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[3380] 目指せ!全力ご都合主義(現実→コードギアス)
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/06/30 17:27






「お前は自分勝手な最低な奴だ」

「アンタってホント自分本位よね、最低」

「どうして君はそう自分しか見ていないんだ」

そうれがどうした?自分が一番大事なんだから別に可笑しい事じゃねぇだろう?

「もっと他人を思いやったらどうだ?」

「人の気持ちも考えてよ!!」

「理解しようとはしないのかい?」

自分より大切な他人が現れたらそうしてやるよ。
あいにくそんな奴今まで一人しかいなかったがな。
それに理解はしてるぜ、理解だけならな。行動にはしないけどさ。

「それが貴方のいい所でもあるんでしょうね。
でも、あなたを心配する私の気持ちはどうなるの?」

知らないね。

俺は俺が決めたルールは曲げない。
俺が守るって決めた事は、例えどんな奴に反対されてもやりとげる。

「不良」

「酒飲み」

「オタク」

何とでも言えばいい。
俺は俺だ。

喧嘩したいからする。
酒が飲みたいから飲む。
アニメやゲームが好きだから見るしする。

何が悪い?

一応、最低限の世界のルールは守ってるぜ?

「きっと、貴方は生まれてくる世界を間違えたのね」

そうかもな。

でも―

「でも、そのお陰で私幸せよ」

そうだろう?

「だから、おやすみ」

ああ…

「次に貴方が生まれる世界が、貴方が自由に飛べる世界でありますように―」

そう願うよ…それから、おやすみ―多分、愛してた。



そうして俺はこの世界から消えた。


















目指せ!全力ご都合主義!!

















「――――すか?」

ん?なんだ?声が聞こえる…

「ぁ―――で―か?」

やけに可愛らしい声じゃねぇか…
子供…しかも女だな。

肩を揺らされる感触がある。
揺すってるのは声のガキか?

っ、瞼が重てぇ…
でも動かせない程でもない。

両手…問題なし。
両足…問題なし。

…とりあえず起きるか。
ベッドで寝てた筈なのに、さっきから背中が何でか痛ぇんだよ…

まずは目を開く。
そして固まった。

「ぁ…」

小さな声がするが今の俺の耳には入ってこなかった。
なぜなら…空が見えたからだ。

「なんで…空が見えんだ?」

こんな俺でも素直に綺麗と言えるような、
澄み切った青空が俺の目の前に広がっていた。

驚いたまま勢いよく体を起こす。

「きゃっ」

また聞こえた小さい声を無視し、そこでまた俺は固まった。

「どこだぁ…此処?」

そこは本や漫画に出てくるようなとても綺麗な庭園だった。
少し向こうにゃ、昔のヨーロッパあたりの貴族とかが住んでそうなでかい建物まで見える。
俺の近くには小さな小川まである。

ていうか俺の寝ていた場所は芝生の上だったのか…
どうりでベッドと違って、背中が痛かった訳だ。

「ぁ、あの…だいじょうぶですか?」

「あん?」

そこでようやく俺はさっきから聞こえていた声のほうへと視線をやる。
するとそこには4,5歳くらいのちんまい女のガキがいた。

薄いブラウンの髪を短くツインテールにしている。
うん、この女幼女として完璧じゃねぇか。

っと、オタク魂出してる所じゃねぇ。

「ぁ、あの…」

手を伸ばしてきたガキの手を逆に掴み、
威圧するように言葉を紡ぐ。

「おい、此処はどこだ?俺は何で此処にいる?」

「ひぅっ!?」

まさかこんなガキが俺を攫える筈ないだろうし、
第一俺って死んだ筈じゃ…?

う~わからん。とりあえず現状確認だけでもしねぇと。

「正直に答えた方が身のためだぞガキ?
痛いのは嫌だろう?」

「ひっ……ぁ、ぁあの、こ、こここはアリエスの離宮で…
そ、そのあなたがたおれてて…それでしんぱいになって……」

「アリエスの離宮?」

「は、はぃ!」

ちょっと待て、確かどこかで聞いたことがあるぞ?
この幼女もどっかで見たことあるんだよな…どこだったっけ?
割と最近見て聞いた名前だったような…

「テメェは俺が何で此処にいるのかは分からないんだな?」

幼女は首が取れるぐらい激しく頷く。
ふん、どっちが上か理解させるにゃ、始めが肝心だからな。

それより…

「つまり、テメェは俺は助けようとしてくれたのか?」

「ぃ、いえ。ただどうしてたおれているかって…しんぱいで……」

シュンと幼女が俯く。やべぇ、助けてくれようとした奴をビビらせてどうすよ。
恩をあだで返すのは俺のルールに違反することだ。

「あー…その悪かった。」

「ぇ?」

「俺もちょっと混乱してた。起きたらいきなり知らねぇ場所だったからよ…
その、悪かったな。助けてくれようとしたのに…」

掴んでいた手を離し頭を下げる。
あれ、ていうか俺の手ってこんな小さかったけか?

「いえっ、きにしないでください」

幼女は照れたのか顔を赤らめる。
…くそぉ、可愛いじゃねぇか。

っと、言っておくが俺にそっちの趣味はないからな!
本当だぞ…?

ていうか、本当に此処は何処だ?
幼女の目は青い…だから外国?でも英語じゃないし…
とりあえず…

「でだ、テメェ…良かったら名前教えてくれないか?」

「あ、はい。ナナリーです!わたしのなまえはナナリー・ヴィ―」

「ナナリー!!」

目の前の幼女…ナナリーが名前を言い終わる直前。
少し先から叫び声が聞こえた。

見ると一人の小僧がこっちに向かって走ってきている。

「あっお兄さま!!」

ナナリーが花が咲いたような笑顔で近づいてくる小僧に手を振る。
お兄さま…ああ、兄貴のことか。

「ナナリー無事か!?」

「ぇ?は、はい」

「よかった…」

小僧はナナリーの無事を確認し終わると、
キッと俺を睨みつけてきた。
黒い髪にアメジストの瞳、服装はどこぞのお坊ちゃんを思わせる。

でも、へ~まだ7,8歳ぐらいだろうに…ちゃんと兄貴してるんだな。

「お前、何者だ!ブリタニア人じゃないな…
どうやってこの離宮に侵入してきた!…もしかしてテロリストか!?」

「ち、ちがうのお兄さま!このひとは…!」

「ナナリーは黙ってて」

小僧は庇うように俺の前に立つ…
勇ましいねぇ…だが

「足、震えてるぞ小僧?」

「っ!?」

俺がいやらしく笑い指摘してやると、真っ赤になってされに俺を睨んできた。

「う、うるさい!それに小僧って…お前も僕とあまり変わらないじゃないか!」

「はぁ?何言って俺は毛も生えてる立派な…」

そこまで言って、さっきからずっとある違和感の正体に気がつく。
そう手が小さく感じただけじゃなく声も幼く感じていたのだ。

俺は慌てて近くの小川えと駆け寄り水に映る俺を見た。
そして三度固まった。

「お、おい!逃げるつもりか!?」

「………」

「聞いてるのか!?おい!」

「………」

「あの…だいじょうぶですか?」

「コラッ、ナナリーは向こうにいろって…!」

「……な」

「「…な?」」

「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーー!!!!!」

「きゃっ」

「ほぅわっ!?」

俺の叫び声に驚いたのか二人が尻餅をつく。
だが今の俺にそんなのに構ってる余裕なんてなかった。

なんでだ!?どうしてだ!?どうして俺は若かりし頃の俺に戻ってるんだぁぁ!?

死んだと思って目が覚めたら知らない所で、オマケに体まで縮んで…
なんのイジメですかコレは?

「だ、大丈夫かナナリー?」

「は、はいお兄さま…」

二人の会話が耳に入る…そして俺はとんでもない可能性に気がついた。
アリエスの離宮、ブリタニア、ナナリー、その兄、黒髪、アメジスト…

あれ?もしかしてこれって…

「な、なぁ…二人の名前教えてくれねぇか?」

「名前?お前僕たちの事知ってて此処に来たんじゃないのか?」

「い、いいから教えてくれ…」

それから少したってから、俺の様子に少し疑わしい目(兄限定)をしながらも二人は答えてくれた。

「ルルーシュ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」

「いもうとのナナリー・ヴィ・ブリタニアです」

「……………そんなことがありえるのか?」

二人の名前は予想していた通りだった。

じゃ、じゃぁここは…コードギアスの世界だっていうのか!?
こ、これって俗にいうトリップって奴だよな?そうだよね!?

いくら俺でも流石にトリップなんて体験は経験したことなんてねぇからな…
でも、まさか…ホントに…でも…

「ところでお前の名前は何なんだ?」

「は?」

「僕たちはキチンと答えたんだ。お前も答えるのが礼儀だろ?」

この時、どうしてそう言ったのか分からない。
ただ混乱していたかかもしれない。

それでも俺はこの時なんでか―

「ウルムナフ・ボルテ・日向だ」

好きなゲームの主人公の名前を言ってしまっていた。

「ウルと呼んでくれ」

何はともあれこうして俺はこの世界で二度目の人生を歩むことになった。

偽りの過去を作り。
偽りの名前を語り。
偽りの家族となり。

俺はこの世界で生きていくことになるのだった。














続く?






あとがき

どうも初めまして、ナナヤと言います。
もしかしたら知っている人がいるかもしれませんが…


現実来訪系です。

コードギアスはアニメとピクチャードラマとかしか見てないので、
もしかしたら本編と矛盾が出てくるかもしれません。
そういう時は教えてくれると嬉しいです。

後、今回主人公の名前に某ゲームの主人公の名前を使いましたが。
別にその事に余り意味はないです。ただ使いたかっただけなので…
不評なようであれば変えようかなと思っていたりします。

ちなみにコレは主人公がひたむきにナナリー、ルルーシュ二人にとって
ご都合主義的に終わりを迎えられるように頑張る物語です。

長くなりましたが、ここまで読んでくれてありがとうございます。

頑張っていきたいと思っているので、続きが出たら
また見てくれると嬉しいです。

では。






[3380] 序章1
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/06/30 00:06







「本当か?気づいたら此処にいたって…」

「だから本当だっつってんだろ?」

「だが此処は簡単に出入り出来るような場所じゃないんだぞ?」

「知るかってんだよ、んなこたぁ」

自己紹介が終わった後、俺はルルーシュに此処に来た経緯を話した。
経緯っても、目が覚めたら此処にいたって話しだけなんだが…

「だからそれが信じられないっていってるんだ!
それから、もう少し丁寧に言葉を話せないのか?」

「悪かったな、生まれも育ちも平民育ちなもんでね」

「あぅあぅ~」

そして、そんな俺達のやり取りを不安そうに見つめるナナリー…
ちくしょう…お前やっぱり可愛いぜ…

ギアスのキャラの中で一番好きなんだよな、
ルルーシュとナナリーは。

ちなみに二番はC.Cな。

「とにかく、俺の言ってる事は本当だ。確かに俺もルルーシュの立場なら絶対信じない」

「当たり前だ!」

「それでも信じて欲しい」

「っ」

真っ直ぐ二人を見つめ、頭を下げる。
信用してもらうなら、それ相応の態度で示すもんだ。

それに、俺がわざわざ頭を下げたのはそれだけの理由じゃない。
なんだかバツが悪いんだよな…俺がこいつ等が良い奴だった一方的に知ってるって事が。

しかも三次元的に…だ。
心を勝手に知られるのは俺だったら絶対に嫌だからな。
まぁ関係ない奴や嫌いな奴だったらいいんだけど。

もともと好きな方だし、実際に話してみて気に入ったってのもある。

「わたし…しんじる、しんじます。ウルさんのこと!」

「ナナリー!?」

ナナリーの言葉にルルーシュが驚く。
ていうか俺も驚いた。

「俺がいうのも何だが…信じてくれんのか?」

「はい。だってウルさんは、あやまってくれたもん。
さいしょはこわかったけど、あやまってくれたから…だからしんじます!」

「…それだけで?」

「はい!お母さまがいってました。ちゃんとあやまれる人は
いい人だって。だからわたしウルさんをしんじます」

じ~ん…

やばい…何か感動しちゃったよ俺。
ていうか本当に可愛いぜナナリー…もう抱きしめたいくらい。

でも流石にいきなり抱きつくのはまずいよな…
だったら…

「そっか…ありがとうな、ナナリー」

「ぁ…」

ナナリーの頭を撫でる。
出来るだけ優しく。感謝を込めて。

「信じてくれてありがとうな」

「えへへ」

それをナナリーは嬉しそうに受け止めてくれた。

「~~~~~~っおい!僕を無視するな!」

「あ?いたのお前?」

「さっきから居たのは知っているだろ!?」

「はは、悪い悪い。」

「それと!いつまでナナリーに触れている気だ!
いいかげん手を離せ!」

「やきもちか?男の嫉妬はかっこ悪いぞ?」

「~~~~う、うるさーい!!」

息が切れたのか肩で息をしながら俺を睨む。
っても、ガキに睨まれたぐらいで何ともないがな。

ルルーシュは一頻り睨んだ後、少し顔を逸らしながら口を開いた。

「……とりあえず、僕たちだけじゃどうすればいいか分からない。
だからお前をこの離宮で一番偉い母様の所まで連れていくからな」

「ま、妥当な所か」

しかし、信じてくれって言ったもののそんなに簡単に母親の所に連れて行っていいのか?
もし本当にテロリストとかだったらどうするんだ…
まぁこの頃のルルーシュはまだ頭が良くても子供だってことか…
子供はいい意味でも悪い意味でも純粋だからな。

「それから…」

「まだ、何かあんのか?」

「ぼ、僕も信じてやるよ。その…お前のこと…」

―あらま。

「なんで?」

「ナナリーが信じたから」

このシスコンがぁ!!!

思わず心の中でずっこけてしまったぜ…
そうか…この頃から既にシスコンだったのか、ルルーシュ。

ナナリーもナナリーで、「まぁ、お兄さまったら」なんて言ってる。
そうかお前もかブルータス。

「それに…お前みたいな奴初めてだったから…」

「あん?」

「僕にそんな風に話てくる奴。此処の人たちはみんな敬語だし、
ウルみたいに歳の近い人もいなかったから…」

照れているんだろう。頬が赤いのが目に入る。
…たく、本当にこの兄妹は可愛いなオイ!!

「…単純な理由だな」

「なっ、別に―」

「でも、ありがとう―ルルーシュ」

「うっ…べ、別にいいさ」

…子供の頃のルルーシュはツンデレ属性もあったのか。

「じゃ、さっそく案内してくれよ。二人の母親の所に」

「はい!」

「分かった」

こうして俺はルルーシュとナナリーに連れられて、
物語の大きな謎の一つである人物。マリアンヌの所へと案内された。
















目指せ!全力ご都合主義
序章1:対面















「あなたがウルムナフ?」

あの後、戻ってきた二人と一緒にいた俺は警備の奴らに抑えられたが、
ルルーシュとナナリーの口添えで離され、やたら豪華な一室へと連れられた。

此処にルルーシュとナナリーは居らず。
何人ものむさい顔したこの離宮の警護の奴らと
そしてそんな中一人華やいだ服に身を包んだ長い黒髪の女が居た。

TVで見たことあるその顔は…

「あんたがマリアンヌ?」

「貴様!なんという無礼な…!!」

「やめなさい!」

「し、しかし…」

「私は…やめろと言ったのですよ?」

「は、ハッ!」

マリアンヌの言葉に顔を青くして、俺に飛び掛ってこようとした兵は一歩下がる。
なんつーかあれだな…コイツ、TVじゃ話をするシーンもなくて
外見から判断してたけど以外と…

「あら?何か面白い?」

「いや、三毛猫と黒猫の母親がチシャ猫で驚いただけさ」

「上手いこと言うのね」

部屋にいる護衛の兵たちはさっきの事があってか大人しくしているものの、
俺への怒りが目に見えて見える。

俺も大概命知らずだな…だけど、媚びるのは嫌だし
敬語なんて柄じゃねぇ。
使うとしても俺が尊敬した人にだけだ。

「怒らないのか?」

「陰口には慣れているもの。もっとも、貴方の場合は堂々だけど」

「それもそうだな」

だめだ。コイツ苦手。
こういう何考えてるか分からないタイプが一番嫌いだ。

「で、さっきの質問の答えだけど。俺がウルムナフ、
ウルムナフ・ボルテ・日向だ」

「私が二人の母親のマリアンヌよ。
ところでウルムナフはハーフなの?」

「ウルでいい。ああ、俺は日本人とドイツ人とのハーフだ」

これは実は本当だったりする。

俺の親は本当に日本人とドイツ人だ。
だから咄嗟に出た名前がこれだったのかも…

「そう。それでウルはどうして此処にいるの?」

「……へぇ」

コイツ頭も相当いいな。
確か閃光のマリアンヌとか呼ばれてたよな?
KMFの操縦の腕が凄いんだっけか。

だから頭はそんなにって思ってたんだけど。

普通、ここで聞く質問は

どうして此処に来た?

になるはずだ。

なのに、来た…じゃなくて居る…ねぇ。

「気がついたら此処にいたんだよ。
ちなみに嘘じゃねぇからな」

そんなわけあるかっ!

って空気が部屋に漂う。
まぁ、そりゃそうだろうな。

だが目の前の女は相変わらず笑みを浮かべたままだった。

気にいらねぇ…その何でも私は分かってますって顔が…
ってちょっと待てよ…もしかしてこの女…

「あんた…もしかして知ってたのか?
俺が今日此処に現れる事?」

ざわっ、空気が変わる。

俺の一言に部屋にいた人全員の視線がマリアンヌへと注がれる。
その視線は困惑、疑惑…いろいろだ。

「ウルは…面白いわね」

「あ?」

「ねぇ、貴方此処で働いてみない?」

「――――は?」

「な、何を言っているんですかマリアンヌ様!」

「そうです!こんな訳も分からない子供を雇うなんて!」

言い方が気にいらないが俺も兵達に同意だ。
こんな怪しい奴を雇う?頭可笑しいだろお前。
それとも本当に俺が来ることを知っていたのか?

するとマリアンヌは俺へと近づいてくる。
そして俺と視線を合わせるように屈み、俺の耳へと口を寄せる。

「あなたの推理は―たぶん正解よ」

「っ!」

その言葉を聞いた瞬間、俺はマリアンヌから離れる。

ゾクリと来た…なんだコイツ…?
俺が…寒気?

大体多分ってなんだよ…

「どう?働いてみない?」

―答えが知りたいなら。

そう言われている気分だった。
おそらくそう言うことだろう。

どうして俺がトリップなんてしたか理由を知りたいなら、此処で働けってことか…

マリアンヌが俺を見下ろしながら微笑んでいる。
理解に苦しむね。どうしてこんな女が好きなんだ?ルルーシュとナナリーは?
って母親ならそれも納得か…

何かコイツの思い通りってのが気に入らないけど、
今の俺にはこれしか道がないってのも事実だ。

まぁ、いいさ…
あの二人は気に入ったし、お前の正体を解くまでだ。
それまで我慢してやるよ。

「分かった。此処で働いてやるよ」

それに、今後俺がどうなるにせよ
ルルーシュと仲良くなるのは得だ。

何年この世界に居ることになるか分からないが、10年とみたら得だ。
ルルーシュは情に厚いからな。

せいぜい利用して、テメェの鼻を明かしてやるよ。
マリアンヌ!

「フフフ」

「ハハハ」

お互いに笑い合う。
だが目は笑っていない。これは戦いだ。

「よろしくね、ウル」

「ああ、よろしくマリアンヌ」

こうして俺はこのアリエスの離宮で働くことになった。




この時、俺は忘れていた。
マリアンヌがこんなキャラだったってのもあるが、
マリアンヌはこの先死んでしまうということを。














続く?






あとがき

続きができたので投稿します。




[3380] 序章2
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/06/30 21:42







「今日から此処が貴方の住む部屋よ」

「あいよ」

まだ若いメイドに案内された部屋は流石皇族、使用人の部屋でさえそれなりに綺麗な部屋だ。

「それからウルくん。やっぱり話かた直した方がいいよ?」

「るせい。癖なんだから仕方ないだろ?
それにあの女もコレで良いって言ってたしな」

「あの女って…まぁそうだけどさ」

ま、そのせいで殆どの兵や使用人、メイド達に嫌われたけど…
関係ないけどな。

なんでかこのメイドはそんな事ないみたいだが。

「とりあえず今日は休んで明日から仕事だから。
朝また呼びにくるね」

「ああ、ありがと」

「いいよいいよ」

外見が子供だからか、メイドは俺の頭を撫で部屋から出ていった。
…ガキじゃないっての。

「ふぅ」

ベッドに倒れこむ。
うん、いい感触だ…

さて、色々考えることがあるな。

「明日からルルーシュとナナリーの付き人…ねぇ。
ホント、何考えてんだあの女は」

わざわざ俺を二人に近づけるなんて…
狙いが分からん。意味はあるのか?

まぁこっちは二人に取り入りやすくなって得なだけなんだが、
逆に上手く行き過ぎててこわい。

「…けど、なるようにしかならねぇか」

ていうかどうして俺はこの世界に来たんだ?
ただの偶然か?それとも俺は夢でも見ているのか?
でも痛みは感じるしな…

まぁ現実として俺は今此処にいるんだ。
前の世界と同じように好き勝手やってやるさ。

とりあえず戦争に巻き込まれて死ぬなんて絶対嫌だからな。
しかもこの世界はKMFなんてふざけたロボットがある。

流石の俺もあれにかかっちゃ指先一つであの世いきだ。

安全に暮らすってだけに点を置けば、このままブリタニア本国でそれなりに過ごしてりゃいいだろう。
でもそれじゃつまらない。
死ぬのは嫌だけど人生にはスリルがなけりゃな。

「当面はルルーシュとナナリーとマブダチ辺りまで上りつめりゃいいか」

ナナリーの方は今現在でも友好的だしな。
ルルーシュも今のルルーシュなら仲良くなるのは難しくはないだろう。

そうできる位置につくことが出来たんだから。

その後は追々考えていきゃいいだろう。

「…………」

…………。

「ちょっと待て。どうしてルルーシュは反逆をしようとしたんだ?」

そんなの簡単じゃねぇか!
あの女が殺されて日本に人質として送られて、戦争の理由にされて存在を殺されたからじゃねぇか!!
ナナリーのために優しい世界を作るために…

「…死ぬのか?あの女が?」

話してみて思った。
あの女が簡単に死ぬようなたまか?

そういやアニメでも死ぬのが自分で分かってたような感じだったし…
やっぱり訳分からん、あの女は。

ていうか死なれちゃ困る。鼻を明かすって決めたんだ俺は。
そのために死なれてたまるか!

確か此処が襲撃されるのはルルーシュが9歳の夏頃だったよな?
今が7,8歳ぐらいだったから…ちゃんと歳聞いておきゃよかった…
季節も同じ夏ぐらい…後1、2年か…短いな。

いや、でも逆にそれだけ時間があるって思えばいいか。
それにそれまでに鼻を明かせりゃ、あの女がどうなってもいいし。

「どうなるんかね…ほんと」

もう飯も食った。
今日はもう寝るか。

俺は静かに目を閉じる。
出来たら夢だったらいいなぁ、とか思いながら。
















目指せ!全力ご都合主義
序章2:そして僕は絆される


















「というわけで今日からテメェらの付き人になったウルムナフ・ボルテ・日向だ。
仕事だから仕方なくよろしくしてやるから感謝しろ」

「わぁ!よろしくおねがいします」

「…なんでそんなに偉そうなんだお前は」

今俺達3人は庭園に来ていた。
まだ俺を警戒しているのか何人かメイドが離れて見ている。
そしてルルーシュの言葉に「まったくその通り」と力強く頷いていた。

「(さて…これからどうしたもんか?)」







朝、朝食後。昨日部屋に案内してくれたメイドに連れられあの女の所へと案内された。

「で、具体的に俺は何をしたらいいんだ?」

「別に重要なことは無いわ。二人の遊び相手になって欲しいってだけなの」

「は?こっちは仮にも食わしてもらうんだぜ?
ちゃんとその分の仕事くらいするって」

「あら、意外と義理深いのね」

「ほっとけ」

恩は仇で返さない。それが俺のルールなんだ。

「でもウルにしてもらいたいのは、それだけなの」

「それだけって…掃除とか雑用は一応出来るぜ?」

「あら?貴方プロのメイドの仕事に敵うと思ってるの?」

「いや、そりゃ思ってないが…」

これから覚えていけば、それなりには使えるようになるだろう?

「それでも…よ。残念なことだけど此処にあの子たちと歳の近い子っていないの。
異母兄弟ならいるのだけれど、毎日会える訳じゃないしね。だから貴方にお願いしたいのよ」

そういや歳が近い奴がいないってのはルルーシュも昨日言ってたな。

「あの二人に遊び相手が欲しかった所に俺が現れて
『ちょうどいいや!コイツを使っちゃえ~テヘッ』ってことか?」

「…………声、似てるわね」

「俺の得意技の一つだ」

声真似は俺の得意技だからな。
マリアンヌは自分に似た声で絶対言わないだろう声に少しコメカミを引く着かせていた。ざまぁみろ。

「まぁともかくそういう事よ。あの子達の遊び相手になってくれないかしら?」

「……本当にそれだけでいいんだな?」

「…ええ」

お互いに目を合わせる。
…表情から感情は読めない。いや読めさせてくらない…
だが、この女が二人を大事にしているのは分かった。

「………」

「………」

「…分かったよ」

結局俺は了承した。ダメだ。今の俺じゃコイツに勝てそうにねぇわ。
負けを認めるのは愚かな事じゃない。勝つために必要なことだ。

だから…

「ありがとう…ウル」

今日はこの女の珍しい表情が見れたってことで良しとしよう。

「そういや、ルルーシュって今何歳?」

「7歳よ」







と、いうことがあって今に至るのだが。

「でだ、遊べと言われても俺には何をしていいか思いつかん。
だからテメェら俺を楽しませろ!!」

「逆だろ普通!お前が僕たちを楽しませろよ!!」

「んと、ぇと…かくれんぼ!!」

「却下。めんどくせぇ」

「あぅ…ざんねんです」

「ナナリー真面目に考えなくていいから…ってお前は却下するな!!
ナナリーが考えてくれたんだぞ!!」

「…お前つっこんでばっかで疲れねぇ?」

「誰のせいだ誰の!?」

ルルーシュはつっこみ疲れたのか、はぁはぁ息を乱している。
おいおい、そこらの腐女子がみたら奇声もんだぜ?

「ぁ、あの。わたしウルさんの話がききたいです!」

「あん?俺の話?」

「はい!ウルさんは日本のかたなんですよね?
わたし日本のはなしがききたいの!」

キラキラ目を輝かせてナナリーが俺を上目遣いに見上げてくる。
この女…分かってやがる!幼女としての振る舞いを…!!
ナナリー…恐ろしい女だぜ。

「あ、それなら僕も聞いてみたいな。
他の国の話は興味がある」

と、ルルーシュも興味ありげに俺に言ってくる。

まったく…こいつら、可愛いぜ。
仲良くなるにも都合がいいか…。

「国の話というか、俺の国の話なんて面白くないから…
そうだな俺の国に有名な伝説の5歳児がいるんだが、
そいつが作った有名な作り話をしてやろうか?」

「で、伝説の5歳児…5歳のくせに伝説になるなんて凄いな…」

「おもしろそうです」

二人はこの話に興味を持ったみたいだ。
離れているメイド達も聞き耳を立てている。
ふん、この話を聞いて泣くがいい!
ちなみに俺はマジ泣き5秒前までいった。

「じゃあしてやろう。タイトルはずばり、
『ぶりぶりざえもんのぼうけん』だ!!!」

「………ネーミングセンス最悪だな」

「わくわく」

ナナリーいい子。ルルーシュ後でしばく。

「オホン。むかしむかし、おじいさんとおばあさんはあちこちにいましたが―」

「そんなの当たり前じゃないか…」

ルルーシュ後で泣かす。

「ぶりぶりざえもんというブタは一匹しかいませんでした」

そうして俺は話を進めていく―

ぶりぶりざえもんの軌跡を…

お宝目指して山を登り始めたぶりぶりざえもん。
しかしそこに待ち構えていたのは助けを求めるレースクイーン。

「レースクイーン?」

「ああ、際どい水着を来て男を誘惑する綺麗なお姉さんのことだ」

「まぁ」

「な、なんでそんな奴が山にいるんだよ!?」

若干赤くなる二人を無視して話を進める。

レースクイーンの女性はハイヒールの踵がとれて泣いていました。
が、ぶりぶりざえもんは急いでいたのでそれを無視した。

「最低だな」

「ひどい…」

しかし余りにしつこく泣きつかれ、ぶりぶりざえもんは
仕方なくハイヒールを直してあげる。

「よかったぁ」

「ふん」

お礼にF1のチケットを貰った、ぶりぶりざえもんは山道を登る。
そして――



―――。



「―山の頂上についたぶりぶりざえもんの心の中には
いつの間にかたくさんの宝物が詰まっていたのです。
こうしてぶりぶりざえもんは、救いのヒーローとなって
多くの人々を助けたのでした。めでたしめでたし」

ふぅ…この話を完璧に覚えるのに何回あのシーンだけ見たことか…
俺は話終えると二人の様子を見るため、視線をむける。

そこには…

「う、うぅよかったです。ぶりぶりざえもんさんは
たいせつなものを手にいれられたのですね…」

「こ、この話を5歳児が…僕より年下の子供が考えたっていうのか…
凄いな…世界は広い…僕としたことが感動してしまった…」

面白いぐらいに感動していた。
二人の目にはうっすら涙が浮かんでいる。
メイド達も涙を浮かべうんうんと頷いていた。

どうだ、見たか。ぶりぶりざえもんなめんなよ?

「ウル…」

「ん?」

「僕は勘違いしていたよ。日本を見下していたのかもしれない。
でも、日本にはこんな素晴らしい話を作れる人が存在するんだな!」

「ん、あ、ああ」

フィクションだけどな…。

「わたしも感動して…えへ、ないちゃいました」

お前ら…本当に、本当になんて可愛い奴なんだぁ!
やばい絆されてどうする!
俺はあくまで俺のためにこいつ等を利用するために仲良くなるだけで…

「また、いろいろきかせてくださいね」

「僕もまた聞きたいな」

「あ、ああ」

しかし、俺の思考とは裏腹に日々を追うごとに俺は…






「ウルさん!あやとりおしえてください!
ユフィ姉さまにもおしえてあげるの」

「ああ、いいぜ。っても俺もあんまり知らないぜ?」




俺は…




「ウル、将棋って奴を教えてくれないか?」

「なんで?」

「チェスだとお前やらないだろ?
覚えろっていっても覚えないし」

「まぁ、いいけど」

「やった!」





あれ?こんな筈じゃ…




「またお話して、ウルさん」

「しゃうがねぇな。じゃあ青ダヌキの話でも…」





利用するだけで…





「ウル」

「ウルさん」




やばい…このままじゃ俺…




「ウルお前と出会えてよかったよ」

「ウルさんずっと一緒ですよ?」




あかん、絆された。






続く?





ストックもちょっと出来、多分続けられるやろ。
ということで早いですが移りました。
よろしくお願いします。





[3380] 序章3
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/07/01 17:44






朝。
さて、此処アリエスの離宮に暮らし初めて一ヶ月…由々しき事態が起こってしまった。
俺が…この俺が…。

我侭、自分一番、他人の気持ちを考えない男と呼ばれた俺が!
今まで大切だと思える人が一人しかいなかった俺が!
そんな心のせまい俺が!絆されてしまったんだ!!

絆した奴らの名はルルーシュとナナリー。
神聖ブリタニア帝国の皇子と皇女だ。

なんてこった…利用するつもりが、逆に取り込まれてしまった…

いや、言い方はあれだがあの二人は全然悪くない。
俺が馬鹿だっただけだ。

「あ~やられた~」

これは完全に予想してなかった…
はぁ、情けねぇ。

「………ま、絆されちまったもんは仕方ねぇか」

計画変更だ。

このまま俺が何もしなかったら二人はおそらくあのラストを迎えるんだよな…?
R2も終わる前にこっち来ちまったからな。
とにかく、謎も全部分からない。
C.C.やV.V.。ギアス。皇帝…いろいろ分からない事がある。

だが、あの終わりだけは認められねぇ。

二人の行く末があんなのは俺が許さない。
認めよう。俺はあいつらが好きになっちまったようだ。

「たく…アイツ以来か?大事な人間が出来たのは…」

俺は自分の好きなものは何がなんでも護る!それは俺のルールの一つだ。
そして絶対幸せにする、俺がそうなると嬉しいからな。

だから俺は護る、ルルーシュとナナリーを。
って、かっこつけても出来ることなんて限られているんだが…。

あいつらにとって幸せなことって…とうぜんマリアンヌと一緒に生きることだよな?
てこたぁ―

「俺のやることは、マリアンヌ死亡を阻止…か」

だが、どうやって阻止したもんか…
前も言ったが、あの女は多分自分が死ぬのを知っていた。

問いただせばいいんだろうが、あの女が簡単に口を割るか?
無理やりなんてしてそれが二人にばれたら嫌われるのは俺だ。
無理はできねぇな。

でも、まだ二年もあるんだ。
その間に考えりゃいいか。

今はそれまでに出来ることをして行こう。

「そうだな……この先何があるかわからねぇし。
体を鍛えないとな」

来た当初、どれだけ動けるか試したことがある。

この体にしちゃ優秀なほうだとは思う。
だが大人相手だと難しいだろう。

それに未来の話だが、この世界には枢木スザクなんて化け物が存在するんだ。
同じような奴がいても可笑しくはない。

そいつと戦う時に瞬殺されたじゃいけないからな…

よし、まずは体鍛えて強くなろう。
そのために必要なことはやってやるさ。

っても―

「俺一人じゃ限界もあるか…仕方ねぇ」

俺は起き上がり身支度を整える。

さて、やることも決まったし。
ちょっくらあの女の所にでもいってくるかな。

俺は部屋を抜け出し、マリアンヌがいる部屋やと向かった。
















目指せ!全力ご都合主義
序章3:赤紫の女
















「何か御用かしら?ウル」

こういう場所って会いたくても使用人程度じゃすんなり偉い人にあえないもんだと思っていたが。
マリアンヌの方が了承したのかすぐ面通しされた。
今回は俺とマリアンヌと数人のメイドだけだ。
俺も此処の人たちにある程度は信用されてきたってことか?

「ああ、アンタに頼み事するなんて出来ればしたくなかったんだが、
事情が変わったもんでな」

「あら珍しい」

さして驚いたわけでもないくせに
業とらしく目を丸くすんじゃねぇよ。

「で、何かしら?」

「…たまにででもいい。俺に戦い方を教えてくれる人を紹介して欲しい。
出来れば腕がたつ軍人がいい。閃光と呼ばれるあんたなら難しくはないだろ?」

出来れば武術をやってる奴がいいんだが、
ブリタニアって偏見だけどやってるイメージがないんだよな。

「それはどうして?」

「ルルーシュとナナリーを護るためだ」

俺の言葉に今度は少しだけ本当に驚いたのか目をパチクリさせ、
ニヤリと笑った。…くそ、やっぱりそうか。

「テメェ、初めっからこうなることを狙ってやがったな?」

「言いがかりは良くないわよ?」

「はっ、よく言う…」

そんな満足そうな顔して騙されるかよ。

「でも、どうして軍人なの?」

「実戦経験がある奴がいいからだ。
喧嘩はたくさんしてきた。だからそれなりに戦い方ってのを知ってるつもりだ。
だが俺が欲しのは喧嘩で勝つ力じゃねぇ。護って尚かつ勝つ力だ!」

「………そう」

……?

この女の思い通りの展開になっている筈なのに、何故かマリアンヌからは悲しみの色がみえた。

「分かったわ。明日、さっそく紹介してあげるわ」

「……準備も早いんだな」

「何のことかしら?」

誤魔化しながら笑う顔にはさっきの色は見えなかった。

「ま、どうでもいいやそんな事。
後、覚悟しとけよ?」

「?」

「俺はいつかあんたの鼻を明かしてやるからな」

「………ぷっ」

「言っとくけど本気だぜ?」

「フフフッ、やっぱり貴方は面白いわね。ウル」

マリアンヌは普段余り見せない表情でお腹を抱えて笑っている。
部屋にいるメイドも子供の強がりと思ってか笑っている。

フン、今は笑ってりゃいいさ。
結果出せてないのは事実だからな。

でも、今に見てろよ。

「じゃあ、明日頼むぞ」

「ええ…フフ、分かったわ」

まだ笑っているマリアンヌに背を向け、俺は出口へと向かう。
そして部屋から出る際、一度だけマリアンヌに振り返る。

「あ~そうそう」

「フフ…と、何?」

「大変不本意なんだがな、アンタは二人にとって大事な人間だ。
だから鼻を明かすのとは別に護ってやるよ、アンタも俺が」

「…え?」

「アンタは俺が死なせないから」

そう言って部屋から出る瞬間
見えたマリアンヌの顔は笑っている筈だったのに泣いているみたいだった。






「という訳で俺明日は二人の相手できないから」

「う~そうなんですか…」

「母様が許したのなら、仕方がないか…」

俺が明日は用事が出来て会えないと言うと、二人は落ち込んだような顔になる。
……くそっ、こんな仕草が俺を…。

「なんだぁ?そんなに寂しいか、俺がいなくて?」

「なっ!そ、そんな訳ないだろ!
息抜きができてちょうどいいくらいさ」

「わたしはさびしいです…」

ナナリーいい奴、ルルーシュはツンデレ。

「心配すんなって。明後日は何時も通り構ってやるから、な」

「僕らは犬か!?」

「はい!がまんします」

「で、一日空くからな。今日はこんなのを作ってきた。」

俺は持ってきていた袋の中からある物を取り出す。

「何だコレは?」

「なんでしょう?」

二人共不思議そうに俺の取り出した物を見ている。
まぁその歳で知っていたら正直怖いよ。

「これはな、制作時間8時間!全て俺の手作りのぉー麻雀の卓と牌だぁ!!!
今日はとことん搾り取ってやるからな、ヒヒヒッ」

「って麻雀なんて出来るか!?」

名前だけは知っていたルルーシュに禁止され、普通に遊んで終わりました。









「………この離宮にこんな場所あったっけ?」

「オホホ、もしかしたらいるかもしれないと一ヶ月前から用意してあったのよ」

「ここまで計算されてるとは……」

ジト目で見るとペコちゃんみたいに舌をだして誤魔化された。
むかつくし、アンタ何歳だ!

俺が今いる部屋はもともと広い部屋だったのを改装し、マットを敷き詰め訓練の出来るようになっていた。
メイドさんは「どう?凄いだろ!」とでも言わんばかりにこっちを見ている。

「それよりも良かったのか?」

「何が?」

「いや、こっちが教えを請う立場なのに
向こうからやってきて貰うって…悪いだろ?」

「ウルは意外とそういう所真面目よね」

「別に…俺のルールに反するだけだ」

「ルール?」

ちっ、いらないこと言っちまった。
教えるつもりなんてなかったのに…

「俺の中でこれだけは守るってルールを作ってるんだよ。
恩は仇で返さないってな。こっちは教えて貰うって恩を受けるんだ、
だからそれなのにいいのかってことだ」

「そういうことね。でも大丈夫、向こうも此処に用があるから、
ついでだからいいのよ。」

ついでって…

「まぁ、それならいいけどよ…」

と、部屋の外から何処か騒がしい声が聞こえてくる。
足音が多数聞こえる、教えてくれんのは一人じゃないのか?

そんなことを思っていると扉が開く。
現れたのは―

「お母さま、ウルさん~!けんがくにきました!」

「母様、わがまま言ってすいません」

「ルルーシュ、ナナリー!?」

「いいのよ、ルルーシュ。話を持ちかけたのは私だもの」

マリアンヌは抱きついて来たナナリーを優しく抱きかかえ、
近づいてきたルルーシュの頭を撫でる。

ていうかなんで二人がいるんだ?

「私が呼んだのよ、一緒の建物にいるんだから
見学に来たらどう?って」

「…確信犯だよな、アンタって」

「あらやだ、褒めても何もでないわよ?」

「褒めてねぇよ!!」

くっ、完全にからかわれてる…!
この女、やっぱり嫌いだ。

「あの…けんがくにきてはダメでしたか?」

「あ…いや、全然いいに決まってんだろ?
俺のカッコいいところみせてやるよ」

「はい!」

嬉しそうに笑うナナリーに続き、ルルーシュがやってくる。

「ウル、無理せず目一杯やられろ」

「テメェ普段の恨みをここで晴らすつもるだろ、コラ」

「何を言うんだ。僕がそんな心の狭い人間に見えるのか失礼な」

「そんな胡散臭い笑顔で言われたら信憑性もでねぇよ」

ルルーシュ今度遊ぶときは覚えてろよ?

「さぁ二人共、あそこの隅に座りましょう。
そしてウルが無残にやられる姿を見てあげましょう」

「賛成です母様!」

「あ、う…が、がんばってくださいね!」

ナナリー俺の癒しはお前だけだよ…。

「まぁいい。見てろマリアンヌ。
俺の力をみせて―」

「コラ貴様!!使用人風情がマリアンヌ様を呼び捨てとは
どういう了見だ!!!」

俺の言葉の途中で部屋の入り口から、荒いだ声が耳を打つ。
どこの誰だ?この離宮で俺がこんな口調なのは全員知ってる筈なのに…

視線を向けるとあからさまに俺を睨む赤紫の若い…といっても16,7歳の女と、
結構体がごっつい男が立っていた。






続く






[3380] 序章4
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/07/01 17:48











前回のあらすじ!
赤紫の女とごついおっさんがやってきた。




「貴様!使用人風情がマリアンヌ様を呼び捨てとは
どういう了見だ!!」

「誰だテメェ?」

「貴様!姫様になんて口の聞き方を!」

今度はごつい男に怒鳴られる。
ていうか姫様?

っ!もしかしてコイツ…。

「こんにちは!コーネリアお姉さま」

「お久しぶりです。コーネリア姉上」

「ああ、元気そうだな。ナナリー、ルルーシュ」

や、やっぱりこの女がブリタニア帝国、第2皇女コーネリア!!
アニメじゃ、いい女になっていたが。今はまだ可愛らしい少女の面影が残っている。

「コーネリア、良く来てくれましたね。
それとウルのことは私が許しているの」

「そんな、マリアンヌ様に会えるのはとても光栄ですから。
しかし、この子供…いくらマリアンヌ様が許されているからといって」

「頭かってぇ女だな、マリアンヌが良いって言ってんだから
気にしてんじゃねぇよ」

「なっ!?」

「貴様、さっきから姫様に…!!」

「あ?やんのか…ぃでぇ!?」

急に頭に衝撃を受け俺は頭を押さえその場にしゃがみ込む。
な、一体何が?
顔を上げると拳を握っているマリアンヌがいた。

こいつがやったのか…!

「ごめんなさいコーネリア。でも許してあげてくれないかしら?
この子も悪気があって言ってる訳じゃない………と思うから」

「は、はぁマリアンヌ様がそう言うなら…今回は」

その間が気になるな…オイ。
でも流石に今のは俺が悪いか。

おそらく俺に教えてくれるのはこのゴツイ男だ。
恩は仇で返さない。俺のルールだ。

「悪かった。こっちが教えを請う立場なのに、気分を悪くして」

「…分かればいい、分かれば」

「テメェじゃねぇよ、このおっさんに言ったんだ」

俺が恩を返さないといけないのはコーネリアじゃなくて
このごつい男だ。

「なっ!?」

「おっさ…!?」

「貴様いい加減にしない―「お、俺はおっさんではない!!」………ダールトン?」

「いや、充分おっさんだって。な?ルルーシュ、ナナリー」

俺が二人に声をかけるとダールトン…やっぱりこの男がダールトンだったか…
が、何かすがる様に二人へと目を向けた。

「え?いえ…その…お兄さま、タッチ!」

「えぇっ!ナナリー!?…ぼ、僕?え、えと…だ、ダンディだと思いますよ?」

その言葉に明るさを取り戻すが―

「ダンディって言葉は普通歳をとったおっさんに使う褒め言葉なんだぜ?」

「うおぉぉぉぉ!俺はまだ若いぃ!!」

その言葉で打ちひしがれたのか膝を抱え座り込んだ。
…面白いなこのおっさん。

「ダールトン…気にしていたのだな……」

呆気にとられたコーネリアが呟く。
多分コーネリアもこんな姿のダールトンを見たことがなかったんだろう。

むふっ

「てことはコーネリア。あんたも、おっさんって思ってたのか?」

「なっ!?」

「ひ、姫様!?」

「ち、違うぞダールトン!!私はただ歳の割には老けて見え…はっ!?」

「姫様ぁぁぁぁぁ!!?」

コーネリアの老けてる発言により
更に号泣するおっさん。

面白い…ダールトン思ってたよりいいキャラしてるじゃねぇか!

「その、ダールトン!私はべ、別に…」

「グスン…いいんです姫様……息子達にも言われてるんです。
父さんって老けてるねって…」

「いや、その…あぁ!こんな時どうしたら…」

「―――プッ、アハハ、ハハハッ」

その時、耐えていたのかナナリーが噴出して笑いだす。

「な、ナナリー!?何を笑っている!」

「ご、ごめんなさいお姉さま…フフ…でも…
お姉さまのそんなすがた、はじめてで…だから…ウフフっ」

「あはっ、ハハハっ、本当です。コーネリア姉上のそんな姿…
ユフィもきっと驚きますよ」

「フフ、そうね。とっても可愛らしいわコーネリア」

「ルルーシュ!マリアンヌ様まで…!」

おお、アニメじゃ見たことないくらい頬を赤くさせて
うろたえている…これって結構レアじゃねぇ?

「フフ、でもナナリーはうれしいです」

「な、何が嬉しいというのだ!ナナリー!?」

そんなコーネリアにナナリーが近寄り口を開く。

「はい!お姉さまのしらない顔をまたひとつしることができました。
それがナナリーにはとてもうれしいです」

「あ……」

「僕も嬉しいです姉上。コーネリア姉上に
こんな可愛らしい一面があったのですね」

「と、年上をからかうなルルーシュ!
…しかし…フッ、そうか嬉しかったか?」

「「はい」」

「そうだな…私もこんな自分がいたのは少し驚きだ」

そう言ってコーネリアはふわりと二人に微笑み頭を撫でる。
…なんか和むなぁ。それにくらべて…

「ひぐっ、ぐすっ」

「いい年して情けなくないのか?おっさん」

「貴様のせいだ!貴様の!!」
















目指せ!全力ご都合主義
序章4:斧と鉞
















「では改めて、こちらが貴方を指導してくれるダールトン卿。
そしてこっちがウルムナフ・ボルテ・日向、厳しくて構わないわダールトン」

「ええ、心配無用ですマリアンヌ様。
優しくするつもりは消えうせましたから」

「そう怒るなよ、おっさん」

「私はおっさんではない!!」

やっぱり面白いや、このおっさん。
でもそろそろ真面目モードに入らねぇとな…

既に俺もダールトンも訓練服に着替えている。

「じゃあ、下がってろよマリアンヌ。邪魔だ」

「はいはい。じゃあ私はあの子達と貴方の無様な姿を見させて貰うわ」

「言っとけ」

マリアンヌはホホとか言いながら、ルルーシュ達が座ってる場所まで行く。
見とけよ、このヤロー?

「…では、まずは貴様の実力を見せてもらうか?
好きなようにかかってくるといい。俺は…たまにしか反撃しない。」

「目が凄ぇ好戦的なのは気のせいか?」

「気のせいだ」

嘘付け。
といったものの、俺も今どれだけやれるか知りたいからな。
この戦いは必要だ。勝てるか?いや、勝つ必要はないんだが。

「ウルさんがんばって~」

ナナリー…後でプリンでも作ってやろう。
こう見えても料理はそれなりに出来るんだぞ?

「ウル安心しろ!お前のやられた姿は
ちゃんと僕が写真で撮っておくから」

ルルーシュ…お前には後でウメボシをくらわせてあげよう。
泣いても5分は許さねぇからな?

「あらルルーシュ、その写真焼き回しして私にも頂戴ね?」

「はい!母様!」

マリアンヌ…お前の声真似で色々恥ずかしいこと言って回ってやるからな?

「ダールトン、私が許す。殺ってしまえ!!」

コーネリア…あれ?俺嫌われちゃった?
その笑顔がちょっと恐いよ。

「どうやらナナリー以外は俺にアウェーらいしな」

「フッ、貴様嫌われてるんだな」

「笑ってんじゃねぇよ、キモいぞおっさん」

「キモッ…!?」

でも、ま。ナナリーだけでも応援してくれるんなら。

「…!ほう…、そんな目が出来るのだな?」

「こっからは真面目タイムだぜ…おっさん!」

勝ちにいきますか!!

「こい!」

ダールトンの言葉と同時に駆け出す。

「正面から来るか!」

バァカ…んな訳ないだろうが!!

素早く右へと移動―

「見えているぞ、ウルムナフ!」

しかけて左だ!

「ぬっ!?」

子供な体の分小回りがきくからな!もともとスピードには自身があるんだよ!
そのまま俺は跳びダールトンの顔面へ蹴りを―

顔面へ蹴りを―

ってとどかねぇ!こいつ身長高すぎだろ!?
仕方ねぇ、胴に切り替えて…

「遅い!!」

「しまっ…ぐっ!!」

ダールトンから放たれた拳を両手でなんとか受ける!
しまった!こんな華奢な体でごついおっさんの拳なんて受けたら…!!

腕が悲鳴を上げるのを感じながら俺はそのまま数メートル飛ばされるが、
なんとか上手く着地する。

「良く受け止めた…と言っておこうか?」

「るせい…」

いてぇ…!馬鹿力がこの野郎…
失態だ、小さくてすばしっこいってメリットで隙を作れても。
体が小さいってのはデメリットもあるって事を忘れてた!本当間抜けだ。

どうする?考えろ!どうやったら勝てる!?

「どうした?かかってこないのか?
これは貴様が望んだ訓練だろう?」

言われなくても…

「へん!直ぐに『ごめんなさいウル様』って言わせてやるよ!!」

「期待しよう」

「くそが!」

再びダールトンへと突っ込んでいく。
今度は策はなし、正面からだ!

「らぁっ!」

「甘い!真っ向勝負で俺に勝てるつもりか!!」

「うがっ!?」

が、あっさり反撃されて腹を殴られた。
いってぇ~!…でもこんぐらいの痛みで済んでるってことは…手加減されてんのか。
まぁ当たり前か…相手はガキなんだから…。

「…くっ」

舐めんじゃねぇ!!

「そんなものか?お前の力は、ウルムナフ?」

「黙ってろ…」

不意だ…明らかに実力が上の者に勝つには策を練って不意をつくしかねぇ。
だが、ダールトンに子供の俺の攻撃が効くか?

あんな筋肉に俺の拳や蹴りなんて効かねぇだろ…だから頭を狙ったんだけど…
届かないんじゃ意味がねぇし…

くそっ、とにかくこんな簡単に諦めてたまるか!!

「まだまだいくぞダールトン!!」

「フッ、こい!」

俺はめげずに何度もダールトンに向かっていく。
が、



「ぐっ!」



「かはっ!?」



「うあっ!」



「がっ!!」



何度挑んでもダールトンにいなされ反撃を受ける。
今も頬に軽い一撃を貰い、俺はマットの上へと無様に倒れている。

手加減されているとはいえ、何度も何度もくらっているから。
体中あちこち傷ができている。

喧嘩で結構な数勝ってきていても、所詮俺は戦争のない、争いのない国で生まれた人間。
ダールトンはリアルで戦場に立つ男。経験が違う。
こうなるのは分かってた…けど、此処まできたら意地だ。
気を失ってでも勝ってやる!

「まだ立つ…か?」

「あ…たり…まえだ……」

ダールトンは途中からは鬱憤を晴らす瞳をやめ、
俺に対して真剣に相手をしてくれていた。ありがたい…

「あ、あの!ウルさんもうやめて!
ケガが…てあてしないと…!」

「そ、そうだよウル。もういいだろう?
頑張ったじゃないか」

後ろで二人が声をかけてくる。
あらら…ルルーシュまで心配してくれてるよ、嬉しいね。

でも…

俺は何とか立ち上がり、何も言わないコーネリアとマリアンヌを一瞥し、
ダールトンと向き合う。

「ルルーシュ…俺は勝ちたいんだよ」

「え?」

「これは…訓練なんだろ!?勝負じゃないじゃないか!」

知ってるよ。

「ルルーシュの言うとおりだウルムナフ。
これは訓練であって勝負じゃないのだぞ。どうしてそこまで勝ちにこだわる?
二人に対しての見栄か?己の誇り故か?ただの強がりか?」

そこで初めてコーネリアが口を開く。
俺は背中を向けたまま、ダールトンを睨み言う。

「…意地だ!」

そうこれはただの意地だ。
負けたくないっていう俺のわがままだ。

「意地…」

呆けたようにコーネリアが呟く。
そしてダールトンも目を丸くしていた。

「…お前は面白いなウルムナフ。いいだろう
もともとこれは勝負ではなかったからな、条件をつけよう。
俺に一撃でもあたえたらお前の勝ちだ。お前が今度膝をつけば俺の勝ち。
これでどうだ?こうでもしないとお前はいつまでも向かってきそうだからな」

「…分かった」

ダールトンの出した条件をのむ。
はっ!バカが。
それは油断だ、ダールトン!

その油断、余裕、甘さ、その隙。
俺が貰った!!

俺はさっき思いついた策を実行するためにダールトンへと向かっていく。
出来るかどうかわからないが、不意はつける筈だ。

「最後の悪あがきは真っ向勝負か?馬鹿者がぁ!」

違うよ…

俺は素早くダールトンの懐へと潜り込む。
が、直ぐにダールトンが俺を追撃すべく蹴り上げてきた。

そいつを、待ってたぜ!!

「ぬっ!?」

俺は自分の足をダールトンの足に乗せ。
上へとジャンプする。

そのまま前方宙返りをし、ダールトンの頭に踵落としを繰り出す!

「くらえ!!」

「甘い!!」

が、俺の踵落としは素早く反応したダールトンに足を摑まれ防がれる!

「惜しかったなウルムナフ!」

「甘ぇのはテメェだダールトン!!」

「なっ!?」

俺は掴まれていなかった方の足でもう一度踵落としを繰り出す!
ダールトン、今度は防げないぜ!!

これぞ俺の考えた策。
ていうかただ漫画の技をパクッただけなんだが。

不意をうてたのは事実!
くらいさらせダールトン!!

そして俺の攻撃は見事ダールトンに命中―

「はぁ!?」

「ぬぅっ!!」

する筈が首を捻られ、俺の攻撃はヤツの頭の代わりに肩にあたった。
ていうか今のを避けるのかよ。ってヤバイ!反撃がくる!!

そう思い体を固まらせたが、ダールトンは反撃をせず。
掴んでいた足も離した。
俺はそのまま何もなく着地する。

「な、なんでだダールトン!お前なんで反撃を…!」

「俺の負けだウルムナフ」

「は?何言って…」

「肩といえど俺の体の一部。
条件にあっている、お前の勝ちだ」

そう言って初めて見る優しい笑顔で俺を撫でる。
きっと孤児たちに向ける笑顔はこれなんだろう。

が、俺は呆然とし状況を整理していた。

俺の勝ち…?

そっか、一撃でもあたえられたら俺の勝ちだったんだ。
勝手に頭の中で一撃=ダールトンの頭にって感じで変換してた。

でも、そっか…俺の勝ちか…
俺の…

「つ、疲れたぁ~」

なんだか脱力してその場に座り込む。
本気で疲れた。冷静になれば、なんで俺訓練なのに
ここまで頑張ってんだ?
なんて思ってしまう。思ってしまうが…

「ウルさんすごい!かっこよかったです!」

「ボコボコじゃないか…でも、その
かっこ良かったと思うぞ、僕も」

駆け寄ってきた二人の顔を見れば、頑張ってよかったって思う。
俺はこっちを見て相変わらず笑ってるマリアンヌに嫌らしく笑ってから
寝転がる。

だ~めだ、一歩も動けねぇ。





「すいません、姫さま。負けてしまいました」

「いや、構わない。面白いものが見られたからな」

「そうですね。私も久しぶりに楽しめました」

「そうか。…なぁダールトン」

「なんでしょうか?」

「アイツは…ウルムナフは面白い奴だな。
バカで、失礼で、礼儀知らずな子供だがな」

「ハハ……そうですね」




「じゃあ、月に3回は来てくれんだな?」

「ああ、俺も軍務があるからな。
すまんな」

「いや、基本さえ教えてくれりゃ自分で鍛えるからいい」

「そうか」

あれから動けなくなった俺のせいで
訓練からお茶会へと移行され、それなりに楽しみ。

二人が帰る時間となった。

「結局お前は私に対してもその言葉使いのままだったな、ウルムナフ」

コーネリアが諦めたように言う。
あの後コーネリアは、注意はされたが何故か結構友好的に接してくれた。

「じゃあ直そうか?コーネリア様」

「今更やめろ、一日しかたってないが
お前にそう言われると背中が痒くなってしまう」

「そっかよ、じゃあ俺のこともウルって呼んでくれ。
ウルムナフってのは呼ばれなれてなくてな」

「わかったよ、ウル」

「おう!」

そう言ってから、二人は数人の護衛と高そうな車に乗って一緒に帰っていった。

傍では小さくなっていく車の陰に、ナナリーがまだ手を振っていた。







続く?




あとがき

コーネリア登場回だけにしっかり書きたかったのですが、
作者のテンションが可笑しい方向へいき、気づけばダールトンとのバトルに…
でも、楽しんでかけたので後悔はしてないです。

そういえば誰か、ウルが使った技の名前知っている人いるでしょうか?
いたらちょっと嬉しいです。

それではまた次回に。








[3380] 序章5
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/07/02 21:51









「さぁ、ウルの番だぞ?」

七月も半ばに差し掛かったその日、
アリエスの離宮の庭園にあるテラスに俺とルルーシュ、ナナリーはいた。

ニヤリとルルーシュが俺をみて笑う。
あ、今の笑い方、ゼロの時のルルーシュに似てる。
この時分から兆候はあったんだな…

と、今は俺の番だ。

「行くぜ!俺のターン!歩を右斜めに移動し、ト金へと進化させる!」

「な、歩にそんな能力は無いぞ!?」

「何勘違いしているんだ?俺のターンはまだ終わっちゃいないぜ!」

「何?」

俺はト金となった駒を持ちどんどんルルーシュの歩兵をかっさらっていく。

「ドロー!モンスターカード!!」

「ばっ、やめろ!僕の歩兵が!?」

「ドロー!モンスターカード!!」

「真面目にやれ!ウル!」

「ドロー!モンスターカード!!」

「人の話を…」

「ドロー!モンスターカードぉぉ!!!!」

「もうやめて!お兄さまの歩兵はゼロよ!」

なんかもう無茶苦茶だった。



「…どうしてお前はいつもいつも途中でふざけて
ゲームを中断させるんだ!」

「だって、ルルーシュ手加減してくんねぇだろ?」

「ずっとお兄さまのかちですもんね」

「当たり前だろ?勝負なんだから」

そう、ルルーシュに将棋を教えて以来。
ルルーシュは何かと俺に将棋の勝負を吹っかけてきていた。

おまけに俺がルルーシュに勝てたのは最初の一回だけ。
それ以外は俺の負けが続いている。

最初の頃は負けてもいい勝負が出来ていたが最近じゃボロ負けだ。
この前なんて遊ばれて玉対他全部の駒なんて状況を作られた。
そんなことやられて真面目にできるかってんだボケ。

「なぁ将棋じゃなくて麻雀しようぜ?」

「ダメだよ。ウルはすぐズルするじゃないか」

「坊やウルって呼んでくれ」

この間頼みこんで麻雀をしたんだが、
将棋の借りを返すのに容赦なくイカサマテクでルルーシュをボコボコにしたせいで
ルルーシュが拗ねてそれ以降やってくれなくなった。

「わたしはすきですよ、マージャン」

「ダメだナナリー!麻雀はダメな大人の遊びだってメイドたちも言ってたろ?」

それは偏見だ。けど…

「まぁ…ナナリーはな」

そう麻雀をやって以外や以外だったのが…強いのだナナリーが。
テクとかは何もないんだが引きのよさが神がかっていた。

大三元はまだしも国士無双を出された時は心臓が飛び出すかと思ったもんだ。



回想―



『(クフフ…後は白がくりゃオレの一人勝ちだ。
ナナリーには悪いが、ルルーシュ同様。手は最悪の筈。
この勝負オレが貰った!)
…………何?』

オレはチラッとみたナナリーの顔を見て固まる。

『(な…何て目をしてるんだ…まるでその目でこの先まだある勝負を見据えてるみてえじゃ
ねえか。
ありえねえ…もう負けは決まってる…テメェのツモはもうねぇんだ…
この厳然たる事実が覆ることは…奇跡を起こさねえ限り…
天を味方にでもしねえ限り無えんだ…)』

ナナリーはゆっくりと牌に手をやる。

『(まさか…ナナリー…引くっていうのか!?
たった一枚の…「中」を!!)』

そして、ナナリーが引いた牌は…『中』!!

『ま、間違いねぇ…魅入られてる…天に…
これがナナリーに与えられた…天運!!』



―回想終了。


ま、そんなことがあった。

「それじゃ、わたしまたあのお話ききたいです!
うでがビューン!ってのびる」

「確か海の男の話だったよね。
実は僕も続きが気になってたんだ。」

「ああ、ワ○ピースか」

ぶりぶりざえもんの話をして以来。
俺は時々俺の世界であった漫画やアニメの話を二人に話してあげていた。
たまに脚色したりもしたが。

「このまえはトナカイさんのお話でした。」

「ああ、あれはよかったね。僕も思わず感動したよ」

ふん!素人が!!

男ならワ○ピースよりドラゴンボ○ルってのが常識に決まってんだろうが。
一応ドラゴ○ボールの話だってしたのによ、二人がくいついたのは伸びる腕の方だった。
いや、どっちも好きなんだけどね。

「ねぇウルさん。きかせてくれませんか?」

「僕も聞きたいな」

二人がお願いしてくる。
別に話をするのはいいんだけど、俺がなんかつまらないからな…

何かもっと他に面白い話はないか…?
この年代にウケそうな話…話…話…

そうだ!

「なぁルルーシュ、ナナリー。別にその話でもいいんだが、
もっと心に残る話があるんだ。それを聞かせてやりたいんだ」

「な、何だって…!まだこれ以上の話があるっていうのか?」

「わたし聞いてみたいです!」

「僕も気になるな」

フフ…ハハハ…フハハハハハッ!!

かかったな愚か者どもが!
無知を呪え!後悔しろ!その幼さがテメェらを殺す!

「いいぜ、ただし問題があるんだ」

「何だ?」

「この話は夜に聞くのが一番いいんだよ。
出来れば夜に話をしたいんだが…ダメか?」

「夜…か。その話は夜に聞くのがいいんだな?」

「ああ、もちろんだ。ていうか夜に聞く以外ありえない」

今まで二人と会ってたのは夕方まで。
そこからは俺の自由時間になっている。
いつもはその時間に体を鍛えているんだが…

「分かった。夕食の時に母様に聞いてみるよ」

「わたしたのしみです!」

「ああ、俺も楽しみだよ…ヒヒッ」

そしてその日の夜、マリアンヌから許可がおり
俺はナナリーの部屋へと案内された。

さぁ、宴の始まりだぁ…
















目指せ!全力ご都合主義
序章5:後悔と誓い

















「こんばんはウルさん」

「おう、邪魔するぜ」

ナナリーの部屋に入るとルルーシュも既にいて、ナナリーの髪を触って遊んでいた。
いや…髪を梳いてたんだろうが…。

ナナリーの部屋はなんと言うかやたらめったらヌイグルミが多かった。
しかもやっぱり皇女、テレビでしか見たことのたい豪華さだった。
ベッドなんて物凄いフカフカしてそうだ。

「ウル?何を持っているんだ」

「ん?ああ、テメェらに土産だよ」

俺は持って来たトレイから俺が作ったプリンをナナリーの部屋にあった可愛らしいテーブルに置いた。

「わぁ、ぷりん!」

「ウルが作ったのか?」

「まぁな、これでもプリンには自信があるんだぜ?」

プリン好きで昔から良く作っていた。
だって自分で作った方が安いしな。
ケチ臭いよか言うなよな。

そういやロイドもプリン好きだったっけ?
アニメでロイドを見て仲間って思ったもんだ。

「さ、話は後でいいだろ。とりあえず食ってみろよ」

「うん、ありがとうウル」

「うれしいです」

フッフ、今のうちにいい気分を味わっておきな。
この後恐怖のどん底に落ちるんだからな!

……あの、言っておくけど大人が聞いてもそんなに恐くねぇからな?
そんな期待すんなよテメェらは。

「おいしい!」

「…うん、おいしいよ、ウルって料理出来たんだな」

「自分の好きなのだけだけどな」

それから俺は二人がプリンを食べ終わるのを黙って待っていた。
そして、食べ終わった頃、俺は立ち上がり部屋の電気を消した。

「わっ、真っ暗になりました」

「な、何で灯りを消すんだよ!」

「雰囲気を出すためだって」

次に俺はあらかじめ持ってきていた蝋燭と台を取り出し
火をつけテーブルにおく。

「待たせたな、じゃあ話をしてやろう…」

「…なんだかこわいの、お兄さま」

「…ゴク」

俺の低い声に二人に緊張するのが分かる。
クククッ、子供は素直でいいねぇ…!!

「まず一つ、話をする前に言っておく…」

さてまず手始めに…

パァン!

「きゃっ」

「うわっ!な、何をするんだいきな…」

「これは昔日本で本当にあった話だ」

俺は両手を強く叩く、二人が驚いて声を上げルルーシュが文句をいいかけるが、
それを遮り続ける。

「江戸の町である日の夜、与一っていう若者が道を歩いていた…」

「あ、あの…江戸とは?」

「昔の日本の首都の事だ…続けるぞ。
与一がその日の夜歩いていた道は、日が暮れると誰も通らない寂しい道だった。
ところがそんな寂しい道に若い女がしゃがんで泣いていたんだ…」

ちらりと二人を見ると体を固めて、緊張したようにこっちの話を聞いている。

「与一は心優しい人間でな、心配してその女に声をかけたんだ。
大丈夫ですか?平気ですか?何かあったんですか?と」

「そ、それで…?」

「その女はしゃがこんだままこう言ったんだ。
『無いんです…』とシクシクなきながら」

「無い…?」

「とうぜん与一は疑問に思い聞いたんだ。
『一体何が無いんですか?』って。
すると女はピタッと泣くのをやめ、与一の方へと振り返った。
与一は女の顔を見た瞬間息を呑んだ。後少しで叫び声があがる寸前だった。」

「ど、どうしてですか…?」

「どうして?」

「は、はい…」

怯えるナナリーに嫌らしく笑う。

「無かったんだよぉ!その女に、顔にあるべき物が!
目も鼻も口も全部なぁ!!」

「ひぃっ!?」

「そ、そそそそそんな訳ないだろ!
人間にそんな…目や鼻や口が、ななな無いなんて…!!」

俺はうろたえるルルーシュを無視して続ける。
ククッ、この暗闇が更に恐怖を駆り立てるだろう?

「与一はその女が恐くなってその場から逃げ出す。
そりゃそうだ、目も鼻も口もない人間なんて見たことがなかったんだ。
奇妙で恐いにきまってる。
それから無我夢中で走った与一は屋台の蕎麦屋に駆け込んだ」

「や、やたい…?」

「い、いいい移動式の簡易店舗のことだよ。
いいい移動のできる、おおおおお店だって思えばいいよ」

ビビッてる中説明するのは流石だな、ルルーシュ…。

「続けるぞ。蕎麦屋に駆け込んだ与一を店主は後ろを向いたまま
愛想のいい声で『どうしたんですか?』と聞いてきた。
与一はその声に安心して今さっきあった事を店主に話したんだ。
だが急いで走っていたから息も切れ切れで上手く説明できない。
ただ顔がのっぺらだったことだけを伝えることしか出来なかった。
すると店主は振り返りながら与一に向かって聞くんだ」

ゴクン…

二人が息を呑むの音がする。

「な、なんて聞いたんだ?」

「それはな?『それはこんな顔じゃなかったですか?』だ。
そう店主の顔にも無かったんだよ!顔に!目も鼻も口も!
女と一緒で何も無かったんだ!!!」

「あわわわわ…」

「う、嘘だ!!そんな話…し、ししし信じられるもんか!」

「言ったろ?これは本当にあった話だって…」

「そ、そんな…バカな…」

「でだ、与一は余りのことに気を失った。
それから起きた与一は人々にこの話をしたんだ。
そしてその話からこの話は『のっぺらぼう』と言われ語り継がれてきたんだ。終わり」

俺の言葉に安心したように二人が息をつく。
大分恐かったみたいだな。

俺みたいな大人がこの話を今更聞いてもなんともないが、
この歳のころに聞くと違う。俺も本気でビビッてた記憶があるしな。

「どうだ、怖かったか?」

「こ、こんな子供騙し、全然平気だったさ!」

「ナナリーはこわかったです…」

ルルーシュ強がりやがって。体震えてるじゃねぇか、可愛いねぇ。
だが、まだ終わりじゃねぇぜ…!

「じゃあ、電気つけてくるぜ」

「う、うん」

「お、おねがいします」

俺は蝋燭台とある物を持って立ち上がり、スイッチがある場所まで歩いていく。
と、後ろでは…

「こ、こわかったですねお兄さま…」

「ぼ、僕は別に平気だったよ」

「わぁ、すごいですお兄さま!」

「ま、まぁね」

「でも、どんな顔なんでしょうか。のっぺらぼうって?」

「さぁ、それにどうせウルの作り話さ」

ルルーシュ、強がっていられるのは今だけだぞ?
俺は二人に後ろを向いたまま二人に声をかける。

「なんだルルーシュ、信じてないのか?」

「当たり前だろ?のっぺらぼうなんて非現実的すぎる。
それより早く電気を―」

「ひどいなぁルルーシュ」

「ウルさん…?」

「な、何がひどいっていうんだ!」

「だって実は俺もそうなんだよ…」

「え?」

俺は持っていたソレを顔につけ、後ろを振り返る。
ちょうど蝋燭の火が顔をうつすようにして…

「俺ものっぺらぼうなんだよぉぉぉ!!!」

「き、きゃあぁぁぁぁあぁぁ!!!」

「うわぁぁぁあぁぁ!!?ウルの顔がぁ…!!!
の、のっぺぼうだぁーーー!?」

二人の絶叫が響く。
はは、成功だ!俺はのっぺらぼうの面を外して電気をつける。

「ぷっ、あはははははバカじゃねぇのテメェら!
これはお面だよばーか!あははははは!!」

「きゃあぁぁ………え?あ、ウルさんお顔があります…」

「お、お面…?
………う、うううううううウルぅ~~~~!!!!!」

「はは、ルルーシュの間抜け面最高だったぜ!」

「黙れ!忘れろ!殴らせろ!本気で驚いてしまっただろ!!」

「やだね~」

「ウルー!!」












おまけ

「じゃ俺部屋に戻るから…ってなんだその手は二人共」

「あ、あの。よかったらいっしょにねて欲しいです。
その…こわくて、だめ…ですか?」

「ぼ、僕はナナリーにお願いされて…
その仕方なくお願いしてやってるんだ」

「……………たく、今日だけだぜ?」

「ぁ…はい!」

その日、俺達三人は仲良く一つのベッドで眠った。
…こんなのもたまには悪くないか。

そんなことを思いながら俺は眠りについた。




翌日

「テメェこの野郎!テメェらそろいも揃ってオネショしてんじゃねぇよ!!」

「ご、ごめんなさい!ウルさん」

「ぼ、僕がオネショ…そんな…もうしなくなっていたのに…
たかだか怖い話を聞いただけで…情けない…!!」

この話を聞いてマリアンヌに馬鹿笑いされ、
俺は二人に二度と怪談話はしないと誓った。








続く?





あとがき

今回は普通の三人の日常を書いてみました。
意外と楽しくかけたので自分的には満足です。

そして、今更ながら季節と月が判明。
書くの忘れてました。

主人公が来たのは、マリアンヌ襲撃時より二年前の6月初め。
夏まっさかりです。

ちなみに作者はドラゴンボールもワンピースも大好きです。
どっちが嫌いとかはないので…

それでは次回はあの子が登場します。
また見てくれると嬉しいです。







[3380] 序章6
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/07/09 22:07









「もう聞いてよウルくん!今日ね、あのオバサンメイドにまた怒られちゃったのー!
ちょっと他のメイドさんと話してただけなのに~、
それにそれぐらいなら他の人もしてるんだよ!?」

「ふーん、どんまい……それより出て行け」

「絶対あのオバサン私のこと目の敵にしてるよ~!
どう思う!ウルくん?」

「知らね…………それより出て行け」

「ちょっと!ちゃんと聞いてよね!!」

「だぁぁ!うっせぇな!!こっちゃ体鍛えてる最中なんだから話かけんじゃねぇよ!!
大体ここ俺の部屋!分かったらさぁ出て行け!ゴーホーム!!」

ルルーシュとナナリーと遊ぶっていう、仕事といえない仕事を終えた夜。
いつものように、この間ダールトンに渡されたメニューをこなしていると、
水色のショートカットの髪を揺らし、一人のメイドが俺の部屋に乱入してきて
勝手に愚痴りだした。

「ブーブー!つれないなぁ。
そんなんだとモテないよ?」

「心配すんな。経験は済ませてる」

「えぇっ!?その歳で!?」

「嘘だバーカ」

「きーっ!嘘はダメだよウルくん!」

ちなみにこのメイドはリリと言い(フルネームは教えてくれなかった)
俺がアリエスの離宮に来た夜、この部屋に案内してくれたあのメイドだ。

なんでか俺に対して馴れ馴れしく、たまにこうして部屋に来ては
勝手に喋るだけ喋って帰る迷惑な奴だ。

あ、ちなみに俺の歳はルルーシュと同じ7歳ってことにしてある。
リリは21歳とか言ってたな。

俺は鍛錬をやめベッドに座るリリに近づき、リリの顎を軽く上げ視線を合わす。

「ならお前が嘘を本当にしてくれるか?…あだっ!」

「もう、嘘でもそういうこと軽々しく言っちゃダメだよ?
ウルくんって結構マセてるよね」

デコピンを俺にくらわし、リリはベッドから立ち上がる。
まぁこの体で女と寝ろうとは思わないが…

「帰るのか?」

「うん、このまま居たら襲われそうだからね」

「言ってろ」

「フヒヒ、それに愚痴も聞いてもらって気も晴れたし」

そう言って、変な笑い声をあげドアへと向かう。
そして思い出したように声を出した。

「あっそうだ、ウルくんウルくん」

「なんだよ?」

「明日ね、お客様が来るから失礼のないようにね。
言っても無駄だろうけど」

「なら言うなよ。で、誰だよ客って?」

客って事はそれなりに偉い奴なんだろうが…

「フヒヒ、それは明日のお楽しみなのだ」

「その笑いやめれ」

「失礼な。とりあえずとても可愛らしいお客様だよ。
じゃ、おやすみウルくん」

「おう、さっさと帰ぇれ帰ぇれ」

そう言うとリリは俺に手を振りながら帰っていった。
ふぅ、騒がしい奴だ。

リリも帰ったことだし俺は鍛錬の続きを始める。
この間は勝負しただけで、何も教えてもらってないからな。
メニューも腕立て、腹筋、ジョギングといった筋トレメニューだ。

それにしてもお客さんねぇ。
どんな奴がくるんだか…ま、俺にゃ関係ねぇか。

その日はそのまま鍛錬を終え、眠りについた。







翌日

俺の仕事が始まる時間は離宮にいる使用人全ての人より遅い。
仕事といっても二人と遊ぶだけだが……これがニートってやつか?

まぁ、それはおいといて。
二人と遊ぶといっても朝起きてすぐ遊ぶ訳じゃモチロンない。
皇族として恥ずかしくないようルルーシュは勉強がある。
ナナリーも既に4歳、ルルーシュ程ではないが勉強をし始めている。

だから少し遅めの朝から遊ぶ時や、昼から遊ぶ時、もしくは夕方近くなど
結構時間は様々だ。

で、俺はその間暇になるわけだが、流石の俺も食わせてもらって
仕事は二人と遊ぶだけでは申し訳なくなってくる。
恩は仇で返さない、俺のルールでもあるしな。

俺はそういう時、メイド達にお願いして宮の掃除をしている。
もちろん宮の全部じゃなく一部を手伝ってるだけだが、
マリアンヌもこれには同意してくれた。

しかし、意外と掃除は大変なことだった。
正直掃除ってものを舐めてたよ俺。

綺麗にしたと思っても汚れが残っていたりと、
一つの場所を綺麗にするのがこんなに難しいとは…

だが、今はもう結構慣れたもので
割とスムーズに掃除できている。

「よっしゃ、今日はこれで終わりだ」

時間はちょうどいい感じに後少しでルルーシュとナナリーとの時間だ。
俺は掃除道具を用具入れに片付け二人のいる庭園へと歩き出す。

と、その時―

「さぁて、今日は何してルルーシュとナナリーで遊ぼうかな?ヒヒッ」

「あら?アナタ、ルルーシュとナナちゃんの所に行くの?」

「んあ?そうだけど…」

振り向くとそこにいたのは、高そうな水色のワンピースを身に纏った…

「良かったら私も一緒に連れってって貰えませんか?」

「その声!しまじろう!!?」

「違います」

ピンクの髪の少女がいた。




















目指せ!全力ご都合主義
序章6:リリとしまじろう(仮)



















「じゃあ、テメェ誰だよ?」

「あなた…私のこと知らないのですか?」

しまじろう(仮)がキョトンとしながら俺に尋ねる。

「あぁ?知らねぇに決まってんだろ?
それともあれか?オレオレ詐欺が沈下したから
次はワタシワタシ詐欺でも始めるつもりか?
やめとけ、語呂が悪い」

「はぁ…。あの、私は…」

「やるならアタシアタシ詐欺にしとけ。
いや、コレもあんま変わんねぇな」

「いえ、だから…」

しまじろう(仮)をあえて無視して、半ば真剣に
新しい名前を考える。

「あの…聞いていますか?」

ダメだ、すぐに出てこない…!
意外と難しいな、新しいネーミング考えるのって。

「あの…、無視しないで…」

…と、あんまりイジメすぎたらダメか。

泣かれても面倒だし…

「泣くなよな、しまじろう」

「私はしまじろうなんて名前じゃありません!!」

そろそろ勘弁してやるか。

「たく、ルルーシュとナナリーのところに連れていきゃいいんだな」

「ぁ…はい!お願いします」

俺は頭をかきながら告げる、しまじろうの名を。
名前を言われなくてもコイツは分かった。
こんな顔でこんな声でピンクの髪って言ったらあいつしかいねぇ。

「ああ、じゃ行くぞ。ユーフェミア」

ブリタニア帝国第3皇女、ユーフェミア・リ・ブリタニア―。

こいつがリリの言っていた客ってことか。

俺は名前を呼ばれて驚いた顔のユーフェミアを連れ、
ルルーシュ達がいる中庭へと向かい出した。



「あの…あなたお名前は?」

「他人に名前を聞くんなら、まず自分の名前から言えよな」

「え?だってさっき私の名前…」

「お前からは聞いてねぇ」

そう言うと、ユーフェミアはなるほどと頷く。
いやいや、納得すんなよ…。

「じゃあ、コホン…。私の名前はユーフェミア・リ・ブリタニアです。」

「え?しまじろう?」

「だから、しまじろうじゃありません!!一文字もかすってない!
そもそもしまじろうって誰ですか!?
いえ、やっぱり止めときます!聞いたら聞いたで後悔しそうですから…」

「忙しいやっちゃな」

「あなたのせいです!…はぁ、とにかく
私は名乗りました。次はあなたの番です」

「え?ヤダ」

「―――キッ!」

「ウソウソ、睨むなって」

普段つっこみ慣れてないんだろうなぁ。
肩で息しちゃって、可愛いねぇ。

俺結構ユーフェミアも好きなんだよな。

「俺の名前はウルムナフ・ボルテ・日向。
ウルって呼んでくれ」

「……あなたがお姉様の言っていた…」

「ん?お姉様ってコーネリアか?
何々、アイツ俺の事なんて言ってたんだ?」

そういや、コーネリアとはあれ以来あってないな。
ま、別に会いたいって訳でもねぇけど。

「…本当にお姉様のことを呼び捨てにしているんですね」

「まぁな、そんなことより教えろって」

「あ、はい。えと、確か
『皇女の私に向かって口は汚い、礼儀がなってない、傲慢、我侭、自分勝手…
私はあんなに失礼な人間を見たことがない』と」

あの女…よぉく分かったよ。
テメェが俺のことどう思っているかがなぁ!

「でも、最後にこうも言っていました」

「ん?」

「『だがそれでもウルは面白い奴だ』って」

「………け、なんだそりゃ」

最初のはあれだが…
でもま、勘弁してやるか。

「んなことより行くぞ。
二人が待ってる」

それに、言われるのより聞かされる方が
なんか照れるな…

くそ、こんなの俺のキャラじゃねぇっての。

「…もしかして照れているのですか?ウル」

「黙れしまじろう」

「…………っぷ」

「笑ってんじゃねぇよボケ!」

「フフ、ごめんなさい。ウル」

ちっ、調子狂う奴だな…。
と、気づけば庭園が目の前に見えていた。

「そういや、何で一人なんだテメェ?
皇女だろ?なら護衛の一人や二人ついてくる筈だろ?」

「え?あ~それは、その…えへへ」

「えへへじゃねぇよ」

…逃げてきたな、コイツ。
そういや、アニメでも護衛を置いて逃げ出してたっけか?

「探してるぜ、そいつらきっと」

「だって、せっかくルルーシュ達に会いにきたのに
息が詰まるのは嫌だもの」

「我侭なやっちゃな」

「あら、ウルに言われてしまいました」

お互いに苦笑しながら庭園を歩く。
ナナリーが無邪気なら、こっちはお茶目って感じだな。

と、いつも集合するテラスに
ルルーシュとナナリーがいるのが見えた。
おまけに、黒服のおっさんが2,3人いた。

「おい、あれってテメェの護衛の奴らだろ?」

「そ、そうみたいね…」

向こうもこっちに気づいたのか黒服たちが向かってくる。
それと、なんでかルルーシュとナナリーもこっちに向かってきていた。

「あ~あ、怒られるぜ?ユーフェミア」

「平気。ウルに誘拐されたと言えば大丈夫だから」

「なんでそうなんだよ!?
ていうか洒落になんねぇからやめろ!!」

「冗談です」

ユーフェミアは悪戯っぽく笑い言う。

「一つ、お願いしてもいいかしら?」

「あん?なんだ?」

「私のことはユフィと…そう呼んで下さい。
呼んでくれるなら、誘拐されたなんて言いません」

「冗談じゃなかったのかよ?」

「はい。だから呼んでくれたなら冗談にしちゃいます」

悪びれた風もなく笑うその顔は、なんだか逆に気持ちよかった。
それに気づく、そういえばいつの間にか少し砕けた言い方になってる…。
俺に対してちょっとは気を許したってことか?

そう思うと悪い気はしない。
仮にも気に入っていたキャラにそう思われるのだから。

「…分かったよ、しまじ「そのネタはもういいです」…スマン」

流石に使いすぎたな…反省だ。

「分かったよ、ユフィ」

「…はい!!」

その後、いつものメンバーに黒服に注意されたユフィと入れて、
その日夕日が暮れるまだ遊んだ。

そしてユフィが帰る時にこんなことを言われた。

「ウル、私も思いました」

「あ?」

「ウルって面白いって」














おまけ


「何を見ているの、リリ?あら、あれはユーフェミアにウル…」

「あ、マリアンヌ様。はい…ちょっとウルくんを…」

「…貴女ってそんな趣味だったかしら?」

「違いますよ~、そういう気はないですから…ただ」

「ただ?」

「変わらないなぁって、そう思っていたんです…」

「…そう」

「何も聞かないんですね…」

「聞いて欲しいのかしら?」

「…いえ。それにしても…クス」

「どうしたの?」

「はい、マリアンヌ様には敵わないなぁって…
ずっと、あの日、私が此処にやって来た日から…」

「………」

「ずるいですよ、そうやって笑っていつも誤魔化します」

「…ごめんなさいね」

「…いいです。私も本当の本当の心は知られてないって
分かっていますから…。それに決めていますから、私は…」

「………」

「私は、彼を――――…。」









続く?




あとがき

今回の話し、待たせてしまった割には自分的には満足は出来なかった回になってしまいました。

もともと今回は伏線回ということもあって、少し大人しめの内容に…
次回ははっちゃけたいです。






[3380] 序章7
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/07/21 16:48







「うーみーーーーーーー!!」

「わっ!いきなり叫ぶなウル!」

「うるせぇ!今の俺は誰にも止められないぜ!」

「なんだよソレ…、大体此処は海じゃないだろ」

「気持ちの問題だよルルーシュ。
感受性のない奴だな」

「うるさいな!」

夏まっさかりのある日。
俺達は庭園にある人口で作られた小川に来ていた。

理由?それは夏だからだ!!
夏といえば水着!水着といえば海だ!!
が、流石に海にはいけなくて離宮にある小川で我慢するということになった。

金持ち=家にプールがある。を想像いていた俺としては少し残念だが、
しかしそこは金持ち。
俺達が遊ぶ小川は一日であっという間に砂が入れられビーチに変身。
いやぁ、金持ちって怖いね。

俺とルルーシュは既に水着に着替えていて、女共が着替え終わるのを待っていた。
ちなみに俺は普通のハーフパンツの水着で、ルルーシュは例のごとく
三角水着だ。うん、嫌に似合ってるなルルーシュ…。

「でも、ちょっとドキドキするよ。
僕、あんまり泳いだりとかしたことないんだ」

「はっ!お坊ちゃまはこれだから」

「な、なんだよ!別に泳いだりしなくても
生きるのに困らないじゃないか」

「ん?負け惜しみか?」

「違う!」

クク、相変わらずルルーシュはからかうと可愛いなぁ。
だから女に人気あるんだろうね。

と、こっちに向かってくる人影が見えた。
やっと来たか…。

「おっせぇぞ、テメェら」

「ごめんなさい、ウルさん」

「お待たせ、ルルーシュ、ウル」

「フッ、女性の着替えは時間がかかるものだ。
それを待つのは男の甲斐性だぞ?ウル」

「うっせぇよ、コーネリア」

そう、今日は俺達三人に加えリ姉妹が来ていた。
こういうのは人が多いほど楽しいからな、二人を大歓迎で迎えた。

「似合ってますよ、姉上、ユフィ」

「ありがとう、ルルーシュ」

「ああ、ありがとう。ルルーシュ」

ルルーシュはさっそく二人の水着を褒めていた。
確かに似合っている。

ユーフェミアは水玉のワンピースの可愛らしい水着で、
コーネリアは黒い水着にパレオを巻いていた。

と、

「あ、あのウルさん。どうでしょうか?」

「最高!ナナリー、お前最高だぜ!!」

「あ、ありがとうございます!」

ぱぁっと顔を輝かせるナナリーを尻目に
俺はここ数日の苦労が報われた気分を味わう。

なぜなら、ナナリーが着ている水着…実は俺が作ったのだ。
いや~苦労したぜ、一から作るのは…。

さて問題のナナリーの着ている水着だが…

「ナナリー、ナナリーはどんな水着…………こ、これはっ!!?」

ルルーシュがナナリーの水着を見て驚く。
ふ、当然だろう…なんせナナリーがきている水着は
萌えの権化!スクール水着!!

心配するなやろう共、ちゃんと胸に刺繍で『ななりぃ』といれてある。
どうだ、完璧だろう?

「な、なんだが悪意を感じるぞ。ウル?」

失礼な、コーネリア。

「私は可愛いと思うけど」

よく言った、ユーフェミア!

「な、なんだこの気持ちは……こう、胸が…顔が緩んで…!
ダメだ、言葉にあらわせられない!いや、あらわしたら何かがダメになる気が…!」

それが萌えというものだよ、ルルーシュくん。
そんなつもりは微塵もなかったが、
ルルーシュを萌えに目覚めさせるのって結構面白そうかも…。

さて、皆来たことだしそろそろ泳ぐか。
と言っても一番深いところでナナリーの体が埋まるぐらいまでしかないから、
泳ぐというより水遊びが主だろうけど。

「しゃっ!準備はいいか、野郎共!!」

「はい!」

「オッケーです」

「ああ」

「私は野郎ではないのだがな…」

「じゃあ、泳ぐぜ!!」

俺達は一斉に小川へと突入した。


















目指せ!全力ご都合主義
序章7:ルルーシュの一歩大人になった日(ギャグ的に)


















「ほらっユフィ!」

「きゃっ、もう!ルルーシュったら」

川で遊び始めて40分、俺達は纏まって遊ぶというより
各々好き勝手に遊んでいた。

ルルーシュとユーフェミアは浜辺で追いかけあうバカップルみたいに
お互い水を掛け合い和気藹々に遊んでいる。
うん、なんかむかつく。

「ダールトン、おかわりを貰えるか?」

「はっ、直ぐに」

コーネリアはコーネリアで小川の横にでっかいパラソルを挿し、
プールとかに置いてある椅子に寝転がりながらジュース(いや、酒か?)を飲んでいる。

それについているダールトンはコーネリアの水着にドキドキしたのか、
少し顔を赤くしながら立っていた。
だが、その顔はそこはかとなく嬉しそうだ。
このむっつりめ!

で、俺はというと…

「ほれナナリー、ちょっとずつでいいから顔つけてみ?」

「は、はい!」

ナナリーの泳ぎの練習を手伝っていた。

いや、俺も最初はんな面倒くさいこと嫌だったんだけど…
スク水のナナリーに頼まれちゃ断れなかったんだよ。

自分で作っといてなんだが、
あの水着を余す事無く着こなすナナリー…恐ろしい子!!

で、今は俺がナナリーの手を持ちナナリーは俺に引かれながらバタ足をしている最中だ。
顔に水をつけるのはまだ怖いのか、俺の言葉通り顔を見ずにつけては直ぐに顔を上げている。

まぁ、小さい時ってのは怖く感じるもんだしな。そういうのって。
それに一生懸命泳ぐナナリーの姿は異様に可愛らしく、うん、癒されるぜ!
ゴーグル?そんなビジュアル下げる道具使うわけねぇだろうがボケが!!

と、少し浅い場所まで来たので手を離しナナリーを立たせる。

「ま、少しは上達したんじゃねぇか?この分だとすぐ泳げるさ」

「はい。それとすいませんウルさん、てつだってもらって…」

申し訳なさそうにナナリーがこっちを見る。
上目使い……きくぜぇこれは…

「別に気にすんな、嫌なら俺は嫌ってはっきりいうぜ?知ってるだろ」

ナナリーは小さく頷くがどこかまだ申し訳なさそうにしている。
…たく。

「だぁかぁらっ!気にすんなって、俺が好きでやったんだ。
俺はお前を手伝えて幸せ、お前は泳ぎが上達して幸せ。それでいいだろ?な」

そういってナナリーの頭を撫でる。
水で濡れたナナリーの髪はいつもと違い少し撫でにくかったが。
それでも出来るだけ優しく撫でる。

ナナリーはそれを少しくすぐったそうに受け止めて

「はい!」

嬉しそうに笑った。




「おーい!ナナリー、ウル~!」

「ん?」

「あ、お兄さま」

それからまた暫く泳ぎの練習をしていると、ルルーシュがこっちにやって来た。
三角水着が輝いてるぜ、ルルーシュ!

「どうした?」

「ユフィが一緒にビーチボールで遊ぼうって、だから二人も一緒にやろう」

「わぁ、たのしそうです!」

ナナリーが顔を輝かせる。
せっかく遊びに来たのに泳ぎの練習けじゃつまんねぇしな。

「よっしゃ!じゃあやるか!」

「うん!」

「はい!」

俺達は頷きあいユーフェミアのところへと向かった。




「さぁ行くぜ!!」

「ちょっと待った!!」

「あんだよルルーシュ?邪魔すんなよ?」

「いや、だってどうみてもおかしいじゃないか!
このチームの組み合わせ!!」

ルルーシュがゴチャゴチャ喚く訳はチーム分けにあった。

ユーフェミアのところへ言った俺達はとりあえず何するかって話になり、
やっぱりビーチにいるんだからビーチバレーをしようということになった。

そこでチームを分けるために公平にくじ引きを行うことになったんだが…
俺はさっきのバカップルのようなルルーシュとユーフェミアを思い出していた。
ムフッ。

そして俺は自ら率先してくじを作り…もちろん細工をした、な!
全員に引いてもらった、結果。

Aチーム:ルルーシュ、ユーフェミア
Bチーム:俺、コーネリア、ナナリー

というチーム分けになった。
ちなみにダールトンは審判な。

んでさっそく試合を始めようって時にルルーシュが文句を言ってきて、今に至る。

「んなもん決まっちまったもんは仕方ねぇだろうが、
文句はくじに言え、くじに」

「くっ…!それにしたって、だいたいくじを作ったのはウルじゃないか。
だったら細工していたっておかしくない!」

さすがルルーシュ、冴えてるな。
だが、今日の俺は一味違う!甘い甘い、甘すぎるぜルルーシュゥゥゥ!!

「お前!俺がんなことする訳ねぇだろ!」

「信じられるか!普段から色々ズルしてるじゃないか!!」

「ひどい!今日はコーネリアたちも来てるから、ズルはしてないのに!」

後ろでコーネリアが「お前はそんな殊勝な奴ではないだろう」とか言っているが無視だ。

そして俺は最終兵器を投入する。

「ひどい、ひどいぜルルーシュ!聞いてくれナナリー!ルルーシュが言いがかりをつけてくるんだぜ!」

「なっ!?」

ルルーシュが驚愕に目を見開く。
そう、コレが俺の対ルルーシュ最終兵器、ナナリーだ!

当のナナリーは普段とは違う俺の物言いにすっかりこっちを信用している目をしている。
すまんナナリー、純粋なお前を騙すようであれだがルルーシュを黙らせるにはコレが一番なんだ!

そして思惑どうりにナナリーがルルーシュに

「ひどいです、お兄さま…」

と言った。

「んな!?ナナリィィィィィィーーー!!」

ルルーシュが絶叫する。
その絶叫はR2でナナリーを助けに行ったが失敗しあまつさえ自分を売ったスザクに微笑みかけるナナリーを見て絶叫した時以上に聞こえた。

ふっ、ルルーシュざまぁみろ!

「ふっ、どうするルルーシュ?
まだうだうだ文句を言うのか?」

「っ!貴様ぁ!!」

ルルーシュは少しの間歯噛みした後、
今まで見守っていたユフィに振り向く。

「ユフィ!」

「は、はい」

普段余り見ないであろうルルーシュの荒げた声にユフィが驚いたように返事を返す。

「勝つぞ!」

「はい!!」

そう言ってルルーシュたちはコートに立ち構える。
はっ!やる気まんまんだな!

「コーネリア、こっちも全力で行くぞ!」

「あ、ああ。ってちょっと待てウル。
ユフィがいるのに全力なんて…」

「心配するな、ルルーシュだけを狙えばいいだけだろう?」

俺は今きっと某福音の少年の父親のようなニヒルな笑みをしているだろう。

「お前………鬼だな」

「ふっ、問題ない。ナナリーも頑張ろうな!」

「はい!」

そうして俺達もコートに立つ。
さぁ真剣勝負の始まりだ!

「では、始め!!」

ダールトンの掛け声が響き
俺達は熱い戦いへと赴いた。




で、結果はというと―――




「遊びとは言え勝負事、恨むなよルルーシュ…
いくぞ!電撃コーネリアスペシャルサーブ一号!!!」

音速に近いスピードでルルーシュに向かう。
ちなみにこのサーブはこの後8号まで披露された。

「え?………ぶぼいらぁ!!?」



「ナナリー!トス頼む!」

「はい!ウルさん!!」

「いくっぜぇルルーシュ!!
『ワシの、波動球は108ある!』アターーーーーック!!」

「びぐぶらぁ!!?」



「ナナリー!次はこっちだ!」

「はい!お姉さま!」

「『クールドラライブ』アタック!!」

「ぢゅげらん!!?」

「ふっ、まだまだだね」



そんな感じで分かっていた事だが俺達のチームの圧勝だった。




「ぐすっ……ひぐっ……」

「お、おい、どうするのだアレは?」

「いや、どうするっつてもなぁ」

「お前のせいだろう!お前の!」

「そうですよ、ウル」

「お兄さま…」

「うっ…」

試合後、滅多打ちにされたルルーシュは川に浸かりながら
三角座りでいじけて泣いていた。

うわぁ、こんな姿アニメじゃ絶対見れないよなぁ…

それを見てリ姉妹が何とかしろって目で訴えてきている。
ナナリーはナナリーで心配そうにルルーシュを見ていた。
いや、でもトスするナナリーの顔はめっちゃ輝いてたんだぜ?

「……仕方ねぇか、行ってくるよ」

「ああ、頑張れ」

「頼みます」

「おねがいします」

三人に送り出せれ俺はルルーシュのところへと歩く。
はぁ、面倒くせぇ…。



「お~い、そんないじけんなよルルーシュ」

「ぐすっ…うるさい、ウルには関係ないだろ…」

完璧にいじけてるよ…これは。

「悪かったって、悪のりしすぎた…」

流石にやりすぎたな…、でも何かからかいたくなるんだよな~ルルーシュって。

「…本当か?」

「本当本当!すげぇ反省した」

「…もうしないか?」

「…………………………………………ああ、するわけないだろ?」

「………その間が気になる」

ああ、そりゃ本心じゃねぇからな。
だって楽しいんだもん、ルルーシュからかうの。

ま、でも控えめにするよ。
嫌われたくはねぇからな。

「でも、一応信じてやる…」

「…ありがとうな、ルルーシュ」

やっぱり俺はコイツらが好きだ。
今、改めてそう思う。

だから、心配すんな…

「じゃ、向こうに行こうぜ
皆待ってる」

「ああ」

やっと少し笑ったルルーシュに手を差し出し起こす。

ルルーシュ、ナナリーお前らは俺が絶対幸せにしてやる。
きっと、あんな運命なんて俺がぶっ壊してやるからな―

それから俺とルルーシュは皆のところへと戻っていった。









おまけ

「あっ」

もう少しでナナリーたちの所へ着くってとこで
俺は何故か何もないところで躓いてしまった。

「え?」

ルルーシュが疑問の声を上げるが既に遅い。
俺の体は確実に倒れていく。

俺は本能で何かに掴もうとし手を伸ばし何かを掴む。
俺はそれに視線をやる、そしてそれを見て俺は固まった。

それは、ルルーシュの三角水着だった。

だが掴んだ手は離れることなく水着を掴んだまま
俺は地面へとこけた。水着と一緒に。

「あ」

ルルーシュの間抜けな声が聞こえた。
ルルーシュも何が起こったのか分からなかったんだろう、うん、仕方ない。

そしてあらわになるルルーシュの息子。
それは目前のナナリーたちからは丸見えの位置。

「ほう、だがまだまだ」

これはダールトン。

「ふむ、ルルーシュも成長しているのだな」

これはコーネリア。

「あらぁ」

これはユーフェミア。若干顔が赤い。

「きゃっ!」

これはナナリー。両手で顔を隠している。
だが手の隙間からしっかりとソレをみていた。

そして固まったままの俺達、
さきに行動したのは俺のほうだった。

静かにずり落ちた水着から手を離し静かに立ち上がる。
それからルルーシュの前へと移動する。

うん、アニメじゃ見たこと無いぐらい変な顔してるぜルルーシュ。

「あ~…とりあえずすまん。
いや、わざとじゃないんだぜ?はは…」

「う…」

「ルルーシュ?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!」





この日はルルーシュ生まれて七年、初めてマジ泣きした日となった。












続く?

更新遅れました。
今回はまた日常回です。
ルルーシュをこんな扱いしているのはきっと他にないんじゃないでしょうか?

ではまた次回に。







[3380] 序章8
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/11/15 00:12








「いいかウル?お前が求める力は勝ち守る力だ。
だから派手に動き大きく技を出す必要などない、
求められるのは冷静な判断、それを実行できる身体、冷静さだ」

「ああ、分かってんよ」

「分かっていないから言っているんだ。
どうもお前は派手な動きを好んで使う節があるからな。
まぁ息子たちもそうだから気持ちもわからんではないがな」

「うっせ、子供扱いすんな」

今日は月に三度あるダールトンとの稽古の日。

ルルーシュとナナリーはダールトンに一緒に付いてきたユーフェミアと遊んでいて、
俺はその間ダールトンに稽古をつけてもらっていた。

しかし改めてダールトンは凄い…
だてにコーネリア直属の部下じゃないってか?

「ふっ、とりあえず今日はここまでだ。
マリアンヌ様に呼ばれているのだろ?」

「ん、ああ。そういやそうだったな」

稽古が終わったら部屋に来てくれって言われてたっけか?
っか~、面倒くせぇ。

でも行かねぇわけには行かねぇよな…

「じゃ、俺はマリアンヌのところに行ってくるよ。
稽古サンキューな、ダールトン」

「マリアンヌ様には様をつけろ!もういない…
…まったく忙しい奴だ。ギルが見れば何と言うか…」

ダールトンは軍人としては許してはおけないウルの行動に
苦笑ですませる自分の変化をどう思っていいか迷うが、
それでもどこかそんなウルを嫌えない自分がいることも自覚していた。






「で、何の用だよ?」

「まずはお茶でも飲んだら?
稽古で疲れたでしょ」

「……毒とか入れてないよな?」

「リリじゃあるまいし」

バッと素早くマリアンヌの部屋の中で控えているリリに視線をやると
向こうも素早く目を逸らす。

アイツ…まさか本当に…?

「う、ウルくんには入れたことないよ~…」

ってこたぁ、俺以外の誰かには入れたことがあるってことかよ!?
マリアンヌもそうだがコイツも大概謎な女だな…。

まぁ今入れる必要性なんて無いし大丈夫だろうが、
今後リリの淹れてくれた紅茶は飲むのは危険だな…。

「それで本当に何のようだよ?
俺はテメーと違って忙しいんだよ」

「あらあらヒモの分際で…どの口が言うのかしら?ねぇ、リリ?」

「本当ですね。このヒモっ!」

「ヒモって言うんじゃねぇ!ちゃんと手伝いだってしてるだろが!」

まぁ、それを仕事だとは言わないが
こいつらにヒモって言われるのは非常に気にいらねぇ。

それにこいつら何気に息が合ってて嫌いだ!

「もう、拗ねないの」

「拗ねてねぇし頭撫でるな!」

リリはそう言っても撫でるのやめずに構わず撫でる。
くっ、リリだけは最初から俺を子供扱いしやがって…!

「だぁー!早く用件を言え!用件を!!」

むかつくぜこいつら…!
でもそんな俺の気持ちは次のマリアンヌの言葉で吹き飛んだ。

「フフ、そうね。
…ウル、貴方KMFを見てみたくない?」

「………見れるのか!?」

KMF…コードギアスを語るなら必ず出てくる言葉。
スザクやカレンが乗っていたロボット…人型機動兵器・KMF。

これが見れるのなら見るに決まってる!
く~!今回ばかりはマリアンヌ様々だな!

「貴方が望むならね」

「当たり前だろ!見るに決まってる!!」

「じゃあ決まりね」

「よっしゃ!」

この時の俺は多分誰から見ても子供みたいにはしゃいで喜んでいただろう。
まぁ外見は子供なんだが、俺もうおっさんだぜ?


















目指せ!全力ご都合主義
序章8:怪しい男を見つけた?とりあえずボコッとけ!














「へっ!見に行くのは一週間後か。
楽しみだなーちくしょう!」

マリアンヌの部屋から出た俺は、ルルーシュたちの所へ向かっている。
だめだ、今にもスキップしそうなぐらい嬉しい。

あんまり機械自体には興味ないんだがロボットになると別だ。
自分で機体を動かす…男にとってこれほどのロマンはねぇだろう。

今なら俺、ダールトンに『おっさん』じゃなくて『お兄さん』って言えそうだぜ、へへっ。
流石にそれはねぇか。

「さぁて、あいつら何して遊んでるんだ?
ルルーシュの野郎、またユーフェミアといちゃついてやがったら今度はフルチンじゃすまねぇぜ、はは!」

やばい、自分でも分かるくらいテンション上がってる。
せめてちょっとは落ち着けないとな。
深呼吸、深呼吸、しんこ………

「ん?」

深呼吸を繰り返しながら中庭に出ると、
俺の視線に奇妙な影が入り込んだ。

いや、影というか誰かの後姿なんだが…

ルルーシュやナナリー、ユーフェミアなら問題は全くない。
ないのだが問題はその後姿が三人のうち誰でもないことだ。

証拠に三人はその誰かより少し離れた所で遊んでいる。
おそらくママゴト(日本での女の子の遊びは何と聞かれて教えた)みたいなもんでもしてんだろう。
ルルーシュが疲れた顔してるのがいい証拠だ。

じゃああいつは一体?

考えられることは…

1・侵入者の変態。
2・ユーフェミアを見てハァハァしている変態。
3・ナナリーでいけない想像をしている変態。
4・ルルーシュの尻を狙っているどうしようもない変態。
5・2,3,4をあわせた殺したほうが世の為になるほどの変態。

の5つぐらいか。

どれだ…?

「って考えるまでもねぇな」

稽古じゃダールトンに思いっきりやられたからな、
ストレス発散に付き合ってもらうぜ変態!

気づかれないようにある程度まで近づき息を整える。

せっかくだから前々からやってみたかった技?をくらわせてやる!!

そう頭で意気込み俺は助走をつけ変態に向かって走り出す!

「出来れば警官の制服がありゃ完璧だったんだがな―!」

変態まで15m。

―10m。

―5m。

「くらいさらせ!!」

「え?」

変態が俺の声に反応しこっちを向く。
バカめ!好都合だ変態!!

―0m!

「播拳キーーーーーーーック!!!!!」

「ごぶろぃ!!?」

俺の必殺のとび蹴りが変態の顔に減り込んでいく。
へたすりゃこれ鼻が逝ったな。

「おぶっ、へぼぅっ、たばぁぁ!!」

蹴られた本人は地面を二三回転して顔を地面にすりながら転がっていく。
うわ~自分でやっててあれだが、ありゃ痛ぇな…。

でもこれで満足だぜ。
せっかくウルって名前にしたんだ。
自分自身でも声優ネタやってみたかったんだよな。

「ん?なんだこりゃ?」

着地した場所になんか落ちてる?
変態の持ち物か?

「スケッチブックに…これって絵を書く用の鉛筆か?」

なんでこんな物を変態が?

「ウル!!」

「おっ?ルルーシュ」

そうこうしていると変態の叫び声が聞こえたのか、
ルルーシュ達がこっちに気づき近づいてくる。

「ど、どうしたんですか!?」

「何か凄い声がしたけど…」

「心配すんなよナナリー、ちょっと変態が居たからやっつけただけだって」

心配そうに駆け寄ってきたナナリーの頭を撫でてやる。
うん、やっぱりナナリーは癒しだな。

「変態?本当か?」

「ああ、此処でお前ら三人みながらハァハァしてたんだぜ?
ほら、あっこで倒れてる奴だよ」

そう言って二人に変態が転がっている場所を指す。

すると、声がしないなと思っていたユーフェミアが変態を見下ろしながら佇んでいた。

「おいおいユフィ、気絶してるだろうが危ねぇ―」

「な、なぁウル……変態ってあそこで気絶している人のことか?」

「あ?そうに決まってるだろ?
アイツ以外に回り誰もいないだろが……ナナリー?」

おかしな事を聞くルルーシュに首を傾けながらナナリーもビックリしたように変態を見ていた。

そう…金髪の変態を。歳はおそらく14,5歳くらいだろう。

「ぁ、あのウルさん…ぇと…あの…あの人は……」

「だからロリコンでショタコンで両刀使いの変態だろ?」

「違う…。いいかウル。あの人は…」

「人は?」

「クロヴィス・ラ・ブリタニア。僕たちの異母兄弟だ」

……………………?

「は?」

俺の勘違い?

そういう視線でユーフェミア…ダメだ、慌ててクロヴィスを助け起こしている。
ナナリーを見ると申し訳なさそうに頷く。

本当に勘違い?

今度はルルーシュを見る。
即効で頷かれた。何かむかつく。

「…………は、はは」

俺は暫く考えて、ルルーシュの方を向き肩に手を置く。

「ルルーシュ、お前がこんなことするなんて…せめて自首を……」

「「「やったのお前だよ!!!」」」

ナナリー以外のツッコミが俺を襲う。
あ、起きたのねクロヴィス。

それからクロヴィスは鼻血を垂らしながら俺を睨み、

「な、ななななななな何なんだ君はーーーーーーーーー!!!?」

叫んだ。

正直スマンかった。












続く…かな。

とりあえず最終回を見て、自分なりに構想を立て直しました。
本当にマリアンヌ黒い性格にしといて良かった。
切実に思いました。
おそらくアリエスの離宮編は後10話くらいで終わりです。
せめてそれまでは書き上げたいです。
それ以降も頑張りたいです。
では、また次回に。

追記:正直久しぶりに書くのでキャラの性格が若干違うかもしれません。



[3380] 序章9
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/11/17 00:42












だ、騙された!!

今の俺の心境はコレ一つだった。

「あらウル?あまり嬉しくなさそうね」

となりに立つマリアンヌが声をかけてくる。
ほっといてくれ…自分のアホさ加減に呆れてるだけなんだよ。

今日はこの間マリアンヌが話してくれたKMFを見学しに行く日。
一緒に行きたいとか抜かしたルルーシュやナナリーをほっぽって、うきうき気分で出かけたんだが…。

完全に忘れてた。
なんて間抜けだ。

今はブリタニアの士官学校に来ていて、
俺が今居るのはNMFがある倉庫。

そして目の前には確かにそれなりの数のKMFが佇んでいる。
いるんだが…

「ガニメデかよ…」

そう、俺の目の前にあるのは第三世代のKMF―ガニメデ―だった。

そうだったー!
まだこの時はそんなにKMFが発展してなかったんだったよ!

確か日本との戦争の時に出たのが第四世代のグラスゴーだったから、
まだガニメデが使われていて当たり前か…。

ランスロットまではいかなくてもサザーランドやグロースターは見れるかな?とか思ってたのによー…。
完全に忘れてた…。

「あら?ガニメデをバカにしちゃいけないわよ?」

「わぁってるよ、閃光のマリアンヌ様」

「やだ照れるじゃない」

「嘘付け」

まぁ、確かにちょっと拍子抜けはしたがKMFはKMFだ。
す…すごく乗ってみたいです。

ちなみに俺がマリアンヌに様をつけてるのは、此処に連れてくるためのマリアンヌからの条件だった。
流石にこんな人数がいる場所でマリアンヌを呼び捨てにすると洒落にならんらしい。

「うん、でもやっぱりすげぇや。
サンキューな、マリアンヌ」

あ、様つけんの忘れた。
まぁいいや。近くに人はいない―

「コラ!マリアンヌ様には様をつけろ」

と、思ったら後ろからダールトンが現れた。
そういやコイツも居るんだっけか。

「ごきげんよう。ダールトン卿」

「いえ、今日は良くお越し下さいました。マリアンヌ様」

「よっ、おっさん」

「私はおっさんではない!!!」

いい加減認めろよな、ダールトンも。

















目指せ!全力ご都合主義
序章9:士官学校にて~その1~















「それでどうだウル?KMFは?」

「どうも余りお気に召さなかったようよ?」

「む、そうなのか?」

「んなことねーよ!勝手なこと言うなよマリアンヌ……様!」

普段から様なんてつけてねぇから言いにくいなマジで。
でも恩は仇で返さない。俺のルールを破るわけにはいかねぇしな。
それにこれは俺の溜めを思ってやったことだろう。
なおさら仇で返すわけにはいかねぇ。

「やっぱりロボットは漢のロマンだからな。
テンション上がるよ」

「ふっ、その気持ちなら俺も分かる。
俺も漢だからな」

ニヤリとダールトンと笑い合う。
うん、ほとんど男ならこの気持ちを分かってくれるだろう。

「マリアンヌ…様は知ってるけど、おっさんも乗るんだよな?」

本編の時は凄腕だったが今はどうなんだろうな。

「うむ。マリアンヌ様まではいかないが、俺も軍人だからな。
それなりに扱えるぞ」

「へー、さすがおっさん」

「まぁ…な。それとおっさんではない」

にしてもやっぱり乗ってみてぇなぁ、ガニメデ。
連れてきてもらって流石に無理か。
普段ならんな遠慮しねぇんだが、今日は控えとくか。

でも…

「なぁマリアンヌ…様。まだ時間はあるんだよな?」

「ええ、確か…あと一時間程からかしら」

「はい。若輩者たちのためにありがとうございます」

「いいのよ。最近は暇だったしね」

お茶目に笑うマリアンヌは置いといて、とりあえず今日士官学校に来たのには訳がある。

今日は士官学校の連中が『閃光』のマリアンヌとKMFで模擬戦をする日なのだ。
アニメ情報通りマリアンヌはブリタニア連中に物凄い人気がある。
まぁ皇族内には嫌ってる奴らもそれなりにいるが…。

で、士官学校の連中は揃いも揃ってマリアンヌのファンらしく
来てくれないかと話がマリアンヌに来て現在に至るわけだ。

実際俺の楽しみの中に『閃光』のマリアンヌの戦闘が含まれている。
まぁ今はその話は置いといて…

「じゃあちょっとそこらへん見てきていいか?」

「ん~そうね…どうかしらダールトン卿?」

「そうですね…。勝手にそこらの物に触らないと約束できるか?」

「ああ、触らなきゃいいんだろ?」

心配すんなって。
恩は仇で返さないって。

「後は他の奴らの邪魔はするなよ」

「わかってるって、じゃいいよな?な?」

「ああ、ちゃんと時間には戻ってくるんだぞ?」

「あいよー」

そう言って俺は二人から離れて走り出す。
よっしゃ探検だ!

………それはそうと最近の俺、なんか本当に子供みたくないか?



「随分甘いのね、ウルには」

「自分でも自覚しているのですがね…、どうもウルには甘いようで…」

「フフ、貴方の子供達が見たらウルに嫉妬しちゃうかもしれないわね」

「…そんあことはありませんよ」










「僕は結構です、姉上」

「そう言うなクロヴィス。またと無い機会なんだぞ?」

ここはクロヴィスが住んでいる屋敷。
そこにコーネリアが来ていた。

「姉上はそうかもしれませんが、僕は結構です。
あの子供がくるんですよね?なおさら嫌ですよ」

「随分ウルを嫌ってるようだな…まぁそれも仕方ないか。
フフ、ユフィから聞いたぞ?顔を蹴られたらしいな」

「笑い事じゃないですよ。ルルーシュにナナリー、ユーフェミア…
それからマリアンヌ様からの頼みでなければ処刑物だ」

明らかに不機嫌な顔でクロヴィスが話す。

そう、先日の一件。
本気で怒ったクロヴィスは本当にウルを皇族に暴力を振るったとして
処刑するまでも、罰するつもりだった。

見れば日本人の子供。
加えてたかが使用人に自分の顔を思いっきり蹴られたのだ。
幸い鼻は折れずにすみ無事だったが、
だからといってクロヴィスの怒りが収まったわけが無い。

その上…

『いや~スマンスマン。変態と勘違いしたんだよ』

この上ない程の悪気があるとは思えない程のウルの軽い謝罪の言葉に、
クロヴィスは完全に切れた。

慌ててルルーシュ達が止めに入らなければ本当に罰せられていた。

「なんなんですか、あの子供は?皇族を皇族とも思わない言動。
何よりそれをルルーシュ達、ましてやマリアンヌ様までもが許している。
僕には理解できませんね」

言葉には出さずに視線で『姉上もです』と語るクロヴィスにコーネリアは苦笑する。

「そうだな、私自身不思議に思う。
お前の言うとおり許してはいけないことなんだがな…」

それから少しだけコーネリアは考え口を開いた。

「要するに気に入ってしまったんだろうな。
私はウルを」

「あの子供のどこに姉上が気に入れる場所があるか不思議ですよ」

「フフ、そうだな。一つ面白い話をしよう。
私は一度ウルに話方について注意したことがあるんだが…」






『ウル、此処ではお前の行動や言動を許してくれるだろう。
だが外ですれば確実にお前は罰せられるぞ?下手すれば殺される』

『あ?今更なんだよ。そんなこと言っても俺は変える気なんてねぇぞ』

『言っておくがこれは脅しではないぞ?
起こりうる事実の話だ』

『んなこと言われなくても分かってるよ』

『では…』

『それでも俺は変えねぇけどな』

『お前な…』

『コーネリアの言うとおりそうなるかもしれねぇ。
でも、それがどうした?
人なんて死ぬときは死ぬ。死なない時は何をやっても死なない。そんなもんだ。
だったら俺は色々考えて回り気にするより好きにやってやるよ。
それで死ぬんだったらそれが俺の死ぬ時だったってことだ。
まぁこんなことぐらいで俺が死ぬなんてあり得ないけどな。
一応、俺にも目的があるからな』





「なんて事を言われてしまってな。
思わず私のほうがなるほどなんて思ってしまったよ」

その時を思い出したのか楽しそうに笑うコーネリアを
クロヴィスは呆けて見る。

「どうだ?面白いだろう」

「…というより僕にはバカだとしか思えばせんが」

「ハハ、そうかもしれないな。
うん、アイツはきっとバカなんだろうな」

それからコーネリアは改めてクロヴィスを正面から見る。

「どうだ?だから一緒に行かないか?」

「……~。」

「それにマリアンヌ様がガニメデを操縦される姿を見れるんだぞ?
行かないと勿体ないだろう」

「姉上はそっちが本命でしょうに」

「否定はしないさ。それでどうする?」

クロヴィスはその質問に少し考え、
諦めたように溜息をついた。

「少しだけですよ。
僕もマリアンヌ様の操縦なさるお姿は見ておきたいですからね」

その答えにコーネリアは満足そうに頷いた。









続く…のか?




あとがき
ダメだ。クロヴィスの話し方が完全に分からない。
まったく別人やん!とか思ってもそこは温かく見逃してくれると助かります。







[3380] 序章10
Name: ナナヤ◆7a88187c ID:df74c293
Date: 2008/11/18 00:41











「うわぁ!」

「くっ!?」

「早すぎる!」

さっきからことある事に広場に広がる士官生達の悲鳴。

俺の眼前では今正に生のナイトメア同士の戦いが行われている。
対戦しているのは当初の予定通り士官学校の連中とマリアンヌ。

つーかどうして同じ機体でここまで動きが違う?
士官学校の奴らがド下手だとしてもここまで差がでるものなのか?

表情も全然違う。

必死こいてマリアンヌに向かっていく士官学生とは違い、
マリアンヌはいつもの食えない笑みを浮かべ軽やかに動いている。

正にサイヤマンとスーパーサイヤ人状態の悟空くらいの戦闘力差があるだろこれ。

「はい、おしまい」

「うっ!………まいりました」

んでまた一人マリアンヌに敗れやがった。
今の奴は中々持った方だな。
早い奴は文字通り瞬殺だったからな。

「どうだウル?マリアンヌ様は凄いだろう」

横にいるダールトンが得意気に話してくる。
なんでお前が得意気な顔なんだよ。

「ああ、想像以上だよ」

「む、やけに素直だな」

「俺だって認めるところは認めるさ。
マリアンヌ…様に限らずおっさんのことも俺は認めてるぜ?」

「――フッ、そうか」

俺の言葉が以外だったのおっさんは少しだけ目をキョトンとさせ、
嬉しそうに頷いた。

「―乗ってみたいか?」

「そりゃあな、でも今日はそこまで望まねぇさ。
連れてきてくれただけで満足してるさ」

「…時々お前が子供とは思えない時がある。今見たいな…な」

だって実際とっくに成人済ましてんかんね。

「もうガキじゃねぇよ、俺は」

そう言って目前の戦いを見るのに集中する。

マリアンヌに向けられて振り下ろされたアームを、
上手にランドスピナーを活用しアームを掻い潜り後ろへ回る。

上手い!
ていうかやっぱり次元が違う。
流石テストパイロット。

それからそのままアームを士官学生の顔面前で止め勝負は決まった。

「フフ、よく頑張ったわね」

「あ、ありがとうございます!」

マリアンヌに一声かけてもらえたからか頬を蒸気させ士官学生が大きく頷く。
…本当に人気があるなマリアンヌの奴。

やられた奴全員がどこか上の空のようにマリアンヌを見ている。
目の前で実力を見て更に惚れたってか?

まぁそれぐれい凄い動きだからな。

「閃光のマリアンヌ………ね」

ダールトンにはああ言ったけど今すぐにでも乗ってみたいぜ。
ああー乗りてぇ!!


















目指せ!全力ご都合主義
序章10:士官学校にて(その2)
















初めましてになるな。
私の名前はジェレミア・ゴッドバルト、忠義に生きる漢だ。

「いよいよ今日だなジェレミア」

「ああ、柄にもなく昨日は眠れなかった。
子供に戻ったみたいだ」

「ハハ、俺もさ。何たってマリアンヌ様が直々に来てくださるんだもんな。
俺も興奮して寝れなかったよ」

ルームメイトの男と軽く話しながら今日のことを思う。

なんと今日は我が敬愛するマリアンヌ様がこの士官学校に来てくださるのだ。
これほど嬉しい日はいつ以来だろうか?
いや、初めてかもしれな。

しかもそのマリアンヌ様と模擬試合が出来るという。
私はもう死んでもいいのかもしれない…。
いや、何を言っているジェレミア・ゴッドバルト!
お前の命は皇族の…いやマリアンヌ様の忠義の為にあるのだ。
そうでなければMMM(愛でて、愛でて、マリアンヌ)会員番号NO.1の名が廃るというものだ。

ふっ、マリアンヌ様テラかわゆす。

ちなみに士官学校のほとんどはこのファンクラブに所属している。

「ほら、そろそろ行こうぜ。
飯食いっぱぐれちまうよ」

「ああ、そうだな」

フフ、フフフ。
もうすぐマリアンヌ様に会える…。
フハハハハハハ!!

オール・ハイル・ブリタニア!!

待ってて下さい!マリアンヌ様―!!














おお…!おお!!

そして模擬戦闘の時間。
今、目の前には本物のマリアンヌ様が立っていた。

なんと美しい!なんと愛らしい!!そして萌え~。
さすが私が忠義を(勝手に)誓ったお方。
ただ立っているだけでなんと凛々しい!そして萌え~。

フフ、早く貴方と手合わせしたいです。

模擬戦闘と言っても士官学校の生徒全員が出来るわけではない。
ある程度選ばれ、その選ばれた者達だけがマリアンヌ様の寵愛(というなの試合)を受けることが出来るのだ。

そして私は死に物狂いでガニメデの操縦を練習し、
今日の権利を勝ち得た。

そしてこの模擬戦で私の実力を見せ付け、
あわよくばマリアンヌ様の騎士に…。
フハ、フハハ!!

「おいおい、ジェレミアの奴一人で笑ってるぜ?」

「うわアイツ、キモっ」





「どうでもいいが、何故子供がいるのだ?」

む、少し考え事(妄想)をしすぎていたようだな。
というか子供?発言したのは誰だ?と視線を向けるとそこには一人の男。

コイツか…。

ギルバート・G・P・ギルフォード。
この士官学校で珍しくMMMに所属していない男の一人だ。
会員番号、NO.341の情報によると奴はマリアンヌ様よりも
コーネリア様を敬愛しているらしい。
なんとも失礼な奴だ。

確かにコーネリア様も美しく素晴らしい方だと思う。
だがあの方には足りないものが多すぎる。

髪の色、目の形、声、髪の長さ、スカート、愛らしさ…
そして何より萌えが足りない!!

かっこいい女性?それも結構だ。
だが萌えのない女性に私は興味が無い!!!

…と、話がそれたな。
子供と言ったか?
士官学校である此処のどこに子供など……。

いた。

しかも敬愛する我が君マリアンヌ様の隣に!

「誰だあの子供?」

「ブリタニア人じゃないよな?」

「あれ日本人じゃね?」

「イエローモンキー。イエローモンキー」

だ、誰だあの小僧は!!?
あ、あああああああんなにマリアンヌ様の近くに寄りおって!
なんと羨ま…けしからん奴め!

そうこうしていると、教官の説明も終わり。
マリアンヌ様から一言貰うことになった。

「みんな初めましてかしら?
今日はよろしくね」

ああ!声までなんと愛らしい!!そして萌え~。

「それと始める前に紹介したい子がいるの。ウル」

そう言ってマリアンヌ様が隣の小僧を呼ぶ。
むぅ、本当に誰だアイツは。

「この子は私の屋敷で使用人として働いてるの。
今日は見学として同行して連れてきたんだけど。邪魔はさせないから
見学させてあげてもいいかしら?」

その説明を聞いて全員が驚きの表情を浮かべ納得したように頷き、
やはりマリアンヌ様は…と惚けた声を漏らす。

うう、なんとお優しい方だマリアンヌ様は!

わざわざ使用人の子供にこのような優しさを…!
やはり貴方は最高だ!
オール・ハイル・ブリタニアー!!

「ほらウル。挨拶しなさい」

マリアンヌ様にそう言われ子供が一歩前にでる。
そして次に口に出した言葉に場が固まった。

「ウルムナフ・ボルテ・日向だ。
たかが士官学校の奴に名前呼ばれるなんて尺だから別に覚えなくてもいいぞ。
後、俺はよろしくしねぇがテメェらはよろしくしろよな」

ちょwおまっww
それはないわー。







続く…だろう。



あとがき
ジェレミアのキャラが多大に原作と違う場合があります。







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