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[3606] ゼロと可能性の竜(ゼロ魔×遊戯王)
Name: 篤詞◆3414a825 ID:df62c6de
Date: 2008/07/31 09:08
「俺のターン、ドロー!手札より『黒竜の雛』を召喚!更にこのカードを墓地に送り、手札の『真紅眼の黒竜』を特殊召喚する!」

とあるホビーゲーム会社の所有するドーム型の研究施設。そこでは金髪と黒髪の、2人の男がカードバトルを繰り広げていた。
場を見る限りでは、金髪の男の場には今召喚されたばかりの竜の幼生が1体いるだけで、黒髪の男の場には、大きな翼を持った見るからに屈強そうな亜人が佇んでいて、その後ろにはカードが1枚伏せられている。

「甘いよ!この瞬間、場の『Dragoon D-END』に速攻魔法『融合解除』を発動!効果により『Dragoon D-END』は『D-HERO Bloo-D』と『D-HERO ドグマガイ』に分離する。
 更に『D-HERO Bloo-D』の効果により、『黒竜の雛』の効果を無効する!」

「………チッ、カードを2枚伏せて、ターン終了だ」

黒髪の男の方は左手に持っていた数枚のカードから、1枚の魔法カードを使った。
すると先程の亜人―――『Dragoon D-END』はみるみる内に歪んでいき、残された場には2人の別の亜人―――『D-HERO Bloo-D』と『D-HERO ドグマガイ』が佇んでいた。
その様子に思わず舌打ちをする金髪の男。持っているカードの2枚を腕につけている機械―――デュエルディスクにセットし、相手のターンとなった。

「僕のターン、ドロー!僕は、伏せていた魔法カード『次元の裂け目』を発動。更に手札から『ポルターガイスト』2枚を続けて発動。このエフェクトにより城之内君の伏せカードは手札に戻る。
 そして更に『融合』発動!再び『Dragoon D-END』を召喚!そして、『黒竜の雛』を攻撃!」

先程伏せたばかりのカードをあっさりと手札に戻させられる金髪の男。更に『Dragoon D-END』も姿を見せた。

「なっ!遊戯、そりゃ反則だろ!」

相手に何もさせないように組まれた戦略に、思わず叫ぶ金髪の男。一方で黒髪の男―――遊戯は笑いながら、

「僕だって負けるわけにはいかないからね。いけ!『Dragoon D-END』!!」

「ぐあああああぁぁぁ!!」

金髪の男の竜をいとも簡単に先程開いた次元の裂け目へと飛ばした。
その衝撃に思わず後ろに吹っ飛ぶ金髪の男。この施設では衝突の際起こる風も再現されているらしく、盛大にデュエルフィールドから強風が舞った。

『城之内克也、ライフポイント0!よってこのデュエル、武藤遊戯の勝利!』

「くっそ~また負けちまったぜ、相変わらず遊戯はつえぇな」

機械判定で城之内と言われた男は後頭部をポリポリと掻きながら遊戯に近づいて行く。また遊戯の方もそんな城之内に近づいて行った。

「いや、城之内君も中々強かったよ」

「え、そうか?やっぱ俺って才能あるのかな~」

「図に乗るな、馬の骨風情が」

「あんだとゴラァッ!!」

突如会話に入ってきたこの男は何を隠そうこの会社―――海馬コーポレーションの社長にして御曹司なのであるが…

「じょ、城之内君落ち着いて。海馬君もほら」

「ふん…馬の骨にこの新デッキを使わせたのが間違いだったな…シミュレーションマシンをアウトさせろ」

「グウウゥゥゥゥ…こぉの野郎おおぉぉぉぉ……!」

…遊戯とはライバル関係にあたり、城之内とは最悪なほどに仲が悪い。
そんな社長は遊戯&城之内の言葉を鼻で笑い、ガラス張りの別室で性能を見ていた研究員に命令をしていた。
ブゥゥゥゥン…と音を立てて消えていくシステムの数々。場のモンスターたちも次々と消えていく中、変化が起こった。
残っているのだ。『黒竜の雛』唯1匹だけが。先程確かに『Dragoon D-END』の攻撃で次元の裂け目に吹っ飛ばされたハズなのに。
ついでにいうと次元の裂け目も変わった形になりながらも残っている。

「おい、どういうことだ?」

もちろん社長としてこの状況を黙って見ているわけにもいかない。すぐに研究員に原因を探らせるが、

「ダメです!コンピュータが機能しません!」

という情けない答えが返ってくるだけであった。
コンピュータの事であるのでどうすることもできなく、ただただその現状を茫然と見ている3人。
そして突然雛が光り、元通り、召喚した時の状態である殻に包まれた状態になってしまった。
更に吸い寄せられるように裂け目の方へと向かっていき、
次の瞬間には体全てが裂け目に飲み込まれていた。
その吸い込まれたモンスター、『黒竜の雛』のカードを後で見てみたら、絵柄から能力まで何一つとして記されていない真っ白なカードだったという。




【NO,1 ゼロの黒韻竜】




「宇宙の何処かにいる私の下僕よ!」

その日ルイズはいつもにまして必死だった。

「神聖で強力な、美しい使い魔よ!」

ハルケギニア大陸にあるトリステイン王国の一角にあるトリステイン魔法学院では今日、1年生が2年生へと進級するための試練、使い魔召喚の儀式の真っただ中だった。
ハルケギニア大陸の何処かにいる生物を呼び出して自身の使い魔とする。そしてその使い魔の種類は魔法を使役するご主人様―――メイジの得意とする魔法に依存する。
例を挙げるならば、褐色の肌に赤い髪の少女(?)―――キュルケの場合は火の魔法を得意とするため火の幻獣。
青い髪の少女―――タバサは風の魔法を中心とするため風竜。
薔薇(の形をした杖)を持つ少年―――ギーシュに至っては、土の魔法『錬金』を得意とするあまり、でかいモグラを呼び出した。
そして今なにやら頓珍漢な呪文を叫んでいる少女―――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエーリもそんな内の1人だった。
が、彼女は他と違うところがある。何が違うかというと…、

「私は心より願うわ、我が導きに答えなさい!!」

…導きに答えるように目の前の地面が爆発した。
これが後の世に世界を巻き込んでいく伝説のメイジと、伝説の使い魔の出会いとなった。


~side:ルイズ 場所:トリステイン魔法学院近くの草原~

もう何回失敗したかな。
確か20回を超えたところ止めたっけ。
どうして爆発するんだろ?スペルは間違ってないはずなのに。
しかも火の魔法だけじゃなくて風も土も、水さえも爆発するし。
しかも失敗の度に馬鹿にされるし。
もう慣れちゃったけど、嫌な慣れだなぁ。

「おい、何回やってんだよ!」

「いい加減あきたぞ、『ゼロ』のルイズ!!」

五月蠅い黙れその名で私を呼ぶな。
誰が言い出したんだっけ。…マリコルヌだっけ?
あの風邪っ引きめ、いくら魔法が成功しないからってあんな二つ名をつけるなんて侮辱以外の何物でもないわ。
笑うなギャラリー。いい加減に黙りやがれ。

「五月蠅いわね!ちょっと失敗しただけよ!」

そう、これはただの失敗。それ以下でもそれ以上でもない。
そんなこといちいち気にしてたらますます調子に乗るやつがいるもの。
なんだか周りからいろんな声が聞こえるけど気にしない。
もう1度、次こそは…。

「宇宙の何処かにいる私の下僕よ!神聖で強力な、美しい使い魔よ!私は心より願うわ、我が導きに答えなさい!!」

…でかい音と一緒に爆発した。でも、さっきまでの爆発とは違う、何か手ごたえを感じた。

「……ケホッ、ゲホ!なんだよ、また失敗じゃないか!!」

「いや、あれ見てみろ!?」

全員の視線が煙の中心へと注がれる。
何だろ?丸い…てことは丸い幻獣!?
やったわ母様!父様!ちい姉様!エレオノール姉様!ルイズはついにやりました!
なにかしら私の使い魔は?丸いからバグベアー?ううん、違う、何かもっとこう、卵みたいな…。
………卵?
煙が晴れてきた。そしてその中心、みんなの視線の先には―――

―――赤い卵が1つ置いてあった。

あたりが静まり返る。そして私の心は一気に氷点下まで―――
違う!あれは卵!中には何がいるかわからないの!希望を捨てちゃだめよルイズ!

パキッ。

…なんか音がした。慌てて我に返ってみると、

パキパキパキッ。

卵の殻が割れて落ちてる。そしてその割れた穴からは嘴のようなものが覗いている。
嘴…鳥かしら?…うん、有りね。飛べるし運べるし目もいい…のかしら?
とにかく使い魔としては合格ラインね、うん。
でも本当はドラゴンやグリフォンみたいな幻獣が良かったんだけど、この際贅沢は言ってられないわね。
あ、そんなこと考えてる間に半分割れてる。
やっぱ鳥ね。体は黒いけど翼もあるし、嘴だってあるし、角だってあるし、目も紅いし…
…あら?鳥って角あったかしら?それに目の紅い鳥なんて知らないし、おまけに手もあるし…
……あれ?翼があって手があって角があって嘴があって…あ、火吹いた。…ってことは、

「『ゼロ』のルイズがドラゴンの赤ん坊を召喚したーー!?」

「嘘だろ!?あの『ゼロ』がか!?」

「シンジラレマセーン!夢なら覚めてくださーい!!」

ドラゴン?私が召喚したのが?全種族で最も強いと言われているあの?しかも黒い?黒竜?
あ、もうどうでもいい。そんなの考えることは無意味だ。
とにかく今言えることは、

「……ヤッッッタアアァァァァーーーーーー!!!」

とにかく嬉しい。もの凄く嬉しい。
多分今日は私の人生で、最も素晴らしい日だろう。





~あとがき~
初めまして、初の投稿です

更新はランダムとなりますので、『あれ?コレ何だっけ?』っと思い始めた頃が丁度いいと思います

どこかグダグダした感じがするのは実力のなさですので、我慢してください、お願いします、いやホントに

*追記*
慈烏さんご指摘の通り、D-HEROの2体が融合解除で召喚出来ないのは書いた後でよく見たらホントでした、スミマセン、作者のミスです
無理があるかもしれませんけど、皐月さんのおっしゃる通り漫画版ベースだと思って下さい、お願いします…

時代軸としては、D-HEROが作られた時に海馬コーポレーションで試行した時、な感じに思って下さい、無理があるのは気のせいじゃないです

後、タイトル変えました



では次の更新までさよならです



[3606] ゼロと可能性の竜(ゼロ魔×遊戯王)第2話
Name: 篤詞◆3414a825 ID:df62c6de
Date: 2008/08/12 15:23
ルイズは女子寮の自分の部屋に戻るまで終始上機嫌だった。
力一杯歓喜の叫びを上げた後、産まれたばかりの竜の雛にコントラクト・サーヴァントした結果、竜の左手にルーンが現れて成功した。
ルーンを刻む時は激痛を伴うというが、やはり竜も例外ではないらしい。しかも赤ん坊なので尚更仕方がなかった。
成功した後はコルベール先生が寄ってきて、「珍しいルーンだね」とか言いながらルーンをスケッチして儀式はお開きとなった。
ほとんどの生徒はフライを唱えて飛んで行き、一部の生徒は召喚した使い魔に乗って学院へ向かった。
その途中、当たり前というか当然というか、未だ目の前で起きた事実を信じない輩がルイズに暴言を吐いてきた。
しかしルイズは上機嫌だった。同級生から何を言われようとも全く気にしなかった。
ドラゴンを召喚できた。それだけがルイズの劣等感に打ちひしがれていた心を満たしてくれた。
嬉しさを残したまま、フライが使えないため自分の使い魔を抱きながら学院へと歩きながら戻った。
もう一度言おう、【自分の部屋に戻るまで】上機嫌だった。






【NO,2 竜の疑問】






~side:ルイズ 場所:自室~

「ふ…ふふふ…ウフフフフフフ…」

ヤバイ、笑いが止まらない。しかも洩れてる。
でも仕方ないのよ?本当に嬉しいんだから。

「本当に…本当に竜なのよね・・・」

もう何度目になるかわからない。もう一度私は抱いている【私の】使い魔を見た。
闇のように真っ黒な、漆黒の体。
燃える炎よりも、あの憎いゲルマニア女の炎よりも鮮やかな紅い色をした目。
今にも力強く羽ばたきそうな二対の翼。
同じ翼をもつ生き物でも、鳥にはない、少し頼りなさそうな手足。
そしてなによりも、嘴の中から時折見える、鋭くてびっしりと並んだ歯。
何度見ても変わらない。飽きない。そして惚れ惚れする。

「黒竜…なのよねぇ~…」

ハァ~ッ、と感嘆の溜息まで洩らしてしまう。
だって黒竜よ?図書室の本でも載ってるかどうなのかわからない種類。
それを引き当てた。ということは私にもそれだけのメイジになれる素質があるってこと?
どんなメイジになるのかしら?やっぱり竜だから火かしら?でもあのツェルプストーと一緒だってのはちょっと嫌ね。
翼があるし風かしら?でもそうだとしたら雪風のタバサのような風竜よね・・・。
あれ?ちょっと待って?

「……あなたの属性って…何?」










~side:タバサ 場所:自室~

私は彼女が竜を召喚したことに素直に驚いた。
私も風竜(風韻竜だけどややこしくなるから風竜で通してる)を召喚した。
でもそれは過信じゃないけど、それなりの力をもっていると自負している。
でも彼女、ルイズの二つ名は『ゼロ』。
私は彼女とは教室が違うけど、キュルケから聞いたところによると、彼女は魔法成功率0パーセントらしい。
その時はあまり関心は持たなかったけど、暫く前から密かに魔法の特訓をしている事を知った。
図書室に行って魔法書を読み漁ってるのも見かけたことがある。
私は努力している人を嘲笑うような品の無い真似はしないけど、さすがに竜の雛を召喚するのは完全に予想外だった。
それに、それは私の隣にいたキュルケも同じだったらしい。
いつも彼女と顔を合わすたびにからかったり口喧嘩していたけど、本気で嫌いだったわけじゃないらしいし。

「お姉さま~、何の御本読んでるの?きゅいきゅい」

……話が大きくそれてた。
そうだった。今私は調べ物の真っ最中だった。

「古代の竜種について」

私が呼び出したのが風韻竜だと気づいたのは乗っている最中にいきなり話しかけられたからだった。
草原から学院に戻るまでに人前で喋らないように躾けといたから多分ばれない。

「きゅきゅい!お姉さまったらまたそんな小難しいの読んで!韻竜のことは韻竜に聞くのが一番手っ取り早いのね!」

…ハズ。多分。そろそろ黙ってシルフィード。
韻竜は普通の竜よりも知能が高く、言葉も話せる。それに先住魔法を使うこともできる。けどシルフィ特別お喋りらしい。

「違う、彼女の黒竜について」

「??あのゼロのおチビの使い魔の仔?」

そうそれ。確かにそれだけどおチビっていうな。特に気にしてなかったけど、私のほうが小さいから言うな。
まあ言っても無駄なんだろうな、きっと。

「どこにも載ってない」

現代の竜は可能な限り調べた。でも載ってなかった。
次に思いついたのは、鳥と爬虫類の仲間、それに近い幻獣だという可能性。でも、これもハズレ。
それで消去法でこの本が残った。でも載ってなかった。

「そりゃそうなのね!そもそも黒竜なんてのは、人間が作った御伽噺にしか出てこないのね」

「どういう事?」

御伽噺にしか出てこない?そういえば『イーヴァルディの勇者』でも黒竜が出てきたけど、あれが作り話だってことはわかる。
でも黒竜まで作り話?

「この世界には火竜と水竜、風竜に地竜、あとそれらの韻竜しか存在しないのね。でも、先住魔法を使って雪の色に化けた竜を見て、勝手に白竜がいると思い込んだのね。それで、白があるなら黒もあるって勝手に考えたってお父様から聞いたのね、きゅきゅい!」

…力説御苦労様。
でもそれだと説明がつかない。どうして存在しないはずの黒竜が存在している?
シルフィが間違えた?それは無い。シルフィより遥かに知識のある親が教えたのだから、その可能性は限りなく低い。
異端児?その可能性もほぼ無い。仮に異端児だとしても、その風貌はどの竜にも似ていない。
じゃあなに?あの生き物は?

「あと、あの仔から不思議な力が感じられたのね」

「不思議な力?」

「なんていうか…もの凄く不思議な力。精霊でも精神力でも魔力でもない、もっと別の力」

わからない。でもシルフィにそれ以上の説明は難しいらしい。
とりあえず今日はもう寝よう。明日キュルケと一緒にでも調べてみよう。










「あ、そうだお姉さま」

「何?」

「シルフィ、あの黒い仔と仲良くなりたいのね!だから仲良くしてもいい?なのね!きゅいきゅい!」

………もう勝手にして。












~あとがき~

更新遅いくせにかなり短いです、すいません
竜が使い魔ということで、ルイズより詳しいタバサ&シルフィの登場でした
黒竜が存在しないというのは偏見です、実際がどうなのかは知りません、ハイ無責任です
先住魔法で色を変えられるかもわかりません、でも先住魔法って何でもできる気がするんですよね・・・

次回はキュルケが絡んだりシエスタが絡んだり爆発が起こったりする予定です、ではまた



[3606] ゼロと可能性の竜(ゼロ魔×遊戯王)第3話
Name: 篤詞◆3414a825 ID:df62c6de
Date: 2009/04/11 13:49
~side:ルイズ 場所:自室~

「……………~~ッ!」

わからないわからないわからない!
もし火竜だったら火だったのに。
もし水竜だったら水だったのに。
もし風竜だったら風だったのに。
もし地竜だったら土だったのに。
なのに、なのになのに、

「黒竜の属性って何!?」

火を吹くから火?違う。黒い炎なんて見たこと無い。
飛べるから風?これも違う。飛べるだけで風なら竜騎士は全員風のメイジだ。
土?接点が見つからない。水?同じく。
どの属性にも当てはまりそうで当てはまらない。
そろそろ探し始めて二時間はたったかしら。
部屋にある教科書から辞書に至るまでありとあらゆる分野の本を隅々まで読んだけど、

「なんで竜自体詳しく載ってんのがないのよ!」

辞書くらい詳しく載ってたっていいじゃない!
なのに書いてあるのは、

『竜―――ハルケギニアにおいて最大の幻獣。火竜・水竜などの種類がいるが詳しい生態が明らかになっているものは少ない』

ってだけだし!辞書の意味ないじゃない!
…まあ私だってこんな当たりひくとは思ってなかったけど。

「あの子のこと養っていくためにも徹底的に調べなきゃいけないのに…!」

私の使い魔の黒竜は結構前に寝てしまった。まあ雛だし仕方ないと言えば仕方ないんだけど…。

「…………あ」

しまった。重要なこと忘れてた。

「…名前、何にしよう…」




【NO,3 竜の命名】





名前。生物が生きていく上で一生涯使うことになるもの。
どうしよう。全く考えてなかった。だって竜を呼ぶなんて予想してなかったし。
でも何にしようかしら?下手な名前じゃいけないわよね。

「ん~……黒いしノワール、紅い眼だしルビー…」

却下。見たまんまじゃない。
ちょっと他の人の使い魔を参考にしてみようかしら。
キュルケのフレイム。あ、『炎』ってそのまんまだ。
タバサのシルフィード。精霊の名前って言ってたけど考えにくい。
モンモランシーのロビン。…どうやって付けたのかしら?
ギーシュのヴェルダンディ。………女神の名前を付けるところがいかにもな感じがする。

「…思いつかないわ」

見た目じゃいやだし自分で考えても思いつかない。他人の考えを参考にしても決まらない。
竜…そういえば、竜が使い魔の人って、父様もそうよね。
確か父様の風竜の名前って『オーディン』だったわよね…。
オーディンって確か…えーと、辞書に載ってたわよね?
私は乱雑に積まれた本の山から、さっきまで手にしていた分厚い本を手に取ってページを開いた。

『オーディン―――神話の主神(最高神)。戦争と死の神であり、魔術の達人とされている。多くの呼び名を持ち、戦神・軍勢の父・高座につくもの・疾駆する者等、数多くある。』

オーディンってすごいわね…父様の竜もここから付けられたのかしら。
それにしても、竜について書かれてないくせに学者ってばこういうのばっかり調べてんのね。

『家族には父 - ボル、母 - ベストラ、妻 - フリッグ、(中略)、妾グリーズとの間の子にヴィーザル、妾リンドとの間の子にヴァーリ、ヘルモード、ブラギをもうけた』

……長。オーディンって主神のくせに節操なしだったのかしら。
でもこの子供たちの名前って手はありかも。それに私は父様の娘だし、私の使い魔もオーディンの息子のようなものよね。
とりあえず片っ端から当たりましょ。










更に一時間後……。








「……ってことはヴァーリも無しね…ハァ、なんでこんなに長々と書かれてんのかしら…」

あれから片っ端から調べてみても手ごたえなし。
一つ目のバルドルは光の神ってあったからイメージに合わなかった。
二つ目のトールは最強の戦神だってあったけど、雷の神だったからこれもパス。
三つ目のヴィーザルは「広い森」って意味らしいし、これもなんか合わない。
四つ目のブラギは詩吟の神だし、第一竜が詩吟だっていうのもおかしい。
五つ目のヴァーリは途中復讐者になるとかあって却下。私の使い魔にそんなことさせたくないし。

「残るはヘルモード…なんかかっこいいし、当たりであって欲しいわ…」

結局残ったのはヘルモード。私は決して少なくない期待を胸に調べ始めた。

『ヘルモード―――神話の神の一柱。ヘルモーズとも表記される。ヘルモードとは、古ロマリア語で「勇気-戦い」を意味する。』


…………………。

……………。

………。

…。


「決定!!!」

思わず叫んでしまった。でも、誰が何と言おうと決定!
ヘルモード!戦いや勇気の意味で、言葉もどことなく気品を感じるわ!
しかももっと調べていくと、お兄さんのために地獄までいったって書いてあるし、素晴らしいわ!

「……ふぁ~…」

ん~一段落着いたら流石に眠くなってきたわね…。
もう夜も遅いしそろそろ寝ようかしら…。
私はすでに寝てしまっている私の使い魔の方を抱き上げながらベッドへ入り、

「おやすみ、ヘルモード」

ゆっくりと眠りの闇へと溶け込んでいった。






~side:キュルケ 場所:自室~

…ん、もう朝かしら?
眠い目を擦りながら体を起こすと、隣でサラマンダーが控えていた。

「おはよ、フレイム」

指で首の下を撫でてやると、「キュルルル」と可愛い声で鳴いた。
火竜山脈のサラマンダー。これが昨日私の召喚した使い魔。
自分でも良いものを召喚できたと思う。あたしの属性にもぴったりだし。
さて、そろそろ準備しなきゃね。
まずは制服に着替える。でもどうしても胸の部分が窮屈なのよね。無理矢理第二ボタンが開く。
もちろんこれは男を釣るための餌。あと個人的な趣味も兼ねて。
次は顔を拭いてから鏡台で簡単に化粧。女を綺麗に見せるための基本よね。
隣のルイズは「化粧なんて自分に自信のないやつのすることよ!」とか言ってくるけど、あながち間違いじゃない。
でもあたしのしてるのはあくまでより美貌を引き立てる薄い化粧。ルイズが言ってるのは厚化粧。
違いを何度説明してもわからないもんだから困った子よね。
そんなこと考えてるうちに全部終わり。
朝食まではまだ時間があるし…。

「行くわよ、フレイム」

隣でもからかって遊んでこようかしら。


…………


「ルイズ~朝よ!起きてるー?」

ドンドンドンと扉を叩く音が女子寮の廊下に響き渡る。
時刻は朝。すでに起きて朝食を摂るため食堂へ向かう者も出始めた時間帯。
その一角で扉を叩き続けている者が一人。

「仕方ないわね…ファイア・ボール」

業を煮やしたのか、突然杖を抜き呪文を唱えた。
すると扉は部屋の中へと吹っ飛び、部屋主が飛び起きた。

「なななな、なに!?」

まだ夢の途中だったのか、ネグリジェ姿で客人を迎えた。

「やっと起きたわね、寝坊のルイズ」

「二つ名みたいに呼ぶな!あとドアを吹っ飛ばすな!」

「仕方ないじゃない、鍵かかってたんだもの」

パニックに陥る部屋主―――ルイズの疑問に律儀に応え、とっとと部屋の中へはいっていく。

「いいから早くしなさい、もう朝食の時間よ?」

言われて気づいたのか、窓から太陽の位置を確認し、大急ぎで着替えに入る。
もちろんこの間キュルケは大いに暇なわけで、真っ先に興味が湧くものへと視線を移した。

「あら?この仔って貴女の使い魔?」

その興味が湧くものというのが―――使い魔。
あの騒ぎにも関わらず、未だにベッドの中で丸くなって寝ているヘルモードに興味を持った。

「ええそうよ、ヘルモードって言うの。黒竜よ!?凄いでしょ!」

着替え終わり(早)、ない胸(キュルケ比較)を精一杯張りながら自慢するルイズ。
その図が他はあまりに滑稽で思わずキュケも苦笑してしまうが、

「ふ~ん・・・まあ貴女にしては上出来じゃない」

とだけ返した。ちなみにこれは彼女の本心である。

「…な、何よ。今日はやけにあっさりと引き下がるわね」

本来の流れではキュルケは笑い飛ばすところなのだが、流石に竜を召喚した者を笑い飛ばすことはできない。
それに彼女はどんなにルイズをからかっていても、内心では魔法の使えない彼女のことを誰よりも心配していた。

(まったく…良かったわね、ルイズ)

何度も言うが、これこそが彼女の本心である。

「はいはい、着替えたんなら朝食に行くわよ」

「言われなくてもわかってるわよ」

憎まれ口は相変わらずか、とキュルケは心の中で笑った。














「そういえばあんたの使い魔どこよ」

「あたしの?今呼ぶわよ、フレイム~」

フレイムの名を呼ぶと、キュケの部屋からサラマンダーがでてきた。

「サラマンダー?」

「ええそうよ。火竜山脈のブランド物。貴女のヘルモードとも仲良くしてあげてね」

「ん~まあそれくらいならいいわよ」

「それより何で抱いて連れてるの?」

「こうしてると落ち着くのよ」





~あとがき~

キュルケ登場。シエスタはまた次回となりました。
何か自分の中でのキュルケは世話好きなイメージがあります。(例:タバサ)
そして名前決定!命名ヘルモードです。
詳細はwikipedia参照なのです。↓URL
「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89」
ケータイの方、申し訳ありませんが、文字を小さくしたりするなりでお願いします。申し訳ありません。
次回こそは厨房との絡みをきかせます!



[3606] ゼロと可能性の竜(ゼロ魔×遊戯王)第4話
Name: 篤詞◆3414a825 ID:5d7ac301
Date: 2009/04/11 13:54
~side:ルイズ 場所:アルヴィーズの食堂~

「ねぇルイズ、何時までその仔連れてく気?」

食堂の入口まで来たときにふいにキュルケが聞いてきた。
ちなみにその仔とはもちろん私のヘルモードのこと。

「ん~…とりあえずはヘルムの面倒みてくれる使用人がほしいんだけど…流石に私でも赤ん坊の世話力不足よ」

「ヘルムって、その仔の愛称?」

「そうよ、こっちの方が呼びやすいもの」

当人のヘルムは物珍しそうにキョロキョロしていた。まあ生まれたばかりだし仕方ないわよね。
でもこうやって首を動かしてるとこもまた可愛いわね~!
…あ、でもまず使用人探さなきゃ。
……あら?あそこのメイド、珍しい髪の色ね。覚えやすいしあの子にしようかしら。

「そこのメイド、ちょっといいかしら」

「え?…はい、なんでしょうかミス・ヴァリエール」

短く切りそろえた黒髪をカチューシャでとめた子が来た。
よく見れば瞳の色も珍しいわね。ここら辺じゃ見かけない黒色。

「あなた名前は?」

「はい、シエスタと申します」

シエスタ、シエスタ…うん、覚えた。

「この仔の世話頼めるかしら、生まれたばかりで、名前はヘルモードって言うけど、呼ぶ時はヘルムって呼んで頂戴」

「はい、畏まりました。よろしくね、ヘルムちゃん」

そう言ってヘルムは出されたシエスタの手を少し嗅いだ。どうやら匂いを覚えているようだけど。
数秒嗅いだところで、「キュアアァ」と鳴きながらシエスタの腕の中へ渡った。
ずっと抱いてたからなんだか少し物足りない。

「それじゃその仔の世話お願いね、シエスタ」

「はい!」

屈託のない笑顔ってこういうものを言うのかしらね。
私たちはそのまま各々の席へ行き、今日も始祖と女王陛下に感謝しながら朝食へありついた。




【竜の交流】




~side:シエスタ 場所:中庭~

今私は、もの凄く貴重な体験をしています!
なんと、黒い竜の赤ちゃんを抱っこしているのです!
私たち平民が竜と触れ合えるほんとに限られています。
例えば、たまたま竜騎士の知り合いがいるとか、竜に襲われたとか、今みたいに竜を扱うところで世話をする位です。
でもそれらはいずれもほとんどが成竜です。違っても、精々幼生が関の山といったとこです。
でもでもでも!今私はその竜の赤ちゃんを抱いているんです!
生まれたばかりの雛はそのほとんどが親の成竜に守られながらアギド、つまり家で育てられ、雛だけで出歩くことはありません。
なので今私がこうやって抱いている時間はとても貴重なのです。

――――クゥ~

「あ、お腹が空いたんですか?」

いけないいけない、感動のあまり危うく忘れるとこでした。
私は今この仔や他の使い魔さんたちにご飯をあげえるために中庭に来たとこでした。

「今用意するので、ちょっと待っててくださいね」

そう言いながらヘルムちゃんを降ろすと私は厨房へと向かいました。




「マルトーさ~ん、使い魔さんのご飯ありますかー?」

私がそう声をかけると、大きな体をした男の人―――料理長もマルトーさんが返事をします。

「おう!そこに生肉が乗った猫車があるから持ってけ!」

「わかりました!」




凄いです。レアです。超レアです。焼き加減じゃありません。
私が使い魔さんのご飯を取りに行って戻ってきたら、ヘルムちゃんと風竜とサラマンダーがお話してました。
話かどうかはちょっと疑問ですが、なにやら鳴き合ってました。
私の記憶が正しければ、あの2匹も使い魔のはずです。
たしかサラマンダーの方はミス・ツェルプストーの使い魔のフレイムで、風竜の方はミス・タバサの使い魔のシルフィードです。
私は暫しその光景に驚きながら、ヘルムちゃんが私に気づくまで見入ってしまいました。





~side:シルフィード 場所:近隣の上空→中庭~

お腹が空いたのね~。
お姉様は中庭に行けばご飯貰えるって言ってたからシルフィも行くのね。

「ご飯~♪ご飯なのね~るーるるー♪」

ほんとはあまり喋っちゃいけないってお姉様から言われてるけど、今なら大丈夫のはずなのね。
今の私は雲と同じくらい高い空の上。
いくらメイジが魔法で飛べても、流石にここまでは来ないはずなのね。
ちなみになんで飛んでるのかは、私のお家が近くの森の中にあるからなのね。
学院の馬小屋使ってもいいって言われたけど、あんな臭いとこ嫌なのね!
それより、近くに川がある今のお家の方が全然いいのね。
あ、やっと着いたのね。
ご飯ご飯~♪ご飯はどこなのね~♪…………?


―――ジーーー


…なんだかものすごく見られてるのね。
てかこの仔、あの不思議な仔なのね!
むむむ、シルフィの勘が言ってるのね…。
ぜひお友達になりなさいってビンビンなのね!

「きゅきゅい(こんにちはなのね)」

「…くぁぁ(…こんにちは)」

返事返してくれたけど、何か元気ない?

「(どうしたのね?もうすぐご飯だから元気出すのね!)」

そう言ったら、

「(…ここ、どこなの?)」

って、言ってきた。
まあ生まれたばかりだし、仕方がないのね。

「(ここは確かトリステインっていう国のトリステイン魔法学院ってところらしいのね。それで、シルフィたちは使い魔になるために、さもんさーばんととかいう魔法で召喚されたってお姉様から聞いたのね)」

「(召喚?)」

「(そうなのね。それで、その後こんとらくとさーばんととかいう契約の魔法で使い魔になったのね)」

「(・・・・・・使い魔って・・・何?)」

・・・・・・あれ?まさかこの仔、使い魔のこと知らないのね?
さもんさーばんとの時にゲートを潜れば、使い魔のことは大体わかるはずなのに?
・・・まあまだ小さいし、仕方ないのね。

「(えーと・・・使い魔って言うのは・・・・・・)」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかんないのね。

―――ジーーー

その期待してくる目はやめてなのねーー!
誰か助けて!へるぷ!へるぷなのね!

「(・・・・・・・・・なにを慌てふためいておるのだ、シルフィードよ)」

・・・は!フレイムなのね!ちょうど良かったのね!

「(今この仔に色々教えてあげてたとこなのね。というわけで、使い魔についてはこのサラマンダーのフレイムさんが教えてくれるのね!)」

「(・・・わからなかったから他人にあやかろうという魂胆か)」

「(ギクッ!えええ、えと、あの、その~・・・ごめんなさいなのね・・・)」

「(ふう・・・まあいいさ。坊主、ついさっき会ったフレイムだ。覚えておるか?)」

「(えーと・・・キュルケさんのとこのフレイムさん?)」

「(うむ、では使い魔の主な役割を教えるとする)」

この2人(?)もう知り合いだったのね。

「(まず1つ目は間隔の共有といってな、我々使い魔の見ているもの聞いているものを主人も見聞きできるというものだ)」

・・・そういえばそんなことも出来たような・・・でも仕方ないのね!お姉様しないし、教えてくれないし!

「(2つ目は秘薬の材料の採取だ。主人によっては必要とするものもいるが、まあ我々にはあまり関係ないことだろう)」

・・・お姉様はあんまり使わないからいいのね!

「(そして3つ目だが・・・メイジは魔法を使う時必ずルーンを唱えなければならない。その間、全くの無防備になってしまうでな、魔法を使うまでの間や普段の危機から主人を守ること。これが最も重要だ)」

これは知ってたのね!でもお姉様にはあんまり必要なさそうな・・・。

「(以上この3つが主な役割だ。わかったか?)」

「(うん、ありがと)」

「(うむ。シルフィード、お主もわかったか?)」

「(よくわかったのね)」

「(よろしい。時に坊主)」

「(?)」

「(先程からこちらを見てるメイドがおるが、お主に用があるのではないか?)」

そういえば黒髪の子が見てるのね。

「(シエスタだ。もう僕行くね)」

「(うむ。次は恐らく教室だな)」

「(またね~なのね)」

そういうと黒髪の子・・・シエスタだっけ?その子の元に駆けていったのね。
次は教室・・・でもシルフィは入れないから外で待ってるのね。
それよりもご飯!ご飯なのね~♪






~あとがき~
・・・放置してました、申し訳ありません・・・
次こそはもっと早く更新できるよう体に鞭打って頑張ります!





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