キャラ改変あり。原作キャラ死亡も。それとキャラが原作のみではありません。
それは、去る暑い七月の晴天の日だった。当然のことながら、コンクリートジャングルによるヒートアイランドによってかなり暑さが増しているので、東京都民は皆一様に苦しんでいた。
せめてもの救いは、その日が休日であったためにクーラーで涼めることが大抵の人が一日行えたことだろう、その日仕事などで外出しなければならない人には残念だが。
それは、同じ東京都多摩区に属する学園都市も同じだった。幾ら学園都市が、世界最先端の科学技術を誇り、超能力という異能の力を持っていようが、惑星の軌道を変更させたり、太陽の核融合反応を制御できるわけはないのだ。
そんな日に、その事件は起きた。それは、超能力という人智を超えた力を科学的に製造する手段を開発し、最先端の科学技術知識にも造詣の深い学園都市の住民であっても予想しえないことだった。
誰が想像しえただろう、まさか技術レベルが中世の世界だというのに、その平行世界に端を発する覇権国家帝国が、次元の壁を越え学園都市へとやってこようとは。
誰も想像しえないに違えない。そもそも学園都市の住民は、科学を知るが故にある意味無知と言えなくもない。
UFOなどおそらく存在しえないだろうものはともかく、科学を盲信するためある意味柔軟な思考ができないという面がなくはない。
地球では、かつて古代に自然界に存在するマナエネルギーといえばわかりやすいかもしれないが、自然が放つ霊的・魔的な力が強大だった際に、神と名乗る存在から介入を受けている時期があった。これは、表の世界には秘匿されているが日の目を見ない真実だ。
最も神といってもそれが人間が神といっているからであり、人間よりも霊的・魔的なポテンシャルの高い生命体と言えなくもないのだが、これらが介入したのは厳然たる事実であり、それら神が活動した地域によって北欧神話が生まれたり、ギリシャ神話が生まれたり、キリスト教が生じたのだ。
神は、異次元空間に存在しているが、これは完全な平行次元のような別の位相というわけではない。
三次元宇宙と異なる宇宙に存在しているのは確かでも、あくまで惑星と隣り合って存在するもので、そのため神が生命進化に介入したかは定かではないが、宇宙レベルの影響力を持つ全知全能の存在でないかもしれない。
とはいえ、それら神を崇めるものがいるのは事実で、それらは神との再度の接触を願っている。
そして帝国は、それらが願っても叶えられることのない存在の力を利用して侵攻を行った。
いきなり石造り風の異次元への通路通称ゲートが開いたのは、学園都市でも最大のアミューズメント施設やショッピングモールの乱立する第15学区であった。
これに、夏であっても様々な理由に訪れていた学園都市の超能力を持つ学生や大人たちは、驚天動地してしまった。幾ら超能力との関わりがあるといっても、流石に街中にいきなり巨大建築物が現れるとは想像だにしていなかった。
ましてその門の中から、中世風の鎧をまとった人間だろう騎士やコボルド、オークといった地球ではあくまでフィクションの存在とされる怪物たちが、手に手に剣やモーニングスター、槍、昆、弓といった旧式とはいえ完全武装た軍隊が現れ殺戮の餌食に合うとは。
ウォォォと時の叫びをあげながら、現れた帝国兵たちは、その場にいた学園都市の人間を老いていようが、若者だろうだ、子供だろうが、女だろうが、男だろうがなんだろうと殺戮の餌食を奮った。
学園都市の人間は、超能力という異能の力を備えているが、だからといっていきなり虚を突かれてしまっては仕方ない。そもそも超能力でも誰もが強力で攻撃的な能力を備えているわけではなく、仮に攻撃的な能力を備えていようと人は心理的に相手に攻撃することを躊躇してしまう。
これが下手をしたら自分自身が殺されかけないような、治安が悪く盗賊に襲われて村ひとつが滅びるといった古い時代やあるいはアフリカの紛争地帯のような地域であるならともかく、日本の表向きは平和な都市である学園都市に育った人間にそうそうできはしない。
これが国際法という概念のあり、民間人に対して無差別殺戮を行ってはならないという倫理のある軍隊ならばともかく中世のような古い時代の人間は殺戮をためらいはしない。
勿論、全てが全てではないが、巨大国家だったローマ帝国が支配下に置かれた民族を蛮族と蔑み、コロセウムで行われた殺戮を市民が楽しんだり、十字軍の遠征では相手が異教徒というだけで殺戮の嵐がふるわれた。
時代が違えば、軍隊といえば確かに殺し合いを行うものだが、国際法のような規制法がない時代の軍隊は危険だ。
そもそも現代でも、軍隊が暴走し大量殺戮を奮ったり、性的暴行を女性に行い、意味もなく無抵抗の相手をいたぶるといった風に人間はたやすく自分のことでなければ他者に対して残虐行為を奮えるのが人の本質なのだ。
人は、人を普段抑えているだけで殺戮や暴力行為を喜ぶ動物的な本能があるのかもしれない。
とはいえ、帝国軍は運が悪かった。重ね重ねいうが、ここは学園都市。超能力という異能の力を研究し、最先端の近代科学の都市であるが、実際は意外と犯罪発生件数が多い。
超能力を持つもので高レベルの能力者のみが優遇され、能力が弱いことため馬鹿にされ、差別された対象からドロップアウトした学生はいわゆるスラム街のような区域を学園都市内に作り出し、学園都市の私兵集団と言えなくもないアンチスキルから横流しでもあるのか、拳銃やサブマシンガンで武装した危険な犯罪集団と化した。
能力者側も低レベル能力者は同じ人間ではないというある意味短絡的な力を是とする優生思想的な考えに取りつかれ、低レベル能力者へたやすく暴力的な犯罪行為を行うものが多量にいる。
それでも治安は良いか悪いかで問われれば、良い方だが日本よりもむしろニューヨークといった外国の都市に近い治安の良さだ。
そのため、中には暴力には暴力で対抗する覚悟のあるものやあるいは単に暴力衝動を満たすためにそれら他者へ危害を加えることの心理的抵抗感が少ないものもいる。
帝国兵は、不運としか言いようがない。彼らの装備では、対抗しようのないレベル4ともなれば対戦車戦闘や人体をばらばらにするような力を備える超能力者が多量いる都市を襲ったのだから。
最も幾ら超能力が強力であるといっても、それは絶対ではない。超能力を学ぶためには、複雑な物理法則を学ぶことが必要であり、かつ戦闘的な能力を発現するのもパーソナリリアリティーという個人の資質だ。
また能力が強力であっても人体構造は人間であり、銃弾を食らえば攻防一体の能力の持ち主でなければ死ぬし、現代の戦闘は集団での組織戦闘だ。
幾ら強力であれ単一の特殊能力者のみが活躍できるわけがない。高度数万まーとるを飛ぶ爆撃機からの爆撃機やキロメートル離れたところから狙い撃てる各種ミサイルに遠距離砲撃可能な自走砲、これらを使えば能力者でも近距離においてはともかくアウトレンジ戦闘をとられればじり貧だ。
それに能力を行使するのに、脳を使うため脳へ強力な能力を使用すれば使用するほど負荷がかかるという欠点もある。
真に軍隊と張り合えるものなど核兵器にも耐えられるレベル5の頂点一方通行くらいのものだ(もっとも核兵器のような超高温で蒸発される兵器は、酸素も消滅させるし、火力でいえば都市を一撃で破壊できる核が上だが。)
とはいえ、帝国兵に対しては絶大ともいえる実力を能力者が持っているのは事実であり、各々が各々の保有する能力によって容赦なく命の危機たる帝国軍に対して対抗していったのだった。
「一つだけ言っておくわ、あなたたちが私に手を出さなければ死ぬことはない。でも私に手を出した以上は、死が待ち受けるのみよ。勿論、あなたたちに惨殺された人たちの恨みも込めてね。」
そうつぶやく一人の少女の近くでは、帝国兵の一団が恐慌をきたしていた。この時代の騎士と言えば、集団での組織的戦闘が戦闘における合理的な戦闘となる以前は戦場の花形は騎士であり、一対一の戦いを美学とする彼らは男子の憧れだった。
それは逆に言うならば、旧日本軍のような玉砕行動をとりやりすということでもあるが、その彼らも今は命からがら逃げだすことしか考えていなかった。
みじめたらしく騎士の象徴たる剣を投げ捨て、必死にプライドも何もかえ消え去り体を動かし逃げ出すことしか考えていない。
オークやコボルドという知能の低い亜人もそうだった。
この事態を引き出しているのは、彼らからすれば異質な衣服たるスカートの中に短パンとどう考えても色気のない服装をしている中学生の胸が小さいことがコンプレックスな栗色の髪の少女だった。
普通であるならば、帝国兵に蹂躙され殺されるか、戦地でまま見られる性的暴行行為を行われるか、奴隷として連れて行かれるかのであるが、帝国兵の死体が累々とその少女の周囲には転がっていた。
それも数10、数100という単位で。その死にざまが尋常ではない。
気の弱いものが見たら発狂するだろうほど、コンクリートの街路は血だまりとなり、その中に死体が倒れている。
というより死体というよりは、肉片の塊といった方が正しく、異様な怪力を持って引きちぎられたかのように金属製の鎧ごと臓物や皮膚がばらばらになっていた。
それをなしえる少女の異能とはいかなるものなのか。
少女の冷たい瞳が、逃げ惑う帝国兵の姿を捉えていた。ある意味滑稽というほど無様な配送を見れば、憐憫の情を抱き添うものであるが少女はそんなものを抱かない。
別に積極的に無辜の人々を虐殺をこそしないが、少女の中のある一部、倫理観を司っている部位があの時以来麻痺したのかもしれない。
少女には、かつて一人の友人がいた。少々百合気質、いわゆるレズビアンであり、セクハラと言えなくもないその気のない彼女に求愛行為をしていたが、はつらつとした友人はまぶしく、大切な存在だった。
その友人は死んだ、学園都市内の学生による自警組織ジャッジメントに属していた友人は犯罪者集団を追って活動していたが、友人も強力な能力者だったが、強力な能力者がいたことと超能力を封じ込める組織によって無力化されてしまった。
その後は、その犯罪集団に監禁され、麻薬を撃たれ正常な判断能力を失い、そこをかわるがわる陵辱されていた。
最終的に犯罪者集団は逮捕され、友人も助けられたが学園都市の最新医療をもってしても麻薬漬けにされた友人を助けることは難しく、陵辱されたこともあるのかもしれないが、精神は崩壊している。
それ以来彼女は、学園都市内の犯罪者どもをばれないよう細心の注意を払いながら、惨殺していった。犯罪者を憎むあまり、犯罪者を徹底的に殺すことに抵抗感を覚えなくなっていたのだ。
学園都市内のあらゆる犯罪者やまた無関係の一般市民は、正体不明の殺戮者を恐れこう呼び名をつけている「パニッシャー」と。
逃げ惑う帝国へと、とどめを刺すべく彼女が取り出したのはコインである。映画バイオハザードにおいて、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のヒロインアリス・アバーナシーが実弾代わりに使用したことがあったが、銃を持たない彼女にとっては使い道がないはずだ。
いったいこれで何をしようというのか。
彼女がコインを指に持った瞬間、触っただけでコインは恐るべき武器へと変わった。
超音速度まで一瞬のうちに加速されたコインは、ただ進むだけで衝撃波によって街路を陥没させ、街路樹をへしたおす威力を見せた。
戦車の複合装甲さえも貫通し、戦車砲やアンチマテリアルライフルを超える威力を持つ恐るべき運動エネルギーの塊は、当たった瞬間帝国兵をミンチと化し赤い液体が宙を舞った。
レールガンと呼ばれる武器がある。これは、アメリカ軍が次世代型兵器としてズムウォルト級のステルス駆逐艦に搭載を目指しているもので、要は二本のレールと大容量の発電機を使用し、砲弾を撃ちだすというものだ。
二本のレールに流すことによって生じるローレンツ力、こう呼ばれる力を生じさせ火薬と異なる原理によって物体を撃ちだすというものだ。
技術的課題は大きく、大容量の発電機や砲身強度の問題、プラズマ化する威力だと逆に速度が落ちる、速度表皮効果といって電流が強ければ電気抵抗が強まるなど言っているが、火薬ではありえない最高光速度の砲弾速度を持つため開発が進められている。
マッハ5を目指しているため、それには劣るが彼女の能力もマッハ2と本来科学者が何人も結集して行わないといけない兵器をたやすく実現する。
それが彼女が学園都市レベル5の一角、レールガンの異名を介する御坂美琴だからだ。
別の所でも、学園都市の能力者によるすさまじい反撃が行われていた。
「人を殺すのに対した力は入りはしない、脳への血流を止めるだけで、心臓を止めるだけで、それだけで人は死ぬ。」
そのセリフとともに、帝国兵は倒れていく。外傷が何もないのにというまことに不可思議な出来事だ。
それは、銀髪のおかっぱ頭の学生服姿の青年が、テレキネシスによって心停止や血液操作を行ったためだ。
学園都市の犯罪者集団でテレキネシスを使えるものでもこのような殺し方はせず、むしろこれより派手なことをするが、これは人を殺すのに最も効率的な手段だ。
何故なら心臓が停止したり、脳の血流がいかなければ、人は死ぬからで、死ななければそれは人ではない。
体内へ影響を及ぼすことが難しいだけで、できないわけではないのだ。
ちなみにテレキネシスといっているが、別にこれはサイコキネシスというかいわないかは好みの問題で、実際は重力や慣性にさえも影響を及ぼす冗長性を持つため物体操作や空中浮遊を行えるエネルギー力場であるのに変わりはない。
ちなみにそれを行っているのは、兵部洋介という高校生である。ただ学園都市の非合法国部門暗部に属しているので普通の高校生とは違うが。
燃え尽きろ、燃え尽きろ!と声にならない叫びをあげている青年がいた。青年の名は、竜王翔。
原石と呼ばれる先天的な学園都市でいうものとは違う、超能力者を発現した能力者であり、他にはユーリー・ゲーラといったレベルこそ低いが、自称超能力者のうちのいくつかが含まれている。
彼の怒りとともに、帝国兵が燃えた。彼の怒りのまま、視界にとらえられている帝国兵たちは、瞬時にして数100~数100度もの熱に包まれるという焦熱時刻状態だった。
彼の能力は、パイロキネシスで能力制御の難点からレベル4だが威力的にはレベル5。
パイロキネシスにも様々な発火パターンがあるが、彼は原子を高速振動させることで炎を発火させるため、対象物を原子レベルでの発火のため例え何者であっても逃れられないという恐るべきものである。
彼が怒ると、能力が自然と発現するのだが、今怒っているのは恋人のソリダを汚されたためだ。
カンボジアからの留学生で、恋人のソリダとともにショッピングにやってきたのだが、帝国軍の襲撃によってはぐれ、危険を冒して探していた彼の目に入ったのは、無理やり服を力づくで破かれ体中精液だらけにされ放心状態のソリダと帝国兵の一隊である。
彼の怒りのままに炎は襲っていた。彼の怒りが収まらない限り、帝国兵に待つのは死のみである。
やがてその炎は、直径が何メートルもある竜のような火柱へと変化していった。まるで火災旋風や生き物のように自由自在に動く天を焦がす巨大な炎が帝国兵たちを殺戮していった。
この騒動は、アンチスキルが出動するまで続くのであった。
パニッシャーアメコミのアンチ・ヒーロー・ダークヒーロー。犯罪者に家族を弄ばれたことから、犯罪者を殺すヒーローの活躍を描く。
兵部洋介絶対可憐チルドレンの兵部京介より。
竜王翔笠井清の小説サイキックウォーズより。