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[35501] 【ネタ】H×H、NARUTO、巣作りドラゴン【色々】
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/20 21:58
投稿しようかなと思ったけど、どうしようかなと悩んでいたら閉鎖されていたでござる。

というわけで、溜まっている完結予定の無い物が眠っていたので解放してみます。
内容は何故かTSで何故か主人公強キャラで何故か美少女という。
いえ、分かっています。私の好みです。そうです。美少女が色々なんかするサクセスストーリーが私の好みなのです。


作品元
・ハンター×ハンター
・NARUTO
・巣作りドラゴン


ハンターは約9万文字。NARUTOは約10万文字。巣作りドラゴンは1万5千文字くらいです。

とりあえず自分好みの作品をガンガン読みたいのですが、ハンターもナルトも優秀な作品ばかりで、実に面白いものが多々ありました。勿論、このサイトの作品も殆ど眼を通しましたが、やっぱりまだ増えて欲しいというのがありますし、巣作りドラゴンに至っては中々お目にかかれないです。

故に、自分で書いて晒して、少しでもそれに触発されて執筆して頂ける方がいればなぁー…と思っております(チラ

勿論、私も文に触れ知識や感性を養って行きたいのと同時に、社会人になって文章に触れないような事が無いように自分でも筆…では無いですが、キーボードを叩いている次第です。

ですので、誤字脱字や、文法、意味が違っている事があればどんどん指摘していただきたいです。


尚、上記の事がNGであればご指摘ください。削除いたします。


10/15 タイトル変更
10/16 誤字修正
10/16 ハンター×ハンター 20話 追加
10/17 能力の制約を修正
10/17 誤字修正
10/20 巣作りドラゴン 4話 追加



[35501] ハンター×ハンター 1話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:30


何もかも呪った。生まれて一度も嬉しかった事は無いとはいわない。
けど、目の前の現実が否応無く見せ付けられる。

「なんだよ……これ」

震える声で何とか息を吐けた。
極度の疲労でふらふらしながらやっと帰ってきたぼろいアパートのポストに投函されていた一つの封筒。
そこには膨大な数値が記載されている紙2枚。

「1億……」

内容としては、簡単だ。両親が豪遊して作ったお金。名義を全て俺の名前でお金を借りたらしい。
その負債額の通知であった。勿論、法律なんて適用されない所からのお金だ。

「は…はは…」

碌な記憶が無い。両親なんて子育てやる気ゼロで、本当に最初はおもちゃ気分で子を育てたのだろう。
煩かったら直ぐにタバコの火を押し付けられた。その跡も至る所に残っている。
一番古い記憶は両親が一月以上不在で雑草を食べていた時だ。

でも、それでも学校は行かせてもらった。食事もたまにだけど食べさせてもらった。

社会に出てからは歪んだ性格もかなり直ってきた。そう、それなりの生活が出来ていたはずなんだ

思い返せば、確かに…確かに苦い記憶だけじゃない。

だが、目の前の封書にはそんな思い出なんて路頭の石ころ以下に成り下がった。

借金の負債額ともう一つのコピーされた紙。

生命保険の保障金額が載っていてそこにボールペンか何かで丸が付いていた。

「1億2千万か…」

結論から言おう。俺の現時点での命の金額であった。

「っは…いくらなんでもストレートすぎるだろ」

簡潔に言えば両親は手っ取り早くそのお金が欲しいらしい。
何も書かれていなくても分かる。あんな屑共でも一応は両親なのだ。それくらい…分かる。

「…いいだろう」

もう飽き飽きだ。こんな世の中。なくなってしまえ。平等の世界。神様。全てがくだらない。

だから、この世の中をもっと、もっと、もっと!

「もっと、くだらねぇ世の中になるよう、死んでも祈ってやるよ(のろって)」



享年29歳。この世の恨みを内包して■■ ■■は高さ80Mのビルから飛び降りた。世界がとてつもなくスローに感じた。
恐らくこの状況でも助かろうと必死に脳が働いているのだろう。今まで経験してきた記憶が溢れ返ってきている。
俗に言う走馬灯だ。しかし、それでも無理なものは無理だ。最後に眼を開いて見たのは視界一面の灰色だった。

「やっぱ怖いな」




















「ルクルちゃんばいばーい!」
「じゃね」


最後に見たのは灰色であった。それは間違いない。
けど、次に目が覚めた時には既にベットの上であった。何がどうなってるんだと体を起こそうと思っても上手く体が動かない。
手を動かしてみたら、紅葉みたいなちっちゃな手。

何のことは無い。赤ちゃんになっていたのだ。


女の子として。



別にそれで取り乱したりとかはしていない。ただただ、納得しただけだ。
本当に不思議な話だがストンと腑に落ちたというか…とにかく納得したのだ。

理由はいくつか考えられるが一番そのウエイトを占めているのが


どうでもいい


という感情なのだろう。いまだに前世の気持ちを引きずっていた当初はそう思っていたのだろう。
まぁ、そんなわけで現状は別段納得している。

申し遅れた。俺の名前は ルクル・リーデット
立派な幼女で今は7歳だ。金髪でイメージ的にはリリカルのあの運命ちゃんだ。つか瓜二つ。逆に怖い。

そしてこの世界はH×Hの世界だ。
当初は俺みたいなやつは直ぐに殺されるんだろうな…と思っていたけど…蓋を開けてみれば何のことは無い。
平和そのものであった。そも、一般家庭に生まれてハンターなんてテレビの世界の人間という認識でしかない生活圏なのだ。
治安は日本よりは悪いがそれでも犯罪なんか滅多に起こらない。

起こったとしてもそれでもテレビの中の世界だ。本当に普通の家庭で生まれたのだ。
両親もこれまた一般人で母、アリアは専業主婦。父、ライダはしがないサラリーマン
二人の容姿もそこそこ。…俺は何か突然変異みたいななんかなのだろうけども。
愛情も普通にあり、本当に普通を地でいく家庭で生まれたのだ。俺にとっては最高だけどな

何故H×Hと分かったのか、それはテレビという情報媒体からであった。
ハンター協会という言語が耳に入った瞬間は記憶に新しい。漫画の世界に入るとは思いもよらなかった。
…まぁ最初は直ぐに死ぬんだ…とかしか思ってなかったけど。しかし、衝撃の事実が浮上したのだ。


結論から言おう。念が使えたからだ。しかもオーラの量が恐らくだが、膨大だ。世界の色が戻った気がした。
この瞬間だけ神様を信じられるかもと思ったけど…そう、そこまではいい。しかしこれだけは納得いかない。


…俺のオーラ…凄く禍々しいです。何かあれだ。ゴンさんだ。魔王だ。見ていてあまり気持ちよくは無い。
恐らく前世の怨み辛みが膨大なオーラとして持ち越されたのだろう。何これ怖い。
しかも、この顔にこのオーラは致命的に似合わない。…慣れたけど。

まぁ当初は浮かれていたことは否定はしないさ。前世も相当読み込んだ。俺は単行本派だから最新がどうなったかしらないけど。
オーラが使えて修行方法も念でどういった事が出来るのか知っていた。
とりあえず、鍛えようと思って両親が寝た頃にトレーニングを開始した。肉体から始まり最後に念を鍛える。
寝る前には錬でオーラを空っぽにして寝る。この繰り返しだ。

まぁその影響かは分からんが…身長がくそ小さい。
小学校1年の平均が約120センチに対して俺は110しかない。皆より頭一つ分小さいのだ。
しかし、この年からでも前世のスペックというものを既に追い越している。念があるからなのか知らないけど、身体能力はもう完全に超している。
…てか前世は全力疾走で二日後に筋肉痛だからな。

既に越しているといっても過言ではない。
それに伴って念も充実してきた。戦闘なんかしないだろうが、持っているものなら兎に角鍛えた。
ガキが数トンの壁を動かせる世界なのだ。案の定さ。鍛えれば鍛えるほどその成果が返って来る。

面白い。非常に面白い。前世では決して味わえない快感だ。
オーラも増える、体も際限なく強くなる。頭も…それなりに良くなる。
面白い。この快感は絶対に手放したくないと思った。

しかし、一般家庭に生まれた俺がこの力を発揮することはきっと無いだろう。
恐らく何にも無い人生の中のちょっとしたひと時…いわゆる趣味で収まるだろう。
格闘技なんか習ってないし、前世は喧嘩なんか数えるほどしかしたことが無い。

パンチの仕方なんて全然分からない。
でも、それでもいいと思った。無闇に力をつけるとか、そんなのどうだっていい。
兎に角、その時その時が面白ければそれでいい。…人を傷つける勇気なんて何処にも無いのだから。












「ただいま」

ルクルです。最近学校に通い始めたぴかぴかの1年生さ。
この世界には漢字が無く、全ての言語が統一されている。俗に言うハンター文字だ。
余談だが、民族特有の文字が数百種類ぐらいあるとかテレビでいっていたような気がしないでもない。
漢字やカタカナが無いので、国語の授業の中で言語の授業は非常に少ない。
というより、この年になるとこの近辺に住む殆どの人間が読み書きくらいなら出来る。

環境的には日本が近いだろう。義務教育という素晴らしい制度もある。
学生の頃は学校めんどくさいと感じたけど…社会に出ると学生に戻りたいと思ってた。
が、学生に戻るとやっぱり学校というものは面倒だ。…面白いけどね。

俺のクラスの立ち居地は、可も無く不可もなくで運動はよろしい大人しいという位置に落ち着いている。
まぁハブにされないように最低限のコミュニケーションは取っている。
しかも、皆無垢な瞳で俺の名前を呼ぶもんだから可愛くて可愛くて、癒されるね。

まぁ学校は概ね良好といえるだろう。因みに科目は国語、算数、理科、社会、その他生活とか何か色々ある。

学校からの帰宅後、家に入り、まず行うことは



これで家に誰もいない事を確認する。現在、母もパートでショッピングセンターで働いているので、まぁ殆どの確立で家には誰もいないんだけどね。
まったく問題ない。因みに俺の今の限界は俺を中心に30Mである。この時間を使って体を扱いていくのだ。

基本、母が帰ってくるまで懸垂や足腰を鍛えるため現状山に行って全力疾走している。
足腰とスタミナを鍛えるのだ。日に日に疲れが出てこなくなるのが分かる。
目に見えて力が付いてくるとトレーニングは病みつきになる。

むしろ毎日鍛えてないと何か一日が締まらない。
さらにお小遣いを使って、ボクシング入門書を購入。パンチの仕方とかパンチとかどうせしないのになぁとか思いながらこんなことやっている自分を省みるとやっぱり、
俺tueeee!がやってみたいのだろう。

でも、理性はそれに危険信号を出しているから実践はしない。
…ハンターにはなってみたいけどね。あれ売れば一生遊んで暮らせるんでしょ?
完璧ジャン。この世界もゲームはあるから夢のニート生活が出来る。

そうだ!ハンターになればいいんだ!何で思い浮かばなかったのだろう。
夢のニート…勝ち組ニートになるべく、俺は帰ってきたら両親を説得しようと決意するのであった。



[35501] ハンター×ハンター 2話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:12

「ハンターねぇ」

そう呟いたのは我が父ライダである。容姿は金髪で身長はぱっとしない173cmで顔は中の上辺り。
夕食の席で俺がハンターになる!って言ったらこの返事さ。

「無理ね」

当然の如く返したのが母のアリアだ。容姿は茶髪で身長は156cmで顔は中の上位。そして、恐らく頭には既に明日の朝食の献立をどうするかで頭が一杯なのだろう、
黙々とご飯を食べてる。

それもそのはず、プロのハンターになるなんて普通の人間からしたら御伽噺の世界だ。
無論、家も例に漏れず。そんな夢物語はそこらへんに捨てて、現実を見てくれと、両親の態度がそう物語っている。

「でもさぁ、あんなカード1枚で一生遊んで暮らせるんだよ?最高じゃない?」
「本当でも、俺は我が子にそんな危険な職には就いて欲しくないなぁ」

尤もだ。しかし御幣がある。

「プロハンターになった瞬間にライセンス売ってお金にするから危険なことといえば試験だけだよ」
「でもなぁ」
「無理なものは無理よ」

これでは埒が明かない。何か実現出来ないような条件を並べてその達成のあかつきに試験OKという条件を提示するしかない。ということは…

「じゃぁ、何かボクシングジムとかに連れて行って。そこで小学校卒業までいて大人の人をKOさせたら許可して」

そういうと、わずかに考えて両親は顔を見合わせて此方を向く。

「いいよ。だけど12歳まで続かなかったら、負けたらそこで終わりだよ。危険なことはやらせたくは無い」
「ありがと!」

こうして、ボクシングジムに通って格闘の基礎を覚える事となった。




「ルクルと申します。宜しくお願いします」

次の休みの日に、それなりの距離のボクシングジムへ足を運び、プロハンターになりたいからという理由でボクシングジムに通うことが出来た。
オーナーのおっさんは笑いながら受け入れてくれた。
恐らく、冗談の類だろうと思っているはずだ。まぁそこらへんの子供の夢は殆どがプロハンターなのだ。

「それじゃぁまずは、足腰や体力を鍛えるトレーニングだ」


こうして始まった縄跳び。何でも手首のスナップだけで回すのがいいらしい。最初は探るように飛んで、慣れたらテンポを変えたり、時には3重飛びを混ぜたりして縄跳びを実施した。
何処まで早くなるのかなぁ…とか思って、びゅんびゅん早くしていったら近くのにいちゃんに何か止められた。これからがいい所だったのに…

「餓鬼にしちゃ上出来だ。嬢ちゃん、次はパンチの仕方を教える」

オーナーから声を掛けられて実践していく。まずはどういう風に握りこぶしを作るか。
それだけを数時間行った。まずは瞬間的に握りこぶしを作り。インパクトの瞬間だけ力を入れるように
何度もシミュレートした。最後にシャドーボクシングで、間合いや呼吸の基礎を教えてもらい本日は終了となった。


「ただいま」

結構な距離にあるボクシングジムだが、俺はトレーニング服を着用して家までランニングする。
トレーニング服を着ていれば、周りから「あ、ランニングしている幼女だ」と思われるだけである。
何より、前世では考えられない距離を走破してもまったく息が切れてないことにびっくりだ。


「おかえりなさい」

こうして出迎えてくれたのが、母である。

「どうだったの?」


おいおい、主語が無いぞと思うけど、十中八九ボクシングのことだろう。

「面白かったよ」
「あら」
「体のシェイプアップも測れるらしいよ、女性も結構いたし」
「本当?」

頷いて返して。洗濯場に自身が着ているトレーニング服を脱いで投げ込んで、リュックの中に入っている汚れたであろう衣服も詰め込んでいく。勿論パンツ一丁である。
今日はクマさんパンツだ。

「はぁ、女の子なんだから、もっと周りを気にしなさい」
「え~家の中じゃん」
「だーめ」

そう言いつつ、着替えを用意してくれる辺りはやはり感謝である。
シャワーを浴びてご飯を食べる。その最中に父が帰ってきて家族全員がそろったことを確認して、夕食を再開するのが家の通例の流れになっている。

夕食のとき父にもボクシングのことを聞かれたけど、面白かったよと返して何故か面食らっていた。
そして、父のお腹を見ながらシェイプアップ効果もあるんだって。と伝えると

「時間があればなぁ…」

と、何故か本気で悔しがっていた。まぁ気持ちは分からないでもない。前世の俺も時間が欲しいと切に願っていたものだ。


あ、そうそう、念は常人と同じく垂れ流しにしてトレーニングしているぜ。垂れ流さないとまったく疲れないし、筋力も上がらない…と思われる。
纏をしているとあんまり疲れないのだ。
疲れが出たほうが肉体的には効果的なのかなぁ…と思っているのであえて念は使用していないのだ。

まぁ夜になったら何時もどおりに基礎のから始まり応用である。
習得率はどれくらいかと言うと、基礎は上々。絶とかすると、幽霊になった気分を味わえる。
応用はまだまだこれから先があるさ。っていうレベルだと思う。いや、自分基準なんであれなんだが、発展の余地がまだまだあるからこの評価にした。

堅は半日以上行える。しかもガンガン増えていく辺りオーラの総量が多いことが伺える。
やはり転生の影響なのだろう、いや、転生直前のあの怨念の影響なのだろう。
オーラに色が合ったらどす黒いと思う。なんというか血が固まった感じな色。

昆虫共の王直属親衛隊と真っ向勝負できるんじゃね?雰囲気だけならな!
誰があんな危ない所いくかよ!今度は絶対平穏な暮らしを…しようかなぁ?
まぁまだまだ人生これからだしゆっくり悩んで決めるか。

そう思ってオーラを錬で出し切った瞬間に眠りに付いた。本日の持続時間は予想通り12時間30分だった
つまりボクシングジムの帰りから錬をし続けてたんだ。くそ眠い。しかも、何か人を直視すると威圧を感じるらしいからあんまり目を見ないようにしている。
もっと効率がいい方法が無いものかねぇ









「ようチビルク」

学校の授業の合間に何時も絡んでくるやつが何時もどおり絡んできた。

「何?ハサン」

ハサン・クレドリア

何時も俺の事をチビルクと呼んでは何故か絡んでくる。しかも何がしたいのか分からないのだ。
俺は授業の合間は点を行ってオーラの質を磨いてるのに、こいつのせいでいちいち中断させられる。

顔は将来に期待といった所であろう。まぁ確実に前世の俺よりはかっこよくなることは間違いない。

「いつも座ってるから何時までもチビなんだよ」

何か言ってきた。そんなことで怒りがこみ上げるということは無い。
そうなんですかと受け流すのが一番いいのだ。だいたい自分も分かっていることで事実を指摘されたまで。そんなことに怒りを感じるわけは無い。

「いいじゃない」

そういって彼の顔を見つめると何故かうっとなって顔を赤くする。意味が分からん。

「い、いい気になってんじゃねぇぞ!」

しらねぇよ。そう言おうと思ったらチャイムが鳴って彼もしぶしぶ席について行った。
何であんなに残念そうに自分の席に向かうのだろう。こんなにも勉強は面白いのに。…面倒でもあるけどね。そうして、次の授業で使う教材を取り出して授業を受けるのであった。




そうして1年が過ぎた。







「は!」
「ぐふ!」


カンカンカーン!とゴングが鳴り一礼をする。
そう、ボクシングをたった1年でアマだけど大の大人をKOにしてしまった。
この一年間で身長もようやく120cmに達して内心凄い喜んでるけど、決して表には出さないよう細心の注意を払っている。


「本当に実現しちゃうなんて…」
「信じられん」


先週に「KO勝ちしたよ」と言ってプロハンターの試験受けに行ってもOK許可をいただこうとしたが。
まぁこんなことを言っても信じられないというのでジムに連れて行って今度は最初にKOを取った人より強い人とスパーリングという名の練習試合を行い両親の目の前でKOをもぎ取った。

つか、この世界確かに鍛えれば鍛えるほど強くなるのは確かだが、念を覚えてないと更に上にいけない。
俺の筋力がそれを証明している。大の大人が子供に本気で掛かり開始20秒でKO負けを喫したのだから。
…試合では念は使ってないよ?ほんとだよ?

「お宅のお嬢さん、相当やりますぜ。始めてみたよ、天才ってやつを」

というのはジムのオーナーの言葉だ。俺もまさかここまで強くなるとは思わなかった。
何か、ちょっと集中すると皆の動きが凄く遅く感じようになったのだ。平常時でも。…気のせいかもしれないが
スタミナも既にフルマラソンをハイペースで走破できるんじゃないの?って思うほど付いた。

両親の顔を見て一言

「さて、1年で達成しちゃたけど、どうする?」


此方を絶句してみる両親の顔はあきらめの表情であった。




[35501] ハンター×ハンター 3話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:33


現在9歳になりました、ルクルです。今日も元気に念を鍛えてます。

夏休み中に、念が鍛え放題なのでガンガン念を鍛えていた最中に、ティンと気付いたことがあった。

……何のことは無い、俺自分が何の系統かまだ分からなかったんだ…
強化系ではないということは確か、恐らく具現化か操作のどちらかだろうとは目星をつけている。
強化の修行が苦手で放出、変化も操作より苦手だからだ。具現化系の能力はどうやって修行すればいいかわからないので放置
系統図を見ると、強化に一番遠いのが特質だけど…俺にはそんな主人公属性は無い。よって具現化か操作に限られる

余談だが俺個人としては強化が一番生き残りやすいと思っていた。


それでは、水見式で俺がどの系統か調べてみるか。




「葉っぱが消えたんだけど……」



どどどどど、どういうこっちゃ?確か強化が水が増えて、変化が水の味が変わる。放出が水の色が変わって操作は葉が揺れて具現化は水に不純物ができる。はずだというのに…
何これ?え?ま、まさか特質!?おいおいおい…おいおいおいおいおいおい!強化と反対じゃん!強化系能力者と当たったらオーラ二倍以上で当てないと打ち勝てないレベルじゃん
と思ったけど、オーラに関してはまぁ膨大にあるからカバーできなくは無いか…しかし、そうすると発をどうするか、だな。

特質だから、何かすげぇの思いつきたいけど…逃げと攻めどっちも使える感じな能力が欲しいな。
葉っぱが消えたから何か、それに関連しそうな…そう、透明人間になって女子更衣室を覗きたいけど、俺そもそも女だったというのを今思い出した。
むむむ…まぁいいや、何か思いついたらメモって時間かけて吟味しよう。出来れば俺sugeeee!な能力と俺のオーラで戦わずして勝つというチキン戦法を取れるのが理想だ。


肝心のオーラ量もこの数年で劇的に増えている。流石にネテロ爺さんまで行かないと思うけど、それでも膨大だ。まぁ錬度で言えばこっちはまだまだひよこなんだけどね。
禍々しさもよりいっそう強くなった。オーラを開放していくにつれて凄い濃厚なオーラ且つ禍々しく噴出する。どこのラスボスだよ。もう、街中で錬とかできねぇよ。
まぁオーラの量は体の成長と共に増えていくから別にいいかなと思ってる。

あれ?何でこんなに俺は一生懸命に念能力を鍛えてるんだ?
…目的は…無い……な。強いて言うならハンター試験突破のためか。まぁだからと言ってやめるつもりは無いけど。覚悟が無いものが~
とか、そんな価値観なんて知ったことではない。

前世で見た、某蜘蛛男の映画で「大いなる力には大いなる責任が伴う」だっけ。
その通りなのだろう。ひょっとしたら、念を鍛えてるのが露見して、家族諸共殺されるかもしれない。俺の価値を見出して、両親が人質になって、犯罪に手を染めるかもしれない。

だが、知ったことではない。何故なら、人間なんてよほど利口な人以外、その時にならないと自覚なんか出来やしないのだ。覚悟や決意を明確に出来る人間はほんの極一握りだと思う。
勿論俺はできない。上っ面だけな覚悟だ。

大体、覚悟しても何しようにも…人生、何時理不尽が降りかかるか分からない。
故に、故にだ。俺は力を付ける。勿論自分のため。人のため…何て言わないさ。
そう、自己満足だ。俺tueee!してみたいと言う自己満足に過ぎない。

その自己満足も、人を殺すどころか傷つける覚悟もありゃしない。
何て、身勝手なのだろう。最低だと思う。けど、それでいい。ただ、人には迷惑はかけないよう心掛けるけども。まぁ、迷惑が掛かるだろうなぁ。

さて、原作開始まで後7年ある訳だが…この7年で俺はどれくらい強くなれるのかなぁ。
つか、両親が

「まだハンターライセンス取りに行かないの?」

なんて言ってはこないけども、顔にそう出てる。こやつら…まぁそれが普通だよね。
なんたって、人生遊んで暮らして行ける金が、一気に手に入るんだから。
まぁ原作開始の「7年後に取りに行きます」と言ったら、微妙な顔をして此方を見たのはいい思い出。

ま、せっかく漫画の中に入ったのだから、原作に乗っかって、流れてみたいよね。
ぶち壊すとか、そんなんじゃなくて、ただ何となく。決められたレールを走るのか、はたまた原作なんて始まらないのか…いずれにせよ7年後のお楽しみってやつだ。

…他に転生者がいたら、仲良くしよう。敵視されるのは嫌だからなぁ。
そう、怠惰に過ごしたい。だから今のうちに苦労する。それでいいんだ、今はそれでいいんだ。





「お、おい、ルクル!」

学校の下校時間になって声を掛けてきたハサン。まだ顔は幼いがイケメンの兆しが見えてきている。実にうらやましい。

「何?」

ハサンの顔を正面に見て返答を返す。顔をほのかに赤らめながら

「きょ、今日、一緒に帰らないか?」

帰りを一緒にと誘ってきたけど…うーん…まぁこの年頃の男なんて恋愛については全然あれだしなぁ
事実俺もこの年なんて出来る限り家に帰りたくなくて、どうやって暇を潰そうか頭をフル回転させていたじきだしな

「…まぁいいよ」
「ほ、ほんとか!?」

顔をキラキラさせて此方を見てくるハサン。しっかし、どうしたんだ?何時もなら皮肉の一つや二つくらいきそうなのになぁ

そうして鞄を取り、二人で下校していった。教室を出る前にハサンが何か他の生徒に対してぎゃーぎゃー行ってたけど、何だったんだ?
全く興味ないからそそくさと出たけど。

「お、おい!ルクル!」

そうして俺たちは一緒に下校することになった。




「なぁルクル」
「何?」

下校途中の公園で一息つこうぜ!と誘ってきたので、ジュースおごってくれたらいいよと返したら、本当におごってきたので今こうして公園のベンチでジュースを飲んでいるのだが
今日のハサンは何か何時もと違い大人しい…こやつ、何か悩み事があるのか?

「お、お前すk「何か悩み事?」な…」

ん?何かいっていたような気が…

「何?なんかいった?」
「べ、別に!…何も言ってねぇよ…」

そっぽを向いてしまった。ううむ、何かタイミングが悪かったか?

「すー…すの次、言葉が被っちゃったけど」
「べ、別に!」
「えー何?気になるなぁ」

こういうのって凄く気になるよね、こう、凄く聞きたくなる。
そう、何かいけないことを知るような感覚がして妙に気になるんだよね。例えば開けてはいけないという扉をあけたくなったりとか、ああいう感じ。

「お、俺はただ…その、す…」
「す?」
「す…好きな人とかいるのかなってさ…い、いや!ちげぇぞ!俺じゃなくてクラスのガランがだな!」

…え?好きな人?おいおい、ご冗談を…




いるわけねぇだろ(笑)



俺が知っている中ではクラスの女の子で可愛く美人になりそうな奴がいいなぁとは思っているが、それは恋愛感情ではなく、もっと卑猥な感情であってだな…
俺は何独白してるんだ?まぁいい

「好きな人?いないよ」
「ほ、ほんとかよ!?」
「うん、いないなぁ」

どうして急に?と思ってハサンを見ると何か落ち込んでいる…な、何だ?俺に惚れたか?ないない。むしろこっちがお断りだぜ。

「じゃ、じゃあさ、好きなタイプとかさ」

好きなタイプかぁ…まぁまずMな人で美人な人がいい。しかも外見はどう見てもSっぽい人が中身Mだと俺は凄い興奮する。ふひひひ
マチさんとか、かなり美人だろうな。しかも描写中だとドSっぽいけど、実は…っていうのが俺の期待だ
おっと、こいつの質問に答えなくてはな

「好きなタイプは…きりっとしているひとで、自立している人がいいな」
「なるほど…」
「あ、あと、それなりに強い人がいいな。私将来プロのハンターになりたいから」
「ぷ、プロのハンターだって!?」

うお!?びっくりした、何だいきなり叫んで…驚くことは無理も無いっちゃ無いけど…

「あ、危ないだろ?女なのに」
「うーん…女性でも結構プロのハンターいるからなぁ」
「そ、そうだけど…」
「だから、最低でも自分の身を守れる人がいいなぁと思ってる。ハンターは色々な種類があるけど、どれも危険が付きまとうからね」

そう、美食ハンターでも何れにせよ危険はつき物だ、何故なら世界各地を回ってその道を探求していくのだから、危険なことが一杯だと思う。
あとその試験だって危険だし、戦闘もある。故に実力はどうしても無いといけないのだ。

「おっと、もうこんな時間だ。ハサン、帰ろう?」
「お、おう…」

何か悩んでいるようだけど、まぁ思いっきり悩め少年よ。いっぱい悩んでぶつかって男は大きくなるもんだ。たぶん。

そうして、わたしたちは帰路に着いたのであった。一人の少年の決意と共に。







追記

念系統はとあるサイトででた結果をそのまま使ってます。

特質系 個人主義者 

だそうです。



[35501] ハンター×ハンター 4話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 06:52

「よし!完成だ!!」

10歳の夏休みに、とうとう俺の「発」が閃きそのまま完成に至った。
俺の発それは【空間移動(ジャンプ)】だ。

【空間移動(ジャンプ)】
自身がマーキングした場所へ瞬時に移動することが出来る
マーキングしたものを自身の場所へ瞬時に持ってくることが出来る
マーキングは任意に消したり作成したり出来る

「マーキング」
ジャンプで使用する為のマーキング。念で出来たり、神字で出来たりする。どちらも効果は一緒
オーラでこすればそのマーキングは無効化される。

制約
・念でのマーキングは6箇所しか出来ない
・神字でのマーキングは3箇所しか出来ない
・マーキングが消されたら其処へはもう一度マーキングしないとジャンプできない
・マーキングは自分の体かオーラが何れかの部分が触れていないと出来ない。
・マーキングした中心の半径1m以内しか飛ぶことが出来ない
・他人と一緒には瞬間移動できない

誓約
・マーキングが自分以外に消されたら24時間マーキングできる箇所が1箇所減る
・全てのマーキングが24時間以内に自分以外に消された場合、1ヶ月念が使用できない。



特質系を生かして、他の系統だと真似できない様な発にした。

葉っぱが消えたので、何か楽に移動したいなぁとか思っていたので、瞬間移動でいいんじゃね?ってなってそのまま…
いやぁ…戦闘用発を作る気マンマンだったのだけど…全然思いつかない。
いや、思いついたには思いついたけど…そう、ぶっちゃけ実現不可能っぽいというより
チートすぎて誓約とかどれだけきつくしないといけないのか分からなかったからこれに落ち着いた。

といってもこれもかなり便利な能力だけどね。クロロあたりが欲しがりそう。

あとは戦闘経験を手っ取り早く手に入れたいから…一回きりの使い捨て能力を作って誰かくっそ強い人と戦うのはいいかも。
それも殺し無しなら最高だが…確か、天空闘技場が200階までなら殺し禁止だよな…ううむ、でも10歳だからなぁ…いや、こういうのは早めに取っとくのもいいかも
しかし、両親にはどう説明する…まさか自分の子供がそんな危険なところへ行くのを承知するはずが無い。

しかし、ハンター試験はもっと過酷だ。いきなり死ぬかもしれないからそれを引き合いに出して承知してもらうしかない。
あと、闘技場は結構近い(と言っても100km以上は離れている)から何とかなるかもしれないしな。物は試しだ。掛け合ってみるか…




「駄目に決まってるじゃない!!」

凄く怒られた。当たり前か。まだ10歳だし、小学生だもんな。いくらボクシングでアマに勝てたからと言っても、それはプロが監修の元、練習の一環で行った事に過ぎない。
闘技場はもう、一生物の怪我とかを負うかもしれない。けど、プロハンター許してくれたのに…と思ったけど、やっぱり心配なものは心配で
日がたつにつれ、やっぱりハンターなんかならなくて、普通に仕事しろと進言してきたしなぁ。

しかし、そこは譲れるところではない。やりたいことをやるんだ。てか、ハンター試験で受かってニート生活なんて…考えてみたら全然楽しくない。
むしろ、結構世間の目とか気にしている自分がニートなんて勤まるはずがない。そうだ、やりたいことやってお金をもらおう。

でも、そうすると戦闘経験どうしよう。ぶっちゃけ、自分で経験してもいいけど、せっかくの特質系だし。有意義に使いたい。
攻撃防御力がが確か強化系の半分以下のレベルしか出せないと思ったから、自分で経験値を稼いでたら危険かも?

親に言われて普通に過ごすのもありかなと思ったけど、もしアリが世界進行とかしてきたらゲームオーバーだ。
故に最低でも自衛できる力が必要だし、家族も心配だ。いや、家を飛び出す自分が言えた義理じゃないけどね。

しかし、平穏な未来を目指すには女王の駆除が必要。でも…どこに何があるのかいまいち覚えてない。
とにかく、特質Tueeee!状態な相手だった。身体能力とオーラだけで強化系を圧倒っていうか、見向きもしないほどの強さだからな。

戦闘系の発を一つ作りたいけど
やっぱ戦闘は強化がいいなぁ…単純に考えられるし、絡め手も強引に破って相手ぶん殴れば勝負付くしな
特質ってその正反対なんだよね。だから結構頭ひねって戦わないと勝てなさそうだけど…そんなん関係ない発を作れればなぁ
ベクトル操作とか、最強じゃね?とか思ったけど、いまいちピンとこないし、時間停止なんて理屈で考えたら空気も固まって普通動けないと考えてしまったので却下。

でも何か地味なのも嫌だ。もっと俺の中二心が躍動するすげぇ「俺が考えたかっこいいノウリョク」を作りたい。
急がなくてもいいけど、何かさっさと作っておきたいのが本音だ。

「でも、プロのハンターにはなるからね!」
「それも」
「約束だからね!」

母には申し訳ないけど、やっぱり未来を知っている身では強引にでもハンター資格は取っておきたいところ。ゴンご一行にこっそり付いていくためには何かと便利だしな。
あと、信頼の証にもなるし、損は絶対無い。てか、ビスケに修行を付けてもらいたいしなぁ…あのまっちょにならなければ相当可愛い部類に入るだろうな、見た目だけは。

おっと、話がそれたな。
ううむ…小学生卒業と同時に家を飛び出すか?そうすれば、基本自由だし、天空闘技場に参加すればお金の心配は無いと思う。
お金が安定する100階クラスまで行って200階昇進のやつでちょっと戦ってリタイアすれば当面の生活資金は大丈夫だろう。
そうしよう。しかし、今の俺は力がある少女だ。なるべく念は使わないでお金を稼ぎたいし、地味に戦闘経験も積んでおきたいところ。

とりあえず、押し出しで勝てる力を付けよう。確かゴンは12歳位で大の大人を押し出してたな。
やっぱ小学生卒業まではガンガン筋トレを行おう。この世界。やっぱり念が一つの鍵であり、その才能がある人は
念を取得しなくても身体能力ががんがん上がる。逆に念の才能が無いものはやっぱり常識の範囲内に収まってしまう。

俺は念の才能は…あるのだろうけど、ぶっちゃけどれくらいあるか良く分からない。けど、数百キロ位ある岩を持ち上げられたから、まぁ常識外になっているのだろう。
ボクシングでも結構加減しないと普通に一発KOだしな。今は通ってないけど。

近くに心源流道場っだっけかな。それがあれば即入会したけど…ちょっと遠い。学校の帰りに寄れるところでは無かったのでこれも家を出たら通ってみようかな。

理想としては、他人の動きと自身の戦闘経験をマッチさせて自分だけの戦闘理論を作ること。

筋トレと同時に、念の修行も同時並行中である。筋トレはまぁ体がむきむきマッチョにならないのに力や体力がガンガン上がる。
念はよほど才能に恵まれたのか、それとも知っているということが有利に働いているのか、これもガンガン上がる。
総合すると、このままの調子で行きましょうってやつだ。







「なぁ、ルクル」

もはやハサンと一緒に帰ることが定例化とした夏が終わった秋の放課後、急にハサンが声を掛けてきた。
俯いた顔は少し怯えている…?

「ん?なした?」
「俺…俺も、ハンターになる!」

ばっと顔を上げたときにはその怯えが吹き飛んで、なにか決心した顔になっている。
……これが俺以外の異性だったら惚れそうないい表情だ。たぶんその異性はバックがほわほわのピンク色だろう。
しかし、生憎、俺はこいつに惚れることは一生ない。

「あ、そうなの?頑張ってね?」
「あ、ああ!そ、それで、お、おお、お前を…」

顔を真っ赤にしてちらちら見ているが、最近になってやっとこいつが俺に惚れていることが分かった。
しかし、俺は惚れていない。むしろ女のコが大好物な変態だからな。ドンマイだぜ。

「まぁ無茶はしないでね?」

ね?の部分で顔をこてんとさせて、可愛らしさをアップさせる。俺なりのサービスというやつだ。
精神は男だけど、行動がだんだん女の子化していくが、ぶっちゃけ使えるものは使う。自分気持ち悪いと思うのは一人になったときだ。

「お、おう!一緒にハンターになろうぜ!」
「一緒にハンターになれるか分からないけど、私が14の時にとりあえず受けてみようかなと思うんだ」
「あ、あと5年か…」

何か思案しながら一緒に歩くハサン。まぁ頑張ってくれ。こっちは着々と準備が整っているけどな。あとは、家を飛び出すタイミングだ。
飛び出したら定期的に手紙と顔を見せればいいかな。まぁ飛び出したら数年は顔を出さない予定だけど。
この人生は結構自由に生きることをどこかで決めたしな。いや、今決めた。ハイ決めたー。

「それじゃあ、家はこっちだから。じゃ、がんばってねー。ばいばい」
「お、おう!じゃあなー!」

そうしてそれぞれの道の帰路へと歩いていったのだった。



[35501] ハンター×ハンター 5話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:35


「へー…こんな所に遺跡なんかあるんだ」

こんにちは、ルクルです。今年で12歳。小学校を卒業しますが、最後の夏休みに両親にこの大陸を一カ月間旅したいと言ったら、許可が下りたので
色々見て回る事になった。お金は両親が出してくれたけど、ほとんど徒歩とかなので凄くあまりそう。

そう思いながら、道なき道を全力疾走したり、地図で現在位置を確認したりして進んで行った結果、遺跡に着いてしまったわけだ。
何の文明か分からないけど、壁面の彫刻と蔦が「ぼくはいせきだよ」と言ってるみたいに雰囲気が出ている。
ぐるっと、一回りしたら誰かがいるのだろうか、そう思って歩を進めるとテントが立ててあって誰かがキャンプしているようだ。発掘チームか何かだろうか?

と思って、近づいて行ったらテントからタンクトップとジーパンというすげぇラフな格好の無精ひげ親父が姿を現した。
うーん…誰だろう?纏を纏ってるから恐らくプロのハンターだと思うけど、すげぇ力強い纏だ。いいなぁ俺もあのレベルまでいきてぇ
まぁ誰でもいいや、この遺跡について何か知ってるかもしれないしな

「こんにちはー」
「ん?おお?子供か?親とはぐれたのか?」

けっこうフレンドリーに話しかけてくるおっさんは、よく見ると無精ひげを伸ばしている。

「あ、いえ、小学校最後の夏休みなので一カ月間この大陸だけでも回ろうかなと思いまして」
「へー…おまえ、プロのハンターじゃないだろ?」
「ああー…わかります?」
「わからいでか」

一応纏すら纏っていなかったが何故がばれた。こやつ、相当な熟練者だ。
まぁばれたのなら仕方が無い、俺も纏を纏って近づくが

「待て」

ぞわっと一気に全身の鳥肌が立つような気配を発してこちらを制止する。
目つきが鋭く、先ほどの雰囲気は既に何処にもなかった

「誰に雇われた?」
「あ、いえ、ですから、小学校最後の夏休みだと」
「嘘をつけ…証拠は?」

相変わらず何か鋭い眼光でそう言ってきたので、とりあえず、しまってある名札をカバンから取り出して、さらに学校から配られた自由研究の提出用プリントも出す

「……マジでガキだったのかよ」
「だからそう言ったじゃないですか」
「いや、すまん。でもな、結構嫌な雰囲気をだしたオーラを流していれば誰でも疑うぜ?」
「え?…そんなつもりは……」

やべぇ、実力者にはオーラの質があれなんだな、よく分かるんだな。

「それにしても何か雰囲気ある遺跡ですね」
「ああ、俺も偶然見つけてな。灯台もとくらしだったっけか?こんな近くに未発見の遺跡があるとはな」

確かに、山脈に向かって数キロ森を抜けた先にあるとは…俺のイメージだと孤島とか密林の奥だとか、そんなイメージだったけど、ある所にはあるんだなぁ

「うーん、帰りの時間もあるし、この遺跡に関して自由研究の課題を終わらせるかぁ」
「まぁいいが、あまり詳しく書くなよ?発見したのをまだ公開してないんだからな」
「何でまだ公開してないのですか?」
「ん?そりゃあ、内部調査がまだ残ってるからな!」

すげぇわくわくした顔で遺跡を見ている。どうやらここを発見したのは本日だというのだから驚きだ。まだまだ未発見の土地があるのは何か何処となくロマンを感じる
そう言った事を伝えたら

「おお!分かるか!お前もプロハンターになったら遺跡ハンターになってくれよな!ロマンが詰まってるぜ!」

そう笑ってくる髭のおっさん。結構愛嬌がある。ううむ…何処かで見たような顔なんだけどなぁ…思い出せない。


「古代のものは何か神々しい感じがして、こう、来るものがありますよ」
「はっはー!いいなぁお前!」
「あ、あははは…」

そうしてこの遺跡の外観をスケッチするべく周りをうろうろする。
鬱蒼と茂っている雑草が邪魔で中々スケッチのベストポジションが見つからない。
仕方が無いので壁際に行ってぐるぐる回ってみる。

絶対に入り口があると思ったけど、無かった。
このままダンジョンいくぜぇ!と思ったけど、無かった。
何のことは無く、5分位で一周しておっさんが居る所に戻った。

「何にも無いですね」
「いや…そうでもねぇんだぜ」

そういうと、徐に遺跡の壁に向かって念を込め始める。まさか…!!

「ちょ!破壊するつもりですか!?」
「んなわけねぇだろ!!」

…勘違いだったようだ。

「いいか、遺跡ってのは特殊な仕掛けがしてあるものが多い。何故かは定かではないが、ただ言える事は外敵から何かを守るためにということだ」
「ということは、この遺跡にも何かあるんですね?」

そういって遺跡を見る。前世で言うならばアステカの遺跡みたいだと思うけど…形状がちょっと近いだけだろう。
その証拠に全体に念が掛かっているのか、うっすらとオーラを纏っている。

「ふーん…遺跡全体にオーラがあるけど、念でも掛かってるんですか?」
「ああ、過去の遺物は念が込められているものが多い。恐らく呪術的な何かだと思うが、やはり特別な物にはそういった’念’が込められている」

おっさんのオーラに触発されたのか、壁だと思っていた壁面がごごご…と地面へ降りていっている。

「へー…念って凄いですね」
「お前さんも念が使えるし、一緒についていくか?」
「勿論です。これはいい題材になりそうです」
「ほどほどにしとけよ」

そうして俺達は中に入っていった。

中は薄暗くてひんやりとしている。細い通路があり、幾重にも分かれ道がある。
常時凝を行っているので罠が大体どこら辺にあるのか、仕掛けがどこら辺にあるのかは区別が付く。
しかし、念が無いところでも仕掛けは多々あるから、そこはおっさんがこなれた手つきで解除したりしていく。

数多の分かれ道があるが、マッピングしていつでも外へ出られるようにしておく。
勿論俺もマッピングしているが…ううむこれは難しい。若干方向音痴な俺だと東西南北の何処に線を引けばいいか曖昧だ。

「マッピングは難しいですね」
「そりゃそうだ。この閉鎖された空間で方位磁石持って来てないのにマッピングするのはまず無理だな」

そういいつつ方位磁石を取り出して方位を確認し、マッピングするおっさん。

何か悔しい。

ま、向こうはプロだしな。仕方が無いな。うんうん。


数時間は経つだろうか、かなり歩いた先に見えた扉を開いて中に入るとかなり広い空間へと出た。

「へー…広い遺跡だと思いましたが、こんな広い空間あったんですね」
「まぁ、地下に潜ってるから無いことはないが…嫌な予感がする」
「でも、何にも無いですよ?」

そう、何にも無いのだ…真ん中にある台座以外。

「台座以外…な」
「でも凝で見てもオーラは無いですし、もう既に誰かがお宝か何かを持って行ったのではないですか?」
「……いや、そうでもないぜ」

その言葉と共に入り口に重い鉄がこすれる音と共に鉄格子が掛かる。
台座の奥の壁が回転しそこから現れたのは全長3メートル位ある真っ黒い鎧を着た何か。
相当禍々しいオーラを膨大に纏っている。これは…

「死者の念…」

そう、俺の全力を引き出した際のオーラの質に似ている…しかし、俺のもののほうがもっと禍々しい。
これはどちらかというと、何かに執着しているオーラ…っぽい。いや、勘なんだけどね。

「それにしても、でかい剣ですね。オーラも物凄いですし、相当高そうです」
「…お前やっぱ遺跡ハンター向いてないかもな」

そうして二人とも臨戦態勢に入る。やはりというか、おっさんのオーラは流麗でかなり力強い。
対する俺は

「…おい、やっぱお前、何かやばいんだけど」
「仕方が無いじゃないですか!?私だってこんなオーラ纏いたくないんですよ!」

やっぱり禍々しいようで、何かめっちゃ警戒された。いや、本当にすんません。

「ったく、そのオーラを俺に当てるなよ。条件反射で攻撃しちまうかもしれないぜ?」
「そんなことしないので大丈夫です」

そこで漸く相手の準備が整ったのか、剣を構えて…その場で此方目掛けて振りぬいた。
その瞬間にオーラの刃が此方へ向けて飛んでくる。

それを横っ飛びで回避するが…

「嘘!?」

90℃の直角で速度を落とすことなく此方へ曲がってきた。
更に回避するが、ホーミング性能があるのか、此方へ執拗に迫ってくる。
おっさん!ヘルプミー!

「おらよ」

ナイスタイミングで俺と刃の間に躍り出たおっさんが拳の一振りでその刃を消し去った。


「強化系ですか?」
「さぁな」
「いや、強化系でしょ?」

そんな軽口叩いてる間騎士はもう一振りして、念の刃を飛ばすと同時に巨体に似合わず一瞬にして距離をつめてきた。
しかし、此方も最終兵器おっさんがいるから大丈夫。もうすべて任せていいんじゃね?っていうほど強い。
向かってきた刃を手で払い、騎士の神速の斬撃をかわして硬で強化した拳で騎士の胴体にカウンターをいれ吹き飛ばす。

「つよ」
「そらぁな、此れでもプロハンターだぜ?」

余裕綽々である。そうだ!

「すみません、私もちょっと参加させていただきます」
「あ?怪我してもしらねぇぞ?」
「大丈夫です。たぶん」

そうして堅を維持しながら吹っ飛ばされた騎士に近づく。
既に体制を整えており地面を陥没させる踏み込みと同時に此方へ袈裟切りを放つ。
それを見越してスウェーで避けて流を用いた攻撃で相手の剣を持っているほうの腕を蹴り上げ、無防備の胴体に渾身の一撃を放つ

手に鉄の感触と、何か生ぬるい感触が伝わる。この生ぬるい感触が恐らく相手の念による防御。
しかし、堅でもない恐らく唯の纏での防御なぞ生ぬるい。そのまま鎧を突き破り相手を吹き飛ばす。

「ほー…かなりのオーラだな」
「それだけが取り柄なので」
「しかし、まだまだあめぇな。もっと基礎修行すりゃもっと上を目指せるぜ?」
「毎日点や修行は行ってるんですがねぇ」

正直に言おう。まったく相手にならない。
身体能力が前世に比べて格段に上がっているし、自身の流も目で追える程の動体視力に反射速度。

確かに、最初の刃は若干怖かったが、何のことは無い。冷静になればいくらでも対処のしようがあった。
恐らく堅の状態を維持していれば、無傷で終わっただろう。それほどのオーラの差があった。

「攻撃力はそれほどでもありませんね」
「ああ…だが、それを補って余りある…再生能力があるな」

おっさんの目線を追うと既に立ち上がって砕けた鎧が完全に修復されている騎士の姿があった。

「嬢ちゃん、中はどんなだった?」
「ん~…オーラの塊、かな?」

そう、あの生ぬるい感覚はオーラだ。ねっとりとしたオーラ。

「どうするんですか?」
「…まぁ再生能力が何処まで再生できるかだな」

なるほど、まぁぶち壊すしかないのか…んーそのままで売ればかなりの値打ちになりそうなオーラだけど…仕方が無いか

「では、私が手足切り落とすので、胴体を粉々にしてください」
「ああ、宜しく」

手足を切り取るといっても念能力じゃないから相当念を込めて変化させないといけない。
いや、かなりきついんだよね。実際。鎧自体は纏レベルだけど。中は完全に硬状態。それを切断するのは骨が折れる。
が、それでも切れることは確信している。何故だかわからないけど。

それに最終兵器おっさんがいれば確実に何とかしてくれるだろう。どうせ本気のほの字も出してないだろうし。
切れなかったらバトンタッチすればいいや。

今度は此方から仕掛ける。一息で騎士の懐に潜る。そして一気に両足を切り裂こうと思ったが、嫌な予感がし右へ横っ飛びする。
その瞬間膝蹴りが繰り出されるが、生憎そこに俺はいない。カウンター気味で右腕と右足を切断して、体制を崩させ、一気に左も切る。
そして、膨大な量のオーラを練っているおっさんの下へ胴体を蹴って転がし

爆発

膨大な音と共に衝撃波が此方に伝わってくる。それを纏を纏ってやり過ごす。
地面には大きな亀裂が入っており、中心に近づくにつれ地面が蜂起している。というより、遺跡ぶっ壊してるけどこれいいのか?
砂埃が消えるとそこにはクレーターがあり、中心にはおっさんが地面に向かって拳を突き出していた。

「ほえー…あほ見たいな威力ですね」

あの鎧は…もう跡形も無い。手足もオーラが消えうせており、マジで一撃必殺だったようだ。

「お前もいずれできる様になるさ」
「無理」

そう、強化系か放出、変化あたりじゃないのあれは無理だ。つか、あれ食らったら俺はじけ飛ぶよね?堅でガードしていれば即死はしないと思うけど…まぁ再起不能になるだろうな。

「お、何かあるぜ?」

その言葉と共にオーラを手に集中して夢中で地面を掘り出す。
そうして見えてきたのは何かの文字がびっしり掛かれた壁だ。

「これは…」
「神字だな」

この世界にある念で文字を彫り、念を補助する文字のことだ。

「神字かぁ…中に何があるのでしょうか?」
「さぁ?…ま、入り口は恐らくあそこだけどな」

目線を辿るとそこには台座がある。

「凝ではオーラが出ていませんが?」
「いや、こいつはカラクリだ。恐らく何か鍵があるのだと思うが…」

台座を調べると分かることは何か指すところがあるだけ。

「剣ですね」
「ああ、剣だな」

そうして剣を拾ってきて徐にさしてみると…台座が横にスライドし、階段が現れた。
そこを下っていくと神字でびっしりと彫られている空間にたどり着いた。その中心には棺が置かれている

「もの凄い念ですね。凝をせずとも分かります。この念は全てあの棺に効果を及ぼしていると」
「ああ…何時でも戦闘できるようにしとけ、何が出るか分からないぜ」

そうして堅を維持しながら棺を開けると

「…」
「…ミイラ……か」

そう、かなり高価そうな装飾を身に付けている恐らく女性であろうミイラが出てきた。そのミイラにはかなりのオーラが宿っている。
ミイラを守っている?…うーん…この遺跡の背景が全然分からないから何ともいえないけど、動かすのはやめといたほうがいいかな?

「…願い」
「ん?」
「このオーラには願いが込められている。そう、また蘇るようにという、願いが」

……蘇る…かぁ…

「この方を守っていたんですね。あの騎士は」
「そうだな、悪いことをしちまったな」

そうして棺の蓋を閉じ、来た道を戻ったのであった。

「あのー、この剣貰っていいですか?」

そう、騎士が使ってた凄いオーラが宿っている剣。長さは全長1m50cmはあると思う。
改めてみると、凄く綺麗な刀身だ。
赤く透き通っていて宝石で出来てるみたいだけど、その中にはびっしりと神字があり、念が膨大に込められているのが分かる。

「…まぁ、今回は見逃してやる。危険な目にも合わせちまったしな」
「やった!ありがとう!」

へへ…何に使おうか考えていないけど、何かかっこいいし。

扉の仕掛けって大丈夫と聞いたけど

「あそこの扉は剣を抜いても開きっぱなしだし、大丈夫だろう」

とのことであった。
そうして、マッピングした地図を頼りに外へ出るのであった。







外にでると既に夕日に変わっている時間になっていた。

「この遺跡、どうするのですか?」
「そうだなぁ…ま、まずは協会や色々な機関に報告して色々決めなきゃな」

そらそうか、しかし、あのミイラ…どうなるんだろう
……いや、悩んでいても仕方が無い。今回はいい経験になった。それで十分さ

「…ま、なるようになるだろう。世の中、そんなもんだ」
「……そうですね」


本当に、世の中ってそんなもんだよな。なるようにしかならない。

そう思いながら夕日を見続けた。何時までも、何時までも。





[35501] ハンター×ハンター 6話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:38

「それじゃあ、行ってきます」
「「いってらっしゃい」」



小学校を卒業し、中学校に上がろうかと思ったけど、まぁプロのハンターになるためには実力を付けなくてはならない。
そう、今から色々な経験をしてプロハンターを目指そうと思う。原作開始は3年を切った。

両親を説得して今日旅に出る。
と言っても最低一年に一度戻ることが条件で、生存報告をすることも義務付けられているが…まぁ帰るところがあるというのはいい事だ。

で、ここでお金をかなりゲットするために、定番の天空闘技場へ行こうと思ったのだ。
お金に戦闘経験にと一石二鳥な場所である。予定としてはファイトマネーが高い100~190階をうろついて、何か警告とか来たら200階へ上がればいい。
さらにフロアマスターになってバトルオリンピアで優勝すると、家とお宝がもらえるらしい…家はいらねぇけど、お宝が欲しい。

でもまぁ、飾る場所もないし売ると思うけど…というより、そこまでしてお宝が欲しいわけではないからなぁ。

おもいつつ、天空闘技場行きのバスに乗るのであった。



「うわー…高いなぁ」

見上げるほどの高さの天空闘技場。確か250メートル以上の高さを誇る闘技場だ。
形は結構いびつで地震なんか来たら一発で倒壊するだろうなぁと、日本人ならではの発想が頭をよぎったときには苦笑してしまった。

天空闘技場に入る前の町並みもかなり都会で、色々なものを取り扱っている。

といっても、今は欲しいものはないから別にあまり用事が無い。
まぁ可愛い子がいる喫茶店とかはチェックしておきたい。あとおいしい料理店。賞金をゲッツしたら豪遊したい年頃だぜ。

さて、天空闘技場でひと稼ぎしてくるか!






「勝者、ルクル!!」


わーわーと歓声が沸く。受付で登録を済まして、最初の戦闘はやっぱりテンプレな言葉で罵倒された。
まぁ、別に相手が念使いでもない限り死ぬことは殆ど無い。故にそんな罵倒を右から左へ流してそのままビンタで場外へ。
といっても、ゴンみたいに客席まで飛ぶわけではないぞ?ぎりぎり場外といったところだ。
一瞬の静寂のあとにこの歓声だ。うむ。病み付きになりそうだぜ。

「君は50階へいきなさい」
「あ、はい」

歓声を後にしてその場を後にした。出口へ出る前に何か、すげぇ嫌な視線を感じ、観客席を見上げるが…
特に目立った人はいない…うーん…何処と無くネチッコイ感じな視線だったんだけど、気のせいか。
いや、この容姿にこの年齢だと、結構ねちっこい視線って感じるんだけど…

さっき感じたのはそういったのと一線違った感じだった。
…この時期に天空闘技場ってまだ目立ったキャラって…いな…い?っけ?
うーん分からん。ま、いいか。そう思って止まっていた足を進めるのであった。








「クク、美味しそうだなぁ★」





「賞金の152ジェニーです」
「ありがとうございます」

初戦をクリアするともらえる賞金額は152ジェニー。これは缶ジュース一個分に相当する。
そのお金で早速ジュースを買って一口。うん、旨い!

朝からの試合だったので、午後から50階での試合がある。
エレベーターを見つけて50階へ上がる。その際にいたエレベーターガールに感動しながら50階へ到達した。さて、もう少し頑張りますか。








「勝負あり!勝者!ルクル!!」

そして歓声が広がる…ふ、どうやら俺は強すぎたようだ…なぁんてね。
50階からは普通にパンチ一発でKOして10階ずつ上がってきてとうとう100階まできた。
これまでのファイトマネーは…既に30万ジェニー以上…す、すげぇ…まだ数日しか経ってないのにこの稼ぎ…

天空闘技場はやはりある程度のレベルまで行けば金稼ぎの聖地だな。
全く疲れないから、試合後に集中して念の修行や鍛錬に臨めるし、街で豪華な飯を食ってもお金で困ることは無い。
そして止まる場所にも困ることは無い。結構安い宿だけど、繁華街に近いから安くていいホテルはたくさんある。

まぁ本当に困ったら家に飛べばいいし、ぶっちゃけ毎日帰れるけど…こう雰囲気が出ないのでそれは伏せてある。
だって、旅なんだもん!これはれっきとしたたびなんだもん!
まぁそれはそれとして、次からは100階クラスへ挑戦だ。

この100階クラスはレベルがグンと上がり、ファイトマネーも100万ジェニーと凄まじく上がる。
150階位からだっけか1億まで跳ね上がるから、150~190階をいったりきたりしてお金を稼ごうと思う。
目標は無いけど、とりあえず不正寸前まで貯めれるだけ貯めて200階へ行って最低限の試合を組んで行こうと思う。

とまあ、理想が実現することは無いと思うから、とりあえずなるようになればいいや





「さぁ今注目のカストロVSヒソカのチケットが何と1万ジェニーでの販売だ!」

順調に150階まで上がった頃、天空闘技場内をうろうろしていたら客引きがすげぇ事を宣伝しながらチケットを売っている。

ん?え?ひ、ヒソカぁああああ!?あれ?この時期にもういたっけ?…いや、まて、現実を受け止めなければならない。
そう、試合毎にネチッコイ視線と、オーラを感じていたが…ヒソカの可能性が高くなっていきた。
かなり洗練されたオーラだったし、200階クラスの試合を見ていたけど、どれも偶然念能力に目覚めたきり鍛錬していないようなやつばかり。

故に洗練されたオーラを飛ばすことが出来るのは思い当たる節でヒソカしか居ないのだ。

たまに鍛えてあるやつとか来るけど、発が出来たせいか基本が疎かになっている選手が殆どである。
まぁ慢心している人間が多いということだ。念を取得したらそこからが面白いのに…点とか毎日やっていると結構リフレッシュにもなるから最適。
あと、いつの間にか眠っているから寝る前とかもお勧め。それだけで凄いレベル上がっていくから不思議。

「おじさん、一枚」
「あいよ!」

そうして200階の洗礼を受けるであろうカストロの冥福を祈りながら会場へ足を運んだ。



「しょ、勝者!ヒソカ選手!!」

瞬殺。まさにその言葉が正しい。たった一発のカウンター。ヒソカだからもっと遊ぶのかと思っていたが
ダウン一発取られ、何かおいしい果実だったのか、纏を纏っての一発だった。
カストロはクリーンヒットと共に、念の強制的な発現の負荷でそのまま意識不明。圧倒的であった。
ヒソカが場を後にするときに何か口が動いていたが、読唇術が無い俺では何を言っているか分からなかった。

まぁ、どうせもっとおいしくなったらやりあおうとかそんなんだろう。ドンマイカストロ。あなたの勇姿は忘れない。

しかし、どの道カストロは勝てないだろう。武道としての才能はかなり上なのだろうけど、戦闘者としての能力は例え念が無かったとしても…ヒソカが上だろう。たぶん。

さて、このまま天空闘技場を出ようと思ったけど…ぶっちゃけ会って話してみて判断しても遅くは無いだろうと思うしな。
正直に言えば一度戦ってみたいと思っている。確実にいい経験になるだろうし、あれ以上の能力者はそうそういない。
…でも変態なんだよなぁ…くそぉ。

そう悔やみながら自室へ向かう。この自室だが100階クラスになると各個人に部屋が与えられる。しかも無料でだ。
いちいちやっすいホテルの部屋探しなんてしなくてもいいなんて最高だ。質素だけど、念の修行なら十分に可能だ。
そこで試合まで殆ど修行に費やす。以前、何処の誰か分からないおっさんに基本がまだまだといわれていたので、とりあえず本当に点からやっている。

各系統の修行で具現化系統の修行が分からないので、生前愛飲していたカフェオレを具現化して修行しようとしていたら発になってしまった。



【カフェオレ(毎日ドリップ)】
前世でも愛飲していたカフェオレを顕現させ飲み、一日の調子を上げる

制約
・毎朝の6時~10時までしか発動できない。
・零れたら一日が不調になる



発になってしまったなら、軽くていい感じに使える能力にしようと思い、こんな感じに。
たしか、調子でかなり修行も戦闘も左右される念能力者同士の勝負にはもってこいな能力になったし、なにより自分自身が大満足なので最高だ。



あともう一つ完全戦闘用を作ってこれ以上の能力開発はしないようにしよう。
特質系だからメモリ的には結構容量があると思われるが、2つ作ってどうなるかをまずは試してみよう。
余裕があればもう一つ作ってみようと思うけど。

逃げることや戦闘、更にサポートまであるからぶっちゃけ後は基礎基本を伸ばしていって
自力を上げればまた何か見えてくる部分があるだろうし、その時になっても遅くは無い。
ぶっちゃけた話、戦闘用発は来る対蟻用に作ろうかと思っている。あくまで予定だけどな!

まぁ蟻だけでは勿体無いので普通に使える発にするけど…何かいい案ないかなぁ……

ま、今日も今日とて修行だ。そして本日は放出系の修行だ。クッションを敷いて片手だけでぼんぼん飛び跳ねるか…



[35501] ハンター×ハンター 7話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:39

「これ以上150階~190階に留まるのであれば、故意に留まっているとみなし、失格にいたします」

その通知がとうとう来た。これまで3回くらい150から190をうろうろしていたが、4回目の190階の戦闘前に通達が来た。
ま、はたから見れば普通に負けているように演出しているが、おおかた念が使える審判とかが俺のオーラを見てそう進言してきたのだろう。
これまで稼いだお金は180階でのファイトマネーが1億、約5億位だろう。通帳見るとお金がものすげぇ事になっていてびっくり。

期間もそれなりに経っていて、それに伴って念の修行も行ったのでオーラの質も向上したと思われる。
さらに念無しでの戦闘での経験値もかなり得たし、それを応用しての念での戦闘にも応用が利くはずだ。
事実、ここへ来たときより今の自分は数段上にいるということは自覚できる。

見て学び実践して学ぶ。やはり来て正解であった。体術だけの勝負であったらこの闘技場内でも中々な所までいけたはずだ。恐らくだけどな!

さてと、190階突破して200階へ行きますか。その後は…まぁ失格にならないように90日ぎりぎりで勝負していこう。
最高14回戦えるから。それを90日かけてやると…1260日が最大で取れる期間だ。まぁそう上手くは行かないと思っていいだろう
せいぜい1000日残ればいいほうだし、原作開始まで2年切っているから、十分だ。

俺の脳内では偶然ゴン達原作組みに会うように装えるはずだ。ふふふ…我ながらいい感じな策だ。
とまあ、冗談は程ほどにして190階の奴をぼこってさくっと200階へいこうかな。
ヒソカの名前も最近耳にしていないし、カストロも最近漸く立ち直ったのか、名前を聞くようになったばかりだ。

そう、原作をぶち壊すようなことは無いと思う。そう自分を安心させてリングへと上がった。


まあ案の定適当にぼっこぼこにして200階クラスへ上りましたとさ。

戦闘は語るほどのものでもない。常任離れした反射神経と身体能力と、今まで培ってきた戦闘経験をフルに生かして、念を使用せずに倒しただけのこと。
ぶっちゃけ自分でもびっくりするような成長率である。…と言っても主人公組みには確実に負けると思うけど。
ゴンなんかハンター試験までまともに戦ったこと無いはずなのに臆せず相手に向かうことが出来るって早々出来ないと思う。

…俺も最初はちょっと恐怖心があったんだよ?でも、デコピンで勝てるからそれも吹き飛んで、逆に楽しめるようになったから幸いか。
一度コテンパンに負けるのも良い経験だとは思うけど…正直痛い目は見たくないというのは本心だ。

さて、200階へ行って登録してくるか。
そう思って、エレベーターガールが居るエレベーターへ乗った。

エレベーターが開くと人が悠々通れる通路が目の前に広がる。
エレベーターを降りて、受付へと足を運ぼうとした時に、嫌な感覚が身を襲った。


「やあ★」


俺は回れ右をs

「つれないなぁ…♪」

がっしりと肩を掴まれた。ぎぎぎ…と後ろを振り向いてみると…そこには変態ピエロが居た。
あの戦闘凶で男でも女でもロリでもショタでもいける恐らくハンターハンターを読んだ読者なら絶対に忘れないであろう圧倒的存在感のキャラ、ヒソカ。

「ど、どうも…」

ものっすごいニタァとした嫌な笑顔を撒き散らしながら此方を見てくる。

「君、使えるね?★」
「な、何のことでしょう?」
「とぼけても無駄♪」

人差し指を立ててどくろのマークを作る。

「ほら、目で追っているよ★」

あ…

「ククク…君もやっぱりおいしそうだ…」
「ほんと、勘弁してください」

さめざめ泣くしぐさをする。いや、本当に来るとは思わなかったんだ。
だって、ぶっちゃけ試合の最中に念なんて使っていないし、纏も纏っていない。
はたから見れば洗礼を受ける可愛そうな子供という認識が強いはずなのに…何故ばれた!?

「登録するんだよね?一緒にいってあげよう♪」
「結構です」

きっぱり言って、肩に乗っていた手を振りほどいてずんずんと大またで歩く。
カウンターまで来て

「ルクル・リーデット、登録お願いします」
「畏まりました。では、この用紙にご記入ください、因みに初戦は何時ごろにいたしますか?」
「期日ぎりぎりの90日で」
「僕もその時期にお願い☆」
「え”!?」

驚いて振り向くと、絶をしていたと思われるヒソカが後ろに立っていて、試合の日を俺と同じ時期に申し込んだ。
これによりどうなるかというと、高確率でヒソカと当たるということだ。しゃれにならん

「あ、あのー…もう少し、実力を見てから戦うとかそういうのは…」
「無い♪」
「いや、無いって、弱かったらどうするんですか?」
「それも無い☆キミのオーラがそう語っている♪」

ぺろりと自身の唇をなめるヒソカ



俺のオーラァアアア!自重しやがれこのやろう!つかやっぱ纏を纏うだけでわかるのかよ。
まぁヒソカの纏もなんかねちっこくて以前感じた視線と同じような感じだ。

「君のオーラはとても流麗で力強い…そしてボクと同じ血に飢えているよ♪」

クククと下半身のズボンにテントを張っていっているこいつはやっぱり変態であった。
おい、勘弁してくれよ。受付のおねーさん引いてるからね。俺に対しても引いちゃってるからね!?

「はぁ…まぁ程ほどに宜しくお願いしますよ」
「クク…いやぁ楽しみだなぁ☆」

その言葉と共に通路の奥へと消えていく。何か決定的に間違えたような感じがするけど、仕方が無いか。
この90日間は殆ど修行に費やそう。【カフェオレ】を作ったお陰で日々の修行も作る前と比べてかなり伸びがいいし、身体能力もぐんぐん上がっている。
とにかく、念は思いの強さが勝負を左右する。自分にしっかり自信を付けて望むのがいい。

そうと決まれば、念の修行に取り掛かろう。と言っても覚えている範囲の修行方法は全て出来る。
変化も中々上手くなって花の形を模れるようになっている。具現化はカフェオレがあるとして、操作はオーラを体から切り離さずにオーラだけで物を動かしたりしている。
最初は葉を次はそれより複雑な形のものを…と段階的に修行している。

放出はオーラを体から切り離して留まらせたり、念の弾を作って飛ばしたり、操作と平行して弾を操作してみたりととにかく思いつく限り。
しかし、これは効率がいい修行方法ではないのだろう。やっぱり一度念のスペシャリストに師事してもらってみるのが一番いいと思う。
無から有を作り出すのは難しいが、有るものを真似するのは難しいけど、出来ないことはない。

そうして一歩ずつ階段を上っていくのが一番早く念も戦闘も上達していくのだろうけど…
無いものねだりだな。コネクションも無い今は己の身一つでどうにかしていかなければならない。
幸いお金は大量にある。今は5億。ほっとんど使ってないけど、必ず使用する日が来る。その時まで貯金だ。

ま、うだうだ考えても仕方が無い。来る3ヶ月後の恐らくヒソカとの戦闘に備えて今は鍛えるだけだ。



「さぁやってまいりました、ヒソカ選手とルクル選手の対決!」

ワァーワァーと完成が響く中で血をみせろー!とか結構聞こえてくるけど…関係ない。
この90日は殆ど修行に費やしてレベルアップを図った。これで届かなかったらその時はその時。死ぬ前にギブアップか、自室にジャンプすればいいのだ。

「150から190階を3回ほど行ったりきたりしていたルクル選手がとうとう200階へと足を運んだ最初の相手は…ヒソカ選手!注目の両選手が今、激突します!!」

物凄い歓声の中。俺はリングへと足を運んだ。








ルクルが姿を現すと実況がそれに合わせて言葉を発する

「最初に姿を現したのは、ルクル選手!」
「ルクルちゃーん!」

観客席にはルクルのファンが居るのだろうか、大きな声での声援が響くが、リングに上がったルクルにその言葉は届かない。
彼女は今、目の前の相手との勝負しか目が行っていないからだ。

「そして、圧倒的な実力で一勝し、我々に存在感を焼き付けたヒソカ選手が今、リングに入場しましたー!!」

かなり広いリング内に禍々しいオーラを発しながら入場してくるヒソカ。
彼は歓喜していた。暇つぶしに来た天空闘技場で200階クラス、フロアマスター共に自身の実力以下だった。
しかし、そこに現れたのがヒソカの目の前にいるルクル・リーデットである。

年齢は13歳にして、身長は153センチと年相応ぐらいでまだ少女といった容貌だ。
髪の色は輝くような金色で二つの黒いリボンで左右に縛ってある。ツインテールだ。
体は女性らしさが少し出てている。若干ゴスロリ風なファッションであるが、本人の容貌と相まってかなり似合っている。
靴は流石に厚底ではないが、ブーツを履いてきている。が、これは彼女なりの戦闘ファッションなのだ。

相手の心の奥で油断を生むためのフェイクなのだ。

だがヒソカはそんなことは気にしない。目の前の少女は強い。
その体の何処にしまっていたのか、ヒソカ以上の膨大なオーラを身に纏って相対している。

(団長もおいしそうだったけど…この子もかなりおいしそうだ☆)

ヒソカはルクルのオーラを見てオーラ量は完全に負けていると自覚する。この差は大きいはずだが、ヒソカは逆に更に歓喜した。
こんなにもおいしそうだと。
更にオーラの質も三ヶ月前に見たときより数段洗練されていてますます力強い。

これほどの使い手はヒソカも滅多にお目に掛かれない。それほどの実力者なのだ。ルクルという少女は
審判が左手を上げてコールする、会場は緊張と期待を孕んで音が無くなる

「ポイント&KO制!時間無制限一本勝負…はじめ!!」






審判の声と共に動いたのは俺。地面が陥没するほどの踏み込みと共に爆発的な加速でヒソカに接近する。
両者の間は10m強。その距離を1秒未満で0にする。

「ふ!」

ヒソカに向かってのローキックを放つが、あっさりとガードされる。お返しといわんばかりのルクルの顔面に向けてのハイキックを肘にオーラを込めて打ち上げる。
ヒソカの体勢が僅かに崩れたところに硬によるボディーブローを叩きつけた。
しかしそれを見越しているのか、オーラの全てをピンポイントで固めてダメージを軽くされた。

やってくれる。しかし、俺のオーラ量はヒソカより上ということが予想できる。何故ならダメージが通ったからだ。
さらに、ヒソカも硬による防御で足にオーラを留めていなかった為かなり吹っ飛ぶ。が、普通に立ち上がってくる。

「ヒット!ルクル1ポイント!」

歓声が鳴り響く。審判の声で漸く回りが見えてきた。危ない危ない。常に凝を行ってヒソカを見ているが、俺にバンジーガムが付いた形跡は無い。

「ククク…いいねぇ、最高だよ◆」
「は、はやいはやーい!全く目で追えませんでした!」

つかつかと歩いてくるヒソカのオーラは全く取り乱していない。むしろより禍々しさが増している。
口から出ている血を拭い取って此方を見据える。物凄い嫌な感じだ。

トンと音がしたと同時に、後ろを取られる。

(早い!)

直感で横に飛びのくが、それすら手玉に取るように僅かにあいたわき腹にヒソカの蹴りが突き刺さる

「ごふ!?」

わき腹に物凄い衝撃が入り、体を破壊しようとする。
ボールのように弾け飛ぶが、オーラでは勝っているからダメージはそこまで大きくない。
まだまだ冷静に戦える。しかし、自分がオーラ量という点以外、全てにおいて負けているということが理解した。

「クリティカル!ヒソカ!2ポイント!」

ジャッジが下されるが、そんなことはどうでもいい。体術、戦闘経験はかなり積み上げてきたが、ヒソカとの絶対の差は殺し合いをしているか否かだ。
そう、戦闘における勘が絶対的に負けているということだ。

「ん~硬いね☆」
「それだけが取り得なので」
「クク…♪」

オーラ量では確実に勝っている。だからこそか分からないが、ヒソカも中々バンジーガムをしてこな…え?

「じゃあ、どれくらいで壊れるか試そうかな♪」

ぐんと、体がヒソカへと引っ張られる。いや、正確には右手に引き寄せられている。
そのまま、俺の顔が打ち抜かれる…寸前に、ちらりとヒソカの後ろを見てジャンプを発動してヒソカの後ろに一瞬で姿を現し、逆に硬で強化した右足で顔面をぶち抜く!

「!?」

若干手にオーラを集中させていた事、頭を覆うオーラ量が少なかった事。この二つの理由により今度こそピンボールのように弾け飛ぶ。
が、直前に流によるオーラの超高速移動が見えたため、恐らくまだまだ戦えるだろう。

「クリティカル!2ポイント!」
「おおーっと!どういうわけだ!?空中に居たルクル選手が一瞬でヒソカ選手の後ろを取っていたー!?」

これでポイント的には逆転3-2だ。正直、正面からやりあうと確実に負けるであろうということは目に見えている。
ならば、正面からの戦闘を避けてポイントで勝つのが一番理想の勝ち方だ。
しかし、相手はヒソカ、そう一筋縄には行かないだろう

「く、ククク…☆本当にいい!いいよ君!!」

右頬が削られており、結構な出血だというのに、全くそれを意に介さない。
それどころか、俺に向かって満面の笑みを浮かべるあたり、こいつはもう変態を通り越して狂人だ。

ヒソカのオーラが攻撃的になり、仕掛けてきた。
距離を0にさせられて、攻撃されるが、スウェーで避ける。しかし、バンジーガムで引き寄せられるが俺のジャンプで後ろを取る

「なるほど☆」

後ろをとり右肩に向けての踵落しをトンと右手だけで軌道をずらされて地面に叩き付けられた。
爆発に似た音と共に会場の3分の1が蜘蛛の巣状に割れて、中心は数メートルのクレーターが出来る。
すかさず距離を離すが、それに追随して激しい攻防にもつれ込まれる。

再度ジャンプして横に姿を現した瞬間、バンジーガムに引き寄せられて拳が俺の胴体に入った

「!!?」

流でオーラの移動が間に合いダメージを最小限へ抑えることが出来た。しかし…

「キミの能力…ボクと相性が最高で最悪だ☆」
「ヒット!1ポイント!」

そう、バンジーガムで引き寄せられたなら飛んで後ろや死角に姿を現せばいい。そう思っていたが、自分の予想以上にヒソカが強い。
いや、事、戦闘に関しては天才的なセンスを持っているだろう。
そしてヒソカの言うとおり最高で最悪だ。なぜなら決着が付かないから。

いや、決着は付く…俺のオーラ枯渇による負けという結末で。

引き寄せられて飛んで、その瞬間また引き寄せられて飛んで…と繰り返される。
が、そんな結果になるとはこの勝負をするまで全く分からなかった。というより、初見は流石のヒソカでも避けれなかったのだ。
だが、その次の攻防で俺の能力が正解とまでは行かないが、それに近い答えを出している。そこが俺との経験の違い。

「ですね…自力でも負けてるし、降参していいですか?」
「だーめ♪」

ですよねー。まぁいずれにせよやるしかない。
だけど、ココで全てを見せるということもしたくない。

「そうですか…じゃあ最後までやるしかないですね」

その言葉と共にヒソカの左に姿を現し足払いをかけるが、ジャンプして避けられ、逆に引き寄せられる。が

「おおーっと今度はリングの端に姿を現したぁ!物凄いスピードです!!」
「おやおや☆」

端っこに行けば、バンジーガムは千切れるかなと思ったけど、そんなことは全然無かった。
俺の予想だとジャンプした瞬間に切れるかなと思ったけど、そんなことも全く無かった。別空間に入っているわけでもないので当たり前といっちゃ当たり前だが…

「本当に厄介ですね、その能力」
「ククク…バンジーガムって言うんだ♪」

いい能力だ。間合いを制することが出来るのは戦闘においてどれだけアドバンテージになるのか。
しかもヒソカは変化形能力者。強化系と近いから攻撃力も高い。
強化系の能力者が攻撃力、防御力100が限界だと仮定すると変化形は80、特質は40だ。つまり、俺はヒソカの半分の攻撃力、防御力しか持っていないことになる。

しかし、この数値はあくまで同じレベルの念能力者で図った場合のものだ。
オーラ量で言えば俺はヒソカより圧倒的に勝っている…が、数値化したらそれが二倍以上になるかどうかといったら…怪しいところ。
現に、何度か不意を打って攻撃したが、尽く防御されている。

そう、自力が違う。天と地までは行かないが、かなりの差がある。代わりにそれを補ってのオーラ量…
7:3でこちらが不利と見た。

「今度は此方から行くよ♪」

バンジーガムの力で引き寄せてくるが、ジャンプで攻撃をかわす。

「クク、後ろだよ☆」
「!?」

背後から衝撃、ハンマーで殴られたような痛みと共に転がって衝撃を殺してく。
くそ、後ろにバンジーガムが貼り付けられていたか、俺が割った岩にオーラを纏わせて俺に向けて発射してくるとは…
死角にバンジーガムを貼り付けられたらかなり厳しい。

まさか飛来するものを察知するためだけに堅を解いて円を維持するわけにも行かない。
というより、そういう状況にもつれ込めないというのが正しい。

「ヒット!1ポイント!」
「くそ、やりづらい…」

得点は3-4で逆転された。くまだ開始5分も経っていないのに…いや、5分しか経っていないのだ。まだ、まだこれからチャンスがあるはずだ。

「はぁ!」

今度はジャンプは使用せずに接近戦を挑む。
右に左に下から上全てにフェイトを織り交ぜて攻撃し、且流による高速の攻撃…なはずなのに

(届かない!!?)

そう、後一歩のところで全て攻撃を防御してくる。勿論、顕在オーラの量は此方が圧倒的に多いのでダメージが通ってないとは到底思えない。
しかし、それでも最低限のダメージに抑えられている。

「ん~まだまだだね☆」

カウンターの右手が俺の顔面を襲ってくるので咄嗟にジャンプを使用して逆にカウンターを取ろうと思ったが

「思考がまだ単純だよ♪」

完全に動きを読まれてのボディブローが俺に叩き込まれた。ご丁寧に硬を用いての一撃

「がはっ!」

肺から空気が搾り取られる。全身にとてつもない衝撃が加わりピンボールのように吹き飛び、場外の壁に叩きつけられる。

「おえ…うげぇ」

地面に投げ出されて、苦しさにたまらず胃の中のものを吐き出す。びちゃびちゃと吐き出された汚物には少し血も混じっている。

「クリティカルダウン!3ポイント!ヒソカ!7-3!」

勝てない。…どうしても勝てるイメージが…

「ククク…まだ全部出し切ってない…ボク、手が滑って………殺しちゃうかもよ?」

強烈な殺意。手足が自然と震える。



俺はこのまま死ぬのか?死ぬ?また?あの時みたいに?理不尽を受け入れて?



…嫌だ。また転生する保証は無い。これから…これからが面白いんだ…だから絶対に…そう、絶対に死ぬのだけは



「ごめんだぁあああああああああああああああああああ!」




[35501] ハンター×ハンター 8話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:40


「ごめんだぁあああああああああああああああああああ!」

その言葉と共にルクルからオーラが溢れ出る。先ほどまでの薄気味悪いというレベルではない。
ヒソカとは恐らくベクトルが違うであろう禍々しいオーラ。その根源は恐怖だ。

生前の死ぬ直前はかなり疲れており、また精神をすり減らしていたのでまともな思考判断は出来なかった。
しかも、大嫌いな両親からのメッセージなど、何時もの状態なら何があろうとも耳を傾けなかった。

だが、実際には死んでしまった。

しかし、最後の最後。本当に死ぬ寸前にやはり恐怖を覚えてしまった。とてつもない恐怖を。死に対する恐怖を。
だが、それを受け入れた。その恐怖を受け入れたのだ。
そして現在、かなり充実している日々を送り、生前の理不尽さが考えられない程、良い人生を送っていると自負できる。

が、眼の前に広がっているのは生前に体験したことがある暴力。
そこから繋がる恐怖と怨念。そして…その恐怖の果ての死を一度体験したからこそ分かる本当の恐怖。
ルクルはその恐怖と怨念を孕んで生まれおちた。

その枷がこの現実を前にして外れ、死者の念にかなり似たオーラを引き出す。
それは恐怖と怨念の塊。故に禍々しいのだ。ヒソカの狂気的なオーラと違って純粋なる負の塊。
それがルクル本来のオーラと相まって膨大な量のオーラが更に増す。


そして、ルクルが発した膨大なオーラは客席と場外の壁や床をオーラだけの力で蜂起させていく。


「…美しい……」


ヒソカは呟く目の前のオーラはひどく歪んでいて禍々しい。だがヒソカは美しいと感じた。
まるでこの世のものではないような、ひどく幻想的なオーラ。それを美しいと素直に思った。

「ククク…いい…最高だよ!☆」

そして壊したいと思った。この幻想的なオーラを、美しく儚く禍々しく…自身の数倍もあろう膨大なオーラを。

ルクルに変化が起きた。放出していただけの膨大なオーラを留め、堅の状態を維持し、俯いていた顔を上げヒソカを見る。

「…へぇ◆」

能面。目の前の恐怖を排除するために頭をフル回転させているのだ。
見詰め合う二人、審判は何とかカウントを取っている。そして、ルクルが消えた
その瞬間にヒソカに襲う途轍もない衝撃。

「!?」

いつの間にか正面に来て硬もしていない拳でただ殴られただけ。だが気付けなかった。明らかに消えて出てくるまでの速度が段違い。いや、消えたと同時に攻撃された。
しかも、膨大な量のオーラがその攻撃力を大幅に上げている。ヒソカが使っている堅の2倍くらいのオーラで胴体にストレートを放ったのだ。
爆発音に似た音と共にヒソカが場外へ吹っ飛ぶ。

「ク、クリティカルダウン!3ポイント!」

ルクルのオーラと異常性に触発され会場が静まり返っている。実況も解説も本来の仕事をやめてリングをただただ呆然と見つめているだけだ。

「クク…ハハ…あーっはっはっはぁあああああ!ひゃひゃっひゃああああああ!」

壁面に叩きつけられ、大量に吐血し、内臓のいくつかをやられた筈のヒソカが、立ち上がり狂ったように笑う。


狂気


この試合はもはや試合と呼べない。そう、狂気を孕んだ殺し合いだ。

ヒソカが爆発的な加速と共にリング内のルクルに向かって疾走する。ヒソカも枷が外れたのか、人間とは思えない奇声と共にバンジーガムを引き寄せてルクルを殴る
だがルクルはジャンプで消えてヒソカの懐からカウンターを放つ。
が、その一瞬の間にヒソカはバンジーガムを念弾に変えてルクルを弾き、膨大な攻撃力を孕んだ只のストレートから距離を置く。
瞬間逆の手でバンジーガムをルクルに付けて引き寄せる。

当然消える事を予想し、しかも何処にくるかも勘で判断する。

「くひゃひゃっひゃあああ!」

奇声と共に硬による音速に迫るパンチが空を裂くと思った瞬間に、ルクルがその空間に姿を現し、衝撃。
空気が弾ける。それに伴って衝撃波が発生する。
ルクルは弾丸となって会場に突っ込んで…激突。

「ク、クリティカルダウン!3ポイント、ヒソカ!勝者、ヒソカ!!」

ジャッジがヒソカの勝利宣言をする。しかしヒソカは止まらない。
何故なら多数の客を巻き込んだクレーターを作るほどの衝撃を受けたはずのルクルが平然と立っているからだ。
オーラも淀みなく、ただただ平然と。

「イイイイイイイ!」

地面を陥没させながら、バンジーガムを忘れてルクルに向かって疾走する。

「う、うわあああ!」
「こっちくるぞー!」

観客席に居た人は何が起こるかをはっきりと思い浮かべ、逃げ惑う。
そんな中、ルクルは死んではいないが、重症を負っているであろう、客の血を浴びてただただヒソカを見つめている。

そして、消え、ヒソカの横に一瞬で姿を現す。時間差は…無い。
消えたと同時の攻撃。光速とほぼ変わらない時間での攻撃は流石のヒソカでさえ、捉えることが出来ない。


しかし、ヒソカには数多の死線を潜り抜けた者だけが持てる勘という物が防御しろ!と一瞬で、いや、ルクルが消えていない状態の時に信号を送った。
そして、何処に攻撃がきてもいい様に堅を…というベターな考えではない。そう、ココに来るであろう箇所を硬でのガードを行った瞬間衝撃を受けた。


轟音と共に、凄まじい衝撃波を出して吹っ飛ぶヒソカだがそこで確信を持った。彼女は瞬間移動が出来るということを


そしてそれは見事に当たったが、どのようなきっかけでの瞬間移動なのかはわからなかった。
しかし、ルクルを見ると飛ぶ前に一瞬だけ、本当に一瞬だけ視線をヒソカの後ろに送ったのだ。

そこでほぼ確信する。まだその能力を実践であまり使ったことがないということを。

だからこそ対処できたといっても過言ではない。というより、完全に使いこなせていたのなら自分は反撃の糸口を掴むのがもう10分程遅れていたと考察する。

そこまでの思考を経て壁に衝突。闘技場の壁が崩壊しながらも笑う。


「ククク…☆」


闘技場のヒソカの位置と正反対の位置で夥しい量のオーラを全てコントロールしながら此方を見据えているルクル。
まだ彼女は熟れていない。この戦闘からも良く分かる。念能力での戦いに全く慣れていない。
そこに付け入る隙がある。更に言えば。まだ熟れていない果実を摘むのはヒソカにとってあまり好ましくないということ。

「そろそろ終わらせよう…◆」

自身も限界が近いと悟っているため、チャンスはあと2、3回と考える。
しかし確実に決まるだろうとヒソカはこれまでの経験からそう悟った。

ヒソカがリングの真ん中に姿を現した瞬間。一瞬にしてその正面に姿を現したルクル。

「クク…キミは最高だよ…☆でも、今回はココまでだ♪」

その言葉と共に付けてあったバンジーガムでルクルを引き寄せ、回転させて後頭部へ流による高速ストレートを送るが案の定、瞬間移動で移動し
更に間合い外で腕を振りかぶり、硬で強化した拳を懐に来ていたルクルがヒソカにお見舞いする直前に

「駄目だよ、後ろを疎かにしちゃぁ☆」

後頭部へバンジーガムを付けて若干念を込めたリングの破片がルクルの後頭部を襲った。
当然、硬をしていたのでルクルは無防備の後頭部を大きな破片に襲われて…気絶した。

気絶したルクルを抱え、腰を抜かしているジャッジに

「悪かったね☆」

その一言を残して場を後にしたのであった。
残ったのは殆ど壊された会場と、それに巻き込まれた一般人の血。そして、安堵であった。














「いてぇ…」

全身がずきずき痛む中、俺は目を覚ました。

「そうだ!試合は!?って痛い!?」

がばっと起き上がった反動で全身に激痛が走った。
特に後頭部がくっそ痛い。なんか、もう痛い。

「やあ、起きたね♪」

声がする方へ目を向けると、全身殆どミイラ男が座っていた。
…いや、声で分かる。ヒソカだ。その事実を認識してもう一度俺は気絶した。



「ひどいなぁ☆」
「いや、あんなことがあった後では…」


気絶して起きて、これはどうしようもない現実と受け入れ、叫びたい衝動を殺して、何とか冷静を保つ。
今はオーラに攻撃的な印象は受けないので大丈夫だと判断した上での冷静だけど。
それに、どうみてもヒソカの方が重症っぽい。そして俺は案外軽症だとヒソカに教えられ分かった。寝ていたのは慣れないオーラを引き出した反動らしい。

「それにしても、痛々しいですね」
「キミがそれを言うかい?」
「いや、あ、あはははは」

確かにそうだ。ヒソカに尤もな事を返されたよ。

「まぁ、キミが強化系じゃなく、特質系でよかったよ♪」
「そうなんですか?」
「うん☆強化系だったらボクはここに居ないからね◆」
「まじっすか?」

マジマジとヒソカが頷く。

「キミの最大顕在オーラ量はボクのおよそ2.5倍☆潜在オーラは分からないけど、これは相当脅威だよ♪」
「あー…あの時のやつですか」

うっすらと記憶に残っている。何かが噛み合った瞬間に体の奥底から物凄い力が沸いてきたと同時に
目の前の敵…ヒソカを排除したいという欲求が凄まじかった。
しかしその欲求とは裏腹に頭は冷静で何度も何度も脳内でヒソカとの戦闘をシミュレートしていた…はず。

「…キミは、何者だい?」
「……何故、そう思ったのですか?」
「んー…そうだね。ボクが今まで戦ってきた相手の中でもかなり異質だった…そう、まるでキミとは別のオーラを引っ張り出したような感じだった☆」
「……お答えできません。墓場までもって行きますから」

そう☆その言葉と共に何も聞いてこなかった。

そして思う。あの時引き出したオーラは今も感じられる。いや、あの時漸く動きだしたといった感触だ。
恐らく前世の俺自身のオーラだろう。しかし、あんなに禍々しいというより、異質だとは思わなかった。
ルクルに生まれ変わってからの自分でも不気味と思ったオーラがまだ上辺だけだったなんて…

「じゃあ、ボクは戻るよ☆」
「あ、はい」
「おっと、これ、ボクの番号だよ♪」
「あ、ありがとうございます。えっと…」

うーん…番号交換しておくか、どうせゴンやキルアが来たらそっちに視線が行くと思うしな。

「じゃあ、これ。私の番号です」
「ありがとう☆」

ささっと紙に書いてそれを渡す。闘技場のお金で買った携帯電話だ。ビートルシリーズで何処でも電波が届くぜ!

そうして此方を振り向かずに扉の蝶番をまわして

「それじゃあ、何か困ったことがあったら何時でも力になるよ♪」
「どうせ条件付ですよね?」
「♪」

手をヒラッとさせて退出するヒソカ。

「……はあー…もう戦いたくないわ」

あの殺気は正直気絶しなかっただけでも表彰を受けたい。正直、心が折れかけた。
漫画で見ていた時は狂気しか感じなかったけど…やっぱあいつ異常だわ。下半身には目をあまり向けなかったけど。
いや、下半身というより股間に。でもチラッと見えてたけどあれ絶対テント張ってたよ。息子が。

「…っは!私何もされてないよな!?」

全身に寒気が走り、自身の体を隅々まで調べるが…恐らく何もされていないと思われる。

「…良かった」

ほっと一息を付く。何かされていたら即効で追いかけて思いっきりパンチしようと思ったよ。
会いたくないといっても泣き寝入りはごめんだしな。

「しっかし…」

そう呟いて思う。
今回の試合で色々浮上してきた問題点…それは経験不足と、一発がやっぱり軽いところ。
それを解消しようと思い、あの遺跡の剣を頂いたけど…正直扱えなかったのだ。
故にちょっと発に使おうと思って今は家に安置されてある。

しかし私が生み出そうとしている発は、完全に格下相手用という「勝てる相手しか戦わない」という逃げの考えだ。
いや、確かにその発で格上は倒せるかもしれないけど、恐らく強化系はかなり厳しい。
強化系じゃなくても蟻には恐らく王直属の護衛団には殆どダメージは与えられない。

じゃあ何故作ろうとしたかというと、蟻の時は自分より弱いかちょっと弱い程度の蟻を一遍に相手にしようと思ったからだ。
わざわざ護衛団に直接挑んで死にに行かなくても原作組みが何とかしてくれるはずだ。
そう思ってたからだ。恐らく、そうなるだろう。

が、もしそう行かなかったら?

格上でも一発逆転できる能力にしないと特質の意味がない。しかし、作ろうとしているものは一発逆転なんていう代物ではない。

「うーん…」

けど、一発逆転の能力を作らないといけない。気がする。念能力の気がする。という思いは大事だ。
思いはそのまま強さに比例する。負ける気以外どんな感情でもだ。逃げたいでも、逃走用発の威力が底上げされるだろうしな。

しかし、いくら考えてもいい物が思い浮かばない。くそ…これだから頭を悩ますのは苦手なんだ。

だからこそ理想は強化系だったのだ。単純明快。この膨大なオーラ量と強化系が組み合わさればかなりの強さを誇ったであろう。
特質系でヒソカの攻撃をモロに食らい続けても、内臓が少し傷つき、数箇所の骨に皹が入ったりした程度。対してヒソカは重症。あいつよく歩きまわれたな
ヒソカも言っていたが強化系だったらまさに圧勝だったかもしれないのだ。

が、現実は強化と反対の特質。念に纏える攻防力は何度もいうが、強化系の5分の2。つまり、強化系に対しては2.5倍のオーラ量で漸くイーブンなのだ。
だからと言って、複雑な念能力を作ったとしてもそれを意識しすぎて戦闘に支障が出たら元も子もない。
そう考えると、幻影旅団の頭、クロロは物凄い。かなり複雑な条件付で且確か一時間以内で幾つかの工程を踏まないといけないなんて

考えるだけでも頭が痛くなってくる。くっそ、どうしてこんな単純な頭なのに強化系じゃないんだよ…

まぁうだうだ言ってても仕方がない。格上でも十分に致命的な威力になる発を一つ作らないと一発逆転は難しい。
逃げるだけなら簡単だが、それがそのまま逃がしてくれるとも考えづらいからな。

「…まぁ焦りは禁物だ」

そう、焦りは禁物。原作開始まで2年切ってるけど、確か蟻編はその一年後だ。
まだだ…一つ一つ確実に課題をクリアしていこう。まずは、基礎の自力向上、平行して念の向上。空いた隙に一撃必殺の考案。
さらに戦闘経験だ。圧倒的に足りないのはやっぱそれだと思う。


「はぁ…先は長いなぁ」

そう思い、絶をして体を休めるのであった。




[35501] ハンター×ハンター 9話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:42

【チェインカースト(呪いの鎖)】
攻撃した箇所に任意に鎖を発現させ、その部位のオーラと動きを縛る事が出来る。
鎖は陰で隠すことが出来る。発動は任意に行う。また、一個の鎖につき、相手の最大顕在オーラを15%下げていく。

制約
・攻撃した箇所にしか呪いを発現することが出来ない。
・相手を絶状態にすることは出来ない。
・5秒以上動きを制限することが出来ない。
・動きを縛った箇所は5秒経たないと再度縛る事が出来ない。
・最大で3箇所しか縛る事が出来ない。
・3回縛ったらその鎖は解かれる

誓約
・発現した部分で攻撃された場合、対応した部位が10秒間強制的に纏しか纏えなくなり、顕在オーラが20%下がる

【トライアングルカースト】

【チェインカースト】によって三つの鎖を付けれたときのみ発動することが出来る
三つ同時にチェインカーストを発動させ、相手の全身に鎖がまかれ相手は強制定期に纏の状態にさせ、相手の動きを奪う
また相手の顕在オーラを50%下げることが出来る。

制約
・三つ同時に発動させなければならない
・絶状態にすることは出来ない。
・15秒経つと効果が無くなる

攻撃力不足で強化系の能力を作ろうと思ったけど、やっぱりどうしても40%しか最大まで扱えないという点だけでそれはNGにした。
このオーラ量だから制約と誓約をきつくすればかなりの威力になるかと思うけど、メモリの問題で、やっぱり特質系を生かした形にした。
と言っても、これはほぼ操作系に属する。

相手の動きやオーラを縛るという点は操作系だ。。
いや、まぁ操作系の人から見ればそんなことしか操作できないの?とか言われそうだけど。
まず相手のオーラを縛るということは、その部分にオーラを送れなくさせることが出来る。つまり、手を縛れば硬によるパンチが不可能になる。

しかしそれでもその部位での攻撃が出来ないように、動きも任意に制限できる。但し、5秒間だけ。
これが操作系なら更に時間が増えたと思うけど…まぁその後にある効果が凶悪だ。

相手の顕在オーラを下げる。

これはかなりでかい。直接的な攻撃力と防御力が15%も下がる。そして最大45%まで下がるのは非常に魅力的。
相手のオーラがでかければでかいほど効果がはっきり分かるし、強化系にはかなり厄介な能力だ。
というより、格闘でのダメージをかなり軽減させることが出来る。

ただ、具現化されたものや、その他何かを媒介にして使用するオーラは軽減できないが、顕在オーラが少ないので、それらに使えるオーラも少なくなることは確実だ。

そして三つ縛った相手には極悪極まりない鎖をプレゼントである。
これで蟻もかなり弱体化するだろう…たぶん、恐らく、メイビー

…なんの事は無い。俺自身攻撃力が足りなければ、相手の防御力を下げればいい話。
わざわざ相手の土俵で倒そうという考えは特質系にはナンセンスなことだ。そう、相手を此方の土俵に引っ張り込めばいい。

まぁ試すのは実際使って、使いこなさないとどんなしっぺ返しが来るか分からないからな。
ちゃんと使いこなすまでは絶対に使わないでおこう。特にヒソカレベルとなると、もう逆に怖くて使えない。

そして、自力の向上。ゴン達は確か錘で体を鍛えていたので、俺もそれを採用した。もちろん、ゴン達より重くして。
錘は特注で6億ある資産の中からほんの一部が吹き飛んだだけであるので、痛くもかゆくもない。
そして3ヶ月に一度、天空闘技場での実践での総合鍛錬でヒソカと戦った当時の自分より確実に強いといえる。

そして


「ただいまー」
「「お帰りー!!」」

実家に帰ってきた。今日でそろそろっと一年たったので、天空闘技場からジャンプして実家の通りの物陰に現れて帰ったのだ。
勿論その神字が書かれた置物は地中50センチの所に埋まってある。
そして、両親には事前に今日帰るということを連絡済みである。

「それで?今まで何処に行ってたの?」
「天空闘技場」
「「ええ!?」」

リビングに行ってソファに腰を掛けてジュースを飲みながら話そうかなと思った矢先に母が尋ねてきた。
言ってなかったっけ?と思ったけど、言ってなかったな。ぶっちゃけ定期報告は無難なことしか報告しておらず、というより、今元気で旅してますとか
猫が可愛いとかどうでもいいような報告しかしてなかったな。

「け、怪我は?」
「んーしたけど、平気だよ」
「もう…それで、どうだったの?」

父に心配され、母に呆れられたが…ちゃっかり聞いてくるところから適応能力は母のほうが高いと見た。

「そうだね、面白かったよ」
「そう」
「あ、あとお金いっぱい入ったよ」

そういって、鞄からがさごそと通帳を探し、見せる

「な、7億…だと…」
「嘘!?」

そう、儲けた金は錘から殆ど使っていない。一年で使ったのは数百万位。部屋も無料だったし、殆ど食費と娯楽だ。

「それで、家に3億入れようと思うんだけど」
「「マジでか!?」」
「うん。でも贅沢はやめてよね。家を買うとか、そういうのに使うのはよしてね」

そう、この家が俺は気に入っている。無駄に豪華ではなく。本当に普通の家。
しかしどこか安心するこの家は俺のお気に入りだ。

「く、車ならいいかな?」
「いいけど、あんまり買わないでよ?お金も無限にあるというわけじゃないし」
「…そうね、娘が稼いできたお金で生きるのも私としてはあんまりしたくないし」

といいつつ、顔がにやけている母は案外というより、やっぱり強かだ。
が、これくらいの恩義は感じている。お金で表現するのはいささか俗物的だが、それでもやっぱりこれが一番表現しやすい。

「しかし、天空闘技場でこれほど稼ぐのは確か、かなり強くないといけないと思ったが…」
「ふっふっふ…そう来ると思ったよ」

そうして、鞄の中から一つのビデオカセットを取り出した。

「それは?」
「まぁ見れば分かるよ」

そうしてリビングにセットしてあるビデオデッキに挿入する

『さぁやってまいりました!200階クラスの本日の対決は…ルクル選手対ガロ選手!』

その言葉と共に俺が入場して、屈強そうなガロ選手が続いて入場した

「…これって」
「そう、私が戦った時の最新のビデオだよ」
「これ、絶対負けるでしょ?」

それが一般人の反応だ。ガロは身長が二メートルに迫る程の長身で、更に筋肉むきむきマッチョである。
対して俺は少女だ。漸く14歳になったばかりの少女なのだ。身長もこの一年で5センチ伸びたがそれでも158センチだ。
40センチの違いはまさに大人と子供。とてもじゃないが俺が勝てる要素なんて一つもない。

「ふふ…二人ともびっくりすると思うよ?」

その言葉と共に始まる二人の戦い。ガロが巨体に似合わない素早さで私に急接近しての鉄槌による一撃。
その一撃に対して俺は…右手を翳しただけだ

「ちょ、ちょちょちょ!」
「落ち着いて、今私がここに居るということは」

そして、その振り下ろされた鉄槌を右手だけの力で受け止めた

「…嘘だろ?」
「……え?ルクル?これほんとにルクルなの?」

画面の中の俺はその鉄槌を逆に投げて、隙を作り、胴体に一撃。場外に吹っ飛んで行き、KO勝ち。

「私だよ、こんなに強くなったんだ。だからハンター試験も大丈夫だよ!」

そう、今日これを見せた理由は両親に心配掛けさせたくないという所からだ。
これで怖がられたり気味悪がれるという心配もあったが、両親に何時までも心配される子供ではないという事を証明してみたかったのだ。

「…は、はは…はー……そうか」

その言葉と共にソファに深く座る父、それと一緒に母も座る。

「これほどとは思わなかったけど…そうだな。強くなるという事はあの時から予想してた」
「あの時って?」
「プロハンターになりたいって言った時さ。何でかな。漠然とそう思った」

ふーっと息を吐いて此方を見据える。

「分かった。俺はお前を認める」
「じゃあ」
「だが!…無理だけはしないでくれ」

そういった父の目は本当に心配そうに此方を見ていた。

「…それは、たぶん約束できない」
「何故だい?」
「だって、ハンターになったら無理しないといけない場面は絶対に遭遇するから」

そう、ハンターになったら死を覚悟しながら行動せねばならない。
勿論死ぬのはごめんだし、脅威に対してしっかり情報を集め事前に準備し、万全を期して脅威に当たるというのは絶対に行う。
しかし、それは理想だ。脅威は俺が準備しているのを待つことなんて絶対にしない。

だからこそ無理をする必要がある。

「ルクル……分かったわ」
「アリア!」
「この子が決めたことで、実際に結果を出している。私たちがいえることはないわ」
「けど…」
「でも、してやれることはある」

そうでしょ?と言って父を諭す母。

「何時でも帰ってきなさい。この家は貴方の帰るところなのだから」
「…ありがとう!」

そうして、ハンター試験の8ヶ月前に、両親を完全に説得することが出来たのであった。






「ルクルー!」


数日間の休息を兼ねて久しぶりの実家周辺をぶらついていたら、見覚えがありそうな青年に声を上げられ、その青年が此方へ掛けて来る。

「やっぱり…久しぶりだなぁルクル!」

近くにその青年がやってきた。燃えるような赤い髪は少し癖があり、愛嬌がある。
しかし眼はスカイブルーで西洋風な顔立ち。つまりイケメンが俺の元へやってきたが…

「…ハサン?」

そう、声の質と顔とこのフレンドリーさで恐らく知り合いだろうと予測を付けて、思い出したらハサンくらいしか男の知り合いは殆ど居なかったな。

「お、おう!」

へー、本当にハサンだったのか、ううむイケメンになりやがって…

「で、どうしたの?」
「い、いや。丁度お前が帰ってくるってご両親から聞いてさ、それで…」
「あ、そうなんだ。ありがとね」

そうして微笑む。久しぶりに旧友と会うのはやはりどこか嬉しいものがある。

「おう…そ、そうだ。少し何処かで遊ばないか?」
「おーいいねぇー。じゃあ学校行ってるんだよね?話し聞かせてよ」
「おう!」

俺たちはその後、ジュースを飲みながらハサンが通っている学校に行ったり、新しく出来た施設や、閉店してしまった店を見たり
ここら辺の地理がどう変化したかを一緒に回った。

「結構変わってるんだね、たった一年で」
「そりゃあな…」

夕日が差し込んだ時間に一通り回り、いつも帰りに屯っていた公園のベンチで休憩しながら駄弁る。

「…お前、どうして旅なんか…って、ハンターになるんだったな」
「そうだよ。その為にはやっぱり色々しとかなきゃね」

そう、ハンターになるんだったらやっぱり色々経験して視野を広く持ったほうがいい…
と言っても目下蟻をどう乗り切るかが最大の課題なので、今は兎に角自身の実力を高める時期だ。
まぁ根を詰めるのはそれなりの環境が整っていなくちゃあまり意味がないし、最初から詰めすぎるのもスタミナ的にきついのでこうやって休憩を挟みながらのほうが効率がいい

気がする。


「俺もさ…来年。ハンター試験受けるよ」
「へー…前にも言ってたよね」
「ああ!ハンターはやっぱりかっこいいからな!」

そうだねー…カッコいいね。確かに。
プロのハンターは殆どのことが許される。限定的だが、殺しも含まれる。
一般人が立ち入れない区域にも入り込めるし、何より公共機関がほぼ無料で利用できるのはでかい。

つまり、飛行船とかはハンターライセンス一つでパスできる状態だ。

「ふふ…じゃあ、試験会場で会ったら宜しくね」
「おう!任せとけ!」

見た感じ全然一般人だし、念も覚えていないけど…まぁこいつ昔から身体能力は高かったので、試験会場にはいけると思う。たぶん。

「さてと、それじゃあ、帰るね」
「お、おう。もうそんな時間か……次は」
「次会うときは、ハンター試験会場だね」
「…おう!」

そう次に会うときはハンター試験会場。既ににハンター試験の申し込みが受け付けられる。
勿論俺も既にハンター試験に申し込んである。

そう、1999年のハンター試験に。

今まで原作に出てきた人物で関わってきた人は、覚えている限りヒソカだけ。だから原作が崩れるということはないと思う。
しかし、何が起こるかわからないのが「現実」だ。つか原作の蟻編はゴンがネフェルピトーにココで俺も待つ!だっけか。
そんな事言ってた場面で終わっているから結末が分からないんだよね。というより、あの時のピトーかわいくね?

なんでもするから!とか、これが女性だったら危ない発言だぞ。

でも骨格的にあれ女性だろ。でも確か蟻は総じて性別が曖昧だったようなきが…いや、でも完全に女性型いたよな…まぁいい

「それじゃあね」
「ああ、またな!」

そうして、俺たちは別れた。次に会うのはハンター試験かもしれない。うーん…今から楽しみだ!



[35501] ハンター×ハンター 10話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/16 22:32

相変わらず、修行とそれの成果の試しを3ヶ月に一回の闘技場での繰り返しを2回行った時、ある人物から着信が来た

『やぁ☆』
「……」
『聞こえているだろ?♪』
「…聞こえてます」

そう、ヒソカからの電話だ。意外にも付き合いが続いている。
何かヒソカの戦いたい欲求が出たときに相手を度々している。そう、度々しているのだ。
闘技場以外で、どこからそんな土地を用意したのか全く分からないが、何時も違う土地を用意して暴れる。

一度マジで殺しに掛かられたけど、何時の間にやら自力もかなり縮まってきたみたいで、何とかなった経験がある。
あの時は、完全に火事場の馬鹿力だった。ぶっちゃけ、此方も結構重症だったけど、あっちも腕とか俺が吹っ飛ばしたので何とか死なずに済んだのだ。

「またやるんですか?」
『いやいや☆今回はちょっとお願い事さ♪』
「お願い事…?」

いや、でもよくよく考えてみると、何時も願い事だよな。戦おうっていうお願い事だよな。

『そ☆その内容はね…』






「で、何故か美術館の警備に配備されたという…」

ヒソカも慈善活動をやっており、こういったこともやっていたそうだ。
意外や意外で、何かもっとこう…派手に稼いでると思ったけど

『まぁとある理由でね☆』

という理由で普通に活動もしていたらしい。
その他にも、いろいろやっているとの事だけど、その中の一つに警備があった。
が、その警備と丁度自分の属している団体の活動の日時が重なってしまったらしい。

どっちが面白いか考えて、団体の活動を取った。そして警備が空いてしまうので、その助っ人にということで誘われた。

これはプロハンターでは契約ハンターに最も近い活動だと思う。よって、そういった経験もしておきたかったので承諾したのだ。

というか、ヒソカが属してる団体って確か、幻影旅団だよね。A級賞金首の盗賊団。どっかで盗みがあるのか…
まぁココの警備頼まれたのだから、旅団の活動場所がココではないということは確かだ。

「よ、お嬢ちゃん」
「あ、こんにちは」

そういって声を掛けてきたのは、同じフロアを担当しているバロガンさんだ
年は大体30~40のベテランといった所で、プロのハンターではないけど、念は使えるようだ。
その腕を買われて、こうやって契約ハンター紛いのことを行いながら生計を立てている。

この美術館は2階建てで、その2階に飾ってある「レッドムーン」というかなり大きなダイヤ…のはずなのだが、何故か赤い。
その為レッドムーンという名前が付いたのだが、これが少々曰く付で、呪われているらしい。
持っている者を不幸にするとか何とかや、何人も呪い殺されたとか、まぁ諸説あり今は国に寄付されて各地の美術館を回っているというのが現状。

オーラもそれなりにあることから恐らく何かの念が篭っていると思うが…藪をつついて蛇なんか出てきたら嫌なので
ちょっとお願いして手袋を装着して触らせてもらっただけだ。

そしてそのダイヤを守っているのが別の今度こそプロのハンターで俺たちは二階への入り口を警備に当たっているのだ。

全部で20人。かなり物騒に守っているが…何かあるのかな?

「まさか、あのヒソカがこんなちびを寄越すなんて…と思っていたが、君を調べると天空闘技場の200階クラスの実力者ではないか」
「私も使えますし、いいお小遣い稼ぎにもなりましたよ」
「はは、そうか」
「そういえば、ヒソカさんをご存知で?」
「まぁ一方的に知っていると言った所かな」

そう語りだすバロガンさん。ヒソカは警備の仕事を確かにしていた…が、持ち場なんて関係なく警備し、何かを待っていたとの事。
それが数年前の話で、ある日を境にそこから全く警備に顔を出さなかったが、腕は確かなので依頼をすると、たまに俺みたいに腕利きであろう人物が代わりに来るらしい
そして、今回限りでヒソカへの依頼をしないことになった。とのこと

「まぁ、恐らく何か脅されたんだろう」
「ははは…そうでしょうね」

何か待っていたか…幻影旅団と関係があるのかな?……いや、ヒソカなら確実に自力でたどり着けそうだけど…まぁ考えても仕方がない。

「しっかし、警備ってこんなに念能力者を雇うものなんですか?」
「いや…本来なら能力者は一人二人が妥当なところだ…だが、その倍。四人もいるし、内二人はプロのハンターだ…これは何かあるぞ」

やっぱりかー!?何かって何だ?やべぇ、今からジャンプして家に帰りたい。お家に帰りたいよぉ…あったかシチュー…
冗談は程ほどにして、なるほど…けだ、やれることは限られてくる。
この二階に行くにはこの階段を利用しなければ到底上れないはずだ。

まさか壁を破壊して二階への直通通路なんて作らないだろうし、窓なんて上っていたら外の見回り組みに蜂の巣にされるのが目に見えている。

「まぁ、俺たちが守るのはココ。ココだけ集中して守ればいい」
「ですか。分かりました」

その後も一通りアドバイスを頂いて警備に集中。今の時間は2330。つまり午後11時30分だ。因みに契約時間は0800まで。開館時間だ。

「此方二階階段前、異常ない」
『了解』

トランシーバーで定期報告をするバロガンさん。慣れた手つきで行う姿はベテランといった印象を受ける。
しかし、警備ってかなり疲れるな…円の持続ではないが、たまに円を行ったりしながら警戒態勢は正直疲れる

「ま、そう硬くなるな。何かあるといっても殆どの場合、何にもなく終わることのほうが多い」
「そうなんですか?」

ああ、とバロガンさんが頷いた。びしっと着こなしているスーツがやけに似合っている。そうダンディである。
対して俺もスーツ姿である。動きやすいように女性用のスラックスを履いている。かなり無理があるが、この顔だと何故かちょっと様になってる。不思議。

バロガンさんのアドバイス通り、気を楽にしながら夜食のパンとカフェオレ(購入した物)を飲食しながら待っていると…

『お、応答願う!此方、しょ…ぎゃあああ!』
「おい!?どうした!?」

マジで来やがった。トランシーバーから断末魔の叫びが聞こえ、外から発砲音が鳴り響くが…少し時間がた経つと直ぐに無くなった。

「…何か起こりましたね」
「……俺だって何時も予想が当たるわけじゃない」

そらそうだ。確実に未来を当てられる能力があったら是非…あれ?何かそんな能力無かったっけ?
まぁいい、今は…

「なんだ?子連れのおっさんか?」
「フィンクス、どっちも能力者」

そうして奥から歩いてきたのは……ん?んん?んんんん!?

「げ、幻影旅団?」
「何!?本当か?」

男の方はツタンカーメンの被り物をしており、ゆったりとした服で、古代エジプトのコスプレでもしているのではないのだろうかという、総合的に見てなんか変な男と
黒い髪、大きな眼鏡、黒いタートルネックにジーパンというシンプルな服装に、逆十字のネックレス、そして手にはぎょぎょと言っている掃除機を持っている女性。ちなみにナイスバディ

「俺たちを知っているのか?」

知っているも何も…原作でって、しまった。普通は知らないんだ。つうかマイナーな宝石にこんな大物が来るなんて…聞いてないぞ!?

「いえ、知りませんが、情報として全員が一流の念能力者だという事だけで予想しました」
「へー…おいシズク。このガキは俺がやる」

そうしてエジプトコスプレ男改め、フィンクスが此方に攻撃的なオーラを向けてきた。
というより、強化系は向こうに行け!確実にヒソカより堅いじゃねぇか!?

「…気をつけて、結構やばいオーラ纏ってるよ」
「は!上等だよ」

くそ、覚悟を決めるしかない。そうして俺も臨戦態勢に入りながら

「バロガンさん」
「何だ?」
「おいしい所紹介してくださいよ」
「ああ、たらふく食わせてやる」

そうして、俺はバロガンさんと反対側のフロアに行きフィンクスを待った。














ルクルが行ったフロアは縦14メートル横20メートル高さ5メートルの美術展示品が至る所にセットされている比較的大きな部屋だ。
展示されている物は主に文献や、当時の遺品などで、武器に使えるものは殆ど無い。
そのフロアに入ってきてルクルはフィンクスを待ったのだ。

「よお、警備は良いのか?」

そうして遅れる事数秒。フィンクスがルクルがいるフロアに足を運び入れた。
既に堅の状態が維持され、凝も淀みなく行っている所から実戦経験が豊富という事は明らかであった。

「あなた方みたいな方を排除するのが警備です。ただ、このままじゃあの通路の所にはバロガンさんしかいません。ですので」

その言葉で切り、ルクルも堅と凝を展開する

「ヒュー」

フィンクスと同じくらい力強い堅と共に発現した禍々しいオーラ。フィンクスもオーラ量に恵まれている方だが、ルクルはさらに上を行っている。
その事に感激し、フィンクスは自然に口笛を吹いていた。

「貴方を早々に排除します」

更に力を増すオーラ。ルクルはこの時、全開の7割のオーラを使用していた。
何故最初から全力ではないかというのは、単に相手にこのオーラ量が最大という認識を持った際に生まれる余裕を突くためである。
一撃が軽いルクルが足りない頭で一生懸命考えた単純な作戦。だけど、決まれば大きい差が生まれるであろう作戦だ。

「へー…面白くなってきたじゃねぇか」

そうして構えるフィンクス。


そして、先に動いたのはルクル。足の裏にオーラを集中させて爆発。0-100の高速移動による急接近で一瞬にしてフィンクスの懐に入る

(何?!)

驚くフィンクスに容赦なく流によるオーラの高速移動を用いた右ストレート。
空を裂いて迫るそれを冷静にフィンクスは同じ量より少し多いと思われるオーラで払いのける。こうすることにより、自身の腕へのダメージを抑えられるからだ。

パンと、空気がはじける音が聞こえ払いのけられるルクルの拳。その反動を利用して、回転し、足払いを掛けるが、バック転で難なく避けられる。

「…やっぱ強いですね」

そうしてフィンクスを見るルクル。フィンクスは仕切り直しと言わんばかりにポケットからハンカチを取り出してルクルの拳を払った手を拭っている。

「そりゃな、俺たちは蜘蛛だぜ?」

そう答えるフィンクスだが、内心は冷や汗が出ていた。

(奴のオーラ…かなりオーラが込められている)

そう、フィンクスが予想していた、いや、外から見るオーラがフェイタンの予想以上に込められていた。

(多めにオーラを込めて命拾いしたのか…クソ!)

あの時オーラを多めに込めなかった場合、払いのけが上手く決まらず彼の方がダメージを受けていたのは必須であったのだ。

「だけど…私の勝ちです」
「は!……ハッタリはよせ…お前はここで死ぬ」

その言葉と共にフィンクスが仕掛ける。こちらも足にオーラをためて爆発させ、加速力を得てルクルに突っ込む。
一瞬で背後を取られるルクルだが、予想をしていたのか、小さいオーラ弾を発射して牽制を行い、そのまま裏拳を放つ
それをスウェーで避けて裏拳を手の平で止めて握る

「捕まえたぜ!」【サイクロン・リッパー】

早々に決着をつけるべく、自身の能力を使用し、跡形も無く粉砕しようとする為に肩を回そうとする…が
ルクルはその瞬間に念を発動させた。



【ジャンプ】




「何!?」

掴んでいた筈の手の感触が無くなり、衝撃。


「ゴフ!?」


全身がバラバラになるような衝撃が駆け抜けて強烈な打撃音と共に壁をぶち破り外へと転がっていった。
















「…ふぅ…やっぱこれ初見殺しだな」

長期戦にするつもりは全くなかったし、殺そうとも思わなかった。
そう、俺の今の仕事は警備。あの階段の先へ敵を行かせてはいけないのだ。
というより、長期戦にもつれこむこと自体、俺にとって不利になっていく。

まず自力が違うのと相性が悪い。ストレートを振り払われた時に感じたオーラの攻撃力は確実にヒソカ以上であった。
そしてそれは防御力にも比例する。故に短期決戦に臨んだのだ。
だからこその硬での攻撃だった。この攻撃で相手が死んでもいいやと思っていたが…恐らく生きている。まぁ俺に殺意がなかったというのもあるが。

サイクロン・リッパーを発動する直前だったのか、流ではなく堅による防御を行っていたのは眼で分かった。
しかし、こちらは硬を使用しての空中でのサイドキックで背骨を折る勢いで攻撃したのだ。
いくら強化系能力者でも俺のオーラ量で硬をしたら無事ではいられない筈だ。

もっとも、サイクロン・リッパーが決まる直前にジャンプしてやれば確実に勝てたと思うけど…
もし避けれなかった事を考えたらやっぱりあのタイミングでするのが良いかなと思った。

そうして隣の階段があるフロアに行くと

「ぐ!?」
「しつこい」

バロガンさんが地に伏しているが、必死にオーラを操って交戦している。
対するシズクは全くダメージが無く、掃除機で飛んでくるオーラや、トラップだろうか、床から出てくる無数のオーラ弾を華麗に避けていたり、すっている。
その度に胸がぷるぷる振るえているのは正に圧巻である。

「っは!バロガンさん!!」

その言葉ともに、バロガンさんを攻撃しようとしていた掃除機に攻撃をいれようと、オーラを爆発させて距離を詰める

「え?」

此方に若干驚いた顔を向けるシズクに構わず、腕ごと蹴り飛ばす。

「くぅ!?」

縦に回転して後ろへ吹っ飛ぶが、空中で直ぐに体制を立て直し、壁を蹴って着地する…という大きな隙を逃さないために、オーラを爆発させて接近。
着地という大きな隙を逃さないべく、ドンピシャのタイミングでシズクを拳でとらえる事が出来たかに思えたが

「デメちゃん!」

瞬時にデメちゃんなる掃除機を具現化してそれを盾に私の攻撃を軽減し、シズクも防御しダメージを最小限に抑えられた。

「流石ですね」
「…フィンクスは?」
「倒しました」

驚きの表情でこちらを見るシズク。やっぱ可愛いなおい。
……いや、フィンクスをマジで倒そうとすると此方がかなり不利だと思うのでそんな事はしたくないが、今はまだ戻ってくる気配が無いのでまぁ倒した事にしよう。

「これで、2対1だな」

そうしてバロガンさんが俺の隣に並ぶ…が、おいおい、よく見ると左の腕の骨とか折れてるよね。明らかに。

「あの、休んでいた方が…」
「ふ、俺の能力は腕が使えなくても行使出来るぜ」

【カラーズトラップ】(色罠)

能力が発動したのか、バロガンさんのオーラが減少する。

「この能力は俺の円の中に無数の罠を配置できる能力だ」

その言葉と共に俺も凝で周りを見ると…なるほど、微かにオーラの残りカスが見える。

「しかも配置した箇所のオーラには円が掛かっており、自動で敵を攻撃する事が出来る…そしてそれを任意にも発動する事が出来る、つまり…」

バロガンさんが腕を振るうと…シズクを中心した円形から一斉に無数の念の弾が射出される。しかも様々な色が付いている

「更に、各色の念弾は効果が違う。赤は高熱、青は冷却、黄色は電気、そして白が何も効果が無い攻撃力が高い念弾だ」

なるほど、それが無数にシズクに向かっていく、が、相手は腐っても蜘蛛だ

「デメちゃん!私に迫ってくる念の弾を全て吸いこんで!」
『ぎょぎょ!』

瞬時にデメちゃんを具現化し、ジャンプして全てを吸い込み始める

「ち!これだから…本当は念の弾も操作できるが、あの吸引力にはなすすべも無かったのだ」

そりゃ、相性悪いな。殆どの攻撃が吸い込まれるし、普通にシズクのオーラ量、質共にかなりレベルが高く纏まっているので、倒すのは至難であろう。

「しかし、今は私がいます」

そう、今は俺がいる。吸い込み途中のシズクは無防備。そこを狙う。
空中に居るシズクは行動が不可能。よって、瞬時に詰めよりジャンプ。硬による踵落としを右肩にプレゼントしてやる。

「くう!?」

相手も流を用いての防御だったが、足から骨が折れる感触が伝わってきたのは確か。これで右腕は使えない。
そのまま地面へ落下し、バロガンさんの念の弾にに身を曝されて、のた打ち回る。
堅を維持しているから恐らくまだ死んでないと思われる。が、やはりかなりのダメージを負ったのかくぐもった声を上げている。

追撃で更に場外へ蹴り飛ばして、壁を突き破っていけ!と思い接近し、溝を思いっきり蹴りあげ吹き飛ばそうと思ったら、突然風を切る音がしたのでしゃがんで避ける。
通過したのは石。しかし、オーラが纏ってあり、殺傷性が高い。





「お前の相手は…俺だろ?」

声がした方向を見ると、フィンクスが此方側に歩いてくるのが見える。

「…まぁ死んでないのは分かりましたが、タフですね」
「……ぜってぇ殺す!!」

足元に居るシズクには手を出さずに、瞬時にフィンクスの間合いへ接近する。
それを迎え撃つフィンクスは先制にオーラが籠った高速のストレートを俺に繰り出すが、逆に俺がそれをオーラも用いて払いのけてやる
空いた胴体に左足でのサイドキックをするが、ブリッジをして避けられ、そのまま距離を取られるが、それに追随して顔面に向かってボレーキックを繰り出す。

それも頭一つ小さくなり最小限の回避でやり過ごされて、アッパーをカウンター気味に繰り出されるが、ジャンプを発動し、アッパーを繰り出している右手の左側面に姿を現す
既にボレーキックから蹴りあげに動作を移行していたので、消えて現れたと同時にドンピシャでフィンクスの顎を打ち抜いた。

「ぐ!?」

消えた所で恐らく堅をしたのだろう。骨は砕けなかったけど、脳はぐらんぐらん揺れているはず。
というより、よくまぁ一回見ただけで対応してくるよ。本当に化け物だ。
しかし、そこまで。

「はあ!」

硬による攻撃を溝に放とうとするが

「くそがぁ!」

恐らく我武者羅だろうが、此方の拳に硬による攻撃を放ってきた。
そして激突。衝撃波が広がり、展示品が吹き飛ぶ。

「あぐ!?」

くそ!やっぱ強化系の攻撃力は強い!オーラで保護していない腕の骨が悲鳴を上げているのが分かる。
折れてはいないが、罅位は入っていそうだ。が、ヒソカと戦ったほどじゃない!

威力負けした衝撃を利用して回転し、足払いを掛けた。

「くそ!」

やはり顎を打ち抜き平均感覚が安定していなかったのだろう、避ける方向が後ろではなく、斜め後ろになっており、俺の足払いに掛かった。
そのまま足を振り上げて踵落としをブチかましやるよおおおおおおおおお!

「こなくそおおおおおお!」

閃光といってもいい速度で降ろされる踵落としに、硬で強化して思いっきりフィンクスの胴体に振り下ろした。

「がはぁ!?」

堅をしていたが、此方は硬でしかも速度、力共に完璧に入っている。
フィンクス中心に床に蜘蛛の巣城の亀裂が走り、更に若干遅れてクレーターが爆発に近い音と共に生まれる。

そして先ほどより強い衝撃波が室内全体を襲い、窓ガラスが全て割れる。


「や、やったの…か?」

土埃が晴れるなか、バロガンさんが呟く。フィンクスから距離を取って声がしたほうを見ると、どうやらオーラが殆ど無く、回復に専念していたようだ。


「…いえ、死んでおりません」


その言葉と共に土埃から姿を現したフィンクスだが…

「ぐ…はぁ……はぁ」

吐血しており、恐らく内臓にかなりのダメージを負っている。ふらついている足で漸く立っている状態だ。

「…本当にタフですね」
「う…ぐ…うるせぇ……!!」

瀕死だというのにオーラがまだ好戦的だ…なんという精神力。これが彼の強さなのか。
しかし、それでも止めを刺そうとした時に


「遅いと思ったら、二人ともこんな所に居たか」
「うわ…フィンクス、大丈夫かい?」
「シズクは回収したわ」

二階から一人、一回正面玄関に通じる通路から二人このフロアに入ってきた。
って…やべぇ…団長と、あれ、シャルーナクだっけか、とマチたんだ。マチたん可愛い

「へ…これから逆転するんだよ!」
「いやぁ…無理だと思うけどなぁ」
「うるせぇ!」

俺もバロガンさんを回収して、旅団が集まっている反対側に身を移す。
戦力を確認してみよう。こちらはまず俺と…プロハンター二人は…

「宝は頂いた。ここに用は無い」
「…二人念能力者が居ましたよね?どうしました?」
「答える必要があるか?」

……プロハンターは全滅。よって此方の戦力は右腕が負傷している俺とオーラが全然ないバロガンさん。
対してあちらは、気絶しているシズクと瀕死のフィンクスを抜かすと、無傷の団長様と無傷のシャルーナク、無傷のマチたんだ

「フィンクス、誰にやられたんだい?」
「あの女の方だ…かなりやるぜ、シャル」
「へー…ああ、見おぼえがある。確か天空闘技場の200階クラスの女の子だよ。名前はルクル。今年で14歳だったはず」
「14だと!?」

その言葉と共にフィンクスががっくりと膝を突く。
そして「俺が14の子供に…」と呟き攻撃的なオーラが引っ込んで通常の堅に戻った。

「ほう…14か……」
「…………」

やばいやばい。やばいって…流石に三人の相手は無理だし、クロロに至っては能力の全貌が明らかになってない以上手を出すのは危険すぎる。
さらに、念を盗まれる可能性も存在しているし、なにより、シャルーナクとマチたんが居る…勝てる要素が万に一つもない。

「どんな能力で倒したんだ?」
「………」
「…だんまりか、まぁいい。此方の目的は終わった。長居は無用だ。引くぞ」

その言葉と共に、悠々と去っていこうとする団長に、フィンクスが

「おい!こいつらは殺さないのか?」
「…必要無い。それに、お前らが中々来なくて時間を取りすぎた、直に奴らの応援が来る」
「だが!!」
「団長命令だ」

ぐっとうなってフィンクスがシャルーナクの肩を借りて立ち上がる。
そして此方を睨んで

「お前は俺が殺す…必ずな!!」

その言葉と共に幻影旅団のメンバーはこのフロアから出ていった。










「「……はぁー」」

幻影旅団が出ていって数分、場の空気が一気に緩み、ため息を吐いたらバロガンさんも一緒にため息を吐き、タイミングが重なった。

「…ダイヤ、取られちまったな……」
「……」
「まぁ、生きてるだけで儲けもんだ、というより、お前さん。かなり強いな」

そう言って立ち上がり、二階へと続く階段に腰を下ろしタバコをふかした。

「まぁ、それなりに鍛えてあるんで…」

そうして俺も隣に腰を下ろす。正直、もう警備したくない…ん?メールだ

そうして見るとヒソカからのメールが着信され中を見る。

『生きてるかい☆』

……これで分かったが、こいつ知ってて俺に警備を回したに違いない。むしろそうとしか考えられん。

「…はぁ、次は絶対にぼこぼこにしよう」
「……お前くらいだぜ幻影旅団にそんな事思えるのは」

俺はもう勘弁だぜ。と、首を振り、絶状態になって体を完全に休める状態になった。
そして言い返そうと思ったけど、ヒソカも幻影旅団だったから別に先の言葉を否定しなくていいなと一人笑った。



そう、世の中は割と狭いと思いながら、右手にある瞬間移動で取り寄せたダイヤを覗き見たのであった。




[35501] ハンター×ハンター 11話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:46


あの日から一カ月ちょい経って漸く、ハンター試験が開始された。
あの後はダイヤを取り戻した功績から何か結構お金貰った。そして何かマフィアの護衛にならないかと頼まれたが
とりあえずプロハンターになってから考えますといって保留にしてある。

バロガンさんとは一緒に飯を食いに行って番号を交換した中である。たまに警備いっしょにやらないか?
と着信があるが、行ったり行かなかったりとまちまちだ。まぁいいお小遣い稼ぎにもってこいだ。

そしてその警備の中で初めて人を殺した。そう、明確なる意志を、殺意を持って殺したのだ。
その日も警備していた。だが相手は白昼堂々とマシンガンを携えて集団で襲ってきたのだ。
兎に角元をどうにかしないといけないと思い、腕をふっ飛ばせばいいと考えたが…甘かったのだ。

腕をふっ飛ばしたにも関わらず、逆の手で仕込み銃をもって俺を攻撃してきた。が、余裕で反応出来て回避した。
そう、回避したのだ。その為俺の後ろにいた一般客が銃に撃たれて…死んだ。流れ弾が頭に中って即死だった。
その客は家族と一緒に来たのであろう。小さな女の子であった。

倒れるその人がとてもスローモーションに見えた。その中で俺は頭が真っ白になった。
そして思った。漠然とこう思ったのだ。

殺せばこうはならなかった……と。

そこからだった。世界に色が戻った時、屍を築いてた。足元には夥しい量の血液。そして、俺の頬には生温かい返り血。

ふと、足元を見た時、死体と眼があった。その瞬間に俺は胃の中のものを全て吐きだした。

何故殺したんだと言われた気がしたから。

床に立っている感覚が無くなり、ふわふわして地に立っているのかどうか分からなくなり…そのまま気絶した。

そこから何日も悩んだ。吐いた。体重もごっそり減った。でも、立ち直れた。
ベットに寝ていた俺にあの時会場に居た人からの手紙が俺へ来た。そこには、

ありがとう

その一言が書いてあった。それだけだったが、俺は立ち直れたのだ。
そう、もう一度立ち上がれたのだ。

死は怖い。自分の死も他人の死も。でも他人の死はみんな乗り越えて来ている。そうして…助かった人もいっぱいいるのだ。
だからといって殺していいとは思わない。ただ、必要があれば殺す。そう。明確な殺意を持って自分の意思で殺すのだ。
そうしないと、何故か分からないけど、何か違う気がするのだ。そう、殺しから逃げているようなそんな気持ちに。

だから逃げずに受け入れる。だからこそ、明確な殺意を持つ。そして殺す。それだけだ。

そう、それだけなのだ。









「君、ちょっと雰囲気が変わったね♪」
「そう?」
「ああ◇一皮むけた感じだよ♪」

そっか、と呟きながらヒソカが座っているテーブルの対面へ座る。

そう、今はザハン市の街の定食や「めしどころ」に来て、ハンター試験の合言葉「ステーキ定食、弱火でじっくり」を言った後で案内されるエレベーター付きの部屋だ。
鉄板にはステーキが並んでおり、オーダー通り弱火でじっくり焼かれている。色合いが凄く綺麗で肉汁も中々出てくる。物凄くおいしそうだ。

「ま、色々あったのよ」
「そう☆色々…ね◇」

その言葉と共にねっとりとしたオーラが来るが、何時もの事なのでステーキにナイフを入れる。
ナイフを入れた途端に中から肉汁が良い感じに出てきており、かなりおいしく仕上がっているに違いない。
ステーキを一口大に切って、専用タレを付けて食べる

「ん~…美味い!」
「僕も一口頂戴♪」
「自分でとってよ」
「残念☆」

そうしてヒソカはナイフとフォークを持って丁寧に食べ始める。
…ヒソカって戦闘や性格以外案外大人なのだ。いや、大人なんだけど、まともな大人なのだ。
飯は綺麗に食べるし、普通に掃除もする。整理整頓もする。が、戦闘になると変態性が増してしまうのだ。

「お、結構イケるね♪」

そうして用意された肉とご飯を全て食べ終わって暫くして、エレベーターの扉が開いた。

中にいたのはざっと見40人位で、中々早くこれたのかと思う。

「此方がナンバープレートです」

入り口の直ぐ横に何か凄い小さい人が…いや、これは人なのか?人としたら相当小さい小人だ。
しかし小人は人間としてカテゴライズされるのか…否。現実世界において小人は妄想上のキャラクターの一種だ。
主にファンタジー小説や漫画に良く出てくる。

「あの…ナンバープレート……」

小人と一口に言っても様々な種類が存在する。背中に羽が生えていたりする妖精。鉱山とかでよく活動したりしているドワーフ。
あとはその人が考え出した小さいキャラクター総じて小人といえる筈だ。
だが現実には小人は…いない。そう、居ないのだ。じゃあ目の前に居る小さな人間…いや、頭部も人間っぽくないぞ?

「あの!」
「んお?すみません。妄想の海にダイブしてました。プレートありがとうございます」

そして俺は小人?から45番のプレートを受け取った。
今回の服装は確か階段があったので、スカートは却下。ぶっちゃけ汚れてもいい服装にした。
といってもジーンズに安物の運動靴、上はシャツにジャケットを着ている。まあぶっちゃけ現代風だね。

荷物は丈夫なキャリーバックで持ってきた。たかだか数十キロの荷物を持ち運ぶのは簡単だし、なによりこれ、ローラーが丈夫に出来ているのだ。

「クク☆考え事してたけど、どうしたんだい?」
「うーん…ヒソカちょっと質問していい?」
「なんだい♪」
「あの小さい人って…人間?」
「……♪」

肩を竦めるだけで何も答えない…く!やっぱ分からないか…一種の幻想種なのか…く!分からない…
……まぁいいや。とりあえず、女性は…誰も居ない。確かココでポンズちゃんが登場するはず。一応お近づきになりたいという下心は持っている。

改めて回りを見渡してみる。
屈強な男がまばらに通路で屯っていたり、一人で時間を潰していたりしている。
そういえば、主人公組みは新人潰しの…誰だっけ。なんか誰かに何かをやられるんだけど、あんま興味ないから良く覚えてないな。

「ヒソカ」
「なんだい?」
「あとどれくらいで始まるの?」
「さぁ?…あと数時間は待たないといけないかもね☆」
「マジでか」

確か主人公組みが三桁の番号だったし、いまだに俺達の次の人が来ていないとなると…まぁ少なくても数時間は確かに掛かるな。

そうすると、まぁ暇になる。

「クク…ボクは暇つぶししてくるよ♪」
「…程ほどにね」
「ああ☆」

そうして、開けた場所でトランプタワーの作成に取り掛かるヒソカ。
く、俺も暇つぶしの道具を持ってくれば良かった…もっとどんどん入場してくるかと思っていたが、やっと一人来たところだぞ、どうなってやがる。
1人約10分とすると、100人まであと55人…550分……9時間…だと………早くつきすぎた…くそぉ

「ヒソカ、あの上の段差で絶しながら寝るから、始まる前に起こして」
「ああ、いいよ♪」
「サンキュー」

そうして段差に登り、何か紳士な方が此方を見てきているが、会釈をしてキャリーバックからタオルを出して枕にし、ゴロンと寝転ぶ。

「…ひんやりしてて寒い」

一月なので結構寒いのにやっぱ寝ることは無理かなぁ…と思うので、心頭滅却する為、点の修行を行う。
そうしてる内に眠くなってくるので、そうなったらこっちの勝ちである。何が勝ちか分からないけどな。

そうして時間を潰すことにしたのであった。





「ルクル、時間だよ☆」
「んあ?…おお、サンキューヒソカ」

呼びに来たヒソカにお礼を言って、時計を見るとまだ3時間くらいしかたっていない。
あの後、やっぱり全く寝れなかったので、ずっと点をしていた。集中しすぎて意識がなくなったけど、まぁこれは何時も集中しすぎているせいだ。
しかし、それにしてもまだ始まってないような

「…まだ始まって無くない?」
「うん☆でももう直ぐ始まると思うから♪」
「なーるほど、さすが経験者」

ククとか言ってこちらを見て笑うけど、最近何かなれた。2年はたってないけど、それ位の付き合いとなるとやっぱり人間ってのは慣れてしまう。
向こうも既に俺を存分に味わったのか、最近は殺そうとしてるけど寸前でやめるだろう的な雰囲気を戦闘の最中も出している。
まぁやめるかどうかは分からないけどね。あれ?俺よく生きてたな。

「まぁ、お互い頑張ろう☆」
「うい」

そうして二人一緒に段差から降りて、改めて会場を見ると…既に300人近い人数が集まっている。
絶を解いて急に現れたと思っているのか、近くにいた人が若干ビビッていた。
いや、正確にはヒソカにビビッているに違いない。

「クク…今年はいいね♪」
「……私は知りません」

恐らくキルアを見つけたのだろう。俺も会場を見て銀髪頭の子供を見つける。
なるほど、子供自体かなり珍しいから簡単に見つかり、現在ジュースを飲んでいる。いいなぁ

そうしてヒソカから離れてどっか開いてる場所ないかなと探していると…

「ん?ルクルじゃねぇか」
「おお!バロガンさん」

何か念能力者が居るなぁと思ったら、バロガンさんじゃないか
髪はいつも通り黒のショートヘアで耳にピアスを空けている。そして何と言っても何時もタバコを吸っている。

「ついにプロになるんですか?」
「ああ、やっぱハンターライセンスは信頼の証だな…仕事上相当便利だからめんどくさいけど、取りに来たぜ」
「そうですか」

そういってバロガンさんの隣に行く。

「何つうか、今日の格好…ラフだな」
「いや、何か汚れてもいいような服でいいかなと」
「お前なら何でもいいじゃねぇか、あれがあるし」
「まぁねー」

そう、ぶっちゃけ何でもいいのだ。着替えやその他もろもろが入ったキャリーケースを天空闘技場の部屋に用意し、神字を用いたマーキングを施してある。
故に何時でも此方に取り寄せられるのだ。返すことはできないけど。

「ま、お互い死なない程度にやるか」
「ですねー」

そうして視線をキャリーバックに送る。これもまぁ中身が詰まっている。火を起こすためのライターとか懐中電灯とか服とか下着とかお菓子とか。

「しかし、結構受験する人が多いんだな」
「ですね、私ももう少し少ないかと思ってましたが…」

そうして、出入り口に視線を向ける。そうしてタイミングよく入ってきた4人組み。
おお、原作組みだ。えっと、ゴンに、クラピカにレオリオに……ん?んん?

「あれ?」
「どうした?あの4人組みに顔見知りでもいたか?」
「いや、顔見知りというか…」

そこまで言うと、あちらも俺に気付き、ずんずん近づいてくる。そう…

「よう!ルクル!」

そう、赤い癖毛にスカイブルーの瞳、西洋な顔立ちのイケメン、ハサンである。

「おっす。ハサン」
「…え?知り合い?」

そうして当然の疑問を送るバロガンさん。

「あ、私が通っていた小学校の同級生です」
「はじめまして、ルクルの昔からの友達のハサンです」
「ああ、はじめまして。バロガンだ。宜しく」

そうしてシェイクハンドする二人。まぁ仲良くなることはいい事だ。

「おーい、ハサン!」
「俺達にもその娘紹介してくれよ」
「おい、レオリオ…全く」

駆け寄ってくるゴンにレオリオにクラピカ
そうして、俺は原作組みと初めて顔を合わせたのであった。















追記
テンプレへと突入。自分の発想の無さに泣ける。



[35501] ハンター×ハンター 12話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:47


「はじめまして、ルクルと申します。宜しくお願いします」
「俺はゴン!宜しく!」
「俺はレオリオってんだ、宜しくな?」
「私はクラピカと言う。宜しく頼む」
「俺はバロガンだ、ま、お互い頑張ろう」

そうして一同自己紹介が終わったと同時に、ジリリリリと目覚まし時計がなった。
音がしたほうを見ると、何か執事風の男が目覚ましを持って通路に現れた。

「ここに居る408名が今年のハンター試験を受けるものたちとなります」

そうして全貌が見える、特徴的な髭に白い髪…口が…口……気のせいだな。うん。

「私、試験会場案内人のサトツと申します。これより試験会場に案内いたします。私にはぐれないよう付いてきてください」

そうして先頭のサトツさんが通路の奥へ歩いていき、受験者全員がそれに続く。
確かこれは既に一次試験になっていて100km位あるんだっけか…体力的には大丈夫だけど、精神的に疲れるな。

「それにしても、重そうだな」

俺のキャリーバックを見てそう零すハサン

「女の子は色々用意しなきゃいけないの」
「お前にそんな神経が残っていたか」
「まぁねー」

そうして歩き出す俺達。

「しっかし、この通路一体何メートル位あるんだろうな?」
「さぁ」
「ん~確か100km位だと思う」
「100k!?」

驚いた声と共にレオリオが気落ちする。ぶつぶつとなげぇとか言っているが、大丈夫か?

そうして互いに他愛もない話をしながら少し歩いていると、徐々に前の人のペースが上がっていっている。
今更だが、現在私たち集団は列の後方に居る。前は人だらけで後ろを見れば歩いてきたトンネル内が見える。

「おい、徐々にスピードが上がってないか?」
「ああ、上がってるな」

レオリオとバロガンさんがやり取りをすると同時に、サトツさんがペースを上げたのか、前のほうからの足音がうるさくなった。
恐らく駆け出してきているのだろう。

「さて、私はキャリーバックが邪魔になるから後ろのほうに行きますか」
「そうか、俺達はペースを維持しつつはぐれない様にするぜ」

そういって、ゴンご一行と離れて最後尾に着く。
私一人だけかと思ったけど…

「ま、お前がへばらないよう見ててやるよ」

…それ関係なくね?と思う。そう。ハサンが一緒についてきたのであった。

「それはこっちの台詞」

しかし、ゴン達と会ったからなのか、一年近くあっていなかったが、男子三日あわざるは克目してみよとはこの事か。
かなり雰囲気が落ち着いている。そう、中二病を克服した後の感じに似ている…そういえば、俺と同い年だったよな。

「へ…」

そうして前を向いて呼吸を調節していくハサン。ふむ…体は鍛えてあるようで、身体能力もそれに伴って上がっているということは明白だ。

「結構鍛えたんだ」
「ああ、プロハンターになるなら体を鍛えなきゃいけないからな…お前も大丈夫のようだな」
「まぁね」

そうして俺も呼吸を調節して走る。が、ぶっちゃけ呼吸なんか合わせなくても体力には自信があるから大丈夫なのだ。
けど、呼吸を調節すると体力が温存できるし、何より死ぬことはないと思うけど、何が起こるかわからないのが現実なので出来るだけ体力は残すに越したことはない。

途中パソコンを持った少年とぎりぎり言える人が呼吸を荒げながら走っていた。その横に似ている人が二人何か耳元で呟いた。
その瞬間に少年がパソコンを落とし、膝を付く。…のを横目に見ながら俺達は走り去っていく。

「ふぅー…最初の脱落者か」

そう、ココまでフルマラソンより走っているが、漸く最初の脱落者が出たのだ。

「ん?息が上がってきたの?」
「は!まさか」

どうやら結構鍛えてきたみたいで、若干呼吸が激しくなっているかもしれない程度の乱れだ。恐らく余裕だろう。

「…ふ、スカートじゃなくて良かった」
「おまえなぁ」

しばらく走っていると階段が見えて俺はそう呟いた。そう、これを見越してのジーンズ!
最後尾だけど、ココで脱落する人間が結構続出するはず…その際にスカートの中身、すなわちパンツが見られる心配が…皆無なのだ。

そうして階段を上りだす俺達。その途中で脱落者になるであろう人が座り込んでいたりしていて、結構邪魔だ。

「どいてどいてー、キャリーバックに当たるよー」
「お前、何でキャリーバックなんだよ…」

いいじゃないか!めっちゃ中に荷物が入れられるんだぜ?もうこれしかないと思ったね…

「ふぅー…しかし、お前は余裕だな」
「まぁねー」

ぶっちゃけ余裕過ぎる…これがきつかったらヒソカに付けてあるマーキングへジャンプしようとしてた所だけど、杞憂に終わったよ。
そうして走っていると、出口が見える。

「お、出口」
「はぁ、はぁ…やっとか」

そうして光が差している出口へと入っていった。

「うわー…」
「ゴールじゃないのか…よ」

視界いっぱいに広がっているのはぱっとみ平原。しかし、この平原にはない特有の湿り気…湿原だ。

「ここはヌメーレ湿原、この先に第二次試験会場があります」
「嘘だ!そいつは嘘をついている!!」

サトツさんが説明しているのを遮って誰かが割り込んだ。声がしたほうを見ると、傷だらけの男が此方へ歩んでくる。

「そいつは偽者だ!この湿原に居るサルが人へ擬態できる能力でだまそうとしているのだ!」

と言っているが、まぁ俺は正解が分かるのでどうでもよし
しかし、それが分からない人間が混乱を起こし、それが広がっていく…が
ヒソカが目にも留まらぬ速さでサトツさんと男、二人同時にトランプを投げる。勿論、念が若干篭っており、使えない人物にはかなり殺傷力がある攻撃だ。

そしてそれを受け止めたのが…サトツさんだけ。男はトランプが刺さり、死んだと思われる。

「これで決定。本物は彼♪」

そうしてヒソカがサトツさんに注意され、その後の説明がされて、試験が再開される。

「ハサン、見失うと説明どおり霧が濃くて二次試験会場までたどり着けないかもしれない。前へ行こう」
「オーケー」

そうして俺達も前へ出た。すると見えてくるサトツさんと…子供二人。恐らくゴンとキルアだろう。

「おっすお二人さん」
「よお!無事だったか、ゴン!」
「ハサン!とルクル!」

二人に並ぶ。やはり12歳だけあって、俺より背が小さい。因みに俺は161センチになった。ハサンは恐らくそれ以上の170に近いと思う。

「ゴン、知り合い?」
「うん!男の子の方がハサンで女の子の方がルクル」
「「よろしく」」
「ああ、俺はキルアって言うんだ。よろしく」

一気に重要人物と会ったなぁ…まぁ一際目立っているのがやっぱりこのキルアだ。
体術、技術は抜きん出ている。足運びも特別な訓練を受けているそれだ。…因みは俺は全て我流。
自分の能力と向き合って先頭理論を構築していっている為、あまり型に嵌らないほうがかえって動きやすいと思ったからだ。

「…ルクルっていったっけ。あんた強いでしょ?」
「まぁ、それなりにねー」

…あれ?こんなにバトルマニア発言したっけ?この子。しかし、纏を纏っていないのにその評価か…まぁまぁだな。
ま、キルアがどれだけ俺の実力を見抜いているか…でも実際戦ったら…いや確実に勝てる。
それだけの経験と自信を付けてきた。そう、命がけの訓練(ヒソカとの定期戦闘)をしてきたのだ…成長しないはずがない。

む、とハサンがキルアを見ているが、キルアはお構いなしに走っている。
…まぁハサンは確かに体力や鍛えてあるというのは分かるが、戦闘は殆ど初心者であろう。
むしろその年で戦いを覚えること自体は通常考えづらい環境だったからそれは仕方がない。覚えていなかったらこれから覚えていけばいい話。

そこから成長するかは本人しだいだ。


「うーん…ルクルが強い?」
「はは、あまり期待しないようにね」

そうして前を向いて走り出した。その10分後

「ぎゃー!」

霧が出始めてきて、少し走った所で後方から断末魔。それと同時に殺気が此方まで溢れて来た。

…ヒソカだ。

「あいつ、霧に乗じてかなりやるぜ」
「どうして分かるの?」
「俺も、あいつと同じだからさ」
「同じ…?」
「そう、俺は猫被ってるだけ」

うーん、これまでの経歴を見れば同じに見えなくはないけど、根本的に違うよね。
だってあの変態度は誰にも被らないと思うよ。あの変態は。
キルアが「くく☆」とか呟いたら俺はもうどうしたらいいか分からん。

「ぐあ!?」
「レオリオ!?」

さらに悲鳴が上がったがどうやら、レオリオらしい。ゴンが真っ先に反応して後ろに駆け出していった。

「あーあ…あいつ馬鹿だな」

そういうキルアは前を向いて走り続けている。ハサンはゴンを追いかけようか追いかけないかで少し迷ったていたが、結局追いかけはせずに私たち先頭グループに残留した。

「まぁあいつらなら…大丈夫だ」

といいつつハサンは疲れで出た汗とは違う汗をかいていたのは一目瞭然だったが、あえて突っ込まずにそのままスルーした。

「よ、こんなところにいたか、ルクル」

ゴンと入れ替わりに追いついてきたのはバロガンさんだ。息切れなどは全く起こしていない…こやつ、絶しながら走ってやがる。

「!?…へぇー」

おい、キルア君がバロガンさんに興味を抱いたぞ。絶しながらだから恐らく声を掛けるまで気付かなかったはず。今は纏を纏っているけど
おそらくそれもポイントとして加味されているだろう…因みに俺は垂れ流して試験を受けている。
キルアみたいな腕が立つ人間の前で使うと余計な警戒心を生んでしまうからだ。

「余裕そうですね、バロガンさん」
「まだまだ若い奴らには負けないぜ?」
「ご謙遜を」
「……お前が言うと何故か嫌味に聞こえてくる」

そんな自覚は一切ないぜ☆

「む…」

ハサンから聞こえてくる、若干怒気を含み零れ落ちた言葉。…なに怒ってるんだ?

「なーに怒ってるの?」
「別に」
「…いいねぇ若いって」

そうして走っていると霧が晴れた地帯へ出てきて

「お、見えてきた」

そうして漸く二次試験会場の小屋が見えてきたのであった。




[35501] ハンター×ハンター 13話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:48


「終ーーーー了ーーーー!!」
「71頭だと…どういうことだ」
「おかしい…明らかに奴の体積より食べた量のほうが多い!!」

小屋に到着して、まず聞こえたのはかなりでかい何かの音。
それに耐えながら一次試験終わりまで待つ。そうしてヒソカと気絶したレオリオが姿を現し、そこからしばらくしてゴン御一行が到着した。


二次試験の最初の試験は原作どおり巨人みたいな男のブハラが出したお題。豚の丸焼きであった。凝で見ても念能力は使っていなかった。
そう、彼は生身で自身の体積より多い量の豚の丸焼きを食べたのだ。
人間やれば出来るものだ。

「いや、できねぇよ」

心を読むなバロガンさん。なんだ?読心術の使い手になったのか?

「豚の丸焼き料理審査!71名通過!」

銅鑼の音と共に女性…メンチさんがそう宣告した。

しっかし、メンチさんめちゃナイスバディだ。しかも、上着が鎖帷子みたな半そでで中がすけすけ。そう、ブラかなんか分からないけどもう丸見え
そして腿を惜しげもなく晒している。ホットパンツなのだしかもめっちゃ短い。すこし動いたらパンツ見えるよ。絶対に。
総合すると、めちゃエロイエロ過ぎる…

「二次試験後半…あたしのメニューは……スシよ!!」

そして始まる二次試験後半…ククク…この俺は知っている…スシ、いや…寿司がどんな料理なのかを!!
そう、四角いご飯に魚肉を乗せて山葵をネタとご飯の間に付けて醤油で味を付けていただきますだ…

「ふふふ…」
「ル、ルクル?」

おっといけない…さぁ魚を持って…捌こうじゃないか!

「ルクル…お前知ってるのか?」
「何?!知っているのか!?」
「声がでかい!」

むふふ…知っているさ……だが、ここは確か誰かの台詞だったと思うけど、借りちゃいましょう

「ふふ…新鮮な魚の肉を使うんだ」
「やはりか、昔文献で読んで私もそう記憶していたが、勘違いではなさそうだ」
「魚!?ここは森だぞ!?」
「声がでかい!!」

そうして一斉に森へ向けて奪取する受験生。くく…しかし魚だけではスシにたどり着くのは不可能…
置いてある器具から察することもまた困難だ。スシなんて本当にマジでこの世に生を受けてから出てきていない。
名前も今日久しぶりに聞いたし、殆どの受験生が知らなくて当然…まぁ中にも知っている奴がいるが、問題ない。

「私たちもいきましょう」
「うん!」「ああ」

子供二人が返事をして一斉に駆け出した。



「さて、魚を取ってきたはいいが…」

受験生が次々と魚を用いて試行錯誤している中、俺は寿司がどんな料理かは把握している…が、ここで問題が発生したのだ。

「…料理、したことない」

生前は確かに料理はしたことあったけど、野菜炒めとかもやし炒めとかもやしのサラダとか、たまにカレーとかしか作ったことない。
魚なんて捌いたのは学校の授業しかない。そして今生に至っては料理のりの字もしていない。包丁なんかこの体になって握ったことないぞ。

「……さて、知識はあっても使えない奴は放っといてだな」
「く…何てことだ……お前ら何かに絶対にもう教えないからね!」

くっそ、バロガンのやつめ…しかし、いいさ…どうせ分からないに決まっているさ

「俺が一番乗りだぁ!!」
「食えるかぁ!」
ゴンも
「403番と同じ!」
クラピカも
「あんたも403番と同じ!」
ハサンも
「どいつもこいつも403番並み!」
バロガンさんも
「血だらけじゃないの!?」

ククク…はーっはっはっは!踊れ踊れ!悶えろ!苦しめ!正解が分からなくて悔しいだろう!?
はははは!いいぞクラピカ!その顔!はははは!

「ルクルはださねぇの?」
「ふ…キルア……マジで料理できないんだけど」
「……救えねぇ」

ちくしょー!
まず、魚の切り身が出来ない…俺の予想だと胴体から斬って何かして血がなくなって皮を剥いてその前に鱗を何とかしてやってから
こう、包丁を斜めに入れてすっと切り身を作るんだと思ったけど…まず腹から内臓を取り出して…鱗を削って皮を剥いた…
そう、剥いたけど、何か全然思い通りに行かなくて、切り身が血だらけになった。5匹捕まえたけど、5匹とも血だらけになったり、形が崩れたり

もう俺には料理の才能はない。というより料理なんてほっとんどしていない人生なのに料理をするほうがまず無理。

「こんなん誰が作ったって味に大差ねーーべ!」
「ざっけんなてめー!!」

そうしてハンゾウがスシのネタ明かしをして全員がスシを作ってきているが、メンチからおいしいの一言が出ないで

「わり!お腹いっぱいになっちった!」

二次試験、合格者0で終了になった。
しかし今思うけど、皆それなりに形に出来るんだね、俺、何か泣きそうだよ。色々なプライドが…


ま、いいか。

その後、少しハプニングがあったけど原作どおりに会長がやってきて試験内容変更で、深い谷の間にある鳥の巣の卵をゲットする試験になり、無事に45名の人間が二次試験合格となった。

しかし、間近で見る会長のオーラの力強さは半端無い。量では何か勝っていたけど、質が月とすっぽんくらい。
…まぁ冗談だが、やはり結構差が開いていそうだし、確実に負けるイメージしかわかない。
あれが最強キャラというものか……あれで強化系だったらもう勝てる気がしない。

いや、勝つ必要は無いけど、あのレベルにあったら確実に逃げの一手だね。死ぬことは無いと断言できるけど、絶対に勝てないだろうという奴。
まあ、後十数年であのレベルまでいければいいやと思っているが、そうもいってられないのが現実だ。

故にあの差を何かで埋めるしかないということだ。能力もメモリの関係上まだあと一ついけるかな?と思えるけど…とりあえず自力を上げるしかないようだ。
あとはどれだけ使いこなせるかという事だ。…まぁ再三いっていることだけどな

さて、現在飛行船に乗って3次試験会場まではぶっちゃけ暇になる。
ゴンとキルアは早々に飛行船の中を探索しに行ってレオリオ、クラピカは何か疲れてるらしく、そうそうと休憩場所を探しにいった
バロガンさんは開いてる空間に腰を下ろして絶をして既に休憩モード、やはり年には勝てないか

そしてハサンは…

「あー疲れた」

やはり俺と一緒に行動をしている。結構疲れたっていう顔をしながら歩いているが、大丈夫か?

「ハサン、大丈夫?」
「はは、大丈夫」

言い返さないあたり、結構来ている。早々に休むことをお勧めするけど…まぁそのうちクラピカとかと一緒に休憩すると思う。

俺は普通に飛行船の中をぶらぶらしながら探索したり、どんな受験生がいるかチェックしたりしている。
と言ってもやはり気になる点においては原作組み以上の印象を抱いた人間はあまり居ない。
ポックルは将来脳みそほじくられるという事は分かっているのでそういった意味では印象深い人物だ。

ポンズちゃんは同じ女同士ということもあり、結構気を許している節があるけど、そこまで話が合う訳ではなかったのでさっき会って二言三言会話しただけだ。

そして奥でトランプタワーを作っているヒソカを見つけて近づく

「おっすヒソカ」
「やぁ☆ルクル」

途端に警戒しだすハサン。
…それはそうか、ぶっちゃけこれまでの行動のおかげでヒソカは警戒に値する人物だ。
まぁ、今はそこまで殺気立っていないから今は大丈夫だろう

「ルクル…知り合いなのか?」
「知り合いっていうか……ん~腐れ縁?」
「クク…ひどいじゃないか♪」

そう、腐れ縁だ。なんだかんだで持ちつ持たれつの関係なのだ。俺は修行のための実戦経験、あっちは欲求の発散。
あれ?何か卑猥に聞こえる不思議!っていうのは冗談で、ヒソカに出会ってから俺のレベルが格段に上がったというのは事実。
今のところ俺が勝ち越している。6:4で。ヒソカを何回も病院送りにしているぜ。俺も病院へ送られるが。

「……」

警戒しているハサンが俺の前へと出てヒソカの視線を遮った。

「君も中々☆」
「おーいハサン、そいつ男でもいける口だよ」
「マジか!?」

そう驚くがハサンは場所を変えようとしない。

「クク…君じゃルクルのナイトにはなれない☆」
「はん!お前が決めることじゃない」

ごごご…と聞こえてきそうな雰囲気だ。
ただ、今のハサンは正直小指一本で倒せる。体力は凄いあると思うけど、筋力はまだまだ付が甘いと見た。
さらに戦闘面も殆どしたことが無いと思われる。まぁそれは以前言ったことだが、やはりでかい。

対して俺は物心が付く前から念を身に着けており、物心付いたときから念の修行を行っている。
体はそれに対応してか限界を天元突破してガンガン筋力が上がる状況で、戦闘面はヒソカや天空闘技場で様々な経験をしているし、
契約ハンター紛いで殺し合いもしている。

ぶっちゃけ天と地以上の差があっておかしくないレベルなのだ。
故にヒソカが言っていることは事実である。

「まぁまぁお互いそれくらいにして、ハサン。疲れてるようだからしっかり休んできなよ」
「でも…」
「大丈夫だって、私だってこいつと何時までも一緒に居たいと思わないし」

ひどいじゃないか☆といってくるヒソカだけど、全然気持ちが篭っていないので無視だ。

「……そうするよ」
「私はまた船内の探索に戻ったり、何かいい情報でもあれば拾ってくるよ」
「ああ」

そうして、レオリオクラピカが休んでる場所まで二人で足を運び、ハサンはそこでタオルケットに包まって早々に意識を落とした。

「やっぱ疲れてたね」

そう呟いて、船内探索へと戻った。そうして見つけたのはゴンとキルアと…ネテロ会長である

絶をして様子を見て、二人ともボールをネテロから奪おうと躍起になっている。
しかし腐ってもハンター協会会長。二人とも惜しいところまで行ったが、陥没するほどの踏み込みで一瞬で二人を抜き去りボールを死守したネテロ会長。
あれで、オーラ使ってないなんて…やべぇ程の身体能力だ。私でも陥没させようと思えば出来るけど、あんな踏み込みで陥没させるなんて出来ない。

キルアがネテロには届かないと完全に悟りあきらめて俺とは違う方向へ去っていき、ゴンは頑張って取ろうと躍起になるが、最終的に目的が変わって
ネテロが使っていない手足を使わせた所で満足し、そのまま寝てしまった。

「ほっほ…今年はまこと豊作じゃの……そうは思わんか」
「私に言われても…」

既に気が付いていることは知っていた。けどまぁそれは当然のことだと思う。なんせあちらはプロのトップを張る人物。
俺の絶はまぁまぁだと思っていたが、ネテロにしてみれば拙いレベルなのだろう。

「ふむ、お前さん使えるの?」
「…まぁ使えます」
「見事な絶じゃった」
「……えっと、皮肉ですか?」

ほっほっほと笑うネテロは食えない爺さんだと直感的に思った。

「どうじゃ?お主も参加するかの?」

そういうネテロは指の上でボールをまわし始める。

「え?いいんですか?」
「勿論じゃ、但し1時間以内でという時間制限があるが、ボールが取れたらハンター試験合格じゃ」

更に攻撃をしてきてもOK。あちらは攻撃してこないで避けるだけとの事。

「了解です。では、お願いします。あ、ライセンスもいただけるんですよね?」
「勿論じゃ」
「ふふ…やる気、出てきました」

その言葉と共に堅を展開する。もうやる気マンマンだぜ。

「ほっほ…」

笑った後、ネテロも堅を展開する。間近で見るとやはりレベルの違いがはっきりと分かる。
神々しいオーラが針のように此方を貫いてくる。しかし俺も負けじとその真逆と言っていい禍々しいオーラをまとう。
そうしてゲームが始まった。












(あのオーラ量…これはちとやばそうじゃ)

ルクルが展開したオーラ量はネテロが展開しているオーラ量よりも確実に多い。
一瞬で悟ったネテロは纏では確実にダメージを負うと確信して堅を展開する。

いっそ神々しいといえるオーラはネテロが今まで積み上げてきた経験と人生が詰まっている。
故にネテロは自身の念に対して絶対の自信を持っていた。半世紀前までは
今現在はやはり年と共に衰えを感じており、自身が最強とは断言することが難しくなってきた。

それでも自信はある。そう、今までの実績がそれを作っているからだ

しかし


(何と禍々しいオーラ…)


ルクルのオーラは今まで見てきた中でも群を抜いて禍々しい。ヒソカのオーラも見たがそれ以上。
力強さもかなりあり、毎日真面目に修行しているということは火を見るより明らかである。
だからこそ惜しいと感じた。これほどまで禍々しいオーラを発している人物は闇の中のそれも深淵の奥底に居る住人というのは確実だ。

「いきます」

その言葉と共に15メートルの距離を0.5秒で距離を詰められ、頭上で回転させているボールに手が伸ばされる
しかし、ネテロにとってはまだまだ遅い。あと0.4秒早くても十分に反応が出来る。

空を切る手からオーラの弾が発射されてボールに当たる直前に体を回転させ、蹴り上げてオーラをかき消す
それと同時に足の裏に奇妙な感覚が走る。

(この感覚…念による攻撃かの)

しかし、確認する隙を全く与えないルクルの猛攻。速度はまだ十分反応できる速度だが…若干だが確実に速度が上がりつつある。

(戦闘における才能は天才…いや、鬼才じゃの)

冷や汗をかくネテロ。此方から攻撃するのは自身でしないと宣言しているいじょう、避けきらないといけない。
しかも足の裏には念による何らかの攻撃がある。これが実際の殺し合いであれば自身は死んでいるかもしれない。
そう、ネテロはその事実に気付き久しぶりに「死の危険」というものに対して冷や汗を流したのだった。




(くそ…全然当たらない)

対してルクルは必死も同然だ。足の裏にマーキングを付けれたのはいいが、それ以降の全てのけん制や攻撃が空を切る。
明らかにネテロの動きが早いのだ。

(まだ、まだまだ全然足りない!)

実感する。これが世界の頂点の実力。自力の差。経験の差。初撃以外すべて空を切っていることからレベルの差が伺える。
だが、傍から見れば、二人の姿が殆ど見えない状態だ。いや、胴体や顔などといった軸となる部分は見えるが、忙しなく動いている手足は残像や音を残して目に映らないだろう。

(でも…)

ルクルには念能力【ジャンプ】がある。それを使おうと決心したのだ。

距離を一旦とるルクル

「ほほ…若いのにやるのぉ」
「ふふ、それほどでもないですよ。所で会長…」
「なんじゃ?」

ネテロが「なんじ」まで発言した時点でルクルの姿が消えてボールが蹴られる。

「ほ!?」
「油断大敵、ですよ」

そうして、ネテロはボールが弾かれた事に気付き、瞬時にオーラを足へと送りそのまま空に浮いているボールを取ろうとしたが
ボールにマーキングを施していたルクルが既に【ジャンプ】で飛んでボールを掴んだいた。

(…速い)

ネテロは自分のオーラを操作して爆発的な加速を生み出しボールを掴むのに掛かる時間を0.1秒位と瞬時に予測を立てながら動いていたが
ルクルのジャンプはまさに「0秒」なのだ。思考をしている内に詰みとなる。

そう、ルクルは【ジャンプ】という能力を漸く使いこなせるようになったのだ。
使ってからの初動はまさに光の速さ。それを可能にしているのが時間の圧縮によるもの。
前世のルクルが死の間際に体験した「走馬灯」

【ジャンプ】する感覚が自殺する際に飛び降りたときの浮遊感に酷似していた為に感じる世界。

その1秒にも0.1秒にも満たない世界の中でルクルは自由に行動が出来る。
が、その世界はジャンプする前とした直後の3秒間だけの限定された世界だが、ルクル自身はその時間だけで十分と悟っている。

その限定された世界の中だからこそ、瞬時にボールの元まで飛べたのだ。

「私の勝ちですね」
「…うむ。わしの負けじゃ。ルクル・リーデット…ハンター試験合格!!」




[35501] ハンター×ハンター 14話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:49


「よっしゃ!」
「ううむ…見事に出し抜かれたわい」

ふっはっはっは!そう!俺にはジャンプがある!あの初見殺しのジャンプだ!
流石にネテロ会長も瞬間移動だとは思わないだろう。1秒未満とかの世界じゃない。0に限りなく近い世界なのだ、まさに刹那の瞬き。
てか、ネテロ会長速すぎる。俺の攻撃が全然かすりもしないなんて事は初めてだった。

まぁ油断させてさくっとやろうかと思ったけど、せっかくの機会なんだ、俺という人物をオーラで見せてその上で勝とうと思ったのだ。
負けても別に痛くもかゆくも無いからな。

「今回はゲームの上で勝ちましたが…殺し合いだとどうですか?」
「ふむ…ワシが確実に勝つじゃろうな」

ですよねー…会長の念能力が如何様なものか分からないけど自力ではかなりの差があったし会長…油断しすぎである。
あの禍々しいオーラを見ても油断できていたということは実践から遠のいていたのか…余裕で俺に勝てるか、それともどっちもということだろう。
と言ってもジャンプだからなぁ…油断して無くても取れる自信はあった。

「ま、そうでしょうね…ではハンターライセンスを」
「その前に、おぬしは何故ハンターになろうと?」

ハンターか…まぁ最初は勝ち組ニートを目指して、次に念の修行をしている中でやっぱそれ面白くないよね?と思った。
そして遺跡と出会って遺跡ハンターもいいなと思ったけど、結構頭使いそうだからなぁと思ってる時に契約ハンター紛いのことをやって
これも結構いいなと思っている。まぁぶっちゃけ

「これから探して行こうと思います。一生追い続けるものを」
「……ほっほ。そうかそうか…あい分かった。では、ハンターライセンスを発行するが他の合格者が決まるまでは契約したホテルで滞在しといて」
「あ、はい」

そうして、さっていったネテロ。ゴンは…まだ寝ている。完全に体力が切れていたのが幸いで熟睡状態だ。
といっても、開始する前に場所をずらしておいたので万が一おきても直ぐにばれることは無いと思う。たぶん。メイビー

いや、だってネテロ会長も何も言ってこないし、ゲームの中では俺との勝負に集中していたから逆に目撃されていないと思う。
まぁされていたとしても何がどうなるわけではないからな。そう思って俺もどこか休憩できる場所を探すのであった。










「ちと失礼するぞ」
「「「か、会長!!」」」

今回のハンター試験の試験菅が休憩していた室内に入ってきたネテロ会長。
それに驚きサトツ、ブハラ、メンチが驚きの表情を見せて全員で起立する。

「ほっほ、そう固くなるな」(ぷるんぷるんじゃったの)

メンチの揺れた胸を一瞬のうちに盗み見て脳内メモリーに保存したネテロ会長。

「それで、一体どのようなご用件で?」

そう言葉を発したのはサトツ。そう。ネテロ会長は会長の専用部屋があるのでこの試験管の休憩室に来る必要は全く無いのだ。

「うむ、今年の合格者が出た」
「はい?」
「いや、ワシとのゲームで勝ったら資格をやるというゲームをしていたのじゃが」
「は?」(この爺…なにしてるんだ?)

そう思ったメンチ。無理も無い。まだハンター試験が終わってないからだ。尤もな事である

「って、まだハンター試験終わってませんし、まさか会長が負けたという事ですか?」
「そうじゃ。故に約束したことは守らないといけないからのぉ…」
「それで、その合格者は誰ですか?」
「受験番号45番。ルクル・リーデットじゃ」

一同、ああ、彼女ね…と、どこか納得した様子。オーラを垂れ流しているだけで分かる禍々しさ。
嫌でも目に付く程の美貌を誇る容姿。44番のヒソカと並んで要注意人物であった。

「なるほど」
「驚かないのじゃな?」
「まぁ会長が決定したことで今更騒いでも仕方がありませんし、彼女は先ほどあたしたちの間でも話題になりましたから」

そう、ルクルは先ほどまで話題に上がっていた人物であった。
ヒソカと共に来たのとルクル自身の禍々しいオーラと試験管に向けて一々挑発的(みたいな)オーラを飛ばしてくる。
といってもルクル自信は挑発ではなく只単に探るという目的だけだが、禍々しいオーラが災いして試験管からいい印象は全く無い。

「ほう、それでどのような印象を受けたかの?」
「そうですね…あたしは危ない奴だと思いました」
「オレもあんまり近寄りたくないかな」
「わたしも危険だと思いましたが…見ている中では誰にも害意を持っていませんでした」

なるほどの…と言ってネテロは思案する。
やはりあの禍々しいオーラは隠せるものではない。ネテロが最初に登場した時もオーラが飛んできて、直ぐに警戒したものだ。
しかし、害意が無いことに気付き警戒を解いたが…あの時見せたオーラは警戒するに値するオーラだった。

「会長はどう思います?」
「ワシか?そうじゃな…これから次第じゃな」

それは紛れも無く本心。ずっと禍々しいオーラを放っていたというのに害意や敵意は全く存在していなかった。
何が彼女をあのような形にしたかは分からないが、それでも最後の問いに見せた決意は、これから期待できるものと思えた。

「絶対にブラックリストハンターになりそう」

そういうメンチは自分を抱いて腕をさする。

「それで、合格した彼女はどういった扱いになるのですか?」
「うむ、他の合格者が出るまで契約したホテルに滞在してもらう」
「なるほど、それで他の合格者と共に説明を受けて、裏試験合格の通達もするのですね」
「そうじゃ」

そうしてネテロも空けられた(メンチの隣)場所に座り、メンチの谷間を瞬時にちら見しながらサトツが入れた紅茶とメンチ、ブハラが作ったおつまみを堪能する。

「うーむ、旨い」

紅茶を舌先で堪能したネテロの視線は雲の先の遠い地平線の彼方まで旅立った











「ふわーあ…暇」

あの後俺もタオルケットを貰って休憩スペースを見つけて絶をしながら休憩。それによって体力を回復させた。
試験会場着いて、全員がぞろぞろと降りたのを見送ってから俺は優雅に寛ぎ、ホテルに居る。
飛行船内で一通りハンターライセンス授与までの説明を受けて納得し、いまベットで寝そべっているのだ。

試験を受けてもいいのかと聞いたところ、答えはNOであった。
既に合格している人間がハンター試験に臨むことはNGである。
何故ならもう彼らとは違うから、プロになったからだ。

まぁ確かに無理に参加する必要も無い。というより、他の受験者に対して失礼極まりない。
あと何日掛かるか分からないけど、ホテルのこの部屋は試験が終わるまで俺の自由に使ってもいいとのことなので、自由に滞在していよう

「さてと」

そうして【ジャンプ】を発動させて物を取り寄せた。
それはハンター試験前に準備と言って詰めたもの。その中にあるのが

「あった!」

むんずと掴んで取ったのは、ポテトチップ○。
既に持ってきたお菓子は全て食べ切ってしまったので【ジャンプ】で取り寄せたのだ。
そう、これでベットに寝転がりながらテレビを見つつお菓子を食べるという完全に堕落しきった休憩をまずは行うためだ。

リモコンを手に取り、ベットをテレビが見やすいように少し配置を換えてテレビをつける。
そこから流れるニュースを右から左に流しながら○テトチップスの袋を開けて中身を取り出し、一口。

「美味い!」

前世のあれには叶わないけど、やっぱりおいしい。
さくっといけてチープな残り味。されど不快に感じないのはやっぱり美味しいから。

そうして1時間程休憩をした後は…念の修行だ!
ニュースで情報を仕入れ、他のテレビ番組を見ようと思ったけど、やはり日本のクリティには負けている。
よってあんまり面白くないのだ。しかし、念の修行は面白い。

自分の念がどんどん進化していくと実感できるし、戦闘の最中も楽しいと実感できる時がある。
いや、そういうとバトルジャンキーみたいに聞こえるが、そんなんじゃないからね!
ただ、やっぱり色々経験したほうが幅が広がるというのは確実だから、その戦闘で何を得られるんだろう?とワクワクするのは嘘ではない。

だけど、その何かを得るためにはやっぱり必要ステータスというものが存在している。のかもしれない。
そうだなぁ…イラストって最初は人を描くのも難しい。では人を描くには何が必要なのか?それはまぁ形を覚えるとか筋肉を把握するとか
人それぞれだと思うけど、到達点は人を描くという点だ。

人を描けると今度は背景を書き込んでストーリーを生み出したい。
そうするとまた色々資料を見ながら描いていくが、人を描くために培った「経験」と「技術」がそこで発揮される。
経験はどうやって人物を描いていったか、という事をどうやって背景を描けばいいのかに置換し、分からなければどうしていたか
調べあげたものを資料にしていた。という道筋がスムーズに行える。

技術は人を描いている最中に培った線の引き方や、ものの見え方等を応用できる部分を他の物に生かせる。

そしてその最中にまた見えてくるもの、感じてくるもの、難しいもの、苦手なもの、得意なもの等々…
様々なのもを描く中で触れることが出来る何かの感触が絶対にある。そしてそれは面白いと感じられる。
だからこそ続けられるのだ。…まぁ途中で離れることもあるけど、それは自己を見直しているという事だ。ソウイウコトナンダ。

何かの感触は一番最初に描き始めた時には絶対に実感できない。

そしてそれは戦闘にも言えた事だ。相手の動き、それに対しての自分の動き。自分の動き、それに対しての相手の動き
思惑、経験、手段…戦闘すればするほど見えてくるし、そして念の修業を行えば念に関しての動きもまた違って見えてくる。
そう、何かの感触を得られるのだ。

だからこそ自己を高める事は怠らない。

……と、大層に語ったが、別に誰にでも言えるわけではない。
俺はそう感じているだけで恐らくそういった事に対しては各個人の「インスピレーション」なのだろう。
いや、意識の違いとも言えるか。

まぁぶっちゃけテレビが面白くないから修業をしてるだけだけどね。
だって面白くないもん。電脳ページはライセンスが無いと確か有料だし。何しようかなと思ったらもう念の修業か、体を動かすとかしかない。
あとは、各戦闘技術書とかを見たり、色々な意味分からん事が書いている哲学書を見たりして暇を潰している。

今日は【カフェオレ】を飲んでいないから調子は…まぁ普通で、好調より若干効率が落ちるけど「点」からやっていきますか
そう決意して、ベットの上で自然体となり、点を行っていくのであった。




[35501] ハンター×ハンター 15話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 06:50

「よっす!」
「「「ルクル!?」」」

一週間ちょい位滞在して、ようやく今年の合格者が出たらしい。
今年は豊作で何と8人も合格者が出たそうだ。そうして説明会場へ来て今年の合格者を待っているとはいってきたのは
レオリオ、クラピカ、ハサンの三人。後から禿げとヒソカとイルミとポックルであった

「おいルクル!」

俺を見て一気に此方へ向かってきたのはハサンだ。

「ん?何?」
「お前どんな卑怯な手を使ったんだ!?」
「失敬な…ちゃんと会長が合格といったから私はここに来ているの」
「でも!?」

そうしてハサンの言葉を右から左へ流しているとクラピカとレオリオが此方へやってきて

「それで?どんな手を使ったんだ?」
「私も気になる」

しっかり話せやこらみたいな雰囲気を出した二人に、それに同調するようにハサンが腕を組んで此方を見下す。

「ん~…簡単に言うと、会長が提示した条件をクリアしたから合格した」
「おま!」
「待てハサン…それはどんな条件なんだ?」
「ボールを会長から奪うっていうゲーム」
「らくそー!」

ふむ、楽そうか…普通の受験者ならばまず不可能だろう。
自力の違い。そして最大の壁が念能力の有無だ。ヒソカだったらどうにか獲れそうだけど…その前に命を獲ろうとするからな
あともう一人イルミは…ううむ分からん。

「ま、運が良かったのよ」
「ち!こっちはかなり苦労したってのによ…」
「運も実力の内と言うぞ、ハサン」
「クラピカは黙ってろ!」

そうして、ゴンとバロガンさんの事を聞くと

「ゴンは気絶して医務室へ、バロガンは4次試験の時にヒソカと戦って負傷し、俺たちにナンバープレートを託してリタイアしたぜ」

そう答えたのはレオリオだ。

「そう…」

ううむ、まさかバロガンさんがリタイアとは…まぁヒソカに目を付けられたのは仕方がない。
バロガンさんとヒソカどっちが強いかと言ったら一目瞭然でヒソカだ。
バロガンさんもまぁまぁな部類にはいるが…ヒソカと勝負して生きているだけで儲けものだな。うん。

そうして、今回起こった事を簡単に説明をしてもらい、それを聞いたけど、おおむね原作と同じようだ。
最終試験でキルアがポドロを殺して退場していくのも同じだった。それはイルミがいる時点で予想が付く。

そうして、話がおわり暫く待っていると、ネテロ会長が姿を現し、ハンター試験終了と共にハンターライセンスが授与された。
その後、ハンターとしての心構えを聞いて、キルアの処遇に異を唱えたハサン、レオリオ、クラピカの三人。
しかし、失格は失格の為、いまからは取り消せない。

その事について議論していたら、ゴンが堂々と入室してイルミの腕を掴んで

「お前に兄貴の資格は無い」
「兄貴に資格なんかいるの?」

という、やり取りを行った後、結局キルアの処遇はかわらずそのままで、キルアを取り戻すとゴン、クラピカ、レオリオ、ハサンが躍起になっていた。



「さて、これからどうしようかな」

プロハンターについての説明と、その後、念能力を覚えている俺、ヒソカ、イルミの三人が
説明と同時に念による文字で書かれた裏ハンター試験合格の文字であっさり合格したのであった。

「俺はキルアを迎えに行く!」

それに同調したのがレオリオ、クラピカ、そしてハサンだ

「うーん…私は一回実家に帰って報告しにいって…まぁどんなハンターになるか色々ぶらぶらしてみる」
「そう…」

無理強いはしないゴン。いい子だと思うが…蟻編でみた時のゴンは何か禍々しいオーラを纏っている描写があったけど、どうなんだろう

「それじゃあ、何処かであったら宜しく!」
「うん、またね」

そうしてゴンご一行と別れる。まぁ次に会うのは確実に天空闘技場だけどな。
そうして、見送った後、ヒソカと一緒に居るイルミにも挨拶しに行く

「おっす、ヒソカ。それにはじめまして、ルクルと申します」
「やぁ☆ルクル」
「はじめましてだよね、俺はイルミ」

そうして俺も始めましてと挨拶を返す。

「ヒソカはこれからどうするの?」
「ボクかい?ボクは集まりの仕事があるから、そっちにいくよ☆」

そうして、何かを思い出したのか、ヒソカが手を叩き

「あ、そうだ♪9月1日ヨークシンシティで色々あるけど、君も来るかい?」
「うーん…用事があればついでに行こうかなと思います」
「そうか☆何かあったらボクに電話をかけて欲しい♪」

了解と、返答をして二人にさようならと挨拶をして俺は実家へと足を運んだ。




「ただいま」
「おかえりー」

出迎えたのは母。ヒソカとイルミから別れた後、ちょっと寄り道して普通に【ジャンプ】を使って家の前まで飛んで玄関まで来たのだ。

「どうだったの?」
「いえーい、プロハンターライセンスだよ!」

そうして懐から取り出すのは正真正銘のプロハンターライセンス
形は遊○王カード位の大きさで、少し分厚い。結構頑丈に作られているらしく、そうそう壊れないらしい

「まぁ!おめでとう!」

そうして互いに抱きつく俺と母。ううむ母親はいいものだ。

「プロになったからにはやっぱり何か追い求めないとなー」
「プロハンターねぇ…規模が大きすぎてよく分からないわ」

リビングでお茶菓子を食べながら寛いでいる中、ふとネテロ会長に言われた、何のためにハンターになったのか
という点を思い出して、ぽつんと独り言みたいに言ってしまった。それに母親が返答してくれたが、まぁ俺もぶっちゃけよく分からない。

色々なハンターが居るけど、とりあえず一生追い求められるものがいい。真っ先に思い浮かんだのがブラックハンターリスト。
ネテロ会長レベルが犯罪者に居ない限りぶっちゃけ、殆どのブラックリストの人間は俺の手に負えるだろう。
まぁそこに組織とか絡んでくれば別物だけど…

あ、でも幻影旅団だけは勘弁。あれは生きた心地がしなかったし…1対1ならともかく、複数でこられた場合、対応できる手段が限られてくる。
中でもクロロは全くの未知数だ。確かゾルディック家の…キルアの父と祖父と渡り合っていた描写があったが、恐ろしいほどのポテンシャルだ。
俺もたぶん【ジャンプ】で逃げ切れる自信はあるけど、渡り合えるのか?といわれると…正直自信が無い。

二人とも一流の念使いであり、暗殺術や念での戦闘も熟知している。

それなのに、渡り合っていたのだ。洒落にならん。

クロロ以外にも強化系は厳しい。マチたんとシズクたんは…必要があれば殺せると思う。
と言っても殺す必要も無いのでそこはノータッチ

あとはフェイタン。あの念能力は恐ろしいけど、ぶっちゃけ俺回避できる。【ジャンプ】で
だから念で負けることは無いと思う。あれ変化形だしな。でも心臓に悪いので関わりあいたくない。

その他の面子も関わりあいたくない。総合して言うと関わりあいたくない。
だから9月1日ヨークシン…行きたくないけど…正直に言おう。戦闘だけならしてみたい。
……こらそこ、俺をバトルジャンキーと一緒にするな

総合して言うと関わりあいたくないというのは確かだ。リスクが大きすぎる
しかし、それに関わることで自身のレベルアップも出来る可能性が大きいし、なによりいい経験になる。それは間違いないのだ。
だからこそ行って見たいという気持ちもある。

「せっかく帰って来たんだし、ゆっくりしていくんでしょ?」
「うん、そうだねー…数週間はごろごろしていく予定だよ」
「そう、その間おいしいものを食べさせてあげるからね」

お金があるから結構我が家が変わっているかと思っていたけど…車が一台増えただけで全く変わっていない。
俺の言葉通りにしてくれたらしい。冷蔵庫の中も食材は結構入っているけど、高級食品の類は見当たらない。

「お金は全部貯金してあるわ」

とのことだ。実際何が起こるかわからないし、貯めておくには越したことは無い。
何時何が起こってもいいように備えることは大事である。ま、どんなに準備しても一瞬にして崩壊することが多々あるのはどうしようもないけどな。

さてと、この期間は新しい能力の開発に当てようかと思う。
【ジャンプ】は使いこなせてきて、【チェインカースト】も中々様になってきている。
【カフェオレ】はほっとんどメモリ使わないと実感できるほど消費オーラ量が少ない。
で、現状の確認だ。

今現在のオーラ量はネテロ会長よりある。それも7割の状態でだ。といっても会長の全力を見ていないから何ともいえないけどな。
でだ、俺のオーラ量を測ってみた。…これが大変で大変で、確実に測定できる堅の持続時間での算出を行った。修行も兼ねて
で、1秒1オーラというのは覚えているので、そこから1分で60、10分で600、1時間で3600。
というのが分かっているので、お昼の12時から予め誰も居ないであろう密林の木にマーキングしておいて、そこに【ジャンプ】

まぁオーラが幾分か減っているけど、ほぼ正確な数値は出せると思う。

24時間位大丈夫だろ?と思っていたんだ、まぁ一日寝ないなんて前世の頃はざらにあったし、ぶっちゃけ今は体力も気力もかなりあるので徹夜ドンと来い状態だった。

24時間で86400ものオーラだ。……そこからが大変だった。
いえーい!一日たったぜ!というナチュラルハイと共に夜明けを迎えて、昼を迎えて、そろそろ俺のオーラも尽きるだろう…
と思っていた。夕方になっても、夜になってもその次の昼になっても尽きない。尽きなかったんだ…
で、三日目を迎えてもう、寝ないとやばいやばすぎる…という所で漸くオーラが無くなりそうだと感じてジャンプして家に飛んで寝た。

8時間きっちり眠った後で計算。三日たったのだから259200は最低でもある。そこで確か明け方までやってたから、12時からおよそ16時間
3600×16=57600で259200+57600で…316800……これはかなり多いと思う。多いっていうかもうやばい。明らかにやばい。
【ジャンプ】が一回で500位だからたぶん317800ということになる。

【ジャンプ】が635回使える…だと……マジ半端無いです。といっても顕在オーラが多くないと宝の持ち腐れだが。

つか一日にそんなに使わない。でも顕在オーラってどうやって測るんだろうか…
まぁいいや、自分のステータスが確認できたからオッケー。顕在オーラはまぁ2000とかじゃないかな。知らないけど

メモリの無駄遣いはしたくないけど、このオーラ量を生かさない手は無い。よってこんな発を考えた。

顕在オーラと潜在オーラの交換。

これにより最低でも20万以上の顕在オーラが出力されることになり、それで攻撃されたらどんなものも一撃必殺だと思う。
しかし、デメリットが大きすぎて、残っている潜在オーラがすずめの涙程度になることで、戦闘続行が不能になること。

長期にわたる内容の蟻編は一発つかったら即【ジャンプ】で後方待機だ。つか、家に帰って来てごろごろする。

だいたい、直接攻撃は強化系がいいに決まっている。だから一発を作る必要は無いと思う。しかも蟻編過ぎたらぶっちゃけ不要になる。
でも対キメラアント限定での誓約をつければ出来ないことはないだろう。ということでこれが一つの候補。

次に…特質系だからこそ出来る発…うーん……運命の操作とか?
しかしそれは絶対に無理だろう。予知なら十分に出来るが、それを意のままに操るということは神でもない限り不可能だ。
こういう運命になりやすいという流れなら出来ないことは無いと思うが…どうだろう。

その日の行動を念を込めたノートか何かに記載して発動するとかすれば…いや、無理だな。
というよりあんまり面白くなさそう。

うーん…正直、戦闘系発は【カーストチェイン】で十分かな。せっかくの特質なので【ジャンプ】【カフェオレ】以外にも何か生活でも利用できる能力が欲しい。
でも、プロのハンターだからやっぱり戦闘面でも充実させておきたいというのが本音である。
何時いかなる時でも対応できるような発…しかしそんなのは実際存在しないと思うからなぁ…

くそ、能力開発なのに、普通に修行して日々が過ぎ去っていってしまう。

いや待て…ならば、既存の能力を改造すればいい…そう、制約、誓約はいじくるのはきついので、効果や派生能力をつければいい。
と考えた。でだ、候補がもう一つ

【ジャッジメントブレード(裁きの剣)】
【ジャンプ】と【カーストチェイン】を合わせたもの。
遺跡内で手に入れた剣をマーキングした対象に瞬間移動で刺し、指した部分から鎖が具現化し全身に巻かれ
相手の念を解除させ、強制的に絶状態にし、その場で磔にする

制約
・剣による物理的ダメージは無くなる
・三日に一回しか使用できない
・剣が抜かれた場合対象に掛かっている効果がなくなる

誓約
・剣が物理的に壊された場合、この能力は失われる


派生というよりもはや何か新しいものっぽい。いやこれ新しいだろ。絶対メモリ食うだろ。
超強力すぎるな。これ。使用制限を設けてさらに誓約をきつくしたのと、俺自身のオーラ量で何とかできるんじゃね?っていう奴だ。
【トライアングルカースト】が困難な相手にやろうかなと考えた。何かの念能力で一回しか攻撃できなくさせる能力とかあると思うし。

でも特質って蟻編だと何でもありだからな。……ギャグじゃないぜ?
ピトーは確か怪我治せるし、なんか自分操ってたし…つか、操作と強化じゃね?まぁいいや。

とにかくこの発を使用する条件もきついし、なんていったってあの剣は他に代用が利かない。
さらに、第三者がいれば、剣を抜いて直ぐに無効になる条件に、この誓約だからな。そして使用回数制限。出来ないことはないと思う。
だが一発逆転の能力なのは間違いない。

剣が邪魔になるけど、牽制に斬撃をオーラとして飛ばせるし、あれ、放出の補助も担ってるからあれば使えなくは無い。
で、戦闘終わったら家に持ってかえればいいしな。

そんな回りくどいことしないで、心臓に突き刺さるようにすればいいじゃない。と思うかもしれないけど
結果を殺しだけしか使えない代物は正直使いどころが限定されすぎて逆に使えない。
この場合は相手の拘束ができるし、生きたまま何かを出来るから格上相手でも話し合いの場へ引き擦り込むことも出来る。

それに、威嚇にもなるし、殺そうと思えば殺せるぜてきな脅しにもなるし……相手を簡単に殺すことも可能だ。
ま、何れにせよ後一つ戦闘用発、しかも切り札を作って、あとはお手軽発を作って念能力開発は終了の予定だ。

お手軽発は蟻編が終わった後の話になる。
どんなハンターになるかを決めた後でその補助的なものでいい。そうしよう。

総合して戦闘面は大丈夫だろう。一発逆転の発を考えて作り、オーラ量もめっちゃあるし。といっても顕在オーラで攻撃防御力が決まるけどな。
あー、顕在オーラってどうやって測るんだ?まぁいいや。とりあえず、基本的な点の修行からしてオーラの質を高めていきますか!




[35501] ハンター×ハンター 16話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:51


【インスタントヒーロー(3分間の英雄)】

自身に剣を刺し、誓約を定めることで、全能力を100%の力で引き出すことが出来る

制約
・遺跡で拾ってきた剣を己の心臓に刺さないといけない
・三分間を超えることは出来ない

誓約
・三分間以内に定めた敵を倒せなかった場合、一ヶ月間念の使用が出来なくなる




なーんて考えけど、うーん…正直全系統100%何ているか?と思う。
いや、ある事に越したことは無いけど、攻撃力不足も解消できるし、おそらく【カーストチェイン】の効果も20%はアップする
しかしなぁ……いや、あれば良いに越したことは無いよ。選べるカードは何枚もあったほうがいいに決まっているし、切り札を作るべきだし。

ううむ、良い案が思い浮かばない。もっとこう、絶対に戦況をひっくり返せることが出来る物凄い発が欲しい。
いや【トライアングルカースト】でもひっくり返すことが出来ると思うけど、絶対ではない。
なにしろ、相手の念能力を封じ込められないからな。絶にする【ジャッジメントブレード】がやっぱり最有力候補か……

あれは恐らく蟻の王すらも打倒し得る発だと思う。まず、相手の強制的な絶でオーラによる防御が出来ない。
念能力の発動を抑えることが出来、なおかつ動けなくさせる。
よって、解除されるまでぼっこぼこに出来るというわけだ。その後の戦闘続行も可能。

今回考えた【インスタントヒーロー】は自身の強化につながり、【トライアングルチェーン】との相性は抜群だと思う。
纏は纏えるけど、攻撃力が100%発揮できるから纏での防御は紙に等しい。よってこれも敵を打倒し得る能力だが…
倒せなかった場合のことを考えると、やはりリスクはでかい。まぁリスクがでかいからこんな能力が出来るんだけどな。

でも、まだ蟻編まで時間がある。これだ!と思う能力を開発できれば良い。切り札的な。
いや【ジャッジメントブレード】で十分なんだけどね。でもインパクト的に…こう……いや、なんでもない。
俺の中二病心が疼いてるだけさ。く!静まれ!俺の右腕!

で、今俺が何処に来ているかというと…

『さぁーやってまいりました!天空闘技場200階クラス!本日のメインディッシュです!』

控え室からでも大歓声が届いてくる。

『今回対戦するカードは…ルクル選手とカストロ選手です!』

そこで歓声が爆発したかのように更に大きくなった。

『現在、ルクル選手は7勝2敗の成績で、その内1敗は不戦敗によるもの!!出れば高確率で勝っている美少女です!』

ルクルちゃーん!とめっちゃ大きな声で聞こえてくるが、気のせいだ。
美少女か……く………息子が居ないのはさびしいものなんだぜ?

『対するカストロ選手は8勝1敗によりフロアマスター挑戦権まであと2勝!尚且つ、2年前にヒソカ選手に負けを喫した以来、無敗です!』

黄色い声援と野太い声援が当たりに響いている。

そう、天空闘技場での対戦だ。まだ2ヶ月くらいしかたっていなかったけど、ぶっちゃけ原作始まったのでまぁいいや見たいに、2ヵ月後にしていたけど
まさかカストロに当たるとは思わなかった。しかも試合直前インタビューで俺は無難に

「相手は拳法の使い手ですので、用心して勝ちをもぎ取りたいです」

というコメントを残したのに対して

「相手は女子だが、手加減はしない。彼女のポテンシャルは相当なものだ。しかし、私がフロアマスターになる為の礎となってもらう」

と、強気発言。
うーん…念を覚えて経った二年でこれほどの使い手になるのは賞賛に値するほどのオーラの質だ。
拳法使いなので、恐らく毎日の精神修行は怠らなかったはずだ。よってオーラの質は高い。
しかも俺の苦手とする強化系だ。

けど、まだ足りない。……と思う。
ま、俺の発の練習台には丁度いいかもしれない相手だ。ほどほどにぼこぼこにしてやろう…嘘です。ごめんなさい。
とりあえず、持てる力は出して一勝でももぎ取ろうかなと思っている。

「ルクル選手、時間です」
「あ、はい」

そうして、係員に呼ばれて俺はリングへと登っていった。




『さぁーいよいよ本日の最高のカードの対戦です!』

両者がリング上と姿を現し、実況が響く。
観客のボルテージは最高まで高まり止む気配は微塵も無い。

『ルクル選手VSカストロ選手の対決!!』

実況が響く中、ルクルが手足をぐりぐりと回転させて準備運動を行う。
その顔には何も写っておらず、第三者から何を考えているかを読み取ることはきわめて困難である
だが、相手に動揺しないその顔は余裕の現われと捕らえられ、対戦選手の心に風を送る。

しかし、カストロは動じない。何故なら自分に自身を持っているから。
拳法家の自分と何の武道の師事もしてもらったことの無い少女。
前もって見たビデオでは確かにオーラは強力だった。

しかし、まだまだ付け入る隙はある。
ヒソカとの対戦はビデオや記録媒体に残っているものが手に入らなくて、その時の映像はもう確認しようが無い。
その時の試合を誰も語ろうとしないので気になっているが、恐らくヒソカが勝ったのだろう。

それは彼の戦績が物語っている。
対するルクルは2敗。一つは不戦敗でもう一つが恐らくヒソカとの対戦によるものと推測した。
それは事実。よって

(彼女との戦いは私の指標となる)

勝つにしても負けるにしても、一つの指標になることは間違いなかった。

(まぁ負ける気はしない)

相手は今年15歳になる少女で、カストロは既に成人を越している。
それも一つのファクターとなって彼の自身へとつなげているのだ。

慢心というものである。



「はじめ!」

審判の言葉と共に駆け出したのはカストロ。
いっそ消えると言ってもいい速さは長年格闘に触れてきたカストロが自分で編み出した歩法。
一気にルクルの背後を取り、手にオーラを集中させてのスナップを聞かせた一手。

高速の手がルクルのツインテールに触れる寸前にルクルの左手がカストロの右手を弾いて、一歩遅れてカストロへ向けて蹴りを放つ。

しかしそれは空を切ることになる。カストロは反撃が来ることを既に予想していたからだ。

(反応速度はまずまず、ダブルはまだ出さなくてもいいな)

一歩後退をして、ルクルの様子を見る

『カストロ選手、流石に速い!しかしそれに見事答えてみせるルクル選手!』

歓声が鳴り響く。
カストロのほうにゆっくりと振り向いたルクルの表情は僅かながら険しい顔をしている。

(うーん…あんま強くないかも)

それは予想が外れていたために出た表情。作中ではヒソカの両腕を持っていくほどの使い手と認識していたため、疑問を抱いた。
尤もルクルはあまり詳しい内容は覚えていない。正確にはヒソカが手加減していたが、両腕を取れるほどの実力者と認識していた。
しかし、その表情は一瞬にして引っ込められる

(いや、まだ本気を出していない。何故ならダブルを使ってきていないから)

そう、ルクルには原作知識がある。カストロが使用する念能力は名称は思い出せないが、実体を持ったカストロを作り出す能力。

(それ繰り出してくるかなー)

余裕のルクルである。
一方カストロもルクルの実力を下方修正していた。

(映像で見たときと殆ど同じオーラで力強さこそあるにしろ、私のオーラ量よりは少ない)

戦闘者として既に「錬の持続」が念能力者同士との戦いには有利に働くと知っているカストロは常にそれを怠っていない。
奇しくも本来であれば「堅」という応用の一つであるが、それは念能力の師匠がいないカストロには知るすべは無い。

数十秒が経とうとしたときに今度はルクルから動いた。
普通の踏み込みでの接近だが、通常では考えられないような筋力があるルクルが踏み込むと姿が霞む様な速さを実現させる

一瞬にして懐に入り、右ストレートでカストロを狙いに行くが、半身をひねり、攻撃を避け
左手でカウンターを叩き込む。ルクルはステップを踏むように華麗に右へ躍り出て繰り出された左手を左手で打ち上げる
そこで、ルクルが体術で本気を出して神速の抜き手をカストロの胴体に放つ

(速い!!)

音速に迫ろうかとしている抜き手をしかし、きっちり捕らえるカストロの動体視力はたいしたものである。
並みの使い手でこれほどまで接近されたら殆ど見えないような一撃でそのまま胴を貫かれるか、避けたとしても間に合うものではない
カストロはその神速の抜き手をオーラを集中させてぎりぎり弾くことに成功する。

(実力はやはり本物か!)

一瞬の油断が命取りになるということを肝に銘じたカストロ自身の頭のてっぺんから足のつま先まで「油断」という二文字は無くなった。
しかしそれはルクルの思惑通りであった

(それでいい、油断されたまま倒すのはぶっちゃけ無駄だし)

ルクルは確信している。本気を出したら相手にならないと。そう、相手は「堅」の状態で漸く自分の「纏」のオーラを若干上回っている程度
しかし、それでも並ではない。恐らく。バロガン以上の使い手であることは明白だ。

ルクルは気づいていないが、彼女はバトルジャンキーの性質を持っている。
しかも、相手が本気になったところを更に強大な力でねじ伏せるということに喜びを無意識のうちに見出してしまっているから性質が悪い。
といっても、相手を殺すとかそういうのではない。

原因は前世からの反動である。見下されて育ってきた前世は見上げる行為しかしてこなかった
しかしこの世に生を受けて今はかなりの実力がある上、戦闘の才能もネテロが鬼才と認めうるポテンシャルを持つ。
次第に相手を「見下す」事に喜びを覚えたのだ、前世では経験したことが無い喜び。何のことは無い、ただの子供なのだ。

だからこそ相手との差をつけるような発を開発できたといえよう。
【ジャンプ】【カフェオレ】は前世の影響だが【カーストチェイン】は今生の影響だ。
その事にまだルクルは気付いていない。

『ルクル選手!急激に速度が上がりました!カストロ選手、おもわず距離をとります!』

ばっとカストロは後ろに下がり、かなりルクルを警戒している。

そして

『おおーっと!カストロ選手、虎吼拳の構えだ!』

カストロが得意としている虎吼拳。これは彼の系統と最も相性がいい。
強化された虎吼拳はいくら念でガードされたものでも断ち切ることが出来る強さ。
それを少女にするのは少し罪悪感を感じるカストロだが、ここは天空闘技場。それらを含めて覚悟していると筈と考える。

「コオオ」

手にオーラを集中させる。そして、駆ける。
15メートルを一息で0にしてルクルの右肩から腕を引きちぎる。

(まだ反応できていない!貰った!)

と、カストロは既にルクルの右腕が吹っ飛んで敗北宣言をするビジョンが浮かび上がっていた。だが

「ふふ…」

右肩に虎吼拳を決める寸前に聞こえた笑い声と共にカストロの両腕から鎖が発現する。


【カーストチェイン】


「何!?」

発現したと同時に動かなくなる自身の腕。そして

「く!オーラが!?」

体とオーラから力が抜けていくことがはっきりと伝わってくる。

「貴方は私に捕らわれ、逃げることも叶わない」

動かなくなった両腕に意識を向けていた為、ルクルへの注意が散漫になっていたため気付くのに一瞬遅れた。
鎌のようにしなる右足からカストロの溝へ向けての一撃。硬を用いての一撃はカストロの危機察知能力によって堅を行い一撃必殺にならず、致命傷までにすんだ。
轟音を放ち、場外まで吹き飛び、地面へと叩きつけられなお殺しきれない衝撃が、カストロを壁へと叩き付けた

「ごほっ!!?」
「クリティカルヒット!アンドダウン!ルクル3ポイント!」


吐血する。壁には亀裂が入りかなりの威力があったということは想像に難くない。

『な、なんとー!?どういうわけだ!?カストロ選手が虎吼拳でルクル選手の右腕を狙ってー…そこから吹っ飛ばされるまで鎖が見えたが一体どういうことだぁ!?』

虎吼拳が決まる1秒未満の世界でのやり取りは第三者から見ても何が起こったかまるでわからない。
といっても鎖が発現してからは数秒たっているし、吹っ飛ばされて壁に叩きつけられる所で5秒。
そこで鎖が解かれて無くなる…が、オーラを縛る効果はついたままである。

瓦礫を出しながらゆっくりと立ち上がるカストロ、その間に審判が場外でのカウントを取る
それを受けて足取りが覚束無いがリングへと上がってきた。

(く…油断した。何時の間に私に対して念の攻撃を……)

そうして、呼吸を整える。内臓は痛んでるが試合続行は可能だと判断する。

(…ダブルだ。あの念による攻撃は恐らく一度攻撃した箇所でないと出来ない筈だ)

一度展開した【チェインカースト】は役目を終えて既にカストロの腕には無い。しかし

(く、溝をやられてオーラが上手く練れない)

カストロは気付いていない。それが念による束縛ということを。解かれていたといっても、凝を使えば見える。カストロのオーラを縛っている鎖が。
カストロはルクルに勝てない。オーラを練るには集中力が必要である。それを溝に強打を受けたから集中できないというのは確かにあるが。それ以外のことに眼を向けれていない。
勝敗は既に決してある。ルクルは既に三回カストロに攻撃しているのである

(ダブルは…出来るぞ)

カストロの内にダブルが顕現したことをルクルは悟った。

(オーラ減りすぎ。何かあるのは初見の人間でも分かる)

凝を怠っていないルクルは手に取るようにカストロのオーラの動きが分かる。

「ふぅー…行くぞ!」

虎吠拳の構えを取り、一気に駆ける。

(ま、これからのお手並み拝見と)

「はぁ!!」

繰り出される虎吠拳での攻撃は念無しでも大木を薙ぎ倒せるほどの威力
その威力が更に念による強化を施してある。しかし、当たらなければ意味が無い

ルクルは頭一つ分屈んで頭上の攻撃を避けた。
そして間髪居れずにカストロの内部にいたダブルが攻撃を仕掛ける。

(凝で見てもほっとんど同じとは…こいつ実は物凄い才能なのではないのか?)

そうして頬に攻撃があたるが、オーラの高速移動でダメージを最小限に抑える。

『おおーっと!決まった!虎吠拳!吹っ飛ぶルクル選手!』

山なりに吹っ飛んで体を宙で整えて着地する。

『が、殆どダメージがなーい!一体どんな体をしているのでしょうか!?』
「オーラが移動した…?」

オーラが高速に移動したのはカストロの眼から見てもはっきりと写った。
しかし、自身にそれが出来るかといわれたら…出来ない。虎吠拳での構えから体の各部位のオーラを手に集中させることは出来る。

と、カストロはそこで考えるのをやめた。

(…彼女は強い。ならば全力で倒すのみ)

動き出すカストロ、10メートル離れていたルクルに2歩で近づき一瞬にして懐に入る
虎吠拳での攻撃をひらりと避けるルクルにダブルによる攻撃が入る。と思った瞬間にルクルが反応して見せた。
右にステップを刻んでいたところを頭一つ屈んでダブルも回避したところでルクルが消えた

「な!?」

消えたという事実としまった!?という感情をを飲み込む前にカストロは途方も無い衝撃を背中から受けて地面に叩きつけられた

「ごはぁ!?」

叩きつけられた箇所から蜘蛛の巣状の亀裂がはいる。四肢を投げ出しダウンする。

『で、でたぁー!ルクル選手の「瞬間移動」!まさに瞬間!途轍もない早さです!』
「クリティカルダウン!3ポイント!ルクル!6-0!」

まさに圧倒的。この少女は圧倒的過ぎる。そう観客席、実況含めて感じる。
ヒソカとの初戦はもはや天空闘技場が出来て以来といえるほどの凄まじい攻防。フロアマスターは確実という評価はその時の審判によって判断された
その後はあの強さもなりを潜めて、たまに一撃で倒して観客を沸かすけど、どれもあの時よりもどこか物足りない

そう、彼女はまだまだ全力じゃない。そう確信する実況。しかし、自身の思いは仕事には持ち運ばない。

「うーん…まだまだ修行不足です。仕方が無いと思いますが」

その一言がカストロの耳に入る。

「なん…だと……?」

ゆっくりと立ち上がるカストロに鞭を打つかのように言葉が浴びせられる。

「ですから、修行不足ですよ……全体的に」

カストロのプライドに火がついた瞬間だった

「貴様に何がわかるんだぁああああああああああああ!!」

普段のクールな一面をかなぐり捨て、オーラを爆発させてルクルに消えるような素早さで動く
顕在オーラが一段階上がったかのごとく力が漲っている。

「虎吠真拳!!」

そうしてダブルを出して自身は後ろへ回り込んで虎吼拳でルクルを倒そうとした瞬間に

「【トライアングルカースト】」

ポツリとルクルが発した言葉。その瞬間、左右の腕と体から鎖が突如発現し、全身に巻かれる。
ぎちぎちに巻かれた鎖はカストロをその場で磔にしたかのように形を保っている。
それと同時にカストロのオーラが上手く練れなくなりダブルが完成する前に大衆へと晒されることなく消える。

「ぐ!?」
『おおーっと!一瞬の間にカストロ選手の全身に鎖が巻きつき、身動きが取れなーい!』

ルクルが一歩ずつカストロへ向かって近づいていく。

「ぐ!クソ!?」
「無駄だよ…」

ダブルを出そうにも出せないし、体を動かそうにも動かせない。そしてオーラも練ろうにも纏しか纏えないし、明らかにオーラの力が弱い

「ふふ…まぁそれが貴方の「ダブル」と同じ。念能力だよ」
「ぐ!こんな卑怯な!?」

ぎちぎちに絡みついた鎖をどうにか振りほどこうとしている。
しかし具現化された鎖には尋常でないオーラが纏ってあり、対象者を拘束する。
纏は纏えているが、ほぼ純粋な肉体の力でそれを振りほどかなければ、動けないのである。

「うーん、動こうと思えば動けるんだけどね」
「チィ!?」

といっても仮に動けたとしても行動が遅くなることは必須。故に動けてもあまり意味が無いのだ。
そうしてルクルはカストロの懐まで歩き、足を止めた

「ふふ…残念」

カストロを見上げるルクルの表情は相手を見下したような笑顔が広がっていた。

「く、くそおおおおおおお!」

硬だと死ぬ可能性を捨て切れなかったと考えたルクルは堅によるただのストレートを、硬によってダメージを受けた溝に寸分狂いも無くぶち込まれる。
どご!っと音を立てて吹き飛び…壁に叩きつけられて今度こそ立ち上がらなかった。

「KO!勝者!ルクル選手!!」

歓声が木霊する。圧倒的強さ。もはや天空闘技場で戦えるのはヒソカくらいであると審判は悟った。

『あ、圧倒的ー!強い!強すぎるぞこの美少女!他の選手をまったく寄せ付けなかったカストロ選手を一蹴!果たして彼女を止められるものはいるのかー!?』
(マジで殺しに来たヒソカ…)

ルクルは実況のコメントへの返答を心の中で呟き、リングから姿を消した後、カストロは担架で運ばれていった。


カストロにまかれた鎖は既になくなっていた。





[35501] ハンター×ハンター 17話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:05
三月に入り、いよいよ春が近づいてきた。そんな時に奴が尋ねてきた。

「やぁ☆」
「ん?あ、ヒソカか。どしたー」

天空闘技場の自室でごろごろしていた時に、ヒソカがドアを開け、姿を現した。相変わらずのピエロメイクである。

「くく…聞きたいかい?」
「いや」

そのまま入室して俺が寛いでる、というより横になっているソファの向かいにどかっと腰を下ろして何処からとも無くトランプを出してなんかシャッフルみたいなことをしだす。
笑顔で「そう☆」とかいってそのまま喋らないかと思ったら徐に喋りだしやがった。

「ゴンとキルアがココに来てるからね」
「……ああ、彼らね。どれだけ成長するか楽しみということなのね」
「そうなんだよ♪」

くくくと笑うヒソカは何時見ても薄気味悪い。
ま、ヒソカでもお客はお客だし、紅茶でも入れてお菓子でも出そうかな。

そうして俺はポットに紅茶を注ぎ、お盆に載せ、お菓子も乗せてテーブルに置く。

「ほい」
「ありがとう◆」

一口飲む。ううむ、あんまり美味しさが分からない。インスタントだし仕方が無いか。

「キミもますます美味しそうになっているね☆」
「んー、定期的に戦ってるじゃん」
「くく…キミの瞬間移動以外を見たのは先週が初めてだったよ☆」
「いや、あんた天空闘技場にあんまり顔出さないから知らないと思うけど、結構出してたよ?」

そう☆といって紅茶を飲む。そういえば最近、ヒソカと戦ってなかったな…
能力開発した後二回くらい戦ったけど、あの時は間隔短かったし、開発したばかりでまだ使いこなせてなかったからなぁ…
そうして紅茶をのむが、やっぱコーヒーのほうが何か美味しい。何か知らないけど美味しい。

テレビを見ながら寛いでるけど、ヒソカが出て行かない。
そういうときは決まって用事が済んでいないのだ

「…はぁ。で、何か用?」
「ああ☆ボクとここでやろう♪」
「……は?」

やるって?ここで?…ん?まてまて、待てよルクル。
ここでやろう…。今現在室内で寛いでる俺に対して発言した。
そして俺は女でヒソカは男……まさか!?

「嫌に決まってるでしょ!?」
「4月20日でいいかな?」
「…んお?……ああ、ここって天空闘技場ね」
「まぁボクとしてはそっちでも良かったけどね♪」
「絶対に嫌です!!」

というわけで勘違い?でした。言葉が足りないっていうレベルじゃないぞ…まじ頼むぜ。

「ん~いいですよ」
「くく…楽しみにしてるよ☆」

そうして紅茶を飲み干し

「美味しかったよ♪今度はボクがお礼をするよ☆」
「じゃあ高級ディナーで」
「◆」

そうしてドアから出て行った。相変わらず何を考えてるか良く分からん奴だ。
そう思ってテレビを見始めるが、丁度よくニュースが終わってしまったので、念の修行でもしようかな。
でもなぁ…ぶっちゃけ蟻に備えて修行をしてるけど、俺成長してるのかなぁ…とたまに不安になる。

と言っても悩んでいても仕方が無いのでガンガン修行はするけどね。
とりあえず、潜在オーラはもう自然に増える事を期待して修行せずに、念の応用を考えている。
というより、発にしなければメモリの無駄遣いにならずにすむし、色々できる。

但し、同じ事を発という形にした方が威力は高いというのはいうまでも無いが。

例えば、既に実用化しようか考えている「オーラを衝撃へ変化させる」というのだ。
そう、トンと触れただけで内部の破壊を行うエグイ感じな攻撃。これは通常の「硬」による攻撃より1.3倍位の威力がある。
威力は高い。恐らく意識の差だろう。だが、使用されるオーラが1.5倍近い………いや、みなまで言わなくていい。

あれだろ?1.5倍もオーラ使ってるのに1.3倍の威力しか引き出せてないじゃん(笑)

って奴だろ。知ってるよ!特質は変化60%だからこれでもかなりいいほうだと思うよ!?俺だって修行頑張ってるんだよ!
でも現実はこれなんだよね…はは。ま、それでもかなり使える。実際にプロハンターの一環として犯罪者を取り締まるが
これ、マジ使える。威力を限りなく落として死なないようにとんと放つが、衝撃が全身を蝕み昏倒する。

後は某忍者漫画のあの螺旋○だ。
あれは純粋にオーラを球体へ変化させて操作でオーラを乱回転させる。
そして手元10センチ位の所まで放出させて強化で威力を高めての一撃。

とりあえず外でやってみたけど、クレーターじゃなくて穴が、くっそでかく、くっそ深い穴が開いた。いや、空いた。
埋めることさへ出来ないほどの巨穴を確認した時点で【ジャンプ】で逃げてアリバイを作ったのはいうまでも無い。

とりあえず「硬」より威力は高い。あとは瞬間的に作れるかどうかは、訓練しだいである。因みに今は実用レベルとは言えずに大体3秒くらい掛かる。
作る瞬間から攻撃までだ。これだと使い物にならない。せめて1秒。これで完成させないと。そこは日々の系統訓練である。

発に関してはとりあえず放置。
【ジャッジメントブレード】でもいいかなと思ったけど、似たような物を作るのはどうかなと思う。
やっぱりもっと応用が利いたものにしようと思った。戦闘用発に使えるけど日常でも使える…なーんて甘い考えではない。
とりあえず戦闘用にもう一つ。便利な能力を一つで合計5つの予定。と数年前から思っているのになっかなか思いつかない。

色々思いついたらノートに書き込んでいる。しかしどれもこれもピンとこないのが現状だ。
だからこそ強化系が良かったのになぁ…うう……

ま、修行だ修行。修行しなければ選択肢も広がらない。さぁやるぞ!まずは点からだな。うん。
そして気付いたんだが、基本の基本。点の修行…まぁ精神修行は顕在オーラの強化に繋がるということを漸く確信した。
思いの強さはそのまま念の強さにも比例する。よって精神を強く保つことでより強力に、より長くオーラも保つことが可能なのだ。

現状基本は完璧に近い、応用もかなり完成度が高くなってきている。円はどうやら80メートルが限界らしい。もう伸びない。
まぁ十分だからいいけどね。隠は恐らく一番完成度が高いと思われる。注意深く凝を行えば漸く見える程度までのレベル。
逆に周はそこまでではないが、剣で練習しているので完成度は高い筈だ。

硬、流、堅は戦闘での基本となるからこれはどんなに完成度が高くなっても練習は怠っていない。
とまあこんな感じか。まだまだレベルが上がっていく事実は嬉しいところである。








あれから数日が経ち、何時もどおり修行を一通り済まして、シャワーを浴び、近くの高級レストランで食事をして、200階へ戻る時
エレベーターから降りると何か見覚えある三人と、変態が何かしてる。

変態が三人にオーラを、邪なオーラを飛ばすと何かずざざざーと後ろに下がっていっている。
変態…ヒソカがそうするようにしているから当たり前だが。あの行為でさり気にオーラへの感度を刺激しているのだから、策士だと思う。

「通さないよ◆…ってか通れないだろ?」
「いや、そこ邪魔だから通してよ」

そうして絶をしながら三人の間をすり抜けてヒソカの目の前に立つ。
若干股間が膨らんでるのは見なかったことにしよう。

「「「ルクル!?」」」
「おっす、お久しぶり」

そうしてヒソカのオーラの壁を突破してヒソカの後ろに位置を移動させて三人を見る。

「やぁルクル☆ディナーは美味しかったかい?」
「うん、ヒソカが紹介してくれた店、かなりいい味出してたよ」
「だろ♪」

そう、以前の口約束を律儀にも覚えており、一緒には行かなかったが、高級なディナーが出てくるお店で、行く前にどんな店か顔を出してよかった。
ジャージでは絶対NGだったぜ…ふぅ。

「お、おい…ルクル……お前普通に歩いていったよな」
「え?ああ、うん」
「何を…お前は何を知っているんだ?」

ハサンが驚き、キルアが冷や汗をたらしながら俺を睨みつける。
ゴンも冷や汗をたらしながら此方を見ている。

「それについて知るのは私からじゃなくて、後ろの方からのほうがいいかもね」
「「「!?」」」

ばっと後ろを振り向く三人の視線の先には…シャツがはみ出ていていまいちぱっとしない人がいた。そう、ウィングさんだ。

「やめておきなさい…ゴン君、キルア君、ハサン君」

歩み寄るウィングさんは力強い纏を纏っているが、ヒソカはあまり反応を示さない。

「本当の事を…貴方達にお教えいたします」

ついてきてくださいと、ウィングさんが言うが、現在19:40分だ。よってココを24:00までに通らないと…失格でもう一度0からのやり直しだ。
と言っても200階まで来たらまた上ってくるために要する時間はかなり短い。せいぜい数日といったところか。
しかし、案内人がキルアは一回未登録ということでもう一回未登録で24:00を過ぎると…失格となって天空闘技場への挑戦権すらも無くなる。

そのことを心配するゴン、ハサンはしかし、どうあがいてもヒソカの何かを突破できないと悟っているキルアによって
ウィングさんについていくことに決定した。
その際にハサンが何か言いたそうな目で此方を見ていたが…言葉にしないと全く分からないし、念を覚えてなければこのオーラの中で
口を開くのもかなり労力がいる。筈だ。俺はそんな状況になったこと無いので定かではないが…

てかココ原作でもあったようなシーンだったと思うけど…いや、あったな。
前に座っているヒソカを見ればトランプを何処からとも無く取り出して、壁に向かって投げつけている。

「まだ早い…◆」

うん。あったあった原作にあった。確かって言うか確実にあったわ。

「……待つ義理も無いし、私は自室に戻ってるよ」
「ああ☆」

そうしてその場を後にした。




念の修行も本日のメニューは終わっていたので今度こそテレビを見ながらパジャマへ着替えてごろごろしていたら

「やぁ☆」
「うひゃ!?」

まじびびったぜヒソカ…ノックもなしにこられるのはかなり心臓に悪いよ。

「レディの部屋だよ?ノックくらいしたら?」
「これは失礼☆」

そうして先日と同じ場所へ座って此方を見つめてくる。あんまり見られていたくないと言うのは正直な気持ちだ。

「で、何の用?」
「ゴンとキルアと…キミの友達が念を覚えたよ♪」
「そう」

なるほどね、まぁゴン、キルアは原作知っているから分かっていたが、まさかハサンも彼らと同じく才能があったとは…

「といっても、キミの友人は登録を済ませたら気絶してしまったけどね☆」
「え!?」

マジか。そう思ってごろごろしていたソファから身を起こしてヒソカを見る。眼があったけど相変わらず薄気味悪い印象だな。

「くく…まぁ彼も美味しそうだけど、やっぱりボクとしてはゴンとキルアだね♪……二人に手を出したら」
「出さないよ!もう…まあでも不可抗力でなったら見逃してよ?」
「くく…状況次第だ◆」

ま、天空闘技場じゃありえないけどね。次の試合がヒソカとの試合で、その後4敗まで不戦敗をするつもりだ
何故なら、もう一度1階からやってお金を儲けてそこから全焼してフロアマスターへと挑む…訳ない。
そもそもプロハンターなのだからぶっちゃけそろそろっとプロハンターらしく活動をしないといけないと思っている。

ハンター試験が終わって2ヶ月。その間やったことは犯罪者の取り締まりだけだ。
二ヶ月もの間ほっとんど念の修行に費やしていたのだ。ふ…やることないしな。おかげさまで色々開発できたし、自力も上がったから言うことなし!
が、このままで終わるのはちと味気ないのでやっぱり何かを追いかけてみようかなと思う。

その間の止まり木として契約ハンターで力をそそいでみようかなと思う。
ノートパソコンから電脳空間へと繋げる。もちろんライセンスを使用してのアクセスだから無料である

「へー☆いいもの持っているね◆」
「うん、70万位したけど、手持ちで運べるし何処でも接続できるから便利だよ」

そう、この世界のパソコンはくっそ高い。しかも電脳空間に接続する機能を持たせるとさらに上がる。
だからこそ、貸し出しの施設…まぁ今ならインターネットカフェに近いだろうか、それが各地にあるのが常識である。
そうして、電脳空間へと繋げてハンターサイトを開く。一々ライセンスに記入されているナンバーを入力しないといけないのは面倒だ。

「何を調べるんだい?☆」

いつの間にか隣に来ているヒソカを横目に

「ちょっと待ってね」

一旦コーヒーを用意する為に立ち上がり、こぽこぽとコーヒーを入れてきてソファに座る
隣のヒソカにも出す。砂糖とミルクはお好みでね。

「ん~…ちょっと契約ハンターみたいに活動しようかなと思ってね」
「へー♪ボクはブラックリストハンターをお勧めするよ◆キミと相性がいいはずさ☆」
「……いや、考えてたけどね。うん」

そう考えてたけどそれはそれで何か悲しい。否定はしないけどね。確かに相性がいいと思うし。戦闘は嫌いではない。
銃だって拳銃やマシンガンは堅をしていれば普通に無傷である。流石に爆弾は試したことは無いが、死なないと思う。
ライフルは知らないけど、痛そう。……そう、相手が銃を使ってきても問題ないからブラックリストハンターは向いているには向いている。

でも!この世界にはまだ見ぬお宝とか!遺跡とか!生物とか!色々ありそう。でもその中で何がいい?と聞かれたら…
悩んでしまうのが現状だ。ということで、以前した契約ハンター紛いのことを今度は本当にプロとして実践しようかと思っている。

「何か以前どっかのマフィアに誘われたんだよね、ノースだったかノストラダムだったか」
「で、近しいのを探しているわけだね◆」
「そそ…えーっと、の、の、の…これか」

ノストラードファミリーについての項目があり、それをクリックする

『ノストラードファミリーについて知りたいのか?500万ジェニーが必要だぜ?』

という画面内のバーテンダーに吹き出しがあり、はいといいえの選択がある。まぁここは

「はい…と」
『オーケーそれじゃあ聞いてくれ』

と吹き出しがでて、情報が記載されていく。簡単に言うと最近頭角を現したマフィアの一団であり、十老頭直属まで昇進するほどの成長振り。
それの原因がノストラードファミリーの一人娘「ネオン・ノストラード」の存在が大きい。
彼女の予言が尽く当たり、有名な著作人から大富豪までお世話になり、更にはマフィアンコミュニティー内での信頼も大きい。
そこにお金が入って成長を成し遂げたとの事。

さらに、彼女は人体コレクターである。珍しい人の体の一部や、グロテスクなものに大きな興味を示している。

護衛は少数精鋭で殆どが念の使い手である。が、最近規模の拡大に伴ってお金の面では余裕があるが、人材面での余裕が無い。

とのことだ。

「ふーん…人体収集ねー」
「良い趣味だね☆」
「私としては金銀財宝がいいと思うけど、価値観は人それぞれだからねー否定はしないけど、肯定もしないよ」
「それで、どうするんだい?」
「もち、一度顔を出してみるよ」

紹介状もあるしな。一度顔を出すのはいいと思う。そこで雇用主の意向を聞いて試験的に雇ってもらうというのが理想。
というより、オークションの期間内だけの契約を結びたい。その後は更新という形で。
まぁそれが無理だったら契約はしないけどな。だったら念の修行をしていたほうがいいかなと思ってる。

それに、グリードアイランドも一度体験してみたい。そろそろっとメンバーを募集するんじゃないかな?と思っていたが…

「へー」

普通に募集している。次の選考会が…3月21日にねぇ…あれ?再来週じゃね?

「グリードアイランドか☆ボクは興味ないかな♪」

そらそうか。現実が舞台ということを教える必要もないし、俺はソロプレイでほのぼのとカードを集めて行きたいからな。
で、有力カードをゲットしたら交換で数億ジェニーに変えてもらうのがいいなぁ

「ま、とりあえずノストラードファミリーに行って仕事してこようかな」

そうして電脳ページから抜け出して、ノートパソコンにスケジュールを追加して電源を落とした。

「じゃあボクも自分の部屋に帰るよ♪」
「じゃねー」

そうして手を振ってドアからでるヒソカを見送り、コーヒーを飲む
既に冷えていてあまり美味しくなかったが、それでもやはりコーヒー。ぬるくてもそれなりに飲める。

「ふー…どうしようかな」

そうして未来のことで頭を悩ますのであった。





[35501] ハンター×ハンター 18話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:33

「その条件ではいくらなんでも無理だわ」

千耳会でノストラードファミリーの仕事欲しい!と言って駆け込んだが、やっぱ無理らしい。
それはそうか、いくらなんでもふざけた条件だしな。
まず、ヨークシンのオークションが終わるまでの契約はいくらなんでも短すぎる。

俺が実績のあるハンターであれば不可能ではない話だが、プロのハンターでのキャリアは無い。
よって信頼される要素がないに等しい。と言ってもプロのハンター自体中々お目にかかれないからそれはそれでステータスだが…
それでもやはり、信頼できないであろう。

「でも、一つだけ条件が一致している仕事があるわ」
「マジですか」
「ええ、主に護衛で期間は約半年…今から半年だと丁度9月1日のヨークシンシティのオークションと重なるわ」
「それでお願いします。あ、でも5月1日からって出来ますかね?」
「それは交渉と貴方の能力次第ね」

そうしてもらった紹介状には

「レガードファミリーねぇ」

そうして住所が書いてある場所にいった。







「5月1日からか……いいだろう」

とある区域のとある森の中に立っている豪邸。彼らも千耳会からの連絡を受けて既に受け入れの準備が出来ていたらしい。
指定時刻の5分前に着たが既に門前には人が立っており、屋敷を案内してもらい、何処かの一室へと入った。

部屋には数人の屈強な男と渋い顔の壮年の男と、バロガンが横に佇んでいた。その事にルクルは気付き

「失礼します。…バロガンさん、お久しぶりです」
「ってやっぱルクルか?久しぶりだな」

バロガンはタバコを吸っている最中でふーっと息をタバコの煙と共に吐く。
ルクルとバロガンが知り合い同士ということに対して興味を覚えた壮年の男はバロガンに視線を向ける。

「何だバロガン、知っているのか?」
「ええ、一年ほど前に一緒に仕事をした仲です」

バロガンにとっては約一年ほど前に幻影旅団を追い払った戦友である。
そしてバロガンは当時のことを思い出して身震いする。幻影旅団の強さと…それ以上の強さを発揮しているルクルに対して。
バロガンは確信する。ルクルは絶対に合格するであろうと。

壮年の男が視線をルクルに戻す。一緒に仕事をしたというにはまだ幼すぎる。
こっち側の人間で考えれば今の歳なら納得は行くが…果たして本当に強いのかは壮年の男には分からない。
しかも、今月中じゃなくて再来月の頭の5月1日からにしてくれという要求は流石になめすぎている。
だからこそ口を開く

「護衛で一番大事なのは対象を守り抜くための強さだ」

そうして指を鳴らすと…屈強な男二名がルクルの5m前まで移動して、腕を組み佇む

「この二人を倒したら合格にしてやる……殺してもいいぞ」

その言葉と共に開始の合図がされ、左の男がルクルへと近づき大木のような腕が振り下ろされてルクルが座っていた椅子が破壊される。
しかし当のルクルは何処にも見当たらない。

数瞬がすぎた後に僅かに音がした。音の出所は屈強な男の首筋。そして…二人は糸が切れたようにその場で倒れたのである。

「!?」

壮年の男は驚く。ずっとルクルを見ていたのだ。あの少女の口から悲鳴が上がるのを待っていた。
あんなふざけた事を言い出す少女に社会というものを勉強させようと思ったのだ。
普通なら面接を通してから実技という形で採用の合否を決める。しかし今回は相手の造形、声共にトップクラスのものを持ち
かつ、なめた口を聞いてきたので、壮年の男はいきなり実技を始めたのだ。そう。待っているのはいい声で啼く少女のはずだったのだ

だが、蓋を開けてみれば男二人が何と倒れてしまったではないか。しかもずっと見ていたあの金髪の少女が何処にも居ない。
そう思っていると、何処からともなく、壮年の男の傍に姿を現した。それに驚くまもなく

「じゃあ合格ということでいいですか?」

そうして冒頭へ戻るのだ。壮年の男は考える。

(確かになめた口を聞く社会も分からない子供だ。しかし…あの強さはバロガンにも匹敵する)

が、その見解は大きな誤りである。バロガンが100回ルクルに不意打ちで挑んだとしてもかすり傷一つ付けられるかどうかという程離れている。
そう、常軌を逸した成長速度なのだ。一年前なら100回戦えば手傷を負わせることが出来るという差であったが、もう天と地の差である。

その事にいち早く気付いたのは当のバロガンだ。
淀みないオーラは今まで見たことないような力強さでかつ此方を圧迫してきている。だがそのオーラは誰にも向けられていないのだ。
よって気付かない。屈強な男も壮年の男もこの少女の異常性にまったく気付く気配すらない。

だからこの結果は当然とバロガンは考える。むしろ命を取られなくて良かったなとさへ。
何度か組んだことあるルクルに対して恐怖心を植えつけたのはとある美術館の護衛。昼間からの護衛でもあって気を抜いていたが
白昼堂々と強盗組織が殴りこんできたのである。

その際にルクルは相手を無力化していたが、流れ弾で客の一人が死んでしまったのだ。
しかしバロガンにとっては今までよく客を守りながら戦っていたと賞賛に値する仕事ぶりであった
が、その瞬間に流れ弾を放った男の頭を掴んで地面に叩きつけ……潰した。

何のためらいもなく潰したその瞳には何も写っていなかった。
しかし、バロガンは少しだけ分かったのだ。あれは何かを刺激されて激情したということを。
何をというのは分からなかったが、オーラの凄まじさで怒りが限界まで来ているのは感じ取れていた。

そして築かれたのは死体の山と血の海である。
襲ってきた強盗団は一人も生きておらず、全員が体の各箇所を潰されていたり四肢の一部が欠損していたりと眼も当てられない惨状だった。
ルクルは護衛と正当防衛という事で罰せられることはなかったが、凄まじかった。しかし、その後気絶した。

そこからルクルの姿はハンター試験まで見ていなかったが…会った時はこいつは乗り越えたんだと確信した。
しかしやっぱり心の何処かで恐怖心があったのだろう。試験中はあまり話さなかった。といっても、ルクルは同年代の子供達と一緒に居たので
居辛かったというのは否定しないが。

「では、5月1日の15時にまたこの部屋に来てくれ。詳細を伝える」
「分かりました。ありがとうございました」

そうしてルクルはお辞儀をして部屋を出て行った。

「……バロガン」

椅子に腰掛けて、声を掛ける

「なんでしょう?」

タバコに火を着けようと眼を伏せてタバコの先と火が当たっているのを確認して息を吸い込む。
そうして感じる安心感に満足して、そのまま肺から煙を伴った息を吐き出す。

「あの少女と戦ってお前は勝てるか」

それを見計らったかのようなタイミングでそう問いかける。
バロガンはその問いへの結論は既に出ている。

「……ふぅー……100回戦って100回負けますね」
「……そうか」

バロガンは事実を淡々と伝えて壮年の男を見る。
最初は驚いた顔をしていたが次第に表情を戻し、ポツリと呟いた。

「……世の中って奴は、広いな」
(俺は狭いと感じたがね)

二人が感じているのは正反対。しかし、どれも正しい。世の中何が起こるかわからない。だからこそ面白いのである。

「こいつらどうします?」

そうしてバロガンが床で伸びている屈強な男二人を顎でシャクる。

「ああ…まぁ今回は勘弁してやるか」

二人を見て、処遇を決めてから席を立つ壮年の男。

「了解しました…アズワルド様」

アズワルド・レガード。十老頭直属のマフィアの頭であり、麻薬や非合法のカジノ、武器売買等幅広く手を伸ばしている力ある中堅のマフィアだ。
因みに、表での活動は不動産業である。歳は55歳で、世間的には壮年と呼ばれてもなんら不自然ではない。
内輪の人間にはとことん甘いが、外部の人間にはとことん厳しい。だからこそ慕われ畏れられ尊敬される。
だからこそココまで大きくなったのだ。そしてルクルももう内輪の人間に入ったのである。

「ったく…とんだじゃじゃ馬だぜ」

調度品が並ぶ廊下を歩くアズワルドの顔には笑みが浮かび上がっていた。
確かに生意気な子供だったが、言い換えれば度胸がある。何より、実力の底が分からない。
レガードファミリーはあまり武闘派ではない。だが、傘下には武闘派が多い。レガードファミリーは主にそれらのブレーン役を担っている。
しかし十老頭の直属に昇進した為、どうしても「示し」というものが必要である。

そんなときに転がり込んできたのはバロガンだった。実力はレガードファミリー内ではかなり上位。いや、最強だ。
銃弾も数発耐えれる体に、同じく数発銃弾を耐えれる男とどちらが強いか試したらあっという間にバロガンが勝ってしまったのだ。

そして何より頭が切れる。だからこそ信頼を置いていた。そのバロガンさへ、手も足も出ないと宣言している少女
容姿も今まで見てきた女の中では3指に入るほど美しい。声も聞きやすいソプラノの様な透き通った声である。
何より強い。そして度胸もある。そう、気に入ったのだ。

契約的には9月のオークションの終わり頃までだが…出来れば契約の更新はしてもらいたいものである。
無理強いをすれば必ず何かしっぺ返しがあると考える。が、内輪の人間に無理強いはあまりしたくない。

(断られたら最低繋がりを保てればいいほうか)

そう考え、どういった対応をしてどういった関係を作るのかを思い馳せながら、自室へと戻っていった。




















「まぁそんなわけで、5月1日からレガードファミリーって言うところでお世話になる事になった」
「そう☆」

天空闘技場へ戻り自室で念の修行をして、汗かいてシャワーを浴び、部屋にいたら案の定、何処から嗅ぎ付けたのか、ヒソカが入室してきた。
今回はノックがあり、良かったと心から思った。何のことはない。パンツ一丁で冷えたコーヒーを腰に手を当てて飲んでいたのだ。
ノックがなくて急に入室してきたら恐らく自室から飛び降りる。そんなビジョンが浮かび上がってくるぜ。

「まぁヒソカとの対戦は忘れないから大丈夫」
「ボクとしてはそれが出来れば何も言うことはないよ◆」

どうやら既にうずうずしているらしい。股間にあまり眼を向けないでそのままコーヒーに口をつける。
カフェオレはやっぱ志向の一品だな!

「そうそう、今日はゴンが大怪我を負ってしまったんだ★」
「…の割にはえらく機嫌がいいけど」
「くく…彼はやはり美味しいそうだと再認識したのさ◆」
「そうですか」

やばい。ヒソカの息子がテントを張っている。完全に張っている。こいつ、人に目というものを気にしないのか?

「ああ…早くヤリタイ……★」
「程ほどにね」

そうして一日がまた過ぎ去るのであった。







[35501] ハンター×ハンター 19話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:10

『ごらん下さいこの大観衆!』

天空闘技場内の1階フロアに遊びにリフレッシュしに行って、広場にあるテレビを見ると何か今日ヒソカとカストロが対戦するらしい。
そういえば昨日また遊びに来てチケットをくれたな。すっかり忘れていた。

そうしてテレビの近くに見知った銀髪の子供を発見する。キルアだ
くくく…絶をして近づいて驚かせてやろうか。

「おっすキルア」
「!?……ルクルか」

案の定吃驚している。ふははは!俺の絶はレベルが高いぜ!数ヶ月前の俺とは比べ物にならないだろう!…いや、嘘です。すみません。
ほんのちょっと上手くなっただけです。たぶん。うん。


「それで、こんなところでどうしたの?」
「…いや、ちょっと遊びに行こうかなと思ってさ」


そういうキルアは俺をかなり警戒している。
何気ない会話に思えるが、キルアの視線や気、オーラは常に警戒をしている。
……ヒソカか。そうだヒソカだ!イツモイッショニイルヒソカガワルインダー

「そうだ、ハサンがお前を見かけたら教えてくれって言ってたな」
「ふーん…ところで今日のあの試合、キルア見に行くの?」

そうしてインタビューを受けているカストロの映像が流れているがぶっちゃけどうでもいい。

「ああ……丁度いい、ハサンの奴も誘うかな」

閃いた!という感じでいい笑顔で此方を見てくる。

「はいよー。んじゃ客席の出入り口…西の方で待っているね」

というわけで200階闘技場の西口へ向かう。
原作には描写はなかったと思ったけど、あの大勢の客席に対して出入り口が一つだったらかなり大変だ。
よって東西南北に出入り口を設けているのだ。

そこで待つこと15分位。

「ルクル!」

久しぶりに聞いた声のほうへ振り向くとキルアとハサンが此方へ駆けてきた。
相変わらずイケメンである。

「おっす」
「ったく、ハサンは……まぁいいや」
「何だよキルア」

そうして会場へ入場し、手ごろな席に腰を掛ける。座った順は左から俺、ハサン、キルアだ。
既に観客はボルテージが高まっているらしく、ざわついた会場は活気に満ち溢れている。

「二人とも念能力取得おめでとう」
「ああ」
「おう…そういえばルクルは何時頃から目覚めていたんだ?」
「ん~…さぁ……一番古い記憶で3歳の頃で既に使えてたから…それ以前かな」
「マジで!?」

使えていたといっても3歳で漸く物心…というより、親の愛情を理解した歳だった。
しかしそれ以前に使えていたのは間違いないので、念能力取得して既に12年以上も経っているのか…時が経つのは早い。

「ふふん」
「何勝ち誇った顔してるんだよ」
「いやぁ~?」
「むかつくー!」

こっちを向いてむむむとか言ってるハサンを尻目にキルアが口を開いた

「で、ルクルはどっちが勝つと思う?」
「ヒソカ」
「…即答だね。どうして?」

やけに食いついてくるな。何かあったか?まぁいいや

「決まってるじゃん。ヒソカのほうがかなり強い。オーラの質を見れば分かるし、カストロと闘ったことあるけどあんま強くなかったよ」
「へぇー…」

此方を見てくるキルアの眼はかなり挑戦的な眼だ。
しかし俺が言ったことは事実。いくら早かろうと俺はその上を行くし、いくら攻撃力が強かろうとその攻撃は絶対に届かせない。
故に負けはない。確実に。オーラで堅を維持しながら流で部分部分を防御していれば殆どダメージもないしな。

「ま、ヒソカは楽しみそうだけどね」

そうして会場内に視線を向けた。

『さぁーいよいよです!ヒソカ選手VSカストロ選手の大決戦!』

実況が客を煽るように会場内に言葉を届かせる。そこで客のボルテージは最高潮になった。

「凄い歓声だね」
「お、おう…そうだな」

と、何かどもっているが、こいつ大丈夫なのか?顔も赤いし

「ハサン、大丈夫?」
「な、何言ってるんだ!俺はぴんぴんだぜ!」
「……はぁー」

気を削がれたのか、キルアがため息を着いて警戒を若干だが緩めた。
そして会場に眼を向けると、ヒソカとカストロが会話している。

「はじめ!!」

審判の声と共に仕掛けたのはカストロ

「行くぞ!」

力強いオーラを纏ったまま霞む様な速さでヒソカに接近し、なぎ払うような一撃。
ヒソカはひらりと避けるが…ダブルがその後避けた直後のヒソカを攻撃した。

「「!?」」

ヒソカは凝をしていないからオーラの詳細な動きが分かっていない。
というより、せっかく生かしておいた相手を全くチェックしていないとか……まぁヒソカらしいといえばヒソカらしい。

『まずはカストロ選手の先制打が炸裂ー!!』

ううむ、一ヶ月前より確実にレベルアップしている。ダブルを出す時間がかなり短縮されている。
前は攻撃する前にダブルを出していたが…

「…ヒソカさっき避けたよね?」
「うん」
「……」

周りの観客はカストロがヒソカに膝を着かせたことによる衝撃で興奮しているようだ。
かなりうるさい。
そして攻防が始まるが…ぶっちゃけヒソカなら簡単にやり過ごせる攻撃の数々だ。
バンジーガムを使えば無傷での勝利も不可能ではないのに…やはり楽しみすぎである。

「気のせいかな?キミが消えたように見えたが…◆」
『そーです!消えたんです!そう見えたんです!』
「…ルクルは分かるのか?」
「うん。一度闘ったし」
「そうか」

そうして集中して試合を見始めるキルア、それに続きハサンも試合を食い入るように見ている。
ヒソカの考察が始まる。かなり核心に迫る推測だ。カストロは強化系それは彼の性質を見て判断できる筈。
と言っても俺も原作を見ていなかったら見抜けていなかったに違いない。

まさか強化系が具現化系に属する発を取得するなんて考え付くのは恐らく難しいだろう。

「出たぞ虎吠拳!」

観客がそう言葉に出すと、ハサンはそれが何なのか分からないらしく

「虎吠拳?」
「ああ、ハサンは知らないのか。虎吠拳は掌を牙や爪に模し、敵を切り裂く拳法」
「かなりの威力があるよ」

キルアの説明にコメントを付け足す。俺も受けたがまぁ十分にやり過ごせる。ただ、あの時はオーラを集中させたから大丈夫だったが
もししていなかったら頬を削られていたのは必須だったな。

「そういえば、何処まで念を覚えた?」
「纏だけだな」
「同じく」
「そっか、これから先まだまだ長いから頑張ってね」

そうして会場に視線を向けると…ヒソカの腕が宙に舞っていた。


「!?」
「な!?」
「……」


キルアが驚き、ハサンが声をあげ、俺は無言で見る。
こんな場面は戦闘しているときに幾度かあったが、自ら腕を差し出すあたり、狂気を感じる。
しかし、それのおかげでヒソカは念能力の正体を突き止めた

「キミのダブル…だろ?」
「……流石だな、その通りだ」

そうして会場に現れるもう一人のカストロ。会場がざわめく

「念能力はあんなこともできるのかよ」
「うん。まぁ何が出来るかは人それぞれだよ」
「ルクルも、使えるのか?」
「念能力ならね。あのダブルは流石に出来ないけど」

ダブルはでもやろうと思えば出来る。けどあんまり意味がない。
それだったら腕をもう一本具現化させて攻撃していたほうがよほどメモリの容量を圧迫しない。

「ヒソカの野郎…これからどうする気だ」
「さぁ…まぁ勝つ気だろうけどね」
「……異常だな」

そう異常だ。常軌を逸している。前も吹っ飛ばして治って帰ってきたが…それでもマジでいかれてる。
そしてヒソカが観客に手品を披露してそのネタを切断された自身の腕の中に仕込むほどのいかれ具合。

「…流石に、これからの付き合いを考えようかな」
「最初から分かれよ」

ハサンに突っ込まれた。まぁこれを見たら仕方がない。客もドン引きしている。
しかしそれもヒソカの戦術の一つ。…というより勝ちへの布石である。
トランプには既にカストロへとオーラが付着しており、これはもう明らかに詰んでいる。

そうしてカストロがそれに気付かずにヒソカの残っているもう一本の腕を切断した。

『何を考えてるんだーこの人は!?』

実況は尤もなことを言っている。残った腕を差し出すなんて、普通なら考えられない。いや、どうあがいても考え付かない。
だが、彼が攻撃する瞬間にひっそりと右腕をバンジーガムとドッキリテクスチャーで擬似的にくっ付けて

「本体で来たらこっちでカウンターをしてあげたのに」

そうして切断されたはずの右腕を見せる

「どういうことだ…?」
「あれも念能力。それは確か」

そう念能力だ。そうじゃなきゃ説明できない…しかし、カストロが仕掛けて攻撃が当たるという間に修復した速度はかなり速い。
恐らく、常任には何が起きたのか全く分からないはずだ。

そして、既にダブルはヒソカに通用しない。


カストロがダブルを用いてヒソカに仕掛けるが…凝もしていないのにカストロを見破る。

「な、何故分かったのだ!?」

動揺するカストロ。そらそうだ。……というより一目で分かる。

「ダブルを作るにはかなり強いイメージが必要になってくる…だから「汚れ」まで再現するのは至難★」

そうして、ヒソカはここで初めて攻撃的なオーラを纏い

「予言する…キミは踊り狂って死ぬだろう」
「うわああああああああああああああ!」

カストロが翔る虎咬拳でヒソカの首を取りに行くが…会場から良く見える。
バンジーガムで勢いよくカストロの顎目掛けて飛んでいき…ヒット。
ふらつくカストロに、最後の言葉での追い討ちを掛けて、トランプに予め纏わせておいたバンジーガムを発動させてカストロを攻撃していく

そこでカストロは腕を捨てた。

胴体の重要な機関にオーラを集めてヒソカのトランプを見事防いだのだ。

「へぇ…♪」

にやりと笑うヒソカはどこか嬉しそうだ。しかし…カストロはもはやまともに立つことが叶わない。
何故なら、顎に攻撃を受けて脳が揺さぶられているからだ。そしてやはり結末は代えれないと俺は確信する。

「でも残念◆飽きた玩具に興味は……無い」

その言葉と共にカストロの喉を目掛けて物凄い勢いで何かが飛んでいく。そして…首の動脈が切れて今度こそカストロは地に伏したのだった。
天井までいって舞い降りてきたのは、ヒソカが右腕に仕込んでいたトランプ。カストロが拒んだあのトランプがカストロの命を奪ったのだ。

「…」
「…つえぇ」

試合が終わり観客が疎らになっていく。しかし俺達は動けないでいた。
いや、正確に言うとキルアとハサンが動けないでいた。

「念能力は奥が深い」

そうして話し始めた俺に視線を移す二人

「まだまだこれからなんだよ」

そうして俺も席を立って会場を後にする。その前に

「私は4月20日にヒソカと闘う。ま、暇だったら見に来てね」

その事を確かに伝え、場を後にする。二人は俺の円の範囲外になるまで、ついに動かなかった。




[35501] ハンター×ハンター 20話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:07


4月20日 PM 07:00

その日の天空闘技場は今までにない程のボルテージに包まれていた。
その発信源は天空闘技場200階の会場。客席は既に満員で、立ち見の客も会場内にいっぱいいっぱいである。
之ほどまでの動員数は過去に類を見ない。会場を映し出しているテレビの前も人だかりが出来ている始末だ。

そして全員が今日のメインディッシュを待ち望んでいる。

『す、凄い動員数です!過去に類を見ないほどです!』

まだ開始まで1時間以上時間に余裕があるはずなのだが、これほどの人数が待っているのには理由がある。

『やはり本日の200階クラス最終戦。ルクル選手VSヒソカ選手の試合に期待が高まっているようです!』

1年程前に対戦したことがある二人は伝説を作った……悪いほうのである。
会場と客席がクレーターを作るほどの衝撃でぼろぼろに崩れている部分が多々あり、200階の3分の1は損壊していた。
しかも、それが試合中であればまだ納得できるが、審判がヒソカに勝利宣言をした後でも戦闘を続行したため更に損壊がひどくなったのだ。

だが、それほどまでに凄まじい試合であったのは確かである。
しかもそれは映像媒体や記録媒体に全く残っていないのだ。故にその試合を知らない人間は興味をそそられる。
だからこそこの動員数だが他にもヒソカの試合とルクルの試合のファンが動員しているのも上げられる。

そのぎゅうぎゅうに詰まった会場の中に少年が三人とシャツがはみ出た青年が一人。
キルア、ハサン、ズシ、ウィングの計四人である。

「すげぇ動員数だな」

そう声を上げたのはハサン。周りの人をきょろきょろ見ながらそう呟く姿は都会に来た田舎の人間とあまり変わらない。

「それはそうですよ!ルクル・リーデットといえば200階クラスで圧倒的な実力を持っていますからね!」

凄いっス!と感嘆の声を上げているズシの瞳はまだ始まらないのかとうずうずしているようだ。

「へー…やっぱりルクルは強いんだ」

ズシの言葉に返すのはキルア。ハンター試験からルクルの事を強い奴かもと認識していた。
それも今日、この日に全てが氷解する。自分達の同期がどんな実力を持っているのか。
ヒソカは強い。それは揺ぎ無い事実である。いかにキルアがゾルディック家の歴史の中で最も才能に恵まれていようとも、実力差は埋められない。

「しかし、ヒソカも強い」

視線を会場に向けたまま呟くのはウィング。彼は見ていたのだ。ルクルとヒソカが試合をした日、丁度彼もその客席に赴いていたのだ。
当時、ルクルは美少女である点を除いては、そこまで強いという印象はなかった。念は使っていないが、垂れ流されているオーラから十分、念能力者と予想が出来た。
しかし、体術や戦闘技術はまだまだ発展途上だと感じていた。

が、その試合を見て全ての認識を改めなければいけないと感じた。

まさに狂気であった。最初の立ち上がりから尋常じゃないほどの速度での攻防。遠くから見ているにも関わらずに霞んで見えたその動きは当人達にはどう見えていたのか
考えただけでも恐ろしい。そしてルクルが見せた念能力はまさに瞬間移動そのものであった。遠くから見ていたから分かったのだ。彼女は瞬きをしていないのに既に移動していたのだ。
恐ろしい能力だと感じた。そしてヒソカのセンスもありえない程のものである。

そしてルクルが溝に攻撃を受け、場外へ吹っ飛んだ時に会場が魔窟と化した。

彼女が叫んだ後に噴出した禍々しいオーラはとてもこの世のものではない。そのオーラ量も尋常じゃない程の量で「錬」が地面に影響を与える程の密度。
ウィングは直視できなかった。そう、恐ろしかったのだ。死の恐怖は経験したことある。ウィングも修羅場を数は多くないが、それなりに経験したのだ。

だが、それすらも鼻で笑えるほどの恐怖が自身を覆い尽くした。死の恐怖ではない。実際死んだと感じたほどのイメージが強烈にウィングを蝕んだのだ。
他の客はオーラが見えないから、そこまでの物を感じなかったであろう。直接客に作用していなかったのもそう予測が立てられる。
だが、何かがおかしいというのは誰の眼で見ても明らかであった。

そこからの攻防は本当に同じ人間が行っているのか疑問が浮かぶほどのスピードであった。

そして狂気。

あの試合は思い出すだけで身震いするほどのものだとウィングは感じている。それほどのものだったのだ。


『さぁー試合開始まで残り10分となりました!両選手に入場してもらいましょー!』

歓声が実況に答えるかのように響く。まるで地面もそれに呼応しているかのようにほんの少しだけ揺れる。
そして、その歓声を背に先に現れたのは金色に輝く長い髪を二つの黒い大きなリボンで括っている少女。
背は160cm、体系は女性のそれである。出るところは出ていて引っ込んでいるところは引っ込んでいる。

「ルクルちゃーん!」

客席のそこかしこから彼女の名前を叫ぶ声が聞こえる。彼らは恐らくルクルのファンなのであろう。
顔は整っており、10人が10人美人といえる顔で、吸い込まれるような赤い瞳。すらっと伸びた手足は艶を感じる。

『まず入場してきたのはルクル選手!2年程前にこの会場でヒソカ選手と戦い敗れましたが、果たしてリベンジなるか!?』

身にまとっているのは2年前に着ていた物とは若干違うが、ゴスロリチックな衣装である。
それには理由がある。本人曰く何かしっくり来るらしい。しかし念の戦闘においてそれ以上にいい評価は無い。
心で納得することが、精神にプラス方向へと働きかけるのだ。故に動きが良くなる。

……本人の趣味が若干混じっていることは本人も否定しないが。因みに普段はもっとラフな格好である。

「うおー血を見せろ!」
「女の血ー!!」

その歓声が聞こえたときに姿を現したのがヒソカである

『そして、ヒソカ選手の入場です!現在8勝3敗の成績ですが敗れたのはまだ不戦敗だけという試合に出れば負け無しの伝説は今日で崩れるのかー!?』

相も変わらないピエロ衣装にメイク。
しかしそれこそが「ヒソカ」を構成するファクターの一つである。
ルクルの反対側のゲートから歩いてくる姿は堂々としているもので、股間も既に臨戦態勢である。

二人がリングへ向けて歩く。

そうして対面する。丁度1年前の時と同じ位置、同じ方角で。向かい合ったまま二人は動かない。

『さぁ、いよいよ始まります!ルクル選手VSヒソカ選手の因縁の対決です!』

そこで歓声が爆発する。大気が振るえ、ボルテージが最高潮へ達した瞬間だった。

「2年位経ちましたっけ?」

ポツリと口にするルクルの表情は若干俯いているため表情は伺えない。

「もうそんなに経つかな?でも、ボクにとっては長い時だったよ★」

髪を掻き揚げて思案するヒソカだが、悩む必要すらない現実を目の前にしている為、彼は気にしない。
彼は壊しに来ている。ルクルを壊しに来たのだ。高く上がったトランプタワーの頂点をほんの少し押して崩す快感。
そのタワーが高ければ高いほどいい。そうして待ったのだ。この一年の間。高く積みあがるのを。

「さあ…ボクを感じさせておくれ◆」

その瞬間にヒソカはオーラを纏う。纏ったオーラの力強さはネテロに匹敵するものがある。そしてその禍々しさは昨年よりも更に凶悪化している。

「何と言うオーラ…」
「「「…」」」

そう零したのはウイング。ウイングは予想する。この試合も只ではすまないと。
絶句するのはキルア、ハサン、ズシである。彼らが纏っているオーラは足元にも及ばないほど強い力を発していることが一目で分かるほどのオーラ。
そして、客席からでも伝わるオーラの異常性。彼らは恐怖したのだ。

「ふふ…」

小さく笑う彼女の口元には笑みが広がっているのは明らかだが。
顔を上げた彼女の表情はどこか異質。満面の笑顔の筈なのだが何処かずれている。
そう、狂気的な笑顔。何かを壊すときに覚える冷酷な笑み。

「実に心地よいオーラだよ、ヒソカ。……出し惜しみ無しで行くよ」

その瞬間にルクルもオーラを纏う。体の奥底から噴出する禍々しいオーラはネテロ以上の量を孕んでおり、一目で…いや、遠目でも危険と判断できる。
一流の念能力者ですらも恐怖を覚える二人のオーラはまさに狂気。そして恐怖。

「な、なんだよ…これ。る、ルクル…なのか?」

ルクルのオーラと彼女を想っている心が矛盾を生みハサンは呆然と疑問を口にする。

それに答えるものは…誰も居なかった。


「始め!」

審判の声と共に二人の姿は掻き消えるように相手へ向かい前進する。

スピードで勝ったのはルクル。
一瞬でヒソカの懐に入りそのまま神速の抜き手。以前見せたカストロとの戦闘で見せた抜き手よりも速い速度でヒソカの胴体へ空気の壁を切り裂きながら迫る。

その音速と同等の速さに反応するヒソカの勘は冴え渡っている。その抜き手を左斜めに一歩前へと踏み出し、半身をひねって最低限の動きで回避。
その後、捻った反動をつけながらルクルの顔面へ回転をかけた蹴りを繰り出す。軸足になった地面から煙が出るほどの遠心力を伴った一撃。

ルクルは頭一つ屈み回避に成功してお返しに軸足を蹴り上げる。
流石のヒソカも一本足での回避は不可能。よって空中へ打ち上げられる。
それを追いかけるようにルクルがジャンプし、体が一番高く上がった場所まで追いつき、体を回転させてヒソカの顔面を蹴りぬく。

筈だったが、地面にバンジーガムを既に着けていた為、空中で移動しルクルの回し蹴りを回避する。
回避した先にある地面が空圧に負け、大きなハンマーを地面に向かって振り下ろしたような音を発しながら床が陥没する。

「いい蹴りだ★」

空中で自身の気持ちを吐露し地に下りたヒソカは、宙で回避行動が出来ないルクルにバンジーガムを放出するが彼女の姿が消え、ヒソカの背後へと姿を現す。
【ジャンプ】を使い、瞬間移動した後の攻撃はまさに光。しかしヒソカは之を予期していた。
金属が電動鋸で切断されているような不快な音がヒソカの背後で高鳴る。ルクルの右手に顕在オーラを全て集中させ、圧縮した為のオーラの振動による音である。
その不協和音が耳に届いた瞬間に、ヒソカは衝撃を受けた。



吹き飛ぶその体にはあまりダメージが無い。それもそのはず。ヒソカは打撃に対しての大きな防御力を発揮する能力がある。
【バンジーガム】だ。オーラを粘着性がある物に変化させ、伸縮自在のバンジーガムは何も相手を引き寄せるだけの能力ではない。
圧倒的な威力を誇るオーラを伴った打撃から防御してくれる粘着性で衝撃をかなり押さえ込ませ、自身へのダメージを最小限へとさせる。

「ヒット!1ポイント!ルクル!」
『な、なんという攻防でしょう!空中での回避はもはや人間業ではありませーん!』

ヒソカは宙で体制を整え、地面に着地したのと同時にルクルも地へ足をつける。
トンと、ほとんど音もなく着地する姿は優雅で見るものを魅了する。

「流石」
「キミも★」

同時に踏み込む。双方の加速するため蹴った地面が抉れる程の踏み込みで姿が掻き消えて中央で衝撃が生まれた。
瞬時にリングの端で衝撃が続き、反対側の所で漸くヒソカの姿が捉えられる。その後ろからヒソカの左肩を抉るように踵落としを決めるルクルが姿を現し
ヒソカの左肩に決まる。衝撃音と共にヒソカ居た場所を中心に亀裂が入り、地面が蜂起する。

しかしヒソカはバンジーガムを上手く使い、衝撃を地面へと逃がす。さらに、今度こそルクルをバンジーガムで捕らえる事に成功し

「これでキミは逃げれない♪」

ヒソカはルクルの右足を掴み地面に叩きつけるように振りぬく。
そこで掌からルクルの右足の感覚がなくなり、リングの中央へ姿を現した。
それを視認する前に既にバンジーガムによるオーラの伸縮作用でルクルを自身のほうへ引きずり込む。

ボレーキックの容量でルクルに一撃を入れようと足を振り上げようとした直後に、その足から鎖が巻きつき動きが押さえ込まれる
そのまま鎖ごとヒソカの足を砕くように閃光の速さで姿を現したルクルに対してバンジーガムをすぐさま切り離し、念の弾に変えて打ち出す。
それを弾くようにルクルが行動したのと同時に死角から、逆足でのカウンターをルクルの横っ腹に繰り出し、蹴りぬいた。

「うぐ!」

呻き声と共に轟音を上げて吹っ飛ぶ筈のルクルが…ヒソカの頭上に姿を現し逆に蹴りぬこうとするが、バンジーガムの障壁を越えられずにヒソカのガードが間に合う。
しかし、鎖の効果はまだ続いている。更にルクルが飛んで頭上をガードしている腕を掻い潜り、硬によるストレートを決めるが

「甘い★」

恐るべきはヒソカの能力と絶対の自信。ほぼ無防備でルクルの硬によるストレートを受けたというのに、バンジーガムで肋骨の一部に皹を入れる程度に抑える。
地面を立ちながら衝撃を抑えるようにリング中央へ向かって地面を滑っていく。が、その後ろには既にルクルが空中でヒソカの後頭部を蹴りぬくためにジャンプしていた
そして振りぬかれる足をヒソカは後ろを向きながら右手に硬によるオーラの集中とバンジーガムの伸縮で受け止める。

ダメージは全て吸収され、粘着性のものが潰れた音が双方に届く。
が、ルクルは勝利を確信した。既に、右手、右足、胴体へ三度攻撃しているのである。
ルクルは空中で足の裏をヒソカに向けてオーラによる爆発を起こし、距離をとる。

『な、何がどうなっているのでしょうか!?もはや双方が何をしているのかがまったくわからーん!』
「ヒット!ヒソカ!1ポイント!」

審判が下したジャッジはヒソカがルクルを蹴った際のものだ。
客席からも霞んで見えるその攻防は、観客を大いに沸かせた。

「「「…」」」

キルア、ハサン、ズシは絶句である。キルアに至っては確実に勝てないであろうとも悟っている。
念を極めれば対抗できるだろうが、それでもかなり厳しい戦闘となりえる。
ウイングよりレベルが高い念能力者同士の戦い。双方の発は単純明快なもの。

しかしヒソカは工夫と経験で様々な用途に使う。防御から攻撃まで全て【バンジーガム】で賄えるほどだ。
それを可能にしているのはヒソカの才能によるものでもあるが、やはり実戦経験がものを言う。
そして今まで見てきたものも全てあの念に含まれているのだ。

故にバリエーションが大きい。だからこその【バンジーガム】なのだ。

「三人ともよく見ておきなさい……これが念能力者のトップレベルの戦いです」

冷や汗を垂らし、会場を見据えたまま三人に言葉を放つウイング。その眼には驚愕がありありと映っていた。


「くく…★」

ヒソカは思案する。ルクルに対しての決定打が与えられないということを。

(彼女の瞬間移動はマーキングを基点にするもの…しかし、かなり巧妙に隠で隠してあり、凝を行えば見破れる…★)

ルクルはマーキングを隠で隠し、更に自身でそのマーキングを消したりして巧妙に位置をずらしたり、隠したりしている。

(凝による発見は至難だね、オーラの攻防力が眼に行く隙を彼女が突かないわけがない◆)

凝を行いながらの戦闘は実はかなり困難を極める。何故なら顕在オーラに限界があるから。
凝によるオーラの移動は隠のレベルが高ければ高いほど数量は多くなる。オーラの量イコール力と換算できる。
しかしそうすると、体のオーラが眼に集中し攻撃を受けきれない。

ヒソカとルクルのオーラの差はおよそ2.5倍。ヒソカも量が大幅に増えているが、ルクルもそれ以上に増えている。
仮にヒソカのオーラによる攻防力を80とし、ルクルの攻防力を40とする。
そうすると、ルクルのオーラがヒソカの2.5倍だとすると、ルクルの攻防力は100

100-80=20の差が出る。これは大きい。

そしてそれはバンジーガムで漸く拮抗できている状況の中、ルクルのマーキングを消す為に凝によるオーラの移動を行うと…

(ボク自身の破滅に繋がるという訳か★)

ルクルはマーキングや、【ジャンプ】の全てが露見すれば痛い所だが、仕組みだけが露見するのは構わないと結論を出している。
何故ならマーキングを消すためには二つの工程を踏破しなければいけない。
一つは、凝によるマーキングの発見。二つ目が、オーラを手か物に纏わせて擦る作業。

この二つを「0秒」で出来るのであれば全く問題ないが、万物の理が適応されている中でそれはまず不可能。
仮に時間を止めることが出来れば可能であるが…だったら時間停止の中で相手を倒したほうがよっぽど効率的である。
よって仕組みが露見することは構わないのである。

これが強化系ならまた話が違っていたであろうが…ヒソカは自分の能力と冷静に向き合い、瞬時に結論を出したのだ。

そして結論を出したのにはもう一つの理由がある。

それはルクルの【チェインカースト】の付随効果。最大顕在オーラの15%減少によるもの。
ヒソカは15%という具体的な数字は把握していないが、それでもオーラに力強さが戻らない。
恐らくカストロ戦で用いた念能力によるものだと結論を出す。

(カストロ戦で使っていたのは二箇所だ◆恐らくボクの右手、胴体に鎖の種は仕込まれている…)

ヒソカは先ほど上げたオーラの攻防力の前提が崩れたのを悟る。
だが、ヒソカは自身が勝つと自負をしている。故に引かない。

ヒソカが爆発的な加速と共にルクルに接近する。
それに合わせてルクルがハイキックを繰り出そうとしたところでヒソカの右側に姿を現す。
すかさず先の攻防でつけた軸足のバンジーガムを引き寄せて、バランスを崩させる。

そこで右手をルクルに向かって打ちつけようとするが、鎖が巻きつき動きを強制的に停止させた。
その瞬間にバランスを崩した姿勢を利用して、ヒソカの胴に目掛けて蹴り上げる動作を既に完了させたルクルが姿を現し
まさに時間差無しでの攻撃が入る

「ゴフッ!?」

そのまま背中へ瞬間移動し、打ちあがる力と逆方向の力。つまり地面へと叩きつけるようにヒソカの背中に踵落しが決まる。

「ガハァ!?」

轟音と共に地面へ叩きつけられそのままクレーターが出来るほどの衝撃波が会場を襲う。
瞬時にルクルが距離を置く。

「クリティカルヒット!アンドダウン!ルクル!3ポイント!!」

しかし、最後の踵落しはぎりぎりバンジーガムが間に合い、背骨へのダメージは免れたが
アバラの骨で皹が入っていた箇所が完全に折れることをヒソカは自覚した。

「終わりです」

その言葉と共に【トライアングルカースト】がヒソカの全身を覆う。
しかし、ヒソカは笑う。確かにオーラが上手く練れないし、体が上手く動かせない…しかし、まだ足りない。
そう、まだ「念能力」が使えるのだ、ヒソカは。

ヒソカの頭上から硬による踵落しが顔面に入る……直前に

「くく…右腕ならくれてやるよ」

その言葉と共にルクルの踵が右肩に僅かにずれてそのままヒソカの腕を切断する。

「!?」

驚いたのはルクルである。動きやオーラも纏しか纏えないはずなのにという驚愕がルクルを埋め尽くす。
そして、右腕がルクルの顎を目掛けて飛来してきた。
そのことを認識するのが若干遅れた。それが命取りである。

確かにルクルは【ジャンプ】の前後だけだが時間圧縮という芸当が出来る。
しかし、この現象は走馬灯に似ており、脳がフル回転し、集中力が普段の何倍、何十倍にもなっているからである。
だから「認識外」や「不意打ち」という自体には反応が若干遅れてしまう。

そう【ジャンプ】をして回避する。という意識を持つ前の攻撃は通常通りに攻撃を受けてしまう。
だからこそ、横腹にも攻撃を受けてしまったのだ。死角を突いたから、認識できなかったのだ。

だからこそ、ルクルの顎にヒソカの右腕が飛来し、脳を揺さぶる。そして「自由になった左腕」でルクルの溝にストレートを決めて吹き飛ばす。

「ごふ!?」

そのまま、リングを転がり止る。

「クリティカルヒット!アンドダウン!ヒソカ!3ポイント!!」
「おえぇえ」


びちゃびちゃと胃の中の物をすべて吐き出すルクル。

なぜヒソカは攻撃できたのか?それは【バンジーガム】の伸縮を利用し、鎖を強引に体から引離したのだ。
方法は簡単である。具現化した鎖に自身のオーラを纏わせ【バンジーガム】にする。それらを地面に伸ばして、強引に引き剥がしたのだ。

ルクルは特質系。よって具現化の力は80%しか力が発揮されない。ヒソカは変化系。よって変化の力は100%発揮される。

その結果であった。しかし、纏しか纏えないのは事実であるため、オーラによる攻撃力は皆無に等しい…が、人体の弱点である溝を数トンもの重量を持ったパンチで
15歳の少女の体が耐え切れるはずがなく、先の結果に繋がったのだ。

そして十秒程時間がたち、ヒソカの動きを抑えていた鎖が全て解かれる。

「くく……簡単に壊れてくれるなよ◆」

そうして平衡感覚が戻っていない溝を押さえて地面を転がっているルクルに蹴りを入れる。勿論、同じ溝にだ

「ごふ!?」

衝撃音がして、ルクルが場外へピンボールのように弾け飛ぶ。そして壁面に叩きつけられて吐血をする。
既にルクルの体内に残っているものはなく、胃液と内臓からの出血での吐血であった。

「クリティカルヒット!アンドダウン!ヒソカ!7-4!!」

そしてそのままカウントを取る審判

『おおーっとルクル選手!カウンターで急所に攻撃を受けて立ち上がれなーい!このまま終わってしまうのかぁ!?』

客席から立てー!や、まだやれるだろー!という大きな声援や罵声が届く。
しかしルクルは動かない。そしてカウントが9になり、10に届こうとしたとき、姿を消しリングの上に姿を現した。

「…美しい……」

口から吐血し、汗で髪が顔に張り付き、溝を押さえて荒い呼吸を繰り返すルクルを見てそう呟いたヒソカ。
そして嘲笑う。これだから壊す時の快感は最高だと。既にヒソカの股間はこれまでにないほど膨張していた。

「ルクル……」

ハサンは呟く。いや、呟くことしかできない。仮にあのリングへ助けに行ったとしても、助けれず殺されるのが落ちである。

「…クソ」

歯噛みする。自身の才能はキルアとゴン以下である。しかしそれはウイングに既に指摘されている。何より、纏を纏うまでの時間が彼らより長く掛かったのが何よりの証拠。
しかし、その事実がなんだという気構えで熱心に念の修行に取り組んだ。だが、今自身の才能があまりないと言う事にどうしようもない憤りを感じている。


だから、祈るしかないのだ。


「あの世で先に待っていてくれないかな★」

そうしてトランプを手にしてゆっくりとルクルに近づいていく。

一歩一歩、確実に。

会場が静寂になる。それは緊張によるものだ。

そうしてルクルの首にトランプが当てられる。

「くく…断言しよう。ボクの生涯の中で最高に美味しかったと♪」

そして首を掻き切ろうとした瞬間




ヒソカの胸に見たこともないような剣が刺さっていた。




正確には心臓である。

「…何?」

俯いていたルクルの顔がヒソカを見据えるように天を仰ぐ。そして、その血に塗れた唇から微笑が零れた。

「ふふ…」
【ジャッジメントブレード】

発動した瞬間にヒソカの全身に鎖が巻かれ、さらに剣が光の鎖に変わり、体内へ入り込む。そして、オーラを全て体内に引き戻す。
ヒソカを覆っていた禍々しいオーラが無くなり、完全に絶の状態になった。

「ショータイム」

その言葉と共に、ヒソカを蹴りあげて上空へと飛ばす。
すかさず【ジャンプ】で蹴りあげた先に飛び、踵落としで背骨を真っ二つに折る。
そこから空中で【ジャンプ】を維持しつつ、ヒソカをエリアルコンボで至る部分に攻撃を加える。

そして最後に、硬による極限まで圧縮したオーラをそのまま衝撃波に変えて両手を突き出し、ヒソカの胸に添える

「これで…終わりだああああああああ!!」

獅子の様な咆哮の衝撃音がして地面へと叩きつけられたヒソカ。中心にクレーターが出来るほどの威力を有しており、そのままヒソカは…動かなくなった。

「け、KO!勝者!ルクル!!」

大歓声がルクルを包み込んだ。






[35501] NARUTO 1話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 21:59

始めまして。私の名前は■■ ■■だ。何?上手く聞き取れないだって?…まぁいいじゃないか。
それよりもだ。私は実に奇妙な体験をした。単刀直入に言うと「転生」をしたのだ。
まぁ前世に何の未練も無い。両親は既に他界し、親族もそれほど私とは懇意ではない。
彼女もいなかったし、当然結婚もしていないしな。

ただ…私は正直に言おう。オタクだったのだ。でだ…色々な文庫本の続きやゲームの新作等々だけは未練たらたらである。そんな未練が残っているのかどうか分からないけど…

「今日から貴方は、うちは アヤカよ?宜しくね?」

これである。

余りにも突然のことだから、一瞬意識を失ったけどね。その後号泣。何故だか知らないけど泣いてしまった。一瞬前世の両親が映ったけど…まぁいっか。しかし、うちはか…珍しい苗字だな。

と、思っていた時期がありました。

結論から言おう。NARUTOの世界のうちはだった。…これはないんじゃないの?死亡フラグぴんぴんだよね?…だってNARUTOの世界でうちはといったら、虐殺でしょ?生き残れるはずがない。


そう思っていた時期がありました。


どうやら、うちは サスケの双子の妹として生まれたらしい。
ふははは!!ブラコンイタチでなければ、死なない可能性が大だ!いける!
そして生きて、楽しい人生を歩むんだ。どうせ忍びだけど。

しっかし、うちはかぁ…どうにかして虐殺の時に知らないうちは一族から「眼」でも刳り貫いておきたいなぁ…主に今後のために。万華鏡写輪眼に覚醒した際には視力が落ちない特典が付くからな。この死亡フラグ満載な世界を生き残るには他人の屍を踏み越えて行くしかないと思うのですよ。…あれ?万華鏡になった目を移植しないといけないんだっけか……まぁいいや。


尤も最大の理由は…せっかくこの世界に来たのだ…死亡フラグ全てを乗り越え、楽な生活をしたいです!


とりあえず現状のステータス確認だ。まずは、チャクラなんだけど…大量にある。らしい。
少なくとも、両親とイタチを驚かせるレベルだ。これはラッキーだ。当面はチャクラを練り、コントロールの術を磨くことを意識しよう。

術は多重影分身と千鳥と分身の術の印は原作にもあったから覚えている。…け、決して一人暮らしだからって練習したわけではないぞ!……いやぁ誰にも見られないとね、やっちゃうよね。

まあ、まずは分身の術でどのように術が作動するかプロセスを覚えてから影分身に挑もうじゃないか。
しっかし…ちらっと横を見ると私と同じように眠るこのサスケは原作通りに育つのかなぁ…あの捻くれ具合はちょっと遠慮したいけどな。まぁ子供らしくていいと思うよ。うむ。

さて、うちはの血継限界「写輪眼」まずはこいつの取得と、医療忍術の取得。そして…同族の「眼」の取得。この三つを何としてでも虐殺前に手に入れる。最悪虐殺最中である。むしろ、この期間しか「永遠の万華鏡写輪眼」を手に入れられない。

なぜ、ここまで強さに拘るのか。…決まっている。これから起こる事件に巻き込まれる可能性があるからだ。確かに、回避しようと思えば回避できるのかもしれない…が、可能性があるのだ。であればだ。それらに備えておくべきである。

ただ…原作を全部読んでいないのでぶっちゃけ分からん。飛び飛びで木の葉崩し位までしかあんま覚えていない。後は二次創作での知識かな…。まぁその程度しかないので力がないと生き残れない。
女という事で色々されるのも嫌なので。絶対に強くなってみせる。

まずは、写輪眼の眼を移植するための忍術だ。下忍でもどたばたしていた時に出来たんだ…二次創作からの知識だけど。恐らく其処まで秘密にされている忍術ではない。が、医療忍術だと思われるので正確なチャクラコントロールが必要になってくる。故に、特訓が必要である。

それを効率良くするのには、影分身が必要だ。隣にサスケが寝ているが…ばれないように影分身と共にチャクラコントロールの訓練でも行おう。…まぁ両親にはばれてもいいけど……まずはハイハイで壁を登ることだな。っと、その前に忍術…分身の術を試してからだな。

イタチには見つからずに行こう。それと、あまりサスケに干渉しないスタンスで。まぁ、ばれてもいいけど。とりあえず、自分の事を第一で考えなければ死が待っている。それ程の危機的な状況と思われる。
万が一イタチが虐殺時に殺しに掛かってきたら、対抗するとなると最低でも万華鏡写輪眼を開眼させていなければならない。

しかし、時間はあまりない。とりあえず出来ることから始めていこう。

そうして2年が経った。

「イタチ兄さん、卒業おめでとう」
「おめでとー!」
「ああ、ありがとう」

そう、イタチ若干7歳で忍者学校を卒業してしまったのだ。
これには父も

「イタチは天才だ」

という言葉を残した。…確かに、見事なチート振りである…が、私はその上をいった。
開眼したのである。写輪眼が。何もしてないけど。いや、嫌な夢で追いかけられる夢だったんだけど、
どうにか追い払おうと思って力んだら、夢の中で写輪眼が使えて追い払えた。

でだ、現実で鏡の前で夢の様に意識したら…使えたで御座る。だ。

ただ、人に見せる気は無いけどね。地味に生きたいんだ。原作終了後も。
とりあえず、まずは写輪眼の開眼で目的の一つが達成。これを機に、忍術書を漁る。
しかし、中々目的の忍術書が無い。そこでだ

「イタチ兄さん」
「どうした?」

家でマッタリしていたイタチを捕まえて

「医療忍術…その本とか無いの?」
「急にどうしたんだ?」
「えっと…イタチ兄さん怪我して帰ってくる時があるから、直してあげたいの!」

どうだぁ!幼女の攻撃だぁ!…真剣にこっちを見てくる。おいおいおいおい…何か反応しろよ。

「…だめ?」

こてんと、首を傾げて聞く

「…わかった。本だけだぞ」

それを聞いて、やったー!とイタチに抱きつく。…おのれ、イケメンめ。もげろ!
その次の日に、医療忍術の巻物等々を頂いた。サスケが羨ましがっていたのを見越してか、簡単な忍術の巻物をサスケにも渡していた。

早速、医療忍術の巻物を見ていると…

「掌仙術…」

これこれ、傷ついたときにはこれで処置が出来る。チャクラコントロールを鍛えていけば瞬時に回復が可能となる。これを応用して、神経を混乱させたり、意識を吹っ飛ばしたり…応用で怪力も取得できるなんとも幅広い術である。

よって、まずはチャクラコントロールを完璧にする為、それも効率よくするために影分身での修行を行うことにした。私のチャクラで起こせる影分身の数は65体。その人数でサスケが寝ている時間だけチャクラコントロールのレベルアップを図った。それが1年半の間であれば…まぁ無意識的に水の上に乗れるレベルになった。

寝ていても大丈夫。それほどまで進化したのだ。あとは千鳥。そして…

「火遁・豪火球の術!」

ぽす…

「…次、サスケ」
「はい!」

そういって、私よりいい火遁を放つ。…これでオッケー。虐殺までの辛抱だ。
兎に角この世界で生き残るには力を付け目立たない事だ。まぁサスケの妹という事でもう不可能だけど…
それでも、やれることはやっていこうと思う。

「さすが、うちはだ」

そういった褒める父。私には心底落胆した眼を向ける。…まぁ無理は無い。チャクラの量で言えばサスケを完全に抜いているのだからな。その私が、あの程度の結果しか残せていないのだ。それは落胆するだろう。…別にいいけど。因みに私の火遁は本当にあのレベル。何故か火遁が上手く発動しない。

相性の関係でもあるのか分からんが…今度性質を調べられる紙を入手したら調べてみるか。

しかし、このうちはの領地は広い。修行できる場所もあるし、森もその管轄だ。
普通に村として機能している。故に…

「ようやっと、外出許可が出来たよ…」

そう、あの落胆した眼を向けられた日から1年。漸く外をぷらぷらできるようになった。
因みに監視は付いていない。…と思われる。まぁ既に、父からは落第生と扱われているからだと思うから監視は付いてないと思うけど。故にだ…思いっきり修行が出来るというものだ。

そうそう、イタチがついに写輪眼を開眼した。家では完全に天才扱い。まぁぶっちゃけ天才だと思う。
ただ、本人は冷静に対応していた。…さすがイタチです。
そして、イタチ写輪眼開眼して3年。私に転機が訪れたのだ。








あとがき

えー…うん。まぁNARUTOの原作とかかなり読んでいたけどね。うん。
設定とか悉く無視している傾向がありますのでご注意ください。
というより、ご都合主義展開すぎてやっぱり投稿しないに使用かと小一時間悩んだのは内緒だ。



[35501] NARUTO 2話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:00


この3年間で出来た事は「形態変化」つまり、螺旋丸の取得である。手足の何処からでも可能である。
まぁ、多重影分身でこの3年間みっちり特訓してきたのだ…出来なければ可笑しい。
65人で5時間特訓を行うと、325時間行ったことになるのだ…約13日である。それを3年間みっちりだ。

恐らく究極的なチャクラコントロールを得たと自負している。訓練時間を換算するとまぁ40年位。
それほどの膨大な時間をチャクラコントロールの訓練に費やしたのだ…術に一切の無駄を排除した忍術が可能であるし、チャクラを瞬間的に練れる。

また、片手印の取得にも励み、これを取得。…まぁ出来る忍術なんて4個しかないんだけどね…
ただ、このおかげで千鳥のバリエーションが増えたといっても過言ではない。戦術の幅が大いに広がったこと間違い無しなのだ。

例を挙げると、電気と共に高速で移動する「雷歩」…電気最高です。

もちろん肉体鍛錬も怠っていない。とりあえず体力作りから初めて、格闘訓練を影分身同士でやってたんだが…限界を感じている。たまに、父やイタチから組み手をして貰ってるんだけど…
やっぱり、きちんと教えてもらうのが戦闘に関しては一番の近道なのだと実感した。まぁそれでも下忍には負ける気はしないけど。

おっと、そうそう「掌仙術」を取得したんだった。これが役に立つんですよ…ええ。
それと同時に、肉体活性。綱手姫の怪力を実現した。マジ強いっす。


で、何時も通り、森でチャクラコントロールと、動物で眼の移植の訓練を行っていると…
何故だか森が騒々しい。しかし、それも直ぐに収まった。

影分身達と共に辺りを捜索したら…

「人が死んでる…」

そう、開けた場所で人が死んでるではないか。…服はうちはの紋だ。その死体は車輪眼状態。
なんでこんな所に?…まぁ考えても仕方が無い。チャンスで今興奮している。

これで漸く、完全な写輪眼を手に入れられる。早速、写輪眼にチャクラを流し込み、
自身の写輪眼にも直接流し込む。すげぇ気持ち悪かったけど、それ以上に早く手に入れたいと思っていたので、問題なかった。そして、医療忍術で眼の移植を行った。

名も知らぬ人の写輪眼が、チャクラを通して私の眼に入り込んできた。

一瞬視界がブラックアウトして、激しい激痛。脳に直接ナイフが刺さったかのような激痛に襲われた。

「!!」

声を上げられないとはこの事だ。そして、意識を失ってしまったのである。

起きてみると、其処まで時間は経っていないのか、あんまり変わらない風景。そして、水面に浮かぶ自分の眼を見ると、其処には写輪眼が写っていた。
内面に宿るのは歓喜。最悪虐殺の時と覚悟していた眼を入手できたのだ。そうして、死体をそのままにして立ち去った。…変死体が発見された事がうちは全体に広がったのはその数日後であった。










「うちは アヤカです。好きな食べ物は塩バターラーメンで嫌いな食べ物はピーマンです。これからよろしくお願いします」

そう、忍者アカデミーに入学したのである。現時点で6歳。原作同様くの一の教室である。
女の子ばっかりだ。まぁ私も同様に女の子なのだが…

今は、110センチとまぁ平均くらいだ。髪は艶やかな黒髪で腰まで伸ばしている。眼はパッチリしていて鼻はスッと綺麗に通っている。口はふっくらしていてルージュを塗ったらさぞ映えるのであろう。肌は絹のようにきめ細かく、白い。…美少女になることは確実だ。うちはは結構美男美女多いからなぁ…

ぱちぱちと拍手で迎えられて、その日は終了となった。

原作で登場した、日向ヒナタ、春野サクラ、山中イノは確認済みである。
お近づきになりたいと思うけど…やめておこう。とりあえず、目立たず普通の成績でいこうじゃないか。

この頃のサスケは確かに生意気だけど…まだ子供の範囲内である。とげとげしさが無く、純粋に子供である。故にそれほどまで私は嫌っていない。寧ろこのまま育っていって欲しいものである。

「アヤカ」
「何?サスケ」
「俺、早くイタチ兄さんみたいになりたい」
「…そう」

……ほんと、このまま育てばねぇ…原作のようにすれないと思うのだけど、それも無理ってやつか。










「イタチよ、暗部の分隊長になるのであろうな?」
「はい」
「その言葉を聞いて安心した」

そのやり取りが私の目の前で行われている。私達がアカデミーへ入学して1年が経った日である。
そう、イタチが暗部の分隊長に任命されたのだ。
…これは、確か、そろそろだよなぁ……両親…特に母親は死なないで欲しいのだけど。現実は非常である。…ち、胸糞悪いな。

まぁ覚悟はしておこう。取り合えずだ

「イタチ兄さんおめでとうございます」

生存率を上げる為に尻尾でも振っておかなきゃいけないよね。まぁ純粋に応援したくなる節はあるけども
…死ぬのかなぁ……結構懐いたというより、実際に組み手とか術の練習とかで的確にアドバイスをしてくれるので、まぁ無意識的にか自身でもイタチに懐いているというのは分かる。

だが、それ以上にサスケがイタチに懐いている。これは見れば分かるが…とりあえず懐いている。
私とサスケの中はそれほど悪くは無いが…まぁ喧嘩はあんまりしないほうだと思う。
というより、そう言った事体になったら私が手を引いて、なるべく穏便に過ごすのだ。

まぁ、私より優秀なのだろう。うちはサスケは。前世の知識で勝っているだけで、何も無ければ確実に負けていたと断言できる。原作キャラはチートの塊だぜ。

そして、ついに来たのである。








目の前から聞きなれた声の断末魔が上がる。

「イタチ…兄さん?」
「…アヤカか……」

ついに始まった。「うちは虐殺」

この時間帯は一族の人が買い物終わりの人がまだまばらと残っているはずで、結構賑わっている…が、今は遠くから鳥の鳴き声が響いているだけ…既に目の前で両親が殺された。
一瞬だった。眼で追えたけど頭が追いつかなかった。何が起こったのか、よく分からなかった。

此方に近づくイタチ…

そこで冷静になる。自分の命が掛かっている時ほど、慌てるのかなぁ…と思っていたが……
自分でも驚くほど冷静だ。先ほどまで止まっていた脳がフル回転で動きだして、あっさり状況を理解する
とりあえず、まずはここで死ぬか死なないか…試してみるべきか。

「私…死ぬの?」
「……」
「答えて!」


そう言って突っ込む。……この感じから、死ぬかどうか分からない。
年相応の力と速度でイタチに向かったのだが…

あっさりカウンターを貰った

「かはっ!」

腹にジャストミートで決まり嘔吐する。容赦ないが…やはり殺されないと確信した。
先ほどはそれを試したのだ。殺すのであれば、両親みたいにあっさり殺すはずである、だが殺さなかった。それ故、自身は殺されないと確信した。…まぁもうその時はその時だ。

「…憎いか?」
「…はぁ…はぁ」

答えられない。確実に内臓にダメージが入っている。口内から鉄の味が広がっていく。

「俺を憎めアヤカ…そして」

俺を殺しに来い

そういって、私の意識は暗黒に染まった。最期に見たのは綺麗な月明かりであった。













目が覚めたときは木の葉病院だった。何でも、外で気を失っていたらしい。
サスケも同室で寝ている。…ショック…はある。が、それ以上に

「生きてる…」

生への歓喜が大きい。超えたのだ。最大の死亡フラグを。…蛇の人がそういえばいたっけか。
…もう一度寝よう。寝て起きて、頭がすっきりしたら対策を考えよう。いいじゃない。確かイタチに負けてたんだよね。なら勝てる。…恐らくだけど。

こうして、最大の死亡フラグを超えて一息つける時期へ突入したのである。









[35501] NARUTO 3話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:01

一族虐殺後、病院で眼を覚ました私。怪我も数日で完治し、じゃあ帰るか…と思ってたけど。
そういえば、死体とかどうしたのかな…せめて両親の遺体は弔ってやりたいのだけど…
そう思ったが、既に遺体は全て処理されてしまっているとのことだった。

病院で直接3代目からそう言われて、今後の方針についての話をして頂いた。

「さて、今後はわしが後見人になる。何か困ったことがあったら教えてほしい」

そういって、退出する3代目。サスケは依然心ここにあらずと言った所か。無理も無い。
信頼していた兄に家族を…一族を私以外殺されたのだ。前世からの知識でこの8年間覚悟をしていなければ、ああなっていただろう。

が、今は前世の知識があり、これから起こりうる事もある程度分かる。…細かい所まで分からないけど。
サスケは…今はそっとしておいたほうが良さそうだ。

「サスケ、私は一足先に火影様に言われた家に帰って、色々整理してくるね?」
「……」

ぼーっと、空を見つめたまま。…兄に言われた言葉を思い返しているのか、時折歯を食いしばる。
とりあえず、看護婦さんを呼んで退院する旨を伝え、サスケに先ほどの言葉を伝言として残し、病院を後にする。強く生きてとか言われたけど…無論。何とかするに決まっている。

そこまで、未練は無いけどね。父にいたっては好きでもなかったけど…母は……
まぁでも割り切れないほどではない。この事が分かっていたので一族の人に愛着が沸かないよう、極力接触を避けていたのが功を制したのか…まぁ初日は母の死に涙を流したけどね。

帰りの道中、ガラスに映った自分。そして、眼にチャクラを流す。
浮かんでくる模様は…縦に瞳孔が裂け、その周りに浮かぶ陰陽印。これが私の万華鏡写輪眼。
名も知らない人の車輪眼と共に私の車輪眼も開眼したのか…陰陽印が重なり合っているんか、完璧な陰陽印が目の周りに四つ浮かび上がっている。

極力避けていたのに…皮肉なものだ。起因は恐らく母なのであろう。一番親しいものの死。
この世界に来て一番親しいのは母だけであった。故にだろう。
涙は出ない。これが運命。弱かった自分の運命なのだ。

だが、これからは運命という一言で物事を片付けたくない。意地汚く生にしがみ付いてやる。
正義何ざクソ喰らえ。面白可笑しく生きてやるよ。そう決意を新たにし、眼を通常に戻す。
さて、やることが増えたな。まずは眼に何が発現しているか確認だ。

そう思い、屋敷まで足早に移動したのであった。








「さて、まずは瞳術の確認だな」

そう思って、森に入り動物の探索。ウサギを発見し、万華鏡写輪眼を発動した。

広がるのは真っ暗な空間。其処にいるのは私とウサギだけ。…とてもシュールです。
ウサギに目掛けて何か突き刺されと思ったら、刀がウサギに突き刺さった…数十本の数が。
近寄って全て抜き取ると、血だらけのウサギがぐったりしている。

そうして、チャクラを霧散させると…傷一つ無いウサギが森の中でぐったりしている。
なるほど月読はあるということか。後は、何だっけ?天照とか欲しいなぁ…
と、思ってウサギ燃えろ~と、思っても…何もでない。

ははは…火遁そういえば苦手だもんね。天照出る分けないよね。ははは…はぁ。
本当にうちはかよ。私。まぁいいけどね。これで幻術方面は完璧なんだ。それでオッケー。
あとは、まぁ写輪眼で術をちまちま取得していけばオッケーか…な。

それじゃあ、両目は…と、思って両方にチャクラを流すと。

世界が変化した。


「…どういうこった?何も無い…」

思いっきりジャンプしてみると、コロシアムのように白い足場が広がっているけ。
よく眼を凝らしてみると…ウサギがぽつんと横たわっている。…どういうこった?

「何だ?月読?…とはまた違うような…」

そう思って、剣よ突き刺され~…と思っても何も出てこないので、仕方なくウサギにクナイを投げる。
どすっと突き刺さって赤い血が流れる。

「…分からん」

そうしてチャクラを霧散させると…先ほどの場所から少し移動しており、ウサギが血で赤く染まっている

「…幻術では、無い?」

今度は砂時計を置いて、また先ほどの空間を展開する。…今度はウサギは来ていない。
手元に置いてある砂時計も…来ていない。そこで、砂時計が無くなる30秒位居続けて、霧散させる。
砂時計を見ると…ほんの僅かしか減っていない、というより一秒も経っていないと思われる。

「…ふ、ふはははあ!」

なんだか知らないが、あの空間は時間という概念に囚われず、その空間で起こったことが全て現実にトレースされると思われる。しかも、その空間内を移動すれば、他の場所にも移動できる…正に現実と私が作った世界の狭間を自由に行き来できる。…チャクラ消費量は空間にいる時間によって消費量が変動してくるが。

とりあえず分かったのが、一日五分位、あの空間を作成できる.・・・チャクラ量的に。
あの空間で起こったことは現実でもトレースされる。自身が持っている物は持ち込める。…厳密に言うと自分の現時点での「持ち物」と認識している物である。あの空間で移動すると現実にも移動したこととなる。また、移動する際、現実の何処で出るかが、万華鏡写輪眼を通して見える。

引きずり込めるのは、私が引きずり込もうと思った対象のみ。そして…あの空間で私のチャクラは常にマックスで、いくら術を使っても全く減らない。空間内で使用したチャクラは現実にトレースされない…が、空間を維持した分のチャクラは減ってしまうのである。

…かなりチートじゃね?ぶっちゃけ、空間を発動させ、相手の背後を取り、そのまま霧散させれば…「飛雷神の術」と同レベルの移動方法だよね。…上手くいけばだけど…まぁ、引き込んでチャクラ関係無しのマックス状態で行けばオッケーか…未来に光がさしてきたお。

これで…最大の死亡フラグの蛇さんをどうにかできるようになりそうである。まぁいざとなったら、兄に投げつけますか。というより、蛇さんは我が兄しか興味ないだろう。性的な意味でも。これで、平均な少女を演じきれば…ふははは!これで勝てる!勝てるぞ!!兄に関しては主人公が何とかしてくれるさ。恐らくだけど。

とりあえず、死ななければいい。私が。後、美少女と美女。野郎は…いいや。
当面の目標は一族の復興…ではない。私がもうあれだよね。相当頑張らないとまずいよね。
一妻多夫制?まてまて、やらないぞ。サスケに任せる。

とりあえず、部屋の掃除をしに戻ろう。その後、ちょっち三代目にお願いをしようかな…そう思って屋敷に歩を進めるのであった。








「アヤカちゃん」
「ん?どうしたの?」

次の週、サスケはアカデミーを休んだけど、私は普通に登校した。教室に入った瞬間に何ともいえない空気になる。非常にあれです。勘弁してください。通り過ぎる人におはようと言いながら席に付く。
そして、隣のミヨちゃんに声を掛けられたのだ。

「その…」
「あぁ…あんまり気にしないで、何時もどおり接して欲しいな」
「う、うん!」

笑顔になるけど、何処か硬い…まぁ仕方が無い。発生して一週間も経ってないからな。
アカデミーはまだ休んで言いといわれているけど、どうも家に居たくないのだ。
しっかし…この年で人の気遣いが出来るとは…おじさん嬉しいよ。

もう、その笑顔だけでご飯何杯もいけちゃうよ。

その後、先生とかにも心配されたけど特に問題無く一日が終わった。
数人の女子からサスケの事を聞いてきたけど、ショックが大きかったみたいだけど、今は元気。もう直ぐアカデミーへ登校すると思う。という事を伝えておいた。

さて、家に帰ると…誰もいないのだ。サスケは…今は修行中か。
もうこの段階から強くなろうとしているのか、修行に明け暮れている。よって、ご飯とか凄く不定期である。というより、学校行こうぜ。めっちゃ気分転換になるよ。と思ったのは完全に余談である。

ご飯を作り、といっても簡単な炒め物とかだけど、それを冷蔵庫へ入れてメモを残す。
そうして、約束した場所へ急いで移動した。何、三代目にお願いした件だ。…それは


「やー!青春してるかー!」

体術のスペシャリスト、マイト・ガイ上忍に体術を習うことだ。一応サスケも誘ったのだが…やはりというか何と言うか、にべも無く断られた。現在彼の世界は狭すぎる。故に人から教えてもらう。という発想が出てこなかったのである。体術より、忍術。といった形だ。

まぁ、これは月一でだけどね。態々休みの日にこうして師事して頂けるのだ。

「本日はよろしくお願いします」
「おう!うちはの一件は非常に心苦しいが…君はこれからの青春を楽しめ!」
「はい!」
「いい返事だ!」

そうして、特訓が始まった。…そして、一つだけ確かめたいことがあるのだ。
私の万華鏡写輪眼…サスケの体術をそれで見ていたら…完璧にトレース出来たのだ。一発で。
もしやと思ったね。故にだ…体術のスペシャリストの業と捌を取得すれば…

しかもこの人、八門遁甲使えるんだっけ?それもコピーしたい。

「すみません、ガイさん」
「どうした?休憩か?」

色々な業を万華鏡写輪眼で見た後、ひとしきり特訓し声を掛けた。

「八門遁甲…見せていただけますか?」
「!?…それを何処で?」
「うちはの重要度が高い巻物にと体術のスペシャリストである、ガイさんが使えるかなぁと…」
「……分かった、ただ、あまりにも危険だから、教えないぞ?」

それに頷いて返事を返す。
ちょっと強引だったけど…この機会を逃すと来月である。こういう力を手に入れるのは早いほうがいい。
そうして、ちょっと下がり、死角で万華鏡写輪眼を開眼させ、じっくり観察する。

「まず、体にはチャクラが密集した箇所が8つある。これらを体内門と呼ぶ」

そうして、精神を集中させる。

「今回は俺の限界まで見せよう…明日休日だしな」

ラッキー所ではない。大幅な戦力アップ間違いなしだ。…本当にコピー出来たらの話だけど…

「それぞれ、開門・休門・生門・傷門・杜門・景門・驚門・死門と呼ぶ。最期の死門を開けると火影以上の力を手に入れられるが…確実に死に至ってしまう。よってこれは開かないぞ」
「あたりまえです」

はは、そうだな。と気合を入れて、徐々に開門していく。凄い…チャクラが一つ一つあけると爆発的に増える。あけるたびに何か衝撃が来るよ。しかし…生門まで開けると体が赤くなるのか…ビジュアル的にどうだろ?

「はあ!これで驚門までの開放だ」

といって、全て霧散させる。一気に静けさを取り戻す訓練場。…すげぇ

「もう一度言うが、あまりにも危険だ。決して使うなよ」
「ええ、教えてもらわなければ開き方すら分かりませんし」
「だろうな」

そういって、軽く体術の特訓した後、お開きとなった。次は来月のこの時間だ。

「おお!そうだ、忘れる所だった!」

そういって、取り出したのが…

「錘…ですか?」
「おう!青春するためにもな」

そういって受け取る…くそ重い。まぁいいや、これを手足につければいいのだっけ?
そう思い、手足につけていく…重い…重過ぎる。ぎりチャクラ無しでもいけるけど…

「ほぅ…動けるか」
「え?」
「いや、なんでもない。それではな!」

といって、瞬神の術でどっか行ってしまった。…しっかし濃いキャラだったなぁ…いい人だけど。
そう思い私も錘を付けたまま屋敷へと帰るのであった。




[35501] NARUTO 4話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:02


さて、あの後帰ってサスケが食べた食器を洗い私もシャワーを浴びた後ご飯を食べる。
その後、家でゆっくり寛ぐ。ずっと修行はごめんですぜ。疲れたら休む!こうして徐々に体力が付いてくるのだ。

家で巻物を読みながらゆっくりしていると、玄関の扉が開いた音がする。…どうやらサスケが帰ってきたらしい。そうして、居間に顔を出すサスケ

「お帰り~」
「…ただいま」

ぼそっと呟いて、泥だらけの服を洗濯場へ投げてシャワーを浴びる。…さてと、洗濯でもするか。

「サスケー!洗濯ってこれだけでいいの?」
「ああ!洗っといてくれ!」

という返事を貰ったので全て洗濯機へ突っ込んで回す。…洗濯機があって本当に助かった!
無かったらどうしようと思ったね。そうして、一日の終わりに展開していた影分身を解いて寝る寸前に65人分の経験を吸収する。…そのうち30体はガイ先生の特訓後に生成した影分身だが、案の定体術のコピーは出来ていた。これで写輪眼とあわせれば全てのコピーが可能である。

扱えるかは別としてだが…万華鏡写輪眼のほうは、どうやら刀語の七実の能力と言っても過言ではない。
完全に見稽古が出来る。体術も完全にトレースできるし、経験までもが頭に入ってくる。つまり、どのタイミングでこういうことアクションを行えば効率が良いという事が、見ているだけで理解できるということだ。…あとは忍び通しの戦いを見物すれば完璧だ。

そして、寝静まったころ、気配を殺して寝室から抜け出し、森へ移動する。
そこで、八門遁甲を使い、徐々に門を開放していく。第3門までチャクラコントロールが出来、門を通して効率の良いチャクラ運用が可能であった。まぁチャクラが急激に増えれば確かに身体能力の向上を図れるが…無駄が多すぎるし、スタミナもかなり減るし、体の負担がでかい。

それはガイ先生が体内門を開けた時に目を通して理解できた。なれば、これをコントロールできればどれ程の力が手に入るのか…想像もできない。4門からチャクラコントロールが困難になり、多少無駄が出来始める。そこから徐々に空けて行き、一瞬だけ驚門まで開放。…そして、絶え間なく放出するチャクラをコントロールしようとする。…が、まぁ一気にはやはり無理で、急激なチャクラの増加に体の筋肉が所々千切れてしまっている。…瞬時に回復させたけど。

驚門まで空けたら眼が青く光っており、チャクラも蒼い。それ以前の門までは色は赤いチャクラだったが…まぁいい。…ばれてないよね?一瞬だからばれてないよね?……気にしないようにしよう。

目に付いては、水に浮かんだ自分の顔を見たときに分かった。これで万華鏡写輪眼も開眼できるという…
チートだろ。しかし、それ以上のチートが絶対に居るはずだ。まぁ、生き残るには最低このレベルは欲しいといった所まで、来たのだ。まだまだ高みを目指そう。その後は隠居生活でいいや。

とりあえず、一瞬だけ開いた全ての門を閉じてチャクラを霧散させる。流石に7門まであけると非常にチャクラを喪失する…あの空間以外で「驚門」を開放しなければオッケーだろう。「傷門」以前の門であれば、チャクラコントロールが出来、全く疲れは感じない。自然と笑みが出る。もっと強くなって最大の死亡フラグの除去を目指さないといけないな…蛇さんだけど。

確か原作開始まで…後4年か。確か12歳で下忍だと思った。その一年後に中忍試験か…
とすると、後5年も時間があるってことか…何とかなるだろう。前みたいに人に気をつける必要もないし、戦闘に関してはガイさんにちょくちょく見てもらえばいい。

とりあえず、技術は付いたのだ。あとはそれについていける体力を鍛えよう。
術は…とりあえず後回しでオッケーいずれ写輪眼でコピーすれば問題なし。
そう結論を出し、屋敷へ戻るのであった。








その日から1年が経過した。







「ねぇ!サスケ君は何処にいるの?」
「あ~…ごめん、男子の教室見に行けば早いと思うよ?」
「わかった!」

行くわよ、と周りに声を掛けてサスケ追っかけ隊が出陣した。因みに先頭は山中いのである。
あれから一年が過ぎ、既に子供達はうちはの一件について過去のものとなっている。
まぁ話題には絶対に上ってこないけどね。ただ、最初みたいにぎすぎすした空間でなくなったことは確かである。

私のアカデミーについての成績は、本当に平均的である。もう狙っているかのような平均を狙っている。
これが面白いのだ。過去の実績から平均の予測値を叩き出して、それに向かって勉強。
体術も他の人の戦績を見て、真ん中の人に勝つ負けるを繰り返し、忍具の授業もそのスタンスだ。

平均王は私のものである。既にテストの結果も私が基準と周知され、見せ合いっこに引っ張りだこである
体術も同じくだし、忍具も同じくだ。成績を決める日には一躍人気者になる。
その他の日はあんまり目立たない子。うちはとして上位に行ったほうがいいのか…と思った日もなくはないけど、この情報が蛇に渡っているとなると…迂闊に目立たないほうがいい。

さて、気になる主人公だけど…殆ど関わっていない。というより原作キャラで深く関わっているのは、サスケとガイさんである。ほかは二言とかで会話が終わる。夢小説なんかですれているキャラが居ないかどうか探った見たけど…みんな普通であった。そう、私以外原作通りに事が進んでいるのだ。

ヒナタはナルトが気になりだしたタイミングである。ううむ…可愛い。私も彼女はああいう子が欲しいで御座る。守ってやりたいよね。あの内気だと…百合方面も……まぁ無理だな。ナルトに無意識的に眼が行ってるみたいだし。ありゃ惚れてるな。

そのナルトは原作どおりやんちゃ小僧である。見ていて気持ちいいくらいである。
イノシカチョウの三人も原作どおり、以前チョウジに対して誰かがデブといった発言をした瞬間に、性格が変わり

「ぼくはぽっちゃり系だー!」

と叫んでいた日は笑いを堪えるのに精神を擦り減らせてしまった。シカマルはあんま喋らないから良く分からん。たまに

「お前の兄貴の周り…どうにかならねぇの?」

とため息を付きながら愚痴ってくる。その時は苦笑いしながら直接本人に言ってみれば?というが、それがいえたら苦労しないという台詞を吐いて何処かに行ってしまう。分からなくはないけどね。
私も結構疲れるのだ。サスケの私生活を知りたいと詰め寄ってくる人とか一杯居るし。主にいのとか。

まぁ確かにカッコいいけどね…如何せん性格がつんつんしてるというか…

ただ、サスケ関連でクラスからハブされるのかな…と思いきや、幸いというか何と言うか…ハブにされていないから良かったといえようか。まぁアカデミーでは全然接触してないし、向こうも私の事をあまり気持ちよく接しないのが大きな要因となっていると思うけど。

シノ、キバについては全く面識が無い。今の所は。一つ上のテンテン、リー、ネジも同様。
まぁあんまり関わると良いことなさそうだし、良いかなと思っている。…これからどうなるか分からないけど。

サスケとの関わりも基本昨年同様である。無闇に干渉せずに思い通りにやらせる。というより、私的にもそれが一番好ましい。私も思いっきり影分身で修行をしているのだ。懐かれたら逆に困る。
…まぁそんな姿は思い浮かばないけどな。

この1年で取得したので一番大きなものは門を開放したチャクラを極限まで圧縮した「螺旋丸」である。
チャクラの形態変化でたどり着く究極の形がこれであり、通常のチャクラで運用する物よりも更に超高度なチャクラコントロールが必要。しかし、それに見合った威力を誇る。普通に喰らったらまともに立てないはずである。

だが、立つ。というよりまともに当たって生きている相手が大半なのである。恐らくだけどな
マジ勘弁して欲しい。頼むから。チートと思ったけどあんまりチートっぽくないな。私は。
万華鏡写輪眼はチートだけど。

まぁ原作開始まで時間はまだまだある。急がず焦らずじっくり強くなっていこうではないか。




[35501] NARUTO 5話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:03


「本日もよろしくお願いします」
「おう!」

あれから4年がたち、私も既に12歳になった。髪は腿位まで伸ばしてその先端を赤いリボンで一まとめしている。身長も151センチと平均位。今まで取得した技術無しでは漸くガイさんと打ち合えるレベル…といっても、相当手加減されてるけど…になったのだ。

そして、本日が最後のガイさんとの訓練となる。予め、何時も訓練している所ではなく、だれにも邪魔されそうに無く、且つ、人があまり来ないところで訓練場所を指定した。
理由は簡単…上忍相手にどこまでやれるかが気になった。今の自身の実力を確認しておきたかったのだ。

何時ものように訓練が終わり、休憩となった。

「ガイさん」
「お、どうした?」
「…本気で組み手をお願いします」
「ほぅ…錘を外してか?」

それに頷いて答える。私の真剣さを汲み取ってか、ガイさんも錘を外す。
錘が地面に落ちた瞬間に陥没する。無論…私の錘もである。

「休憩は終わりだ…始めるぞ」
「はい」

一定の距離を空けて対峙する。

「ガイさん」
「どうした?」
「……このことは他言無用でお願いします」

なんのこっちゃ?と思って頭にハテナマークが浮かんでいる。
しかし、それも一気に吹き飛ぶ

「写輪眼」
「!?……成る程な」

写輪眼を開眼させると動体視力が飛躍的向上する。だが、正直いってこの眼で対抗出来るのかと聞かれれば…難しいと答えざるを得ない。相手はあの「マイト・ガイ」なのだ。普段は馬鹿っぽい熱血キャラだが、真剣に対峙すると、心地よい緊迫感を運んでくれる。

「行きます!」

瞬時にチャクラを肉体活性に回し、爆発的な加速を生み出す。踏み込んだ地面は陥没し、一息もせず100メートルは離れていたガイさんに接近する。

「!?」

最初の陥没の音以外、私の足音は無音。

「木の葉烈風」

視認を許さないほどの命を刈り取る死神の鎌の如くな回し蹴りがガイさんの胴体に炸裂する。それを冷静に衝撃を殺しながら防がれる。が、今は綱手姫…には劣るが、それに追随する力を発揮している。当然

「ぐぅ!」

苦しいうめき声が聞こえるが、それも一瞬。直ぐに受け流して流れるような掌底を放つ。地に着いている足にチャクラを瞬間的に移動し、爆破させ、その力を利用して回避する。この間1秒未満。私の脇腹を掠めてガイさんの攻撃が通る。

空中に居ることを逃すことなく

「木の葉閃光!」

その名に恥じぬ正に閃光に匹敵する速度で私に襲い掛かる。そして、直撃。が、甘い。
地面に叩きつけられた私は煙を立てて丸太に変わる

「何!?変わり身の術だと!?何時の間に」

ガイさんの左前方に煙を撒き散らしながら姿を現す。ガイさんも視認した瞬間完全に油断が取れた眼でこちらに向かってくる。それを迎え撃つ。

「木の葉昇風!」

写輪眼を駆使して、ガイさんの動きを完全に予測しジャストミートで空中に上げる蹴りを当てる。
が、一発ではわずかに浮いたばかりだが、

「追撃!!」

もう片方の足で更に蹴り上げる。しかしその瞬間に、ガイさんは丸太に代わる。

「変わり身!?」

後方に僅かな違和感、いや上だ!

「木の葉剛力旋風!」
「木の葉大閃光!!」

大気が弾け、衝撃波が訓練場を襲う。突風が襲ったかのごとく木々の葉が風に舞っていく。
私の足場がその力に負け、地割れを起こす。

そこで一旦距離を瞬時に開ける。仕切りなおしだ。ガイさんも同じことを考えていたのか、あちらも距離を開けてきた。

「…実力隠してたなー!?」
「さぁ、何のことやら」

先ほど打ち合った足の骨にひびが入っていたが、精密なチャクラコントロールで瞬時に肉体を活性化させ、修復する。完治である。

「まさか、この俺がアカデミー生に体術で驚かせられるとは…」
「どうです?私の力は?」
「…脅威に値するよ」

真剣な眼でこちらを見てくる。いよいよもって本気か。

「私の教え子でね、ロック・リーという奴がいるんだが…彼は努力の天才だ。そして、君も努力の天才だ…さらに、天性の才能もある」
「それは、買いかぶりすぎです」
「何を言う。俺にここまで言わせるアカデミー生は恐らくアヤカしかいない」

それはそれは…

「ありがとうございます!!」

先ほどのチャクラを全力の5割だとすると今回は7割のチャクラを使用して肉体活性を行う。


空気が弾ける


しかし、ガイさんも同様に空気の壁をぶち抜いて接近する。100メートル以上あった距離が1秒も満たないで0になる。

「し!」
「は!」

高速のストレートが此方に入るのを視認し、それを下から蹴り上げる。しかしそれで終わるガイさんではない

「木ノ葉大旋風!!」

ローキックから始まり、だんだん上段へ超高速の蹴りを叩き込み、最後に踵落としで決める、体術では高位に位置する技。が、繰り出されたローキックを踵落としの要領で叩き落とす。

「ぐ!」

地面と直撃する前に素早く足を引く。地面に私の足が到達した瞬間に、地面が衝撃に負けて喚起する。
凄まじい衝撃音を撒き散らすが、既に次なる攻撃が来ている。

「木ノ葉壊岩升!」

痛烈な肘が私に襲い掛かる、まずい事に、喚起した地面が邪魔で迎え撃つしかない。チャクラを腕に集めて防御する。瞬間に衝撃が襲い掛かる。

「くぅ…!」

吹っ飛ばされ、ミシリという骨の嫌な音が聞こえたが、瞬時に回復させる。吹っ飛ばされた衝撃を和らげながら、空中で姿勢を整え着地する。強いな…じゃあ、ギアを上げさせてもらいましょう。

「開門」

瞬間に一気にチャクラ要領が増え、辺りの砂埃がチャクラに呼応して舞う。

「な!?俺は教えていないぞ!」
「見ましたから」
「…成る程な、写輪眼か」

納得したのか、ガイさんも姿勢を整えて

「開門!」

一気にチャクラが増す。自然とにやける。心地良い闘気。彼は完全に本気を出している。…全力は出していないと思うけど。

しかし、ここで決定的に違うことが発生した。

「アヤカのチャクラが…留まっている!?」

そう、膨大なチャクラゆえに放出しながら使用するしかない八門遁甲。しかし、私はその常識を塗りつぶす。精密なチャクラコントロールで体内全てのチャクラをコントロールし、僅かなチャクラも漏らさない

「行きます」

先ほどより更に速い速度で距離を詰めて攻撃を開始する。

「!?」

速さに驚いているようだけど、冷静に対応する。さすが上忍である。しかし、完全に此方が押している…と思いたいが、ガイさんは防戦一方。一発一発がソニックムーブを伴う一撃に苦悶の表情を浮かべながら捌く。

「ぐぅ!」

カウンターの一撃を放ってきたが、遅い。

「雷歩」

霞む様にその場から消え、ガイさんの後ろに電気を伴いながら姿を現す。ガイさんはまだカウンターの一撃を放ったままだ。

「木ノ葉大旋風!」

此方に気づいていたが…カウンターのカウンター、避けれるはずがない。故に、ローキックが完全に入る。回転しながら上段蹴りをお見舞いし、最期に

「痛天脚!!」

強烈な踵落としを決める。地面が蜘蛛上に割れ、クレーターが出来る。

「があ!?」

完全に決まり、吐血するガイさん。そして、瞬時に距離を開けるが……起き上がる気配はなし。











「勝った!」

その場でガッツポーズをする。ふふ…このオートリジェネみたいな戦闘の最中でも自動で怪我を回復する業を常にかけているのだ…我ながら嫌らしい術を作ったもんだ。まぁ掌仙術の応用なんだけどね。

「おっと、ガイさんの治療をしなければ」

そういって、クレーターの真ん中でぶっ倒れているガイさんの頭を膝に乗せて掌仙術で治療していく。
ううむ…見る見る内に治っていく。チャクラの乱れをコントロールし、ダメージが酷い内臓を治療する。
毒とかなければ、まぁ一日は動けないと思うけど回復は出来る。

そんな感じで治療を続けてると

「う…」
「あ、起きました?」
「あ、ああ……って、うお!?」

いきなりガバって起きるもんだから

「いたた…」
「駄目ですよ、いきなり動いては」

そういって、また膝に寝かせる。しっかし…濃いなぁこの人は。

「ひ、膝が…」
「あ、嫌でした?」
「い、いや…そうじゃなくてだな」

と、あたふたしているが…まぁそんなことより治療だ。

「掌仙術を使えたのか?」
「はい」
「どうりで、あの馬鹿げたチャクラコントロールが出来ると思ったが…」

半分納得半分疑問でうんうん頭を悩ましている。…まぁチャクラコントロールで私の右に出る人間はいないと思うよ。まさしくこの瞬間でも影分身がチャクラコントロールの訓練を行っているのだ。
いまは、螺旋丸のキャッチボールを訓練事項として行っている。

キャッチした瞬間にすぐさま同程度のチャクラの乱回転を維持しなければ瞬時に暴発してしまうし、投げる際も、絶妙なコントロールで螺旋丸を切り離さないと瞬時に暴発してしまうのだ。
それを水の上や塗れたコケの上、他の影分身が攻撃をしながらである。

「しかし、これほどまでとはおもわなんだ」
「まぁ、実力は隠すに越したことありません」
「…何故俺には力見せた?」

そう問いかけてくる。

「まず一つが、これが最期だったからです。そして二つ目が、上忍相手にどれほど通用するか試したかったといった所でしょうか」
「…アカデミーでは、どうしている」
「平均を保ってます」

ぽかーんと口をあけて此方を見てくる。ううむ…濃い顔だ。
そして、首を振る。ちょ

「く、くすぐったいです…」
「あ、ああ…その、すまん」

そういって、膝枕から頭を上げる。大分回復したみたいだ。チャクラの流れも正常だし、明日には完治しているだろう。

「…今のアヤカの実力を火影に報告を……」
「あれ?言いましたよね?この件は内緒にすると」
「そうだが…」
「約束を違えるんですか?」

うるうるさせてガイさんを見つめる。これでもかなりの美少女なのだ。男子からの告白は…数えるのもだるい。顔は完全に美少女で線の細い体だが、肉つきはあり、細すぎず、太すぎず。胸も少し膨らんできた。…まぁヒナタレベルではないけど。

アカデミーの女子とは…まぁずっと同じスタンスを保ってきたが、ちょっとかわって、「いざという時に頼りになる子」として認識されてしまっている。二つ名は「平均王」だ。

「わ、分かった…だが、必要があれば直ぐに報告するからな」
「分かりました。ガイさんの判断に任せます」
「…直ぐに報告するかもしれないぞ?」
「構いません。ガイさんを信用しているので」
「…参った」

そういって、両手を挙げる。ちょっと痛そうにして立つ。

「八門遁甲についてだが…あれは危険だ」
「コントロールでk「確かに。だが、破壊力的にも非常に危険なのだ」……」

まじっすか?

「何処まで開門できる?」
「えっと…驚門までです」
「…え?オッケー!もう一回お願い!」
「驚門まで開門できます」

あんぐりあけるガイさん。まぁ死の門まで開けられるけど…と普通は死に至るからな。
あら、ガイさんが額に手を当てて何かぶつぶついっているぞ。大丈夫か?

「よ、よし、冗談は置いておいてだな」
「冗談じゃありません」

そういって、一気に驚門まで開門する。眼が蒼く光り周りのオーラも蒼になる。天まで昇るチャクラを圧縮して押し留める。全ての門を循環するように荒れ狂うチャクラをコントロールするが、やはり無駄は出てきてしまう…。が、それでもかなりのチャクラ量なので地面はチャクラに負けて地割れを起こしてく。まるで九尾のチャクラだ。

「…俺は夢でも見ているに違いない」
「夢じゃありません」

そういって、現実に戻す。そこで正気にもどり

「は!い、いいか!絶対にそのまま攻撃するなよ!」
「え?どうしてですか?」
「いいから!」

そういって、全ての門を閉めてチャクラを霧散させる。

「ふぅー…一瞬命の危機を感じたよ」
「どうしたんですか?」
「いいか、驚門を開門して正拳突きをしたとしよう。あたり一面空圧で一気に丸裸になる」

…なんと。

「まぁ動いてないからそれほどでもないと思うが、筋肉とか断裂しないのか?」
「瞬時に回復させてます」
「…俺はもう何も突っ込まないぞ」

いやいや、あれほどのチャクラを少し回復に回せばがんがん動き回れると思うのですよ。
しっかし、あ~汗かいた。八門遁甲使うと汗かくんだよね。早くシャワー浴びたい。

「さて、これで特訓を終わる!…最後に抜かれるとは思わなかったけどな!」
「ガイさんも全力で来てませんでしたよね?」
「まぁ…な!だが、本気で行ったつもりだ、それを下したのだ…自信を持て!」
「…はい!」

そうして、長くも短い特訓期間が終わったのであった。




[35501] NARUTO 6話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:04


さて、あの日から数週間が経った。相変わらずアカデミーでは平均王を維持し続けている。
原作キャラで仲良くなってしまったのが…

「ヒナタちゃん。ご飯一緒に食べましょう?」
「う、うん!」

そう、日向ヒナタである。総合成績が近いということと、ヒナタも人見知りのおかげか、固定の友達があまり居ない。そこで、お昼に寂しそうに弁当を広げようとしているヒナタを見つけて、たまらず声を掛けてしまった。…私も勿論一人でしたけど何か?

そこで、意気投合して、今では仲良しこよしである。お昼は一緒に必ず毎回食べるし、組み手はいっつもヒナタとで、たまに買い物とかもしたりしているのだ。

しっかし

「ヒナタの食べっぷりはいいねぇ~」
「え?そ、そう…かな?」
「うんうん。見ていて気持ちがいいね!」

そう、小柄な体型だが…出ているところはしっかり出ているのだ。その要因となっていると思われるのが…この食事量である。結構作ってきてあるお弁当をぺロリと平らげてしまうのだ。
因みに私もそれくらい食べているけど、おっぱおはあんまり育たないです。

テレながら弁当を食べる姿は小動物を連想させてめちゃくちゃ可愛い。

「ヒナター!」

そう声を出して、がばっと抱きつく。

「わ!?ちょ、ちょっと…食事中だよ?」

といいつつ、振り払わない。初やつ初やつ…ふひひ、良い匂いだ。
そのまま押し倒したい気持ちを抑えつつ、体を離す。

「ふふ、ごめんね。でも、あんまりにも可愛くて」
「か、可愛いだなんて…」

そういって、うつむいちゃってこっちをちらちら見てくる。…はぁはぁ……ご飯何杯でもいけます!
やばい、性欲を押さえつけるのだ!まずい!ここで押し倒してみろ!天国の後に地獄が待っているぞ!

「はぁはぁ…ヒナタちゃん…は!…ご、ごはん食べよっか?」
「食べてたよね?」
「あ、あははは…」

ちょっぴり恨めしく此方を見てくるヒナタ。すげぇ萌える。くそ!何故私ではなくナルトなのだ!
女だからか!?私が女だからか!…ちくしょー!

「もう、ここも卒業だね」

そういって声を掛けてくるヒナタ。ううむ、恐らくナルトの事を考えているのだろう。
しかし、何故か此方をちらっと見てくる。…惚れてるか?……いやない!

「ね~…まぁ何時でも会えるさ」
「あ…うん!」

そうして、お昼が過ぎて行くのであった。

午後の授業に入った時にいきなりイルカ先生の怒鳴り声が聞こえた。
…おそらくナルトが何かをしたのだろう。まぁ何時ものことだ。しっかし、本当に見ていて気持ちが良い少年だと思うよ。ナルトは。家のサスケなんか暗くて暗くて…まぁそこが良いっていうのが大半なんだよね。

さっぱり理解できん。私は、ヒナタみたいな子がいいな。男は論外だけど。
そう思いつつ、くの一の授業に励むのであった。…原作は既に始まっているのだ。






授業が終わり、一旦帰宅した。その後の訓練の最中にふと、お腹が減ってしまった。…夜食の時間である。夕飯が終わったのに最近やたらとお腹が減るのである。…まぁお腹には付いてないからいいけども。
よって、何処かの店で食べようかと思った。夜食といったらラーメンだよね。

目指すはラーメン一楽。ここの塩ラーメンが上手いんだこれが。持参するのはバター。ラーメン一楽の塩ラーメンに合うバターを探しに探して、ついに見つけたのだ。究極のバターを。…近くのスーパーで。

それを屋敷から取ってきて、一楽までゆったり移動する。因みにサスケは夕食後訓練に明け暮れている。

店前まで来ると…ナルトとイルカ先生が食事をしていた。…まぁいっか。

「お疲れ様です。イルカ先生、ナルト君」
「アヤカか、どうしたこんな時間に?」
「お疲れーだってばよ!」

そうして、ナルトの隣に座る。テウチさんが水を置いて

「いらっしゃい」
「塩ラーメンで」
「あいよ!塩一丁!」

そういって、品を待つ。そして先ほどの質問を質問で返す。

「先生とナルト君こそどうしたんです?」
「あぁ、こいつが歴代火影の顔岩に落書きをしたんだよ」
「どーだ!」

どーだ!じゃなぇよ。ただ、それだけでは分からん。

「それと、ラーメン…何か関係が?」
「一緒に掃除してな、夕食は一緒にラーメンでも食おうと思ってよ」
「成る程」
「イルカ先生ちょー良い人なんだってばよ!」

こういうことを素直に真っ直ぐ言える人は非常に好ましい。…私はテンションが乗ってないと言えない。

「ふふ…良かったね。ナルト君」
「おう!」

ひと段落かと見計らい、手提げ鞄からバターを取り出す。

「それなんだってばよ?」
「バター」
「ば、バター?何すんだ?」
「それは…」

そこでタイミングよく、ヘイお待ち!と塩ラーメンが着たので実践する。

「バターを塩ラーメンに入れるのだ」

ぽとっと、バターを塩ラーメンにいれてかき混ぜる。完全にバターが溶けたのを確認してから、水を一口飲み、スープを口にする。…うまい!

「へ~そんな食べ方もあるのか」
「ええ、結構美味しいですよ?」
「ほんと!?ちょっと食べさせて?」

いいよ~といって、既に二口位食った塩バターラーメンをナルトに渡す。
麺を箸で掴み口に運んでいく。

「うまーい!」
「でしょ?」
「うん!上手いってばよ!」

喜んでくれて何よりだ。このバターを探すまで結構苦労したものだ。

「先生も食べます?」
「はは、先生はもうお腹一杯だ」
「そうですか」

そういって、ナルトからラーメンを返してもらって食べる。うん、上手い。

「ナルト」
「んー?」
「何であんな落書きしたんだ?」

ずるずる食べていると、イルカ先生がナルトに問いかけてきた。…恐らく起こった件であろう。

「このオレはいずれ火影の名を受け継いで、んでよ!先代のどの火影をも越えてやるんだ!」

本当に真っ直ぐにイルカ先生に向かって宣言した。

「でさ、でさ、里にオレの力を認めさせてやんだよ!」

……そうだったね、里ではナルトは嫌われ者だ。無害を主張している為、ひどい迫害は受けていないが…イルカ先生は実情を見ているのだ。この言葉は相当重いであろう。

「でさ、そこでお願いがあるんだけど…木の葉の額あてちっとやらしてー!」
「…これか?だめだめ!これはお前が一人前として認められてからだ!」
「けちー!」

そういって笑う。ナルトも本気で言ってはいないようだ…尤も悔しいという顔を全力でしているけど。

「ナルト君」
「どうしたってばよ?」
「明日、頑張ろうね」
「当たり前だってばよ!」

火影は…ナルトならなれる。原作とかそういうのを関係なくそう思った。

そうして、一夜が過ぎ…試験当日となった。




「それじゃあ、今回の卒業試験は「分身の術」よ」

担任である、紅先生がそう宣言する。…いける!

「ヒナタ?大丈夫」
「う、うん」

隣に座っている、かちかちに固まったヒナタ…こりゃ、まずいぜよ

「大丈夫…ヒナタ。自分を信じて」
「で、でもぉ…」

おいおい、今日は何時に無く弱気じゃないか…

「じゃあ…さ、ヒナタを信じる私を信じて」
「え?」

驚きに眼を見開いて此方を見てくる。今すぐでも抱きしめたいけど…こっちも挑戦的な目線を送る。

「う、うん!」

顔を赤くして力強く頷く。よし!これで大丈夫なはずだ!

「次、うちはアヤカ」
「じゃ、行ってくるね」
「頑張って!」

……何気にどもってないな…こりゃ、気合入れましょうか。




まぁ合格しました。ヒナタも無事に合格して、早速家に帰って報告するとかで直ぐに帰ってしまった。
サスケも普通に合格していて、額宛を付けている。無論私も付けている。しかし、他の人と違って私とサスケには迎えに来る親何ざ居ない。

「サスケ」
「…何だ」
「おめでと」
「…ああ、そっちこそな」
「ありがと」

軽いやり取り、だがこの里の唯一の家族同士のやり取りである。そうして、鼻を鳴らして何処かへ行ってしまうサスケ。…まぁ見ているのは辛いよね。親子共々喜びを分かち合う光景が眼一杯広がっているから
私も、ガイさんに報告でもしようかな…そう思って、音も無く瞬神の術でアカデミーを後にする。

ナルトの姿は…既に無かった。





「おお!おめでとう!」
「はい、ありがとう御座います」

街中を散策すると居なかったので、修練場に来てみると…班の訓練をしているところではないか。
どうしようかなぁ…と様子を見ていると

「其処に隠れているやつ!出て来い!」

と、何かネジ先輩に白眼で言われたので、ひょっこり出ていったのだ。

そして、ガイさんとテンテン先輩が反応して、試験の結果をガイさんに報告してガイさんに祝福されたのである。

「あの、この方は?」
「おお!リー!前々から話していたアヤカちゃんだよ!」
「……話は伺っておりましたが、可愛い……」

そうして、此方を上目遣いでちらっと見てくる。…なんだ?二、三度程此方を見てきて、意を決した表情となり…

「僕とお付き合いしましょう!一生貴方を守ります!!」
「お断りします」

がーん!といった表情をだし、此方を見つめてくるリーさん。濃い…非常に濃い顔なんだよ。というより初対面で告白とか、かなりの面食いだよねこの人。

「ガイさん」
「どうした?」
「…何処まで話しました?」
「なぁに、心配はいらん!」

そう見栄をきられたので、これ以上の問答は逆に怪しくなるので中断する。ガイさんを信じるしかない。
…まぁばれてもいいけどね。アカデミーの記録は既に平均で通っているから。蛇にわたるデータもそれだ。

「どうだ?俺たちの班と模擬戦でもしてみないか?」
「あ~…やめときます。まだ報告する人がいるので」
「……そうか、分かった!」

そういって、その場を離れたのである。…結局ネジとは全く話をしなかったな…リーさんはあれ以降うなだれていたし、テンテンさんは可愛いかった。

そうして、墓地に移動し、父と母に本日の事を墓前で報告する。

「さてっと…これからだ」

そう気合を新たにして、家に帰るのであった。

何時も通り…夕日は綺麗であった。




[35501] NARUTO 7話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:05


「おはよう、ヒナタ」
「あ…あ、アヤカ。お、おはよう」

今日から下忍なのだ…気持ち一転。ヒナタも呼び捨てにしよう…一気に親近感沸いたのは気のせいじゃない。その意図を汲み取ってくれたのか、ヒナタも私を呼び捨てに…うむ。相思相愛でいいよね?

「さてさて、愛しのナルト君は…合格してるみたいだね」
「もう!アヤカ!」

ぷりぷり怒るヒナタは…もういこいこしたい。いやぁ…和むねぇ~
そうして、続々と合格者が集まって来る。中にはいのや、シカマル、チョウジといった原作キャラから、原作では描写されていないはずのキャラまで。…まぁキャラではなくて人物なんだけどね。

しっかし…ナルトは春野サクラが気になるのか、話しかけられると直ぐにデレてしまっている。
…しかし以外にもヒナタは顔に出さないな……なんでだろ?…ま、いっか。

そうしてヒナタとだべっていると、イルカ先生が入ってくる。

「さて、まずはここに居る皆。おめでとう」

そういって、辺りを見回す…いや、結構人数居るよ?ナルトは何かノックダウンしてるけど。

「えー…これから君達に里から任務が与えられるわけだが…今後はスリーマンセルの班を作り、各班ごとに上忍をつけ、指導のもと任務をこなしていく事になる。そこで、班は力のバランスが均等になるよう、こっちで決めた」
「「「「「えー!!」」」」

勿論私も声を上げた…乗りで。隣でヒナタが苦笑いして此方を見ている。まぁまぁ…若気の至りってやつよ。しかし、私はどうせモブと班を組むんだろうなぁ…

「煩いぞお前ら。これは決定事項だ。じゃあまずは一斑から…」

そう言って名前が呼ばれていく。さて。何処で呼ばれるのだろう…

「第六班……春野サクラ…伊達メガネ…」

な、なん…だと。横に眼をやると悔しがっているサクラ…馬鹿な!原作と違うぞ!?

「だ、大丈夫?」

心配して此方に声を掛けてくるヒナタ…ふぅ~、まずは落ち着こう。

「ありがと」
「ううん、どういたしまして」

そう言って笑ってくれる。…お嫁さんに欲しい。めっちゃ欲しい。

「第七班…うちはアヤカ、うずまきナルト、うちはサスケ」

!?…成る程、これで担当上忍がカカシであれば納得がいく…うちはと九尾を一元管理するつもりか。
確かに、カカシ以上の担当は居ないだろう。写輪眼持ちで尚且つ、腕も立つので九尾のチャクラを万が一暴走させても、封印術を扱えるカカシであれば、文句なしである。

まさか…意図せず原作が変わるとは……だが、大本は変わらないはずだ。恐らく木の葉崩しが発生する。
…サスケは、どうすればいい。抜け忍にさせたほうがいいのか?……結論を出すのはまだ時期が早い。
もう少し様子を見るのが良い。…その時の最上を選び、結果を必ずベターに抑えよう。

「…以上だ!じゃ午後から上忍の先生方を紹介するから、それまで解散!」

そう言って、各自お昼に入ったのだった。私は勿論…

「ひーなーたー。一緒に食べよ?」
「うん!」

そうして、今後の動きについてを肴にして、ご飯を食べるのであった。…因みに本日はヒナタの手作り弁当だ。マジ美味い!お嫁さんに欲しいっす!!

「そんな…お嫁さんだなんて……」

どうやら、口に出していたらしいが、気にしない。これは紛れも無い本心だ!…まぁ無理だけど。
ヒナタも冗談に受け取っているのか、苦笑いしながらお弁当を食べていく。…男に生まれたかったぜ。
あ、卵すごく美味い。










「ナルトく…ナルト、どうしたん?」
「ん~…オレ達七班の先生だけ遅いってばよ~」

確かに遅い。原作見てどれ位待たせたんだろう…と思っていたが…

(一時間半も遅刻してるよ)

そう、一時間半だ。幸い影分身を65体修行に当てているので無駄ではないが…なんともいえない気持ちである。サスケはゲンドウポーズでじっとしているだけだし。ナルトは落ち着きが無い。
…サクラ。よく頑張ってたね。

「サスケ~」
「…なんだ」
「呼んだだけ」
「…」

若干の怒気を感じながら、またゲンドウポーズに入る。…どうも会話が見つからないのである。
まぁ家ではちょくちょく話してるし…仲は悪くは無い。恐らく。

「にしし…」

暫くしてナルトの笑い声が聞こえてきたので、持参した本から顔を上げると…まあ何てことは無い。
教室のドアに黒板消しを設置したのだ。

「ふん、上忍がそんなトラップに引っかかるかよ」

そう、指摘する。いや全くだよ。と思ったんだけど…

バフ

入ってきた上忍に向かって一直線に黒板消しが落ちていって、直撃。その瞬間、今まで溜めに溜めたチョークの粉が降りかかる。銀髪の髪が所々白く化粧された。

「ぎゃははは!」
「……」
「ん~…なんて言うか、お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!」

態と引っかかってそれは無いんじゃないの?と思った。

「まぁいい。じゃあ場所変えるよ」













「じゃ、一人ずつ自己紹介してもらおう」
「その前に!」

そういって、ナルトが言葉を遮る。

「先生の自己紹介をしてくれってばよ!」

尤もである。…まぁはたけカカシなんだけどね。知ってます。

「あ…オレか?オレははたけカカシって名前だ。好き嫌いをお前らに教える気は無い!」
「…分かったの名前だけじゃん」
「いいだろう、じゃあ次はお前らだ、右から言ってもらおうか」

そういって、右を見るとナルト、サスケ、私の順番だ。成る程…〆は私という事か…緊張するぜ。

「オレさ!オレさ!うずまきナルト!好きなものはカップラーメン。もっと好きなのは一楽のラーメン!嫌いなものはお湯を入れてからの3分間」

見事にラーメン一色である。カカシ先生も半眼ナルトを見ている。

「将来の夢は、火影を越す!んでもって、里のやつら全員にオレの存在を認めさせてやるんだ!」

……何時かそんな日が来るはずさ。というより、私がナルトの立場だったら、とっくに精神が可笑しくなってる自信があるね。断言できる。

「次!」
「名はうちはサスケ、嫌いなものはたくさんあるが、好きなものは別にない。それから…将来の夢は…野望は一族の復興とある男を必ず…殺すことだ」

まて、それには意見があるぞ。まず一族の復興。これだ。私はもうこれ将来決まってるよね。
もうこの里出られないよね…私の処女は私より強くないと捧げないよ?というより、女の子以外捧げる気は無い。断言する!

「よし、じゃ最後」
「はい。名前はうちはアヤカ、好きなものは塩バターラーメン嫌いなものはピーマン。将来の夢は…まぁサスケと同じで一族の復興……手段はこれから探します」

まぁ一族は復興しなければな。…どうにかしよう。

「自己紹介はそこまでだ。明日から任務をやるぞ」

…いよいよか。あ~あ…強くなってて良かったよ……この班に居ると確実に蛇さんと遭遇するし。

「サバイバル演習だ相手はオレだが、ただの演習じゃない。脱落率66%の超難関テストだ」
「な、じゃあ何のための試験だったんだってばよ!?」
「ああ、下忍になれる可能性のある者を選抜するだけ」
「なぁに~!」

そこから、朝飯を食ってくるなと注意されて、プリントを渡される。集合場所が簡単に書いてあるだけ。

「明日は忍具一式持ってくること、いいな!…では解散」

その言葉で本日は解散となった。










その後普通に帰宅した。サスケは修練があるからといって途中で別れた。
ご飯を作って冷蔵庫に入れる。そしてサスケにメモを残して考える。何時、実力を見せようか…

恐らく、あまりにも強かったらサスケはショックで寝込んでしまうのは予想できる。
が、私があえて隠していた理由は唯一つ…下忍になるまで目立ちたくなかった。この一点に過ぎる。
アカデミーの情報が蛇さんに伝わっているはずなのだ。だが、これから下忍として行動する。

よって、詳細な情報が外に漏れることは無い。アカデミーより丁寧に情報が扱われるからである。
載るのは経歴くらいか…故にもうおおっぴらにさせても全く問題ない。
ただ、それによってナルトとサスケに対する経験値が少なくなると、今後の展開に何か大きな問題が発生するかもしれない。それはまずい。

うーん…幻術はサスケには写輪眼で抵抗されたらどうしようもないし…まぁ方針として、少しずつ実力を上げていこう。…蛇に狙われたらその限りではないけど。

そう思って、明日の朝食をどうしようか、頭を悩ませるのであった。




[35501] NARUTO 8話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:06


次の日の朝

「おはよーサスケ」
「ああ…おい」
「ん?」
「何故飯を食べてる」

そう、何時も通り食事をする私…そういえばご飯食べちゃいけないんだっけ?

「…気にしない気にしない!」
「…はぁ、まぁいい。先に行ってるぞ」
「ご飯食べないの!?」
「ああ」

そういって玄関を後にする…しっかり歯磨きして、ご飯を食べた証拠を消そう。
うむ、やっぱり朝は納豆が一番である!

そうして、時間通りに集合場所へ向かってみると…

「あー!アヤカちゃん!おはよーってばよ!」
「おはよー」
「…ふん」

ナルトは元気がいいねぇ…しっかし、確かお昼近くに来るんじゃなかったっけ?

「しっかし、遅いってばよ」
「ねー…遅いね」

座りながらカカシ先生を待つ。…あまりにも暇だったのでポーチから暇潰しの本を読む。
そうして、丁度2時間後…

「やー諸君。おはよう!」
「おそーい!」

そんなやり取りが聞こえてきたので本から顔を上げると、片手を挙げて挨拶するカカシ先生と、あまりにも遅い事に抗議をしているナルトの姿。その後ろにカカシを睨みつけるように見てるサスケの姿が眼に映った。

「時間をセット。さて、これから演習を行う。この二つの鈴を規定時間までに取らなければそいつはアカデミーに戻ってもらう。まあ見ての通り、二つしかない。よって…誰か必ずアカデミーへ戻る事になるってわけだ」

殺す気で来い。そう言って、ナルトが昨日のこと間抜けなカカシ先生の事で反応するが…逆に挑発されてクナイを投げようとする。しかし、クナイを投げるより早くカカシ先生がナルトの後ろに現れてナルトの手を掴んで止めた。結構早い…

「やっとオレを認めたかな?…くく、漸くお前らを好きになれそうだ」

スタート!!

その掛け声ですぐさま身を隠す。…さて、合格方法が分かっているのだ、わだかまり無くさっさと合格しようと、私は鈴が要らないので手を組みましょうと二人に相談しようと思ったのだが…

「しょーぶったらしょーぶ!!」

草むらから飛び出してカカシ先生に勝負を挑むナルト。
ええー!原作見てたけど、さっきの動き見てたでしょ?何て無謀な…もっとこう……冷静にいこうぜ。

「あのさぁ…お前ちっとずれてるよね」

そういって、ため息をつくカカシ先生…まぁため息付きたくなる気持ちは分かります。
さて、ナルトが時間を稼いでいる内に、サスケと協定を結んばなければ…まてよ…ここで下忍にならなければ…

ちらっと、ナルトとカカシ先生をみる。すでに後ろを取られて…こりゃ、カンチョウだな。

「千年殺しー!」
「ぎぃやあああ!」

…彼が主人公である事には変わりない。であれば、原作通りにこの試験は合格する事を目指そう。
よって、サスケを探し出す。暫くすると、ナルトとカカシ先生の戦闘を観察しているサスケを発見。

「サスケ」
「!?…何だ」
「見てて分かるでしょ?ナルトを含め、三人で協力しよう」
「…断る」

は?どどどどど…どういうこっちゃ?

「お前なら兎も角、あのドベを含むのであれば、俺は一人でやる」

おいいいい!そんな事いってる場合じゃないでしょ?

「い、いやぁ…見てたでしょ?先生の動き、あれは皆で「俺は」」
「あんなやつに躓いてられる程度じゃ…イタチを殺せない、お前と違ってな」
「…サスケ」

そういって、視線をナルトとカカシ先生に移す。……ええい!ここで引けるかってんだ!
と思ったが…何とかなるだろう。そう思い、気配を殺しながら移動するのであった。

ここで、私の忍者としてのスペックを紹介しよう。

まずは、体術。此方に関しては既に上忍を越しているといっても過言ではない。ガイさんは下せるレベルである。技も色々覚えているしね。
次に忍術。これはアカデミーで覚えた忍術のほかに数種類しか覚えていない。
幻術も月読と二つ位だけど…まぁある意味最上級だから別にいいとする。
忍具は中忍位で、トラップ等に関しては…下忍レベル。…完全に体術で頑張るくの一になってしまった。…まぁこれからがつがつ忍術覚えるからいいけどね。

移動して、トラップを張ろうかと思ったけど、ぶっちゃけサスケよりトラップの才能は無い。というより、戦闘中にトラップという発想があんまり出てこない。肉体があるから。とりあえず、ブービートラップでも作ろうかなと移動したけど、意味無いなわはは。となってしまったのである。

これは、原作通りにお弁当で合格するしかないな。ナルトとだけでは駄目だし…三人一緒じゃなきゃなぁ
サスケぇ…お母さんはあんな子に育てた覚えはありません!

「なぁ~んてね」
「何が?」

瞬神の術で私の背後に現れたカカシ先生…

「先生、ナルトとサスケは?」
「ああ、沈めておいた」

どうやら、二人ともやられたらしい…この状況、通常は助けに行って三人協力するのが一番ベターだと思う。故にカカシ先生を出し抜こう。

「では、二人を助けないといけませんね」
「ほぅ…何故だ?」
「だって、私一人では鈴を奪えませんから」
「ま!そうでしょうね…だけど、それをむざむざ見過ごすとでも?」

そりゃそうだ…仮にも上忍。というより、実践であれば相当なピンチである。構えて、様子を見ていると、いきなり幻術を使ってくる…が。

「解」

印を結び解除をする。幻術については確かに覚えている術は少ないが…チャクラコントロールが異常に精密な私相手にそれは悪手である。幻術はチャクラの流れを乱して、相手に幻影を見せたり、幻の痛みを与えたりする術である。よって、チャクラコントロールを鍛えれば、それだけで幻術対策となるのだ。

「ほぅ…」

僅かに関心を込めた呟きが聞こえる。さてと…どうやって出し抜こうかな。

「…オレを出し抜くことを考えているのはいいけど…もう、時間が無ないでしょ?」
「…まじっすか?」
「マジマジ」

ええ~…これじゃあ、三人で協力する時間がないということ?…うーむ。
であれば、ナルト、サスケが以内のであれば私一人で取りに行かなければならないな。

「であれば…その鈴、貰います」
「やっとやる気出した?」

その言葉に返事をせず、チャクラで肉体活性を瞬時に行い、接近する

「!?」

掌底を放つ。瞬時にガードされるが、予想済み

「木の葉旋風!」

ガイ先生張りの体術を繰り出す

「何!?」

それをガードして、やり過ごされる。…まぁ全然チャクラ使ってないしね。せいぜい中忍レベル、と思われる。

「サスケがアカデミーナンバーワンかと思っていたら…君、実力隠してたでしょ?」
「はい、その言葉。ガイさんにも言われました」
「…ああ~、成る程。通りでガイに似てると思った」

その言葉と同時に、ナルトを止めたあの速さで駆けて来る、しっかり眼で追って

「し!」
「ほ!」

パンチを放つが、軽く避けられて、カウンターの一撃。しかし、それは既に

「…変わり身、ね」

ボンと音を立てて現れたのは、ただの丸太。あれ?罅入ってるんだけど…

「やるじゃない」
「どうも」

そうして、ちゃりんと鈴の音を鳴らして見せる

「!?何時の間に…」

そうして、鈴を持ったまま、カカシについているもう一つの鈴を抜き去って、背後に姿を現す。

「変わり身の時に取っただけですよ…こんな風に」
「…とんでもない速さだな」
「……嘘ですけど」

へ?というカカシ先生の言葉共に、私の二つあった鈴の一つが消える。

「!?…幻術?」
「そーです。油断しすぎです」

カカシ先生の腰にある鈴が一つに戻っている。そう、簡単な幻術を仕掛けただけ。
内容的には、私に鈴を取られたと思わさせて、カカシ先生についている鈴を一つ見えなくする。
そうして、幻術で私がかなり素早く取った風に見せ、実際には普通に抜き取っただけ。

そこで、種明かしである。…こんな術に掛かるなんて…油断しすぎにも程がある。

「それに、私の位置も変わっていませんよね?」
「…参った」

そういって、両手を挙げて降参ポーズをする。

「まぁ、この鈴はお返しします」
「ん?どうして?」
「この試験…三人のチームワークですよね」
「どうしてそう思う」

どうしてそう思うか…本で読んだからです。何ていえないけど、前知識があったとしてもだ。

「普通、下忍程度が上忍に触れられるのがそもそも可笑しいのですよ…通常であれば」
「…いや、面目ない」

そう、普通に考えてありえないのだ。上忍に条件付でも勝とうとすることが…それは、ガイ先生を通しても理解できたし、それに匹敵するカカシ先生相手に、素人が取りに行っても不可能である。

「鈴二つはチームワークを乱す為」
「正解、ま!それが分かってるなら何故それをしなかったの?」
「あ~…それは私の力不足です」

すみません。と頭を下げる。…もうちょっとがっつけばいいかなぁと思ったけど。
この後の弁当イベントで合格するからいいかなぁ…と思ってました。何て言えない。
…しかし、今後何が起こるかわからないのだ…今回も、もしかしたら弁当が無いかもしれなかったのだ。

…まぁ弁当があることを確認したから恐らくその可能性は限りなく低いと踏んだけど。

そこで、タイムアップのようで、じりりりと時計が鳴った。

最初の集合場所に戻ると…ナルトが縄で縛られている。

「ナルト」
「なんだってばよ」
「何でそうなってるの?」

それは…と事情を聞いたら、まぁお弁当を先に食べてしまおうという所でカカシ先生に見つかって縛られてしまったとの事。…ドンマイ!

「さて、皆集まったな…では、結果発表する。…お前ら全員アカデミーに戻る必要は無い」
「ってことは三人とも…!」
「そう…三人とも、忍者を辞めろ!」

…まぁ当然の結果である。結果が全てだし、私は鈴を返してしまった。最初に提示された条件を達成していないのだ。…一人だけ合格という事はあり得ないしな。結果がすべてである。…裏の裏も読んでいたが、それを行動に移せなかったし。納得である。

「どーゆーことだ!」

縛られながらナルトがカカシ先生に抗議する。サスケも歯を食いしばって、カカシ先生を睨みつける。

「どいつもこいつも忍者になる資格がねぇガキだって事だ」

その瞬間、サスケが立ちあがりカカシ先生に向かってクナイを構えながら駆ける。しかし、それを眼にも止まらぬ速さで、サスケを組み伏せ、上に座るカカシ先生。

「お前ら忍者舐めてんのか?あ!?何のための班分けだと思っている…ま!アヤカはその答えを知っているがな」

そうして、視線が集まる。…これは

「あー…チームワーク、ですよね?」
「そうだ」
「ちょっと待ってってばよ!先生についてる鈴は二つしかないってば!」

そこで、ため息をつくカカシ先生視線を何故か此方に向ける…サスケもそんなに睨むなよ…ビビっちまうぜ。

「それはわざと仲間割れを起こさせるためですよね」
「そうだ。自分の利害関係なく仲間の為に行動できるか…チームワークを優先させる事が出来るか、試したのだが…」

そこで言葉を区切る。私は何ていわれるのだろうか…

「ナルト!お前は一人で独走しするだけ、サスケ!お前は二人を足手まといと決めつけ、個人プレイ」

そこで一旦区切って、此方を睨みつける。

「そして…アヤカ!お前は本当の実力を隠したままだ…仲間を信用していない証拠だ!!」
「…」
「確かに、見事俺から鈴を取ったし、この試験の答えを弾きだした」

鈴を取ったという事で、此方に驚く眼を向ける二人…しかし、それに構っている余裕は無い。

「…まぁ、お前の実力はこいつ等とは釣り合わないだろう…だが!任務は班で行う!個人技能は確かに大切だが、それ以上に重要なのはチームワーク」

そうして、ポーチから何かを取り出そうとしているカカシ先生

「チームワークを乱す奴は、仲間を危機に陥れ、殺す事となる…アヤカ」
「…なんでしょう」

そういって、クナイを取り出し、サスケに向かって振りかぶる

「これからサスケを殺す…お前なら…止められるよな!!」

一気に振り下ろすカカシ先生…一切の躊躇が見当たらない。距離は50メートル位、普通に間に合う。
そうだ、もう隠す事はない。仲間なのだ。バランスとか確かに取れていない…が、彼らは天才なのだ、直ぐに頭角を現し、私では考え付かないような戦術で、敵を圧倒するかもしれない。

そうだ、隠す必要なんざ…もう、何処にも……無い!

全身にチャクラを通して肉体活性をし、地面を陥没させる位の踏み込みで初速からトップスピードを叩きだし、サスケの顔面に振り降ろされそうになったクナイを、私のクナイで止める。

鳴り響く金属音。

サスケの顔面一センチ位で私のクナイがカカシ先生のクナイを防いでいた。

「…そうだ、それでいい。何を恐れていたのか分からないが…お前はもう、俺の部下だ……プライベートと奥の手以外の隠し事は厳禁だ」

そういって、サスケを解放し慰霊碑の前に立つ。

「この慰霊碑をみろ…ここに書いてある名前は全て……任務中に殉職した、英雄たちだ」
「「!!?」」
「…」

じっと見つめるカカシ先生、その中には…うちはオビトの名前があるのだろう。

「この中には俺の親友の名も刻まれている…お前ら、最後にもう一度だけチャンスをやる」

そういって、此方を振り返る。その眼は真剣そのものだ

「挑戦したい奴だけ弁当を食え、ただし、ナルトには食わせるな。ルールを破ったからな…もし食わせたりしたら…そいつも失格だ」

ここでは俺がルールだ。分かったな

その一言を残し、瞬神の術で姿を消すカカシ先生

「アヤカ…」
「……何?」
「……いや、何でもない」

そういって、弁当を開くサスケ。私も弁当を開き、ご飯を少し食べる。

ぎゅるる…

ナルトのお腹から虫がなっている…

「はい、ナルト。食べちゃいなよ?」
「…そうだな、足手まといになられちゃ困るからな」

そういって、ロープを切り、ナルトを解放する。

「へへ、ありがと」

そうして、私の箸を受け取り、ご飯を口に運んだ瞬間

「お前らああああ!」

眼の前からボンと煙が立ち込め、そこからカカシ先生が顔を出す。鬼気迫る表情だ。

「うおわ!」
「!?」







「ごーかっく」

そうして、私たち第七班の合格が確定したのであった。




[35501] NARUTO 9話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:07


試験を合格して、下忍になった私たち。その後サスケと帰宅する。

「なぁ…」
「何?」
「……どうやって、あんなに…いや、何でもねぇ。修行に行ってくる」

そう言って、駆けだす。その背中が曲がり角を曲がる前に

「人に!」

そう、叫ぶと、サスケが止まる。どうやら此方の方に聞き耳を立てているみたいだ。

「人に、教えてもらったの」
「…退院した時の話か」
「そう」

サスケも誘ったがにべもなく断られた件だ。

「…そうか」

その一言だけ呟いて、曲がり角を曲がって行ってしまった。…この一件で心を入れ替えれば一番いいんだけど…思春期の男の子である。私もそうだったが…自分の考えなんてそうそう変わるものではない。
しかも、今まで正しいと認識してきた。変われるはずもなかろう。

「はぁ~」

溜息しか付けない…まぁ家に帰れば寝る前に話せるけど…向こうからの接触を待つべきか。
そんな風に思いながら、家路を歩くのであった。




side サスケ

「くそ!」

誰かの家の塀に拳を叩きつける。今日の最後の最後に見せたアヤカの速さ…

「見えなかった…」

カカシのやつに一人で挑んで鈴を取るという芸当…俺は出来ない。
最初は冗談かと思っていたが…あの速さを見ると…納得してしまう。

イタチに家族をアヤカ意外殺されてしまってから、既に4年の歳月が経っている。
その間、俺はずっと修行してきた。その為、アカデミーの授業でも常にトップを走っていたのだ。
それに比べて、アヤカは常に平均。偶に平均より、上の時や下の時もあるが、概ね平均であった。

アカデミーでも、イベントがあるごとに見比べられていると、たまたま夕食が一緒になった時話していた
そう、俺より確実に下だと思っていた。

だが、今日。その現実をあっさり覆された。ショック…というより、疑問が残った。
何故、隠していたのだと。俺が…信用できなかったのか?分からない。

だから聞こうかと思った。その強さは…何なのか?何故、隠していたのか…
でも、踏み出せなかった。自分がたどって来た道が否定されそうで、馬鹿にされそうで。

アヤカは何を思ってか、人に教わったと言う…成程な。確かに、最初に俺を訓練に誘っていたっけな。しかし、俺は蹴った。何故なら、体術の特訓であったからだ。俺は体術には自信があったから、別にいいと思ったし、忍術の訓練の方が余程将来へ…イタチを殺す為に繋がるのかと思った。

いや、事実俺も力を付けた。…が、アヤカの方がその上を行っていただけだ。そうだ。もう、同じ土俵だ。これでアヤカに追いつける。俺はそう確信して、いつもの訓練場へ向かった。

「人に教わった…か……」

その呟きは、木の葉と共に、風が奪い去って行った。





side アヤカ

サスケと別れてから、そのまま家に帰らず、いつも特訓していた森へ移動する。そうして65体の影分身と混じって訓練をする。内容はチャクラコントロールと形態変化、性質変化である。
まぁ、螺旋丸に雷の性質変化を乗せればいいだけなのだが…結構難しい。

まぁほぼ完成には至ってるけどね。相変わらず術が増えないで御座る。体術の技の方がバリエーションあるってどういう事だよ?マジで。まぁ無いものは無い。であれば、既存の物を改良してより昇華させるべきである。

今日の件で実力を隠す事は無くなったので、まぁザブザ戦は楽に越えられると思う。恐らくだけど。
そう、何も無ければ直ぐに終わると思われる…が、あそこは確かサスケの写輪眼の覚醒する回だ。
それを潰してしまうのはまずい。

…うーむ。まぁ何とかなるだろう。カカシ先生もいるし。私もいるし。死にはしないと思う。
そう思って、影分身を全て消して、経験を吸収し訓練場所を後にするのであった。


ある日…



「バカヤロー!」

Dランク任務で可哀そうな猫の捕獲作戦を行った後、依頼人に猫を引き渡し、その次の任務を火影直々に選んで頂いているときに、ナルトが行きなり、もっとすごい任務をやらしてくれとせびったら、イルカ先生の雷が落ちたのである。

「誰しもが一つ一つ積み重ねていくんだよ!」
「そうだ、まだ下忍になったばかりだ…Dランク任務がいっぱいいっぱいじゃ」
「けど、オレってばもう、じいちゃんが思っているようないたずら小僧じゃないんだ!」

そう反論する。…まぁその前に人の話を聞かずに突っ込まれたけども。

「分かった」

そう、火影の言葉が聞こえた。

「ある人物の護衛じゃ」

そういって、入って来たのが…酒瓶を持って大きな荷物を背負っているゲンさん…みたいな人であった。

「なんだぁ、超ガキばっかじゃねぇか、特に金髪のちび…お前本当に忍者か?」
「ぶっ殺す!」

むきー!と怒るナルトをカカシ先生が抑えつけながら諭す

「わしは橋作り超名人、タズナというもんじゃわい。ワシの国まで超護衛をしてもらう!」

遂に来てしまった…ぶっちゃけどういった対応をするか、全く考えてないお。というより私も実戦なんて初めてなのである。だからこそ…ここで私も経験を手に入れなければならない…実戦という形で。

各自、荷物を用意して、里の門前に一時間後集合という掛け声をカカシ先生が言って、その場は解散となり…





「しゅっぱーつ!」

いよいよ、出発する事となった。はしゃぐナルトをしり目にカカシ先生に近付いて確認するべき事を確認する。

「先生」
「ん?どうした」
「…殺しは、ありなのですか?」
「…うーん。ま!時と場の状況…だな」

そういって、一行は既に出発していたので歩きだす。どうやら、ナルトは依頼人の態度が気に入らないのか絡んでいるけど…

「ナルト」
「あ、アヤカちゃんも言ってやってよ!」
「…少し静かにしようね」


静かににっこり笑って、ナルトを見つめる。うっとなって静かになり、一行は道を歩いていく。
ん~良い天気である。実に良い天気である。それなのに…

(水溜りがある…)

道に溜まっている水、ここ数日の天気は晴れである。カカシ先生に目線を送るとばっちり眼があった。
恐らくアイコンタクトを図っているのだと思うけど…全く意味が分からん。

その水溜りをスルーし、一時時を置いた瞬間、後ろに二つの気配を確認する。
一気に、カカシ先生へと迫り、チェーンが全身へ巻きつく。

「何!?」

このコピー忍者は白々しいにも程がある。私でも気付く気配。上忍が気付かない筈がない。
ひっそりと印を結んでいる事を確認した後、カカシ先生の体が色々な部位ごとに切断され、血が吹き出る

「カカシ先生ー!」

たまらずナルトが声を上げる。しかし、ナルトの後ろに既に忍びがいる

「二匹目」

声が上がる瞬間にポーチから敢えて遅くクナイを取り出し投げる。それと同時にサスケもクナイを投げて、チェーンを絡め取り、木に張り付ける。それを確認した瞬間、一瞬で投げたクナイに追いつき、吸着でクナイを足場にして無理なく敵の背後を取る。

視認すら許さぬ動きで、頭を鷲掴みにしチャクラを込めて地面に叩きつける…殺すつもりで。

グシャ

つかんでいた手と手の間に生ぬるいゼリー状のようなものが零れおちる。
自然と…不快感も何もない。冷静に受け止めている。初めての実戦で初めての殺人。
されど冷静だ…最初の時点で、狂っていたのかもしれないけどね。

「…え?」

ナルトの声が広い森に木霊する。その隙にサスケが足止めしていた忍びがナルトに向かって飛ぶが、

「ご苦労さん」

その言葉と共にカカシ先生が姿を現して、忍びを締め上げる。

「全員、怪我は…無いね」
「先生、手を洗いたいです」
「どーぞ」

許可を得たので水筒から水を握りつぶした手に掛けて血とその他諸々を洗う。

「し、死んでる?」

ナルトの声、サスケも流石に声が上がってこない。

「ん?見りゃわかるでしょ?」

カカシ先生はいつも通りだ。…当たり前か。暗部として動いていた時期もあったのだ、殺人に対してそこまで嫌悪感は無いはずである。

「こ、殺す事は無かったじゃん!?」

反発の声を上げるナルト…まぁ確かに、殺す事は無かった。首筋にチョップか仙掌術で気絶させれば良い事である。ではなぜ、殺したか。それは、これからの実戦の中で必ず殺人を犯すからだ。
その時になって、殺人を躊躇してみろ。待っているのは仲間の死である。

そう、これは忍びにとって、避けて通れない道である。だから殺した。私の礎になってもらった。

「ナルト、もし…さ。もしだよ、このまま殺人をせずに、敵を見逃していくとしよう…そうして、見逃した敵がさ、仲間を殺しちゃったら、私は、悔やんでも悔やみきれない」

だから、ここで私の為に、私のエゴの為に…殺した。

仲間は何も、この班だけではない。ヒナタだって、里の人たちだって…見逃した敵に殺されるかもしれない。それだけは、ナンセンスだ。

その一言で、ナルトは少し考え。納得したのか納得していないのかよく分からない表情で

「…オレってば、頭が悪いから、よく分からないってばよ…でも、それでもオレは」

救える道があるなら、救いたい。

「ふん」

サスケは納得したのか、鼻を鳴らしながら先に進む。私も、これが主人公と、納得したよ。

「そう…じゃ、行きますか」
「「おう」」
「あの、オレが担当だよね、この班」

タズナさんを守りながら、先へ進もうと思ったが…

「先生さんよ…ちょっと、話したい事がある」

タズナさんの一言で、この班は真実を知る事になる。




[35501] NARUTO 10話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:07


「もう直ぐ国へ付くぞ」

霧が深い波の国、底に見えてくるのは…大きな建造中の橋である。

「うっひょー、でっけー!」

あの後、タズナさんから、真実を語ってもらった、そしてあの忍者の裏には「ガトーカンパニー」が控えているとの事、悪徳商法で一財産を築いた人物で、暴力を盾に様々な物を売っている。
そのガトーカンパニーのトップが「ガトー」である。

そのガトーが、一年前にこの波の国に目をつけ、瞬く間に海上交通を独占してしまったのである。
故に現在作り途中であるこの橋が完成すると、陸路が出来てしまう。それを恐れて、タズナさんを狙ってきているとの事だった。

「それじゃ、俺はここまでだ…気をつけてくれ」
「すまん」

そういって、隠れながら船を出していただいた方に別れを告げて、一同は歩き出す。

暫く歩くと、前方に何か気配感じたなぁ…と思っていると

「全員伏せろ!!」

霧の中から顔を出す、太刀。それが回転しながら迫ってきて木に刺さる。その上に

「これはこれは…霧隠れの桃地再不斬君じゃないですか」
「…お前は、写輪眼のカカシだな?」

その瞬間、明らかにサスケに動揺が広がる。だが、今はそれどころではないのだ。
ふと、その隣のナルトを見ると…完全にすくみ上がっている。私も、緊張してます。

「タズナさんを中心に卍の陣だ!」

その指示で瞬間的にタズナさんを囲むようにフォーメーションを組む。私なら行けると思うけど、今は単独ではなく、班で行動しているのだ…チームワークを乱すのは厳禁。よって、私を正面に、左がサスケ、右がナルトで固める。

「そのじじぃを渡してもらおうか…」
「悪いけど、俺を相手にしてから言ってくれない?」

カカシ先生の額宛を上にずらし、あらわになる「写輪眼」

忍、体、幻を一目見ただけで瞬時に見切り、跳ね返してしまう「うちは」一族だけが持つ特有の血系限界である。…まぁオビトの写輪眼だろうけど…更に、不信な空気を出してカカシ先生を見るサスケ。
まぁ仕方が無いだろう、自分の一族しかないはずのものが、関係ない人に宿っているのだからな。 

そして、上忍同士の戦いが始まる…いや、既に始まっている。この縛られるような空気。ガイさんに本気で殺気を当ててもらってなかったら、全力を出すのが厳しいレベルである。ナルトとサスケは既に飲まれそうになっている…

一時の時間を置いて、ザブザが水の上に移動しする。

「水の上に?」

印を組むザブザ…その術、貰った。私も写輪眼を発現させる。私の写輪眼もカカシ同様、瞳孔の周りに三つのマークが浮かび上がる。

霧隠れの術!

大量に練られたチャクラを霧と水に浸透させて発動する術。これで視界が殆ど0になっている…が、
その術の後に印を組んでいた…恐らく

「消えた!?」

姿を消したザブザ…霧に溶け込んでいて、私も何処にいるか分からない。

「人体にある急所…その八箇所…お前らはどの痛みがいい?」

姿は無くとも声は聞こえてくる。その言葉とカカシ先生の気迫によって流れてくる殺気。
先ほどより濃密な殺気で、動くことすらままならない…ナルトとサスケ。私は、ガイさんで慣れているからあれだけど…

「大丈夫、俺の仲間は、絶対殺させはしないよ」

そう、カカシ先生が私達に対して声を掛けてくれる。瞬間に体が気持ち軽くなる。…流石上忍、言葉一つにかなり説得力あるよ…だが、まだ油断している。

「それはどうかな?」

後ろにチャクラが出現したのを感じ取る。

「遅いよ…眉なし」

そのまま後ろを振り返らず、顔面をチャクラで強化した右足で蹴り上げる。

バシャ

と、水分身が解けるのを感じる。しかし、相手も流石上忍といったところか、私の後ろに若干間が空いたがすぐさま、水分身を作成する。

「だから、やらせないって」

カカシ先生が割り込んできて、水分身をクナイで一閃。直ぐに水に戻る

「ちぃ…ただの小娘じゃないな?」

その言葉と共に、水分身が…10体、池のほうで作成される

「分身が一杯だってばよ!?」
「!?」
「作戦変更だ!サスケ、ナルト!お前達二人でタズナさんを守れ!アヤカ!援護を頼む!」
「了解」

その瞬間一気に此方に接近してくる水分身、それぞれ目一杯拡散しているので、各個撃破しか出来ない。
全身をチャクラで強化して、一気にトップスピードまで加速し

「まずは一体」

目にも留まらぬ速さの貫手で首と胴体を切断するが、直ぐに水に戻る。こちらに左右からの攻撃が来ているので、右の水分身のストレートにあわせて此方もストレートを出し、拳を砕きながら、腕を粉砕する。水に戻った瞬間、後ろから衝撃。

だが、一番最初に倒して発生した水で水分身を作り、それを瞬時に変わり身に使用。
ノーダメージで位置を入れ替え且つ、背後を取り、クナイで一閃。水に戻ったことを確認した。

「本体は…?」

水辺のほうを見ると、先ほどの霧隠れの術以上にチャクラを練りこんでいる。
何かする気か…と思ったがまずは、カカシ先生の後ろを取っていた水分身の頭を掴み、地面に叩き落す。

「く!ナルト!サスケ!そっちにいったぞ!!」

その言葉ともに、タズナさんのほうを見ると、3体向かっていっているではないか。
すぐさま、水分身の印を結び、一番最初に返した水分身と、カカシ先生が返した水分身の水溜りを利用して、私の水分身を作る。

「な!?」
「え!?アヤカちゃん!?」

しかし、一体すり抜けてしまう。だが、ザブザが練りこんでいるチャクラ量が異常だ。よって

「先生!護衛の方は私が…私達が何とかします!先生はザブザを!」
「ああ!あのチャクラ量はまずい」

そういって、二手に別れタズナさんのほうを見てみると…

「火遁、豪火球の術!!」

サスケが放った火遁をジャンプで避ける、しかしナルトが影分身を利用し、一斉に水分身に向かってクナイや手裏剣を放ち、サスケも負けじと手裏剣を放つが、悉く叩き落とされてしまっている…
だが次の瞬間に、弾かれたクナイがナルトの姿となり、そのナルトの手にはサスケが投げた手裏剣、その手裏剣を持ったまま、水分身の背中にしがみ付く

「クソ!この餓鬼が!?」
「あんたはその餓鬼に…やられるんだぜ?」

火遁 鳳仙火の術!!

次々と放たれる火炎弾だが…流れるように、直撃コースから逸れてしまう。

「は!外したようだな」

そう勝ち誇った顔をする、ザブザだが…

「そいつはどうかな?」

いきなり軌道が変化して、ザブザの顔面に迫る

「馬鹿な!?」

そう、放った火炎弾の軌道がずれることはない…通常であればだ。

「糸…ね」

チャクラを通した糸を辿って、ナルトが持っている手裏剣目掛けて炎が着弾し、炎を上げる

「ぐあ!」
「あちち!」

水分身は消えて、ナルトの影分身も消える。

「二人ともナイス!!」

その声が自然に出た。因みに、残り2体の水分身は私の水分身で足を止めさせ、本体である私が、背後からの一閃である。そうして、援護しようかと思ったが…どうやらその必要は無かった。

「へ、漸くこれで一体かよ」
「へへ…でも俺達もやれば出来るってばよ!」

サスケは口ではあんなことを言っているが、その顔は嬉しそうだ。無論ナルトもである。
それもつかの間、カカシ先生と、ザブザが放った上位忍術、その水流が荒れ狂っている。

(ちぃ!写輪眼で術を見ていなかった!)

せっかく、術を手に入れるチャンスだったのだが…そうも言ってられない。
しかし、ザブザがチャクラを練りこんでいる量が違い、幾分先生の水流が小さい。その事を悟っているのか、険しい表情になっているカカシ先生。

「はは!これほどまで練りこんだチャクラはコピーできなかったようだな!」
「く!」

大量に練りこんだチャクラを用意していたザブザに術合戦は軍配が上がってしまった。
荒波に飲まれるカカシ先生

「先生!」
「させねぇぜ、小娘が」

勝ったと踏んだのであろう、ザブザ本体が私に切りかかってきたが、屈んで避ける。返す刀で更に追撃してきたが、バク転で避け、着地する。髪が少し切れたのはかなりショック

「ち、その身のこなし…ただの下忍じゃあ…ねぇな?」
「さぁ?…それに、相手は私ではないですよ」
「何!?」

ザブザの斜め後ろに姿を現したカカシ先生が、回し蹴りでザブザの体を吹っ飛ばす。

「ちぃ!仕留めた筈じゃ!?」
「…変わり身ですか」
「ご名答だ、アヤカ。ま!結構ダメージ食らったけどね」

そうして、ふっ飛ばした先は先ほどの水面。

「どうやら、またやられたいようだな」
「…」

そうして、一斉に動く二人とも、その動きは全て同じである。

「こいつ、動きを「コピーしてやがるってか?」!?」

同時に印を結ぶ構えをとる。徐々にザブザの同様が広がっていき…

「水遁・大瀑布の術!!」

ザブザが発動する前に術を決め、大量の水がザブザを襲う。

「いくらチャクラを練りこんであるといっても…使えなきゃ意味ないでしょ」

その言葉と共に、木に叩きつけられたザブザにクナイを放ち、磔にし、瞬時にザブザの頭上の木に移動し

「終わりだ」

とどめという所で、ザブザの首に数本の千本が刺さり、意識を失ったのか…そのまま倒れてしまった。

「あ~あ、本当に死んじゃった」

その言葉と共に、追い忍の仮面を被った忍びが顔を出した。




[35501] NARUTO 11話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:08


「大丈夫かい?先生」
「いやぁ…はっは、一週間は動けませんよ」

あの追い忍…白が来て、ザブザを回収して去っていってしまった。ナルトは何か不満そうだったけど…
そこはカカシ先生、難なくナルトを諭した。という所までは良いのだが、写輪眼の影響でチャクラの消費が多く、どさりとカカシ先生が倒れてしまったのである。

幸い、タズナさんの家がそう離れていなく、ナルトの影分身でカカシ先生を運んでいった。
そこで、一週間動けないという事態をあっさり受け入れて、まぁ宿として貸していただいた次第だ。

布団に入って、タズナさんの娘さんツナミさんに声を掛けられたのだ。

「でも、ま!今回強い忍者を倒したんじゃ!暫くは安心じゃろう!」

フォローしてくれるタズナさん。

「カカシ先生」
「あ?」
「あの追い忍の面とかって何処で売ってるんですか?」
「いや、何処といわれてもな…」

とりあえず、仮面の目の部分に穴を空けて、万華鏡とか使えば正体ばれなくない?と思ったのだ。
…怪しさ満点だけど。まぁ冗談だけどね。

「カカシ先生」
「今度は何だ?」
「追い忍って何処で死体処理するんですか?」

通常であれば、その場で死体を処理するはずである…首を持っていけば任務の完了の証でもあるし、脳に入っている情報も守られる。後の体は全て燃やせば良い…だがしなかった。そう、通常とは異なる対応なのだ。

「通常はその場なんだが…待てよ」

そこで考える、恐らく追い忍が使った武器、千本とその後取った行動

「武器は…千本を使ってやがったな…」

確か…と繋げてサスケが言葉を紡ぐ。そこで、はっとなるカカシ先生。いつの間にかナルトも会話に混じって聞いている。

「…ザブザは生きている」













「大丈夫ですか?再不斬さん」
「ああ、次は写輪眼を見切れる…が」
「どうしました?」

ある森の中に堂々と建つ隠れ家、その中にいるのは、死んだはずのザブザと、美少女と捉えても可笑しくないほど顔が整った…美少年……白という。

「ああ…餓鬼が3人居たんだが、一人だけな…」
「その一人が?」

ザブザにしては妙に歯切れが悪い、つまり此方にとってあまり嬉しくない情報だと瞬時に意図する。

「髪の長い小娘なんだが…オレの水分身を4体…いや、6体か碌な反撃も出来ずやられた」
「な!いくら10分の1位の実力しか発揮できないといってもそれは」
「ありえたんだ…今回の依頼はちっとばかし、きついかも知れねぇな…」

あのザブザに…鬼人再不斬にこの言葉を言わせる程の実力…

「白の秘術が出せば勝てると思うが…」
「それ程ですか」
「あぁ…俺はカカシだけなら勝てる。が、やつも相手となると…」

難しい…そういうザブザの顔は…何処か嬉しそうであった。そう、ザブザはこの程度で怖気ずく人間ではない…いや、だからこその鬼人再不斬と呼ばれるのだ。かつて、霧隠れの忍者学校の卒業試験…二人一組になって殺しあい、生きた人間だけが忍者になれる超難関の試験で…受験者全員を殺してしまう事件が起こった。その中心人物こそ、このザブザなのである。

「ふふ…勝機はありますか?」
「当然だ…白、お前の力をオレの為に使え」
「喜んで」

ふと、白が視線を外すと、そこにあるのは捨てられた刀。先ほど来た依頼人…ガトーの護衛が装備していた刀。一悶着あったが、結果落としていったのは刀だけであった。

(運が良い…)

あのまま自分がとめていなければ…護衛の飼い主であるガトーが死んでいた。ザブザの手によって、しかしそれはまだ時期尚早。よって止めに入った結果が刀なのである。

「あ、再不斬さん…リンゴ食べます?」
「いやいr「ウサギさんの形に切りますね」…おぅ」













「なぁにぃ!あいつが生きてるぅ!?」

ナルトが声を裏返しながら声を上げる。顔には吃驚してます。自分。と堂々と書いてある。

「ああ…確かに死んでいたが、あれは恐らく仮死状態」
「かしじょうたい?」

ナルトの言葉に頷いて言葉を紡ぐ

「あの追い忍が使った武器千本の殺傷能力は低い。本来はつぼのマッサージとかに使うものだ。追い忍は死体処理班とも言われ、人体のスペシャリスト。人体のつぼをついて仮死状態にすることも不可能ではない…」

…まぁ私も嫌らしい術を取得する為に人体の勉強は行ってきたけどね。そして、それを取得する為に利用した影分身。こいつの最大の強みって、絶対に経験値を多く取得できる所だよね。ナルトレベルのチャクラがないと正直、戦闘で使える気がしない。
チャクラを均等に分けるので、かなり持ってかれる…しかも、脆い。分身であれば、水分身で十分だなぁ…今の所は。

「その追い忍ってのは、死体を処理するのじゃろ?…考えすぎじゃないのかの?」
「いえ、クサイと分かったのなら準備をする…忍びの鉄則だ。よって、サスケ、ナルト…アヤカも、修行を課す!」
「何で私の所は間が空いたんですか?」
「お前達の成長は早い」

華麗にスルーされた。涙は出てこないもん!

「特にナルト!…お前はこの短期間でかなりの成長を遂げている」
「へへ…」
「とはいっても、俺が回復するまでの一週間…恐らく仮死状態の人間もそれくらい動けなくなる。この一週間修行をしてもらう」

面白くなってきたってばよー!と張り切って声を上げた瞬間に玄関の扉が開き小さい子供が入ってきて

「面白くなんか無いよ…」

そう、ナルトに対して投げかけた。初対面の人間に対して中々の物言いであるが…

「お前誰だー!」

家のナルトも悪いけど負けていない。この噛み付きようはまったく予想が付かない。
ツナミさんが、注意するが、スルーし、タズナさんの傍に行ってじっとこちらを見てくる…

「仲間にして欲しいのか…」
「俺は思っていたんだが…アヤカって偶に変なこというよな」

サスケに突っ込まれた。すまん。これからはもうちょっと注意するかもしれない。

「母ちゃん、こいつら全員死ぬよ?」

流石の私も少しイラっと来た。ねぇ初対面だよね?私達と初対面だよね?え?もしかしてこいつ私達より強いの?ねぇ?

「ガトー達を相手にして生き残れるはず無いよ…」

その言葉に少し、思うところがある。原作で父ちゃんが死んだんだっけ?こっちも両親亡くしたけど…それを引き合いに出すのはナンセンスだな。人の死に軽い重いも無い。死ねば皆同じなのだ…生前の価値は知ったこっちゃ無いけど。

「んだとぉー!」

そういって、子供に向かおうとするナルトの服を抑えながら

「死ぬ死なないはどうでも良い、ナルト。私達は任務で来てるんだ…結果を見せればいいさ」
「むぐ!…むむむ……俺は将来火影になって凄いヒーローになる!だからこんな所でガトーだかショコラなんかに負けるわけねーってばよ!」

きっとナルトを睨む子供の口から

「ヒーローなんて馬鹿みたい、そんなのいる訳ないじゃん!」

そういって、タズナさんと言葉を交わして何処かへ行ってしまう。タズナさんは申し訳なさそうに謝ってくるが、まぁ此方もナルトが火に油を注いでしまった感じなのでそれはお相子だと思う。

その後、カカシ先生から30分後この近くの森で修行を行う胸が伝えられ、その場は解散となった。







木々が生い茂っている森の中で少し開けた場所に私達第7班が集まった。

「これより、修行を開始する」

今回の修行内容は木登りである。最初にチャクラの説明口座をナルトの為に行い術がどういうプロセスで発動しているかおさらいをしてもらった。

「お前達は…まぁアヤカは知らんが、ナルトとサスケ。お前らはまだ術を完璧に使えていない」
「どーいうことだってばよ!」
「何?」
「そこでだ…この一週間の修行、木登りを行ってもらう!」
「木登りー!?」
「そうだ」

ナルトの顔がきらきらしたものから一気にじめじめしたものに変わってしまった。サスケも何処か不信な目を向けている。…まぁ元々怪しいよね、カカシ先生って。

「ただの木登りじゃない!手を使わないで上る」

その言葉を聞いた瞬間にきらきらな笑顔に変わるナルト…真っ直ぐすぎて顔の表情を見ただけでおおよそ何を考えているのかが分かってしまうのは、果たして忍者に向いているのかは置いておこう。

「じゃあ、お手本としてアヤカ…上ってみろ」
「…先生も上れますよね」
「松葉杖が見えんのか」

りょーかい。そう言って、すたすたと木に向かって歩く。

「…パンツ見ないでくださいね」
「見ないよ!?」
「まぁスパッツ履いているので問題ないですけど」

恨めしそうなカカシ先生の目を華麗にスルーして木に一歩足を踏み込みそのままチャクラコントロールを行い幹に足を吸着させながら上っていく。そうしてたどり着いたのがちょこっとでてる枝。

「こんなもんですか?」
「いいぞー」

そういって、視線を此方から外し、ナルトとサスケに先ほどの木登りのプロセスを説明をする。
そして、チャクラコントロールがいかに大切かを説く。そう、極論を言うと、チャクラコントロールが完璧になれば、どのような術でも取得が可能なのだ。…理論上は。ただ、血系限界はそうはいかない、名の通り、血筋で使用できるかどうかが決まる術なのである。

さらに、このチャクラコントロールを極めると綱手姫みたいな怪力も可能になる。そのうえ、この修行は持続時間も効果的に挙げられる、画期的な修行方法である。

「と、まぁオレがごちゃごちゃいった所でどーこーなる訳でもないし…体で直接覚えて貰うしかないんだけど」

その言葉と共に、クナイを取り出し二人に渡す。

「今の自分で上れる高さを目印としてそのクナイでキズを打て」
「カカシせんせー。私はどうすれば?」
「あ~…降りてきていいぞ」

その言葉で、木の枝からジャンプをして、音も無く着地する…私の体術はガイさんを越している事をお忘れなく。

「アヤカは、タズナさんの護衛を宜しく頼む」
「了解」

その言葉を聞いて。タズナさんの家に向かい歩き出すのであった。




[35501] NARUTO 12話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:09


この一週間は主に…というより、タズナさんの護衛を行っていた。護衛を行っている中で、この国は相当弱っていることを実感させられた。八百屋に商品が全く並んでなく、町では子供が裸足で駆けている。
正直言って、目も当てられない…何処の戦後の国だよ。と不謹慎ながら思ってしまった。

修行に関して、ナルト、サスケ共々順調に成長していっている、食事中チャクラコントロールについて、アドバイスを聞いてきたりと、日々精進している。また、その食事中に子供のように張り合いながら食べる姿が輝いて見えたのはきっと、気のせいじゃない。まぁイナリと一悶着あったけど、比較的穏便だ。

そうして、とうとうこの日を迎えたのだ。…ザブザ来襲である。

その日は丁度、ナルトが昨日、木登り修行でチャクラを使い果たして寝坊した日だった。サスケもこの一週間で木登りをマスターして、私と、復活したカカシ先生と一緒にタズナさんの護衛任務へ当たる。
…因みに私は、この一週間はこっそりと影分身での修行も行っていたので、無駄に護衛していた…というわけではない。

そうして、何時ものルートを通って建造中の橋まで来てみると…

「何じゃこりゃー!?」

血だらけになって倒れている人が5人おり、全員呼吸をしているので死んではいないが、早く治療をすべきだ。そう思い、タズナさんを後ろに回して近づこうとした所

ヒュ

風切り音と共に私の足元に千本が刺さる。瞬間濃厚な霧が私達の視界を埋め尽くす。

「来るぞ!」

その言葉と同時に私達の周りを囲むようにチャクラが発現する。すぐさまタズナさんを守るように陣を組んだ瞬間に

「くく…そこの坊主、可哀想になぁ…震えているぞ」

その言葉と共にザブザの水分身が発現したチャクラの所に現れる。だが、私達も一週間寝ていたわけではない、特に…

「やれ、サスケ」

その言葉と共に、チャクラを練ったサスケが水分身ザブザに向かって飛び出し…高速で全ての水分身を切り刻む。

「見える!!」

これは、サクラが惚れるのは無理は無い。客観的に見ると確かにカッコいいね。身内だから何ともいえない気分だけど。そう、サスケのレベルアップは目を見張るものがある。…常識の範囲内だけど。
これで影分身を使っていたらもっと成長したのにね…恐らくだけど。

「ほー水分身を見切ったか」
「やりますね、彼」

そう言って霧から現れたザブザとお面君。

「やはりお面君はザブザの味方のようだ…俺の予感的中ってわけか」

そうして両者にらみ合う形になった。

「カカシ先生、どうします?」
「ん~…ここは「あのお面は俺がやる」……よし、任せたぞ」
「下手な芝居しやがって…ああいうスカしたガキが一番嫌いだ」

一歩前へ出ているサスケを私と、カカシ先生は半眼で見る。そうして、カカシ先生と目が合い

(自分の事を棚に上げちゃってるんですけど、妹さん)
(お母さんはこんな風に育てたつもりはありません!)

今度こそ完璧なアイコンタクトが成立した瞬間である。それにしてもこのお面君確か血継限界だよね。
…私の万華鏡写輪眼でコピーできないかな……なぁんてね。血継限界は遺伝子に組み込んである情報をが無ければ発現しない…










と、思うじゃん?








「秘術、千殺水翔!」

その術を発動する前にカカシ先生の指示で私が後ろに下がり、全員の視界に私が入らないことを確認し、
万華鏡写輪眼を開眼する。そうして、白が高速で片手印を結ぶ手をばっちり見る。
ばっちりコピーできたことを目を閉じて確認する。…まぁ印を覚えているかどうかの確認の為である。

先ほどザブザの水分身が全てやられて出来た水を利用し、サスケを囲むように硬度を持った水の針が現れサスケに向かい高速で飛来する。それを足にチャクラを集中し、上空へ避ける。
そのまま、手裏剣を放ち、降りてきた所を格闘戦に持ち込み、一発白に蹴りを入れた。

確実に成長している。たった一週間であれは…私と同レベルの成長速度である。

「ガキだと舐めてもらっちゃ困るね。こう見えてもサスケは木の葉の里ナンバーワンルーキー。ここにいるアヤカはその妹にして俺と同じ位の実力…」
「!?」

やめてー!今乗っているサスケに精神攻撃はやめてー!!やられちゃうから!奴さんにいとも簡単にやられちゃう精神状態になっちゃうから!繊細なんだよ!サスケはガラスのハートなんだよ!ブロークンハートしちゃうから!そこらへん察しろよ!この案山子!

「そして、もう一人は目立ちたがり屋、意外性ナンバーワンのドタバタ忍者ナルト」

そう、カカシが言い切る

「くく…白、このままだと返り討ちだぞ」
「ええ…残念です」

サスケの周りの水に冷気が帯びて来ている。というより、さっきの術で水の近くは危ないと思わなかったのかよ。…まぁ私も今気付いたけどね。

「秘術、魔鏡氷晶!!」

ばっちり、万華鏡写輪眼で印とチャクラと術のプロセスをコピーして、万華鏡写輪眼を解除する。

「何だあの術は!?」

サスケの周りに氷の鏡が出来て囲む。発動した術者…白はその厚さ2センチにも満たない氷に入り込む。
そして、サスケを取り囲んだ全ての氷に白が移りこむ。まずい状況だ。

「くそ!!」

瞬時に状況を理解したカカシ先生。悪態を付くと同時にサスケを救助せんと駆ける…が

「お前は俺が相手だ」
「じゃあ、私が助太刀致します」
「悪いが…小娘はこいつと戯れていろ」

その瞬間、ザブザが何処からともなく巻物を取り出し、その巻物から何かを口寄せした。

「…人形?」
「くく…ただの人形じゃない、こいつは「投影人形」だ」















「それで、ザブザさん。その少女の対策はどうするのですか?」

時は少し戻り、白がザブザに向けて可愛いウサギ型のリンゴを作って、食べている時である。
ザブザは右手にリンゴを持ちながら、食べていたものを全ての見込み口を開く

「ああ…あのガトーが持っていたのだが…こいつを使う」
「…なんですか?その、呪われそうな黒い藁人形は」

ザブザが取り出したのは、趣味の悪い黒い藁人形しかし、よく目を凝らしてみると…

「!?……これは、印の文字が……」
「そう、遠くから見ると黒いが…その黒に見えるのは全て印が刻み込んであるのが原因だ。でだ、こいつに人の遺伝子情報がある物を詰め込み、チャクラを流すと…その遺伝子情報を元にその情報と同じ姿かたちを作り出す……血継限界も恐らく使用可能だ」
「…しかしその少女の遺伝子情報は何処から?」
「くく、前回戦闘したときに、俺の攻撃で髪の毛を少し斬ったらしくてな…」

その言葉と共に、ザブザの手に長く黒い髪の毛が握られている。そう、ザブザ本体からの攻撃で髪が切れてしまっていたのでである。

「でも、チャクラはどうするのです?」

そう、何事も対価が必要なのである。どんな術でもチャクラは必要だし、上の忍術を用いればそれ相応のチャクラが必要である。何事も対価が必要なのだ。先ほどのザブザの話を聞くとその対価を無視した形で道具が使用できる風に聞こえる

「いいところに気付いた…だが、こいつにチャクラを溜めれるとしたら…どうだ?」
「!?…なるほど…この一週間のチャクラを込める。というわけですか」
「ああ…そのチャクラを使用してこの人形は動く…まぁ終わった後は燃え尽きるけどな」
「それは…どうしてですか?」
「現実に考えてみろ…普通ならありえないだろう。同じ人間がこの世界で二人居るなんて。その代価だ……だが、その代価を利用して、同じ人間を殺そうと動く一品だ」

世界の理を覆す代物。…ガトーカンパニーの頭だからこのような品が手に入ったのだろう…まぁガトー自身はこの人形がどれほどのものか分からないと思うが。

「ま、世の中にはもっと常識はずれの事が多く存在しているけどな」












「アヤカ!注意しろ!その人形に込められたチャクラ量が尋常じゃない!!」

そんな物、分かっている!素のナルトの2倍以上はあるし、その質もザブザと同レベル。…こんなの原作に無かったぞ!?どうなっていやがる!

「クソ!術が発動する前にこの手で壊す!」

瞬時に全力で身体強化を図り、大気を弾けさせながらザブザに向かってクナイを振る…が

「させない」

鳴り響く金属音、鈴が鳴る様な心地いい声…いや

「わたしの…こえ?」
「ご名答」

煙から現れたのは、私と寸分違わない…私がザブザを守るように私のクナイを止めている。
おいおい!どうなってやがる!?

「アヤカだと!?」
「よそ見してる暇があるのか?カカシ」
「クソ!」

これで実質三対三。ナルトはまだ来ていない。…非常にまずい。

「ふふ…ま、安心してよ。直ぐ楽にしてあげるから」
「ち!」

瞬時に距離を取るが、それと同等の速さで接近され追撃が来る。…チャクラで強化した足だ

「痛天脚!!」

私に接近してきたと同時に、空中で一回転し、脚に膨大なチャクラを宿した踵落しが来る。
これを避けたら、橋の存在がやばい!損壊的な意味で

「木の葉大旋風!!」

全身のチャクラを瞬時にコントロールし、右足を思いっきり強化し、チャクラを集める。
両方とも大気を裂く様な速度を持って衝突する。
大気が弾け、まるで大きな爆弾が直ぐ目の前で爆発したような音が響く。その音と共に運ばれてくるのが衝撃。大気を保つ空気が極限を超えた振動に耐え切れず発生した波。

その波が発生地点の半径50メートルを襲い、突風が吹き荒れる。

「アヤカ!お前絶対事情を説明してもらうぞー!!」

突風の中カカシ先生の声が聞こえる。しかし、それに答える余裕は無い。全身に衝撃がいきわたり、軸となった足の骨から嫌な音が響く…が瞬時に回復させる。この程度、なんということは無い。

しかし、受けきった際に軸足を貫通した衝撃は橋に大きく亀裂を生み出す

「ああー!橋がー!!」

今度はタズナさんの声が聞こえるが、こちとら必死なんだよ!予想外だよ!何なんだこの人形は!
…しかし、ナルトの世界ならありだな。死人だって偽りながらも蘇らせ、更には全盛期の肉体とチャクラまで宿せる。不思議ではない…不思議ではないが…納得いかない

「雷歩」

空中に居た所を貫手で胴体を貫こうと思ったが、それ以上の速さで私の背後に移動され

「しね」

神速の貫手が私の心臓目掛けて来る事を感じる。

「ちぃ!」

体を回転させて避けるが、脇腹を衝撃と共に持っていかれ、出血する。しかし、それも直ぐにキズを塞ぐ
。そして、回転に併せて裏拳を放つが、しゃがんで避けられ

「木の葉大旋風!!」

カポエラーの要領で私の顔面目掛けて蹴りが迫る、それをバク転で避けて距離を空ける。
バク転の最中に印を結び、着地した瞬間…いや、偽りの私を視認した瞬間

「火遁豪火玉の術!!」

火遁も諦めずに練習し、何とか実用化に持ってこれた術を惜しげもなく発揮させる
しかし、相手は何のことも無く、右手にチャクラを…螺旋丸を作り、握りつぶした。握りつぶした螺旋丸を中心に、チャクラを伴った乱気流が発生し私の豪火が打ち消される。

「…その程度?」

しまいには挑発される。こいつぅ…その技術は私がばれないように必死こいて磨いてきた技術だっつうの!…よく分かったよ。確かに真似されるのは別にいいと思ってたよ…でも、実際に目の当たりにするとめちゃくちゃむかつく~!

「著作権違法だぼけぇ!」
「…その著作権に保護された世界にいるくせに」

おのれ、ああいえばこういう…これが私の性格なのか?つか、著作権関係ないね。
くそ!奥の手を使うしかないか…?いや、待てよ…

「うずまきナルト!ただいま見参!ってうお!アヤカちゃんが二人いる!?」
「ナルト!それは後だ!今はタズナさんを安全な場所へ移動しろ!その後サスケの援護だ!」
「させるかよ」

ザブザが割り込み、手裏剣をナルトに向かって投げるが…全て千本で叩き落される

「余所見してていいの?」

そこまで相手に注意を払いながら見ていたが…声を掛けられる。…私の後ろから
お腹から血が出て、クナイの先端が体から突き出ている…あれ?私の体って、結構細いんだね…
認識した瞬間に一気に引き抜かれる。

「あぐ!」

痛み…というより、灼熱の鉄板が体内に入り込んでるような熱さが体を襲う。足に力が急に抜けて膝を付く

「アヤカ!!」

カカシ先生の声が聞こえるが…

「打っ飛べ」

背中から心臓へ駆けて、途方も無い衝撃が伝わり、端の先端まで吹っ飛ぶ。一瞬意識を持っていかれ、呼吸が上手くできない。しかし、何とか橋から落ちないようにクナイを橋に突き立て減速させる。

「はぁ…はぁ……かはっ…」

まずは呼吸を落ち着かせる。しかし、直ぐには落ち着くはずが無いので一瞬だけ万華鏡写輪眼を展開させて、狭間へ避難する。何も無い空間でその場に留まり、術で怪我を回復させ、呼吸を整え、眼を閉じる

次に眼を開くと、先ほどの橋の上。

「……開眼させたな?」
「うん。でも、終わり」
「何?」

高速で組んだ印を元に術を展開させる…片目を髪で見えないように万華鏡写輪眼を開眼させながら。

「秘術、千殺水翔!」

そうして、偽アヤカの周りに大量の氷柱が生まれる。そこで更に印を追加し、全ての氷柱に風を纏わせる

「…成る程。やるね」
「馬鹿な!?あれは血継限界だぞ!?」
「!?」

高速で一気に偽アヤカに向かう、そして、肉片一つすら残さない密度で氷柱が襲い掛かった…はずである

「まずまず…といったところだね」

何のことも無く、私の隣に無傷で姿をあらわす偽者。…もうこいつが本物でいいんじゃね?

「…使ったでしょ?」
「当たり前じゃん」

不適に笑いあい、お互い万華鏡写輪眼を両目に宿して、お互い狭間を展開する。

「ふふ…ここで蹴りをつけようか?」
「そのつもりだよ」

背景は全て真っ黒。だけど足元は白い何かで円形に広がっている。さながら闘技場である。

「お互い、チャクラが減らない状況…私のほうがチャクラがあるけど…どうするの?」
「…いや、お人形ちゃんの方が…圧倒的に少ないよ」

その言葉と共に、八門遁甲の陣を展開する……第2の門、休門まで開く

「これで一気に形勢逆転だね」
「…でも私がこの空間を出れば……出れない!?」
「当たり前じゃん…私が継続してるんだもん」
「…そっか。あーあ…もう少し楽しみたかった」

その言葉と共に、限界まで圧縮した螺旋丸に風の性質変化を伴わせ、手裏剣の形にする。

「螺旋・風魔手裏剣」

大気を切り、偽者に着弾。かなり広い空間の半分以上が乱回転しているチャクラとカマイタチの嵐で覆われて…今度こそ、終わった。

「はぁー…これで八門遁甲の陣が出来てたら…考えたくも無いなぁ…」

これはある意味賭けであった。本当に私と全く同じなのであれば、この陣が出来ても可笑しくはない…が恐らく最初に感じたナルトの2倍以上…あのチャクラが偽アイラのチャクラ量の限界と踏んだ。何故なら、既に練られたチャクラを使用していたし、私と同じであれば、私のチャクラを使用するはずである。

が、私のチャクラは存在せず、ザブザのチャクラしかなかった…よって、この賭けに出たのだ。
この八門遁甲はチャクラ量を限界まで絞りだす方法だ。表に出しているチャクラを含めると、総量が大幅にアップする。そしてこの空間で使用したチャクラは現実世界にいる自分にトレースされない。

しかも、現実世界では一瞬なので他の人に奥の手が気付かれる心配も無い。…恐らくだけど。
だからこの手段を取った。それだけの話である。

「あ~…割りに合わない依頼だよね…絶対」

そう思いながら、ずたずたになった人形を踏みつけ、眼を閉じ、現実世界へ戻る。

「はい、終了~」

第三者の目からでは瞬間移動して突如、人形を踏んだ私が現れた風に見えるだろう…って、アツ!人形が一瞬にして燃えつきやがった!?

「何が起こった!?」
「何も起こってないよ」

その言葉と共にザブザの懐に入り

「木の葉大烈風!」

顔面を蹴りで打ち付ける…が、カカシ先生以上の体術を持つザブザ…当然避けられる。

「あめぇ!」
「いやいや…ザブザ君の方が甘いよ」

上体をそらして回避したザブザの体に掌底を打ち据えるカカシ先生

「ぐぅ!?」

数メートル吹っ飛び、転がって衝撃を和らげている。その間に

「先生、ナルトは?」
「あの術の中だ…自分から飛び込んでいったぞ」
「…………であれば…タズナさんの護衛をしますね」

分かったという返事を聞き、タズナさんの傍に瞬神の術で姿を現す。

「あれ?そういえば、ナルトが貴方を安全地帯へ…」
「いや、あの黒髪の小僧がの…ピンチだったから、わしに一言いって、飛び出していきおったわ」

わははと笑っているタズナさん…いや、笑うところじゃないと思うんですよ。うん。
ま、ナルトらしくていいね。霧が深くて状況が良く見えないけど…頑張ってくれているに違いない。であれば私は、何時ザブザが此方に向かってくるか分からない。よって、全力でタズナさんを護衛しなければならない。…しっかし、ナルトが居なくなった間、よく生きていたよ…本当に。そう思いながら、戦いの行く末を見守る。

数分経ち、ザブザの奇襲はまだ無い。だが、恐らくナルト達が戦っている箇所から、恐ろしく膨大なチャクラが発現した。

(九尾か)

今の状態なら恐らく、この万華鏡写輪眼で調伏できるかもしれない…が、あのチャクラを制御出来るか…といわれたら、難しいとしかいえない。確かにチャクラコントロールには自信がある…と、いうより、伝説の三忍を凌ぐ自信もある…年数が年数だしな。が、あれは意思を…九尾の意思が伴ったチャクラである。それをコントロールするのは至難の業…いや、不可能なはず…人柱力以外。

しかし、確か二次創作で万華鏡写輪眼がどうとか言っていたから調伏は出来るんだろうなぁ…
…まぁ、従える気も無いので、その事は置いておくか。

「…だんだん霧が晴れてきましたね」
「だの」

確実にナルト達と私達とでは温度差が違う。もうこっちはのほほんモードだ。茶でも飲んでたい。
まぁ一応警戒は怠らないけど…

「雷切り!!!」

微かに浮かぶ人影が携えたのは超高密度のチャクラ…底に雷の性質を合わせている。
これは…カカシ先生の奥義。

そうして、完全に霧が晴れた時、僅かにしか怪我をしていないカカシ先生の右手が、白の胴体を貫いている光景が眼に映った。…夥しいほどの血の量。即死だろう。

ザブザが白の死体ごとカカシ先生を切ろうとするが…明らかに動きが鈍い。
直ぐに白の死体と共に距離を取って、眼を伏せさせる。その先に浮かんできたのはナルトの姿。

ナルトは白とカカシ先生を交互にみて、ザブザを睨みつける。しかし、此処からでも聞こえる声で

「これは俺の戦いだ」

カカシ先生の言葉と共に、歯を食いしばり…下がる。そうして、此方に気付き…

「アヤカちゃん……サスケが…さすけがぁ!」

此方に近づいて来て、俯きながら搾り出す言葉…

「…ちょっと見てくるから、タズナさんの護衛を宜しく」

その言葉に頷いて、留まる。私は霧が晴れて来て漸く見えた…全身千本だらけのサスケの近くまで行く。
まるで眠るように横たわるサスケの体温は嘘の様に冷たい。見ているだけで痛々しい。その原因となっている千本を首に刺さっている以外のものをゆっくりと引き抜く…痛むように。

「うぐ!」

ビクンと体を痙攣させてサスケの瞼が上が…らない。

「まぁまだ千本は一杯あるしね」

そうして、次の千本はねちっこく取ろうと思ったが…

「おうおう…派手にやられて…がっかりだよ。ザブザ君」

そう声が上がって姿を現したのが、サングラスをかけた小柄な爺さん。ガトーである。

「まぁ、此方としても好都合だな…使えない子鬼ちゃんを殺して、タダでそのじじぃを殺す……金の掛からんいい手だろう?」

その言葉を無視して、サスケをお姫様抱っこで皆の所に運んでいく。タズナさんがサスケの姿を見て眼を見開き、俯かせる。

ガトーの足元に白の死体があり、それを足で思いっきり蹴った。その事にナルトが激昂したが、カカシ先生に止められる。白の主であったザブザは何も言わずに、白を見ているだけ。その姿にナルトが思いの丈を…白がザブザをどう思っていたのかをぶつける。

「何も言うな…小僧」

ザブザのその言葉と共に眼から涙が溢れている。本当に、この世はままならない。
ナルトからクナイを借りたザブザは一気にガトーの元へ駆ける。その気迫は正に鬼である。
どんなに刃が刺さろうとも止まる事はない。そして、とうとう…ガトーの首を刎ねて、力尽きた。

「う…節々がいてぇ……」

まるで抉られているような…と言葉を発して私の腕の中で起きたサスケ。ゆっくり地面に下ろす。
あぶねぇ…お姫様抱っこをしているのをサスケが自覚したら絶対に暴れる所だ。最悪、頭からおって、首についている千本がまずい箇所に移動するかもしれないしな。

「く…アヤカか…あの面のヤローはどうした……」
「死んだよ」
「ナルト、のヤロー…が?」
「ううん…ザブザがカカシ先生に殺されそうなところを庇って」
「…そうか」

ち、それにしても最初の突風は何だったんだ…と愚痴を零しながら、何か思うことがあるのか、死んでいる白を見つけ、じっと…見る。恐らく、急所に当たっていないという所であろう。
そうして、一安心した所で、ガトーと共に現れたチンピラが此方に襲い掛かろうとしていた。

その瞬間、チンピラどもの足元に一本の矢が刺さった。後ろを振り返ると

「俺たちが相手だ!」

その言葉を口にするのは以前見たイナリとはかけ離れるほど強気なイナリ。…ナルトは恐らく原作通りに動いたのだろう。しかし、一般人相手にチンピラは引かない様子。
ナルトは影分身を行って威嚇し、比較的軽症なカカシ先生も影分身を行う。私も水分身を作って威嚇し。

「「「やるかぁ!?」」」

その一言でチンピラたちは全員フネに引き返して退散していった…











「白の…顔を、みたいんだ……」
「分かった」

残った死に体のザブザをカカシ先生が運んで、白の遺体の傍に置いた。


ふわ


目の前に白い何かが舞った。空を見上げると、真っ白な雪が…辺りを覆っていた。

そっと手にとって見ると、前世と同じで、綺麗で冷たかった。




[35501] NARUTO 13話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:10


あの日から一週間。サスケもカカシ先生も完全に回復して、私とナルトと共に橋の完成まで護衛を行う。
そうして、その日の晩。夕食時に

「さて…一週間前の件だけど」

此方を見ながらカカシ先生は言ってくる。

「おー!橋に超亀裂を入れたことか!」

そういって此方を見ながらタズナさんが言ってくる。いや、あれは仕方が無いっすよ。マジで。

「…では、まずあの体術からお話しましょうか」

そういって、事情を話す。体術はガイさんに教わったことは話したはずなので。アカデミー卒業前には体術に関してはガイさんを越したことを話した。

「…体術でガイを越すとか……」
「まぁチャクラで肉体活性を行ってましたし、忍術使っちゃいましたけど」
「それ!…誰にも教わってないのにチャクラコントロールをする術を身に付けたのか?」

ご飯を食べながら箸で此方をさしてくるカカシ先生。行儀が悪いですよ。

「いえ、小さい頃イタチ兄さんがやっていたのをたまたま覚えていたので」
「…ただ、その意味が分からないだろう」
「ええ…ですが、あのイタチ兄さんが無意味なことを行うはずが無い」
「…確かに」

無論。真っ赤な嘘である。前世の記憶で知っていました…なんて言える訳が無い。
それならよっぽどこの嘘のほうが現実味を帯びている。

「……分かった。だが、最後に一つ………血継限界の術を使えた理由は…なんだ?」
「まだ、お答えできません」
「…まだ……ねぇ」

そう、まだ答えられない…というより、私も確信を持ったわけではなかった。ただ…出来ると『思っていた』のだ。他の血継限界を万華鏡写輪眼で見てからどうなるか…そこで確信が得られる。とりあえず、蛇さんに睨まれるのは嫌なので当分先だけど…

「アヤカは…」
「ん?」

がつがつから揚げを食べているときにサスケから声が掛かった

「…写輪眼……何時開眼したんだ?」
「…どうしてそう思ったの?」
「ザブザが繰り出した、水分身」

成る程。まぁ決定的だよね。

「ん~…そうだね物心付いたあたりかな」
「な!?」
「馬鹿な!?イタチでも8歳で開眼だぞ!?その前か!?」

頷いて答えると、サスケとカカシ先生が絶句する

「あのさ!あのさ!そんなに凄い物なの?」
「…凄いっていうレベルじゃない……通常であれば何年も修行して漸く開眼する筈だ…」

そう、通常であればそうだ。それでも一生開眼しないのが通常である。

「天才だろう、サスケも…だが、アヤカはそれ以上の天才…いや、鬼才だ」
「そいつはどーもー」
「何故隠してた?」

静かに聴いてくるサスケ…意外だな。激昂してくると思ったけど…

「…ごめん。あんまり目立ちたくなかったんだ」
「言え!アヤカ!!」

やっぱり激昂してきた。まぁ仕方が無いよね…明らかにプライドを刺激してしまったし…

「理由は…本当に目立ちたくなかったんだ……アカデミーで」
「何故だ!?俺と比べられるのが怖かったのか!?」
「違う!…いや、当たらずも遠からずかな…いいサスケ……私の同期のくの一の間で、サスケはどういう評価だか知ってる?」
「…」

今度はだんまりである。まぁ自覚はしていたんだろう…そう。

「そう、かなり人気があった。で…だ。私はサスケと双子…一番近くに存在する。そr「待った待った」」
「分かった。先生分かってしまった。確かに目立ちたくないな」
「そう、目立つといじめの対象になりかねなかったのだよ!!」
「な!?」

あいつらを見てみろ!?双子なんか関係なく迫ってくる勢いだぞ!?それで、アカデミーでも近くに居てみろ!?どんな形でもいい!絶対嫉妬するから!

「分かる?【サスケ君のぉ~…その……タイプってぇ~…どんな人か、聞いてみて!きゃー!私っていってたらどうしよう!?】とか、毎日言われてもう、げっそりなんだよ。自重しろこのサスケが」
「な!?俺のせいじゃねぇだろ!」
「うr「ハイハイ、終わり終わり。美味しいご飯でも食べてろ」…はーい」
「ち!」

そうしてご飯を口にする。…白米がやたら美味く感じる。この塩味の味のせいなのか知らんが。

「先生は分かった。納得した。とりあえず、そのほろりとした涙を拭け」

涙じゃないよカカシ先生…心の汗ってやつさ。…まぁ半分本当で半分嘘なんだけどね。ごまかす為に事実を提示したってやつ。ま、カカシ先生はまだ疑ってるようだけど…ナルトはご愁傷様~みたいな顔でこっちを見るし、サスケは顔を赤くしながらご飯をかきこんでるし。

……まぁこれでとりあえず第一関門突破だな。……カカシ先生に対してはまだ気は抜けないけど。蛇さんが!蛇さんがサスケにターゲットを向けると確信したらもう、全部喋りますよ!!

そうして、先の一件はとりあえずは鎮火したのである。

それから一週間が経ち。とうとう、波の国の希望の橋が完成し、私達、第七班は木の葉の里へ帰還を果たしたのである。

木の葉に帰って、サスケとは違うアパートに帰る。…そう、二人とも下忍になったので自立したのである。…まぁ偶に一緒に夕食を食べたりとかするけど。というより、私が癖で二人分の食事を作ってしまう時があるので、おすそ分けしに行くのが正しい表現か。

まぁ会話という会話は無いけどね、ははは!…はぁ。………卵買って来よう。








「やー諸君。おはよう。今日は道に迷ってしまってな~」
「遅刻なんて、忍者失格なんだってばよ!!」
「ふん!」

あれから月日が経ち、波の国以降、大きな任務も無く、比較的平和に時間が進んだと思う。
私の修行も順調で…いよいよ、チャクラコントロールの修行を卒業し、今は術の実験や、万華鏡写輪眼の効率化。体術、忍具の特訓を行っている。影分身と実践さながらで、ガイさんやカカシ先生の動きを模した影分身達と日々訓練を行っている。

そのため、体力も飛躍的に上がり65人全員がガイさん印の錘×2を付けているため、筋力もがっつり上がった…もちろん。寝る寸前に毎回影分身を消すのは通例となっている。…反動があまりにもでかいから、直ぐに寝れる状況を予め作るのは至極当然の事である。

しかし、体のラインは完璧に女性のそれであり、筋肉が付いた感じは外見上全く見えない。朝起きて鏡を見ても何時も通りの体のラインである。

そうして、何時も通りに朝起きて、何時もの忍者装備に着替える…この忍者装備、まぁシンプルなザ・忍者な装備なんだよね…、昔の綱手姫が着てたのとそっくりだったような…まぁ、丈が短く腿を惜しげもなくさらすほど短い。で、スパッツを履いてる。手足にはガイさん印の錘。足は木の葉忍者ご用達のサンダルである。非常にシンプルだ。髪の毛は長いので某最後の物語の7作目に出てくるあの巨乳ちゃんと同じ髪型だ。

準備が整ったら家を出て。集合場所へ、その後確実に来ないであろうから…ポーチから文庫本を取り出して読書に勤しむ。最近は剣と魔法の世界の小説に嵌っている。で、三時間後漸くカカシ先生が来て、ナルトの言葉に戻るってわけだ。

その日の任務もなんてことは無い、いのししの駆逐で、軽い任務だったが…ナルトがサスケに対して対抗心むき出しで頑張り、毎回自分の首を絞めてサスケが、フォローをするという形が定着化している。今回の任務も例に漏れずだ。
しっかし、波の国以降、この二人の仲が何故か拗れている。どういうことだ、めっちゃいい雰囲気出してたのに。

「んー…最近チームワークが乱れてるなぁ」

というのは、カカシ先生談だ。ナルトは独断専行。サスケも独断専行。私は動かず。
問題児で申し訳ないと感じてます。はい。いや、だって、ナルトがすっごいやる気なんだよ。波の国以降。水を差すのは悪いかなぁ…と思ってね。

…言い訳だけど。

サスケも波の国以降、凄い焦っている感じだ。恐らく白が自分達と同じくらいでサスケ以上の強さであったのと…まぁ私の影響でもあるのだろう。双子の妹のほうが強い。これは相当なプレッシャーになっている筈だ。だが、それを超えて立派になって、

(さっさとうちはを復興させろ)

自分でも最悪だなと思うほど人頼みである。私はこの世界を回るのが夢なんだ。奴には種馬になってもらおう。容姿も完璧だし、血筋も完璧。引く手数が多い。…私も同じ事が言えるのは置いておこう。
因みに、双子だからと言って容姿が似ているというわけではないので、そこら辺は注意してね。

何故うちは復興を望むか…それは、今現在恐らく私、サスケ、イタチ。と三人しか生き残りがいないはずである。よってだ…私の世代で復興させればだ…かなりの重鎮になれるのではないかと睨む。
しかも、ある程度子供が育ってからでもあるので、私もその間に世界を見て回れるだろう…

でだ。結論を言うと、隠居する場所の土台作りを彼にはしてもらいたいんだよ。木の葉の忍びとして、うちはとして。…完璧すぎるこの他力本願。まぁ叶わなければそれはそれでいいんだけどね。理想論です。

と、そこで上空に鳥が羽ばたいているのが見えた。

「じゃあ、此処で解散とする」

カカシ先生のその一言で私は三人に乙カレーと挨拶をして何時も通り帰る。途中、春野サクラと何か変な四角い物体を見かけたが…平和っていいなぁとしみじみ思った。さて、今日の特売は……保存食系か…缶詰って魚系も生臭くなくて美味しいし、フルーツも冷やして食べると美味しいし、何よりフルーツジュースみたいに甘い汁がたくさんあるところが最大のポイントだと思うのだよ。

下忍になってから節約生活を送っているのでさっさと中忍になってがっぽがっぽ稼ぎたいところだ。
…確か、一人でも任務行けたよな。部隊長権限持てるし。あ~あ、お金が入ったら、忍具を新調して、服も買いたいなぁ…この容姿だとコスプレ気分で生前のオタク魂が熱く燃え滾るんだよ。

ファッションは既に自己満足の領域だよね。いやぁ鏡の前でニーソ履いて短いスカート履いて、絶対領域!とか独り言を言うレベルまでなってしまったんだよ。なけなしのお金で全身が入る鏡を買ってしまったし、三面鏡も買ってしまった。あとは本をがつがつ買っているので、本気でお金が無いのだ。

「さて、今日は鯖缶とご飯でいいや」

チラシを見ながら本日の晩御飯を決めて、スーパーへ向かうのであった。




[35501] NARUTO 14話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:11


「突然だけど、中忍選抜試験に推薦しちゃったから」

昨日鯖缶を買ってお菓子を買ってそのまま帰宅し、夕食をとった。やはり缶詰は貧乏人の味方だね!と思いながらがつがつ食った。その後、体を動かし、風呂に入って寝たんだけど…

何時もの如くカカシ先生が遅れてやってきたと思ったら、冒頭へ戻るってやつです。


記入事項書いて、明日の午後四時までに学校の301教室に集合ね。という言葉を残して早々去って行ってしまった。

しっかし、ナルトってこの試験の意味知ってるのかな?

「ねぇ、ナルト」
「どうしたってばよ!」

やけにハイテンションなんだけど…どうしたんだ?

「いや、この試験の意味って知ってるのかな、と思って」
「知ってるってばよ!昨日他の里の忍者に教えてもらったんだってばよ!」

うおーい!昨日何があったんだー!むむ…何時も通りの任務だったし、何時も通りに帰ったけど…もしかしたら原作に描写されている場面だったのかもしれない。…こいつは鯖缶を諦めて残ってたほうが良かったかもしれないなぁ…こう……サッカーの決定的なゴールシーンをハイライトでしか見れなかったという言い知れない敗北感が私の全身を駆け巡ったよ

「どうしたってばよ?」
「あはは…いや、なんでもないよ」

あっそ!とナルトが返事をして、うずうずしている。にやけたりサスケを睨みつけたりして…何を想像しているのやら…サスケも物凄く何かを期待しながら書類に目を通している。で、私の方をじっと見てくる

「…なした?」
「いや、何でもない」

そういって、また書類に目を通す。うーむ…まぁ考えても仕方が無い。明日からの中忍試験。頑張るか。
…主に私の生活の為。コスプレの為。読書の為。食生活の為。




翌日

「アヤカちゃん、おはよーってばよ!」
「おはよう」

予め集合場所を決めて、三人集まった時点でアカデミーへ移動することにしていた。で、サスケが一番私が二番最後に、ナルトの順番で来た

アカデミー前まで来てみると…他国の忍者が多数おり、玄関前でトレーニングしている忍者もいる。まずい、なんか緊張してきた。前世の会社の入社試験よりはリラックスできるけども…

アカデミーの中に入って、指定された教室まで来たらなんか人ががやがやしている。

「お願いですから…そこを通してください」

そう、少女の声が聞こえた次の瞬間に、打撃音が響く。どっかで聞いたことあるような…
まぁいっか。さて、教室前まで来たのはいいけど…

「此処って301教室前ではないよね?サスケ」
「ああ、ここは301教室前ではないな」

私は声を潜めるようにこそっと言ったんだけど、サスケは周りに聞こえるように結構大きな声で発言しやがった。周りから、何言ってんだこいつ…とか、色々見られてめちゃ居心地が悪いんだけど。

「さっさとこの結界を解いてもらおう。俺たちは3階に用があるんだ」
「…へぇ~気付いたのか」

その言葉と共に教室のプレートが一瞬ぶれる。恐らく幻術を解いたからだと思われる…

「でも、見破っただけじゃな!!」

その言葉と共に、一歩前へ出ていたサスケに蹴りを繰り出す、鼻がつまっている人。恐らく鼻炎だと思う。あれって結構辛いよね。
ま、この程度ならサスケでも余裕のよっちゃんと思って静観していると…

「「!?」」

二人の間に黒い影が入り込み、サスケの蹴りと、鼻炎の人の蹴りを一瞬にして受け止めた。
おお~今まで見てきた下忍の動きじゃねぇんだけど。

顔を上げる黒いかげ…

「うわ…リーさん……」

予想はしていたし何となくこんなシーンもあったような気がしていたので、驚きはしなかったけど…非常にこう、何ともいえない気持ちになってしまった。…一年前の件もあるし。
そう、思っていると、此方に近づいて

「あれから、僕も強くなりました…この強さで貴方を死ぬまで守ります!!」
「お断りします」

またあの日と同じ断られ方…と項垂れる。

「あれ?アヤカちゃんだ。おひさー」
「お久しぶりです。テンテン先輩」

そういって挨拶する。と、そこで視線を感じ、振り向いてみると…

「むー…」

ナルトが此方を仲間に入れて欲しい…そんな感情を浮かべながら此方を見てくるではないか。

「ごめんごめん、此方はテンテン先輩。で、項垂れているのは、リー先輩…で、サスケに話しかけているのがネジ先輩だよ」
「テンテンでーす。始めまして」
「俺はうずまきナルトっていうんだ!」

そうして握手する二人。仲がいいのはよき事よき事。

「テンテン、行くぞ。リーも何時までそうしているんだ」

恐らくリーダーであろう、ネジが二人に声を掛けて歩き出す。テンテンは別れを告げてネジを追いかけた。その後、リーさんも追いかけるのかなぁ…と思っていたが…

「行くぞ。アヤカ、ナルト…うずうずしてきたぜ」

そういって、歩いていくサスケの背を追いかける…が。

「そこの、目つきの悪い君」

暫く歩くと、上からリーさんの声が聞こえた。

「今から僕と、勝負していただけませんか」
「勝負…だと?」

高台から瞬神の術で降りてきて、サスケに勝負を挑んでくる。…なるほど、ガイさんは全然話していないってわけか…ありがたい話である。待てよ…リーさんの告白攻撃を潰えさせる場合は私が圧勝したほうがいいのか…

「うちはサスケ君。僕はロック・リーといいます。…僕と、勝負してください!」

そうして、此方に向かって笑顔を送る。うーん…拒絶は無いが。とりあえず

「濃い」
「アヤカちゃん容赦ないってばよ…」

腕を組みながら面と向かって言ってやった。こうでもしないと、永遠に付いてきそうだ…というよりこいつ、サクラが好きなんじゃなかったっけ?確か。

「ふ…」

流し目でこっちを見てきて鼻で笑いやがった。

「お前、無知だろう…うちはの名前に挑むとは…」
「ナンバーワンルーキー…此処で確かめられるとは、幸運です」

緊迫感が高まる中、ナルトが吼えた。

「俺が5分で蹴りをつけてやるってばよ!」

その言葉と共に、突っ込んでいくが…あっさりと返り討ちにあい、壁に吹き飛ばされる。
まぁ全く怪我をしていない所から見ると、かなり手加減されているようである。

「宣言します、貴方達では僕に勝てません」
「へ…おもしれぇ…直ぐに片をつけてやらぁ!」

その言葉と共に、リーさんへ突っ込む。ナルトより早い。

「木の葉旋風!」

サスケに上段蹴りが襲い掛かる。すかさずガードするが…その上から吹っ飛ばされてる。

「ぐ!」

呻くサスケ…ここで発破でもかけとくか

「おーい、もう直ぐ締め切り時間だよ」
「ち!直ぐ終わらせる。ナルトでも起こしてろ」

その言葉と共にリーさんに向き合い

「写輪眼!」

サスケのチャクラが目に集中したと思ったら、写輪眼を開眼させるが…

「がは!」

リーさんの動きを見切れず、顎に突き上げるような蹴りを喰らって上空へ打ち上げられる。
…このまま行くと表蓮華を決めるつもりかな……足にチャクラを集中させて助けようかと思ったところで

「リー!そこまでだ!」

リーさんの包帯に風車が刺さり、壁に縫い付ける。こ…この声は!?と思って、声の出所に視線を向けると…亀が険しい表情で此方を…リーさんを見ている。

「がは!」

まともに受身が取れずに着地するサスケ……あ、先ほどの声で助けるの忘れてた。

「う…サクラちゃ…アヤカちゃんか」
「サクラじゃなくて悪かったね」

ナルトを揺さぶり起こしたらこれだ。しっかし、前世でも思ったけど、現時点の春野サクラの何処に魅力があるのか聞きたいぜ。外見は確かに可愛らしいが…その、性格に難ありだよね。絶対に。

「リー!今の技は禁じ手であろうが!!」

亀の怒声が当たりに響く。そこで此方を見て

「アヤカも見ているのであれば止めるのが友情じゃないのか!?」
「いや、いきなり振られても」


くわ!っと此方を向く亀。…まぁガイさんなんだけど。

「アヤカ!あの亀と知り合いだってば!?」
「知り合いというより…」

亀の甲羅の上に煙が立ち込める。もうもうと煙が立ち込める中に浮かび上がってきたシルエット。


「まったく、青春してるなー!お前ら!」


恐らくカッコいいポーズを亀の上で決めるガイさん

「うっげー!もっとこゆいのが出てきたってばよー!」
「…一応、一時期私の師匠でした」

ナルトの言葉に反応したリーがナルトに謝罪を求めるが、それをガイさんが止め

「バカヤロー!」

リーさんの顔面に思いっきりパンチするガイさん

「お前って奴は…お前って奴は…」
「先生…先生!」
「リー!!」
「せんせー!!」

がばっと抱き合う二人。もうこの空間に居たくない。変なワールドが展開されている。

「俺は…あんな奴に……」

いつの間にか起き上がっているサスケが呆然として呟く。まぁ初めての人は結構キツイ面があるよね…絵的な意味で。

「ドンマイ」
「ああ…気を張った俺が馬鹿みたいだぜ」

そういいながら、半眼で二人を見ている。今の気持ちをお察しいたしますよ。本当に。

「アヤカも久しぶりだな!一年位か?」
「ええ、お久しぶりです。その位ですね」
「どれ!カカシ班にいて腕がなまってないか見てみるか」

その瞬間、抜き足で私の後ろに回ろうとする所を、顎を目掛けて蹴り上げる…寸前で止める。

「!?…はは、腕はなまっていないようだなー!!」
「寧ろ向上してます」

く、カカシめ…といいながら悪態を付くガイさん。

「え?な、何が起きたんだってばよ?」
「…ち!」

両脇からそれぞれ声が上がるが…スルーの方向へ

「な!?ガイ先生の速度についていった!?」

リーさんが驚きの声を上げている。

「あれ?そういえば、もういいのか?」
「はい。もう問題ないです。あの約束はアカデミーだけでしたし」
「そうか」

そういいながら、離れていく。

「それじゃ、お前ら!青春しろよー!」

その言葉を残し、一瞬にして掻き消える。その後、リーさんも姿を消し、私達だけになる。

「…アヤカ」
「何?」
「もしかしてだ…あの時教えてもらってた人って…」
「あの濃い人だよ」
「…そうか」

何ともいえぬ顔で再び歩き出すサスケ。その後をナルトが追って、私が続く。

漸く教室前に付き、目的の教室の扉を開いた。




[35501] NARUTO 15話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:11


ぎい…

と、301教室の扉を開けると…いるはいるは。他国の忍びから木の葉の忍びまでずらりと勢ぞろい。
年齢もかなり幅があり、明らかに30代の人いれば、私たち同様、10代の人もいる。

「すげー」

ナルトの言葉に同意する。しかも、ドアを開けた瞬間に皆こっちを見てくるもんだから、正直びびった。…さて、この試験に出てくる蛇さん…正直倒せる気がしません。恐らく私がガイさんを越していたとしてもだ…火影を倒す実力を持つ蛇さんに勝てるのか…といわれると、難しいと言わざるを得ないのが現実だ。

ただ、そこまで悲観することも無い。此方はすでに蛇さんが誰なのかは覚えているという事と、確実に格上ということが既に分かっているという所が強みだ。原作の記憶にある蛇さんの実力は一部の隙が無い…様に見えるが…果たして。

恐らくカブトであれば倒せる自信はある。千鳥で心臓をぶち抜ける自信と速さがあるから。原作で見る限り、いくら弱っていたとしても…ナルトの攻撃に当たるのはどうなのだろう。…まぁ細かく覚えてないので、ナルトがもしかしたら奇抜な発想でカブトに攻撃したのかもしれないけど…

それと、中忍試験の最大の肝。「木の葉崩し」こいつも危険だ。生き残れる自身はある…が、正直何が起こるかわからない。もしかしたらナルトが砂の尾獣に負けるかもしれない。そうなったら…万華鏡写輪眼で従わせるしかない。……どうやるのかはぶっつけ本番だが。

「サスケくぅーん!」

そう声がするほうを向くと、山中いのが走ってきてサスケに抱きつく。それを私はじと目で見る。
いいなぁ…と思いながら。あれ絶対胸が当たってるよね。当たってるよね?ね?

そう思いながら、いのが走ってきた所を見ると、ため息を付いたシカマルとお菓子を食べているチョージが見える。相変わらずのマイペースぶりでめっちゃ羨ましい。

「ふふ…あのでこりんの班は試験を受けなかったみたいねー」

ほう……成る程…サクラは無事下忍になっているようだな。

「よー!ナルトじゃねぇか!」

その声と共に姿を現したのが犬を連れたキバそして…

「お、お久しぶり…アヤカ」
「おっひさしぶりー!ヒナタ!」

懐かしい顔を見かけて素直に抱きつく。

「わ!」
「ん~ヒナタ成分補給ー。…いやぁ……暖かい」
「わわ…」

ヒナタの匂いを満遍なく私の二つの肺と脳みそに行き渡ったのを感じ取り、名残惜しいが体を離す。

「あ…」

と、名残惜しそうな声を上げるので襲い掛かりたくなったのは、秘密だ。

「ふふ…ナルト!……ってあら」

そちらを見ていると、何やら木の葉の見たこと無い…てカブトか。その人を交えて何か札を見たりしている…随分と私はヒナタに抱きついていたんだ…自重せねばならないな。

「あちゃー…ごめんねヒナタ、ナルトの奴、最近強い人にご執心でさぁ」
「う、ううん。全然気にしてないよ」

此方を見ながらそう言ってくれているが…ちょっと残念そうに言う。…すまんのぉ。

「俺の名前はうずまきナルトだ!てめーらにゃぁまけねぇってばよ!!」

いきなりナルトが大きな声で叫ぶもんだから、ちょっと吃驚した。その言葉と共にじろりと注目を浴びるナルト。そのナルトをじーっと見ているヒナタ。…やはり、男女の関係が普通なんだよね……ちきしょー!

「ふふ、ナルト君らしいね」
「…うん」

ヒナタ…私の好物はナルヒナなんだよ……そう真正面から言いたい。しかし、原作見てて思ったけど…全然答えてないよねナルト。ふざけんなだよね。…まぁ今は何処まで言ってるか分からんが…最後までずるずるだったら、私はナルトに引導を渡さないとなぁ…

「あ、アヤカちゃん。あれ」
「ん?」

ヒナタが指差した先には…音符マークを携えた忍びがカブトに攻撃をしているところが目に映った。

「うええぇええ」
「カブトの兄ちゃん!?」

その瞬間を見たヒナタの顔が強張る。…手を取り、ぎゅっと握る

「あ…」

そうして、此方を見てくるヒナタ……すげぇ、私、青春してる!!前世で味わえなかった快感!しかもこんな可愛くてもろタイプな子!嬉しいぜ。

「静かにしやがれどぐされヤローが!」

黒板のほうに現れた試験管の一括に試験会場が静まる。

「待たせたな…中忍選抜第一の試験、試験管の森乃イビキだ…」

顔に傷があり見た目めっちゃ怖いおじさんが顔を出す。ヒナタも少しびくっとなっている。…可愛い。

「音の三人!…失格になりてーのか?」
「すみませんねぇ、なんせ受験が初めてなもんで」
「ふん…」

鼻で笑うと共に、注意事項を言ってくれる。…まぁ許可無くほかの受験者に危害を加えるなって事である

「俺様に逆らうようなブタ共は、即失格だ…分かったな」

こええええ!実際にこれ対峙したくねぇええ!さっきとかそれ以前の問題で、普通に街中歩いて絡まれたら直ぐに財布を差し出す自信があるほどこええええ!

こうして、一次試験が始まったのである。

この一次試験の内容はずばり「筆記試験」但し、カンニング公認の筆記試験だ。
私はこの答え…どう乗り越えるかを知っている。それをヒナタに教えるべきか…と悩んだが……

まぁそれは余計なお世話ってやつだと思った。だから

「ヒナタ、頑張ろうね」
「うん!」

精一杯の笑顔で送り出す。友としてそれだけで十分だ。

イビキ試験管から今回の試験のルール説明を聞く。まぁ先ほど私が要約したとおりの内容だ。
席は皆とは離れて一番前の席の一つ下。…こえええ!イビキ試験管間近で見るとめっちゃ怖い。

あんまり見ないように適当に鉛筆を動かそうかな。

そう思いながら、試験に挑んだ。…勿論、問題なんか一問たりとも分からん。よって…

「まずはアタリを描いて…」

落書きする事にした。私が18歳になったら…いちゃいちゃパラダイスを漫画化するんだ。
その為には日々精進するのみ!…冗談だけど。ちなみに、変化の術を駆使して全巻家にある。
非常に…エロスであった。内容を思い出していると…

「よし、これから第10問目を出題する!」

その一言の後、教室の扉が開き

「ふ…お人形遊びが無駄にならずにすんだなぁ」

…たしか、テマリチームのカンクロって言う人の人形を駆使したカンニングだよね。

「まず、お前らには選択権を与える…受けるか、受けないかだ」
「選択だって!?もし、受けないと選んだらどうなるんだ!?」

女の子の声が上がる…あれは、テマリさんか!?ううむ…体のラインがはっきり見え…あ、カウント1になった。

「受けない場合…その時点で持ち点0になり、失格。勿論その班全員である。受けた場合、10問目を間違えば、一生中忍選抜試験を受けれなくなる」

その言葉で、非難の声が上がる。確かに馬鹿げているが、最初に聴いていると思うが…

「ここでは俺がルールだ…お前らは運が無かったんだよ」

そうして、受けるか受けないかを受験者に聞く。…一人がギブアップした時点で、集団性の心理か分からんが、次々と手を上げてリタイアしていく受験者達。…因みに私は物凄く手を上げたい。もう帰りたい。ここで、試験中断すれば…いや、待て。確か、木の葉病院でもカブトがサスケの病室に潜入できてたよな…そうなるとだ、もう、受けようが受けまいが…変わらないということか…

「なめんじゃねー!俺は逃げねーぞ!受けてやる!もし、一生下忍になったって…意地でも火影になってやるから別にいいってばよ!!」

机を叩きながらナルトが吼え、残った78名に合格が通知されたのであった。








合格が言い渡されてほのぼのした空気になっていたところでいきなり、窓ガラスが盛大に割れる音がしたと同時に黒い影が教室に入り込んでくる。

クナイが四方に投げられ、何かの布が固定され…

「あんた達、喜んでる場合じゃないわよ!!私は第2試験管、みたらしアンコ!次行くわよ!次!」

ついてらっしゃい!と盛大に空気をブレイクしやがってきた。



…ナイスバディという事で私は全てを許したのであった。




[35501] NARUTO 16話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:12


「ここが第二試験会場、第44演習場…別名、死の森よ!」

アンコ試験管に案内された所は、もう見た感じなんか出てきそうな森が広がっている。
薄気味悪いったらありゃしない。しかし、此処では美味しい場面があるはずだ…そう!アンコ試験管の…

「ここが死の森と呼ばれる所以…すぐ実感する事になるわ」
「死の森と呼ばれる所以、すぐ実感する事になるわ…なーんておどしても、ぜんっぜんへーき!怖くないってばよ!!」

…ここだ!!!

「そう…君は元気がいいね」

その言葉と共に、クナイをナルトに向かって投げてくる。

「ナルト、駄目でしょ!?」

クナイを投げたと気付かない振りをして、ナルトと私の位置をすぐさま変える。
クナイは人を殺せるほどのスピードが出ているが…

(見切った!!)

そうして、私の頬に切り傷が出来、血が垂れて来る。

「いたっ」

その瞬間後ろに女性特有の甘い香り

「運がいいね君…でも、君見たいのが真っ先に死ぬのよねぇ…」

頬に右手を添えられて後ろから血が出た傷口をぺロリと頬を舐められる……はずだった。

「クナイ…お返ししますわ」

………濃厚な…私が期待した……アンコ試験管の……その口で甘美な暖かい聖水を私の傷口に塗っていただく直前に…この仕打ち!!!予定変更だ…今まで大蛇丸の目がサスケに行くように意図的に実力を隠していたが……もういい。どうせ、狙われるのは一緒だ…潰してやる

くく…くくく……、遭遇したときが楽しみだなぁ…

ああ、ヒナタ、そんなに見つめないでくれよ…興奮するじゃないか

そうして開放され、試験の説明と、同意書が渡される。

「だ、大丈夫だってば?」
「…大丈夫……ただ、ちょっと…ね」
「……」

私の気迫に押されているのか、凄い勢いで引いていく二人。あのサスケですら引いている。そんなに酷い表情なのか?まぁいい。あのクソ蛇はこの手で殺す。最初で最後の女性と濃密に接することが出来るチャンスを無に返した恨み…ここで晴らす

「最後にアドバイス…死ぬな!」

その一言で私達の狩りが始まったのである。








「オレってばちっとしょんべん…」

死の森に入り、すぐの事。突如悲鳴があがり、一気に緊張感が高まった。アヤカはこんな悲鳴を、大蛇丸の口から吐き出させてやろうと、何通りも撲殺パターンを脳内でシミュレートしている。その表情は…どこか逝っちゃっている感じだ。

「ああ…此処で待ってるから行ってこい」

本来であれば、アヤカの台詞だ。だが、アヤカは一人で何かぶつぶつ言っているだけ。ぶっちゃけ使えない状態である。そう、サスケからしてみれば…アカデミーでドベであったナルトにこういう風に接すること事体がありえないはずだったが…

(ち!…流石に一人じゃ厳しい……)

この試験に来る前でのメンバーを見て、一人でこの試験を切り抜けるのは非常に困難であると自覚している。そうでなければ、巻物回収の為、一人でさっさと回収したほうがいい。が、試験を受ける前の

(ロック・リー……)

リーがサスケに与えた影響は大きい。同年代で、アヤカ……なら、プライドが傷つくがまぁ百歩譲って納得が出来る…が、あんな濃い奴に手も足も出なかった…木の葉の下忍の上位であのレベルとなると、他里の下忍上位もあのレベルと睨んでも、差し支えない。

つまり、非常に認めたくないことだが…一人だと、厳しい戦いになる。というのは確実なのだ。

「あーすっげー出たー…すっきりー!」

用を足してきたナルトの姿を見て、アヤカが、いやらしく笑いながら

「あれ?…ホルスターが逆足についてるよ……?」

その瞬間、轟音と共にナルトの体がピンボールの如く弾け飛ぶ。木々をなぎ倒す音が響きながら、森の奥に姿を消していった。サスケも偽ナルトと気付き攻撃を加えようとしたが、それ以上の速度を持って、掌底を繰り出していたのだ。

「…ナルトを探すぞ」
「了解」

こいつはあまり怒らせないほうがいい。今の自分ではあの速度…まったく目に追いつけなかった。

(人に教わった…か)

あの、ロック・リーもリー以上に濃い人物が師匠と言っていた。

(…クソ)

あの時、アヤカの誘いに乗っていれば、今頃自分もあのレベルに到達していたかもしれない…

「何してるの?早く行こう」
「あ、ああ」

だが今は、違う。目の前の事を集中する為、その思考を頭の隅に置き、保留した。

無事ナルトを救出した第七班は恐らく、班員がバラバラになる可能性がこれからも発生する。
その際には、何か合言葉を決めて本人かどうか確認したほうがいいのでは?というサスケの意見から、合言葉を決めた。その合言葉は結構長い。しかし、アヤカは覚えられる…が、ナルトは覚えられないはずだ

しかし、それすらフェイク。ナルトが覚えられない前提で話を進める。何故なら…地中に忍がいる事は既にサスケとアヤカの共通認識である。よって、ナルトには事情を話さずに事を進める事とあえて、聞かせるように話、おびき寄せる。という作戦だ。

(まぁ…あのおかしな位置で切れている竹筒…怪しすぎる)

そも、ばればれだったのである。

合言葉を決め、一息置いた所で突如、アヤカ達に向かって突風が吹き荒れる。

(来た!!!)

そう、アヤカはこの時を待ていたのである。前世での原作知識で、このシーンは覚えている。圧倒的な格上と出会う主人公達の描写が良く表現されているシーンである為、非常に印象に残っているのだ。
よって此処を耐え切れれば…と思っていたが

「く!」

流石に、三忍が放った風遁系の忍術である。軽い体ではアヤカの体は吹き飛ばされてしまった。
受身を取り、顔を上げると…目の前には超巨大蛇

「でか」

自分の身長の何倍あるんだろうなぁ…と思いながら、見上げていると、突如アヤカに向かって顔を突っ込ませる。が、アヤカは印を組み

「千鳥刀」

手に持つのは超高圧電気を携えた雷の剣。アヤカには剣術の心得なぞ無い…が

「避けて首をぶった切るのは造作も無い」

ステップで蛇の頭と入れ違いになった瞬間。袈裟切り。生き物が焼ける匂いと共に、大量の血が雨となる
それを浴びないように瞬時に場所を離れる。

「とりあえず…第一関門クリア……かな」

そうして、印を組み

「影分身」

一体の影分身を作る。その影分身に、ナルト達のところへ行くように指示を出す。その際、消えないようにある術式を込めて、血で印を結び作ったのだ。チャクラもごっそり取られているのか、苦しい顔をしている。

「とりあえず、無害そうに振舞って…恐らく呪印を付けてくるけど…まぁ甘んじて受け入れて。どうせ影分身だから」

指示と共にその事を付け足す。そう…まだ好機じゃないとアヤカは感じている。何故なら今の大蛇丸は確実にアヤカより上であると見ている。いくら万華鏡があっても勝てるかどうか分からないレベルだったら後の祭りだ。死ぬまでうちはの血筋を増やす為の母体で人生終了するかもしれない。

故にまだだ。…チャンスはちゃんと存在している。

しかし、それも原作どおり事が進めばの話だ…よって、何か起こっても強引に原作通りの結果を出せばいい…

「待ってろよ、大蛇丸…この仕打ち、100倍にして返す」

その呟きと不気味な笑い…禍々しいチャクラの奔流…死の森を飾る木々達が、そのチャクラを恐れているのか……チャクラが噴出するその瞬間に、ざわめきがぴたりと…止んでいた。






「う!?…本体の奴、相当ぶち切れてるな……ご愁傷様だね、大蛇丸」

所変わって影分身、サスケの位置は既に把握している。というより、自動的にサスケの所へ移動している最中だ。万華鏡写輪眼を開眼させながら。

「本当に便利だな…この『氷遁』は」

氷の鏡をサスケのポーチの中に忍ばせておいた。そう、白の秘術である。かなりの高速で移動できるし、燃費もかなり良い。ただ、瞬間的に使うのなら、雷遁がいいなと一人思う。前方に見えるのはサスケ

「サスケ、大丈夫?」
「!?…アヤカか、合言葉『忍機』」

その言葉と共に、決められた言葉を言い、氷遁で作った氷を消す。一言一句間違っておらず、サスケは頷いて辺りを警戒する。

「いってー皆大丈夫か?」

その言葉共に表れるナルト…しかし、瞬時に違和感に気付く忍が一人

(チャクラの質が全然違うんですけど)

写輪眼を開眼させてなくても、何となく肌身で分かるようになった、チャクラの質。サスケのめは誤魔化せてもアヤカの目は誤魔化せなかったが…

(原作どおり…か。不要とみなされない程度の力を発揮して殺されないようにしないとな…あ~唾液が付くよー)

アヤカは結構余裕であった。

「ナルト、合言葉」

そのアヤカの言葉と共に、すらすらと合言葉を読み上げるナルト。サスケも此処で偽者と判断した。
判断した瞬間に、サスケの手裏剣がナルトを襲うが、避けられる

「今度は俺の攻撃を避けられる奴か」
「よく分かったわね」

ねちっこいオカマ口調…正直、気持ち悪いの一言で全てが完結する。その瞬間、ナルトの体を煙が覆って、大蛇丸…今は草忍の姿に戻った。

「ふふ、よく分かったわね…貴方達、この地の書が欲しいのでしょ?」

そういって、巻物を体内に取り入れる。

「さぁ、始めようじゃない。巻物の奪い合いを…」





「命懸けで」












side 影分身アヤカ

その瞬間、言い知れない圧迫感が私を襲った、一瞬心臓の動機が早くなる…足に力が…入らない。
隣のサスケは膝を付きながら嘔吐する…無理も無い。私も正直一瞬でも此処に居たくない。
逃げろ!と本能が警告を出すが…影分身の身。この経験が、本体にとって良い経験となることを祈る。

ま、やることやってからだけど。

大蛇丸の方を見ると、手裏剣が迫って来ている、それを確認した瞬間に、サスケとは別の木に乗り移る。
木に乗り移ったら一旦引いて、サスケの木へ向かう

「どうする?」
「……」

物凄く動揺している…まぁサスケは影分身じゃないから、死んだらそれで終わりなのだ、緊張感も尋常じゃないだろう。サスケと私の間に、蛇が来る。

「邪魔」

クナイを取り出し、一閃。目に傷が入ったのと同時に、ひるんだ所を蹴る。女の子の力で蹴ったので、ポーンと飛ぶだけ。その蛇の頭部から、皮を突き破って姿を現す…大蛇丸。

「あら、あなた…忍具の扱いに力が付いていってないようね……うちはアヤカちゃん」

どうやら、影分身とばれていない様だ。まぁばれたら全力で逃げに走るので問題は無い…はずである。

「でも、私が用のあるのはサスケ君だけよぉ…」

ぎろり、とサスケを射抜くように見る。

「う、うわぁああ!」

取り乱しながら手裏剣を投げるが、全て当たらず…が、其処に誰かが投げた手裏剣が刺さる。

「悪いな、サスケ…合言葉は、忘れちまったぜ!」

どーんと、木の上に腕を組んで現れるナルト。それをじっと見て考えるサスケ。さて、此処からどうするのか…と思った矢先に写輪眼を引っ込め

「巻物ならお前にやる…頼む、これをもって引いてくれ」

その言葉は悪手である。何故なら、殺して奪い取ったほうが遥かに簡単だ。ナルトはその事に大声で反論するが、スルーされる

「受け取れ」

そういって放物線を描く巻物をナルトが全力で取りに行く。大蛇丸に渡る前に巻物を取るナルト。

「てめぇ!よけーなことするな!この状況が分かってるのか!!」

俯いた顔を上げたナルトが、サスケを殴る

「てめー、サスケの偽者だろ。こんな馬鹿で腰抜けなサスケは俺の知っているサスケじゃねぇ!!こいつがドンだけ強いかしらねーけど…巻物渡して俺たちを見逃す保障なんか…何処にもねぇ!!」

そういうことだ。大蛇丸の実力なら交渉に応じるわけが無い…何故なら何のリスクも負ってないのだ。圧倒的有利者が交渉の席に着くわけがない。

「ナルト君…正解よ」

おぞましい雰囲気を撒き散らしながらナルトに言う。

「巻物なんて…殺して奪えばいいんだからね……!」

その瞬間腕にある、口寄せの術式に自信の血を塗り、口寄せを行う。目の前に出現したのは大蛇にふさわしい大きさの蛇。私が殺した物より遥かにでかい。

その蛇にナルトが尻尾で打ち上げられる

「ナルト!」

木々をつき抜け、最後に大きな木へぶち当たり、吐血する…そうして、自由落下してくるナルトを大蛇が食べようと、下を伸ばしたときに…圧倒的な禍々しいチャクラをナルトから湧き出てくるのを感じる。
そう、波の国のときと同じように

「クソ喰らえーーー!!」

チャクラ任せの一撃で、蛇の口は閉じられ、何とか食べられずに済む。
私もそれに続けといわんばかりに、サスケより若干下くらいのレベルで手裏剣を投げ、牽制する

「ふふ、妹のほうが優秀なのかしらねぇ…サスケ君はどうかしら!?」

その瞬間明らかに、動揺がサスケに走るのを感じる。これは…私を呪印の肥料にして、苗床をより完成された形に持っていくって事か。そう思った瞬間に、大蛇がサスケに向かって押しつぶさんとする。
サスケと、大蛇の間に黒い影が割り込み、進軍をストップさせる

「へへ…怪我はねぇか?サスケ」

その言葉と共に、印を組み始める大蛇丸…なるほど、これが五行封印ね…車輪眼でばっちりコピーしました。勿論、ほんの一瞬だし、万華鏡を開眼すると、殆どチャクラを消費しないので車輪眼が開眼出来、チャクラが漏れる事はほぼ無い。その証拠に大蛇丸も気付いて無い様だ……よし、チャクラの流れもおおよそ分かったしな。そうして、ナルトが大蛇丸の下に絡め取られそうになる。

「させない!」

手裏剣を投げるが…気持ち悪い動きでかわされ、逆にナルトを盾にされた

「く!」
「ふふ…急がないの、貴方のほうが、サスケ君より美味しそうに感じるわぁ……」

きめええええ!舌が…こう…意味が分からない。もうあれ人間じゃないよね。
しかし、このままではナルトに五行封印が掛かってしまう…しかし、盾にされたら…
そう悩んでいたら、五行封印がナルトになされた。

高い木のうえからぽいっと捨てられるけど、其処をクナイで木に縫い付ける。

「さて、今度は…」
「私だ」

車輪眼を開眼しクナイを投げながら接近する、斬り付けるも余裕で避けられている…が

「火遁、豪火球の術」

私は十八番じゃないけど、うちはの十八番を繰り出す。

「よせ!アヤカ!!」
「やらなきゃ、やられるだけでしょーが!!」
「そう、その通りよ」

私の後ろに回りこまれる。が、やはり、スピードは私以下。見える。何時でも避けれるが…まぁ本体の意向で、あえて、かろうじて反応したように見せかける。次の瞬間に、蛇の頭の上で組み伏せられる。

「ぐ!」
「アヤカ!!」

そうして、私の首筋を長い舌でなめて、頬を舐めてくる…くそ!そこはアンコ試験管の特等席だぞ!!
どうやら、死にたいらしいな…ばっちり目も合ってるし、万華鏡であの空間でぶっ殺してやろうか…

「ふふ…いいわぁ、貴方の容姿も美しいし、実力も下忍を越えようとしている…しかも、開眼してるじゃない」

そうして、顔から、首、鎖骨、と満遍なく舐められる。…これはきつい。精神的に。もう無の心が大事だと実感した。というより、その境地に立ったかも。

「……犯すんだったら、せめて殺してからにしてよ」
「ふふ……生きて悲鳴を上げさせて犯すのが、一番の快感なのよ…」
「……下衆め」

もう意図的に私を消したい。もう影分身解除してもいいよ本体。頼む。犯される。絶対やられる。

「でも、悲鳴を聞きたいのなら……もっと良い方法があるわね」

そういいながら私の首に顔を近づける。呪印か…これを物にできたら相当応用が効きそうだ…でも、印とか結んでないよね…車輪眼じゃ見切れn

「私を感じさせて」

首筋に生暖かいぬめっている何かと、チクリと何かが流れ込んできた。その瞬間

「ぐ、あああああああああ!」
「いい!アヤカちゃん!いいわ!その表情…最高だわ!」
「アヤカ!?クソ!!」

激痛どころじゃない、味わったこと無い痛みだ。もういっそ殺して欲しい…が、本体が頑張って維持してるみたいで全然消えない。もうなにもかんがえたくない

「あああああ!ぐぅ!いああああああ!!!」
「アヤカーーーー!!」

最後にサスケの声を聞いた…怨むぞ、本体。














「うわぁ………いっそ消さないようにしようかな」

影分身を保つ為に精神を集中させる。今何が行われているのか全くわからないが…凄い勢いで消えようとしている。恐らく想像を絶する何かを…呪印だな……消したくねぇ…経験が全部入ってくるよね…
そうして、ぷっつりと消えようとする力が切れた。……気を失ったか死んだかである。

この影分身はちょっと特別で、私の血液と共に普通の影分身じゃない特別な印を結んである。…そう、あの人形を参考に研究してきたのだ。で、キーポイントとなるのが、『情報』である。
髪とかでもいいけど、より力を発揮できるのは、代償が大きい物…で負担がない物と言ったら、まぁ血液が一番いいと判断し、チャクラを練り印を組むと…私が意図的に消さない限り消えない影分身の完成である。

しかし、リスクが大きく、経験を全て余す所なく持ってくるのでもし死んだとなると…私も死ぬかもしれない。…まぁ精神的に参っていて大蛇丸の呪印を受けるとなると、気を失っていると思う。…たぶん。
いや、そう信じさせてくれ。頼むから。

そう思って、ゆっくりと気配を消しながら現場へ向かう。見付かってしまったら…幻術だな。

そうして、現場へ到着すると…私の影分身が地面で…よし!気絶しているだけだ!何か服が肌蹴ているけど…おいいいい!大蛇丸なにした!?私の体に何したんだ!?…まぁ最後までは致していないのかちゃんとスパッツは履いたままだった。良かった。

木に縫い付けられているナルトと、木の上で呻いているサスケ。まずナルトを回収し、サスケには幻術で眠らせる。既にチャクラの乱れが激しいのであっという間にかかり、眠りへ落ちる。
二人を一箇所に集めて影分身に刻まれた呪印の形をメモした後にを消す

「!!!?」

入ってくる様々な情報、此処で何が合ったのか、全てが伝わってくる。濃密な殺気、舐められた記憶。そして、

「ぐ…あああああ!」

激痛。しかし、此処で気絶するわけにも行かない。地面をのた打ち回って、影分身が消える時間まで耐える。耐える。タエル。たえる。

「はぁ…はぁ…」

二分くらい経って漸く、痛みが引いた。そして首筋には…

「な、い…はぁ……く…」

呪印なし。これでいい。呼吸を落ち着かせて一休憩する。因みに巻物は取られていた。

「ふぅー…気持ち悪かった」

まさか大蛇丸に体を少しだけだけど許すこととなるとは…だが、勝てる。勝算はある。
そうして、メモした呪印を模した模様を変化の術で浮かばせてミッションコンプリートである。

「さて…一休憩したら、移動しますか」

そう思って、チャクラと体力の回復を図るのだった。




[35501] NARUTO 17話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:13


呪印を付けられて、寝ずの番を行う。…すっげぇ眠い。前世でも一日中起きて仕事してたことあったが…

「くく…寝ずの見張りかい?」

振り向くと、音の三忍衆が目に付いた。真ん中の包帯ヤロー、岩に座っているつんつんヤロー、右の私とあんまり変わらない髪型…おい、被ってんぞ。



そう、眠い時にこういうふざけた輩を見ると、とてつもなくいらいらして来るんだ。



「でも、もう必要ない…サスケ君を起こしてくれよ。ぼく達、そいつと戦いたいんでね!」

一番前の姿勢の悪い奴が行ってくる。うるせぇ

「サスケは大蛇丸って奴に、キスマークを付けられてぐっすり眠っているよ…とんだお休みのキスだったらしい…私も付けられたけど、お休みのキス以上にハードだったからね…おかげで寝れなかったよ」
「何!?」

うるせぇ。もう、ナチュラルハイを通り越して瞼に錘が付いているか分からないレベルで眠たいよ。

「あの人は何をお考えなのかな…」
「しかし、それを聞いちゃあ黙っちゃられねぇ…この女もオレが殺る。サスケとやらもオレが殺る…」

どうやら、包帯の人は冷静に考えられる人らしいが、つんつんの人はやる気満々のようだ。

「まぁいい…全員殺せばそれで終わる」

包帯のヤローがそんな事いう…こいつら肉片にしてやろう。三人とも此方にジャンプして向かってくる。
着地した時点で、千鳥で全員の心臓をぶち破ろうと、印を組んだんだが…

「木の葉旋風!!!」

空中で三人が黒い影に殴られ、その影が私の前に着地する

「可愛い女の子一人に三人一斉に来るとは…忍者の風上に置けない人たちですね」

おめぇのそのタイツも忍者としてどうかと思う。…まぁ確かに動きやすいというのは認めよう。
だが、厳しい物がある。ビジュアル的に。

「な、何者です…!?」
「木の葉の美しき碧い野獣…ロック・リーだ!」

自分で美しいとかいっちゃ世話無いよね。まぁいいや。こいつらって、大蛇丸に戦闘風景報告するっけか…もういいや

「仕方ないなぁ…ザク、サスケ君はあげるよ…こいつらは僕が殺す!!」
「させません!」

その言葉と共に飛び出してくる包帯の人。

「じゃあ、それ以外は私が引き受けます」
「その体で大丈夫なのですか!?」
「問題ありません」

もう、ここまでくれば大筋には影響ないと思われる。恐らく。

「舐められたもんだぜ…女はオレが殺す!!」

そういってこっちに向かってくる。おせぇ。

「喰らえ!斬空h「この両手、風穴があるね」!!?」

一瞬で背後に回りこんで両手を掴み、後ろへ

「!?キン!援護を頼む!!」
「!あ、ああ!」

そう言って千本を投げてくる。高速でせまる千本

「忍法、風穴君盾」
「なに!?」

強引に位置を動かして、千本を全てガードする

「ぐあ!…舐めた真似を!!」

その言葉と共に、なけなしの力で掌を此方に向けてくる

「しねぇ!斬空波!!」

チャクラが手に収束し、発射される直前に、音のくの一に手を向けさせた

「え?」

衝撃波がくの一を襲う、軽く吹っ飛ばされて、木にぶつかり…口から吐血した

「あーあ…やっちゃったね」
「て、てめぇ…!!」

そう言って睨みつけてくるが…もういいや。

「飽きた」

ぱっと手を離した瞬間に此方に両手を向けてくる

「斬空極波!!」

何も無い森に向かって大きな衝撃波をぶっ飛ばす風穴君の攻撃を、軽いステップで避ける

「馬鹿な!?見切られているのか!?」

相当吃驚した顔で此方を見てくるので頷いた。その時

「表蓮華!!」

大地に衝撃が走る。どうやら、犬神家の如く地面に突き刺さっている包帯君。
どうやら、リーさんのほうは終わったらしい。

「くそ!お前ら全員おr「木の葉大烈風」」

何か言いかけた時に顔面に向けて、蹴りを放つ。勿論、チャクラで肉体活性した蹴りだ。
当たった瞬間、縦に回転しながらまるでゴムボールのように吹っ飛んでいった。

「雑魚が」

そうして、気を失っているくの一の方へ向かい、両手足を縛る。その後、頬を叩いて起こす。

「う…うーん……」
「起きて」
「は!?」

そうして、覚醒。縛ってあることを自覚して此方をにらめ付ける。

「巻物ちょーだい」
「だr「デコピンするよ?」

その横にある大岩にデコピンをする。
人差し指が当たった瞬間に、大岩が轟音と共に粉々に粉砕された

「まきものちょーだい」

物凄い勢いで首を立てに振ってくれた。なぁんだ、やさしい所があるね。
全ての縄を解いて、手をつなぎながら、巻物を持っている包帯君へ近づき、ポーチを漁る。

「こ、これでいいだろ?」

そう言って巻物を渡してくる。地の巻物だ。

「ありがとー」

そういって、片手で包帯君を引き抜く。顔面血だらけで骨も色々砕けてそうだ…まぁいっか。

「風穴君は森へ散歩に行っちゃったから何処にいるか分かんないよ」
「わかった、わかったから!!」

そういって、包帯君を背負いすぐに駆け出す。女の子ってやっぱりやわらかい。

「く!僕もまだまだだ…」

サスケとナルトが寝ている近くでうなだれているリーさん。

「アヤカさん!!」
「なんでしょう?」
「貴方を超えたと思ったら…迎えに行きます」

突然此方を真剣な眼差しでこういってくるもんだから

「謹んで遠慮いたします」

当然の拒否。私は女の子以外に興味なしですよ

「では!」

話し聞けよ、と思いながら、去っていくリーさん…相変わらず濃かったなぁ…
しかし、ここで表蓮華をやるとは…結構苦戦していたのかな?それにしても怪我は…まぁ耳から血を流していたけど、それ程重症じゃなさそうだった。そんなことより…

「そこに隠れている三人…出てこないとくの一さんだけ、捕まえてあんな事こんな事を実践しちゃうよ」

そういって出てくるのは、いのしかちょうの三人。随分と顔色が悪いことで。

「あ…あんた、アヤカ……ちゃん?」
「うん」

そういって、私の荷物の所へ移動し、水筒を取りだし、水を飲む。うむ。うまい!

「で…単刀直入に言うと、敵?味方?」
「味方だぜ!」
「そ、そうよー!味方よー!!」

なるほど、戦闘を見ていたか…気付いてたけど

「ふふ…敵だっていったら、巻物を奪っていたよ」

そういうと、少し引く三人。それと同時に起きるサスケ

「お、おはよーサスケ」
「く!…!?や、奴はどこだ!!?」
「大丈夫、今はいないよ」

そうか…そういって、目を伏せるサスケ…とりあえず

「あそこのいの、シカマル、チョウジは敵じゃないって…あと、これ」

そう言って、地の巻物を渡す

「これは…」
「途中で雑魚が来て、脅したらゲットした」
「……そうか」

そういって、私の首筋を見る。そこには…呪印……の形をしているだけで、実際は変化の術で誤魔化しているだけだが…車輪眼と組み合わせると相当な効果を発揮する。

「…」
「まぁ、仕方が無いよ。とりあえず…私は寝る」

お、おい!とサスケの声がするが、こっちは寝ていないんだ…緊急時になったらたたき起こしてーと言って睡眠に入った。






「朝か」
「いや、既に夕方だぞ」

ぐっすり寝て、起きたらもう夕日が傾いていた。辺りを見てみると、サスケとナルトしかいない。

「アヤカちゃん、やっと起きたってばか」

そういって、愚痴ってくるナルト。申し訳御座いませんでした。

「それで、これからどうするか…だな」

サスケの問いに頷く私達、話し合いの結果、とりあえずまずは、食料の確保。巻物は会った班から奪っていく…が、また大蛇丸級のがいるかもしれないので、一人での行動は厳禁。
いまは、二日目の朝なので、まだ慌てる時間帯でもないだろうという事で、まずは食料となったのだ。

しかし、既に夜も近いし、本日分の食料は既に確保済みである。サスケが大きなクマをノックアウトしてきたのだ。調味料は私は何時でもバターを持っているので、問題ない。バターで味付けしたクマ肉と、川の綺麗な水を水筒に入れて飲料水の確保。完璧だ…ただ

「ねぇ、私水浴びしたいんだけど…良い?」
「お前、今がどんな時か分かっていってるのか?」
「あのねぇ、女の子は何時如何なる時でも自身を清潔に保つ必要があるの。オーケー?」

そういって、サスケに凄む。しかし、納得行ってなさそう…仕方が無い。であれば…

「じゃあ、皆で川の近くで土を掘って、お風呂作っちゃいましょうか」

そうして始まったお風呂作り。最初は渋っていたサスケとナルトだが、やはりというか何と言うか

「二人とも汗臭い」

そういうと、渋々ながらも協力してくれた。しかし、着替えがないと女の子は納得しない…そこでだ
この試験を突破する為に私は、用意したのである…着替えを口寄せする巻物を。
カカシ先生の口寄せの術を写輪眼でコピーし、巻物に記す印も教えてもらい…漸く完成した一品。

作業を開始してから一時間後、漸く土を綺麗に彫り終えて、石を敷いて完成した。

「お湯はどうするんだ?」
「水分身」

印を組んで、川から大量の水分身を出現させて、全員穴に折り重なるように入ってもらい、解除すると…

「おおー!綺麗な水が丁度良い具合に溜まっているってばよ!」
「お湯は…」
「火遁宜しく」

その言葉と同時に、サスケが渋々火遁を放ち、温度を上昇させて完成。さて、誰が一番風呂をお預かりするか…

「アヤカちゃん一番いいってばよ」
「ああ」

お優しい二人が一番を譲ってくれた。ありがとうと、返事をしながら服を脱ごうとすると

「ちょ、ちょっと待っててば!まだ俺たちがいるから!!」

おう、そうだった。あまりにも嬉しかったのでそのまま真っ裸になるところだった。そうして、ナルトと、サスケで警備をしてもらいながら、ゆっくりお湯に浸かったのである…最高です。シャンプー持ってくれば良かったなぁ…と満点の星空の中後悔した。

私が上がり、口寄せで全身を覆うタオルと着替え一式を口寄せし、タオルを巻きながら着替える。
そうして、手に取る使用済みの下着…やっぱちょっと汗臭い。

「入って正解だったな…」

そう思呟きながら、ナルトとサスケを呼ぶ。入れ替わりで今度は私が監視の番である。川で水分身を大量に作って、一斉に放つ。これでオッケー。私も、何時でも駆けつけられる距離でぎりぎり見えない箇所を陣取って監視するが…異常なし。

ナルトと呼ぶ声が聞こえたので、水分身を全て水に戻し、二人の下へ。
そうして、三人そろって、とりあえず、汚れた衣類を川であらい、焚き火を起こす。その上に簡易な洗濯棒を作成し、乾かしながら、交代しながら夜を過ごした。




[35501] NARUTO 18話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:14


「いやー、どうもありがとう御座いました」
「此方こそ、ありがとう」
「カブトのにいちゃん!ありがとうだってばよ!!」

中忍試験タイムリミットを10時間切った所で、私達第七班はゴールした。
あの後、二日間は何も進展が無く、食料をとって食べてと、サバイバル生活を行っていたが、最終日の前日の夜に、このままではまずいということになり、最後の日を迎えたのだが…

ナルトが、目を放した隙に巻物の偽者を作ろうとした所を、寸での所で、薬師カブトが止めてくれた。
感謝感激である。…こいつ確か、大蛇丸陣営だよね。あまり手の内を見せないほうがいいな…
そう思って、下忍らしく動こうかと思ったけど…ナルトとサスケは私の実力を知っているので、下手に弱くすると勘ぐられる。

よって、考え出したのが…

「これからも第七班が続くと思うんだ…連携の訓練を兼ねよう」

ということで、連携をしながら動くので、下手に実力を落としてもサスケのプライドが傷つくだけで済む
これでカブトの目を誤魔化して、行く手を阻む敵をなぎ倒して、巻物をゲットし漸くゴールしたのである

薬師カブトと別れた後、ゴールの建物内に入る。

「誰も…いないってばよ」

入ったはいいが、誰もいない。…ここでどうするんだけっか、と思って、目の前にばーんとある。文字を読む。

「天無くば、智を識り機に備え、地無くば野を駆け利を求めん…天地双書を開かば危道は正道に帰す、これら即ち「」の極意…導く者なり」
「…つまり、巻物を二つ同時に開くって事か?」
「恐らく…」

あんまり思い出せねぇけど、そうだと思った。そうして、ナルトに視線を向けると、既に天と地の巻物が手元に出ていた。

「それじゃ…開くってばよ」

そうして、開くと…真ん中に人という言葉が書いており、周りに口寄せの術式が記載されている。
そのことに気付き、すぐさま投げ捨てる。

「ナルト!!」

サスケもすぐに気付き、ナルトの名前を大きな声で呼び、ナルトも巻物を投げ捨てる。投げ捨てた巻物から煙が立ち込め出てきた人物が…

「よっ!久しぶりだな」

腕を組んでいるイルカ先生が出てきた。

「え!?何でイルカ先生が口寄せででてくんだってばよ!?」
「この第二試験の最後は俺たち中忍伝令約として受験生を迎える事になっててな…ふー…時間ぎりぎりだな。第二の試験、三人とも突破、おめでとう」

その言葉と共に、ナルトが

「やったーーー!」

嬉しさ爆発してイルカ先生に抱きつく。一時して、サスケがこの巻物の意図に気付き、イルカ先生に確認するように言葉を紡ぐ。

「ふー…開かなくて良かった」

その意図にナルトは今頃危機感を持ってくれたようだ。

「さて、目の前の文書は火影様が記した、中忍の心得だ。天とは即ち、人間の頭を指し、地は人間の体を指し天のさ」

その言葉に相槌を打ちながら話を聞く

「まぁ人には体を動かすのが得意という忍びもいれば、頭を使うのが得意の忍びもいる…しかし、そのどちらも兼ね備えれば…どんな任務も安全な任務になりえるというわけさ」

まぁそりゃ完璧人間だからね。

「そして、あの抜けた文字は中忍を意味する文字…人という一文字が入るというわけだ。この中忍の心得を忘れずに次のステップへ臨んで欲しい」

そうして、私達は第二次試験を突破したのである。

そうして、休憩室が設けられていて、そこで一旦休憩し、時間が来たときに中央へ繋がる扉を潜ると…
第二次突破者がずらりと並んでいた。

「私達が一番遅かったみたいだね」

そうして、前のほうに並んだ。中にはヒナタも居たので、手を振ったら振り替えしてくれた。
一気に心が和んだのは気のせいじゃないと思うよ。

(うお、あの音の三人生きてるよ…つんつん君はふらふらしてるけど)

あの時吹っ飛ばした音の男集は満身創痍って感じだ。恐らく立ってるのもやっとであろう…まぁ知ったこっちゃねぇけど。でもすげぇこっち睨んでる。つんつんめっちゃにらんでる。

「ふ…あんまり良い予感がしねぇな」

サスケが何か独り言を言ったので知らない人の振りを全力でした。



第三試験に入る前に火影様からの説明があった。この試験の真の目的である。

「この試験は同盟国間の戦争の縮図なのだ」

そう、同盟国通しで高めあいレベルを競う。そして、尤も優秀な下忍が誕生した国はそのままレベルが高いということになる。何故なら、部下の教育が伴っていない国なぞ、実力も何にも無い国なのだ。そんな国に大名達は依頼など回さないだろう。

まぁ個々を見れば確かにずば抜けて高い人物もいるが、この場にいるのは全員下忍である。
目に見えるものと目に見えないもの。どちらを信用するか…と聞かれると、当然目に見える結果を信じる
故に、同盟国間の戦争の縮図なのだ。…まぁほかに意図があるかもしれないけど。

火影様の説明にひと段落がついたころ

「ここからは審判を仰せつかったこの…月光ハヤテから…」
「…任せよう」

そうして、自己紹介が始まり…

「えー皆さんには第三試験の前にやってもらいたいことがあるんですね……」

すげぇ今にも死にそうな忍者が此方を振り向いてそう言ってくる。

「えーそれは本線の出場を懸けた第三試験の予選です」
「予選って…どういうことだよ!!」

尤もな言い分である。この試験で合格すれば本来であれば第三試験に臨める筈なのだ。

「えー今回は少将人数が残りすぎてしまいましてね…」

そういって、説明に入る。つまり、出場者を減らす必要がある。何故か。それは本戦ではたくさんのゲストが足を運ぶのだ。その中でダラダラ試合をやるわけにも行かない。時間は限られているからだ。

「というわけで、体調がすぐれないかた、やめたくなった人はすぐ申し出てください…これからすぐに予選が始まりますんで」
「これからすぐだと!?」

そういって、一息ついたときに

「あのー…僕はやめときます」

薬師カブトが手を上げたのである。その事で動揺するナルト…しかし、カブトはナルトに何かを言ってから、会場を後にする。おっと…

「く…」

そうそう、呪印が痛むような素振りを見せないと…大蛇丸が目の前にいるからな……後でたっぷり料理してやるよ。痛む素振りをしながらサスケのほうを見ると、脂汗が浮かんでいる。やっぱ相当痛いんだろうな…と思いつつ、何も言わない。

「サスケ、アヤカ…やっぱ痛むのか?棄権「「しない」」…わかったってばよ」
「ナルト…オレはお前とも戦ってみたい」

あれ?私は?ねぇ私は?そう思ったけど、ナルトとサスケが見詰め合っている。…何これ、誰か助けてくれ。二人を尻目に月光ハヤテが予選のルールを説明し…といっても、ルール無しの殺し合い。
ただ、死人が出ないような配慮はするということであった。

「電光掲示板にそれぞれ対戦者の名前が出ます。では、早速一回戦目は…」

ウチハ・サスケ VS アカドウ・ヨロイ

原作どおりか…まぁいいここでゲットする術があるからな。
上に移動し、観戦席に来て、車輪眼を展開する。

「何で車輪眼をだしてるんだってば?」
「いや、どんな動きするんだろうと思ってね」

なるほど~といいながらサスケを見るナルト。…熱い視線だね。そうして、サスケと会話していたカカシ先生が此方に瞬神の術で来る。

「お前も…」
「これですか……問題ないです」
「……発動したら直ぐに止めるからな」

その一言で、サスケのほうを向くカカシ先生…すみません。これ偽者なんです。

「では、はじめ!!」

その瞬間印を組むヨロイ…その術貰った!!…なるほど、この術は手に展開して相手のチャクラを吸い取るのか…一定量しか取らなく、一気には取れない。しかも、この術を展開していると他の術が満足に使えそうに無いな。…まぁ要研究だな。ただ、体術との組み合わせは最高だと思う。攻撃するたびにチャクラを吸収するという厄介な嫌らしい攻撃が出来、さらに私のオートリジェネを組み合わせれば…

「くく…」
「何してんの?」

おっと、笑みが零れていたらしい…最高だね。そう思っていたら、最後はいつぞやした獅子連弾で蹴りを付けて終了した。あれ?こんなにあっけなかったっけ?まぁいっか。

試合後、カカシ先生がサスケを預かることとなった。私はそこまで痛みは無いですと伝えたので、後で封印するということになった。

次の試合は、蟲使いの油女・シノと音のつんつん君…ザク・アブミの対戦となった。
結果はシノの勝ち。ザクが使う掌の穴に蟲を詰め込ませて、内部で斬空波を使用させる。
そうする事によって、圧力が腕の中ではじけて、結果。両腕が殆ど使えない状態…片腕は吹っ飛んでしまった。そこで、シノが最後に止めを刺し終了となったのだ。

次にツルギ・ミスミとカンクロウの対戦。
ツルギミスミは軟の改造…まぁ大蛇丸見たいに関節を外して色々できる改造が施してある。その為、その異常な柔軟性を持つ体を利用して、相手を締め上げるという、女性にとってはセクハラレベルの攻撃で戦うが…カンクロウを軟の体で締め上げて、首の骨を折った…かに見えたが、実はカンクロウとそのカンクロウが操る人形が入れ替わっており、逆に人形で締め上げられ、全身の骨を折られて終了した。

そして、次の試合が…

ウチハ アヤカ VS ヤマナカ イノ

その文字を見たときに、だるいと思いながら下に行く。そうして、対面するイノ。

さて…彼女は私の戦っている姿を見たはずだ…だが、棄権する気配がない……策があると見ていい。
うーむ…どうするか、だな。まず、彼女が使える術は心転心の術。術者の精神を対象に乗り移させる術である。これは諜報に適した技で、この場で使うのは不適切である。…が、この術は我が物にしたい。

「はじめ!」

さて、どうでる。








「はじめ!」

その一言でまずはイノが動いた。ホルスターから素早くクナイを取り出して投げる。が、アヤカは難なくキャッチする。そのクナイを投げ返すが…勢い余って壁まで飛んでいった。そこで突き刺さるクナイ。しかし、イノは瞬時に悟る

(忍具の扱いも私より上だけど安定していない!)

そこに付け入る隙があると確信する。二次試験を見て体術勝負は火を見るより明らかなので、クナイを投げて、対応しきれない所に術をかける…そのレベルしか、土壇場では思いつかなかった。そも、心転心の術は、一対一で使う術ではないのだが…

(精神を乗っ取って、負け宣言させるしかない)

そう思っていると、突然アヤカが、首筋を押さえて呻きだしたじゃないか

(チャンス!!)

すぐさま術の印を組みチャクラを練り

「心転心の術!」

そうやって、体を乗っ取れたはず…のだが…

(乗っ取れない!?)

動揺した瞬間、目の前のアヤカがぽんと音を立てて消え、その代わり首筋にクナイを添えたアヤカが姿を現した。

「…クナイ投げ返したとき」

その一言で疑問は一気に氷解した。

(こりゃ…勝てないわ)

「ギブアップ」

その一言で、対戦は終了した。



side アヤカ

よっしゃー術ゲット!何に使うかは分からないけど術ゲット!!一気に抱きついてチャクラの吸収でも良かったけど…それだと、術が確保できないので、このような回りくどい事を行ったのだ。
しっかし、悪いことをやっちゃったなぁ…印なんて偽m

「アヤカ!大丈夫か!?」

いきなりカカシ先生が瞬神の術でやって来て、何か私を小脇に抱える。そのまま上に上り、ナルトに事情を説明して、何処かへ移動する…そこには、何か難しい術式が書かれた陣がある部屋に通った。

「今から呪印を封印する」

そう言ってきたが……ここに誰もいない事を確認し

「必要御座いません」
「何馬鹿なことを言っている!!」

そうして、荒々しく私の手を掴み髪を掻き分け首筋を覗かれるが…

「無い…だと?」
「ええ、ありません。フェイクです」

そういって、試験中何が起きたかを話した。大蛇丸に色々されたことは伏せておいたが。

「そうか…良かった」
「ありがとうございます」
「しかし、何故変化の術でその印を保っているの?」
「それは…秘密です」

大蛇丸ぶっ殺す為とは言えない。これで策は完了である。後は本戦後の時を待つだけ…
待っているろよ…くそオカマ。サスケに気絶した後何かあったのって聞いたら、とりあえず体を舐められていた…と……どおりで、記憶に残っているより、服が肌蹴ていると思ったら……





この怨み晴らす




100倍にして





[35501] NARUTO 19話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:14


「勝者!うずまきナルト!!」

戻ってきたら、ナルトが勝っていた。対戦相手は…キバか。
担架に運ばれるキバを見つめながら思う。そうして、駆け上がってきたナルト、そこで待っていたのは…

「ナ…ナルトくん……」

顔を真っ赤にさせてもじもじするヒナタ…ま、現実そんなもんだよね。女の子同士なんてありえない。
……私がもし、男だったら………考えても無駄か。…あーあ、今日は一楽のラーメンだな。
久しぶりに塩バター食べたくなってきた。

「塗り薬よ…貰ってやりな、ナルト」
「んー…うん!サンキューヒナタ!お前いー奴だなー!」

そういって、こっちらに気付くナルト

「乙カレー」
「おう!オレの勝ち姿みてくれたってば!?」
「うんうん、見てた見てた」

本当は、全然見てなかったけど。そうして、ヒナタに近寄って…

「まずは、第一歩だね!」
「あ…うん!」

花びらが咲く様な眩しい笑顔がそこに映っていた。うん。親友の嬉しい姿を見るのはとても気持ちいい事だねー…惜しむらくは、その笑顔に私が映っていないことか。

「どうしたの?」

そういって聞いてくるヒナタ。本当にいい子だよ。

「なんでもないよ」

気にしないで。と言って、電光掲示板を見ると

ヒュウガ・ヒナタ VS ヒュウガ・ネジ

やはりこう来たか…ヒナタが傷つく姿は見たくないが……それでもこの場面での一歩が後々非常に大きくなる。このイベントは、絶対に欠かせない。ナルトの為にも、ヒナタの為にも…

「ヒナタ」
「ひえ…な、何?」

相当緊張しているな…こういうときはなんと言えばいいか…いや、言葉なぞいらない。そう思い、笑顔でヒナタに頷く。それに呼応してか、ヒナタも笑顔になり頷く。

「行ってらっしゃい」
「いってきます」

そう、これでいい。そうして、両者対峙した時、ネジが

「貴方は忍には向いていない…棄権しろ!」
「…!」

まぁ今のヒナタは確かに向いてないな。非情に徹することが出来ない…とすると、家のナルトも向いてないのかもね。でも、それだけが忍びじゃない。そう断言できる。

「貴方は優しすぎる…他人の考えに合わせる事に抵抗が無い」

私もあんまり無い。

「そして自分に自信が無い…いつも劣等感を感じている…だから……下忍のままでいいと思っていた…」

こ、この流れは…!?

「しかし、中忍試験は3人でなければ登録できない…どうチームのキバ達に誘いを断れず…この試験を嫌々受験しているのが事実だ…違うか?」
「ば、バーローだぁあああ!」

この流れ!この間の取り方…これは全て…見た目は子供、頭脳は大人、名探偵バーロー!!
そうして集まる視線。ネジが物凄い睨んでくる。

「バーロー…?」
「い、いや…あれだよ。この前書店でね…その、推理小説買ったときにね、主人公がこう、あれなんだよ…そんな風に犯人を追い詰めてたからさ…その時の主人公の名前をね」
「嘘でしょ」

嘘じゃねぇ!…って言いたいよね。クソ!何処かに転生者でもいないのか!?

「アヤカちゃんって時々馬鹿になるよね」
「…ごめんなさい」

素直に頭を下げた。

「ぷ…ふふふ」

そうして聞こえる笑い声、見るとヒナタが笑っているではないか。

「さ、作戦成功だってばね」
「…俺の真似?」

すげぇ冷たい目にさらされた。

「ネジ兄さん…私は自分を変えたい、そして一緒の場所へ立ちたいの」

そうして、決心を決める目つきでネジを見るヒナタ。
しかし、それに構わずネジは言葉でどんどんヒナタを追い込む…ヒナタの決心もちょっと薄れてきている…チャクラが少しずつだが…乱れてきているな。

「自分を変えることなんて絶対に出来「「出来る!!」」…」

ナルトと声が被った。その声と共に二人とも此方を見る。

「人のこと勝手に決めつけんなばーーーか!んな奴やってやれヒナタ!」
「おーいヒナター!後でちゃんとその主人公が出る小説貸すからねー!」

いや、それはいらねぇってばねと突っ込まれる。ナルトに突っ込まれるとは…世も末か。

「ナルトくん……アヤカちゃん」

そうして、意を完全に決するヒナタ……うん。チャクラの乱れは無し。

「棄権しないと、どうなっても知らないぞ」
「私はもう…逃げない!」

白眼!

発動した白眼を回りに察知されないように前髪を不自然じゃ内容にたらし、予防として万華鏡写輪眼し直ぐに変化の術。で、白眼を見る。…やはり、な。内容を理解し、万華鏡を解除し、白眼を発動。

…発動せず。

これである程度は、予想が立った。…つまり、体に直接変化がある物の血継限界は…コピーできないのだ
大体、万華鏡写輪眼を発動しながらじゃないと、他の血継限界を発動できない。よって白眼で上書きできないのだ。だろうねーと思ったけど。

恐らく自身にかけるかなり強い幻術。

自分の情報を騙し、血継限界の血筋という情報書き足し、あたかも血継限界であると自覚させ、発動する。恐らくこの線が非情に濃厚だろう。自分を騙して使うため、かなり強い幻術が必要…よって、万華鏡写輪眼なのだ。…まぁあくまでも予想だけどね。

そうして始まった試合…最初は柔拳同士いい試合を見せるが…とうとう均衡が崩れる。ネジの柔拳がヒナタの点穴を付いた。そして、内臓へのダメージ…かなりのダメージだろうチャクラが物凄い乱れている。
吐血も激しい…非常にまずい。そうして、とうとうダウンしてしまった…審判が敗北宣言をしようとする

「「とめるな!!」」

ナルトと私の声が重なる。そう、ヒナタはまだそれを望んじゃいない。

渾身の力で気力で起き上がるヒナタ…だが、そこに畳み掛けるようにネジの柔拳が襲い掛かる

「お疲れヒナタ」

ヒナタを抱きとめて速攻、掌仙術を施す。その間に、安静にさせるため、床に静かに下ろす。ネジが何か言っているが…今はそれどころじゃない。……車輪眼でチャクラの流れを見て、チャクラの乱れがあるところ…いや、不自然なまでにチャクラが通らない箇所がある。これが点穴か…

「かは!」

吐血するヒナタ。心臓の動きが明らかにおかしい。直ぐに点穴をコピーした柔拳で開く。チャクラは流れ出たが…内臓の修復も大丈夫だが…心臓だけがどうにもならない。どの用に施せばいいか…分からない。

「紅さん!心臓に異常が見られます!早く緊急医療班を!!」
「分かっている!何をしているの!?早く!!」

一緒に見ていた紅上忍がネジを睨んでいたが、気持ちを切り替えて医療班を呼ぶ。

担架で運ばれるヒナタ…瞬間、全身が震えた。もし、死んだらどうしよう……私のせいなのか…?

「ぜってー勝つ!!」

ナルトの声が聞こえた…そうだ。信じないと。ヒナタは助かる。自然と震えが止まった。
そうだ、信じるんだ。ヒナタが気を取り戻したら全て話そう。いや、目を覚ましたなら恐らく会場に来るはずだ…全力全壊で対戦相手をぶっ飛ばす。それがヒナタに対する礼儀か。

そうして、上へ戻る。心臓となると…もう、怪我の範疇を越している。怪我であれば治せると思ったけど…明らかに普通の怪我ではないから、分からない自分がやるよりは必ず専門の人に見てもらったほうが良い。

「この機に医療忍術でも極めてみようかな…」

ふと、そう思った。





そうして、次の試合はガアラとリーさん。

まず、最初に仕掛けたのはリーさん。しかし、ガアラの砂の壁に阻まれる。そこで、ガイさんが

「リー!外せー!」

その一言で、錘を外し、地面へ落下。地面に落ちたと思ったら、地面が重さに耐え切れず陥没する。
…私もあれと同じ奴二個づつ付けてるんだけど…どうしよう。皆ビビってるよ。

そうして、速度が上がるリーさん。ガアラの砂の防御より早く、動き、漸く攻撃が届く…が

「砂を全身に…」

そう、ガアラの絶対防御は砂の自動ガードだけではなく、自身を砂で覆い。甲殻化しる二段構えだ。
それを確認するリーさん。ちらっとガイさんの所を見て、頷く。

リーさんは包帯を外して…ガアラの周りを旋回し…一気に懐へ入り込む。
ガアラを空中へ蹴り上げ、エリアルコンボを決め最後に、包帯を相手に巻き全身全霊を込めた一撃を見舞う。が、包帯を巻いているときに一瞬だけ、リーさんの動きが止まり…ガアラが砂に化してその攻撃を脱出している。

それに気付かず

「表蓮華!!」

肉体を酷使する技を発動させるが…本体はいない。それに気付くが時遅し、ガアラの砂で攻撃される。
しかし、急に動きが良くなり…ガアラに向かって構える

「木の葉の蓮華は二度咲く…」

ガイさんが呟く。その言葉に反応したカカシ先生

「まさかガイ…お前!」
「お前の想像通りだ」
「じゃあ、下忍のあの子が、八門遁甲の体内門を…」
「そうだ…開ける」

…そんなに危険なのか……今度から細心の注意をしないとな…

「見損なったぞ…ガイ!」
「お前が…お前があの子の何を知っている!」

その言葉で沈黙するカカシ先生。…リーさん……

「第三生門…開門!!」

体が赤くなる…これをコントロールすると、体は赤くならない。この赤くなる原因は、チャクラによる体温の上昇。周りにでている煙は…汗が蒸発した物である。これは体の限界以上にチャクラを使用したことで発生した物だ。しかし、このチャクラを上手くコントロールし、体中に流す、さらに、某ハンター漫画のように、許容できないチャクラを自身を強化する為に留めて置く事が出来れば…

発汗は無く、目が赤くなるだけだ。…まぁ何故赤くなるかは分からんが。

「はあああああ!」

更に開いた。そしてその瞬間…リーさんの姿が消え、会場がリーさんが発したチャクラに耐え切れず地割れしていく。

「速い…」

しかし、目で追える。まだ、まだ速くなれるはずだ。そうして、蹴り上がるガアラ。
そこから、空中でリーさんに上下左右の三次元から全身に攻撃され

「これで最後です!!!」

更に開門し、夥しい量のチャクラが発現し、全身全霊の一撃をガアラにお見舞いした。


地面に叩きつけられるガアラ…しかし、あまりダメージを受けていない。
それどころか、砂による反撃を行う。

「砂漠柩!」

リーさんの左手足に砂が巻きつき、非情な圧力で砕く

「ぐあああああ!!」

そのまま地面に投げ出されたリーさん。そこでさらに追撃が入るが…
全て振り払われる…そこに居たのは

「ガイ…さん…」

この時点でリーさんの負けが決定したので、直ぐにリーさんの容態を見る。
全身の骨がぼろぼろで、特に酷いのが攻撃を受けた手足…筋肉と骨がぐちゃぐちゃになっている。
正直…この掌仙術で直せる限界を超えている…というより、このままでは治せない。

限界は、ボッキリ折れたとかその程度だ。リーさんの場合、骨がぼろぼろである。このまま術で繋がったとしよう…そうすると、歪な形の骨になって、逆に危険なのだ…出来ることと言えば、目に見える傷を治したり、痛みを和らげる事だ…

(無力!)

痛感した。私は無力だ…確かに、畑が違う。だが、それでもヒナタ同様、やりきれないところがある。

「あ、アヤカちゃん…ゲジマユ…どうだってば?」
「……あまり、良くない」
「何時もみたいに治せないのかよ!?」
「ナルト!!」

掴みかかってきたナルトを強引に引き剥がすカカシ先生。そうして、医療班が到着して、リーさんを運んでいく。

「…ごめんってばよ」
「ううん、気にしないで」

そうして、私達はただただ、運ばれている姿を見ているしかなかった。




[35501] NARUTO 20話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:25

「さて、まずは本戦に出場を決めた忍諸君、おめでとう」

全ての試合が終わり、ヒナタの容態も安定したという知らせを受けて、一安心した所で突破者全員の召集が掛かった。会場で横一列に並ぶ。

「解散前に本戦の為、やっとかなきゃならん大切なことがある」
「なんだってばよ!」

じれったく言う火影にいらっときたのか、ナルトが大きな声で問いただす。

「まぁそう焦らず…アンコのもっとる箱の中に紙がはいっとるからそれを一人一枚取るのじゃ」
「私が順番に回るね」

そうして、一枚だけよ紙が入っている箱を差し出す。
私の前に来て箱を差し出してくるので、手を突っ込み、紙を取る。そうして出て来た番号が…

「10番…」

そう、10番だ。そうして全員が引き終わったことを確認し、全員が引いた番号を復唱した後、火影様が

「では、お前達に本戦のトーナメントを教えておく!!」
「えー!」
「その為のくじ引きだったのか!」

そうして、イビキ試験管が、組み合わせボードを此方に見せてくる。

初戦  うずまきナルト 対 日向ネジ
二回戦 油女シノ    対 カンクロウ
三回戦 テマリ     対 奈良シカマル
四回戦 うちはサスケ  対 ドスキヌタ
五回戦 ガアラ     対 うちはアヤカ


わーお。これが大蛇丸の操作だったら…お次は私を試すのか?…いや、ありえん。
…ガアラめっちゃこっち見てるよ。何かうちは…サスケじゃない…とか言ってるよ。

「では、それぞれ対策を練るなり、休むなり自由にするがよい…最後に質問はあるか?」
「ちょっといいっすか?トーナメントって事は優勝者は一人だけって事でしょう…つーことは…中忍になれるのはたった一人だけってことっすか?」

という質問がシカマルから飛んだが…そうではないらしい。この試験は審査員、依頼する諸国の大名や忍頭が見る事になっており、その審査員達がトーナメントを通して私達に評価を付け、中忍として十分資質がある者は例え一回戦に負けても中忍になることが出来るってこと。ただ、全員合格になることもあれば、全員不合格になってしまうこともあるのだ。

「では、ご苦労じゃった!一月後まで解散じゃ!」













「ヒナタ様は面会謝絶となっております」
「そうですか」

そういって病院を後にする。中忍試験が終わり、ヒナタのお見舞いへと足を運んだが…まぁ仕方が無い。トップスピードできたんだけどなぁ…とりあえず、今までたまった衣類を自宅の洗濯機の中へ突っ込み、タイマーをセットし、自身は…

「よーやっと温泉に入れるよ」

そう、温泉である。この温泉結構若い女性が多々利用する施設で、非常に目の保養になる。

「ふー…極楽極楽」

肩までゆっくり浸かって、試験時の疲れを癒す。…あんまり疲れてないけど。今日は修行無しでゆっくり休むかぁ…と思っていたら。視線を感じる。……

「こら!ナルト君!そっちは女湯です!!破廉恥な行為は許しませんぞ!」

ナルトぉ…良い度胸じゃねぇか……と思ったけど。まぁ試験中に救われた事があるからな……許す。
しっかし、最近どうも女性らしくなってきているな…いや、完全に女性だけどね。思考が。
自分の体を見ても何とも思わなくなったしなぁ…と、思いながら湯船から出て、鏡の前で自分の体を色々な角度から見ていると

「おほー!」

……さっと横を見ると、竹で作られた壁の竹と竹の間に目がある。ばっちりある。
誰だかわからんが…良い度胸だ。まぁ私のロリボディを見られてもどうという事は無いが…
後ろにおられる美女の裸をタダで見ようなんざ…笑止千万!!

すぐにバスタオルを全身に巻く。全員に周知させようかと思ったが…逆に恐怖を煽るだけだ。それは頂けない…よって、此処で成敗する。万華鏡写輪眼を開眼して別空間へ移動する。そうして、外を見ると…

「自来也?」

そう、ナルトの師匠のガマ仙人。既にサングラス掛けた忍者が気を失って倒れている。

「まぁ良い…」

その一言で自来也の後ろに瞬間的に姿を現す。

「死ね」

顔面目掛けて蹴りを繰り出す。油断しきっているにもかかわらず、ぎりぎりガードを成功させたが…

「ぐおわ!」

蛙の上にいた自来也をそのまま温度60度の湯船のほうに向かって吹っ飛ぶ。そこから普通の目にし、自来也と対峙する

「覚悟は出来ているか…覗き魔」
「お、鏡の前で全裸でポーズしとった、嬢ちゃん…ん~後、3年くらいかのぉ」
「オーケー。覚悟は出来てるみたいだね」

その瞬間高速で印を組み自来也の周りに…いや、変質者の周りに水分身を作る

「ほぅ、速いの」

が、相手は腐ってもあの伝説の三忍…あっという間にやられるが…

「秘術、千殺水翔」

片目を万華鏡にし、瞬時に相手の365度全てをチャクラを練りこんだお湯の針で囲む。態と、上だけ弾幕を薄くして…。そのまま、全ての水を突っ込ませると同時に私も突っ込む

「甘いのぉ」

その言葉と同時に、予想通りの所から脱出。よって

「甘いね」

肉体活性を十分にした体を用いて上空へ上がってきた変質者に

「木の葉大閃光!!」

空を切り裂く踵落しを決める。

「ごは!」

後頭部へ直撃、その瞬間真っ逆さまに60度のお湯へ落下する。私はそのままお湯の外に着地して様子を見る。浮かんできたのは…

「変わり身か」

丸太。そして、後ろから片手を持ち上げられた。

「ちょーっとばかしお痛がすぎるのぉ」
「覗き魔に言われたくありません」

後ろを振り向かずに万華鏡を展開。空間に入り、瞬間的に変質者の後ろを取る

「!?」
「寝てろ」

流石に反応できなかったのか、後ろから足払いをかけて、今度こそ

「木の葉閃光」

踵落しを決める。地面がひび割れ、手ごたえもある。

「ごは!」

そうして、顔面を砂利が付いた裸足でぐりぐりとする…が……

「あ、アヤカちゃん……」
「ん?」
「…見えてるってばよ」

顔を真っ赤にさせて視線を外しながら此方を指差すナルト

「ほぉ~…まだ毛も生えとらんガキに此処までやられるとはのぉ」

……瞬時に螺旋丸を展開する

「そ、それはミナt「螺旋丸!!」ごはぁ!!」

地面に向かって抉られるような衝撃を変態にぶちかまし、肌蹴たタオルをしっかり巻きなおして

「その変質者…さっさと警備の人に突き出して」
「わ、分かったてばよ」

幸いギャラリーは皆無だったので。何とか衆人の目には晒されなかったが…非常に恥ずかしいことをしたもんだ。そうして、気絶したことを確認して温泉の中へ入り、一服する。
体等も全て洗い、風呂から上がり、瓶のコーヒー牛乳をがぶ飲みした後、着替えて出る。

「待て!わしは変態じゃない!変態という名の紳士じゃ!!」

そう聞こえたので、見ると変態が、エビス先生と言い争っていた。

「お疲れだねナルト」
「ああ…」

心底疲れましたという表情のナルトはかなり珍しいと思う。

そこで、諸悪の根源の変態を見ると…

「あいや!しばらく!!よく聞いた!妙木山蝦蟇の精霊仙素道人、通称・ガマ仙人と、見知りおけ!!」

その一言で、エビス先生が起きて、あの伝説の三忍の!?と驚いていた。
しかし、自来也に戦闘を教われば……相当なレベルアップを図れるはずだな。

「ねぇナルト、良い事思いついちゃった」














「よろしくお願いしまーす」
「よろしくってばよ!ドスケベ!」
「こやつら、礼儀ってもんを知らんのかのぉ」

次の日、ナルトのお色気の術とそれをコピーした私のお色気の術であえなくノックダウンした自来也に修行を見てもらうことを取り付けた。…まぁナルトの九尾の封印を見てナルトは確定だったけど、私に対しては、覗いたという事を武器にちくちくと攻めて行ったら、許可を頂いたのだ。

「まずは、自己紹介をしろ」
「うずまきナルトっていうんだってばよ!」
「うちはアヤカです」

そうして始まった修行、ナルトはやはりというか、ガマ一族と契約しての口寄せにチャレンジしている。
…まぁナルトの父、その師匠も契約に入っているのだ、ナルトも加わることは必然である。一方私は…

「お主は忍者としてのセンスは抜群じゃのぉ…ただ、経験が圧倒的に少ない」

というご指摘を頂いた。まぁそりゃそうだろう。まともに戦ったのなんてこの一年で…二回位だぞ。

「どうすれば良いのでしょうか?」
「とりあえず、お主の全力がみたいのぉ」

そういって、急接近して貫手を私の顔面に放ってくる自来也。超速だ…が、頭を傾けて紙一重で回避し、距離を取る。

「ここじゃ」

そういって、手の平を此方に向けてストップポーズを取る

「どうもお主…保身に走っているように見受けられるのぉ…お主ならあそこで責めに転じられると思うたがのぉ」
「…」

まぁ保身に走っているのは確かだ。

「ヒットアンドアウェイで戦っていこうと思っているのですが」
「なるほどの…じゃが、もう少し見極めてからでも遅くは無いのではないかのぉ」

それに…と付け加え此方に向かって拳を放ってくる、瞬時に距離を取ろうと思ったら、全く同じ速度で付いてくる、地来也。さらに、追撃が入って受け流す。

「まぁ今ので分かったと思うが、同じスピードかそれ以上のスピードが相手だと効果が薄い」
「なるほど」

まだ全力は出してないけど…

「まぁおぬしが全力を出せばその戦術もかなり効率が良いかもしれんがの」

そういいながら笑う。それも不適な笑みで。…ばれてーら。

「分かりました。全力を出します」

そういって、手足についている錘を全て外す。全て外し、錘が地面に付いた瞬間、ドゴォと音を立てて地面が陥没した。

「…お前あほだろ」
「結構良い運動になりますよ」

そういって、瞬時に後ろに回る。音何ざ立てるはずが無い

「……速いの」

その一言で、戦闘の再開。裏拳を放ってくる。その拳を下から蹴り上げる。が、体を捻られ、そのまま掌底を放ってきたが、此方もカポエラーの要領で

「木の葉大旋風!」

周りの木々が風圧にざわめく。…バク転で普通に避けられた。

「火遁、火龍炎弾!!」

超高速で印を結んで放つ超高等忍術。しかし、私も車輪眼を展開し、同じ速度で

「火遁、火龍炎弾!」

同じ炎の龍どうしてぶつかり合い、爆発。その爆発の隙に高速で印を組み

「水遁、大瀑布の術」

後ろの川の水を利用し、水遁の上位忍術…圧力を持った津波を地来也が居たであろう場所にぶち込む。
が、あろう事か私の水遁を足場にして、此方に駆けて来るではないか、瞬時に切り替え、とある印を結ぶ

そうして、接触。流れるような動作で貫手を放ってくるので横にトンと押すように、軌道をずらし、車輪眼で、幻術を掛ける…

「ちぃ!開眼しておったか!」

その言葉と共に、幻術が解かれるが…ゲームオーバーだ。此方は三人の影分身を作り、全員ある術を発動した状態で、自来也に触れるだけ。

「む!チャクラが!?」

そう、チャクラ吸引術。すぐさま、髪の毛を針の如く尖らして、影分身を全て消されるが、一瞬の隙を突き距離をつめ、そのまま

「木の葉昇風!」

蹴り上げる。しかし、私の足を横なぎに払い、直撃は避けるが…向こうも距離を取る

「…チャクラ吸引術とはのぉ…さっきと、今で結構持ってかれたわい」

そういって、冷や汗を垂らす。瞬間的に近づき打撃も重いし、チャクラも吸収する。正に嫌らしい戦い方。しかも私は常にオートリジェネ…自動治癒の術が掛かっているのでそうそう、戦闘不能になることは無い。そのチャクラ量も一級品異常で、少なくとも通常ナルトの5倍はある。

さらに、永遠の万華鏡写輪眼で時間の概念を取り払った、自身にとって最強のフィールドを展開でき、そこで使用したチャクラは現実に反映されない。反映されるのは、空間を使用した時間分のチャクラである。そして、月読。目が合った瞬間、尾獣か、複数人居ないと抜け出せない最強の幻術を瞬時に掛けることも可能と、共に、相手の血継限界も限定ながらコピーできる。

そう、結構隙が無いと思われる布陣なのだ。

ただの車輪眼でも、体、忍、幻のコピーが可能であるのだ…うちは強くね?強すぎだろ。

そうして、殺傷力が無いとは言えない忍術等を駆使して修行に明け暮れた。

「くっそーーー!おたまじゃくししか出ないってばよー!」

ナルトの修行は前途多難そうだ…




[35501] NARUTO 21話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:27

「ヒナタ元気にしてた?」
「うん」

自来也から修行を受けて一週間目。ついにヒナタと面会が出来るようになった。毎日足を運んでいた甲斐があったぜ。しかし、原作と同じかどうか分からないが…親の面会が一瞬で終わった…らしい。
ヒナタの潜在能力はどれ程か分からないが、白眼を開眼していたことはかなりの評価だと思う。

まぁ、確かに噂に聞くその妹のハナビ…恐らくヒナタを凌駕するほどの才能があるのだろう。
しかし、それだけが全てじゃない。そう、生き方何ざ人それぞれ。今辿っている道が正解かどうか何ざ…死ぬ直前じゃないと分からんもんだ。一回死んだ私なら分かる。人生に正解は無い…間違いも無い。

「ごめんね、心臓のほう直ぐに治療できなくて…」
「ううん…紅先生から話を聞いたよ。真っ先に降りてきて治療してくれたって」

そういって、此方に微笑んでくれる。うーむ…めちゃ魅力的な女の子なんだよね。ナルトも幸せもんだよ…羨ましい。まぁ今はヒナタとの再開を祝して…

「りんご食べる?どっさり持ってきたんだ」
「い、いいの?」
「もっちろん!」

そういって、りんごの切り、ウサギさん型に皮を剥く。

「はい、ウサギさん」
「ふふ…上手だね」

チャームポイントはちゃんと目が存在している所である。

「そうそう、本戦のトーナメント決まってるよー」

そういって、説明する。トーナメントに誰が当たるのか…私とガアラが当たるんだよーって言ったら

「駄目!」

いきなり声を鋭くして私を咎める…なした?

「ど、どうしたの?」
「お願い、棄権して…」

私の服の裾を握って此方を見つめてくるヒナタ……もしかして危険だからか?であれば問題ない。私はあの程度にやられるレベルじゃない。寧ろ暁のメンバーでもサシであれば相手に出来ると思われるたぶん。

「大丈夫」
「いや!私は嫌なの!アヤカが死んじゃう!」

取り乱すヒナタ。…いやぁ果報者だよね私。これだけ大事にされているだけで満足さ。
そう思いながら、ヒナタの涙が溜まっているので、掬うようにして親指で撫でる。

「死んじゃうよぉ…」
「安心して…私は強いから」

そう、大蛇丸を完全に抹殺するまでは嫌でも死なない。奴は私の身体を半分弄んだ罪があるのだ。
考えただけでもおぞましい。…そう、奴の命の灯火は……すでにカウントダウンが刻まれているのだ。

「無理だと思ったら棄権して…お願いだから」
「うん。でも、私の強さを見たらヒナタ…吃驚しちゃうよ?」

そう、もう何も隠す必要は無い。大蛇丸さえ排除してしまえば……まぁ原作はもう、うろ覚えだから分からんが。いやいや…奴以上の死亡フラグは無いでしょ。たぶん。

「まぁ確かにリーさんを圧倒したからねぇ…」

そう、あの防御をどうぶち破るかが問題なのだ…ただ、原作でのサスケの千鳥が届いてダメージを与えられている…という事は、斬撃には其処まで耐性は持っていないはずである。問題の狸は私の目があるので一切問題ない。精神世界で72時間ずっと串刺しである。それか、幻術で操るか…どちらかだろう。

不安そうに此方を見てくるヒナタの頭を一撫でする。

「ん…ふふ、久しぶりに撫でられたね」
「そうだねー…もっと撫でてやるぅ!」
「きゃ」

そういって、両手でいこいこしまくる…こんな時間が何時までも続いて欲しいと思った。心の底から。
そのためには、死亡フラグの除去をしなければならない。全力で。恐らく最初で最後のチャンスだ。

そうして、ヒナタとの面会が終わり、修行に行ったのである。

「自来也さん」
「おほほー…なんじゃ?わしは見ての通り忙しい」

そういう、地来也。確かに急がしそうである。正直私も見たい。…が。

「口寄せの理論…教えていただけませんか?」
「…ほぅ、何故じゃ?」
「いえ、ある術を再現しようかなと思いまして」

その術は「飛雷神の術」である。万華鏡あるからいいじゃねぇか!って思うかもしれないけど、あれ相当チャクラ食うんだよ。一日やっと6分が限度で、それ以上は無理なのだ。チャクラがすっからかんになる。しかも、一瞬で移動は出来なくは無いが、それでも無闇に乱発していざという時にチャクラ切れを起こすのは絶対に嫌だし、万華鏡だとそこまで広範囲に移動も出来ない。

あれは、本当に最後の奥の手にしたいのだ。そして、それのフェイクとして「飛雷神の術」を取得したいのだ。時空間忍術。私は恐らく適応があるのだと思う。あの眼の世界もあるし、口寄せは結構得意だ。

この術はまぁ瞬間移動だ。私の雷歩より速い。速いって言うレベルじゃない。まさしく時間を超えた忍術だと思う。でだ、この術の正体は…ずばり逆口寄せだ。ある特定の術式があるのだと思うが…それが何かは良く分からない。よって、口寄せの知識を深め、この術を完成させたいのだ。

「…わかった。丁度戦闘以外にも何か教えようとおもっとった所だしのぉ」

そう言って教えてもらう。そして肝になるのは…「マーキング」

口寄せは、このマーキングした物を呼び寄せる。もしくは双方繋がりがある物を呼び寄せる。という事だ。血の契約するということは、繋がりを明確にさせる為である。では、蝦蟇一族と契約したナルトは何故、最初からガマブン太を呼び寄せられないのか…

予想だが、蝦蟇一族との契約はしているが、蝦蟇一族個々に対しては契約を行っていない。
故に、誰を呼び出すかは…チャクラ量で決まる。確かナルトはガマブン太を呼んだ際は、九尾のチャクラを用いてであったはず。それをコントロールし、一定以上のチャクラ量に到達すると、ガマブン太が召喚されたというわけだ。…恐らく。

まぁ此処での着目点は「マーキング」恐らく術式を何かで描いて其処を基点…つまり「マーキング」すれば、いけると思う。しかし、そうすると複数マーキングがあった場合どうするか…考えた末、特定の物意外は任意に消せれば良いと思った。

例えば、自宅に0番として、永久欠番を作っておく。で、1~8位までは任意に消せば、私が識別する「マーキング」は9個だけ。後は、それに応じた術式を作成すれば…ということだ。ただ、欠点がありすぎる。まず、戦闘中にそんな識別が出来るのか…である。

結論から言うと、無理。そんな余裕は無いし、一瞬の油断が命取りになる可能性が大いにある。
うーむ…どうすればいいか……むしろ、0と1の二つだけにして、戦闘中は1だけ使っていくというのも手だ、しかしそこで問題となるのが…複数同じマーキングがあった場合、どうなるかだ…体が分割されるということは無いと思うんだけどなぁ…

むしろ、専用クナイを作って特殊な術式で視界共有させ、自身が行きたい所に印を結び飛ぶ…というのもありだな。しかし、視界共有すると、敵の攻撃に晒されるかもしれないが…いや、そも、視界の外に行くとなると、敵は殲滅しているか…奇襲を掛けるとき位しかないな。

であれば、この線で行こう。視界共有できる…それが出来なければ、0と1の奴で行こう。まぁ戦闘中は1しか使わなくて、戦闘外や奇襲には0を使えばいいな。…まぁこれから影分身を使って良い案が無いか試していこう。

そうそう、チャクラも成長して100人もの影分身が扱えるようになった。20人くらい案を考え、他30人で「飛雷神の術」の開発、残り50で修行といった所か…

「成る程…ありがとう御座いました」

そういって、自来也に向かって頭を下げ、組み手をお願いし、一日が終わった。
因みにナルトは、まだおたまじゃくしから脱出していない。











「ん~…中々上手くいかねぇ」

ごろんとねころばる、影分身の一人。此処はとある森の中。簡易な結界を張って秘密の特訓場となっている。結構広いです。

さて、あの後もずっと煮詰めて考えていたが…どうも上手くいかない。方針として、0と1の二つを使うことに決め、動いたはいいが…

「逆口寄せって…どうするんだ」

まず考えたのが時限式。起爆札の応用である。
これであれば確かに出来る。しかも、此方で完全に印が不要になる。
が、それを覆すほどのデメリットが、何時でも飛べないという所である。計算しきってシカマルみたいに詰め将棋の如く敵を追いやるのであれば効率はいいのかもしれないが…

私は基本直感でやるタイプなので、戦闘中そういう事を考えるのは不得意なのだ。

視界共有というのは上手くできた。あとは、本当に逆口寄せだけなのだ。いつ、いかなるタイミングでも出来るように何が必要なのか…

「あー確か、物凄く速い瞬神の術に見えるんだよなぁ…」

そうして、瞬神の術をするが…

「ま、出来ないよね」

当然の如く、マーキングがされたクナイとは離れた場所である。

「何か特殊な印なのかなぁ…」

そうして、色々組み合わせてみるけど、出来やしない。そう思っていたら…

「出来たー!!」

一人の影分身が叫ぶ。そうして、その影分身を見ると…確かに跳んでいる。
そうして、成功させた影分身が消えると…成る程そういうことか。本当に空間を飛ぶんだな。
呪文と同じだ。ドラクエで言ったらルーラか。あれは空を飛ぶんだけど、感覚的にはそれが近い。

マーキングした術式を流すのを此方が基点となり、特定の印にマーキング分の印を追加しただけ、しかもそれをすると、印を組まなくても何時でも飛べる…が極僅かにチャクラが減り続ける。しかし、一回一回印を結ぶよりは効率がいいし、私のチャクラ吸引術がある。完璧だ。勿論解除も出来るし、その術を使用中に他の術も使用可能である。

成る程…自分で自分を口寄せね。最初から答えが出ていたのに気付かなかった…
視界共有もできるので、視界外のところにも跳べることは確認済み。

「これで、完成ってわけね」

さて、ではクナイの作成を行いますか。そうして、紙を大量に買ってくる。それを自宅へ置いて、何時もの修行へ向かった。





「この量の紙に、術式を書くのか…いや、まぁ確かに必要になるよねうん。でもこれは…」

やりすぎたな…と思って、机を「見上げる」…大量に積み重なっている紙。紙。紙。

「…やりますか」

そうして、影分身を出して、もくもく作業を行っていくのであった。




[35501] NARUTO 22話(途中)
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:29

いよいよ、本戦まで残り一週間となった、私の修行は順調で、実践…とまでは行かないが、それに近い形で自来也から戦闘訓練して貰っている。…まぁ万華鏡のことは話していないけど…感づいてはいるだろう。しかし、それを口にしないということは何か考えがあってなのか…それとも本当に気付いていないのか…まぁそれは置いておこう。

この二週間で飛雷神の術は完成した。無から有を生み出すのは相当時間掛かるが、原作知識を大いに活用すれば完成までこぎつけられる。

そして、この術はチャクラ吸引術とかなり相性が良い。
完璧なヒットアンドアウェイが完成されたといっても過言ではない。布陣としては、攻撃は螺旋丸あるし、移動は雷歩か飛雷神の術、幻術は万華鏡、回復も自動治癒っていう感じだ。

無敵じゃね?この状態から八門遁甲の陣も開門できるという…
開始早々月読で精神をすり減らしてからの硬直後に急接近しての螺旋丸で殆どの敵はいけると思うんだよなぁ…恐らく。

まぁ、飛雷神の術は見切れる奴は居ないだろう……いや、お願いします。見切る人は居ないでください。
あれ見切られると、どのスピードも見切られるよね。見切った忍に他の術を当てれる気がしないよ。
…まぁ居ないだろう。はははは!

「余所見はいかんのぉ」

その言葉と共に、顔面に迫る拳。その拳を往なして、カウンターを仕掛けるが、あっさり避けられてしまった。現在、自来也と訓練真っ最中である。

「さて、ちょっと頼みたいことがあるのだが」

一通り訓練を終えてナルトの訓練風景を見ているとふと、自来也がそう頼んできた。

「何ですか?」

水筒から口を離しそう聞く、相変わらずナルトはおたまじゃくしに脚が生えたおたまじゃくしといえるかどうか良く分からないおたまじゃくしを口寄せし続けていた所だ。

「これからの、ナルトの本当の力を引き出す為に、ちょっと危険なことを行うのだが…その時に、アヤカちゃんも一応フォローして欲しいのじゃが」

保険の為にの…といいながら此方を見てくる。……成る程気付いていていたということか……

「分かりました」

そうして、おたまじゃくしを口寄せし続けるナルトの方へ歩いて行き、ぽんと、肩を叩く。その瞬間に飛雷神の術のマーキングを行った。

「ん?アヤカちゃんどうしたってばよ」
「自来也さんが、修行場を変えるらしいから、行きましょ」
「おー!ここに来て漸く次の段階だってばよ!」

そうして、自来也に付いてく私達。来たのは断崖絶壁…が見下ろせる所である。そうして、自来也はナルトに少し説明をして…その崖に突き落とした。

「…仲間が崖に落ちたのに、随分と落ち着いてるの」
「それについては、大丈夫です。…だからこそ私にフォローを頼んだのでは?」
「まぁの」

そうして、崖を見下ろして視覚を強化し、ナルトの様子を見る。…そうして、膨大な禍々しいチャクラがナルトを中心に吹き出た途端に、大きな蝦蟇蛙が口寄せされた。

「成功のようだな」
「当然だと思いますが?」

その言葉と同時に、此方を見つめる自来也…あれ?もしかして何か悪いことでも言ってしまったのかな?
……まぁいいや。何とかなるでしょ。そう思い、蛙に踏み潰されないようにその場を退散するのであった。


「自来也さん」
「なんじゃ」

あの後ナルトはガマブン太を口寄せする事に成功し、力尽きて病院で入院している間、私は地来也に師事して貰っていた。本戦まで残り一週間も切っていたので、本気で戦闘する事もなく、戦闘理論や、体裁きを教えてもらったり、術も見せてもらったりと自身の幅を増やしていったのだ。

「一ヶ月間ありがとう御座います」

そういって頭を下げる。この一ヶ月は本当にレベルアップが出来た。今も影分身で色々やっているが、かなりのレベルアップが図れたと思う。

「何、わしも中々に面白かったぞ(色々見えたしな)」



[35501] 巣作りドラゴン 1話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/14 22:17


巣作りドラゴンというゲームをご存知だろうか。
18禁PCゲーム、制作会社「ソフトハウスキャラ」内容としては、主人公のチートドラゴン「ブラッド」をリアル充実させる為にドラゴンの巣穴という人生の墓作りをするゲームだ。

分類としてはシミュレーションゲームで、主人公は「ドラゴンの巣」というダンジョンを経営していく。
各部屋にモンスターやトラップを仕掛け、ドラゴンが持っている財宝を目的としてくる冒険者や、ドラゴン討伐で名を馳せようとする各地の英雄。時には国の軍隊や盗人、
復讐心に駆られた村人などを撃退し、身包みを剥いで財宝の一部とし、巣を発展させていくのだ。

その中で、捕虜を陵辱したり、ヒロインとラブラブいちゃいちゃしたりと大変羨ましい事をしていくのだが……まぁ、それは今回関係ないので置いておく。

しかし、何故そんな話をしているか……実は…………

「何故かドラゴンに生まれ変わっていた」

そう、巣作りドラゴンの何処かのドラゴンに転生してしまったのだ。
ドラゴンは基本皆さんのご想像通りにトカゲに羽が生えて凶悪そうな容貌、そこから巨大化して火を吐く洋風なドラゴンか
蛇を長くして凶悪そうな容貌、そこから巨大化して雷とか纏っている和風か中華風か良く分からないけど、龍球にも出演したあの龍を思い浮かべるだろう。

しかし、この「ソフトハウスキャラ」のドラゴンは違う。見た目は洋風なドラゴンなんだが、世界観に魔法があり、魔法を使用したり、言葉が話せたり、人間化したりでき、
更にこの世界に住まうほかの種族、人間族、亜人系、魔族、天使族と多種族が住んでいる世界の中で圧倒的強者で
「巣作りドラゴン」内の作中最強のキャラ「リュミス」というヒロインは魔界、天界を単独で喧嘩を売るほどのキャラである。
この描写から考えて、ドラゴン族は多種族を圧倒的に上回る強さを誇る。

なぜ、ドラゴン族が種族の頂点に立っているのに世界を制覇できないのか、それは「ドラゴン殺し」による、神が創造した対ドラゴン族がいたり
ドラゴン殺しの武具が存在していた為、天界、魔界連合の二つに打ち勝てなかった為である。

それにより、ドラゴン族は一時期たったの15頭まで減少し、魔界、天界に屈服したのである。

「失礼致します」
「はいはーい」

さて、ドラゴン族の中の規則というか、法則があり、基本的に男性竜は女性竜に勝てないのである。
最弱の女性竜対最強の男性竜でいい勝負をするだろうが、恐らく勝つのは最弱の女性竜だろう。恐らく、メイビー

「お食事を御持ち致しました」
「おお、今日も結構おいしそうだなぁ」
「ありがとう御座います、料理班の者も喜びましょう」

更に、ドラゴン族内でも様々な種類がある、古代竜、火炎竜等々……計15種類いる。
私はその中で古代竜5割、魔王竜4割、雷光竜1割の混血種である。
混血よりは純血の方が強さも上になるが、ぶっちゃけドラゴン族同士争わないとあまり意味の無い強さなので、そこらへんは気にしていない。

ただ、純血に近ければ近いほどドラゴン殺しの効果が発揮されてしまう。
逆に混血になればなるほど、ドラゴン殺しの効果が薄れてゆく。
……ただ、それでも脅威であるのは確かである。

「それでは、失礼致します」

パタンと、私室の部屋の扉が閉ざされる。
現在私はアイロダとアマンダを両親に、ドラゴンの巣の中で暮らしている。

そして、これまで生きていた経験と知識によりこの世界は巣作りドラゴンの世界に酷似しているということが分かった。

何故この見解に達したのか、神様も何も現れず、転生直前は普通に暮らしていてベットで寝ただけである。
起きてみたらオギャー状態であった。

当初混乱したが、生前の脳より遥かに優秀な脳がフル回転し、慌てても仕方ないという結論に至ったのだ。そこから成長していくのだが、別に転生者チートとかは無かった。
ぶっちゃけ人間の時に必死に何かを記憶しようとしていたのが鼻で笑えるほど、記憶力がチートである。
が、これは私に限った話ではなく、ドラゴン族の平均的な能力でこの種族に限ってはごくごく当たり前の事だという。

しかし、普通のドラゴンは人になれないと思うのだが、両親や周りの世話をしてくれるメイド達……
いや、メイド達から聞いた話を統合して省みると巣作りドラゴンのドラゴン族という結論に行き当たったのである。

その事実が分かったときにふつふつと体の奥から沸いて出た行き場の無い感情は、魔法訓練にすべて費やした。

それにより他のドラゴンより魔法が上手くなったぜ!なんてことは殆ど無い。無駄に繊細なことが出来るだけに留まった。
というより、事、攻撃に関していえば、ドラゴン化して魔力をコントロールしブレスを適当に吐いただけで天災レベルな攻撃を生み出せる。
それこそ、町一つ、全力全開に暴れまわれば国一つ落とせるだろう。まぁ、そんなことはしないが。

故に人間状態で強くなろうという発想自体がドラゴン族には稀有なことなのだ。

ぶっちゃけ魔法の練習しなくても長い時を生きていくドラゴン族はそれこそ、人間の魔法使いの頂点を遥かに凌駕する魔力と魔法の感性、
人間族にとって天才すら遥かに上回る魔法をぶっ放すことが出来る。
そのレベルになるのが早くなるのか遅くなるのかの違いでしかない。

そう、ドラゴン族内での強さを決定付けるのは最初に言ったとおり、血筋であるから。

でも、魔法の練習は面白いので巣に入ってきた人間の魔法使いを捕まえ、捕虜にし、教えてもらったりして、特訓をするのだ。

家の巣は、結構作りこんでおり、全体的にトラップやモンスターの質は高い…そうだ。
どれ位強力なのかはよく分からないのでメイドに聞いてみた時の返答をそのまま使っただけだ。
事実、潜入してきた冒険者等々をかなり捕まえたり葬ったりしている。

その中で私が密かに頼んで設置したエロエロモンスタートラップも猛威を振るっているのは間違いない。

捕まった女性の冒険者の2割位エロエロな状態でモンスターに運び込まれてくるのも確認済みである。

そして、それらの難関を潜り抜けた先に大きな部屋を用意してある。
トラップもモンスターも何も無い大空洞。ドラゴン一匹が軽く収まるくらいの広さだ。
その部屋の理由は……

「お嬢様、失礼します」
「入ってきていいよー」

余り音を立てないようにドアの蝶番をまわして入ってくるメイド村出身のメイド。
身長は私より大分低く、胸のしたあたりだ。ピンク色の髪の毛をツインテールにして前髪は目が見えないくらい長い。
耳は魔族の証とまでは行かないが、エルフより鋭利な形をしている。
胸はDカップ位と目測で判断しまさにボンキュッボンだ。実にけしからん。

私の部屋は広く、キングサイズのベット、しかも天井付きである。何処のお姫様だよ。
と思われるが、扱い的にはそんな感じ。財力的にも国家を運営できる規模にある。というより無理をしなければ二カ国も同時に運営できそうだ。
来ている服も特殊な布で出来ており肌触りもかなりいい。しかも汚れも付かないし頑丈でなのだが…見た目ただの白いワンピースだ。それにサンダル。グラディエーターサンダルだ。


部屋のインテリアは良く分からないけど、中世ヨーロッパの王族の部屋すら、此処まで見事な部屋は無いだろう的な、格式高い調度品が整然と飾られている。
壷は勿論の事、花瓶から儀式剣まで。

「侵入者です。現在暗黒騎士隊が応戦中ですが、突破も時間の問題と思われます」

その言葉と共に、監視魔法を起動して暗黒騎士隊が奮戦している部屋を空中に映し出す。
暗黒騎士は、骸骨に騎士の格好をさせて全体的に黒くしたモンスターである。
一説には、心半ばに死んでいった騎士の怨念が宿りモンスター化したという説もあるが、あまり興味ない。

「ほっほー…これまた久しぶりに此処まできたなぁ…」

しきりに頷いて口にする。最近、侵入者が多くなってきていたが、レベルは決して高くなかった。
せいぜいがこの暗黒騎士隊で殲滅されるレベルだったのだが……

画面の中では3人パーティーだろうか、前衛、中衛、後衛とハッキリとポジションに別れて暗黒騎士を打倒していく人間とエルフが見える。一番前で剣を振るっている黒髪の人間の男
その剣には稲妻が走っており、魔法剣ということが一目で分かる。鎧も格式高いのか分からないが、碧い鎧を着ており、淡い輝きを放っている。
恐らく、魔法による対ブレス対策だろう。ドラク○ではフバーハによる守りを常時展開しているのと同じ効果である。

中衛に位置しているのは女性で魔法と弓を駆使して戦闘するエルフだ。
流れるような金髪を腰まで伸ばし、一目で美人と分かる。体型は突っ込まないでおいてやろう。
弓は画面から分かるほど強い魔力を発しており、このパーティー内の装備で最も価値があるのは予想が付く。白銀の弓に矢を番えなくても矢が放たれる。
魔力で生成した矢だと思うが、かなり連射しているのにも関わらず、その顔は涼しい物。詳しく見ないと良く分からないが、弓自体が魔力を運用しているのか……
中々興味深い弓である。この女性が着ている軽鎧も青白い光が灯っており、常時フバーハなのだろう。


最後に後衛である人間の女性。髪は水色で体型は女性の理想とする体系と一致している。
軽いウェーブが掛かった髪を背中に流し、神秘的なローブを着ており、これまた青白い光を放っている。
杖は補助と攻撃を二つとも高レベルでサポートし、詠唱破棄で上位魔法をぶっ放したり傷を癒したりしている。
魔力はこの三人の中で最も高く、今まで戦闘してきているだろうが、息切れの様子は無い。
また、戦場を良く見ており、そのサポートは的確だ。
勿論、一つミスしたら命とりなレベルなのでミスは許されないが、最もプレッシャーが掛かる後衛の立場で、これだけ激戦にも関わらず冷静に対処している所から歴戦のオーラを感じる。


以上を踏まえて敵を考察すると、財宝より名誉か、はたまた復讐か、いずれにせよドラゴン討伐が目的としているパーティーだろう。


前衛の剣が振るわれるたびに紫電が舞い踊り、物理的な攻撃を防いでいるにも関わらず魔法的なダメージを蓄積させていっている。
他の暗黒騎士が武器を振るった隙を付いて瞬時に距離を詰めるが、弓を操り、魔法を上乗せした矢が行動を阻み、後衛が氷結魔法を使い、完全な足止めをして、部隊を分裂
前衛が各個撃破していっている。恐ろしいチームプレイであるし、理にかなっている。
暗黒騎士の部隊もかなり戦闘を積んでレベルが高く纏まっている部隊なはずだが……
当初配属していた5匹が既に2匹に減ってしまっている。

「お嬢様、準備をお願い致します」
「りょうかーい」

全滅するまでカウントダウンが入り、私はそのままの格好で、転移魔法を展開し大空洞に移動する。


……そう、最後の通称「竜の間」の番人は私なのだから。





[35501] 巣作りドラゴン 2話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:36
とある国にてドラゴンが猛威を振るっていた。
街は地面が割れ、クレーターが見えており、そこが中心として何かがあったことを物語っていた。
その天災が来るまではどこにでもあるありふれた街で活気も有り、様々な人間模様が描かれていた。
ある人は仕事で汗を流し、ある人は恋人と広場でデートをし、ある人は家族で街を散策していたりと
様々な人、種族が行きかっていた。そう、そこには「平和」が存在していたのだ。

しかし、その平和もたったの数分で砂の城のように容易く崩れ去ってしまう。

ドラゴンの襲来である。

直ぐに見回りの兵が気付き声をあげ、警報を鳴らす。街の人が一人でも多く助かるようにと
そして、人々も気付く、ドラゴンが来たと。

一瞬で街は混乱に陥り、つい先ほどまで恋人同士で語っていた男女は顔を青くしながら家族を迎えにいき、
街を散策していた家族は、混乱の最中に逸れてしまった子供を必死に探す。
仕事をしていた者は仕事をほっぽりだし、家族を探したり、一人身のものは街の外へ、人海を掻き分けながら門へ進もうとした。

だが、人々が必死に生きようとした努力をあざ笑うかのように、慈悲の無い膨大な魔力を伴った
ドラゴンブレスが街に襲い掛かる。

一瞬であった。ブレスを中心とした半径一キロが跡形も無く吹き飛んだ、いや、消し飛んだのだ。
そこにいた女子供関係なく、須らく消し飛ばした。中でも半径500メートル以内にいた者は痛みなど無かったであろう。
一遍の塵も残さずに消えていった。

ブレスを中心とした一キロ圏外も圧倒的な衝撃により、建物はほぼ例外を残さず倒壊という有様だ。

そのブレスが一発。たった一発だけで未曾有の天災が襲ってきたかのように町は崩壊していった。

ブレスを一発はいて満足したのか、ドラゴンは悠々と上空へ舞い上がり、地の彼方へ消えていった。
後に残ったのは、もがき苦しみ、助けを求める声、泣き声、名前を呼ぶ声……そして、無数の死と
瓦礫と化した街であった。





「ドラゴンめ…厄介なことを」

そう呟いたのは壮年の男、身なりは整っており、品が高く纏まっている。
その男はドラゴンの被害が出た街がある国に仕えている貴族の一人だ。

ドラゴンによって街、村が壊滅したのはこの数年で5回。その中に主要都市が2箇所も入っている。
国家を運営していくには厳しい状態に陥ってしまった。
幸い、この国では他国と戦争はしておらず、逆に物資支援を要請することは可能であるが……

「借りは作りたくない」

向こうから自発的に援助をしてくれるのであれば、喜んで迎え入れる。
だが、此方から要請するとなると、話は別になってしまう。そう、取引になってしまうからだ。
現状、この国では、援助に値する物を用意するのが難しい状況だ。

故に貸しを一つ作ることになる。これが個人でならいいが、国家規模になるとかなり怖い。
この貸しに漬け込まれて理不尽な要求をされるかもしれないし、戦争に発展する可能性も秘めている。
そうなったら堪ったものではない。瞬く間に国が蹂躙されるだろう。

しかし、ここで動かないと、国力も低下してしまうのは確実だ。
何とか打開策は無いのか…そう頭を悩ましているとき

「失礼いたします」

ノック音と共に侍女の声が扉の外から聞こえた。

「いいぞ」

その許可と共に侍女が入室してくる。その時ににひらめいた。

「ごゆうsy「そうか!」…」

言葉がさえぎられる形となった侍女だが、立場上その程度で小言も言えるわけも無く、
逆に何か粗相をしでかしたのかと恐縮してしまう。

「あ、あの、何か粗相を…」
「あぁいや、気にしないでくれたまえ」

男の顔には笑みが張り付いていた。

その数日後、国中にその隣の国にも一枚の触れが出回った。

『ドラゴンを仕留めた者に金10万と望む物を贈呈する』と……








それは運命であった。






この触れを見る前からドラゴンを殺そうと思っていた。
家族を殺され、友人もすべて失い、己の命以外何もかも失ったあの日。



……その日も何時もと同じように日々を過ごして明日も家族と笑うのだろうと思った。


こんな片田舎。小高い丘に囲まれ水流を近くに村を興し、そこから少し発展した程度の辺鄙の村。
風は木々の香りを運び、清涼を生み出す。争いも殆ど無く、村全体が家族だった。
笑い、時には泣いて。恋を語り合った人もいた。

だが、すべてが無くなった。その村は、綺麗で平和な村は一瞬で何もかも無くなった。

でも、その村で俺だけが無事だった。両親のお陰だった。
自身の体と魔力、その命をすべて費やし、俺を圧倒的な暴力から守った。
それでも、俺は瀕死の状態だった。そして偶然冒険者が通りかかり零れかけた命を……取り留めたのだ。

目が覚めて、周りの人の会話から理解する。

ドラゴン

ドラゴン

そう、全てを……何もかもぶち壊した俺の復讐相手。
迅速な手当てと回復魔法の処置から想像以上に早く病院を退院して、
助けてもらった冒険者に連れられて村の跡地に来た。

ドラゴン来襲から丁度一週間だった。

誰かが埋葬してくれたのか、村のはずれに大きな墓が立っていた。
何も刻まれていない墓標。

しかし、そこには家族、恋人、そしてこの村の村人全員が弔われていた。

正直、良く分からなかった。

一瞬にして日常が無くなったことが。また寝て起きればおはようと、声を掛けてくれる家族が現れると、思っていた。
でも、冒険者が手に持っている二つの血まみれな指輪。父さん母さんが何時もつけていた結婚指輪だ。

小ぶりなルビーをはめ込んだシンプルな指輪の内側には、永遠の愛を誓うという言葉が刻まれていると、何時も自慢していた。

その差し出された指輪の内側を見て、これがどうしようもない現実だと、ようやく理解した。

一気に走って、大きな平原で慟哭をあげた。とにかく叫びたかった。そうしないと自分が自分でなくなりそうだった。

そして、落ち着いたところで冒険者は語りかけた。

これからどうしていくのだと

冒険者は良い人なのだろうか、その質問は当時の自分にはかなり酷だと思ったのだろう。その表情は苦渋に満ちている。
事実、また泣き叫びそうになった。でも、手で握っている指輪を見て決意した。

復讐を。

そこから15年。世界中を冒険した。唯一つ、ドラゴンを殺すという目的のために。
両親は魔法使いだった。その魔法使い二人の魔力と命を賭しても、守りたいものを完全に守れない事実。
だから、強くならなければいけないと思った。

我武者羅にモンスターを殺していった。
盗賊も俺が強くなるために討伐していった。

何時しか、俺の名は有名になっていた。でも、そんなことはどうでも良かった。
ただただ必死に強く。強く。もっと強く。復讐を遂げるまで、果てなく強く。



「でも、そんな馬鹿な俺をお前達は救ってくれた」

その二人に出会ったのは、盗賊退治の時だった。ギルドに依頼され、早速出立した。

アジトに到着して見張りの賊を問答無用で切り、中に入った。
二人の半裸の美女が無数の男に囲まれて陵辱を受けようとしていた。

いや、既に始まっていたのか、息を潜むように岩陰を利用し近くに行くと、酷い臭いがした。
だが、最後の一線はまだのようであった。

そこから、二人を目掛けて立ちふさがる賊たちを切り捨て二人の拘束を一瞬で断ち切り、賊を殲滅した。

「むしろ逆よ。あの時あなたが来なかったら私達は酷い辱めを受けて死んでいたでしょうね」
「ええ、人質も一緒に救出していただきましたし、本当に感謝しております」

救出した二人も、いろいろな物が奪われた後だった。
しかし、二人は自身を失わず、何回も俺を諭し、遂には俺も考えを改めた。
いや、気付いたのだ。その時から一緒に旅してきた仲間が大切なものだと。

そして、いつの間にか復讐という動機で戦うのではなく、何かを守ろうと戦っていたのだ。

その時から自分の手が届く範囲で守った。彼女達となら自分だけで出来ないことも平気で出来た。守れた。

そうして何時しか、二人と深く愛し合っていた。

各国を旅していた最中、久しぶりに故国に戻ってきた。
だが、俺が思っている街は……見るも無残な姿になっていた。
すぐさま駆け出して、俺たちは人を救出していったが、それをあざ笑うかのように人が死んでいく。

気付いたときには既に日が暮れており、何時の日か見た平原の真っ只中に来ていた。
また、何も出来なかった。そう思っていた時に、両の手に暖かい感触が伝わってきた。
俺の最高の仲間にして、最愛の二人が俺の手を握ってくれていたのだった。

そうだ、今は一人じゃない。愛する者がいる。あの時とは違うのだ。

宿を取り、直ぐにドラゴン討伐の準備をする。復讐心からではない。
と、はっきりと否定できないけど、でも、守るために立ち上がったのだと、胸を張っていえる。
そんなときに、国から触れが出た。

大金が舞い込むということだが、俺たちは今回の戦いでの出費と諸費以外全てこの街の資金にしようと決めた。

準備が整い、もしかしたら最後の夜になるかもしれない。
俺たちは目的地の近くにある宿で愛し合い、英気を養った。そして、翌朝。決意を胸に秘めドラゴンの巣に歩を進めたのである。



そして、様々なトラップとモンスターを撃破して、強敵だった暗黒騎士も全て倒した。
騎士達が守っていた扉を見て、ここまでの状況から省みると、この奥が最後の難関にして、俺たちの目標がいると予測を立てた。


「お互い様だな」

ふっと、苦笑いをして、道具袋から体力回復薬や、魔力回復薬を取り出して服用する。
体の中心から力が沸いて来るのが分かる。

「この奥にとてつもない魔力を秘めた何かが居ます」

そう口にしたのはミリスである。
水色のウエーブした髪を背中に広げて、戦闘中は厳しかった表情を幾分か穏やかにし此方を見る。

「ええ、感じるわ。……恐らくドラゴンね」

金色に光る髪を腰にまで伸ばし、少しつんつんとしている表情で先ほどの言葉を肯定したアリア。
手に持っている弓は、マジックアイテムでも最高峰に位置すると云われる代物だ。
通常、どんな魔法使いでも己の魔力以外での魔法行使は不可能であるが、その弓は違う。

大気中の魔力を利用してほぼ無限といえる矢を生み出し、更には魔法効果も付けられる代物だ。

名は「精霊弓」

銀細工は戦闘に支障を生まないのに、圧倒的な存在感を出している。非常に美しい弓だ。
このドラゴンの巣ではなく、別の巣から拝借したものだ。幸いドラゴンと遭遇することなく財宝にありついたが、
何時ドラゴンが来るか分からない為、金品より、これから役に立つであろう武具を拝借してきたのである。

その武具のお陰で、難関といえるダンジョンを攻略できたりして、俺たちの装備が整ったのだ。

「……皆で生きて帰ろう」

万感の思いで二人に告げた。そう、絶対に生きて帰るのだ。
対ドラゴン対策も万全。ブレスの攻撃をかなり減らしてくれる魔法をそれぞれの防具に刻み込んだため、淡い光を放っている。

「ええ…必ず生きて帰りましょう、アベル」
「はい。私達は……無敵です。ですよね?アベル」

二人が差し出した手の薬指には綺麗に磨かれた両親の指輪を元に作った新たな指輪が煌めいていた。
その手を取り、二人と一緒に扉へと向かった。




[35501] 巣作りドラゴン 3話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/17 19:35

アベル一行は、暗黒騎士隊が守護していた重々しい扉を開こうとして近づいた。
三人の手が触れたとたん扉がまるで魔法にも掛かったかのようにゆっくりと、ひとりでに開いていく。

驚く面々。すぐさまミリスが探知の魔法を掛けるが、特に反応は無い。
そのまま警戒を解かずに三位一体となって扉を潜った。


広い。


三人が思ったのはその一言だった。
岩の支柱が四本見える。それもかなり精巧に作られており、一つ一つに細かく彫刻がなされている。
そして、周りの様子と、支柱と状況を省みて、今までの人生で培った記憶を掘り起こし、アベルは言葉を発した。

「……闘技場みたいだ」

そう、昔みた闘技場と、かなり似ている。
しかし、規模が違う。人間同士が一対一で戦う闘技場はそこまで広くなく、観客席を加味しなければせいぜい200平方メートル位だ。
この場所はその二倍はあるのではないかというほど広い。

「…罠は無いか?ミリス」

その言葉と共に探知魔法を発動させる。

「……はい。罠はありません。ですが……」

そう言葉を濁して視線を部屋の中心に向ける。
そこにあるのは、白い服を着た美しい少女ただ一人。
ドラゴンに生贄にされた少女が逃げ出したのかと考えたが、それは有り得ないだろうと、直ぐにミリスは否定した。

その体から発する魔力が今まで見た最高位の魔法使いよりも遥かに多い。
ミリス自身も魔力という面ではかなり飛びぬけた存在だと自負をしていた。
そして、それを裏付けるように魔法使いの中でもトップクラスの実力を持つ。

魔法使い協会にも6等魔法使いと認定されており、その膨大な魔力を余すことなく使用できる腕もある。
しかし、目の前の相手は自分より強い魔術協会長すらも超えている魔力を有している。
探知魔法で気付いていたが、実際に目の当たりにすると……恐怖を感じてしまったのだ。

「ええ……分かってる。ものすごい魔力ね…」

アリアも魔力を感じ取っているのだろう。少し青ざめた顔で相手を見据える。
少し震えた手で二人は、アベルと握った手に力を入れた。

「ああ…だが、俺たちは負けない。そうだろ?」

アベルは二人が飲み込まれかけていると気付き、しかし、自身の喝をこめて微笑みながらこの言葉を送った。
二人はアベルを見据え頷く。自分達は絶対に負けない。生きて帰るのだと。平和を…この手で掴み取るのだと。
三人とも覚悟を決めて少女を見据える。

三人とも先ほどまでは緊張と恐怖に支配されていたが、今ははっきりと相手を見ることが出来た。

金色の髪はふわりと広がっており、肩に掛かる程度の長さ。この薄暗い大空洞でもその輝きは全く損なわれていない。
瞳は血の様に赤く、此方を見据えており、動く気配はまだ無い。
顔全体を見ると、女神と見違えるほどの美貌を秘めており、しかし、まだ幼さを残して何処か妖艶な雰囲気を醸し出していた。
肌の色は雪原のように白く、手足もすらっとしている。体系はまだ少女なので、胸はあまり出ていないが、纏っているワンピースには
女性らしい起伏が少なからず表現されていた。

そうして少女は、その女神のような顔を綻ばせながらアベル達に声を掛けた

「ようこそ…竜の間へ」










渾身の笑顔で此方へ進入してきた恐らく冒険者であろう三人に挨拶を送る。
しっかし、敵を目の前でいちゃいちゃするとは……こやつら、中々な大物だと思う。うん。
因みに今は手を離して得物を此方へ油断なくこちらへ向けている。

「竜の……間?」

そう問いかけてくるのは、金色の髪をしたエルフの女性。実際に目の当たりにしてみると、えらい美人だ。
しかし、その眼は私の行動を見逃さないように見据えている。
そしてその手に持っている弓は…恐らく「精霊弓」

弓自体が魔力を運用するマジックアイテムで、中々お目に掛かれない品である。人工知能…インテリジェンスに近い仕様であるが
あの弓はかなり単純化してるため、インテリジェンスとは到底呼べない代物だ。
だが、他のマジックアイテムには無い運動を行っている事は確かなので、人が作りうる中ではトップクラスだろう。

「そう、この先の扉は宝物庫につながっており、この部屋が最後の難関」

淡々と事実を述べる。戦闘中は私の性格はのほほんとしない。
魔王竜の血の影響なのか、こういった場面ではかなり冷静になるし、思考もかなり冷酷になる。
最近は完全な制御が出来るようになったが、数十年前は女子供関係なく切り捨てていた。

といっても、そこまで罪悪感は感じていない。
なぜなら竜の生を受けてかれこれ45年になる。
この位の人生……否、竜生を経験していれば価値観も竜に近くなってしまう。

そう、自身の種族以外、対等として見れなくなったのだ。

だからといって、別に相手が偉そうだから殺すとか、馬鹿にするとか、差別するとか、そんな事ではない。
ちゃんと友好的に接するが、どうしても自身を上の立場と認識して接してしまうのだ。
これも血の関係なんだろうが、前世より長く此方にいたので、ドラゴンの感覚が徐々に自身を支配してきているのだろうと予測している。

その感覚、価値観と魔王竜の血のお陰で数十年前までは残酷この上ないことをしていたというわけだ。

……両親のほうが残酷というのはいうまでもないが。

「……ドラゴンはどこだ?」

男が剣を構えて此方を伺ってくる。リア充爆発しろ。

「さぁ?…ただ、貴方方ではドラゴンを倒すことは不可能。大人しく引くことをお勧めするよ」

強い、この三人は確かに強い。
…だが、それも人間族とエルフの中ではという言葉が頭に付くが。
無茶無謀もいい所だ。最低でも精霊弓クラスの武器で漸く男性竜にダメージが与えられるのに、
女性竜に対しては彼らが持っている武器ではダメージなんかほぼ与えられない。

仮にかなり強い魔力を付与して此方にダメージが通るような攻撃を放ったとしても、それを甘んじて受け入れる事はありえない。
ドラゴンの鱗と魔法障壁の二つを突破する攻撃力が必要になってくる。
彼らにもそのレベルの攻撃は放てるだろう。そのくらい強い……が、その程度でドラゴンを倒すことはまず不可能だ。

最低でもそのレベルの攻撃を連発できる力がないとドラゴンは討伐できない。
辛うじて可能性があるのは先にあげた精霊弓を持っている彼女だが……彼女自身の魔力が圧倒的に足りない。
精霊弓の魔力運用だけでは甘んじて受け止めても…仮に防御が薄い目に当たったとしても傷一つ付くことは出来ない。

故に、ドラゴン…私を倒すことは不可能である。
……人間状態の私なら十分に殺すことは可能だけどね。

「その前に、貴方は何者ですか?」

三人より一歩後ろにいる、ボンキュッボンの女性が杖を構えて問いかけてくる。
いや、もうこいつ理解してるよね?つうか、こいつら完全に私が竜だと思ってるよね。
確信はしてないが、アタリは付けてるのだろう。ましてや、最後の難関と私の口から、そして私が発している魔力から警戒するのは当然である。

それがいくら見た目14歳位の女の子で、武器などを持っていなくても…むしろ武器を持っていないほうが怪しいか。


「貴方方は既に理解している筈ですよね?」

その言葉共に三人は陣を組む。
……見た目女の子で万が一がありえるかもしれないから問答していただけか…優しい冒険者だ。

「竜が人間に化けるとは言伝で聞いたことあるが…」
「魔力的に考えてその言伝は正しかったと見るのが妥当でしょう」
「仮に、間違ったとしても彼女を倒さないと帰ることも出来ないわ」

そうして三人は得物を取り出し、陣を組んで臨戦態勢に入る。
魔力も攻撃的となり、此方を迎え撃つ気満々だ。私も臨戦態勢に入る前に先の答えを与えよう…








「正解」






抑えていた魔力を3割開放する。一割で人間の平均的な魔法使いの魔力約五十人分である。
先ほどから検知されていた魔力でも並みの魔法使いを遥かに凌駕していたが、更に上を行く。
体から放出された魔力の余波で赤黒い電気が放出され、バチバチと啼く。


「な…なん……て魔力…なの!!」
「お、重い……魔力がこんなに重い…なんて!」


この程度の魔力で驚くとは……ドラゴン状態になったらその魔力の割合も十数倍にもなる。
そもそも、人間や、エルフ等に討伐されている竜はほぼ男性竜か雑種のドラゴンである。
魔界、天界の上位エリートが軍団を成して漸く女性竜は倒せるのだ。人間如きに倒せる筈が無い。

だからこそ、利口な人間はドラゴンがいない間や、ドラゴンを避けて財宝を手にして即、帰る。
人間でドラゴンに挑むにはよっぽど馬鹿か、英雄と呼ばれる者か、そのどちらかである。

この冒険者達は常識を脱していないぎりぎりのレベルだ。決して英雄ではない。


「う、うおおおおおお!」


魔力で肉体強化したのだろう、疾風のような速さで此方へ駆けてくる男。
その声で気を取り直した女性二人はすぐさま得物を構えて此方へ仕掛ける。

多段に放たれた矢は音速を誇り、更に高い炎の魔力を纏っている。それが一息で38本
それぞれが妖精のように舞い踊り、炎の魔力を纏っているため、輝いて見えるその光景はまさに幻想的だ。

更に追従して地面から迫り来る氷結魔法。
暗黒騎士隊に向けて放ったそれと同じで、恐らく私の足封じ。
しかし甘い。

迫り来る氷結魔法は、およそ200メートル離れていた所からでも数秒で此方に達し、同時に無数に展開されていた矢もすべて此方に牙を剥く。
このまま何もしないと私に寸分のズレもなく、同時に着弾するだろうし、更に煌く視界の中で、紫電を発している剣を携えて男が駆けてくる。
下を対処しようとすれば上が、上を対処しようとすれば下が襲い掛かり、剣での斬撃と紫電の舞が待っている。

後ろに下がっても氷結魔法は止まらないし、横に避けても広範囲でカバーしている矢と魔法で機動は損なわれるだろう。
普通のモンスターとかならこの時点で既に詰みだ。恐ろしいチーム力と以心伝心である。駆けてくる男に全く支障が無い様に
そして男は二人を完全に信じて前へ。実に見事な連携だ。


だが、私は普通ではない。


手に圧倒的な魔力を纏い、大気の壁を撫でるように優しくその手を振るう。
その手から魔力の衝撃波が引き起こされ全ての矢と、地を全て凍てつく大地に変えようとした魔法は
竜巻のような暴風に晒されたかのように、崩れ去る。

しかし、その魔力波を突破してきて神速の袈裟切りを放とうと地面が陥没するほどの踏み込みと共に私を襲う。
込めている魔力も中々のもので、監視魔法で見た時の紫電より更に多く舞い踊り、薄暗い大空洞を照らす。
が、雷龍の血を引いている私に対してその武器は悪手である。

瞬時に紫電を私の支配下に置き、雷を剣の横腹に当てる。それにより剣の軌道がズレて私の右肩をすれすれで通って行く。
それと同時に私もカウンターという形で溝目掛けて拳を繰り出す。
しかし、凄まじい直感力と危機察知能力で私の拳を回転するように避け、その遠心力で更に追撃してくる。


「おおおおおお!!」


その追撃を雷で反らし、一旦距離を置く。

その瞬間先ほどまでいた箇所は矢の嵐と地からの氷柱が襲い掛かった。
その矢と氷柱は男に当たる紙一重の所で着弾しており、二人の実力が伺える。


「く!紫電が何故!?」
「一旦離れてください!大きな魔法を放ちます!」
「行くわよ!!」


二人の武器から超低温であろう氷と、超高温の炎の弾丸…否、砲弾が放たれる。
大きな魔法と言うだけあってかなりの魔力が込められている事が一瞬で理解する。
流石に、人間状態であれを食らったら痛いだろうなぁ…という思いと共に片手を盾のように翳し

「光の盾」

展開されるのは、魔力で出来た輝く大きな盾。
それと同時に炎と氷が着弾し……大きな爆発を生み出す。

「おお」

だが、それだけ。
私の盾には…流石に傷は付いているが、込められた魔力量が違う。
よって、崩すことは出来ずに私は無傷である。
……耳がキーンとするのは決して傷を負っているわけではないぞ。


爆発で舞い出た土煙を自身で生み出した風で取り払うと…
そこには呆然として此方を見てくる三人がいた。

「……こんなもん?」

たった一分にも満たない攻防で、絶対的な差を悟ったのか恐怖で顔を歪めている。
まぁ、はじめから答えが出ていた戦闘だ。所詮は人間。その枠組みから外れなければ私を倒すことは到底不可能である。

「うああああああ!」

出鱈目に身体能力を強化したのか、少しぎこちないが、先ほどより早くこちらへ駆けてくる人間の男。
下段からの神速の切り上げを右足を一歩前にだし、半身を若干捻って避けると同時に、素手で紫電を発している剣を手が切れないように掴む。
…少し切ってしまったが問題ない。

「紫電よ!」

膨大な魔力に呼応するかのように紫電が舞い上がる。
しかし、先程のことを冷静に分析できなかったのか、また同じことをやるとは……いや、認めたくないんだろう。
紫電を操られた事実を

舞い上がった紫電を自身の制御下に置いて、逆に男に流す。

「があああああ!」

全身に紫電が襲い掛かり、声を上げる。

「アベル!」

金髪のエルフが、私の手に向かって弓を放つが、それを操った紫電で叩き落す。
肉の焦げた匂いがしてきたと同時に男に向かって音と同じ速度を誇る拳「ソニックブロー」を叩き込み女性達の所へ返す。
声にならない声を上げて三バウンド位してからごろごろと転がり、青髪の女性の目の前で止まった。

「直ぐに回復を!!」

男を回復の光が包み込んで徐々に呼吸が安定していく。
その間に、男が落とした剣を拾い、牽制で撃っているであろう大量の矢を、40以上も飛んでくる矢を
紫電を操って瞬時に全てを叩き落す。追撃はしない。

「わかったでしょ?貴方達では私に絶対に勝てない」

男を他の二人が支え、こちらを睨みつけてくるが…目には既に恐怖が覆っていて、最初の威勢は既に存在していない。

「な……なぜ、街を……」

男が辛うじてこちらへ届くような声量で問いかけてくる。
ふむ、私と確信してなのか、そうでないのか……どちらでもいいか。
街を襲ったのは事実だし

「そうだねぇ…強いていうならお金稼ぎかな」

巣作りドラゴンはヒロインと結婚や恋人になるとその後どのように巣を運用していくかはあまり分かっていない。
子供を生んでその子供に任せるのか、はたまた父親が永遠にがんばるのか。それとも街を襲わなくなるのか…定かではない。
だが、私の巣では子供に任せている。任せているというのは少し語弊があるな。

私が自ら進んで街を襲撃している。それを通して両親にも財宝を貢献しているのだ。

「あれだ…け、あれだけあれば、一生暮らしていけるだろ!」

回復魔法で傷は回復し、無傷の状態にはなったが、内包している魔力は半分以下だ。

「一生どころか、国を運営できるよ」
「なら、どうして!どうして人の営みを壊す!?」

どうして人の営みを壊すのか、か……

「逆に聞こう、どうして人の営みを壊してはいけない?」

私の中で既に人間としての感覚は希薄だ。人間時代の感覚で例えるなら人間はペットという表現がもっとも近いか。
友好的に接するが、興味ない物には興味ない。

「な…」

絶句である。それはそうだろうな。俺も自分が人間であれば絶句する。
こいつは狂ってるのではないのかと……だがそれは違う。
人間には人間の価値観があり、竜には竜の価値観がある。

お互いその価値観は分かり合えない。

もちろん全て分かり合えないということは無い。作中でもフェイやルクルと恋仲になり、心を通わせていた。
しかし、それは本当に極稀な事なのだ。ブラッドみたいに人間くさい竜や、ライアネみたいに珍しい竜くらいである。

そこに、私も入るが。

他の竜を見てみれば分かる。殆どの竜はリュミスみたいな価値観が多い。もちろん、あそこまで過激ではないと思いたいが…
だが、一般的な竜は人間の事は気にも掛けないのは事実である。

「さて、ここで帰るのなら洞窟の外まで転送魔法で返してあげるよ」
「「「…」」」
「但し、もしココで死にたいなら…」

そう言葉を切り、無詠唱で召喚魔法を発動し右手をかざす
かざした手に光が集まり、一般的なロングソードのシルエットをかたどり、光がはじける

そこに現れたのは真紅に染まった刀身のロングソード。煌びやかな飾り等は一切無く、無骨な形をしている。
しかし、それが内包している魔力は膨大にして強力。それもその筈、その剣には自身の血や鱗が使われているのだ。

鍛冶師みたいに剣を鍛え上げた物では決して無い。しかし、材料は魔法物やオリハルコン等も使用されており、頑丈さ、魔法への順応性も素晴らしい。
そこに自身の血や鱗も混ぜることにより、魔力を爆発的に高めた剣である。

銘は無い。

ただただ魔力の刃を纏って切る。
魔力で変幻自在に敵を裂く。それだけのものだ。

その剣を掴み地に向かって一振り

相手と自分の境目が大気と共に切れ、闘技場の床を真一文字に切り裂いた

「「「!?」」」
「少しだけ、実力を出そうかな」

ワタシはくすっと笑った。








「結局帰って行ったか…」

あの後、転送魔方陣を開いて彼らを外に送り出した。
仕方がないと思う。完全に心が折れていたし、恐怖が顔に出ていたからな。

「はぁー…暗黒騎士隊、早く蘇らないかなぁ」

そうして、今日も一日が過ぎ去っていくのであった。




[35501] 巣作りドラゴン 4話
Name: モーリリン◆e1938e60 ID:454a844e
Date: 2012/10/20 22:02
巣作りドラゴンはダンジョン経営型のエロゲーだ。そう。それは分かっている。
現在両親がおり、その両親はあまりダンジョン経営に携わっていない。何故なら二人ともらぶらぶちゅっちゅを一日中飽きることなく展開するからだ。
私の視線ですら奴らの興奮の為のファクターとなるのだからたまったものではない。

だからこそ自分の部屋を作り、自分がよりよいダンジョン経営をするように色々な権利を譲り受けた。
権利と言っても形式上のものであり、ぶっちゃけそんなものなくてもいい。そうだな…言質を取ったといったほうが適切か。
だからこのダンジョンは現在私がオーナーだ。…いや、ゲームではオーナーという形での表現はないけど、あれだ。何と無くだ。

まぁ主導権を握っているので色々出来る。んで、今回は…

「第28回ダンジョン運用会議を始める」

ミーティングルームを設置し、各部隊の部隊長及び、各施設の責任者を集めて現状報告、要望、反省点など様々な議論を交わす場である。
ただ、モンスターの中には言語を理解しない者も居るが、そういった場合はそもそも参加させていない。彼らは完全な戦闘要員として扱っているからだ。

「それでは、まずは各隊の現状報告を宜しく頼む」

この会議はつい最近取り入れたものである。何故取り入れるようになったかは…
まぁ放置しすぎていて代わり映え無い毎日だったようで、モンスターや施設のモチベーションが全く上がっていないためである。
で、愚痴とかたらたらだけど、雇われている身であればドラゴンに文句の一言でも言えば命が終わる。

しかも結婚をしてしまうと基本竜は大人しくなるので、挑戦者がなくなるという問題も発生していた。
そうしてまた発散する機会も訪れずにモチベーションが下がっていくということだ。
つまり、職場の雰囲気が悪くなるということだ。私が見回りとか見学させてもらった当初はマジでぎすぎすだったのは思い出したくない。

で、私がそれを見かねて一度全員で集まって何が足りないと聞いたところとりあえず戦いたいという要望を受けて
両親に話を通し、私が街を破壊し、お金を集め、それの副次的な産物で冒険者が来て戦闘という流れが出来て徐々に活性化していったのは嬉しいところ。
そこから始まったのがこのダンジョン運用会議だ。

「暗黒騎士隊、先日の冒険者被害を受け全員戦闘不能。その翌日に全員の復活を確認し、何時でも冒険者の対応が可能です」

先日の冒険者…まぁ言わずもがな美人二人引き連れたイケメンパーティーだ。因みに襲撃から本日で二日目だ。
ゲーム内ではモンスター毎にスキルが設定されており、またレベル制を設けており、レベルが上がるとランダムでスキルが付く。
その中で「不死身」というスキルがあるがこれは戦闘不能になってもまた蘇るという、お得なスキルである。

竜の間の前の部屋を守っている暗黒騎士5体は全て付いている筈である。とりあえず蘇生していく暗黒騎士を使っているから間違いないと思う。

「ファニードラ隊、2体ノ欠員。補充オネガイシマス」
「デーモンスピア隊、異常無しです」

ふむふむ…現在このダンジョンには5つの隊が待機している。まず一つ目が暗黒騎士隊。これは選りすぐりを選んでいるのでぶっちゃけ補充はいらない。
つか全員不死身があるし。その他ファニードラが2隊。こいつは両親が使っていた部隊をそのまま使っている。
次にデーモンスピア隊は1隊。これは私が設置した隊である。何か格好良かったので召喚させた。

最後に…忍・ざ・ブラック…あれ?

「メイド23号さん」
「あ、はい。如何されました?」

このメイド23号さんは緑色の髪をしたメイド村出身のメイド。これまたロリな身長なのに体系がけしからん事になっている。

「忍隊は…」
「あ、昨日の襲撃で全滅してます」
「マジでか」
「マジです」

ということで、忍隊が全滅してしまった。この忍隊は諜報活動をしてもらったり、番人してもらったりと割とハードな仕事だったけど全員逝ってしまわれたようだ。

「ううむ…残念なことだけど、気を取り直し、次の召喚するモンスターは何がいいかな?」

そうして室内を見回すと、デーモンスピア隊隊長が挙手をしてるのを確認した。

「では、デーモンスピア隊」
「はい」

がたりと立って全員の顔を見るように視線を動かした。…何してんだ?

「…冥土さんがいいです!」

……え?

「えっと、冥土さん?」
「はい!冥土さんがいいです!」
「理由を伺っても?」

そう問いかけると、顔の表情を締めてシリアスな顔になる。

「理由は二つあります。可愛いのと眼の保養になるからです」

ふむ……一理あるな。しかし、大きな問題点がある

「しかし、問題点があるよ?まず彼女達が召喚に応じて且つ、リストに載っているかどうか」
「大丈夫です!我らデーモンスピア隊一同が念を送っているのでまず、間違いありません」

何を根拠に言っているのだこやつは。……しかし、それらを踏まえても確かに欲しい……いろいろな意味で。

「よし!いいだろう」
「っしゃー!!」

ガッツポーズを天に向かって決めるデーモンスピアは…今までにない以上生き生きしていた。

「ただし、リストに載っていなかったら忍・ザ・ブラックで」
「任せてください」

何を任せるのか分からないけど、召喚はギュンギュスカー紹介を伝って行う。よってこればっかりは本当に運なのだ。
しかし、どこから仕入れた情報なのだ…まったく分からん。まぁいい

「では、他に意見するものが居ないので次の議題へ、トラップの運行状況について」
「はい」

そうして立ち上がったのはメイド24号。水色の髪でぼんきゅっぼんだ。けしからん

「基本は前回の会議と変わりません。お嬢様が設置を頼んだエロ…スライムモンスターによるトラップは問題なく稼動しております」
「よし」

流石だ。このスライムモンスターは冒険者などが着ている服を溶かしてしまう習性がある。そこを生かしてトラップと化す。
その次にするのが…いや、まぁうん。最高だ。じつにけしからん

「また、宿屋、商売は順調に売り上げを伸ばしております。原因はお嬢様が人間を刺激した為冒険者や人間が数多くこの巣へ挑戦していくことかと推測します」
「なるほど、それでは売り上げが20%落ちた時は個人的にも報告して欲しい、また刺激してくるから」
「畏まりました」

そうして着席するメイド24号さん。いい胸だ。

「次に捕虜の数について現状の報告を頼む」
「はーい」

そうしてメイド25号さんが席を立った。髪の毛はピンク色で体系は実にけしからん。まったく、けしからん。

「捕虜さんはー、今13名いまーす。内訳はお嬢様も把握しているかと思いますので割愛しますねー」
「うむ」
「取引として使える人間はー…4名あたりでーす。それで人身売買を目的とした泥棒が2人連れて行きましたー」

基本メイドは巣の運営にあまり協力しない。なぜならギュンギュスカー商会の決まりであり、契約でもその項目は載っている。
しかし、それは戦闘面のみ…というよりメイドさんは小さな体だが立派な悪魔なのだ。普通の冒険者だと片腕一つで足りる強さを秘めている。
なので荒事もオーケーっぽいが…まぁ彼女達は商売で来ているのだから、戦闘面は此方が受け持つべきである。

だが、先ほどの報告もあるとおり、各施設の運営は彼女達も協力している。なので施設の管理だけはきっちり行ってくれている。
よって、人身売買目的の泥棒…まぁ盗賊だか、捕虜の救出してきた戦士とかには干渉は一切しない。

「へー…その二人は取引に使える人間で間違いないか?」
「はいー、間違いないでーす」
「そうか、では…取り戻さねばならないな」

だからと言ってこちらが干渉してはいけないとは書いていない。そう、あの巣にあったものは我々…いや、私のものなのだ。
よってそれらを勝手に持ち運ぶことは基本は許さないのである。…それが人身売買ならなおさら。手に入る金が向こうに渡るのは癪である。
別に今更正義を気取っているわけではない。普通に助け出す分ならまぁいっかとなるけど、こと人身売買については……それはこっちの利益だろうというのが俺の見解だ。

…いや、まぁ彼女達は普通に誰のものでもないんだけどね。うん。
おっと、言い忘れていたが、基本捕虜にする人間は女性が殆どだ。というより女性だ。男は身包み剥いで外にお帰り願うか朽ち果てていただく。

「それでは今回得た収入と損失を差し引いて利益を出した数字は…うん。何時もどおり私にお願いね」
「畏まりました」

メイド23号さんが頭を下げて受けてくれる。ありがたい

「他に言い忘れたことがあった場合、私かメイドに伝えて欲しい。それではこれにて解散!」

そうして各々が退出して言ったのを見届ける。

「さて、私も外出して行こうかな…メイド23号さん。もしも冒険者が来たら各部隊の指示宜しく」
「あ、はい」

そうして私も転送魔法を用いて巣の外へ出るのであった。

















「おねえちゃん…」
「大丈夫……大丈夫…」

巣から100km以上離れた平原にある街道をごろごろと一定のペースで走る馬車の中に、少女といえる容貌の二人が手足をロープで縛られて転がされていた。
髪の色は二人とも金色。輝くその髪は暗いはずの馬車の中でも光って見えるほど鮮やか。さらに容姿も美しい。
歳は15あたりと12あたりの少女達である。

「私たち、どうなっちゃうのかな?」
「…大丈夫。絶対助けがくるわ」

彼女達は数週間前のドラゴン襲撃の際に、モンスターと一緒に連れ攫われてしまった不運な少女達である。
別邸の庭で寛いでいるところを襲われなすすべも無く連れて行かれた先はドラゴンの巣であった。
当初二人はひどく怯えていたが、だんだんと生活にも慣れ、何もされないということもあり、いつか助けが来ると信じて待っていた。

しかし実際に来たのは無精ひげをはやし、脂ぎった顔を持つ盗賊。男はドラゴンの巣にこうした捕虜を格納している施設があることを知っていた。
そしてその中に捕らわれている者の中には美しい女や見たことある顔を持つ人、はてには貴族が捕まっていることがある。
自身の盗賊としてのスキルを利用し、その身柄を確保し、商品として卸す。そうして美味い汁をすすって生きてきたのである。

「へへ…今回はまさか、あのリッシュベルト伯爵の娘だとはなぁ…」

男は笑みを浮かべる。貴族の女は高く売れる。まず身なりがかなり整っていることが多い。さらに、万が一売れなかったとしても
リッシュベルト家に高額な金を吹っかければいいのだ。それでもかなりの金だ。しかしそれにはリスクがある。
まずは彼女達に手を出さないことだ。手を出したとなればその場で殺されることはまず間違いが無い。

そして、健全に扱っていなければならない。よって出来る限り丁寧に扱わないといけないのだ。奴隷商に売るときも処女のほうが高くつく。
しかし、男は何処まで言っても男なのだ。

「どちらも極上だ」

陶磁器のような肌に、美しい容姿。髪、声、艶がある手足。男は汚したいと思った。あの美しい少女達を強引に犯したいと考えたのだ。
そして啼かせたいと思った。あの声で啼いたらどれだけ興奮するだろうか。そしてあの幼い少女の膣の感触はどれほど快感を齎してくれるのだろうか。
金か女か…答えは決まっていた。

「まぁまだ、辛抱だ」

草原の真ん中でも男は構わなかったが、それで一度痛い目を見ている。……山賊に奇襲を仕掛けられたのだ。
その時に犯していた女を山賊に渡して難を逃れたが、あの女がどうなったかは……男は簡単に想像が付く。
だからこそ辛抱するのだ。自身が安全に満足できるまで犯せる場所で犯す。そして飽きたら売ればいい。

値は下がるがそれでもあの美貌は必ず引く手数多であろう。その未来に自然と男の口がつりあがった。

「へ、楽な仕事だぜ」

そうして馬車は草原を走る。目的の地まで残り4時間を切った。














あとがき
連れ去られた捕虜ってどうなるんだろうとふと考えてしまいました。


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