またまた不快な表現のオンパレードです。
注意。
ありえない嘘の未来
それは不思議なひどい出会いなの編
16歳の末馬達馬の元に、もし自分が仮面ライダー龍騎のお面を作れと言われて作ったら、こんな仮面になるだろうと思わせる
異形の仮面をつけた少女が目の前に、空間を引き裂いて突然現れた。
「様々な世界を旅している16歳です、愚兄から平行世界に逃げてきました、こんにちわ、私」
「ねぇたっくん、この子………」
「ええ、スケールでかいですね、次元を引き裂くとかどうやんのよ?あと平行世界から?」
「FATEを参考にしました、あの、突然ですが、お手わせ願ってもいいですか……末馬達馬君」
「バトルマニア?君はシグナムとかフェイトみたいだな、雰囲気がなんとなく」
「バトルマニアです、人生の大半が戦場でしたから」
「まじで怖いな君、すっげえ血の匂い――――まじで逃げていいか?」
「でもきっと貴方は私よりも強いですね。16であの達子様や私よりも遥かに低い性能の能力でそこまで見ただけでわかるほど強いとは」
「そっかなー素人だけど?あとブギーポップ好き?」
「たっくんみたいな素人はいないと思うよ?」
「いつかの日、絶叫するほど悍ましい濃密な努力の時間を過ごされましたね?
あとブギーポップ、大好きです。過去、パブリックエナミーナンバーワンと世界の敵を目指しました―――――――まぁどちらも現れませんでしたが」
「へ?五日?」
「ふふ」
「そっか、君、高町家の誰かと戦ったことあるだろ?」
「ええ、わかります?」
「天敵ですよね?」
「まーそーだなー」
「なんか君たちずるいよ、わかりあっちゃって」
妙子はそういいながら、一人ゲームに没頭する、少女がお土産に持ってきてくれたドラゴンプリンセスというプロトタイプに似た洋ゲーをパソコンにインストールして始める。
「あ、凄いリアル」
「リアルでやりましたから」
「え?」
なんとなく、彼女の言葉を無意識に理解した達馬は彼女の暗黒物質のようなお話を避けるために少女に話を振る。
「ブギーポップの好きなキャラだれ?」
「ピートビート」
「フォルテッシモは?」
「ああいうのもいいですけど飽きました、やっぱりビートですね、ああいうバトルが出来る人間になりたかった」
「(突っ込まないぞ俺は)………こっちないのが残念なんだよなぁ、久しぶりに読みたい」
「ですね」
リュウヒメ11歳の誕生日。
「昨日D・Pがアメリカに出現したとしてホワイトハウスや様々な各政府機関への攻撃が懸念されました」
国際テロリストD・Pへの単独取材が行われた。
D・Pが堂々とアメリカのニューヨークで一人ハンバーガーをテイクアウトしにきたという通報があった。
その姿は異様だった、周囲には様々な特殊部隊が詰めかけ、彼女の動向を伺っている。
一人店内で肉汁滴る、ハンバーガーを手に持っている、
「あー仮面外してバレないように来れば良かった……でも一張羅ですし、11歳の誕生日だし、何か有名なものを、ときたのですけど」
失敗したなぁ、と仮面の下でくすくすと笑う少女に誰しも怖気を感じ、逃げたくなる。
D・Pに勇敢な記者が取材を申し込み問掛けた言葉にD・Pはこう言ったという
観光ですか?
「観光です」
そう言って彼女はあっという間に音も立てずに消え去った。
律儀にお金をきちんと置いて。
全世界に発信されたその国際テロリストの映像。
異形の仮面をつけたD・Pと呼ばれる少女に世界は慄いた。
いつでもどこでも、彼女は世界の主要人物を殺害できるのだと。
「最後の足取りはニューヨークか……いや無音の超音速だから関係ないか、今はどこにいるんだ?――――高町さん」
「あの子と戦うのか、俺は」
「護衛で十分です、それだけでいいです、彼女は私を憎んでいますから、取り敢えず、リンディさん」
「構わないわよ、私たちも協力します。魔力反応を調べれば行方を追跡出来ます」
「私たちは」
「やめた方がいい、君たち全員なら勝つことが出来るかもしれない、だが、危険すぎる、あの子は直接はないが、既に沢山の人間を間接的に殺している現代の伝説だ」
「それでも」
「駄目だ」
偶然見つけた可能性、魔法という世界を教えてくれた少女たちを末馬高雄は追い出し、大人たちで話し合う。
「捕まえてどうするのかしら?」
「私の妹として引き取ります、彼女をああした責任の一端を私は担っていますから、異世界に連れていき生活させます、早くしなければ、あのまま狂い、最後の一線を超えてしまう」
「本人は逆恨みだと言っているそうね」
「ええ、だけど俺は彼女の願いを踏みにじった男です、責任は取らなければなりません、才覚」
末馬高雄は彼女の来ているだけで目の前の男をもう一度刑務所に放り込みたくなる悍ましい行為を聞くハメになった。
彼女の未成熟な悲しみしか起きないあの映像を確認もした。
思わず世界を焼き払いたくなる陰惨な光景を見続けるのは、必要があったからだ。
「よくもまぁあの女をああいう怪物にしたな、なにしたんだ?わざわざ俺を莫大な金でムショから呼び出してまでプロファイリングだかを行う必要まで出来るとはなぁ。
この世ってのは不思議なもんだ、あとあの綺麗なお嬢ちゃんたちはなんだ、あれは高く売れるぞ?」
「ええ、あなた何をしたの?一度出会ったことがあるけど普通の女の子よ?おはぎを嬉しそうにくれたわ、私たちのことをコスプレイヤーだと勘違いして」
「え、普通に泣きながら抱いてと言われ、未成年に淫行は出来ないから断りました、それからああいう風に―――あと才覚、お前はもう一度絶対刑務所に入れてやる」
「はい、君のせいね」
「そうだな」
「お前のせいだな」
「え、私が悪いんですか!?」
「お前男か?」
「私は男ですが?まぁ女性は苦手ですね、別に同性愛の趣味もないですけど、金儲けしてる途中、ありとあらゆるハニートラップにさらされてちょっと」
「さっさととりあえずあの子捕まえないと、下手すると地球が滅ぶわよ?」
「あの子を殺せる兵器が国連で作られているそうですからね」
「なんで知ってるんだそんなこと」
「私は経済界の魔王ですから」
彼女はドラゴンプリンセス
今日は9歳の誕生日だった。
「あの赤い服、レイディドラゴンだ!!――――――レイディドラゴンがきたぞ!?」
「火線を集中させろ!」
「本部から入電、D・Pが接近中、避難せよ、とのことです!」
「単体で超音速で接近する化物からどうやって逃げろというんだ!?」
「逃げることが出来ないなら戦うまでだ、ガンホー!!」
紛争地帯、多くの人々の血が流れ、ここでは多くの悲しみや憎しみ苦しみ不幸、全てが日常と化している。
故に私は往こう。
悲しまないように
苦しまないように
泣かないように
不幸にならないように
そうする為に私は生きたい。
全てを掬うことを出来ない女の子の手を眺める。
何度も取りこぼし、まるで何処かの錬鉄の英霊さんのような気持ちになったこととか結構ある。
だが微笑んでいこう。
私が悲しんでも何も変わらない、そう考える暇があるなら手を動かそう。
一つ一つゆっくりと丁寧に私に助けられるその人々の命の息吹を感じるために。
凡ゆる全てを使い、私は私のしたいことをし続ける。
というのは嘘だ。
そんなもの、もう4年前の黒歴史だ。
薄曇りの空の下に広がる戦場にひとり――――少女が舞い降りる。
紅い外套を身にまとい、異形の面をつけた女の子が一人風を切って戦場の風に口元をほころばせる。
乾くこともなく、潤うこともなく、それでも口を笑わせる。
ただ、リュウヒメはそこにいる。
味方につけば恐ろしく、敵になればさらに悍ましいほどに恐ろしい。
この世の全てのパワーゲームを盤上からひっくり返す。
彼女にとってチェス盤の上に乗っている駒達は全て美味しいチョコレートだ。
そんな少女を見て一斉に少女の後ろにつく人間たちは、安堵する。
「少し遅刻しました、この区画で最後です」
義勇軍のリーダーは彼女を見る。
空気が電気を持ったようにパチパチとするような感覚。
圧倒的な頼もしさだ、これから我々はまた伝説を目にすることができる。
彼女は現代の伝説。
凡ゆる暗黒を喰らう、邪悪な暗黒龍。
そして誰よりも優しい一人の女の子だとリーダーは思っている。
「――――我々はどうやら助かるようだな」
リーダーは思う、また妻たちにどやされるな、と。
アッラーよりも女性たちに信仰される彼女をまた呼び出してしまった。
助かるのだが、一抹の情けなさを感じて髭を思わず、掴み、ひっぱってしまう。
これが彼の癖だった。
こうして力を借り続けていくうちに自分の髭を全てなくしてしまう、そう思った。
だが、我々は縋る、それが人間だ。
たとえどんなに傷ついていく女がいても、戦えるなら、前にだしてしまう。
「いいえ、ただ私は蹂躙するのみですよ、では戦争を始めましょう、これからはアメリカのハリウッドです」
本能寺の中で、敵は本能寺です、というような言葉を気にせず吐き出す少女が一人いる。
誰一人としてそれを責めたりはしない、彼女の傍にいる人間で彼女を責めるなんてこの世の誰一人として出来ない。
例え、戦意を失った人間を決して傷つけない、直接誰一人殺せない弱さを持とうとも。
生きている人間が二人いてそのうち一人が必ず死ななければならない戦争の中でも
殺人の空気を切り裂いて彼女は前に進む、殺す、殺される、殺し合う、それでも前を歩く、ただ一人己の最後の大切な何かを胸に秘め。
それだけは捨てない。
「全員下がれ!ハファザが我々を助けてくださるそうだ!」
「ハファザ?それ貴方たちの神様の一人ですか?私にそんな名前つけるなんて偶像崇拝じゃないですか?」
私は破滅の売れないアイドルにしかなれないですよ、歌が下手だし、と笑う。
仮面なので見えないが綺麗に笑っている気がする。
「守護霊だから問題ない」
ハファザはイスラムでは悪い精霊から人間を守るとされ、誰でも4人のハファザに守護されているという。
だが少女は一人で往く。
昼夜交替で、2人ずつのハファザが守護してるという。
ご飯を食べていて少し遅刻した、その間に死んだ人間が沢山いる。
善い行いと悪い行いを記録するとされている。
一々覚えない、そういうの。
ハファザが交替する夜明け時と夕暮れ時が危ないとされた。
一人だから交代してくれる方募集中。
「なるほど―――じゃあ行ってきます!」
「お前の戦いこそジハド、そう俺は思う」
しかし、お前のような幼子はこういう場所にいるべきではない、そう言いたかった。
否定も肯定も出来ないまま、前に飛び出すことしか考えない女に、何が出来る、帰れ、と言いたい、だが。
だけれど彼女はやってしまう、出来てしまう。
「絶対気のせいですよ――――あとはまかせろ!!貴方たちは後ろへ逃げなさい!」
戦いの音楽が近くになり、声を張り上げないと会話が出来ない、小さな体を一人前に差し出す姿はまるで生贄のような気さえもしてしまう。
だが、この幼子は目の前の生贄を見て優しく微笑み、全てを崩壊させる。
「貴方が俺たち側についてくれた理由はなんだ!!聞いたことがなかったが!」
「ご飯が美味しい方につきました!!」
「俺たちの平均一ドル以下の貧しい食事に!?」
「貴方の12人の奥さんたちの愛情を沢山篭った料理の方が好きなので!美味しいから!12人分の愛情いただきました!!」
「美味しいだけでか!」
「基本それだけで人を殺してしまったり出来る悪魔ですよ!私は!」
「そうか!だが我々は助かる!!聞くがお前はウチの息子なんてどうだ!?嫁にこないか!?」
「スエマタカオ」
「なに」
「私の子を成せるのは彼ぐらいです――だが絶対嫌」
未だに逆恨みしています。
あいつだけは絶対に許さない。
私は唯一あの男だけを憎悪し続ける。
お前は悪くなないだろう、だけど、お前のせいで、ウチの両親とっ捕まっただろ。
せっかく何年もそうならないようにしてきた努力が水の泡だ。
ぐれる、それはぐれる。
まるで組み立てるのに頑張っていたボトルシップを粉々に砕かれた気分だ。
あいつは正しいだろう。
だが正しいから私は救われるわけでなし。
あの人たち神経質な人たちだったから己が子を売った犯罪者になったと周囲に知られた瞬間首つって死んでしまったし。
「現実ってファンタジーじゃないですから」
そういうふうに物事を言えるほど私は怪物になった。
だからちょっくらファンタジーを起こしてこよう。
まあくだらない現実逃避だが、しょうがないだろう、人間、ダメでもダメなままで居たい時もある。
善悪など知らない、知らないまましたいことをやり続ける。
最早夢も希望もない。
末馬高雄という男が奪い去ったのだ。
私は邪悪に祈る。
人に恐れられるのが大好きだ。
人に褒められるのが大好きだ。
人を殴るのが大好きだ。
人を傷つけるのが大好きだ。
人の不幸を眺めたい。
人の苦しみを味わいたい。
人の涙を飲み続けたい。
人の悲しみを喰らいつづけたい。
私は狭量な醜い人間だ、味方をした人間の周りにそれがなければ、別のところで何人死のうが構わない
だがそうするしか、それ以外何もしたいことなんてない!!
自己満足で生きているだけだ。
私はそれでも此処に生きている。
だから
「止められるもんなら誰か止めてみせろ」
ふふはははははははははははっははははっはっははっはははっははっはははっはは
ははっはははははははははははははははははははははははははははははははははは
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
ハハハハハハハハハハっ!!
お腹を抱えて、仮面の下で笑う、笑う、笑う。
その声は周囲を混乱させ恐怖に陥れる毒声だった。
彼女の目に立ちふさがらなくてはいけない人間達は一瞬恐慌しかけるほどの大音量の嘲笑。
「さぁ、かかってきなさい、こないならこちらから――――いきます!!」
乱れた戦線を立て直した相手の姿が瞑さに見える。
対戦車兵器を中心に武器を選択する物が多い、だがそのようなもの命中しない。
世界を蹂躙し始める混沌とした化物が今日も往く、お腹いっぱい食事をし、水を浴び、すやすやと眠るためだけに暴れ始める。
毎分500発以上の機関銃の掃射が行われ始める
鉛と鉛が触れ合うような弾丸の雨の中を気にせず駆け抜ける少女が一人、己の身を極限まで強化する。
肉体が心を感じ、心が肉体を感じる。
恐ろしいほどの完全なる己に生まれる全能感を手にする―――最早弾丸なぞ、ゆったりと空気の中を泳ぐ金魚でしかない。
宙を空間を引き裂きながらキュルキュルと回転している弾丸の内、退却を開始した人間を狙う銃弾が多い、弾痕が穿たれる前よりも何倍も速くそれを素手で粉砕する。
弾丸の向きは変わり、地面に全て落とす、まるでつかみ取り放題だ、じゃらじゃらとコインを弄るような気さえもおきてしまう。
一度上にベクトルを替えて、全部あとで降ってきて酷い目にあったことがあるので今度は下に。
その中でひときわ大きいロケット弾を見つけると、それを手で掴んで、上に向ける。
それがひゅるひゅるとゆったり飛んでいくのを尻目に、まっすぐにまずは相手の装甲車の砲台を破壊する。
これが一番当たれば一番痛い、ブルルルルルと携帯のバイブ着信のような鈍い音を響きわたらせ、人をいとも簡単に千切れさせる空の戦車の次にこれが嫌いだ。
戦車は砲身をぐにゃりと片結びにしてやればいいがコイツは小さいのだ細かいのは嫌いだ。
発射中に粉々にしたので、逸れた弾丸が射手を傷つけ、殺害する前にそれを手で撫ぜ取る。
舌打ちする、人は脆すぎる、相手の表情がゆっくりと死を見て恐れる表情になるのを見て取れた、だからお前は死なないぞ、と笑いかける。
相手からは一瞬だけ私の異形の仮面がただ、前に見えたように映るだろう。
下手に兵器を壊しすぎて、足を止めさせると、逃げ遅れた人間はリンチにされ、石打にされ殺されたりする。
これからの今日は誰ひとりも死なせない。
今からの今日は誰ひとりも殺させない。
それが私の今日の課題目標。
「さぁ遊びましょう、問答無用でパーフェクトゲームです」
自己採点総合得点SSランクを目指して。
「おォォオオォォォ!!」
命そのものを燃やすように声を張り上げ前を突き進む、紅い風となってまずは小五月蝿いものを破壊する。
全てを粉砕しつくして精々人々の恐怖を一身に全てを受け入れ、勝利の咆哮を上げてやる。
「私の名はリュウヒメ!!そこをどけ!!」
それがドラゴンの生き方だろう。
一匹のまま最後に滅びるまで。
―――――――――
――退却しろ!!―――――
―――――――――――――
そう相手側に命令がくだされるのは数分も経たなかった。
「疲れました、もう腹ペコですね」
また私がモデルのゲームのミッションが増える、そういう確信が持てる、いい仕事をした気がした。
一度日本をわたり、ネットカフェでクリアしたが、あのゲーム、あまりにも自分の体力ゲージが低すぎる。
クリア後の無敵モードこそが私に一番近いというのに。
題名は確かレッドドラグーン。
それになんだ、あのビュアーモードは、人になんてものを着せるのだ。
予想される私に似た顔の女の子が水着やメイド服を着て戦場を駆けるのだ、くくくくくくくくくく!!
なんてそれは平和な話だ。
流石日本。
キリストやアッラーをゲームに登場させちゃう平和な人間たちだ。
擬人化してえっちなこともさせてしまうという平和具合。
あんなものこの今いる場所に持ってきたら、石打で死刑だというのに。
ちなみにあれ、撃滅ミッション難しすぎる、本人はいとも簡単に現実でクリアできたのに、私が操作するゲームの中の私は中々クリア出来なかった。
弾丸を撃ち落とせないと誰が言った。
弾丸を回避すると誰が言った。
炎に弱いと誰が言った。
毒ガス攻撃に誰が弱いと言った、玉ねぎで涙目になる程度だ。
地雷でこけると誰が言った。
私は躱さない、全て真正面から粉砕する、それが私だ。
あと履いてるパンツは基本黒だと誰が言った!?
くっそ、スリーサイズも全てバレバレとか辱めだ、某掲示板テレビゲーム関係スレッドで囁かれる言葉に怒りが湧いた。
哀れ、だと?まだ9歳だ、成長の余地全然あるだろうが。
改造された画像みてブチギレそうになったわ。
回復アイテムがお菓子なのが、なんかむかつく、滅多に食えないお菓子をゲームの中の私は好き放題食っている、ズルい。
「ははははははははははははっ!」
最高だ。
馬鹿な人生すぎる、私は全世界に恥をさらして生きている究極の愚かモノだ。
ここまで阿呆な状態になったらもうメタルギアの裏ボスとしていつか登場してみたいものである。
赤外線だって視認するこの私の目から、数キロ範囲の心音だって見分ける私にあの偉大なる蛇さんはどうやって隠れるのか、楽しみすぎる。
ダンボールで案外、気づかない可能性があるので、そこらへん恐ろしい。
「お前がスネークか、戦場の赤き龍が貴様の命―――食わせてもらうぞ、凡ゆる老若男女、人間は私の胃の中に入ると決まっている」
「なるほど、チューニビョーってヤツか、酷いセンスだ」
「まずはその煙草を吸えなく全てを燃やしてやろう、このレッドドラゴンの炎の息吹で!!」
とかそんな感じかな、多分。
前やったゲームもそんな感じの発言多かったし。
取り敢えず、クリアまでそこらへんの男を捕まえてゲーム機種があるネカフェにタダで入れてもらうのが大変だった。
耳かき一回やらせるだけで良かったのだが。
あんな狭い個室を汚してしまったことに店員に詫びたくなった。
去り際に私に投げかける殺意の視線よりも、きっと店員の迷惑そうな視線に私は堪えるだろう。
あのスズムラという男は捕まらないことを祈るばかりだ、悪の道に誘惑してしまった。
ペドの道へ。
あと次回もまた頼みたい。
ネカフェのお菓子をたんまり買ってくれる中々ケチくさくない男だったし。
しかも態々行く途中でスペシャルエディションの方のソフトを買ってくれたし。
台湾の買春窟にいくよりも安上がり提供だったので、そうでもないか。
ちなみに自分のゲームについてきた自分フュギュアを持ってこっちに帰ると、気づくと「偶像崇拝はだめよ?」と奥さんたちに捨てられてしまった。
「捨てられるのが私の運命なの?」
とか結構落ち込んだ。
「もう一回買ってください」
「え、どうしたのヒメちゃん?」
「もう一回しましょう?ね」
「ああもう、元々ロリじゃないのに、君ずるい、本当にずるい、何か仕草が全てずるい」
行為自体、本当にどうでもいいのでマグロだったので、そこまで楽しくないかもしれない。
アンチマテリアルライフルくらいの砲身でなければ、私に痛みを与えないのだから、しょうがない。
この前見かけた奴は装弾数が10なのであまり降ってこないので今度は軽く連射出来るようになってこないかな、と思う。
全員がそれを持ってきてくれれば、難易度は少し上がるだろう。
そう考えながら、誰もいない火薬臭い廃墟を歩いていると、彼らが私を迎えにきた。
「礼を言う、恐ろしき戦神よ、我々に出来ることならなんでも言うがいい、とにかくお礼をしたい」
男たちが笑って話しかけてくる。
空に弾丸を放ち、快活に笑う暴力の微笑みは私の凱歌である。
うん、すごいうるさい。
腹に響く音だから空腹がひどくなるだろ。
「ならば、そんなことやってないで周囲の生きている人間を探して助けなさい、それが私の薄暗い欲望をみたせる行動です―――――っ!」
偽善を嘯く途中、徐にまだ10歳に満たない少女は地面に転がった石をいくつか拾い上げ、それを空に向って投げる。
空で大きな爆音がいくつも響き、びりびりと大気を揺るがせる。
そのゆらぎのなか、少女は一人、悪びれず、怯えず、媚まず飄々とそれを眺める。
油断なく、次の攻撃に備えて、石を手にする。
最新兵器に投石で挑む。
現代のダビデと言われる彼女の伝説の一つだ。
「アインシュタインが言うには第三次世界大戦は石を投げ合う戦争になるそうです、故に――――貴方たちは古い」
私こそ、最新なのだと嘯く少女は圧倒的強者として高らかに傲慢にそう言う。
いくつもの自分を見る軍事衛生に向け、口元を震わせ
「it is visible if it ranks next and does, since it will shoot down there 」
次やったらそっちをぶっ飛ばす。
丁寧に英語で発音する。
リュウヒメは既に10各国語を余裕で話せるバイリンガルである。
海外に渡たった時から、言葉を肉体の一部とイメージし、全ての言語を数日でマスター出来るようになった。
「いやそうか?10以上の爆撃だったが?あれなら古いも糞もないだろう、普通なら」
「なにいってんですか、私は普通じゃないのですよ?」
「今回も賞金が釣り上がるな」
「私の寝てる時にふんじばって持っていかれないように気をつけてくださいね、一回、普通の人間なら100回は死ぬ滅茶苦茶な量の麻酔を注射されたことありましたし。
起きますからいいんですけど」
「君の寝る場所は今日も我々が死守しよう」
D・P
と国連に記される国際テロリストのリストの中でトップに名を連ねるその少女こそ。
リュウヒメと自らを名乗る顔を異形の面で顔を隠した少女だ。
アメリカではレイディ・ドラゴンと渾名される、怪物だ。
擦り切れたマフラーを首元に、服装はいつも紅く(やっぱトライガンとかそういうの――――)
レッドドラゴンとも呼ばれる。
うん、この子中二病本気で現実にしようと――――全力でグレて疾走している。
体を売り、薬にも手をだし、悪い遊びを繰り返しても。
どれもこれも感じない。
これぐらいしか面白いことが見つからないので全力で趣味としてやるだけだ。
「次にいつ会えますか、末馬高雄!!」
今度こそ、その気に入らないイケメンを私の口づけで汚してやる。
「何が、「え、俺はそういう趣味はないよ」だ――――――死ね!」
とかいいつつ、いつかの日、末馬高雄に雇われた高町士郎にあっさり敗北してしまう。
平行世界の同一存在である末馬達馬や末馬達子と違い、リュウヒメは己を鍛えるのを4年前からやめていた。
研鑽を馬鹿にしきり舐めきった彼女は、人として圧倒的な研鑽を積んだ人間にいとも簡単に敗北してしまう。
いくら力が強く早くとも、大雑把すぎるのだ。
努力する人間に勝つのは出来ない。
「所詮、獣だよ――――君は」
「くっそおおおおおおおおお!!」
「これで満足した?」
「まだです、まだまだまだまだまだ今のは油断しただけだ、もっと速く、もっと力強く」
本質が読めず、また敗北フラグを容赦なく積み立てていく姿は哀れみさえも浮かべたくなる。
圧倒される美しい研鑽の刃こそ彼女のイメージを全て破壊することができる。
リュウヒメは謎の男に一撃も届かせることが出来ない。
「こんな銃弾がモノ言う世界で、剣!?カタナ!?私よりも!!アハハハハハハハいい年して勘違い――――ぐえ」
「何か君弱いな―――――薄っぺらい」
「な、なにぃ!?たかが鉄の棒っきれ二本で、私を何故だ!?何故だ!!殴られた傷が治らない!?痛い、痛い、痛い」
「その痛みが君の弱さだ」
「そんな深いこと言われても私わかんない!!馬鹿だから!」
という感じで瞬殺されてしまう。
「君は普通の女の子でしかないんだよタツキちゃん」
「おまえがぁ!その名で呼ぶのか、私の親を殺したお前が!!しかしお前が正しい!!誰が見てもそう言うだろう!!だから私だけは!!」
「ごめん、本当にごめん、だけど――――」
「謝って欲しいわけじゃない!!私が馬鹿で逆恨みしているだけなのは知っている!!お前は悪くない!だから謝るな!!腹が立つ!!」
「え、どうすればいいのさ、それ」
「取り敢えず、私の前から姿を消せ!」
「きみ暴れると経済の予測しづらくなるからどうやっても止めたいんだけど」
「守銭奴が!!」
「そうだけど、それがどうかした?世の中金でしょ?俺いろんなやつに裏切られて人間嫌いだし」
「ああ、その顔で沢山の女に跨がれそうになった奴はいうことが違うね!!イケメンは死ね!金持ちは死ね!犯してやる!」
「あ―――やってみろよメスガキが、お前の貧相な体じゃ勃たねえよ」
「―― ――――殺す」
「直接、誰ひとりも殺せないくせに、いい気になるなよ小娘」
「は、じゃあ、これから日本に戻ってお前の家族全員皆殺しにしてやる、あと結構間違って人殺しまくってるよ!!」
「ほんっとうに強情だな、やらないくせに―――――非殺傷設定だっけ?取れないんだよな、本当に不思議だよ、ビルを倒壊させても誰一人運良く死なないとかミラクルだ」
「あ、やるよ!やってやるよ!!今から宇宙加速でやってきてやるよ、包丁なら私は人を刺せるし!あと非殺傷設定ってなんだ!?」
「ああ、ちょっと伝で君の力を検証した、あと武器を持つと一気に弱くなるくせに、あと今兄さんに新しい子供生まれたばかりでその子可愛いんだよね。
こどもはいいよね、無垢で、ほら写メ」
「ぐ……………」
男という前世の記憶を無視し、恐怖を受け入れ、初めて生理が来た瞬間、身を売り、何度も性的な行為を繰り返した。
こどもがとにかく欲しかった。
でも全くできないことを知った。
本気で様々な男性を受け入れ、真剣に子を作ろうとした彼女にとって、こどもは絶対に守らなければいけない存在だった。
目の前に映る、可愛い赤ん坊の姿に、自分が今発言した言葉の罪深さに敗北しかけている。
口を縫い付けて死にたいほど苦しむ。
「本当はいっぱい人を助けたいんでしょ?だけど無理だったんだ、君には―――4年前のあの時の君だったら少しは可能性があったのにね」
「違う!!」
「違わないよ、だって君はいつも「さて、負けそうな気持ちになるからいい加減、逃げよっと」
「あ」
「ばいびー」
これは
いつかこないかもしれない未来、経済界の魔王が龍に跨り、世界を席巻することになるまでの痴話喧嘩かもしれない。
「おかえりなさい、リュウヒメ―――今日もありがとう」
「只今帰りました、いえ、ただ私は好きに暴れているだけですから」
「それでも私たち貴女を待っていたのよ、ほらほら座って座って今ご飯を用意するから」
「リュウヒメいっぱい食べなさい、大きくなりなさい」
「ほらわたしの分もたべなさい」
「それぐらいじゃ足りないわよ、となりの家の人たちからもらってきましょう、もっと」
「ええ、絶対くれるもの」
「わたしはとってくるね」
「ほらリュウヒメ、その変なお面とりなさいよ」
「最初にカッコ良いの作ろうとして、そんな気持ち悪いお面になったやつなんて捨てたら?」
「私たちみたいにブルカで顔を隠しなさい、こうするのよ?」
「そうそう、ここでは貴方は遠慮なく外しちゃうから、男達には刺激的すぎるのよ?あなたは本当に綺麗な女の子だし」
「ありがとうございます、貴方たちが飢えない程度で構いません」
「あ、あなた血が出てるわよ?足から」
「へ?そんなことないはずですよ、腕が裂けようとも勝手に治るようにしているし、燃やされても凍らされても耐える私に血なんて―――――「子供が産めるようになったのね」」
「え」
「こういうときってウドゥー?」
「わたしたち世俗派だから知らないわよ、お清めなんていらないんじゃない?お酒とか用意してお祝いしましょう」
「禁止されたものはリュウヒメに捧げる、いいわね、アッラーも喜ぶはずよ」
「むむむむむむ」
「む?」
「なんであの男と遭うと止めた月経が再び勝手に始まるんだ…………死にたい、あと初経じゃないんで、はぁ、私の子達に会いにいくかな」
また一週間ぐらいしないと止めれないとリュウヒメは厭な顔をした。
実は彼女は既に自分と同じような境遇の子を拾い、育てる場所を隠しもっていた。
中には自分よりも年上、または同年代もいる12人の子どもたち。
なんとかなるべく汚い金じゃない金で育てられる子の数の限界が12人だった。
何処かの誰かみたいに食べずに、高く売れる動物を捕まえて売買して育てていたそうである。
龍の子
ドラゴンチャイルドと呼ばれるその子達は何れ、彼女の引退後、世界をまた震撼させる予定かもしれない。
「偉大なるマザーの為に、我々が世界を変える」
とか言い出すかもしれない。
そう。
この女はスケールだけは誰よりも巨大である。
でも
実際そうなりはせず。
その子達はちなみに末馬高雄に「君が育てていた子供たち命を狙われていたよ?」とか奪われ、どっかの裕福な家に引き取られていくことなり。
また彼女が激怒することとなる。
「そうだけど!?また!?また!?ふざけるなぁあ!!」
「え、なんで怒るの!?あと数日遅れていたら君への人質になってかもしれないんだよ!?」
「自分の子供くらい、自分で助けてみせるわぁ!!」
「あの君に対する大規模作戦の裏で行われたんだよ?土台無理だよ?」
「…………お前がいつも基本的に正しい、だが」
「だが?」
「キレるぞ―――本当に厭な男」
「え?」
我が子を奪われた龍はまた暴走する。
そうだ。
末馬高雄は良かれと思ってやることなすこと、大抵、彼女が一番やって欲しくないことをクリティカルで直撃する才能を持っていた。
救いようのない天然である。
下手に常識があるからタチが悪い。
「なに、山田ちゃん?俺がどうしたって?」
「リュウヒメが自分を大切にしないのは貴方のせいかもしれないわ」
「え?」
IF2 彼と彼女が逆だったら 暗黒編2
「ヒメちゃん」
「なんでしょう?」
私の名はリュウヒメと申します、かつて馬鹿な大学生の男でした。
所謂前世というものを記憶しています。
記憶しているだけで、女で良かった、とか思った瞬間、女になることを決めたので大体女のつもりです。
今のところ、女になって困ったことは一人でトイレトレーニングが大変でした。
下手に漏らすと、ボコボコにされてしまう生活を送っていたので、やっぱりホースが欲しかったと思うことが多いです。
これから大きくなって子供産めるのか、とか鼻から西瓜の痛みとか無理とかその前に生理とか絶対嫌だ、とか色々あります。
今のところは棒がない子供の気分で、周囲が大きく見えてまるでアリスインワンダーランド。でも実際はアリスインナイトメアです。
大きくなれる薬が飲みたい、今すぐ飲みたい、そう思います。
気味悪がれ、両親に捨てられ、ヤクザに売られました。
今はコンテナに大体似たような境遇の子達24人と一緒にすし詰めにされて売られて行きます。
私は踊り食いの部類の12人で、残り12人は裁かれて回転寿司のように病院を回ります。
早いか遅いか、ぐらいの差なので対して変わりません。
そう、結局はみんな全員売り物というわけです。
売られた瞬間から、私たちの命は私たちのものではなく、一枚のコインとして周囲の人間のチップとなりましたとさ。
そして皆不幸になっておし――――私は
それでおしまいにする気はない。
リュウヒメは思わず己の手を抑える、怒りでたまらなくなっている手を、まだ、まだだと暴れる獣を抑えるように。
そして今はリュウヒメは明るく言うのだ。
自分の言葉で誰かが明るくなってくれると嬉しいと。
誰かがちょっとでも耳にいれて、くすぐったく笑ってくれるだけで泣きたくなるほど嬉しい。
「世の中って結構薄暗いものですね、本当に、日本ってこういう暗黒世界がまだあったのかとびっくりしません?凛璃さん」
リュウヒメは自分より年上の女の子と話し合うことにする、彼女だけ周囲で一人、まだ落ち着いている。
お互いを名乗り合い、わずかな期間で二人は仲が良くなった。
この時、佐々木凛璃(ササキリリ)という少女は16歳、リュウヒメは5歳、時を超えた友情だった。
実際は暗黒の中で話しかけてきたリュウヒメのことを凛璃という少女は同年代と勘違いしているだけで、自分よりもヤケに落ち着いているリュウヒメにこれからを尋ねる。
彼女はリュウヒメと違いその容姿を見込まれ人身売買組織に夜道を歩いていたところを突然強引に連れ去られた少女で何も知らない。
薬か何かを嗅がされ、今目覚めたばかりの被害者だった。
気づいたら暗黒の中にいる、そして何処かから響く潮風の音に混乱していたところをリュウヒメに話掛けられ、なんとか精神を保っていられた。
最初の何かのどっきりじゃないですかーとかいい加減なことを言うリュウヒメに助けられ、しばらく会話をしているうちに、ん?でも、そんなドッキリなんてないだろ、私たちは芸能人
じゃないんだから、と気づいたあたりで。
ここでネタばらし。
「ねぇ、私たちって」
「これから外国に売られて臓器抜かれるかどっかの変態の相手をすることになりますね――私と貴女は変態の方ですね」
「っ!?「静かに」」
リュウヒメは叫びそうになった凛璃口を手の平で抑える。
「私たち以外には実は24人も此処にいます、多くの息遣い、そして涙を流しきり疲れ果てた人たちの荒い呼吸を感じませんか?」
凛璃は一気に恐ろしくなった。
潮風?
ああ、確かに潮風はする、だけれど、私は気づかないフリをしていた、こんなにも人の荒い呼吸がそこらじゅうから響いて、まるでこれは
痛みで喘いでいる。
ひゅうひゅうとまるで人が出す、苦しみの潮騒だ。
「貴女が一番最後に目覚めた人です、此処は一度大パニックに陥り、すぐに来た改造スタンロッド集団の電撃で皆さんお休み中なので静かに。
あとどうやら売り物は半々に分けるはずだったらしいですが混成メンバーらしいですよ私たち。
あと大人はいませんけどね、全員少年少女だけしかいません。
扱いが悪いのでご注意を―――――外国に到着する前に傷つきすぎると下手すると臓器メンバーになりますよ?
此処狭いから、走ると人を踏んだり大怪我しますから、骨とか歯が折れたりした人もいるので気をつけて―――ふぁう」
あくびを一つ、眠そうにリュウヒメはそう言う。
声音は酷くゆったりとしていて凛璃は不思議な気分になってしまった。
まるでここがただの電気を消された部屋でベッドの上だというような、寝物語を話すような落ち着きに。
「な、なんでそんなに……ヒメちゃんは冷静なの?あと眠いの?」
「夢をいつだって見てるから眠いんです」
「なにをいってるのヒメちゃん、私たちこのままだと「これを」
暗黒の中で凛璃の下に甘さが広がるのに驚く。
リュウヒメが凛璃の開いた何かを口に放り込んだ、見事にこの暗闇中でまるで見えるかのように。
「粉っぽい………飴?」
「ええ、ポケットにあったのでひとつどうぞ、滅茶苦茶甘いらくがんの塊で、飴ではありませんが」
「え?ありがとう?あとらくがん?」
「ほら仏壇の飾りの砂糖の塊です、私は仏様からこれを盗んだのでこんなところにいるっぽいんですよね?」
「ふふなにいってるのよ、ヒメちゃん、ありがとう―――――でもなんか湿気ってる」
「なぜ私は冷静か、湿気っているらくがん、そこにヒントがあります、わかりますか?」
「………え?」
「クイズです、なぜ?ちっちっちっちっちっちっちっちっちっち」
「え?ええ?えー?」
「ぶっぶー」
「え?」
「早押しなので、不正解――――――答えは、私の代わりに泣いてくれたから湿気っています」
「なにそれぇ?」
リュウヒメは思う。
周囲には子供たちがコンテナに押し込まれ、泣いたり、悲しんだりしていた、そしてすぐに泣くことも悲しむことも暴力によって奪われた。
精一杯現実に抗う彼らの声と涙をいとも簡単に奪い取る理不尽な現実に怒りが湧いた。
手を思わず握り込む、相変わらず収納すると指が自分ながらに細い、弱そうだ、そう思ってしまう。
私は冷静だった。
恐れたり悲しんだり苦しんだり泣いたりする暇などないからだ。
怒りを抑えるのに必死で、そんな暇がない。
もう私は誰かの不幸など見飽きて嫌気がさしている。
私は絶叫したいほどそういうものが大嫌いになってしまった。
見てるだけで、腹が立ってくる、これはもう病気だ、精神に異常をきたしているかもしれない、そう思うほどに。
体が熱くなり、拳がギリギリと握りこまれ、泣きたくなってくる。
脳裏に浮かぶ、己をこの世に産んでくれた二人の苦しみがフラッシュバックしてしまう。
泣かないで。
悲しまないで。
苦しまないで。
不幸にならないで。
そう心が鈍くなっていく、泥のようにそれが降り積もり、山になりそうなほど。
リュウヒメはそんな時はいつもあることをしてソレを抑える。
両手を組み、静かに眼を閉じ、祈り始める。
泣かないように
悲しまないように
苦しまないように
不幸にならないように
笑えるように
喜べるように
楽しくなるように
幸せになるように
黙々とそれを繰り返し祈る、それが彼女の癖だった。
一人で何もしない時の時間は殆ど、祈りの時間だった。
誰にも祈らない、祈り。
きっと誰にも届かない祈りだ。
元々宗教の神様はあんまり知らない、お経もよく知らない、ではそんな体たらくでは祈っても無意味と思ったのだ。
過去死んだとき、神様には会えなかった。
だから自分は自分の心の中にしかいないかもしれない何かに祈る。
だからただ黙々と祈ることだけで止める。
そしてやめるときはこうする。
ギュッと握しめる手を解き、再び個別にリュウヒメは両手を握る込むのだ。
拳を二つ作る。
そして手のひらを開く、すると、心が透き通る気がする、とリュウヒメは思う。
思考は恐ろしく冷静だった、頭に風穴が空いたようにすっとし、なんでも出来る気がしてくる。
一種のトランス状態に陥ってるのか、これは、と不安になるほどだ。
これを行うと、物覚えが良くなり、馬鹿だと思っていた自分でも驚くほど聞いて見て感じたことを冷静に判断することが出来るようになる。
そうだ、私は夢を見続ける。
誰もいないし、誰にも届かない祈りを現実にする、それがリュウヒメの夢だ。
「さて、どうやってみんなで脱出しますか」
軽くそれを口ずさむ、やりたいことを好き勝手に自由に口にする。
それだけで嬉しい、私はまだこんなにも生きているのだと誇らしくなる。
そして祈って言ったことは絶対にやり遂げる、それが彼女の誓い。
年齢も性別も関係ない、人間やりたいことをやって好きに生きればいい、誰かに迷惑をかけて不幸にしない限り、自由だ。
だから私の自由に全力を尽くす。
まずは準備運転を始めよう。
「饕餮」
自らの名前をそう名乗りを化物の名前に変える、それがたった一つの呪文だった。
怒りに震える獣に名前をつけてやる、それだけで獣たちは現実に顔をだす。
私には異形の力がある。
まだ幼すぎる故に、成人男性一人となんとか同じ程度の身体能力しかない。
全身で作られた、肉体を強化する特殊な異能的な力は回路となって体を廻っている。
胸にある謎の器官から汲み上げられるエネルギーを全身の血管や神経で構成された回路に通すことで奇跡を起こす能力。
体の容積が小さく、まだまだ脆弱な異能だ。
なにとなく、虐待の暴力に耐え両親を子殺しにしないように創り上げたもの。
あとついでにお腹が減りすぎた時、なんでも食いたいからなんかないのか、と思っていると手から和菓子が出せるようになっていた。
ああ、なにこれ――――わたしってなに?
MPLS?
そう疑問に思う謎の力に今も驚いたまま使っているが、大体二つだと把握している。
しかしながら、そんなことよりも私は無意識に変なものを顔に作ってしまった。
「この眠そうな顔………眠くなりそう」
リュウヒメは己の顔を指で触り、表情筋の動きを確かめる。
人の、いや動物の最も無防備な姿は睡眠時、故に私は敢えて他者に無防備な状態を模造した表情を作った。
独り言をつぶやく声音は穏やかで他者に不快感を与えないように計算づくされているだろう。
肉体の外から見える全挙動は、自動コンフィグされ、今の私は5歳の女の子として、大抵大人などに微笑ましく思わせる仕草を無意識にとってしまう。
なんとなく気づくとこうなっていた。
最初は母が私を少し気味が悪いと不安そうにしていた時、気づくと私は己を勝手に改造していたのだ――――――勝手に改造、ふふ。
あの漫画が読みたくなってきた、と笑いそうになる、あの漫画面白かったなぁと一人笑う。
それはリュウヒメの虐待の日々、能力とは関係なしに研鑽によって磨かれた対人能力だ。
両親を傷つけないように、彼らが幸せになれるようにと、無意識に作り上げたものだ。
それが悪循環だったのだ、彼女不快にさせないように、無意識に変化を始めたのだが、それで余計気味が悪くなっていく。
そしてますます彼女を恐れさせ、リュウヒメはまた失敗を重ね続ける。
そしてこの暗黒にたどり着いた。
彼女は恨んでいなかった。
むしろここまで憎悪されるとは、私はなんていう失敗をしてしまったんだと、後悔している。
彼らを酷い人間にさせてしまった。
自分の子をヤクザなどに売ってしまう、犯罪行為をさせてしまった。
彼らが願わくば、私などすぐに忘れ、楽しく暮らし、悩まれぬようにとリュウヒメは祈る。
「どうかお幸せにお母さん、お父さん」
「え、諦めたの、ヒメちゃんは?」
「いいえ、私はいつでもどこでも祈っています、彼らの幸せを、ほら、家族が幸せに暮らしていると思えば、きっと私たちも幸せになれると思えるでしょう?」
「そうだね」
そして今、私は此処にいるみんなを助けてみよう、諦めず、逃げ出さないで。
一生懸命頑張ってダメだったらそれはしょうがない。
だから、己を恥じないように、往こう。
「よし、とりあえずよし」
その決意は聖なる誓いだった。
末馬高雄は目の前の現実を受け入れる。
たつきという一度だけすれ違った女の子の両親は警察に捕まる直前に首を吊って、自殺していた。
凄惨な光景を受け入れる、若き青年はそれでもその現実に屈することなく、前に進む。
「すまない、たつきちゃん、俺は、君の両親を殺してしまった、だけど……君だけはなんとしてでも助けてみせる」
初めて本当に自分の手で助けたい人を見つけた。
前世の知識を使い、生き易いように金儲けを繰り返した、だが楽をしようとすればするほど多くの醜い人間しか周りにはいなかった。
だから。
私は正しく生きよう、現実に歯向かうためにさらに力、金を手に入れていこう。
そうして生きてきた。
その中で、一人の少女を見つけた。
「ああ、俺は誰かを助けてみたい」
純粋に助けたいと青年は思い、奔走する。
両親に頼み込み、妹として引き取る準備も始めた。
それが悲劇の始まりだった。
あまつさえ、捕まえた原因の本人が後日、彼女にそうやって会いに行ったことが悲劇だった。
もしこの時、彼女を青年が見咎めなければ多くの人々を救い、多くの人々のために生きる、最高の女性になれるはずだった。
勤勉で真面目で、ずるをせず、諦めず、少しずつ研鑽を詰み、成長していく。
そういう普通の女の子として。
世界を見て周り、様々な冒険を繰り返し、傷つきながらも多くの人々と触れ合い、沢山のことを知り、最後は日本でまだ生活している両親の元にもう一度、顔をだし、本当の別れを告げ、また新しく歩きだす立派な女の子へ成長するはずだった。
そして小さなところからゆっくりと暴力ではなく対話で人を救う女性。いざとなればしょうがなく正義のヒーローをやる。
正真正銘の聖女になれるはずだった。
両親が誰かのままでいる情報で捕まった場合、その墓にでも泣きながら挨拶でもしてまた歩き出せた。
だがその本人が現れたことにより。
彼女が捨てた負の感情を一気に呼び起こした。
白に染まっていた彼女は一気にどす黒く変色する。
野生の花は野生のまま育てるべきだった。
リュウヒメ
堕ちっぱなし。
心はぐちゃぐちゃ。
末馬高雄。
空気、というか運命が読めない男。
下手に正義感があったため、大失敗する。
鉄人だったら完全に救ってみせた筈。
女心なんて全然わからない男。
基本的にいい人だけど、こういう失敗が多い。
あとがき
大体こんな感じ。