊を組む
と二手に別れ迎撃に向かっていった。


海賊の別働隊を率いていた痩身の男は、デブリ帯を抜け思考機雷を振り切る事に成功した。その表情も生き残った安堵感でわずかに緩む。
だが、受けた被害の大きさにこのまま、輸送艦を追撃する事は、無謀だと考えていた。

「後退するぞ、本隊と合流す「敵機接近…船団上方から6機、下方から9機」

痩身の男が、後退命令を出すのと同時にオペレーターの悲痛な叫びが、ブリッジに響く。

「対空防御…全砲撃ちまくれ!!」

痩身の男が、叫ぶと同時に唯一生き残った急造艦に4発のミサイルが直撃し文字通り、粉微塵となる。それを見た痩身の男は、もはや、逃げる事もかなわない事を悟った…一度うつむくと震える声で

「機関停止…発光信号、当方に交戦の意志無し…降伏する…」そう言うと自らも通信機を取ると…全周波数で降伏の意を伝えた。

「こちら、コスモアドベンチャー・フレイヤ所属、コスモタイガー、ストーム小隊隊長、山本隆だ、こちらの指示に従ってもらう。また、おかしな行動を取れば、容赦なく撃沈する」

「わかってるさ・・・アルファ級一隻でコスモタイガー15機、ベガ級4隻を相手に出来るなんて思っていない…降伏する」痩身の男は、そう言うと船長席座った。


「ストームリーダーよりストーム3、ストーム4、ストーム5は、無人機を2機ずつ率いて輸送艦の直衛につけ、俺とストーム2と残りの無人機でこいつを見張る」

「ストーム3了解」
「ストーム4了解」
「ストーム5了解」

隆の命令にコスモタイガー9機が輸送艦の方向へと飛翔すし6機のコスモタイガーが、アルファ級突撃艇を囲みいつでも撃沈できるようにロックオンした。


side 海賊


「輸送艦追撃部隊…壊滅!!」

ブラックフェニックスのブリッジにオペレーターの驚愕の声が響き渡った。その表情は、信じられないと驚きを隠せずにいる。

「デブリ帯に思考機雷だと…俺たちの動きを読んでたとでも言うのか!!」

馬鹿な!! 相手は、20日前宇宙に出たばかりの14歳の小娘が指揮する、コスモアドベンチャーだぞ!
そいつに、突撃艇とはいえ8隻もやられただと…ありえねぇ…

「艦長!!…これだけの思考機雷を設置していると言う事は、向こうはかなり前からこちらの接近に気が付いていた、と言う事は、油断なく索敵しこちらを罠に掛けたんです」

「そんなことは、分かってら!」

お頭は、ブラックフェニックスでただ一人、自分の事を艦長と呼ぶ副長を怒鳴りつける。ガルマンガミラス人の元軍人で中肉中背ながら目つきの鋭い妙に迫力の有るこの男の事を好かないせいもあり…その怒鳴り声もさらに荒いものとなる。

「艦長、と言う事は俺たちの方にも罠が張られている可能性が高いと思いませんか、しかも相手は世間知らずの小娘じゃない、オリジナルの新鋭艦を擁する精鋭と考えた方が良いと思います。こちらも全力で事にあたるべきです…いいですか?」

副長の方は、そんな怒声も気にならないといった感じで表情一つ変えずに言葉を続ける。その様子にお頭は、さらに怒りを募らせるが、そこは歴戦の海賊である。すぐに冷静さを取り戻していた。

「ぐっ、油断があったとはいえ…14歳の小娘相手に突撃艇を8隻も失って手ぶらで帰ったらボスに殺されちまう…ここは何としてもあの船を手に入れるぞ!!
野郎どもこの辺りにある全スクラップシップを起動させろ・・・無力化させるためなら中破、いや大破させてもかなわねぇ」

「艦長、念には念を入れて水雷戦隊とシンも出します…いいですね?」

気を引き締め指示を出すお頭に副長が更なる切り札の投入を進言する。

「かまわねぇが、シンの手綱はしっかりと握って置けよ」

「分かっています…あの女を盾にすれば幾らでも言う事を聞きますよ・・彼はね」

「触れる事も出来ない、女の為にご苦労なこったぜ…奴への出撃命令は、てめぇが出せ」

「了解しました」

副長は、そういうとオペレーターの席に行き、150メートル級突撃低を改造した、2隻の水雷母艦に通信を繋いだ。

「全水雷艇発進せよ…護衛のデスイーターも全機ださせろ…それとシンに繋いでくれ」

「わかりやした、おめーら 水雷艇!!全機発進させろ、護衛機も全機出せ…シン、副長のダンナがお呼びだ・・・早く出ろ」

ホログラムスクリーンが切り替わり戦闘機の格納庫に繋がる。

「なんだ?」
黒髪を短く切りそろえたアジア系の男が、通信に出る。

「また、お前に出てもらう・・・水雷戦隊の護衛だ、相手は、最新のコスモタイガーD17を多数出してきている」

「ふん、14歳の小娘が指揮する楽な相手じゃなかったのか…」

「皮肉はいい、貴様は、貴様の仕事をすればいい…ヘマをすれば、化物に捕らわれた麗しのお姫様がどうなるか「分かってる…サラには、手を出すな!!」

副長の声を遮りシンが、怒鳴る。

「分かっているならいいさ、貴様が、役立つ間は、女には手を出さん…後は言わなくてもわかるな?」

「ああ…分かってるさ」

シンは、そう言うと通信を切り、自分に与えられた黒いコスモタイガーD17の改造機に乗込んだ。

「シン、コスモライガー(D17改のこと)出る」

重力カタパルトの加速をえた、コスモライガーが、猛スピードで10機の水雷艇と護衛の戦闘機を追い抜き部隊の先頭に立つ。

…サラ、絶対に助け出す、たとえこの手が、幾ら血に汚れようとも…その為にも今は、目の前の敵を叩き落とすのみ…シンは、そう心に誓うと水雷船隊と共に海賊本隊とは小惑星を挟んで逆ルートでフレイヤを目指していった。

その様子をブラックフェニックスのホログラムスクリーンで見ていた副長は、…逃げる事も、逆らう事も出来ない哀れな男の様子に満足そうに頷いていた。

「前方に多数の思考機雷を反応あり…本船団に向かって高速で接近中!!」

ブラックフェニックスのレーダー員が叫ぶ

「全艦、密集隊形…全パルスレーザ―砲、対空ミサイル発射用意、対艦ミサイル発射管にボムガードとバリアミサイル装填…発射―――!!」

お頭の号令と共に艦首魚雷発射管からバリアミサイルが発射され、艦側舷のミサイル発射管からボムガードが発射される。

バリアミサイルは、接近してくる思考機雷の進路を塞ぐように鏡面上のバリアを展開させる。計12発のバリアミサイルが発生させた鏡面バリアの次々思考機雷が激突し爆発していく。

鏡面バリアを迂回した思考機雷群をボムガードが迎撃する。対艦ミサイルが、思考機雷群の直前で破裂し無数のベアリング弾を広範囲にばら撒いていく。
接近してきた思考機雷は、次々ベアリング弾を食い込ませていき爆発していく。

「バリアミサイル、ボムガード…思考機雷のおよそ87%を破壊…残り43機接近中」

「くそったれ!・・・なんて数の機雷を仕掛けてやがるんだ、全艦隊対空防御、防御シェルに穴を開けるなよ」

お頭の号令の下、海賊艦隊は、接近してくる思考機雷群に向けて、主砲をパスルレーザーを対空ミサイルを撃ちまくる。

650メートル級のマーズ級重巡洋艦の含む艦隊の濃厚な対空砲火に思考機雷は、次々撃ち落とされ爆発していく。それでも、ミサイル駆逐艦2番艦に3機命中しダメージを与えていく。

「フレッチャー級2番艦、機雷3機と接触…中破…艦内にシアンガス発生、火災は消火できたようです」

オペレーターが、被害を報告する。

「思考機雷反応なし…全て撃ち落としたようです。被害は、先程のフレッチャー級2番艦のみです」

「応急修理急がせろ!」

「直衛機隊、敵機と交戦に入りました」

オペレーターが、叫ぶと同時に艦隊の前方で幾つもの火球の華が咲き乱れるのだった。


海賊side end


「ちっ…流石に本隊の方は、罠を警戒していたか…」

バリアミサイル、ボムガードで次々に破壊されていく思考機雷を見ながら健二が呟く。

「こちら、フェアリー4、敵編隊を確認、急速にこちらに向かってきているわ…数25!!」

「敵の直衛機か…ポイントβ11 タリホー…全機続け」

健二の号令と共にライトニング、ピクシー、フェアリー各小隊のコスモタイガーと無人機部隊は、一斉に加速すると敵編隊の下方から突き上げるように攻撃を開始する。
性能的にも数的にも勝っているコスモタイガー隊の攻撃を受け、すれ違い様に6機のデスイーターが、火を噴きながら編隊から脱落していきある機体は、小惑星に激突し、ある機体は、燃料に引火し大爆発を起こす。

健二は、スプリットSで敵編隊の後ろにつけると…バレルロール気味に編隊に突っ込んでいくとパルスレーザーを連射する。立て続けに2機の敵機を蜂の巣にすると一気に上昇し離脱を図る。

健二のコスモタイガー追撃しようとした2機のデスイーターは、待っていましたとばかりにライトニング2と3が後ろを取りパルスレーザーの餌食にしていく。

対艦装備のピクシー、フェアリー小隊もまた、連携攻撃で次々に敵機を撃ち落して言った。

海賊の直衛機が、残り9機になった時

「麗、詩織、ここは、もう俺達、ライトニング小隊で十分だ、お前達は、海賊艦隊を叩きに行け」

健二は、そう通信しながらも巧みに敵機の後ろを取り撃墜していく…

「了解、全機…敵艦隊に向かうって何よこれ」

海賊船団へ攻撃命令を出そうとした麗が、コスモタイガーのレーダーに無数の敵を表す光点が現れたのを見て悲鳴のような声を上げる。

「何が起こったんだ…ドローンの索敵でも伏兵は、無かった筈だぞ!」

健二が怒鳴りながら機体を旋回させ周囲を見回す。そると、今までデブリだと思っていた大小様々な廃艦が、フレイヤの居る、ガス雲に向け砲撃しながら突撃していく姿だった。

「何なのあれ…」

詩織が驚くのも無理はないだろう…フレイヤに突撃していく廃艦を見て驚きの声を上げる。之が、廃艦にカモフラージュされた船団なら驚きもし無かっただろう。
しかし、フレイヤに突撃していく廃艦は、船体に大きな穴が開いているなど当たり前で、補助エンジンしか吹かしていない艦もある。
砲撃している武装も砲塔一基しか稼動していない戦艦もあるぐらいだ。

「なんて、ふざけた罠仕掛けてやがる…麗、詩織、対艦装備のコスモタイガー全機であのスクラップを沈めるんだ!!…いくらフレイヤでもあの数は、対応し切れないぞ、それにあの動き、体当たりも普通にやるはずだ絶対にフレイヤにぶつけさせるな!!」

「了解、ピクシーリーダーより各機へ、あのジャンクもどきを本当のジャンクにするわよ」

「フェアリーリーダーより各機へ、相手の数が多いわ、破損箇所を狙って一撃で仕留めていくわよ」

麗と詩織の指示に小隊員から「了解」の返事が届くと同時にライトニング小隊を残したコスモタイガー隊は、スクラップシップの迎撃に向かったのだった。




ガス雲に突入したフレイヤは、レーダーすら使えなくなる高濃度の不燃性ガスの中に身を隠していた。

「輸送艦に向かった、海賊の別働隊、思考機雷源に突入しました」

リリアは、無人探索ドローンからの通信ワイヤーでもたらされて来るデーターをメインスクリーンに投影する。
メインスクリーンには、次々と思考機雷の餌食になっていく海賊の突撃艇戦隊の姿だった。

「急造艦4、アルファ級1轟沈を確認」

「別働隊は、壊滅状態ね…後は、隆さんが何とかしてくれるわ」

優が、そういう言うと同時に

「ストーム小隊攻撃開始、急造艦撃沈…アルファ級、機関停止、発行信号確認、降伏信号です」

香織が、報告すと

「流石、隆さん仕事が速いわ」

と感心したように言う。

「向こうは、もう大丈夫のようね、さあ、今度は、こっちの番よ…海賊は、思考機雷に気づいている筈だわ。気を引き締めていくわよ」

優が、全艦に檄を飛ばす。

優の言う通りに海賊は、バリアミサイル、ボムガードで機雷を迎撃しその大半破壊すると残りの機雷も対空攻撃で次々撃ち落していく。
それでもミサイル駆逐艦に3機の嫌いが激突し中破させたときは、フレイヤの艦内に歓声が上がった。

「コスモタイガー隊、敵直衛と交戦」
リリアが、メインスクリーンをコスモタイガー隊にあわせる。

メインスクリーンに映し出されたその戦況は、コスモタイガー隊が、次々に敵機を撃ち落している様子だった。

「このままなら、コスモタイガーの対艦攻撃で終わりそうね」

香織が、モニターを見ながら呟く。
重巡1、駆逐艦3隻では、対艦装備のコスモタイガー31機の攻撃に耐えられるとは到底思えないかえらだ。
優もそろそろ降伏勧告をするか迷い始めたときそれは突然起こった。

リリアが見ていた、コスモレーダーに突如、無数の光点が表示される。

「デブリ帯に敵艦の反応多数あり・・・総数65隻!!」

リリアが、信じられないという表情で言う、その声は、少し震えていた。

「そんな、この辺りのデブリ帯は、ストーム小隊と無人探索ドローンで十分調べたはずよ!?」

「私のセンサーも無人ドローンのセンサーも生命反応、エネルギー反応、如何なるセンサーの反応、熱反応もありませんでした。時空ソナーにも反応ありませんでした」

フレイヤが答える。

「コスモレーダーも行き成りデブリ帯から敵艦の反応が・・・いえ、デブリが敵艦の反応になったとしか言いようがありません」

リリアが、言う。

「接近してくる敵艦隊を映して」

優が言うと同時にメインスクリーン、ホログラムスクリーンにスクラップシップが、映し出される。

「何コレ…ふざけてるの!?」
 思わず叫ぶ、優に、香織も、リリアも信じられないといった表情でみていた。

優も健二もふざけているといった、スクラップシップだが、このビルトフェルト暗礁宙域では、かなり有効な戦法でもあった。
その理由の一つに廃艦やデブリの使える部品を集めて作る為に元手が完全に0であること
理由その2に起動するまで如何なるエネルギー反応もなく、センサー類も起動してないのでまったく周りのデブリと見分けが付かないという事だ

現に、最新鋭のフレイヤのセンサーにも引っかからず、近くを通ったストーム小隊のセンサーや目視でも見分けられなかっただから…

「大昔のブービートラップね」

優が呟くのと同時にスクラップシップが一斉に砲撃を開始する。

「ブービートラップ?」香織が、優の呟きを聞き思わず聞き返す。

「旧時代の大戦時に使われた間抜けな罠のことよ・・・戦車を破壊されたように偽装してその前を無警戒に通り過ぎようした間抜けな敵をズドンとね・・・ただここまで、大規模にやるなんて普通考えないけどね」

優が、半ば呆れたように言うが、どの表情は、真剣そのもので、この事態に対する対応を支援するべく戦略モニターを食い入る様に見つめていた。その間もスクラップシップからは絶え間なく砲撃が続いていた。
ガス雲の中にいるため補足出来ていないのかその砲撃は、ガス雲全体をターゲットにしているようで今のところ直撃する事は無いが、其れも時間の問題といった所だろう。

「ガス雲の裏に出つつ、ドローンとのレーダーリンクシステムであのスクラップもどきを砲撃…ガス雲を盾に出来るだけ数を減らすわよ」

「了解、コースターン左110度…ガス雲の裏側に出ます」

ガス雲の裏に移動する間もアムロとシャアの砲撃が、スクラップシップ数隻沈めていく…

「優、あのスクラップもどき…体当たりするつもりだぞ…距離を取るんだ」

アムロが、ブリッジに通信を入れる。

「アムロさん?・・・分かったわ、アナライザー!!」

「了解デス、最大戦速でガス雲カラ離レマス」

相手が、体当たりしてくるのであればガス雲は、視界を遮る目隠しでしかない…
優は、アムロの警告を受け、ガス雲の裏からさらに後方に離れていく。
しかし、海賊の本命が、まだ物にあることをまだ優たちが知る事はなかった。



[32480] 第16話 忍び寄る恐怖
Name: 虹姫琴魅◆97071475 ID:a6e841e2
Date: 2014/03/06 18:25
思考機雷とストーム小隊の攻撃で輸送艦の追撃をしていた海賊の別働隊を壊滅させ、海賊本隊の直衛機もライトニング、ピクシー、フェアリー各小隊と無人機部隊によりその大半を撃ち落とした。
その後。対艦装備のコスモタイガー31機による海賊船団への攻撃移ろうとした時、劣勢を悟った海賊は、スクラップシップを起動させることで起死回生を図った。
この作戦は、成功したと言っていいだろう。

突然、65隻もの敵艦が、レーダーに映ったことでフレイヤの乗組員もコスモタイガーの各小隊長も一時的に混乱してしまったからだ、それでも、すぐに的確と言える指示を出し行動した事は、厳しい訓練も賜物と言えるだろう。

「なんて、ふざけた罠仕掛けてやがる…麗、詩織、対艦装備のコスモタイガー全機であのスクラップを沈めるんだ!!…いくらフレイヤでもあの数は、対応し切れないぞ、それにあの動き、体当たりも普通にやるはずだ、絶対にフレイヤにぶつけさせるな!!」

フレイヤに向かって突撃していくスクラップシップを見て健二が、吠える様に言う。

これも的確な指示と言えるだろう…相手が、デブリに偽装した伏兵の艦隊ならの話だが…
スクラップシップは、その名の通りスクラップに偽装した艦隊ではなく、スクラップの使える部品を集めとりあえず動くようにした艦隊で、装甲の欠落や武装も砲塔一基しかない船も多い。幾ら体当たり覚悟で突っ込んできたとしても重武装のフレイヤなら波動カートリッジ弾を使用すれば十分に単艦でも対応できる相手であった。

だが、その判断を今の優や健二に求めるのは、酷と言うものだろう訓練の成績では、宇宙戦士訓練学校主席並みの成績を収めているとはいえ実戦は、初めてなのだから…

健二が、残りの敵の直衛機の相手をしている隙にピクシー、フェアリーの各小隊と無人機部隊が、フレイヤ目掛けて突進していくスクラップシップの後方から攻撃を開始した。

「全機、長距離対艦ミサイル発射用意、一隻に2発ずつ・・各機個別に2隻ずつロックオン、計4発・・・同時にいくわよ」

麗の号令と共にコスモタイガー隊は、スクラップシップの後方に展開すると個別に目標をロックオンしていく。

「全機、アタック!!」

麗が、叫ぶのと同時に31機のコスモタイガーから4発ずつ計124発の対艦ミサイルがスクラップシップに向けて発射される。

見た目通りの廃艦を動くようにしただけなのかしら・・・取り合えず、対空防御が、どの位なのか知りたいわね。
麗は、無人機6機をスクラップシップの艦隊に突撃させる。

ミサイル着弾まで後20秒…その時だった、最後尾に位置していた2隻のスクラップシップが、逆噴射をしてミサイルの方へとその進路を変えたのだ。

…あの2隻を盾にするつもり…でも2隻じゃまるでカバーできていないわよ…
麗が、そう思ったとき、集団から離れた2隻のスクラップシップから異常ともいえるエネルギー反応をコスモタイガーのセンサーがキャッチした。

何よこれ…まるで、波動砲を撃つとき並のエネルギーじゃない…何のつもりよ。
麗が、疑問に思うのも無理はないだろう、100発以上のミサイルが接近している状態…命中直前といてもいい状態でミサイルの盾とする為に自らミサイルに接近して行った戦艦に波動砲のエネルギーを充填する時間など残されているはずも無い、確実に充填前に十数発のミサイルを喰らい撃沈される運命だろう。

そもそも逆噴射でミサイルの方へ近づいている為、波動砲の発射口は、ミサイルとは逆方向に向いているのだ・・・

「お姉ちゃん!!…あの2隻の戦艦もしかしたら、波動エンジンの臨界点を越えさせて自爆するつもりじゃ…」

詩織が、悲鳴を上げるように言う。

波動エンジンは、その強大なエネルギーを発生させる為に何重もの安全装置が仕組まれている。例え、波動砲発射直前に撃沈されたとしても瞬時に臨界直前まで高められたエネルギーを拡散し大爆発を防ぐように出来ている。
もし、その安全装置を故意に外し、自爆させたとしたらどうだろうか?…

100年前の250メートル級の船ですら、星をも破壊する事が出来る高エネルギーを生み出す事が出来ていたのだ。
それから、数十年後、より大型で高出力の波動エンジンが臨界までエネルギーを蓄えて爆発すればその威力は、説明するまでも無いだろう。

麗が、突撃させた6機の無人機を慌てて引き上げさせるが…その瞬間、太陽が爆発したような閃光とともに2隻のスクラップシップが大爆発を起こした。
その衝撃は、遥か後方にいた麗たちのコスモタイガー隊すら木の葉のように激しく揺さぶるほどだった。

「「キャァァァァ」」

その衝撃に思わず悲鳴を上げる。

「ピクシーリーダーより各機へ、皆、無事?」

「ピクシー3、無事ですが、システムがフリーズしたわ、再起動完了…機体に異常なし」

「ピクシー2、大分、流されたみたい…直に合流するわ」

「ピクシー4,5と合流…各機共に異常なし」

麗は、各隊員からの連絡を受け、胸を撫で下ろす。

「詩織、そっちは大丈夫?」

「うん、各小隊員も無人機も無事よ…ただ、突撃させた無人機6機の反応は消えたわ」

「あの爆発じゃね…ミサイルの反応も全て消えているわね…」

なんてこと…スクラップ相手に新鋭機のコスモタイガーD17が6機損失だなんて…あまりの悔しさに噛み締めた下唇から出血する。
でも、これが…あのスクラップもどきの奥の手なら、幾らでも対応策はあるわ!!

「全機散開!!…スクラップもどきを全方位から攻撃するわよ、また自爆されてもいいように十分距離を取る事、長距離ミサイル攻撃は、時差をつけて行うわよ・・・いい?」

「「「「了解」」」」」

「フェアリーリーダーより各機へ、ピクシー小隊と同様、遠距離からの全方位攻撃をするわよ、各機散開!!」

麗と詩織に指示に各小隊のコスモタイガーと無人機が、最高速度で散開しスクラップシップの全方位を囲うように散っていった。



コスモタイガー隊が、スクラップシップから異常なエネルギー反応をキャッチした時、フレイヤのセンサーもまた、その反応を捉えていた。

「後方に離脱した、スクラップもどき2隻に高エネルギー反応!!…このエネルギー量は、波動砲でも撃つ積もりなの!?」

リリアの悲鳴のような声が、ブリッジに響くのと同時に異常なエネルギー反応を見せていた2隻のスクラップシップが大爆発した。
その爆発はすさまじく…あまりの閃光にAIフレイヤが、各スクリーンで見ていた乗組員の失明の危険があったためにシャットダウンしたり補正をかけるほどであった。

「自爆!?」

優が驚いたように言う、しかも、この爆発力は…

「そう見たいね…其れもただの自爆じゃないわ…」

香織が、ホログラムスクリーンを見ながら言う

「それじゃ、やっぱり…安全装置を外して波動エンジンを暴走させて自爆させたのね…」

そう言いながら優は、なんて無茶苦茶な事するのよ!!とそう心の中で叫ぶ。

スクラップシップの自爆の衝撃波にフレイヤの後方のガス雲が吹き飛ばされる様子がメインスクリーンに映し出される。

「アナライザー、艦首を衝撃波の方向に向けて!! フィールド出力最大!! 総員衝撃に備えて」

ガス雲が、吹き飛ばされるのを見て慌てて優が、指示を出す。

「了解、コースターン左130度」

アナライザーが、衝撃波の来る方向に、頑強な艦首を向ける様にフレイヤを操艦する。

「衝撃波到達まで後20秒・・・・15秒・・・・・10・9・8・7」

リリアが、緊迫した表情で衝撃波到達のカウントダウンを開始する。

「とてつもない衝撃が来るわよ、総員、体を固定して、出来ない人は、すっ飛ばされないように対衝撃姿勢をとって」

叫ぶような優の号令が艦内に響き渡るのと同時にフレイヤの船体が、その衝撃に激しく揺れる。
正に天地がひっくり返るような衝撃に優も艦長席から放り出されそうになるが、固定ベルトのおかげ飛ばされる事はなかった。

十数秒後…衝撃波が、過ぎ去りフレイヤの揺れも収まる。

「香織さん、負傷者の確認お願いします。フレイヤ、艦の被害状況を確認して」

優が、そう指示を出す前に香織もフレイヤもそれぞれ、被害状況の確認をしていた。

「此方、機関部…ドローン一体が、吹き飛ばされて損傷、今整備班に修理してもらっている。あと、2名ほどコンソールに頭をぶつけていたが、宇宙服のヘルメットのおかげで怪我は無い」

「此方、整備班、衝撃で飛んできた工具があたり1名が額を切る怪我をした、念のため愛香さんのところへ行かせている」

「アムロだ、第二砲塔にいるメンバーで負傷者はいないが、システムの一部がフリーズした。フレイヤ再起動急いでくれ」

「第六砲塔のシャアだ、此方は異常は無い」

「アモンだ、ビーストウォーリアに負傷者無し」

「愛香よ、医療班にも負傷者はいないわ…医薬品や機材も被害無し」

各部署より状況報告が次々に上がってくる。この対応の早さもまた、厳しい訓練の賜物だろう。

「船体に異常なし、いくつかの部署でシステムのフリーズが起きましたが。全て再起動完了しました」

自律AIのフレイヤが、船体の被害状況のチェックを終え報告する。

「ふぅ、たいした被害は無いようね…よかったわ」

香織が、安堵したように言う。

「咄嗟ニ、艦首ヲ衝撃波ノ方向ニ向ケタカラデショウ」

アナライザーの言うとおりで、船体の中でも頑強な艦首を衝撃波の方向に向けた意味は大きく、被害を最小限に抑える事が出来ていた。

元々、地球製の艦艇は、宇宙、大気圏内、海上、海中とその汎用度は高く様々な環境で運用されている。また、惑星内のドックは、海中に繋がっている事が多い。
波動エンジン全開で水中を進むこともあるのだ。その為、地球製の宇宙艦艇は、海上艦同様艦首が頑強に作られている。また、衝撃波をくらう面積が、最も小さいのも艦首なのだ。
それ故、恒星の爆発に匹敵する波動エンジンの臨界点を超えた爆発が生み出す莫大なエネルギー衝撃波を咄嗟に艦首で受けた優の判断は、被害を最小限に抑える、最良の判断と言えた。

レーダーやセンサーも遮る高濃度のガス雲が払われた事でスクラップシップからの砲撃の多くが、至近弾になりフレイヤのすぐ脇を閃光が通り過ぎていく。

「接近されて自爆されたら堪らないわ、本艦の全火力を持ってスクラップもどき近づけさせないで!!・・・・アナライザー、相手の本隊との戦闘の前にあんなスクラップもどきの砲撃でエネルギーフィールドを削られるのは面白くないわ、右舷上方の小惑星帯を盾にするわよ」

「了解、コースターン左舷80度、上24度」

スクラップシップの砲撃を掻い潜るようにしてフレイヤは、その快足をもって小惑星帯に突入していく。
その間にもアムロ、シャアの砲撃を始め、8基の主砲塔系16門が火を噴き、2基ランチャータイプのレーザーが断続的に閃光を放ち、白色彗星帝国タイプの回転式高エネルギー方が、その速射性を活かし絶え間ない弾幕を張っていく。又、ミサイル発射管からは次々とミサイルが発射されていく。

「対空ミサイルも連続発射!!・・・破損部に直撃させれば十分ダメージを与えられるわ」

優の命令と同時にフレイヤから次々と小型の対空ミサイルが発射されていく。

フレイヤからの砲撃は、急接近してくるスクラップシップの前衛に次々と命中し、1隻また1隻と元のスクラップ…スペースデブリへと変えていく。

「スクラップもどき、第5世代型主力戦艦撃沈、駆逐艦1,2いえ4隻撃沈…重巡タイプ3隻撃沈」

リリアの報告を聞き

「撃沈と言っても半分沈んでいるような相手だからな…あ~ミサイルが、もったいない」

優が、珍しくイライラした様子で呟く。

「勿体ないと言っても近づかせるわけにはいかないわよ…まあ、姫ちゃんの苦労もわかるけどね」

香織は、主計部も総務部等の人材が皆無の為、資材や弾薬その他もろもろの物品の在庫確認や必要物品のリスト、物品の購入と交渉、乗組員への手当等を優が担っている現状を知っているだけに少し気遣う様に声をかける。

香織の言う通りで、集計や総務業務に精通している乗組員が居ない為、各部署や個人から個々に上がってくる物品や要望をまとめ、艦内工場で生産できるもの、生産に必要な資源の在庫の有無、ギルドや商人からの購入や交渉等や予算の配分等を優が、行なっているのだ。実際AIフレイヤとアナライザー、愛香に香織が手伝ってはいるが、やはりそれ専門の技能を持つプロと比べると要領も悪く処理できる仕事量も遠く及ばないのが現状であった。

訓練も手を抜くわけにもいかず、実戦さながらにやっていた為に正に書類に埋もれる様に仕事をしている優を見ているだけに、スクラップ相手に実弾兵器を全力で使用している事に思わず愚痴りたくなるも仕方がない事だろうと思う。

「わかっているわ、全武装フルバースト!! スクラップもどきを殲滅するわよ」

優が、檄を飛ばすとフレイヤの砲撃の密度がさらに厚くなっていた。

フレイヤから放たれる閃光がミサイルが、次々にスクラップシップに命中していく。
更に、コスモタイガー隊による全方位からのミサイル攻撃が加わるとその数を急激に減らしていった。

「さすが、麗さんと詩織さんね、あの自爆攻撃に対してちゃんと対策をとって攻撃してるわ」

優が、麗と詩織が率いるコスモタイガー隊の手際の良い攻撃に表情を綻ばせる。

「あの距離なら自爆に巻き込まれる事はないし、全方位からの攻撃なら1隻2隻の自爆じゃ防ぎきれないわ、全方位で自爆なんてしたら、全方位から衝撃波を食らうスクラップもどきの方が、壊滅するわね」

香織も絶妙と言っていい距離とタイミングでの攻撃に感心したように言う。

「スクラップもどき残り15隻を切りました」

リリアが、レーダーに映る光点が、次々消えていくの見ながら言った時だった。

「索敵ドローン4の反応ロスト!!」

無人機のコントロールをしていたAIフレイヤが、警告音と共に報告する。

「索敵ドローン4…巨大小惑星の裏側を警戒させていたやつよね?」

突然の事に香織が、確認するように言う。

「うん、海賊が、侵攻してきた反対側に派遣したドローンだったはず…別働隊がまだ居るのかしら…香織さん、ドローンからの撃墜前までの映像は届いてる?」

「ちょっと待って…ノイズをクリアにするわ…OKメインスクリーンに映すわ」

メインスクリーンに映し出された映像は、小惑星の起伏に隠れるように着陸した無人索敵ドローンが、周囲を警戒しているのだろう…映像は、時折小惑星の地肌を映しながら宇宙空間映し出している。

「ドローン撃墜20秒前の映像よ」

操作パネルにタッチしながら香織が、映像を切り替えていく。

ドローンのセンサーに反応があり、その方向にカメラを向けると同時に、カメラレンズに罅がはいり映像が、乱れると次の瞬間、映像が途切れる。

「撃墜される瞬間をスーパースローで再生して」

優が、何かに気が付いたようにメインスクリーンを睨む様に見つめながら言う。

「了解」

香織が、コンソールを操作し撃墜の瞬間をスーパースローで再生する。
ドローンが、撃墜される瞬間…映像にレンズに罅が入り乱れた時に画面の端に僅かに光点が映っていた。

「光点を拡大投影…フレイヤ、映像を修正して」

「了解」

AIフレイヤが、乱れた画像に補正をかけ修正していく。

「!!」

映像が修正され光点の正体を見た時、ブリッジに居た全員が、息を呑んだ…まさに声ならぬ悲鳴…メインスクリーンを見つめるその表情は、驚愕、いや悪夢を見せられたかのように蒼白であった。

「ディンギルの水雷艇!!」

100年前、地球防衛軍を壊滅させた水雷艇の後継機で形は、100年前の水雷艇と殆ど変わらないがサイドに1発ずつ、下部に2発とハイバー放射ミサイルが搭載可能となり、計6発搭載できるようになっている。

「あのスクラップもどきは、囮だったの…本命はこっちってこと!?」

香織が、思わず叫ぶ。

「香織さん、コスモタイガー隊に連絡! 相手が、新式のハイパー放射ミサイルを持っていたらヤバイわ、絶対に発射前に撃ち落として!!」

「わかってるわ!! フレイヤより各コスモタイガー隊へ緊急連絡…敵の隠し玉が分かったわ、ディンギルの水雷艇が、巨大小惑星の裏側からフレイヤに接近しているわ…兎に角相手が、ハイパー放射ミサイルを発射する前に撃ち落として!!」

香織から通信が、各コスモタイガー隊へと飛んだ。




「お姉ちゃん!!」

香織からの通信を受けた詩織が、麗に通信を入れる。


「分かってるわ…詩織、水雷艇の迎撃には、対艦ミサイルを使い切った私達の小隊が行くわ、詩織たちは、海賊の本隊もまだ健在なんだからフレイヤを守って!!」

「分かったわ!!…後、対艦ミサイルを使い切った無人機10機も連れて行って!!、水雷艇の数も護衛機の数も不明なんだから」

「ありがとう、ところで健二の馬鹿は、何処に行ったのよ…」

「麗、馬鹿はないだろう…とは言え、相手の直衛機を殲滅の結構手間取ってな相手が逃げの一手でだいぶ離された…戻るのは少し時間がかかりそうだ」

健二からの通信が入る。

「健二…それは誘導されたのよ……間抜け過ぎて笑えないわ」

麗の冷ややかな声が響く

「しょうがねーだろう、直衛のデスイータータイプはともかく芋虫は残せないだろう、そうじゃなくても艦隊戦になれば、単艦のフレイヤの方が不利なんだ、対艦攻撃特化の芋虫は、残せないぜ」

「このお馬鹿!!…何の為に直衛の無人機が10機も居ると思うの数機の芋虫に対応できないと思ってるの?」

「しかし!!」

「健二君…素直にお姉ちゃんに謝ったほうがいいわよ…男の言い訳なんて女は、大抵読んじゃうし…そもそも、今回は、健二の判断ミス…それよりも急いで戻ってお姉ちゃんの援護に行って!!」

「だーっ、分かったよ、麗、直ぐに追いついてみせるだから、6分もたせろ」

「了解、でも私の小隊で何とかするわ」

麗は、そう言うとコスモタイガー加速させると最大スピードで小惑星の影へと突入していった。

次回、エースVSエースです。

次回予告

海賊の切り札ディンギル水雷艇部隊!!

迎撃に出た麗たちピクシー小隊に黒いコスモタイガー改、コスモライガーが襲い掛かる。評価


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